法務委員会 第2号
- 発言数
- 84 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1967/08/18
会議録
○大坪委員長 これより会議を開きます。 閉会中審査に関する件についておはかりいたします。 まず、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。 すなわち、先ほどの理事会における協議のとおり、第五十五回国会、内閣提出、刑法の一部を改正する法律案について閉会中審査の申し出をいたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大坪委員長 起立多数。よって、本案について閉会中審査の申し出をすることに決しました。 次に、 裁判所の司法行政に関する件 法務行政及び検察行政に関する件 国内治安及び人件擁護に関する件以上の各案件につきましても、閉会中審査申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、おはかりいたします。 閉会中審査に関し、最高裁判所の長官、またはその指定する代理者から出席説明の要求がありました場合には、そのつど委員会にはかることなく、その取り扱いを委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。 閉会中審査のため、実地調査の必要がある場合には、委員派遣を行なうこととし、派遣委員、派遣地及び期間等、その他議長に対する承認申請の手続等、すべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○大坪委員長 裁判所の司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、並びに人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。
○横山委員 本日は国会最後の日でございますから、大臣並びに次官のおいでを願って質問をしたいところでございますが、大臣が、あるいはおくれるかもしれませんので、その前に局長に伺っておきたいと思います。 最初、入管局長にお伺いをするわけですが、この前帰還協定について、本委員会で私並びに同僚委員から再三にわたって質問をし、答弁をされましたことは、その後全然御趣旨並びに御答弁の内容について今日変わりはありませんか。
○中川説明員 特に変わりはないと思います。
○横山委員 上司並びにその他の筋から、答弁の内容について、修正ないしは検討さるべきような示唆を受けられたこともありませんか。
○中川説明員 ございません。
○横山委員 御存じのように、日韓会談があり、そこで韓国の張副総理から三木外務大臣に対しまして、協定を打ち切るべきであって、その後、自余一切いかなる便宜その他についても計らうべきでないという強硬な申し出があり、それに対して三木外務大臣は、延長しない旨答えられたと新聞に報じております。 その後、総理大臣との会見においては、総理大臣は人道上については考えなければなるまいということはいれたのでありますが、それらの新聞を見て関係者の感ずることは、政府は、国会における答弁あるいはそれ以外の政府としての方針は、著しく後退したのではないか、こういう考えを持っておる向きが多いのでありますが、その点についていかがでございますか。
○中川説明員 今次日韓定期閣僚会議の会談内容につきましては、私ども全然承知しないのでございますが、この北鮮帰還の問題に関しまする限り、従来政府当局におきまして答弁せられました方針ないし要領に、後退とか変更とかいうことはないと承知しております。
○横山委員 日韓会談以後、あなたと法務大臣との間に、本件について御相談なり具体的なお話をなすったことはございましょうか。
○中川説明員 ございません。
○横山委員 そうしますと、少なくとも入管局に関する限りについては、従来御答弁願いました旅券の手続の問題だとか、あるいは向こうから船が来る、突然来ても困る、来る以上は断わるわけにはいかぬ、断わらないとしたならば、事前打ち合わせがあろう。あるとしたら、入港して迎えに来た人が新潟に若干の上陸もするであろう等々、入管局に関する従来の方針については変わりないと考えてよろしゅうございますか。
○中川説明員 私どもといたしましては、この十一月十二日の現協定有効期間中は、従来と全然変わった取り扱いをするつもりはございまん。
○横山委員 私のお話をしているのは、八月十二日並びに十一月という期限以後の問題についてお尋ねしておるのでありますからお間違えのないように。期限以後の問題について、るるいま御質問をし、かつ入管局に関する問題として、旅券その他船、上陸の問題を問いただしておるのですが、再度御答弁願います。
○中川説明員 八月十三日以降の北鮮帰還申請者に対しまして、その出国手続はこの間朝日、毎日両新聞にも公示いたしましたし、官報にも告示が出ておる次第でございます。これは入管局におきまして、先生御承知のごとく出国証明書を出すわけでございます。その点におきまして従来とちょっと変わるわけでございます。しかし、便宜はその意味で、はかっておる次第でございます。 それから先ほどの御質問の、万一北鮮側からの船が入った場合どうかということでございますが、この点に関しましてはまだそこまで、この十一月十二日現在におきますところの積み残り状況でありますとか、あるいは今後行なわれるという日本赤十字と北朝鮮赤十字との会談の模様でありますとか、そういうようないろいろなこれからの模様を勘案いたしまして、その場になってから研究したい、かように考えておる次第でございます。
○横山委員 八月十三日以降、十一月以降の問題に限定しておりますが、ということは、日赤と朝赤との間の相談を待っておる。待っておるという意味は、相談が事実行なわれ、それに対して政府としてはその相談の結果について受け入れる用意があるという弾力性を持って待っておるというわけでございますね。
○中川説明員 これはひとえに会談の内容ないし経過による次第でございまして、その場合に応じて善処したい、かように考えておる次第でございます。
○松本(善)委員 関連して。いま入管局長が答えられた中で、これからのは出国証明で手続をするということを言っておりますが、この出国について配船証明を持ってこいというようなことを言っている事実がありますか。
○中川説明員 ちょっと日付は忘れましたが、ただいま申し上げました官報の告示の詳細にございまして、各申請人は次のような書式を満たしてこいというのがございます。その中に、確かにいまの御指摘の配船証明と申しますか、いつ、どこ発、何という船に乗るんだという乗船見込みのようなものでございますね。配船証明というか、乗船見込みといいますか、その利用する交通機関をしるす項目がございます。
○松本(善)委員 いま言われた告示というのは、八月十二日の法務省の千四百六十七号の告示ですね。
○中川説明員 そのとおりでございます。
○松本(善)委員 そうすると、いま在日朝鮮人が、朝鮮民主主義人民共和国に行く船のどの船に乗るかという、いわゆる乗船見込みをとるということは、ほとんど不可能なことです。北の民主共和国の船がいつ入るか、どういう船が来るかというようなことについても、まだ協定だとかそういうことができてないというと、事実上この告示によって出国するということはできないということになるのじゃないですか。
○中川説明員 御承知のごとく、日本と北鮮の間には、ただいま外国船が約四十隻、日本籍船が約六十四隻、年間にして約二百五十回の往復の便がありまして、船が行ったり来たりしているわけでございます。従来ともたとえば国会の諸先生の中でも、これらの船を利用して北鮮においでになられた方もございます。それからまた、ここにおります鮮人の方でも、一昨年の十二月に江東区におります老人が北鮮へ墓参りを認められまして、その船に乗って現に行って帰っております。したがいまして、これらの船があるということは、これらの船に乗れるということでございまして、私どもといたしましては北鮮に帰る方必ずしも北鮮から特に差し向けていま来ております船、いわゆる引き揚げ船というものに限られるとは限らない、かように考えておる次第でございます。
○松本(善)委員 いま入管局長は鮮人と言われましたな。鮮人と言われたでしょう。鮮人ということばは、在日朝鮮人に対してたいへん侮辱的な内容を持っておると思うのです。ことばを変えられたほうがいいと思うのです。
○中川説明員 それは失礼いたしました。日本におる朝鮮半島出身の方でございます。
○松本(善)委員 それからいま帰国を申請している方々が一万五千名以上あるということを聞いておりますが、この一万五千名の人が、いまあなたの言われるような不定期に出ている方々の普通の船の乗船見込みをとって帰るということになったら、一体見込みとして何年かかりますか。
