文教委員会 第2号
- 発言数
- 160 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/09/11
会議録
○床次委員長 これより会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますのでこれを許します。長谷川正三君。
○長谷川(正)委員 私は、前回の委員会のあとの理事会で本日の議題はあらかじめきめられておりましたけれども、その後教育上の大きな問題として起こりました事案につきまして、特にお許しを得まして質問をさせていただきます。できるだけ簡潔に質問申し上げたいと思いますので、主として大臣からひとつ率直、明快なお答えを願いたいと思います。 それは、東京都下小平市にございます朝鮮大学校の認可問題についてでございます。現行の法律、規則、規定に基づきまして、正当な手続を踏んで学校法人の朝鮮学園が朝鮮大学校の認可申請はつとにいたしておるところでありますが、この申請に対しまして、東京都の美濃部知事がきわめて常識的に、当然の知事の責務として私学審議会にこれを諮問するという手続を九月二日にとったと伝えられております。ところが、この問題をめぐりまして、文部大臣はじめ政府側が、何か私の印象では、これは主として新聞、テレビ等通じての印象でありますから、私の把握のしかたが誤っておればけっこうでありますけれども、やっきとなってこれを阻止するために、いわばどうかつ的な声明というか談話というか、そういったようなことがひんぴんと伝えられているように受け取りまして、はなはだ納得しがたいものを感じておるところであります。これにつきまして、九月六日に私どもの党から石橋総務局長を中心にして文相にお会いをして、強くそのような措置をとられないように申し入れもいたしておると存じますけれども、その真意を伺いたい。その後、またさらに大臣依命による次官通達というようなものを、福田事務次官が都庁に参りまして手交しているやに伝えられておりますが、その内容についても正確に伺いたいと思います。
○剱木国務大臣 朝鮮人学校いわゆる外国人学校の問題につきましては、去る国会におきまして、私ども外国人学校制度の創設に関する法律を出そうといたしまして努力したことはお認め願えると思います。それは現在の学校制度におきまして、外国人学校をいかに取り扱うべきかという問題につきましていろいろ問題がございまして、この問題を、法制的に申しますと、筋道の通った秩序ある状態に持っていきたい。学校教育法を改正しますか、あるいは外国人学校制度を新たに創設するか、この努力は払ってまいったのでございますが、不幸にしてその法律が今日まで国会に提案の運びに至らない状況でございます。ただ、文部省としましては、そういう観点から、従来とも外国人のみを入学せしめますいわゆる外国人学校については、各種学校として認可するのを差し控えてもらいたいということでずっと一貫して通牒を各都道府県に申し上げておったのでございます。ところが、いわゆる中等学校程度以下の外国人学校におきましては、事実問題として各都道府県において各種学校として認可されて今日に参りました。いよいよ今回朝鮮人大学校を東京都知事が認可する過程の手続に入ろう、こういたされることが明らかになったのでございまして、従来も、朝鮮人大学校が認可申請されたのはだいぶ前と承っておりますが、今日まで、文部省の通牒の趣旨もございまして、認可の手続をとらないでまいっておりましたが、今回急遽私どもの通牒とは関係なしに、知事がこれを認可しようという過程に入られたということは事実問題として認めざるを得ない状況になりました。 そこで、この問題についていろいろ申されますように、新聞紙上では、私どもと東京都知事と対立的な立場で、文部省が強権をもってこれを阻止するというようなことが巷間伝えられましたけれども、私は、何らかの措置はするけれども、その結論において強圧的であるかどうかは私の措置を見てから批判をしてほしいということで、ずっと九日の日までいろいろ検討してまいりました。そして九日の零時三十分に東京都の部長に来ていただきまして次官通牒を手渡すという段取りをやったわけでございます。 それで、この措置の内容につきましては、私どもは地方自治法の百五十条に基づきます機関委任の事項に対します指揮監督権の作用としまして行政上の指導をいたしたというふうに考えております。その内容は、東京都知事がすみやかにこの問題に対しまする考え方を添えて文部大臣に協議してほしいという通牒でございます。それは先ほども申し上げましたように、外国人学校の問題の基本的解決は、何と申しましても日本の法制上外国人を対象といたします学校の制度を確立するにあると存じますが、それまでの段階におきまして、できるだけ法制的な秩序を守ってまいりたい、これが私どもの念願でございます。 いま問題になっております朝鮮大学校は、大学校という名称でございますけれども、私ども実質的には日本の大学と比較いたしまして——なお、これは詳細な検討をいたしておりません。なぜならば私どもには直接調査する現在の事情にないのでございます。しかし、私どもがその内容等を推測いたしますと、今日におきましては実質的には大学たる内容を持つものだと考えていいのではないか。そういたしますと、現在の日本の法制から申しますと、私立学校の設置認可につきましては都道府県知事に委任をいたしておるのでございますが、大学及び高等専門学校につきましては文部大臣の直接の行政の対象にいたしておるのでございます。地方自治体の長にこれを委任しておる範囲外だと考えていいのでございます。しかし、これが内容はいかにあっても、各種学校として認可申請したら当然に都道府県知事の権限の中ではないのかという一つの形式的な議論はあると思います。しかし、実際上におきまして、大学の行政と中等学校以下の学校の問題とは、行政的秩序と申しますか、ずっと長年にわたります一つの日本の法制上の秩序がございまして、たとえ各種学校と称しても、実質上大学というものを知事が認可の対象にするのは少なくとも法制上適正を欠くということはいえると思います。 したがいまして、そういう問題につきまして東京都知事が認可する場合に私のほうにひとつ協議をしてほしいということで、この問題は強権的な——もちろん条文は指揮監督権の条文に依存しておりますけれども、実質的には強権的な考え方でなしに、知事と私ども十分お話し合いをいたしまして、そして法的な秩序の混乱と申しますか、これを未然に防止することができればしあわせだと思いまして、文部大臣としてはそういう観点からあの通牒を出したのでございます。
○長谷川(正)委員 そうしますと、重ねて伺いますが、九日の日に手渡した通牒の内容というのをもう一回明快におっしゃってください。
○剱木国務大臣 「文管振」、これは文書番号でしょうが、「第一九二号、昭和四十二年九月九日、東京都知事殿、文部事務次官福田繁 朝鮮大学校の取扱いについて(依命通達) このたび貴職に対して認可申請のあった朝鮮大学校の設置認可の件については、すみやかに、貴職の見解を添えて、文部大臣に協議されたい。以上、命により通達する。」以上でございます。
○長谷川(正)委員 わかりました。いま大臣のお話によりますと、私がマスコミを通して受け取った受け取り方は少し誇大に過ぎて、文部省としては、何か権力的に強圧的に美濃部知事のとられようとしておる措置を阻止しようというような、そういう権力的な考えがないことはその後の大臣の態度によって見てほしい、こういうふうに言い続けてこられた。その穏かな姿勢と申しますか、そういうお考えであるということはわかりましたが、にもかかわらず、この次官通達は、至急協議をするようにということを地方自治法百五十条の解釈に基づいてなされた。こういうお話でありますが、その理由とするところが若干述べられまして、ここに幾つかの問題点を私は感ずるのです。 一つは、主として外国人を対象とする学校について新しい制度を立法化したいという考えが文部省として、政府としてある。だから前々から次官の通達等を出して認可を保留させておる、こういうことが一つある。それに今回の措置は反する、こういう受け取り方をしておられるのですね。この次官通達というものに私は第一に問題があると思います。これは後ほど申し上げます。 それから朝鮮人大学校の内容がいわゆる日本の学校教育法一条の学校の中の大学というものに匹敵する内容であるから、これは文部大臣の認可の権限の中に入るものと考えられる。しかし、この点は法的にはもう少し研究する余地があるような含みのあるいまのおことばだったと思います。はっきりそうきめつけてはおられないように承りましたが、それでよろしいかどうかということ、ここにやはり一つ問題がある。 それから今回の通達でございますけれども、これは私の調べたところでは、冒頭申し上げたとおり、今回の認可申請によって、東京都の私学審議会に諮問するということは、この百五十条のような包括的な委任事務というようなことよりも、もっと明瞭に現行法規で知事の権限として規定づけられておる。これはもう御承知のとおり、私立学校法におきましても、あるいは学校教育法との関連におきましても、知事の権限になっておるということは明らかであります。そして私学審議会というものを置いて、それに諮問して行なわせることも明らかになっておる。そういう現行の、現存してしかも明記されている法律に従って手続を踏んでいることを、こういう百五十条のようなものを持ち出して、指揮監督権を振り回して一々干渉するということになりますと、これは地方自治の精神にも反しましょうし、第一そういうことを明記した法律の規定をじゅうりんするものだと私は考えるのであります。そういう点に非常な疑義がある。 そこでまず第一に、一番根拠となりましたといいますか、考えたことの基礎になっておる次官通牒ですけれども、これは一体いつ何回どういうものをいままで出してきたんですか。それをはっきりおっしゃってください。
○宮地説明員 四十年十二月二十八日に次官通達を出しております。これは朝鮮人のみを収容する教育施設の取り扱いについてということでございまして、朝鮮人を収容する学校については、学校教育法の一条学校としての考え方、また各種学校として朝鮮人学校を認可する場合の考え方、この両面について書かれておりますが、特に各種学校につきましては、朝鮮人としての民族性または国民性を涵養することを目的とする朝鮮人学校は、わが国の社会にとって各種学校の地位を与える積極的意義を有するものとは認められないので、これを各種学校として認可すべきではないこと云々というような内容でございまして、また最後に、外国人学校については、国際親善等の見地から、新しい制度を検討して、統一的な取り扱いをはかりたいと考えておるのだといったものを出しまして、その後この朝鮮人学校につきまして出しておりますのは、次官通達ではございませんで、初中局長と管理局長の合同の通達、それから管理局長だけというものを次官通達以外に三回東京都に出しております。 以上でございます。
○長谷川(正)委員 私はこの次官通達なり通牒なり、あるいは初中局長、管理局長が三回にわたって出したというのですが、このことが第一に問題だと思います。これは外国人学校制度、四十年十二月のは朝鮮人のというふうにはっきりと朝鮮人に限定して通牒が出ておるようでありますが、それを立法化する予定だから待て、このことは国民の側からこれを見ますならば、まことに政府の独断でありまして、現在の文部省を構成している文部大臣以下がそのようなことをもし考えたとしても、これは国会の審議を経、国民の賛同を得ているかどうかわからない問題である。にもかかわらず、これをあたかも将来既定の事実になるかのごとく、そしてその内容も、いま文部省のお役人の方たちが考えているそういうもので、まるで国民を無視して決定されるもののごとき前提に立ってこういうものを流すということがもう越権行為であり、国民を愚弄するものだと私は非常に憤激にたえない。いままでもちゃんと各都道府県知事の権限とされ、そしてそれぞれに従って認可されてきておる学校がたくさんあるわけです。にもかかわらず、こういうことで新しい法律が十分な国民の審議、直接は国会の審議を経て成立した後にその法律に従って通牒が出された、こういうことであれば、これはもちろん問題はありません。しかし、そういうことを恣意にやることが政府として許されるのか。私はこういうことははっきりしておかないと今後非常な悪例になると思いますが、これについて大臣いかがですか。
○剱木国務大臣 通牒を出しましたことについて、結論的に申しますと、私は誤っていないと今日も考えております。日本には学校教育法というのがございまして、この学校教育法によってあらゆる学校制度についての規定があるわけでございまして、私は、これは立法の精神からいたしまして、日本人の学校を対象として考えたものであって、制定当時外国人の学校を包含して考えたものではないといまでも思っております。ただ、前にも申しましたように、当然に外国人といえども日本の正規の学校に入学する場合は全く平等に取り扱って今日までまいっておりますが、外国人のみを対象にいたします学校制度というものは、法のたてまえから申しますと、もともと別個の法制があってしかるべきだ、純理論的には私はそう考えられると思いますが、行政の実際におきましては、いわゆる正規の学校としては外国人学校は認められないと思います。学校教育に類する教育として各種学校というので、よるべき法規がないのでこれでやるよりほかにないという便宜的な考え方で、今日まで地方の知事がこの各種学校の、委任事項でございますのでこれを認可してきたというのが現状であろうかと思います。したがいまして、純理論的にいえば、やはりその法規のたてまえからいえば、文部省としては学校教育法の各種学校として認めるのは純理論的には正しくないという見解は常に発表してまいったことであると思います。ただ、現実に法制的に起きてまいりましたこの問題をどう解決するかという問題は、やはり私としましては立法措置によってこれを解決するよりほかに方法はない。ですから文部省が通牒をもってやってまいりましたことは決して誤った通牒を出したとは今日考えておりません。
○長谷川(正)委員 大臣のおっしゃることも素朴な気持ちでわからないこともないのですが、少なくとも一国の文部大臣の答弁としては、私はそれはおかしいと思うのですね。現在の法規、法令で在日朝鮮人の子弟を主とした対象とする学校は各種学校の中に入れるということで、もちろんそういうふうに明記されていないけれども、そういう解釈のもとに運用されてきたわけでしょう。そうして、これは歴史的事情も御存じのとおりに、降ってわいたようにたくさんの朝鮮人の子弟が日本へ新たに来たわけじゃないのです。すでに現在の法規、制度ができるときに現にちゃんと日本におり、生まれておることも明らかな事態であったわけです。その中で現行法規ができているのでしょう。それがどうしても適合しないというのならば、さらにより適切に合うように、国民全体がほんとうに納得できるように、よりよい制度に改善するということならばこれは問題ありません。これを何も一切手を触れるななんということは言いません。しかし、現行の法規ではそういう解釈が成り立つ。現にそういう子弟がおる。そういう教育が行なわれているのに、これはこういうふうに直したいと政府が考えたって、立法化されないのに、それを先にどんどんそういう次官だの局長の通達で、現行法規で当然行なわれるべきことを一部押えるということは、これは越権じゃありませんか。そういうことをしていいのですか、ファッショですよ。
○剱木国務大臣 現行の制度で当然に認可するのが正しい、こう思えば長谷川委員のおっしゃるとおりかもしれません。しかし、私は現行制度でそういうことをやるなら、いま申されましたように、この制度を正すためにはどうしても新しい制度を設けて、そしてこの状態を救済するよりほかに手はない、こう考えてそれをやる努力をしておるのでございますから、それまではひとつ文部省の態度をはっきりしまして、それを待てということを申しましても、決して私は不都合はないと思っております。
○長谷川(正)委員 いや、正しくないとおっしゃるんだったら私は開き直るが、一体そういう正しくないことをいままでやってきた責任はだれがとるのですか。まあ、それは一歩おきましょう。これは人間の社会ですから、常に理想的じゃなくて、常に改善を要する要素を含むという意味では、私はそれは追及はやめます。正しくないとあなたがお考えになり、あるいは文部当局がお考えになることは、百歩譲って、それは私どもは納得しておりませんが、一応譲ったとしても、少なくとも現行法規の解釈運営によって現在進んでいることを変えるには、それはやはり法律をきちんと変えて、国民の賛同を得てからでなければできないでしょう。その関係はどうなんですか。
○剱木国務大臣 学校教育法が外国人にも当然適用になるという法律と、国会なりすべて国民が御解釈になれば別でございます。私はそう考えておりません。
○長谷川(正)委員 これ以上どうも千日手になりそうですから、私は私の申し上げたことでこの点は切りますけれども、大臣も心の中ではちょっとおかしいと思っているんじゃないかと思うのです。いろいろお立場もあろうと思いますから。この点は私はどうしてもそういうやり方は納得できない。そういうことが次々に行なわれるようになれば、国会は全く軽視されているし、立法府というものは何をやっているんだかわからなくなる。行政権は何でも優先してやるというファッショの行政思想に通じていく、そういうことを私ははっきりここで指摘せざるを得ないのです。 いま次官通牒に関連して申し上げましたが、第二の点は、先ほど申し上げましたが、現行法規では私立学校法の四条二号ではっきりと所轄庁は、この各種学校については都道府県知事とするということが明記されていますね。それから五条では、私立学校の設置廃止等の権限は当然所轄庁にあるということも明記されていますね。これは明らかに法律で明記されているのですよ。それを包括的な委任事務だということを持ち出して指揮監督権があるといって干渉するということが許されますか。こういうものを逸脱したような場合に、初めてその指揮監督権というものは施行されるのであって、法律条文に明記されていることをそのとおりにやっていることに指揮監督権だ指揮監督権だといって振り回すこと、それ自体も私はおかしいと思う。そういう意味では九日に次官通牒を出されたこともまたはなはだしい地方自治体の侵害でもあり、また法秩序全体の撹乱でもある。こういうものは危険思想ですよ。文教の府の長がそういうことをやっていいのですか、御見解を伺います。
○剱木国務大臣 私立学校の許認可につきましては、各種学校を含めてこれは機関委任の事項であって、その認可事務等については、その機関委任をされた官庁は一応都道府県の知事、こう規定しているのでございまして、機関委任であることを否定しているとは思っておりません。したがいまして、機関委任の内容につきましては、一応百五十条によりまして当然に主務官庁として指揮監督はできると私は解釈いたします。
○長谷川(正)委員 それではこの際ですから突っ込んでお聞きしておきますが、そういう御見解で指揮監督権がある。しかも、法律条文に違反するようなことをやったときに指揮監督権をいうのならいいけれども、条文に従ってやっていることにそういう指揮監督権を発動しても、これは委任事務だからやれるのだという御解釈ですが、むしろこれは非常に法秩序を乱すものだと言わざるを得ない。これは水かけ論になりますからあれですが、あなたがそういう見解で協議をするというのですから、これは内容はわかりませんが、おそらく前の次官通牒からの精神でいくと、認可をやめるように協議をされるものと推測をされますが、その点はいかがですか。
○剱木国務大臣 これは私のほうと知事のほうと協議いたしまして、知事のほうが納得する線が出てくれればそれで問題は解決すると思いますし、納得に至らない場合はどうするかということは現在考えておりません。
○長谷川(正)委員 その次を伺おうと思ったら、考えていないという先の御答弁が出たので了承いたします。その先は考えていらっしゃらないのですね、わかりました。つづめて言いますと、あくまでお話し合いによって知事に、文部省がいままで考えてきた考えをよく御了解願えたら願うように努力をする、こういうことですね。それでよろしゅうございますか。
○剱木国務大臣 さようでございます。
