予算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 253 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1967/05/22
会議録
○西田信一君 ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。 本院規則第七十五条によりまして。年長のゆえをもって私が正副主査の選挙の管理を行ないます。 これより正副主査の互選を行ないますが、互選は、投票によらず、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西田信一君 御異議ないと認めます。 それでは、主査に熊谷太三郎君、副主査に瀬谷英行君を指名いたします。 ――――――――――――― 〔熊谷太三郎君主査席に着く〕
○主査(熊谷太三郎君) ただいま皆さま方の御推挙によりまして主査をつとめることに相なりましたが、何ぶんふなれでございますので、どうぞ皆さまの御協力をいただきたいと存じます。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○主査(熊谷太三郎君) 速記を起こして。 審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたしますが、本分科会は、昭和四十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、防衛庁、経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省所管を審査することになっております。 二十四日の委員会におきまして主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日通産産業省及び経済企画庁、明日外務省及び防衛庁、明後日大蔵省という順序で進めていきたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(熊谷太三郎君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。 ―――――――――――――
○主査(熊谷太三郎君) 昭和四十二年度総予算中、通商産業省所管を議題といたします。 まず、慣例では、政府側の説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略して、お手元に配付いたしております資料をごらん願うことといたしまして、直ちに質疑に入りたいと存じます。 また、その説明資料は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それでは御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○羽生三七君 最初に、いま問題になっておる資本自由化についてお伺いいたしますが、新聞報道によると、一昨日でしたか、外資審議会の代表が大蔵大臣を訪問して、大蔵省はじめ政府が自由化対策について明確な姿勢を示すこと、特にその対策の内容を、答申と同時、あるいは事前に明らかにすることを求めたようであります。したがって、資本自由化に取り組む基本的な考え方を、これは後に大蔵大臣にもお伺いいたしますが、通産大臣として、基本的な考えをどういうふうにお持ちになっておるか、これが一つと、それからその際に、やはりこの外資審議会の代表が、いま申し上げましたように、その対策の内容を答申と同時あるいは事前に明らかにするということを言っておりますが、衆議院の予算委員会では、その種のものを先に明らかにすることは不可能だと、こういうようにおっしゃっておるようでありますけれども、そんなにこまかいことはわからなくても、ある程度、政府の基本的な姿勢なり、およそ固まっておる考え方について、この際ひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
○国務大臣(菅野和太郎君) 資本自由化の根本問題、対策についての御質問があったと思うのですが、御存じのとおり、資本自由化が日本の産業に対して重大な影響を及ぼすことは申すまでもないことであって、これは積極面、消極面の両面からこの資本自由化を考えていかなきゃならぬ、こう考えております。根本方針としては、資本の自由化では前向きでいくという政府の方針で進んでおるのでありまして、資本自由化が結局日本の産業経済の将来のために利益をもたらすということで、前向きで進んでいきたいという考えでおるのでありまするし、また、世界の大勢から見ても、資本の自由化ということは、これは当然、日本もこの自由化に仲間入りをしなければならぬ情勢に入っておると思うのでありまするからして、そういう点からして前向きでいきたい、こう考えております。 そこでしかし、前向きでいくについても、外国資本が自由に入ってくることによって日本の産業経済に対して相当な打撃を与えやしないかということが、目下外資審議会なり、あるいは通産省の産業構造審議会において研究しておるし、またことに通産省といたしましては、各局においてそれぞれどのような打撃を受けるか、影響を受けるかということを目下慎重に審議をいたしておるのであります。 そこで、この自由化の姿については、申すまでもないことでありますが、まず第一に、外資の進出によって日本の市場が混乱を引き起こす危険があるということを考慮して、それを防止するための制度を整備する必要があるのではないかということが、まず考えられるわけです。次には、技術の開発力、資金力における内外の格差、外国のほうが技術も優れておるし、資本力も大きいですからして、その内外の格差を是正するということ、したがって、進んで国内産業を国際競争力をもって海外に対抗のできるように日本の産業を育成するためには、中小企業をはじめ、流通部門を含めて、産業構造の改善を積極的にやっていくということで、対策を考えておるのであります。この対策におきましては、また自由化の進め方とあわせまして、現在、外資審議会及び産業構造審議会において審議中でありまして、その答申を待って近いうちに政府としての結論を得たいと考えておるのであります。 先ほど、外資審議会のほうで大蔵大臣に意見の上申、陳情があったというお話がありましたが、そういう事実は聞いておりますが、内容については、まだ大蔵省から私どものほうは承っていないのでありまして、どういう内容であったか、その点ははっきりいたしませんが、とにかく、外資審議会のもとにおきまして設けられた専門委員会で、いろいろ意見を取りまとめて具体的な結論を目下作成中であります。
○羽生三七君 いまお話しのように、それぞれ対策はお考えになっているようですが、特に米国との関係については、日米通商航海条約、これで、事業活動に内国民待遇を与える、こうなっておるために、直接投資の規制は条約違反だという主張を米国のほうがしているようであります。特に、米国の対外直接投資に対する考え方は、直接投資とは少なくとも資本の過半数を押えその経営支配権を獲得することにある、として、外資比率の五〇%以下の合弁会社は直接投資とは見ないという解釈をしておるようでありますが、これに対して通産省はどういう方針をお持ちになっているのか、伺いたい。
○国務大臣(菅野和太郎君) いまアメリカではそういうように考えているかどうかしりませんが、われわれのほうでは、そういうような考えは全然いたしておりません。五〇%以下が直接投資でないとか、そういうような考えは、われわれのほうは持っていないのでありまして、日本としては日本の考え方でこの資本の自由化に対して対処していきたいと、こう考えております。
○羽生三七君 そうすると、日米通商航海条約によって、内国民待遇をたてにとって強力な要求をしてくるというようなことはないのでありますか。
○国務大臣(菅野和太郎君) そういう危険はないと考えております。資本自由化も、アメリカからの要望ということよりも、むしろ進んで日本側が自主的にやるという態度を示したわけであります。
○羽生三七君 それから、これは衆議院でも、あるいは参議院でもどなたか触れられたかと思いますが、資本自由化方式で、たとえばABの二分離方式と、ABCの三分離方式と、二つに分かれているようでありますが、大体通産省ではABの二分離方式に一応決定したと、こう聞いておるわけですが、もし二分離方式に固まったとすれば、当該業種の分類については、ある程度公表できる段階に来ているのではないかと思うし、一部には、三分離方式、場合によったら大蔵省あたりは、いろいろな条件を見て、五分離というようなことも考えている、そういうことも伝えられておりますが、いずれにしても、通産省ではAB二分離方式ということがほぼ固まった意見というふうに言われておるのですが、それは固まった意見なのかどうか、あるいはまた、いま申し上げたように、ある程度その業種について発表して差しつかえない段階に来ておるのではないか。衆議院では、川崎委員の質問に答えて、そんな時期じゃないとおっしゃっておられますが、ぼつぼつあらましのことはお話しくださってもいいのじゃないかと思いますが……。
○国務大臣(菅野和太郎君) 通産省で、ABの二部門に固まっているというわけでは、決してまだありません。われわれのほうではそういう意見を持っているのでありますが、大蔵省は大蔵省側でまた意見がありますので、したがいまして、いま双方の意見を突き合わせていろいろと議論しておる、検討しておる最中でありまして、通産省どおりにABの二分離で行くかどうかということは、確定したというようなことは、現状ではまだお返事ができない事情であります。
○羽生三七君 そうすると、二分離とか三分離とか何分離とか、その方式もまだ固まらないということで、したがって、それが固まらない以上は、業種を明確にするような段階ではない、いまのところはそういう段階ですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) いまは、業種についていろいろ当たっているのですからして、その業種によっては、あるいはABCにならざるを得ないことになるかもしれんし、いま、さしあたり、業種について、この業種であればあるいは五〇%でいいとか、あるいは五〇%以上でもいいとかいうようなことを議論しておる最中でありますからして、したがいまして、初めからABでいくというように分けて考えておるわけじゃありません。業種によって審査をして、その上で決定したいと、こう考えております。
○羽生三七君 次に、外資審議会の専門委員会では、現行の外資法のもとでは外資の間接的な進出を押える方法がないということで、間接的な進出に対してもチェックする手段を講ずべきだという見地から、国内法の整備を検討していると伝えられております。そういうようなことは通産省でも考えられておるのかどうか。また、考えられておるとすれば、間接的な進出阻止というものは具体的にはどういうことを考えられておるのか、この点をひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) いま、専門委員会でいろいろ議論されておる事項につきましては、政府委員から答弁させます。
○政府委員(熊谷典文君) 外資審議会の専門委員会におきましては、現在のところ、法律改正を伴わないで運用でいける面の検討を行なっております。七項目につきまして、先般、審議会にも専門委員会から報告が出たということになっております。その後の問題といたしまして、法律を改正しなきゃいかぬという問題につきましては、今後引き続き必要な場合は検討しようと、こういうことになっておるわけでございます。
○羽生三七君 この資本の自由化については、欧州では、米国企業の西欧征服と……。これは私のことばじゃないのです。実は、アメリカの中ですら、西欧でそういうことを言っておるということを言っておるわけですが、この西欧征服という傾向に重大な危機感を持っておる。この自由化は時代の要請には違いないとしても、日本としては非常な決意が要るのではないか。最近、特に国際的な金利低下、日本の金利高という点等を考え合わしてみますと、その傾向は、たとえ短資の流入であっても、いよいよその傾向は顕著になるような考え方もあるようでございますが、そういう点について確固たるお考えを持っているのかどうか、ひとつ伺いたい。
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、ドイツ、英国などにおいても、いまそういう問題が起こっておりますが、われわれのほうも、ヨーロッパにおいてそういう問題が起こっておることを知っておるゆえに、一そう日本においては慎重に考えなければならぬということで、慎重に検討しておるのでありまして、ヨーロッパの轍を踏まないようにやりたいと、こう考えておる次第であります。
○羽生三七君 次の点は、持ち株会社についてですが、実は、このことはあまり私自身詳しくはありません。ただ、新聞で知る程度のことでありますが、わからぬことが二、三あるので、お伺いをいたします。 通産省の構想というものとして、技術的な最先端産業を対象とした、いわゆる抜けがら方式、あるいは中小企業を対象にした事業者団体を活用する方式の二つがあるとこう伝えられておりますが、これはよく私にはわからないので、具体的には一体どういうことをさすのか、ひとつ説明を聞かしていただきたいと思います。これは私の勉強であります。
○政府委員(熊谷典文君) 持ち株会社の問題はまだ研究段階でございまして、通産省として正式にこれをどうこう研究しているという段階ではございません。勉強はいたしておりますが、そういう段階でございます。で、持ち株会社の考え方に二つの面がございまして、一つは、外資によって企業が乗っ取られる可能性がある。あるいは身売りをせざるを得ないような情勢になってくる。そのために、その応援に出かけるために持ち株会社をつくろうじゃないかという構想もございます。これは、現に欧州でも、ある国におきましては、同業者が集まりましてそういう弊害が出た場合の救済策として考えられておる、こういうことでございます。それからもう一つは、先生御指摘のように、今後産業の構造改善を進めていく上において、そういう合併前の措置として持ち株会社をつくったらどうかという議論がございます。これももちろん同業者間の問題でございますが。そのときに、おっしゃいましたように、抜けがら方式とか、あるいは中小企業につきましては、もう少し中小企業の資本充実と安定株主工作、そういうものをやるためのいろいろ議論をされておるわけでありますが、現在のところ、この持ち株会社のことにつきましては、やるといたしますと独禁法の問題にも関連いたします。それと同時に、先ほど申し上げましたように、弊害防止と構造改善と二面の問題がございます。また、これが外資に利用されるという問題もございまするので、通産省としては慎重に検討の上で結論を出したいという考えでございますが、現在のところ、まだ正式に取り上げて議論をしておる段階ではございません。今後の問題だろう、かように考えております。
○羽生三七君 そこで、欧州では、域内関税の撤廃とか、米国資本の進出にからんで、いまお話の持ち株会社という方式をだいぶとっておるようですが、一体、特にこれは西独が多いそうですが、西独等では、一般にどういうことがやられておるのか。もし外国の例で、おわかりになったら、お話をしていただきたい。おわかりにならなければよろしいです。
○政府委員(熊谷典文君) 先ほど申し上げましたように、構造改善をやる方法と、それから外資の弊害防止、二つの面がございます。私、名前は忘れましたが、欧州の一国におきまして、同業者が集まりましてそういう持ち株会社を同業者組織としてつくっておるという例は承知しております。そのほか、私詳しくは、いま資料を持っておりませんので、後刻また御報告させていただきたいと思いますが、ほかの国におきましては、主として構造改善の手段として、この持ち株会社方式というのを活用しておるようでございます。そういうことで、詳しいデータをいま持っておりませんので、後ほど、必要があれば資料を提出させていただきたいと、かように考えております。
○羽生三七君 先ほども御答弁の中にありましたように、まあ、資本自由化に対抗する手段を講じていく場合に、場合によると、防衛の処置と関連をして独禁法九条との関連が出てくると思うのでありますが、その場合、伝えられるところによると、通産省と公正取引委員会との間で、合弁会社については独禁法の弾力的な運用を行なうという覚え書きがかわされておると、こういうように聞いておるのですが、これは別に独禁法を改正しなくとも弾力的な運営でやれるという解釈でおやりになっておるか、具体的にその辺をもう少し説明していただきたい。
○政府委員(熊谷典文君) 先生御存じのように、独禁法の運用につきましては二つの面があるわけであります。一つは、生産制限をしたり、価格協定をしたり、いわゆる現状維持的な行為がございますが、その面につきましては、通産省も公取も、そういう現状維持に対しては困るということで、前向きに、そういう弊害が出ないようにしよう、こういうことでございますが、御指摘の構造改善等の問題につきましては、日本の経済といいますのが国際的な開放経済に入ってくる、したがいまして、独禁法の運用につきましても、やはり、外資が入ってくる、外国企業が入ってくる、しかも外国と競争せざるを得ない、こういう対外的な配慮を考慮しながら、合併問題とかあるいは設備調整の問題を取り上げるべきじゃないか、こういう感じでございます。そういう意味合いにおきまして、昨年、御指摘のように、公正取引委員会と、現行の独禁法の中におきまして、しかも、社会情勢、経済情勢が変わってまいりますので、その情勢の変化に応じた独禁法の運用をしようじゃないかということで、意思の疎通をはかったわけであります。 具体的に申し上げますと、合併につきまして申し上げますと、単に一位の企業と二位の企業が合併するからいかぬというだけの――それも一つの基準になるわけでございますが、そのほか、外国企業との関係がどうなっているか、そういう対外的な問題等も十分総合的に判断した上でこの合併が国民経済上いいかどうかということを判断しよう、こういうことになったわけであります。そういう意思の疎通は、はっきり公正取引委員会と昨年末いたしまして、両者そういうことで運営しよう、こういうことになっております。
○羽生三七君 だから、その重点は、やはりこの独禁法の基本精神に触れるようなこと、つまり、法改正をしなければならないほどの、独禁法違反みたいなことにならないことを目途としながら、しかし外資の圧力から産業を防衛するということに重点を置いていると、そういう理解でよろしいですか。
○政府委員(熊谷典文君) そのとおりでございます。
○羽生三七君 それから、それに関連して、この資本自由化対策の一環として、通産省では、開銀法を改正して、開銀の出資とかあるいは運転資金の融資等、あるいは融資を通じて債務保証の機能を与えて、身売りしそうな重要産業のてこ入れをする、こういう構想を持っているようでありますが、そういう構想は進んでいるのかどうか。しかし、これに対しては、大蔵省、金融界、公取等が、それぞれの観点から若干の異論があるとも聞いておりますが、その辺はどうか。また、それと独禁法との関係はどうか。私は、実際に、外資から弱い日本産業の防衛がほんとうにできるならばそれも一つの考え方だと思います。ただ、それが独禁法の関係で問題になるだけで、それを完全にチェックする方法があるならば、もしそれで外資の進出を防衛できるならば、一つの考え方であると思いますが、ひとつその辺をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(熊谷典文君) 外資に対する身売り防止とかあるいは乗っ取り防止の観点から見まして、いま御指摘の点のような議論が一つあるわけであります。通産省の基本的な姿勢といたしましては、そういう議論はございますが、まず、中小企業は別でございますが、その他の面につきましては、業界自体が共同して防衛するというのが一番先決である、それから次の問題といたしましては、そういう事態が出て困る業界につきましては、やはり産業界と銀行がもう少し協調して、銀行がそのときに増資をしてやるとか、あるいは金を貸してやるとかということを……。まず民間自体でそういうことを考うべきじゃなかろうか。しかしそれも機動的にいかない、それをやるにはすぐ臨機応変な措置がなかなかとりにくいというような場合は、むしろ開銀機能を拡張いたしまして開銀が暫定的にそういう方法をしばらくの間とって、それをまた、もとへ戻して、業界組織なり市銀ベースに乗せていく、というようなことは考えられないか。したがいまして、研究はいたしておりますが、開銀がそういうように出るのが、最後の手だてとして必要かどうかという点を検討いたしておるわけでございます。 なお、御指摘のように、開銀の保証とか融資の問題――運転資金はいま開銀の規定でできないから、問題になるわけでございますが、出資の問題になりますと、これは独禁法の問題が、株の取得として出てまいろうかと思います。したがって、開銀が一〇%以上の株を取得しなければいかぬというような場合は独禁法の改正も当然伴う、かように考えております。 なお、私どもといたしましては、大企業に対する対策と中小企業に対する対策は、少し趣が違うのではなかろうか、そういうように国が相当めんどうを見るという対策は中小企業面については必要が特に強いだろうということで、むしろ、研究するならば中小企業面に重点を置いて研究してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○羽生三七君 資本自由化問題はこの程度にしますけれども、要は、これは先ほど通産大臣のお話にあったように、世界的な大勢だから前向きの姿勢で取り組んでいかれるということはよくわかりますけれども、しかし、当然、直接間接を問わず、法改正だけで、はたしてこれが十分な防衛措置をとれるかどうか、国際的な要請にも対応しながら、同時に日本の民族資本というものをある程度防衛するという基本的な心がまえがないと、単なる法規制や行政処置だけで片づくものではない。やはり政府自身の――もちろん産業自身もそうでありますけれども、基本的な心がまえが要ると思うのです。これは安易に考えておると、先ほど申し上げたような西欧の最近の例のようなことが考えられると思いますので、この点は、通産大臣、これは政府全体としての決意を強く要望いたしておきます。これは御注文でありますが、何かお考えがあれば……。
○国務大臣(菅野和太郎君) 資本の自由化のことにつきましては、いま局長からも話しましたが、根本は、やはり業者自体の問題であるのでありまして、業者自体が自主的に、この資本自由化に対していかに対処するかということをきめ、また、それに対して決意をして臨んでもらいたいということを、われわれ考えております。 そこで、業者自体で、個人だけではその対策のできない場合には、業者、同業者が相寄って、そして一つの団結力で対処していくということを考えてもらいたいし、同時に、これは日本産業の問題でありますからして、やはり産業全体の立場からこれに対してはできるだけ援助する、協力するということ、これはもちろん金融業者も入るわけですが、そういうことで行きたい、根本は、やはり私は、まあある意味においては、民族主義的な考え、国民経済的な立場で、この資本自由化ということを進めていくことが必要だと思うし、また、この資本自由化ということによってこの民族主義的な精神を燃やし、あるいは国民経済の発展ということを一そう国民が自覚して、そして対処してもらうというようになるし、そういう刺激剤にもなるのじゃないか、ということを考えているのでありまして、要は、やはりこちらの態勢です。向こうの態勢よりも、こちらの態勢に関することですが、先ほどもお話がありましたが、業者が身売りするというような場合には、同業者が相助けて身売りをささぬようにするとかいうようなこと、あるいは資本力が足らない場合には、ほかからできるだけ資本力を融通してやるとかいうようなことで、お互い同士で、ひとつ相互扶助の精神で業者がやってもらうというようなことで、そういうことによってできるだけ指導したい、こう思っておる次第でございます。
○羽生三七君 それから、通産省自体、あるいは大蔵省、あるいは産業界、あるいは審議会等の意見がまとまって、この資本自由化に対する政府の基本的な見解がまとまる、方針が固まるというのは、おおよそいつごろでございますか。
