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56回国会衆議院1967/11/09

社会労働委員会 第6号

発言数
276
登壇者
25
会派数
3
開催日
1967/11/09

会議録

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 これより会議を開きます。  厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 きょうは電信電話事業に関連をする今後の問題について、若干郵政当局並びに電電公社に対して質問をいたしたいと思うわけであります。  戦後における電信電話事業は急速な進展を見せつつある現状でございまして、日本の政治、経済の発展の上に欠くことのできない要素となっているわけであります。したがって、電電事業の経営のいかんということは、国民経済なり国民生活に与える影響もまたきわめて大きいものがあると考えるわけであります。したがって、政府はこの考え方に基づいて、電電公社の事業に対してそれぞれ指導的な立場をとって今日までに至っているわけですが、電電公社は、つい最近、今日まで十五年にわたる第一次から第三次までのそれぞれの五カ年計画を驚くべきテンポで一応完了を見るというところまでいきました。来年度からいよいよこの完成ともいうべき第四次五カ年計画に入るわけであります。公社が最近発表した第四次五カ年計画というものを拝見をいたしますと、建設資金総額三兆五千二百十億円をもって国民の要望にこたえる拡充計画を立てるというふうにいわれておるわけですが、一体この第四次の五カ年計画というものは、公社発表の大綱にそれぞれ基本方針なりが記載されておりますけれども、きょうはこの第四次計画のいわばアウトラインについて、きわめて端的にお伺いしたいと思うのであります。中身についてはまたいずれ御質問する機会が近くあろうと思いますので、私も簡明に御質問いたしますから、その点に限って率直なお答えをいただきたいと思うのであります。  四つばかりのいわば大きな柱をもって第四次計画を遂行されようといたしているわけですが、しかし、これを突き詰めてみますならば、この五カ年計画というものの最も大きな目的、最も大きな必要性というものは一体どこにあるのか。国民経済なり国民生活の立場に立って一言で言いますならば、これは一体どこにその必要性を求めておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 総裁は経営委員会がございますので……。私、副総裁でございます。  ただいま田邊先生の御質問の第四次五カ年計画の必要性は率直にいってどこにあるか、これを申し上げるにはかなり長いのでございますが、端的にいって、ただいま私どもの窓口に二百二十万の電話が申し込んでたまっておる。これは現実の姿でありますが、これを一つのシンボルとして、今日わが国における電話の需要のきわめて旺盛なる姿というものを物語ることができると思います。これはただ加入者の申し込みだけでございますが、中身を見ますると、そのほかに今日の経済の戦後における成長に伴う結果から、あるいはまた国民所得の増加に伴う生活の向上の結果から、電話に対する需要はまことに旺盛でございます。申し込みのほかに、今日の電話はもうすでに即時通話でなければならぬという、各地域間の即時通話に対する要望はきわめて熾烈でございます。こういう一つの現実的な問題は、電話をどうしても拡充しなければならぬ。これはどの程度しなければならぬかということも、過去におけるいろいろな指標がございまして、これを数字として算出するまでにはいろいろのやり方を借りてまた申し上げなければならぬかと思いますけれども、現実においては、とうとうたる電話に対する需要がきわめて旺盛である。これに対しては、ただいま私どもが考えた構想でも、なかなか完全な満足というところまでには到達できないのではなかろうかというような程度のものでございます。しかし、まあまあこの程度のことをすれば、いままでよりは非常に電話の需給はバランスがとれてくるだろう、こういう気持ちを持っております。  きわめて概念的でありますが、逐次御質問にお答えいたしたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いまお答えがありましたとおり、今後の電電公社の事業計画の最も基本と申すべきものは、何といっても旺盛な国民からの電話に対する需要であります。この需要の増大というものが、ますます公社事業の今後の育成に大きなかかわり合いを持つ、こういう現状であることは認識できるわけであります。そういう大前提に立って五カ年計画を今後も推進をされようといたしているわけでありまするけれども、私は、この中身についてはおくといたしまして、いわば二十年にわたるそれぞれの計画の節々を顧みながら、これから実行しようとするところの第四次五カ年計画というものの中身を見たときに、いままでと非常に違った面がうかがわれるのではないかと思うのです。それは計画そのものが、いわばいままでの電電事業になかったような画期的な新技術の導入や、あるいは現在の産業界の要請にこたえるというような様相もありまするし、またその資金面においては、過去の十五年間を上回る計画というように、量質ともに変革しているところの中身である、こういうように思うのでありますが、しかし、その一面において、この第四次計画を遂行されようとするにあたって、いわば公社の経営上からいいますと、これまたいままでと違った様相を呈してくるのではないかと思うわけであります。公社は、約十五年ほど前に、大幅の電信電話料金の値上げをいたしました。その後、約七年ほど前に、電話料金の体系を変える試みをいたしました。しかし、いずれにいたしましても、この第四次計画を遂行するにあたっては、その経営上、非常に大きな変革を来たすということがこの中身として言えるのではないかと思うのであります。その面から見て、ひとつどういう状態になろうとするのかお答えをいただきたいと思います。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 第四次五カ年計画の特質と申しますか、特異な点は、田邊先生御指摘のように、いままでの第一次、第二次、第三次とちょっと違いまして、基本的な別の問題も一つはらんでございます。それは、一、二、三次は一応公社の、たんたんたるというには少し大げさでございますが、順調な経営基盤の上に立てた計画でございまして、年度年度の予算を国会で御承認していただければ、大きな変更もなく自主的にやれる計画であったわけでありますが、第四次五カ年計画になりますと、財政上の基盤を確立しなければこの問題はちょっと画餅に終わるというような内容をはらんでおります。  と申しますのは、第三次までの今日の財務経理の状況というものは、おかげさまできわめて順調にまいりました。第三次の後半から収支の状況も悪化の傾向を見ておりますが、第四次を展望いたしますときには、現行のままで推移すれば計画面では一応の諸施策は樹立できるのでございますが、はたしてこれが資金計画としてうまく計画にフォローできるかどうかということはきわめて憂慮すべき状態になっております。したがいまして、この第四次五カ年計画は、先ほども先生が御指摘のように、ただいまのところでは大綱と申しまして、一つのデッサンと考えておるわけでありますが、ごく近き将来、この問題が何らかの形でセツルダウンした場合に、あらためて正規の第四次五カ年計画というものを、きちんとしたものを立てなければならないと思います。  そこで、第四次五カ年計画におきましては、そういう意味で一面大きな計画面を持っておりますから、この計画にも半面財政上の基盤を確立する方策も勘案しながらいかなければならない。これすなわち料金の修正の問題をお願いしなければならぬという問題をはらんでおります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま副総裁からお話のありましたとおり、今後の第四次計画を遂行するにあたっては、いままでと違って経営面では非常に憂慮すべきアンバランスが出てきた。経営の悪化を何とか打開をしなければならぬ、こういう事態であるというお話がありました。私は、それは現実の問題としてあり得ると思うのでありますけれども、しかし、それを考える前に、戦前戦後を通じて、特に戦後の電電事業の行き方というものを顧みたときには、いわば第四次計画をするにあたっては、当然この種の経営上の矛盾、経営上のいろいろな面における問題点、これが出てくることは明らかなことではなかったかと私は思うのです。それは、いわば戦後の荒廃期からその復興を主体とした事業のやり方と、特に第二次の後半から第三次にかけて日本の経済が非常に成長した、高度経済成長政策というものに歩調を合わせた形で、事業は急速な発展をしてまいった。ここにいわば経営上の無理がかさんできた一つの要因があると私は思うのです。何といっても膨大な建設資金、その中にはかなりの借金政策というものが織り込まれてきたわけであります。加入者に対しても、債券の発行等によるいわばその易しのぎのやり方というものをとらざるを得なかった。これが第四次の計画の中に、債務の償還額の増大、そして健全な経営というものが逆調を来たす一つの大きな要因がはらんでおったのではないかと私は思うのです。  いま副総裁は、この第四次五カ年計画というものは一つの大綱であって、その中身についてはいろいろとこれから検討しなければならぬこともあると言っておられますけれども、電電公社としては、非常な決意で第四次計画というものを考えておったのではないかと思うのです。ついせんだっての電電記念日にちょうだいいたしましたこの冊子を拝見いたしましても、この中身がいままでと違って、いわば今後の計画面に対して、その資金面までに及ぶような図表を載せておるのでございます。あるいは四十一年度の「電信・電話事業報告書」というものをちょうだいいたしましたけれども、この冒頭に、米沢総裁があいさつとして述べられておる中にも、借り入れ金は本年度末で一兆三千四百億、四十三年度の利子負担額約一千億、債務償還は約四百三十億、これらは今後ますます増大していくでしょう、したがって、経済審議会の政府への答申では、当然合理的な料金体系の確立をしなければならぬと述べております。そういう意味合から、四十三年度の概算要求では設備料の改定、料金の修正等を織り込んでいく、こういうことを実は言っておるのであります。いわば外部に対する電電事業の中身を説明する冊子、PR冊子としてはいまだかつて例を見ないような、今後の計画に対する非常な熱意というか非常な決意というものを燃やしておるというふうに私は考えるわけであります。私はその立場というものの是非をここで論ずることは避けますけれども、こういった前提に立った計画というものは、いままでのいろいろな無理というものを一挙に清算しなければならぬという立場に追い込まれているのではないかという気がするわけでございまして、これらのことは、いままでの十五年間の計画を遂行する中で、しかも、政府の計画といっても民間の事業の計画といっても、なかなか思うようにならぬというのが現在の状態です。経済の変動あり、資金の需要の関係あり、いろいろむずかしい点があるのですが、電電事業に限って言えば、計画がまさに一〇〇%遂行されておるという、これは一番喜ぶべきことであるかもしれないけれども、その中には、私はかなりの無理がかさんできているのではないかという気がするわけであります。そういった点から見まするならば、いまお答えのありました経営の悪化というものは、これは宿命的に、必然的にたどらなければならないことではなかったかと私は思いまするけれども、いままでの経過を振り返ってみて、副総裁は一体どういうふうにお考えでありますか。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 お答えする前に、先ほどの御答弁で多少誤解を招いたところがあったと思います。私ども第四次五カ年計画の構想に対しては非常な熱意を持ってこの完遂を期し、また料金の問題についても熱意を持って解決方をお願いしているつもりでございますが、一次、二次、三次と違いますことは、財政上の問題について一次、二次、三次と違って、ややそこに料金の修正を一部分考ええなければならぬ前提があるということだけであります。その問題はあくまでわれわれが希望しているだけでありまして、一次、二次、三次ではそういう必要はなかったので、その点が正式に五カ年計画と称して完全に自信を持ってやっていけるのだという内容をはらんでおらないというだけのことで、ちょっと修正だけさせていただきます。  それから過去における計画の遂行について無理があったんじゃないか、そういうようないろいろな反省を考えてみた場合に、田邊先生が御指摘のように、私どもの電電公社の長期計画に関する限り、一次、二次、三次はまだ終わりませんが、まことにおかげさまで一〇〇%、最高の計画実施が行なわれて、非常に恵まれておったと思います。由来長期計画というものを考えることでもなかなか困難なことでございますけれども、私どもは第四次の展望をした場合に、財政上のいろいろな問題があらわれてきたことをいま突然感じてあわてているわけではないわけでありまして、すでに昭和四十年代にこうした問題を予想して、まだ財政事情がさほど悪化しない時代に将来を展望して、そろそろ電電公社の財政問題を何とか考えておかないと容易ならぬ問題になるということを察知して、事前の措置をとるべく早目に長期の展望を考えて、佐藤調査会等もお願いしてこういう問題に取り組んできておるわけでございまして、突然こうした問題を感じて非常に反省しておるというつもりはないわけであります。何ぶんにも非常に旺盛なる経済の成長と国民生活の向上とに伴う電話の需要というものは急激でございますので、一歩へりくだって考えれば、予想したよりも国民の電話に対する需要が意外に多いという点は、多少勘違いの点もございますけれども、急にこういう問題をあわてていま思い知ったというわけではございません。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 お話があったとおり、いわば電話の需要の見通しというのは第一次の終わりごろ、第二次計画の終わりごろあるいは第三次計画の終わりごろ、こういったときの電話需要の見通しと今日の見通しはまた非常に違ってきている。また今日の見通しがはたして数年後において当てはまるかといったら、それもわからぬという状態なことは、私も理解をするところであります。この前の公衆電気通信法の料金体系の合理化のときにも、私が実は需要の見通しに対して質問をしたことがございましたけれども、当時の速記録を振り返ってみても隔世の感のあるほど電話の需要の見通しが伸びておる、当時の状態から見れば非常に予想以上のものがあるということは疑いない事実であります。しかもその中には、かなりの部面においていわば住宅用電話と申しましょうか、一般の国民大衆がその自宅に据えつけたいという電話の需要が、近来特に多くなってきているということも疑いない事実であります。こういう状態の中ですから、私は、経営の状態、それから経営の中身からくる、たとえば収入支出のバランスという点からいいますならば、今後その収益率というものは年々いわば低下をするという傾向にあるだろうということは、これまた疑いない事実だと思うんです。   〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕 またそうでなければ、いわば国民のためにする電話という、そういう観点からいいまして、電電事業の持つ公共性という点からいって、これは当然越えなきゃならない一つの道だろうと思うんです。したがって、私は二十年間のいわば計画というものをながめてみたときには、当初の予定から見てだんだんとそういった経営上の面におけるところの健全基調というものがくずれるという、こういう予想というものは当然立てられておったのではないかと思うわけでありまして、それなしには今後の計画の遂行はなし得ない、こういうように思っておるわけでありますけれども、そういった点からいいますならば、もうそろそろ料金の問題を含めて経営の問題については一つの節に来ておるんだから、何か改善をしなければならない時限だ、こういうように最初からいわばもくろまれてあなた方はこの計画を立てようとされたのか。私は、数年前に国会でもってあなたに質問をした、実はそのときのことも振り返りながらきょう質問いたしておるわけでありますけれども、そういったことを見通されて今日の事態をお迎えになられたのかどうか、もう一度ひとつお伺いしておきたいと思います。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 長期の展望あるいは長期の経営の収支というものを考えることは、何ぶんにも非常に大きな事業でございますので、率直にいって一年の予算をつくるのも精一ぱいでございますが、なかなか明確には把握できない、むずかしい問題でございます。しかし、私どもは昭和三十九年、四十年ごろから、やはり経営収支の将来というものは刻々に悪化するということは十分考えて、四十年になってこういう問題に取っ組むということを考えておったわけでありまして、まあ自慢をするわけではありませんが電電公社に関する限り、長期計画というものは十分身について、毎年この長期計画を小修正、発展修正しながら年度予算としてこれをつくって実効をあげてきた。やはり今後の事業というものは、年度年度の予算だけを考えてはいかぬのであって、五カ年計画、それ以上また十カ年計画というようなものを考えてみましても、長期計画というものはせいぜい五カ年計画くらいしかなかなかわれわれの力では読み取れないのじゃないか、そういう意味では今日私どもは、繰り返すようでございますが、いまになって初めてこういう経営上の問題であわてているというのではなくて、数年前からこの問題は予知して、着々準備し、世論にも訴えてまいってきたつもりでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 したがって、経営の今後のいろいろ見通しの面で、いままでと違ったいわば暗い目のものがあるということは、これはうかがい知れるところでありまして、われわれはこれに対してどういうふうに対処するかということを真剣に考えていかなければならないと思うわけであります。  そこで、第四次の五カ年計画は、いろいろな中身を持っておるわけでありますけれども、特にたとえば新しい試みとしての押しボタンダイヤルの問題や、データ通信サービスの問題、これに千七百億ばかりの予算を投入するというのでありますが、さらには通話のダイヤル化、即時化、これをさらに促進するという問題、あるいは産業用の画像通話サービスというような問題、あるいは移動体通信サービスというような問題、集合自動電話というような問題、こういうような新しい試みが次から次へと登場するという中身も持っておるわけであります。あるいはまた一方において国民の需要にこたえるために、団地電話やあるいは農業電話、あるいはまた公衆電話の増設等も確保されていく、こういうことで、いろいろな問題がありましょうけれども、しかし、この第四次計画の中でいろいろな力点があるけれども、やはり最も重点として——先ほど第四次計画の必要性という問題に対して御質問いたしましたけれども、それとうらはらの関係でもって、この第四次計画の中において、最重点と思われているところの大きな柱は一体何ですか。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 その最重点は、見方をいろんな角度から考えなくてはならぬと思いますが、計画面からすれば、まだまだ新規サービスとか新技術に伴う新しいサービス等もこれから積極的にいたしていかなければならぬということはありますが、何といっても、まだとうとうたる国民の電話需要を満足するという電話充足の問題が、やはり金額的にも、計画的にも、工事量からいっても、最大のポイントでございます。それだけかというとそうではございませんが、一番大きなウェートはどこかと言われれば、まず何といっても電話をたくさんつけることということにならざるを得ないと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 理の当然のお答えでございまして、われわれもまたそうでなければならぬと思うわけであります。しばしば電電公社は、申し込めばすぐつく電話を標榜いたしまして今日まで参った。佐藤調査会の答申も、いわばその骨子となるものの中には、やはりすぐつく、すぐかかる電話を実現をすることを最大の目標にしておるわけであります。そういった点から第四次計画をながめてみたときに、公社がしばしば言明してまいりましたところの、二十年にわたる四次の計画が終了した時点には、少なくとも申し込めばすぐつくような状態というものをひとつ完成をしたい、こう言ってまいったのでありますけれども、今度の計画の中におけるいわば加入電話の状態というのは、大体三世帯一電話、こういうふうになってきておる。これは端的に、単純に比較することは、私はいかがかと思うのでございますけれども、しかしいずれにいたしましても、四十七年の末に至って、申し込みいたしますならばあすにでも電話がつくという状態には、遺憾ながらならない、これだけは事実であろうと思うわけでありまして、その点では、当初のいわば雄大な計画、これが一〇〇%完成をするという状態にはとうていならない、こういうふうに私は感ぜざるを得ないわけであります。そういった点から見た場合には、国民の需要にこたえる、最も端的にこたえるという意味からいいますならば、やはり申し込みをして可及的すみやかに電話がつくという状態をつくることが、私は公社事業の最大の任務ではないかと思うわけであります。この点のいわば看板をおろされた事情というものに対してはいろいろな要素があろうと思うのであります。思うのでありますけれども、やはりその最大の目標は一番大きな柱としてあくまでもこれを守り、これを育て、この実現に向かって邁進をするところに、現在における電電事業の使命がある、私はこういうふうに考えるわけでありまして、この点に対するさらに熱意あるところの検討が必要ではないか、こう思いますけれども、いかがでありますか。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 電話の需要の充足に関するわれわれの理想なり希望は、少しも変わっておりません。先ほど申したように、大きな計画の中で何が最重点かといえば、まだ今日の状態では、電話をたくさんつけることであります。しかし反面、先ほど申しましたように、農村、小都市あるいは都市間の経済格差の縮小という問題に対しての国民の要望というものは、われわれの常識以上に非常にはげしくございます。自動化、即時化という問題も、ずいぶん大きな国民の要望になっております。そういうことも見のがすことはできない。しかし何といっても、いま重点は電話の充足であるということは当然でございまして、そこで、申し込めばすぐつく電話という一つのわれわれの長い間の願望、理想、計画面に関するこれの織り込み方というものも、確かにわれわれのほうは非常に強い姿勢はとってまいってきたわけでありますが、一面この電話の充足の姿を考えてみますと、今日電話が日本全国で九百数十万に達しておりますが、一応この第四次五カ年計画ができますれば、この約倍くらいの二千万近い電話が大体できることになります。現在、世帯では国民十一世帯に一個くらいの電話が三世帯に一つくらいになります。こういうことも考えれば、電話はまずまず相当な充足を国民の皆さんにお願いできる姿になるのじゃないか。  もう一つ大きな問題は、私どもはただいたずらに電話をできたら一つ残らずつけることを願望とするというのではなくて、一面事業をかかえている経営という立場に立てば、経営の問題も考えなければならぬ。御案内のように、この問題も非常に大きな金が要るわけであります。この金の調達についても、いろいろ資金計画の面からいいましても、金は幾らでも出す、どこからでも出てくるんだということならば、この充足は可能でございますけれども、まあまあ電話をつけている間においては資金計画もまた考えなければならない。それから料金の修正の問題も、これの財源のほんの一部でございますが、目の子で七、八%を考える。これが一割、一割二分くらいはいいんだということならば、それはもう少し金は出せるということで、もう少し加入数の増加ということも、完全充足ということも言えるのでございますが、なかなかその辺はむずかしい問題でございます。したがいまして、今日から五カ年先を展望して、この計画が充足された暁においては、まず電話についてはかなりの姿になる、国民から非難を受ける度合いというものもずいぶん変わるのではないだろうか。積滞と申しましても、十年前の積滞の姿というものと、あと五年先の積滞の内容というものは、かなり度合いも違うのではなかろうか、こんなような意味で、一応、申し込めばすぐつく電話ということを、強く計画面に算術的に考える気持ちだけは少しゆるやかに考えていかないといけないのじゃないか。こういう意味で、おろしたと先生はおとりになりますが、経営者としての希望と熱意は少しも変わってはおりません。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 もちろん、この種の問題は、二者択一の問題じゃないのです。いろいろな要素が総合的に入り組んでいることは、これは疑いない事実です。しかし、われわれは電電事業の今日の使命というものを考えたときに、もちろん非常な経済発展に基づく産業開発の面で寄与することも必要でありましょうけれども、しかし、何といっても公平に電話の需要を満たしていく、これが電電事業のいわば骨子でありますから、そういった点から言いまするならば、国民の電話の需要に少なくともこたえるというこの大きな柱というものは、常に光り輝いていなければならないと私は思うのです。それに付随して、いろいろな各種の要素が計画の中で述べられようとしている。もちろんその中には、いわば即時化、ダイヤル化、こういう問題も一つの要望でありましょう。しかし、私は国民の全体的な立場というものを総合的に判断をいたしますならば、この即時化、ダイヤル化という問題は、一体国民の電話をすぐつけてもらいたいという要望と引き比べてみて、どちらが熾烈な要望であるかといえば、これは私はもう理の当然、電話をつけてもらいたいという要望にその比重を置かざるを得ないと思うのです。  今日かなりもう市外通話についても即時化がはかられてきているわけです。県庁所在地間における即時化はすでに完成をしている。一つの経済圏の中におけるところの即時化というのは、これはほとんど一〇〇%に近い状態で実は遂げられているのです。さらに、日本全国をいわばまたにかけた、札幌から鹿児島へ、こういういわば長距離の即時化、こういったものは、国民の全体的な要望からいいますならば、私は決してほど遠いものであるとは言いませんが、しかしそれほど熾烈な要望というふうに受け取ることはいかがかと思うのです。  したがって、申し上げたように二者択一ではないけれども、やはり比重のかけ方からいいますならば、国民の電話をつけてもらいたいという要望にまずもってこたえることが、公社事業の何といっても、これは今後五カ年計画を遂行する上に立っても最も必要な柱ではないか、この比重のかけ方が少しく軽いのではないか、あるいは比重のかけ方を少しく変えたのではないか、こういうふうに私は計画大綱を拝見をして実は感じ取ったのであります。  したがって、そういったことであるとするならば、私はやはりその点に対するところの公社の考え方にさらに一考を要するものが含まれているのではないかと思うのです。もちろん、私がそういうことを言いますと、ではそれによって経営の悪化がさらに拍車をかけられるような状態になる、住宅用電話の収益率というのがやや低下をしているという状態でありますから、そういった点でさらに経営上いろいろな問題が出てくるというお答えが出てくるかもしれませんけれども、これにはこれでもって、またいろいろと対処できるくふうがあると私は思うのです。いろいろとまた対処をしなければならないものがあると私は思うのであります。住宅用電話を今後ますますつけるならば、全体の加入者数の中に占める住宅用電話が三〇%から四〇%、こういうふうになろうとする状況の中で、経営の悪化というものを防ぐ方策というものもこの辺で電電公社は考えなければならぬ、私はこういうふうに思うのでありまして、いまの前提に立ちますならば、やはり今後の五カ年計画といわず、将来の電電事業のあり方を考えたときに、私はやはりさらに検討する余地あり、こういうふうに考えておるわけですけれども、その点に対しては、私の考え方に、どうですか全面的に反対でございますか。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 先生のおっしゃることと紙一重だと私は思うのでございますが、先ほど繰り返して申しますように、何といっても電話をつけることが計画の中の大きなウエートになっておる。金額的にもそれから数の上からいいましても、完全充足という数字には出ておりませんけれども、しかし一面、先ほど申し忘れましたけれども、ここ二、三年前から農村集団電話、この農村に対する特殊な電話の架設というものを非常に意欲的に考えて、またこの要請がきわめて旺盛でございますので、こういうものも、百数十万を加味して、それに新しい都市の電話と同じような使命を有するサービス等も勘案すれば、もうほとんど完全充足に近いような姿としての数字には一応なるという気持ちで計画がつくってございます。ただいままで申し込みますとすぐつく、積滞一掃というようなことを、もう電話を待たすことはございませんというようなことを、勇ましくこれをあまり言うことは、電信電話事業の独立採算——公益事業でございますけれども、企業として考えた場合に、なかなか現在の収支、料金の体系、それからお得意さんの構造の変化というものをいろいろ考えますと、——電話というものは非常に高いものであります。かなり電気、水道と違った特殊なサービスを持っておるものでございますので、まあまあこの五カ年計画の姿ぐらいにしていただければ、いまの日本全国の電話のおおむね倍という姿に電話がなるのだということを考えれば、まあまあ免除をして、相当おほめいただけるのではないか、それをおしかりを受けるほどのこともなかろう、こういうことが田邊先生と紙一重だといういわば気持ちの差だと私は思うのでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 時間がございませんから、これに対する論争はあとでまたいたすことにいたしまして、第四次計画をこれから盛んにやろうとなされておるのですが、第四次計画の終わったあとのことまで私はいまから考えることはいかがかと思うのでありますが、しかし電電事業の育成を考えたときには、第四次計画を終わって、大体建設事業のカーブがゆるくなってくる。これは国の事業というものはなかなか計画どおりにはいかぬですけれども、いままでの第三次までの計画を拝見すると、一〇〇%非常にうまくやっている、こういう形ですから、第四次計画もうまくいくでありましょう。とするならば、その後におけるところの事態というものは、私は電電事業にとってはまた一つの大きな障害が出てくるのじゃないかと思うのです。たとえば住宅用電話についても暫定措置法が切れて、その後におけるところの設備料の負担が増大をするということもありましょうし、あるいは建設事業は勢い即時化、ダイヤル化がほとんど一〇〇%に近い状態でこれが完了するとするならば、その後においてはある程度の縮小なり、ある程度の横ばいを示すことになる。そういうことからくるいわば通信機械の産業に与えるところの影響も出てくるでありましょう。あるいはまた、先ほど申し上げたように、借り入れ金の償還、減価償却あるいは設備の維持、こういった面からくる経営の不健全さ、悪化というものに対して、一体どういうように対処しようとするのか。また一方において、住宅用電話がふえてくるという状態の中で、このままでは——私はくふうはあると思う、くふうはあると思うのですが、公社はそこにくふうを示しておりませんけれども、二共同電話によるところのいわば住宅用電話の設置等に対していろいろなくふうがあると思うのですが、いまの状態の中では収益率が落ちてくる、そういうように思うわけです。こういうことを見たときに、いわば急な坂を上り詰めていくところのその努力というものも私は一面必要かもしれませんけれども、その後における電電事業の将来というものを見渡してみたときに、実はいろいろな困難な要素というものがさらにできてくることを私は憂えるものです。もちろんそれに対応して、データ通信やその他のいわば新技術の開発というものが第四次計画でいわれていることも、その面ではわかるのでありますけれども、私はやはりそれがこの計画の最重点ではないと思うのでありまして、そういった観点からながめ見たときに、やはり電電事業の将来にわたるところのいろいろな展望について、この際でありますからひとつ十分考慮をされまして、さらに細密な計画をお立てになることが最も必要ではないか、こういうふうに私は思いますので、この点に対しては御答弁をわずらわしませんけれども、あらためて私は来年度の予算、あるいは第四次計画の細目、こういったものが判明をする段階の中でさらにひとつただしていきたいと思っているのでありまして、願わくは、私のいま申し上げたような観点も十分考慮されまして今後に対処していただきたいと私は思っているわけであります。  そこで、第四次計画を遂行するにあたって、いわば経営の逆調を来たす、こういう点から料金の修正とも言っておりますけれども、事実上は、料金の値上げを実は策しておるわけであります。これはたいへん大きな問題をはらんでおるわけでありまして、いわば現在の日本の経済に即応して電電事業は伸びて行かなければならぬというとおりでありますけれども、その反面において、国民経済や国民生活の現状からして、公社経営は一体どうあるべきか、こういうこともないがしろにできない大きな問題であろうと私は思うのです。そういった点から見たときに、いずれにしても現在各種の公共料金の値上げ、消費物価の値上げ、これが国民生活に非常な圧迫を与えていることは疑いのない事実でありまして、その点からながめてみたときに、今回の第四次計画に伴ういわば料金の値上げという問題は、これはやはり私どもは現在の事態から黙って見過ごすわけにいかない問題であろうと思うのです。強固な意思で第四次計画を遂行するというのでありますが……郵政省の政務次官はいないのですか、郵務局長か、人事局長で答弁してもらえるかな……電気通信監理官、この料金の値上げは、しばらく電電公社は行なわなかったというのであります。しかも第四次計画といういわば至上命令をまず前提に置いて、それを遂行するために経営の悪化がある、したがって、料金のいわば改正をしなければならぬ、こういう三段論法でいっておるのでありますが、私は、これを指導監督する郵政省の立場からいいまするならば、こういったいわば三段論法だけでもって事を処するには、あまりにも国民生活に大きな影響を及ぼす事柄である、こういうように思わざるを得ないのです。この電電公社の第四次五カ年計画の大綱が発表されたその直後に、郵政大臣はこれに対して、二二%の値上げというのはあまりにも膨大過ぎる、したがって、これは当然再検討をしなければならない、こういうことを今年の九月二十二日の閣議後の記者会見で発表されておられる。これはもちろん大臣の政治的な発言といえばそれまででありますけれども、しかし、これには当然郵政当局のある種の考え方が織り込まれておらなければならぬと思うわけでありまして、今度の計画に基づく料金の値上げに対して、郵政省は現在どういうような態度をとっておられるのか、電電公社の指導監督上から、どういうような指示を与えつつあるのか、ひとつその点に対して、大臣と政務次官がおらないから、かわってお答えをいただきたいと思います。   〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕

