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56回国会参議院1967/10/05

社会労働委員会 閉会後第2号

発言数
193
登壇者
23
会派数
2
開催日
1967/10/05

会議録

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について報告いたします。  十月二日、片山武夫君、同じく四日、杉山善太郎君が委員を辞任され、その補欠として高山恒雄君及び大橋和孝君がそれぞれ選任されました。     —————————————

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) 労働問題に関する調査を議題といたします。  公務員給与に関する件について質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 給与関係の七大臣、いま三人お見えになっていますが、関係省の方はお見えになっているんでしょうか。——それじゃ、給与担当大臣の総務長官にお尋ねをいたしますが、人事院勧告が八月に出て、そして五月からの実施というものを人事院が勧告をされているわけであります。われわれは、先月は七日の日に委員会を開きまして、小柳委員から、完全に誠意を込めて実施すべきだということをここで質疑をされました。ところが、十月に入った今日まで、国家公務員、地方公務員の給与の問題についてまだ明らかになっていない。これは非常に重大な問題だと私は思っております。民間の給与を参考にしてきめるということで人事院並びにこのスケジュールがそういうぐあいに動いているわけでありますが、このことはあとで議論いたします。しかし、民間や公労協の諸君が、四月から、この賃金でこの生活困難な事態で生産に携わっておられる。それじゃ、公務員、要するに国家公務員も地方公務員も、それから今日まで五カ月、六カ月という日にちになるわけでありますけれども、このままあとから払えばいい、どれだけきまるか知らないけれどもあとから補給すればいいということで日々の生活が耐えられるのかどうか。このことを考えてみますときに、私は、国家の行政として、また、公務員の生活として、重大な問題だと、こう思う。だから、一日も早くこの完全実施——人事院の言われるとおりこれでいいのかどうか、人事院勧告すらもっと向上しなければ公務員の生活はできないというふうに私は思っておりますけれども、せっかく代償措置できめられた人事院が勧告されたこれは一日も早く五月から実施して生活を補う、これが国家行政機構の執行にあたって必要なことだと思うのであります。そういう立場から私はお尋ねをするわけですが、給与担当大臣としては、その後の経過が延びている中における公務員の生活状態、または国家行政執行に支障はないかどうか、こういう点について御意見を承りたい。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(塚原俊郎君) この前の参議院の社労委員会でいろいろ小柳委員の質問に対してお答えいたしましてから今日まで、この委員会はなかったのでありまするが、八月十五日に人事院の勧告がありましてから、政府は、都市手当の問題で、昨日、それからその前の関係閣僚協議会では文部大臣も加わりましたが、関係閣僚でこの問題の扱いに努力いたしておることは、御承知いただけると思うのであります。アメリカにおける会議その他ございまして、関係閣僚の中で日本にいなかった方もありましたので、もちろんその代理の大臣がおりまするから、関係閣僚協議会を開いてはいけないということはございませんが、やはり問題が問題でありまするだけに、全員の閣僚がそろったときにということで、実はその後の六人委員会というものは昨日開かれたわけでございます。  まあ話は前後いたしまするけれども、人事院の勧告についてはいろいろと問題がある。これは尊重すべきものであることはもちろんでありますが、勧告の時期その他についてはいろいろと従来から論議されてまいりました。それこそ十年近くの間この論議が行なわれたものと私は考えております。したがって、人事院勧告そのものについてのいろいろな対策というものも今日までの給与関係閣僚協議会の間で議論されたことは事実でありますが、ついに結論に達しないで、四月の民間の春闘のあとで人事院がこれを調査して、そうして八月の勧告となったわけでありますから、われわれは現時点においてはこの現実の勧告に対して最善の努力をするというたてまえで臨んでいるわけであります。ですから、いろいろと御批判のある問題についてはいま問題外といたしまして、当面の問題についてのお答えにとどめたいと思っておりますが、私といたしましては、問題が重要でありまするだけに、人事院の勧告を尊重してできるだけ早くこの問題の解決を見出したいという努力を続けてまいっているつもりでございます。しかし、現在の時点では、昨日の六人委員会では、いわゆる都市手当の問題につきましていろいろと論議がかわされまして、これについての結論を見出すことができなかったのであります。したがって、その他の問題についての議論というのは行なわれませんでした。きょうも夕方から関係閣僚が集まりましてさらに協議を続けるのでありますが、私としては、問題の重要性にかんがみまして、一日も早い解決ができますように、皆さま方と御相談し、その線に沿って努力を続けていきたいと考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 勧告実施の問題が議論になってもう二カ月、その間に関係委員会でも議論をされて、いまおっしゃったように、一日も早くということをおっしゃってきたんです。わが参議院の社会労働委員会すら一カ月たった今日ですが、きのう六者で開いたけれども都市手当の問題の結論を得なかったということであり、この問題についてはあとで議論するといたしまして、一般の日本の生産についておられる方、公労協の労働者の皆さんが、四月からの賃上げで、この物価値上げが長年続いている中で苦労をされて幾らか補てんをして生活を立てている。それで、労働の再生産ですね。ということは、おのおの与えられた仕事にできるだけの精を出すということです。あわせてその基礎になるものは生活の問題だと私は思う。生活が十分にできなければ、再生産もできない。私は、人事院が出された勧告は、労働三権を取り上げた代償措置として人事院というものを置かれて、そうしてその生活や再生産に対する働いている労働者の方々の社会に対する貢献の道を開いていこうというのが、何としても賃金、労働条件だと思う。それを今日までほうっておいて、一日も早く実施しますだけでは、私はそうでございますか、一日も早く実施してくださいと、そうは言えない。私ばかりじゃないと思うんです。多くの国家公務員、地方公務員の人の今日置かれている状態、また、執行者の立場にある国家公務員、地方公務員の皆さんの生活をどうして守っていくか。私は、このために日本の行政が弛緩するとまで言いたくなってくるわけでございますが、そういう点について、総務長官はどうお考えになっているか、お聞きしておきたい。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(塚原俊郎君) この問題につきましては、各政党の代表の方々、また、公務員の組合の方々に私たびたびお目にかかりまして、慎重審議をするよう、あるいは早急にきめてくれるよう、いろいろの御要望を承っておりまするので、私は私なりに皆さま方の御苦労というものを十分承知いたしておるつもりでございます。いま藤田委員のおっしゃるように、いろいろと毎年この時期にこういったことが繰り返されることについて、公務員の方々のお気持ちも私は十分わかるのであります。でありまするだけに、八月にこの勧告が出て、その実施についていろいろ論議されるこのあり方、これが十何年間か続いておるのでありまするか、これを打破するための——たとえば、この前もこの委員会で問題になったと思いまするが、当初予算に組み込んではどうかとか、あるいは予備費にどうこうしてはどうかとか、いろいろ案がございます。すでに数案ございますが、まだそれを発表する段階には至っていないという答弁をいたしましたけれども、そういった意味で根本的な解決がはかられればいいのでありますが、現在の時点においては、従来繰り返しているこの問題、それを解決するための努力というものを一日も早く解決したいという気持ちは変わりございません。あれからずいぶんだっているではないかとおっしゃいまするが、これは御批判は御批判といたしまして私は承りますけれども、しかし、各方面の意見、衆参両院の各委員会の意見、組合の方々の意見、そういったものを考えながら、私は、よい解決点を見出すために努力を続けよう、努力を続ける以外に方法はないと考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、そういう答弁では納得できない。人事院は、政府と国会にこの勧告をされているわけです。ですから、私たちは、臨時国会を早く開いて、政府でもお考えになるでありましょうけれども、国会を開いて、その中でこの人事院勧告をどう実施するか。一日も早く国会を開いてという要求に対して、総理や皆さん方は外国へお仕事に行かれる。そのために、新聞で見ると、十一月末か十二月の初めにならなければ国会が開かれないということを伺うわけであります。こういうものはみな政府の責任になってくるわけです。一日も早くといっても、そういう事態が便々として続いているというふうにしか考えられない。  それからこの人事院勧告でありますけれども、五月から実施の問題を、八月に民間の給与ということによってお出しになるわけでございますが、代替処置として人事院が勧告案をつくり、国家公務員、地方公務員の生活を守るためにこれをつくるということが少なくとも八月までおくれたら、直ちにこの問題と取り組んで、そして五月から実施というところにもつと強い熱意を持たなければいかぬじゃないかと私は思う。人事院勧告の公務員制度の給与条項を見ますと、生計費と民間の賃金と云々ということが書いてあるわけでございます。そういたしますと、これは人事院総裁に私は聞きますけれども、本来、国家公務員、地方公務員というのは、大きく言えば国家行政の生産に携わっておいでになるわけでありますけれども、しかし、少なくとも国家行政の執行者または補助者として、どれだけの労働をそこへ提供し、そしてどれだけのそれに報いる——国家の奉仕者ということだけを頭に置くのじゃなしに、その執行の再生産の道をどう国家公務員や地方公務員にこたえることが国家発展のために必要なのかという問題については、四月までに賃金がわかった、それからぼちぼち調べてみてそうして賃金をきめるということ、こういう状態を毎年繰り返しているということに対して、人事院総裁はどうお考えになっているか。少なくとも、私は、生計費と、それからその個人個人が行なわれる労働にこたえて賃金というものはつくられるべきものではないかと思うのです。それを、じいっとよそのものを待っておって、それを参考にしてつくるというようなところに、賃金、労働条件は対等できめるという労働基準法の大原則にもとっているのではないか。だから、代替処置、代償処置としてやるんなら、やるだけの条件をそろえなければならぬ。憲法で保障する三権を確立するというところにまず問題がある。それが代償処置、人事院ということでやるなら、他の一般の労働者と見合って遜色のない、同じように、今日のように物価値上げが続いている今日の中では、国家公務員や地方公務員の生活、それから再生産に対して、そして行政執行について支障のないような条件というものを、労働賃金及び労働条件におくれないようにする。国家公務員や地方公務員だけが別の世界に住んでいるわけじゃない。仕事は別々であっても、この社会に住んでいる。そういう点から、いろいろとお考えになったことがあるのかどうか。そうでなければ、八月ごろに五月実施を勧告されて、十月——まあようやく三十九年から九月からの実施となりましたけれども、その間のものは棒引きされている。人事院総裁としては、これで公務員の給与、生活、行政執行に対して支障がないとお考えになっているのかどうか。そこらの議論がされたと思いますが、お聞かせいただきたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) たいへん基本的な点にも触れての御質疑でございますが、最も極端な考え方をいたしますと、公務員給与は独自に民間の賃金等にかかわりなくそのものずばり公務員の職務あるいは生活というものをとらえて算定すべきではないかという考え方はございますけれども、かつては、戦争前においてはそういう考え方であったと思いますけれども、御承知のように、昨今の情勢、あるいは社会情勢と申しますか、経済情勢と申しますか、そういう情勢のもとにおいては、また、一方において公務員も労働者であるというような考え方も普及しております今日においては、公務員だけを取り出して特別にどうという処置は、少なくとも今日の段階ではなかなかとりにくい。したがいまして、いままで人事院がやっておりますように、一定水準以上の民間事業所をとらえまして、そうしてこれを精密に算定して、公務員給与と比較した上で、これだけ民間水準におくれておりますからぜひこれを埋めていただきたい、こういう方針をとっておるのでございますが、この行き方が、今日においては、まあ零細企業の方々あるいは納税大衆を含めて、国民の皆さまから一番納得していただける方式である、がっちりした数字をもとにしてはじき出しましたこれに合わせていただきたい、これが一番強いという信念を持っております。外国の情勢を見ましても、イギリスあるいはアメリカその他におきましても、だんだんわれわれの方式にならってまいりまして、民間給与をめどにとるという方向に進んでまいっております。これは、日本のみならず、よそにおいても、やっぱりそういうことが考えられておるのじゃないかということでございまして、要するに、われわれとしては、れっきとしたこまかい数字をつかまえて、これを基礎にして、これだけはぜひというかまえで行くことが少なくとも今日の段階では一番強い、また、各方面にあるいは御不満があっても、結局はしぶしぶ納得していただける線であろうという確信を持っております。したがって、いまおことばにありましたように、しからばそのデータはいつ出てきたか。これは四月調査の結果でございます。したがって、また、その結果あらわれた格差というものは、過去にさかのぼって、五月にさかのぼって埋めていただかなければ筋が通りませんということで、実施期日を五月、これをぜひ完全にさかのぼって実施していただきませんと、いま申しましたような筋が通らないということで、政府にもお願いをしてまいっておりますし、国会にもたびたびそれを訴えてまいっておるという次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そうすると、五月実施というのは、国家公務員、地方公務員の給与、要するに国家行政執行権を行使するためには絶対必要な賃金、給与だと、こういうお考えで人事院は出されたと。それじゃ、政府はそれに対して十月になる今日までこういう状態で国会も開かないで進んでいるということに対して、人事院総裁はいかなる処置をおとりになったか。天下に公表するなり、あらゆる手段をもって五月実施をせなければギャップができて困るということを——毎年これは十月実施、それが三十九年から九月実施になったわけですけれども、人事院はどうおとりになってきたか、その処置を。  それから総務長官、労働大臣、こういう状態で動いている実際的な問題について、どう把握して今日まで取り組んでこられたか、これを返事していただきたい。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 私に対するお尋ねとしては、実は、多少、何と申しますか、うら悲しいような感じも抱くわけでございますが、お察しいただけると思いますが、私どもは、先ほどおことばにもありましたように、いわゆる労働基本権の代償機関だというような重大な責任を持っておるその人事院が、責任を持っていま申しましたようなデータに基づいて、私どもはこれが正しいと信じて勧告を申し上げておるわけでございますから、その勧告が完全に実施されるよう念願することは、これはあたりまえのことでございます。国会でしかられるから、あるいは国会で激励を受けるから、あるいはどこからかつつかれて、やっとそれでは努力の腰を上げようかと、そんなものでは絶対にございません。これは、その立場におる者として、もう進んであらゆる努力をして、みずから顧みてくやむことのないところということを念願してまいっておるこの気持ちは察していただけると思いますし、今日もこの段階においてもそれを続けておるわけであります。  しかしながら、最終的には、内閣があるいは原案をおつくりになり、あるいは国会がこれを御判定になるわけでございますから、私どもは、国会に対しての命令権、内閣に対しての命令権などは、もちろんございません。したがって、ひたすらにお願いをするというだけに努力の限界があるということだけは十分御了察を願いたいと思います。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(塚原俊郎君) 国会は閉会中ではありまするが、衆参両院における委員会等においても、この問題が論議の中心点になっておることは、私もよく承知いたしております。いま臨時国会について私からどうこう申すべき段階ではないと思いまするから、これは差し控えたいと思いまするが、閉会中であっても委員会の御審議の経過とそれから皆さんの御意見も十分に私は拝聴いたしておりまするし、先ほども触れましたように、各党の方々、また、人事院の関係の方々、それから組合の関係の方々に給与担当大臣としてしばしばお目にかかって、お話もよく承っております。でありまするから、私としてはその間の事情もよく承知いたしておりまするので、いままでいろいろ御批判のことばはありましたけれども、この問題の重要性にかんがみて問題の解決に努力すると、このことをたびたび申し上げる次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 ただ一日も早く努力するということだけでは、私はどうにもならぬと思う。そこで、私はちょっと総務長官にお尋ねをしたいのでありますが、大蔵省の発表によると、「物価高で減税帳消し」という記事がきょうの新聞に出ているわけであります。そうして、昭和三十五年から四十二年までの間に、実質所得は三四・八%しか伸びていない。それには所得税、住民税、社会保険料というようなものが倍増していて、標準家族で実質三四・八%増、こういう状態にあるわけです。国家公務員はこれをのがれるわけにはまいらないのです。国家公務員だけ特別な税金の恩典があって、また、諸負担に対する恩典があって、三四・八しか実質賃金が七年間に伸びていないというこの実態からのがれるわけにはまいらぬ。労働者は、ですから、やむにやまれず、賃金、労働条件を毎年上げて生活をつないでいる。一般の人は、何とか賃上げをして、四月に戻って、そうしてそこから生活を幾らかエンジョイしている。ところが、公務員だけほったらかしなんですよ。一体、そのほったらかしの公務員は、どこへそれじゃ不平不満を言うか。私はイタリアに先年旅行いたしました。そのとき、公務員の給料が安いと、自然発生的に大蔵省の職員がストライキをやる。ストライキなんというのは、好きこのんでやるものじゃない。しかし、生活をするために、国家社会の一員としてその任務を果たすためには、これだけの賃金、労働条件がなければ執行を十分にやるわけにはまいらぬということで、自然発生的に大蔵省の職員がストライキをやるということ、私はストライキを好むものじゃありませんけれども、そういう形にしてバランスがとられていく。基準法の二条には、明確に、賃金、労働条件は対等の立場できめるということを憲法に続いてうたっている日本の法体系だと私は思う。そうして、国家公務員、地方公務員には団体交渉すら認めないで、代償措置として人事院で検討して給与をつくり、生活を守っていくということになっているのに、四月から今日まで何カ月たっているか。もう五カ月過ぎまして、六カ月目なんですよ。それまでの間ほっておくという状態に置いて、一日も早くやりたいというだけで国民が承知しますか。また、公務員諸君が承知しますか。国家行政の執行に対して支障がないのかどうか。もっと真剣に日本も——世界各国と共存体制にある。世界じゅうの国が国民生活をよくするためにあらゆる努力をしている。その各国がやっている努力の措置というものはとらないのかどうか。代償措置と言われるなら、いま人事院総裁が言われた、お願いしているとこうおっしゃる。お願いしているじゃなしに、その使用人は政府なんです。また、地方公務員に対しては、自治省の監督のもとに地方自治体がその人を使って作業を命じてさせている。国家、地方の行政の執行に携わらしている。その働く者だけにはそういうことを考えないで便々として延ばしていくということは、私はもってのほかだと思う。だんだん話が詰まってくると、大蔵省がなかなか渋って出さないとか出すとかいう話になっていく。国家財政の問題が云々ということになっていくわけでありますけれども、国家全体の進みの中でかなめになっているのは、国家公務員と地方公務員じゃないですか。そのかなめになっているものをしいたげておいて、国家行政がうまくいくのですか。国の産業や経済や国民生活がうまくいくとお思いになっているのですか。単に銭勘定だけで事は済まない。国家公務員や地方公務員が国家社会に対してどれだけの寄与をする、その条件はかくかくだという、こういうことにならなければ、賃金、労働条件というものはきまらないじゃないですか。生産会社が箱一つこしらえる、幾つこしらえたら幾ら利益があるという、そういう仕事じゃないでしょう。社会全体の発展のために国家公務員や地方公務員は仕事をして、国家社会のために自分の全労働力を提供して、国家全体の発展のために寄与されているのじゃないですか。そのことを銭の勘定だけで事を済ますというようなものの考え方には承知できぬ。だから、われわれが一カ月前にもこの参議院でも、一日も早くこの問題の処理をしなさいと。当然じゃないか。代償措置としての人事院の立場、その人事院が国家社会行政をおもんばかるために一応の結論を出されている。五月から実施する。はい、よろしいと、何事をおいてもまずこれに取り組むのが政府の立場です。その基本をなすのが給与大臣と労働大臣だと私は思うのです。  だから給与大臣は、そういう実態をいままでお考えになってきたか、日々あなたの頭の中に国家公務員の生活と再生産への道が開けているかどうか、労働大臣は、こういうことでいいのかどうかということの見解を聞かしていただきたい。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(塚原俊郎君) 冒頭にもちょっと触れたのでありまするが、つまり、現在論議されている問題は、八月十五日の人事院勧告に基づいてこれをどうするか、このことである、これが現時点における問題点であると私は申しました。その四月云々の問題から議論を進めてまいりますると、先ほど言ったような、人事院の代償機関としての立場、これは私ははっきり認めます。それ以前の問題として数個の問題があるということも私申し上げた。そういう問題に触れていかなければならないと思うのであります。しかし、それは当然なさねばならぬ問題であり、関係閣僚の六人委員会においても熱心に論議されたが、本年については結論に達しないままに四月の民間給与の調査、そして人事院の八月の勧告になってしまったということは私の申し上げたとおりであります。ですから、これは基本的な問題として早急に解決を見出さなければならない問題であると私は考えております。これは検討を続けます。しかし、現在においては、八月十五日の勧告をどうするか、これを尊重し、どう実施していくかということに問題がしぼられていると思うのであります。今日までずいぶん時間がたっているんではないかという御批判、これはまともに受けましょう。しかし、この問題を解決するための努力というものは、関係閣僚を通しまして全力を尽くして努力していくということ以外に私は申し上げる道はないと考えております。

早川崇自由民主党労働大臣

○国務大臣(早川崇君) 人事院勧告の歴史を振り返ってみますると、かつては実施期限がついておらなかった。したがって、翌年四月から実施するということの時代がございました。その後、実施時期が明記されまして、十月実施という期間がありまして、さらに九月実施と二、三カ年続いたと思いまするが、そういう過程をたどっていることは御承知のとおりであります。公共企業体につきましても、仲裁裁定がなかなか実施されない時期がありました。しかし、仲裁裁定の完全実施と、さらには当事者能力を発揮して妥結する。今年はそうでありましたが、そのように前進はしてきておるわけでありまして、今年は、何としても、ひとつ、これは人事院は代償機関であることは間違いないわけであります。団交権、ストライキ権の代償でありますから、少しでも一歩でも二歩でも前進さしたいというつもりで真剣に努力もし、また、お金を出す財務当局にもお願いをしておるのが実情でございます。  実は、アメリカへ行きましたときに、AFLの会長のミニーとも会いましたが、アメリカでも、民間給与と公務員給与は数年前、はっきり申しまして相当開いておった、最近になりましてようやく民間企業の職員と官公吏の給与が格差がなくなってきたと、こういう過程をたどっておりまして、今回、人事院の勧告を見てみますると、民間給与にほとんどマッチする勧告であります。いなかではむしろその地区の民間給与より高いという面も勧告では見受けられるのでありますが、いずれにいたしましても、民間給与との格差をこの勧告においてはなくする勧告で、非常にけっこうだと思います。問題は、実施時期の問題であります。人事院勧告を尊重することによって、多年の懸案の官公労の労使関係が正常化するという方向に財政の許す限り労政担当大臣といたしまして前進させたい、こういうことで目下努力中でございますので、私の考え方を申し述べておきたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 大蔵大臣も見えましたが、総務長官のお話でございますけれども、いまは勧告をどう処理するかという問題、そうしてさかのぼって云々というような話じゃないと。認識不足もはなはだしいじゃないですか。あなた方が国家公務員や地方公務員を使っているんです。大蔵省のきょう発表された三四%しか七年間に実質上がっていないという問題とあわせて、三権を取った代替措置として人事院があるんですよ。当然、公務員に対する生活や、国家行政の執行に必要なものを国自身が考えるのはあたりまえじゃないですか。これに触れないで、出たものをどう値切るか、財政の入れものにこたえてどう入れるかというような、そんな議論がありますか。私は大蔵大臣にも聞きたい。一般の労働者や公労協の労働者が、そういう立場で、四月から今日の諸負担に耐えて苦しい中で生活をしながら生産を続けられてきたんです。そのために、代償措置としての人事院が、五月から実施しなければ公務員があまりにも気の毒だ、そうでなければ国家行政の執行が十分できぬという立場から、五月から実施という勧告を出された、出されたのは八月でありますけれども。一日も早くそれを埋めて国家公務員や地方公務員の行政執行、国家社会に対する貢献の道を開いていく、これがその労働者を使っている使用者の立場にある政府の当然やるべきことではないか。そのことを給与大臣が頭に入れないで、出てきた勧告案だけ見てそんな話じゃ、話にならぬ。もっと労働者の実態——あなた方の直接の部下ですよ。事務次官以下この給与表によって対象になるんですよ。そのことを考えないで、まるであなたの話は、真実はそうでないかもしれませんけれども、出てきた勧告案を五月からの実施をどれだけ値切るかその調整中だということ以外の答えにはなっていないじゃないですか。大蔵大臣もそういうお考えですか。公務員の皆さん、大臣のほんとうに重要な事項まで担当しておいでになる次官以下の皆さんの給与ですよ。あなた方の手足になって働ている職員の給与について、一般の労働者や公労協の方々がこの苦しい状態の中で生活をされて、そして何とか一歩前進しておいでになるんです。とてもこれでは、いまの状態の中では労働者は苦しいですよ。それでも幾らかプラスをしてこの生活を耐えておられる。公務員だけはほっぽって、そうして出た勧告案は五月から実施だという国家組織のぎりぎり一ぱいの人事院勧告が出ているのに、これをいつからちょん切るかということだけしか、閣議の中でも六人委員会の中でも相談されていないのですか。その根本の問題を追求されて議論されたことがあるのですか。そんなことではどうにもならぬと私は思う。総務長官と大蔵大臣、もう一度。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(塚原俊郎君) どうも、藤田委員の御発言は、私が言わないことを言っているような気がするのですが、私は何も値切ろうとか、そんなことは一つも考えておりません。八月の勧告に基づいていろいろ論議されますると、従来のような御批判があるので、この人事院の勧告というもの、人事院のあり方、代償機関としての人事院、これはもちろん認めまするけれども、根本的にほかの方々と同様な措置がとれるような道をとるために、たとえば一例を申しましたが、当初予算に組み込むこととか、その他数案ございます。そういう議論を六人委員会でもやっておった。ですから、そういう問題の解決があれば、いま論議されておるような御批判はないんじゃなかろうかということを私は申し上げたのであって、ただ現在われわれが努力しておるのは、出された八月の十五日の人事院の勧告を尊重するたてまえで、これをどういうふうに持っていこうかということなのであって、藤田委員のおっしゃるのは、値切るとか、ぶった切るとかいうことですが、これは私はまことに心外でございまして、そういうことは毛頭考えておりません。われわれは、関係委員会で、都市手当の問題、それからさらにはそれの実施時期の問題等についてこれから論議をしていくのでありまして、冒頭に申しましたように、今日までどういうことを六人委員会がやったかというから、やったことそのままを申し上げただけでありまするから、どうぞひとつその点は誤解のないようにお願いしたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私は、たびたび申しておりますように、人事院の勧告を完全実施するというためには、予算の組み方をまず変えること、それから勧告の時期その他についての工夫をこらすこと、いろいろな根本的な問題がございまして、そこらが解決されれば、完全実施の方法はあるんじゃないかということで、この点は研究したいということを前々から申しておるところでございます。ただ、問題は、いまの制度で言いますというと、本予算がきまってしまったあとで、中途で補正予算で要求する勧告ということになりますと、どうしても補正予算の財源問題とからんでくる。私は人事院の勧告を尊重するつもりでこれからいろいろこの検討に入りますが、たとえば、御承知のとおり、今年度公債の削減を七百億円事前にやりました。この財源は出さなきゃなりません。それから食管の穴埋めで千何百億円ということになりますと、これで二千億円の補正財源がなければならぬ。二千億円の補正財源を出すためには、自然増収が三千億円あって、三割二分の交付税が地方へ行くということになりますから、三千億円の財源がなければ、いまはっきりしている二千億円すら解決できない。これに対して、他のこういう人事院の勧告問題そのほか清算を迫られているいろいろな補正をやろうとしますというと、もう一千億円くらいかりになければならぬということになりますと、四千億円以上の自然増を期待しなければこの補正予算が組めないというのが実情でございますので、はたしてそれだけの増収があるかどうかということがいま私どもが一番関心を持っているところでございます。ちょうど八月末までを申しますと、税収の実績は一兆五千九百十四億円ということでございまして、予算に対する収入ぐあいは四一・八%、これが昨年の収入ぐあいに比べますと、三九・九%でございますから、一・九%しか昨年より収入ぐあいがよくなっていない。これが五カ月の実績となりますと、十二カ月の実績でこの調子で行ったとしても、そう大きいものは期待できない。何が一体期待できるかと申しますと、九月決算による法人税にしかいま期待できませんので、これを見通すことが先決問題でございます。九月決算は十月、十一月に民間において行なわれるということになりますから、大蔵省では十月の半ばから大企業の法人税の見通しを全部調査する。この半ばから月末にかけて調査する。これによって補正予算の財源というものははっきりしてくるというふうに考えますので、そういう過程において人事院の勧告はできるだけ実施しようという考えのもとに、いまそういう九月決算の見通しを大急ぎでつけようという作業をやっておるというような事情でございまして、これが年度の最初にこういうふうなものを組むということでございましたら、問題は、足らなければ借金をしても増税をしてもこういうものを調達するということはできますが、問題は、いつも補正予算の中でこれをしろという勧告になっておりますので、そこにいろいろな制約があるということは、これは御了承願いたい問題であると思います。  しかし、それによって官公吏が一般より不利になるということは、これは間違いでございますので、これをどうしたら実際において完全実施というようなことになるかということは私どものこれからの問題で、これは今後も十分研究しなければならぬ問題ですし、なお、現在研究中の問題でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、総務長官ね、あなたのお話を聞いて、真剣に取り組んでおるとおっしゃるけれども、大臣方が不用意か知りませんけれども、新聞やその他の談話に出されるところでは、あくまでも九月実施云々とか八月実施云々とかで、完全実施をやろうという構えがどこにも出てこないじゃないですか。それからいまの発言を聞いたら、五月から完全、実施をするというその意気込みで取り組んでおられると。そんなら私は前段の議論はそうあなたに言う必要はなかったと思う。そうでもないじゃないですか、実際問題として。それにそういうことをおっしゃるのは、私はなかなか気に入らぬ。  それから大蔵大臣は、その予算を突っ込んだらどうやこうやとおっしゃったけれども、ことし始まったことじゃない。ことし始まったことじゃないんですよ。例年のことじゃないですか。それじゃ、予算をとるとか、それから民間の労働者と差がないように上げていくにはどうしたらいいかということを当初において予算を立てるときにおいて政府が考えるべきことじゃないですか。あなたそれを承知で大蔵大臣になられたのでしょう。その言いわけは私はなかなか聞きにくい。その努力をされておることについてはお聞かせいただきました、前半において。しかし、閣議を開いて、財政計画から産業計画から、閣議が共通の理解のもとに佐藤内閣というものは進んでいるものだと私は思う。八月のあの健保国会において、宮澤長官は、当初七千二百億の自然増収を予定して予算を組んだ、四、五、六の実績によって四千億から五千億ぐらいの自然増収があると明言しておるじゃないですか。だから、この問題にはきょうはあまり触れませんけれども、そこらも、社労委員会に来たからといってここの返事だけ済まされないように、全体の閣議で公務員と民間の給与のアンバランスをバランスにするという立場から財政計画も立てていただきたい。  それから自治大臣、公務員の給与をいま議論しておるわけですけれども、地方自治体の地方公務員の諸君も、やはり国家公務員と同じようにとめられている。地方公務員の財源の処置やその他の配慮は、責任をもってあなた処置されると理解してよろしいですね。これだけ聞いておきます。