○国務大臣(菅野和太郎君) おそくとも六月の中旬までにはまとめたい、こう考える次第であります。
○羽生三七君 それでは、資本自由化の問題はその程度にしまして、次に、二、三簡単なことでお伺いしたいと思いますが、通産省の設備投資の調査でありますね。この内容は、私が申し上げるまでもなく、通産省自身がおやりになった計画ですから、よく御存じのはずですが、これは、総額で二兆一千九百四十九億円、前年度比三九・三%の増となっておる。これは、三五年度の三七・六%を上回る戦後最高のものだと言われておるわけであります。これと、政府見通しの六兆二千億円、一四・八%との違いは一体どういうことになるのか。これは調査の対象の違いにもよると思いますが、その辺のことを、ちょっと私よくわかりかねるので、お聞かせをいただきたいと思います。それからもう一つは、その中身は中小企業が多いのか、あるいは大企業が多いのか、それをあわせてひとつお聞かせを願いたい。
○国務大臣(菅野和太郎君) 詳細なことはまた局長からお答えしますが、大体三九・三%、予想より多いじゃないかという御質問でありますが、これは、業者の希望的な計画数字を集めたものでありまして、実績は計画実数よりいつでも下回るのでありますからして、したがいまして、この二月末で調べたのは大体計画数字でありますからして、実績においては下回るということを一応お考え願いたい。 それから本調査の対象企業は、製造業を対象として、大企業、大体五千万円以上の会社であります。それで、最近とにかくそれだけ増加してきたということは、過去二年間の不景気のために製造業者がみんな設備投資をちょっと控えておったということで、昨年の下半期から景気上昇の徴候が見えましたから、そこで、いままで停滞をしておった設備拡張をやろうというような考え方で、まあ調査が高く報告されておるのでありますが、しかし中小企業や製造業でないものはこの対象からはずしております。まあ、中小企業やなにかは、いつでも成長率は低いのでありますからして、したがいまして、全体としては一四・八%という数字になりますけれども、一五%内外ではないかというように、一応われわれでは推定いたしておるのであります。
○羽生三七君 その点、あとからまたちょっとお尋ねをしますが、それとともに、もう一つ調査の問題でお尋ねしたいのは、この調査は支払いベースの調査でないかと思うのです。それを、政府見通しのように、国民所得のベースに直した場合には一体幾らぐらいになるのか。
○政府委員(熊谷典文君) 御承知のように、支払いベースと工事ベースでは差がございます。最近の傾向は、支払いベースでやりますと伸び率が多く出ております。先ほど御指摘の、通産省調査の三九%というものを企画庁の工事ベースに直しますと、約三六%増、工事ベースでまいりますと三六%、こういう形に相なるわけであります。
○羽生三七君 金額にしてはどうですか。
○政府委員(熊谷典文君) 金額でまいりますと、四十一年度が、支払いベースでまいりますと約一兆五千二百億、それから工事ベースで四十一年を見ますと一兆六千三百五十億程度であります。それから四十二年度が、支払いベースで申し上げますと、先ほど御指摘のように二兆千九百億ばかりであります。これを工事ベースに直しますと、二兆二千三百億ばかりになりまして、絶対額は四十一年度も四十二年度も工事ベースのほうがふえますが、伸び率で見ますと、四十一年度がふえますので、工事ベースでは三六%増、支払いベースでは三九%、こういう結果に相なるわけであります。
○羽生三七君 それは大体政府見通しと比べてどうですか。経済企画庁の考えておられる数字と見合った場合、どうなりますか。
○政府委員(熊谷典文君) 先ほど大臣から申し上げましたように、この通産省がやりました調査は、支払いベースで、しかも五千万以上の大企業の千八百ばかりについてやっております。そういうことで、企画庁の大体同じような工事ベースの調査が三四%程度見ておりますので、これを工事ベースに直しますと三六%ということでございます。 そこで、経済見通しとの関係でございますが、いまのように大企業の製造業だけということでございます。製造業が今後どのくらいの伸びを示すだろうかということでございますが、企画庁では、大体いまの動向から見て一〇%程度だろう、こう見ております。 それから、中小企業が今後どの程度の伸びを示すだろうかということでございますが、先生御承知のように、四十一年度は、非製造業と、それから中小企業のやはり設備投資が四十一年度には比較的行なわれました。その反動としまして四十二年度はある程度落ちるだろうということで、まあわれわれが調査しました中小企業はあまりふえないという結果が出てまいりますが、そういうことはあり得ないだろうということで相当多目に見ましても、やはり一〇%くらいの伸びではなかろうか、こういうように考えられます。 それと同時に、通産省といたしましては、三六%――工事ベースの三六%、あるいは支払いベースの三九%につきましても、今後の需給を考えますと、やややはり業界が希望的な観測をしておる面もございます。それから投資のあり方として、はたしていいかどうかという問題もございます。それから将来の景気動向の問題もございまするので、できるだけこれを調整すべく努力をいたしております。 そういうことを考えますと、私どもとしましては、経済見通しの一五%程度には現段階においては追っつくと、こういうように考えております。もちろん今後、こういうものははずみでございますので、下期に入りまして増勢がさらに伸びる――私は万々そういうことはないと思いますが、ような事態も出てこようかと、絶無とは言えないと思いますが、現段階においては、私どもは、経済見通しの線に追っついていける、そういう線でいける、かように考えておる次第でございます。
○羽生三七君 これはまあ、本年は設備投資が過熱するというので、国際収支の動向とも関連してかなり問題になっておったのに、最近はまあ一服状態と、こう言われておるわけですが、それについて、参議院の過日の公聴会で、三菱銀行頭取は私の質問に答えて、それは計画をみんなやたらに出したけれども、実際にはみんなそんなにやるわけじゃなかろうということで一服と、こう説明されておったのですが、現実には、さっきちょっと大臣もお触れにはなったけれども、そういうことなのかどうか。もしそういうことだとすると、内容のことは別として、この調査のやり方なんかでは、それは確かに対象のとり方が違うには違いないけれども、それにしても、経済企画庁、通産省あるいは開銀、長銀その他の都市銀行、あるいは民間団体、あまりにも違い過ぎますので、何かもっとしかるべき方法を考えられたほうがいいのじゃないかと思う。一般的に見ると、それがそういう調査対象の内容から来るということはわからないから、どうしてこんなに大きな差が出るのかという非常な疑問を持つわけです。ですが、その点はまあ調査の技術的な問題ですから、それはそれとして、つまり一服状態と言われるような情勢は、いま言ったような、計画図は一応出してみるけれども、実際には実行に移さないと、そういうところから来ておるのかどうか。それを聞かしていただきます。
○政府委員(熊谷典文君) 御指摘の点は、なかなかむずかしい問題でございますが、過去の計画調査のときと実績というのは相当ずれております。三十六年からずっとトレンドをとりましても、計画に対して実績が八五%とか八〇%という年もございます。したがいまして、私どもとしましては、内容を当たっているわけでございます。いまの内容から見ますと、やはり計画的といいますか、実績はそこまでいかないものも相当あるのではなかろうか、したがって、この計画は、実際これが実行されるのは九〇%前後ではなかろうか、という一つの見方を持っておるわけでございます。しかし、慎重の上には慎重を要しますので、先ほど申し上げましたように、資金部会で、慎重な調整を、可能な限りやはり計画自体についても行なっておる、こういう段階でございます。 なお、後段の、支払いベースと工事ベースの問題、あるいは調査対象の問題、御指摘のとおりでございます。必要以上の誤解を与えることは避けたいと思いますが、ただ、経済企画庁のほうでは、経済計画、経済のいろいろの伸びとかなんとかいうような関係から、どうしてもやはり工事ベースでないと正確にものが言えない、こういうことでございます。通産省のほうは、そういう経済見通しなり経済計画の問題もございますが、反面、御承知のように、今後の資金需要をどうしていく、資金の確保はできるだろうかどうだろうかという、支払いベースといいますか、そういう面からも資金部会で調整いたしておりますので、心ならずも、そういう二つの調査が出ているわけでございますが、誤解を与えてはいけないので、通産省といたしましても、支払いベースを、先ほど申し上げましたように、工事ベースに直して御説明をしておる。これはあまり世の中には知られておりませんが、そういう努力はせっかくしておる次第でございます。
○羽生三七君 この設備投資全体について、通産省と経済企画庁、大蔵省なんかもそうですが、かなり見方にも相違があるけれども、それが過熱するかどうか、過熱した場合にどうするかという問題について、かなり私は相違があると思う。どうも通産省全体としては、やはり国際競争力、輸出力強化に重点を置いて、ある程度伸びるのはやむを得ないんじゃないか――まあ、国際収支の関係もあるには違いありませんが、そういう国際競争力に重点を置いた考え方にウエートがあるように私には見受けられます。一ころよく言われた高度成長の批判について、いろいろな議論を私なりに持っておりますけれども、それはそれとして、私は必ずしも経済が伸びて悪いと、こう言うわけじゃない。経済が伸びなければ個人生活の水準も上がるはずないが、しかし、それが限度や一定の制約を越えた場合には、その反動が起こることは当然で、それが高度成長の場合の批判となったと思うのです。したがって、いまの設備投資動向を見て、国際競争力強化ということもわからぬわけじゃないけれども、その点があまりにも、政府部内ではそんなに違っておるとはお考えにならぬかもしれぬけれども、私どもから見ると、かなりその重点の置き方に違いがあるように考えられるのですが、この辺は、通産省はどうお考えになっておるか。
○国務大臣(菅野和太郎君) いま羽生委員のお尋ねの件は、日本の今後の景気過熱という問題を重点としてのお尋ねであったと思いますが、いまの情勢では過熱じゃないかということが一時言われましたが、私たちはまだ過熱の程度までいってないという見解をいたしたのでありまして、したがって、これが過熱を押えるという意味の対策をいまとる必要はないという見解をいたしたのでありまして、それは民間の設備投資も相当ふえておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、過去二年間やっていなかったし、そうして、近代化やなにかの意味の設備投資でありますからして、それがやがて国際競争力を増すということになると思うのでありまして、そういうような設備投資であれば、これは奨励していいことだと、こう考えているのであります。しかし、過熱という問題になってきますと、やはり物価の高騰、あるいは、ひいては国際収支に悪影響を及ぼしますが、いまの状態ではそこまでいかずに、多少輸入が増加いたしておりますけれども、しかし、生産の合理化やなにかで、またやがて生産コストが下がるし、またそれだけ国際競争力が増してきますから、したがって、国際収支の点においてもまた好転してくるという考え方を持っておりますからして、したがいまして、その点において、現在の段階においては、合理化、高度化の意味の設備投資は、これは決して抑制する必要はないということを考えておる次第であります。 なお、今後の景気過熱とかというような問題は、これは、設備投資自体ということももちろん必要であり、そのことについていろいろわれわれは考えなければならないのでありますが、もう一つわれわれとして考えなければならないことは、産業人の産業心理ということを考えなければならない。景気がいいというと、みんなやたらにシェアの競争をするということで、実際売れないのにもかかわらず、早く増資をして、生産を拡大しておかなければ競争上不利になるというようなことで、そういうことで競争するという、また設備の拡張というようなことが起こってくるのでありまして、お話のこの前の高度成長が、その点において一つの弊害をもたらしたと思うのであります。でもしかし、今度不景気になりますと、日本人のとかく悪いくせとして、とことんまでまた景気が落ちるのじゃないかという考え方をして、人間が萎縮するという傾向を持っておりますからして、そういう場合には、むしろ刺激的に、企業を刺激するような政策をとらなければならない。また、いま申しましたとおり、シェアやなにかの関係でやたらに先を急いで、将来の需要なんかを考えずに設備拡張をするというような、そういう傾向があらわれたときには、やはりそういう企業を押えるという政策をとらなければならない、こう考えておるのであります。 そこで、先ほどからくどく申し上げますが、現時点においては、まだそこまでいっていない、シェアというところまでいっていない、もしシェアということで、そういう設備拡張をするというような傾向があるとするならば、たとえば法律上では、石油の問題などは、これは設備の制限ができますからして、設備の制限をしたり、あるいはその他の問題については自主調整をやってもらうとかというようなことで、シェアによるそういう過熱の起こらぬように、極力われわれのほうでは警戒をしている。それを警戒もせずに、かってにさしていると、過熱というような問題も起こる危険なしとしないというところに、われわれは非常に細心の注意を払わなければならない、こう考えておる次第であります。
○羽生三七君 その場合、調査に出てきた数字のような計画が現実に実行に移された場合と、しかし計画はそう出ているけれども必ずしも実行に移さないだろう、この二つあるわけですね。計画どおりにいった場合でも、通産省としては、いまのように考えて、設備投資は国際競争力に重点を置いて、たいして抑制する必要はない、そういうお考えなんですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 先ほど申し上げましたとおり、これが設備の合理化という意味でやるという場合であれば、決してこれは抑制する必要はない。しかし、いまの、早く設備を拡大したほうが自分の事業の発展のためにいいというような場合には、計画はそういう計画でありましても、あるいは資金の面で押えるということはできると思います。あるいはまた金融界のほうも、この前の昭和三十八年の不景気で業者もみんなこりておりますし、近い体験を持っておりますから、また、金融業者もそういうことについてはにがい経験をいたしておりますから、したがって、業者自体も自制し、金融業者も自制して、実際は実行しないのじゃないかと、こう考えておる次第であります。
○羽生三七君 時間の関係もありますから、あと二、三で終わりますが、鉄鋼関係の設備投資は、これはいまのようなことでよろしいのか、一説には、結局、自主調整が困難で通産大臣の裁定を求めなければならぬのじゃないかといわれておるのですが、現況はどうなんですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 鉄鋼の設備の問題については、業者自体からいろいろの御希望があります。が、しかしわれわれのほうでは鉄鋼の需要ということを考えまして、したがって、その需要に対してはどれほどの設備拡張をしなければならぬかという一応の検討もいたしておりまして、そこで業者の自主調整をお願いしておるのであって、ことに、これが御承知のとおり日本の基幹産業でありますからして、もし鉄鋼業者の間において、先ほど申し上げましたような意味の過当競争などに陥るようなことになりますると、これが過熱の一つの導因にもなりますから、したがってこの点は慎重にひとつ考慮してほしいということを、業者にはお願いをして、そしてあくまで需要に応ずるような程度において設備の調節をやってほしいということで、あくまでこれは自主調整をやってもらいたい。しかも業者の数はわずかな数でありまするし、しかも日本の一流の業者でありますからして、私は、そういう人たちの良識に訴えて自主調整をやってもらいたいということをいっておるわけであります。で、まだ最後の結論まで行っておりません。私は、自主調整で結局やってもらえるのじゃないかという期待を持っておる次第であります。
○羽生三七君 これは通産省にお尋ねしていいことかどうかわかりませんが、経済社会発展計画に関連して、計画期間中の成長率が平均八・二%、こうなっておりますが、すでに前半ではるかにこれを――昨年度もオーバーしているし、本年度もオーバーしそうな見通しであることは当然だと思うのです。そこで、そうなると、後半の成長率を六、七%に落とさなければ、平均八・二%にならぬわけですね。しかも設備投資の動向を見ておれば、御存じのように非常な根強いものがある。そうすると、今日の生産能力の基調から見て、近いうちに非常なギャップが起こるのではないか、生産能力との関係から。たとえば前にデフレ・ギャップのときに何兆円ありましたか、それよりもはるかに多いギャップが起こってくる。したがって通産省では八・二%というときに、一〇%の成長率を要求した。要求というか、一〇%にすべきだという意見を出したといわれているのですが、その辺はどうですか。当然そうなるでしょう、いまの設備投資の動向と見合った場合、いまの成長率と関連してですね。
○政府委員(大慈彌嘉久君) 経済成長率でございますが、先生御指摘のとおり、前半のほうが高く、後半のほうが低くということでないと合わないと思います。現に、四十二年度の見通しでございますが、実質の伸び率は、経済企画庁の経済見通しによりますと九%ということになっております。したがいまして先ほどから設備投資でいろいろお話が出ておりますが、設備投資の見通しも大体経済見通しの一四・八%近くに行くであろうということで、いまのところは国民の総生産の実質の伸び率の九%ということについても、そういうところではないだろうかというのが考えでございます。
○羽生三七君 私は、その点はだいぶ違いまして、もっと伸びるだろうと思うし、そうなれば当然いまの生産活動、産業の能力から見て、必ず一極のギャップが生まれる。結局成長率の修正なんということも起こるのじゃないか。そうでなしに、自動的に――この前、私この点大蔵大臣に聞きました。総理大臣も答えましたが、これは自律作用で下がるので、政策作用ではないといいますが、そんなに急に自律作用で成長率が下がるか、非常に私疑問でありますが、まあこの点は通産省よりも、ほかにむしろお聞きしたいことですから、この程度にしておきます。 それから米国の輸入、今度のケネディ・ラウンドで一応の協定はできたけれども、鉄鋼関係ですね、これに対してただいま賦課金問題を持ち出しておるようでありますね。これは米鉄鋼協議会のロッシュ事務局長が下院の労働分科委員会の公聴会でケネディ・ラウンドの妥協を非難して、輸入鉄鋼に暫定補償賦課金をかけるよう要求しておる。これはもう公然と伝わっております。そうなると、関税一括引き下げ交渉の成果を骨抜きにするようなことになるのじゃないかと思うのですが、これはいずれ企画庁にお尋ねいたしますけれども、通産省としてはどうですか。
○政府委員(高島節男君) ただいまの御指摘の点の詳報はまだ入っておりませんが、業界あるいは新聞等で伝えておりますような輸入制限のトレンドは、鉄鋼についてその手段はいろいろございましょうと思いますが、関税の問題とからんで出ていることは事実でございます。ただ鉄の輸入制限、関税問題ということは、だいぶ前からそういうポテンシャルな問題がいろいろございました。われわれも神経をとがらせまして、まずこれはお互いに、大きな業界対業界の話でもございますから、綿製品等の例でもそうでございますけれど、まず業界と業界のお互いの意思の疎通を極力はかっていくという、政府間ベースでない交渉、自主的な意思疎通ということに非常に努力をしてまいっております。現在アメリカにおいて鉄鋼業界の団体の会議がございます。ちょっと名前を忘れましたが、そこへは日本の鉄鋼業界の首脳も現在出かけておりまして、いろいろと向こうのそういったデリケートな動きに対して、業界同士でまずお互いに、そういったことはやめようではないかという話の方向へリードすべく努力をいたしておる段階でございます。政府といたしましては、その辺の様子の実体をよく見きわめまして、その上で政府として打つべき手がございましたら、これは外交当局その他ともよく相談をいたしまして出方を考えてまいりたい。いま情勢を注視しておる状態でございます。
○羽生三七君 それで、いまの鉄鋼賦課金の問題のほかに、バイ・アメリカン政策その他、実質上ケネディ・ラウンドの成果を骨抜きにするような圧力がかなりかかってくるのじゃないか。むしろ、この点のほうが将来重大なんじゃないかという考え方すら持っておる人がおるようですから、そういう点については、通産省としてひとつ十分な取り組みをしてもらいたいと思います。 最後に、これは一つの希望ですが、てまえ事を申して、はなはだ恐縮ですが、実は私、池田内閣のとき、これは昭和三十八年ですが、物価の値下げをどうしたらできるか――八項目の提案を私がやったことがあります。これは総理も大いに賛成をされて、たいへん各方面の支持を受けたことがあります。その中の一つに、ビッグビジネスは生産性の向上に見合って卸し売り価格を引き下げるべきであるという、これは私強い意見を申し述べたところが、その翌日だか翌々日、当時の通産大臣福田一さんが談話を発表しておるのですが、その談話は、大企業は生産性の向上に見合って得た利益の一部を消費者に還元させるべく卸し売り価格を引き下げるべきである、強く業界に要望する談話を発表したわけです。これは質問にこたえられたわけです。総理も他の機会にいろいろ発表されております。ですから、この物価問題についても、公取だけにまかせるんではなしに、通産省自身がもっと強力な行政指導をすべきではないか。私は、何も当時の福田通産大臣のまねをしろと言うのではないのですよ。そうではないが、長期的な心がまえとして、大臣がそういう心がまえをお持ちになることが必要ではないかと思います。特に先日、通産大臣もおいでになったと思いますが、私、予算委員会の際に、実は公取委員会に、日本の代表的なビッグビジネスの数年間の生産性の向上、それと価格の関係、利潤の関係、そういうようなものの調査資料を要求したところが、実は人員不足ということで何にも手に入らなかった。非常な抽象的な一般論みたいなものが――私は部屋に置いてきましたけれども、資料が来ておりますけれども、全然問題にならぬ。ですから、最近の企業の成績が非常に一部はよくなっておることは連日の新聞に出ておりますけれども、そういうことと見合って、やはり消費者にも、この利潤の一部を還元させるような形で価格引き下げに奉仕するように、これは公取だけにまかせるんでなしに、通産省としても十分なひとつ態度をもって臨んでいただきたい、これを要望して、一応御見解を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) いま羽生委員の申されたことはまことに適切なことばでありまして、現在、日本の物価の問題について、政府がこれに取り組んでおるのでありますが、さて物価をどのようにして引き下げるかという問題については、いよいよ壁に突き当たるのでありますが、根本は、通産省の方針としては生産性を高めて、安く、いいものを必要な量を生産さすということ、これが通産省の生産の根本方針だと思うんです。であるからして、生産性を高めることによって、そういうコストが安くなりますからして、したがってそれによって売り値を安くし、あるいは、それによって賃金を高めることができれば、賃金も高めるし、また、それによって配当もよくするというようなことで、その生産に関係しておる人がみんな均てんし、したがって、消費者も安いものを買えるというところが生産の根本方針だと思うんです。したがって、ビッグビジネスあたりが、生産性を高めることによってその売り値も安くすべきであるということを考えておりますが、しかし、これは大体において卸売り物価が上がっていなかったというところは、やはりこれは生産性が高まったために上がらなかったので、もし生産性が高まっていなかったならば、私は卸売り価格はもっと上がっておったと思うんです。その辺は、やはりビッグビジネスが生産性の向上ということをやったために、したがって、卸売り価格を上げずにやってきたということは言えるんではないか、消極的な意味において物価を上げることを抑制しておるということが言えるのではないかと、こう私は思うのでありますが、むしろ積極的に、実際安くつくれるんであれば安く売るという方針でいくべきだと思います。しかし、大体、日本の経済というものは、御存じのとおり、戦争直後、あのようにすべての経済構造が破壊されましたからして、したがって、物の足らぬときに物をより多くつくるということが、当時の生産政策であったと思うんです。米にいたしましても、その他われわれの繊維類にいたしましても、より多くつくるということ、質ということを考えずにより多くつくるということ、したがって、相場が売り手相場であったと思います。したがって、消費者側――買い手側の消費に対する合理的な消費の観念というものが要請される――とにかく買いさえすればいいという考え方が、いまだに私は消費者の部分にもあると思うんです。でありますからして、したがって、今後は買い手相場にしなきゃならない、消費者が強くならなければならないという事態に変わってきておると思うのであります。そこに消費者行政というものが必要であると思うのでありまして、したがって、ビッグビジネスが実際に生産コストを安くやっておるのであれば、これはもっと安く売ってもいいのじゃないかということは、消費者側からもどんどん要望していくべきだと私は思うし、また、われわれのほうでも、そういうことが事実であるとすれば、もっと売り値を安くしたほうがいいじゃないかということも勧告したらいいと考えておるのでありまして、そこで、要は、やはり買い手相場にするということが、私は物価を引き下げる一つの原因じゃないかというような――これは根本的な方針でありますが、考え方を私はいたしておるのでありまして、お説のとおり、通産省としても、コストが安くなったものに対して、それを従前と同じような相場で売らすということをせずして、はっきりしたものは売り値を安くするというように、これは通産省も積極的にやはり働きかけていくべきだと、こう考えております。
