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56回国会衆議院1967/10/11

文教委員会 第3号

発言数
134
登壇者
9
会派数
3
開催日
1967/10/11

会議録

床次徳二自由民主党

○床次委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山田太郎君。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 このたびの人事院勧告の件については、先日の委員会においてほとんど概略論じ尽された感もありますが、二、三の点について人事院総裁並びに関係者の方にもう一歩突っ込んだ回答をお願いしたい。  まず最初に、人事院勧告の内容についてでありますが、このたび新たに都市手当の新設を勧告しておられます。それについてはいろいろの論議があるようでありますが、今回勧告した都市手当の性格はどういうものであるか、それをまず最初にお伺いしたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○佐藤説明員 都市手当は、いまお話ございましたように、相当各方面の関心を浴びておりまして、実は率直に申しまして、私どもあれほどまでに皆さんの関心を引くとも考えておりませんでした。と申しますのは、私どもの基本的な気持ちを聞いていただかないとおわかりいただけないと思うのでありますけれども、第一に、この私どもの勧告は、すべて全体の官民格差それ自体について、やはり民間と全体の給与の引き上げそのものについて、官民格差をとらえて民間の水準にぜひ追いつかしていただきたいということで、官民格差を軸にしておる。さらに個々のお医者さんなり研究職なりというような業種についても、それぞれ対応する民間の職種の方々の給与水準とつき合わしてみて、これだけ低い、お医者さんのごときはたいへん低い。よほど気ばらなければいくまいというような形で、すべての民間の場合を基準に考えてやっておるわけです。そういう見地から申しますと、やはり地域的に官民給与の格差というものがあるはずなんです。また現実にことし比べましたところでは、大まかに言って、いまの四級地とその他の地域とでは、二二%をこすような官民の大きな格差がそこに横たわっておる。これはやはり都会地については何とかそれを穴埋めしないと、大方針である官民格差を埋めるという趣旨には沿わないということが一つの大前提になるわけでございます。  ところで、その地域的の格差については、これは御承知のように昔勤務地手当というのがございまして、非常にこまかく五段階に分かれて津々浦々に対してそれぞれのパーセンテージの手当を支給しておったのでありますけれども、幸いにしてだんだん地域的の格差というものはなくなってまいりました。したがいまして、その勤務地手当、その勤務地手当がその後暫定手当ということに固定し、凍結されてまいったのでございますけれども、その凍結されました暫定手当も、だんだんと繰り入れ解消をやりまして、すでに二級地までは全部平準化されてしまった。これは地域的の格差そのものはなくなっておりますから、当然の措置であるわけです。残りましたのが、都会地を対象とする三級地、四級地だけが現在残っているわけであります。  ところが、その三級地、四級地の関係をとらえてみますと、いま申しましたように、依然としてその他の地域との格差は著しいものがある。そのほか物価にいたしましても、あるいは生計費にいたしましても相当著しいものがある。ところが、いま残っております暫定手当四級地、三級地についてどのくらいの手当てがされておるかと申しますと、御承知のように、暫定手当は固定の金額で凍結されてしまっておるものでございますから、ベースアップが続きますたびごとに本俸に対する比率はだんだん下っていくわけであります。せっかくの格差に対応すべき手当が、現在のところでは、四級地について申しますと五%ということになる。それから三級地について見ますと二・五%ということになる。もとはこのパーセンテージは相当高かったのでありますけれども、いま申しましたように本俸のほうが引き上げになりますから、下りのエスカレーターみたいな形で、今後またベースアップがありますたびごとにエスカレーターはどんどん下がっていくという面がございます。したがって、放置できない。  それから、一番私どもとして大事なことは、給与法の中に、そういう地域的格差を是正すべき給与上の措置を国会及び内閣に勧告せよということが、人事院の業務として給与法の第三条第六号に明記されております。それは暫定手当が凍結されました後の昭和三十五年に入った条文でございます。すなわち暫定手当は凍結し、だんだん整理をしていく。しかし給与決定をめぐる諸条件の地域的格差というものがある以上は、それに対応する給与上の措置を人事院は研究して、そして国会及び内閣に勧告しろという至上命令がある。地域的格差というものがなければ、われわれはのほほんとしておれるわけでありますけれども、法律の条文でそれが明記されている以上は、また地域的格差というものが現実にある以上は、われわれとしてはいつまでもじんぜんとして日を送っていくわけにはいかない。日を送れば送るほど、先ほど申しましたように暫定手当はどんどん下がっていってしまうということで、その法律上の責めも果たし、それから実質的に現実に存する地域の格差というものに対する手当てをするのは、おそらく今度が一番最後に近い段階ではないか。幸いに全体の官民格差も七・九%という幅が確認されまして、その辺の調整をするのには今日が絶好の機会であります。そういう前提で、したがって昭和二十七年現在できまりました三級地、四級地というものを今日のデータによって洗い直して、給与法の要請に従って調査をいたしまして、そして新しい地域差に対応する給与上の措置を考え、そこに都市手当の構想が出てまいりました。  それで、都市手当については、この間もちょっと触れましたように、大体甲、乙と二段階に分けまして、甲地は六大都市あるいはそれに準ずるような官民格差の非常に高い、物価、生計費の高いところ、それから乙地はそれに次ぐようなところ。先ほど申しましたように、官民格差十何%ということからいいますと、せめて甲地の場合の都市手当は十何%くらいの都市手当をやらなければほんとうは埋まらないわけです。しかし、さてそんなことをやりますと、かねがね御議論に出ておりますように、人事交流はどうなるかという、また大きな障害も出てまいりますから、私どもとしては、まず大体物価差の六・五%ですか、この物価差というものが一応のめどになるわけです。当面のめどとしては物価差くらいをつかまえて、甲地が六%、乙地が三%というのがほどほどのところではないか。そういたしますと、先ほど触れましたような下りのエスカレーターになっております暫定手当の四級地がちょうど五%でございます。それが六%ちょっとになり、それから二・五%に下がっている三級地の分は、大まかな話でありますけれども三%くらい。あまりぴょんと飛び上がらずに、わりあいになだらかな形で新しい制度に乗り移れるのじゃないか。したがって、新措置に移り変わるのは今日が絶好のチャンスではないかということから、われわれとしては都市手当の創設に踏み切ったわけであります。  したがいまして、先ほど触れましたように実質的の柱、それから法律的の柱、二つの間、それから実質的の柱として申し添えますと、人事交流の異動の障害というようなこともいわれますが、それに対しては、実は一番前の暫定手当のころからあった。暫定手当がパーセンテージにおいても非常に高かったころにおいては、同じ事態があった。その当時、初め六カ月の異動保障というものをやった。それからさらに一年これを延ばした。異動保障の措置を設けまして、級地の高いほうから低いところに行く場合には、前にもらっておったその手当を一年間はやりますよという形で調整をしておったのでありますけれども、今回はさらにこれを二年にいたしまして、急激な人事交流の障害を生じないようにということでやっておるわけであります。私どもの立場からいうと、その点はこの暫定手当制度時代と実際は変らないし、またそれに対応する措置はさらに今度手厚くしておるという言い方ができるわけであります。  もう一つ私どものほうとしては、人事交流もさることながら、一番最初の公務員の採用の問題。いま申しましたような十何%というような給与の官民の格差が都会地においては厳然としてあるということは、要するに都会地における公務員の採用難ということです。給与はみんなべたですから、採用難という点をもたらしておるわけです。したがいまして、これはほんとうの内輪のことで、大きな声では言えないのでありますけれども、ことに高校卒の人たちを採用する場合には、たいへんなマンモス大試験でありますから、日本全国を地域に分けて採用しております。地方の人は優秀な人が試験を受け、合格をしておる。都会の人はよそのほうへ志望する人のほうが多いということから、どうしても優秀な人材が普通の試験では採れない。少し合格点を下げなければ採れない。下げて採れる人は優秀ではないわけです。そういうことをわれわれはまざまざと目の前に置いている。人事交流の問題については、先ほど申しましたように、一応われわれとしては十分な手当てをしておる。むしろ人事交流より手前の、公務員になってもらう面で困っておるということも、ここで申し添えさしていただきたいと思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 物価差なり、当然地域差を含めてのことでございますが、それはまず承認申し上げるといたしまして、その都市手当の内容でございますが、まずその場合に、民間事業所においてどのような都市手当が支給されておるか、そういう状況も当然調査された上のことだと思いますが、それのデータと、それからそれに対するバランスの状況はどういうふうになっておるか、あわせてお聞きしたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○佐藤説明員 当然民間の分も調べたわけでございますけれども、ただ、御承知のように、民間の会社の場合は、ちょうど国の場合のように全国津々浦々にその社員が配置されておるというようなところはもうほとんどないと申し上げていいわけです。したがいまして、そういう点では公務員の場合の直接の参考にはなりませんけれども、御承知のように、大会社の中には、やはり地方の大都市に工場を持っておるところ、あるいは支店を持っておるところ、あるいはその他の地域に出店を持っておるところというものがございますから、それらについてとらえ得る限りとらえたのでございますけれども、やはり相当に地域手当をとっておる会社がございます。調査対象というのは、そういうもののある対象を選んででございますが、調査対象の約四割が支給しております。その手当としての支給の幅は一〇%という幅になっておるとわれわれはつかんでおるわけです。ただ、先ほど申しましたように、民間の場合は国とその組織網がずいぶん違いますから、われわれとしては、それもそれでございますけれども、むしろ、外国の場合はどうなっているか、外国の公務員の場合はどうなっているかということを調べるほうがあるいは参考になるんじゃないかということで、これは前から調べておったのでございますけれども、ヨーロッパの英独仏と、それからアメリカを調べました。  アメリカは、これはブルーカラーのほうは地域的に賃金がきまるたてまえになっておりますから、もう手当の問題はないわけです。ホワイトカラーについては、例の有名なフーバー委員会が地域給的なものをやはり制度としてつくるべきだという勧告を大統領に対してやっております。それが、アメリカの場合についてはその勧告はまだ実現されておらない。なぜ実現されておらないか、これはよけいなことでございますけれども、アメリカくらいたっぷりと給料をいただいておれば、地域の片々たる格差なんということはおそらく深刻な問題にはならない。すべてについてそういうことがいえるわけです。したがって、大きなことを言いますけれども、われわれももっともっと給与水準を上げていただいて、やれ住宅手当だとか、扶養手当だとか、地域給だとか、そういうことを全然ネグレクトされるくらいに高い給料をいただけるようになったらと思うわけでございます。アメリカだけは、そういうことで勧告はありますけれども実現はしておりません。ところがイギリスは、狭い国でございますけれども、ロンドンをとらえまして、ロンドンについて二段階の地域給を支給しております。それからフランスは、全国六段階で地域給を支給しておる。たまたま、それに合わしたわけでございませんけれども、その地域給の幅は、私どものいう甲地の六%というのと符節を合わせるかのごとく、やはり六%になっておるという事実があります。それから西ドイツは、住宅手当——これは日本でも問題はありますけれども、住宅手当か地域給か。われわれは何も住宅手当にすりかえて今度地域給的なものを考えたわけではございませんけれども、西ドイツでは、そういう関連を持ちながら研究されて、地域給制度をとっておる。これもやはり二段階で支給されておるということでありまして、とにかくヨーロッパのおもな国は、やはりそれぞれそういう地域給的なものをもって補整をしておるということをつかみ得るわけです。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 先ほどの総裁の御答弁では、民間においては大体一〇%、そうすると、そこにパーセントの上でいうと、もともとがすでにベースが違う上に、パーセントの上においてまたその差が出てくる、こういう点については総裁はどのように考えておられるか。

