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56回国会衆議院1967/08/02

社会労働委員会 第2号

発言数
50
登壇者
8
会派数
2
開催日
1967/08/02

会議録

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 これより会議を開きます。  昨日の委員会の事態はまことに遺憾でございました。      ————◇—————

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 この際、おはかりいたします。  理事粟山秀君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、理事の補欠選任を行ないたいと存じまするが、委員長より指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 御異議なしと認め、よって、理事に田中正巳君を指定いたします。      ————◇—————

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 内閣提出の健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。  昨日の厚生大臣の提案説明はお聞き取りにくい状態であったかと思いますので、厚生大臣に詳細に御説明を願います。坊厚生大臣。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案並びに船員保険法の一部を改正する法律案について、詳細に御説明いたします。  まず、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案について申し上げます。  近年、医療保険の財政は各制度とも悪化の傾向にありますが、特に政府管掌健康保険及び船員保険においては深刻な財政危機に直面しており、このまま推移すれば制度の崩壊すらおそれられる事態にあります。  政府は、両保険について当面の収支の均衡をはかり、何としても制度を維持するため、まず国が極力大幅な国庫負担を行なうこととし、同時に、この難局に対処するため、被保険者、事業主及び実際に給付を受ける方にも御協力を願うこととして臨時応急対策を策定し、前国会に健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案を提出し、御審議をわずらわしたのでありますが、遺憾ながら審議未了となり成立を見るに至りませんでした。  しかしながら、保険財政の現状は極度に窮迫しており、一日も早く臨時応急対策の実施を必要とする状況にあるのでありまして、ここに再度この法律案を提案し、御審議を願うことといたした次第であります。  次に、この法律案の概要を御説明いたします。  まず、健康保険については、第一に、初診の際支払うべき一部負担金の額現行百円を二百円に、入院の際最初の一カ月間一日について支払うべき一部負担金の額現行三十円を六十円にするとともに、新たに、被保険者が外来診療で投薬を受ける際、一剤一日分の額が十五円をこえる薬剤について十五円の定額負担をしていただくこととしております。  なお、被保険者資格喪失後の継続療養受給者については、外来投薬時定額負担は支払うことを要しないものとし、入院時一部負担金は現行の額に据え置くこととしております。  第二に、政府管掌健康保険の保険料率現行千分の六十五を千分の七十二とすることとしております。  次に、船員保険については、第一に、初診時一部負担金及び外来投薬時の本人定額負担について健康保険と同様の取り扱いをいたすこととしております。  第二に、保険料率については、失業保険の適用を受ける者の保険料率は、現行千分の二百二を千分の二百六に、失業保険の適用を受けない者の保険料率は、現行千分の百九十一を千分の百九十五とすることといたしております。  なお、この法律は、保険料率に関する規定については昭和四十二年八月一日から、一部負担金に関する規定については昭和四十二年九月一日から実施することといたしております。  次に、船員保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  船員が失業したときは、船員保険において失業保険金の支給その他陸上労働者の場合における失業保険法による給付に準じた措置を講ずることとなっているのでありますが、今回の改正は、失業保険法による失業保険の給付水準との均衡を考慮し、船員保険の失業給付の改善を行なうこととするものであります。  その改正の第一は、現在失業保険金の支給日額は、その最低額を含め、法律で規定されており、この結果、社会経済情勢の推移に応じ迅速に改善を行ない得ないうらみがありますので、この点を改め、金額算定の基準を法律に規定するにとどめ、具体的な金額については、失業保険法における給付水準等を考慮して厚生大臣が定めることとしたことであります。  なお、厚生大臣がこれを定める場合には、社会保険審議会の意見を聞くことといたしております。  改正の第二は、失業保険金における配偶者加給金の日額を現行二十円から三十円に引き上げることとしたことであります。  二法案の提案について補足説明を申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 これより質疑を行ないます。  申し出がありますので、これを許します。佐藤觀次郎君。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 坊大臣に最初に、総理おられませんから質問いたしますが、この重要な法案は先国会において廃案になったのでありますが、あなた自体は、大体あの法案が廃案になっても居すわるということ自体が、ぼくは責任制の内閣においておかしいと思う。みずから辞表を出すか、少なくとも今国会にこの法案が出る以上は、あなた自体としてはどういう責任を感じておられるのか。これは私は、責任制の内閣としては、大臣が居すわってこんなぬけぬけと提案理由の説明をなさるというのはおかしいと思うのです。私は、個人的にもよく知っておる坊さんでありますけれども、納得がいかないので、その点をまずお伺いしたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 前国会におきまして、この健康保険等の臨時特例が審議未了のために成立しなかったということは、まことに遺憾でございます。この法律案が国会で成立をさしていただくことができませんでしたので、政府といたしましては、いまのこの健康保険、日本の医療保険の実情におきまして、ぜひともこれを成立、実施したいということを考えまして、前国会で審議未了になりましたけれども、延長国会とも申すべき臨時国会を引き続いて開きまして、そしてこの法律案をぜひとも成立をさしていただきたい、こういうことで時を移さず臨時国会が召集されまして、この特例を御審議願うということに相なりましたので、私は前国会において成立させることのできなかったこの法律案を、延長国会とも申すべき臨時国会におきまして、皆さん方に御審議を願って成立をさしていただくということが私の責任であるというふうに感じまして、私は今国会に再びこの特例法案を提出いたしまして、御審議を願っておる次第でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 内閣の責任を問うているのではなくて、少なくとも坊厚生大臣は、二百八十名の絶対多数を持ちながらこの法案が通過しなかったということは、やはり責任があると思うのです。