予算委員会 第19号
- 発言数
- 338 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1967/05/25
会議録
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、瓜生清君、石本茂君、稲葉誠一君、鈴木力君、戸田菊雄君が辞任され、その補欠として高山恒雄君、林塩君、占部秀男君、吉田忠三郎君、岡田宗司君が選任されました。 —————————————
○委員長(新谷寅三郎君) 昭和四十二年度一般会計予算、昭和四十二年度特別会計予算、昭和四十二年度政府関係機関予算、 以上三案を一括して議題といたします。 これより三案の締めくくりの総括質疑を行ないます。亀田得治君。
○亀田得治君 私は日本社会党を代表して、最終の総括質問を行ないます。 順序としては、財政、外交、防衛、政治関係、そういう順で簡潔にお尋ねをいたしていきたいと思いますが、最初に、注目の的となっておる政治資金規制の問題、これについてお尋ねをしたいと思います。それは、政府は、これまでたびたび第五次選挙制度審議会の答申を尊重する、こういうことを繰り返して言われていたわけですが、最近、自民党の中では非常な異論もあって延びておる。総理としてはどうこれに対処するのか、態度を明らかにしてほしいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 選挙制度調査会から答申が出まして、そうして政治資金規制の問題がはっきり示されたのであります。政府はこれを尊重するというかねてからの態度を堅持しておりまして、いまもちろん方針が変わったわけではございません。そこで、一日も早く御審議が願えるように法案を提出するという、その段取りをいま進めておる。いま進めておる最中でございます。ただいま政府部内におきましても、これは早く出すべきだと、こういうことで意見は一致しておりますが、しかし、何分にもただいまは政党政治のもとでございますから、よく与党とも話し合いをつけたい、そういうことでその段取りをいまとっておる最中でございます。
○亀田得治君 これは会期の関係もあるわけでして、早急に出してくれというのが世論だと思うのです。自治大臣は月内には出したい、こういう意味のことをたびたび意思表示されて、福田幹事長は、それはとても無理だ、こういうことも一方で言われる。総理自身の腹ですね。具体的にここへくれば相当はっきりしているだろうと思いますが、今月内に提出ができるというめどをつけておられるのかどうか、明確にお答えを願います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま亀田君御指摘のように、もう会期もだんだん余すところわずかになってまいりまして、私もたいへん気がせいております。昨日も私が党のこの問題の委員長である松野君に指示した、それなどは新聞に出ておりますけれども、それらの点で十分政府もだんだんあせってきていることをひとつ御了承いただきたいと思います。何とかしてできるだけ早くと、かように私思って、あらゆる調整をするつもりでございます。ただいま言われますように、いつ出せるか、こういう点につきましては、これは藤枝君からもお聞き取りいただきたいと思いますが、私が非常に急いでいるというだけ御了承いただきたいと思います。
○亀田得治君 急いでおるというのは自治大臣が言うように五月中という意味ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま私が自治大臣と別な考え方を持っておりません。でありますが、先ほど来申しますように、与党、これを説得するといいますか、納得さしてそして提案すること、これが今日では望ましい姿だと、かように思っていま努力している最中であります。
○亀田得治君 自治大臣の考え方に総理も別な考えは持っておらないようですが、自治大臣はたびたびこの五月中に出すという意味のことを言われてきておりますが、現在も変わりございませんか。
○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま総理からもお答えがありましたように急いでおるのでございまして、ただ、ここでもお答え申したことがございますが、政党内閣でございますから、与党の理解と納得を得ることが必要でありますが、それにつきましても私は誠心誠意その与党の理解と納得をいただくことに努力をいたしまして、私がたびたび申しました五月中には何とか出したいという気持ちにおいては現在でも変わりはございません。
○亀田得治君 まあそこでその調整がスムーズにいくかどうか、これはやはり内容によると思うのですね、内容に。したがって、非常に問題になっておる点についての大事な点だけですが、二、三総理に確めておきたいと思うのです。一つは選挙の場合には別扱いする、こういうことが一つの大きな問題になっておるようです。この点は総理は賛成なんですか、反対なんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはこれから十分御審議をいただかなきゃならない問題だと思っております。いまの政治資金規正、これの答申をいただいたもの、これがもともと窮屈だというような感じが一部にあること、これは否定できません。しかし、それを私どもは政治資金規正の方向なり、具体的に答申を得たのだから、それをどこまでも尊重する、こういう考え方で原案の作成にかかっておる、かように御了承いただきたいと思います。いま原案作成、それが問題でございまして、それについていろいろの角度からの御批判はおありだと思いますが、そういうことは原案を得る前から一応予想すべきこともございましょうけれども、いま大事なことは選挙制度審議会が具体的に答申した、それを尊重するという、そのたてまえで原案をつくるべきだ、かように私は考えております。
○亀田得治君 答申を尊重するという立場からいえば、当然選挙の際は別扱いということは否定されなきゃならぬわけです。国民も、なるほど多少窮屈になるかもしれぬが、金をかけないでひとつやってほしい、こういう気持ちなんですね。だから、総理が答申を尊重されると言われる以上は、こういう問題についてはちゃんと結論を出して、そうして指示をされるということがこの段階ではきわめて必要なように思いますが、もっとはっきり指示をされるべきじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま私は答申の点で尊重するということでえんきょくに申し上げたのでおわかりかと思ったのでございます。しかし、ただいまのように、具体的にその点を指示しろと、こういうお話でありますが、これはひとつ起案者といいますか、原案作成者におまかせをいただきたい、かように思います。
○亀田得治君 大体わかったように思います。この程度にしておきますが、もう一つ個人の政治献金、これに対する税法上の優遇措置、大蔵省のほうでは非常に抵抗しておる。総理が昨日、松野選挙調査会長に御指示をお与えになったようですが、その中身はどういうことでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのお尋ねの点が具体的にきめかねておる一つの問題です。審議会の答申は、ただ単に優遇措置をとれということ、これは具体的には示されておりません。しかして、これはなかなか税法上のたてまえその他から見まして、その優遇措置いかんによっては非常に扱いにくい問題であります。そういう意味で大蔵当局におきましても、これはなかなか決しかねておる。しかし、その優遇措置というものが非常に程度の低いものであれば、これはいろいろの場合に考えられるんじゃないか、そういう先例もございます。だから、この優遇措置というものを審議会はどういうように具体的に期待したのか、そういう点をもう少し確かめる必要がある、私はかように考えます。
○亀田得治君 そうすると、程度の問題は別として何らかの優遇措置は講ずる、そういう意味で松野選挙調査会長に指示しておる、こういうふうに理解していいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) この点では党と私どもの考え方は違っておる。答申そのものは、これは優遇措置を講ずべきだと、かように申しております。そういう意味で私どももいろいろ考えていきたい。しかし、なかなか党におきましても、この問題が一つのかぎであるような考え方もありますから、非常な優遇措置をこれというような期待があるんじゃないかと、こういう点が私どもこれから調整をする必要のある問題だと、かように考えております。
○亀田得治君 大蔵大臣のこの点に対する見解を承っておきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 審議会の答申はいまお話がありましたように、個人の寄付についての税制の優遇措置をとれという答申でございますので、この線に沿って私どもは一応は検討しておりますが、この問題は他の控除制度その他の問題とからむ問題でございますので、他に税制上の権衡は必要だと考えましていま検討中で、まだ結論は出ておりません。
○鈴木強君 いまの規正法の改正については、ちょっと私まだわかりませんから、関連して一つ二つお聞きしますが、藤枝自治大臣は十三日の委員会で、十九日が一日、二日ずれるかもしれませんが、そのころには国会に提案したい、こういうお話でした。ところが、きょうはもう二十五日ですから、その約束がくずれてきておる。そこで、それはいろいろとあなたのおっしゃっておるように、政党政治であるから党のほうとも連絡をとらなければならぬが、しかし、自治省自身としては答申を尊重してやるつもりだ、やるのだ、こういうことをはっきり言われたわけですね。そこで聞くところによると、すでに自治省のほうでは問題になっておりました労組の献金の問題とか、問題になっておりました労働組合の寄付のしかたとか、その他ありましたが、そういう面を整理して大体成案を得た。したがって、これを今度、自民党のほうに説明をして、それから最終的な結論を得る、こういう段取りになっていると思うのです。ですから、その成案を得たものがあったらひとつここで発表してもらいたい。 それから総理大臣、いろいろお話を伺いましたが、私はこういう点だけを伺いたいのです。選挙中からのあなたの重大な公約でございますから、国民は期待しておるのです。そこで、いろいろ問題があっておくれております、提案が。しかし、この国会でたとえば会期を延長しても必ず成立させる、問題点を解決しまして。答申を尊重して、それに基づく法律案を提案して、必ずこの国会で議決してもらう、こういう総理として、また総裁としての決意があるかどうか、これは当然だと思いますが、一応伺っておきたいと思います。
○国務大臣(藤枝泉介君) 大体の構想をまとめつつあるところでございますので、今明日中には私どもの構想をまとめて、党と相談をいたしたい、そういうふうに考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 国会に法案を提案する場合は、すべて成立を期する私どもの決意でございます。御了承いただきたいと思います。
○亀田得治君 次に、社会開発の関係について若干お尋ねをいたします。政府は社会開発ということを盛んに演説等でも言われるわけですが、私のほうで社会開発関連主要経費といたしまして、試みに社会保障関係費、それから文教、科学振興費、公共事業費、中小企業対策費、第五番目に農業構造改善対策費、この五つをとりまして、対前年度増加率を当初予算のベースで集計をいたしてみました。ここに一覧表ができ上がったわけですが、ちょっとお渡しします。——それで見ますると、それは調査室のほうでそろばんをきちっとおいたはずですから数字は間違いありません。三十六年度から三十九年度までの池田内閣、その時代よりも、四十年度以降の佐藤内閣のほうが伸び率が落ちておるわけですね。私はこういうことで一体社会開発を表看板にしておる佐藤内閣といえるかどうか。この点を端的に総理大臣に聞きたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、なかなかよく御勉強なすって、伸び率をお調べのようですが、これは伸び率というものは、もとの数字から見まして、もとの数字はどうあるかということで、たいへん伸び率の大きい場合もございます。一から三に行けば、これは三倍だ。しかし、三から今度は三倍ならいきなり九になるのかと、こうなると、必ずしもそうじゃございません。率だけでとやかくいうことは、私は実態に当らない、こういう感じがいたします。問題は、どういう点が取り上げられたか、そうしてそれがどういうように予算に計上されたかということが必要だと思います。だから、いま伸び率だけ御比較になりまして、比較して、佐藤内閣不熱心じゃないかと言われることは、私は当たらないと思います。ことにまた、いまあげられました三種の問題だけが社会開発の相手でもございません。
○亀田得治君 五つ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 五つばかりある。こういうように私は思っております。
○亀田得治君 これは個々の問題について議論をすれば、これは非常に時間もかかる。そういうことから、数字を一応集計してみたわけなんです。やはり数字から見るということも、これは非常に大事なことなんですね。で、私は、池田内閣の場合には、その前が悪かったんだというふうな意味のことも言われるようでありますが、そうじゃないですよ。池田内閣になった以後においても、ずっと相当高い伸び率というものを示して推移しておるのです。池田内閣前のところだけが低かったわけじゃない。やはりそれに対して池田内閣を批判して、あなたのほうは、社会のひずみをもっと直さなければいかぬということが、これが出発点だったでしょう。それを数で見てみますと、全くこれが逆になっておる。この点がふに落ちないということなんです。一つ一つのことを言えば、これはとても短時間で言えません。どうなんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただ、いま私お答えしたように、伸び率だけではどうも議論がいかぬ、議論できない、かように思います。これは伸び率も大事だと思いますが、やはり全体の数字がどうなっているか、そのほうで御批判をいただきたいと思います。
