社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 131 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1967/12/14
会議録
○川野委員長 これより会議を開きます。 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
○後藤委員 まだ労働大臣が見えておりませんので、まず最初に、国鉄の関係につきまして、副総裁もおいでになりますのでお尋ねしたいと思うのです。 現在、新聞でも毎日報道いたしておりまするように、十二日から、国労なり動労の順法闘争が行なわれまして、東京付近を中心に、かなり国鉄のダイヤが乱れておる。これはもう申し上げるまでもなく、現実にそうなっておるわけですが、これの根本的な問題は、いろいろ過程はありますけれども、国鉄の財政危機、深く突っ込んでいけばそこへ問題はいくと思うわけでございます。 御承知のように、二兆七千九百二十億円の借金をかかえ、しかもその利息金として、新幹線のもうけだけは全部払わなければならない、こういうように財政的にもまことに窮迫した状態であろうと思います。 それから、さらにそれにつけ加えまして、来年十月の白紙ダイヤ改正の問題、さらには時間短縮の問題等々でかなり要員も必要だ。いままで表面的に出ておりますのは五万人の合理化と、これによって、いま申し上げました問題の要員を生み出そうというようなことが、今次闘争の中心ではないかというふうに私は考えておる次第でございますが、そうなってまいりますと、まず第一番に国鉄自体としてでございますが、いま約四十六万人ですが、昨年の年末に公労委から裁定が出まして、時間短縮の問題、さらに第三次長期計画にあるところの輸送強化の問題、さらには財政危機の問題、こういうようないろいろな問題をたくさんかかえておる今日でございますし、さらに来年度の予算が、真剣なる討論がかわされようといたしておる今日でございますが、いま申し上げましたような情勢の上に立ちまして、国鉄として政府のほうへ、予算の問題なり要員要求の問題につきましては、どういうふうなかっこうで——具体的に数字を示していただいて、しかも今日まで強力にやっていただいておると思うわけでございますけれども、冒頭にその点についての御説明を承りたいと思う次第でございます。
○磯崎説明員 国鉄の現状、ことに財政的に非常に重大な危機に直面いたしました現時点における問題につきましては、ただいま先生の仰せのとおりでございまして、私どもといたしましては、率直に申し上げさしていただきますが、いまの事態が決して、何と申しますか、ただ一時的な経済不況とか、財政不況とかいう問題でなくて、やはり開聞以来一世紀たった国鉄というものの、いわゆる鉄道事業というものの中に包蔵されている宿命的なものが、ぼつぼつあらわれてきておるというところに、私は実は根本的な問題があると思います。遠くイギリスにおきましてもいろいろ問題があるようでありますけれども、やはり全世界同じように、鉄道事業というものがいま非常に大きな危機に直面しているということ、その波が徐々に日本の鉄道にも及んできたということが根本的な問題で、ただいま先生がおっしゃったことも、やはりそれをさしておっしゃっておるというふうに私考えます。したがって、そういう根本的な、基礎的な立場に立ちまして、一体今後国鉄をどうするのかという角度からものごとを考えなければいけないと思いまして、決して一時的な財政糊塗策だけでは、私は事足りることではないというふうに考えます。 実は、この問題は一昨年ごろからぼつぼつ論議され、国会におきましても、予算委員会、決算委員会においてしばしば御議論のあった点でございます。端的に申しますと、実は国鉄の自前では残念ながらもうやれなくなってしまった。いままではとにかく収入をいただいて、そうして経費をまかなう、あるいは借金の利子を払うということでいままでまいったのでございますが、残念ながらどうしてもここでよそさまの力を借りる、言いかえれば、国民の税金をただで使わせていただくということをしない限り、ここしばらくの国鉄というものは、やっていけない。しかも、われわれといたしましては、国鉄がこのまま滅びてしまうのではなくて、何とか次の世紀の交通機関として、国民のお役に立ちたいということを前提として、この転換期をどう乗り切るかという角度からものごとを考えてまいらなければならないというのが私どもの根本的な態度でございます。そういう態度からまいりまして、具体的に、たとえば来年度予算等におきましても、実は本年度予算ができる際にいろいろ論議されまして、いままでの抽象論ではとてもやっていけない。何とかきちっと事務に乗せて、しかも数字に基礎を置いた対策を立てない限りだめなんだということで、実は去る四月以来、予算の成立以来、ずっと大蔵省あるいは経済企画庁等を交えまして、専門家の中で、実はひざを突き合わせて、数字の検討をしてまいりました。このままではどうしても国鉄はつぶれてだめになってしまうということを防ぐためには、ここである程度政府としてもめんどうを見てほしい、まためんどうを見てやらざるを得ないのではないかというところにまいった。 具体的にお尋ねの来年度の予算でございますが、たまたま内閣の改造等もあり、その直後の臨時国会でございまして、まだ十分新大臣にも御説明等が完全に行き届いておりませんし、また大蔵省のほうにおいてもいろいろ論議の最中であり、また私どもといたしましても折衝の最中でございますので、具体的なこまかいことは申し上げられませんが、ただ私どもといたしましては何らかの形で、あるいは利子を補給するとか、あるいは政府から出資をしてもらうとか、あるいは運賃を上げるようにしてもらう、こういういろいろな角度から国民全体からもめんどうを見ていただくし、また受益者からもめんどうを見ていただくという立場で、ここしばらく国鉄の苦しい状態の切り抜けに協力していただきたいというのが私どもの根本的な態度、考え方でございます。 その中で、特にお尋ねの人間の問題につきましては、後刻御質問によってお答えいたしますが、非常にたくさんの問題を含んでおります。何と申しましても四十七万という膨大な人員をかかえまして平均年齢が三十八歳、日本の企業で最高の平均年齢です。残念ながら一人当たりの水揚げが二百万までにならない。百八十万くらいの水揚げしかない。こういうように、サービス業として非常に人間の多いサービス業である。しかも、ある程度機械化しても、なかなか人の減りにくいサービス業である。しかも、非常に年齢が高くて、人件費の問題が、全体のウエートの中で非常に大きな割合を占めておるという角度から、私どもといたしましては、たとえばほかの企業でやっているベースアップ等につきましても、できるだけ国鉄職員なるがゆえにベースアップしないということはしたくない。また、いまの四十七万という人間の首を切って合理化する、首を切って企業を建て直していくということは、絶対したくないということを前提といたしまして、しからば、いかなる方策があるかということを考えてやっておる次第でございます。私どもといたしましては、四十七万の現在人員を極力減らすことなしに、しかも今後の財政危機を乗り切って、その次の新しい鉄道へ持っていくという考え方から、来年度予算の折衝をしておるところでございます。
○後藤委員 いま、特に要員問題で丁寧に御説明いただいたわけでございますけれども、実際は国鉄において定員外に一万三千人くらいの、しかも平均五百八十円という低賃金で臨時人夫の人が使われておる、これが実態だろうと思います。さらに先ほど申し上げましたように、輸送は強化しなければいけないし、要員はふやすわけにいかぬし、借金だらけであるし、これをどう切り開いていくのだというのが、冒頭申し上げますように、根本的に今回の闘争の一番の中心であろうというふうに私考える次第でございますので、ただ合理化で五万人の人間を減らすのだ、そういう合理化を行なう組合に強くその話が出ておるわけですが、一方におきましては、いま言われましたような方向で出資の問題なり、あるいは納付金の問題なり、利子補給の問題なり、その辺のところは強く政府のほうへ働きかけていただくことが、問題解決の一番大切なかぎではなかろうかというふうに私考えまして、いまの点をお尋ねいたしたような次第でございます。 次には、順法闘争の問題ですが、きょうも私、毎日新聞を読んでおりましたら、この順法闘争のことが書いてありました。御承知のように順法闘争は十二日に始まったのであります。その前日か前々日でございますか、総裁のほうから強い警告書が出ておったと思います。この順法闘争自体を考えてみますと、現在におきましても東京の山手電車等は相当おくれております。ところが読んで字のごとく、順法闘争とは法律を守る闘争である。いわば国鉄における作業ダイヤですか、あるいは基準ですか、こういうものがきめられておるわけですが、それがきめられておるとおり実行に移すと、過密ダイヤでありますから、十秒、二十秒、三十秒積み重なってダイヤが乱れてしまう。ところが平素におきましては、何とか過密ダイヤの時間を正確に守ろうということで、きめられた規則も適当にしておいて守っておるから、ああいうふうな一分、二分間隔の電車もりっぱに動いている。いわば規則を守るとああいうことになるし、守らずにやると平常どおり動く、規則を守らないのが正当化される、こういうふうなかっこうに特に過密ダイヤにおいてはいえるのではないかと思うわけです。現在国鉄労働組合なり動力車労働組合がやっております順法闘争につきましては、順法闘争をやれば処分をするぞ、警告の内容は私は知りませんが、大体そういうことだと思います。ところが、規則を守ると処分をするし、規則を守れば列車はおくれるし、守らずにやっていけば平常どおり動く、まことに妙なことであるというのが、きょうの毎日新聞にも書いておったようなわけでございますけれども、現在行なわれておる順法闘争に対しまして、国鉄当局としては一体どういうような——いま申し上げました点から考えてどういうふうな考え方を持っておられるか、その点を明確にお答えいただきたいと思います。
○磯崎説明員 ただいまの御質問の前半でございますが、まず、部内の職員に対してきびしい合理化を望む以上、政府に対しても当然強い要求をしていいだろうなという御念の押しと存じます。その点につきましては、私どもといたしましても、逆に申しますれば、いやしくも一般国民の税金をただでいただく以上、やはり部内としてはできるだけのことをするというのがたてまえというふうに考えてやっております以上、外に対しましては、大蔵省あるいは国会の席におきましても、昨日も一昨日も予算委員会、決算委員会におきましてもできるだけの御説明を申し上げ、できるだけひとっここしばらくお助け願いたいというお願いをしている最中でございます。たとえば、いま先生御指摘の納付金の問題一つにいたしましても、私どもから申し上げますれば、百数十億という膨大な金でございます。ところが、市町村別に見ますと、一%から一%以下の金額でございますけれども、やはり納付金問題を私どもが問題にしたと同時に、全国のあらゆる市町村から、ほとんど全面的な強い反対の声が、直接あるいは間接に、先生方を通して私どものほうに強くまいっております。納付金の問題一つにいたしましても、非常に大きな困難を伴いますし、かわり財源と申しましても、私どもはかわり財源を調達するだけの能力を持ちませんので、ただ税金をまけてくれという程度の話になります。そういたしますと、市町村側としては、これは絶対まけられない、たとえ百万円でも、十万円でも、歳入が減ることは困る、こういうふうな強い態度でございまして、今後これを政府部内においていかなる立場で解決していただくかは非常に問題でございますけれども、納付金一つを例にとりましても、ことほどさように非常に国民的な反対を受けながらこれを解決しなければならぬということで、私どものほうの責任の重大さと、職責の重さをしみじみと感ずるわけでございますが、できるだけ全力を上げてこの問題は解決に努力しなければいかぬ。かと申しましていやだから、納められないから払わないということは、これはまた法治国家のもとで、いやしくも政府機関の一部である以上、これも許されませんので、きまってしまえば払わなければならぬ。これは借金を質に置いても払わなければならないということになりますれば、やはり何とかきまる前に納付金問題を合理的に解決するようにしなければならぬというふうに思います。ただ一つの問題につきましても非常にむずかしい点の例を一つ申し上げたわけであります。 二番目の順法闘争の問題でございますが、実は私もこの最中毎朝電車に乗ってきております。ただいわゆる順法闘争と申しましても、昔と申しますか、十年ほど以前の順法闘争と、昨今の順法闘争とは、いささか趣を異にいたしております。前の順法闘争と申しますのは、たとえば実際物理的に設備が欠けていたとか、あるいは非常に規則が実情に合わなかったという意味の順法闘争ということでございましたが、昨今行なわれている順法闘争というのは、むしろそうでなしに、これは組合の部内の指令等も実は見ております。それなど見ますと、むしろ私どもから申しますれば、順法という以上やはりダイヤを守ること、これが一番順法の根本だと思います。たとえば駅に入る速度は十五キロ以内であるというふうにきめた場合に、それは一キロで入っても十五キロ以内である。しかし十五キロ以内という場合には大体常識的に十キロから十五キロくらいというのがあたりまえで、それを三キロなり五キロなりの速度で走れば、それはおくれるにきまっているわけです。あるいはたとえば車掌がドアをあけます。そうすると、電車がとまってからすぐドアをあけるか、あるいは三十秒たってあけるかによって非常に違います。普通ドアをあける時間は二、三秒というふうなことでございます。もちろんいまお話しの安全の点につきましては、これは車両その他も非常に整備されております。たとえば十五キロ以内というところを三キロで走らなければ不安全だというようなことは絶対にございません。その点で私どもといたしましては、私自身けさも電車に乗って参りました。普通のダイヤなら六分で着くはずのところを十数分かかる。普通私ども乗っておりましても、いわゆるノッチを入れてノッチをオフするという場所は、これは大体きまっているわけでございます。それを駅を出てからすぐやる、五十メートルも行かないのにノッチオフする、これは運転常識上考えられない問題ではないかというふうに考えます。これらの点につきましてはもう少し実態をよく究明いたさなければならないと思っておりますが、組合の中におけるいろいろな上部から下部への指令等によりますと、やはりそういうことを意識的にやるというふうなことがあるやに見受けられます。これらにつきましては、いわゆるそれが順法なりやいなやということにつきましては、相当問題があるというふうに考えます。まだ、きょう現在なおダイヤが正常に復しておりませんが、それらにつきましては十分現状を究明いたしますが、あらゆることをなるべくゆっくりやるということが、たとえばふだんならば三秒で済む、三秒はもちろん安全の範囲内で、それを五秒かけるか十秒かけるかということは、これはいわゆる一つの作業上の常識の範囲内であるというふうに考えますので、その範囲内を逸脱しているかどうか。私どもの規則も、幾ら何でも、たとえばドアが締まってから何秒後にノッチを入れるということの規則はございません。どこの私鉄におきましても、どこの国におきましても、これは運転士の常識として、ドアが締まったらすぐ信号を確認してキーを入れてノッチを入れる、これが普通の手順でございます。その手順の間に五秒、五秒ずつの間をおけば、これはおくれることがきまっているわけであります。それらにつきまして、はたして現状がどこまでそういう点の平常の常識的な作業を逸脱しているかどうかということにつきましては、十分、もう少し現状を調べなければわかりませんが、私どもといたしましては、昔と申しますか、十年以前の順法闘争と今日の順法闘争とはいささか趣を異にしておるというふうに考えておる次第でございます。
○後藤委員 順法闘争につきまして、いろいろ言い合っておりますと時間がかかってしまいますので、次の問題に入りたいと思うわけですが、合理化の問題です。いま国鉄当局が言っておるのは、二万人と三万人で五万人要るんだ。二万人は時短、三万はダイヤ改正、だからどうあろうとこうあろうと、五万人を浮かさぬことにはもうやれぬのだ、こういうふうな強硬な方針で進まれんとしておるところに、今次闘争が誘発したわけだと私は思っております。 そこで、まず第一番には時短の問題です。私、聞くところによりますと、労働基準法に基づいて一昼夜交代ですか、午後十五分なら十五分の休息時間がある。この休息時間を休憩時間に切りかえる、そして六日をかけると九十分になるわけで、これで一時間三十分時短をやった、あとの三十分を何とかせなければいかぬ、まるで子供だましのような話が国鉄労働組合へも動力車労働組合へも行っておる。こんなばかにした話はないというようなことで、この時短問題についても具体的内容がさっぱりわからぬのに、二万人要るんだから合理化をやる、こういうような強硬方針に出られておる。 さらに、白紙ダイヤの三万人につきましても——これは来年十月の問題だと思います。来年十月のダイヤ改正に三万人の人間が要る、具体的にこういうダイヤ改正をやるから三万人要るのだ、これらについても大体の推定ではないかと私考えておる次第でございますけれども、この時短の問題と白紙ダイヤの三万、五万の問題を、これだけ労働組合として十分話し合いをしてそれから話を進めようではないかと言っておるのを、もうとにかく来年早々にはめどをつけぬことには国鉄はやっていけぬ。きょうも運輸委員会で総裁はこう言っておりました。話をしておってもなかなか進まぬので、組合に最後の決心をしてもらうために最後通牒のようなものを出して、そうしたら組合のほうがいきり立ってこういうことになったのだ。これは堂々と運輸委員会で総裁が言っておられました。私も聞いておったようなわけでありますけれども、そのことばに私ははっきりあらわれておるのではないかと思っておるわけです。 ここで、まことに話はこまかくなって申しわけないと思いますが、昨年の年末に勧告された時短の問題、さらに来年三万人要るといわれる白紙ダイヤの問題、これらについて、今日国鉄当局としてはどういうふうにして実行に移すのだ、こうやるから五万人の人間が要るんだ、この御説明をまず承りたいと思います。
○磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、むしろ私はその御質問のこまかいお答えをする前に一言御説明申し上げておきたいことは、冒頭に申し上げましたとおり、現在の国鉄の置かれている地位、現在の国鉄の企業的な一つの歴史的な立場というものは、いまやまさにほんとうにもうほうっておけば破局に近いといいますか、破局に向かって走っているというふうに申さざるを得ないと思います。これが私どものあらゆる仕事の認識の根本に立っておりますが、その中でやはり一番の問題は人件費である。たとえばことしの五月、六月の春闘の際における国会の委員会における御質問におきましても、どうして国鉄だけがほかの二公社五現業と違って、調停段階で一切の回答をしないのかという強いおしかりを受けました。しかし、私どもはどうしても現時点の予算内においては、調停段階でお金を出すことはできないということを申し上げまして、結局、仲裁に上がり、いま予算委員会で御審議のとおり、ことしのベースアップの所要額約三百三十億でございますが、これは一人当たり約五千円になりますが、各企業庁の最高の額でございます。この三百三十億のうちの半額はどうしても借金であるということで、いま予算委員会で御審議願っております私どものほうの補正予算案は、半額百六十五億を財政投融資で拝借する。そうして仲裁裁定を実施する。こういう予算の問題一つ取り上げましても、仲裁の問題一つ取り上げましても、ほんとにもうぎりぎりまで押し詰められた時点であるということがまず前提でございます。 私どもは、そういう時点を切り開くためには、どうしてもこれから作業の機械化、近代化をやる以外に方法はない。十九世紀に発足し、ほとんど一世紀近くたったこの古い鉄道というものを、どうしてもここで新しくしない限り、これは衰亡の一路をたどるのみだというふうに考えまして、思い切って作業の機械化、近代化をやる。そして、そこから当然人が浮いてまいります。浮いてきた人を一番必要な輸送部門に振り向ける。それによって国民の足を確保すると同時に、国鉄の収入をあげる。これ以外にだれがやっても方法はないと私は思うのです。そこで私どもといたしましては、その五万人を浮かすために合理化するのでなしに、ここで鉄道企業を何とかこの曲がりかどを曲がらすために機械化、近代化をする。作業の機械化、古い一世紀前から同じことをやっていることを、ここで変える。そのかわりに金を相当入れて投資をする。たとえば電化をすれば、いままでの蒸気鉄道から電気鉄道になれば、当然人が減ってまいります。石炭を扱っていた人間は要らなくなるから、当然人が減ってまいります。要らなくなった人間を必要な輸送部門に振り向ける、これ以外にはどうしてもやりようがないと私は思います。したがいまして、今度の合理化案というものは五万人を捻出するための合理化案ではなくて、作業の機械化、近代化の過程において出てくる人間の数がおおよそ五万人、それを来年の秋の、国民に対する一つの御恩返しとしてやりまするダイヤ改正の所要人員の一部に振り向けるというのが一つ。 もう一つは、先生の御指摘の時間短縮、国鉄の職員といえどもやはりなるべく労働時間を短くしたい。これは私も同じ気持ちを持っております。しかし、それにはやはり人が要る。ただ、その人を外から持ってきて時間短縮をやるのでは、国民に納得していただけないと思います。どの新聞を見ましても、国鉄は合理化が足りないということを始終いわれます。したがって、せめて労働時間の短縮ぐらいは、やはりお互いにはき出した人間の中からそちらに向けるというのが、考え方の筋だというふうに考えまして、時間短縮は、いまおっしゃったように約一万数千名要ります。しかし、これもいわゆる作業の機械化、近代化の過程から出てくる人間を振り向けて時間短縮をしていきたい、こういうふうに考えております。また、時間短縮の具体的内容については担当の井上常務が参っておりますので、私の説明を補足させていただくことといたします。
○後藤委員 去年の年末に、公労委から出ました時短の問題については、ことしの十月にも協定を結ぶようにやれ、こういう内容もあったと私記憶しておるわけでありますけれども、これはいまだにまだできておらぬということです。どういうわけでおくれているのでしょうか。
○井上説明員 確かに先生御指摘のとおり、案どおりのタイムテーブルどおりに進んでいないことは事実でございますが、先ほど副総裁から申し上げましたとおり、やはりこれには一万数千名という相当膨大な人間を要するわけであります。その人間を生み出すためには、先ほど来副総裁がるる申し上げておりますとおり、機械化、近代化によって生み出される人間をこれに振り当てようということが前提になりますので、そのほうの話も同時に進めなければ、時短だけでこれだけ浮くからということで、そのほうの話を先に進めるというわけにもまいらない。やはり話は同時に進行していかなければならないということで、その点は組合も了承していただいております。機械化、近代化の問題、それから時短の問題を同時にゴールインしていこうという点についての基本的な態度は、当方も組合のほうもすべて異存はございません。その点は団体交渉によって詰めるということでいま進行いたしております。
○後藤委員 それでいま、この年末のまことに忙しいときに、十二日以来ああいうふうなことでダイヤが乱れておる。これはかなりみんながいろいろな見方をしておると私思います。このまま進んでまいりますと、さらに十五日の午前中でございますか、二時間のストライキをやる、こういうような態勢が、国鉄労働組合なり、動力車労働組合の態勢ではないかと私見ております。きょうあたりの新聞にもいろいろ書いてありますが、当局の皆さんの説明を聞いておりますと、いままで言われましたように、二方、三万で五万、これは何も人間を浮かすためにやるのではない、機械化、近代化をするのだ、これは世の趨勢だ、そこにはからずも五万人浮いてくるんだという説明です。これはどっちから説明しましてもまあたいした変わりはないと思いますけれども、これはその合理化問題が中心になっておる。しかも、その合理化問題の中身も中心になっておろうけれども、あなた方がやられようとする持っていき方です。たとえば、年末におきましては検修体制の問題、電修場の廃止の問題、あるいは手小荷物等、数えると六つ、七つの問題を、まあ組合がどう言おうとこれだけはめどをつけたい。午前中の総裁の話じゃありませんけれども、めどだけはつけたい。 さらに機関車乗務員の、機関助士を廃止してしまおう。これもことしの初めに動労のほうには説明があったそうでございますが、来年の四月ごろからやるという説明が、一月一日から実施をしたいというふうなことで、そういうふうなやり方自体が今日のこういう事態を起こしておる原因ではないだろうか。聞くところによりますと、両組合におきましても、合理化問題につきまして反対はいたしておるけれども、この問題についてはこうだ、この問題についてはこうだといって、きちっと整理をしておるそうでございます。何でもかんでも、とにかくまっこうから反対なんだという態度ではないと私見ております。ただ、これらの問題を、労働組合と管理者側のあなた方のほうと、十分な話し合いもせずに、来年四月にやると言っていたものを一月に繰り上げて実行しようとしたり、あるいはいままで団体交渉もやらずに一片の説明だけで終わってしまって、すぐ合理化の実行に移してしまおう、こういうふうな無理な持っていき方をされたところに今次のようなこういうかっこうが生まれたのではないだろうか、こういうように私は考えておる次第でございます。 さらに機関助士の廃止の問題です。私はこういう問題につきましては、過去いろいろと経験もございますが、大きな五トン以上のトラックにおきましては、やはり助手が乗っております。これは非常に抽象的な言い方でございますけれども、これが万一あなた方がおっしゃるように、一月一日から助士は廃止をしてしまって、それで六千人か七千人の人間を浮かしてしまう、これをさっきのほうに使うのだ、こういうようなことになってまいりましたときに、はたして安全が守れるかどうだろうか。たとえば踏切事故を起こした場合、私が申し上げるまでもなく「あさかぜ」が踏切で自動車と衝突して機関士が即死してしまった。そこに九〇五五列車が来た。幸いそこに機関助士がおったから、相手の機関車をとめて、第二の事故を防止することができたわけです。ところが、あなた方が計画されておるように、機関助士はもうなしだ、機関士一人で運転するのだ、——人間なま身のからだですから老少不定、わかりません。運転中にでもころっと死んだら一体どういうことになるのだ。そこまで心配したら答えることはできぬわいと言われればそれまでかもしれませんけれども、私はそんなものではないような気がするわけです。少なくとも、国鉄始まって以来何十年になりますけれども、いまあなた方が計画されておる機関助士の廃止一つを取り上げてみましても、しかも、もっとその問題については十分組合と話をするというのならわからぬことはございませんが、四月に実施するというのを一月に繰り上げて、来年正月からやるのだ、こういうふうな行き方につきましては、私は皆さんの言わんとする筋はわかりますけれども、人間は感情の動物でありますから、どうもこじらかす原因がそこらにあるのではないだろうかというふうに私は考えるような次第でございます。この点についてどうお考えになるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○磯崎説明員 ただいまのお話は、先生がお聞き及びのとおりならば先生のおっしゃるとおりだと思います。ただその点、私はこういう立場におりますので、うちの部内の問題をとやかく申し上げて、ここで、だれがどう言ったああ言ったと言うことは、私の恥になりますので申し上げません。ただこの問題は、先ほど申しましたような根本的な立場に立ちまして、実はことしの三月から両方で相当突っ込んで話をしてまいって、決して一、二カ月前に突然として言い出したことでないことはお聞き及びのとおりだと思います。ただ相当項目がございますので、その中に交渉の濃淡の程度に違いがあることもございます。しかしながら、私どもといたしましては、できるだけ団体交渉で話を進めたいということで、現時点におきましてもなお団体交渉の最中でございます。たとえば昨日も、名前は申し上げませんが、ある幹部と私も会っております。また一昨日も会っております。そういうふうなことで、いわゆる大っぴらの団体交渉もあるし、あるいはほんとうの首脳部の話し合いもあるしということで、いろいろ詰めている最中でございます。その最中に、その団体交渉にいわゆる圧力をかけるという形で、この十二日からけさまでの姿とか、あるいは明日に計画しておる姿というものは、お互いに最も平和的な団体交渉をしている、それに圧力をかけるためにしては、私は、いままでの私の経験から申しまして、少し度がきついのじゃないかというふうに考えます。私どもが団体交渉を拒否したり、あるいは団体交渉をしないと言っているなら別であります。連日やっているわけであります。その連日やっている団体交渉に圧力をかける、圧力をかけるのに利用者を困らせるということは、私としてはどうしても納得できないところであります。いま私どもは、今日もなお精力的にやっております。ですから団体交渉の最中でございます。したがって、私どもとしては、団体交渉というのは、あくまでも平和的に、お互いの言うところを言い、そして結論に持っていくのが筋だ、こういうふうに思いますので、私どもといたしましては、今後とも団体交渉を続けていく気持ちでございます。 もう一つ、先生のおっしゃいましたうちの一つの問題で、機関助士の問題でございますが、たいへん詳しくなりますからこまかいことは省略いたしますが、私ども何も一月一日から全部機関助士をやめるなんということは一言も申したことはございません。その点は何か、そういう御質問があって、私、びっくりしたのでございますが、そんなことは、いやしくも事故が起これば、私ども自身が被害者のお宅に伺って、何日でもおわびをするという経験を何べんもしております。そういう立場におりながら、そんなことができるということをお考えになっているのは非常に私ども残念でございます。そんなに私ども不まじめに安全の問題を考えておりません。したがって、その点は十分段階を追って、たとえば直接本線を走らない列車からやるとか、あるいは機関助士がいままでやっていた設備を機械にかえるとかというような段階を追ってそういうところに進むという目標は持っております。しかしながら、一月一日から全国の機関助士をやめてしまうのだともし先生がほんとうにお考えになったとしたら、私はたいへん残念でございます。いやしくも私どもこれだけの仕事を預かっている以上、そういうむちゃなことは絶対いたしませんし、そういうことは毛頭考えておりません。ただ、機関助士を廃止しようと思えばいろんな設備が要ります。その設備の準備もなしにそういうことはできませんので、その設備の準備は始めます。しかしながら、実際の具体的な問題では、いまたまたまおっしゃいました「あさかぜ」の問題も、私、よく知っております。あの場合、機関助士がいなかったら、あるいは三河島と同じような事故になったかもしれません。そういう場合、一体どう防ぐのかという問題も、十分機械的にチェックできるかどうかということを考えた上でやるのも、これは私ども善良なる管理者としての責任だと思います。その点、私は決して安全の問題をゆるがせにして合理化をするとか、安全の問題をゆるがせにして機械化、近代化するとか、そんな私は宙に浮いたような考え方を絶対持っておりませんということをはっきり申し上げます。
○後藤委員 いまあなたが言われました一月一日にやろうというような気持ちは全然持っておらぬ、たとえば機関助士廃止の問題につきましても、これは先ほど私が言ったのは、全部廃止かどうかということは別問題として、廃止の問題が出ておるから、廃止ということばだけで片づけたわけですから、これを実施に移すについてはそれにかわるところの安全装置が必要なんだ、それをきちんとせぬことには助士の廃止というのは一切やらぬ、当面、そういうことをやろうという目標は立てておるけれども、いつからやるというようなことはまだめどが立っておらぬ、そういうふうに解釈をさしていただいてよろしいのでございますか。
○磯崎説明員 その点は、この場所が場所でございますので、具体的にそういうことを申し上げる場合でございません。そういう点は十分団体交渉でやることだと思っておりますが、ただ、いま申し上げたとおり、一月一日から全部助士を廃止するなどということにはいたしません。もちろん廃止するにいたしましても、たとえば入れかえから始めるとか、あるいは本線を走らない列車から始めるとか、それからすでにほとんど全列車にはATSがついていて、万が一のときには列車はとまるようになっておりますが、そういう設備も完備する、あるいは信号も、手の信号から自動信号に変える、あるいはタブレットも要らなくなるというようなこと、そういう裏づけを行なって、そして安全が確保されるという自信がついてから私は始めます。その点ははっきり申し上げておきます。 あとはこまかいことでございますので、団体交渉の場で話をいたしたいと思っております。
○後藤委員 それは団交の場でけっこうでございますが、いまあなたが言われた、私は機関助士全部ということはさっきから言っておらぬと思います。全部廃止する、廃止せぬと言いましたから、その後の考え方がちょっと私の言わんとするところと食い違っておりますので……。先ほどから言っておりますのは、機関助士全部を廃止してしまうのだという意味ではなしに、十分わかっておられるので機関助士廃止ということばで表現しましたので、そこはひとつ誤解のないように私はお願いをいたしたいと思います。 そこで、いま国鉄労働組合なりあるいは動力車労働組合との間におきまして、先ほど副総裁が言われたように、団体交渉はやっておる、こういう説明でございますけれども、しかし、まだまだ、事、合理化問題につきましては、やっておられる件もあるかもしれませんけれども、あなた方がもう年内にめどをつけようとされておる問題で十分なる団体交渉は行なわれておらない、これは私はっきり言えると思います。その辺のところから今度のこういう関係の順法闘争になったのではないだろうかというふうに思うわけでございますけれども、それはあなたも先ほど言われましたように、正式団体交渉もあれば、またいろいろ話する場合もある、それはやっておられると思います。しかし、動労の皆さんの話を聞きましても、さらに国労の皆さんの話を聞きましても、彼らの言っておるのは、合理化を全面的に全部何でもかんでも反対だということは言っておらぬわけなんです。話を十分しましょう、そうして国民が安全であるという納得のできるような線で、話がついたものからしてもよろしいのだ、この問題と、この問題と、この問題についてはもういいのだ、こういうようなところまで私は話を聞いておるわけなんです。そうだとするなら、いまあなた方が言っておられる年末における六項目、あるいは職場の団体交渉権の、いわゆる協議会の問題ですか、これらの問題につきましても、さらに時短の問題につきましても、これから十分話し合いをしていただく。そうすれば、この十五日の二時間の問題も解決するでありましょうし、この年末における交通関係の非常に忙しいときに、こういう情勢につきましても解決するであろうと私は考えておる次第でございますので、ぜひひとつ今次の国労なり動労の関係における問題につきましては、国鉄当局のほうで十分御一考をいただいて、労使の間で団体交渉を強めていただき、その中でも特に困難な問題については来年に持ち越していただく、そういうふうな方向で一刻も早く解決をしていただく、このことが当面一番急な、しかも大事なことではなかろうかというふうに私自身としては考えておる次第でございますので、ぜひひとつ、先ほどからいろいろ申し上げましたように、国鉄の財政危機の問題につきましても、十分承知をいたしております。国鉄の幹部の皆さんがいかに苦労しておられるか、これは副総裁のことばを聞くまでもなく、私も了知をいたしておるつもりです。さらに、今度の合理化問題につきましては、あまりにもあなたのほうがせっかちになられたのじゃないか。全部が全部そうだとは言いませんけれども、多分にそういうようなことが加わっておるのではないだろうか、こういうふうにも考えられるわけでございますので、ぜひひとつ、いま申し上げましたような方向で、政府に対しましては全力を尽くして当たっていただく。お金の問題、要員問題もありましょうし、いろいろな問題がからんでおるだろうと思いますが、事、合理化問題については、相手の労働組合の組合員も、組合員という前に、やはり二十年間、三十年間鉄道で働いてまいりました専門的な知識を持っておる労働者だと思います。そういう者の気持ちを無視した中でやっていくということは、これまた考えざるを得ないというようなこともいろいろ問題がございますので、乗務員の関係、その他電修場の問題にいたしましてもそうだと思います。全国で八カ所でございますか、この間も私が滋賀県に参りましたら、家族が百何十名、全部集まっておりました。いよいよおとうちゃんの職場がなくなってしまうが、一体どうしようかというようなことで、もうつとめておる職員だけの問題ではなしに、家族がこのごろ真剣でございます。どうしたらいいんだ。あそこができましたのは大正四年でございますけれども、大正四年から今日まで、信号関係の、申し上げるまでもなく大事な仕事を長い間やってきたわけです。これらを全部外注にしてしまう、これで一体国鉄の安全が保てるのかどうかというような、いろいろな心配も出てまいりまして、国鉄労働組合、動力車労働組合が、理屈抜きに合理化に反対しておるんだというお考えがあるとすると、これは間違いでございますので、やはりあるときは同じ国鉄の立場に立ちまして国鉄の将来を考え、国民の立場を考えて、あの人方も真剣に今日がんばっておるような次第でございますので、どうかひとつ、いま申し上げましたような点も十分考えていただいて、さらに労働省なり運輸省といたしましても、これらの問題の早期解決のために、ひとつしっかりと話をする方向で前進させるように努力をお願いいたしたいと思っております。このことに対しまして副総裁から最後のお話を聞きまして、私、終わることにいたします。
○磯崎説明員 私もやはり四十数万の職員の一人でございまして、彼らが長い間働いた職場を離れなければならないということについては、非常に深い同情と関心を私は持っています。もちろんできるだけなれた、経験のある職場に働いてもらいたいことは事実でございますけれども、やはりそれが近代化され機械化されて要らなくなれば、新しい、もう少し国民の直接役に立つような職場にかわってもらうということも、これまたやむを得ない場合もございますので、十分組合員諸君、言いかえれば職員諸君の立場を考えて、そういうことを善処してまいりたいということをお約束申し上げます。
○後藤委員 労働大臣が、待っておりましてもお見えになりませんので、ひとつ次官にお願いするのですが、国鉄の今日の情勢につきましてはお聞きのとおりでございますので、これはぜひひとつ、こういう時期でございますから、先ほど申し上げましたような趣旨に沿って、善後策、善処を講じていただくようにお願いしたいと思うわけですが、ぜひ、ひとつ大臣のかわりとして御感想をお願いしたいと思います。