佐藤達夫人事院総裁

○佐藤説明員 これは先ほど触れましたように、民間は国の場合とその地方的な組織網がだいぶ違いますから、一律にこれを比べてどうと申し上げるわけにいきませんし、また一〇%というのは、これは出しておるところの平均の幅は一〇%、それはそうでありますけれども、先ほど申しましたように、われわれはわれわれとしてまた別途勘案した結果、一〇%までいくのはどうかという気持ちもございまして、物価の差ということに一応のめどをつけて甲地は六%、こういう判断をしたわけであります。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 文部大臣はいつごろ見えますか。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 もう間もなく見えると思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 では、このたびは総裁にはこの程度にさしていただいて、先ほど佐藤総裁の御答弁にもありましたように、人事の交流の面について、前任地から他のほうへ異動する場合には二年間は前任地の都市手当を支給するということです。文部大臣がいらっしゃらないので関係の担当者に御答弁願いたいわけですが、新聞等によりましても、六人委員会ですか、文部大臣あるいは自治大臣等の都市手当に対する反対も聞いておりますが、文部当局として、この都市手当が支給されるようになったときに人事交流がむずかしくなる、この点についてどのような対策を講じていかれるか、もし決定された暁にはどのような構想でおられるのか、それを聞かしてもらいたいと思います。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 現行の暫定手当制度のもとにおきまして、人事行政上やはり幾つかの問題がございまして、かねてから本俸繰り入れとか、あるいはそれが不可能の場合には、少なくとも同一市町村内の地域給の格差だけでも是正するようにという要望をずっとしてきたわけでございまして、私ども、現在の少なくとも同一市町村内における地域給の格差というものは、人事行政上確かに問題がございます。このたびの都市手当の問題につきましては、勧告は受けたわけでございますが、これをどういう地域にどういうふうな範囲で指定するか、まだきまっておりませんので、ある程度簡素化した形、あるいは公共団体単位ということもいわれておるわけでございますが、それらの点を私たちのほうから見て、少なくとも人事交流上従来阻害のあった点が少しでも是正されるような方向でこれが実施されるという前提に立った場合には考えていかなければならぬ、かように考えております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 先ほど総裁からの一応の基準案というものも示されたわけで、それでお伺いしているわけです。それが是正された上での実施ということを御答弁あったのですが、その内容を深く明らかに答弁願いたいと思います。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 いま総裁から都市手当の趣旨はお話がありましたし、われわれも承知はいたしておりますが、具体的に、たとえば六%のところと三%のところがどういう地域であるかというようなことについてまだきまっておりませんので、それらの状況が出てまいりませんと、人事行政上どういうことかということも的確に申しかねるわけでございます。ただ、基本的な考え方としましては、現在ございますような、少なくとも同一市町村内における地域格差というものが生じないようにということは考えておるわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 非常に無責任な答弁だと思いますね。きめられてから考えようと、そういうふうなあまりにも無責任な答弁がよもや出るとは私思いませんでした。当然人事院総裁なりあるいは人事院との横の連係もなければならないはずでありますが、きめられてから考えるという段階ですか。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 都市手当ということがきまるとか、きまったという前提でどうかというお話でございますので、その趣旨を受けて考えればいまのような点が考えられるということを申し上げたわけでございます。  都市手当の最終の段階につきましては、まだいろいろのところで交渉が続いておりますので、実施するということがきまっておりませんので、私たちもいま詳細なことは申しかねるわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 詳細なことは申しかねるではないですよ。それを考えておるはずだ。考えていないとなったら、これは怠慢に過ぎます。全くやる気がないんだと、そういうことになります。どうですか、やる気ないのか。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 これは公務員全体の給与制度の問題でございますので、私たちは私たちなりの考え方がございますが、最終に公務員の給与制度としてきまれば、その中で最も合理的な方法を考えていく、こういうことを申し上げるのが現在の段階でございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 何べんお伺いしても同じ返答しか出てこないのかもしれませんが、全体の公務員とはいえども、学校の教員の方々も公務員です。自分の管轄下における公務員の方々の問題を、こういう大事な問題を、きめられてから考えるという程度のところしかいっていないのですか。それをはっきり言ってください。これは大問題です。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 この問題につきましては、現在の段階では、いま私が申し上げた以上ちょっとお答えしかねるわけでございまして、たいへん恐縮でございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 よく聞こえなかったので、もう一ぺん言ってください。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 同じ答弁を繰り返して恐縮でございますが、いまの段階では、先ほど申し上げたとおりのことを繰り返すだけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 おそらくは人事院総裁もびっくりしておると思うのです。顔を見ておると。いかに天城局長さんが大学学術局からかわったばかりとはいえども、これは同じことです。同じ文部省の公務員の中のことです。これは大学学術局からかわったからという問題じゃないわけです。あるならば、これが答弁できないという事情があるのかもしれぬ。おそらくはそういう段階じゃなさそうだ。きめられてからでないとできないと、もう一ぺん答弁してください。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 率直に申しまして、現在この問題はいろいろな角度から検討中、交渉中のものでございますので、その過程についていま——これは理由にならないかもしれませんが、私もかわりたてで、勉強しているところでございますので、いま的確にお答えしかねるわけでございますが、とにかくいろいろな面でただいま検討中だということをひとつ御了解を願いたいと思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 頭を下げられたって……。それ以上の答弁が出そうにないですね。これはあとでまた時をかえて、文部大臣に聞きましょう。  では、人事院総裁にあわせてお伺いしたいのですが、公務員の給与の中でも、ことに学校の先生方の給与というものは、古来は非常に差がついておった。私の幼きころのうろ覚えで間違いかもしれませんが、兵役の問題等もあったり、ことにいなか等において、優秀な人材が学校の教員の方々になられておりました。また同時に、待遇も非常によかったようであります。次代をになう青少年を育成する、国家にとっても一番大切なこの教員の方々を待遇するのが、現在では不満足の状態であると私は思っております。いまの二倍あるいは三倍だっていいと思っております。外国の例を引くまでもなく、日本においても、前にはそのような待遇がなされております。こういう点についての総裁の考え方をひとつお伺いしておきたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○佐藤説明員 優秀な人材が昔は教員になったというおことばに安心をして申し上げるわけでありますが、実は私の両親も小学校の教員をやっておりました。もっともそのころは私、生まれたばかりでございますし、生まれるか生まれないかのときのことでございますので、何も表現的なことをここで申し上げる自信はありませんけれども、しかし、昔はよかったなという話はいまでも——まだおやじ、数え年百歳で元気でおりますけれども、申しておりまして、そういうことは十分身にしみて、私は小さいときから知っておるわけです。また、現在の角度から見ましても、たいへん重要なお仕事をしていらっしゃる方々、次の主権者、国民をお育てになる使命をお持ちになるという認識にも私は徹しておるつもりであります。だんだん悪くなったとおっしゃいますけれども、私たち、何も悪くしたつもりはございません。また昔というか、教員の給与制度が始まった当時からのあるいは水準差的なものがあるとすれば、それはできるだけ維持をしていかなければならぬということのたてまえで私たちは臨んでおることをまず申し上げておきたいと思います。  先ほど来触れました官民格差ということは、厳重に言いますと、教職員の方々の場合、官民格差の点では有利なデータは出ないわけでございます。それにもかかわらず、われわれとしては考慮しておるということが一点。それから目のさめるような二倍、三倍というような給料をというお話、これはまことにその限りにおいては、私ども同感するところ少なくないのでございますけれども、先ほど触れましたように、片やお医者さんが、ものすごい官民格差をかかえてがまんしていらっしゃるというような面もあり、その他あらゆる職種の公務員それぞれをわれわれは見渡しながら作業をしなければなりませんので、その辺について考えますと、目のさめるようなことはやはりできない。これはたいへん残念なことでございますけれども、そういう事情のもとにおいて苦慮をしておるということも、お察しいただかなければならないと思います。あと文部大臣が見えましたら、超勤の問題だとか、あるいは文部大臣の御構想というものもありましょうから、それはまたそのほうでお聞き取り願っていいのじゃないか。大体の方向は、私どもできるだけよくしてあげたいということで努力しておるということで尽きると思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 初中局長の御返答をお願いしたい。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 教員の給与につきましては、勤務の特殊性ということから、従来ともそれに即応した給与体系、給与水準というものを考える努力をいたしてまいりましたが、教育における教師の重要な使命ということを基本的に考えております以上は、この給与の改善については、私たちも最大限の努力をいたしておるつもりでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 全くありきたりな答弁だと思いますね。人事院総裁の教育に対する熱意というものもまだうかがわれない弱さがある。同時に初中局長のその答弁では——教員の方々の給料をいま現段階において特別な考えがなければならない、そういう状況に来ておると思うが、初中局長はいま現在のままでいいという答弁と同じだと思う。どうですか。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 私、けっして現在のままでいいということを申し上げたつもりでもございませんし、また抽象的に教育が大事だということを申し上げているだけでも、この問題は御答弁にならないと思いまして、たいへん簡単でございましたけれども、基本的な気持ちだけは申し上げたつもりでございます。個々の問題はつきましては、毎年人事院の勧告がございますが、そのつどわれわれとしては給与の改善について人事院にもいろいろな意見を申し述べておりますし、一般のいわゆる行政職よりも、徐々にではございますけれども、若干ずつ有利な姿が初任給はじめ俸給表にあらわれてきておるわけでございます。  なお、教員の給与というものが基本的にどうあるべきかということにつきましては、いろいろ御意見のあるところでございまして、ある場合には検察官あるいは司法官並みの給与体系にすべきであるという意見もございますし、われわれといたしましても、勤務の実態が一般の行政職のような階層的な姿でないわけでございますので、何か最も教員に適した給与体系をつくらなければならないということは、かねがね考えておるわけであります。これは余分になるかもしれませんが、明年のわれわれの計画といたしましても、これらの問題を考えて、一ぺん基本的に教員給与のあり方について実態から調査をしながら検討をいたしたいという、いま用意を考えておるような次第もその一つでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 明年の予定において考えておるという御答弁ですが、それをもっとこまかくお伺いしたいと思うわけですが、時間がないので、その問題はきょうはこの段階にしておきます。またあらためて詳しくお聞きしたいと思いますから、そのときには、はっきりと御答弁願いたいと思います。頭を下げるだけではいけません。  では、次は教育に関する税外負担の問題についてお伺いしたいと思います。時間がないから簡単に答えていただきたい。詳しく聞きたいときには言いますから……。  まずPTAのできた由来。それから後PTAが学校運営に対してどのような働きをしておるか。そうして現在PTAから本来のPTAの事業でない学校運営に関する費用がどのくらい出されておるか。そういう点について調査してあると思いますが、それをお聞きしたいと思います。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 PTAの問題につきましては、戦後の新しい教育における教育に対する父兄の理解、あるいはまた学校教育に対する家庭教育との関連等の上から新しくできた制度でございまして、それぞれ学校におきましていろいろなタイプの形でPTAの活動が行なわれておるわけであります。御指摘のように、かつて後援会というような形で学校経費を父兄の負担にする場合の機関としてございましたような趣旨を、このPTAには考えておらなかったわけでございます。しかしながら、現実問題といたしまして、公費で負担すべき経費の一部が父兄の負担に回っておりまして、いわゆるPTAの負担ということがいわれてきておるわけでございます。現在手持ちの資料がちょっと古いのでございますけれども、義務教育におきますいわゆるPTA負担といわれておりますものが、昭和四十年度で百八十二億というのが私の手元にある資料でございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 初中局長はいま現在のその状況でいいと思っていられるかどうか。いいとお思いならばどういう点においていまの現状でいいのだ。いまの現状は満足すべきでないというならば、どういう点において満足すべきでないか、その点を御答弁してください。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 いわゆるPTA負担といわれておる問題につきまして、本来公費で持つべきものが肩がわりされておるということにつきましては、私は、これは正しくないことでございますので、当然本来の姿の公費で負担すべきもあと考えております。これらの経費がどういう費目かということも問題でございますが、たとえば一定の補助額とかあるいは単価で国や公共団体が負担すべき経費が、財源が不足であったり、あるいは補助単価が不十分であったりということからくる問題、あるいは教材費といわれているようなものが不十分であるために父兄に回ってくる場合、あるいはその他いろいろな学校の諸経費が回ってくるというような中身について、これを検討しているわけでございます。たとえば施設関係につきましては、施設関係でいわゆるこの超過負担というものの解消に努力しておりますし、また教材費につきましては、一応標準費的な教材費の公費負担につきまして、昨年から計画を立ててこれを解消しようという努力をいたしているようなわけでございまして、当然公費で負担すべきものが父兄負担に回っておるということは正しくないことだと考えております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 正しくないということはもう承知の上の御答弁だと思います。法律的にいうと、どういう法律的な面において正しくないとなっているか、御承知ならば御答弁してください。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 これは、いまちょっと条文を覚えておりませんが、地方財政法上も、いま私が申したような意味での経費の負担を他に課することを禁止しているわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 法律において禁止されていることを、文部省はやむを得ないというわけで実施してきたわけですか。御答弁してください。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 おことばでございますが、文部省は別にそういうことを実施してきたわけじゃございませんで、いろいろ努力はしておるのでございますが、諸般の事情で経費が不十分なために、市町村において結局学校を通じてPTAの御協力を仰ぐという形が実態ではないかと思っております。別に私たちこれをすすめたり実施しておるつもりはございませんし、先ほど申しましたように、あらゆる角度からこれの解消に毎年努力いたしてきているわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 予算的な面において解消に努力していると言いたいところであろうと先に予測して申し上げておきます。しかし、それを積極的に解消する方向においていままでどのような努力をしてきたか、教えてもらいたいと思います。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 この教育費の軽減、特に父兄負担の軽減という点につきましては、いろいろな面があるわけでございまして、これは私たち初中局だけの範囲でない、管理局の面も入ってまいります。教科書の無償制度も実はその一環として出発しておりますが、特に要保護児童、準要保護児童というような経済上の条件の悪い父兄に対しましては、他の面につきましては父兄が負担しているものまでも、できるだけ公費で負担するというような努力を毎年続けてきております。また、先ほど申しましたように、町村で支弁すべき教材費につきましても、一定の計画を立ててこの増額に努力してきていることは、特に一昨年からこのことを計画的に進めておりますので、御存じのことと思います。そういう多角的な方向で努力はいたしておるわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 その答弁が出るだろうと思って言っておいたわけです。だからその御答弁をお聞きしたがったわけじゃない。その予算的な措置以外に、文部当局としてその解消に向かってどのような——通達等の面もあったでしょう。そういうふうな面で努力をしてきたことがあるかどうかを聞いておるのです。

