沖縄問題等に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 173 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1967/12/16
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 沖繩その他の固有領土に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 沖繩その他の固有領土に関する件、特に沖繩における労働問題等について、沖繩県労働組合協議会議長亀甲康吉君及び沖繩県労働組合協議会副議長上原康助君の両君を、本日、本委員会の参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○臼井委員長 本日御出席の参考人は、こちらが沖繩県労働組合協議会議長亀甲康吉君で、そちらが同じく副議長上原康助君であります。 委員長より一言申し上げます。 参考人各位には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をくださいまして、まことにありがとうございました。 本日は、沖繩における労働問題等につきまして、当面しております布令第百十六号の問題をはじめ、労働問題の全般並びに各般の諸問題につきまして、それぞれ忌憚のない御意見を承りますればまことに幸甚に存じます。 それでは御意見の開陳をお願いいたします。そのあと、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。 それでは亀甲参考人から御意見を承ることにいたします。亀甲参考人。
○亀甲参考人 沖繩県労協の議長をしております亀甲でございます。 沖繩の労働組合運動の中でいま直面しております。しかも非常に困難な問題として運動しております軍布令百十六号の撤廃につきまして請願に参りましたところ、委員会で私たちの考え方を申し述べる機会を与えてくださいました委員長さん並びに各委員の皆さんに深く感謝を申し上げます。 現在、沖繩には約五万人の軍事基地に働く労働者がおります。沖繩の労働者は約二十万人でございますので、その四分の一が基地労働者ということになるわけであります。しかも、その家族を含めます場合、二十万ないし二十五万の生活権の問題になりますし、百万県民の約四分の一に当たる課題でございます。それだけに基地労働者の問題というのは、ただ単に労働組合運動というだけじゃなしに、社会的なあるいは政治的な問題として、琉球立法院議会あるいは琉球政府を含めまして、重大な関心事としてこれまで取り組んでまいりました。 琉球政府、立法院議会は、一九五三年に、本土でいま施行されておりますいわゆる労働三法と似通った民立法を制定いたしまして、民間企業に働く労働者はそ適用を受けております。また、琉球政府に働く政府公務員あるいは公共企業体等に働く労働者も、おのおの本土とそう大差ない法体系のもとで労働をしているのが現状でございます。しかしながら、基地で働く労働者には、労働三法制定と同時に公布されましたアメリカ民政府布令第百十六号が適用されております。そして、アメリカ占領軍が労働組合の認可手続に関する布令第百四十五号を公布しまして、いわゆる労働組合を認可制度にして、労働組合運動の否定の政策を続けてきたというのが私たちの考え方でございます。これは一九六二年まで適用をされてまいりました。大統領行政命令は、民主的な諸国家で保障されている人権あるいは権利は沖繩においてもこれを保障するという、そういった意味の条項がございますが、少なくとも米軍基地で働く労働者はそのらち外に置かれているというふうに、布令百十六号の内容からして、私たちは考えております。 この布令労働法の特徴といいますのは、一つには、いつでもあるいはどのようにでも弁務官の意意だけで改正し得る、しかもその布令そのものが、琉球政府立法院で制定されるいかなる法律よりも優先するというところに一つの特徴点があると思います。さらに基地労働者に団結権のみを認めて、その他の一切の労働権を否定する。したがいまして、団体交渉権を否定したところの団結権の無意味さというものを私たちは非常に痛切に感じております。しかも労使の相対的な関係において、労働者の諸権利は縛りながらも、いわゆる使用者たる米軍当局を拘束する何らの条項もないというところに、この布令の特徴点があるかと思います。 特に私たちが関心を持っておりますのは、基地で働く労働を提供するのに、いわゆる同布令十二条で指摘しておりますように、宣誓あるいは供述書を通じて、相当きびしい義務を負わされるという点でございます。この点につきましては、その過去何年かの記憶の薄れ等からいろいろ誤解も出まして、解雇問題等、労使関係の紛糾のもとになっているという点を指摘しておきたいと思います。 そして私たちがいま最も関心を持っておりますのは、沖繩には本土ではかり知れないほどの軍事基地がございます。この軍事基地という観念につきましては、私たちは、要するに黙認耕作地を含めまして、金網で囲ってあるのが軍事施設なんだというふうに一般的にいわれております。しかしながら、事、労働運動という面から考えます場合、そうじゃなしに、軍事施設という定義が軍用道路を含めて軍事基地なんだという解釈を軍当局が行なっているということに、最も重大な関心を持っております。いわゆる軍事施設内において一切の労働権が否定されております中で、道路における労働組合の諸行動、諸活動、こういうものがただ単に軍用道路というだけで労働者が逮捕される実例をわれわれは見てまいりました。しかも弁務官にこのことについて問い合わせましたところ、今後もそういうことはあり得るということを言われた場合に、沖繩の道路がほとんど軍用道路であり、今後の交通あるいは運動の自由というものがどういった形になっていくかについて、不安を感ずるのであります。 このような布令の内容でございますので、一九五六年、国際自由労連のジョージ・ウイーバーを団長とする自由労連の第一次調査団が、この布令をきびしく批判し、国際労働運動という立場からもその撤廃を求めたことがございます。また、琉球政府立法院議会は、人権を無視されがちなこの労働法の撤廃を求めました。去年の議会で、全会一致で、この撤廃と民労働法の適用というものを決議いたしました。琉球政府を含めまして、この布令労働法の存在について非常に重大な関心を寄せていただきまして、この撤廃を求めて、いま対アメリカ民政府との間に交渉を進めておる段階でございますが、何しろ膨大な基地の中で働く労働条件であるだけに、いまだにこの問題の進展について結論を得ておりません。これからアメリカ民政府との交渉はもちろん現地においてやりますけれども、いまの現状からして、どうしても日本の労働者がこのような布令労働法のもとに働かされている実態について、日本政府並びに国会の先生方に関心を持っていただいて、私たちが日本の労働者として働いていける条件をつくっていただくために御協力をお願いしたい、そのように考えてまいりました。 このようなことが起こりますのも、何といっても異民族の支配下に二十二年間放置された現状の中から出てきた問題だとわれわれは考えております。しかも沖繩の返還という課題についていろいろ論議がございますが、沖繩の道路がほとんど軍用道路であるだけに、そこまで基地なのだという解釈に立つならば、返還の方法についても私たちはあらためて問題を提起しなければならない状態に立ち入ると思います。どうか施政権の返還の一環として、沖繩の労働者が日本の労働者としての条件に立ち返れるように、私たちの希望が達成できますように、先生方の御協力をお願い申し上げまして、簡単に布令第百十六号の問題点の重点だけを申し述べておきたいと思います。 ありがとうございました。(拍手)
○臼井委員長 次に、上原参考人から御意見を承ることにいたします。上原参考人。
○上原参考人 当委員会が特別に御配慮をいただいて、参考人としての陳述をさせていただくことに、深い感謝の意を表したいと思います。 最初に布令第百十六号、この正式名称は琉球人被用者に対する労働基準及び労働関係法というふうに呼ばれております。この布令第百十六号が公布された背景について申し上げたいと思います。 一九五二年ごろから琉球政府立法院で労働三法を立法化しようという動きがございました。当時は沖繩には労働三法もなく、労働者の諸権利が民間も含めて著しく制約あるいはまた無権利の状態でございましたので、立法院で労働三法の制定をしよう、その中で、琉球政府立法院といたしましては、最初から軍関係職場で働いている労働者も含めて、民労働法の適用下に入れようということで法案が立案されたわけでございますが、アメリカ民政府との間に意見の調整がならずに、基地で働いている労働者を民の労働三法から除外するならば労働三法の制定に同意をするというようないきさつで、結局一九五三年十月一日付で民の労働三法が制定されたものの、その時点で軍職場で働いている労働者はこの労働三法の適用外に置かれ、布令第百十六号というものが発布されたというようないきさつでございます。当時は、軍職場で働いている労働者の意識の問題あるいはまた組織もございませんので、こういうような方向で法案が制定されても何ら問題はなかったわけでございますが、いろいろその後時の流れとともに、労働法の制定の問題が沖繩で論議を見たわけでございます。 そこで、この布令第百十六号の適用下にある軍関係労働者はどういうようなものかということを申し上げておきたいと思います。布令の第二条で軍関係雇用員の種別をやってございますが、第一種、いわゆる米国政府割り当て資金から支払いを受ける直接被用者、陸、海、空、マーリンの四軍を含めて一万七千八百八人となっております。第二種の雇用員が四軍で八千百四十人、これは米国政府非割り当て資金から支払いを受ける直接被用者、いわゆるアメリカ軍の施設内にあるクラブやPX、そういう施設で働いている雇用員でございます。第三種、琉球列島米軍要員の直接被用者、いわゆる個人の雇用員でございますが、これは数は不明確で、ほとんどいないといってもいいかと思います。第四種雇用員、契約履行中の米国政府請負業者のもとで働いている被用者、この数が約一万内外といわれております。その他家事従業員、布令の適用外ではございますが、軍施設内で働いているメイドさんとかそれに類似する雇用員が約一万人、あるいは特免業者に雇用されている雇用員の数が約一万人、締めて軍関係職場で働いている労働者が約五万人だといわれている状態でございます。この種別はこういうふうに分かれておりますが、いずれも直接雇用の形態をとっているというのが本土の場合と異なっているということでございます。本土の軍関係労働者、いわゆる駐留軍労働者は、雇用主は日本政府の雇用という立場で米国に労務を提供している間接雇用制度でございますが、沖繩の場合はいずれの場合も直接米軍当局に雇用されるという形態をとっているということでございます。 そこで、なぜ私どもがこのように布令第百十六号を問題にするかということについて申し上げておきたいと思います。第一種雇用員、米国政府の割り当て資金で賃金が支払われている人々に対しては、布令百十六号は最初から労働基本権、いわゆる団体交渉権、争議権を否定をしております。なぜ否定をするかということに対しては、米国市民的取り扱いをして、いわゆる連邦政府の職員とみなした取り扱いをして、米国連邦政府職員が伝統的に労働基本権を否定されているから沖繩の軍雇用員も労働基本権を制約するんだという言い分でございます。しかしながら、私どもが非常に疑問を感ずることは、米国市民でない軍関係労働者に米国の公務員法あるいはまた布令でもってこれを規制するということは、必ずしも根拠がないものだというふうに感じております。さらにこの布令百十六号の法的体系も沖繩の現状にマッチするものではない。こういう面から多くの問題があると考えております。そして、布令百十六号のどの条文を見ましても、第二種雇用員以下は団体交渉権及び団体行動権があるように解釈できるのでございますが、実際は布令の条文にない米国の公法をもって第二種雇用員以下も団体交渉権及び行動権がないというような実例をもって組合に指令をしてきたということも過去においてございます。こういうふうに考えました場合に、法律というものはどういう法律であっても適用を受ける人々に十分知らしめ、あるいは一般に公表されて法律という効力があるものと私どもは常識的に考えるわけでございますが、軍雇用員はもちろんのこと、沖繩の一般市民に公表してない米国の軍規もしくは連邦政府職員に適用されている人事規則等を軍雇員に適用してくるところに、なお問題があるということを申し上げておきたいと思います。 さらに、この布令労働法の問題として、いわゆる労働者の権利を著しく規制もしくは否認をしておきながら、救済機関というものが全然設けられておらない。一般的に、労働三権が制約を受ける場合には、それに対応するところの何らかの第三者機関というものがあってしかるべきだと考えるのでございますが、そういうような救済機関というものも全然ないというところに、なお労使関係を著しく不当に制約しているという実態がございます。 先ほどの説明にもありましたが、布令というものが、弁務官の裁量によって、意思によって、いつでも書きかえられるその具体的例として、沖繩の軍人軍属に供給しているところのミルクプラントというところがございます。このミルクプラントは請負制度でございますが、そのミルクプラントの運営に対して、米国民政府は重要産業指定ということで、従来持っておった団体行動権、交渉権、争議権を否定したという事実がございます。こういうふうに布令百十六号の内容は、労働者の権利を保障するあるいはまた保護するというよりも、むしろ軍側の安全もしくは軍側の都合によっていつでも書きかえられる。そういうところに大きな問題があるということでございます。 さらに、こういうふうに労使の対等性あるいは交渉力の不均衡の中で、経済的な面においても大きな不利益を受けているということでございます。沖繩の軍関係労働者が最初に期末手当を支給されたのも一九六二年、あるいは賃金面においても公務員関係やもしくは民間の一般的な水準にもまだまだ達していないという状態、退職手当の内容等についても著しいおくれをとっているという状態でございます。中には現在も一セントのボーナスも支給されていないという軍関係労働者もおります。こういうようなことも、なぜできないかと申しますと、やはり労働者の権利を大きく制約しており、軍施設内での組合活動もしくは団体交渉を制約しているところに基因があるものだと私どもは感じております。したがって、同じ日本国民である沖繩の軍関係労働者が、本土の駐留軍関係の労働者のそれに比較して、権利の面においても制約を受け、さらに経済的な面においても不利益を受けているということに対しましては、日本国民として非常な屈辱を感ずるものでございます。民主主義と自由と平等を確保するため、あるいはまたその安全を保障するために沖繩基地の必要性云々ということを絶えず耳にするわけでございますが、そういう職場で働かしている労働者が民主主義の諸権利を大きく制約されているというところに、私どもは非常な不満を持つものでございます。 そういうことで、沖繩の施政権返還の問題等とも関連をいたしまして、私どもが真に日本国民としての取り扱いを受ける、そういう希望を持ってこれまでも現地におきましても対琉球政府あるいは米国民政府に対していろいろと要請をしてまいりましたが、まだ具体的な前進を見ておりませんので、日本政府並びに国会が、この問題を単に労働者の権利の問題というのでなくして、同じ日本の領土の一部で働いている国民の基本的あるいは生存権的な問題という立場でお考えになっていただきたい。そういう意味を含めて御要望を申し上げたいと思います。 終わります。(拍手)
○臼井委員長 以上で参考人からの御意見の御開陳は終わりました。 —————————————
○臼井委員長 これより参考人に対する御質疑があればこれを許すことといたしますが、時間の都合もありますので、昨日の打ち合わせ会において両参考人からお話を一応伺っておりますので、質疑はひとつ要点をしぼって簡潔にお願いいたしたいと存じます。 参考人に対する質疑を終えましてから政府当局に対する質疑を許します。 それでは、質疑の申し込みがありますので、これを許します。中谷鉄也君。
○中谷委員 両参考人にいま貴重な意見の開陳をいただきましたが、最初に一点だけ、沖繩の現地の労働者の人たちは布令百十六号をどのような形で受けとめているかということについて、お尋ねをいたしたいと思います。 言うまでもなしに、労働法という名がつく限りは、その労働法は労働者保護の立場というものをとっていなければならない。しかし、先ほどお伺いしました布令百十六号というのは、ほとんどが労働者保護の立場に立っているものではなしに、労働者規制、しかも手錠と刑罰をもって労働者を規制するというところの治安立法というふうにしか私は考えられない。しかも、その法制の体系におきましては、片一方においては民労働法があって、そうして片一方においては治安立法としてのいわゆる布令百十六号がある。そういうことになれば、沖繩の現地の人があるところで言ったそうでありまするけれども、道路を左側通行する車と右側通行する車とがごちゃごちゃに走っているというふうな状態にしか私は思えない。いずれにいたしましても、労働法のこまかいお話はお伺いするつもりはありませんけれども、働いている者の実感として、布令百十六号をいわゆる労働法、労働者保護という本来の労働法として受け取っておられるか、それとも治安立法として、要するに労働者に対する弾圧立法として受け取っておられるか、この実感を一番最初にお答えいただきたいと思います。
