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57回国会衆議院1967/12/14

産業公害対策特別委員会 第2号

発言数
385
登壇者
35
会派数
4
開催日
1967/12/14

会議録

八木一男日本社会党

○八木委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  産業公害対策に関する件について、本日、参考人として、財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長重松逸造君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木一男日本社会党

○八木委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————

八木一男日本社会党

○八木委員長 産業公害対策に関する件について調査を進めます。  この際、小山省二君より、山砂利採取に伴う公害対策について発言を求められておりますので、これを許します。小山省二君。

小山省二自由民主党

○小山(省)委員 先般の派遣委員を代表いたしまして、報告を申し上げたいと思います。  私どもは、前国会閉会中、京都府における山砂利採取に伴う公害の状況について、つぶさに調査をいたしてまいったのでありますが、その詳細につきましては、派遣委員報告書を、前国会の委員会議録付録に掲載いたしておりますので、これを参考にしていただくことにいたしまして、本日は、私どもが現地を調査した際の被害状況、及び今後の対策等について説明を申し上げ、本委員会における本問題の調査に資したいと思うのであります。  府当局の説明によりますと、京都府における山砂利公害が、特に問題になってきたのは昭和四十一年ごろからであり、その原因は、従来、阪神方面への砂利供給源として木津川がありましたが、砂利乱掘により、河床の低下を来たし、河川管理上、規制しなければならなくなり、また、住宅、道路、山陽新幹線等公共事業、万国博覧会場施設建設等、砂利の需要が急増したことにより、多数の砂利採取業者が、一時に、良質砂利を埋蔵する南山城地方の丘陵地帯に砂利採取場を求めたためであり、現在、この地方の城陽、田辺両町には、三十八業者が入り、二百ヘクタールにわたり操業しておりますが、その規模の大きさに比較し、設備の不十分さも公害をより大なるものにしているものといえます。  被害及びその対策については、 一、丘陵地帯を削りとるため、採取場周辺の地区住民は、常に鉄砲水の脅威にさらされており、この七月の集中豪雨の際には、採取現場からの泥水流下により、城陽町周辺百二十戸が浸水、また国鉄奈良線も、土砂流入のため運行不能となりました。  これについては、関係当局が対策を協議し、土砂流入防止のための築堤を、業者負担にて施工いたしましたが、地区住民の不安は、なお解消されていない実情であります。 二、砂利洗浄のため地下水汲み上げを行なうので、住民の飲料水にも困難を来たし、また、かんがい用水の不足のため、干ばつ状態の田畑が広範囲にあり、さらに、洗浄水の田畑への流入による被害もかなりのものがあると考えられ、これらの対策については、関係当局と業者間で協議いたしましたが、よい結果を見るに至っていない実情であります。 三、洗浄した山砂利を阪神方面へ運搬するトラックに関連する被害は、一、早朝より深夜まで、六、七千台の往復による騒音、振動、砂じん、二、超過積載、水たらし運搬による道路、側溝、住宅等の破損、三、農地、農作物への土砂はねっ返りの被害、四、運転手の過当競争、スピード違反等による事故の多発、等限りがありません。  これらの対策は、取り締まり当局が行政指導、取り締まり措置等いろいろ強力に行なっているが、十分に効果があがらない状況であります。また、府としても、全体の問題処理として、砂利採取法第九条、「公益の保護のため、業者に防止の措置を命ずる」の適用についても検討をし、また、関係当局にもその適用を要請してきましたが、いろいろ要件等に問題があり、適用されないまま、今日に至っているということでございます。  このような山砂利採取に伴う公害の発生を防止するために、一、採取業者の許可、二、採取禁止区域の設定、三、事業計画の認可、四、行政命令発動の要件に、砂利の洗浄による被害を明確にし、住民の生活環境の破壊の場合を追加する等、公益保護命令の強化、五、保証金の供託、六、罰則の強化等、砂利採取法の抜本的改正の早期実現の強い要望があり、さらに、その復旧対策、累積被害等については、特別交付税による財政的措置を考慮してほしい旨の要望があり、現在、関係省庁別に、これについて要請している旨の説明がありました。  砂利採取法の改正については、関係当局より、ほぼ、要望の線に沿えるような改正を鋭意検討中であり、早期提案する旨の、また、財政措置については、努力する旨の説明がありました。  次いで城陽町役場を訪れ、城陽町、田辺町長等から被害状況について説明があり、次いで砂利採取法の抜本的改正、及び城陽町約十三億、田辺町約一億の復旧対策、被害等について早急に国で財政的措置を考慮してほしい旨の要望がなされ、聴取後直ちに城陽町、長池、青谷地区及び田辺町大仏谷地区等の山砂利採取場を視察したのでありますが、各所に直径七、八十メートルくらいの大穴があき、湛水しているものもあれば、ヘドロが満ちているものもあり、河川は茶褐色に汚濁し、水量は少なく道路は冠泥し、凹凸が激しく、側溝はつぶされ、緑の丘陵は赤はだをむき出し、茶畑は土じんをかぶり、沿道の家屋は軒先まで土砂のはね返りを受けている等、その被害、生活環境に及ぼす影響は想像以上に大なることを認識し、早期救済及び法的規制の必要性を痛感するとともに、さらに、工場公害と趣を異にした今回の視察の見聞を、今後の公害対策の中に十分生かすべく、努力する所存でありますが、政府におきましても、わが国の経済発展と不可分の関係にある公共事業等の急増拡大、それに伴う砂利需要の増大を考慮し、山砂利採取に伴う公害が二度と発生しないように、至急に防止対策の万全を期するとともに、その救済には積極的に取り組むよう強く要望し、私の発言は終わります。(拍手)

八木一男日本社会党

○八木委員長 先国会の山砂利公害の視察について、同僚委員各位に、詳しく御報告の意味を込めての御熱心な御発言に対しまして、委員長として感謝を申し上げます。     —————————————

八木一男日本社会党

○八木委員長 質疑の通告がございますので、これを許します。河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 少しく時間をおかりいたしまして、ただいま小山委員より御報告のございました山砂利問題につきまして、京都の城陽町の現地視察に参加した一人として、質問をいたしたいと思います。  私は、この視察に出かけます前に、当委員会におきましてすでに御質問申し上げ、また通産当局より、その対策などについて、おおむねのお考えを承ったわけでございますが、実は現地調査をいたしまして、その悲惨な状態をまのあたりいたしまして、一そうこの改正法案を早く出す必要を痛感して戻ってきたものでございます。  まず最初に、通産当局にお尋ねしたいのでございますが、山砂利採取に伴う今日のこの悲惨な状態というものを、当局としてはあらかじめある程度予想しておられたかどうか、そのことをまず承りたいと思います。

吉光久通商産業省化学工業局長

○吉光政府委員 先生すでに御承知のとおり、現在の砂利採取法ができました十年前と現状とでは、砂利の掘採態様が非常に変わっておりまして、これは急激に変化してまいったわけでございますが、河川砂利がだんだんと枯渇してまいりまして、山砂利、おか砂利というふうに供給条件が変化しております。これに伴いまして、公害の態様自身も、山砂利、おか砂利的公害と申しますか、そういうふうなものがどんどんふえてまいっておりまして、先ほどお話を伺いましたような需要が山砂利、おか砂利のほうに急激にふえていったことと、それに伴うそういう形態での公害というものが非常に多くなってまいった、こういうふうなことでございまして、私どもといたしましても、実は二年前からこの問題について、これは公害問題だけでなくて、骨材全体のあり方というふうなものとからみ合わせて、検討を開始してまいったわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 通産当局のいまのお話では、砂利需要に対するいろいろな対策というような形から検討されていたようでございますが、いまの法律から考えますと、山砂利公害のあの特殊な姿というものは、おそらく予想しておられなかったんじゃないか、こう思うのでございますが、私ども現地視察をいたした率直な印象として、一つ強烈に残っておりますのは、あのように山の姿を全部変えてしまう、そしていま小山委員の御報告にもありましたように、七、八十メートルの大きな穴をあちこちにぽかぽか掘って、そこへ水をためる。一たびくずれたらどういうことになるか、非常に危険な状態でございますし、またそこの洗浄汚水が周辺に非常に大きな被害を及ぼしておる、こういう状態です。また交通、運搬に伴ういろいろな問題、そういうのを見ていますと、一体これは企業として許される行為であるかという感じを受けたのであります。いまの日本の高度成長の一つの柱になっております公共事業の関係から、砂利採取そのものが、非社会的な、反社会的行為と言うことはなかなかできないかもしれませんけれども、しかし、いまの山砂利採取の状況というものは、これはどうしても企業として社会的に認められる姿であるとは思われないのでございます。そういう点について、通産省はどういうようにお考えになっておりますか。

吉光久通商産業省化学工業局長

○吉光政府委員 お話しございましたように、山砂利、おか砂利を中心といたしました公害問題は、ほんとうに非常にひどいものがございまして、先ほどちょっと舌足らずでございましたけれども、十年前の河川砂利を中心に掘採しておったときのものの考え方と、根本的に考え方を入れかえてやらないと、山砂利、おか砂利の公害防止対策はできない、そういうことを痛切に感じております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま通産当局から、山砂利採取という新しい形態に伴って、砂利採取問題を新たな考え方に立って対処したいというお答えがございましたが、ひとつそういう観点から、この砂利採取法を根本的に変えていただきたい、こういうことをこの前要望しておいたわけでございますが、そのとき通産政務次官から、すでに砂利採取法の改正案は用意しており、いつでも出せる状態になっておるという御答弁があったのでございます。その後、このたび臨時国会が開かれているわけでございますが、この臨時国会において、この法案提出の状態はどうなっておりますか、それをお答えいただきたいと思います。

藤井勝志自由民主党通商産業政務次官

○藤井政府委員 お説のとおり、砂利採取に伴う公害防止は、一刻の猶予も許さない重大な社会問題であるわけでございまして、先般来、この問題については当委員会でも御熱心な御討議があり、現地視察までしていただいたわけでございまして、各省の意見調整を現在行ないまして、現在のところ、法制上の問題点が若干詰めが済んでおらないということでございますが、われわれとしては、できるだけ早く出したい。お説のように、この臨時国会にでも出したいということで、当局は努力しておったようでございまして、私も着任早々でございますが、この臨時国会にはあるいは間に合いかねるかもわからない、しかしながら、少なくとも通常国会には間に合わしていきたい、というふうな事務の進捗状況であることを御報告をいたしておきます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 閉会中の当委員会における御答弁では、いつでも出せるというふうなお話でございました。いまのお話を承りますと、なお最後の詰めが残っておるというようなことで、食言ではございませんけれども、多少ニュアンスの違いがあるように承るのであります。  先般われわれ現地視察をいたしましたときに、現地の方々は異口同音に、一刻も早くやってほしい、こういう御要望でございました。もう一点は、内容的にはきびしくしてほしいということでございましたが、同時に、一刻の猶予も許されないのだというお話でございました。私どもとしては、それに対しまして、政府を大いに督励して、早く法案を出すようにしたいということをお答えしてきたわけでございます。なおその後、視察から帰りまして、臨時国会が開かれます間に、千葉県のほうで、やはり山砂利採取に伴う大きな穴が決壊をして、水があふれ出たというニュースが伝えられておるのであります。また私の選挙区であります神戸でも、現在山砂利採取の会社が八社ございまして、いま現に公害が起こっておりますのは三社にすぎないのであります。しかしその三社の公害が起こりました経過を見ますと、残りの五社もあと二、三カ月のうちにおそらく起こるであろう、こういうようなことでございまして、もうこれは一刻の猶予も許されない。そういう緊急性を、通産当局におかれましてもぜひくみとって、できますならば、この臨時国会に法案を通過できるように——そういたしませんと、ちょっと来年に間に合わないというようなことになります。いま、通常国会には間に合わせたいというようなお話でございましたが、これまた、ぐずぐずいたしておりますと、来年中には実際的には効果を発揮しないというようなことも起こり得るのでございます。ことに雨季になりますと、これは非常に危険な状態になりますので、これは一刻も早く、できますならば、御努力としては、ひとつ臨時国会中に、万一間に合わぬ場合でも、通常国会の冒頭にこれを成立させるように、御努力願いたいと思うのでございます。  いま最後に、詰めというようなことを言われておりましたが、どういう点が問題になっておるのでございましょうか。

吉光久通商産業省化学工業局長

○吉光政府委員 現在の砂利採取法は、河川砂利あるいは海岸法の適用を受けております海岸の砂利、こういうふうなものを全部適用からはずしておりまして、監督、命令等も、そうでないところだけにかかるような形になっておるわけでございます。ところが、今度やっておりますうちに、やはり砂利採取業につきまして、根本的にこれを登録制にするとか、あるいは採取行為について許可制をとるとか、いろいろな制度を新しく採用いたしてまいりますと、河川のほうの砂利、海岸の砂利あるいは防災地区等における砂利等につきましても、一本化してものごとを考える必要が出てまいりまして、そういう点で、一応通産省といたしましての原案はつくったわけでございますけれども、やはりそれぞれの法律を所管いたしております関係各省と、現在相談をいたしておるわけでございます。そういう制度上の問題から申し上げますと、他の法令との関係につきまして、採取業自身について相当強い規制を行ないます関係上、その法令間の調整に問題が残っておる、こういうふうに御了解いただきたいと思います。

藤井勝志自由民主党通商産業政務次官

○藤井政府委員 先ほどの、法制上の問題等で詰めが足らないということの中身は、いま局長から御答弁を申し上げたとおりでありますが、特にこの規制の目的を達するためには、やはり個々の採取場の地形とか、あるいは付近の状況、採取量などに応じて、その規制のしかたを、個々に施業案を出させてそうして認可するしない、こういうことまで掘り下げていかなければならないというふうな、二重の——ただばく然と許可で全国一律にやるというようなやり方でなくて、いよいよこれを認めるときのその場において、何というところというふうに、ところを、案を出させて、また許可さす、こういうところまで深入りしていく関係から、関係の各省が相当またがっておる。こういうことで、まことに不本意でありますけれども、時間がかかっております。ただしかし、私はこういうことの性質は、むしろ拙速主義でいくべきである、少々漏れがあっても、とりあえず気がついたところでやるというかまえで問題を処理すべきであるというふうに考えておりますので、御指摘の点十二分にしんしゃくいたしまして、極力早く提案をいたしたい、このように考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま政務次官のほうから、極力早くしたいというお答えでございましたが、先ほども申しましたことを確認いたすようでございますが、何より早くやるということが一つ。それからもう一つは、ざる法になるということを非常におそれておるわけでございます。その点でいま一番問題になりますのは、先般の当委員会において通産当局から示された案によりますると、登録制と施業案の認可制という、いわば二重チェックであるというようなお話でございました。しかし地元民の間では、これをもっと強力にといいますか、いわゆる許可制というようなことはできないものだろうか、こういう要望が非常に強いわけでございます。もちろんいまお話がありましたように、具体的に個々の状況がかなり違うということもございますが、一つはこの罰則の点で、そういう許可制の場合と、いま言ったように認可制の場合では、かなり違ってくるんじゃないか。こういうような点で、罰金さえ払えば何やってもかまわぬというようなことになっても困るんじゃないか、こういう不安が非常に強いようであります。許可制にすることについては、どういうふうなお考えでございますか。

吉光久通商産業省化学工業局長

○吉光政府委員 お話しございましたように、私どもも事業許可制にしたらどうだろうか、こういう御意見のあることは承っております。事業許可制にするか、あるいは事業については登録制にいたしまして、さらに実際の現実に掘る行為自身についてきびしい監督を行なう、つまり施業案認可という形で行ないたいというふうに考えておるわけでございますけれども、ともあれ、従前の砂利採取業が、いわゆる自由営業の原則にのっとりまして、ほんとうに自由営業であったわけでございまして、それが今日のような事態になっておると思いますので、やはり事業として何らかの規制が必要である、というふうな立場に立ったわけでございます。事業として何らかの規制が必要である、その場合に、事業といたしまして事業許可制をとりまして、さらにまた一つ一つの掘採行為についても、それぞれ認可なり許可が要るというふうなことでは、法制上いろいろな問題がございまして、むしろ事業者としてふさわしくないというふうなものは全部事業者からはずしていくという登録制を採用いたしまして、実際に現場現場で掘ってまいりますその掘り方について、非常にきびしい制限を加えていくというふうにするのが、二重のチェックという意味で、最も効果的ではないか、このように判断して、現在、先ほど御指摘ございましたような原案にいたしておるわけでございます。  なお、罰則の問題とからみ合いまして、ちょっと御質問ございましたけれども、許可制か登録制かというふうなことで、あるいは登録制を前提にし、第二段のチェックとしての認可制と申しますか、罰則を考える。ある程度の軽重の問題はあろうと思いますけれども、ただこれは罰則の関係でございますので、私どもいまから法務省なりあるいは法制局なりに御相談してまいる点が多いわけでございますけれども、ともあれ、その方法、目的が何であるかというふうなことに照らし合わせまして、それぞれの義務に対応した刑罰というものを、これが許可制であるとか登録制であるとかいう問題を離れまして判断して、罰則をきめてもらいたいというふうに考えておる次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 私がいまそういうことをお尋ねいたしましたのは、本日冒頭にもちょっと申し上げましたように、現地視察の結果、一体こういうものは企業として許されることであろうかというような感じさえ持ったわけであります。そういう実情に照らしまして、いままでの自由営業という、たとえば散髪屋をやるとか飲食店をやるとかいうのとは全然違った、むしろ特別に許可するのだ、許すのだというような感じの、原則的にはこれは非常に問題の多い事業だというふうなきびしい姿勢というものがない限りは、とうていこれは防げないんじゃないかという感じさえ持ったわけでございます。そういういままでの砂利採取法が、自由営業である、だれでもやりたいものはやれるのだという観点から、もっと社会的見地から規制するのだという形に変えるというその姿勢の変化がそこで問題になっているのだ、そういうふうに御了解いただきたいのでございます。二重チェックがいいか、あるいは許可制がいいかということは、いろいろ技術的に問題はあろうと思うのでございますが、問題はそうした姿勢にあるというふうに私は考えるので、ひとつそれはなお御検討いただきたいと思うのでございます。いずれにせよ、これは早くやっていただきたいということでございますので、ひとつ先ほど政務次官が言われましたように、できましたら臨時国会中に案をまとめていただきたいということ、もし通常国会に持ち越されるような場合には、冒頭に出していただきたいということをお願いしておきたいと思います。  なお、最後に一つ、ちょっと申し残してしまったのでありますが、京都の城陽町の場合は、漁業被害というのは起きておらないのでございますが、神戸市では、川が非常に短いために、ヘドロの粒子が海岸まで流れまして、漁業被害を起こしておるのでございます。そういう被害に対する措置は、政府のほうではどのように考えておられるか、農林関係の方にお願いいたします。

山中義一水産庁次長

○山中説明員 ただいまの河上先生の御質問で、神戸の漁業被害の件でございますが、これは私どもが調査いたしました範囲では、この川は小さい川で、特に漁業権はございませんが、その川が海へ注いで、その海のほうの海岸には、没岸の漁業協同組合がございますし、漁業権もございます。したがいまして、これが被害ということになりますと、漁業権の侵害とかあるいはそういうような問題もからむわけでございますけれども、何ぶん砂利採取と漁業被害のありようというような点の結びつきにも若干問題があり、現在兵庫県においてこの実情と被害状況とを調査しておる段階でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 その問題は、いまここにちょっと写真を持っておりますけれども、ワカメなどは非常に——これは正常なワカメでございますか、公害発生以後のワカメというのは、こういうふうにほとんど使いものにならぬ状態でございますので、これはもうありよう、関係というようなものは、あらためて論議するまでもなく、明白であると思うのであります。もちろん科学的に証明する必要はあろうと思いますけれども、基本的には、当然補償という問題を考えていただかなければならないと考えております。いずれにせよ、公害は、私ども自身、現地を見るまでは、その実情の被害の深さというのはわからなかったのでございます。ぜひ通産政務次官も一度これを視察された上で、この問題に対する一そうの腹がまえをつくってもらいたい、これを要望いたしまして、私のこの山砂利問題に関する質疑は一応終わりたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木委員長 委員長からも、政府に対して要望をいたしておきたいと思います。  私も、小山委員、河上委員、折小野委員と御一緒に視察をいたしましたが、その被害の甚大なのに非常に驚いたわけであります。いま河上委員の言われましたように、早くしないと、その間にも国土は崩壊し、まわりに被害を及ぼして、取り返しのつかないことになります。それより前に十二分に、通産省のほうでは法案の改正について準備をしておられたはずでございますから、最後の詰めを急速にやられまして、その内容を、そのような公害を防止する最も強固なものにせられまして、急速に提出をしていただきたいと思います。臨時国会に提出をするための最善の努力をされて、万が一それが間に合わない場合でも、通常国会ということで、河上委員は、どんなにおそくても通常国会冒頭という御要求をしておられますが、その意思を受けてやっていただきたいと思います。通常国会の末期に成立したのでは、そのうちの半年間に、国土は非常に崩壊をしてしまいます。ことに、この問題の発端になった京都の城陽町付近は、万国博事業というようなもので、そのような砂利の採取が不当に急がれておりまして、半年の時をおくらせましたならば、その間に、崩壊したものは、あとでは取り返しがつかないことになりますので、ぜひ臨時国会に提出するように、どんなにおそくても通常国会再開冒頭に提出される、このようにされることを要望いたしておきたいと思いますが、どうか、通商産業大臣はおられませんけれども、藤井政務次官は、大臣にかわられて、強い決意をひとつ御表明願いたいと思います。

藤井勝志自由民主党通商産業政務次官

○藤井政府委員 ただいま河上委員並びに委員長から御指摘がございました趣旨は、私も十二分に拝聴いたしまして、御趣旨に沿うように最善の努力をお誓いを申し上げます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 引き続き、時間をちょうだいいたしまして、先ほど大阪空港周辺の代表者の方々から御陳情のありました、大阪空港の騒音対策につきまして御質問申し上げたいと思います。  大阪空港周辺の騒音問題につきましては、私どもから申し上げるまでもなく、ただいま切実に困っておられる周辺の住民の代表者として、伊丹市長外代表の方がおいでになって、るる述べられましたところで、よくおわかりだと思うのでございますが、私どもも、大阪空港におり立ちますときに、眼下に広がります広大な住宅街のわずかのすき間を縫って飛行機が着陸する光景を見て、非常にショックを受けるのでございます。  時間が非常に限られておりますので、ごくかいつまんで御質問申し上げたいと思いますが、いま騒音問題があらためて爼上にのぼっておりますのは、一つは、大阪空港の滑走路の延長ということが契機になっているわけでございますが、この延長に伴いまして、将来、飛行機の発着回数というものが一体どの程度になるものか、まずお尋ねいたしたいと思います。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 大阪空港におきます現在の離発着回数は、昭和四十一年度におきまして、約八万七千回でございます。(河上委員「それは一日当たりでは何回ですか」と呼ぶ)一日におきまして、約二百四十回でございます。  今後の伸び率につきましては、いろいろ計算いたしておりますが、大阪地区の経済、特に貨物を中心としました航空需要の増大によりまして、羽田よりも大きく、年率五〇%近く伸びていくのではないか、このように考えられております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 もう少し具体的にお答え願いたいのですけれども、延長された場合に、大体一日何回ぐらいの発着を基準に考えておられるか、お尋ねいたしたいと思います。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 これは延長いたしましてもいたしませんでも、大阪空港における離発着の回数は、毎年五〇%程度の伸びを今後示していくだろう、こう思っておりまして、マキシマムといたしましては、三千メートルの滑走路を施設いたしましたときの最大限の能力は、約十七万五千回程度でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、どのくらいになりますか、一日三百回をはるかにこえてしまうわけでございますが、一応十五時間稼働するといたしましても、二分か三分に一回ずつというようなことになりまして、これはもう騒音問題としては、実に容易ならぬことじゃないかと思うのであります。私も数年前シカゴの飛行場に参りましたときに、たしか二分間隔くらいの発着と聞いて非常に驚いたことがあるのでございますが、当時のシカゴの飛行場というのは、非常に広大な郊外にあるものでございまして、大阪空港とは全く事情が違う。しかも、そういうところで同じような頻度が今後行なわれるということになりますと、これは非常に重大問題だという感じを強くするのであります。国際空港ということの指定は、一体どういう経過でなされたかということが、先ほどの陳情の方々に対する御質問の中で問題になったのでありますが、国際空港というものは空港の中でどういう地位を占めておるのか、国際空港に対して、政府としてはどういう責任を負っておるのかをちょっとお尋ねしたいと思います。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 国際空港ということばは、実は法律上はございませんで、空港整備上は、第一種空港と申しておりますが、これは国際的な交通に必要な港ということで、第一種空港といたしまして、全額国庫で負担して飛行場の建設及び維持を行なっております。それから、国際飛行場と申しますときには、通称ClQと申しておりますが、そこに税関、検疫等の政府施設を設置いたしまして、外国との往来のできる飛行機は外国と往来できるという、そういう機能を持たしておるわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、建設並びにその空港の機能あるいは管理に関しては国は責任を持つ、こういうことでございますが、その周辺の問題については、国は全く責任がないという形にお考えになっておられるんですか。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 これは騒音防止法を特別国会で通過させていただきまして、騒音防止法の御審議にあたりまして、この第四条におきまして、特定飛行場の設置者及び使用者の責務ということで、第一種空港あるいは国際飛行場の設置管理者でございます国と、飛行場の使用者である航空会社が共同して責任を負うんだ、こういう法体系に相なっております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ところが、いま問題になっておりますのは、先ほども川西市の市長さんが言われましたように、特別国会で成立いたしました法によって補償されておる指定区域外に、しかもそのぎりぎりの線のところで、たまたま住宅がある、しかもそれは滑走路の延長の直下にございまして、住民の立場から見ますると、その法律が、どうも自分たちを除外するために千三百メートルという数字をつくったんじゃないかという疑いさえ起こすくらい、川のところで切れるように指定区域が終わっているわけでございます。しかし、実際に空港を運営していくためには、その滑走路の延長直下のほうはどうしても通らなければいけないわけでございまして、そういう問題について、いま集団移転というような社会問題が起こっておるわけでございますが、こういうことに関しまして、政府は、もうこれは法律で補償する範囲ではないからわれわれは知らぬのだということでは、国際空港と銘打つ以上、はなはだ片手落ちではないかという感じを受けるのであります。いま国際空港というのは東京と大阪でございましょうが、わずか二つしかない国際空港でございますので、当然政府においては、こういう問題について、あらゆる方法を通じて、国として責任を持ち、ただ飛行機が飛び、税関を厳重にやればいいんだということでは、国際空港としての十分なつとめを果たしたとは蓄えないと思うのであります。そういう点について、政府としてはいまどういうふうに考えておられるか。法律がこうだからこうだというだけではなく、そこは何とかしたいということで、いろいろお考えと思うのでありますが、その点をひとつ率直に訴えられて、住民の切なる声にこたえていただきたいと思います。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 航空機騒音防止法を御審議いただきます際にも、この問題は非常にいろいろ御質問、御意見を拝聴したわけでございますが、この航空機騒音につきましては、民間飛行場については、この騒音防止法ができるまで、実は何らの補償の根拠がなかったわけでございます。それで、ただ自衛隊あるいは米軍の基地につきましては、比較的長い間、基地周辺整備法という法体系によりまして、この補償措置を講じてまいったわけでございます。それで、この民間の航空機は、騒音防止法の制定にあたりましては、自衛隊がやっております基地周辺の補償を少なくとも下らない、ものによってはそれ以上のものもございますが、下らないということで、関係各省の了承をとったわけでございます。この航空機騒音防止法の補償区域を法制上拡大するということは、現在の段階におきましては、非常に困難であると思います。ただ、それでは、その法律がそうだからそれでいいのかと申しますと、われわれは決してそう考えていないのでございまして、これは運輸大臣の諮問機関の航空審議会に、騒音対策を、今後政府としていかに処理していったらいいかという御諮問をいたしまして、これが四十一年の十二月に御答申をいただいて、これが騒音防止法の基本的な考え方になっておるわけでございます。この中にも、航空機騒音については影響が非常に広範囲にわたっておりまして、これを防止抑制するということは、事実上非常に困難であります。したがいまして、空港周辺地域の土地利用、住宅団地の抑制、その他のことを、いわゆる土地利用計画の制度ともあわせて考えていくべきであるという御答申をいただいておりまして、ただいま先生御指摘のような点につきましては、たとえば、周辺の県あるいは府と御相談をして、公園緑地をつくるとか、あるいは航空当局といたしましても、この飛行場の周辺に防音林その他の木を植える、それらの対策を、建設省、厚生省、その他関係省と御相談して、騒音防止法あるいは騒音防止法に基づいて運輸省が得ている予算だけではなしに、関係省あるいは関係府県の御協力も得て、広範な対策を講じていかなければならないと考えまして、関係省とも、いまいろいろ具体的な事実について御相談もし、また御協力を得ているわけであります。

河上民雄日本社会党

○河上委員 法律できめられている基準は、私ども技術的なことはよくわからぬのでございますけれども、大体技術的な観点できめられておるように思うのでございます。ところが、公害問題は社会的な問題であって、単に音を小さくするとか、そういうことは、技術的な問題で解決するかもしれませんが、社会的な問題としていま起こっておるわけでございます。それを技術的な基準に基づいて処理しようとするところに非常にむずかしい矛盾が生まれてくるのだ、こういうふうに私は思うのであります。この際、いまの大阪空港周辺の騒音問題に対しましては、そういう技術的な基準は当然なくてはならぬことかもしれませんけれども、そういうことで処理するのではなくて、社会的な問題、政治問題としてこれを解決するという姿勢をここで確認していただきたいと思うのでございますが、政務次官、いかがですか、御意見を承りたい。

金子岩三自由民主党運輸政務次官

○金子政府委員 御意見はもっともと存じます。御趣旨に沿うよう努力いたしたいと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ひとつそういうことでやっていただきたいのでございます。  なお、地域住民の方々からいろいろな要望が出ておりまして、おそらく政府の各位にも渡っておると思うのであります。先ほど御陳情の中にもいろいろございました。きょうは時間が非常に限られておりまして、ここで私が重ねて申し上げるのはどうかと思いますので、ここに要望されておりますことは、ぜひとも四十三年度予算において確保していただきたい。もちろんこんな六億というようなことで、学校、診療所、共同利用施設等の助成について十分間に合うとは私ども考えておらないのでありますが、財政硬直化とかしきりといわれておりますおりから、少なくとも地域住民のこの御要望は絶対確実に受け入れ、実現する、そういう御決意をこの際表明していただきたいと思うのであります。次官並びに局長の御意見を承りたいと思います。

金子岩三自由民主党運輸政務次官

○金子政府委員 四十三年の予算で、この陳情事項の中の補償という欄で、アのところに、学校とか診療所、共同利用施設等の助成について、こういうものは一応予算要求をしておるようでございますが、ぜひひとつ予算をつけるべく私は努力いたしたいと思います。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 政務次官のおっしゃいましたように、目下四十三年度予算要求に六億を要求いたしておりますので、この全額を取得するように、財政当局といま交渉中でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それではもう時間が参りましたので、私の質問をこれできょうは終わりたいと思いますが、最後に二、三ちょっと御要望を申し上げておきたいのであります。  周辺の学校に防音装置をつける、それは予算化されておるわけでございます。ところが実際には、小学校など七月まであるわけでございまして、非常に暑いわけでありまして、そこにどうしても換気装置のほかに冷暖房の施設をつけなければ、実際に非常に高い金を注ぎ込んでも効果は全くないということになりますので、ひとつ冷暖房の問題についてもぜひとも配慮していただきたい。また実際にこれをつけた施設をもらったところでは、施設をつけるまではめんどうを見てもらうけれども、あとの維持管理は全部その学校の負担になるというような問題で、非常に困っておられるようでございますので、中途はんぱに金をつけるということは、かえってむだになってしまうわけですから、ここまで踏み切られた以上は、いま言ったような点を十分に見ていただきたい、こう思うのでございます。  なお、いろいろございますけれども、もう時間が参りましたので、私の質問はこれで終わりたいと思います。ひとつ何とぞ、住民の皆さんの要望を早急に取り入れていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木委員長 ただいまの河上委員の要請されましたことについて、金子運輸政務次官から、前向きの強い決意を示していただければ非常にけっこうだと思います。