浦川親直郵政大臣官房電気通信監理官

○浦川説明員 ただいまの田邊先生の御質問でありますが、非常に重大な政策的な問題を含んでおりまして、事務当局からこれを御答弁申し上げるのは非常に不適当ではなかろうかと思います。ただ、御承知のように、現在積滞が二百数十万ありますが、こういうものをできるだけ国民の要望にこたえて電話をどんどんつけていくという立場に対しましては、私どもこれを強力に進めたい、かように存じますが、これに対して、資金の裏づけをどうするかという問題、これにはいろいろな方法があろうかと思います。公社は現在四十三年度の概計要求として、二二%の料金の値上げ及び設備料の一万円を三万円にするという概計要求を郵政並びに大蔵当局に出しておりますけれども、私どもといたしまして、大臣がたびたび新聞紙上にあらわれておますようなニュアンスのことをおっしゃったようでありますが、私ども大臣からまだ正式にこうしろという指示を受けておりませんけれども、実際現在そういうことを含めまして検討中でございますので、現段階におきましてはまだ結論を得ておりません。そこら辺を御了承願いまして、来年度につきましては、公共料金という立場から非常にむずかしい問題をはらんでおりますので、できるだけ私どもとしてはこれを押えていきたいというふうな立場で検討を進めておる次第であります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 ニュアンスなんという問題じゃなくて、大臣はちゃんと一〇%くらいに押えたいと言っているじゃありませんか。そういう無責任なことを言っては困る。大綱が発表された直後に大臣は即座に言われた。実は、よきにつけあしきにつけ、記者会見としてはきわめて大胆だろうと思うのです。しかし、いずれにしても公共料金の値上げを押えるという現在の政府のいわば政策的には最も大きな柱を貫く点からいいますならば、やはり当然ああいった発言が出てくるのではないかと思うのです。したがって、事務当局としては、その大臣の意向を受けて今後に対処することは当然なことではないかと私は思うのでありまして、あの記者会見の中身について、ニュアンスというような感じ方で対処されるのでははなはだ困る。あらためて大臣に来ていただきましてお答えをいただきます。  そこで、労働政務次官おいでですから、いま労働者なり国民勤労大衆が要望するいろいろな生産財、消費財、その消費財の中には再生産に必要なものも含まれておると思うのでありますけれども、その中で一体電話を求めたいという需要、要望というのは、どのくらいに当たりましょうかね。

海部俊樹自由民主党労働政務次官

○海部説明員 突然のことでございますので、そういったことを調査した資料が手元にございません。何%くらいに当たるかということはちょっと明確にお答えできませんので、もし御必要でしたら後日答えさせていただきます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 たとえば新しい自分の住宅を建てたときに、水道ももちろんほしい、ガスもほしい、その周辺に保育所もほしい、いまの交通難からいえば陸橋もほしい、いろんな個人の、あるいは社会的な、両面からくるところの要求があると思うのですが、その中で電話もほしいという気持ちはもちろんあろうと思うのです。しかし、その切実の度合いからいいますと、まだまだ電話の要望というよりももっと先に先行するいろいろなものが数多く私はあると思うのです。したがって、そういった点からのいわばパーセントでなくて、切実さの度合いという点からいいますならば、電話は勤労大衆にとって現在の経済生活からいって最も欠くことのできない最重要なものであるというように御認識をいただけますか。どうでしょう。

海部俊樹自由民主党労働政務次官

○海部説明員 個人的な主観も含まれるのでしょうから、最重要かどうかはわかりませんが、やっぱり文明社会がどんどん開けていって、その社会の仕組みの中で自分たちも恩典を受けたい、電話のあることはいろんな意味において便利でしょうから、そういう電話を持ちたいという要求は非常に強いと思います。最重要かどうかということになると、個人の問題がありますので、どうかと思いますが。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 そこで、生活面からいってたいへんな必需品になりつつあるということではないかと私は思うのです。しかし、どうしてもなくてはならないというところまではいっておらないというのが一般的な感じ方ではないかと思うのです。それはすなわち今度の料金値上げで国民が受けるいわば負担割合、生活面に対する圧迫、これとのかね合いでやはり考えなければならぬと私は思うのでありまして、そういった点で、経済企画庁、電話の現在の使用からくる負担が生活に及ぼすところの影響が支出の中で占める割合というのは、一体どのくらいに当たりましょうか。電話を持っている国民の平均からいいましてどのぐらいになりましょうか。

小島英敏経済企画庁国民生活局参事官

○小島説明員 お答え申し上げます。  現在、消費者物価指数の中で電話料金の占めますウエートといいますものが、一万分の六十三ということに相なっております。したがいまして、〇・六三%ということに相なっております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 電電公社は、たとえば住宅用の電話を使っておる人は、平均一カ月に一体どれくらいの使用料、基本料なり、度数料なり、市外の通話料なりというものを払っておるか御存じですか。

井上俊雄日本電信電話公社計画局長

○井上説明員 お答え申し上げます。  公社では世帯の家計の詳細をみずから調査するということができませんので、現在電話を持っておる人の収入と総支出、さらにその中で電話もしくは電報の支出が何ぼという統計的な資料というものはまだできておりません。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 これから先電話料金なり、電信料金の値上げを国会に提案しようとする電電公社の当局が、加入者一人当たりが一体どれくらいの使用料なりを払っておるかわからぬようで、これから先電話料金の値上げをいたそうなんという不届きな考え方はやめてもらいたいと思うのでありますけれども、ひとっこれはおわかりでしょう。わからなければ——大体いま経済企画庁からちょっと話がありましたけれども、これは国民全体に占める割合なんで、加入者一人当たりに対する割合じゃないですよ。加入者に限ってみて、一月間にどれくらいの使用料を払っておるかというのは別の問題です。その点を実はお答えいただきたいのであります。

井上俊雄日本電信電話公社計画局長

○井上説明員 住宅電話の一加入当たりの収入あるいはお客さんの家計からの支出は大体千円から千五百円であります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 きわめて大ざっぱな話でありまして、実はその程度のお答えでは、今後具体的に法律案なりが出てきたときには間に合いかねますから、ひとつあらためて精密なお答えをいただくようにお願いしておきたいと思いますし、私に対してひとつ後日でけっこうでありますから資料の提出をお願いしておきたいと思います。よろしゅうございますか。

井上俊雄日本電信電話公社計画局長

○井上説明員 はい、承知いたしました。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 そこでさっき経済企画庁から〇・八三%くらいのいわば支出割合だ、こうおっしゃったのでありますけれども、実は私がお聞きをしておるのは、国民全部が電話を持っておるわけでございませんので、電話を持っておる家庭なり、個人なり、企業なりが、これの影響を受ける度合いというものを実は知りたかったのであります。しかし、いまのところそれに対する正確な資料がないようでありまして、私どもがいろいろとお聞きをしておるところの状態の中では、たとえば平均六万円くらいの賃金をとっておる人の中で、電話の使用料は大体千五百円ぐらいである。大体全家計の中で占める割合は二・六%ぐらいである、こういうふうにいわれておるわけであります。平均賃金六万円というのは、これはたいへん大きいのでありまして、経済指標を見ましても、それほど多額の賃金をもらっておる勤労世帯は比較的少ないから、それは標準にはなりませんけれども、しかし、そういった状態であります。したがって、これが値上げによってその加入者が受ける割合というのは、私はもっと大きなものであるだろう、こういうふうに思うのですけれども、経済企画庁その点はどうですか。

小島英敏経済企画庁国民生活局参事官

○小島説明員 おっしゃるように、統計的な平均と申しますのは、全体の平均でならしてしまいますので、かなりわれわれの実感とは違っている面がいろいろございます。ですから、現在もし新聞等で伝えられておりますような値上げ増収ということをかりに前提といたして計算いたしますと、先ほどのウェートから申しまして、平年度で〇一四%というような影響が計算上出てまいります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 経済企画庁のほうでも、きょうはお答えをいただくところの資料がございませんようですから、公社等とも連絡をいたしまして、現在加入をしておる、電話を持っておる家計、その中で住宅用電話を持っておる家庭が払っておる電話料金、これが家計に占める割合、それから、今回二二%値上げをやった場合においてこれが受けるところの影響率、これもひとつあわせて資料として私のところへ御提示をいただきたいと思うのです。よろしゅうございますね。

小島英敏経済企画庁国民生活局参事官

○小島説明員 はい。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 そこで、郵政政務次官がおいでですが、先ほどちょっとおいでにならなかったので監理官にお聞きをしたのでありますけれども、今回の電電公社の第四次五カ年計画の遂行に基づいて、経営の悪化を防ぐために、電信電話料金の値上げをしたいといって二二%の値上げを実は発表したのですが、その直後、小林郵政大臣は、これは現在の物価の値上がりを押えるという政策からいって好ましくない、少なくとも一〇%以内に押えなければならぬ、こういうふうな発表をいたしたのであります。これば国民の現在の生活を圧迫するという面からいって私は当然な話だろうと思うのですけれども、郵政省としては、この大臣発表の線に基づいて、今後電電公社に対して、この料金値上げに対してはさらに再検討をするように当然指示をしていると思うのですが、その点は現状いかがですか。

田澤吉郎自由民主党郵政政務次官

○田澤説明員 ただいま田邊委員からのお話にございましたように、第四次五カ年計画がいよいよ四十三年度から始まるわけでございます。そこで、これまでの電話の積滞量というのは非常に大きい、これから第四次五カ年計画としては、申し込めばできるだけ早い機会につく電話にしなければならないというのが電電公社の目標でございまして、そのためには二二%料金をアップしていかなければならないというようなことがいま計画書に出ておるわけでございますが、郵政大臣としては、この問題は単に電信電話料金の問題だけじゃなく、政府全体の公共料金の問題とも関連があるものでございますので、これに関しましては十分慎重に扱っていかなければならないということを発表しているのでございまして、必ずしも一〇%であるというようなものではございません。今後十分公社とも連絡をとりまして、あるいはまた、経済企画庁とも歩調を合わせながらこれを進めてまいりたい、こう言えておりますので、御了解を願いたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 経済企画庁のほうは、宮澤構想もあるわけですから、当然向こう一年間の公共料金の値上げはストップするという方針を貫かれるために、この値上げに対しては慎重な態度で臨まれるということが言われておると思いますが、経済企画庁そうでございますね。

小島英敏経済企画庁国民生活局参事官

○小島説明員 慎重な態度で検討いたします。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 われわれとしては、単純に料金値上げを否定をするとか、あるいは肯定をするという立場ではありません。しかし、当然国民生活に至大の影響を与えるこの料金の問題については、私は、今後あらゆる場所でもって十分な検討をされなければならないのじゃないか、こういうふうに思っておるわけでありまして、きょう直ちに、私は、料金値上げ反対であるからかくかくすべきであるという論法でもって答弁を求めるわけではございませんけれども、いま田澤政務次官もおっしゃったように、この種の問題は、電電事業の将来にわたるところのいろいろなかかわりのある問題であると同時に、国民生活全般にもつながる問題でありますから、私は大臣言明もありまするので、当然一〇%といわず、これは根本的に検討し直して対処しなければならない問題であろうと思いますので、ひとつその決意と熱意でもって今後に臨んでもらいたい、こういうように強く要望しておきたいと思うのであります。  そこで、時間がございませんから次へ進みまするけれども、この第四次計画はもちろんでありますが、今後の電電事業の遂行にあたって、対外的に、国民的に言えば、いま申し上げたような各種の問題があるわけでありますが、これらをどうやって処理するかということが何といっても最大の課題であろうと私は思います。それとあわせて、いわば公社事業、それから郵政省の事業の中にも当然含まれることでありますが、業務上にいろいろな面における問題が今後出てくるわけであります。これが第四次五カ年計画の大綱の中では示されておらないのであります。一体今後の予算の取り扱いの関係はどうなるのか。その中には当然財政投融資を含めた資金繰りの問題も出てまいるでありましょう。それから今後の電信電話局、あるいは郵政省の持っている委託局の今後の局の建設や維持は一体どうなるのか、施設の今後の拡充や維持は一体どうなるのかという問題もございます。あるいはこれと関連をする要員の処理の問題は一体どうなるのかという問題が出てまいるわけであります。さらには電電事業の将来を見渡したときに、ある程度いわば需要の率というものはカーフが低下をして——低下はしなくとも、ゆるくなってくると思う。しかし、その後におけるサービス関係、営業関係、こういったものはさらに拡充をしなければならない。今後は、あと何十年でしょうかたった場合に、逆に電話も申し込みをある程度お願いをして歩くというような事態もこないでもないと思うのでありまするが、こういったことも含めて、サービス網の拡充という問題も当然出てまいると思うのであります。これらの問題というものは、この第四次計画の中では示されておらないわけであります。これらに関連をする局舎の問題、要員の問題、サービス網の問題、これらの問題に対して、ひとつなるべく端的に御質問をいたしますので、考え方と処理のしかたに対してお答えをいただきたいと思うのであります。  まず、要員関係でありまするけれども、第三次までのそれぞれの五カ年計画を遂行しながら、郵政省にとってはかなりの特定局における委託部門がそれぞれ自動化になりまして過員を生じてまいりました。この処理に苦慮をしてまいったのでありますけれども、この処理状況についてはあらかじめ資料をいただきましたから、ここでは御質問をいたしませんけれども、郵政省の発表によりまするならば、三十五年から四十二年の八月までに発生した過員は一万四千百七十人、その中で公社に転出した人は四千九百五十七人、三五%、退職した人が二千五百二十人、一七・八%、部内に残留をしてその他の職種に転じた者が六千六百九十三人、四七・二%、こういうようになっておるのであります。公社からいただいた資料によりますると、第二次から第三次にわたるところの計画、四十一年までの間に発生した過員は一万四千百七十四人、退職数が二千百七十三人、公社受け入れ数が五千四百六十三人、三八%となっておるのであります。若干数字に食い違いがありまするけれども、私はこれはあえて問いません。しかし、いずれにいたしましても、この発生した過員の処理にあたって、電電公社が受け入れたいままでの人数というのは大体三五%前後であります。第三次五カ年計画の三十八年から四十一年までの間は三〇%であります。私は理屈を申し上げるわけではありませんけれども、これは当然公社が行なうところの建設事業、公社が行なうところの事業計画に基づいていままで委託業務でもって取り扱った人間が実は過員になってくるということでありますから、これは原則的に言いますならば、公社が受け入れるというのが本来の姿じゃないかと私は思うのであります。原則的に言いますならば、公社が受け入れるというのが理屈であります。しかし、なかなかそうはまいりませんので、従前、郵政省と電電公社の間でいろいろな打ち合わせをし、今年の一月には協定を結んで受け入れ態勢を確立してまいっているわけであります。  そこで、四十二年度の過員は、一体四十二年度末にどのくらいになりますか。この中でもって電電公社が受け入れる人数はどのくらいを予測しておりますか。それから郵政省は四十三年の三月、四十二年度の末の過員は一体どのくらい、これはあろうと思うのでありますが、予測され、その中でもって退職を希望するもの、それから郵政省部内に残るものと予想されるか。これは電電公社と両方突き合わせてみれば一致をするわけでありますけれども、この数字は一体どうでありますか。

山本博郵政省人事局長

○山本(博)説明員 四十二年度につきましては、まだ年度の途中でございますので、これは単なる予想になりますが、年度末になりますと、大体過員といたしまして郵政省に残る者が二千四百人になるだろうと考えております。現在手元にございます資料ですと、これは八月末現在ですが、この数字でございますと、公社転出が約三割、それから退職する者が二割五分、したがいまして、郵政省に残る者が四割五分ということで、大体この数字が年度末までそう大きな変動はないだろう。しかし、なお公社とよくいろいろな点について相談をいたしまして、公社転出並びに退職者、それからまた郵政省内部における配置転換、こういうこともできるだけ促進をいたしまして、この数字を上げるようにということを相談いたしておるわけであります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 電電公社もそのとおりですか。

山本正司日本電信電話公社職員局長

○山本(正)説明員 電電のほうで推定いたしております四十二年度の受け入れ期待数は、約二千二百ということに予定しております。四十二年度の上半期におきます公社受け入れの実績は六百三十名、約三二%という状況になっておりまして、年度末までの受け入れ数につきましては、先ほどの数字を満たしますように、いろいろな努力をいたしまして、可能な限りあっせん方について努力いたしたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 今年の一月に結んだ協定によれば、大体公社は五五%の人間を受け入れる。その中で当該施設、廃止局から通勤区域内において四八%、通勤区域外において七%という割合でもって受け入れるという協定を結んでいるわけですが、  一体これは可能ですか。

山本正司日本電信電話公社職員局長

○山本(正)説明員 電電公社が受け入れるために提示いたします要員数のパーセンテージは、郵政省との協定に基づきまして平均五五%ということで提示いたしておるわけでございますが、いろんな関係で実績はそれを下回っておるわけでございます。が、こういった状態ではいろんな点で支障を生じてまいりますので、施設改廃時以外の受け入れだとか、あるいは公社側における各局所への受け入れに対しましても、できるだけ過欠員等の状況等もにらみ合わせまして、ある程度の過員になることもやむを得ないというようなことも考えまして、あらゆる点で受け入れ数を増大する措置を講じ、またあらかじめ郵政省委託局職員につきまして、公社受け入れ後のいろんな状況に対するPR等もやり、希望が増大するような措置を講じまして目標数を達成するように努力をいたしておるわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 第四次計画が終了する際に、電電公社の要員というのは一体、全体でどのくらいになるのですか。その中で運用要員、交換要員と思われるものは一体どのくらいになると予想されますか。

井上俊雄日本電信電話公社計画局長

○井上説明員 四次計画終了時につきましては、要員全体の数といたしまして約三十二万名、このように予測しております。この予測の方法といたしましてはマクロに予測いたしておりまして、部門別の予測をいたしておらないのでございます。と申しますのは、まだそのこまかいいろいろなサービスの内容等が確定しておらないということ、特に新技術をどのようにやるかということにつきまして、その構想とかデッサンはできておりますけれども、具体的にこれをやるならば何ぼとかなんとかという問題が、地域的に見ましてこまかくなっておらない。それから、個別料金をきめないとなかなかできない。たとえば、手動通話に対する料金と、自動通話に対する料金とのきめ方によりまして手動の区間に変動がある、そういったこともございます。したがいまして、マクロに予測いたしまして四十七年度末三十二万名、このように予測いたしております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま電電公社の職員局長からもお話がありまして、最大の努力をして受け入れをやるというようなお話なんですが、これから先だんだんと進むところのいわば委託業務関係の直轄化なりあるいは半自動化なりというものは、だんだんといわば都会からの遠隔地に進んでくることはもう疑いない事実であります。いままでも電電公社は約三〇%から、多いところで三七、八%の郵政省からの受け入れをいたしてきておるわけでありますけれども、このままの状態でいきますと、今後奥地山村にある特定局の委託部門の自動化なり、半自動化なりというものを遂行した際に、これを受け入れる条件というのはますます困難になるのじゃないか、このように私は思わざるを得ないのであります。これに対して一体どういうような処理をしようとするのか。私は、ただ単に、いままでのようなイージーゴーイングの形だけではこれは処理が非常に困難になってくる。もちろんつい最近では、郵政省もこれに対応するために、特別給付金制度等を設けて退職を勧奨しているというような状態でありますから、幾らか退職者もふえておりますけれども、しかしこれはまあ強要するわけにいきません。そういたしますならば、何といっても職場が変わることだけでもいろんな面において困難があり、いろいろとちゅうちょするわけでありますが、今後たいへんな遠距離の局所に通勤をしなければならぬ、こういう状態になってきますならば、ますます電電公社に移ろうとするところの人間は減ってくるのではないか。——減ってくるという言いぐさはちょっと言い過ぎでしょうけれども、なかなか行きたがらないのではないか、こういうように思うのでありますけれども、この点に対して一体どういうようにいわば新しい形で対処をしておるか、こういう点に対するお考えがありましたらお示しをいただきたい。

山本正司日本電信電話公社職員局長

○山本(正)説明員 ただいま御質問の点につきましては、まことにごもっともでございまして、いままでのような状況で推移いたしますと、おっしゃいますように受け入れ率が非常に落ちてまいるということで、先般来郵政、電電公社の関係局長が数次にわたりましていろいろこまかな打ち合わせをいたしまして、今後の具体的職員受け入れの増大措置について討議をいたしたわけでございます。  その内容の一、二を御説明申し上げますと、まず公社におきましては、従来以上に郵政委託局職員受け入れの問題を、各通信局別に責任を持たせて受け入れを行なうようにするために、通信局別の目標数というようなものを示して、その数に達するまでは最大限の努力をせいというようなことで公社側の下部組織を指導いたすとか、あるいは郵政局との連絡を強化いたしまして通信局、郵政局、あるいはその下部段階の電話局、特定局等の両者の意思疎通をはかって、相当早い段階から公社受け入れに対する準備を始めて受け入れ数を増大するというような施策を講ずるとか、先ほど申しましたが、委託局の直轄化時点における過員の受け入れだけでなしに、年間途中、あらゆる時期におきまして、施設改廃と関係のない局所における郵政過員を、公社側への転出希望がございますれば公社側の局所に受け入れるという、施設改廃時以外の受け入れなども考える。また要員措置困難局等への受け入れにつきましても、従来はその局が過員になりますとなかなか受け入れがたい事情もあったわけでございますが、公社側といたしましてもその点ある程度踏み切りまして、多少の過員は上積みをして何とか受け入れるというような点、あるいは郵政新規採用者につきましてその訓練等を公社においてある程度実施をいたしまして、それらの職員の公社への親近感を深めるとか、いろんな措置を講ずることによってできるだけ公社への転出希望者をふやそうという施策を今後積極的に講ずることによって受け入れ数の増大をはかろうというふうに考え、もうすでに実施できますものは下部段階において指導いたしまして実施に取りかかっておるわけであります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 そういういわば時間をかせいだり、何か精神的な問題で片づくことじゃありませんよ。たとえば私の群馬県で、来年度において実施しようとするところの自動化の局の中にかなりの山の奥がある。たとえば群馬県利根郡の藤原というところがある。有名な水上温泉に出てくるまでに約十八キロ、一時間かかる。冬は当然交通が途絶をするのであります。電報電話局で一番近いのは沼田であります。それまでに約二時間かかるのであります。こういったところは、あなたのいま言われたような精神訓話だけで現実に処理できますか。草津があります。これは来年度の、の中では何といっても一番大きな自動化の局でありますが、渉川電報電話局まで最低見積もっても二時間二十分かかります。これは長野側である程度受け入れるという形もありますけれども、これには限度がある。また郵政省にとってみても、公社からいただいた資料によりますならば、周辺の特定局に草津で交換要員は三十五人といっておる。三十五人という膨大な過剰定員をかかえて、これをあなたの言われたような親近感を深めたり、ある程度時間をとって勧奨していけば、いつの日にかなしくずしにこれが処理できるだろう、こういうようなことで現実のこういった距離を持った奥地の局を自動化する場合における措置として万全ですか。これだけでは処理できないでしょう、あなた。これを一体どうなさいますか。いまあなたの言った精神訓話でできるのですか。できるならできると言ってください。

山本正司日本電信電話公社職員局長

○山本(正)説明員 個々の問題につきましては、それぞれ具体的な点を検討いたしたいと思いますが、先ほど申しました公社受け入れ数の算定は、現在の郵政省との協定によりますと、発生過員から郵政における退職者、部内措置を差し引きました残留過員の五五%を公社へ受け入れるという協定になっておりまして、それに基づいてはじいた数字を公社側で受け入れましょうという約束になっておるわけであります。それに対して現在までの実績が三〇数%ということでございますので、現実に特定局におきまして発生いたします過員を全部公社に受け入れるということは、現在の協定におきましては、まだそこまできまっておるわけではないのでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 あなたのいま答弁されたのは、私の質問に答えておることになるのですか。私は何も三十五人を全部受け入れろと言っているのじゃない。しかし少なくとも五五%は責任を持って努力すると言っておる、これから先、奥地、山村についてもできるだけ受け入れを完了したいといまあなたはおっしゃっておる、その前提に立って具体的な例を示しておるわけであります。それでは、郵政省は——この中でもって、いままでの実績でいえば、三〇%ぐらいが、協定がいずれにしても、電電公社が受け入れるかっこうだ、あと七〇%、その中で退職を勧奨する人もあるでしょうけれども、しかし、その実績というのは、大体いままでの例でもってもおわかりのとおり、二〇%以内である。とするならば、あと少なくとも十五、六人残るわけです。ただし電電公社は郵政に対して、二年半ですか、委託するものに対しては経費を出すことになっているのですけれども、その後は打ち切るというかつこうだ、こういった形を見ると、郵政事業の他の職種のいろいろな面における支障を来たす、全体の要員計画にも大きな障害を来たす、こういったように思うのですけれども、これに対して一体どういう処理をされようとするのですか。

山本博郵政省人事局長

○山本(博)説明員 ただいま御指摘がありましたように、この問題は郵政省にとりましては非常に大きな問題であります。私たちも、この処理を今後現状のままで推移するということになりますと、郵政省にとって要員計画あるいは事業そのものの運行計画、そういうものに非常に大きな支障が出てくる可能性があると思います。さしむき現状におきましては、従来とってまいりました方法に、さらに公社との間にこれの促進策と申しますか、公社受け入れの数字を飛躍的に大きくしてまいる、また退職というようなものについての勧奨もできるだけ大きくしていく、それから郵政省内部においてできることもできるだけ努力していくというように、両者の間で、また労働組合との間におきましても、できるだけ理解と協力を求める、万般の方策を従来にまして講ずるようにいたしまして、このさしむきの問題というものは片づけていくということで、内容といたしまては、いま公社のほうも御披露申し上げましたし、また私のほうもそれに協力しましていろいろな方策を講じていきたいと思いますが、問題としましては決して容易ならない問題であるという認識でこれに対処していきたいと思っております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いままでのような方策でもってさらに最大の努力をするという郵政省なり電電公社の考え方を、私は決して否定するものではありません。しかし、それだけではなかなか越えられないいろいろな障害が今後出てくるのじゃないか、こういうことを言っておるのでありまして、その点に対してさらにひとつ新しい面に立って検討を加えて、要員の処理に当ってもらわなければならないだろうと私は思う。少なくとも、これだけの大きな計画をするにあたって、国民にも理解を与えなければならぬと同時に、実際仕事に携わる者の理解と協力、納得が得られることが、私はどうしても前提だろうと思う。そういう点から、私はいろいろな面から検討をわずらわしたいと思うのでありますが、副総裁どうでしょうか。そういった点から見て、私は計画は非常に慎重でなければならぬと思うのです。いろいろな面において、要員処理にあたっても、それから将来の電電公社のビジョンからいいましても、委託局制度というのは、何か必要なものだけは電電公社の直順化する、しかしあとの半自動になった面に対しては依然として委託しておる、局舎は郵便局の一部を借りておる、こういういわば委託局の制度自身に、私は考えなければならぬものがあるのではないかと思います。今後の計画の中で、電話局の建設をうたっております。かなり電話局をつくろうといっているわけですけれども、私は将来におけるたとえばサービス部門の定着化、こういった点から考えてみたときに、局舎、施設、要員、こういったものを依然として郵政省に依存をしておる——これは逓信省から分かれていった経過はありますけれども、依存をしておるという面からだんだんに脱却していく。そういった面で、ある意味におけるところの、サービス部門を主体とした電話局の設置というものも、私は考えていくことが必要じゃないかと思う。経営の健全性、その他の面からいって、いろいろな面でちゅうちょされる点があろうと思うのです。しかし、私はもう一つ遠くの時限を考えたときに、その場に至って問に合せるという形ではなくて、いまからそういった面における形を必要とするのじゃないか、こういうふうに思いますので、サービス部門の存置、委託局からこれを分離をする、こういうようなことと同時に、運用の、要員の処理を円滑にするということを私は考えていかなければならぬじゃないかと思いまするけれども、電話局の建設の今後の計画とあわせて、ひとつ考え方がありましたらお伺いしたいと思います。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 第四次五カ年計画の中に入っております世間に知れない非常に大きな難問題は、先ほど先生が御指摘のように、委託局の問題でございまして、二次、三次の計画中にもこの問題は郵政省には非常に御迷惑をかけ、両当局でずいぶん苦労してまいりましたけれども、四次こそ非常に大きな問題で、私ども前の反省の上に立って、ほんとうに公社の立場も離れて、大きな手でこの委託局の問題の受け入れについてはやらなければならぬという気持ちで、本年度郵政省とは非常に友好的な一つの取りきめがようやくできておるのが、先ほど私どもの山本職員局長が事務的に申し上げた一つの原則でございます。これも従来の年度年度の協定に比べれば、ずいぶん思い切った新しい考え方が出ておるわけであります。しかし、これは原則論でありまして、御指摘のように個々になりますと、先生御指摘のような、まことにこの原理に合わないところが出てまいります。また極端なところでは、さらさらいくところも一、二局あろうと思いますが、大部分が困難な問題にぶつかっております。しかし、私どもの五カ年計画も、ただいたずらに自動化をやりたいということではなくて、この背景には各小都市、農村のとうとうたる陳情と熾烈なる要望の応接にいとまないようなことで、ときどき私どもも、こんな大きな労働問題、経営上の問題があるなら、電話局の小さいところの改式も特にやめたいという気持ちはありますけれども、やはり大きな公共事業として国民の皆さんから強い要望を熾烈に受ける。この使命を達成するということは、公社の事業とすれば、収支はおろか、こういう問題も何かの形で克服しながらやり遂げなければならぬという、非常にむずかしい問題でございます。第四次は、特定局改式の問題が大部分でございます。そこで、この新しい両者間の話し合いの中にも、将来の予防措置としての要員なども、たとえば郵政省のほうでも、男子の交換要員も考えてみるというような一例もございまして、できるだけこの問題の苦労を少なくする予防措置も考える。もう一歩行って、いま先生が御指摘されましたような郵政委託局の現状を、何か抜本的に変える方法があるかということも、一案として考えなければならぬかと思いますが、御所見として伺いました。いま多少の委託局に、電話の営業窓口といったサービス部門などは残置して、少し改式の技術的な、あるいはオペレーティングの改式、自動化はやらないといたしましても、そうした営業部門の考慮の余地はあるか、こういう点は今後もひとつ十分検討して、何らかこの問題を最小限度に、トラブルが少なくなるように努力してみるほかはないと思うのであります。  いずれにしても、なかなかこれは私どもも好きこのんでやっておるわけではないので、非常に大きな国家的な御要望にこたえるために非常に苦しいのですが、十分これから個々にあたっては注意しまして、できるだけのことは考えて、いままでのこととは違った気持ちでこの問題には対処しなければ、ちょっと解決はつかないと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま私申し上げたように、要員の処理の問題もありまするし、それとあわせて、革命的なデータ通信その他の、いわば新技術の導入というようなことが言われておるわけでありますけれども、その一面において、小さな特定局の中でもって、たとえば、電話の申し込み等は郵政の所管の中でこれをやらせる、こういう、いわば電電事業の中身についてさえ非常な格差があるわけです。私は、これはやはり都市の要求なり、産業界の要求というものとあわせて、奥地山村に至るまで電話の需要にこたえるという立場から、これらのサービス部門の拡充なり、行く行くは郵政省にばかりたよっているんじゃなくて、りっぱに電電事業がこれまで伸びてきて、一〇〇%計画遂行したのですから、そういった点に対しても、やはり独立独歩の立場をとってやっていくことが必要ではないか、私はこういうように思っているわけであります。そういった点で、今後ますます困難になる要員の処理の問題に対して、ひとつできるだけ前向きの考え方を出していただきまして、これからトラブルをなくすように処理をお願いしたいと思うのであります。  特に私が例として申し上げた、私の所属する群馬県の草津や藤原や、その他四十三年度に起こる要員処理についても、私は抽象的なお答えだけでは納得いかぬので、具体的な処理にあたって、私の考え方もいまお示ししましたけれども、相当それも考慮に入れて、いろいろと検討していただいて、これが円滑化をはかるという立場から、具体的な処理について、私にもいろいろな面でその状態をぜひお知らせいただきたい、こういうふうに特に要望しておきたいと思うのですが、いかがでございますか、よろしゅうございますか。