○亀甲参考人 私からお答えいたします。 布令百十六号を含めていわゆる布令というものに対する私たちの考えは、これが名称として労働法といおうが何といおうが、弁務官の意思——もっとはっきり言いますならば、沖繩の基地を維持していくために関する弁務官の意思というふうに私たちは理解しております。それで法律ということばの受けとめ方は、あくまでも琉球政府立法院議会において制定されたのが法律なんだというような解釈で、私たちは意思を統一しているつもりでございます。
○中谷委員 重ねてお尋ねをいたします。 要するに、特に強調していただいたのは、そのような治安立法としての性格は、基地の自由な使用、どこの国にも見られないところの基地の自由な使用というものを確保するために、軍労働者をそのような形においてありとあらゆる刑罰をもって規制をしている、こういうものだということが明確に理解できました。 そこで、この機会に、布令百十六号を検討いたしまして、私自身どうしても納得のできない問題がございますので、これまた現地の軍労働者の人たちはどのような形において受けとめておられるかということをお尋ねをいたしたいと思います。 と申しますのは、布令百十六号の十二条でございます。十二条は、「第一種被用者の同盟罷業及び忠誠の宣誓」ということに相なっております。先ほどお話がありましたように、第一種被用者に対して労働争議権を否認し、団体交渉権を認めないという立場が間違いであるということは、あとで政府当局に私はお尋ねをするつもりでありまするけれども、問題は、日本人であるところの沖繩県民が、どのような根拠とどのような理由に基づいてアメリカ合衆国に対して忠誠宣誓をしなければならないのか。沖繩の問題というのは、民族の問題であり、人権の問題であるということがいわれておりまするけれども、第一種被用者の人たちがアメリカに対して忠誠を尽くさなければならない、そのような宣誓をしなければならない布令百十六号の十二条の条文については、いわゆる軍の政令一号というものはすでに廃止になっておりますけれども、忠誠義務違反ということは、たとえば場合によっては本国法によって死刑を含むところの判決を受ける可能性だってあるというふうに私は聞いておる。少なくとも私は実感をお伺いいたしたいと思いまするけれども、日本人であるところの沖繩県民がアメリカ合衆国に対して忠誠宣誓をしなければならない、これは民族の誇りというものを著しく傷つけるものではないか。そのような忠誠宣誓をしなければ就職ができない、食べていけない。だからそのような宣誓をして、そうして就職をしておられるということについて、腹の中ではどんなに煮えくり返ったような気持ちをお持ちになっておるかということを私は感ずる。この点について御所見を上原さんに承りたいと思います。
○上原参考人 確かにいま御指摘なさるように、私どもも布令百十六号の第十二条の問題は、これまでもたびたび反対をしてまいりました。そしてそれと関連する就職申し込み書というのがございますけれども、それは一口に申し上げて、経歴を調査するという就職の条件要項でございますが、その中でいろいろの項目がありまして、ストを打たない、あるいはまたそういう労働基本権を主張する団体の一員でもないというような条項もあって、忠誠という表現そのものはなくとも、実態といたしましては米国政府に対して忠誠宣誓をしなければ就職できないという状態でございます。ですから、この問題は現地でもこれまでもたびたび問題になって、基本的人権の侵害ではなかろうかということで、組合側といたしましても反対をしてまいりましたが、やはり就職をするという一つの条件として引きかえにされておりますので、現在まで問題の進展を見ていない、そういうことで、日本国憲法あるいはまたそのほかの面等から考えた場合に、現在の布令第百十六号十二条の条文と軍当局が実施している就職申し込み書というものが大きな問題を持っているのじゃなかろうかというふうに私どもも考えております。
○中谷委員 実は私自身も本年九月沖繩調査に参加をいたしまして、その就職申し込み書の写しをいただいてまいりました。たとえば、十七のDという項目がございますが、この項目によりますと、「あなたは一九六二年一月一日以来民主青年同盟の一員」あるいはまた何かそういう「支持者としてそれに加盟し、若しくは関係して来ましたか」というふうなことについて、イエスかノーで答えなさいという、そういう質問事項がございます。 そうしてさらにそのE項というものを見ますと、これは、私、法律家の一員ですけれども、一ぺん読んでなかなか理解ができませんでした。どういうことになっておりますかというと、「貴方は現在まで上記D」——先ほど読み上げたDでございますね——「Dの団体に類似する、若しくは同いつと見なされている様な、団体の積極的支持者として若しくは役員として知られている方と交際している人達とつき合ったことが有りますか」積極的支持者、それと交際している人、その人とつき合ったことがありますか。こういうふうな五年前のできごと、こういうふうなことについて、積極的支持者とつき合ったかどうかというふうなことを、あなた方にイエスかノーかで答えるということだと、私は過去の記憶をたどってそういうことを書けということは不可能をしいることだと思う。ましてそういう積極的支持者、そういう方と交際しておった人、その人とつき合ったことがあるか、こういうふうなことについてイエスかノーで答えなければならない。こういうふうなものについてイエスかノーかということを書くときには、非常に困惑をし、苦慮し、どう書いていいのかわからぬというのが私は実情だろうと思う。これは私は明らかに思想信条の自由に対する侵害であると同時に、むしろこれはそういうふうな基本的人権というよりも、人間の記憶の限界を突破したものを書かせるものだというふうにさえ思うけれども、こういう就職申し込み書というものを書かざるを得ないそのときのお気持ち、あるいはこういうふうなものについて書くときの非常な屈辱感、そういうようなものについてひとつお答えをいただきたい。 と同時に、聞くところによれば、この就職申し込み書の記載は、いわゆる解雇の——ナスビや大根だって簡単には切れません。そのナスビや大根を切るようなかっこうで首を切る道具に米軍は使っておるというふうに聞いておる。最近そのようなことで理由不明の解雇を受けたという人の例も私は聞いております。そういうような例について、もしありましたら、この機会にお答えをいただきたいと思います。
○上原参考人 先ほども申し上げましたように、現在軍雇用員に適用されているところの就職申し込み書に対しましては、私どもも一貫して反対、その訂正を要求してまいりましたが、軍側は強硬にそれを適用しております。思想信条の自由の侵害であり、それが拡大解釈されて一方的に向こう側の判断で解釈をする、そして適用するということで、そういうケースによって解雇をされるという例もしばしば出ております。その場合も、本人から異議申し立てあるいはまた組合側が引き取って異議申し立てをしても全く通らない。そして結論は向こうが一方的に出しますので、最終的には解雇というふうになっております。具体的な事例につきましては、手元に資料がございませんので名前等をあげることはできませんが、今年になってからも、この就職申し込み書の弊害によって四、五名の軍労働者が即時もしくは強制的に解雇をされているという例が出ております。今後私どもが懸念するのは、いわゆる自由に発言する立場にある人々あるいはまた米国政府の労働政策なりそういうものに対して意見を具申する者まで、こういう就職申し込み書を拡大解釈して、今後の問題をやるのじゃなかろうかという懸念を深く持っております。
○中谷委員 聞くことが全部とうてい労働法的な感覚、というよりも市民的な感覚を持っておっては理解できないようなできごとが次から次へと布令百十六号をめぐって生じているわけでございますけれども、先ほどお話のありました第二種被用者——なるほど私自身も布令百十六号について、本日参考人の方からあるいは事情をお聞きできるかもしれないということで、何回か検討、分析をしてまいりました。ところが第二種被用者という人について争議権がないというふうなことについては、どこを押してもそういうふうなことは普通に読んで出てこない。にもかかわらず、結局第二種被用者について争議権が禁止されておる。事実上それがストップさせられているというのは人事規則だということのお話があったけれども、そういうふうな人事規則と布令百十六号との関係はどうかという点については、またあらためて私分析してみたいと思いますけれども、少なくともそういう人事規則というようなものについて、働いている軍労働者の人たち、第二種被用者の人たちは明確にこの条文だというふうなことが教えられているのでしょうか。それとも強権、権力をもってとにかくおまえたちストライキをするなということで、ストライキをすればMPが来てほうり込まれそうだ、やむなくストライキができないというような実情であろうと私は思うけれども、この点について、私は法なくして禁止もなければ権利の行使もないと思うけれども、法なくして基本的人権の行使が妨げられているという状態でないかと私は思うが、この点について簡単にお答えいただきたいと思います。
○上原参考人 第二種雇用員の団交権、スト権の問題は、布令第百十六号のどの条文を見ても規制を受けていないというふうに解釈しております。しかし、一九六五年の賃金交渉にあたって、私どもが交渉がうまくいかずにいろいろと強力な交渉を持とうという中で、米国軍当局は、一九五五年八月に公布された八十四−三百三十という公法をもって、これは米国政府連邦職員に適用されている規則であるようですが、それを抜き打ち的に、こういうものがあるから第二種雇用員を含めて団交権、スト権がないのだ、したがって、全軍労のやろうとしていることは違法行為だという文書が参って、その後第二種雇用員についても団交権、スト権がないというふうな解釈をしております。そして布令第百十六号と人事規則と、どっちが優先するかという組合側の質問に対しても、現在まで答えておりません。さらに、こういうような人事規則というものは、軍雇用員はもとより一般の沖繩県民に全く公表されていない、向こうの都合によってそのつど出されているという状態でございます。
○中谷委員 さらに、先ほど沖繩の労働者の人たち、特に軍労働者の人たちが非常な衝撃を受けたとも思われるいわゆるビラをまいていて、そうして逮捕された。この事件は一九六七年の四月の十一日に発生した事件のようでございますけれども、この問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 先ほど両参考人から、労働者の基本的人権というのは、団結権、団体交渉権、そしていま一つは団体行動権だということのお話があった。それが否認されているというお話があった。要するに、ビラをまき、あるいは平穏かつ説得的なピケを張るということは、これは基本的人権の一つとして許されることだ。そのビラをまいた場所というのが軍用道路の上であったというようなお話がありましたけれども、この軍用道路というのは、いわゆるバスが走り、さらにタクシーなんかも通る、こういうふうな道路の上あるいは道路の近く、こういうふうな場所でそのようなものがまかれたにすぎない、こういうふうに、私は理解いたしております。米軍の占用するという布令百十六号の解釈が、町ぐるみ、村ぐるみ軍用地であるというようなところからいいますと、結局、いわゆるビラまきという表現の自由さえも侵されているということになると思いまするけれども、現実に逮捕された場所というのはどんなところなのか。ちょっと常識で考えられないような、検挙の対象にならないような場所だということを聞いておりますけれども、いかがでしょうか。
○上原参考人 この逮捕事件というのは今年の四月十一日に起こったものでございまして、私も当日の当事者でありますので、その模様については十分存じておりますが、簡単に申し上げたいと思います。 普通、組合の役員が検挙された、あるいは軍施設内でビラ配りをしたというと、一般的に誤解を受けている而もあるかと思いますが、私どもがその行動をやったのは、実際に立ち入り禁止区域という立て札が全然立っていない、しかも仕事をひけて帰る組合員に対して、現在の賃金交渉はこういう経過になっているんだという内容のビラと経過報告をしているやさきに憲兵隊が来て尋問をして、検挙して逮捕するということで、一般の車も自由に出入りできるし、あるいはまた通行も自由にできるという場所でございました。したがって、先ほども話がありましたが、われわれの感覚では、軍施設内というのは金網の中ということに一応は見解を持っているわけでございますが、向こうの見解は軍用道路を含めて芝生の上、立ち入り禁止の札が立っていなくても軍の施設内、だからそこではどういう行動もできないというような解釈をとっておりますので、今後もこういう事例はひんぱんに起こるのじゃなかろうかという懸念を持っております。
○中谷委員 私の質問を終わります。
○臼井委員長 門司亮君。 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○臼井委員長 じゃ、速記を始めて。——門司亮君。
○門司委員 私が言っていますのは、この問題は単なる普通の労働問題と違うのであって、基本をなすものはやはり政府の腹がまえ、政府の最高の決定に基づくものでなければ解決のできない問題なんだ。したがって、やはりこういう機会に、大臣、責任のある人に来ておいてもらいたい。そして十分に——わざわざ沖繩の諸君が来て訴えているんですから、ほんとうに答えることのできる責任者が来て、そういう人たちによく実情を聞いていただかないと、事務当局の報告だけを受けてそうであったかというような、何かくつの上から足をかくような考え方で問題の処理をされるということは私は非常に遺憾に考えている。しかし、ここでこれ以上小言を言っても始まらないと思います。 最初に聞いておきたいと思うことは、ごく簡単なことです。布令百十六号を全部ずっと見てみると、中にいろいろな矛盾があることは事実でありますが、これから引き出された一つの問題として考えられるのは、労働者の賃金の問題。かつて沖繩の労働者の賃金というのは、諸君が知っているように、アメリカ人の——詳しい数字がありますが、十分の一くらい、フィリピン人の四分の一、本土の労働者の二分の一、あるいはメイドなどは一カ月十五ドル以上払ってはならないというような、べらぼうな規定があったのであるが、そういうことは今日どれくらいまで緩和されておるかということを先に聞いておきたい。
○上原参考人 賃金面につきましては、一般的にいって、公務員もしくは民間企業の水準に達しております。しかし外人と比較した場合には、同一職務にあっても八分の一、あるいは本土から行っておる方々もおりますが、その方々の三分の一ないし四分の一というふうに、まだ低い状態にあります。家事従業員、メイドについては、現在でも月二十五ドル以上支給してはならないというような規則もあって、まだまだ低い状態でございます。
○門司委員 これは明らかに人種的な差別賃金であって、私は、これは何としても許されない労働者に対する一つの大きな侮辱であり——侮辱ということばは、精神的には侮辱ということばが使えるが、実際には生活を保障しない賃金だと言っても差しつかえがないのではないかということが考えられる。しかし、きょうは参考人ですから、これ以上私は議論はいたしませんが、現実に沖繩における軍労働者については人種的の差別賃金になっておるということだけはお互いにはっきり知っておいていただきたいと思います。 その次に聞いておきたいと思いますことは、基地労働者として、布令百十六号を中心として現状のままで将来どうなるかということについての展望といいますか、そういう問題をちょっとお聞きしておきたいと思いますが、そのことは、御承知のとおり、ベトナム戦争が非常に熾烈になればなるほど沖繩の基地は利用され、したがって、そこには雇用関係は膨張することは当然である。しかし、これが終息すれば直ちにその反動が来るということも当然である。ところが布令百十六号の生きておるこのままの姿の中では、それらの諸君の救済は非常に困難だと思う。本土の場合は離職者に対する特別法というようなものがあって、曲がりなりにもこれを救済することのできる一つの立法措置がとられておるが、布金百十六号の中で働いておる沖繩の軍雇用者に対しては、それらの保障は何もないはずである。だとするならば、将来これらの問題について皆さんがどういうお気持であるかということを、ごく簡単でよろしゅうございますから、この際聞かしておいていただきたいと思います。