金子岩三自由民主党運輸政務次官

○金子政府委員 最後の御要望の点につきましても、十分承知いたしました。御期待に沿うよう努力いたします。

八木一男日本社会党

○八木委員長 岡本富夫君。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 先般の国会におきまして、すなわち四十二年六月三十日、運輸委員会と公害委員会の連合審査会におきまして、私はいろいろと質問いたしましたが、そのときに、大阪伊丹空港付近に対するところの予算要求の中で二億何がしの予算をつけるようになっております。その内訳に対して答弁してもらいたい、こういうように言っておきましたが、それに対しての説明がまだなかったので、当委員会において明らかにしてもらいたいと思うのです。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 御承知のように、本年度三億円の騒音防止対策事業費がついておるわけでございます。これの配分に関しましては、各市町村長と十分御協議を申し上げまして、近く配算をいたしたいと思っております。この予算の配算のためには関係省の了承が要りますので、目下その詰めを行なっているところでございます。  この三億の予算は、東京と大阪の両方に分けるわけでございますが、この大阪国際空港は特に内陸に存在し、騒音による被害が甚大であるということでありますから、この大阪空港に対しましては、傾斜的にこの予算を配算いたしたい、このように考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 現在もう大体のところ、はっきりしているわけでしょう。それを当委員会で発表していただきたい、こう思うわけです。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 この配算をいたすにつきまして、関係市町村長と協議をいたしておるわけでございます。大阪周辺につきましては、小学校につきましては、伊丹市三校、川西市三校、豊中市一校、宝塚市一校、合計七校でございます。それから公立の共同利用施設、これは共同学習室でございますが、生徒が家に帰りましてから、集まって、防音装置の庁舎の中で勉強するという共同利用施設、これを伊丹市に一つ、豊中市に一つつけるということで、目下関係省とも話をいたしております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 何か少しはっきりできないような口ぶりですが、それはあとで一つ一つ教えてもらいたいと思います。  そこで、来年の予算要求は、この間出してもらった資料では六億円余り出ておりますけれども、この要求されておるところの根拠はどこにあるのですか、それをひとつ明らかにしてもらいたい。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 来年度の六億の予算要求の根拠でございますが、これは学校等の騒音防止工事、これが大部分でございます。それから共同学習室、これが二カ所、それから農業補償というのがございます。農業補償は約三百万程度でございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 なぜこの予算について、私がいま限られた時間でありますのに、その要点を聞いておるかと申しますれば、先国会で、あなたは、この防止法案の出されたときに、航空機の騒音防止、この対策には非常に力を入れなければならぬ、こういうことで、運輸大臣以下相当な熱意をお見せになっておられた。そして、全国の学校で、大体特定飛行場、これを想定した学校が百十校でしたか、大阪空港だけで百十校、それから病院が三十一、保育所が十、診療所が六十、あるいはまた共同学習室、公会堂、こういうようなもので約六むね、こういうようにあなたは発表されたわけであります。それが対象である。しかしながら、いま聞きますと、非常に学校の数も対象が少ないわけです。それについて、どういうようなスケジュールで一つ一つ解決をしていくのか、非常に現地のほうでは困っているわけです。きょうもお忙しいところを、ああして各市長さんが公務の中をさいて住民の声をこの国会に持ってまいりましたけれども、これに対して、来年の予算要求といい、また現在の予算の姿といい、あなたがおっしゃった五カ年計画では、大体五カ年でこの騒音対策費は百億ぐらい要るんじゃないか、こういうように言明されております。この長期のビジョンについて、どういうような計画あるいはプログラムを持っているのか、教えていただきたいと思います。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 この騒音対策費は、御承知のように、空港整備費から出ております。この空港整備につきましては、五カ年間に千百五十億の規模をもって行なうということが閣議了解をされてございまして、この千百五十億を決定いたします際に、騒音対策費は、これははっきり実際には一々測定して法律の基準に照らして見ないとわからないが、およそ百億程度であろうということで、千百五十億の空港整備費の閣議了解にあたりましては、百億ということを一応のめどにいたしたわけであります。それで、委員会におきましても、このように御答弁申し上げたわけでございますが、本年度の三億、来年度の六億、この大部分は小中学校の騒音防止工事でございまして、これはたしか法律におきましては、御承知のように移転補償、土地の買い上げ、これは両端千三百メートルの間におきまして、土地の買い上げ要求あるいは家屋の移転補償等の要求がございましたら、それを実施する義務がございます。これらの費用が非常に膨大な額になると思います。それで、これらを入れますと百億の規模に容易に達するのではないかと思われますが、買い取り請求につきましては、具体的に住民の方からの買い取り請求がございまして、それを翌年度の予算要求に盛っていくというような予算要求の形になりますので、計上いたしておりませんが、騒音防止のほうでは、三億、六億、このような基準で、大体五年間で、この大阪、東京両空港の地域の小中学校の防止工事を実施してまいりたい、このように考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうすると、全国でこれは、このときのお話では、東京の新空港、要するに成田空港を入れて、学校が百八十六、病院が五十七、診療所が百七十一ぐらいだ、こういうような話でありましたが、いまの防音対策の予算の面から見たところの進捗状況から見ますれば、とても五カ年ではおぼつかないのじゃないか。私がなぜこのことを言うかといいますと、やはり現在住民の方は非常に困っているわけです。いつになったらこの問題が解決するか。時間があまりありませんから、こちらで申し上げますけれども、あなたが先ほど回答されたのは、この大阪空港が大きく拡張されますと、十七万五千機、これくらい入ってくるだろう。これは一年ですね。そうしますと、一日に五百回以上になります。現在の計算で五百機ですね。現在二百四十機から五十機。そうしますと地元におれなくなるわけです。飛行場ばかり拡張して、たくさん飛行機を入れる。ところが、その付近の住民はいまも困っているのに、それ以上入られたら、どうしようもない。授業なんか全然できなくなると思います。こういう面について、飛行場の拡張、あるいはまた学校の防音装置あるいは移転問題、これはきちっとした一つのスケジュールと申しますか、計画性を持っておるのかどうか。私はいまの話を聞いておって、また先回の私が申し上げたこれから比べますと、非常に疑問に思うわけです。したがって、いま私は、この予算と、それからあなたにいろいろとどういう計画を持っているかということを聞いているわけでありますが、とても私は五年ではできないと思う。その積算根拠を私どものほうは持っておりませんけれども、一ぺんやってみたいと思いますが、あなたのほうはこれをきちんと出しておられるかどうか、要するに計画性があるのかどうか、これについてお答え願います。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 今年度三億、来年度六億ということで、これはしり上がりに拡大してまいりたいと思っております。  それから、この対象学校の数につきましては、先ほど先生のおっしゃったとおりのものを一応調査対象にいたしまして、これは実際に法律に基づきまして補助金を出します場合には、法律及び政令の規定による騒音測定を実施してまいりまして、そうして具体的にここはどういう程度のものをどういうふうに補助していくか、たとえば鉄筋コンクリートのものをつくるのか、二重窓にするのか、一重窓でいいのか、これらによっても全部変わってくるわけでございます。  それで、騒音防止法は今年度成立いたしましたばかりでございまして、これから、私たちといたしましては、地元の市町村ともよく御連絡をとり、またその協力を得まして、早急にその周辺の学校のありますところの騒音測定をいたしまして、そうして具体的に、ここはどれだけの工事ができるんだということを地元の方にもお知らせしまして、市町村の財政負担限度等ともにらみ合わせまして、先生のおっしゃいましたような具体的計画を早急に立てたい、このように思っております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうすると、澤さん、いまのところは、そういう具体的な計画というものはないわけですね。いまの話を聞きますと、これから測定をし、これから立てるんだ、こういうことでありますから、現在は何の計画もない、こう見ていいわけですね。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 何の計画もないと申しますとあれでございますが、今年度の予算の三億及び来年度の要求の六億につきましては、具体的な学校をもちろん考えております。それ以後、四十四年度に、どの学校を対象にして、どれだけの工事をするか、それから、四十五年度に、どれだけの学校を対象にしてどれだけの工事をするかということは、来年度の予算要求までにはそれを具体的にきめたい、このように考えておるわけであります。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 私の言わんとするところは、まず大阪空港だけを見まして、百十校あるいは病院が三十一——あなたがこれをおっしゃった。これに対して、大体長期的なビジョン、それを立てて、そうしてこの年にはこれだけをやるのだ、この年にはこれだけをやるのだ、こういうようにきちんと各市町村のほうに、航空局の、要するに運輸省の考えはこうだ、政府の考えはこうだ、こういうように打ち出してあげれば、何年までたてばこういうようになるんだと、非常に住民は安心をし、また各地方議会においても、それに対していろいろ予算も立て、そうして長期的なビジョンに立って一つ一つ問題を解決できると思うのですけれども、いまのように、その年その年の行き当たりばったりでは、これは非常に予算要求の根拠も薄弱である。いままでそういうふうにしておったのか知りませんけれども、いままで、この地域の住民あるいは特に大阪空港のこの人たちは、長年にわたっていままでしんぼうしておったわけです。したがって、この航空騒音防止法ができるのをほんとうにみな待ち望んでおりました。これができた限りは、今度はどういうように将来やりますと、ビジョンをはっきり打ち立てて示すべきじゃないか。それが為政者とし、また住民をも——先回、私はこの八市のいろいろなデータを見まして、また当日あなたに小学校の寺尾君という人の手紙まで読んで、こんなに困っているのです、こういうふうに申し上げておいたわけであります。したがって、今後の予算、この対策については、もう少し長期的な計画を立てていただきたい、こう思うのですが、政務次官、どうでございましょうか。

金子岩三自由民主党運輸政務次官

○金子政府委員 御説ごもっともでございます。ひとつ御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 早急にこの計画を立てて、資料を出してください。  次に、いま農業補償の問題の話がありましたが、先国会において、澤局長から、お百姓さんの補償について、その基準と申しますか、どういうような農家に対する補償をするのか、これらについてお話がありましたが、もう一つはっきりしないので、今度の農業補償に対する——三百万つけておるわけでありますが、この基準をちょっと示していただきたいと思います。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 農業補償につきましては、特別国会でも御説明申し上げましたように、現在の基地周辺整備法で実施いたしておりますのと大体同じ基準を採用いたしまして、その地域におきます農民の方の一時間当たりの労働生産性と申しますか、これを賃金に換算いたしまして、労務賃金というものを出しまして、これは運輸省でかってに出すのではございませんで、関係市町村のほうとも御相談いたしまして、一時間当たりの労務賃金を出しまして、そのところに飛来いたします飛行機の頻度を一方で出しまして、そうして一日に何分間農耕が阻害されるかという時間を出しまして、その阻害される時間に相当する額を補償するということがこの計算の方法でございます。これは方程式をお読みいたしましてもよろしゅうございますが、結局飛行機が飛んできますと、お百姓さんは農耕をやめてちょっと空を見られる、あるいは恐怖感でちょっと農耕をやめてかがまれる、それが一日に何分になるだろうか、こういう計算をいたしまして、それによって、それを加算して一年間の補償額を出す、こういうことでございます。  ちょっと方程式をお読みいたしましょうか。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 いま聞いておりますと、まことにややこしい計算方法でありますけれども、それは何べんそのお百姓さんがかがむか、あるいは何べん飛行機を見るか、耳の聞こえないのは全然見ませんね。そういうような一人一人について横で見ていて、あるいは検査をしていて補償をするのか、あるいは当人の申し出、こういうものがあって初めて補償するのか、この点についてお聞きしたいと思うのです。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 これは一人一人によりまして区別をするということはございませんで、前国会でも御説明申し上げましたように、定型的に、この地域の農業補償は一人当たり幾らだということを、関係市町村とも御相談してきめるわけでございます。そのきめた額は、法律のたてまえ上、申請を受けまして、それから補償する、そういうことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 それじゃその件はそれで——いままでこういうように補償したことがあるか、これだけお聞きしたいと思うのですが、どうですか。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 この補償の方法は、今年度申請を受けまして来年度補償する、こういう予算構成になっておりまして、基地周辺整備法では、いままで相当額を補償いたしております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 あと二点。  先般私が農産物の補償につきまして、飛行機が油を落としていった、あるいはまた何らかの原因によってその農産物が非常に被害を受けた。これについて質問をいたしましたときに、どの飛行機が落としたかを調べるより手がない、あるいはまた追跡中だ、こういうような話がありましたが、加害者であるところの航空機をさがすことができるのか、どうか。それができなければ、これは言うだけであって何の結果も出ない、これについてどうですか。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 御指摘の航空機の油らしいものによって、イチゴその他の畑が被害を受けたという件に関しましては、私のほうの全能力をあげて、一体、そういう故障のあった飛行機、油を流した飛行機があったかどうかということを調査いたしました。これはあそこにも航空機の修理工場がございますので、その修理ノートその他を全部チェックいたしまして、調査いたしたわけでございます。それから各航空会社に対しましても、そういう事故を発生したかもしれないという疑いのあるものは申し出ろということを言ったわけでございますが、これは何らの回答もございませんし、私のほうの調査でも、そのような事実を発見することができなかったわけでございます。それで、前国会でも御説明申し上げましたように、国家賠償法のたてまえによりますと、営造物の設置、管理に瑕疵があった場合には国家が賠償するということに相なっておりますが、この場合におきましては、大阪空港の設置、管理の瑕疵によって、そういう被害が起きたわけではないわけでございます。したがいまして、国がこれを賠償する予算を出すことは、たてまえ上できないわけであります。しかし、法制上これができないからほっておいていいかどうかという問題につきましては、これは高度の政治的問題でございまして、当時の大橋大臣も、何とか善処したいと考えておるということで、私のほうも、目下被害額がどれぐらいかという被害額の算定を、関係市町村にお願いしておるわけでございます。関係市町村では、その畑の所有者の方と、被害額の査定についての作業をいま進めておられます。  それから一方、この事故が一体どういうことで起こったのであろうか、この畑の被害はなぜ起こったのであろうか、はたして航空機による被害であるかどうかということにつきましては、大阪市大のほうに、航空局から調査を依頼いたしまして、その調査報告書はできておりますが、結局これは何が原因でイチゴの被害が起きたかということはわからないというような結論でございまして、ただ、あるいは航空機の潤滑油系統の油が落ちて起きたのかもしれない、そういう推定の調査報告書はいただいております。ただ、これが進入表面の下に起きた事故であるということで、私のほうといたしましては、何らかの形で住民の方にお見舞いをいたしたい、このように考えているわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 これも、この前話をしてからだいぶんになるのですが、では、関係町村からはっきりとしたものが出ましたならば、お見舞いといいますか、その補償はやっていただきたいと思うのです。  そこでもう一点お聞きいたしたいことは、十七万五千機も一年に入ってくるということになりますれば、いまの伊丹空港はとてもこれはしんぼうできない。いまだけでも住民はどうしようもない、また一ぱいである。こういうことを考えますと、現在の伊丹空港を拡張したところで、国際空港としての能力があるのかどうか。いろいろ推定するところによりますと、私はとてもないと思うのです。そこで問題になってきますのは、新空港の建設でありますけれども、この新空港について運輸省としてはどういう見解を持っているか、明らかにしてもらいたいと思います。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 三千メーターの滑走路をつくりましても、これは十七万五千回しか能力がございませんし、十七万五千回に到達するのはそう遠い将来ではないという面からも、関西地区に新空港をつくらなければならないということは明白な事実でございます。それで、私のほうといたしましても、関西のどこかに新空港を設定しなければならないということで、調査を進めてまいりたいと思っております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 もう一点。いま兵庫県で、淡路島あたりでそういうような話が出ておりますけれども、大体地理的に見ますれば、どうしてもあの辺でないともう土地はない、そういうように兵庫県ではいっているし、また大阪方面でも考えておるわけでありますけれども、そういう考えはどうなのか。これは明石架橋とともに非常に関係があると思うのです。したがって、この方面にもいま調査を進めておるのかどうか、あるいは全然関知していないのかどうか。この点を明らかにしてもらいたいと思います。

澤雄次運輸省航空局長

○澤政府委員 淡路島に国際空港を設置したいという御要望はよく承っておりまして、われわれのほうといたしましても、図面ではいろいろ検討さしていただいておりますが、あの地区には、結局五百メーターぐらいの山がずっとございまして、土工量として相当な量に達するので、かりにここにつくるとすると、一体幾らぐらいになるかという検討をいまいたしております。  架橋問題につきましては、航空局長としては、何も聞いておらないわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 架橋問題はあなたは聞いていないと思うのだけれども、あそこに空港ができれば、やはりどうしても架橋をしなければならぬ。橋をかけるか何かしなければこれは利用できないから、その問題に関係してくるから、明らかにしてもらいたい、こう言ったわけであります。  最後に、要求といたしまして、いままで当委員会においても、また連合審査会のときもお話を承っておりますが、非常に計画がお粗末である。そのとき、そのときの行き当たりばったりの計画であり、ほんとうに住民のための計画をやっていないように、私は先ほども言いましたけれども、これについては、早急にひとつ長期ビジョンを立てて、十年なら十年計画、あるいは五年なら五年計画、そして一つも余さず手を打って、民生が安定するように、また各地方自治体の方々がそれに沿って計画を立てていけるように、はっきりした計画を立てていただきたい。これを最後に要望いたしまして、きょうはこれで質問を終わります。

八木一男日本社会党

○八木委員長 ただいまの岡本君の御要望に対しまして、金子運輸政務次官から、前向きの決意を表明していただきたいと思います。

金子岩三自由民主党運輸政務次官

○金子政府委員 御要望はごもっともでございます。ひとつ積極的に督励して、そういう方向に進みたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木委員長 委員長からも要望をいたしておきます。  大阪国際飛行場の問題は、特に前から居住しまたいろいろの仕事をしておられる方の多いまん中にある特別な様相のある飛行場であります。その被害は非常に甚大であります。本日問題点として出ました川西市の人々の集団移転の問題なり、あるいはまたその周辺に公害が起こっておりますけれども、それを最小限度に防止するための防音設備の問題なり、その他の問題なり、あるいは被害の補償の問題なり、それに関する予算の問題なり、あるいは新空港の建設を促進する問題なり、そういう問題について、運輸当局として、また内閣として、全力をあげてそれに対処されることを強く要望しておきたいと思いますが、ぜひ金子政務次官から、その点について、全力を注いでそれに対処される決意をひとつ表明していただきたいと思います。

金子岩三自由民主党運輸政務次官

○金子政府委員 ただいまの委員長の御要望、よく承知いたしましたので、御期待に沿うように努力いたします。

八木一男日本社会党

○八木委員長 工藤良平君。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 私は、全国でもたいへん珍しいと思いますが、現在大分の九重町というところで地熱発電をいたしておりますので、この問題について、最初にお伺いをいたしたいと思います。  実は、ことしは九州地方はたいへんな干害でございまして、七十数年ぶりの干害でありました。台風の常襲地帯でありますけれども、ことしは台風がございませんでしたので、この被害が実は表面に出てきたわけであります。いま、大岳というところに、九州電力の、一万キロワットの規模で、地熱発電が行なわれているわけでありますが、実はその下流地域に、本年度、稲の収穫皆無を中心といたしまして、相当な被害があらわれてまいったのであります。特に地元民といたしましては非常に重大な関心を寄せまして、本年度水のありました地域では二割ないし三割の増収があったにもかかわらず、この地域では、収穫皆無なり、あるいは平均いたしましては五割というような減収でございまして、その原因を追及いたしましたところ、この大岳発電所から出てまいります熱湯が、現在この筋湯川という川に流入いたしておりまして、この川から検出されました塩素が原因ではないだろうか、こういうことが県の農業技術センターでも発表されておるわけでございますが、この点について、まず農林省に、この塩素というものが実際水稲に直接及ぼす影響について簡単にお聞きいたしたいと思います。

近藤武夫農林水産技術会議事務局長

○近藤説明員 塩素による障害、一般に塩害と言われておりますが、土壌中にあります水溶性の塩類の集積によりまして、直接的に起こる作物の生育障害をいうわけでございますが、そのメカニズムといたしましては、物理的な作用と生理的な作用の二つがございます。物理的な作用といたしましては、土壌溶液の浸透圧が高まってまいりまして、そのために作物の根が水分を吸収することが阻害されてくるというものでございます。それから、生理的な作用と申しますのは、土壌溶液の中の特定のイオンが異常に吸収されまして、そのためにバランスのとれた養分の吸収ができなくなる、そうして代謝の乱れを生ずる、こういうものでございます。こういう二つの作用によりまして、土壌の中に含まれております水溶性の塩類による作物の生育障害が出てくる。その塩害の中の大部分を占めるものが塩化ナトリウムなりあるいは塩素障害、そういうことになっております。  しからば、こういった被害が発生する濃度というものはどの程度であるかということになるわけでございますが、現在までの試験研究の結果によりますと、水稲の生育阻害濃度というものは、土壌の条件なり、あるいは干害期間の長さでありますとか、あるいは水稲の成育の段階によりまして差がございますけれども、一般的に、塩害というものが起こってまいります土壌溶液の濃度は、塩化ナトリウムの濃度で言いまして大体〇・一%前後、一〇〇〇PPMでございますが、塩素の濃度で申しますと六〇〇PPM、この程度の濃度になりますと塩害が出てくる、こういうことになっております。それからさらに濃度が高まりまして、その塩化ナトリウムの濃度で言いまして〇・三%ないし〇・五%、塩素の濃度で言いますと一八〇〇PPMないし三〇〇〇PPMということになりますが、この程度が作物の栽培の可能の限界である、こういうことになりますとほとんど全滅してしまう、こういうことになっております。  それから、つけ加えますけれども、この塩化ナトリウムの害は、塩化トナリウムが土壌中に蓄積するということはございません。一般的に、塩化ナトリウムは水に溶解して存在いたしておりまして、土壌中の水とともに行動いたしますために、土壌への蓄積は起こりません。雨の水だとかかんがい水によって希釈し溶脱して洗い取り去られる、こういうことになっております。つけ加えて申し上げておきます。  以上でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 県の調査によりますと、筋湯川という全然熱湯が流れ込んでいない水と、それから合流点、さらに下流のほうにわたりまして、若干の調査をいたしているわけでございますが、これによりますと、全くの筋湯川の真水が塩素が五〇PPMという調査が出ておるようであります。合流点のすぐの地点ではかっておりますのを見ますと三一〇、あるいは千五百メートルくらい下流に行きましても、二一〇というような数字が出ているわけでありまして、特に九電から直接流れ出ております水をとってみますと、八〇〇PPMというような調査が実は出ておるわけであります。特に今回の被害については、この塩素の被害というものが、水稲を収穫皆無なりあるいは五割という減収に至らしめたのではないか、こういうことがほぼ結論として出されているわけでございまして、いま申し上げました数字は、それぞれの土壌によっても違いましょうし、あるいは品種なり、あるいは肥料の使い方等によっても異なってくると思いますけれども、現実に他の被害が全然なかったという時点でこういう問題が起こったということは、端的に申し上げまして、この水を使用したことが原因ではないだろうか、こういうように私どもは判断をされるわけで、農林省として、具体的にこの問題について把握をしていらっしゃるかどうか、お伺いしたいと思います。

近藤武夫農林水産技術会議事務局長

○近藤説明員 私どもは試験研究関係を担当いたしておりますので、具体的な現地に起こりました個々の事件については関知いたしておりません。御了承いただきたいと思います。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 実は、この熱湯は、いまそれぞれの個々の農家なりあるいは普通の民家に約百戸ばかり配湯されているわけでありますけれども、その配湯されたパイプを、私この前行って現地で見たわけですけれども、大体半年に一ぺんくらい全部取りかえをしなければパイプは使えないというくらい、実はパイプが非常に詰まるわけであります。これはもちろんいろいろ化学的な作用であろうと思いますけれども、塩素は全部水に溶解をするということであれば、これは何が一体そういうようなかっこうになるのだろうか。パイプにそれだけ短期間の間に累積するということになりますと、土壌の中にも当然これは影響してくるんではないだろうかというように思うわけでありますが、この中には、塩素、硫酸あるいはソーダ、カリ、それぞれ調査結果が出ておるわけでありますが、特にソーダが相当塩素と同じくらいの濃度を持っておるわけであります。別にこれらについては累積していくという要素はございませんか。

近藤武夫農林水産技術会議事務局長

○近藤説明員 先ほど申しましたように、土壌に堆積するということはございません。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 そういたしますと、これは現実に把握していないようでありますから、これ以上追及をしてもしようがないと思いますが、この問題については、農林省からも現地に派遣をしていただきまして、まだ現実にことし刈り取りをいたしました稲がそのままございますので、あるいは農業技術センター等も現実に調べていただきますよう、私は調査をぜひ御依頼をしたいと思います。  なお、今後これらの問題が毎年これから続いていくわけでありますが、該当の面積は大体十八町歩余りでありまして、ことしの被害が出ておりますのが、大体被害額にいたしまして八百六十九万円という農家の申告が出ているわけであります。もちろんこれは農業共済との関係もありましょうけれども、相当な額にのぼるわけで、しかも該当戸数は五十戸ということでありますから、平均いたしましても十六、七万円の被害というわけでありまして、たいへんな被害であります。したがって、今後十分なる調査の中で、品種あるいは肥料とか肥培管理、そういうようなことによって、塩素の被害というものが食いとめられるものなのかどうか。このことについても、若干お聞きしておきたいと思います。

近藤武夫農林水産技術会議事務局長

○近藤説明員 これは栽培技術というよりも、圃場に水を流しまして、洗い去るということが最も効果的でございますので、現在までのところは、そういう手段方法で対処しているわけであります。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 水で洗い去るという、その水が、実はさっき申し上げましたように、合流地点では八〇〇PPM、あるいはそれが若干四百メートルくらい下がったところでも三一〇PPMということで、水を使うわけでありまして、それ以外にないわけでありますから、それで流しても、実際効果というものはないのじゃないだろうか、こういうように思うわけで、そういうような時点に立って農業肥料なり肥培管理なり、あるいは品種によって、そういうような措置がとれるものかどうか。その点についてもう一ぺんお聞きしたいと思います。

近藤武夫農林水産技術会議事務局長

○近藤説明員 栽培技術のほうの専門家の仮谷調査官がおりますから、そちらからお聞き願いたいと思います。

仮谷桂農林水産技術会議事務局研究調査官

○仮谷説明員 過去の塩害問題につきましては、日本では相当古くからずいぶんデータを持っております。それらの結果によりますと、比較的塩害の軽いところでは、ある程度栽培技術を改良することによって食いとめることができますが、十分の成果を得るということを期待するためには、先ほど局長から申しましたように、やはり水で洗い流していくというふうな方法しかとれないものだ、こういうふうな判断に、われわれは現在立っております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 そうしますと、塩素の非常に少ない筋湯川上流の水をそういった形で使えば、被害というものはほとんど受けないわけであります。農林省としては、この水を、最大限に、五十戸、十八町歩を耕作しておる面積に確保をはかる、こういう措置がとられるものかどうなのか。この点につきましては、もしきょうおわかりにならなければ、後日の宿題として、さらに検討していただきたいと思いますけれども、その点についてひとつお伺いしておきたいと思います。

近藤武夫農林水産技術会議事務局長

○近藤説明員 先ほど申しましたように、私自身は実は試験研究のほうの担当でございますので、いまおっしゃいましたことにつきましては、当局と連絡をいたしまして、適当の措置をとるように要求をいたしたいと思います。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 この問題については、ひとつできるだけ早く、農林省としても、今後ずっと永久的にこれは起こってくる問題でありますから、できれば現地に行って調査をしていただくなり、そういうことを私はお願いしたいと思いますので、その決意のほどをお伺いしておきたいと思います。

近藤武夫農林水産技術会議事務局長

○近藤説明員 その具体的な、いま発生しております問題の処理等のための調査、これは行政担当のほうの問題でございますので、これはおきまして、試験研究機関としての立場からの調査につきましては、地元の農業関係の試験研究機関、大分県の農業技術センターのほうで調査していただくことでよろしいかと思いますので、そういうふうにしたいと思いますが、一部すでに調査はしておられるように仄聞しておりますけれども、なお十分これを引き続いて行なうというふうに、私のほうから要望しておきます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 それから、次に厚生省にお伺いいたしたいと思います。  先般、十二月一日に、自然公園審議会の管理利用部会というところで——実は現在、大岳発電所は一万キロワットでありますが、そのすぐ上に八丁原というところがあるわけですが、ここに十六万キロワットの地熱発電を九州電力が計画するということで、テストボーリングの許可の申請がなされております。それに対する許可を行なったということが、私どものほうの地方紙で発表されているわけでありますが、この問題について、どのような条件で許可をなされたのか、あるいはまた、このような具体的な公害というものを十分に調査をされた段階で許可をなされたのか、その点について、ごく簡単でよろしゅうございますが、審議の内容についてお知らせをいただきたいのであります。

滝沢信夫厚生省国立公園局管理課長

○滝沢説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のございました八丁原の地熱発電の計画でありますが、当該地域は、阿蘇国立公園の特別地域内でございまして、いろいろな工事につきましては、厚生大臣の許可を要する地域でございます。今回申請がございましたのは、いまおっしゃいましたようなテストボーリングのための二本の井戸の掘さくでございまして、中身は、内径二十センチメートル、深さ八百メートルの穴を、五百メートル離れて二本掘らせてもらいたい。それに伴いまして掘さく隧道もございますが、さしあたっては、つまりそのような二本のボーリングの許可の申請でございます。ただ、当然でございますが、これは、その計画がどうなっておるかということは、われわれとしましては検討を要する問題でございますので、これにつきましては、申請につけまして計画書を出しております。私どもが受けております計画は、このような穴を十本掘りまして、計三万キロワットの地熱発電をいたしたい、こういう計画でありまして、それ以上の計画は申請に入っておりません。  この計画につきまして、私ども国立公園の立場といたしますれば、自然公園法上の問題でございますが、主眼点は、風致維持上どのような支障があるかという点が、私ども第一の観点でございます。この点につきましては、私のほうも実地の調査をいたしました結果、この風致上の問題につきましては、これは場所の現況はちょうど山すその部分でございまして、植物あるいは森林状況も特にすぐれたものがございませんので、道路その他の利用点から見ましても、ほとんど見えないというような地点でございまして、したがって風致上はさほどの支障はないという判断をいたしておるわけでございます。  しかしながら、先ほど来おっしゃいましたように、それに伴いますいろいろな問題点がございます。さっき問題になりました熱湯の処理方法にいたしましても、また騒音の問題にいたしましても、やはり関連する問題がございます。それにつきましては、一応、熱湯の処理、また騒音の防止の対策というようなものにつきましても計画は参っておりますので、その辺の事情につきまして、先ほどおっしゃられました自然公園審議会の部会に御相談したわけでございます。したがいまして、そのほかの計画といたしましては、いろいろな問題がある可能性がある、また計画上はそれ相当の処置は講じておるようになっておるが、その辺をさらに確認した上で、やっていいんじゃないか、許可していいんじゃないかという御意見であります。その確認事項としましては、熱湯の処理の問題やら騒音の問題に対する処置というようなものを確認して、さしあたり二本の井戸については、そのような観点から、いいんじゃないかというような御意見を承りましたので、そのような問題についてさらに確認いたしました上で、二本のボーリングを許可しようかというようなことを考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 ただいまのお話によりますと、内径二十センチのものを十本で三万キロワット、こういう申請になっておるということでございますが、私ども、地方紙のあらゆる報道を見ますと、大体、地熱発電所、最大出力予定が十六万キロワットという報道が実はなされております。現在のが一万キロワットでありますから、このボーリングだけでもたしか五本ぐらいのボーリングがなされまして、あの場所に行ってみますと、実にすばらしい光景なんです。地下から蒸気を吹き上げているわけでありますから、たいへんな光景なんで、その間には銀色のパイプが縦横に走っているということでありますから……。一万キロであのような規模ということになると、その十六倍ということで、たいへんな、ばく大な規模でないだろうかという想像が、およそ成り立つわけであります。しかも、話によりますと、あの八丁原地域で五十万坪の土地をすでに九電が取得をして、そのうちの三十万坪をこの用地に充てる、こういうことがいわれておるようでありますが、そのような膨大な地域をこの九州電力が使うということになりますと、さっき申し上げました、国立公園の自然美をきわめて害するという問題についても、大きな問題が起こってくるのではないだろうかというように考えるわけで、この三万キロと十六万キロの違いというのは、私どもいま初めて知るわけなんでありますが、その点については三万キロということで間違いございませんか。

滝沢信夫厚生省国立公園局管理課長

○滝沢説明員 ただいまの三万キロ、十六万キロの関係でございますが、私どもが現実に審査をいたしております申請は三万キロでございまして、したがって、私どもの判断も、さらにまた、申し上げました自然公園審議会の部会の委員の判断も、三万キロという前提で審査しております。また、現在、現実の許可申請は二本でございます。したがいまして、そのような条件のもとでの審査でございまして、おっしゃいましたような十六万キロワットとなりました場合には、おっしゃるとおり、これは膨大な地域にかなり広大な設備ができるものと思われますし、これにつきまして、われわれとしましては、これはこれでよろしいというような考えは持っておりませんし、これは別問題として当然審査しまして、風致上も大きな影響があれば、それは認めるわけにはいかないというふうに考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 もう一ぺん念を押しますけれども、十六万キロというのは長期的な、三万キロワットが成功したならば、やはり十六万キロワットというものを目標にして工事を進めていく、こういうような計画は全くございませんか。その点について掌握しておりませんか。

滝沢信夫厚生省国立公園局管理課長

○滝沢説明員 十六万キロワットの計画については承知しておりません。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 そういたしますと、厚生省が最終的にこのテストボーリングの許可をするのはいつごろになりますか。

滝沢信夫厚生省国立公園局管理課長

○滝沢説明員 この二本の問題につきましては、年内にというような方向で検討しております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 年内に許可をするということでございますが、そういたしますと、これは、やはりテストボーリングを認める以上は、いま申し上げましたように、三万キロの具体的な発電というものを想定をしての上だろうと思います。したがって、現在大岳発電所から流れ出ておるこの熱湯による被害というものが具体的な問題として出てきた、こういう段階で、厚生省として、このような公害の実態というものを十分把握する中で、最終的にテストボーリングの結論を出す、こういうことが至当ではないだろうか、こういうように思うわけでありますが、その点に対しての厚生省の調査なり資料の収集等については、十分になされておりますか。

滝沢信夫厚生省国立公園局管理課長

○滝沢説明員 ただいまのお尋ねでございますが、この二本のものにつきまして、出ましたお湯をどう処理するかという計画は参っておりますが、その際に、さっき問題になりました大岳発電所の場合のような、同じような方法で処理するという計画でございます。大岳につきまして私ども承知いたしておりますことは、大岳では、やはり高温の熱湯がかなり多量出まして、そのうちの一部は付近の部落に分湯しまして、残りは、三十五センチメートルのパイプで、約二キロほど離れております地蔵原にあります貯水池に入れておるというふうに承知しております。なおこのパイプは、一時間七百五十トン程度の熱湯を処理できる程度のパイプというふうに承知しておりますので、先ほど来の、付近の川に直接流れているということは実は承知しなかったことでございます。したがいまして、大岳地区の処理の方法について問題があれば、やはりいま出ております二本のボーリングによります結果生じます熱湯処理については、再検討したいと思います。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 私、具体的に申し上げたいと思います。  先般、私現地に参りまして、この実情を見たわけでございますが、現在合流点で熱湯が一これは十月六日に合流点で調べた温度が、摂氏四十八・五度あるわけです。十二月の九日に県の農政普及課が現地に調べに参りました。その時点では、すでにあそこは高冷地でありますから、ずいぶん寒いわけでありますが、その際にはかりましたのが、摂氏五十一度あるわけであります。一体なぜかといいますと、冬で寒くなったのにかかわらず温度が上がったのはどういうことか、現在いろいろな調査をしておりますので、一時間七百五十トンの能力で地蔵原に送るパイプをとめて川に流しているから、それだけ上がっているらしいのです。もちろん各戸に配湯しておりますから、その熱湯が漏る調査をしておるということを九電側は言っているそうであります。しかし現実に調べて見ますと、さっき申し上げましたように、半年前にパイプを入れかえたものが、半年たった現在は使えない。したがって、農家も配湯してもらっても、かえってパイプ代のほうが高くつくというかっこうになるわけですね。半年に一ぺんずつ入れかえなければならぬ。それと同じように、一時間当たり七言五十トンのお湯を地蔵原に送る湯送管についても、すでにいま、内径三百五十ミリのものが、現実には二百五十ミリに減っているわけです、そういたしますと、これは私どもは計数的にはっきりわかりませんけれども、おそらく三分の一くらいに能力が落ちているのじゃないか。そういたしますと、実際には七百五十トンということで始まったものが、現実にほとんど毎時間四百トン近いものがこの筋湯川に流れてきておる、こういうことになるわけです。これはさらに、今後そのパイプがほとんど使えないという状態になってまいりますと、その温度と濃度というものはもっとひどくなる、こういうかっこうになるのですね。ひとつこの問題については、非常に重大な問題でありますから、ぜひ厚生省のほうといたしましても調査をしていただいて、しかもこの上流に三万キロワットといたしましても、三倍の発電力を持つ発電所ができるわけでありますから、この筋湯川はまさに熱湯の川になるわけでありまして、その点を、十分にひとつ処理問題を検討する中で、テストボーリングの決定をやるべきじゃないか。私は、年内にやるということについては、この調査を十分にやった後でないと、地域住民の人たちも納得できませんし、ぜひこの点については厚生省のほうに再考を促したいと思いますので、その点に対する御回答をいただきたいと思います。