○長谷川(正)委員 わかりました。そうしますと、いままでなされてきたことの事態から見て、話し合いによってできるだけ説得をしてやるという程度であるということがわかりましたし、それ以上のことをいまは考えていられないということが明らかになりました。それではこの問題は本日はこれでいいというわけでありますが、しかし私は、この際、短い時間をいただいてもうちょっとお尋ねしておきたい。 それは、どうして在日朝鮮人の学校の認可問題がこのように問題になるのか、私にはどうしても了解ができない。これは結局、韓国と北の朝鮮民主主義人民共和国と、不幸にして朝鮮はいま二つに分裂させられるといいますか、そういう状況にありますが、それらを含めまして、朝鮮全体について日本の国民として、あるいは日本政府としてどう考えるかという問題が一つあると思います。それから、ずっと悠久の歴史にさかのぼっても、これはきわめて一衣帯水の国でありまして、文化的にも非常に関係の深い国でありますが、そのことはひとまずおくとして、明治のいわゆる日韓併合というような事態以降今日までの歴史事情、ことに太平洋戦争中のいろいろな日本政府が朝鮮人に対してとってきた事態、こういうものの中から、いまの在日朝鮮人の方々の生活の問題や、あるいは教育の問題帰国の問題、あるいは自由に行ったり来たりできるようにしてほしいという問題がここに出てきておりますけれども、これらの問題は、そういう明治以降の関係についてどう考え、国民としてどういう反省を持ち、今後どのようにほんとうに友好親善の道を踏み固めていくか、こういうことに根本的な判断の基準を置かないと、私は問題を誤ると思う。そういう意味から申しますと、私の考えでは——日韓条約か、私ども反対いたしましたが強行されたという現実は確かにあります。韓国との国交は回復しておる、朝鮮民主主義人民共和国との国交はまだ閉ざされたままであるという事情もあります。しかし、そういう国が現にあることは政府も否定しておりません。現にその国へ直接旅券等を出してもおります。こういうことを考えますと、どうしても二つに分かれた朝鮮の対立というようなものに日本の国は左右されてはならないと思うのですね。そういうところをしっかり踏まえないと、こういう問題が非常に片寄った政治的意図によってゆがめられることになるのじゃないか。この点について、文部大臣としては朝鮮に対してどうお考えになっているか。在日朝鮮人に対してどういうふうにお考えになっているか。その子弟の教育に対してどういうふうにお考えになっているか。どっちかに片寄った偏見などをお持ちになっているのか、いないのか。その点をひとつお伺いしたい。
○剱木国務大臣 私、今回とりました措置につきましては、例の朝鮮大学校の教育内容がどうかとか、そういうことには全く触れておりませんから、その点は誤解のないように御了承願いたいと思います。 なお、いわゆる北朝鮮の関係におきまするわが国のとるべき態度と申しますか、これに対しては、私が文部大臣としてこの場に述べるということはいかがかと思いますが、私自身は、これは歴史的な一つの運命と申しますか、金日成政権下にあります北朝鮮と私ども日本との関係は、隣国にあり、かつては同胞でございました。それで相当の数の方が日本に永住されて残っておるわけでございます。でございますから、これらの関係の事実の認識の上におきまして、私どもは両者の関係においてできるだけ親善関係に立つような努力を払うべきである、こう考えておりまして、その結論として、教育的に私の責任においてやらなければならぬものは私としては誠意を持ってこれをやろう、こういうふうにずっと決意をして今日まできておるのでございます。
○長谷川(正)委員 大臣の御見解を聞いて私は少し安心をしたのですが、そういうお考えであるならば、もう少し朝鮮人学校問題については常識的な、あるいはもうちょっと人間的なと申しますか、そういう措置がとられてしかるべきじゃないか。助成と監督ということばより、むしろ助成のほうに力を入れていただくような考えになっていただかなければならないと思うのです。 それから特に私は、いまのことを聞きました背景に、執拗に外国人学校制度を立法化しようとするその底意に、率直に申し上げて、ごく客観的、行政的に、日本に住む外国人の方々の教育機関について最も適切な立法化をし、国際親善の面からも、それぞれの国を尊重し合う面からも、あるいは日本にある学校であるという特殊な立場にある面からも、きわめて妥当な立法化がされるということならば、だれも反対もしませんし、心配もすまいと思う。ところが、これが非常に問題になり、ことし、昨年と二回も提案するやにしきりにPRがされて、事実上は提案されなかった。学校教育法は本年度は提案されましたが、この際も外国人学校制度は一応落として、次の立法に譲るというふうになっておりました。これはなぜこういう事態になるかというと、ここに非常に純教育的な考えとか、普通の国民が考えている在日朝鮮人に対する感情とか、そういうものとはかけ離れた特殊な政治的意図が背後に動いておって、これを抑圧しようとして、そういう意図を制度に盛り込もうというふうに、そう私どもは事実受け取っておるのです。これは事実なんです。そういう心配をさせるような背景のもとに立法化がたくらまれるから問題が紛糾する。ですから私は、いま申し上げたように、根本的認識においてもう少し考えていただきたいということを訴えたい。現に私も長い間教職にありましたし、東京にはたくさんの朝鮮人の学校もありまして、そこの子供や先生方ともいろいろおつき合いをしてまいりました。朝鮮大学ができてからも、私の地元でありますから、何回もあそこは見せていただきました。そうしてその涙ぐましい努力に感嘆こそすれ、ここで非常に反日教育が行なわれているとか、あるいはさらに治安を乱すようなことがこの学校を中心に画策されておるとか、荒唐無稽な宣伝を一方に聞くのでありますけれども、そんなことはないと私は思うのです。その証拠に、東京都議会が東知事の時代にも、一九六六年、昨年の十二月二十日に、政府与党である自民党の議員の方々も含めて、満場一致でこの認可申請を早く成立さしてやるようにという意味の決議をしておるのですね。文部省に早く了解を求めて、日の目を見さしてやれという意味の決議をしておる。今度また美濃部知事になりましてからも、この問題は純教育的な問題あるいは国際友好の問題として、地域住民の感覚としてはそんなまま子扱いをしないでやってほしいという決議を、ことしの六月、またやっているのですよ。保守とか、革新とか、何党とか、そんなことなしに、国民感情としてもごくすなおにこういう議決があがってきておる。 私が調べたところでは、あの地元の小平市では、朝鮮の学校ができるということで、当時だいぶ危惧、反対の空気もあったやに聞いています。しかし、さてできてみると、非常に規律も正しいし、りっぱだ。小平には御承知のようにたくさん学校があるけれども、最も住民から評判がいいのは朝鮮大学校の生徒だとさえいわれている。これは行って聞いてごらんなさい。夜道を女の子が一人で歩くとき、あぶなかったら、朝鮮学校の生徒がいたらばそれと一緒に歩いていったらうちへ帰るのに安全だ、こういうことまでいわれておる。ですから小平市でも、これまた議会では決議をしています。地元にいる人たちが、ちゃんと住民の意思として、正式に議会で議決をしておるのですよ。隣接の大和町、清瀬町、武蔵野市、田無市、町田市、調布市、国分寺市、立川市、東村山市、保谷市、小金井市、久留米町と、あの周辺のほとんどの町村が、その首長が保守であろうと革新であろうと、議会構成はほとんど圧倒的に保守的な方々が多い議会ですが、そういうところでも、みんなこうしてやっているんですよ。こういう国民のきわめてすなおな気持ちというものが、どうして文部省の人によってゆがめられるようなかっこうにならなければならないのか、まことに了解に苦しむ。私はこれはどこかに非常な政治的意図が働いていると考えざるを得ない。表面でいろいろおっしゃっているいままでの理由のほかに、たとえば日韓条約ができたから北朝鮮系のほうを支持するものは何でもかんでも抑制をするんだ、こういう政治的意図があるからこれを出しているんだ、こういう措置もとっているし、立法措置もとっているんだ、そうなんですか。その点、もう一回明快に正式におっしゃってください。
○剱木国務大臣 私の立法措置をとろうといたしますのは、先ほど申し上げましたように、歴史的事実をこれは率直に認めまして、その間における国際親善の立場に立って、その法秩序を正していくということで立法措置を主張してまいりますし、今後も努力してまいりたいと思いますが、ただ、立法措置はぜひ必要だと私は思っております。ただし、その内容については、文部大臣が専恣な気持ちで、私の独断でこれを決定しようとは思っておりません。あらゆる面の御意見を承って、納得する線において立法化していきたい、こう現在考えておる次第でございます。
○長谷川(正)委員 まだいろいろ申し上げたいこともありますが、与えられた時間がまいりましたので、一応本日の質問はこの程度にしたいと思いますが、いまの大臣のおことばがほんとうにおことばどおりであることを、私は切にもう祈るような気持ちで期待をしたいと思うのです。もちろん、日本国の憲法は日本国民を対象にしておりますけれども、ここで思想、信条の自由とか、信教の自由とか、あるいは差別をされないとか、いろいろきめております。これは直接は法的に日本国民が対象でありましょうが、人類普遍の真理としての信念を持って私ども国民は憲法をきめておると思います。そういう精神からいいましても、あるいは国連憲章の精神からいいましても、あらゆる面から、何かきわめて偏狭な政治的意図あるいは悪質なデマ、宣伝を——それを信じているとは思いませんけれども、そういう思想に立ったような行政にならないことを心からお願いを申し上げまして、最後にもう一度大臣の信念を披瀝していただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○剱木国務大臣 現在の外国人学校をめぐります日本の置かれております事情は、私はきわめて残念なことだと思います。したがいまして、いま私がやる力がどのくらいあるかわかりませんけれども、私どもとしては、少なくとも文教関係におきましてさようなトラブルの起こらないような状態に持っていきたい、こう念願をいたしております。
○床次委員長 唐橋東君。
○唐橋委員 人事院勧告の内容に関して質問をいたしますが、質問の内容によってそれぞれ人事院、総理府、大蔵省、文部省と所管事項がわかれていると思いますが、私のほうからそれぞれこれはこうという指摘があるいは落ちるかもしれませんが、その内容等によって所管の省庁ほうで分けながら御答弁願いたいと思います。 さっそく人事院総裁にお伺いしたいと思います。そのものずばりで、毎年繰り返されている人事院の勧告を勧告どおり実施できない、こういう問題について総裁の政治的なものの考え方、責任のあり方をひとつお伺いするわけでございますが、いまさらこの点は論ずるまでもございません。スト権、団交権の代償機関として、普通の諮問機関と違って、公務員の給与をきめるただ一つの機関として政府の中にある重要なるものであることは論ずるまでもないのでございますが、その唯一の機関が勧告したものがいつもそのとおり行なわれていない。こういう場合に総裁としてどのような政治的な責任を考えるのかということこそが問題の基本である。私はこう考えますので、その点についてお伺いするわけでございます。 例年のように、勧告のとおりにいかないために混乱の原因が生じたり、あるいは政治の貧困がいわれておりますし、あの人事院勧告が発表になりますと、どの新聞を見ても、総裁おわかりのように、人事院勧告を尊重せよ、あるいは人事院勧告は完全に実施しなければならないというような論調は、党派を越えて国全体のものであろうと思うわけでございます。それが単なる財政的な理由というようなことで実施できないとするならば、やはり私は、いま申しましたように政治的な責任というものがはっきりここに確立し、もしできなかったならば総裁はやはり責任をとって、別な総裁のもとにこれを実施するということこそが政府機関としてのあり方ではないか、こう考えざるを得ないので、まずこの一点をお伺いしたいと思うのでございます。
○佐藤説明員 前提条件としておことばに出ましたことは全くそのとおりでございます。労働基本権の代償機関としての性格を人事院は与えられておる。特にその機能の中で給与勧告は最も重要なものである。その点においては、公社五現業の関係の公労委の役割りとほとんど共通のものがあると私どもは思います。したがいまして、この勧告は、公労委の仲裁裁定について過去十年以上毎年完全に四月にさかのぼって実施されておるというところに比べてみまして、いまおことばにありましたように、例年私どもの勧告は実施期日について五月と定めておりますが、過去七年間いずれの年においても勧告どおりの実現を見ることができなかった。これはわれわれとしてはきわめて遺憾なことでございます。 いま政治的というおことばをお使いになったのは理由のあることだと思いますけれども、法律的に申しますと、公務員法のたてまえからいうと、実は人事院は、勧告を国会と内閣にお出しするまでが法律上の責任でございます。あとは国会なり内閣なりの良識ある御裁断に待つというのが法のたてまえだと思います。したがって人事院総裁ふぜいが、勧告のあとに方々かけ回って、完全実施をしていただきたいという努力をすることは、実は法律上の要請ではございません。しかしながら、私どもが、いまのような大きな使命のもとに全力を傾けて最も正しいと信ずる勧告を申し上げる。それである以上は、この勧告が当然内容また実施時期ともに完全に実施されるべきことを切望することは当然のことでございます。勧告を行なった者としてそのまま晏然としてすわっておるわけにはまいりません。したがいまして、従来、うすうすは御承知いただいておるわけでありますけれども、あらゆる機会をとらえて政府及び国会に対してこの完全実施をお願いし、また、それに全力を傾けてまいったつもりでございますけれども、遺憾ながら先ほど申しましたようなことで、私どもの悲願はいまだに達成されておらないということであります。したがいまして、ことしこそはぜひひとつわれわれの多年の念願をかなえさしていただきたい。また、それがこの勧告の当然の筋合いであろうと思います。 御承知のように、私どもは四月現在の調査によって官民の格差をとらえ、その格差がこれだけありますから、ぜひ公務員について民間水準まで追いつかしていただきたいというたてまえに立脚していたしておるものでございますから、その格差の発見された春、われわれの勧告では五月と申しておりますが、せめてその五月までさかのぼってこれが完全に実施されませんと勧告の筋が通らぬという気持ちをもってただいまのような努力を重ねておるわけでございます。たいへん微力で、いまだわれわれの念願を遂げるには至っておりませんけれども、今度こそはという意気込みでさらに気魄を新たにしてこの問題に臨んでおるわけであります。 ただこの機会にお願いしておきたいことは、私どもの勧告は内閣にもお出ししておりますけれども、これは国会にも直接御勧告を申し上げておるわけであります。政府の一機関が国会に対して直接勧告を申し上げるなどという制度は、いままで日本の制度にこれ以外にはないのであります。非常にこれは法律からいっても大きな意味、強い意味を与えておると思います。したがいまして、この勧告の一対象、大きな対象となっております国会におかれましても、ひとつわれわれの念願するところを了とされまして、これが完全に実施されますよう格段の、御協力ではなくてお力をお願いしたい。この機会にあわせてお願いをする次第でございます。
○唐橋委員 総裁のお気持ちや努力していく方向等については了解いたします。総裁がいま言われましたように、年来の悲願だ、こういうおことばでございますが、全く私たちにしても、その唯一の機関の勧告が国全体の中において行なわれないということは最も遺憾とするところでありますので、実現するまで特段の御努力を切に希望したいわけでございます。 多少内容に入りますが、その中で、人事院の勧告をしていく場合に、その内容的なものを取り上げる場合にひとつ考えていただかなければならないことと同時に、今度の勧告にはそういう点を考えたかということをお伺いするわけであります。といいますのは、一つの給与体系を現在並びに将来にとらえる場合に、あるべき姿でとらえていくのか、それともいま現在あるというこの姿だけを考え、その中における不合理を是正していく、こういう考え方なのか、この両方とも非常に重要なことではありますが、そういう点について今回の勧告はどういうように考えてしたのかということでございます。 多少具体的に申しますと、都市手当が必要であるとした場合に、僻地手当との関係はどういうふうになってくるのか。この関係を明らかにしないと、都市に対する農山村僻地の地域格差が非常に大きくなってき、そうして勧告がいまのような性格でございますから、この格差を解消するというかまえ、あるべき姿というものを重視しないと、現在あるものだけをとらえていきますと、長期的に固定化する方向に、むしろ増大する方向になってくる、こういうことがいろいろ指摘されるだろうと思います。したがってこの場合、地域格差をなくするにはこのようにすべきであるという考え方に立って今回の勧告をなされたか、それとも現在のままの状態とし、いわゆる官民の差を縮めるといまおっしゃいましたが、そういう考え方だけ、このようにするのだということだけを中心として勧告されたのかということをひとつお伺いしたいわけでございます。
○佐藤説明員 あるべき姿というおことばでございますが、これはことば自体はいろいろな意味を持っていると思います。非常に広い意味でこれを解しますと、要するに民間のことなどはもう気にする必要はない、公務員の立場において公務員の職責を全うし、公務員としての生活を維持し、というような観点から独自に公務員の給与の決定をすべきではないか、これは元の制度、戦前の制度はそうであったわけであります。そういう一つの広い意味の方式が考えられます。これはただいまおっしゃったおことばからいうと、お考えになっておらない。私どもとしては、御承知のように官民の格差ということをあくまでも基準としてその格差を埋めて追いつかしていただくというたてまえできておりますから、その意味でのあるべき姿を白紙に描いて勧告を申し上げておるというわけではないわけであります。あくまでも官民の格差ということを土台にして考えておるということがまず第一点であります。 それから、さてその場合において給与の体系なりあるいは諸手当の制度なり、それをどうするかというのがおそらく御質問の焦点だろうと思うわけであります。これも私どもとしては、やはり基本的には官民格差と申しますか、民間のあり方ということを常に念頭に置いてやっておるわけであります。後に御質問が出るかどうか知りませんけれども、たとえば各上下階層別の上げ幅のあり方とかいうようなことも、やはり民間における本年なら本年の上げ方の特徴というものをとらえてやっております。あるいはまた、お医者さんの給与をどうするかということについて申しますと、やはり民間病院のお医者さんと国立病院のお医者さんとを一応突き合わせてみて、これだけ幅がある、これは何とかせねばなるまいというような形ですべての作業は行なっておるわけであります。ただいまたまたまおことばに出ました都市手当、これもおそらくあとでまた詳しい御質問があるんじゃないかとひそかに期待をいたしますけれども、この都市手当にしても、これもやはり官民の格差という観点からわれわれはまずとらえておるわけであります。すなわち、地方別に官民の格差を見た場合に、大都市の場合、特に東京その他の場合においてはこれは著しい格差がある、一三・何%という官民の格差があるわけであります。職種別に見て民間のお医者さんと国のお医者さんと、これが格差があるという考え方は、地域別に見て、ここにつとめておる公務員とここにつとめておる民間の人との間にこれだけの格差があるということは、やはり全然無視できないことでございますからして、先ほどの都市手当なども、出発点は、発想はそういう点からこれに取り組んでおるわけであります。したがいまして、基本はそのように民間を常に考慮しつつ、公務員だけが独走するということは、やはり当分の間は謙虚な立場であるべきであろう、国民多数あるいは納税大衆の批判もありますけれども、これは納得していただかなければならない。勧告でございますから、それにはやはり民間がこうなっておりますからせめて、という形が納税大衆にも納得していただける、あるいは公務員組合その他の諸君にもまあまあがまんしていただけるのじゃないかという立場がその根底に流れておる。したがって、基本的にはそういうことでまいっておりますけれども、さてしかし、公務部内は公務部内でいろいろな事情がやはりあるわけであります。卑俗なことばでいえば、公務員世界におけるお家の事情、家庭の事情というものはやはりある。たとえば人員構成が、あるところで非常に吹きだまりができて、たとえば戦争直後に大量に採用された人たちがいまや六等級の上のあたりで大量に足踏みしておるというような、われわれ部内特有の現象がある。これはこれでやはり捨ててはおけない、何とかこれを打開しなければならぬというような面もございます。したがいまして、先ほど申しましたような基本の考え方には立ちながらも、いま言ったような現実的な面に対する処置も考える。さらには、先ほど申しましたような基盤の上に立って公務員給与制度のあるべき理想の姿ということは常にわれわれ念頭に置きながら改善の努力をしておるということが率直なお答えになると思います。