岩田俊一文部省初等中等教育局財務課長

○岩田説明員 ただいまのどういうような措置をしてきておるかということは、三十五年に、父兄負担の軽減について各地方公共団体なり学校は十分配慮をするように、父兄からむやみに寄付金等を徴してはならないという通達を出しております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 それを一ぺん明確に読んでください。

岩田俊一文部省初等中等教育局財務課長

○岩田説明員 通達はただいま持ち合わしておりませんけれども、ことしもなおこの教材費の国庫負担制度を大幅に拡充いたしたことに伴いまして、さらにそれにふえんいたしまして、教材費等にかかる父兄負担を今後増加されないようにという通知を出しております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 教材費負担以外は出したことはありませんか。

岩田俊一文部省初等中等教育局財務課長

○岩田説明員 三十五年に出しました通達は、単に教材費だけということではなくて、父兄負担全般についての趣旨のものでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 もう御承知のことでございますが、いま日本全国において、教育等に関する税外負担の問題は解消の運動に向かって大きな巨歩が進められております。どちらかというと、文部省のほうが立ちおくれておるような状況です。地方財政が苦労の中をいかに税外負担を解消しようかと努力しておるのに対して、いまの現状においては文部省は手をこまねいておる状況である。なぜならば、もうすでに地方においては、ここに持ってきておりますが、義務教育に関する費用の税外負担を禁止する条例、これを制定しているところがあります。知っておりますか、知っているかどうか答弁してください。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 私、まだ聞いておりません。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 まだ聞いてないとはますますもって怠慢じゃないですか。それでもって税外負担を解消しようという努力が文部省にあるとは言えない。大きな問題ですよ、これは。それをまだ聞いてないとすましておっては——読んであげましょうか。答弁してください。

天城勲文部省初等中等教育局長

○天城説明員 たいへん申しわけありませんが、聞いておりませんので、そのことを申し上げたわけです。そういう措置が進められることを私たちぼんやりしたと言われる御趣旨だろうと思いますが、そういう動きの出てくることはたいへんけっこうなことだと思います。なおよく調査いたしたいと思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 たいへんけっこうなことならば、この方向に向かって強力な措置を講じていかなければならないはずだ。簡単に読んであげますよ。聞いてください。三原市の義務教育に関する費用の税外負担を禁止する条例、これは広島県です。「(この条例の趣旨)第一条この条例は、日本国憲法第二十六条第二項、地方財政法第四条の五、同法第二十七条の四、学校教育法第五条、学校図書館法第六条、学校給食法第六条第一項、同法第七条第一項、同法施行令第二条および同政令第三条のさだめにもとづいて、三原市が設置した義務教育諸学校に関する費用を住民に負担させることを禁止し、それらの諸学校に関する費用のすべては、法令に特別のさだめのある場合を除いて、市が負担しなければならないことを定めるものである。」こうして「(定義)」として具体的に述べてあります。「校舎およびその附属施設の新設ならびに改築に要する費用」二番目は「校地の取得に要する費用」三番目は「学校設備の設置費および修繕費」四番目が「学校需用費および備品費」五番目が「学校給食調理員の給与その他の人件費」六番目が「学校給食施設の建築費および給食設備ならびにこれらの維持修繕費」七番目が「体育館およびプールの建設費および維持修繕費」住民負担の禁止条項は第三条になっております。「前条で定める範囲の費用について住民への負担を課してはならない。二市長は、前項で禁止した行為が行なわれるときは、これを直ちに中止させなくてはならない。」  まだあとがありますが、このように教育に関しての税外負担の禁止条例を全議員賛同のもとに制定しようとしているところさえある。これに対して文部大臣が見えましたから、ひとつ文部大臣から御答弁願いたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 この父兄負担の、父兄の寄付の禁止につきまして、ただいま三原で条例をつくったということでございます。私、実はそれの詳細をまだ存じておりませんけれども、私どもといたしましては、父兄への全般的な割り当て寄付というのは、これはまあ財政法上禁止されておりますが、個々の場合におきましても、父兄ができるだけ寄付をいたしますことを避けていくということは、文部省としては、ずっと方針としてやってまいっておるわけでございます。ただ実際問題としまして、終戦後の実情を見てみますと、いわゆる国及び地方公共団体が教育のために当然出さなければならない金も、財政上の事情でなかなか十分でなかった時代におきまして、父兄がこれを負担してまいったいままでのいきさつと経過がございます。そこで文部省としましては、やはり国及び公共団体におきまして教育に関しまする経費を十分に財政支出をいたしまして、父兄の寄付金を受ける必要のない状態にできるだけ早く持っていきたい。そして、そういう状況におきましてこれら禁止の条例を出すかどうか、いわゆる法令を出すかどうか。まずいまの段階におきまして、そういった方向に向かいまして努力を続けておるわけでございまして、だんだんこの父兄の寄付を減少する方向にいっておるとは考えておりますが、いま直ちに法令でこれを禁止するということは、現段階においては考えておりません。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 予算措置等において解消の方向に向かっていく努力は、先ほど岩田課長さんからもお伺いしたところなんです。そしていま現在この三原市において、東京都も基準をつくっておりますけれども、三原市においても今度は禁止条例をつくった。こういう方向は文部大臣として好ましい方向であるか、あるいはそうでないのか、その見解をはっきりしていただきたい。しょうがなければいつまでだって父兄におんぶするのだというおつもりじゃないと思うのです。やむを得なければ何をやってもいいんだというお考えはないはずです。目的のためには手段を選ばないということは、文部大臣はやらないはずだと思う。このようなことが制定されていくということは好ましい方向であるかどうか、好ましいことならばそれを推進していくべきである、そういうお考えがあるかどうか、お伺いしたいわけです。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 大体私は、条例をもってこれを禁止するという状態でなしに、事実上そういう問題はないという状態が望ましい問題だと思います。ただ、これは東京都におきましても三原市の場合でも同じだと思いますが、それだけのものを教育に出さなくても、いわゆる寄付金を取らなくてもいいように、公共団体のほうで教育について十分なる財政支出をやる、こういう状態をまず現出するのが大事であって、それなくして、財政支出は何らしないで、ただ寄付金を禁止するというのは、これはおそらく教育上には非常た問題があると思うのです。財政支出を十分にやっていけば、そういう条例を出さなくたって、事実上寄付をすべきものではないのでございますから、この禁止条例を出すことが適当であるからというので、全部の市町村に、財政支出をせぬにかかわらず条例を出せ、こういうふうに文部省として奨励するというのは、まだ時期が早いのじゃないか、こう考えております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 財政支出がなければ、すなわち予算措置がなければ父兄負担は幾らかかってもしようがない、そういう考えですか、大きな問題です。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 寄付を受けてやるということは望ましいことでないことだけはもうはっきり皆さんもお認めだし、私ども考えております。ただ法律で禁止する、条例で禁止するという方向よりも、やはり教育に対して地方公共団体が十分な財政支出をする、ここに十分考慮してほしい。教育はどうなっても財政支出もしない、父兄のほうでこれでは困る状況ばかりがあって、しかも公共団体では何も金を出さぬ、こういう状況では、教育そのものからいえば好ましいことではないのではないかと思います。ただ、父兄から寄付金を取ることは望ましくないということだけは、はっきり言えると思います。