○井村政府委員 先ほど来から御質疑応答等を聞いておりまして、私もいろいろ承知いたしましたが、何と申しましょうか、日本の労使の間で、国鉄の労組と国鉄当局は、私は非常に賢明であると存じております。非常に賢明な労使関係だと存じます。いま熱心に団体交渉が煮詰められておるから、必ずや近い将来、私は平和的に解決されると存じております。これがもし労働の過重となり、あるいは首切りというふうな問題があれば、われわれは場合によっては国鉄当局、運輸省にアドバイスする考えでおります。いまのところは、静かに、平和的に解決されることを、私どもは希望して臨んでいきたいと存じます。
○川野委員長 河野正君。
○河野(正)委員 時間がございませんから、端的にお尋ねを申し上げて、ひとつ率直にお答えをいただきたいと思います。 しばしば当委員会で、労使間の紛争の際に問題になりますように、労使の健全な慣行の条件として、労使間の相互信頼ということが問題となるわけでございますが、この相互信頼という一つの基本的な問題を無視して労使間の協調はなかろうと私は思います。そういう意味で、時間がございませんから端的にお尋ねをいたしますが、しばしば強調されてまいりました労使間の相互信頼、こういった面から、具体的な極端な例を一つ取り上げて、きょうは御見解を承ってまいりたい。そして労働省の方針というものを承ってまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。 その具体的な例は、福岡の中央郵便局におきます、いわゆる大賀事件でございます。福岡中央郵便局の第一集配課員でございます大賀忠彦君が、人権を無視した業務命令に基づいて出勤をし、そして吐血、手術をしなければならぬというふうな不幸な事件を惹起をしたという、こういう具体的な例でございます。時間の関係上単刀直入に入りますが、このような不幸な事件に対して、郵政省、さらに労働省は、どういうようにお考え願っておるのか、この問題は内容としては非常に深刻な問題でありますけれども、判断はきわめて簡単にできるような問題だと思います。そういう意味で率直にひとつお答えを願っておきたいと思います。
○高橋(清)政府委員 お答えしますが、もちろん郵政省といたしましては、常日ごろから国民の信託を受けました郵政事業なるものが、正常かつ円滑に運行されることを希求して、目下努力しつつあることについては、御了承いただきたいと思うのでありますが、それにつきましても、やはりそのことにふさわしい労使関係をつくるということに、いわゆる労務管理の基本的態度を持たなければならぬというふうに承知いたしておるのであります。いま先生お尋ねになりましたような、いわゆる人事権を乱用する、そういうようなこと、あるいは労働強化をはかるというふうなことを決して労務管理の目的としておらぬことは、言うをまたないのでありますが、ただ今回の事件につきましても、新聞その他によって御案内のとおり、年末闘争がある程度妥結いたしました。でありますが、何にいたしましても開聞以来の滞貨を持つということで、郵政省当局におきましても非常な心配をいたしまして、一刻も早くこの場を解消しなければならないということに念慮もっぱらであったということについては、御了解を賜わることができると思うのであります。したがいまして、国民の側に立ちました場合、管理者におきましても、職員におきましても、一致協力いたしまして、いわゆる業務の運行全きを期するということに、あの当時においてはいや増しなものがございました。その間において、いわゆる管理者におきまして強制労働をしいるというふうな結果から出た事件ではないと記憶いたしておるような次第でございます。しかし、何といたしましても、この種事件が出ましたことにつきましては、遺憾のきわみでございます。今後につきましてもいわゆる健康管理ということに十分重きをいたし、いろいろなこまかい、あれこれの点に心をいたしまして、二度とこうした件の出ませんことを、いわゆる再現いたしませんように、らんと努力をいたしたいと思います。
○河野(正)委員 問題は、いま次官がお答えになったように、われわれも、年末闘争が妥結した翌日に、このような不祥な事件が起こったというところに、一つの大きな問題があると思うのです。それから何も強制労働をしいたものではないというふうなお答えでございますけれども、それは元来頑健な方々にとっては、あるいはそういうことはないかもわからぬけれども、この当人である大賀君というのは、三十九年以来胃かいようの既往症があるということが一つの大きな問題だと思う。それからさらに、単に胃かいようの既往症を持っておるということではなくて、四十年の八月からは五カ月間という長い間、胃かいようで長期療養を行なったという、この既往症の持ち主である、こういう特殊な事情、個人的な事情があるということを、私はまず強調しなければならぬと思うのです。かつて、四十年においては八月から五カ月間も胃かいようで長期療養したという既往症の持ち主である本人に対して、本人がからだの調子が悪いというのにかかわらず、出てこいと業務命令を出して勤務さして、それに立って、御存じのように吐血をする、そして直ちに病院に運び込まれて胃の切除手術をしなければならなかったこういうところに今度の問題の特殊性、非常にあとの問題になる問題点があると思うのです。そういう意味で、いまのような、単に一般論的なお答えでは私どもは満足するわけにはまいりません。この点どのように理解になっておるか、この辺、次回の認識を改めてもらわなければいかぬと思うのです。
○高橋(清)政府委員 正直に申し上げまして、こうした御質問の出るということを承知いたしまして、それぞれ関係機関を通じ、こまかいところまで特別の勉強をするように、あの当時におきまして少しでも遺漏のなかったことを希求するというたてまえからいたしましても、そういう感情は当然でございます。したがいまして、その後の報告に基づく——一般論と申されたのでありますけれども、おのおの立場の相違もございます。でありますが、一応は管理者側におきましては、重大な欠陥というようなものではなかろうというような気がいたしますとともに、先ほど申しましたように、何にいたしましても、開聞以来の約三百万通といわれますような滞貨を得た。何とかしなければならない。一応妥結の期間につきましてはわりあいに早く妥結はしましたが、滞貨がえらいことだ、日本始まって以来のことだということですから、利用いただきます国民の側に立ちますと、一刻も早くということで、その解消方につきましてそれぞれ真剣に取り組んだということを申し上げる次第でありますが、なお、こまかい詳細に関しましては、局長のほうから答弁さしていただきたいと思います。
○河野(正)委員 これはまことに不幸な事件だと思うわけですが、それについては郵政省当局はあまりにも反省の意思がないと思うのです。それは、なるほど滞貨をさばくことは国民にとっては非常に必要なことです。だからといって、人命を軽視してよろしいということではないはずですね。佐藤内閣は人命尊重の政治だと言っているじゃないですか。それにもかかわらず、滞貨があるからやむを得ず業務命令を病人に対して出したのか。しかもそれは、かぜを引いたとか胃のぐあいが悪いということではなくて、現実に胃の切除をしなければならぬという状態になったということは、これはもう現実の事実です、やったんですから。何も胃かいようだということを想定しているわけではなくて、現実に病院に運び込まれて、胃の切除手術をやっているわけですから、これは現実の事実です。そういう現実の事実の上に立って、大過がなかったということは何ごとですか。全く反省がない。大過がなかったとは何ごとです。そういう答弁では私どもは納得するわけにはいきませんよ。
○高橋(清)政府委員 ちょっとあなた、私の答弁に対して誤解しておられる。滞貨があった——反対のことを言う。四日間の年末闘争がありまして、未曽有の滞貨がございましたので、これを解消するために真剣に取り組んだ……
○河野(正)委員 あなたは大過なくと言うけれども、私は人命のことを言っておる、郵便物のことは言っていない。
○高橋(清)政府委員 そういうふうに話を持ってまいりますについて……
○河野(正)委員 郵便物のことを言っておるのではない、人命のことだ。
○高橋(清)政府委員 そういうような事情があったということを申し上げるのでありまして……
○河野(正)委員 そういうような人命軽視はだめだと言っておるのです。
○高橋(清)政府委員 お説のとおりでありまして、人権を軽視しても事業の遂行に当たれということをだれも言っておりません。それが第一義でなければならぬということは言うをまちません。それだけの真剣の場面でございましただけに、何とか一人でも助けてもらいたい、助力を求めようじゃないかということで、真剣にやったということは、現地情報を得ておりまして、熱意のあまりといいますか、そういうことで、いまの事件が起きたことは遺憾しごくでございまして、おわび申し上げますということを申し上げるのでありまして、決して大過なかったということを申し上げておりません。 なお、具体的なことにつきましては、局長からお答えさせてもらいましょうというのであります。御了承願います。
○河野(正)委員 局長の答弁は要りません。大臣、よく聞いてください。そういうことで、郵政省の労務管理については、今後積極的に行政指導していただかなければならぬという立場から私は申し上げておるのですから、労働大臣は、とくと聞いてもらいたいと思うのですけれども、一般論的にいえば、あるいは忘年会の直後だから、二日酔いだという印象もあったかもしれぬけれども、本人は、四十年八月には、五カ月間の長期にわたって胃かいようだということで長期療養しておる人物なんです。そういう既往症のあるということは、労務管理上からも当局側は念頭に入れて、労務管理、健康管理ということを行なわなければならぬということは当然だと思うのです。ところが、どうであろうとこうであろうと、そういう人物に対して、本人が電話で、からだの調子が悪いから休ませてくれと言ったのに、業務命令を出し、そしてその上に二時間の超勤を命じた、やはり出てきて、上司に言われれば、超勤できませんと言うわけになかなかいかぬからやった、その直後吐血して病院にかつぎ込まれ、胃を切ったというまことに不幸な事実でございます。 しかも私はもう一つ指摘しておきたいと思います点は、御当人が非常に顔面蒼白になった。それは吐血して胃を切除しなければならぬという状態ですから、したがって、顔面蒼白になって階段をはうようにして上がった。そこで同僚の職員が、これはすみやかに病院に運び込まなければならぬということで、背負って病院に運んでいこうとしたところが、外務主事が出てきて、勤務中じゃないか、やめておけ、こういうことを言って、まさに吐血をして、病院で胃の切除手術をしなければならぬという状態にある患者を目の前にしながら、同僚が病院に運び込むことについて、勤務中だ、仕事熱心かどうかわかりませんけれども、勤務中だというようなことで、同僚がそういう手当てをすることすら拒絶した、こういう全く人道を無視したような労務管理というものが行なわれたというのが現実の状態でございます。そこで、私は人道的な立場から許される問題ではない、単に争いが起こったという問題ではないわけですから、これは人権上、人道上、きわめて重大な問題だと思うし、それで私は人権の問題ということで取り上げたわけです。多少次官とやりとりございましたけれども、私どもはそういう深刻な問題だということで、そういう事態が起こったということに、次官のほうもよく御了解いただきたいと思う。 ですから、そういうふうな労務管理のあり方というものが、これは行き過ぎだということは、当然常識的に判断できると思うのです。これは内容的には非常にきびしいけれども、判断として大してむずかしい判断ではないと思う。大臣就任早々ですけれども、むずかしい判断ではないと思うのです。そこでこういうような労務管理が行なわれることが、はたして労使の慣行を健全にする道であるかどうか、非常に大きな疑問があると思うのです。そこで私は、この際労働大臣の所見を伺いたいと思います。
○小川国務大臣 実はこの事件につきまして、私きわめて概略の報告を聞いておるだけでございます。ただいまこの場で伺いまして、質疑応答を拝聴いたしておるわけでございます。おことばのとおり、人命を尊重すべきことは言うをまたないことでございます。かりにこの点につきまして、当事者に労務管理の面で手落ちがあったといたしますれば、これは捨ておけない問題であろうと存じます。ただ、当時の状況等につきまして、私まだ詳細な報告に接しておらないわけでございます。私といたしましても、事態を十分に研究いたしまして、かような不幸な紛争、トラブルが今後起こりませんように、ただいまのような立場で善処いたしてまいりたいと存じます。
○河野(正)委員 これはあまり深刻にお考えになったと思うけれども、なるほど問題は深刻な問題ですよ。しかし、トラブルというような問題でないわけですね。ひとつの人道上、人権上の問題だと思うのです。紛争じゃないわけですよ。現実にそういう病人に対して大過がある、——これはさっき、私が言う大過というのはあやまちのことを言っているわけですけれども、向こうのほうでは郵便物の滞貨というふうにおっしゃるものですから、そんな認識のしかたではということでおこったわけですけれども、要するに仕事上の紛争とかトラブルということではなくて、現実にそういう病人に対して業務命令を出して仕事をさせた。しかも、手術をしたことは厳然たる事実ですから、これは想像ではないのです。病人でないかとかあるかということではない。胃を切ったということは厳然たる事実です。そういうことは労務管理以前の問題です。人道上の問題じゃないですか。こういうことを言っているわけですから、何も紛争だから、現地の実情がどうだこうだということではない。本人が電話で、きょうはぐあいが悪いから休ませてください、だめだ、出てきなさい、郵便物の滞貨がたくさんあるから、ひとつこの際超勤二時間、しかも、その直後本人は倒れて吐血をして、そうして胃を切ってしまった、こういうケースですから、私はこれはトラブルとか、あるいは紛争とか、そういう問題ではない、人道上、人権上の問題だと思うのです。そういう意味で申し上げているわけですから、大臣就任早々でございますけれども、きわめて常識的に判断できる問題だと思うのです。紛争ですと、それがどういう形で行なわれたかとか、あるいは経緯だとかいうことを十分御研究にならなければならぬでしょう。そういうケースの問題ではないと思うのです。事実問題についてお尋ねしているわけですから、この点についてお尋ねしているわけですから、そういうふうにひとつ率直にお答えいただきたいと思うのです。
○小川国務大臣 よくわかりました。トラブルというようなことばを使いましたのは、あるいは適切でなかったかもしれません。ただ中郵事件というふうなことばで呼ばれておりますので、ついそういうことばが出たわけでございます。何ぶんただいま申し上げましたとおり、状況を知悉いたしておりませんので、ひとつ十分調べまして、私の立場で、何か円満な解決をはかる上において役に立つことがありますれば、協力をしていきたい、かように考えております。
○河野(正)委員 よく調査をしてという慎重なお答えですけれども、いま申し上げた事実関係があるわけですから、そういう事実があったならばどういう判断をするかという判断をおっしゃっていただけばいいと思うのです。 それから、きょうは法務省からも御出席になっておりますので、そういう経緯があるこの事件につきまして、法務省とすれば、人権を侵すおそれがあるのかないのか、この点はひとつ法務省からもお答えをいただきたい、かように思います。
○小川国務大臣 一般的に申しまして、健康管理の問題はきわめて大事な問題であると存じます。おことばのごとく、もしこれが明らかに人命を軽視するようなやり方であったとしますれば、事すこぶる重大でございます。厳重に注意をいたしますし、対処してまいりたいと思います。
○堀内説明員 お尋ねの事件につきまして、今月の八日に、福岡法務局へ全逓の福岡支部のほうから申告がありました。そして目下福岡法務局で取り扱っている事件となっておりますが、私どものほうでは事件の非常に具体的な、あるいは詳細な事実をまだ承知いたしておりませんが、電話で福岡に照会いたしましたところ、先ほど河野委員がおっしゃったような事実があるということがほぼわかりました次第であります。朝の七時半に電話で休暇を申請したところが認められなかった。そして勤務中にしゃがみ込んでしまうような状態になって、同僚が休養室へ連れて行こうとしたところが、執務時間中だからさようなことはするなととめたということ、それから、その後さらに二時間の超過勤務の命令が出されまして、いまの大賀さんという方は、やむを得ず業務に服しておったところが、午後四時三十分になりまして吐血をして倒れたということ、そして病院で手術を受けられた次第で、このような事実が電話で報告がありました。この結果によりますと、やはり病気による休暇の申請を認めなかった。そして、しかも服務中の職員の健康の管理に十分注意をしなかった。それは私どもの立場でいいますと、やはり生命身体の尊重ということに欠ける点があった、人権の問題として遺憾であったと思います。
○河野(正)委員 いずれ田邊委員から御指摘があると思いますから、私、多くを申し上げることはこの際省きますが、いま私どもが申し上げただけではなく、郵政政務次官お聞き取りですね、法務省で調査したことも、私どもが申し述べた事実と一致しているわけです。しかも法務省では、人権を侵したというふうに言われているわけです。私どもは労使の健全な慣習を確立するということについては、全くそのとおりだと思う。そのためには、前提としてお互い相互信頼というこの考え方を強化促進していかなければならぬ。これはやはり非常に大事なことだと思うのです。ところが、たまたま今度不幸な大賀事件が起こったわけですけれども、今日まで福岡中央郵便局の労務管理の状態を見てまいりますと、たとえば病気をして休むということになりますと、家庭訪問して確認をする。それから電話でありますと、いろいろ管理者が家族に対していやなことを言うわけですから、家族が主人が休むということを電話で報告することを渋る。やむを得ず本人が電話に出てくると、電話に出られるならば出勤してもいいじゃないか、こういうような労務管理を今日まで積み重ねてきた。それが結果的には今度の大賀事件が起こされるという不幸な事態になったわけです。しかし、これはもともと郵政省当局の労務管理、その姿勢そのものにも基本的には問題があったということ。ですから今後労使間の慣行を健全に保持していくためにはそういうような人道を無視した、人権を無視した労務管理、これは私が言っているのではなく法務省が言っているのですから、これはもう明々白々だと思う。こういう労務管理のあり方ということは好ましくないことは当然だと思う。 そこで、田邊委員から御指摘があると思いますから、私から最後に、そういうふうな労務管理が許されているかどうか。もしそういう事実があるならば、今後労働大臣としては労働行政の最高の責任者として厳重に監督をし、その責任の所在を明らかにするということをぜひここではっきりしていただきたい。これはひとつ高橋次官のほらからもお願いしたい。
○小川国務大臣 おことばは当然のことと存じます。
○高橋(清)政府委員 お説のとおりでありますが、実態をなお一生懸念勉強いたしまして、こうした場合におきまする法務省御当局の言質もございました。さっそく帰りましてそれぞれの関係者、場合によりましては大臣にも即刻報告いたしまして善処いたしたいと思います。