○亀田得治君 それじゃ、もう一度聞きますが、昨年度とただいま審議しておる予算ですね、これは同じ佐藤内閣なんですよ。ところが、四十一年度よりも四十二年度のほうが伸び率が落ちておる、さらにまた。四十二年度で若干伸びておるのは、文教及び科学振興費、これだけがちょっぴり伸びておるだけですね、あとは大幅に減少しておるんじゃないですか。しかも、あなたのほうでは、四十二年度を新しい出発点として一つの計画を進めるんだ、四十年度に挑戦するんだ、こういうふうなあなた、ショッキングな題名までつけて計画書を出しているのでしょう。それなら、せめて初年度ぐらいは昨年度よりも伸び率が上がっていいんじゃないですか。それが逆じゃないですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただ、社会開発でどういう項目を拾い上げることが適当か、こういう問題が一つあると思います。これはもう私は亀田君に御説明申し上げるまでもなく、まず社会開発で今後力を入れようというものが、いわゆる経済社会開発計画、この五カ年計画に一応示されております。これが基本的なわれわれの態度であります。そういう場合に、まず一つ考えられるものが地域開発の問題であります。その地域開発の中には地方の開発もございますが、もちろん都市開発の問題もある。こういうことが一つあります。それから、さらに生活環境を整備していく、そういう問題が一つあります。さらにまた、もう一つは、住みいい明るい家庭をつくる、そういうやはり消費者物価の対策の問題もございます。さらにまた最後には、これは何といっても社会保障の充実の問題がある。大体この社会開発として計画すべきものは、ただいま申し上げるような四つの項目、そういうもので全体を進めてまいるつもりでございます。 ただいま私が四つの項目を申しましたが、その四つの項目はさらに具体的にはそれぞれもっとこまかく対策が整備されるわけですから、そういうものを全部やはり拾い上げていただいて、そうして社会開発の予算が多いとか少ないとか、やはりそういう意味で御批判を願いたいと思います。
○亀田得治君 この五つの項目は、ただ安易に、政府に都合の悪そうなものだけを拾った、そんなものではないのです。これは客観的に、社会開発関連主要経費ということならこういうことでどうだろうかと討議をしてこれをまとめたわけでしてね。ともかく言うておるほどじゃないということなんです。だから、具体的に私は交通と公害関係についてお聞きしたいと思うのですがね、総理は、五月二十二日、朝日新聞に発表された交通の調査ですね、これをごらんになりましたか。なりましたら、その感想をここでおっしゃってもらいたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) きょうはちゃんと日付を御指定になって、お尋ねを予定いたしておりましたので、朝日新聞を持参してまいりました。お借りしなくても済むように思います。 私はかねてから、交通対策、交通事故絶滅、こういう方向で、私自身国民総ぐるみ運動を展開しております。これは各界各層の方々の御協力を得なければならない、そういう立場で強力にただいまその運動を展開しておる最中であります。 朝日新聞が指摘いたしました、ことにその中でもいたいけなとにかく園児、そういうものに対する交通安全施設整備が不十分じゃないか、こういう御指摘、これは私も同感であります。設備も不十分だし、また一般にもこういうものに対しての特段の注意あるいは交通安全教育を普及徹底さす、こういうようなことも一そうやらなければならないことだと思います。私はことしの予算を編成するにあたりましても、こういう点に特に重点を置かれて具体的な施設が行なわれておるのでありまして、その詳細は建設大臣からお答えしても差しつかえありません。また、皆さん方からもしばしば御指摘になったようでありますので、これから先国あるいは公共団体が施設すべきもの、そういうものによほどおくれておる、こういうことは私も痛感しておるような次第であります。
○亀田得治君 ともかく現実は佐藤内閣の看板とは非常にかけ離れておるということを、この調査もやはり示しておるわけなんです。新聞をごらんになっておるようですが、その中で特に私たちも驚いたのは、完全に安全装置ができておるというふうなものがほんのわずか一・七%、八百幾つの中で十四校ですね。それから、横断橋や地下道のあるものが全体の一五%、三十三校しかない。また、歩道があって正規の保護さく、そういうものがついておるのが、わずか七十八校しかない。これでは国道の近くの学童が事故にあうのは当然なんです。 私、ただいま総理から積極的な感想を聞いたわけですが、総務長官なり、あるいは国家公安委員長、あるいは建設大臣は、この朝日の調査をごらんになってどういうふうにお感じになるか。感じただけではだめなんです。いままでの計画があるかもしれぬが、場合によってはそれも訂正していかなければならぬのだろうし、そういう具体的なことを何か考えておるのかどうか、明らかにしてほしい。三大臣に。
○国務大臣(塚原俊郎君) 朝日の記事は、あの朝日の記者が来まして、全国の写真を私にも見せていただいたので、私もよく承知いたし、私の感想も申し述べておる次第であります。東北方面、北陸方面、まあ車が少ないせいかどうかは知りませんが、やはりそのほうが非常に施設がおくれているということも私も拝見いたし、これも予想いたしておったとおりであります。 御承知のように、交通安全対策につきましては、道路等安全施設の整備ということ、それから取り締まり、交通道徳教育の徹底、さらに救済対策という四本の柱でこの対策を練っておることは前から申し上げておるところでございまするけれども、特に四十一年を起点といたしまして三カ年計画、このうち学童、園児を守るためのもの、そういった横断歩道橋、あるいはガードレール、あるいは信号等については、これを二カ年計画に繰り上げてやる、これも前々から申し上げておるとおりであります。しかし、まだまだ御指摘のように、できていないところがたくさんあるではないかというお話でございまするが、四十二年度の予算におきましても、二百六十九億をこれに計上いたしまして、四十一年度からは約八四%の増になっておると私は考えております。 なお、亀田委員御指摘のように、学童、園児をいかにして交通から守るか、交通の危険から守るかということは、これは最重点目標といたしております。二、三日前から始まりました春の安全運動につきましても、これを最重点目標といたしておる次第でございます。政府もいろいろ対策を練っておりまするが、学童、園児をいかに守るかということが一つ、ダンプ等大型自動車に対する安全装置が一つ、それぞれの専門部会を設けまして、いま鋭意検討に当たっておることも前に申し上げたと私は思っておるのであります。 なお、特にその国道に近接する学校あるいは学童、園児を守るための、いわゆる中くらいの道路、またその下の道路というような問題について、たいへん問題が多いように私も聞いております。市町村ごとに安全対策に対する協議会というものを設けまして、いわゆる政府における総点検というものもいま行なっておる最中でございます。これは主として警察を通してやっておりまするが、この報告が今月末か来月には全部そろうのではないかと私は考えております。しかし、それがそろってからやったのでは間に合わないので、地元の方々の、いわゆる国民総ぐるみと申しまするか、県民総ぐるみという、各ブロックにおける協議会を開きまして、あるいは自動車の乗り入れの規制、あるいはその自動車の制限というような応急の処置もとりまして、今日対処をいたしておるわけでございまするが、やはり朝日新聞の総点検によれば、まだまだそれでは満足でない点もあることも、私はこれを認めざるを得ないのであります。総点検を政府が行ないまして、さらに解放の絶滅を期するために今後とるべき措置は直ちに実行に移していかなければならない、このように考えております。マスコミをはじめ各界の指導をいただいて、総ぐるみでこの事故の絶滅に当たることも、これまた当然のことでございます。
○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま総務長官からお答えしたことで尽きると思うんでございますけれども、ことに私のほう、交通取り締まりと申しますか、そういう面からいたしまして、今後も通学、通園路等につきましては、交通規制の強化、もちろんその前に横断歩道橋等を歩行者の安全、ことに学童、園児の安全をはかるための施設を充実することは当然でございますが、当面といたしましては通学、通園路の交通規制、あるいは学童、園児を誘導する警察官その他の指導員をふやす、そうしたことによりまして応急対策をやりつつ歩行者安全施設の充実につとめてまいらなければならないと考えております。
○国務大臣(西村英一君) 先般の朝日新聞の総点検につきましては、元一級国道について調査が行なわれたようでございます。もちろん、私のほうの交通安全施設の整備三カ年計画につきまして、一級国道につきまして相当の規模の歩道、横断橋、あるいはさく等をやることになっておるわけであります。いま進行中でございます。数字はこまかくなりますが、三カ年計画において一級国道のみやるやつは、歩道が六百七十キロメーター、それから歩道橋が七百五十七カ所、さくが六百二十七キロメーターほどやりたいと思って、目下進行いたしておるところでございます。しかしながら、この計画をつくりました当初と現在では、やはり学童に対する、あるいは幼少の人に対する事故が非常に多いのでございまするから、さらに先月中旬に私は地建その他県等に命じまして、詳細に学校関係につきまして調査を依頼したのでございます。おそらく六月中にはその調査がまとまると思います。 さらにまた、最近の問題になっておりました、歩道橋をつけることになっておるけれども地元民の反対あるいはいろいろな打ち合わせが満足いかぬからおそくなっているという個所は、これは特に大都市に多いわけでございます。したがいまして、そういう都市につきましては、次官通牒をもちまして大都市に対するそういうトラブルを早く解消するように、しこうして早くひとつ設置するようにということを別途通達を出しまして、それも近々のうちにまとめることにいたしております。 要するに、この総点検の結果を見まして、われわれといたしましても、新しい観点から、さらに早く大規模にこの施設をやらなければならぬと考えているわけでございます。
○亀田得治君 まあそれぞれ前向きの答弁はございましたが、建設省で三カ年計画を進めておると思いますが、それを二カ年、一年繰り上げてやるというふうなこともお考えになっておられるようですが、これは全部なんですわね。学童だけじゃないんですわ、その計画は。学童だけに限ったこれは調査なんですね、朝日のやつは。その調査結果から見ると、政府が進めておる三カ年計画が完了したとしても、四〇%だ。六〇%の学校は取り残されておる。これは学校に行って、あなたのところは三カ年計画でちゃんと歩道橋をつくることになっておるかどうか、一々具体的に調べた結果がそうなんです。六〇%が残るというわけなんです、学校や幼稚園に限っていえば。だから、私はこういうことが明確になれば、やはり計画を拡張するなりして、そうして早急にやっぱりやってもらわなければならぬ。そのためには当然予算が必要ですね、予備費なりあるいは補正予算を組んででも。明確になれば、今年度中にでもできるだけ早く仕上げるというだけの決意があるのかないのか、その点だけを、ひとつこれは総理なり大蔵大臣からお聞きしておきたいと思います。金の面ですね。
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、三カ年計画で六百三億円という予定をしておりまして、昨年度から出発して、昨年百九億円の予算、本年度は百五十億円増加して二百六十億円のいま予算を計上しておりますが、先日の朝日新聞の調査によりまして、かりに国道に面した学校の前の歩道橋を全部みなやったらどうなるかということになりますと、いま建設大臣のほうで調査中ということでございますので、私のほうでははっきりしたことは言いませんが、私のほうの試算でいきますというと、国費が三十三億円程度の負担で済むのじゃないかというふうなことも考えております。そうしますというと、要するに三カ年の計画の中で、このほうが早く整備されなければならぬという重点度によって計画を、いろいろこれから関係省と相談して変えていくこともできましょうし、いまの予算の中でこのやりくりというものは一応つくかもしれませんし、つかない場合には、これはまたいま言われたような別の対策が必要かもしれませんが、私どもの考えでは、ことしの二百六十億の予算、当面必要なもののやりくりというようなものは、関係省の相談によって計画のいかんによってできるだろう、そういうようなこともいま考えておりますが、調査の結果を待って善処したいと思います。
○亀田得治君 それは本気にやる気になればやりくりがつかぬはずがありません。学校以外はそれじゃほうったらかしでいいか、そうはならぬのですからね。ほかのほうの予算を全部学校のほうに持ってくれば、それはやりくりがっくかもしれません。それはそんなことはできません。だからどうしてもそれは無理なんですから、ぜひ積極的にいまおっしゃったような立場で考えてほしい。 次に、公害関係です。これは基本法が国会に提案されましたが、答申の線からみると、非常に後退しておりますね。取り組みが政府としては弱いと思うんですが、総理大臣、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、公害基本法を、これが弱いか強いか、政府としては、私は適当な案だと、かように思って提案したのでございます。もちろん御審議をいただきまして、所要の改正が必要ならば、そういうことを取り上げることにやぶさかでございません。りっぱな基本法をひとつぜひともつくりたい、かように念願しております。
○亀田得治君 まあ一番問題になっているのは、経済の発展との調和ということを第一条の目的の中に盛り込んできたことですね。だから非常に法案全体がぼやけるのではないか。何も経済を破壊していいなんということはだれも考えていない。わざわざこの法律の中にこういうものを持ち込んでくる、そういう政府の姿勢がおかしいのじゃないか、こういうことが批判されているわけなんです。どうなんでしょう。私、具体的に申し上げる。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは本来、経済が発展する場合に、社会に悪影響を及ぼしてならぬことは、よくわかったことでございます。しかしながら、在来からいわれておりますのが、いわゆる生産第一主義か、あるいはそうでもないのかという、いろんな議論が出ております。そういう点を、政府といたしましては十分勘案いたしまして、こういう問題で本来摩擦があるべき姿のものではないのだ、こういうことで摩擦を起こしちゃ困る、だから調和が第一なんだ、こういう意味でただいまのようなねらいといたしまして、調和、調整、これをはかっていく、こういうことをやっぱり掲げることが望ましいのではないでしょうか。私は公害という立場から産業が悪をなしておる、こういって産業だけに全責任を負わすということはどうかと思います。やっぱり片一方で産業の発展が社会や国に公益をもたらしておる、それはいなめない事実でありますから、それは正確にこちらも認識してやる。しかも、それがかもし出すいわゆる公害、これは困るのだ、これは不都合なんだ、こういうことで両々いいところはやっぱり尊重していくというのが本来の姿だ、またそうなくちゃならないのだ、かように私は考えております。