岩田俊一文部省初等中等教育局財務課長

○岩田説明員 ただいまのお話に関連いたしまして、また先ほどの私の御説明がなお不十分であったかと思いますので、若干補足させていただきたいと思うのでありますが、この教育費負担の軽減の面につきましては、財政措置といたしましては両面考えられるわけであります。と申しますのは、文部省所管の予算で措置すべき面と、それから地方財政交付金で措置すべき面と、両面から考えられるわけでありまして、文部省の面といたしましては、これは御承知のように、先ほど申しましたように、教材費だとか、あるいは理科の設備費だとか、あるいは公立文教施設だとか、あるいはプールだとか、あるいは準要保護の補助だとか、あるいは給食その他ございますが、そのほか地方財政法の面におきましては、毎年自治省のほうと交渉いたしまして、小中学校費にかかわる基準財政需要額を増額しておるわけであります。ことしは特に大幅に増額が行なわれたわけであります。そういうことで、三十五年に通達を出したといって、、ずっと昔の話のように申し上げましたが、それに関連いたしまして、毎年この件につきましては、地方公共団体に対して、基準財政需要額がこれこれ伸ばされたので、税外負担の解消には極力努力してくれということは繰り返して申し上げておるわけでありまして、その点、先ほど三十五年というふうにやや前のことに申し上げましたので、訂正かたがた説明さしていただいたわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 文部大臣にお伺いしますが、財政的な裏づけは市のほうで用意するならば、このような条例あるいは条例に類したものがつくられていき、進められていくということについては賛成かどうかということをお伺いしたいわけです。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 三原市の場合、実際を調べなければわからないと思いますけれども、真にそういう財政負担を学校教育に対しまして市が十分な措置をやって禁止されるなら、これはきわめて望ましいことだと思います。ただ、それだけ市がやっておるかどうか。市の財政において、たとえば教材費の問題を一つとらえてみましても、いままで学校でいろいろ教材が要る、これを父兄の負担にしておった場合があったのでございますが、文部省としてはそういうことは避けたいと存じまして、教材費について基準を設け、公費で教材を完備するように、いま十年計画で進行中でございます。ですから、これを全部基準を整えてしまえば、その教材については父兄負担については要求することはいけないぞということは言えるのでございますが、いま文部省として十年計画で進行中でございまして、これは一切父兄負担はもう禁止するんだという段階にまでは、政府なり地方公共団体自体がまだ至っていないのでございます。はなはだ残念でございますが、現段階では、それが必ず法律で父兄負担を禁止するという状況に事実上ないのでございます。ただ、三原の問題におきまして、十分教育的な措置をやって禁止いたしたとしますれば、これはきわめて望ましいことでございますし、全国の地方公共団体がそういう状況になることは、私どもとしても望ましいことだと考えております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 では、端的に申し上げれば、このような状況は好ましい方向である、財政的措置も講ぜられ、しかも父兄負担を解消するという方向は望ましい方向である、こう文部大臣の御意向は断定していいでしょうか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 そうなることは望ましいことだと考えております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 ただ一例をあげてみます。もう御存じのことかもしれませんけれども、あまりにもひどい状況です。PTA会費一つをとってみますと、これは三原第三中学校のことですが、これはまだいいほうの学校です。PTA会費の八十円のうち、純粋にPTAの運営のために使われたのはたったの十五円です。あとの六十五円というものは学校の運営費に全部回されてしまっておる。あるいは体育費、文化費、図書費、生徒会費、用紙費、実験費、実習費、プール維持費、学年費等と、枚挙にいとまがないほど、全部あとはその他でくくっておりますけれども、十三項目にわたっております。こういうものが父兄から徴収されておるわけです。しかも実際においてPTAの運営に回されているのは、八十円のうちわずか十五円、こういう現状なんです。これに三原の市長はじめ全議員も、それからPTAも、この三者が一致してPTAの寄付の解消の方向にいまものすごい努力をしておるわけです。文部省としてこれをこのまま、三原市でかってにしたのだからと知らぬ顔しておるつもりですか。こういう傾向に対して文部大臣としたら、地方財政において許す限りこういう方向に進めてもらいたい、そういう意向を示すつもりはないですか。努力する意向があるならば、ほんとうに解消したいという意欲があるならば、このあたりで一度通達を出すべき時期じゃないかとぼくは考えるわけですが、文部大臣の御意向をお伺いしたい。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 二つの問題があると思いますが、私どもはPTAの性格については、審議会を設けまして明確にPTAの性格を一応方向づけたわけでございます。その中に、PTAと称するものは決して学校の後援団体ではないということを明確に示しておるのでございます。でございますから、学校運営に対するいかにも後援団体であるかのごとき状況でいままでのPTAが存在しておったのでございますが、PTAは絶対に学校の後援団体ではないということをこれは示しておるわけでございますし、やはりその方向に全国のPTAがいってほしい、これが私どもの基本的な態度でございます。  第二の問題は、このPTAの八十円ですかのうちで十五円かPTAlPTA自体の運営費は当然PTA会費で取っていいと思いますが、その他の問題について学校の運営費に寄付されておったという状況については、三原市が学校運営の責任の当局でございますので、それを禁止すると同時に、学校の運営に関してはそれだけのものを市費をもって財政支出をするということにきめていただいて、学校の運営費も市が出さないで、ただ学校の運営を犠牲にしてしまうという状況では望ましいことではないので、禁止するのはきわめてけっこうでございますが、それと同時に、三原市自体もその運営につきまして十分な財政支出をするように、私どもとしては希望するわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 ぼくの質問に答えていただけなかったのは残念ですが、文部大臣として、好ましい方向であるし、またそのように努力していかなければならないという御意向は十分あるわけです。だから、最初にこのような禁止条例をつくり、また実施しようとしているこのようなよき例が日本で初めてできたときに、文部大臣として、本来の念願としてのものをこの際通達なりあるいはほかの方法でも、文部大臣がこのような気持ちでうれしい気持ちでおる、喜ばしい状況である、全国の方向としてこうでなければならぬ、そういうふうな意向を表明されていくならば、剱木文部大臣、PTAの税外負担の軽減については一時期を画していく、そういうことになると思う。これについての文部大臣の意向をお伺いしたい。通達なりあるいはほかの方法なりで全国にこれを知らしめていき、そうしてそれをふえんしていこう、そういう努力は全然するつもりがないかということをお聞きするわけです。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 私は文教行政をあずかりまして、一番重要な私の施策といたしまして、父兄負担の軽減ということを強く政策面にあらわしていきたいと努力してまいっておるわけでございます。したかいまして、三原の場合——東京都におきましても、PTAの寄付について相当の規制をいたしてまいっておりますが、その方向はきわめて望ましいことでございまして、各地方公共団体において特にそういう努力を今後ぜびやってほしい。そういうことを表明する方法につきましては十分考慮してまいりたいと思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 その意向を表明する方法についてはまた考えさせてもらいたいという大臣の答弁によって、一応この問題はきょうは打切りたいと思います。  最後に一点お伺いしたいことは、去る八日全学連の一部学生の方々が、佐藤首相の東南アジア訪問を阻止しようとして、警官隊と正面衝突いたしました。そうして学生の一人が死亡した。その上多数の負傷者を出したこの羽田事件の問題でございますが、社会に大きな衝撃を与えております。この羽田事件に対して文部大臣はどのように考えておられるか、この見解をお聞きしたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 羽田飛行場事件につきましては、実はあの学生の行動は、佐藤総理の外遊を阻止するということに出たと思いますが、実際事件が起こりましたのは、総理が出発したあとに起った問題でございます。こういう点をいま各関係省とも十分調査してもらっておるわけでございますが、文部省といたしましては、この学生の行動は、いわゆる学生としての行動の範囲を逸脱しておって、まあ一言にして申しますれば暴徒にひとしい行動であるとすら考えられると思うのです。でございますけれども、いやしくも行動いたしました者が大学に籍を置きます学生でございますので、文部大臣といたしましては、まことに責任を痛感しておるのでございます。でございますので、これをどう措置するかという問題について、非常に私としては苦慮しておるわけでございますが、これは従来とも、直接に大学生を取り扱っておるものは大学でございまして、大学自体が責任を持って学生たちの指導に当たるべき責任があるわけでございます。これを大学のその責任を乗り越えて、文部大臣として直接的にある方法をとるということは、ただいまのところ考えておりません。ただ、大学当局と私ども協力をいたして、今後の問題について対処してまいりたい。そういう意味合いにおきまして、私は近日中に各大学の当局と十分話し合いを進めまして、協力をして、こういう体制についての学生の指導につきまして十分な対策を講じてまいりたい、こう考えておる次第でございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 いまの文部大臣の御答弁から考えると、いまの学生運動が本来の姿ではないと、そのような御見解を持っていらっしゃる、そのように聞き取れます。ならば、それに対する御答弁とともに、いままであったと思いますけれども、それとともに、学生運動に対して文部省としてどのような指導がいままでなされておったのか、それに対しての御答弁もあわせてお願いしたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 学生の指導は、私どもはやはりあくまで大学当局の責任であると考えておりまして、これに対して文部省としては、大学の自主性を侵害するような状況で処理をいたしておらないのでございます。