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56回国会衆議院1967/10/11

大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号

発言数
125
登壇者
9
会派数
4
開催日
1967/10/11

会議録

足立篤郎自由民主党

○足立小委員長 これより会議を開きます。  税制及び税の執行に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山小委員 久しぶりでありますからいろいろ聞きたいことがあるのでありますが、同僚諸君も御質問もあるようですから、ひとつ私は、きょうはいわゆる広告税に中心を置いて、政府側並びに国税庁側の意見を聞きたいと思うのであります。  手元に、これはどこの新聞か知りませんが、電通の調査の印刷物があります。これを見ますと、電通は「四十一年の総広告費と、四十二年および四十五年の見通しをまとめた。それによると、四十一年の総広告費は景気の好転を反映して前年よりも一一・四%増の三千八百三十一億円に達し、予想を上回る伸びを示した。」一方、四十二年は四十一年よりも一五%ふえて、総額四千三、四百億円に達した。四十三年以降の広告費も平均年率一〇%ないし一二%の成長が期待され、四十五年度にはおよそ五千六百億円から六千億円の大台に上る。その内訳を見ますと、新聞では千三百三十七億円、百四十一年度の実績ですが、テレビが千二百四十七億円、屋外その他が六百二億円、雑誌が二百十一億円、ラジオが百六十九億円、ダイレクトメールが百六十八億円、輸出広告が九十七億円のようであります。そのほか非常に詳しい広告の現状が出ておるのでありますが、お互い海外をずっと回ってみまして、あらためて再認識をいたしますことは、たとえば町を回りましても、ネオン広告の世界一といわれるような状況、テレビを見ればすべてコマーシャルに目がつく。コマーシャルの商品も大体限定されておるような状況なんであります。私ども社会党が前から広告課税というものを言っておったわけでありますが、別に最近広告に関して国会においてもいろいろな角度から取り上げられるようになりました。それは不当景品類及び不当表示防止法あるいはそれらを中心にいたしまして、医薬品あるいは飲料、いわゆるレモンですかにおいての虚偽の広告、あるいは土地の売買に関する不当広告、過大広告、こういうことが問題になっております。  それからもう一つの角度から見ますと、われわれは常に交際費課税というものを議論の焦点にしておるのですが、その交際費課税と、膚接をしておるような広告宣伝費、これはもう決して交際費課税と縁もゆかりもないものではないと私は考えるわけであります。  もう一つ考えられる視点は、資本の自由化になる、そして外国商社が、会社が日本に進出をしてくる多くの例に見られますように、まず息の長い経営をやる、出血の経営をやる、そして膨大な宣伝から始めるということは、もうわれわれすでに体験をしたとおりのものであります。  本来広告というものは、いまここに古い書物があのですが、「広告は取引の誘因であって普通の取引に先立つものである。蓋し現今の経済社会には分業が盛んに行はれ生産者と消費者との距離が遠いから、広告が無ければ需要と供給とが適合するを得ず、広告が企業経営の重要の分子となってみるからである。」だから広告取引業はできてくる。そこまではいいのでありますが、その広告というものが事実を事実として伝える、真実を伝えて消費者の利便に合わせるということと、今日の広告の状況から考えますと、過大広告、虚偽広告、不当広告というものがあまりにも多くなり、かつ先ほども言いましたように、国内における企業と外国から進出をしてくるであろう企業というようなことを考えますと、この際ひとつ広告ということに新しい税の源泉あるいは政策的な要素というものを含めたらどうかということを私は海外にあって痛感をした次第であります。いままで政府、主税局や国税庁では、どうも私どもが広告税と言うと、新聞やテレビに気がねをなさるせいかもしれぬけれども、それらの政治力に対しておそれをなされるせいかもしれぬけれども、口ではわりあい好感を持っておられるようだけれども、実際問題としては腰がすわっていないような気がするわけであります。この点についてどうお考えでございますか、ひとつ御意見を伺いたいと思います。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 これは非常に沿革のある問題で、私ども日本の広告がどの国に比べましてもかなり何といいますか、広告産業が非常にいんしんになっておるということは十分認めますし、また交際費との関係等につきましてもいろいろ議論のあることもよくわかるわけであります。先ほど横山先生もおっしゃいましたように、広告のいわば媒体になりますメディアというものが、主として言論機関でありあるいは国民にいろいろの真実を伝えるためのメディアとしての必要なものに広告が乗る、またそうした企業がこういう広告といったようなもの等にかなりその収入源を仰いでおるということもやはり事実でございます。それでは、一体そういう正当な広告はさることながら、不当な、過大なものだけでも取り上げてはどうかというようなことも、これはまことに理屈のあるところでございますが、私どものほうで不当とか過大とかいうようなことは、なかなか行政機関としてこれを確かめるということはむずかしいわけでありますし、かつて大阪府でありましたが、広告税の一部として電柱を用いますようなものについてあるいは直接チラシを用いますものにつきまして広告税を施行したことがたしかあったと思いますが、その場合も、それでは電柱とチラシとそれ以外のものとどう違うというようなことで、すべての広告にまで及ぼさざるを得ないというようなことでこれが廃止になった経緯がたしかあったかと思いますが、そういうわけで、目に余る広告に対して何かしなければならない。もしそれが、税もその目に余る広告を押えるのに役立つのであれば考えるべきだというのは、まことにごもっともでございますか、目に余る過大な広告あるいは不正な広告というものと真実を伝える広告というものとをどの辺で線を引くか、これはまことにむずかしいので、先ほどお話しのように、事柄の現在におきます重要性なり問題点というようなことを全く認識していないというわけではございませんが、具体的にどのような税を考えるかということにつきましてなかなか成案を得られないというのが実情でございます。

横山利秋日本社会党

○横山小委員 いまのお話の中で、私の真意をまだ十分に理解していないのですが、私は例として不当、誇大、虚偽というものを持ち出しましたけれども、私の真意は、実は広告全般について議論を始めておって、その取っかかりとしてそれらを例に出しておるわけです。この広告とそれからコストとの関係を考えますと、いまの消費者保護の立場からいいましても、一体その商品の中に広告のコストがどのくらい入っておるか。薬九層倍といいますけれども、いま薬なり、特に化粧品もそうですけれども、例の何やらの店だとかなんとかというものは驚くべき低廉な価格で売っておる。いまの流通の問題がその中に内在をしておるのですけれども、それでもやはり売れるということは、そのコストの中で広告が非常なウエートを占めている商品がある。これは明らかです。この広告料というものが消費者にかぶっておる。そういう意味からいうならば、全体的に見て、広告というものについて、真実を訴えるからといったって、現在の広告についてはもう少し考えを変えてもいいじゃないか。  長官、ちょっと意見を聞きたいのですけれども、いまその交際費ですね、交際費か私の推算で五千七百億くらいだと思うのですけれども、広告費が四十二年度、これで見ますと、約四千億ですね。まだまだ発展して、四十五年度には六千億になる。交際費を上回るということになりそうであります。もちろん交際費と広告費とは感覚的には違うんですけれども、広告宣伝費というふうに発展してきますと、実際問題として膚接してくるものがあるのではないか、区別を一体きちんとつけられる場合があるだろうかというふうに考えるわけです。ですから、広告だから、きちんと払っておるからということの内容を確めることと、それから広告というものが非常にコストの中で高い位置を占めておるという点について、徴税上、広告宣伝費に全然問題はないかどうかということの御意見を伺いたい。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 お話のように、交際費は四十年度の実績におきまして五千七百五十億程度であります。四十一年度の実績が間もなく出てまいるわけでありますが、それによると、おそらく六千億をオーバーする程度のものではなかろうかと思っております。これに対しまして、広告宣伝費につきましても相当多額なものが支出されておりますことは、ただいま横山委員からおっしゃったとおりでございます。問題は交際費と広告宣伝費の性質でございますが、これは限界の点になりますとなかなか明確でないような点が出てまいるかと思いますけれども、交際費のほうにおきましては、何と申しましても、いわゆる社用消費として、国民経済的に見るとむだな面が相当あるのではないか。したがって、配当の金額に対しまして約八割にも達するような、交際費の支出については、その抑制をはからなくちゃならぬということから、交際費の租税特別措置を設けておるわけですが、広告宣伝費となりますと、御承知のとおり、企業が商品を売り込んでいく上におきましては相当の広告をするということは、これはまあ常識になっております。経営学の立場からいたしますと、商品によって違いますけれども、大体小売り価格の六%ないし八%の広告費を使っても経営上は成り立つし、またそれくらいの広告宣伝費は使うべきものだといったような考え方もあるようであります。したがって、広告宣伝費は一がいに交際費と同じような性格を持っておるとは言いにくいと思うわけであります。  ただ、お話のように、誇大広告、虚偽広告のようなものが最近ふえてまいっておりますことは、いろいろ問題があろうかと思います。ただ誇大広告、虚偽広告ということになりますと、これは税の面というよりは、それを取り締まる警察のほうの問題、あるいは公取のほうの問題であろうかと思うのでありまして、税のほうの問題としましては、交際費と広告宣伝費とがまぎらわしいところか出てくるかどうか。特定の企業をとって申しますと、先ほどお話がございましたが、薬のような場合には、広告宣伝費のほうが大きくて交際費は少ない。それから土建のような事業の場合におきましては、交際費が大きくて広告宣伝費はそれほどでない。そういったようなことで、交際費の課税の特例を設けておりますと、その業種によって、交際費の多い業種とそうでない業種がある。そのために、その間、広告宣伝費もあわせて考えてみませんとどうもうまくいかないじゃないかといったような面も確かにあると思います。ただ、先ほど申し上げましたような広告宣伝費の性格からいたしますと、一がいに交際費と同じように見るわけにもいかない。そこで、いろいろ主税局のほうとも打ち合わせまして、広告宣伝費についてどう考えるべきか、お話しのような広告税についてどうだといったようなことをいろいろ検討はいたしておりますけれども、現在まだ成案を得るに至っていないというのが実情でございます。

横山利秋日本社会党

○横山小委員 あなたのような理論ならば、たとえば交際費課税といっても全額かけるわけじゃないですね。やはり交際費も企業に必要な部面があるという最低線は認めて、だからここまでは課税しないという交際費の限界がいまありますね。そうでしょう、全部かけるわけじゃないんだから。つまり交際費でも企業に必要な部面があると認められる。それ以上は、交際費は損金に見ない。広告についても、その企業に必要な部面がある。そのウエートが、交際費とどういうようなウエートにあるかは別としても。やはり同じような理論じゃないですか。ある段階以上は企業として不適当である。国民経済としても不適当である。消費者に対してもこれはコスト高を呼ぶ。こういう考えは、両方、こちらは白、こちらは黒というふうに言えぬのではないか。どうですか、御意見ありますか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 おっしゃること、よくわかるのですが、交際費ということになりますと、新しい需要を開拓するとかというようなことを申しましても、いわば特定された相手が対象になるわけですが、広告ということになりますと、ここで日本のように——先生、ヨーロッパを見てこられて非常に痛感なさるのだろうと思いますが、生活改善といいますか、生活様式が非常に変化しておりまして、いまがむしろ非常に特異な事態で、新しい商品がどんどんできてくる。それはやはり広告しなければならぬ。こういう全体が生活改善といいますか、生活様式が変わっていく時代にあるということが、この広告課税をむずかしくしている。一体企業として必要な広告料は幾らかということをきめる場合に、非常にむずかしい。交際費の場合よりも、より社会的に、この程度以上はやや国民経済的に浪費じゃないかという線を引きにくくなっておる。生活改善が非常にテンポが早いという点は御了承願えるのじゃないかと思います。

横山利秋日本社会党

○横山小委員 それはわかる。わかりますが、あなたは個人に対する交際費だから、不特定多数の広告費だから区別があると言う。その区別は確かにあると思う。あるけれども、それは一体どういう意味があるか。だから片っ方は課税すべきである、片っ方は課税すべきでないということはない。両方とも企業の開拓の立場は同じことですからね。あなたのおっしゃるように生活様式が改善される。だから一つのお得意を得たい、大企業に食い込みたいというその根底は、これは同じ目的のために行なわれるのであるから、その意味においては片っ方が課税すべきであって、片っ方は課税すべきでないという理論は少しおかしいので、あなたは自分で自分の首を締めたような発言をしている。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 ちょっと申し上げます。私が申し上げておりますのは、いろいろ新しい商品が出てくると、その場合にやはり広告をしなければ、国民一般にそうした新しい商品、新しい効能を持った商品が世の中につくり出されたということ自体をわからすわけにいかない。したがいまして、企業としてそういうものを、それが真実な広告である限り知らせるまでは明らかにこれは原価であるものだと思うわけですね。としますと、そういうものが次々に新しく出てくるような現在の日本の状態におきましては、交際費で引きましたようなある限度を引いて、それが社会的にも認められるような限度というのは引きにくい、こういうことを申し上げたわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山小委員 それではその議論は一応横へ置いて、もう一つ別な角度から聞きたいのだけれども、医師法は、安くて早くなおる横山医院と書いてはいかぬことになっておる。ところが薬は、安くて早くなおる薬と宣伝してもいいことになっている。いいことというのは、罪にはならぬことになっているのですね。これは、矛盾を感じませんかね。いまのテレビや新聞で一番横行しておる安くて早くなおる薬、これはあなた方、税の問題ではないにしても、そういうようなことが社会の一つの法律によって制約されておる今日、あなたのような理論で、真実ならば何やってもいいと言うのだけれども、広告の真実というものは一体何だろうか、だれが真実であると判定するだろうかというと、広告というものはどうしても自然的に、本能的にやはり誇大宣伝、そういう足を踏み出すものだと思っているわけです。それで、お金のあるもの、資本のあるものが広告のスペース、シェアを拡大をしていく。だから同じ商品があっても、片っ方がかりに優良であろうと、広告というものの力、武器を得ない場合においては敗退していく。これは資本主義の通有性で、やむを得ないものであるけれども、もう少しそこに社会的な規範が働いてもいいんではないだろうか、こう思われるわけです、徴税技術の問題は別にしましてね。これはぼくはまだ別に議論があるのだからなんですけれども、いまの状況からいって、私は先ほど言ったように、その交際費課税の議論を推し進めるならば、広告宣伝費の課税について一歩踏み入れるべきだということを強く痛感するのですがね。単に徴税ばかりでなくて、政策的な意味においても、消費者保護の意味においても。どうです。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 先ほど申し上げましたが、事柄はどちらかというと政策問題でありますから、私のほうから申し上げるのは適当でないかと思いますが、ただ横山委員も御承知のとおり、交際費の場合はなるほど会社のためだということで交際費を使っているんですが、実は重役なり担当の営業の者が、同時にみずから楽しんでいる面があるわけですね。もしその重役なり担当の営業マンが、自分のふところでその交際費を出せということであったら、おそらくそういう消費はしなかったろう。ただ、それが社用であるためにそういう消費が行なわれるという面が強くあると思うのです。そこで、そういったのは国民経済的に非常にむだじゃないかということから交際費に対する課税の問題が出てくる。ところが、広告宣伝費になりますと、これはほんとうに会社の金——確かにお話しのように誇大広告もあり虚偽広告もあり不当広告もある世の中ですから、広告のすべてがいいものだとは私申し上げかねますけれども、しかし交際費のように、それが自分で支出するとかいうような関係がない。つまり広告宣伝費は会社のために使ったので、使った本人が楽しむという余地はない。そこにいろいろ違いがあるのではなかろうかというふうに感ずるのであります。