○亀甲参考人 この点は私のほうからお答えしておきます。 五万の基地労働者の賃金の決定そのものが、アメリカが一方的に調査して、一方的に査定してきめるいまの状態、あるいは沖繩から軍用道路を抜きますと、はっきりいって農道しか残りません。そこしかわれわれの自由がないという解釈、率直にいって、がまんできない。私たちは布令百十六号をこれまで訴えてまいりまして、それでもなおこの布令百十六号で規制していくならば、率直に申し上げます、事が起こってから言う前に、いま県労協に結集されている四万の労働者はおそらく来年の春闘で、基地労働者あるいは公共企業体労働者を含めて、私はストライキに入ると思います。そうでもしてアメリカの反省を求めない限り、私たちの人権というのは、これ以上がまんできないというのが実態でございます。はっきり申し上げておきます。
○門司委員 私は、将来そう遠くない機会に、必ずいま議長から話されたような事態が起こる現実的の問題が出てくるということが考えられると思う。そしてこれは沖繩全体の労働者の二〇%ないし二五%を占めておる軍関係の問題でありますから、これは単に百十六号という労働法規のワクをすでに破らなければならない時限が来ているのではないかということが大体私には考えられる。これに対処して組合側として何か対策その他をお立てになっておることがあるとするならば、ひとつこの機会に聞かせておいていただきたいと思います。
○亀甲参考人 沖繩の全労働者を結集しておる中央組織の県労協の立場からも、布令百十六号の撤廃につきまして、県内における運動をいま展開しておるところでございます。もう一つは、日本の労働者がこういった状態に置かれている事実について、やはり日本政府あるいは先生方に関心を持っていただきたいというのもその一環でございます。さらにILOにこの問題を提訴する、それも本土における労働者団体間では大体において意思統一をされておる段階でございます。しかし、それは一つの運動の一環でございまして、これまでの労働条件の決定そのものからして、私は、法律でない、ただ弁務官の意思だけでわれわれの人権が拘束される事態について、率直に申し上げて、がまんできません。したがいまして、先ほど言いましたような県労協全体としての行動が起こっても私はやむを得ないと思います。
○門司委員 これで終りますが、したがって私はこの機会に、でき得るかどうかわかりませんが、でき得るならば、ひとつ議長、副議長の手元で、日本の本土における皆さんの直接対象になるものは、駐留軍の労務者である、したがってこれらの諸君と同じような、本土と一体化というのなら、同じような問題でなければならないかと思うのだが、それらの点について何か具体的に、この条項はこうしてもらいたい、ここはこうなって、われわれの待遇はこれだけダウンしているのだ、低いのだ、片一方はこうなっているのだ、この取り扱いは、こうなっているのだというような比較をされるものがもし出していただけるなら、これは先に言っておきますけれども、あとで日本政府にも要求いたしますが、ひとつあなた方のほうからも布令百十六号を中心とした差別待遇その他についての何か参考になるようなものでも出していただけるのなら、きょうというわけにはいきませんが、この問題はかなり長く続こうと思いますので、ひとつわれわれの討議の資料として出していただくことができれば、非常に幸いだと考えております。
○上原参考人 いまの点につきましては、私どももすでに検討を進めておりますし、さらに本土の全駐労のほうともいろいろ資料を交換いたしまして、近いうちに、本土と一体化ということも単に表現だけの問題じゃなくして、そういう末端の労働者を含めて、権利の問題、経済的な問題、含めてやっていただきたいというふうに準備を進めております。なお、琉球政府に対しましても早急に現地側でもそういう対応策を講じていただきたいということも要請を出してございますので、資料等をさらに補足いたしまして、日本政府に対しても強力にお願いをしたい、また先生方の御配慮を特にお願いしたいと思います。
○門司委員 いまの資料ですが、これはいつできるかわかりませんが、もし出てこちらに届いたら、ひとつ委員会で配付していただきますように、委員長において配慮していただきたいと思います。ただ、日本政府にきましても、日本政府というのは、実際はなかなか返事をくれないんです。なかなか横着ですから、われわれの手元にちっとも届かない。だからひとつ、せっかく委員会で私の質問に対していま答えていただいたのですから、出た資料はこの委員会で取り上げていただきたいということを委員長にお願い申し上げておきまして、これで私は終わります。
○臼井委員長 資料につきましては、いずれ前例どおり理事会で御相談いたしまして、できるだけそういうふうにお取りはからいいたします。 川崎寛治君。
○川崎(寛)委員 時間の関係がありますから、二三点簡単にお尋ねしたいと思います。 まず第一には、大統領行政命令の十二節には、「高等弁務官は、第十一節を含むこの命令を実施するにあたっては、琉球列島にある人々に対し、民主主義国家の人民が享受している言論、集会、請願、宗教並びに報道の自由、法の定める手続によらない不当な捜索並びに押収及び生命、自由又は財産の剥奪からの保障を含む基本的自由を保障しなければならない。」こういうふうにあります。これは友利裁判あるいはサンマ裁判等、いろいろ基本的人権に関する裁判もあるわけでありますけれども、この十二節が布令百十六号を含んで、沖繩の労働者にとって、はたして基本的人権の自由を守る規範として、役割りを果たしておるとお思いになりますか、それとも実態はどうであるか、お尋ねしたいと思います。
○亀甲参考人 大統領行政命令の条文精神からしますと、少なくとも五万の基地労働者は、そのらち外に置かれているというふうに私たちは見ております。そういう解釈をしております。
○川崎(寛)委員 それでは、この十二節からは完全にはずされている、こういうふうにお考えだと思います。 次には、先ほど中谷委員もお尋ねになった点でありますが、上原副議長はじめ、多くの者が逮捕された、そのときに逮捕の理由を、米軍側は何と言っておりましたですか。
○上原参考人 最初の理由としてあげたのは、布令第百十六号違反だということでした。そこで、じゃ布令百十六号のどの条文に具体的に違反をしているのかという論議になりまして、それが明示できない。結局布令百十六号違反ではなくして、今度は人事規則の違反だ、当時は六百九十−十九だという人事規則がございますが、それの違反だ。じゃその人事規則のどの条文に違反しているのか示してほしいということになって、結局それもうやむやになったわけです。そして最後は、とにかく軍施設内でのそういう活動は米国政府は政策としてさせないんだ、法律論争じゃないんだというふうになってしまって、結局うやむやのままにこの問題が没にされたというようなかっこうになっております。
○川崎(寛)委員 そういたしますと、先ほど亀甲議長も、要するに弁務官の意思でどのようにでも変えられていくんだ、こういうことを申しておられたわけでありますが、今後かかる事件といいますか、こうした事態というのは、いまの体系の中では今後もまた起きてくるということが、つまり組合員に対する教宣活動等をやるにはそうしたビラを配る以外にないといういまの沖繩の実態からした場合に、こうした問題は今後も起こるということがあり得るというふうにお考えですか。
○亀甲参考人 全軍労の逮捕問題が出ましてから、弁務官室に全軍労の幹部、県労協の幹部一緒になっていろいろ解明しました。結局その中で明らかになった点は、軍用道路は軍事施設と見なすんだ、その中における行動は今後も全軍労の逮捕事件のようなことはあり得るんだという二つの回答を得てきて、それだけに、私たちは、この軍事施設の定義ですね、これをもっと明確にしてくれぬと、弁務官布令の考え方からすると、われわれが自由に歩けるのは農道だけなんだ。あとは、先ほど申し上げたように全部軍用道路。そこで、弁務官布令がいうように拘束するとなれば、これは単なる労働運動じゃありませんよということを、労働組合の立場で、いま沖繩の各政党、政府にも申し上げている、そういう実情でございます。
○川崎(寛)委員 それでは最後に、この事件が起きましたときに、沖繩の労働者はたいへんショックを受けたと思います。いま言われましたように、今後もまた問題が予想されるわけでありますけれども、これに際して、琉球政府並びに南通、つまり総理府の出先機関であります南連。琉球政府並びに南連は、この問題の解決あるいはそうした問題の前進といいますか、そういうことのための何らかの行動がありましたでしょうか。
○上原参考人 もちろん事件等のいきさつについては、琉球政府並びに南連のほうも、さっそく全軍労のほうに事情聴取に参っております。しかしながら、事情聴取は、そういう事件は好ましくないという意思表示はしているものの、具体的に現状及び軍の反省を促すというようなところまではいっておりません。
○川崎(寛)委員 そうしますと、結局代償機関はない。それから救済機関はない。南連あるいは琉球政府は、結局情報をキャッチするという程度であって、何ら沖繩の県民に対して、そうしたものを保護する、あるいは解決をしていくということにおいては、機能を全く果たしていないという存在であるとお考えになっておりますか。
○上原参考人 機能を全く果たしていないというふうには思っておりませんが、少なくとも強力な権力を持って、軍に対しての発言力なり、あるいはそれを是正せしめていくという力はまだ持っていないんじゃないか。特に琉球政府の場合も含めて、そういうふうに考えております。
○川崎(寛)委員 終わります。
○臼井委員長 鯨岡兵輔君。
○鯨岡委員 それでは、時間がありませんから、きわめて簡単に質問いたしますから、簡単にお答えをいただきたいと思います。 第二条のC項の基地の労働者の四つの区別、これは使っている側のほうから、あるいは給料の対象から言っておるようですが、仕事の区別でいって、四つを明確に言うとどういうことになりますか。一種、二種、三種、四種。
○上原参考人 仕事上の分類から申し上げますと、第一種雇用員というものが、比較的に軍職場の主要部門を占めている雇用員でございます。第二種が、先ほど申し上げましたように、クラブ関係とか売店、PX、そういうところでございますが、職名においては第一種と大体類似しております。第三種というのはほとんどおりません、これは軍人、軍属の個人の直接の雇用員でございますので。第四種というのは、請負業の中で、請負業者に雇用されている方々。請負業者は、本土から行く請負業者であっても、沖繩の請負業者であっても、第三国、アメリカの請負業者であっても、全部第四種に含まれております。職種も雑多でございますが、一番不安定で、労働条件も悪いというのが第四種雇用員だというふうに御理解をいただいてけっこうだと思います。
○鯨岡委員 上原さんのさっきのお話の中にあったと思うんですが、一セントのボーナスももらっていない者がいますと、こういうことがありましたが、これは何か特別の事情があってのことですか、どういうことですか。
○上原参考人 これは現在全軍労が大きな労使問題として取り上げている事項でございます。この第四種雇用員の請負業者の雇用員の中に、いわゆる仕事そのものは軍側がずっと継続してさしているのがあるわけです。一年契約の請負制度でさしているわけです。したがって、請負制という競争入札制をとっておりますので、なるべく安いコストで請け負いさせるという仕組みをとっておりますから、結局一セントの期末手当もいまだに支払われていない。あるいは賃上げにいたしましても、二、三年も据え置きされる状態で、現在も、年末を迎えてボーナス交渉をやっておりますが、請負業者はどうしても出せる額じゃないというふうに断わって、実際に二千名程度の軍の第四種雇用員が、過去何年か働いてきても一セントのボーナスも支給されていないということが、実際問題としてあります。われわれは、これは軍側の請負政策そのものに問題があるからコストを上げろということで、何べんとなく民政府の労働局あるいは弁務官あたりにも要請いたしましたが、まだ変えておりません。そういう状態です。
○鯨岡委員 そういうようなことは沖繩だけであって、他には絶対に例のないようなことだというふうに御理解いたしますか。
○上原参考人 私の理解する範囲では、アメリカ政府が請負をさしている業務の中では沖繩だけだと見ております。
○鯨岡委員 これは中谷さんのお話にもありましたが、団結権はあるけれども、交渉権や罷業権という権利はない。これは布令第百十六号を見ると第一種の人だと思われる。このことは中谷さんもおっしゃったのですが、第二種についても事実上禁止されているという事実をもう一ぺんひとつ。これは布令ではわからない。
○上原参考人 この件は事実なんです。六五年の賃上げ交渉の場合に、賃金がほとんど改悪されるというような状態が出て、組合がどうしてもそれはのめない。しかも、そのときの賃上げというのが、過去においてまる三カ年間、第一種雇用員を含めて賃上げができなかった場合があるわけです。そういう状態の中での賃金改定でございましたので、相当ねばってやったんですが、ここにきのうおあげした資料の中で、第二種層用員を含めて団体交渉権もスト権もないんだという公法をもって指令を出したわけです。それ以後取り扱いについても、第二種雇用員も含まれておるというふうに向こうは言っております。しかし、私どもは、実際に雇用されているのは布令百十六号だから、百十六号の中には第二種雇用員のスト権の禁止、団体交渉権の規定というのはないんじゃないかという論争をしましたが、これを優先をするんだ、アメリカの公法というのがそういう解釈でやってきております。その引用として布令第百十六号の第一条のb項の中に、「合衆国の法規に別段の制限がない限り、被用者が雇用条件」云々というような問題がございますが、結局この布令は、合衆国の法規に別段の定めがあった場合にはこの布令よりも優先するんだというような向こうの解釈の仕方、そういうところにますます、私ども法的に専門家じゃございませんので、疑問がわいてくるわけです。そういうようないきさつで第二種雇用員の問題があります。
○鯨岡委員 百十六号の改正というようなことではないというふうに御理解いたしますか。——ではないんですね。 そこで、次の問題に移ります。第一種の仕事の性質上、上原さんのお話でも、軍の主要な部分を担当しているというお話でしたが、さらに、まことに残念ですが、施政権をアメリカが持っているという特別の状態等を考えてみて、他の一般の場合と異なって、就職にあたって、その経歴を特に詳しく調査するのは当然であるという見方もあるのではないか、こういうふうに思う。さらに一般に許される罷業もまた、軍の主要部分だからちょっと許されないというようなこともあるいはあり得るんじゃないか、当然ではないかというような考え方もあると思うんですが、この点に対してどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○上原参考人 確かに御指摘なさるように、そういう解釈、考え方もあろうかと思います。しかし、私どもが特に強調しておきたいことは、少なくとも労働者の権利の問題あるいは人間の正当な取り扱いを受けるという場合に、必ずしもそういう狭義の解釈ではとらえてはいけないというふうに理解をしております。と申し上げるのは、日本本土にも現にアメリカの軍の基地があるわけですが、その中で働いている労働者の方々は日本本土の労働三法で完全に権利が保障されておる。しからば、沖繩の軍施設で働いている人がそういうふうな特別の取り扱いを受けざるを得ないということは、まだまだ納得がいかないわけです。そういう意味で、あくまでも労働三権を保障さるべきだ、その中でいま指摘なさる問題というのはなお具体的に煮詰めていったのが労使の関係をより完全に正常化させる道だというふうに私どもは理解をしております。
○亀甲参考人 いまの御質問は重要だと思いますので補足しますが、最小限権利の制約というのはそれに救済というのが伴って初めて生きてくると思うのです。権利は徹底的に制約しながら、それに伴って救済する機関は全然認めない、これは布令百十六号というものの一つの特徴です。 もう一つは、アメリカ政府を転覆するなんという意図はもちろん持っておりませんけれども、そういう行為ならまだわかります。それを意図する者、こういった者が解雇の対象になるということは、意図する者というのは相手が判断することですから、行為が伴わないのに、ただ意図した、彼は考えておるというだけで行為が発生するということは、これはもう法律以前の問題だと私は思うのです。そういった点を特に布令百十六号は問題点として指摘しなければならない、こういうふうに考えられます。
○鯨岡委員 そういう労働三法は権利としてこれを第一義的に考えなければならぬが、しかしながら軍の主要部分を担当しているのであるから、いま言ったような見方も考えられないものでもないというお話があったのですが、そういう意味で、就職にあたって経歴を調べるということは米国に対する忠誠をしいられているというふうに考えるのはちょっと思い過ごしのような気もするのですが、いかがでございましょう。
