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56回国会衆議院1967/11/28

地方行政委員会 第6号

発言数
55
登壇者
10
会派数
3
開催日
1967/11/28

会議録

亀山孝一自由民主党

○亀山委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。八百板正君。

八百板正日本社会党

○八百板委員 昭和四十二年十一月九日福島県安達郡大玉村村議会において、福島県安達事務所長事務吏員梅宮重郎外二名がこの村議会に対する不当干渉をなし、自治体の自主性を侵害した事実に関する質問であります。  これは大臣おいでになっておらぬようですが、どなたがお見えになっていますか。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員長 自治省の行政局長です。

八百板正日本社会党

○八百板委員 それでは、行政局長にお尋ねいたします。  これは憲法にうたわれた地方自治の本義にかかわる問題でありまして、憲法、地方自治法、地方行政の根本に触れる、質的に非常に重大な問題であります。私は、別にこの問題について、自治省の責任を追及する、こういうふうな立場ではなくて、抗議するという考えではなくて、こういうあってはならない問題が現に起こったということ、こういう問題に対して、ともに憂慮して、この問題に誤らない対処が必要ではないか、こういう立場に立って、地方自治の今後について戒めとしなければならないという意味でお尋ねをするわけでありますから、弁解をするという立場の答弁ではなくて、事態について一緒に考えるという立場で答弁していただきたい、これを希望いたします。  まず、事実関係を述べますと、私が現地で調査いたしましたところ、次のようになっております。経過は省略いたします。  十一月八日午後一時、大玉村臨時議会が招集されまして、議会は、東北縦貫高速自動車道路の路線変更に関する請願の件を取り上げまして、これを議題として起立採決の結果、九対八でもって路線の変更に対して村が協力する、そういう方向で、この問題を取り上げることを採択されております。この村は、人口八千四百三十二人、四十一年度決算書によりますと、財政規模は一般会計において一億三千四百八十七万円、そのうち自主財源が四千九百三万円、この面からも三割自治という実情にあります。農業を主として、第一次産業の就業者が約八〇%、水田単作農業が大部分であります。耕地面積が一千五百ヘクタールですから、このうち東北自動車道によって壊廃される耕地は三十七町歩といわれております。地形を見ますと、いま道路公団がきめました路線は、ここを南北に走ります奥羽山脈、安達太良山というのがございまして、高村光太郎の智恵子抄などに見えておりまする「あれが阿多多羅山、あの光るのが阿武隈川」というふうにいわれております。そんな歌で歌われました阿武隈川と奥羽山脈の中間、そこを四号国道が南北に走っておりますが、これとほとんど二キロくらいの隔たりでもって平行して定められておりますのが、いま申し上げました高速自動車道の路線になっております。自動車道はもともと出発から申しますと、これは山沿いに山ろくを開いて通す開発道路として最初設計されたものでありまして、地元の間にも山ろくを通る道路として一般に理解されて、今日までそういう意味において県民から支持されて、心待ちにされてきたものであります。したがって、道路建設そのものに対しては、そういう意味で期待されておったものでありますが、これが有料道路に変わりまして、しかも最もよい美田をつぶすことになりましたので、村民としては非常に意外に思っておりまして、もう二、三キロ西のほうに移しますならば、道路として申し分のない原野がなだらかに見えておりまするから、地勢をよく知っておる村民としては、路線変更を求めるという立場にありますのは、これはうなずけるわけでありまして、客観的にはこの主張が、私も正当だと判断されます。  しかし、私のただしたい点は、今回はその適否を論議するのではございません。十一月八日の路線変更の努力を村がやってもらいたいという、この請願の採択が、有権者の過半数をこす署名に基づきまして、村民全体の意思にも合ったものだということだけは明らかにしておきたいと思います。ところが、十一月九日午前九時、福島県安達事務所長事務吏員梅宮重郎外二名が大玉村役場をたずねております。日本道路公団は福島県に対して委託契約をいたしまして、県が用地の買収などに当たる、こういうことになっております。そして、安達事務所長外が大玉村役場をたずねまして、病気療養中の村長斎藤伝寿を村役場に登庁せしめ、同村の総務課長らと謀議いたしまして、関係者を招集し、ついに午後六時に村会議員の全員協議会を開かせ、十時三十分には臨時議会を開かせて、夜中まで干渉工作し、ついに夜の十一時三十分に至り、前日議決の内容と全く反する、路線変更をしないでそのまま自動車道建設を促進するという決議をなさしめるに至ったわけであります。  まず第一にお尋ねいたしたい点は、一般論として、行政指導の監督の立場で、自治体の議決が、その内容が上級自治体の方針と合わないような場合に、一たん議決したことを、すぐに、実質的にはその議決の内容をくつがえすようなことを決定さしたという例がこれまでに全国のどこかにあったか。あったならばその例をひとつお示しいただきたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 お尋ねの内容は、府県がその行政の方針に即応させるために町村の議会の当初行ないました議決と異なった議決、前の議決をくつがえすような議決をさしたような例があるか、こういうお尋ねかと思いますが、そういう事例についてはあまり耳にいたしておりません。

八百板正日本社会党

○八百板委員 こういうふうなことをやるということは、地方自治の根本を侵し、議会の自主性というものを侵害する行政指導の行き過ぎだと私は考えるのでありますが、こういう点について自治省はどういう考えを基本的に持っておられるか、まずその基本的な考えを承っておきたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 政府にいたしましても、府県にいたしましても、市町村にいたしましても事情は同じだろうと思いますが、政府の行政施策というものの目的としておりますところに従いまして実現をはかっていきたい、こういう気持ちを持ちまして行政の実施に当たるということは、これは通常考えられることでございます。府県の場合におきましても、そういう事情は同じように考えられると思います。ただその場合に、関係するところといたしまして、地元でありますところの町村に対しましてどういう働きかけを行なうことまでが通常許さるべき限界であるかという問題であろうと思います。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕  要するに、国なり府県なりが自己の是と信ずる行政施策に対しまして、町村当局のみならず、議会もその中に入るといたしますならば、議会の協力を得たいということは、当然出てくる一つの要請といいますか気持ちでございましょうが、特にそれが議会等に対しましてどの程度のところまでは働きかけ得るものであるか、そこから先は行き過ぎになるかならないか、お話しのような具体の問題についてはいろいろ御見解があると思いますが、そういう問題ではなかろうかと思います。

八百板正日本社会党

○八百板委員 たとえば、行政指導が委任事務等の場合に、当然にそれぞれの自治体の行政職員、吏員に及ぶということは当然考えられるところだろうと思います。また同時に、委任事務といっても村固有の事務とからみ合っている点もございますから、そういう意味ではその辺のところをこん然一体の行政指導が行なわれるということは当然あり得ることであります。しかし、それはあくまでも行政そのものに関する指導の範囲を越えるべきものではなかろうと思います。それがさらに進んで、議会そのものに対して何らかの要望を実現しようといたしましても、それは指導という立場よりももう少し違った立場において行なわれるべきものだろうと私は思うのであります。また同時に、したがってその場合、議会に対する働きかけといえども議員個々に対してそれぞれ事由を説明して納得を得るということは話がわかるのでありまするが、それを通じて議会に働きかけるということは考えられるのでありますが、議会そのものに対して内部に入って直接に干渉するというような行為は、当然にあり得べからざる問題だと私は思うのであります。そういう点についてどういうふうにこの事実を考えながら判断されておるか、これをお伺いいたしたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 私どもが具体の問題について連絡を受けておりますところでは、確かに先ほどお話がございましたように十一月八日には、その村の議会は東北自動車高速道路の路線を変更するという請願を、九対八でございましたか、採択をいたしておるようでございます。それからこえましてあくる日九日でございますが、九日になりましてその村の議会に置かれておりますところの、東北自動車道路対策委員会という委員会が設けられておるようでございますが、その委員会は、お話しの同じ人間かと思いますが、県の事務所長の出席を求めまして採択された請願を陳情をいたしました。そして所長の説明を求めたというようなことに相なっております。これは事実関係でございますから、受け取り方が多少違うという点があるかもしれませんが、一応そうなっております。そのときに所長は、変更の可能性はほとんどないという旨の説明をいたしておるようでございます。続いて全員協議会、これは往々にして地方の議会で行なわれるものでございますが、全員協議会が開かれました。そこでもその所長なるものは同様の説明を行なっておるようでございます。続いて臨時議会が開かれまして、そうしてお話にございましたその前の日に採択をいたしました請願とは反対の東北自動車道路建設促進についてという件が議決をされました。それは十対七で議決をされておるようでございます。この村の会議録によりますと、議長の要請によりまして会議に出席した者というところの中に安達事務所長外二名というのが載っておりますから、その村の議会の議場にもこれらの者が出席をしておる、こういうことは事実であろうと思うのでございます。  それらの経過から考えまして、先ほどお話のございました行政の方針といいますか、東北自動車道路の路線の問題につきまして村の議会の当初の見解というものをくつがえす結果になっておることからいたしまして、相当村の議会なり当局に対して県の当局が働きかけを行なったということはうかがえるように思います。

