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56回国会衆議院1967/08/02

物価問題等に関する特別委員会 第2号

発言数
184
登壇者
12
会派数
3
開催日
1967/08/02

会議録

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 これより会議を開きます。  物価問題等について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。木原実君。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 消費者米価の問題につきまして、経済企画庁長官にお伺いいたしたいのでございます。  御案内のように、消費者米価の値上げ問題が間もなく出てくるわけでございます。この米価の問題というのは、長官御承知のように、いろいろ多面的な要件があるわけでございまして、何といいましても物価問題としての米価、あるいは財政問題としての米価、あるいはまた食糧政策、農業政策としての米価ないしは食管制度に関しての米価問題、こういうふうな形で米価問題が出てきておると考えるわけであります。  そこで、長官にお伺いしたいわけでございますけれども、物価という観点、政府も物価抑制ということについて、あるいは物価安定ということについては、それなりの努力を払っておられるわけでございますけれども、そういう中で、一体消費者米価が間もなく上がるという既定の事実のような問題があるわけであります。したがいまして、最初にお伺いいたしたいわけでございますけれども、物価を安定させるという見地から、消費者米価の値上げという問題についての長官の御見解を、ひとつ最初に伺っておきたいと思うのですが、いかがでございましょう。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 消費者物価の安定という見地からは、もとより米の消費者価格が安定しておるということは最も望ましいことだと思います。ただ、木原委員が前段で言われましたように、米価の決定そのものは、非常に多面的な意味合いを持つものでございますから、生産者米価なりあるいは消費者米価なりが、安ければ安いほどわが国全体のためによろしいということは、必ずしもすぐには結論できないわけであります。しかし、消費者物価だけを取り出して考えれば、もとより米価が安定しておることはきわめて望ましいと考えます。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 長官にお願いをしたいのですが、この委員会では別に追及するというようなことではなくて、できれば腹を割った話し合いの中で、お互いにむずかしいところに差しかかっておる米価問題のようなものについて、何らかの解決を見出したい、こういう意図でございます。したがいまして、特に物価の問題を追跡してまいりました当委員会としましては、米の問題というのは何といいましても物価の王さまでございます。しかも、国民の生活にとりまして至大の影響を持っておる、これは申すまでもないことなんです。ただ、そういう中で、すでに予算上一四・四%という値上げの問題が、ほぼ内定しておるような状況なんですけれども、一体、この一四・四%の値上げ幅について、これを、物価を安定させるという見地から、何かやはり考える余地はないのでしょうか、いかがでしょう。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 腹を割ってというお話で、私もそうさせていただきたいと思いますので、多少冗長になりますけれども、その前段に考えておりますことをお聞き取りいただきたいと思うのでございます。  つまり、わが国の現在の農業就労人口は二割二、三分になるわけであります。あるいは農村人口といわれておるもの、これは三割近いわけであります。それが現在そういう姿であるという現状を考えますと、国民経済全体からいって、その人たちが毎年所得を向上させていくことが、私はやはりきわめて望ましいというふうに考えます。それは格差を広げないという観点からも、また日本経済全体の中での三割といえば、相当大きな購買力でございますから、それを伸ばしていくという見地からも望ましい面を持っておる、私はこう考えております。しかも、いわゆる生産性向上による所得の上昇ということが、わが国の農業の事情から考えてきわめて限られておりますから、勢い現段階では、かなりのウエートを価格政策にかけざるを得ない。これは私はやむを得ないことだと考えております。他方で、私どもの気持ちでは、生産者米価の上昇分すべてを食糧管理特別会計が、いかなる状況のもとでも負担していけるか、いくことが適当であるかといえば、必ずしもそう考えません。ある程度は、やはり消費者が負担していくということはやむを得ないことであろう。基本的にはそういう認識に立ちまして、今年度の予算編成に際して、十月から一応一四・四%という予算米価を組みますことに、私も賛成いたしたわけでございます。それは、一つは生産者価格を上げたことの結果でありますし、もう一つは、食糧管理特別会計の赤字負担をある程度の限度でとどめたい、こういう考えの総合でございます。  しかし他方で、消費者米価をかりに一四・四%上げるということになれば、これは消費者物価問題の面からいえば、御指摘のように相当な影響がございます。やはり米価というのは国民生活の一番の中心になるものでございますので、それが一四・四%上がるということは、消費者物価の観点からは、かなりの影響があるということは認めざるを得ません。  他方で、さらに進んで、いわゆる内地米に準ずるような、相当国民の嗜好に合うような米を輸入することができないのが、輸入した場合に、どれくらいの価格で輸入できるのであるかという問題は、現実に存在しております。これは消費者の観点だけからいえば、おそらくそうすることが望ましい。しかし生産者の観点からいえば、それが一定の限度を越えますときには、勢い相当な脅威を与えることになるわけでございますから、その限度なり方法なりというものは、これは微妙な問題で、慎重にきめなければならないと思いますが、しかし、そういうことも適正な限度では考えていかなければならないのではないか。これは米をめぐる問題全体を考えまして、そのような感じがいたしておるわけでございます。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 長官が前段お述べになりましたことは私どもも見解がありまして、時間がありましたから少し議論をしたいところなのですが、ただお伺いしたいのは、一四・四%、これはすでに内定した値上げ幅なのですけれども、物価政策の面から見て、そうでなくても物価が上昇機運になっているわけですから、それに、やはり一四・四%の値上げ幅というものは、在来の消費者米価の値上げ幅としましても未曽有のものなのですね。これは相当な値上げ幅になるわけなので、そうしますと、せっかくの物価、安定の努力が、米の一角から崩壊していくという印象を免れないわけなのです。そういうウエートを持つと思うのです。ですから、私が主として長官の御見解を伺いたいのは、生産者側のこともおっしゃいましたが、これは、米の価格を生産者と消費者のほうできめていくという場合には、当然考えられなくてはならぬことですけれども、もう少し問題をしぼりまして、いわゆる物価を安定していくという観点から見て、一四・四%の値上げ幅というものが一体いかなる意味を持つのか、あるいはまた一四・四%という値上げ幅は、その衝に当たる立場で検討すれば、これでもまだ足りないだろうし、あるいは財政的見地からすればそういうことでしょうけれども、お互い政治家ですから、政治的な立場から物価を安定する努力を続けるのだ、こういう観点から見た場合に、一四・四%というその値上げ幅というものは何としても大き過ぎるのじゃないか、すべての物価安定の努力というものがこの一角から崩壊していく、こういうウェートを持つようなものである、そういう印象を私は持つわけなのです。  そこで、全体として物価の安定、調整の任に当たられる長官として、そういう米の値上げ幅について、たとえば一四・四%以上は困るという御見解か、あるいはもうこれは財政当局の方針等もあって、事情等もあって、あるいは一五%、一六%も上げなくてはならぬという場合も、これはやむを得ないということになるのか。それとも、われわれの要求としては据え置いてもらいたいというわけですけれども、せめて一〇%以下に押えれば、物価政策としてはいろいろな面で均衡がとれるのだ、こういうような何か御見解はございませんか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 確かに一四・四%という数字は相当大きな数字でありますが、御承知のように、前回消費者米価を引き上げましたのは昨年の一月でございます。したがって、その後に生産者米価の値上げが二度あったことになるわけでございます。あったことと申してはちょっと正確ではございませんが、今回の二万九千五百二十一円を含めますと二度あったことになるわけでありますが、そういう意味合いで一四・四%というものを私ども考えておるわけです。予算で一四・四%を十月からという想定を組みました段階で、これは本年の二月、三月ごろですが、私としては、諸般の情勢上やむを得ないであろうということを考えました。いまもそう考えております。  しかしその後に、先般新しく生産者米価がきまったことによって、さらにこの一四・四%をこの十月から引き上げることが適当であるかどうかということについては、政府部内ではまだ最終的な結論はございませんが、先ほど御指摘のように、消費者物価の安定という見地からいえば、私は、これ以上今回消費者米価を引き上げることは適当ではないと思います。一四・四%でも、実はもっと低ければそれだけよかったはずでございます。これは、私は決断をしたのでございますから何も申し上げませんか、それ以上ということになりますと、おそらく国民各位もそういうふうには考えておられないと思いますし、私といたしましては、一四・四%以上のものを今回上げるということは、適当ではないというふうに考えております。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 私は、いまの政府部内を見渡してみまして、財政当局もそれから農林省からも見えておりますけれども、これは宮澤経企庁長官あたりにがんばってもらいませんと、おそらく財政的な見地から見れば、もっと安易な方法で、赤字補てんという名目で、消費者に負担をかぶせてくるというやり方が十分に考えられるわけです。そういうことで、政府部内でも奮闘していただきたい。つまり、物価の問題として米価を追及してもらいたい、実はこういう期待を持っております。ただいまの発言で、少なくとも一四・四%以上げるのは適当でない、こういう御見解をいただいたので、多少気を強くしたような感じがするわけでありますが、しかし、それにいたしましても長官御説明のように、これには実にたくさんのむずかしい問題があると思います。あとで御質問があるかと思いますけれども、すでに佐藤総理自身が食管制度の再検討、こういう御発言もなさっております。それからまた食管制度のあり方についても、すでにいろいろな議論もあるわけであります。ですから米価を、あるいは農業政策の面、あるいは財政措置の面、そういう観点からすればいろいろな議論が出るところだと思います。しかし、まず何よりも大事なことは、目の前に迫った十月からの消費者米価の値上げ、これについては、少なくともやはり物価を安定させる、これ以上物価上昇の刺激剤を政府みずからの手で与えない、こういう線だけはひとつ貫いていただきたい、かように考えるわけであります。  そこで、もう一つお伺いをするわけでありますけれども、食管の赤字という問題について、これは財政当局のほうの御見解もいただきたいと思うのですけれども、いろいろむずかしい問題があります。そこで現行のままでいけば、生産者米価の値上がりによりまして、概算三千五百億円くらいの赤字になるのではないか、こういうこともいわれておりますし、いずれにしましても二千億円ないし三千五百億円くらいの赤字が出るのだ、こういうことがいわれておるのですが、この食管の赤字というものの性格、それからまた主食を安定的に確保するのだという見地から見た場合の負担の限度、こういうような問題について、ひとつ長官の御見解を承っておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。つまり、無制限というわけにはまいりませんけれども、一体どれくらいがいまの予算規模の中で食糧についてさき得るものなのか、その辺の御見解はいかがですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 それは非常にむずかしい問題だと思いますので、御満足のいくような答えが私にはできないのではないかと思います。現実の問題としては、食糧管理機構の持っている意味合いも戦後から今日までの間にかなり変わってまいりましたわけで、いまといたしましては、やはり冒頭に申し上げましたような、相当大きな割合を持っておる農業就労人口あるいは農村人口というものの所得上昇、生活水準向上というような機能を、相当食糧管理機構が営んでおるというふうに考えておるわけでございます。他方で、いわゆる家計米価というものがきめられておりますから、その間のものを食糧管理特別会計が負担してきておるというのが現実であったと思います。  どれだけが食糧管理特別会計が負担し得る、あるいは一般会計が負担し得る赤字の限度であるかということは、これはおそらく計数的に、あるいは比率をもって申し上げることはできないのではないだろうか。少なくとも私には、明快に申し上げることはできないように思います。そのときの財政事情とそれからそのときの生産者価格、そのときの家計米価といったようなものとのかね合いできまっていくわけで、哲学がないというのはいかにもだらしがないではないか、私もややそういうふうな気がいたします。承るところによりますと、農林大臣がもうすでに省の内外の衆知を集められて、全体の機能なりものの考え方なり、この際一ぺん整理してみたいという御意向のように私は直接承知をいたしておりますので、今回を契機にしてそういう何か結論が出ることは、非常に望ましいと私も考えております。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 米は単純な商品でないと思うのです。単純な商品でしたら、いわゆる経済的な効率なりあるいは経済的なペースで幾らでも操作ができると思うのですけれども、御承知のように、いま長官もおっしゃいましたように、非常に特殊な日本の農業というものであり、あるいは農村人口というものをかかえておる。そこから出てくる生産者米価に対しての要求なりあるいは対策なり、この面と、消費者米価の面というのは、私は、なるほど関連はもちろんしておるわけですけれども、政策的なつかまえ方としては、異質のものじゃないかと思うのです。つまり、生産者米価を毎年のように上げざるを得ない。これはおそらく先進国にはないと思うのです。主食のようなものを、毎年かなり大幅な値上げをやるというようなところはないと思うのですけれども、しかし、これは二百で言いますと、ある意味では農村政策に対する貧困のしわ寄せが、生産者米価の要求みたいになって農民諸君の中からあらわれてくる、こういう側面もなきにしもあらずなんですね。たとえば、社会資本の投下という面からいいましても、農業に対しての全体としての国の投資というものは、他の分野に比べれば著しくおくれておるという要素も加わりまして、特に生産者米価に対するかなり大幅な要求というものが、いまのような政策が続く限りは年々出てくると思うのです。ですから、これは農業政策の問題として、コストを下げるような政策が伴わなければ、どうにもならぬ問題だと思うのです。それがないから、とりあえず生産者米価を上げることでペイしていこう、こういうことだと思うのです。  ところが、消費者米価のほうは、またそれとは全然異質のものなんですね。コストの高いものを買うわけですけれども、しかしながら消費者米価としてあらわれてくる場合には、それと切り離して考えないと、これまた政策的に考えないと、物価の安定もあるいはまた消費者に対する政策的なサービスも行なわれないわけです。だから、これを機械的に関連させるのではなくて、切り離して考えていく、これは食管制度の精神とも背馳しない、こういうふうに考えるわけです。  そういう観点からしますと、消費者米価と生産者米価の赤字幅という問題について、政策的な赤字だというふうに私どもは考えておるわけです。だから、政府はどれだけの負担限度というものを考えるのか。なるほど三千億の赤字が出れば、道路にも使いたい、軍事費にも使いたい、いろいろ要求が出てくると思うのですけれども、選択は政治の問題だと思うのです。そこに佐藤内閣としての姿勢というものがあるように感じますから、根本的にそういう御認識の上に立って、消費者米価をこうするのだというものがないと、ただ財政の幅がこういうことになったから縮めるためにこれだけ上げるのだ、これでは、行政当局としてはある意味では一番安易な方法だと思うのです。そこに政治が介在しないと、この委員会で、たとえば牛乳について、あるいは流通機構の問題について、物価の問題のしりを追いかけてまいりましたけれども、なかなか物価というものが捕捉できない。その上に消費者米価というものがこういう形でおっかぶさってくると、そこで政府の物価政策というものは、もうみずからの手で崩壊をしていくのだ、こういうことになりますから、私の憂うるのは、そこにやはり政治というもの、政策というものを生かして、消費者米価をつかまえ直していくという見地は成り立たないものかどうか、こういうことをお伺いしたいのです。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 食管会計の負担が政策的なものであると言われる意味は、私もそのように思います。ただその場合、政策的という意味が、木原委員の言われますのと私どもの考えておりますのと、あるいは多少違っておるかと思います。私どもが政策的なものであると考えるゆえんは、冒頭に申し上げましたようなことであることを背景にいたしまして、わが国の現在の消費者物価問題というのは、要するに、高度の経済成長に国民経済の各分野が急速に即応できないということから起こっておると見ておるのでありますが、その中で、農業はその最たるものであると思います。農業就労人口あるいは農家人口については先刻申し上げましたとおりで、これらの率は徐々に低減しつつはございますけれども、しかし、申し上げるまでもなく他の産業と違いまして、ここには先祖代々の土地の上に人がおるわけであります。先祖の墓もあるわけであります。したがって、工業のように急速に経済成長に即応し得ないということは、私はむしろ当然のことであろう、相当長い日月のかかることであるに違いない、こう考えます。そういたしますと、他の分野で適応できるような経済法則が、すぐにはこの分野では適応できない、相当長い日子を経なければ適応が可能でございません。将来のいわゆるビジョンといたしましては、一定の時間がかかってその結果生産性の高い農業が現出する、大規模な農業が生まれてくるということは、将来のビジョンとして私ども持っておりますし、その方向に向かっておるとは思いますが、そのテンポというものはきわめておそい、きわめて緩慢である、これはまたやむを得ないことだと思うのであります。したがって、そういう日まで私どもはある意味での政策的な負担をしていかなければならぬ、いきつつある、そういう意味で私はやはり政策的な負担である、こう考えておるわけであります。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 ビジョンということばが出ましたのであわせてお伺いをいたしておきますけれども、最近海外食糧への依存の度合いがたいへん高まっているように見えるわけなのです。そうなりますと、これは農業の問題ですけれども、自給度もかなり落ちておりますね。大体総合で七六%ぐらいでしたか。昭和三十七年ごろには八七%ぐらいであったものが、四十年度で大体七六%ぐらいに自給度が落ちておる。ところが、長官御承知のように、各国とも、たとえばイギリスのような国でも、食糧の自給度が大体四〇%ぐらいだと思うのですが、それをさらに上げようという努力をいたしておる。どこの国でも食糧の自給の度合いを上げようとしておる。長官が御奮闘になりましたケネディラウンドの問題でもそうでございますけれども、そのアメリカでも、大体いま九〇%ぐらいの自給度を維持しようとする努力をしておる。ですから食糧については、これはなかなかゆるがせにできない問題があるわけなんですね。ところがその反面、どうも政府部内には、ともかく日本の、たとえば米については非常にコストが高い、それならば安い海外食糧を買ってきたほうが経済的にはペイするじゃないか、こういう考え方があるわけです。そういう、つまり一つの経済合理主義的な考え方に立っての食糧政策、こういう問題についての長官の御見解はいかがですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 その点については、私どもは経済社会発展計画の中で、かりに昭和四十六年度の姿を想定いたしますときに、たとえば麦でありますとか、あるいは飼料でありますとか、そういったようなものの自給率はどうも現在より上がらない、むしろ下がりぎみであるのではないかと考えておりますが、米については自給率は逆に上がる、たしか九七か八、現在より二ポイントぐらいの上昇を考えております。そのときの農業就労人口はおそらく一八%ぐらいではないか。ただいまより四ポイントないし五ポイントの下落になるわけでありますが、そういう形で米の自給率はぜひとも上げていきたい。しかし、麦その他については、自給率が下がるのはどうも必然のやむを得ない勢いではなかろうか。くだもの、野菜等は、これは上がっていく方向にあると思います。したがって、主食でありますところの米だけは自給に近のい態勢を今後とも維持いたしたい、また、農業構造改善なり農業就労人口なりの問題をそういう方向で処置していきたい、こう考えておるわけであります。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 話が前後しますけれども、大蔵省の主計官が見えておりますのでちょっとお伺いします。当面の消費者米価の問題ですけれども、御承知のように、生産者米価の値上げがあったわけですが、大蔵省としては、一体どれくらいの消費者米価の値上げをやればつじつまが合うというふうにお考えなんですか。その辺の御検討はなさっていらっしゃいますか。