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) ちょっと待ってください。総務長官が十一時二十分から、交渉があるようでありますから、その前に私から一言総務長官に発言をしておきたいのですが、実は、本日の社労委員会で、この問題は相当問題でありますので、社労委員会の決議ということで政府に対していろいろお願いするということが話が出ましたけれども、休会中で自民党の方々のおそろいが悪いので、そういうことでできませんが、こういう非常に問題のある公務員の給与でありますので、担当大臣として十分ひとつその点の御考慮を願いたい。これだけ私から発言をしておきます。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(塚原俊郎君) わかりました。

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) それじゃ、いまの答弁をひとつ。それから総務長官、もうちょっと…。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(藤枝泉介君) 従来から、国家公務員について人事院勧告に基づいて給与改定が行なわれました場合には、地方公務員もこれに準ずることは、御承知のとおりでございます。したがいまして、今回の人事院勧告につきましても、国家公務員について方針が決定いたしますならば、それに基づいて地方の財政につきましてはその現状を把握しながら国といたしましても十分配慮をいたすことは当然だと考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 この前私が質問いたしましたのは九月七日、きょうはもう十月の五日ですね。一カ月。しかも、総理大臣が南方に視察に行かれるから、その留守できまることもないだろうと聞いたところ、いや、もう総理大臣からちゃんと権限を委譲されておるから、総理大臣がおられぬでもきまりますということをこの前の委員会では答弁していらっしゃる。総務長官、その後一カ月間になるのに、今日まだきまらない。私はこの前も言ったように、公共企業体職員に対する裁定は二日間で完全実施が閣議できまった。なぜ人事院勧告は、五十日になる今日、実施時期がきまらぬのか。一番中心である総務長官がサボっておるんじゃないか。原因はどこにあるか。公共企業体では裁定後二日で完全実施がきまって、公務員には勧告が出て五十日間してなおきょう実施期日がきまらないのはなぜか。ストライキをやらぬからか、あるいは、それだけ公務員の仕事というものを軽く見ているのか、あるいは、閣議全体、内閣全体が公務員の給与なんてものは先に延ばしていいと考えているのか。もしそれがないならば、総務長官がサボっているのか。これをはっきりしておいてもらわぬと、総務長官の責任問題だと思う。いまわれわれ聞くところによると、十月二十六日に国家公務員、地方公務員は実力をもって政府の反省を求めると聞いている。もしそれが実施されたとするならば、全部これは総務長官の責任じゃないかと思う。その責任は全部総務長官にあるような気がする。私は、気がするのじゃなくて、これは総務長官の責任問題だと追及したいが、さっきあなたは都市手当の問題を言われたけれども、いままで一カ月くらいの間にどういう会議をされたか詳細に経過を述べて、一体だれが実施時期について反対しておるのか、五月一日実施に反対しているのか、ここに詳細述べてもらいたい。その答弁が終わってから退席しなさい。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(塚原俊郎君) 決定の時期の問題でありますが、この前の委員会で御答弁申し上げたのは、総理の外遊ということがある場合には、もちろん重要問題であるから総理のいるところできめたいが、やむを得ない総理がいない場合でも、内閣総理大臣代理というものがいるから、そこできめられないことはないという意味で私は申し上げたのであります。権限が全部委譲されているような発言はいたしておりません。その点はまず誤解ないように願いたい。  それから今日まで給与関係閣僚会議が何をやってきたかということでありまするが、これは先ほど藤田委員の質疑に対してお答えしたとおりでありまして、まだ時期の問題についての議論はいたしておりません。したがって、だれがどう、これがどうというような問題は出ておりません。都市手当について議論をしておった。そして、それが、きのうの段階ではまだ結論に達しない。またきょう四時から引き続いてやり、問題が重要であるから、早い時期にこれをきめたい。  それから三公社五現業と比べてこれを軽視しているじゃないかというお話でございますが、そういうことは毛頭ございません。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 それじゃ、なぜきまりません。三公社五現業と比べて軽視している。三公社五現業に対する仲裁裁定が出たら、二日間で完全実施がきまった。しかも、各企業とも初めから予算をきめているのじゃない。企業内の流用とか、補正予算とか、それぞれ努力をして、初めから予算がないのに二日間で完全実施が閣議できまった。国家公務員に対しては、さっき人事院総裁も言っておられるように、五月一日からこれこれを実施してもらいたいという勧告をしている。しかも、きょうは五十日。私がこの前質問したのは九月の七日。そのときも、もうすぐきまるような話であった。総理がおられぬでもきまるような話を——速記録に載っている。にもかかわらず、今日までなお実施時期の問題については論議しておらぬと言う。都市手当も、論議しましたけれども、結論が出ないと言う。何をしておったか、いままで。もちろん、各大臣が外国に行かれる場合には、代理大臣もおられるから、やられないはずはない。今日まで何をしておられたか。あまりにも国家公務員、地方公務員をばかにしておるから、各団体は十月二十六日を期して政府に反省を求めようとしておる。そういうのがきまる前になぜ人事院勧告の完全実施なり——ほんとうは国家公務員も地方公務員も八千円要求ですよ。それを、人事院総裁はいろいろ調査した結果、これだけのものを出しておられる。時期は五月一日ですと書いてある。それがなぜ完全実施できないのか。各大臣にはあとで質問いたしまするが、もう一回、総務長官に、いままでの経過、各大臣はどういう発言をされたか、それを御答弁願いたい。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(塚原俊郎君) まあ三公社五現業の場合と国家公務員の場合に違うことは、小柳委員も御承知であろうと思うのであります。給与の決定方式とかいろんな問題について差があることは、御存じだと思うのであります。私は、この前も申しましたように、三公社五現業の場合には調停当事者能力が云々されながらも調停の段階できまった、このことがあるから、国家公務員の場合にも公務員の方々のお気持ちも十分了承しておるから、できるだけの努力をするということを御発言をいたしたのでありまするが、あれが二日できまった、これが何カ月たってもということは、私はこれは関連づけるのはどうかと思う。しかし、小柳委員は、それは当然だと言うかも知れませんが、私はそう思うのであります。決してサボっておったとかサボタージュしたとかいうようなことは私はないと思う。しかしながら、今日まで関係閣僚がアメリカ等に行っておられた。それはかわりの大臣がいるじゃないかと。そのとおりであります。しかしながら、都市手当の問題について人事院当局と関係各省との間にいろいろな煮詰めるようなこともございましたし、その間開かなければならないような問題も実は財政当局の結論というものがまだ出ていないということでありましたので、時期については人事院の勧告を尊重してこれを完全実施するということが望ましいけれども、やはり与える影響というものが、財政面から、また、国民経済に与える面からの影響等も政府全般として考えなければならないというような点から、その実施時期についての問題にまだ立ち入っていないというのが今日までの経過であります。しかし、もう皆さんおそろいでありまするから、毎日でも開いてこの問題の解決に当たっていきたい、私はこのように考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 私の答弁になっていないですよ。私は、いままで一カ月の間に六人委員会が何回開かれて、どういうことを御検討になったか、そういうことを聞いているわけですよ。ほかにあなたの見解は求めていない。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(塚原俊郎君) それは、藤田委員にもお答えいたしましたように、人事院勧告の内容というものをよく検討いたしまして、都市手当の問題が中心でありました。これが先に議題となりまして、これを片づけてその次の問題と思いましたけれども、きのうの段階ではまだ最終的な結論には達していなかったということを率直に申し上げております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 会合を開いたものを具体的に聞いている。都市手当だけ聞いているのじゃない。人事院総裁が出した勧告を見ても、都市手当というものを最後に書いてある。これは、順序から言うならば、この全体的なベースアップはいいのか。実施時期はいいのか。その中で、都市手当なんか一部分でしょう。そのことだけで一カ月間も論議しておったなんということは、職務怠慢でなければ、詭弁ですよ。いいのがれです。二カ月間延ばした。何とか言いのがれしなければならぬから、あなたは都市手当に一切責めをおっかぶせるかもしれぬけれども、もし都市手当のほうが問題であるならば、それだけ保留して、これこれは完全実施しますということをなぜ決定できない。怠慢じゃないですか。給与担当大臣の資格がないじゃないですか。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(塚原俊郎君) 大蔵当局が秋の九月一ぱいぐらいに見通しが立てられればいいのですが、大蔵当局の作業の関係で財政の見通しというものがまだ出てまいりません。先ほども大蔵大臣が答弁されたように、補正予算との関係も非常にありまするので、したがって、その時期に入るのに、まだ九月中には入り得なかったのであります。それをあなたは何か都市手当を先にしてごまかそうとしたとおっしゃられますが、入ろうにも入れなかったわけです、財政当局の意向が示されない限りは。そこで、本末転倒と言われるかもしれぬが、都市手当から始まって、これに結論をつけて、それは財政当局の意向を聞いてその次の問題に入っていくという事情になっているわけでありまして、決してそれでカムフラージュしようとか、そういう意図はございませんから、誤解ないようにお願いをいたします。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 大蔵大臣に質問いたしますが、大蔵大臣が一切人事院勧告のおくれている原因のようになりますが、政府は年度当初に年間の経済の伸びというものは計画に入れながら予算を組むはずです。しかも、経済企画庁長官は、物価の上昇と生産の伸びをちゃんと一つファクターを持って一年間の計画を立てる。その中で、なぜいまのしきたり、これは悪いから考えなければならぬが、そういうものを政府は考えていないのか。一切考えていないのか。公務員の人事院勧告が出るであろう、大体どのくらい出るであろうということは、経済の伸びや予算の伸びや消費生活の伸びをちゃんと五年先まで計算している政府が、一年間のことがわからぬはずはないでしょう。したがって、さっき言われたように、年間予算に組み込んでおくならばできますけれども、補正ですから困りますという話は、責任ある大臣の答弁としては聞けないのですよ。もしそうであるならば、なぜ初めから予算を組んでおかないか。四%上昇いたしましたならば四%だけ組んでおきます、それ以上の勧告はまだ閣議で決定いたしません、なぜそういうものが組めないのか。さっき大臣が発言されたのは、われわれはことばじりでそう言うのじゃない。将来の政策としてそういうことができるなら、これからの公務員の勧告そのものを、予算として年間の伸びを考えて予算に初めから組み込んでおくかどうか。  したがって、私の質問は二つ。一つは、いま勧告がおくれているのは大蔵大臣の責任のように言われているが、そうであるか。第二は、将来の政策として、ことしはもう間に合わぬけれども、これからちゃんと経済の伸びに相応する国家公務員並びに地方公務員の給与のものは一応予算に組み込んでおくかどうか。この二点を御答弁願います。   〔委員長退席、理事藤田藤太郎君着席〕

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 予算の編成のしかたについては、今後十分くふうをこらしたいというふうに考えています。  それからいまおくれています理由の一つは、確かに私のほうに責任があると思います。というのは、これはいま始まったのでございませんで、過去においても、八月勧告について、具体的に政府の意見がきまるのは十月になっておった。ということは、少なくとも十月にならぬというと税収のほんとうの見通しがつかないというのが実際でございますので、過去においてもそうでございましたが、今回の場合も、三月決算に比べてことしの上半期は経済がいい、したがって、九月決算に私どもは相当の期待を寄せることができるというふうに思っておりましたが、御承知のように、途中で総需要の抑制の必要が出てきたりして、財政政策と金融政策にいろいろな措置をとりましたので、この動きがどうなってくるかというような問題が後半に加わってまいりましたので、ことしの九月決算の結果が、当初予想したとおりにいくかいかないか、ここに問題が出てきましたので、もうしばらくこの様子の調査をやれば、私のほうで財源問題についてのいろいろな見通しがはっきりつくということになろうと思いますので、今日までおくれているということは、税収の見通しがつかないということも確かに一番大きい原因であろうと考えております。  それからもう一つは、これは最後にはどうせ国会の御審議を願う問題でございますが、政府部内において問題になっておりますのは、都市手当というものが、これはいい手当であるかどうか。人事院の勧告であるから当然のむべきだといえば、それまででございますが、全国二十幾つの都市に限ってこういう手当をつける、これを国家公務員につけたら、地方の教育関係の地方公務員、それから警察関係の公務員、これにも準用しなければならぬということになりますと、たとえば人事院の勧告で、東京など二段階であると、警視庁の警官について二つに区別するか、先生方も区別するか、ここにいろいろな問題があって、かつて皆さんも御承知のとおり、地域給というものがあって、これを解決するのに国会は与野党とももうへとへとに疲れるくらい苦労している。この手当が今度こういう形で勧告されてきた場合に、これをのむことがいいのか、もっといい方法がないのか、また、人事異動についての円滑化という立場からこれに対してもう少しくふうがこらせぬかと、こういうのがいま実は私どもの間で一番問題になっていることでございまして、そういう検討にひまがかかっているというのが一つの理由でございまして、これはきょうも続行してまいるつもりでございますが、できるだけ早く見通しをつけてこの問題を解決をしたいと思っております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 さっきの、予算の繰り込み、必要財源の繰り込みは……。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 事前に一定金額を予想して繰り込むことがいいかどうかというのは、過去において政府の中でしばしば論議されておる問題でございます。ところが、給料というものは法律できめるべき問題であって、法律事項をそういう形で処理して、法律と実際の予算が一緒になっていないという立て方がいいか悪いかという財政理論が出てきまして、なかなかこれは政府部内でこれでよろしいというものがきまらないで今日までずるずるになってきたと、こういういきさつがございますが、そういうことを言っておったのじゃなかなか解決しませんので、これを解決する方法があるかどうかも、財政制度審議会等にも私どもはいろいろ相談しておる事項の一つでございまして、これも何とか解決したいというふうに考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それじゃ、私から……。大蔵大臣が四十分までということですが先ほどちょっとおくれられたから、若干その点はがまんしてもらいたい。  この問題がいよいよ煮詰まってきたときだと思います。予算委員会でも大蔵大臣あるいは各大臣に相当質問いたしましたが、どうも、いまの話を聞いておりますと、何か財政の関係できめられないのだということは、この前も社労委員会を通じてそういう印象を受けるのです。財政は、過去八年間、財政がいいときも悪いときもありましたが、財政の関係ということになったら、人事院の勧告は一体いつ実施できるかという疑問を持っていたんです、過去八年間。内閣委員会でやりました。私は委員長ですから、あまり発言したくございませんが、いよいよ最後の段階でございますので発言したのでありますが、大蔵大臣は都市手当の問題を云々されましたが、それはしろうとの言われることです。政府が都市手当を六人委員会でやると言ったって、そんなものは結論出ませんよ。わかっていることを人事院は長い間検討して出した結論ですよ。いま言われたように問題はありますよ。しかし、過去七回の人事院勧告の内容について、政府は一体審議されたことはありますか。実施時期はこれを尊重せずに、内容については、いままでわれわれが問題を提起しても、そのまま通しておられる。都市手当だけがなぜ問題になるのか。問題なのは人事院の責任ですよ。そういうことをいま申しわけ的に言うべきではない。大蔵大臣はよく検討されるべきだ。これからも議論いたしますけれども、そういう問題じゃないんですよ。あなたの担当は、実施時期を五月に持ってくるかどうかを財源の措置をするのがあなたの責任ですよ。池田内閣は、三十九年に初めて一カ月早めて九月にしました。そのときは、総評の太田・池田会談までしてやったことは、御存じのとおりと思います。しかし、今度の問題で財政の問題云々で実施時期をおくらすというようなことは私はならぬと思います。ただ、一点、これは新聞紙上を見ますると、景気の過熱を押えるために、消費傾向を押えるためにという議論があるようであります。これは相当問題があると思います。しかし、もしそうだとすると、春闘なりほかの公労協の諸君なりがいろいろ済んでしまったあと、景気過熱の問題だけで一般公務員にそのしわ寄せをすることは、政府はしないだろうと思います。この点をひとつあなたからお答えを願いたいと思います。  それと、いろいろ問題はあります。今度の人事院勧告が七・九%でありますけれども、これについてはいろいろ、論議があります。私はやると長くなるからやりませんが、物価は一体どのくらい上がりますか。予算委員会で、あなたは、私に、夏期においては物価はおさまりますという答弁をしていますよ。私はここに議事録を持ってきている。それが夏期にもなかなかおさまらない。したがって、物価はだんだん上がってくる。しかも、公務員の給与の引き上げはおそい。先ほども藤田委員も言われたように、公務員諸君は気の毒ですよ。気の毒ということは取り消しますが、私は相当問題があると思いますね。私は、こういう段階で、総理も外遊されますから、なかなか決定はむずかしいと思うけれども、大蔵大臣はこの際ひとつ十分御考慮を願いたいと思います。先ほどから聞いていると、二千億、三千億の数字が出ましたけれども、それはもともとわかっているんです。人事院があの勧告をするということは、これは合理的な資料によってやっておるんです。それを、政府は、財政の都合で否定する。しかも、過去七年間否定して通してきた。一体、しからば、公務員の諸君は何によって自分の労働条件を守ろうとするのですか。ストライキをやらしていいのですか。問題でありましょう。去年も若干ストライキということで処分されたでしょう。ほかの労働者はあのくらいのことで処分されるということはありませんよ。一日、二日ストライキをやっても、堂々と対等の力で実は自分の賃金を獲得しておるんですね。したがって、そういうことを考えると、大蔵大臣はもう少し合理性のある結論を出してもらいたいと思う。私は、人事院の勧告を尊重しろとか、あるいはILOの条約をどうしろということはここで議論したくないけれども、公務員の諸君は代償機関である人事院の勧告によってのみ自分たちの賃金を決定されるわけですね。その人事院の勧告がまともに実施されないとすれば、公務員の諸君は一体どうしたらいいのですか。この点、大蔵大臣に聞いておきたい。合理性のある答弁をしてもらいたい。合理性のない政治というものは、これは民主政治じゃありませんよ。合理主義があって、はじめて公務員なり一般市民は納得できる、合理性のある政治というものが。しかし、政府は、池田総理にも私は言いましたけれども、財政の都合ということは、国民全体の責任であるから、財政の問題を無視してやれとは私は一切言ったことはない。しかし、それに籍口してすべてを抹殺するということは問題がありますよ。この点を大蔵大臣からお答え願いたいと思うのです。  それともう一つは、数字的でありますけれども、現在、九月決算期が終ったのでありますから、国税の自然増収が予算以外にどれほどあったかということを、これは事務当局でけっこうですから、ちょっと言ってもらいたい。  それから官房長官に質問したい。総理は外遊されます。あなたはいろいろ官房長官として御苦労になっていると思うのでございますが、今度の公務員の給与の決定というものは、相当政治的にも重要性があると思うのです。佐藤内閣が組閣されてもう三年になりますが、一回も誠意を示したことはございません。池田さんが一回一カ月——まあ一カ月くらいでございますけれども、相当いろいろ苦労して努力されましたが、今度は佐藤さんは三年間何も考慮しないのでありますから、やはり三年分一ぺんに考慮せなければならぬ段階であると思うのです。したがって、この点、官房長官として、六人委員会の世話役として、これは早急に考えてもらわなくちゃいけないだろうと思いますが、官房長官としての所見をお伺いしたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 景気対策のしわ寄せを公務員にさせようというような考えは、全くございません。さっき申しましたように、問題は、期の途中における勧告でございますので、勧告を尊重してやるためにどれだけの財源が見込まれるかということをいまもっぱら私どもがくふうしているところでございます。九月が済みましたが、各会社のこれに基づいた決算は十月、十一月にみな行なわれるのでございますから、せめて主要な大きい会社の決算状況が把握できれば、これによって若干の食い違いがあっても私どもは見通しをつけて善処したいと思っておりますので、今月の半ばから一斉にこの調査だけはやるつもりでおりますので、できるだけ早く見通しをつけたいというふうに考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それは経済の問題だけを言われたのですが、公務員の給与の問題について、大蔵省が財政の問題に引っかけて、いろいろあなた方が一番がんばっているようでありますが、いわゆる給与の問題はどうするかという問題は……。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) まだがんばっているところまで来ないのでございまして、きのうもその話がありましたが、大急ぎでこの見通しを私どもはつけたいと言っているところでございまして、まだがんばっているところまでは来ないのでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 あなたの答弁は、いつもそういう答弁で困る。何をがんばってと言うのか。がんばるということより、どうするかという問題を聞いているんですがね。そうすると、財政の見通しがつかなければ公務員の給与の実施時期は決定できない、こういうことですか。単刀直入にひとり……。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 実際問題としては、私はそうだろうと思います。過去においても全部そうであって、そういう制約から補正予算において全額を補正できなかったというのも過去のいきさつでございますし、これは財源のないものをやるというわけにはいきません。その点がわれわれ苦慮しておる点であります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 あなたがそう言われると、私は追及しなければいかぬが、昨年は、福田大蔵大臣のときですが、そういうことを最初言っておられた。昨年の経過を議事録を一ぺん調べてください。それを、昨年は、そういう大蔵省の見通しのないまま実はきめてしまったんですね。したがって、水田大蔵大臣は、今度財政の見通しがつけば五月から実施するというたてまえでやっておられるということに解釈していいですね。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 財政の見通しのつく限り、この人事院の勧告を尊重したいと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 よろしい。それなら、財政の見通しは先ほど言われましたが、大体大蔵省で大まかなところをつかめるのはいつになりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) いまの見通しでは、私は、やはり今月の半ばを過ぎないとはっきりしないのではないか、今月の半ばを過ぎたらやや見通しがつくのじゃないかというふうに思っています。

木村俊夫自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(木村俊夫君) いろいろ私ども担当に当たっておりまして真剣な努力を続けておるのでございますが、この人事院勧告の実施は、最終的には政府全体が責任をもって処理することでございます。したがいまして、ただいま大蔵大臣から財源等についてお答えいたしましたとおり、全般の総合的判断がまだ政府部内で固まっておりません。したがいまして、たびたび担当閣僚会議を今後も続行いたしますが、おそらく佐藤総理が東南アジアに第二回に参ります以前においてはこれを政府部内で決定することは困難であろうという見通しでございます。しかしながら、一方におきますと、こういう問題は早くきめるべきだという御意見も出ております。また、最終まで誠意をもって努力すべきだという御意見も、これも当然でございます。その両面を勘案いたしまして、適当な時期に完全実施を尊重いたしましてきめたい、こう考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 じゃ、藤枝自治大臣にひとつ……。  いつも、国家公務員の場合は、国の予算が編成されればそれで済むのですが、地方公務員の場合はなかなか問題があることは、御存じのとおりであります。地方公務員といえども、国家公務員に準ずるという形でいままでやってきておる。ところが、地方公共団体は、御存じのように、財政の、まあ豊かということはございませんけれども、ある程度消化できる地方団体もあり、また、赤字団体もあるという現状は、御存じのとおりであります。本年は、地方税の伸びは相当よいのでありますから、その心配はないと思いますが、しかし、全部が全部そういかない。それらのいわゆる公務員の給与引き上げについて問題になっておる団体に対して、政府は例年どおりやはり地方交付税でこれを見なくちゃならぬかと思いますが、その点はどうですか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(藤枝泉介君) 先ほど藤田さんにもお答え申し上げましたように、国家公務員についての人事院勧告に基づく給与改定が行なわれますならば、地方公務員はそれに準ずるわけでございます。したがいまして、地方財政の実情を勘案しながら、政府といたしましてもその方針に従うだけの財源について善処をいたすことは当然だと考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 わかりました。これはまあ具体的な問題にならぬと、いろいろ問題があります、再建団体もあるし、いろいろまた自治省のきつい規制の地方団体もありますので。しかし、これは、先ほどちょっと触れましたように、非常に物価が上がって、公務員の生活上の問題でありますから、この問題については十分ひとつ自治省でも配慮願いたいと思うのであります。  なお、一般経済の関係ではございませんが、いわゆる地方公営企業関係は相当問題があるところがありますので、ここではどうこうという答弁は希望いたしませんけれども、こういう地方公営企業の団体に対してもひとつ十分自治省は好意ある措置ということを御考慮願いたいと思いますが、その点はどうですか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(藤枝泉介君) もうこれは釈迦に説法なんでして、地方の公営企業の職員の給与は、生計費はもちろんでございますが、同一または類似の国家公務員の給与、あるいは民間企業の給与、こういうものの水準等をにらみ合わせてやるわけでございますから、国家公務員の給与水準が上がりました場合に、はたしてそれが現在の企業体の職員の給与の水準とどうなるか、こういうものが基準になりますし、また、その企業の経営状況というものがやはりこれを制約することは御承知のとおりでございます。しかしながら、地方公営企業体はまあ六千にものぼるわけでございますから、個々の場合にいろいろ問題がございましょう。そういう点についての御配慮の御質問と存じます。その辺は十分考慮してまいりたいと考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○理事(藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。   〔理事藤田藤太郎退席、委員長着席〕     —————————————

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) 次に、三井三池鉱業所三川鉱の坑内火災事故に関する件の調査を行ないます。  まず、本件に関し政府より概況の説明を聴取いたします。西家鉱山保安局長。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) このたび、福岡県の三池炭鉱におきまして、自然発火による坑内火災を起こしまして重大災害を発生いたしました点につきまして、監督官庁といたしましてまことに申しわけなく思っている次第でございます。  次に、災害の概況につきまして御説明をさしていただきます。お手元に簡単な資料がございますので、それにつきまして御説明を申し上げます。  鉱山名は、三池炭鉱の三川坑でございます。甲種と申しまして、ガス、炭じんの非常に多い坑口でございます。  所在地は、福岡県大牟田市でございます。  鉱業権者は、三井鉱山株式会社、社長は倉田興人でございます。  災害の発生年月日は、昭和四十二年九月二十八日午前五時四十五分ごろでございます。  発生個所は、三川鉱の、これは後ほど簡単な図面がうしろについてございますが、三百五十メートル坑道ゼロ片材料線の奥部でございます。  罹災者は、死亡者が七名でございます。それから十月二日現在で入院者三十九名となってございますが、その後入院患者が若干ふえまして、きょう現在四十八名というふうに聞いております。通院者が百十四名でございます。したがいまして、この数も若干きょう現在では増減があるかと思います。  三池炭鉱の御紹介を簡単に申し上げますと、三池炭鉱は、三川坑、宮ノ浦坑、四山坑の三つの坑口を稼行しておりまして、鉱山労働者の数は約一万一千二百名でございまして、月に四十三万トンの石炭を産出いたしております。今回災害を発生いたしました三川坑は、三池炭鉱の主力生産坑口でございまして、鉱山労働者約四千五百名で月産十四万八千トンを出炭いたしております。  災害の概況でございますが、災害前日すなわち九月二十七日の三番方として三川坑坑内には五百六十一各が入坑いたして、採炭、掘進、仕繰りその他の坑内作業を行なっておったわけでございますが、翌二十八日の五時四十五分ころ、ほとんど三番方の終わりに近いころに、運搬係の鉱山労働者が三百五十メートルレベルの坑道のゼロ片材料線の入り口付近の坑道に煙が流動しているのを発見いたしまして、坑外にその旨を報告したわけでございます。この報告を受けた坑外事務所の係長は、電話にて坑内の各所に異変発生を告げまして、全員昇坑するように指示をすると同時に、炭鉱の幹部に報告をいたしまして、救護隊の招集、入坑の措置をとったのでございますが、前記七名の方たちが死亡したほか、百五十三名が一酸化炭素中毒にかかり、うち、三十九各が入院、百十四名が通院加療というようなことになった次第でございます。この数字は、二日現在の数字でございます。  災害発生後、鉱山救護隊員によりまして、火災の発生いたしましたゼロ片材料線坑道の風上側と風下側において仮密閉の処置をいたしますと同時に、罹災者の収容完了後に、同坑道の火災現場に対しまして直接消火の作業を行なったのでございますが、これが二十八日の夜から二十九日の朝にかけて行なったのでございますが、火勢を押えることができなくなりまして、消火作業員の危険性も増加するという状況になりましたので、直接消火作業を断念いたしまして、同坑道の風上側と風下側の密閉によります間接消火をすることに決定をいたしまして、三十日の二時二十分に密閉作業に着手をいたし、風下側は三十日の十八時、風上側は十月一日の四時三十分に作業を完了したような次第でございます。なお、この密閉には、消火いたしましたあとで立ち入り調査ができる措置を施してございます。  災害の原因につきましては、坑内石炭の自然発火によって坑内火災に発展したという疑いが濃厚でございますが、関係書類、記録、あるいは関係者からの事情聴取等によりまして、目下鋭意調査中でございます。  通産省のとりました措置といたしましては、災害発生後、福岡鉱山保安監督局長は、直ちに鉱務監督官七名を現地に派遣いたしまして、罹災者の救出の指揮に当たらせる一方、一酸化炭素中毒患者の発生に備えまして高圧酸素室を現地に急送する措置を関係機関に要請した後、局長みずからも現地に行きまして指揮に当たったわけでございます。なお、本省からも鉱山保安局の石炭課長を直ちに現地に派遣をいたしまして、災害の原因究明に当たらせたような次第でございます。  それで、その次に簡略な図面を掲げさせていただいたわけでございますが、はなはだ小さく見にくく恐縮でございますが、簡単に状況を申し上げますと、一番右の斜め上のほうにございますのが問題の三川坑の坑口でございまして、これから斜道で約二百メートル下りまして、その坑底から左のほうに三百五十メートルという坑道がえんえんと延びておるわけでございます。これは大体水準から三百五十メートル下にあるという意味で名前をつけておる坑道でございます。この三百五十メートル坑道をずっと参りますと、途中で矢印が二つ分かれているところがございますが、ここで入ってまいります人気が二つに分かれまして、一部は、その矢印の下のほうをずっと迂回をいたしましてゼロ片材料坑道という坑道を通りまして、左のほうに行くと、この空気は、大体、左のほうと、それから上層西二十六卸と書いてございますが、そちらのほうに回ることになっておるわけでございます。  問題の災害の起こりましたのは、そのゼロ片材料坑道という坑道の斜線の部分でございます。その辺で災害が発生したわけでございます。  それから図面の中にそれぞれバツ印と名前が書いてございますが、これが罹災者の方たちのおられた場所を示すものでございます。  なお、左のほうに四角い長方形の形が何個所か書いてございますが、これが採炭をいたしております作業場でございまして、黒い実線のところから空気が回り各作業場を通って、点線のところを通りまして右のほうの堅坑から排気をするというこういうようなしかけになっている次第でございます。ゼロ片材料坑道の斜線の部分で発生いたしました煙がそれぞれ風下のほうに回りまして、今回のような事故を発生したような次第でございます。  簡単でございますが、御説明を終わらせていただきます。