横山利秋日本社会党

○横山小委員 それはありますよ。たとえばこのごろのように、いや沖繩旅行だとか香港旅行だとかいう時代に入ってきて、もう自動車一台買えば必ず沖繩へ行けるというような時代にもなっているのですからね、ただテレビや新聞ばかりでなく。  それから交際費課税、確かに社用族でよくないけれども、こんなことを私から弁護するのもおかしな話だけれども、自分も楽しんでおると言うが、一緒にどこかへ行ってたとえばこの人を接待せんならぬ、おべんちゃら使ってそばで酒を飲んでおるというのはそんなに楽しくないですよ。それで家庭争議の原因にもなっているからね。けれども、それは総体的に見てよくない。そういう意味で課税されている。課税されているけれども、交際費が全額課税されているわけではないでしょう。一部企業に必要なものとして認めておるわけだ。だから泉さんの理論もちょっとくずれたわね。何も社会党があなたのほうに財源を確保させようと思っているわけではないのですけれどもね。どう考えても今日の日本の広告というのは——私は広告宣伝費と言っているわけですが、度が過ぎる。どこかで抑制すべきで、抑制というものは単に不当広告、虚偽広告、過大広告の部面ばかりではないと思う。  もう一つは徴税上の技術の問題です。確かに私どもすべり出しは誇大広告から始めたのです。ところが、それは徴税技術上非常にむずかしいからとてもできない。そうすると、いま私が例示を出しているように交際費課税と同じやり方、つまり年間の広告宣伝費の一定パーセント、コンスタントにここまではかけない。そしてあとの一定パーセントを何と見比べるか、いろいろ議論があるでしょうけれども、そういうやり方で比率をとって広告宣伝費に対して一部は損金に見ない。こういうやり方をして少し広告に対する抑制措置を、一方で非課税、他方においては、広告宣伝費が五、六千億も使っていけるような段階においてはその企業に租税負担の能力あり、こう見るのが適当ではないか。徴税技術上の問題について私はこう考えますが、どうですか。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 お話しのように、最近確かに広告宣伝の関係で海外に旅行をする、それに会社の者がついていってみずからも楽しむといったような面がないことはありません。しかしそういった点につきましては、そういうことを受けた者に対しましてそれぞれ所得として把握することになっておるわけでございまして、もちろんその所得の把握が必ずしも十分に行なわれていない場合もあろうかと思いますが、たてまえとしてはそういうことになっておるわけであります。確かに広告宣伝費が相当多額に上っておる中には、社会的に見てそれだけの広告をする必要があるかどうかというような疑問の面がないことはありません。したがって、われわれとしても広告宣伝費については、かねてから注目はいたしておるわけであります。ただ、いままで考えておりましたのは、広告税というものをその広告の媒体であるものに対して課税する、一種の流通税的な考え方をとっておったわけでありまして、いま横山小委員のお話は、そうでなしに、交際費と同じようにそれを支出する企業の側に損金不算入という形でやったらどうか、こういうことで、これは一つの考え方だと思うのでありますが、ただ、先ほど細見調査官から申し上げましたように、交際費の場合にもなかなか容易でありませんでしたけれども、広告宣伝費の場合に、一体どの程度をこえたならばそれは社会的に見て好ましくない、あるいは不要な広告として課税の対象にすべきかという線の引き方、これがなかなかむずかしい問題であろうと思います。いずれにいたしましても、そういった点につきましては、われわれもまだ実態究明が十分できておりません。そういった点については、なお実態を十分究明する努力をいたしたい、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山小委員 細見さん、これを見ますと、「昭和四十二年から四十五年までの経済成長率は年平均実質八%を越えるものとみられるので、総広告費もこれを基調におよそこれよりも高い年平均一〇−一二%程度の成長が予想され、四十五年には五千六百億から六千億円に達する」これからとにかく広告が非常にふえていく、現状よりもはるかに巨大な広告時代に入る、こういうことが予想されるわけです。それらが全く事実の周知徹底という広告本来の意義から、資本の自由化による国際的資本と国内資本の広告合戦から、それから単にテレビ、ラジオばかりでなく、いまの話の海外旅行から中小企業の温泉旅行に至るまで、とにかく広告宣伝費として支出をされる。それらの動きというのは、実際全体として目に余るものがある。だから、私の言うような、むしろ広告媒介業者の問題でなくして、企業それ自体の抑制措置によるべきである。しかも、それは明らかに無理はしておっても、それだけコストにはね返り、当面としては、まだ負担能力を持っておるAという商品と負担能力を持っていないBという商品との同じ商品ないしはこちらのほうが優良商品であっても、市場からけ落とされていくという可能性がこの広告の中に存在をしておる。ですから、私は結論として、企業に対して広告宣伝費について、交際費課税のようなやり方で損金に見ないという措置をとったらどうか。しかも、それはいまの質疑応答を通じても、認めるのだけれども、広告とそれから交際費とは水準が同じだとは私は言っていない。それはやはり常識からいっても、広告と交際費とはウエートが違うことは明らかに認められるどういうふうにウエートが違うか、どういうふうな徴税のやり方をするかは別としましても、これはこの際、その一歩を踏み込むべきではないか、こう考えるのですが、どうですか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 御意見十分尊重して、これから検討させていただきたいと思いますが、できますことならば、広告は広告自体の問題としまして、先ほど申しましたように、事実を誇大に伝えあるいは不当に伝えるもの、あるいは不当に射幸心をあおるような広告といったようなものは、それ自体流通秩序を乱すものとして、御案内のように、公正取引委員会が所管であります不当広告の取り締まりの法律もございますので、そういう方面で正面から押えていくのが筋だと思います。しかし、税制が裏からそうしたものに対するチェックをする可能性が全くないというわけではございませんので、正面から攻めることの可能性といったようなものとあわせて今後の検討問題として考えてまいりたい、かように思います。

横山利秋日本社会党

○横山小委員 最後に。しかし、もう広告税に踏み込むためには、冒頭申しましたように、マスコミからたいへんな圧力があることは御存じのとおりです。私がほんとうにそれを言い出したら、私のところへもたいへんな圧力があるということは承知の上で言っているわけです。やり出したら腰くだけにならぬように腹をきめてやってもらいたいということを特に注文をいたしておきます。  それから、時間がありませんから言うだけにしておきますが、泉さん、この前の税の小委員会で苦言を呈しましたが、その苦言を呈しましたあとで東京にも私の地元にも問題が生じました。まあ、いささか私も予言が当たって非常に残念ですが、ただ、こういうことを言ってはかえって逆になるかもしれませんが、あつものにこりてなますを吹かないようにしてもらいたい。いま税務署の職員はぴりぴりしている。それで当然なことだけれども、電話をかけたら電話料を払え、それから出張をしたら弁当を持っていけと言わんばかりです。そこまではいいけれども、そのあと少しでも納税者に親切なことを教えたら妙な目で見られるから、まあまあこの返にしておこうというて、羽織はかまでものを言うような雰囲気が出ている。ある人にそれを言ったら、長い徴税行政の歴史だから、いま竹にも節があるように節をつくらなければならぬと私は覚悟しております、こういうお話もございました。その意気や壮たるものがあるだろうと私は思う。一ぺんはそういう気持ちになって、節をつくる気持もいいだろうと思いますが、しかし納税者の気持ちというものはそれでは釈然としない。ですから、時間がありませんので、私がこういうことをあのときあれだけ言っていて、いまこう言うのはおかしいのですが、あつものにこりてなますを吹かないようにというような逆の注文をきょうは申し上げておきます。