滝沢信夫厚生省国立公園局管理課長

○滝沢説明員 御趣旨によりまして、調査をいたしましたその結果に基づきまして、処理いたします。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 なお、これは通産省の関係になりますか。通産省おりますか。——実は通産省もすでに把握をしていらっしゃると思いますが、この大岳発電所、さらに今回計画をいたします八丁原の地熱発電によりまして——そこから若干離れておりますけれども、九重山の硫黄鉱山が実はあるわけであります。この硫黄鉱山が、この大岳発電所のボーリングによりまして、非常に水分が少なくなってきて、火口の温度が高くなった。したがって、ここの採掘に相当大きな影響が出ている、こういうことが九電側のほうに質問書として出されているわけでありますが、いまだに回答は出ていないようであります。これは非常にむずかしい問題でありますけれども、具体的にこの地熱発電が蒸気を吸収することによって、隣の硫黄鉱山の採掘に影響が出てくるものかどうなのか、その点に対してひとつ御回答いただきたいと思うのであります。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 ただいまのお話につきましては、確かに九重鉱山——硫黄鉱山でございますか、ここでそういう問題が出ておりまして、福岡通産局の鉱山部に陳情書が出てまいっております。私ども公益事業局のほうにもその話が参っておりまして、目下その検討をやっておるところでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 そうすると、それは通産省のほうにも陳情書は来ているわけですね。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 通産局の鉱山部のほうには出てまいっております。公益のほうに出ておるということは、ちょっといまはっきりしておりません。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 九電に出されました陳情書について、私はその控えを持っているわけであります。私は化学的な専門的なことはあまりよくわかりませんけれども、現実に、特に四十年、四十一年、四十二年と、こういうように年々火口における硫黄の採鉱量が減っているということは統計的に出ておるようでありまして、現地の話に、よりますと、このように水分が年々少なくなってまいりますと、亜硫酸ガスの問題も当然影響が出てくるのではないか、こういうことが言われております。もしもそういうことになりますと、あの山は非常に大きな、日本でも指折りの硫黄のとれるところでありまして、それが亜硫酸ガスにもしも変わるというような化学的な変化を起こしますと、山林、あるいは——これは大分県の農業開発の指定地域でありますから、そういうものにも影響してまいりましょうし、もちろん従業員なりそういうものにも影響してまいりますから、その点についての御見解を一ぺんお伺いしておきたいと思います。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 ただいまの問題につきましては、現地の福岡通産局鉱山部のほうで、いろいろ検討をしておるものと心得ておりますけれども、よく連絡をとりまして、問題がはなはだむずかしい問題だと思いますので、その間の各方面の方のお知恵も必要になってくるかと思いますが、そういう点、検討しなければならぬと思います。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 これはきわめて大きな問題でありますから、ぜひ通産省のほうでも御検討願って、一体どのような影響が出るか、今後さらに、この地熱発電の発展に伴いまして重大な問題となってまいりますから、この点については、今後の問題として、ぜひひとつ御検討をよろしくお願いをいたしたい、こういうように思います。  次に、これは通産省にお伺いをいたしますが、具体的にさっき申し上げましたように、県の農業技術センターからは、この大岳発電所から流れ出る水の、いわゆる熱湯の塩素が原因だということが結論として出されたわけでありますが、このような場合に、補償関係について一体どのようになるのか、農民側が要求する法的な根拠というものは一体どこにあるのか、私はぜひお示しをいただきたい、こういうように思います。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 県の農業技術センターでこの問題を検討されて、先生のおっしゃったような結論が県当局のほうに回ったというふうに伺っておるわけでございます。その点につきましては、二〇〇PPMないし三一〇PPMの程度の水が流れておった。その程度になりますと、影響が出てくるじゃないかという結論だったと思います。しかし、この塩分の量につきましては、現在まだいろいろ影響の程度につきまして、はっきりした結論と申しますか、そういうものがわかっていないといいますか、いろいろの考え方があるようでございます。そういうことでございますので、十分に調査いたしまして、善処したいというふうに思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 そういたしますと、この地熱発電というのは、電源開発促進法の中の第二条に、「この法律において「電源開発」とは、水力、火力又は原子力による発電のため必要な」云々ということで書いてあるのですが、この中で、水力でもありませんし、もちろん原子力でもありませんから、火力に入るかどうか、その解釈をお聞きしたいと思う。火力に入れるとするならば、この電源開発促進法に基づいて第七条の「損失補償」という項が適用できるかどうか、その点を、ひとつ通産省のほうから明らかにしていただきたい。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 地熱発電は、ボイラーに相当するものが地熱でございます。それがタービンのほうに回っていって、あとは全く火力発電と同等でございますので、大体火力発電と同等に取り扱っております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 そういたしますと、当然電源開発促進法がそのまま適用される。したがって、もしそういう被害が起こった場合には、当然会社側に対して損害補償の請求ができる、このように解釈してよろしゅうございますね。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 促進法の内容には入ると思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 それでは、地元の農民が、いま言ったように、九電なら九電に対して損失補償をやる、こういうことになった場合には、当然、通産省としてもこのような指導をなさいますね。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 そういう、損失補償しなければならぬような内容であるということが明確になれば、という前提では、そういうことでございますが、事前に例の調査というものを十分やりまして、塩分の量とかそういうことにつきましては、いろいろ先ほども岡本委員のほうからお話もございましたけれども、数量的にもいろいろまだ問題があるようでございます。いろいろな事情で、あのような被害が出たのかもしれませんし、よく調査してみる必要があろうかと思います。その上で慎重に対処したいというつもりでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 時間もあまりありませんから、この問題については、この程度で打ち切りたいと思いますけれども、いま申し上げましたように、現実に被害が起こっておる。しかも地熱発電というものは、これから至るところでおそらく起こるだろうと思いますけれども、残念ながら、現在のところ、きわめて数が少ないわけであります。そういった意味でも、私は慎重を期すると同時に、この地域住民に、地熱発電を起こすことによって被害が転嫁をされないように、ぜひひとつ通産省それから厚生省につきましても、再度私はこの点については要請をいたします。特にテストボーリングをやる段階の中におきましては、通産省なり厚生省、農林省等、十分に打ち合わせをいたしまして、慎重を期していただきたい。具体的にあまりまだ被害の調査等についてもなされていないようでありますから、それらが十分に調査され、なおかつその検討の上に立って結論を出され、そしてテストボーリングについての検討をしていただく、このようなことを最後に要請をして、この点についてはひとつ政務次官のほうから御答弁をいただきまして、私はこの問題については打ち切りたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木委員長 政務次官からは後に答弁をしていただくことにして、藤井技術長のほうから、その点について答弁を願います。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 ただいま先生のおっしゃいましたような問題は、よくわからない問題がたくさんございますので、慎重に検討した上で、善処したいと思います。

八木一男日本社会党

○八木委員長 次に島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 きょう私は、原子力発電の問題と、学校公害、この二つの問題にしぼって、政府の考えを問いただしたい、こういうように思って準備してまいった次第です。しかし、予算委員会等で、十分時間が得られないわけでございます。とりあえず時間的に拘束されております。文部省関係の学校公害の問題に関連して、質問をさしてもらいたい、こういうように思います。  まず第一に、けさほども、伊丹をはじめとして、各関係市長から、航空騒音の問題で陳情がございました。航空騒音の問題でまず被害を受けておるのは、住民であるとともに、学校の児童でもございます。飛行場の騒音で、勉学上の支障が当然生じ、進学率も下がっておるデータさえもあるわけでございます。当然、防音装置と空気清浄装置等も、今後の学校の建設上必要な一つの要素になるのではないかと思いますが、防音あって空気清浄の設備はいまだしの感があるわけでありますが、それらの点については、今後文部大臣としても、予算を通じて、四十三年度には善処してもらわなければならぬ大きな問題であろうと思います。また、排気ガスの問題でも、児童に気管支またはぜんそくなどの支障が続発しておるわけでございます。勢い保健上の問題ともなり、体育上に悪い影響をもたらしておるわけでございます。こういうふうにしてみますと、現在の公害という問題は、学校公害にまで侵入しておりまして、これは教育上の問題にまでなっている。したがって、今後は、この措置は、全面的に、重要性を帯びてきたわけでございますけれども、文部大臣のこれに対処する考えを伺っておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 今日の状況からいたしまして、学校もいわゆる公害問題の犠牲者になっておるわけでございます。お話にもございました、航空輸送の発達に伴いまして、騒音の問題が大きな問題としてだんだん進んできております。いまに始まった問題じゃございませんけれども、次第に大きな問題になってきておる。あるいはまた、排気ガスの問題等、児童の保健衛生上の問題にも関連してくるということでございますので、文部省といたしましては、これに対しまして、十分関心を持って、事態の改善にみずからなすべきことはなし、また他の面においてやっていただかなくちゃならないことに対しましては、要請もしていかなくちゃならない、こういう心持ちでおるわけであります。学校公害の問題につきましては、私、最近就任したばかりでございますが、新たに文部省としましても、公害対策に関する若干の予算もお願いしておる、こういうふうに聞いておるわけでございますが、委細はひとつ政府委員からお聞き取りを願いたいと存じます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大臣は厚生行政にもたんのうな人であります。私は、そういうような点から、特にいま質問した点を、要望としてもお願いしておきたいと思います。  それと、もう一つは、本年の高校新卒が五十六万三千人、それから浪人をして受験をせんとする者が約二十万をこえ、合計七十六万名の人たち、これが今度の場合の受験人口だ、こういうように推定されているわけでございまして、戦後最高である、こういうような一つのブームもわいておるのでございます。ある社の調べでは八十五万人に及ぶんじゃないか、こういうように言っているところがあるわけでございまして、当然国立、公立、私立ともに、これは収容し切れないような状態になり、勢いこれは私立のほうにおんぶしなければならない、こういうような状態が、本年一番現出される傾向ではないか、こういうように思うわけでございます。したがって、私が文部大臣にこの際お聞きしておきたいことは、このような、去年からことし、また来年にかけての傾向の中で、教育よりも経営、こういうような方面に重点を置いた私立の大学、高校の指導を考えておられるかどうか。これは私は、やはりあくまでも学校教育が中心でございますから、教育が、どういうような場合でも、優先するものでなければならない、こういうふうに考えられ、この中で、少なくとも建物その他で無理をして、危害を児童または学生に及ぼすようなことは許可してはならないものである、こういうように考えておるわけでございますけれども、最大の受験人口をかかえた今年また来年に対しまして、文部大臣はこの大学の許認可の問題等につきましてはどのように考えておられますか、この基本的な姿勢をお伺い申し上げておきたいと存じます。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 御質問のとおりに、明年の大学進学という問題はなかなかやっかいな問題でございます。実情は、お話のありましたとおりだと思います。最近、いわゆるベビーブームの影響が大学に波及いたしまして、だんだんと新しい大学の設置もふえてくる、あるいは設備の拡張も行なわれてきておるということも御承知のとおりでございます。  お話しの、教育か経営か、こういうふうにお尋ねでございますが、もちろん、学校教育というがごときものは、経営のための教育であってはならぬと思います。いやしくも学校として設置せられました以上は、教育本意にものごとは考えていただかねばならぬ、このように私は考えております。この設置の問題につきましては、大学設置審議会とかあるいは私立大学審議会、こういうふうな機関を通じまして、慎重に検討いたしております。したがって、一定の標準に満たないものは設置を認めておりません。急増ということに藉口して教育の水準を下げるということは、これは極力避けなければならぬという考えのもとに、今日まで事務を取り扱ってまいっておると思います。なおまた、今後は、設置認可をいたしまして、その後何年かのうちに完成するわけでございますが、その進行の状況等につきましても、実地について調査をいたしまして、間違いのないようにしたい、こういうことも計画せられておるようでございます。  いずれにいたしましても、私は、これは一般論でございますけれども、私学の設置認可については、もっともっと慎重に厳正に行なわれなければならぬという考えのもとに指導してまいりたい、そのように考えておる次第であります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いまのような答弁を、私は期待しておりました。そういうようにあってほしいし、そうなければならない、こういうふうに思っておるのでございます。ただ、私はつい自分の郷里の付近に——札幌でございますけれども、山の中の、住宅地から三キロほど離れたくぼ地の畑の中に、これは雨の日にはがけくずれのおそれもあり、そうして危険で護岸を要するものであり、また暗渠をつくらなければ建物はやってはならないし、そういうふうな状態ではないというその場所に、宅地としては不適当であった場所に、校舎が建っているのであります。そうしてその校舎、それは山くずれのおそれのある安い土地でございます。そして一度もまだ生徒も行っておらないのに、十一教室できたことになって、申請が文部省で受理されているのであります。そういうふうになってみますと、その建物は無届け違反建築であります。そうして校舎ではない、こういうようなことになっておるのに、文部省へは校舎として届け出た事実があるわけでございます。したがって、文部省ではそれを認可し、短大として現在発足しておるわけであります。そういうふうにしてみますと、その後になって、今度は、無届け違反建築のかどで始末書を取られている。その始末書には、教室として認可されたものが学生会館になって届け出てあるわけであります。そういうふうにしますと、まず認可したものもおかしいが、そこが教室でないという以上、その坪数その他認可の条件に当てはまらないのに、急増対策を考慮してか、また、現在の情勢のもとにやむを得ずしてか、これが行なわれたという事実があるわけでございます。私は、こういうようなことは早く直して、こういうようなことでないようにして、教育は経営よりもいつでも優先するものである、こういう立場に立ってこれは教育を推進してもらわなければならないと思うのです。これに対して、大臣、いかがお考えでしょうか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 私は、その話を伺うのは初めてでございます。島本さんのおっしゃることでありますから、お話どおりに私も受け取りたいと思いますけれども、文部省としましては、実情をよく確めた上で、注意すべきのもは注意していく、改めるべきものは改めてもらうというような指導を行ないたいと存じます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 もうあまり拘束した時間も切れそうになってまいりましたから、この辺で、ひとつ私自身も注意のためにやって、善処してもらいたいと思います。  実は、文部省のほうからは、校舎でない申請がされたということが、調査によって——調査に参ったのは十一月二十二日であります。そうしてその調査に行ったところが、いままで学生会館であったものが、今度とたんに校舎として届け出て、確認申請書がまた出されているのであります。そうすると、学生会館が、人が調査に行くと校舎になり、それがまた戻ると学生会館になり、そこは危険な宅地であって、そのまま建ててはならないという農業委員会からの添書付でこれは買収した場所であるということになると、これはそのままもし生徒を収容すると、これはがけくずれその他学校公害が具体的に発生するおそれさえもあるわけでございますから、そういうふうな点は特に注意し、それが短大としての教育条件を著しく圧迫するということにもなりますから、それより、内容を充実させるように指導し、今後はこのようなことは絶対ないように、十分調査した上で、大臣としては万全を期しておいてもらいたい、こういうふうに思うわけであります。なお、詳しいことはあと局長とやりますから、これに対する御所見を大臣から伺っておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 御要望のほどは確かに承っておきます。  学校の設置ということは大事なことであります。いいかげんにこれが行なわれるということがあっては相なりませんので、文部省のほうに事務の粗漏があってはいけませんけれども、また認可されたほうで、認可の条件に反したことを平気でやるということでは、学校設置についての事務を全うしたとは言えないと思います。十分実情を調べまして、関係局にそれぞれ善処をするようにいたさせます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 では、いまのようにして重大な学校公害が、児童の面では、騒音、または水質汚濁、または大気汚染、こういうふうなことになってあらわれてきておるのであります。しかしながら、現在のような、この大学の受験生が困難なさなかに、急増される校舎の中で、またそれに類するようなおそれのあるような建物を認可するということは、これはもう拡大解釈するまでもないこと。こういうようなことは、当然文部省としてはやってはならないことであろう、こういうふうに思うわけなんですけれども、すでに御存じのように、札幌でこの事実があったわけでございますけれども、短大認可の場合の校地、校舎の面積、こういうようなものに対して、はっきりした規制があるのかないのか。これをまず管理局長にお伺い申し上げて、次の質問を展開さしてもらいたいと思います。

村山松雄文部省管理局長

○村山政府委員 短期大学の設置の場合、適用します設置基準としましては、文部省令で短期大学設置基準というのがございます。それからその基準を適用する場合に、二つの審議会に諮問をして、その答申を得て判断するわけでありますが、一つは大学設置審議会でございまして、これは主として教育基準の面から、当該申請が基準に適合しておるかどうかを判断いたします。それからもう一つは私立大学審議会でございまして、これは計画された教育の内容を維持するに足る校地、校舎、財政的な基盤があるかどうかという見地から判断するものでありまして、両審議会とも、書面審査並びに実地審査を行ないまして、基準適合を確認した上、文部大臣に答申いたしております。文部大臣はその答申に基づきまして認可をする、こういう手続になっております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それでは、次の点では、私自身の調べによって、これはおかしい、こういうように思ったのですけれども、やはりこういう急増する状態のもとに、無理な建物が——これは建ててはならないのですけれども、校舎とそれから学生会館、これは構造上危険な場所なら、学生会館は建ててもいいが、校舎はだめだとか、またそういうようなのが具体的にありますかどうか、ひとつそれを伺っておきたいと思います。

村山松雄文部省管理局長

○村山政府委員 一般校舎にいたしましても、あるいは特別教室、体育館等、特別施設にいたしましても、教育上適切な環境にあることが望ましいわけでありまして、ある種のものは危険な場所でも建てていいということはあり得ないことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは、そうなった場合には——重大な危険な場所と思われるところに校舎があるのであります。これは厳重に注意して、早く是正し、建て直すべきものは建て直さして、雪が消えてそれを使用しても生徒に被害がないように、これは十分注意しなければならない、こういうように思います。  それはもう、善処してもらいたいという項目は、皆さんのほうで詳細調べてあるでしょうから言いませんが、光塩学園短大であります。その場合に、残念ながら校舎面積、これが千二百二十七坪、それから特別教室四百六坪、合計千六百三十四坪、こういうことになっておるわけであります。しかし、この学校法人設置等の認可基準によると、短大の場合は、校地面積は校舎面積の五倍以上必要である。ただし四十二年度に限り、札幌市では、二〇%を減ずる特例を適用する、こういうふうになっておるわけでございます。しかし、それによりますと、校舎と校地の面積が全然合わないのです。建ててはならないような悪い条件のところに、無理して、それもまた危険な個所に校舎を建てた、こういうようなことになるのです。これはどういうことなんですか。それと同時に、中心校舎の建築延べ面積千六百三十四坪です。これの五倍は八千百七十一坪、これから二〇%を減らすと六千五百三十六坪、中心校地としてはその二分の一必要であるから、三千二百六十六坪が必要なのに、それは千六百七十七坪しかないということです。こういうようになってまいりますと、これは設置に必要な要件を満たしておらないのじゃないか。設置基準に違反しているのじゃないか。同時に、教育の条件を著しく圧迫するようなことになるのじゃないか。このようにも思われるのです。私はそれに対しては十分調査してあるのですけれども、このとおりで万全なんですか、どうですか。

村山松雄文部省管理局長

○村山政府委員 大学が基準に適合しているかどうかを判断する場合、なかなか万全とまでは、新設の当初において期待することは困難な場合がありますが、最低基準を割った場合には、これは認可されないことは当然でございます。問題の光塩学園女子短期大学の場合には、校地が札幌市内に二カ所あるようでありまして、校地が二カ所以上にわたる場合には、他が非常に遠隔な土地であって、同一学園の校舎敷地として、実際問題として活用しがたいような状況にある場合には、中心的なものを中心校地、他をしからざるものとして判断するわけでありますが、光塩短大の場合には、両方とも同一市内にあり、かつ両者連絡するには徒歩でも二十分、車両を使えばなお近いというような関係で、両方一体的な活用ができるものと判断がされたようでありまして、いわゆる中心校地その他という扱いをせずに基準を計算いたしまして、基準に適合しておるという結論が出ております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 もしそうだとすると、中心校地の五倍の二〇%を減ずる云々、これじゃなしに、学校法人設立等の認可基準、校地面積は校舎面積の五倍以上を必要、ただし四十二年度に限り二〇%を減ずる特例を適用しても、これは八百三十四平米不足だ、基準に満たないことにはっきりなるのであります。私はもうそういうような点は、ここで数字をあげましたから、皆さんのほうで十分検討してもらいたい。それと同時に、その建物が、教室として、校舎としてやられたのが、学生会館となっており、それが調査に行くとまた教室になり、その教室が現在学生会館です。こういうような事実は一体どうしたことですか。

村山松雄文部省管理局長

○村山政府委員 学校は、設立途上にありますと、初年度には一学年だけしかおらないわけでございまして、漸次、短大ですと二学年で完成するわけであります。全体的に建物を効率的に使うために、多少一時的な転用などをすることもあるようでありますが、かりに転用いたしましても、一般校舎として教育上支障がなければ、経過的には差しつかえないわけでありますが、完成後においてあるべき姿に合わせるという方向で、学校としてはくふうしておられるようであります。お話しがありましたので、最近係員が調査いたしまして、多少十分でない点があったようでありますので、注意はいたしましたが、致命的に設置認可の条件を欠除しておるというような事態ではないと承知しております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ここに、市のほうに出した始末書があるのです。これには、いまおっしゃった、その学生会館が校舎になって、十一教室として出されている、そういうふうなことなんです。ところが、それは防火壁もない、何もない、これではだめじゃないか、無届けじゃないか、違反建築じゃないかと言われたら、あれは教室じゃありません、これは学生会館でありますという。それでも無届けじゃないか、どうしたと言ったら、あれは学生会館ですという。それはおかしいじゃないですか、と言ったら、始末書を出しているのです。これでも基準にわりあい違反しないのですか。

村山松雄文部省管理局長

○村山政府委員 始末書のことは私存じませんので、よく調査いたします。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そのほかに、有田文部大臣の当時、知事のほうから、いわゆる法人格の寄付行為の変更の認可について出されてある。これを認可して現在のやつをやった以上、全面的にこの内容にまで、皆さんのほうが心配してやらなければならないような責任と義務があると、こういうふうに私は思っているわけです。したがって、私はまず公害という立場でこれを取り上げまして、学生自身をそのような状態にしておいて、そこで勉学させることは多大の支障があるのみならず、そのままの状態では、おそらくは危害があるから、それをおもんぱかって、いろいろ言っているわけなんであります。したがって、その当時、農業委員会の許可で買い上げた西岡の土地は宅地造成規制法の厳しい条件のある指定区のために、校舎としての建築がむずかしいので、建築業者にまかしておいた、こういうようなことを言っているわけなんです。もうすでに校舎でないということを言ってあるのですけれども、それを皆さんが校舎として認可したとなれば、今後やはり大きな問題ですから、こういうようなことは十分調査した上で、そして至らない点は完全にして、そして教育内容を充実させるように、今後はかっておいてもらいたい、こういうふうに思うわけです。この点は答弁は要りません。今後、こういうような問題がはっきりした結果によって、私のほうに、もう一回調査の結果を報告していただきます。その結果、もし、私どもの調べたこの状態とあまりにもかけ離れている場合には、文教上の問題になりますから、別な場所でとことんまでやらしてもらいたい、こういうふうに思うわけであります。しかし、これはいま大臣がおりませんから、最後に、このことだけはひとつ聞いておいてもらって、感想を求めます。  申請を受けつけたあと、他の有名校がはずされて、そしてこれが各種学校から短大にぽんと認可された。狭いところになぜ認可になったのか、疑問に思っている人も多かった。その関係者が、ほかの人のやり方はへたくそだよ、現地でやるからだめなんだ、私のところはもうちゃんと、東京と、十七日には登別で十分もてなしをしてあるから、こういうふうに認可がおりるんですよと言っているんです。こういうふうなことから、いまのような、校舎かそれとも学生会館かわからないような建築を容認したんじゃないか、という疑惑さえも生まれているわけなんです。こういうふうなことは、大臣がいる間に十分言って、帰らせたかったのですけれども、時間がありませんでしたからやむを得ませんでしたが、こういうふうな点は、大臣のほうに十分伝えておいてもらいたいと思います。学生が本年は最大の受験難であるというふうなときに、少なくとも文部行政の中で、おそらくいま一番やってほしいのに、こういうふうな急増対策、お粗末なやり方を認可するような状態では、経営を先に考えて教育をないがしろにするものである、こういうふうな印象を与えないわけではないと思います。大臣が言ったように、経営よりは教育なんです。教育の実を十分あげるように、今後善処してやっていただきたいと思いますが、これに対して、局長の御意見を伺っておきます。

村山松雄文部省管理局長

○村山政府委員 ただいまの御指摘のことは、私は全然承知しておりませんので、あわせて調べてみたいと思います。  それから、大学が理想的な状態になるためには、設置認可も相当の歳月をかけて、関係者協力して努力して、初めて達成できることでございますので、文部省は文部省の立場で、できるだけ指導、助言いたしたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それでは、十分その内容を、実をあげるように要望して、この学校公害に対する質問を私は打ち切らせてもらいます。  なお、次がありますけれども、次の質問者がおりますから、暫時、選手交代をさしていただきます。

八木一男日本社会党

○八木委員長 工藤良一平君。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 先ほど申し上げましたが、かいつまんで申し上げますと、大岳発電所の熱湯が筋湯川に流出いたしまして、その被害と思われますが、塩素の含有量が非常に多いために、本年度水稲が収穫皆無ないしは五〇%程度の被害が出ているわけであります。今後なお九州電力としては、先ほどの厚生省の話によりますと、八丁原に三万キロワットの発電計画を立てて、そのテストボーリングの申請がなされている。私どものところでは、大体十六万キロワットの発電計画があるということを聞かされているわけでありますけれども、先ほどのお話では、三万キロワット、こう言われておるわけであります。したがってテストボーリングを許可するということは、当然三万キロワットの発電ということになっていくだろうと思います。したがって、被害がますます拡大するであろう、こういうふうに考えられますから、その被害の調査を十分に行なった後において、テストボーリングなりあるいは発電の許可というものをやるべきではないだろうか、こういうふうに考えますので、その点についての政務次官の考え方が一つであります。  それからもう一つは、現在起こっておる被害の補償の問題について、先ほどの答弁では、電源開発促進法に基づく「火力」というところの中に、地熱発電も含まれるというような御回答をいただきました。したがって、電源開発促進法の第七条でいう損失補償の問題等については、地域住民としては、九州電力に対して損失補償を要求するということは当然のことになってくるわけでありまして、その点に対する通産省としての指導等につきましては、農林省あるいは厚生省と十分連絡をとりまして、万全の措置を講じていただきたい、こういうことを先ほど申し上げましたので、その点に対する政務次官の御回答をいただきたいと思います。

藤井勝志自由民主党通商産業政務次官

○藤井政府委員 御質問の前段の件につきましては、すでに通産省のほうの担当者から答弁を申し上げたと思うのでありますが、これは調査をしたあと、ボーリングその他——これは技術的に、やはり電源開発促進法によってボーリングはしなければならぬ。同時に、それによって引き起こされた損害の補償については、実態をよく調査の上、法に従っての補償措置をする、こういうことに相なると思うのでありまして、現在そのような実情について調査をしておる、こういう状態でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 それでは厚生政務次官に一つだけ、先ほどすでに回答はいただいたわけですが、再確認をする意味でお願いいたしたいと思います。  これは、すでにこのテストボーリングの二本につきまして、自然公園審議会のほうでは、ボーリングを許可する、こういうことが決定されたようでありますが、最終的なことは厚生省で、大体年内にその許可についての結論を出したい、こういうことであったわけであります。しかし大岳発電所の被害というものが現実に出てきたわけであります。それは水稲の被害としてさっき申し上げましたような被害が出てまいりましたので、この上に三万キロワットの発電をやるということになりますと、現在の三倍になるから、必ずしも三倍即三倍にはならないと思うわけでありますけれども、相当なプラスが加わるであろうということだけはわかります。したがってこの被害の実態を十分調査をする中で、その被害を十分に見きわめた上で、テストボーリングについての最終的な許可を与えるなりしていただきたいということで、年内に出すということについては、この被害の大体の調査がまとまる段階で結論を出しても、おそいということではないのではないかということで、先ほど再考を促すことをお願いいたしまして、その点については再度検討いたしましょう、こういう結論をいただきましたので、教務次官としても、この点については、現実にこういう被害が起こっているわけですから、その被害を十分に調査した後において結論を出していただくように、御回答をいただきたい、こういうことなのです。

谷垣專一自由民主党厚生政務次官

○谷垣政府委員 現実にそういう被害が起こっておる状況でございますので、十分にその状況を調査いたしましたあとで、私たちのほうの決断をいたしたい、かように思う次第であります。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 地熱発電の問題については、質問を以上で打ち切りまして、科学消防力の問題について、御質問をいたしたいと思います。  それでは科学消防力の強化計画について、特にエネルギー革命によりまして、重油が非常に重要になってまいります。したがって、現在海上荷役等につきましても、危険物の荷役が非常にふえておるわけであります。したがって、この科学消防力の強化計画について今後どのような対策を立てられるのか、その点をまずお聞きしたいのです。

永瀬章消防庁調査官

○永瀬説明員 現在消防庁としましては、コンビナート等の石油工場あるいはそれの関連工場または油槽所の存します地域につきまして、特に化学消防車及び消防艇の配置のための補助金の交付を、実は四十年度から開始いたしております。  状況につきましては、化学車につきまして四十年度に六十六台、四十一年度に四十五台、本年度につきましては四十六台の補助金を配賦いたしまして、なお、この間、私どもの庁内に設置されております消防審議会の答申、すなわち石油コンビナートの災害対策に関します答申が出されました関係上、これをあわせまして、化学車につきましてはその後手直しをいたしまして、計画を立てましたところ、現在残分が約百台、それから消防艇につきましては、今後整備を要するものが二十艇という計画を持っております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 ただいまのお話によりますと、特にこの化学コンビナート地帯につきましては重点的に取り上げる、こういうような計画のようでございますが、私、大分の出身でありますけれども、大分市は、御存じのように、いま新産業都市の造成が進められております。すでに九州石油の操業が行なわれております。さらにこの九州石油も規模拡大をするということがいわれておるわけでありますが、さらにその近郊にも日鉱佐賀関製錬所あるいは小野田のセメント工場、こういったところが、燃料革命によりまして、漸次重油に切りかえていく、こういうような状態でございまして、現在のところ、九州東部海岸に対する消防力というものはきわめて弱いような気がいたすわけでございます。したがって、地域住民といたしましても、全体的なコンビナート地帯の公害問題とあわせて、さらにそれに加重されるという意味で、非常に重大な関心を持っているわけであります。したがって、特に九州の東部海岸に対するいわゆる海上艇を中心といたしました整備計画、こういうものは一体どのように把握されているか、その点もお伺いをしたいと思います。

永瀬章消防庁調査官

○永瀬説明員 九州の東部海岸の場合でございますが、私どものほうといたしましては、大分の臨海工業地帯、これに着目いたしておりまして、これにつきまして、消防艇につきましては、大分に二艇整備いたしたいと考えております。その他につきましては現在計画はございません。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 ただいまの大分の消防艇の二艇の問題ですが、これは大きさはどの程度で、いつごろの予定でございますか。

永瀬章消防庁調査官

○永瀬説明員 これはできるだけ早急に実現いたしたいとは考えておりますが、私どもの出します金が補助金でございまして、市町村が発意いたしまして申請に基づきますので、現在のところ、まだ市町村の計画のほうがはっきり固まっていない段階のようでございますので、時期についてははっきりいたしておりません。できるだけ早い時期にやらせたいと思います。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 この点については、関係市町村あるいは地域住民のほうから強い要請も出ておりますので、早急にこれらの問題が具体化すると思います。先ほどから申し上げましたように、特に大分の臨海工業地帯は東部海岸の中心でもありますし、これが整備についても、早急に万全の措置を講じていただくように、特にお願いを申し上げまして、この点については終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。      ————◇—————

八木一男日本社会党

○八木委員長 ただいま重松参考人がお見えになりましたので、一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。なお、参考人の御意見は、委員からの質疑に対する応答の形でお述べをいただきますので、さよう御了承いただきたいと存じます。  質疑を続行いたします。古川喜一君。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 まだ、出席要求いたしておりました関係各省から、来ておいでにならないようでございますので、いまおいでいただきました重松参考人に御質問を申し上げたいと思います。  去る十二月七日に、イタイイタイ病の原因究明に関する研究班が現地富山市の県民会館で、各班員の持ち寄った分析データについて中間的な検討を加えられた結果、イタイイタイ病の原因とされる重金属カドミウムは、神通川上流の三井金属神岡鉱業所から流出したものと認められるということを新聞発表されておるわけでございますが、新聞発表のとおり、われわれは確認していいのかどうか、まず伺いたいと思うわけであります。

重松逸造財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長

○重松参考人 いまのお話の中間発表といいますのは、実は研究班としての経過報告を先日申し上げたのでありまして、ただいまおっしゃったような意味の結論は、当研究班としては、まだ出しておりません。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 もちろん、当時の新聞等では、中間発表と書いてあるわけでありますが、研究班がその中間的な発表の段階において、いわゆるイタイイタイ病の原因とされるものはカドミウムであり、それが神通川の上流にある神岡鉱業所から流出されておるものであるというふうに考えておられるのかどうか、その点いま一度伺いたい。

重松逸造財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長

○重松参考人 いまの御質問の点を、研究班の究明すべき目標の一つにしているわけでございます。そうしまして、先日のその第二回の班会議のときに、各研究班員のデータを持ち寄りまして、それを検討したわけでございまして、一応いままでの段階では、まだ全部の資料の分析が終わっておりません。特に各班員のデータを相互に比較する、クロスチェックと呼んでおりますが、この相互比較の段階で、まだ重要な分析方法のデータが出そろっておりませんので、その意味で、当研究班としましては、中間経過報告の段階でとどめたわけでございます。ただ、その十二月七日の時点でわかっておりますデータにつきましては、各班員のデータの間でこういう問題点は残っているけれども、この程度の理解はできるという、そういう意味の中間報告は申し上げたわけでございます。その結果は、一部新聞にも紹介されておりましたように、一応、神岡鉱山を中心とした付近の川の水あるいは川のどろにはカドミウムをはじめ、鉛、亜鉛といった重金属類が検出されているが、その上流あるいは下流の地点では、非常に少ないかあるいは全くない、ただその神岡鉱山を中心として検出されている重金属類の量も、絶対量としては、この段階ではまだ非常に微々たるものであるという、その程度の報告をいたしたわけでございます。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 御承知のように、このイタイイタイ病というのは、ずいぶん古くから、大正年間から患者が出ておったんじゃないかともいわれておりますし、   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 文献上初めて出てまいったのは、これは萩野昇あるいは河野稔博士等のイタイイタイ病に関する問題として、初めて文献上あらわれてきたわけですが、それ以前から、やはり地方の特殊病あるいは業病といわれて、非常に特定地域ではありますが、ずいぶん苦しい戦いを続けてきているわけです。だから、皆さんの研究班のあの中間発表というものは、非常に暗黒の中に一節の光を与えたというふうに、区域住民としては非常に喜んでおるわけなんです。だから、新聞があのように発表すると、もちろん中間発表とは書いてありますが、確定したものというふうに理解をしておる人が多いわけであります。また、われわれも、去る九月二十八、二十九、三十と三日間、社会党といたしまして、角屋堅次郎氏を団長として、華山、児玉、佐野、古川と現地に調査に行ってまいったわけですが、その調査の結果からも、われわれはいろいろ検討した結果、やはりあの病気の原因はカドミウムであろうし、そしてまたそのカドミウムは、神岡鉱山を無視して語ることはできないという結論を出しておったわけですから、そういういろいろな総合的な考え方が、ちょうどあの新聞の発表、中間発表と一致するものですから、これはもう間違いないというふうに意思を固めておるわけです。だから、われわれとしては、あの状態に基づいて、さらに二月ともいわれておりまするし、四月ともいわれておりまするが、最終的結論を出すのだということを伺っておるわけですが、いつになったら最終的結論が出るのだろうか、そのことをまず伺いたいと思うわけです。

重松逸造財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長

○重松参考人 われわれ研究者の立場といたしましても、ともかく一刻も早くその真相を解明して、本病の実態を明らかにする、そうしてその予防対策を確立したいと考えておるわけでございます。その意味から言いましても、本年度の研究課題に対しましても、全力を注いでやっているわけでありますが、先ほど申し上げましたように、何しろこの検体の数が非常に膨大でございます。それからいろんな検査方法をいまやっているわけでありまして、特にいろんな分析値につきまして、最終的なことをいまの段階で申し上げられないという意味は、分析のきめ手の一つになります放射化分析という方法のデータが、来年の一月ぐらいでないと結果が出てこないのでございます。それから、現在までに採取しました材料の中で、ただいまのお話がありましたような神岡鉱山あるいはそのほかの場所に、一体カドミウムが由来したところがあるかどうかという、その辺を確認するための材料がまだ全部分析し終わっていないわけでございます。特にこの十月と十一月に、鉱山の中にございます昔の堆積場からのどろあるいは土でございますが、そういう検体をボーリングをいたしまして、われわれ研究班に鉱山側から提供してもらったわけでございますが、それの分析が、特に昔のいろんな状態を知るために非常に重要な資料だと考えられますが、これがいま現在続行中でございますので、こういうデータ類が出そろうのは、非常に急ぎましてやはり二月あるいは三月になるのではなかろうかと考えております。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 じゃ伺いますが、この財団法人日本公衆衛生協会のイタイイタイ病の原因究明に関する研究班というものは、いつ編成されて、これでこの研究をやってから何年ぐらいたっているのでしょう。