○唐橋委員 いまの御答弁を聞きまして、私は非常に遺憾に感ずるわけでございます。理想の姿を念頭には置いておるが、現実の上に立ってものを処しておるのだということでございますが、私から申し上げるまでもなく、今後わが国の人口推移等が、統計局あたりの資料を見てみますと、過密過疎の問題があらゆる政治の中心になってきておる、こういうことは否定できない事実だろうと思います。これは各党あげて、自民党の場合でも、御承知のように田中さんが中心になって、都市対策というあたりで、今後二十年間に太平洋ベルト地帯に七五%の人口が集まるのではないか、こういう場合に、こういう憂いを阻止して、真の都市化あるいはまたこの格差の是正ということは当面の非常に重大な問題である。こういうようなことも聞いておりますし、わが党においても、それらについては真剣に取り組んでいこう、こういうことでおりますが、あらゆる施策の中心がこの過密過疎という大きな人口移動と、それに伴う産業形態の編成というものを中心に政治的に考えていかなければならない、こういうように私は平素考えておるのでございまして、これに対してやはり人事院は人事院なりに、先ほど申し上げた唯一の機関でございますので、やはりあるべき姿というものを描きながらものを考えていかなければならない。これが第一じゃないか、こういう考え方を持っておるわけでございますが、それに対して、念頭には置くが、現実はある姿においてこれを処するのだといういまの答弁でございます。したがって、たとえばいま総裁からお医者さんの問題が出ましたが、いつでもあと追いですよ。いつもあと追い、あと追いをしておる。そしてこれはあとからも聞きますけれども、格差ができてくると、その格差を埋めよう、もう格差が出ないようにするにはどうするのだという、こういう考え方が第一になければならないというところにいまの給与制度の問題があり、それに取り組んでおいでになる人事院の考え方がなければならない。こういうふうに考えておるわけでございますが、もう一度その点について御見解を出していただきたいと思います。
○佐藤説明員 いまのお尋ねによって御疑問の焦点が非常にはっきりいたしました。あるべき姿とおっしゃるそのある部分については、先ほどお答えしたとおりでございますけれども、いまのお話を承っておりますと、もっと次元の高い、非常に大きな政治問題に対して給与政策というものはどう働く、どう貢献するかという面におそらくつながりのあるような御疑問のように思います。これは大事なことでございまして、私どもとしては、そういうことは何らの抵抗なしに、また一般国民のすべての、あるいは大多数の国民の支持のもとにそれがやれる、あるいはまたやらしていただけるならば、それも一つの方法でありますけれども、これは考えてみますと、たいへんに大きな責任問題だろうと思います。いまのお医者さんの問題にいたしましても、これはごく卑近なことでございますけれども、いまの大学における医学部の定員の状況はどうなっておるか、これはやはり大きな関係のあることでございます。これはこれで非常に手近なことでございますから、ここに文部大臣おられますけれども、もっとたくさんのお医者さんを供給できるようにしていただきたいというようなことは、これは私どもも申し上げますけれども、さらにこれを大きく持っていって、たとえば都市手当の創設によって都市集中化の傾向をこれで増長助成するということが一つだろうと思います。これは後にまたお答えする機会があると思いますから、そんな大それたものではありませんということを後に申しますけれども、しからば都市集中化の傾向をなるべく平準化するような方向に給与政策をもって何とかできないかということになりますと、これはもうほんとうに国策そのものに対して人事院がしょって立つということになる。もっと極端な例を申しますと、かりに政府の政策が低賃金政策であるという場合に、公務員給与もその政策の一端をかついでもらいたいというようなことにだんだんなってまいりますと、これはとてもわれわれの中立機関、独立機関としての職分から申し上げますと、ワクを越えるものではないかと思います。私どもは、現実にそこに生きておられる公務員諸君が、公務員としての生活を維持していけるかどうかということを一番大きな焦点として考えておるわけであります。都市の問題にしても、都市に生活している公務員諸君が、これだけの給与制度をこのままにしておいて、これではたして十分に生活ができるかどうか、あるいは私どもは、公務員の採用試験をやはり人事院の責任として行なっております。できるだけ優秀な人々に公務員になっていただきたい、その一端をわれわれ責任として持っておるのでございますが、さて大都市の場合における応募者を見ますと、公務員としてとても十分な人数を——もちろんそのレベルの低い人まで考えればこれは別でありますけれども、優秀な人材を吸収することはできない。率直に申しますが、われわれがたとえば初級試験をやっております。これは地方別にやっておりますけれども、いなかの場合におきましては、合格点を相当高くしておいても、それで十分な人間を採れますけれども、都会地の場合は、はなはだ残念ながら合格点の水準を下げないと人が採れないというような面もございます。したがって、まず大きな政策もさることでありますが、それは私どもとしては少しワクを越え、のりを越えたことになろうと思います。まず現実に、公務員諸君にその地位にふさわしい、安定した生活をというのがわれわれの最も重大な目標であるわけでございます。
○唐橋委員 この点に対する議論はいろいろとあると思いますので、一応打ち切りますが、ただ、いま総裁から御答弁をいただきましたように、いまある姿だけ、これは最も重要ですけれども、それだけをやはり考えていきますと、先ほど申し上げましたように非常にいろいろ将来発展していく方向が、むしろそのために阻害される。たとえばいまのような一つの低賃金政策というようなことが政府の方針だ、それにそれでは従わなければならないのじゃないか、こういう議論になったわけでございますけれども、そういう意味でなしに、たとえばいま日本の国全体のどの政党も、先ほど申しました都市集中化ということをどこでささえているかということは、これは政治的な問題であったとしても、これはもう何もその一つの政府の考え方だけでないと思うのです。そういう場合に、繰り返すようですが、やはりあるべき姿というものを考えていくということこそが、いつもあと追いしないで、そしてそのために人材もまた適所に適材を得るという一つの方途にもなると思いますので、十分その点は御検討願いたいという要望をして次の質問に入ります。 次にお伺いしますのは、いまも総裁から御答弁いただきましたが、私はこの勧告全体を見ますときに、どうしても地域格差を固定化し、これを拡大していく方向が出てきておる、こういうように考えざるを得ないわけでございます。その具体的な内容等については、後ほど時間があれば申し上げたいと思うのでございますが、一口に言いますならば、都市手当の新設に対して僻地手当や遠隔地手当等を当然やはり相対的に出していただかなければならない、それがやはり順序だ思うのです。僻地手当はあと回しだ、こういうことはいまの考え方の中から私は理解できないのでございますが、これに対してはどのようにお考えになっておりますか、お伺いしたいわけでございます。
○佐藤説明員 先ほど触れましたように、われわれは大それた政策の片棒をかつぐということはいたしませんと申しましたけれども、たとえばいまの都市手当の場合、この給与制度をもって都市集中化を平準化しようということは、先ほど申しましたような趣旨からいってわれわれの職分の外でございますけれども、この都市手当のきめようによって、いま御心配になっておる都市への過剰な集中化というものを刺激するようになってはこれは困る、これは当然の常識としてわれわれがこういう制度を考える場合には念頭に置いておるわけでございます。したがって、今回の都市手当の制度につきましても、たとえば先ほど触れました官民格差を拾い、とらえれば、一番都会的なところで一三%幾つという官民格差がございます。しかし、それをそのまま埋めてしまったら、これまたたいへんなことになるという配慮は当然あるわけでございます。したがって、一方からいうと、非常になまぬるいという御批判もこれは覚悟いたしますけれども、せいぜい物価差の六%くらいのところでこれを扱わざるを得ないだろうということで、よくよくの大都会で六%ということでございます。実は昔の地域給がございまして、それが一応暫定手当の形で今日残っておるわけでありますが、この暫定手当が金額の固定額できめられておりますために、ベースアップのたびごとに俸給に対するパーセンテージがだんだん落ちてきておるわけであります。今日の段階で、一番大都会にあります四級地に当たるところがちょうど五%くらいになっておるわけであります。これが何らかの形でいままで地域差の埋め合わせに役立ってきたわけでございますけれども、これをそのまま放てきしておけばどんどんパーセンテージは下がる一方で、将来は一・何%というところに下がってしまう。一方官民の格差、その他物価その他の地域的な格差は大きいものがあるということ、それからもう一つ大事なことは、私どもは、何も今日この都市手当を急に思いついて大それた企てをしたわけではございません。御承知のように、一般職の給与に関する法律の第二条第六号という条項がございます。これは人事院の責任をきめた条文でございますけれども、暫定手当の整理とともに、給与を決定する諸条件の地域差に対応する適切な給与上の措置をとれ、これを国会及び内閣に勧告せよという至上命令が実は法律の中にあるわけであります。これはほんとうを申しますと、もう少し早目にこの措置をとってわれわれの宿題を完成すべきであったかもしれませんけれども、なかなかこれを断行するには一たとえば全体の官民格差の幅が非常に小さいというような場合になかなかやれないというようなこともあって、数年前の昭和三十五年に入った条文でありますから、七年間の宿題として検討を重ねながらあたためてきておる。しかし、法律の至上命令である以上いつまでもほうっておくわけにはいかない。地域差に対応する適切な給与措置をとれというのでありますから、いわゆる都市手当——名前はほかにもありましょうけれども、そういう地域給的なものをとれということは法律に明記してありますたてまえから、今日この勧告においてこれに踏み切った。しかし、たびたび繰り返しますけれども、二二%何がしというような官民給与の差を埋めるということは、いま御心配のとおり、人事異動を阻害するというようなこともございますから、せいぜい甲地で六%、いまの暫定手当の五%から見ればたった一%ではないかという御批判は甘んじて受けますけれども、それによって私どもはまず対応措置はとった。ほうっておけば、どんどん向こうの暫定手当のパーセンテージは落ちていって、下りのエスカレーターからの乗りかえはいまでなければ、これは数年ほうっておけばおくほど乗りかえるためには飛び上がらなければならぬというようなことも勘案いたしまして、今日この勧告の内容としてこれを取り上げたわけであります。
○唐橋委員 都市手当の内容等についてはあとでまた御質問いたしますが、私がいまお聞きしたいのは、この格差が大きく出てきたという問題です。都市手当——現在は暫定手当がごさいますけれども、そういうものの関係等についてはあとでお伺いすることといたしますが、他方いままでの人口動態等から見て僻地手当という問題が当然この勧告の中に盛らるべきではなかったか、こういうことであるのに落ちておる。そのことが地域格差を増大するという一つの根拠的な見方にもなっておるわけですが、それを御説明願いたい、こういうわけであります。
○佐藤説明員 答弁を漏らしましたが、一クッションを入れてお答えしたほうがはっきりすると思いまして、お尋ねを待ったようなことになりましてたいへん恐縮に存じますが、僻地手当、これは御承知のように従来からございました。これは主として予算上の措置に立っておるわけでございますが、御承知のように最高二五%、相当思い切ったパーセンテージで、もちろん段階はございますけれども、二五%というところまでいって、給与上の手当としてはほどのよいところに一応既成の制度ができておる。ただ、これもだんだん交通が便利になってまいりますと、いろいろその僻地性の問題がややこしい問題になってくる。また、そのために僻地であるのが僻地でなくなるという面もそれはあるかもしれませんが、われわれとしては、公務員諸君の利益ということを常に念頭に置いておりますから、別に不利益になるようにということは考えておるわけじゃございませんけれども、そういう面において、やはり僻地におられる方々の実情に沿った手当のあり方ということは、もう当然検討しております。ただ、制度としては、現在のところ最高二五%に及ぶ相当の手当ができるようになっておるということ、それから、御承知のように公立学校の先生方についてはへき地教育振興法というものがございまして、これはこれでまた適切なお手当てができておるということでございます。都市手当の関係のほうがむしろ放置されておったという言い方も私はできると思っております。
○唐橋委員 なおあとでこの問題についてはもう少し議論を進めたいと思いますので、質問を次に移さしていただきます。 私がどうしても理解できないのは、今度の勧告で民間が一二・一%、勧告が七・九%で、それに定昇分四%、この四%というとらえ方についてもいろいろ御説明願いたいと思うのでございますが、それはそれとして、そのような形がそれならば各財政計画の中に出てくるのかといいますと、勧告は勧告で、そしてこれはあとで文部省関係のほうにも十分お聞きしなければならぬのですが、概算要求で、今度の予算要求で、おそらく文部省は定昇分は四%と出していないと思います。私の聞いたところでは大体二・九%ということで予算を要求しておる。しかもそれが第一次の要求です。地方財政計画では三%、こういうような定昇分を考えておる。それで、人事院では定昇分は四%でございます、こういう考え方のズレ、数字のズレというものはどこから出てきているのか、全然理解ができないのですよ。これについては文部省側と人事院側のとらえ方、こういうものをあわせてひとつ御答弁願いたいのです。
○齋藤説明員 義務教育負担金に関する概算要求といたしまして、定期昇給分を二・九%といたしましたのは、実績を基礎にいたしまして要求したわけであります。もちろん、他の予算と違いまして負担金は精算負担でございますから、これはその予算に拘束されるものでなくて、実態に応じてあとで精算できるものでございまして、他の予算の積算とはやや性格を異にすることを申し上げておきます。
○佐藤説明員 一応私からお答え申します。いまの民間との、たとえば民間のこの春の上がりというようなことについての御質問ではないらしいのですけれども、それによくからまって論ぜられますので、この機会にごく簡単に私どもの勧告についてのパーセンテージの算出の手続を御説明させていただきたいと思います。 これは申すまでもなく、労働省の毎勤統計とか、いろいろなデータがございます。あるいは日経連で発表した春闘の上がりというようなものもございますけれども、われわれはそれらのデータとは全然別に、六千数百の事業所をとらえまして、そこにおります従業員の四十数万人というものを個別につかまえまして、個人個人の四月中にもらった給与というものを一つの表にして、チケットのような形にして集めてまいりまして、それに基づいて精密な計算の結果、民間の水準というものを算定した。そして同じく片や四月における公務員の給与水準というものをとらえて、それとまともにぶつけて、そしてそこに何%の格差がございますという立場をとっておるわけです。これは私が申し上げるのも何でございますが、世界に誇るべき非常に精密な調査方法であろうと思います。そういう目で、民間の春闘の結果としてわれわれの耳に入る情報、あるいは労働省の毎勤統計というようなものを見ますと、これはきわめて総括的な概括的なものでございまして、これと私どもの調査の結果とが本来合うべきものでもないと言っていいくらいでございます。労働省の毎勤統計よりもわれわれの勧告のほうが上回ったこともございますし、上がったことも下がったこともある。これは全然別の調査によって別の目的のためになされておるわけでございますから、これは関係ない。したがって、いまの定昇が何%というようなことは、いま申しましたような立場の基礎的な調査とは実はわれわれとしては全然関係のないこと。したがいまして、これは予算の要求上どういうことになっておるかという具体的な運用の問題になれば、いまのようなお話があるいは出てまいるかもしれませんが、私どもの立場としては、定昇は、要するに公務員給与法に基づいて一年以上良好な成績でつとめた者は上げてやらなければならぬものだと考えておりますから、それにふさわしい予算措置は当然必要なことなんだというたてまえで、予算に対しては臨んでおるわけです。 なお、こまかいことでございましたら、給与局長からお答えいたさせます。
○唐橋委員 四%の問題でございますが、あなたのほうでは、たとえばいま総裁が言われましたように、公務員給与の昇給分が一年間にどれだけだというつかんだ結果を一応四%として出されたのでしょう。だとするならば、当然それは予算の一番最初に、やはり各官庁ごとに、ことしはどれだけ定期昇給分がある、こういう形のものも現実として資料に出てくるわけです。しかも、それは各省ごとに現在の人員をどれだけ定期昇給させるかということで、人事院のほうでとらえた数字よりはむしろ非常に現実に近いものでないか、しかも、その現実に近いものが地方財政計画では三%であり、一つの省である文部省の概算要求、予算の当初の要求では二・九%、こういうことになってくると、何かそこに四%をはじき出した理由というものが理解できない、これが私が質問しております理由であります。
○尾崎説明員 定期昇給分につきまして、私のほうで調査をいたしておるわけでございますけれども、この分は、現在の定期昇給と申しますのは、結局俸給表を使いまして一年間なりにどれだけ給与が上がるかということなのでございますが、その場合に、私どものほうといたしましては、その定期昇給の比率という関係は、俸給表の構造ということで非常に注意をしているわけでございます。と申しますのは、御承知のように民間の給与の場合には、いわゆる定昇込みという形になっておるわけでございまして、これは結局俸給表が必ずしもはっきりしていないという関係で、それを官民比較をする場合には、結局定期昇給分というものをいわば除外といいますか、そういうものと、それからいわゆるベースアップ分という二つに結局分けられてくることによって、官民格差が出てくるということになるからでございます。私どもの考えておりますそういう意味での定期昇給分というのは、俸給表の構造といたしまして、俸給表の金額が一年たつとそれぞれの号俸において幾ら上がるかという関係になるわけでございますが、それは現在の人員構成によりましていろいろ違ってまいるわけでございます。現在の非現業公務員の私どもの管轄しておる四十何万人につきまして、一年間そのまま現在の俸給表を使いました場合には、それぞれ昇給するわけでございますが、その場合に何%上がるだろうかということを考えるわけでございますけれども、それがいわゆる定期昇給率というものでございます。それは結局俸給表の構造と、それからもう一つは、人員がどういうふうに分布しているかという二つの要因によってきまってくるという性質のものでございます。 ただいま御質問にございますそういういわゆる一年間おった場合には、現在の人が一年間そのまま在職した場合にはどのように上がるかという点の定昇率というものと、それからもう一つは予算要求と申しますか、いわゆる定昇として財源がどれだけ必要であるかという関係とはこれは別でございます。と申しますのは、一年間の後には、同じ人がずっと全部おるわけじゃございませんで、結局年とった人がやめ、若い人が入ってくる。こういう関係におきまして、若干のいわゆる新陳代謝というものによって余裕が出てくるわけでございまして、そういう関係で現在の人員、俸給表におきまして四%ということを推定しておりますけれども、結局そういう新陳代謝によって一%程度緩和されるということによって、大体三%程度の予算要求をすれば、現在の四%の昇給率というものはまかなえるのであろうという形で推定しているわけでございます。したがって、その関係は人員構成によって違うわけでございまして、各省庁によってそれぞれ違ってくるということになるわけでございます。
