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56回国会衆議院1967/11/10

文教委員会 第5号

発言数
73
登壇者
8
会派数
3
開催日
1967/11/10

会議録

床次徳二自由民主党

○床次委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。長谷川正三君。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 私は、来年度の国家予算の中で文教予算の問題について、本委員会としても文部省の総括的な予算要求の態度等をまだ伺う機会に恵まれておりませんので、これらを伺ってやりたいわけですが、時間的な制約がありますので、本日はそのうち当面非常に心配しておる問題、教職員なり国民なりが非常な関心を持って見詰めておる問題にしぼって質問を申し上げたいと思います。  その第一点は、教職員の超過勤務手当の問題でございます。このことにつきましては、すでにもう何年も前から問題になっておるわけでありまして、昨年度はこれについて基本的な調査を予算化いたしまして、その調査もすでに実施済みで結果も明らかになっており、いよいよこれを制度として確立し、予算の裏づけをするという段階へ来ていると判断しておりますが、最近の政府部内なり与党自民党の文教関係の方々の動きがいろいろ新聞等に報道されているのを見ますと、非常に心配でならない事態ではないかというように思われますので、実は先般の文教委員会でもこの問題につきまして御質問申し上げまして、大臣からかなり明快な決意の御表明等もいただいて安心をしておったのでありますけれども、その後の十月三十一日の朝日新聞あるいは十一月六日の毎日新聞、七日の読売新聞、同じく七日のまた朝日、さらに八日の毎日というようなぐあいに、社説あるいは文教関係の報道として報道されているところを見ますと、いわゆる教職員に超過勤務手当というようなものを出すのは、何か制度上おもしろくないというような意向ですか、むしろ抜本的に号俸アップをすべきだというふうな意見が出てまいりまして、この問題がやや文部省がいままで考えてこられた考え方とぶつかりまして低迷しておる。そういうような状態では、当然大蔵当局といたしましては、これを見送るというような方向にいくのではないかというように報道されておりますので、きょうはそういう問題につきまして、たいへんくどくなりますけれども、再度大臣からその間のいきさつ、御方針を承りたいし、あわせて大蔵省のほうからも、きょうは小幡主計官に来ていただいておるようでありますから、大蔵側での御態度も逐次承っていきたいと思います。  そこで、まず総括的に、いま申し上げましたような情勢につきまして、大臣の御判断と御方針とをもう一度お願いしたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 四十三年度の予算要求にあたりまして、私ども文部省の基本的な考え方としましては、実際の調査に基づきまして超勤の計算をいたしますし、また、しかし教職にある者の給与の基本的な問題といたしましては、根本的に検討する必要があると存じまして、調査会と申しますか、名称は確定しておりませんが、そういうようなものを設けまして、教職員の給与体系の基本的な問題について調査検討をしてもらいたいという、実は二本立ての考え方で予算編成をいたすつもりで原案を作成したことは事実でございます。しかし、いま伝えられますように、この超勤の問題等を考える場合に、この際むしろ教員の基本的な給与体系というものが考えられるものなら、これを基本的にこの際やったほうがいいじゃないかという意見もあることは事実でございまして、これがただいまいろいろ論議をいたしておるところでございます。でございますが、これは予算編成の決定いたしますまでにおきまして必ず決定しなければならぬ問題でございまして、ただいま大蔵省に給与改善費というので、内容を不明確なままで要求しておりますので、大蔵省ではこれに対していま予算査定の方法がない状況だと思いますが、必ずこれは内容を確定いたしまして、予算編成が決定される以前において解決しなければならぬ問題でございますから、私はその解決に向かいましていま努力を続けておるというのが現状でございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 いま御答弁があったとおり、文部省の態度が最終的にはっきりしないまま給与改善費というようなばく然とした要求では、これは大蔵省でも非常に困るでしょうし、そういうものをばく然と、そうでなくてもきびしく切ろうとしているときに、そういうものはまつ先に切り落とされることは、常識で考えてそうなるのじゃないかという心配が出てくるわけであります。しかし、いま大臣は、これは予算の編成を最終決定する前にはどうしてもその態度を決定して、内容を明確にして大蔵折衝をしなければならないだろう、こうおっしゃっているのですが、一体その時期、いつごろまでにきちっとその態度をきめていくというふうにお見通しになっていらっしゃるのか、時期的な問題をちょっとお聞きしたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 これは例年の例によりますと、これは大蔵省のほうのあれでございますが、十二月の半ばごろから最終段階の予算折衝に入っていくのじゃないかと思います。でございますから、少なくとも大蔵省の関係もございまして、十一月中旬ごろまでには態度を確定しませんと、大蔵省も困るでございましょうし、私どももあれでございますから、大体その十一月の半ばごろを目途にぜひこれを決定したいと思っております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 いま十一月の半ばごろまでには決定しなければならないと思うという御答弁で、まことにそのとおりだろうと思いますが、本日はもう十一月の十日でございます。したがって、十一月の半ばと申しましても、まあせいぜい一週間か、二十日まで見ましても十日、この間に政府として、文部省としてきちっと結論を出すといういまおつもりだと思いますが、その確信がおありですか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 その目途をもって努力を続けておるわけでございますが、問題が重大でございますので、また文部省だけで決定いたしましても、やはり国会を通じての御審議をいただかなければなりませんから、私はその目途で努力をしておるということだけ申し上げるよりほかにないと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 これは国会で審議をして最終的にきめることでありますし、また、その意向を受けて政府は方針を立て、提案をすると思いますが、どうもいまのこの新聞報道等をずっと読んでみまして、これは事実上やむを得ないことでありましょうが、自民党の文教部会の、特に私どもこうして出てきて文教委員会で絶えず今日的問題として議論していない方々で、もちろんかつての文教問題に対して造詣の深かった先輩方だろうと思いますが、そういう方々の意見で非常にこの問題が混迷におちいっているのではないかというふうな感じがしてならないのですね。