重松逸造財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長

○重松参考人 この四十二年度のいまのこの研究班は、本年度でございますので、実際の第一回の会合をいたしましたのがことしの六月の三十日でございます。ただしそれと同じメンバーで、同じ目的の研究は、やはり同じ厚生省の公害調査研究費によりまして、昭和四十年度、四十一年度、二年間続けてやってきております。それからさらにさかのぼりますれば、御承知かと思いますけれども、昭和三十八年に、厚生省の医療研究助成金並びに文部省の科学研究費によりまして、三十八年度から三十九、四十と三カ年間やってきております。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 関連。重松参考人に、富山において、班員の分析資料の検討と意見交換、そういう中から一応明らかにされたという問題点、それが公表されているわけですね。すでに富山県からは、井戸水から九、河川水から十八、底質土から十、米から二十一、米をとったあとの田のどろ二十一、これだけのものを七月から八月にかけて採取をして、それを分析しておられる。その結果どういうことが報告されたか、それで意見の不一致はどういう点か、もちろん放射化分析もありましょうけれども、境段階においてどういう経過になっておるか、その経過をもう少し具体的に、皆さんが公表された範囲内において、報告していただきたいと思います。

重松逸造財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長

○重松参考人 先ほど申し上げたとおりなんでございまして、いままでにわかっておりますデータの中で、まだ不一致の部分というものはもう一度再検討をしようということになっております。  それから、いまお話の出ました放射化分析のデータ、これがやはり一つかなり決定的な標準値になる成績でございますので、これをぶっつけ合わしてみて、さらに現在の成績を評価しようということで、そのいまの段階で集まっているデータは、まだ正式に皆さん方に公表すべき段階のものではないということが、われわれの研究班の一致した意見でございますが、ただそうは申しましても、現実にいままで集まっておりますデータの中では、先ほど申し上げましたように、川の上流、鉱山よりも上流の部分と、鉱山よりも下流の部分では、ほとんど出てこない。そして鉱山を中心とした川水あるいはそのどろからは、微量ながらカドミウムはじめ鉛、亜鉛といった重金属が検出されている。その意味から言いまして、やはりこの鉱山を中心とした検討というものをもっと続けてやる、特に先ほど申し上げましたように、鉱山の中の昔の堆積物の分析値というものが、その川の水の中に、鉱山からはたして大量にカドミウムなどが流されたかどうかということを判定する上の一つのきめ手になるであろうという意見が出たわけでございます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 どうもおかしいですね。私が言っているのは、具体的に井戸水の九カ所、これの試験結果が、岡山大学なり金沢大学あるいは県の衛生研究所なりにそれぞれ分析を依頼したり、あるいはやっているわけでしょう。そのデータを持ち寄って分析会が開かれた。そこで全員の一致するものとして、大体具体的に公表になっておるじゃないですか。国会でそういうおかしな、抽象的に湾覆水の中で上流でこうだああだとかということではなくて、皆さん自身が公表されている中に、具体的に問題を、たとえば河州水の場合におきましては、神岡鉱山の排水口の中あるいは上流あるいは鳴子橋までの間において、あるいは婦中町付近、そこではどういう結果が見られたか、こういう点、データとしてお互いがそれぞれ了解をした、こういうふうなことでしょう。分析方法もお互いに協議して、それに基づいて——いままでは放射化分析をそれぞれのサンプルなりそれぞれによってやっておられた。もう一度吟味しようじゃないかということで、分析方法なりその他を決定して、金沢大学なり岡山大学なりあるいは富山大学なり県の衛生研究所なりで分析、それを持ち寄ったわけでしょう。それに基づいて具体的に報告が公表されておって、国会の中では全く抽象的で、川の上流では少なかった多かったというようなことでは、全く私は了解に苦しむので、もっと具体的に公表されたものとして、井戸水ではどうだったんだ、川の質はどうなんだ、米の中ではどうなんだ、米をとったあとの田ではどうだったんだ、どういう化学分析によって——スペクトル分析だろうと思いますけれども、しかし、そういうものはすでに分析法として確立されておるわけでしょう。それに基づいて、お互いに手分けをして分析したわけでしょう。そのデータが中間経過報告として公表になっておるわけです。それを国会で明らかに報告してもらいたい。同じことを要求するにすぎないのですよ。抽象論はもうけっこうなんです。

重松逸造財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長

○重松参考人 どうも私の答え方が悪かったのかもしれませんが、だいぶ誤解もあるのではないかと思うのでございます。  いま仰せのように、もちろん先日のときには、皆さんの具体的な数字を持ち寄ったわけでございます。現に私、いまここに持っておるわけでございますが、ただ、いまお話しのように、どこどこの水、どこどこのどろに何PPMあったかという具体的な数字を、この研究班として確認するには、まだ放射化分析なり、あるいはその持ち寄った数字の中でも、おかしな部分はもう一ぺん検査をするなり、そういうことを確かめた上で公表しようというのが研究班の意見であった、ということを申し上げたわけでございます。ただしかし、皆さんの持ち寄った全体のデータの中では、先ほど申し上げたようなことは共通して言えることであるということで申し上げたのでございまして、だから、どこどこの井戸水が何PPM、どこの排水の部分が何PPMということを、いま最終的にきちんとした研究班の正式な数字としては、申し上げる段階ではない、ということで申し上げたのでございます。だから、先ほどの、どこに多い、どこに少ないという、抽象的といえば抽象的かもしれませんが、そういう現象は、もうみんなできちんと協議して確認しているということでございます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 もう少し具体的に、国会で経過を発表できないわけですか。たとえば米の場合におきまして、岡山大学の小林教授が、教授自身の分析によって、学会に発表をしておられる。それと、今度の皆さんの検討会において発表されている数字とが全く一致しているでしょう。ですから、疑問点というものはもう解消されているくらいで、白米の場合、カドミウムが平均〇・〇六だ、ところが今回の場合におきましては、それぞれ五十倍に近いカドミウムが検出された、こういうぐあいに報告されておるじゃないですか。しかもこの報告内容と、昭和三十六年ですか、小林教授が学会において発表した資料とほぼ同じものがここに証明されてきておる。そういうことはみな確認したんでしょう。小林教授自身がやられた。しかしながら今度は分析方法をお互いに統一をして、それに基づいてスペクトル分析をやった。しかも米の試験の材料は、富山県の衛生研究所立ち会いのもとにやっているわけでしょう。その資料を分析した分析方法も統一されているわけでしょう。ですから、そういう結果は同じものだ。学会への報告も昭和三十六年にされており、かつまた今回の報告もほぼ同じく、白米に五十倍にものぼるカドミウムが発見された、こういうことをすでに明らかに皆さんは検討会において公表されておるわけでしょう。新聞社並びに富山県に対して報告し、国会においてどうして報告できないのですか。具体的に、それぞれの個所におきましては、たとえば神通川の下流の河川水には幾らのカドミウムが見られた、婦中町には見られなかった、排水口の中には少しは見られた、それぞれPPMによって表現されておるでしょう。そういう経過報告を富山県にする。新聞社にも公表する。しかしながら、まだまだ疑点があるから、国会においては——しかも皆さんの意見が一致したものはこうであるんだ、しかし最終的な結論は四月だ、そういう経過報告をやっておるわけでしょう。なぜ、国会でそういう具体的な点について報告できないのですか。

重松逸造財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長

○重松参考人 私といたしましては、国会という最も権威のある場所でございますので、正確に申し上げたわけでございます。ただいまの、どこどこが何PPMという数字は、先ほど申し上げましたように、まだ最終的に委員会として確認した数字ではないわけでございます。したがいまして、この席では、わざと皆さんの持ち寄ったかなり食い違いのある数字を申し上げなかったわけでございます。富山県の会議の席あるいは新聞などには報告しているではないかというお話でございますが、その数字は、いまの持ち寄った中で——こういういまの数字は一切、衛生研究所を中心にした数字でございます。この数字はいずれまた将来ある程度の訂正はされるけれども、そういう前提のもとにおいては、こういう数字も出ているという一例を申し上げたわけでございます。たとえば川のどろが上流よりは五十倍ある、あるいはお米のカドミウム量が一番多いところではこういう量があるという例で申し上げたわけでございまして、その程度のことで、そういう前提のもとに御理解願えるのなら、御質問によりまして、ここに私全部の数字を持っておりますので、もちろんこれは隠しも何もするものではございません、幾らでも申し上げさせていただいていいと思いますが、ただ、先ほど来申し上げますように、この数字の中には、まだ食い違いもあるし、再検討しなければならぬものも含まれているから、ということを申し上げたわけであります。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 では重松参考人のほうから、そういう数字でもいいなら述べていいということでございますから、ひとつ発表していただきたいと思います。

重松逸造財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長

○重松参考人 そういう、先ほど来申し上げておりますような前提のもとで御了解願いますならば、まず川の水につきましては、神通川の上流、ほとんど水源に近い穴毛谷という場所がございますが、ここを出発点にいたしまして、神岡鉱山の所在地を通過いたしまして、ずっと下流の鳴子橋というところまで、二十カ所の川の水を採取いたしております。これを四カ所で同時にそれぞれ独立して分析して、その数字を突き合わせて、分析方法とかデータの正確度をいろいろ検討しようということでやっているわけでございますが、衛生研究所のデータを中心に申し上げますと、最上流の穴毛谷には、カドミウムは痕跡程度であります。それから神岡鉱山の上流二、三カ所は、カドミウムは出ておりません。それから神岡鉱山の排水が入ります少し上の部分でございます。やはり堆積場からの排水が一部落ち込んでいるのではなかろうかと思われるところでは、〇・〇〇6PPMでございます。それからあとは神岡鉱山の排水の分析値でございますけれども、四カ所排水が川に注がれているわけでございますが、一番上の亜鉛工場からの排水、これが〇・〇一一PPM、それからあとは工場からの排水でございますが、〇・〇〇五PPM、それから第二排水口と称しておりますちょうどまん中の排水口がございますが、これが一番多くて四・一三PPM——ただこの数字は、実はこの前富山の研究会のときにも、研究班の人が全員一致してもう一ぺん再検査ということになっておりますので、そのつもりでお聞き願いたいと思います。四・一三PPM、これはもう一回再検査をするということで意見が一致しております。それから一番下流側の排水口、これは〇・〇六一PPM、それからあとは川の水に鉱山からの排水がまざっていって、ずっと下流のほう数キロの間でございますが、大体〇・〇〇四PPM、それからあとさらに下流のほう、宮川という川がございますが、それの合流の上あたりでございますが、〇・〇〇三PPMくらい、それから下はもうマイナスあるいは痕跡程度でございます。先ほど抽象的と言われましたが、それは、先ほど申し上げたように、鉱山を中心とした部分ではこの程度のものが出ておって、上流あるいは下流ではほとんど出ていない。それから井戸水につきましては十カ所、これは婦中町を中心とした地区でございますが、井戸の水をとっております。これは全部マイナスでございます。  ただいま、川の水及び井戸水についてカドミウムのことだけを申し上げたわけでございますが、このほかに、鉛及び亜鉛につきましても分析値が出ております。もちろん鉛及び亜鉛はカドミウムよりかなり量が多いのでございますが、大体いまのカドミウムの出現状況と並行いたしております。  それからあとは、川のどろ、それから婦中町を中心とした患者発生地区の水田のどろの分析でございます。それからもう一つ、この秋に採取いたしました婦中町のお米の分析値がございますが、この川のどろにつきましては、水よりはカドミウムの含量が多いのでございます。特に工場排水が落ちている地区のどろは、一番多いところで四〇ないし五〇PPMというところがございます。これは一グラムあたりでございますが、ただしどろの場合は、先ほど申し上げた一番多い最上流地点の穴毛谷というところでも〇・八PPMでございます。それからずっと下流のほうでございますが、そこで〇・七PPM、だから主流と下流は〇・七、八PPMであって、工場の排水の落ちている地点のどろは四〇PPMぐらいあるということでございます。それから、どろにつきましては、井田川といいまして、神通川の水系と全く別の地区のどろも一カ所とっておりますが、これは〇・一PPM、いわゆる対照地区というところでございます。  それから水田のどろにつきましても、まだ全部の分析が終わってはおりませんけれども、カドミウムはかなりあるということはわかっております。ただカドミウムと鉛、亜鉛の分布が多少違いますので、その点をもう少し検討しようということでございますが、特にカドミウムにつきましては、たんぼのどろの上層部に多い、中層、下層部にはわりあい少ない。これに反しまして、鉛、亜鉛は上、中、下層ともわりあい平等に分布しております。それから、たんぼに水を取り入れる水口、それから水が出ていく水じり、それからその中央部、この三地点で分析しておりますが、カドミウムは水口に多い。水じりには少ない。鉛、亜鉛は水口、水じりの差がそう多くないということも、大体いまの数字で推定ができております。  それからお米は、特にこの分析値——まだ検討中でございますので、いまの段階では信用していただかないほうがいいと思うのですが、一番多いところ——やはり十数地点でとってございますが、一番多いところで三ないし四PPMというところがございます。しかしこの三ないし四PPMというのはほんとうの一、二カ所でございまして、あとの数カ所は、いずれも〇・一から〇・五PPM程度でございます。ただ、ここにいま数字をずいぶん申し上げましたが、何回も申し上げますように、この数字の中に、まだ再検査を要する部分も残っている、それからほかの委員とのクロスチェックでもう少し検討すべきものも残っている、そういう御理解のもとで、この数字を理解していただければありがたいと思います。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 数字の点はいま言われたように理解をしておきたいと思います。  よく政治家が地方に出張しますと、いわゆる放言ということをやります。だからこのイタイイタイ病の場合は、現地において新聞紙上で見られるような発表があったときに、長年その病気で苦しんでおった地域住民や、この問題に対して深い理解を抱いて協力していた方々は、これは科学者の方々であり、医学研究班の方々であるから、政治家のように地方に出て適当な放言をする者とは違う、だからこの問題はこれで中間発表というけれども、このままさらに最終的結論が出されて、この中間発表どおりに決定されるものと信じて疑っておらないわけであります。にもかかわらず、先ほどからの質疑で、何らか変な印象を受けたものですから、しつこく御質問申し上げたわけでありますが、そういう過去の例から見ましても、これはやがて——厚生次官も参りましたから、厚生省に対して強く訴えなければならぬと思っていたのですが、どうしてこう長く年月がかかったのか。ということは、やはり三井財閥というものの圧力がかかって、ほんとうの真意というものがただされないのだ、そのために現地では、患者の悲惨な状態を見て何とか処置しなければならないという考えを持って、あるいは研究する、そうしてあるところまで到達するけれども、圧力がかかるというふうに、あまりにも長い年月がかかるから、誤解をしているわけなんです。そこへもってきて、いままた、このことだけを確認したいと思って一生懸命述べているにもかかわらず、それはまだ先の問題であるというふうにおっしゃられると、どうもわれわれは何を信じていいかわからなくなるのでありまして、いま一度お伺いしたいのですが、当時の新聞に書かれているイタイイタイ病の原因とされる重金属イオンカドミウム、ということは、神通川上流の三井金属神岡鉱業所から流出したと認められる、この点を確認していいかどうか、イエスかノーか答えていただきたいと思うのです。

重松逸造財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長

○重松参考人 先ほど申し上げましたように、私個人といたしましても、数年間この病気の原因について研究してまいりまして、先生方以上に一刻も早く真相を明らかにしたいとあせっているわけでございます。それゆえに、なおさらこういう数字と申しますか、科学的な事実というのは正確でなければならない。事実の部分と推定の部分というものをわれわれとしては厳重に区別をして、きちんとしたデータをそろえて、結論を下していきたいということなのでございます。そういう意味で、現在研究を進めておるわけでございまして、先ほど来申し上げましたように、中間的な事実だけからいえば、いま御指摘のような推定は可能なわけでございます。ただ、先ほど来申し上げておるように、いまの数字では絶対値が非常に少ないということでございます。したがいまして、さらに、それでは過去にもっと絶対値がたくさん出た時期があったかどうか、そういう点も究明した上で、いま御指摘のような結論を下せるものなら下したいというのが、いまの私の考え方でございます。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 それでは次官が参りましたから、厚生省のほうに御質問申し上げたいと思います。  このイタイイタイ病の問題は、日本の国の、富山県のごく一地区に出ておる長年の課題でございまして、次官は直接は聞いておられないかとも思いますので、概況だけを申し上げますと、イタイイタイ病は、富山平野を貫流する神通川の左右両岸における一定地域に多発している。その発生地区は、平たん地で、特別な地理的な条件を持っているところであります。神通川を中心として、東方右岸は熊野川、西方左岸は井田川と、それぞれ神通川に注ぐ両支流にはさまれた扇状形地区が多発地区になっておるわけでございます。ここは神通川の川底より低く、海抜水準にあるというような異常な地域であります。これは富山県の地勢が、山から平野から海と、非常に急流な河川であるということを証明しておるわけですが、土砂は急流に運ばれて、川底に堆積し、そのために川底は両岸平野よりも高くなって、この地区以降の下流は平たん地になって、流れもゆるやかになっておるという状態であります。  いま発生する地域を申し上げましたが、イタイイタイ病の病状でございますが、イタイイタイ病というのは、おもに三十五歳過ぎの更年期ごろの経産婦に多いのでありまして、農村にありがちな、腰や肩あるいはひざの痛みを訴えるのを始まりとして、大腿や上膊部に神経痛のような痛みを訴えることから始まりまして、歩くときはおしりを振って歩きますから、アヒルのような歩き方になるというのが特徴であります。それでも、そのころはまだ歩けるが、つえにたよっても歩けないくらいになりますと、つまづいたり、ころんだりしても簡単に骨が折れるようになるわけであります。全く病床生活を送らなければならないというようなころになりますと、寝返りを打っても、笑っても骨が折れるといわれておるわけであります。したがって、そのときは引き裂かれるような声で、痛い痛いを訴えながら、多い人は、全身では最高七十二個所骨折があったという記録もあるわけであります。それから脊椎が押しつぶされて三十センチも背が短かくなったという特徴もあるわけです。このようなひどい病状でありながら、意識ははっきりしているのです。意識は普通であるために、最後まで痛い痛いと苦しみあえぎながら、食べるものも食べないで、衰弱して死んでいく、こういう奇妙な病気でございます。この奇妙な病気に悩まされて死んでいった人の数は、戦後だけでも百名近いと推定されているわけであります。このイタイイタイ病が初めて名前を文献上にあらわしたのは、先ほども申し上げましたが、本病の発見者であり、またその研究の推進者でもあった萩野昇、河野稔両博士が連名で、昭和三十年に第十七回日本臨床外科学会で発表された、イタイイタイ病に関する研究と題する報告において初めてであります。本病自体は、それ以前から、かなり古くから富山県の神通川流域の熊野、新保の両地区付近に存在しておったと言われております。このことは、先ほど申し上げました萩野昇博士が代代あそこで開業しておられるために、萩野氏の記録からそういうことが推定されているわけでございます。  以上が、大体発生地域の状態であり、患者の病気の症状であります。いま言いましたように、文献上出てきたのは昭和三十年であるが、それ以前から富山県としても、あるいはもちろん厚生省のほうにもきているようですが、イタイイタイ病の対策というものがあるはずです。にもかかわらず、私が厚生省が怠慢であると言わざるを得ないのは、近年ようやく真剣にこの問題に取り組まれているという状態であります。近年ようやくその患者に対処する医薬がはっきりしてきたわけですから、金さえあれば何とか快方に向かっていくという情勢になってきているわけですが、むしろもっともっと以前にこの問題が取り上げられて、研究されて、原因を究明する、そしてまた神岡鉱山のカドミウムが原因であるとすれば、そのことの処置対策というものを適切にやられておるとするならば、これだけ国民が苦しむこともなかったであろうし、そういう悲惨な病気も、もっともっと小さい範囲で終わっていたと思います。そういう点では、私は全く厚生省が怠慢であったと言わざるを得ないと思うのですが、その点についてどのように考えておられるか、伺いたいのであります。

谷垣專一自由民主党厚生政務次官

○谷垣政府委員 私も新米でございますので、あまり詳しいことは存じておりませんけれども、就任いたしまして、イタイイタイ病というものの存在を聞き、またいろいろと部内の者の報告を聞いているわけでございます。確かに昔からあったイタイイタイ病に対します対策が、今日このような状況であることは遺憾なことでございますが、日本各地にいろいろございますその土地土地の風土病の対策というものが、近年ようやくそれぞれ明らかにされ始めている。あるものについては対策がはっきりしてきた。日本各地におきまして、こういう特殊な、その地帯限りで、昔からあるというようなものがあるわけでございまして、このイタイイタイ病も、学会等で報告されましたのは、御承知のとおり昭和三十年が初めてだというようなことで、自来厚生省のほうといたしましても、何回かの研究委託費等を出しまして、その対策なり原因究明に努力をしてまいったわけでありまして、きょう御出席の重松先生を班長としての調査班も、その何回かの調査班の一つでございまして、この研究調査結果が明確になることを私たちも望んでおる、こういう状況でございます。何と申しましても、原因がどういうところに由来するかということの究明、それから、それに対しまする対策をどうしたらいいか、原因の究明がはっきりいたしませんと、対策自体も抜本的な対策ができかねる。そういうようなことにつきまして、現在の調査結果の報告を待ちまして、はっきりした態度を示さなければならぬと思いますし、また、従来、これに対しまする対策として、こういうふうにやったらいいというようなものがそれぞれ出ておると思います。これに対する対策を考えていかなければならない。将来、たとえば患者の負担の問題もございましょうし、適切な医療のほかに、経済的負担の問題等についてどう考えるかという問題もございましょうし、あるいは、原因等の究明がはっきりしてまいりますれば、その地域全体としての、こういうことの起きないための環境整備の対策も確立していかなければならない。こういうふうに、それぞれ原因の究明がはっきりしてまいるにつれて、問題が発展していくものと考えております。そういうようなことで、いままで風土病といわれておったものの解明が、見方によりましては、確かにおくれておりますが、しかし、最近の状況は、この原因に対してもかなり着々と接近が進められておる、こういうふうに考えまして、私たちは今後ともに努力をして、このような悲惨な状況が一日も早く根絶するように努力いたしたい、かように考えている次第でございます。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 いま次官がおっしゃられたとおりであります。悲惨な患者の病状がマスコミで報告されると、そのつど、何らかの形の調査班が生まれてくる、あるいはいろいろの動きがちょろちょろと出てくる、けれども、いつの間にか忘れられていってしまっている、そういうことを繰り返しておったために、いままで有効な対策あるいは原因等が究明されていなかったんだと思うのです。先ほど申し上げましたような、厚生省の怠慢というそしりを返上するためにも、これから積極的に、最終的結論を出す努力をしていただきたいと思うわけであります。それと、いまの次官のことばの中に、原因の究明がはっきりしないと対策もなかなか講ぜられないということでありますが、もちろん、原因がはっきりしてこないと講ぜられない対策もあります。しかしながら、原因ははっきりしなくても、とにかく患者が現存しておるのです。富山県における第三次検診の結果でも、新しい患者もあるわけですから、これは原因が出るまでほっておくわけにはいかないんです。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 現に、厚生省にも陳情に参りました小松美代さん、この方も、金さえあればどんどん通院できるんです。けれども、よほど痛くなると通院をする。少し痛くてもすわっていて何か家の仕事をする。けれども、完全になおれば家庭の仕事ができる人たちが、完全になおらないから、火の始末もしないで火災を起こしたら危険だというので、じっとすわっている。子供さんが帰ってきてから、家内の仕事を共同でやるという程度です。これだって、原因がはっきりして対策が講ぜられるならば、早くなおっているはずです。現在なおらないでおるというのは、やはり金がないからです。このことに対して、われわれ調査団としては、県に対しても、県費、市費を投じて治療すべきであるということを勧告いたしてまいりましたが、厚生省のほうとしても、いわゆる患者救済ということについて何か考えておいでになるかどうか、その点を伺いたいと思います。

谷垣專一自由民主党厚生政務次官

○谷垣政府委員 いまも御指摘がございましたが、環境的な対策のほかに、すでに出ております患者に対しましての対策がきわめて重要だと思います。御存じのとおり、県と町で現在予算措置を検討中でございまして、自己負担分についての補助対策をいまとろうといたしております。厚生省のほうも、これに対して何らかの措置が考えられないかということで、実は検討いたしておるのでありますが、いま、具体的にどうだということを、はっきりこの段階でちょっと申し上げかねるわけでございます。しかし、これは単にこれだけの問題ではございませんけれども、来年度の予算要求として、私たちがいま考えております公害救済基金という制度——これは公害対策基本法ができましたのを契機といたしまして、何とか公害救済基金をつくりたいと思いまして、来年度の予算に要求をいたしておるのでございますけれども、これができますと、いまの御質疑の問題については、対策の一つのもとができると思います。そういうこと、あるいはそのほかのことで、いろいろな健康調査その他について何か手はないかということを実は部内で検討いたしておりますので、もう少し努力をさせていただきたい、こういう段階でございます。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 いま申し上げましたように、第三次検診で新しい患者も出ておるという状態でございますから、それはやはり飲料水にも深い関係があるわけです。いま川の水を直接飲料水に使っている人は少ないようでございますけれども、川の水で歯をみがいたり、食器類を洗ったり、野菜を洗ったりというふうなことはやはりやっておるわけであります。そこで、地元の住民としては、上水道を設置してもらいたい、その上水道は、われわれには無料でやってもらいたいということを町に対して申し入れをしておるということですが、町としては、小さい町で、しかも家屋が連檐している密集地帯でもないところで上水道をやると、ばく大な金がかかるということで悩んでおるわけです。あと、農林省や通産省の方々にも御質問申し上げるわけですが、こういうこれからの対策に対しては、一県、一市、一町村ではとうてい解決できない財政的負担がかかってくるわけなので、厚生省のほうでも、そのことについては、患者のことはもちろんでありますが、その環境整備のためにも、たとえばいま申し上げました上水道等の件についても、格別な御配慮を賜わりますようにお願いを申し上げておきたいと思います。さらにまた、重松班長には、今日までいろいろ御苦労願ったわけですが、さらに研究を急いでいただいて、すみやかなる結論を出していただきたい。区域住民はそれを大きく期待をして待っておるわけですから、そのことをお願い申し上げまして、私の厚生省関係の質問を終わりたいと思います。

谷垣專一自由民主党厚生政務次官

○谷垣政府委員 いま御質問がございましたような水道は、環境衛生の立場として非常に重要な対策になると思いますが、現在婦中町の水源の調査をいたしておるような状況でございまして、その結果によりまして、当然水道の布設問題が起きてくるが、厚生省といたしましても、できるだけの努力をいたしたい、かように考えております。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 次に、農林省の方に御質問申し上げたいと思いますが、この地区は、昭和四年に神通川の堤防改修が完成するまでは、毎年のごとくに川がはんらんをしておったわけであります。昭和四年以降は堤防の改修もできて、はんらんということもめったになくなったわけでありますが、しかしながら、ひどい雨等になりますと、上流から白濁した汚水が流れてきて、農作物に被害を与える、あるいはアユやなんかが浮いてしまう等のことが往々にしてあったわけであります。したがいまして、ここの地区の農民に対して、この神岡鉱山から補償費が出ておったわけです。昭和二十八年から三十九年まで三百万円、それから、契約年限が切れて、昨年契約更新をしたのですが、二百五十万という微々たる補償費が出ておったわけですが、そのことを、農林省のほうでは御承知だったかどうか。

上田克巳農林省農地局計画部資源課長

○上田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がお話しの、会社から出ておりました金額につきましては、私たちも存じております。昭和二十四年から始まりまして三十九年まで、それから四十年から四十四年の間、毎年二百五十万円ということで、金が支払われているということは存じておりますが、それはどうも補償費ということではなくて、増産協力費というような名目であったように存じております。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 それは、あなたも御承知と思いますが、経営者がえてして使うことばなんです。何にも関係のないところに、増産奨励費とかなんとかというものを出す必要がないので、ただ補償だというと困るということで、そういうごまかしをやるわけで、農民のほうは、何でももらえればいいと思って、それで妥協しているということなんです。そこで、大体その金額が適当であると考えておられたか。あるいは、増産協力費だというから、稲作に対しての被害等は皆無であるというふうに理解しておられたか、この点を承りたいと思います。

上田克巳農林省農地局計画部資源課長

○上田説明員 被害の発生しております範囲が、神通川以南二千七百町歩余りであるということは存じておりますが、その被害の額がいかほどにのぼるかということについては、しかと存じておりません。そのために、先生のおっしゃいます補償費、増産奨励金というようなものの額が妥当であるか妥当でないかということについては、見当がつきません。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 全く無責任な答弁だと思うのです。というのは、やはり農林省というのは、農民の立場に立って、増産やあるいは農家経営が向上していくことを、政策的に行政的に指導していくところでしょう。にもかかわらず、そういう被害があるということは知っておりますが、その額が適当かどうか知らないということになると、はなはだ無責任だと思うのです。このイタイイタイ病というものが、富山県のこの地区で問題になっておって、農作物に被害があるということも知っておった——では、具体的に調査をされたことがあるかどうか、承りたいと思います。

上田克巳農林省農地局計画部資源課長

○上田説明員 全国の農業用水の水質汚濁による被害の実態について大まかな知識を得たいと思いまして、昭和四十年四月一日現在をもちまして、実態調査をいたしたことがございます。それによりまして、富山県庁の農業水利系統の課から、一定の様式に基づいて報告を得たのであります。それによりまして、ただいま申し上げましたようなことを承知いたしました。しかし、特にこの地区名を掲げて訴えがあったり、それから土地改良事業をやってほしいというような要望はございませんでした。それで、農地局で農業用水の水質問題を扱っている課といたしましては、被害面積が五百町歩以上という水域が、全部で二十一水系ございましたので、年次計画を立てまして、速急にも調査をいたすことにしました。当初の計画では二年間で実施したいと思いましたけれども、予算の都合等ございまして、本年度、四十二年度から始めることになり、第一年度は五水域分だけ調査費がつきましたので、四十二年度はほかの水域を調査しております。来年は十水域の予算要求をしておりますので、予算のつき方とも関係ございますが、本水域について調査を開始いたしたい、かように存じております。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 ここに、昭和十六年に大被害が起こりまして、十八年の七月に、農林省の小作官補石丸一男氏と農林試験場技師小林純——いま岡山大学においでになりますが、この二人の調査が、農林省農政局長石井英之助殿という復命書となって出ておるのです。これは富山県における神岡鉱山の影響による初めての農業関係の被害であります。簡単に読んでみますと、「神岡砿業所(岐阜県吉城郡船津町所在)ヨリ排出セラルル汚毒水ノ農業被害状況」ということで報告されておるわけです。「神岡砿業所ヨリ排出セラルル汚毒水ニヨル農業被害ニ付デハ昭和七年洗砿沈澱施設ヲ講ズルコトト相成一応解決ヲ見タルモニ、三年来再ビ其ノ被害顕著トナリタルヲ以テ不取敢ハ昭和十五年度二於テ鉱毒流入防止応急的施設ヲ講ゼシメ相当ノ効果ヲ収メタルモ経費ノ都合上其ノ後ハ事業中止ノ已ムナキニ至レリ」「然ルニ昨年十六年二於テハ不良天候ト相俟ツテ其ノ被害愈々増大セルラ以テ関係農民ヨリノ対策樹立要求ノ声喧シク六月二十九日関係町村代表者ノ三井砿業所二対スル陳情トナレル次第ナリ 本被害ヲ為ス原因二付テハ調査ノ結果砿山及精錬所ヨリ排出セラルル水ガ神通川二流入スル為之ヲ灌漑スル水田ハ稲ノ生育二猛烈ナル害毒ヲ與フルモノト思考セラル而シテ害毒ヲ及ボスベキ主ナルモノハ鉛及亜鉛又ハ其ノ化学物ナルベシ尚本被害ハ神通川両岸ノ諸町村約四千町歩二及ボサルルモ其ノ被害ノ顕著ナルモノハ調査ノ結果九百六十四町二反ニシテ六千四百八十四石余ノ減収ノ見込ナリ」、こういうふうに被害状況が出ている。そうすると、これは鉱毒被害によって四千町歩あるいは顕著なものは九百六十四町二反の地域に被害を及ぼしているのですから、普通水害でたんぼへ冠水をしたというようなものと違うわけですね、鉱毒だから。それは先ほど重松先生がおっしゃったように、土壌に沈でんしているわけですから……。こういうものが出ておるにもかかわらず、その後何ら対策をやっておらない。しかもここにはさらに詳しく分析の結果も出ているわけです。「亜鉛及鉛ノ水稲二対スル被害二就テハ水耕試験二依レバ〇・〇〇一%以上有害〇・〇〇二%以上デハ枯死ス」枯れて死ぬと書いてあるわけです。「土壌試験二依レバ(土壌土性二依リ差異アリ)〇・一%ニテハ収量半減シ〇・二%以上ナレバ生育不能ナリト称セラル」というて、そのころの亜鉛なり鉛がいかに猛毒であったかということをあらわしているわけなんです。だから農林省としても、いままでのことをわれわれがとかく責めてもいたしかたがないと思いますけれども、これからはやはり問題だと思うのです。先ほどからの厚生省との論争で聞いておられたと思いますが、米にもカドミウムが含まれておる。もちろん新聞にも重松先生が書いておられるように、多量にカドミウムを含んだものを三度三度とっておるならばとにかく、そうでなければ、人体には被害がないといわれるものの、やはりあまり気持ちのいいものではないのですから、これらをどうするかということが問題になってきているわけなんです。それで地元としては、やはり土壌を入れかえたい、そのためにはやはり土壌改良、客土をやりたいという要望も出てきておるわけなんです。これも先ほど申し上げましたような、一県、一市ではできるものではないのですから、この問題に対しても、これから農林省としても格別な御配慮を願いたいと思うが、これらに対してどのような考え方を持っておるか、承りたいと思います。