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) 本件に関し質疑のある方は、、順次御発言を願います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 いまの事故について、先般私ども調査してまいりましたから、その調査結果に基づいて質問をいたします。  まず、いまの報告に関連して、保安監督官が数日前に坑内に入って点検しているわけです。そういった経過についてはあらかじめ報告がなされておったのかどうか。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) 監督官は、九月十九日から二十日、さらに二十五、二十六日にわたりまして同三川坑の検査をいたしております。ただ、この場合、監督局長の命令で、特に、炭じん関係、坑道の状況、それから落盤、この三つに重点を置きまして、それぞれ鉱山労働者の多数おる地域につきましてたんねんに回っておりますが、当災害発生個所につきましては、回っておりません。したがって、この個所についての指示は行なっておりません。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 この事故が発生いたしまして、各新聞報道陣が一斉に言いましたことは、保安サボである。もう少し十分に保安委員会の活動あるいは監督官の活動があったならば、ただいまの事故は防ぐことができたのだと一斉に報じておるし、私ども現地に参りまして保安サボであるということを第一に訴えられておる。鉱務監督官も数日前に入っておるし、しかも会社のほうで一日一回の点検を十分になされておったならば、この個所はそういう原因は数日前に知ることができておったはずです。坑内に入った専門家がそういうことを言うわけです。したがって、保安監督官の責任は免れないと思う。いま調査中ということで原因はわかりませんでしたが、あなた方は、現段階で、どういうふうにこの原因を把握しておられ、これに対してどういう措置をされているか、他の炭鉱に対してどういう措置をされているか。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) 当鉱山におきましては、三十八年に大きな事故を起こしまして以来、われわれといたしましても監督をあらゆる面で強化をしていたわけでございます。同炭鉱におきましても、一般的には災害はその後当時に比べると減少の傾向にあったわけでございます。しかしながら、なお、全国平均に比べますと、大手、中小全体の平均をやや上回る程度で、まだよくない状態であったと思いますが、通産省といたしましては、その後監督は厳格に厳重にやっておったのでございます。  ただいまお話のございました、十分に巡視しておればわかったのじゃないかというお話でございますが、私どもといたしましても、いまのところ、自然発火のほかに考えようもないものですから、自然発火というふうに考えておりますが、自然発火の場合には、確かに、普通の場合でございますと、何時間か前から、あるいは二日前とかに自然に何らかの徴候があるのが普通でございます。したがいまして、前日の十時、約二十時間ぐらい前に監視が回っておったのでございますが、そのころにあるいは発見できたのではないかというような疑問は持っておるわけでございますが、ただ、この坑道が人気坑道に使われております関係上、毎分千立米の風が流れておるということで石炭の表面が冷やされまして、理論的にあるいはわからぬことがあったのではないかということが一部考えられぬことはないと思います。しかし、一般的には、前の日に回っておれば徴候があったというふうに考えるのが普通でございまして、この点につきましては鋭意調査中でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 非常に重要な発言ですから、私も文書を読んで記録に残しておきたいと思いますが、「今回の発火源について福岡保安監督局長は詳細な現場確認を行なわなければはっきりした確証はないがと前置きして言っている。旧採掘跡からの自然発火とは思えぬ。どう考えても炭壁からの自然発火と考えられる。何となら、旧採掘個所からであれば、密閉個所は規則により毎日点検するから、相当事前に温度やガス量の変化でキャッチできるからである。」——旧採掘個所からの発火であるならば、毎日点検するから、わかるはずです、一日一回点検するから。したがって、炭壁が風の流れによって自然発火したものであろうというようなことを現地の保安監督局長は調査しておらぬけれどもと前置きして言っておる。このことは、発火するような個所に、たとえばセメントを塗るとか、発火の事前措置をやればできたはずだということを暗々裏に示しておるわけでありますから、このことについての何か報告が現地から来ておるかどうか、お聞きしておきたいと思います。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) ただいまの現地の監督局長のお話は、現段階で判定をしておると思うのでございますが、われわれといたしましては、炭壁から発火したものであるか、あるいは、万が一旧採掘跡の関連から火が出たものであるかどうか、この点は十分に後ほど調査をいたしたいというふうに考えておるのでございます。可能性といたしましては、先ほどお読みになりましたような可能性が強い、こういうふうにわれわれは考えておる次第でございます。  その場合には、確かにいろいろな防止の方法があったかと思いますが、セメントを塗りつけるという場合に、沿層坑道全部に塗りつけるといたしました場合に、セメントをかなり厚くいたしませんと、セメントを吹きつけるといったような程度でございますと、クラックがもしかりに入った場合に、そこに速度のおそい空気が流れ込むということでございまして、かえって自然発火を誘発したり、場合によりましては自然発火の発見をおそくするということも考えられますので、その点につきましてはもう少し検討さしていただきたいと思っております。  したがいまして、巡視の強化ということを並行的にいずれにしましてもやる必要がある、こういうふうに考える次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 セメントの壁を厚くして金がかかりましょうとも、坑内でこういう自然発火があってはならないのでありますから、こういう点は十分に調査をして監督し、もし法の不備があれば、法的な規制をしてもらいたいと思います。  次の問題に入りますが、「貴重な三池大爆発災害の経験が生かされたなら、今次災害の犠牲者数は半減しただろう。」ということで次の五点をあげてありますから、私はいまから五点を述べておきますが、これに対して保安局長の見解を聞いておきたい。あとでたくさん重要な問題がありますから急ぐわけですが、一問一問言わぬことを許していただきたい。  第一は、災害発生時における指示伝達系統が確立されておらなかった。めちゃめちゃであった。退避しなさいという声はあったけれども、これは訓練だと考えてあがっておった。そうして、煙が来てからほんとうに火災だと思ってかけ上がったという証言がありました、たくさんの人々から。指示系統が非常に不備で、ちょうど交代時期であったようであります。しかも、ベルトがまだ回っておった、逃げるときに。したがって、訓練であると思った。火災のためにすぐ危険だから退避せよという指令が出なかった。このことが第一。  第二は、ガスマスクを着用した人が死んでおった。ガスマスクが一時間ぐらいはちゃんと一酸化炭素に耐えるということでわれわれは訓練を受けておった。実際は、つけた人が三十分ぐらいで死んでおった。したがって、いまのこの炭鉱が使っておるガスマスクは無意味ではないか。しかも、この採掘現場から倉庫にあるところまで三十分ぐらい歩いていかなきゃならぬ。煙の中を歩くことができなかった。ちょうど抗道に二時間ばかり退避しておって、あがるときにあがる口でガスマスクを渡されたところがあった。ほとんどガスマスクを使用していない。保安訓練の場合、ガスマスクをもつと改良しなきゃならぬ。ガスが入りますと、熱が六十度に上がりまして、はめておれぬそうです。これはほとんど使いものにならぬそうですから、ガスマスクの研究開発と、それから働く場所で個人個人で着用するようにしてもらいたい。これが第二点。  第三点は、救援隊の活動状況が、詳しく会社が説明しなかった、組合に報告がなされなかった。火災発生報告がなされなかった。したがって、組合員が系統的に救援隊を出すことができなかった。  第三は、監督官及び保安委員の入坑点検を会社が押えた。二十八日の早朝に災害が発生したのに福岡保安監督官六名は正午過ぎに三川坑に到着したまま午後四時半ごろまで入坑しないで待っておった。細谷代議士などから強く抗議されてやっと中に入った。司法権限でなぜ入坑しなかったのか。保安委員の招集もしない会社の態度を責めると同時に、行政指導をもっと強力にしてもらわないと困る。正午過ぎに保安監督官が着きながら、午後五時にやっと入坑しておる。これが第四点。  第五点は、災害発生の原因調査個所を一方的に密閉してしまった。二十九日の夜に、労使協議によって、災害発生個所を密閉しなければならないか、密閉しなくても消火できるかを確認するために、三十日の八時三十分から組合員及び保安員は災害後初めて入坑した。ところが、現地では、すでに密閉作業が九分どおり完了し、入坑目的である密閉の可否を検討する条件や時期はすでに逸しておった。労使協議して点検するために入っていったところが、そのときは一方的に会社のほうがその発生個所は密閑しておって、どうすることもできなかった。こういうことが許せるかどうか。  この五点について御答弁を願います。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) 第一の災害の伝達系統でございますが、坑内には二回線の電話がございまして、そういう点で設備の点につきましては比較的早く連絡がとれたのではないかというふうに考えております。また、退避訓練につきましても、ことしに入りまして二月と五月と八月というふうに、法規で定められた以上に職場ごとに訓練をやっておるのでございますが、訓練の非常にむずかしいのは、火災の発生の個所の想定というところが非常にむずかしいということで、あるいは現場で適切な退避指示が行なわれなかったのではないかという心配も私はいたしておりました。この点につきましては、目下鋭意調査中でございます。  それから第二点のガスマスクの着用でございますが、現在三池炭鉱に備えておりますガスマスクはSR10型というタイプのものでございまして、通産省のほうの試験所の検定を受けておりまして、一%の一酸化炭素を通した場合に、これが〇・一が通るまで破壊をするまでの間は六十分ということで検定を受けております。したがいまして、時間は比較的短いのでございますが、ないよりはこれははるかに有効であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。しかしながら、これでは満足をいたしませんので、さらに現在改良型のSR10E型というのを開発をいたしておりまして、ことしからこれを市販をいたしております。ただ、メーカーの改良の能力の関係もございまして、逐次これを新型に移行する、こういうふうな指導をいたしております。  ただいまお話のございました個人携行の問題につきましては、確かに、ガスマスクの置いてある場所まで時間がかかったり、あるいはその他に時間を食うということもございますので、個人携行の問題につきましては前向きに検討さしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから救護隊の活動でございますが、救護隊も、中に入りました場合に、非常に煙に巻かれまして、救護隊自身の生命ということもございまして、若干活動は鈍かったような点も聞いておりますけれども、なおこの点につきましても十分にこれから調査をいたしたいというふうに考えております。  それから入坑点検でございますが、ただいまお聞きしましたように、監督官は正午に着きまして、入坑いたしましたのが十六時三十分で、この間かなり時間がございますが、これは、着きまして、地検、警察との連絡事務、監督局との連絡事務等もございました上に、何ぶんにも最後の死体が収容されましたのが四時ごろでございますので、地元の監督局長といたしましては、監督官の身の危険ということを考えまして、その点の見通しがつくまでは入坑するなということを監督局長が命じております。したがいまして、この時間につきましては、やむを得なかったのではないかというふうに考えておる次第でございます。  なお、第五点の密閉の点でございますが、密閉の申し入れば、実は、実際に密閉の行なわれたかなり前からございまして、ただ、できるだけあとの証拠の関係もございますので、直接消火ということを監督局もすすめておったのでございますが、監督局長と保安局の石炭課長、二人とも現地に実際火のそばまで行きましてこの状態を見て、これは非常にあぶないということで、当時の公安部長、地検の検事とも相談をいたしまして密閉に踏み切ったようなことでございまして、その間非常に時間その他忙しかったと思うのでございますが、組合への連絡は当然会社側としてはやるべきじゃなかったかというふうに考えますが、これはむしろ会社のほうの問題点じゃないかというふうに考えておる次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 前のほうの問題についても若干まだ追及しなければならぬ点がありますけれども、最後の問題ですね、その発生個所の密閉をするかしないかという問題、これは組合並びに保安委員としても重要な問題でありますから、それが協議が整って中にはじめて入った、ところがそれが着いたところが密閉作業が九分どおり完了しておったということは、どういうことでしょうかね、そういうことはできるのでしょうか。保安局長としてどうですか。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) その点、実はまだその間の事情を私どもよく把握しておりませんので、その点はよく現地に行って調べてみたい、かように考える次第であります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 調べるだけでは何にもならぬのですが、そういうことができるのですか、できぬのですか、あなたの保安局長としての見解で。私どもは、こういうことはやるべきではない、労使ちゃんと保安委員が立ち会って密閉するかしないか。それをいまから調べに行こうと。おそらく、それは、原因調査にも関連するでしょう。そういうものが、原因調査もしなければならぬ。保安委員も責任がありましょう。したがって、それではひとつ中に行って実際に見ましょうと行ったところが、もう密閉作業が九分どおり完了して、入った目的は無意味であったというようなことができるのですか、できぬのですか。もしできぬとするならば、その処置をどうするか。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) 保安の確保につきましては、これはかねがね労使相携えてやる問題でございますので、その重要問題につきましては当然保安委員会その他にはかるべきものだと思います。ただ、時間的な緊急性がどのくらいあったかどうかという点につきまして、われわれまだ十分に把握しておりませんが、監督官といたしましては地検の検事等に相談をいたしまして踏み切らしたようでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 いまの最後のことですが、監督官は、会社と相談をして、監督官が知りながらこれを密閉に踏み切らしたのですか。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) 会社からの申し入ればだいぶ前からあったのでございますが、監督官はできるだけ直接消火をやりたいということで、かなりの時間を費やしております。そして、二十九日でございますか、地検の公安部長が来るのを待ちまして、公安部長と相談をいたしまして、密閉はよろしいというような許可を与えたようでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 あなた方は保安規則で保安委員会などというものをつくっておられるが、保安委員会などというのは有名無実のものですか、そういうときには。保安委員及び労組が、密閉の可否あるいは消火についても、それは自分の山ですから、労働者だって故意に妨害しようとは思わないわけでしょう。原因も究明しなければならぬし、早く消火しなければならぬ。したがって、どうしましょうか、密閉したがいいかどうかいまから協議が整って見に行きましょうと行ったら、もうすでに密閉作業は九分どおり完了しておった。いまあなたのお話では、監督官がこれを許可したという話であるが、そういうときに、保安委員会などに話さぬでも、会社側が密閉しましょうと言ったら、監督官だけの許可でそういうことができるのですか。保安委員会に相談せぬでもそういうことはできるのですか。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) 非常に緊急の場合でございますと、特に自然発火のあとの密閉というのは非常に危険を伴いますので、時間のこともございまして非常にむずかしいかと思いますので、一般論といたしましては御相談をするのが当然だと思いますが、場合によりましては緊急やむを得ず密閉しろ、こういうこともあり得るかと思いますが、今度の場合はそういう時間的な余裕があったかどうかにつきましてはまだ十分に把握していないような状況でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 二十八日の四時五十五分に災害が発生して、入坑を初めていたしたのは三十日の八時三十分ですよ。二日後ですよ。そんな答弁だけすれば委員会が通るというようなことではない。委員会は通らぬです。二日間あるんですよ。それは緊急と判断いたしますか、監督官は。そんな答弁じゃ納得できませんですよ。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) 実は、直接消火作業を断念いたしましたのが二十九日の五時でございます。それから密閉に踏み切ることにしたのが、二十九日の、ちょっと時間がただいまわかりませんが、たしか夕方ごろだと思います。したがいまして、確かに保安委員会等にはかる時間はあったというふうには考えられるかと思いますが、その点、はなはだ申しわけないのでございますが、時間的にその点につきまして十分突っ込んでまだ調べていないのでございます。至急に調べまして御報告いたします。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 これは、初めて保安委員が入りましたのが、三十日の午後八時三十分です。ところが、入っていったところ、密閉作業が九分どおり完了しておって、もう判断も何もする必要がなかった。そういうことをやるなら、そんな保安委員会規則なんてつくったって何にもならぬでしょう。しかも、公安部長と相談されたとおっしゃるが、監督官が会社に密閉したいと言ったら、よしと言って、それじゃどういう方法で事故発生の原因を調べますか。保安委員も入らない。労組も入らない。もちろん警察官も入っておらぬでしょう。会社の専門屋さんが入っていって、勝手に密閉に入っているでしょう。そういうことは許せるのでしょうか、これだけの事故を起こしておいて。どうですか。大臣に来てもらわなきゃならぬが、保安局長から見解を述べておいてもらいたい、もしそういうことが事実であったとすればこの処置をどうするのか。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) 保安委員会を招集いたします義務は鉱業権者の義務でございますので、招集する時間がございまして招集すべきである場合にしなかった場合には徹底的に追及をいたしたい、そういうふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 一番の根本は、やっぱり私は通産省に鉱山保安局があることが問題だと思う。再三これは石炭特別委員会や予算委員会でも問題にしたのですけれども、通産省は石炭を生産する生産の監督官庁です。こういう大事な保安を監督する鉱山保安局が通産省にあることが問題じゃないですか。いま、あなたは、保安委員などについては十分相談しなければならぬと言うけれども、鉱山の中の保安問題は保安委員会が直接の責任者じゃないですか。これだけの火災を発生して、三百五十名からのガス患容疑者がいるし、七名の人が死んでいる。そういう大きな事故が発生しておるにかかわらず、会社側が密閉したいと言ったからオーケーをやったと。しかも、まる二日間の余裕があるわけですよ。われわれのこの保安規則を読む上では、そういうことは了承できぬのですよ。いま、もしそういうことでやったとするならば処置するとおっしゃいましたが、どういう処置をなさいますか、御答弁願います。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) ただいま申し上げましたように、確かにできるだけ直接消火をやらせようというのが監督局長の意向でございまして、極力最後まで直接消火をやらしておったわけでございます。その間に時間をとったのかと思いますが、当然その間に鉱業権者としては保安委員会に相談をすべきであったと考えますが、厳重に取り調べまして処置をいたしたい、こういうふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 これまた、午後から石炭委員会があるそうですから、大臣から御答弁をほかの委員も求めるでありましょうが、いまの答弁では納得できません。  それから前のガスマスクの問題も、ないよりましだとおっしゃいました。そういうことで坑内であれだけの危険な作業をやらせるのか、私どもはわかりませんですよ。三十分でもう使用できなかったと。あなたはいま一時間は耐えるはずだとおっしゃいましたけれども、三十分しか使用できなかったその実態を言っている。しかも、これは、やってから二、三分で息が苦しくなりまして歩けないというんですね。そういうガスマスクを置いておいて、それでガスマスクはありますからということで、鉱山保安というものが了承されるものでしょうか、御答弁願います。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) ちょっと説明のしかたが悪かったのでございますが、現在のガスマスクも相当な効果はございますが、なお効果が十分でないのでございますので、至急改良型をいま生産をさしております。生産能力につきましても緊急にこれをふやすように努力いたします。急遽切りかえます。  個人携行の問題につきましても、積極的に考えさしていただきたい、かように考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 いまの個人携帯ですね、これを現場の人も希望しています。個人携帯しておりませんと、あのガスの中を三十分歩いてとりに行く間に目がまつ暗で、煙の中がわからぬというわけです。したがって、仕事をするところに置いて、すぐガスマスクをつける。ガスマスクをとれという指令が出たそうです。ところが、ずっと向こうの倉庫にありますから、煙が来て歩いて行けなかったということです。だから、そばにありますと、ガスマスクをとれという指令があればすぐとる。開けという指令があれば開けますから。とれという指令だけ出て、ガスマスクを使用させるという指令まで出なかったということを極端に言っております。したがって、個人携帯につきましても、各山に早急にそれができますようにひとつ処置を願いたいと思いますが、いかがですか。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) ただいま申し上げましたように、現在つくっておりますのは個人携帯が可能でございますので、できるだけそういうような方向で、ただ、規則を改正する必要がございますので、保安協議会等にもはかりまして前向きで検討さしていただきたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 関連してちょっと……。通産省の関係は大体質疑があったようですが、保安局長、現地の模様を十分御存じないのじゃないですか、私もちょっと行ってまいりましたけれども。たとえばガスマスクを一つ取り上げてみても、遠いところは二キロくらいのところに置いてある。そうして、倉庫とかそういうところにあって、極端なのかどうかしらぬけれども、二年も三年もガスマスクの使用を教えてもらったことがない。いま小柳委員が言いましたように、間に合わぬ。それも、しかし、最近改良して、三十分もつということで配付されたと聞くわけです。それが二、三分でもう耐えられぬ。そんなことで坑内保安を守っていくというようなことができるのですか。  それからもう一つは、小柳委員が触れましたけれども、あの材料坑道の仕組みは、なぜ材料坑道をいままで置いておいたか。たとえば亀裂が起きて発火したというならば、大体炭層のところは岩粉をつけるとかセメントで包むとか何とかするということが規則にないそうでありますけれども、なぜそれを義務づける規則をつくっておかないか。風が通って亀裂が生じて発火する、これはおよそしろうとでも想像のできることです。それをほっぱらかしておるということ、まあ一々私はもうこれ以上言いませんけれども、あなたの答弁と現地の事態というものが全然違う。  それから会社側に私も会って来ました。そうしたら、いま小柳委員がいきさつを言われましたけれども、技術的なことやら事故原因についてはまだ明確にされませんから、その問題についてはまずたな上げしてもらわなければ沿革すら答えられぬと会社は言うのです。それじゃ被害を受けた人の処置はどうしたかというてやかましく言っているわけですけれども、ああいう会社の態度そのものが、せっかくCOの援護立法ができたのに、生産第一主義で、生産さえはかればいいということで、あれではあんまり働いている人がかわいそうです、坑内の人は。人間の生命に関して、人権に関して、もっと鉱山保安局というものはきめのこまかい指導をされなければいかぬ。皆さん方が毎日現場を見なければならぬというようなことは愚の骨頂です。それは事業をやっている人にやらすんですよ。なぜやらせないのか。会社に遠慮して、鉱山保安局なんというのは、書類の指示だけで、どうなっているかこうなっているかというような適切な指示というものについてはやっていないんじゃないですか。三十八年の爆発をやってあれだけの犠牲があった。日本一の炭鉱といわれる炭鉱でそういうことが起きる。指令系統といわず、保安対策といわず、全くなっておらぬと私は思う。もっと具体的に真剣に鉱山保安というものを考えてもらわなければ、物自体、作業だけ考えないで、ここには人間の生命があるということを考えてもらいたい。私は盛んに主張するように、労働基準という人権尊重の立場から労働災害を防止するために労働省に移管せよと言ってきたのも、ここなんです。しかし、通産省が責任を持ってやりますといままで言われてきた。やっていないじゃないですか。まだほかにも金属鉱山が爆発しましたね。どうですか。だから、これからはもっと真剣に、鉱山の中には、機械だけが動いているのじゃなしに、人間の生命が国家社会に貢献するために動いている、苦しい中で。そのことを考えて対策を立ててもらわなければどうにもならぬじゃないですか。私はそういう感じです。もう一度今後の処置について聞かしておいてもらいたい。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) 私ども、何と申しましても、人命尊重という基本理念を根底といたしまして鋭意監督をしてきているわけでございます。三川につきましても、ことしから十六人の監督官が五回にわたりまして厳重な監督をいたしております。そのつど、全部で五十数項目にわたります指示事項を与えまして、それぞれ改善を命じてきております。にもかかわりませず、今回の災害が発生いたしまして、まことに申しわけないと思っておりますが、われわれといたしましても、先生のおっしゃいますような精神をもちまして、今後ますます監督を厳重にして、こういう災害が起こらないように十分努力をしてまいりたいと、かように考える次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 いや、ね、監督や指示をしたとおっしゃるけれども、それは現実に実施されていなければどうにもならぬのですよ。いかにりっぱな法律をつくっても、いかにりっぱな指示事項を与えても、事業をやっている人がそれを実施しなければ意味がないのですよ。国家行政組織として、監督官が一々坑道の中まで毎日毎日朝から昼から監督しなければ仕事ができない、そういうことでなぜ作業をさしておくか。そうでしょう。事業をやっている者に実施させる。それが実際に行なわれているかどうかを監督するわけでしょう。そうでなければもちませんよ。監督官を何千何万とこしらえなければ、どうにもならぬじゃないですか。そういうものの考え方を徹底しなければだめですよ。これは何回も事故が起こって、水没事故、ガス爆発が何回も起こってきた。犠牲になった人は国家の組織で救済しなければならぬでしょう。労災法や、今度はCO立法で労働省の管轄になってきますがね。そうでしょう。それじゃ、あなたのところは、そこまでわしは言わぬけれども、もっと責任を持ってやらなければ話にならぬですよ。この事故の処置は、あなたのほうが、通産省の保安監督局が本腰を入れて、事故が起きたら一人の生命でも保安局長が現地へ飛んで行って適切な措置を講ずるぐらいの心がまえがなければ、そんなものは直らぬと私は思いますよ。

西家正起通商産業省鉱山保安局長

○説明員(西家正起君) ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、保安局といたしましては、確かに鉱山にやらせるという保安体制の実施ということをまず第一に考えております。それを再度チェック・アップするという意味で、それを基本といたしました監督、検査をいままでもやってきたわけでございます。法規違反あるいは指示事項に対しましては、適当なときに抜き打ち的に追跡検査をやっておりまして、三川につきましては、指示事項はいままではほとんどやっておったような状況でございます。にもかかわりませず、災害が発生いたしましたことにつきまして、はなはだ申しわけなく思っておる次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 労働大臣に質問いたしますけれども、いまの鉱山保安の問題でありますが、私も指摘しましたが、藤田委員も言ったとおりです。われわれは、鉱山保安は労働省が責任を持つべきであるという見解を持っております。これは社労委員会でも石炭委員会でも再々論議したとおりでありますが、労働大臣、いままでの質問、答弁を聞いておられて、見解を聞いておきたいと思います。いかがでございましょうか。

早川崇自由民主党労働大臣

○国務大臣(早川崇君) 三池の再度の災害をアメリカで聞きまして、非常な大きいショックを受けました。問題は、技術的な面とかいろいろあろうかと存じまするが、私個人の意見として考えますと、昭和二十三年に、水谷商工大臣、それから加藤労働大臣のときに、当時芦田内閣でありますが、石炭傾斜生産、いわゆる日本再建に石炭エネルギーが必要であるという、そういう生産至上の状態下におきまして、通産行政に鉱山保安を移管することになりまして、芦田内閣が汚職でつぶれましたので、形式的には吉田内閣だと思いますが、通産省に鉱山保安が移ったわけでございます。それ以来、労働省としても、労働者の福祉向上という行政上の責任がございますので、その体制に即応いたしまして、協議する権限と監督する権限を最大限に利用活用いたしまして努力してまいりました。また、炭鉱災害にかかられました方の補償あるいはアフターケアという、いわゆるしりぬぐい的な面で最善の努力を尽くしてまいりました。しかし、私は、こういう労働災害というものが、生産官庁と一緒に保安があるということは、はたしてほんとうに責任の所在がはっきりしてうまくいくかどうか、まことに疑問に思っております。しかし、事、行政機構改革の問題でございますので、これは非常に重要な問題でございますので、世論の動向、また、国会の皆さま方の御意向というものをしんしゃくして根本的にこういう問題は考えなければ、なかなか炭鉱災害、さらに、こう死傷者が出ますと、私のおそれているのは、若い人が炭鉱などに就職しないということになりまして、石炭生産自身が労務の面で行き詰まるんじゃないか、かように心配いたしております。そういうこともからめまして、根本的にこういった問題は国会、政府ともやはり検討すべき段階に来ているんじゃないかと私は思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 被災者の診療その他の問題はあとで質問いたしますが、根本問題を二、三質問しておきます。  一つは、石炭政策の矛盾によってこういうふうな事故が発生するのではないか、こういう点を石炭局長から答弁を求めますが、いままで石炭調査団の答申が三回出ております。第一回が三十七年の十月十三日、第二回が三十九年十二月十六日、第三回が四十一年七月二十五日、その間、中間答申が四十年十二月六日に出ておりますが、調査団の答申が出ましたあとに大災害が期せずして起こっております。三池の大災害が三十八年十一月九日、それから北炭夕張、山野鉱の災害がそれぞれ四十年の二月二十二日と四十年の六月一日で、それから今回の事故は四十二年九月二十八日で、三次の調査団の答申が出たあとに出ておりますが、石炭経営者の気のゆるみといいましょうか、あるいは政策転換に対する心がまえといいましょうか、あるいは生産第一主義でなければならないという、保安を捨ててとにかく生産をあげなければならないという経営者自体の保安に対するサボ、保安に対する責任感の稀薄さ、そういうものが主として大事故を起こしているんじゃないか。石炭政策の矛盾、たとえばトン当たり千二百円コストを引き下げて何とかかんとかひとつやっていけ、足らない金は無理して一千億の金を貸してやった、そうして合理化を進めながら、けつをたたいて生産第一主義でやってきた現在の石炭経営、利益追求、もうけ主義の経営、こういう石炭政策の矛盾がこういうふうな大災害を起こすんじゃないかと私は思うわけですが、石炭局長から、非常に大ざっぱな質問でございますけれども、見解を聞いておきたいと思います。