○中川説明員 八月十二日現在で締め切りました北鮮への帰還希望者が何名になるかということは、私どもいまだ詳細は承知しておりません。日赤でもまだわかっておりませんので、わかり次第こちらが教えてもらうはずになっておりますが、新聞の一部によって確かに御指摘の数が一万数千名にのぼるということが報ぜられております。ただ問題は、私どもとしましては、一万数千名かりにあるといたしましても、これはとにかく十一月十二日までに帰ってもらう人でありまして、そのためにこそまさに今度の日赤、北赤両当局のモスクワ会談が行なわれるわけでございますから、ことしの十一月十二日までには、この一万数千名の北鮮帰還希望者というものを、日鮮両当局が全力を尽くしてピストン輸送をやって、できるだけ希望者は期間内に帰国していただきたい、かように考えておる次第でございまして、この十一月十二日が過ぎました後に、はたしていまおっしゃいましたように一万数千名もの御希望があられるかどうか、それはその日になってみませんとわかりませんが、私どもでは、それほど多くの方が十一月十二日あるいは十三日現在に帰国を希望し、しかも帰れないでおるという状態になるとは考えておらない次第でございます。
○松本(善)委員 そうすると、結局新たな協定々前提として考えているということになるわけですか。
○中川説明員 協定という御趣旨でございますが、私どもといたしましてはカルカッタ協定の延長ということを考えておる次第ではございません。とにかく十一月十三日になってみまして、そこにまだ帰国を希望しながら帰国できないという人々が、かりに何人おるかというその実情を把握しました上で善処したい、かように考えておる次第でございます。
○松本(善)委員 そこでちょっと伺いますが、そのカルカッタ協定ですね。何らかの形で配船なり何かについて新しい協定を結ばなければならないということは、前回法務大臣も答えておられると思いますが、このカルカッタ協定の中で帰国についての事務をいろいろきめておる中で、不都合だ、こういうものがあったんじゃ帰国事業の協定についてぐあいが悪い、こういうような協定の部分というのはあるのですか。
○中川説明員 カルカッタ協定が特に不都合であるとか、けしからぬということを申し上げるつもりはございませんし、またそういうことがあるとは考えておりません。
○松本(善)委員 私の聞いておりますのは、新たな協定を結ばなければならなくなっているということは事実だと思う。それは法務大臣の口からも出ている。その協定を結ぶときの政府側の態度として、カルカッタ協定のどこが悪いのか、そうい点を聞きたいわけです。
○中川説明員 しばしば申し上げますように、私どもといたしましては、ことしの十一月十二日まではとにかく現行のカルカッタ協定で十分でございまして、これに基づきまして極力帰還希望者の帰還実現をはかるわけでございます。しかしながら、十一月十三日になりまして実際帰りたい人がどのくらいおるか、それからそのときの日本・北鮮間の船舶の運航状況はどうであるかというような、いろいろなその場合の状況を見比べました上で、場合によってはこの船の運航に関する特別の配慮を必要とすることがあるかもわかりませんが、しかし、いままでの私どもの見通しといたしましては、そのために特別協定というほど公式な合意を遂げる必要はないのじゃないかと考えております。しかし、それはそう考えておるだけで、そういう必要が起こるか起こらないかということは、ただいま不明でございます。
○松本(善)委員 入管局長に対する質問はこれで終わります。
○横山委員 法務大臣がいらっしゃるまで、入管局長ちょっとお待ちください。 ちょっと中断をしまして刑事局長にお伺いしたいのですが、刑事補償の問題であります。現行法においては、無罪の裁判が確定した場合、国が被告人であった者に対し、拘束中の期間についてのみ一日四百円以上一千円以下の補償にとどまっていますが、この被拘束中の期間の補償並びに裁判に要した費用を補償すべきではないかというのが私のただしたい焦点であります。 それに関連をいたしまして、被疑者補償規程というものがありますが、この被疑者補償規程というものは何法によって制定をされておるのでありますか、まず伺いたいと思います。
○川井政府委員 法律ではございませんで、大臣訓令に基づいてつくられた規程でございます。
○横山委員 それでは大臣お見えになりましたから、順序として先ほどの帰還協定の問題についてお伺いします。 大臣、いま入管局長に対しまして質問をしておったわけですが、おおむね入管局長の御答弁は、私の解釈に誤りなくんば、今日までの本委員会において帰還協定について答えた内容について、何ら変更はないという趣旨の御答弁があらましあったようでありますが、大臣はそのとおりでございますか。
○田中国務大臣 さように心得ております。
○横山委員 私どもが不審に思いましたのは、さきの日韓会談において三木外務大臣が協定は延長しない、張副総理がそのあとで何かやるのじゃないか、いや何もしないという趣旨をお答えになったので、これは政府は著しく後退したのではないか、八月十二日、十一月十二日以後の問題でございますが、後退したのではないかという感覚を強く国民一般並びに在日朝鮮人諸君が受けた。この点について、感想または御見解を承りたいと思います。
○田中国務大臣 横山さん、この問題をいまの段階でどうだと、こう問い詰められると、帰還協定は打ち切り方針変わりはございません。変わりはないのみならず、いままでのような帰還協定を新たに協定し直す考えでありますなどということは、それは言えない立場でございます。言えない立場でございますが、そのものをよく考えてみたら、それならそういう切り口上でいけるのかというと、この問題は、実際問題は、あとは一切やりませんと、そんなことでいけないんですね。第一、八月十二日までにお申し込みのありました数でも、一万四千といわれ五千といわれ、一万数千に及んでいる。それは帰りたいという希望の申し入れをせられた人々の頭数が一万数千ということでございます。その期間内に荷物をまとめて、さあ希望のとおり帰りますと仰せになる、そういう行動をとられる届け出の方々が、そのうち全部であるか、そのうち一部であるか、あとに残る者がどれぐらいあるかということも考えなければならぬ。何にいたしましても、一万数千の人々を、全部協定期間内の十一月の十二日までに帰してみせるという政府のたてまえで、そういうたてまえで交渉をせよということで、日赤をわずらわしまして、北鮮・日赤との間に苦労の協議をさしておる事情でございます。しかしながら、残らぬといったって、荷物をまとめて出てこなかったら、出てこなかった人は事実上残るのであります。残った方も何とかせにゃならぬ。希望を申しておるけれども、おまえは荷物を持ってこなかったからかってにしろというような冷淡なわけには、実際問題としましてはいくまい。そこはやっぱり温情をもってものを考える。長年の朝鮮半島と日本との因縁関係というものからいいますと、そう冷淡に言うべきものじゃない。これは私が言うのですよ。私が言うのですが、私の言うとおりになると私は思うのです。それで、これはもう一口に言うと妙なことばですが、荷物のようなことばになるが、積み残しの人員につきましては、とにかくその後において本人が帰りたいと仰せになる以上は、種み残しの部分については特に配慮をして、できるだけひとつ考えて、帰っていただけるようにしていこう、そういう手段を講ぜざるを得ない、こういうふうに私は思っておる。しかし、政府はそのことを正式に決定をしたかというと、決定をしておるわけではありませんけれども、それは必ずそういうふうにしていかなければならぬものと私は考えておるのでございます、これは第一段の問題です。 それから第二段の問題は、八月十二日までに申し込みをしなかったけれども、八月十三日以降において、やはり考えてみたら帰りたいんだというような希望を持たれる方が、第二段の話として起こってくるであろうと思います。これは、従来の協定を打ち切るのでありますから、従来の協定とは関係のない処置、方針によらなければならぬ。新しい方針によらなければならぬということでございます。それはいままで政府筋、これは外務省も私どもも言うておりますことは、その問題の場合においては、帰りたいということを否定するわけにいかぬ。いかに未承認国でありましても、否定するわけにいかぬから、帰ってもらわなければならぬので、一般の外国人同様の待遇によって出国証明書を差し上げてお帰りを願うんだというところまで、外務省も私のほうもいままでは公式には答弁をしておるわけでございます。決して帰れなくなるんじゃない、帰れるんだ、方法が変わるだけで、帰れるんだ、政府の援助のもとにお帰りになるということができなくなるだけなんだ、よって人道問題は一向差しつかえないんだという人道上の説明をしておるわけです。