嶋崎均大蔵省主計局主計官

○嶋崎説明員 お答えいたします。  四十二年度予算において予定された消費者米価の値上げは、御承知のとおり、今回の生産者米価の値上げが行なわれる前の昨年度の政府の買い入れ価格を基準にして予定したものでありまして、その後、先般生産者米価の改定が行なわれたわけでございます。そういう論理からいいますと、予算で値上げした消費者米価の値上げでは、必ずしも十分でないということになるわけでございますが、その対策をどのように考えていくかということにつきましては、今後の財政事情や、物価、家計の動きなどを総合的に勘案して判断をしていくべきものだろうと思うのでございます。  御承知のように、われわれが消費者米価の相当大幅な値上げを予定しているのは、ただ単に財政的な面からだけではなくて、食糧管理一制度のいまの形が、このままの形で十分維持できるかどうかというようなところにも問題があるわけでございます。すなわち、生産者米価と消費者米価の逆ざやというものが非常に大きくなりまして、実際的にもあるいは理論的にも相当問題があるような段階になってきたものですから、そういう意味合いから、われわれとしては、先ほど申し上げましたように、今後のいろいろな諸条件というものを判断しながら、慎重に対処していかなければならないというぐあいに考えておる次第でございます。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 なかなか慎重なお答えなんですが、そうしますと、一四・四%の予算上の値上げの措置がありましたね。この根拠はどうなんですか。

嶋崎均大蔵省主計局主計官

○嶋崎説明員 御承知のように、一四・四%は大まかに申しまして四十一年の生産者米価を前提にしまして、それで政府が買い入れる価格と政府が卸売り業者に売る、すなわち政府の売り渡し価格の間に売買の逆ざやがないということを前提にしまして、これは非常に大まかな、厳密にはまだ少し赤字が残る計算になりますが、すなわち食糧管理関係のいろいろな管理経費、運送料とか、保管料とか、金利とか、あるいは食管の事務費とかいうようなものは、大体全部政府負担ということで、四十一年度の生産者米価を前提にしまして、いま申し上げましたように政府の売買逆ざやがないという、こういう考え方で一応進んでおるわけでございます。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 逆ざやがないようにということで予算上の措置をしたそうですが、そうしますと今度生産者米価が上がりましたね。それで一四・四%の消費者米価をかりに既定方針どおり上げた、こういうことになりますと、食管会計上の赤字はどれくらいになりますか。

嶋崎均大蔵省主計局主計官

○嶋崎説明員 逆ざやがないということばはいろいろな意味で使われるのですが、先ほど私が申し上げたのは、政府の売り買いの逆ざやがないということです。  御承知のとおり四十二年度の当初予算におきましては、食管の食糧管理上の赤字が千二百三十六億ということを予定しております。その場合十月から一四・四%を値上げすることによりまして、当時の予算で予定している数量、すなわち買い入れのベースで申しますと七百七十五万トンということを前提にしまして一四・四%上げますと、大体千二百九十九億、約千三百億値上げをするということを予定した後でそれだけの赤字になるということでございます。すなわち、もし十月から値上げをしないということにするならば、約千三百億さらにまた赤字がふえる。すなわち、当初のベースで考えまして、もし値上げを予定しないとするならば、二千五百五十億見当の赤字ということになるわけでございます。今回生産者米価の値上げによりまして、いかほどの赤字が出るかということでございますが、数壁を予算と同じように七百七十五万トンということにしますと、これは厳密な計算は食糧庁のほうでやっていただかなければならぬのですが、私の見積もりでは、その売買の損の増だけで約八百五十億増加すると思うのです。  しかし、すでに御承知のとおり、この七月十五日にことしの稲作の成育状況が発表されておるわけです。その中身を、たとえば良であるとか、あるいはやや良であるとか、やや不良であるとかいうような区分がいろいろあるわけでありますが、これは私しろうとの試算でありますけれども、そういうものから考えますと、ことしの収穫量というのは相当大目に予想されるわけでございます。御承知のように、四十一年におきましては、当初いろいろ予定しました数量よりも買い入れ数量がふえまして、四十一年の産米としては八百万トンを上回る数字になっておりますので、現在の段階からことしの数量を予定しますと、相当買い入れ量の増加が見込まれる。買い入れ量の増加がありますと、それに伴って食管の赤字は増大いたしますので、もしかりに四十一年産米と同じように八百万トンというようなことになりますと、私の計算では、ほぼ千億に近い新規の赤字増がそれに加わるということになろうかと思います。しかし、いま言った数字は八百万トンということを前提にしておりますから、かりにそれが相当伸びるというようなことになりますと、さらにその上に、たとえば十万トンについて、私の計算では約三十億程度赤字が増大するのではなかろうか。もし、たとえば八百五十万トンというようなことになれば千百五十から千二百億の新規の赤字増大ということが予定されるわけでございます。  そういう状態でございますから、この十月からの消費者の値上げにつきましては、一般に世の中で言われておるように、予算の七百七十五万トンを前提にしてものを考えておることでは、とうていおさまりきらないという状態でございますので、先ほど申し上げましたように、物価あるいは家計といったような状況にも配意しながら、そういう状態というものがはたして財政的に十分負担できるかどうか、さらにまた食管の赤字を一般会計、すなわち税で負担をするということの生産農家に対する財政効果、さらには、御存じのように米の価格というのは、上、並み、徳用という三段階にはなっておりますけれども、ほぼ一律に消費者に赤字補給をしているという形になりますので、そういう形がほんとうに政策的な意味を持ち得るのかどうか、その辺のところをやはり総合検討をして、今度の消費者米価をどうするかということを考えていかなければならないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 財政当局の御見解はなかなかたいへんなことなんで、そうしますと、新規にふえる可能性のある分を入れると、一四・四%上げても、大体二千四、五百億という数字になりますか。

嶋崎均大蔵省主計局主計官

○嶋崎説明員 私が申し上げましたのは、据え置くということで考えるとそういう数字になる、あるいはまたそれ以上になるかもしれないということを申し上げたわけでございまして、御存じのように、予算で考えておる一四・四%、これを値上げすれば、数量の増加した分だけ、いわゆる損益計算上は、たとえば在庫になったものも一四・四%上がるというような計算になりましょうから、それによっての収入は、当初予算の需給の関係において考えると千三百億ほど吸い上げになる、それだけ差し引きしてお考えいただいたほうが正しかろう、御質問としてはそういうことで受け取っていいんじゃなかろうかと思います。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 これはなかなかむずかしい問題なんですが、宮澤長官がせっかくいらっしゃいますので、あわせてお聞きしておきますけれども、食管制度の運営の問題、あるいは改革の問題、改善の問題といいますか、そういう問題が当然出てきていると思うのです。これはあとで食糧庁長官には少し技術的なことをお伺いしたいのですけれども、いかがでしょうか、長官のお立場で食管の改革の方向みたいなものは考えられませんか。何か合理的な運営の方法について御見解があれば、ひとつお示しをいただきたいのです。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 これは先刻申し上げましたように、農林大臣自身がすでに衆知を集めて現在の制度を再検討してみよう、こういうお考えでございますので、私の申し上げますことはそういう意味では私見になる、そういうことを御了承の上でお聞きいただきたいと思いますが、やはり片方で、少なくとも内地米に相当近いいわゆる準内地米が諸外国に供給の余力がある。短期では困るかと思いますが、やや長期的には増産の余力もあると考えますので、しかもその価格は、船賃を含めましてもかなり低廉なものであるというふうに考えられますから、これらについてある程度消費者の利益のために、長期の運用なり輸入契約なりをすることができないであろうか。ただしその限度はあると思います。一つは、国内の自給度を高めようというのが私どもの考えでございますから、それを非常に脅かすというほどのものであってはならない。また、東南アジア諸国の中で必ずしも優良でない米を生産しておって、通商上の見地からそれも買わなければならないという問題、二つの制約がございますけれども、いまの道をやはりある程度広げていくということは、国内の生産者にそれほどの脅威を与えずに、また将来の自給計画にそれほどの障害を与えずに、現在考え得る合理的な方法ではないだろうか。影響を与えるところが多うございますので、あえて私見として申し上げますが、そういう方法はやはり考えるべきではないかと私は思っております。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 これはなかなか大きな問題で、議論の余地がたくさんあるわけですけれども、食糧庁長官にひとつお伺いをいたしたいと思うのですが、これは長官にずばりお聞きしますけれども、米価審議会は大体いつごろ開く予定でございますか。

大口駿一食糧庁長官

○大口政府委員 まだ正式に日取りをきめておりませんが、大体九月上旬を考えております。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 何か生産者米価の決定をめぐっていろいろありまして、委員諸公の辞意の問題があるということですが、その辺何か解決つきましたか。

大口駿一食糧庁長官

○大口政府委員 生産者米価の米価審議会のあとで、一部の委員が辞意を表明されておることは事実でございますが、私どもといたしましては、消費者米価の米価審議会を開催する期日も非常に間近に迫っておることでもございますので、正式に辞表を受理するというような形ではまだ処理をいたしておりません。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 九月の上旬ごろまでに審議会は構成できるでしょうね。

大口駿一食糧庁長官

○大口政府委員 これはできる、できないの問題ではなくて、ぜひ構成すべき問題だと思います。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 それはそういうことでしょうけれども、それは一つの政治的な努力があるのでしょう。これはあとで同僚の委員が再度お尋ねするそうですから、これくらいにしておきます。  食管の問題につきまして、やはり再検討の方向か何かお考えになっていらっしゃいますか。

大口駿一食糧庁長官

○大口政府委員 私どもといたしましては、食糧管理制度の運営面につきましては絶えず検討し、また改善のできるものから改善をはかってまいるという態度で、食糧管理制度の運営に、過去においても現在においても当たっておるつもりでございます。そこで最近、特に先般の生産者米価の問題とか、あるいは昨年並びに今年の米の作柄等を契機といたしまして、いろいろ基本的な御意見が各方面から出ておるわけでございまするが、私どもとしましては、やはり非常に大きな、かつ重要な問題でございますし、また、現在の食糧管理制度が国民経済に果たしておる役割りというものを正しく認識する必要があると思います。それらの総合的な検討は絶えずやっておりますし、また今後も、将来の問題としては、従来と変わらず精力的に検討を進めてまいらなければならぬ問題だと思っております。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 なかなか抽象的なんですけれども、先ほど来問題になっておりました財政負担、赤字幅を減らすために何か御努力なさいましたか。