しかし、大学当局が学生指導につきましていろいろとるべき措置につきましては、常に重大な関心を持ちますし、大学当局に対していろいろ資料なりを提供し、そして大学自体が学生の指導に誤りないように要請をして、今日までまいっておるのでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 先ほどの御答弁から拝察して、文部大臣は、現在はまだ大学の管理法は制定するつもりはない、そういうお考えであるかどうか、単刀直入にお伺いします。明確な御答弁をいただきたい。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 実は大学管理法につきましては、私もかつてその管理法の制定について努力したことがございますし、文部省ではずっとこれに努力を続けてまいったのでございますが、実はまだ管理法が提案の運びに至っていないのでございます。将来の問題につきまして、大学管理の問題についてはやはり法的な措置は必要であるとは考えております。しかしながら、巷間伝えられますように、今度の事件をきっかけにして大学管理法を私がつくる、こういうことは毛頭考えておりません。今度の事件は学外における問題でございまして、大学管理法そのものとは直接的には関係がないと考えております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 当然文部大臣のおっしゃるように、このたびの事件は、まず佐藤総理の南ベトナム訪問についての国民への了解あるいは納得を得る方法が、あるいは努力が少なかったという面にも、その責任は十分あると思います。また同時に、あの羽田事件の暴挙を起こしたのも一部の学生であります。暴力に訴えて暴挙を起こしたこの一部の学生をもって全部の学生を判断し、これを大学管理法制定の方向に持っていこうという考えがないのは、これは当然だと思います。また、そうでなければならないはずです。しかし、そうせざるを得なかった、またそういう事件が起こってきたその遠因をたずねたときに、やはり政府並びに文部当局の責任も、これは十分追及されなければならない問題だと思います。早稲田事件、中央大学事件、法政大学事件、あるいはこのたびの羽田事件、あるいは巷間新聞等を賑わしている東大学生あるいは慶大学生の問題、このような状況をもって推しはかったときに、当然文部当局の無為無策というか、その責任も追及されなければならないと思いますが、この点についての見解をお聞きしたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 これは、私も先ほど申し上げましたように、在籍の学生が起こしました行動である限りにおきまして、文部大臣としては深く責任を感じております。これは先ほど申し上げたとおりでございます。文部大臣が無為無策と申しますけれども、しかし、この学生のいまの行動の問題は、そのよって来たるところはきわめて深刻でございまして、これが一片の弾圧とかそういったような問題で解決する問題ではないと思っております。同時に、これはやはり日本のあり方の問題に関連する問題でございまして、もちろん無為無策とそしられてもやむを得ませんけれども、私はこの問題は相当慎重に取り扱わなければならぬ。私がいかにもこの問題に対して——文部大臣が直ちにこういう問題に対処する手段が目に見えたようなものがとり得るとは現在考えておりませんが、しかし、大学当局とも十分協力をいたしまして、将来に向かいまして最善の努力を続けてまいりたいと思っております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 最後に一言申し上げたいことですが、先ほどの御答弁では文部大臣の責任の所在というものは何ら明確にされていない。当然このたびのような事件が起こるということを予想されておりながら、佐藤総理が国を出て行った。東南アジア訪問に出て行ったということ自体、非常に問題でありますけれども、この文教委員会においては、文部大臣もその一閣僚として、未来ある青年の命を失ったということについては重大な責任があると思うのです。わが党としても、無謀な学生運動を支持するようなつもりはもちろん毛頭ありません。しかし、文部大臣としてこのような事件を将来起こさせない、そうして自分の責任としてはこのようにしていくんだと、国民に対して約束するのが当然じゃないかと思います。ただ一連のことばを並べて、そうして学校当局とも相談しながら善処していきます。対処していきますというだけでは、このたびの事件は過ごされない問題だと思いますから、その点をもう一ぺん明確にしていただきたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 この問題は、あくまで私どもは教育的な立場に立ちまして処理するつもりでございまして、こういう状況を私は権力をもって起こさせないというようなことを国民に断言するという立場ではないと思います。ただ、教育的な立場におきまして、将来に向かいましてこういう不祥事が起こらないように最善の努力をいたしますということだけは、はっきり申し上げることができると思います。その方向に向かいまして努力を続けてまいりたいと存じます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 いまの答弁ではもう一つ納得できない。それは美辞麗句を幾ら並べても、国民はいま現在においてはもう納得しないと思う。文教の大綱をつかさどる文部大臣として、将来このような欠陥をこのように改めていく、こういうふうにしてこうやっていく、ただ美辞麗句を並べるだけでなしに——もちろん、りっぱなき然たる態度も必要でしょうけれども、しかし、それだけではいまの国民の不安を解消するわけにはいかないと思うのです。ただ単に声明だけの問題じゃない、ゆゆしい事態です。美辞麗句を並べて、そうしてそれを糊塗してしまう。そういうお考えではいけないと思います。もう一度文部大臣の御答弁をお願いして、そして終わりたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 私はやっぱり文部大臣の立場としまして、しばしば言われますように、いわゆる思想統制の権限もなければ、やる気持ちもございません。今回の事件が、その根底におきまして思想の問題に根源を発しておると存じます。したがいまして、その思想を統制して、そういうようなことの起こらないようにいたすということは、文部大臣には権限もなければ、力もございません。ただ、教育の場におきまして、学生にああいうような学生の運動の範囲を逸脱して、いわゆる暴力化したような行動をとらせないように、これは十分大学において責任を持って教育をしてもらいたい。そういう意味におきまして大学当局と十分な話し合いを続けていきたいと存じておるのでございまして、いま先生のおっしゃるように、いかにも文部大臣がこういったような問題につきまして、ある権限を持って臨むことができるというふうには私は考えておりません。ただ、今後の状況において、大学と協力してこういう状況が起きないように最善の努力をいたしますということを申し上げるよりほかにないと思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 もう一つだけ。最善の努力という御答弁には、具体的なものは何一つないのですか、どうでしょうか。現在のところはなければないでいい。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 具体的な努力の対象は、私は大学自体が考えてもいいと思います。でございますから、大学に真剣に取り組んでもらいますように学長と意見を交換してまいりたい。文部大臣がある具体的な方法を考えまして、これを大学に強制するという考えは持っておりません。大学自体がひとつ真剣にそれを考えてほしい。その具体的な問題は、私は大学自体から出してほしいと、実は現段階では考えております。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 以上で終わります。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 長谷川正三君。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 本日、人事院勧告をめぐります国家公務員、またこれに準ずる地方公務員、特に教育関係の給与問題について御質問を申し上げたいと思って用意しておりましたが、ただいま山田委員からも御質問のありました羽田の問題について、なお若干冒頭に御質問申し上げたいと思います。  理由のいかんを問わず、ともかく前途有為な青年の命が失われたという事実につきしては、心から哀悼の意を表しますとともに、まことに残念なことだと存ずるわけであります。これにつきまして、私も新聞、テレビ等の報道を伺った程度の事実認識しかございませんので、確信のある意見等をまだ述べる段階には至っておりませんけれども、この際、先ほど来大臣が御答弁の中で申されておるとおり、学生の起こした事件である。その範囲において教育的な責任があるという立場で特に御答弁があったと思いますので、私もその点に限って、本日は若干御質問申し上げたいと思います。  先ほども若干の御答弁がありましたが、もう一度まとめて、現在までのところ、文部省あるいは文部大臣として、この事件の真相をどのように把握をされ、どのように判断をされているか、その点について、ひとつ簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 この前の羽田事件につきまして、一学生が死亡します結果を生じましたことは、いま長谷川先生がおっしゃるとおり、その原因のいかんを問わず、私といたしましてはまことに遺憾でございますし、死亡した学生に対しましては哀悼の意を表するのでございます。ただ、今回の活動が学生の運動の範囲を逸脱して暴力的な行為として行なわれてまいりました。この点は先ほどからも答弁してまいりましたが、一面におきまして、大学自体が学生の指導につきましては責任を持っておるはずでございますが、この学外におきまして集団的に行なわれましたことに対して、大学自体といえども、その力の外に行なわれたものでありまして、これは大学自体をこの際糾弾するというわけにもまいらないのじゃないか。ただ、これが学生であるという意味から申しまして、私どもとしては、全教育関係をあずかっている者といたしまして、被害者の方はもとより、全国民に対しまして深い責任を感じまして、今後このような問題が起こらないようにいかにすべきかということに非常な苦慮をいたしておるわけであります。でございますので、まずさしあたりの措置といたしましては、私は、先ほど申し上げましたように、各大学の学長と十分話し合いをいたしまして、やはり各大学におきましてもこの問題を重視してもらって、大学自体が相当真剣にこの問題と対処してもらう体制をひとつつくりたい、このように考えておる次第でございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 大学学術局長のほうで、補足して事実関係についてもう少し詳しく——詳しくといっても限度がございますけれども、いまの大臣の基本的なお考えはわかりましたが、事件の経過をどういうふうに把握されておるのか、その点をちょっとお伺いいたします。