説明をしておるんだが、この問題もよく実情を見通して考えてみるならば、出国証明書を渡すからさあ帰れ、ところがほかの国ではございませんから、北鮮と日本との交通の特殊な事情というものを考えますと、何か貨物船が往復をする、そこに便乗の余地があるか、よくいわれるナホトカ定期船があるとするならば、これに便乗をさしてもらうような方法があるか、何か便宜な方法があって、与えました出国証明によってお帰りになるということができれば、人道上問題はございませんね。ところが、それがなかったらどうするのか。北鮮から船が迎えにきたら南鮮は沈没さすと言っておる。やかましいことでございます。そういうところに北鮮の船が来るはずがない。そうすると、ソ連船をチャーターして、一定の時をきめて、その後そこに帰れなくなっておる人、証明を持っておるが帰れないという人については、迎えの船が来るということも考えられる。いつ来るという何も見通しはあるわけじゃございませんが、そういうことは考えられる。その場合に、チャーターした船が入ってきたいということの申し入れがあったときに、それは拒否するのだというようなことは私はできないのでないかと思う。それを私は前回から言うておる。外務大臣のおっしゃっておることと、私の言うことと、政府全体の考えておることと、ちっとも変わることじゃない。人道上の必要に基づいて出国証明書を差し上げて、他の外国人同様にお帰り願うというのですから、帰る手段について何にも考えないのだ、手段はそっちがかってにしろ、証明書だけ渡してやるということは、人道問題の解決にならぬ、こういう考え方から申しますと、そういう一定の時期に船をチャーターするようなことがあったときに、それをいつでも受け入れる、どうぞ御自由にというわけには、非承認国でございますからまいりませんが、それでは何月何日何時御入港を願い、そして何日間停泊を願って、何日何時には出港をしていただく、こういう条件を付しまして、そうしてそのチャーターした船を迎え入れるということはあり得ることではなかろうか。それじゃ、そういうことはいまきめるのかと、こうしゃちこばったお話になりますと、いまはさまっておりませんという無責件な話になるわけであります。しかし、それは私は御信用を願いたいのでありますが、人道上の問題として、帰りたい人を帰りたい国にお帰りを願うということを実現せなければならないという責任が、文明国の日本としてあるわけでございます。それは必ず、そういう場面がきましたときにはそういうことを実現せなければならない。また私は、そういうことを実現するについて、責任を持って苦心を払う、こういうことに御了解をいただきたい。いまそういうことを言って、政府の意見かと、こういうふうにひとつ仰せにならず、私の申し上げておる程度に御理解をいただきまして、おまかせを願えれば、そういう方向に苦心をしてみたい。これはまっすぐな話ですから、政府の要路のだれもそれに対して反対するという筋にいかないものと私は考えておる、そういうふうに御了解をいただきたい。
○横山委員 私は協定延長論者なんですから、立場は違いますが、しかし大臣の人道上最低限は当然なことだという点については、それなりに共感を覚える。ただ、一つ、二ついやみを言うておきたいのでありますが、日韓交渉となると、どうも政府が、あなたのおっしゃったような趣旨ですら十分に韓国へよう言われない雰囲気といいますか、そのような趣旨をほんとうにお考えになるなら、もっと堂々と、それが国民の中にも徹底をするような言い方をしたらどうだという考えが一つあります。 それからもう一つは、こういうことを私どもがくどく言いますのは、政府にとっては前歴があるわけです。それは北鮮の技術者入国の問題でございます。閣議できめ、そうして政府でいえば政経分離というたてまえで貿易をしよう、じゃ、技術者入国ならいいじゃないかということを閣議できめておきながら、韓国の猛烈な内政干渉がありました場合は、取り消すとは言わぬのですけれども、無期延期だ、こういうわけで、閣議の決定を事実上取り消したという前歴があるわけです。事、韓国に関しまして、何か政府は憶病になったり、退嬰的になったり、極端に言うと、何とかうまいことごまかそうかというような感じがあるのは、まことに私は遺憾千万だと思う。ほんとうの友好関係にはならぬと私は思う。新聞で伝えたことが十分言い尽くされてないのか、あるいは事実あのとおりなのか。国民が受けました印象は、帰還問題につきまして政府がまた態度を変えて、後退をしたという感じを持っておることを特に指摘しておきたいと思いますが、どうですか、そう思いませんか。
○田中国務大臣 技術者入国問題は、いまおことばをいただきまして、たいへん頭の痛い思いでございます。ありのままに申し上げますと、そういうことがありますが、この問題は、いま私が申し上げたような方向において、誠意を持って解決をしていかなければならぬもの、そう思うだけでなしに、それに私も努力をする、その努力は必ず実現するというふうに私は考えておることをひとつ重ねて申し上げておきます。
○大坪委員長 関連して松本君。
○松本(善)委員 大臣、この十一月以後の帰国の問題ですけれども、これは当然いわゆる積み残しというのが予想されるし、その問にまた新しく帰国希望者も当然出てくるということが、十分いまから予想されるのは申し上げるまでもないのですけれども、在日朝鮮人の生活が、たとえば一九五八年には失業、半失業の率が在日朝鮮人の八〇%以上を占めておる。それから、この状態というものはいまでもほとんど変わりありませんが、帰国をしました成年男子の六〇%以上が日本で失業または半失業者であったわけです。いま失業者でなくても、いつ失業するかわからぬという状態にある人がたくさんおります。金融、税制、就職、そういうような経済生活の面でも、有形無形の差別を在日朝鮮人は受けておるわけであります。この在日朝鮮人の帰国事業の継続ということは、日本で生活ができなくなる、どうするか、こういう問題として存続をしている、そういうことの認識が政府のほうにないのじゃないかというふうに思うのです。だから、非常に場当たりになっているのじゃないかと思いますけれども、その点についての法務大臣の見解をお聞きしたいのです。在日朝鮮人の生活と、それからこの帰国協定の問題についてです。
○田中国務大臣 これは御意見のように、生活上困っておる人の扱いにつきましては、たいへんむずかしい問題がいろいろあろうと思います。原則は、在日の朝鮮人であるという以上は、生活保護による援護もいたしておるわけであります。したがって、さて帰りたい、締め切り以後において帰りたいということになりました場合においても、荷物を荷づくりして、荷づくりの荷物を送るわけにいかぬ、また旅費にも困る、船を待つ間の宿泊にも困るというようなこともいろいろあるのではないかと思います。そういう場合に、それをどう扱うかという帰還に伴う援護の問題というむずかしい問題は、いま政府の方針としてこうしよう、旅費の場合はどうしよう、荷物の場合はどうしよう、宿泊の場合はどうしようということをいま政府の方針としてきめておるわけではないのでございます。きめておるわけではないのでございますが、政府の基本方針というものを先ほどから申し上げておりますとおり、帰りたい者は他の外国人同様の方針をとって、従来の帰還協定は打ち切りになるけれども、その後といえどもお帰しをするのだ、出国証明を渡して帰れるようにするのだという方針は間違いがないのでございますから、その基本方針を持っております限りは、やはりひとつこれに対しましてはあたたかい心持ちを持って帰れるように方針を考えてやらなければならぬものであろう、帰れるように努力をしたい、こういうふうに考えております。まあ抽象的で申しわけないのでありますが、旅費をどうするのだ、宿泊費をどうするのだということをここで申し上げることがたいへん行き過ぎたことになりますので、申し上げかねるのでありますけれども、とにかく人道問題として、帰りたい国に帰ってもらう、帰れるようにする、いままでの協定は打ち切るのだ、これははっきりしておるわけでございますが、帰れるようにひとつ苦心をしていく、温情を持って処遇をしたい、こういう考えでございます。
○松本(善)委員 この問題についてかかっております費用は、年間約六千万ぐらいだというふうに聞いております。帰国によって減少をしている生活保護者にかかっている生活保護の費用というものは三千万ぐらい、差し引きしますと、金の問題でいうならは、日本の支出というものは年間三千万程度で、これはもうほんとうに微々たるものですね。まさに自民党の高橋さんがこの委員会で質問されましたけれども、打ち切って何の利益もないじゃないかと言われる、まさにそのとおりです。それがこういうふうにこじれているのは、私たちから見ますと、どうしても朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視政策が日韓会談後あらわれてきている。いま横山さんの質問でも、いろいろそれについての懸念が言われておりますけれども、どうしてもそういうふうに見ざるを得ない点があると思うのでありますが、いかがでしょうか。