○羽生三七君 ちょっと大臣、いまお答えの中に、卸売り物価は上がらなかったと言っておりますが、昨年度四%近く上がったのは、世界で日本のほかにもう一国あるというのです、私が世界の卸売り物価の統計を見ましたのでは。消費者価格は上がったけれども、卸売り物価がこれだけ上がったというのは、それは大臣、日本はそれほど上がらなかったというようなことはいえないと思いますが……。
○国務大臣(菅野和太郎君) 昨年度はいろいろ事情がありましたけれども、大体物価が上がっておった、昭和三十五年からの傾向をずっと見て卸売り物価が――池田総理が常に言っておったことですが、あのとき上がらなかったということは、これはやはりビッグビジネスの生産性向上の結果だと、こう私は思っておるものであります。
○羽生三七君 まあ、消費者にだけ責任を負わせないように、ひとつよろしく指導されんことを希望して、私はこれで質問を終わります。 ―――――――――――――
○主査(熊谷太三郎君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 通商産業省所管の審査のため、本日、中小企業金融公庫の役職員を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○春日正一君 先ほど、羽生委員の質問で、資本自由化の問題等いろいろありましたけれども、大体いままででも外国資本が相当入ってきている。そうして、外資だけで新しい会社をつくるとか、あるいは合弁、それから、在来の会社の株式を取得するなど、いろいろな形で入ってきておりますが、今度、自由化が本ぎまりになって、本格的になっていく、こういう態様の中で、どこのところが一番ふくらんでいくというようなお見通しですか。
○政府委員(熊谷典文君) 御指摘のように、いまでも合弁会社はできております。外資も入っております。しかし、世界全体から見ました場合に、日本は相当の規制をいたしておりますので、これは少ないということも事実でございます。今後、どういう面に外資が入ってくるだろうかという趣旨の御質問だろうと思いますが、先ほども大臣から申し上げましたように、自由化につきましては対策と合わせて漸進的にいくということでございます。したがいまして、私どもとしては非常に日本の産業の弱い面につきましては自由化を漸進的にやっていかざるを得ない、規制を続けていくということになりますので、現実問題としてはそういう面に入ってこないと思いますけれども、自由化いたしました場合に外資が入りやすい例を申し上げますと、何といいましても成長部門、たとえば自動車、石油化学、電子計算機を中心とする機械部門、こういう将来相当伸びの予想されるもの、しかも技術革新がどんどん行なわれるもの、こういうものに外資が入ってくるものと思います。それからもう一つは、御承知のように、中小企業におきましても、最近需要構造が相当変わってまいりまして、建築部門とかあるいは国民生活必需物資につきましても、消費が高度化してまいりました。高度化した消費が要求されるようになっております。そういうものは国民生活の向上にあわせまして需要もさらに広まってくる。しかも量産がそういう結果できるわけでございます。そういうようなことも考えられますので、そういう中小企業部門には決して外資関係が入ってこないという安心はできない、そういう面は非常に考えていかなければならない、こういうふうに考えております。それからもう一つ、外資が入ってきますものとしましては流通関係があろうかと思います。日本は、先ほど大臣からもお話がございましたように、従来生産第一主義でございまして、そういうことで流通機構が非常に弱うございます。そういう意味でそこをねらわれる、しかも、やり方が違いまして、外資は販売から生産、そういう形をとっております。したがいまして、流通機構を強くするということが今後の一つの課題であろう、かように考えておる次第でございます。
○春日正一君 こういう自由化に対応して国際競争力を強めるということで、先進部門の産業体制の整備、資本の集約化といいますか、こういうことを行なうということで、現在でも日産とプリンスの合併、あるいはトヨタ・日野の提携とか、そういう努力がいろいろされているわけですけれども、本格的な外資の進入に対して、たとえば自動車産業にしてもどの程度の大きさにしたら対抗できるというような、ひとつの見解を持っておいでなんですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) どの程度ということになりますと、ちょっとわれわれも返答しかねるんですが、総じて日本の企業者数が外国に比べて多いことは事実です。それだけ対抗力が弱いということは言えると思います。その意味において企業数を少なくする、そういう意味で合同して、そうして、外国のほうは資本力が大きいんですから、それに対抗するということが必要と思います。したがいまして、どの程度というと、ちょっと私どもその点についてお答えできかねます。
○春日正一君 一般的に言えば外国の企業に相当するくらいということになるんじゃないかと思うんですがね。それから当然こういう中で、たとえば石炭や非鉄が現在そうなっておりますけれども、斜陽化していくものができてくると思うんですね。そういうものとして、どんなものが考えられますか。
○政府委員(熊谷典文君) 今後の推移いかんによりますので、非常にむずかしい御質問でございますが、一般的に申し上げますと、御承知のように、いまの化学工業を例にとりますと、化学工業というものは石油化学というものを中心として産業構造の変革が起こっております。過去の化学工業というものはだんだん衰退いたしまして、新しい産業は新しい原料によるという形になっております。したがいまして今後化学工業面におきましては、衰退産業とはいいませんが、そういう伸びが比較的少ないという面が相当出てまいるかと思います。 それから、もう一つ、大きなものといたしましては、これは資本自由化だけではございません、今後の経済協力あるいは国際情勢によりまして低開発国といいますか、発展途上国の工業化も相当進んでまいります。そういう中におきまして調整をとりながら、日本産業も伸びていく、中小企業も伸びるという形になりました場合には、自然にやはり労賃等の関係もございまして分化されてくるという面が出てくる可能性は十分あると存じます。したがいましてそういう面は、中小企業についてはある程度国際的な環境として出てまいろうかと、かように考えております。
○春日正一君 現在でも石油化学、電機産業、重機械、その他に外国資本、特にアメリカ資本との合弁、提携、技術導入、あるいはその他株を持っておるというようなものもかなり多いわけです。非常に重要な産業の、この産業体制の整備計画、自由化対策という中で、この結びつきが一そう強まっていくんじゃないかというふうに考えるんですけれども、その点どうですか。
○政府委員(熊谷典文君) 御指摘のように、確かに石油化学にいたしましても、あるいは電子計算機のある面におきましても外資が入っている面がございます。この資本取引の自由化で問題になりますのは、御承知のように、技術の問題が問題になるわけでございます。欧州の例を見ましても、欧州の技術が劣っているから資本を入れざるを得なかった、こういう事態になっておるわけでございます。最近の技術の傾向を見ますと、やはり日本も相当レベルが上がりましたので、いい技術がほしい。しかしいい技術はやはり資本参加をしなければ出さない、こういう傾向になってまいっております。そういう意味で日本が技術がおくれている面については、そういう形でいままでも個別審査で認可して、そういう形をとらざるを得なかったわけでございますが、今後日本の技術がいまのままでおりますと、そういう事態がますます出てくるということは、御指摘のとおりだと思います。そういう意味合いにおきまして、この資本自由化対策といたしましては、やはり技術の自己開発力を強化するということが一つの大きなポイントであろうか、かように考えて、その点に努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○春日正一君 結局そういう形でアメリカ資本と日本の独占資本との合作、そこでの国際競争力の強化という面が非常に出てくるんだと、私そういうふうに考えていますけれども、そういう場合にやはりアメリカの資本というのは非常に大きな世界企業というような形態をとっておる、そういうことになると、日本の資本が結局それに従属していくというようなかっこうになっていかざるを得ないようになるんじゃないか。つまり日米安保条約の中で、軍事同盟の中でもアメリカがアジア太平洋に全部軍隊を持っている、日本の自衛隊はここだけの部分というような形で組み込まれているというようなかっこうで、アメリカの大資本の世界商略といいますか、そういう中に巻き込まれていく、あるいはそういうものとしてアジア太平洋地域での役割を背負わされていくということになっていくんじゃないか、この点どうですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) いま春日委員の述べられたことは、われわれも非常な警戒を要求すると、こう考えているのでありますが、問題はやはり日本の技術の水準がアメリカの技術水準に比べてすぐれておるかどうか。たとえば造船の問題など、これはとてもアメリカは日本に進出はできないと思います。そういうようなことで、問題はやはり技術の水準が高まるということが先決問題であります。しかし、中には技術の劣っているものがありますからして、それはアメリカの技術を入れなければならぬ。しかし、それは無条件に入れられると、結局アメリカ資本がすべてに支配力を持つということになりますので、そこで直接投資を五〇%にするとか、三〇%にするとかということを考えて、アメリカ資本の跳梁にまかせないようにしたいというところが、われわれの苦心をいたしておるところであって、目下それについていろいろといま通産省各局において研究をいたしておる次第でございます。
○春日正一君 この自由化の中で一番問題になるのは、やはり中小企業関係だと思うのですけれども、大体自由化で中小企業通流部門に外国資本が進入してくる。それに対する政府としての基本的な対策ですね、これはどういう方法で打開していくのですか。
○政府委員(影山衛司君) 中小企業分野に対する外国資本の進入でございますが、これに対する基本的な対策といたしましては、中小企業分野への資本進出の影響が非常に大きいということにかんがみまして、まず第一番目に、外資導入の自由化を行なう際に慎重な態度をとり、さしあたりの外資導入の自由化に対しましては、自由化品目の中にできるだけ入れないで、ケース・バイ・ケースの認可品目の中に入れていきたいというふうに考えております。それと同時に、基本的には中小企業の国際競争力をつけるための体質の強化が必要でございますので、そういう面についての徹底したところの体質改善を行なっていきたいというふうに考えております。
○春日正一君 こういう矛盾が出てくるのじゃないですか。つまり、資本自由化に対応するために、大企業に資本と生産の集中をやり、合併、合同をやっていく、こういうふうにして大資本の力が強くなれば、当然それ自体が中小企業の分野を侵すという傾向も出てくるし、あるいはさらに下請系列化の再編成とか、あるいはそれに対する搾取の強化ということで、まあ資料を見るとずいぶんひどいことをしていますよ。たとえば一つ穴を開ければ幾らという単価だから、苦労して十の穴を十二も開けたが、今度は機械化されてそれが一度に開けられるから一つ分だということで、単価を下げられるというようなこともある。あるいは設備をよくしてやって、これで注文がとれると思ったら、親企業が来て見て、それっきり注文を出さない。この設備改善を向こうでとっちゃって、向こうでやっておったというような詐欺みたいなひどいことをやられている。支払い条件その他も御存じのとおり。こういうひどいことをやられている。日産・プリンスの合併のあと、日産が下請企業を整理して第一次下請を第二次、第三次と落としていっているというようなことをやられている。こういうことになりますと、資本自由化というものは、直接外国資本が入ってきて、それで中小企業が脅かされるということだけじゃなくて、それの対抗策として大企業の拡大というものそれ自体が、いまさえ圧迫しているのに、さらに圧迫を強くしていくという傾向――二重の圧迫というか、脅威、そういうものを受けるのですね。そうすると、これは通産省として中小企業対策というものに相当本腰を入れませんと、たいへんなことになるのです。その点から見て、どういうふうにやっていかれるのか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 根本のことだけ私からお答えして、詳細なこと、具体的なことはまた長官からお答えしますが、いまのお話のとおり、大企業がいわゆる資本自由化によってますます企業を盛んにすると同時に、それがひいて中小企業に、下請業者に影響を及ぼしやしないかということ、その点、私どもも非常に心配しておるのであります。したがいまして、下請業者に対しては協業化と申しますか、ひとつ団結さして、やっぱり親企業に対して対立させるような力をつけさせなければいかぬということで、そういう点の指導なども今後やりたいというように考えております。また親企業の、下請業者を圧迫させないような支払いについての具体的なことについては、長官からお答えいたしますが、そういうようなことで親企業が構造改善すると同時に、下請企業のほうも、中小企業のほうも構造改善をして、そうして両々相助けてやっていくという方針でやっていき、また、われわれも弱いところの中小企業をできるだけひとつ強力にバックアップしたいという考えでおるわけであります。
○政府委員(影山衛司君) 大企業と下請企業との関係につきましては、先生御指摘のような傾向が非常に出てきておるわけでございます。で、この大企業と下請企業との関係は二つに分けて考えたらいいかと思います。まず、親企業と下請企業との下請関係を近代化していかなければならないという点。それから第二番目は、下請であるところの中小企業自体が近代化していく。そうして大企業自体の産業再編成に取り残されていかないようにするという努力をしなければいけないという点。この二つに分けられるのではないかと思います。 第一番目の親企業と下請企業との下請関係というのは、日本経済が非常に近代的になっておりますけれども、まだまだ非近代的な要素が多く残されておるわけでありまして、これは、先生御承知のように、下請代金支払遅延等防止法という法律がございますが、これをてこにいたしまして、公正取引委員会あるいは通産省が、違反をいたしておりますところの親企業に対しまして、立ち入り検査をいたしまして強力な指導をするということ。あるいは機械金属、あるいは繊維等につきまして下請の標準の手形サイトを示しまして、たとえば機械金属については百二十日、繊維については九十日というような標準を示しまして、それを中心にして指導をしていくとか、あるいは再編成の過程において二次、三次と落とされていったような、そういう企業につきましては、現在中小企業庁といたしましても、下請企業振興協会というものを七県下に――東京、神奈川、大阪、名古屋というようなところに設けておりますが、そういうところを中心にいたしまして受注のあっせんを行なわせるというようなこととか、いろいろな方法を使いまして下請関係の近代化というものをはかっていきたいというように考えております。 それから第二番目の下請自体の近代化でございますが、これは先ほど大臣が申しましたように、中小企業の個別の近代化と同時に、協同化、協業化によるところの近代化を進めていかなければならないというように考えておるわけであります。
○春日正一君 近代化政策の問題ですね、まあ過去に実績がいろいろあるわけです。それで、まあ工業団地づくりということをずっと進めておられたのですけれども、現在まで何カ所工業団地ができて、どれだけの数の中小企業がそこに収容されておるかということの実績を示してほしいのですが。
○政府委員(影山衛司君) 団地といたしましては、現在百五の工業団地が認められております。そのうち、それに属しますところの組合が百十三組合で、二千九百八十企業、約三千企業ということになっておるわけであります。
○春日正一君 まあ、この数字というのは、中小企業全体から見ると、非常に微々たるもので、このテンポでいけば、いつになったら全体の近代化ができるかということになるわけですね。しかも、その中では、たとえば大分の鶴崎機械団地ですが、二十一企業で出発して十三企業に減ったとか、あるいは福井の鯖江団地では進出企業が続々倒産して、残りは一社だけ。一番最初にやった船橋の団地でも何かそこに不明朗なものがあっていま市議会でも問題になっている、裁判事件が起こっているというようなことも私聞いているのですけれども、そういうふうな状態で百五やっている中が全部うまくいっているものでもない。しかも約三千社というような数を七年間で集めたということになりますと、こういうことで一体自由化に対応できるのかという問題が一つ出てくると思います。時間の関係上、私、次の質問をやるから、そのときあわせて答えていただきたいと思うのですけれども、もう一つは、近代化促進法でもって指定業種等を指定しているわけですね。これはどれだけ指定されて、現在、法によってどれだけ近代化というものが進行しているか、そこをひとつ説明してほしいのですが。
○政府委員(影山衛司君) 先生御指摘のように、中小企業団地の中には二、三の失敗例があるわけでございますけれども、これは不況等の影響、あるいは中小企業者の団結力の不足というようなことで不幸な事例があるわけでございますけれども、大部分につきましては、これは現在順調に行なわれておるというふうに考えておるわけでございます。 それから、中小企業団地は、これは、先ほど先生に対して御答弁いたしましたように、約三千企業程度で、中小企業の中の一部分でございますけれども、中小企業の協同化、協業化と申しますのは、製造業につきましては、工場団地だけではございませんで、小規模零細層を対象といたしますところの共同工場の貸与制度と申しますか、あるいは今度国会に提案をいたしておりますところの協業組合によるところの共同施設というような、協同、協業化による施設をほかにもたくさんあるわけでございますので、そういうものをあわせて今度近代化を進めていくのに資していきたい、こういうふうに考えております。 それから第二番目の中小企業近代化促進法の指定の効果でございますけれども、現在、中小企業近代化促進法によりまして指定された業種が百八十四業種でございまして、この百八十四業種のうちで六十四業種につきまして中小企業近代化基本計画がすでに策定をされておりまして、近代化の実施が進んでおるわけでございます。その中で、それではそういう基本計画等がどの程度達成をされておるかということでございますが、これは昭和三十九年度、四十年度の計画と実績との対比を調べたものがあるのでございますけれども、それによりますというと、生産につきましては、生産の目標の達成は昭和四十年度におきましては八〇%の業種が目標をおおむね達し、あるいは目標を上回った業種でございます。それから輸出につきましては、四十年度におきましては六三%の業種が目標を上回っておるのでございます。ただ、設備投資額につきましては、不況の影響を受けまして、昭和四十年度におきましては目標の達成を下回った業種が五十八%もあるわけでございます。しかしながら、性能とか品質についての目標もきめておるわけでございますが、その性能、品質につきましては、昭利四十年度につきましては五五%の業種が目標を上回っておる。それから生産費のコスト低下の目標につきましても八〇%の業種が大体目標を達しておるというような状態でございまして、いろいろと業種によっても違いがございます。いろいろとまた問題点もあるわけでございますけれども、私どもとしましては、そういう目標達成のために一生懸命やっている次第でございます。
○春日正一君 この基本計画を進めていく上で、適正規模というものを大体設定して、そこに引き上げていくということのようですけれども、そこまでいけないもの、これは一体どうするつもりですか。
○政府委員(影山衛司君) 中小企業近代化促進法に掲げておりますところの近代化計画の中に一つの目標――中小企業の努力目標といたしまして適正生産規模を定めるということになっておることは、先生御指摘のとおりでございます。ただ、これはあくまで生産の規模でございまして、それに、その生産の規模につきましては、工場工程等につきましてどの程度の企業が中小企業に適した生産の規模であろうかということを一応の目標としてきめるわけでございます。ただ、それを現実にアプライする場合には企業としての経営のやり方、あるいは規模というようなものも勘案いたさなければなりませんので、それは具体的には各都道府県に商工指導所あるいは総合指導所というようなものを設けております。そういうところが診断指導をいたしまして、その適正な生産規模に小規模零細層も持っていって引き上げてやろうという努力もいたしておるわけでございます。また、その小規模零細層をそういう適正生産規模の方向に持っていきます一つの方法といたしましては、共同化、協業化によりましてこれを育成していくということで、昭和四十二年度には中小企業振興事業団も創設いたすということにいたしまして、これは小規模零細層を指導しながら、それに金をつけながら、そういう近代化あるいは適正な規模まで持っていってあげるということを考えておるわけでございますが、先生御指摘のとおりに、そういうふうな小規模事業者をできるだけ国際競争力のある適正生産規模まで持っていってあげるということを考えておるのでございますけれども、なかなかそういうところまでいけない零細企業層もあるわけでございます。そういうところにつきましても、これを適正生産規模でないからこれを切り捨てるとか、あるいはほうっておくというわけではございませんで、たとえば設備近代化資金の制度であるとか、あるいは機械貸与制度であるとか、あるいは共同工場制度であるとか、あるいは特別小口保険制度であるとかいうものによりまして、小規模零細層対策としても別途の観点からこれが育成について努力していきたいと考えておる次第でございます。