しかし、この際はぜひこの問題は——私は社会党でありますけれども、社会党がどうであるとか、あるいは日教組が要求しているとかなんとかいうことでなしに、いろいろそういうことも同時にありましたでしょうが、文教委員会として、あるいは政府として、この問題はいままでもかなり討議してきたことでありますし、そうしたものを基礎にして文部省自体があのような大々的な調査もなさったわけでありますから、もうそれ自身がやはり今日の近代的な学校管理の中で、あるいは今日の労使関係と申しますか、労働運動その他を考えた場合に、公務員にも当然この超勤は出ておりますし、教職員に超勤というものの事実がある以上は、労働基準法も厳としてあるわけでありますし、これは当然のこととして今日まで進んできたと私は思うのです。それから、いまの大臣の御答弁でも、当初の考えとして、超勤の問題は超勤の問題としてひとつきちっと始末をつける。同時に、教職員の待遇の改善と申しますか、給与体系のあり方というようなものについてはもう少し抜本的な方策が必要である、そういう立場から審議会等を設けてこれは十分検討しなければならない、こういうお考えも同時におありであった、こういうふうに承ったのでありますが、それはたいへん正しいと私は思うのですね。超勤の問題と待遇改善の問題は、広い意味では確かに待遇改善の大きい一助にもなると思いますけれども、超勤は労働基準法からいっても、これはあれば出すのが当然、その反面、いわゆる紛争が起こって、実力行使ということばをおきらいになるようですけれども、あるとすぐ賃金カットをするというようなことが一方に行なわれておる。それで片っ方では、命じられた超勤をやっておっても、それについて何の補償もない。教育という仕事は非常に精神的な面もありますので、命ぜられなくても教師が相当昼夜を分かたずやるようなことも事実上出ておる。そこまでのことはまた別に考えるとして、少なくとも学校の校務として、これは当然校長の命令と申しますか、そういうことでやっているものまで超勤を出していないという現実がいま明らかになってきているわけなんですから、これについての補償は、これは優遇というようなことでなくて、正当なことをやるということだけです。私は、優遇はけっこうだし、教育の尊重はけっこうでありますが、そのまず前提として、正当なことをやってもらわなければ困ると思う。その正当なこと、たとえば人事院の勧告のああいう最低のものでも、五月実施が、今回も大臣の相当な御努力にもかかわらず八月実施ということになった。一カ月延びたということが一つの前進であることは率直に認めますけれども、しかし、今日の情勢から見、過去の経緯から見まして、これはまことに遺憾であると思うわけですが、この超勤の問題につきましても同様でありまして、これは少なくともすでに他の公務員にも行なわれていることであり、どこをどうたたいてもこれほど筋の通っておって合理性のあるものはないのでありますから、しかもここまで文部省としても方針としてとって積み上げてきたことでありますから、これは抜本的な優遇の問題とは切り離しても、当然正当な形にはするという意味で実現をはからなければならないと思うのですが、その点についての大臣のお考えをもう一ぺんお聞かせ願いたい。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 超勤問題につきまして、特に衆議院におきまする文教委員会のいろいろな御審議の過程におきまして、しばしば文部省、特に歴代の文部大臣もこれに対しますお約束をしてまいった経過もございまして、私はこの問題を解決しなければ、将来に向かいまして文部大臣としての責任はとれないと考えております。もちろん、給与体系を根本的に改正いたしまして、超勤をなくするという場合があるとしますならば、これは当然にやはり立法措置によらなければならない、こう考えております。立法措置を伴わないで超勤を取り上げるということは、現段階においては不可能な問題だと思います。そういう意味合いにおきまして、できるだけの努力をいたしまして、将来いかなる方が文部大臣になりましても、国会において御答弁できるような形にしなければ私の責任は果たし得ない、こう考えて努力をしておるつもりであります。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 大臣の御答弁のとおり、抜本的な給与体系の改正というようなことは当然立法措置も伴いますし、また、現在の政治情勢と申しますか、われわれのいままでの経験から見まして、これは容易ならない決意のもとに相当な期間の検討を経て、しかも政府の相当思い切った方針として踏み切っていかなければ、これはとても簡単にできるものでないということは明らかであります。このことはもう大臣もはっきりお認めになると思うのです。そうであるとすれば、もうここまで煮詰まってきた段階に、しかも一週間か十日以内に態度を決定しなければならない、こういう段階の中で、結果的にいえば、その抜本改正については私どもも基本的に反対するものでありませんし、今度はそういう角度ではともに考え、大いに議論をしていきたいと思っておりますけれども、少なくともいまのような時間的な制約の中では、とうてい言うべくしてこれが実現は直ちに望めないことは明らかであります。これは与党なり政府なりが決意すれば一日でもできるんだといえば、それはそうかもしれませんけれども、しかし、いままでの経験から見まして、これがそう簡単にいくものでないことだけは明らかであります。とすれば、もしその前提が間違っていないとすれば、今回は、私は暫定ということばを使うことを賛成でありませんけれども、いまの現実を打開するという意味で、暫定ということばをもしお使いになるとすればお使いになるにしても、少なくともいままで用意されてきた超勤手当の制度をとにかくここで一応立てて、その予算の裏づけをする。このことについては、そこにいま全力を集中しなければならない時期だ、こう判断いたしますけれども、いかがでございますか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 私もそういう孝に方で善処したいと思っております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 大臣のお声は別に大きくなかったけれども、千鈞の重みのある御答弁だと私は承ります。一昨日の毎日にも「宙に浮く教職員超勤手当、自民党から待った、号俸アップと共倒れの恐れ」といまの情勢をまことに端的に見出しの中に要約して出ておりますが、こういうきびしい情勢であることを踏まえまして、なおここにおられまする与党の方も含め、あるいは床次委員長も含め、どうかひとつ大臣を先頭にして、この問題が実を結びますように強く御要望を申し上げたいと思います。  この点につきまして、小幡主計官のほうから大蔵省側の態度をちょっと伺いたいのですが、大蔵省の文部担当主計官とされましては、おそらく従来とも文教予算をできるだけ拡大し、文部省なり本文教委員会なりの意向ができるだけ通るように、おそらく省内では御努力の先頭に立っていただいてきておると思まして、この労は多といたしますが、今日私が申し上げましたようなことで、全国の教職員が大きな期待を持っております本問題につきまして、もう繰り返しませんけれども、文部省が非常な苦労をしながら今日まで方針を固めてきたこの問題につきまして、特段の御理解を持って対処されておられると思いますが、大蔵省側の御見解を伺っておきたいと思います。