○川野委員長 田邊誠君。
○田邊委員 いま河野委員から御質問のありました大賀事件でありますが、ただいま吐血をしたところの状況について写真をお見せいたしました。その床の面積は一ますが二十四・五センチ平方であります。四つの面、約五十センチ平方にわたって大吐血をいたしておるという状態であります。特に井村政務次官などは専門家でありますからおわかりのとおり、やや薄黒い血と、その場において新しく胃壁から出た赤い血とまじっておるわけでありまして、これは専門的に見ればおわかりのとおり、いわばひどい病状悪化の中で行なわれた大吐血であることは明々白々たる事実であります。まことにあ然とすべき実は事態であります。 そこで、先ほど来御答弁がありましたけれども、大賀君が病気の申し出をいたしましたが、これに対して、先ほど高橋政務次官が言われたとおり、年末繁忙時であるから出てきてもらいたい。これは取り方によっては強く業務命令を出したというふうにも取れるし、あるいは当局は相談をもちかけたというふうにも言っておるのでありますけれども、しかし、いずれにいたしましても病気休暇の申し出に対して、これをいわば申し出どおりに許可しなかったことは事実であります。認めなかったことは事実であります。一体、病気休暇は、その内容によって裁量すべきものですか。当然そうじゃないのです。これは労働大臣もおわかりのとおり、その内容はいかがであっても、本人の申し出に従ってこれを認めるのが大原則であります。これは郵政省と全逓等の組合との間における労働協約の中でもそのようになっているはずであります。一体、この無条件でもって認むべき病気休暇というものを、なぜあなたのほうではこれを認めなかったのか、これをお答えいただきたいと思います。
○山本政府委員 その間の事情を私のほうで調べましたので、その点もふえんして申し上げたいと思います。 ただいま病気休暇を承認しなかったというようなお話がございましたが、私のほうが調べましたのと、それからまた、平常どの職場で行なっておりますやり方も、これは闘争時は別ですが、闘争が終わりました平常時におきましては、病気休暇というものにつきまして申請がありましたら、これは許可しておるのが通例でございます。ただ、今回の場合は、先ほど政務次官からもお話がありましたように、妥結をした次の日でございまして、相当郵便物もたまっておりましたので、病気休暇が申請されました場合にも、これを承認するとか承認しないとかということでなくて、ひとつ御協力願いたいというので病状を聞きました。ところが、実は昨日夜、忘年会をやったので、二日酔いの状態だという話がありまして、まあ、二日酔いの状態ぐらいなら何とか応援してもらえないだろうか、郵便物が少したまっているからという、いわば相談ずくをいたしました。ところが、本人は、それならば出ましょうかというので、あまり現状について、非常に深刻な病状だというような話がなかったものですから、管理者のほうが、それではひとつお願いしますか、ということで、強い拒否ということでなくて、両者話し合いで出勤をしてもらったという経緯でございました。承認しないという強い態度、あるいは出てこなければどうだというようなことでは全くなかったという事情でございまして、平常でございますと、こういうときは必ず許可しておるのが通例でございます。ただ、郵便物が非常にたまっておったので御協力願えないかという話をいたしたということで、そこで不承認ということにいたしたわけではございません。
○田邊委員 そういう話があるだろうと私は思っておったのです。ところが、本人は、前の晩に忘年会があったけれども、酒はほとんど飲んでいないのです。しかも、前の晩に吐血をしているのですよ。しかし、その種の病人に通例のように、自分は吐血したから、病気だから出ていけないんだということは、なかなか言いづらいのであります。あなたはそうおっしゃるけれども、これを受けた第一集配課の課長代理の永井という人は、大賀君の健康状態についてはよく知っているはずであります。先ほどもお話のありましたとおり、彼は過去において、三十九年九月十一日から三十九年十二月八日まで胃かいようで入院しておるのであります。第二回目は四十年八月二十二日から四十年十一月二十九日まで再び胃かいようで入院しておるのであります。これを永井課長代理は知っておるのであります。新聞発表にもあらわれておわかりのとおり、第一集配課長の井上という人も、大賀君に胃かいようの持病があったことは承知しておったと言うのであります。そういう状態の中で電話の応答が行なわれた。以前から胃かいようの持病があったということを知っておるならば、いまの君の健康状態はどうだということをよく聞いて——勤務にたえられないから、本人はおそるおそる申し出をしておるのであります。言いづらいから、なかなか内容を言わなかっただけであります。私の問題にしておるのは、いわば本人の申し出の中身より、病気休暇を申し出たという事態に基づいて当然これを認めるというのが原則でありますが、これを認めない、相談であろうと何であろうと、相談を持ちかけなければ、本人は休んでおるはずですから、そういういわば病気休暇に対して率直に本人の言い分を尊重してこれを認めるというやり方をとっておらないところに、私はこの事件が起こった原因があると思わざるを得ないのです。そのことを言っておるのであります。 病気休暇を断わったのでないと言うけれども、それならば私は聞きます。あなた方の現場の管理者たる者が本人の健康状態を心配し、それでなおかつ仕事が忙しいから出てきてもらいたいと言ったのだとすれば、この永井という課長代理は、大賀君が出勤したときに、君は申し出をしたけれども忙しいので出てもらった、どうだ勤務につけるかどうかと聞いていますか。聞いてないでしょう。そこに管理者として愛情と理解を持って部下をいわゆる監督をする、指導をする適格性に欠けておるのじゃないかという気が私はするのであります。勤務体制の中に、私は何かしらそういう相互信頼関係というものを打ち立てておらないものがあるのではないか、こういう気がするのですけれども、その点はどうですか。出勤したときに聞いてないでしょう。
○山本政府委員 電話の応答がありました際、課長代理は、本人が前日からからだのぐあいが悪いということについての認識は持っておった、こう申しております。したがいまして、平常ですと一人で受け持つ区につきまして、二人の人間をつけ加えまして、総計三人で作業を進めた、いわば作業については相当軽減する配慮をいたしたことは事実であります。いわば三人区にした。しかし、いま御指摘がありましたように、本人が出局をした後において、課長代理が、本人の病状その他について本人から模様を聞いたり、それについて適切な措置をしようというようなことがあったということは聞いておりません。その点はさっそく先日、そういうことについての配意の足らない点があったことについて、今後職員が作業その他に当たる場合に、十分な健康管理ということについて配慮をするようにというような注意はいたしております。
○田邊委員 私が現場に行って、古賀という局長にお会いして話を聞いても、そういった配慮はなかった、まことに申しわけないと、実は現場の管理者が言っておるのであります。私はこのことは非常に重要だと思うのであります。それと同時に、河野委員も御指摘をされたとおり、ぐあいが悪かったから、いよいよ本人はこらえられなくなって、そこでしゃがみ込んで、一階から二階へはうようにして上がっていった。横になって、いわば彼はもうほんとうに夢中の状態で、それを見るに見かねて同僚が病院に運ぼうとしたときに、志賀という主事は、君は勤務中だ、仕事をしないか、こういうふうに言って、突き放しておるのですね。私は、この永井という課長代理のその朝からの措置と、この志賀という主事のいわば吐血をする寸前における措置と結びつけて考えたときに、何としてもこれは普通の状態ではない。ほんとうに人を大切にする——政務次官御承知のとおり、郵便事業、郵政事業は人によって行なわれているのです。あなたはさっき年末で繁忙で忙しいからと言ったけれども、それを動かすのは人ですよ。人を大切にしないで郵政事業なんて成り立ちません。そうでしょう。そういった点からいって、同僚が病院に運ぼうとすることすらも拒否をしようとする、こういう状態というものが、はたして私は正常な事業の運行に当たっている現場の管理者のとるべき態度か。どうでしょう、労働大臣、お聞きをいただいて、いわば前後の措置から考えて、この状態というものが適切であったというふうにあなたはお考えにならぬと思うのでありますが、いかがでありますか。
○小川国務大臣 いま承りました限りでは、これはほとんど信ずべからざる事実である、こういう印象を私持っております。非常に遺憾な、もし事実であるといたしますれば、ことである。
○田邊委員 これは私が申し上げるだけでなくて、先ほどの法務省からの答弁でこれは間違いない事実であります。違うというならば、どうぞひとつ郵政省のほうからお答えをいただいてけっこうであります。私はいまのようなことからいって、この事件はただ単に偶発的に、突発的に起きた事件ではない。第一に、病気の休暇の申請があったときに、その本人の申し出を信頼をしてこれを認めるというこの原則をひとつ郵政省、打ち立ててもらいたいと思いますが、いかがですか。
○高橋(清)政府委員 先生いまいろいろお述べになりました中で、愛情あるということばを使われたのでありますが、それが最も私は大事だと思います。郵政省ばかりではございませんが、特に私どもの公企業と申しますか、第一線の人たちを最も重視して国民に対する負託にこたえるというような業種につきましては、なおさらのことであります。今回の事件についてはまことに遺憾であると思います。潤いある労使関係、正しい運行をとる、これはもう当然でございます。正直に申し上げまして、細部にわたっての両先生の現場に当たっての現状説明、これまた正直に申し上げまして、この上ない新しい事態として受け取った次第でございます。したがいまして、さっそくこれから郵政省へ帰りまして大臣にも報告いたします。その間現場の局長はじめ等々について欠くるところあり、重大な注意不足の点がございますならば、そのようにまたそれぞれ人事局等を通じましてこれが対処をとりたいと思っております。今後これを、いわゆる郵政事業を運行してまいりますについての現場の仕事としての参考事例といたしまして、二度とこうしたことの起こらぬように特別大臣にお願いいたしまして、大臣指示も出してもらいたい、こういうように思います。
○山本政府委員 現状でも、原則としては、本人が病気休暇を申し出たときには認めておるが通例でございます。たまたま今回の場合は、先ほど申し上げたような事例でそういう事態になりました。これは先ほど来お話がありましたように、人命に関する問題でございますから、これは結果としまして非常に遺憾なことだと思っておりますが、一般論としまして、休暇を認めることは従来どおりでございます。ただ、これはこまかいことになりますが、すべてあらゆるケースというわけにはまいりません。原則としてはそういう扱いをいたしておるつもりでございます。
○田邊委員 例外というのはどういう場合ですか。
○山本政府委員 事例といたしましては、休暇をとることが一つの戦術として使われる場合なんかにおきましては、管理者のほうでそれについて相当念を押したり、あるいはそのことにつきまして相当詳しい事情を求めたり、それがまた事実病気でないとわかったときには取り消すという措置も、従来もとっております。今後もそういうことはあり得ると思います。
○田邊委員 この場合は例外に属さないですね。
○山本政府委員 例外に属しません。
○田邊委員 したがって、管理者のとった態度は、これは私は郵政省の方針に違うと思うのであります。そうでありますね。そういった点で、私はこの際はあえては言いません。信賞必罰の立場に立ってと政務次官からお話がありましたから、あえて私はその責任追及云々というようなことは言いませんけれども、しかし、当然えりを正すべきものは正し、とるべき措置はとる、こういう立場でもって私は今後に備えていただかなければならぬと思うのであります。一つには、やはり私はそういった点で、現場を預かるところのあなた方のいわゆる中間管理者といわれる人たちに対して、ただ単に形式だけの仕事だけでなくて、私が強調しているように、何といっても職員を大事にする、人を大切にする、そこから郵政事業が始まるというこの精神でやってもらいたいと思うのですが、これは本人の病状については、胃かいようという病気ですから、取り扱い上非常にむずかしい点があると思うのですけれども、このいま言ったように休暇を申し出たのを、ニュアンスは違ったにいたしましても、結果的には勤務をさせて、その上でこういう吐血をして入院、切開をするという事実であった。こういうことでありますから、公傷等の扱いについても十分御配慮はあるべきだろうと思うのでありまして、私はその点に対してこうしてもらいたいとはっきり申し上げませんが、それらの問題とそれから今後の規律を正すという問題に対して、十分な御考慮をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
○高橋(清)政府委員 御質問の御真意をよく体しまして、あとら限りの善処をとります。
○田邊委員 そういったことから言いまして、私はやはり郵政省が政務次官言われたように、事業を愛すると言われますけれども、私は、事業を愛する観点が、いま申し上げたような形でそれが行なわれなければならぬと思うのでありまして、そういった点で業務命令を乱発したり、あるいは病人を引きずって勤務をさせるような、そういう事態というものが、私はこの事件がいわば禍を転じて福となす立場から、今後はぜひ起こらないことを望むと同時に、郵政省がその立場に立って、ひとつぜひ現場の管理者はもちろん、職員全体に対してその趣旨を何らかの意味で徹底してもらいたい、こう思うのでありますが、この事件を何か私は大々的に宣伝をして、そのことによって郵政省の郵政事業の中におけるけがを明るみに出そうというのじゃありません。しかし、いずれにしても、現実に起こったこの事実というものをどうやって今後なくしていくか、この種の問題をなくしていくかというところに留意をしなければならぬと思うのでありまして、こういった点に対して、ひとつ現場を戒め、現場を督励する、現場を指導する、こういう点に対してはどうですか。
○高橋(清)政府委員 おことばをとうといものとして拝承いたしました。あとう限りの、再度申し上げますが、善処をいたします。
○田邊委員 したがって、たびたび郵政省の労務政策に対して、私どもは具体的な事実を指摘してまいりました。きょうは非常に遺憾な事実を指摘いたしたのでありますから、しかし、願わくば何といってもこの年末年始、いろいろな意味でたいへんな仕事をかかえておるわけでありますけれども、したがって、これを円滑に運営をし、しかもその前提があくまでも職員なり、いわば人命を尊重する上に立っての事業を運行する、こういう立場でぜひ乗り切っていただくことを新政務次官にもお願いをし、大臣にもお伝えいただき、そして郵政省の各管理者は、ぜひその方針でもって今後の措置をとっていただくことを強く要求いたしまして質問を終わります。
○川野委員長 山本政弘君。
○山本(政)委員 それではお伺いをいたします。 これは基準局長にお伺いをしたほうがいいと思いますのでお伺いいたしますけれども、キューピーマヨネーズの一連の暴行事件がございます。これはすでに私のほうでも再三御連絡をして善処方をお願いしておったので御存じだと思いますが、その前に基準局長にお伺いいたしたいのは、この事件の担当の監督署は、立川基準監督署でございますね。
○村上(茂)政府委員 三鷹労働基準監督署であります。
○山本(政)委員 三鷹基準監督署ですね、わかりました。 それでは、労働基準法の第九十四条に「寄宿舎生活の自治」の規定がございます。これは御承知だと思いますが、これは私生活の自由と、それから役員つまり寮長、室長の選任について干渉してはならないという条項だと思いますが、そのあとに第九十五条において「寄宿舎生活の秩序」というのがあって、「事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、左の事項について寄宿舎規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。これを変更した場合においても同様である。」こういう規定がございます。三鷹の監督署にキューピーマヨネーズの寄宿舎の規則が届いておるかどらか、この点をお伺いいたします。
○村上(茂)政府委員 実は私どもも率直に申しますと承知いたしておりませんので、そういうお話を聞きまして、キューピーマヨネーズの仙川工場関係の寮と見られるものを急いで調べたのでございますが、私ども五カ所あるように承知しております。これについて九十四条、九十五条関係の手続がとられておるかどうかという点については、届け出はないわけでございます。届け出はございませんが、基本的に事業の附属寄宿舎であるかどうかという点についてまだ明確にいたしておりませんので、九十五条の届け出はないということだけ申し上げられると思います。
○山本(政)委員 工場の建物内に工場に働いておる人たちの寮があるということは、私は事業に付属する寄宿舎だと思いますけれども、その点についてイエスかノーでけっこうでございますが、御返事いただきたいと思います。
○村上(茂)政府委員 従来、事業付属寄宿舎であるかどうかという点にきつましては、「常態として相当人数の労働者が宿泊し、共同生活の実態を備える寄宿舎で、事業経営の必要上、その一部として設置せられ、それを廃止することによって、事業の経営が不可能または著しく困難となるような事業との必然的関連を持つものをいう。」という見解をとっておるわけでございます。そこで事業場の敷地内にあるかどうかということだけでは判断しがたい、こういうことでございます。
○山本(政)委員 時間がございませんので、私はその議論をやめますけれども、事業場内にある、しかも非常に時間延長が行なわれておる、同時に女子労働者がたくさん収容されておるというような関係からして、当然事業付属の寄宿舎だ、こういうふうに私は理解しているのですが、ともかくその中で私が申し上げたいのは、この規則によっても、これは事業附属寄宿舎規程というものがあります。この第四条の一項一号に外出または外泊について使用者の承認を受けさせることはできないと、禁止規定があるはずです。しかし、いまのキューピーマヨネーズの工場は、外出するのに一々チェックする、そしてたとえば外出先で買いものをした場合には、そこで証明書をもらっている。こういうような事態が実はあるわけです。この点について、一体こういうあり方というものはノーマルなあり方なのかどうか、この点はいかがですか。
○村上(茂)政府委員 九十五条の第一項第一号は、寄宿舎規則を作成する場合に、その規則の中に定めなければならないことを示しておるわけでございまして、それが「起床、就寝、外出及び外泊に関する事項」こういうことになっておるわけです。ですから本来そういう取りきめがございましたら、むしろ規則の中に書かなくちゃいけない、こういうことになるわけでございます。ただ何ぶんにも、先ほど申し上げましたように、先生いま御指摘の事実が、基準法九十四条の事業場付属寄宿舎であるかどうかという確認の上に立って判断いたしませんと、いまいたずらにその当否を申し上げるというのはいかがかというふうに思います。
○山本(政)委員 つまり、労働基準法の規定事項でない、そして寄宿舎規程にも該当するかどうかわからない寄宿舎だから、そういうあり方はいいかどうかわからない、こう言うのですか。私のお伺いしたいのは、そういう労務管理のあり方というものは正しいか正しくないかということです。