大口駿一食糧庁長官

○大口政府委員 食糧管理特別会計の赤字というものが、何か理論的な限度があるかという先ほど来の質疑を伺っておったのでございまするが、私はこの食糧管理特別会計の赤字の問題は、やはりいろいろな角度から理解すべき問題と思います。と申しますのは、現在の食糧管理制度が果たしております役割りというものを正しく認識いたしました場合に、その結果生じてくる赤字というものは、これは政策的に負担すべきだという判断が一つ成り立ち得ると思います。それからもう一つは、生産者米価と消費者米価との関係からいたしまして、消費者に負担をさせてしかるべき部分と、一般税負担でまかなってしかるべき部分とが、理論的にいろいろ議論があると思います。そういう角度から赤字という問題を議論する一つの方法があると思います。ただ、現在の生産者米価と消費者米価の状態は、いわゆる食糧管理特別会計の中間経費的な運賃、保管料、人件費等が全部すでに一般会計負担になっておる実態でございまするので、私が二番目に申し上げた検討の余地は、あるとは少ない状態であるかもしれませんが、事の本質としては、その二つの問題があり得ると思います。そこで、私どもとしましては、もちろん財政当局にはいろいろお考えがあると思いまするけれども、現在の生産者米価をきめるための根拠条文と消費者米価をきめるための根拠条文が全く独立をしておって、両者が無関係であるという御議論をよく伺うのでございますけれども、私は、やはり生産者米価をきめるための配慮すべき事項、並びに消費者米価をきめるための配慮すべき事項は、それぞれ別の見地が法文上書かれておりますけれども、しかしながら同じものの値段で、両者が全く無関係でいいのだという議論には、やや私は見解を異にする部面がございます。両者の関係ということもやはり頭に置いて、食管の赤字というものは検討さるべき問題だと思っております。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 その議論は、時間がありませんのでここでは避けたいと思うのですけれども、たとえば、新聞等に見えておりましたけれども、配給制度に多少千をつけまして、基幹米というようなことにして、準内地米はワク外に置くとか、そういう何か技術的なことをやるお考えがおありなんですか。

大口駿一食糧庁長官

○大口政府委員 新聞がいろいろ観測の記事を書いておりますが、私ども部内でいろいろ検討いたしておる最中で、まだ大臣の御判断も仰いでいない現状でございますので、検討の段階にある問題をあまり評しくお答えすることは、差し控えさせていただきたいと思いまするが、ただ、配給品目の問題を検討するにあたりましては、現在上米、並み米、徳用米と三つの配給品目になっておりまするのが、消費者が、逐次量より質に対する希望が非常に大きいということから、配給業者の段階で、いまの三種類の米の混合が行なわれておるということが非常に指摘され、私どももこれには非常に頭を悩ましておる問題でございまするので、少なくともその問題が、これ以上悪くならないような方法はどうしたらいいかというようなことは、当然検討の第一眼目として取り上げるべき問題だと考えております。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 時間がありませんので、残念ですが交代をいたしたいと思いますけれども、最後に長官にお伺いしますが、消費者米価値上げの原案を出されるお立場なんですけれども、どうですか、一四・四%はこえそうですか。

大口駿一食糧庁長官

○大口政府委員 きわめて断定的な御質問でございまするが、消費者米価の値上げ幅を現実にどうするかという問題は、私ども本年度の予算編成の際に一四・四というものを予算に組みましたことの意味は、私どもとしましては、一応予算で予定したいわゆる予算米価であるというふうに考えております。そこで、実際に九月の上旬に米価審議会におはかりをした上できめていただくのは、やはり食管法の規定の命ずるところに従いまして、家計費等の関係を十分考え、また物価の問題を考え、財政当局並びに企画庁当局と慎重に検討した上で、意見の一致を見た上で決定さるべきもあと思っておりまするので、今後の三省の折衝の結果最終的にきまるものと思っております。

木原実日本社会党

○木原(実)委員 なかなか慎重過ぎてどうも答えが得られないようですけれども、時間が参りましたのでこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 平岡忠次郎君。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 木村官房長官に最初にお伺いします。  四十二年度産米についての消費者価格は、いかなる手順で、いかなる機関で、また、いつこれがきめられるか。いつという問題につきましては、先ほど食糧庁長官から九月初旬とお答えがありましたので、それはけっこうであります。  さらに、米価審議会委員のうち、中立委員等がへそを曲げて、消費者米価をきめるべき審議会に必ずしも喜んで出席をするという情勢にはないように聞いておりますが、その辺の事情はどうか。  なお、木原君からも触れられましたが、自民党から出ておりまする委員は、四名が辞職願いを出していると聞きますが、辞職の理由は何か。政府はこれを受理したかどうか。なお、審議会開会までにこれが補充を必要とするのか。補充せざる場合、また補充できざる場合におきまして、審議会の構成要件に欠くるところはないのか。また、構成要件に欠け、答申が出ない場合は、また例によって政府与党のなれ合いで、生産者米価をきめたときと同じように、独断で消費者米価を決定するというつもりなのかどうか。この点につきまして、木村長官からのお答えをいただきたい。

木村俊夫自由民主党内閣官房長官

○木村国務大臣 いまのお尋ねは大体二点でございますが、これは農林大臣からお答えしたほうが適当かと思いますけれども、ただ、私政府の立場としてお答えいたしますことを御了承願いたいと思います。  第一点の消費者米価でありますが、これは先ほど食料庁長官からお答えいたしましたとおり、九月上旬に米価審議会が開かれますので、そこに諮問いたしまして、その答申を待って政府が決定すべき問題であります。  その際の米価審議会の構成その他につきましては、これも先ほど食料庁長官からお答えがございましたが、これは農林大臣において慎重に御考慮中と承っております。政府部内におきましては、それについてはまだ何も検討しておりません。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 食糧庁長官は、強引にそれを構成させると言いましたけれども、しかし、相手のあることでありますから、そう一方的にはそのことが可能とは私は思いません。そのことを大体予想に置いて、答申が出なくてもかまわぬ、政府で自民党と相談してきめるのである、終局的にはそういう腹なのかどうか、この点だけお伺いしたい。

木村俊夫自由民主党内閣官房長官

○木村国務大臣 私は、生産者米価についての米価審議会の結末は、まことに遺憾であると思っております。この消費者米価を決定する米価審議会は、ただいまいろいろ構成上の問題がございますけれども、先ごろの生産者米価を決定したようなことにはなるまい、私どもはこう予想しております。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 予想ということとなれば問答はこの辺にとどめ、次に入ります。物価問題に波及する四十二年産米の生産者価格は、過般、七月十六日に、持ち回り閣議で、石当たり一万九千五百二十一円と決定された。この結果、本年産米の政府買い入れ価格は、昨年産米に比較して、石当たり千六百四十四円、九・二%の値上げとなって、三十九年に次いで戦後二番目の大幅な引き上げとなったわけであります。この引き上げによる財政負担の増加額、すなわち食管会計の赤字増は、政府買い入れ数量を昨年並みの七百七十五万トンとして、八百四十九億円、八百万トンに達するとして九百五億円にふえ、この結果、すでに本年度予算に計上されている食管赤字千二百三十六億円と合わせた食管会計の赤字額は、二千八十六億円ないし二千百四十一億円という膨大な額に達する。この数字の御確認はいただけますか。大蔵省から御答弁願いたい。

嶋崎均大蔵省主計局主計官

○嶋崎説明員 先ほど申し上げましたように、純粋の売買の損益の動きということになれば、大体御質問のとおりであろうと思いますけれども、数量増に伴うところのたとえば金利、保管料等の計算はそれには入っていないと思いますので、その分だけ加算をして考えなければならないということだろうと思います。そういう意味で、先ほど私が御質問にお答えをしたようなことであろうというぐあいに思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 右の数字の御確認を得たといたしますと、政府は、四十二年度予算編成の前提として、消費者米価を一四・四%価上げすることを予定しているのでありますが、今回の赤字拡大分を消費者米価にそのまま転嫁するとすれば、その値上げ幅は一挙に二〇%以上になる計算となります。水田蔵相は七月十八日の閣議あとの記者会見におきまして、生産者米価引き上げに伴う財政赤字の増加を、消費者米価の大幅引き上げ等で穴埋めしようという考え方に沿いまして、八月中には政府の方針をきめねばなるまいと語っておられます。一体政府は、この一四・四%の値上げ幅をさらに拡大するのか、来年度以降適当な時期に再値上げをすることによって赤字の穴埋めをしようとするのか、あるいは大幅増収を見込まれている税の自然増収をもってこれを吸収するつもりでおるのか、大蔵大臣に実はお聞きしたいところであったのですが、まあ大蔵大臣の全委任を受けまして主計官が御出席になっておるようですから、どうぞこの点につきましての御見解を明らかにせられたいのであります。

嶋崎均大蔵省主計局主計官

○嶋崎説明員 先ほど申し上げましたように、四十二年度の予算において予定された消費者米価の値上げは、今回の生産者米価の値上げが行なわれる前の生産者米価を前提にして考えられたものでありますから、今回の生産者米価の値上げを考えると、予算で予定した消費者米価の値上げ率では不十分であるということに理論的にはなるわけでございますが、その対策をどうするかということにつきましては、今後財政事情や物価、家計の動きなどを総合的に勘案し、先ほど食糧庁長官からお答えがあったように、大蔵省、農林省、あるいは経済企画庁、あるいは政府部内全般、いろいろ波及するところもありましょうから、そこで、今後いろいろ談論をし、慎重に検討をしてきめていくということになろうかと思うのでございます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 不得要領の答えですが、あなたの立場ではそれ以上の回答は無理と思います。ただ財政当局は、一四・四%以上にこれを上げたいという少なくともゼスチュアを示しています。これはまた政府部内でもなれ合いで、このくらい言っておけば一四・四%が通るだろうという、そういうやり方であるのかもしれない。この辺はこれからだんだん馬脚をあらわしてもらうために、質問を重ねたいと思うのです。  そこで、木村官房長官にお尋ねします。あなたはたしか十七日の日に、値上げ幅が一四・四%の予算米価を上回ることは考えられないという記者会見での発表をいたしておりますが、大蔵大臣の御意向とは多少食い違いがあるように思いますが、どうでしょうか。

木村俊夫自由民主党内閣官房長官

○木村国務大臣 生産者米価が決定した直後の大蔵大臣の御発言だと思います。財政当局としましては当然の発言と思います。とにかく生産者米価がああして引き上げられた直後、財政負担をどうするかという問題について、財政当局としては、従来の予算米価以上の引き上げをしなければ、この財政負担に応じられないという御発言は、私はもっともだと思います。しかしながら、政府全般といたしましては、この財政当局の見解も含めて、政府全体としての国民経済上における消費者米価の問題、いろいろな点を総合判断いたしまして決定することでございますが、何らそこに政府全体としての見解の相違はないものとお考えを願いたいと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 長官に念のためにお伺いいたしますが、政府の統一的な見解は一四・四%で大体落ちついた、そういう御見解ですか。それが一つ。  もう一つは、まあ十月からのものはそれでやっていく、先行き途中でまた変えて、二段がまえで、またそのおりに上げればいいというお考えですか。そうすると、前段の十月という点では統一見解が可能でしょうが、そのあとのほうの展望も含めて、ひとつ率直に政府の見解を聞かしていただきたい。

木村俊夫自由民主党内閣官房長官

○木村国務大臣 先ほど申し上げましたように、ただいままだ政府の統一見解はきめておりません。したがいまして、先ほど申し上げたとおり、九月上句の米価審議会の後において政府の見解をきめたいと存じております。  節二点の問題は、将来における物価、財政経済の動向もいろいろございましょうから、そういう点を勘案して、これは長期的にきめなければならない問題で、現在何とも申し上げかねる問題でございます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 経済企画庁長官は、同じく七月十八日に、米価政策について、当面経済企画庁としては発言を差し控え、しばらく冷却期間を置いて冷静に検討できる時期を待ちたいとおっしゃっておるわけでありますが、しかし、これは米価政策全体についての御発言と私は理解したわけです。ところで、消費者米価はもうすぐきめなければならぬ段階にきておりますから、いまのあなたの御見解にもかかわらず、さしむきの本年の消費者米価についてはいかなる御見解を持っておるか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 先ほど木原委員にお答え申し上げましたところで御推量をいただきたいと思いますが、しばらく冷却期間云々と申しましたのは、先ほど平岡委員の言われましたような言明を大蔵大臣がされたやに報道されまして、また、官房長官は先ほど言われましたようなことを言明されたやに報道されまして、私としては、いずれにしても政府部内全部が最終的には内閣の責任において決定しなければならないことでありますから、しばらく時間をおいて、各省が検討することがいいのではないかというだけのことを実は申したわけであります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 いままでの私の質問は、一応政府の先制攻撃による予算米価一四・四%という鳥屋に入ったかのごとき立場から聞きましたが、私どもはまだそこ夜でおりていないわけであります。一四・四%はさたの限りだというのが、国民、消費者大衆の意向をくんでの私どもの党の立場であります。その立場から、これから少しくお伺いしたいと思うのであります。  政府、自民党は、さきの総選挙、引き続いての地方統一選挙のどさくさにまぎれて、消費者米価を一四・四%引き上げることをもって予算米価としたが、インフレ下の国民、特に低所得層にとっては、この値上げは手痛いものでありまして、手順としては食管法に定める米審の審議権を軽視した事後承諾的な強引なやり方であって、国民の納得するところではないのであります。過般の委員会で、私が、消費者米価を予算米価として策定することは、消費者、すなわち国民全般に対する物価挑戦であると言ったゆえんはここにあるわけであります。消費者米価に対する予算方式と米審の審議権との間の逆手順に対しまして政府は無責任なのか、官房長官並びに予算作成の財政当局からお伺いしたいのであります。

木村俊夫自由民主党内閣官房長官

○木村国務大臣 私ども政府で予算米価を決定いたしましたことは、決して無責任とは考えておりません。予算に計上いたして国会の御承認を得た上でございますので、どうかその点は御了承願いたいと思います。