小幡琢也大蔵省主計局主計官

○小幡説明員 ただいま文部大臣から御答弁ありましたように、この問題につきましては、実は正式に具体的内容についての御説明を受けておりません。超勤にするか、あるいは一号ないし二号の号俸アップにするか、その辺全然御説明を受けておりませんので、私のほうでもどうしたらいいか、実は苦慮をしているような次第でございます。御承知のように、来年度予算編成にあたりましていろいろ問題が山積しておりますので、早く態度をきめていただきませんと、実は全く宙に浮くようなかっこうになってしまうわけでございますが、大蔵省としまして、現段階におきましてこれを認めるとか認めないとか、そういうことを言った覚えはございません。また、将来具体的の内容が出ました場合にどうするかという問題につきましては、実はこれからの予算編成の問題でございますので、ただいま御答弁はひとつ御容赦願いたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 小幡主計官の現時点でのこの問題についての御答弁は、確かにそのとおり、その程度にとどめられるのも無理からぬことと思います。  そこで次に、いろいろ教育予算問題についてお尋ねしたいことがありますが、これまた新聞報道等で伝えられまして、国民が非常に心配をしている問題の一つとして学校給食の問題がございますが、この問題に移らしていただきます。  特に私がここで問題にしたいのは、今年度の学校給食について、これをさらに普及充実し、しかも国民の負担を軽くする立場から、文部省としてはいろいろ要求をされておるようですが、私の見るところではこれがやや消極的態度ではないか。従来の経緯から見まして、たとえば物価の値上がり等から見れば当然もう少し上回って要求すべきものを、従来の線どおりにとどめているというような面があるのではないかと思いますが、主要な項目について今年度の要求の御態度、前年度からどれだけ前進させようとしているのか、その点について、ひとつおもな項目についてだけでけっこうでありますから、御説明をいただきたいと思います。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 学校給食につきまして、かねてから御心配いただいておりまして、感謝申し上げております。  御承知のように保健体育審議会におきまして、いろいろな問題を持っております学校給食の将来の正しいあり方、普及発展の方向につきまして検討中でございます。非常にいろいろな問題を含んでおりますので、残念ながら来年度予算までに間に合うような御答申をいただきかねたのでございます。いまの見通しといたしましては来年度中になろうかと存じております。しかしながら、御指摘のように学校給食は、戦後、今日まで二十年にわたりましていろいろと地位を確保してまいりましたし、相当な普及を示しておりますし、国民の一般のお気持ちも、学校給食を将来普及すべきものである、こういう方向にあると考えますので、その答申がまだございませんけれども、従来の考え方に基づきまして、来年度予算におきましてさらに一そうの充実を期すべく予算要求させていただいておるのでございます。  申し上げますと、まず学校給食の普及の条件になります施設、設備でございますが、これの基準改定、いろいろ問題を持っておりますが、こういう内容を含めまして、まず施設、設備のほうを要求いたしております。  それから、従来やってまいりました父兄負担の軽減の方策でございますが、脱脂粉乳、小麦粉、これは大体従来の基準どおりの予算要求をさせていただいております。この点につきましては、御指摘のように物価が上がっておりますし、やはり従来どおりでなく、若干改定した要求をすべきではないか、こういう御要望があろうかと存じますが、御承知のようにこの問題は、学校給食の将来のあり方において保健体育審議会のきわめて大きな重要な基本問題でございます。この答申があって後、文部省としては十分検討させていただきたい。そこで残念なことでございますが、そういうような前提でございますので、従来のような小麦粉は一円補助、それから脱脂粉乳は七円四十銭、二分の一でございますが、そういうような状態で要求させていただいております。  そのほか僻地対策といたしまして、従来からございました高度僻地のパン、ミルクの無償、これはやはり非常に評判がようございますので、若干栄養差の補てんと申しますか、そういう添加物の新たなる要求をさせていただこうと思っております。また、学校給食のいろいろな改善のために必要でございます栄養職員の設置のための予算、あるいはまた、都道府県におきます学校給食会の発展充実のための補助金、それからコールドチェーンの普及をいたしまして、できるだけ学校給食費の低廉化をはかるための処理方策といったようなことをいたしまして、結局、こういう予算を総合いたしまして約五割増の予算要求をさせていただいております。御承知のように、政府予算は大体各省ごとに二五%以内におさめるべきである、こういう状態でございますが、学校給食は文部大臣が非常に御関心がございまして、学校給食は現段階におきましても約五割増の要求をさせていただいておる次第でございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 施設、設硫、それから直接その給食の物資に対する補助を含めて五割増ということでございますか。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 全体についてでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 その数字だけ見ますと、たいへん努力をされておるように見受けますし、またそうだと思いますが、ところが坊間伝えられるところでは、逆にこれが打ち切られたり、せいぜい据え置き程度にとどめられるのじゃないかということが非常に心配されておるですね。  個々に申し上げますと、小麦粉ですが、これは補助は百グラム当たり一円できておりますね。これは現在実際には幾らかかっておると思いますか。一円に対して全体のかかっているものがですね、つまり百グラムで幾らかかるうちの一円なのかということです。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 大体の推算でございますと、百グラム五円十二銭ほどのものに対しまして一円補助する、こういうかっこうになっております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 これは食管会計のほうから出ておるのですね。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 文部省予算でとりまして、あとで農林省の食管会計のほうに繰り入れる、こういう従来のしきたりを踏襲いたしております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 それがまず第一に打ち切りに瀕しているというように伝てえられているのですが、その心配はありませんか。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 これはまだ予算編成の最終段階に至っておりませんので何とも申し上げられませんが、多少私どものほうに入った情報によりますと、また、従来の小麦粉に対する大蔵省方面の御見解等を総合いたしますと、財政硬直化とかいろいろなこともございますようですが、昭和四十三年度予算において、再び小麦粉の一円補助の打ち切りといったようなことが若干話題になるのではなかろうか、こんなふうに予想されております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 小麦粉の補助の打ち切りという意見がすぐ出てくるその理由はどこにあるのですか。これは文部省自身が打ち切ろうと思っているのではないでしょうけれども、どういう考え方からそういうことが出てきておるのですか。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 小幡主計官も見えておられますから、いずれまたお聞きいただきたいと思いますが、私どもが伺っておりますことは、これは零細補助であるといったようなことと、それから、学校給食に対して国が補助金、予算を出しますのは、低所得層に出すのがたてまえであって、一般の金持ちにも貧乏人にも同じように出すということは、国家予算の使い方として、必ずしもベターではないんじゃないか、こういつたような考え方に基づいているやに伺っております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 大臣、この点はどうお考えですか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 私は、学校給食につきまして基本的な考え方を実は持っておるわけでございますが、これはいま保健体育審議会にこの問題について答申を求めております。しかし、答申はまだいただきませんけれども、その審議会の席におきまして、私としての考え方でございますが、私は、現在この学校給食が、日本人の体格改造に、過去におきましても相当な顕著な姿があらわれてまいりまして、将来やはり強い日本人をつくるということは、国家として非常に重大な課題であると思います。そこで、学校給食が普及いたしますためには、これに対しまして思い切った施策が行なわるべきではないか。特に小麦粉でございますとか、牛乳でございますとか、こういう主食でございますが、おかずは別としまして、主食については、基本的に国の態度というものを考え直す。これは、いまはっきりどのようにするということは申しかねますけれども、私は強くこの要望を持っておりまして、その点につきましての保健体育審議会の答申の出方を実は待っておるというのが現状でございます。特に小麦粉の一円補助につきましては、これはもう毎年大蔵省との間に最終段階まで課題になってまいっております。本年は、おそらくより以上の困難な情勢が起こると思いますが、私としましては、少なくともこの一円補助は打ち切るべきでない、こういう考え方をもちまして十分最後まで折衝してまいりたい、こう考えております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 いまの学校給食に対する基本的な大臣のお考え、たいへん私は重要なお考えであるし、賛成であります。そういう形でぜひ国の施策を進めていただきたい。むしろ、義務教育の半額国庫負担と同じような精神で、学校給食が事実上国と地方の負担で、ほんとうは無償でやれるようなところにどうしても持っていくべきだと思うのですけれども、その場合に、むしろ一円で据え置くからこういう運命になるので、実額の半分ぐらいは国庫で持つぐらいの方向にいままで積極的に取り組まなかったことが、かえって零細補助という形でしりつぼみになってきているのではないか、こういうふうにも思うのですが、いまの大臣のお考えは賛成でありますので、むしろ幅を広げるような方向で努力を願いたいと思いますが、毎年危殆に瀕しているということで、ことしも特にその危機感が強いようでありますから、この点に関しまして小幡主計官のほうのお考えも伺わせていただきたいと思います。

小幡琢也大蔵省主計局主計官

○小幡説明員 この問題につきましては、実は大蔵省としまして、まだ一円補助を打ち切るとも打ち切らぬとも言っておりません。ただ、これが毎年問題になりますのは、もちろん文部省のほうには文教の立場がございますが、私ども財政当局の立場というものもございまして、財政全般の立場からいいまして、財政資金の効率的な配分という見地からいいますと、たとえば現在の小麦粉の一円補助はどうであろうかという問題が起きるわけでございます。ただ、現実の問題としまして、制度はともかくとしまして、これをいま一挙に打ち切るかどうかということにつきましては、文部大臣から御答弁がありましたように、現在保健体育審議会で審議の最中でございますので、この辺は現実の問題として十分検討して善処したいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 保健体育審議会で抜本策といいますか、根本的な方針が答申されるのを待つという姿勢がある。これはやむを得ないと思いますが、少なくともそういう段階で、積極的に進めないにしても、今度は、その結論が出ないうちに後退するような措置をとるということもはなはだ不適当だと考えますね、最低考えましても……。そういう立場からいくと、せっかく審議会で審議をしておるとすれば、少なくともそういう最中にこの一円補助を打ち切るというのは乱暴な処置だと思いますが、小幡主計官にこれ以上御質問することは無理かもしれませんが、少なくともいま私どもがあなたの立場からいっても、いままで出ていたものを打ち切るというのは行き過ぎだと思いますが、そう思いませんか。