上田克巳農林省農地局計画部資源課長

○上田説明員 昭和十八年当時の調査によりまして、鉱毒被害が認められる、それに対して何がしかの対策をとらなければならないというような事情にあったということは、その後、県当局からの要望なり状況説明がとだえておりましたので、承知いたしておらなかったわけでございます。それで、先ほど申し上げましたような事情で、現状をとにかく把握いたしましたので、一そう詳しい状況の調査に乗り出そうとしているのが実情でございます。そこで、先生がおっしゃいました汚染土壌の排土、それから優良土壌の客人というようなことを、もし現地が希望しているのでありますれば、御存じのように、土地改良事業は申請事業でございますので、そういう申請が出てまいらなければならないわけでございまして、農林省のほうから積極的に話を持ちかけるというわけにはまいりませんので、そういう手続がとられるのを待つか、あるいはそういう方法があるということをこちらから地元のほうに知らせるようにしたいと思います。  さて、その排土なり客土なりがどのくらいの効果があるかということにつきましても、さっそくに調査いたしたいと思います。それのコストとベネフィットとの関係もよく考えて、事業化のほうを考慮いたしたい、検討いたしたい、かように存じます。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 次に、通産省の鉱山保安局からだれかおいでですか。——役所になわ張りがあるとするならば、通産省は加害者側のなわ張りであるわけでしょう。そういう立場からですか、どうも通産省のほうとしては、被害を受ける側でないから、この問題をおろそかにしてきたのじゃないだろうかという印象を受けるわけです。先ほども申し上げましたように、昭和十六年にも、神岡鉱山が農作物に対する大きい被害を出しているわけです。そしてまた近年イタイイタイ病が急激に表面に出てきて問題にされ、いろいろ神岡鉱山に対しての調査にも、表面上の調査には協力されるけれども、あるいは土壌を採取するとかなんとかというと、何だか向こうのほうははっきりしないし、また通産省のほうも、それに対しては協力的ではなかったというふうな印象を受けているわけなのです。それと、先ほどから問題になっておりまする十二月七日における研究班の中間発表の際に、通産省もこの問題を追究していきたい、本年度中にも調査班をつくりたい、あるいは合同でやるか単独でやるかということをいまごろ発表しておられるわけなのですが、いままでどういう対策をとってきておいでになったのか、この点を伺いたいと思うわけであります。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○西家説明員 鉱山の坑廃水並びに堆積場から流出いたしますような堆積物に対する監督でございますが、通産省のほうではかなり古くから、旧鉱業法時代から、旧鉱業法に基づきます鉱業警察規則によりまして、施設の認可と監督をやってきたわけでございます。さらに昭和二十四年から、鉱山保安法ができまして、鉱山保安法並びにそれに基づきます金属鉱山等保安規則によりまして、同じように鉱山から出ます坑水、廃水並びに堆積物の管理監督をやってまいったわけでございます。  最初の昭和十六年ごろの監督状況でございますが、当時の賠償問題その他、具体的に神岡鉱山につきましての資料がなかなかないのでございますので、はっきりはわからないのでございますが、当時の監督といたしましては、大体鉱山から出ます水が酸性であるかどうか、酸性度がどうなっているか、こういうことが一番大きな点でございました。もう一つ大きな点は、鉱山から出ます廃石のこまかいものを堆積場に積むわけでございますが、これが堆積場の堰堤を越えて流れるかどうか、こういうような点につきまして監督をしてきておったわけでございます。PH、坑水の酸性度につきましては、石灰を入れまして中和をいたしまして、酸性を中性のものにして流す、こういうような監督をやってきたわけでございます。堆積場につきましては、逐次認可基準等を厳格にいたしてまいったわけでございます。鉱山保安法ができまして以来、もう大体堆積場の設置基準につきましては、非常に厳格にその後してまいりまして、現在に至っているわけでございます。坑廃水につきましては、当時やはり酸性度という点につきまして特に重点を置いて監督をしてきたのでございますが、昭和三十四、五年から、当イタイイタイ病の問題がいろいろいわれるようになりまして、われわれ昭和三十六年ぐらいから、イタイイタイ病がカドミウムに関係があるのじゃないかというようなことを聞いてまいりました。それ以前は、実はそういうカドミウムについて、どのくらいのカドミウムが鉱山から出す水の中に含まれておるかという調査は一切やっていなかったわけでございます。そういうことにかんがみまして、それ以後は、このカドミウムに焦点を合わせまして、昭和三十八年以来三回にわたりまして、鉱山の周辺並びに一連の水系につきまして、水の調査を行なってきたわけでございます。現在までのところ、昭和四十二年の調査におきましては、これは先ほど厚生省の研究班班長のおっしゃいました調査班と同時に、同じ場所で水を取って分析をいたしたわけでございます。それからその他の土壌あるいは堆積物の採取並びにその分析につきまして、これもやはり厚生省と密接な連絡をとりまして、お互いに協力し合いまして、同時に同じ試料を取った、こういうことになっている次第でございます。  なお、現在までの調査いたしました坑廃水の分析結果によりますれば、神通川の実際に現在利用しておられます支川におきましては、カドミウムが、現在の分析技術でもまだ乗ってこない。山元では確かにまだ検出はされるのでございますが、利用支川ではカドミウムが検出されない、こういうような現況でございます。  なお、私どもこれから調査をいたしたい——もうすでに一部始めておりますが、これは過去の坑廃水の処理というものがどういうものであったか、過去の水のデータがないものでございますから、これを類推するために、いろいろ当時の採鉱、選鉱、製錬状況あるいは記録等によりまして、また今後現実に堆積物の分析等、あるいは厚生省の行なっておられる調査結果等を参考にいたしまして、原因追及をやってまいりたい、こういう意味で、今後鋭意調査をいたしたい、かように考えておる次第でございます。

古川喜一日本社会党

○古川(喜)委員 相当時間もたちましたので、終わりといたしますが、いま堆積場は非常にりっぱなものができているわけです。これはわれわれが視察してまいりましたが、いまの状態を見て神岡鉱山の廃かすを論じておってもしようがないわけなんでございまして、むしろ戦争中の軍の要請により乱掘した時代が問題じゃないかと思うので、通産省のほうでは、その当時の状況がわかるものならひとつ調査をして、資料を出していただきたいということをお願いを申し上げておきます。  あと、重松参考人には、先ほども申し上げましたが、われわれは簡単に、悲惨な病気であり、残酷であるということを申しておりますけれども、当事者にとってはそれは全く生き地獄だと思うわけであります。でありますから、この問題をすみやかに解決の糸口をつくるためにも、原因究明を急いでいただきたいということを、ひとつお願いを申し上げておく次第でございます。  どうもありがとうございました。

八木一男日本社会党

○八木委員長 佐野憲治君。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 ただいま重松参考人並びに古川委員とのいろいろな応答を聞きながら、非常に感慨深いものを覚えるわけです。私も神通川の近くに生まれまして、大正の、子供のときから昭和にかけて、いつも、当時は鉱毒と申しますか、この問題で、農民あるいは沿岸漁民たちが騒いでおり、いろいろな紛争を見てまいりました長い歴史の中で、ようやく解決への糸口がいま見出されようとしておる。ほんとうに長い六十年間にのぼる歴史的な悲劇だったと思います。  もう一つは、私はちょうどいまはなき南代議士から、富山県に非常に奇病がある、こういうことで、ぜひ調査をしたい、たぶんリューマチじゃなかろうか、こういうので、河野臨床医学研究所の所長である河野稔さんが南代議士をたずねてまいられ、それで、地元の萩野昇博士を紹介をする、こういうことで、私の事務所に、いまはなき東大の細菌学の権威であった細谷先生と一緒にたずねてまいられて、しかも萩野昇博士は、——私の個人的なことですけれども、ちょうど私の姉の女学校時代の友だちが結婚しておられる。こういうこともありましたので、それ以来ずっと見守ってきた者の一人として、萩野博士のいろいろな研究努力がいま成果をあげようとしておるということも感じますので、私自身非常に憤りとともにいろいろな感慨がわいてくるわけであります。  いろいろお尋ねしたい点があるわけですけれども、いまの質疑応答の中から、非常に貴重な教訓と課題が提出されておると思います。これらの点に対して、もっと掘り下げてみたいと思うのでありますけれども、政務次官がどうしても他の委員会のほうに行かなければならない、こういうことでありますので、まず次官にお尋ねしておきたいと思うのです。  皆さんのほうから「公害に係る紛争の処理及び被害の救済に関する法律案要綱」並びに要点、こういうのが出ていますが、これは内部において審議されて、各省との連絡調整という過程を経るのでしょうけれども、これを見てまいりまして、一見私が不思議に思いましたことは、この第二の定義の中の「生活環境に係る公害」のうち、第二条「第二項の規定により含むものとされる財産並びに動植物及びその生育環境を除く。」、こういう規定を置いておられるわけです。わざわざそういう除外規定を設けなければならなかった真意は一体どこにあるのだろうかという点と、かつまた、この苦情調査にいたしましても、従来の苦情、陳情と何ら変わらない。しかも地方自治団体に委任する。年間一万件もこえるいろいろな公害の問題がいま地方自治団体に殺到しておるというときに、過去において見られましたように、何の権限もない、また各省の立ち入り権その他でいろいろ制約も受けなければならない、しかもどういう処理規定があるか、そういう処理規定も現在まで示されていない。地方自治団体の皆さんは、こういう委任事務を受けて苦情処理にあたりながら、ほんとうに困惑しておるということは、公害基本法のときにも、参考人からもいろいろ陳述があったところでございますが、これらに対して、ほとんど何ら変わらない規定を置いておられる。あるいは和解の仲介なり調停、仲裁、こういう規定を置いておられますが、大事な、いま申し上げました基本法の第二条の第一項の規定から、生活環境の重要な部分を除いてしまうということになってまいりますと、この調停なり仲裁というのは、損害賠償というものを含んだ意味における独立の権限を行使するある程度の行政委員会組織というようなものが、私たち出てまいるんじゃないかと思ったのですけれども、これを見ておりますと、どうもこれは、単なる医療費の支給なりあるいは医療手当なり、こういうための前段階としてのそれぞれの機関を設ける、こういうぐあいにしか読み取れないわけですけれども、この真意はどうですか。

谷垣專一自由民主党厚生政務次官

○谷垣政府委員 おそらくいま佐野先生のおっしゃっておりますものは、私たちは、公害基本法に基づきますいろいろな法律をこの次の通常国会にぜひとも提案したい、かように考えておりまして、実は数本の法律をつくるべくいま部内で検討をいたしておるわけであります。もちろん、いまおっしゃいましたような公害が発生いたしました場合の調停、紛争のあっせんという問題の機構をぜひつくりたい、かように考えまして、現在いろいろと部内における討論をいたしております。まだ実は厚生省そのものの案ではございません。その段階に行っていないものでございます。したがいまして、いま御指摘になりましたかなり精密な案件に関しましてお答えをするのには、私まだもう少し練りましたあとの時間を与えてほしいと考えております。しかし部内における討論の一つの資料でありましても、その大まかな問題につきまして、ただいまでも御意見を伺っておきますことは、今後の検討をいたします際の非常にいい参考になると思います。したがいまして、きょうは佐野先生の御指摘になりました問題について、実はまだお答えをする段階ではございませんので、その点はしばらく後の時間をかしていただきたいと考えます。ただ、具体的な御指摘になりました点について、事務当局のほうからお答えをさせていただきますから、その程度で、きょうのところは御意見のみを承っておきたい、かように考える次第でございます。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤説明員 ただいま先生の御指摘になりました法案要綱、これは各省といま折衝中でございますが、ただいま御指摘になりました二点については、まさしく問題点でございまして、議論の過程で、各省との間でも、苦情調査員に対する職務権限、それから、厚生省がこれを立案いたしました関係上、紛争調停の範囲が農水産被害に及んでいないという点につきまして、地方公共団体あるいは自治省等からも意見がございましたので、たとえば職務権限の問題については積極的に規定を設ける。それから農水産被害の問題につきましては、少なくとも都道府県の段階の公害審査会においてはこれを扱うという方向で、いま各省と折衝中でございます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 私が質問しようとする要点は、調査研究機関の機構の整備拡充と、第二点は、被害者に対する医療制度、医療診断機構なり、あるいは医療費なり、あるいは医療手当の支給に関する問題、第三の点としては、いま問題になりました苦情処理なりあるいは紛争処理機構に関する問題について掘り下げてみたいと思うのですけれども、次官が急いでおられますので、まず厚生省関係に一応伺っておきたいと思います。「朝日ジャーナル」の昭和三十七年十二月十六日号に、イタイイタイ病を取り上げておるわけですが、この中でジャーナルの編集部が厚生省をたずねて、当時の公衆衛生局長の尾村偉久という方の談話が載っておるわけです。それには、イタイイタイ病は現地においてもいろいろ栄養説なりその他の問題もあるので、県においてはっきりしないものを、国としては取り上げる段階ではない、こういう意見を述べ、非常に消極的な態度を表明しておられることに対して、いろいろな疑問点を投げかけておるわけですけれども、私がこの点についてやはり考えていただきたいと思いますのは、たとえば富山県の第一線の保健所において非常に苦労したこの人たちの報告書を読んでみますと、カドミウムというものに対して、それを分析するスペクトル分析ですか、こういう機械がないのだ、一生懸命それをやろうと思っても、どこにも機械がない。ただ、昭和三十年ごろに、萩野博士が外国に対してカドミウム中毒に対する文献の紹介をいろいろやっておられる、そういう中からワシントン大学が分析器を萩野博士に寄贈した、それを小林純博士の農業生物研究所に設置された、だからこれ一つしか日本にないんだ、だからわれわれ自治体の現地におけるカドミウムに対する分析が進んでいないんだ、こういうことを文書の中に述べておるわけです。そういう第一線の人たちの苦労、そしてまたアメリカは国務省の公衆衛生試験所ですか、ここから昭和三十七年に一千万円、三年間にわたってカドミウムに対する研究助成をする、それを決定をしてまいっておるわけであります。ですから、三十八年になってまいりますと、初めて厚生省が百万円、文部省が六百万円、それぞれ金沢大学に委託研究という方法をとってまいられた、こういう経過があるわけです。  このことを一つ考えてまいりましても、びょうたる一富山県、しかも片いなかの町医者、この開業医に対しまして、ワシントン大学が貴重なスペクトル分析器材をおくってまいる、あるいは三万ドル、一千万円ですわ、これを支給をする。その中から研究が進んでまいった。こういう中で考えてまいりますと、やはり古川さんが先ほど指摘いたしたように、厚生省の態度も非常に消極的ではなかったか。しかも昭和三十四年、五年、吉岡金市博士が——いまの金沢経済大学の学長ですけれども、農学博士であり、かつまた経済学博士である。この方もまた岡山大学の小林教授と一緒に研究所におられた。当時は同朋大学の教授でもあった。この方々が富山県農民の依頼によって、冷害なり鉱害、こういう問題の調査にお見えになった。このときに初めて、いろいろ採取したものを、米なり野菜なり動物なり、そういうものの中から分析するために、小林教授のもとへ依頼をした。その分析結果が出てまいって、初めて稲なり植物なり動物にも見られるとするならば、人間にも鉱毒がひそむはずだ、こういうことの一本研究で、三十五年には、萩野博士が取り扱った遺体、その内臓、こういうものを岡山大学に送って、さらにまたカドミウムといわゆるイタイイタイ病との関係を明らかにするための方向が出てまいっておったわけです。そういう段階なればこそ、アメリカの公衆試験所も助成金一千万円をよこしたのだろうと思います。そういうことに刺激されまして、富山県も独自で昭和三十年からやはりやっておるわけです。そういうことを考えてまいりますと、河野博士と、いまはなき細菌学の細谷博士、これらの人たちが研究を始めてまいって、しかもその研究のいろいろな困難な問題を解決していくために、どれだけそれらの金が貴重な研究を育ててまいったかということを考えますと、一体日本の政府はどうなんだろうか。しかも「朝日ジャーナル」あたりが非常に疑問を投げかけておるような当時の状態だったということを考えてまいりましても、私は非常に遺憾だと思いますし、特に医療機関の鉱害問題におけるところの調査研究、こういう総合的な研究機関というものが、中央に、地方に、あるいは事が起こりますならば、いままでのような公衆衛生院から重松博士のような方が出向いてまいられる。あるいはまた金沢大学の中でそういうような組織を持つことはできますけれども、現実の問題として、地方へ参りますと、たとえば富山の県庁にいたしましても、あるいは職員の専門的な知識を要求してまいっておる、相当高度な観測機械が必要になってくる、分析も必要になってくる。そういうものに耐えることのでき得ない地方財政であることをよく御存じだろうと思うのです。そういうことを考えてまいりますと、やはり中央において、地方において、常設的な調査研究機関、この整備が急がれるのじゃないか。私は一万件もの苦情、その中に、なおも苦情を申し込んでいない中で、やはりいろいろな問題が存在しているのじゃないかということを考えるときに、イタイイタイ病の戦いの歴史の中から、やはりそういうことを痛感するわけです。そういう点に対して、厚生省としては、一体、公害対策基本法の中でも、それらの問題に対する規定が見られますけれども、どういう方向で対処しようとしておられるのか、それらの点についても一応お聞きしておきたいと思います。

谷垣專一自由民主党厚生政務次官

○谷垣政府委員 非常に詳しく佐野先生からお話がございましたように、確かに三十年に学会への報告がございましたあと、富山県当局の手によりまするこれらに対する調査が始められて、直接中央の官庁、厚生省、文部省等がこの案件に関しましての調査を、委託費等の形におきまして、お願いをし始めましたのが三十八年以降のことでございます。その間におきまして、その地方におられる特殊の方、あるいは学界のその問題について注目をされた方々が、非常に苦労をしながらこの問題を取り上げられましたことに対しましては、私どもも深甚な敬意を表するものでございますが、何ぶんこの公害問題というもの自体が、いわば昔からある部分はこのような形でありましても、公害問題自体の発展と申しますか、対策が進み始めましたのは最近のことでございます。私たちは過去におきますかような、私たち厚生関係その他中央におきまする態度というものが、今回の公害基本法等の成立を機にいたしまして、将来へ向かって確実にこれらの対策を進めていくような努力を進めてまいらねばならぬと、いま考えておる次第でございます。  佐野先生のいろいろと御指摘になりました対策の機関あるいはその他の案件に関しましても、今後の施策の中にそれを実現していく、そういう形におきまして、ただいまの佐野先生の御質問に対して、私たちはお答えをさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 もう一点だけ。医療費の問題で、古川さんからも言われましたが、富山県は十二月定例議会におきまして、患者に対する入院並びに通院の治療代を全額負担する、一部は地元市町村に、こういう条例で、さっそく査定委員会を設けて出発するというわけなんですけれども、この点につきまして、厚生省としては、富山県が財政需要の中で見切れない特別な財政需要が出てまいった、こういうことに処置するのに対して、何らかの対策を持っておられるかどうか。関連して、自治省との間に何らかの話し合いがあるかどうか。厚生省自体は、いま申しましたような法律も出ていない、予算的なものもない、予備費を出すということに対しましてはいろいろ問題があろうと思います。そうすると、結局この問題は、自治省と皆さんとの間の話し合いの中で解決する、そういう点を考えておられますか。

谷垣專一自由民主党厚生政務次官

○谷垣政府委員 先ほどもお答えをいたしましたように、具体的な案件といたしましては、来年度予算の中に、公害の救済基金制度を実は実現いたしたいと思って、要求をいたしております。また、研究委託費等の問題について、何らかのこれに対します対策がとれるのではないかということで、検討をいたしておりますが……。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 現在の問題を、地方財政の面から……。

谷垣專一自由民主党厚生政務次官

○谷垣政府委員 ことしの問題いま現在の問題につきましては、事務当局のほうからお答えをさしていただきますが、自治省等との話は、現在まだ進めておりません。

八木一男日本社会党

○八木委員長 政務次官、時間が迫っていますが、また来てもらいますが……。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 どうぞ、いいですよ。  自治省の財政課長にお聞きしますが、富山県がいまのような基準財政需要の中に入っていない特異な支出をする、こういう点につきまして、これは特別交付税というものによって救済をする、こういうことも考えられるわけですが、特に特別交付税のなには十二月末日をもって締め切り、二月交付、しかも十二月の定例県議会に提案になっておる。これに対しましてどういう見解を持っておられますか。特別交付税をもって措置するか、その点に対して……。

首藤堯自治省財政局財政課長

○首藤説明員 ただいまのイタイイタイ病に関します富山県の支出の問題でございますが、ただいま、本年度の特別交付税の交付額を決定いたします作業の事情聴取中でございまして、まだこまかな内容について聞き及んでおりません。従前、特殊の風土病に対しまして特殊の対策費が必要である場合におきましては、当該対策費は当該団体の財政状況と見合わせながら、非常に多額にのぼる、こういう状態になれば、もちろん特別交付税で措置をいたしてまいるわけであります。しかし、今回の富山県の内容につきましては、なお十分事情を聴取の上、検討いたしたいと考えております。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 その点においても、私は実に怠慢であり、無責任ではないかと思うのですがね。現に見ておれない。痛い痛いと言って、意識はしっかりしているのですが、骨が七十何カ所も折れておりまして、からだは三十何センチも縮まっておる、そして現に死んでいくのを見ておるわけにいかぬじゃないか、こういうことで、応急の措置としてとるわけなんですけれども、この場合には、地方風土病の対策としてということになってまいりますと、特別交付税はやはり当年度におけるところの特異な財政需要に対する措置だ。これは来年も続いてくる。厚生省がいつ基金制度を出すかわからない。予算要求はこれからやりましょうということになってまいりますと、これは普通交付税の中で測定単位の中に入れるか、あるいはまた、来年もまたそういう場合におきましては特別交付税でやっていくということになってまいりますと、特別交付税そのものの制度がくずれてしまうのではないですか。毎年毎年そういう需要が出てくると、特異なある年度に限る基準財政需要に対する特別交付税という性格自身がくずれてしまうのではないですか。それらの点はどういうぐあいに……。

首藤堯自治省財政局財政課長

○首藤説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、もう御案内のように、普通交付税は一定の単位費用に一定の数値をかけてという算定方式をとりますので、全国にその需要が非常に均てんをしておると申しますか、どこの府県にでもあるものしか、普通交付税の算定は実はできないわけであります。このような特殊の風土病の対策は富山県だけのことでございますから、単位費用をかけて算定するという普通交付税の算定方式には乗ってこない。したがいまして、このようなたぐいのものは、普通交付税に算定できない特殊の財政需要といたしまして、特別交付税の算定の際に考慮をすることになるわけでございますが、問題は、その所要額が、県の財政状況に照らし合わせまして非常に大きな額になると申しますか、支出ができないという状態であると申しますか、そういう財政の状況とにらみ合わせながら処置をすべきだ、そのように心得ておりますので、ただいま検討中であると申し上げた次第でございます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 厚生省と自治省と、もう少し緊密な連絡を持って、本来は国がこれらに対する責任を持たなくちゃならないのに対して、あるいは鉱山が持たなければならない原因、因果関係が明らかに想定されるのでありますが、とりあえず、これは黙っておれないじゃないかということから、地方財政の逼迫するおりに、特に財政支出をやる。国の責任を感ずるなら、富山県におけるそういう事態を、富山県独自でやっておるんだから、これに対して自治省ともっと真剣に話し合われるべきじゃないか。しかも特別交付税の支出は十二月末日をもって締め切られる。そういう時間的にも急がれるときに、自治省は、冨山県に照会をしてみます、厚生省は、そういうことを富山県がやっておっても、それはいまのところ私どもはどうにもならないんだ、来年度の予算であるいは何か基金制度をつくるかもわからぬと言う。こういう無責任な態度は私はないと思うのです。  それはそれとして、鉱山保安局にお尋ねいたしますが、一体、大正から戦時中にかけての鉱山保安に関して、三井鉱山に対するそれらの資料をあなたのほうで持っておられますか。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○西家説明員 実は、当時通産省の前身にあたります商工省の東京鉱山監督局という役所で、岐阜県の神岡鉱山につきまして、旧鉱業法に基づきまして監督しておったわけでございますが、そのときの資料がほとんどございません。戦後の記録はございますが、戦前の資料はほとんどございません。ただし一般的な、どういう監督をやっておったかということにつきましては、ほかのほうとの関連もございまして、調べたのでございますが、大体、鉱山から出る悪い水と申しますのは、坑廃水——物を処理しました水と、それから坑内から出ます水、この坑廃水と、それから堆積場にたまっております堆積物が堰堤を越す、こういう二つの種類のものでございまして、これらにつきましては、認可をいたしまして、一般的には監督をしてまいっておったわけでございます。その監督の主眼といたしますところは、坑廃水の酸性度と申しますか、中の微粒金属類等につきましては、実はその当時はあまり監督をしていませんで、酸性のものが流れると害がある、こういうことで、できるだけ中和をさせる。それから、堆積物が堰堤を越して流れ出さないように、堆積場をしっかりしたものにする、こういうような監督をいたしておったのが一般的なことでございます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 そんな一般的なことならもちろんですが、具体的にそういう資料があるか、鉱山において災害なり保安上の問題があったか、あるいは、従業員の中で特異な病気が発生したというような資料その他が受け継がれてあるかどうか、という問題なんですよ。というのは、神岡鉱山に参りますと、一切の資料はないというわけですね。戦争中のやつは火事があって燃えてしまった、一切ないという。ところが皆さんのほうは、そういう資料というものは、実は、一般的なことなら、鉱業法によって規定されている程度のことをやっていることは当然のことでしょう。しかしながら、そういう資料が現在あるかどうかということ。具体的な、鉱山保安の関係について、あるいは災害について、あるいは特殊な病人——しかもカドミウムというものは当時まだ発見されていない。鉛と亜鉛と一緒にとったあと、捨ててしまっておった。最近になってようやく、カドミウムが非常に貴重な重金属だ、こういうことで、これは採取しておるわけですけれども、戦争中は一体どうだったのか。大正の末期は……。具体的な資料があなたの役所にあるのかどうかということです。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○西家説明員 その点につきまして、資料につきまして、ずいぶん調査をいたしておるわけでございますが、現在のところ、当時の資料が失われておりまして、見つかっていない状態でございます。なお、東京の鉱山保安監督部並びに名古屋のほうの監督部を通じまして、現在少しでも関連した資料があるかないか、鋭意調査中でございます。現在のところ、まだ全然見つかっていないような状態でございます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 大体、カドミウムは、からだの中に入って二十年間ぐらいは体内にあって、それから発病いたし、痛みが伴う。現在発病している人たちは、二十年前ですから、戦争中の影響でしょう。このことを考えてまいりますと、これらに対する資料は、神岡鉱山に行けば、火事のために全部燃えてしまって、提出する何もありません、資料もありません、役所のほうにはあるでしょう、役所は監督官庁ですから……。その役所に聞けば、また、イタイイタイ病がこれほど問題になり、一体戦争中における保安管理がどうなっておったのだ、こういうような重大な問題になっておるときに、皆さん、これから東京のほうで何か資料があるかないか調べよう、ちょっと無責任じゃないですか。  それはそれとして、私のところに、先ほど古川さんも読み上げましたが、小林さんが農林省の試験場の技師をやっておるときにおける復命書、この復命書の添付書類として、神岡鉱業所から、昭和十七年の富山農業試験場における神通川鉱毒土壌分析成績というのが、資料としてついておるわけです。ですから、小林教授がかつて農林省の技官であったときに、富山県に出張を命ぜられて、たいへんな災害であったということで調査に当たられた。しかもこの中で述べておるように、鉱山は何もやってくれない、どんどん流出してくる、こういうことから、とりあえず神通川両岸地域に対しまして、六百カ所に小型沈でん池設置ということで、六百にのぼるものを農民の手によって、農林省の助成のもとにやっておったわけですからね。しかもこれも戦争のために、経費の都合上、打ち切り中止を命ぜられるのやむなきに至った、きわめて遺憾だ、こういうぐあいに述べておるわけです。先ほど農地局の皆さんが言っておられるのですけれども、これは昭和十六、十七年に起こった問題で、十四年にも大きな紛糾事件が、神岡鉱山と漁民、農民との間に起こっておるわけです。大正の末期にも起こっております。もう魚が全部、アユだとかその他みんなひっくり返って、白くなって流れてきておる。私ら、小さいときに見ましたよ。こういうことに対して、農地局の皆さんも、私は非常に誠意がないと思いますがね。過去において、神通川を中心として、どれだけ農民の激しい要求があったか、紛争が引き起こされてまいったか、こういうことに対して、何らの記録も持っていない。ようやく私たちが小林教授のもとに参りましたときに、偶然何かの中から復命書が出てまいって初めて知ったわけです。しかもこういう調査が農林省においてやられておった。それで、鉱山保安局は鉱業法で一体何をやっておったのか、農民に補助金を出して、流れてくるカドミウムなり亜鉛なり鉛なりの、そうした小型沈でん池を六百カ所もつくらして、そこで農業被害を食いとめておったわけでしょう。それをやってもなお六千余石の減収だ、こういうふうに言っておるわけでしょう。ですから、私はもっとそういう点に対して、これはいろいろあとから、また鉱業法の問題をめぐりましてもお聞きしたいと思いますけれども、私はもっと真剣に、これほどの人たち、もうすでに終戦後からも百四十人に余るところの人が痛い痛いと言って死んでおる。こういう非惨な状況、しかも戦争の結果として、大体大正末期から昭和にかけてのそれがいま出てきておるのだ。そのために死んでいっておるのに、それに対するところの何らの資料もない。しかも小林さんのもとに、神岡鉱山みずからが分析したやつが出ておるわけですが、神岡鉱山へ行けば、実はこれは知らなかったと言う、こういうわけです。燃えておるから知らぬわけです。当然責任者をかわっている。こんなむちゃなことが、一体どこにあるだろうか、こう考えるわけです。  ですから、同じく私は問題として、鉱業法の関係でお尋ねしたいと思うのですけれども、昭和十四年に……。

八木一男日本社会党

○八木委員長 鉱山局長は、いまおりません。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 だれかいませんか。何も別にあげ足をとるわけじゃないのですけれども、前もって内容もお話ししておりますから、それに対する回答を求めればいいわけなんですけれども、おられないなら、他の方にお聞きしていきたいと思うのですが、水質保全の関係で、水質保全法を見てまいりますと、著しく身体に障害を与えるとか、こういう場合におきましては、対象指定地域ですか、それから水質基準、こういうのを定めなくちゃならないということになっておりますね。そこで、昭和四十一年度で、神通川、岐阜県、富山県が基本計画の対象地区になっております。この点で、経済企画庁はだれか来ておりますか、宮内君いますね。特に岐阜県、富山県を指定して、両県にまたがる神通川水域における公共用水域調査基本計画を樹立するための調査対象水域となっておりますが、これに選定された根拠は、一体どこにあるのですか。やはりイタイイタイ病というものが皆さんの中にあっての措置ですか、どうですか。

宮内宏経済企画庁水資源局参事官

○宮内説明員 お答え申し上げます。  神通川につきましての調査の要望、県から出ておる内容を具体的には私見ておらないのでございますけれども、調べましたところ、下流部の一般の汚濁問題が大部分でございまして、あわせてカドミウムの問題も入っておるかのごとく存じております。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 カドミウムが〇・〇一PPMは許容量の限度だ、こういうぐあいにアメリカ連邦あたりでは規定しておる。ですから、非常にきびしい規定を置いているわけですね。ところがカドミウムによってイタイイタイ病が発生しておる。それらのことが、いま第五条の第一項に「公衆衛生上看過し難い影響が生じているもの又は」という形で、指定水域を指定する、こう第五条の第一項に記入されておりますが、そうなってまいりますと、イタイイタイ病が、すでに学会において、昭和三十六年札幌における学会なり、いろいろ発表されてまいっております。水質保全法が施行になったのは昭和三十四年からですか。といたしますと、その間こういう重大な問題が発生しておるのに、その水域、基本調査の対象として、いわゆる水域指定あるいは水質基準、ここらにまで、やはり入っていかなくちゃならなかったのじゃないか、いろいろなところを調査してあるというのは、皆さんの報告によってよく存じております。ただいま足尾銅山、石狩川、いろいろなところをやっておられますけれども、しかしながら、富山県にこういう問題が発生しておる。しかも学会においても鉱毒説なり、あるいはカドミウムだとたいへんだと、全国労働衛生協会の久保田さんですか、述べられ、カドミウムは新しい重金属性の発見であって、しかも外国にも報告されていない。資料も少ない。だからどうしても国際協力という形においてでも進めなくちゃならないのじゃないかという問題点を指摘しておられる。しかもそれほど公衆衛生上非常に大きな問題を引き起こしておるというのにかかわらず、どうしてこの指定がおくれてまいったのか、こういう点に対して非常に遺憾に思うわけなんですけれども、しかし、皆さんのほうでは問題にしていなかったということになれば、やむを得ないわけですけれども、しかしながら、こういうふうに第五条第一項にちゃんと指定しておるのですから、やっぱりもっと積極的に取り組んでいくのが、私は行政当局としての当然の態度じゃないか、こういうぐあいに感じますので、一言述べて、それ以上回答をもらってもしかたがないのですけれども、この水質保全法の中で、仲介、和解の仲介制度というのを採用しておられますね。ここで損害賠償等に対する紛争、こういうことになっておると同時に、鉱業法はこの適用外にしておる、もちろんこういう、鉱業法のそういう規定があるからなんでしょうが、一応参考までにお聞きしておきますが、こういう仲介、和解の仲介、しかも損害賠償に対する紛争、争議、こういうぐあいに受け取れますね。そういたしますと、損害賠償の紛争、争議ということにまで仲介、和解の仲介、もちろん民法における問題じゃないですね。民法の六百九十五条あるいは民事訴訟法の二百三条による和解とは違いますけれども、この損害賠償の紛争の和解、こういう問題を取り上げたことがありましたか、申し出がありましたか。

宮内宏経済企画庁水資源局参事官

○宮内説明員 法律の二十一条に、和解仲介のことがうたってあるわけでございますけれども、これは加害者、被害者の当事者間の仲介を、都道府県知事から任命されております仲介員によって仲介されるわけでございます。それに要した費用等を交付するというふうなたてまえになっております。

八木一男日本社会党

○八木委員長 佐野委員に申し上げます。  実は、佐野委員のあとに、岡本委員、それからまた島本委員、それから小澤委員、それから石田委員、なお質問をお待ちの方があるわけであります。で、ちょっと時間を皆さんで御調整願って、何といいますか、能率的にひとつやらしていただきたいと思います。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 わかりました。  私の聞いているのは、そういう意味じゃないのですよ。そういう和解の仲介ですね、これに損害賠償に関する紛争、争議、これに対してのなにですから、損害賠償を伴うほどの問題に対するところの和解の仲介をやったことがあるかどうか、そういうケースがあるのかどうかという点を聞いておるので、何もそういう問題を聞いておるのじゃないのです。機関委任事務として府県にそういうことが委任されておることは知っておりますけれども、そういうことに対して、あった事例があるかどうかという点なんです。それだけなんです。

宮内宏経済企画庁水資源局参事官

○宮内説明員 大体、仲介の事例は非常に少なかったということを記憶しておるわけでございますけれども、具体的に、そういう問題をどう処理したかということについては、ちょっと手元に資料がないものですから……。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 けっこうです。  鉱山局長、損害賠償の義務規定を鉱業法に置いておりますね。これは昭和十四年ですか、旧鉱業法が改正されたときに、無過失責任の観念を導入したということ、もう一つは、その中で、私は学生時代だったからよく記憶していないのですけれども、何か特別の民事裁判とか調停制度とか、こういうものの創設を予期する、そういうものをつくられることを前提として、この規定が置かれておるのではないか。裁判所という文字がずいぶん書かれていますね。たとえば百十一条に「裁判所が適当であると認めるときは、前項の規定にかかわらず、」云々、あるいは百十三条において、「裁判所は、損害賠償の責任及び範囲を定めるのについて、これをしんしゃく」云々ということで、この裁判所というものを特にここに挿入していることや、しかも賠償義務、無過失責任の概念をここに強く導入してきておる。こういう点から考えまして、非常に珍しい法律だと思っておったのですが、それが昭和二十四年ですか、新しい鉱業法にかわりましても、これがそのまま引き続き引き継がれておる。そういう点から考えてみまして、私は局長にお尋ねしたいと思うのですけれども、先ほど経済企画庁のほうでは、当事者とは、双方が申し出たときに和解の仲介があるんだ、しかし法律を見てみますと、私は用語の関係はわかりませんが、当事者ということばを使う、あるいは双方ということばを使っている、双方の当事者。ですから、当事者というのは、これは片方だけでもいいのじゃないかと思うのですけれども、いまの経済企画庁のほうの解釈では、当事者とは、双方が和解の仲介を申し出なくちゃならない。しかし鉱業法その他を見てまいりますと、どうですか、その点はどういうぐあいに解釈されますか。

両角良彦通商産業省鉱山局長

○両角政府委員 ただいま御指摘の点は、鉱業法上の和解の仲介につきまして、その申し立ては、一方の当事者が行ないましても、申し立てを受け入れることになっております。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 そうすると経済企画庁と解釈が違ってくるのですが、法律は違いますけれども、同じ用語で、しかもここにおいて損害賠償に対するところの紛争、争議、これに対する和解の仲介であるということになってまいりますと、しかも鉱山局長にこれを申し出るとなっておりますね。地方には地方鉱業協議会がある。そうしますと、イタイイタイ病の場合に、いま当事者が損害賠償という問題を出してまいりますと、それに対して、通商産業局長はそれに対する行動を開始するわけですか、和解の。

両角良彦通商産業省鉱山局長

○両角政府委員 鉱害に関しまする紛争の解決は、もちろんかような手続に入ります前に、当事者間で円満な話し合いがつけば一番いいわけでございますが、それが不可能な場合、直ちに民事訴訟に訴えることなく、より効果的な解決方法といたしまして、鉱業法上の和解制度があるわけでございますから、その申し立てがありました場合は、地方の通産局長におきまして、適当なあっせんを申し上げる、また申し立てに基づく和解仲介員の指定も申し上げる、かようなたてまえになっておるわけでございます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 そうしますと、問題は、損害賠償ということになってまいりますと、第一は違法性、第二には発生源と被害対象ですかね、これとの因果関係の認定、これがなければ、訴訟として維持していくわけにいかない。その前に損害賠償に対するところの部分だということ、こうなってまいりますと、損害賠償というものが、民法上、民事訴訟法上に明らかにされておるその手続をもってしては困難であろう、だからその前にやるのだ、損害賠償に対する話し合いをやるのだ、こういうぐあいに解釈するならば、そういう問題があったかどうか、仲介の制度を活用されたことがあったかどうか、こういう点……。