嶋崎均大蔵省主計局主計官

○嶋崎説明員 もう私からお答えする必要もないかと思いますけれども、一応予算上十月から一四・四%の値上げをきめたわけでございますけれども、具体的にどのような形で消費者米価を決定するかということにつきましては、米価審議会の御意見も聞いた上で決定するということを、前の予算審議をいただいた国会で私のほうの大臣からもお答えいたしておるかとも思いますので、決して審議会を軽視しておるというような考え方には立っておらないと思うのでございます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 結局、審議会の討議の場を狭めた、外堀を埋めて、一四・四を土台にして審議をするということを巧妙に仕組んだと思うのです。  私は前回の委員会におきまして指摘したのですが、三十四年ごろまでは予算米価というものはありました。しかし、これはその年の生産者米価の値上げを見越しましてあらかじめ手を打っておく、こういう形でございました。ところが、ことしの一般予算における特徴的なものは、消費者米価の値上げを見込んでの予算米価であります。私は、生産者米価の場合でも、厳密に言うならば、同じような論理が働いておると思うのですけれども、消費者米価の場合にこの方式は、非常に軽率なというか、国民に対してまことに無礼なやり方であると思うのです。この点は議論になりまするし、私が文句を言わぬでも、皆さんも御内心では、これはどうも攻め手の平岡の言い分に分があるんだということはきっと御納得いただけると思うのです。そういうわけですが、ともかく私どもの議論それ自身が一四・四%をめぐっての議論になっておる。この点は国民の立場からはしかく簡単に了承されていないということを銘記していただきたいのであります。  さて、七月十一日、当委員会におきまして食管に関する私の質問に対して、佐藤総理は、消費者米価は生産者米価に即応してきめるものではない、一般物価の動向を見てきめるのであって、スライド制ではないと否定し、食管会計を維持すると言明されました。しかし、ありていに言って、食管制度の基本である消費者米価と生産者米価は、別建てであるべしとする初心はすでにゆさぶられており、言うなれば、食管会計をクッションにしながらも、生産者米価と消費者米価は現実においてスライドしておると言わざるを得ないと思うがどうでありましょうか。佐藤首相の命令による米価政策再検討は、食管発足の初心にかえるのか、それとも生産者米価の上げ幅に準じて消費者米価を引き上げるという、いわゆるスライド制に移行するのか、その方向はいずれに向かっているのかということにつきまして、これまた経企庁長官、官房長官、それぞれの御見解を御披瀝願います。統一見解でなくてもいいのですよ。お二人の御見解をおっしゃっていただければけっこうです。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 それは先ほどもお答え申し上げましたとおり、総理大臣の指示に従いまして、農林大臣がすでに省内外の知能を集めて、この制度のあり方について御検討を始められたわけでございます。もっとも、先ほどから申し上げておりますように、これは食糧管理機能を全部やめてしまうとかなんとかいうことでないことは当然明らかでありますが、改善する部門があるのではないか、それについてはどうすべきかという検討を、すでにお始めになっておられますから、その終了を待ちまして、内閣全体としての態度をさめるべきものであろう、こう考えます。ただ、その中で申し上げられますことは、先ほど食糧庁長官が答弁をされましたように、両者の価格関係について、現在法律できめられておりますたてまえそのものについては、時の移りとともに若干の——何という表現を用いられましたか、多少の疑問を持っておるということの意味を答弁されたと思いますが、そこらあたりは、私はやはり一つの検討の中心点であろうと考えております。

木村俊夫自由民主党内閣官房長官

○木村国務大臣 ただいま経企庁長官からお答えしたとおりでございます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 経企庁長官は、慎重に、ちょっとうしろへ下がった様子であります。先ほど木原委員との問答の中において、この米価政策の打開の方途を、あなたが示唆的におっしゃっていることが一つあるように思う。それは食管クッションから準内地米クッションへ多少ずらそうというお考えのようであります。しかし、この準内地米、つまり輸入米それ自身の絶対量の少ないということから、たとえ価格は輸入価格のほうが半値ぐらいであろうとも、問題の解決にはならぬということを、私はこの前の委員会で指摘しておるわけです。あなたの抽象的な御発言では、なるほどそうかというふうに思われますが、なおえぐってみますと、これでは解決にならぬと私は考えております。これは私の意見でありますが、ひとつ御検討をいただきたい。  次に、私の疑問と思っておりまする点を申し上げまして、政府の御解明を願いたいのでありますが、いわゆるスライド制の発想は、初めに生産者米価、これに教わって消費者米価をきめるとしていることであります。しかし、この構想は本来逆であるべきであると私は思っておるのです。すなわち、主食の大宗である消費者米価は、何をおいても家計安定の視点から、政府が政策価格として意図的にきめるべきものである。いずれの国でも、主食の価格は流動性を許さないというのがそのたてまえであります。  具体的な例としまして、昨年度の私のローマでの見聞でありますが、それより先、おおむね二カ年おきぐらいに旅行はいたしておるわけでありまするけれども、往時と比べまして、ホテル代とかあるいはイタリア特有のみやげものであるカメオとかあるいは皮製品とか、こういうものの異常な値上がりが目についたわけであります。他方、ローマには御承知のとおり彫刻、絵画関係の、まあ豊かならざる日本からの留学生が多数参っておりまして、大使館等を通じて旅行者たるわれわれの案内役をアルバイトとしてやっております。この物価高で彼らの苦衷さぞかしと思って聞いてみますと、案に相違しまして、パン、牛乳、肉類等の主食は、数年前から少しも変わっていない、全く生活は安定していると申しておるのであります。旅行者たる私たちの物価印象とは全く違っておったということであります。このことは多かれ少なかれ、西独におきましても、フランスにおきましても同様であったのであります。パン、牛乳、肉類等は、日本での米に当たるものであります。  さて、日本におきましては、三年連続で消費者米価が大幅に引き上げられている、このこと自体が異常であり、ふらち千万であります。許しがたいのは、米価引き上げにより逆進性の禍害をもろにかぶる低所得者層の所在に政府は無関心であり、めくらであります。消費者米価が政府の基本的政策として低位にきめらるべきことは、政策の何ものにもまして鉄則たるべきであります。この決定にあたってバルクラインは許されない。国民の八割は食え、二割は食えなくてもよいという性質のものではありません。これは、あたかも輸送船団を組んだ場合において、十ノット級が八隻であっても、二隻が六ノットであるならば、その船団の速度は、六ノットたるべきと同様のものであります。食管の初心に返るべしというのは、初めに消費者米価が政府によって意図的にきめられるべしということであり、生産費米価はそれとは全く別個であります。全く別個に、わが国は年産何千何百万トンを必要とするならば、その生産を可能ならしめる生産者価格を、再生産費として政府の責任において支弁すべしというたてまえにほかならないのであります。米価政策は再出発せらるべきであると政府は言っておりますが、初めに生産者米価あり、消費者米価これに追従すべしという議論は、論外だと認識すべきものと思うが、政府の見解はどうか、官灘経済企画庁長官からお伺いします。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 それは、主食の価格が長年動かずに安定しておるという状態であれば、非常にうらやましいことでありますし、政治の理想としてはそうあるべきだと思います。しかし、わが国でそれをいたしますためには、二つのうち一つの道を選択しなければならないわけで、冒頭に申し上げましたように、国民のほぼ三割近い人々の生産水準の向上ということを全く犠牲にすることができないとすれば——それを犠牲にするか、あるいはそれができないとすれば、その間のものは納税者の負担によって解消していかなければならない。いずれかの道を選ばなければならないわけでありますから、そのいずれもに限度があるとすれば、今日私どもがやっておるような方法をとるしか方法がない。平岡委員の御指摘では、生産者米価と消費者米価というものを全く別のものとして処置していこうという御提言かと受け取れますが、私どもは、それは両者の間に、たとえスライド関係がないといたしましても、価格というものは生産費を基本にきまるということ、そのこと自身は否定ができないのでありますから、両者の価格が全く無関係でいいという立場は、やはりとれないというふうに考えます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 私は、論理を明確ならしめるために極端に言いました。身上を預かっておる政府はたいへんだろうとは思いますが、基本的な考え方では、食管会計の二本立てということを踏まえてやらなければいかぬということを指摘したいのであります。あなたは先ほど来、農業就労人口が二割二、三分、いわゆる農村人口において三割、そういうことで、農村政策として米価の問題はほっておけない、こういうことをおっしゃいました。私も同感であります。さらに言うならば、国民総生産がいまや一千億ドル、三十六兆ぐらいに達しておると思うのですが、この三割近い農民の農業所得というものは一〇%なんですね。そうでしょう。そういたしますと、先ほど長期のビジョンとして何とかこの農業の生産性を高めて、いつの日かは他産業と同様、自由市場において拮抗できる、そういう世界を描いているんだということをおっしゃっておりますが、それはうそであります。どうしてうそかというと、長期ビジョンが極限概念的に先のほうにあるというだけならば、それは実際にないのですからうそというべきであります。私はこの前も、たしかこの委員会で私の考えを申し上げたと思うのですけれども、要するに米の価値、主食の価値は、われわれが戦中、戦後で経験したように、これがないとなったら絶対的な価値なんです。そういう商品価値以外の絶対的な価値があるということ、これは御了解願えると思うのです。  ところで、自由民主党はレッセフェールの立場に立っている。したがいまして、米も、商品としまして自由な市場における価格形成になれば、これは見えざる神の手によって調和できるのだということをお考えになっているかもしれません。それほど極端でないかもしれませんが、そういう論理であなた方の政治施策をおやりになっていると思うのです。ところが、結局資本主義の市場におきましては、どういうものが勝ち残るかといいますと、要するに、資本主義における優勝劣敗というものは、資本の回転率の早いものが勝ちなのです。資本の回転率の悪いものが負けなんです。端的な例としまして、小売り屋は三割、四割を原価の上に利益として乗せているけれども、蔵が建たない、問屋はわずか一%の利益しか乗せぬけれども、蔵が建つというのは、回転率が勝負の分岐点であるからであります。そこへいきますと、米は、商品といたしました場合に、年に一回きりとれないのですから、資本回転率は年一回ということで、資本主義市場において自由価格としておっぽり出された場合には、これは初めから劣者であるということが、生得的に運命づけられておるのであります。脱落していく農業はそれでいいのだということになれば、これは何をか言わんやであります。しかし、先ほど申し上げましたように、商品価値以外に国民の生命をささえる食糧をつくっている農業、これには別の価値があるわけであります。  先ほど申し上げましたように、三割の農民が国民総所得においては一割の配分しか受けていないということ、しかも脱落を放置できぬことは、いま私が申し上げた価値観を端的に裏づけておるのであります。さて、いわゆるスライド制というような発想は、自由市場制におけるところの価格形成ということを暗黙の前提にして言っていることなんです。しかし、そうあるべきではないのです。やはりわれわれがそれなしには生きていけないという価値を持っている農業生湾曲、特に米麦等でございますけれども、それは国民の全体の要請として、割りは合わぬけれども農家の方にやってもらう、そういう立場であるわけであります。したがいまして、いま言ったように、三割の農業人口なら三割の国民総所得があるべきところを、結果においては一〇%きりないような、そういう劣悪な条件においても、農民をして米つくり、麦つくりをしてもらいたいという国の要請が厳としてある。したがって、私の言う論理は、国の大宗をなすところの米の価格というものに対しては、政府自身が個別に、とらわれざるところの決定をなすべき問題なのです。そこで、国民需要に見合うところの量を生産することが国の要請としてあるならば、その米つくり、麦つくりをする農家の方には、割りのいい仕事をしたためによけい納めている他産業からの税金のプール、割りの悪いものは少ないところの納め方しかしない税金のプール、つまり一般会計から繰り出しをして食管特別会計というものを設けて、そこでその差額を支弁していくのはあたりまえなのだ。  いまや食管の初心が忘れられている。スライド制はとらぬとかいろいろなことを言ってはおります。食管制は堅持するとか言っているけれども、現実には異質のスライド制である。消費者米価は三カ年も続けて大幅な値上げをしている。特に今度の予算では、消費者米価の値上げというものを予算米価として、一四・四%の値上げということで予算それ自体に組み込むということをやっている。私は政府に反省してもらいたいのです。私の言わんとするところはおわかりだと思うのですが、そういう角度から一四・四%はあたりまえだという議論はしてもらいたくないのです。どうですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 私どもは米を中心とした農業政策について、いわゆるレッセフェールということ、自由経済政策というものをやらておらないのであります。それはうっかりしてやっておらないのではなくて、いろいろ考え詰めた末に、はっきり考えてやっておらないのであります。それはおそらくここ当分の間、いわゆる自由主義経済政策をこれについてとることは困難であるという認識のもとに、現在やっておらないわけであります。  それからもう一つ、先ほど御指摘のあった点について考えられますことは、農家というものが、農業所得だけで生活をしていかなければならないというそういう前提は、私は別段ないだろうと思うのであります。御承知のように専業農家は、五百五十数万の中で二割五分を切ろうとしているわけであります。第二種兼業がふえていくような現状です。私どもは農家所得というものをやはり問題にすべきであって、農業所得イコール農家所得という、専業農家はそのような制令になっておるということを申し上げておけばよろしいのではないかと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 農家所得は幾らですか。農家所得とすると……。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 農家所得とすると、ほぼ人口の割合に近いわけであります。農家所得と申しました場合には、いわゆる一種、二種兼業の所得が全部加わります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 実は、官房長官に時間的な制約がありまして、武部君が官房長官に質問があるそうですから、一時中断して、私はここで武部君に質問の場を譲ります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 武部文君。

武部文日本社会党

○武部委員 官房長官の時間がないそうですから、残余は午後の部で再販の問題について詳細に質問を行ないます。  私がお伺いをしたいのは、七月の十一日に当委員会で、佐藤総理に再販価格の問題について見解を求めたわけでありますが、その際に総理からこういう答弁がありました。消費者保護の立場から、いままでの行き過ぎたものについてはこれにメスを入れる。この国会では非常に時間に余裕がなかったので提案できないが、必ずこれを法制化すべきものであって、次の機会まで待ってほしい、こういう話がありました。それで、参議院の物価対策特別委員会では、七月の十九日に与野党共同提案で決議をされて、次の通常国会に再販の法案を提出する努力をすべきである、こういう満場一致の決議がされておるわけであります。私がお伺いしたいのは、総理のそういう答弁は、次の通常国会に再販に関する法案を提出する、このように理解をしていいものかどうか、これをお伺いしたい。

木村俊夫自由民主党内閣官房長官

○木村国務大臣 総理がお答えいたしましたとおり、この国会に間に合わなかったことは、非常に政府としても残念に思っております。消費者保護と申しますか、公正取引のためにぜひこの法案が必要であることは、政府も十分承知しております。ただ、その法制化の途中におきまして、いろいろ法律的な問題も出ております。そういう面も全部総合いたしまして、できるだけ早い機会に国会に提出することには変わりございません。ただ、ただいま武部委員のお話のとおり、通常国会に必ず提出するかというお答えになりますと、できるだけわれわれとしては成案を急いで提出したい方針ではあります。しかしながら、必ず提出するとお答えできません。

武部文日本社会党

○武部委員 あまり時間をとってもなんですが、この問題は相当前から問題になっている。公取の原案というものはつくられておって、われわれも承知しておる。各省にもそれが配付されて、相当論議を呼んで、あとで申し上げますが、ある理由によってこれが提案できなかった。その理由は、時間的な余裕がなかった、こういうことでありますが、通常国会までは相当な日にちもあるわけでありますから、符に国民の注目の的であるこの再販の問題については、ぜひひとつ次の通常国会に勇断をもってこれこそ提案をしてほしい、こういう希望を持っておりますが、それ以上の答弁はできませんか。