小幡琢也大蔵省主計局主計官

○小幡説明員 たいへんむずかしい問題でございまして、何ぶん現在は、文部省のみならず各省のこういった補助金につきましてそれぞれ検討の最中でございますので、ただいまこの問題について私が意見を申し上げることはどうぞ御容赦願いたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 小幡主計官の立場ではその程度の御答弁しかできないとすれば、それは了としまして、ひとつ大臣が言われましたように、この給食の問題は、貧しい家庭だけ見てやればいいという問題ではない。それはそういう僻地であるとか、非常に貧困な方にはすべて全額を見るという方向に努力することはいいと思いますが、基本的に国民全体の体位の向上あるいは食生活の改善、いろいろな意味をこの中に含んでおると思いますし、かたがた今日のような社会情勢の中で、これが子供だけでなくて国民、家庭をやはりある程度潤す重大な施策でもあると思います。少なくともこの一円の小麦粉がことし打ち切られるというようなことだけは絶対にないように強く大蔵省側にも御要望を申し上げておきたいと思います。なお、大臣としてはこれはひとつ最後までがんばっていただきたいと思います。  それから脱脂粉乳ですが、先ほどのお話で現在百グラムについて幾らかかって、そのうちたしか四円四十銭とか三十銭とか言いました、これは四円六十銭の間違いではないかと思いますが、百グラムについて幾ら補助をしておるか。これを来年度予算要求ではどうしておるのか、脱脂粉乳についてひとつお願いします。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 現在の値段で申しますと、本年度予算では十三円二十銭かかっておるところに四円六十銭だけ補助しているわけでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 現在十三円二十銭かかっていて四円六十銭というのは間違いないですか。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 さようでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 来年はどういうふうに見ておりますか。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 来年度は、一応推定いたしまして十四円八十銭になるであろう。これに対しまして半分の七円四十銭だけ補助させていただきたいという要求をいま大蔵省に出しているわけでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 この点はやや積極的なんですね、さっきの小麦粉のほうに比べまして……。脱脂粉乳のほうはまあ半額を見ようという、これはさっき言ったようにけっこうだと思いますが、こういう姿勢がどうしてほかの小麦粉のほうに……。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 先生にそう指摘されますとおり、多少一貫しないところがあるのでございますが、大体こんな気持ちで予算要求をさしていただきたいと思っております。  従来脱脂粉乳は二分の一、半分で認められたことがあるのでございます。先ほど御指摘ございましたように十三円二十銭の四円六十銭は何割に当たるのかちょっとはっきりせぬ。そこで私どもとしては、義務教育なんだから半分程度はお願いしたい。やはり従来からそういう気持ちを持っておりますし、従来の実績にもそういうことがございました。そこですっきりする意味で半分だけお願いしたい。ただ、小麦粉の場合は、これは値段は大体据え置きの見通しに立っております。それと、従来いろいろと小麦粉の問題につきましては打ち切る打ち切らないというような基本問題がございまして、これこそ保健体育審議会で基本的に御答弁いただいてわれわれも態度を決定しよう、こういうことでございますので、まあ何と申しますか、趣旨は一貫しないようでございますが、従来どおり一円というふうに要求させていただいております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 これは率直に言って、脱脂粉乳がアメリカで余ったのを日本で買ってやるといいますか、買い取らせられているというか、そういう事情があるので、私には、これにはわりあい優遇というか理解がある形が出てきているのじゃないかという妙な勘ぐりが出てきているのです。それにしても半額見るというのはけっこうです。逆に小麦粉なんかについてもぜひそういう方向で努力すべきだと思いますので、再度申し上げておきます。  なま牛乳ですが、これは国内の酪農振興とも提携して、将来は脱脂粉乳は完全になま牛乳に切りかえるという方針になっていると思いますが、その方針、態度を堅持されていくお考えですか。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 これはすでに三年ほど前に文部、農林両大臣によりまして方針をおきめいただいた次第でございます。漸進的に脱脂粉乳からなま牛乳に切りかえる、おおよそ昭和四十五年度を目標といたそう、大体この方針で進められてまいっております。  御承知と思いますが、なま牛乳の国庫補助金につきましては、農林省予算で毎年計上されております。来年度予算につきましても農林省と私どもと十分連絡の上、牛乳の生産その他いろいろ勘案いたしまして、従来の方針にのっとりまして、なま牛乳の数量といたしまして、本年度百三十万石でありますが、来年は百八十万石の予定を立てまして予算要求させていただいております。  それから、いま先生の御指摘でアメリカからというお話がございました。まあ過去に例もございましたが、現在はいろいろな事情がございまして、脱脂粉乳は、ことしなどはアメリカよりもむしろニュージーランドとカナダ、フランスから入っております。ちょっとつけ加えさしていただきます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 なま牛乳に切りかえる御方針はそのまま堅持されて、年次を追ってそこへ近づいていくという方針は変わりないというふうに理解してよろしゅうございますね。  そこで、ことしは百三十万石だったものを今度は百八十万石にふやす。このテンポで昭和四十五年に完全になま牛乳給食に切りかえられる、そう理解してよろしゅうございますか。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 これは現在、御承知と思いますが、学校給食会の存廃をめぐっての一つの論争点にもなっている点でございますが、一応予定はそういうふうに立てております。ただ、私どもといたしましては二つの問題点をいま指摘いたしております。一つは、脱脂粉乳と牛乳の栄養価に相違がある。現在の脱脂粉乳から牛乳に切りかえる場合、脱脂粉乳の栄養価だけを牛乳では満たし切れていない。牛乳のほうが栄養価が少ない、こういう点がございます。もう一つは、僻地とか、牛乳の輸送の困難な地域に腐れやすいなま牛乳をはたして全部確保できるであろうか。つまり、そういう僻地、離島等における将来のミルクをどう考えるかといったようなこととで、昭和四十五年度に切りかえられるというのは、少ない基準数量における切りかえを予定しているのであって、その後といえども脱脂粉乳はやはり必要である。若干必要性を継続せざるを得ない、こういう点を指摘いたしております。  ただ、基本的な切りかえの方針につきましては、農林、文部は協力しましてその線に沿って努力しよう、こういうふうに考えております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 もう一つ伺います。ことしはなま牛乳は幾らかかっていて、国の補助はどうなっているか。来年は幾らと見込んで、補助を幾ら要求していますか。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 これは農林省予算でございますが、本年度は十一円四十銭のところを国庫で五円補助をいたしております。来年は十二円二十銭になるであろう牛乳に対しまして五円、据え置いているようでございます。こういう予算要求をいたしまして、トータルといたしまして本年度予算は六十五億円、来年度は九十億円予算要求をいたしております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 このなま牛乳については、脱脂粉乳を切りかえるという意味で数量をふやすことに努力されているというあとはこれでよくわかりますが、補助が据え置きというのはちょっと理解できない。これが始まったころは半額近く出しておったのじゃないですか、それ以上に。

赤石清悦文部省体育局長

○赤石説明員 これは農林省予算でございますから、とやかく申し上げにくい事情がございますが、私どもの希望と農林省の希望では少しズレがございます。私どもとしては、脱脂粉乳は先ほど申しましたように二分の一を要求したい、おたくも二分の一でいってほしいと、こういうことでございますが、御承知のように何ぶん牛乳の予算のトータルが非常に膨大になりますし、また農林省の内部事情で、予算要求があるワクまでの範囲にとどめるべきであるといったような諸般の事情があったようでございまして、五円に据え置いて要求いたしておるようでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 これはまた別な機会に農林大臣に強く要求しなければいかぬと思いますが、こういうところで、現実論で本質が少しずつくずれていくというかっこうがとられることは私は非常に問題だと思いますし、残念だと思います。なま牛乳につきましても、きちっと半額を国庫が見るという大原則をぜひ確立すべきだと思いますので、この点は強く要求をしたい、今年度値上がりを見込みながら国庫補助を据え置いた、そういう要求しかしなかったことは、まことに私は——これはやはり文部省だけ責めてもいけないようで、農林省との関係あるいは大蔵省との関係もございましょうが、文部省としてはぜひそういう方向に推進すべきだと思います。農林大臣には別の機会にこのことは申し上げたいと思いますが、これらに関しまして総括的にもう一度大臣から所信を表明していただきまして、一応私の質問を終わりたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 私は、これは農林大臣とも相談を進めておりますけれども、なま牛乳の問題は、やはり畜産振興という面もございますけれども、全面的にこれが実施になりますと、これは学校給食の問題でございますので、なま牛乳の取り扱いにつきましては文部省に移管をしてほしいということをいま相談をいたしております。やはり農林省でございますと、畜産振興の意味から量の問題については十分話し合いしておりますが、量と単価両方合わせますと、大蔵省の予算要求に例の二五%のワクをこえるという問題がございまして、非常に困難であろうと思います。しかし、これは私どもとしましては、文部省の政策として学校給食を重大視すれば、学校給食についてある程度二五%をこえましても、他の部分を削ってでもこれは増していかなければならない。そういう意味で、また、取り扱いから申しましても、文部省のほうに——実は小麦粉もあわせまして将来の問題としては学校給食の関係で文部省で取り扱いたい。いわゆる食管会計からはずしていくような考え方をしてまいりたい。これは私の希望的ないまの考え方でございますが、将来はそういうふうに持っていきたいというふうに考えております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 質問を終わります。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 次は小林信一君。