○田中国務大臣 これは松本先生お考えなんで、あなたはいつもそういうものの考え方をなさるのですけれども、私はそうは思わない。敵視しておるのはなんという、敵視するも敵視しないも、北鮮と日本との間には友好関係がいまだ残念なことでありますが成立しておらぬ。未承認国の間柄である。こういうことから考えてみますと、特に敵視というふうに私は思わぬので、現状にありますようなあり方がやむを得ないものではなかろうか、こういうふうに考えていただきたい。
○松本(善)委員 そう言われますけれども、自民党の広報委員会が一九六六年三月に出しましたものによりますと、日韓条約締結後の問題という文書の中で、日韓親善実現のために、北朝鮮帰還業務は現段階で打ち切らなければならないということを言っております。またこれは自民党の政策としてずっと一貫しているようです。たとえば一九六〇年九月に小坂外相はソウルで、帰国業務を中止するため誠意ある努力をすると言っております。あるいは一九六二年六月に日本の外務省は、日韓間の国交の正常な関係設定のために、日韓会談に及ぼす影響も考慮するため、帰国協定の延長に反対する、こういう立場を表明しておる。こういう点を見ますと、これは一九六〇年、六二年の立場は、世論が非常に強く非難したので撤回、帰国協定延長ということになったわけですけれども、今回の場合も、同じように私たちは感ずるわけです。特に二十八日の平壌の報道によりますと、第二百五十二回の軍事停戦委員会で、七月十二日から二十七日までの間、非武装地帯で米軍側が重機関銃をはじめ多種の重火器と自動火器で、二十一回にわたって延べ六千七百発の銃弾を、非武装地帯と北側地帯に発射をしたという抗議をしておるものがある。こういうことを見ますと、第二次朝鮮戦争ということと無関係ではないのじゃないかということの心配も、朝鮮の情勢とそれから日本のこの問題に対する関係を考えてみますと、たいへん心配をするわけです。これは最後の質問ですが、法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
○田中国務大臣 仰せのようなおそれの起こりませんように、ひとつ感情を離れまして、また南鮮にあまり遠慮をするなどという露骨な態度がありませんように、ひとつりっぱな態度で、人道問題としてこの問題は冷静に見ていきたい。そして朝鮮と日本との永年の関係というものを常に忘れぬようにいたしまして、この永年の関係というものは、南鮮も北鮮も区別はないので、そういう大事な関係というものをよく頭に置きまして、あやまちのないように将来を善処していきたいと思います。
○横山委員 私と神近さんが法務大臣に御質問をしたいのですが、時間の関係上、途中で神近さんの問題をやりますから、簡潔にひとつ法務大臣に、あとで刑事局長からいろいろお答えを願うのですが、こういうことです。 現行法においては、無罪の裁判が確定した場合、国は被告人であった者に対して、拘束中の期間についてのみ一日四百円以上一千円以下の補償にとどまっている、こういうことですね。これは無罪になった場合に、非拘束の問題についても考えるべきではないかということが一つであります。 それから二番目は、国家公務員及び地方公務員、民間でもそうですが、起訴になれば休職になる。国家公務員、地方公務員の場合には、六割の給料しかもらえないわけです。無罪になった場合に、公務員法は四割補償してくれない、これをどうするか。無罪になった場合です。 三番目の大臣に対する質問は、あなたも弁護士ですから私よりも十分詳しいと思うのですが、被疑者補償規程というものがあるわけです。この被疑者補償規程は法律に基づかざる補償規程で、つまりお情けで、おまえ無罪になったで少しやるわ、というてお情けでやるものであって、被告人の請求権がないというものです。法律によらずして支出をする権限がどこにあるか、それからお情けでやるということはおかしいではないかという点が第三番目です。 こまかいことはあとで刑事局長に伺いますが、法務大臣としてよりも、弁護士としてあなたもずいぶんこの種の問題をお手がけになったことがあるのではないかと思うので、改正すべきであると思いますが、どうですか。
○田中国務大臣 ごもっともな御意見、これは少し私のほうの事務の意見と違うのかもわかりませんが、私は弁護士としてでなしに、やはり法務大臣として答えをさしていただきたい。 三十年刑事弁護士をしました経験から申しますと、お説のごとく将来は拘束中でない場合においても考えねばならぬのではなかろうか。 それから休職中の手当の問題につきましても、また訓令による補償規程の問題につきましても、これはひとつ検討をすべきものではなかろうか。これはいま思いつきで言うのでなしに、常日ごろ考えておることであります。 御質問の質問要領が、前回は延びましたけれども、あのときに質問要領が私のところに通知されてまいりましたときから考えておることでありますが、これはひとつ慎重な態度で考えてみたい。四百円−一千円という金額の問題についても、こんなことをして置いておくべきものではなかろうと私は思う。その金額の根本の問題につきましても、いま仰せになった三点につきましても、ひとつ検討をさしていただきたい、こう考えます。
○大坪委員長 神近市子君。
○神近委員 これはこの間の朝日新聞の特集で出ましたから大臣もごらんになったと思うのですけれども、再審の問題ですけれども、再審を出願する人か——裁判官か退職した場合に、日本の裁判には、正直のところ三分の一ほど誤判がありはしないかということを言っておるのが一人、裁判官を四十年やった人ですよ。これは朝日新聞の特集ですけれども、これは新聞社が名前を出さなかっただけで、これを聞いた場合には相手はわかっていると思うのです。三分の一の誤判がありはしないか。もう一人の人は、最高裁判事の職をやめた人が、自分が最高裁の判事をやっているときに、誤判が三つあったというようなことを言っている。私はこれはほとんど一例に過ぎなくて、それでほんとうには裁判官もあああれは間違いだったなというような意識を持っている人はかなり多いと思うのです。それが再審の道が非常に強くふさがれていて、そしてここで一度再審小委員会をやったときの参考人に出てきた後藤信夫という弁護士さんの調査によりますと、件数は非常に多い。ここに再審を出願した件数もちゃんと出ておりますけれども、それが十件か十五件程度しか許されない。そしてそれを再審にかけると非常に高率に無罪者が出る、こういうような事実がここへあらわれているのですよ、そうするとこの再審制度は刑事訴訟法の四百三十五条ともう一条ありますけれども、それを多少緩和する必要があるのではないか。いま新しく刑法の立案がされているときでありますから、その点をひとつぜひ御考慮くださらなければ、これは憲法違反じゃないかと私ども考えるのですけれど、いま、大臣が御出席ということは頭になかったから、それで非常に大まかな御質問ですけれど、大臣はどういうふうにその新刑法にこの点を融和するというお考えをお持ちになっているかどうか、ちょっとそれを伺わせていただきます。
○田中国務大臣 わが国の裁判官は、非常にりっぱな学識の高い者が任命されておるのではございますけれども、何にしても人間のことでありますから、誤判ということなしとしない、ありがちだとは言えぬでしょうけれども、誤判なしとしないということは当てはまるのではないかと思います。そういうことで、先生のいまお話しをいただきました誤判の場合に再審をするという制度は、御承知のとおりあるわけでございますが、その制度の門戸が非常に狭い、なかなか受け付けにならない、それで審判には入れないという事情はございます。ございますが、いま先生のお話しのような新聞を私も拝見して、二度ばかり読んだのでございますが、誤判であるということが犯罪の事実関係において、事実問題について、事実誤判であるということが明瞭であります場合においては、今日の法律の刑事訴訟法の上におきましても、再審はりっぱにやれるわけでございます。しかしながら、それが明らかにありません点は、この誤判が明瞭に証明されません場合においては再審の願いがなかなかものを言わぬ、こういうことでございます。刑法は改正中でございますが、この問題は刑事訴訟法の問題でもありますので、この問題は将来の問題としてもっとゆるやかなる方法で再審の申し立てができるようにしてはどうかという願いもお説のとおりのことで、専門家の間にも強力にあるわけであります。再審の願いをする場合における門戸はもう少し広げる、しかし、ずさんな裁判をしていくというのでなしに、裁判は真剣に再審裁判をやって結論を出せばよろしいのでありますから、再審をなし得る門戸をもっとゆるやかにしていくという方針に向かって将来は検討していくべきものであろう、こういうふうに考えるのでございます。