○亀甲参考人 確かに、これは日本の労働者としての感覚という点で受けとめていただきたいと思うのです。先ほどの御質問にもありましたけれども、過去十年間にわたって、あるいはずっとそういった考えを持った人との接触があったのかないのかという点を含めて、そこで実際手をあげて宣誓するということは、われわれ現地で考えているのはやはり忠誠だ。手をあげて宣誓して就職をやるかっこうというのは、はっきりありません。そういう意味では、日本の労働者という感覚ではどうしてもそう受けとめている。またアメリカの労働運動という立場で、アメリカの市民というのはアメリカの政府に忠誠を誓う義務があるのだ、しからばアメリカの市民に適用される法律を相拠にして求めている布令というものは、当然その意図するものは労働者を意図すると私は理解している。そうでなければ、就職の段階で手をあげてするということは、ちょっとこっけいだと思うのです。そういう受けとめ方をわれわれはやっておりますということなんです。
○鯨岡委員 ちょっとしつこいようですが、宣誓というのは忠誠を誓った宣誓でなしに、書類に書いた経歴がうそでありませんということの宣誓ですね。
○亀甲参考人 そうです。
○鯨岡委員 わかりました。それで、これから皆さんの御苦労を多としながら、われわれも一致して解決していこうと思いますので、なるべく感情的にならずに、合理的に考えていこうと思いますのでお尋ねをしたのです。 質問を終わります。
○臼井委員長 帆足計君。
○帆足委員 時間の都合がありますから、あとで政府に質問します。 私はわざわざ遠くから来られた沖繩の労働者諸君を代表している皆さんの御意見を伺って、胸の痛む思いがいたします。根本は、沖繩が植民地扱いをされておって、東京では紳士で沖繩では諸君を奴隷に扱っておる。奴隷に扱うならば、ファシズムの元凶はドイツであるから、もし敗戦ファッショ国への報復というならば、ドイツで同じようなことをもっとひどくやれる論理なのに、わが沖繩については植民地扱いのほかに、人種的差別、さきほど門司君が指摘した人種的偏見の観念まで加わって、他国民に対し平然と宣誓なるものが強制されているものと思いますけれども、私はこの状況を聞いていて、一国会議員としてのみならず、市民として、また私は人権協会の常務理事として、これも胸の痛む思いがいたします。 そこで一言だけお尋ねしたいのでありますが、一つはいまのようなメイドに至るまでいろいろ制限し、それから宣誓をするというようなこと、そういう極端なことが必要なら、本土の駐留軍に対してもまた本土の自衛隊などにも、かりに労働する労働者に対してそういうふうな習慣が本土にあればとにかく、本土には全然ないのでございますから、これから受ける侮辱の観念というものは、鯨岡さんの善意の常識を加味しても耐えがたきことであろうと思います。 そこで、一方的にきめる軍事行動というならば、当然他方に救済規定がなければならぬはずですが、たとえば人事院勧告とか労使調停法とか、そういうような、また日本側の公平な人が参加した機構なりあるいは双方を規制し得るような機構というものが必要なのですが、そういうものは全然ないのですか。重ねて確かめておきたいと思います。
○上原参考人 簡単にお答えいたしたいと思います。 布令の条文にはそういった労働委員会というものがございますが、有名無実の状態で、救済の機関も何もございません。
○帆足委員 お尋ねしたいのですが、アメリカの軍人は、われわれの皮膚が黄色いのでニグロの次くらいの扱いをするという潜在観念がある。アメリカの職業軍人の教養はあまり高くないことは、ゆうべテレビで「軍事裁判」という、あのなつかしいゲーリー・クーパーの登場した映画を見まして、私、非常に感銘しました。この問題はあとで総理府に、ゲーリー・クーパーを例にして質問いたしますからよく準備しておいてもらいたいが、いまから放送局に電話をかけて筋書でも聞いておいていただきたい。 警察に対して、われわれは日本の警察をたよりにせねばなりません。ところがMPがあらわれたり軍人があらわれたりして、道路でビラをまく、呼びかけをしたくらいのことで、何よりも一番大事な身分証明書を取り上げられる。身分証明書を取り上げられるということは、当人にとり恐怖に値することです。そういうときに日本の警察は、人によって違うでしょうけれども、必死になって皆さんを擁護するような体制になっておりますか、または力及ばず、また職業柄良心が鈍って敷島のやまと心というものをなくして、へなへなとするような傾向でしょうか。これは警察によって違うでしょうけれども、一般的傾向はどういう状況でしょうか。
○上原参考人 いまの御質問は、軍のやる行為に対しては琉球警察であろうが政府であろうが、全然介入というのでなくして、くちばしを入れる、意見をはさむことができないわけです。そういう意味で軍側が発行する。パスは軍独自で取り上げるということでございますので、米国の機構そのものが絶対優先というのが沖繩の実情でございますので、琉球警察としての権限は及ばないという状態でございます。
○帆足委員 最後に一つだけ。その場合にMPなりアメリカの軍人が法を破っておる。たとえば問題が起こったから釈明に来た、通訳に来た、心配して援助に来た、そういう者までつかまえて身分証明書を取り上げる、すなわち法に反したことをアメリカ軍がやったときでも、その法を守る意思と良心と正義感は、慣例的にもはや日本の警察からなくなっているような痛ましい現状ですか。
○亀甲参考人 基地労働者の逮捕事件その他も関係しますが、逮捕する場合に逮捕理由というものを明示しないのです。そして逮捕して琉球警察に引き継ぐ場合に、琉球警察ですら理由がわからないから引き継げない。何のために逮捕するのかわからぬ。そういうことで引き継げなかったというのが実情なんです。ですから、MPが逮捕する場合には、先ほど言いましたように布令百十六号と言ってみたり、あるいは人事規則と言ってみたり、あるいは法的根拠がないからアメリカとしてはこれを許せないのだということで、逮捕理由が変わっている。そういったあり方が実情だということなんです。
○帆足委員 最後に、そういうような場合には、警察が心配して中に入って、条文をはずれているおそれがあり、またあいまいなことで人を逮捕する権利はありませんから、あいまいなことのときには警察があっせんをして、これはあいまいなことだから、しばらくこちらに預からしておいてくれというくらいのことを——私は、頼むのは日本人は日本の同胞だけですからね、言えるような警察であってほしいと思いますが、ただいまの御答弁で、なかなか圧力が強く、そういうような実情になっていないということを伺って、あながち警察だけを個人的に攻撃するわけにまいりませんが、そういうことのできない現在の制度を非常に嘆かわしく思いますが、こういうことは政府がやはりお考えにならなければならぬことですから、あとで政府に質問いたします。どうか参考人の皆さんも、あとの政府への質問を傍聴しておいていただきたいと思っております。
○臼井委員長 委員長からちょっと二点だけお伺いしますが、昨日当委員懇談会において、ささいなことですけれども、経歴書に対して宣誓を、手を上げて誓うことは以前はやっていたが、いまはやっていないというようなふうに伺ったのですが、それはいまでもそのとおりやっておられるのかどうかということが一点。 もう一つは、沖繩の軍用道路が基地であるということの解釈というか、アメリカ側のそういう従来の考え方。これは私どもそう伺って、それが基地と施政権を分離するのにむずかしい一つの理由だというふうに聞いていたのですが、これが皆さんの沖繩の住民の方にはそういうふうに解釈されていないところの問題もあるかと思うのです。ただ、アメリカ側では、基地ではあるが一般公用に便宜のために使用させているのだという、そういう解釈をしておりましたが、一般国民はそういう受け取り方をしてないところにも一つ問題があると思うのですが、その点のお考えをちょっと二点だけお伺いしたい。
○亀甲参考人 第二点目だけ私から申し上げておきます。 私たちも従来軍事基地あるいは軍施設というものの観念は、黙認耕作地を含めて金網で囲っている部分が基地なんだというのが、法的には別にして観念的にはそう理解しております。しかし、基地労働者の逮捕問題が出てから、そうじゃなしに、基地施設というのは、軍用とかその一部なんだ。だからおまえたちがやった行為は軍事基地内でやった行為なのだから逮捕されたのだということが明らかになって、それは実は労働運動という面だけじゃなしに、非常に心配をしている点でもあるのです。その軍事施設、基地の定義づけというものが明確になされぬと、ややともすると双方の解釈の違いから人権侵害、いろいろの問題が起こり得るという点で申し上げたつもりでございます。
○上原参考人 最初の御指摘の一点ですが、現在こういう宣誓は個人個人さしておりません。したがって、それは訂正してよろしいと思います。私がきのう申し上げたのは、組合役員の場合の宣誓というのを前にさした例があるのだが、それを含めて現在はそういうことを一々さしておりません。しかし、就職申し込み書に、上記の記載事項に間違いはないという署名を宣誓という意味でさしております。
○臼井委員長 参考人各位には長時間にわたり貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。こことに委員会を代表して厚くお礼申し上げます。(拍手) —————————————
○臼井委員長 これより政府に対する質疑を続行いたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。穗積七郎君。
○穂積委員 敬意を表して簡単に一点だけお尋ねいたします。 沖繩問題は、今度あなたが長官とともに取り組まれることになったのだが、これはベトナム戦争、日中関係の問題とともに、アジアにおける戦争か平和かの重大な問題であることは言うまでもありません。この間佐藤・ジョンソン会談後、この問題について、またアジアの情勢について、政府の方針なり日米関係というものが新たな事情が生じてまいりました。私ども非常な関心を寄せております。したがって、当委員会におきましても、いずれ総理並びに外務大臣、すなわち対米交渉に当たられた責任者に基本問題についてお尋ねいたしたい。 ところで、きょうお尋ねいたしたいのは、ただいまも参考人から意見を聞き、かねて基本的人権問題と一括して、沖繩における諸権利の民主的な確保の必要のあることは問題になっておりました。ところがいま申しましたように、佐藤・ジョンソン会談の結果、沖繩を本土に一体化す、近づけるという基本原則はきまったわけですね。そういたしますと、いまはお聞き取りのとおり、労働権、基本的人権すら認められていないこれらの問題について、これから政府はいかなる機構を通じて、いかなる方針で、新たな事情の日米関係の中でこれを折衝をし実現されようとしておるのか、そのことに対する根本的な信念と態度を伺っておきたい。同時に具体的な方針もすでに着々と準備されていることと思いますから、そのこともあわせて、長官にかわってあなたから責任のある御答弁をいただいておきたいのです。
○八木政府委員 ちょっと答弁の前に一言ごあいさつをさしてもらいたいと思います。 このたび総務副長官を仰せつかりまして、早くごあいさつをしなければなりませんのに、機会を得なくてまことに失礼を重ねておりますが、お許しをいただきたいと思います。御指摘のとおり、沖繩問題というのは、これからの政治の最大関心事の一つであろうと思います。その意味において、皆さんには格別の御指導、御鞭撻、御叱正をいただかなければならぬと思いますが、微力ではありますけれども、誠心誠意努力を重ねてまいりたいと思いますので、一そうのひとつ御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げておきます。 それから、いま穂積先生からお話のありました本土との一体化工作について政府としてはどういう考え方を持っているかということについて、今回の佐藤・ジョンソン会談の、いろいろ御批判はあろうと思いますけれども、やはり最大の収穫の一つの中に、その一体化に対する、言うならば、スケジュール的なものが明らかになってきたということが、一つの特徴じゃなかろうかと思います。そういう意味で、私たちは両三年の間に一体化の実が上がるようなそういう準備体制をしいていくことに努力をしなければならぬと思います。その意味において、その構想自身は固まっておりますが、まだ具体的には決定をいたしておりませんけれども、いずれ諮問委員会というものを新たにつくって、そこを足場にしてやっていこうという基本的な考え方でございます。もちろん、いままでの日米協議会というものを活用すること、当然でございます。また、沖繩問題懇談会等の意見を徴するということも当然でございますので、それらをひとつミックスしながら、本問題の解決のために努力を払いたい、こういうふうに考えております。
○穂積委員 今度の会談で、従来より変化の生じましたのは、本土一体化の問題がとにかく両者によって確認をされた、それからもう一つは、高等弁務官に対する諮問機関が設置されることにななった、こういうことなんですね。そこで、われわれは即時無条件返還を強く要求し続けますけれども、事実問題として、完全返還が手間どる間においても、その一体化の原則に従って可及的すみやかにこれを処理し、実現すべきだと思うのです。 一体化の解釈について伺いますが、施政権が返還する前においても一体化を実現されるつもりなのか。返還されるようなときに、ストレスがないように、準備をしておくという意味なのか。準備か、実現か、担当の総理府はどういうふうにお考えになっておられますか。いずれでありますか。
○八木政府委員 諮問委員会ではもちろん準備と実現と両方やるわけですけれども、実現できるものから準備し、実現をさしていく、そして最終的に仕上げをしていく、こういう考え方であります。
○穂積委員 それでは続いてお尋ねいたしますが、施政権返還前においても、一体化についてできるものから可及的すみやかに実現をするという日米間に合意が成立したと理解しておられるわけですね。そうであるならば、今度の共同コミュニケの中で、どこをさしておられるのでしょうか。
○八木政府委員 予算委員会その他で、総理がたびたび答弁をいたしておるところでございますけれども……。
○穂積委員 いや、担当の総理府の考えを聞いているんです。というのは、私の質問の要旨をよく理解していただきたいのだ。総理や外務大臣がいままで明らかにいたしました理解と、アメリカの方針と違っておるという事実がだんだん明らかになってきておるわけですね。そうすると、日本の政府の中で、担当の所管は総理府でございましょう。総理府と外務省または内閣との間にこれに対する食い違いがありはしないかという心配があるから、聞いておるんです。だから、私が聞いておるのは、佐藤政権を代表して八木副長官にお尋ねするのではない。沖繩問題を具体的に担当をし、これを解決しなければならない所管の役所の責任者として聞いておるのです。念のために聞いておるのです。政府全体のことは、最初にお断わりしたように、この席で聞くのは必ずしも適当でありませんから、総理、外務大臣に直接お尋ねいたします。ところが、これを返還するようなときまでに手違いがないようにして準備さえしておけばいいのじゃなくて、それまでに一日も早く、いま陳情のあったような不合理な問題については総理府がどんどんこれを進めなければならぬ。解決しなければならぬ。そういう立場におるから、その総理府の立場ではどう考えておられるかということを事前に聞いておくわけです。質問の趣旨をよく理解いたされまして、御答弁をいただきたい。
○八木政府委員 総理府といたしましては、共同声明にあります「日本本土との一体化を進め、沖繩住民の経済的及び社会的福祉を増進する措置がとらるべきであることに意見が一致した。両者は、この目的のために、那覇に琉球列島高等弁務官に対する諮問委員会を設置することに合意した。」このことによって、諮問委員会をもってその問題の処置をはかっていこう、こういうことでございます。
○穂積委員 わかりました。それに間違いありませんね。すなわち、総理府の解釈は、その諮問委員会その他日米協議会を通じて、一体化問題については復帰前においてもどんどん実現していく腹がまえである、その約束が、いまの共同コミュニケの文章から、アメリカに対してもそれは義務づけておるのだという理解であるわけです。それで間違いありませんね。
○八木政府委員 そのとおりであります。共同コミュニケでございますから、そのとおりでございます。
○穂積委員 ところが、これは外務省にお尋ねいたしますが、念のために私、言っておいて——意地の悪いことを言うのじゃないんですよ。せっかくのあなたの最初のごあいさつにいたしましても、いまの解釈も、私はその心組みには敬意を表しますけれども、しかし実際はそういうことになっていないのだ。原文は、返るようなときにと書いてあるのですよ。それをかってに日本語では、国民をごまかすために、返る前にも処理できるようなふうに書いておる。そのことは外務大臣にあらためてお尋ねいたしますけれども、事前に総理府との間で十分に理解を一致さしておいていただきたいと思うのです。これは御注意申し上げておきます。 次にお尋ねいたしますが、その一体化のためのすべての問題を促進する機関として、弁務官のもとに設置された諮問委員会を総理府としては活用したい、こういうことでありますが、これの日本政府側における所管は外務省になりますか、総理府でおやりになりますか、その方針がありましたら、明らかにしていただきたいのです。