○唐橋委員 いまの御説明で大体私も理解できるのですが、いま御説明のような形でやっていくと、御承知のように七・九%プラス四%なんだから、今度は一一・九%の上がりになるのだとみんな受けているわけなんです。だから現実は、その対象になったものはそうだとしても、現在やっていきますと、いまのようにむしろ予算のほうが近い。こういうところに私は人事院勧告のパーセントの出し方に対して、非常によけいに上がるのだというような印象を与えていて、現実は予算上はそれまで必要ないのだという、この二つの関係が非常に理解されないし、と同時に、そういうことが現場においては、実際新旧交代といいますか、そういう中において予算というものがそれを非常に下回っている、こういう矛盾というものを私は非常に感じておるわけでございます。そういう点についてはもう少し議論したいのでございますけれども、時間の関係もありますので省略いたします。 もう一つどうしても私が御説明いただきたいのは、実施時期なんです。あなたたちが官民を比較したという場合に、四月を時点として比較する。しかも、今度民間においては四月から上がっていくとするならば、理論的にはやはり勧告は四月からやるべきじゃないのか。それをなぜ一カ月延ばして五月からやるのか。これはどうも私は理論的に理解できないのですけれども、この点はどんなふうにお考えになって五月ということにされたのかをお伺いしたいのです。 何か実際考えてみますと、人事院勧告そのものが、公務員の立場から見れば一カ月損をしておる。金高の損ならばいいのですが、私の考え方では、やはり公務員の一つの権利として、金額の多少にかかわらず出すべきところははっきりと出しておかなければならないという考え方であるときに、この四月、五月、たった一月の違いであっても、金額でなしに、人事院が公務員の給与という一つの権利的な立場に立ったときには、四月を時点として調査して比較して、そして他のほうは四月から上がっているのだから、やはり四月からということで当然出さなければならない。この一カ月のずれはどこから出てきているのですか。
○佐藤説明員 御指摘の点は、御承知のように以前は実施時期というものを勧告の中に私どもが明記はしておらなかったのでありますけれども、それを七年前になりますか、明記をするようになったときから、四月調査、五月実施ということでずっときておるわけです。何もそのときの相談に私個人はあずかっているわけでも何でもありませんけれども、長年の間それが確定した一つの方式となって今日まできておるわけであります。それはそれとして私は理由はあると思いますけれども、しかし、ここ二、三年来、いまおっしゃるような四月のほうが正しいんじゃないかというような説がだいぶわれわれの耳に入ってまいります。私どもは何もいまのやり方に固執する、こだわる気持ちはないのであります。そういう見解はそういう見解として十分にわれわれとしてもまた反省するにやぶさかではないわけです。いろいろ検討を続けておるわけでございますが、まず今日の心境では、なるほど四月説も一理ある。すなわち、両論立つなあというところまで少なくとも私の心境はきておるわけです。しかし、まだ四月に踏み切らなければならぬというところまでの結論は得ておりません。それよりも、とにかく九月なり十月なりというような時期を五月まではまず完全にさかのぼっていただくということに全力を尽くしておると申し上げたほうが率直かもしれません。
○唐橋委員 一理あるでなくて、一つの計算方式ではやはり四月というものを出発にしなければならないのでないか。ただ出発した場合、いま総裁が言われたように、ほんとうにここからこういう実施は必ずやってもらいたいというのは、今度は議論の内容が違ってくると思うのです。ですから、四月説がございますということでなくて、総裁として、四月説ということがやはり正しいのか、五月というのは多少前からの慣例で便宜的であるが、それは慣例でとっていた、しかし考え方によっていけば四月説というものがやはり措置としては当然なのか、こういうことを私は率直にお聞きしたいわけなんです。
○佐藤説明員 一理あるというのは、私は相当率直な謙虚な心境だろうと思って申し上げておるわけでございます。一理あるというたてまえで今後もなお謙虚に検討をしてまいりたい、こういうつもりでおります。
○唐橋委員 では次の質問に移らせていただきます。 総裁御承知のように、給与体系全体の問題としていつも議論になるのは、中だるみの問題と行政職(二)表の低い賃金で働いている方々に相当する場合の問題だと思うのです。この点について今度はやはり大体率で上げていった。率を見ますと、その点について低いほうから見れば一応高水準の表にはなっていますが、たとえ八・二%というような最高の率を見てみたところでも、もとが安いのて非常に上がる金額は少ない。したがって、実質は焼け石に水のような状態が再現されて、そして中だるみ是正と行政職(二)という表の中における一番中堅の級、そういうところがまだまだ手当てが薄いということだけは明確に私は指摘できると思うのですが、それに対しては、いまの勧告とは別に、今後の一つの方針もあわせて、今度の勧告はこういう考え方でやったということと同時に、この二つの問題に対して今後の取り組み方、今後の方針等もあわせてひとつお伺いしたい。
○佐藤説明員 先ほど私の基本的な立場、公務員としての生活の維持というようなことを多少声を大きくして申し上げましたけれども、基本的な立場はそこに置いて万事考えておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のありました行(二)の関係の人たち、これは従来一番われわれとして苦心をしてきたところであると申し上げてはばからないと思います。時間があれば、これだけの改善をここ数年来やっておりますということをはっきりデータをお見せしたいぐらいに、私どもとしては相当の措置をとってきておる。たとえば初任給の幅というようなものを非常に広げまして、しかもそれに在職者の調整まで加えてやっておるというような面から、これはあまり恥ずかしくない措置をとってきたと思います。したがいまして、官民給与を比較いたしましても、そこにほとんど格差らしいものはあまり顕著に出てこないようなところまで実は来ておるわけです。しかし、それをもって甘んじておるわけじゃありませんので、やはりわれわれは標準生計費というものを勧告の際に発表しておりますし、そういうようなものとにらみ合わせながらそれらの方々の生活を十分見守ってもらいたいということから、いままでの努力はさらに続けてまいるつもりでございます。ただ、御承知のように、公務員法なり給与法には、給与決定の鉄則として職務と責任ということをうたっておりますから、極端なことはできませんけれども、そのワク内でできるだけのことは今後もやってまいりたい。 それから中だるみといわれる問題、これも先ほどちょっと触れましたたとえば六等級辺の足踏みというようなこともその一つでございます。いままで御批判もございましたし、何とか解決しなければならぬと従来多少の手当てはいたしてまいったのでございますけれども、ことしの場合で例を申しますと、たとえば世帯を形成する年齢、たとえば二十七、八歳のところ、世帯形成時と申しますが、その辺のところについて、行政職(一)で申しますと、最高の八・六%という思い切ったベースアップをやっておるわけです。さらに四等級ないし六等級、中だるみといわれておりますその部面についても、最も人員の分布が集中しておる号俸を中心といたしまして、昇給間差額の改善その他をやっておりまして、今度は中だるみじゃなくて中ぶくらみだ、そんなようなことは大きな声では申しませんけれども、そのくらいの気特ちでこれを私どもは見ておるわけであります。
○唐橋委員 多少具体的な問題に入りまして、先ほども都市手当の問題が出ましたが、都市手当が今度甲地、乙地ということになってきますと、地域指定はどういうように考えられるのか。そして現在の四級、三級という場合とどんな関連があり、それが多少落ちるような問題が出てくると、それはまたいままで級地として暫定手当をもらっていたのが落ちてくる。こういうような点がありますので、この点を都市手当の内容としてひとつ明確にお伺いしたい。
○佐藤説明員 目下精密な基準を策定中でございますけれども、私どもの基本的な考え方は、先ほど触れました給与法の二条六号にありますように、給与を決定する諸条件、これをやはり柱にして地域差を発見せざるを得ないだろう。その諸条件の中の第一は、これも先ほど触れました官民給与の格差、さらには物価、生計費というものがございます。たとえば大都市の場合で申しますと、いまの四級地について生計費をとらえますと、やはり官民格差と同じように二二%というような大きな格差が出ております。要するに官民格差というものを出発点にいたしまして、さらに物価あるいは生計費の格差というものを総合勘案して、そうしてたとえば六大都市というような最も極端なところを甲地とする。それから以上述べましたような諸条件から勘案して、これに次ぐ大都市を乙地として指定するということでございます。その範囲は、結局いまお話にありました現在の四級、三級の外に及ぶことはない、そのワクの中での操作として行ないたいと思います。
○唐橋委員 外に及ぶことはないという考え方と、それならば中で小さくなるのかという問題もまた出てくると思うのです。中で小さくなった場合、これまたいろいろな既得権の問題等も出てくるし、そういう点について明確にしていただかないと、これはいま非常に大きな不安の種の一つですからお伺いしたい。
○尾崎説明員 新しい格づけにつきましては、いま総裁から申し上げたとおりでございますけれども、甲地につきましては現在の四級地の中から格づけをしていく。乙地につきましては現在の三、四級地の中から格づけをするということにいたすつもりでございますけれども、その場合に、官民の格差あるいは物価、生計費という関係からいって、実情といたしまして新しい都市手当に移行しないところがあるいは出てくるかとも存じております。と申しますのは、現在の暫定手当の格づけは昭和二十五、六年のころの終戦後間もないときに格づけされ、そうして昭和三十二年に凍結されたという性質のものでございまして、現状は非常に違ってきておるというのが実情でございます。したがいまして、そういう関係におきまして、やはり合理化という関係を含めまして格づけをすることになると思っているわけでございますけれども、その場合には、もちろん現在受けている暫定手当が引き続き支給されるということになるわけでございます。
○唐橋委員 ここに非常に大きな議論の余地があるわけです。現在まで暫定では五・四%と二・七%ですね。今度は甲地が六%で乙地が三%、その格差がどうのこうのということでなしに、いまのような一つの地域の問題、そして今後の人口推移の問題ということを考えていきますときに、この都市手当という考え方に私は大きな議論の余地があると思う。こういう点に対して、実は都市手当設定の理由を詳しくお聞きしたかったのでございますが、先ほど総裁もそれに触れましたので省略しまして、私の考えは、都市手当よりはむしろ住宅手当、通勤手当というこの現実が、さっきの総裁の現実論からいえば出てくるのではないか。この住宅手当や通勤手当を人事院として大きく取り上げていきますと、僻地も都会以上の住宅難のところはございます。特に学校関係の僻地なんというのは非常に多くて、教員の住宅なんというのは、都会に比べてもっともっとひどい実情があります。そしてまた、教育の場合の遠隔地というようなもので非常にたくさんの先生方が非常に苦しんでおるという実情がある場合に、やはり住宅手当、通勤手当というものを取り上げていかないと、一番最初私が申しましたように、格差というものをますます増大していく、こう考えざるを得ないのはこの都市手当の設定の問題なんです。だから、これらについては、ひとつ住宅手当、通勤手当等を含めて、いま申しました格差がこのために拡大されるのか、されない方向にどうしていくのかということを、この際明白にしていただきたいと思います。
○佐藤説明員 住宅手当、これが多年の重大なる問題として、相当各方面の公務員諸君の要望がありますし、私どももその観点からこれを重視してまいっておるわけであります。その証拠には、ここ数年来毎年この手当関係の民間調査をしつこいくらいに重ねてまいっておるわけであります。先ほど最初に触れましたように、私どもはやはり民間のあり方というものを相当大きく考える立場におるものでありますから、民間の事業所の多くのところが住宅手当採用が普及してくるということになれば、われわれとしてもじっとしてはおれない、そういう身がまえのもとにこれを調査してまいったのでございますが、ことしの結果におきましても、まだ三九・五%というところでございまして、四〇%にも達しない民間の実情でございます。したがいまして、これはまだわれわれとして踏み切る段階ではない。 なお、住宅手当をかりに支給するたてまえをとりましても、自分の持ち家のある人、自分の家から通っている人はどうするか、兄貴のところに安い間代で下宿をしておる人はどうするかというようなこと、公務員全体を見ますと、自宅から通っておられる人はたいへんなパーセンテージになっておるわけであります。そういう人を全然無視していいのか、四〇%くらいですか、そういうような問題も二の次の問題としてあるわけであります。したがいまして、あれこれ考えまして、とにかく民間がまだそこまで熟していないということで、住宅手当は踏み切っておらぬわけであります。 しかし、いまのおことばの端々にもうかがわれますように、とにかく公務員宿舎に入っておる人と入っていない人、これのアンバランスの問題は、われわれとしてはやはり無視はできないわけであります。絶対的な住居の不足ということは、これは絶対的な事実であります。これはやはり解消していただく努力は当然しなければならぬということで、これも数年来総理大臣及び大蔵大臣に強く国設宿舎あるいはまた独身寮等の増設をお願いしてまいりまして、幸いにして予算上では少なくとも毎年三〇%くらいの増額でまいっております。入居率もことしの場合、二七%くらい上がってきております。このほうの努力はぜひこれは続けていただかなければならぬというかまえで今日も臨んでおりますので、住宅のほうはいま申しましたようなことで、今日まだ踏み切っておりません。 それから通勤手当は、昨年相当広範囲の運賃値上げがございました。したがってまた、われわれとしても民間調査をやったのですが、その結果公務員側も当然捨ておけないということで、これも相当思い切った通勤手当の増額を去年やったわけであります。ことしはそういう面の運賃改定というようなものも見られませんから調査はいたしませんでしたが、これもわれわれとしてはほうってはおけないので、常に注意を続けておるということでございます。
○唐橋委員 この都市手当に関連して地域指定の問題ですが、私が検討してみますと、非常に新しい名目を入れて、そしていま御答弁がありましたように、地域指定はもとの暫定よりは幅が狭まる。そうして三年なら三年の後にこのようにして解消していくのだ、片方は縮めていわゆる漸次解消する。そうしますと、甲地が六%、乙地が三%、暫定では五・四%と二・七%、上げた分は、個人の立場からいって該当する者はいいですが、予算からいうとたいしてふえない。絶対数はそうふえないのではないか。絶対数がふえないとすれば、これはやはり給与の向上にはならないと私は思う。何かここにぐるっと回って非常に形だけを整えて、実際の内容はあまり改善されていない。こんなことが数字面と解消していく過程、今度指定される範囲とを考えてみると出てくるのでございますが、この都市手当等と現在の暫定手当の場合にどれだけの推定予算の増になるのですか。その推定予算の増を聞かないと、単にぐるっと回しただけでは全然改善になっていないというように私は考えざるを得ないのです。
○佐藤説明員 ちょっと局長が資料をさがしておる間に一言申し上げますが、私どもの立場は、予算上、財政上の面のやりくりのことを当面考えてやっておるわけではございませんで、官民の七・九という格差の配分の問題として考えております。したがって、原資は同じ原資のワクでの操作になるわけであります。そしてその操作は、現実に地域差によって苦しんでいる人に対してどう善処すべきかというようなことで、その配分の問題として考えているわけでございます。総計のお金の要り方の問題は実は第二次的な問題になるのではないかと私は思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
○尾崎説明員 今回の都市手当分といたしまして、官民格差の埋め方といたしまして七・九%のうち〇・七%、平均といたしまして三百十六円というものを予定しているわけでございます。もっともこの中には、現行における若干の官署指定の拡大及び異動をいたしました場合に現在一年間の保障をいたしておりますが、これを二年間に延長したいということを勧告申し上げておりまして、その関係も含んでおるわけでございます。したがいまして実質的には〇・七%のうち〇・六%程度ということがその内容になるわけでございますが、結局現在の暫定手当を、たとえば四級地の場合には五%程度になっておりますのを六%程度にするという関係でございまして、その間一%弱といったようなところがこの手当の改善分という形になっておるわけでございまして、したがって、その関係はほとんど現在程度を大体移行するということをめどにいたしておりますので、当面のいわば改善といったようなことは比較的に小さいものになっているということでございます。
○唐橋委員 数字等は推定でございますので、その点お答えがなくとも了承します。 次の質問に入ります。文部大臣にお伺いしたいのは、先ほどから私も僻地の問題をいろいろお聞きしているわけですが、ことしに入って僻地の指定基準等も検討する準備に入った、こういうことでございますが、先ほど申しましたような過疎地帯における人口の減、児童数の減、したがって小規模校の増加というものはものすごい勢いになっておるわけでございます。したがって、小規模校になってくれば、やはりほとんど僻地という一つの要素が入ってきておる。こういうことをここで詳しく論じなくても出てくるわけでありますが、それに対して、この点はどのくらいの作業として進んでおるのか。と同時に、人事院関係ではこの僻地の指定の基準というものをどのように改定していこうとするのか、改定の必要ということは、私が論ずるまでもなく当面の大きな課題であろうと思いますが、それに対する考え方をひとつお伺いしたいわけでございます。
○齋藤説明員 僻地の級別問題の指定等に関して、どの程度作業が進捗しているかという御質問でございますから、その点についてお答えいたします。 これは本年度調査費がありまして、各地方の実態を順次集めておって、その分析を始める段階にきておりますが、ただ先ほど人事院総裁もちょっと全般問題としてお触れになりましたように、僻地における実態としての変貌、それと、それによってむしろ恩恵を受けておった地域との関係、あるいは現在の最高の割合をもってもなお他のものとの均衡を失するような極端な地域の問題、こういう問題をあわせ考えますと、この作業もなかなか簡単ではございません。いろいろな事情を考慮いたしまして、相当慎重に検討しなければならない要因が出ておりますので、現在この検討の結果をいつの時期にどういうふうに実現していくかというところまでは、実はまだわれわれははっきりした見通しを立てておりませんけれども、いずれにいたしましても、検討自体は、実態調査もだんだん上がってきておりますから、いたしておるようなわけであります。 それから、それに関連いたしまして、私どもといたしまして単に従来の僻地教育という観点だけでなくて、いま御指摘のありました過疎地帯における学校規模がだんだん正常な学校運営を阻害するような実態がふえてくるではないか。この点についての問題意識は、実はわれわれとして持っておりまして、これは単に僻地という観点でなく、過疎あるいは逆の都市におけるスラムの問題、その他いろいろな事情によって教育困難な地域の問題、これは定員の問題を考える場合にも一つの要因になりましょうし、あるいは就学前教育という問題を考える場合にも問題になりましょうし、あるいはアウト・オブ・スクールというような観点でどう児童、生徒を指導するかということが、通常の地域より問題になります。こういう問題につきましては、一面本年度都道府県教育長の協議会に、実は実態に関する検討を命じますとともに、明年度の予算といたしまして、そういう教育困難な地域の問題点、それに対する施策というものを調査会を設け、また徹底的な実態調査をするという予算も出しておりまして、これは将来の定員問題を論ずる際にも一つ重要な要素になる、こういう意識は実はわれわれとしては持っておるわけでございます。