○神近委員 大臣のお考えはよくわかります、そういう善意にこれを考えていらっしゃることは。ですけれど、新しく刑法がつくられるという年限は、一体どの程度の時点と考えられているか、その時点によってあなたの意思が下部に浸透するということができない場合もあると思うのですけれど、どの程度にこの時間を要するという見込みでいらっしゃるのですか。
○田中国務大臣 刑法の問題のほうはだいぶん時間がかかるのです。まだ四、五年を要するのではないかというふうに考えます。これは刑事訴訟法の問題でございますので、この問題は私の在任中に検討することは困難でございましょうが、御承知のとおり私は在職二十余年過去一貫して法務委員、やめましても法務委員を離れる心はないわけでございます。そういう立場におりまして、やはり真剣にこの問題は検討したい、こう考えておるのでございます。私の在職中にこの問題が緒につくようになっていく機会に恵まれればうれしいことでございますが、それでなくともこの努力はひとつ続けてみたい、こう考えております。
○中谷委員 関連して。大臣のほうから非常に前向きの御答弁をいただいたのですが、私のほうからも関連してお尋ねをしておきます。 刑事補償法に関する横山委員の質問に最初関連をいたしますが、御答弁いただきましたように、刑事補償が四百円以上千円以下というようなことについては検討しなければいけないという御答弁があったわけですが、ただ、問題といいますか、条文に記載されていることで私は非常に気にかかるわけなんです。そういうことがあり得てはたいへんだと思うのですけれども、死刑の執行を受けた場合に、無罪であった場合に百万円の範囲内で補償するということが刑事補償法に規定されておるわけです。これは昭和三十九年にすでに一度刑事補償法は改正されておるわけなんですから、やはり国家賠償法の行使による請求を妨げないということに相なっておりますけれども、法の規定にそういうものがあるということについては、私非常に問題があるのではないかと思うのです。その点について、これは人権尊重といいますか、人命尊重という立場から、こういうことがあり得ることではないと思いますけれども、この点十分に条文の上で人権尊重、人命尊重の気持ちをあらわしていただく、こういうことをお願いをして、この点について御答弁をいただきたい点が一点でございます。 第二点は、神近先生のほうから再審についてのお尋ねがありまして、大臣のほうから再審の制度の検討をしている問題点について適切な御答弁がありました。ある実務家等に言わせますと、再審に関する四百三十五条の規定がむしろ再審制度といいますか、再審の門を閉ざしているんだというふうな言い方さえもあるわけなんです。そこで、大臣の御答弁を法律の条文に従って、一応この点を御検討いただけるという点を明確にしておきたいと思いますけれども、四百三十五条の第六号でございますが、要するに「明らかな証拠をあらたに発見した」場合、そういうときには再審申し立てをできる、再審の請求をできる場合になっておる。その「明らかな証拠」ということで非常に壁にぶつかるわけでございます。そういう「明らかな証拠」というのを、たとえば重要な証拠であるとか、重要にして相当な証拠であるとかいうふうに、その条文の六号を前向きの形で御検討いただくという趣旨にお伺いしたいと思うのですが、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
○田中国務大臣 第一点の、最初のあやまった死刑百万円ということについては、自動車事故から考えてみたってけしからぬ金額ですね。ですから、これは大幅に増額をすることを現に検討をしております。大幅とはどの程度か言わないと答弁にならぬのですが、数倍に値上げをしたい、三−五百万にしてもらいたいと真剣に考えております。 それからもう一つの点については、御趣旨に沿うような方向に検討をしてみたいと思います。
○横山委員 どうぞ大臣お帰りになってください。 いまの大臣にお答え願った問題、刑事補償法の問題ですが、局長、私の承知するところによりますと、被疑者補償規程ですね、三十七年に二人、七千二百円、三十八年に二人、九千二百円、三十九年に二人、一万八千四百円、四十年はなし、四十一年は二人、一万四千二百円の支給が行なわれておると聞いておりますが、数字には間違いありませんな。
○川井政府委員 間違いありません。
○横山委員 これによりますと、私の言いたいことは、この規程に適合するというか、まず対象になる被拘束中で、無罪になった者、第一条に「被疑者として抑留又は拘禁を受けた者に対する刑事補償については、この規程の定めるところによる。」という補償の該当者は、一体何千人くらいあるのですか、お調べになったことがありますか。私は、もう相当の数だと思うのだけれども、実際に補償された者はこの五年間に八人、約四万円くらいしかないということは驚くことだ。この規程は実際は死んでおる。おそらくや規程発動についても、アンバランスが一ぱいある。この規程が存在することをも知らない人がおるのではないか。これは政府関係内に、知っておっても、やらないのが普通だと考えておる人間があるのではないか。 また、この規程は私の理論によれば、法律によらざる規程である。法律によらずして、その財政を支出するということは、原則としていかぬことではないかと考えるのですが、これらについて御意見を承りたい。
○川井政府委員 被疑者補償規程は御承知のとおり法律ではございませんで、大臣訓令という形をとっておりますが、基本的には憲法四十条の精神をくんで、国の政策としてとられたものでございます。したがいまして、憲法四十条の精神をくんだ国の政策としての国費の支出というふうなことは、これは許されるのではないかと、私は考えております。 刑事の手元で事件を捜査いたしまして、不起訴になるものがかなりの数ございます。その不起訴の中には、大部分は犯罪の成立は証拠上認められるけれども、情状酌量によって起訴をしないほうが適当だ、こう思われて、再びあやまちを犯さないようにということを検事から申し渡しまして、公訴を提起しないという、いわゆる起訴猶予の処分が大部分でございます。それから、中にはいままで集められた証拠では公訴を維持するに足るだけの証拠が十分でない、いわゆる証拠不十分だということで、不起訴にするものも若干ございます。それから、中には全然犯罪の嫌疑がない、ないしは警察から送ってきたけれども、全然罪とならないもの、こういうようなかっこうでもって不起訴にするものも若干あるわけでございます。 そこで、被疑者補償規程に基づきまして、勾留されたあるいは抑留された期間について補償をしようというふうに考えておりますのは、一番最後に申し上げました全然罪とならないもの、たとえば全く人違いであったというふうなもの、それからとにかく証拠が全くない、容疑はあるけれども、公訴を維持するための証拠が十分でない、こういうようなものが憲法四十条にいいますところの無罪判決を受けるということに相当するものである、こういうふうな考え方のもとに、すべて不起訴になるものだけに補償するという考え方ではございません。 そのようにごく限られたものについて補償をしていこう、公平の観念から、これが政策として適当であろうというふうな考え方から、この規程をつくったのでございます。また、そういうふうな考え方で運用してまいっております。
○横山委員 その大前提として、被疑者補償規程というものが法律によらざることがまず第一に私はいかぬと言う。 第二番目に、一方的な判断によって、これはやや恩恵的に支給される。無罪になった被疑者、不起訴になった被疑者のほうから、国によってえらい迷惑を受けた、これを補償しろという立場における、それを受け入れるべき条件下にはない。お前のことは知らぬ、おれの判断だということがいかぬと私は言うのです。その点はどう思いますか。
○川井政府委員 政策として妥当なことでありますならば、でき得る限り権利としてこれを認めて、万全の補償をしてやるということは、お説のとおり、全く望ましい法制のあり方だと私も思います。 ところで、御承知のとおり、この被疑者ないしは無罪の被告人に対する刑事補償の制度というものは、これは長い沿革もございまして、いろいろな観点から認められてきているということ、それから憲法の保障しております範囲というふうなものにつきましても、あるいはその他これに関連する国家賠償の規定の考え方、さらには原則としてこの被疑者補償ないしは刑事補償は、無過失賠償責任、いわゆる無過失責任を主体とするものだと私は考えるわけでございますけれども、わが民法のとっております無過失主義の原則からいいましても、この無過失主義は、現在の法制のたてまえとしてはあくまでも例外のたてまえである、こういうふうに理解されておりますので、国家賠償、それから刑事補償、それから民法の大原則というふうなことにからむ、きわめて法制の本質的な問題を含んでおりますので、そのようないろいろな観点から考えまして、被疑者補償というふうな規程は、今日の段階におきましては、この大臣訓令に基づく被疑者補償規程という程度のところが適当なあり方ではないか、こういうふうな考えに基づきまして、このような規程をつくって運用してまいっておる、こういう事情でございます。