あなたは延長国会ということを言われましたが、延長国会ではございません。新しい国会でございます。だから、その国会の前にはいさぎよく辞表を出して、そして自分の不明を謝すべきがほんとうじゃないですか。その点坊大臣はどう思っておられるのか、それをお聞きしたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 私は、前国会でこの法律案が成立しなかったことにつきましては、非常に遺憾に思っておりますけれども、しかしながら、この法律案を今回の臨時国会で御審議を願って成立させていただくということが、これが私の責任を果たすゆえんである、かように考えまして、私はこのたび御審議を願うということになったわけでございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 先回の国会は、御承知のように会期も延長してやったのでありまして、これが通らなかったというのは、やはりこの法案は世論がきびしい、相当この法律についてはいろいろな異論があったということで、いろいろな問題があったと思うのです。それで、これ以上いろいろなことを論じましても、あなたは心臓が強いので、あまり自分では悪いということを感じておられませんから、これはやむを得ませんが、それはやはり自分自身でこの法律をつくったあれがないからだと思うのです。これは、厚生大臣になられて、厚生省の役人がつくった法律をうのみにして、私は長い間この委員会を見ておりましたけれども、あなたが答弁をされるのは、何か自分の省から出た法律だと思えないような答弁をされておる。  そこでもう一つ、先ほどあなたは政府のことを言われましたから申しますが、そういうようなことならば、政府が出しておった重要な法案で政治資金規正法という法律がありますが、この法律もなぜ一緒に出してこないのですか。私は、これは坊さん自体の責任ではございませんけれども、少なくともあなたが連帯制の内閣の閣員である以上は、総理大臣がおられなければ、あなた自体が——それは政治資金規正法も同じように廃案になったのでありますけれども、しかもこれは御承知のように、政府みずからが出した法案であって、そのために延びたのであります。そうすると、それと同じような場合にあるので、あなたはそれをどういうように感じておられるか、閣僚の一人としてこれはお伺いしたいと思っております。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 これはどうも私がお答えする筋合いのものではないとは思いますけれども、国務大臣といたしまして、私は、政治資金規正法は、今度の臨時国会のこの二週間余りの会期の中におきましては、これを御審議を願って、そうして慎重に御検討を願うためにはあまりにも複雑多岐でございまして、この法律案をこの臨時国会に提出いたして御審議を願うということは、必ずしもこれは適当ではないのじゃないか、こういうようなことでこの法律案を提出しなかったのでございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 どうも佐藤内閣は一貫性がないのですが、やっていることが非常に片手落ちで、かってな法律だけは出して、自分らの都合の悪い法律は出さぬというような、そういうやり方自体が非常に佐藤内閣の評判が悪い理由じゃないかと思うのです。そこで私は、この前の鈴木善幸厚生大臣から引き継がれたときに、この健康保険法の問題については、どのような指図を受け、どのような経過を聞いてあなたはこの法案をお出しになったのか、そのいきさつを聞いておかないと、あなたの健康保険というものについての理解の問題があると思うのです。そういう点について、鈴木善幸前厚生大臣からどのような引き継ぎをされて、どういう覚悟でこの健康保険法をお出しになったかということを、この際お尋ねしておきたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 私が就任いたしましたのは昨年十二月でございますけれども、就任にあたりまして、厚生省の中にはたくさんの重要問題がございますが、その重要問題の中で、この政府符掌健康保険というものは、将来一年の間これを運営していくためには、このままでおきますと、今日まで、四十一年度末まででも赤字が出てまいっておりますけれども、さらにその赤字が累積してまいりまして、そうして四十二年度末には千九百億円にも及ぼうとしておる。そこで、しばしば前国会において申し上げましたが、七百四十五億円も単年度赤字が予想される、そういったようなものをこのまま放置しておきますと、これは政管健保を運営するにあたって、支払い遅滞といったような、はなはだ容易ならざる事態を招くかもしれない。そこでどうしてもこれを解消するように厚生省としては努力しなければならないんだということは、鈴木前厚生大臣からも承りましたし、それからその後、私は厚生省におきまして、この問題をそれぞれ事務当局と相談をいたしましたところ、やはり巨額の赤字というものをそのままにしておくわけにはまいらない、こういうふうに考えておりましたおりから、その間解散があったり選挙があったりいたしましたけれども、いずれにいたしましても四十二年度の予算を編成しなければならない。その予算編成にあたりまして、この政管健保の赤字というものを、これは何と申しましても予算の上で相当部分を解決しなければならない、こういう立場に立ったわけでございますが、四十二年度予算編成の過程において、この七百四十五億円というものを、できるだけ政府の補助と申しますか、政府に負担をしてもらおう、こういうことで私は大蔵省と折衝をしたのでございますけれども、しかし、その全部を政府に負担してもらうということも、これは妥当にして適当なるやり方ではない。今日保険方式をもってやっておりますので、まず第一に政府が負担いたしまして、その余のものにつきましてはそれぞれの関係者に応分にひとつ負担をしていただいて、そうしてこの赤字を解消して、この政管健保というものを支障のないように運営をいたしますということが厚生省としての非常に大事な仕事だ、かように考えまして、この健保法等の特例をつくった次第でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 いろいろ苦しい答弁をされるのでございますが、これは政党政治となれば、当然党から案が出て、そして厚生省で厚生大臣がやるというのが筋でありますが、現にこの法律が出ましてから、御承知のように、この委員会でも、自民党の中からも反対の意見を陳情されたことがあります。