田澤吉郎自由民主党郵政政務次官

○田澤説明員 ただいま公社の副総裁、並びに各局長からお話のあった、電通合理化は、ぜひやらなければならぬ国家的な使命であることは、申し上げるまでもないのであります。問題は、地方郵政の委託局の要員の問題でありますが、これがやはり一番根本的な問題じゃなかろうかと思うのです。公社の経理の問題、あるいはまた退職をすすめていく行き方、あるいはまた郵政省内でできるだけ職場を与えてやるということを積極的にやらなければなりません。これは田邊委員、ひとつ御研究願いたいのでございますが、石炭合理化法のごときものを、将来国家的な立場からつくりまして、そして第四次五カ年計画の間に、これを進めていくことが一番の問題じゃなかろうかと思います。まだこれは具体化したものではございませんけれども、どうかひとつ御研究を願いたい。私たちのほうでもできるだけこういう問題を研究してまいりたい、こう考えますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま政務次官から、いろいろな新しい角度から検討をしようじゃないかというお話がありました。私は一つの試みであろうと思っておるわけであります。したがって、そういった点を考えますならば、労働政務次官もおいでですけれども、郵政のほうでも、電電公社のほうでも、画期的なこういった近代的な事業を遂行するのでありますから、たとえばその労働条件なりというものに対しても、この計画を遂行することとあわせて改善をするという方向でなければならぬと私は思うのであります。したがって、いまのお話を私はさらにふえんをいたしますならば、こういう計画のさなかに、たとえば労働条件を改善する、労働時間を短縮するというようなことも含めて、要員の処理の問題も考えていくことが私は必要ではないかと思うのです。そうでありませんと、ただ単に余った人員をどこに入れようかということだけにきゅうきゅうといたしますならば、なかなか事業の全体的な運営が円滑にいかぬ、こういう形になろうかと思うのであります。田澤さんのお話とあわせて、労働省なり、郵政省、電電公社の労働条件の改善について、ひとつ前向きの検討をぜひわずらわしたい、こういうふうに私は思っておるわけであります。  電電事業の問題は以上でもって終わりますが、ちょっとそれに関連をいたしますけれども、政務次官いま申されたように、国の事業の中でいろいろなことをやられる際には、当然労働条件が維持されなければならぬ。たとえば郵政省から電電公社に移られる労働者がおっても、この人たちに対して労働条件がダウンするような、こういったことは絶対避くべきであるということは御案内のとおりであります。これは郵政省ばかりではないのでありまして、私は国の機関や、それに関連をする事業の場合も、当然そういったことがなされなければならぬと思うのであります。たとえば賃金の面でも郵政省から電電公社に移る人間は、当然同じ賃金をもらわなければならぬ。こういう形であろうと思うのであります。これは国の施策全体からいえば当然のことであろうと思うのですが、そういった点で、つい最近人事院勧告が出されまして、閣議決定でもってこれが公務員に対して実施をするという形になりました。当然近く臨時国会を開いて、これが改定をされる形になるわけですが、といたしますならば、国の施策に関連をするような事業体の職員に対しても、労働者に対しても、当然同じような措置をとることが私は必要ではないか、こういうように思っておるわけであります。それに関連をする機関というものは、たとえば労働法規において、労働三法の適用を受けておるといたしますならば、公社、公団、こういったところについても当然そういったことがいわれなければならぬと思うわけであります。公社等の三公社は別でありますけれども、それ以外の政府特殊法人の職員の賃金等の問題に対して、公務員と同じ立場でもってこれが処理されるべきは私は理の当然であろうと思うのでありますが、最近これらの政府機関の関係する特殊法人の労働条件に対して、いろいろな面におけるトラブルが起こり、これが処理が円滑に行なわれておらない、こういうふうに聞き及んでおるわけでありますけれども、ひとつ全般を所管する労働省としては、当然これらの労働者に対して、公務員並みの賃金その他の労働条件を与えるために、積極的にこれが措置をとるべきである、こういうふうに考えますけれども、その点はいかがでございますか。

松永正男労働省労政局長

○松永説明員 ただいま御質問の公団、事業団関係でございますが、これにつきましては、御指摘のように労働三法完全適用でございますが、政府事業という関係からいたしまして、いろいろな、純民間とは違った事情が実際上あるわけでございます。昨年におきましても、労働省といたしましても、できるだけ早くこの給料のベースアップ問題につきましても各公団、事業団が回答ができるようにということで労働大臣も発言をされまして、一昨年よりは回答が早期にできるという体制をつくったわけでございます。本年につきましても、やはり私どもといたしましては公務員に国家公務員、地方公務員等の法律が出る段階になってまいりましたので、公団、事業団等につきましても、当局側からできるだけ早く回答ができるような体制を促進いたしたいと考えておる次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 関連して。時間がございませんから整理をして申し上げますので、ひとつできるだけ的確にお答えをいただきたいと思うのです。  その一つ、いま田邊委員からも御指摘がありましたように、人事院勧告に関連をしての問題でございますが、もうすでに新聞紙上等によりますと、この当年の予算編成の中にベースアップが間に合うような勧告を行なうべきだ、こういうふうな議論が出ておりますことは御承知のとおりでございます。そのことは、この賃上げを早期に決定するわけですから非常にけっこうでございますけれども、そのことがひいてはこの人事院制度を否認するという道に通じたり、あるいは人事院制度を否認すれば、公務員のスト権の問題は一体どうなるのかという問題等にも関連してくると思うのです。そこで、人事院勧告が当年の予算編成に間に合うようにやられることはけっこうでございますけれども、いま申し上げますような人事院を否定したり、あるいは人事院を否定することになると一体公務員のスト権はどうなるのかという問題にも波及する重要な要素を持っておる問題でございますので、そういう点についての今後の労働省の方針というものを、ひとつぜひお聞かせいただきたいことが第一点。  第二点は、いま田邊委員からも御指摘がございました政府関係機関、いわゆる特殊法人の賃金決定の問題でございますけれども、これは今日までいろいろ労働省からも御配慮いただいて、政府関係機関、公社、公団、事業団等の賃金め決定というものを早期に決定していただくというようなことで配慮いただいたわけです。今日政府関係機関の労働者に対します賃金というものが、公務員並みだ、あるいは公務員に準じておると言われながら、今度の公務員賃金というものは、十二月臨時国会が開会されれば、その臨時国会の中で法律が提案されて決定されるということになりますけれども、しかしながら、実際政府関係機関、特殊法人については、従来から申し上げますならば、公務員の賃金が決定をして、その後に予算折衝が行なわれる、こういう段取りになっておるがために、賃金決定というものは非常に制限されておる。そこで私は、政府がしばしば言っておりますように、公務員並みということでございますならば、やはり政府関係機関については十一月中に決定が行なわれるべきであって、その決定に基づいて予算支出が行なわれるわけですから、したがって、十一月中にはこの政府関係の賃金というものが決定せられるべきだ、こういうように私どもは考えている次第でございます。したがって、そういう方向でぜひひとつ前向きの御配慮なり努力をいただきたい。これは私どもの所見を兼ねて要望を申し上げておきたいと思います。  時間もございませんから、以上二つの点についてまとめて申し上げましたので、まとめてひとつ的確にお答えをいただきたい。

海部俊樹自由民主党労働政務次官

○海部説明員 お答え申し上げます。第一点の人事院勧告の問題でございますが、おっしゃるようにいろいろな意見が出てきておることは事実でありまして、たとえばいつ勧告がございましても五月にさかのぼってということになりますと、御承知のように予算の年度の途中でありまして、災害であるとか、お米の買い上げ値段であるとか、いろいろなものとからんでくるときでありますから、財政上で財源不足という状態にあるところでの勧告でありますので、前年度に繰り込んだらどうかという意見が出ておることは事実であります。しかし、おっしゃるように人事院というものがございまして、それがあります以上、これをないがしろにするようなことを労働省としては考えておるわけではございませんし、所管はこれは総理府の総務長官になるわけでございますが、労働省といたしましてはそういうことではなしに、何かほかの方法で考えることはできないだろうか、慎重にこれは検討しておる問題でありまして、結論がまだ出ておるわけではございません。  第二の御指摘につきましては、早期決定が望ましいのは当然でありますので、その御趣旨に従って努力をいたしたい、こう思っております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いまの特殊法人の問題は、従前もしばしば実はいろいろな面における紛争があったのであります。いわば労働三法を適用されておりながら、予算の面では何といっても国会の承認を受けるようなこういう予算総則がとられているという、こういう中でもって、実はいろいろな内部的な問題があることは、私ども十分承知をいたしておるわけですけれども、しかし、何といっても労働者の権益を守らなければならない、こういった点から言いますならば、私どもとしてはやはりこれらの賃金決定なり、労働条件の決定というものが実質的にはかられ、なおかつ公務員の賃金ベースの決定等ともにらみ合わせて、早急にこれが平和的な解決をはかるべきである、こういうように考えておるわけでありまするから、ひとつ何といっても労働者の権益を守る所管の労働省が先頭に立って、これらの問題に対しては各公団公社等を督励をすることが必要だと思うのです。きょうの御答弁まことにりっぱでありまするから、それについて当然具体的な実効があがってくると私は思っておりますので、ひとつその実施の状態をよく注目をいたしまして、またそのつど意見を申し上げたい、こう思っておりますので、よろしく御配慮をいただきたいと思います。  以上をもって私の質問を終わります。

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ただいま田邊委員からいろいろ質問がありましたが、慎重なるりっぱな質問でございまして、なかなか傾聴しておりました。私はそれに一つ二つだけからませて、自分の質問をする前に答弁を願いたいと思うのです。  これは企画庁や郵政当局では公共料金の値上げにからんで慎重にこれに対処したいという意向、具体的には一〇%くらいしか考えないという、そういうような案さえも出た。そうなりますとなかなか値上げにからんでデリケートな状態になっているわけであります。公社側ではこのような状態であっても値上げというものを強行したいお考えですかどうか、まず公社にお伺いしておきたいと思います。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 ただいまの世論を背景として、大きな物価問題の渦中にあって、だれ一人値上げというものに賛成してくださる方はないと思います。しかし、一面事業を預かる側からいたしますと、従業員の問題、また国民の要望にこたえていく立場から、いろいろな施策を勘案して、できるだけ値上げの問題を避けていく方法も十分検討した上、すでに御案内かと思いますが、私どもは二割程度の値上げはどうしてもしなければならぬという結論に立っておるわけであります。どんなことがあってもしなければならぬというような言い方になりますと、非常に問題がございますけれども、私どもには私どもなりの理由を考えておりますので、この問題の解決につきましてはとにかく極力世論に訴え、説明を繰り返し、また批判も受けてこれに対処していきたい、こういう気持ちでおる次第であります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 郵政省当局では一〇%くらいならばということもちょいちょい報道その他で聞くのですが、一〇%とは何を具体的に指すのでありますか、郵政政務次官見えておりますから、この点御答弁を願いたいと思います。

田澤吉郎自由民主党郵政政務次官

○田澤説明員 先ほど田邊委員にも御答弁申し上げたのでありますが、大臣は何か一〇%以内がいいだろうというようなお話に受け取られておるようでございますが、先ほど申し上げましたように、この問題は一〇%とか二二%とかいう問題ではなく、やはり公共料金全体のほうをどう扱うかという問題との関連が非常に深いものですので、しかしながら、経済成長がこのように進むに伴って、電話の需要というものが非常に大きいわけです。電電公社の進めている第四次五カ年計画というものは、これはどうしても実施していかなければならない段階になっておるので、そういう立場においてこれから政府全体が、電電公社が考えておる一つの計画を実施させつつ、どういう形で、財政的にどういう措置をしていくかというのは、全くただいまのところ白紙でございまして、先ほど申し上げましたように、経済企画庁あるいは電電公社と十分な連携をとりながら検討を進めて、しかるべき案をつくりたいというのが現況でございますので、御了解願いたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大臣が一〇%くらいならば云々と申しているのに対して、いまの政務次官の考えは、大臣の考えと相反するように思うのですが、この点はいかがですか。

田澤吉郎自由民主党郵政政務次官

○田澤説明員 どうも新聞紙上では、大臣談話として一〇%ということが報道されておりますが、事実大臣のほんとうの考え方としては、電電公社から二二%の料金改定というものが出されているが、この問題はやはり公共料金全体の問題であるので、単に一〇%という問題ではなく、全体を把握してこれを決定すべきだという考えでございますので、御了承願いたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 十月の二十三日であります。ちょうどこれは電信電話記念日当日です。小林郵政大臣がその式典に臨んで来賓としてのいわゆるあいさつは名調子であったということはお聞きだと思います。そしてその内容は、公社、事業団数ある中で、一番健全に発展しているのは電電公社をもってとどめをさす、こういうような最上級の賛辞であったわけであります。そしてそれはメーカーの協力と従業員の努力によったものである、こういうふうに言ったのでございます。表彰された人や退職されんとする人は、このことばで錦上花を添えたわけであります。やはりそれを考えてみると、現在残って運営する人は、従業員でありますから、そうなりますと当然作業形態の変化があります。それと作業密度の強化も当然予想されるわけであります。そういうふうにしてみますと需要目標、これは過去の計画及び実績と比較すると、今度の計画はまさに膨大なものになっているわけであります。大都市と地方に分けても、それは明確に大臣や皆さんも知っておられるとおりに今度変わるのであります。大都市では電子交換機だとかまたは固体電子電源装置、何かSCR、こういうことで言うのだそうであります。それと集合自動電話、次々にこういうような新しいものが打ち出されてまいります。そして新技術と新方式の導入、これに伴うところの業務集約及び複局地、こういうようなことさえも当然とられるわけであります。考えられているわけであります。各部門の広範囲な影響と、ばく大な電話の架設、それと新技術の導入と業務集中に伴う作業形態と作業手順の変更、こういうようなものが当然あるわけであります。地方のほうへ参りましても、無人局の増大はいまいろいろとお話があったとおりに考えられるわけであります。それと農集電話、これが拡大します。それと区域統合による広範囲な地域の保守というようなものが問題になってくると思います。こういうふうにしてみると、必然的に業務員の増大と、それから労働密度の強化をもたらすことになり、この対策を抜きにしては今後の事業の遂行はできない、こうさえ思われるのでありますけれども、これに対する対策や準備、並びにこれに対する見解を伺いたいと思うわけであります。これは公社側にお願いします。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 第四次五カ年計画の中には、先ほど申しました電話増設の大きな計画の中に、新しい技術に対応する新規のサービスなり、新技術自体の開発を指向しながらサービスを打ち出していくというような問題を相当はらんでおります。しかし、そこでいま先生がおっしゃられたような、労働密度の強化というおことばでございますが、特に労働の密度を強化しなければこの問題を解決することはできないという意欲的な気持ちは持っておりません。ただ、ことばを広く解しまして、労働の作業条件その他は技術の進歩あるいは通信方式の変更等によりまして時々刻々変わってまいりますので、特に保守運用関係の従業員につきましては、相当な訓練と、あるいは職種の変更に伴う訓練とか、多少の職場の変更とか、そういう広い意味の労働密度の変化、特に強化と私は申しませんけれども、そういう問題にかなり大きな配慮をしなければならぬという問題がひそんでいるということを率直に認める次第でございます。これにつきましてただいま特段の具体策はございませんが、なお御質問がございますれば所管局長より御答弁させたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 答弁の簡略化をはかるために質問してある分には答えはすぐ局長のほうから出させてもらいたいと思います。

井上俊雄日本電信電話公社計画局長

○井上説明員 ただいまの御質問、四次計画の成否に関連するようなたいへん重要な問題を含んでおることは、重々承知しておるわけでございます。四次計画の中では、広く——いま先生のお尋ねの件は要員流動という問題の中でとらえていらっしゃるわけでございます。  それで四次計画の特徴といたしましては、先ほどちょっと副総裁からも申し上げましたのでございますけれども、二つございまして、一つは先ほど来問題になっておりまするところの委託局の自動化に伴う受け入れ要員、それの配転、職転問題、小局の要員等の問題がございます。それから第二点の問題は、従来よりもややテンポの早い、規模の大きな新技術、新サービスの導入、拡大の問題に伴いまして職転、配転が伴ってくるということがわりあい大きな問題であろうと思うのでございます。  第一の問題につきましては、これは先ほどちょっとそれには触れなかったわけでございますけれども、大づかみに申しまして二千局の小局の自動改式をいたしますと約二万七千名前後の過員が発生いたしまして、公社としましても一万名以上の人の受け入れを当然見越している。しかも、それをできるだけスムーズに、かつその帰ってこられた方々が仕事に応じて愉快に働ける、こういう職場も提供しなければいけませんし、公社自身の経営の目的、サービスの提供の目的にも合わせなくちゃならぬというところに新しい問題がございます。  それから第二の問題といたしまして、先ほど御指摘のございました各種の新サービスでございます。これにつきましてはまだその内容がさだかになっておりません。たとえばデータ伝送一つをとりましても、来年の夏ごろから地銀協につきましてサービスを開始しようというわけでございますが、それの保守をどうするか、どういう形態にしていくか、あるいはどういうような作業の内容になるかというような問題はその工事の段階、設計の段階から詰めておりまして、あるいはそのほか、ことしから試行サービスに入りまする集合自動電話の問題またしかり、あるいに新しい押しボタンダイヤルの問題、あるいはポケットベルの問題であるとか、そういったような各種の新しいものにつきましては実施の過程でできるだけ能率よく、かつうまくやっていくような仕組みを考えながら、従業員の負荷には絶対ならないように、——設備数に対する従業員の受け持ちの量というものは、これは技術の革新の過程において結果としてもたらされるのであって、初めから意識して従業員の負荷を多くして合理化をはかろうというわけでは毛頭ないわけでございます。したがいまして、それとの関連で逐次必要な訓練を充実して、そしてこの新しい事態に対処していきたいということでございまして、非常に観念的で抽象的で恐縮でございますけれども、まだその内容がさだかでない段階におきましては、この程度で御了解をいただければ幸いと考えます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 抽象的でありますが、大体の傾向はまあ察知できたわけです。それで、いまのいろいろ計画ですか、いわば答弁、これに関連して、もし第四次五カ年計画、実施過程でどこが一番しわ寄せを受け、被害を受けるだろうかということを想定してみます場合に、やはりこれは婦人問題、婦人労働の面、従業員の面がクローズアップしてくる、こういうように思うわけであります。特に既婚者の比率が増大してまいっております。家庭を持っているがために、その異動が困難である、こういうような事態も当然発生してまいろうかと思います。そしてこの第四次五カ年計画遂行の中で、やはりこういうようなことを勘案すると、要員の流動がどのように行なわれるのかということは、皆さん一番関心を持っているんじゃないか。これはいまの答弁で、大体まだ固まっておらない、こう、いうようなことはわかりましたけれども、田邊委員が前に質問されました残されているいわゆる小局、特定局、委託局、こういうような方面はわかりましたけれども、それではなしに、内部の部門別の要員の流動がどのように行なわれるのかということの構想についても明らかにしてもらいたい、こう思います。

井上俊雄日本電信電話公社計画局長

○井上説明員 四次計画のこれからのサービス改善というのに見合う部門別要員というものは、先ほどちょっと上し上げたのでございますが、まだ算出できる段階になっておらないということでございます。と申しますのは、サービスの具体的な内容というものが、要するにどういうサービスを実施するかということは見当がつくが、その機械設備がどういうような構造を持ったもので、どういうような内容のもので、それをどういうように配置して、いつの時点でどうするかといったようなことにつきましては、まだ明確でない部分が多分にあります。それから料金の制度の問題と関連を持ちまして自動通話、手動通話、電報の料金の問題でも、それをどのようにウェートをかけるかということによりましてトラフィックが変わってくるという面から、要員の状態がはっきりきめられないということがございます。ただ、それでは長期計画としておかしなことでございます。したがいまして、従来からたとえば加入者数とか自即化率とかというものとの相関におきまして、マクロに、ある一定年度の時代におけるところの要員の絶対数を想定をする、そしてその中で、過去でもいろいろな新サービス、あるいは新技術、あるいは仕事のやり方の変更ということに伴う要員の量的、質的なものを吸収してまいってきているのでございます。そういうわけでございますので、四次計画の中における部門別要員流動の展望というものはまだまことに残念ながらできないのでございます。  しかしながら一般論といたしまして、過去の一次から三次までの公社のサービス改善計画の中心は、公社直営局の自動化あるいは即時化あるいは自即化あるいは新しい加入者の増設ということが中心に行なわれてまいりました関係上、直営局のいわゆる女子交換手の配転、職転というものが非常に大きなウエートを持っている、あるいはそれと関連いたしまして保守要員の自動化、自即化等に伴う配転、職転がそれにプラスされてきた、こういうことでございます。しかしながら、四次計画の段階におきましては、直営局の自動化は大体ほぼ一段落をしてきておる、これからはむしろ直営局要員の量的な流動というものが従来よりもやや緩和されてくる。オペレーター中心であった時代に対しまして、今度は保守要員、一部建設要員、そういうような人たちの職転、配転が公社の現職員に対しては大きなウエートを持ってくる。それからそれに加えまして、新しい郵政省からの受け入れ要員の流動対策というものが加わってくる、大体観念的にはこういうことでございます。部門別の職員流動につきましてはまだそこまででき上がってないということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 やはりその点は中に働く人、すなわち従業員の方、まあ小林郵政大臣が功労者としてあげた二つの要因の第二番目、現在働く労働者の面ではその点を一番問題にし危惧されているのではないかと思いますので、この点等は早く見きわめをつけて十分話し合いをする必要があろうか、こういうように思うのです。  それとあわせて、ただいま田邊委員の質問は、私は傾聴に値すると思って聞いておったのであります。しかし、その中で私ももう一回触れなければならない問題が一つあるのであります。これは郵政当局であります。それは大都市、中都市の改式は現在終わって、あと残るのは地方の小都市で、大部分は郵政委託局であることは先ほどの質問でおわかりのとおりなんです。公社側もそれははっきり答弁しているわけです。そうすると委託局からの受け入れ、この受け入れ局の問題は配転、職転と申しますか、この問題がやはり大きい問題になってまいりまして、今後は要員措置の困難局が現にあるわけでございますから、これをどうするかという、この対策がいま大事になってくるわけであります。当然この問題が大事になってくるわけであります。しかし、受け入れ数をよけいにするとか、退職の勧奨をしたいとか、または内部の受け入れをたくさんにしたいとか、この三条件のほか、それらしいものはないのであります。私はやはりこの辺が今後のトラブルの一つの着火点になりやせぬかということで、心配なのであります。これは当然障害がこの面で出てくるでしょう。おそらくは要員措置困難局があり、それをいまのような状態に当てはめたならば、これは完全に消化できる、できるならば、これで私はよろしい。できない理由があるならば、どこが障害でできないのか、高邁なる政務次官に伺っておきたいと思います。

田澤吉郎自由民主党郵政政務次官

○田澤説明員 先ほど田邊委員にもお答え申し上げたのでありますが、先ほど来、副総裁並びに局長の御答弁にもありましたように、いまの時点で考えられるのは、やはり郵政省としては特別給付金制度を設けてこれを進めていく。そして公社との関係は、できるだけ公社に受け入れ態勢を拡大してもらいたい。あるいは退職者に対する待遇というのは、先ほど申し上げた給付金の問題でこれをだんだん増していく。それから郵政省内のいろんな措置も研究していくというのがただいまの時点の考え方でございます。  しかし、第四次計画の後半になりますと、単にこれだけでは私は問題は解決できないと思うのであります。島本委員仰せのとおり、非常に困難をしてまいろうと思いますので、私は先ほども田邊委員に御提案申し上げたのでありますが、これはもちろん、こういう方法ということでございます。たとえば石炭合理化法案のごとき、そういうものをつくりまして、この合理化に対して特別な、国家的な見地から手を染めていかなければなかなかむずかしい問題じゃなかろうか、こう思いますので、どうか島本委員におかれましても、こういう点に関しての卓見をひとつお聞かせ願えれば幸いだと思うのであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 電電公社のほうでは、本年度もまた身体障害者を新規採用し、それを試行しておるわけであります。成績はよいかのように私は聞いておるわけであります。郵政省のほうでも、いろいろ配達要員と申しますか、配達職に当たるような人たちは、いま炭鉱の問題が出ましたけれども、それぞれ受け入れて、完全にそれを消化しているように聞いておるわけであります。成績もこれはよいと聞いておるわけであります。それぞれの立場からやればできておるわけであります。しかしながら、やはり配転の困難なものは困難だとして、これはもう三つの条件をあげても解決ができないとすると、精神訓話ですけれども、その中に何かあるのですから、譲るべきときは譲って、出さなければならぬものは大量に出してやって、メンツを捨ててもいいから、これだけは完全にしましようということを両方で話し合ったならば、できないわけはないじゃないですか。何かにこだわって——この点は郵政省は、やはり電電公社ともっとはだかになって話し合ってもいいはずなんです。私はこういうようなことのできない理由の中には、幾つかの阻害する条件があると思いますから、その阻害されている条件は、現行のままでもできますから、こういうようなことをなくするのが、いまの三つの精神訓話を実行するためにいいと思います。これは大臣の一つの指導方針を強化して、今後実施過程においてこういうようなことは全然起こらないようにして、これを善導してもらいたい、こういうように思っておるわけであります。これに対して、これはできないならばできないと、——できるならばこれでいいのですが、いかがですか。

田澤吉郎自由民主党郵政政務次官

○田澤説明員 先ほど山本人事局長からお話がありました三つのいろいろな考え方というものに対しては、積極的に電電公社とも話し合いをいたしまして進めてまいりたいと思います。  なお、詳細にわたりましては、局長から答弁させますからよろしく。