○尾崎説明員 私どもといたしまして、僻地手当につきましては、国の場合には隔遠地手当と申しておりますが、この指定基準が明確に各省に対して示してございまして、たとえば官署から駅とか停留所とか医療機関とかそういったところまでの距離とか、あるいは電報、電話があるとかないとか、そういったことをいろいろ示しておりまして、点数制で評価してやるということにしておるわけでございます。現在四百四十六官署を指定しているわけでございますが、この関係につきまして、先ほど総裁から申し上げましたように、実際にこういうぐあいに交通が非常に発達したりいろいろなことで、その基準でやりますと点数が下がってくるといったような関係が現実にあるわけごでざいます。しかしながら、それでいわゆる僻地感というものが実際問題として下がってきたかどうかということになりますと、やはりそれはそれで疑問がございます。したがいまして、実態的には基準そのものをやや甘くする方向で何か改正していく方向が必要ではないかということを考えているわけでございますけれども、そういう関係につきまして、やはり現在の四百四十六官署につきましてどのような状況になっておるかということを把握することが前提でございます。したがいまして、現在各省につきまして、そういう官署の実態の資料を集めているところでございます。そういうことによりまして、なお内容をよく検討してまいりたいというふうに考えております。
○唐橋委員 寒冷地域の指定でございますけれども、これはひとつ中の議論を省略しまして、もう少し拡大しなければならない点が、私たち寒冷地のほうにいる者として考えざるを得ないし、と同店に、またその中における級地の引き上げという点もこれは考えていただかなければならない。こう思いますが、具体的な議論等省略いたしまして、これに対してはいま人事院としてどう取り組んでいますか、お伺いしたいと思います。
○佐藤説明員 ただ単に寒冷地の指定を拡大しようという気特ちは、現在のところ全然特っておりませんけれども、ただ、もう三年前になりますが、私どもが相当大幅の地域指定の勧告を申し上げたあと、いろいろこれについて、隣がこうならこっちがこうだというような御指摘もありますので、そういう面のアンバランスとして、はっきりこれは何とかしなければと、つかみ得るところがあればこれは是正するにやぶさかではないという立場で、いま全面的に検討をやっておる段階でございます。 なお、この手当支給制度の根本についてもなかなかむずかしい問題が最近またいろいろとありまして、それとあわせて慎重に検討を続けておるという段階でございます。
○唐橋委員 時間が非常に長くなりましたので、いま二、三点簡単にお伺いしたいと思います。 一つは教職員の超過勤務の問題でございますが、これは議論するまでもなしに、当然教職員にも超過勤務手当は支給する、こういう考え方はいまの法律内容等においては明らかだと思うのです。したがいまして、いろいろな議論がこの点に集中されておりますが、これに対して文部省としては予算要求の中でどういう考え方で取り組んでいるのか。予算要求内容をひとつ御説明願いたい。こういうことが一点と、この教職員の超過勤務問題については、人事院としては文部省におまかせだということで全然触れていない、こういうふうに考えられますが、その間における人事院の考え方はどうなのか、この一点ずつをひとつお伺いします。
○齋藤説明員 教員の時間外勤務の実態につきましては、先般調査が完結いたしまして発表いたしました。この時間外勤務の実態を分析いたしまして、それに対して給与上の何らかの措置をとる必要があるということでございます。予算要求といたしましては六十三億、この給与改善の関係ということで要求しておりますが、実はその内容につきましては現在なお検討中でございまして、いかなる方式によるかということにつきましては、その内容自体は、これは今後予算決定までにきめる事柄でございますが、要求といたしましての金額は六十三億を提出しておるわけでございます。
○佐藤説明員 人事院の立場は、御承知のように昭和三十九年の八月に行ないました給与勧告の際に、同時に発表いたしました報告書の中で触れておるわけです。「最近問題となっているものに、教員の超過勤務に関する問題がある。現行制度のもとに立つかぎり、成規の時間外勤務に対しては、これに応ずる超過勤務手当を支給する措置が講ぜられるべきは当然であるが、他方、この問題は、教員の勤務時間についての現行の制度が適当であるかどうかの根本にもつながる事柄であることに顧み、関係諸制度改正の要否については、この点をも考慮しつつ、さらに慎重に検討する必要があると考える。」したがって、当面現行制度のもとに立つ限りにおいては、成規の命令による超過勤務については超過勤務手当を払わなければならぬ。なお、いまここに触れました基本的問題につきましては、いろいろな調査その他の結果によりまして、今後もっと慎重に検討すべきであろうという心がまえでおるわけでございます。
○唐橋委員 給与改善というような名目だということをいま局長からお話があったのですが、その内容はやはりはっきりと超過勤務という考え方でとらえているわけですか。文部省としては何か給与改善という——改善なんという名前はいろいろ便利なものですから、いろいろな解釈ができますが。
○齋藤説明員 給与改善という意味は、この時間外勤務の実態に照らして何らかの給与上の措置をとる必要がある。その方式自体についてはまだ決定しておりませんから、とりあえず六十三億の金額を出した、これが現状でございます。
○唐橋委員 それについていろいろ議論はありますが、時間がありませんので、ちょっと省略します。 次に、宿日直と警備員の設置についてお伺いしますが、第一は、今度は人事院のほうで五百十円、勧告がこうなりました。現在の税制を見てみますと、非課税は五百円以内ですね。五百十円になると、これは税金がかかる。税金がかかってくると手取りは少なくなる。待遇改善という実質は少なくなる。こういう関係はいわゆる税制問題にもなってくるのですが、それに対しては、この点については金額は小さいとしても、ここまで上げてきたのに大蔵のほうでは何ともしかたがないのですか。それについてはどう考えますか。
○津吉説明員 私、直接の所管でございませんので、その立場におきまして部内で聞いておりますところで御答弁を申し上げざるを得ないわけですが、先生御指摘のように、若干上がりましたところで根っこから税金がかかるということはまことに妥当でないという前提をとりまして、小額非課税と申しますか、それを免税点という考え方でやるか、あるいはそれ以外の、たとえば基礎控除という考え方でやるか、その辺については技術的な検討にまたざるを得ない段階ではございますけれども、御指摘のような妥当でない状態が起こる課税はしないようにしていこうというふうに聞いております。
○唐橋委員 いまのような形でやはり人事院としても関係方面への御連絡を十分にお願いしたい、こう要望します。 次に、これは文部省関係としてお伺いしたいのですが、宿日直で代行員制度だの何だのいろいろずいぶん議論が新聞等にも出てき、それから今度は無人学校だの何だのというのが出ておりますが、いま予算要求の段階でこれをひとつ整理して、どういう考え方なのかということを、ばらばらでなしにまとめて御発表願いたいのです。これがいろいろ議論を生むところで、あるいはこの点で次回あたりの文教委員会等においてもいろいろ議論をしたいという気持ちもございますので、まず文部省が考えておる案だけを、こういう場でございますからひとつ明らかにしていただきたい。
○齋藤説明員 概算要求におきまして宿日直問題に関連いたしまして要求した内容を申し上げます。 宿日直の手当につきましては二十二億でございますが、これは減額要求をいたしております。そしてそのほかに九千校分の防火防犯の一種の設備費、この補助金を二十二億二千万円の要求をいたしております。宿日直手当の減額分は九億の減額分になっております。 考え方といたしましては、四十三年度におきまして、これも実態調査があるわけでございますけれども、義務教育諸学校の校舎の補修管理の態様というものは非常な区々な形で出てまいります。そこでこの予算を要求いたしました考え方は、三万数千校あります義務教育の諸学校の中で、教員による宿日直を行わないで施設を若干整備すればいろいろな意味で教職員の目の届く——この形態は、あるいは作業員が泊まっておられるというような形態もございます。いろいろな態様がございますから、見込みといたしまして三分の一弱に相当いたします九千校につきまして、市町村に対しまして学校の設備を整備いたしますれば教員による宿日直を行わない学校数がそのくらいあるであろう、こういう前提に立ってとりあえず四十三年度の予算要求をしたわけでございます。 いまの御質問は、一体この問題が将来どういうことになっていくかというような問題でございますが、宿日直の形態というものは、これはいろいろな態様もございますし、地域住民のいろいろな考え方もございまして、行なわれる態様は実態として区々であろう。明年度は教員による宿日直が減になる様相というものを入れまして、ただいま申しましたような予算要求をいたしたわけでございます。
○唐橋委員 文部省からこの前配付を受けた「教職員の宿日直等の実態」というこれを見ても、もう各都道府県ともすでに警備員を相当置いているということだけは明らかなわけなのです。私はそれがまた減る方向でなくて増加していく方向にあるだろうということは、これもまた調査の中において明らかになっていると思うのですが、そういう中において、今度は九千校を無人の学校にする、こんな考え方が実は私はほんとうに理解できないのですよ。他方、今度都道府県においては代行員制度というものを置かれている。代行員制度というのは、文部省がどういう考え方で進めたのかということも十分お聞きしたいのでございますが、第一番目は、いま申しましたように、これだけ警備員がふえていく中において、何でわざわざ人をいなくするのか、この考え方はどういうわけなんですか。むずかしい議論でなしに、日宿直の問題は、これは教職員の勤務上でなくする、そのかわりに警備員を置くんだ、こういうふうに割り切っていけば簡単に解決できる問題です。代行員だ、無人学校だ、この原因はどこにあるのですか。ひとつはっきりお伺いしたい。どうも理解できないのですよ。
○齋藤説明員 無人化ということばは、実は世間に宣伝されておりますけれども、非常な誤解で、私どもは無人化ということばは使っておりません。 代行員の問題につきましては、実は先般当委員会の小委員会におきまして、少なくとも第一段といたしまして、労働基準監督署の指示に違反するような小規模学校におけるような問題は早急に解決するということがございまして、まず第一段にわれわれとしては、行政指導といたしまして、できるだけその基準に違反するような事態なからしむるということ、それをおろぬいていくために、これには非常勤の者を配置することとし、これはいろいろな形がございましょうが、そのための措置を指導いたしましたし、四十三年度におきましては、そういうものに対してどういう財源を考えるかということは、これから私たちが関係の自治省にも折衝しなければならぬことで、それは一面にございます。それが代行員というような形でいわれているものだろうと思います。 それから警備員問題につきましては、私どもといたしましては、それにつきまして実は補助金を国としてやる、国としてそういう措置をするという考え方は四十三年度については持っておらないのでありまして、宿日直問題の解決の方法というものはいろいろな角度から議論されるでございましょうけれども、とにかく四十三年度としては、現実に一万校以上のところでは、宿日直の形でなく、作業員等が寝泊まりしているところ、あるいは近くに官舎があるとか、いろいろな形で何らかの意味で目が届く、それを施設、設備を補強してやれば、教職員の宿日直を命ずるまでもなく、校舎の保守、管理が可能であろうということを推定いたしまして、それを一応めどといたしまして、三分の一に近い九千校ということを割り出したわけでございます。教員による宿日直をやめた場合に、即全面的に警備員を設置したらいいじゃないかというのが先生の御質問の趣旨だろうと思いますけれども、それよりはもっといい方法も考えたほうがいいのじゃないか。むしろ今回は、学校の保守、管理について物的施設の援助を市町村にすることによって教員の負担軽減をはかることができるのじゃないかというのがわれわれの考え方でございます。
○唐橋委員 代行員ということばが出てきますけれども、それはいまの御説明で、必要性から出たことは理解できるのです。ですが、代行員なんということでなしに、やはり私がさっき申しましたように、警備員を置く学校も出てきた、こういうことならば、目的として警備員を設置するというはっきりした方向を立てて、そして年次的にどうするかという議論ならばわかるのだが、何かそれを今度、無人化ということばが悪いということなんですけれども、そういう形の中でやっていこうとする考え方が私は理解できないと、こういうことを申し上げたわけでございますが、ただその中で、代行員制度の問題で、先生方が代行しないと国から金が出ないのですか。そういう問題が起こっているというのですね。私はそれを聞いたので、実地に行って調べてみようかと思うのですが、実は一週間のうちに三人しか先生がいない。あと四日が代行員だ。その場合に、先生が代行の任務をしないと国から金が来ないのだとすれば、これは全然代行員を設置した理由というのはなくなるのですけれども、それをひとつ解明しておきたいのです。
○齋藤説明員 現在は、御承知のように国の負担金といたしましては先生が宿日直をやる場合だけあるわけでございますが、私たちが四十三年度、これから関係省に折衝しようと考えておりますのは、教員が、小規模学校等、あるいは女子が非常に多くて非常に頻度の高い、基準に違反するような宿直を行なう、あるいは日直を行なうという場合に、それは常勤の者でなくて、いろいろ頼んで、これは地域によって違いましょうけれども、宿日直を教員以外の者に代行させる。その場合に、われわれは本年の初めから、そういう基準に違反するような事態はやめろということを指導しておりますから、その分について自治省にお願いして、四十三年度、この教員のやらない部分についてその財源措置をお願いしようか、こういうことを考えておるわけでございますので、現在は教員以外の者がやらない場合には何も財源措置はございませんけれども、いまの私の申しましたような限度の問題につきましては、四十三年度、そういうような交渉をこれからしょうという考え方でございます。
○唐橋委員 時間がございませんので、最後にひとつお伺いしたいのですが、これは人事院のほうで算定しておるのか、大蔵省のほうで算定しているのかわかりませんけれども、今度の人事院勧告を完全に実施するとすれば、財源の推計はどのくらいになるかということをひとつお伺いしたい。
○津吉説明員 大蔵省から、われわれの財源の計算をお答えいたします。 勧告のとおり五月実施といたしますと、国の関係では、概算でございますが八百九十億円、地方団体の推計一千億円、合計千八百九十億円、九月実施でありますと、国の関係では五百九十億円、地方団体は六百六十五億円、合計千二百五十五億円という概算になっております。
○唐橋委員 その内容までありませんか。
○津吉説明員 内容は、会計別を一応やっておるわけですが、一般会計は、五月実施の場合、八百九十億円のうち七百四十億円、残の百五十億円が特別会計でございます。九月実施の場合、先ほどの合計五百九十億円というもののうち、一般会計分四百九十億円、特別会計は百億円でございます。
○唐橋委員 いまの内容について、ここでいろいろもう少し詳しくお聞きしたいのですが、時間の関係で、あとで私のほうに来ていただいて、もう少し数字的なものをお示し願えるならばそれでいいのですが、それをひとつ確かめてみて、質問を打ち切りたいと思います。
○津吉説明員 御要望のとおり、所要の区分にしたがいまして御説明したいと思います。
○唐橋委員 質問を終わります。
○床次委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。 午後一時十一分休憩 ————◇————— 午後二時十一分開議
○床次委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。斉藤正男君。
○斉藤(正)委員 午前中、唐橋委員の質問が行なわれまして、かなり詳細にわたっていわゆる人事院勧告の内容につき質問と答弁がございまいました。私はなるべく重複を避けて伺っていきたいと思います。 初めに、佐藤総裁から、この勧告は内閣並びに国会へ行なったものであり、したがって、国会の立場から、あるいは議員の立場からこれをどういう角度で把握していくか、というような点につきましては全く同感でございまして、いたずらに関係当局を追及するとか、あるいは要望するとかという態度を捨てて、勧告を受けた側の立場も考慮しつつ伺っていきたいというように思うわけでございます。そういう立場から、実は例年行なってまいりましたこの勧告をめぐって、特にその調査の要綱と申しますか、調査の内容における問題点二、三を指摘して総裁の御意見を伺いたい。 まず第一点は、調査対象になりました事業所の規模であります。公務員の皆さんは、やはり公務員の勤務の実態から、そしてまたその内容から、人事院が対象とする事業所につきましては、少なくも三百人あるいは五百人といったような従業員を持つ事業所を対象にするのが妥当ではないかという主張を長年続けてまいったわけでありますが、今回やはり出てきたものは、従来どおりの、どちらかといいますれば小規模な事業所が対象であったようでありますけれども、これでは妥当な調査にならない。もちろんこれだけではなくて、いろいろな要素、条件を加味して権威あるものだというようにお考えになっているものとは思うのでありますけれども、まず第一点として、こうした対象の規模についてどういう見解をお持ちになっているのか、伺いたい。
○佐藤説明員 適切な御指摘だと思います。午前中申し上げましたように、私どもは民間水準ということをあくまでも基盤にしておるのでありますけれども、いまおことばにもありましたように、国の役所の機構に匹敵するような機構というのは実は民間にはないぐらい膨大な機構である。そこに勤務する者の給与を比べるならば、少なくとも何千人級の大企業と比べるべきではないかという考え方が私は一つ成り立ち得ると思います。しかし、現在の私どもの勧告の基本的態度は、やはり民間の勤労者の皆さんから見て、公務員だけが非常にいい、うらやましい地位にあるということであってもこれは困るので、これも午前中触れましたように、国民大衆あるいは納税者大衆の納得されるものでなければならないということも、少なくとも今日の日本の経済情勢のもとにおいては、相当重視すべきポイントだとひそかに思っておるわけでございます。たとえば、卑近な例で恐縮でございますけれども、役所の廊下の掃除をしておられる方々と同じ仕事をしておられる方々は、民間企業のどんな小さな企業にもいらっしゃるという面が一つこれはあるわけです。しかし、民間企業、小さい企業までもと申しましても、小さい企業になりますと、むしろ家族従業的な雇用で、ほとんど組織的な雇用関係が成り立っていないところがあるわけです。こういうところはもう問題にならないということで、零細企業及びこれに準ずるものはわれわれとしてはのけてきておるわけです。昭和三十九年でありましたか、そのころまでは企業規模五十人というところで、五十人以上でわれわれは押えておったのでありますが、それはそういう趣旨でやはり企業規模を非常に小さい零細企業だけは除こうということできておったと思いますが、その後企業の形態もだんだん変わってまいりましたし、したがって三十九年には企業規模も五十人からこれを百人——これは現在のやり方でありますが、百人に上げましたそのときの一つのめどは、いま申しましたような基本の考え方もありますけれども、企業規模百人以上ということで押えますと、大体その従事する従業員の方々の数が日本の全勤労者の半数以上になる。その辺のところを広く押えて、この水準がかようであります。したがって、せめてここまで追いつかしていただきたいというめどにこれがなり得るだろうということで百人ということで今日まできておるわけでございますが、これが五百人あるいは千人というようなことになりますと、やはり全労働者に対してそのカバーする率というのはだんだん減ってまいりますから、そこのところをわれわれはまだ踏み切れないところがある。したがって、企業規模百人以上ということで今日も御勧告を申し上げたわけでございます。百人以上でありますればもちろん大企業も入りますけれども、小さいのは百人程度まで入っておるということでございます。今日の段階では、まあこれが一番適当なほど合いのところではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