○亀田得治君 公害と個人の人権が対立しているわけでしょう。いままでは個人の人権がぐうっと押えられているんです。それでこの問題が出てきた。そういう情勢の中で、こっちのほうが強いんですよ、こっちのほうが。その肩を若干でも持つようなものを入れてくるということは、結果において私は非常にまずいことになる。これは法律の運用ということも関係しますが、必ず私は弱いものになる。 それからもう一つ、公害の原因者の無過失責任、被害者に対する無過失責任、賠償の無過失責任、これをやはりこういう基本法においては原則的に明示すべきだと私は思う。故意、過失がなくとも被害を与えたら弁償しなきゃならぬぞというふうにしておけば、これは事業者といえども気をつけるのです。こういう肝心な柱を抜いてしまっているわけですね。なぜこういうことを明示できないのでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうもただいま、もう公害基本法の審議にあたっているような気がするのですが、その審議に際しましては十分御意見を聞かしていただきたいと思います。 ただ、お尋ねでございますから、私の感じを率直に申し上げます。これは別にあなた方の御意見を押さえるというような意味じゃございません。私は、この公害基本法というようなものができて、これからの公害の発生を未然に防ぐ、同時にまた起きておる現実の公害、これにいかに対処するか、こういう考え方自身を生み出したところに、ただいまいわれますような法律的な原因者の責任というものが取り上げられると、かようにお考えになっていいのじゃないでしょうか。私はまあこの加害者というか、あるいは原因者、これの責任というものが全然ないなら、公害基本法というのはまた別な形でできるだろう。しかし、そのことはもうすでに取り上げられておる。ただ、それをいまいわれるように、無過失責任だと、こういってきめてかかる筋のものかどうか、いわゆるもっと社会連帯感、同時にまた公益的な責任を事業者も果たしていくんだ、そういうところで協力する、こういう考え方に踏み切ったこの法律だと、かように私は見ていただいてもいいのじゃないだろうか、かように思うのです。たとえば非常にはっきりした大きいものなら、たとえば製鉄所がガスを流している、あるいは石油ガスの工場が亜硫酸を流しておる、こういうものは非常にはっきりしておる。しかし、どうも自動車なども原因者とすれば、非常にわずかなものも積み重なると街路樹を枯らしてしまう、したがって、そういうものがいつの間にか人体に及ぼす影響も非常に大きいのだ、こういうようなものもあるだろうと思いますね。したがいまして、一がいにただいまのように無過失責任というものを掲げて法律をつくったほうがいいのか悪いのか、そこらには一つの考え方が自然に出てくるのじゃないだろうか、かように私は思います。したがいまして、そういう点も含めて十分御審議をいただきたいと思います。
○亀田得治君 審議の過程で修正してもいいということですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はいま政府が提案するもの、これはもうりっぱな案を出しております。したがいまして、修正を最初から予定したようなものではないことは、これはもう理屈になりますから申し上げません。しかしながら、審議の過程におきましてみんなが納得するもの、それならば当然いいものをつくるという、そういう方向で修正も当然あり得る、かように私は思っております。
○亀田得治君 それからもう一点聞いておきますが、これはまあ原則的な規定ですね。環境基準をつくるとか、いろんな作業があとで至急やられなきゃだめなんですね。これは総理大臣が最高責任者になっておるようですが、諸般のそういう整備ですね、あとに残った作業、これはいつまでにそういうことをやりとげるつもりですか。法律だけつくって、あとぼんやりしているんじゃこれは実効があがらぬわけですね、その点の見通しなり、決意はどうです。
○国務大臣(佐藤榮作君) いずれ、この法律案は成立するものだと、かように思いますが、その暁で逐次整備してまいります。
○亀田得治君 じゃあ、まあ法案のときにまたじっくりやりましょう。 そこで、財政関係のことを大蔵大臣にも聞きたいと思いますが、一つは、自然増収と公債との関係について若干確かめておきたいと思います。それは私のほうで試算してみたわけですが、昭和四十二年度の成長率、これは名目で一五%、これは大体通説です。これに対して租税の弾性値、これが一・五、これも大体通説ですね。これで試算をしますると、四十二年度の自然増収が八千七百六十九億、こういう数字が出てきます。政府のほうの説明では、各種の税の伸びの積み上げ方式ということで計算をされているようですが、それによると七千三百五十三億ですね、政府のほうは。その差が一千四百十六億、こういうことになるのです。この政府の自然増の見積もりは非常に低いのじゃないかという感じがするわけですが、どうでしょう。
○国務大臣(水田三喜男君) いまの数字は初めて聞きましたが、この昨年度の減税が響いてくる平年度化への影響、この一千億を引いた数字でしょうか、引いてないかということをちょっとお聞きしておきます。
○亀田得治君 引いてあります。
○国務大臣(水田三喜男君) 引いてあるとすれば、経済成長率を亀田さんのほうが一・何%か多く見たということになると思います。弾性値の見方は大体同じでございますので、それだけの経済成長率が税収の場合に即そのまま響くかどうかということは問題でございまして、私どももいろいろな予想を立てておりますが、経済成長の時期というものとの関係もございますし、簡単に今年度のいま程度において今年度の増収の予想というものは私どもも困難、はっきりした予想ができないときでございますので、当初の見方はいつも言いますように過小に見たわけじゃなくして、相当私どもとしてはいままでの自然増の見方としては多目の見方をしているという関係もございまするので、いまおっしゃられたような数字になるかどうか、いまのところちょっと何とも言えない状態でございます。
○亀田得治君 政府は四十年度も六百十八億ですか、四十一年度も六百四十四億ですね、公債発行を減らしたわけですね。おそらく今年度の八千億というのもそのワクの取り過ぎと私たち考えるのです。それはいま予算を審議しておる際にそんなことを大蔵大臣が認めるはずはないでしょうが、しかし、それでは政府のこの予算案なり財政経済政策全般の批判というものに非常に私たちとしては困るわけなんですね。だからこの八千億というワクですね、余りそうだということは若干におわしておるわけですね、いままで。そこをもう少し具体的な見通し、数字でそういうことをおっしゃってほしい。
○国務大臣(水田三喜男君) たびたび申しておりますように、もし経済成長が当初の見込み以上であり、税収が当初の見込み以上期待できるということでございましたら、私どもはどうせ補正予算の必要というものは今年度において出てくると思います。必要な補正予算の財源を確保した残りは全部公債額を削減するという形で運営したいという方針を述べておりますので、その点の見通しについても私どもは非常に関心をいま持っているところでございますが、まだはっきりした数字はつかめないというところでございます。
○亀田得治君 つかんでここで数字をおっしゃったら、これは予算案審議の途中だからたいへんなことになるので、つかんでいてもなかなか言えないでしょうがね。ともかく自然増を少なく見積もってそうして公債のワクだけをとっておく、これはあなた前科二犯でしょうが。今度は三犯目ですよ。おそらく今度は来年にいったらちゃんとそうなると思う。だから、そういうやり方は国会を私はばかにしておると思う。だからこれは意見として申し上げておきます。 それから次に、デノミネーションについての総理の考えですね。大蔵大臣の考えはちょいちょい出ておる、総理はどう考えておるか。ちょいちょい日本でこういう論蔵が出るということは、これはやはりいつかはやらなけりゃならぬという根拠もあるだろうと思いますね、総理の考え方はどうです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私のデノミネーションに対する考え方を聞かしてくれと言われるのですが、こういう問題は学説を申したってしようがないのです。実際問題として、じゃデノミネーションに対する取り組むような研究をいま行なっておるかどうかと言われると全然行なっておりません。したがいまして、ただいま言われますように、いつかはこれ片づけなければならぬ問題でしょうと言われましても、それに備えてただいま政治的にどういう処置をとっておるかというと、この問題と取り組んでおらないのです。したがいまして、これがいいか悪いか、いろいろ御批判があろうと思いますが、いまこのデノミネーションについてのいわゆる私の考え方、これからどうしていくのだと、こういうことを聞かれる前に、いま何にもやっていないということをひとつ誤解のないように申し上げておきます。 それじゃ今後どうするのか、こういうことなんですが、これは世の中が治まりまして、そうして考え方が安定して、誤解を受けることのないようなとき、このデノミネーションが誤解を受けるといえば平価切り下げの、いわゆるデバリュエーションといいますか、それに誤解されることのおそれがあるわけであります。しかし、経済界が落ちついてきて、そうしてこんな数字の多い計算には耐えられない、もっと簡単にしろということになってくる、そういう時期でなければただいまこの問題を取り扱うべきではないと、私はかように考えております。いまの時期がそれじゃそういう方向になっておるのか、これはなかなか私は、現在の段階でもうすっかり安定して何にも心配ありません、こう言い切ることはちょっと私は無理のように思っております。だからそのデノミネーションに対する意見の交換よりも、政府がこの問題についていまどういう態度をとっておるか、そのことが真にお尋ねになりたかったことではないかと思いますので、その点国民の皆さんに誤解のないように申し上げておきます。
○亀田得治君 大蔵大臣、この売り上げ税ですね、これについて検討されておるようですが、理由をはっきりしてほしいのです。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ、御承知のように、税制調査会では一ぺん検討して取り上げないことになっておる問題でございます。その後政府の中で検討はされておりません。
○亀田得治君 大蔵大臣自身としては検討しておるように新聞報道等もあるんですが、そんなことはないのですか。いま政府としては、とおっしゃったが、政府じゃなしに大蔵大臣としてでもいいんですがね。
○国務大臣(水田三喜男君) 税制論議のさなかにおいて、将来いまのような法人税についての再検討論はいま非常に出ておりますが、この法人税の将来は私は斜陽税である、斜陽的傾向をとる税であるということを考えますというと、見通しますというと、国債を発行しておるときでございますので、この将来の返還というようなものに関連して、成長税の開発というようなものも、国債発行ということと関連して、長期的な観点からいろいろ検討しなければいかぬだろうと。その場合には、たとえばこういう税制とかいうようなものが考えられる、検討に値する、これは問題ではなかろうか、将来の一つの課題であろうというようなことを申しただけでございまして、これがすぐに、来年間接税を増すんで、たばこを上げるだろう、何を上げるだろうという質問があまりに多くきましたから、そういう意味で言ったんじゃないということを、この間はっきり申し上げたようなわけでございます。政府が、したがって、いまこれを検討しているというようなことじゃない、長期の、先の税制として、もう一ぺん再検討するに値する税じゃないかということを言っただけでございます。
○亀田得治君 これはもちろん必然的に大衆課税になるわけでして、十分これは慎重にやってほしい。 それで、何ですか、税制調査会に大蔵大臣としては諮問でもする予定ですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 税制調査会は一ぺん審議した結果、この税制はとらないということにケリがついておりますが、検討する価値があるとすれば、またもう一ぺん諮問するかどうか、まだこの方針も全然きまっておりません。
○羽生三七君 関連して。いまの問題はですね、昨日もちょっと第二分科会で触れましたが、これは総理も、もし大蔵大臣が検討に値する問題として問題を提起されただけならよろしいんですが、現実に御検討になる場合には十分なる配慮をしていただきたいと思います。というのは、先日来の報道で出ておる売り上げ税という蔵相のお考えは、これは最初のメーカーから最終段階の消費者に入るまで、あの売り上げ税というものでいくならば、各段階ごとに売り上げ税がかかって、これはかなり物価値上げになります。ところが、これは聞くところによれば、欧州では、EECでは、それはいけないということで、本年二月の理事会でこれを廃止して、一九七〇年、昭和四十五年からこれを付加価値税に切りかえるという決定までEECはやっておるそうです。それはいま蔵相がお考えになっておるようなことは、欧州では試験済みの問題なのを、もう一度日本で蒸し返すことはなかろうと思うから、おやりになる場合には、十分慎重なる、いま亀田君も触れましたが、考慮の上で御検討願いたいと思います。これは注文でありますから、答弁は要りません。
○亀田得治君 答弁聞いといたらいいじゃないですか、総理、答弁したそうな顔をしているから。
○国務大臣(佐藤榮作君) 答弁は要らないということでしたが、一応誤解がある点もありますから、私からもお答えしておきます。 新聞記事が出た直後に、私も水田君といろいろ話し合ったのであります。水田君の真意がそのまま事になっていない点もあるようでありますし、もちろんただいまお話しになりましたように、こういう問題についてはこの上とも慎重にする、これは当然でございます。お答えいたします。
○亀田得治君 それじゃ、次に、外交、防衛関係に移ります。 総理にまず聞きますが、平和を保つためには、たとえば戦争、ベトナム戦争、そういったようなものの真相をみんなが知る、具体的な真相を。理屈じゃなしに、こういうことが非常に大事なことだと根本的に考えるのですが、総理、どうです。
○国務大臣(佐藤榮作君) これも積極的に平和を維持する、あるいは消極的に、自己が戦争に巻き込まれない方法、そうしてまた、自分が安全である、そういうような点からこれはいろいろの考え方があると思います。まあいずれの場合にいたしましても、現実を十分正確に認識すること、これはもう大事なことだと、私はかように思います。
○亀田得治君 じゃ、まあそういう立場から、ちょっと現実を知ってもらいたいわけですが、総理はこういうたまをごらんになったことがありますか。名前はお聞きでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) この前だれか……。