足立篤郎自由民主党

○足立小委員長 只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 私はきょう税調のどなたかにひとつお教えをいただいて、いまの税調の進行状況についてお尋ねをしたいと思ったのです。いつも委員会において、われわれは出てきた法案だけ審議をさせられて、立案段階における問題については、少し尋ねたり意見を言うと、進行中でございますからということで、お答えができません、あるいはまた何とも申し上げられませんということで、立法過程なり立案の過程におけるわれわれの意見というものはなかなか重んじられないわけです。しかし、むしろ立法過程におけるそういう意見が私たちは大事だと思います。昨年度あたりから、大蔵委員会における討議経過その他が税調に出されておりますから、これは十分御配慮なさっておられることだろうと思います。そういうことを信じながらと言ってはなんですが、やっておられるだろうと思いますが、そういうことを考慮しながら、ひとついまの税調の進行状況というものを教えていただきたい。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 税調は、この七月から両開いたしているわけでありますが、昨年来問題になり、また先国会におきましていろいろ御議論になりました問題のうち、かなり技術的にもちろんどうだと思われるようなものをまず取りあげることにいたしまして、第一の問題として先般来土地に関する税制がいろいろと問題になっておりまして、その土地税制の問題を一つ大きく取り上げております。それからいま一つは税制の簡素化ということでございまして、今年度の改正におきましてかなり技術的な簡素化を実施したわけでございますが、なお残された問題があるかないかというような点について簡素化部会を開きまして、この問題の検討に入っております。なおそのほか、企業税制部会といたしまして、明年度に期限が到来いたしまする若干の特別措置がございます。こうした問題の取り扱い等につきまして今後の検討をお願いするという意味でその報告をいたしております。まだ具体案を得るには至っておりませんが、その中で一番進んでおりますのは、土地に関する税制部会でございまして、これは七月以来すでに五回ほど開きまして、大体問題点を洗いざらい申し上げ、また国会で論議になりました点も報告いたしまして、その後各委員あるいは各省からそれぞれ土地税制に対する御意見を承ったという段階でございます。  なお、明年度の具体的な税制を検討いたしまする一般部会につきましては、現在のところ明年度の経済情勢あるいは財政のあり方といったようなものにつきましても、まだ見通しを得ない段階でございますので、この月の後半くらいから御審議をお願いすることになろうかと思っております。  以上概略を申し上げました。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 そういたしますと、あとでお聞きをしますが、一般問題はまだまだ。いわば多少主要な問題から入って、主要な問題と言われる中の一つの土地問題、土地税制についていろいろ新聞に報ぜられておることや何かを私は私なりに見ておるわけです。その中に私が前回の大蔵委員会において指摘いたしましたような問題がほとんど出ておらないわけです。と申しますのは、いわゆる土地一般の税制、もちろんこれも立ちおくれておったわけです。だから取り組んでおられるわけですけれども、私が言っておるのはその根本的といいますか、抜本的な土地税制の問題が一つ。それとともに当面の問題として、私は土地は現在の資本主義社会における非常に大きな一つの産業だと思います。収益事業だと思いますね。ところがいまの税制の中、特に徴税面から見た場合に、こういうあなた方がおつくりになった「私たちの所得税」とかあるいは税法関係から見ましても、ほとんど土地を収益事業とみなしていないのですね。全然みなしていないとは言いませんよ。特に私が前回指摘をいたしました一種のやみ収益ともいうべき家屋賃貸の更改、それから増築の承諾料、それから改築の承諾料、あるいは家屋売買のときの判こ料、そういうその場その場で一般国民はいろいろ取られておる。これは税務署によってはわりあいきちょうめんにお調べになっておるところもありますが、一般的にいってほとんど徴税対象になっておらないというのは、税法上はもちろんですが、皆さん方がいろいろ指針としてお出しになっておるこういうものを見ましても、そういう収益として一番あげておる部面についてはほとんど触れられていないのですね。こういうことを私は前回幾つかの例をあげて指摘したわけです。ところが、今度の税調の論議を見ましても、そういう方向が出ないで、基本的な方向を主として出す。税調ですから立法過程の基本的な方向しか論議しないのかもしれませんが、ついでといってはなにですけれども、こういう税調で取り組む段階ですから、もっと私は収益事業としての税制面からひとつ御研究になったらどうだろうかと思うのです。特にあとでも申し上げますけれども、それは税法そのものを改正しなくても、皆さん方の徴税技術いかんによって、私がただいまなり前回申し上げたようなことはやれるわけですね。そういうものがほとんどなされておらない。この前あたりは、やっていますということですが、あまりあげ足をとってもなんですから、私これ以上深く突っ込まないですけれども、私はそういうものについて幾つかの税務署を調べたり、個々の地主さんあたりを当たってみたりして、取られていないということを知っておるのです。そういう収益としての土地税制についてはどういうふうにお取り組みになっておりますか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 おっしゃいました、具体的に土地によって生活をしておる人たちに対する課税をどうするかという問題ももちろん重要かと存じますが、これは現行法のもとにおきましても、正確な税務行政の執行が確立するとともに把握される問題でございます。現在土地税制のほうで取り上げておりますのは、若干角度を変えまして、土地の供給を促進する観点からどういうふうな税制が望ましいか、あるいはまた土地の利用を効率化ないし合理化するという見地からはどういうふうな税制にしたらいいかというようなことを中心にして、税制としてなし得る政策の限度と申しますか、そういうものももちろんあるわけでございますから、全体の土地政策の中で、土地税制というのはどういう地位を占めて、いま申しましたような目的のためにどういう制度が考えられるかというような角度でとりあえず取り組んでおりますので、おっしゃいますような点につきましては、まだかなり執行面に問題もございますので、とりあえずの議題にはまだなっておりません。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 だから、大体のことはわかるわけですけれども、今後の問題として要望を兼ねて言っておるわけです。単に供給面のみでなく、そういう抜本的な問題だけではなくて、今後もこれは生じてくる問題ですから、現在の税の執行面からもとらえられるわけですけれども、極端に言えば、他の鉄鋼業やらあるいは繊維業やら、あるいはいろいろなそういう産業と同じウエートを、私は日本の経済の中で土地事業というものは占めておると思うのです。何兆円という膨大な金が事実動いておるわけです。私の知っておる会社は、去年からことしにかけて二百億ぐらい土地を買い占めておるところがあります。だから、そういう結局一つの基幹産業に類するような形でやっておるところもありますし、そこまで言っては言い過ぎかもしれませんが、とにかく日本の経済の中で非常に大きなウエートを占めて、それの収益としての課税がきわめて不十分であるということを私は言っておるわけなんです。調査が事実なされていないし、皆さんのほうの徴税指針を見ても、何回さがしても出ていない。そういう面の強いほかの部面については、あとの徴税強化のところでお尋ねしますが、なかなかきびしいけれども、土地の場合にはそこまでのことは考えておらない。ひとつ今後の税制の問題としてもそういうものの収益の面の立法をお考えをいただきたい。  それから次に、これもあとの徴税の問題とも重なってくるわけでありますが、私たちが去年一番ウエートを置いたのは、勤労所得税の軽減ということで、四十四年度までに百万円課税最低限を置く、こういうことが附帯決議としてもついたわけです。一般税制の問題はいまからということでございますが、それまでに委員長さんが小委員会を開いていただけばいいのですが、なかなかお開きになりませんから、これもまた要望になりますが、いま新聞が伝えるところによると、八十三、四万円が限度だとか、あるいはそれもむずかしいというようなことを伝えておりますね。大体事務をあずかっておられる大蔵当局としてはそういうところに置いておられるのか。そういうことになると、もう一年かかっても四十四年まで百万円というのはちょっとむずかしいような気がしますね。やはり今度少なくとも八十五万円を突破する、八十六、七万円くらいいっておかないと、なかなか四十四年度に約束どおり百万円までいかないような気がするのですが、どういうふうなお考えですか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 新聞にいろいろ主計局サイドからの財政硬直化の議論もからみまして、明年度の減税について観測記事が出ておるのでありますが、私どもは先ほども先生に申し上げましたように、明年度の税制改正をどうするかということにつきましては、まだ税制調査会のほうにも正式にはおはかりしておらない状況でございまして、御案内のように政府の税制改正はまず税制調査会で御審議を願って、それを受けて政府の態度を決定するという従来のやり方をやっており、また今後もその方針を続けるつもりでございますので、いま事務当局がどういう案を持っておるかというふうにおっしゃられれば、それは白紙でございます。ただ、税制調査会は昨年度八十三万程度の最低限繰り上げの答申をいたしておるということを申し上げるにとどめたいと思います。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 時間がありませんから詳しい論議はできないけれども、言われておるのは、財政硬直化で所得税なんかの軽減はなかなか困難だろう、こういうことを言われている。一方、しかし百万円の一応の附帯決議事項があるから、それも何とかしなければならない。また諸物価その他の値上がりで、多少の減税をやってもそれが帳消しになるというようなことで、所得税を何とかしなければならない、しかし財政硬直化でなかなかできないだろう、こういうことで、私たちが見ておると、ことしもあまり大幅な減税がなされないのじゃないかというような予測がする。これはどういうふうに聞いておってもいいのですが、いま所得税の収入が伸びない、税収が伸びない、こういうことが言われて、公務員のベースアップの引き上げが八月か九月かという時期も、所得税の伸びる伸びないに一つはかかっておる、こういうことが言われておるわけですね。これは私が言ったのじゃなくて、経済企画庁長官の宮澤さんが、私たちが陳情に行ったときにそういうことを言ったのです。大蔵大臣が閣議の席上でそういう発言をした、こういうことをおっしゃっているわけですね。これはあとから聞きますけれども、そういうことで財政硬直化に合わせて所得税の引き下げが大幅になされないということになりますとたいへなことになりますから、ひとつこれは国会における約束どおり、皆さん方がそれは発言はできないとおっしゃるけれども、皆さん方がどの程度編み出すかということによって、ときどき集まる委員というものは首を縦や横に振るわけですから、これは事務当局としてひとつそういう御努力をしていただきたい。どうですか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 御意見承っておきます。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 それからその他の税の新設、たとえば売り上げ税だとか、これもちょいちょい新聞をにぎわしておりまして、ちまたには売り上げ税反対の運動なんかも起きていますね。それとかガソリン税の増徴とかなんとか、これもけさの新聞なんかにも出ておりますが、そういう意味の税の新設ということをお考えになっておいでになりますか。それももう少したってみないとわからぬ、こういうことですか。基本方針としてはどうですす。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 基本的には先ほど申し上げましたように、明年度の税制改正に具体的に取り組んでおりませんので、どうということを申し上げるわけにはまいりませんが、歳出とのからみ合いにおきまして、いろいろ税の改正もその歳出の要請というものを無視して扱えない面がございます。いろいろなものが議題になってまいろうとは思いますが、新しい税を創設するというようなことは、とてもいま検討を始めて間に合うようなものではございませんので、そういうことはあり得ない、かように考えております。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 そうすると、やっても現在の課税の増徴といいますか、そういう程度に終わる、こういうふうに理解していてよろしゅうございますね。  次に、徴税問題について若干お尋ねをいたしますが、その前提として現在の税の伸びぐあい、増収状況をひとつお知らせいただきたい。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 八月末におきます税収を見てまいりますと、昨年度が予算に対しまして三九・九%でありましたものが、ことしは四一・八%になっております。その中で原重油関税の問題等もございますので、これらの要素あるいは四十二年度期首におきます若干の特殊事情というものを考慮いたしますと、大体一・四%ぐらいの収入歩合だけで申し上げますと好転になっております。ただしかし、これは前月はこの歩合は一・五%でございましたので、一・五ないし一・四とただ二カ月だけの状態で申し上げるわけにはまいりませんが、いわれておりますほど大きな自然増収はこの段階では予想できないと申し上げなければならないと思います。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 税額にして大体三千億をこしますか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 この収入歩合を単純に一年に還元いたしますと二千億前後という数字になりますが、これはあげて今後の経済情勢にかかりますので、単なる予測、この収入歩合を一年に延ばせばこういう数字ですという以上のことはむずかしいかと思います。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 そこの中で、さっき言いましたように、所得税の伸びぐあいがあまりよくない、こういうことを閣議に報告されたと聞いておりますが、そういうことがありますか。あればどういう原因だとお思いになりますか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 源泉徴税の歩合は、確かに昨年は四四・九%、ことしは四三・四%ということになっておりまして、一・五%程度の減になっております。ちなみに前月末におきましては一%程度の減であった。さらに収入歩合の率の低下が前月末よりも当月末八月末におきまして大きくなったという現象がございますので、この点だけを見ますれば源泉徴収が非常に悪いということも言えるわけでしょうが、しかし、反面これは利子、配当といったようなものの課税が強化された影響というのは今後にどのように出てくるか、いま予断を許しませんので、そうした点も考えますれば、源泉分も若干昨年よりは悪いとは申しますが、今後の推移というものもやはり見なければ正確なことは申し上げかねると思います。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 源泉所得だけを見ますと、結局国家公務員がまだ実施されませんから、地方公務員もベースアップにはならない。ちまたの中小企業なり何なりほとんど公務員——昔は官員さんが上がったからうちも上げなければならないというようなことで、三菱が上がったからあるいは日立が上がったからどこが上がったから出そうというのは少ないのですね。県庁も市役所も上がったからこっちも上げなければならぬだろうということで、そういう意味の一つの基準になっておりますから、国家公務員がベースアップになりますと、これはおのずからベースアップになる。秋から年末にかけてベースアップが事実行なわれるわけですね。したがって、私は必ずしもこの源泉所得が低下しておるとは思わないし、むしろ伸びる、こういうふうに思うのです。それはこれからの賃上げの状況なり何なりによってきまるわけですから。もっともあなたたちに言ってもしようがないけれども、源泉所得が伸びないから公務員のベースアップの引き上げの時期をおくらすとかなんとかいうことが、もしあるとすればこれは逆であって、早くきめて五月から実施すればもっと源泉所得が伸びているわけですからひとつ……。皆さん方が言ったとは思わないけれども、しかしどこかからか言わないと、そういうことは出てこないから、ひとつ私は国税庁長官にも言っておきましょうと宮澤さんにも言ったのですが、そちらのほうから出たとすれば、あまりつまらないことを言わないほうがいいとぼくは思うのです。ですから、むしろ先に五月実施をすれば、どんどん源泉所得がとれるわけです。私どもから言うと、本末転倒しないでもらいたいと思う。  そういう源泉所得だけではなくて、一般の税の徴収で、推計課税ということもしないと皆さん方はおっしゃるけれども、いろいろ行なわれておりますが、近ごろ皆さん方がおやりになっているので非常に極端に目立ってきているのは、権衡課税と専門的には言うようでございますけれども、たとえばABCと大中小ぐらいの三段階のランクの企業をお選びになって、そこで抜き取り検査をされる。それを全体の、薬屋なら薬屋、あるいは雑貨屋なら雑貨屋、石屋なら石屋、こういうところを業界を呼び出してきて、大体こういうことでどうでしょうということで、まあ皆さん方としては御相談をかけられるわけですけれども、業界側としてはもう投網をぶっかけられた。新宿の歯科医師会等の、たとえば末端にきた通達等を見ますと、通達というか伝達ですね、要するに何月何日までに修正申告を出しなさい、出さない場合にはあなたのうちだけ技き打ち検査をいたしますよ、それで幾らそれが出ても私のほうは知りませんよ、こういうことを税務署側が言ったのか、医師会側が言ったのか、とにかく末端の歯医者の個々人にくる場合にはそういう通達となってきているわけですね、通達というか、ことばですよ。となってきて、私も歯医者さん二、三軒相談を受けたのです。私の親戚も実は一軒あるのですよ、この中に。それでぼくは出さぬでいい、そういうことなら、それはもう別な意味の完全な脅迫だから、おまえ出す必要はないということで、私は出させませんでした。事実上そこはほとんどありませんから。まあ皆さん方でやられる場合には、そういう権衡課税というのは、それほど強いとはお思いになっておらないかもしれないけれども、下に、末端に、個々人のうちに、浦和では、たとえばとうふ屋をやっていますね。とうふ屋でもABCともっていっておいて、一番下のCの、私のところにお見えになったのは非常に小さいとうふ屋さんで、どうしようもないというところです。使用人も何もいない。こういうところでも、ないと言うと、ないならないで誓約書を書くか、こういうことを言う。だから、あなたは誓約書を書いておきなさいとぼくは言っておきました。そしてあとでそれをぼくのうちに持ってきなさい、こう言っておいたのですね。いまのところ来ないところを見ると、書かなかったのか、とらなかったのか知りませんけれども、何もなければ誓約書を出せ、まあ何もなければないのがあたりまえで、ありませんからといって誓約書を書くというのは、これは犯罪行為の場合なら別として、そういうことはあり得ることじゃない。  時間がありませんから、こういう個々の例は全部話しませんけれども、私は全体の税の増収というものの中に、皆さん方の徴税強化、こういうものが裏打ちになってきているという気がしてならない。特に昨年の暮れあたりからことしにかけて、非常に税務署の態度が変わったといいますか、また再び強くなってきて、国民に対する、納税者に対する態度というものが非常に強いように見受けるのですよ。私たちが行っても受ける印象は、私たち個人じゃないですよ、ぼくのところに陳情にお見えになる人々の度合い、それから話し方、それから私たちが行って受ける印象、そういうものを見ても、去年からことしにかけて非常に何かきつくなっておるような印象を受ける。そういうことと税の自然増収というものは、私は必ずしも無関係ではないと思う。あまり陳情みたいな、文句みたいな話ばかりでどうかと思いますが、ちょっと長官どうですか。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 私どもは、御承知のとおり、税法を執行する立場にありますので、やはりそういう立場からいたしますと、同業者の間の課税の権衡がとれておる必要がなくちゃならぬことはもう御承知のとおりでございます。そういう意味で、同業種の業者間の権衡査案と申しますか、その権衡をどういうふうにして維持していくかという点から、いろいろ業者を一位からずっと並べてみると、申告の状況から見るとどうもここら辺が申告の割合が少ないのではないか、そういうことからこれを調査対象に選定して、実額調査をやる、こういうような考え方で権衡査案というものを持っております。しかし、それはいまお話しのように、すべての業界に対して修正申告をしなさい、もししなければ調査しますよといったような趣旨でやっているものではないのでありまして、申告の状況を見まして、どうも同業者間の風評、売り上げ金額、在庫等から見て、この業者はどうも申告の割合が少ないようだ、では調査の対象にして実額調査をやろうじゃないか、こういうことをやっておるのでありまして、ただときに、昨年いろいろおしかりを受けましたけれども、そば屋のような場合に、その所得を脱漏している形態が大体のそば屋において同じような手口である、それは業者によって量に多少はありましょうけれども、手口が大体同じような場合、こういうような場合には、相当数調べましたあとは、これはもう一々調べるのはたいへんだから、業者のほうから修正申告をお出しになるならそれは認めましょう、こういうやり方をやったことはあります。しかし、いまのお話しのように、半ば脅迫的に、修正申告の慫慂をするということは、厳に戒めておるつもりでございます。徴税強化とおっしゃいますが、私どもの立場からいたしますと、むしろ課税が漏れておることがあってはいけないという気持ちで、その漏れを拾うということで調査を進めるようにいたしておるのでありまして、所得がないにもかかわらず無理やり徴税を強化して、税金を納めてもらうというような考えは、毛頭持っておらないのであります。したがいまして、もちろん御承知のとおり、所得税、法人税については、申告による税額が非常に大きなウエートを占めておりまして、更正決定による税額はごくわずかなものであります。自然増収は出るといっても、それはむしろ景気がよくなって申告納税の税額がふえるという要素が多いのでありまして、更正決定によってふえるというのは比較的少ない、むしろ更正決定の税額は例年あまり変わらないといったのが実情でございます。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 しかし、私は全部の例を話しませんけれども、何も誤りがなければないと誓約書を書け、一人は書いたそうです。何ならそれを聞いてもらってきてもいいですよ。それから私のところにお見えになった人は、そう言われたから書こうか、こういうお話だったですね。これはその人の名前を言ってもいいですけれども、そこまできておるということは、長官いま権衡査案ということをおっしゃったけれども、それは理屈じゃわかりますよ。それから皆さん方の立場は、一軒はちゃんと取る、片一方は取らないということではあれですから、公平にということはわかりますよ。しかし末端までそれがきた場合に、その人のうちに何も脱税がなかったならば、調べてもない、なければ誓約書を入れろ、これはちょっとぼくは、警察で犯罪容疑で検挙されて、なくても、そういうことはないわけですからね。それが現にあるのです。私のところに訴えがあるわけです。小沼という私の女房の実家の歯医者に、そういうことがあった。なければあなたのうちに査察に行きますぞ、こういうものがきているのですよ。これは新宿の歯医者ですよ。そういうものが末端におりてきた。たまたま私のところによく入ってくるのは非常に身近な人ですよ。身近な人だから、税務署からこういじめられておるが、こういうことが来るわけです。私の一般的な支持者はそこまでのことは話さないで、非常に身近な人はそこまでのことを言うのです。というのは、それが出ますと、今度は医師会なりとうふ屋なり薬屋なり、そういう業界の中でいじめられるわけですね。だから、それじゃぼくが口をきいてやろうといっても、いやまあまあ会のつき合いもありますから、こういうことですね。だから皆さん方はわりとやさしくしてやっていると思っているでしょうが、業界の幹部が先走ってばっとぶっかぶせるわけですね。そうするとその重なっている部分に非常に圧力が強くなってくる。そうすると一般の平組合員の人は、単に税務署だけでなくて、業界内のいろんなつき合いもあるから、おそるおそる出す。こういう実態になってきているわけですね。犯罪の場合は業界とかなんとか関係ないですから、個人ですからね。皆さん方の税金の場合は、財産の場合は、業界から何から全部やる。ちょうど大政翼賛会のような、何か全体として締めてくる、こういう形のものが末端に出てきておる。このことが私は去年あたりから非常に強くなってきたのではないかということで一言言っておるわけです。いずれまた個々にも、委員会でなくてもお話ししてもいいですけれども、せっかく青色申告なり何かがこれだけ上向いてきて、税制の民主化が進んできているときに、再びこういう形が出たのではたいへんだと思いますから、ぜひひとつ御留意をいただきたい。  また、角度が多少違いますが、うわさの会社、脱税調査というのが新聞に出ましたね。八割が申告ミス、国税庁が追跡して一年に七百億取り立てる、こういうことで、これは九月二十八日の新聞には大体出ております。讀賣なんかわりあいに大きく出ておりますが、これらをごらんになれば——私は大体こういうことだと思っているのです。皆さんのほうでは異議があるかどうか知りませんが、こういうものを見ましても、調査をされて、こう投網をかけて、そうしてその中からずっとすくい上げてくるという形でも七百億円取り立てる。それから私の地元の埼玉あたりで、これは事実これに近いだろうと思いますが、百五の不動産業者から三億円の増差を取り立てておる。こういうふうで、皆さんいま更正決定は少ないとおっしゃいますけれども、こういうところから見て私は決して少ないとは思わないのですよ。去年東京のそば屋が増差三十億円かけられたですからね。こういうのを各業種ごとにかけられて全国的に延べになれば、これは一千億にもなっていくだろう。だから決して私は少ないとは思いません。皆さん方のほうでは実態調査、それから効率係数をつくり、そして効率表をつくって、これに基づいてやっているのだ、こういうふうにおっしゃいますけれども、それが末端にいく場合には、そういうふうに強くなってきておるということをお考えになって御配慮をいただきたいと思います。  それから、これも時間がございませんから要望だけ言っておきますが、交際費課税の場合に、私は独占企業というものはそんなに交際費は——さっき横山さんが広告費のことをおっしゃいましたが、これは一律に広告費をかけるというのは無理だ。薬屋さんと、それから全然広告の必要のないところは違いますから、私は様でないと思う。これは逆に言えば交際費の場合でも同じようなことが言えるので、わりあいにはでに交際しなければならない会社と、ほとんど要らない会社とがある。特に独占企業なんかそうですから、そういう面についても、交際費のあり方についてもお考えになっていただく。特に調査の場合、中小企業は、いまから売り出すというような四苦八苦しているようなところはうんと使う。ある程度落ちついて軌道に乗ってくればそんなに使う必要はない。そういうようなところを、四苦八苦して二年目か三年目ごろに伸びてくるときにまず第一回の調査でばかっとやられるわけです。それでたいてい参ってしまう。そこいらの企業の育成のしかたと徴税のしかた、そういう点、皆さん方のとらの巻や何かはとんど出ておりませんが、逆に二、三年ぐらいでばかっとやるということですが、交際費だけではありませんけれども、特に交際費なんかはそういうところ、非常に微妙に響いてくるわけです。これは徴税の場合からお考えをいただきたい。  それから、粉飾の問題について少し聞きたかったのでありますが、きょうはやめてこの次にします。  それから、そういう全体の意味で、私は一ペん税務大学校をひとつ見学させてもらいたいと思うのですが、どういう指導、教育を皆さん方いま行なっておられるか、そういう点も、ここで簡単にお答えになりにくいと思いますけれども、私は、税務署というのは、公務員の中でも接客業といいますかね、国鉄の車掌さんみたいな接客業とは違うけれども、やっぱり対人の機会が非常に多い。しかもどれは財産権に伴う場合ですから、よほどの高度の教養なりそういうものを必要とするわけです。どういうふうな教育をされておりますか、一ぺんそういう点を教えていただけませんかね。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 いろいろお話がございましたが、税務大学校の教育につきましては、現在、高等学校卒業の者を四月に採用いたしまして、約一年間、一般的な教養、それから税法のあらまし、こういったものを教育いたしております。ただ、これは只松委員も御承知だと思いますが、現在の高等学校程度の人は、何と申しますか、昔のような倫理観がわりあい少ない。そのために、税大の普通科の教育といたしましては、できるだけそういった意味で一般的な教養を身につけると同時に、人との応対、電話あるいは口頭で応対する場合にどういうふうに応対したらいいか、こういうしつけの問題が非常に大切になっております。それを、基礎をつくっておく意味で、かなり教えております。ただ、私痛感いたしておりますのは、いまの税大のやり方では、どうも一年間では普通料の教育として不十分なのではないか、もっと長い期間教育する必要があるのではないかということを感じておるのであります。いかんせん、税務第一線の職員の数が足りませんので、やむを得ずいまは一年で第一線の職場につけておるのでありますが、この点につきましては、今後もう少し検討いたしまして、実務につく前にあまり税法のことを詳しく教えましても、実務と並んででないと税法のことはよくわかりませんので、一年間はむしろ先ほど申しました一般的教養と応接の態度といったものを主として教育しまして、税法についての教育はある程度にとどめる、そうして実務について三年ないし四年ぐらいたったところで、もう一ぺん今度は税法についての詳しい教育をする、こういうのがいいのではなかろうかということをいま検討いたしておるような状況でございます。