中川理一郎通商産業省石炭局長

○説明員(中川理一郎君) ただいまお話がございましたように、産業政策として石炭鉱業をどう考えていくかということは、非常に長い間、また、学識経験豊かなたくさんの専門家を動員いたしまして、何回も議論をしていただいておるのがいままでの調査会でございます。これは先生方当然御承知のことだと思いますが、在来的な考え方で律し切れないほど石炭政策というものがむずかしい問題に逢着しましたのは、だれしもが想像しなかったようなエネルギーの革命が起こりまして、ほうっておけばすべて流体エネルギーに移行してしまう。産業政策として考えました場合に、国内資源である石炭というものを合理的な範囲において利用すべきである。それが国際収支なりあるいはセキュリティの面の利益もございますし、どの程度のところまで石炭というものを採掘すべきか、それを経済的に無理のない形で追跡しようということがいままでの努力であったわけでございます。したがいまして、重油との競争の過程におきましては、ある程度政策的な助長をするといたしましても、そう値段の格差がかけ離れておっては政策がそれに追いついていけないということもございまして、ただいま御指摘がございましたように、千二百円引きという合理化努力をいたした経緯もございます。現在では、ことしの予算で申しますと、これが全部石炭鉱業の利益ではございませんが、機械化とか産炭地振興というものがございますが、今年度は五百二十一億円の金を投じまして、石炭の合理的な採掘規模というものを維持すべく努力しておるわけでございます。  その場合に、問題は、経済問題でございますので、絶えず経済的な採算と申しますか、コストを念頭に置いておることは確かでございますけれども、同時に、また、合理的な生産ということばであらわされることのためには、経済的な配慮のほかに、やはりその生産が保安技術的にも無理なく遂行できるということを前提にして私どもは考えておるわけでございます。生産と保安が表裏一体であるというのはそういう意味でございまして、そこに石炭があるから掘らなければならないという趣旨のものではございませんで、劣悪な条件のところであれば、これを無理して採掘するということにいたしますと、原価がかさみますし、また、事故も起こりやすい。そういうものは計画的に断念いたしまして、現在稼行しておるものであってもスクラップする、成り立つものについてはビルドをしていくという基本構想でいままで貫いてきたわけでございます。したがいまして、ただいまの五千万トンその他につきましても、情勢が変わればまたいろいろ考えなければならぬ点はございますけれども、私ども、保安局とも相談をいたしまして、常に経済的なコストの問題と保安を全うするという見地から、日本の石炭産業の規模をあるいは個別の山に具体的にきめていくということにつきましては、そういう考え方で進めてきておるつもりでございます。ただ、何せ、先生からもお話がございましたが、過去に二千億余の負債をかかえておりますその中で、異常なものが相当ございます。今年度から一千億円の肩がわりという私企業に対する政府の助成としてはおそらく限界に近いところまで思い切ってやっておりますが、なおかつそれぞれの山は石炭採掘に伴いましてかなりの赤字を当分は続けていかなければいけない。再建整備計画の前提になっておりますのは、大体四十五年以降にどうにか収支が償う程度になっていこうという状況でございまして、その意味で、もうけ過ぎておるということではございませんが、赤字を幾らかでも少なくしょうという趣旨から、もし保安上の手抜きをするというようなことがあっては、まことに申し訳けのないことでございますので、その辺のところを私どもはむしろ残す山とつぶす山との区別をするときに見きわめをつけておるつもりでございます。なお、不十分な点がございましたら、できるだけのことは私どもも考えてまいりたいと思っておりますが、全体といたしまして、五千万トンの採掘をいたします場合におきましても、過去の状態から見まするというと、かなり従来よりは深いところに採掘現場を求めざるを得ない状況にございます。また、ある程度合理的な生産をするために、切り羽の集約化を進めております。それに伴った機械化もいたしております。  いま、私ども、一番心配しておりますのは、先ほどどなたかがおっしゃいましたように、労働大臣もちょっとお話しになりましたが、最近、石炭鉱業界における労働者の確保、これは数の上でも質の上でもございますが、いい労働者を確保するということがだんだん困難な情勢になっております。場合によりましてはそういう状況も的確に把握した上で今後の石炭政策というものをきめなければいけないのじゃなかろうか。保安局長はたいへんつらい答弁をいたしておりますが、率直に申しまして、保安の努力というのはずいぶんいままで進められてきております。この上、私どもが心配なのは、労働者の数的な不足あるいは質的な低下というものが保安事故に結びつかないような警戒とかというのがこの時点では一番気になるところでございます。  ちょっとお答えになっておりますかどうかわかりませんが、私の感じを申し上げたわけであります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 基本的な問題でありますから、また石炭特別委員会でもその問題を論議しなければなりません。時間もありませんから次の問題に移ります。  これも根本的な問題でありますが、大災害が発生したにかかわらず、その会社の責任者が責任を問われないということであります。法務省の刑事局長が見えておられますから、法務省の見解を聞きたいと思いますが、あの三十八年の三池の大災害に対しまして、被災者側及び他のほうから業務上過失致死罪で告訴いたしました。その判決は、全員不起訴であります。しかも、それは、不起訴どころか、そのときの当時の責任者は全部栄転をいたしております、会社の責任者も現場の責任者も。数百名の人を殺し、しかも現在なお不治といわれる病人が発生しているあの大事故を起こしながら、一人の刑事責任者も出ていないということ、こういうことがあり得るであろうか。したがって、刑事局長からあの不起訴になりましたいきさつなど、時間もありませんから、詳細にはお聞きすることができないと思いますけれども、私は納得することができないんです。そういうものが、とにかく石炭さえ出せばというのじゃ、事故が起こったら原因はわからないんだ。現場へ保安委員が行ったときには、火災の発生個所を密閉してあるというんでしょう。どういう方法で調査しましょうか。調査できぬのです。そうして、何も物的証拠がないからといって全員不起訴です。またどこかにこういう事故が起こりましょう。保安サボだとはっきり新聞でも書いてあるにもかかわらず、一人の責任者も出ておらぬのです。こういうことで大事故を防止することができるであろうかと私も考えるわけでありますが、まず、この前の三池事故に対する不起訴処分のいきさつなどを御説明願いたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○説明員(川井英良君) 炭鉱の事故は、刑事的な面から見ますというと、鉱山保安法違反ないしは刑法の業務上過失致死傷の条文に概当する犯罪になるわけでございます。いずれも法定刑が軽い犯罪でございまして、まず第一義的には警察権を与えられております鉱務監督官が専門的な立場からその責任ないしは原因の追及をする。それから続いて警察官がこれに協力して原因を追及するということがたてまえでございまして、検察官といたしましては、それらの人たちの事件の送致を待って、その内容を点検して起訴・不起訴をきめる、こういう法制に相なっているわけでございます。しかしながら、最近、非常に大きな災害が発生いたしておりまするし、大きな社会問題ともなっておりまするし、それから事故は、ただいま御議論がございましたように、あとの捜査が非常にめんどうで証拠の収集が困難でございますので、そのようなところから、手をこまぬいて検事が待っておりましては、真相を究明することないしは把握が不可能であるというふうなたてまえから、最近におきましては、法務省の方針といたしまして、事故発生と同時に、通告を受ければ、直ちに担当検察官が現地に臨んで、鉱務監督官、警察官と共同の上で共同捜査を実施するというふうなたてまえをとってきておるわけでございます。  そこで、先般の三十八年の大事故の際でございますが、福岡地検の部長をたてまえとする数名の検察官をもって特別捜査班を編成いたしまして、長い間現地に滞在をいたしまして共同捜査を実施した、こういうふうな基本的な心がまえをもって事故の究明に当たりました。  そこで、問題は、この事故の内容でございますが、今回の事故と異なりまして、前回の事故が炭じん爆発であるということにつきましては、多数の鑑定その他異論がございません。なぜ炭じん爆発が起きたということにつきましては、詳しく申し上げることを省略いたしますが、結局、炭車、鉱車が暴走をして、その結果、その付近にあった炭じんを巻き上げて炭じん雲を形成した、それに何らかの原因によって火源が作用をして爆発をしたものだ、こういうふうな大ざっぱな構成につきましては、これはしょせん推定でございまするけれども、この推定につきましては、学問上も実際上も異論がございません。そういたしますというと、この事実を前提といたしまして会社その他保安要員の刑事責任を追及するには、次の三つの事実を明らかにしなければならない、こういうふうに考えたわけでございます。  その一つは、鉱車が二両目と三両目のリンク・チェーンが何らかの原因によって破断をして、三両目以下八両の鉱車が坑底に向かって暴走した、この事実は間違いがございませんので、なぜそのリンクが破断をしたかという原因の解明が第一であろうと思います。  それから第二点は、貨車が暴走をいたしましても、炭じん雲が形成されるような炭じんが集積されていなければ事故は起きなかったわけでございまするので、爆発をしたその付近に、当時、爆発限度に達するような、ないしは爆発限度を越えるような炭じんが集積されていたかいなかったかという事実を究明することが第二の点であろうと思います。  それから第三番目には、貨車が暴走し、多量の炭じんが集積されておったといたしましても、火がなければ爆発いたしませんので、炭じん爆発でございますから、その火源は何であったか、着火の原因は何であったかということを究明することが第三の重要な眼目であろうと、こういうふうに考えたわけでございます。  そこで、検察官といたしましては、公訴時効一ぱいの三年間を使いまして、そうして十幾つかに余る鑑定をいたしました。結論といたしまして、はなはだ残念なことでございますけれども、以上申し上げました三点についての解明をついにすることができなかった、こういうことでございます。言いかえてみますというと、この鉱車のリンクがなぜ破断をしたのだろうか、それが破断をするに足るような荷重がいかにしてどういう事情でかかったかということにつきましては、数個の鑑定を経ましたけれども、どの鑑定も、ついにこの事実を科学上明らかにすることができなかったということでございます。  それから炭じんでございまするけれども、この炭じんにつきましても、当時、御案内のとおり、この中には第一斜坑には十二台のベルトコンベヤーが通って、原炭を坑底から坑口のほうに運んでおりまするけれども、これが当時一時間余りにわたってコンベヤーが停止しておりましたので、坑口からの人気によるところの原炭の乾燥というふうなことも考えられまして、単に坑底ないしはその付近にあらかじめ集積されておった炭じんだけではなくて、たまたま停止しておったベルトコンベヤー上の原炭に含まれた相当量の炭じんもこの爆発に参加したのではなかろうかというふうな推定が十分な根拠をもって行なわれておるわけでございます。なお、そのほかに、この坑道の坑壁は、御存じのように、非常に風化しやすい砂質の側壁だということが言われておりまして、平素集積炭じんの中に相当量の風化した砂が混入しておったということも別な鑑定によって立証されておるというふうなことによりまして、集積されておった炭じんは、あらかじめ集積されておった炭じんのみではなくて、その他の理由によるところのその他の炭じんもそれに参加することによって不幸こういうふうな事故が起きたのだというような結果に相なりまして、結局、炭じんが多量に、しかもその付近に爆発するに足るような多量の炭じんが集積されておったということにつきまして、会社ないしは鉱山保安要員のほうにはたして故意過失があったかということにつきましては、この点につきましても消極的に認めざるを得ないということでございます。  第三の火源の点につきましては、鉱車が暴走した際に側壁をすっておりまして、その際に、側壁にSLの特高ケーブルが設置されておりますが、その特高ケーブルに接触し、あるいはそれを破断したような状況が見受けられますので、鑑定の結果によれば、このケーブルから鉱車がこれを切断した際にアークが出たのじゃなかろうか。そのアークは場合によっては十分発火の原因になるというような鑑定の結果もございまするし、それから炭車が暴走し脱線した際に、そのレールと鉱車の鉄製の車輪との摩擦によって場合によればかなりな火花がそこに散ると、いわゆる摩擦熱の極限に達した場合に瞬間的にそこに火が出ることも考えられる。これも場合によったら火源になり得ると。その他にも、この坑底には、しさいに調べますというと、その当時火源になり得る二、三のそのほかの事情もあるわけでございます。したがいまして、科学的な結果によりまするというと、単に推定の域を出ませんで、何が火源であったかということにつきましては、ついにこれを確定することができなかったというふうな事情でございます。  その他いろいろ補充的な事情がございまするけれども、時間の関係で大ざっぱに申し上げますというと、そういうふうなところからこの事件につきましてはついに起訴する資料をつかむことができなかった、不起訴にせざるを得なかった、こういうふうなことが現地から報告に相なっております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 四百五十八名の人が亡くなり、八百人もの人が傷ついて、現在なお不治の人があるわけであります。その一つの坑道から入りました人がその山の中で亡くなられたことは事実です。また、けがをしたことも事実です。その外ではございませんで、自分の鉱業権者が持っておる山の中で亡くなられたわけであります。しかも、いま言われたようなことも、それは直接のその社長がつくった原因ではないかもわかりませんけれども、その会社が保安を守らなければならぬ責任は、社長にも、あるいは副社長にもあるわけです。そういう人は、事故が起こりましても、何ら刑事責任に問われないか、かえって栄転してしまう。今回の事故につきましても、原因個所についてはすでに密閉してありまして、どういう調査がなされたかわかりませんけれども、亡くなった方が七名、けがをした方が数百名、一酸化炭素中毒の診察を受けた方が三百七十一名、入院している方が現在なお三十六名でございます。その方がその山の中であることは事実です。したがって、そういう責任が、行政官であれば行政責任はありますけれども、会社であればその行政上の責任も役人としてはないわけですね。そういうものについて世間も私もわかりません、責任の所在ということが。したがって、そういうものが明確でないものですから、また事故が起こるのではないかと、そういうことを懸念するわけでありますから、今回のこの事故についても、ひとつ法務省としても、これは公安委員長にも要請しなければなりませんけれども、徹底的に原因を究明して、世間が納得する責任の追及をやってもらいたい。この点についての決意だけを聞いておきたい。

川井英良法務省刑事局長

○説明員(川井英良君) 仰せのとおり、全く同じ考え方でございまして、事故発生に対しましては、法務省の立場からも最大限に努力を尽くし、その原因の究明につとめて適切な処置をとりたいと考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 それでは、石炭委員会が開催されるそうでありますから、きょうは、労働大臣に、この前私がCO中毒法に対する立法過程で質問した点がありますから、重ねて聞いておきたいと思うのです。  それは、今回の事故でも、これはまだ施行令が出ておりませんから、会社が直接この法で拘束されない点はわかりますけれども、あれだけ論議されましたCO立法がちっとも現地ではわかっていない。そういう点について、診断などについても、CO立法ができた以上は、通産省も労働省も、政令が出る前でもわからせる行政指導をしなければならぬと思うが、それをしていない。この点が一つ。  それから一番大事な点は、この前三点私は質問いたしました。第一は、現在、四十八年の災害の重症の方が入院しておられるが、こういう人は一生不治だと思われるが回復などは絶対あり得ないでしょう。それはこの法に含まれるとおっしゃる。また、前収補償の問題も、会社に行政指導をするとおっしゃる。また、配置転換などについても、ちゃんと会社にこの法律によって指導するとおっしゃったが、会社のほうはその指導を受けていないと言っている。労働省からは直接指導を受けていないということを言う。この法令ができたことはわかっている。こういうことは、どんなりっぱな法律ができても、また、こういう災害が起こっても、これはもう別にたな上げされまして、現地は現地独自の呼吸をしておる。こういうことでは、法治国家としても許せませんし、労働省としては私はもうほんとうに責任上重大だと思うが、まずあの法律ができましたときの大臣の答弁については、そのとおり大臣はお約束できるかどうかを明確に御答弁願ったあと、労働基準局長から、その後の行政指導についてはどうしておられるか、お聞きしたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○国務大臣(早川崇君) CO立法の施行規則がおくれておることは、御指摘のとおりでございますが、何ぶんCO患者の医学的、専門的な問題が残っておりますが、いずれにいたしましても、法律に定められる施行期日の期間がまだ少しあるわけであります。現在、中央労働基準審議会及び労災保険審議会に諮問中でございまするし、本日はもう基準審議会に諮問をいたしたわけであります。あの当時の国会の御答弁の趣旨に沿いまして施行規則ができるものと考えております。  なお、現在の等級の問題につきましては、現在、七級と十一級というよりありませんで、これにつきましては、その中間の九等級を設けるという点につきましては、すでに成案を得ております。  また、介護料の金額を幾らにするかという点につきましても、労働省としては、当時考えておった線で施行規則の中で決定をいたしたいと思っておるわけでありまして、いずれにいたしましても、あの趣旨に沿って近く施行規則が実施されるという段階に来ておることを御報告申し上げておきたいと思います。  それから中毒関係の数百人の診断その他につきましては、法案がまだ施行されておりませんが、あの立法の趣旨のとおり健康診断その他をやることにいたしておりますが、あの法律はこの施行令以前のものも含まれることになりますので、当然あの立法によって援護されるものはされることになると考えております。  なお、会社に対するPR、周知徹底という行政問題につきましては、基準局長からお答え申し上げたいと思います。

村上茂利労働省労働基準局長

○説明員(村上茂利君) CO特別措置法が制定されまして、あのときの問題につきましては、ただいま大臣から御答弁のとおりでございます。  会社関係の問題につきましては、本委員会におきまして、小柳先生から、会社に対して行政指導を十分してもらわなければならないという点の質問並びに要望がございました。直接的に大臣からはこれについてお答えはなかったわけでありますが、しかし、そのような御趣旨を体しまして、この法案成立の直後におきまして会社側にもその旨を伝えておるわけであります。たとえばいわゆる重症者の解雇問題につきましても、私どもはその後そのままの状態で今日まで推移しておるわけでありまして、長期傷病補償に移行したから直ちに解雇といったような形はまだとられていないわけでありまして、そういった事実を基礎にいたしまして、私ども、今後さらに会社側とも接触をいたしていきたいと、かように考えておるのであります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 じゃ、これで最後ですが、つくられようとする皆さんの政令、省令の中には、この前の国会でCO法を審議いたしましたときにここで論議いたしました問題は、余すところなく政令、省令の中に入れてもらわなければならぬ、このことをまずお約束願いたいと思う。  それから第二点は、四十一年の十一月の二十四日の労働省と総評、炭労との了解事項の中で補償措置がきめられているが、この問題が、政治的なもちろん折衝もいたしておりますけれども、十月で約一億円になるけれども、組合がこれを負担しておる。この問題については、労働省は積極的に指導してもらわなければならぬが、どういうふうな努力をしておられるか。われわれは労働省の努力を期待いたしておりますけれども、この点についてなお御答弁を願いたい。  その二点だけを最後に質問しておきます。

早川崇自由民主党労働大臣

○国務大臣(早川崇君) CO立法の施行は公布の日から十月二十五日までに施行しなければなりませんので、いま言った施行規則等を二十五日までにつくるわけでありまするが、当委員会あたりでお答えいたしました御答弁の趣旨に沿いまして施行規則をつくりたいと考えております。  第二番目の、入院している人の一億円にのぼる炭労あたりが持っている補償問題云々でございますが、先般も九月八日に総評の議長、事務局長、幹部も来られまして、早く結論を出したいという申し入れがありまして、私といたしましては、筋の通らぬ、たとえばなおっているのに入院しているという人の入院料まではむろん出せませんが、結局、第一審で病気でないと認定された方、それはおれは病気だというので、再審をされる道を開いておるわけでありますが、今日までまだ再審請求がないので、早く再審要求をしてもらいたい。それから総評、炭労の側からもお医者さんを出してもらいたいということを要請いたしましたところ、総評側からもお医者さんを出しまして、そうして相互に診断の結果等を持ち寄って前進したときに、また炭労側のほうでその医者を引っ込めるとかなんとかという一幕もございました。しかし、再度、炭労、総評に、そのお医者さんとの最終結審、再審要求の突き合わせを要望いたしております。昨日も岩井事務局長にそのことを申し上げまして、早急に話の結末をつけたい、こういうことでございました。その結果出たあれは、あるいは最初の診断結果よりも違ったものになるかもしれません。病気認定という人がふえるかもしれませんが、そういう人に対しては当然全額いままでの介護料を労災保険から出すということは確約できるわけでございます。しかし、医者の判定でそうでないという人まで出せませんので、それはまた、別途、何と申しますか、争議の跡始末というこういう問題は、会社あるいは労働組合、むろん労働省も中に入りますけれども、まあ法律、法規以外の善後処理、争議にはよく善後処理というものがありますが、むろんわれわれとしてはできる限りのやはり善後処理に御協力を申し上げたい。  いずれにしても、これはいつまでもほうっておけない問題でございまして、はっきり結末をつけてこの問題の収拾をはかりたいと、こういう決意でございます。

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) 他に発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     —————————————

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。  滋賀県江若鉄道買収に伴う労働問題に関する件について、本日、参考人として、日本鉄道建設公団理事壷井宗一君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) 滋賀県江若鉄道買収に伴う労働問題に関する件について質疑を行ないます。  御質疑のある方は、御発言を願います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 国鉄湖西線新設に伴う江若鉄道の跡始末の問題について、少し聞いておきたいと思います。  関係者はよく御存じだと思うのですが、労働大臣は直接担当じゃありませんから、よく御存じないと思いますが、端的に申し上げますと、湖西線というのが、国家計画において琵琶湖の西側を通って、将来の北陸線になる。そこに民間会社の大津から出て五十キロの江若鉄道というのがある。湖西線ができますと、そこで沿線の住民の交通の便をはかるわけでありますから、江若鉄道の任務の大半はもう終了するわけであります。ですから、国鉄のきょうおいでいただいている鉄道建設公団が、湖西線建設その他の処理について携わっておられる。ところが、その五十キロというのの大半が任務が終了して、江若鉄道というのが任務がほとんどなくなるから廃止する、こうなると、事業そのものが廃止するということになって、特に労働問題として五十キロの長い間の沿線から従業員が出ておる。国鉄が経営されるでありましょうけれども、その湖西線の従業員も沿線からということになると思いますが、しかし、今日、明らかにしておきたい問題は、国有鉄道が、国家計画によってその線をつけ、事業そのものや敷地やその他の財産関係については鉄道公団で引き継がれて、国鉄が経営されるという国家事業だと思うのです。そこで、江若鉄道に働いている人は、当然、その国有鉄道、新しい事業が行なわれるところに引き継がれていかなきゃならぬ。それが、もしも従業員は知らぬのだと、財産関係だけが処理されたら、あとは知らぬのだということにはならないのではないか。そういう不安定な状態に従業員を置いておくということは許されない問題だ。また個々の問題について労働大臣にいますぐ答えてもらうというのはなかなか無理な問題があると思いますが、そういう形、会社を合併するとか買収するとかそういうときには、従業員をどう待遇するかというところが買収それから合併の基本原則だと思う。その基本原則が、どうも私の聞いている範囲では薄れてきて、従業員はそれは知らんのじゃというかっこうで、それはまあほんとうかどうかわかりませんが、そういうかっこうで動いているように思われる。だから、一般民間でもそうだし、特に国有鉄道の国家計画によって行なわれる新しいよい鉄道が引かれるということですから、私は個人としてはけっこうだと思う。けっこうでありますから、五十キロの中で沿線から働いた者を何らかのかっこうで引き継ぐ処置をとって、労働者の生活や条件を守っていくという基本的な問題について、労使関係それから身分保障というたてまえについて佐藤内閣の労働行政はどうなのかということを私は労働大臣に質問をしたいわけであります。国務大臣(早川崇君) 労働省の調査では、この買収によりまして、江若鉄道の鉄道部門三百五十四人が整理になるわけであると聞いておりますが、そのうち、バス部門その他関係機関、国鉄も含めまして就職が予定されておるのであります。問題は残り百七十人が離職するものと見込まれておるようでございまするが、会併の場合もしかりでありますが、合併されるほうの会社と買収するほうの会社と両方がよくそういう人たちの就職、雇用というものは考えるべきものであります。むろん法律上そういう根拠はありませんが、民間会社においてもまたしかりでありますから、国鉄、江若鉄道ともどもひとつ十分あと百七十人の人の就職というものには誠意をもって考えてもらいたい、これは労働大臣としての見解でございます。また、労働省といたしましても、職安その他を通じまして、そういう人たちが失業しないように、最善の御協力は申し上げたいと思っております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 ちょっと、大臣、理解が違うようですけれども、鉄道部門だけで二百五十何名おるわけですよ。そして、また、バス部門その他とあります。鉄道部門で現実、にそこで仕事をしておいでになる方々です。五十キロの長い区間、そしてそれがほとんど九割幾らまで同じ線か同じ線に近く走るわけですから、この線ができたら、その鉄道部門は廃止になるわけです。それに沿線からみな就職をしておるわけです。国家事業だからといってそれをやって、現実はいままで昭和六年以後長い役割りを果たしてきた鉄道部門はおまえはお払い箱だということじゃ、これはどうにもならん問題で、それじゃ、上のほうの会社機構が取引をしたら、労働者はいつでもお払い箱になる。そんなことは労働者の身分保障としては認められない。だから、基本原則として、たとえば鉄道のように国家の計画によって敷かれるというなら、交通事業に働いた者については身分が保障されていく、そこで新しい営業をやり事業をやる者はその身分の保障に力を入れる、身分をその事業に引き継ぐというのが当然だと私は思う。それは、中には、いろいろの面でさっそくその新しいところに適切であるかどうかという問題は、個々には議論のあるところであろうけれども、しかし、同じ交通機関、鉄道事業に働いた者については、やっぱり原則として身分保障を引き継いでいくという労働政策がなければ、上のほうだけで金を取ってやって、従業員はそれでもうなくなれというような労働政策では困る。そうなら、新しい鉄道を敷設するときには、そういう条件が前提でなければいけないと私は思う。だから、身分保障という問題が鉄道敷設の中に入っていないというなら、私は、佐藤内閣の労働行政としてそれを前提に入れて、そして新しい鉄道敷設の認可をする、政策を実現するということにしてもらわなければどうにもならぬのではないかという考え方なんで、いまの会社が処理するということは、それは関連事業その他についてはいいでしょうけれども、実際にそこの鉄道に働いているところの者については、それはやっぱり労働政策として考えてもらわなければ結末のつかぬ問題だと、私はそう思っている。大臣、どうですか。

村上茂利労働省労働基準局長

○説明員(村上茂利君) ちょっと、法律的な問題もございますので、私から補足させていただきたいと思います。  これは、先生、十分御承知のところでございますが、普通の会社の合併でございますと、商法の規定で権利義務関係が包括承継されますから、問題はないわけでありますが、営業譲渡の問題になりますと、これは学説も分かれておるところであります。今回の江若鉄道の問題になりますと、営業譲渡的なものではなくて、私ども現在承知いたしておりますのは、敷地の買収を中心にいたしましたもののように聞いておるわけであります。したがって、一般の営業譲渡のような形態にもなっていない。そういう問題でございますので、従来、こういったケースにつきましては、消滅する会社の従業員の権利義務関係の承継問題については、もうしばしば争われておるところでございます。その処置につきましても、おのずから一つの傾向というものがあろうかと思うわけであります。  そこで、江若鉄道の問題につきまして、これから、国鉄側と会社側、あるいは従業員と会社側、いろいろと折衝する機会が数多く持たれることと思うのでございます。しかしながら、大臣がお答え申し上げましたように情報としては私ども承知いたしておるわけでありますが、今後の話し合いによって当事者間においてきめられるべき問題が数多くあるだろうと思うわけであります。そこで、今後交渉が進む前に労働省が労働政策としてそういったプリンシプルを確立することが今後の交渉をなめらかにさせるゆえんかどうかという点につきましては、やはり慎重に考えさせていただきたいという気持ちもするわけでございます。しかし、基本は、先ほど大臣が御答弁したとおりでありまして、当事者の交渉問題とは別と申しましてはなんですが、労働省としてはできる限り問題がないように処理したいと、こういう考えでございます。その点はひとつ御了解をいただきたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 いま交渉中といいましても、これからお聞きしますが、いろいろの立場から発言をされているわけですよ。何か知らぬけれども、事業の敷地だといったって、敷地を買えば鉄道はもう不要になってしまうわけですから、働く場所がなくなるわけです。そんな理屈じゃなしに、新しい建設をやるなら、具体的な財産関係ですから、買収の問題が出てきますけれども、それはそれとして、その事業の労働者が当然身分保障として新しい事業に同じ交通事業ですから引き継がれていくという形のものは労働行政としてやっぱり考えておいてもらわなけりゃ、私は話にならぬと思うんです。まあ、大臣は忙しそうだからもういいですけれども、しかし、そのことだけははっきりしておいてもらわぬと、これは話が進まぬと思う。だから、それはもう勝手に売買関係だからもうそこへまかしときゃいいんだという話では、労働者の身分保障というものはもうほんとうに飛んでしまう。せっかく労働省が雇用を確立し身分保障をしながら完全雇用の道を一生懸命に広域職安行政を含んでおやりになっているのに、そういうかっこうで資本の犠牲になってしまうということじゃ、これは許されない問題だ。だから、これからの折衝になりましょうが、労働省としてもいろいろとやっぱり労働者の身分保障のためには努力してもらわなければこの問題は解決しないと、私はそう思いますので、大臣の意見を聞いているわけです。

早川崇自由民主党労働大臣

○国務大臣(早川崇君) 法律上の問題は別といたしまして、藤田委員の御意見のように、できるだけ離職されることのないように労働省としましても関係者に対しまして努力をすることは当然でございます。また、国鉄の方あるいは江若鉄道の方にも、労働省も円満にこの問題が解決するように努力することをお願いをいたしたいと思いますので、それ以上のことはなかなかいまちょっと答えられませんので、御了承願いたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 運輸省の民営鉄道部長とそれから国有鉄道部長と二人お見えになっておるわけですが、いま労働大臣にお話しをしたように、江若鉄道ばかりじゃなしに、これからいろいろそういう路線が出てくると思うんです。土佐線もそのようだし、それから南薩鉄道も似たようなところ、それから北丹鉄道も、福知山−宮津間で、いま半分ですけれども、いずれ福知山で新しい線をつけて住民に利益を与えるような国の方式になってくる。これは私はその事業自身を頭から反対するわけじゃありませんけれども、しかし、そこで働いた同じ交通の労働者——バスと鉄道というのはまた別な話になりましょうが、同じ鉄道営業法によって施行された鉄道で働いている者が、新線ができたから首だということじゃ、これは話にならぬと思う。いま差し迫っているのは江若鉄道だと思いますが、運輸省としてはどういう見解をお持ちなんですか。いろいろ個々について新しいポストにつけるための折衝はあると思いますけれども、労働者が引き継がれるということでなければ、労働者は資本に隷属して何ぼ犠牲になってもいいという答えしか出てこないと私は思うんです。だから、運輸省も、この鉄道建設についてやるときには、それが前提の条件によって許可されたと私は理解をしたい。ということなんですか、そこは。