○村上(茂)政府委員 何ぶんにも私がお答え申し上げますのは、基準法上の解釈の問題になるわけでございまして、その前提としての、たとえば仙川荘とか岡村荘とか清水荘とか、いろいろあるようでございますが、そういったものが法的な事業付属寄宿舎であるかどうかということの認定を行ないませんと、それについての労働基準法上の見解を申し上げることがむずかしいと申しておるのでございます。ただ、その外出の場合、外泊の場合、社会通念で認められる程度以上のことを規制するといった場合にどうかということになりますと、いわゆる当不当の問題は考えられ得ると思います。 〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕
○山本(政)委員 私が聞きたいことは、基準法に該当するか該当しないかということではなくて、工場の管理者としての態度として、そういうあり方というものは私は正しくないと思うのです。それはいま基準局長がおっしゃられたように、法規に規定があるから、あるいはないから、そういうことではなくて、あなたがおっしゃったように、社会通念、つまり常識としてそういうあり方というのは、私は誤りだと思う。私が申し上げたいのは、三鷹の基準監督署の監督官の方にも、そういう事実をお話をしたはずなんです。したがって、それは基準法に違反するかどうかということとは別個に、やはり監督官としては一体どうであるかということは、当然私は考えられてもいいと思う。と同時に、そういうあり方をしておるキューピーマヨネーズの管理者の、あるいは経営者のと言ったほうが正しいのでしょうが、そういうことに実は問題がある、こういうことを実は言いたかったわけです。 キューピーマヨネーズの経過を簡単に申し上げますと、昭和三十七年の七月に労働組合が結成された。その間に組合員の解雇の問題がありまして、東京地方労働委員会で解雇の撤回、それから賃金の支払いの命令が出た。その後中労委で解雇撤回、賃金の支払いの命令が出た。それでもなお聞かないので、地方裁判所から中労委の命令を守れという緊急命令が出たわけです。そして昭和四十二年の十月の二十四日に、三名の組合員が就労することができた。問題はここから始まってきたわけです。もちろん、その以前にいろいろな問題があります。それは組合結成のいきさつから見ても、十三年間勤続で給料が一万三千円、連日四時間の残業をやらしておる、こういう実態があるわけです。 そこで私は、再三基準局のほうにもお話を申し上げ、そして私自身組合の方々の話も聞いてまいりました。ちょっと常識では考えられないような暴行事件が頻発しておるわけです。たとえば就労した人に対して会社の人たちが、鼻の頭を五十回か六十回、軽くたたいておる。痛くはないけれども、自然に生理的に涙が出てくる。あるいは両手両足を動かないようにしておいて、胃のところを手で——げんこつでやれば型がつきます。だから手で……。しまいにはそのやられた人は、吐きけを催してくる。一番ひどいのは胃をやられてしまって、胃を三分の一か切除するという事態まで起こっている。そういうことが連日——おそらくきょうも行なわれておると思う。あえて、これは誇張ではありません。毎日行なわれておるから私は申し上げるのですけれども、おそらくきょうも、出勤をしておったら行なわれておると思います。そこで、そういう事件があるにもかかわらず、会社側は全然そのことに対して処置をしてない。ある場合には、会社の知ったことではない、こういうふうに言っておるわけです。そしてそれだけの犠牲者が出ておる。しかも外傷というものはほとんどない。内部的に、みんな胃をやられたり、前のほうからこう手をやってやるものですから、一種のむち打ち症にかかったりなんかして……。そういう事件が起こっておることに対して、通告書も出し、抗議書も出しておるけれども、会社としては何ら手を打っていない。ただ一度、私が基準局のほうにお話をしたときに、会社としては告知書といいますか、そういうものを掲示板に張ったというだけで、それで、二日か三日、そういう暴行事件はとまりました。しかし、その後依然として行なわれた。こういう事態に対して、労働大臣にお伺いいたしますけれども、労働大臣は一体どうお考えになっておりますか。
○村上(茂)政府委員 私から……。いま御指摘のような事案があるかどうかという点につきまして、実は基準法違反の問題という観点から見ましたら多少いかがかと思うのでございますが、いろんなお話を伺いましたので、三鷹労働基準監督署の監督官、それから東京労働基準局の監督官を派遣いたしまして、十一月十五日、十七日、二十日、二十九日、そういった日に調査をいたしたりいろいろな指導をいたしたわけであります。いま先生御指摘のように、会社としては、十一月十六日、工場長名で告示を出すというような措置も講じております。しかし何ぶんにも、監督官が出向きまして調査をするにいたしましても、いま御指摘のような状態を目撃するということはなかなか困難なようでございますし、かつそれが労働基準法第何条違反かといったような問題になりますと、かなりデリケートな問題があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、労働基準監督機関といたしましては、労働基準法違反の問題と関連いたしまして、今月に入りましても、十二月の十二日でございますが、総合調査をさらに行ないまして、こういった問題についての会社の改善、指導の点についていろいろ要請をしておるわけでございます。何ぶんにも法違反という問題になりますと、使用者が使嗾してそういう行為を労働者にとらしめておるかどうかというような、証拠の把握といったような問題もございまして、いろいろむずかしい問題もございます。しかしながら、労務管理上の問題として、いろいろ考えるべき問題があるようでございますので、直接労働基準法違反かどうかという問題と合わせまして、そういった点についての改善方を使用者側に要望しておるわけでございます。
○山本(政)委員 いま基準局長は、使嗾ということばをお使いになりました。それでは傍観をしておったらどうなりますか。
○村上(茂)政府委員 これはたとえば労働基準法上何条の問題になるのか、考えられますのは、第三条の均等待遇と、休憩時間の自由利用といったような事柄が問題になろうかと思います。その場合に、法違反をもたらしたこととのいわゆる因果関係を明確にする場合に、傍観しておったら違反の意思があったかどうか、こういった問題になりますと、これはなかなかむずかしいことであろうと存じます。しかし、先ほども申しましたように、労働基準法違反の面だけではなくて、社内的にそういうトラブルを繰り返すというのは、しかも、いろいろ外部からも指摘をされておるということは必ずしも適当なことではないので、基準監督機関としては、ややオーバーな面もございますけれども、使用者側に対していろいろ指導をしておるというのが実情であるということでございます。
○山本(政)委員 基準局長としては、あるいはそうお答えにならざるを得ないかもしれません。あるいはこれは労務行政の問題、そういうふうにとらえるべきかもしれないと思います。ただ、私が申し上げたいことは、使嗾あるいは傍観という解釈は別としても、会社のほうで隠しマイクをこういうふうに使っておる。しかも、写真を経理部長がとっておるのです。しかも就労したいというのに、会社の守衛が、入門をするのに、法的に就労せよという命令が出て労働者が働こうとしておるのに、就労拒否をしておる。守衛が拒否をしておるのです。しかしながら、隠しマイクや、あるいは経理部長のとったこの写真から見たら、守衛が故意に自分で入門を阻止しようとしておるのでないことは、私は常識的にもはっきりしておると思います。つまり経営者か管理者か私は知りませんけれども、だれかがおそらく入れるな、トラブルを起こせ、そういうふうに言っておるに違いない。会社は関知しないと言っておるが、関知しない人がなぜ隠しマイクをつけたり、あるいは経理部長が写真をとっておるかというのです。そういう事態が、先ほどの寄宿舎に対する基本的な考え方がこういう事件につながっておるということを私は申し上げたいから、冒頭にその寄宿舎のことをやったわけです。 同時に、当然監督の立場にある労働省としては、私は三回くらい御連絡を申し上げたはずです。そうして監督官も行かれた。監督官も行かれたのだったならば、そうして勤務をしておる人とも、被害者とも話し合いをしておるならば、当然その話が出ておるときには、寮だってあるいはどこだってその話が聞けるはずだと思うのです。何かそういうことに対して、ちゅうちょをされておるような感じがしてしようがないのです。ということは、ここに立ち入りについては臨検をすることができると書いてあるのです。臨検というのは、証明書を持っていけば監督官は入っていけるはずです。基準局長は臨検できるということを御存じですね。許可を得て入っていくというのではないのです。臨検をしても差しつかえないということが法的にちゃんと出ておる。しかも、臨検をする場合には、証明書さえ持っておればいいということがちゃんと法律に規定してあるわけです。私が申し上げたのは、どうもその点に対して、きちんとすべきところがあまり遠慮がちな監督にしかなっていないと思う。こういうような気がしてならないわけです。 同時に、ここで申し上げたいことは、そういう刑事事件にも匹敵するようなことが毎日連続して行なわれておることに対して、人権局長に、一言でけっこうです。私がいま申し上げたことから、事実がわからないからということであれば、事実でなくてもけっこうです。私が申し上げたことがかりに事実であるとするならば一体どうお考えなのか、これをひとつお答え願いたい。
○堀内説明員 ただいまのキューピーマヨネーズ工場の事情というのは私も全然存じませんでしたが、一般的に申しまして、工員と工員との間に暴行事件が行なわれるというようなことになれば、私どもやはり生命、身体を害するものとして、人権の立場で問題になるだろうと思います。もちろん暴行は、刑法上も犯罪になっておりまして、人権上も問題になるだろうと思います。
○山本(政)委員 時間がありませんので先に進めますけれども、基準局長にお伺いいたしたいのは、基準法百一条、「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。」これが一つ。第二には、「医師たる労働基準監督官は、就業の禁止をなすべき疾病にかかった疑のある労働者の検診をすることができる。」これはおそらく私は衛生とか、そういうことの観点から言っておるのだろうと思いますけれども、それ以外に、監督官であるならば、私は被害者に対しても監督官の立場として被害の実態を、医師であるならば医師である監督官として調べることもできる、こう私は思います。 それから、百二条には「労働法準監督官は、この法律違反の罪について、」——「この法律」というのは、あなたはあるいはある場合には基準法であるとか申されるでしょうし、まさにこれは基準法だと私は思いますけれども、「この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。」こういうことを書いておるのですよ。これほどの権限を与えられた監督官が、なぜ連日行なわれておることに対して、私のほうからも再三御連絡を申し上げ、告示があってそれから二、三日したときに、またきょうも行なわれておりますからひとつお願いいたします、調査をしてください、こう言っている。そのことに対して一体どれだけのことを基準監督官としてなされておるのか、あるいは局長としてどういう指示をされておるのか、私は早くあなたのお耳に入っておるものだと思うのだけれども、そのことに対してきわめて監督のしかたが手ぬるいと思うのですよ。どれだけのことをあなたのほうでやられたのか。私はいまお伺いしたら、三日間かそこいら監督された。なかなか実態がつかみにくい。しかし、つかみ得る方法があると思うのです。事前にあなた方が、きょう参りますからと言って行かれたって、これは準備されてしまいます。私はなぜ申し上げるかといえば、「臨検し、」ということがあるし、「司法警察官の職務を行う。」ことができるというのだったら、随時あなた方は行けるはずではございませんか。第一回の場合には、事前に予告をして行っているのですよ。暴行した人たちが、予告をした場合に、おいでになるから暴行をあらためてお見せしましょうなんという、そんなばかなことはあり得ません。もしもほんとうに調査しようというのなら、あなた方は随時に臨検あるいは調査すべきじゃありませんか。その点についていかがでしょう。
○村上(茂)政府委員 その問題については、基準法違反があるかどうか、そして被疑事件として考えられるものがあるかどうかという点については疑わしかったのですが、いろいろなお話がございましたように、監督官を差し向けまして、臨検をやらしたわけでございます。先ほど申しましたような日に臨検をいたしましたり、あるいは会社の幹部を呼んだりいたしまして、いろいろ指導しておるのが実情でございまして、第一線の監督署といたしましては、監督計画があって、それに従って監督をしているのでございますけれども、それすらも変更させまして仙川工場におもむかせておるわけでございます。もちろん臨検の権限はございますし、法違反があれば司法処分もいたすことができるわけでございます。でありますから、そういった立場から会社の責任者を調べまして聞き取り調書をつくる、そういった措置も行なっておるわけでございます。しかし、何ぶんにも絶えず行っておるということが困難なものでございますから、証拠を把握することが困難だというのが現在の状況であるわけでございます。しかしながら、さらに今後も十分監督、指導をいたしたい、先ほど来申し上げておるところでございますので、さらに今後も十分注意をして処理してまいりたい、かように考えております。 なお、遺憾でございますが、寄宿舎の問題は私ども存じませんで、私もこの問題についてはいろいろ注意をしているつもりでございますが、本日承って急いで調べさせたというような事情もございまして、そういうことで、はなはだ遺憾ながら、現段階においては明確でない問題もございますが、さらに徹底して調査いたしたいと存じております。
○山本(政)委員 寄宿舎の問題については、第一回目に監督官がお見えになったときに、被害者と私と入りましたときに、そういう報告もございました。したがって、ほんとうに監督官というものが、被害者のことを、あるいは人間として、そして監督官としてどうあるべきかということをお考えになっておったならば、当然私は基準局長のお耳にまで入っていると存じますし、どうあらねばならぬかということも、監督官として当然やるべきだったと私は思います。 それはそれとして、ここで最後に私は、時間がございませんから、大臣とそれから局長にお伺いしたいのですけれども、こだわるわけではございませんが、百二条の「労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。」ということは、基準法の第三条にある「賃金、労働時間その他の労働条件」の「その他の労働条件」というものを私はやはり考えていいと思うのです。それとかかわりを持って当然考えてもいい、私はそういうふうに考えます。基準法の第三条は、私が申し上げるまでもなく、使用者は、労働者の国籍、信条、それから社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について差別待遇をしてはならぬと書いてある。しかし、現、実には会社は、会社の知ったことではないとして、二カ月近く三人の労働者がたたかれっぱなしになっているということについて放置をしておる。出したのはただ一度の告示だけである。これは私は結果的には「その他の労働条件」についての差別以外ではないのじゃないか、こういう感じがするわけです。 〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、そういうことについて一体今後きちんと——私は経営者としてもそういう差別をすべきでもないし、特に暴行という事実を目の前にしておって、現実に知っておるわけです。最初は職場に管理者がおった。しかし、私どもがそういうことについて手をつけ始めたので、管理者はおらなくなって、いまは一応組合同士の争いみたいになっておるけれども、初めは会社の管理者が立ち会ってやらしたという事実があるわけです。ここにありますから、何でしたらお渡ししてもけっこうです。そういうことに対して、先ほどのことではありませんけれども、私は、労働条件について差別をつけるべきものではないということは、ここでまさに適用できると思うのですが、そういう点について、大臣は一体どうお考えか。
○小川国務大臣 ただいま御指摘の点は、仰せのとおりだと存じます。先ほど監督官あるいは担当の者が当然の職務を遂行する、あるいはそのために当然の権利を行使するのをちゅうちょしておるのじゃなかろうか、かようなおことばもございましたけれども、そのような事情が存在するとは考えておりません。また、職務を遂行する上において、はなはだ怠慢であったとも存じませんけれども、ここで御注意をいただいておることでもございますから、督励をいたしまして、事態につきましても十二分に究明をしていって御期待に沿いたい、御趣旨に沿いたいと思っております。
○山本(政)委員 私は、こういう申し上げ方をすると、あるいはたいへん不遜になるかもわかりませんし、あるいはたいへん失礼なやつだとお思いになるかもわかりませんが、ただ一言だけ最後に申し上げたいことは、往々にしてこういう事件を扱ってくるとなれてくる、したがって当然なすべきことも少しずつ——懈怠ということばが正しいかどうかわかりませんけれども、なれっこになってしまうということを実はおそれます。私は、おそらくこのキューピーマヨネーズ事件以外にも、これに類する事件があると思います。そういう場合に、監督官庁である労働省というものは、そういうなれることのないようにぜひしていただきたいと思います。 これで私の質問を終わります。
○川野委員長 河野正君。
○河野(正)委員 大臣の時間が非常に少ないようでございますから、ものごとを端的にお尋ねをして、またお答えのほうも、率直に、端的にお答えをいただきたい、こういうように思います。 きょうお尋ねしたいのは、処置料の引き下げを不満として、主要都市でございます東京、大阪、京都あるいは愛知、兵庫というような、各都道府県におきます耳鼻咽喉科関係の保険医の皆さん方が総辞退をする、こういう事件が起こっておりますことは御承知のとおりでございます。私どもはこの問題は、医師の専門技術というものを軽視したという、そういう処置だということで重要視をいたしておりますることが第一点。もう一つは、御案内のように、再来年の八月までには健保の抜本改正が実施される。こういうような健保の抜本改正という重大な事態を控えている中で、このような技術を軽視するというような形で今度の医療費の是正が行なわれたということについては、私どもは問題を重視しておる、こういうことでございます。これらの点について大臣はどのようにお考えでございますか、まず第一にお答えをいただきたい。
○園田国務大臣 ただいまの耳鼻咽喉科の診療報酬の問題については、御承知のごとく中医協の答申もわれわれは尊重したわけであります。しかし、御指摘のとおりにこういう事態になりまして、年末を控えて国民の方々に非常な迷惑をかけておりまするので、耳自弁咽喉科の先生方のおっしゃることも、収支の計算によるものではなくて、自分たちの誇りとする技術を尊重しなかったという点に言い分があるようでございますので、したがいまして、問題としては中医協の問題ではありますが、耳鼻咽喉科の先生方の御意見も十分わかっておりまするから、この際最善の努力をして、近々中に解決をしたいと考えております。