小林信一日本社会党

○小林委員 いま学校給食の問題で長谷川委員のほうからお話がありましたが、私は別にそれに触れる予定ではなかったのですが、一言、文部省なり大蔵省にものを申したい。別に質問はいたしませんから、聞いてだけいただければけっこうです。もっと積極的になってほしいというところは、いま脱脂粉乳の問題にしましても、おそらくこれは学校給食法の中に、施設は補助するけれども、まだ給食そのものには補助するという制度ができていないと思うのです。そういう基本的なものを検討して、前向きの学校給食をしてほしいということを私は申し上げたいのです。  と申しますのは、先日アメリカへ行って学校給食の実態を見る機会があったのですが、実際その設備といい、子供たちの学校給食を喜ぶ姿、そういうものは私は日本とはだいぶ違ったものがあるような気がしてまいりました。子供たちが当日金を持っていく者もあるのですが、三十セントつかんでおります。そうすると、これは大体一食百円以上になるわけです。しかも国の補助あるいは市の補助があるが、それを差し引いても、一人一人が三十セントつかんでいくわけです。いま日本の学校給食は四十円に満たない額だと私は聞いておりますが、そういう点から考えると、まだまだ日本の学校給食なんというものはかろうじてその体面を保っているだけであって、子供たちのためには文部省のもっと積極的な態度というものが必要だと思うのです。大蔵省も、先ほど主計官のお話を聞いておりますと、私どもは財政的な問題を考えなければならぬというけれども、そういう学校給食の世界的なあり方というふうなものを考えていただくならば、もっと誠意のある態度が出るのじゃないかと思っております。  それはほんとうにつけ加えた問題でございますが、大臣はきょう園遊会のほうに御出席になるわけで、時間がないので非常に残念でございますし、また同僚委員から、どうしてもきょう大臣の意見を聞きたいという方もございますので、わずかな時間二、三の問題についてお聞きしたいと思うのです。  まず第一番に帝国ホテルの問題でございますが、この前私どもは文化財保護委員会のほうから意向をお聞きしておきました。その節文化財保護委員会のほうでは、保存はしたいけれども、あの保存を何に使用をして保存をするかということが問題であるという稲田委員長のお答えだったわけです。保存をするということについてはかなり熱意があるようにお聞きしておったのですが、どうも積極的にこの問題に当たっておるような様子がなかったわけです。その後、大臣がこの問題に非常に熱意を持たれて、何とかして帝国ホテル保存の問題で努力したい、こういうふうなものがときどき新聞等にも見え、あるいは閣議等でも御苦労なさっておることを聞きまして、非常にうれしく思っておったわけなんですが、話に聞きますと、ホテル自体は十二月一日から解体したい、非常に緊急切迫したものが感ぜられるわけです。したがって、こういうものに御理解のある、理解を持たれる一般の人たちは非常に心配をして、大臣にがんばっていただくことを要望しているわけなんです。その人たちの声を私は代表して、きょうは短時間でありますが、いままでの様子と経緯と、そして大臣の考え方をこの際お聞きして、一そうがんばっていただきたいと思うのですが、十一月七日ですか、閣議が行なわれて、その閣議の中でこの問題が話し合いをされたやに承っておりますが、そのときの大臣の意向なり、あるいは大蔵大臣の意向なり、あるいは総理大臣がもし何か見解を述べたならばその意向、こういうものをひとつこの際お聞かせ願いたいと思うのです。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 この問題は、実は純粋に文化財保護委員会の問題でございまして、私が介入すべき問題でないかと思っておりましたが、十月の二十二日でございますか、ライト夫人が訪れまして、直接に私に陳情がございました。それで文化財委において、文化財委のほうで困難の点があるならば、文部大臣としても御協力するにやぶさかでない、これを保存すべき文化財上の価値いかんということについてお尋ねしました。文化財保護委員会としてはぜひこれを保存したいという意向がございましたので、仰せのとおり、閣議の席上ではございませんが、閣議終了後実は建設大臣とこの問題についてお話をいたしました。ところが、建設省のほうといたしましては高層建築は認めがたいけれども、高層でない場合においては、これを改築いたしますことの申請についてはこれは認めざるを得ないということでございました。そこで、これが一部分は国有財産でございます。でございますので、その関係で総理ともいろいろお話をいたしましたが、結局、これは総理のほうから申しますと、国有財産を売り渡すということの話が進んでおるようでございますが、それはおもしろくないからストップをかけようということで、売り渡すことだけはやめたのでございますが、しかし改築については阻止する方法がないという状況でございました。  そこで、日にちをちょっと忘れましたが、帝国ホテルの代表者犬丸社長が私に面会を求めて来まして、社長と保存の方法につきましていろいろ相談をいたしました。その上で、実は私、文化財保護委員会の委員長と、それからこれを保存することを熱望しております建築学会及び「帝国ホテルを守る会」でございますか、これらの代表者と犬丸社長と十分話し合いをしてくれ、直接的に両者の意見を話し合いをしてもらう機会をつくりまして、ここで十分話し合いをいたしまして、その結果、両者の間におきまして相当の話し合いがただいま進行しておるわけでございます。「帝国ホテルを守る会」のほうとしましては、あくまで現地で全面的に保存するということでずっと要求してまいったのでございますが、現在保存ということの非常に困難な問題ということはだいぶわかってきたようでございまして、これを移築いたしまして保存するという方向に向かいまして、今後具体的な問題で話し合いが進んでまいるかと思います。それにつきましては、帝国ホテルのほうではすでにプランができておりまして、十二月一日から取りこわしにかかるということでございましたが、この点も早急にお話し合いをいたしまして、取りこわしにつきまして多少工事を延ばすとか、あるいは取りこわしの際におきまして、移築に必要な、移築が可能なような取りこわし方をするとか、こういったような具体的な問題につきまして話し合いを早急に進めるということで、両者の問で意見が一致したようでございます。  そこで問題になりますのは、移築する場合におきまする主体はいずれにするか。移築しましたあと、帝国ホテルの保存されます保存の主体はだれがなるか、あるいはそれに要します金の出し方はどうするかというような具体的な問題は今後きめられなければなりません。そういう問題につきまして、やはり文化財保護委員会でこれをあっせんいたしまして、具体的な段取りを今後進行してまいりたい、こういうのが現状でございます。  ただ帝国ホテルは、実際上は建設後、あれを建設いたしました直後に、いわゆる震災の日にあれは建て終わったのでございまして、震災にあったわけです。大震災にあいまして、大震災において原型はずっと残ったのでございますが、相当その震災の影響を受けた。こわれがきておりますし、それから相当な部分が一回火災にあっております。また、その後建築のいろいろな関係から損壊が非常にひどうございまして、どの程度にいまの材料をそのまま使えるかどうかということは、これは非常に技術的な問題が残っておると思います。ただ、これは主として早稲田大学でございますが、建築のほうの専門の方が詳細に調査をいたしまして、こわしてしまいましても、あのままの姿でいつでも復元できるだけの材料はそろっておりますので、その材料と合わせまして現材料をいかように使って移築するかというのが今後の課題であろうと思います。そういう意味におきまして、これは文化財保護委員会の問題でございますが、私としてもこれに対しまして協力いたしまして、できるだけこの建物を残すということに努力してまいりたい、こう考えております。

小林信一日本社会党

○小林委員 非常に御苦労なさった点はわかるわけです。しかし大臣が、これは文化財の仕事である、私が関係すべきものではないというようなお考えを持たれているのですが、いまの文化財保護委員会のあり方からすれば、どうしてもこれはやはり大臣が出なければならぬ問題だと私は考えるわけで、大臣はもっと大臣の責任というものを感じて一そう努力していただかなければならぬのが現状じゃないかとまず思います。  それで、大臣が犬丸社長、稲田委員長とお三人でもって会われたのは新聞で見ました。それからあと、犬丸さんが記者会見をしておる。それからさらに犬丸さんが「帝国ホテルを守る会」の皆さんとも話し合いをされておるのですが、いま大臣がおっしゃったように簡単に移築というふうな問題を了承されておらぬように、最後の結論的なものは私どもそういうふうに了承しているのですが、何かそこら辺が非常にはっきりしないのですが、大臣の最終的なつかみ方というのは、どういうふうにつかんでおいでになるのですか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 帝国ホテル側といたしましては、私が話し合いをいたします前におきましては、たとえば守る会等とは絶対に会わないという態度でございました。私、あっせんしまして、両者会いまして、守る会のほうも、実は建築の専門家が多いのでございまして、その話し合いの過程におきましてだんだん両者の間のあれが解けてまいりまして、両方とも歩み寄っていこうという現在の段階になっておることは間違いございません。ただ、私が申しましたように、全面移築と申しましても、ライトのそのままの姿がほとんど残っていないところが相当ありまして、ですから、これは全面的にやるならば、全面復元の形をとり、そしてできるだけいまの使用し得る現材料を、やはりライトの建築として残す限りにおきましては使用するというので、その限度というものにつきましては技術的な問題が相当残ると思います。そういう意味におきまして、今後具体的な取り撰び方については両者の間において話を進められていく、その移築についてはできるだけの協力をいたしますということはホテル側、犬丸さんも、はっきりとそういうところまで来ておると私は考えております。