山本博郵政省人事局長

○山本(博)説明員 方法といたしましては、いま政務次官から申し上げましたような、電電公社へ、転出する者、それから退職をする者、それから郵政省内部に残留をする者、こういう三つの方法しかございません。先ほど申し上げましたいろいろな現在の数字、パーセントを申し上げましたけれども、この数字が現在、私たちの努力といたしまして限度だとは思っておりません。率直に申し上げまして、現在まで郵政省と電電公社相互間に完全な意思疎通ができておったとは、私、思いません。特に現地のほうへ参りますと、この点について相当な阻害をする条件がございます。この点につきましても、両者、末端までの意思疎通をはかるために、それぞれいろいろな機会を通しまして、末端までそういう機運を醸成することにつとめております。そういたしますと、この面において、従来公社転出のパーセントでございました三割というような数字は相当大きく改善されると、私たちは、両者そう認識いたしております。また、労働組合との間の相互の理解あるいは認識、こういうものについても、私は完全であったとは思いません。この点につきましても、今後十分話し合いをし、協力を求めていくということによっていろいろな数字がさらに増加する。そういうこともあわせまして、現状におきましてはこの三つの方法の数字を上げていくことに最大の努力をしたい、こう考えておりますが、この数字、こういう努力というものが、それでは万能であるかと言われますと、私たちも絶対万能であるとは申し上げかねますけれども、先ほど政務次官が申し上げましたような根本的な問題も含めて、さらに両者で話し合いをしていく、こういうことにしたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 今後のその話し合いと実施の状況を注目しております。現実の問題としては、そのほうへ参りますと、具体的な例は申し上げませんけれども、あまりにもかたくなな考え方で、それを命令かまたは実施要綱としてやってしまうために、一人、二人の残留定員を置けばいいのが置かないでやってしまう、こういうような摩擦なきにしもあらず。譲るべきは譲り、包容すべきは包容して、こういうような摩擦をなくすることにこしたことはありません。これはひとつ今後の問題として、私はいまの答弁とあわせてこの実施を心から期待しておりますから、この点は十分成果をあげるようにしてもらいたいと思います。  私ども最近了知しておるのに、ことに電電公社では第四次五カ年計画を実施する。この内容は、われわれが若干説明してもらったものを見ましても、今後なお検討してみますけれども、技術革新と申しますか、この伸びが著しいわけです。それに対しまして経営陣営のほうはどうなんだろうか。もっともっと立て直しが必要じゃなかろうか。これは若干何かしたらできそうなのを、一つのワクの中にはめてどうにもできない、こういうような点がないか。すなわちこの経営陣営に対する対策、考え方、現行のままでいいのかどうか。この点は、私はもう少し深く調べてからにしたいと思いましたけれども、きょうは追及ではございません。この経営陣営の充実化について御所見がありましたら、伺っておきたいと思います。副総裁にお願いをします。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 たいへん申しわけございませんけれども、経営陣営の充実ということをもう少し具体的におっしゃっていただけたら……。

島本虎三日本社会党

○島本委員 さっき言ったとおりであります。経営陣営というのは、もっともっとこれを具体的に処理して、たとえば値上げしなくてもよいならこういうようにするとか、この程度にとどめてひとつやろうとか、こういうようなことでいろいろ考えて、民間の企業体並びに他のほうの企業体を考えながら、もっともっと陣営を強化するとか、別な方法を、機構を何とかするとかという考えがあってこれに臨むならば——そういう構想があるかないかということなんです。これはいま構想を聞いておるので、追及の課題ではありませんから、なければないでけっこうであります。なければ、郵政省のほうで、こういうような点で考えがあるなら聞いておきたいと思います。

田澤吉郎自由民主党郵政政務次官

○田澤説明員 第四次計画というものは、非常に内容の豊富な、近代的な計画でございますので、それに伴うて、電電公社の経営陣のあり方というものもやはり十分検討して、そうしてこの計画案が完全実施できるような方法にしていくのが一番妥当であろうと思いますので、島本委員のお考えを十分参酌いたしながら、きょう副総裁も見えておりますので、そういう点も入れてひとつ今後十分検討していくことにいたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは婦人労働問題に触れて、具体的な問題は労働省並びに電電公社のほうから伺っておきたいと思います。それは、政府のほうでは今後の雇用問題、この展望をいろいろ発表しておるわけでありますけれども、労働力不足時代にあって、今後それを充実させる立場から、定年制の延長だとか、または女子の労働者の雇用促進、こういう方面に努力しなければならないというような考えを労働省としては持っておられるようであります。しかし、わが国の女子労働者の賃金の点を見ます場合に、これは男子と格差がないということはいえない著しいものがあるわけです。こうして見ますと、ILO百号条約、これはもう批准されております。来年の八月ごろから発効するわけでございましょうけれども、そういうような見地からやはり女子従業員というものに対する考え方を、労働省としても新たな見地から指導しなければならないのじゃないか、措置しなければならないのじゃないか、こう考えられるわけですが、これに対する労働省の考え方をまず伺いたいと思います。

松永正男労働省労政局長

○松永説明員 ただいま御指摘になりましたように、日本の労働力事情が非常に人手不足の傾向が強まりつつある、それから、将来においてこれが解決できるかというと、なかなか解決できにくいという見通しでございます。したがいまして、御指摘のごとく、女子労働力をいかに有効に能力を発揮していただくか、また中高年でありましてなお能力のある方々に働いていただくかということが、労働力対策としても非常に大きな問題になっております。また、働く側の方々から見ましても、能力がありそして働きたいという意欲のある婦人労働者あるいは中高年の方々に、適職を与えるということも非常に必要なことでございます。したがいまして、労働省といたしましては、そういう方向で努力をいたしておるわけでございますが、御指摘のように百号条約の批准も来年には発効することになるわけでございますので、このような事情を踏まえまして、女子、特に中年以上の既婚の女子の方々の就職問題、職場における活躍の問題につきまして、労働省といたしましても、所管は婦人少年局が中心になるかと存じますけれども、今後各面におきまして努力をいたしていくつもりでございます。条約批准も、そのような角度といいますか、方向を踏まえて批准をいたした次第でございますので、そのような方向でやりたいと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いまのことばも訓辞程度にならないようにお願いしておきたいと思います。  具体的な問題はたくさんあるわけです。それは企業内部のほうへ入ってみますと、結婚退職制だとか、または女子の定年制だとか、こういうようなものがないかのように思われながら依然としてあるのです。裁判にまでなった事例さえあるのでありまして、今後政府は、こういうような目に見えない企業体の中の女子に対するこの劣悪な待遇の是正のためにも、条約が通った現在、来年度から発効いたしますけれども、この問題に対しては格段の決意を持って対処しなければならない、こういうふうに思うわけなんですが、この点、労働省としてはよろしゅうございますか。

海部俊樹自由民主党労働政務次官

○海部説明員 御指摘のとおり、女子労働者に対する地位は、百号条約をマグナカルタであると理解いたしまして、その方向で全力をあげてやってまいりたい、こう考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 電電公社のほうに入る前に、もう一つ労働省のほうに聞いておきたいと思うのです。  それは来年の国際人権年に際しまして、今度関係のある条約はもう大いに整備しなければならないわけです。それにしても十一号条約、二十九号条約、それから八十七号条約、九十八号条約、百号条約、百十一号条約、百五号条約、各条約を批准したほうがいいし、そういうふうに要請されておるだろうと思うのです。しかし、いま日本ではそのうち二十九号と、八十七号と、九十八号と、さらに今回批准された百号、この四つの条約しかまだ批准されていない状態だそうです。そうするといま答弁のありました雇用と職業についての差別待遇に関する百十一号条約と、女子労働者の権利の平等についての不可欠な要素をはっきり指摘されておりますところのいろいろな条件は、条約を批准してすぐこれを是正しなければならない、こういうようになろうかと思うわけです。いま、やはりこれは重大な法律と思いますけれども、まだ批准されないままに残っておる。なぜ批准されないのか、その理由と、いつごろ批准の見込みでしょうか。これは労働大臣がおれば一番いいのですけれども、賢明なる労働省のお二方がおられますから、代表してこの見通しを明確に御答弁願いたいと思います。

海部俊樹自由民主党労働政務次官

○海部説明員 御指摘のように、来年の国際人権年にあたりまして、ILOを通じて七つの条約の批准促進を要望しておりまして、本年六月に私が総会に参りましたときも、その強い要望がございました。御発言のようにすでにそのうち四つは批准したのでありますけれども、あとまだ三つほど批准してないものがございます。しかし、条約が批准してないからといって、それらの条件を必ずしも満たしておらないわけではないのでありまして、たとえば強制労働の禁止条項であるとかあるいは男女同一賃金の原則等、すべてこれは国内法では労働基準法で整備されておったのでありまして、(島本委員「それならば批准してしまえ」と呼ぶ)それならば直ちに批准してしまえという御趣旨でありますが、いろいろと手続等があるようでございますし、いつ批准するか見通しを言えと仰せられても、これは労働大臣もここにおりませんので、私がどうこうと言うわけにまいりませんので、詳しいことはいずれ労働大臣が来られたときに質問をして明らかにしていただきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 委員長、それでいいのでしょうか。

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 大臣がいないのだから……。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大臣がいないから政務次官がかわって来たので、大臣がいない限りにおいては、政府を、預かるのは政務次官でしょう。佐藤総理からもそういう訓辞を受けたでしょう。大臣がいないから、大臣に聞いてくれでは代行機関にならないのではないですか。基準法によってそれはもうすでにやっておるならば、人畜に被害ないからこれはすぐ批准してもいいはずなんです。これは批准を促進すべきだ、こういうように思うわけです。もうやらない理由はないのですから、やってもしかるべきではないか。いつごろに批准されるのか、そのめどというのですから、批准しないのならしない、するならそのめど、これを言えないわけはないのですから、言ってくださいよ。言わない以上、委員長を通じてこれを強力に督促させます。

海部俊樹自由民主党労働政務次官

○海部説明員 残っております三つの条約を、なるべく早急に批准したいということは、労働省ではすでに方針としては決定しておりまして、そのために御承知のように百号条約をこれに間に合うように批准をいたしたのでありますが、条約の内容の解釈のしかたにおきまして、ILOの本部自体にも考え方の相違があり、そのことばをどのように理解したらいいかということで、国内法に抵触するかしないかに若干問題点が残っておるのがございます。そのためにあとの三つが批准されずに残っておりますが、全体の精神としては、労働基準法の現在の諸規定によって批准できないような極端な、人に被害のあるような状態はいまの国内には起こっておらない、こう理解しております。文字の解釈でILO本部と意見の食い違いがある点がございます。そういう点を詰めておるさなかでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 善処を心から要望しておきます。早く批准すべきであります。  それでは質問を進めさせてもらいます。それと同時に若年労働力の不足、こういうようなあおりを食らって女子のパートタイマーがふえており、それから家庭内職というものももうすでにこれを無視できないような状態にまで根をおろしてしまっております。生活の実態の中にこれは入り込んでしまっておるわけであります。こういうような状態から、これに対する対策と基本的な方針を明確にしない限りにおいては、今後やはり何かしらみぞが深くなってまいります。そういうような考え方からして、家内労働法は次の国会あたりでも提案したいという意向のようですけれども、明確にこれは意向をはっきりさせておいてもらいたいのです。おそらくはもうこの問題については——私は決して危惧を持ちながら質問をしているのじゃない。児童手当は四十三年から実施する、われわれはそれを信じそこに曙光を見出していろいろ委員会でも審議を詰めた。ところが、やはりできないような状態である、こういうようなことになってしまうと、せっかくわれわれの期待が画餅に帰するわけです。やはりこういうような状態の中から、家内労働法は一体次の国会へ出す意向があるならばはっきり出すということをここに明言しておいてもらいたい。

海部俊樹自由民主党労働政務次官

○海部説明員 御指摘の家内労働法の問題でありますが、労働省の重点施策の一つに取り上げまして、審議会に当初お願いをいたしました結論が昭和四十四年三月までに御答申をいただきたい、こういうことでお願いしておりましたけれども、情勢はそんなに長い期間をかけて審議会に審議していただいておるわけにまいりませんので、労働大臣が審議会に要請いたしまして、さらに一年短縮をして結論を出していただきたいということで要請をいたしておりまして、労働省といたしましては立法化の作業を急いでおりますけれども、今度の国会に出せるかどうかということは、まだ審議会の結論もまとまっておらず、答申もいただいておりませんので、ちょっとその点は明確にお答えできませんが、当初の計画よりも少なくとも一年早く答申をいただきたいということを、大臣から正式に審議会のほうへ申し入れをしておる段階であります。  なお、余分かもしれませんが、委員の中にもこの法律の必要性を認められまして、きわめて熱心に調査が進んでおり、特にみずから海外の実情等も私費で御視察に行っておられる委員の方もおるくらいであります。テンポは当初の計画よりも早まることは事実である、こう考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 したがって、次の国会に提出する予定であるかどうか。

海部俊樹自由民主党労働政務次官

○海部説明員 次の国会にはちょっとむずかしいんじゃなかろうかと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 じゃ来国会に提出できるかどうか。

海部俊樹自由民主党労働政務次官

○海部説明員 次の次という意味になりますと、できる見通しでこちらは努力しておりますので——次の次という意味が、今年十二月の通常国会でございますとあるいは無理ではないかという気持ちはいたします。正直に申し上げます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 来国会は次の国会でありますから臨時国会を含むのでありますが、やはりテクニックは私がへたでしたからひっかかりませんでした。これは私もできるだけ急いで出すべきだ、これを要請いたします。  それとあわせて、通常国会は当然議会が長いのですから、これをはずすとずっと延びますから、来年というと次の通常国会ですから、おそらく来年度にはこれを実施させたいという意向であるように私は聞いておるのです。おそらくその辺まで踏み切ったって、これはおそきに失するのだから……。なぜそれは言えないのか。言いなさいよ。

海部俊樹自由民主党労働政務次官

○海部説明員 通常国会のさなかに答申が出てくるという事態でございますけれども、おそらく労働大臣が審議会に来年の三月までに答申をまとめろと強く要望しておりますのは、国会中に何とか提出できたらしたい、こういうお気持ちを持って作業をしておられると思いますので、来通常国会にはできるだけ提出できるように全力をあげて努力をいたします。

島本虎三日本社会党

○島本委員 心からそれを要請しておきます。  それと婦人の問題を特に取り上げまして、いろいろ婦人に職場として与えているところは、公社が多いところでありますけれども、その中でも最近生理休暇の請求についての手続等にいろいろトラブルがあるかのようにわれわれ聞いておりますけれども、こういうことはあってならないのであります。この点は万全を期しておられましょうかどうか。公社当局いかがでございますか。   〔委員長退席、藏内委員長代理着席〕

山本正司日本電信電話公社職員局長

○山本(正)説明員 お答え申し上げます。  電電公社におきます生理休暇は、特別休暇の一つとして制度化されているものでございます。労働基準法によりますと、生理休暇は生理に有害な業務に従事する女子、それから生理日の就業が著しく困難な女子から請求があった場合に出す休暇だというふうに規定されているわけであります。公社におきます運用解釈といたしましては、電電公社には生理に有害な業務は現在のところないという解釈のもとに、生理日の就業が著しく困難な女子職員に、請求に基づいて個々に承認をするというたてまえで休暇を承認し、運用しているわけでございまして、その趣旨に沿って休暇が運用されますよう各地方機関を指導しているわけでございまして、一、二の地方におきまして生理日の就業が著しく困難でない場合にも休暇をとったような事例が一、二出ているようでございますが、そういうことのないように善導をし、労使双方信頼の上に立って本制度の円滑な運用を期してまいりたいというふうに考えているわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いろいろ答弁を聞いておりまして、何かあるような気もするのですが、これに対するトラブルはあっちゃいけないし、ないものである、こういうような考えの上に立っての質問だったのです。何か不正な請求があればそういうようなものについては善処したいとかなんとかいう意味にとれるようなこともありましたが、そういうような実態で、生理休暇を与える手続の上で電電公社内部でもトラブルがあったのですか。

山本正司日本電信電話公社職員局長

○山本(正)説明員 トラブルと申しますよりは、請求上、ただいま申しましたように、著しく就業が困難であるかどうかといったような点について、若干見解を異にした事例も一、二のところであったようでございますけれども、そういった休暇の運用につきましては、生理休暇制度本来の趣旨に従って円滑に運用していくように指導をしているところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 やはりこの婦人労働者の社会的地位の向上、職場の確保、こういうようなことはやはり現在の過程では重要な一つの課題であります。そういうような見地から婦人労働問題というと、電電公社のほうではまずまっ先にその範を示さなければならない、こういうように思うわけであります。ましてこういうようなトラブルはあってはならないし、そして電電公社に限ってはない、こういうようなことを私は思って疑わないできているわけです。国際人権年にあたって、やはり婦人労働者の地位の向上、こういうようなことを考えます場合に、いままでもそういうようことが手続上の問題としてもあるというようなことは、私はあまりかんばしくないと思うわけでございまして、この点等、なおないように努力をしておいてもらいたい、こういうように思います。  それと、職場の確保と社会的地位の向上のために、婦人に与えられた特殊条件、これを解決するために育児休暇が電電公社の中で取り入れられ、それが実施に移されているはずですが、この結果はよろしゅうございましょうか。これに対しての苦情やいろいろなものが出ておりましょうか。これについての概略の説明を願いたいと思います。

山本正司日本電信電話公社職員局長

○山本(正)説明員 婦人の労働者の労働力向上、特に育児責任とかあるいは家庭責任というようなものを持ちました婦人労働者の労働条件の改善ということを目的といたしまして、生後満二年に達するまでの育児をかかえた女子職員から、一定期間休暇の請求がありました場合には、六カ月、一年、一年半といったような単位でもって引き続き休職をすることを認めまして、その期間満了後復職をするという制度を昭和四十年の五月から試行的に開いておるわけでございます。今年の八月までの本制度の利用者は千五百名程度に達しておりまして、私どもが見ましたところ、本制度の目的とする趣旨に従ってこれが運用され、婦人職員から好評を博しておるというふうに聞いておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 好評を博しておるということは、これは慶賀にたえない。しかし、現行においては、それ以上改善または充実の必要がないということにはならないと思います。なお好評を博されるように、内容を充実させるようにこれは検討しておいてもらいたい、こういうように思うわけであります。現在のところでは無給であったろうと思います。そうして、その間の昇給はどうなっておるのか、そういうようなことを考えますと、その内容の充実ということで、家庭的にも体質的にも女性だけが持っている一つの特質、特性ですから、そういうようなものを十分理解してやるために、現在の無給というやつを、もっと内容を充実させて、何か縁がある以上、籍がある以上、それをちゃんと見てやる、何割か保障してやる、こういうようなことについても今後の一つの課題として、当然これは考えられておるんじゃないか、こう思うのですが、今後はやはりそういうような点を考え、なおこの改善のために努力されるお気持ちがあられるかどうか、この点公社側に承っておきたいと思うのです。

山本正司日本電信電話公社職員局長

○山本(正)説明員 ただいま御指摘の点でございますが、現在の制度のもとにおきましては、休職期間中は無給ということで、満了後復職を認めておるわけでございます。休職期間中は全然職務に勤務しないわけでございまして、現在の制度のもとにおきましては、無給ということにいたさざるを得ないというふうに考えておりますが、なお婦人労働力の不足あるいはその労働条件等の問題等を合わせ考えまして、今後さらにほかの制度、婦人労働に関する、あるいは育児をかかえた婦人労働等に関する他の制度とも合わせ考えまして、総体的に改善の方向に向かっていくように引き続き検討いたしたいと考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 要員の流動が第四次五カ年計画の中から当然考えられる、こういうようなことからして、それに対する部門別ないろいろな対処もこの際検討中である、こういうようなことを聞いて、その万全を期待してやまないわけなのですが、それに対して、今度やはり人事異動や流動が激しくなれば、当然訓練問題も問題になってくるのじゃないか、こう思われるわけです。しかし技術革新のテンポに対して現在の訓練は、電電公社の中ではそれに対応して十分であるかどうか。これは副総裁、いかがですか。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 訓練の問題は、私どもかねてから非常な熱意を持っており、わが国におきましても、企業内訓練の設備あるいは教官の充実等においては、おそらくまず人後に落ちないと言ってもいい気持ちでやっておるつもりでございます。何ぶん技術を中心とした事業でございますので、非常に刻々に千変万化します事業に対処して、過去におきましてもずいぶんと苦労してまいりました。現在の段階におきましても万全を期して、何ら不足はないというまでは言えないと思いますが、十分な準備をして、教官の充実、施設の充実、新しい教育施設等の整備につとめて対処しておるつもりであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それと同時に、今後私どものほうでは、審議並びにわれわれの心がまえの上でも一つの重大な問題であると思ってこの際聞いておきたいのです。  かつて出された佐藤調査会、この答申が出ていたはずであります。これと、今回の第四次五カ年計画、これの相違点は、具体的にはどことどことどこであるかというようなことをひとつ明確にお知らせ願いたいと思います。

井上俊雄日本電信電話公社計画局長

○井上説明員 お答え申し上げます。佐藤調査会は四十年の九月に公社に答申が出されました。したがいまして、計画期間がまず四十一年から四十七年度までの七カ年計画である、それから第四次五カ年計画は四十三年度から四十七年度までの五カ年計画である、これが第一点。  第二点は、まず計画方針というものに若干のニュアンスの違いがございます。佐藤調査会では四十七年度までには申し込めばすぐつく電話の実現という理想のもとに、計画上四十七年度末の積滞がゼロという前提で当時計画がつくられております。第四次五カ年計画では、需要成長がその後非常に大きくなっておりますので、四十七年度末までには計算上積滞がゼロというわけにはまいらない。が、しかし、電話需給の大幅な改善をはかるという意味合いにおいては同じでございます。ニュアンスがちょっと違う。そこでそれにかわる四つの柱というものを立ててございます。その四つの柱といいますものは、経済社会発展計画、佐藤調査会と総合勘案して四つの柱を立てる、その方針のもとに計画が成立されているということであります。  それから第三点は、四十七年度末の需給の見通しの問題でございます。先ほどちょっと申し上げましたけれども、需要予測の基礎でありますところの経済成長率、これが佐藤調査会では七・二%というもので計算をされておる。今度の四次計画では、経済社会発展計画の四十六年度までの経済成長率は八・二%をそのまま使っておる、こういうことでございます。  それから第四点といたしましては、サービスの改善計画の具体的な工程でございますが、総額につきましては、四十三年度から四十七年度までの五カ年間だけに限りますと、佐藤調査会は三兆六千億余りでございますが、四次計画では三兆五千二百億ということでございます。若干工事費を減らしてございます。それからその中身といたしましての工程でございますが、佐藤調査会では、加入電話の充足を九百七十万やるということでございますが、今度の場合は加入電話数は九百三十万、それ以外に、そのかわり農集を佐藤調査会では四十万であったものを百三十万やる、あるいは集合自動電話を四十万、四次計画では佐藤調査会にないものをつけ加える、そういったような内容の需要工程の変更がございます。  それから、佐藤調査会のときには、たとえばデータ通信サービスといったようなものは充実しなければいけないということでございますけれども、まだその公社に対する需要の様態と申しますか、そういったものがさだかでなかったのでございます。現時点におきましては、具体的な需要が発生しておる、こういうことを踏まえまして、データ通信等の新規サービスを具体化したという点が佐藤調査会と第四次計画との違いでございます。  と同時に、行政圏、生活圏の拡大に対処していくという面から見まして、佐藤調査会にはそれは触れてないのでございますけれども、第四次五カ年計画では、具体的に四次期間中に同一行政区域内で手動局で残っているうち約千四百局を自動式に改式をいたしまして、同一市町村内の市内通話区域の拡大をはかっていく内容にしてございます。  それから、収支及び資金の問題でございますが、これにつきましては、佐藤調査会の場合は、ただいま申し上げました工程を実施していくとなりますと、収支差額で約六千億の赤字が出る。第四次五カ年計画では、約九千億の赤字が出るということに相なります。  それから不足資金でございますが、佐藤調査会では一兆六千九百十億の不定資金が出る。新しい四次計画の大綱では、一兆三千四百九十億の不足資金が出る、こういうことになります。  それから、これに対する措置といたしまして、財政上のてこ入れをお願いをするということを期待しておるわけでございますが、佐藤調査会の場合は、設備料をすべてにわたって現在の一万円を三万円に上げていただきたい、それから料金につきましては、現行料金に対しまして二二%の増収のはかれるようにしていただきたい、これが佐藤調査会でございますけれども、今度の四次計画の中では、単独加入につきましては、現在の設備料の一万円を三万円にするが、二共同加入につきましては二万円にするというところで、設備料の負担を少しく減らしてございます。ただし、料金につきましては、佐藤調査会と全く同じ二二%の増収のはかれるようにしていただきたい、こういうことでございます。  なお、これの計算の基礎、諸要素とか、あるいは、佐藤調査会の時代から二カ年たって、現在四次計画をつくっておるわけでございます。その後の借り入れ金の増加とか、それに伴う債務償還ないしは利子負担の変動あるいはその後の加入者数の変動——たとえば佐藤調査会のときよりも、四十一年度、四十二年度では、その予算の措置を通じまして、二十数万の加入者の増加がございます。そういうことによる料金収入の変動といったようなことがございまして、あるいはその減価償却費の計算も、その後の様子が判明した点を若干取り入れるとか、そういったようなことも取り入れまして、その算出根拠につきましてはそのほかこまかい幾つかの違いは出てまいっておるわけでございますが、大づかみにいいましてこんなところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大体わかりました。特にその中で、今度は農集の利用の範囲を大きく広げたい、またその戸数もふやしたい、こういうような御意向のようであります。私どもも、その問題等につきましてはいろいろこれを調査し、この内容等もある程度知っているつもりであります。しかし、やはり現行のままでやると——これは試行ということになっていたはずであります。今度あらためてこれも拡大しなければならないのに現在のままで置くということは、やはり何らかのトラブルが予想されるとも思うわけでございます。法的にこれを明確化したほうがいいのじゃないか、こう思われまするけれども、計画はわかりましたが、今後のこれを実施するための方法等についてお考えがあるならば、この際明確にしておいてもらいたい、こういうふうに思うわけであります。

秋草篤二日本電信電話公社副総裁

○秋草説明員 ただいまの御質問の問題につきましては、国会でしばしば御注意なり御所見を承っておる問題でございますので、早急に準備しまして、できるだけ早い機会の国会に提案すべく、郵政省にお願いしたいと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大体きょうは概略を、十分ではございませんが説明してもらいまして、まだこれによって私はすべて納得したのではないのでありますけれども、きょうは諸般の注意等もあり、きょうの質問は長時間でございまして、これで終止をさしておいてもらう次第であります。いままでいろいろことばその他で無礼な点があるならば、この際御容赦願いたいと思います。  それとあわして、優秀なる二人の政務次官がおられるわけでございます。いままでの政務次官の答弁等によりますと、大臣がいないからわりあいに言質を与えまいとする努力は見えましたけれども、その内容等につきましては、これはもうすでに自信を持ってやってもいい内容でありますから、それを含んで、ひとつ明確にこれを善処しておいてもらいたいことを強力につけ加えまして、私はこれで終わります。

藏内修治自由民主党

○藏内委員長代理 午後二時まで休憩いたします。    午後一時二十九分休憩      ————◇—————    午後二時三分開議 ○川野委員長休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。河野正君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 時間の制約もございますから、質問のほうも簡明にお尋ねをいたしますので、したがってお答えのほうも、ひとつ簡明率直にお答えをいただきたいと思います。  大体お尋ねしたいことは二点ございますが、一つは、今日世論をわかしておりますいわゆる挾間事件という不幸な事件でございます。御承知のように、さきにはスパイ容疑、さらには窃盗容疑というようなことで日本の一医学者がその帰国をはばまれておる問題でございまして、今日では、このことを「白い巨塔」のアメリカ版というようなことまでいわれておるわけでございますけれども、これは、今後の学術振興、それから医学研究の自由という面から、きわめて重要な要素を持っておりますので、そういう意味で一、二簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、外務省のほうで、この問題の今日までの経過について御調査なさっておるということが新聞紙上でも報道されておりますので、その御報告を承って若干の質疑を行なってまいりたい、かように考えますので、ひとつ外務省のほうから御報告願いたい。