○八木政府委員 先ほど申し上げましたように、最終決定をしておりませんから、ここで断定的にものを申すことはできませんけれども、いまの話し合いの過程では、総理府になる予定でございます。
○穂積委員 それではお尋ねいたしますが、この諮問委員会なるものが実はこの間から問題になっておったのですね。ところがこれに対しては、高等弁務官の権限に属する問題の範囲内において、これが第一条件、第二条件は、高等弁務官から諮問のあった場合においてのみ、諮問のあった問題についてのみ調査、審議をし、そしてアドバイスすることができる、こういうアメリカ側の解釈であるようであります。これは日本政府がいままで国民に向かって宣伝をいたしておりまして、今度の日米交渉の大きな一つの功績であった、収穫であったと宣伝されましたのは偽りであったことが——偽りであったかなかったかはこれからの結果ですけれども、日米間で少なくとも共同コミュニケの解釈について、今後の方針について全然違った方針が明らかになりつつあるわけですね。これは窓口はどうせ外務省であると思いますから、次の外務委員会または当沖繩委員会において外務大臣に直接、アメリカ側から示されておるこの委員会の目的、性格、機構、任務、これらについてはお尋ねいたしますが、たくましい取り組みをしようとしておられる総理府としては、この問題についてどういうふうにそのステータスというか、目的、範囲を理解しておられますか。
○八木政府委員 おそらくけさの一部新聞に出た報道のことで言われているのだと思いますけれども、私たちはそういうふうに理解しておりません。さっそく、けさのことでございますから、その背景というものを詳細調べるに至っておりませんけれども、内部で検討したところ、そういうことは事実に反すると、こういう認識でございますが、詳しくは特連局長からひとつ答えさせたいと思います。
○山野政府委員 今回設けられることになります諮問委員会は、高等弁務官に対する諮問委員会でございますから、その助言なり、勧告なりするその範囲は、高等弁務官の権限内の問題が中心になることは事実であります。そしてまた、本土と沖繩との一体化のため、それから社会上、経済上の格差是正のための勧告なり、助言なりが行なわれるわけでありまして、当面はさしあたっては、主として社会、経済上の格差の除去というところに中心が置かれるものと思うのであります。したがいまして、いま副長官からもお答えがございましたように、一部新聞に出たようなそういう非常に範囲の限られた、まるで高等弁務官に従属する諮問機関というような性格のものには考えておりません。目下、私のほうと外務省と詳細打ち合わせながら米側と折衝をいたしておるような段階でございます。
○穂積委員 それらのことは先ほど申したように、今日総理府と国会との間で討議をするには不適当であって、交渉の責任に当たられた総理、外務大臣に直接お尋ねするつもりです。ところが、これは、きょうの朝日新聞がそのことをトップで指摘しておられまして、重大な問題であることは言うまでもありませんが、私どもはすでに外務省の出した共同コミュニケの原文、それから並びに外務省の出した仮訳——本訳はまたいただいておりませんが、これは委員長に事のついでにお願いしておきますけれども、本訳なるものがまだ外務省から出ていないのですよ。仮訳しか出てない。これはよく誤訳があったりいたしまして問題になることがありますから、もうすでに本訳が出てしかるべきだと思うので、少なくとも当委員会並びに外務委員会、その他関係委員会には委員に配付することを要求いたします。当委員会としては強く要求して、至急配付していただくように。よろしゅうございますね。
○臼井委員長 了承いたしました。
○穂積委員 ちょっと横道にそれましたが、もとへ返ります。 そういうわけで、実はこの間政府から、総理並びに外務大臣の御答弁は、これは非常な功績であったように国民に期待を持たしめるために、かってな解釈をしておられますけれども、かってな解釈が非常にたくさんあるのだが、その中の一つなのである。そういうふうに責任を持ってこれは範囲が限られるものではないというふうにおっしゃるなら、私はお尋ねしなければならないのですけれども、今度の交渉の、おそらく解釈の草案のテキストというものは英文のものをテキストとする。これは今度私は聞いておりませんよ。従来の慣例からしてそう推測しておるわけですから、そうであるなら、いまあなたのような解釈はどこからも出てきませんよ。どこにそんな文章があるでしょうか。「高等弁務官に対する」等となっておりますよ。それから後段で、エコノミックあるいはソシアルなプログラムと限定されておるのだ。それがプロモートされることを期待する。リードであったか、ことばはちょっと何ですけれども、そういうふうなのが米側の論拠であろうと思うのです。私もそれが当然だろうと思うのです。この文章上、国際文書として解釈したときには。だから、弁務官の権限にない政治的な諸問題について諮問委員会で日本側が強く要求し、それを解決するなんということをもしお考えになったとすれば、これはいささかごまかしな解釈である。国民を惑わすものであると、私はこう解釈せざるを得ないわけです。だからその点は、きょうはこれだけのことを申し上げておきます。いずれ外務大臣あるいは外務省当局から——このコミュニケ、国際的効力のある共同コミュニケの原文並びにその解釈については、これは外務委員会またはこの委員会で、外務当局から政府を代表して答弁をいただきたいと思いますけれども、私はそうは考えられない。いままで政府が宣伝され、あなた方がお二人とも解釈しておられるような諮問機関の性格は、今度のコミュニケを国際文書として読んだときに、そんな権限は与えられていない。見当違いな御解釈ではないかという点を御注意申し上げまして、その理由は省略いたします。至急、次の外務委員会またはこの沖繩委員会までに、外務省、政府との間で総理府がよく打ち合わせをして、統一見解を用意していただきたいということを御注意申し上げまして、きょうの質問は、これで次の方にかわっていただきます。何か答弁することがあったらおっしゃい。
○山野政府委員 申し上げますが、高等弁務官に対する諮問機関でございまして、高等弁務官に従属して、もうすべて諮問があって答申する機関とは私どもは考えておりません。やはり独自に調査、活動をし、独自に勧告案を創出して勧告できる、こういうぐあいに考えておるのであります。 それから、先ほど申し上げまして、私の表現がまずかったかもしれませんが、この諮問委員会は、やはり高等弁務官に対する諮問機関でございますから、その諮問の範囲は、やはり高等弁務官の権限内のことにわたる。それから主として当面は、社会、経済上の障壁を除去するための勧告、助言を行なうことになろう、こういうぐあいに私は申し上げたはずでございまして、この点につきましては、外務省とも意見が一致しております。
○穂積委員 ちょっともう一問だけ。御答弁がありましたから……。 それで、すでに外務省とお打ち合わせ済みだと言われますから、ちょっと申し上げておきたいのですが、二点だけお尋ねいたします。 第一点は、経済的あるいは社会的な問題だけでなくて、たとえば主席公選であるとか、国政参加の問題であるとか、そういう広範な政治問題についても、これは討議ができるという解釈でございますか。それが一点。 それから第二点は、これはあとの同僚の質問者がなさると思って遠慮しましたが、先ほど来強く要望のありました布令百十六号、これの撤廃の問題ですね。これらについて総理府は一体、一体化のために、本土の労働者並みにするために、これは当然こういう人権じゅうりん、労働権無視の措置は撤廃すべきだと思いますが、それに対する御決意を副長官からお答えをいただきたいと思います。それだけです。内容にわたっては、あとにいたします。
○八木政府委員 主として、経済、社会、福祉問題というのは、これは主としてはそうであるが、同時に国政その他の百十六号の布令撤廃の問題等もあわせ議題になり得るものだ、こういうふうに見ております。
○穂積委員 それから先ほどの問題はどうですか、国政参加と公選は……。
○八木政府委員 国政参加の問題、主席公選の問題は、日米協議委員会の議題にすでになっております。主席公選、国政参加の問題は、日米協議委員会の議題として取り扱うことが適当であるというぐあいに私どもは打ち合わせております。したがいまして、さしあたり諮問委員会では、社会上、経済上の格差除去の問題が中心になる。 それから、そのあとの布令の問題でございますが、いま抽象的に問題を取り上げまして、その審議の対象になるかならぬかということを抽象的にお答え申し上げれば、それは諮問委員会の対象にはなるであろう、かように考えるわけであります。
○穂積委員 あなたそこまで御答弁に確信を持ってなさるなら、政府としての方針をちょっと明らかにしておかなければいけない。それは、諮問委員会は、主席公選または国政参加の問題を議題にすることは禁止はされてはいないが、この問題は協議委員会でやるほうが適当だと政治的に判断をしてこちらへ移されるのか、そうではなくて、諮問委員会にはそういうことを討議する権限はないのだ、そういうステータスは与えられていないのだという意味で協議委員会へ移すと言われるのか、どちらですか。
○山野政府委員 この点につきましては、予算委員会で外務大臣から御答弁がございましたとおりでございまして、諮問委員会は、さしあたり社会上、経済上の格差是正の問題を中心に取り上げる。したがって、国政参加あるいは主席公選といった、いまの御表現によりますと、やや政治的な高度の問題は、むしろ、正式の外交的機関である日米協議委員会で取り上げることが妥当であると考えております。
○川崎(寛)委員 ちょっと関連して。それでは日米協議委員会で主席公選やあるいは国政参加の問題を取り上げる、こういうことですが、四十年に日米協議委員会についての交換公文が改められたわけですね。そして福祉問題等ということで入った。そうすると、今度日米協議委員会の機能については、あらためてそれを変えてからやるのか。いまの協議委員会で従来の、つまり第一回、第二回と来ているわけだから、交換公文としては、それをいじらずに、日米協議委員会の中に主席公選や国政参加を入れ得る、こういうふうに解釈をしておるわけですか。これは機能拡大のときにも非常に問題になった点ですが、なぜそれをいままでやらなかったのか。これからやるのかということが一つ。 それから、これはまた外務大臣が来られたときにいずれ問題になるだろうと思いますが、事務当局として、そういう点が、つまり交換公文を変えずにも入り得るというふうに見るのかどうか。なぜいままで入れなかったのか。
○山野政府委員 御指摘のように、日米協議委員会の機能につきましては、第一回の佐藤・ジョンソン会談のときに権限が拡大されまして、従来経済援助を中心にしていた協議委員会が、経済援助以外の問題についてもその協議の対象になることが明らかにされたわけでございます。したがいまして、そういう点から現在の協議委員会の権限をさらに拡大しなくても、そういう問題も当然討議の対象にはなり得るようになっておるというぐあいに私どもは解釈するわけでございます。
○川崎(寛)委員 あとの問題は……。
○山野政府委員 あとの問題につきましては、従来全く議題にならなかったというわけではございませんが、本格的に議題として取り上げて審議するような機会は現在までのところ持たれなかったわけです。その点につきましては、従来の協議委員会は、主として、たとえば日の丸の問題とかあるいは外航旅券の問題とか、その他本土との一体的施策の問題点が相当ございまして、そういう問題を中心にして現在まで討議されてきたわけでございます。
○穂積委員 ちょっとついでに先ほどのを答えてください。つまり諮問委員会は、主席公選や国政参加の問題等々も審議する権限はないことはないけれども、やらないのか、それを取り上げる権限が与えられていないからやらないのか、どっちですか、解釈は。
○山野政府委員 これは共同声明が出ましたときも、この権限機能について明確に相互に了解して書かれていないわけでございます。そこで今後これをどうするかということになるわけでございますが、さしあたり私どもは、社会上、経済上の障壁を除去することを中心にしたい、かように考えているわけでございます。したがいまして、いま御指摘の問題等につきましては、まだ現在そこまで考えていないわけでございます。
○穂積委員 共同コミュニケの解釈を聞いているのです。権限があってもこっちへ移すというのか、権限がないからやらないというのか、どっちの解釈ですかというのです。
○山野政府委員 先ほど来申し上げましたように、この諮問委員会は、経済的、社会的福祉に関連した問題を中心にして審議していく機関でございます。主席公選とか国政参加のようなそういう政治的な問題をまっこうから取り上げて勧告、助言する機関ではない、かように考えます。
○臼井委員長 ちょっと申し上げますが、きょうは沖繩の参考人に関連しての質疑が主でございますから、いろいろ問題がございましょうが、それ以外の問題はなるべく他日にお譲りいただいて、そうして労働問題等に関することについてお進めいただきたいと思います。
○永末委員 その問題ですが、いま諮問委員会の権限で御答弁がございましたが、共同声明では、経済上の障壁という問題の前に制度の一体化ということばを使っているが、この制度の一体化ということは、総理府はどういう解釈であるかお答え願いたい。
○山野政府委員 この制度の一体化というのは、ここにございますように、沖繩における制度を本土と一体化するための一般的に私どもが概念している制度の意味だろうと考えます。しかし、そう書いてありますから、当然にそれではこの諮問委員会で主席公選あるいは国政参加が議題になるかというと、私はそうは考えていないのでございます。やはりさしあたりの問題としては、社会上、経済上の問題、しかしその制度の一体化その他の問題が全く議題にのぼらないかというと、そういうものでもない。しかし、議題の中心として取り上げる問題ではない。その主席公選、国政参加の問題は、やはり外務大臣が答弁されましたように、第一義的には日米協議委員会で取り上げる問題である、かように考えるわけでございます。
○臼井委員長 それでは帆足計君。
○帆足委員 ただいまのところは問題が多いのですが、委員長の御助言もあるので、一応次回にお譲りいたしますが、それは法律の客観的な権能の解釈と当面の運用の方針とを混乱して御答弁になるから問題になるのですが、時間もありませんので、私はただいまの参考人の意見の御開陳について結論的意見を申し述べたいと思います。特に長官がおられませんから、副長官に聞いていただきたい。恐縮ですが、根本は沖繩に自治権がないということ、自治権がないということは、昔のことばでいえば、他国の属国だということです。守ってやるからといって、そして自治権を奪ったという例は、朝鮮でも過去の満州でも台湾でもそうなんです。必ず、守ってやると言わずに、おまえに暴行を加えるぞといって、そしてその国を利用する国はありません。全部、どこの国でも、五族協和の国をつくろうとか、共同の利益のためとか、を守ってあげるとか、そういうもっともらしい口実のもとに軍隊を置くのです。他国の軍隊が国内に駐留したときは、活殺自在であります。そのくらいのことが判別つかなくなった日本人の今日の心境を私は悲しむものでございます。日米同盟というならば、それじゃ逆に、われわれがアメリカを守ってやらねばならぬし、お手伝いもせねばならぬから、カリフォルニアに駐在して、そしてカリフォルニアの女の子は、われらの中の乱暴者が夜中に暴行しても、カリフォルニア警察は権能がなくて、日本のMPさんがそれを適当に処理するようなことになれば、アメリカの市民は黙っていないでしょう。こういうわかりきったことについて神経が麻痺しているというのが、終戦二十年たってまだ麻痺しているというのが、日本民族のこれは一大弱点だと思います。副長官は、沖繩に自治権がない、そして他国支配のもとにある、ここからただいまの布令の問題が起こっておりますが、淵源はそこにあるということは御承知でございましょうか。自治権がないということ、またほとんどなきにひとしいくらい制限されていること。
○八木政府委員 お説のとおり、完全なる自治権はないと理解いたしております。
○帆足委員 完全なる自治権がない国に対しては、自治権を回復するための運動は国際連合によって奨励さるべしという国連満場一致の決議、ただし棄権した国が三つばかりありましたが、国連総会でもそのようになっておりますから、きょうの参考人の諸君は国連によって表彰され、奨励され、エンカレッジされねばならぬ。要求すれば、国連から助成金が出ていいくらいの、きょうは御発言であったと思いますが、自治権回復のための運動は奨励さるべしというあの決議が国連で通っておることを御承知でしょうか。
○八木政府委員 承知いたしております。