小林信一日本社会党

○小林委員 そうすると、十二月一日から取りこわすということも、何かこっちのほうの態度がきまらなければ着手をしないというふうなことも予想できるわけだと思いますが、そこの辺と。それからもう一つ、大臣はライト未亡人とお会いになっていますね。未亡人はどんなことをおっしゃっているか。おそらく未亡人だけの考えでなく、アメリカの人たちの意向というのも代表しているのじゃないかと思うのですが、この機会に大臣の感じ取ったものをお話し願いたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 ライト未亡人が保存したいというのは当然のことだと思いますが、それにはやはりアメリカにおきましても、ぜひこれを保存したいという一般の空気が非常に強いと思いますし、また、私がこの問題に関係いたしましてから、世界じゅうのいろいろな建築学会からもぜひ保存してもらいたいという非常な要望も起こってきておるようでございます。ライト夫人の個人的な問題だけではないと考えております。

小林信一日本社会党

○小林委員 私どもも、新聞等ではもう国際的な問題になっておる。最近の文化財保護ということは国際的なものの中から保存をしていくというふうな空気が非常に強くなってきているわけですが、今回も、はからずもそういうふうな機運が出てきたことは非常にいいことだと思うのです。これも大臣の積極的な進出からそうなったと思うのですが、できるならばそういう国際的な意向というものを——実は私ども内容がわからぬものですから大臣にお聞きしようと思うのですが、それは時間がありませんから、少し余裕が見られたような形でございますので、いずれかの機会に譲ることにいたしまして、先ほど、総理が、座談ではあるけれども、国有地は売り渡さない、しかし改築阻止はこれはいかんともしがたいのだというお話があったのですが、そこら辺が文化財保護という、これは政府とか個人とかという問題ではなくて、一つの社会的な問題だと思うのですよ。そういう社会的な要求というようなものを強く責任者が打ち出して、了解させる、説得させる、あるいは世論を巻き起こすというようなことで、阻止でなく、保存をするという意欲を当事者に持たせることは政府としては考えないのかどうか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 私は、あれはホテル側の説明をずっと聞きまして、その説明についても無理がないという結論に達したわけでございますが、それは今日まであれを原形のまま、ホテルとしてはとんど使用価値がないくらいになっておる面があるのですが、これを修理しつつ、ホテル側も非常な愛着を持っていままで守ってきた。しかし、このままにしておりますと、あれはいよいよ営業の対象にはなりません。非常に危険な状態で、あそこに宿泊いたしておりまして、地震が相当なものがあれば一ぺんにこわれる可能性が非常に強くなってきておりますので、あれをあのまま保存するということになれば、ホテルもほとんど営業停止というような関係ができる。それじゃほかの用途に使いまして、ホテルをほかの場所に建ててあれを保存させるということになりますと、あの危険な状態をこの際基本的に修理をしなければならぬ。修理をするためには、あれは特殊な建築形式で、下のほうはどろどろの上に建っておるわけですから、その基礎工事からやり直すということになると、あれを新たに建てるよりもずっとはるかにばく大な工費が要るというような関係がありまして、現地で全面保存ということはほとんど不可能にひとしい。それでこの際は移築して保存したほうがいいという大体の結論になり、学者の間でも次第にそういうお考えに変わってきつつあるように伺っております。でありますから、現地におきまして保存を命ずるということは現段階では非常に困難だということは、私どもも一応了承したわけでございます。総理がそういうような気持ちになっておるのもやはり同様であろうと推察いたしております。

小林信一日本社会党

○小林委員 そこら辺の見解というのが非常にむずかしいところだと思うのです。私どももこういう点では学者の皆さんから意見を聞いておるのですが、これは一方的な意見になるかもしれませんが、ひとつ大臣、頭の中に入れていただきたいと思うのです。さっき震災にもあった、火災にもあったというお話がありましたが、あそこは焼夷弾にもやられておるわけですね。しかもその焼夷弾というのは百何発か落ちているのだそうですよ。それから地盤沈下が、全面的な地盤沈下でなくて不均衡な地盤沈下にもあっている。そういう災害にあいながらも、現在あの状態が維持されておるということは、建築的に見てすぐれておるものがあるからじゃないか。それがいま使用不可能とかなんとかいうことは、補強するとかあるいはそれを整備するとかいう——もうこれは時代に合わないのだ、みんな高層建築でほかのホテル業者はどんどんもうけている、こんな古くさいものでいつまでもやっていたのでは商売にならないという商策的なもので、補強もしない、工作もしないというようなことで、いま使用不可能であって、これをこのまま営業さしておったのではかわいそうだというような、そういう見方も出てくるわけですが、一方、いま申したように、専門家が検討すれば、そういう強靱さもあるのだ、要はやっぱり手入れをしなかったからだ、だからここで根本的に手入れをしたらできるじゃないか。それからもう一つ、ああいう最近のホテル形式からすれば非常に古いものだ。したがって、ああいうところへお客さんが来ないというようなことも言うのですが、いま帝国ホテルに、施設がいいから来るというよりも、非常に有名な建築であるというふうなことから来るお客さんだって多いわけです。そういう古さを看板にした商策というものも私はあると思うのです。だから、大臣のいまおっしゃるようなお話と逆の見方もあるわけですよ。こういうものを、大臣だけでなく、文化財の専門家もいるし、あるいはいろいろな諮問をして意見を聞く機関もあると思うのですが、もっとひとつこの点も考えていただいて、何もそうしいるわけじゃない、こういう考え方もあるじゃないかというふうにしてホテル当事者を説得するということは、私は意義があると思うのです。外国へ参りましても、そういう古いものを、全くつぶれそうなものもうまくそれを維持して、りっぱに、商売がよけいにうまくいっているようなものも私どもはよく見かけてくるのですが、いま帝国ホテルは、一方ライト氏のすぐれた技術を残すと同時に、そういうまた東京都の一つの特色として残す商策もりっぱに立つというふうな道も私はあるじゃないかと思うのです。これをひとつ私は大臣に、これは私の考えじゃない、そういう考え方をして守るべきであるという人たちも非常に多いわけなんですから、聞いていただきたいと思うのです。  もう一つ、最近急速に東京の姿というものは変貌していく、高層建築がどんどん建っていく、そしていろいろな道路ができたりして、古いものはどんどん片づけられていくのですが、一体東京はこのような方針でもって変わらしてもいいのかどうか、そういう中にこういう帝国ホテルのようなものがある。そういうものは現地に保存をする、あるいはそういうものは一々みな明治村あたりへ片づけて、そしてそこでもって昔をしのぶというふうな姿で一体東京というものはこれから生かせるのかどうか、ここら辺にも、大臣にしても、あるいは総理大臣にしても、建設大臣にしても、基本的なものをしっかり持っていただかなければ、私は文化財保護というような問題はたいへんなことになるのじゃないかと思うのです。  そういう基本的な考え方と、もう一つ東京都とお話し合いをしたことがあるかどうか。東京都はどんな考えを持っておるか。やっぱり東京都をあずかる人たちとすれば、これは非常に大きな責任がある。何らかの見解を持っておると思うのですが、これにはどういうふうに対処されておるか、お伺いいたします。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 都市の計画、それから現地保存という問題につきましては、小林先生と私全く同感でございます。しかし、両者の話を、守る会の話も十分聞きましたし、それからホテル側の意見も十分聞きました。両者の間に相当な食い違いがございますので、そこで両者が話し合いをしまして、また、守る会あるいは建築学会、これらの方がほんとうに現地を見まして、そして現地保存ができるのかどうか、そういったものは私自身には専門的なあれはわかりませんから、専門的な方々のお話し合いなり、現地をずっと調査をいたしまして結論を出すべきだ、こういう結論に達しまして、両者の引き合わせをいたし、今後もまた現地を見てそれを具体的にきめていくということでごさいますので、それはその話し合いに私はおまかせしてまいりたいと思っております。  なお、この問題につきましては、東京都におきましても相当な関心を持っておりますし、美濃部知事も、これにはある程度の都費をつぎ込んでもぜひ保存したいという考え方を持っておるようでございます。でございますから、場合によりましたら都とも十分話し合いをいたしまして、この問題の解決に私は当たりたいと思っております。