○斉藤(正)委員 お説もわかるわけでありますけれども、午前中の唐橋委員の質問にお答えになって、いまも出ましたけれども、国民大衆、納税者が納得をする一つの形をとりたいという立場から言いますれば、私は総裁の言うこともよくわかるわけであります。しかし、逆に民間企業では、たとえばその企業の給与体系をきめる際、あるいは人員を募集する際、国家公務員並みの待遇にいたしますとか、あるいは国家公務員並みに扱いますということばもよく使われるのであります。民間に国家公務員がならい、国家公務員は民間にならうという、これはどちらがものさしでどちらが布かは知りませんけれども、とにかく国家公務員に対する給与の勧告なりあるいは報告といったようなことが、今日わが国におきましては一つのりっぱな尺度になっていることもこれまた間違いないと思うのです。むしろ私は裏を返せば、国民大衆、納税者に納得いただける、支持のできる最も客観的な線を選ぶという形でお説のような考え方もあるけれども、逆にまた、これから新しい体系をつくろう、これから企業の賃金体系を確立しようというような企業の立場に立ってみれば、国家公務員ベースでということも巷間多く使われているということもまた事実であろうと思うわけであります。それだけに、たとえ人事院の勧告が額なりあるいは実施期日においていままで忠実に守られていなかったにしても、この人事院の勧告なり給料表といったようなものは、民間においては一つの尺度になっていることも間違いないと思うのです。そういう両面を考えましたときに、今年まで五十人以上あるいは百人以上といったような基本線でやってきたこともわからないわけではありませんけれども、先ほど言いましたように政府機関に匹敵をするような企業もないではない、いろいろお説のようにあるわけでありますから、今後もやはりそういう考え方でいかれるのか、あるいはいろいろ人事院の先ほどのお話にもありましたような形で、ここらで踏み切らなければならないとか、ここらで方向を変えなければならないとかいう条件は幾つもあるように思うわけでありますが、対象規模について、なおこれが一番いいとお考えになっているのか、それとも変えなければならない時期が来ているとお考えになっているのか、もう一度その辺を伺いたいと思います。
○佐藤説明員 先ほど来基本的立場は、当面私の考えとしては、それを若干——たとえは百人というものをもう少し企業規模の変化に応じて上げる、ちょうど五十人を百人に上げたような情勢の変化があれば、それはまた考えますけれども、そういうことを離れて、にわかにいまお示しのようなことにこの水準を上げていくということは、基本的な考え方からいうと、これは相当飛躍したことになりますので、願わくばもう少し日本の経済情勢が裕福になり、あるいは賃金水準も一般的にたっぷり上がって、どこが高過ぎるの何のということが問題にならないような世の中にしていただいて、それからいまのような面について理想的な姿を考えるのが、私は、まあ順序としては筋ではあるまいか、いまのところそのように考えております。
○斉藤(正)委員 お説はよくわかるのですが、これを受けてというわけではありませんけれども、地方自治体、特に都道府県は大体年末までに知事並びに議会に対しまして勧告と報告をやるわけでございます。その際もこの人事院のとった態度というのは非常に大きな影響を与えることは御承知のとおりであります。したがって、私は先ほどもちょっと触れましたように、民間にならうというわけではないけれども、厳正な民間の実態調査をやって、その上に国民大衆なり納税者の理解を得るという強力なバックをほしいという気特ちもわかるわけでありますけれども、これが今度は各都道府県へおりていく場合には、強力な一つの、中央の態度もこうであったということもまた事実であろうと思うわけです。そういう意味から、人事院が指示するしないは別として、各都道府県が行なう勧告と報告等にも重大な影響があるということを考えるわけでございますが、それらとの関連においても、もう少し対象にする規模といったようなものをお考えいただく時期が来ているというように私は確信をしていると言ってもいいのですけれども、何か、あれがたるんでいる、これが張っているという時代が過ぎて、もう十分な給料だというときまではこの対象をはずしたくないというようなお考えのようでありますけれども、もう一度その辺お答え願いたい。
○佐藤説明員 いまの現状のもとにおいては、先ほどちょっと触れましたように、まだ非常にはでなお答えをすることができないのが率直なところほんとうでございまして、先ほど申しましたような希望のもとにそういう時期の到来することを待ちたい、そういう気持ちでございます。
○斉藤(正)委員 非常に謙虚なお答えで、承知はできませんけれども、総裁の意見として聞いておきます。 二番目に伺いたい点は、民間企業は春にいろいろな賃上げが行なわれるわけでありますけれども、おそらく対象にした事業所につきましても、あるいは対象外の事業所におきましても、五月以降に話し合いがついてまとまったという場合も、いわゆる春の賃上げというのは新年度すなわち四月以降という形でまとまっていくのが普通でございます。今回の人事院の勧告によりますと、こうした面につき、やはり四月に遡及して捕捉するような主張が公務員の皆さんからもきつく人事院に対してもあったやに思うわけでありますけれども、これが正式に採用された、本格的に取り上げられたという形になっていない。もちろん、これは参考程度にはされていると思いますけれども、ここら辺ですね。一般企業の五月、六月妥結であっても四月遡及ということに対する人事院の考え方はどうなんですか。
○佐藤説明員 御指摘の点もわれわれとして非常に苦慮しているところでありまして、事の筋合いから申しますと、本来私どもの調査、それはもとは三月だったのでありますけれども、民間における賃金の異動の激しいのは大体四月、春だろうということで、四月調査ということで従来やってきたわけであります。ところが、いまお話しのようにここ三年来と申しますか、いわゆる春闘なるものが、どういう都合かは知りませんけれどもだんだんおくれてまいりまして、私どもの鉄則を貫いていこうといたしますと、四月に現実に支払われたものだけしか拾ってきませんから、そのあとで妥結したものがかりに四月にさかのぼってということできまっておっても、それはもうわれわれとしては取り上げるわけにいかぬ。お気の毒さまですが、来年の格差に出てきますからそれまでお待ちを願いたいということになるわけです。これは四月調査を銘打つ以上は私は正しい行き方だろうと思いますけれども、三年前ですかのように著しいおくれが出てきますと、来年までお待ちくださいといったその来年の格差が、景気からいうとそんな大きな格差が出るはずのないときにどかっと前の年からの送り込みの格差が出てくるという面も一つありますと同時に、第一公務員諸君の立場からいえば、とにかく一年おくれで上げてもらうことになるわけです。これは非常に高い見地からいいますと、捨ておけない一つの現象であろうということで、実は人事院としてはこれは相当の決断であったわけでありますけれども、一昨年から、われわれのとらえ得た分は少なくともひとつその年に消化しようということにしたわけです。これはたまたま私どもの調査員が調べますときに、いわゆる付帯調査的なものとして、工場へ行きまして、おたくは妥結しましたか、はいしました、四月にさかのぼることにきめましたというときに、そのことを控えて帰ってくるというようなことのデータは一応ございますから、そのデータを使ってそういう措置をとったわけであります。しかしながら、これはいま申しましたような付帯調査的なことであり、本調査そのものではありませんから、調査員がおくれてそこの会社をたずねたときにはたまたまそれがひっかかっておった。少し早目に行くと、まだ交渉中できまらぬということでそれはみすみすのがしてしまうという意味からいくと、これははなはだ完全ではない。完全ではないけれども、私どもとしては、その限りにおいてはできるだけ拾うのが筋だろうということで、ことしもそういう異常な事態が認められましたので、二・二%でございますけれども、それだけ現実の四月の分にプラスして、七・九という数字を出したのであります。 いろいろ公務員の側の方々にはまだ御不満がありますけれども、その御不満はもうある程度のところでかんべんしていただかないと、そういうことでやっととらえてきたもので、それが不正確だとおっしゃるならば、これは笑い話でありますけれども、春闘をひとつ早めていただきたいというふうにわれわれが開き直るか、そうでなければ、そういうことは一切やめてしまうか、あるいは調査時期をずっと六月か七月にずらして、そのとき一網打尽に全部とっつかまえて、精密な勧告をするという三つしかないわけでございます。また、調査時期をずらすことは、口に言うのはやさしゅうございますけれども、いろいろ考慮すべき点もございますから、それも踏み切れないということで、いままでわれわれのやっております、たとえばことしやったようなところで当分はひとつ御納得いただかぬと、問題をだんだん堀り下げていきますと、たいへんむずかしい問題になるという気持ちを持っておるわけです。率直に申し上げておきます。
○斉藤(正)委員 よくわかるのです。実情はそうだろうと思うのです。したがって、四月調査の八月勧告というこのこと自体に民間企業とのズレもあるし、また実施期間としても、予算措置との関係から非常にややこしい問題が出ると思うのですが、これはまた客観的に議員という立場を離れても、考えてみられることは、一年調査、勧告と報告をやめて時期を合わせるか、あるいはめんどうでも一年に二回やって、実施時期それから予算要求といったようなものと合わせるか、何らかの方法をとらないと、民間との比較において、予算の要求において、実施時期において、彼我満足だというときは永久にこないんじゃないかというくらいに思うのでありますけれども、何かそこら辺で民間との関係において、予算の要求の関係において、実施の時期において、総裁の考えとして、これらの不合理を是正するにはこういう手がありますということはないのでありましょうか。
○佐藤説明員 そういう問題が、近年地方団体あるいは政府筋にも出ておりまして、何ぶん予算年度半ばにこういう勧告をされては、財政措置の上で非常に困るという声が出ております。私どもとしても、それは一応ごもっともだと思います。そういういままでやっておったやり方を変えることによって、万事スムーズにいって、われわれの悲願とする完全実施ができるというようなことであれば、それにこしたことはないわけでありまして、もう三年になりますか、例の何人委員会といわれる閣僚の小委員会でも検討していただき、ときには私自身もその委員会のメンバーに加えていただいて、人事院がそういうところにしょっちゅう加わるのはこれはどうかと思いますけれども、同じ目標のためにお互いにいい方法を考えようというお座敷でありますから、私どもも喜んで一緒に加わって、みなさんと知恵をしぼったのでありますけれども、遺憾ながら、いまのところ名案なしということで今日まできておるわけです。 そこでもとへ戻って、今日のやり方というのは非常に不合理かどうか、いま不合理であることを前提とされたようなお話で、いささかさびしい感じも持つわけでありますけれども、これはさかのぼるということが、先ほど来午前中から申し上げましたように、私どもはやはり民間水準との格差をつかまえて、ぎりぎりの数字を押えて、これだからぜひ完全に実施していただきたいというのが一番強い。将来の見通しをつけて、来年の四月からこうなる見込みだから、来年四月からこういうふうに上げていただきたいというふうに予算編成の際に申し入れても、やれこれは高過ぎるの低過ぎるの、全然これはきめ手のない論争の中に入ってしまう。一部にはこれは春闘の足がかりになるとおっしゃる人もあるかもしれません。それではとても人事院勧告の権威もへったくれもありゃしない。人事院としては自殺行為になるんじゃないかとさえ思い詰めておりますので、したがって、過去の一定時期の現実の数字をとらえて、そうして突き合わせて、ぜひこれをということになりますと、どうしてもやはりさかのぼった形にならざるを得ない。 そういうことになりますと限界があるわけなんです。予算上の困難性というものはどうしても限界があるということになります。しかし、これは財政上の問題は私は部外者でございますけれども、自然増収とかなんとかいうものが相当の額出るような年もあるらしいのでございますから、予算年度半ばであるから絶対だめだということにもなりますまいし、かたがた私どものほんとうの希望を言わしていただくと、大体来年度の賃金上昇傾向というものは、予算編成の際には一応のめどはおつきになって、正確なところはもちろんおつきにならないとしても、一応のめどはおつきになっているに違いない。そこで予算の編成の際に、その含みを持った当初予算で、その含みを持った手当てをしておいていただけば、いざというときにお金を洗いざらい、さいふをさかさまにして勘定し直さねばならぬこともない。足らずまえだけをそこで自然増収か何かで足していただけばいいということ。これはほんとうの部外者としての考え方でありますけれども、そういう気がいたします。公労委の仲裁裁定、これこそ予算年度半ばというよりも年度早々の五月に裁定が出まして、そして補正等の手続もなしに、当初予算のやりくりで四月にさかのぼることがここ十年くらい完全に実施されておるというようなところに何かヒントがありそうな気がして、非常にうらやましいなという気持ちでわれわれにらんできておるのでありますけれども、何か当面としてはそういう面に、あるいは法律が不備であれば法律を直していただくことにもこれはなりかねませんけれども、そういう点をひとつ何とかしていただけないかという気持ちを非常に強くしておるわけでございます。
○斉藤(正)委員 うんちくのあるところを伺いました。 三番目に、民間における法定外福利費ですが、私、きのうある職場に行きましたが、十円で牛乳が自動販売機で飲める。十円の牛乳があるわけないですから、売れた本数だけ事業主が負担をしているわけです。こういうことは給食関係に限らず、居住費の関係につきましてもいろいろな形で民間では出しているわけです。これらの問題が今度の調査でどのように出てきたか知りませんけれども、伺うところによりますと、こうした法定外福利費については、今回も、調査の必要は認めたけれども対象にはしなかったというように聞いておるわけでありますが、いまこの民間の法定外福利に対する施策というのはかなり進んでいるわけなんで、間食の牛乳等についてはほとんど常識なんです。それから給食ですね。これも三分の一補助するとか半額補助するとかいうようなことも常識になっておるわけであります。こういう民間の実態を今度調査の対象にされなかったように聞いておりますけれども、こういう問題は一体どのようにお考えになったのか。
○佐藤説明員 法定外福利費と申しますと、非常に幅の広いことになるわけでございまして、私どもの給与勧告は、大体いわゆる給与といわれるもの、俸給あるいは手当というものを中心として、それを対象にして調べて、それをこうしていただきたいという勧告を申し上げておるわけであります。ただしかし、と申しまして、いま御指摘のようないろいろな福利の関係、これは給与勧告としては取り扱ってはおりませんけれども、これは局からいっても、人事院の局の分担から申しますと、給与局ばかりでなしに職員局のほうにも関係がございます。そういう意味で人事院の総力をあげての問題でございますが、そういう点から調査を怠っておりませんし、たとえば給与勧告の問題で、これは午前中触れましたように、あの公務員宿舎の問題あるいは独身寮の問題などは、住宅手当とうらはらの関係がそのものずばり出てくるものであります。これは給与勧告のたびごとに声を大にして政府当局者にお願いしている。一時は要望書などを書面で総理にお出ししたこともございます。これは午前中お話ししたとおりでございます。その他レクリエーション等々も含めまして、形からいうと、予算要求によって実現させるという面が大部分でございます。また、人事院勧告でその基準をきめる面もございますけれども、給与勧告そのものには乗りにくい、なじまない形でございます。その別途の道としてそういう点は十分われわれとしては努力をしておるつもりでございます。いまおっしゃるとおり、まだまだ民間に比べると低いということは承知しているわけであります。
○斉藤(正)委員 法定外福利費は、直接それは給与ではございませんので、人事院の仕事の対象外だ。対象外ではないということなんですか。——対象になる。やはりこういう点については、私は著しくと言いたいのですが、総裁いま触れましたけれども、なるほど住宅、宿舎の点等につきましては、漸次改善されておりますけれども、少なくともそのほかの法定外福利につきましては、民間のほうが数段進んでいると思うのです。したがって、これらの問題に対しましてももっと積極的に取り組んでいただかなければならぬ、取り組むべきだというように思うわけなんですが、先ほどちょっと私の聞き間違いかもしれませんけれども、もう一ペんその辺確認をさしていただきたい。
○佐藤説明員 先ほど申し上げようが悪かったのでありますけれども、いまいろいろお話に出ております給与勧告そのものの問題としてはわれわれは考えておりませんけれども、すなわち給与局プロパーの問題ではない面が多いのでありますけれども、人事院としてもほかに職員局というようなそのほうの関係の局もございますし、その点については人事院全体として十分関心を持っておる。 それからもう一つは、人事局が総理府にできまして、ことに実施の面については特に人事局が力を入れてくだすっておるようでありますし、われわれのほうはどっちかというと基準のほうの面を受け持っておるわけでございますが、人事局とも今後さらに十分力を合わせまして、御趣旨のようなところへ努力をしたい。これは臨時行政調査会でも実は答申があって、私たちとしては十分その必要性は認識しておるところでございます。
○斉藤(正)委員 第四点として伺いたいのは、諸手当でございます。住宅手当、宿日直手当等につきましては、今回対象に取り入れる勧告をされているわけでありますけれども、なお扶養手当あるいは通勤手当等、これまた重要な手当の内容になっておるわけでありますが、これをことしなぜ対象にしなかったのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