木村俊夫自由民主党内閣官房長官

○木村国務大臣 私、慎重なお答えをいたしましたが、政府側としましては、ぜひ次の通常国会に提出するように努力をいたしたいと与えております。

武部文日本社会党

○武部委員 わかりました。実は、この委員会で七月六日に、この法案がなぜ提出できないかという私の質問に対して、今度おやめになった北島公取委員長は次のような答弁をされました。「やみの再販行為の取り締まりに十分なことができないような法案、あるいはまた合法的に認めます再販売価格維持契約につきまして、これを十分に規制ができないような法案になることは、私どもとしては全然納得し得ないわけでございます。したがいまして、もし妥協をはかるならば、そういう骨抜きの案でもって妥協できたはずでありますが、私どもといたしましてはそういうことは絶対にいたしたくないということで時間をとったわけでございます。」こういう答弁があったんです。このことは、明らかに、骨抜きをしいられたが、自分たちとしてはそういう骨抜きの法案には従うわけにいかぬのでがんばって、時間がかかって、ついに今国会に提案ができなかったということであります。だとすると、その骨抜きをしいたものは一体だれか、こういうことになる。そこで、この委員会でいろいろ私どもは政府側の答弁を求めたわけでありますか、この骨抜きを求めた政府側は、答弁によって明らかなように厚生省であり、通産省であります。これはもう速記録を読んでいただけば明らかにわかるとおりであります。そうしてその背後にあるものは業者と業界であることは、だれが見ても明らかであります。公取が少なくとも現在のような再販規制ではだめだ、こういうことで原案をつくったものを、寄ってたかって骨抜きにして、妥協をはかるような押しつけをしてきた。これに反発をして公取はやったけれども、残念ながら公取もどうも後退を続けた。ただ、企画庁長官がおられますが、企画庁長官のほうはできるだけ協力したいというようなことも言われておった。したがって、その内部については十分承知はできませんけれども、この法案が提出できなかった内容については、いろいろ疑心暗鬼があるわけです。ですから私どもとしては、このことについて十分なる解明をしなければならぬ、こう思っております。  たまたま公取委員長が突如として退陣をされた。この公取委員長がなぜ突如として再任を固辞されたか、このことについても、私自身としても非常に不可解だし、いろいろ問題があると思います。しかし、それは追ってまた委員会で明らかにしたいと思いますから、その点は避けますが、いずれにしてもこの法案が提出を見なかった、日の目を見なかったその理由として、いま私が申し上げたようなことがほぼ想像できるのであります。いろいろ申し上げたいのでありますが、時間がありませんからそれは避けますが、したがって次に法案を提出される場合には、そういう点についてひとつ十分な考慮を払って、少なくとも別荘の規制法案よりもさらに充実した、国民の納得いくような法案を提出されることを特に要望しておきたいと思います。  そこで、もう一つ、これは簡単でありますが、公共料金の問題です。これはまた先般の総理の答弁によりますと、公共料金の値上げは非常に慎重に扱わなければいかぬ、他に与える影響が非常に強いから、こういう答弁でありました。一四.四%のこの米の問題もそうでありますが、さらに明年度、電信電話料金を大幅に引き上げるということが巷間伝わっておるのであります。三二%という数字さえ出ておるのでありますが、電信電話料金の値上げがもし実現するということになってくると、これまた物価に与える影響も大きいと思うのであります。そこで政府としては、電報電話料金について現在どのようなお考えを持っておられるか、これをひとつ最後に聞いて、残余は午後に譲りたいと思います。

木村俊夫自由民主党内閣官房長官

○木村国務大臣 日本電電公社におきまして、来年度の概算要求にそういう引き上げを前提とした予算を編成中だということは、新聞紙上で私も承りました。しかしながら、その電電公社の事情を聞きますと、御承知のように、唯一に対する需要が最近非常に激しくなりまして、他面また住宅電話のみふえるという現状では、収益単位が非常に低下いたしまして、電電公社の予算上赤字が出るということは当然予想されることでございます。ただいま申し上げましたように、政府におきましては公共料金の抑制、物価安定という強い立場を貫いておりますので、この問題につきましては、慎重に検討してまいりたいと存じております。

武部文日本社会党

○武部委員 それでは終わります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 午後一時から再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時十分休憩      ————◇—————    午後一時十七分開議

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。平岡忠次郎君。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 食管会計に関係のある酒米価格についてお伺いします。  酒造用の原料米の政府売り渡し価格については、毎年のごとく大幅に引き上げられるところの生産者米価にスライドする従来の算定方式では、膨大な酒税、年間千七百億円を負担する酒造企業は全く成り立たないから、スライド制ではなしに、消費者価格を安定せしめるようコスト主義を避け、相当額の財政負担を考慮してこれを決定されたいという要望が出ております。  そこで、まず最近の三級酒の全清酒の中に占めるパーセンテージはどのくらいでしょうか、お伺いします。

嶋崎均大蔵省主計局主計官

○嶋崎説明員 所管外のことでございますので、ちょっと私ここに資料を持ち合わせておりませんが、後刻何かの形で御連絡をさせたいと思っております。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 私のほうで調べたところでは、大体三分の二ぐらいが二級酒であると思います。御承知のように酒は、だだら酒を飲むということは別にしまして、労働の再生産、あすへの力をたくわえる、そういう点で国民の生産力をささえる活力であると言っても、そう当たらないことではないと思うのであります。これが実は米の問題と関連があるわけであります。昭和二十六、七年ごろまでは、清酒原料米の価格は消費者米価と全く同列であったわけでありますが、当時の池田蔵相のときに、食管の赤字を多少とも埋めようということで、一般業務用米と一緒に生産者米価にリンクするたてまえがとられたわけであります。そして消費者米価の水準を離れて高額にきめられるようになりました。その結果、本年分の試算額を含めまして、酒米価格はこの六カ年間六四・四%、年間平均一〇・七%以上の大幅引き上げとなっておりまして、清酒コストのうち原料米価格が六七%を占める業態でありますので、他産業に例を見ない主原料の暴騰となっております。現在清酒については、全国に約四千軒の酒造業者がありますが、一方において財政物資として政府の租税収奪にあい、他方において大衆の購買力に限界が来ているので、生産者米価の大幅引き上げにリンクする原料高の圧力で、大かたが経営の危機に見舞われておるという実情にあるのであります。  かくのごとく、既往数カ年の累積原料米価上げに耐えかねまして、実は今春、総領四十三億円の小売り価格の値上げが政府から認められまして、四十一年産酒米価格の引き上げによる損失四十七億円をほぼ埋め得ましたが、ここに再び本年度産酒米価格の大幅引き上げが行なわれてはたまらないと、酒造業者はおそれおののいておるわけであります。  実態を示しますと、四十一年の生産者米価一万七千八百七十七円のときには同年の酒米価格は一万九千二百五十円、本年の試算では、生産者米価が一万九千五百二十一円に対し、二万九百五十円、昨年比引き上げ額千七百円の大幅値上げとなり、五十八億円の損失が本年も生ずることになるのであります。事態の深刻なことは、大衆酒である二級酒が全清酒の三分の二も占めておる酒づくりの業界に、かりに政府が五十八億円の赤字を埋めてやろうと値上げを許したとしても、再びの値上げでは、大衆の購買力がついていけない事態となっております。酒の購買に向かうべき可処分所得が、広く大衆になくなりつつあるという事態を迎えておるわけであります。  こうした経過から、当然のことながら、酒米は政府に寄与すべき財政物資であるだけに、昭和二十六、七年のころまでのように、消費者米価と一連の立場において、コスト主義を避けて、酒の消費者価格を安定せしむるよう相当額の財政負担も考慮して、本年度以降これを政府がきめるようにしてくれとの要望が出ているわけであります。すなわち、清酒業界の絶対的要請は、酒米は四十二年以降は消費者米価と同価格とはいわないまでも、食管会計における消費者米価決定と同じ範疇で、相当額の財政負担を考慮して価格決定をいたされたいということ、これが一つ。それからさらには、本年産原料米について、具体的に清酒による年間租税収入見込み約千七百億円の、わずか三%程度を出ないところの業界損失額五十八億円は、これを食管会計の中で、酒米引き下げによって処理、救済されたいということでありますが、これはほんとうは大蔵大臣への質問なのでしょうけれども、おられませんので、経済企画庁長官、これをどのようにさばかれますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 御指摘のように、酒米につきましては、ただいまの制度は、いわゆる国の財政負担をいたしませんので、コストをそのまま価格に反映させるということになっておるわけであります。したがって、ただいま平岡委員の指摘されましたような問題が、おそらくは起こってくると思われます。で、これを現在の飯米と同じではなくとも、ある程度食管を経由して財政負担云々ということになりますと、酒というものは非常に多面的な性格を持っておりまして、必需品であるとはなかなか申しにくい。必需品だと思っておる人もおりますし、そうでないと思っておる人もおるわけで、確かに二級酒のウェートが大きい。しかしその二級酒も、米とか牛乳とかと同列の必需品であるとはなかなか考えにくいということでありますから、やはりコスト主義というものは、せっかくそういうふうに分けておりますので、できればくずしたくないというのが、私個人の考えでございます。この問題は、だんだん業界あたりでは問題にしておられるのは気づいておりますが、まだ正式に取り上げてはおりませんので、御指摘のこともよくわかりますから、一度検討をさしていただきたいと思います。

嶋崎均大蔵省主計局主計官

○嶋崎説明員 先ほどのお話、手元の資料によりますと、四十二年度の予算において、酒税額が四千四百九十二億一千四百万、清酒によるところの税収入が千六百七十億四千二百万ということになっておりまして、約三七%程度になっております。  それから、いま御質問の件でございますけれども、御承知のように、食糧管理特別会計の主としたねらいは、主食の確保と需給の調節及び配給の円滑をはかるというのが目的なっておるわけでございます。そういう関連から、その取り扱う物資も、現在は米麦に限られておるわけでございますが、そのねらいは主食としてのお米であり、麦であるわけでございます。ただ、たまたま米を原材料用として使う食品加工の分野になっておるところの清酒の場合については、主食と同じように考えていくというのは、先ほど経済企画庁長官からもお話がありましたように、なかなか問題が多いところだろうと思います。そういう意味合いから、従来酒米その他の工業用原材料となる米穀の価格につきましては、それによって政府がもうけるというようなことではなしに、かかったコストによって販売するというたてまえをとってきておるわけでございます。最近、御指摘のような御議論があるかと思いますけれども、考え方の基本は、やはりコストによって事柄を考えていくというのが、本筋ではなかろうかとわれわれは考えておる次第でございます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 お答えは、酒米の多面性といいましょうか、これは勤労のリクレートのために必要なものという見方もあるし、だだら酒を飲むという倫理的に水準の高からざるものであるという議論もある。しかし、私はそういう倫理観の観点から言っているのではない。そうではなしに、清酒の租税収入の中にになう比重が非常に大きいのです。千七百億円です。そういう財政物資であるだけに、そのもとをからすような方式がいいかどうかということなんです。  それからもう一つには、歴史的には、昭和二十六、七年ごろまでは、消費者米価と一連の立場でこれが決定されて、同じ価格で売り渡されたという経過がある。酒造業界に余裕があるうちはいろいろな御託を政府は並べてもいいのですけれども、大衆の可処分所得が酒のほうに回りかねるということになりますと、コスト主義ばかりに固執するわけにはいかぬではないかということです。コスト主義に固執する限りは、原料米が上がったのだからまたことしも清酒を上げればいいのだということになりますけれども、大衆の中に酒に向かう可処分所得というものが非常に減退しているということになりますれば、これは勢い酒づくりの業界それ自身が危機に見舞われ、したがって、政府の大きな財政物資としての期待がそこなわれてくる、こういうことになろうと思う。そこで、この辺で多少政府のほうとしても知恵を働かせなければいかぬではないかというのが、私の質問の趣旨です。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 御趣旨はわからないわけではございませんけれども、私ども心配いたしますのは、財政収入ではなくて、むしろ消費物資としての酒の価格という点ではないだろうか。つまり、税収をあげるために国民に酒を飲んでもらっているのだという考え方はしておりませんで、国民が酒を飲むのが減って酒税が減ることは、私は一向にかまはないことだと、考え方としては、逆にそう考えますので、問題があるとすれば、やはり消費物資としての二級酒の価格が上がる、このほうをむしろ問題にすべきかと思うのでございます。いずれにしても、少し検討されていただきたいと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 もう一つ、酒米についての相対的な要望があります。さっきのは絶対的要望、つまり方式を変えてくれという要望なんですね。今度のは相対的な要望であるわけですが、高級料理店、レストラン等を含む料飲業者に払い下げられる一般業務用米価格より、割りを食っている酒米価格は納得できないというのであります。それについての政府の見解はどうでしょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 まあ御承知のことをお答えするだけになりますが、料飲業を通じて供給されておる飯米は、やはり主食としての飯米であって、酒の原料米となりますと、これは必需品のための原料とはなかなか断じがたいのではなかろうかと思うのでございます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 宮澤さんのお答え、従来のとおりなんですよ。それを公準としていいかどうかということに疑問があります。やはりそれはもう一度見直さるるべきですね。それは経験的事実なんで公準にはならぬと思うのです。その点もあわせ御考慮いただきたいということであります。いずれにいたしましても、一般消費者米価、酒米価格等は、その年々の生産者米価を基準とするのではなしに、コスト主義を避け、食管会計でいう家計米価の範疇でこれを政府が低位にきめるべきことが妥当であるように思えるわけです。それは前者と後者とは比重が違いますけれども、やはり相関連してむしろ低位にきめるべきことが妥当であるように私は思いますので、政府の見解をただしたわけなのですが、一緒くたにはならぬまでも、財政物資という点において、酒米価格についての再考慮を要請いたし、検討をしていただきたいと思います。  それでは私の質問はこれで終わります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 武部文君。

武部文日本社会党

○武部委員 私は、再販の問題を主としてこれから質問をいたします。  その前に、公取の委員長がやめられまして、新しい委員長が就任をされました。本来ならば、この委員会に御出席をいただいて、いろいろと抱負なりについてお伺いをしたいと思っておりましたし、せっかくの機会でそのように要望したわけでありますが、認証式が済んでいないそうでありまして、残念ながらこの席上にはおいでをいただけないわけですが、一つ心配になることがありますので、きょうは御本人がいらっしゃらぬわけですが、次の機会といいますとたいへんおそくなりますので、事務局長がおいででございますから、ぜひひとつ私の見解をお伝えいただきたい、こう思います。  それは、三十一日に委員長としての内定をいたしましたその直後に、公取委員会で新聞記者会見をしておられますが、その席上で、次のようなことを言われておるのであります。「私は日銀に三十五年間いたが、公取委も百銀と同じで、やろうと思えばいくらでもやることがある。しかし何もしないでいることこそ天下太平の証拠で公取委がいそがしいということはあまりいいことではあるまい。」こういうことを言っておられる。私はあまりうがって悪くとりたくないけれども、警察や刑務所はないのにこしたことはないのです。これはあたりまえのことなんです。しかし、少なくともいまの段階で、公取というものが世間一般からどういう期待をもって見られておるか、また、いま非常に多くの事件を公取が手がけておられるという時期に、就任早々こういう発言をせられるということは、一体公取委員長がどういうお考えでおられるのか、私はこの新聞記事を見て実にびっくりしたわけです。本来ならきょうここに来ていただいてお聞きしたいと思ったが、おられぬわけだから……別に悪気があって言っておられるとは思わぬけれども、少なくとも一カ月以上公取委員として就任しておられたわけだから、こういう不用意な発言はあまりおやりにならぬほうがいいじゃないかと思うし、またの機会にひとつ御釈明をいただきたいということをお伝え願いたいと思います。これを昌頭にまず申し上げておきます。  次に、事務局長にお伺いいたしますが、あなたは六月の二十九日この委員会で、私が、いろいろ圧力が加わって、骨抜きにされるような法案を出されるのじゃないか、また、出ないのはそういう経過がいまあるから出されないのじゃないかという質問をいたしましたところ、あなたの答弁は、規制の法案を出す以上は、現在の独禁法の二十四条の二よりさらに強いものをつくらなければならぬ、こういう考えを持っておるので、いかに反対があっても、その信念に基づいて努力しておる、こういう答弁をされたわけであります。だとすると、二十四条の二の精神——少なくとも私どもは、一般消費者の利益を不当に害するということのないようにするのが二十四条の二の精神だと思うわけですが、あなたが御答弁になった、二十四条の二よりさらに強いものをつくる、したがって、これにはいかに反対があってもその信念に基づいて努力しておるというのは、一体何を言わんとしておられたのか、それをまず最初にお伺いしたいと思います。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 再販売価格の規制につきましては、御承知のように二十四条の二の規定がございます。それで、物価対策の面から申しましていろいろ問題が起こりまして、新しい法律を制定するということになったわけでございますが、新しい法律を制定する以上は、現行法の欠陥を補充して、現行法で足らない点を新しい法律に盛り込むというところから、現行法よりもきつい規定にならざるを得ないということを申し上げたわけであります。