それから参議院からも、御承知のように、反対の手紙を出したり、この法案を絶対通さないというような、こういうことを自民党の当の議員がやっておられることも私は知っております。あなたは厚生大臣であると同時に自民党の幹部の人でありますけれども、そういうことをどのように解釈されておるのか。この法律に非常に無理があるということの一つの反面だと思うのですが、この点は坊さんはどのように解釈されておるのか、事実に即してひとつ御答弁を願います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 御質問の点でございますが、自由民主党と申しましても、これはたいへん大きな政党でございまして、全く一億一心といったようなことでないということも——党としては民主政治が行なわれておりまして、党の中におきましてもいろいろな意見、異なった意見があるということも、これは先輩の佐藤先生よく御了解を願えることだと私は思います。健康保険の今度の特例につきましても、もちろん自由民主党の中の全員が、もうこのとおりだということではない。それに対してはいろいろな土層兄がございましたけれども、これは自由民主党の中の、それぞれの党内の事情でございますから、ここで申し上げることはどうかと思いますけれども、それぞれの機関、すなわち政調の各担当の部会あるいは政調審議会、あるいは総務会といったような機関を経由いたしまして、もちろんその経由の間にも、これを出して出席者全員がこのとおりだといったようなことではなく、これに対して異なった意見もありましたけれども、これをその機関にかけまして、そして調整をしてまいった。自由民主党でも社会党さんでも同じことだろうと思いますけれども、かような組織体におきましては、それぞれの正式機関にかけて、そして経由してまいったという案は、その過程において若干の異なる意見というものがあったといたしましても、これは自由民主党、与党並びに政府といったような、組織体としての意見としてこれを了承していただくということが、私は、民主政治であり、政党政治であろう、かように考える次第でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 坊大臣は盛んに強弁されますけれども、やはり自民党の中にもいろいろな異論があり、それからあなたが幾ら抗弁されても、現実にはそういうような意見のあることもわれわれ承知しております。だけれども、これは平行線になりますからこれ以上追及しませんが、ただ申し上げたいのは、先国会でもわが社会党の議員からいろいろな質問をされて、相当傷だらけになったのでありますが、しかし、私がここで申し上げておきたいのは、あなた方は原案でどこまでも押し通されるかどうか。あなたのほうでこの前は絶対にこの原案でいくということを言っておられますけれども、世間伝えられるところによりますと、修正案を出すという話もありますが、そういうのは一体あるのかないのか、そういうような疑心暗鬼で出されるならば、なぜ修正したものを原案としてお出しにならぬのかということを、一ぺん厚生大臣に伺っておきたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 今度の特例法案でございますが、これを作成いたしまして、そしてぜひともこの作成いたしました政府原案というもので御審議を願って、私の念願といたしましては、この原案でもってやっていただきたい、こういうふうに考えてまいっております。しかしながら、去る前国会からいろいろな御意見というものも私は承っております。私の耳には入っております。それは野党の方々からの御意見もありますし、また、与党の方々からの意見も私は党内において聞いております。こういったようなことにつきましては、私は現在政府が出しましたこの原案というものでやっていただきたいということを念願いたしてはおります。念願はいたしておりますけれども、国会の審議、あるいはこれは先のことを申すようで、たいへんはっきりいたさないことでございますけれども、国会の御意見なり、あるいはその後の党内における意見といったようなものも、これは私の念願とは別に、そういったようなことも重要な御意見として考えていかなければならない、これが政党政治であり、議会政治である、こういうふうに私は考えておりますが、ただいま御審議を願っておりまするこの政府原案というものでやっていただきたいということを、私の念願といたしております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 そんな念願は吹っ飛んでしまうことはわかっておりますけれども、こういう公の席でございますから、それをなるべく言わぬようにひとつお願いしたいと思うのです、修正案が出ておるのですから。  そこで、私がひとつ坊さんに申し上げたいのは、あとでまた大蔵大臣にお伺いしますが、健康保険の臨時特例の中の赤字の問題です。この赤字が出ておるわけですけれども、これは臨時措置だといえば、当然この赤字くらいは大蔵省が持ってしかるべきだと思いますけれども、そういうことについてどれほどの交渉をされたのであるか。坊さんみずから大蔵大臣とどのくらいの折衝をされたのか。あとで水田大蔵大臣を呼びますから、そのときにも問いただすつもりですけれども、その点をはっきり、あなたがどういう努力をしたか、どのくらいの熱意を持って赤字を国に負担させることについておやりになったのか、お伺いしたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 この政管健保の赤字を埋めるために、一体大蔵省とどれだけの熱意を持っておまえは折衝したかということですが、私は一生懸命にやりましたけれども、私の熱意を私のものさしでもってはかるというような性質のものではどうもないように私は思うのでございますが、七百四十五億円のこの赤字の中で、できるだけたくさん政府は支出、負担をしてもらいたいというように考えまして、そうして前年度におきましては、政府で百五十億円という負担をしてもらっておったわけでございますが、どうやら前年度の百五十億円というものは、恒久的に百五十億円を支出するということでなくして、前年度、四十一年度限り百五十億円を負担しようといういきさつに相なっておったように承っておりますが、この折衝にあたりまして、前年度の百五十億円というものに対して、結局において五割増ということで二百二十五億円、これで私は何も鬼の首をとったように思っておりません。なおそれでも足りないと私は思っておりますけれども、予算編成当時における財政の実情等から、とにかく五割増しのこの支出をしてもらった。厚生省全体の予算におきましては約一割六分、一六%くらいの増になっておりますが、その中におきまして、私は、約五割というものをこの政管健保の赤字を埋めるために大蔵省から支出をしてもらった。何も鬼の首をとったようには考えておりませんが、非常に微力を尽くして一生懸命にやったということだけは申し上げることができます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 先輩の佐藤先生の御質問に関連して質問をいたしたいと思います。  