○佐藤説明員 逆になりますが、通勤手当は、昨年各交通機関の相当幅の広い値上げがございましたし、私どもも民間の調査をした上で適切な、適当な通勤手当の改正をやったつもりでございます。ことしはそのような顕著な事実も認められませんでしたので、民間調査も行ないませんでした。したがって通勤手当は据え置きにいたしました。 次に、扶養手当でございますが、実は昨年配偶者の分を六百円から千円に上げました。これも少々私どもとしては決断をしたわけです。すなわち、こういう扶養手当のような種類の手当は、本来筋としては当然本俸でまかなうべきものであって、行く行くはむしろ本俸に吸収さるべき性格のものである。これ自体を取り上げて改正するということはむしろ筋としては逆行するものである。そういうこともございまして、人事院はずっと長い間、何年間もずいぶん長い間扶養手当は据え置きにしておったわけです。ところが去年、御記憶だと思いますけれども、官民格差というのが、ことしは七・九出ましたけれども、去年は一般の予想に比べて決して高くはない数字であったわけであります。それで物価の上がりも相当去年は顕著なものがありました。このままでほうっておいたのでは、やはり生活上の問題があるだろう。はでな言い方でありますけれども、生活防衛の手段というようなことで、いま言ったような筋道とは逆行しますけれども、思い切って配偶者の手当だけを千円にしたわけです。はたして給与専門家の間には相当批判がありましたけれども、私は悪いことをしたとは思っておりません。しかしそれだけやって、ことしの場合は、そのときにやはり民間調査をやっての結果、そういうことでほどのいいところでやっているわけですから、もうことしということはちょっと考えられないことでございますし、調査もいたしません。 そういうことで、ことしは両手当ともそのままといたした次第でございます。
○斉藤(正)委員 了解はできませんけれども、説明はよくわかりました。 最後に総裁に伺いたいことがあるわけでありますけれども、御承知のように、実施の額といい期日といい、なかなか政府はこれをまともにやらないわけなんで、ここにある私の資料を見ましても、過去三十五年以来、一人頭にすると十一万何ぼというような損害を受けている。勧告どおりやったのとやらないのとでは、公務員一人一人たいへんな被害だということがいわれておるわけです。総裁もいろいろな場合、額は示しておられませんでしたようですけれども、ばく大です、たいへんな損害ですというような答弁などされておったようでありますけれども、事実計算をしていきますと、客観的にそういう数字が個人的には出ますし、また総額におきましても何千億という額になるわけであります。先ほどからの総裁の決意のほど、あるいは人事院のあり方といったようなもの、ほとばしり出るものは私はよくわかるわけなんです。したがって、勧告する役所だから、勧告はしたんだから、あとのことはどうも権限にないということもよくわかります。わかりますけれども、今回御案内のように、関係大臣も六人委員会ではほってはおけぬ。ぜひひとつわしも入れてくれということで積極的に七人委員会をつくられたようで、きわめてその取り組みの姿勢だけはいいと思います。そういうことから考えて、もう一度、今日長い歴史を持ってきた人事院のあり方として、特にまた一般企業の春の賃上げあるいは公企業体の皆さんのあの賃上げの姿といったようなもの等勘案しても、今回の勧告はやはり総裁としても異常に決意をされているということを聞いているわけですけれども、ここの辺の点について、もう一度ひとつ全般的なこの実施面に対する総裁の希望意見を伺いたい。
○佐藤説明員 幸い文部大臣もおられますからお聞きいただけると思いますけれども、私どもの希望意見はもう単純明快でございまして、ぜひ五月にさかのぼって完全に実施していただきたい、それに尽きるわけです。午前中いろいろ申し上げましたけれども、私どもの立場は、法律上の義務ではないからとか、あるいは公務員諸君がぜひしっかりやれと言ったからとか、ここで御激励を受けたからそれじゃやろうか、努力しようかというようなものじゃ絶対にございませんで、私ども勧告をいたしました責任者の立場から、これはぜひ完全実施の方向に向かって努力しなければならぬという決意でおりますので、先ほども触れましたように、また国会のお力添えも十分お願いしたい、こういうことでございます。
○斉藤(正)委員 これは総裁でなくてもいいのですが、給与局長の仕事でもないかと思うのですが、「住宅施設および住宅手当の状況」というこの参考資料の一二表ですけれども、これを拝見いたしますと、「住宅手当支給事業所の割合」というところに、「住宅施設あり」それから「転勤あり、転勤なし、小計」、「住宅施設なし」「転勤あり、転勤なし、小計」という詳細な一欄が出ておりまして、「住宅施設あり」の「転勤あり」というところが五五・一%になっているわけです。これは私も、実は自分が考えていた数字よりもかなり高いわけなんです。この五五・一%、あとはこうだと言われると、またそこに議論がありますけれども、少なくともこの五五・一%という数字を見てみますと、今回の勧告において住宅問題をもう少し前向きで取り上げるべきではなかったかというふうに思うのでありますけれども、それは五五・一%だけ見ればそうなんだ、ほかはこうなんですよということなのか、あるいはこの数字を見て何とかお考えになる余地はなかったのかどうか、局長のほうからでけっこうですから、仕事が違うかもしれませんけれども伺いたい。
○尾崎説明員 お示ししております一二表には、御指摘のように民間における住宅手当の支給事業所の割合が載っているわけでございます。御指摘のように「住宅施設あり」かつ「転勤あり」という事業所につきましては、五五%という相当な数字が出ておるわけでございます。 ところで、住宅手当を公務員にも支給するかどうかという点につきましては、大きな考え方といたしまして、民間における手当といたしまして相当普及しておるという場合におきましては、たとえば通勤手当、扶養手当のように普及しておる場合におきましては、これは公務員においても採用することが望ましいことは申すまでもないわけでございます。そういう見地からこの資料を読みますと、いま御指摘のような五五%という数字もございますけれども、一般的な普及度という点を考えますれば、そのほかにもいろいろ数字がございまして、結局全体といたしましては三九・五%という程度になっておるということもまた事実でございます。そういうことを勘案しまして、今回は住宅手当を採用することはしなかったというわけでございます。
○斉藤(正)委員 答弁として聞いておきます。 次に、先ほど大蔵省の給与課長ですか、この勧告に伴う完全実施の場合の予算総額について答弁がございました。勧告書によりますと、これは私の勘違いだったらば是正していただきたいのですが、「(参考)」として、「この勧告の実施に伴い、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員について、昭和四十二年度において必要な経費は、おおむね次のように見込まれる。(一)俸給表の改定に伴い必要とされる経費約二六一億円(二)勤勉手当の増額に要する経費約二三億円(三)都市手当の新設およびその他の諸手当の改善に要する経費約三五億円」締めて三百何億になりますけれども、この数字と、先ほど説明のありました国が要するものが八百九十億ですか、このうち一般財源から七百四十億という答弁との食い違いというわけではないですが、何か私間違っておるかもしれませんけれども、その辺総裁と大蔵省の関係の方それぞれにお願いしたいのです。
○佐藤説明員 一応はごもっともなお尋ねだと思うのでありますが、私どもの書いておりますのは、「この勧告の実施に伴い、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員について、」とまず書いておるわけです。したがいまして一般職の国家公務員の中でも、現業関係、公労委の裁定のもとにある人を除いての四十何万人という人だけを、この勧告を受ける直接対象となる人たちだけについて、また勧告の結果直接に出てくる必要な金額はどうかということを書いたのでありまして、大蔵省のお答えと食い違うのは、これはあたりまえのことでございます。大蔵省はもっと広い面から職員の幅も当然とられておりますし、したがって数字として非常に違うのは当然です。ところで、そういう誤解をどうも招くのじゃないかということで、ことしはわざわざ「(参考)」としてカッコ内に入れましたけれども、しかし、それにしてもそういう誤解を受けるようでは、もうこんなよけいなことは書かぬほうがいいのではないか、かえって安く見せるためにこんな数字を載っけたのだろうというふうにも見られますし、もう明年からはやめようかというような気持ちにいまのところなっております。御了承を願います。
○津吉説明員 先生御指摘のとおり、全くそのとおりでございまして、これは間違いでも何でもないわけです。いま人事院総裁の言われましたのと逆に、大蔵省は財源が多額にかかるということを誇示いたしまして、これは完全実施をはからないという手口ではないかというふう思われる必要はないわけでございます。実はこの人事院と大蔵省の職員対象が総裁おっしゃいましたように一般会計、特別会計ともに一般職職員、これが人事院の対象でございます。ところがわれわれ国家公務員のベースアップの所要額として算定をいたしますと、その際には防衛庁の職員でありますとか、あるいはもっと偉いところの大臣等もこれは特別職というわけで特別職の職員となっております。それから常勤職員、補助を受ける補助職員、それから最も重要な問題と見られる部分でございましょうが、義務教育の国庫負担金、これもベースアップ分が算定されております。それから地方団体につきましては、これは国家公務員に準じてベースアップがされるならばどうであるかという前提がございますけれども、これは国に準じてベースアップをしたならばこうであるという推定をした所要額が加わっております。それからそれ以外に、これはこまかい話で恐縮でございますけれども、本俸を改定いたしますと手当等にはね返るわけです。そのはね返りの範囲を、人事院でごらんになっておりますところと、われわれのほうでいいますと、たとえば防衛庁関係の特殊な手当がございます。これは航空手当とか落下傘の隊員手当とか、そういうものにはね返る。それから最も大きなのは共済組合の国庫負担金があります。これが、俸給が上がりましたならばそれに対応する、御承知のように一五%国負担、事業主負担としての四二・五%ということで、その割合ではね返ってくる。こういう範囲が入っておりますので、これは違うのが当然でございます。
○斉藤(正)委員 了解しました。 文部大臣が地方行政のほうへ行かれるそうでありますので、簡単にちょっと伺いますけれども、先ほどもちょっと触れましたけれども、今度の人事院勧告に対する完全実施について異常な関心を持たれ、熱意を持って臨まれているということに対しましては、当然のことでありますけれども、敬意を表しているわけなんです。幾ら六人委員会へあなたが加わって七人になりましても、これが結果的には九月であるということではへにもならぬと思うわけであります。あなたが入ったならば入っただけのことが具体的に出てこなければ、あなたの評価にもなるわけなんで、私は非常に関心を持つと同時に期待をしているところであります。したがって、これはもう勧告どおり、額においても時期においても値切らないというのが総裁が先ほどから強調されておられるたてまえなんです。一体文部大臣はどういう決意をもって七人委員会へ臨んでおられるのか、前々から聞いておりますけれども、さらに最も新しい心境のほどを伺いたい。
○剱木国務大臣 今回、三月から四月におきまする一般の民間のベースアップの問題、引き続いて三公社五現業のベースアップの問題がございました。あのときにおきまして、これは閣内における話し合いでございますが、できるだけストライキがなくてベースアップのできる労働慣行というものを立てたい、こういう希望で話し合ったわけでございます。その際、私どもは三公社五現業までこれはストライキなきベースアップの一つの慣行が打ち立てられるならば、当然に国家公務員につきましても、ストライキを禁止されたこの国家公務員につきまして、この人事院勧告について相当決意をもって臨んでもらいたいということをその当時話し合いをいたしておったのでございます。今回人事院総裁——人事院総裁をここに置いておりますけれども、私といたしましては微力ではございますけれども、やはり国家公務員としてストライキにかわるべき人事院の勧告でございますので、これをこの際全面実施の慣行にぜひ私どもは持っていきたい、これは私、微力でございますからどの程度がんばれるかは結果でごらんいただくよりしかたがないと思いますが、私としてはそういう決意をもって六人委員会に一人加えていただくということの発言を特にいただきましてまいったわけでございます。一応私の決意を申し上げまして御了承願いたいと思います。
○斉藤(正)委員 文部大臣、けっこうです。 引き続いて関係当局に伺いたいわけでありますけれども、大蔵省の考え方はわかったわけですが、先ほど唐橋君の質問に対して、完全実施の場合は財源はこうこう、九月実施の場合はごうごうと、何だか九月実施というようなことを予定しているような発言だが、九月実施ならどうこうと聞いたわけではないのだが、気をきかしたのか頭の中に既成概念があるのか知らぬが、九月ならばごうごうというような説明がありましたけれども、そんなことはあまり言わぬほうがいいと思うので、完全実施の場合にどうなんだということをぜひいつも頭に置いてものを言ったり行動してもらいたいと思うわけでありますけれども、それにしてもことしは税の伸びもこれあり、自然増収数千億といわれているのですが、三千億でも数千億の一つだし、八千億でも数千億の一つなんだけれども、あなたの答弁できる範囲内において、省内で自然増収このくらいと聞いておりますというようなことを責任ある立場でお答え願いたいと思うのですけれども、その点どのように把握されておられますか、伺いたいと思います。
○津吉説明員 別段九月実施を前提にして申し上げたわけではございませんで、従来九月実施ということがありましたものですから、たとえばやりましたらこうなるのだということで気をきかしたのでございますが、完全実施ということを考えないでという意味で申し上げたわけではございません。 それから、自然増収の問題でございますけれども、これは責任ある立場で答弁をしろということになりますと、まことに恐縮でございますけれども、私自身税収の問題というのは実は担当いたしておりません。しかしながら、一般にいわれておりますように、自然増収というのは多いようでございますけれども、反面、先ほど来勧告の時期、それを実施する方式ということに関連いたしましていろいろな議論が出ております。これはすでに本院の大蔵委員会におきましても、大蔵大臣としても完全に実施する、人事院勧告を尊重するという態度は変わらないわけでございます。しかもいまから申し上げますような、財政及び国民経済に関連する重要な問題としての給与改定というものを扱います場合に、御承知のように国債発行の減額云々というような問題もございますし、公定歩合の引き上げあるいは財政投融資の繰り延べというような問題もございます。そういうものがいかに総合されて行なわれるかという点でありますけれども、そういういわば景気調整のしわを給与にだけ寄せるつもりはないということで、先ほど対比して議論が出ましたけれども、三公五現といういわゆる公労法の適用を受ける対象職員との関連におきましても、これは四月からできるだけ実施したいという態度は、大蔵大臣としても持っておるわけであります。ただし、その際に問題になりますのは、重複して恐縮でございますけれども、財政、国民経済というものを全般に運営する立場における政府が、いかに総合勘案して実施の態度を決定するかということでございます。単に財源の問題ではなくて、経済の見通しを立て、もちろん九月決算の税収の見通しということが直接の問題にはなりますけれども、財政政策、経済政策を長期的にも考えて、いかに対処するかというような点で、直ちに金が余るではないかという議論には相ならぬのではないかと思うわけでございます。
○斉藤(正)委員 財政問題全体につき、あるいは景気調整の問題をここであなたと論議するつもりもありませんし、またそれにしては場がちょっと違うと思いますけれども、この公務員の給与を景気調整の一つの安全弁にするというような考えは毛頭ないわけではない、やはり悪いときにぶつかってしまった、このままではなかなか容易でないという空気は洞察できるわけでありますけれども、一方には、いまあなたから言われたような形での三公社五現業との関係もあるというようなことで、非常にむずかしいことはわかります。むずかしいことはわかりますけれども、少なくも先ほど大臣からも言われましたように、三公社五現業がああいう形で終結をし、春の民間企業がああいう形で賃上げが完全実施をされておるという形で迎えたこの人事院勧告の実施でありますから、この点につきましては十分大蔵当局も配慮をすべきだというように考えるわけであります。 そこで関連をして、当然この国家公務員に対する人勧実施の問題は地方公務員にも準用されていくことは当然であります。自治省の関係の方がお見えだと思いますので伺っておきたいわけでありますけれども、私ども地方自治体に関係した者がいつも要請をしたことは、地方公務員の賃金改定に伴う財源の補てんを国が十分見てほしいということであります。いつも毎年のようにこれを議会は決議をし、当局もまた強い要請をしてまいったわけでありますけれども、これが完全実施という場合、やはり自治省の各都道府県に対する手当てあるいは市町村に対する手当て等々については、非常に大きな問題になってくると思うのであります。基本的にこの問題につき、地方公務員にまでこれが及ぶ際の自治省のその財源確保に対する考え方、また具体的な措置といったようなものについて伺いたいと思います。
○横手説明員 従来から、国家公務員につきまして給与改定が行なわれました場合、地方公務員につきましても国家公務員に準じましてその実施が行なわれてきておるところでございます。本年度も給与改定が決定になりましたならば、地方公務員につきましても国に準じて行なわれることになると思います。その場合の財源でございますが、地方税並びに地方交付税につきましてもある程度の増収が期待できる現状にございますので、本年度につきましては適切な財源措置をとることができるものと、かように考えております。
○斉藤(正)委員 大体以上で私の質問を終わりますけれども、文部省関係で、先ほど唐橋君の質問に答えられた例の超勤手当の問題と、それから学校警備員の問題でございますけれども、宿日直の完全廃止という方向へ向かって進んできたのだけれども、どうもいまだに省内の考え方がまとまっていない。警備員でいくのだという考え方ではなくて、施設整備の補助として予算要求をしている。これは宿日直の問題ですけれども、というように受け取れてしかたがないのですけれども、その場合には、やはり九千校については無人学校というような形に実際にはしていくのかどうなのか。無人学校ということになりますと、これは地域社会の学校に対する認識というのがきわめて強いものがあるわけですけれども、もう一ぺんひとつ省内の考え方を承りたい。 たとえば代行員ということが先ほど出ましたけれども、先生が泊まるやつが、先生がかわっても代行だなんて、そんなばかな。先生のかわりに第三者が泊まって代行なんですね。先生のかわりに先生が泊まるなんていうことはあり得ないですよ。それを現実にやっているところがあるし、あるいはやろうとしている。こういうのですけれども、そういう点についてどういうお考えを持っておられるのか、審議官からひとつお答え願いたい。
○今村説明員 学校の施設設備の保守、管理は、学校の設置者である公共団体の責任であるという考え方をしておるわけでございます。そして昨年年間の実態調査の結果を見ますと、先ほど局長が申し上げたとおり、その保守、管理の態様は区々である。そして四十一年の五月の衆議院文教委員会の学校警備員小委員会の報告もございまして、小規模学校の宿日直の負担軽減については特に緊急の措置を講ずべきであるし、宿日直全体の問題についても根本的な検討を行なうべきであるという御趣旨を体しまして、教育委員会といろいろ相談しました結果、その区々である宿日直の態様がさらに動いていくであろう、こういう見通しを持っておるわけでございます。その動きを来年度について考えてみますと、約三分の二の学校については依然として宿日直が行なわれるであろうし、その他の学校については、従来とは違った保守、管理の態様があらわれるであろうということを前提といたしまして、予算の裏づけを考えてみたわけでございます。 ところで、その無人化ということばは、先ほど局長もお断わり申し上げておりましたが、私どもが使っていることばではないわけでございまして、現在小中学校で教員住宅が学校の敷地内にある学校が約七千校ございます。それから、用務員その他が一週間学校に寝泊まりしている学校が一万六千校もございます。したがって、それらの範囲内における九千校を、物的な設備を講じて教員の宿日直の負担を軽減していっても、いわゆる文字どおりの無人化ということはあり得ないわけでございまして、地域住民の期待にもこたえ得るのではないか。来年度そういうことを見通して予算措置をしておりますわけで、再来年はその来年の動きを見た上でさらにまた考えていきたい、かような気持ちでございます。 それから代行員でございますが、教員が宿日直をやめて教員が代行しているなどということは、私ども毛頭考えていないので、先ほど唐橋先生の御質問で多少びっくりしたところでございます。教員の仕事を第三者がかわるからこそ代行員であるということは、まさにいま先生のおっしゃるとおりに考えて、先ほど局長が申し上げたとおり、その代行員の賃金について自治省と折衝を開始しようとする段階である、かようなところでございます。