○横山委員 憲法四十条の「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。」「抑留又は拘禁された後、無罪」の判決、こうなっておりますね。あなたもこの四十条の精神から、被拘束中の期間についてもなされてよろしい、ただ、それが権利ではなくして、まあ恩恵的になされるのが周囲の客観情勢からいって妥当である、こう判断された模様である。ところが、その趣旨をもってしても、この被疑者補償規程というものが五年間のうちに八件、約四万円。事実上これは死んでいる、実際は動いていない。なぜ動かないか。それは大臣訓令云々という、何かあなた方のポケットに人にはわからぬように隠しておいて、極端に言うと、自分の失敗したときに恩恵的に出すようなていさいになっておるところに、この規程の死ぬ第一の理由があるのではないか。おそらくや私は、無罪になった人たちの内容についても、あなたのおっしゃるように、あるいは犯人であるかもしれぬけれども、明白な証拠がない、疑うに足る理由があるけれども、明白な証拠がないという場合もあるではあろう。けれども、その人は一応無罪の判決を受けたんだから、どこへ行ってもこれは無罪です。それをあとから、あいつ無罪の判決を受けたんだけれども、実はあいつはあやしいんだぜということが、裁判所としても国家としても言えるであろうか。これはむずかしい問題でありますけれども、私は無罪なら無罪ではないかということで通すべきではないか。もちろん、どこでしたか、刑事補償法の中にもありますように、うそを言ったとか、わざとおかしなことをやったとかという場合には除外例があることは当然でありますけれども、少なくとも現状がこの補償について適当ではないが、この点は法務大臣も検討に値する、こうおっしゃっておる。 もう一つの問題は、先ほども事例に出しましたように、国家公務員、地方公務員で起訴になりますと休職で六割、私の知り合いにもそういう人がおるわけです。たとえばあれは三河島ですか、無罪になった。ああいう人たちは六割でもう休職になる。結局無罪になっても国家公務員法、地方公務員法、公社法によってあとの四割以上の分は補償されないのです。この点なんか明らかにあれだけの世紀の歴史的な裁判をやって、無罪となるならば補償すべきではないか。それは拘禁中ばかりでなしに非拘禁中の問題給料からあるいは出頭の旅費とかいろいろなものが出さるべきではないか、私はそう思いますが、その点はどうですか。
○川井政府委員 最高責任者である大臣が、先ほど御指摘の事項につきまして慎重に検討してみたい、こういうふうに答えておりますので、私ども事務当局といたしまして、また大臣の指示を受けてさらに慎重な検討を加えてまいりたいと思っております。 それから先ほど仰せの中に、被疑者補償規程とそれから刑事補償法とを一緒に御指摘があったように思いますけれども、御存じのとおり刑事補償法のほうはもう完全な請求権を認めて、権利としてこれを認めておりますので、最近の運用の実績によりますというと、これを運用するものの側におきましても順次この制度に対する考え方など、また運用に対する熱意なりというものが浸透してまいりましたので、国家賠償とともに件数が急速に伸びております。したがいまして、運用のよろしきを得るならば、あまり非難を受けずに、国民常識からいいましても妥当な解決が得られるんではないか、こういうふうに期待しております。 それから、この被疑者補償規程のほうでございますが、これは今日のところまさに法律になっておりませんけれども、憲法四十条は、これはあくまで無罪の裁判を受けた、こういうふうに憲法は一応のワクをきめております。したがいまして、検事が処理いたしまして、これは起訴猶予でよろしいんだ、これは公判にかけるだけの値打ちがない事件だ、こういうようなものはこれを起訴しないでドロップすることができる。これは御承知のとおり日本の検察官にのみ認められた特別な制度である、こういうふうに申して差しつかえない、こういうふうに思うわけでありますが、そういうふうな独特の制度をとっておりますということにもかんがみまして、憲法は無罪の判決、こうなって裁判にかけたものだけについて補償を国家に義務づけておりますけれども、いま申しましたような日本の検察制度の特色からいいましても、これはこの精神をくみまして、無罪と同じようなかっこうの事件内容というようなものについては、これは検事の手元で落とした場合にはそれを補償することが適当なものについては補償していこう、これはまさに憲法四十条の精神に沿う国家の政策として何人も疑うものはなかろうというようなたてまえから、かような制度を、くどいようでございますけれども、とっておるわけでございます。 それから、これはもちろん官報に公告いたしましたり、また私ども機会あるごとにこういうふうな制度があるというふうなことをPRいたしておりますし、また特にそういうような人違いであったというような補償すべきものが明らかであるというような事案につきましては、それを調べた検事のほうから本人に対してこういう制度があるから請求しなさいということを勧奨するような指導もいたしております。ただ勾留された日時、期間が短いというようなこと、したがいまして、金額が必ずしも多くないというようなこと、それから明らかに人違いであったというようなことは別問題といたしまして、とにかく疑いをかけられて、いろいろ取り調べを受けたけれども、十分な証拠がなくて釈放されたというふうなものにつきましては、みずから進んで、積極的にその間の補償を求めてくるというふうな事案というものは、実際にはそうたくさんないわけでございます。したがいまして、私ども決してポケットに入れて隠しておるわけではございませんで、いろいろ措置は講じておりますけれども、これも統計によりますと、順次数字は伸びつつあるようなかっこうになっております。
○中谷委員 関連して。一点だけお尋ねをいたしたいと思いますが、被疑者補償規程は局長の御答弁によりますと、いわゆる検察官の裁定としては嫌疑なしというふうな裁定をしたものが補償の対象になるというふうに一応この規程を読んでいたわけなんですが、「その者が罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるときは、」ということになっておる。刑事補償法の場合は無罪になった者については補償するということにこれは相なっておる。そうすると、たとえば証拠不十分というふうな場合は、被疑者補償規程の対象になるのですかならないのですか。何か御答弁としてはならないような趣旨の御答弁があったと思うのです。もしそういうふうに御答弁を理解して、その理解で間違いないとするならば、要するに検察官の捜査段階では、公訴を提起してもとうてい有罪を得ることができない。したがって、もう公訴提起にも至らない。要するに有罪の確信があればこそ公訴を提起して無罪になったというふうな場合には刑事補償法によって補償を受ける。証拠不十分であっても補償を受ける。もう裁判所から証拠がないということがはっきりしていても、したがって、公訴を提起しないものについては補償規程によると補償が受けられないというのでは、首尾一貫しないような気もするわけなんです。 したがって、お尋ねをしておきますが、この被疑者補償規程は、たしか第二条であったと思いますが、補償の要件の読み方としては証拠不十分を含むのですかどうか、この点はいかがでしょうか。
○川井政府委員 結論として、証拠不十分は含みません。御承知のとおり検事の裁定には嫌疑不十分、嫌疑なし、罪とならず、こういうふうな例がございまして、それぞれ一定の長い慣行によりましてどういうふうなものをどういう裁定をするかということはさまっておるわけでございます。その中でこの規程に乗っかりますのは嫌疑なし、罪とならずの裁定をした者が一応この被疑者補償規程に乗っかる、こういう取り扱いをいたしております。