八百板正日本社会党

○八百板委員 連絡を受けたという話を基礎にしてのただいまの答弁でありまするが、おそらくその連絡は県の関係した者などからの連絡だろうと思うのでありますが、元来この問題の本質を考えてみまするならば、村議会に対して、行政官吏が侵害行為があった、いわば村の、自治体の自主性を侵犯したという、いわば障害を加えた事件であります。自治体の本義に対する障害を加えた事件です。でありまするから、そういう意味では、県事務所長は県の指示を受けてやっておるという事実もある程度私どものほうでつかんでおります。したがって、そうでないといたしましても、県の事務所長でありまするから県を代表する立場におるのでありますから、いってみれば県は加害者であります。でありますから、加害者のほうと連絡して、そしてこういう連絡があったからということを土台にして判断をされますと、これはものを公正に判断することができないことになろうと思うのであります。参議院のほうでも、これは建設関係ですが、この問題もあわせて現地調査をするという決定をいたしておりまするから、いずれそういう問題も本院においても考慮してもらわなければならぬことになるだろうと思うのでありますが、それじゃ私の調べました点をもう少し明らかにして次の御答弁をいただきたいと思います。前提が違っておりますと、これは話がちょっと変わってまいりますから……。  その干渉の事実を報告いたしますと、十一月九日の午前九時、大玉村役場に乗り込みましたところの梅宮県事務所長らは、まず、村議会を急遽招集させまして、全員協議会の名によってこれを開催させております。そして、その席で梅宮所長は——いろいろこまかいことはございますが、省略いたしますが、発言を求められたのに対して答弁をするという形を整えまして、ここで梅宮所長は次のようなことを発言いたしております。  まず村長が、県の方針に従ってきのうの議決は変更して、そして県の方針に従うように改めてもらいたいというふうなことを、県の方針を村長が引き継ぎながらるると説明をいたしまして、そして村の予算のうちの七割も、職員の給与なども上からもらっているので、また小学校改築の補助金、その他村のことで陳情、お世話になるのだから、ぜひ考慮してもらいたいというふうに、村長が議員に対して懇請をいたしております。そういうことを述べましたあとで、梅宮事務所長はこういうふうに述べております。佐藤善一郎前知事の場合、福島市と飯坂町と合併の話が進行中のとき、飯坂町は頑強に反対したが、とうとう最後に合併した。その後、県の部課長会議のとき、佐藤知事は、飯坂には反対したのだから予算をやるなと言った。そして補助金やその他で、町の不利益になるような措置がとられたのだ。当時私は課長補佐として当時のことを知っている。こういうふうなことを述べております。ほかにもたくさん述べておりますが、そのあとである議員から、そんなことがほんとうにあったのか、そんなことをやってよいのかという趣旨の質問に対しまして、さすがに気がひけたと見えましょうか、梅宮所長は——前知事佐藤善一郎さんはなくなっておられます、死人に口なしだがと言いながら、いまの木村知事や私はやる意思はない、こういうふうに述べております。これは協議会における発言の一部でありますが、時間が非常に長くわたっておりまするから、ずいぶんほかにもたくさんの不穏当な発言が行なわれております。そうして午後十時三十分に第八回臨時議会にこれが切りかえられております。そして、この切りかえられました議会には、梅宮事務所長が、さっき局長の言うように、出席しておるようだと言うが、まさに出席しておりまして、梅宮事務所長は出席をいたしまして議長席の横、ちょうどこの場所で申しますと事務当局のほうの、議長席の横のうしろに陣どっております。そして、議長席の近くに着席いたしまして、一般傍聴者はずっと定められた傍聴席のほうに三十余名出ております。合計約六十名この議会には人が寄っております。そして議事に入りまして、報告のあとで臨時議会に切りかえられまして、そして木村議員から、東北自動車高速道路建設促進についてという提案理由を述べて審議に入ったわけでありますが、この審議に入りました際に、その本会議の中で梅宮所長は、議事の進行中、のすぐ横の席におりまして、低い声をもって議事を指揮いたしております。梅宮所長は議長に対して、まず議員の発言中に、たとえば同一質問であるから質問を打ち切れ、こう言っております。それから、さらに今度は、時間を制限しろ、こういうふうなことを言っております。さらに今度は、メモの紙片を議長に渡しております。それが指揮だか命令だかわかりませんが、紙片を渡しております。こういうふうなことが約一時間の審議中に合計五回行なわれております。すなわち、五回にわたって議長に直接干渉したという事実は明らかであります。また、非常に論議が高潮いたしましたときに、梅宮所長は大きな声をもって「議長」と発言をいたしております。そうすると、さすがにこれを見かねました隣におりました同僚が、梅宮所長が議長と呼んで発言しようとしたのをそでを引っぱって押えまして、そして梅宮所長はここで沈黙をいたしております。この事実は出席者六十名の全員が明瞭に目撃しておるのであります。ただ、低い声でありまするからうしろのほうでは聞こえません。前のほうにおりましたところの村議会議員の松本義雄議員は、この議長に向かっての低声の梅宮発言を全部明瞭にメモしております。私もそのメモをはっきり見てましいりました。また、「議長」と高声で呼んだことにつきましては、あとで実情調査をいたしました場合に、梅宮本人もこれを認めております。そうしてこういうふうに言っております。七番議員の質問中の議長ということばを、所長と聞き違え、自分に対する質問だと思ったので発言を求めたと、みずから釈明しております。そういうふうに、当然発言できるものだと思っておったことは、この証言によっても明らかであります。たとえば国の委任事務などに行政職の間において指導監督の実があげられるということは、むしろ好ましいことだろうと思うのでありますが、その限界を越えて、議会そのものに対してこういうふうな指揮監督、支配が及ぶという事実は、これはとても容易ならざる問題だと私は思うのであります。当局はこれに対してどういうお考えを持っておられるか、述べていただきたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 私どもの手もとには大玉村議会の第八回臨時会議録の写しが実はございます。この会議の模様につきましては、ここに発言者の名前も出ておりますが、その中ではそういう者の発言というものは記録はございません。ただ報告されましたものの中には、お話のございました、行き違いか誤解かは知りませんが、その事務所長である者が、「議長」ということで発言を求めたのか何か知りませんけれども、「議長」ということで大きく呼んだということは記録に残っておるようでございます。ただし、それについて発言は許されなかったのでございましょうか、それだけでそれは終わっておる。そこのところがちょっとよくわからぬのでございますけれども、まあ出席を議会に求められまして出席をしたもの、議会の要請があって出席したということになっておりますが、そういうことで考えますと、これは参考人というようなことで出席をいたしたというふうに考えるべきものではなかろうかと思います。その者が議長の横におったということ自体は、これは議場のしつらえ方、あるいはその議会の一つのやり方、いろいろやり方があるだろうと思いますので、一がいにそれがどうかということもなかなか申し上げかねるわけでございますが、もしお話のように、それが非常に意図的にそういう場所におりまして、実質上会議の進行について、何と申しますか、いろいろ直接の指揮に近いようなことを行なったということでありますと、これは議会の自主的な運営を阻害するという点で、まさに干渉と申しますか、議会の運営自体に対する一つの侵害というような見方というものも、これはあり得るだろうと思います。  ただ、地方自治法も、施行されましてからことしで二十年たっておる現在でございまして、議会の運営の自主性というような点につきましては、私は、あらゆる議会というものがもう当然認識をしておるものだと考えておるわけでございます。それがどういう形で議会の自主的な運営を阻害したことになっておるか、そういうような事実があるとすれば、これははなはだ残念なことでございまして、私どもの手元に入っております状況からいたしますと、そこまでのことにはなっていないように思っておるわけでございます。また、議会の運営それ自体についてのイロハと申しますか、そういうことが議長はじめ議員の人たちに理解がないはずがないというふうにも実は思うわけでございます。  お話のとおり、私どもが資料を求めましたのは県を通じてでございます。県を通ずるという点で問題がありはしないかということでございますが、そういうこともございますので、議会の会議録を求めて、それによって問題を検討を一応いたしてみたわけでございます。したがいまして、議場の中の具体の、実際のこまかい雰囲気なり議事の進行については、詳細なことは承知はいたしておりません。しかし、いま申し上げますように、議会運営というものも、もう戦後二十年もたっております。議会の運営のイロハというものは、関係者というものは十分理解しておるはずだというふうに思うわけでございますから、いってみますと、その場所における彼らの差し出がましい行動があったといたしましても、それで直ちに議会がゆがんだというふうにも一がいには断定できないのではないだろうかというふうにも思うわけでございます。

八百板正日本社会党

○八百板委員 皆さんのよくない点は、えてして自分の系統の者のやったことというのは、悪いことでもなるたけカバーしてやるというような態度をとるということは、非常に傾向としてよくないと思うのです。それは、仲間を信頼するというのは当然でありますが、しかし、いいことはそれでいいのでありまするが、よくないことは、やはりきびしく、よくないというふうに制止するという身がまえがなくちゃ、これはよくなっていかないと思うのです。政治はよくならないと思うのであります。かりに議事録にあらわれました限りでは——議事録にそういう不当な干渉行為なんかはあらわれるはずがないのでありまして、議事録にあらわれた限りにおいてはというふうな答弁でありますが、かりに何にも干渉をやらなかったとしても、たとえば「議長」と呼んだということは記録に残っておるわけであります。そういうような雰囲気にあったということは、そのこと一つ考えても、それくらいのことはわからなければいかぬとぼくは思うのであります。大体、日ごろそういうふうにして、上級下級でないといっても、事実上、上級下級という関係に理解しております下級自治体に対して、上級の自治体は、何かこう予算上、財政上握っておるものをやってやるんだというふうな気持ちを持っておりまして、そういうところから常に干渉、支配をやっておるというのが常識化しているということのあらわれじゃないかというような点を、いまのことばの中から感ずるのであります。黙っておっても、議長の横に顔を出しておれば、前日に決定したことがひっくり返る、顔を見ただけでひっくり返るというようなことが、事実そういうふうな雰囲気なり状態というものが地方自治体の中に流れておるとすれば、またこれは別の意味合いにおいて重大だと思うのであります。そういうふうな点について、こういう事実を前にして、今後どういうふうにこの問題に処していかなければならぬか、そういうふうなことについての見解をこの際明らかにしていただきたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 私も、その十一月八日に行ないました議会の意思決定が、翌日くつがえった結果になっておるという点につきまして、その間におきまして県の当局を代表いたします者が、どういう形であるかはわかりませんけれども、とにかく議会なり当局に働きかけをいたしまして、そうして、そういう九日の議会の意思決定というものが前日の意思決定をくつがえした結果になったということは、十分推測のできることだと思います。したがいまして、そういうところに至らしめた状況というものが、いまお話がございましたいろんな県政との関係というものを利用いたしましていろいろ説得につとめたということでございますが、そういうことも想像のつくところだと思います。  ただ、私ども実際に仕事をいたしております者の多少の経験から申しまして、その事務所長の実際に威力がかりに発揮されるとすれば、せいぜい村当局くらいのところでございます。とても議会にまで及び得るものではないというふうに私には思われるのであります。これは常識でございます。私の常識的な経験が多少入っておりますから、事実と少し違うかもしれません。せいぜい村の村長さん、助役さんなり、総務課長さんあたりまでは、事務所長といえば多少の威力をきかせることができるかもしれませんが、村議会ということになりますと、全く別であろうという気が実はいたすのであります。そういう意味で、その者がそこに出席しておったからその結果が出てきたというふうには必ずしも考えられないのじゃないだろうかという気もいたしますが、私どもはどちらかといえば、議会の尊厳のためにも、そういう考え方はいたしたくないという感じもあるわけであります。しかしながら、ところによりましては、なおそういう県の出先の一係の者がそういう強圧的な態度をもって臨むことが、地方の議会の運営そのものの内容にまで変更を加えるような影響力を持つといたしますならば、これはそういう意味で議会の運営の自主性について一そう徹底した自覚といいますか、そういうものを促すように私ども及ばずながら努力しなければならぬだろうと思っております。