山下重明外務大臣官房審議官

○山下説明員 お答えいたします。この事件は、ことしの九月一日に、挾間博士が奥さんと子供さんを連れて飛行場から立とうとしたときに、向こう側の官憲に逮捕されたという事件から始まったわけです。挾間博士は一年の予定で三十九年の十一月に渡米されたのですが、その後予定を延長しまして、去年の十月にはさらに延長して、九大を退職された形で残っておられたのですが、今度、日本の九大のほうでも何かいいポストがあるということで、帰ることを決意されたわけであります。そこで最初、大使館のほうは、逮捕されたという報告がありましたときに、直ちに館員の方を飛行場に差し向けまして、一応千五百ドルの保釈金を積んで身柄を釈放してもらって、その後、直ちに大使館の顧問弁護士をしておりますハジメ・タナカという二世の弁護士の方に弁護人になってもらいまして、いろいろ警察当局その他に当たりましたところ、最初の税関においてとめられた容疑は、NASAの研究を挾間博士がしていられる、そこで、NASAといういわゆるアメリカ航空宇宙局、それの資料、すなわち、連邦財産を持ち出そうとはかったのじゃないかということで連邦財産の破棄、窃盗罪、及び荷物を引っ越し荷物というふうに書いたその関税虚偽の申告、それからもう一つは、そういうものを持ち出すときにはどうしても商務省の許可をとって持ち出さなければならないというのに許可をとらなかったということで輸出管理法違反という、三つの容疑で逮捕されたということがわかったわけです。  ところが九月二十六日に至りまして、弁護士と検事総長、挾間博士の主任教授をしておられるメリーランド大学のブレンネル教授と、それから税関の関係者がいろいろ話し合った結果、挾間博士が持ち出そうとした資料は航空宇宙局の資料ではない、研究そのものは航空宇宙局の予算でやっているけれども、その財産そのものは航空宇宙局の財産ではないということになりまして、一応連邦政府の問題としては関税違反と輸出管理法違反が残ったわけですが、その後十月十四日に、メリーランド州の検察庁の要請でワシントンの警察に逮捕されました。そのときも直ちに弁護士が参りまして、保釈金千ドル、それは後に百ドルに減額されましたけれども、保釈金を積んで釈放されております。  そうして十一月一日に、メリーランド州の裁判所、これはボルチモアにありますが、そこで予審裁判というのが行なわれまして、結局メリーランド州の犯罪容疑としては、メリーランド州の大学の資料を持ち出したということが容疑になったわけですが、その十一月一日の予審裁判におきまして、弁護士側は、この持ち出そうとした資料は決して重要な財産ではない。主任教授でありますブレンネル教授は、約二千八百ドルに値する資料を持ち出そうとされたというふうに述べたわけですが、弁護人側では、これは市場で買うと全部で六百何十ドルだ。その資料の中でも、これは写真乾板というものだそうですか、それは市場で買って六百四十ドルくらいで、さらにそのうち持ち出そうとしたのは、四十箱くらいあったうちの一箱だけで、その他のものは、すでに棄却したり、あるものはそのまま残してきたも一のである、そこで実際にはごくわずかの金額のものであるという主張をして、もし重要な価格のものであればこれは重罪になるのですが、実際に百ドル以下のものであれば軽犯罪になるという法令がありますので、弁護人側はそういう点を非常に主張しました。そこで、予審裁判においては弁護人側の申し立てがかなり通りまして、裁判長も、実際にいま討議になっている乾板はあまり市場価値がないかもしれないけれども、そのほかにもまだ何か犯罪を構成するような重要な資料があるかもしれないということで、まだ釈放するということはできないということを述べて・いるように、かなりの成功をおさめているようです。  そこで今後のことですが、今後は、十一月の半ばに起訴陪審、グランドジュリーというものが開かれまして、そこでもう一回証拠並びに事件の確認が行なわれまして、それによって、陪審員によって起訴するか、不起訴になるかということを決定する段階になっているようであります。  以上が、いままでの経緯であります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 大体の経緯を承ったわけですけれども、外務省の調査によりましても、アメリカ側が言っておりますように、窃盗罪であるとか、あるいはまた関税法違反であるとかいうような論拠というものが非常に薄いし、また私どもの概念からいっても、学術研究の個人的な資料を持ち出しますことは、もう比較的常識的な問題だと思うのです。そこで、むしろ今度の問題は、いま外務省から御報告があったような事情ではなくて、日米学者間の慣習の相違と申しますか、習慣の相違と申しますか、そういう問題からだんだん誤解が生じ、感情的なもつれから今度のような問題に発展してきたというようなことが、大体真相ではなかろうかという判断というものが非常に強い。そこで、先ほど申し上げますように、全くこれが「白い巨塔」のアメリカ版だといわれておりますゆえんというものは、いまのような判断からだろうと思うのです。  そこで、この問題は剱木文部大臣非常に熱心にいろいろ御配慮いただいておるようでございますので、ひとつ剱木文部大臣からもこの間の御見解を承っておきたい、かように考えます。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 これは文部大臣の関与すべき問題であるかどうか疑問でございますけれども、挾間博士が九大の助手をされておりまして、向こうに研究に留学された、それでこういう不幸な目にあったということで、私としましては、その問題の内容等につきましてただいま外務省から御説明がありましたが、詳細な調査を承り、早く帰国できるようにして差し上げたい、こういう考え方を持っておるのでございますが、いま先生のおっしゃいましたように、一つの問題は、私は挾間教授に悪意があったとはどうしても考えられません。日本の学者と外国におけるその習慣の一つの差と申しますか、おそらく、このメリーランド州立大学におきまして研究されました論文とか、あるいはスライドというようなものを、日本の学者だったら、一応研究の成果は自分のものだということで、持ち帰るのは当然にその人に所属するように考えるのでございますが、その点につきまして習慣の相違があったのが一つの原因ではないか。  もう一つは、挾間博士は大体一年の予定で参ったんでございますが、この主任教授の非常な知遇を得たと申しますか、御信頼を得まして、どうしても延ばしてくれということで二年になり、今日まで延ばした事実がございます。おそらくそういう意味から師弟の感情の一種のもつれがあったのではなかろうかということは考えられます。  そういうわけでございますが、これは外務省にお願いいたしましても、外務省といたしましても、いま申されますように、弁護士を使いまして、直接の外交交渉という問題の対象——向こうの州なり連邦の問題にしましても、州に移ってまいりますとなおさらでございますが、外交交渉の対象にはならないだろうと思います。私は、今度外務大臣があちらに行かれますにつきましては、事情だけひとつ御承知いただきまして、外交交渉ではなしに何か話ができて促進するようなことができればと思っておりまして、外務大臣に一応お願いはいたしておるのでございますが、早く誤解が解けまして一日も早く帰国ができるように熱望しておるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 私どもが重要視しておりますのは、今度の問題は、単に挾間問題にとどまる問題ではないと思います。と申し上げますのは、私ども仄聞するところによりますと、今日日本からアメリカに渡っております留学生というものは、これは公費、私費いろいろあると思いますけれども、約五千人に及んでおる、こういうことがいわれておるわけでございます。ところが今度挾間君が研究に携わりましたのは宇宙医学の問題でございます。宇宙における脳神経の研究でございますが、そういうようなきわめて特異な、また非常に進んだ医学研究でございます。そこで、今後日本の頭脳というものがどんどん海外に流出をする、そうして研究あるいは勉学の過程の中でいろいろな資料が収集され、実績というものがあがってくると思うのですが、その際に、今度のような、誤解かどうかわかりませんけれども、処置がとられますというと、学問の自由と申しますか、特にある意味においては文化の国際交流というものが日本の文化振興策の大きな柱になっておると思うのです。お互いに外国と文化の交流をして、そのことが日本の文化の発展あるいは教育の発展というものに非常に大きな貢献をもたらすというように私どもは理解をするわけです。そういう意味で、いまのような慣習の相違とか、あるいはまた個人的な感情によってそういう学問の自由というものが阻害されるということになりますと、将来に及ぼしまする影響というものは非常に大きいから私は特にこの問題を取り上げてまいった、そういうつもりでございます。  そういう意味で、やはりこの挾間事件を契機として、日本の学者の立場なり、また学究の立場なり、そういうものを強くアメリカ側に認識させるということはきわめて重要な問題だと思います。ということになりませんと、今度のように学問の中に国家権力が介入されていくことになりますと、今後非常に重大な問題が起こってくる。特にアメリカに参って、あるいはアメリカのみならず諸外国に参りまして重要な研究に携わるといった場合には、今度の場合はデータと申しますか、プロトコールと申しますか、そういうものを持ち出したということで拘束をされておるわけでございますけれども、あるいはそれが拡大いたしますると、そういう資料を持ち出すとか、あるいは記録を持ち出すということでなくて、頭脳が日本に帰ってくるということすらも規制されるおそれが出てくると思うのです。極端に申し上げますと、何もアメリカから資料を持って帰らぬでも、その人が実際に研究しておるわけですから、その成果についてはその人がちゃんと明確に自分のものにしておるわけですから、そういう意味では、将来は頭脳の流出すら規制されるのではなかろうかというおそれもあるのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。  そういう意味で私は、なるほど今度の問題は挾間博士に対しまする不幸な一つの事件ではございましたけれども、やはりこの事件というものは、将来再びこのような不幸な事件が起こらないように、ひいては学問の自由というものがどこまでも守られるように、そういう意味で私はこの問題を解決する必要があろうというふうに考えるわけでございます。そういう意味で実は取り上げてまいったわけでございます。特に悪意でなかったということについては、この挾間君の岳父でございます中村博士が、九十通の書簡からてんまつ書なるものを取りまとめて文部大臣に提出したということも承っておりますし、これは悪意でなかったことは当然のことでございますから、もちろん外交上の問題、あるいは文教政策上の問題では直接ないかもしれないけれども、そういう挾間君の立場なり、ひいては研究者の立場というものを、やはり十分にアメリカ側に認識させてもらう、このことが私はきわめて重要だと思う。そういう意味で、なるほどメリーランド州法に関する問題ではあるようでございますけれども、私は、日本の研究者の立場というものを十分に理解させる、そういう必要があろうと思うのです。そういう意味で、幸いに三木外務大臣も総理と一緒に渡米されることでございますから、何らかの形でひとつぜひ日本の研究者の立場、それから研究に対する日本人の慣習と申しますか、これは先般も国際的な研究会、学会等が日本でもたくさん開催されておりますが、そういう際にも、日本からアメリカに参っております研究の徒というものが、向こうで研究した成果というものを日本で発表しておるわけです。その際には、やはり向こうの資料を持って帰って発表しておるわけですから、おそらく挾間君も内地に対する引っ越し荷物の中に軽い気持ちで入れたということでもございますし、ある意味においては、従来アメリカにおける日本の留学生等が、自分たちの研究した成果というものを日本の国内に発表する、そういうケースというものは非常に多いわけですから、そういう軽い意味で日本において発表するというようなことで持ち帰ったということかもわかりませんし、また、聞くところによりますると、なるほど持ち出したけれども、それはこのメリーランド大学の研究時間外において研究した資料だったということもいわれておる。そういたしますと、これは全く個人的な問題でもございますし、いまいろいろ取りざたされておるような事情ではないわけですから、そういう意味での理解というものも必要であろうというように考えますし、いずれにいたしましても、私どもはこの問題は、今後こういう不幸な事件が起こらないように、ひとつこの挾間事件を契機としてきちっと整理をしておきたい。そういう意味で私どもはこの問題を特に提起を申し上げたわけでございます。そこで、これは単に文部大臣あるいは外務大臣ということでなくて、特にきょう社会労働委員会で取り上げましたのも、医学研究という立場から、今後ますます日本の医学というものを振興させなければならぬ、そういう立場からその自由を守りたいということで、特にあえてこの委員会で取り上げてまいったわけでございますから、厚生大臣もひとつ文部大臣、外務大臣と協力をして、この問題が円満に解決し、将来とも国際的な学術の交流というものが円滑に行なわれる、そして日本の学術というものがだんだんと振興する、そういう意味でぜひひとつ御努力を願っておきたい、こういうように考えますので、ひとつ厚生大臣からも御所見のほどを承っておきたい、かように思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 日本の医学者がアメリカにおきまして、その専門とする研究事項に関連いたしまして逮捕、抑留といったような非常に不幸な事態を引き起こしたということにつきましては、挾間さんはもとより、私は、日本の医学の交流と申しますか、学問の交流、医学の進歩というような点から考えてみましても、厚生省といたしましては、この問題をぜひとも円満といいますか、片をつける、そうして将来かようなことのないようにぜひとも運んでまいりたい。そのためには私は、文部省また外務省と密接に連絡をとってもらい、かつ協力をいたしましてこの問題を解決するとともに、将来かようなことのないように運んでまいりたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 この十一月十五日にメリーランド州警察に任意出頭を命ぜられて、それぞれ取り調べを受けるという時期がございます。そこで文部大臣も、そういう時期的な判断からもいろいろと三木外務大臣にお願いになったと思うのです。そういう意味で私は時期的には非常にいい時期だと思うのです。そういうことでぜひひとつ厚生大臣も、文部大臣に加えて三木外務大臣と御相談になって、十一月十五日に任意出頭を求められる段階までに日本側の立場というものを十分理解させるように御努力願いたいということが一つであります。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、今日日本の国内から五千名も海外に留学生が出ているというような状態でもございますし、なおこの留学というものが一種のブーム化をしておる。そこで、いま大学でも非常に研究熱心な人は、海外に出て——私どもの時代は医学の研究は主としてドイツでありましたけれども、今日ではほとんどアメリカに留学の地域を求めております。そういうことで留学というものが一種のブーム化という傾向をたどっておるわけでございますから、そういう意味で今度の問題は、この留学生あるいはまた研究者の海外出張に対する一つの警鐘にもなったと思うのです。そこで、この問題をひとつ禍をもって福に転ずるように、今後次から次へとたくさんな若い研究学徒というものが海外に出て参るわけですから、その際における一つの警鐘としてこの問題を取り上げる。そういう意味で文部大臣も、若い研究者、学徒に対する一つの指導方針としてこの問題をぜひ取り上げてもらいたい。また厚生大臣も、今後たくさんな医学者が海外に出て参るわけですから、この問題を貴重な資料として、今回のような問題が再び繰り返されないように、そういう意味での配慮というものを実施していただきたい、こういうように思うわけでございます。そういう意味で、時間もございませんから、文部大臣、厚生大臣それぞれの御所見を承っておきたい、かように思います。

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○剱木国務大臣 実はその前段の問題でございますが、外交交渉という問題ではなくても、しかし日米学術交流の面から今度の問題は非常な悪影響を及ぼしますので、外務大臣として何らかの方法でこの問題を処理する方法をひとつお考え願いたい。しかも、十一月十五日に任意出頭いたしますから、ちょうど時期がいいというのでお願いいたしましたし、外務大臣も、何らかひとつよく内容を見て考えてみようということで、いまお調べいただいておるわけでございます。  それから、アメリカに対しまする医学研究の留学生が非常に多いのですが、最近におきまする医学——私は専門ではございませんけれども、先生はよく御存じですが、やはり最近の医学の進歩、進展というものは相当早いようでございますので、日本の研究者が、ぜひひとつアメリカで研究してまいりたいというので、相当いまたくさんな者が留学をいたしておるのは事実でございます。しかし私は、今度の挾間博士がお帰りになりましたら、詳細にひとつその間の事情を取り調べまして、これは習慣の相違もありましょうし、また研究者も、取り扱い方についても気をつけなければならない点がございますから、将来留学される方々に対しまして、アメリカに対します心がまえと申しますかについて、いい機会だと思いますので、十分これを活用して将来にそういうことのないように措置をいたしたいと考えております。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 問題は、ひいては国民の治療の問題にも関係するという医学の問題でございますので、厚生大臣といたしましては、先ほど来の文部大臣のお答えのように、この問題につきましては、できる限りこれは円満なる解決をするとともに、さらに将来かようなことのないようにつとめる。またアメリカ留学等の問題につきましても、よく文部省と相談をいたしまして、できる限りのことをしていきたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこで、外務大臣御出席でございませんから、いま剱木文部大臣あるいは坊厚生大臣からもいろいろ御所見の開陳がございましたので、その点を十分ひとつ三木外務大臣にお伝え願って、そうしてこの問題を政府一体となって解決の方向で努力していただくようにひとつお伝えを願いたい、こういうふうに思います。

山下重明外務大臣官房審議官

○山下説明員 わかりましたから、よく外務大臣にお伝えいたします。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 時間がございませんので簡明にお尋ねしますので、簡明にひとつお答えをいただきたいと思うのです。  それは、最近医療費も上がりましたし、それから前国会においては、健康保険法の特例法が、一方的でございますけれども成立をいたしました。いずれにいたしましても、健康保険の抜本改正を早急にやらなければならぬ時期が迫っておるということは、これはもう何人も否定することのできないところでございます。  そこでお尋ねをいたしたいと思いまする点は、新聞その他では、この抜本改正に対しまする構想と申しますか、時期と申しますか、そういうものが若干報道されておるようでございますけれども、この国会の席上においていつ抜本改正を発表なさる御意思があるのか。この点は、やはり今度の健保法改正等によって、国民の負担というものはかなり加重されてまいっております。国民としても、自分たちの健康を守る意味において、今後健康保険法というものがどういう形で改正されるだろうか、そういう意味でも深い関心を持っておると思うのです。そういう意味で私は、やはり大臣がこの席上において、健康保険法の抜本改正をいつの時期に明らかにされるか、その時期についてひとつお示しをいただきたい、かように思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 御指摘のように、保険の抜本改正ということは、これはどうしても実施しなければならないということは、今日までの諸般の経過から見ましても当然のことでございまして、しかも、この問題につきましては、国民の各層各界から非常に関心を持たれておるということも、これはもう事実でございまして、さような意味におきまして、一体政府が抜本改正についてどういうような構想を持っておるのかということも、これも非常に注目されておるということは、私どもも痛感をいたしております。しかし、さような意味におきまして、そのこまかいところまではいかぬにいたしましても、一応の方針というものは、できるだけすみやかなる機会にこれを発表いたしたい、かように考えておりますが、河野委員十分御案内のとおり、これは非常に複雑多岐なものでございまして、関係するところが非常に広く深いというようなことで、なおまた抜本改正をやるにいたしましては、これについての周辺の非常に広い範囲のことも考慮をして考えてまいらなければならないといったようなことでございますので、鋭意今日まで厚生省におきましては作業を続けてまいっております。これについての基本方針、根本的態度といったようなものは、与党等との話し合い等もございまして、まだそこまでは至っておりませんけれども、私は、大綱、方針といったようなものにつきましては、できるだけすみやかな機会に、もうあまりおそくならぬ機会にこれを発表いたしまして、そうして一般の御批判を請いたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 なかなか煙幕を張ったようなお答えですけれども、新聞紙上では、佐藤総理の訪米前にやるのか、あるいはまた訪米中にやるのか、あるいはまた訪米後にやるのかというように、佐藤総理の今度の訪米を中心にして時期判断がすでにいろいろ報道されておるところです。したがって、すみやかにすみやかにという抽象的なことでなくて、まあ十二月から臨時国会が開会されるわけですから、十一月中には発表するならばするというふうに、非常にわかりやすくひとつお答えをいただきたいと思うのです。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 決して、佐藤総理の訪米ということを一つのめどなり標準なり、さようなことは考えておりませんけれども、これはたまたまの問題でございますが、佐藤総理が訪米中、日本を不在にしておるというような時期、これは十二日から二十日までくらいの間、そういったようなときにあるいは発表の段取りになるかもしれないということがございますので、そこで私が——これはさまったことでは決してございませんが、総理に対しまして、ですから、実はそういうことがあるかもしれないということを私から申し上げておいたようなことでございまして、大体お察しをいただけるのじゃなかろうか。ただ、訪米前とか、訪米中とか、訪米後とか、さようなことを考えておるわけではございませんが、もし早ければ総理が御不在中にあるいはそういうことがあるかもしれない、こういうことでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 大体総理の訪米中に発表する可能性があるということですから、私どもも大体理解できます。  そこで、新聞その他報ずるところによりますと、自民党の政調会とすみやかに調整をはかりたい。その調整ができるのがおそらく総理の訪米中になるかもわからないということだと思うのです。発表する以上は、結局構想というものを発表しなければならないのですから、そういうことだと思う。そこで、最終的に自民党の政調会と調整されたわけではないけれども、調整するについては、一応厚生省としてのビジョンと申しますか、構想というものがなけらねばならぬと思うのです。そういう意味で構想を、この際、最終的な問題でなくても、大体はこういうことを考えておるのだという点をひとつ明らかにしていただきたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 何しろ政府・与党でございまするから、政府の案といったようなものができるという場合には、これはいずれにいたしましても政府・与党の関係で、一与党の、全部こまかいところまでそうはいかなくとも、一応これでよかろうかというようなことの経過は、ひとつたどってまいらなければならないと思っておりますが、目下のところは、私はまだ与党にも、こういうものであるとか、こういう方針であるとかいうことを申し上げていないというような段階でございまして、そういうようなわけで、まだほんとうに最後の——最後というのは決定的な最後ではございませんけれども、厚生省の試案と申しますか、そういったような程度のものも今日はまだ固まっていない、こういうような状態であります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 それならお尋ねしますが、厚生大臣は佐藤総理に会って、そして健康保険の抜本改正についていろいろ意見を徴された、それについて総理からも何らかの具体的な指示があったというようなことが報道されておりますが、佐藤総理からは、どういう方向で検討しろというような御指示があっておるものか、その辺の事情をひとつ明らかにしていただきたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 佐藤総理とお目にかかりまして、私が主として総理に申し上げたことは、これからの段取りというものをどうしていくか。先ほども申し上げましたとおり、総理御不在のうちにもしもこの案というものが世間へ出ますと、これは当然批判もあり、御意見もあり、議論が生ずる。また、これを私はぜひ出していただきたい、かように思っておるわけでありますが、それは、総理が東京なり日本におられるときに、そういう議論、物議が起こってくることは当然のことでございますが、もしおられないときに起こってくるということもあり得るから、そこのところはひとつ御了承を願いたい、こういうことを総理に申し上げて、総理はそれを了承された、こういうことでございます。  しからば、その内容についてまだ申し上げるというところまでいっておりませんが、しかし総理が強調せられましたことは、とにかく給付が非常にバランスがとれてないじゃないか、そういったようなことだとか、費用負担といったようなことも不均衡じゃないか、そういったようなことはぜひ是正をしていかなければならないということと、それから、せっかく保険制度が抜本的に改正せられるというようなことがあっても、僻地における無医村等に対する対策は一体どうなっておるんだ、国民皆保険という非常にきれいな普及した制度ができても、肝心かなめのお医者さんがいないというようなことで、保険治療ということがその面において実施できないということになれば、これは国民皆保険という観点からしたならば、実際はその実があがらないじゃないか、ほんとうに保険が整備せられたならば、その保険の恩典というものを何とかして国民みんなが同様に享受することができるように持っていかなければいけないじゃないか、そういったようなことを強く言われた。  それからもう一つは薬の問題でございますが、あまりに薬が乱用されておるんじゃないかといったようなことを非常に強調せられたのでございまして、その抜本改正の内容について、どこをどうしていくんだといったようなところまでは申し上げる一わずかに二十分間でございましたので、抜本改正の話を申し上げるとなると、これは二時間や三時間を必要とするわけでございますが、そこの内容については詳しく申し上げる機会は全然なかった、こういうことでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 厚生大臣がおっしゃるのには少少矛盾があると思うのです。総理大臣が内地におられればいつでも相談されるから、いまのような話し合いでいいと思うのです。ところが、総理大臣がアメリカに行かれるわけですから、厚生大臣としては、抜本改正についてはこういう方向でやりたいということを申し上げて御了解をいただかぬと、それはもう具体的にアメリカに行っている総理と相談するわけにいかないのですから、そういう意味では、ここで中身を言うと議論が沸騰するのでというような心配から非常に遠慮されておるかどうかわからぬけれども、いま厚生大臣がおっしゃっておることには矛盾があると思う。総理が外国に行っておられるわけだから、やはり了解をとるについては、ある程度の具体的な骨子というものを示して了解をとらなければならぬと思うのです。内地におられればいつでも相談されるわけですから、そういう意味ではいまの厚生大臣のお答えはどうも納得いきません。時間がございませんから掘り下げていくわけにまいりませんが、納得いきません。  それと、総理大臣が、皆保険体制のもとであるので辺地の対策について万全を期せ、これは総理大臣としては非常なヒットだと思うのです。厚生大臣顔負けですよ。これは非常に私は佐藤総理のヒットだと思うのです。全くそのとおりです。だからその点は佐藤総理に対して、心からこの発言については敬意を表したいと思います。ところがその他の点については、いま国民が一番心配しておるのは、抜本改正が行なわれるのはけっこうだけれども、そのために国民の負担というものが加重されはせぬだろうか、こういうことだと思う。そういう意味で私は、国民というのはこの健康保険法の抜本改正に対して非常に大きな関心を持っておると思うのです。そこで、新聞紙上で私どもが承っているところによりますと、今度の抜本改正というものは赤字財政対策というものが中心だ、こういうことが書かれておるわけですね。ですから大臣はここで、何にもないのだ、白紙だというような御議論ですけれども、どこかでそういう議論が出てきている。ところが、いま国民の重大な関心というものは、先ほど申し上げますように、赤字財政というものを解消していく、それが中心になった場合に一体国民の負担というものはどうなるだろうか、医療保障制度というものはどんどん後退するのじゃなかろうか、この点が国民が関心を持っておる一番大きな理由になっておると思うのです。ですから、私はきょう率直に言って、抜本改正は早急にやりたい、その時期は総理がアメリカに行っておられる期間になるかもわからぬという点が聞きたかったのが一つ。それからもう一つは、大体抜本改正は骨子としては、具体的には、それぞれ関係者がおるわけですから、今後いろいろ関係者の意見も聞き、審議会の意見も聞かなければならぬでしょうが、どういう方向でやりたいというようなことは、私は厚生省として腹づもりはできておると思うのです。ですから、叩きたいと思うことはおっしゃらないから、私ども首を締めて聞くわけにはいかぬからこれはどうにもならぬわけです。その点は非常に残念に思います。ただ今度医療費が上がりましたね。七・六八%上がった。ところがいま問題になっておりますのは、耳鼻咽喉科だけは処置料が下がっているわけですね。だから耳鼻咽喉学会では、保険医総辞退というような議論も出ておるわけですけれども、やはり物価が上がり、物件費が上がっておるわけですから、この合理的な医療費の引き上げというような形が必要ですね。適正な医療費引き上げが必要ですけれども、下がるという手はないと思うのですね。それらの点については私は、やはり学会の意見というものを十分お聞きにならなかった、そういう結果だと思うのです。ですからこの抜本改正についても、やはり学会のあらゆる意見というものを聞いて、それで国民の納得されるような形でやらないと、また次の国会も、ああいうような前国会のようなことにならぬとも限らないと思うのです。そういう意味で私はこれは建設的に申し上げているのです。ですから厚生大臣がビジョンというものをお示しになれば、私どももそのビジョンに対して事前において十分検討を加える、そういう気持ちできようお尋ねしたかったわけですけれども、その点については大臣からもお聞かせ願えないということで非常に残念に思います。しかし、それはいずれにしても機会を見つけて大臣にもお尋ねしたいと思いますけれども、ひとつ各界の意見を聞いて国民の納得のいくような形で抜本改正をやるということがきわめて重要だということを、ぜひ念頭に置いていただきたいと思うのです。そうでなければ、また前五十六国会のような繰り返しが行なわれるだろうということを私どもおそれるがゆえに、ぜひ各界の意見というものを十分聞きながら抜本改正に携わっていただきたい、そういう点について御見解をひとつ承らしていただきたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 抜本改正は、非常に根も深いし、幅も広いというような問題でございますので、そういったような問題を処理し解決していくためには、どうしても各層各界の御意見に徴してまいらなければならないということを、私も痛感いたしております。さような意味におきまして、正式の社会保障制度審議会、社会保険審議会あるいは中央医療協といったようなものがつくられておりますが、さようなところの御意見も承りますし、さらにまたその他のところの御意見も承ってまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、その内容が非常に複雑多岐でございますので、そこで、全部の皆さん方に御満足をいただけるといったようなことは、なかなかこれは期待できないと思いますけれども、その中でもしかし公約数をとりまして、できるだけさような各方面の御要請におこたえできるようなものにしてまいりたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 この点は制度上の問題ですから、いずれ機会を見つけていろいろ討議したいと思いますけれども、いままでの諮問のあり方を見ておりますると、社会保障制度審議会の諮問に対しましても、社会保険審議会の諮問に対しても、それぞれほとんど事後承認、それに近いような形での諮問が行なわれておる。たとえば予算関係は、すでにもう予算を編成してそのあとに諮問されるわけですから、どうにもならぬ、こういう経過があったと思うのです。もちろんこれは制度上の問題ですけれども、私どもはそういう制度についてはやはり若干強い批判を持っております。  そこで、なるほどそれぞれ諮問機関の意見をお聞きになることは、これは制度上の問題ですから当然のことでございますけれども、これが事後承認という形で行なわれるような今日までのあり方については、非常に大きな問題があると思うのです。ですから、むしろそういう諮問機関の意見を聞いて、その諮問機関の意見を中心として厚生省が抜本対策に対しまする原案を練る、こういう形が私は望ましいと思う。ところが、どうもいままでのあり方を見ますと、その逆になっておると思うのです。しかし、これは時間もございませんし、約束の時間がもう参りますので、いずれ機会を見つけて申し上げたいと思いまするけれども、この諮問機関に対しまするあり方、これは再検討の必要があると私は思うのです。これについてちょっと大臣から見解を承っておきたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 各種の諮問機関と制度上予算編成をいつやるかということと、どうも一向有機的な結びつきがない、いま河野さん御指摘のとおり。私も、そういうようなところに、これは非常に考えていかなければならない、こういうことを痛感いたしております。これは制度の問題でございますので、今日すぐ間に合う問題ではございませんけれども、ここらの点は大いに検討して、そうしてうまく結びついていくというように持っていかなければならないことだ、私はそういうように考えております。