○春日正一君 いま結局そういうことで、適正規模といってもついていけないものが多い。あるいは協業化といっても、たとえばここに全国下請企業団体連合会という関東、東北、北陸五千企業というようになっておりますが、ここの役員会議で、協業化の趣旨はけっこうだが、それよりも個々の企業内部で解決しなければならぬ問題が残っているというような声が多くて、協業化に消極的であった。あるいは関東地区のある電機メーカーの下請企業が協業化に踏み切ってみたけれども、各自のかかえておる借金の始末がうまくいかなくて、これは空中分解してしまったというような例が出ている。これは一般的に零細企業の実態というものを反映しておるものだと思うのです。こういう実態を踏まえてみて、政府のやっている団地とか、あるいはこの近代化促進とか、あるいは協業化といっても結局一部の者はそれによって救われていく、安定していくという方向にいくけれども、大多数の者は積極的に政府がつぶさぬまでも、ほうりっぱなされて、競争の中で取りつぶされていくという結果になるのじゃないか。特に資本自由化を控えて、産業の大規模化という勢いの中でそういう問題も深刻に出てくるのじゃないかというふうに思います。 れれから次に、流通機構の問題を簡単にお聞きしますけれども、先ほど、入ってくる部門とか、そういう点については一応の御説明があったので省きまして、通産省と産業構造審議会の流通部会ですか、ここで共同してつくった自由化対策中間答申案というようなものがあるそうですけれども、大体それの大きな中身ですね、中小企業に対する。それがもし説明できたら……。
○政府委員(熊谷典文君) 先ほども申し上げましたように、流通関係には中小企業も多い、あるいは非常に合理化がおくれておる、こういう観点からいたしまして、資本取引につきましては非常に慎重に、進め方、対策を考えていかなきゃいかぬと、こういう感じでございます。そういう意味で、流通部会でいろいろ御審議を願っておるわけでございますが、実はこの問題はまだ結論らしきものは出ておりません。大筋を申し上げますと、流通関係の自由化の進め方については非常に慎重であってほしいという点と、それから、しかしながらこのままで推移して永久に自由化をやらないというわけにもいかない。したがって至急、十分対策を講じてもらいたい、こういう二点が中間的な答申の骨子になっております。われわれといたしましては、今後、中小企業と同じように、流通面の自由化の進め方については十分慎重に考えますと同時に、対策につきましてさらに流通部会等におきまして一年ぐらいの余裕をもって十分詰めてまいりたい、こういう考え方を持っております。
○春日正一君 実際に、もういままでも高度成長政策を――まあ自由化対策も当然見込んでだと思いますけれども、そういうことをやってこられて、四十二年度予算では、ボランタリーチェーン二十億円、それから総合モデルショッピング・センター二十五億円、卸総合センター百億円、パレットプール・システム二十五億円というような財政投融資が計上されているわけですけれども、政府の流通機構近代化政策、具体的にここへ出たものを見ると、結局こういう形で商業経営の大規模化、大型化、チェーン化、あるいはセルフサービス化、総合店化というような方向を目ざして進めているように思うんですけれども、その点どうですか。
○政府委員(熊谷典文君) 流通機構の近代化の進め方でございますが、これは物資によって流通機構は相当異なりますし、また、その態様といいますか、卸の段階であるとか、小売りの段階であるとか、あるいは小売り等は地域性もございます、そういう意味で、なかなかむずかしい問題でございますが、通産省がやっておりますいまの施策は、やはり今後の日本経済、あるいは、外資が入ってきた場合に非常に問題になるのは、やはり大量に物を消費する、売るという場合の流通機構の問題が一番問題でございます。そういう意味で、やはり規模を大きくして、しかも、それを合理的にしていくという点に御指摘のように重点が一つあることは、これはいなめないと思います。しかし、他方、そういう形に大資本だけがする、大資本が中心になってするという形は、私は好ましい問題ではないと思います。そういう意味で、そういう規模を大きくし、大量の流通機構に即したものにする過程におきましては、できるだけ、個々の小さな中小企業、あるいは商業というものが団結して、自分たちでそういう形をつくっていくという点に重点を置いていきたい、かように考えておる次第でございます。
○春日正一君 結局、まあ大資本がそれをやるにしろ、個々のものが共同してやるにしろ、商店の規模を大型化し、あるいはチェーン化し、組織化していくという形になれば、当然そこに集まってくるものは一部のものになってしまうんで、それからはみ出るものが相当出てくるし、そういう中で、特に非常に小さな業者というようなものが営業できなくなって、実質上排除されていくというような結果が出てくるんじゃないか。この点一つ問題があると思うし、もう一つはそのほかの面とも関連して、この流通機構の近代化政策というのが、例の政府の進めておる流通センターとか、コールドチェーン・システムというような形態とどうしたって結びついてくる。そういう形で結局、大資本の流通部門に対する進出、支配というようなものを強めていく。そうして当然そういうものの中には、さっきいった外国資本の販売部門、そういうものも入ってくる。そういう政府のいまの近代化政策というものを促進していくという形が、むしろ大資本の流通部門への侵入、それから外国資本の流通部門への侵入というものの条件をつくってやる、促進してやるといったようなことになってくるのじゃないか。どうもそうなりそうな気がする。この点どうですか。
○政府委員(熊谷典文君) 先ほど先生から御指摘になりました中小企業関係の問題と同じような感じの問題であろうと存じます。そういう意味合いにおきまして、われわれとしては大きな資本をバックにした近代化設備について外資が無条件に入ってくるということは当分の間やはり自由化としてとるべきではない、かような考え方を持っておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、通産省としてはやはり流通機構の合理化を、生産の量産体制と同じように進めるべきでございます。そういう点に一つのポイントがございますが、先ほど小規模対策の問題にお触れになりましたように、それに乗り得ない面があるということも、これも事実でございます。しかも生産と違いまして、流通につきましては、特に小売り面については地域性という問題が非常に大事な問題であろうと思います。そういう意味におきまして、われわれとしてはそういう近代的な施設と同時に、やはり個々の小さな商店がやはり自分自身で近代化していく、あるいは商店街等でつくっていくという点につきましても、これは当然のことでございまして、十分力をいたしたい。したがいまして、必ずしも片一方だけを促進し、しかもそこに外資を入れて、それにいたずらな混乱を起こすということは、十分そういうことのないように注意してまいりたい、かように考えております。 〔主査退席、副主査着席〕
○春日正一君 これで私、最後の質問になりますけれども、結局、いま言われたような説明を聞いても、外資が入ってきて混乱を起こす、だから入れないようにしばらくストップしておいて近代化するというのだけれども、結局、こういうことになるのじゃないですか。つまり外資が入ってきて直接つぶされるか、あるいはつぶすものをつぶしてしまってから外資を入れてくるかというだけの違いになるのじゃないですか。その考え方は結局そうなると思う。そこで結論的に言えば、やはり資本自由化というものが、外国資本――これは主としてアメリカ資本が入ってくると思うのですけれども、それの日本経済への侵入、それからこれと結びついて、私は、独占資本といわれる大企業がこれと結びついて、それなりに大きくなっていくだろう。しかし先ほどからいろいろ質問した答弁の中からいろいろ論証はできますけれども、中小零細企業というものが、大きくなった独占資本、外国資本に押されて、一そう困難になり零落させられていく、そういう結果を必ずもたらすだろうというように私は思います。特にそれだけでなくて、当然こういう国際競争力の強化といううたい文句の中で、合理化というものがいま非常に強く打ち出されてきて、これが労働者の賃金なり労働条件というものをもっともっと圧迫していくような結果になっていく。これは通産省の関係ではないから聞きませんでしたけれども、農業、農民の経営の問題ですね、これも非常に大きな圧迫をもたらしてくるというと、結局、これは自由化というものがほんの一部の大資本家にとっては有利になる、しかし日本の働いておる勤労者の大部分にとっては非常に大きな打撃をもたらすものになるのじゃないか。私は、こういう方向じゃなくて――これはこの方向を基本に据えておいて幾ら中小企業庁が手直しをしてみたって、これは理論的に追及していったってやりようがない。結局、中小企業庁が中小企業者をつぶすということになってしまう。だから、そういうことでなくて、やはり資本自由化というようなものはストップをかけておいて、国内市場の、むしろ人民の生活を高めて拡大していく、そういう中で中小企業が発展的に拡大し近代化していけるように長期の低利融資をもっと積極的にやる――これが非常に少ないですよ。あるいは下請その他の非常に不利益な条件、こういうものを解消して正当に営業できる条件をつくってやるとか、そこらにむしろ重点を置いて国の産業政策というものを進めなければ、たいへんな矛盾をつくり出すことになるだろう、そう思います。これはまあ御回答なくてもいいのですが、結論としては……。
○国務大臣(菅野和太郎君) いま春日委員の述べられたことは、私らも同じようなことを実は心配いたしておるのであります。したがいまして、先ほどからも答弁いたしておりますとおり、やはり中小企業を何とかして守らなきゃならないし、また、その発展を確保したいというところに今度の中小企業振興事業団法を設けた理由があるのでありまして、いままで、中小企業者が金がないから金を貸せということで、金を貸すような資金も豊富にありますし、金利も安くするし、無担保の貸し付けもやっておりますけれども、しかしもう一つ足らないのは、いかにして今後において処していくか、生きていくかということを指導するということが私は重要な問題だと思うんです。で、そういう点において、今度のこの事業団は、金のことも心配するが、同時に指導もあわせてやっていきたいというところがねらいであって、それによって中小企業を何とかして生かしてあげたいというところがねらいなんです。しかし問題は、それだけの指導する人がありやいなやということが問題になるのでありまして、先ほども近代化団地の失敗した例のことをおっしゃっておられましたが、やはり私は指導者がまずかったと思うんです。そこで、いかに制度をつくりましても、結局、人の問題だと思うのであります。したがいまして、今後は、われわれといたしましては、そういうような中小企業者が生きていけるような指導者を見つけ出し、また、そういう有能な指導者を養成するといういうところを、まず考えて、そして御心配のようなことの起こらないようにやっていきたいということを念願いたしておるのでありまして、そういう点において極力全力を注いでやっていきたいと、こう存ずる次第であります。
○黒柳明君 私は、中小企業金融公庫の融資の問題でお伺いしたいのですが、総裁にお尋ねしますが、不良債権は現在どのぐらいになっておるんでしょうか。
○参考人(佐久洋君) 現在、不良債権と申しますか、延滞債権の意味と思いますが、大体貸し出しの残高がいま四千三百億ぐらいですが、そのうちの三・七%程度が三カ月以上の延滞と、こういうことになっております。これは必ずしも不良債権とは言えないものでございます。
○黒柳明君 回収見込みのないものが何件くらいで、金額はどのくらいになりますか。
○参考人(佐久洋君) 不良債権で回収見込みのないというのは、非常に明確に考えるとむずかしいのですが、先般参議院の決算委員会に提出いたしました資料によりまして御判断いただくとわかると思いますが、ざっと九千五百万くらいと考えております。
○黒柳明君 私の手元に決算委員会へ提出された書類を持っていますですが、回収不能のものとして、三十二年から三十六年、五回にわたって、現在残高はここに明記されていますが、この対象の会社、どういう会社にこれを貸し付けて五年経過してなお回収見込みのないもの、ここにリストであげていますか。
○参考人(佐久洋君) いまここで持っております資料によりますと、中小鉄鋼メーカー、それから鉱山、炭鉱、そういうのが多いようであります。
○黒柳明君 具体的な会社名はあげられませんですか。
○参考人(佐久洋君) ちょっと、ここで、その具体的な会社名というものは遠慮したいと思います。
○黒柳明君 ここに、五件の貸し付けの日にち、当初貸し付け額、現在残高が出ていますけれども、これが回収不能になった原因と経過、御説明願えますでしょうか。
○参考人(佐久洋君) 原因と経過はいろいろですが、鉱山の場合には、大体最初の計画と違って、炭層の条件が悪くなったとか、あるいは着工が非常におくれたとかいうことでございます。それから中小の製鋼会社などでは、結局、利益が計画どおりいかなかった、業況が不振だと、こういう状況のようであります。
○黒柳明君 関東製紙ですけれども、これはこの中に入っているのですか、1番ないし2番の中には。
○参考人(佐久洋君) この資料は一千万以上ということでありますので、関東製紙は入れてございません。
○黒柳明君 一千万というのは、残高ですか、貸し付け額がですか。
○参考人(佐久洋君) さようでございます。残高でございます。
○黒柳明君 残高……。これは当初貸し付け一千万も入っていますね。
○参考人(佐久洋君) これはカッコして残高というのは現在残高と、こういう意味でございます。
○黒柳明君 当初貸し付け額のほうの……。
○参考人(佐久洋君) この表は、当初貸し付けで見ているのではございませんので、現在残高というところで押えて掲載してございます。したがって、関東製紙はこの中には入っておりません。
○黒柳明君 それから第3ですね。「関東製紙に対する貸付を妥当と判断した理由」、この(1)、(2)、これはちょっとばく然として抽象的でわかりませんけれども、この(3)、「当社は、当時の下級包装紙の活況に支えられて」業績がよかった云々、それから「収支財政面にもとくに問題はなかった。」この「収支財政面にもとくに問題はなかった。」というのは、これはどういうことなんでしょうか。御説明願えますか。
○参考人(佐久洋君) その当時の市況からいって、下級包装紙、これは確かに活況を呈しておったようでありますが、ただ、この下級包装紙というのは非常に業況の変化が激しい業界だそうでございまして、この関東製紙の資金要請のためにつくられた計画によりますと、そういう状況の変化に対応できるようにということで、計画そのものはかなり多角的な計画であったようであります。その多角的な計画を見ますと、将来の収支状況はまずまずだいじょうぶであろう、こういう判断をした、こういうことでございます。
○黒柳明君 その多角的というのは、具体的にどんなものですか。
○参考人(佐久洋君) それは、経済の多角化というのは、段ボール中芯原紙というものをこの計画の中で入れております。こういう意味だそうでございますが、不幸にして私は段ボール中芯原紙というものを詳しく存じませんので、御了承いただきたいと思います。
○黒柳明君 多角的というのは、私はそういう意味じゃないと思うのですけれども、またその内容を知らないで抽象的に多角的なことばをお使いになること自体も、ちょっと疑問だと思うのですけれども、この収支面に特に問題はないと、こう書いてありますけれども、取引銀行との問題、その点御存じですか、総裁、当時の状態は。
○参考人(佐久洋君) 私は、その当時の詳しい事情は存じておりません。
○黒柳明君 存じておりません……。ですけれども、私は一回過去において問題にした問題なんです。相当新聞にも出ましたし、それで多角的とか、こういうふうな資料も出ているわけです。総裁はこの資料は御存じでしょうか、決算の資料は。
○参考人(佐久洋君) これは見ております。
○黒柳明君 これを見ていれば、「収支財政面にもとくに問題はなかった。」とか、あるいはその次の(4)、(5)でこれから質問していきますけれども、こういう問題に対して調べ、あるいはお聞きになることはあたりまえじゃないですか。また、聞かれていることも当然だと思うのです。であるから、多角的云々、あるいは問題がない、こういうふうにおっしゃったと思うのですけれども、残念ながら段ボールの云々ということは知らない、こういうふうにおっしゃると、ちょっと矛盾していると思うのですが、どうでしょう。
○参考人(佐久洋君) 私は、会社そのものの状況がどうであるか、あるいはその当時の取引銀行の状況がどうであるかということは、正直言って調べておりませんが、その当時の資料に基づいて経過の報告を受けましたところでは、なるほど、私自身がいま判断する問題ではございませんし、過去にきまった問題でありますが、そういう事情であったのかという状況は知っております。
○黒柳明君 それは、その当時の材料によって、これでだいじょうぶだと、その具体的な調査状況を述べていただきたいと思うのですけれども。
○参考人(佐久洋君) 調査状況と申しましても、具体的にどうこうというのは……。ちょっと御質問の意味がはっきりわかりませんけれども、その当時の融資申請、それからそれに対する審査、そういうものの内容を聞いた、こういうことでございます。
○黒柳明君 だから、そのときの内容を見たわけでしょう。それで問題はなかった、また、ここで主取引銀行、どこの銀行だか御存じだと思うのですけれども、それとの関連性、その辺についても、収支財政面に問題がなかったと書いてあるのですけれども、それとの関係をお調べになったと思うのですけれども、そのお調べになった範囲で、どのように問題がなかったのか……。
○参考人(佐久洋君) その当時の取引金融機関というのは、たしか東都信金だったと記憶しております。その調査の内容、東都信金との詳しい関係がどうであったかということは、私は存じません。
○黒柳明君 そこが問題なんですよ。当時の取引は東都とやっていたんじゃないですか。それが、「収支財政面にもとくに問題はなかった。」と、ここに明記されていることは、その東都との関係をはっきりしなければそれが出てきませんよ、こういうことばは。どうでしょうか。 〔副主査退席、主査着席〕
○参考人(佐久洋君) その当時の事情を詳しく調べる必要は確かにお話のとおりあったのかもしれませんけれども、材料も十分な材料もありませんようなことでもありますし、何と申しますか、残された書類以外の事情がどうなっているかという、その点が十分調べられないわけでございます。
○黒柳明君 これは裁判になっているのは御存じですか。いま係争中であることは。
○参考人(佐久洋君) 裁判になっているということは私は聞いておりますが、本件についての訴訟ではない、こういうふうに聞いております。
○黒柳明君 これを全部含めてですよ。材料はあり過ぎるくらいあるのです。この一番初めの東都との関係を含めて材料はあり過ぎるほどあるのですよ。調べた結果、特に収支財政面で問題がなかったということばがあらわれたと思うのです。やはり、その裏づけを、どういうことで収支財政面において問題がなかったのか、それはこうこうこういうわけだからと、数字であげるべきじゃないか。また、それでこういう文句が出てきた、それで総裁が認可されたのじゃないか。これは収支財政が問題だらけなんです。当時の新聞を読んでごらんなさい。その具体的な経過が出ておりますよ、東都との関係が。また、その後中小企業金融公庫からどのくらい金を貸して――その点は御存じだと思いますが、どのくらい返済されて、どれだけ焦げついているか、これは御存じだと思いますが、どうですか。
○参考人(佐久洋君) 貸すときの計画そのものは妥当である、そういう認定をされたのでありまして、その後状況が変化して、公庫への返済金も返らない、あるいは関東製紙そのものが商号変更をしたり、よそから借りた金が返らないために訴訟が起こったということでありまして、計画そのものから見ると妥当であるという判定をくだした、こういうことであります。
○黒柳明君 いや、その後のことはいいですよ、これは付け加えて言ったのですから。やはり当時の収支財政面で問題がなかったというその裏づけです。
○参考人(佐久洋君) その当時の資料から見ますと、大体年間四百万円くらいの償還が可能である、こういう申請になっておりますので、それを審査した結果、確かにそのとおりであろう、こういう判断をしたわけであります。
○黒柳明君 それじゃ東都との関係はどうですか。当然その四百万円返済可能である、こういう結論が出るためには、東都との関係からそういう答えが出たと思いますが、その東都との関係はどうなんですか。
○参考人(佐久洋君) 東都信金からは一千九百万円の負債があって、それを返済する計画は、もちろんこの事業計画の中に入っておりました。それを返済する計画の中で四百万円の公庫返済の可能性がある、こういう資料でございます。
○黒柳明君 その返済の具体的可能性はどうですか。返済したのですか、返済しなかったのか。それに対して、中小企業金融公庫はいつごろそれを貸して、償還期限、いつごろどのくらい金を返してもらったのですか。
○参考人(佐久洋君) 三十二年に貸し付けを行ないまして、据え置き六カ月で期間三年の条件で貸し付けを行ないました。実際、これは返済は、九百数十万円現在返済になっておりません。
○黒柳明君 だからね、時間ばかりたってしまいますけれども、当時の収支財政面は健全でなかったわけですよ。まあ一番初めの状況から私がしゃべったってしょうがないですから、一回過去において運輸委員会で取り上げて新聞紙上に発表されております。ですから、当然中小公庫の責任総裁であるから、こういう経過は御存じだと思ったけれども、いまあまりにもこれは――、四点、五点あるわけですね。おかしなムードがあるわけですけれども、いま、三番目の、収支財政に問題がなかったという点で質問しているわけですけれどもね。要するに、現在の自治大臣、この人が大蔵政務次官辞任後、すぐこの関東製紙の会長になったのが三十年十一月。それで、関東製紙というのが東都信用金庫と取引をしていたわけです。その東都は、御承知のように、不正融資で大蔵省から監査を受けた。しかられた。こういう会社です。その東都の理事長のむすこさんが関東製紙の社長ですよ。村本という人です。村本という人と自治大臣とは、選挙でも推したり推されたり、ツーツーの仲なんです。そういう関係で、藤枝さんが会長に招かれていったわけですよ。それからすぐ中小企業金融公庫から一千万円の融資を受けたんだ。こういう経過じゃないですか。いま言ったように、現在九百六十万の国損になっているわけです。ところが、東都と関東製紙とはツーツーの仲、むしろ、かいらいです。東都のかいらいが関東製紙だったわけですよ。それで、会長に迎えられたというのも、その選挙で、あるいは個人的なつながりで、村本社長に会長に祭り上げられた。こういうふうに言っても、当人は、そんな変な意思はなかったんだと思いますけれども、結果的には非常に疑惑を招くような結果になった。そういう政治的な権力によって融資を受けたんじゃないか。こういう大きな疑惑を受けるような結果になっちゃったことは、これは当人の不徳のいたすところではないか。これは、初めからそういう意図はなかったんだと思うんですけれども、そういう東都との関係のときには、決して四百万返済可能である、そういうような財政面じゃなかったのです。これはもう幾多私も資料を持っていますし、これは決算で出てきたのが土曜日ですから、だから、これからまた資料を持ってきて、また次の機会において、どのくらい収支が、財政面が問題がなかったのかどうか、こちらも資料でお示ししてもいいです。また、いま係争問題になっている。これだけじゃないですが。ですけれども、当然これも含めてです。関東製紙のこれも含めてのことなんですよ。いま裁判になっていますから、膨大な資料がある。この時点においては収支財政に問題がなかったなんて、こういう答えがどこから出てくるのか。だから、先ほど、この会社、具体的に返済不可能、回収の見込みのない会社も言っていただきたいと……。まあ、会社の名誉のこともあると思うんです。具体的にはここでは出せない、具体的に出せないと言ったって、こういうような政治的な圧力がかかって融資をしているような、そういう、たとえ事実がないとしても、疑惑を起こすような融資がある。そういう会社が現に関東製紙である。となると、やっぱり、この前にあげた回収見込みがない、こういう会社に対しても、どの会社がそれではそういう対象になっているのか。単に工業関係とか、金属関係とか言わないで、どこどこの会社がと、その会社をあげていただいたら、またこちらで調べてみますよ。どういう関係性があるのか。あるいは過去の古い話ですけれども、黒い霧というような関係でもあったのか、そういう点まではっきりしていただきませんと、ほんとうに中小企業金融公庫が設立された意義、中小企業を守ろうとして融資されているのかされていないのか、そこらあたり、はっきりしなくなる。どうですか、総裁。