八百板正日本社会党

○八百板委員 何か問題を、率直に言って村議会の議員を一方においてたいへん尊重しているように言いながら、その実そうでないような話しっぷりなんでありますが、問題を村議会の議員そのもの、あるいはそういう者を選んだ村民の政治意識の程度とか、そういうふうに問題をすりかえてはいけないと思うのです。この問題はそういう問題ではなくて、議会に対して行政官吏が直接入って、そして議長を指揮されたかされないかは別にして、現実にことばをもって指揮し、議長と呼んだり紙片を渡したりしているという、この事実をやはり正確に考えなくちゃならぬ、ここに問題の焦点を置かなければいかぬと思うのであります。威力が及んだ及ばないという問題も当然結果として重要でありますけれども、行政官吏の指導監督の威力が村議会まで及んだ及ばないという問題だけではなくて、そういうところに乗り込んでいって、そういうことをその機関の中でやるということ、このこと自体に問題があるのであります。こういう問題は皆さん方役所、あるいはわれわれ議会人、あるいは社会党、自民党、公明党、民社党、共産党、そういう政党政派の問題ではないと思うのです。もっともっと根本の問題だと思うのです。議会制度そのもの、憲法に定められたところの自治体そのものの基本に触れる問題だと私は思うのです。そういう理解でこの問題に取り組んでもらわなければ困ると思うのであります。役人が議会に入って議会を指揮するなら——結果において指揮された、指揮されないということは別です。そういうことをやっておるなら、議会なんて不要になってしまう。日本がアメリカの軍事占領を受けて、マッカーサー司令部、GHQの指揮がなければ重要な政治事項がやれないという時期がありました。事実上の軍政支配を受けました。しかしそんな時期だって占領軍あるいはGHQは、直接議会そのものに対して入ってきて、そしてこれを指揮、支配するなんということは前例がありません。議会そのものには干渉しなかったのであります。戦争中ならば議会に出てきて、参考人か政府委員か知りませんが、陸軍中佐が議員の発言に対して黙れなんということを言った黙れ事件なんというのが、私、記憶にありますが、ああいう問題は日本の議会史上忘れられない汚点となって残っております。村議会だからその程度のことはあるだろう、県議会だったらいいじゃないか、国会だからといって区別される問題ではないと思うのでございます。もしかりにこの委員会において、その辺におられる人が委員長に対してメモを渡したり、あるいは時間を制限しろとか、あるいは同一質問内容だから質問を打ち切れとか、そんなことを指示するとしたならば、これは非常にとんでもない問題になります。県議会だって同様です。県議会の中で議長の横にほかの者がいて、そうしてメモを渡したり低声で指揮したりするようなことをいたしましたら、これは容易ならざる問題であります。村の議会だからといって、村の議会だったらそのくらいのことはあるだろうぐらいに考えておりますならばとんでもない問題でありまして、この問題についてはもっともっと真剣に、問題の本質を掘り下げて理解してもらわなければ困ると思うのであります。これは、大臣がおりませんから、大臣にも機会をつくってもらって明らかにしていただかなくちゃいかぬと考えております。ここに来られないならば本会議で質問をするようにいたしたいと考えております。こういうふうな問題に対して、問題の本質を理解できないということは、非常に重要な点だろうと思いますので、この問題については機会をあらためましてさらに明らかにいたしたいと考えております。  これと関連いたしまして、こういう事態が起こりました一つの原因になっております点は、東北自動車道の建設について、たとえば用地の事務などを、建設省が公団に対して施行命令を出したのに対して、公団と県の間で契約をいたしまして、そして県が下請をやっておる、こういうところから起こった一つの事態であるともいえるわけでありますが、この、公団が県に対して用地事務を契約でもってまかせるというようなことをやってまいりましたのは、高速自動車道の建設では、名神国道や東名自動車道などには前例がないわけでありまして、中央道では山梨で一個所あるそうでありますが、ある意味では今度初めてそういう処置をとったというふうに聞いております。これについては、建設省と自治省の間で打ち合わせなり十分な連絡をしたのでございましょうか。した場合に、どういう点が問題になったか、そんな点、述べていただきたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 私ども行政局の関係におきましては、そういう相談を受けたような記憶が実はないのであります。また、私が行政局長になりました前にもそういう話があったようには事務を受け継いでおりませんが、おそらく費用負担あるいは経費等の問題というような観点におきまして、財政的にはいろいろ相談があったかもしれないと思います。ですから一般的な問題として考えることになってしまうわけでございますが、一応公共的な事業に対して、その事業遂行の意味から考えまして、その事業遂行の一部について地方団体として協力をする、そうしてその内容が用地の買収とかそういうものであり得るかどうかということになれば、これは県の行政目的に即応し、また県の行政の任務というものをそこなわない限りにおきましては、そういう協力というものはあり得るんじゃないだろうかというふうに思います。

八百板正日本社会党

○八百板委員 あり得るとかなんとかいうのじゃなくて、こういう問題はよその場合にはいままでやらなかった。今度そういうのを、テストケースかどうかわからないがやり出した、こういうのでありますが、公団というのは御承知のように経済性を中心にして、なるだけ独立採算、いってみればもうけるという立場を主眼にした方向をとっておる。そういう公団と、一番やっかいな、やりにくい用地の買収というふうな問題を契約をして、県が引き受ける、こういうふうな問題を、建設省と県だけでやる、その際に、何の連絡も相談もないというのではちょっと困ると思うのです。やはりこういう問題は自治省の意見も十分聞いて、そうしてその利害得失を十分に判断して、その上で、こういういままでやらなかったことをやるというようなことをやってもらわなければ、本省全体の行政の運営として適当なやり方ではないと私は思うのですが、これはどう思いますか。あたりまえだと思いますか、相談を受けないのは。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 先ほど申し上げましたように、行政局としてはそういう相談を受けておりませんが、財政的な経費負担とか、近ごろはそういう金に関することだけはすべて相談するという傾向がございますから、その辺のことは相談をしておるとは思います。後ほど調べまして、また御報告申し上げたいと思います。

八百板正日本社会党

○八百板委員 これを調べるにあたって、次に申し上げますような点も十分に検討をお願いしたいと思います。  つまり、公団と県が委託契約によって行なうところの用地買収事務、そういうふうなものは、県が今度は町村に対してどの程度協力させるか、そういう拘束性を持つものと考えていいか、そういうような点がひとつ明らかにされる必要があるんじゃないかと思います。公団と県が約束をしたのならば、もしかりに、その県のまた委任みたいな形で、町村がある程度の金をもらって、それに対する協力関係をつくっていくとすれば、これはまた二重に公団から協力をさせられるというかっこうになってくるわけでありますが、その辺の関係。その場合に、それならば今度は市町村そのものが直接に公団と契約をして、用地事務やその他の仕事を、その部分に関する限りやるというようなことも起こり得るわけでありまして、そういうふうなことも、また市町村の自主性においてやれるというような関係が起こってくるかどうか、そういう点も問題になろうと思うのでありまして、そういうふうな点も含めまして検討していただきたいと思います。そして、同時に考えていただきたい点は、自治体は住民の自治体であります。住民の側に立ってものを考えていかなくてはならない。それを公団の下請になりますと、たとえば用地買収なんというのは、心理的にも、いろんな意味で一番むずかしい仕事であります。こういう問題を、農民から考えても、金を取って通す道路なんだから、有料道路なんだから、こっちのほうがもうかるからこっちに道路をきめた、こういうのでありますから、そういう、いってみればもうけ仕事の公団の道路計画に対して、それに県が全幅的に下請をするということになりますと、どうしても村民なり地域住民の県に対する信頼というものは下がってきます。国のためなんというけれども、実際はもうけのためにやるんじゃないか、こういうふうな考え方になりますから、もうけのためにやる事業ならば、国のためにがまんしなさいと言って振り回すけれども、結局もうけのためじゃないか、採算中心じゃないかということになったら、われわれだって農業者として、あるいはそれぞれの事業上、この土地が自分のものだという立場に立って、当然に対等の立場を主張したい、こういう気持ちになるのは当然であります。しかも県が下請的になりますと、住民の側に立ちませんから、当然住民の信頼を失って、事実においては用地買収の仕事を県にやらした結果能率があがらぬということが起こり得るだろうと私は思うのであります。また、現にそういうことが現地においてこの事件の中にも起こっております。自治体はもっと住民の立場に立って、自主的な中立的な立場に立って客観的に事を処理する、時には仲裁もする、こういふうにして進めなかったならば、こういうふうな仕事は円滑にいかないだろうと思います。そういう意味で、一応相談を受けなかったとするならば、これからあらためて相談をして、そして県に対してそういうふうな公団の事務を下請代行するというようなことは適当でないという立場を自治省として十分にとらえながら、この問題を再検討してもらいたいと思います。これはよく御存じないというのでありますから、そういうことをつけ加えて要望しながら、ひとつ御検討を願います。

大石八治自由民主党

○大石(八)委員長代理 八百板君、時間がかなりもつ……。

八百板正日本社会党

○八百板委員 結論を急ぎます。  こういうふうに、自治体に対して行政職吏員がその行政指導の限度を越えて自治体の議会まで不当干渉するというふうなことは、自治体の本義からいっても、憲法の基本からいっても許されないことでありまして、こういうふうなことが再び繰り返されないように、当然に誤らざる処置をとり、同時に、今後に処していただかなければならないと思います。この点について最後に当局の見解を明らかにしていただきたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 お話しのような事実関係がございまして、そのために議会の運営の内容が、非常に結果が異なってきたということであるといたしますならば、私どもとしても、それは明らかに行き過ぎだということは当然に考えることでございまして、申し上げていることがそれほど異なっているとは思っていない存でございます。したがいまして、事実がそういうことに相なるべきものではない、かりに議会の要請に基づいて参考人として出席をしたということであれば、あくまでそれは参考人としての態度、言動というものにとどまるべきものであることは当然のことでございます。それ以上に及ぶべき限りのものではございません。そういう点についての根本的な理解がなお欠けておるということでございますならば、私どもといたしましても全力をあげて議会の自主的な運営なり、地方自治の尊厳のために、そういうことの起こらないように努力をいたさなければならぬと考えております。

八百板正日本社会党

○八百板委員 大臣が見えませんが、こういう問題の本質を理解できないようでは、政治家の資格もないと思うのであります。また、同時に、行政の上でも基本的な問題であろうと思いますので、率直に真剣にこの問題を明らかにして、そして今後再びこういうことが繰り返されないような処置を明確にしていただきたいと思います。  終わります。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕

門司亮民主社会党

○門司委員 関連して。  いま八百板委員からいろいろ聞かれておりますので、大体のことはわかりましたが、私はこの際に少し当局に聞いておきたいと思いますことは、ここに私のところにも議事録にひとしいものが実は参っております。この中で、自治省の法的な解釈を聞いておきたいと思いますのは、私もいろいろな問題はあろうかと思いますが、八日に決議された事項に対する問題に対して、九日に議会が開かれておる。そうしてこの手続は報告書によりますと、「百一条一項後段の規定により、請願採択反対議員五人から「東北自動車高速道路建設促進について」を付議事件として、臨時議会の招集請求が村長に対してなされ、」こう書いてあります。村長がこれで招集したと言っておる。ところが、この場合に自治省の解釈を聞いておきたいと思いますことは、法百一条の解釈、これは一体どういうことかということであります。緊急の場合にのみこの百一条の後段は発動するのであって、この百一条の後段がみだりに利用されるということは議会運営上非常に大きな危険があるのである。一体高速道路に対する反対陳情というようなものがそれほど緊急なものであるかどうかという法の解釈に、私は第一に問題があると思う。これは一体どう考えますか。前日議決した事項を翌日ひっくり返さなければならぬような、村に対して緊急な被害を与えるとか緊急な事件が起こったとかいうようなものと同じに考えられますか。その法の解釈をこの際聞いておきたい。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 この百一条の第二項のただし書きでありますところの急施事件といいますものは、通常の招集をいたします場合には、もう先生御案内のように、一定の期日、一定の予定日というもの——一定の期間の余裕をとるということになっております。したがいまして、いまの高速道路問題というものが緊急を要するかいなか、一般的に考えますと、必ずしもそういうふうには見ないというのが普通だろうと思います。ただ、地方の新聞などを見ておりますと、現在、これは認定の問題、判断の問題がございますが、福島県下におきますところの高速自動車道路についての路線の問題、買収の問題というものは、県政上の相当大きな問題として現在渦中のただ中にあるような状況のようでございます。したがいまして、個々の村の態度を表明するという意味で、その当時の時期が、きょうかあすかというような時期があったのではないだろうかというふうにも思われるわけでございまして、もしそうでありますならば、やはり臨時急施事件ということになるのじゃないか。一般的に申せば、お話しのとおり、もうそんなものはきょうあすに急ぐことはないだろうということになるだろうと思います。

門司亮民主社会党

○門司委員 村会は、普通の場合でも臨時議会を招集しようとすれば法律には三日前でいいように書いてあるのです。だから三日と一日ということになるので、私は、そもそもここに一つの大きな問題がありはしなかったかと考える。  それから、その次に聞いておきたいと思うことは、この中にあって、問題とされる所長の発言というものの中に「地方自治法第百二十四条の解釈からもそのことが言えると思う。」と、こう書いてある。自治法の百二十四条の解釈というものは請願の規定であります。その前段にどう書いてあるかといえば、「席上所長は「八日の路線の変更は違法でないが、調査特別委員会の報告にもあるとおり、路線が変更される可能性がほとんどないこと等を考え合わせると妥当なものではないと思う。なお、地方自治法第百二十四条の解釈からもそのことが言えると思う。」旨の発言をした」と、こう書いてある。百二十四条は請願の規定だから何にも関係ないですね。ところが、村議会というのは往々にして法には非常に弱いものなんです。村会議員さん全体が、地方自治法を全部知っているというものはおそらくないと思うのです。そこでこういう法律を持ち出しておどかせば、そうかなということに大体なろうかと思う。私はこの辺に非常に穏当でない問題がありはしないかと思う。百二十四条は請願の手続、請願の取り扱いだけしか書いてないので、別にきめたからといって少しも差しつかえない。そして、これが議決されたものを、こういうことで議決したからといって県に陳情すること、あるいは報告することはちっとも差しつかえない。こういうことで、この議会というのはどう考えても最初からおしまいまで通常ではなかったと思う。したがって、こういう取り扱いをした議会について、一体どう解釈するかということであります。  それから、議場に議員以外の人がおったということです。これは自治法百条の規定からいえば非常にあいまいなことがたくさんあります。関係者を呼ぶことができるということが書いてあります。しかし、これは本会議場に呼ぶものではないと考えておる。議会の権限として呼ぶことができるということだと考えられる。議決に加わらなければ他人であろうと何であろうと議場でものが言えるということになると、えらいことになるので、議会でなくなってしまう、代議政治ではなくなってしまう。そういう危険をこれはおかしておる。だから、いま八百板君から言われましたように、単にこれは取り扱い上の問題ではなくして、自治の本義に触れる非常に大きなあやまちをおかしていやしないかと私は考える。この点について自治省はどういうふうにお考えになりますか。これが明確にならぬと困る。  なお、ここに新聞がありますが、当時の新聞はきわめて簡単にしか書いておらないが、県の地方課でも、招集をしたことは違法ではないが、あまりいい結果ではないから今後注意すると、こう書いてある。県庁もあまり感心していないらしいのですが、だれが考えてもこの辺はおかしい。もし、こういうことが簡単に許されてくると、地方議会というものはめちゃくちゃになってしまう。したがって自治省は、この場合にやはり毅然とした態度をとるべきだと考える。この点をもう少し明確にこの際説明をしておいていただきたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 いまの百二十四条の規定の趣旨からどうとかいうお話は、私は全く先生と同様に思いまして、何のためにそんなことを援用されたか、それがわからぬというのは全く同感でございます。  そういう部外者を議場に招致するということは議会運営それ自体の問題からしても適切を欠くのではなかろうかというお話も、原則としては全くそのとおりだと思います。ただこの場合に、この議会では議会にはかりまして、まあその関係の者というものを議場に招致したということに会議録ではなっております。その意味におきまして、これは合理的に解釈するといたしますならば、参考人とかそういうものとして呼んできたというふうに——およそ会議体が行ないました行動というものでございますので、合理的な解釈がつく限りは合理的に解釈をすべきではないだろうかというような立場から考えますと、参考人として出席を認めた。これは議会にはかっておるということでございますので、異例の措置とは思いますけれども、そういうふうに考えていくべきものではないだろうかというふうに思うにとどまるわけでござ  います。

門司亮民主社会党

○門司委員 私は、いまの解釈は非常にむずかしい解釈であり、問題だと思うのです。さっきも申し上げましたように百一条の規定は、ただ議会としか書いてないものですから、問題があろうかと思うわけです。しかし、国会でも議会としか書いてないのであって、本会議に何も入れてはいけないなんということはどこにも書いてはない。これは常識ですよ。委員会その他の場合にはそういうことが言えると思う。いわゆる調査をする間はいい、調査をしている間はそういうことが言えると思う。しかし、これは調査ではない、議決を要求している時期である。その前段に調査特別委員会がある。この場合はすでに全員協議会が開かれておる。時間を言いましょうか、何時から何時まで全員協議会をやっておったか、ここに記録がありますから。かなり長くやっておるのですよ。全員協議会をやったのは「午後五時三十五分から七時五分まで対策委員会が開かれ、同委員会は管轄する県の出先機関の長(所長)の出席を求め採択された請願を陳情し、かつ、所長に説明を求めた。」と書いてある。席上所長は、いま私が申し上げましたように、百二十四条というものを持ち出して、話をした。「続いて、午後七時四十五分から十時二十一分まで非公開による全員協議会が開かれ、所長はこの席上においても(1)と同趣旨の発言をした。」と、こう書いてある。この間、秘密会ですよ。非公開の秘密会に対して、ちゃんと県庁の役人さんが三人出席している。前段は委員の了解を得て出席を求めたと書いてある。本会議にも同じことが書いてある。「引き続き、午後十時三十四分から本会議が開かれ、」こう書いてある。「概略別紙4の会議録のとおりの経過をたどって付議案件「東北自動車高速道路建設促進について」を十対七で決議し、午後十一時五分散会した。」こう書いてある。「この臨時議会には所長のほか県関係の職員二人が出席していた。」こう書いてある。この会議録をずっと読みますと、本会議に出なければならない必要というものは、ほとんどなかったと思う。すでに委員会で十分審議をし、それからその秘密会に対しても出席をして発言をしているのですから——その秘密会がどういうものであったかわかりませんが、秘密会に他人を入れるということがいいか悪いかということは別の問題でしょうけれども、こういう経過をたどりますと、どう考えてもいまの局長の答弁では、これは自治省みずからが議会の権威を認めない態度をとっていると言っても、私はちっとも差しつかえないと思う。もう少し自治省は議会の権威について考えてもらいたい。そうしないと、今後こういう問題が方々で起こってごらんなさい。収拾のつかない問題が出ますよ。しかも、この問題は先ほど八百板君からお話がありましたように、用地買収その他にからんでいる問題で、利害関係がそれに付随している。これは自治省、この際もう一つき然とした態度をぜひとってもらいたい。そして、いけなければいけないことだと言って、ここではっきり言明しておいてもらいたい。それで、それが地元で訴訟になるかどうか、それはわかりませんが、その辺をひとつもう一応はっきり御答弁を願っておきたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 この委員会なり協議会なりで参考人としていろいろ説明をするということはあり得ることだが、本会議というものでは考えられぬじゃないかというお話でございます。私ども、たてまえとしてはまさにそうだろうと思います。ただ、村の議会だからというわけではございませんけれども、議会の議事の進め方というものにつきましては、その場の議会において、こういう運営をしたいということがきまるということも、これはあり得ることじゃないだろうかという気がいたすわけです。たまたまこの場合に県の地方事務所、長を本会議の議場まで連れ込まなければならなかったかどうか、その点だけを考えれば、これはすこぶる問題があるということも言えると思います。ただ、議会議会にはかって、議会がぜひそういうことをしたいということ、そのことは多少理解に苦しむことは出てまいりますけれども、そういう結果が行なわれたということになりますと、その運営の責任はこれらの事務所長にあるのではなくて、そういう議会の開催のしかたをしたという議会当局、あるいは議長をはじめ議事運営の責任者というものについて適切を欠くというところが出てきたというようになるのかもしれないと思います。その点につきましては、だから本来そういうことをすべきものではないじゃないかというお尋ねは、私どももそのように思います。ましてや、本来議会は自主的にその権威において審議を進め、議案の決定をし、いろいろ決定するということが当然要請されておるところでございますから、その議会の最終的な判断をする場所にまで、特定の意見を持った者によってあたかも支配されるような影響下に議会を置くというような形で進められたということでありますれば、それは適当でない、これはもう当然のことだろうと思うのでございます。     —————————————