武部文日本社会党

○武部委員 私は、ここで原案をあなたの前に持ち出すということはいたしません。いたしませんが、少なくともつくられた公取の原案の中に、二十四条の二が改正をされて、それよりも強いものが原案として各省に提出されたということを聞いていないわけであります。ほとんど同じようなものが、今度の新しい法案にもそのまま出ておったということを聞いておりますが、その点は間違いでしょうか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 私どものつくりました最終の法案には、新しい制度は二、三取り上げられておりますけれども、お説のとおり、従来の法律とさして違っているものとは私は思いません。その点はわれわれいろいろ努力はいたしたのでございますけれども、各省との話し合いその他でそういうことになりまして、その点はなはだ遺憾だ、こう考えております。

武部文日本社会党

○武部委員 わかりました。  それでは次に、七月十三日に前委員長の北島さんは、この法案が流れて出せないということがはっきりいたしました直後に、事務当局に対して、現在認めておる六業種のうち、カメラを除いた五業種、三十一品目について、来たる十一月末をめどにその契約を破棄するように検討しろ、こういう指示を出されたということが報道されておりますが、これは事実でありますか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 前々からこの問題は、この法案が流れる流れないにかかわらず、私のほうで商品を指定いたしましてから十年以上たっておるものがございますので、これを指定する基準でありますところの一般消費者の日常使用するところのものという基準と、それから自由な競争が行なわれておるという基準、これに基づいて洗い直さなければならぬということは、前から考えておりましたところでございまして、この法案が提出できないということになりましたので、その際委員長から、またあらためてそういう話が事務局にございました。

武部文日本社会党

○武部委員 そうすると、現在この六業種で、再販商品として指定されておるという商品数は四千四百といわれておりますが、大体間違いありませんか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 細分いたしますと、正確には四千四百十ということになっております。

武部文日本社会党

○武部委員 そうすると、この五業種、三十一品目について、これが再販契約を破棄する、そういう立場でいま事務当局をして鋭意検討さしておる、こういうことを言われておりましたが、五業種、三十一品目が、いまの四千四百十という商品の数の中で、大体どのくらいになりますか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 ちょっとわからないのですけれども……。

武部文日本社会党

○武部委員 それでは私のほうから申しますが、三十一品目で四千三百九十三商品というふうに聞いております。大体これで間違いありませんか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 そのとおりでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 そうしますと、再販の法案は流れたけれども、現実にいまある再販の法律で蕨市に規制することによって、もしかりにいま対象になっておる五業種、三十一品目、四千三百九十三商品が、公取の英断によって、これが再販の指定から抹殺されるということも考えられるわけでありますね。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 細分いたしますと四千数百になりますけれども、私のほうで洗い直す場合には、商品のグループ別大体三十一、これは多少ふえるかもしれませんけれども、商品のグループ別に洗い直せば足りると思います。これは一々契約を破棄させるのではありませんで、指定を取り消せば自然に契約がなくなる、こういうことであります。

武部文日本社会党

○武部委員 わかりました。  それでは次に、いま牛乳裁判が——牛乳裁判ということばは当たるかどうかわかりませんが、そういうふうな名前で呼ばれておりますが、二つ続けてありました。その内容を見ると、審判にかかった業者は、いずれも全部これを認めていない。したがって、これから審判が続くわけであります。現在まで審判をやっておられる過程をずっと調べてみますと、相当長期間日数がかかっておる。したがって、なかなかその審判の判決が下らない。たとえば、一年以上かかっておるのがあるようであります。そうなってくると、たとえば牛乳を例にとってみると、四月一日から値上げをした。そしてこれが摘発をされて勧告を受け、審判にかかりこの結論が出るのは相当先だろう、こういうことの予想ができるわけであります。そうすると、現実には一般消費者はもう二円の値上げで飲んでおるわけであります。いつ審判が出るかわかりませんが、かりにそれで協定の破棄がきまった。それが一年先だった。そうすると、一年先から業者が二円の値上げしたことについてどういうことをするかわかりませんが、かりに二円の値上げを認めないということになれば、一年間というものは現実にもう二円上がったままで消費者は買わざるを得ない、こういう結果になるわけです。そこで、いつか私も質問したわけですが、かりに審判にかかるとか、あるいは皆さんのほうからそういう調査を行なったという時期で、直ちに値上げを差しとめるというようなことを、いまの独禁法の中では全然可能性はないのですか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 お話のように、非常に長引いている事件がございます。これはもとより経済事案でございますので、できるだけ迅速に処理しなければならないと思いまして、私も関係官に対しまして、迅速に処理するようにいろいろと話しをしておりますが、何分にも相手方のあることであり、参考人の申し立てなど多数ございますので、時間がかかるということでございます。そこで、独占禁止法の六十七条の緊急停止命令の裁判所に対する申し立て、この点をただいま検討いたしておるのでございます。

武部文日本社会党

○武部委員 独禁法の六十七条では、裁判所の緊急停止命令またはその変更、取り消しということがあって、裁判所は、緊急の必要があると認めれば、公正取引委員会の申し立てによってできる、こういうことになっておりますね。それでいまの牛乳の問題は、独禁法の八条一項一号の事業団体の禁止行為に該当する、こういうことになるわけですが、検討するとおっしゃっておるけれども、いままでこの六十七条が発動されたことが一回でもありますか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 新聞に関連いたしまして、不公正な取引方法について、いままで数回発動されたことがございます。

武部文日本社会党

○武部委員 それではもう一つお伺いします。やはり牛乳の問題ですが、メーカーの協定問題について何回か当委員会でも質問いたしましたが、なかなかその事実がつかめない現実にいま調査中である、こういう答弁がしばしば繰り返されておりまして、ただいまのところは小売り業者のみがこの審判の対象になっておる、こういう状況ですが、メーカーについてその後の進展状況はいかがでしょう。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 前にも申し上げたのですけれど、メーカーにつきましては、なかなか私のほうで証拠をつかむことが困難で、審査部のほうで鋭意ただいまも努力をいたしております。

武部文日本社会党

○武部委員 この問題が起きましてから相当な日にちがたっておるわけです。摘発されたものは小売り業者の団体のみであります。小売り業者の団体からは、これから皆さんのほうの審判で、そういう発言がおそらくあろうと思いますが、なぜ小売り業者だけがそういう公取の摘発の対象になるのか、メーカーはなぜそういう対象にならぬのか、こういうことについても非常な不信を持っておることは事実であります。少なくともあの段階で、一円二十銭、三十銭、五十銭という二円の値上げの配分が偶然の一致ということは私は言えないと思いますが、こういう事実が現実に生まれたということは、メーカーの間に必ず協定が存在しておったということは言えると思うわけです。ただ問題は、証拠をつかむことがいまの公取の段階で非常に困難だということもわからぬわけでありませんが、少なくとも小売り団体のみがこの牛乳問題で摘発され、審判にかかっておるということについては、これは国民のだれが見ても、非常に不自然な形であろうと思うわけでありまして、ぜひひとつこうしたメーカーの協定問題についても、早期に結論を出すように、特に要望しておきたいと思います。  次は、同じく事務局、長にお尋ねするわけですが、あなたはきのう経団連の自由化対策特別委員会というのに出席されましたね。その一席上でこういうことを述べておられますが、ちょっとその真意を承りたいのであります。「再販規制法の問題は物価対策として扱うことは危険であり、規制しても委託販売その他の抜け道を利用することになろう。」こういう発言をしておられるのであります。これは事実でありますか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 多少新聞記者が入っておりまして、誤解があったと思うのであります。私が申しましたのは、物価対策の観点からだけ再販制度の批判をするのは問題があるということと、再販制度を規制することによって物価問題が解決するのではない、そういうことを申し上げたのであります。

武部文日本社会党

○武部委員 これは少なくとも公取の事務局長の談話じゃない。私はそれを見て、さっきの新しい委員長の話じゃないが、委員長がそういうことを言い、事務局長がそういうことを言うというようなことでは、と私は思ったのです。それできょうはぜひ真偽を確かめたいと思って質問をするわけですが、私どもは、少なくともいまの再販というものは——おっしゃるように十二年くらい前にできたものであって、その当時の法の制定された精神は、確かにどこへ行っても同じ品物が同じ値段で買える、そういうものであったかもしれません。当時はそうでしょう。ところがいまは違っておるのです。これは御承知のとおり、いまはもうはっきり言ってメーカーの利潤の確保の一つの隠れみのです。そういう場合に再販の規制法というものは、明らかに消費者の保護のためにいまこそ強化されなければならぬ、私どもはそう考えておるわけです。それがいまの再販の一番大きな任務であるというふうに思っておるわけです。物価対策としてこれを取り扱うことは危険だ、このことはわからぬわけではありませんよ。これが法の全部の精神だとは言わぬが、少なくともいまの段階で、たくさんのものが再販の問題として取り上げられて、その内容が逐次暴露されておる中では、少なくともこの再販の問題というものは、物価政策であり、同時に消費者保護の政策として、政府としてもあるいは公取としても、十分ひとつお考え願ってやっていただかなければならぬ問題だと私は思うわけです。そういう意味で、ことばが足らぬとおっしゃるけれども、あなた方の胸の中にそういうものの考え方があるとするならば、これは非常に重要なので、再販というものは一体どういうふうなものだ、たとえば物価政策についてはこうだ、こういう点を、もう少しここで詳しくお述べいただきたい。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 きのうは、対談をしているときにそういう話が出たのでございまして、多少記事に誤解かあると思います。私は、物価対策として取り上げることは危険だというようなことを申したわけじゃございませんで、物価対策上必要であるからこそ新しい法律をつくろうと努力したわけでございます。したがいまして、今後もそういう観点からこれをいかに規制していくか、これを事務当局といたしましても、当然委員会といたしましても、このために努力いたしたい、こう考えております。

武部文日本社会党

○武部委員 どうも話が食い違ってかち合いませんのでぐあいが悪いわけですが、私は、イギリスの再販の記事を読んで実に教えられることがありました。きのうのある新聞のロンドン特派員の報道として——お読みになっておりませんか。きのうの新聞にロンドンの特派員の報道として、イギリスで、菓子ですか、チョコレートとかそういうものについて審判が行なわれて判決が下された。そうして非常に注目のもとにこの再販申請を却下されたわけです。イギリスでもたいへん大きな世論を巻き起こしておる。そしてこの法案を出したのが、いまの内閣ではなしに当時の保守党内閣、ヒューム内閣の商相だったいまのヒース党首ですが、これが出した。記事を読んで、これはまことにりっぱなイギリスの状態だと思ったやさきに、あなたのああいうことを見たし、それから公取の新しい委員長のああいうことを見たから、これは日本とイギリスとたいへんな違いだなと、こういうことも実は考えたので、あえてそういうことを質問したわけです。事ほどさように、この再販問題は諸外国においても非常に取り上げられておって、日本でもいまたいへん注目の的でありますから、こういう点について、ぜひひとついま申し上げたような点を来たるべき法案の内容に盛り込んでいただいて、きょうは幸いに官房長官のほうから、次期通常国会に再販の法案を提出するように最大の努力をする、こういう答弁がございましたので、いろいろ公取にも事情もありましょう。外部からのいろいろなあれもありましょう。それもわからないわけではありませんが、ぜひひとつこの次には、この法案の内容についていろいろの立場から校訂し、批判をし、建設的な討議ができるように最大の努力を、ひとつ公取のほうに要望しておきます。  次に小峯先生のほうから質問があるそうでありますから、私はこれで質問を終わりたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 小峯柳多君。

小峯柳多自由民主党

○小峯委員 私は、いま武部委員の質問を伺っておりまして、実は少しニュアンスの違う考え方をいたしております。むしろこの独占禁止法がオールマイティーだと考えると、いろいろな意味で弊害が出てくるような感じがするわけでございます。先ほどイギリスとの比較もありましたが、私は、これはやっぱり産業の若さと、そうして一方では相当年をとっているという、いわば弾力性の違いによっても、同じ独占禁止法の適用のしかた、か違ってくるのじゃないかという感じがするのであります。まぜ返す意味じゃありませんが、そういう意味で少し事務局長に、きょうは幸いに長官もいらっしゃいますが、この法律を運用する心がまえについて伺ってみたいと思うのであります。  松下電器に、家庭電気製品のやみ再販価格に対して中止の勧告をあなたのほうでなさっておりますね。それは新聞で承知したのですが、あすまでの期限で、あなた方の中止勧告に対する当事者のお返事があるようになっておると承知しておりますが、中止の勧告をしまして以来、その後の経過はどうなっていらっしゃいましょうか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 突然のお話で、私いつ勧告したのかは正確に記憶いたしておりませんけれども、先般勧告いたしました。それであしたまでの期限で、それを応諾するかどうかの回答を私どものほうにいただけることになっておりますけれども、向こうかう人が参りまして、いろいろお話をした結果、あしたまででは回答ができない、十日まで延ばしてほしいということで、おそらく十日まで延ばしたと私は考えております。

小峯柳多自由民主党

○小峯委員 同じようなケースが、ほかのメーカーにございますか。たいへん似たようなメーカーがあるわけでございますが……。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 そういうケースがあるかどうか私存じ、ませんけれども、あるいはあるのじゃなかろうかと、審査当局もそういうように考えておるようでございます。

小峯柳多自由民主党

○小峯委員 そういう中止の勧告をした例はございますか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 いままで電器メーカーに対して、そういう勧告をした例はございません。