自分のものさしで自分の熱意をはかることはできないと言われますけれども、坊厚生大臣としては、自分のものさしでも熱意が足りなかったことを認めておられなければならないと思います。先国会の私の質問で、坊厚生大臣は大蔵大臣に対して当然多額の国庫負担を要求すべき論点の研究を怠っておると思います。事務局も大臣に対して補佐することを怠っております。四十年九月十五日の社会保障制度審議会の答申では、この暫定対策について、国民の負担よりもはるかに多額の国庫負担をしなければならないという答申が行なわれておるわけであります。現在の政府案の国民負担は、資本家負担を合わせれば四百九十五億円であります。したがって、それよりもはるかに多額なものといえば、一番軽く見ても八百億円や九百億円という金額に当たるわけであります。そのことを研究もしないで、そのことを要求の論題にもしない、主張の論点にもしないで、熱意を持って交渉したというようなことは言えた義理ではないのであります。みずから熱意が足りなかった、まことに厚生大臣の任にたえない自分でありますということを、ここではっきりとさせなければならないわけです。  しかも皆さん、ここにおられる社会労働委員の古い方は御存じでありますが、昭和三十年、三十一年、三十二年に、この前の健康保険の改悪案の提出がございました。三十二年のときの最後の審議のときに、ほんとうは黒字に転化をしておったのに、厚生省の保険局の連中は、黒字をごまかしてまだ赤字があると称したが、その非常にけしからぬ保険局の連中の発表でも四十八億円の赤字だったわけであります。その当時、政府は、三十億円の国庫負担を予算に計上し、はっきりとそれを確定をいたしました。四十八億円に対して三十億円——四十八億円にはインチキがありますけれども、かりにそれを認めるとしても、赤字に対する六割以上の国庫負担をしておるわけであります。今回七百四十五億円、その赤字の見積もりは間違いはございますけれども、厚生省の数字をもとにして考えても、その六割以上というものは四百数十億円、五百億円になんなんとする数字でなければならないわけであります。しかも、今次健康保険の赤字が非常に重大な問題であるということをあなた方が考えておられる以上、前の比率よりは多い比率をもって出すことを要求すべきであります。大蔵大臣がこれを査定することは別として、あなたとしては、どちらにしても六百億円ないし八百億円の要求をしなければ熱意を持って当たったとは言えないのであります。  このような論点を一つも知らなかった。保険局もそれを補佐して進講を申し上げなかった。このような不十分な状態で予算要求をし、国庫負担が少ないといって、その分を患者や被保険者に負担をさせるようなものを自信を持って発言をするということは、それは政治家として、厚生大臣として零点以下のマイナス百点である。直ちにあなたは責任を負って辞表を提出し、私の不明でこのような国民を圧迫する法律を出したことを非常に残念に思う、私の辞表に免じて内閣は撤回するように自民党の議員諸君は協力をしてもらいたいということを言いまして、国民に謝罪をすべきであります。あなたは熱意を持って国庫負担の増額要求には当たらなかった。その不明をこの社会労働委員会を通じて全国民に謝し、その責任をとらなければならないと思います。それにつきましてもごまかしのない明確な答弁を要求いたします。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 非常に御熱意のこもった私に対する御質問なり御激励をいただきまして、私も真剣にお答えしなければならないと思いますが、今度の赤字を解消するためには、私は微力ではございますけれども全力をあげてまいったのでございます。  そこで、二百二十五億円などというものは非常に少ないじゃないかというおしかりでございまして、そういう見方から申し上げますと、これは先ほどからも申し上げておりますとおり、決して十分だとも何とも思っておりません。鬼の首をとったというようなことは毛頭考えておりません。しかし現時点におきまして、私の全力をもってこの二百二十五億円というものを予算編成にあたって政府から支出をしてもらうということになったことは、昨年度のいろいろな点等から考えてみまして、これは非常に少な過ぎて、これじゃどうにも厚生大臣としての責任を果たすことができなかったんだという——ほかには私は幾らも反省しなければならぬ点もあろうと思いますが、この点については、私はこれでもって御理解を願えるんじゃないか、かように考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 厚生大臣がどれだけ熱意があったかということは、大蔵大臣があとで来られましたら質問することにいたしますが、この臨時特例をお出しになるのには、将来根本的な改正をやるという立場があるからだと言われておりますが、将来やるといっても具体的にどのような案があるのか、私はこまかい案をここで聞こうとは思いませんけれども、少なくともこれくらいの青写真を持っておるんだというような具体的なことを聞かないと、にわかに政府のやっていることについて安心するわけにはいかないと私は思うのです。そういう点について坊厚生大臣はどのようにお考えになっておられますか、伺いたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 佐藤先生御指摘のとおり、いまの日本の国の医療保険制度というものは、どうしたって根本的に立て直しをやらなければならない、いわゆる抜本対策というものを策定してまいらなければならないということは、私も全く同感でございまして、厚生省といたしましても鋭意この検討を続けてまいっております。  そこで、この抜本対策を策定するという上におきましても暫定対策が非常に必要でございます。これもあらかじめひとつ御審議、御成立を願いたいのでございます。さてその抜本対策でございます。これについての案を示せというお話でございますけれども、この案については確定したものはまだ持ち合わせておりません。しかしながら、これについての検討は今日まで続けてまいっておりますので、その抜本対策の方針について若干申し上げますと、御承知のとおり、今日の医療保険はいろいろと制度が分立いたしておりまして、その制度間においていろいろな点に格差がございます。たとえば給付率におきましても、あるいは費用負担におきましても、また個人間におきましても、本人と家族といったようなものに給付率等についての格差がございます。そういったようなことだとか——つまり給付率の格差、それから費用負担のアンバランスといったようなものが行なわれておる。これは、国民皆保険といったような制度がとられておるいまの皆保険の制度からにらみ合わしてみまして、いかにも不合理である。だからそういったようなことはできるだけ解消するということも、抜本対策の一つの行き方であろうと思います。  それから、いま非常に熱心に御審議を願っております暫定対策、臨時財政対策をやらなければならないということは、これは保険財政が長期的に安定していないということを物語るものでございますが、毎年毎年こういうことがあってはならない、かような意味におきまして、この財政の長期安定策を講じていくということも、抜本対策の取り上げるべき一つの非常に大きな課題であろうと思います。  