亀山孝一自由民主党

○亀山委員長 この際、赤澤国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。赤澤国務大臣。

赤澤正道自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○赤澤国務大臣 このたび、はからずも再度自治大臣の重職をになうことになりました。前回もいろいろ皆さま方の御高説を拝聴したり意見を申し述べましたことを、そのまま覚えておるわけでございますが、やはり私どもお互いに住みよい地域社会をつくり上げること、また住民の負担を軽減するなどのことにつきましては、思いは同じでございまして、皆さんの御協力を得て少しでもこういった面に貢献することができれば、はなはだしあわせと考えております。今後皆さんといろいろ質疑応答をいたしますこと、たいへん楽しみにいたしておるわけであります。私もざっくばらんにものを申しますが、まあとにかく皆さんのほうでも、そういった考え方を持っておりまするので、御協力いただきますようにお願いする次第でございます。きょうも、いま話の途中でございまして、どこの町村か知りませんけれども、議会運営の問題についての門司先生からのお話でなかったかと思うのですが、この前私大臣をしておりましたときに、御案内のとおり、お手盛り報酬の是正という問題が起こりました。そして、このことについて非常に強い態度で、各級の議員諸君にある種の要求をしたわけでございますが、どうも住民と理事者、議会、これが何か遊離しておるという感じを、私常がね受けるわけでございます。ですから、地方行政だって、行政機構というものは住民のためにある、議会がそのためにあることはあたりまえのことでございますから、どうも私受ける感じがよくないのです。そういった点でもいろいろ皆さま方の御教示を得まして、是正するところは是正していくというふうに考えておりますので、どうか、いつまでやるかわかりませんけれども、自治大臣をやっております限りは、そういった面で万全の努力をいたしたいと考えておりますから、何ぶんよろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————

亀山孝一自由民主党

○亀山委員長 先ほどに引き続き、門司亮君の質疑を続行いたします。門司亮君。

門司亮民主社会党

○門司委員 私は、いまの答弁ですがね、議会運営にと、こう言われておりますけれども、会議の運営は、本会議と委員会と当然違うわけであります。いろいろな経過を実はたどっておるわけであります。私は、議会運営に、本会議場にこれらの諸君がいる必要は毛頭なかったと思うのですよ。これは議決をするだけの議場なんです。前段で何回も開かれている。そこに行って何か威圧をしたというようなことは、私はこの際率直に自治省はこういうことははなはだ遺憾であるというぐらいの表明はされないと、これは自治省の存在価値というものがどうかわからぬような気がするのですよ。こういうふうに考える。これははっきり読んでみましょうか。「たった一日で議会の態度を百八十度転換したことについて十日、県地方課は「八日と九日の議会は会期が別のもので法的には成立する。しかし議会の態度として好ましくないので、近く注意を促す」」こう書いてあります。自治省がこれくらいのことを言ったって、ちっとも差しつかえないと思うのですよ。県の地方課ですらけしからぬと言っているのを、自治省が何か擁護するような口ぶりを弄するのは、私は自治省の権威に関すると思う。この際はっきりしてもらいたい。そうしませんと、これは地方の議会はこういうことを平気でやるのですよ。最近の自治法の乱用というものはひどいですよ。私はこれ以上言いませんが、もう一つ福島の地方議会の問題があるのだが、議会でいろいろの問題がある場合に、その不正事件がある、あるいは何かスキャンダルがある、こういう問題を発言しようとすると、あるいは少数党の諸君が発言すれば、必ず懲罰されるというのが例である。こういう経験がある。ここで私は問題にしたことがある。いまでもそういう問題が起こっておる。これは議会自身が正常でない。私は議会における議員の発言というものは、やはり十分尊重されるたてまえであって、何人にも迫害を受けないたてまえをとっておかぬと、議会が腐敗堕落してどうにもならぬものができてしまう。最近における自治法の乱用というものについては、少し自治省は姿勢を正してもらいたい。あなた、気の毒だけれども、もう一度はっきりした態度を示していただきたい。そのことによって、あとの私の質問の考え方も多少変えなければならぬと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 私どもは、基本的には議会というものの意思の決定、議会運営の手続というものにつきましては、やはり地方自治という基本の運営にかかわる問題であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、合法的な議会というものが運営をいたしておりまする限り、その点についての批判というものは、これは避けるべきだということが基本の考え方として持っておるわけでございます。したがいまして、福島県の地方課が、きのうの意思決定をきょう変えたのはけしからぬから注意する、私どもは軽々にはさようなことは申したくございません。これはその場合は、確かにそういって悪いとかそうあるべきだという議論もございましょう。しかしながら、やはり議会の運営というものの全体の自主性と議会の尊厳というものを考えます場合には、行政当局がそれぞれの都合によっていろいろと議会運営を批判するというのは、これはおのずから慎しまなければならない限界があると思っております。したがいまして、私どもとして考えます場合には、先ほど門司委員のお話がありましたが、本会議にまでこの出席を許す必要があったかなかったかということになりますと、具体的事情を明らかにいたしませんから十分なことは申し上げられませんが、批評として批判を加えるということになりますならば、それほどの必要はないし、そうすべきものじゃないということは、私どもとして考えられる。しかしながら、今後そういうことは望ましくないということではありますけれども、一々議会運営についてああしろ、こうしろということまで一体言うべきなのか、言うべからざることなのか、はしの上げおろしまで指示をするかしないのかという点になりますと、やはりこれについては、私どももある意味での限界を守りたいという感じがいたすわけでございます。そのような意味におきまして、私どもとしては福島県の地方課ほど勇気を持ってそういうことを言うという気持ちを持っていないことだけ、ひとつ御了解を願いたい。

門司亮民主社会党

○門司委員 私はそんなことを聞いているのではないのですよ。そんなことなら、これから開き直って、少し議論することが私はいいと思いますよ。  まず第一番は、百一条の解釈からひとつ頼みましょうか。あの法律はどういうわけであの法律ができておるのか、これがここに事実上援用されている。緊急な議会がここで開かれている。一体この事件が三日待てなかったかどうかということなんです。二日の違いでしょう。町長さんが必要があるとしてやっても、あるいは議会から定数で請求されても、臨時議会を開く場合に三日あればいいのでしょう。村会は三日前に告示すれば、それで事は足りるのですよ。しかも、その翌日やるというのは、緊急の事態ということです。緊急の事態ということは、一体何をさすかということです。議会の全体の議決をくつがえすというようなことが、何もたいしたむずかしい問題でもない。ことにこの問題はいかなる陳情がございましょうとも、あるいは請願をされたからといって、これは施行者である県なり国なりがその請願を聞かなければ聞かないで済む問題ですよ。緊急なという事態じゃないですよ。事の決定は、これはここで決定される筋合いのものじゃないでしょう。村議会があやまちをおかした、取り返しのつかぬことをやった、だからあしたすぐやれというのは、これは問題である。大きな災害があった。あしたどうしようかという問題が起これば、村議会自身の問題であって、当然臨時議会を招集しなければならぬ。この規定を設けたのは、私の解釈によれば、そうしたいろいろな天災あるいは地変であったり、あるいは臨時的な問題があったりしてやむを得ざる場合に、招集するいとまのないときにはこういう道をあけておかないと、お金が一つも使えないような事態があっては困る。あるいは処置ができないようなことがあっては困る。こういう緊急の事態に備えられた条文であって、決していまの自治省の解釈のような解釈ではないと私は考えておる。だから、それならこの問題と離れて、一体百一条の解釈はどうされておるか。こういうものが緊急事態に当てはまるのかどうなのか。もう少し緊急事態の要素をひとつこの機会に明らかにしてもらいたい。できればひとつ個条書きでこういうものを出してもらいたい。この事件なんか何でもないですよ。議決したことを県なりあるいはその他に陳情すれば、それでよろしいことである。県がこれと全く逆の結果を県の議会で出したからといって、別にたいした問題じゃない。当然のことです。緊急に処置しなければならない問題じゃなかったと私は思う。だから、その辺はひとつはっきりしておいていただかぬと、私がおそれているのは、こういう問題を自治省があいまいにしておると、方々にこういうものが使われる。人間同士の集まりですから、ゆうべきめたことをあくる日ひっくり返すということが平気で暴力によって行なわれるということになると、議会の権威は全くなくなってしまう。私は議会の権威を保持すること、それから住民の持っております代理権というものはやはり尊重しなければならぬ。それが他の圧力でこういうものをこわされることについて、自治省がいまのような答弁であるというんならば、法の解釈からきめつけていかなければ、結局ものの解決はつきませんぞ。どうお考えになっておるか。緊急事態というものの解釈は、一体あなたのところはどこにあるのですか。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員長 都合によって簡単に御答弁願います。

長野士郎自治省行政局長

○長野説明員 急施を要する事件というのは、要するに町村にあっては開会三日前までに告示をしなければならない。これまでそのたてまえであることは当然でございます。その三日前というものが許されないようなそういう緊急の事態というものを考えておることも、これは御指摘のとおりでございます。したがって、いまのような高速自動車道路の路線変更の問題、しかもそれが請願であるというような場合、この場合に急施事件に該当するかしないかということになりますと、通常の場合は、先ほども申し上げましたとおり、私も該当しないと思います。ただ、いまの福島県の中におきましては、この問題がある意味では非常にエキサイトした問題になっておりまして、それぞれの町村の意向というようなものが、この事業の遂行、路線決定というようなものと、あるいは工事の実施の予定というようなものとをだんだんにらみ合わせて考えた場合には、非常に差し迫った問題になっておるようにうかがわれるということを申し上げたのであります。  さらにもう一つは、これが適当かどうかということになりますと、確かに問題はございますが、往々にして議会におきましては、ここでもやっておりますように、初め全員協議会というような形で、議会の招集というようなことじゃなくて、事実上の協議会を開いておる。そこで一応の話がつきますと、これを議会に切りかえようという話が出てくるということが、多く行なわれるわけでございます。その場合に援用する方式としては、急施事件ということでございませんと——ちょうど集まったそのときを利用するというようなかっこうになりますので、それが急施事件として援用されているというのが、相当多く見られる事例のように思っております。それで、これは非常にそういう意味で便宜的に用いておることでございますから、手続としてそれがはたして該当する場合に当たっておるかどうかという点は、厳密に考えればいろいろ問題があるだろうと思います。ただ言えますことは、現在高速自動車道路の路線決定その他の問題というものは、当時の施行期日とかそういう公示予定というものから考えた場合に、福島県下では現在一日を争うというような意味で、そういうものを含めた非常に大きな事件になっておるということが言えるのではなかろうかということを申し上げたわけであります。