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 西岡武夫君。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 去る十一月一日発表されました原爆被爆者実態調査について質問いたします。  ようやく待望の実態調査の結果が今回出たわけでありますが、今日まで原爆被爆者に対する施策は不十分であると言われながら、その実態が二十二年間も明らかにされず、放置されてまいったわけであります。これは一体どういう理由でこういうことになったのか。全くこれは政府の怠慢としか考えられないわけでありますが、大臣のお考えを承りたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 国がその責任におきまして全国的な規模で行なった調査は、御指摘のように、このたびの結果を発表いたしましたこれが初めてでございますけれども、これ以前にも、昭和二十五年十月一日の国勢調査に付帯して行なった被爆生存者の全国調査、それから昭和三十五年十月に広島、長崎両県が行なった実態調査がございます。また、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の施行上必要な範囲で被爆者の把握につとめてまいったことは、西岡委員も御案内のことと思います。また、医学的な面については国立予防衛生研究所、広島大学付属原爆放射能医学研究所、長崎大学医学部付属原爆後障害医療研究施設、広島、長崎の原爆病院等において被爆者に関する調査研究が続けられてきたのでございまして、大がかりな全国的な調査をやったのは今度が初めてでございますが、それまでにも手をつかねておったということではございませんことを御了承願いたいと思います。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 今回の実態調査の結果を大臣ごらんになって、総体的にどういう御印象だったか、それをお聞かせいただきたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 今度の調査結果におきまして、被爆者全体を全般的に見た場合には、国民一般に比較して特に著しい差があるとは認められなかったのでございますが、しかし、その半面、被爆後二十年を経過した今日に至っても、なお依然としてケロイド、白内障などの身体異常やその他の身体障害のある者が存在し、あるいは所得、就業状況、就業上の地位、転職の状況等の諸点において他の一般国民との間に差異が認められるなど、被爆のつめあとがなお今日まで被爆者の健康と生活の上に残されておるという事実は、これは率直に認めざるを得ない、かように考えております。  今回の調査は、今後の対策の方向づけをするという意味で非常に貴重な資料であり、個々の調査の結果は、今後の施策を決定する場合の重要な資料の一つであると考えております。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 政府はこれまで原爆被爆者対策のおくれについて、実態調査の結論を待って早急に施策を行なうと、しばしば表明されてきたわけでありますが、そこで今回調査結果が出ましたこの時点で、どういう形でどういう施策を具体的にお考えか、それを承りたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 今回のこの調査は、今後の対策の方向づけをするという意味で非常に貴重なる資料でありまして、個々の調査結果は、今後の施策を決定する場合の重要な資料の一つであると考えます。  今回の調査結果によれば、被爆者全体を、先ほども申し上げましたとおり、全般的に見た場合には、全国一般と比較して著しい差は認められませんでしたけれども、個々の調査事項について見ますと、注目すべき差も見られますので、このような点については対策の検討の上で十分考慮してみたいと考えます。  また、今回の調査は、被爆者を集団として一時点の断面をとらえたものでありまして、調査としての意義は十分にあるとしても、おのずからそれには限界がございます。被爆により現に健康及び生活が不安定な状態にある人々の実態をすべて解明したということは考えられないことだと思います。したがいまして、この調査結果や従来の諸資料、そういったようなものを総合的に検討いたしまして、そして慎重に今後の対策を考えてまいりたい、かように考えております。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 そうしますと、被爆者に対する対策を行なうために、たとえば被爆者援護法というような単独法をもってこれの対策に当たるというようなお考えはございませんか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 被爆者に対しまして今後どういったような施策をやっていくかということを今日検討をいたしておるところでございまして、この施策の内容のいかんによりまして、あるいは援護法の形式ということになるか、またそうならないか。要するにいかなる対策を考えていくかということが先決でございまして、そういった対策を実現していくためには、どういう形式をとったらいいかということを考えてまいるべきものでございまして、いま直ちに援護法でやるべきだ、そういうふうな考えは今日は持っておりません。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 そうしますと、被爆者に対する対策は、四十三年度に具体的に予算を計上して、これに織り込むというお考えはいかがでございますか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 被爆者に対する具体的な対策の内容につきましては、ただいまもお答え申し上げましたように、これの検討をいたしておるわけでございますが、とりあえず四十三年度から、その中でも実施すべきものはぜひとも実施してまいりたい、かように考えております。  予算の要求との関連につきましては、そういったようなことをできるだけすみやかにコンクリートにいたしまして、要求すべきものは追加要求してまいりたい、かように考えております。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 いまからでも四十三年度の中に織り込むのに十分間に合うわけですね。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 いつも予算は、原則といたしましては、八月三十一日をもって各省の概算要求は締め切られておりますが、新規政策の重要なるものにつきましては、しゃくし定木に八月三十一日ということではございませんで、その後におきましても、新規の重要な政策というようなものならば、これは扱うというようなことに相なっておるのでございますから、もしも原爆被爆者に対する対策を、ぜひとも政府としてこれはやらねばならぬといったようなことが決定されれば、予算としての扱いの道は開かれておると考えております。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 次に、調査に関連をいたしまして御質問いたしますが、今回の原爆被爆者実態調査は、もちろん世界で初めてであります。そういった意味では、世界的にも注目をされていると思われるわけでありますが、これが今後の対策の基本になるということからいっても、非常に重要であると考えます。そこで、大臣は今回の調査の結果について、十分にその実態を把握している、それを物語る権威のあるものであるという確信がおありでございますか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 今度の調査と申しますのは、先ほども申し上げましたとおり、全面的に一応大がかりな全国的な調査をいたしましたものでありまして、いずれにいたしましてもその調査は、どの角度から見ても完全なものだなどということは私は考えておりません。しかし、今日ただいま実施することのできた調査といたしましては、その調査によりまして今後の施策を決定していく上において、先ほど申しましたとおり、この調査だけではない、ほかの資料等も総合的に検討していくということによりまして補完をいたしまして、そしてこの調査によって今後の施策を考えていくということを考えております。  なお、いろいろの不備、欠点があるじゃないかということにつきましては、将来さらに考えてまいりたい、かように考えております。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 今回の調査結果につきましては、原爆関係者の間からすでに相当手きびしい批判が出ていることは大臣も御承知のことと思いますが、その調査方法、内容等につきまして、主として事務当局でけっこうでございますから、お尋ねをいたしたいと思います。  まず初めに調査の方法でありますが、被爆者の健康、生活状態は非常に複雑多岐にわたっております。それがしかも二十年間も放置されてきた現在で行なわれた調査でありますから、二十分の一の抽出による調査で全被爆者の実態をほんとうに正しく知ることができたかというと、これは非常にむずかしい点があったのではないかと思うのでございますが、どうお考えでございますか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 お尋ねの健康調査の実施の方法について、専門的な角度から判断してよろしいのかどうかという意味のお尋ねでございますが、実態調査の結果の報告書の中にも記してございますけれども、今回の調査は三つに分かれておりまして、第一番目は基本調査、第二番目は健康調査、第三番目が生活調査、こういうふうになっておりまして、この第一番目の基本調査の結果につきましては、本年の二月に発表いたしまして、これは対象を全域にわたって調査をいたしました。健康調査と生活調査につきましては、調査の内容につきましても、技術的な面あるいは事務的な点にむずかしさがあるという判断が一点ございまして、これは基本調査とは変わりまして、悉皆調査ではなくて、これも統計の専門家によってデザインをしてもらいました層化抽出法というふうな方式をとりまして、広島、長崎両市県、それから千人以上の被爆者のいる県、これは十二ございますが、これらの県の中で、先ほど申し上げました層化抽出法で二十分の一を選び出して、これについての健康調査及び生活調査を実施していく、こういうわけでございます。  なお、生活調査につきましては、大体対象の九〇%あまりが調査を終わったわけでございますが、健康調査につきましては、一万三千六百名の対象に対して九千名あまりの健康調査に終わった、この点がいろいろ御指摘がございました。西岡委員の御質問もこの意味を含めての御指摘だろうと存じますが、この点につきましては、——健康調査という技術的な面が一つ加わりまして、生活調査をいたしますときに、あらかじめ被調査者の日程をいろいろ聞きまして、都合のいい日時と都合のいい場所というふうなものを、保健所でございましたが、おおむねそういう事前の打ち合わせをしながら実施をいたしました。その結果が御案内のように九千名余に終わったわけでございますが、この結果をいろいろ分析してみますと、私どもは、全部を調査できなかったというふうな点についての反省はございますが、この三千名が抜けたという段階の中で、この健康調査について不備がある、著しい相違を来たすというふうな判断はいたしておりません。そんなふうに考えておりまして、この二つの調査につきましては一応統計的な専門家の意見も聞きながら実施をしたということでございます。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 いまもお話があったわけでありますが、健康調査を受けなかった人が四千五百五十一人ということになるわけですが、この人々の中には、保健所に出かけるのに、からだのぐあいが悪かったというような支障があったために行かなかったという場合も考えられるわけであります。しかも、この二十分の一というモデルの中の三割強の漏れがあったということは、統計上も非常に大きな誤りがあるのではないかという考え方もあるわけでありますが、その点はどういうふうにお考えでございますか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 健康調査の結果、調査を受けられなかった者が三分の一程度出た、これをどんなふうに理解するかというのが御質問の要点かと存じます。一応生活調査もいたしましたときに、従来法律に基づいた定期の健康診断というのを毎年実施をいたしております。この定期の健康診断をあなたはこの一年間受けたか受けないか、受けない場合にはどういう理由があって受けなかったのか、こういう意味の実は調査をいたしたわけでございます。この中で、元気だったというふうな回答をした者が約六割、六〇%余り、これをもって、だから、三千名についてはほとんど異常ないんだという判断は申すわけでございませんが、ここで申し上げられますことは、この健康調査と並行いたしまして、実は千二百名ほどの病院に入院している患者の調査もあわせて行ないました。この調査の結果はただいま集計中でございますが、この調査と合わせてまいりますと、三〇%の中に、かりに非常に健康上阻害をされているというふうな対象が抜けていたという前提を置いても、入院患者の調査と合わせることによってある程度補えるのじゃないかという判断を私はいたしております。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 先ほどから漏れている人数が三千名というお話ですが、これは四千五百五十一名ということになると思うのですけれども。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 失礼しました。三分の一ということで、大体それくらいでございます。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 次に、健康調査の一番ポイントであります医師の判定についてでありますが、これは報告書を読んでみますと、血液、血圧等に異常がなければこれを健康体として精密検査の対象にしていないかに見られるわけでありますが、そういうふうな形で行なわれたわけでありますか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 今回の検査の項目は、調査の概要にも項目だけあげてございますが、申し上げますと、「被爆後二か月以内の身体の異常」というのがございます。それから第二点になりまして、現在身体的な障害があるかないか、さらに身体の異常があるかないか、あるいはまた医療にかかっているかどうか、そういうことの項目の中に、いま御指摘のございました血液の検査、それから血圧の測定、それから尿の検査、こういう原爆の医療法の中に示されておりますスクリーニングを一応最初にやりまして、一般検査項目について実施をいたしました。この結果異常があるというふうな判断をされた者につきましては精密検査を実施した。この精密検査の結果につきましては概要報告には載せませんでしたが、約二〇%程度が精密検査の中に回っております。この検査の中では、たとえば肝臓の機能の検査であるとか、あるいは一部でございますが、ガンの診断をするとか、相当詳しい検査とあわせて実施をいたしたわけでございます。   〔委員長退席、藏内委員長代理着席〕

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 それは精密検査の場合にしたのであって、全体としては肝臓機能の検査などは行なわれなかったと見られるわけでありますが、そういった肝臓の機能検査等、多分に被爆者が影響を与えられているであろうという内臓関係の検査等をもっと数多くすべきではなかったかと考えますが、その点はどうお考えですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 肝臓の機能の検査についてでございますが、これはまず最初実施をいたしますのは尿の検査であります。この尿の検査によって、ある程度肝臓に障害があった場合反応が出てくる。この尿検査の結果反応が出ている、そういう疑いのあるものについては肝臓機能の検査をやる。この尿の検査についてはほぼ健康診断を対象として実施をいたしたわけでございます。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 次に生活調査についてお尋ねいたしますが、この生活調査に当たった調査員の方々は、どういう方々に当たっていただいたのか、どういう資格でこれが行なわれたのかについてお尋ねをいたします。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 今回の調査に当たりました調査員につきましては、広島と長崎の各県につきましては、広島の場合につきましては、国勢調査の調査員、この方に委嘱をいたしました。また長崎の場合につきましては、市町村の主として衛生、民生関係の担当者及び民生委員の中から選考いたしまして、これらの方々につきましては、特に研修と申しますか、事前の打ち合わせを行ないまして、調査の方法につきましてはできるだけ間違いのないような方法をとったわけでございます。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 ちょっと聞くところによりますと、長崎の場合に、調査員が非常になれていなかったということが原因で、相当数の誤った記載その他が見られたかに聞いておりますけれども、そういう事実があったのでございますか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 ただいま申し上げましたように、調査の事前の打ち合わせにあわせまして、調査の結果の集計の過程の中でも、それぞれの表につきましては、その地区の担当衛生部局の方々といろいろ綿密な検討を加えました。結果的には私は特にそういうことに誤りがあるというふうには判断をいたしておりません。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 今度のこの実態調査の結語の部分で、相当誤解を招くような表現がとられているかに、私もこれを読みまして感じたわけでございますが、この点について、この結語の部分が実態調査をされた厚生省としての結論めいたものになるわけかどうか、その点をお尋ねをいたします。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 先ほど大臣が御答弁を申し上げましたが、調査の結果につきましては、一応結語というふうな部分を設けて説明をいたしたわけでございますが、この結語が調査の結果をすべて言い尽くしている、あるいは間違いのない形でこれ以外には考えられないのだというふうなことではないわけでございまして、これも先ほど来御説明を申し上げましたとおり、一応被爆者と非被爆者との二つの集団について、どういう健康上あるいは生活上に相違があるか、これが一点。もう一点は、被爆者の方々の中に、爆心地からの距離的な関係が、ただいま申し上げました身体的なあるいは生活上の相違があったかどうかというふうな二点に調査の目標を置いて実施いたしました。結論的に申し上げますと、結語の中にも一部表現されておりますが、そういう被爆者と一般国民、非被爆者というふうな比較の中では、個々の被爆者の実態には、相当健康の上でもあるいは生活の上でも異常が出ても薄められるという結果になって、それほど一般国民との間には相違がないというのが結語の一つの表現であります。その表現とあわせましてもう一点は、だからといって被爆者が一般国民に比べて健康的にも生活的にも異常はないのだということではなくて、たとえば先ほど大臣が御答弁申し上げましたが、ケロイドというふうな問題、あるいは白内障というふうな問題、そういった健康上の異常な状態というものは、これは厳然として表の上にも出てまいりますし、集計の経過の中にも出てまいります。こういう個々の被爆者の異常な状態に対して、これを一般的に薄めた判断で無視をする、あるいは甘く見るということではなくて、そういう実態の中で今後の対策を判断する必要があるというふうなことを、私どもこの調査を通じまして感じておるわけでございます。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 大臣にお尋ねをいたしますが、今回の実態調査が、いわゆる原爆白書というふうに呼ばれているわけであります。原爆白書と言われるからには、当然この調査の項目の中に、原爆による死者あるいはその遺族に関する調査というものが取り上げられるべきであると私は考えるわけでありますが、その点につきまして大臣どうお考えか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 今回の調査におきまして、すでに死亡された方々、あるいはまたその死亡された方々の遺族というものについての実態は取り上げられていないじゃないか、こういうことでございます。それにつきましては、死亡された方ということに目標を置きますと、その死亡された方、対象はすでにおいでにならないということが一つ。それから、かりに死亡された方、対象は現実においでにならなくても、何の何がしさんが死亡された、こういうことであっても、その死亡の原因が、百人死亡されておるならば、その百人のうちはたして何人さんが原爆で死亡なさったのか、あるいは他の病気で死亡なさったのかといったようなこと。おいでになればこれはわかるわけでございますが、おいでにならないということで、なかなかそこのところのけじめがつきかねる。したがいまして、そのなくなられた方々の御遺族といったような方々も、さような意味においてなかなかはっきりとこれを把握することができない、かようなことで今回の調査では、死亡者及びその死亡者のあとの御遺族といったような方々についての調査は、これは漏れておるわけでございますが、この問題は、今後の一つの問題といたしまして、今後はどういうふうに——非常にむずかしゅうございますけれども、むずかしいから捨てておくということ、全然これはもう問題にならぬのだということではもちろんないと私は思います。今後の問題として残る問題であろうと考えますが、今回の調査におきましては、さような意味におきましてこれは調査の対象になっていなかった、こういうことでございます。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 そうしますと、今後別途にこれを調査するというお考えがあられると受け取ってよろしゅうございますか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 将来の問題として研究をしてまいりたい、かように考えます。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 いろいろ承ったわけでありますが、今回の実態調査の結果につきましては、特に原爆の関係者の側から相当のこれに対する批判が出ているのは、先ほどもお話しいたしましたとおり、大臣も御承知と思うわけでありますが、そういった批判に対して具体的にどういうふうにおこたえになるか、その点、たとえば足りない点をこれから何らかの形で補っていくというお考えがあられるのかどうか、そういった点を承っておきたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 今度の実態調査を行ないました目的というものは、これは、原爆被爆者に対していまのままでいいのか、それじゃいけないのだ、何とかしなければならないのだ、具体的の措置を講じなければならないのじゃなかろうか、前向きに考えなければならないのじゃなかろうか、こういうようなことで、これは国会の御要望もございますし、その御要望もあり、われわれも前向きに考えなければならぬ、こういうような立場に立ちまして調査をやったわけでございます。何かやらなければならぬという場合でも、これは国の政策でございますから、ただやみくもに、感情上これは何とかせなければならぬから何とかしょうというわけにはまいらない。そこで実態調査をやりまして、その上に立って、そうして具体的の措置を考えて樹立していこう、こういうのが目的でございます。  そこで、今度の調査について非常に不備な点があるじゃないかというような御意見も私どもは承っておりますけれども、調査そのものが目的ではありません。調査に基づいて何らかの措置を考えていくということが目的です。調査を完ぺきなものにしていこうというような考えでもってそれをやっておりますと時期が過ぎてしまう。何とかして具体的の措置を、どういうことに相なるかは別といたしまして、考えていくということのためには、どなたがごらんになっても、これは完ぺきな調査だというところまでこの調査がまいっていないが、しかしこれを踏んまえて、そうしてある程度のことを前向きに考えていく材料なり踏み台としては、私は、これでもってやっていってそれほどの支障がないのではなかろうか、かように考えております。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 佐藤総理がかつて、沖繩の完全なる返還がなされなければ戦後は終わったことにならないということを言われたわけでありますが、原爆被爆者に対する十分な対策がなされなければ、やはりこれまた戦後が終わったことにならないと私どもは考えているわけであります。最後に重ねて大臣の御決意というものをお聞きしたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 しばしば前国会以来私申し上げてきたわけでございますが、原爆被爆の実態調査が行なわれることになっておる、その調査の結果に基づいてこれに対する措置、対策等を考えてまいりたいということを申し上げたのでございますが、私は今日もそういう気持ちは変わっておりませんし、すでにこの原爆の実態調査が一応行なわれたのでございますから、この事実の上に立ちまして、そうして前向きに考えてまいろう、かように考えております。

西岡武夫自由民主党

○西岡委員 終わります。

藏内修治自由民主党

○藏内委員長代理 大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 ただいま西岡委員との一問一答をお聞きいたしまして、その上に立ちまして、原爆被爆者援護に関する問題について論点を集中しながら質問いたします。  いまの質疑応答を聞いておりますと、主として問題となっております実態調査の評価、こういう問題について世間でたくさん批判があるわけですが、それにこたえて厚生大臣、厚生省として、たとえば、誤った点は誤っておる、あるいは足りない点は足りない、あるいは結語において表現がまずかった、こういう問題等について率直に御答弁をしていただきたい。やはり何と申しましても、昭和三十八年十二月の東京地裁の古関判決、原爆は国際法違反である、しかし、個人請求については否定するけれども、道義的、政治的な責任は政府と国会にある、こういう判決が出て、言うなれば、政府もこれを上告しなかったわけであります。三十九年の春の国会におきまして、衆参両院で決議になったわけであります。援護強化に関する決議が両院で満場一致で決議されまして、実態調査を始めたわけであります。ですから、この実態調査につきまして、先般の十一月一日の発表というものは、たとえば、健康についてはもうほとんど心配ないんだ、端的に言えばこういうことを発表しているわけです。そのことが、今後援護対策やあるいは後遺症、後障害の研究に対しましても重要な影響を及ぼす、こういうことをみんな危惧いたしておるわけですから、そういう点につきましては、ひとつ端的に御答弁していただきたいと思うのです。  まず第一に、原爆の被害の実態調査といっても、これは言うなれば二十年後の一時期、一断面にすぎないのであって、この調査には限界があるのだということをひとつはっきりしなければいけないんじゃないか。それから、その間に死んだ人、瞬間的に爆風とか熱線とか放射能によって死んだ人、この死んだ人の数すらもはっきりしないくらい被害というものが非常に複雑である。たとえば、先般の向坊教授の国連報告書を見ましても、死者が七万人余りということになっておる。しかし実際にはそうじゃない。他の発表もあるし、常識では、瞬間と直後を含めまして、三十万近い者が広島、長崎で死んでいる。つまり、死んだ人、あるいはその後原爆症がもとで直接、間接に死んだ人、そういう経過等については、経過的にも、被害の実相、放射能の影響というものが明らかにされなければ、全体の実態が明らかになったということはできない。これは一時期、一断面で二十年後の限られた調査ではできない、こういうこともはっきりいたしておると思うわけであります。そこで、遺族とか、あるいは今日あらゆる研究で問題となっておる二世に対する発現、影響、そういうようなもの等についても、やはり実態的に経過的に明らかにしなければ、被爆の実態というものははっきりしないのではないか、こういうことは常識ではないか、私はこう思うわけであります。ですから、今回のこの実態調査について、そういうふうに限定されたそういう立場での評価、こういうものが必要ではないかと思うわけですが、それに対しまして、ひとつはっきりした御答弁を大臣並びに政府委員のほうから最初にお伺いいたします。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 今回の実態調査は、大原委員御指摘のとおり、ある時期においての調査でございまして、一断面ということであろうと思います。一断面における調査といたしましては、これはそれほど間違ったものではない。その一断面における調査としては、いままでの調査と違いまして、それよりもはるかに忠実にこまかく調査をしておるということは、私は申し上げることができると思いますが、御指摘のとおり、それは一つの空間的な断面でございまして、時間的なことを考えますと、これは——もっともこの調査は、実態調査後二年かけてやったものでございまして、そこからの歴史は続いておりますけれども、しかしながら、いずれにいたしましても、ある時期においてそこに生存していらっしゃる原爆被爆者という方方の断面をとらえたものであるということでございます。そこで、ある長さの時間を持った——時間的にはその間に大ぜいの方がなくなっていっていらっしゃるであろうし、また病気が進行していってもおるといったような、流動的と申しますか、そういったようなことについては十分ではないと私は思います。さような意味におきまして、この調査が対象としたことについての調査については、私は、それなりにその価値を評価していかなければならぬと思いますけれども、時間的な問題、流動的な問題といったようなものを考えますと、さらに、この調査に対して、ある程度のさような観点からした考えを取り入れてまいらなければならない、かように考えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 前に調査が始まったときに——神田厚生大臣のときだったかと思うのですが、当時の厚生大臣と質疑応答をしましたときに、やはり一断面の調査だけではなくて、経過的な総合的な被爆の実態、放射能の被害というものについて明らかにする必要があるので、そういう点を留意しながら調査して、実態白書をつくってもらいたいということを要望したところ、それに対しましては善処しますというふうに答えておるわけであります。ですから、そういう瞬間的な断面と一緒にやはり経過的な問題をとらえないと総合的な判定ができないじゃないか、そういう点を補う意思があるのかどうか、どういう方向で補っていって被爆の正体をはっきりさせるのか、そういう点についてのお考えをひとつ聞かせてもらいたい。政府委員でもけっこうです。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 大臣が御答弁申し上げましたとおり、今回の一時点に限った横断的な瞬間的な調査につきましては、ただいま御指摘もありましたように、経過がわからないという難点があることは、御指摘のとおりであります。これをどういう形で埋めていくかという点についてのお尋ねでございますが、これも昭和三十三年からですか、広島、長崎のABCCが国立の予研の支所と提携をいたしまして、特別な対象を選びまして、この対象の、たとえば死亡の経過、あるいは白血病の発現状態、あるいは特に放射能に影響されると思われるガン患者の発生というふうなことの経過的な調査を続けてやった。こういう形を入れてまいりますと、いま御指摘の経過的な判断というのができる。しかし、いま申し上げましたとおりに、横断的な一時的なそういう面の調査では、こういう経過というものは出てまいりません。今後は、そういうふうな資料と申しますか、調査と申しますか、そういったものとあわせて、発現率の非常に低い疾病などについて、あるいは遺伝的な疾病の判断などについては続けてまいらなければならないと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 つまり私が言っておるのは、横断的なあるいは限定された瞬間的な調査というものだけでは、熱線や熱風や、それからいま言ったような放射能のはかり知れない被害の正体はわからぬじゃないか。過去のことをずっと調べて、しかも総合的に調べて、将来どうなるかということを見通していって、初めて原爆というおそろしい試練に対する援護対策というものが総合的にできるのじゃないか。それをいつやるのだ、どこでやるのだ、どういう納得する姿においてやるのだ、こういう点についてもう少し具体的に答弁してもらいたい、こういうことです。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 ただいま申し上げましたように、たとえば白血病というものは人口十万に対して三人前後というふうな発現率がある。ガンはそれに対して相当倍数が多いわけでありますが、こういうような対象の疾病をどうやって断面的な調査で把握するか。これは断面調査ではできない。そこで、私どもがどういう資料に基づいて、それらの遺伝的な関係とか、あるいは特異な疾病の発現状態を把握するかと申しますと、先ほど申し上げましたように、たとえば広島のABCCあるいは原爆病院あるいは両大学、特に事例をたくさん持っておられる長崎、広島の大学のそういう技術的な調査の結論あるいは調査の発表、こういったものを参考にして判断せざるを得ない、こう考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 あなたはABCCのことを言われているが、ABCCには予防衛生研究所の支所がある。つまりABCCの、アメリカの原子力委員会の下請で学術団体がやっているわけだけれども、それは日本の厚生省も協力しておりますということ、こういうことをたてにして実態調査をやっているのです。それにはたくさん問題があるわけだ。きょうは時間の関係もあるから突っ込んだ議論はできないが、厚生省は全く主体性がないわけだ。予研の支所に職員を送り、予算を送りながら、何をやっているかわからぬわけだ。そのことについては今日すでにもう中間的な経過は出ておる。日本の国内における調査ならば出ておるのです。そういうことをほうっておいて一断面だけ発表するのはおかしいじゃないか、こういう議論があるのです。これが一つです。それで、広島大学の放射能医学研究所や長崎大学の後障害の研究機関が国民の要望でできたわけです。稲毛の科学技術庁の放射線医学総合研究所もあるわけです。今日まで何億もの予算を使ってやったその経過をどうして集約するのだ。いつやるのだ。どういう関係においてこれらを総合的に発表するのだ。それでなければ実態はわからぬということは、あなたが言っているとおりだ。それをやらなければ、実態調査の上に立った援護法の対策は出ぬじゃないか、こう私は言っているわけです。いっどういう場所でそれを集約してやりますか。厚生省は責任を持って文部省その他科学技術庁全部集めてやりますか。そういう点についてひとつ具体的にそこに焦点をしぼって答弁してください。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 横断調査の一つの目的は、先ほど申し上げましたように、被爆者と非被爆者との健康生活の相関を見たい。もう一点は、被爆と爆心地との距離的な関係が健康及び生活の上に影響があるかどうかというふうな判断をしたい。この調査の計画にあたりましては、これも大原委員御承知のとおり、それぞれの専門家のいろいろな意見をいただきながら実施した計画であります。この計画実施の結果が、私は今後の被爆者対策に関係がないというふうには判断をいたしておりません。先ほども西岡委員の御質問にお答えをいたしましたが、私は四十三年という目標を置いて、先ほどの実態調査の結果については必要な対策を考えてまいりたい、こう思います。なお、経過的なあるいは立体的なそういう被爆者の全貌については、いつ、どこで、だれが把握するのだ、国は全面的にそれに対して触れる意思があるかどうかという点のお尋ねでありますが、私は、これらの問題につきましては、現在もそうでありますが、今後ともそれぞれの研究機関の専門家の研究に期待しながら、その結論を取り入れながら、先ほどの実態調査の結論に合わせてまいるというふうな方法をとっていきたいと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 横断的な、瞬間的な調査だけでは実態が把握できない。経過的な総合的な、そういう各研究機関のいままでの二十年間の累積があるわけだ。そういうのを総合的に発表しなければだめじゃないか、援護の基礎にならぬじゃないか、こういうことについては一致しておりながら、その点についてはいまだにやっていない。あるいはどういうふうにやろうかということがはっきりしていない。これは非常に大問題であります。これは、問題だけは明らかになりましたから次に進んで、あとで総合的に質問をいたします。第二の問題は何かというと、二十分の一という抽出率でやったわけであります。しかし、いままでしばしば言われたように、これはABCCの調査を含めて、白血病にいたしましても、ガンにいたしましても、小頭症にいたしましても、白内障にいたしましても、肝機能の障害等にいたしましても、原爆に起因をする病気であるということは今日定説であります。健康に関する調査が今日実態調査の中で非常に大きな問題になっておるんだが、そういうはっきりいたしたこと、そういうことがあらわれないような調査のしかたをして、二十八分の一の抽出をいたしまして、そして生活と健康、特に健康面においては血液と血圧を調査する。そういうことだけで一般国民と差がない、こういうようなことをマスコミを通じて発表するということは、これは問題ではないか。二十分の一の抽出で、しかも白血病とかガンとかいうものは、爆心地に近いほど、放射能をたくさん浴びているほど発生率が高いということも、実証的に今日証明されているわけですよ。ですから、そういうこととは関係なしに、血液やあるいは血圧を検査したところがたいした差はない、こういうことが結論に述べてあるということが、そもそも結語としてはおかしいじゃないか、こんな結語があるか、こういう疑問が出ておるのであります。私は当然だと思う。それに対して厚生省はどう答えるか、ひとつお答えいただきたい。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 実態調査の結果の概要をごらんいただいたと存じますが、相当膨大な資料で、健康調査の各項目についても、それぞれでき得る限り全国的な一般との比較で述べております。ただいま大原委員の指摘されました血液と血圧の問題については、大差がないということで触れておりましたけれども、そのあと先をごらんいただきますと、差のあるものについては、それぞれ差のあることをここで指摘しているわけでございます。私どもは、それらの各項目について検討して、必要な対策を考えてまいりたい、こう存じております。