黒住忠行運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○説明員(黒住忠行君) 先生が御指摘のように、ケース・バイ・ケースによって若干相違があるかと思いますが、ただいまのところの新線建設におきましては、私鉄の鉄道をそのまま使うということは、規格の問題その他でやっておりませんで、新しく国鉄の新線を敷設いたします場合には、既存の鉄道があります場合には、それの線路敷等、利用し得る範囲内においては、お話し合いのもとに土地その他の物件を買収いたしている次第でございます。  その場合におきまして、買収の交渉が成立をいたしますと、会社側といたしましては、従業員の問題等は当然起きてくるわけでございますが、その場合には、基本的には、ただいま労働省からお話がありましたように、会社で処理すべき問題ではございますけれども、直接物件等の買収に当たります建設公団もこれに協力をいたしまして、できるだけ離職というふうなことがないように会社側とともに御協力申し上げてあっせんをするというような努力はして、なるべく円満に解決をすべきものだと思っております。  それから、その場合におきまして国鉄への就職ということも御指摘がありましたが、江若鉄道の場合におきましては、関係の会社が、御承知のように、私鉄の経営、あるいはバスの経営、その他の付帯的な事業をやっておりますので、そのほうに相当の人たちが収容し得るのではないかというふうに聞いております。それから国鉄の場合におきましては、現在の国鉄の財政問題等からして、目下のところでは国鉄が直ちにその職員をいただくというふうなことはやっていない次第であります。戦後、赤穂鉄道、宮崎交通、あるいは両備バスというふうなものが廃止になりまして、そこの用地等を国鉄新線のために買収したのでございますが、それらの場合におきましては、一応自社内で円満に解決しておるような次第でございます。われわれといたしましては、できるだけ円満にものごとが運ぶことをこいねがって今後も進みたい思っております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 最後の円満に解決するということについて努力されることについては、きょうおいでいただいた皆さん方に対してしっかりやってもらいたいということを申し上げたい。しかし、その問題は、新しい、よりよい輸送機関をつくっていくというけれども、民営鉄道にしても、国鉄にしても、たとえば複数なバス路線を設定するとか、既存の事業というものをやはり守りながら、その事業というのは財産関係だけじゃないんで、そこで働いている労働者の皆さん方もともに含めて守ってあげるという前提、この前提が買収とか新しい新線に基づいて廃止するときにはついてこなければならぬと思う。人の問題をほっておいて、財産関係だけ処理したら事は済むというようなそういうようなことは断じて許されないと私は思う。そのことを、金を出して買うたんじゃから従業員は勝手に処理せいなんというようなものの考え方に立っておいでになるとは言いませんけれども、そういうことになったらたいへんだ。だから、新線建設のときには、その従業員の問題をどうするか。一つの個所にある生産工場ならともかくとして、五十キロにわたって、昭和六年から今日まで鉄道マンとして、その経済社会の発展のために寄与してきた人を、新しい新線ができたからといって首を切って外へ出してしまうということは、人道問題だ、断じて許されない、私はそのことを言っておる。だから、円満にお話しになって了解をする中で解決するなら、私はとやかく言いません、そのことについて。しかし、新線を建設するという前提には、単に資本の売買ばかりじゃなしに、労働者もその沿線から今日まで通っているのに十分にこたえてあげるという前提がなければ、新しい新線をつくるなんということは、そんなら資本の大きいものは何でも勝手にして、資本の小さいところで働いておる者がいつでもごみ捨て場へ捨てられていくということになるんです、当然。この新線計画を立てたときには、運輸行政としてこのことは当然考えられたと私は思う。このことを考えぬで問題を処理しようなんというようなことをおやりになっておったら、私は、もう大きく言えば憲法違反だと思うんですよ。いまの労働関係法で保障されている問題とは違ったかっこうの答えが出てくると思う。だから、その前提ははっきりしておられたことだと私は理解しているのに、最近おかしくなってきている話を聞くわけです。ですから、どうも私は理解ができない。これからも出てきます。日本の交通事業が新しい輸送機関をつくり、古いものから新しいものに切りかえて、より住民の利益にこたえていくということは、今後とも確実に起きてくる問題だと思う。そのときに、長年そこで鉄道マンとして働いてきた人の身分をどうするかということは、当然考えなきゃならぬ。それを考えずに新線を敷設されるなんというようなことなら、それはあまりにも身勝手過ぎる。それは国家社会的に許されないことだと私は思う。そこらあたりはこの建設について運輸省としては考えていなかったんですか。きょうは大臣がお見えになっていないから残念ですが、そういうことは全然無関心で今日まで来られたんですか。

黒住忠行運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○説明員(黒住忠行君) 私のお話がことば不十分であったかと思いますが、先生御指摘のように、円満にといいますことは、物件の売買だけが円満に行なわれるということではございませんで、それに付随しまして現在の人たちをどうするかという問題は当然大きな問題でございます。したがいまして、鉄道建設公団といたしましても、当該会社に協力をいたしまして、極力その人たちの就職のあっせん等の努力をするというふうに指導をいたしている次第でございます。今後も新線の場合にこのようなケースが起きてくることば当然予想ができますので、今後もそれを円満に行なうように公団等を指導してまいりたいと思っております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そうすると、こういうことですか。新しく新線ができる場合には、新線に従業員を引き継いでいくようた方向で円満に解決したいと。単に就職とおっしゃっても、いま五十キロもある今津の人に就職を世話したから、京都へ行きなさい、今度は大阪へ行きなさいという就職のあっせんじゃ困るわけですからね。そんなものじゃ困る。だから、あこの人は、新線ができたら同じ鉄道マンとしてできるだけその事業に合うようなかっこうで吸収していく、それをやはりやってもらわなければ、単に就職なら、あなた、今度は彦根へ行きなさい、京都へ行きなさい、大阪へ行きなさい、仕事を世話してあげます、これじゃ私は話にならぬと思う。だから、そういう点は十分に配慮してやってもらわなければ、それはもう話にならぬと思うんです。新しい線にどれだけ吸収ができるか、駅が少のうなって全部二百七十名吸収できないかもしれません。その事実は私はわかりませんけれども、そういう場合に、本人が鉄道マンとして一生を交通事業にささげてやりたいというので今日まで二十何年通ってきたのがよそへ飛ばされてしまうようなことのないように運輸省としても指導してもらわなければあまりに片手落ちだと、私はそう思うから意見を申し上げている。運輸省としてもそれはやってくれますね。

黒住忠行運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○説明員(黒住忠行君) いまの就職の件でございますが、これは本人の希望と受け入れの関係がもちろんあるわけでございまして、受け入れ可能なところにもちろんあっせんをするわけでございます。直ちにこの場合に国鉄ということを私は申し上げているわけではございませんで、公団等でいろいろ会社と御協力申し上げましてあっせんを申し上げますのは、たとえば、公団で採れれば公団、あるいは工事会社等でも最近は交通の技能を持っている人が必要でございますので、そういうところで受け入れの可能な余地があればそういうところに就職をあっせんするというふうな意味でございまして、いま直ちにどこにどうということじゃなくして、やりは会社側におけるあっせんあるいは努力と相まちまして御協力申し上げまして努力をしていくという意味でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そこらあたりのところが私は非常に納得しにくいんだけれども、国鉄が営業しようとどこが営業しようと、やっぱりそこの作業能力を生かしていくというところに指導するのが新線を許可された運輸省の任務だと私は思う。だから、その方向の中で努力をしようということと理解していいんなら、きょうのところは問題はあずけますけれども、そういうぐあいに理解してよろしいですね。

黒住忠行運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○説明員(黒住忠行君) いま、具体的には、本日も参っておりますが、公団のほうで会社と御相談をしておるようでございます。なおかつ、国鉄が受け入れできるかどうかにつきましては、国鉄からも出席しておりますが、私の聞いております範囲では、ただいまのところ、国鉄もいろいろな事情等がございまして、直ちに受け入れるということは困難であるというふうに聞いておる次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 国鉄がそう言っているからそれでしまいだというようなものの言い方じゃ、私は承知できませんよ。これはたいへんなことになる。まだあしたからの問題じゃないから、そういう新線ができるときには、古い線が廃止になるわけですから、その従業員が円満にそちらへ行くということに努力するのが運輸省の任務じゃないですか。あと国鉄が要らぬと言うたら、それでしまいだというだけですか、運輸省は。そんなことはないでしょう。そんな監督官庁であっていいのか。私はそれを言っているのです。だから、みんな円満に努力するという形のものだけは私は了承します。しかし、いまのようなことでは困る。公団のほうはどういうぐあいにお考えでしょうか。いまの私が議論した問題についてどうお考えになっているのですか。私がなぜこんな質問をするかというと、円満にそういう話がきまったと思っていた。ところが、最後のどたんばになって、公団も国鉄も運輸省も適当に放送されておる。一番最後の答えが、どうなっても労働者は知りませんというようなことかどうか、きょうは聞きたいから来てもらったのですけれども、あまりにもひどいじゃないですか。これはきょう一回で終わろうと思いませんけれども、公団側からいまの件について答弁を願います。

壺井宗一日本鉄道建設公団理事

○参考人(壺井宗一君) 公団といたしましては、先ほど運輸省の話がありましたように、指示に従いまして買収折衝をしておるわけでございます。土地の問題を中心としてやりますけれども、それに伴うところのいまの従事員の問題があります。これは、できるだけ円満に、そして希望があればその希望どおりにお世話したいという気持ちで誠意を尽くしてやっておるわけでございまして、公団で就職を受け入れるものが数名ぐらいは考えられるということで、これを考えておりますし、その他、親会社あるいは滋賀県その他へもいろいろ相談いたしまして、先ほど鉄道部長からお話がありましたように、工事関係会社その他を含みまして、できるだけのお世話をしようというぐあいにして折衝しておる次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 国鉄は、いまの状態について、どうお考えなんでしょうか。

井上邦之日本国有鉄道常務理事

○説明員(井上邦之君) 先ほど来の先生の労働政策に対する根本的な問題、これにつきましてのお説は、まことに傾聴すべきものがあると存じますし、また、十分拝聴させていただきましたが、ただ、いかんせん、現在の国鉄の経営の実態から申し上げまして、国鉄の新線を建設いたしまして新線ができました場合に、それに近接する地方鉄道が営業上非常な打撃をこうむるということで、あるいは地方鉄道軌道整備法による補償でありますとか、あるいは地方鉄道法による買収でありますとか、そういったことで地方鉄道を吸収する道が開かれておるわけであります。いずれにいたしましても、物件の買収、あるいは金銭の補償ということで、金銭上の処理でやるということがたてまえになっております。また、実際の例といたしましても、先ほど運輸省の国鉄部長からも申し上げましたとおり、戦後、新線建設に伴いまして地方鉄道に対して買収あるいは補償いたしました実例はいろいろございますが、いずれも職員の引き継ぎあるいは受け入れということはいたしておりません。実例もそうなっておりますし、また、現在の国鉄の経営状態からいいますと、御承知でもあろうかと思いますが、現在、国鉄は、五万人の経営合理化というものを実施しなくてはならぬということでわれわれ努力いたしておる段階でございまして、とてもよそさまの職員をそのままお引き受けするというような状態ではないのでございます。  かてて加えまして、国鉄の職員の年齢構成を申し上げてみますと、いわゆる中年齢層、三十五歳から四十四歳ぐらいのところで全従事員の五〇%、半分くらいのところはそういう中年齢層で占めております。さらに、その上に高年齢層の者がおるという状態でございまして、平均年齢も三十八歳というような、ほかの企業に比べれば非常に高い年齢になっておるような実態でございまして、これが国鉄経営に対しての大きな問題になっておるということはいなめない事実なのでございます。  したがいまして、この実情から申し上げまして、現在の国鉄の経営状態ではよそさまの職員をそのままお引受けするというわけにはまいらないということを率直に申し上げざるを得ないと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 国鉄が年齢構成が高い。高いから、その経験を生かして、安全輸送ができているんじゃないですか。それは、よその分から見て年功序列制だから、安い賃金で国鉄もやりたいという希望があるかもわかりませんけれども、年齢が高いから困まったとか困らぬとかいう話をここで言われてもしようがない。これはあなた問題ですよ。私はこの問題についてあまり触れませんけれども、しかし、私の申し上げたいのは、たまたま来てもらった運輸省と労働省——佐藤内閣ですよ、問題は。新しい新線をこしらえて、国鉄も全体の輸送のために必要だとして湖西線を政府が許可してつくるわけです。そうして、昭和六年から五十キロの間走っていたものが、財産関係だけで処理されて、従業員は知らぬなんということは、そんなことは許せぬと私は思う。だから、双方が努力して、監督官庁こそ努力をして、この人の処遇をどうするかということを、財産の売買とかそういうものを引き継ぐと同じようにやるべきですよ。土地を買うんだから、営業権までとるんじゃないから、こっちは知らぬというような理屈は世の中に通用しない。通用しますか。鉄道マンとして一般の常識として、五十キロのところを鉄道の敷地を買収して、そして新らしい線をつくるんじゃないですか。それを、鉄道を買収するだけだからこっちは知らぬということでその話がつくのですか。それはあまりにも酷だ、そんなことは。きょうはこれでもうやめますけれども、運輸省としては十分に省の中で考えてください。そんなことがありますか。それだけ生産の中心になってきた労働者が、そんなかっこうで、資本の取引だけで全部犠牲になるということは、断じて許せません。これは政治問題ですよ。そういうことはまあ部長さんにここで即答をせいと言っても無理でしょうから、私はこれ以上聞きませんけれども、これは監督官庁としての労働省に私は言います。佐藤内閣に問題を投げかけますよ。それは、労働者が足らぬ足らぬと言うているときに、国鉄の事情は事情で、国鉄がおっしゃっているのですから、国鉄の立場は立場でいいでしょう。いいでしょうけれども、監督官庁としては、ああそうですか、それなら国鉄のおっしゃるとおりだと言って済ましていい問題じゃない、そんな人道上はずれたことを行政上許してはならぬ、こう思います。だから、監督官庁としてはその点については真剣に取り組んで考えてもらいたいということだけを申し上げておきます。

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後二時二分休憩      —————・—————    午後二時四十分開会