小峯柳多自由民主党

○小峯委員 去年の秋ですか、カラーテレビに対するメーカー間の申し合わせ行為に対して、やはり勧告をなさっておりますね。その後の経過はどうなっておりますか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 カラーテレビの場合には、いわゆる松下の場合と違いまして、縦の関係ではございませんで横の関係でございます。これは初め勧告をいたしましたところが応諾いたしませんので、審判開始決定をいたしまして、今日までたぶん十三回くらい審判をいたしております。早く処理するように申しておるのでございますけれども、非常にたくさんの参考人の申し出がございますので、時間がかかっておるような状態でございます。

小峯柳多自由民主党

○小峯委員 私は、この二つの勧告を通して、ただ法律の文句だけにこだわって、新しい産業に対して早目にいろいろの注意をすると、かえってその産業の発達を阻害するような場合がある。これは先ほどだんだんお話がありましたように、この再販価格の上にあぐらをかいて、そうしてメーカーがたんまりもうけているというふうなことに対しては、もとより私どもは許してはおらぬと思うのでありますが、しかし、まだ産業が新しくてむしろ縦でも横でも一様に足並みのそろうほうがその仕事が伸びるような場合に、ただ法律の文句だけで独禁法を発動していいのだろうか。あなた方のお立場からいうと、当然この法律の条項に従って御行動なさるのだと思うのですが、私はその精神はわかるのですが、その産業の置かれている環境、伝統、そしてまた最終のメーカーが再販価格の上にあぐらをかいておるかどうか、こういう事実認識の上に立っての発動をお考えにならないと、かえって角をためて牛を殺すというふうなことにもなりかねないような感じがするのであります。私は独禁法が悪いと言うのではありませんけれども、その運用についてどういう心がまえでいらっしゃるか、その辺のところを伺っておきたいと思います。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 御承知のように独占禁止法の目的は、第一条に書いてありますけれども、要するに自由競争こそ産業の発達する唯一の道であるということでございますので、ただいま小峯委員の言われたようなこともあると思いますが、自由競争を阻害するというような場合には、私のほうは法律をもって処分してまいるというたてまえでございます。

小峯柳多自由民主党

○小峯委員 宮澤さんどうでしょうか。いま自由競争が唯一の道だというふうに言っておりますが、私は、自由競争というものが、その国の伝統あるいは産業の環境、あるいは間々メーカー、経営者の心組み等々を勘案して、ただそれだけを形式的に押しつけてはいけないような感じがします。この法律に対して非常に興味を持っておりますが、さればといってこの適用のしかたというものを、いま事務局長はお立場上当然の御答弁だと思いますが、そういうことでやっていいのだろうか。その総合性というものは、一体政府のどの部局でだれが見るのだろうか、あるいは見ることはできないような法律になっておるのか、どうでございましょうか、その辺の御見解を承っておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 ただいまの小峯委員のお尋ねと先ほどの武部委員のお尋ねとには、やはり関連があるわけでありまして、つまり、小峯委員の言われましたように、物価対策というものが独禁法に寄っかかり過ぎているのではないかといったようなこととの関連で申しますと、独禁法そのものは、それを発動することによって直ちに物価を下げる効果があるかどうかということは、必ずしも保証できない場合があると思うのでございます。他方で物価対策の見地から申せば、不公正な取引であるとか不当な商行為であるとかということだけを取り締まっていけば、物価対策は大体済むかと申しますと、必ずしもそうではありませんで、不当でない、不公正ではないが、しかし物価を下げられる、消費者側の抵抗なりあるいは物価監視機構なりによって下げ得る場合もございますわけですから、したがって私どもも、そういう関係の消費者教育もせず、あるいは消費流通機構にメスを入れもせずに、公取だけに寄っかかっておればいいのだというふうに考えてはならないと自戒をいたしておりますし、公取のお立場からいえば、その結果として公正取引委員会の行政が、消費者物価を下げる役割りを果たすこともあるであろうが、しかし、それが主たる行政の目的ではないというふうにお考えになるであろうということは、私は予想できる当然のことではないかと思うのでございます。  そこで、いま小峯委員の言われましたように、したがって、独占禁止法そのものの規定に従って公取が行政された場合に、それによって必ずしも物価が下がらない、あるいはひょっとして当面物価が上がるということは、絶対ないとは言い得ないと思います。たとえば、例が適当であるかどうか存じませんが、先ほどおあげになりましたような大きな電器メーカーの責任者が、再販価格維持契約類似行為、かかりにあったとしても、それによって自分たちはだれよりも安く消費者に製品を提供しているではないか、それによってまた生産もふえてコストも下がっていくのだと言われましたときに、その説明は、あるいはその限りでは当たっておるかもしれない。しかし、独禁法に違反しておることもまたあるいはそうであるかもしれない。でありますから二つの観点は違うのではないか。ですから、私どもも公取委員会だけにおぶさっておればいいとは考えておりません。  そこで最後のお尋ねは、しかしその辺を政府として調整することはあるのかと言われますから、それは私思いますのに、おそらくは公正取引委員会が独自の立場から法に照らして行政をされる、職権を発動されるということ、それで終局だと思うのでございます。それが他にどのような影響を及ぼすかということについては、法のたてまえからいっても、それを調整するような役割りは行政府は持っていないのではないか、そういうふうに思います。

小峯柳多自由民主党

○小峯委員 たいへん御明快な答弁をいただきましたのですが、私はそういうふうに最後のオーソリティーというものを独禁法が持っておると思いますから、法律を出される場合に、各省から折衝あるいは申し出のありましたことは無理がないと思うのであります。それを牽制するとかなんとかいう問題でなしに、よほどこれは関係省との打ち合わせをじょうずにやりませんと、私は独禁法自体が独走すると思います。この経済法というものは、それ自体のためにあるわけじゃありませんから、これが全体としての経済の発展、消費生活の利益のために役立つかどうかというところに観点がしぼられなくてはならぬわけだと思うのであります。いま長官もお触れになりましたような、たとえば家電メーカーの場合に、毎年モデルをかえたり、私はかなり勉強してきているように実は思うのであります。一般の物価の高い中で、大量生産のメリットも加わってでありましょうけれども、それほど値が上がってきていない。そういうことで、消費者の中にそれほどこのことに不満を持っているというふうな傾向は、私だけの知識かもしれませんが、感じ得られないのであります。むしろ非常に良心的な経営者というものがこの再販価格類似行為——私は審判を経ない限りは、ぴしっと言うわけにいかぬと思いますからこういう言い方をするのでありますが、そのために安心してマスプロダクションが継続できるというふうなことになっておれば、その業界あるいは家電製品の価格というものを総合的に考えて、なるほど事実は独禁法に触れるような懸念があるかもしれませんが、それだけでこういうものを取り上げていいのであろうかということを、実は非常に私は心配しておるわけであります。そのことで私どもから見て、多少弊害が逆にあらわれてくるような場合なきにしもあらずと考えておるのであります。たとえば小さい、力の弱い小売り商なんかでも、たまたまこの縦の系列の中に入っておりますから、正直なところ比較的安定した経営をしておられるような場合がございます。そうでなしに、むしろこれを腕こきで安く競争するのだというふうなことになると、案外小売り店の中に影響を受けるようなものも出てくるような感じがするわけでありまして、私は、存在する一つの秩序というものは、やはりそれだけの理由があり、歴史があり、環境の中に生まれてきていると思いますがゆえに、確かに法に触れていることを見のがしてはならぬと思いますけれども、全体としての経済的な評価の上に立って、この法律を発動すべきかどうかというものを考え得られるようなアローアンスというものが、実はこの法律の中になければいかぬと思うのであります。しかし法律のたてまえは、先ほど御指摘のありましたように、公取できめれば待ったなしでございましょう。その辺に、政府としてやはり何か少し矛盾したものがありはしないかと思うわけであります。いかがでありましょう、重ねてその辺の御見解を伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 それは非常にむずかしい問題で、御指摘になっていらっしゃる点はよくわかっておりますが、むずかしい問題だと思います。しかし、これはしろうと考えでちょっと違っておるかもしれませんが、いわゆる公正取引ということを非常にきびしくやっております、たとえばアメリカでございますが、たしかその中でもATT、例の電話会社、アメリカン・テレフォン・アンド・テレグラフでございますか、これは非常によく公衆へのサービスが行き届いて、国民全部認めるところというのでございますか、そういう観点から、普通でありますとあるいは独占禁止法に触れるようなことになっておるのじゃないかと思いますが、特にそういうことにはなっていないといったようなことはあるとかいうことを聞いておりますけれども、間違っておるかもしれません。ですから、小峯委員の言われるようなことは考えられることだと思います。ですが、わが国の場合で申しますと、やはり長期的には自由公正な競争というものが国民経済のために一番いいのであって、それが本則であるということは、比較的公正取引というふうなことになれないまだ初期のわが国の段階では、やはりそれを原則として貫くということの利益のほうが大きいのではないか。立法論としては、確かに小峯委員のおっしゃるような場合が私は考え得るだろうと思いますけれども、やはりいまの段階としては、多少のことはあっても原則を貫いていくということでよろしいのではないか。しかし、これはあるいは政府部内にも違った意見があり得るかと思いますが、これは立法論の問題であろうと思います。

小峯柳多自由民主党

○小峯委員 私は、原則を貫くということは当然だと思うので、この法律の意義、役割りというものを比較的高く評価している一人だと思うのですが、ただ適用の場合に、先ほどイギリスの話も出ましたが、何となく産業の秩序というものが固まってしまって弾力がなくなった場合には、むしろこういう法律がものをいって、生々発展の過程においては、これが必ずしもものをいわないんじゃないか。たとえば、家電の問題で再販価格の類似行為があったといたします。また類似でなくて、そのものずばりであったといたします。しかし系列を通して、系列間の競争のようなことも実は行なわれていると思うのです。少し小理屈になるかもしれませんが、そういう場合に、松下なら松下は一つの系列を通して、東芝なら東芝の系列を通して、日立なら日立の系列を通して、系列間の、いわばグループの競争というものもあり得ると思うのです。その競争を通して公平な自由価格が形成されるというふうなことはないのでしょうか。私は、そういうことも確かに法律の条文にはないと思うし、事務局長からおっしゃれば、どうあろうとも条文どおりだというのは当然だと思うのですけれども、その辺のかね合いというものが、新しく法案を提出なさる場合に御準備なさらぬと、私は、よそから干渉が入るんじゃなしに、自分たちの預かっている、めんどうを見る立場から、各省から意見が出てくるんじゃないかという感じがするのですが、事務局長さんいかがでございますか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 いまお話のように、グループ間の競争というものがあり、これによって産業が発達するというようなことをおっしゃいましたが、そのとおりでございまして、その点で再販売価格維持契約という制度が認められておるわけでございます。たとえば、ライオン歯磨はライオン歯磨同士で競争しなくても、これはサンスターと競争すればいい。こういう立場から、再販制度というものが最初から認められておるわけでございます。

小峯柳多自由民主党

○小峯委員 そうしますと、松下なんかの場合にはそういうメリットはわかりますけれども、正式に認めていない、いわばやみの再販価格なるがゆえに中止の勧告をした、こう解釈していいですか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 そのとおりでございます。

小峯柳多自由民主党

○小峯委員 たいへんはっきりしてまいりましたが、これは武部委員のお話と少しニュアンスが違うので失礼でございますが、私は、よくあなたの御主張はわかると同時にまたそういう懸念を持っているわけで、法律はむずかしい法律ですから、ひとつよほど入念に練って出していただくことは大賛成ですが、たとえば再販価格というものは悪いものだと、初めからきめてかかることはよくない。こういう名刀、これは環境に応じて使うべきものなんで、もう朝から晩までこの発動だけを考えていいだろうかというふうな感じも実はするわけです。御当局としましては、忠実に法律の条項の御趣旨を考えるのは当然でございますが、全体として見てその点が考えられますので、むしろ弊害の少ない再販価格というものは、もうあからさまにお認めになって、これを逆にふやすという意味ではありませんけれども、おおらかに認めるような態度も同時に行なっていかれるような運用があってしかるべきだと思うのです。最後に、この点についてもう二度事務局長に伺っておきたいと思います。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○竹中政府委員 私の個人的な考えでございますけれども、物価問題の観点だけから再販制度を批判すれば、現在の二十四条の二を削除されるのが一番簡単で、これが一番目的を達すると思います。ただ、立法趣旨その他の点を考えますと、そのとおりにもまいりませんので、いろいろ問題点が出てまいりまして、その処理にわれわれ苦慮してまいったのであります。これからもそういう問題点を個々に解明いたしまして、非常にむずかしい問題だと思いますが、御期待に沿うようにいたしたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 有島重武君。

有島重武公明党

○有島委員 私も初めて物価問題の委員に入れていただきまして、いろいろ勉強させていただいておるわけでありますけれども、物価問題は物懇や安定推進会議ができましてから、国民的認識がたいへん深くなってきた。また、政府間の内部でも認識が高くなってきたといわれておりますけれども、私どもこれはしろうと的な実感なんでございますけれども、経済全体の中で物価というものは非常に身近な感じがいたしますけれども、経済全体の非常に表面的な現象じゃないかというような感じがするわけであります。それを承知の上で、経済全体における物価問題の重要性ということについてはっきりしたお考えを伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 経済というものの中で物価はどういう役割りを果たすのかということでありますが、どうもそれはたいへんむずかしい学問の問題で、私にもお答えしにくいのでありますけれども、一つは、やはり物価というものが経済活動の結果としてあらわれる一つの現象であるという要素があると思います。他方で、物価というものが新しい経済活動を引き起こす原因、指標になっておるということは言えると思います。つまり、一定の物価あるいは物価水準か与えられましたときに、それを前提にして企業家が新しい経済活動を起こす。たとえばこの物の需給関係がはずれておるためにこの物の価格が高い、したがって、自分がそこに役資することによって利潤を得るであろうから、またマクロ的にもそれによって需給の新しい均衡があるという意味で、物価そのものが新しい経済活動を引き起こす。そういう指標になっておるという面があると思います。その両方の面があるのではなかろうかと考えております。最初の点は、つまり現在ある経済活動の結果としての現象と申すより、経済活動をあらわす指標でございますか、それから新しい経済活動を起こすための一つの指標、この両方の機能があると思います。

有島重武公明党

○有島委員 きょうは、前国会の当委員会でもって最初に問題になっておりました牛乳の問題について、その後の実施状況について、私は二、三質問いたしたいと思います。  初めに、滅菌牛乳の価格の問題なんですけれども、これは昨年の十二月に滅菌牛乳製造の例外承認を与えた。これが申請してから非常に時間がかかっておったという話を聞いておるのでございます。北海道のことでございますけれども、これはどういう理由でこんなに時間がかかったのか、このことを伺いたいと思うのですが、厚生省の環衛局長さんいかがですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 お尋ねの点はユーペリゼーションといわれる、従来わが国で行なわれておりました高温瞬間消毒方法と似てはおりますけれども、方式の違ったものを新たに採用するようにというふうな申請であったかと思うわけであります。このものは従来の方式と違いまして、相当量の蒸気を牛乳の中に吹き込みまして、それによって水分が相当ふえるわけであります。一三%程度牛乳の成分を変えるわけであります。一たん牛乳の成分をそのように変えたものから、水分だけをあとから脱水するという、従来牛乳にはなるべく変化を加えないで、他のものを加えたりとったりしないで、しぼり立てのままで国民に与えるということを基本方針としておりましたのに、そういう特殊な方式を用いる殺菌方法でございますので、慎重を必要とするということで、かなり許可までに時間を要したわけであります。ただ、すでにこのものは昨年の十二月に許可をいたしたにもかかわらず、今日に至るまで製品が出ない状況でございまして、このものが許可されたことと、こういう殺菌方法が利用され、用いられるということとは、どうも別のように私どもは観測いたしております。