大原亨日本社会党

○大原委員 この生活と健康の調査、特に健康の中が問題になっているわけです。血液と血圧を検査したところが、一般の国民との間には差がない、こういうふうに発表したことが問題になっているわけです。だから、そういう部分的に、しかも限られた、たとえば放射能障害と現在生存しておる被爆者の血液との関係、あるいは放射能の障害と血圧の関係、そういうものがそういうことでははっきりしないのに、根拠についてもきわめて問題があるのに、それだけで健康上は問題がない、こういうような結語を書いておるのはおかしいじゃないか、これは誤りか舌足らずかどうなんだ、こういうことであります。いかがですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 結語についての御説明は、先ほどの西岡委員にも御説明申し上げましたが、一点は、被爆者と非被爆者との間にどういう関係があるかという事実、これは個々の被爆者のケースについてはそれぞれ問題があることは、健康調査の項目をごらんいただくとよくおわかりと思います。たとえば被爆後二カ月以内にどういう身体的な影響があったかというふうな調査の問題、あるいはその中の、さらに脱毛があり、あるいは熱傷がある、あるいは現在たとえばケロイドとか白内障とか、こういう障害があるのかないのかというふうな判断につきましては、実態調査の各論の中でそれぞれ述べているわけです。  ただ、ここで御指摘もありましたが、血液と血圧の結果について、一般国民との間に著しいそれほどの差がなかったという点だけ指摘されまして、全部が健康については問題でないのだというふうな理解のされ方というのは、私は残念に思うわけでございます。御指摘のとおりに、項目についてはそれぞれ解説を加えております。たまたま血圧の測定と血液の測定については全国一般と大差がなかったのだというふうな表現になっております。そのあとをごらんいただきますと、結語のところで個々の原爆被爆者のケースについては、二十年たった現在もいろいろな形で障害が残っているんだ、この原爆の障害を無視して今後対策を考えることは非常に冒険であるという趣旨の結語もあとについておる。これをあわせてごらんいただきたいと存じます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それを取り扱って発表したマスコミが悪いような話ですけれども……。  それから、これに関連して第三の問題。西岡委員との質疑応答にもあったわけですが、問題の一つはこういうことだと思うのです。生活調査と健康調査をやった。これはお話のように、一万三千五百九十三人の生活調査は訪問調査である。それから、そのうちで健康調査——保健所の血液や血圧の検査の呼び出し調査の呼び出しに応じた者が九千四十二名であって、その差が四千五百五十一名、約三分の一は調査に応じていない。その応じていない実態についていろいろ意見があったわけです。しかし、これは少なくとも三分の一が応じていないということになれば、調査としての値打ちがないのじゃないか。被爆者が調査を信用してないか、あるいは調査の結果についても信頼がないのではないか、私はこう思うわけです。この問題について追跡調査をしなければ、少なくともこの調査自体についても欠陥があるのではないか。いかがですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 九千名が健康調査に応じまして、残りが調査に応じなかった、この点につきましては、全体の対象を調査できなかったことは、私自身も非常に残念だったと思っております。ただ、この脱落した三分の一の被調査対象があるために、この健康調査の結果が意味がないじゃないかという点については、私自身も異論を持っているわけであります。先ほども申し上げましたとおり、従来、原爆の医療法に基づいた定期的の健康診断があることは御承知のとおりと存じますが、この定期的な健康診断に応じないのがやはり毎年二〇%くらいある。この応じない理由について、今回の基本調査のおりにいろいろ問診をとった。その結果六六%は、私は元気だ、私は異常がないというふうな形の回答が出ております。さらに三分の一の中の全部が健康者であるという前提を置きますと、私はそれなりに判断がつく。逆に三分の一の中に相当数の異常者がいる、だからこの信憑性については疑義があるのではないかというふうな仮説を置きまして私ども判断いたしますと、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、現在広島、長崎に入院しております千二百名の入院患者の調査を引き続き実施をいたしております。この調査の結果を合わせますと、私は、この一万三千名マイナス九千名の欠陥というのは補われるのではないかという判断をいたしております。

大原亨日本社会党

○大原委員 千二百名の入院患者の調査結果の集計発表はいつやるのか、それが第一。それから、これに関連して、朝日新聞が五百名の調査をやっているわけですが、かなり反響を呼んでいる。しかし、これはきわめて机上プラン的でなしにやっているわけです。これは非常に検討の余地があるのではないか。その五百名の中で、調査の結果、これらの調査が信頼できる、こういうふうに答えた者が二百五十六名、つまり五一・二%あるわけです。それから、調査の結果が信頼できない、こういうふうに答えた者が二八・四%、百四十二名ある。大体三割がここに欠けているわけだ。これは大体、自分の病気が表面化するのをおそれる、あるいは仕事が忙しい、あるいは生活に追われている、あるいはこんなものはだめだ、こういうふうないろいろな要素があると思うのですが、これは非常に朝日新聞の調査とよく符合している。この二つの点についてどういうふうにお考えになりますか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 第一点の、入院患者の調査についてはいつごろ結論が出るのかというお尋ねがございましたが、一応年度内に結論を出したいというふうに考えております。それからもう一点の、朝日新聞が実施いたしました実態調査でありますが、三分の一近くがその調査に対して信用できないという趣旨の回答があったというお話でございますが、朝日新聞の調査の結果と、私どもが調べました今回の実態調査の結果を比較いたしますと、これは飛び飛びでございますけれども、朝日新聞の調査で被爆直後に何らかの症状があったというふうな者が四三%ございます。私どもの調査では五二%でございます。それから、現在病気がちの者というのが新聞の調査では二九%ございます。私どもの調査で要注意及び要治療というふうな者の合計が約三〇%になるわけであります。こういうことで、朝日新聞の調査の方法と私どもの厚生省が行ないました調査の方式とについては比較できない相違点があるのではないかというふうに私は判断をいたしますが、結論をかいつまんで申し上げますと、こういうことでそれほど結果については差が出ていないというふうに解釈をいたしております。

大原亨日本社会党

○大原委員 もう一つ、これに関連して第四の問題ですが、つまり問い方があるのですよ。聞き方によってうんと違うということですね。朝日新聞を見てよくわかるのですけれども、ほんとうに被爆者の立場、そういうものを理解しながら聞く場合と、差があるかないかということを機械的に聞く場合とではうんと差がある。そういうことを私はひとつこの数字を裏づけとして申し上げたかった。  それから血液検査の場合に、放射能の障害が血液にどういうふうに影響を及ぼすか、こういうことだろうと思うわけです。白血病といわれている中には、白血球が多過ぎるものと少な過ぎるものがある。五千以下、特に三千以下という白血球の数は少ない白血病。それから、たとえば一万とか少なくとも一万五千以上というのは多い白血病。そうすると、一万五千と三千と平均すると、みんなの、お互いの白血球の八千ぐらいになってしまう。平均数というものは具体的な事実とは適合しないのではないかということが一つ。それから赤血球の数が少ないのが貧血症でしょう。しかし、現在そういう血液に欠陥がなくても、若い人たちであっても、被爆した人はいろいろな条件の中において短時間に白血球が多くなったり少なくなったりして、いわゆる白血病という治療しがたい病気と認定されるに至る可能性がある。こういうことは、二十分の一の調査とかあるいは白血球や赤血球の数の算術平均値ということであらわれてこないのではないか。何といったってそういう結果に対しましては、事実に適合しないから不満やいろいろな意見が出るのではないか、この二つの点についてお尋ねいたします。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 血液の検査の結果を平均的な計算をすることが一般の国民との比較の上で問題があるのではないかという意味のお尋ねでございますが、これも一応実態調査報告書の中にグラフで載せてございますが、数の階級的な分布をいたしまして、このカーブをつくって、血液の専門家の書いた書物の中の全国民対象との比較をいたしました。このカーブをごらんいただきますと、大体一般国民のカーブとほとんど大差がない。御指摘のように、確かに算術平均をとりますとそういう誤差が出てくるのは当然であります。私どもは、この報告書の中では、そういう階級的な分布をグラフにあらわしまして、これによる比較を一般国民といたしたわけでございます。その結果が、赤血球、白血球、それから血色素、こういったものについては一般国民とそれほど差があるというふうな判断が出なかった、こういうわけでございます。  なお、これにつきましては、これも蛇足でございますけれども、現在の被爆者の調査に応じた対象というものは年齢が十九歳以上でございます。若年層になってまいりますと赤血球や白血球の数が変わってまいる。あるいは男子と女子でも変わってまいる。そういう年齢的なズレにつきましては補整をいたしまして、それから男女の差につきましては、それぞれ男女を区別して、先ほど申し上げました階級別の分布のグラフで比較をしたわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 健康調査についてもう一つですが、調査報告書の中身には、お話しのように、あるいは身体障害者、あるいは医療の受診率、入院率、医薬の使用率、その他はっきり格差を認めているわけですね。しかし結語においては、健康上はたいしたことない、こういうふうな表現をしているわけです。端的に言うなれば、そういう表現をしている。その調査の中身と結語が違うじゃないか、こういうことが一つあるわけです。その点についてはいかがですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 結語につきましては、たびたび御説明申し上げましたけれども、大きく分けて二つの表現がございます。第一点は、被爆者の集団と非被爆者、一般国民との比較がそれであります。もう一点は、被爆者の中で、爆心地との距離に影響があるか。この中には、全被爆者と一般国民との対比をいたしますと、たとえばいまの御指摘の中にございましたが、一万五千をこえるような白血球の多い人たちがいる。これは平均化されて薄まってくる。そういう平均化することによって差が小さくなるというふうなことが誤解を生じて、その中に一万五千も白血球を持っている患者が忘れられてはいけない、こういうことのないように、個々の被爆者の健康上あるいは生活上の異常というものについては、十分直視して今後対策を考えていかなければならぬというのが、もう一点の結論であります。

大原亨日本社会党

○大原委員 生活面の調査について結語の中に「有意の差と認められるものがあった」、こういうことを書いてある。有意の差、これはめったに使わぬことばですが、意味ありげなことばですが、これはどういう意味ですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 これにつきましては、統計学的な表現に有意の差という字句がございます。私どもは、そういう厳密な意味の統計的学な術語をここに引用したということではなく、実際に比較してみるとそれほど著しい差はなかったということの表現のつもりでこの字句を用いたわけでございますが、これは私どもの表現に多少ことばの与える印象と違うものがあったように感じております。

大原亨日本社会党

○大原委員 「有意の差と認められるものがあったが、全般的にいちじるしい差があるという資料は得られなかった」というのは、肯定しておいて否定したわけですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 そういう意味じゃないのでございまして、たびたび御説明申し上げますように、平均化してまいりますと個々の特質がだんだん薄まってまいる、それが誤解をされないようにという前提で、個々の問題についての問題点を提起して、一般的な形の表現と、二つここで出したということでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 生活面の調査の中で、この前の四十二年二月の調査のときには、中間報告では、就職や結婚等においてのハンディキャップを認めておるわけですね。前の神田厚生大臣その他も、たとえば原爆おとめ等でケロイド等があって、何回手術をしても瘢痕が消えない、こういうふうな人々等については、これは人道上も日本人の立場としてこれを放置できないじゃないか、当然やるべきだ、こういう積極的な発言が何回もあったことがある。厚生大臣はかわりましたけれども、そういうこともある。あるいは、私がしばしばほかの委員会でも議論しましたが、防空法の犠牲者の問題のときにも、防空従事者扶助令という勅令の中には、婦女子にして顔面その他に醜痕を残したものについては特別の配慮をすべきだという文章が扶助相定の中についておるわけです。勅令でしたけれども、ついておる。で、そういう抽象的なことで汗しに、具体的に生活やあるいは職業、その他結婚就職等を脅かしておるそういう事実について、そういう社会的な調査をして、そうしてこれを集約をして、その上に立って対策を立てていく、こういうことのほうが調査としては生きておるのではないか、こう私は思うわけです。いかがですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 ただいまの、原爆が原因で身体障害が現在残っておる、御指摘のケロイドというふうなもの、あるいは白内障とか、あるいは手足が熱傷などにより正常な生活ができない、こういうことが現に調査の結果、たしか一二、三%だったと思いますが、身体障害というのが出てまいりました。こういうものがたかだか一〇%という前提の中で問題がぼけてしまってはならないということを私どもは考えております。その意味も含めまして、先ほどの結語の終りのほうにつけ加えてあるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 以上、いろいろ議論いたしましたが、たとえば千二百名の入院者の調査の結果を待って初めて健康調査がやや具体的に完結をするような、そういうお答えもあったわけです。しかしこれも年度内ということですね。あるいは約四千五百名余りの追跡調査にいたしましても、これは否定的なことでなしに、将来前向きでこの問題も取り組んでいくとは言わないけれども、そういう欠陥を若干認めながら議論をしてきたわけです。その他、経過的な、歴史的な、あるいは立体的な、総合的な、そういう被爆の実相と瞬間的な断面とを総合的に検討して、健康上あるいは生活上どういう被害があるかということについて一つの判断を下しながら施策をしていくということも必要になってくるわけです。したがって、それらの実態調査をした上に施策を立てる、こういうたてまえから言うなれば、これは私は、厚生省がいまの断面だけで今後の施策を立てるということは大きな問題があるのではないか、こう思うわけです。  私は、この問題ではしばしば議論をされたり、あるいは衆議院、参議院の社会労働委員会等では、このような複雑な被害の上に立った援護の問題を審議するにあたっては、審議会等をつくって、そして各方面の意見を聞きながら、いままでの各調査の結果、研究の結果を総合しながら対策を立てるべきであるという附帯決議もあるわけです。ですから私は、この問題を、当面の緊急の対策と、もう少し総合的な抜本的な体策の二本立て、一問一答を聞いておりましてそういうこともあるやに伺うわけです。それらの問題を含めまして、私はやはりもう少し今日のこの実態調査については、欠陥を認めておるわけですから、限界を認めておるわけですから、それらの問題が克服できるような、そういう対策、あるいはそういう場を持つべきではないかと思うわけです。これは厚生大臣御答弁いただきたいと思うわけです。参議院の附帯決議もあるし、あるいは官房長官もしばしばそういうことは言っておるわけです。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 先ほど来お答え申し上げましたとおり、今度の実態調査というものは、これはすべてをこれによって解決できるものであるとは私も考えておりません。それで、これにつきましては、先ほど来お答え申し上げましたとおり、今日までいろいろな調査もやってまいっておる。そういったような調査も考慮いたしましてこれを補完していくということでございますが、さらに大原委員は、これによって調査できなかった四千何人の者の追跡調査をやったらどうか、それからまた審議会といったようなものをつくったらどうか、こういうお話でございますが、いづれにいたしましても、先ほど来お答え申し上げておりますとおり、やるべきものは四十三年度の予算からこれを実行していきたい、こういうようなことから考えてまいりますと、いろいろな関係各方面の方々の御意見は十分お聞きする必要がございましょう。審議会をつくるというようなことも将来の問題として考えていかなければならぬと思いますけれども、当面の問題といたしましてその審議会もつくってということになってまいりますと、若干そこに間に合わないといったようなこともございますので、将来の問題は将来の問題といたしまして、さしあたって四十三年度におきましてどういったようなことをやっていこうか、こういうようなことにつきましては、でき得る限り関係方面における御意見はお聞きいたします。お聞きいたしますが、いま直ちにそのために審議会をつくるというふうには、私はただいまのところは考えていないというような状態でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それではこういうことなんですか。この春の二月の基本調査と今回の生活健康調査と、それから足りない点はいままでのいろいろな研究やその他の実績、経過等を参酌しながら、その上に立って昭和四十三年の当面の施策を講じていきたい、その当面の施策を講ずるためには各方面の意見を聞くにやぶさかではない、しかし、その中から必要である、こういうふうに考えるならば、これは将来の問題として、あるいはもう少しいままでの議論その他を踏まえて、それを克服する問題として抜本的な総合的な対策をさらに考える、こういう観点から審議会等についても考慮すべきではないか、その二段がまえでいくべきではないか、こういうふうに厚生大臣はお考えになっておる、こういうふうに了承してよろしいかどうか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 さしあたっての問題としては、私はできるだけすみやかにこの措置を講じてまいるべきものだと考えます。そういったような意味におきましては、私は、ただいまおっしゃられるように、新たにそういったような機構をつくっていくということはちょっと間に合わないおそれがある。さような意味におきまして、各方面の御意見なり過去の調査なりといったようなものを総合的に考えまして、その上に立って考えていきたい。そこで、なお今後審議会をつくる必要があるかどうかということについては、それは将来の問題として考えてまいりたい、かように考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 二段がまえでいきたい、当面の昭和四十三年を目標とする予算上の施策については、いままでの議論に基づいてともかくも一歩前進はしたい、前向きに前進をしたい、こういうことである。いままでしばしば議論されておったことは、つまり医療だけでは足りないのじゃないか、医療と貧困が悪循環をしているのではないか、そのことが、被爆者の不満や、あるいは被爆者を窮地に追い込んでいるのではないか、したがって一歩援護生活の面に施策を進めていくんだ、こういう意味において今回できるだけの施策をとりたい、こういう医療だけでなしに生活面に及ぶ施策を前向きに考えよう、こういうことなんですか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 医療は、言うまでもなくいままでの措置では、これはもう足りないということは議論をし尽くした問題でございます。さらに、これを医療以外にどういうことをやっていこうかということにつきましても、私は前向きに考えてまいりたい。それで、いまどういうことをやるんだと聞かれましても、何をやるんだというお答えは、今日の段階においてはいたしかねますけれども、さらに一歩進めて前向きに考えてまいりたい、かように考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 時間もだいぶんたってまいりましたが、それでは、これは調査の完結を期する、あるいは四十三年の施策をやる、あるいは調査や施策の結果に基づいて、足りなければひとつ審議会等をさらに設ける等の一つの構想の中において、これは官房長官なんかも言っているのだから、そういうことでひとつやっていきたい、こういうふうに私は理解をいたしました。  しかし、どういうかまえでやるかという根本問題が一つあるわけです。つまり、援護法をつくる法的な根拠——いつも問題になるのですが、根拠これについては、私は、法律を改正するという問題もあるし、あるいはいままでの領域を拡大するという問題もあるから、やはり立法の根拠については、私は、やはりはっきりした考え方を持っていく必要があるのではないか、援護法立法の根拠について厚生省がはっきりした考え方を持たないと施策が進まないのではないかと思う。こういう点について私は最後の問題として所見をひとつお聞かせいただきたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 要するに、原爆被爆者に対してどういう措置をとっていくか、この措置の内容でございます。具体的にどういう措置をとっていくかということによりまして、これを援護法の形式でいくか、あるいはほかの方法でいくか。要するに、初めからこれは援護法でいくのだというその法律形式、制度の形式ということよりも、一体いかなる具体的な措置をとっていくか、どういう内容をきめていくかというようなことによりまして、その内容を実現していくためには、これは法律の形式あるいは援護法の形式をとらなければならぬ、そういうことでございまして、実質的に一体どういう内容のことをやるか、どういう具体的の措置をやるかということをまず決定いたしまして、そうしてそれを実現する形式を考えてまいりたい、かように考えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 医療面から生活保障面や福祉の総合的な政策、たとえば老人ホームとか授産場とかコロニーとかいろいろあるでしょう。いろいろあるのですが、そういう福祉面をも考えながら、生活面にわたって広く援護の措置を、総合対策を立てる、こういう場合にはやはり私は立法の根拠が必要だと思うのです。そういうことについて腹がまえをきめて具体的な施策を立てる必要があるのではないか。この点は、たとえばいままでのこの委員会の議論では、島本委員その他に対しましても、身分上の関係がないとかいろいろなことを厚生大臣が言われたことがある。しかし、その後は若干、いや相当あなたは前進されたと思うのですけれども、そういう議論もあったわけです。  ひとつ私の見解を申し上げておきますと、簡単に言いますと、たとえば東京地方裁判所は、原爆の投下は国際法違反だというふうに一つの結論を出した。しかし、個人の請求権を認めなかったが、道義的、政治的に国や政府は責任がある、いまのままじゃいけない、こういう判決を下して、政府は上告しなかったわけです。これは私どもが今日まで議論をしたことからいっても、あるいはたくさんの被爆者、三十万の国内におけるいけにえ、こういったものが平和や平和憲法の基礎になっている。唯一の被爆国だという政府の大きな外交上のまくらことばにもなっているわけです。ですから私はそういう観点を忘れてはいけないと思う。これが一つではないか。  それから第二は、身分関係ということについて結論を下すことは間違いではないか。たとえば地主補償にしましても身分関係はないわけです。在外資産につきましても身分関係はないわけです。ですから、そういう問題については、生活保障や援護という面、福祉対策の面におきましては、そういうことばにとらわれる必要はないのではないか。  第三は、昭和三十九年の両院における決議もあるし、またいままでの医療法の根拠となっておるのは、被爆者は放射能を受け、熱線や爆風を受け、そしてたくさんの被害を受けて治癒能力が劣っているから、社会保険の残りを負担しよう、こういう立法の趣旨に一応はなっておるのです。したがって、治癒能力がない者、劣っている者は生活能力がないということは当然の帰結なんです。それに対しまして、複雑な問題ですが、きめのこまかい配慮をすべし、こういう議論であります。  そういう三点の観点から言いましても、しっかりした立法上の根拠を持ってこの法律の前進のために今後努力をしてもらいたい、私はこういう意見を持つわけであります。この点についてひとつ厚生大臣の見解を聞かしていただきたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 現在援護的法規の対象になっておるものは、おおむね国家と特別の関係があったという特徴を持っております。しかしながら、原爆被爆者はまた原爆被爆者として非常に特徴を持っておる。そういったような特徴というものはこれを無視できない。さような意味におきまして、この原爆被爆者の特性といったようなものはこれを十分重大視いたしまして、そして前向きに考えてまいりたい、かように考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 昭和四十三年度の予算に間に合わすためには、いま河野委員の抜本改正の話じゃないけれども、大体総理大臣が外遊中くらいに予算の提示を大蔵省にして、厚生省の態度をきめて大蔵省と折衝されるわけでしょう。大体そういうことになるでしょう。そういうこと等をあれこれ考えてみまして、いままでの各大臣がいろいろかわられた経過等を考えて、私は、厚生大臣が在任をされる期間に方針をはっきりと厚生省に示して、大蔵省に対しても、総理大臣に対しても、言うべきは言って結末をつけてもらいたい。在任中というのは、私のほんとうの意味は、厚生大臣は簡単に一年余りで便宜的にかえるべきではない。経済企画庁長官や厚生大臣は非常に重要だということを佐藤総理は言ったのです。それを便宜的に取っかえ引っかえしては初めからやり直す、そういうばかなことはないはずだ。だからあなたは、抜本改正もあることだから断固留任を要求すべきである。それだけでなしに、あなたは一分一秒を含めてその在任中に全責任を持って処理すべきだ。私はこういうことについて厚生大臣がはっきり決意を示してもらいたい。いいかげんなことを言っていて時間が済めばいいというようなことであっては断じて相ならぬのではないか。その点についての厚生大臣の決意のほどをはっきりお示しをいただきたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 厚生行政の問題は、むろんただいま議題になっております原爆被爆者対策というものも含めてのことでございますけれども、厚生大臣がだれであろうと、これは重大なる問題は重大なる問題としてそれの強力なる推進をしていかなければならないのでございます。さような意味におきまして、私は私の在任する限りにおきましては、私の全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員長代理 浅井美幸君。

浅井美幸公明党

○浅井委員 ただいまの大原委員や先ほどの質疑もございまして、大半いろいろな問題は解明されましたけれども、一、二残っておりますので私からお聞きしたいと思いますが、若干重なる点がございましても、これは質問の順序になりますので、よろしくお願いしたいと思います。  いまの原爆被害者の実態調査の問題でありますけれども、今回これを行なった政府の本来の目的はどの辺にあったかをまずお答え願いたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 前国会からしばしば私は申し上げたつもりでございますが、さらにまた私が申し上げたのは、国会におきましての衆参両院における御意思等も体しまして、原爆被爆者に対しましては何らかのことを考えろという御意思もあり、私どもといたしましても、その特性を顧みまして、何らかの措置に出なければならない、前向きに考えなければならない、こういうことを考えたのでございますが、そのためには、ただ単に感情上あるいは社会の原爆被爆者の外にあらわれました姿等のみから政府の政策を考えていくということは、これは少し軽率ではないか。そのためには、どうしても実態の調査というものを正式にやりまして、そうしてその結果に基づいて政策なり措置を打ち出していくのが筋ではないか、かように考えたものでございまするから、実態調査を始めまして、そうしてやっとその結果がここにまとめられたというわけでございます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 いま大臣からも話がございましたけれども、今回の調査を基本にして今後の対策に当たりたいというわけです。ところが、先ほどもいろいろと指摘がございましたけれども、今回の調査は非常に不十分である。公衆衛生局長の答弁もございまして、健康調査が二十分の一の抽出で行なわれたにもかかわらず、その中からまた三分の一欠けて三十分の一切れる。それで、その調査結果がはたして統計学的にも信頼を置けるという確信があるかどうか、御答弁を願いたいと思います。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 ただいまの御質問でございますが、健康調査で三分の一程度が診察を受けられなかった、こういう現実の中で調査に対して専門家の評価というのがどういうことなのかという点もあったのでございますが、先ほども大原委員に御説明申し上げましたとおり、私どもは一〇〇%の健康診断ができなかったということについては非常に残念だと思います。ただ、それが原因で調査に対して判断が変わるような結論というのは出てこない。この問題に対しましても、私いろいろ統計の専門家の意見を聞きながら最終的な取りまとめをいたしたわけでございます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 統計上の問題では、いままで統計学の専門的なものでは、二十分の一ということは、認められている一般常識論だと聞いております。三十分の一では統計学上効果がないと判断されるのですけれども、その点についてはどうですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 二十分の一が三十分の一になったという点についてのお尋ねでございますけれども、私どもは、二十分の一は二十分の一である、その中で脱落の部分があった、これは算術平均で三十分の一というふうな数字には出てまいらない、こう考えております。

浅井美幸公明党

○浅井委員 その漏れた中で、先ほど千二百人が入院中であったというふうに聞きましたけれども、その千二百人の入院中の者が出てくればまたある程度補うことができるというさっきの答弁でした。これはどういうことでしょうか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 私どもが専門家の御意見を伺いながら設計いたしました実態調査の方式というものは、これは二十分の一の層化抽出法という統計学的な方法で調査をいたしました。いまの御指摘の入院患者についてのお尋ねでございますが、これはこの二十分の一の層化抽出の統計とは別な調査でございます。ただ結果的に、先ほどもお答えを申し上げましたけれども、三分の一の検診を受けられない対象があったというふうな対象の解明には、この病院に入院している患者の調査というものも、ある程度補足的な、補完的な役目を持つのじゃないか、こういう期待を実は持っておるわけであります。二十分の一の層化抽出法というのは、どこまでも二十分の一の層化抽出法でございまして、いまの入院患者の調査とは別個のものでございます。   〔藏内委員長代理退席、委員長着席〕

浅井美幸公明党

○浅井委員 ですから、先ほど申し上げましたように、二十分の一の価値と三十分の一の価値では、全然その調査結果というものに大きな差がある、そのように今回の調査で指摘されているわけです。あなたは非常に残念であったというふうにおっしゃっておられる。このいわゆる原爆被害者というものの調査については、世界で唯一の原爆被爆国であるところのわが国しかできない。ですから、こういうふうな一冊の調査にあらわれてきたもので、これが全体だと言えないということは私もわかる。それはあなたも御承知だろうと思うのです。ですから、できるだけ具体的な事実あるいは実態というものを報告しようとするのには、一番望ましいものは、被爆者二十三万人ですか、これの全員に対して調査を行なうことが最も望ましいわけです。これをやらないで二十分の一という方法を選んだ。それがまた失敗に終わったということは、この調査の結果が信用が置けないという判定を世界の学者たちもするということを聞いておるわけです。その点についてはどうですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 第一番の基本調査につきましては、一応被爆者全員の悉皆調査をしております。これは本年の二月に発表されたものでございます。  次の健康調査と生活調査につきましては、しばしば御指摘がございますけれども、統計学的な一つの方法である二十分の一の層化抽出という方法をとって処理しました。これは統計学の専門家のデザインでございますので、この方式については学問的な異論はないものと考えております。  九千人の検査をやって、残りの三分の一が検査に応じなかったという点につきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、非常に残念だと思っております。ただし、このことのために、九千人について行なった調査の全体が信憑性がないというふうな判定は、学者の中にも生じてこない。私どもも一応専門家の意見を徴した結果でございますので、そんなふうに判断しております。