それからまた、さらに、医療費がだんだんと増高してまいっております。その医療費の増高は、なるほど医学、医術が非常に進歩をいたしまして、そうして質的にも量的にもいい治療が行なわれておるということは否定できませんけれども、しかしながら、この診療報酬体系の制度の中にも、私は、見のがしてはならない、改正していかなければならない点が多々あると思います。さような意味におきまして、診療報酬体系というものを改定していくということも、これまた抜本対策の非常に大きな課題の一つであろう。さようなことを考えまして、いま申し上げましたような点についていろいろと検討を進めまして、問題点といったようなことは厚生省でただいま整理をいたしておりますけれども、その課題を整理して、そうしてこれをどういうふうに組み合わしていくか、どういうふうに編成していくかということについては、今日まだ確定をいたしておりませんので、案を示せと仰せられましても、まだその段階には立ち至っていないということを御理解願いたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 坊大臣言われることばは本末転倒じゃないかと思うのですよ。赤字が出ておることはわれわれもわかりますけれども、しかし、国が今回の臨時措置ででも、あなたの努力によってか、二百二十五億円の負担をしたということになれば、当然あとの赤字も一緒に負担をしておいて四十三年度からやればいいじゃないかという意見が出るわけです。そこで、この暑いのに——御承知のように、七月の二十七日から八月の十日までといえば、年間で一番暑いときですよ。こんなときに、去年の十一月から今日まで、選挙からあれをやってみんなくたくたになっておるのに、わざわざ厚生省のため、坊さんのために、こんなあれをやっているわけです。(「お国のためだ」と呼ぶ者あり)お国のためじゃない。厚生省がへたなやり方をやっておるからこんなことになる。だから、ことしは赤字がたいへんだというのなら、これはあとで大蔵大臣にあなたにかわってまで言ってやろうと思いますけれども、少なくともそういう処置をとるのが、私は厚生大臣の次善の策じゃないかと思うのです。ことしの分はひとつ大蔵省で持ってくれ、しかし来年からはこういうふうな方法をとるというなら話はわかるけれども、ことしからこういうような臨時措置をやって——私はそれはあとで言いますけれども、おそらくそのことばはごまかしじゃないかと思うんだ。おそらくこれを契機にして、いまもう青写真も何もありませんから、当然これをなれ合いにして、あなた方が言っている福祉国家なんというものは、これは最後には結局おしまいにするという意図があるのじゃないかということを邪推せざるを得ないような、そういう考え方があると私は思うのです。そういう点について大臣はどのようにお考えになるのか伺いたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 たいへん炎熱のおりから、国会の諸先生方に非常にごしんぼうをいただいて御審議を願っておるということにつきましては、私は大臣といたしまして、国民にかわりまして厚くお礼を申し上げる次第でございますが、何もこれは厚生大臣のためということよりも、日本の健康保険というものを、これがこのままに置いておきますと非常に危殆に瀕するので、そこでひとつ、そういうことでないように議員の諸先生方にこの暑いおりから御審議を願おう、こういう趣旨でございます。ただ、今度のこの法案についての主管者、主管をいたしておりまする私といたしましては、皆さんの非常なこの御精励、お暑いところで御苦労をおかけいたしておりますことに対しましては、深くお礼を申し上げる次第でございます。  そこで、本末転倒ではないか、こういうふうに仰せられるのでございますが、私といたしましては、佐藤先輩よく御存じのとおり、国には、必ず一年に一回ずつ予算の編成をしていかなければならない、こういうことがあるのでございます。そうすると、予算の編成に際しまして、これは健康保険だけのことではございませんけれども、いろいろな財政対策というものが——国家万般の仕事について予算の対策を、措置をしていかなければならない。そういたしますと、健康保険もその他の事項と同じように、かりにこれが非常に赤字があるということになりますと、この赤字を毎年の予算編成の上におきまして措置していかなければならない。国の予算だから親方日の丸でもって赤字のものはどんどん埋めていっていいじゃないか、こういうわけにもまいらないと私は思うのです。そうしてみると、赤字が大きいと、これについて、たとえば食管の赤字のように、赤字を埋めるにあたりましては、相当の行政と申しますか、財政と申しますか、それにエネルギーをつぎ込んでまいらなければならないことが、年々歳々これは必ず繰り返されることでございます。これは好むと好まざるとにかかわらず、この経過は、この関門は、国家として、政府として通っていかなければならない、こういうことでございます。  そこで、そういうことのないように、先ほども申し上げましたとおり、保険の中の財政というものが非常に不安定である。不安定であるから、これを長期に安定をしなければならないという抜本対策でございますが、そこで毎年その抜本対策と赤字を埋めるという二つの仕事を予算編成の最中にやっていくということは、私は非常に困難をきわめるものだと思うのです。医療保険というものについては、先ほど来佐藤先生もおっしゃられたし、私も考えておりまするこの抜本対策、抜本的な改善をやらなければならない。そういったような医療保険の体系に対してメスを加えて、そうしてその整形をしていかなければならない。これが抜本対策だと思いますが、その整形をしていかなければならないおりから、赤字でもって一つの保険が全くよろめいておるというようなときに、メスを加えて整形をするということはたいへん困難なことだと私は思います。さような意味におきまして、そういったようなひょろひょろしておる健康保険、これに体力をまず与えるというような措置をとって、しかる上やはり根本的な、総合的な整形をやっていくということが筋であろう。たとえば人間が熱が出ておるときは、医学、医術が進みましても、盲腸の手術でも、熱の出ておるときにはこれはできない。これはお医者さんが大ぜいいらっしゃいましょうが、私はしろうと論でございますけれども、そういったような熱の出ておるときには、手術でも差し控えなければならぬというようなことで、抜本対策というと、赤字でもってひょろひょろしておるのを、まず赤字を解消して、体力を何としてでも回復させて、しかる上抜本対策をやらなければ、なかなかその抜本対策の作業というものはむずかしいであろう、かように考えまして、佐藤先輩おっしゃるように、これは本末転倒ではない。私は、この方法が順序を得た行き方ではなかろうか、かように考える次第でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 厚生大臣とは意見が違いますが、事務的なことでございますから、熊崎保険局長にお伺いしますが、審議会から昭和三十年度にすでに抜本対策を講ぜよというような答申が出ておったそうでありますが、その点は一体厚生省はどのようにやっておられたのか、これは事務的なことでございますから、教えていただきたいと思います。