宮地茂文部省大学学術局長

○宮地説明員 この現象として起こりました羽田での事件の状況につきましては、実は文部省としては、直接そういう現場に立ち会ってどうこうということでもございませんので、私のほうは警察から詳細な報告を受けましたので、それをかいつまんで申し上げたほうがむしろよろしいかと存じます。  佐藤総理のベトナム訪問に反対する学生二千数百名というふうに聞いておりますが、当日の八日の前の七日に、中央、法政、明治、早稲田、こういった各大学、その他にもあるようでございますが、八日の羽田デモの準備をした。それから八日の八時ごろから高速道路、鈴ケ森、萩中公園、弁天橋、そういったところにそれぞれの学生のグループが集まって、八時ごろから警官隊と小ぜり合いを始めておった。十時三十五分に、佐藤総理の飛行機が出発された時刻直後のようでございますが、穴守、稲荷、弁天橋、これらの橋の警備に当たっていた警官隊に対しまして、学生デモ隊が投石あるいは角材、丸太等で襲いかかり警官隊と激突を始めた。それから学生の一部は、付近の石油店あるいは駐車中の自動車等からガソリン類を取り出して、これをまいて警察の警備車に放火した。そのため十時半過ぎから十一時ごろまでに次々に七台の車が炎上した。十一時二十七分ころ、弁天橋付近で学生二人が警備車に乗り込み、これを動かして警官隊に突入しようとし動かしているときに学生一人をひいた。直ちにその学生は病院にかつぎ込まれたが死亡した。その学生は京都大学文学部一回生山崎博昭君ということでございます。  大体以上が、警察のほうから私どもが聞きました事情でございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 いま警察からの報告としての間接報告のようなことを承ったのですけれども、新聞等で報道されておることと大同小異の御答弁だったと思います。文部省としてそれ以上に深く掘り下げて調査したというような事実がまだないようでありますから、文部省自体として把握したところがあればと思ったのですが、ないようですから、この質問はこの程度にとどめますが、これにはいろいろ深い原因がまた多角的にあろうかと思います。これは大臣にお尋ねするのですが、どうしてこのような事態が起こったとお考えになっておるか、この点について、そのおもなものについて、ひとつ御見解を伺いたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 直接の原因はもちろん総理のベトナム訪問を阻止するということであったと存じますが、しかし、事件の内容を見てみますと、いま警察の報告として申されましたように、総理の出発を阻止するのでございますれば、従来の関係でございますと、出発を終わりますと大体解散するのが通常でございます。ところが、今回の場合は、総理が出発したことが明らかになったときから行動を起こしまして警官隊に突入していったという状況から見ますと、私は、単に総理の出発を阻止するというだけの目的ではなしに、やはりそれ以外の何らかの目的があったのではないかと想像されます。しかし、こういう問題につきましては、ただいま警察のほうで十分調査をいたしておる最中でございまして、その調査の結果をまたなければ私がここで即断するわけにはまいらないと思っております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 羽田で起こった事件について、ごくその部分だけとらえての大臣の原因についてのいまの御答弁だと思いますが、私が伺ったのは、もう少し広く、もう少し深く掘り下げた立場からこの原因を考えてみる必要がありはしないかということで、そのことをお尋ねしたわけであります。  時間がありませんが、たとえば警備の方法とか、あるいはその若い人たちが集まっておるところに対する警察官の能度とか、いろいろなこまかいことを言い出せばいろいろあろうと思いますが、私はいまそういうことを申し上げようとしておるのではないのであって、大臣も冒頭に触れましたが、一番大きな原因は何か、何かこの問題の本質があの事件の流血の惨事ということでほかされておるのではないかと私は思います。自民党の内部でも、いまの国際情勢、アジア情勢下において、日本国の総理大臣が戦火のまっただ中にある南ベトナムを訪問するということは、一歩誤れば非常に危険な要素を含んでおるという非常な御議論があったということを承っております。まして国民全体の中には、これを危惧する国民が非常に多数あるという、こういう事実の中で佐藤総理があえてこれを強行したというところから問題が引き起こされたという、この一番根本をはっきり踏まえるべきだ。これについては、行くことのいい悪いについては御議論がありましょう。これは大臣にそのことの御見解を承るのではなくて、国論がそのように分かれておるような事態にあるのに強行するということに一番大きな政治的責任がある、私はこう思うのであります。その点については大臣はどうお考えになりますか。  それからさらに今度は、いろいろ治安、警備、そういった問題を離れまして、文部省の教育という問題につづめて申しますならば、学生運動があのような激化した状態になぜなっていったのか。私は先ほど来大臣の山田さんに対する御答弁を伺って、これを弾圧やあるいは法律の強制によって解決しようとする姿勢はとらないという御態度であったと承りまして、その点では大臣のおことばがそのおことばどおりであることを願うとともに、いささか危惧の幾つかを取り除かれたような気はいたすのでありますけれども、しかし、それだけにとどまらず、学生運動がなぜあのような激しい形をとるところまできているのか、これについては思想を統制するとか統制しないという問題ではなく、為政者として、ことに文教の府の最高の責任者としては、深く考えるところあってしかるべきだと思いますが、その原因についてどうお考えか、今後どういうふうな方向が望ましいとお考えになっているか、この点を承りたいと思うのであります。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 私はしばしば、これは記者会見でも申しておるのでございますが、今日学生運動がこのように激化した姿というものにつきましては、実は文部大臣といたしまして、現下私が一番悩みを持っておる問題でございます。この問題の解決につきましては、現段階におきまする日本そのものの中にその一つの原因があると思うのでありまして、この解決の基本的な方法は、全日本人がこれをどう考えるのか、解決していこうとするのか、私は日本人全体の問題であろうかと思います。したがいまして、あの学生運動の中にはもちろんいろいろ種類があるようでございますが、一部の学生は、いわゆる暴力行為も辞せずというような状況にまでなっておる一連の組織と申しますか、グループがあるのは事実でございます。日本の国の中にそういう考えの方がおるということの事実は否定できませんし、これをどう解決するかというのは、全国民がこれをどう処理するかということにかかっておるというふうにいま考えております。  ただ、大学におきまして、学生の指導等においてこれをどのようにやることができるかということはきわめて困難な問題であろうかと思いますが、しかし、困難な問題ということで放置するというわけにはまいりません。私は、少なくとも大学当局とも協力をして、こういう大学内部におきまする悩みをぜひ解決に近づけていきたい。今日におきましては、どう処断をしてどうやっていくかという具体的な問題につきましては、はなはだ残念ながら実は私も今日まで苦慮することはしておりますけれども、解決点の最善の方法というのはまだ見出し得ないでおるわけでございます。やはり国民全般の声を十分間きつつこれに対処してまいりたい、こう考えております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 私が二つ質問したあとうほうにお答えをいただいたように思うのですが、最初のほうについて大臣の御見解を伺っておきたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 その点は、私のお答えをする範囲であるかどうかに迷ったものですからお答えしなかったわけでございますが、私も閣僚の一員として、この問題については十分責任があると思います。ただ私の解釈といたしましては、総理が南ベトナムに行かれますのは、各国を回りまして、そうしていかにしてベトナムの問題で平和解決の道を見出すかというための努力の一環として参っておるという固い決意で参っておると考えておるのでございまして、私どもは、ベトナムにおけるいまの戦禍のありさまは一日も早く解消しなければならぬ。日本政府としましても、これに対して最善の努力はすべきであるという意味合いにおきまして、その解決の点はなきかという意味合いにおきまして、あらゆる努力を総理が払っておる。こういう意味において、私は、南ベトナムをあわせまして今回の東南アジア諸国を総理が訪問して参っております態度について、閣僚の一人として是認いたしておるものでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 ただいまの点については、これは見解の相違があろうと思います。私が御質問申し上げたのは、いま総理が東南アジア諸国を回り、特にベトナムに行くのは平和の道を見出すためという信念に基づいてだというそのお考えについて、直接いま議論をしようとしたのではなくて、そういうお考えはお考えとしてあるとしても、今日この問題については、国として非常に議論をしておる。国民の中にも——さっきこの問題は国民全体で解決する問題だと大臣はおっしゃいましたが、まさにそういう問題である。その場合に、国民の大多数の意向というものが統一されている中でならいいのでありますけれども、まつ二つに割れたといってもいいほどこれについては考えの違う層が厳として存在しておる中で強行したというところに大きな原因があるということを私は指摘をし、それについての御答弁をお願いしたわけでありますが、しかし、文部大臣のお立場もあられると思いますから、この際、この点は私の意見だけを申し述べて、行くべきでなかったということだけを申し上げて、この点はその程度にとどめます。  それからもう一つは、学生運動のあのような激化について、どうしていいか、いまのところ十分な名案と申しますか、処方せんというものを書き得ないということを率直にお答えになったと思うのでありますが、何よりも、日本の学生運動にもいろいろな思想があるでしょう。また、現実に日本の政治の方向や社会の状態の中で、若い生一本な青年たちが理論的に追求し、また正義感に燃えていろいろな考えが出てくる、そういうものの一つとしてああいう行動が出てきたということを、先ほど暴徒ということばをお使いになりましたが、単にこれは何か軽い意味で言う暴徒というようなものとおとりになると私は誤ると思う。やはり底の深いところから出てきておるものだということを十分認識しなければならないということをひとつ指摘を申し上げるとともに、もう一つは、学生運動があるいは自治会活動が、真に正しい発展をするためには、すべての学生の参加するような学生運動であり、また、そうした自治会活動でなくてはならないのではないか。そういう点で、文部省が大学の自治にまかせて、国家統制的なことをしないということはたいへんけっこうでありますか、むしろ各大学の暗に——私は、文部省はいまのようにおっしゃっていますけれども、文部省の、ともすれば先ほどの大臣の御答弁とは正反対な弾圧取り締まり的感覚の大学運営が強化されているために、学生運動についても、進んで学生の自発性を育てる、その自治会活動の全学生に及ぼす活発な動きを育てる、こういうところに確信を持って進んでいない。できるだけこれを押える、できるだけこれをそらせ、できるだけこれを弱体化する、こういった方向でもし大学の指導がなされるとするならば、私は今後ますます学生運動は危険な方向に進むであろうということを心から心配をいたしておりますので、この際、そういう点についても十分ひとつお考えをいただきたいと思いますが、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 その点に関しましては長谷川先生と私ども全く同感でございます。でございますので、私どもは大学の学生の取り扱いについて干渉しようとは思いませんけれども、大学がもう少し真剣にこの問題に取り組んでほしい。そして学生運動のあり方としまして、学園の全学生一人一人がほんとうに正しく学生運動に参画をして十分にやっていくという状態に大学が真剣に取り組んで指導してほしい。ところが、現段階におきましては、学生運動をあるがままにして、いまの大学は手をこまねいて傍観しておるという感じがしてなりません。もう少し大学当局が真剣にこういう問題に取り組んでもらいたい、私はこういうことを強く要請してまいりたいと思っております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 そういう面では、大学の予算あるいは教授、助教授あるいは講師、助手というような方々がもっと余裕のある状態で、学生一人一人と胸襟を開いて、ともに真理の探求について、あるいは人生の問題について語り得るというように、そういう大学の姿がいまや失われ、マスプロ、マスコミ的な方向に進んでおる。こういうようなところにも大きな原因があるのであろうと私は思いまして、そういう点でも、ひとつこういう機会に災いを転じて福とするために、国の政策の上にひとつ大きな反省と、新しい今後への道を開いていただきたいということを特に私は強調いたしたいと思います。  ただ、先ほどすでに山田さんへの御答弁にもありましたが、この際大学管理法を制定して監督行政を強化する、こういうようなことをいまこの問題に関連しては考えておらないというふうに私承ったのですが、これはそれでけっこうだと思いますが、もう一度念のためにこの点について大臣の御所見をお願いいたします。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 明確に、この問題に関連しまして大学管理法を制定するという考え方は持っておりません。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 この際、私はもう一つだけ申し上げて、文部省あるいは大臣にお考えいただきたいと思いますのは、先ほど全部の学生が参加するような自治会活動なり学生運動ということを私は申し上げましたが、これは小学校、中学校の教育の時代から、集団として社会的に生きるという行き方を十分訓練されていないところから起こってくると私は思う。そこまで問題を掘り下げないといけない。戦後、日本の学制が一大改革をなされて、民主主義教育ということになり、社会科が誕生し、さらにホームルーム等が非常に重要視され、こういった傾向が一ころたいへん伸び伸びと伸びたのでありますが、その後、文部行政に私は最終責任があると思うけれども、いわゆる知育偏重あるいは受胎準備、そういった——現在の小中学校の教育の中からほんとうに自分たちの住んでいる場所、自分たちのクラス、自分たちの学校をみんなで力を合わせてよりよくしていくというような、そういう日常の訓練なり考え方なりというものが相当欠けて、いま奇型児になってしまっておると私は思う。そういうことがこういう問題のまた大きな基底をなしておる、こういうことを私は指摘せざるを得ないのです。そうして一方に個人道徳などを、私から言わせれば非常にうしろ向きな形で道徳の時間等を非常にふやす。そしてそれが自分たちのいま生きているクラスとか地域とかの社会性というものを乗り越えてしまって、一ぺんに今度は愛国心であるとか、そういうふうに昔の忠君愛国的な方向に、どうも今回の教科課程の改訂などを流れる思想の中にそういうものが出ているのではないか、こういうことが教育本来の姿をだんだん失わしめていくことにつながっているのではないかということを私はひそかに憂えている一人であります。そういう意味におきまして、各大学の問題でなしに、高等学校なり、小中学校の義務制の段階からの教育、さらには幼児教育全般にわたって、こういう機会に十分掘り下げた、行きがかりにとらわれない検討が必要である、こういうふうに考えますので、これについての大臣の御所見を伺って、この問題については一応打ち切りたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 いまの御意見につきましても、大部分と申し上げたいと思いますが、全く御同感でございます。現在の小中学校義務教育の面におきまして、ほかの要因において相当本来の教育がゆがめられてまいりまして、社会人として伸び伸びと、人づくりという問題がゆがめられた姿で行なわれておることは否定できないと思います。私どもはこういう意味において、小中学校義務教育の面においてまず本来の教育の姿を取り返したい、私はこれが念願でございまして、その意味においていろいろな考慮をいたしておりますが、しかし、この点について私どものやっておりますことが間違いがもしあるとするならば、それは十分御意見なり御指導を賜わって正しい道に直してまいりたいと考えておる次第でございます。

小林信一日本社会党

○小林委員 いまの長谷川委員の問題について関連をして二、三私から申し上げたいようなことを申し上げるのですが、私は、実はこの八日の八時ごろという問題については、アメリカのロスアンゼルスにいたのです。いま私は時計をそのままにしてきましたが、ロスアンゼルスの時間でいえば、ちょうどこちらの朝の八時ごろは向こうの午後三時ごろだと思います。私は別にロスアンゼルスで日本人に会おうと思っていなかったのですが、私の県の人たちが、領事館の発表があそこの地域の邦字新聞に出たためにわざわざ出迎えてくれまして、その人たちと実は懇談しておったのです。それは夜でした。したがって事件があってから三時間か四時間後ですが、小林さん、日本にはえらいことが起きたよと、この羽田の問題を概略話してくれました。そして人が一人死んだよということまで話をしてくれたのですから、アメリカにもこの問題については確実な報道が直ちに行なわれておるわけなんです。きょうのテレビを見ておりますと、ニュースの中で、きょう総理がオーストラリアに行く。オーストラリアでは、最近のイギリスに次ぐ日本の輸入の状態から歓迎をするというような話の中に、だが一部には、羽田の出発に際しての事件等をオーストラリアの人たちが聞いて、また別な考えで出迎えやしないかというようなことも報道されておりましたが、これは現地の報道機関からの連絡だと思うのです。そうしてみれば、この問題は外交の面でもやはり大きな問題になっておるわけなんです。それだけベトナムを中心とした問題というのは非常に世間が関心を持っておると思うのです。そういう場合、日本の動向というものも、すぐにそういうふうに問題として取り上げるのじゃないかと思うのです。しかし、いまお話を聞いておると、まず局長の経緯についての説明から見れば、警察の意向を述べられるだけである。大臣のお考えは、出発すれば大体こういうものは解散をするはずだ。しかし、その後において起きた問題として考えれば、それ以外の何かがあったのではないか、こういう御判断をなさっておる。しかし世間は、日本以外の各国は、この問題について、私が知る限りは、そんなふうに日本の外交問題として考えられてきておる。こういうふうに簡単に解決するところに、こういう問題がいつになっても解決できない。したがって、いかにしてそういうものの行動を押えるかというふうなことに問題がなって、その根本的な問題を解決しないというふうなことになったら、問題を誤るのじゃないか。もっと大きな視野を持って問題を見るということが、特に文部当局としては必要ではないか、こう考えるわけですが、私の即断かもしれません。大臣はもっと何かほかのものを持っておられるかもしれませんが、いつもなら出発すれば解散するはずだ、しかし、その後において起きたということであるから、何かほかの問題がある。こういうふうな文部省のこの問題に対する問題のとらえ方は、いまの大臣の表明のしかたでいいかどうか。私は、そういういままでの二、三日のいろいろだ情勢を見ての上で、少し浅いのじゃないか、軽率じゃないか、こう思うのですが、大臣の考えをお聞きしたいと思うのです。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 これは私の見解だけをどう展開しましょうとも、これは各人におのおのあると思いますが、私が申しましたのは、単に総理がベトナムに行くということを阻止するというだけではなしに、そのことの真相と申しますか、根底にはもっと深刻なものがある、こう私は考えております。でございますから、単に機械的に総理の行くのを阻止する、こういったような問題ではなしに、根底にもっと深刻な理由がある、こう考えております。