両角良彦通商産業省鉱山局長

○両角政府委員 民事訴訟法によりまする損害賠償事件の解決は、ただいま御指摘のようないろいろな要件を要するわけでございますが、民訴で損害賠償が取れないから、仲介和解制度で損害賠償させるという趣旨ではございませんで、裁判手続によらざる、より実際的、迅速な問題の解決をはかる一助といたしまして、和解制度がとられておるわけでございます。かような和解制度は、当事者間の合意によって話し合いがきまるわけでございますから、その場合の損害賠償は、必ずしも法律上、民事訴訟法上の厳格な要件をあるいは必要としない場合もあり得ると思います。しかしながら、かかる実際的な問題の解決方式としての和解制度につきましては、これまで石炭等の事例で、この制度を活用していただきました実例をたくさん持っておるわけでございます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 そうすると、イタイイタイ病の場合でも、現にいろいろな調査が進んで、いま重松先生のお話によりますと、因果関係にまで大体入っていくということになりますね。どのようにしてカドミウムが人体の中に入ってきて、肝臓、じん臓をおかして、いわゆるイタイイタイ病を発生するか、ここまでくれば、民事上の損害賠償ということが出てきますね。しかしその前にすでに明らかになってきておる、こういう場合に、鉱山局長に対して——いまのイタイイタイ病という具体的な問題ですよ。その場合における仲介の申し立てをした場合において、鉱山局長としては、それに対して受けて立つ考えがあるかどうか。

両角良彦通商産業省鉱山局長

○両角政府委員 この鉱害の発生の原因と被害との間で、因果関係というものは当然前提として相当必要であろうかと考えておりますが、それが明らかになった後に、われわれとしては、十分本制度の活用等につきましては考えたいと思っております。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 それは因果関係が明らかになり、無過失責任を追及しておるわけですから、これは簡単に民事訴訟に持っていけると思う。何もこんなところにまで賠償の仲介を置かなくてもいい。因果関係が明らかでないからこそ、五〇%なら五〇%はこうだと見られる、そこでそれに対する損害賠償のあっせんをやるのだ、因果関係がはっきりしなければその話にも乗れない、これは民事訴訟と何ら変わらない、この規定を置いた意味がなくなる、どうですか。

両角良彦通商産業省鉱山局長

○両角政府委員 因果関係が明らかでない場合に、当事者間で損害賠償の話し合いをしろということを、通産局長がごあっせん申し上げるということは不適当であろうかと存じます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 そうすると、この規定の存在の意味がなくなるのではないか。法務省から来ておられますか。——そこで、先ほどちょっと触れました、「裁判所は、」云々というのがありますね。そうすると、これらの場合に、その一つの新しい司法制度、民事上の制度と申しますか、調停制度か何か予期されたから、こういうことばが入っておるのではないのですか。大正十四年の改正のときには、そういうことが論議されておると思いますが、学生時代ですから、記憶がぼんやりとするのですけれども……。

岡本元夫法務省民事局参事官

○岡本説明員 その点は聞いておりません。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 これはどういうぐあいに解釈されますか。鉱業法の中にこういうのを入れる必要はないでしょう。これはそれぞれの民事訴訟でやっていけばいいので、あえて、裁判所がこういう形を置いていくというのは、何か調停制度でもってもっと簡単にやっていきたい。しかも鉱業の場合には非常に大きな問題がある。足尾銅山の場合もある。だからその場合に、賠償の問題が大体わかれば、個々の話し合いの仲介の労をとろうじゃないか、当事者の申し出があれば…。片一方は、民事的なある程度の制度を予測したものとして、こういう条文が出てきているのじゃないか。

岡本元夫法務省民事局参事官

○岡本説明員 ただいまの質問、予定している質問外のことでございますので、いま直ちにちょっとお答えいたしかねます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 こういう点に対しての疑義をひとつただしたいから、そちらのほうでも検討しておいていただきたい、こういうことで、事前にお願いしておったわけですけれども、あるいは連絡がいかなかったのかもしれませんので、けっこうです。  いま一つは、鉱山局長に伺いたいのは、消滅時効というのがありますね。この場合、具体的な問題ですが、イタイイタイ病と関連いたしまして「損害賠償請求権は、被害者が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは時効によって消滅する。損害の発生の時から二十年を経過したときも、同様とする。」、時効消滅だ、こういう規定を入れておられますね。  そこで、これだけでいきますと、カドミウムは二十年間以上からだの中にあって、それから初めて発病する、だから二十年間たてばこれは時効になってしまう。もちろん、最後の規定として置いてあるこの意味がどう解釈されるかという問題なんですけれども、第二項で「前項の期間は、進行中の損害については、その進行のやんだ時から起算する。」、こういう一応の規定は置いてありますが、このイタイイタイ病の場合は、具体的な問題として、この三つを一体どういうぐあいに解釈されますか。

両角良彦通商産業省鉱山局長

○両角政府委員 進行中の損害は、その進行がやんだときから起算して二十年ということでございますが、現在病気にかかっておられまする場合の請求権につきましては、その病気にかかられた時期が二十年以上前でありましても、必ずしも請求権が失われるものではないというふうに解釈すべきものと考えます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 イタイイタイ病の場合のように、二十何年間、三十年間——大体土地に住んでおる人は三十五、六歳から発病する、お嫁に来た人は大体四十七、八歳から五十ないし六十ぐらいから発病するというから、どうしても二十年から三十年間体内で蓄積されておるということになってまいりますと、非常に問題が起こってくるのじゃないですか。そういう病気を予測しなかった規定ではないか。具体的には、まだまだたくさんの人が死んでいっているわけですが、そういう場合に、これは一体どう取り扱うか、もし因果関係が明らかになった場合には、どういう形でこれを処理されるか、その点をもう一度、見解として承っておきたい。

両角良彦通商産業省鉱山局長

○両角政府委員 ただいま申し上げましたように、現在病気にかかっておられまする状態が継続しておる間は、二十年の期間の起算にあたりましては、その病気がやみましたときから起算をすべきであるというふうに考えます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 その点について、法律解釈上いろいろ疑義があるようですが、このあと相当たくさんの方から質問の通告があるとのことなので、一応打ち切ります。その他にも、いろいろな問題をもっと煮詰めたい点がたくさんあるのですけれども、次の機会にさしていただきたいと思います。  私は、行政当局の怠慢という点は、どうしても免れないと思うのです。たとえば水道の場合でも質問したかったのですけれども、また別にしますが、水道法による昭和三十三年七月厚生省令第二三号、水質基準に関する省令によれば、その基準の中には、カドミウムというようなものは入っていないわけです。富山市には古くから水道がある。だけれども、神通川水系は一つも水道の水源地としていない。富山市には大正から水道がある。ところが、神通川の鉱毒によって、これは当然飲み水にはならないということで、富山市及びその周辺のところは、全部東側は常願寺川水系から取っている。西側は、御存じのとおり井田川水系から持ってきておる。神通川水系からは一本の水道も町村はとっていない。経済的という点から考えてみましても、神通川のほうがよい。また、水量も豊富にあるのです。それを避けて、あのあばれ川の常願寺川から取らなければならないというところに問題がある。神通川が富山市を流れておるのに、それからは取らないで、経済的に考えても遠くて不利な、しかも水量の少ないところから取ってこなければならないというのはおかしいじゃないか、こういう疑問が出てくるわけですが、それは河川水に鉱毒があって、イタイイタイ病になるからなんでしょう。その鉱毒は何かというと、カドミウムである。カドミウムとなれば、やはりそれに即応するように、厚生省の水道の基準に関する省令を改正すべきではないか。いわゆるカドミウム何々PPM。アメリカでは〇・〇一PPM以上は許容の限界を越えておるのだといっております。重松先生のお話によりますと、アメリカの基準からいえば、相当の、びっくりするくらいのものが現在でも流れておる。しかもまた、多くのものが土質の中に蓄積されておる。こういう点に対しても、私はやはりもっと真剣にそういう問題も掘り下げていくという態度をもってもらいたいと思います。  最後に、農地局の皆さんは、古川委員の質問に対し、客土の問題について、土地改良法により、要請があれば国が補助をするのだ、だから要請があればそれに対して考慮しましょうなどというのは、全くお門違いの答弁じゃないかと思うのです。公害基本法にも、「特定地域における公害の防止」という中で、総理大臣は、現に著しく公害の発生している地域、特に総合的施策を講ずる必要のある地域については、公害防止計画の基本方針を示し、都道府県知事に対し、当該計画の策定を指示するものとする、こういう規定もあるわけでしょう。そうすれば、そこで客土しなければならぬ。小林さんが農林省の技官のときの調査では、この地域の土地に鉱毒廃水が入り込んでいると報告しているじゃありませんか。当時のいろいろの資料は富山県の県庁に保存されていると思いますが、当然客土しなければならぬじゃないか。この土地からとれた白米の中には、三PPM含まれておる。たいへんなことですよ。これだけのものが米の中にも入っておる、この地域では畜産もやっておりますし、植物の問題もあるわけです。動物の問題もある、こういうところに客土をやらなかったらどうするのかという問題です。  それから上水道はどうするのか。特にそのために上水道を引かなければならぬ。ところが因果関係が明らかではないから、賠償金としては取れない。取れないけれども、そういう場合には、総理大臣が、公害対策会議の議を経るわけですけれども、命令が出せる、指示が出せる。その金の負担区分を基本法は明らかにしておるわけでしょう。そうすれば、カドミウムの問題は、鉱害による被害者が、おれのところを客土さしてくれ、それでは土地改良法によって、客土を実施するために七割の受益者負担金を取りますと、そんな冷酷な話が一体どこにありますか。  神通川水系の水は使えない、だから井田川水系から上水道を持ってきて、水道をここに布設しなければならない。そうしなければ防ぎ切れないわけです。泥の中にももぐっておる。井戸水にしても、相当深く深く掘っておるところは免れておるけれども、浅いところはみんな汚染されておる。これは重松先生が一番よく御存じである。そういうことをやらなければならぬ。ところが、いまの水道法によれば、上水道には補助金はない、起債だけだ、それを地元でやりなさい。公害基本法によれば、総合的施策を講ずる必要のある地域については、総理大臣は、公害防止計画の基本方針を示して、府県知事に指示、命令するのだ、そういう負担区分は基本法においても一応のめどが書かれておるわけでしょう。そういう場合に、一体農政局として、そんな冷酷な答弁でよいのですか。私は、行政当局は、もう少し真剣にこういう問題と取り組んでもらいたいと思う。公害基本法はそのために生まれたんでしょう。  そういう点をも指摘しておいて、上水道の問題にいたしましても、農地関係の問題にいたしましても、行政責任の名において、もっと真剣に検討していただきたい、このことを要望しておきまして、質問を終わらせていただきます。

八木一男日本社会党

○八木委員長 佐野委員の質問に対して、政府側の答弁のできなかった点、不十分な点がありますから、後に当委員会または他の委員会において、同委員または同じ趣旨の他の委員の質問に対して、万全な答弁ができるように対処することを要求いたしておきます。  また、本問題に関連の問題で、調査も行政的な対処も非常に不十分で遅滞をいたしておりますから、この点について即時反省をされて、即時対処をされるように強く要求をいたしておきます。  次に、岡本富夫君。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 私はいま話がありました神通川のイタイイタイ病につきまして、先般商工委員会でもって大半のいろいろな面をお話ししました。また質問もしましたし、また参議院で矢追さんがずっとやっておりますので、数点だけお聞きして、確めておきたいと思います。  幸いきょうは重松先生おいででありますから、まず先生に、いままでの御苦労を多といたしますと同時に、この中間報告と申しますか、まだ公表する域に達していないというお話でございますけれども、結論はいつごろ出るか、その点についてお聞きしたいと思いますが、どうでしょうか。

重松逸造財団法人日本公衆衛生協会イタイイタイ病の原因究明に関する研究班班長

○重松参考人 先ほどお答え申し上げたことでございますが、本年度の研究計画の結論としましては、一応来年の三月末をめどにいたしております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 次に、結論から話しますけれども、厚生省の環境衛生局長、来ていますね。先般、厚生大臣に対して、被害者であるところの患者を連れて陳情に参りました。そのときに厚生大臣から、何らかの早い方法で救済をいたしましょうということでありました。また先般の商工委員会で、あなたは、来年の予算に組み入れよう、こういうふうに考えております。こういうことでありまして、それに対して、またことしじゅうに、できれば何らかの研究費の中からでも、見舞いの意味で出してあげたい、こういうような意向を漏らされましたのですけれども、その用意はあるかどうか。なぜかならば、先ほどからもお話がありましたように、この方々は最低五千円、これくらいの治療費があれば、人命を落とさずに済むわけであります。したがって、原因を追求すると同時に、今度は救済のほうを、人命はとうといわけでありますから、早急にやっていかなければならない、こういうように思うのですが、見舞い金としてか、あるいはまた何らかの手を打つ考えがあるかどうか、またその方法、それについてお聞きしたいと思います。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 患者救済につきましては、私どもといたしましても、できるだけの手を打ってあげたい、こういう考えでございます。実はことし、私どもの手元にある研究費等が残っておれば御援助をしていきたいということで、いち早く検討いたしたわけでございますが、ほかの費用との関係で、それが残っていない、まことに残念だというふうに申し上げた次第でございます。ただ来年の、そういう富山県、市町村が負担していただいておりますような問題を軽減する、こういう意味で、私どものほうの研究費を委託として出すということは、予算はまだ通っておりませんけれども、従来の経緯等から見まして、まず御援助できるのじゃないか。これは、来年度はそう考えておるわけでございます。ただいま私どもの手元のほうでは、そういうような実情でございますけれども、もし将来ほかの局関係の費用等で、これに充当する、緊急に振り向ける余地があれば、それを振り向けてでも、ことしは対処していきたい、こういうふうに考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 じゃ厚生省内でいろいろな関係をよく調査をして、たとえ少しでも、見舞い金とするか、あるいは何らかの手を打って、助けてやっていただきたい。これを要求しておきます。  時間があまりありませんから、次に、先ほどからもお話がありましたが、昭和三十七年の八月ですか、アメリカの学会から、このイタイイタイ病についての研究の助成として一千万円の助成をされておる。それは富山県の婦中町の萩野博士に対して、また岡山大学の小林先生に対しての、共同研究に対しての助成金であるそうでありますけれども、現地へ行ってよく聞きますと、現在のイタイイタイ病の患者の状態につきましては、これを治療したりする状態は、いろいろ聞いてみますと、萩野先生が、二十一年ごろから手をかけておりますので、一番よく知っておると思うのです。そこで厚生省のあなたの見解として、この臨床に立ち会った権威者に対して、この人のカルテあるいはいままでの治療法、意見、これを尊重し、患者の救済に尽くす場合の参考にするかどうか、また尊重するかどうか、この一点をお聞きしたいと思います。どうでしょうか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 何と申しましても、そういう、古くから現地におきまして診療に当たってこられておる方の記録、それから御意見というものは非常に尊重すべき点が多いと存じます。今後の過程におきましても、十分御意見をお聞きいたしたいと思います。  なお、私、直接聞いておりませんけれども、研究班の方がお進めになられるにあたりましても、萩野先生の御意見はよく反映できるような形で進めてきている、ということも聞いておるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 その点を確かめておきますけれども、なぜかならば、厚生省から、この研究費に対して、先般、金沢大学ですか、あそこのほうに出しておるわけですけれども、そこよりもこちらのほうが進んでおるのじゃないか、こういうふうにも見受けられましたので、要するに公の機関、そういう大学とか、あるいはまた研究所だとか、こういうものに対しては、案外権威があって、話を聞きまたそれを尊重することがあっても、一開業医になりますと、同じ学者でありながら、非常に冷遇されておるのじゃないか。これはこの地域の人たちも非常に嘆いておりました。だから申し上げておるのです。  そこで、最後の結論として、厚生省に対しては、私はこの悲惨な姿を一ぺん認識したらどうかと思うのです。なぜかならば、参議院の公害委員会におきまして、五月二十六日ですか、参議院の矢追さんが質問をされました。それに対して、どういうように厚生省の前環境衛生局長が答えておるかといえば、舘林さんは、生存者は現在自覚症状及び後遺症は全然ないと答えております……。こういうものを見たときに、認識がない、したがってもしも自分の家族あるいはもしも自分の近隣にこういうことがあれば、もっと早く手を打っておるのじゃないか。したがって、今後この結論が一日も早く出て、そして現地の人たちの民生が安定できるようにしてあげるためには、そういう救済の面の視察あるいはまた調査——いまの調査は、これは原因の調査だったと思うのです。今度は救済面の調査をやる用意があるかどうか、この点についてお聞きしたい。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 私どもがこの原因を究明する過程におきましても、ただいま重松先生をわずらわしておりますような研究は、その全般の中の非常に大事な一部だというふうな考えを持っておるわけであります。そのほか、まだこれから私どもが研究し、現状認識をし、分析しというような問題がまだまだたくさんある、それらにつきまして、早急に補いたい、こういう計画をいま練っておるところでございます。御要望のような点につきましては、近く必ず実現してみたいと思っております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 それでは最後に、ことしじゅうくらいにいける、それくらいの早急な患者の調査に乗り出されるわけですか。これについて。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 ただいま、私の手元で、私が局内で指示しておりますのは、ちょうど公害課長が外国から帰ってまいりますのが今週の終わりでございます。来週早々に、そういう新しい、このたび再び調べるべき項目を固めようというスケージュールをいま立てておりますので、それができ次第早急にいけると思います。  それからなお、従来現地でいろいろ調査の際には、私どもの職員が現地へ必ず行って一緒にやっている、こういう態度をとってきておるわけであります。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 農地局長さん、見えていますか。

八木一男日本社会党

○八木委員長 農地局の上田資源課長がおります。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 先般も、商工委員会に、農地局長に出てもらうように要求したのですが、来ない。どういうわけで来なかったか、それを私のほうに通知してもらいたいと思います。  それから、農政局長さん、いらっしゃいますか。

八木一男日本社会党

○八木委員長 農政局長、います。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 この神通川流域の農村の農産物の被害についての、戦時中あるいはまた戦後のずっとの被害調査、要するにそれだけの減収になっているはずなんですから、それの資料をきょうは要求しておきます。公式な資料を要求しておきます。よろしいでしょうか。

森本修農林省農政局長

○森本政府委員 戦時中、戦後は、ああいう時代のことでありますから、資料等整うかどうか、若干不安な点がございますけれども、できるだけ調べまして、提出をいたします。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 この公式な資料は、将来この鉱毒、すなわちカドミウムの害毒によって病気になったという、大きなきめ手の一つになると思うのです。ですから、ぜひ極力さがして、そして意義づけてもらいたい、こういうように思うわけであります。  最後に、簡易水道の話がありましたが、この上水道も早急に設置をしてあげないと、まだ新患が次々と出てくるわけでございますから、これも早急にやっていただきたい。  それから、話がありましたが、客土の問題この問題も早急に手をつけませんと、まだまだあの地域の人たちは次々と患者が発生するのじゃないか。なおこれから潜伏期間が十五年、二十年ということになりますれば、将来に大きな禍根を残す、こういう点を強く要望いたしまして、きょうは私の質問を終わります。

八木一男日本社会党

○八木委員長 重松参考人には、長時間御協力をいただきまして、たいへんありがとうございました。     —————————————

八木一男日本社会党

○八木委員長 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 政府委員の皆さんも委員長も、だいぶおそくなっても、このように熱心に答弁してくだすったり司会してくださいましたりして、心から感謝申し上げます。なお、できるだけ的確に早く終わりたいと思いますから、答弁のほうも簡単にして要を得るように、また納得させるように、よろしくその点お願いいたします。  私の聞きたいのは、原子力発電の問題であります。またそれとからんだ公害のおそれのある点について質問したいと思います。  いま、質問する前提としては、私どもは、原子力エネルギーに対しての評価としては、豊かな生活をしていくための基礎になる大切な資源の一つであるという認識の上に立って、原子力の平和への解放は、人類の幸福な暮らしとしあわせを無限に発展させていく大切なものである、こういうように思っているわけなのです。そしてその可能性を常に私どもの生活の面と結びつけて、少なくとも公害と思われるようなものを排除しながら、これを発展させていってもらいたい、このように思っているわけなんであります。そういうような見地から、ひとつ次のことを聞いてまいりますから、よろしくお願いいたします。  まず、全国的に、原子力発電がどのように計画され実施されておりますか、その概略の報告を願います。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 いまお説のとおり、原子力発電は、将来のエネルギー源の重要な役割りを果たす可能性のあるものであると、われわれも考えております。現在、原子力委員会の長期計画でありますとか、あるいは通産省のエネルギー調査会の答申でも触れております目標といたしましては、昭和五十年までに約六百万キロワット、それからさらに、二十年先の、昭和六十年度までに、三千万キロワットないし四千万キロワットぐらいの原子力発電所を完成したい、こういうのが一応の目標になっております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 全国的に、発電がもうすでに計画されたり、または実施されている点もあるのじゃないかと思いますが、その数の報告を願います。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 御承知のように、現在商業用の発電所といたしまして運転されておりますのは、東海村にございます原子力発電会社の約十六万キロワットのもの一つでございますが、さらに建設中のものといたしましては、敦賀におきまして、やはり同じく原子力発電会社の二号炉といたしまして三十二万キロワットのもの、それから東京電力が福島の海岸におきまして四十万キロワットのものを建設中でありますし、また関西電力が、敦賀半島でございますが、美浜という地点におきまして、約三十四万キロワットのものを建設中でございます。そのほかの電力会社におきましても、逐次建設計画の準備を進めておる、こういう段階でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういう情勢のもとに、北海道にも、今回そういうような計画があるかのように聞いているのですけれども、それは調査中ですか、用地物色中ですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 北海道地区におきましては、具体的な原子力発電建設計画というものは、まだ固まっていないように了解をいたしております。  なお、調査につきましては、通産省のほうでやっております概略調査計画というものが進められておる点はございます。その辺につきましては、通産省のほうからも参っておりますので、そちらからお聞き取りを願いたいと思います。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 ただいまのお話でございますけれども、通産省といたしましては、昭和三十五年度以来、地形図とか航空写真というようなものをもとにいたしまして、図上調査をやり、これをもとにいたしまして、三十八年度から毎年四カ地点ずつ、調査地点の実地調査を行なってまいっておるのですが、四十二年度で二十カ地点になっております。  北海道におきましては、最後の四十二年度に、浜益郡の浜益村におきまして、実地調査を行なおうという段取りになってまいっておるわけでございますが、この調査自体は、直ちにこれによって原子力開発をやろうというものではございません。全国的な観点からする、原子力発電所立地の予備的基礎調査として行なっておるものであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 地元では、この問題に対して相当の関心を持っているのであります。すでに各村では全部——この予定地になっておるのは村でございます。村ではもうすでに議決を経て、いわば村が一本になって誘致運動を展開している、こういうのが北海道における実態であります。その中に三カ所——いわゆる後志泊というところと島牧というところ、いまおっしゃった浜益、この三カ所が候補地であるという報道、またはいろいろと雑誌等によってこれをにぎわしているわけであります。そしてどこへきまるかということが、まさに競馬馬のそれを争うがごとくに、いま皆さんがその点に集中しているのであります。そういうふうにしてみますと、いま、浜益よりないということになっておりますけれども、地元の北海道では、三カ所が候補地であるというふうに、それぞれ受け取っているようですが、候補地としてはまだたくさんあるのですか、また一カ所なのですか、この点を明確にしておいていただきたいと思います。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 ただいまの話でございますが、北海道は、いわゆる候補地としましては、非常に人口密度の低いようなところも、地形的にもいいところもたくさんあって、考えてみますと、非常にいい立地地点を持っておるわけでございます。そしてまた、ただいま数カ地点から誘致運動が進められ、非常に関心を持っていただいておる、これは非常にけっこうな話だと思うわけでございますけれども、実際上は、北海道におきます原子力の開発というものは、北海道電力にいたしましてもまだ計画が出てまいっていない、今後の問題でございますし、系統上うまく安定的に運転できるかというような需給安定上の問題でございますが、そういう問題とか、経済性の問題とか、いろいろまた出てまいると思います。一がいに候補地点ということははっきりしないのではないかと思っております。したがって、候補地点は非常にたくさんあるが、どこにしぼるというような段階ではないのでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 重ねて聞きますが、候補地がたくさんあってどこにしぼるという段階ではないということと、一カ所ということとは違うのです。もうすでに一カ所には調査に入っていると聞いているわけです。そうしたら、全部をそういうようにして調査をする、こういうような意味に解釈できるのですけれども、そういうように了解できるのですか。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 今度、浜益村を調査地点に選んだわけでございますけれども、これがまた必ずしも、北海道電力の開発地点になるというようなことも、実ははっきりしていないわけでございます。あくまで候補地点の予備調査であるということでお考え願いたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは何か、私が反対して聞いているように錯覚を起こしているのではありませんか。全部議会が一致してやっておる。だからそれに対しての——私はこの中でいろいろな要件を聞き出そうとしている。何か、私を極端に警戒しての答弁のように思われるのですが、そう遠慮しなくてもよかろうと思います。ばりばり答えてもらってもいいのです。課長にかわって答えさせてもいいのですが、これはどうなんですか、適地条件としてはどういうふうにきめるか、ありましたら、それを知らしてもらいたい。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 どうも、そういうつもりではございませんので、申しわけございません。  要件としましては三つほどございます。その一つが地形でございます。それから地質です。それから人口の問題、人口が希薄かどうか。その三つの点で調査いたしております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 だから結局、地盤が強固である、火山帯からはずれておる、海岸地帯であることが望ましい、へんぴな場所である、大消費地と近いところが望ましい、こういうような五つの要件で調べているのじゃないですか。そうなんでしょう。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 いまおっしゃったことが、この三つに大体まとまって出てくるのだろうと思います。そのとおりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういうような要件でありますと、やはり北海道にはまだまだたくさんある。全部持っていってもいいほどあるわけでございますけれども、それにしても、全国的に一つの問題点として、公害の立場からひとつ聞いておきたいことがあるわけです。それは、どうしてもこれを実際に行なうような段になりますと、核燃料の化学処理で生ずるところの放射性廃棄物、それと放射能を持った冷却用廃液、こういうようなものが当然問題になる。高温であると同時に放射能も含むという、この処理の問題がどうしても問題になってくるわけであります。そうなりますと、積極的に行なう平和利用の中に、安全性の獲得がまず第一番に重要性を加えてくるわけなんでございますけれども、この安全性ということに対しては、原子力局のほうで、どういうふうにしてこれを行なっておりますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 原子力発電所は、その設備の中に、放射能を持ったものを抱いて運転するわけでございます。その放射能が外へ漏れるということは絶対に防がなければならない。その観点から、原子力発電所の設備につきましては、ほかの設備とは格段に違いまして、安全性につきまして最重点を置いて設計され、運転されるようになっておりまして、国のやるべき規制につきましても御承知の原子炉等規制法に基づきまして、厳重な審査をした上で許可される、こういうことになっておるわけであります。その許可する際におきましては、専門の学者も入れました特別の審査会がありまして、そこで行なうわけでございますが、そのときに基準とすべき放射能の許容濃度といったものにつきましても、実は国際的に通用しております一つの線があるわけでございますが、わが国におきましてもそれを基準にいたしまして、その基準に十分入り得るという線を確保するという立場でやっております。  さて、具体的な御質問で、海水の冷却用水の温度と放射能の問題に触れられましたが、実は原子力発電所も普通の火力発電所と同じように、多量の冷却用水を使うわけでございますけれども、その中には、放射能物質というものは全然含有いたさないような装置になっております。普通の発電所と同じように、二、三度の温度上昇というものは、この冷却用水路の近くにおきまして起こり得ることはございますけれども、それ以上のことはないわけでございます。また、炉の中で一度使われました燃料は、取り出しまして処理するわけでございますけれども、その処理は、通常その原子力発電所の場所で行なうわけではございませんで、別の専門の燃料の再処理工場というところへ持っていきまして処理するという関係になっておるわけでございますので、通常、原子力発電所からは高い放射能が外へ漏れるというふうなこともございませんし、海へ流れ出します冷却用水に放射能がまじって出るといったようなこともないというぐあいに御了解願ったらよろしいのじゃないかと存じます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その安全性を常に管理して指導する機関が、安全審査会として厳存していると聞いているのですが、それはほんとうに信頼のできる、りっぱな指導力のある、権威を持った機関である、こういうふうに私ども聞いておりますが、そのとおりですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 私ども、お説のとおりであると確信しております。その組織は、法令に基づきました権威あるものでございまして、原子力委員会の下部機構として設けられまして、その委員構成は、現在の日本におきます原子力の安全問題についての最高権威者を、大学でありますとか、研究機関でありますとか、そういうところからお集まり願いましてやっておるものでございまして、原子炉を設置する場合は、必ずそこの安全審査会の詳細なる、厳密な審査を通りまして、いままで置かれておるのでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 したがって、その安全審査会の結論なり指導なり、その管理の方法は、法律と同様に権威のあるものですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 法律と同様にという意味が、どのようなことで申されておりますかわかりませんが、法律的にしっかりした根拠を持った審査会でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そこなんです。私は絶対にこの権威を信じ、また信頼しております。しかし、やはりその出した結論をあいまいに運営されるようなことがあってはいけない。そうして法的な拘束力くらいははっきり持っていたほうがよろしい。ことに米国をはじめとして、安全性の基準のきめ方まで、おそらく法律によって万全を期そうとする動きがあると聞いているのです。したがって、この審査会できめるそういうような決定に対しては、法と同様にこれは拘束力を持つものである、こういうような考え方で聞いたのですが、それも何かあいまいなところがあるようですが、どうも、それでは安全性の問題に対しては、私は少し疑わざるを得なくなるのではございませんか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 私の答弁がややあいまいなように響いたとすれば、私のことばが足りなかったのでございまして、審査会の組織が先ほど申し上げましたような組織になっておりまして、なお法律によりまして、その審査会の決定は原子力委員会に答申されまして、原子力委員会がさらに総理大臣に意見を答申するわけでございますが、その答申を総理大臣が尊重しなければならないということで、御質問の点がはっきりと法定されておるということでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 したがって、今度は安全性と企業性の問題があるから、当然、そうなりますと、いままでの経験に徴して、企業化する場合には、採算の中で安全性が埋没するおそれがあるかないかが心配なんであります。公害基本法ができている現在でも、まだまだそういう関連法ができてもおそらくは完全でないように、いまの安全審査会も、法律上のそれに匹敵するほどに強い拘束力がある、こういうふうにしても、またそれ以上のものを持たなければ、これが企業化する場合の採算の中で、いま申しましたように、この安全性が埋没するおそれがないかどうか。そうした場合でも、もう完全に法の権威において、また国の権威において、そういうようなことは絶対しない、安全のないところにはつくらせない、これくらいの強い一つの見識が要るのじゃないか、こういうふうに思っておるのですが、この安全性埋没のおそれなきやいなや。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 まことに同感でございまして、実は原子炉の安全の確保につきましては、たとえば例をとって申し上げますと、放射能が外へ漏れないことを確保するためには、いろいろな安全装置等が二重、三重にできておるわけでございまして、かりに一つの安全装置が動かなくても、第二段の安全装置が動く。さらにそれが動かなければ最後の手を打つ、こういうようなかっこうになっておりますが、その際の基本的態度といたしましては、かりに部分的な機械の故障によりまして、最後の安全装置を働かす場合に、炉がとまりましたり、一部こわれて原子炉がとまる、したがって、経済的に相当な損失を受けることがあっても、外には決して放射能災害を及ぼさないというところに最後の重点を置いて設計され、またそうなっておることを、安全審査のときにも最重点を置いてチェックしておるわけでございます。なお、そういうぐあいにされまして許可されましたものが、そのとおりに実際に工事ができ、そのとおりに運転されているかどうかということにつきましては、工事計画の認可でありますとか、あるいは運転計画の認可あるいは検査というような段階を通じまして、政府はいまのお話のような態度で安全を確保しつつある、こういうわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 地震、火災、津波、高潮、こういうような場合にも、常にその安全性の保障ができますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 地震等につきましても、関東大震災のような大きな地震が来ました場合にでも、外部に災害を及ぼさないようにという基準でやっております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 火災はありませんか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 火災も同様でございます。実は、御存じと思いますが、先般、東海村の原子力発電所におきまして、小規模の部分的火災がございました。部分的と申しましても、やけどで一人の犠牲者が出たわけでございますので、私どもたいへん遺憾に思っておるわけでございますが、いまの原子力災害という点に着目して見ました場合には、この油の漏洩による火災は、あらかじめ設けられました自動消火装置によりまして、所定の設計どおり、三分間で自動消火したというようなことになっておりますし、第二段のかまえとして設けております。そういう部分的にでも起こった火災の際には自動的に炉をとめる装置がございます。それも働きまして、さらに火災が拡大したような場合にも炉の安全が保たれるような装置が、現実に働いておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 外国の例によりますと、やはり火災によるもの、またはその廃棄物によって、他の国に被害を与えた例なんかもあるわけですが、いまの日本においてはそういうような例はもうないのだ、こういうように理解してもいいわけですか。同時に、津波や高潮、こういうようなものであっても、それは万全なように、安全性の点の指導はやっておりますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 原子力発電所の計画をし、それから申請書を出させる場合には、いろいろな観点からの計画書なり解析書なりをとるわけでございます。環境条件ももちろんでございますけれども、先ほど御指摘にございましたような地震に対する条件、あるいは津波その他の通常考えられる天災に対しても、安全なるごとく設計されているかどうかという点が一つの審査の項目になっておるわけでございまして、そういう点は心配のないように、われわれやっていきたいと存じておるのであります。  なお、ただいま外国の放射能に関する事故のお話がございました。先生のただいまおっしゃられた例が、具体的にどの例であるかは存じませんけれども、少なくとも商業用の発電所につきましては、内外ともに、いわゆる原子炉災害というものは、いままで聞いたことがございません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 私の手元にある、日本科学者会議で調べたこれによりますと、諸外国のこれに類する例がたくさん載っておるわけであります。したがって、その例の一つ一つは、あとからこれを読んで、ないことを、後日証拠立ててもらいたいと思います。あとでこのパンフレットを持っていってください。イギリスの例、アメリカの例、その他の例がございます。  そこで、次に進みます。原子炉からのいろいろな廃棄物が出る場合に、それの水産業に及ぼす影響、こういうようなものに対しては、全然無害でございますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 先ほど申し上げましたように、通常原子力発電所そのものからは、海に放射能が流れ出すということはないわけでございます。いろいろ、再処理施設でありますとかいうところでは、非常に低いレベルの放射能廃液というものは考えられるわけであります。これらの排出基準につきましては、国際的に一定の基準がございまして、人体に対しまして影響がないという一つの基準が出ておるわけでございますが、その範囲に十分入り得るような設計にすることを、要求いたしておるわけでございます。日本におきまして、まだそういう設備はございませんけれども……。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いまからあったらたいへんじゃありませんか、やったばかりで……。二十年もたってようやく出てくるようなものがあるのに、いまありません——その危険性をおもんばかるから、安全性の問題で、いま聞いているのであります。  それで、そういうようなおそれが絶対ないというようなことでございます。私の手元には、ちょうどここに議事録があるのです。昭和四十二年六月八日、科学技術振興対策特別委員会第十三号です。そして委員外の出席者に原子力委員会の委員、有澤廣巳さんが出ております。この人の発言の中で、いまの運輸大臣の中曾根さんが委員として質問したのに答えて、「海水が、原子力発電所の排水が流れ込んできましても決して心配はない、こういう研究を十分やってもらいたいと考えております。」、こういうように有澤さんが皆さんのほうにこれを答弁し、考えておりますということを表明しておるでしょう。これはそういうおそれがあるから言っているのじゃありませんか。絶対にないということ、私はそう信じたいのですが、それだったら、有澤さんのこれは間違いでございますか。これはちょっと私は解しかねます。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 ただいまの引用されました問題は、原子力発電所についてではございませんで、再処理施設についての問題かと存じております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これはいろいろ多方面からこれを質問して、「原子力発電がもう本格的な実用化の段階になりました今日、わが国においても原子力発電のサイトというものはたいへの重要な問題になってきております。」、ここからずっといって「海水が、」云々ということが出て、そのあとにもっと言っているのです。「沿岸漁業がだんだん衰微してきておる上に、さらにいまのような海水汚染による不安というものを持っておりますので、この問題を私どもは至急に解決したいと思いまして、いろいろの措置を考えておる次第でございます。」——これは絶対安全だったら、こういうようなことを言わぬでもいいのじゃありませんか。これはどういうふうなことなんでございますか。私の思い違いでございますか。これは六月八日の議事録ですよ。科学技術振興対策特別委員会の議事録ですよ。絶対ならば、私は安心しているのです。ところが、委員自身が、その問題について今後まだまだ研究の余地があると言っているではありませんか。私は、そこをはっきり解明しておいてほしいのですよ。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 原子力発電所がほうぼうにたくさんできてまいりますと、その炉で使われました使用済みの燃料というものを再処理しなければならない、という問題が出てまいるわけでございます。その問題はいま計画中でございますが、そういう再処理工場からは、いろいろな種類の放射性物質が出てまいるわけでございます。それをそのまま外部へ放流いたしましては、これはたいへんでございますので、それを支障がない程度に薄めまして流す、こういうことになるわけでございます。その基準といたしましては、国際放射線防護委員会という権威ある機関があるわけでありますが、そこで一つのラインを出しておりまして、放出の濃度というものがそこで押えられなければならぬ、こういうことになってございます。御参考までにその濃度がどの程度のものであるかということを申し上げますと、実は御承知のように、われわれ住んでおりますこの陸上におきまして、天体あるいは地殻構造、土壌等の中からいろいろの放射能を実は受けておるわけでございますが、いま申し上げました許容基準と申しますのは、大体そういうわれわれが日常受けております——われわれ専門語ではバックグラウンドと称しておりますが、その放射能レベルと大体同程度のところまで押えるということになっておるわけでございます。したがいまして、先生御指摘のように、われわれ決してそれを野放しで安全だ、こう言っているわけではございませんで、そういうことに限定をするためには、相当の金をかけまして、いろいろな防護設備をするわけでございまして、した上で十分にそれが確保できるようにしよう、設計もそうさせますし、運転も、政府が責任を持ちまして、いろいろな法令によりまして確保しよう、こういうことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いまおっしゃった範囲は了解できる。ただ私のほうで心配なのは、やはり過度集中によるところの配慮が十分なされておるはずですが、この心配が一つあるわけです。それと同時に、いまおっしゃったことをいままでの例について具体的に言うと、法律ではちゃんと指定されている。煙に対してはばい煙排出規制法という法律があって、その排出基準まできめておっても、それが集中されるところに、四日市のような公害が発生しておるのであります。それと、すでに水質二法ができて、もうその基準まできめて指導しておるにもかかわらず、もう水質汚濁は、隅田川は隅田どぶのようなものであって、あれでは大腸菌でも自殺してしまうようなきたなさでありましょう。そういう状態の中で、これは法律があってやっておるからいいのだということは、現在のところでは通用しないわけです。イタイイタイ病でも、カドミウムの二十年間の集積があらわれてくるのだ。水俣病でも、有機水銀のほんの微量なものが魚に集積蓄積されたものを食べて、それが発病するのだ。それも一挙にではない。それがからだの中に蓄積されてくる。ほんの微量なそのようなものでも、何年か後に集積して、そういうような魚介類に及ぼす影響、人体に及ぼす影響、これは放射能ばかりではありません。そういうような確言がほしいのですが、それをはっきりさせていただきたいと思います。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 先ほど申し上げました国際的にきまっております基準に、最終的におさめるためには、施設から出ます濃度とか量とかという環境条件、具体的に申しますと、その付近の海の条件だとか、生物による摂取、それからさらにその生物を人間が摂取する相関関係といったようなものを総合計算をいたしまして、最終的に、先ほど申し上げましたような、これなら安全だという基準に合うようにしよう、こういうつもりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 念を押しますが、やはりいままでのイタイイタイ病で言われたカドミウムのように、これは二十年かかってこういうような害悪が出て、いま公害として取り上げられ、世の中を震撼させるような問題になるわけです。いま原子力の場合は、これからの一つの資源であり、われわれの待望の熱エネルギー源だ、こういうことになりますると、いわゆるその平和利用のためには、その方面も一緒に、被害は皆無である、こういうようなことも考えておかないと、これは私どもとしてほんとにあとになってから悔やむようなことがあってはだめなんで、いまのうちにやっておかないとだめだ、こういうようなことから、聞くのです。いまの安全審査会で出すその権威ある決定、これはイタイイタイ病または水俣病、こういうような蓄積されて将来は人体に影響を及ぼす、こういうようなものは絶対ないのだ、こういうふうにはっきり言い切ってもらいたいのです。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 お説のように、さようなことが絶対ないようにいたしたいと存じます。なお、そういうような観点から、放射能の環境調査といったようなことは、常日ごろから厳密にチェックをしていかなければならぬと存じまして、政府といたしましても、相当の予算をとりまして、年々全国的に海水とかその地の環境の放射能水準の調査を続行しておるわけでございまして、今後ともそういう手段を通じまして、不安のないようにいたしたいと思います。いずれにいたしましても、日本におきましては、不幸にして広島、長崎のような経験からいたしまして、放射能問題につきましては、非常に重大なる関心を全国民が持っておるわけでございます。幸いにして、原子力開発というのはこれからの問題でございますので、最初から設備の安全設計、あるいは安全に対する国の監督といったものを確立いたして、一般の工場の災害といったようなものが、少なくとも原子力については起こらないように、私は念願をいたしてやっておる次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ことに、これが企業化されます場合には、立地条件がよければ集中する。そうなれば、環境を整え、安全性を確保することが絶対必要な必須要件になってくる。しかしながら、いままでの傾向として、一たん通産省が許可すると、企業者はルーズになるということはもうすでに自明の理なんです。そうなった場合、普通の場合は安全性ぎりぎりまでそれを下げる傾向がある。そういうようなことがないように、安全性の確保だけは十分考えて平和利用に徹しなければならない、こういうように私は思っているわけなんですが、こういうようなことはありませんか。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 先生のおっしゃったようなことが絶対ないように、やっていかなければならないわけでございますが、われわれも、電気事業法、あるいは関係する技術基準を整備しておりまして、先ほど原子力局長から申し上げましたような審査を経て許可され、それから今度は、工事計画の内容も、これまた同様な審査を経まして、具体的な検討をして安全性をきめる。さらに、工事中も、工程ごとの検査をやりまして、間違いないか調べる。また、竣工の段階におきましても、厳密なる竣工検査をやる。それから運転に入ってまいりましても、定期に検査をやる。それからまた、立り入り検査を行なうというようなことを通じまして、いやしくも会社がその程度を下げるというようなことのないように、厳重に注意しながら指導していく、というたてまえでやっております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ストロンチウムが骨に蓄積するのがおそろしい現象であるということは、当然わかりきっております。それと同時に、水産魚類の中にこれが微量でも蓄積されると、水俣病やイタイイタイ病になるということは、いままでの例ではっきりしている。そうなると、その被害ということになりますと、これは当然公害対策基本法によっても、救済する方向ははっきりさせておかなければならない。厚生省、これは公害対策基本法からなぜ抜いているんですか。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤説明員 公害対策基本法の中で、原子力関係はそのほうの法律によるということを八条で明記した趣旨は、原子力関係は原子力基本法という基本法がございまして、関係法令がその範囲で整備されておりました関係で、その関係でやるということを明らかにした次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 公害対策基本法によるよりも、原子力基本法によるほうが被害者の救済が的確であり、なおよろしいということですか。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤説明員 原子力関係につきましては、基本法もあり、関連法令もすでに制定されておりましたので、科学技術庁のほうで万全の措置をとっておられるということが明らかになっておりましたので、その点確認いたした次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 無過失損害賠償制を、原子力基本法で採用しておりましたか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 お説のとおりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 漁業団体が方々へ視察に行って、中間報告が出されておるようですが、その要旨はどういうようなことでございますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 先生のおっしゃられるのは、最近、水産庁の指導によりまして、漁業関係者が、主として欧州の各原子力施設を見てこられた結果の報告のことであろうと存じますが、それは私どもも拝見しました。  その内容をかいつまんで申し上げますと、外国の原子力各施設は、それぞれ安全上の問題がなく運営されておるということが一つうたわれておるわけであります。それから、これは勧告と申しますか、意見でございましょうか、日本におきましてはまだPRが不足ということであるので、PRについては、さらに官民を通じての努力が一そう必要であろうということと、さらに、放射能の調査のためのモニター制度の確立を要望しておる、という内容になっておるかと存じております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、いまのような要件を具備すればいいというような結論だと思うのです。それと同時に、どのような微量であっても、積み重ねられても有害ではない、というようなところまで安全性が確保されておるというような言質がほしいのですが、そうだと言ってもらえぬですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 先生のいま最後におっしゃられたような内容のことは、この調査団の報告では、触れられておらないように存じます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 残念ですけれども、局長のほうから、いま安全性は高いというようなことでございますから、どのような微量なものでも、これが積み重ねられても有害ではないというように解釈いたしまして、私は質問を終わりたいのですが、これははっきり明言しておいてもらいたいと思います。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 お説のように、微量のものが長年かかって積み重ねられても、なおかつ、先ほど来申し上げております。一つの安全のラインが十分確保されるように運用していくつもりでございます。また、そのように、従来の安全審査等も行なわれております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 どうも歯切れが悪いですよ。思うとか、従来のとか言ったら、が、しかしと同じになる。安全性が十分ではないから、これを聞いてPRしてくれと言っておるのでしょう。私は皆さんの言うことを信用したいから、こういう機関を通じて、国民に対する皆さんの答弁ですから、おどおどしてはいけませんよ。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 例をあげて申し上げたほうがはっきりいたすと思いますが、先ほど来引用しております国際基準の量というものは、たとえば、人をその場に一生置いて、その場の空気を吸ってもだいじょうぶだ、それから、飲用水にしますれば、その基準におさまっている水であれば、一日に二・二リットルずつ一生その水ばかり飲んで暮らしても影響がない、こういう数量に匹敵するわけでございます。たとえば、そういうようなことになっておりますので、さっきおっしゃられた、少量のものを積み重ねた場合でもだいじょうぶだというお答えになるかどうか、一例であります。(島本委員「なるかどうかではなく……」と呼ぶ)なると存じます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 なるかどうかとか、存じますではなく、なりますと断言しなければ……。  次に、予算の面ですけれども、いま北海道のほうを調査しておるのは浜益一カ所のようでありますが、この予算は何百万円ですか。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 一カ所、大体百五十万円平均ということになっております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 八十万円じゃないですか。