只松祐治日本社会党

○只松小委員 警察あたりでも、警察大学というのは、一ぺん入って警部補か何かになったのをまた入れるのですね。だから、税務大学ができておりますけれども、そういうあり方についても、いまの税務署の職員の教養といいますか、特にこういうふうに皆さん方徴税強化されればされるほど、国民は自分の財産がなくなるかどうかということで必死になる。それだけ誘惑の手を伸ばしてきます。私にまで相談に来る、幾ら出したら何とかなりますかというような人がおりますからね。ばかと言っているのですけれども、それだけ、小さくはたばこから始まって、税務職員をいかに攻略するかということを、悪知恵働くやつはよけいにそういうことを考えているのですから、そういう誘惑をすべて振り切って、しかも感情に走らないで税務行政をやっていくというのは、私は容易じゃないと思うのですよ。だから、ぜひそういうことについても御配慮いただきたい、特にそれが金との関係になってくるわけですから。  皆さん方が採っておいて使うというのはなかなか言いにくい面もあるかと思いますが、そういうことと関連して、こまかいことをまた一つ言っておきますと、ある税務署に行ったら、床にごみが一ぱいたまっているんですよ。こんなにごみがたまっていたんじゃ衛生上よくないじゃないですかと私は言ったんですよ。そうしたら、掃除代もほとんどこないのだ。油を引くだけの掃除をすれば、一ぺんで大体安くて二万ないし三万かかる。どんなにしても油は一カ月に一ぺんぐらい塗らなければならない。油を引かなくても水だけでやると幾らかかる。その費用というのは全然ない。こういうことを聞いて、私はさっき接客業と言いましたけれども、やはり人の出入りの激しいところですからね、ちりがたまっていて、わっさわっさしていては。といって、いま言ったように新しい職員が、掃除しろと言って掃除するわけではなし、ぞうきんを持って掃除しろと言っても、女の子もなかなかしませんよ。だから、掃除費ぐらいは回す。私はさらに進んで、花や植木ぐらい玄関や何かに置いておくということを言っている人ですよ。それも私どもが行くと、ちょうど税の徴収の期間のときぐらい、このごろは多少置かれるようになりましたけれども、しかし一般には花代もなかなか出てこないそうですよ。やはり接客業をしておるところでは、デパートを見てもやはりきれいにきちっとしております。玄関にはちゃんとした服装をした女の子がいるわけですが、服装まではぼくは言いませんけれども、せめて掃除、そういうものの費用くらいは十分にいくように——それは長官が来る、だれが来るとか、特別の日になると掃除をしておる。ぼくらはふらっと行くわけですからね。いつでも行くわけですから、ほんとうにふらっと行ってごらんなさい。税務署は必ずしもきれいなところではありませんよ。だから、そういう面も含んで、職員の環境がそのくらい悪いくらいですから、私が前から言っておるように、交通費とかなんとか、徴税強化で内勤より外勤が多くなった。しかし出張旅費や何か、全体のワクもそうだし、個々の単価も上がっていない。そういうことでよけいに誘惑にかかる。誘惑でなくても、感情的にはそうなりやすい。おれたちは交通費ももらわないでやっているんだという気持ちが中にあると、やはりなかなかうまくいきませんよ。だから、そういう全般についても、ひとつ皆さん方ももっとこまかい配慮といいますか、そういうことを私は、これはまあ下級職員なり税務署にかわって——なかなかあなた方おえらい方に税務署側は言えない。そういうことを言ったら、ちゃんとしているじゃないかということで言われますとできないからね。むしろ私たちがいろいろな税務署に行って見聞きいたしますと、非常にそういうことが多いのですから、税務行政上ぜひひとつそういうことも配慮していただきたい。  いろいろ言いたいこともありますけれども、一応質問より要望になってしまいましたけれども、これで終わります。

足立篤郎自由民主党

○足立小委員長 平林剛君。

平林剛日本社会党

○平林小委員 きょうは時間が三十分程度しかありませんから、今後の租税、印紙収入、つまり税収の見込みについてもう少しお尋ねしておきたいと思うのです。ことしも予算を組むときの税収については相当数の自然増見込みを立てて税収をきめていますから、今後年度末までに大体どのくらいあるかということは、かなりきびしいものがあると思いますけれども、しかしこれから予算編成もしなければならない、それに要する財源もかなり多いとなりますと、この問題について少しこまかく政府の考え方を聞いておきたいと思うのであります。  先ほど只松さんからちょっとお話がありましたけれども、大体二千億円前後は今後あるだろうというお話がございましたが、もう少し明確にもう一度その点を、根拠とあわせてまず説明をしていただいて、それから私自分のことについていろいろこまかくお尋ねしていきますから、先ほどお尋ねのありました点をもう一度繰り返して根拠を明らかにしてちょっと説明してください。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 根拠と申し上げますよりも、むしろこういう計算をすればという意味で、その計算方法が正確であるという意味にはおとり願わないようにお願いしたいと思うのですが、自然増収額をいろいろな方法で推定いたします場合に、一番正確なのは、ごくあたりまえのことですが、なるべく近い段階で実際の姿を想定できるときに予測するのが正確なことは当然なことで、少なくとも現在のように八月末程度の税収しかわかっておりませんときに、しかも今年度予算は御承知のように六月に成立したわけですから、わずか数カ月の経過だけで一年を予測するというのは非常に大胆でもあり、また不確かなものであるということをあらかじめお断わり申し上げておかなければならぬと思います。  いま只松委員に申し上げましたことは、ことしの当初予算額三兆八千五百二十七億、これは原重油関税等を調整しまして、昨年と同じ姿にした場合の数字でございますが、三兆八千五百二十七億が昨年同様の予算の組み方であったならば予算額になっておったわけで、それをもとにいたしまして、いまの一・四ないし一・五という収入歩合で環元いたしますと約二千億になる、こういうわけでございます。

平林剛日本社会党

○平林小委員 それで私も四十二年度の八月末の状況、資料をいただきまして、検討してみまして、昨年の八月の同期が一般会計分の総計で大体三九・九%の収入歩合、ことしの八月末は四一・八%であるということから見ますと、確かにまだ二カ月経過の段階ですけれども、その間一・九%増加をしておるわけですね。四、五、六、七、八、五カ月で一・九であるから、十二カ月、一年間を見れば、おおよそ五%伸びるという推計はできる。そこでおおよそ二千億円前後、これは三兆八千億円を基礎にいたしますと、大体二千億円前後というのはいまお話のとおりだと思うのです。ただしかし、先ほども問題になりました源泉分については、企画庁長官、何と言ったか知りませんが、昨年の八月末四四・九がことしは同期で四三・四だから、へこんでいることは事実ですけれども、私、ここにはまた別なファクターを見なければならぬ。たとえていうと、利子、配当の課税強化によって、これが今後税収の中にはね返ってくる。それから勤労者の賃金も春闘でかなりアップされていますから、これによるところの増収分があるはずである。そういうことを考えますと、従来の年度末の源泉分というのは大体減るなんということはない、むしろふえるという状態になっておりますから、これは私は、今後の推移を見なければわかりませんけれども、推測すればいまお話しになったよりプラス分に出ると思うのですけれども、どうお考えになりますか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 ことしの源泉所得税をどう見積もったかということにつながるわけですが、ことしの春闘等の様相も予測いたしまして、かなり源泉所得税は目一ぱい見ておることは事実です。それから、昨年度と比べまして、公務員のベースアップ等のお話もございましたが、これはやはり昨年もあったわけで、ただ引き上げ率等につきましては予断は許しませんが、その辺に若干の差異は出るかもしれませんが、昨年もありことしもあるということで、この源泉所得税の趨勢というものは昨年とことしとそう大きく異なる要素は給与に関する限りはないかと思います。ただ、お話しの利子、配当の課税がどのように今後の支払いから税収にあらわれてくるかというのは、これは私どもも注目はいたしておりますが、いまそれが幾らになるというのは的確に把握しにくい状況でございます。

平林剛日本社会党

○平林小委員 私は、いま予測よりはプラスに出てくるだろうと見ておるわけです。  もう一つ、印紙収入の問題ですけれども、ことしの八月と去年と比べますと、大体とんとんの印紙収入というような形で、あの調査が見込まれています。大体徴収割合は、収入歩合は四〇・一に対し四〇・五ですから微増はしていますけれども、とんとんですね。しかし、これはこの間の国会で印紙その他については増税の決定をしておりますから、これはやはりいま現時点で推測をいたしましても、年度末にいけばプラスに動いてくるということは事実で、これは大体そうだと思いますが、いかがですか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 印紙収入などにつきまして若干の増収はあるいは出ようかとも思いますが、しかし根っこになります収入は、何といいましても千億前後でありますから一%、二%動いてみてもそれほど大勢を動かすものでなくて、やはり基本は一兆一千七百八十億に達しておりまする法人税のこの九月決算の申告がどう出てくるかというのが百億というオーダーを動かす大きな問題になるかと思います。

平林剛日本社会党

○平林小委員 それからもう一つ、私はプラス面に動くだろうと思われるのは、年末の国民の消費がどうなってくるかという点はかなり注目していいのじゃないかと思うのです。米の豊作による収入もございましょうし、ある程度勤労者の給与増ということも見込み、ことしの年末はかなり消費が高くなるのではないかといわれております。同時に、電気製品メーカーでも、その他デパート関係を見ましても、この年末に相当売り込みを準備しておるということから考えますと、たとえていうと、酒税とか砂糖消費税、物品税などはいま調べとして出ております割合よりはもっと高くなってくると見るのが私至当だと思うのですけれども、これなどもどうお考えになっていますか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 おっしゃるように消費はなかなか堅調のようでありますので、消費につながります税収が今後どうなるかということにつきましては、非常に消費が抑圧されるということになって、ここに掲げておりますような収入も確保できないというようなことにはならないと思います。しかし、一方源泉のほうにおきまする風潮が示しますように、企業におきましても生産の抑制というようなことが今後徐々に浸透してまいりますと、いわゆる超過勤務手当の削減とかいうような面もあるわけでございまして、それにさらに法人におきまする将来の見通しなんというようなことで、ボーナス等も新聞に一部好景気の企業の大幅増が伝えられておりますが、全体として見ました場合に、たとえば中小企業のようなものにおきましてどういうふうになるか、これはいま少し様子を見ないと予断を許さないと思います。