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  社会保障制度に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、この際、厚生省としての医療に対する基本的なお考えを伺いたいと思います。  聞くところによりますと、国立病院の統廃合がだいぶ進められておるように伺っております。これらについて、その構想はすでに固まっていられるのかどうか、準備はどの程度に済んでおいでになるかという点をまずお聞かせ願いたい。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 国立病院、あるいは国立療養所につきましては、その発足の事情が、御承知のように、陸海軍病院、あるいは事業団の病院、あるいは傷痍軍人療養所といういろいろな性格がございましたけれども、当時は、現にあるがままの病院をそのまま引き継いで、当時荒廃におちいっていた国民医療のために全力を尽くすという形でございましたけれども、近年に至りまして  一般の医療機関も相当整備も進んでまいりました。一方、社会構造の変化並びに人口構造の変化等によりまして、疾病の内容等も相当変革してまいりましたし、また、各種の新しい医療に対する需要も出てまいりましたので、国立の医療機関としても、そのような新しい社会的な医療需要に対応するように医療機関の再編整備を行ないたいという基本的な考え方に立ちまして、国立病院につきましては、ガン、救急等の特殊な医療に即応する体制、また、療養所につきましては、結核患者の減少等に伴いまして、老人性の慢性疾患であるとか、あるいは小児の重症心身障害であるとか、あるいは、また、交通その他の障害に伴うリハビリテーションの問題というようなことに、新しい医療政策の立場から、新しい機能を付与し、強化をしていくという立場でそれぞれの性格づけ等を行なうと同時に、再編成の構想を現に部分的にすでに実行されているわけでございます。この詳細について、どの施設をどうということはいま申し上げるわけにいきませんが、総体的にはそのようなことである程度の年次計画を進めまして、その実施を行なっている段階でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 いろいろ計画を進めておいでになるということでございますが、それはやはり地域住民の医療、生命を守るというところを重点にお考えになってやっておるのか、メンツだけでおやりになっているのか私はその点がこのごろわからなくなりましたので、はっきり伺います。それから、いろいろ配置がえその他をなさいますけれども、それに伴うお医者さん、看護婦さん、これらに対しての準備はできておるのですか。精神科の医者が足りない、あるいは脳外科の医者が足りない、こういうことが憂えられておりますが、特にまた看護婦が足りなくて、病院ができても開業ができないというようなところもあるやに伺っておりますが、それらに対する対策はどのように進んでおるのか。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 個々の施設につきまして、それぞれの施設が、医師の充足であるとか、あるいは看護婦の獲得というようなことを個々の施設として計画し、実施していくということは、これはきわめて困難でございますので、医師の充足、あるいは新しい専門科の医師の養成、あるいは脳外科、ガンというような特殊な技能を持った医師の養成というものにつきましては、これは全国的な視野に立ちまして、全国的な計画としてそれぞれ実施しております。また、看護婦の養成につきましても、全国的な立場でできるだけ需給の円滑化をはかりたいということでやっておりますので、ただいまお話がありましたような新しい施策に伴いまして、性格の転換、あるいは統廃合等を行なう場合の個々の施設ごとの医師の充足、あるいは看護婦の養成というようなことは直接行なっていないわけなんです。したがって、これは医師、看護婦等の需給については全国的な視野で行ないますが、個々の施設については、それらの需給をできるだけ円滑にするように、たとえば年度の途中で開設するというようなことで非常に職員が得にくいというようなことも考慮いたしまして、できるだけ年度初めの需給の円滑なときにそのような操作をしてまいりたいというのが従来の考え方であります。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 個々の問題については別ですがというお話でございますが、個々の病院が問題なんでございまして、幾ら入れものをつくっても、これを扱う人がいなければ機能の発揮はできないわけです。いろいろ努力をいたしております、準備をいたしておりますということはいつもお伺いするのですが、はたしてそれがどうかということになると、まことに心細い感じだと思うのです。たとえて言えば、この間局長は、一週間以内の赤ちゃんが死産に扱われている。このことについて、確かに新生児を産婦の付属品として扱っているというような態度はいけないから、必らず新生児には看護婦を定員化するということの御答弁がありましたけれども、これだっても、いまの看護婦の現状でどの程度新生児に対して看護婦の定員を考えていらっしゃるか、こういう具体的なことに対しては明らかにしていらっしゃらないのですが、これがたとい一つにいたしましても、あなたの構想はできているのですか、それから、これを定員化する方針でおられるのか、これをまず伺います。努力いたしますということは聞き飽きている、具体的にお聞かせください。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 新生児看護につきましては、先般の委員会においてもお話が出ましたとおり、新生児の看護についても、在来の医療法の基準で看護能力を付与したいということで、したがって、従来のベッド数と同じように、新生児のベッドについても、四ベッドについて一人という看護婦を配置してまいりたいという構想でお話を申し上げておるわけでございます。その後関係の団体、特に新生児看護の推進をやっておられる団体等の御意見も伺いまして、現在その団体の手で具体的な調査が行なわれております。この調査結果に基づきまして次の具体的な措置に移りたいというふうに考えております。  なお、定員化という問題は、これは医療法の規定を改正するということが先決でございまして、それに伴って、定員化といいますと、これは直接響いてくるのは国立の医療機関でございますが、国立の医療機関につきましては、これは定員というものが年度初めに定まっておりますために、予算が伴いませんと定員増がいたしかねるわけであります。そういう意味で、国立の機関につきましては、明年度の予算要求の中にこれを盛り込んで実現してまいりたいというふうに考えます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 大臣にお伺いしたいと思います。予算もとれないということで、いつも大事なことがすっぽかされてしまう。人の命に関することでございますから、局長もたびたび言明していらっしゃるのでございますが、事、医療問題に関しましては、予算がとれなかったということで済まさないで、必ず予算をとる決意で医療の前進をはかってほしいと思いますが、大臣の御決意を伺いたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のとおり、いろんな政策の中で、生命、健康に直接関係する医療の問題でございますので、私といたしましても、これはもう何よりも大事な予算であるということは痛感いたしております。予算のいよいよ季節に相なってまいりますが、私は全力をあげて厚生省の要求を充足するようにしてまいりたい、かように決意をいたしております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 重ねて要望いたしておきますが、とにかくごまかさないように、真実そのままにして、さらばどうするかということでぜひがんばってほしい。大臣、社会保障費だって、同じ敗戦国でも、ドイツは国民所得の一九・九%ですが、日本は同じ年度ではたった五・五%なんです。命を大事にするするとおっしゃるけれども、具体的に、同じ敗戦国でも、日本はドイツの四分の一です。イタリアも、経済力は日本のほうがはるかに上のはずでございます。そのイタリアで一五・四%出しているのに、日本はたった五・五%、これじゃ話にならぬと思います。真剣に生命を尊重するなら、そういう点でも一段の努力をお願いしたいということを大臣に重ねて要望いたしておきます。  そこで、国立病院の個々のケースについては、まだどこをどうするかということは検討中だということでございましたが、この前、私は沼津と三島の合併問題について、これに対しては東静病院として青写真ができているのか、何棟でどういうふうにやるのか、定員はどうなのか、青写真を伺いたいと言ったら、まだできておりませんということでございましたが、相当たっておりますので、もう青写真はできておりますか。地域住民の要望を退けて、そうして医師会との中にいろいろとお約束ができて、そうして東静病院ということになり、そうして三島市議会、あるいは付近町村のたびたびの決議にもかかわらず、これを強行された。そうして三島は分院とし、近く廃止する、こういうことでございましたが、そこまできまっているのだから、東静病院の青写真はできている、もうできなければならぬと思いますが、いかがでございますか。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 東静病院につきましては、先般来お話がありましたように、三島、沼津両病院を統合いたしまして、五百五十床の病院をつくる計画をいたしております。そのうち、本年度は二百五十床の病棟分だけを着手するという計画でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 ただそれだけですか、御答弁は。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 本年度は、さしあたり第一期の工事として二百五十床の病棟をつくります。そのあと、さらに三百床の病棟があり、また、管理棟、あるいはサービス棟というような部門の整備がございますので、なお今後二年ないし三年近く完成までにはかかると思っております。これが完成した暁には、地域の特に不足している能力を付与するという意味で、東静病院にはガン診療機能を強化し、また、救急の医療設備も整えるというようなことで地元の要望にこたえていきたいという方針でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 とにかく、一応計画ができましたら私にお示し願いたいと思うのです。私は沼津は地元でございますし、いろいろ問題を聞いております。したがって、世間の疑惑も起こらないように、ほんとうに地域住民のためになるような方向にしていただけないならば、私も承知できないわけでございまして、ぜひ至急に青写真等ができましたらお示しを願いたい。  そこで、三島でも、市議会、あるいは地域住民こぞっての三島病院存立の運動がございます。厚生省にも決議をした決議も持ってくれば、陳情書も持ってきてお願いしたはずでございますが、これは聞き入れられなかった。   〔委員長退席、理事藤田藤太郎君着席〕 同じようなことが国立豊岡病院で起こって、だいぶ長い間もめてきたはずでございます。私はどうも納得がいかないので、しばしば委員会で質問しようと思ったけれども、医務局長は近く必ず要望のような解決を出しますと、ここで御納得願えると思うからと、いつ出すと言ったら、そのうち出します出しますと言って、いよいよ七月一日に告示をするというようなことを承って、私もよかったと思っておりましたが、それが七月一日になっても告示ができない。延び延びになって、最近何やら解決したように聞いておりますが、その経過についてお聞かせ願いたい。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 国立豊岡病院の問題につきましては、お話のように、非常に残念ながらごてごてといろいろ地元の各種団体の御意向の調整がつかずにもめてきたことは、私どもも非常に遺憾に思っております。国立豊岡病院はもともと病院でございましたけれども、結核対策の進展のために国立療養所に転換いたしました。しかし、最近に至りまして、豊岡病院の地区が非常に発展してまいりまして、都市化が急速に進む、そうしてそこが事実上都市のまん中になってしまったという事態がございまして、患者も、結核患者よりは、むしろ一般の診療を希望する患者が非常にふえてきているという事態がまいりましたので、国立病院全体の再編成計画の中で、四十一年四月をもって再び国立病院に転換するという方針をきめました。そうして、その際に、結核療養所であったために、診療科としては内科と外科しかなかったわけでございまして、これでは地域の一般診療をやるに適切でないということから、何とか診療科名をふやしたい。しかも、現在のあの入間地区には総合病院が一つもございません。そういう意味で、私どもとしては、ぜひこれは地域の需要を満たすために総合病院にしたいという方針で進めてまいったわけであります。したがって、四十一年の四月一日から総合病院にしたい計画をしておりましたところ、これがやはり方々で問題にするところとなりまして、地元の医師会等から、現在これを総合病院にさせることは地元の医師会の会員の診療と非常にダブってきてお互いに摩擦を起こすから、もう少し診療科名の増設等は待ってほしいという意向が出てまいりました。   〔理事藤田藤太郎退席、委員長着席〕 これについて地元の医師会の方々に、そういってもこの地域の事情として総合病院が適当なんだから、せひ了承するようにということを説明いたしましたが、なかなか納得がいかないということで、四月一日に総合病院にするものがそのまま延びてまいったわけであります。その間に、六月ごろになりますと、市議会のほうで——まだそのころは町でございましたが、町議会のほうで豊岡病院の総合化推進委員会というようなものもできまして、町長、町議会の方々もこれを強く推進されるようになってまいりました。しかし、なかなか医師会との話し合いのつかないまま経過いたしまして、両方の側から私どものほうにそれぞれ陳情等もございました。そういうことで両方が折れ合わないままほとんど一年を経過いたしまして、そして本年に至りましてやや歩み寄りの状況が見られまして、昨年市になりました入間市の在住の医師の十数名の方々は、原則的に総合病院化に反対するものじゃないという意思の表明をいたされましたので、地元の大部分の方々が賛成であれば、われわれとしてはここでもう踏み切っていいということで、お話が出ましたように、七月一日に総合病院にするような診療科名の増加の告示をしようとする準備をいたしまして、すでに起案をし、決済もほとんど済むという段階にまできたのでございますけれども、その段階になりまして、再びこの問題は入間市だけの問題ではなくて、その周辺の入間郡全体の医師会の問題である、したがって、郡医師会の総意として、とてもいま総合病院化をやってもらっては承服できないという意向が出てまいりまして、前におよそ賛成された入間市の医師会の方々も、事実の認識を誤っていたので、先ほどの賛成の趣旨は撤回するというような声明もされまして、また再びもつれ込んでしまったわけであります。そこで、私どものほうで最終的にあっせんに乗り出すということで、市側並びに医師会側に厚生省に来ていただきましてそれぞれの話をし、そして何とか歩み寄りの方法をあっせんしてまいったわけであります。その結果、最終的に本年の八月二十六日に国立病院課長が現地におもむきまして、両者の話し合いのあっせんをいたしました。そこで、総合病院とまではいかないけれども、さしあたって必要なガン関係の医療内容の充実であるとか、あるいは救急医療の充実、サービスの向上であるとかいうような点を含めまして、婦人科、放射線科、麻酔科、整形外科というような診療科の増設を行なうということで一応の話し合いがついた。しかし、その内容につきましては、まだそれぞれ両者とも決して完全に満足していない。それぞれなお不満を持ちながら一応の妥結点に到達したというが現状でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 医師会が二十二名反対はしないという覚え書きを出したんです。ところが、残る二人の方が非常に反対をして、その人たちが土地の信用があるかといえば、あまり信用のないお医者さんと私の調査ではわかっておる。そのために途中で医師会のそれらが厚生省にあばれ込む。その原因は、四十一年の四月当時に、当時の渥美医務局次長と丸茂委員との間に覚え書きが出ておる。そうして、もしこれを総合病院にする場合でも、内科、外科、歯科の三科とする現状維持の確認をされている覚え書きが交換されている。その覚え書きを読めとおっしゃれば読みます。これがものをいいまして、結局二十二名ですか、お医者さんが賛成したにもかかわらず、その二名の方の圧力でこれがひつくり返る、こういうふうに私は伺っております。そうして、また、入間市、飯能市、それから西武町というのですか、ここの議会では、それぞれ総合病院を早くつくってほしいという議会の決議もしている。にもかかわらず、二、三の人の反対、それによって一たん厚生省が七月一日に告示するというようなことがひっくり返ったというのが私には納得がいかない。一体、医療行政をどういうふうに考えておいでになるか。さらに私がどうしても了解できないと思いますのは、産婦人科、小児科、整形外科の新設について早く申請書を提出せよ、これは五月の下旬ですが、厚生省から病院のほうに話があり、それから六月の十二日には眼科と耳鼻科の申請を出せというようなことを申された。にもかかわらず、これが承認されない。そうしてこういうことで七月一日に告示するということまできていたのがひつくり返るということは、地域住民の念願、厚生省の方針が一たんきまりながら、二、三の人の反対、あるいは有力者の実力の前に厚生省が屈服したことになるのじゃないんでしょうか。ことに産婦人科ができるということで、ほかの国立病院の産科医長さんを豊岡病院に迎えるということで、そこの病院長の了解も得、そうして、また、その産科婦人科の医長さんも行くという回答をしているんですよ。ところが、七月一日には告示するからというので待っていたら、これがまたぶくになって、産婦人科ということであったのが、ただ単なる婦人科ということに限定されてしまった。これは一体どういうことなんでしょうか。地域の議会の決議も、地域住民こぞっての陳情も、これが二、三の人の圧力でこれがもとの振り出しに戻っていく。厚生省がせっかく総合病院があの方面にないからつくろうとなすったその意図も中途はんぱなものになった。これで一体厚生省の役割りがつとまるんでしょうか。これについてのお考えも聞きたいのです。まだ私これから質問いたしますけれども、まずその点から伺わしてください。ちゃんと厚生省から病院へ申請書を出せといっている。そうしてお医者さんもそのつもりになって、宿舎も用意していた。それが圧力に屈してこういう結果になったというのはおかしいと思う。聞くところによれば、上原議員の奥さんも、ぜひ総合病院をつくることに賛成してほしいというので医師会を訪問されている事実もある。これは一体どういうふうに判断したらよろしいのでしょう。国立病院、医療行政がこういうあり方でよろしゅうございましょうか。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 経過の説明でも申し上げましたように、私どもといたしましては、できるだけこの地区における総合病院にしたいという希望が当初からあったわけであります。しかし、御承知のように、もう非常に都市化してまいりまして、開業医等の数も確かに非常にふえております。そういう中で、今後ともその地域の中心的な医療機関としてやっていきたいという場合に、地元の開業医その他の方々と十分協調していくということが必要なわけでございますが、それがなまじっかのことでいろいろとトラブルを起こしておりまして全般的な協調が得られないということになると、たとい無理して強行してみましても予期したような成果があがらないということも考えられますし、事実、また経過の途中でも、全面的な医師会の反対というようなことが起こりますと、単にこの地区の医療だけの問題でなしに、厚生行政全般、公衆衛生も含めました衛生行政全般への県全体の協力体制というものにもひびが入ってくるというようなことも予測されましたので、そういうような点も考慮いたしまして、できるだけこれを穏便に協調的にやっていきたいということで、私どもは話し合いのつくまでねばっていこうという考え方でやってまいったのでありまして、決して地域の住民の方々の御要望を無視したということではなしに、できるだけすべての医療機関と全部協力して、総合的に地域の医療を確保し、向上したいという念願からの調停を期待したわけでございます。もちろん医師会以外の方々の大部分は総合病院化を希望しておられますので、議会の方面、あるいは地元の婦人団体、あるいは労働組合の協議会というような方々も、総合病院化にはきわめて強い熱意を持っておられたのは事実でございます。しかし、そういうような将来を見通しての問題、あるいは次に、実はこの豊岡病院と、近くにあります所沢病院、これは非常に近接しておりますので、そういうような病院を総合的に強化したいという構想がありますので、そういう将来の構想にまでひびが入ってくるようなことも困るというような配慮から、できるだけ円満な協調を遂げていく、そのためにこちら側の要望もある程度おりざるを得なかったというのが事実でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 おかしいですね。医師会の大多数が賛成したのですよ。反対されたのは二人なんですよ。二人のお医者さんの内容とか性格を言えといえば言いますが、あまり人を傷つけるというのはどうかと思いますので遠慮しますけれども、大多数が賛成をして、厚生省も総合病院がほしいから計画されて、そして、また、産婦人科、小児科、整形外科、眼科、耳鼻科の申請を出せといったのは厚生省ですよ。それで地元の地域の住民も非常に期待をしていたのですよ。それで七月一日には告示するところまでいったのですよ。大多数の医者が賛成した。たった二人のお医者さんの反対で、それで地域の医療とか公衆衛生が守れないような結果になるのでしょうか。あんまり弱腰じゃないでしょうか。それと同時に伺いますけれども、埼玉県は、この前も浦和市に県立の総合病院をつくろうという計画を立てた。これを聞いた医師会が真向うから反対いたしまして、とうとうそれがつぶされておるけれども、埼玉県は、御案内でございましょうけれども、医療の実態から見ると、病床数は全国最下位じゃないですか、人口に対する病床の数は。全国で四十五位か六位だと私は記憶いたします。それは医務局長知っているはずです。それでいて総合病院をつくろうとすれば片っ端から医師会につぶされている。それで地域住民の医療と公衆衛生が守れるのですか。たまらなくて、埼玉県県議会では、九月の定例議会で、ぜひ総合病院をつくろうという決議だけはいたしましたけれども、またつぶされるかもしれません。議会が決定して、厚生省が方針を出して、これが二、三の人の反対と実力議員の手によって圧殺されるということになると、厚生省は信頼できません。埼玉県はごらんなさい。しかも、一般病院の場合は、人口一万対病床数が四二・七床、埼玉県は二一・一床で、公立病院の少ないことも埼玉県の特徴で、その割合は全国平均二五・三に対して、たった八・三%じゃありませんか。こういうところへこそ国立病院の総合病院を建てるのが、私は医療行政としては当然だと思う。これはどうお考えでございますか。大臣に答弁願います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○国務大臣(坊秀男君) ただいま藤原委員の指摘されたことに対しましては、実は私も不敏にして今日までその詳細については、大体そういう話は承っておりますが、そのいきさつについてのつまびらかな点についてはまだ報告を受けていなかったようなことでございまして、なお、この点につきましては私もよく事務当局に事情を聞きまして、そして検討いたしまして、これについては、せっかく病院をつくるということでございまするので、地元の反対者等もまあ二人というお話でございますけれども、できるだけそういったような方々にもよく納得していただくというようなことで、できた病院の機能がスムーズに強力に行なわれるということも非常に大事なことでございますので、そういったような点も考慮いたしまして、できるだけ早くすみやかにこれを善処してまいりたい、かように考えます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 善処しないからこういうことになるのですよ。全国平均を見たって、公立病院が二五・三%あります。埼玉県はたった八・三%ですよ。だからいま厚生省でも総合病院が必要だとお考えになったのでしょう。地元の医師会の大多数は賛成したのですよ。はっきり申し上げますが、たった二人ですよ、最後まで反対したのは。その圧力に屈したのじゃありませんか。これで医療行政を完全に行なえるのですか。だから厚生省は弱腰だなんということを言われるんですよ。今度が初めてならまだいいけれども、すでに浦和の県立総合病院がつぶされているのですよ。そして地元の人があれだけ念願しているのに、これを無視して二、三のお医者さん、そうして有力議員なんかの前に頭が上がらないんですか。どうなんです、一体。もう一ぺん聞かしてください。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 先ほどの経過のところでもちょっと申し上げたのですが、お話のように、七月一日に告示をやろうという前の段階で、入間市の医師会の相当多数の方々が総合病院化に反対しないという意思表示をされました。二人の方が抜けていたことは確かでございます。その後におきまして、この豊岡病院の問題は、単に入間市だけの問題ではない、入間市を取りまく入間郡全体の問題であるということを郡医師会等の方々が主張されるようになりました。それで、郡医師会約二百名の医師の問題であるということから、二十二名の方々の賛成ということは必ずしも適当でないという話が出てまいりまして、そして先ほどの賛成された方々も、なるほどそういう観点からすればわれわれの認識が誤っていたというようなことで、事実誤認であったので、前の賛成の意思表示を取り消したいという意向が出てまいりました。したがって、そういう意味で二名だけの、まあ先生のおっしゃる実力者という方々の反対だけで厚生省が逡巡したということではなしに、より広い郡医師会というような立場でこのものごとをもう一度見直して反対に回ったという経過でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 議会が決議しているのにそれを無視して、配意は何もなさらないでしょう。それで、最初二十二名のお医者さんが賛成したことを取り消すというような申し入れにいったとき、厚生省ではそのときはさすがだと思う。一たん賛成しておいてそれを取り消すなんということは困ると、こういう態度は一たんはとった。けれども、結局は押しまくられてしまった。こういうことがまかり通るとすれば、どこに信頼したらいいのかということで、一般国民は非常な不信を持っておる。私は、時間の関係もございますので、あまり詳しくは申しませんけれども、全部調査いたしております。何月何日にどこの料亭で会合したとか、何月何日には病院課長が行った。あるときには、私が向こうの会合へ出るということを聞いて、藤原議員はひとつそういうところで発言しないように労組を通じて説得してもらいたいということが電話で厚生省から地元へいっている。いいんですか、そういうことをして。私は、社会党とか自民党とかでなく、地元全体の問題だと思うから超党派で促進運動をしている。その総決起大会に社会党の議員として出ることはいかがかしら、結束を乱してはいけないというので、豊岡病院を視察いたしました。そうして私はその会合には出ておりません。ところが、出ると思って気を回して、地元へ、私が会合へ行って発言しないようにしてもらいたい——とんてもないことてす。私は、幾ら厚生省から頼まれたって、やるべきことはやりますけれども、円満に事を運ぶためにはそれだけの配慮は私はいたしております。党利党略のためにこの純真な地元の運動に、もしじゃまになることがあったらということは、私自身はその程度の配慮はしておるのです。ところが、そういうことがあったにもかかわらず、結局最後の覚え書きは一体どういうわけなんです。最後の覚え書きを見てみますと、「昭和四十二年八月二十六日国立豊岡病院の運営について、医師会代表の方々及び立会人を含めて話合いの結果次のとおり取り纏めました。    記  一、国立豊岡病院の診療科目は合併移転するまで、現診療科目(内科、外科、歯科)のほか、交通障害に対する整形外科、婦人科、放射線科及び麻酔科を置くものとする。二、国立豊岡病院における外来診療は、交通障害患者及び開業医師会員の紹介患者に限る。三、前二項の履行のため国立豊岡病院及び入間地区医師会代表それぞれ数名をもって運営協議会を設置して実施の細部を協定する。」と、こうなっておるのです。それから、追記といたしまして、  「一、国立豊岡病院と国立所沢病院を統合する場合は移転する。二、移転先及び統合後の性格、運営等に関しては、周辺医師会と協議する。」、こうなっている。さらにこれに付随いたしまして、移転後の土地は医師会に払い下げてほしい、こういう申し入れがあった。ところが、病院課長が、この病院あと地を医師会に払い下げると、高い値段で払い下げることになるからうまくない、したがって、市長さん五千坪ばかりのほかの土地をあっせんしたらどうですか、こういうお口添えが病院課長からあったそうですが、そんなにも医師会にしなければ国立病院ばやっていけないんですか。  それと、さらに国立病院で診察を受ける者は、交通障害患者か、または開業医師会員の紹介患者に限る、こういうことが覚え書きに、しかも、病院課長立ち会いのもとで、ちゃんと立ち合い人に厚生省医務局国立病院課長とちゃんと署名していらっしゃるということになると、私が国立病院で診察したいと思ったら、まずお医者さんに行って紹介状をもらわなければいけないわけですね。突然急病人で外来へ行った場合には、これは診療拒否をするというたてまえになるようにこの文面では読めるのでございますが、こういう覚え書きを交換して、そうして、しかも、産婦人科というのが婦人科だけに限られている。こういう覚え書きを厚生省の責任者が立ち会っておきめになったというのはどういうわけですか。私はその点をはっきりお伺いしておきたい。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 先ほどの経過でも申しましたように、できるだけ診療科目の増設ということは、総合病院になるまでの診療科目を増設したいということで、当然眼科、耳鼻科まで入れたかったわけでございますけれども、そこまで話が至らなかっということと、まあ事実上いま年度の途中で耳鼻科、眼科を増設いたしましても、事実上医師の獲得がきわめて困難だという事実から、急いでみても実態がなかなか確保できないという点から、この程度の妥協でがまんしよう、こういうことで地元の市長さんとも話し合いの上で一応話をまとめてきたというのが病院課長の折衝の経過でございます。この中で、ただいまお話がありましたように、外来患者については地元の医師の紹介状のある患者に限るというような文句が入っておりますが、これについては、実は話し合いの途中で、従来からの診療科目については、これは従来どおりなんだ、新しい科目の増設等については、できるだけ予約制度、あるいは紹介制度というものを活用して、病院の機能と開業医の機能との調和をはかっていこうじゃないかという考え方があってこういう表現になったのだというふうに、病院課長の心覚えのメモもございます。この文面で、紹介状を持ってこなければ絶対に診察できないという意味のものではないというふうに了解しております。事実、また、医療機関というものは救急に患者が来られる場合、当然これは診療の義務がございます。したがって、通常いわゆる予約制、あるいは紹介患者というものを原則にいたす場合におきましても、そういう事情を知らずに訪れた患者については、これを門前払いするというようなことは、通常、常識ではないわけでございまして、これはある意味では急を要する患者として扱っていく。そして再来の場合には、これはしいて病院で診療する必要がない、地元の開業医等に見てもらってくださいという指導をするというのが従来のこのようなシステムの運営の基本的原則でございます。したがって、この場合も、そのような従来の外来診療の予約制、あるいは紹介制というような基本的な考え方を強調したものと私どもは解釈しているわけです。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私ども社会党としても、開業医師の果たしている役割りはよく承知しておる。したがいまして、将来はホームドクター制度にして、イギリスのように、それで簡単な病気というか、それは医者が見るけれども、病院へ行ったほうがいいというものを病院へ、それでなければ国立病院その他が外来に忙殺されて、鼻かぜくらいでも大病院へ来る。これでは外来が混雑して本来の目的を達せられないという欠点は承知しているのです。将来はそうあるべきだと私も思っておりますけれども、いまこの段階で日本にはそういう習慣がないのです。それと、いま一つは、もし悪徳なる人があって、私はほかの医者で見てもらいたい、いや、だいじょうぶですよといって引きとめられて重態になった例は多々あるのです。そういう場合も想定いたしますというと、ちゃんとした病院課長立ち会いのもとで取りかわした、これに「開業医師会員の紹介患者に限る。」とあるのですからね。そうすると、この文面どおり見れば一般の人はそう思うでしょう。そうすると、病気になれば一々お医者さんに行って診察してもらって、そして紹介状をもらって行かなければならない、こういう煩瑣な手続、そして、また、その人が、いや、国立病院に行く必要はありませんといって紹介状をくれなかったら行くことはできないというふうに一般大衆は理解いたします。それがまた一つの目的であったようにも思うのですよ。総合病院に徹底的に反対した二人のお医者さんなんかの考えはここに問題があることを私は指摘したい。もしあなたの言うような趣旨であるならば、それを地元に周知徹底させてもらいたい。一般は非常な不満を持っておる。それと同時に、市長さんとも相談してということでございましたが、そのとき二十五、六日と会合を持っているのです、病院課長さん出張して。ところが、市長に出てこいと言われたのは二十六日の午後になってから。それで、これを示されたときに、婦人科——産婦人科から「産」を除いて婦人科だけ、しかも開業医師の紹介状ということについては何とも私は了承ができない。二時間くらい市長さんは黙秘権というのですか、黙って発言しなかったそうです。そうしたら、ここまで来てあなたが承認しなければ話はまた別ですよというようなことを、暗におどしをかけている。こういう例もあるのですが、局長は御存じないかもしれませんが、むしろ病院課長が能動的になって取り結んだような契約と私は承知いたしておる。市長さんも承知の上だ。なるほど市長も立ち会い人になっておりますけれども、市長さんも非常に不満だ。けれども、お上の圧力の前にやむを得なかったと、これが実情なんです。私はこういうことでは困るのですよ。市長さんは非常につらがっています。こういうことまでしなければならないのですか、病院課長は。私はこういう点が納得ができません。それと同時に、地元の医療機関もだんだん発達しているからと、こういうふうなさきの御答弁でございましたが、なぜ産婦人科から「産」をはずしたか。調査によりますと、入間市内にどれだけの病院があるか。産婦人科開設のために、いまどれだけのベッドがあるか、すぐ調査しろ、きょうの私の質問要旨を見て、厚生省はちゃんときのうだかおととい向こうに聞いて調査している。ところが、入間市内の出産は年間千三百件ある。それで、自宅出産が九十三件です。それから、入間市にはどれだけの産婦人科病院があるかをお調べになったようでございますが、これは内科、小児科、産婦人科と併設しておりまするベッド数が、全部内科、小児科を含めて産婦人科を掲げておるベット数は四十二床でございます。ところが、その中には内科も小児科も入っている。それに含まれた産婦人科、これを全部ひっくるめて四十二しかないのです。それから、母子センターが六床ある。母子センターがあるから産婦人科は要らぬじゃないか、こういう説得もあったそうでございます。ところが、母子センターには、御案内のように、お医者さんはいない。たった六床なんです、年間千三百件もお産をするところで。そうして母子センターがたった六床。それでも安いからフルに回転していると見えまして、年間百七十三件四十一年度では母子センターがお産を取り扱っておる。けれども、残る人はどうしますか。結局入間市内で病院がなければ他の市へ入院しなければならない。いま妊娠中毒症その他がふえて、厚生省だってなるべく施設で生むようにと指導しているはずです。ところが、入間市ではないじゃありませんか。それなのになぜ産科だけははずさなければならなかったのか。聞くところによると、二人の反対のお医者さんのうち、一人が産婦人科を掲げているそうですね。あまり欲ばったって手も回らない。地域住民の健康を度外視した横やりに屈したのは厚生省じゃありませんか。それでも、私、調査によるとこれだけなんです。これだけで足りるとお考えでしょうか。入間市はどんどん人口がふえているのです。しかも、あの周辺には総合病院は何にもないのです。こういう場合に、もし異常お産その他があったりしたらどうなさる。私はこういう点を調査した上で、やはり認可というか、告示されるのが厚生省のやるべき道だと思いますが、反対にあえばこういう弱腰にならざるを得ない何か理由があるのでございましょうか。私の調査ではこうなっておりますが、あなたのほうで何かお電話をおかけになって、その御返事ばいかがでございますか。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 私どものほうで、当初産婦人科という診療科目にしたいというものが、産科をやめて婦人科になったという事情に対する説明はどうかということでございますが、ただいまもお話がありましたように、現地におけるお産の事情というものはそれほど窮屈でなかったのだという話が前提になって病院課長と医師会との話が妥結したわけでございます。したがって、そのような過程におきまして分べんの事情がどうであって、そして現在の地元の六人の産婦人科の開業医の手で十分にやっていけるんだという事情の説明があったもののようでございます。しかし、その事情の説明を私ども直接聞いておりませんでしたので、それで実情を確認する意味で、昨日私どものほうで入間市における出産の事情を調査いたしたわけでございます。その結果によりますと、結論としては、なるほど大体まかなえる状態にあるなという感じを持ったわけでありまして、といいますのは、ただいまお話がありましたように、入間市に児童福祉法に基づいて設置された母子健康センターがございまして、これに先ほど先生は七十何人というお話がございましたが、私どもが聴取いたしたところでは、二百六名年間にここで出産をしたという報告を受けております。一方、六人の開業医の持つベットが四十二床でございます。お話のとおりでございますが、これで一体どの程度の出産をこなす能力があるかということをきわめて常識的に計算をいたしますと、たとえば四十二床の産婦人科のベットで、もちろん内科も小児科もございます。したがって、大体六割を一応産科に使えるという計算をいたしまして、しかも、その利用率が八〇%というような低目に見まして、そして一人の出産のための入院期間が十日という計算をいたしますと、大体七百二十六名くらいがそこで入院分べんができる。したがって、現実には約九百三十名程度の能力があるという計算になるわけでございまして、四十一年九月から四十二年八月までの分べん数が八百八十四でございましたので、なるほどこの程度であれば、とにかく現有の施設でも施設内分べんがまかなえるんだなという納得がいったわけであります。おそらく詳細は、もちろん八月二十六日の折衝におきましてはこのような計算はいたさなかったと思いますが、現地の方々のそういう実情を聞いて、大体いま産婦人科を増設しなくとも十分やっていけるという話に対して病院課長が納得したのではないかと思っております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 それは机上の空論ですよ。六割産科に使っておりますかね。内科、小児科、産婦人科なんです。六割を産科に使っている証拠がございますか。私の調査ではそうはいっておりません。  それから、もう一つ、これは医務局長は御心配していただかなきやならないのでございますが、最近は未熟児が非常にふえてきておるのです、全国的にみまして。ところが、産科、婦人科、内科、小児科なんというので、そういうところには保育器だの何だのという備えはあまりないのでございます。ちょっとおくれれば黄だんが激しかったりなんかして、精簿になる危険性だってあるじゃありませんか。だからこそ国立病院のようなものが必要なんです。総合病院が必要なんです。そういうところも考えてもらいたい。新生児で七日以内死亡のものは皆死産に数えておる。手当てをすれば助かる子供はずいぶんいるのですよ。いまの趨勢として、最近未熟児の出生がふえてきたということは厚生省の統計で出ておるじゃないですか。こういう点からいきましても、私は今度の産科をはずしたことには納得がいかない。  それから、いまあなたえらいこまかい御説明がございましたけれども、どこでやる場合でもそれだけ地元の調査をしているのですか、私はまさかそうじゃないと思う。何とか言いのがれをしようと思ってあなた方が知恵をしぼっておいでになったと私は理解いたします。私はあなたを責めているのじゃない。地域住民の福祉のために、医療行政の正しいあり方のために、今度の厚生省のとられた態度は納得がいかない。今度も国立病院の統廃合問題で各地で問題がすでに発生しております。こういう場合に、おれはこうきめたんだからこうやるんだということで、それで強行なさる。ところが、また医師会に反対されてごちゃごちゃなさることは、決して国民のための利益にはならないのでございます。だから今後は、事、医療行政でございますから、非常に重大な問題でございますので、ぜひとも慎重に配慮されて、地域住民の福祉を優先に考えていただきたい。開業医の方の問題は別途あるべき姿はできると思うのです。私は、今度の問題で一番しゃくにさわりましたのは、もし総合病院をやるならば校医を引き揚げる、いろいろな問題で協力しないというおどしの文面が出ているのですよ。そういう脅迫は、私はお医者さんとしてはとるべき態度ではない。そういう場合には大臣、厚生省が医師会を説得するぐらいの努力があってしかるべきだ。もしこれを強行するならば、校医その他一切、市の医療行政、公衆衛生等に対して医師会は全部協力しないと文書をもっておどかしをかける。私は、こういうことをされると、医師会の果たしておいでになる役割りを私は重々知っているし、ここにもお医者さんがいるのですけれども、ますますいやな感じがしてくる。どうぞそういうことのございませんように、厚生省は、き然とした態度で、総合病院のあり方はいかにあるべきか、国民医療はどう守っていくかということを重点にやっていただきたいと、強く要望いたします。そうして、これで豊岡病院の問題で最後にお聞きしたいと思いますが、所沢病院と合併して移転するということもきまっているのですよ。その移転先まできまっているのですよ。移転後の土地は医師会に払い下げてほしい。こういうこともちゃんと書類に出ている。それで病院課長が、移転して払い下げると高くなるから、市長、おまえどこか五千坪ばかり医師会に心配してやったらどうか、こういう話まで出ているというところを見ると、もう移転がきまっているだろうと思いますし、移転先の予定もついておいでになるだろう。そういう場合に、このあけ地を医師会に払い下げようとする御意思があるのかどうか、これをお伺いしておきたい。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 先生が先ほどお読み上げになった今度の協定書の中に——協定書というか、申し合わせの中にも、「追記」として、「国立豊岡病院と国立所沢病院を統合する場合は移転する。」という意味のことが書いてございます。これはすでに両病院の統合、移転ということを私どもも前からすでに言っておりますし、そうして医師会もこの点を承知しているところであります。現在この地区には、周辺の郡部を含めまして、非常にベッドが不足しております。したがって、私どもとしては、この地区に相当のしっかりした国立病院をつくりたいという気持ちでございまして、そういう意味で豊岡病院と所沢病院を合併して規模も大きくし、診療能力も高い、これこそ相当りっぱな総合病院にしたいということが私どもの念願であります。そういう意味で、いまここで所沢病院の総合化というような、所沢、豊岡病院の問題でごてごてとして、将来のさらに大きな問題に禍根を残すようなことがあっては困るという意味からも、これらの問題については私どももある程度姿勢を低くしていたことは確かでございます。しかし、幸いにそういうことで地元も両病院の統合ということに賛成いたしておりますので、できるだけ早い将来にりっぱな総合病院を建てたいというふうに考えております。これについては両方の市の市長さんも非常に積極的に賛成をしてくださいまして、移転先の場所等についても積極的に援助をするということで、一、二予想される敷地も現在ございます。しかし、なお移転先の敷地の確定はいたしておりません。また、移転後、当然所沢病院のあと地、豊岡病院のあと地は、これは病院の廃止に伴って用がなくなりますので、当然これは払い下げる形になり、まあこれらの払い下げをするに伴うその収入もこれらの病院をりっぱにする費用の一部に充てる計画でございますので、私どもとしてはできるだけ通常の評価でこれを払い下げるつもりでおります。したがって、現在医師会に払い下げるかどこに払い下げるかというようなことは、新しい病院ができ上がって、これらの病院が廃止された後の問題でございますので、まだ払い下げについては全く考慮はいたしておりません。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 そこで、地元の一番強い要望は産婦人科と小児科なんです。ということも頭に置かれて、ずいぶん地元に痛い目を見せておるのでございますから、この覚え書きがあったにしても、ぜひ何とか話し合って、地元が熱望しておりまする小児科、そうして産科ですね、婦人科だけじゃおかしいですよ。やはり産婦人科、これを何とか復活できるように配慮を願いたいと思う。どうでしょう。それもぜひ検討してみてください。地元では特に要望いたしております。ことに子供の問題等については、最近非常に婦人の間にも関心が高まっておりますし、産婦人科を、そして小児科を非常に強く要望しているということをここに申し上げて、私の質問を一応きょうは終わりたいと思います。  そこで、大臣に今後の姿勢についての御決意を伺いまして、私のお約束の時間でございますから、質問を終わりたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○国務大臣(坊秀男君) ただいま藤原委員のおっしゃられましたことにつきましては、これをよく調べまして善処いたしてまいりたいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 だいぶ時間も迫っておりますので、私三つの問題についてきょうはちょっと質問する予定でありますが、まず第一番に、北鮮帰還の問題についてひとつ援護局のほうにお話を承りたい。続いて、また少し北九州の病院の問題についてもお話をしたいと思いますし、あるいは、また、今度の特例法についてのその後の問題についても伺いたい。この三つの問題について伺いたいと思うわけであります。医務局長も、済みませんが、少しっき合ってもらいたいと思います。  それじゃ、まず、北鮮帰還の問題でありますが、九月の二十五日ですか、モスクワで会談が持たれたはずであります。それの結果は十分な結論に至らずして終わったというように聞いておりますし、その辺の問題について、その会談の様子についてひとつ御説明を先にしていただきたい。同時に、また、この北朝鮮の帰還の問題に対しては、北朝鮮の意向をあまり尊重せずして打ち切る線が出されたというところにも非常に不満があるようであります。そういうところの感情的なもつれが加わっているから、いろいろな会談が持たれておるのにかかわらず、非常にまあうまくいってない、こういうような情勢のように私は概略的に感じておるわけでありますが、まず第一に、ひとつその会談の模様をちょっとお話し願いたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○国務大臣(坊秀男君) 会談の経過につきましては、担当の局長から詳細に御説明を申し上げます。