○亀田得治君 いや、この前はこれです。これがもっと改良されて、現在ベトナムで使われておるのがこれです。これは森外信部長などもあのボール爆弾のことを書いておりましたが、これなんですね。これをちょっと見ておいてください。めったに見れぬですから。だいじょうぶですから。ボール爆弾です。 ちょっと説明しますがね。これは親爆弾があって、いまお渡ししたそのボールが、親に三百ないし六百入るわけです。その親爆弾が爆発する。そうするとそのボールが出てくるわけですね。出てきて、再度その出てきたボールは非常に舞うわけです、くるくる。何か数字がついているでしょう。それで舞うようになっているわけですね。すると、その舞う速力がぐっとかかってきますると、自然にこの信管が破裂するわけなんです、遠心力で。そういうことなんです。それで、破裂すると、その中から三百個、直径六ミリぐらいの小さいやつが飛び散るわけなんです。軍事施設を破壊するためには何らの用をなさぬものです。もっぱら人畜に対する殺傷をやる、これは専門でつくられておるものです。これが民間地帯等にもばらまかれておるのが現状なんです。で、フランスのサルトルも非常にそういう点憤慨いたしまして、国連のほうに、このボール爆弾の使用禁止を求める運動をするということをせんだって記者会見で発表したようですが、総理大臣、どう思います、人道の立場から。外務大臣でもけっこうですよ。
○国務大臣(三木武夫君) これはやはり、一九〇七年のヘーグ条約で、こういう問題に対する国際的な一つの制約というものは、陸戦の法規慣例条約の附属第二十三条、この中に規定してある、それは、「不必要の苦痛を与うべき兵器」という規定があるわけです。もしこういうことが牽連を持つとするならば、そのヘーグ条約だと思うのですが、しかしヘーグ条約は条約の加盟国だけを制約するのですから、北ベトナムは入っておりませんから、この条約の関係は実際問題として起こらぬ。そこでこういう問題をやはりもし取り上げるとするならば、国際会議——国連なぞの場において、これがヘーグ条約にいうような、必要以上な苦痛を人間に与えるものであるかということで、こういうことが一般的に普及化されてくれば、普遍化されてくれば、国際的にいろいろ問題になる場合もあると思いますけれども、まだいま何もそういう問題は起こっておりませんが、もしそういうふうなことであれば、いろいろ問題になってくる。現に実祭ああいう条約というものはまだ不備で、原爆なども禁止するような何もないのですから、非常に不備で、将来はいろいろ問題はあろうと思いますが、いまはしかし、ヘーグ条約の問題にはならない。もしなるとしたならば、やはり国際的に、そういうことが戦争目的よりもあまりひど過ぎるではないかというようなことが国際的な常識になったときに、何らかの制約を必要とするのではないかという問題は起こり得ますけれども、今日では条約の問題にはならない、こういうふうに考えております。
○亀田得治君 そんな条約論を私言っているのじゃなしに、条約があろうがなかろうが、加盟しておろうがおるまいが、現にそういうことが行なわれておるということがはっきりしたならば、これは憤慨するのはあたりまえなわけでして、そういう立場から、日本政府としても検討してほしいということなんです。 それから、もう一つ出します。ナパーム弾の使用ということがよくいわれますね、ナパーム弾。これがグートイという北ベトナムの町ですが、そのあとです。まるで広島の原爆のあとみたいな状態ですね。これは、この間のストックホルムで裁判の法廷に出てきた証人です。これは、ナパームの油をかぶった人です。これもたいへんな被害を与えておるわけです、ボール爆弾といい、ナパームの被害といい。ここに私が持ってきましたのは、グートイの、ナパーム弾による焼き尽くしたあとに残っていたもので、総理大臣、これ見てください。これが、その写真に写っておる中から持ってきたものです。これはストックホルムの国際法廷でみな検証を受けている、はっきりしたものですから。こういう事実を見ると、みんなが知るということが非常に私は大事だと思うのですが、これは最初、真実、現実を知るということはいいことだと言われました。ところが、せんだって四月十七日ですか、羽田の税関で、北ベトナム発行のパンフレットですね、これはいろいろ戦争の写真の載っているものです。丸一物産の立花さんという人が持って帰ったものですが、これが押えられているわけですね。関税定率法二十一条ですか、何か、風俗を害するという理由で。総理大臣はそういうふうなことを認めますか。戦争の実際を知るほうがいいわけでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの戦争は、たいへん悲惨な状況を各方面に現出している。そういうことは、これはもう想像もつくのだが、同時に、亀田君が言われるように、現実としてそれを十分認識する。これが、私どもが一日も早く戦闘をやめろ、そういう呼びかけはその点から実は出ている。その戦争というものが当然引き起こす惨害でございますし、悲惨な状況でございますから、そういうものが多くならないようにというのでございます。それと、ただいまそういうことをやめさせるためにも、十分事態を認識して、そうしてその認識に基づいて、もう戦争をやっていたらたいへんだ。これはもうとても見るに耐えない。こういう状態だから一日も早くやめようじゃないか、そういう気持ちになるだろうというのが、私が最初に申した正しい認識を持つということであります。 が、ただいま具体的にお尋ねになりました羽田の税関の場合、ただいま非常に悲惨な状態でございますので、そういう残酷なものを国内で、宣伝とは申しませんが、どんどんしだすということ、一面これは必要ではありますけれども、あるいは一面、そこまでやらなくてもいいじゃないか、こういうこともあろうかと思います。だから、税関で差し押えられたというそのときの状況がどういうものであったか、私はわかりませんけれども、おそらくたいへん残酷な状態のもの、そういうものを知ることが、普通人としてはこれはたいへん耐えられないことだ、こういうような意味からおそらくとめたのだろうと思います。したがいまして、私はその行為を、とめることと、それから事態を正確に認識するということと、必ずしも矛盾するとは思わないのでありまして、これは全部の者が、いくら民主主義の時代だとは申しても、ただいま全部の者が事態をつかまなければ、結論が出ない、こういうものではないというふうに私は思います。
○亀田得治君 税関の関係はどうなっているのですか、大蔵大臣。お調べになっていると思いますが、これは異議の申し立てを認めて、早く返してやるべきじゃないかと思うのですがね、どうなんです。
○国務大臣(水田三喜男君) これは御承知のように昭和三十四年、国会で問題になりまして、議決が行なわれ、それによって、私どもは昭和三十六年に関税定率法の一部を改正するという形で、国会の要望に対して対処いたしました。税関長の認定によりかってに没収するというような処置をやめて、税関長の通知を受けた人が不服であれば訴えて出られるという道を開いて、それが、税関長の諮問機関として輸入映画等の審議会というものがございますが、ここに異議を申し立てる、そうしてそこの審議によって税関長が処理するというふうな道をこしらえて、以後それによって処理しているということでございますから、本人に不服がある場合にはここに申し出てもらう。いま、申し出がちょうどありましたので、これを審議会が審議中ということでございます。
○亀田得治君 その押えられた本というのはこれなんです。これを見て、そういうとめなければならぬ必要があるかどうか、ひとつ判断してください。むやみにそういう書籍などを押えるというようなことは、これはよくないですよ。エロ本とか何とか、そんなものじゃない。戦争のありのままの状態なんです。事実があるから写真に写ったのです。その写真がいかぬと言うのです。特に向こうが問題にしている場所、あなたから言ってください。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま実物を見ましたら、これはなかなか、こういう問題で受ける人の感じで、ずいぶん違うと思います。そこで、税関が、先ほどのような大蔵大臣のお答えございますが、これは税関庁の一存できめることは、いろいろ納得いきかねるというような場合もありましょうから、そこで、そういう審議会とかあるいは特別な委員会を設けて、そうしてまあ各界の意見をまとめて、しかる上で処置しよう、こういう意味でございますから、私は、個人的な意見よりも、そういう各界の意見をまとめての委員会の意見を尊重して措置するのが適当かと、かように思います。
○亀田得治君 じゃ、大蔵大臣に要求しておきます。その点、できるだけ真実をお互い知るということは、基本的にはこれはいいことなんですし、そう主観的に簡単に押えられるというような前例は私はよくないと思うのです。すでにこういうものは中へ入っているのですよ、その前に。だから、そういう点から見たって、それはおかしいのですよ、税関のやり方は。それから、例の問題の写真は、歴史の告発書と、日本で発行されておるほかの書物にだって引用されているのです。だから、非常にこれはたいへんなことだと、みんながやっぱりそういう気持ちになる写真です。それを押えるというのは、あなたおかしいですよ、それは。写真もあなたペンも一緒ですからね。だから、これは委員会にはかっているというのなら、ひとつ委員会で、前向きで結論が早く出るように、大蔵大臣として、まあ委員会に対する監督関係がどうなっているのかわかりませんが、善処してほしいと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) はい、そういたします。
○亀田得治君 それから、これは多少現実離れした意見になるかもしれませんが、私はこういうことを考えている。ずいぶん通信衛生なり、そういう宇宙の開発が発達しておるわけですね。で、明日は各国のそういう協力によって、世界のいろいろな事情が世界の人々にわかる。そういうふうな仕事をやられるようですね。私はそういう仕事をもっと進めて、そうして、戦争などについて現実にどういうことがやられておるのかというふうなことがちゃんとすぐ早くわかる、こういうふうなことを科学の力を利用してやってもらえば、非常に平和のために役立つ。お互いに現実をはっきり見ないで、理屈だけ言っておれば、なかなかこれは花が咲く。そういうふうなことを明日の催しに関連しても考えるわけですが、総理大臣、そういうことをひとつ考えて、そうして世界に対して、平和の立場で提唱するぐらいの気持ちはございませんか。実際に技術的にすぐやれるかやれないかは、もちろん問題があるでしょうがね。侵略だと言ったってね、両方がそう言うわけでしょう、いつも。何か起こるとね。しかし、現実を見れば、みんなが判断つく、おのずから。そういうものをひとつ提唱しなさい。どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはたいへん亀田君も遠慮して、現実離れしているかもしれぬという前置きですが、私は現実離れしていないと思う。これはもう平和を守るという立場から、あらゆる機会あらゆる方法を使うということ、これは積極的にやってしかるべきだと思う。私は、人類の幸福のためにも、かくあるべきものだと、かように思います。ただいま、しかし、御提案になりましたような具体的な方法か望ましいことかどうか、これはなおもっと検討してみる必要があると思います。しかし、平和を守るために、勇気を持ってあらゆる機会に主張説得すること、これは望ましいこと、かように思います。
○亀田得治君 まあ初めて御同意を得てありがとうございました。初めてでもないですがね。(笑声) それからベトナム問題について、多少いままで論議されたことの中で、いろいろ私も申し上げてみたいことがあるのですが、時間の都合で、そういうことを多少省略しまして、違った面から少し聞いてみようと思います。総理大臣なり外務大臣どちらでもけっこうですが、いわゆる民族自決の原則ですね、自分たちのことは自分でやる、外国はつまらない手出しはしない、こういう原則というものは、日本の外交として、もちろんこれはお認めになっていると思いますが、どうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 民族自決の原則は、これはもう世界的な普遍の原則で、これはもう当然のことだと考えております。
○亀田得治君 これも御同意いただいたわけですが、これは御同意というよりも世界的に当然のことです。そうすれば、たとえば、ベトナムの場合、ベトナム人の気持ちが一体どうなのかと、こういう点をしっかり見るということは、非常に大事なことじゃないでしょうか。どうです。
○国務大臣(三木武夫君) その民族自決の原則というのは、世界的な原則ですが、その原則というものが実施できるためには、外からの影響を何も受けないで、みんな民族の構成員が自由に自己の意思を決定できるような環境ができないと、その原則はあるではないかと言っても、原則の実施が、そういう環境になければ、実施ができないわけでありますから、それは亀田さんの言われるように、これはもう普遍の原則だと私思いますよ。しかし、その原則を適用する環境がなければ、これは原則があると言っても、問題になりませんから、外からの影響なしに民族の自由意思によってものがきめられるような環境を早くつくるということが、一番の問題点だと考えております。
○亀田得治君 外務大臣はなかなか説明がじょずだからね、うまくはぐらかすわけですが、そうじゃない。ベトナムの現在の状態でベトナム人がどう考えておるかと、これが土台でしょうが、これが。そんな理想的な状態なんというものは、どこへ行ったってありゃせぬのです。何らかの影響というものは、どの国だって受けている。日本だってアメリカだってソ連だって、厳密に言えばですよ。だから、そんなことじゃなしに、現実があるわけです、ベトナムに。あの現実の中でベトナム人がどう考えておるか。少なくともそれをつかまなければ、民族自決の原則を尊重しておるなんてことは言えませんよ。つかみ方はありますよ。どうなんです。
○国務大臣(三木武夫君) 現実はですね、アメリカからも大軍が入ってきている、あるいは中共、ソ連からも援助して非常な影響力を与えている、外からの。こういうふうな環境が私の言う民族自決というものを実施する環境ではないということです。それはここにですね、いろいろ行って、あなたどういう気持ちかというようなことが、それは聞くということはできましょうし、それはそれなりの値打ちはあるでしょう。しかし、いやしくも民族自決の大原則ということで、ベトナム問題を解決しようとするならば、今日の環境はそういう民族の自由意思、外からの影響なしに、自由意思を決定する環境ではない、こう私は思うのです。だから、みんなが外の影響を払いのけて、自分のほんとうの自由意思を決定できるような環境を一日も早くベトナムにつくることこそ、亀田君の御指摘になる民族自決の原則が生きるゆえんである、こう考えるのであります。