○河野(正)委員 もちろん制度上、大臣の権限というよりも、中医協の議を経てやらなければならぬという技術的な面がございますことは、私どもも承知いたしております。しかしいずれにいたしましても、この耳鼻咽喉科領域における処置というものは、この耳鼻咽喉科専門領域における一つの専門技術の中核をなすものです。こういう意味において、耳鼻咽喉科関係の専門家にとっては、一つの治療の生命とも言える問題ではなかろうかと思う。そういう意味でこの問題が重要視をされておる。そこで、なるほどいろいろ言われておる中では、バランスの問題がとやかく言われておるわけですけれども、そういう経済上の問題ではない。そういうような財政上の問題ではない。要するに、少なくとも今日まで三点であった技術評価、それを二点に切り下げた、現在よりもあたかも耳鼻咽喉科における技術というものが低下しておるというふうな印象を与えるような処置をとられたということが、きわめて重大な要素だと私は思うのです。そういう意味で、いま大臣からも、なるほど中医協の問題ではあるけれども、この問題は非常に重要な問題であるので最善の努力するということでございますが、これはもう総辞退の問題ともからんでおりますから、単に最善の努力をしていただくという抽象的なことでは、なかなかこの問題の解決をはかることは困難ではなかろうか、こういう感じを強く持ちます。そこで、これはやはり時期的にも早急にやってもらわなければならぬ。 それからまた、ここで非常に重要なことは、耳鼻咽喉科関係の学会の意見が無視されたというところに問題があるわけですから、その解決にあたっては、そういう関係学会の意見を尊重する。私は、これが貫かれないと、やはり今後、再来年までには抜本改正があるわけですから、その際にも学会における意見というものが軽視されるのではなかろうかというような印象を、これは耳鼻咽喉科関係のみならず、すべての保保医に与えると思うのです。そういう意味で、なるほど今日は耳鼻咽喉科関係の諸君の保険医の総辞退ということですが、この問題については、全国の全保険医というものが重大な関心を持って見守っているというふうに理解をせざるを得ないのです。なるほどいま大臣から、その解決のために最善の努力を払う、それはけっこうですが、最善の努力と同時に、やはり保険医総辞退の効力というものが発生するわけですから、そういう意味で、やはりすみやかに時期的にも解決するという努力が望ましいし、中医協の問題等があるので、ここでいますぐにその解決の方法等について申されることは問題があるかもしれませんが、やはりある程度具体的にお示し願わないと、ただ努力するということだけでは、なかなか解決の道を見出すことは困難ではなかろうかというような感じを持ちます。 そういう意味で、私はいずれさらに突っ込んでお尋ねしますけれども、大臣の私に対する答弁時間は十分ということでございますから、したがって多くを申し上げることはできませんけれども、最善の努力、すなわちそれが時期的にもすみやかに解決のために努力をはかっていただくという二とでなければならぬと思うが、その点についてひとつ見解を承りたい。
○園田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私も全くそのとおりに考えております。これは感情的な対立ではなしに、いま御指摘になったような問題でございますから、最善を尽くしますという意味は、そういう耳鼻咽喉科の先生の方々、さらに将来の医療報酬適正化の場合に技術が尊重さるべきであるという点に希望が持たれ、あるいはそちらの方向にいくように努力することがその解決の問題であると考えますが、中医協その他の問題もありますので、そういう点を考慮しつつ、ただいまの御意見も大体キーポイントとして、しかも、日数は近々と申しましても、御承知のとおりに制限をされておりますから、その範囲内で解決すべく誠意を披瀝して御相談する所存であります。
○河野(正)委員 私の与えられている時間が参りつつございますので、いま一点お尋ねを申し上げておきたいと思うわけです。 それは、やはり問題でございますのは、専門技術を軽視した——バランスと言いますと、これは経済上の問題ですから、そういうことを重視するのではなしに、専門技術が軽視されたというところに非常に大きな問題があるということと同時に、根本的には、専門技術に対して貴重な意見を持っている学会の意見というものが軽視された——それは尊重されたかもしれませんが、結果的には軽視されたことは当然なことだと思うのです。というのは、学会が三点を二点でよろしいというわけではないのですから、そういう意味で、学会の意見が軽視されたということは、否定することができない厳然たる事実でございます。 そこで、やはりこれは将来の抜本改正にも通じていく問題でございますから、したがって、この今度の耳鼻咽喉科の総辞退問題は、時間的の制約があるわけですから、そういう意味ですみやかにひとつ解決の道を見出すように努力をしてもらうということ。と同時に、さらに将来については、学界その他関係専門家の意見というものを十分尊重していくたてまえをとっていただかなければならぬと思うのです。これなくしては、やはり今度の場合、なるほど耳鼻咽喉科関係だけですけれども、二年後に控えた抜本改正に際して政府がどのような態度をとるであろうかということについては、全保険医が監視いたしておるわけですから、そういう意味で学界並びに関係各界の意見を十分尊重するということを、今後の抜本対策の場合の基調にしていただかなければならぬ。これが国民の健康を守り——単に医師の利益だけではない。医師の技術を尊重するだけではございません。そのことが、ひいては国民の健康を守り、佐藤内閣の言われておりまする人命尊重の政治にも通じていく問題ですから、そういう意味で、関係各界の意見を基調として今後は——今度の場合、まことに残念ですけれども、それが軽視された。これを尊重するとかせぬとか言ってみても、軽視されたということは厳然たる事実ですから。今後は関係各界の意見というものを尊重する、これを基調としていろいろ医療問題に取り組んでいくということについて、ひとつ御見解を聞かしていただきたい。
○園田国務大臣 今度の目前の問題の解決にいたしましてもそうでございまするが、御意見のとおり、適正なる医療行政、国民の健康をほんとうに守るという意味においては、各界、各方面の御意見を承ることは当然であって、よく御趣旨のとおりに詳細に時間をかけて承りたい。今度の問題の解決についてもそのようにしたいと考えております。
○河野(正)委員 大体荒筋はいま大臣といろいろ質疑応答した中で尽きておると思うのですけれども、それに少し補足する意味において、私は与えられた時間の中で若干お尋ねをいたしておきたい、かように考えます。それは大臣から大体お答え願ったから、大体の方向はもう出てきたと思うのです。ですが、さらに事務当局も御出席でございますから、この際、ぜひひとつ認識を改めていただくということで、ひとつお尋ねをしておきたい、こういうふうに思います。 それは、やはり今度の一番大きな問題というものは、保険財政の、要するに経済問題として問題の処理に当たったというところに、私は今度の問題が起こってきた一番大きな原因があろうと思うのです。私どもが言っているのは、なるほど経済上の問題もございますけれども、それは物件費がどんどん高騰しつつある今日ですから、したがって、医師といえども生活していかなければならないということですから、当然経済上の問題はございますけれども、やはり私どもがこいねがいますところは、重点としては、第一に、自分たちの持てる技術あるいは専門的な知識、そういうものがいかに処遇されるか、評価されるか、この点が私はきわめて重大な問題だと思うのです。そこに欠けるところがあったというところに今度の紛争の原因があるわけですから。そういう意味で、少なくとも今日まで三点であったのが二点に切り下げられたということは承服できない。極端に言いますと、物件費はどんどん上がっているわけでしょう。ですから、三点が四点か五点ということは別問題として、物件費というものが高騰しつつある今日の経済情勢の中で、これが切り下げられるということは、極端に言いますと、耳鼻咽喉科領域における技術というものが低下をしたんだというふうに申し上げても、私は過言ではないと思う。それならば一体厚生省は、どういう論拠で耳鼻咽喉科関係の技術というものは低下をしたというふうに判断をなさっておるか、ここが非常に大きな問題だと思うのですよ。これについて次官いかがですか。
○谷垣政府委員 いろいろと今回の問題につきまして事件が起きておりますことは非常に残念なことに思います。その過程におきまして問題があったかと思いますが、先ほど来大臣もお答えしておることだと思いますけれども、厚生省といたしまして、中医協の審議の結果というものをそのまま尊重していくという態度でまいっておりますので、この案件につきまして、将来、そういうような問題があったということを十分に考慮をしてやっていくということしか、現在のところでは申し上げかねるのではないかと思うわけであります。もちろん、いろいろと各科の平衡といいますか、均衡というか、そういうような問題も議論があったと思いますし、いろいろその経緯はあったと思いますけれども、私たちは根本において、決して技術そのものを過小評価するとか、そういう立場で議論をしておるのじゃございません。御了承願います。
○河野(正)委員 厚生省は私は非常にずるいと思うのです。私も社会保障審議会に出ておりますが、要するに、都合のいいときは審議会の意見を尊重すると言う、都合の悪いときは尊重しない、これが厚生省の今日の実態だと思うのです。だから今度の場合だって、それはなるほど制度上はいま次官仰せのとおりだと思うのです。ところが、今日まで厚生省のとってまいった態度というものを振り返ってみますと、都合のいいときは尊重すると言い、都合の悪いときには尊重しない、こういうたてまえがとられてきたことが、今日までの経過だったと思うのです。そういう意味で私は、こういうふうにいろいろ行為が出てくると、それは中医協に——それならすべての答申について尊重されるかというと、なかなかそうじゃないと思うのですよ。そういう使い分けされるずるさが、今日の問題を起こす原因になっておると私は思うのです。それが一つ。 それからもう一つは、各科の均衡とおっしゃいますけれども、現在の医療費体系と医療費の評価というものが適正であり合理的である場合には、その上に立って各科の均衡に基づいて上積みされることは、それはけっこうだと思います。各科の均衡ということをおっしゃる以上は、現在の医療費というものが適正でありかつ合理的であるかどうかという、その前提条件があると私は思う。それならば、現在の医療費というものが適正であり、きわめて合理的であるというふうに御理解になっておるのかどうか、その点についてひとつ次官に明快なお答えをいただきたい。
○谷垣政府委員 確かに政府関係の審議会等の答申を受けまして、その審議会の答申をそのままやっておるものもあれば、あるいはその答申とは違った方針を政府側として打ち出しておる審議会も確かにございます。このたびのこの問題におきます中医協の立場というもの、これはもう河野先生のほうがお詳しい。これはなかなかむずかしい案件でございまして、中医協の中でいろいろ議論されて、そしてこれが結論の出た問題でございます。したがいまして、中医協のこの問題に関しまする答申というものは、厚生省としての判断からいたしまして、これはそのまま認めることが案件を解決いたしますのに一番適切な方法であるという厚生省の立場から、中医協の答申をそのまま私たちが認めておる、こういうことであろうかと私は思います。そういうことでございますので、河野先生の最初の御質問につきましては、どうかひとつ御了承を願いまして、厚生省が時によってはこうやるという、そういうことではなく、中医協のこのたびの立場というものを、厚生省というものは案件のむずかしさに感じまして、判断をして中医協の答申をそのまま実行した、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。 それから、確かに御指摘のように、いわば均衡をとるというならば、そのもとになっておるものと申しますか、そのもとの診療体系といいますか、料金の体系といいますか、これそのものがほんとうに均衡のとれたものであることが前提じゃないか。それは確かに御指摘のとおりだと思います。ただ問題は、そのことが非常にむずかしくて、あのような非常な苦労をいたしておるのが現状でございます。したがいまして、国会の意思といたしましても、このたびはこのたびとしても、二年の年限を付してもっと抜本的対策を講ずべしだ、こういうことになっておるわけでありまして、私たちは、その際には十分これを考えていかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第であります。
○河野(正)委員 そこで整理して申し上げますと、第一の審議会の答申についてですが、今度の措置は中医協の答申を尊重することが適切な方法であったというふうな理解に立って実施したということになりますと、いままで尊重されなかった各種審議会におきます答申というものが適切でなかったということにも通じていくと思うのです。今度の場合はそれを尊重するということですと、ことばを返して恐縮でございますけれども、いままで尊重されなかった分については、それは適切でないということにも通じていくと思うのです。そういう意味ではいまの次官の御答弁では、まことに残念ですけれども、審議会軽視のそしりは免れぬと思うのです。それが一つ。 それから第二のこの均衡の問題ですが、その均衡をはかるとおっしゃるならば、私は、現在の医療費の評価というものがきわめて適切であり、合理的でありということが前提でなければならぬ、こういうふうに申し上げたわけですけれども、それがそうでないということになりますと、要するに適切と申しますか、現在の医療費というものが合理的でない。そうだというふうな議論になりますと、合理的でない上に均衡をはかれば、これは矛盾を拡大することになるわけですよ。ですからこれはどっちを向いてもいまの次官の御答弁には私どもは納得できない。正直言って、私どももやはり医療担当者の一人ですから、納得できるようなお答えをいただけば、それはすぱりと、あっさりと了解しますよ。ところが、私どもが専門家であるだけに、やはり納得のできぬようなお答えであると、ますますハッスルせざるを得ぬのですよ。ですから、いまの審議会の答申の取り上げ方についても問題があるし、それからさらにこの各科の均衡に対する御見解についても非常に大きな問題があると思うのです。これはやはり訂正しておいてもらわぬと、二年後には、再来年の八月に抜本改正をやるわけですから、いまのような思想でやるのでしたら、これはたいへんですよ。また乱闘国会ですよ。国会解散ですよ。ですからいまの思想だけはひとつ改めてもらわなければいかぬと思うのです。
○谷垣政府委員 どうも非常にお詳しい河野先生に対しまして、全くのしろうとの私が御返事いたしておりますので、たいへんどうもことばの表現その他で舌足らずのことがありまして、私の本心といいますか、それが十分に表明されていない点がありまして、たいへん残念に存じておりますが、それらの点詳しいことをひとつ保険局長のほうから答えさせていただきます。
○河野(正)委員 私らが言っているのは、要するに四十四年の八月までには抜本改正をしなければならぬ。私ども反対してきたけれども、自民党と民社党のほうで修正してそういうことになっているわけですから、法律がございます以上はやらなければならぬということでしょう。それが控えておりますだけに、今度のあやまちを繰り返してもらいたくない、こういう気持ちが強いからこのことを根掘り葉掘り申し上げた、こういうことに理解して、ひとつ今後の厚生省の方針を確立する際に、いま申し上げたようなことを十分おくみ取り願っておきたい、こういうふうに思います。 そこで最後にお尋ねをしておきたいと思うわけですが、時間がございませんでしたから、大臣には総括的に言ってしまいましたし、総括的にお答え願った。ほんとう言えば、いま少し押し問答をして具体的に引き出したかったわけですけれども、それができなかったわけですから何ですけれども、大臣のさっきの御答弁では、いよいよ総辞退をする効力が発生する時期までには解決するための最全の努力をしたいということですから、よもや総辞退の効力が発生するという時期まで解決しないということはなかろうと思う。まあしかしそういうことがあってはならぬと思うのです。これは単に耳鼻咽喉科の問題だけでなくて、やはり国民の健康管理、国民の健康を守っていくという立場から、国民に不安をかけないという立場から、私どもそういうことを強くこいねがうものです。ですから、私どもそういう最悪の事態が出てこぬことを期待するものですけれども、この点については、さらにひとつ事務当局も大臣ともども、大臣のことばじゃないけれども、そのための最大の努力を——最大の努力ですから、それ以上の努力はなかろうと思います。最大の努力を傾注をして世論におこたえを願いたい、こういうふうに思いますので、それらに対する御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○谷垣政府委員 今回のような事態になりましたことは、国民の医療の問題から考えましてもきわめて残念なことでございます。大臣がお答えしたと思いますが、誠心誠意これがうまくいきますように努力をいたします。
○川野委員長 本島百合子君。
○本島委員 ただいま社会党の河野先生から、オーソドックスな点についてかなり申されましたので、私はむしろ具体的にお尋ねしてみたい。 今日の耳鼻咽喉科医師の問題というものは容易ならないものを感ずるのであります。先ほども言われておりました処置料の三点が二点に下がったということは、十八年前の昭和二十四年五月にさかのぼっておる、こういうことになりますと、その当時二点が三点に上がった、そしてある程度の技術料が認められた、こういう安心感の上で今日までこられたものが、ほんとうに技術がダウンしたという感じを一般に与える。御承知のとおり、医師会の中でも耳鼻咽喉料のお医者さんというのは、非常に希望者が少ないと聞いております。そういたしますと、今後こうした技術の低下を厚生省が認めたという形になって、今回の耳鼻咽喉科のお医者さんたちの決起ということになった場合、これが及ぼす影響は非常に大きなものがあろうかと思うのです。そこで、大臣は、効力が発生する二十日前に時限的にも何とかする、こういうようなことを言われておりますが、いまの状況の中で何とかするという、何とかというのはどういうものがあるのか、この際明らかにできるものを明らかにしていただきたいと思うわけであります。
○梅本政府委員 大臣が申しました点は、大臣も政治家でおられますので、いわゆる政治的判断も加えて御答弁したと思います。ただし事務的な点につきましては、大臣も御答弁いたしましたように、今回の点数表の改定につきましては、中央医療協議会の建議をそのまま尊重いたしまして、新点数の改定をやったわけでございまして、すでに十二月一日から実施をされております。したがいまして、この点数表の改定その他につきまして、厚生省といたしましてはいまからそれをどうこうして改定するという考えはございません。その以外の問題につきまして、相当前から、ずっとこれで非公式に関係の責任の方とわれわれのほうとで話し合いを続けております。その辺、将来に向かって技術を尊重するというふうな形の点につきまして、現在話し合いをやっておりますので、その点両方ともおのおの主張がございますので、できるだけ早急にまとめたいというような考えで折衝を続けております。