○帆足委員 承知しておいていただいて、ほんとうにしあわせです。私は沖繩祖国復帰運動の胸のバッジにはそのことを英語で書いて、みんな胸をこう然と張って歩いたらよかろう、こう思っております。この国連の決議に対しては、アメリカ軍当局も敬意を表さねばならぬと思っております。 それから第二には、私が観察いたしますのに、アメリカ軍というのは、やはり職業軍人でございますから、先ほど申しましたが、「軍事裁判」という、例のゲーリー・クーパーの出た——ゲーリー・クーパーという俳優は、その風格は最もアメリカ人らしいアメリカ人です。私はヘミングウェイとゲーリー・クーパーに会いたいと思いまして、そしてキューバに行きましたら、ちょうどヘミングウェイがなくなった、自殺した三カ月後で残念でした。それから、かねて手紙を出してありましたので、カリフォルニアに、キューバから帰りにゲーリー・クーパーの屋敷をたずねたのですが、急性ガンでなくなってちょうど六カ月目でありまして、これも残念なことをしましたが、「軍事裁判」というあの名画をごらんになれば、これはアメリカの施政権、軍政権のことにタッチされる役人の方は、あの映画を見てからでありませんと、これは話をしてもしかたがないのじゃないかと思えるほどでございますから、文化問題にも多少は御関心くださっていただきたいと思います。これは余談なようですけれども、事の本質に触れておりまして、アメリカはホイットマンが「草の葉」を書いたり、それからすばらしい独立宣言、これはフランス革命の基礎になっておるものですし、ジェファーソンの著作集もありますし、そういう伝統を受けたアメリカの上下両院議員に若干の良識のある人がおります。しかし一般的に今日のアメリカでは、いまの「軍事裁判」に出るような軍部の風景でございまして、これは御承知のように、アイゼンハワーは、日本でいえば宇垣陸相のような方ですけれども、アイゼンハワー元帥もこのことを非常に心配して、暗に若いケネディに警告を発している。軍需産業とアメリカの軍部が一緒になって、そうして事をやらかし始めれば、とどまることを知らず、その影響がアジアに及ぶであろう。また、ライシャワー博士も「太平洋の彼岸」という書物に沖繩のことを詳しく書いてあります。ぜひとも政府委員におかれてはこういう書物も読んでおいていただきたい。われわれは昆虫ではありません。日本の鉄の生産額は世界第三位でありまして、教養の水準においては、哲学はちょっと低いけれども、一般的に教養の水準においては世界の一流の国でありますから、教養ある人間としての誇りを持って互いに問答したいと思います。またそれでこそアメリカ軍当局に対して民族としての気魄を持って対処することができるのでありまして、逆に民主主義の原則についてアメリカをたしなめるほどの、ひとつ学識、教養を持っていただきたいと思います。これがイギリス、アメリカでしたらこういうことをしないと思うのです。それでは日本は敗戦国だから、そういう目にあっていると多くの方はお考えですけれども、敗戦国ならば、ドイツ、罪悪を最も重ねたのはファシズム・ドイツであります。そのファッショのドイツにおいてすら、こういう取り扱いをアメリカからは受けておりません。東京では紳士、沖繩に参りますと、とたんにわが同胞が奴隷にならねばならぬ理由はどこにもないのでありますから、これは今後とも言うて聞かして、言うて聞かしてわからなければおどし上げてでも心がけを改めさせる必要がある。こういう種類の問題でございまして、よほど日本の公務員諸君は腹をきめてものごとをお考え願いたい。どういうしつけをしたであろうか、おかあさんの教育を疑われるような状況では、情けないと思います。 そこでもう昼も過ぎましたし、互いにおなかもすいてまいりましたから、結論を申し上げますと、きょうの参考人の要求は、私は当然のことと思いますから、副長官からよく長官に具体的資料を差し上げてください。そして自衛隊関係の産業の労働者、または駐留軍関係の労働者、あるいはメイドさんに至るまで、こういうものによって直接、間接縛られておるということがいかに不合理なことであるのか、軍で働くというと、しろうとはあのアメリカ軍の網の中だから、軍事機密があるからしかたがあるまいというふうに考えがちでございますけれども、問題の本質はそういう常識論にないということをよく心にとめていただきたい。したがいまして、この問題について政府もまじめに取り上げまして、適当な機関、適当な機会においてアメリカの当局、それぞれ適切な当局にこれを取り次ぎ、要求されるお気持ちがあるかどうか、副長官に伺っておきたいと思います。
○八木政府委員 先ほど門司先生からも御指摘がありましたが、きょうの参考人の御意見につきましては、十分に長官に伝えたいと思っております。 それからいまの労働三法の、布令百十六号の問題につきましては、聞くところによれば、アメリカ政府のほうにおきましても、民政府のほうにおきましても、労働専門家を本国から呼んで検討を加え始めておるというふうに聞いておりますが、おっしゃるとおり、労働者の労働条件やその基本的権利というものは当然守らるべきものでございますから、当方といたしましても、どの機関でいまどのスケジュールでやるということは直ちには申し上げられませんけれども、真剣にひとつこれを勧奨するように努力するように進めてまいりたいと思っております。
○帆足委員 きょうのような心組みでひとつ努力していただくことは、せっかくきょう数時間費やしましただけの価値のあることで、ひとつせっかくの御努力をお願いいたします。また先ほど「軍事裁判」というアメリカの映画のことを申し上げましたけれども、職業軍人というものはまことに教養の低いものでありますから、一般的にはつき合いにくい。アイゼンハワー元帥などは、大学の総長にもおなりになった方で、そういう人は例外中の例外で、話しやすい、しかしまた、話しにくい相手であります。しかし、弁務官殿に至ってはあなた方よりちょっと教育水準は低いわけでございますから、たとえば、自治権回復の運動は奨励さるべしという国連憲章のことばなど御存じないと思います。また、国連憲章の序章、また国連信託に関する各条項などはほとんど知らぬと思いますから、会談のときにはそういう参考資料も少し上げて、社会科の勉強でもしてこい、こういうことでないと、外国に基地を借りるということは、部分的にありますけれども、施政権まで奪って、そして、基地を運営するという方式は、いま、マダガスカルでも象牙海岸でもありません。ちょっとめずらしいことなんです。それは、日本がかつて李王朝を利用して朝鮮を属国にして……。
○臼井委員長 ちょっとお話しの途中ですけれども、時間の関係もありますので、ひとつ……。
○帆足委員 わかりました。——総督府を置いたときと同じであります。高等弁務官などというから錯覚を持つのでありまして、あれは総督でございます。総督というのが適当な訳でありまして、決して高等ではございません。これをやまとことばに直せば、沖繩総督、こう翻訳すべきものであって、駐留軍のいる、施政権を奪われた状況は、沖繩は属国になっておる、こういう状況です。そのくらいのことがわからぬので、私は時間を取って、残念なのですが——これはどうも歴史の教科書が悪かったせいか、親のしつけだけではなくて、学校の先生のしつけが悪かったのではあるまいかと思われるのでございます。私がこの委員会でこのようなことを申さねばならぬということは、まさに断腸の思いがするのでありまして、ジャーナリストの諸君も、沖繩問題、沖繩問題と、こう何か言いますけれども、沖繩とか安保とか言いますけれども、そんなむずかしいことではございません。朝鮮と同じ状況になって、外国の総督がわれわれを植民地扱いにしている、奴隷扱いにしている。東京では紳士、沖繩ではわれわれの同胞が奴隷になっているという単純な事実でございまして、それがよくわからぬようになったとはまあ何ということであろう、こういうことでございますから、いずれ総理大臣、お見えになりますし、長官もお見えになりますから、そのときによくわれわれは質問——授業料も払っていない者が質問する必要はないのであって、要望し、批判し、叱咤激励するという意味において、結論を申し上げた次第でありますから、せっかく副長官も同胞の一員として御検討のほどお願いいたします。
○臼井委員長 それでは、中谷鉄也君。 時間の関係がございますので、要点だけひとつ。
○中谷委員 布令百十六号の一応の法的な問題点を指摘する準備をしてまいりましたが、時間がないようですので、次のようなことを最初総理府にお尋ねをいたしたいと思います。 去る三月三十日の参議院の予算委員会で、人権侵害の事実が沖繩にあったんだから、その問題については日米協議委員会において協議の対象にする、こういうことでございました。その後日米協議委員会が開かれておらないわけでありまするけれども、私がお尋ねをいたしたいのは、先ほど参考人の方二人から、なまなましい労働基本権の侵害の事実についてのお話がありまして、沖繩問題は人権問題だと言われておりまするが、沖繩の人権侵害の事実について、総理府においては、どの程度、どのような角度で調査をされておるか、この点について最初お尋ねをいたしたい。
○山野政府委員 私どものほうといたしまして、日本政府といたしまして、沖繩の人権の実態を調査したことはございません。ただ、御案内のとおり、ことしになってから、日弁連の方々が数回にわたって現地調査をされまして、その結果の詳細な御報告がございました。それからまた、昨日来、全軍労の方々が来られました報告結果を承知いたしております。その他、たとえば米軍による犯罪とか、被害の実態とか、そういう内容を私どもは知っておりますが、政府としての総括的な総合的な調査を行なったことはございません。
○中谷委員 布令百十六号に早く入りたいと思いますが、日弁連の調査というのは、約十人から十五人分までの弁護士、特に若い弁護士が手弁当でやった調査なんです。そうすると、特連局長のお話は、日弁連のそのような調査をお持ちになっている一つの有力な調査の資料というふうなことなのか。そうすると一体、三月三十日の、総理の、人権侵害の事実があったならばということは、人権侵害の事実を風のよりにでも聞いたならということなんですか。それとも、在野の法曹団体であるところの日弁連の調査に——何も日弁連は政府の依頼を受けてやったわけではないでしょう。そういうふうなものを受けてやっているということで、どうして沖繩百万県民の人権が守られるのですか。日米協議委員会に提訴する、議題に供するというのは、提訴し、議題に供するためには資料が必要でしょう。総理府としてそういう資料を積極的に収集する、そういうふうな努力はどうされるのですか。さらに問題が出てくるのは、日弁連報告書に記載されている事項、これは、私は、日弁連の一員として真実だと思う。特連局自身も、総理府自身も、そのような調査報告の事実は信憑できるもの、信頼できるものという確信をお持ちになっておるかどうか簡単にお答え願いたい。
○山野政府委員 私は、日弁連の調査の内容は信憑性のあるものと考えますし、したがいまして——実は八月に塚原総務長官が現地へ行かれましたときにも、すでに日弁連のお考えは大体ある程度わかっておりましたので、そこで、高等弁務官に対しまして、沖繩における人権尊重、擁護の問題、米軍の犯罪問題等については塚原総務長官から詳細に説明しまして、高等弁務官に善処方の要望をしたのでありまして、私どもとして全く放置をしておったというわけではございません。
○中谷委員 一点だけこの問題に限ってお尋ねしますけれども、少なくとも、布令、布告、書簡、命令、これは全部沖繩県民の人権侵害にかかってくる可能性を持った布令、布告でございます。単に米軍の軍人、軍属の沖繩県民に対する犯罪だけじゃないのです。公害の問題、遺棄の問題、売春の問題、沖繩県の問題というのは人権問題なんです。至るところで人権侵害の事実がある。日本国憲法の人権保障の規定全部に触れてくる問題である。それらの問題についてお尋ねいたしますけれども、特連とか南連というところは、一体人権侵害の事実を調査される意思があるのですか。あるいはまた、そういう調査をする権限がないとでも思っているのですか。お尋ねいたしますが、まず、調査する権限はあるのでしょうね。
○山野政府委員 御案内のように、沖繩は、施政権は米国にございます。したがいまして、日本政府として、当然の権利として、しかじかかくかくの調査をすると言うことができるかどうかは、もっぱら米国民政府の承諾を得ることができるかどうかにかかっている、かように考えます。
○中谷委員 政治的な立場というか、逆に言うと、沖繩県民の人権を守るという立場、沖繩県民が日本人だという立場、それをやはりおとりにならなければいかぬと私は思う。私は、何も、国際法上の属地、属人主義の属人的な立場、だから調査できるんだという法律理論構成をするつもりはありません。施政権は向こうにあるんだ、だから調査についての承諾だというような、こういう席で沖繩県民に関してそのようなお答えがあることは私は非常に残念です。だからやはり、私はやはり何としてでも調査をされるということでなければ、一体——もう一度お尋ねしますが、日米協議委員会にそれを議題に供するという総理の答弁は、一体どこの資料に基づいて何をどのようにして議題に供するのですか。調査もせずに一体何だということを言いたい。これではどうも布令百十六に入れません。明確にお答えいただかなければ、いつまでたっても入れませんから、お答え願いたい。
○山野政府委員 先ほど来申し上げておりますように、政府自体としては調査してその資料を得ておるわけではございませんが、ただいまもお話に出ましたような日弁連の調査書もございますし、また、公式、非公式に琉球政府から出た軍人犯罪その他の資料等も相当持っております。したがいまして、私どもが、たとえば今後日米協議委員会なりその他の機関を通じて人権問題等について折衝する資料は、私どもはあると考えております。
○中谷委員 そうすると、結局日弁連という法律家の集団の団体、ここがとにかく非常な努力と人権感覚を持ってした調査、少なくともその調査の内容は信頼できるものとして、今後この問題を日米協議委員会、その他いろいろな方面において、沖繩県民の人権を守るための資料として、あるいはいろいろな沖繩県民の人権を侵害されている事実の証拠として、これらの問題を提起される、要するに少なくとも現在の局長のほうからの御答弁は、日弁連の報告書というものについては信頼度の高いものとしてこれを活用する、こういうことですか。
○山野政府委員 そのとおりでございます。
○中谷委員 副長官に重ねて御答弁をいただきたいと思います。 先ほどから布令百十六号の問題について穂積委員あるいは帆足委員のほうから質問がありまして、すでに御答弁をいただいているのですけれども、要するに布令百十六号については、布令百十六号は廃止されるべきだ、そうして民労働法に統一さるべきだ、こういうところの決議があることは副長官すでに御承知のとおりと思います。したがいまして、布令百十六号については、先ほど申しましたように、労働基本権が制限され、しかも代償措置がないという、労働法に値しないものだということは、これまた明らかだと思う。そのような意味でその布令百十六号についてはあくまで廃止する、労働基本権を守るという観点において統一的なものにする、あるいは、要するに布令百十六号を廃止するという方向において検討するということは間違いない事実だ、そういう趣旨の御答弁であったと思いますが、念のために御答弁をいただきたいと思います。
○八木政府委員 先ほど来申し上げておりますように、労働基本権に対する一つの侵害である、そういう意味において布令百十六号というものは適当なものではないという確信の上に立って今後ともこれが解消に努力をしてまいりたい、こういうことでございます。
○中谷委員 けっこうです。 いまの御答弁で大体私の質問の要旨は尽きたのですけれども、一応この機会に、労働省の労政局長さんおいでいただいておりますので、お答えをいた、だきたいと思います。 要するに、労働法に値するものは、少なくとも労働基本権としての団結権が認められている。そして、団体交渉権あるいは団体行動権について制限ないしは否認されているものについては当然それに伴うところの代償措置制度が設けられている、こういうものでなければ、労働者の権利というのは、基本的にはいろいろなものがあると思いますけれども、賃金の決定において、売り買いというものは、そもそもそういうものがなければ成り立たないということだと思うのです。そうすると、布令百十六号というものをつぶさに検討してみますると、ある種の軍被用者については労働基本権が否認されている。同時に、代償措置について全然有名無実であるということになりますると、労働法としてのていさいを備えていないものだということについては、労働省のお立場から御答弁いただけると思いますが、いかがでございましょうか。
○松永政府委員 ただいまの御質問は、労働法という観点から見た場合に、労働基本権の制限についてはその代償の形としてはいろいろあると思うわけでありまするが、代償措置があるべきが当然である、そういう観点から見ると布令百十六号がどうか、こういう御質問かと思うのでございますが、そういう観点から見た場合に労働法として足りないものがたくさんあるということは私も同感でございます。