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 厚生省関係の審議会は社会保険審議会でございまして、社会保険審議会におきましては、一昨年、例の薬剤費一部負担と、それから総報酬制を諮問いたしました。答申の中身といたしまして、やはり抜本対策をこの際早急にやるべきであるという御答申をいただいております。しかしそれまでの間の暫定期間としてはこういうことをやりなさいということで、昨年一部改正法律案を御審議をいただいたわけでございます。  しかし、根本的な抜本対策につきましての御答申をいただいておりますのは、内閣の社会保障制度審議会でございまして、社会保障制度審議会におきましては、総会調整に関する勧告、あるいは医療保険の根本問題につきましての答申をいただいておりまして、特に一昨年におきましては、八つの項目ですか、九つの項目でございましたか、それにつきまして両三年の間に至急検討すべきだというような答申をいただいております。そのような数回にわたります中身を私どもは検討いたしまして、一昨年来、厚生省内に医療保険基本問題対策委員会をつくりまして、事務次官を長といたしまして、関係各局長とともに従来の審議会の答申等をつぶさに検討いたしまして、項目別に問題の整理をいたしておるわけでございます。  ただ、先ほど大臣から御答弁ございましたように、しからばどのような組み合わせでもってこれをスタートしていくかということにつきましてまだ成案を得ていない次第でございまして、問題がはなはだ多岐にわたると同時に、また関係団体の御意見もいろいろと聞いてはおりますが、関係団体の御意見自体が、非常に観点が違った、ばらばらの御意見でございますので、これを総合的に考えて、政府としてどのような答えを出していくかということにつきましては、いまだに成案を得ていないような次第でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 坊大臣にまた続けてお伺いしたいと思うのですが、佐藤総理も、それから水田大蔵大臣も、本会議の席で、保険である限り当事者同士でやったらいいのじゃないか、こういう思想があると思うのです。そこで、健康保険のような、皆保険に近いようなこういうものというのは、私は国が三〇%ぐらいの負担をするのが当然じゃないかと思うのですが、この点の考え方は坊大臣はどういうふうにお考えになっておるのか、これもあらためて伺っておきたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 ただいまの御質問は、日本の医療保険の根本的、本質的な問題としてこれを御指摘なすったことであると私は思います。これが私は、日本の社会保障の中における医療保険としては、非常に重大なる問題であろうと思います。そこで、私の考えといたしましては、現行制度におきましては医療保障が保険方式でもって行なわれておるということは、これはもうそのとおりでございまして、そういう意味におきましては、とにかく制度としてそういう方式がとられておりますので、これはやはり保険者、被保険者というものがありまして、そしてその関係者が保険料を支払ってそれに対して給付をする、こういうたてまえではございますけれども、しかしこれは民間の生命保険といったようなものとは違います。そこで、国民の健康を保っていくという非常に大事な保険でございまして、なお、今日国民皆保険というものが制度になっておるという意味から申しまして、決してこれは自由なる契約に基づくそういった保険とは違います。このような意味におきまして、でき得る限り政府といたしましてもこの保険に対して腰を入れていくということが今日の医療保険制度の非常に大事な点であるということは、私は佐藤先輩と全く同感でございます。  しからばこれを具体的にどうしていくかということは、少なくとも今日非常に検討もせられ、あるいは議論をかもしております保険の根本的な対策と申しますか、抜本的な対策と申しますか、そういったようなものを策定するにあたりまして、万般の角度から私はこれを考えまして、そしておっしゃるように、この問題を最も妥当なる、適当なる線に導き出していくということが大事なことであろうと思いますが、一にこれは抜本対策の最も重要なる課題として検討をしてまいるべき問題だと心得ております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 今度の法律——政府は修正案も出されるそうでありますが、今度の法案に対して、ほうはいとした反対の意見が国民に多いと思うのですが、そのおもなる反対の思想というのは、どういうものだと坊さんは考えておりますか。現在一般国民の中に根強い反対があると思うのです。この点についてどういう認識を持っておられるのか、まあ抽象論になるかもしれませんけれども、ひとつこの点をお伺いしたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 この反対論につきまして、私の耳へいろいろ入ってくる点につきまして、これはスクリーンにかけまして、そして体系を整理したというものではございませんで、ただ断片的にお聞きをしたというようなものでございますが、それを申し上げますと、これはいろいろありましょう。たとえば、料率ができるだけ低ければ低いほど、被保険者の立場から申しますと、これは消費者にとっては物価ができるだけ安ければ安いほどいい、こういうことでございますから、そういったような声もあります。しかし、そういったような声に対しまして、これはごもっともな声でございますけれども、それなら保険方式をとっておる保険において、多々ますます弁ずのその逆の、少々ますます弁ずというようなことになりましても、これは保険の制度ということもございますし、必ずしもそれはけっこうな意見だというわけにまいらないこともあると思います。それから一部負担というようなものにつきましても、現実にお医者さんにかかる人にとりましては、一部負担といったようなものはないほうがいいのだ、こういうことも、そういった立場からはごもっともなる御意見だと私は思います。しかし、そういったようなことをいろいろな角度から考えてみますと、やはりそのとおりにはまいらない。世の中の万般のことが、すべてそういうようなからみ合いによりまして行なわれておるということでございます。私はこれに対するいろいろな反対の声も聞いておりますけれども、その反対の声も非常に大事な声ではございますけれども、そっくりそのままそれを受け入れてまいるということも必ずしもできにくい問題であろう、かように考えております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 関連して。先般、さきの五十五特別国会において八木委員から、社会保障制度審議会のかけ方についていろいろと大臣に対する追及をいたしました。そのときに、大臣並びに総理府あるいは関係局長は、たいへんいいかげんな答弁をして逃げておるわけでありますが、ただいまの佐藤委員の質問に関連して、私は抜本改正について今日の立法過程論でいささか詰めてみたいと思います。  