○本島委員 いまの局長の話を聞いていて、やはり参議院の委員会で答弁されたときと同じように、さっぱりわからないのですね。ですから、そういうことではやはり耳鼻科医師の方々も納得できないだろうし、国民側にとっても納得ができないという気持ちがすると思うのです。たとえば甲表におきますところの処置が十点になっておる。それが内科加算されたときには十二点になりますよというのですね。これは参議院での十一月十日のわが党の議員片山武夫さんの質問に関連してお聞きするのですが、その速記録を何度か繰り返して見たんですが、さっぱりわからないのです。たとえば、どんな場合でも医者のところにかけ込んだときには、どこか現象的におかしいから行くのですね。内科的疾患であろうとも、のどがおかしいとか、耳が変に圧迫されたような気になったとか、鼻が詰まってきたとか、いろいろなことが起こって、これは耳鼻科ではなかろうかということで飛び込むわけですね。あなたは内科ですから何にもしなくてよろしい、と言って何にもしなけれび点数十二点、そしてもしちょっとでも処置をされたらばこれは十点であるなんという、このところはさっぱりわからない。いまのことは非常に重要なことを私はお聞きしたわけなんです。いままでの点数の中ではどうにもすることができないから、それは大臣は政治家であるから、政治的配慮において何とかなさるお考えであろうということを言われておるんですね。そうすると、何が政治的配慮というものの中に残されているのか、これをお聞きしたいと思います。特にいま申し上げた矛盾というもの、これは点数は是正することができないといまおっしゃっているけれども、こうした矛盾というものが明らかにあってもどうすることもできない。それは何のおきてか、中医協で決定されたことであるから、こういうことであろうと思いますが、先ほど河野先生の質問の中にもあったように、中医協の尊重度合いというものは、ときによっては尊重し、ときによっては尊重しないなんということを繰り返してきている。そして事ここに至るような事件を引き起こして、今日は中医協の意見に従います、こういう局長の答弁のように承ったわけなんです。こういう点、何としても割り切れないのですね。患者はやはり治療してもらいたい。治療してもらうことによって病気を未然に防ぐことができるという考え方にも立つ。心理的な影響でかなり病気はなおるわけなんですね。そういうことも考え合わせてくるときに、今回の点数制というものを、いかにも金科玉条のように守らなければならぬようにおっしゃったんですが、そこらあたりどうなんでしょうか。あとで政務次官からもこの点についてお聞かせ願いたいと思います。
○梅本政府委員 先ほど政務次官からもお答え申し上げましたけれども、中央医療協議会につきましては、先生御承知のように、数年前から非常に混乱を続けた委員会でございます。新聞の記事によりましても、一時は空中分解というような段階にきた委員会でございます。これは普通の委員会、審議会と少し性格を異にしておりまして、診療を担当しておられますお医者さんが五人、それから歯科医師二人、薬剤師一人という診療側と、いわゆる支払い側という形の委員が八人、それから公益委員という三者構成の委員会になっております。したがいまして、これはやはり委員会の性質としまして、利害の対立した形で非常に激しい審議、御議論のやりとりがありましてものごとが進んでいくというふうな審議会でございます。 それで御承知のように、二、三年前でございましたか、厚生省といたしましては、この審議会の関係で九・五%の職権告示という事件がございました。これがやはり裁判ざたになりまして、一時期でございましたけれども、二重の医療費を支払うというような、世間に対しまして非常に混乱を引き起こしたわけでございます。そういうふうな経緯もございまして、二年前に中医協自身がやっと空中分解の状態から軌道に乗りまして、三者構成の委員会が再びスタートした状態であります。そしてその委員会は、厚生省の諮問に基づくよりも、会長の東畑精一先生の意見書ということで、医療経済実態調査の問題と、それから診療報酬の適正化の問題を並行して、審議会として審議をして建議を出すということで、二年間にわたって、公式には四十九回、懇談会も入れますと六十数回の会議を重ねられまして、この建議書が出たわけでございます。そういう経過もございますので、厚生省といたしましてはこの建議の線にのっとって諮問をいたし、また諮問によって少しの御議論がございまして、一部分修正がありまして答申がございましたので、中央医療協議会の答申のとおりにいたしたわけでございます。 なお、今回の中央医療協議会の建議は、診療報酬の適正化について非常に重要事項を含んでおります。従来の単なる緊急是正というだけでございませんで、やはり診療報酬の適正化という面に一歩を踏み出しておりますことが一つ。それから薬価調査を一年一回やる、あるいは医療経済の実態調査を三年に一回やるというふうに、この三者が完全に満場一致で決議をされた内容を含んでおります。厚生省といたしましては、せっかく数年間にわたって御審議願いました結論でございますので、先ほど政務次官が答弁いたしましたように、この中央医療協議会の建議の線をそのまま早急に実施することが、従来混乱しておりました医療費問題の前進に大いに役立つというふうに判断をした次第でございます。
○谷垣政府委員 いま保険局長からお答えいたしましたような事情と経緯で、中医協の答申をそのまま告示をいたした、こういうことでございます。したがいまして、ただいま御質問になりました診療点数その他の改定を私たちがやるというような意思はございませんし、なかなか耳鼻咽喉科の皆さんのおっしゃっておりますこととの調整のむずかしさがここにございます。しかし、私たちとしましては、総辞退というようなことがほんとうに実現することのないように、極力誠意を持って交渉して、これを将来に対しましても生かしていくように努力をいたしておるところでございます。
○本島委員 いまの御答弁を聞いても、いかに問題がむずかしいかということはわかるのですが、めどはあるのでしょうか。二十日というと、もうあと六日しかないのですが、めどのないことで幾らここで力説されても、結局大混乱が起こってくるわけなんですね。 それからもう一つは、先ほど申し上げたように、耳鼻咽喉科の先生方の数は非常に少ないということ。こういう問題が影響して、将来お医者さんになり手が減少したというようなことになったら一体どうなるのか。これは通俗的なものの考え方ですが、そういう点等について、大臣でないから、思い切ってこうやりますとは言えないのでしょうが、何らかのひっかかりはあると思うのです。どこかで配慮すべき点があろうと思うのですが、それはないのでしょうか。
○梅本政府委員 解決のめどでございますが、われわれのほうといたしましても、先ほど御答弁いたしましたように、やはり中央医療協議会の一つの答申を完全に尊重したという線がございます。そういうことでございますので、やはり私たちの立場といたしましても、いろいろ従来から審議されました筋をそう曲げるわけにいきません。大臣が答弁いたしましたのも、できるだけ誠意を尽くして努力をして話をするということでございますが、やはり相手のあることでございますので、解決のめどということにつきましては、私のほうからあるともないとも申し上げられませんけれども、こちらのほうの立場を十分明らかにして——率直に申しまして、そう具体的な問題はもうございません。ここでこの点数表の改正はすでに実施されておりますので、いまからどうこうというふうな具体的な問題で、ここを変えます、あるいはここを改定しますということは、率直に申して何もございません。やはり今後の問題として、お話し合いが成立するならば解決のめどはあるというふうに考えております。 それから、先ほどから三点、二点の問題に集約されておりますけれども、診療側もお入りになりました中医協の御意向としては、再診料というものを認めて、決して技術を軽視をしていないという線の一つの建議の精神もございますので、その点、やはり先生方のほうにおかれても、良心的に大局的に判断を願いまして、一定のところで話をつけて、今後の問題としてやはり技術尊重の線を、こちらも十分にわかっておりますし、その辺を含んでいただければ、解決のめどはあるというふうに考えております。
○本島委員 それでは耳鼻咽喉科医師会のほうのことでお聞きしたいのですが、八月十二日の中医協に出された厚生省の資料、この資料のデータはいつの時点で、どこにおける資料をもととして出されたものか。仄聞するところによりますと、九月十日の公益試案及び建議による各科別の影響率の中で、第九項の創傷及び皮膚科処置、産婦人科処置、眼科処置等の加算廃止のところで、耳鼻咽喉科のところが〇・二一%になって、極端に低くなっておる。私、世田谷ですが、世田谷区の耳鼻咽喉科の臨床研究会で作成した資料によりますと、二・五五%、こうなっておる。こういう開きが非常にある。それから耳鼻科は九・〇六%の増加率であるといわれておるが、そのところが非常な誤りである。そういう点、耳鼻科に関しての点数の是正というものが根本から誤った資料においてなされたように思われる。 それから次に、この資料は全国の母集団標本に対して偏差はどのようになっておるか、それからまた、内服薬処方回数、とん服薬の処方回数、外用薬処方回数の頻度数はどうしてきめられたか。また、処方回数の頻度数はカルテによる調査以外には不可能であると思っているが、この点については現実に調査をいつなさったか。調査はやはり上記と同じような規模と方法において行なわれたものであると思うが、もしこの耳鼻咽喉科医師会のほうでそういう資料を作成した場合においては、厚生省はやはり母集団標本と同じように考えて認めるかどうかというような要望をされたわけであります。こういう点は一体どうなんでしょうか。要するに、この点は、中医協の提出された資料というものに対する根本的な不信というものが出ておると思うのです。そういう点、厚生省は不信でない、正しいものだということが言い切れるかどうか、そういう点お尋ねしたいと思います。
○梅本政府委員 先ほど河野先生から御指摘がございましたように、まず従来から診療報酬の適正化の問題につきましては、やはりもとになります経営収支の問題から資料がございません。それで十数年来、医療経済実態調査をやれという、国会からも再三お話もございましたし、われわれのほうでも、基礎的なデータを持たなければ診療報酬の適正な改正ができないという観点に立ちまして、この調査を実施することを念願としておったわけでございますが、関係方面との話し合いがつきませんで、十数年来医療経済に関する調査というものはできていないわけでございます。したがいまして、全国的な調査につきまして、やっと今度の中医協の建議におきまして、三年ごとに医療経済の実態調査をやるというのを、診療側もお入りになった三者構成の委員会で合議を見たわけでございまして、この十一月一日から三十日までの間を調査期間といたしまして、これはスムーズに調査が進行いたしております。で、中医協の建議にもはっきり明記してございますように、「診療報酬体系の適正化は、医療経済に関する諸調査を実施し、その結果に基づき、引き続き本協議会において検討を続けることとするが、差し当り」こういうふうな改善も行なう、こういう趣旨でございます。したがいまして、今回の建議におきましては、やはり根本的な診療報酬の適正化は調査の結果に基づいてやる。ただし、緊急是正という要求もございます。諸物価の値上がりによります緊急是正の点もございますが、しかし、従来のような単なる緊急是正でなしに、やはり一歩でも二歩でも調査の結果を待たずしてでき得る診療報酬の適正化の点に手をつけたという意味で、今回の建議は相当いろいろの新しい点を含んでおるわけでございますので、そういう観点で建議がなされております。したがって、お尋ねの調査につきましては、全国的な調査としましては、昭和四十一年度の社会医療調査というのがこの調査の根底になっております。診療行為別調査の結果に基づいて検討をされたわけでございます。 それから調査対象の母集団というお話がございましたが、保険医療機関から社会保険診療報酬支払い機関に提出されまして、審査を終えた診療報酬請求明細書というものから母集団を選定したわけでございます。その他の点につきましては、私も御質問の趣旨取り違えてはなんでございますので、医者であります医療課長、あるいは統計のほうの問題につきましては統計調査部のほうからお答え申し上げたいと思います。
○松浦説明員 ただいまの先生の御質問の中で、内服薬処方回数、とん服の処方回数、こういったものについての頻度はどうしてきめたか、それからこの頻度はカルテを調べないとわからないけれども、そういうことをやったかという御質問でございます。これにつきましては、厚生省の保険局におきまして、昭和四十一年の五月に関する投薬の回数、日数、こういうことを医療機関について別途調査した数字に基づいて検討を行なったわけでございます。 それから母集団標本の問題につきましては、統計調査部のほうからお答え申し上げます。
○石井説明員 御質問のございました全国の母集団標本に対しまして偏差はないかという御質問でございますが、この調査は無作為抽出法によりまして標本を抽出いたしまして調査しておりますので、統計技術上から見まして偏差はございません。
○梅本政府委員 ちょっと取り違えているかもわかりませんが、耳鼻咽喉科のほうにおいて厚生省と同じような方法で調査した場合にどうこうというお話がございましたが、これはいま統計調査部から御説明いたしましたように、無作為抽出法をとっておりますので、一定の抽出率で抜きます場合、今回あらためて一定の母集団から抜きました場合に、前の抽出の対象と今回が違うというふうなことであれば統計上一定の誤差が生じてまいりますが、そういうことでございますし、こういう利害に関係のある調査につきましては、やはり中立的な役所の行ないました調査ということで行政的な措置をやっていくことが必要であると思いますので、今後、医療経済実態調査というのも現在行なわれておりますので、非常に詳しい資料、結果が出てまいると思います。そういう資料を中心にしまして、今後診療報酬その他の根本的な改定の根底にいたしたいと思います。 ついででございますけれども、いろいろ利害の対立の結果、今回の医療経済実態調査は厚生省が行なうという性格でございませんで、話の結果、中央医療協議会自身が行なう。いわゆる三者監視の上で調査したもので中立性を保つという意味で中央医療協議会自身が行なう調査であるというふうな性格を持っておりますので、今後の調査につきましてはやはりこの資料が中心になるというふうに考えております。
○本島委員 いろいろ説明を聞きましたが、時間がないもので、それはあえて重ねて質問することはできないのですが、要は不信を買われておる資料に基づいて点数がきめられたというその感じ、これをやはり今度大臣が政治的あっせんの労をおとりになるときには、よほどお考えになっていただかぬといかぬのじゃないか、こう思うわけです。 それから、この際委員長に資料を要求いたしたいと思うのであります。それは、中医協の答申、建議に関する資料、そういうものを次の委員会——通常国会に入ってからでもけっこうですが、なるべく早いほうがいいですから、来週あたりまでに提出していただけないかということをおはかりいたします。
○梅本政府委員 御提出いたします。
○川野委員長 承知しました。
○本島委員 最後に、これはもう時間がありませんのでほんの簡単に申しますが、薬剤費の一部負担の制度が生まれてきまして、このことによって低所得層の者たちが非常に困ってまいっております。一部負担ということはいままでになかったことだけに、医者にかかればなおる病気でも、保険に対しての一部負担というものがある、そこへまた薬価の負担が出てきた、こういうようなことで、最近は治療を受ける率が減ってきたということがいわれておるのです。そういうような意味で免除規定がつくられておったわけですが、現在どの程度の免除申請を受けておるのか。あるいはまた今後出さなければならないのか。そしてこの物価高に際しまして、免除が二万四千円の所得、一人加算の六千円、こうなっておるようですが、そういうような状態でほんとうに国民の健康が、守れるのか、生命の保障ができるのか、こういうふうに思われるわけですが、そういう点がどういう状態になっておりますか。四時半で私の質問は終わることになっておりますから、時間内で返答をしていただきたいと思います。
○加藤政府委員 薬剤の一部負担の免除に関する証明書でございますが、これは私どものほうの十月末までの調査でございますが、交付いたしておる枚数が六百四十三万二千枚でございます。これはいわゆる免除該当者——被扶養者、家族がなければ二万四千円以下の標準報酬の人たち、家族が一人あればそれに六千円、そういう該当者に対しての割合が八〇・九%でございます。ですから該当者の大体八割までは証明書を交付済みである。これが十月末の現状であります。なお、この免除証明書は一応申請によって交付するということでございますので、申請を待って交付すればいいということで、法律上はそういうたてまえでございまするけれども、私どもといたしましては、できるだけ積極的に該当者を探し出して交付するようにという指導をいたしておりますので、今後この数字はだんだんふえてくるだろうと思うのでございます。 なお、この薬一部負担によって被保険者の受診の状態がどうかというような点は、この薬剤の一部負担が十月からの実施でございますので、はっきりした傾向というものは現在のところまだつかみがたい状況でございます。やはり受診率は若干減るだろうという感じはいたしますけれども、しかしこれだけ大幅の免除証明書を交付しておるということでありますれば、一般の方々の受診に著しい支障があるというぐあいには考えておらないわけでございます。
○本島委員 要望しておきます。ただいまのお話でも八〇・九%で六百四十三万二千枚ということでありまして、意外に低所得層の多いことがわかるんですね。そういたしますと、今度医療費が全体として七・七%ですか、上がるということになってくる、そしていろいろの物価も上がってくる、こういうことになってくると、私はますます医師にかかれない人が出てくると思います。皆保険下においては、国民の健康が完全に管理されていくところにその皆保険の生命があるわけなんですから、そういう意味で、この点を物価にスライドして改正することができるかどうか、またしなければいけないんじゃないかと思うのですが、そういう点の配慮を私は切望するものであります。これは政務次官せっかくいらっしゃるのですから、一言でよろしゅうございますからその点答えていただきたいと思います。
○谷垣政府委員 御趣旨はまことによくわかりますが、この抜本対策は時限的に四十四年の八月まで、かようなことになっております。したがいまして、その際にいろいろな問題について御意見等を十分尊重いたしました検討を加えてやってまいりたい。それまではちょっといまの時間的な問題として、そのスライド制の問題をあれすることはできないのではないかと思っております。御意見は十分尊重した抜本対策をあれしたい、かように考えております。