小林信一日本社会党

○小林委員 なお、私どもは、先ほど理事会におきまして、また最近に文教委員会あるいは小委員会を持ちまして、こういう問題を検討していただくことになっておりますので、一応大臣が十二月一日というものを食いとめていただいておるような気がいたしますので、一週間後ぐらいに委員会を開くそうでございますが、なお一そうひとつ善処していただきたいと思うのです。それには、とかく財政的なもので、文化財保護委員会は、何か保存をするという見通しが立たなければこれを指定しないというふうな、非常に貧困なるがゆえの情勢があるわけなんですが、ひとつこの問題は、東京都の今後の問題もございますので、積極的に御努力願いたいと思います。なお、今後どういうふうに御苦労なされるか、また私ども次の機会にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、これも時間がございませんので、まことに残念でありますが、総理があさって出かけるというような話を聞いて、すぐ思い出しますものは、先ごろ文部大臣が、これも大臣として非常に気持ちを込めて取り上げた問題として、例の挾間事件の問題がございます。いまその事件の内容をここでもって私どもはいろいろお伺いするつもりはございません。できるなら一応の全貌を、文部省としてつかんでおるものはどういうふうにつかんでおられるか、お聞きしたいわけですが、それよりも何か私どもの印象では、頭脳流出というふうなものが一方的になされておる。いま日本の主体性がないという具体的なあらわれが、今度の挾間事件のような気がいたします。アメリカの必要に応じて日本から頭脳が集められる、そしてそれが今度は意に満たなければ、これを罪人扱いをして放棄するというような、国際的な学術研究というものが、まことに遺憾な状態でもって処理されておる。それをいま日本が甘んじて受けるか受けぬかというような問題にも考えられるわけなんですが、こういう問題をどういうふうに大臣として処理されようとしておるか。あるいは総理大臣がアメリカへ行く機会に、こういうふうに政府としてはこの問題を扱うようにしておりますというようなものがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 挾間事件につきましては、内容は十分御承知だと思いますが、私の解釈としましては、これは日本の学者とアメリカにおける研究機関内における研究の慣習上の相違と申しますか、これが事件が起こりました一つの基本的な原因ではないかと思います。たとえば日本の学者でございますと、かりに大学で研究いたしましても、あるいは研究論文でございますとか、自分が研究いたしました——これはスライトなんかの問題だと思いますが、そういうものは一応研究者の所有ということに大体なるのが慣習でございまして、自分の研究したものを自由に持ち出しても、それが窃盗罪とかそういうことになり得ないのでございますが、アメリカにおきましては、何か州の法律で、州の大学で研究いたしました資料は大学のものである、したがってこれを持ち出すと窃盗罪になる、こういうような法律になっておるようでございます。これはいまやアメリカの州の問題になっておりますので、外務省といたしましても、これに対していろいろな外交上の折衝ということは内政干渉というような問題とも関連しまして非常にむずかしい問題がございますので、外務省は非常に世話をいたしておりますが、同時に、弁護士を外務省のほうで委嘱しまして、弁護士を通じて州との折衝を続けておる。それで十一月十五日に任意出頭の形になりまして最終的な判定があると思いますが、おそらく現地におきます裁判におきましては、いまのところ見通しとしては決して暗いものではないと思っております。ただこの問題につきまして、そういう状況でございまして、外務省として正式な外交交渉を通じてというわけにまいりませんけれども、しかし、私は総理には直接には話しておりませんが、外務大臣が行かれますので、外務大臣と先ほども閣議でお話をいたしました。この前もお話をいたしました。外務大臣としては、何らかの方法で帰してもらう方法があれば自分としても最善の努力をするということでお話をしておるわけでございまして、私どもといたしましては、挾間さんはいわゆる頭脳流出とかそういう問題じゃなしに、挾間博士自身が特殊の研究課題につきまして研究したいということで向こうに一年間の予定で参ったのでございますが、これを二年に延ばし、また大学のほうでもとどまることを要望されたことは事実でございますけれども、しかし、本人としてはぜひ帰るというので今度帰りたかったわけでございます。こういう事件は国際親善とかいうことももちろんございますし、それから学術研究の交流という面から申しましても、私としては好ましくない事件だろうと存じますので、そういう大きな立場から、特に外務大臣としては、この際外務大臣として許される方法でけっこうですから、ぜひ早く解決するように、ちょうど時間的関係もよろしゅうございますので、ぜひひとつ頼みますということでお話をし、外務大臣も何とかひとつやってみましょう、こういうことで約束しておるわけでございます。

小林信一日本社会党

○小林委員 いまのように外務大臣にそういう点を強く要望しておいた、それが私のお願いするところ、希望するところなんです。ただ挾間事件が解決すればいいということでなくて、いま大臣が言われるように、たとえ研究員として行ったにしても、あるいは向こうの要請に応じて行ったにしても、向こうの習慣がこうだからということは、これが日本の悪い点じゃないかと思うのです。主導性というものは向こうに持たれて、そうしていつでも日本は隷属的な立場におる。特に学術交流というふうな問題については、向こうの立場もあればこちらの立場もある。すぐにスパイ扱いにしたり、あるいはそれが不可能であったら窃盗容疑でもって逮捕するというふうに、何かまだ隷属している日本というふうなものが印象づけられるわけです。だから私は、そういう面をき然として外交問題の中で処理する、こういう態度を希望するのであります。  いろいろ申し上げたいのですが、吉田さんがまだお話があるそうでございますので、私の質問はこれで終わらしていただきます。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 吉田賢一君。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 私は、町に埋もれ去るおそれのあるもので重要な科学研究の成果につきまして、大臣と大学学術局長に二、三質問してみたいと思うのであります。  まず基本的に、文部省の科学研究の補助金、この補助金については日本学術会議の答申のうち「配分基本方針」というものがございますが、このうちに「研究成果刊行費」という費目があるようであります。一は「学術定期刊行物」、二は「学術図書」、三は「二次刊行物」、こういう規定をいたしております。二の「学術図書」によりますと、「学術的価値、市販性等を十分に検討して、補助がなくては刊行の困難なものを選定するものとし、特に次に掲げるものについては優先的に考慮する。」そのうちの(2)といたしましては、「刊行が数年にわたり、継続して多額の経費を要する継続学術図書であって、その刊行年次計画等を検討して採択したもの」それから「二次刊行物」につきましては、「学術研究の基礎資料として利用価値が高いもので、補助がなくては刊行の困難なものを選定する。」こうなっておりますが、文部省といたしましては、この科学研究費補助金の配分につき、いまの研究成果の刊行費等につきましてはこのような基準で補助金を交付するというふうになっているのでございますか。