小林信一日本社会党

○小林委員 そうすれば、それの方向というものは——大臣、ここは実に重大な問題でありますから、単に二人だけの話し合いということじゃなくて、これは率直にお話し願いたいと思うのですが、何かほかにあるというのは、単なる、何か日本に混乱を起こしさえすればいいというそういうものか、あるいは政府のやり方にも、国民の理解のしかたにも問題があるというような、そういう見方であるか。学生、ああいう行動を起こす人たちだけに何か問題があるというような御説明ですか。もう少し明確にしていただきたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 こういう国会の場で論議をすることは私どもは欲しませんけれども、しかし、根底におきましては、いわゆる国家のあり方に対する基本的な考え方の相違だというふうに私は考えております。

小林信一日本社会党

○小林委員 その即断というものが、いまのように私の歩いたここ二、三日の経緯の中から生まれた問題から考えても大きな影響を及ぼすものだ。思想の相違であるとか、あるいは問題の見解の相違であるとかいうことでいいのかどうかということが私は問題だと思うのです。これは朝日新聞の「天声人語」にもありましたが、おそらくこのことは、佐藤総理は飛行機に乗って出発はしたけれども、飛行機の窓から見えたはずだ、こういうふうにやはり問題を取り上げていますよ。それからさっき大臣が、暴力行為拝せずというふうな考え方を持った人間があるんだ、こういうふうに言われましたが、今度の新しい空港の問題でも、くい打ちをしましたね。あの問題できのう現地ではやはり問題が起きております。あれを放送局あたりが各社で現地でもっていろいろ録音をとってそれが放送されております。あるおばあさんが、私はもう死んでも抵抗するぞというふうな、何かそのことに対する憤慨を、いい悪いはとにかくとして、そういうことを言っております。これは暴力行為あえて辞せずというものとやはり共通するのですよ。そういうものをすべて見解の相違である、思想の違いであるというふうにほっておいていいかどうかということが私は問題だと思うのです。そういう見解を持っておれば、いま大学局長が説明されたように、警察の一方的なものを二、三聞きかじってきて、そしてこの大事な国会の論争の場でもって簡単にお話しされておる。文部省としてはその問題についてこういうように考えておる、たとえば警察官の行き過ぎというふうなものもあるでしょう、あるいは大臣が言われたように、出発しちゃったからというけれども、出発するまでどんなに警察のほうでもって学生諸君を憤慨させるような措置をしたか、だからそういうものが継続して爆発してしまうというふうなものもあると思うのです。だから時間的な問題でもって簡単に私は判断をしてはいけないと思うのです。だから私はこう申したいと思うのです。一体佐藤総理はいまの南ベトナムに協力をするという態度で行くのか、ほんとうにこの問題を平和的に解決するために行くのか、この点が私は決して明白になっていないと思うのです。大臣が、あるいは政府が、何ゆえに佐藤総理がベトナムにいくのか、それはあなたもおっしゃるように、平和的に一刻も早くこれを妥結しなければならぬから行くんだという、そういうものを国民に徹底させる、理解させる、世論を起こす、そういう努力というものが政府にはたしてあったかどうかということが問題だと思うのです。そういう点を私は大臣に考えていただきたいと思うのです。  なお私は二、三申しますが、今度私は政情視察という名前で国会から派遣されてずっと回ってまいりましたが、どこへ参りましても、いま核拡散防止条約の問題をめぐって——ベトナム戦争ももちろんですが、一番問題は核拡散防止条約の問題ですが、どこもこの問題について、実にその置かれておる立場、いろいろな周囲の情勢という問題でもって悩んでおります。そしてその中には国民の世論というものが必ず起きております。私どもはそういう話を聞くと、一体日本はどうするのだ。すぐそばに中共が核兵器を持ち、しかも今度の核拡散防止条約にはおそらく参加しないだろう。フランスと同じだ。こういう問題について日本はどうだ、こういうふうな問題を聞かれます。一体こうしたいろいろな問題の起きている中で、もっと国民に、政府の態度はこうだ、こうでなければならないのだというような指導あるいはPRというふうなものが十分になされておるかどうか。いたずらに思想の違いである、見解の相違である。あなたが日教組の諸君と、文部省の歴代大臣が会わないから私も会わないというような簡単なものでもって問題をほうっておくところに、私はやはりこうした問題が起きるのじゃないかと思うのです。  そういうふうなものを申し上げれば非常に時間がかかりますが、私は非常に重大な問題でありますから、委員長からいま関連質問であるから簡単にせよというふうなものが参りましたが、委員長のこういう問題に対する見解というものを私は伺いたいと思うのです。委員長、委員長も問題をこうやって論議する場合に、この問題はどうだというくらいの判断ばして、ひとつ執行していただきたいと思います。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 小林先生に申し上げますが、あらかじめ理事会でもって相談してある日程に従ってやっておりますので、ただいまの御意見もありますから特に関連質問として許したわけでありますので……。

小林信一日本社会党

○小林委員 そういう事務的な取り扱いをするなら委員会なんかの意味はないのです。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 いや、理事会でよく相談してありますから、御趣旨はよくおわかりいただきたいと思います。

小林信一日本社会党

○小林委員 大臣、そういう点はどうですかね。ほんとうに私はあなたがおっしゃるように、問題解決のために命をかけてベトナムに行くのだ、そういうふうな世論というものを十分にして行ったかどうか。国民はそれを了承しておるかどうか。いや、そうは言っても、佐藤総理は結局ベトナムに協力をするというふうなものを強くするのじゃないか、そうしてアメリカに行くのじゃないか、そういう意見だって国民の中にたくさんありますよ。  ついでだから申しますが、ロスアンゼルスで、私はこの問題があったから領事館の人たちと話しました。一体ロスの市民というものは日本に対してどういう考えを持っておるか、ベトナムに対してどんな考えを持っておるかという話をしたときに、こういう話をしました。先日反戦デモが行なわれた。これは数にしたら一万有余の人たちが集まって、その状況を写真にとることも困難である。一方ベトナム戦争協力の集会が、これはほんとうに二、三百人の集会である。私はベトナム戦争に反対とか賛成を強調するわけじゃないですよ。そういうふうに世間というものは、ほかの国でも、私どもが反戦をやる、思想の違いである、立場の違いであるというふうなことだけでもってほうってしまうことのできない世界の情勢がありますよ。だから私は、必ずしも私どもの考え方に文部大臣はじめ政府が従えとは言いません。しかし、そういう情勢でありますから、自分たちの見解なり態度なり主張なりというものはよく国民に徹底するように、見解の相違ある、こういう葬り方は私はすべきじゃないと思う。文部省の日教組に対する態度もそうだと思うのです。倫理綱領の考え方が違うから会わない。そういうことでほうっておくところに私は問題があるのじゃないかと思うのです。これをひとつの大臣に一言お聞き願って、また私は時間をいただきましてあらためて御質問申し上げます。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 私は見解の相違ということでぽっとものごとを全部片づけようとは思っておりません。ただ、総理がベトナムに参りましたことについて、私どもとしては、やはり日本政府といたしましても、ベトナムのこの戦火と申しますか、戦争状態を一日も早く終結させたい、これに対して何らかの積極的な措置を、日本政府も傍観するだけでなしに、やはり行動を起こすべきだということだけは確実に私ども考えております。総理のベトナムに参りますことが、国民におきましてどうとられておるか、それに対して十分な理解を得るような努力が足りなかったんじゃないかという御見解につきましては、あるいはそういうこともあったかと存じます。ただ、私どもとしては、やはり政府といたしまして、このベトナムにおける戦火を一日も早く平和な状態に返すべき努力をやるべきだということだけは、私どもはっきりと考えております。  なお、日教組その他のお話もございましたが、私も一日も早く日教組とお話ができるような状態になることを実は非常に待望しておるわけでございます。

小林信一日本社会党

○小林委員 もうこれ以上やりませんが、いまの国民が的確に把握しておらなかったかもしらぬ、日教組との問題は私もそういう時期が早く来ることを希望しておる、私はそこに問題があると思うのですよ。いまそんななまぬるい時期じゃないのだ。国民にまだ納得できない情勢があるなら、あらゆる方法を講じて自分の真意というものを披瀝して、国民の十分な理解を得る中で行動をすべきときだ。待っておるのではなくて、大臣が積極的に指導する、話をする、こういう態度が私は必要じゃないかと思うのです。学生の問題は、大学局長も文部大臣も、これから話し合いをするとかなんとか言っておりますが、いまこいねがわくは、大臣が街頭に立って学生諸君と話をする、対話する、そこまでいく時期だと私は思うのです。そういうふうな状況、情勢に日本というものは置かれておるし、そして教育も、日本のこれからの発展の中でそういう重大な責任を負わされておると思います。  もう私は答弁はいただきませんが、簡単に私の意見を申しますが、大学局長の御説明——学生はあなたのほうが管理する立場にある。一方的な警察の言い分を聞いて、そして国会でもって答弁をすればよろしいなんという態度は、私は今後とっていただきたくない。文部省としても、学生の立場も自分たちがかばってやる、あるいはその立場を自分たちが代理してやるというくらいの考え方で、警察の取り調べ、調査したものだけを自分のものにするのでなくて、もっと自主的なものでもって問題を解決しなければいかぬと思うのです。そして大臣は、出発すればいつもだったら解散するんだ、それが今度解散せずにああいう暴力行為をやったということは、それ以外の何かがあるんだというような、こういう考え方をなくなして、やはり学生の立場に立ってものを考えていけば、私は今後こういう問題について解決の道をつくれるんじゃないか、こう思います。以上です。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 先ほど大学局長が申しましたのは、警察情報、つまり、事実を警察から受けましたのを報告しただけでございまして、警察の一つの考え方とかいうものを受け継いで言ったわけではないのでございます。でございますから、先ほども長谷川さんも申されましたように、やはり新聞紙上に事実はずっと書かれておりますので、それと大体同じような結果になっておると思います。文部省が直接現地に行きまして事実を調査するという方法は文部省にはございません。やはり事実の報告は、警察から報告を受けてというのが私どもとしては唯一の方法でございまして、警察の考え方を私どもが受け継いで警察の側に立ってやっておるという意思は毛頭ございませんから、その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと存じます。