○中谷委員 労政局長さんはもちろん労働法の専門家でございますので、私自身必ずしも労働法を専攻しておりませんのでお尋ねするのは恐縮だけれども、タ・ハ法の問題がありますね。いわゆる布令百十六号はタ・ハ法を母法にしているのだという言い方が一つあるのです。ただしかし、しさいに検討してみますると、タ・ハ法というあの法律が公布せられたときに、ごうごうたる非難がアメリカの労働者の中に起こった。その労働者の権利を制限してきているかに見えるタ・ハ法でさえ、いわゆる争議権を禁止された者について、刑罰をもって、手錠をもって争議行為をやった者を処罰するという規定はないはずです。いま一つ、いわゆる重要産業といわれている——これも重要産業ということばはありません。国家の安危に関する問題としての産業というふうなものについてストは禁止していない。差しとめ命令をもって、いわゆる冷却期間を設けて、たしか八十日でございましたか、さらにその期間が過ぎればまたストができる、いわばそういう争議権があるのだ、争議権を行使することを前提としてのあのような規定がある。ところが布令百十六号によりますると、重要産業なんという、いわゆる白紙規定のようなものがある。何か先ほど帆足先生は高等弁務官についての評価をされましたけれども、その下の人のいわゆる指令によって重要産業の指定をどんどんやっていくことができる。ミルクプラントというのは八十人ばかりのミルク工場なんだそうです。こういうものを重要産業ということで指定をして、そうしてストライキをさせない。しかもやった者については手錠をはめるぞ、刑罰を科するぞというふうなものはタ・ハ法以下なんだ。少なくともアメリカのタ・ハ法を母法にしているといわれる布令百十六号というのは、逆に労働者の権利から言うと、タ・ハ法以下、弾圧という面から言うと、規制という面から言うとタ・ハ法を上回るまことに強烈な弾圧を予想しておるところの労働法なんだ。まして、ILOの労働者の基本的な権利の基準から言うと、問題にならないということをいま一度私はお答えをいただきたいと思います。
○松永政府委員 布令百十六号の労使関係面を見ますというと、確かに日本の労働組合法の系統の規定ではない、タフト・ハートレー法的な規定が多いというふうに見受けられますが、ただし沖繩の民間の労働組合法は、ほとんど日本の労働組合法と同じような構成になっておりますので、そこは非常に違うというふうに考えます。 それからタフト・ハートレー法で規定をしておりますものとも布令百十六号の内容は違うところが相当にあるというふうに見られます。したがいまして、おっしゃいましたように、労働法という観点から言いますと、タフト・ハートレー法の規定の一部、同じような規定を採用をしておる部分がありますけれども、タフト・ハートレー法にある重要な規定は抜けておる部分がある、こういうふうに私は見ております。
○中谷委員 労政局長にさらにこの機会に一応お尋ねをしておきたいと思いますが、私は、いわゆる本土における、日本が占領下にあったときからのいわゆる駐留軍の労働者の人たちがどういうふうな権利状態に置かれておったかというのを、一応私なりに昭和二十二年ごろからの権利関係を調べてみました。いずれにいたしましても、過去のことは申しませんけれども、要するに国家公務員が規制されておったときでも、いわゆるスト権があったという過去の事実があります。そういうふうな事実があった、基地労働者の諸君については。現在においては、労働三法は完全に適用されている。こういう事実は、もうまぎれもない事実でありますけれども、この機会に一応はお答えをいただきたいと思います。
○松永政府委員 本土におきます駐留軍関係の労務者が、過去においてどのような権利関係にあったかということにつきましては、だいぶ前のことでありますので、私も記憶が必ずしも明確ではございませんが、御指摘のように、労働に関する法制の変化に応じまして、立場がだいぶ変遷をいたしております。終戦直後におきましては、国の雇用人ということで、労働三法の適用があったというふうに記憶をいたしておりますが、その後、国家公務員法の制定、それから政令二百一号等との関連におきまして、当初は国家公務員の一般職であるとした期間がしばらくございました。それから国家公務員の特別職であるというふうにすぐ変わりまして、したがいまして、労働三法が適用があるという状態になりましたのは昭和二十七年以降であったというふうに記憶をいたしております。そして、その間におきまして、たとえば労働協約等におきましても、組合とそれから日本の政府の当該、たとえば終戦連絡事務局との間に締結されたというようなこともあったように記憶をいたしております。それからまた、その後におきましては、調達庁長官と全駐労の労働組合との間に労働協約の締結がありました。したがって、法のたてまえといたしましては、しばらくの期間、法体系が整備されますまでの間、ストライキ権等、これも労働三権がなかった期間がしばらく、少しの期間でありますが、ありましたが、その後の法制のたてまえにおきましては、労働三法の適用があるたてまえで推移をしてきたというふうに記憶をいたしております。
○中谷委員 あと三点ばかり質問をいたします。 いまのタ・ハ法等の関係についてあとで特連局にお尋ねをいたしますが、特連局に、布令の撤廃ということで、この点も検討の対象にさるべきだという問題。これは表現の自由に関する問題ですが、と申しますのは、布令の百三十二号、要するに集団示威行進に関する布令でございますね。この布令を検討してみますと、こうなっている。これは一九五四年に公布、施行された布令でございまするけれども、要するに琉球立法院が、この種示威行進等に関する法律を制定するまでの間の暫定措置として制定されたものだ、こう相なっておる。これは、だから布令百十六号と労働者の団結権あるいは基本権ということにおいては、集団示威行進ということは関係がある。そうすると、布令それ自体において、もうすでに十三年たっているわけですね。暫定的な措置として出されたところの布令が、民立法に移行せずに十三年たっている。これはもう当然撤廃の対象として、これは撤廃されるか、あるいは民立法に移行されるかは別として、検討さるべきだと思うが、いかがでしょうか。
○山野政府委員 これは沖繩におきまして、御案内のように、布令の体系があり、民立法の体系があり、非常に入り組んでいるのであります。したがって、沖繩の自主性、自治権と申しますか、そういうものを充実していくためには、布令を一般的に廃止して民立法に置きかえていくということは、政府としまして、絶えず米側にも要請してきたところであります。したがいまして、いろいろ基地運営等との関係もありまして、民政府としましては、優先順位に必ずしも日本政府の考え方とは一致しない面があると思いますが、いずれにしましても、逐次民立法に切りかえてもらいたいというのは私どもも要請しております。さきに、高等弁務官は約二十九の布告、布令を廃止してもいいということで、琉球政府主席に申し出られましたが、ことしは立法院が当初空転しましたので、まだ四、五件しか布令が廃止されておりません。したがいまして、そのような問題の一環として当然そういう方向で進むべきものと考えます。
○中谷委員 言わずもがなのことでありますけれども、私のほうから布令の性格をこの機会に申し上げずに、明確に特連局長のほうから御答弁をいただきたいと思います。 先ほど、基地運営の優先順位というおことばをお使いになりましたね。そうすると、特連局長の口から御答弁をいただくことは私は意味があると思うけれども、布令百十六号にしろ、あるいはまた私は、もう十三年暫定措置だと書かれておりながら民立法に移行してないじゃないか、それが法律の形式から見て、法律家が見ておかしいと言った、集団示威行進に関する布令等も、要するに、基地を自由使用するという布令百十六号の場合は、軍労働者を手錠で縛るぞとおどかして労働力を提供さしておる。こういうやり方は、基地を自由使用するのだという、そういう基地運営のために労働基本権が侵害されておる、あるいは表現の自由、集団示威行進の自由が規制されておる、こういうふうに基地のそういうふうな存在、運営というふうなものが労働基本権の侵害につながっておるということに相なるわけでございますね。
○山野政府委員 私は、別に基地運営のために人権が侵害されることもやむを得ないという意味で言っておるわけではございません。私どもが絶えず申しますのは、布令、布告を廃止して民立法に切りかえてもらいたいという要請に対しまして、民政府といたしましては、さしあたり廃止できるもの、それから今後琉球政府と協議の上で検討して廃止できるもの、それからまた最終的に基地運営にきわめて密接な関係があって、今後慎重に検討を要する部類、そういう三つか四つの範疇に分けられまして、逐次布令、布告の廃止を行なってきておるのであります。そういう意味から、そういう基地運営との関係もあるじゃなかろうかというぐあいに申し上げたわけでございます。
○中谷委員 もうだれが聞いたって沖繩に核があるかないかという問題と同じように、布令百十六号は、いわゆる基地の自由使用という問題と、とにかく、そのための労働力を縛りつけておく、そういう布令だということははっきりしておると思うのです。いずれにいたしましても、お尋ねいたしますけれども、布令百十六号は労働基本権の侵害を含んだところの布令であるということは、これはもうはっきりしている、タ・ハ法以下なんですから。特連局長、答弁の中に答えていただきたいと思いまするけれども、日本の本土の基地の労働者、ヨーロッパの基地の労働者、世界のどこの基地の労働者で、百十六号のような扱いを受けておる労働者はいないかどうか。いないということを私は調べてきた。一体そんな、沖繩並みの軍労働者がおるかどうか。おらないと私は思うけれども、おるならおると言っていただきたい。これが一点。 そんな手錠で縛るようなやり方をしておるという百十六号は、労働基本権の侵害をするという側面と同時に、それは基地の自由使用という治安的な意味を持ったところの、そのような布令であるというふうに性格づけざるを得ないと思う。これはもうだれが言ったって、すなおに法律的に分析すればそのとおりになると思うけれども、局長いかがですか。
○山野政府委員 第一点につきましては、私は遺憾ながら知識を持ち合わしておりませんので、その比較はできません。 第二点の百十六号の問題でございますが、私どもとしましても、沖繩の労働者がすべて本土の労働者と同じような取り扱いを受けることを希望しておることは申し上げるまでもございません。したがいまして、まず現在ある百十六号におきましても、先ほど参考人からお話がございましたが、たとえば労働委員会の活用が行なわれていない。現に布令の中に書いてあるものを動かすことも一つの方法であろうと私は考えるのであります。まあ、そのようないろいろな面を考えまして、今後政府としましても十分検討し、善処してまいりたいと考えます。
○中谷委員 最後に一点だけお尋ねをいたします。 まず私のほうから要望いたしておきます。布令の検討をしている、いわゆるアメリカのほうにおいてもそれを検討しているんだというお話がありましたけれども、現地の労働者の人が心配しているのは、先ほど参考人が意見陳述をいたしました第二種被用者のいわゆる争議権というものについて、布令のどこをさがしても争議権がないとは書いてない。それで結局、こういうわけのわからぬ人事規則というようなものを持ってきて、争議権がないのだといって強権をもって押えつけている。これはわれわれ日弁連が現地へ乗り込んでいって、問題点を明確にしていけば、法律的な問題というのは晴れてくるのは当然であります。ということで、第二種被用者の争議権を制限する方向で布令を改正しようというふうな動きがあるということを現地の労働者は非常に心配している。こういうふうなことは断じてあってはいけないということについて、私はひとつ要望しておきます。 それとあと、百十六号の問題を発展さしていく意味で、今後の課題とする意味で、私自身もひとつ検討しておきたいと思いますけれども、第二種、第三種、第四種の被用者に対する使用者というのは、それぞれ米国政府代行機関、琉球列島米国軍要員及び米国政府請負業者であるということは、布令から理解できる。第一種被用者について、布令のどの条文からも、一体使用者は何かということが明確ではない。このことが労働災害の補償の問題あるいは退職金の問題などについてきわめて不明確である。にもかかわらず、私が参考人に対してお尋ねいたしましたように、いわゆる布令第十二条による集会、同盟罷業及び忠誠の宣誓ということで、忠誠宣誓の規定が設けられている。一体だれに対し忠誠の宣誓をするのか。これは米国政府ということになっているらしい。しかし第一種被用者についての使用者はだれかという、布令上の根拠は一体何なのか。これは第一種被用者の権利保護のためにも、あるいはまた私自身はどう考えても、忠誠の宣誓というようなことばが麗々しく書かれておるところの布令第十二条というものについては、日本人として反発を感ずるけれども、この点について一応、この問題は将来発展させていきたいと思いますので、第一種被用者の使用者はだれかということを、布令の根拠から明確にしていただきたい。
○山野政府委員 ただいま御指摘になりましたように、よく布令百十六号をお読みの上での御質問でございまして、御指摘のとおり、この布令の中からははっきり出てこないと私は考えております。しかし、なお詳細に今後検討いたしまして、責任のある御答弁を御報告申し上げたいと思います。
○中谷委員 じゃ、終わります。
○臼井委員長 先刻帆足委員の御発言中、もし不適当な、不穏当なことばがございましたら、委員長において適当に処理することを御了承願います。 それでは質問を続行いたします。門司亮君。
○門司委員 私は、もうきょうは政府のほうも大臣もおいでになっておりませんし、あまり副長官に重荷をかけることもいかがかと思いますので、できるだけ資料についての要求をいたしておきたいと思いますが、最初に私は労政局のお考えについて一応ただしておきたい、こう考えております。 この布令第百十六号は法律を取り扱う者としての一審基本的な問題として発想がどこにあるかということですね。どういう発想に基づいて書けばこういうものができ上がるかということが、法律を審議する場合には一審大事なことであって、ただ条文だけ、字に書いたものだけを字のとおり解釈しておったのでは、これは官僚のやる仕事であって、ほんとうに法律を生かして考えるものではないと私は考える。したがって、この布令百十六号の発想の基礎となっておりますのは、だれが何といってもこれはタフト・ハートレー法の趣旨であることに間違いがないのでありまして、その点はお認めになりますか。
○松永政府委員 先ほども申し上げましたごとく、布令百十六号の労使の関係を扱いました部分を見ますと、タフト・ハートレー法に規定されておりますのに非常によく似たというか、同じ部分もございますし、非常によく似た条文がたくさんございます。その意味におきましては、タフト・ハートレー法的な構想によって書かれた条文ではなかろうかというふうに推察をされるのでございますが、しかし、タフト・ハートレー法に規定があります部分でこちらにない部分もございます。したがいまして、タフト・ハートレー法と同じとは考えられません。
○門司委員 私はそんなことを聞いているのではない、発想がどうかと聞いている。タフト・ハートレー法と同じものをここにくっつけようとしても、くっつけようがないから、くっつくわけがない。よく考えておいてください。そのまま持ってきたからといって、それがそのまま通用するものではない。たとえば十二条の規定などは明らかに例のタフト・ハートレー法の精神と全く同じものであると言ってもちっとも差しつかえない。このことは私だけが言うのではないのですよ。一九五六年の国際自由労連の調査団の報告書を読んでごらんなさい。こう書いてある。「この法令はアメリカで施行されているタフト・ハートレー法から影響を受けたことは明らかである。」と書いてある。しかもこの文章を書いたのはだれか、いまのアメリカの労働省の労働次官補のウイーバーであることに間違いはないでしょう。アメリカの現在の現職の労働省の次官補であるウイーバー氏が、一九五六年の国際自由労連の労働事情調査団のときの報告書にこう書いてある。 〔委員長退席、小渕委員長代理着席〕 だから日本の政府の皆さんが、条文に抜けてあるところもあるし、なにするからというようなあいまいなことでは私はいけないと思う。明らかである、こう響いてある。断定しておる。この布金百十六号を審議するというか検討いたすには、まずアメリカのこの布令百十六号の発想、いわゆる根拠というものをよく知らないとなかなか了解に苦しむのであります。そのことは皆さんのほうがよく御存じだと思いますが、アメリカのこのタフト・ハートレー法という法律は、いわゆるアメリカ市民がアメリカの州政府あるいはアメリカの政府に対して、市民であるから忠誠を誓わなければならないという基本的の発想がここにあったと思う。ところが沖繩の労働者は、アメリカ人でも何でもない、単なる雇用関係があるというだけであって、何もアメリカに忠誠を誓わなければならぬ筋合いはどこにもない。その発想の食い違いがここに非常に大きな問題になっているということだけは一応労働省も認めておいていただきたい。その上に立って議論をしないと、実際の議論にならないと思う。ただ字句に書いてあるから、文章に書いてあるからというだけで、全く同じものでないから違うということであっては、これは話の進めようがなくなると私は思う。その点については、ひとつそういうふうに考えていただく。私は、この百十六号をわれわれが審査するということはどうかと思います。検討するにあたっての一つのポイントになると考えておりますので、もう一度答弁をお願いいたしたいと思います。