○中谷委員 そうすると嫌疑不十分、嫌疑なし、罪とならず、起訴猶予でございますね。そうすると、嫌疑不十分というのは、公判請求をした場合には無罪になるということを、検察官のほうではお考えになっているわけでございましょうね。そうすると、公判請求をする場合には、有罪の確信を持って公判請求をされる。ところが、その場合については補償の対象になる。その点についていろいろな感情的な問題といいますか、社会的な合理性とかいろいろ問題はあろうと思いますけれども、嫌疑不十分について補償しないということについての首尾一貫しないものが私はあるのじゃないかという感じがいたします。この点についてお答をいただきたい点が一点と、いま一つ、関連質問ですから続けてお尋ねをしておきますが、大体先ほど局長の御答弁の中に、現場ではそういうことはほんとうに行なわれていないのですか、何か被疑者補償規程という規程があるということについて、被疑者に知らせるような指導をしているということですけれども、文書その他でそういうふうな指導をされたというふうな事実がほんとうにあるのでしょうか。実は、これは非常にみっともない話なんですけれども、被疑者補償規程なんという規程があるということも私は最近まで知らなかった、というふうなことじゃないかと思うのです。それといま一つお尋ねをしておきたいと思いますが、もっとも素朴なことをお尋ねしますけれども、検察官がその被疑者を釈放するときに、君は嫌疑なしなんだとか、嫌疑不十分なんだとか、罪とならずだというようなことを、明確にその被疑者に伝えておられるでしょうかどうか。この点をひとつ。むしろ指導すべきは、その点に力点を置いて指導していただきたいと私は思うのです。何で釈放されたかわからない、とにかく帰っていいと言うから帰ってきましたという被疑者が非常に多いのです。ただ、起訴猶予のときは、非常に恩に着せてくれます。今後もう二度と悪いことするなよと言ってずいぶんしかられて帰ってきました、検事さんに助けてもらいましたというかっこうで帰ってくるけれども、嫌疑なしだとか、嫌疑不十分だとか、君は罪とならずだったんだ、だからたいへん気の毒なことをしたというようなことばをかけられて帰ってきたというふうな被疑者は、私の記憶ではあまりございません。そこで、ひとつこの機会に、罪とならずとか嫌疑なしというふうな場合には、あなたは嫌疑なしで釈放なんだというような書面か何かを渡してあげるのがむしろ親切であるし、人権を守るという立場から見て正しいのじゃないかとさえ私は思いますが、この点、いかがでしょうか。質問が少し多岐にわたりましたけれども、お答えいただきたいと思います。
○川井政府委員 最初の嫌疑不十分の点でございますが、これは常識的に、また多くの場合に、このまま公判にかければたぶん無罪になるだろう、こういう見通しのものであることは間違いございません。ただ実務上は、必ずしも公判にかける価値が、捜査をしてみたところなくなってきたとか、あるいはこの事件は共犯が大ぜいあって、その主犯だけ起訴すればあとはもう不起訴でよろしい、こういうふうな事件もあるわけでございます。そういうふうなものにつきましては、さらに捜査を続けて、起訴猶予にするか、あるいは嫌疑不十分にするかということをきめることは、実務の実際からいきましては、必ずしも実益がないことになりますので、途中でもって捜査を打ち切って、起訴する者について捜査の主力を注いでいくというようなかっこうで、途中でもって嫌疑不十分の裁定をして事件を落としてしまうというふうなことも、かなりな数、実務の実際としてはあるわけでございます。ですから、嫌疑不十分という裁定はいたしておりますけれども、もし時間と手があって、捜査を尽くすなれば起訴猶予になる、そういうふうな事案ももちろん数多くあるわけでございますので、最初申し上げましたとおり、常識的に、多くの場合には、このままで公判にかければ無罪になる事件だということは、これは御指摘のとおり間違いございません。しかし若干の事情があるということを御理解賜わりたいと思います。 それから被疑者の補償規程の存在についてでございますけれども、これは規程の中にも書いてあったと思いますけれども、件数はわずかでございますが、そういうあれがあれば、新聞に公告を出して一般に周知させるというふうなことにも相なっておりますし、それから先ほどの、不起訴になった人から書面でほしいというふうな内容、どうして不起訴にしたのだ、不起訴になった理由について申し出があれば、これは書面によってそれを交付する、証明して交付してあげるというような運用になっております。ただ、別に要求がないのにこちらから進んで、一々嫌疑不十分だとか嫌疑なしだとかいうようなことを書面でもって交付するというような運用はいたしておりません。要求があればこれを出す、こういうふうなかっこうになっております。
○中谷委員 もう一度お尋ねしますけれども、要するに被疑者、被告人のほうから、罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由を証明しなければならないという立証責任は全然ございませんですね。要するに、そういうことであれば、もうごく稀有な場合になってくると思うのであります。しかしそうではなしに、何かいろいろ問題はあるでしょうけれども、特にいわゆる灰色だというかっこうの、被疑者として、重荷といいますか、荷を背負って——たとえば人を殺したとか、万引きをしたという場合に、検事さんはとにかく起訴されたのかされないのか、はっきりしないというかっこうのままで人生を渡っていかなければならないという人があったとすれば、ずいぶんふしあわせだと思います。そういうような要求があったとき、処分の内容についての書面を交付していただけるということです。その点は非常にいいと思うのですが、やはり被疑者補償規程も、刑事補償法との関係において首尾一貫して、要するに嫌疑不十分という場合の——ことに嫌疑不十分というのを、局長が御答弁になったような、何か起訴する価値がないので捜査を途中で打ち切ったというふうな場合でなしに、いわゆる一番素朴に考えての嫌疑不十分、要するに証拠がないのだ、公判請求をしても無罪なんだというような場合には、被疑者補償規程によって補償することがむしろ正しいのだし、何か若干のしこりといいますか、それがあき足らない、何かすっきりしないものが残ったとしても、法の考え方としては、先ほど局長が御引用になりました憲法四十条の考え方に合致するのではないか、そういうふうな法の精神に合うのではないかというふうに考えますが、もう一度御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
○川井政府委員 刑事補償法のほうは、無罪の判決を受けて、こう書いてございますので、あの条文の中に書いてある除外事由以外の一切の無罪の場合に補償がされる、こういうことになるわけでございますから、よく新聞に出ておりますように、人を殺した、殺人を犯した、しかし調べてみたら非常に泥酔をするまでに酒を飲んでおった、殺したことは間違いないけれども、殺したときには泥酔をしておったのだから、法律上は心神喪失に該当するのだ、よって被告人は無罪だ、こういうような判決がよくあるわけでございますが、このようなものにつきましても、厳格にこれを解釈いたしまして、無罪は無罪の判決に違いございませんので、何百万円の補償がなされておるというようなことが間々新聞に出ておりまして、いろいろこれについて報道の紙面なんかに批判が出ておることは御承知のとおりでございます。ただ、これは一応権利としてこれを認め、またこういうふうな法律をつくりました以上、そういうふうな解釈になることもやむを得ない場合があろうかと思いますけれども、被疑者の場合につきましては、これはやはり裁判にかけた場合とかけないという場合では、非常に違うのではなかろうか、こう思うわけであります。そこで、憲法四十条の規定をそのまま受けて刑事補償法という規定ができたわけであります。その刑事補償法の規定の中には、これを権利として認めて、そういうふうな場合まで補償をする。しかし、被疑者補償の場合におきましては、ただいま申しましたような問題になる嫌疑不十分というふうなものまで、本件のような場合、最大二十日間、それから短ければ十日間の勾留というふうな際に、それを嫌疑不十分というふうなことにした場合に、そこまで厳格に解釈して、一切これを補償すべきものかどうかというふうな事柄、この辺のところがいま御指摘の一番の焦点だろうと思います。大臣も、先ほど横山委員から仰せの被拘禁中の刑事補償という問題についても、傾聴に価する御指摘として慎重に検討してみたい、こう最高責任者が言われておりますので、私どもその意を受けて、あわせてまた慎重にこれから検討してまいりたいと思っております。