それは、戦後審議会が設置をされたゆえんのものは、私から申すまでもなく、四つの性格が各種審議会には置かれているわけであります。一つは行政の独走を防ぐということ、第二には専門性を入れるということ、第三には行政の民主化、第四には総合調査、こういう四つの性格が審議会には置かれておる。   〔委員長退席、藏内委員長代理着席〕 そこで、これらの審議会の過程というものを踏まえて考えますとき、今日の国会における審議のあり方というのは、これはたいへん行政府の独走を許しておるわけであります。なぜかというと、抜本改正についても、この問題は明らかに性格が出てまいっております。私はお尋ねいたしますが、抜本改正は四十三年度にやりますか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 前国会にも繰り返し繰り返し申し上げましたとおり、私は、抜本改正は四十三年度を目途としてこれを実行してまいりたい、かように考えております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それは目途としてということでこの際通過をさせよう、こういう姿勢であることは申すまでもありません。だから四十三年度を目途としてやろう——現にただいま概算要求の時期であります。との八月末までに各省は概算要求を出さなければならぬ。そういたしますと、四十三年度を目途にやるということであるならば、当然に四十三年度の予算編成との関連の中で現在出ていなければならぬわけであります。しかも今回の特例法案は制度の抜本改正に関連をする問題がかかっておる。そのことはもう先般認めておるとおりであります。そういたしますと、四十三年度を目途にしてやる、概算要求の時期である、そういう中で、抜本改正との関連なしに特例法案を審議するわけにはいきません。そういたしますと、厚生省の中にあります基本問題対策委員会が数年にわたってやってきた、それをいつ審議会にかけますか。   〔蔵内委員長代理退席、委員長着席〕

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 抜本改正は、先ほども申し上げましたとおり、四十三年度を目途としてやることには、私はもう決意を固めております。そこで、これについて四十三年度からやるのならば、いまや予算の要求期になっておるじゃないか、八月三十一日で締め切りじゃないか、仰せのとおりでございます。しかしながら、こういったような重大政策でもって、八月三十一日までにこれが完成しないといったようなものにつきましては、八月三十一日ということは全くのしゃくし定木の三十八度線ではないということは、例年における予算の編成に際して、そういったような重大なる政策というものはその以後にも策定されまして、そして予算の要求が行なわれておるということは、よく御理解をいただけることだと私は思います。さような意味におきまして、この抜本対策についての予算措置というものは、必ずしも八月三十一日までにこれを策定しなければならないものであるというふうには私は考えておりません。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 コンクリートのものが八月三十一日までにないにしても、そのおおよその方向がなければ概算要求をやり、四十三年度予算編成に向かって作業が進められないのです。それを、しかも数年間にわたって基本問題対策委員会がやっておる。あるいは社会保障制度審議会も両三年ということで方向を示しておる。そういう中で四十三年度を目途にやるということであるならば、当然に基本的な方向というものが本委員会に示されなければならないわけです。私は与党の諸君にも申し上げたいのだが、今日の国会は行政府がつくったものを事後承諾をする機関になっておる。国民の声というものが参加をする場所になっていない。このことは、与党の諸君の責任回避であり、行政府の独走だ。国会がほんとうに国民代表の機関として十分な民主的な運営が行なわれるためには、行政府がそれぞれ検討しておるものはそのつど出されなければならぬ。常に決定になったあとになって——先般の委員会においても、八木委員がその点については、社会保障制度審議会のかけ方について経過をいろいろと質疑をいたしましたが、今日、国民の世論がこれだけ大きく今回の健康保険の特例法に対しては反対をしておる。そういう世論の背景を考えますならば、数年来の審議の方向というものがこの国会に出され、この特例法案を審議するにあたっては、抜本改正の方向というものが示されて、それとの関連の上において審議が行なわれてこそ、国会のあるべき審議のあり方である。この点について大臣の見解をお聞かせいただきたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 前国会から繰り返し申し上げておりますとおりです。抜本改正は御指摘のようにどうしてもやらなければならぬ問題でございます。しかし、先ほど佐藤先輩に対するお答えにも申し上げましたとおり、この抜本改正を実施いたしますためには、どうしても当面のこの問題、すなわち非常に脆弱になっておりまするところの政管健保等の体力、これを回復していくということが先決の前提条件になっておる、私はかように考えておるのでございます。そこで、来年度を目途といたしまして抜本改正をやっていくということにつきましても、どうかひとつ、今度今国会に再びお出しいたしておりますところのこの臨時緊急対策を審議し、すみやかに成立をお願い申し上げたいのでございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 水田大蔵大臣に質問をいたしますが、健康保険は国民の生命を預かる非常に重要なことでありまして、経済も非常に大事でありますが、何といっても国の財政と関連も深いということで、私たちは非常にそういうことを心配しておるわけです。水田大蔵大臣は省内でも評判がいいということを聞いておりますが、健康保険について非常に薄情だといわれている一面があるわけです。そこで、いま坊厚生大臣に対しては、一体どのくらいの熱意を持って大蔵大臣に折衝されたか、いろいろ追及したのですが、問題になっておるこの健康保険の赤字をこの暫定的な措置の場合に国で見れば、暑いのにこの委員会をやらなくてもいいのに、あなたが渋いからこういうことになったので、これは大蔵大臣の責任が重大だと思う。あなたは一体それをどういうふうにお考えになっておるのか、これをまず伺いたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 保険制度のイロハについていまさら申し上げるのは失礼でございますが、社会保障制度については、国費を出す所得保障制度と、こういう保険制度によって運営する社会保障制度というものがあることは、御承知のとおりだと思います。社会保障審議会のそのほかの答申におきましても、国費を出す優先度というものは大体答申されておりまして、生活保護費というようなものへの保障は優先的であって、保険制度によって運営されるものは順位としては一番最後という、これはまあ保険制度の本質からいって当然そうだと思います。