門司亮民主社会党

○門司委員 これはあなたのほうに上げるから、ひとつごらんください。どう書いてあるか。招集に対しては九日に要求しているんですよ。招集されて会議を開いたのは、御承知のように、午後十時三十分と書いてある。その間にいろいろのことをやっておる。問題はここにあると思うのですよ。かたまっておったから、そういういろいろな話をしたから、そのついでにやったんだというようなことじゃないんですよ。これは招集を要求したのである。先に要求しておるのである。そうしていろいろな協議会が開かれ、全員協議会が開かれておる。私はこの手続はそうだと思うのです。決議をくつがえそうという問題ですから、いきなり本会議にやるということはいけなかったので、したがって、午後五時過ぎから対策委員会が開かれて、さらに全員協議会が非公開で開かれるという手続をとってある。こういうことを考えると、いまの答弁というのはまるっきりなっちゃいないんですよ。私が聞いているのはそういうことではなくして、緊急の事態というのはどういうことかということを聞いているのであって、福島の問題は、私は緊急の事態に当たらぬと考えているのである。まだこの高速道路はきめちゃいないんですよ。そういう十分な審議の時間があり、また急がなくてもよろしいような問題が、ただ法律にこう書いてあるからこれを援用すれば何でもやれるんだという誤った解釈を地方の自治体に植えつけると、非常に大きな禍根を将来残すから、私は、その点はひとつ明確にしてもらいたい。緊急を要するものというのはこういうようなものだというのは、大体はわかっているはずなんです。そのことを私は聞いているのであって、これ以上私は聞きませんよ。いずれまた、大臣がかわられて、話し合いをするということを大臣が言われておりますから、私は大臣にもお願いをしなければならぬ、ことになるかもしれない。しかし、もう少し自治省は自治法を守ることのために努力をしてくださいよ。ほかのことにはかなりたくさんの通達を出しているんです。指揮、命令、監督をしている。こういう大事な問題になる、妙なところで地方自治の尊厳とかなんとか言っているんだけれども、大体そういうものの考え方がおかしいんですよ。一体どうなんです、これは。もう少しはっきりした答弁できませんか。私はこれだけはぜひきちっとしてもらわぬと、将来に禍根を残すから聞いておるのである。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員長 この際、経済企画庁長官が出席されましたので、質疑の通告がありますのでこれを許します。山口君。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 最近の新聞あるいは週刊誌、テレビ等を拝見をいたしますと、財政硬直化の問題が非常にしばしば報道されているわけであります。これと関連をいたしまして、何か財政硬直化の主たる原因が、地方財政、特に地方交付税交付金が非常にふえることがその財政硬直化の主たる原因であるかのごとき報道がなされておることについて、私は非常に残念に思う次第であります。九月には大蔵省の主計当局が試算をいたしました数字というのを出したようでありますが、これによりますと、明年度の交付税交付金が二千四百億円ほど増加をする、この見込まれます税収の率から申しますと、三・一%ほどこれが食われてしまう、こういうことがいわれております。これに対して大蔵省としては、交付税率の引き下げを検討する、交付税率を下げなければ、この財政硬直化は救えない、こういうような議論をしておるようであります。  また、時期を同じゅういたしまして、宮澤経企長官が私案として宮澤構想を発表されました。この中では、明確にこの交付税率を引き下げろということは書かれておらないようでありますが、実質的には、この交付税率を下げると同じような措置を地方財政にやったらどうか、こういう御提案をされておるようであります。  したがいまして、私は、本日、大蔵大臣、それから経企長官、お二人おいでをいただきまして、この関係につきましてお尋ねをいたしたいと思ったのでありますが、残念ながら大蔵大臣のほうがお見えでありませんことを非常に遺憾に思う次第であります。しかし、幸い経企長官がお見えでございますので、この財政硬直化と地方財政の問題に関しまして、特に宮澤経企長官が私案として発表されました構想の問題について、お尋ねをいたしたいと思う次第であります。  宮澤構想、いわゆる宮澤私案を拝見をいたしますと、地方財政に関する面については、次のように書かれておいでであります。「地方交付税率を引下げることは、無理であると考えるが、既存の債務の償還をおこなうほか、景気抑制的な地方財政計画を作成し、その財源上、余剰となると思われる資金は、地方交付税交付金より次の年度に繰延べることとして計上する、」かように書かれております。したがって、景気抑制的ないわばシビアーな地方財政計画を組む。そうして交付税交付金のほうが余ってくる——余ってくるというより余らせるわけだろうと思いますが、余らしたものを次年度に繰り延べるということになれば、実質的にはこの交付税率引き下げと何ら変わらない効果を及ぼすことにならざるを得ないのじゃないだろうか、かように私は思わざるを得ないのであります。  そこで、私は、経企長官にお尋ねしたいのでありますが、財政硬直化といいますが、現実の地方財政の実態はどうでしょうか。私は、むしろ、財政が硬直化し、当然増はいいか悪いかという議論はあとでしたいと思いますが、当然増的な面に食われている、地方自治体の独自な単独事業ではなしに、国が計画をいたしました道路五カ年計画なり、あるいはその他の五カ年計画というような形で国が施策として打ち出しました公共事業、その計画をこなすために地方がきゅうきゅうとしている、そうしてこのため地方財政の歳入の面が大きく食われていく、これが現実ではないかと思うのであります。現に、地方財政計画の中身を見ましても、この地方財政独自のいわゆる単独事業、地方自治法にうたわれております自治体の固有事務をこなしていきますための経費というものは年々窮屈になっている、かように見えるのが正しいと思うのであります。といたしますと、この財政硬直化の問題をそのまま地方財政にしわ寄せしようとする、そういったお考え方はいかがと思わざるを得ないのであります。これに対する長官の——まあ、私案でございます。としますならば、宮澤さんとしてのお考え方をひとつお聞かせいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 私がああいうことを申しました私案の気持ちというものを説明申し上げたいと思いますが、多少お答えが長くなることをお許しいただきたいと思います。  確かに、当初、財政硬直化が財政当局、大蔵当局によって言われました段階で、地方交付税率を引き下げる必要があるのではないかということがかなり、非公式ではありますが、伝えられたわけでございます。むろん、非公式のことではございますが、私の私案もそういう意味では非公式でございますから、そういう意味で、私は、どうも交付税率をこの際引き下げるという考えは正しくないのではないかというふうに考えました。それが無理があるという意味でございます。  そこで、私が一番考えておりますことは、中央・地方の行財政の再配分ということが、もう十年この方いわれております。しかし、今日までそれがなかなか新しい見地に立って再検討するということが行なわれておりません。地方制度調査会ではすでに行政の再配分については勧告を出されたように承知しておりますけれども、財源が伴わない再配分は困難でございますので、そこで、明年、おそらく地方制度調査会が財源のほうの再配分についても案を出してくださるのではないか、こう思っておりますから、それを待って、長年の懸案であります行財政の再配分ということを考えなければならないのではないか、こう思っております。ただ、ただいままでのところ、私がたいへん遺憾に思いますのは、それらの問題についてここ十年ぐらいの間、関係の両省の間でほとんど対話らしい対話が行なわれていないということをたいへんに残念に思うわけであります。たとえば今回の場合、非公式ではあっても、地方交付税率を引き下げるといったようなこと、これは地方交付税交付金というものが、本来国の金であるのか、あるいは地方の金であるのか、もし後者であるとすれば、一方的に国が引き下げるというようなことは、元来申してはならない筋合いと思います。その辺のことの認識についても関係各省の間で統一した認識がないように思うのであります。それだけ対話が行なわれていない。私個人としては、この制度は、かつてのシャウプ勧告の際に平衡交付金というものが実施をされました当時の事情を多少私も知っておりますが、これはおそらくは本来地方の財源であって、ただ貧富の差がございますから、それを中央が便宜平衡させるという意味でああいう制度が起こったように思いますので、本来これを国の財源である、それを分かち与えるんだという考え方とはどうも経緯が違うように私個人としては思っておりますけれども、そういうことについての根本的な話し合いが関係省の間で行なわれるような雰囲気になっておらないということはたいへんに残念なことであると思います。その点注意を喚起したかったのと、もしそういう対話が復活いたしますれば、今度地方制度調査会で財源の配分についても答申が出ますと、行財政両方の再配分の案が出るわけでございますから、それを中心に明年両省で長年の懸案を解決したらいいではないか、こういうことを言っておるわけであります。  他方で、国の財政が号、そういう相互理解の上に立ってであれば、国の財政が硬直化しつつあるときに地方もできるだけその解決に協力をしてもらいたいと望むことは、お互いの理解の上に立つならば私は無理でないことだと思うのであります。そういう観点からは、地方財政計画というものをもう少し精密なものに今後つくり上げていって、そうしてその結果、一応余剰財源があるかないかということも検討する必要があるだろうと思います。そしてかりに余剰財源があるときには、それを国にくれとは申すべきでないでありましょうけれども、いっとき使わしてくれるということは本来不可能なことではないであろう、こういうようなことを考えまして、ああいうことも申しました。ただ、そのためには、関係省の間で十分この協力関係、いわゆる対話が復活することが前提であります。私としては、いまの地方財政、いわゆる三割自治といわれておるようなもの、これは根本的には行財政の中央、地方の再配分を行なって、そうして、できるならば地方の固有の仕事をふやすとともに、それに伴う財源は地方に渡してしまう、そういったような再配分の処置がとられることが必要ではないか、私見としてはさように考えておるわけでございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 いまのお答えを拝聴いたしまして、中央、地方の事務の再配分を行なう、またこれに伴う財源の再配分を行なうという考え方、さらに地方交付税交付金が地方の財源である、こういう御認識につきましては、私もたいへん賛成であります。私どももそう思っています。ただ問題は、現状置かれた地方財政、むしろ硬直化した地方財政の実情と申しますか、むしろ国の委任事務をこなす、国の公共事業費を精一ぱい地方でこなしていく、これにきゅうきゅうとしておって、本来地方自体の事務であります固有事務をこなすということが、いかにもみすぼらしい状態になっている、地方自治とは言えない状態になっている、こういう認識につきましては、若干長官のお話と私ども違うわけでございます。  しかし、この点を繰り返しここで議論しておりましてもなにでございますから、一応その点を申し上げておいて、次に議論を進めたいと思うのですが、聞くところによりますと、西ドイツでは、むしろ州政府が、日本の国で言います場合の所得税なりあるいは法人税なり、こういうものを持っておる、そして州政府がそのうちから三五%を連邦政府に対して交付金として差し上げる、ちょうど日本の国と地方との関係を逆にしたような形になっていると聞いているわけであります。むしろそういう形に一歩進めていくことのほうが私は抜本的な解決ではないだろうか。