○亀田得治君 そんなことを言って、外部の国が民族自決の原則を実際上は踏みにじっているのですよ。それは現状だって、それはあなた、その民族としての意思表示というものは、いろいろあるし、またつかみ得るわけなんです。それが一番大事なことなんですよ。外部のことが優先して、それはもっと先のことだ、そのこと自体が民族自決の考え方を実際は否定しているのです。最初の何と矛盾しておる。まあ同じことを繰り返しちゃ、これはむだになりますから、そこで、私は申し上げますが、これは外務大臣もごらんになったと思いますが、米国のCBSの南ベトナムにおける世論調査ですね、これは初めてのもののようです。で、五十五の部落で調査をしたようですね。ところが、うち十四が治安が悪くてできない。したがって、安全地区ですね、南ベトナム政府が支配しておる安全地域、そこの四十一の部落でやったわけです。これは南ベトナム政府の治めておるところですよ。一応安全なんです。ところが、そこの調査なんです。そこの調査。それを見ますると、現在のやっておる戦争に反対して早く平和にしてくれ、八一%。圧倒的。それから、それだけじゃいかぬ。別な面から、戦争してでも共産主義に対する勝利を望むか、アメリカは共産主義を防衛するためにやっているのだ、こう言っているわけですね。その点に関する質問ですね。ところが、これが全体のわずか四%です。だから、共産主義だなんとかということよりも、ともかく戦争をやめてくれ、これがあなた、南ベトナム政府が一応平穏に治めておる場所におけるこれは数字ですよ。これをどう見ますか。新聞でも外務大臣ごらんになったろうと思いますがね。
○国務大臣(三木武夫君) これはやはりある空気をあらわしておると思います。早く戦争やめたい。これはあそこのベトナムはフランスとの戦いから比べてくれば、二十年をこえるような状態です。一日も早く戦争を終わりたい、このことは全体——われわれですら何とかならぬかと思って心を痛めるわけでありますから、現実の被害を受けておるベトナム人が、一日も早く平和を望むという、その気持ちというものは、これはわれわれもよくわかる気がいたします。いま、うしろのほうから、総理のほうから、北のほうはどうだという話がありましたが、北のほうも同じだと思います、北だって。みんなそうだと思います。南ベトナムだけじゃなしに、北も、ベトナム全体をあげて、一日も早く平和を望むというのが、やっぱりベトナム人の強い願望だと思います。
○亀田得治君 そうすると、北も南も通じて戦争に対する考え方ははっきりしておるのです、事実の上において。私はこういう調査では、もう少し米側の立場を支持したものが出るのかと思ったら、全く逆。それで、ともかく日本政府はどうなんですか。アメリカ政府は、ともかく共産主義を防ぐのだ、南ベトナム政府だけ守るのだ、北を倒そうとは思ってないのだ、いろんなことを言います。結局は、共産主義に対する戦いなんだ、こういう意味のことを再々いろいろな形で、責任者の方が言っておりますね。この点については、日本政府はアメリカの立場に同調しているのですか。どうなんですか。ここは大事なところですよ。
○国務大臣(三木武夫君) 共産主義であろうが、何主義であろうが、自由にその国民が政体をきめる権利を持っていますね。しかし、いけないことは、力で共産主義を押しつけてはいけませんよ、力でね。共産主義というものは、何かそのものを力で押しつけるというようなことがあってはいけない。そういうことで、やはり北が南ベトナムに対してこれを共産化さそう、共産主義に反対の人もたくさんあるのですから、そういう形のことは、これはわれわれとしてもよくない。力ではいかぬ。もう自由にそのことが政体をきめるならいいけれども、これに対して、うしろから軍事力とか、あるいはまた、その他の方法で圧迫を加えて、人間の思想を変えるようなことはよろしくない、こう考えておるのでございます。
○亀田得治君 アメリカの言い分を皆さんは肯定しておるのかと、ここを聞いているのです、アメリカがたびたび言うていますね。
○国務大臣(三木武夫君) アメリカの言い分というものは、アメリカが言っておるのは、南ベトナム政府から、三代の大統領、これが南ベトナムの独立を守るために、その援助を要請された、こういうことですね。それはアイゼンハワー、ケネデイ、ジョンソン。そのいうことで、やはり国連の言う集団安全保障の、国連憲章にのっとった集団安全保障の発動を、集団安全保障の権限を行使しておるのだ、こういう立場であります。それならおまえは、日本政府は、一方的にアメリカの言うことだけを信じておるのかというと、そうではなくて、北のほうから正規軍も南にやはり侵入してきておるということは、ICCの報告にも出ておるわけでありますから、それは私はよくない。とにかく一応の十七度線というものが永久の国境線とは言えないでしょう、暫定的であっても、休戦ラインというものができたんですから、そこへ北のほうから兵力を入れてくるということは、これはよくない。南ベトナムとしたならば、これは南ベトナム政府の独立と自由は守れない。そういうことで、アメリカに対して援助を求めるというようなことは起こり得ることだと、私は思っておるわけでございます。
○亀田得治君 何も南ベトナム政府から援助のあれがあったから行っておるというのは、これは単なる法律論なんです。そんなこと聞いているんじゃない、そんなこと言うても。そうじゃなしに、端的に、アメリカの目的は、共産主義から南ベトナム政府を守るのだ、こういうことをいろいろな形で言うてますよ。この考え方を日本政府も支持しておるのですかと、こう聞いておるのです。
○国務大臣(三木武夫君) 侵略から——ある一定の一国が、侵略といいますか、やっぱり正規軍が入ってくるといえば、これはやっぱり侵略と言えるでしょう。そういうものから国を守ろうとすることは、これは日本の政府としても、それはあり得ることであるということで、そういうふうなアメリカの、そういう意味においてベトナム政府の要請にこたえ、アメリカがあそこに出兵をしておるということは、日本もこれは認めておるわけでございます。
○亀田得治君 認めておるというのじゃなしに、支持しているのでしょう。そこをはっきりしてください。大事なところなんです。違うなら違う、アメリカと。
○国務大臣(三木武夫君) まあことばというものですね、支持というと、いかにも戦争をますますやれというようなニュアンスを持ちますから、どうも日本語のちょっとニュアンスはときどき不適当なニュアンスがありますから、支持というものは、この戦争がますます激化していくようにということが、それが、支持というものの中に、そういうものが入るとするならば、支持ということばは私は使いたくない。戦争をますますやれというような意味がその中に入るならば、一日も早く戦争を終わってもらいたいと思っておるわけですから、そういう意味において、アメリカがあそこに兵を出すことは、これはもう国連の条項から言っても、違法ではない。そういう意味において、肯定はしておりますが、一日も戦争を早く終わらしたいという意味において。しっかりやれという、そういう意味の支持する立場ではないということでございます。
○瀬谷英行君 関連。外務大臣の答弁がどうもわざとすれ違うような答弁をしているように聞こえるのです。質問者の質問に対してすなおに答弁をしてもらわないとどうも聞いているほうも、これはおかしいですよ。だから北ベトナムが侵入したからアメリカがここに援助に行ったんだというふうな言い方をしきりにしようとしているけれども、事の起こりは南ベトナムの国内問題じゃなかったのか。メコンデルタ地帯なんというのは北のほうにあるわけじゃないでしょう。ああいう地域でベトコンと南ベトナムあるいはアメリカ軍との戦いというのが一番おもな南ベトナムにおける国内の問題だったわけです。それにアメリカ軍が介入をしていったわけです。そうすると、北ベトナムが入ってきたから、だからアメリカ軍がやっているんだ、援助に行ったんだというふうな言い方は、どうも問題をすりかえて、わざとごまかしているというふうにしか聞き取れないのです。 それから第一、ベトナムにおける外国軍隊としてはアメリカ軍が最大最強であって、それじゃ中国軍なりソビエト軍なりという北ベトナム側のいわゆる背景にある国々が実際に戦闘をやっているかどうかということがあるのですよ。そういうことはないんじゃないですか。いまベトナムにおいて戦っているのは事実上はもうアメリカだけであって、若干ごみみたいな国もついているかもしれませんけれども、そういうのは別として、大多数は、一番大きなものはアメリカ軍である。したがって、ベトナムにおける平和の条件はアメリカ軍が撤退をすることができるかどうかということにかかっているのじゃないですか。その点はごまかしのないように答弁してもらいたいと思うのです。
○国務大臣(三木武夫君) 最初は、いま言われるとおり、反政府運動として起こったのですね、ディエム政権……。それでベトミンなどの勢力ができたわけです。それがしかし、あとからは北からこれに対して兵力あるいは援助というような形で、これに介入してきたことば事実、歴史的に見ればそういう点はあるけれども、次第に北からこれに対して兵力あるいはまた物資等で介入したことは事実、そういう反政府運動に対して共産勢力が乗じてきたという歴史的な過程をたどったので、最初の言われるのはそのとおりでございますが、今日の段階においては北からもこの連動に対して非常な兵力も入れ、あるいはまた物資も入れて、そして介入してきておるというのが歴史的な現実でございます。いまのおことばの中に、外務大臣としてはやはりこれは取り消しを要求しなければならぬ。よその国をごみみたいな国だというようなことは、これはよくない。自分の政策に気に入らなくても、そういうふうなことはこれは慎んでもらう。これは取り消しでもしてもらわなければならぬ。これはよその国の名誉と——これは日本でもそうですよ、お互いの国の名誉というものを保持することがなければ、やはり外交というものは成り立ちませんから、この点はお取り消しを願いたいと思うのでございます。
○瀬谷英行君 そんなことを私は気にする必要はないと思うのですよ、外務大臣が。私はごみみたいな国と、そういうふうに言いましたけれども、南ベトナムにおける兵力の大多数を握っておるのはアメリカ軍でしょう。そのほかの国も若干ありますよね、多少の兵力を持っていっておる国が。しかし、財政的にも軍事的にもアメリカ軍に比べればまさにごみみたいなものだ、そういうことになるのじゃないですか、比較すれば。私の言っておることは違いますか、そうでしょう、実際問題としては。だから、そういうふうに私は最もわかりやすいたとえとして、アメリカ軍の実際の兵力あるいは財力に比べれば、このほかの南ベトナムにおける援助の国なんというものはごみみたいなものだ、こういうことなんですよ。だから一番問題なのはアメリカだ、こう言っておるのです。それを気にするということはあまり遠慮か過ぎると思う。もう少し日本の総理も大国の襟度を示して、そんなことは気にしないという、こういう態度が必要だと思います。
○国務大臣(三木武夫君) やはり兵力が少ないということを、そういうごみだというふうに言ったのだと言われますが、ごみというような、通常の日本のことばの響きは、何かこう軽べつするような意味がありますから、だから、いまは釈明と受け取ります。兵力が少ないと、そういうことで……。私はこのことは大事だと思うのですよ、小さいようなことで。よその国をごみだのといって、そういうことでやることはないので、それはわれわれも注意しなきゃならぬ。注意いたしますが、これはやはり他国の名誉というものは尊重するという精神がないと、これは外交というものはできないので、特にこういうことはこまかいようなことではないと、私はそういうことで申し上げたのですが、ことばが、兵力が少ないという形容詞にお使いになったというのでございますから、まあ、私もこれ以上は申し上げませんけれども、しかし、これは非常に私は大事なことだと考えておりますので、ここに再びやはり強調をいたしておくのであります。他国の名誉というものはやはり尊重しなければならないと思います。
○亀田得治君 結局、日本政府はアメリカ政府の政治的な立場、これを認めているんですよ。だから、そういうことではベトナム問題に対する発言力も弱いし、また実際的じゃない。私はベトナム問題の経過なり条約関係なり、そういうことは、きょうは一切触れませんでしたが、結局はベトナム人の民族自決、この考え方をほんとうに認めるかどうかです。あとの理屈はみんなつけ足しているものですよ、ベトナム人から見たら。そこで、総理に今度はひとつ端的に聞きますが、かりにいまアメリカがベトナムから全部手を引いたら、若干の私はいざこざは起こると思いますが、しかし、現在ベトナムで行なわれておるような残虐なことですね。そんなことは私は同じ民族の間であり得ないと思うのです。どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはどうも私ちょっとわからないのです。先ほど外務大臣がお答えいたしておりますが、それぞれのものがそれぞれの主義主張を持つこと、それはけっこうだ、とやかくいわない、外国のことだから、ということでございますが、しかし、それを力で片一方に押しつけようということは自分たちは賛成しない。これはもう非常に端的に外務大臣がお答えしたと思う。ただいま言うように、ベトナムから全部のものが手を引いたとき、一体どうなるか、これはわからない。それから少なくともジュネーブの最初の会議のときには、そういう意味で、一応それを押えようとした、おさめようとした、この事実は過去においてもあるのですね。でありますが、じゃ、いまの状態が一体どうしてできたかということを考えると、片一方で爆撃、これは北の爆撃を盛んに言っておる。しかし、私は非常に疑問を持ちますのは、地上戦争というものはどこでやられおるか、みんな南の地域じゃないか。かように考えると、ずいんぶんおかしな状態になっておるのだと思うのです。北からの侵透はないとか云々は言われておりますが、しかし、現実に戦いが行なわれておるのは南の地域です。北の地域じゃないでしょう。最近は帯状地帯においてありますけれども。だからそういうことでございますので、これはどうもやはり話し合いをする段階じゃないだろうか。先ほど来、いろいろ例を出されました。この戦いがいかに残忍であり残酷であるか、実際もうそれぞれが耐えられないような状態。そうして、ちゃんと世論調査をしても、戦いはやめるべきだ、これは南も北も同じように住民が言っておる、こういうのならば、これはやはり戦いをやめて、そうして私どもの日本のように憲法で、国際紛争は武力によって解決しない、こういうことは禁じられておる、そこで、平和手段で話し合いをつける、そういう姿に返るのが望ましいことじゃないかと思うのです。私はそういう意味で、かねてからこういうベトナム紛争をいかに処理したらいいか、そういうことで非常に悩んでまいっております。しかしながら、それぞれが自分たちの行動がいいのだ、あるいは完全勝利をみんな確信しておる。そうして戦いの道にどんどん励んでいる、進んでいる。まことに私は残念に思っております。しかし、これは必ず国際世論その他から見まして、もう戦闘を停止するような時期にきているんじゃないだろうか、かように思いますから、まああらゆる機会を通じて私どもは、北も南の情勢も正確に把握して、そうして話し合いの機縁をつくる、そういう機会を見出すんだということでただいま努力しておるような次第でございます。
○亀田得治君 そういう努力はけっこうですが、私が指摘しました、やはりこの民族自決の原則、これをほんとうにやっぱり土台にすべきだと思うんですよ、土台に。その立場でいろんなことを考えてもらいませんと、これは別個な政治的な角度から、腹の中では別なことを考えているというのじゃ、それはだめです、成功しません。 次に、ベトナム問題この程度にして移ります。