藤井孝通商産業省公益事業局技術長

○藤井説明員 これは気象調査と、それからボーリング等の地質調査と、二つに分かれておりますが、地質調査のほうは八十万円、おっしゃったとおりであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 私も初め申しましたように、地域開発になるものであり、平和利用に徹し、これからのエネルギーの一つの資源になる問題ですから、これは平和利用に徹するためにも、十分安全性の問題に留意して、少しでも国民に不安のないようにして、開発を進めてもらいたいと思うのです。なお、いままでの答弁は、エキスパートの皆さんですが、私のようなしろうとがやっても、どうもことばじりがきれいじゃないので、もっと自信を持って断言するところまで、十分検討願って、この次にもう一回、ここでいまのやつを全部、私のほうでは箇条書きにしておきますから、このように実施されているかどうか、点検の意味で、もう一回お目見えを賜わりたい、こういうふうに思う次第であります。これからの皆さんの一そうの健闘を祈って、これで質問を終わります。

八木一男日本社会党

○八木委員長 小沢貞孝君。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 私は、前にもこの公害対策特別委員会でお尋ねいたしましたが、その後、科学技術対策特別委員会等でお尋ねをして、資料を実は厚生省から出していただいたことがありますところの阿賀野川の水銀中毒問題について、主として厚生省、農林省、通産省等にお尋ねをいたしたいと思うわけです。  実は、最近厚生省から出していただいた資料に基づいて、主として御質問いたしたいと思いますけれども、さっき島本先生のお話を聞いておって、ごく微量の蓄積というような問題もあって、きょう気がついたので、その前に一つだけ、前々回出された資料について、御説明をいただきたいと思うわけです。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 前々回出された資料とは何かといいますと、松尾厚生省環境衛生局長から私あてに、「昭和四十二年十月二十七日付で提出された標記に関する質問書に対し、別記のとおり回答いたします。」こういう中で、終わりのほうに、「国立衛生試験所の動物実験の成績は動物体内において水銀化合物が変化しないこと、与えられた水銀化合物がそのまま検出されていること。」、こういうようなことで、国立衛生試験所のデータをつけていただきました。局長お持ちですか。——持っていますね。その中で若干質問をいたしますけれども、いまの島本委員の御質問と関連して、私、気になる点がありますので、これを聞いておきたいと思います。  実は「水銀化合物の慢性毒性実験、毛中水銀量(一年飼育)、国立衛生試験所毒性部」、こういうようにデータが出ておりますけれども、その左の一番上にEMC−1、わかるでしょうか、ラットナンバー一〇二、一〇五、一一四、一一五、こうあります。これは、コントロールの中には〇・八PPM、一・〇PPM、こういうような水銀量があるが、そのEMC−1というのは、〇・一PPMのEMCのあるものを一年間与えた結果、水銀の蓄積はこうなります、そういうことなんですね。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 これは、この表題の一番上にございますように、毛の中に出てきた水銀量、そういう意味でございます。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 そういうことで、そこに、一年間〇・一PPMを与えても、平均値として一・一という数字と〇・八という数字が出ておって、この実験結果で見る限りは、エチルを一年間〇・一PPMずつ経口投与しても蓄積はしないんだ、そういうような、厚生省の主張せんとするところと逆のような結果がここに出ておるように、私感ずるわけです。蓄積はないんだ、こういうように感ずるわけです。どうでしょう、それは。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 この場合、この表の見方、これは私の研究じゃございませんけれども、これは全体として見ていただくべき性質の実験でございます。一年間で〇・一のEMCであれば、ここにあるような程度でございますけれども、それが右のほうにございますように、MC−1、同じ〇・一PPMでございますけれども、メチルのほうでございますと、三・八とか二・五とかいう平均値になっている。したがいまして、こういう水銀の種類というものも考慮しながら、この辺の問題を見る。  それから、いまの一・一というのが、蓄積しなかったかどうかということでございますけれども、毛の中の水銀量というものは、コントロールに比較すればこの程度に上がっておりますので、やはりある程度の蓄積はあった、こう考えていいんじゃないかと思います。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 コントロールは最初からある程度しか出ちゃいないから、概括的に見ればこれは蓄積はないんだ、こういうように私は感ずるわけです。これは同じアルキルなんだから、〇・一PPMずつ一年間与えても蓄積はないんだ。ほかのところは別ですよ。これは私、前にも聞いたことがありますが、ほかのところは別なんだが、左の一番上のEMC−1、こういうところに関する限りは、そういう結果が出ているように感ずるのです。〇・一PPMというのは一千万分の一ですね。よろしゅうございますね。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 やはりコントロールと比較いたしまして、与えたのは〇・一という非常に薄いものでございますけれども、毛の中にはやはりここにあるような程度に上がって出てきます。毛の中にそれだけ出るということは、やはり蓄積があった、まあ蓄積と言えますか、あるいは体内移行と言ったほうがいいんでございましょう。少なくとも毛の中に移行するということだけは言える、そういう程度だと存じます。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 上がったと見るか、変化がないんだというように見るかは、一年間のこれだけの結果では必ずしも十分ではないと思います。私は〇・一、つまり一千万分の一という高濃度のあれを与えてもこの程度のことだ、こういうことになると、前にもお尋ねしたと思いますが、厚生省側が結論を出された、昭和電工の——疫学班の方は、大体一年間百五十キログラムくらいのメチルが流れたのじゃないか。それが百十万トン・パーアワーの水の中に流れたのじゃないか。その濃度は五百億分の一か七百五十億分の一でしょう。こういうことで、厚生省もそれを一回計算していただきたいという質問のままとなっておりますが、いいですか、これは七百五十億分の一ないし五百億分の一の濃度だと仮定して、一年間百五十キロぐらい流れた、こういうように言っておられるから、それをそのままうのみにしても、それくらいの濃度でしょう。二、三回前の委員会で質問したのですが……。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 水量との関係でどういう計算をするかということは——たいへん薄まってくるということだけは、御指摘のとおりだと思います。ただ、ここで実験されましたようなデータをごらんいただきます際に、やはり動物にえさとして〇・一程度のものを与えたというような結果でございますけれども、いわゆる水俣病の場合には、非常に微量な濃度の水というものを介しまして魚体に蓄積していく。そこにもう一つの生物体というものが介在する。魚介類という生物がもう一つ存在する。それがちょうど——私の言い方が正しいかどうかわかりませんけれども、かりにいえば、動物に相当するような段階に水を与えたら、えさを与えたら、その中に魚がどの程度になってくるかというような試験、それに匹敵するような関係に位置づけられると思いますけれども、しかし人間の場合には、そういう魚という生物体をもう一度通して、それを食べてきておるというところに特有な問題があるわけであります。したがいまして、たとえ微量であっても、その魚というものが中間に存在するというところに、やはりこういう問題が起こってくる非常に大事なポイントがあるのじゃないか、こう考えておるわけであります。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 私も学者でないので、いろいろ論争してもあれだと思いますが、あのときの報告は、ニゴイの多食だ、こういうように聞いておるわけです。ニゴイというのは三年か五年しか生きないわけです。そのニゴイを——ラットと魚を置きかえたというふうに考えてみた場合、その魚は、一千万分の一の量でも、私の見るところでは、有意な変化がなさそうに見えるわけです。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 あれよりさらに低いところの七百五十億分の一という微量のものが、三年くらいしか生きないニゴイの中にどういうように蓄積されるか。こういうことになると、七百五十億分の一というものは微量も微量、ゼロに近いものだ。そういうものとラットの結果を比較すれば、蓄積しないのではないか。ゼロのものを、三年ばかり生きておるものを、それを長年にわたって食べることによって、人間の中に蓄積するという、お医者さんがよく言う機序ですね。私はこういうことばは初めて聞いたのだけれども、メカニズムといいますか、そういうものがよくわれわれには理解できないわけです。ラットの場合〇・一PPM、一千万分の一の高濃度のものをやっても、こういうようなものは有意な変化がない。ところが、それより七百五十億分の一という微量のもので、たった三年くらいしか生きない、長くて五年くらいしか生きないニゴイが次々に死んでいく。それを途中で人間が食べる。そうして人間のからだに移行、蓄積する。こういうことがわれわれには実はよく理解できないわけです。私はきっとこういうことになりはしないかと思うのですが、違うでしょうかね。メチルの濃度の高い中に入れれば、魚はじきに死んでしまう。ある濃度の範囲の中では影響が出てくる。それから、もう少し低くて、ごく微量のときには蓄積するかもしれない。超微量のときには影響がない。こういうように、やっぱり三ないし四ランクに分けて考えられるのではないか、こういうように、しろうとなりに考えるわけです。よく農薬の被害でもって、魚がぱくぱく立ち泳ぎします。こういうことがあるわけですね。今度の事件においても、河口だけに、地震のあと——たしか地震は六月だったですな。八月ごろから半年ばかりの間に魚が。ぱくぱく浮いて立ち泳ぎしました。それがおもしろいように取れました。それを多食した人がああいう中毒になった。上流のほうには実はないわけですが、これはそういうことと関係があるので、濃度が魚にどういうように影響を及ぼしていくかということは、これからの重要なテーマではなかろうか、こう思うわけなんですが、あまりむずかしいことでしたら、研究した資料を出していただけばいいし、何かそういうことについておわかりでしたら、お答え願えればありがたいと思います。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 水の中の水銀——実は熊本で水俣病がございましたときに、その後の研究の中で、神戸大学でございますか、やったのがあるわけでありますけれども、これはまさに実験的なものであります。メチル水銀が入りました水溶液の中に魚を入れまして飼ってみた。非常に濃度が高い場合には、たとえば〇・三PPMの場合には、一時間くらいでその魚が死んでしまう。ところが〇・〇〇三というような水銀あるいはその十倍の〇・〇三というようなデータを使って四十日間養ってみたけれども、それは別に死にはしない、ちゃんと生きていた。そのときには蓄積が一から三PPMくらい魚体の中に出てきた、こういう実験的なものがあるわけです。そういうようなことで、これは実験でございますので、濃度とか何かを適当にしておりますけれども、そういう関係から、〇・〇〇三といえば、相当これは薄めたものだと存じますけれども、そういう微量といわれておる中でも、金魚が生きておりました場合には、やはりきわめて高い一から三PPMというオーダーの全然違ったものが体の中から出てくるということでございますので、やはりそういう蓄積という現象、水の中には微量でございますが、しかしどういう機序でいくかということはたいへんむずかしい問題だと思いますけれども、そういう実験結果からも、そういう動物の中に蓄積するということだけは考えられると思います。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 そういう実験結果もあるというならば、この七百五十億分の一ないし五百億分の一ということになると、〇・〇〇〇〇二PPM、そういうものはどういうようになるだろうかということをひとつ、これはまたデータでけっこうですから、研究されて、そういうものも蓄積するというように推計できるかどうか。私は蓄積しそうにもなさそうに見える。これはゼロだと思うのですよ。これだけの微量というものがどうして蓄積するか。ひとつまたいまのデータを添えて、どういう機序によってこれは蓄積するかということを教えていただきたいと思います。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 ただいまの実験のデータにつきましては、後ほど差し上げることにいたします。  それから、その四けた、五けたくらいに薄めたものがどういう影響を与えるかという実験が行なわれたかどうか。これはそういうものを調べてみないとわかりませんが、そういう薄いものがありましたら、さっそく調べたいと思います。しかし、確かに微量でございますけれども、普通考えれば、入らないじゃないか、蓄積というものはあり得ないだろうという、いわば物理的なあるいは物理学的な考え方でいえば、そういうものは成り立ちそうに見えますけれども、先ほどのような〇・〇〇三というようなもので四十日という時間を経ました上でも、もう一ないし三、この濃度の、微量の濃度から比べればはるかに高い、五倍以上になりましょうか、それくらいの濃度のものが魚の中に入ってくる。それがなぜ入るのだ、おかしいじゃないかという問題は、確かにふしぎさが残りますけれども、それがやはり一口に言えば、そういう生物というものの機能の一つの特性かもわからない。しかし、そういう生物体というものの中には、現実にそういう現象が起こってきている。これはやはり一つの実験として、否定はできないデータではないかと考えております。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 そこはむずかしいところですから、私はニゴイというものは一年間に何リットル水を飲むか、そうすると何億分の一くらいは入るとか、そういうことを考えると、どうも私は物理的に考えて不可能のような気がするのです。七百五十億分の一の濃度というものはゼロだと思うのです。それが一年間に、ニゴイというものはあの小さいからだで何リットルの水を飲むかわからないが、一年間に幾ら人の倍の水を飲んでも、たまるようにどうしても考えられないものだから、その辺がわからなければ——その辺はまだ実際は学問的にはわかっていないのかもしれないのですが、もしできたら、その辺私は教えていただきたいと思うのです。これは実はこの問題を解明するについては、汚染は均一であったのか不均一であったのかということが、だんだん考えてみると重要なポイントになるような気がするのです。それで、これは均一だと考えていいと思うのですが、どうでしょう。たとえば鹿瀬電工から流れたとすると、えんえん七十キロの下までずっと流れてきたのですから、均一に汚染されてきたのだ。私はまた別の理論を持っております。不均一で局所的な濃度があったと思うのです。局所的な濃度のところに底棲の魚がいってそれを吸飲してなったんだ、こういう考えを持つのだけれども、とにかく厚生省の結論めいたものからいえば、七十キロの上流に極微のものが流れて、えんえん百十万トンの水が七十キロ流れてきたのですから、その水の汚染は全く均一である、こういうように理解できますけれども、それはいいですね。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 おそらく、その水だけの汚染と申しますか、濃度というようなものを考えれば、これはやはり物理的な問題でございますので、遠距離流れておるうちに、まざってきたりいろいろありますでしょうから、ほぼ均一的な薄まり方、それはあり得るだろうと考えます。水自体についていえば、そういう現象はあり得ると思います。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 ところが、私は、不均一だと見るものだから、局所的に汚染したものと見るものですから、その問題についてはおいおいまた御質問いたしたいと思いますが、いずれにしても、いま厚生省で出した結論めいたものでいえば、七十キロ上流からえんえんと微量のものが流れてきた。ゼロに近いものが流れてきた。これは均一であることは間違いないと思うのです。そのくらいにしておいて、この間出していただきました資料について、若干お尋ねをいたしたいと思います。  この間は、実は答弁をいただきました中で、いま一回お尋ねしたわけです。「長期汚染については阿賀野川流域に住む婦人の長髪中の水銀保有量の経時的変化から地震以前すでに濃厚な汚染があったことが認められた。」、こういうような御答弁がありましたので、実はそういうようにひとつ結論づけたデータを出していただきたい、こういうことで、私のところに出していただいたデータがずっと以下たくさんあるわけですが、それは局長お持ちですか。——それじゃその長期汚染という理由の第一に、「婦人の長髪水銀保有量の経時変化」、最初からひとつお尋ねしたいと思いますが、その下に、「新潟市一日市の桑〇リ〇は三十九年一月すでに五〇PPMであった。鹿瀬町の遠〇ツ〇は三十九年一月すでに八〇PPMであった。新潟市下山の南〇子は三十八年九月すでに四〇PPMであった。以上の三名は臨床研究班の成績であるが、試験研究班も同様の実験を行なっており、これを臨床研究班と同型のグラフにすると、別紙一となり、三十九年七月以前に五〇PPMを超える者三名がいる。(ただし一センチメートルを一カ月の成長と算定した。)」こういうことで、実はグラフをいただいてあるわけですが、このグラフについて若干お尋ねをしたいと思うわけです。  浮田教援が出された、何か測定したもののようですが、このグラフの中でS・Mというのが南何とか、このA・M、これはグラフが間違っておるのですか。A・MとあるのはA・Nの間違いですか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 たいへん失礼をいたしましたが、そこの二番目の見出しにありますA・MはA・Nです。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 どっちが悪いのです。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 見出しのほうが悪いわけであります。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 大体K・Oと三人あるわけです。  そこで私がお尋ねしたいのは、地震は昭和三十九年の六月幾日だったのですから、六月ごろのところに筋を引いてみました。そうしたら、このS・MとA・Nのほうは地震時すでに相当高かったらしくこのグラフには出ておりますが、地震があったら急に毛髪量が減っておるわけです。疫学班その他でやられたものは、地震後みんな一気に毛髪水銀保有量が高かった。だから一時濃厚汚染の可能性もありはしないか、こういうように出ているのだが、ここに出ている特異的な三名のうち特にその二名は、地震後は急に下がっているわけです。地震前において、確かにすでに毛髪の水銀量は高かった、こういうところを示しておるわけです。これを持ってきて、地震前すでに濃厚な汚染があった、こう理論づけるようにここへ持ってきてありますから、このグラフでいえば、確かにそういうことだと思います。地震前にすでに毛髪の中には高い水銀があったのだ、こういうように言えます。だから、それをここで証明をするからには、ここが大事だと思いますが、地震後急にこの人は魚を食べなくなった。魚を食べなくなったからこんなに急激に減ったのだ。特異中の特異です。あとの大部分の人は地震後みんな毛髪の水銀量が上がっておりますから、地震のあとの影響が大きいのじゃないか。これが一時的な汚染か、長期汚染かの分かれ目になっている問題だと思いますから、この二人の人は地震後は魚を食べませんでした、どこかにこういう証明書があるのでしょうか。そういうことがないと、このグラフは意味がないと私は思うわけです。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 このグラフに出しましたのは、試験研究班の出したデータでございまして、それに対して、魚の摂取を個々に当たっているという例はございません。そういうデータはございません。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 局長、ちょっと考えていただきたいのですが、魚をずっと長く食べておった、地震以前にこんなに毛髪水銀量が高かったということで、長期汚染の証明にこれを使っておるわけでしょう。短期汚染の人は、地震のあとに農薬流れたとか、地震のあとにほかの何かがあったときに魚が急に浮いてきた、地震後にみんなの毛髪水銀量が急に上がったのだ、こういように、短期一時局所的な農厚汚染側の人はそう主張するわけです。厚生省はそれに反して、いや、そうじゃない、三十年間操業して、七百五十億分の一のメチル水銀が蓄積に蓄積を重ねて、地震前にすでにこれだけのPPMがあったのだ、こういう唯一とも見られるべき証明のために、地震前に毛髪にすでにこれだけの高水銀量があった、こういうような証明でここに出されるならば、地震直後から、この人だけは特別水銀量が減っているわけです。だから地震直後この人は魚を急に食べませんでしたという証明がありますか。私の言うのは、この人は最初から魚とは関係ない人じゃないですか、こう言っているのです。だからこれは、地震直後だれからも指示されないで、本人が急に魚を食べなかった二人の例ですと、こういうように明確な証明がついていない限り、このグラフはナンセンスだ、私はそういうふうに思うのです。理論的にそうではないでしょうか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 お説のとおり、その例について言えば、そういう魚の摂取状態というのが明白に当時において押えられておれば、確かにりっぱな証明にはなると思います。非常に完全な証明をつけることが可能であったと思います。ただ、すでに先生御承知のとおり、ここで五〇PPM以上のものがあるという点に着目しておりますのは、結局一般に農薬的な日本の汚染の場合でも、せいぜい二〇PPMくらいが限度である。それはほかの地区へ行っても、農薬の影響から髪の毛に入るというような量は五〇PPMということは考えられない、そういったところでございまして、一応この線は五〇PPMということを考えてみれば、かなり商いということの一つの証明がつけられる。だから、それは、魚を食ったかどうかということについては、まことにこの資料自体においては不完全でございます。しかしながら、これもほかの資料にもございますが、魚を食べたときの状態、それから毛髪の水銀屋というものを比較したような例は、別の例にはあるわけでございます。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 私に正式に出した答弁書として、長期汚染の理由として、この婦人の三つの例の経時的変化といって、わざわざこういうふうに出してきてくれました。疫学班か何かの報告にもこういうことがあるのじゃなかろうかと思うのですが、こういうふうに出して、地震前すでにこれだけ高かったということを証明するからには、この人が魚の多食でなければ、阿賀野川と関係ないわけでしょう。魚の多食の人が近くにいて、地震前にこれだけ毛髪水銀量が高かった、こう言うならば、確かにこれは阿賀野川の付近の人は、地震前すでに魚をたくさん食べておって、こんなに毛髪水銀量が高かったという厚生省の証明どおりになりますから、この人は地震が終わったら急に魚を食べなくなったという裏づけがないと、このグラフは意味がない、こう言っているのですよ、私が言うのは。この人は、地震前までは魚をたくさんたべていたから、えんえん七十キロ上の七百五十億分の一のメチルによってこれだけ濃厚に汚染されて、五〇PPM以上の人がこれだけいました、こう言うならば、この人は地震が終わったとたんに頭の毛の水銀含有量が急に減ってしまったんだから、だれからも指示されないで急に魚を食べなくなったという証明がない限り、意味がない、こう言っているのです。ということは、この高度な汚染というものは、魚と関係なく、川と関係なく、この人の頭の毛の中に水銀の含有量があったのじゃないか、こういうことを私は言いたいわけなんです。だから、私に反論がないならば、このグラフは意味がないのです。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 そういう判断を研究班がいたします際に、さような毛髪の中の経時的な変化というものに着目をしまして、カーブを書いた。しかも、それが一般の、日本で、ほかで得られている農薬等による水銀の量と比較して、それが非常に高いかどうか、こういう形で判断をしてくるということは、この水銀の体内に入ってきた時間的な変化を見る上におきましては一つの判断だと思います。しかしながら、同時に、全例についてそういうことが行なわれていないかもわかりませんが、すでにこれは先生のほうにも差し上げてあるかと存じますが、鹿瀬町だとかあるいは下山、一日市でございますか、そういうところの方々の毛髪中の経時的変化、それと魚の摂取というものとは、これは一緒にあわせて調査された、そういうデータも行っているはずでございます。それはそういうものがここにある。しかし、同時に、試験研究班が別の意味で毛髪水銀値を測定しておる。それはやはり平均から見れば、一般の、普通われわれが持っている程度のものをはるかに越えるものである。一方には、魚との関係というようなものの例もあるということであれば、そこのところも、やはり長期的な、以前からの汚染があったという判断を下すことは、全体として見たときに、そうむちゃくちゃな、とんでもない推論をやっているというものではない。やはり、片一方には、ちゃんとそういった関係をつけたものがあるわけでございますから、決して何にもないところでそういう推定だけをやっているものではない、そう考えていただいていいのじゃないかと思います。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 局長は、私の聞かんとしていることをよく理解して答弁していただいていないように感ずるので、それでは地震以前に、何もこの付近だけでなくて、どこか遠いところに五〇PPM、一〇〇PPMという人がいましたということがわかれば、これは全然意味がないことになります。現に私のほうの長野県の佐久病院の若月院長先生も、農薬等を扱ったりその他によって、一〇〇PPM以上の人がいます、こういうように報告になっているわけです。あるいは元熊本大学教授の何とかという先生も、農薬を扱ったりした人の中には、もう一〇〇PPM、五〇PPMという高水銀の人が幾らもいます、こういうように報告になっていて、私は農薬を扱ったり有機水銀を扱った人の中には、一〇〇PPMやそこらの者がたくさんいるということを前から申し上げていますから、地震前にこういう特別な者が二人ばかりいたからといって、そういうことが理由にはならないと私は思います。  そこで問題になるのは、長期汚染ですぞといって私に出したこの三人の中の二人、これが長期汚染の理由だというならば、地震後急に魚を食べなくなりましたという証明がなければ、これは私に出しておる証明になりません、こういうように言っているわけです。だからこれはナンセンスです、こう言っているわけです。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 研究班の報告概要等に載せられておりますのは、先生に差し上げたこのデータではなく、ちゃんと摂取状況等の関係が入ったものがグラフとしては出ているはずでございます。ただ、この試験研究班が行なったものを一応こういう形に置きかえたものとして、いわば追加して差し上げたというような資料でございますので、この判断をやったときの一番根拠になっている例は、研究班の報告概要の中にもございますような、魚を食べた人、その状態と比較されておる水銀の量、これが一番確実な——ただいまも申されたような点で言えば、確実な資料でございます。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 局長、それは答弁にならぬ。私は、疫学班の大部分の経時的変化というものは、地震後に大部分の者が毛髪水銀量が高くなっている。大部分の者は地震後に急に毛髪水銀量が多くなっている。これが一般的な現象だから、一時濃厚ということを私は言っているし、経時的変化をそういうようにあらわしているが、長期汚染だというからには理由を示せと言ったら、ここに二つの特例を持ってきたから、それには魚を地震後急に食べませんでしたという証明がついていないと、私への反論にはなりません、こう言っているのです。みんなわかっていて、それを聞いているわけです。だから、これは反論資料から削除する、こういうように私は理解せざるを得ないわけです。   〔委員長退席、折小野委員長代理着席〕