平林剛日本社会党

○平林小委員 それからもう一つ、いまお話しになったのは、私はこの三つの要素からとらえて、推定をしておるよりは少し上向いて収入歩合はよくなるだろうという根拠を私なりに分析して申し上げました。そのほかに税外収入というのがあるわけですね。大体四十二年度で見ますと、官業益金収入が百六十億、それから政府の資産整理収入が二百四十億、雑収入が千四百二十一億、その他いろいろ専売納付金とかございますけれども、例年から見まして、これは大体どのくらいの自然増になっておりますか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 ちょっと正確に……。あの雑収入の系統は年によりまする事情というのがかなりございますので、ことしどの程度のものが見込めるか、従来は大体一〇%程度伸びておったと記憶しておりますが、ことしはたして同じような要素があるかどうかという点につきましては、いまここに担当者がおりませんので答えを留保さしていただきたいと思います。

平林剛日本社会党

○平林小委員 ただ最近、たとえば雑収入の中におきます罰金の問題ですね。これなどは私神奈川県におりますけれども、なかなかきびしいものですよ、鋭意努力しておりますから。私は、従来ありました一〇%程度のものは当然確保できるし、かなり税外収入の中からもプラス面を見込むことができると見ておるわけであります。そういう幾つかの観点から見ると、いま大蔵省のほうからお話しになりました八月末現在の予測としては、あくまで予測ですけれども、おおよそ自然増収二千億円前後というのは少し低目になっておるのではないだろうかと思うのですけれども、正直な話どうなんですか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 私ども役人でございますから、若干保守的になりあるいは慎重にものを考えるということは事実かと思いますが、三十三年のときあるいは四十年を振り返りますと、景気が後退ぎみになりましたときに、法人税収の見込み額よりぐっと収入が減ってきますことは、ちょうど海べで潮が引いていくような感じで、ここまであったというものがはるかに後退しておると、いうことで、これはなかなかわれわれの——先ほど来徴税の強化とかいろいろなお話が出ましたが、そういう問題でなくて、やはりとうとうとした経済の流れというものにはいかにしても抗し切れないということを痛感しておりますので、この九月期あるいはそれ以後におきます経済の調整段階の実際の姿がどうなるか見きわめのつかない現段階において、これ以上の税収が出るだろうということは、われわれとしては申し上げるほどの自信は持っておりません。

平林剛日本社会党

○平林小委員 いや、そこで、自信はないと言うけれども、ぼくに言わせると、四十二年の税収の自然増収見込みは七千三百五十三億円を見込んで、しかもいまあなたのお話でも二千億円になると約一兆円に近いわけです。予算額を三兆八千億円に組んでおいてなおかつ一兆円の自然増収ということは、当初におきまして、経済情勢の分析その他において大蔵省は引き締め過ぎているから、見通しについてかなり責任を負わなければならぬ点があるのではないか。私はやたら責めるわけではありませんけれども、結果としてはそう出ているわけです。いまお話しの、ことしは景気としてはどうかといえば、むしろ過熱の議論がされて、公債を減額するというようなところまでいっておるわけでございますから、いわば景気の情勢から見ると、三十五年、六年、七年あたりよりはむしろ警戒をすべき段階に来ておる、私はそう思うのです。それは逆にいえば、税の自然増収についても、いま政府が見積もっているよりもかなり上回ったものに出てくる傾向線にあるといえると私は思うのです。試みに昭和三十五年を見ますと、補正で千八百七十九億円組んだほかに剰余金が九百三十七億円出ています。三十六年は千五百四十六億円の補正を組んだほかに千九百八十一億円も剰余が出ておる。三十七年になりますと、補正を千三百六十三億円組んで、なおかつ百七十五億円の剰余が出ている。三十八年は二千六十八億円の補正を組んで、なお百八十一億円の剰余が出ている。ここから不況のほうに入っていくわけですから、このときは別問題といたしまして、四十一年は少し持ち直しまして、補正千四百六十億円に対し剰余金が六百二十一億円出ておる。ことしの補正はどのくらいに組むかわかりませんけれども、伝えられておるところによると、三千億円に近い大台、大きな予算が必要でないかというふうに議論をされておりますけれども、しかし予備費も相当あるのですから、いまの状況から見ると、これはもう大蔵省が見込んでおる二千億円前後よりかなり大きい——まあ、私、あなたのほうより責任はないからはっきり言いますけれども、三千億円前後の自然増収というのは見込んでいいのじゃないかと思うのですけれども、どうなんですか。従来、あなた方のやつがあまりにも控え目、控え目にやって、結果的にはこういうふうになっておることから見ると、慎重にするというのはいいけれども、いつも結果的に間違っていることを繰り返すというのは、やはり大蔵省の権威にかかわる問題です。私は三千億円は見込めるのじゃないか、そういう推定で政策を組んでいいのじゃないかという段階がいまだと思うのです。これは大臣かもしれないけれども、事務当局としてはどう思いますか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 事務当局としてのお答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたように、二千億という数字も、ただ八月末までの収入歩合を単純に年間に引き延ばしたときの議論でございまして、それ自身根拠のあるという意味でなくて、ただそういう説明ができるという程度の数字であるわけです。したがいまして、われわれとしてある程度自信を持って自然増収のことをお話しできますのは、この九月法人が、十一月の前、十月末から十一月にかけまして、大体決算の計数を取りまとめます。それを、われわれの職員を動員いたしまして実際に確認いたしまして、そこで大法人といわれます三、九月決算の九月決算部分を調査いたしますと、おおよそ一まああとそれ以後の法人税等もございますし、源泉とかあるいは年末のボーナスといったような未確定な要素はございますが、そこで企業の決算態度あるいはその以後の、つまり九月以後の二カ月くらい、それぞれの企業も経過いたしておりますので、そういうところの将来の見通しというようなものも把握できまして、そこで初めてある程度自信のあるといいますか、根拠のある見通しができるわけでございます。われわれも、すでに国債が出ておりますし、いろいろ歳出の要望も大きいわけでございますから、ただいたずらに自然増収を過小に見積もろうというような意図は毛頭持っておりません。ただ、不確かなものは何としても自信を持ってお答えできない、かようなわけでございます。

平林剛日本社会党

○平林小委員 十月二十日前後にはどうしてもあなたのほうはこれより一歩進んだ推定を出さないことには、政府は政策を進められないですよ。そういう場合に、私は、ある程度それはリスクはあるかもしれぬけれども、政策を遂行するためにはどうしてもつかまなければならぬものがあるわけですね。各企業の状況は、もうきょう十日過ぎたんですけれども、あと十日間くらいで大体まとまるのですか。まとまるそのときは大体どんなような状況で判断するのですか。そこをひとつ聞かしておいてもらいたい。  いずれにしても、もうあと十日前後にあなたのほうできめなければならぬですよ。ここは大事なところなんだ。そのときにどの程度、だというのは、ある程度大臣には言うでしょうけれども、国会に対しても言っておいてもらいたいものだな。われわれもいろいろなことをきめなければならぬわけだ。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 大臣に対しましても、いま平林委員に申し上げたことを申し上げておるわけで、むしろ大臣のほうがこれ以上の増収を見込むということについては現状ではなかなか問題があるのじゃないかというような感触でおられます。したがいまして、おっしゃる政策決定にあたりましては、他の歳入とかあるいは他の歳出項目等を総合勘案して御決定を願うことになるのじゃないか、かように思います。

平林剛日本社会党

○平林小委員 大臣がこの程度とこう言うけれども、いま言った源泉分の問題、それから額は小さいでしょうけれども、印紙収入の問題、大体だれが見たって理屈ですからね。それから年末の消費の増大ということを考え、同時に税外収入についても頭に入れて政策を組むべきだ。それを政治的に過小に見積もってやることはかえって国民に対して誠実ならざる態度であるということだけは、私申し上げておきたいと思うのです。  国税庁長官にちょっと最後に聞きます。大体決算の態度を、最近の状況を見て何かお感じになることないですか。この九月決算の状況をどういうふうに国税庁長官は長官として見ておるかというようなこと、何か御感想があったら聞かしてもらいたい。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 九月決算につきましては、いま各新聞あるいは経済雑誌がいろいろ予測を出しております。必ずしも全部が一致した傾向でありませんけれども、おおむね一致いたしておりますのは、この三月決算が相当大幅に伸びたのに比べて、九月決算は伸びることは伸びるけれども、その伸び率が鈍化するだろう。つまり三月決算では一〇%以上の伸びだったのが、九月決算は一〇%を下回るというのがおおむね一致した見方のように思われます。私どもとしましては、九月が済みましたので、各社の決算態度がどうなるか、——御承知のように法人税の場合には上場のおもな会社の傾向を見ますれば大体予測がつきますので、これから各大会社について九月決算がどういうふうになりますか、その模様を聞きまして、それから収入の予測を立てていく、こういうことになると思います。

平林剛日本社会党

○平林小委員 決算態度についてはいまお話しのとおりだが、どうもこの三月決算に比べて今度の決算が鈍化する中には、この際償却を多くしてしまえとかあるいは準備金、引き当て金とかいうのを税法の限度額一ぱい見ろとか、不良資産をこの際落とせとかいって、ふだんよりもかなりそうした面に意を注ぐ。税法上はいけないとは言えないですよ。しかし、行き過ぎがないように、その点は国税庁長官としても十分配慮してもらいたいと思うのです。私はことしのいろいろな政策を行なうにあたりまして、この間のキッコーマン醤油のような態度は、企業というものの考え方と今日の国内の経済情勢というものから見たら、企業が非常に行き過ぎている。それは、自由主義経済のもとでは、政府にはそれをチェックできないでしょう。チェックしようと思っても、なかなか言うことを聞かないという場合もあるでしょうけれども、ある程度の行政指導をしないと、物価の問題にもはね返ってくるわけです。この場合には、私は、逆に、国民全般の経済のあり方を各企業同士がお互いにバランスのとれた形でやはり協力をするという態度が望ましいのであって、いまもうとにかく法律があるからおれのほうは何でもだというやり方で例年より不当なやり方をとるということもいかがかと思うので、そういう点は、私は特に国税庁においても、別に徴税を強化せよと、こういう意味ではないですよ、ないですけれども、やはりバランスのとれたやり方をとらせるというようなことも御配慮を願いたいということを申し上げておきまして、大体割り当ての時間が終わりましたから終わります。

足立篤郎自由民主党

○足立小委員長 永末英一君。

永末英一民主社会党

○永末小委員 私は酒造用米のことを伺いたいのですが、本年度の酒造用米の値上げが決定いたしましたが、その経過をちょっと簡単に報告願いたいと思います。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 酒造用米につきましては、御案内のとおり、米の生産者価格一−三等の平均の政府買い上げ価格というのがございます。それを基礎にいたしまして、毎年コスト主義ということで、その買い上げ価格を基礎にして、まあ酒造用米でありますために、包装にいい包装を使う、反面、酒造用米として売り渡す関係で倉庫にある期間が少ない、したがって食糧証券の金利が少ないといったような事情を考慮して、コスト主義で決定をされ、本年におきましては百五十キログラムあたり千六百六十円引き上げる、したがって上昇率が八・六%ということで価格がきまっておるわけでございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 コスト主義と言いますが、生産者米価を上げる、米審にかけておる、消費者米価を上げる、米審にかけておる。酒造用米についてはそういうものはないですね。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 さようでございます。そういうものはございません。ただ生産者米価がきまりますので、その後のコストだけが問題になるわけでございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 そうしますと、まあ酒造家にとっては原料が上がるというのは重大な問題だ、しかしそれは一方的で、酒造家の知らぬところできまる、そういう手続ですね。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 いまは酒造用米も食管におきまして生産者から買い入れまして、それを酒造用米として売り渡すということになっておりますので、この売り渡す価格は食糧庁長官の告示できまる。したがって、普通の商品でございますと、生産者と購入者との間でバーゲンが行なわれるのでしょうが、酒造用米についてはそういう余地はないということでございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 酒造業界に対する第一の行政官庁は国税庁ですわね。しかし米については、これは食糧庁長官が食管会計を持っていますからね、いろいろ考えている。その場合、あなたのほうと、現在の行政手続上、協議とかなんとかあるのですか。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 私どもといたしましては、酒造行政と申しますか、酒税行政をやっております関係上、できるだけ安い原料を使っていい酒造をつくってもらいたいという希望を持っていますので、食糧庁に対しましては、できるだけ合理的な範囲で酒造用米の価格をきめてもらいたいという要望を持っておりまして、常に毎年、食糧庁長官に、そういう意味でその年の酒造用米の価格についてお願いをいたしております。別段協議というまでは至っておりません。

永末英一民主社会党

○永末小委員 その場合、現在の農林省と大蔵省との行政を動かしていく手続上、全然あなたのほうは発言権はないということですね、ぴしゃっと言えば。どうなっておるのですか。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 お願いをいたしておりますので、そういう意味での発言権がないというわけではございません。私どももコストの計算について合理的でない面がもしあれば、その点は是正してもらいたいということから、お願いをして合理的に是正していただいた面も少なからずあるわけでございまして、そういう意味では決して発言権がないとは思っておりません。なお、食糧庁の方がおられますから……。