○参考人(佐久洋君) 私、過去の融資について黒い霧の疑いがあるかどうかということを御質問を受けても、ちょっとそれにはお答えしかねるのですが……。
○黒柳明君 そんなことは言ってない。お答えしかねるなんて、そんなことを言ってやしませんよ。
○参考人(佐久洋君) これの融資については、もちろん、中小企業金融公庫というのは、中小企業の振興、育成のためのものでありますから、そういった一切の圧力とかいうようなものにとらわれないで融資を進めていく、そういう考えで私はおります。
○黒柳明君 私は、何も過去に黒い霧があったなんて断言しろなんて言っていませんよ。よく聞いていただきたい。日本語ですから、ちゃんと通ずると思う。言ってやしませんよ。もう、そういう事実を総裁が知っていると思って。過去に三回も同じことを繰り返している。ところが、総裁がお知りにならないようですから、若干私がかいつまんで過去の経過を申し上げただけのことであって、それがあったかどうか断定しろなんて、何も言っていませんよ。 それで、結局、こういう疑惑を招くような会社もあった――事実あったかどうか、それはわかりません、事実あったかどうか。しかしながら、簡単に経過を言っただけでも、何となくおかしいなと、こういうものを感ずるんですよ、常識論として。そうなりますと、いまも言いましたように、今後回収見込みがない、そういう会社名はどこの会社であったか。これは、中小企業金融公庫というのは何でしょう、政府から融資されて、それを今度貸し付ける、はっきりした政府機関でしょう。ですから、たとえ、それは会社の名誉にかかわるかわかりません、公の場じゃ言えないかもわかりませんけれども、現にこういう疑惑を招くような貸し付けをしているし、現に九百六十万も国損じゃないですか。この責任はどういうふうにとるか。これはいたしかたありません、貸し付け時点においては回収できると思いましたけれども、中小企業は変動が激しいもので云々と、これでごまかされたのじゃ、あくまでも税金を納める国民が損します。また、設立した意義が非常に薄くなるわけですよ。ですから、こういう会社がある、そういうことの裏を返して見れば、回収見込み不能なこういう国損が、はたして六千万もあるわけでしょう。まだまだこれ、あるわけですよ。その会社を一々出してあげられないのか。名誉とか不名誉とかの問題じゃない。そうなったら、今度は中小企業公庫の責任問題になりますよ。国民の税金がどこに融資されておるのか。それならば、国民に対して中小企業公庫の不名誉をどういうふうに挽回するのか。回収見込みがなくなった、そのことに対して中小企業公庫はどう責任とるのかという問題にまで発展していくのじゃないですか。ですから、会社名まで具体的に発表できないということですけれども、思い切って会社名ぐらいは発表して、あるいは発表しないにしても、いま言ったように関東製紙みたいな会社がある、そのほか同じような会社が相当あるのじゃないか、またあるだろう、こういうこともほんとうに発表できないならば、そういう点について調査しておるのか。あるいは調査した結果、そういう結果が全然なかったのか。まあ長くなって申しわけないですけれども、どうです。
○参考人(佐久洋君) これは現在、先日資料として提出いたしましたのは、五年を経過してなお回収見込みのないというものですから、相当回収は困難――相当というよりも、きわめて困難なものだと思います。こういう回収困難なものが出るということは、中小公庫の責任としても非常に重いと思いますが、ただ、この中で、どの会社がという名前を全部あげてというのは、ひとつごかんべんを願いたいと思います。今後はこういうことのないように、もちろん十分注意をしなくちゃならぬと思います。
○黒柳明君 第四番目ですね。「申込計画は新たにダンボールの生産を開始して企業体質の向上をはかったもので主旨は妥当、借入金償還に懸念なしと認められた」と、こう書いてあるのですが、これも私はおかしいと思う。それじゃ、まあ一千万融資をしたんですけれどもね。それで関東製紙は何を購入したか、その資金で。どういうふうに使ったか、その資金を。
○参考人(佐久洋君) これは、設備、建物、そういうもので費目は全部あがっておりますが……。
○黒柳明君 一番金のかかったものは何ですか。
○参考人(佐久洋君) 一番よけいかかりましたものは抄紙機一台二百五十万円、これが一番その中では金額としてはよけいなものです。
○黒柳明君 合計してどのくらいになっていますか。
○参考人(佐久洋君) 合計して、当初の計画によりますと、千二百四十万ですが、実際の支払は千三百三十万の支払いが行なわれております。
○黒柳明君 一千万中小公庫から借りて……。ほかのが入っているんじゃないですか。だって、一千万しか借りないものを、一千二百万払うわけはないでしょう。一千万の範囲で購入しているわけでしょう。
○参考人(佐久洋君) もちろん、事業計画でありますから、公庫の金ですべてをまかなうというのではなしに、そのほかの資金も含まれた計画になっております。
○黒柳明君 私の聞いているのは、公庫から一千万融資を受けたでしょう。それで、それをどういうふうに使用したか、こういうことなんです。
○参考人(佐久洋君) その一千三百万の支払いが行なわれた。これを個別に、いま申し上げましたように、施設なり不動産なりということで支払っているのですが、その個別のものの中で公庫の一千万の資金がどう配分充当されたかというのは、ちょっといまわかりませんが、全体といいますか、実際の金の、公庫の支払いは、設備について計画の中の設備があって、その設備が完了した、それに幾らの支払いが必要であるか、こういうふうな場合に、この明細をつくりまして、その中で公庫の負担というものを一千万、こういうものを支払いをする。その設備がほんとうにできているかどうかということは、現地検収をやる場合もありますし、あるいは写真を持って来させるという場合もあります。あるいは設計者、あるいは販売者の契約、あるいは納入書というものを取り寄せる場合、いろいろございます。
○黒柳明君 一千万中小公庫から借りた、それがどういうふうに使われているか、これは当然知っておかなければならない義務があるでしょう。事業計画全体に対して知ることよりも、中小公庫から出た一千万がどういうふうに使われたか、どういうものを買ったか、これは当然つかんでおく必要があると思うのです。これをつかんでいない。これは四百五十万しか使われていないのですよ。あとの五百五十万は不明なんです。首をひねられましたけれども……。それじゃ、その内訳はわかりますか。
○参考人(佐久洋君) この一千万の払い出しというか、貸し出しのやり方は、先ほど申しました実際に設備資金として一千三百万かかった。その中で公庫が一千万を貸すと、こういうやり方をやっておりますから、個別の設備なりについて、たとえば、いま抄紙機を一台二百五十万と申し上げましたが、その二百五十万の中で公庫が一千万のうちどれだけを負担というか、融資するかということは、はっきりわかりません。
○黒柳明君 そうすると、一千万がどう使われても公庫としては正確につかむ責任はないわけですか。一千万が、たとえその設備の一千三百万の中に使われて支払われてなくてもいいわけですかね。ちょっといまの御答弁、おかしいように聞こえるのですがね。
○参考人(佐久洋君) それは、先ほど私が申し上げましたが、一千三百万ただかかったからという口頭の報告で一千万を出すというようなことであれば、お話のようなことになるかもしれませんが、それを確認するだけのいろいろの材料をもとにして出すのでありますから、どこに使われたかわからぬということにはならぬと思います。
○黒柳明君 そうすると、その材料ですが、抄紙機、その抄紙機が中古であったということ、御存じですか。
○参考人(佐久洋君) これは最初からそういう計画になっておりまして、計画自体が中古の品を使うという計画でございます。
○黒柳明君 当然、現場へ行って確かめる場合、あるいは確かめない場合、二つあるとおっしゃいましたけれども、確かめないにしても、当然書類上でも妥当であるかどうかくらいは認定されるわけでしょう。そうすると、この中古の抄紙機が二百五十万でそれで妥当である、こう認めたわけですか。
○参考人(佐久洋君) その当時の資料によれば、妥当と認めたと考えざるを得ないと思います。
○黒柳明君 その当時の資料云々なんとおっしゃいますけれども、現場へ行ってみれば、この中古の機械がどれだけくたびれていて使いものにならないかということがわかるし、先ほども言ったように、一千三百万使った、使ったというが、これは全体の必要額ですよ。中小企業金融公庫から一千万とって、どれだけ使われたかということは調べてない、握ってないじゃないですか。それがわからない。しかも現場へ行って中古品の二百五十万の抄紙機がどれだけの価格になるか、それはわからない。 また、担保に対しても十分――とんでもない。担保なんかありゃしません。「(5)担保力は」云々「考慮しても十分見込まれた。」、返済の見込みがある――とんでもない。担保なんか全然ありゃしない。こういうようなこと。(1)、(2)はばく然として、(3)、(4)、(5)、これは明らかに……。ここに出ていることが、もし総裁が疑問だと思ったら、またこの次の機会に、もっともっといままでの資料を集めまして、去年の十月からやりましたから、全部領収書がありますから、明細にして……。またくどいようで、ほんとうに申しわけないんですけれども、回収不能な金額が相当あるその会社に対しても、また、関東製紙と同じようなケースがあっちゃうまくないから、この関東製紙の問題に対して、特にこの(3)(4)(5)の、収支は問題なかった、あるいは借入金償還に対して懸念ないと思った、担保力は十分と思った、この三つの点に対して、いかに不備なものであったかということを、もう一回繰り返して総裁に認識してただくために、次回に資料をもってもう一回質問したいと思うのですけれども、それに関連して、先ほども申しました、これは四回目で、くどいようですけれども、各会社に貸し付けたこの中小企業金融公庫の貸し付けが妥当であるかどうか。私は、全部が政治的圧力で融資されたとは言いませんけれども、そういうものがここにあるとすると、非常に貸し付け自体が目的が誤っている、こういうようなことにもなりますし、総裁としても、その点十二分に調べると同時に、また、この関東製紙のことも、もう一回よく調査していただきたいと思いますし、またこの次の機会で御質問もしたいと思います。 以上です。
○主査(熊谷太三郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○主査(熊谷太三郎君) 速記を起こして。
○羽生三七君 実は、先日の参議院の予算の公聴会で、一公述人が、中小企業関係で、なぜ日本の中小企業がこんなに困るかということに関連してお話があって、その場合に、融資とか、あるいはいろいろな法制的処置も大事ではあるが、その人が西欧に行って見て、四週間以上支払いが遅延するという国は全然ない、四週間以上という場合は忘れておった場合で、ほとんどそれ以内に支払われる、このことは中世のギルド以来引き続いた習慣で、それが破られるということはほとんどない。したがって、日本は、いろいろな対策を講ずるとともに、自分がつくらした製品については責任をもって支払うような、そういう環境づくりをやらなければいけないということを、非常に重点を置いて言ったわけですから、これは私も非常に注意深く聞きました。これは質問じゃありませんが、そういう問題もひとつ御検討を願っておきます。対策ばかりに追われて、実際に実効があがらないということもありますから、対策とともにいまの問題、御検討を願います。
○主査(熊谷太三郎君) 以上をもちまして、通商産業省所管に関する質疑は終了したものと認めます。 なお、午前中の会議はこの程度とし、午後は二時より再開することといたし、これにて暫時休憩いたします。 午後一時一分休憩 ―――――・――――― 午後二時十六分開会
○主査(熊谷太三郎君) それでは、午前に引き続き、予算委員会第二分科会を再開いたします。 昭和四十二年度総予算中、経済企画庁所管を議題といたします。 午前の会議と同様、説明は省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じまが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 それでは質疑に入ります。質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
○羽生三七君 きょうはケネディ・ラウンドの問題外二、三を簡潔にお伺いいたしたいと思いますが、その前に、このたびの交渉についてはいろいろな評価があろうかと思いますが、長官たいへんに奮闘された様子で敬意を表します。また、足の悪いところを恐縮でございました。 そこで、長官が今回の会議に出られて交渉妥結の成果を総括して、日本のプラス面は何か、マイナス面は何か、また今後の問題点はどこにあるのか、日本にとってどういうことが最も重要なことになるのか、一々のたいへんな品目について、詳細述べていただくことは私もよく理解がいかないし、これもたいへんなことでありますから、また必ずしもいまその必要も当面ございません。したがって、その総括をこの機会にひとつ御披瀝をお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) それではお許しを得まして、着席のまま答弁させていただきます。 評価でございますが、やはりこの交渉がかりに妥結をしなかった場合を想像いたしますと、アメリカを中心にいたしまして、最近相当保護貿易主義的な動きがございまして、もし妥結いたしませんと、そういう動きがかなり急速に表面化するであろう、かように考えられましたので、したがって、そういう意味で、そのような動きを封じるといったような意味から、この交渉が妥結をしたということ自身に一番大きな意味合いを認めるべきではないかと思っております。 次に、わが国のようなかなり成長の早い国で、しかも、原材料を輸入して製品を輸出するというような立場の国から申しますと、工業製品を中心として相当大幅な関税の一括引き下げが合意されたということは、わが国のような国にとってはかなり大きな将来に向かっての利益になるのではないか、かように考えております。 次に、関税以外の、いわゆる非関税障壁の撤廃でございますが、その問題につきましては、関税評価制度、これは四〇二a条項あるいはいわゆるASPといったようなものがあるわけでございますが、これらにつきまして少なくともアメリカの行政府としては、これの撤廃ないし改正に向かって努力をするという意向を表明したということ並びに反ダンピング法につきまして国際的な綱領を合意いたしましたので、今後、恣意的な反ダンピング法の改正がアメリカなどで行なわれる心配がまずなくなったといったようなこと、これを第三の評価としてあげることができるのではないかと思っております。 それからわが国にとりましてマイナスと申し上げるのは、あるいはその表現は適当ではないかと思いますが、負担になります部分でありますが、いわゆる穀物協定との関連で、一つは小麦の価格帯が従来の小麦協定よりも上昇をしたという点が一つございます。これは現在の小麦の実勢取引がかなり高くなっておるということを反映して価格帯を引き上げたわけではございますけれども、しかし、将来の需給いかんによりましてはどうしても価格帯の下限が上がる、ということは、価格が従来よりは高いところに落ちつきやすいということでございますから、当面はともかくとして、将来に向かってそういう問題が起こることがあり得るということは考えられるわけでございます。 それからもう一つは、このたび、いわゆる後進国につきまして小麦等の食糧を中心とする援助をしようではないかという合意が大部分の国の間で成立をいたしました。わが国としては援助をすることにやぶさかではございませんけれども、食糧をもってこれを行なうということはわが国の立場としては適当でないと考えるということから、援助の内容についてはわが国独自の立場で考えるということで、会議は妥結したわけでございますけれども、しかし、やはり財政負担にそれがなるということは変わりがございません。従来からさような援助はいたしておりますから、このたび協定をいたしましたものが、そのままネット負担の増になるとまでは考えなくてもよろしいかとも思いますけれども、しかし、何がしかの財政負担の増加になるというふうには考えるべきであると思います。この点は、世界の現在の情勢並びに世界平和を希求するわれわれとしては、負担すべき義務があると考えまして同意をしたわけではございますけれども、しかし、負担になることは間違いがないところでございます。この部分はやはり負担分であると解して、さような評価をいたしております。
○羽生三七君 これ全体として、いま穀物協定に関連する食糧援助のことは別として、それは別ワクであるかどうかも含めて、それは別として、全体としてはバランスは一応とれておるわけですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 工業製品、農業製品を含めまして、全体としてはバランスはまずとれている。わが国の立場からいたしますと、将来に向かってはかなりの利益があるのではないか、こういうような考え方をしております。
○羽生三七君 この穀物協定の小麦援助問題を直接から省いて、ワク外にしたことは一応私努力の成果だと、こう思っているわけであります。しかし、アメリカのブルーメンソールというのですか、あの代表が、これは日本の新聞記者に答えたのかと思いますが、こう言っております。この小麦援助について、日本の主張は、結局米国やその他の国に認められたと考えてよいかと、こういう質問に対してその答えは、これは穀物協定に参加する諸国間で引き続き交渉する問題である、こう答えているようですが、そうすると、一応は報道されているようなことになっているにしても、協定成立の過程でまた何か問題でも起こるのでしょうか。この辺はいかがでありましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのような説明をブルーメンソールがいたしたということは、直接には存じませんけれども、想像ができるところでございます。おそらく申しました意味の一つは、わが国が今後援助をいたしますときに、各国が穀物協定のもとで負担すべき援助の割合というものをきめたわけでございます。わが国としては、それを金額に換算いたしましたその割り当てについては了承を事実上いたしておりますので、したがって、そういう関係から日本もこの援助計画の一員に入っているのだというような説明が一つ確かに考えられるわけで、一つはそれを意味したのではないかと思います。それからもう一つは、本来食糧で援助をするということにつきましては、わが国以外にも内心心から賛成できないという国が幾つかございますので、そういう国との関連も考慮しつつ、ブルーメンソール氏が、ことに交渉妥結の直後の会見かと思いますが、ただいまの発言はさような配慮があってそういうことを申したのではないか、これが第二に考えられるわけでございます。それから第三に考えられますことは、米国といたしましてはこの問題について、なおわが国にもう少しいろいろな考慮の要請をすることができないか、そういう試みをまだ全然あきらめたわけではないように考えられますから、それが言外に出ているかとも考えられます。しかし、政府といたしましては、わが国のこの問題についての立場のゆえにケネディ・ラウンドが決裂するというおそれはすでに御承知のようになくなっているわけでもございますし、今後小麦協定を結びますときに、独自の、従来からの立場を貫き得るものである、こういう見通しで私としてはおります。
○羽生三七君 全体として四百五十万トンの五分に相当する二十二万五千トンの千四百三十万ドルという日本分ですか、これはあれですか、協定の中に直接援助でなしに、この部分は農機具とかその他肥料というものでやるのか、全然協定の中にそういうものはあらわれてこないのか、その辺はどうなんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず五%相当金額が幾ばくであるかということは、必ずしもいまの段階では明瞭ではないと思います。それはどのような小麦を用いるのか。小麦以外の雑穀を用いてもいいかといったような問題がございますので、したがって、単価を幾ばくにすべきかということがはっきり合意されておりません。討議も実はされておりませんので、ただいま仰せられました金額のとおりであるということは実はどうも決定を見ていないわけでございます。で、次にわが国のそのような方針を具体的にどういう形であらわしていくかということはこれからの問題でございます。これから来月末までにかけまして具体化する問題でございますが、たとえば一番考えられる方法といたしましては、この問題を合意いたします条約上の条文が、かりに、私どもはそれが条約の十四条になるであろうと想像しておったわけでございますが、その条項にわが国が留保をする、こういうことに事実上なろうかと思います。で、その留保いたしました際に、別途わが国としてはこの条項にあるところの五%という負担はこれは引き受ける、その負担を実行するにあたってはかくかくの方法をもって行なう用意がある、並びに毎年の援助実績につきましては、これから新設されるでありましょう当該機関に年次報告を送る用意がある等々のことを公の形で意思表示をする、そういったようなことが一番考えられる方法でございます。ただしかし、実はこの条文そのものが全く固まっておりませんために、留保をするといたしましても、そのいかなる条文に対して留保をするかという、その客体がまだはっきりいたしておりませんために、これ以上正確には申し上げかねるわけでございますが、大筋としてはそのようなことが考えられるわけでございます。