実本博次厚生省援護局長

○説明員(実本博次君) この帰還協定の問題につきましては、いま先生のお話のように、国交のない国でございますので、日朝両赤十字社の間で話を進めるということで、八月二十五日から九月二十三日までの間モスクワで会談が行なわれたわけでございます。この会談は大体十五回に及んでおりますが、日本赤十字社のほうからの主張といたしましては、帰還協定の目的はもうすでに達成されたというふうに認められましたので、協定をさらに延長する必要はないので、そういう緊急事態に対処するために始めました集団帰国方式というものはこの際やめまして、いつでも好きなときに帰れるような方法でお帰しするというような考え方をその理由に述べたわけであります。  次に、帰還協定終了に伴います措置といたしましては、八月十二日までに帰還を申請した方で、協定の終了時までに帰ることかできない——協定の終了時は十一月十二日でございますが、それまでに帰ることのできない、いわゆる帰還未了者の数を示しまして、これが約一万五千でございますが、そうしてこの問題の解決は日朝両赤十字の責任でございますので、朝鮮赤十字会がその人たちを引き取るために配船を増加してくれるならば、日赤としても一定期間を限りまして、こういう帰還者に対して協定の例によって便宜を供与する用意がある旨を述べまして配船の増加を要望したのであります。  それから、最後に、協定終了後の帰還に対しまして、帰還手続、それから生活困窮者に対します帰還のための国内の輸送、あるいは宿泊の援助、それから、帰られるときに利用する船舶という事項等につきまして詳細説明をいたしまして、ことにナホトカ航路の北鮮寄港について北朝鮮側の賛同を得られるものならばそれによりたい。また、外国商船は一般にわが国の指定する港に入港することができることになっているということも説明いたしまして、協定が終了いたしましたあとの帰還方法についても具体的な話し合いの話題を出したわけでありますが、これに対して朝鮮赤十字会のほうは、終始協定の無修正延長ということだけを主張しまして、すべてのいま言ったような問題は協定の無修正延長によって解決するのだということだけを申し述べられまして、日本赤十字社のほうの提案については理解を示してくれなかったというふうな経過でございます。こういう経過をたどりまして会談は一カ月に及びましたが、やはり双方とも平行線をたどるだけでございまして、九月分二十日を過ぎましても何らの進展を見ることができなかったので、やむを得ず会談は一応打ち切らざるを得ないというふうな事態になったわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 非常に時間的にもかけて会談が運ばれたにもかかわらず、非常に平行線であったということは、私はそこの中にいろんなものを想像されるのではないかと、そういうことがやはりまたこういう協定を円満に発展をするのに支障を来たしていくんじゃないかということが私は非常に心配されるわけです。特に私はここでお伺いしたい点は、こうした会談に対しても、一定の方向づけを持ったままで、会談といえば、まあお互いに話をして、ある程度相手の言うことも理解していこうという立場でなくて、やはり日本の赤十字の側としては、かくかくあるべしというものをつくってしまって会談に臨むのではそれはいけないわけだし、向こうにもそういうことは言えるわけだと思うのでありますが、少なくとも、もう少し歩み寄りをするような余地を残して話し合いをする必要があるのではなかろうかと思うわけです。ところが、先ほどもちょっと私が触れましたように、もう北鮮側の意向を尊重せずに、こちらはもう打ち切りという線をはっきり出してしまうというふうなことでいけば、やはりその打ち切られることに対しての抵抗を示していかなければならぬということになって、話ができにくくなっているという傾向が非常に私はこの中にあるんじゃないかと思われる。特に私は新聞でもあのころ見ましたが、田中法務大臣あたりが韓国へ行かれて、共同コミュニケの中で発表しておられるとか、まあいろいろなことが出てきて、何といいますか、もう少し話が具体化してもよさそうと思うのが、非常に厚い壁になっておるような感じがするわけです。私はいまちょっと時間がないので、詳しいことを私はここにいろいろ用意はしておりますけれども、私はきょうはかいつまんで方向だけを一ぺんお尋ねをしたいと思うのでありますが、田川政務次官も非常に熱意をこめてやっておってくださるという話も聞きますし、できる話をこういうところでつぶしてもそれはいけないわけでありますが、しかし、やはり国民が納得できるような線でひとつやってもらいたい。特に私は、このモスクワでの会談が中止になっておる、休まれておるわけでありますから、これは来月の十二日でございますか、協定の期間が切れるのが。それまでの間にこの会談をもう少しやってもらったらどうかと、私はそういうふうなことを持つようなことをひとつ努力してもらって、そして話し合いをしてもらいたい。そしてこの北朝鮮側の望んでおるところの帰りたいという人、私はこれは八月の十二日で打ち切って、いま一万五千だという話ですが、私が聞いたのは一万七千八百ぐらいあるとか聞いております。そこのところはちょっと数の違いはあるにしても、そうした希望はあるわけであります。まだまだほかに帰りたい希望の人はあるわけですね。それを八月十二日で打ち切ること自体にも問題がある。ところが、いまそのあなたがおっしゃるような一万五千としても、一万五千名の人を二百名、三百名と帰還さすのには、なかなか十一月の十二日じゃ済まない。おそらく来年の三月になってもうまく済まないか、非常にこれは困難だと思う。ところが、これは帰る人たちのことを考えてみても、日本へやってきたのは、過去を振り返ってみれば、相当強制就労のような形でもって相当緩助を受けておきながら、帰るときにはいつまでで打ち切って帰れと言っても、やはりこれは話を聞いてみれば経済的な問題があって、借金を返して帰らなければならぬ人もあるだろうし、家財を処分して帰らなければならぬ人もあって、非常に難航しておるというわけであるのに、帰すことはできないということになってしまえば、またこれは今度はパッセンジャーと同じように自由に帰りなさいということであっては、やはりこれは向こうのほうも納得できないと思う。そういう点から考えて、私は、いまこの問題は非常に人道上の問題も含むであろうし、あるいは、また、外国間の信義の問題も含むであろうし、いろいろな問題がここにあるわけでありますから、そういうことを踏んまえて今後処置をどういうふうにされるのか。私はその処置をお聞きする前において、その十二月までの間にこの会談をどういうふうに持たれるのか持たれないのか。あるいは、また、その打ち切られるまでの間にはどういうふうな処置をされれるのか。今度はまた打ち切ると言ってはぐあいが悪いんですが、この協定の期間が過ぎる時期、過ぎてからは一体どういう代案を持っておられるのか、あるいは、また、どういうふうなことでやっていこうかというふうなことを、ひとつ具体的なことはいろいろな関係で外国のあれもありましょうから言えなくても、少なくとも、われわれが受け取って、なるほどそれじゃひとつというふうになるようにと、ある程度納得した線を出してもらわないと、あまり非常に片寄ったような観点で、それがまたわだかまりとなってこういう問題がよけいこじれていくということは、私どもとしては非常におもしろからぬと思うわけでありますから、そういう観点で二つに分けてひとつお話を承りたい、こういうふうに思うわけであります。

実本博次厚生省援護局長

○説明員(実本博次君) 私いまの先生の数字だけの問題についてちょっと御説明申し上げたいと思います。先生のおっしゃいました八月十二日現在の帰還希望者が一万七千人あるという数字も正しゅうございますし、私が申し上げました一万五千人という数字もそれなりに事実でございます。と申しますのは、一万七千人帰りたいという者の中で、月別にその帰還希望の月が書いたのがございまして、その一万七千人のうち、八月に帰りたいという人が二百七十八人ございます。それから九月に帰りたいという人が四百六十九人、それから十月に帰りたいという人が千二百一人、それから十一月に帰りたいという人が一万五千五百人、こういった月別に希望者数が並べられておりまして、そのトータルが一万七千ということになるわけでございます。それで、すでに八月に帰りたいといって申請された方は二百七十八人、うち八月二十日に帰還船が参りまして、そうして百五十六人の方が乗って帰られたということで、これはもうこれでケリがついておる、こういうことで一万七千の数字から落ちてまいるわけであります。それから、九月におきましても四百六十九人という方が帰りたいと言っておられましたが、現実に船が九月の二十三日に迎えに来て、二百十六人という方が帰っておられます。こういうふうにしてずっと一万七千の中からのけていくわけでございます。で、十月には千二百人帰りたいということで、これが今月の十八日にまた引き取りに見えることになっております。これもまたおそらくこの伝でいけば半分くらいの方がお帰りになるのではないか。ですから、結局十一月が一万五千人、こういうことでございます。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○国務大臣(坊秀男君) 大体の経過につきましては担当局長が御説明申し上げたとおりでございますが、モスクワにおきまして両赤十字の会談があり、わがほうとしては協定はもう打ち切る、先方さんは、これは無修正延期しろ、こういうことで平行線をたどったわけでございますが、わがほうといたしましては、打ち切っても、何らかの形におきましてこれは誠意をもって帰られるようにいろいろなことを考えて申しておったわけでございますけれども、なかなか先方さんが無修正延期だ、こういうようなことでついに話がまとまりませず、決裂して帰って来たということに相なったわけでございますけれども、わがほうの日本の赤十字といたしましては、これは何とかして誠意をもってこの問題を十分に、この協定が打ち切られた後も、また、打ち切られざる前に帰還を希望した方々が現実には帰還できなかったというような場合につきまして、これは何とか帰っていただくというような措置をとるというようなことで、私は、でき得べくんば再度また会談をやりまして、そうしてこの問題について円満なる解決が行なわれるようにやってまいりたい、かように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 前の協定の中には、たぶん前文や九条あたりでは、希望者があるうちはあれをするように契約されておるはずだと思うのですね。そうすると、やはりほんとうのたてまえから言えば、これも希望者がまだあるわけでありますから、この協定の精神を生かすとすれば、当然いま北鮮側から望んでおるような協定を続けていくというふうな方向にいってもらうのが私はほんとうだと思うわけですね。そういうようないろいろこまかいあれもあろうと思いますが、概括的に言えばそういうことが言えると思うわけでありますが、そういう観点で、私は、こうした問題が、いま厚生大臣のおっしゃったように、会談を持たれて、そうして円満な方向にいくのならばけっこうであります。それは努力をするという絞切りなことばでなくて、もう少し具体的にはどういうふうな方向で進めていくとか、あるいは、また、もしその期間までに間に合わないとすれば、あるいはどういう代案を持っていくんだとか、あるいは、また、その会談の中にはどういうふうなかわりの案を持って進むんだとかというような、先の展望をある程度ここで示していただいたならば、おそらく今後のまた会談もスムーズにいくようになるのではないか、こういうように私は考えるわけです。ただ、先ほどから申し上げたように、絞切り型の、努力するだけで、そして会談になればその協定は続けないという線で押していくということになれば、私は非常に大きなまた支障になってくるんじゃないかということで、お互いが不信感を持って会談をしてもなかなかうまくいかないというふうな観点から、私は、ここらで前段階と協定の切れる日にちを段階を置いて、その前でいままあ大臣のおっしゃるように、会談を持ってもらうとすればどういう方向で持っていこうと考えておられるか、もう少し具体的な方向を、具体的というこまかしくなくても、こういう方向でこういうふうに打開していくんだという事柄を示してもらったほうがいいんじゃないか。やはり特にこの協定を打ち切るという線はくずさないと考えておられるかどうか、そういう点もひとつ含めてお答え願いたい。

実本博次厚生省援護局長

○説明員(実本博次君) あとのどういうふうな具体的な案でもって会談を成功させるように努力するのかというお話でございますが、これは実は厚生省の関係だけできめかねる問題でございまして、法務とか外務とか、そういったような、あるいは運輸とかいったような各省ともう少し突っ込んだ話をしませんときまりませんので、その点の調整はこれからとるところでございますが、厚生省に関して申し上げますと、国内で、たとえば今後また新潟の港から帰られるというふうになればそこまでの国内輸送と、そこでの船待ちの間のサービスをどうするかという問題でございますが、これにつきましては、もう自己責任の原則で帰っていただく。ただし、生活困窮状態で、持ちものを売らないと旅費が出ないといった人たちにはやはり旅費もお出しするし、それから宿泊賃もみなければならない、このことは考えておるわけでございます。それ以外の点につきましては、先ほど申し上げましたように、船の問題とか、とにかく国から外へ出る手続が多うございますので、厚生省といたしましては関係各省とその辺のところをよく打ち合わせまして、どういった方法が一番いいだろうかということをこれから協議いたしたいと思うわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 もちろん他の省や、あるいは、また、いろんなところとのお打ち合わせもあるということは私もよく知っているんですが、しからば、それを一番推進をしてやる責任者はどこかといえば、私は援護局だと思う。だから援護局としては、厚生省としては、私はこれをもっと積極的に推し進めて、もう来月の十二日で、日にちもないわけなんです。それでいまからきまっていることは、そこまでの旅費とか、困った人だけに渡すんだということだけで、あとのことはこれから打ち合わせしますということでは、私は非常にそこには責任がなさ過ぎると感ずるわけです。まあいろいろ話を聞いておれば、いろいろ話は進んでおる、いろいろやっておってくださるということはわかるのでありますけれども、そういうだけのことであれば、やはりそこに抵抗が出てくることはあたりまえで、そういうこうを私は踏んまえてさっきからこの質問に立っているわけです。ですから、少なくとも、いままでの長い経過を持っているんだし、先ほどから言うたところの、やはり韓国といえども北鮮といえども、同じような立場で日本といままでの深い関係があるのに、それに対して、いまそうしたやり方に対してあまり問題を起こさないような程度で私はもっと積極的に援護局としては立ち向かうべきじゃないかと、私はそういうふうに考えるわけです。  そういう点で、私は時間がありませんから、これくらいで私は質問を終わりたいと思うのですけれども、いま申したように、その期日が切れるまでの間にもっと積極的な話し合いをすると同時に、あるいは、また、今後の方法ではこういう代案ぐらいは考えています、あるいはこういう方向でやるのだということがわかれば、ここでひとつ話しておいてもらうことが非常なこれからの大きな進歩になると思うのです。私はそういうことで言っているのであって、いまの状態で局長は言えないかもしれないけれども、大臣、あるいは、また、次官のほうから、ある程度そういう展望をもってここでひとつ御回答を願っておけばこれからの会談がスムーズにいくのではないか、そういう観点から、ひとつお二方の御意見を伺いたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○国務大臣(坊秀男君) 先ほど申し上げましたとおり、できるだけ再会談をやりまして、そうしてその再会談に際しましてどういった内容でやっていくかということについては、先ほど担当局長が申し上げましたとおり、これは会談でございますので、厚生省だけというわけにもまいりませんけれども、厚生省は援護というような仕事をやっておるところでございますので、できるだけ厚生省といたしましてはその目的に沿いましてこの会談に入っていきたい、かように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 じゃもう一つだけちょっとつけ加えますけれども、十二日に協定が切れますが、その会談をそれまでにやっていただくということは了承いたしました。同時に、また、私は、その協定も、いま言ったように、パッセンジャーと同じような形で帰国されるのに協力するというような行き方ではなくて、援護局らしい援護の意味を持ったところの、この協定に盛られたような精神を続けていくという再協定を結んでいただくという線も十分考えていただきたいということを要望しまして、そうして今後早急にいまのような趣旨を生かして会談にも臨み、あるいは、また、今後の協定についても考えていただく、いろいろ今後の取り扱いについても十分配慮していただきたいということを申し述べておきます。  それじゃ、この問題はこれで終わりまして、次の問題に移ります。  次は、この間の特例の問題の前に、私はひとつ厚生省のほうにちょっと簡単に一つ伺っておきたいと思います。  その問題は北九州市の病院の問題でありますけれども、あすこにはたくさんの公的病院があるわけです。先ほど藤原委員のほうからは国立病院についてのいろいろ御質問があったのでありますが、私は、国立病院と同じく、公立病院というものの性格は、将来これから日本の医療に対しての中心をなすもので、私は非常に大事なものだと思うわけです。そういう観点から、北九州市におきましても病院がたくさんあるわけでありますが、この市に属する市民病院がいま非常に赤字経営で困っておる。特に現在もう十一億くらい、今年末には十八億くらいの赤字になるというふうに聞いております。そのために最近起こったのは、その再建計画のために、再建の指定措置として全面適用を受けるようにして、しかも、それによって金融債を早く順位を回してもらうというようなことで全面適用をし、全面適用をした裏には、やはり非常に合理化の案をもって、従業員のベースダウンをするとかいうようなことで、非常にそこに従事している人たちの不安な状態をかもしているという現状であります。私は、いま藤原委員も触れられたと思いますけれども、いま医者が非常に少ないためにベッドを制限しているところもたくさんあります。あるいは、また、医療従業者も非常に入手困難である、そういうような面が非常にいま憂慮されているときに、このようないま合理化によってこういう病院を圧縮するような政策がもしとられたとするならば、私は厚生省の行政として、特に市民の側に立って健康を守り、あるいは、また、病気をなくするためのそうした重大な使命が公的病院にはあるわけでありますが、そういう公的病院がそういうようなことではたいへんな問題を起こすのではないかと思うわけでありますが、その北九州市の病院について何か厚生省のほうでは十分把握しておられるのかどうか、そうして、また、どういうふうな問題点がどういうふうになっておるということにそれをいまおとりになっておるのか、ちょっと一ぺんお伺いしたいと思います。