永末英一民主社会党

○永末小委員 私の伺いたいのは、酒造米が上がればコストが上がってくるわけです。その上がったあとのめんどうをあなたのほうが見るわけだ、見ざるを得ない。それがすぐに酒の値段に響くのか響かないのか。ところが、いまのあなたのお話ではお願い、こう言われたのですが、お願いも山ほどありまして、聞いてくれることもあればくれないこともある。ただ問題は、あなたのほうも食糧庁も行政機関ですね。それは一体お願いといっておるけれども、単なるお願いなのか、あるいはまた農林省であれ大蔵省であれ、全部として政府は一つの行政機関ですから、それから波及するところの万般のことを考えておるのなら、行政機関同士の行為が、たとえば国民の国会に対する陳情のごときお願いであるのか、それともそのお願いは何らか毎年やはり考慮しなくちゃならぬファクターになっておるのか、この辺が知りたいわけですが、その点についてもう一ぺんお答え願いたい。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 私どもとしましては、毎年合理的なお願いをしておって、食糧庁のほうにおかれましても、その合理的なものは検討して是正していただいておる、こう思っております。世の中にいろいろ陳情その他ございますが、合理的なものはやはり通るというのが、普通だと思っております。そういう意味で、私どもが行政機関同士としてお互いで話し合って、合理的な価格の決定の方向に進んでいく、こういう方向で今日までお互いに努力してまいっておるわけでございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 合理的なものは現実的である、ヘーゲルみたいな信念をお持ちでございますが、それではちょっと方向を変えまして、食糧庁来ておられるようですから伺いますが、食糧庁で酒造米の決定をする場合に、それから起こるべき酒造業界のことというのはどの程度具体的に勘案されるのですか。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 私のほうで酒造米の価格を決定いたします場合におきまして、過去からずっと基本的な考え方の基調といたしましては、先ほど国税庁長官からもお答えございましたように、やはり食管の操作の中におきましては、主食用の操作とそれから原材料用の操作と二つあるわけでございます。もともとこれは政府に農家から生産した米を全面的に買い上げて、主食操作とそれから原材料操作をやっておるわけでございます。その場合に食管制度、御承知だと思いますけれども、相当需給関係が窮屈な時代等におきましては、やはり主食操作というものが優先をされまして、原材料の用途向けの売却操作は、どちらかというと第二義的に考えられておった、こういうことが実はあるわけでございます。その際におきまして、主食用の価格等については、これは政府は、国民一般に対し消費者に対し、配給責任を感じておることでございますので、ある場合におきましては財政負担もやむを得ないというような事実が出てきておるわけでございます。そういう場合におきまして、原材料用のどちらかと申しますと第二義的なものにつきましては、コストを中心として売却価格を決定していくということが、過去においてずっととられてきたようなわけでございます。その場合におきましても、やはり財政負担をある程度原材料の価格等によってまかなう。これはコスト・プラス・アルファというような時代も実はあったわけでございますが、三十五、六年ごろを契機といたしまして、食管の扱う米の需給の基調もだいぶ緩和してきておるわけでございます。かたがた酒の需要の増加傾向によりまして、どちらかと申しますと原材料のワクは引き締めぎみというたてまえをとってきたわけでございますけれども、三十五、六年ごろを契機として、相当需給の基調がゆるんでまいったわけでございますので、三十五、六年ごろからの酒米の価格のきめ方の基調の中には、やはり従来どおりコストを基調とする考え方に立脚しつつも、酒米に即した形のコストというものを考えるべきではなかろうか、こういうことが、その当時の大蔵委員会等におきましても御議論をいただいたわけでございますし、また国税庁のほうからもいろいろそういうお話をいただいたわけでございます。  そこで、現在とっておりますのは、そういう需給の基調の緩和した状態におきまして、極力酒米につきましてはその酒米に即した管理の経費というもの、平均的な食管の経費ということではございませんで、酒米に即したコストというものを考えて今日きておるわけでございます。今回の酒米の決定した経過におきましても、この考え方のもとに、特に今年度におきましては、私どもといたしまして、酒米の中にももと米とそれから掛け米という二つの種類のものがございますが、もと米につきましては、これは酒の仕込み前の実際もとになる米でございます。また掛け米のほうは、そのできたそれからあとのほうででき上がってくるというようなことでございますから、おのおのそのもと米、掛け米についてのいろいろコストの上におきましても違った面が見られるわけでございますので、その辺も分析いたしまして、今回におきましては酒米の価格を決定した、こういうことでございます。その際におきまして、先ほどといろいろ重複いたしますけれども、国税庁とは例年いろいろ御相談をいたしておるわけでございます。しかしながら、価格決定の考え方の基本はやはりコストという考え方においては、農林省はもちろんその考え方でおりますけれども、国税庁の側におきましてもその考え方については御理解をいただいておる、こういう現状であります。

永末英一民主社会党

○永末小委員 そのコストというのは米を生産するコストですな。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 いや、これは米を生産するコストと申しますのは、政府が買いました生産者米価、政府の買い入れ価格、これがまず食管の仕入れ価格になっているわけでございますから、これに政府経費、政府が管理をいたしておりますので、事務、人件費あるいは金利、保管料、運賃、こういうようなものがやはり政府の管理する以上、政府経費として項目として載ってくるわけでございます。私が申し上げておりますのは、基本的には生産者米価プラス政府経費ということでコストを貫いてきておるというのがコスト主義であるわけであります。その政府経費につきまして、従来三十五、六年ごろ以降、この費目については食管が管理しております一般的なコストの価格ということから離れまして、やはり酒米自体、特別に需要が一時に集中するとかあるいは時期的にも非常に保管期間が短いとか、こういうことがございますので、そういう意味で政府経費についてその酒米の売却操作に即した形のいわゆるコストを検討して今日まできているということでございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 その場合、あなたのところは、酒米の価格を上げますと酒造業界、酒造家のコストは上がるわけですが、そっちのほうはめんどう見ないわけですね。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 食糧庁の立場といたしましては、いま言った原材料用の価格につきましてはそういう考え方で今日まで踏襲してきているわけでございますので、それによっていろいろ値上がりの幅あるいはそういうことによってそれをどういうぐあいに国税庁のほうで業界を指導していただくか、あるいは税制の問題とかいろいろ関係していると思いますけれども、その点は極力コストをできるだけ合理的なものにしていく努力が食糧庁のいまの目標としてあるわけでございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 どっちも合理的というが、なかなか内容がいろいろあると思います。  それからもう一つ伺いたいのは、酒米というのは、主食操作、原材料操作ですか、そのどっちに入っておりますか。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 酒米は原材料用として操作しております。

永末英一民主社会党

○永末小委員 原材料用としてあなたのほうで考えておられるのに、酒米のほかにどんな米がありますか。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 酒米のほかに、おもなものと申しますと、米菓、あられとかせんべいとか、こういうものに向けられる米があるわけです。これは主としてもち米が多いわけでございます。それから、一部みそとかそういうものに回りますけれども、大部分は酒米でございまして、その他先ほど申し上げましたあられとかお菓子用とかいう面に向いているということでございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 そうしますと、その酒米以外の原材料操作にかかっている米の値段は、酒米と同じですか。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 はい、これは原材料用ということでつくっておるわけであります。

永末英一民主社会党

○永末小委員 酒米がきわめて高いですな。なぜですかそれは。酒米の価格と、同じような原材料操作の対象になっているもち、あられ、みそ等と比べた場合、酒米の価格はきわめて高いですね。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 いや、それは同じ考え方に立っておるわけでございます。ということは、生産者価格に政府経費を加えるというのがコストの考え方になっておるわけでございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 値段を言うてください。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 申し上げますが、酒米の価格につきましては、現在硬質米一等百五十キロ当たり包装込みの価格が二万九百十一円ということになっているわけでございます。これは硬質米一等でございますが、酒米は大体硬質米一等ということで出しておるわけでございます。  それから、等級間の問題をあれいたしますと、内地のもち——これはもちはうるちと違いますけれども、内地のもちにつきましては、ちょっとこれは比較する意味で申し上げますと、トン当たりということで申し上げたほうがあるいはいいかと思いますが……。

永末英一民主社会党

○永末小委員 同じ単位で言うてください、わからぬから。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 それでは同じ単位で申し上げますと、酒米の一等ということで、これはひとつ六十キロで申し上げてみたいと思います。その場合に、地域によって多少違ってまいりますけれども、北海道東北、北陸と、それからその他の府県ということになりますが、一等について八千三百二十四円ということになっておるわけでございます。それから酒米とその他の菓子用、これはみな同じでございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 同じ扱いをしているのですね。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 同じ扱いをしております。  それから、もちのほうを申し上げますと……。

永末英一民主社会党

○永末小委員 同じなら同じでいいです、それだけ聞いたらいいです。  それではひとつ国税庁長官、食糧庁のほうはとにかく合理的といったって売り放すだけのところに重点を置かれている。いよいよ酒米が上がった。そうすると、国税庁は来年どうするのですか。いよいよこの米を使って酒が出てくる。その小売価格——卸売り価格もですが、来年度の価格は、上げてほしいと言ってきたら上げてやるのですか。上げてやるというか、そういう権限はないという話だったけれども、どうするのですか。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 御承知のように、酒の値段は現在自由価格になっておりまして、国税庁は酒類行政は行なっておりますけれども、ある程度行政指導はできましても、その酒の値段をどうせいこうせいということを、ことこまかくやるということはできないわけでございます。今度の値上げによりまして、私どもがきわめて大ざっぱに試算をいたしてみますと、二級酒の一・八リットル当たりの原料米の値段が八・六%上がったわけでございますので、これを計算いたしますと、一・八リットル当たり約六円四十三銭くらいのコストアップになるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、今回内地米はそのように値上がりいたしましたけれども、シヤオチャン米あるいは台湾米につきましてはある程度値下げをしていただきました。これはコスト主義のたてまえからそうなっておるのです。それから加州米につきましては若干値上げされたのでありますが、その値上げ幅が非常に少なくなっておる、こういったようなことで、こうした準内地米を清酒用として相当量使いますならば、いまの六円四十三銭というコストアップの額は若干減っていこうという見通しがあるわけであります。そういう観点からいたしますと、これは酒造業界としては、コストが上がったんだから値を上げるのはあたりまえじゃないかというような御意見もあろうかと思いますが、いますぐ上げなければならぬほどの必要があるかどうか。それからまた酒造メーカーとして、本年度は相当増産になりますので、操業度が上昇しますとコスト減になる要素もございます。それからまた、取引過程におきまして、いまいろいろリベートが多いということで、リベートを自粛するようなことを申しておりますが、そうした合理化が行なわれるということになりますと、またコストも減ってくる。そういったすべての点を総合勘案しなければ、どういうふうになるかまだ見通しが立たないのであります。とりあえずといたしまして、私どもは準内地米を相当量使用してコストダウンに努力しなさい、それから操業度が上昇するんだから、それによるコストダウンに努力しなさい、それからまたリベートなんかで、あまり多いリベートは自粛しなさい、こういうことを申し上げておるのであります。現段階で、酒の値段が来年どうなるということは、まだちょっと申し上げかねる状態でございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 そうしますと、酒造米が上がった、だから酒造米の値が上がるのに比較してそうでない準内地米を去年より多く使えというのがあなたのほうの行政方針らしい。準内地米を割り当てるのは、これは食糧庁ですな。どっちですか。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 準内地米を要望に応じまして売却してまいりますのは食糧庁ということになっておるわけでございます。したがいまして、いまのこの価格体系、内地米の価格、それから準内地米の価格体系に応じまして、酒造業者もここ三、四年来、準内地米の使用にある程度なれてきておるという面もございますし、また現在の価格体系について酒造業者がどういうものを選考するかというようなことを考えますと、この準内地米の要望が出てまいりますれば、私のほうはそれに応ずるいまのような物量的な面での裏打ちは十分やってまいりたい、こういうことでございます。

永末英一民主社会党

○永末小委員 いま裏打ちは十分と言われましたが、内地米の場合は、それぞれ長い取引慣行があって、どこの米をだれが買うということでいろいろやっておるのですね。準内地米については、その品質についていろいろ注文があるわけです。日本の酒を日本以外の米でやっておるということは、業者としてあまり宣伝したくないんだ。それで裏打ちされるというからには、その準内地米のたとえば契約栽培というようなことについて食糧庁は努力される御用意はございますか。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 結論から申し上げますと、国際的な舞台においての米の契約栽培ということは、これは食糧庁としては現在はとる考えは持っておりませんが、今度酒造組合中央会、酒屋さんの団体のほうにおきまして、かつて一度使って、その後ストップしておりますアメリカの加州米等につきましては、いま何か酒造組合中央会で至急に調査に行くという話も聞いております。したがって、海外におきますそういうものについて酒屋さんとして納得がいくようなものが見出されて、またそれに応じて、それについての輸入要請がございますれば、私のほうはそういうものは極力輸入できる範囲においてこれを輸入してまいりたいという態度で臨んでまいりたい。したがって、国際的な舞台を中心として業界の契約栽培的なことは食糧庁としては考えておりません。

永末英一民主社会党

○永末小委員 本年度の生産総量決定があるわけでありますけれども、この生産総量の決定は食糧庁でやるのですか。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 これは、酒屋さんの要望を取りまとめられるのが国税庁でありますので、国税庁のほうから数量について毎年御要望が実はあるわけでございます。それを十分私のほうはお聞きしまして、極力その線に沿うように最近は努力をいたしておるわけであります。

永末英一民主社会党

○永末小委員 国税庁長官、このごろおけ売り価格が上がっておりますね。これはお認めだと思います。そのおけ売り価格が上がっておる一つの原因として、生産総量を決定する場合に、一体古酒をどれくらい繰り越すかということについて、あなたのほうの政策はだんだん少しずつ変わっておるのじゃないかと思われる。だいぶ前にあなたに質問申し上げたのですが、大体数年前は三月の中旬以降ぐらいのところを見越して、いわゆるみなし繰り越しを考えておられたが、ことしはもう二月の半分ぐらいでパーパーだ、こういう計算でやっておられる。したがって、端境期に処するために、やはりおけ買いをしなければならぬということがおけ売り価格を上げておると思われますが、あなたはどう思われますか。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 お話しのように、現在清酒のおけ売り価格はかなり上がっております。これは御承知のとおり、ことしの三月から四月にかけまして清酒の値上げが行なわれました。その仮需要の関係で相当多量の清酒が値上げの直前から、値上げがだらだら行なわれましたから、その値上げ期間にかかって、つまり一月ないし三月までに相当多量の出荷が行なわれました。そこで中には、現在の自分の蔵にある酒では需要に応じ切れないということから、相当おけを買うということになりまして、そういったことから値が上がってきておるという面が強いわけであります。もちろん、そういった事情で本年の——全体としては清酒の生産がそうふえておらないのは、今年こんなに景気がよくなって清酒の需要がふえるだろうということをあまり予測できなくなっておりました。現在は戦前に比べましても清酒の生産量が最も多い時期になっておるわけであります。しかし、最近の若年層は清酒よりもビールとかウイスキーといったようなものを好む傾向がありまして、一体清酒が今後どの程度伸びるかということ、これはなかなか予測がつきませんので、前年からあまり多量にふやすということはしない、若干ずつしかふえないという程度で生産を組んでおったわけであります。本年、値上げの関係で異常な出荷が行なわれたためにおけ価格が騰貴しておるのは非常に困ったことであります。そこで、いまできるだけ早づくりをしまして、おけ価格が値下がりするような方向へ持っていきたいということで、業者のうち希望するものに早くつくらせております。一般的に申し上げますと、われわれとしては従来は二月末のいわゆるみなし持ち越しの数量について、初めは二十万石ぐらいある、というのは、つまり新古酒の切りかわりが三月中旬に行なわれるというぐらいの見通しでいろいろ計画を立てておったわけであります。近年だんだん酒造時期が繰り上がってまいりまして、二月末にやはり二十万石でなくてゼロでもいいではないかというような議論もありまして、先ほど申し上げました清酒全体の消費量の伸びをなかなか的確に見通せないといったような事情もありまして、やや保守的に数量をきめておったという点があろうかと思います。しかし、本年の異常な需要増がありましたので、来年の生産につきましては、二月末持ち越しについてもかなりの配慮をいたしまして、おけ価格が異常に騰貴することがないような方向で生産量をきめていかなければならない、こう思っております。