○斉藤(正)委員 了解。
○床次委員長 井上泉君。
○井上(泉)委員 たいへん委員会として審議の時間のないところを恐縮ですけれども、一、二お尋ねしたいと思います。 今年度の普通交付税の交付の中で、後進市町村の財源を充実するため、小学校、中学校費のうちの学校数の測定単位に対して大幅な引き上げをやり、さらには僻遠地補正の算入額の増額をはかったということ、このことは後進地域における——聞いておるですか、審議官。私はいまどう言ったですか。
○今村説明員 後進地域における学校の統合が行なわれた場合の普通交付税の財源措置について特段の措置を講ずることについて、いま御質問が始まったところだと理解いたしております。
○井上(泉)委員 それは質問が始まったところですけれども、また二度も繰り返さなければいけないから、よく聞いておってください。 それでは、交付税の額が非常に引き上げられたということは御存じですか。
○今村説明員 承知いたしております。
○井上(泉)委員 これはいかなる理由によって引き上げられたのか、その理由というものをあなたはいまとうお考えになっておるか。——それがわかっていなかったら学校教育の指導行政はできないじゃないですか。どういうわけで後進地域の小中学校の学校数に対する交付税の単位費用の引き上げをはかったのかという、その理由がわからないですか。
○横手説明員 私、交付税課長でございますが、先生の御質問にお答えしたいと存じます。 本年度、後進市町村対策といたしまして、教育費の中の特に小学校費、中学校費、これの単位費用の充実とか、あるいはその他農業行政費等におきましても、単位費用の充実、あるいは補正の改善、合理化、こういったことを行なっております。これは、御承知のように最近市町村におきましては人口が流出いたしまして、過疎問題その他生じておりまして、相対的にこれらの市町村におきましては、投資効果の低下を招いておりましたり、あるいは財政構造の面におきまして硬直化の傾向が見られるわけでございますが、そうした現状を考えまして、こうした費目につきまして、それぞれ後進市町村対策といたしまして費用の内容を充実いたした次第でございます。
○井上(泉)委員 そのくらいのことは、文部省の審議官の方は承知をしておらないと困ると思います。市町村の学校教育を指導する上において、財源というものは一番大切なものです。そういう過疎地帯のものはどうするかという、そういうことの理解がないから学校統合ということに無理な押しつけをするのじゃないかと思うのですが、学校統合についてはどうお考えになっておるのですか。
○今村説明員 現在、小中学校の児童生徒がだんだん減少してまいりまして、特に中学校等では、現在の学校教育法で期待しておるような学校教育もできないほど小規模になっている学校もございます。そこで、そういう学校を管理しております教育委員会におきまして、学校を統合して教育効果の向上をはかりたいという希望が出てきております。そういう地域におきまして、それぞれの地域の実情に応じて教育効果を高からしめるために学校統合が企画されておる、かように理解いたしております。
○井上(泉)委員 学校統合がそういう形で行なわれるというように理解をされるのでなしに、あなたのほうが無理な学校統合をしいておるから、市町村の教育行政が至るところに混乱を起こしておる、こう私どもは解釈をしておるのです。せっかく自治省が地方行政の混乱を来たさないために、そういう過疎地帯の学校数に対しては交付税の測定単価を大幅に引き上げている。あなた、中学校費が一校について幾らになっているか御存じですか、御存じないですか。別に答弁要らないですけれども、知っているかいないかということだけ。
○今村説明員 中学校の大きさによりまして区々さまざまです。
○井上(泉)委員 大きい小さいは関係ないですよ、いなかのほうでは。時間をたいへんとりますから……。これは文部省の初中局長やあるいは審議官が、一校について、市町村の財政需要として自治省がどれだけ把握しているかくらいのことは、常識としてわきまえていないと困るのですよ。そういうことだから地方行政というものが学校統合で混乱をしておるのです。一校について九十三万八千円。これは一万人の生徒であろうと、千人の生徒であろうと、五百人の生徒であろうと、五十人の生徒であろうと、一校について九十三万八千円。学級数について十七万一千円。こういうふうな自治省としては地方財政に対する配慮をされておる。だから山間地帯においても、小学校でも中学校でもどうにか経営がやっていける。そういうふうな実態を見きわめず、一方から学校統合をしいるからこういう混乱が起こるわけです。ある町村なんかでは、学校統合を文部省からやかましく言ってくる。ところが学校統合すれば市町村の財政が大きな赤字になる、こういう状態があるわけですから、この辺もっと勉強してもらいたい。委員長も注意しておいてもらいたい。 そこで、そういう現象の中で高知県の越知町の野老山中学校の統合問題がある。非常に混乱をしておるということ、これは御存じですか。
○今村説明員 伺っております。
○井上(泉)委員 伺っておるということだけではなくて——私は時間がないから言うわけですけれども、四月から始まった新学期もそのままの状態ですよ。約半年間こういう状態が続いておる。このことは承知しておると思うのですが、それについて県教育委員会では、過般の八日の日に、「郷立野老山中の生徒の進級、卒業は認められない。」こういっておる。郷立中学校という制度があるのですか、ないのですか。
○今村説明員 郷立中学校という意味がわかりません。
○井上(泉)委員 意味がわからないと言うが、私はこの文教委員会に初めて出てきて、専門外ですからわからないですけれども、高知県の教育委員会が出しておるのですよ。郷立野老山中の生徒の進級、進学は認められない。つまり四月六日から郷立の中学校をつくって、学校統合に反対をする生徒がそこで授業を受けておる。それが夏休みが終わっても、依然として解決しないでやっておる。それについてこの九月八日の日に県教委が、この郷立野老山中学校は進級、進学は認めないと、明らかに郷立の中学校として表現をしておるわけです。そこに問題があると思うのですが、これが私は意味がわからない。郷という字を書いた郷で立てた中学校、こういう制度はあるのですか、ないのですか。
○今村説明員 学校教育法によりますと、小中学校を設置するのは市町村でございますから、郷立中学校というのはもぐりか何かじゃないかと思います。
○井上(泉)委員 そのもぐりを県教委が認めておるでしょう。これに対して文部省は府県の教育委員会に対しては、私から言うまでもなく文部大臣及び教育委員会相互間の関係は、第四十八条にも第五十二条にもちゃんとあるでしょう。府県に対しても市町村に対しても、文部大臣はいろいろなことができるようになっておるのでしょう。野老山中学校はあなたのことばをかりればもぐりかもしれない。県教委が言えば郷立の中学校、これで一学期間やってさておいて、そしていまそれを認めないというようなことをして、問題を解決さそうとしない。問題を解決しないで、一方的にこういうふうな県教委の通達によってこの紛争解決をさそうとすることについて、現在まで文部省はどういう措置をとられたのですか。
○今村説明員 ちょっと初めにお断わりしておかなければならぬと思うのですが、何か先生のお話と私が答弁する立場とで、前提に非常に食い違いがあるような気がいたします。と申しますのは、文部省が学校統合を無理じいにやらせておるという何か先生の前提があるようでございますが、私のほうの考え方は、そういうことは全くないということでございます。したがいまして、その辺でどうも話が何から何まで食い違うようでございますが、郷立中学校というのは現在の法規にはない学校ですから、ことばは悪いですが、もぐりだと言うのが一番正確だと思うのです。そういうもぐりを県の教育委員会が認めているはずがないのであって、県の教育委員会では、だれが郷立ということばを使ったか知りませんが、そういう郷立中学校を終えた者に対しては進学の資格はないと答弁するのが、きわめて正確じゃないかと存じます。
○井上(泉)委員 それでは文部省としては、学校統合とかいうようなことについては、別段学校統合を慫慂しておるものではない、こう理解をしておって間違いないわけですね。
○今村説明員 学校統合につきましては、地域の事情によりまして、教育効果をあげる上にきわめて望ましい場合が多うございますので、学校統合につきましては学校建築の補助金等を出しておるという立場はございますが、無理じいに押しつけておるという立場は毛頭ございません。
○井上(泉)委員 学校建築をさすとかいうようなことについて補助金を出すから、おまえのところは統合せよとかいうようなことは言っていないわけですね。統合しろとかいうようなことは言ってないわけでしょう。
○今村説明員 統合を無理じいしておるということは毛頭ございません。
○井上(泉)委員 それでは野老山中の郷立ということばは県教委が使っておることばですが、これはかりにあなたの言われるもぐりかもしれぬが、ここには五十人くらいの生徒がおって、学校統合に反対をして、あくまでも統合先の中学校へ行くのがいやだから行かない生徒が残って、郷立中学校として正規の教員の免許状を持った者で堂々と授業をしておるのです。堂々と授業をしておるのでありますから、だから県教委は郷立中学校と言っておる。それをそのままほっておいて、今度はその郷立中学校の卒業生には進学、卒業は認めないというような一方的な通達。そうしてその五十人の中には、半数の二十人くらいは統合した学校に行っておる。そこの地域の、百八十戸ぐらいの一つの部落の中学校の生徒が二分されて、部落が二分されるようなかっこうになって、子供がそういうかわいそうな状態の中に置かれておるのですが、それについて文部省が何らの措置を、行政的な指導をとらなかったということ、私はこれはたいへんおかしいと思うのですが、全然とらなかったですか。
○今村説明員 文部省としては特に措置はとっておりません。
○井上(泉)委員 それでは、そういう状態がそのまま放任されておっても、何ら文部省としては学校教育法に定められた法律上の行為というものをしないのですか。文部省は全然するつもりはないですか。
○今村説明員 そういう事態があることは伺って、子供たちのために非常に不幸なことであると思っております。ただ、県の教育委員会を通じまして事情を伺ってみますと、この越知町という町の教育委員会で、私どもがその統合の反対派を説得し、何とか学校統合の円満な実現を期待するために努力中であるから、県の教育委員会もあまり口出ししないでくれ、地元にまかしてくれと言っておるような模様でございます。それに対しまして県の教育委員会は、放置はしておけないので、義務教育課長を訪問させて強力に指導をさせておるというような事態でございます。したがいまして、国がいまこれに口出しするというようなことになりますと、かえって地元の混乱を激化させるだけの効果があって、円満な事態へ導くには逆な効果になるのじゃないかと思いますので、国としては特別な措置をとっていないわけでございます。
○井上(泉)委員 それはあなた、そんなにじょうずに言われるけれども、そんなものじゃないですよ。県教委は一ぺんも現場へ行ってないですよ。私八日の日に、越知町のこの学校の問題で行ったけれども、県教委も何にも一ぺんも来ていないですよ。役場の人が一生懸命回って父兄との話なんかいろいろしておるのですけれども、こういう威圧をする、圧力をかけて卒業を認めないとかなんとかということではなしに、子供をしあわせにする立場から、この学校統合の問題というものをきっかけに起こった——同盟休校でないですよ。片方では県教委が認めた郷立中学校というものがあるのですから、同盟休校でも何でもない。何もこんなような通達ではなしに、もっとあたたかい思いやりの中でこの問題を解決する道がありはしないか。それらについては、やはり文部省のあなた方がもっと現地の実情というものを把握する必要がありはせぬか。その点についてはどうですか。
○今村説明員 現地の模様は県の教育委員会を通じて伺っておるわけでございますが、特別に文部省が手を出さないのが一番いい方法であろうと、こういう判断を持っておるわけでございます。
○井上(泉)委員 あなたは初めに何も承知していないように言ったじゃないですか。県の教育委員会を通じて知ったとかいま言うのですが、それではいまどうなっておるのですか。県の教育委員会は知っているというなら、いま野老山というところの郷立中学校はどうなんですか。これは四月の始業式はどこでやってどうやったか御存じですか。
○今村説明員 報告を受けておるところによりますと、統合に反対をする野老山地区の住民がことしの四月六日、住民が郷立と称したわけでございますが、郷立と称して野老山中学校の入学式を行なって以来教育を続けておる。その地区の子弟数総数約五十人である。教員は正規に採用された教員ではなくて、免許状は持っておるけれども、県教育委員会の任命を受けた教員ではない者が、いわゆる民間人がその郷立中学校で教べんをとっておるという形である。経費としては地区の住民が分担をしておる。そして県の教育委員会は六月一日に義務教育課長、人事班長を町へおもむかせて事情を聞き、指導助言をしておるけれども、現在のところ野老山地区住民を説得するに至らず、九月の八日には町教委の質問に応じて、いわゆる郷立中学校を終えた者の進学資格については否定的な回答をした。まだ解決に至っていない。かような事情を伺っておるところでございます。
○井上(泉)委員 これは非常に時間をとりますから、私多くを言ってもつまらぬですから、今度は次の文教委員会でまた委員長の許可を得て質問をいたしたいと思いますけれども、これはこのままの状態だったらおそらくここ幾月も、今年じゅう解決する見通しは全然ないですよ。それでも中学校三年の生徒もおる。二年の生徒もおる。それを県教委が認めないというような形において、文部省のほうとしてはそのまま、県教委から言ってこないから何もやらないとかいうようなことで済む問題ですか。県教委から言ってこないと文部省としては一切口出しする資格がないのですか。
○今村説明員 県教委から言ってこなくても、事情によっては文部省が積極的に指導助言をする場合もございますが、今回の事件についてはその必要がなかろうと思っているわけでございます。
○井上(泉)委員 なかろうと思うということは、それは、あなたらは表では合併を慫慂していない、裏では合併を強要しているというような印象を地域では受けておる。現に合併することについて町村が大きな財政のマイナスになるのですからね。一校で、野老山中学五十人の生徒でも、交付税法の中でいえば、基準財政の需要額からいえば百三十万も百四十万もあるのだから、その百三十万も百四十万もあるものが減るということになると、これは町の財政にとってはたいへんなことになる。それを文部省がやかましく合併を言うから、だから合併問題が起こってきて、こういう混乱が生じてきておる。そこのところを私はもっと理解をしてもらいたいと思うのですがね。四月、九月の始業式はその地区の公民館で堂々とやっておるし、学校は免許状を持った者でやっておるし、これに対して県教委が卒業、進学を認めないとかいうような見解を出すということは、県教委としてはまことに不都合千万なことだ。郷立中学校というものを認めておって、これは認めてないとしても、郷立中学と称するといいましても、郷立中学校と言っておるのだから、そういう事態に対して、県教委から何も言ってこないし、文部省が口出しする必要はないというような考え方というものは、私間違っておると思うのです。郷立中学校として、もぐりであろうが何であろうが、郷立中学校として、正規の教員給料はもらっていないけれども、教員資格のある先生が堂々と教育をしておるのだから、そうすればそれに対してその生徒を、こういう形で県教委が強圧的に通達をすることによって問題が解決すると考えるのはたいへんな間違いだと思いますが、それを文部省としては県教委の方針を是認をしてそのままほうっておくのかどうか。第二の森事件が発生する——森事件御承知と思います。第二の森事件が発生するかもしれない、こう町の人は言っておるんですよ。それをあなたは、ほんとうに認識不足もはなはだしいと私は思うのですが、どうですか。
○今村説明員 何かやはり話の前提が違っているように思うのです。
○井上(泉)委員 それは合併統合を強要してなくてもいいですよ。しかし、現実にこの問題が、一学期がそのままだったから、二学期もおそらくそのままでも、文部省はまだ県教委にまかせておくほうがいいとお考えになっておるのかということです。
○今村説明員 一学期も二学期も解決がつかないということは非常に残念なことであり、子供のために不幸なことであると思います。しかし、この問題に県の教育委員会以上に文部省が関与いたしますと、騒ぎはいよいよ大きくなるであろうということを、過去のいろいろな体験から感じております。むしろ、この際口出ししないほうが解決が早いのじゃないかという判断をしておるわけでございます。
○井上(泉)委員 私は非常に残念です。かりにそれだったら、これはもぐりでやっておるとあなたが認めた場合に、そうすれば父兄は義務教育を受けさす義務があるでしょう。県教委のように、これがもぐりの学校であって義務教育でないと考えるならば、半年間も、義務教育を受けさす義務のある父兄が義務教育を受けさしてないということに対して、これに県教委が何らの措置をとっていないことに対して、文部省としてはこのことについては何も感じないですか、半年間も義務教育を受けささない親があるとするなら。
○今村説明員 半年間も義務教育を受けるべき義務を親が怠っておるということは、これはその親自身がまず知っている、いけないことだと思っておることだと思います。それから県の教育委員会もそれはいけないことだと思っている。だからこそ県の教育委員会は、先ほど申し上げるように通達も三回ほど出しておりますし、現地に課長ないし班長を派遣して、大いに説得しておるということでございます。これを法規からいえば、就学義務を督促しなければならないわけですが、また地元のそういう状況があるので、そういう形式的なことをやってみてもしかたがない。そこで町の教育委員会が一生懸命になってやっておるし、さらにまた県の教育委員会も、いま申し上げるようなこともやっておるのだ、かように考えております。
○井上(泉)委員 もうおきますけれども、通達をあなたは何回出しておると思うのですか。どんな通達を何回出しておるか。それと、そういうふうな義務教育を、就学させなければならぬ親の義務を怠っておるようなことについては、まだ一言も触れた通達なんかないですよ。それで町教委だけを対象にするから、町教委と父兄との間の接触を深めるような県教委の指導は何もないのです。何べん通達を出しておるのですか。
○今村説明員 県の教育委員会からは、報告によりますと三回通達を出しております。
○井上(泉)委員 半年間に三回でしょう。その内容を言ってみなさい。
○今村説明員 内容の詳細までは存じておりませんけれども、校長や教育長から出席を督励するようにという趣旨の内容のように伺っております。
○井上(泉)委員 それは町教委に三回出したのです。 以上たいへん不十分です。こんなふまじめなことは、文部当局の考え方は、私は憤慨にたえぬです。こんな、学校の統合で五十人もの生徒が半年にわたって混乱をしておるのに、これに対してのんべんだらりと県教委にまかしてある。県教委はどうしたかといえば、三べん通達を出しただけだ。現地に一向行ってない。こういうことで野老山中学校の問題が解決すると思ったらたいへんな間違い。これは高知県のわずか五十人の生徒ですけれども、こういう教育行政のあり方というものが今日の日本の教育行政を混乱さしておる大きな原因だと思います。私はたいへん不満でありますけれども、次の機会に委員長の許可を得てあらためて質問したいと思います。
○床次委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十五分散会