若松栄一厚生省医務局長

○説明員(若松栄一君) 北九州市におきまして市立の病院に公営企業法を全面適用をして、非常に累積赤字の大きいこれらの施設の再建整備をはかろう、それに伴って経営の合理化というようなものが起こり、その結果として医療内容の低下、あるいは縮小ということが起こるのではないかという御質問かと思いますが、私ども、残念ながらこういうことを聞いておらなかったわけでございますが、当然あり得べきことのように私どもは思います。と言いますのは、昨年地方公営企業法が改正されまして、地方公共団体の経営しております病院がその一部適用という形になったわけでございまして、その法律の中に、病院事業は原則として一部適用であるけれども、条例によってこれを全面適用することができるという条文がございます。したがって、この範囲内においては、これば地方自治体の意思でございますので、これをあえてどうこうということはないわけでございますが、この全面適用をするという理由は、おそらく再建整備計画を実行したいということにあろうと思います。再建整備の問題は、これは昨年法律改正が行なわれまして、病院企業についても一般の公営企業と同じように、本来その事業の収益をもって充てるべからざる経費、つまり具体的に申しますと、病院における看護婦養成の事業というような事業は、これは本来の病院収入をもって充てるべからざる経費と考えていいかと思います。そのような経費、あるいは正当な企業努力をしているにかかわらず、なお赤字が出た場合というような場合には、これは一般会計から資金を補給するという規定ができまして、病院事業、その他全般の公営企業について財務の明確化が行なわれたわけでございます。そういう経過をたどりまして、そのもう一つ重要な一環として再建整備の問題がございますが、再建整備は全面適用した事業について再建整備のための起債を行ないまして、その利子補給が行なわれるたてまえになっていたわけであります。そういう意味で、非常に大きな累積赤字をかかえているこの病院が再建のために全面適用をし、かつ、再建計画を立てるということは地方自治体としてやむを得ないことであろうかと思います。ただ、この際に問題になりますのは、この病院事業が原則的には一部適用であって、この地方公営企業法の中の総則の部分と財務の部分と雑則の一部が適用になっております。そうして、もし今度全面適用になりますと、組織に関する部門と従業員の身分に関する部門と、それから再建計画に関する部門が適用されるわけであります。そういう意味で予想される問題といたしましては、労務の関係が、従来は都道府県の一般職員、この場合市でございますが、市の一般職員であった者が公共企業体の職員になって、したがって、公共企業体の職員は労働関係調整法の適用を受けるということが起こってまいります。したがって、その関係で多少この身分関係の不安定が起こるのではないかというあるいは心配があるのではないかと思いますが、これについては、むしろ公共企業体の労務の関係は、企業の特質として、弾力的に賃金、給与等をきめていくという規定がございまして、むしろそういう事業として弾力性があるという以外に、特に一般職の公務員より不利益になるということはなかろうかと存じます。  もう一つ、再建整備に伴いまして職員を減らしたり、あるいは事業内容を減らすということが心配されるわけでございますが、これは現在のところ、事業内容それ自体を縮小するということの計画があるのか、ないのか私どもつまびらかにいたしておりません。しかし、この法律を全面適用し、再建計画を実行するということが直ちに医療内容の低下を招くかどうかということについては、これは直接的な関連はないものと考えております。したがって、医師、看護婦その他の職員につきましても、医療法に定められた標準を下回るというようなことが起こらないように、その点に関しては十分私どもも指導してまいりたいと存じております。そういう意味で現在再建計画がどの程度の内容で自治省に申請されておるかということは、私ども現在全然存じておりませんので、今後それらの点も含めまして、御心配のないような医療上の指導をしていまいりたいと存じます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いま御説明の中にもありましたように、私は、こうしたことが再建計画に持っていかれるというだけでも非常に市民は不安に思うと思うわけであります。同時に、また、これが業務、医療の面であるいは圧縮されるということがなかったにしても、私はこうしたようなその公的病院のあり方というものは、先ほど申したように、非常に私は重要な意義があると思いますので、厚生省のほうにおかれましては、ひとっこうしたことがこれからあちらこちらに起こってくると思うわけですので、そういうときにそういうふうなしわ寄せが国民の健康に及ぼすようなことになってはいけないので、私は十分これを庇護していただきたい、こういうふうに思うわけです。特に私ここで強調して話しておきたいと思うことは、この問題がこういうふうにして再建計画の中に、先ほど御説明の中にありましたように、やはり従業員のほうの身分のほうにもある程度の不安定さを持ってまいります。そうなればいい人を得ることが困難になってまいりますというふうなことで、それが悪循環をいたしまして、やはりこの医療の内容の低下ということは免れ得ないのじゃないかと思うわけでありますが、そういう観点で、むしろ私は、この再建計画はもちろんやむを得ないといたしましても、それによって財政を建て直して、今後はやはりある程度公費によってこれを負担しながら、その医療の内容を充実していくような病院として発展をしていくということが私は必要ではないか、ことにこういう公的病院が中心をなして、市民の健康を守っていくことが私は中軸になることであろうと思いますし、公的病院の将来の充実というか、そうした方向がむしろその赤字経営によって左右されて、そう穴埋めとして犠牲になっていくようなことがあっては非常に私は嘆かわしい状態だと思うわけです。特にこの北九州の問題では赤字も相当な額になっておるようでありますから、まあその再建計画をされる場合も、必ずしも全面適用にして、そうしていろいろふんじばっていく必要はない、一部適用でも同じようなことが言える、私は法の上の解釈からもそう言えると思うわけでありますし、そういう観点で、やはり厚生省としましても、自治省に対しても相当働きかけて、こういう公的病院を擁護して、そうしてそれが相当充実していけるような方向に行政指導してもらうということも私は必要じゃないかと思うわけであります。特に私はここで最後に申しておきたいのは、自治省あたりで再建のいろいろそういうワクにはあてはめてやられる事柄に対しても、私は、市民、国民の健康を守る立場から、厚生省としては厚生省の一つの考え方を打ち出して、そしてそれをどんどんと推進していってもらいたい。特に公的病院がそういうふうなことでだんだん縮小の方向へ向かうのではなくして、もっと発展する方向に向かっていけるような公的な資金の裏づけも考えていくというふうなことが私は望ましいと思うわけであります。ことに北九州のような六大都市の中の市でありながら、私はもっと一般会計からもいろいろ方法を考えて、縮小方向、あるいは縮んでいく方向でなしに、もっと公的病院が発展していく方向に私は資金的な裏づけも援助もすべきではないか、こういうふうに思うので、そういう点もひとつ厚生省の立場から、そうした国民の健康を守る立場から私は指導してもらいたい、こう思うわけであります。大臣にひとつ御所見をお願いいたしたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○国務大臣(坊秀男君) 北九州市の市立病院が非常に財政が悪化いたしまして、それに対して財政を再建しなければならない。これは財政が破綻してしまったのでは病院の機能がなくなりますから、さような財政の立て直しをやるために地方公営企業法を全面的に適用するということに相なったことから端を発した問題でございますが、いずれにいたしましても、この病院の使命というものは、治療をするということが第一の使命でございます。さような意味におきまして、財政再建ということでいやしくも医療の質が落ちる、機能が阻害されるとかいったようなことのないように、厚生省といたしましては今後よく自治省と話し合いをいたしまして、御心配のないように持ってまいりたいと、かように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 この問題はこれでひとつお願いしておきます。  次に、ちょっとこの間の特例法について、薬価問題についてお尋ねしたいと思います。  特例法が出まして、十月一日からは薬の一部負担もとられるようになります。同時に、また、九月からはもう初診料の値上げもされているわけでありますが、一部徴収が倍額になっておるわけでありますが、こうした中で、十三日でしたかの告示でもって薬価基準を改定された。非常に大幅な改定があったわけであります。そして、その改定の中には非常にミスプリントと申しますか、相当たくさんあったようでございます。それもまた二十七日に訂正をされた。また、これを見てみますと、三十日にも一部訂正をしておられる、こういうような段階にあるわけでありますが、この問題については一体どんなふうになっているのか、厚生省の担当の方からひとつ先に御説明を願いたい、こういうふうに思うのです。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 今回の薬価基準の改正につきましては、本年の二月に調査いたしました結果に基づきまして改正をしたというものでございます。それで、本年の二月の調査でございますので、予定といたしましては、大体七、八月ごろに薬価基準の改定をいたしたいということで、これが従来からの懸案でございました。趣旨といたしますところは、実勢価格と薬価基準とを合わせるということが中心でございます。   〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕 で、その後調査の結果につきまして、国会で御質問もございましたように、少し問題点もございましたので、十分に吟味する必要があるということで、この調査過程におきまして慎重に検討を施したわけでございます。したがいまして、この七、八月ごろに予定いたしておりました薬価基準の改定につきましては、少し時期がずれたわけでございます。で、従来の例に反しまして、七月には新薬の登載というものだけを切り離しまして、先に登載をいたしたわけであります。いずれにしましても、二月調査の実施でございますので、やはり相当実勢価格との差もあるということも判明してまいりましたので、何とか早く薬価基準の改定をいたしたいということで、相当急いだ点がございました。   〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 で、また、今回の改正につきましては、従来は大体四千品目程度の改正でございましたけれども、今回の改正は七千品目にわたる改正でございまして、従来の薬価基準の書き方を少し変えまして、同一品目というものだけでなしに、同一品目に属します商品名を全部横へ抜き出して列記をいたしました。それから、また、配合剤につきましても商品名を抜き出すということで、やはり四千近いものを従来の基準表に新たに加えたわけでございます。また、調査の結果が得られたものと調査の結果が得られなかったものを一表と二表とに分類をするというふうなことを、従来にないことを加えたわけでございます。そういうように非常に急いでおりました点と、それから、品目にしますと一万一千ぐらいの品目の改定というような状況でございましたので、それで相当数の正誤を出したわけでございます。この点につきましては全く事務当局のミスでございまして、まことに申しわけないというふうに考えております。そうしてそれが十三日の告示で出たわけでございますが、その後発見いたしましたのが約六百品目にわたりまして、これはいわゆるまるとか、ばつとか、てにをはとか、そういう間違いも含めまして、六百品目ばかりの誤謬があるということを発見しましたわけであります。それで、これは相当の数になりますので、六百品目ということになりますと相当のスペースと、それから、また、官報がおくれるという事情もございましたし、それから、また、あまり影響のない品目の中に影響のあるものが入っておっても御迷惑ということで、六百品目の中から三百六十九品目を選びまして、告示の上におきまして、もう少しかたく言えば、法律上やはりあとで疑義が生じては困るというふうなものをその品目だけ選びまして、とりあえず二十三日に印刷局へ官報原稿を送ったわけでございます。その正誤表が二十七日の官報で出たわけでございます。で、この間の事情につきまして、相当数の正誤が出ましたので、私たちのほうといたしましては、一応官報が出ました以上、法律効果が発生するわけでございますけれども、やはり相当数の正誤でございますので、まず二十三日に印刷局へ原稿を出しますとともに、事務的には、医師会のほうにも六百品目の正誤がある、もし何かに印刷されるならば、近く官報で正式に出すから御訂正を願いたいということも連絡いたしました。それから、二十五日になりましたが、全国の都道府県に、医療課長の内簡という、正式の公文書じゃなしに、内簡で、とりあえずこれだけの誤謬がある、十分周知していただきたい、近く重大なものだけは官報で告示するという旨を御連絡いたしたわけでございます。正式に二十七日官報が出ましてから、あらためまして正式の公文書を出しまして、管下の関係団体に十分周知徹底をお願いして、十月一日から実施に遺憾なきを期されたいという文書を出し、並行いたしまして、全県の保険課長に電話をいたしまして、そして正誤関係は印刷をして、管下の末端の全医療機関に速達をもって配布するようにというふうに指示をしたわけでございます。私たちといたしましては、正誤が出ましたあと、この周知徹底につきましては、局をあげまして全力をあげて都道府県の保険課と連絡をとって、十月一日の実施に支障のないようにしたつもりでございます。いずれにしましても、相当のミスを出しましたことにつきましては申しわけないと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 担当保険局長とされまして、いまの段階で、十月一日付で大体それで差しつかえないとお考えになっておりますか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 先ほども申し上げましたように、十月一日までに、県からの報告によりまして、大体すべての県につきまして一いろいろ方法がございます。県の御慣例によりまして、どうしても直送をするとあとあと郡市医師会なり県医師会といろいろ問題があるので、従来の慣例により郡市医師会長が数回にわたって確約されておられるからということで送らなかったところも数県ございますけれども、私が全県の報告をいただいたところでは、正誤表につきましては、各医療機関に渡っておるものというふうに考えておりますので、やはり非常にまずい告示ではございましたけれども、一応告示として出しまして、末端までお送りいたしましたので、各医療機関におかれましては、やはり十月一日実施の線でやはり良識をもっておやり願っておるというふうに確信をいたしております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 何か健康保険法の中にもございますですね。結局、厚生大臣あるいはまた都道府県の知事は、保険医療機関に対しては医療の給付について、あるいはまた保険医に対しては診療または投薬に関して十分な指導をすべきだということがあるわけですが、そういう観点の法のたてまえからいっても、私は、こういうような大量の一万一千の品目にわたるような変更があって、十三日で周知徹底すればいいと思うわけですが、二十七日にまた改正をしなければならなかった。それのためには、いま御説明を聞きますと、いろいろ電話なりあるいは文書なりでおやりになったと思うのでありますが、実際この医療機関に携わっている者は、私はそんなふうに簡単には、これは告示を十月一日までに出したから法律はそれでいいのだ、それによって良識でやられているものだと考えておるという考え方で、私はほんとうに末端まで行き届いておるかどうかということが非常に心配でございます。現に私の診療所でも、それは官報も買いに行きました。ところが、十三日の官報は売り切れて、なかったんです、途中で。それからまた、二十七日の官報を手に入れたのがやっと二十九日です。それはよほど積極的にやらしてそういうようなことだと思います。そういうようなことから考えたら、その医療機関が相当忙しく追い回されてやっているのに、私は、そういうものを買いにいって、そうしてその官報を見てきちっとやれるかどうか、非常に問題じゃなかろうかと思うのです。  私、ちょっと聞いてみたいのですが、一体官報は今度のためにはどれくらいたくさん増し刷りされてどういうふうな配布のしかたをされて、あれをされたか。徹底さした方法は、どういうふうな具体的な方法でどういうふうに徹底されたか、私はそこに疑問を持ちましたので、ひとつ御説明を願いたいと思うわけであります。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) お答えいたします。  官報でございますので、大蔵省印刷局の発行でございますが、一応向こうから来ております数字には、十三日のもとになりました告示につきましては、増し刷りが七万でございます。それから二十七日の正誤の官報につきましては、四万の増し刷りがされておるというふうに聞いております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それで、増し刷り、私もちょっと調べてみたのですが、そんなような報告でした。私はいま医療機関はおそらく七万ほどあると思いますね。しかし、この四万では全部に行き渡っていない。それからまた、七万でも、私現に実際買いに行って、売り切れていました。これは私が自分で見たのだから間違いないと思うのです。そういうようなことで、何かほかの医療機関で一ぺんに買い占めて、渡そうと思って買い占められたことがあるのじゃないか。だから、私はその官報の数を調べてみましたら、七万が出ているから、順序よく動いていたらみんな行き渡っているはずです。しかし、それが行き渡らぬのは、だれかが買い占めてどこかへ配ろうとしたのじゃないか。そういうようなことが二重、三重に重なってこういうようなことが起こったと思うのでありますが、実際問題として手に入らない。それを手に入れるためには、いろいろな方法で手に入れておりますけれども、しかし、そういうような観点で、それは医療機関がやらないから医療機関が悪いのか、あるいはまたそういう周知徹底をさせないのは、厚生省がさせなくても告示をしておけばそれでいいのか、どういうふうに考えておられるか、ちょっとお聞きしておきたい。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) この点、非常におしかりを受けるかと思いますけれども、官報をもって告示するものにつきましては、行政機関といたしまして一応官報で告示した上で、その利害関係者に全部その官報を送るなりあるいはそういう措置をいままでの行政機構としてはとっておりませんので、やはり十三日官報で告示したということで、先ほどの印刷局で合わせますと十一万ばかりになっておりますし、その点やはり官報を何らかの形で入手していただくというのが従来の行政になっております。ただし、私どものほうでは、それとは関係なしに、正誤表につきましては、やはり正誤があるのだということで、全府県から末端の機関まで全部正誤表を印刷をしましてお届けをしたはずでございますので、したがって、官報のほうも四万くらいの増し刷りで済んだかと思いますけれども、その点はやはり従来の例から見まして、官報を出してなおかつ利害関係者に全部行政機関の手で送り届け達するという点につきましてはやっておりませんので、その点御了承願いたいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 衆議院の、あれは何日だったか、私はちょっとあれを持ってきておりませんが、前の熊崎保険局長が、今後こういうようなことがあったときには十分厚生省のほうで、保険局のほうで責任を持って周知徹底をはかりますということを言明しておられたわけですね。だから、少なくとも周知徹底をしたという段階までは責任を厚生省で持たなければ、告示出しつばなしでそれはいいのだという解釈は私はどうかと思うのですが、その点はどうですか。少なくとも前の保険局長は、衆議院の社労委員会でそれを言明しておられるわけです。だから、それをひとつ。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) その点につきましては、十三日に告示が出ました場合にも、やはり告示につきまして各都道府県に通達をいたしまして、よく協議の上で関係団体に周知徹底をするようにというふうに通達をいたしておりますので、やはり県段階で県の医師会なり郡市医師会なり、そういうところに十分徹底していただくということで、一応従来の慣例としましては、行政としてはいいと思いますが、特に正誤につきましては、先ほど申しましたように、全力をあげて十月一日までに、私のほうとしましては日曜も出まして、全県の報告を聞く努力をしたつもりでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 その正誤の二十七日の告示の分はお届けくださったらしいのですが、十三日の分が手に入っていない人がありますね。そうするとまた、その人が二十七日の告示だけをもらったならば、前の十三日の分については知らなかったという場合は、むしろあとの分だけ改正になったようにとるかもしれないというトラブルもここでは起こり得ると思うわけであります。そこで、私はこういう点から考えて、非常に今度の措置が、二十七日にそれの改正が行なわれ、それが十月一日から実施されるのにトラブルなしに行なわれる、良識によって行なわれるという解釈だけで、私は厚生省のほんとうの担当官としてそういうふうな考え方だけで推していっていいのかどうか、その点に非常に疑問を持つわけです。  同時にまた、この二品目か三品目か、これなんかについては、三十日ですか、九月の三十日にこの改正が出ておりますね。こういうことになって、わずかといえばわずかですけれども、そういうようなことで、いま厚生省が十月一日にぎりぎりに間に合うように告示さえすれば、それで法的解釈はできるのだ、それに従わないものは不正行為だという考え方を持たれる。私ちょっとまたあとから、梅本局長が新聞の記者会見かなんかで発表しておられる点はうそであるかほんとであるか、一ぺん問いただしたいと思いますが、どうですか、そういう考え方は。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) いまの点でございますけれども、まあ役所の立場といたしまして、官報を出し、異例の官報の写しを伝達をするというところまでやりましたので、各医療機関におかれましては、実施される方が良識のあるお医者さんばかりでございますので、やはり法に従って告示を順守していただけるというふうに考えておりますし、それからまた、確かに非常に繁雑な事務をおやり願っておるというふうなことは十分承知いたしておりますが、その点は実際の問題といたしまして、患者さんとの間で、一応その調べる間はこれでもらっておく、あと過誤調整をするというようなことも、私の聞いておりましたところでは、そういうふうに実際には患者さんとお医者さんの間で便宜お話し合いを願うなり、一方、話は別でございますけれども、公的医療機関については一斉に新基準でやっておりますので、確かに病院のほうは相当の事務が倍加されててんてこ舞というふうな報告も受けておりますけれども、一応は、非常に殺到するという場合には、近日中に調整をして、もし取り過ぎれば返すというふうなことで処理をいただいておる。実際問題とすればそういうふうな形でやっていただけるのじゃないかと。  開き直って、役所としての法的意味ということでございましたら、先ほどからるる申し上げておりますように、やはり一応、けさのテレビでもおっしゃっておりましたが、悪法ではあるけれども、やはり法的効力が発生いたしておりますので、それを守っていただけるものというふうに確信いたしております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いまのように、公的病院でも非常に混乱をしておる。私もからだが悪くて公的病院に見てもらっているわけですが、そこでもこの四日の日だったか、三日の日だったか、こちらの東京に来る前に私は見てもらいまして、やっぱり帰ってきてから薬価基準と合わして計算をしてみましたら間違っているんですね、公的医療機関は。私はそうしたことから考えまして、いまのあなた方のおっしゃっている公的医療機関でもそういうふうなわけになかなかうまくまいっていない、これが私は現段階の事実だと思うのです。こういう段階において、私は少しぐらいは、告示でもって法律は効力を生ずるのだから、一カ月ぐらい延ばして、もっとフラットな、なめらかな方法でうまくいけることを考えるのがほんとうに私は行政機関としての態度ではないかと思いますが、厚生大臣、これに対してどんなふうにお考えですか。  私はむしろ、こういうようなトラブルがあるところをまだあとからもちょっとお話を申し上げますので、いかにトラブルがあるか、いかにむずかしいかということはおわかり願えると思うのですが、いまの話の中から、この状態で強引に、二十七日に正誤表も出し、告示を出し、そしてやっている、この間にはまだ十分徹底をしていない。徹底をしていないからして非常な間違いが起こる。間違いが起これば、これは医者に対する不信となって返ってくる。厚生省の指導がよくないために、医者と患者との間の不信感を来たしてくる。私は将来そういうところにくるのじゃないかと思うのですが、その点については大臣はどういうふうにお考えになりますか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○国務大臣(坊秀男君) このたびの薬価基準の告示が非常に誤植が多くて、これをまた訂正したというようなことは、これは一に私どもの不手ぎわでございまして、まことに相すまないことだと、私も深く反省をいたしまして、将来絶対にかようなことのないようにもつていきたいと、かように決意をいたしておるのでございますが、それにいたしましても、これは決して弁解にも何にもなりませんけれども、私も強く事務当局を戒めまして、今後こういったような重大問題についてかようなことは絶対にあってはならないから、ひとつ今後薬価基準等をきめるにあたっては、厚生省において今日までの行き方を数段ときびしく体制を整えていくということをやらしてまいるつもりでございまして、実はきびしくまあ訓告を与えたというようなことでございまして、これは厚生省内部のことでございますので、外に対しましては何らの弁解も何もするつもりは私はございません。一にこれは私の責任でございまして、まことに申しわけないことと存じております。  それにつきまして、いま大橋さんから、こういうようなことをしでかしたのだから、ひとつ周知徹底のために一カ月ぐらい延ばしたらどうか、こういうお話でございます。この点につきましては、担当局長からいろいろ御説明を申し上げましたとおり、本年二月に薬価を調査いたしまして、それでこれをでき得るだけやっぱり薬価の実勢と薬価基準というものは相近づけていかなければならないというような観点からいたしますと、その調査の結果というものはできるだけ早くこれを改定していくということか原則だろうと思います。なお、この薬価調査の結果判明いたしましたことは、約一〇・二%ぐらいの御案内のとおり値下がりがあるので、そういったような値下がりは、今日の日本の経済、ことに消費経済といったような情勢から考えますならば、これはできるだけすみやかに薬の価格の実勢というものを薬価基準に反映させていくということが非常に大事な私は目的だと思います。そこで、私は十月一日から実施してまいるということにつきましては、私の不手際はこれは幾重にもおわび申し上げますけれども、今日の日本のいろいろ物価が上がっておるといったようなときに、少なくとも薬は実勢が下がっておる。その下がっておることを薬価基準に反映さしていただきたいというのが私のお願いでございまして、自分の不手際は私はここで諸先生や国民の前に深くおわびを申し上げますけれども、これの十月一日実施ということはぜひこれをやらしていただきたい、変更をいたす意思は今日のところ私はございませんことを、ぜひひとつ御了承をお願い申し上げたいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 大臣のおっしゃるように、私も実勢に近寄らせる努力ということが早く行なわれることば非常にけっこうなことだと思います。思いますが、いまこのような状態で、現在、きょうは五日でありますけれども、五日の間には別に先ほどのお話ではあまりトラブルはないというようなふうに聞いたのですが、そうなのでありますか。局長のほうはどうですか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 十月一日の日曜日からこちらも出かけまして連絡をとり、その後刻々と各県からこの実施の状況について報告をとっております。問題は、やはり何か窓口のほうで患者さんとお医者さんの間に問題があるというふうな場合には、よく事情を調べて報告をするようにということを厳重に指示してございますが、いまのところそういうふうな報告を聞いておりません。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 このあれがないと言われておりますけれども、私がちょっと聞いた話だけでも、神奈川県あたりでもまだ十分徹底していないために非常に困っておられるという話を聞いております。あるいはまた、ある県なんかの報告を聞いてみると、これはもう非常に一ぺんに混乱をしておるから、一応旧点数でやっておいて、そして一月くらいの間に、先ほどちょっと局長も言われましたように、過誤調整をしたらいいのだという、私はこれはそういうことで、そういうふうなことを暗々裏に、県の保険課長との話し合いで、一月くらいの間は旧点数でいきましょう、そしてあとで請求するときに変えましょうと、こういうわけですね。私はそういうことでもし納得されているというならば厚生省というのは、やはりレセプトを請求するのに適当にやっていきましょうということで、少なくとも、何と申しますか、旧点数でやっている間中のやり方と、新しい点数になったところでは家族から取る金も変わってくる、あとからそれを調整すればいいというふうなやり方では、私は非常にそれは問題じゃないか。できるだけそれは実際に合わせたものでやっていかなければ、結局どこへそのとばっちりが来るかといえば、結局医者と患者との間の不信感になってくる。あれだけよけい払わされたとか払わされなかったとかいうことになってくるわけですから、そうすると、黙っておればそれだけ取ったじゃないかというようなことになって、いろいろな不信感ではね返ってくると思うのですが、同時に、旧薬価と新薬価とをある程度区切って考えるならば、厚生省としてはある程度請求書をつくるときに二つの方式を混同させるような形を実は植え込むようなことになって、もっとこういうような窓口徴収というものは厳格にやらないと、私はそれが一つの不信行為としてはね返ってくるのじゃないかと思います。  私が聞いている人なんかでも、今度のは本人の薬価の一部負担があるために、これが間違わないために、特別にある公的医療機関のいわゆる医事係の人なんかに夜間に来てもらって、個人の病院でそれを教えてもらって、いかに合理化するかということで非常に、九月中に十日間ほどレクチュアをやったという話を聞いております。私は、そういう人たちはまじめな考え方で、一部負担をもらうときに間違いのないようにと、たとえばいまおっしゃっているように、新点数になったために十五円に該当しない薬も出てくるわけなんですね、その薬が値が下がったために。そうすると、払わなくてもいいものを払わしたことになるわけですから、非常に患者に対して不信行為をかうわけです。そういう不信行為を一切やらないようにぴたっとやれるような行政指導も必要でしょう。少なくとも医療機関としてはそういう態度でなかったならば、患者さんに対しては信頼を受けられない。このごろは、キャッシュのところで、何はやったら何ぼもらうという、患者さんに納得のいくようなものを出しています。それだから、患者の方は、医療費がこれだけになったら何割の医療負担をしたのだ、薬は何日分もらったから何ぼの負担をしたのだということを納得して帰っていくわけです。そういうことがぴちっとできていなかったら、これは一つの商的行為と同じことになるのでありまして、あとから過誤調整をすればいいわというようなルーズなやり方は、私はやっぱりそれは一つの不信行為のもとになるのだと思うし、私は十分徹底したものにしていかなければならないと思うのですが、その点はどうですか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) ちょっと、誤解があっていけませんので。私が先ほど申しました点は、私のほうの立場といたしましては、あれだけ努力をして、告示が末端機関までお送りしてございますので、法律的な効果を発生しておりますので、各医療機関ともそれで新薬価基準で完全にやっていただけるものというふうに確信いたしております。先ほど先生の御質問で、おまえはそう言っても、事実、官報は十三日のやつは持っていない、あるいはまた山間僻地でどういうふうな事情でか官報を買ったけれどもどこかなくしたというふうな形で、私のあげました例は新薬価を順守してやっていくという立場で、確かに古いものから新しいものに変わったわけでございますから、相当お急ぎの患者さんがもういつまでも待っていられないで早く帰るというふうなときは、私の聞きましたのは、そういう医療機関については、新基準を守るという立場で患者に納得さして、あとで過誤調整をしようというふうな、患者さんとお医者さんとの話し合いでやはり新基準を守っていただいているという例を申し上げたのでございまして、こちらのほうの立場から、めんどうくさければあとで過誤調整をすればいいというようなことは全然申しておりませんので、ちょっと誤解のないようによろしくお願いいたします。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 たとえば、そういう話をせなければならぬような段階がいま医療機関の中ではあるのだろうと思うわけですね。実際の問題として、この一万以上の品目が変更されたやつを一々繰り出してやるのが非常にたいへんだろうと思うのです。だから、そういうことにはもう少し便利な早見表とかなんかをつくるような期間を与えてやるということが私は必要だと思うのです。どこの医療機関でも、厚生省でも皆さん御存じのとおりと思いますが、早見表をつくりまして、そしてそれをぱっと見ればわかるようなものをつくるわけです。それから、日本医師会も、何か言うておられたように、今月の半ばごろにならなければ早見表ができないということを言っておられます。そういう日にちが私は実際問題として必要じゃないかと思うのです。そういう意味から、混乱が起こってくる。そういうことを、いろいろ薬を使うのに一枚一枚開いてみて、一万一千品目のものを拾い出すのはなかなかできぬわけです。実際使われておったら、拾い出して何点ということを合わさなければならぬわけですから、そういうようなことをやるのはすみずみの医療機関までそれが徹底するような時間と指導というものが必要だと思うのです。ですから、そういうものは医師会も自発的にはやるでありましょうし、個々の診療機関もそれはいろいろとって、事務を扱っておる人に対して早見表をつくるわけです。そういう期間を、二十七日に変更を出しておいて、そして告示してあるからできるだろうと。それはできる人もあるだろうし、なかなかできぬ人もあるだろうと私は解釈せざるを得ないと思うわけです。そういうことになれば、今度は患者からもらうときには旧点数でもらうとなれば、もらわぬでもいい人からもらっているかもわからぬ。あなたのおっしゃるのは、新点数を守るという意味で患者さんに了解をしておいてもらえば、払えばいいというのですけれども、私は各医療機関でやって、うちはまだわかりませんから、そういうことでやっておれば信用にも関係してくるし、医者と患者との間の不信感のもとになると思う。私はそういうようなことを医療機関におっかぶせるということは、行政指導として医療関係担当者としては間違っておると思いますが、その点はいかがですか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 先ほどもお答えしましたように、私どものほうから過誤調整をすればいいというような立場で申し上げたことはございません。やはり告示を十月一日までにやりましたので、各医療機関ともそれを順守していただくということでしていただけるものというふうに考えております。  それから、もう一つ、いまお述べになりました点で、形を変えますと、周知徹底期間が短いということだろうと思いますが、まあこの点、先ほども申し上げましたように、確かにこの基準につきましては、先ほど大臣も申しましたように、本来八月ごろに出すべきものが相当調査結果の吟味のためにおくれておりましたので、確かに急いだ点はございます。それからまた、非常に恥ずかしい話でございますけれども、従来の薬価基準の改定につきましては、やはりそのインターバルというのが二週間であったり、あるいは極端な場合には二日しかなくて四千品目をやっておるというふうな過去の例から見ましても、まあ先生がおっしゃるように、非常にその間が短くてその混乱というようなことも一向頭になくてやってきておったという点もございますので、先ほど大臣からも非常におしかりを受けまして、今後こういうふうなことのないように、新しい機構も考えて、今後の問題といたしまして、十分に先生の御趣旨に沿うような方向に努力してまいりたいというふうに考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いままでにもそういう例があったとおっしゃいますけれども、今度のような値段の改正が非常にたくさんにわたったというのは少ないわけですね。そしていままでは大体、この次はどういうふうなものが変わるんだとか、どういうふうなものが加えられるとか、そういうようなものがあったために、大体予測ができたわけです。ところが、今度は、一体全体どの薬がどうなるかということを全然知らなくて、これだけ多くの品目、七千品目が変わっているわけですから、私は、その間に受けるトラブル、想像されるトラブルの状態というものは今度は非常に大きいと思うわけですね。  それで、二日ぐらいのときもあったというんですが、今度なんかも二十九日に初めて手に受け取っているわけですから、受け取った日から二日しかないわけです、十月一日に実際やろうとすれば。それだから、これだけの変化のあるものを二日ぐらいでやって、それは常識でやってもらうといったって、私はそういうような指導の方法ではいけないと、心からそう思います。  それからまた、私はいまの問題で、新聞であなたがいろいろお話しになっています。医師会でやったのは法律違反だと思う、こういうことを朝日で発表されていますが、こういうことを言われたのは事実ですかどうですか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) これは記者発表あるいは会見ということじゃなしに、個々の記者の方が私のほうをたずねられまして、今回の問題について相当長い時間お話を申し上げました。それで、新聞につづめてしまいますと、そういうふうにずばりというような形になっておりますけれども、やはりいろいろな予測を入れて話しをしても、つづめたりあるいはまとめたり、それから一定のところの話をこちらへ持ってきて話したいというふうな形になっておりまして、私は正面からそうずばりとそういうふうに、こういう場合にはどうなりますか、法律的にどうですか、というふうな質問の過程において、そういうようなことも話をしたと思います。  それから、特にそこで付言してどうこうという変わった形が出ておりますけれども、これなんかも、私としましては全然そういう意図をそういう場所につけ加えて申したことはございません。これは一つの裏話として、向こうの質問がこういうような過去の例はどうですかと、さっきお答えしましたようなことも御質問もありましたので、お答えしましたときに、またもう一つ変な形のものは、官報が出されましたあと訂正をいたしております。相当の実質的なものを訂正しておる例もございます。はたしてこういうものはどういうことになったのだという説明のときに、やはりこういうことにつきましては、先ほど申し上げましたように、事前にやはり内簡だとかそういうことで県のほうには連絡をしてございますし、いわば官報に出るのは正式だというふうな形で、やはり原稿なりあるいは内簡なりで相当言っておったので、あと正式にそういうふうに直したというふうに推定されますと。今回の薬価基準の改正につきましては、従来と違いまして十月一日から薬剤の一部負担という制度が始まります。したがって、二十七日の官報告示については全力をあげて増し刷りといいますか、正誤表を印刷してまで送った。おそらくそういうような形は、事前に何らかの形で連絡をしておいて、そして診療月の翌月に明細書を出されますが、そういうときまでに正式のものをつくればいいのだというふうなとられ方があったんじゃなかろうかという程度のおそらく雑談が、ほっとその場所に付言してどうこうというような形になったものと思います。そういう筋道を立てた話で会見もいたしませんし、女性の記者でございましたが、なかなか長時間に雑談的にいろいろな問題の御質問があり、お答えを申し上げたということでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それで私もやっとこれはけっこうだったと思うのでありますが、私はこの中で、先ほどあなたがおっしゃっていました医師会がやっていることは法律違反だ、こう言っておられるわけですね。医師会はいま簡易な早見表をこしらえて、そして送るのが今月の半ばごろになる。だからして、それからあとは新しい薬価基準を守るという意味で、あなたのおっしゃっているそういう意味でやるのだけれども、非常にやりにくかろうから、それで二十日ごろ、半ばごろに早見表をこしらえる、それからあとに過誤調整をしなさいという通知を出しておるようでありますが、これに対しては、あなたは法律違反だと、こういうふうに解釈しておると発表されておりますが、それもそうは言っていらっしゃらないのですね。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 私は会見その他で医師会のことについてどうこうということを申しておりません。やはり末端の医療機関で——ちょっと忘れましたけれども、十五円のボーダーラインの薬が十三円以下になったと、そこにそれじゃ今度お医者さんのほうでは新基準で翌月請求されるということになれば、患者さんのほうが十五円お医者さんから返されるということであれば問題はないけれども、返されなければその点はどうなるのですかという仮定に基づいた問題がございまして、そうすると私は、法律的には、患者さんから十五円もらっておいて、それで支払い基金に翌月請求されて、新点数で支払いを受けられるということになると、その金がそこへとまっておるのであれば、法律的に申し上げれば民法の不当利得というような性格に近いものになりましょうかねという雑談をしておったわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それから、先ほど同じように、そんなふうな形であなたがやはり法のたてまえで解釈しておられるわけでありますが、いままでぼくが申し上げたのは、あなたのさっきおっしゃったように、新点数を守るという意味で、しかし、そのときに新点数がわからなかったから旧点数でやった場合、患者との話し合いで納得してもらって、あとでその分を過誤調整すれば、そういうことになるじゃないか、新聞にもあなたがおっしゃったように書いてあるのですが、それは実は新聞の話が多少違うとおっしゃっていますけれども、それも今月の健康保険分の請求はまとめて来月の初めなんだから、それまでに新薬価がはっきりすればよろしいという考え方もあると、こう書いてあるのですね。そうすると、結局あなたのほうは、その日にちもぎりぎりに詰まって、新薬価が不徹底ということに対して、もう十月分の初めに請求するのだから、それまでに明確になればいいという考え方もあるということを、そういうふうに新聞記者がとるようなことを言うておられたというわけなんですけれども、それも先ほどのあなたのお話の中に、新点数をやろうという形で、患者との話し合いがつけてあれば、それで過誤調整してもいいのだということをおっしゃっているので、これと相符合するお考えだと私は思ったわけですが、こういうこと自身が、私が先ほど申したように非常に不信感を持つことになることは非常におもしろくない。こういうようなことがあってもいいという考え方もあるというようなことを思うくらいであれば、私はもう少し徹底期間を、今月の半ばでもよろしい、それはいつまででもいいから、もう少し徹底されるように一月ぐらいおくらしてからやるべきではないか。それをしないでもって、そういうような便法的なことを解釈するのは非常にまずいことじゃなかろうか。  特に、私はまた一面でいえば、日本医師会がとった態度も、非常にたくさんの医療機関をかかえた日本医師会としては、あなたのいまお話しになったことと同じ発想になるのだろうと思う。一方ではそういう発想をおっしゃりながら、一方ではそれは法律違反だというふうな言い方になってきますと、非常に受け取る感じ方、国民としては、何か医師会のやったり医者のやったりすることは法律違反になって、そしてこういうこともあるというふうなことで、これもやらないのは医師会に対してはいけないじゃないかというような感じ方を非常に受けるわけですね、これを読みますと。現に私の知っている人も、これは医師会けしからぬじゃないか、これはもうちょっと厚生省は手ぬるいんじゃないか、弱腰じゃないかと言われているわけですが、こうなってくると、やっぱりいま私が申したような、医者と患者の間に不信感というものが当然出てくるのであって、これは非常に憂慮すべき状態じゃないか、こういうように私は思うわけです。そういうことはやっぱり、もう少し指導上の弱さがそういうところにあらわれてくるんじゃないか、こういうふうに私は思うんですけれども、どうですか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) まずお読みになりましたのは、私が先ほど申しました付言というところだと思いますが、それは先ほども御答弁いたしましたように、そういう現在の問題につきまして申し上げたんでなしに、いろいろ御質問の過程で、過去においては非常に、二十日とかあるいはまた官報が出てから実質的なものをやっているというようなときに、おそらくその当時の考えは、よくわかりませんけれども、今回の十月一日からのように患者負担がないから、まあ事前に内簡なりあるいはいろいろの点でお知らせしておいて、正式にはゆっくり官報にも載せると、それはそういう窓口の一部負担がないために、内容さえ知っておれば、今度は診療月の翌月に請求を出すときまでに間に合えばいいというふうなルーズな考えといいますか、そういうことでおくれたことだったんでしょうと。私も保険局長になってまだ二週間ばかりですから、過去のことは知りませんけれども、そういうふうなことでありましょうというふうに言ったのであります。現在の制度についてそういう考えがあるということを付言したということは、私の真意でございません。  それから、十一月中に行なわれる十月分の診療報酬の請求は、当然に新薬価によることとなるという趣旨は述べました。だから、おそらく何でございましょう、こういう趣旨と過去のほうのそういう話の理由として言ったことを何か一緒におとりになって、現在の制度についてそういう考え方があるという付言をしたと、こういうふうになったんだろうと思いますが、私の真意でございません。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それで、そうでないということで非常に私もいいと思うんですが、特に私は、ここでまた特例法の状態、実施の期間でトラブルが何にもないかとお尋ねしたわけでありますが、何にもないということで、私もちょっと安心はしたんですが、私が耳にしておるところでは、あの条文の中で、二万四千円以下の人は支払わなくてもいいという特別なあれができたわけですが、その問題について一体厚生省としてはどういうふうな指導をされていらっしゃいますか。われわれが見るところでは、あれに該当する人は、窓口で非常に出しにくがる傾向があるわけですね。私はこういう低所得者であるということを言うわけですから、それを非常に出しにくい状態にあるのじゃないか。実際はそういうことがあっても無理をしていく、あるいはまたそういうものを出していい薬をもらえなくちゃ困るというふうないろいろなひがみがあるというふうなことも聞いておるわけでありますが、そういう点から申しまして、あの項を生かすためにどういうふうな手が打たれているのか。  ある県では、社会保険出張所が非常に動員をされて、そして全該当者に正規の証明書を渡してしまっていられるところがあると聞いております。あるところは、やはりあの趣旨にうたってあったように、申請して初めてあがるんだと。こうなると、健康な人はいつ病気になるかわからない、病気になってからもらいに行けばいいということでもらってない、病気になってそれをもらうのに行きにくいので、医者に行く気にならぬから、できるだけ事前に全部渡す。渡しておいても、私はそういうふうなことを恥ずかしがって使わない人があるのじゃないかと思いますが、そういうことから考えて、私は当然、全員に対して、全該当葛に対しては、社会保険の数は一切わかっているわけですから、それで当然渡されるべきと思っているわけですが、それを渡しておられるのかどうか、その辺のところをちょっと伺っておきたいと思います。

加藤威二社会保険庁医療保険部長

○説明員(加藤威二君) 証明書の交付につきましては、私どもといたしましては、第一線の社会保険事務所に対しまして、法律にはこれは先生御指摘のとおり申請主義になっておりますけれども、申請の出てくるのをじっと手をこまねいて待っているのではなくて、こちらから積極的に該当者を調べまして、そうして積極的に事業主に、交付という形になると思いますけれども、交付するという指導をいたしております。それで、まだ全国からどのくらい交付したかということは、全国的にまとまっておりませんけれども、私の手元に現在二十四県ぐらいから報告が参っておりますが、それで十月一日現在でございますが、五七・七%、該当者が御承知のように七一%でございますが、被保険者本人の七一%が該当するということでございますが、現在交付をいたしておりますのは、二十四県については五七・七%。したがいまして、該当者の約八割ぐらいでございます。それは一部の県で、全体ではございませんので、まだ全体的な統計は出ておりませんけれども、現状ではいま私どもの手元でわかります状況は、そういう状況でございます。  それから、もう一つ、それでは交付を受けた被保険者が病気になった場合、医療機関の窓口ではたしてその証明書を呈示して薬の一部負担の免除を受けられるかどうか、その実態についても調べるように、これは社会保険病院関係に通達を出しております。これは一応十日と、それから今月末ぐらいを区切りまして、それまでの実績をまとめて出せ、こういう指令をいたしておりますが、現在の段階では、その交付を受けた被保険者の利用状況については、まだ数字が出ていない状況でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 たいへん時間がおくれましたから、これで質問を終わります。まだたくさんございますが、もっと詳しく言いたいのですがもう五時半になってしまったので、これでとめさしてもらいたいと思うのですが、いまのお話の過程の中にありましたように、今度の大きな改正に対しては非常に、ただ薬価の改定ばかりじゃなしに一部負担という問題がからんでおるわけであります。そういう点で私はトラブルが多いと思います。また、現に窓口においてそういうふうに非常に不信感を買うことが起こり得ると思いますから、今後ともこの改正を踏まえて、いまの局長のような考えじゃなくて、もっと趣旨徹底の方向に十分進めてもらいたい。いま間違ったことは間違ったという厚生大臣のお話もあって、私はより以上それを突っ込んで言うのを手控えましたが、理論的にこれを究明していくならば、私はまだ言えると思いますが、そんなきたないことはやめて、これでやめますが、今後について申したいことは、局長並びに大臣のほうで特にこの問題に対しては、この特例法の実施に対しては、相当いろいろなこまかしいところに対して指導の注意をして、そうしてそういうことができるようなことにしてもらいたい。特に真意でなくて、短くするためにこういうふうな受け取り方のできるような文書になったということも了解はいたしますけれども、私はやはり根元にあるのは、こういうものを読んで受けるのは、やはり保険局の中では私はそういうふうな案外冷たい感じがあるんじゃないかというように受け取られやすいと思いますので、特に私は今後そういうふうなことで周知徹底のためには努力をしてもらいたい。少なくとも今後こういうことの改正が行なわれる場合には、早見表がみな十分でき上がるくらいまでの間にはそういうふうなことに踏み切らなくていいようなくらいの配慮はすべきだと思います。もう改定を二十七日に出しておいて、実際二十九日に手に取っておるという状態で、君たちがやらぬのが間違いだというふうな態度を示すことは、私は非常に監督官庁としての指導態度ではないと思うわけです。ですから、今後は少なくとも十分配慮して、そういう周知徹底のためにこういうことは進めていくということを明確にしていただきたいと思うので、それについての施策を聞いて私の質問を終わりたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○国務大臣(坊秀男君) 先般のこの特例にいたしましても、今度の薬価基準の改定にいたしましても、相当大きな改定でございまして、そういったような改定のあったときには、関係者の皆さんが非常にとまどう面も私はできてこようかと思います。そういったようなことも考えまして、御意見もございますし、私はこれらの改定がスムーズに支障なく実現していくようにいろいろとこれから配慮をいたすとともに、今後は、今度のような不手ぎわ、間違いといったようなことは絶対に起こさないというふうに体制を整えてまいりたい、かように考えております。

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もないようですから、本日の調査はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十二分散会

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