永末英一民主社会党

○永末小委員 時間がありませんので、最後に一言だけ。つまり、私の見るところでは、おけ売り価格が高騰するのは、あなたが言われたように、単にことし値上がりがあったからだけではなくて、やはり現在の酒造家の数、そうしてその生産規模、それからその中で行なわれているシェアの変化、そういうものがかなりおけ売り価格の高騰をもたらしておる。しかし、それは基本的には生産総量というものが——そもそも新しい制度が七・八年前につくられたときに、酒屋さんに自由競争をやらせよう、こういうたてまえでつくられたとするならば、やはり生産総量に少し幅がなければ自由競争なんかあり得るものではない。確かにおけ売り価格が高騰してくるというようなことはおかしな話だと思うのです。その意味合いではこの生産総量決定については、なるほど他酒との競合ももちろんございます。しかし、それに少し幅を持たしてやらなければ、奇妙な社会保障じみたことだけが酒類行政の主たるものになりやせぬか。その辺で、生産総量の決定についてはあなたと食糧庁とで、どの程度権限等についてあなたの言い分があるんですか。そこだけで終わります。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 生産総量につきましては国税庁で決定いたしまして、それに所要の米を食糧庁に払い下げ方をお願いしております。大体その要望はいれられております。

永末英一民主社会党

○永末小委員 いずれまた伺います。終わります。

足立篤郎自由民主党

○足立小委員長 この問題について食糧庁にちょっと確かめておきたいのですが、いまあなたの御説明で思い出しましたが、昭和三十五年から六年にかけて、私ちょうど大蔵委員長をやっておりまして、大蔵委員会が主導的な立場で、いまおっしゃったコスト主義に割り切った思い出がございます。  ちょっと伺っておきたいのは、あのときいまあなたから御説明があったような、たとえば酒米については輸送距離を短縮するような合理化をはかる、それから、したがって金利、倉敷料も保管期間が短くなるのでコスト主義で割り切ろうということでやった思い出がありますが、現在人件費はどういうふうになっておるか。たとえば等級をきめるための食糧事務所の検査官等の直接的な人件費、食糧庁の役人の月給等の間接的な人件費があるわけですけれども、その間接的な人件費のほうは酒米についてはどうなっておりますか。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 事務人件費は、政府が扱います米のそれぞれの用途ごとに分析することは非常にむずかしいということで、今日までのところ、事務人件費については一般の事務人件費、それを適用して今日まできております。

足立篤郎自由民主党

○足立小委員長 これはここで議論する気はないが、物価抑制の国家的な要請もありますし、やはり間接的な人件費というのは国の行政費として見るべきじゃないか。酒米についてもその他の原料米についても言えると思うのですが、それを消費する国民の立場からいえば、国家的な要請があって統制を続けているとはいいながら、需給もこれほど緩和した時代において、やはり国民全体の食糧をコントロールする意味から、国が行政的に——政策的には終えているんですが、これを酒米にまでふっかけられて酒米が上がるということについては、やはり国民としては言い分があるように思いますね。私の言い方がちょっと的確ではないかもしれませんが、この点は今後国税庁のほうも、それから食糧庁のほうも御研究いただく問題ではないか。ましてやいま食糧事情が緩和して間接統制に移したらどうかという御議論もだいぶ出ている際でございますから、この点はお考え願いたいと思って確認をする意味で一言申し上げたのです。

平林剛日本社会党

○平林小委員 関連して。ちょっと食糧庁次長にお尋ねしますけれども、ことし政府の買い入れ米はどのくらいになったのでしょうか。私の聞いているのでは八百万トンとも聞いているのですが、大体どのくらいになったのかということが一つ。  もう一つは、政府のほうで次の補正を組むときに、そういう意味から豊作になったために食管会計の赤字増補てんとして千二百億円程度考えているという話を聞いているわけですけれども、その千二百億円程度の中で、いま小委員長からお話があった人件費、保管、輸送経費などはどのくらいになるのですか。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 後段のほうはここでちょっとお答えできかねますけれども、まず前段の、ことしの米でなくて昨年産の米の場合、現在では大体最終的に買っておりますのが八百十万トン近くまでいっております。これが前段に対するお答えでございます。  それから補正の問題、ことしの国会で補正を出さなければならないという補正要因の大きなものといたしましては、先般生産者米価が百五十キロ当たり千六百円近く上がったわけでございますので、これが本年度予算から見ますと、生産者米価は前年同様に一応組んでおりますので、その値上がり分が一応補正の大きな要因になってきておるわけでございます。そのほかに、今度はことしの米をどの程度予算以上に買うのであろうかという見通し、ことしは御案内のようにかなり大豊作が予想されて、したがいましてことしの米がどの程度になるかによって補正の規模がそれにプラスどう変わってくるかということが二つの大きな要因であるわけでございます。現在食管で、政府経費の中で一応事務人件費というものは、四十二年度予算では米につきましては二百三十三億というようなものが事務人件費として組まれているわけでありますが、先ほど運賃その他の分析の問題は、いま推定される千二百億、私のほうもこの点の規模についてはまだまだ見当がつきかねている状況でございますので、お答えを差し控えさせていただいた次第でございます。

足立篤郎自由民主党

○足立小委員長 田中昭二君。

田中昭二公明党

○田中(昭)小委員 まず大蔵省のほうに、いまの税収の伸びの問題でございますが、四十一年度の分につきましても、だいぶ税収の伸びがいいために当然増が相当出るのではないかというようなことを再三お尋ねしましたが、大蔵省といたしましては二千億以下になるのだ、千六百四十億という数字が出ておりましたが、結局歳入決算面につきましては二千億以上の当然増が出てきたということで、先ほど平林先輩のお話を聞いておりまして、少ししろうとにも、私たちのような幼稚な者にもわかるように——現段階において、四十三年度の予算も各省から予算要求が出ておりますし、それと国債をどう見るかによって税収の負担割合が出てくるわけですけれども、八月末でそのような税収の伸びを見ておりますと、昨年四十一年度の分を御参考に申し上げますと、三兆四千億以上の税収は当然出ると言いながら、特に細見さんはそれを下回るというようなことで、そのときも明らかに当然増の見通しがつくわけですね。先ほど細見さんのお話で、二千億前後だ。かりに前年の収納割合からいっても二千四百億近く増収がある。そうしますと、四十三年度の財政要求が五兆七千億とかいわれておりますが、大蔵省は二割五分の増しで、それが一四・何%かの要求で、ほんとうに各省とも節約してもらってありがとうございました、そういうような大蔵省の発表もありますが、そうなってくると、いまの細見さんの税収の増加に対する見通しがつかないというよりも、私たちが見ましても、一応先ほど平林さんのおっしゃった数字以上に私は見ております。ですから、そういう面からひとつ簡単に税収の増収部分はどのような変化を来たすか、お聞きしておきたいと思うのですが、どうでしょうか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 ことしの見込みにつきましては、すでに数カ月年度を経過しておるわけですが、先ほども申し上げましたように、この九月決算におきまする法人税収の帰趨というのが、大きく自然増収の要因に影響してくるだろうと思います。と申しますのは、ほかの源泉所得税とかあるいはそのほかのものにつきましては、大体税収のテンポというものはそう大きな変化というものは来たさないわけでございますが、御承知のように、日本の全体の税収の中におきまして法人税収は約三分の一程度のものを占めておって、それが景気、不景気というものを非常に敏感に反映する。まして先ほど平林委員からお話がございましたように、価格変動準備金でありますとか、あるいは不良資産の償却でありますとか、あるいはそのほか企業の決算態度によってかなり税収が動くという要因がございまして、法人税収そのものが日本経済の一番先端的な変動要因である。その上に、企業の決算態度によってさらにそれを倍加させることができるというようなことで、法人税の確たる見通しはなかなかむずかしいとしましても、ある程度の見通しがつかない限り、ことしの税収が幾らあるだろうということを申し上げることは非常にむずかしい。来年のことにつきましてはさらに実は困難でございまして、来年の経済全体がこの引き締め政策によりまして、どういうふうな影響を受けて、どういう経済の推移をたどっていくか、あるいは全体としてのGNPの伸びはどの程度になるかというようなことにつきまして、いま少し確たる見通しがついてまいりません現段階で、ことしの税収もさることながら、来年度の税収を見通すというのは、実は非常にむずかしいことで、もちろんいろいろ試算的な数字ということはできないわけではございませんが、そういうものはあくまでも試算の域を出ないのでありまして、主税局あるいは大蔵省としてこれくらいの税収があるでしょうということを外に向かって申し上げるというのには、少なくともこの九月決算の状況というものを見ない限りむずかしい、かように申し上げざるを得ないのであります。

田中昭二公明党

○田中(昭)小委員 そこで、九月決算の税収の見通しが問題でございますが、当然法人税収も上昇しておることだし、先ほど大蔵大臣には言うのじゃないかというような問題があったわけですが、私はあなた個人の税収の見通しというのはお立てになっておるのじゃないか、こう思うわけです。かりに自然増収に対しては一兆円といっておりますけれども、明らかに一兆円をこすことは私たちしろうとが試算してみてもそのようになりますし、それを私は、前年四十一年度の結果からそう言っているわけです。それが間違いだからここでどうということを——それは官庁の一役人の一人、一人に責任を問うようなシステムになっておりませんから、そういうことを言っておるわけじゃないです。まあこの大蔵委員会税制小委員会で、あなたの個人的な税収の決算額の見込みというようなことでもお聞きできないだろうか、こう私は思うわけですが、どうでしょうか。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 私どもは実は個人として税収を見込むということはいたしておりませんので、役所として申し上げなければならない。補正予算を編成するとか、あるいはまた来年度予算の編成というようなときには、役所の全スタッフをあげまして計算いたすわけであります。現在におきまして私個人がどう思っておるかということでございますが、いま申し上げたように、収入歩合だけから私たちが推算いたしますれば、約二千億くらいの数字が出る。これを上回ることもあるいは下回ることもあり得ると思いますが、それはやはり九月決算の状況等を見ませんと、三、九月決算が全体の法人税収の中で六割近くを占めております現状におきまして、その動きというものが百億オーダーで税収を動かすというわけで、それを見きわめない現段階で確たることを申し上げることはおそらく不可能であり、困難なことだと思います。

田中昭二公明党

○田中(昭)小委員 なかなか堅実なあれですが、先ほど先輩のほうから税収の一々にわたって説明があったことだし、また四十三年度の予算編成の声もちらほら聞いておりますし、そういう面から当然現段階においては考えることが言えないということもわかりますから、一応この問題はこのままにしまして、時間もありませんから次に移ります。  最近、また税調が開かれましていろい問題になっておりますが、週刊誌にも所得税の減税につきましてのいろいろな行き方、問題が取りざたされておるようです。私はその根本の租税の原則的なものをなしております税金の公平化——公平の原則ということは、私たちも税金に携わっていつも一番初めに習ってきたことだし、それを強調されてきた。その租税の公平化というものに対して、大蔵省なり国税庁はどのように前向きに進めておるか、そこに何か一つの足らない問題がありはしないか、このような面につきましてお尋ねするわけです。  まず、世間でいわれております九・六・四でございます。これは先ほども言いましたように、学問的にも税金は根本的に、原則的に公平でなければならない。また、実際面でもその不公平がいろいろ国民感情を害し、納税意識を低めておる、また実害がある、このように私は思うわけです。二、三日前の週刊誌を読みましても、給与所得者のいろいろな嘆きが載っておりましたし、先ほど長官の話で権衡維持だというような問題も出ておりましたが、私はそれを別な観点からながめれば、九・六・四というふうな問題と関連させていくと、かえって逆にいっているというような実態も感ずるわけです。まずそういうことから九・六・四と世間でいわれております実態に対して、主税局の制度面というか、これが当てはまるかどうか知りませんが、また執行面の国税庁長官として、なぜ農業所得者が四〇%なのか、どういう観点で営業所得者が六〇%なのか、また同じく給与所得者は九〇%なのか、そういう面についての見解並びにそれに対する批判をお伺いしたいと思うのです。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 よく世間で九・六・四ということがいわれるのでありますが、私はしばしばお答え申し上げておりますように、九・六・四というように正確な把握度があるとは思いません。農業所得者はその所得の四割しか把握されてないというようなことは事実でないと思います。ただ農業所得者の場合でございますと、ああいった事業の実態からいたしまして、一々収入、支出を調べ上げるということはなかなかむずかしい。そこで田畑の標準率というものを用いまして、それによって申告をしてきたならば、それを是認するという態度をとっておるわけであります。その標準率につきまして、もし甘いということがあれば、それは正確な所得の把握ができておらないということになるかもしれませんが、しかし標準率につきましても、毎年不平不満が多い状況から見ますと、そんなに甘い標準率になってはいない。ただ、標準率の性格からいたしまして、実際収支を調査した場合に比べると、そこに若干の差はあるにはあるかもしれない。これは農業の性格からいたしましていたし方のないものだ、こう思っております。それから営業の場合でございますと、これも先ほど申し上げましたように、実際は収支の実調を行なわなければその所得の正確な把握はできないわけであります。ところが、納税者の数と税務職員の数からいたしまして、全員の収支実調はとうていできませんし、また納税者のうちでも比較的所得の多い者については収支の実調を相当多く行なえますが、これとても二〇%程度でありまして、所得の少ない者につきましては、それまでも実調ができないというような実情にあります。そこで、実際調査された者はかなり把握が正確に行なわれておると思いますけれども、調査を受けない者がかなりおります。もちろん何年かの間に調査を受けるわけでありますけれども、たまたま調査を受けない年度におきましては、申告のままになっておるとすれば、あるいは実際の所得よりない場合もあるかもわかりません。現に私どもが査察をやってみたり、あるいは特別調査で見ますと、それまで調査しておらなかった者について相当多額の所得の把握漏れが出ております。そういう点から見ますと、調査しておらない者については、あるいは調査をいたしましても、実額調査をしておらない者については、把握漏れがある場合が相当ある。しかし、その割合が六であるとかというようなことは言えないと思うのであります。  ただ、納税者が一般的に感じられると、どうも生活態度なんかから見てサラリーマンは源泉でがっちり把握される。しかしどうも営業者になろと、収入もあるが支出もある。その両面においでなかなか把握かむづかしいだろう。農業者の場合においてはいわんや収入支出の調査ができないので、標準率で課税しているから、どうもそこに把握の差があるのじゃなかろうかといったような一般的印象から九・六・四というようなことがいわれてきているのだと思います。しかし、それじゃそういった実態は全然ないかというと、程度の差はもちろんありましょうけれども、やはりその把握が必ずしも全部行なわれておらないという点はあります。したがって、私どもとしましても、先ほども申し上げましたように、そういう所得の把握漏れをなくするような方向で一生懸命努力しております。また今後も努力していかなければならぬ、こう思っております。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 私どものほうはもちろん税制の根本が公平にあるわけでございますから、いろいろな、たとえば米の供出についての代金の非課税といったような問題につきましても、これは本来は望ましくないということはたびたび申し上げておるわけでございますが、そういう意味におきまして所得の種類ごとに、あるいはまた所得の階層ごとに不公平がない税制あるいは税の執行というものが最も望ましい税制であり、税の執行であるということは、肝に銘じて感じておるわけでございます。