○羽生三七君 実は私は一体どういう根拠でこの穀物協定の中にこの援助問題を持ち込んできたのか、実は疑問に思って、いろいろ知っている方面に聞いてみたところが、なかなかそういう解答は出てこないし、それから長官もその点を指摘されたようであります、現地で。それでそれはやはり一般的に南北問題の解決の一ワクとして出されてきたのか。アメリカが何か自分の小麦の余剰農産物の処理のための一方法として考え出したのか、いろいろあると思いますが、アメリカが、日本が農機具、肥料の代がえ品による援助をしたときには、その現物援助で浮く外貨を米国などからの小麦の輸入に充てるようひもつきにしてほしい、こういう申し入れを青木大使だかにされたようですが、日本としては、それは一応代表団会議で拒絶したというふうに新聞では報道されておりますが、しかし、何かそういう意味の制約というものが、まだ協定――協定にこれが出てくるとは思いませんが、何らかそういう制約があるのか、その辺はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その協定との関係で援助が持ち出されました理由でございますが、主唱する人々の説明を聞いておりますと、第一に世界にそういう援助を必要とする国が相当多いということ、これは私も異存がないところでございます。第二に、従来それをことに米国が単独でになってきたのであって、人道的な立場から言えば、それを他の諸国も分担をしてもらいたいということ、第三に、ただし、これは純粋に人道的な動機に出ているものでは必ずしもないのであって、人道的動機と商業的動機が並存をしておるのである。こういう説明でございます。つまり、四百五十万トンの小麦が、いわゆる商業市場から援助の形で排除されますと、それだけ商業市場で取引され得る小麦の数量が多くなる、おそらく多くなるであろう。それに従って、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン、米国等の生産者はより増産をすることができる。また、その結果が食糧に窮乏している国を潤すことになる。そういったような論理のように思われるわけであります。ただいま御指摘になりましたような希望をアメリカ側が表明したことがあるかという点でございますが、これはこのたびの交渉が、正式に妥結に至るまでの間には一ぺんもさようなことはございませんでした。と申しますのは、もしそのようなやや条件的な立場をとるといたしますと、アメリカとしてのたてまえがくずれる、こういうことであったのかもしれないと考えられます。会議が終了いたしましてからあと、アメリカ代表部から、ただいま御指摘のような趣旨の要請が、日本代表部に対してございました。で、ちょうど私帰国の立ちぎわでございましたので、その要請に対しては、わが国の立場は従来どおりであるから、これを断わるようにということを言い残してまいったわけでございます。その理由といたしますところは、わが国が今回何らかの形での援助に賛成をしたのは、それは商業的な動機ではなくて、人道的な動機でございますから、したがって、わが国から肥料なり農機具なりを受けましたときに、それで節約されます財源をどのように使うかということは、援助を受ける側の自由であって、人道的な援助をしながらその先まで指図がましいことを申すべきものではない。もし商業的な動機があれば、ただいまのような主張は当然わかるわけでございます。わが国の立場はそれと違うわけでございますから、その理由並びに援助を受ける国のすべてが小麦協定の当時者であるかと申しますと、必ずしもそうではないと思われるわけでありまして、かなり多くの国はこの協定の当事者ではなかろうと考えられますから、法理論的にも多少そこのところは筋道が合わない点もあるのじゃないか。これはつけたりの理由でございますが、主として前段に申しましたような理由から、その申し入れば断わるようにと言って私は立ってまいりました。私が出発いたしますまでに、ちょうど先方が留守でありましたから、その返事は届いておらないと思いますけれども、やがて先方が帰ってまいりますとともに、そのような回答をする、こういうことにいたしてまいりました。
○羽生三七君 その協定文作成の過程で、大体日本の考え方の基本線というものは、協定の中に貫かれて、もしいま言ったような点があったとしても、それはワク外かあるいは全く技術的な問題として、本質的な点については、長官が妥結された線はくずれることはないと了解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) さように御了解願ってけっこうだと思います。ただいまのような希望をアメリカ側が持っておるといたしますならば、そういう希望をアメリカ政府の希望として表明することは、これはかってだと思いますけれども、わが国がそれに拘束されるような取りきめをするということはいたさないつもりでございます。
○羽生三七君 次に、このケネディ・ラウンドというものは、一応はとにかく終結した形だと思いますが、今後やはり南北問題、低開発国援助がこれは一つの重要な中心課題になると思いますが、これについてですね、長官もわが国は軍備をしていないが、それ以外の方法で世界平和に尽くすには力の及ぶ限りの低開発国援助を実施すべきだと思う、これはわれわれの義務であると、こう現地で語られたことを新聞で読んでおるわけでありますが、この場合、低開発国援助がプレビッシュ報告その他で――そうでなくても全体として求められておる国民所得の一%援助をかなり早急に達成しなければならぬということになるんではないかと思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 過般政府で決定いたしました経済社会発展計画では、この五カ年の終期ごろにはただいま御指摘のような状態になることを前提に考えられておるわけでございます。ただいまの段階では〇・七%前後になっておるわけでございますが、何ぶんにもわが国の場合、その経済成長が非常に早うございますために、援助の実額がふえましても、国民所得との対比では必ずしもその比率が上がらない。経済成長が早いために他国に見ないようなそういう問題がございます。したがって、いつまでにその一%をきちっと達成するかといったようなことは具体的な約束はいたしておりません。また、ただいまその目標を申し上げることも困難でございます。 他方で、ただいま仰せのように、プレビッシュを中心とする低開発国側の動きは非常に強うございまして、現在もジュネーブでそのような会議が行なわれておるわけでございます。来年の二月にはインドでかつて一九六四年に開かれましたと同様な会議が開かれる予定でございますから、その時点に向かって相当強く低開発国側はこの問題を盛り上げていくであろう。ただそういう圧力は十分これは考えられますし、また用意をしておかけなればならないことでございます。ただ、その場合でも、わが国としていつまでに国民所得の一%の援助に達するということを、来年の二月といえどもはっきり約束をすることは、私は困難ではないかと考えております。
○羽生三七君 それからですね、それと関連して日本がさきにインドに緊急食糧援助として七百万ドルを決定したわけですが、さらにこのほかアジア開銀の農業開発基金の拠出分、これは一億ドルになるか二億ドルになるか、まあそういうものもあるし、そのほかにいろいろあると思いますが、それは協定のこのワク内で行なう援助として計算の対象になるのかならないのか。この種のものは全然別個で計算外とすれば、日本としてもその負担について相当問題があると思うんですが、その辺はどういうことでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはまことにごもっともなお尋ねであると思います。 実は、そこまでこのたびの会議では触れておりません。おそらくは今後わが国がその受諾いたしました五%の範囲というものをわが国が独自の立場で一応考えまして、そうして条約加盟の当事国並びにガット事務当局とこの相談をすると、そしてまずまず常識的にみんなが納得できる――相当因果関係に結局これはなると思うんでございますが、そういう範囲をきめることになるであろうと思われます。ただいま御指摘の中でインドにいたしました種類の援助は、これはもうおそらく間違いなくただいまの問題の範囲内と思われます。他方でいろいろなプロジェクト、たとえば多目的ダムといったようなものになりますと、これは農業に無関係とも申せませんけれども、かなり関連性は長い、あるいは間接であると考えなければなりませんので、そういうプロジェクトまで勘定するということはどうも少し無理ではないだろうか。アジア農業開発基金に対する出資などというのは、まあ毎年の出資額を勘定し得るものであろうかどうであろうか、ちょうどその間くらいのケースになるのではなかろうかと思いますが、いずれにいたしましても、どの程度のものを五%の中に勘定し得るかということは、これから協議をしてきめるべき問題でございます。
○羽生三七君 それと関連する問題ですが、インドネシアの緊急援助六千万ドルというようなものの中に、かりにもし食糧関係とかそれに類するものが入る場合は、それはやはりインドと同じ扱いになるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もう一つ、実はただいまの御質問との関連でお答え申し上げますと、もう一つきまっておりません問題は、この食糧援助というものは全部がやり切り、グラントである必要はないということまでははっきりしております。つまりグラントの分もあるのであろうし、それからかりに将来これを借款にするとしてもその返済方法はコンバーティブルでない現地の通貨による、その辺のところまでしかきまっておらないわけでございます。したがって、非常に短期の借款といったようなものはこの際のその援助の範囲の中に入らないのではないだろうか。ただ、どのくらいの条件、どのくらいの期間から先のものを援助の中に入れるとかいったようなことが実はきまっておりません。これから各国がきめるべき問題でございますが、したがって、そういうこととの関連で、インドネシアに対していま御指摘のような、考えられております援助がその中でどの部分が入り得、どの部分が入り得ないかという基準のほうが実はまだきまっていない、こういうことだと思います。
○羽生三七君 そういうこのケネディ・ラウンドに直接関連する問題のほかに、要するに、関税協定とは別個に、午前中も通産省にただしたのですが、米国の一部に起こっている鉄鋼に対する賦課金の問題、あるいはバイアメリカンとかシップアメリカンというような問題、こういうことで、実質上日米関係だけについていえば、かなり協定そのものを阻害するような動きも相当出ているし、それからまた、EEC関係の中のフランス、イタリア等の対日制限リストの撤廃を求めること、これらも非常に問題点と思いますが、これについては十分取り組まれることと思いますけれども、いかがでございましょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの交渉が妥結いたしましたことによりまして、アメリカ国内にございました幾つかの動きは一応封ぜられることになるであろうと想像いたします。たとえばダンピング防止法を改正するという提案はすでに米国の前会期にも提案され、また、今会期に提案される、あるいはされたやに承知しているのでございますが、これにつきましては、今回国際綱領を妥結いたしましたので、その綱領からかってに離れて米国が反ダンピング法の改正をするということは、国際協定違反になりますので事実上できないことだと思います。それから鉄鋼について輸入課徴金を課するというような問題は、今回のケネディ・ラウンドあるなしにかかわらず、本来ガットで特別承認を受くべき事項でございますから、ガットとしてはわれわれ加盟国、とうていそれを認めるつもりはございませんでしたし、ことに今回ケネディ・ラウンドが妥結をしたという精神にかんがみますと、とうていそのようなウエーバーがガットからとれるとは考えられません。おそらくそこまで考えずに一、二の実業家、あるいはアメリカの議員がそういう話を持ち回っておった、あるいはこのたびのガット妥結に対する多少牽制の意味もあったかと思われますが、私はそういう見方をいたしております。したがって、米国におけるそのような動きは一応これで封ぜられることになるであろうと考えておるわけでございます。 それからフランス、イタリア等がいわゆる対日制限リストを持っておりますことは御指摘のとおりでございます。その中でフランスはこのたびの交渉を通じ、またこのたびの交渉と並行して、さらに今年分の対日制限リスト縮小の交渉をすでにわが国のパリ駐在大使館が始めております。フランスにつきましてはこの数年かなり改善がございました。残っておりますのは繊維関係などが中心でございますが、かなり改善をいたしました。イタリアにつきましては、最も改善がおくれております。制限品目が百をこえておるわけでございます。そこでこのたびのケネディ・ラウンド交渉を通じまして、わが国からの小型自動車の輸入について自由化をするという約束をイタリア側といたしました。それは段階的に、三年間でございますが、わが国の関税の譲許とのやり取りの結果、三年目にはイタリアがわが国の自動車の輸入を自由化する。もしいたしませんときには、わが国は関税譲許をその段階で取りやめる、こういう約束でございます。その場合、二国間交渉でございますので、先方が三年たって違約をすると、わが国が関税譲許を取りやめるということはかなり起こり得ることでございますが、今度のような多国間交渉になりますと、わが国が関税譲許をイタリアに取りやめますと、他の各国は全部取りやめることになりますので、他の各国がむしろイタリアに対してその約束を履行するように圧力をかける。こういうことになるはずでございますから、おそらくイタリアもその約束は履行するであろうと考えられます。それにいたしましても、まだ百余りの品目がイタリアの場合残っておりまして、これからもわが国としては精力的にこの撤回、縮小を交渉していかなければなりませんが、たまたま来年の七月になりますと、御承知のように、EECの中のから紙が全部はずれてしまいますので、かりにイタリアが日本に対してそのような制限リストを持っておりましても、フランスを通じ、あるいはドイツを通じてまっすぐにイタリアへ今度は入ってしまう道があきますので、事実上この制限ということは意味が非常に小さくなってしまう。おそらくEECの中でイタリアに対してそういう制限も有名無実に近くなりますので、廃止するようにという、そういう圧力がEEC自身の中から起こるであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
○羽生三七君 ただいまのアメリカの鉄鋼賦課金問題は、米鉄鋼協議会のロッシュ事務局長が下院の労働分科委員会の公聴会で、ケネディ・ラウンドの妥結を非難するとともに、いまのような要求を持ち出した。こういうことでございますから、必ずしも一、二の動きというよりももっと強いような感じもいたしますが、それはそれとして、ケネディ・ラウンドのことはこの程度にいたしますが、そこで、それは全体を見た場合に、通産省では今週までに、これは長官の御不在中のことですが、ココム品目の緩和を提示する段どりを進めておる。これは衆議院のどれかの委員会で答えたわけです。ココム・リストの削減になるわけですが、そういうことをやるとともに、西欧並みの輸出の延べ払い、その他懸案の解決を具体化する方針で、日本の貿易の総額に占める共産圏貿易の比率を総体の一〇%程度にしたい、現在は五、六%だと思いますが、そうしたいというように考えておるようでありますが、中ソはもとよりとして、私はこの際貿易構造を改善していくために東欧貿易をもっと重視すべきじゃないか、そういう感じがするのですが、長官としてはその点いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的に私も同様に考えております。ガットの中にはいわゆる共産圏に属すると言われる国が三国ほど従来から入っているわけでございますが、おそらくこれからのガット自身の仕事は、先ほど御指摘のように、南北問題であるとともに東西問題であろう。こう考えられるわけでありまして、それがまたヨーロッパにおきましても、あるいはアメリカにおきましても、東欧圏との貿易というものは非常に注目され始めておりますので、わが国といたしましてもさような心がまえで進んでいくべきものと考えます。
○羽生三七君 通産省の言っておるココム品目の訂正ですが、前向きの訂正ですが、それらの問題についてはいかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 通産省の具体的な作業を実は存じておりませんのですが、ココムのリストはたしか一年半かと思いますが、定期的にレビューすることになっておりまして、その時期に備えてのことかと思います。基本的にはそうあるべきであろうと考えます。
○羽生三七君 次に、経済見通しの点ですが、実は午前中にも質問したのですけれども、最初の政府の経済見通しに対して、通産省あるいは開銀、長銀その他銀行筋から、これは対象が違うので、これを国民所得ベースに直した場合とはたいへんに問題が違います。それはとにかくたいへんな違いがあるわけであります。ところが、その違いのよってきた原因というか、違いはとにかくとして、そういう違いはあってもなんでも、とにかく相当大きなものでありますが、対象の取り方は違っても設備投資の増加薬というものは非常に大きなものですが、そこで最近いわゆる一服状態と言われておるわけです。それらの計画は出してもなかなか実際には実行に移さないというのが中心なのかと思いますが、しかし、それにしても、私どもどうも見ておって、やはり政府見通しをかなり上回るのじゃないかという気がするのですが、その辺はいかがでしょうか、修正の必要はありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま修正の必要があるとは考えておりません。ただ、政府の立てました経済見通し並びに経済運営の基本方針はかなり、何と申しますか、窮屈な、どちらかと言えば押え気味に立てております。多少これは政策的な意図も反映してさようにしてございますので、おそらく民間経済活動が思うままに、自分の思うとおりに何でもやってみようというようなふうに、全部が動くとすれば、政府見通しを上回る可能性は相当ある。これは率直に認めなければならないと思います。そこで、しかし、そうあってはならない、民間がかってにてんでばらばらに設備投資をしてはならないという程度の自覚は、民間経済界にもあるわけでございまして、それがたとえば鉄鋼の設備調整について、長いこと関係各社の間で協議が行なわれているゆえんであろうと思うわけでございます。したがって、さしずめ私ども注目しておりますのは、鉄鋼の設備調整がどのような形で妥結をするかということでございます。願わくは自主的に決定されることが望ましいと思いますけれども、場合によっては、産業構造審議会とも、あるいは通産省自身が何かの形でそれに関与しなければならないところまで行くかもしれない。そうでないことを希望いたしますけれども、いずれにいたしましても、ある程度の結論としては、野放しでない結果になるであろう、こういうことをただいま私としては期待をしておるわけでございます。その場合には、やはり主導になります鉄鋼あたりがそういう調整に成功いたしますと、かなりそれが経済各分野に影響を及ぼして、私どもがまずこのぐらいならばと思うところに落ち着いてくれるのではないだろうかということを、ただいまとしてはまだ十分期待してもいい、こう考えております。もし万一、そのような調整が全く失敗をし、そして各社がいわゆる野放しで投資を始めるようになるということになりますれば、当然、私どもが考えておりますただいまの見通しにも変化を生ずるであろう、そうならないことを希望しておるわけでございます。
○羽生三七君 そこで、この昨年度の成長率が実質で九・七%、今年は九%といいますが、私はもっと伸びると思いますけれども、そうなっていくと、経済社会発展計画の五年間の八・二%をオーバーするわけですから、後半においてこれは下がらなきゃならないと思います。そこで、先日、他の委員の質問に私が関連して、それは政策の運営によって下がるのか、経済の自律作用によって下がるのかと言ったところが、総理も大蔵大臣も、それは経済の自律的な作用で下がる、こう言っておられたわけです。政策でそんなことはできるものではないと。その自律作用をただ一つだけ条件をあげられましたが、それは労働力の需給関係だと言われましたが、私はどう考えても、それだけでこのいまの趨勢が平均の点に落ち着く、しかも、後半うんと下がらなければ平均にならないのですから、そういうことは私はないと思うのですが、実際問題として、たとえば企画庁長官とするならばどういうふうにお考えになりましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 本来、経済社会発展計画では、この八%余りの成長を読んでおりますが、本来この計画期間の前年において成長は高く、後半において成長率が低いということを計画それ自身が言っているわけでございます。おそらくはその一つの理由は、御指摘の労働の需給関係とも関係があると思いますが、とかく計画そのものが前半においてやや高く、後半において低いということは前提にしております。それがどの程度ということは必ずしも明確でございませんけれども、前提にしております。したがって、平均各年が八%だと考えておるわけではない。この点はもちろん羽生委員も御承知の上でのお尋ねかと思いますが、そういうことになっております。 それで、それにしてもなお計画で考えておったよりも前半で非常に先食いをしてしまうというようなときには、あとが経済の自律性によって縮まるのか、政策努力によってかということは、自律性だけでではなかなかそういうふうにはならないであろうと、私自身は考えます。で、もちろん、政策努力は経済法則と全然逆なことをいたしましてもこれはできないことでございますが、ある程度政策面で何かブレーキをかけなければ、自律性だけで自然に平均して五年間で八%におさまる結果になったというわけにはなかなかまいらないであろう。羽生委員の持っておられますような疑問は、私もそうじゃないかと思います。
○羽生三七君 次にですね、これは別に基本的な問題ではない、全く技術的な問題ですが、けさも通産省に問題を出しておいたのですが、先ほどもちょっと触れた調査の、たとえば設備投資等の調査のしかたでございますね、この場合に、支払いベースと国民所得に対する比率で国民所得ベースに直す場合と、それでたいへんな違いが出てくるわけです。それから対象業種の場合、まあいろいろ違いが出てきますが、ところが、一般にはよくわからないので、もうものすごい――三八%、九%という片方に伸びがあるのに、政府見通しは、政府の調査であんなことでいいのかという、そういうことからいろいろ疑問が出てくるわけです。ですから、それはそれぞれの調査もよろしいですが、できるならはやはり調査対象も明確にして、それぞれ々統一したベースに直して、何かその辺の調査方法を今後研究される必要があるのじゃないか。私どもあれを見て、一々それを計算して、どのベースに直せばどのくらいになる、業種は一体どっちがどのくらいの数だというような、非常にめんどうなことを考えなければならぬわけです。そういう点はひとつ御研究をいただきたいと思います。必ずしも画一的に一本にまとめて、ほかの調査は何も要らぬというわけじゃありませんけれども、そういう点も相当考えていただいていいことではないか、こう思うわけです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 関係各省あるいは政府関係機関で特定の目的のために調査をすることがしばしばございますが、それが一般の目的に使われやすいといったような点で、ただいま羽生委員の言われましたようなことは確かにございます。私どもよく注意をいたします。
○羽生三七君 次に、国際収支の現状でちょっとお尋ねをしたいのですが、これはIMF方式になってから、この総合収支は赤字を出しておるけれども、外貨準備が増加しておると、こういうことで、こういう、つまり総合収支は赤字であるが外貨準備は増加しておると、こういう事態をどういうふうに御認識になっておるかどうか。それから、総合収支の赤字については、季節的要因を除去して考えれば、依然均衡圏内にあるという、そういう見方、つまり収支とんとんという見方もあると思うし、ある一方、三億ドルぐらいの大幅赤字が避けられないという二つの見方があるようですが、私はむしろ後者のほうのウエートが多いような感じがするのですが、企画庁は大体その辺どういうふうにお考えになっておるんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘のように、国際収支の現況が従来に比べて外貨準備高にすぐに影響を与えない、ときとしては、こう逆の動きをしたりすることすらございますわけで、この点は、やはり私、一つは過去二、三年の間にわが国の為替銀行のポジションが相当よくなった。今年に入りましてまたすぐ悪くなっておりますけれども、少なくとも昨年の末までですと、一年半ぐらいで九億ドルぐらいポジションがよくなっておるわけでございますけれども、それがまたやや悪いほうへ戻ってまいりましても、そこにクッションがあるというふうな考え方はしてもよろしいであろうと思うのでございます。それから、短期の金の出入りが相当ございますから、まあ、かりに外貨準備高を、たとえて申しまして本丸のように考えますと、外堀のようなところでいろいろなことが起こっておりまして、それが本丸に響かない、こういうようなことになっておる。それでわれわれがわかりにくくなっておると思います。ただいまやっておりますことは、確かに一方において、相当大幅に改善されました為替銀行の対外短期資産負債のポジションが、また昔のほうに向かってやや戻りつつある。そういうことが一つと、それから他方で、ユーロダラーでありますとかあるいは輸入のユーザンスでありますとかいうものが金利差を反映して入りつつある長期資本についても、ある程度の借り入れが可能であるかもしれないといったようなことが、昨年とはいわゆる様変わりになっておると思います。そこで、私としてはどう考えておるかと申し上げますと、大体において輸出輸入貿易収支が相当の季節調整の上で黒字を残していってほしいということが基本でありまして、その上でならば国内経済あるいは設備投資との関係で資本収支あるいは金融勘定のしりが多少のことがございましてもそうたいして心配をすることはない、基本的にはそういう考えを持っております。ただいまのところ、したがいまして、どうも輸出の伸びがもう一つ十分でないということに一番注目すべきかと思っております。