○羽生三七君 あの、次に移るようですから、ひとつ注文をいたしたいと思いますが、この前の総括のときに、総理は、ウ・タント国連事務総長が来日される機会には、十分日本も提案を持って積極的に話し合って、平和のために協力をしたいと、こうお答えがあったわけであります。それから三木外相は、十七度線を境として南北が競争的な平和共存をすることにして、ベトナムの戦争の終結を見たいと、こういうまあ考え方を述べられましたが、その後、第一のウ・タント事務総長につきましては、すでにいままでの提案は考慮外である。というのは、ハイフォンあるいはハノイの爆撃、北爆の強化等から、いままでの提案はすでに考慮外であるという発言が、この前の私の質問のあとから出たわけです。それから、いまの十七度線を境にして南北平和共存と言われた三木外相の発言、さらにジュネーブ協定を尊重してと言われた発言、ところがその後非武装地帯にアメリカが入ったために、実際にはジュネーブ協定がこの無効に帰したような状態になっておる。したがって、ウ・タント国連事務総長が見えられたときには、どうかほんとうにアジアの一国として、熱情を傾けてベトナム解決のために十分な話し合いをしていただきたい。これはもう特にお願いをいたします。来月十八日に、大体日もきまっておるようでありますから、この機会をのがさず、積極的なひとつ話し合いをぜひしていただくように、これは片方の国のアメリカを支持するというようなことじゃもちろんなしに、まじめな意味で、ひとつ戦争終結の具体策を持って解決に臨んでもらいたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 別にお答えする筋ではないということでございますが、しかし、ただいま言われますように、私は、あらゆる機会にあらゆる努力をするということを申しておりますが、一番近い機会に、それはウ・タント事務総長の来られるときに、それならば、ウ・タントさんのいままでのやられた努力から見ましても、私はたいへん話し合うのに適当な場所だと、かように思います。ただいま羽生君のお話しになりましたような、そういう気持ちで十分話をしてみたい、また、話をするつもりでございます。
○亀田得治君 それじゃ次に移ります。 防衛庁長官に聞きますが、日本には仮想敵国、対象国、これをあなたのほうでは否定されておりますが、ほんとにそういうものを想定しておりませんか。
○国務大臣(増田甲子七君) 亀田さんにお答えいたします。 日本におきましては、仮想敵国あるいは対象国ということを想定いたしておりません。
○亀田得治君 まあいつもそういうふうに、言われるんですが、私は、これは日本の平和安全の問題、基本的に大事な問題だと思うので、反証を出したいと思うんです、反証をね。おそらく防衛庁長官も知っているんだと思いますが、たとえば海上自衛隊の幕僚長であった中山定義、これが現役の出時ですよ、幕僚長として。三十八年二月の二十八日に、海上自衛隊と日本の安全、と、こういう講演をしておりますが、その中ではっきりとね、このウラジオのソ連の潜水艦、これを仮想敵として自分たちは平生から訓練をしておる、こういうことをはっきりこれは言っておる。知っておるでしょうあなた、これ。どうです。
○国務大臣(増田甲子七君) 当時の海幕長の中山君がどういうことを申したか、私はしかとは存じませんが、たとえばソ連のウラジオには潜水艦が百隻前後あるとか、あるいはポラリスと同様なものが、当時はまだなかったでしょう、おそらく、昭和三十八年二月ですから、あなたの御指摘のとおり。あるいは、あるであろうとか、あるいは中共には潜水艦がどれくらいあるであろうとか、あるいは国民政府にはどれくらいあるであろうとか、北朝鮮にはどれくらいあるであろう、韓国にはどれくらいあるであろう、USAにはどれくらいあるであろうというようなことは勉強しております。そうしてわれわれが、いま近代戦としての侵略戦争に対する防衛戦争でございます。その防衛戦におきまして、主として海上自衛隊が力を入れんならんことは対潜訓練である。対潜訓練がしっかりできていないと、わが本土を守り得ない、こういう見地のおそらく講演である。中山海将、幕僚長の講演の趣旨はそういうことであろうと私は考えておる次第でございます。
○小林武君 関連。私はこの前の質問のときにこの問題を取り上げてね、だましているんじゃないかということを言ったら、この点は同じことを杉田一次陸上幕僚長が、三十七年の三月に退官しておる、三十七年の九月、三月に退官して九月ですから、六カ月後にやった演説の中に、こういうことが書いてあるんですね。日本としては明らかに中ソというものを考えの中に入れている、そうやっていかなければならんということは、われわれとしてははっきりしている、この点が政治的にごまかされていると、こう言っている。仮想敵国を中ソであるということをはっきりと、政府がこれを公にせよと申しているのではないが、日本の国を守るということから、この点ははっきりわきまえて、一本筋が上から下に至るまで入っていなければいけないと思うのであります、この講演のその文章を集めた本は、池田総理大臣、当時の、それから大平外務大臣、福田防衛庁長官、当時の防衛庁長官、いずれもりっぱな方々でありまして——書いてある。それからいま海上幕僚長の話も出ましたから、この点見ますというと、ウラジオにたくさん船がいるということですね。そして日本やアメリカの海岸に近づいて攻撃をやる、これはわれわれの一番おそろしい頭痛の種である、でありますから、この点については、アメリカが持っておりますポラリス潜水艦のようなものを持つのも時間の問題だ、という前提に立っております。それが野放しに日本の三つの海峡から太平洋に出ていって、海洋国のコミュニケーションをずたずたに切るということ、これが重大な問題だと、こういっておる。でありますから、これはもう政治的にごまかされているということを、はっきり軍人自体、幕僚長が言っているわけですね。この幕僚長の場合は現職のときです。でありますから、そういう用語がございませんとか、仮想敵国はございませんとかということを言うのは、これは政治的なごまかしであるということ、国民をごまかしているんです、あなた方は。だからいまのような御答弁では、とにかくわれわれは納得できない。それでなければやれないと、こう言っているんですよ。それを防衛庁長官が御存じないということは、私はどうしても納得いかない。なぜこれをごまかさなければならぬのです。
○国務大臣(増田甲子七君) 杉田陸将がそういうことを言ったということは、おそらく小林君が御指摘になるからおっしゃったでしょう。しかしながら、いわゆる太平洋戦争前におきましても、おそらく仮想敵国なんというものは想定していなかったと思います。あなたの御承知の中ソ不可侵条約におきましては、「日本が」という字を明瞭に使ってございまするが、われわれは、毛頭それに対するものとして、中ソなんとかいうことは考えておりません。ただ侵略者が、こういうふうに潜水艦をもって日本の海上交通を侵略してきたような場合には、こうやって対処するんだと、あくまで侵略者が、いろいろな侵略のしかたを想定いたしまして、そうして侵略戦争に対する防御行為というものは、近代的には対潜訓練が一番でございます。その対潜訓練をいたしておるわけでございまして、太平洋沿岸諸国の防備のことは、この前にもこの国会におきまして、たしか衆議院だったと思いまするが、防衛局長から詳しく、アメリカの潜水艦はこれくらいあるであろうと、あるいは戦艦はこれくらいあるであろうと、それからウラジオを中心とするソ連はこれくらいあるであろうと、中共はこれくらいあるでございましょうと、ただいま得た軍事情勢はこれくらいでございますということをお答えいたしております。 そこで明瞭に、仮想敵国などというものは、われわれは定めていないということを、この際小林君に明らかにいたしておき、また、この席をお借りいたしまして、日本全体の国民の方に明瞭にいたしておくわけであります。訓練といたしましては、侵略者が潜水艦をもって侵略してきて、日本の通商通路というようなものを破壊しようとする場合にはこうやって守るんだ、そうして潜水艦を撃沈して、日本の平和と安全を守るんだという訓練はやっております。しかし、やっておりまするが、亀田君も小林君も御存じのとおり、日本の海上自衛隊の数というものはきわめて僅少でありまするが、財政、経済、国情、国力の上から、これでよろしいと私は考えておる次第でございます。
○小林武君 私は非常に心配いたしますことは、それでは、あなたがそれほどのことを断言なさる、それから総理大臣も同様な御意見だと、こうこの間述べておられます。そうすると、日本の一体自衛隊というものは、いまやもう皆さんの統率下にないですよ。皆さんは仮想敵国を持っておらないとおっしゃる。私は、最高指揮官としての総理大臣も御存じない、当面の責任者である防衛庁長官も御存じないが、いまや現地、自衛隊の幹部諸君は一体どうかというと、全く幕僚長のもとにおいて、仮想敵国は中ソであるということを言ってやっておる。そうならば、あなたの私が言った指揮権というものは、全くそこにないということを私は意味していると思うんです。これこそ私は重大な問題だと思う。野放しにされたそういう武力を持ったものが日本の国の中にあるということは、一体どうなります。私はあなたがそういうことをおっしゃっても、この前の御答弁によるというと——これは答弁してくれたのは島田豊君、政府委員の島田豊君が、これは幕僚間のことばとしてはございますという答弁をした。そういう用語はございますと言ったから、幕僚間の一体ことばとしてあるのかといったら、それをあなたはさらに否定された。公式の用語でございませんということを一応あとで島田君は言い直したけれども、幕僚間の用語とあなたたちの用語の間に、もうすでに開きがあって、統一がないのですよ。 こんなことで一体、日本の自衛隊はどういうことになるのですか。だれが何をやるということになるのですか。しかもその中に、こう書いていますよ。仮想敵国としては、アメリカはもちろん、イギリス、フランス、西独あるいはイタリアというのはソ連を考えていると書いてある。あるいはトルコにいたしてもとか、何とかかんとか、みなたくさん書いておりますが、こういう言い方をして、日本がですよ、仮想敵国というようなことを政治的にごまかしていると、こう言ったら、あなたたちはどういうことになるのです。あなたたちがごまかしているのだ。あなたたちとの間に全くもう連絡がなくなって、あなたたちは単なるロボットです。日本の自衛隊が別途の方向で、別途の考え方を持って動いているということになるのですか。どうなります。
○国務大臣(増田甲子七君) 海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊、すべて内閣総理大臣が最高指揮監督官でございまして、完全に把握いたしております。それを補佐するものとして防衛庁長官がこれを、隊務をつかさどっているわけでございまして、そうでないと、われわれがこうやってあなた方と同様に私服を着ているということが、シビリアンコントロールでございます、その実は必ずあがっております。 それから、実際に動く場合に、総理大臣が命令を下しまして、防衛庁長官を通じまして、これもシビリアンでございます。こうやってごらんのとおり、せびろを着ておるわけでございます。このせびろを着ている者が、制服の海上自衛隊の幕僚長を動かし、彼をして行動せしめる、一たん有事の場合でございますが。そういう点におきましては、われわれは完全にグリップをいたしております。また、われわれの監督者として国会がございます。国会というものが最高のコントロールの機関であると、こういう機関のことは、やっぱり小林君も誇りを持って考えていただきたいと思うのです、国会が誇りを持って。そうしてわれわれがコントロールをしているのだと、こういうことでやっていただきたいと思います。 それから対潜訓練というものは、相当の注意を払いつつ猛訓練をすべきものである。訓練をしないというと、私がちょいちょい使いましてしかられますけれども、月給どろぼうということになると思います。やはり猛訓練をしてこそ、国民一億というものがまくらを高くして眠られるわけでございまして、実際の行動は、昔の考えで考えますというと、ユニホームの、つまり昔のことばでは軍人でございます。その軍人を動かすのがせびろの服を着ている者であるからおかしなような感じがいたしますが、そこがシビリアンコントロールでございまして、どちらの方向へ行けというようなことは、総理大臣が命令を下して、東北のほうへ行けとか、あとこまかいことまではわかりませんが、そこで私がその命令を受けて、東北のほうへ行けということを、海上自衛隊や陸上自衛隊に命令するわけでございまして、その行くにつきましては、今度防衛行動であるならば、国会の事前もしくは事後の承認を受けなくちゃならぬ、そこにコントロールの最高の形があらわれているわけでございます。それから治安行動にいたしましても、国会に報告して承認を受ける、承認が与えられなかったならば、事後において効力を失う、治安関係におきまして、潜水艦ということはございませんでしょう、これは間接侵略でございますから。直接侵略のある場合に、いかなる国の潜水艦が来ようとも、現在われわれが保有している海上自衛隊と、それから、そこのところはあなたがよくわかってくださらぬと困るのでございますが、日米安保条約という安保体制のもとにおいて、アメリカ海軍なり、あるいは空軍なりの協力を得て、そうして日本の施政権下にある本土を守る、こういうしかけになっているわけでございます。でございまするから、昔のことばで言って統帥権なり——これは昔のことばですからお許し願いたいと思います。あるいは軍政権なりの最高の方は内閣総理大臣である、それが制服に命令するのですから、制服がかれこれ言ったって、そんなことは押えます。御安心願いたいと思います。
○委員長(新谷寅三郎君) 小林君、関連質問ですから、簡単に願います。
○小林武君 いやいや簡単と言ったって……。
○委員長(新谷寅三郎君) 関連質問の限度を越えないようにしてやってください。
○小林武君 総理大臣にお尋ねいたしますがね。私はやはり戦前の日本の軍ですね、のことをお考えいただきたいと思う。あのときの統帥権というのは、それはもうたいへんなものであったということは皆さん御存じのとおりなんです。その中においても、いわゆる天皇の命に反して行動したというようなことは御存じでしょう。その軍閥の横暴というようなことは、とにかく日本の、やはり歴史の中でも、とにかくどうしても忘れることのできない大きな問題です。だからこそいまの自衛隊については、政府といえどもいろいろなことを配慮してるんでしょう。ところがどうなんです。一番問題点は、あなたが、最高責任者であるあなたが仮想敵国を持たないと言ってるのに、仮想敵国を持ってると制服組が言うということになったら、これこそ私は、あなたは総理大臣として重大な責任を感じにゃいかぬと思うのです、ないものならば。しかしながら、私はそうは思わないのです。あるとしたらやっぱり国民の前で、政治的ごまかしということばを使っているのは陸上幕僚長のことばだけれども、その幕僚長のことばのように、やっぱり国会の前で明らかにして、そうしてその中でやるんでなければ、いつでもこの問題はいまのような繰り返しを、やっぱりやると思うのです。だから私はあなたにお尋ねいたしますが、もしもあなたがおっしゃるように、仮想敵国を持たないというのが、総理大臣として、あるいは防衛庁長官としての見解であると、方針であるということならば、仮想敵国を持ってる、アメリカもそうだ、どこの国もそうだ、日本もそうなんだ、ソ連海軍を相手にして潜水艦たたきつぶすというのがおれの使命だということを言ってるということについて、どういうあなたたちは態度をとる、これから陸上や海上や航空に対して、どういう一体あなたたちは責任をとらせるつもりなんです。これをお尋ねしたい。これは重大な問題ですから。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えします。小林君を納得さすというのはなかなかむずかしい。