そういった財源付与ということを地方に思い切ってしないで、いま中央の財政が硬直化したから、何か地方財政もよけいなことをしているんじゃないか、ぜいたくをしているんじゃないか、だからそこを交付税率を引き下げないけれども、地方財政計画で少し締め上げて、そして剰余金を翌年度に送ろうという構想については、これは私ども賛成をすることはできません、むしろ、大胆な提案をされた宮澤さんでありますから、私がただいま申し上げたような、思い切って国と地方の税財源を再配分する、こういつた大胆な構想をお出しになったらよかったんじゃないか、かように思わざるを得ないのでございますが、この点につきましては御感想はどうでしょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 西ドイツはそうであるように私も聞いておるわけでございますが、わが国の場合、たとえばアメリカ合衆国のようにいわゆる連邦政府といったようなものとして中央政府を考えるということは、おそらく従来の歴史的な沿革、国のできた経緯から申しましても、やはりそれはそうではないのであろう、単一民族によって国というものが自然に長年できておるわけでございますから、それはそうではないのであろうというような気がいたします。しかし、他方で地方自治というものがあるわけでございますから、もっと地方に固有の事務を与え、固有の財源を与えるべきではないかということは、私もどうもまことにそのとおりであろうというふうに思います。いわゆる三割自治といったようなことは、これは自治とは申せないわけでございますから、思い切って行財政を自治の精神に基づいてこの際再配分する、当然財源を付与することになるわけでございますが……。そうでありませんと、自治というものの、地方自治のねらっております目的はなかなか達成しがたい、その場合に、現在の都道府県というものが、これも昔のままでございますが、それでよろしいかどうか、広域行政といったような可能性はないかということは、当然検討いたすべきだと思いますけれども、それにいたしましても、地方自治の精神から申しますと、ただいまの行財政の中央、地方の配分ははなはだよろしくない、適当な姿でない、かように考えております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 時間もありませんので残念でありますが、日本の制度の中でも、とにかく税全体のうち七割を国が取っており、徴収しており、地方が三割だ、仕事の場合は六六%が地方でこなし、国が直接こなしておりますのは残りの三四%だ、税の割合と仕事をこなしております割合とが全く逆転をしている、こういうことは、何といっても私は不合理だと思います。長官の中央、地方の行政事務、財源を合せて再配分していこうという御熱意は私ども心から敬意を表します。ただ、その点についてひとつ大いに御努力をいただきまして、現在のむしろ硬直化している地方財政に対して、これを緊縮化していこう、これを現状以上に引き締めていこう、こういうことは、実態からいって誤まりだ、この点を申し上げておいて次に進みたいと思います。  次は減税の問題でございます。減税につきまして、国税の減税については、特に輸出振興に直接必要なものを除き行なわない、かように述べておいでであります。この特に輸出振興に直接関係あるものを除きということを言われた点はどういうことか、お伺いしたいと思いますが、時間がありませんから、それは省略をいたします。  国税について触れておいででありますが、地方税についてはどうお考えでしょう。国税につきましても、過般、大蔵委員会で水田大蔵大臣は、昭和四十五年までに所得税の場合課税最低限を標準世帯百万円まで上げていかなければならぬ、したがって、年々やはり課税最低限は上げていかなければならぬ、そういう面での減税は必要である、こういうことを御答弁されたように聞いております。私は、地方税の場合はこれがさらにはなはだしいことを指摘をいたしたいと思います。現在、所得税の場合、標準世帯におきまして課税最低限が七十一万何がしといわれておりますが、地方税の場合は四十三万円であります。三十万近くの差があるわけでございまして、こういうことを考えますならば、宮澤長官も、この地方税について、これほど所得税との間に差のあるものについてこれはストップしたらどうか、こういう御提案をされていないのじゃないか、それで、私は、地方税というものは特に触れていないのではないか、かように考えたのでありますが、その点はいかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 国税についてはと申しました意味は、まさに山口委員が御指摘のような意味でございます。前国会におきましても、政府は、地方税の、特に住民税の四十三万円の問題でございますが、減税については、昭和四十三年度はこれを行ないたいということを申し上げておるわけでございまして、私はそれはやはり行なうべきであろうと考えております。国税につきまして私がさように申しました気持ちは、経済企画庁はほんとうに国民生活に直接関係をいたしますので、物価調整減税程度のものは可能ならばぜひやってもらいたいというのが本来の立場でございます。気持ちでございます。いまも私そう思っております。できるならばそれは望ましいことである。ただ、もしかりにその問題と消費者米価の引き上げといったような問題がいわばてんびんにかかったような場合、あるいは国債発行額を増額するという問題とがてんびんにかかったような場合には、俗に一千億減税ということがいわれますけれども、それは国債の発行をふやし、あるいは消費者米価を上げてまでいたすべきものかどうかということについては問題があろう、私ども、昭和四十五年までに標準世帯の所得税課税最低限を百万円にするということは、これもお約束でございますから実現いたしたいと思っておりますけれども、私の申します単年度の提案としては、必ずしもその同じテンポで四十三年度もやっていかなければならないということはないではないか、長期の目標を失うことなしに、必ずしも千億という考えにこだわる必要はない、こういうことを申したかったわけでありまして、多少その点表現が強くなっておりますけれども、真意はそういうことでございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 国税の問題は大蔵委員会でも議論されておるでしょうし、ここで申し上げるのは避けたいと思います。ただ、地方税の実態について長官が認識をせられまして、所得税と地方税との課税最低限に著しい格差がある、これは当然解消しなければならない、漸次解消すべきであるというおつもりで、地方税について除かれた、こういう御答弁がございましたので、この点はこれで了解をいたしたいと思います。  次に、公務員給与の問題について触れておいでであります。この公務員給与は、あらかじめ予算に一定額、たとえば消費者物価の上昇率の見込み程度を計上し、四月一日より実施する、かように言われておるわけであります。かつて当委員会で人事院の佐藤総裁を呼びまして、わが党の細谷委員が宮澤構想とのかね合いの問題で人事院総裁と議論をいたしました。そのときに、佐藤人事院総裁は次のように言われました。宮津構想のほかに佐藤構想というものもひとつ考えていただきたい、それは四月一日に実施をするのではなしに、明年度予算四月一日から消費者物価の上昇分なり——この点はとういう計数をとるかは別として、予算に計上しておいて、そうして国家公務員法の二十八条に従って、人事院は当然四月一日の民間賃金と公務員賃金の差を調査し、その上で勧告をする、そしてその勧告は完全実施を政府、国会においてやっていただきたい、その場合、いつも完全実施をする、しないという議論の対象になるのは財源であるから、その財源をあらかじめ予算に計上しておくということにすれば、人事院としては、国家公務員法のたてまえ等からいって、さらに人事院が国家公務員から罷業権なり団体交渉権を取り上げた代償措置として設置をせられた経過からいっても好ましい、こういう見解を表明されたのであります。  お尋ねいたしたいのは、宮澤長官の言われておりますのは、いま私が申し上げたような、佐藤総裁がお考えになっておるような趣旨でございますのか。そうではなくて、四月一日から実施をする、そうしますと、四・五%なりを計上いたしますならば、かりに明年の四月民間賃金と公務員賃金との間に八%の差がことし同様出るといたしましても、結局四・五%程度を先に実施すれば、その差は三・五%程度になって、結局五%以内でありますから人事院勧告をしなければならぬという事態にはならない。それを回避しようといたしまして、四月一日から消費者物価上昇分ぐらいを計上し、これを実施したほうがいいのではないか、こういう趣旨でございますのか、その点をひとつお答えをいただきたいと思うのであります。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 私が望ましいと思っておりますことは、人事院の勧告でありますとか、あるいは生産者米価の決定でありますとかいうことが、年度途中に行なわれまして、その結果、在来——本年もさようでございますが、相当大きな補正予算を秋に組まなければならないということ、このことは何とかして回避する方法がないであろうか、おのおの事柄としては毎年繰り返してわかっておる事柄でございますから、当初予算に組み込めれば、年度途中において大きな補正があるという、いわゆるインフレ要因のような撹乱要素を防ぐことができるわけでございます。そこで、何とか当初予算にこれを組み込んでおくことができないかということが構想の一つの大きな柱となっております。その場合、ただいま山口委員が佐藤総裁の言として御紹介なさいましたような考え方も一つの考えだと思います。ただ、その場合に、現実にしさいに考えてまいりますと、政府がこのくらいの勧告があるであろうということを独自の立場で予測するということはなかなか困難でございますから、ある程度政府が考えておるところのものをかりに財源として組み込んでおくといたしまして、人事院勧告がそれより低い場合には問題が少のうございますけれども、高い場合には、やはりその足りない分だけは補正で組まなければならない、その事態は結局回避することができないことになります。それならば、さらに進んで考え得ることは、人事院が政府の予算編成の段階において勧告をする、いまの勧告のタイミングを少しずらせる、こちらへ繰り上げるか繰り下げるか、多少の財政負担は異なりますけれども、私は大局的にはいずれでもよろしいと思いますが、繰り上げるか繰り下げるかして、勧告が予算編成の段階において予算化できるように、そういう運用というものは、人事院が存在しておる精神にかんがみて別に背馳するものではないのだというふうに思います。あるいはまた、予備勧告といったようなことも考え方としては考えられるわけでございますが、そういったような、ともかく年度途中の大きな補正要因になるということを防ぐ方法が現在人事院の立場でも技術的に可能ではないか、こういうことを考えるわけでございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 宮澤構想が発表されましたあと、日経連の総会がありまして、前田専務理事がこの宮澤構想を評価いたしまして、ガイドライト、導きの光だという形で、国が、公務員賃金については、宮澤構想がいわれたような点である程度凍結をしていく、そしてそれを、さらに民間賃金にも導入して、ある程度国が所得政策というような考え方でもって民間賃金を導いていくということは、たいへんいいのではないかというような趣旨のお話をされたのを新聞で拝見をいたしました。  いまのお答えを聞いておりますと、明確に申しておるということではございませんようでございますが、所得政策、それも資本の利子配当とか資本の収入とか、そういうものは別にしておきまして、何か賃金の面だけにこの所得政策を導入していく、その手始めとして、公務員賃金について、現在代償措置としてございます人事院の制度を、ある程度たな上げするような形できめていく、こういうような心配がされてならないわけであります。この点につきましては、そういう所得政策というものまで積極的にお考えになっておるのかどうか。