○川野委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 いろいろとお尋ねしたいわけでございますけれども、時間に制限がありますので一、二点にしぼってお尋ねしたいと思います。 とかく医療問題では国民大衆はしばしば痛めつけられてまいりました。近い例が、健保国会と呼ばれました前国会で、特例法案が国民の意思とは反対に成立しました。これは言うまでもなく政管健保の赤字財政の解消の措置ということであったわけでございますが、初診料やあるいは一部負担という引き上げで国民生活はいよいよ圧迫されてきたということであります。しかし国民はせめて抜本改正でというところにその救済を求めていたわけでございますが、この大きな期待にもかかわらず、つい先刻医療費の引き上げが行なわれました。平均七・六八%もの引き上げがあったわけでありますが、これから耳鼻咽喉科医が保険医を辞退しようという動きが出てきてみたり、あるいはまた年間五百億円の医療費の増高が見込まれているとか、非常に険悪な状態が次々とあらわれてきたのであります。そのあとにいわゆる厚生省の抜本改正の試案が出たわけでございますけれども、これまた全く期待はずれと言っても過言ではないでしょう。このような国民不在のいわゆる医療施策が次々と行なわれているわけでございますが、単に政府が悪いんだと政府の非を責めているだけでいいものではありません。確かにわれわれも政治家として大きな責任があるわけでございますので、何としても真の意味の抜本施策を確立して、国民の健康と生命を守り、民生安定のために最善を尽くしていかねばならない、このような立場から二、三お尋ねいたします。 まず計数的なものになりますので、社会統計課長でけっこうでございますが、国民総所得に対する総医療費の割合、また総医療費に占める薬剤費の割合、あるいは保険給付額の中に占める薬剤費の割合についてお尋ねいたします。一番新しい資料でお願いいたします。
○梅本政府委員 お尋ねの国民総生産及び国民所得に対する総医療費の割合でございますが、三十八年度国民総生産に対する割合三・二%、国民所得に対する割合四・〇%でございます。昭和三十九年度国民総生産に対する割合三・五%、国民所得に対する割合四・四%、昭和四十年度国民総生産に対する割合三・七%、国民所持に対する割合四・七%でございます。 それから、総医療費に占めます薬剤費の割合でございますが、これは統計的にまとまったものがございませんので、かりに、現在把握しております政府管掌の健康保険の薬剤費の割合を用いまして一応試算したものでございますので、少し間違いがあるかと思いますが、昭和三十八年度総医療費七千九百六十六億円のうち薬剤費二千七百四十二億円、割合三四・四%、昭和三十九年度総医療費九千八百九十五億、薬剤費三千八百六十九億、割合三九・一%、昭和四十年度総医療費一兆一千七百三十七億、薬剤費四千六百九十五億、割合四〇・〇%、こういうことでございまして、政府管掌の健康保険におきます医療費の中に占めます投薬及び注射の薬剤費の割合は、昭和三十八年五月におきまして三一・九%、三十九年五月が三六・八%、四十年五月が三八・二%、四十一年五月が三八・九%でございます。これはただいま申し上げましたのは、甲表、乙表を採用しておる病院、診療機関がいろいろございますが、それの総数で申し上げました。
○大橋(敏)委員 いまの御説明でも医療費の占める割合というものがばく大なものだ。私も多少調べたわけでございますが、ほぼ同等でございました。保険給付費に対して薬剤費が四〇%、このような異常な医療費の増高について、原因はいろいろあげられるだろうと思いますけれども、局長は——大体、大臣に尋ねたいことだったのですが、いませんので局長さんにお尋ねしますが、そのいろいろな原因の中で一体何が一番問題になるのか、またどこに手をつければこの問題が根本的に解決されていくのか、そういう点をお願いいたします。
○梅本政府委員 非常に広範な御質問になりますが、やはり一つの大きな問題は、御指摘のように診療報酬の立て方の問題に一つの問題があるように考えられます。診療報酬の中の薬剤費の占める割合が、いま御説明いたしましたように年々ふえてきておりますので、この辺のところにつきまして医療費を押し上げておる一つの原因があろうかというふうに考えております。 また、その他医療費が非常にふえてきております点につきましては、一々確認したわけではございませんけれども、いろいろの方面から、いろいろの御指摘なりデータなり出ておりますが、やはり制度自身の問題につきましてもいろいろ問題がございまして、一応皆保険という形が達成されまして、全国民がいずれかの保険に属しておるという状態にはなったわけでございますけれども、制度が非常に分立しておりまして、その間につきまして医療費のむだがあり、いわゆる医療費というものが医療そのものの本来のところに重点的に使われていないというふうな御指摘も受けておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 いまのお話で医療費の増高の原因がごく簡単に話されたわけでありますが、私が医者やあるいは学識経験者にいろいろと尋ねてみましたところ、これは大きく分けて二つになる。 その一つは、近代医学、薬学の進歩、あるいはそれに従って医術や新薬の進歩によって受診をする人、いわゆる受診率が自然に上がっていく。そういうことから医療費が当然増加になっていく。いわゆる自然増というものと、もう一つは、薬事行政からくる欠陥から薬代のものすごい増高があるんだ。こういうことで、特に薬の問題でありますが、医療機関が薬を購入する場合、政府がきめている薬価基準よりも実際の価格はずいぶんと安い。そこに大きな開きがあり、その格差のために、医者はその薬によって技術料にかえていこうということで、本意ではなくとも、現時点においては医師の技術料が認められておらないという立場から、どうしても売薬的医療になっていく。そこに問題が起こって医療費が非常な勢いで伸びていっているんだ。こういうことから、医療費の増高の抑制施策としての根本的なあり方というものは医薬の分業以外にないのではないか、これが基本的なものであるということを聞いたのでございますが、この点についてはどうでしょうか。
○梅本政府委員 先ほどお答えしましたうち、先生から御指摘のように、もちろん、医学、医術の進歩、薬学の進歩ということを申し上げませんでしたが、それが一つの要素であることは申すまでもございません。もう少し詳しく述べてみますと、やはり統計的に見ました場合に、一人当たりの受診件数、いわゆる受診率と一件当たりの日数というものを見ました場合に、受診率は少しずつ上がっております。しかし一件当たりの日数というのは下がっておるのではないか。したがいまして、医療費につきましてはこの二要素が相殺をいたしまして、結局分析の結果私のほうでつかんでおりますのは、一日当たり診療費というのがふえてきておる、こういうことでございます。一日当たりの診療費がふえました原因につきましては、医学、医術、薬学の進歩というものがもちろん大きな要素でございますし、またいろいろ申し上げれば、人口構成の変革というふうな基礎的な問題もございますが、先ほども申しましたように、直接的には薬剤費が診療費の中で占める割合が相当ふえておるというのが一つの大きな原因でございます。 それから、ただいまの御質問の薬剤の関係でございますけれども、従来におきましては、確かに薬価基準と薬の実勢価格との間に差がございました。これは一つの問題点でございましたが、何ぶんいろいろ関係方面との折衝その他の関係がございまして、薬価調査というものができませんでした。ところが、今年の二月に初めていわゆる薬の販売サイドの調査を実施したわけでございまして、今年十月に薬価基準の大改正をやったわけでございます。それから、先ほど中医協の建議の中で御説明いたしましたように、中央医療協議会におきましては、毎年一回薬価調査を行なうというふうに合意がなっておりますので、また近く来年、年が明けました場合には、薬価調査を毎年実施をして、調査の結果が出ましたら薬価基準を改正するというルールが確立されたわけでございまして、これにおきまして、従来から指摘をされ御批判を受けておりました薬価基準と実勢価格の差というものが刻々と修正されていくということでございます。これで薬の関係の姿勢というのが従来と比べまして一段と正されるものというふうに考えております。 それから、抜本改正の素案にも、事務局案にも書いてありましたように——医薬分業につきましては、これは私のほうから答えるより薬務局長が適当かと思いますが、医薬分業の推進につきましては、厚生省もその方向で検討する。しかし、この医薬分業につきましては、基礎的条件の整備というのがやはり前提になりませんとなかなかむずかしい問題でございまして、薬局側の受け入れ態勢の整備でございますとか医薬関係者の協力体制というものを確立するということが先決問題になるわけでございます。その方向で検討をしていきたいという考え方でございます。
○大橋(敏)委員 先ほどある医者と言ったのですが、名前を読み上げてもいいのですけれども、きょうは差し控えますけれども、某医者あるいは学識経験者の間で、わが国も医薬分業を実施すれば現時点でも一千八百億円の余裕が出るのだということはきわめて正確な資料で説明されておりました。私はこの話を聞きながら、また、保険財政の問題のみでなくて医業全般にわたって好ましいことだなと、その主張に非常に賛同したわけでありますが、このような立場からお尋ねするわけでございますけれでも、医薬分業を実施するためにはどういうところに配慮しなければならないのか、もしその具体的な条件があればここでその内容を教えてもらいたいと思います。 私がまず考えていることは、当然医師の技術料を認める診料報酬の合理化、適正化がまず先決問題でありますが、それとともに、医薬分業の促進の要件として、まず第一に、実施基本に法律の改正が必要ではないか。具体的に言えば、医師法の第二十二条、歯科医師法の第二十一条の中に、処方せんを出さないでもよい例外として定めた「ただし、患者又は現にその看護に当っている者が処方せんの交付を必要としない旨を申し出た場合」、この項目を削らなければ、幾ら他のところをやっていってみてもスムーズに進んでいかないのじゃないか、このように考えるわけでございますが、先ほど言いました具体的な内容と、いまの法律の改正の問題点についてお願いします。
○梅本政府委員 薬事法なり医師法の問題になりましたので、設置法上保険局長は権限がございませんけれども、やはりいままで討議されておりました問題といたしまして、医薬分業を推進するという方向で厚生省としては検討をいたしますというふうに、事務局試案でございますけれども、試案にうたっておるわけでございます。ただ、今後の問題としまして、医薬分業を法律をもって強制するか、あるいはやはり医薬関係者の協力のもとにやるかというふうな点は一つの問題点でございまして、その点はやはり現在のように、医薬分業というのを法律をもって強制するということは不適当であろうというふうな考え方のほうに傾いております。その点詳細は薬務局長のほうにまたお尋ねをいただきたいと思います。 それから、医薬分業をやりますのに、法律の問題よりも先に、やはり先ほど申しました薬局側の受け入れ態勢の整備というのがございます。これはお医者さんが処方せんを発行しましても、山間僻地、離島、そういうところに薬局がないと、処方せんだけもらって相当遠くまで薬局を探しに行かなければならぬ、そういうような状態ではこれは実現が不可能でございますし、また現在の薬局におきましても、実態はよく把握いたしておりませんけれども、やはり調剤ということにつきまして十分に専門家をそろえるというふうな問題もございまして、医薬関係者の協力態勢ができるかどうかという問題、基礎的条件で薬局側に受け入れ態勢が整うかどうかということが今後の問題でございまして、やはりそういうものを順次整備していくということが先決条件でないかというふうに考えられるわけでございまして、その点、そういうことの整備が進みまして、私のほうに関係してまいりますのは、それに適応した診療報酬の体系というものを、医薬分業にふさわしいようにどのように合わせていくかという問題に展開されていくのじゃないかというふうに考えております。
○大橋(敏)委員 いまの医薬分業のことについては、各方面から、いまがチャンスである、こういうふうに聞こえてきているわけであります。先決条件の賛成者には日経連、健保組合、目病、各種労働団体、日医会長武見さんもそうです。中原日歯医会長もこの医薬分業については非常に賛同的であります。また、現に医師会ではすでに分業を指示して、現に協定処方を作定して実行に移っている方々もおられるそうであります。また新潟や山梨、長野の各方面にも、また全国的に見ましても、現実に自分なりにその方法をとってやっていて、その内容が非常によろしいという事実もあるのでありますので、これは大きな意味からいって、一日も早くそのような体制がしかれることを強く要望するものであります。 次にお尋ねしたいことは、今度の試案を見ますと、一律七割給付ということになっておりますが、これは医療保障の後退である、時代逆行であるという批判が全国的に起こっておりますけれども、その点についてどのような考えで七割になったのか。簡単でいいですからお願いします。
○梅本政府委員 その前に、まず抜本改正の案についての御質問でございますが、案の性格は、これは現段階における事務当局の試案、いわゆる試みの案という性格のものでございます。したがいまして、大臣、政務次官おかわりになりましたので、まだ十分相談をいたしておりません。事務的な段階のものでございます。で。お尋ねの三割の自己負担という点につきましては、あの試案にも書いておきましたように、現在の時点におきまして、先国会で御審議願いました臨時特例法で、政府管掌の健康保険につきまして、千分の七十という料率をおきめ願ったわけでございます。それからまた、すでに日雇い健康保険につきましては三割五分、それから国民健康保険につきましては四割の定率負担と五分の財政調整交付金、合わせて四割五分の国庫負担がついております。そういう前提のもとに、しかも累積赤字は全部国費で処理するという前提を置きまして、与えられました医療費を最も効率的にと申しますか、やはり重い、長い病気という病気の点を中心に置き、しかも、今後の人口構成の点から見まして、やはり一家の働き手、いわゆる世帯主というものが入院された場合には、一刻も早く、扶養の義務もございますし、そういう点でなおってもらうというふうな観点から、被用者保険につきましては本人、それから地域保険につきましては世帯主という生計中心者を中心にしまして、この入院を十割に上げたわけでございます。それから一方、抜本改正の一つの点でございます給付率、給付の割合の不均衡を是正するという意味におきまして、被用者保険の家族につきましても、入院は五割から七割に上げる。外来も七割に上げたわけでございまして、その点やはりそれとの均衡もございまして、外来につきましては、重い、長いという病気の反面としまして、いわゆる軽い、短いというふうな病気の点につきましては、一応保険としましては三割の自己負担をお願いするという形にしたわけでございます。 それとともに、今回考慮いたしましたのは、公費負担の医療と保険との関係をはっきりしたわけでございまして、その点、日本の疾病のうちの大宗を占めます結核、精神につきましては、公費負担五割、それからあと保険で五割を持つということで、実質十割に近い形のようになるようにしたわけでございますし、その他、児童福祉法におきます養育医療でございますとか、重症心身障害、身体障害、それからむずかしい、重い、長い、費用のかかる病気というものにつきましては、三割の自己負担、あるいは入院についての食事代の普通給食相当分の一部負担というものを設けましたけれども、公費負担の医療と合わせまして、重い、長い病気につきましては、実質十割に近い形にするというふうな方法をとったわけでございますし、それからまた自己負担分につきまして、低所得者、あるいはそういうほかの法律の公費負担と合わせて十割にならない、近い線にならない方々につきましても、長期あるいは低所得者、そういうことにつきましては、現在社会福祉関係局とも相談をしておりまして、そこで適切な施策が講ぜられればけっこうでございますが、もしそういうことが非常に困難であるという場合には、あの試案にも書いてございましたように、保険の側におきまして、長期療養者、低所得者につきましては、自己負担分の軽減につきまして特別の措置を考えております。
○大橋(敏)委員 国民皆保険下で、現在大きく分けて二本立てという立場で進んでいるわけでありますが、皆保険下の二本立て、内容は実は七種類にも分かれた制度で、給付率も掛け金もばらばらだ。これ自体がほんとうにおかしな姿であります。今回の一律給付ということについては、制度がばらばらである中においての一つの前進だと思い、私も非常にこれは前進した考えだなとは思っておりましたけれども、その給付率の格差是正で七割に押えたというところに問題があると思うのです。これは保険財政の問題からでありましょうけれども、七割になれば、先ほどあなたがおっしゃったとおりに、本人も家族も三割の負担をしなければならない。低所得者や、手術を受けたり、あるいは長期入院等の者については、十割を与えるというものの、これはあくまでも本人と、先ほど言った世帯主だけでありまして、家族の分については相当の負担が起こってくるわけであります。そういうことを考えてまいりますと、また社会保障あるいは医療保障という立場からいきますると、どう考えてもこの格差是正は、高い給付水準に底上げをしていくのが当然であろうかと思うのです。いろいろと学者や医者の話を聞いてみると、一律九割までは上げられるはずだ、またこれが各方面の識者の統一した意見でもある、このような話を聞くわけでありますが、一律九割の線に持っていけないものかどうか、こういう点について簡単でいいですから。
○梅本政府委員 やはり国民の負担能力と財政の状況を勘案しませんと——総医療費が一兆数千億に及びます。先ほど申しました国民所得の四・七%に近い医療費を使っておりますので、一躍九割にしました場合、まあ計算は覚えておりませんが、やはり相当の国庫負担金でまかなうか、やはり数千億の国庫負担金を必要とするか。あるいは料率でこれをまかなうとしますと、たとえば政府管掌につきましては、千分の百をこえるというふうな保険料を徴収するかというふうな問題になろうと思います。その点、やはりこれだけの大きな金を中心にした制度でございますので、その辺は、国民負担と、それから財政の点ということは、いろいろ御批判もありますけれども、やはり考慮しながら制度を打ち立てていきませんと、砂上の楼閣といいますか、絵にかいたもちというふうな感じになってしまうのではないかということでございますし、それから非常に残念でございますが、この改革を進めますについての環境が非常に悪うございまして、やはり御承知のように、政府管掌の健康保険につきましても、もう今年度末で一千億をこえる累積赤字を持っておりまして、制度自身が崩壊するかどうか、そういうふうな状態に追い詰められておりますし、日雇い保険につきましても、もう保険のワクを越えた赤字をかかえておるというふうな環境の中でございます。その点もひとつ御考慮に入れてお考えをいただきたいというふうに考える次第でございます。
○大橋(敏)委員 貧弱な医療保障制度の基盤に保険制度だけが先進国並みにぐんぐんと伸びて、いわゆる逆ピラミッド型の姿になっているところに大きな問題があると思うのです。それで、欧州諸国ではすべての国民が平等に給付を受けているという現実に照らして、わが国のように、家族を別扱いにしてみたり、あるいは工場の労働者と一般住民とを区別してみたりするような不公平な制度はどこにもないということであります。そういうことから考えてまいりまして、とにかく家族も本人も人間には間違いないことでありますし、病気をすればしたで同様の苦痛を感じているわけでありますので、同じような待遇で、そして先ほども言いましたように、九割給付、あとの不足分はあくまでも社会保障的な精神に立脚して大幅な国庫負担でそれを補っていくという立場でものを考え、そこに努力していってもらいたい。これは強い要望であります。 そのほか、たくさんあるわけでございますが、もう時間が参りましたので、きょうはこの辺で質問を終わることにいたします。
○川野委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時一分散会