○羽生三七君 そこで、かりに総合収支が三億ドルくらいの赤字になった場合、貿易が輸出入とも百億ドル程度になった場合に、大きくなった貿易規模の中でそのくらいの赤字は問題ではないという説と、それからやはりそれは引き締めを必要とするような時点だと認識するのと、両方あるようですが、長官はどっちをおとりになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私ども、経済見通しでは、総合収支のしりをゼロというふうに見通しておるわけでございますが、ただいま起こりつつございますことは、おそらく輸出あるいは貿易収支のほうで多少どうもただいままでのところ伸びが少し悪い。しかし、資本収支のほうでは思ったよりもいいということでございますから、ことに輸出が将来に向かって増勢に転じつつあるというような徴候がある段階で見えるならば、かりに多少の総合収支に赤が出ても、そんなに心配することはない。しかし、そういう改善の徴候が見えないで、赤字が累積されていくということであったら、これは考えなければならない、こういうことではないだろうか。つまり、おそらくその時期は七月から九月、七-九の時期になりますと、ほぼ今年度後半の輸出がどう動くかということがわかるだろうと思うのであります。そのときに、なお改善のきざしがない、しかも総合収支が赤になっているということであれば、これはやはり考えなければならないと思いますが、後半はよさそうだ、貿易は伸びそうだという見通しであれば、さして心配することもなかろう。判断の時期は、やはり七月-九月期が済みましたところではなかろうかと思います。
○羽生三七君 それで、設備投資の動向、国際収支の動向等を見て、最近の状況を見て、一ころ言われたような心配は大体ない、一服状態だと、そういう総体的に言って御判断でしょうか。そういう説も最近だいぶ出てきておるが、中には依然としてそういう考え方は甘過ぎるという考え方もあるのですが、その辺長官としてはいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、今年度の場合、政府が暫定予算を組んだこともあると思いますけれども、その影響もあると思いますけれども、民間の設備投資の活動の始まりがかなり現実問題としておくれておるように思うのでございます。まあ俗な表現で申しますと、まだ馬がゲートを出ませんで、レースが始まっていないような感じがいたします。したがって、どのくらいのベースになるかという判断がただいまのところできませんために、気迷いといいますか、一服のようになっております。で、産業構造審議会の資金部会あたりで今年度の資金需要をまとめますその段階では、大体各企業の設備投資の調整の成否が明らかになるわけでありますから、もう一月足らずいたしますとある程度どういうペースで設備投資がいくかということがわかるのではないかと思います。ただいまのところは、その展開をしておりませんが、どうもどちらかわからない。これはあるいは投資をされる民間も気迷っておるのかと思いますけれども、いつまでもこういうことであるはずはございませんので、いずれかに徴候があらわれてくるのではないかと思います。 ―――――――――――――
○主査(熊谷太三郎君) この際、分科担当委員の異動について報告いたします。 本日、春日正一君が委員を辞任され、その補欠として岩間正男君が選任されました。 ―――――――――――――
○羽生三七君 次に、経済社会発展計画の中の経済の効率化ということで、一つどうしても疑問に考えることがあるのでお尋ねをいたしますが、この計画では経済の効率化ということを主要な柱の一つとしているわけです。しかし、この中で一応農業とか中小企業その他低生産部門の生産性の向上や近代化ということも起こっておると思うのでございます。しかし、この経済の効率化ということが、意図はともかく、結果的には、生産性の高いビッグ・ビジネスが中心となり、立ちおくれた低生産部門を圧迫することになるのではないか、結果的には。というのは、意図するところはわからぬわけではありませんが、しかし、大企業に比べて投資効率、資本効率の低い分野は、効率の点から見るとむしろ被害者の立場に追い込まれる危険性がないとは言えない。ところが、実はこの低生産部門の生産性向上こそ、現下日本の産業構造なり格差是正という点から、非常な重要な問題点だと思う。ですから、その効率の意味が必ずしも私明確でないので、この機会に、私のような心配もあるのかどうか、そういうことは全然ないのかどうか。しかし、勢いのおもむくところ必ず投資効率、資本効率が重点になりやすい危険性というものを十分はらんでおる感じがいたしますが、その辺はいかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一部にそういう批評があることは、私も承知をいたしております。で、この計画で考えておりますことは、効率化と申しましても、大企業における効率化と、中小企業、あるいは農業はなおさらでございますけれども、そこにおける効率化というもののいわゆる効率性でございますか、エフィシェンシーというものはおのずから違うと思うのでございます。したがって、大企業における高いエフィシェンシーが低いエフィシェンシーを吸収するという、必ずしもそういう考え方ではなくて、おのおのの分野で従来よりももっといわゆるエフィシェンシーが高い運営をやってほしい、こういうことを私は言っておるのだ、そう解釈をしております。ただいまのような御批評が一部にあることは承知をいたしておりますけれども、私どもはそういうふうに考えます。
○羽生三七君 一部というか、私自身がそういうことを考えて、どうしてもそういうことになっていきそうな気がするんですが、そうなると、やはりそういう低生産部内に対して、ある一定の予算のワクを明確に幾らときめておくわけにいかないでしょうが、一定のワクというか、重点を置かないと 実際の政策の過程ではいまのような差が必ず起こってくると解釈せざるを得ないのですが、その点はどうでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはそのとおりであると思います。ことに、中小企業の生産性の向上につきましては、財政でも、金融でも、あるいは法制面でも、かなりいろいろなことを政府としてやってまいったつもりでございますが、これからもいたすわけでございますが、何ぶんにも、数も多うございますし、経営そのものがかなり前近代的なところもございますので、気持ちばかりあせりましてなかなかそれが形になって出てこないというきらいはございます。しかし、中小企業の生産性の向上ということは、もう長いこと言われておって、国としてもかなりの金を使っておる。農業についてはなおさらでございまして、農業経営の近代化、高度化、自立経営といったようなことをいろいろやっていますが、ここはもっと動きがおそい。よほど政府が努力を続けていきませんと、ただいま羽生委員が仰せられましたようになりやすい、こう思います。
○羽生三七君 四十二年度予算を見ますと、この文教・科学振興費では、前年度より若干増加しております。その他の品目で言うと、大体軒並みに伸び率が前年度に比べ鈍化しておるわけです。これは大蔵省のときにも聞きたいと思っておりますが、所得倍増計画、それから中期経済計画――三十五年から四十一年に相当するその期間の平均伸び率を比較しても、四十二年度は落ちておるのです。これは人によるというと、その計数のとり方とも言いますが、私は予算の調査室に調べてもらいました。そうすると、どうしてもそうなるわけです。そこで、どうしても私いま申し上げたような疑問を出さざるを得ないわけで、どうもこれじゃ佐藤さんの金看板である社会開発の名に値しないんじゃないかという感じがするのですが、この点はひとつよく御検討願っていただきたい。私はちゃんと数字で調べてもらったのです。私自身も若干調べました。 それから次のことは、こまかいことで一、二点質問して、それでやめますが、経済社会発展計画の中で、今度の長期計画は政策目標を、先ほど申し上げたように、経済の効率化、物価の安定、社会開発、この三つに重点を置いているわけですが、これまでの計画と比べて意欲的であることは私も認めます。だが、その目標、数値との関係は一体どうなるのか。目標、数値はすべて実際の動きと隔たっておる、乖離しておる。したがって、長期計画というものは、数値というものは参考だけなのかどうか。前にいろいろ数字を出し過ぎて、目標と実績との乖離ということでだいぶん批判があったので、今度はへたなことをせぬようにというようなことで、こまかい数字は省かれたと思うのですが、その辺はどうだんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに、過去において数字のほうに振り回されたというような反省もございまして、今度の場合多少数字が背景に入ったというような傾きはあると思います。しかし、この計画をいわゆる計量経済で数字をいたしましたときには、別にいわゆる政治的ないろいろな考慮はいたしておりませんので、モデルのつくりかたはまだまだ改善の余地はございましょうけれども、現在としてはなし得る最善のことをしたつもりでございます。したがって、もしたいへんに実際の動きが違ってまいりましたときには、もう一度、どこからそういうことになったのかということの検討、それからもしその動きが好ましくないものであれば、どこをどういうふうにしたらばほぼ考えておったようなラインに戻せるかといったような、かりにアフターケアと申し上げておきますが、そういったような仕事は引き続いて経済審議会がやる、そういうことでございますので、数字そのものは、私自身は、計画と同じぐらいの市要性を持つものだと、こう考えております。
○羽生三七君 国債政策について見ると、経済社会発展計画では、適正な運営ということをうたっておるだけで、それ以上あまり触れておらぬと思いますが、この前も総括質問で申し上げたように、少なくも計画期間中ぐらいどうして公債政策について少しその具体的な方針なり計画というものを明らかにできないのかということを感じるわけですね。大蔵大臣の説明を聞いておっても、まことに抽象的なもので、あれで一体説明になるのかどうかという私は感じを深くするわけです。たとえば、償還計画は予算書に出ております。出ておるけれども、二十行か三十行ちょこっと書いてある。あれが計画と言えば――政府から言えば計画かもしらんが、私たちから見ればそれは全然問題にならぬと思うわけですが、それはともかくとして、一応経済成長伸び率、あるいは租税収入、その弾性値、そういうものを勘案して、違っていいですよ、やむを得ぬが、おおよそこの程度は必要とするんじゃないかと、そのときの税の自然増収によってかなり問題も違ってくる場合もありますけれども、それにしても、あまりにも計画が、ただ適正な運営ということだけで片づけられているのは、これはいかがかと思う。その辺どうでしょう。これは大蔵省のほうにも聞きますけれども。
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政当局にそれについての数量で表明できる程度の方針がかりにございましたら、そのこと自身はむしろ計画の中に取り入れられるわけでございますけれども、それがございません。また、計画自身のほうでなりかわってそれをつくろうということも意図しなかったわけでございます。ただ、この計画でほぼ肯定しておると思われますのは、 〔主査退席、副主査着席〕 計画の終期ころには国債発行――新規発行がもうないのであろうか、あるのであろうかということについては、おそらくやはり多少はあるであろう、そういうことを一つ、まあはっきりは言っておりませんが、前提にしておると思います。 それから、国債発行が市中消化であること、それからいわゆる建設的な投資に限られるということ、及び国債に対する依存率がだんだん低下していくことが望ましいといったようなことは、ほぼ計画立案者が頭に置いておったと思います。で、計数の上では必ずしも直接に関係はございまんが、一番関係がありそうに思われますのは、この計画の中で、いわゆる政府バランス――これは政府部門が政府以外の部門に対する金の動きのやりとりでございますが、政府バランスは三十九年、四十年、四十一年度とほとんど実績が出ておりまして、いずれも投資超過でございますが、四十六年の場合にも何がしかの投資超過になるということは計数的に出ております。その投資超過が全体の政府総支出の中で占める割合はどうであろうかというふうに見てまいりますと、 〔副主査退席、主査着席〕 四十六年の場合には、四十一年度に比べましてかなりその割合が低下しておる。したがって、その政府総支出と申しますのは、むろん一般会計だけではございませんし、また中央だけでもございません、全部でございますけれども、その中で政府のバランス、投資超過分が占める割合が四十六年度に向かって低下していっているということは、おそらく、依存率が下がっておるということと直接に関係はございませんが、一番関係のある計数ではなかろうか、この程度のことは申し上げられるわけであります。計画の終期に国債発行がなくなっておるとはおそらく考えていない結果になると思います。しかし、その依存度合いは割合としては下がっている、こう考えていいかと思います。
○羽生三七君 最後に一点だけ。これはこまかい問題ですが、いわゆる所得政策、これについて予算編成の段階で企画庁が調査費の要求をされたと聞いておるのですが、これは明確には四十二年度予算には出てはおりませんが、どこかにそういう関連で入っておるんですか、これは全然入っていないんですか、その辺はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済審議会でこの経済社会発展計画の答申をされましたときに、その末尾のほうで、幾つかの問題は実は時間の制約もあって結論は出せなかったので今後に検討したい――一つは土地の問題であったと思いますが、もう一つは賃金と生産性等との関係、これについては今後検討をする必要がある、こういうことを言っております。私どもその点は、結論はともかくといたしまして検討する必要があると考えましたので、ただ最初には、まず公平な第三者、おそらくは学者のような人が多くなると思いますが、そういう人たちに、従来わが国にあります統計資料等に基づいて、生産性とか賃金とか物価とかいうものがどのような相関関係にあるかという、どういう人が見ましてもまずまず大筋で合意できるような統計なり研究の整備を行なう必要がある、こう考えましたので、そのための委託調査事務費的なものだそうでございますが、賃金労働物価研究会――これは経済審議会の中にございます、七十五万八千円ほど計上しております。
○羽生三七君 ちょっと、低開発グループが特恵関税問題、これをだんだん強く要求しておるようですし、来年の二月ですか開かれる会議でも必ずこれは問題になると思うし、三木外相が東南アジア閣僚会議の席上で、内容ははっきりわかりませんが、かなりそれに関連していわゆる前向きにそういうことを言われたと伝えられているのですが、その点長官はどういうふうにお考えですか、たいへんあとから追加して恐縮ですが。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は今回のケネディラウンド交渉におきましても、御承知のように、これは一九六四年の貿易のベースで討議をしたわけでございます。当時、わが国の特殊な利害関係のあるもの、かりにジャパン・アイテムと呼んでおりましたが、この三年間のうちに、当時わが国の監視品目であったと思われるものが、いまや香港でありますとか、韓国でありますとか、むしろそういう国の監視品目に変化してまいったということは、この三年間でも顕著にございまして、したがって、いまの低開発国の特恵ということになりますと、なおさらそういう問題があるだろうと思います。私としては、基本的にはやはりある程度のことを打ち出さなければならないのではないだろうか。確かに低開発国の頭の部分とわが国のしっぽの部分とがすれ合うようなところが幾らかずつ出てまいると思いますので、これは国内的にも零細企業の生産性向上とかいうようなことでやっていかなければならぬことでございますが、まあそう大きく触れ合うとも考えられませんので、ある程度の特恵ということはやはり考えていかなければならぬ、私はそう考えております。
○瀬谷英行君 経済社会の発展計画に基づいて若干質問をいたします。 計画自体は、問題はこれは実行できれは非常にいいと思うのです。その中で、これだけ膨大なものですから、初めから終わりまで言うと時間もかかりますから、いままでの総括あるいは一般質問の中で、長官はそのときはおられませんでしたけれども、地価対策、ここにも出ておりますが、地価の抑制については、「土地の効率的利用、宅地の大量供給、土地収用法の強化、取引市場の整備、税制面の誘導措置」――二八ページから二九ページにかけて書いてあるわけであります。いままでもたびたび問題になっておりますけれども、効果があがっていないわけです。所得倍増計画等にも書いてあって、それからそれ以後の歴代の総理大臣も何回か言及はしておりますけれども、実行はしてない。今回も載っているわけでありますが、具体的には一体どうするかということが問題だろうと思います。先般の質問の際に私は関連で質問したのですけれども、いろいろあるけれども、具体的な方法としては、ある程度私権の制限をする、土地収用法の強化の改正もその一環かもしれないけれども、ある程度の私権の制限をするというところに一歩踏み込んでいかないことには実効あがらないのではないか、こういうことで質問したのですが、総理大臣の答弁としては、調和をはかることが大事であるということばで、ていのいいごまかしみたいです。調和をはかることはわかっている。ただ具体的にどうするかということが問題になってくるのですが、地価の抑制ということを実際にやるためには、長官としてはどのようにお考えになるでしょうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 前国会から引き続き御審議を仰いでおります土地収用法の改正につきましても、従来と比べますと、これの成立をお認めいただきますならば、ある程度の期待利益を制約する結果になっておるわけでございます。つまり、どの時点の価格で土地を収用するかといったような問題につきましては、従来に比べますと、在来から期待されておった利益はある程度制約をする、こういうことになっておるわけでございますが、ただいま私どもで提案を準備中の都市計画法の改正案によりますと、さらにその点が、ただ期待利益ばかりでなく、もう少し具体的に所有権の行使について規制をするようになる。たとえば私ども、市街化地域というものと、それからよほど大幅な計画でない限りは開発を制約するつもりの調整地域といったような、二つを考えておりますが、その調整地域では、土地所有者の所有権の行使は、ただいま申しましたように、制約を受けることになるわけでございます。かってに家を建ててはいけないといったようなことになるわけでございます。その場合、従来でございますと、それに伴ってすぐに補償の問題が出たであろうと考えますが、今回まだ政府案はまとまっておりませんものの、大筋の考え方としては、ある程度の制約を一方的にいたすこともやむを得ないのではないだろうか。ただ、かりにただいまその地域に工場なら工場が建設中でありまして、その建設の途中でそれが調整地域になってしまったというようなときには、すでに投資が行なわれておりますので、その部分までただでこわせと言うべきかどうか、それは問題かと思いますけれども、将来に向かっての所有権の行使はある程度制約をするぞ、しかもそれについて国は必ずしもその補償対価を払わないといったようなことに、まだこれは最終でございませんけれども、そういうことで討議が行なわれておりますので、かりにそういうことになってまいりますと、やはり、ただいま瀬谷委員の仰せられましたようにある程度の私権の制限が行なわれるということ、それを含まなければ有効な法律案ができないのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
○瀬谷英行君 土地の効率的利用とか、宅地の大量供給ということは、これはもっともなことなんですけれども、宅地の大量供給といっても、土地を皆さんが気前よくただで提供してくれるというわけじゃない。そうすると、宅地の大量供給をするためには、土地も相当まとめて買わなければならないということになるわけです。しかし、それをやる前に、その土地の効率的利用というけれども、どこを住宅地にしてどこを工場地帯にするかといったような計画性がなければならぬわけです。そこで、いま都市計画法のお話が出ましたけれども、都市計画法のねらっておる方向ですね、一体これはどういうことをねらっておるか。たとえば、三大都市圏への急速過度の人口の集中を抑制するということも考えなければならぬということを地方開発の点でうたっているのですけれども、ある程度三大都市圏への集中というものは認めた上でその地方開発も行なっていくのか、それともこれを抑制をするという方向でもって地方開発のほうに重点を置いていくのか、一体日本の産業構造というものをどういう方向に持っていくつもりなのか、これがはっきりしないと、たとえば鉄道の輸送計画等についても立たないのではないかと思う。先般の一般質問の際に、運輸大臣あるいは国鉄総裁が、計画が立たないということを言ったのです。先のことがわからないと言う。わからないというのも、結局大元がはっきりしないからわからない。その辺、一体この都市計画法において、あるいはこの経済社会発展計画の中でどういう形をとろうとしているのか、これをひとつ御説明いただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問の御趣旨はよく私にはわかっておるわけでございますが、必ずしもそのお答えが明確にできないきらいがございます。で、いま都市計画法が考えておりますことは、私どもが改正案をいま討議しておりますときに考えておりますことは、先ほど御指摘のように、やはり土地利用計画というものがどうしても必要であろう、そしてそれによって、市街化する地域にははっきり公共投資も先行して行なって、そうして市街化をしよう、そうでない地域にはむしろ先行投資は行なわない、よほど大規模な開発でも別途するのでない限り行なわない、こういうことを主眼に考えておるわけでございますが、これは端的に言えば、この十年近く行なわれました大都市周辺のいわゆるスプロール現象というものをここでとめよう、こう考えているのだというふうに私は理解をしているんでございます。それならば、スプロール現象をとめるということは即大都市周辺の人口の集積を排除しようというのかといえば、必ずしもそうだとはお答えができないように思います。つまり、ある程度それはいまの段階ではやむを得ないこととして、ただ、それが公共投資を伴わない。スプロールにならないように、むしろ先手を打って公共投資をして、スプロールでない計画的な人口の収容をしよう、これが当面のねらいではないかと思うのでございます。 それから他方で、都市開発法案の考え方は、都市そのものにおける土地の利用の高度化――高層建築等々による高度化でございますから、このこと自身も、大都会に人口が集中するのを排除しようとしているのではなくて、むしろ集中はある程度やむを得ないこととして、それに対して生活環境を改善していこうというのが都市再開発のねらいであると思うのでございます。したがって、その二つのことから、政府はこの際都市集中を法制によって排除しようと考えておると結論することは、どうも私にはできないのではないかというような感じがいたします。他方で、長期的には、なるべく地方に中核都市をつくって、そうして過疎現象が起こるとかあるいは人口なり資本の三大都市への集積を分散しようとかしているのでございますけれども、そういう政府の長期的に持っている意図とただいままでに起こりつつある現象とはどうも同じ方向をさしておりません。やはりまだ大都市への人口集中が続いている。したがって、それに対して、当面とるべき対策として都市計画法あるいは都市再開発ということが議論されている、そういうふうに見るべきじゃないかと考えております。