宮地茂文部省大学学術局長

○宮地説明員 いま先生がおっしゃいましたのが基本的な問題でございまして、それに基づきまして多少こまかい規定もございますが、いま大体先生がおっしゃいました趣旨で配分はいたしております。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 実は、具体的には兵庫県の神戸の東の端のほうに住吉町というところがございますが、ここに住まっている元大学の教授だった田中長三郎という農学博士がございます。年齢は八十二歳でございます。新聞記事がございまして、それが地方の婦人集会ではしなくも問題になりました。内容を一口に申しますと、食用植物の調査研究に三十数年打ち込んでおられる篤学者なのでございます。この人の記事が出まして、写真が出ておりましたので、婦人会の主婦の方々も、食料の問題、物価の問題等議論のある最中でございまして、非常に注目して話題になったわけであります。食用植物八千種を追及してこれの集録に努力しておるという、そういう記事であったのですが、私は専門家でないから食用植物の調査はとてもお答えはできない、一応政治的な観点から、それならばひとつ研究してみましょうというのが発端でございました。ごく最近のできごとでございました。そこで、実はちょうど昨日でございましたけれども、私兵庫県へ帰っておりましたので、お宅をたずねてみました。ところが、そのお宅は夫婦でございまして、夫は八十二歳の学者でございます。家じゅうは書庫というよりも、原稿の整理したものがどこもかも一ぱいの中に住んでおられる。奥さんと二人きり、こういう家庭なんでございます。奥さんは助手です。七十三歳と言っておりましたが、主人は八十二歳。しかも、この夏二ヵ月脳軟化症の軽いのをやったらしいけれども、とにかく打ち込んでおられる。そして目下整理中です。狭い部屋にぎっちり積んであるのは全部英文の記録です。全部自分がタイプを打つのだそうです。ということでございまして、だんだん説明を聞いてみたんですが、なんでもアメリカにはスタートバントという方があって、この方が長い研究の結果三千種の食用植物を集録した。そして日本名で食用植物記録集、こういう翻訳をされておりますが、これはいま世界的な権威だそうです。植物学者、農学者等の参考になっておるそうでございます。ところが、これの倍以上の八千種を見つけ出しまして集録いたしております。この整理のまつ最中です。聞いてみますと、なお十年かかりますと言っておられる。大阪の府立大学の教授を六年前にやめました人です。大阪の府立大学で四人の教授などと共同研究を一面やっておられるようでありますが、それと全く別に、その所有しておられる集録した原稿というのはたいへんなものなんです。何でも戦時中に軍の委嘱を受けて台湾の大学の先生なんかしておりまして、国の委嘱を受けて南方のガダルカナルの飢饉作戦、ああいうことから広く南洋地域の食用植物の研究に従事したそうです。そういうこともございまして、本来は東京大学の農学部出身のミカン分類の専門学者だそうですが、そういうこともあって、ともかく世界的なあらゆる文献をあさっておられまして、できないのはロシア語だけです。直接聞いてみましたら、ほとんど外語国はマスターしておるそうでありますから、一切の文献から集録しました食用植物分類のさなかでございます。しかし、この分類を終えるにはあと十年かかると言っておる。ほんとうに貴重なものです。試みに奥さんに、これは横町の路地を入った狭苦しいところですが、訪問者がありますかと聞いてみましたら、ときどき外国の学者がお越しになります。日本の学者はどうですかと言ったら、あまり見えないということです。言うならば、この人は世界に相当有名です。そしていろいろな文献の説明もございましたが、日本ではあまり知られておらぬのじゃないだろうかと、私危惧したということです。そこで、あと十年も私は生きられない。生きている間に何とかと思うのですけれども、八千の集録を全部仕上げて書物かなんかにすることはとてもできません。どこかへ寄付しようかと思うくらいだという述懐がしまいに出ました。そこで私心配しましたのは、一つは、町にそういうふうにありますると、ついに所有関係がどうかなりはしないかとひやっと感じたことが一つと、それから八千の有用食物、食用植物ということになりましたら、これはたいへんな貴重な成果じゃないかというふうに考えまして、何とかこれは日の目を見る日が早からんことを、そういう気持ちでもって問答しておったのですが、大臣、こういう場合、文部省はあらゆる科学研究をしておるのに補助も出しておられるようでありまするが、もっとこれは国の保護するということを積極的に差し伸べるということはできないものでしょうか。その人の学歴、それから経歴なり、それから経路なり、三十年打ち込んでおることなり、状況を見まして、私は全く驚いちゃったのです。そういうのでございますが、これはあるいは御承知なのか存じませんけれども、どうしたものでしょうね。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 田中長三郎先生の研究の実情につきまして吉田先生から承りまして、ほんとうに隠れた偉大な研究家と思います。実は科学研究費の補助とか、あるいは研究成果の発表の補助というものにつきましては、文部省のいまの取り扱いとしましては、御本人から申請がないとそれを取り上げていないのがいままでの実情でございます。したがいまして、田中先生は、今日に至るまで研究費につきましても、あるいはまた研究成果の発表につきましても、何らの申し出がございませんで、私どもとしてはこれを援助申し上げていなかったのでございます。しかし、ほんとうにそういう援助を求めずしてこつこつと研究しておられましたその研究者といたしましては、私、やはり日本でもきわめて貴重な存在だと思います。そういう意味におきまして、きょうお話を承ったのでございますが、さっそくにもこの御本人とも連絡をいたしまして、積極的にそういう貴重な研究物についての今後の問題でございますとか、あるいは今後の研究上の問題等につきましては、とくと御本人と御相談をいたしまして、さっそく将来の問題として善処してまいりたい、こう考えております。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 聞くところによりますと、アメリカにおきましてはロックフェラーなどが、たとえばクロレラの調査研究等について相当な援助をしておるようでございますが、日本ではそういうこともまだ発達しておりません。しかし現状と将来は、世界的に特に開発途上国等におきましての、食糧飢饉は、インドあるいはインドネシア等ここ二、三年なお継続いたしておりますし、インドのごときは八百万も去年餓死に瀕する者が出たような実情でございますので、こういう時代でもございまするから、特に国連の報告によりますと、紀元二〇〇〇年には世界の人口は倍になるとか、倍というと六十六億ですかというような国連の報告さえございますが、食糧と人間の増加という問題、だんだんと食糧問題が重大になりつつあるということ、あるいは大豆かすなども人造食糧にするということでアメリカでは相当調査もしておる、研究もしておるようでございますし、こんな際でございまするから、やはりせっかくの埋もれた篤学者は、これはもう世界的に相当評価してしかるべきでないかと思われますので、大臣のお考えを聞きましたので、私は一つの光明を見出したような感じがいたします。本人にしましても、やはり言うならば経済的に自分の報われない愚直一本のそういう長年の、最高時限の忍耐と労苦の要る仕事に打ち込んでおりますというこの心境でございますので、これはあらゆる方法でできるだけ早い機会に、広く日本並びに世界の食糧問題の将来のためにもなろうと思いますから、文部省として最善の御努力をせられんことを強く御要望申し上げておきたいと思います。来年四十三年度の予算関係は、科学研究費等につきましてあまり多く増加する見込みはないのじゃないだろうかというふうに心配をいたしておりますのですが、その辺から見ますと、いろいろお考えくださっても思うように財政措置ができぬということになりはしないだろうか、こういうことも考えるのですが、その点は、刊行物には相当の経費も要ると思いますし、まあ早急じゃなくても、たとえば数名の助手をつけて、そしてそれを整理するという仕事も、これも一つだろうと思いますし、何かの方法もあろうと思いますから、この際、財政的に、人間的に、いろんな角度から文部省として可能な範囲でできるだけ早い機会にこれはひとつ、ほんとうに日本として貴重な成果として世に出すようにせられんことを強く御要望申し上げたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 いまの田中先生の問題につきましては、さっそく私どもで措置したいと思います。  それからちょっと、来年の予算の問題でございましたが、実は去る国会におきましてもいろいろ科学研究費の問題で御論議いただきました。また現下の国際的情勢から申しましても、科学研究の非常に重要ということは、非常に必要になってまいりましたし、また、世界列国との比較におきまして、いかにも日本は科学研究費に対しまする財政支出が非常に少な過ぎる現段階でございますので、来年度の文部省の予算といたしましては、最重点といたしまして科学研究費の増加をぜひはかりたい、これは強く私としては要望してまいりたいと思います。現在の大学における一般の研究費及び科学研究費、これは倍以上の増加を実は予定いたしておるのでございます。そういう意味におきまして予算的にもひとつ何ぶんの御支援方お願い申し上げます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 ちょっと御参考までに申し上げておきます。  この田中長三郎博士は、住所は神戸市東灘区住吉町獺川というところでございます。それからなお、大阪の府立大学の研究グループ、これは中尾教授という方がおありだそうですが、中尾教授を中心に四人の研究グループがございまして、これの一人にも参加しておられるということでございます。そのほうは試験研究などのようでありますから、すでに文部省等のほうにも関係があるようでございます。  それでは、これで私の質問は終わります。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会

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