○松永政府委員 ただいま御指摘になりました布令第百十六号の第十二条でございますが、私の記憶では、これはタフト・ハートレー法の規定にはないというふうに理解をいたしております。これと非常に似ております法律は、合衆国政府に対し不忠誠な者または罷業に参加する者または罷業権を主張する者を政府が雇用することの禁止に関する法律という非常に長い法律でございますが、そういう法律がございまして、これは一九五五年の八月にアメリカの国会を通りました法律第三百三十号でございます。この規定と非常に類似した規定がこの十二条である。これは合衆国政府が職員を雇用する際の規制についての法律であるというふうに、間違っておるかもしれませんが、いま私はそういう理解をいたしておりまして、先ほど申し上げましたタフト・ハートレー法に非常に似た部分があるというのは、たとえば労働組合の不当労働行為の規定等におきまして多少違うのでありますけれども、タフト・ハートレー法の規定が準用されている部分があるのではないか。御承知のように、日本の労働組合法におきましては使用者の不当労働行為についての規定がございまして、労働組合の不当労働行為の規定はございません。タフト・ハートレー法におきましては、使用者の不当労働行為と労働組合の不当労働行為との両面の規定がせられておりまして、その部分につきましては、この布令百十六号の内容はタフト・ハートレー法に非常によく酷似をしておるという意味において先ほど申し上げたのでございます。
○門司委員 これの議論をすると長くなりますが、タフト・ハートレー法の施行された当時におけるアメリカの事情は御存じですね。どうして一体ああいう事情が起こったかということですね。このタフト・ハートレー法自身の発想が、先ほど申し上げましたように、アメリカの国民はアメリカの政府に対して忠誠を誓わなければならないという一つの目的とその実行をここに移してきたのであって、私は、あの当時アメリカにおいて、大統領がサインしない、こんなべらぼうな法律はないのじゃないかということでサインを拒否したというような事実をずっと考えてくると、この布令百十六号というものがそういう影響を受けているというのは事実であります。したがって、この影響を受けているからこそ沖繩立法院で議決いたしましたいわゆる法律第四十二号から四十四号までの労働立法、これは沖繩立法院で制定した法律でございます。これと全く相いれないようなものがこの百十六号に規定されているということは、これはいなむことのできない事実であります。こんなことを聞いていると長くなりますから、私は率直に申し上げますが、いま日本政府は布令百十六号についてどのようにお考えになり、またこれについてどの程度まで改正さるべきであるというようにお考えになっていることがございますか。あったならばこの機会にひとつ御発表願いたいと思います。
○松永政府委員 日本の政府というところまでとてもまいりませんが、私どもこれを見まして感じますことは、おっしゃいましたように、確かにタフト・ハートレー法の影響が濃厚に出ておる。しかし、タフト・ハートレー法とも違う。たとえば使用者の責任というような問題についての規定が、タフト・ハートレー法にはあるけれども、こちらのほうにはないというような面がございます。したがいまして、先ほど来、副長官からも御意見がございましたように、労使関係、それから労働法という観点から見ますというと、労働基本権というものをどのような形で法制化するか。またそれを制約する場合に、その代償措置はどうあるべきか。これはたとえば国家公務員と公共企業体の労働者と、それぞれ日本でも違っておりますし、外国でもいろいろな立法があるわけでございますが、そういうような観点から見ますと、この布令百十六号というものはきわめて労働法としては不十分な規定であるというふうに考えておりますが、それを具体的に、どこまでどのように改正すべきかという意見につきましては、しばらく時間を拝借させていただきませんと、私ども私見としてはいろいろ議論をいたしておりますけれども、この国会で申し上げるまでに熟しておりませんので、しばらく御猶予を願いたいと思います。
○門司委員 私がいまのようなことを聞きましたのは、米国の琉球民政府の労働局長のフェーラーは、ある程度この問題を考えているようです。これは、私は内容は申し上げません。何か考えているような気がするのです。そこで、日本の政府としても、皆さんのほうとしてもすでに何かものがなければ、あすにも三者協定が行なわれるかもしれないというような、きわめて短い時間に——こういうことは私は一番先に問題になることだと思う。それに対する日本政府の心がまえというか、あるいは考え方というものは、もうぼつぼつ発表されていいんじゃないですか。アメリカに遠慮する必要はないのですよ。日本の国会ですから、日本の考え方はこうだということを率直に言われても、別にそれが交渉のじゃまになるなんていうことは私はないと思うのです。そうすることこそ、よりいいものをこしらえる原因になるだろうと私は思う。だから、いまのように、もう少し日をかしてくれというんじゃなくて、もう少し考えをはっきりされたらどうですか。
○松永政府委員 できるだけ早くかつ真剣に検討をいたしまして、政府部内におきましても関係機関とよく協議をいたしまして、早く政府としての意見を煮詰めるように努力をいたしたいと思います。
○門司委員 局長でそれ以上の答弁は、私はむずかしかろうかと思いますが、きょうは責任者がおいでになっておりませんので、とにかく米軍側ではある程度話を進めておるように私も聞いておりますし、私もフェーラーに直接会っております。私自身も考えたいと思います。 それで問題は、その次に私が要求したいと思いますことは、しかしいまのようなものについてもしお考えがあるとするならば、資料で出されるということはどうかと思いますが、少なくとも沖繩の全労働者の二五%に相当するような多くの人たちに影響を持っております。ですから、できるだけ早く意見をまとめてもらって、早く進めていただきたい。 それからもう一つ、二つお願いをしておきたいと思いますことは、日本の駐留軍労働者に適用されておりまするいわゆる労働三法のほかの特別法がございます。これらの問題等についてどういうふうにお考えになっておるか。これは沖繩の軍労働者に当然適用さるべきものだと私は考えておるが、どういうふうにお考えになっておるか。
○松永政府委員 日本といいますか、本土の駐留軍労務者につきましては、原則として労働三法が適用されるというたてまえになっております。ただ特別の合意と申しますか、そういうものがある部分については例外があるというたてまえになっておりますが、原則として労働三法の全面適用というたてまえになっておるわけでございます。それから、沖繩の民間の労働者につきましても、ほとんど日本の労働法体系と同じような法体系が適用をされております。それらを彼此勘案をいたしますと、労働基本権が施設においてどのようにあるべきかということを、御説のようなたてまえからいたしまして、検討する有力なものだというふうに私も考えております。
○門司委員 ちょっと私の聞いていることと違うのですがね。私はそんなことはわかっているのですよ。当然労働三法が適用されるべきであるということはわかっているんだが、御承知のように、駐留軍の労務者は、いままでいろいろ別の法律があって保護を受けているんですよ。それらの問題が考えられているかどうかということですよ。
○松永政府委員 ちょっと勘違いをいたしまして……。たとえば駐留軍の労務者が都合によりまして解雇されたような場合につきまして、その後の再就職等の援護につきまして、駐留軍労務者臨時措置法等の援護の法律がございます。そのような面ではなかろうかと思いますが、そういう面につきましては、私、所管ではございませんけれども、当然おっしゃるような線で検討に値するというふうに考えます。
○門司委員 それではあと一つ二つだけ資料の提出をお願いしておきたいと思います。 先ほど沖繩の県労協の委員長にもお願いをいたしましたように、日本の本土の政府としても、いままで御答弁のあったような内容等について布令百十六号に基因して労働法規をどういうふうにするかというようなことは、われわれの審議の過程におきましても、非常に大事なことであります。私は、こういうことを言っては、はなはだ不見識なことを言うようでありますけれども、具体的には駐留軍の労務者に対しまする国内法といいますか、本土の法令の全部、特別の法律、いわゆる労働三法を除いたほかの法令がどういうふうに適用されておるかということについておわかりでない方がもしあるとするならば困りますし、また私どももそれらの内容をもう少しよく知って、今後の検討にも資したいと思いますので、それらの資料をぜひ労働省において出しておいていただきたいと思います。 〔小渕委員長代理退席、委員長着席〕 それから特連局にお願いをすることが一つあります。それは布令百十六号に対しまする事柄、いろいろ先ほどから陣述があり、さらに討論あるいは議論にもなりました問題の中で、基地と施設との区別をどうするかということが非常にむずかしい問題だ、こういう議論がされました。したがって、私どもがこれを具体的に知ることのために、いわゆるわれわれが沖繩における基地といっておる金網の中にあるものと、それ以外の軍事の施設というものがどういう形で沖繩に存在しておるかということの明確な地図か何かをひとつこしらえてもらいたいと思います。これはそれほどむずかしい仕事ではないと思うのです。そうしないと、いつまでたっても基地と軍事施設との境界というものがどこだかわからないままにお互いが議論しておることになってしまう。これではどうにもならない。だからわれわれが討議をする資料の中には、ひとつそういう軍の金網の中にあるわれわれの概念から軍事基地というものと、それから向こうさんが施設も軍事基地に含まれるのだなんというべらぼうなことを言っているんですが、それの明確にわかるような図面を出していただきたいと思うのです。そうしないと将来なかなか議論をしにくいと思うのです。これは労働関係だけじゃございませんので、沖繩問題全体に対する一つの考え方ですし、これは非常に大事なことですから、軍が一切の施設はおれのほうの基地だということで、こちらにまかせられないということになりますると、極端に言えば道路も通れない、一々軍の許可を得なければ自動車が走れないというようなことがあるかもしれない。あるいはこの間私が申し上げたと思いまするが、現実に水道の問題にしても電気の問題にしても、日常生活に欠くべからざるものが彼らの軍の施設としてその中に包含されているということは非常に大きな問題であるので、したがって、このけじめだけはこの委員会でぜひはっきりしておきたい。そうしないで、これをあいまいにいたしておきますと、あとになって非常に大きな問題を起こす原因をこしらえるようなものであって、この点について軍の施設というものがどういうものであるか、われわれの言う軍の基地というものがどの程度の基地かということの明細がわかるような、地図でもよろしいし、書いたものでもよろしいから示してもらいたいと思いますが、どうですか。
○山野政府委員 基地、施設につきまして、明確な地図を全部にわたって差し出すことはなかなかむずかしいだろうと思います。ただ、たとえば軍用道路とは一体いかなるものをさし、いかなる範囲のものを言うかとか、そういう一般基準的な考え方、基地、施設についての考え方、基準でございますね、そういうものはある程度向こうへよく確かめましてつくることはできると思います。地図はちょっとなかなかそう簡単にはできないだろうと思います。
○門司委員 できないといわれればできないかもしれません。できないというようなことを言わないで、こしらえなさいよ。すでにここまできて本土と一体だというものが、いい悪いは別にして、佐藤さんとジョンソンとの間における会談の一つの確定事項ですからね。これを遂行するための日本政府といいますか、国会の資料ですから、それを要求されることはちっともさしつかえない。問題解決の前進にこそなれ、決して障害にはならぬと思います。だからひとつこの問題の解決の前進のためにも、何もアメリカさんに遠慮しないで要求をされ、わからないものがあるならば、堂々と要求される態度こそ、日本政府に望ましいのであって、こう言うとアメリカがこういうことを考えやしないかとか、こういえばアメリカが気を悪くしないかというようなものの考え方で、おっかなびっくり交渉する段階ではもうありませんですぞ。日本政府としては、そういう問題についてひとつ明確にならない限りは、あとで問題を起こしますので、ひとつぜひ私のいま申し上げたような地図その他を出していただきたい。そうして問題の所在を明らかにして、今後の本土との一体化について進めていきたいと思いますので、ぜひひとつそれを頼みます。ぜひ出してください、出せるでしょう。
○山野政府委員 よく検討いたしまして、それから所要の手続をとってみたいと考えます。
○門司委員 いま頼んだから、そういう答弁をされると逃げられますので、私は要求をいたしておきますから——委員会としての要求をいたしておきますから、そのつもりでひとつ出していただきたいと思います。 委員長に対しましても、このことをひとつお願いをして、委員会としての一つの討議資料としての要求をお願いをしておきます。
○臼井委員長 門司君からの資料要求は、理事会でよく検討いたします。 川崎寛治君。——なお、川崎君に申し上げますが、時間も相当経過いたしておりますので、簡潔に願います。
○川崎(寛)委員 簡単に三点だけ伺って終わります。 まず第一に基準局長おられますか。——基準局長はたいへんぐあいの悪いところを長いことお待ちいただいたようで御苦労に存じます。 先ほど来いろいろと問題が議論をされておりますが、共同声明の交換公文にもありますように、制度の一体化とかあるいは残存しておる社会、経済その他の問題の解決とかという一体化の問題もこれから非常に問題になってまいります。本土法の読みかえという問題も、これからいろいろ進んでまいるわけであります。 そこで、基準局長にお尋ねをいたしたいのは、沖繩にいます米軍の労働者というのは、総理も国際情勢の変化、こういうようなことが施政権変還の中で一つ言われておるわけでありますけれども、そういう情勢の変化というのを多分にというか、直接に受けるわけであります。そういたしますと、先ほど労政局長もちょっと触れた点もありますが、沖繩県の労働者の諸君の離職後の問題という点については、非常に不安を感じておるところでございます。そこで、本土の駐留軍の労働者については、駐留軍離職者臨時措置法というのが施行されておるわけでありますので、この法律の適用といいますか、及ぼしていくということについて考えておられるのかどうか、あるいは検討できるかどうか、お尋ねしたいと思います。
○村上(茂)政府委員 駐留軍労務者離職者の場合の臨時措置法というような点につきましては、職安局長の所管でございます。すでに労政局長が先ほど御答弁した次第でございますので、担当の局長に連絡いたしまして、——私の所管ではございませんので、いま私がここで確約いたすわけにいきませんが、すでに労政局長も先ほど御答弁いたしております。気持としてはわれわれ同一でございますので、担当の局長に連絡いたしまして、できるだけの措置をいたしたいと存じます。
○川崎(寛)委員 二番目には、先ほど門司委員のほうから資料の要求があったわけですが、それをもう少しきちっとしておきたいと思うのです。駐留軍労働者、これは労働基準局長のほうにも関連をいたすわけでありますけれども、駐留軍労働者と沖繩の労働者の法体系をひとつ明確に区別をしてもらう、権利関係あるいは賃金なり労働条件の決定方法、さらには救済の方法、あるいは先ほどの離職者の問題、それらの点についてひとつ明確に比較をして、それの根拠法というものに基づいて比較をした資料というものをお願いしたいと思います。よろしいですね。
○松永政府委員 政府部内の数個の部局に関係いたしますので、連絡をいたしまして、特連局で取りまとめていただきますか、とにかく御趣旨に沿うような連絡と資料提出の準備をするようにいたします。
○川崎(寛)委員 そうしたら、それはどこが責任を持つかということだけここでひとつきめておいていただきたいと思います。
○山野政府委員 その問題は、総理府の特連局でまとめて提出するようにいたしたいと思います。
○川崎(寛)委員 それから先ほどの基地と施設の問題、これは共同声明の中にも——この間私は予算委員会の質問の際にも指摘しておいたんだが、ファシリティーズというのとベーシスというふうに二つ明確に分かれて用語が使われておるわけですし、それからそれが労働運動の面でいろいろと先ほど来問題があるわけですから、この点については日本的な解釈ということをやらないように、つまり常に問題は、今度の共同声明にしても、英文が正文だ、こういうふうな状態ですから、この点については厳密な解釈をし、それらの点についての先ほどの資料をまとめてもらう、このようにお願いいたしておきたいと思います。 終わります。
○臼井委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後二時三分散会