○小林武君 いやいや、すぐ納得します。
○国務大臣(佐藤榮作君) すぐ納得されねば、ぜひ私の答えを聞いて納得していただきたいと思いますが、ただいまの仮想敵国という、こういうことばが何を意味するか、ときにこれは敵視してるというところへすぐ発展していく、こういう場合もあるんじゃないか、しかし、仮想敵国というのが、ただ単に防衛の任に当たる者たちが周辺の兵力に無関心だ、無関心ではございませんという、そう言ったからあれは仮想敵国をつくってるんだ、そしてさらに敵視の方向へ進んでいくんだ、こう論理が発展することはたいへん私は間違ってるんだと思うのです。私は、防衛の任に当たる者の最高の責任者として、これはもう全然この日本の周辺の兵力というものに無関心ではあり得ません。それかといって、いわゆる仮想敵国だとか、あるいは特定の国を敵視するとか、そういうようなことは絶対にございません。ちょっと聞いてください。聞いてもらわぬと困る。それでですよ。さらにまた、いまその制服が背広の言うことを聞かない。いまそういう状態がもう出てきていると、かように言われますが、私は責任を持って、さような状態はございません。私の命令一下ちゃんと、また私の考え方を十分理解し、そしてそれに協力をしております。そのことははっきり申し上げておきます。ただ先ほど申しましたように、いわゆる仮想敵国という、それは何を一体意味するのか、そのまた論理がどんなに発展していくのか、そういうことを考えるんですよ、私どもは。仮想敵国というものを持っておらない、こういうことをはっきり申し上げます。しかし、防衛の任に当たる者が日本周辺の状態について全然無関心である、そんなことはございません。それはもう関心を持つのが当然であります。しかし、それが直ちに仮想敵国に発展する、かようにお考えになるのは、これは行き過ぎだと思う。
○亀田得治君 これははっきりしてもらいませんとね、これは困りますよ。一度論文を、中山海幕長、それから杉田両氏の、陸海のこれは責任者でしょう、現役の。その諸君が、政府が仮想敵国をぼやかすのはけしからぬと、こういう意味のことをはっきり言うてるわけなんですね。それからもう一つ、恵庭事件で、田中元統幕の事務局長、これは何回も証人に出たわけですが、その中で、やはり対象国の存在を認めているわけですよ、対象国。あなたは否定されているんですが、対象国。弁護人のほうで、それではその対象国の名前はどれかと聞いたところ、これは授賞の承認を得ないと証人としては言えません。こういう意味のお答えで終わっているわけなんです。あることは事実なんですよ。こんなことを隠されちゃこれは審議できませんよ。防御問題を論ずる基礎なんですから、そこら辺の考え方が。はっきりしてくださいよ。これは偽証していることになりますよ、田中さん。そんなことを偽証するはずがないでしょう。
○国務大臣(増田甲子七君) いま中山当時の幕僚長の発言が手に入りました。これで見ますというと、私も申し上げ、総理も回答申し上げておるとおり、ウラジオ付近には百隻ぐらいの潜水艦がありますということを言っておりますが、これは防衛局長がしばしば両院において申し上げております、中共にはどのくらいありますということもさらに言っておりまするが、それだけのことを言っただけでございます。別段私は、この論文は講演要旨で、論文ではございません。この講演要旨について中山君が責任を負えるかどうかということはさらに私は追及をしなければいけません。
○亀田得治君 ウラジオに百隻あるということだけを言うているんじゃないでしょう。それを目標にしてやっているということなんでしょう。
○国務大臣(増田甲子七君) そういうことは書いてございません。
○亀田得治君 それははっきりは書いてないが……。
○国務大臣(増田甲子七君) 書いてございませんし……。
○亀田得治君 これは委員長、休憩して、はっきりしてください。
○委員長(新谷寅三郎君) 休憩というわけにいきません。
○国務大臣(増田甲子七君) われわれは……。
○亀田得治君 そんなごまかしはだめですよ。論文全部読んでください。
○国務大臣(増田甲子七君) それから、杉田君の論文というものは、まだ小林君が御指摘になっただけでございまして、私はこれからよく見せてもらいたいと思いまするが、杉田君の退職後の発言であろうと思っております。退職後の発言まで私は責任を負えないわけでございます。
○亀田得治君 中山は現役ですよ。
○国務大臣(増田甲子七君) それから、その次は、対象国ということを申し上げます。対象国ということは……。
○亀田得治君 休憩してそれ読んでください。
○国務大臣(増田甲子七君) ちょっとしゃべっているうちはあんた聞いてくださいよ。やはり政府が回答している間は……。
○亀田得治君 そんな、むだですよ。事実を事実として認めなければだめですよ。同じことでいつも対象国になるとこんなことになる。
○委員長(新谷寅三郎君) 亀田君、答弁中ですからね、答弁聞いた上で御発言願います。
○国務大臣(増田甲子七君) 対象国というものは、私が防衛庁長官たる間、また将来も使わせませんということを申し上げます。
○亀田得治君 だめですよ。休憩してやってください。
○小林武君 なお、これ議論さしても何んですから申し上げでおきますが、その中で海幕長は何と言っているか。海のことを申しますと、このソ連のあれを言って、潜水艦をやっつけるというのがいまのアメリカ海軍及び私らのほうの至上命令になっております、こう言っている。これなんかは社会党の編さんじゃないですよ。
○亀田得治君 全部読んで、冷静にわれわれの言うことが言い過ぎかどうか、答弁してください、全部読んで。委員長休憩してください。
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっとお待ちください。休憩はそう簡単にできませんから。
○亀田得治君 だめですよ。そんなごまかしで通るということはいかぬ。この前、小林君のときでもそうです。対象国なんというのはしょっちゅう使っているじゃないですか。使っているものを使わぬなんて、そんな国会に来てうそなんか通りませんよ。
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をとめてください。 〔午後零時三十分速記中止〕 〔午後零時四十二分速記開始〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。 ただいまの亀田君の質疑中の問題の取り扱いにつきましては、理事の方々と協議の結果、休憩中に政府側でさらに検討の上あらためて答弁を願うことにいたしまして、亀田君の質疑を続行することにいたしたいと思いますから御了承願います。亀田君。
○亀田得治君 外務大臣に端的にお聞きしますが、日本がほんとうに平和外交で進んでおるというような場合に、日本に対する侵略と、そういったようなことは考えられますか。
○国務大臣(三木武夫君) 現在もし日本に侵略をすれば、安保条約のこれは発動がすぐにありますから、日本に侵略するということは、その国とアメリカとの間の戦争を覚悟しなければ入ってくることはできませんから、それがあるからというのでもないですけれども、もし万一という国民にはばく然とした不安はあるでしょうから、いざというときにはこういう大きな保障があると。そういう保障がある上に、なかなか今日の国際情勢のもとで、理由なしに人の国に侵略するということは容易にできなくなっていますね、国際情勢は。しかし、もしもそれでもなおかつ侵略するものがあれば日米安保条約を発動して、これはアメリカも日本と一緒になって防衛の責任を負うわけですから、アメリカとの戦争を覚悟しなきゃならぬということで、これはもうたいへんなことですから、そういうことは考えておりません。
○亀田得治君 私の聞いているのはそういうことじゃない。安保などはない、そういう立場で聞いているんです。日本だけで、そうして平和外交で徹して諸外国と交際しておると、そういう場合に私の意見を申し上げれば侵略なんていうのは考えられない、安保がなくとも。その点を聞いておるわけです。それは理由は、時代は違いますし、いわゆる資源というようなものは日本にはない。人間はたくさんおる、この知恵で盛り立てておる国なんですがね。いわゆる資源はない。また、軍事的に見ても、兵器の発達で非常に価値というものが少なくなっている。また、侵略といったようなことは、これは世界の通信が発達しているんですから、世論の前にたたかれるわけですね、ほんとうのそういう平和国家に対する侵略ということはよけいたたかれる。私はそういう立場から安保がないからといって、日本がほんとうに平和に徹した外交をやっている場合に侵略ということは私は考えません。外務大臣どうです。
○国務大臣(三木武夫君) 容易に今日の世界では、侵略ということは私もできぬと思いますよ。ただし、一つの外交をやっていく場合に侵略という事実はなくても、軍事的の一つのものを背景にして圧迫を加えるということがありますね、そういう点は、だから現実に軍隊が上陸してきて、あるいは上陸といいますか、軍隊を入れてどうということはないけれども、いろんな膨大な軍事力を背景にして外交に一つの圧迫を加えるというようなことは今日の世界にもあり得ると思います。また、国民からしても、いますぐにどこの国が侵略するという、そういうふうな意味における不安は私は持っていないと思う。しかし、ばく然として、まだ国際的に平和が、絶対の平和が確立されたという状態でないですからね、ばく然たる不安を国民が持っているということは事実だと思います。政府としてはこういうことで、これは社会党と意見が分かれているわけですけれども、このばく然たる国民の不安にこたえることは政府の責任である。そういうことで自民党政府の防衛政策が生まれてくるわけであります。これは社会党と違うんです。しかし、そういう意味においてなかなか侵略は容易にできぬということは、私どもはやっぱり亀田さんのようにそうだろうと思います。しかし、外交の圧力を受けるということはありますからね。
○亀田得治君 そこが根本問題なんですよ。何もしなくてもいいものをわざわざ安保条約を結んで、そうしてアメリカは、これははっきりアジアで対象国、仮想敵国というものを持っておるわけですね。これははっきりアメリカ自身がそういうふうにたびたび、いろいろな演説で言うておる。安保を結ぶことによって、本来は平和でいけるものをそこに引きずり込まれておるのが現在の状態、そういう状態で、日本も対象国を持たざるを得ぬ状態になっておる。これもあるとかないとかさっきから議論になっておるが、あとからこれははっきりしてもらいましょう。ないというようなことを言ったって承知しませんよ。で、私はともかくそういう立場でもっと考えてほしいと思うんです。安保なんていうようなものを前提にしてしかものを考えないというのは、これは時代が古いですよ、こんな考え方は。やはりほんとうに平和憲法の立場に立って、そうして日本の平和を守っていくんだ、そういう立場をとらなければ、たとえばベトナムあるいは沖繩問題、いろいろなことについてだってなかなか強い発言力になりませんよ。私たちはそういう信念を持っているんです。単なるこれは空想でもなんでもない。そのほうが強い。何かひとつやっつけてやろうと思っておるような人は、相手がやっつけてくるんじゃないか、こう思いがちですわね。日本の人は大部分が、というようなことをさっきあなたおっしゃいましたが、決してそんなことはありません。聞いてごらんなさい。また、若干の世論調査もあるわけです。どうですか、おまえの考え間違いだと——。これは総理大臣に一ぺん聞きましょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは国の安全を確保する、そういう意味で私はただいまのような体制を続けていくというのが私の信念でございますし、また、これは国民大多数もそれを望み、また、今日の体制を支持しておる、かように私は確信をしておりますが、しかし、ただいま亀田君の言われるような説を述べる学者もある。これはもう新聞に出たんでございますから。そういう学者もある。しかし、その学者にしてもとりあえずは、やはり日米安保体制のもとにあって、そうして今度は積極的にわが国の憲法、平和憲法が命じたこの立場に立って積極的に相手方を説得しろと、こういう主張をしております。しかし、やっぱり何らか一まつの不安を感じている。一まつの不安を感じた結果が、現在の日米安全保障体制、やっぱりそのもとにあるということのようでございます。私は、そういう意味で、これはたいへん勇気を要するものだと思いますが、また、いまも、これから先の見通し等について、これからしょっちゅう侵略行為が行なわれるとは私は思いません。思いませんが、それにしても、この国の安全を確保するという場合に、何だかたよりなさを、ただいまのような状態では私は感じられる、こういうことであります。
○亀田得治君 まあ一まつの不安の程度は、これは軍備持ったってあるんですよ。ともかくわれわれの考え方というものを真剣に検討してください。 それでは、次に移ります。核拡散防止条約で外務大臣の説明を聞くと、平和利用という面に一番重点を置いておるようですが、私はそうじゃなしに、やはりこの核兵器保有国の核軍縮の義務、このことに一番力を入れなきゃならぬ問題だと思うんですが、どうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 最初から、やはり核軍縮というのは私もそういうふうに思っています。平和利用の面も、これは日本の将来の科学技術の発展、産業の開発にも非常に影響するから、きわめて重大なものだと思いますよ。しかし、やはり核軍縮というものも、これは重大な問題であるという認識は、私も同じに持っております。
○亀田得治君 平和利用の面が多少おくれても、われわれの生活が多少不便だという程度なんでしてね、それに比較したらこの核兵器の全廃、こういうことはもっともっと質的に違った重要性を持ってるんですよ。ぜひ私は——これは西独等もそう言うとるわけですね、この条約の中に明記すべきだと。そういうことにもっと日本の政府は力を入れるべきだというふうに思ってるんですが、どうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 核軍縮に対する日本の主張は、相当強い主張と世界でも映っております。必ずしも西欧は軍縮というもの——まあスカンジナビア諸国などは非常に熱心ですけれども、日本はやっぱり世界の中でも、核軍縮に対しては最も熱心な国の一つだと私は思っています。この点については、今後も、軍縮委員会に草案が出ましても、その後においても努力を、日本は最後まで続けていきたいという問題点でございます。