○瀬谷英行君 この大都市における通勤・通学輸送の場合ですね。四十年度の実績に比較して一・五ないし一・六倍――「主要な都市間の輸送は四十六年度で三十九年度の約二倍に達するものと見込まれる。」、こういうふうに書いてあるわけですね。こういう見込みをつけているということは、現在の大都市に対する人口なり産業の集中というものは、もう抑制をしようとしても、これは抑制することは事実上困難である、こういう一つの既成事実というものを認めた上で計画を立てているというふうに判断せざるを得ないんですね。それはそれで、そういう見通しならそういう見通しで、どこの国でもそういうかっこうになるんじゃしようがないと思うんですけれども、今度はそれに伴う道路計画なり鉄道の計画なりということがいろいろ問題になってくると思うんですよ。ここには鉄道の計画で、都市鉄道の整備の場合は、必要に応じて国家的見地から資金確保の方策を検討するということ、それから国鉄の場合は、政策的運賃体系の再検討を行なうということ等が載っておるわけです。これは具体的にいうと、現在の地方自治体の都市交通であるとか、あるいは国鉄等の場合は、相当これは赤字をかかえてきているわけなんですが、具体的には一体どういうふうにさせるということになるのか。都電なんかの場合も相当大きな問題になってきていると思うのですが、こういう場合は、国家的見地から資金確保の方策を検討するというだけでは、具体的にはよくわからぬ気がするのですが、たとえばどういうことをやるということなんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) きょうあすのことでなく、まあ数年間のことについての構想を書いておるわけでございますが、たとえば私鉄に対して政府機関からある種の融資をするとか、あるいはまた公営企業でありますところの交通機関に対しては、これはすでに施策は具体化をしておるわけでございますが、再建を助けるために、国が一定の低利の融資をするとかといったようなこと、そういうことをさしておると思います。
○瀬谷英行君 国鉄の場合についていうならば、政策的運賃体系を再検討すると、閑散線区を廃止すると、こういうことがあります。これは七七ページに書いてありますが、閑散線区の廃止をするというようなことは、これはこれでけっこうですが、政策的運賃体系を再検討するということは、現在の独立採算制についてはどのように持っていくというお考えなのか。いまのところ、公共負担というのが一つの重荷になって、かなり無理な経営が行なわれている。国鉄総裁のことばをかりるならば、経営合理化の余地はもうなくなってしまっているということを言っているのです。ところが、ここには企業経営の合理化の立ちおくれによってその経営がますます悪化する傾向にある、このように書いてあるわけですけれども、この国鉄の問題なんかについても、この間の委員会の答弁ではどうもはっきりしないわけなんです。大蔵大臣の答弁なんかも、目下検討中というふうなあれなんですけれども、独立採算制なら独立採算制に経営をさせてしまうのか、あるいは公共負担というものはある程度政府出資でもって片をつけさせる、こういう方向をとるのか、一体どっちをとろうとしておられるのか。その点について、ここに書いてある思想について、ひとつお伺いしたいと思うのですが。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは現実にいつからどうせよというようなことを具体的には申しておりませんし、また簡単にそういうことが申し上げられる筋でもないのでございますが、やはりこの基本的な思想は、国鉄も企業である限りは、自分でできるだけ採算をとれるように経営をしなければならないということは、私は基本の思想にあるというふうに考えるわけでございます。で、公共負担、各種の割引などは、現在非常に大幅でございますから、これを急に改めるということは、いわゆる利用者の負担の問題とすぐにからまってまいりますから、直ちに申せることではございませんけれども、長期的な方向としては、やはり採算に合うような経営を国鉄といえどもしなければならない。むろん政府がいろいろな意味で出資をしたり、あるいは融資をしたりということは、これは国有鉄道でございますから、あるにいたしましても、基本的にはやはり採算がベースでなければならないのではなかろうか。公共負担の問題にいたしましても、あるいは特別の貨物について、従来いろいろの割引をしておるわけでございますが、そういったようなものにつきましても、やはり企業として、根本的には独立の採算をするということが、私は基本の思想でなければならないであろう、私自身はそういうふうに考えるわけでございます。
○瀬谷英行君 これで終わりますけれどもね、これは企画庁長官に質問をすることよりも、運輸大臣に質問するような内容になるのですけれども、せっかくこう書いてありますからね、こういうりっぱな本に書いてありますから、ちょっと私は質問してみたくなったのですけれども、書いてある以上は、政府の発行した、閣議の決定を経ておるものである以上は、あれは経済企画庁の見解であって、運輸省の見解とは違うのだというようなことになるとおかしくなってしまう。だから閣議の決定を経ている以上は、経済企画庁でもって考えたものであっても、これは政策の面においては同じなんですから、政府としては。だから大臣で答弁がちぐはぐにならないようにしないとまずいと思うのですよ。 いまの大臣の御答弁でいくならば、独立採算制なら、その独立採算制に経営しなければならない、特別な割引でもって公共負担というものをしいて、そこから赤字を生まさせるというような方向は健全ではないというふうに聞き取れるわけですけれどもね。そのように理解をしてよろしいんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 相当大きな割引をいたしておりますので、すぐにそういう姿にできるとは思っておりませんけれども、私はものごとの考え方としては、やはり利用をする者は、それにかかるコストというものは負担をするというのが本筋であろう。そのことは、国有鉄道であろうと、私は原則論としては変わらないというふうに基本としては考えております。
○瀬谷英行君 今度は経済企画庁の予算の内容にちょっと入りますが、国土調査費というのがありますね。この国土調査に必要な経費というものを計上してあるわけですけれども、この国土調査の内容とその実績等については、これをちょっと一まとめにして報告していただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) おそれ入りますが、政府委員からお答えをしてよろしゅうございますか。
○瀬谷英行君 はい。
○政府委員(加納治郎君) 全体の予算の御説明の資料にもあったかと思いますが、今年度約十二億と、前年に比べて二億ほどふえております。内容としましては、九割方――非常に大部分のものが地籍調査の関係でございまして、戸籍簿作製上の資料にもすぐに役に立つ詳細な図面あるいは帳簿をつくって、それを審議会確認などの手続を経た上で利用していただくというシステムになっております。そのほかに水調査あるいは基本調査とか、非常に縮尺の大きな図面で、利用上の直接役に立つような図面の準備などをいたしております。簡単に申しますとそのようなことでございます。
○瀬谷英行君 これは他の省庁との連絡でありますけれども、水資源なら水資源の開発ということになりますと、建設省と関係を持ってくるということになると思うのですけれども、国土調査の場合の企画庁としての重点はどこにあり、その実績あるいは効果というものは、どういう点であげておるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(加納治郎君) ごく大まかに申し上げたのでございますが、金額で実績の点を申し上げますと、四十一年度でまいりますと、国土調査の総額が十億三千二百万円でございますが、その中で一番大きいのは、先ほど申し上げました地籍調査でございます。これが九億六千七百万円であります。続いて基準点測量、これは三角網を組んで、国土全体の正確な測量をするのでありますが、これが三千八百万円、土地分類基本調査、これは利用上のいろいろの図面をつくるのでございますが、これが千万円、それから土地分類の細部の調査が一千万円、そして水調査が四百万円。水調査につきましては、金額的にまだ小そうございまするが、その趣旨としますところは、水に関連しては建設省、農林省をはじめ、各省でいろいろな御調査がございまするし、多くの調査資料等が出ておりますが、利用上に非常に不便があるし、全体として集めた、あるいは個々の水系等についてそれを集中して利用の便をはかるということを考えたらどうかということで、その辺に私どもの調査の重点があるというふうに考えていただいたらいいと思います。
○黒柳明君 私簡単に一つの問題について聞きたいと思いますが、長官が選挙中に、生鮮食料品の流通問題についてしばしば自信のある抱負を御発言されてきたのですが、物価安定の責任者としまして、流通機構のあり方をどのようにお考えになっておるか、まず所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一言で申し上げますならば、流通機構というものを細く長いものでなく、太く短いものにするというのが基本の方針であろうと思います。ただ、御承知のように、流通機構にはおのおのたくさんの人がついておりますので、それはそれなりの社会問題を持っておりますから、一方的な力でそれをなし得るわけのものではございません。やはり経済成長が進むにつれて、従来流通に関係しておった人々が他に転業をする、他の職につくとかいったようなことともにらみ合わせながら、流通機構というものは、できるだけ太く短いものにしていくというのが基本方針であろうと思います。
○黒柳明君 中央卸売市場ですか、これは農林省が方針として打ち出したのじゃないかと思うのですけれども、仙台や何かで実例としまして、一市場で一卸売り業者、このような方法が若干あったわけです。当然自由公平な競争、それが政府の基本態度であると思います。また、公正取引法からも若干疑義がある、問題点もあると、このように言われておりますが、このようなことについて、長官どのようにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ここ数年農林省の、これはあるいは明確な方針ではないかもしれませんけれども、行政を見ておりますと、たとえば大阪の東部市場といいますか、ここでは一業者ということで指導をされたように思うのでございます。やはり都会によって、たとえば東京のようにたくさんの市場がございますところと、地方の小都市のように一つしか市場がないというようなところでは、多少問題が違うのではないだろうか。すなわち、片方で公正な競争によって、消費者が利益を得るということが必要でございますが、他方であまりたくさんの荷受け業者がある結果、その間のいろいろな意味での重複であるとか、あるいは取引の前近代性とかいったようなことが見られるところもございますので、したがって、その場合には、かえって荷受け業者が多い結果、消費者の利益が、手数料が高くなってそこなわれるというようなことはあると考えます。したがって、非常に具体的な場合について判断をするしかないのではなかろうか。物価安定推進会議の第一調査部会の中で、ただいま検討しておられますけれども、具体的に、具体的な場合として考えるということではなかろうかと思います。
○黒柳明君 必ずしも、そうすると一卸売り市場一卸売り業者を主としてはいない。たとえば地方あるいは都会、それによって具体的に判断をしていく、こういうことですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) たとえば東京などの場合をとってみますと、市場がかなりたくさんございます。十に近くあるのではないかと思いますが、しかもその市場で、たとえば神田とか築地とかいうところを考えますと、荷受け業者は二つですらない、二つ以上の複数でございます。数社ずつあるかと思いますが、その中である程度の統合なり合併なりが行なわれるということは、これは必ずしも独占的なものであるという意味ではないと考えます。地方の小都市などで、一市場で、しかもそれが一業者になってしまったというような場合とは、またおのずから意味合いが違うと思いますので、必ずしも、ただいま言われましたように、そういうことを排除するものではない、こう考えております。
○黒柳明君 そうすると、いま農林省で出た例は、若干地方にそういう一卸売り市場一業者なんという実例が出ておるわけです。長官のいまおっしゃったのは、都会の場合において、一卸売り市場一業者ということが妥当な場合が多い、こういうことなんですか。地方よりもむしろ都会のほうがということですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 都会でございますと、おのずから市場の数が複数であろうと考えられますので、したがって、その間にかりに一市場一業者になりましても、競争関係が成立し得るのではないか。そういうごくこれは私の常識を出ないことでございますが、その程度のことを申し上げたのでございます。
○黒柳明君 そうすると、公取の委員長にお尋ねするんですが、金沢の市場で、やっぱり一市場一卸売り業者というようなことが、公取法に若干触れているんじゃないかということがあったんですが。その後の経過はどのようなことになっておりますか。
○政府委員(北島武雄君) まず中央卸売市場における卸売り業者の数と、独占禁止法との関係を一般的に御説明申し上げまして、それから金沢の問題に及びましたほうが御理解が早いと思うので、ひとつそのようにしたいと思います。 これは、中央卸売市場内の卸売り業者について、単数がいいか複数がいいかということは、これは独占禁止法がない昔から、農政の問題としてずっと争われていた問題でございます。ところで、独占禁止法ができましてから、一体どういうふうに変わったかということでございますが、独占禁止法的の立場から申しますと、原則として、やっぱり複数制のほうが好ましいということは言えると思います。ただし、単数であるからといって、直ちにそれが独占禁止法違反ということにはならない。これは、ただいま経済企画庁の長官がおっしゃいましたように、かりにある都市、ある市場でもって単一の卸売り業者となったという場合におきましても、他の市場あるいは類似市場との競争関係を見まして、その取引分野における競争を自主的に制限しないと認められる場合には、あえて、かりに一つの市場において単数の卸売り業者であっても、これは独占禁止法の関係はない。ただ、農林省といたされましては、昭和三十二、三年ごろからでございますか、やはり原則として単数が好ましいのだということで、新しく中央卸売市場をつくる場合に単数のように指導されてきたわけでありまして、ここで実は金沢市におきまして中央卸売市場をつくる場合に、従来からの農林省の御方針に従って、青果物それから水産物ともに、従来ありました十社程度のものをおのおの一社にまとめて一つの中央卸売市場に入れさせたということになりますと、これは金沢市における青果物なり水産物の卸売り業務を独占支配するということになります。これは独占禁止法で十五条に会社が合併する場合、それから十六条は営業の譲り受けでございますが、金沢の場合は営業の譲り受けでございました。たしか青果物については八社、水産物については十社が一社に営業を譲り受けしまして、おのおの一社とした。こうなりますと、独占禁止法の十六条で、営業の譲り受けをする場合には、あらかじめ公正取引委員会に事前に申し出て、そうして公正取引委員会が受理してから三十日までは譲り受けてはならぬ、こういうことになっております。昨年届け出ありまして、内容を審査いたしましたところ、これはやはりどうも金沢市における青果物あるいは水産物の卸売り業務について、一定の取引分野における競争を自主的に制限をすることとなるという独占禁止法の規定に違反する、こういうわけで審判開始決定をいたしたわけであります。現在までに数回審判をいたしておるわけでございます。
○黒柳明君 いまの公取委員長のお話、長官にお尋ねするのですけれども、原則としては二つ以上が好ましいと、決して一つであっても禁止法に触れることはない、原則としては望ましいということに対する長官の御意見はどうでしょう。
○政府委員(北島武雄君) かりに単数であっても、それなるがゆえに直ちに独占禁止法違反ということにはならない。というのは、その市場の一つの単位だけで見るのでなくて、その取引の行なわれているところの――取引ですか、あるいはその周辺区を一つの取引分野と考えて、その間に類似市場があるか、他の市場があって公正な競争が行なわれるならば独占禁止法違反でない、こういう趣旨でございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 市場の運営が近代的に行なわれるということは、農林省の側から考えられましても、また、消費者自身の利益から考えましても、いずれにしても必要なことであろうと思うのでありますが、どうも私がばく然と知っております限りでは、これはまだかなり近代には遠い世界のように一般に考えております。したがって、そういう近代化への一つの道程として企業の統合が行なわれるということ自身は、おそらくは関係者全部の利益になるのではなかろうか、ここまでは申し上げられると思うのでございますが、ただ、それがかなり大きな都市で、しかも、一市場であって単数になってしまうということになりますと、今度はともすれば独占ということになりやすく、かえって消費者の利益を害することになるのではないか、こう考えますので、一般論としてただいま公取委員長の言われましたことは、私もそのとおりではないかと思います。
○黒柳明君 そうすると、いま神田市場で、長官も御存じだと思うのですけれども、東印と丸一が合併が推進されて、これは相当な独占になるのじゃないかと、こういう例があるのです。当然これは御存じだと思うのですが、いまの長官の最後のおことばですね、答申を受けるときは独占の可能性があるのじゃないか、これについて今度のケースはいかがでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和三十七年か八年か、ちょっと記憶がございませんが、当時取引手数料を実は下げてもらったことがございます。これは消費者物価との関係があったわけでございますが、そのときに多少市場というものの実態を聞かしてもらったことがございます。ただいま具体的に御例示になりましたことにつきまして、そう深くは存じませんけれども、やはりまだまだ相当たくさんの荷受け会社が御指摘の場合にございまして、しかも、その経営たるや近代的なものとは遠い。また、せりなどにつきましても、御承知のように、荷受け会社の職員がせりをやっているというような状況でございます。したがって、近代化への一環としてもう少し手数料を下げていけばそういうことが行なわれるのではないだろうかということを当時考えたことがございます。ただいまの場合、これが独占禁止法に抵触するものかどうか、私どもには判断ができない問題でございますけれども、一市場一社になってしまうということではないのじゃなかろうか。しかし、そうかといって、相当大きな取引量を占めれば、これはまた公取のお考えになっておられる目的に反するということで、具体的なケースとしては、どうも私からはそれ以上、材料も持っておりませんので、判断を申し上げかねるということでございます。
○政府委員(北島武雄君) 新聞にも出ておりましたわけですが、神田の中央卸売り市場の中で、東印とたしか東京丸一という会社が合併したいということのようでございます。ただ、まだ事前の届け出は出ておりません。独禁法上は十五条に規定しておりますように、事前に届け出があって、それから今度公正取引委員会が審査する、調査をするというかっこうに一応なっております。ただ、会社といたしましては、一応ただいま事務局のほうにアプローチいたしまして、いろいろ資料を提供いたしているようでございますから、追って近く申し出がある模様でございますが、事前の調査と、それからさらにまた届け出がありましてから本格的な調査をいたしまして、その上で合議体としての委員会として態度をきめたいと考えております。
○黒柳明君 いまも公取の委員長がおっしゃいましたように、新聞紙上で出ているわけです。長官はあまり新聞紙上の裏にあるものにはそんなにお目を通さないのじゃないかと思いますけれども、もうある程度これは事実として知られているわけですが、さらにこうなるとこれは長官は御存じかと思うのですけれども、これは世間のうわさですけれども、何かこの合併については、元企画庁長官の秘書ですね、何か中国方面の果実の有力者といわれているが、この人が東印の取締役として何か合併を推進しているのじゃなかろうか、こういううわさも相当ありますけれども、これは公取のほうで当然いま事前に届け出があった時点において調査すると、こういうような約束ございましたので、私はそのことに期待して、その結果を待つよりほかないと思います。 最後に、結局、この卸売り業者の独占傾向、これが物価の安定の方向に対して是認さるべきものであるかどうか。これは当然長官としては否定されるのじゃないかと思うのですけれども、これについては御意見いかがでしょうか。また、公取委員長もこの角度からいかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 価格が自由に公正に、しかも能率よく形成されるということが私どもの最大の関心でございます。それに支障になるようなことはあってほしくない、こう考えております。
○政府委員(北島武雄君) 独占禁止法の見地からは、もちろん、その卸売り業者が当該取引の分野において自主的に競争を制限するようなことになると、これは遺憾なことになります。ただし、それは合併とかなんとかの手段によって起こった場合にそういうことをするわけでありまして、ただし、もっとも中央卸売市場法には独禁法の適用除外の規定が一つある、それはたとえば――たとえばとは申せませんが、中央卸売市場内における卸売り業者の間に過度の競争が行なわれて、そのために卸売り業務の適正な運営を阻害するというような場合には、特に農林大臣の認可をあらかじめ得てした場合には、市場支配になるような、たとえば単一の卸売り業者であっても差しつかえない。これは独占禁止法の適用を除外するという規定があります。もっともこの場合には、農林大臣がそういう認可をする前に、公正取引委員会に事前に協議するということになっております。中央卸売市場法上、中央卸売市場法の性格から申しまして、そういう一つの適用除外があるということを考慮に入れる必要があると思います。したがいまして、新たに中央卸売市場をつくります場合に、現在ある都市において過当競争があって、そして、そのままでは市場に入ってはぐあいが悪い場合に、やはり中央卸売市場法のただいまの規定を類推適用をいたしまして、この場合は入ってからあとでもって中央卸売市場法の規定の適用があるわけです。入らない前にあらかじめそういう状態になると、独占禁止法でもそういう措置をすべきだという考えで従来は措置いたしております。しかし、それにも限界があるわけでありまして、とても中央卸売市場法に規定している領域に当てはまらない場合、一つになって入らないで、独占禁止法違反として私どもに心配をかけざるを得ない場合もあるわけです。金沢の例はそういうことです。
○黒柳明君 最後に希望意見です。農林省に先ほど申し上げましたように、方向としては現実に何か自由公正競争を奨励する現在の経済機構にありながら、何か独占化を奨励するような、現実問題としてそういう結果が出たような方向に行っているわけです。当然、長官として、いま御発言になりましたように、特に神田市場の場合に、よく調査されていただきたいと思います。また、公取委員長のほうも、事前の認可を、事前の調査を、また公平な認可をされるように希望したいと思います。以上です。
○主査(熊谷太三郎君) それでは、以上をもちまして経済企画庁所官に関する質疑は終了したものと認めます。 なお、明日二十三日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十三分散会 ―――――・―――――