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 この別紙一というような形で出されたものが、魚の摂取状況が入っていない、それが触れられていないデータだというならば、私のほうではそれを削除いたして差しつかえございません。この別につけましたグラフは、そういう意味では、魚の摂取状態との関係において証明のない資料であるという点では、私ども認めております。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 そういうようにすなおに認めていただいて、長期の汚染であるという私への反論の一つは、これでなくなりました。  そこのグラフにK・Oというのがもう一つある。これは地震後に急に高くなっていますから、それはいいとしまして、このK・Oという人のグラフを持ってきた理由も、地震前にすでにこんなに高かった、こういう理由のために持ってきたと思います。この人は、疫学班の報告書をしさいに見てみると、二歳の女の子です、検体からいって。それはよろしゅうございますか。それは二歳の女の子です。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 そのとおりでございます。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 この二歳の女の子が、魚の多食によってということですが、これは私ちょっと理解しかねるのですがね。おっぱいを飲んでいて、上から感染してくるということも——魚から人間に入って、人間からおっぱいを飲んでいる子供に行く、こういうことがあるならば、あるいはそういうことがあり得るかもわからないけれども、二歳の女の子の一年前のから、その後の状況から見て、ここへ持ってくるデータとして適切であるかどうか、こう私は考えるのですが、どうでしょうね。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 御指摘のような点は、私自身も、二歳だというところには非常に抵抗を感じて、私自身はこれは検討——ほんとうは離乳の状態、離乳食以後においてどういう食餌をとっておったかということが、先ほどのような点で、私どものほうで気がついておれば、その時代にさかのぼって私ならやっておる、私自身はそう思っているわけです。しかしいま一つの考え方は、これは実は逆の見方になるのかもしれませんが、いわゆる胎児性水俣病の問題も一方にはあるわけであります。これは母親の胎内にいる間に、母胎の中を通しまして胎児に来る。その胎児性の水俣病があるじゃないかということは、この研究班なりあるいは調査の実際的な問題のときに非常に心配をされて、いろいろとさがされたという事例がございますが、幸にして、そういう胎児性水俣病は、疑わしいのがたしか一名で、あとはたいしたことはなかったようでございますけれども、そういうような前提が一方ではある。したがって、その子供がいつから直接魚を食べたかということは、実はこれは、先ほど申しましたように、調べられておりません。しかし、また一方、胎児性水俣病のような移行のしかたということも否定はできない現実の事実でございます。ただ、子供さんの母親がどうであったかということを、あるいは調べてあればチェックすべきであると存じますが、その点まではここでは触れておりません。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 この問題は、そういうことで確かにむずかしい問題だと思いますが、この二歳の女の子が魚を多食したということのために持ってきた——これはひとつペンディングにしていただいて、最初のS・M、A・N、これは長期汚染の理由にはならない、こういうことを確認をして、時間が少ないので、若干進みたいと思います。  それからその次には、私への長期汚染の一つの理由として、こういうことを言ってきております。「魚齢別の魚体内水銀量」、こういうことを書いて、「本中毒の人体内の水銀量を高めた主なる川魚と目されているニゴイはその魚齢別の水銀量を見ると、別紙二の如く相対的に魚齢の高いものに水銀量が多くなっている。」、これも長期汚染の何か例のようにここに書いてある。別紙二はお手元にあると思いますが、実は別紙二の四十検体の魚の総水銀量を出してもらってあるわけです。私これを見て、一番最初に書いてある四十年六月のニゴイ四歳が一二・〇五PPM、七月二十一日、三歳魚が二・四七PPM、その次の七月二十六日の四歳魚三・二九PPM。これは私、見せてもらったら疫学班の報告の中に載っておりました。ところが疫学班の報告の中にありながら、これに載せないのが、たとえばちょうどこのころの、四十年六月十九日には二三・六PPM、それから七月二十一日に二一・〇PPM、六月十七日に九・〇三PPM、この疫学班の報告を見たら、そういう水銀量の高いのが出ているにもかかわらず、ここの表には載せてもらってないわけです。あるいはまた、その四十二年の一月二十七日に、患者の発生した地帯の一日市で採取されたニゴイで、一歳魚で〇・四PPM、三歳魚で〇・三八PPM、四歳魚で〇・二三PPM、こういうように、これは四歳魚になって〇・二三PPMしかないのですから、これもまたこの表に載せてないわけです。そういうように考えてみると、この表は自分の都合のいいのだけを拾い上げてきて、魚齢の高いものほど濃度が高いのだ、こういうようなことを理論づけて、そうして長期汚染だ、こういうようにこれまた理論づけよう、こういうように、私にはどうしてもすなおに解釈できないわけです。作為的に見えるこの表であるわけです。どうでしょう。もう少し私は、ニゴイならニゴイを調べたら、調べたものを全部一列に並べて、そういう結果が出るか、そうでない結果が出るかということをすなおに出していただきたいと思う。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 そういう目的、意図を持ちましてこれを書き上げた覚えは全くないわけでございまして、私どものほうは、魚はいろいろ調べたのはある、しかし確実にその魚齢がわかったものとして並べていかなければ意味がございませんので、そういう意味で、これは作業をさせておるわけでございます。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 局長、それはだいじょうぶですか。これは、私に対する長期汚染の第二の理由として、魚齢別の魚体内水銀量、こういうようにわざわざ銘打っての回答の中のデータなんです。そうであるならば、もう少しあらゆるデータを持ってきて比較してみれば、ここに私にいっているようなこととは違うデータになりませんか。こんな、魚齢別に魚体内の水銀量が高くなっているというようなことにはならぬ。非常に水銀量は不規則である、こういう結果に、私が拾い上げてみて比較したならば、見えるわけです。だから、私、悪く解釈したくはないのですが、これは作為的に自分の都合のいい魚だけを拾い上げてきて、そうして、ここへ並べて、こういうように私に言っているのじゃないか、こう思うのです。局長あるいは御存じないかもわかりませんが、私がしさいに検討してみると、そういうように見える。だから、作為的であって、魚齢別には水銀量はきわめて不規則である、明確に不規則です。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 先ほども申し上げましたように、資料はすでに厚い報告書というのがあるわけでございまして、実際はそれを全部そのまま資料として御利用願うというのが実は一番いいわけで、ただ、それをまたあらためて、その中にありますようなものを、問題によって並べかえて、整理してと申しますか、集約をして問題ごとに出す、そういう意味の資料の要求というふうに考えてつくっております。私自身は、そういう意味では、その報告書自体からやはり抜き書きをする、そういう前提で、これは作業を命じたもので、もしその中にその相違があるとすれば、それはまた明確にしてお答えしなければならぬと思います。そういう責任がございます。   〔折小野委員長代理退席、委員長着席〕 ただその場合には、前提として、その魚の年齢というものの推測のしかた、認め方、これはやはり水産の専門家が確認をしておる魚齢というものだけをここにあげて、そうでない、あいまいなものはあげるべきでない、そういう態度で私どもはやっております。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 いま実は長期汚染だということについて、一は毛髪水銀量、二は魚船別の魚体内水銀量、こういう二つの項目で私に答弁をしているので、その二つとも違うじゃないか、こういうように私は理由を申し上げているわけです。だから、それにデータをもって反論できないならば、長期汚染ではないと、実はこういう重大な結論になっていくわけなんで、だから魚齢別の魚体内水銀量ということは、そういう意味で非常に重要なものであるので、局長もその辺は、いまもあいまいのようですから、ここで数字の問題をいろいろ追及してもわからないと思いますから、ひとつ私の納得できるような資料として出していただくようにお願いしたいと思います。これはそういうようにしていきたいと思うのです。  その次に第三に、これだけでもってきょうは、長期汚染か短期汚染かという一項目——十枚ばかり出してもらって、まだ一枚終わらないわけです。長期汚染の三番に「中毒の発生機序」と、こういうように出ておりまして、これはみんな読み上げるとたいへん時間がかかりますから、「このことについては態本県の水俣病の研究、魚介類を介した水銀中毒等の研究からも明らかに慢性中毒を実証している。」と、そういうことばで、これは慢性中毒で、長期だ——これは熊本か何かの先生の研究をただそのままここに持ってきただけでありますから、それはそういう言い方だと思いますが、たしか、おたくで出していただいた九番、ページでいえば八ページ、「頭髪水銀量と川魚摂食との関係」こういうところで、「本中毒の発生はさきの熊本の水俣病発生と同様に汚染された魚介類を反覆して多量に摂取することにより人体に移行蓄積しておこったものである。一時的に濃厚な汚染物質を極く短期に摂取しておこる急性の中毒症でないことは臨床的に明らかにされていることである。」、こういうように、二つとも長期慢性中毒と、こういう表現で私に答弁をしております。しかしいま具体的にデターで、私に婦人の長髪——いまの魚介類の年齢別水銀量データで私に説明してくれたことは、これとは違うわけです。もう一つは、食品衛生調査会委員長の小林芳人さんもそうはいっていない、こういうように思います。その中の一つを読んでみますと、「昭和三十九年八月から四十年七月にわたり定型的な症状を示すメチル水銀中毒患者が多数発生した原因は、一の他にメチル水銀を含む水銀化合物が比較的急激かつ多量に患者の体内に蓄積されたことによるものであると考えられる。これらは魚の多食ということの他に魚体内のメチル水銀蓄積量が高められたということが重って発生したものと推定される。」、こういうことですから、三十九年、地震の直後の八月から四十年の七月、この短期間にその水銀が高められた、こういうことを小林委員長もいっているんです。ところが、ここに私にあてた厚生省のほうの回答というものを見れば、いや慢性、長期だというように断定せんとしておるように見えるわけです。私は小林委員長のほうの答申のときに、前環境衛生局長だったかとも思うのですが、その人は、小林委員長のものにつけ加える何ものもありません、こう言っていながら、今日の厚生省の態度というものは、その一時的濃厚という一番焦点になるものをぼかして、長期、慢性だということだけをあげようとしている、こういうふうに見えるわけです。厚生省自体は、その後態度を変えたということはないわけですか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 そういうことはございません。そして、ただいま先生がお読みになったその調査会の答申の、実はただいま小林委員長がいわれたというその文章の第一項に相当するところに「長期、広域にわたり」ということが書いてある。したがいまして、第一番目に書いてある「長期、広域」ということは、どういうことでこの調査会が判断されたかというための資料としてここへ出してきた。私どもの厚生省がその後態度を変えたとか、そういうものではございません。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 それで、長期ということが私には疑問であったものだから、その長期はいかなるデータに基づいて長期であるかと、こういうことを、すでに出された——厚生省から結論を出していただいたわけです。そうしたら婦人の長髪三件、こういうものがありますということと、魚介類の年齢別水銀の蓄積量、この二つのデータを出してくれたんだけれども、このデータは全然役に立たないということが、実はいま私と環境衛生局長との話で出てきたわけです。だから、長期汚染ということについては、もう少しデータがないと、もっとはっきりしたことがない、そういう証明にならない。私は短期濃厚、局所的な、それから均一でない、不均一、こういうように——短期で局所的で、川口きりに起こって、濃厚で、しかも水が均一でない、不均一な汚染だ、こういうように考えますから、それで長期、慢性なんとかかんとかということを、私は全然信用しないわけです。そういうことから、いままで御質問申し上げたわけです。データについては、大体私の意見を認めていただいたようなことでございますので、まだきょうは実はこれだけの膨大なものについてたくさんあったわけなんですが、時間の関係で御協力を申し上げる、こういうようなことでありますから、御協力申し上げたいと思うのですが、もう一つだけ……。  日本ガス化学の排水のところの水ゴケにメチルの——こう書いてあります。また、昭電排水口の水ゴケと日本ガス化学排水口の水ゴケからは、ガスクロマトでメチル水銀の所見を得ているが、他の地域の水ゴケからはメチル水銀の所見を得ていない、こういうように私に回答していますが、これは日本ガス化学の排水口の水ゴケの中からメチルの所見が出たということは、厚生省疫学班を通じて、食品衛生調査会を通じて初めて公にしたものだ。いままでは、そういうことをひた隠しに隠していたものだ、こう思います。いままで疫学班の報告なり何なりにこういうことが出ていますか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 この点は私も少しおわびを申し上げなければならぬかもわかりませんが、そこに書いてありますのは、調査会が結論を出しますときまでに出ていないデータでございまして、しかしその後、実は、これはたいへん軽率でございまして、こういう書き方をすべきでなかったと思いますが、一応水銀が出たということだけは明らかになったわけでございますけれども、しかしそれを同定していくそのやり方ですね、それについては必ずしもまだ信用ができない、実はそういう段階の資料であるということを、私はこれを読みましたあとで確認をしております。そういう意味では、むしろこれは削除をしておくべき、あるいは、書きましても水ゴケからメチルが出たという断定した言い方で申し上げるべき資料ではなかったと思っております。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 上の昭電の排水口の水ゴケの中にもメチルに相当するものがあったというのも、これは厚生省やだれか、みんな断定したようなことを言っているが、それは断定できてはいないのですよ。それと同じ価値において、日本ガス化学も断定できるはずはないと思います。そういう意味においてはいまの発言を認めます。しかし九月何日かに食品衛生調査会が結論を出し、科学技術庁に答申しました、そういうときには、汚染の一番根元にある日本ガス化学の排水口の水ゴケからメチルの痕跡が出たということは、いまだかつて報告していないわけです。そういう後において、これは内外に発表したものである。権威ある国会の質問に対して答えたものですから、内外に発表したものなんです。これは実は重要なことなんです。だから、いままで科学技術庁に申達したことの基本において——特に私は日本ガス化学だけ言うようで、たいへん恐縮ですが、ほかのこともたくさんありますけれども、日本ガス化学の流れが違っていたじゃないか。今日になって初めて、日本ガス化学の排水の水ゴケからメチルが出てきたのじゃないか。こんなことを、科学技術庁に申達した後に言っているわけです。  そこで私は、ちょっと一言だけ農林省にお尋ねしたいのですが、農林省はこういうことを聞いておって、この間科学技術庁に答申したというけれども、それはそうなんですか。こういう前提は知らないでやったか、農林省の方はいますか。

山中義一水産庁次長

○山中説明員 そこのところまでは詳して承知しておりません。公に出されました答申に基づいて判断いたしております。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 公に出された答申の中に、こういう重大なことが抜けておった、その後にこういうことがわかった、こういうことになれば、農林省がどういうような答申を科学技術庁にやったか、私は知りません。ほかのほうは、通産省とか経済企画庁とかは、厚生省が出したあとから、次から次と新しい事情が出てくるから、もっと研究せなければいかぬぞという態度かどうか、あるいは十分研究しなければいけないという態度で、十分にいろいろのデータを集めているかどうか、私は検討中の通産省とか経済企画庁に圧力をかけようということは毛頭言っていないわけです。ただ、けさも言っていることは、慎重に検討してもらいたい、こういうことを言っているだけです。農林省は結論を出されたというから、私はそれから質問をし始めるわけです。厚生省も結論を出された後に、私が質問をし始めたら、まるで根底が狂うようなことにみんななってきてしまうわけです。農林省が結論を出したことは、こういう前提が違うならば、その結論については再検討を加える必要を認めませんか。

山中義一水産庁次長

○山中説明員 水産庁といたしましては、自分たちが調査に基づいてやりましたことをもととし、それから、厚生省からちょうだいしております。あるいは今後ちょうだいいたします事柄につきまして、判断するわけでございます。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 それでは、農林省はまだ科学技術庁に答申をしていないわけですか。

山中義一水産庁次長

○山中説明員 いままでのわかっている範囲内で、答申いたしております。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 そうすると、この阿賀野川の水銀中毒事件については、結論めいたことのわかるような答申はしていないわけです。これから厚生省からちょうだいする資料に基づいて、ということをいま言っているわけですから。

山中義一水産庁次長

○山中説明員 そういうことばじりではございません。私どもは、いままで厚生省が食品衛生調査会の答申をわれわれに提示なさって、それに基づいてわれわれが判断し、われわれがやりました調査に基づいてやっているわけでございます。私どもが基づいた調査は、いまのお話のガス化学その他のところでは、われわれの調査範囲ではございません。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 実はけさ午前中の科学技術振興対策特別委員会において、長官だったか調整局長は、農林省からは結論をいただいております。こう答弁をしていました。科学技術庁の調整局長、ちょっと私の質問は……。

緒方雅彦科学技術庁研究調整局総合研究課長

○緒方説明員 お答えいたします。  本日午前中の科学技術振興対策特別委員会におきまして、鍋島長官から、農林省から結論を、十月二十四日付でいただいたという答弁をいたしております。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 農林省、それについてお答えください。

山中義一水産庁次長

○山中説明員 私どもは、答申は、厚生省の答申につけ加えるべきものはありません、こういう答申をいたしております。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 もうじき終わります。  つけ加えるべきものがないということは、厚生省の意見というものは可もなし不可もなしということですか。つけ加えることがないということは、それを肯定しているということですか。

山中義一水産庁次長

○山中説明員 肯定しております。わがほうでやりました調査結果を、さらにそれにつけ加えて判断するのが通例でございます。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 そうすると、私と環境衛生局長との質疑応答の中でおわかりだと思いますが、厚生省から出された最終的な結論以外に、重要な間違いが、幾つも事実の誤認といいますか、そういうことが出てきたということがわかった現在においては、たとえば簡単なことだけ一、二言います。日本ガス化学のほうは、新井郷川のほうへ阿賀野川から流れてきたというような疫学班の報告でもあり、科学技術庁に出された厚生省の結論だと思います。ところがその後明らかになったところでは、いやそうではないというような、重要な水の流れのことが変わりました。それからきょう初めて国会でも言明していただきましたが、日本ガス化学、汚染のどまん中にある日本ガス化学の排水口の水ゴケの中から、メチルが出てまいりました、こういうこともあらためて出てまいりました。それから、長期汚染だといって、私にデータをつけてまで説明してくれたことが、いま質疑応答の中でお聞きのとおり、婦人の毛髪水銀量の経時的変化、こういうことも、いま環境衛生局長の言うように、これはデータにならない。魚介類、魚体内の水銀量の魚齢別の変化、こういうことも、どうもデータがあいまいだから、もう一回検討してもらいたい、こういうふうに言ってくれば、厚生省が結論を出して科学技術庁に送り出したもの、そのもののもとが怪しくなってきた、こういう事実に実は際会しているわけです。これを農林省としてはどういたしますか。

山中義一水産庁次長

○山中説明員 ただいま先生と厚生省とのいろいろな御質問と御答弁の中には、確かに先生御指摘のそのデータそのものに限っては、十分証明し切れないということがあることはわかりましたが、しかしながら、まだほかにたくさんのデータも持っていらっしゃるようですし、少なくとも魚の問題につきましては、私どもとしては、いまの高年齢がたくさんあって若年齢がないという点は、これは先生は幾つかの違った例はあげていらっしゃいますけれども、厚生省はたまたまここにそういう詳しいデータは持っていらっしゃらないかもしれませんですけれども、これはいろいろ生物の事実を判断する場合には、必ずしも物理、化学的にストレートの傾向一本で出るとは限らない。ばらつきは当然あるわけです。そういう中から判断をすべきものであろう、こういうふうに考えております。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 だんだん長くなりましたから、私は言いませんけれども、たとえば日本ガス化学をオミットした結論は、こういうことが書いてあるのですね。生産量四百トンというのはうそっぱちで、年間一万トンもやっているのです。それも、新井郷川のほうへ阿賀野川から流れておったから、これはやらなかった、そういうことも理由の一つなんです。それから日本ガス化学からの排水口の水ゴケの中にメチルのそういうものが出てきたとかいうことは全然ないわけです。だが、これは汚染のどまん中にある工場です。つまり殺人が起こった場合に、現場にいる人を先に捜査をしないでおいて、まるで関係のない七十キロも先のところを一生懸命やっておって、そういう結論に持っていっても、これは違うから、それじゃ根元のところをよく調べてあるかといって見てみたら、みんな一つ一つ母体が違っているのだ。科学技術庁が出した母体が違うという中で、その母体をもとにして、農林省は結論を出されたように私には見えるので、ちょっとつけ加えるものはないということでは——ここが大事です。そういう新たな事実が出てくれば、これもまた研究の対象にしなければならない、こういうように言っていただけば、意味はわかると思いますよ。

山中義一水産庁次長

○山中説明員 新しい事実につきましては、検討いたさなければならないと思っております。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 それじゃ、審議に協力する意味で、私はこれできょうはやめたいと思います。ひとつ新しい事態に立って、農林省もさらに研究していただく、こういうことをお願いをして、十五、六枚もらった一枚目がようやく終わりそうなところで、また機会を見て質問さしていただく、こういうことにさしていただきたいと思います。  どうもたいへんありがとうございました。

八木一男日本社会党

○八木委員長 石田宥全君。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 ただいま小澤委員といろいろ御議論があったようでありますが、私は時間の関係もございますので、あまり時間をかけたくないと考えておるわけでありますが、ただいま議論になりました問題は、議論としては残ると思います。ただしかし、いま拝聴いたしまして、一体二歳魚のニゴイが一年にどのくらい水を飲むかなんということは、魚に聞かなければわからない問題です。この事件は、こういうような問題が山積しておる事件です。一つや二つの問題をとらえて結論をどうこうするような性質のものではなかろうと思うのです。ことにその水俣病というものは、昭和三十一年ごろから病人や死者がたくさん出てまいりまして、これについての研究は相当年月を要して、五年間くらいかかっております。それには最高のスタッフといってもいい学者の人たちが参加をされて、きょう私は持ってまいりませんけれども、熊本大学で発行されたところの「水俣病」という赤本が出ておる。これはいわゆる水俣病の定説といわれておるわけで、同時にまた、これは国際的にも学界でしばしば問題になっておりまして、国際的な学者の間の論争だと思うのです。厚生省の松尾環境衛生局長もお医者さんだそうでありますけれども、お医者さんだからといって、そういう高度の学術論争をここにするということは適当であるかどうか疑わしい。この問題は、やはり最終的には、私は、いろいろな角度から論争されて、厚生省の結論が出たものと考える。  ただ、しかし、われわれ政治家としてこの問題を考えた場合に、先ほど申し上げましたような熊本における水俣事件に際しまして、当時農薬の中にはメチル水銀というものは全然まだ発売されておらないときに、当時の新日本窒素水俣工場では、これは農薬によるものではないかということをしきりに反論をいたしました。あるいはまた、東京工大の清浦教授は、アミン説であるといって、これをアセトアルデヒド製造工程から出るメチル水銀によるものであるということを否定いたしました。しかし、これはイギリスへ行ってもその意見を発表したのでありますけれども、あとでそれを取り消しております。そして熊本大学で発表したところの論文集を肯定しております。これは本委員会においていつか確認をされたはずであります。私は、いま論議されたような高度の学術論争というものがあれば、これはやはり学者の領域に属するものであって、行政官として、それまで一体論争できるかどうか、いまいろいろ拝聴しながら考えるわけです。私としては、疫学班のこの報告書、そして厚生省の結論というものが、これはもうこれ以上は、今日の技術水準をもってしてはこれ以上のものは困難ではないか、こう考える。  そこで政治論争をちょっと、やはり政治家としては政治論争をするわけでありますが、この阿賀野川の水銀中毒事件が表面に出てまいりまして、きのう実は科学技術特別委員会でやったのでありますけれども、六月十二日にこれは発表になった。六月十二日に発表になったけれども、昭和三十八年にネコに全く熊本の水俣病と同じような症状で死んだものがあったわけです。これはもう臨床班、試験班、疫学班で認めておるわけです。短期汚染か長期汚染かという問題については、これは私は、私の知っておる限りにおいては即断はできません。しかし、この問題が表に出てまいりますと——まあ小澤委員は昭和電工出身でありますから、よく聞いてもらいたいと思うのでありますが、その直後に、昭和電工はこれに対して、昭和電工の廃液ではないという、その印刷物を持って、私のところに説明に参りました。そのときに、まあいろいろあるけれども、二つの問題がきわめて重要なんです。エチル水銀が生物の生体を通じてメチル水銀になる、こう言ってきたわけです。これはきのうの委員会で環境衛生局長は、いろいろ検討の結果、エチル水銀が生体を通してメチル水銀にはなり得ないと、こうはっきり答弁をいたしました。それからもう一つは、地震に際して、新潟埠頭の倉庫から、通船川を通って阿賀野川に農薬が流れ込んだ、こういうことを強く主張しておりました。しかし、そのことは直ちに現地の実情を知っておる人たちが、通船川は地震によって隆起したために、もう数日間水は一滴も流れなかったということが証明されたわけです。そうすると、今度は昭電側は別のことを言ってきた。これは北川徹三という、横浜国立大学の安全工学の権威者だそうでありますが、たまたま国会で参考人として呼んだわけです。ところが北川教授は、これくらいの大きさの写真を持ってきた。通船川から阿賀野川に農薬が入っていった、こう言っておるのに、実は隆起しておって流れる水がなかったということが明らかになったら、今度は、この倉庫から海を回って阿賀野川に入ったのだというので、その写真を持ってきたわけであります。私に見せたわけであります。ところが、その写真が実は非常に問題になりまして、ここに持ってきておりますが、これは新聞の写真でありますけれども、実は写真はこれくらいの大きさで、もっと明瞭なのですが、西尾元充という人が、自分がとったのだ、そうしてあの海の上の白く見えるのは、これは農薬ではなくして、昭和石油のタンクから災害によって石油が流れ出たものである、したがって、カラー写真でとった場合にはちゃんとその色彩まで出ておるじゃないか、こういうふうに否認をしておるわけであります。これはいろいろ自分がとったということを書いておりますけれども、時間の都合でこれは申し上げません。そういうふうに、いろいろと昭電の責任ではないということを述べておるわけです。  さらに今度は、農薬の中にメチル水銀が相当多量に含まれておる、〇・二%含まれておるという主張をずいぶん長い間続けてまいりました。それがために、これは私、厚生省ははなはだけしからぬと思うのでありますけれども、そういう問題が起こるたびに、それがためにやはり相当な月日を使っていろいろやっておるわけです。調査をしておるわけです。それがついにことしの一月になって、ようやく電工と厚生省と科学技術庁と、いろいろな人たちが立ち会いの上に検査をやったら、〇・二%というのが〇・〇〇五%という数字が出ている、けたの違うものが出てきている。これは立ち会いの上での検査でして、まあもう一つやったのですが、それは少し違っておりますけれども、大体そういうふうなことで、けたが違う。こういうふうな状態で、だんだんと審議が進むにつれて、疫学班もついに答申をせざるを得なくなったわけであります。  そこで私、一、二質問を申し上げたいと思うのでありますが、二歳の女の子に相当量メチル水銀があるということは納得できないというお話で、これは局長が答弁されたとおりで、胎児性水俣病というものを新潟大学で確認をしておる。胎児のうちに水俣病にかかっておるわけでありますから、これは議論の余地はないと思うのです。そういうものについてもう少し明確な答弁をすべきだと私は考えるのです。それから魚齢別の含有量というものをだいぶ問題にしておられるけれども、この厚生省の食品衛生調査会の出した、その基礎となったいわゆる三研究班の報告概要ですね、これにもありますように、必ずしも魚齢別だけに限らない。それから人間でも同じ量を、たとえば一五〇PPMなら一五〇PPMという同じ含有量であっても、一方は患者として治療を受けなければならない状態。一方は働いておることができるという状態。ことし新たに患者として認定された者がおりますが、これは前よりはかなり水銀の量は低下したにもかかわらず、患者として扱わなければならないということになったはずでありますが、環境衛生局長はこれはおわかりだと思うのですが、どの程度に、どう変わっておりますか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 新しく患者になりました方のデーターは、まだ私のほうに報告されておりません。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 胎児性水俣病の問題にしても、新たに患者として新潟大学でこれを認定したというような問題は、すみやかにやはり報告をとって、そうして、こういう議論の際にもっとはっきりとした答弁をされるようにしてもらわないと、何か歯切れの悪い答弁で困ると思うのです。ですから、やはり新潟の大学との関係というものは密接なんだから、この問題がまだ政府の結論にならない時点では、もっと連絡を密接にしていただかなければならないと思うのです。  それから、かなり、短期汚染と長期汚染の議論がございましたが、実は私ども、本委員会のメンバーでありますところの板川正吾君とそれから角屋堅次郎君とで、鹿瀬の現地に調査に参りました。ところが、そこで明らかになりましたことは、六人の従業員に集まってもらって話を聞いたのでありますが、こう言っておるのです。三十九年十二月と四十年一月の二回、水銀の含まれた粗製アセトアルデヒドを、操業停止で不要になるため水で洗い流した。また、停電の際には数回にわたってたれ流しの状態であったと、かわるがわる証言をいたしておるのであります。そういう点は一体調査になったのかならないのか、これは非常に重要だと思うのです。長期汚染でも、疫学班の人たちに聞いてみますると、長い間わずかのものでずっと汚染されてきたが、ある時点で相当大量のものが流れたのではないか。こういうことを、昭和電工のほうでは、これは地震だと、こう言っておるのですが、われわれが従業員の話を聞いたところでは、そうではなしに、ずっとこれはたれ流しにしておったことが、この報告書にちゃんと明らかです。これは何の措置もしていないと言っております。昭和電工の技術部長の寺本さんも、私どもが行ったときに案内をしながら、何の措置もいたしませんよ、こう言っておる。何の措置もいたしません。けれども、しかし掃除の際に粗製アセトアルデヒドが大量に流れるということになれば、メチル水銀が大量に流れたものと受け取らなければならないわけです。また、停電がずっと続く、そうすれば、やはり粗製アセトアルデヒドでメチル水銀を相当含有したものが下流に流れるということは言うまでもないわけです。だから、私は、そういう点について、もう少し厚生省なり科学技術庁なりがこれを調査をすべきだったのではないか。同時に、きょう午前中にもちょっと触れたのでありますけれども、現在無機水銀中毒患者が一名確認されておる。ところがあと二名、手はふるえ、歯はがくがくになる、もうひどい症状だ。ところがいま従業員なんです。そこで自分から何とも言い出すわけにいかないが、何とかひとつあなたのほうでこれを問題にしてもらえぬか、こういう申し出を受けているわけです。昭和電工の労働組合というのは、完全に会社の手先ですから、したがって、無機水銀患者がそういう状態を訴えておるのを、戸別訪問をしながら、新潟大学へ行くというと、それは無機水銀中毒だあるいは有機水銀中毒だと言われると困るから行かないでくれと言って、労働者が回って歩いているのです。そういう組合ですから、ここにこの問題がこんがらがる大きな原因があるのです。だから私は、これは法務委員会で刑事局長に、そういう人権侵害のような問題を法務省がほっておくのはけしからぬじゃないかということを言っておるわけです。法務省としては、やはり行政府の結論が出ないとやりにくい、こう言っておる。しかしいま申し上げたような明らかな被害を受けた人たちがおるわけですから、これについてはやはり政府としては、どこの省がこれを担当するかわかりませんけれども、国民の生命身体に関する問題については、もっと忠実に、親切でなければならないと思うのです。  なお、いま日本ガス化学のお話がございました。なるほど、それは答申が出てから明らかになったことであるかもしれません。しかしこれも日本ガス化学というのは、小澤委員はクイックサンドの問題をこの前だいぶ議論をされましたが、クイックサンドのことについては、私のほうが専門家で、新潟地震のあとで、ずっと問題にしてまいりました。三十九年の十月に金沢で開かれた地震学会では、ちゃんとそのことを明らかにしておるのです。新潟というところをひとつ小澤さんに見てもらうとよくわかるのですが、新潟市で地震の被害を受けたのはどういう状態か。同じ新潟市で、川一本、あるいは一軒か二軒離れて、全然被害を受けていないところがたくさんある。県庁もしかり。信濃川の沿岸だけれども、県庁は何の被害も受けていない。あるいは小林デパートも、大和デパートも何の被害も受けておらない。地震学会はこれは政府機関です。建設省の土木研究所の人でありますが、やはり地震学会でそのことをちゃんと指摘しておる。昭和十年ごろから以降に造成された土地、そういうところが被害を受けておるのであって、その以前からの丘陵地帯というものにはクイックサンドの現象は起こっておらないし、地震の被害はほとんどない。こう言っておる。それは私も実はずっとよく見ておりますから、岩船郡神林村塩谷という部落へ行って驚いたのでありますが、部落のどまん中がずっと一定の幅だけ非常な被害を受けて、家屋が全壊しておる。いろいろ調べてみたら、昭和十何年かに、川があったところを埋め立ててできた。だから、そこにはやはり地震の被害も起こり、クイックサンドのような状態も起こっておる。それから、日本ガス化学であるとか北興化学であるとかという——これは学会では、古い砂丘地帯には起こっていないと表現しておりますが、ここには起こっておらないのです。そうして、日本ガス化学の水ゴケの中に発見されたという話もございましたけれども、これは水俣における新日本窒素の工場で、私いろいろ資料を持っておるのでありますが、最初はアセトアルデヒドの製造過程から出る水銀によるものではないということを強硬に主張しておりましたが、三十四年八月五日にその反論は取り下げて、天下に謝罪するとまで言ったわけです。そうして三十五年一月二十日に排水浄化装置が稼働するようになってから、患者も死亡者も出なくなりました。こういう事実に基づいて、これは先般の食品衛生調査会の小林芳人委員長も言っておりますように、結局は量の問題だ。ごく微量のものという議論がだいぶありましたけれども、ごく微量の問題といっても、これはなかなかむずかしい問題です。だから、そういうものになれば、これは、私は学者の論争の問題だと思うのです。そういうごく微量という量の問題で、日本ガス化学のように、ちょうど水俣の浄化装置のような装置をやっておったから、それは阿賀野川の水銀中毒には影響しない、こう疫学班は断定をしておるわけです。だから、全体を総合して、臨床班、試験班、疫学班、これが二カ年半もかかって出した結論というものは、あらゆる角度からそれは検討を加えたでしょう。いま指摘された問題のごときも、やはりある程度検討されたと聞いておる、文書には載っておらないけれども。したがって、私が一人でしゃべっておってもこれはしようのない問題で、科学技術特別委員会と産業公害特別委員会の理事会などで、ひとつお話し合いをいただいて、これらの問題はやはり相当権威ある学者の議論にゆだねるべきだ。でなければ、厚生省の結論というものが出ておるのですから、やはりそれを認める、こういう態度をとるべきだと思うのです。現在の時点で、松尾局長は、厚生省案を変えなければならないような要素があるとお考えになるか、どうですか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 私どもは、やはり研究班がいろんな角度で、過去に起こった問題をあとから調査するという非常な制約の中にありながら、いろんな方法で調査をした、そういうものと、それからまた、三班のそれぞれの立場からの研究の結果、及び熊本におけるような例その他を全部総合されました上でのこの結論というものについては、私どもは変える必要はないと考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 時間の関係がございまして、実は私もある程度厚生省から出た資料などに基づいて、別の角度で少し質問を申し上げたいと思ったのでありますが、夕めしも食わずにたいへんおそくなりましたから、この程度にいたしますけれども、ぜひひとつ委員長におかれまして、いま私が申し上げたような趣旨で、すみやかに科学技術特別委員会と本委員会との間で、この議論が終息いたしまするように御尽力を願いたい。何回も何回も同じようなことを、立ち会い討論会みたいなことをやっておるのは、はなはだぶざまな形で、みっともない話でありますから、もうこの問題については、あまりこういう場でなく、もっと別の場で、相当権威のある学者諸君の参加された場所で議論ができるように、ひとつお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

小沢貞孝民主社会党

○小沢(貞)委員 資料をお願いしたいと思います。  先ほどの農林省から科学技術庁に出されたというデータですか、答申ですか、報告ですか、資料等を添えて、あしたお出しいただきたいと思います。答弁しておいてください。

山中義一水産庁次長

○山中説明員 私どものほうで調査いたしましたこと及びその結論につきましては、資料として差し上げるようにしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十八分散会

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