○横山委員 本日は、私どもが提起いたしました補償問題と再審問題につきましては、補償問題は御検討のお約束をいただいたのですが、再審問題につきましては、神近さんの御質問もまだ十分意を尽くしておりません。かつて本委員会は、再審に関する小委員会を設置しまして鋭意検討したのですが、十分な成案を得るに至っておりませんでした。今回神近さんから提起されております問題につきましては、また次の機会に十分にわれわれの具体的な意見を提起いたしまして、政府側の意見も聞きたいと思うのであります。委員長に御留意を願いたいと思いますのは、適当な機会に、私どもの再審に関する質問が成熟いたしましたころに、私どもからは再審に関する小委員会を再び設置をしていただきたい、そうしてわれわれから提起いたします具体的な案について、委員会として検討願いたいという気持ちでございますから、お含みおきを願いたいと思います。
○大坪委員長 了承しました。
○横山委員 ありがとうございました。 最後に、お待たせをいたしましたが、運輸省に、ほんの短い時間、恐縮でございますが、伺いたいと思います。 先般、本委員会におきまして、人権問題から、小牧空港における諸問題を取り上げました。小牧空港は、三十四年運輸省移管になりましてから今日まで、十六回、年二回の自衛隊の事故があるわけであります。したがいまして、愛知県、名古屋市、春日井、小牧等をはじめ、近郷市町村は、議会でそれぞれ満場一致議決をいたしまして、この小牧基地を撤去してもらいたい、きわめて素朴きわめて勇敢な決議を満場一致いたしておるわけであります。 そこで、先般防衛庁に来てもらいまして、この点について意向をただしましたところ、要約いたしますと、防衛庁は、運輸省との共用であるからお互いに譲り合って使っておる旨、次には、この小牧基地の拡張は事実上これ以上不可能であろう旨、第三番目には、もし適当な場所があるならば、理論上はかわりたいとは思う、実際上はそう簡単なものではないが、理論上としてはかわりたいと思う旨、こう答えたわけであります。運輸省に同席をしていただく予定ができませんでしたので、きょうは簡潔に伺いたいのであります。 私の質問の第一は、運輸省として、小牧空港について不自由を感じないかどうか、また基地の拡張について、防衛庁は事実上不可能でありますと言っておりますが、同意見であるかどうか。それから、第三番目に小牧空港も今後発展をすることは当然であり、また自衛隊としても訓練が不十分であることは認めておるわけでありますが、これらに関して現状を適当と思うか、将来ふぐあいな点がないかどうかということ。その次の問題としては、先般愛知県議会におきまして、桑原知事が、三河湾国際空港をつくりたい、大規模な国際空港をつくるように検討したい旨を明らかにいたしました。本件に関しまして、運輸省におきましては、立地条件について調査をしておるという旨を私は報告を受けておるわけであります。私の聞くところに誤りなくんば、名古屋市の四十キロ圏内にある。人家密集地帯から約三キロ離れていて、騒音など公害の危険はない。気温、海面気流、風速など気象条件がよく、地表気流も良好、しかも空港北部の内陸部が平たん地形であり、将来高速自動車専用路などの開発で交通の便もよくなる。空港周辺の海は、五メートル以下の浅瀬で、拡張が容易であり、空港整備法にひっかかる山など航空障害物が皆無である等の判断をしておられるやに聞いておるわけでありますが、この三河湾国際空港についての案について、運輸省はどうお考えであるか。またこの三河湾以外に運輸省としては検討せられておるかどうか。 最後の質問としましては、もしも小牧空港から民間空港が移転をした場合に、自衛隊が全部それでは使わしてもらうということが一体あり得るのか。また逆に、自衛隊が移転した場合に、民間空港として全部使うということがあり得るのか。つまり運輸省と防衛庁のこの小牧空港の現状についての協議はどうなっておるのか。簡潔に数点申しましたが、伺いたい。
○梶田説明員 お答え申し上げます。 名古屋の空港は、御承知のように運輸大臣が設置、管理する空港でございまして、通称小牧空港と申しておりますが、第一点の、現小牧空港で不便がないかということでございます。これはたびたび国会中にも先生方から御質問がございまして、単に名古屋空港のみではございませんが、現在民航と自衛隊が共用いたしております飛行場につきまして、本来理想として軍民分離をはかるべきではないかというふうな御趣旨からいろいろ御質問を賜わったわけでございますが、私ども運輸省といたしましては、理想といたしましてはやはり軍民分離をはかるべきだ。先ほど御指摘のように、共用飛行場においてかなり事故があるということでございまして、運輸省といたしましては、理想としては軍民分離をはかるべきだ、かように考えております。ただ、実際問題といたしまして、新規に飛行場をつくりまして、それに移転するということが今日の情勢ではなかなか容易なことではございません。かような意味におきまして、そういう理想の線に向かって前向きで検討することはいたしますが、なかなか実際問題として進行しないというのが現状でございます。 それから現空港の拡張が可能かどうかという御質問でございますが、私どもの判断いたしますところにおいては、現在の空港の拡張はほとんど不可能である。周辺に人家が密集しておりますし、これ以上空港を拡大いたしまして、周辺の住氏の方々に御迷惑をかけるようなことはできない、かように考えております。 次に、三河湾空港のことがお話にありましたが、運輸省としましては、まだ正式に現地のほうからそういった計画については話を聞いておりません。ただ、こちらで考えます前に、いつですか、委員会で防衛庁の方に御質問がありました際、防衛庁のほうでは、新たにそういった空港の予定地があるならば移転もけっこうではないかというふうな趣旨の御答弁があったやに聞いておりますが、現空港は、民間航空の立場から申し上げますと、非常に立地条件としてはいいわけでございます。都心に近くもありますし、それから名古屋というふうな中京地区におけるセンターとの関係等を勘案いたしますと、現空港は、民航の立場から申し上げますと非常にいいところである。したがって、冒頭に申し上げましたように、軍民分離の方向に従ってかりに自衛隊が他の適地に移動するという場合におきましても、現時点におきましては、運輸省はこの空港を民間航空専用の空港に使いたい、こういう考えでおります。 それから逆に、自衛隊のほうでもって、現名古屋空港を自衛隊だけで専用することはどう考えるかということでございますが、先ほども答弁申し上げましたように、民航といたしましては、現空港をまず第一義的に考えておりますので、自衛隊が全部現空港を使用するということについては私どもは承服いたしかねる、かように考えております。 御質問が多岐にわたりましたので、ちょっと抜けておるところがあると思いますが……。
○横山委員 防衛庁との協議は……。小牧問題についての協議が行なわれておるかどうか。
○梶田説明員 御承知のように、共用飛行場でございますので、空港の使用につきましては、すべての点につきまして運輸省と防衛庁の間にはいろいろの協定がございます。そして、今後こういった空港をどうするかということについて、詳細な検討を両者の間で現在やっておる段階ではございませんが、今後、先生御指摘のような構想がもしありとするならば、引き続いて防衛庁との間に、そういった移転問題をも含めて検討する必要があるんじゃないか、かように考えております。
○横山委員 時間の関係上、強く要求をしておきたいと思います。 全国各地で基地問題あるいは民間航空の騒音問題がありますけれども、しかし愛知県のように、ほとんどの周辺の市町村があげて、満場一致、出ていってくれというところはまずないと思うのです。イデオロギー以前の問題になっておる。あなたのほうにしてみれば、事故の起こったのは自衛隊ばかりじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、しかしながら、それなら自衛隊だけ出てくれということじゃなくして、小牧はいやだ。しかも、自衛隊も民間航空も仕事がどんどんふえる、拡張はできない、困っておるということであるならば、もう全部とにかく出ていってくれというのは、全国まれな問題だ、こう考えますので、三十九年以来ずっと各地方自治体が決議して、出ていってくれということについて、いま承れば運輸省も防衛庁も知ってはおるけれども何もしていないということは、きわめて地域住民に対して不親切であろうと思う。この際、私は——この基盤になりましたのが人権問題でございますから 法務大臣にもこの間、特に中心になってやってもらいたいと言うたのでありますが、法務省、運輸省、防衛庁、すみやかにこの小牧空港をどうするか、現状においても放置をされない、双方とも困っておるわけですから、将来どうするかということを協議をしてもらいたい、運輸大臣にも十分これを報告してもらいたい、こう考えますが、よろしゅうございますか。
○梶田説明員 御趣旨の点、十分大臣にも報告申し上げまして、今後関係省の間で十分検討してまいりたい、かように考えております。
○大坪委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十二分散会