小林信一日本社会党

○小林委員 いま長谷川委員の質問をしたのは、経緯について文部省の意見を聞いたわけですよ。したがって、大学局長は、警察の調査したものを申し上げる以外にない、大学当局云々というようなこともつけ加えてお話がありましたからいいんですよ。それでいいですけれども、何となくこういう問題については、そういうものに一切判断されたものを文部省が望むのだというふうな印象を私は受けたわけですよ。警察はこういう考えでおります。しかし文部省としてもいろんなものを便って——使ってということよりも、文部省の考え方で、調査機関がなくても文部省は文部省としていま調査をしておりますというなものも私はほしいのですよ。とにかく警察と学生との対立ですよ。それを、警察側から聞いたものを、それがそのときの状況であるというふうに文部省が思っておったら、私は何か一方的なものがありはしないかというそういう考え方です。まあそれが、文部大臣のおっしゃった、出発すればたいがい解散をするのだ、今度は解散しなかった、だから佐藤総理の出発を阻止するというのが目的でなくて、何かほかにあったのじゃないかというふうなものと一緒になってしまう。もう少し事実というものを掘り下げて、あるいはそのときの情勢というものを実際につかんで、何も私たちに発表しろと言いませんが、文部省は文部省なりの考え方をすべきであるということを私は申し上げたいのです。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 時間がちょっと少なくなりましたから、次に私は、いま一番問題になっております公務員給与の問題について質問したいと思います。これは前回唐橋、斉藤両委員から詳細な質問がありましたし、本日も山田委員から質問がありましたから、こまかいことは申し上げませんが、いよいよ煮詰まってまいっておりますから端的に御質問申し上げます。御答弁もひとつ明瞭に簡単にお願いしたいと思います。  第一は、閣議決定はいつごろなさる見通しですか、それをお尋ねいたします。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 私は、閣議決定はできるだけ早くしてほしいということを、閣内におきましてもまた七人委員会におきましても主張いたしておりますが、まだ閣議全体として何日にするかということは決定をいたしておりません。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 決定しているかどうかを伺ったのではなくて、大臣の予想として、おくれても最終いつごろは閣議決定がなされるであろう、こういう見通しがおありと思うので、それを伺ったのですが、差しつかえなければおっしゃってください。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 大体総理が帰ってまいりますのが二十二日でございますので、政府としては総理が帰ってまいりました後において決定するという意図ではないかと、実はこれは私の想像でございますが、しかし私どもとしては、総理がいなくてもできるだけ早く何とかできないかということを要望いたしております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 そこで、この七人委員会なり閣議でここまで煮詰まってきた問題について、大臣はどういう態度で御主張なさるおつもりですか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 もうすでに何回もいたしまして、私の主張はずっとて一貫して主張してまいっております。それは三公社五現業の話し合いで解決するという際に、人事院勧告が八月中旬にありますので、その際においてストライキのできない公務員に対しましても、これをストライキというような問題が起こらないように解決するという覚悟をあの際に私は要望いたしました。今日、人事院勧告がございまして、その状況になっておるわけでございますから、終始一貫、私は同じ主張をずっと続けてまいっております。それで大体私の主張は御了承いただけるものと考えております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 そうしますと、少なくとも人事院勧告の実施時期も含めまして完全実施を最後まで強く御主張をいただける、こういうことですか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 さようでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 巷間伝えられるところによりますと、最近政府部内では大蔵大臣あるいは経済企画庁長官、それと木村官房長官その他の各関係閣僚等の間に議論が分かれておる。大蔵大臣を中とする方々は昨年どおり九月実施だ、その他の方は一月繰り上げて八月だ、こういうようなことが伝えられておるのでありますが、私は端的に申し上げますが、とうてい今日の事態は——御承知の十月二十六日に公務員共闘は、もう長い間踏んだりけったりされてきて、昨年十月二十一日にやむにやまれずわずかに二時間ですが時限ストを行なった。それでまた非常な弾圧を受けておる。しかもことしは経済情勢等から見れば、完全実施しても十分やり得るはずだ。そういう条件の中でなお八月だ、九月だというようなことを言っておるようでは、とうていいま大臣がおっしゃったように、紛争なく混乱なくこの問題を解決したい、スト権のない組合についても最低人事院勧告の完全実施は国としてすべきだ、政府としてすべきだ、この御主張が通っていけばいいですけれども、いま伝えられておるような状況では、これはことしもたいへんなことになる。その責任はあげて政府にある。こう断言して私はよろしいと思いますが、その紛争を避けるために万全の努力をされる御決意があるかどうか、その点をお伺いいたします。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 二十六日のストは私は絶対に回避したいと思います。そのためには私どもできるだけ最善の努力をやっておるつもりでございます。また今後も続けてまいります。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 なお、御承知のように教育公務員の大多数は地方公務員の身分です。政府がある線を決定しても、また地方財源の問題でいつも地方では悩むのは御承知のとおりであります。地方財源確保について大臣の御信念をひとつ伺いたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 特に教育公務員は国家公務員に準ずるのでございますから、これは一般の地方自治体の地方公務員にも及ぶことでございますが、教育公務員につきましては、これは責任を持って地方財源については措置すべきだと考えております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 ひとついまの力強い大臣の御決意を貫き通すように強く御要望いたします。  次に、昨年、一昨年来ずっと問題になっておりまして、この委員会にも特別の小委員会までつくって検討してまいりました警備員制度の問題、あるいはこれに関連して超過勤務手当の問題がようやく実現の運びに近づいたところで、政府与党のほうからブレーキがかかったと申しますか、混迷をしております問題、超過勤務手当についてさらに大蔵省との折衝が行なわれると思いますが、これについて一体どういう見通しと御決意を持っておられるか、お尋ねします。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 今度の給与改善費として六十三億要求いたしておりますが、この計算の基礎になっておりますのは、一応私どもが計算いたしました超過勤務の計算によって計上いたしておるのでございますが、しかし、この超過勤務の問題につきまして、基本的には教育公務員については別途の給与体系があるべきではないかという意見がございます。私自身も元来さよう考えております。でございますから、この際、超過勤務の問題とあわせまして、この給与体系を基本的に考え直すかどうかどうかという問題、基本的に考え直すような問題ができますれば、私もまたそれに賛意を表するものでございますので、その予算が、四十三年度の予算の決定するまでに、いずれをとるかということについて必ず決定をしたいと思っておりますが、ただいまいかにそれをすべきかということにつきましては、十分研究を続けておる状態でございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 この職員の給与体系を抜本的に改善するという説が与党の中から出ておるということは伺っております。しかし、現在までの政府予算の編成の過去の経験から見まして、そのような大事業がそう簡単に、半年や一年で実現したためしはない。したがって、教職員の給与体系について抜本的に改正をするという問題があれば、私どもも十分これを真剣に検討しなければならぬと思いますし、よりよいものであるならば、これは望ましいと思いますけれども、いまそういうことを持ち出すことによって、事実上はようやく実現の運びになった、来年度から超過勤務手当がとにかくわずかでも実施されるというとき、文部省の態度がこの段階になってなおふらふらしておると申しますか、最終的な路線に従って真一文字に進んでいないということで、大蔵省はこれを理由に一年検討というようなことで、来年度見送りになるようなことになりはしないか、こういうことも私は非常に心配するのです。絶対にそういうことはさせないと大臣は断言ができますか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 根本的に教育公務員の給与体系を考えるということで、これが予算的な措置ができるという状態であれば、それを採用するのに私としてはやぶさかでございません。しかし、いま申されましたように、予算編成過程におきまして、これがそう簡単にいかないという場合もあり得ると存じます。これは今後の研究でございますが、そういう場合におきまして、私どもの、たとえ暫定的にしろ、根本的な給与体系をつくりますまでの暫定的な措置としましても、この超過勤務の問題解決なしに四十三年度の予算を編成しようとは考えておりません。その点につきましては、私は責任を負っていくつもりでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 大臣が強い御決意を持たれていることを確認できたと思います。  次に、最後にもう一つ警備員の制度の問題ですが、これまた巷間無人学校という思想が出て、とりあえず来年度はそれに対応する予算を要求しておる。こういうふうに伝えられておるし、事実そういう資料もいただいておるわけでありますが、まあ学校が無人化していくというような考えでないということを、前回の委員会でも同僚議員の質問に対して初中局長等から御答弁があったわけでありますが、もう一度念のためにお聞きしますが、将来無人学校にしていくような考えであるのかないのか、これをひとつはっきり承りたい。それから学校警備についてどういうふうにお考えになっているのか、この点を明確に御答弁を願いたいと思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 この宿日直の問題でございますが、これは現在の宿日直のあり方、基本的な考え方は、戦前の場合とだいぶ違うと思います。現段階におきましては、校舎の火災とか、災害防止でございますとか、あるいは外部から侵入いたします窃盗その他の問題でございますとか、あるいは突発的事故に対しまして対処する体制、これらの問題が宿日直を置いておる大きな理由だと思います。しかし、これを宿日直という形でやらなければならないかどうかという問題になりますと、現在たとえば小学校等を考えてみますと、女子職員が非常に多くなりまして、事実上男子の先生だけではこの宿日直をやるというのには非常に負担になりまして困るという問題も起こってまいっておりますので、何らかこの問題につきまして対処しなければならぬということだけは事実だと思います。そこでこの校舎の防護につきましては、原則としまして設立者でございます設置主体の全責任でやる問題でございまして、その校舎を防護する体制については、その地域的な、また学校の規模等によってその設置主体の自主的な判断でいろいろな方法を講じていいのではないか。そういう意味から申しまして、私どもは、宿日直を続けていくというのが最善であると考えております学校については、従来どおり宿日直に対します手当を国の経費で計上いたします。それから現に無人学校と称するものが四千校くらいございますが、これは一応その土地の状況その他によりまして、無人にしてもいいという判断のもとにすでに無人学校が存在するのでありますが、今後ある一定の設備をやりますれば無人にしてもよろしい、こう考えますところにおきまして、その一定の設備を必要とする場合は、その設備は国である程度援助いたしましょう。あるいはまた、これは警備員とか代行機関というような問題が起こりましたが、そういうものでやらしてもいいというところはやらしてもいいのではないか。そういう問題になりますと、これは先生の宿日直という態様ではございませんので、公共負担の問題でなくなりまして、地方財政の問題になると思います。そういう代行員を置き、また警備員を置くという場合に、そういう措置をとります市町村につきましては、その経費の負担の問題につきましては、自治省とお話をいたしまして、交付金の問題としてこれを解決してまいりたい、こういうふうにいまこの宿日直の問題を——一律に無人というような結論を私は出してまいるわけではございませんで、市町村の自由な選択にまかしていこう、こういうのがただいま文部省の基本的な態度でございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 そうしますと、将来無人学校にしていくという方針ではない、それぞれの地域の態様に従ったものを尊重して、自治体の責任でやってもらう、それについて国としてめんどうを見る点はめんどうを見ていく、こういう方針と承ってよろしいですか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 全くさようでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 それでわかりました。無人学校にしていくというのではないことは確認できましたが、そうしますと、いままで文部省が特に小規模学校等で宿直あるいは日直で無理のようなところは代行員等の制度を奨励してきたと思いますが、それでやってきているものについては、特別交付税等については大蔵省、自治省との折衝があろうと思いますが、文部省としてそういう裏づけをしていく方針を確認できますか。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 自治省とも十分お話し合いをいたしまして、特別交付税の対象にいたしますように常に交渉いたしている次第でございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 最後に一言申し上げますが、警備員の問題については、小委員会をつくってまで本委員会で真剣に検討を重ねたところであります。警備員制度というのが望ましいことは結論として出てきている。ただ現実には、いろいろ各省間の問題もありましょうし、地域の伝統的ないろいろな事情もありましょうし、そういうことで、にわかに一気にいけないということで、いまのような非常に多様な事実に即応するという姿勢になっておると思いますが、それは一応わからないでもありませんけれども、やはり学校のあり方として、文部省はそこに指導性を発揮して、国政の中で、警備員の問題についてはこれを制度化し確立していくという方向にもう少し強力な姿勢をとっていただきたいというのが私の意見であります。しかし、本日のところは、一応無人学校の問題あるいは代行員の特別交付税の問題等が、来年度の問題としては明らかになったわけであります。  本日はこの程度にとどめますが、いま申し上げたような方向で今後もひとつ真剣に前向きの検討をしていただきたいことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりますが、これについて、ひとつ大臣の最後の御所見を伺いたいのであります。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 警備員の制度が望ましいということは、国会としても述べられておりますが、現在警備員制度を実際やっておるところがございます。全国的に警備員制度というものを、私どもがいま望ましいから大いにというふうに奨励をいたしますのにつきましては、なお現在警備員制度というものをやっております実態をもう少し調べて、それを見きわめた上で——国会の御要望もございますけれども、もう少し調べさしていただきたい。そして、踏み切るのにはいままだその段階にきておりませんので、実際やっておるところの実情を調べてまいりたい、こう考えております。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会

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