田中昭二公明党

○田中(昭)小委員 そこで、いまの長官のお話なりお聞きしまして、ただことばのやりとりだけでは私は納得できないものがある。農業所得については把握がむずかしいからというようなお話が初めにあったようでございますが、本質的に考えてみた場合に、そのように、営業所得者でも同じですが、その実調が少ない、そのために公平を欠いておっていいかという問題ですね。そうじゃなくて、それはそれとして、現実の面において捕捉がなされていない。それをどのようにやっていけば不公平がなくなっていくかということに対してどのような努力をするか、それがむずかしいからやらないのだ、そのような態度であるならば、これは私は何も進歩しないのじゃないか、このように思うわけなんです。とにかく現段階におきまして公平にいっていないという事実はみんなが認めておる。それをただことばの上で捕捉ができないとかむずかしいからやらない、こういうことでは逆行するのではないか。いま言いましたように、先ほどからの同業者の権衡査案の問題も考えてみ、また実際祖税法定主義の問題からいきましても、これはちょっと話が逆戻りしますが、そういう問題は私はほうっておけない。国税庁並びに大蔵省もこういう問題を進んで前向きの姿勢で解決する方向をとったらどうか、とるべきじゃないか。何とかして国民の税に対する不満といいますか、また事実それとは離れまして、現在の国税庁なり大蔵省でそのようなものがあると認めるならば、それに対して国税庁自体もどのようにそれをやっていくべきかという方針は出して、それに向かって進まなければいけない、こう思うのです。たとえば所得の階層の変転にしましても、源泉所得税は十何倍というような——昭和二十五年、それ以前の戦時中から見れば、この間もお話がありましたが、税務署でいえば課長の上席か署長以下の者は所得税を納めないというような環境ですね。終戦後二十五年から見ましても、給与所得者は所得においては十三倍も上がっておりながら、税金は五倍になっておるようですね。納税者も二倍にふえた。農業所得者は逆に納税人員なんかも九分の一に減っている。所得においても納税者から見た場合半分近い減り方なんだ。また事業者申告所得税を見てみましても、二十五年の七分の一の納税人員になっている。所得は五倍になっておる。こういうようなことをずっと見れば、これはだれが見てみてもそういうところに税収と税法というものの実際面に不公平を来たしているのではないか。そういうこともいろいろ考えられます。  またもう一つ、先ほどの税の執行面におきましていろいろな問題がありますが、これはそういう不公平をそのままにして、調査をするところには進めていくというようなことは、どうしても弱い者いじめになりはしないか、今度も視察に行きまして、大阪国税局長がたった十五分の間に、一番初めに要望したことは民主商工会の問題であります。法律を施行し、行政をやる役所が、なぜそのようなことによって苦しまなければならないか。第一線で事実調査に行く人の苦労はわかったというけれども、私はわかっているとは言えないと思う。そこでもいろいろ話したのですけれども、とにかく高木大阪国税局長は、大蔵委員会にお願いすることは、ただばく然とこういう問題がありまして、委員の方に御迷惑をかけるかもしれません。そのようなことじゃなしに、もう少し具体的に税法の執行面において困っておる、法に従って調査もし、脱税があれば摘発し、違法があれば違法の処分をしてやらなければ、私はそこがほんとうの問題じゃないか、そのようにも言ったわけです。  そういうことと、先ほど只松さんの話の中にもいろいろ出てきておりましたが、税務署職員がいろいろそういう困っておる問題があると思うのです。先ほど所得のある、ないということについては誓約書をとったという問題ですね。二、三日前の週刊誌にも出ておりましたが、足立区ですか、法務局で登記の申請書を受け付けなかったばかりに職権乱用で常人逮捕されたというような問題があっておるようですけれども、法律をそこまで適用していくならば、税務署の中ではいつでも現行犯で逮捕する者が出てきやしないか、私はこういうことを心配してやるわけなんです。それはそのような心配はないと言われるかもしれませんけれども、具体的に事実を突き詰めていった場合に、法務局で登記所で登記申請書を時間に受け付けなかった、それで現行犯で逮捕されたというような問題を税務執行面に持ってきたならば、いまの誓約書をとるなんて、明らかにこれは現行犯です。そのほかにもいろいろな問題もありますし、それと反対に、法律をよく知らない人が納税者の中にたくさんいる。また特に税法は難解で、専門家でも自分の専門以外のことは、それは理論的にはわかっておりますけれども、実際面においてはなかなかそのようにいかない。そのような状況のもとに、税法を理解できない人はいつも過重な税金を納めたり、不満ながら税金を納めさせられるという問題はたくさんあるわけですよ。そこにいまの職権乱用とかそういう問題を持ってきた場合どうなるか。ものすごい混乱じゃないか。このようにも思うわけです。  もう一つ、二つございますが、いまの問題について長官の意見を先に聞いておきたいと思います。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 私どもといたしましては、執行面で一番むずかしいのは、御承知のとおり所得税、しかも申告所得税の執行でございます。ほかの税ももちろんむずかしい面がございますけれども、しかし何と申しましても、税務行政のうちで一番むずかしい執行は申告所得税だと思っております。私どもとしましては、所得税は申告納税がたてまえでございまして、本来一々の所得者について税務職員が一々調査して、その所得が正しい申告であるかどうかということをやっていくというたてまえではなしに、納税者の方にみずから正しい申告を出していただくということで、ただ税務署ではその申告を審査して、正しくないと認められるものについて調査すれば足りるという程度に、正しい申告が多く出るということがいまの税制及び税の執行のたてまえになっておると思います。ところが、遺憾ながら申告納税制度が導入されまして二十年たちまして、今日は昔に比べますとずいぶん申告成績もよくなっておると思いますが、なおまだ一部において申告を漏らしておる者が相当ある。そこに問題があると思うのであります。そういう点からいたしますと、まず納税者が正しい申告をするという方向に進んでいただくことが第一。  それからもう一つは、正しい申告をするには、やはり自分の所得について収支をきちんと記帳して、いわゆる青色申告をしていただく。その青色申告がふえていくということ、これがまず問題でございます。青色申告が最近は相当ふえてまいっておりまして、営庶業の所得者につきましては百十六万人までにふえておりますが、これがもっとふえていくということが望ましい。そうして正しい記帳に基づいた正しい申告が行なわれるというように持っていくの、が第二だと思います。  その次は、それにしましても、いま現にお話がございましたように、所得を漏らして申告しておるような者が相当おる。それをそのまま放置しておくことはできないわけでございますので、私どもとしましては全力をあげてそうした者について把握を正確にするように努力いたしておりますが、いかんせん、税務職員のそういった事務を担当する者の数が、納税者の数に比べましてまだ十分でございません。したがって、現在の定員につきまして増加をはかるような努力をいたしておりますが、なかなかこの努力も十分に実現できておりません。やむを得ず現段階におきましては、直税以外の部面から直税のほうに人員を動かしていく、それによって直税事務の担当者をふやしていく、こういうことをやっておるわけであります。しかし現状は、納税者のふえ方に対してそうした努力がまだなかなか追っつかないというのが実情でございます。  そういった点からいたしますと、やはり税負担をより合理的なものにするような税制の改正も最後に必要になってくるのじゃないか、こういったことですべての努力を重ねることによって初めて事が処理できるのではなかろうかと思っております。  それから、いまお話しの、法務局で受け付けなかったために常人逮捕を受けたというような事例があったようでございます。その是非はともかくといたしまして、私どもといたしましては、納税者が税法を知らないことが多うございますので、まず税法自体がより簡素なわかりやすいものになるということを望みますと同時に、その税法をわかりやすく納税者に説明する、同時にわかりやすい解説書をつくってやる。それから、納税者に説明するのは税務職員の義務でありますから、そういうことで税務職員がすべての納税者に対して自分の知識を提供して、納税者の正当な権利を守っていく、こういう方向に進んでいくべきであり、職権乱用なんということはもちろん犯すべきことではないというふうに考えております。

田中昭二公明党

○田中(昭)小委員 時間もないようですし、調査官のほうがありますから、簡単にもう二言、二言お伺いします。  いま長官のお話の中で、青色申告なんかも、実際は、青色申告してはどうかということで、一年たって行ってみれば帳面も何もない、そんなものはやめたというような実例が東京ではたくさんあるわけです。私もこっちで聞きましてびっくりしました。そういうような実際の執行面ですね。いまの税金の問題についても、税の相談所がある。ほとんど利用されてない。利用されるような環境に持っていってないわけです。特に事業所得者についてはその利用が少ないというような面がある。いま長官のおっしゃるようなこととは、どうも実際の執行面でのやり方は逆なんですね。そういうようなところに問題がある、こう思うのです。税の相談所を見てごらんなさい。譲渡所得とかそういう関係が多い。  調査官のほうにもう一言お願いしておきますが、税の執行面において職権乱用がない、そういう問題がないと言いますけれども、実際は一々例をとればたくさんありますよ。税務署が税金を返したというような事実もある。いろいろな異議申し立てで負けたような場合もある。事例をあげればあるのです。そういうことは、法律というものがあるために保護されながら、かえってそのために損をする立場の人もおるということも十分考えてもらわなければならないと思うわけです。  そこで、お尋ねしたい問題は、お医者さんの標準率の問題です。これはいままでもたくさんいわれてきましたが、いろいろなことがありますから、どうしても改正してもらわなければならない。ですから、いろいろ実際の執行面にきますと、国税局とかなんとかでも、いろいろな調査官の意見、直税課の意見なんかも聞きましても、いまのままでは、いま申したような不公平がなお開く。お医者さんの中で経験二十年、三十年も持った人が同じ標準で適用される、開業後まだ一年、二年で、自分の投下した資本も、まだ借金も返せないという人に対しても同じです。だれが考えてもおかしいじゃないですか。ですから、お医者さんになる者は相当の資本等も要るんだから、開業後三年か五年かわかりませんけれども、どの線で引くか、その程度は見てやったらどうか。それ以上はああいう安い標準率をかけること自体、政府が法律によって不公平をもたらしているもとじゃないですか。これはだれが考えても、どこで話してみても出る問題だ。そういうものに対して改正しようという意向があるかどうかですね。

細見卓大蔵大臣官房財務調査官

○細見説明員 この問題につきましては沿革の深い問題で、私どもも一率の標準率につきましていかがなものかということで、これをできるだけ廃止の方向でたびたび申し上げてきたわけですが、むしろ私どもがそういう案を出しますときに、いつも関係の各方面で、医者の所得率についてはいろいろ問題があって、おまえたちの言うごとく単純に、公平不公平だけの議論というわけにもいかない面があって、たとえば医者のように、本来睡眠時間も節約して、あるいは睡眠時間にたたき起こされて患者を見なければならないような人に、おまえたちの言うような帳簿をつけさせるということがはたして望ましい制度であるかどうか、その辺をもう少し考えないと、おまえたちのように、ただ帳簿をつければいいんだというだけの議論では困るじゃないかというような議論もありまして、その辺については一理もあるところでございます。その辺も考え、あるいはまた大きな病院等につきましては、所得率は標準率できめておりますよりもむしろ下がる、使用人などもふえまして、むしろ下がるというような状態もございますし、一方また、開業医の人たちにとってはある程度の所得も発生しないというようなこともありまして、どういうような制度にするか、ただ切ってしまって、それじゃ一斉に個別調査だということを申しましても、理屈はそのとおりといたしましても、執行上いろいろな問題もあろうかと思いますので、皆さんのほうでそういうふうに医師の標準率というものは合理的でないという御意見だということでありますれば、どういう方法を今後検討していくか、今後の検討問題だろうと思います。

田中昭二公明党

○田中(昭)小委員 そういう実情にあるから、当然そうすべきじゃないですか。いま細見さんの話を聞いておったら、それだけ収入のない人もあり、収入のある人もある。結論だけでいいと思うんですよ、それを直そうという考えがあるのか。これについてはいろいろ問題がありますから、きょうはこれだけにとどめておきたいと思います。  もう一つ二つ、これは長官のほうでいいと思いますが、税理士に対する事前通知の問題、はっきりしておりますね。これも実際は行なわれておりませんよ。このために大企業は——大企業というとおかしいのですが、相当大きな法人はちゃんとそういうことが守られておる。小さい法人に対しては守られない。先ほど只松さんのお話の中で、税務署の態度が硬化した、私はそういう問題もあるんじゃないかと思います。税務署職員が——私はそういうことがあるとは考えませんけれども、税理士がいなくてもいいですよ。税理士さんのほうも同じことに何人か関与しておって重なる場合もありましょうから、当然それは通知して、来れないなら来れないなりの税務署の立場をとらなければならない。それを、来られないことをいいことにして、税理士なんかは来ぬでもいいですよというような調査が大半ですよ、中小法人では。それが法にきめられておるならそうすべきである。前向きの姿勢が逆効果じゃないですか。そういう面を法に規定して、少しでもよくなるように、前向きに行くように、摩擦が起こらないようにときめたのであれば、それをどんどん進行さしていくことが国税庁としての仕事でもあると思うのです。取りやすいところから取るとか、そういう考えはないかもしれませんが、そういう結果になっている。青色申告の状態でも同じ。数がふえたからと喜んでいるが、その実態は何にもない。やかましいことばかり言うようですけれども、しかしそういう点について、現在の規定で、現在の人員でできる方向をとってもらわなければいけないのじゃないか。  それから、長官にお尋ねするのは、調査官がお帰りになりましたから長官の個人的な意見でもけっこうですが、いまの給与所得につきましては、先ほど言いましたように税金が重い。税調では、役付の給与所得に対しては特別控除を認めようというような話も、ちらほら出ておるようでございます。新聞で見ますと、最高限度額以上に五%ですか、何%ですか、そういうものをまた引くようなことが論議されているということですが、これに対する長官のお考えを伺いたい。

泉美之松国税庁長官

○泉説明員 税理士に対する事前通知につきましては、国税庁としましてはできるだけそれを励行するように指導いたしておりますが、ただ、御承知のとおりその事前通知を行なうことといいますか、納税者に通知した場合に通知するわけでございますが、納税者に調査に行くぞということを通知することが、かえって帳簿その他を隠匿するというようなおそれのある場合には通知をしない。したがって税理士にも通知しない、こういうことはあります。できるだけそういうことのないような方向で行くべきだという指導はいたしております。先ほどのお話でございますと、ここ一年ほどで、従来の態度が後退しているかのごときお話がございましたが、後退はいたしておりません。前向きにそういったものは進めております。  それから、給与所得者の役付の者の控除をふやすかどうかというのは、これは税制調査会のほうの問題でございまして、執行面を預かっておる私がお話しいたすのはいかがかと思いますので、遠慮さしていただきます。

田中昭二公明党

○田中(昭)小委員 いま前向きにいっておると言うが、具体的例をあげればそういっていないでしょう。そういう面をよくひとつ、ほんとうにいま長官のおっしゃったようにしていただきたいと思います。

足立篤郎自由民主党

○足立小委員長 次会は十一月十日を予定いたしておりますが、いずれ決定次第、公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時十八分散会

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