有島重武公明党

○有島委員 これは申請を提出したときとほとんど時を同じくして、国立、都立の試験研究機関でも実験データが出されているにもかかわらず、どういった点を特に検討なさったのか、そういうことが伺いたいと思います。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 このものが、ただいま申しましたように、牛乳成分に変化を与えないかどうかということの配慮をいたしておったわけであります。このもののそのような配慮によって許可がおくれたことによる実際の製品の売り出しがおくれたかという点では、ただいま申し上げましたように、今日に至るまでその製品は出ていないということを、御参考までに申し上げたわけであります。

有島重武公明党

○有島委員 それから北海道だけでもってそれを許した、そういうふうに聞いております。北海道だけで販売するならばすぐ承認するというようなお話があったと聞いておりますけれども、こういった滅菌法について、これを推進する方向をお考えになっているのか、それとも阻止する方向を考えているのか、その辺のところを伺いたいわけです。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 ただいままでのところこの加工乳につきましては、私どもで審査をした結果は差しつかえございませんので、幾ら利用されてもたいへんけっこうなことだと思うわけでございますが、私どもは業者を呼びまして、なぜすでに半年以上になるにもかかわらず製品が出ないのかと問いただしたわけでございます。というのは、このものの許可をめぐりまして、非常に許可がおそいとか、問題があるとかいう話がございましたので、せっかく昨年暮れに許可したにもかかわらず、今日まで製品が出ないのはなぜかということを詳しく聞いたわけでありますが、これは高くつくということで現在製品化していない、こういう業者側の回答でございました。

有島重武公明党

○有島委員 この十二月十五日の承認についてでございますけれども、第一点が、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の規定を厳守すること。」第二点が、「特に標示にあたっては販売曜日はもとより更に製造年月日を併せて記載すること。」三番目は、「当該承認は、申請時の製造工程及び配合割合であること。」ということで、非常にその制限がきびしいように感じるわけです。「特に標示にあたっては販売曜日はもとより更に製造年月日を併せて記載すること。」これは普通乳にもこういうことはしていないにもかかわらず、滅菌乳について特にこういうことを義務づけるのは、これはどういうことでしょうか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 このものが一年間保存に耐えるという申し出がございますので、その意味合いで製造月日を特に書かせることにいたしたわけでございます。

有島重武公明党

○有島委員 一年間かかって売るなんていうことは、これは常識では考えられないわけですね。それでもう一つには、この製造工程及び配合割合について、生乳の場合には九六・九%、脱脂粉乳の場合は一・〇%、クリームは二二%、その他ビタミンA、D、クエン酸鉄アンモン等が入っているわけでありますけれども、この配合の割合でございますが、これもこの一定のものにだけ限るということは、非常にシビアな制限じゃないかと思われるわけでありますけれども、これはどうですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 先ほど来申しておりますように、相当量の水蒸気を入れた上でさらにそれをあとから脱水するわけでございますから、従来の牛乳の殺菌法にはなかったことです。普通であれば、そういうものを普通牛乳として売らせることはあり得ないことでございますが、特にこのものが成分を変化しないということを前提として売らせるわけでございますので、成分においてはかなりきびしいものを規定いたしたわけでございます。

有島重武公明党

○有島委員 そうすると、これ以外の成分のものがかなり格安にできるとしても、これは許可が出ないことになりますね。これはまた別な許可になるわけでしょうか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 その点は、参考までに成分を書かしたわけでございまして、別に差しつかえございません。

有島重武公明党

○有島委員 そういたしますと、ここで確認いたしますけれども、これは参考までであって、この十二月十五日の承認の第三項目の「申請時の製造工程及び配合割合であること。」と、特にこれを注意しているのは、これはかなりゆとりを持って解釈してもよろしいわけでしょうか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 そのとおりでございます。

有島重武公明党

○有島委員 そういたしますと、ゆとりのプラスマイナス・アルファ、こうなるわけですけれども、そういった程度についてはどのようにお考えでしょうか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 牛乳の規格に合っておれば差しつかえないわけでございます。

有島重武公明党

○有島委員 この殺菌法を用いて加工したけれども、大体その成分は牛乳の規格の範囲内である、そういうことがはっきりすれば、この承認の範疇に入るわけでありますね。それを確認いたします。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 そのとおりでございます。

有島重武公明党

○有島委員 それから、ポリエチレンの袋の採用につきまして、この委員会において御質問をいたしました。そのときに厚生省は、ポリエチレン容器が牛乳に適当かどうか試験をする必要があるけれども、というようなことが御答弁にございました。その後どんなふうな試験をおやりになっているのか。それからあのときはたしか、業者の申請を待つまでもなく積極的に試験をやっていく、こんなことを経企長官も厚生省もお答えになったはずでございますけれども、その実施状態はいかがでしょうか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 目下国立衛生試験所で検査中でございます。

有島重武公明党

○有島委員 その検査中の大体の成果を伺いたいわけです。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 まだこの段階で、どのような結果があらわれたかということをお話しするまでに至っておりません。と申しますのは、合成樹脂製のいろいろな厚みの、すなわちガラス容器に匹敵するような厚いしっかりしたものから、風船のような非常に薄いものに至るまで、各種の厚みを全部そろえまして、全般的にいま検査をやっておる最中でございまして、この段階でその結果がどうなるかということを、まだ申し上げる段階に立ち至っておりませんけれども、本年度の予算におきまして、国立衛生試験所で調査中でございます。

有島重武公明党

○有島委員 これはだいぶ前のデータなんでございますけれども、コンマ一ミりのポリエチレンの浸透量を一〇〇といたしますと、酸素の透過率でございますけれども、市販のいまのテトラパックが一六二で、それから牛乳のびんの現在使っているあの紙のせんでございますけれども、これは二四六〇以上でもって、これは計量できないほど多いのだ、そういうようなことが、試験の結果を待つまでもなく、ずいぶん前から知れていることだと思いますけれども、特にいまかような試験をしなければならないという、その一番のポイントはどういったことになっているのでしょうか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 透過力が、牛乳中の成分、特に脂肪によりますとだいぶ変化があるように思われますので、成分によりまして透過力の変化を調べておるわけであります。内容の成分に応じて透過力が変わるかもしれない、ことに脂肪が透過力を変化させるかもしれないという諸点がございますので、成分を変えたりなどいたしまして、いま透過力の試験中でございまして、そんなに長期試験をする必要はもちろんございませんが、本年度の特別調査費で調査いたしております。

有島重武公明党

○有島委員 脂肪によって酸素の透過率が変化が起こるのじゃないかという点を試験されているというお話でございますね、いまのお話は。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 脂肪によりましてポリエチレンの実質が溶解するかもしれないという疑点がございまして、そういう意味合いから脂肪が内容物でございました場合、脂肪の含有量によりまして、それがポリエチレンに何らかの変化を起こし、また、それがひいてはポリエチレン容器の透過力に変化を及ぼすかもしれない、こういうことを懸念するものでございますので、慎重な検査を必要とするということで、ただいま検査中でございます。

有島重武公明党

○有島委員 それはいつごろ切り上がるでしょうか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 先ほど来申しておりますように、いろいろのサンプルを集めて、それをポリエチレンの性質に応じて各種のものを調査いたしております。したがいまして、わかり次第漸次公表してまいることになりますが、全容がわかるのは本年度一ぱいかかるかと思いますが、目下やっておりますものは、秋には明瞭になってくると思います。

有島重武公明党

○有島委員 こうしてしつこく質問いたしますのは、新しく開発されたものをどんどん使っていく方向ではなしに、何か押えられているような印象を受けるのです。それで、これは推測の範囲みたいなものですけれども、いままでの業者に、新しい容器が進出するということは、やはりいろいろな影響を及ぼすわけですから、そういったところから、何か不当な圧力がかかっておるのじゃないかというような印象を受けるわけですよ。いまの答弁を伺いましてやや安心するわけでありますけれども、これをいろいろな厚さについて実験を繰り返していくということでありますと、これは十年かかったって全部終わりましたとは言い切れないですよ。現在までこの分まではだいじょうぶであった、この分まではこれを認可しようという扱い、このほうがさらに科学的な行き方じゃないかと思うわけです。完全無欠になってからやろうということじゃないと思うのです。これは、いま秋という言明がございました。秋には、この分のところまではいい、この範囲ではいい、そういった結果を期待しております。  それから、一定のかたさと形状を保有しておるものであるという制限が出ておるようでありますけれども、形状は特に円錐形である。そしてポリエチレンフィルムはまだ該当しないようなことになっておる。そういう方針に沿って、特にヤクルトがガラスびんにかわってプラスチックの容器に切りかえ中である。それから春以来牛乳にポリエチレン容器を使って合理化をはかろうとする動きがあるわけですが、こうした動きに対して一つの基準、これは四十年八月の恩田基準といわれているそうなんですけれども、これは当然変わっていくわけですね。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 新しい材質のものに応じた、やはりそういうものも再検討する必要があると考えております。

有島重武公明党

○有島委員 それから、今度は容器のキャップの問題でございますけれども、これは、販売曜日の標示は消費者にとってもあまり評判がよくないわけです。物懇や行政管理庁の勧告でも、製造日をつけるように改めよ、そういうことが出ておるようでありますけれども、さっきの滅菌のほうにはそういうのがしいられて、普通の牛乳にはこれはない。非常に奇異な感じがするわけですけれども、これはどういうわけですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 ただいま製造の月日をつけさせるような方向で検討中でございます。できることならば、そういう方向に省令の改正をいたしたいということで検討中でございまして、前向きにいま進めておるところでございます。

有島重武公明党

○有島委員 牛乳の問題はそのくらいにしまして、移動販売車について。これも当委員会で多少問題になったわけですけれども、移動販売車の許可基準については、三月六日厚生省でもって統一基準の通達をお出しになったそうですね。その後、各県はこの通達に沿って統一基準を実施しているかどうか。これを無視しておるという記事をたまたま見たわけです。「福岡県は移動販売車による生鮮食料品の営業を許可するかどうかを検討しているか、小売り業者が強く反対しているほか、県当局内部にも時期尚早論があり、実現は難航している。」云々という記事が出ているわけですけれども、こういうことについて、衛生局長としてはどうですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 この移動販売車の基準を出しました際に、全国の担当者を集めまして、特段に今回の通達の趣旨をよく徹底させまして、指示をいたしたところでございます。したがいまして、それ以後、漸次各県許可するようになってきております。おりますけれども、ただいまお話のような一部の県において、なおトラブルがあるところがあるわけでございまして、私どもとしては、通達の趣旨に沿って処理されるように指導をなお強化してまいりたい、かように考えております。

有島重武公明党

○有島委員 これは七月二十八日のことでございますけれども、それ以後、どこの県においても統一的な見解になるようにさらに指示なさったわけでございますね。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 わざわざ特別の会議を招集して指示をいたしております。

有島重武公明党

○有島委員 けっこうです。  最後に一つだけ伺いたいのですが、先日当委員会に首相が見えましたときに、私がただした問題の焦点は、現在の政府は、広く国民のための物価問題というよりも、何か一部の業者の利益を擁護するような傾向が強過ぎるように、あれはタクシーの問題でございましたけれども感じたわけです。牛乳の問題は、あれ以来だいぶ進捗しておるようなお話でございましたけれども、以前に、やはり参議院の物価問題特別委員会におきまして、田代議員の質問の際に、乳肉課長とヤクルトとの密接なつながりについてとかくの疑惑があることを指摘された。ヤクルトは私がつくったようなものだ、ヤクルトにとって私は神さまみたいなものだ、そう広言なさったということでございます。しかも、ヤクルトの栄養はコーヒーより少しましな程度で、原価は半分だ、そういうような話を私も直接耳にしているわけです。それからまた同課長は、来年の参議院選挙には業者をバックにして出る、そういうようにいわれている。そして、すでに自民党に公認届けを出している。こういった事実は、私は認めたくはございませんけれども、また恩田さん個人については、学識、御経験、これを高く評価するにやぶさかではございませんけれども、国民の日常生活に最も深く関係ある食品を扱う立場の人が、業界とこうしたようなつながりを持つということについては、国民として黙ってこのまま過ごすこともできないわけであります。恩田さんはそこにいられますけれども、この問題についてはおそらく否定なさらないと思うのですけれども、これは担当の局長として、ひとつよろしく御監督願いたい、そう思うわけでございますけれども、御意見いかがですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 厚生省は、特に国民の立場に立って行政をする役所でございまして、あくまでも国民の利益を阻害しない、国民のために行政をするということが私どもの使命でございまして、そのようなことが絶対に阻害されないように特段に私どもとしても戒心いたし、また、部下のそのような間違いが起こらないように、特に注意をしてまいるつもりでございます。

有島重武公明党

○有島委員 これはすでに間違いが起こったわけであります。それについて、将来そういうことが起こらないようにというようなお話のようでありますけれども、これについては、どのようにお考えで、どのように処置をおとりになるか、それを伺いたいわけであります。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 私が承知いたしております限りは、あくまでも環境衛生局の行政は国民のために実施しているつもりでございまして、なお、足りないところは直し、不適当であったところは改善をするということをいたしてきておりますし、今後ともに不適当であったところは全部改善をいたしてまいりたい、かように思っております。

有島重武公明党

○有島委員 課長とヤクルトのつながりについては、適当でしょうか、不適当でしょうか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 私は、特別の関係があることは承知しておりません。

有島重武公明党

○有島委員 そこにいらっしゃるわけですけれども、実は、ここにテープがございまして、これを持ってきて開かせてくれた人がいるものですから、これはしようがない証拠でございますので、それで申し上げているのです。私は心配して申し上げているのです。そんなきれいごとでもってこの場を過ごしても、また同じことが起こる。あるいは、一つ起こっていることは別なところでも起こっているのじゃないか、こう憂えるから申し上げるのですよ。これはおかけしてもいいですよ。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 過去において、誤解を招く事実はあるいはあったかと思いまするけれども、本人に、間違いのないように、私も十分監督をしてまいります。      ————◇—————

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 この際、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお堀昌雄君外九名提出の物価安定緊急措置法案及び物価問題等に関する件の両案件につきまして、議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、その調査の必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣の承認申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、派遣委員の氏名、員数、派遣地、期間その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十七分散会

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