したがって、他の健保組合というようなものの運営も全部政府の補助金というものは出しておらない、こういう形になっておりますが、政府管掌保険は御承知のようなことで赤字が出ておって、このままにしておいたら制度自身が崩壊するかもしれぬという危機に直面しておりますので、臨時緊急対策として保険者、被保険者、患者、政府においても負担してこの赤字を当面解消させようということから、この保険に対しては政府が相当の補助金を出すということをきめたのが最初の政府原案でございます。  それで、やはり保険制度によって運営されるという立場に立ちますと、本来なら、政府負担というものは保険制度である以上しないのがたてまえで、諸外国でもしておりません。しかし、政府管掌の健康保険はこれは別個でございますので、この点については政府はできるだけの負担をする、こういうたてまえをとっておる次第でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 これは水田大蔵大臣の思想、それから佐藤総理大臣の意見も共通しておりますが、大体保険は保険で、保険の当事者が出せばいいじゃないかという思想ですね。私はそれはそれとして意見はあると思うのです。しかし、先ほど坊厚生大臣からいろいろ意見を徴しましたが、何でも安ければいいという考え方ではなくて、私は、今度の健康保険の改正問題というのは、自民党の政府が一体社会保障についてどういう考え方を持っておるかということをテストするほど重要な案だと思う。だから、たとえば薬代の問題はわずかじゃないか、これは今度は二万四千円の収入以下の人にはただにするというようなこと自体よりは、むしろ薬代をただにしておるから非常にお医者さんに行きやすいというような思想——これは、お医者さんに聞いてみますと、薬代がただのために、そうあまり悪くなくてもお医者さんに行く人もなきにしもあらずということも聞いております。そういう弊害はあるけれども、しかし、これは社会保障の一環としてやる意味においては、いままで有効的であったということは事実であります。しかし、それが赤字が今度たくさん出たということで否定をされていくということは、一切が大蔵大臣の責任ではないけれども、自民党の政府は今後社会保障について熱意を示さないで、この健康保険の暫定措置をいい機会にして、今後これに対していままでと違った方向にいくのじゃないかという意味において、非常に重要な法案だと考えておるのです。そういう点で私はいろいろ調べて見ました。私たちは最近この社労に入ってきたのでいろいろ詳しいことは知らなかったけれども、調べてみるとなかなか大事な法律だということを感じて大臣にお伺いするわけですが、そういう思想が流れているんじゃないかというように心配しているわけですが、そういう点は大臣どのように考えておられますか、伺いたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 それは私はごもっともだと思います。そのためにやはり社会保障制度はここで総合的、根本的な立て直しをやらなければならぬ。抜本対策を立てなければ解決しない。今回の提案のように薬価を負担させるというのは、これはやはり保険制度として、やり方として本筋ではございません。これはもう当面の赤字解消策としてやむを得ない緊急対策というところに意味があるので、根本対策というものを立てるときに、薬価の負担なんというものは私はやらなくて済むものだというふうに考えていますので、長くこの処置が続くようなことは私どもは望みません。やはりここで健康保険制度の抜本策というものを至急立てることが望ましいことであるというふうに考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 これは全部水田大蔵大臣の責任ではないけれども、自民党政府が最近地主補償をおやりになりました。これは私たちは非常に反対したのでありますが、この地主補償に次いで今度は在外資産のためにたくさんの金を費された。これが国の非常に大きな負担になっていると思うのです。こういうことに金を出しておいてこの健康保険のようなものに金をちびるということは、どう本片手落ちじゃないかという感じがするわけです。そういう点、大蔵大臣としてはどういうような解釈のしかたでこういう措置をとられるか。これは政党政治だから票田の関係もありますけれども、どうも健康保険のようなこういうことに金をちびって、そうして地主補償や在外資産にばく大な金を出すという国の負担のしかたについて——これは水田さんがずっと大蔵大臣をやっておったんじゃないから全部あなたの責任ではありませんけれども、こういう関連が非常に悪い影響を与えておる。その飛ばっちりがここへ行ったんじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点はどういうふうに大蔵大臣は解釈されておりますか、伺いたいと思います。   〔発言する者あり〕

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 静粛に願います——静粛に願います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 やはり保険財政の長期的安定ということが一番大事でございますので、したがって、この保険制度というものは、たとえば国費が非常に余裕があったからそれじゃ負担率を減らして補助を多くしてやろう、国の財政が非常に悪いというときにはこの負担率を上げたり患者の分担を多くしようというような、国費の余裕の多い少ないというようなものによって左右されるべきものでなくて、制度自体として財政をどう安定させるかということからこの制度を確立していかなきゃいかぬというふうに考えますので、私はやはりそういう保険制度の本筋に立った抜本対策ということをこれからしなければならぬというふうに考えています。ですから今度のような場合も、完全にこれは臨時緊急対策というような意味に解決しておいて、それをもとにして次の解決へ取りかかってもらいたいというふうに私は考えています。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 先日、わが同僚の島本委員への本会議の答弁で、先ほど水田さんが言われたように、保険は保険のたてまえだということで、盛んにそういうことを………

天野光晴自由民主党

○天野(光)委員 委員長、議事進行。委員長、議事進行について発言があります。質疑打ち切りを願います。   〔発言する者、離席する者多し〕

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 ……(発言する者多く、聴取不能)起立多数。………(聴取不能)

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 ただいまの修正案については、政府としては……(発言する者多く、聴取不能)ものと考えます。   〔発言する者多く、聴取不能〕   〔委員長退場〕    午後零時三十六分      ————◇—————

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