浅井美幸公明党

○浅井委員 あなたはどういう学者の意見を聞かれたのか知りませんけれども、二十分の一と三十分の一の数字的な問題というのは大きな問題だというふうにいわれております。先ほども指摘をされておりましたけれども、私もこの結論について同じ意見を持っております。また、この健康調査の後段のところで「「病気にかかりやすい」「体力がない」「原爆ぶらぶら病」などのことばはしばしば耳にするところであり、これらには二面心理的要因が働いていることも想像されるが」、このように一応断定したわけです。「この調査の結果は、これらの事実を肯定する資料も否定する資料も得ることはできなかった。」こうなっている。この辺の分だけを読みますと、いま実際問題の原爆ぶらぶら病という、疲れやすい、あるいはかぜを引きやすい等々のいろいろの病気の後遺症を現に持っておる人たちがたくさんいるわけです。そういう人たちに対して、これは一面心理的な要因だ、そのように断定したかのような印象を受けます。ですから、この調査全体が、やや日本語的な便利のいいことばの抽象的な、いわゆる実態をやや甘く見た、そういう報告書に終わっておる、そのように指摘をされる一つの原因になっておるわけです。私たちは、このような原爆の被害について何も誇大に宣伝する必要はないけれども、あくまでも実態というものを世界に訴えていくという使命があるわけです。それを病気になっても、「これらには一面心理的要因が働いていることも想像される」、そういうふうな簡単なことばで片づけていいのかと私は思うわけです。前段の先ほどの指摘のあったところも同じでありますけれども、この話が出ませんでしたけれども、この点についてはどうですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 精神的の面の体力に与える影響ということばの問題につきましては、私どもも今回の調査の中で、生活調査の個人のほうでございますが、ここで意識調査というのを実施いたしております。この項目をごらんいただきますと、約六〇%余りが元気である。残りの者については、からだの調子が悪いあるいは病床についておるというふうな対象があります。この意識調査という点に関する限りは、私は、全国的な一般国民の健康意識とは差がある、こう考えております。特に六十五歳以上の年齢層について比較してまいりますと、健康なというふうな被爆者の六十五歳以上の被調査者の回答は三八%程度で、これが全国一般の老人の調査で見てまいりますと、的確な数字は忘れましたけれども、たしか六〇%前後かと存じております。特に高年齢層になるにつれて、健康に対する自信がないというふうな回答が一般より高いという結果が出ております。残念ながら、体力テスト、体力検査というそういう方式について、現在のところ技術的な形式がないという問題もからんで、今回は体力検査ということは調査の対象にはいたさなかった。それにかえるというふうな考え方も多少込めまして、健康に対する意識調査を生活(個人)調査の中へ入れたわけでございます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 ですから、原爆ぶらぶら病と称する病気があるかないか、あなたそれを認めておるのかどうか、そういうことをお聞きしたいと思うのです。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 これは今回の調査では、そういったものの対象の把握はできませんでした。将来においてそういう問題の把握をするということになりますと、先ほど申し上げましたように、体力的な測定の技術的な問題が出てまいるかと存じます。この面の開発というものを、現在の段階では、これを国民の健康調査の面に持っていって実施するというところまではいっていないようでございます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 ですから私は、そういう点の政府の考え方あるいは厚生省の考え方に非常に不誠意な点があると思うのです。原爆ぶらぶら病と称する病気をみんな自覚症状として訴えておる。それを精神的なものだというふうにきめつけて、現在の医学においてはそれを調査するものがないからという、そういう考え方をたてにとって、そういう被害を受けた人たちに対するあたたかい手を差し伸べようという姿勢がない。だから、調査外にしてしまったり、あるいは今後だという。この二十年間にいろいろな病気によって死亡しました。それは一がいに原爆病だとは言えない、そういうような無責任な発言によってこういう人たちは葬り去られておる。その自覚症状を訴える人たちに対してすみやかな医療手当てをしなければ、症状が原爆症だとはっきりわかったときにはもう手おくれなんだ、そのことをいろいろな角度からあなたも御存じのはずなんです。ところが、現実にこういう人たちに対する処置あるいは調査を今回もしょうとしなかったということは、今回の調査の不誠意を示すものだという一つの例にもなってくる。われわれは、この点についてもっともっとメスを入れてもらいたい、そういう希望を持っておるのですが、先ほども話がありましたが、被爆者の健康調査を行なっておるABCCですか、これも原爆ぶらぶら病については関心を払っていない。ただ、表面上あらわれてきたケロイドや、あるいは熱風、熱線によるところの脱毛症あるいはガンあるいは小頭症——これはガンや小頭症も問題であります。そういう点についてあなた方が本格的に取り組もうという姿勢が弱いということを私は申し上げている。ところが、そういう点について具体的な調査もなかったということは、今回の調査は一体本気になって取っ組んでやったのか。二十分の一が三十分の一に減ってしまった、これは残念でありました、それで済むのかということなんです。ですから、もっともっと本格的な調査をしてもらいたいわけです。そういう姿勢を先ほどからの答弁に私は感ずるわけです。  今回の発表は、政治的な配慮もあったといろいろ言われております。アメリカに対しての気がねであるのか、あるいは核アレルギーに対するところの遠慮なのか、それはわかりませんけれども、もっと本格的な実態調査を、本格的な姿勢をもって取っ組んでいこうという立場でなければならないと思うのです。  そこで、先ほどもお話が出ましたけれども、いわゆるこの医療の保護と同時に、その生活に対するところの考え方、これは今回生活の問題については、生活調査はやはり全般的に著しい格差があるという資料が得られなかった、こういうだけでなくて、もっともっと悲惨な実態は随所に全国各地に見られておるわけです。それに対する本格的ないわゆる援護措置、これをどうしようというのかということを私もはっきり聞きたい。先ほどは何だかするようなしないような話であったのですけれども、これに対して、この生活保障に対する全面的な国庫補助、これをどうやっていくのか、もう一ぺんお聞きしたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 原爆被爆者の生活面におきましては、この調査の報告によりますれば、全体的にながめてみまして、一般の人たちとの格差がそれほどない、こういうことでございますけれども、しかし、個々の人たちのこと、個々の事項といったようなことから考えてみますと、これは一般の人たちと全然何らの差異がないということを申すわけにはもちろんまいらぬと私は思う。原爆被爆のために、生活力がほかの人たちと比べてみて、その影響のために確かに弱いという面があることは、認めざるを得ないと思います。さようなことから考えてみまして、これを一体どういう形において措置していこうか、この具体的な内容をどうしていこうかということについてただいま前向きに検討をいたしておる、こういうわけでございまして、少なくとも何らかの措置を考えていかなければなるまい、かように考えておる次第でございます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 これは、あなたも大臣になられてから二年来になるわけですけれども、何らかの措置をしたい、何らか前向きの処置をしたい、そのために調査をしております。そのために実態調査をやっておるのですから、あの実態調査が出るまでという御答弁が何回かあった。それで、いま調査結果が出ても、なお前向きの姿勢ということについてはっきりとした明確な線をいまだにお出しにならないということについて、私は非常に疑問に思うわけです。ですから、こういう措置についてどういうふうに考えておるのだ。いま言った個々の問題もある。悲惨な例もある。これに対してどのようにしようという気がまえを持っておるのだ。いまは、そういう悲惨な実態があるといっても、戦争被害者であったその人たちにあたたかい援護の手は差し伸べられていない、そういう実態をあなたもいやというほど何回も聞かれているでしょう。そして知っておるはずなんだ。それに対してどうしてそれをとろうとしないのか。きょう与党の質問もこのことを言っておる。与野党あげてこのことの早期実現を望んでおるのです。そのことに対して、これを強腰でいけないということは、私は非常に疑問に思います。その点はどうでしょう。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 実態調査の結果がただいまもたらされたわけであります。実態はどういうことであるかという調査がもたらされたわけでございますが、その調査の上に立ちまして一むろん私は、今度の実態調査だけによって、これがそのすべてだということは考えておりません。これは先ほどからお答え申し上げたとおりであります。そういったような実態調査というものと、今日までの諸般の調査というものとを、これを総合的に爼上に乗せて検討をいたしまして、こういったような場合には一体いかなる措置をとるべきかという、そのとるべき措置につきましては、今日ただいままだ結論が出ておりませんけれども、要するに、そういったような結論を出すべき素材、材料といったようなものがただいまそろっておる。むろんこれは不備だとの御指摘を受けておりますけれども、一応われわれはその上に立って策定すべき材料を持った、こういう段階でございます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 不備な材料でもそれを踏み台にして、それを何とかしょうというお話であったのですけれども、前進しようとする、いつからやるということについては、ちっとも答弁がなかったわけです。どうかひとつ、これは私の要望になってしまいますけれども、全面的なその援護措置を講じてもらいたいし、今回臨時国会を迎えるわけでありますけれども、今回の国会内においても何らかの援護措置の法を定めてもらいたい、すみやかな処置を望む、これは私からの要望にしておきます。  それから次に、医療費の問題でありますけれども、先般中央社会保険医療協議会から受けました答申の手直しでありますけれども、いわゆる医療費の改定によってどのくらいの医療費が一体増額するのか、この点についてお答えを願いたいと思います。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 四十二年の十月から薬価基準が約四%引き下げになっております。先日中医協から答申をいただきました医療費の引き上げにつきましては、十二月一日から実施をいたしますので、この引き上げ率が七・六八%でございます。したがいまして、四十二年度の増加分は、総数におきまして百十四億でございます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 これによって政府の負担になるいわゆる国庫負担等が増額されますけれども、四十二年度分だけで百十五億という推定であります。今後この改定によって健康保険の赤字はさらに累積すると思いますけれども、このことについて、赤字額が約百十五億ですか、さような中で国庫負担を約四十億前後、これがまた赤字になる。この赤字は、将来の保険料率の引き上げ——赤字か累積したからまた上げろということで、先般上がったばかりなんですけれども、それがまた上がる原因になる、この点についてはどうでしょう。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 ただいま御指摘のとおり、国庫負担分につきましては約四十億、保険料負担の増分につきましては約五十億、患者負担の増分につきましては二十億、地方負担の増分につきましては約五億、こういう内訳になっておりますが、これにつきまして、保険料負担分の増分につきましてはできるだけ緩和をいたしたい。また中央医療偽議会の建議にも財政的な措置を十分とるようにというふうな建議もございましたので、ただいま大蔵省と折衝をいたしております。いずれにしましても、御指摘のとおり、政府管掌の健康保険というようなものにとってみましても、やはり赤字がふえる要素になることは間違いはございません。この点、先国会におきまして臨時特例法を御制定願いましたけれども、やはり過去からの累積赤字というのは、四十二年末をとりましても千数百億になるわけでございまして、この点、今後、ただいま検討いたしております抜本対策の際におきまして、長期的な安定をはかるという意味の措置もただいま検討いたしておる次第でございます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 四十二年度はあとわずか四カ月です。十二月から三月までの四カ月間に国庫負担四十億、年間に直すと百二十億——わいわい騒いであの健康保険の改定を行ない、料金の引き上げを行なったのです。これがいままた年間に直せば百二十億、そういう膨大な国庫負担が行なわれるような改正が、これははたしていい改正であるか。政府の赤字をふやすのみならず、多くの一般国民に対してまた一部負担や料率の引き上げによって大きく生活が影響を受ける、そういうことについてあなた方の見解を明確にお答え願いたいと思うのです。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 御指摘の点につきましては、いわゆる医療保険におきましては、保険経済でございますので、医療費の増に見合います財源といたしましては保険料がございます。ただし医療保険でございますので、直接国民の健康、生命に関係する問題でございます。したがいまして、従来からの歴史的な過程を見ましても、赤字であるからといいまして、適正な医療費というものが十分にお医者さんのほうに支払われないということでございましたら、医療に支障が来たすわけでございますので、診療報酬の点につきましては、一定の時代におきまして物価の値上がりその他がありました場合には、やはり適正な診療報酬に直していく。いかに赤字がありましても、健康、生命に関係する問題ということで、中央医療協議会におきまして、支払い側八名、それから診療側八名、公益四名というふうな委員の構成をもちまして、この医療費の問題を御検討願っておる一わけでございますが、最近の中央医療協議会の建議も、二年間にわたりまして正式には四十九回の審議を経られまして答申があったわけでございますので、厚生省といたしましては、その答申の趣旨を尊重して今回の医療費を引き上げた次第でございます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 それはいろいろなことを言われますけれども、これらの累積赤字やいろいろなことからやってくると、保険財政というたてまえから、いま現在の被保険者本人の十割給付が後退するのではないかというおそれが出てくるわけです。これについてはどうでしょうか。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 給付率の問題につきましては、被用者保険におきまして本人十割、家族五割、それから地域保険におきまして、本年度をもちまして本人、家族、いわゆる世帯主、世帯員とも七割を完成するわけでございます。この点、お尋ねの点は抜本対策に関係をいたしますが、われわれのほうで検討いたしております抜本対策の柱といたしましては、給付率をできるだけ均衡のとれるようにするということ。保険料負担の公平をはかっていく。それから診療報酬の適正化の方向に向かっていく。そのほかに、先国会でも臨時特例の御審議のときに再三大臣からお答え申しましたように、やはり毎年毎年赤字が増大をしていきますので、財政の長期的安定をはかる。そうしなければもう保険制度が根本から崩壊をし、あるいは途中におきまして支払い遅延が起こるというふうな事態もございますので、第四点の財政の立て直し、長期的安定というふうな観点から、ただいま給付率というふうな点も検討をいたしておるわけでありまして、その点、この九割の点につきまして、現段階におきましてはまだ検討の最中でございまして、どういうふうになりますか、まだお答え申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。

浅井美幸公明党

○浅井委員 そうなりますと、先ほど来の私の計算とはちょっと違う数字になっているわけですけれども、患者負担が出てくる。そうして将来の保険料の値上げも予想される。そうして給付率は減ってしまう。いわゆる今回の抜本改正の目標は、全部それは国民に対してのしわ寄せの抜本改正になるのか、その辺のはっきりした態度を私は大臣にお聞きしたいと思うのです。医療の抜本改正ということは、国民の側に責任があるのか、それとも医療従事者の側にあるのか、その施策にあるのか。抜本改正ということがきょうの新聞等で報じられておりますけれども、今回新聞等に報じられておるのを見ますと、いま聞いておってもわかるように、給付率が下がる、そういうふうな考え方になってきますと、全部抜本改正のしわ寄せは国民が負うように思うのです。この点どうでしょうか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 ただいま御質問の内容は、ストレートに抜本改正の内容がどうだ、こういうふうな御質問のように理解いたすのでございます。これは先ほど来御答弁を申し上げましたとおり、抜本改正の内容につきましては、今日の段階におきましては、どういうふうに持っていくということをまだ厚生省で固めておるわけではございませんので、ここで御答弁申し上げることは差し控えさしていただきますけれども、これを全部国民にしわ寄せをする。料率を引き上げてしまうとか、あるいは給付率を引き下げてしまうとか、そういうような考えは持っておりません。ただ、抜本改正の方針といたしまして、考え方といたしましては、給付率が非常にアンバランスであるというようなこと、また費用負担の均衡がとれていないといったようなことについては、これは何とか是正をしていかなければならないと考えておりますけれども、何もかも給付率は引き下げるのだ、保険料率は引き上げるのだというような考えは持っていないということだけははっきりと申し上げておきます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 大臣は何もかも国民にしわ寄せばしないというお話でありまして、私は安心したいわけですけれども、どうもいろいろな面から、今回の改正によっても現にしわ寄せは国民にきております。これは全然ないとは言えないはずであります。したがって、そのようなやり方を今後もやっていわゆる抜本改正を行なおうとするならば、これは大きな間違いだと思う。  次の問題でありますけれども、保険の薬価を一〇・二%引き下げましたけれども、これは薬価算定方式が九〇%のバルクライン方式を採用して行なったわけです。これはまだまだ引き下げの余地はあると思いますが、この点についてはどう考えておられますか。あるいはまた、薬価調査は今後定例どおり行なう、この点についてお聞かせ願いたいと思います。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 その点につきましては、前回の中央医療協議会の建議におきまして、毎年一回薬価調査を実施するというふうに決定をいたしております。今後早急に、最近におきまして中医協が開かれますが、その調査の方法等につきまして、中央医療協議会で調査実施小委員会というのがつくられまして、そこで調査の方法について診療側、支払い側、公益委員ということで御相談になる予定でございます。そのお考えを承りまして調査を実施いたしたい。先ほどの繰り返しになりますが、薬価調査につきましては毎年一回行なうということは関係者のほうで了解ができております。

浅井美幸公明党

○浅井委員 そのほうは関係者と打ち合わせばあるのですけれども、そのほかの答申についてはまだ終わってないという話ですけれども、ちょっと矛盾を感ずるのです。これは検討中でなければならない。先ほどの話では検討中だったわけです。同じ答申の中で、片一方のほうは話し合いがついて、片一方のほうは話し合いがつかない。ちょっと矛盾を感じますけれども。  改定の中では、技術料を評価して、いわゆる医者のいままでの技術料を認めるということは一歩前進であります。合理的な面もありますけれども、今後抜本的な改定の際に、今回の引き上げによって大きな支障を起こさないようにしてもらいたいと思います。今回耳鼻科の人たちが、値下げをしたということでえらいおこっているわけですけれども、今後やはり、前国会から引き続いてわれわれ主張しておりますけれども、医業または経営の実態、こういうものを明らかにして抜本改正をしてもらいたいと思います。そして、こういう一部の、手術料やあるいは入院費だけの改定という小手先の改定をしないで、私は、抜本改定の、この大きな目標の前の支障にならないように扱ってもらいたいと思うのです。今回の耳鼻科の人たちがそういう反対するということは、やはりどこかに欠陥があり、どこかに矛盾があるのではないか、全面的な改正によってそのバランスをとる、そういう方策の上に立って改定をやればよかったのではないか、あるいはそういう改正をやらなければならないんじゃないか、そのように思うのですが、どうでしょう。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 ちょっと先ほどの先生のお話で、一方が答申があって一方が答申がなかったという点、少し私のほうで御質問の趣旨がわかりませんが、御説明いたしますと、中央医療協議会というものは、二年前に御審議に入りまして、四十九回、懇談会を入れますと六十回にわたって御審議を願ったわけであります。その際に、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、この医療費の改定を根本的にやるについては、やはりいろいろな事情がございまして基礎データがございません。十年間ばかり実態調査というものが行なわれなかったということで、基礎データがないということが一つでございます。それでやはり実態調査を行なうべきであるという点が一つの議題になりまして、それとともに、実態調査を待たずして、臨時的に適正化でき得る部分もあるではないかという点と、諸物価の値上がりによる緊急是正的な要素というものが中央医療協議会の議題になりまして、中央医療協議会におかれましては、診療部会と調査部会に分かれて審議が進んできたわけでございます。そして九月十日に、中央医療協議会としては建議書というのをまとめられまして、それで十一月一日から十一月三十日の一カ月間の、実態調査を行なう。これは従来のいきさつからいろいろ問題がございますので、厚生省が行なうというよりも、中央医療協議会自身が行なうということで、十月初旬から二週間ばかりを費やしまして、診療側、支払い側、公益委員おのおの全国の数ブロックの会議に立ち会いで説明会をされまして、ただいまこの実態調査は順調に進行いたしております。そして一方診療部会におきましては、調査の結果を待たずして臨時的に診療報酬の適正化ができる部面につきましてはそれを実施するということで、九月十日に中央医療協議会として建議が出たわけでございます。その建議に基づきまして、先般厚生省において建議の趣旨を完全に尊重をいたしました諮問案というものを提出をいたしまして、入院料の点で両者の話し合いで、点数表について一点だけ異同がございましたけれども、ほぼ諮問どおりに答申が完全に得られたわけでございます。これによりまして十二月一日から実施ということもきめまして、ただいま告示の準備をいたしておりますが、それが七・六八%の医療費の値上がりでございます。  一方、調査につきましては、現在きょうの時点におきましても順調に進行をいたしております。調査の結果を待ちまして、引き続き中央医療協議会におきましては診療報酬の抜本的な改正に入るということになっております。その建議の中に、先ほど申しました薬価基準に関係する薬価調査につきましては毎年一回行なう、実態調査は三年に一回行なうというふうに書かれておるわけでございまして、それは関係者のほうで話がついたものというふうに申し上げたわけでございます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 あまり時間がないので最後の質問に入ります。  今回耳鼻科のほうが保険医を総辞退ということも予想されるという話でありますけれども、総辞退を行なうとして、一般国民が健康保険医の診療を受けられないような事態が出るということに対する対策はどうしたらいいですか。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 この際、耳鼻咽喉科の問題について申し上げておきますが、耳鼻咽喉科の処置の点数の切り下げといわれておりますものは、先般の中央医療協議会が先ほど行ないました建議の中で、「乙表における耳鼻咽喉科処置の点数については、他の診療科との均衡を考慮して調整を行なう」ということになっております。そしてこの趣旨は、乙表におきまして投薬、注射、処置等が行なわれました場合にも再診料の算定を認めることとなりましたために、診療報酬の引き上げ率が耳鼻咽喉科におきましてかなり高くなっております。これは先ほど申しましたように平均が七・六八%でございますが、耳鼻咽喉科につきましては九%台になっております。それを、先ほどのように再診料を認めましたために、一方において引き下げをやりませんと、十数%のアップになるということがございましたので、中央医療協議会では、いろいろお話の上、他の診療科目との調整を行なうという意味で、現行の処置につきまして三点を二点とするというふうにきめられたわけでございます。厚生省の諮問におきましては、この中央医療協議会の建議の本文の趣旨は先ほど申し上げたとおりでございますが、別表におきまして明確に処置の三点を二点に減点するという建議になっておりますので、そのとおりに建議を尊重いたしまして諮問をしたわけでございます。で、答申の際におきましても、この点につきましては答申について修正するというふうな形にはなって出てきておりませんので、厚生省といたしましては直ちに告示の手続をとってまいりたいというふうに考えております。

浅井美幸公明党

○浅井委員 私が質問したのは、そういうふうにやめると言った場合の対策はどうするのかということです。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 ちょっと答弁を忘れましたが、そういう動きも聞いておりますけれども、直ちに現地の都道府県の担当課に連絡をしまして、できるだけ被保険者なり国民に迷惑のかからないように慰留をするように、医療課長の通達を出した次第であります。

浅井美幸公明党

○浅井委員 慰留をしてできるものならば、医者のほうもそういうふうな強腰に出る態度はないと思うのです。私はそういうふうに医者のほうが言うということについての不満を、いわゆる納得のできるというか、抜本的改正というものを行なってもらいたいと思うのです。それが一問。  もう一つ、これは大臣にお聞きしたいのですけれども、いわゆるいま国民皆保険の時代であります。ところが医者のほうは、保険医に加入をすることについては自由になっております。ですからこのいわゆる加入の任意制ということについて、国民皆保険の現状からそういうことがいまだにあるということは、非常に私として矛盾を感ずるのですが、保険医の義務制というものをつくって、そして医者は全部保険医にならなければならないという、そういう義務制ということについては考えたことがないかどうか、その点について大臣のお考えを聞きたいわけであります。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 ただいまの御意見でございますが、保険をやっておって国民皆保険である、それの治療に当たる方はお医者さんである、そういうような見方からすれば、義務的にいかなるお医者さんも保険医に登録するなり保険医になってもらうということはどうか、こういう御意見のようでございますが、一体医療ということの本質を考えてみますと、ここにお医者さんはいらっしゃいますけれども、これに国がどうしても保険医になってもらいたいということで、保険医の地位を強制するということになりますと、仕事の性質上、これはお医者さんが人のからだを治療するというにあたりまして、何としてもお医者さんと患者というものとの間には、そういったような国家の強制によって、自分は他人のからだを治療するのだというふうなことに相なりますと、これはここにまた非常に弊害が生じてくる。さような意味におきまして、国民皆保険制度ではあるけれども、お医者さんというものは、やはり治療にあたっては、自由な立場において患者のからだを見て治療するという、そういったような自由性と申しますか、自主性というか、そういったようなものを残しておくということが非常に私は大事なことだと思いまして、今日ただいまのところは、国家的強制をしていこうというふうには私は考えておりません。

浅井美幸公明党

○浅井委員 まあ医者の問題はあなたが強制しようとは思わないというお話でありましたけれども、これは今後検討していくべき問題ではないかと思うわけです。いわゆる医者に対する選択の自由を国民の側に持たせる。それが、国民のほうは健康保険は扱わないというので断わられる、そういうことでは、これは国民の側の診療の平等ということから少しはずれるように思います。  それから抜本改正にあたって最後にお聞きしておきたいのですが、結論として、いわゆる抜本改正にあたって、国民の負担、しわ寄せが今後これ以上ふえないという、そういう固い方針をあなたが堅持されるかどうか、それともやむを得ないのかどうか、その点だけを明確にお答え願いたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 抜本対策の内容につきましては、先ほど来も申し上げましたように、いまのところ固まっておりませんが、私は先ほども申し上げましたとおり、いろいろなしわ寄せをすべて国民に持っていくなどというようなことは考えておりませんということを申し上げます。

浅井美幸公明党

○浅井委員 終わります。

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 田中正巳君。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 時間がありませんから簡潔にお尋ねいたします。  厚生省年金局の系統でございますか、還元融資、特別融資については、今年度分はすでに御決定になり、各都道府県に内示になりましたか、その点お聞かせ願いたいと思います。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部説明員 特別地方債は例年九月中旬には決定を見ておるわけでございますが、本年度は暫定予算等の影響もございまして、遺憾ながらまだ正式な決定に至っておらないのでございます。ただいま関係省の意見の調整を急いでおりまして、来週早々の地方財政審議会には正式に付議して決定いたすよう努力をしたいと考えておる次第でございます。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 確かに本年は暫定予算等々がありまして、若干おくれることもやむを得なかった事情はわかりますが、各種補助金等につきましてはすでに全部交付済みでありまして、かくほどまでにおくれておる実例はないわけでございます。ひとりこの種の融資がおくれているという事情については、国民の側から言えば納得のできないものがあります。率直に申しまして、私の選挙区北海道ではすでに降雪期に入ってきているわけであります。どうして一体これがきまらぬのか、迷惑しごくであるということを言っておるわけでありまして、この辺あたりが一種のビューロクラティズムと申しますか、役所のひとりよがりのような気がするわけであります。国民に非常に迷惑をかけておるというこの事実は、何としてもこれを是正しなければならぬ。それをカバーするための努力が今日の暫定予算であって、予算成立がおくれればおくれただけ急いでやらなければならなかったと思うのですが、一体この決定に至るまでの間どういう手続が必要であり、各省それぞれ——私どもの知る限りにおいては、厚生省、大蔵省、自治省それぞれ三省が関係しているようでありますが、この間一体どういう手続でそれぞれ今日まできたものか、御参考のために承らしていただきたいと思います。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部説明員 ただいま先生御指摘のように、厚生省が原案を作成いたしまして、これを自治省に協議をし、自治省と大蔵省との間に協議が行なわれるわけでございますが、その間新規要求及び継続を含めますと、およそ二千件に上る請求の審査になるわけでございます。それぞれの省の仕事のしかたにつきまして、申しわけはそれぞれあろうかと思うのでありますが、ただいま先生御指摘のように、基本的な姿勢としては御指摘のとおりでございます。われわれのほうといたしましても、一日もすみやかに決定をいたしたいと考えておるのでございますが、諸般の事情でおくれてたいへん申しわけない。昨年のときは、その趣旨によりまして、八月中旬にすでに決定を見たのでございますが、本年は諸般の事情で非常におくれておるわけでございます。これにつきましては、すみやかにこの解決をはかるとともに、明年度以降につきましても、関係省とも協議をいたしまして、補助金等に影響のない施設も多数あるわけでございますから、それらの点くふうの余地はないかどうかよく話し合ってみたいと考えております。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 それでは具体的に聞きますが、厚生省はいつまでに審査を終えまして自治省にこの案をお渡しになりましたか。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部説明員 関係省におきまして、それぞれいつ審査をし、いつ意見の調整を始めたかという記録はもちろんあるわけでございますけれども、現時点におきましては、やはり三省それぞれ共通の責任である、その共通の責任を果たすようすみやかに努力をしたい、かようにお答えをして御了承を得たいと考えております。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 別にいまここでもって各省それぞれの責任を私はなじるつもりはないのですが、毎年のことなんです。それぞれ当事者が多いために、自分のところの案はきまっているけれども、よその役所ではきまらぬ、また、よその役所では差し戻ししたとかなんとかかんとか言っているうちにこういう事態が起こるわけで、私はことしだけを言っているわけじゃない。  そこで私が承りたいのは、一体厚生省では、いつごろまでにことしはお出しになったのか。一体自治省や大蔵省は何日ぐらいこの審査にかかるのか。私ども選挙区でよく聞かれても答弁ができないわけでありまして、この種のものは一体厚生省では、予算がきまってから大体いつごろまでに案をきめるのが普通であるのか。それから自治省や大蔵省は一体どのくらいの期間が必要なのか、そのことを承らせていただきたいと思います。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部説明員 従前のやり方といたしましては、許可方針が発表になり、同時に三省の通達が流されるわけでございまして、これに基づきまして六月中におおむねヒヤリングが行なわれるわけでございます。これに基づきまして内容の審査を行ないつつ関係各省の折衝に入るという経緯でございます。本年度におきましては、いろいろな事情がありまして非常におくれておるのでございますが、先ほど来申し上げましたように、先生の御指摘のとおりでございまして、責任を果たしますよう来週早々には成案を得るように持っていきたい、かように考えておるわけでございます。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 大蔵省の地方資金課長いますか。——お尋ねいたしますが、おたくでは一体自治省、厚生省からいつごろこの協議書を受け取ったのですか。

久光重平大蔵省理財局地方資金課長

○久光説明員 私のほうは大体例年約一カ月かかって審査をさしていただいておりますが、本年はいろいろほかの省の御都合もありまして、例年よりもおそくなっております。何月何日ということは、ほかの省との関係もございますので、明確な日にちを申し上げられませんので、申し述べることは御容赦を願いたいと思います。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 おそくなったというのは、協議を受けたのがおそくなったというのですか、それとも審査に手間どっておそくなったというのですか、どっちですか。

久光重平大蔵省理財局地方資金課長

○久光説明員 例年よりも受け取ったのがおそいわけでございます。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 これ以上いろいろ私言いませんけれども、時間もないしみんな待っているものですからやめますけれども、大臣こういう状況です。いま十一月の大体十日、これは普通この種のものを地方に流すのには、非常識なほどおそい日にちになっているわけなんでして、正確に言いますと、この間補助金をもらっても、補助裏も手当てがつきませんし、また単独のものについては手当てもできない。そこで、これからいろいろやるといっても、実際問題としてはようできない状態なんです。私ども北海道などでは事実上できません。どういうことをしておるかというと、インチキでもってすでに見込みでやっているやつがあるか、さもなければ、ばか正直でこれからセメントが割れるのを覚悟で工事を始める。これくらい国家資金のむだ使いもありませんし、国民に対する迷惑もないわけでありまして、この点については、ことしはたまたまこういうことでたいへんおくれたということでありますが、来年以降ひとつこういうことの絶対にないように、それぞれ十分に留意をし、努力してもらいたいというふうに思うわけであります。根本にさかのぼってみますと、一体この種のものを厚生省、大蔵省、自治省、三省寄ってたかってあれほど綿密な審査を必要とするかどうかという制度の根本について少し議論をしてみたいと思いますが、これは後日に譲りたいと思います。  地方債に関するいろいろなかつての十数年前の取りきめ等についても、国会並びに党の内部にもいろいろな問題があって、しょっちゅうフェニックスのように地方債の取り扱いについて問題があったことは、皆さん御承知のとおりだろうと思います。こういうことになりますと、一体こういったような地方債についての取り扱いの方針というものが必要であるのか、また国民のためになる措置であるかどうかということさえ疑わしいと思いますので、ことしおくれてしまったことはしかたありませんし、来週早々にも決定するということだそうでありますから、これ以上は追及をいたしませんが、来年以降こういうことになりますれば、われわれとしては黙っていられませんから、この地方債の決定の機構なりあるいは仕組みなりについて、根本的にひとつ御再考を願うような方針をとりたいと思いますので、ひとつ今後十分御留意願いたいということを申し上げまして、時間がおそくなりましたからこの程度で質問をやめたいと思います。     —————————————

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 先般、社会保障制度、医療、公衆衛生及び社会福祉事業並びに労使関係、労働基準及び雇用・失業対策等の実情調査のため、各地に委員を派遣いたしましたが、その報告書を本日の会議録に参照として掲載いたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会

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