長官がお答えになりました点について議論もしたいと思いますが、時間がありませんからそちらは省略いたしまして、所得政策というものをてことして長官はお考えになっておるのか、その点だけお尋ねしておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 結論から先に申し上げますと、現在所得政策というものを考えるということは、可能でもないし適当でもないということを思っております。それは労使並びに政府が共通のデータとして使えるような研究なり資料なりがはなはだしく欠けておりますから、共通の議論の場がないということになるわけでございます。私は全然別な意味で物価、賃金、生産性といったようなものについての基本的な研究は必要であると考えておりますので、昨年の暮れ、経済審議会にお願いをいたしまして、ただいま中立的と思われる学者数人が委託を受けてその作業にかかられたわけであります。おそらく来年の夏過ぎには、世界初めてかと思いますが、相当な労作が公にされると思います。そういうものも欠いておる現在では、実は議論をすることすら可能でないというのがただいまの現状だと思います。のみならず、労使間にそういうことを議論する労使関係も欠いておりますし、また、まさに御指摘のように、もし問題を展開いたしますと、利潤あるいは利子配当といったようなものにまで広げて考えるのが本来の所得政策であろうと思います。それが好ましいことであるかどうかということになれば、私としてはどうも好ましいことではないという感じを持っております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 以上のことを申し上げましたのは、宮澤構想が出ましたあと、自民党の機関であります高橋委員会が高橋構想というものを、特に公務員賃金の問題だけを取り上げて発表したのを新聞で拝見をしたわけであります。高橋さんはかつて経企庁長官をいたしました。経企庁長官をいたしました際に、所得政策をひとつ考えたらどうかという御提案をされたことを私記憶いたしております。それで結局宮澤構想が出まして、特に公務員賃金の問題だけを高橋委員会が取り上げる、しかもその同じ高橋さんが、かつて経企庁長官の際に所得政策を軽々しくと言っては恐縮だと思いますが、いまの宮澤長官のお答えをもってすれば、まさに軽々しい形で取り上げたことがあった。そういう前科と言っては恐縮でありますが、そういう経過のある方であったその方が、人事院の問題だけを取り上げて高橋構想を発表した。そういうところに私はいま申し上げたような危惧を感じたわけであります。しかし、いまのお答えもございましたように、直ちにそういうものを考えていないということでございますので、一応この辺で質問を終わりたいと思います。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員長 細谷君。お約束の時間が過ぎていますので、そのおつもりで御質疑願います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 二点だけ関連して質問したいのです。  一つは地方公営企業のあり方についてお尋ねしたい。いま、特に地下鉄、都市交通というのがたいへんな経営危機におちいっておるわけです。あるいは水道などもその例であります。あるいは病院等もそうなのであります。地方公営企業法という法律に基づいて、赤字の多いところは再建団体ということになっておるのですが、いってみますと、将来どうあるべきかということについては描かないで、現状をどうしたら赤字をなくすかという形で、たとえば公務員の給与はやらないのだとか、いってみますと縮小再生産の一路をたどっている、こういうふうに申し上げなければならぬと思うのです。そこで、地方公営企業について経済の元締めとして企画庁長官の考えを、時間がございませんから結論だけでもよろしいのですが、ひとつ聞かしていただきたい。  もう一つは、先ほど国と地方との財源の再配分をいま地方制度調査会がやっているのだが、これはきちんとやるべきだ、こうおっしゃった。ところで、今日過疎過密という大きな問題が出ておる。一体、過疎過密というのはありのままにすべきなのか、ある程度過疎過密について政策的にこれに対処していくべきか。企画庁が二十年後の計量モデルでいろいろな計数をはじき出したという報告書を拝見したのでありますけれども、地域開発の問題あるいは過疎過密の問題については、政府がばらばらですね。たとえば通産省や建設省というのは、企業が太平洋ベルト地帯にどんどん集中するのはやむを得ないのじゃないか、その対策として都市改造とかなんとかやればいいじゃないかと言い、自治省あたりは、そういうありのままじゃいかぬのであって、やはり地域に中心都市というものを置いて、そういう過疎過密というものを政策的にある程度食いとめていかなければならぬ、こういう主張をなさっておる。いってみれば正反対な議論をしたわけです。私は総理大臣に地方制度調査会で聞きましたが、政府がこれについての一貫した方針を持っておらない。持っておらぬとすれば、過疎過密問題というのはたいへんな問題でありますから、国と地方との財源の配分はどうあるべきかということも、これはなかなか結論を出し得ないと思うのです。そういう点では経済企画庁がこの問題についていろいろな計数をはじき出しておりますけれども、一貫した国の方針を打ち出せないところに私は企画庁の責任があるのではないかと思うのであります。この点について企画庁はどうお思いになるか、長官の考えをひとつお尋ねしたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 まず公営企業の問題でございますが、公営企業の経理状態がよくないということは、昭和三十八年ごろから言われ始めまして、結局、これを再建する必要があるということから地方公営企業法の改正を行ないました。それに従いまして、ただいまあちこちで再建が行なわれており、その結果交通料金が上昇することも、再建計画との関係であればやむを得ないと私ども考えておるわけでございます。  本来的に独立採算が可能な公営企業について私どもどう考えておるかと申しますれば、地方公営企業法に書いてございますように、従業員の給与というものは同種の民間企業の給与水準とも比較をして決定をせらるべきものである。その点についての原則が、長年の惰性の結果、かなり原則どおり行なわれない事態になっておって、多くの地方公営企業では、同種の民間企業よりもかなり人件費の占める割合が多いということ、これがやはり一つの問題であるというふうに三十八年度以来指摘され、そして再建になったわけであります。ですから、その点は、独立採算でいく限りは、今後ともやはり守らるべき原則であろう。再建期間中ベースアップが、企業努力によってならともかく、料金に転嫁する形では許されないということは、確かにかなりつらいことでありますが、それが済みましたら、むろんベースアップというものは可能になるでありましょう。その場合、しかし同種の民営企業とのバランスをとっていくことは、今後これはくずしてならない原則の一つであろうというふうに考えます。  次に、現在地方公営企業になっておりますもののすべてが、はたして独立採算が可能であるかということについては、私は一、二のものについては実は問題があるのではないかというふうに思っております。たとえば地下鉄でございます。それからまた、水道などにつきましても、広域的なものについては、国もある程度補助をせざるを得ないといったような問題も出ております。ことに地下鉄の場合には、今後利用者の負担をある程度現行程度のものにとめておいて、なお新規の地下鉄開発が可能であるかということになりますと、もう資本費との関係ではなかなか可能ではないということのように思われますので、新しい地下鉄について、今後とも独立採算——現行の意味での独立採算が可能であるかどうかということは、私個人としてはかなりの疑いを持っております。したがって、それは何らかの意味で助けなければならない場合があるのではないかということに通じます。  それから次に、過疎過密の問題でございますが、これはもう私どもも非常に困っておる問題でございまして、率直に申しまして当分の間二兎を追っていくという以外に方策がないであろうというふうに思います。過密について、これを解決するために、かなりコストの高い公共投資をしなければならない。これはどうしてもしなければならないということでありまして、これを怠っておけば、自然にベルト地帯の形成がなくなるかといえば、おそらくそういうものではない。過密地帯にいるところの、いわゆる外部不経済、それは公害でありますとか、土地の値段が非常に高いとか、交通が困難であるとか、外部不経済の問題が企業の採算に関係してきて、そして過疎地帯に外部経済を求めて企業が動くということは、ある段階からは期待できるでありましょう。いまのところそういうことは、残念ながらまだ大幅には起こっておりません。私どもとしましては、昭和三十八年ごろ、十年先を目ざして新産都市に先行投資を始めました。また、低開発地域に入ってくる企業に対して優遇措置を講ずるために、低開発地帯の法律もつくりました。そういうことで、できるだけ企業を過密でない地方に誘導しようとしておりますけれども、その成果は、まだまだ大々的に申し上げるほどのものではない。先行投資をして準備をしておるわけであります。他方で過疎地帯でありますが、大規模地方開発都市あるいは地方開発都市という拠点をつくって、それを中心に過疎地帯を解消していこうというふうに施策をしておるわけであります。二つの施策が並行して行なわれております。  そこで、ただいままでのところ、地方の開発都市をつくりますと起こっておりますことは、その地方としての人口の減少は防げる。しかしながら、やはり町場の中心のほうに移動をしていく。つまり、中核となる都市のほうへ移動してまいりまして、周辺部はやはり人口が減っていく。地方全体としては足はとまるわけでありますけれども、そういう人口の移動がどうしてもある。そうしますと、その周辺では過疎が実際はひどくなる、こういうことになっております。  私ども、来年の秋ごろまでには全国総合開発計画を書きかえようと思っておりますのは、この両方の問題をこれからどういうふうに考えていったらいいのか、おそらく多少長期のものとしてはやはり交通網を発達させることが、一番中央、地方の所得水準、所得格差を解消するのに役立つというのが、先端のマクロモデルの地方のモデルの結論でございます。そういうことを一つ考える。  それからまた、もう一つ、これは申しにくいことでありますけれども、わが国の農業の変貌によって、やはり農村の集落の再編成というものがこれから十五年ないし二十年のうちにはどうしてもあるであろう。これは現在そこに住んでおられる人々としては非常に何か現状が変わるようで、気持ちのよくない話かもしれませんけれども、やはりそういうことは大局的には考えて施策をしていかなければならない。こう思っております。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員長 これで宮澤国務大臣への質問は終わりますが、きょうは非常に有意義な御質疑をいただき、他日、機会を得て、ゆっくりお伺いしたいと思いますので、その点、お含みおきを願います。  この際、鎌田公務員部長から、去る十三日の当委員会における山口委員の質疑に対する答弁に関し、発言を求められておりますので、これを許します。鎌田公務員部長。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○鎌田説明員 去る十三日の当委員会におきまして、山口委員から、地方公務員等の共済組合の運用利率が予定利率を上回ったいわゆる差利益というものについてお尋ねがございました。私、四十一年度分概算百億と申し上げたわけでございますが、これは誤りでございまして、三十八年度から四十二年度——四十二年度は推定でございますが、この間の累計額が百億ということでございます。なお、四十一年度単年度におきましては約二十七億、こういう数字に相なっております。  正確な答弁を申し上げましておわびを申し上げますとともに、訂正させていただきたいと思う次第でございます。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十六分散会

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