○亀田得治君 この条約の本文の中に核軍縮の義務を入れると、そういう主張をいたしますか。初めは、何か少しその点弱かったでしょう。西独からブラントが来てから、若干気分が変わってるんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。
○国務大臣(三木武夫君) いや気分は変わらぬです。終始、本文の中に入れたいというのが日本の強い希望でございます。しかし、これは必ずしもそのとおり実現するかどうかというものに対して、一〇〇%の私は自信を持っておるわけではない。しかし、これは最後まで努力をしたいと、ことに核の被害を受けた日本の国としては、この主張というものは当然になさるべきであるのが日本の立場であると考えております。
○亀田得治君 それから、全面軍縮の問題ですね、これに日本政府は本格的に取り組むべきだと思うんです。といいますのは、専門家に聞いてみると、核兵器も平和利用もこれはちょっとの違いだと、いつでも隣り合わせで利用でき合えるものだと、こういうことらしいんです。したがって、平和利用が進んでるといったって、潜在的には核兵器保有国みたいなものなんです。ところが、核兵器のほうは進んだ、次は生物化学兵器だと、いろんなものが言われておりますね。だからこういうことを考えますと、ほんとうに全面軍縮という問題に、ことばだけじゃなしに本格的に日本政府は取り組んでほしい。アメリカに対して軍縮会議への参加について協力を求めておられるようですが、そういう立場で、ソ連に対しても要求をすべきじゃないか、そういう接触の機会が多々あるわけですし、七月には外務大臣、定期協議ですか、あるわけですし、そういう点の協力をソ連に対しても求めるべきじゃないかと思うのですがどうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 先般、ソ連の大使を呼んで核拡散防止条約に対する日本政府の基本的考え方というものを述べて、こういう日本の主張に対してソ連も十分な考慮を払われることを要請したのです。そのときにこの問題を私から取う出して、トロイカ方式などを言えばなかなか問題は解決しませんからね、そういうことでなしに、今日、とにかく核兵器なんかに対しては、世界で一番鋭敏な感覚を持っているのが日本ですし、軍縮の熱意を持っておる国だから、ぜひ十八カ国軍縮委員会のメンバーに日本も入れるようにソ連の協力方を要請をいたしました。今後も努力をしていくつもりでございます。
○亀田得治君 その際のソ連の回答はどういうことですか。
○国務大臣(三木武夫君) 本国政府にこれを伝えるということで、前もやっぱりソ連のほうに難色があったわけですからね。今後、これはすぐに実現するかどうかということはなかなかやはり言い切れませんが、これは努力してみる値打ちがある問題であると考えておりますので、今後とも努力をいたします。あるいは定期の外相会議のときにも、これは持ち出す考えでございます。
○亀田得治君 軍縮委員会に加盟しても、どういう立場で日本が進むか、全面軍縮の問題に対して、これが非常に中身が大事だと思うのですね。私は、もうここまで世界の情勢が進んでくれば、やはり、まず第一に国連を完全なものにする、たとえば、中国の加盟、こういったようなものもともかく話をつけて実現をする、そうして、その新しい国連は、各国の主権を相当譲ってもらう、そういうところまでいかなければなかなか進まないと思います。各国の主権の制限、こういう問題。 それから、第三には、たとえば原子力、こういったようなものは国連で管理をする、平和利用は、各国が十分それができるようなことが前提で管理をしていく、こういったような三つの事柄を私は一つの柱として考えなきゃ、いままでのようなやり方で何か軍縮会議というものが相手よりもこちらが強くなるためにかけ引きをする、そんなようなやり方ではもうとてもだめだと思うんです。軍縮会議に参加しようという以上は、そこに外務大臣なり総理としてのお考えがあろうと思います。その点をお願かせを願いたい。また私が申し上げたことも、それは理想論で一顧の値もないことなのかどうか、そういう点についても所見を承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 亀田さんの説を一顧にも値しないと思わない、一つの見識を示したものである、亀田さんの見識を示したもので、残念なことには、まだまだ現実の世界がそこまでいってないという現実と理想のギャップはありますけれども、将来、国連というものが、強化なって、そうして、国連が一つの核管理などをするような形になっていけば、やはり世界の平和確保のために非常に大きな前進だと思います。だから、あなたの説を一顧にも値しないなどと考えておりません。非常な見識だと思いますが、残念ながらいまの現実はなかなかそこまで来ないのだと、そのために長い長い人類の努力が必要だと考えております。
○亀田得治君 私の意見に対する評価はありましたが、政府自身としてはどういうふうなもくろみといいますか、もくろみというところまでいかぬかもしれぬが、方針、考え方ですね、軍縮会議に臨むとしたら。大まかでもいいですから、明らかにしてください。
○国務大臣(三木武夫君) 政府ということになれば、これは現実の政治をやっておるわけですから、いきなり理想に一足飛びに飛べないわけですから、軍縮の場合でも段階的な軍縮を考えざるを得ない。だから、核軍備競争を停止する。それから核軍備を縮小する。そしてまた一般の普通の兵器とも一緒にして——核だけというわけじゃないのですからね——一般の普通のやはり兵器もこれは戦争の脅威になることは事実ですから、全面的軍縮条約というようなものができて、そうしてもう核も、普通のやっぱり軍備も縮小される。そしてやがては、最後はもう核兵器放棄、少なくとも核兵器はこれを放棄する、こういう段階を通じて軍縮を進めていくことが好ましい。だから、段階的な軍縮、これがやはり日本の政府としては考えておる点であるわけでございます。一足飛びにはいかない。
○亀田得治君 段階的……一応承っておきますが、ともかくそういう立場で軍縮会議にも参加したいと言っておりながら、少なくとも国内の防衛力の拡張ということくらいはやめたほうがいいのじゃないですか。矛盾があるじゃないですか。どうなんです。
○国務大臣(三木武夫君) まあ、日本の軍備ですがね、やはりいろいろな計算があると思いますけれども、予算などからすれば七%程度でありますが、やはり国の国民所得とか、総生産とかいうものが軍備の基礎にもなるわけですから、そういうのに比べますと、世界で一番低いのが日本でないでしょうか。この間パキスタンの外務大臣が来て、六〇%だと、軍事費が。ようやく予算の四八%になった。そういう話を外務大臣が来て言っておりましたが、これは極端な例ですけれども、二、三〇%というものはやっぱり軍事費に使われておるのです。だから、日本の七%という予算に対する割合は、世界からいえば、一番予算の割合からすれば低い軍備であって、いま日本の自衛隊の軍備が世界の軍縮会議の議題にこの問題がのぼるとすれば、もっともっと世界各国の軍備というものは、非常な軍備、軍縮というものが進んでこなければ、まだ、いきなり日本の自衛隊の戦力が世界の軍縮会議の議題になるというようなものではない。もしこれがなり得るとするならば、その前にやらなきゃならぬことは、それはもうたいへんな軍縮を世界の各国がしなければ、まだ日程にのぼるような軍備だとは私は考えておらないのでございます。
○亀田得治君 日本の軍備の現状を客観的にどういうふうに評価したらいいのか。これはいろいろ見方があるようです。しかし、政府がおっしゃるように、それは小さいのだということであれば、かえってそのほうがいいじゃないですか。ほんとうにこう全面軍縮を、軍縮会議に参加して、段階的でもいいでしょう、打ち出していこうというのであれば、小さいものがあるほうがいいでしょう。少なくとも第一段階として、小さいほうにならえ、そうしてあなた、節約された金は、たとえば南北問題の解決にどんどん使うとか、こういうことは私たち賛成です。だから、その姿勢ですよ。こういう問題に臨むそういう姿勢をほんとうにしゃんとして臨むためには——たいして役にも立ちそうもないというような説明をときどき聞くのですが、そんな程度のことなら、とめておいたらどうか。そうしてそのとめた分は、もし計算できるものであれば、南北問題解決のために、この低開発国の援助をふやしていく。このほうがよほど私は日本の評価が上がるし、軍縮会議に行っても誠意というものは認められると思うのですが、どうでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) まだ、ほどほどの軍備といいますか、ある程度やはり軍備は日本は持たなければ、全部防衛をアメリカに依存するということでは独立国家として立っていけない。したがって、この全防衛力をだんだんと、いままでは日本の防衛力は十分だとは言えないのですから、質的にも防衛力を充実していく必要があると思います。しかし、むやみに日本の防衛費というものを非常にふやしていくということは、私はそれは考えなければいけない。しかし、だんだんとこの防衛力を質的に強化して、そういう意味でいまのままでいいとは思いません。しかし、漸次増強していくのに対して、一ぺんに比躍的な日本の防衛力の増大ということは、それは慎重に考えてやらなければならない。しかし、いまのままで全部ストップして、それで南北問題に金を使えということにもいきますまい。ほどほどの漸増は必要だけれども、非常にばく大なこの防衛費をこの際つぎ込むということは、私はやはり慎重でなくてはならぬと思います。
○亀田得治君 まだ徹底していませんな、考え方が。 それでは次の問題に移ります。 総理の外遊ということがたびたび——この外遊を総理は非常におきらいになるそうですが、外国訪問ですね。大体この日程なり目標が固まってきておるようでございますが、御説明願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 結論から申すと、まだはっきりきまっておりません。しかし、私は昨年は外国には全然出かけなかった。ことしになりまして、ぜひ機会を得て外国へ行く。ことにアジア——東南アジア諸地域との親善関係、これはもっと進めたいし、また、経済協力なども進めたいと、かように考えておりますので、いろいろくふうしているわけでありますが、どうもなかなか、東南アジアと一口には申しますが、たいへん多数の国がありまして、これを一々歩くということは、たいへんむずかしい状況でございます。これのどこに行って、どこに行かない、こういうこともなかなか決しかねる。こういうことで、いま事務的にいろいろ検討させております。ただいままだその発表の段階でございません。したがいまして、新聞記事等を見ましても、あるいは非常に長期にわたっての外遊を、外国訪問を報じているところがあるかと思うと、あるいは外国訪問を二回に分けてやったらどうだと、こういうような案が出ているような次第でございます。まだきまっておりません。しかし、少なくとも出かけます三月くらい前には、もうぜひ決定しなければならない、かように思っております。相手国の都合もありましょうから、出かける限りにおいては、やはり首脳者との会談の機会をつくりたいと思いますから、そういうことで、まだ皆さん方に申し上げる段階になっておりません。
○亀田得治君 東南アジアに行けば当然低開発に対する援助の問題、これがさらに話題になると思います。外務大臣はこの点非常に最近積極的な姿勢を示しておられますが、私も根本的にこれは考え方として賛成です。たとえば、この援助の場合の金利三%、二十五カ年、こういうことでなきゃだめだとか、こういうふうに外務大臣ははっきりおっしゃっております。おそらくこれは総理としても聞かれることだと思います。あるいはまた技術援助をもっとふやさなければいかぬ、そういったような問題ですね。外務大臣が指摘しているような考え方、大体総理も同じですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま国際的な申し合わせというか、あるいは決議といいますか、そういう方向へひとついこうじゃないか、こういうのが一つございます。しかし、日本の場合には日本の独自性が一つございますので、援助をする場合に、国内のものを全部犠牲にしてというわけにもまいりません。そういうところにむずかしさがあるわけであります。しかし、ただいまは、各国とも開発途上にある国を援助する場合に、もっと長期で低利である、こういう形に進んでおります。また、債権国会議等を開きましても、外国が援助している、そうして多数国が援助するというような国は、非常に困っている状況にあるのでありますから、そういう意味で、特別な長期にわたり、また低利、こういうことが望まれて、そうしてその決議がある、こういうことであります。過去におきまして、日本がそういう場合に日本の特殊性を主張したこともありますけれども、ただいまの状況では、外国と事前に十分相談をして、そうして各国が困らないような決議をする、そういう方向にある、かように思っております。外務大臣の答弁はおそらくそういう点を率直に申し上げたのじゃないか、さように私思います。
○亀田得治君 韓国はこのスケジュールには入らぬと見ていいんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 韓国とおっしゃる意味、訪問ですか。
○亀田得治君 ええ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 訪問、これは別に考えたのでございます。ただいま私どもが予定した時期では、どうも両国の意見が合致しない、こういうことでございます。
○亀田得治君 アメリカは行くんでしょうね。
○国務大臣(佐藤榮作君) できれば行きたい、かように考えておりますが、何ぶんにも、これは相当後になると思いますので、国内の問題もそういうときにはいまとまた変わった状態が起こるだろうと思いますので、そこらも十分勘案してきめなければならぬと思っております。まだきまらないことであります。
○亀田得治君 アメリカに行かれた場合は、当然大統領にお会いになる。ベトナム、沖繩、安保、これらの問題に当然触れられると思いますが、そういう点はいままでいろいろ議論もされておりますが、小笠原、これは沖繩よりも返してもらいやすい条件があるから、分離して返してもらうというふうなことを外務省のほうが検討しておるようでございますが、これは当然そういうことも議題になろうと思いますが、総理はこれはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は機会あるごとに沖繩、小笠原、これと一緒にと申しておりますが、同時に北方領土も、これは相手の国が違いますけれども、日本の領土として主張すべきは絶えず主張する、こういうことで機会あるごとに申し上げておりますから、誤解はないだろうと思います。ただいま小笠原のほうは沖繩と分離してたいへん返しいいのじゃないのか、こういうような御意見であります。過去の墓参等について交渉したその経過から見ましても、そう容易な問題だ、楽な問題だ、かような結論を持っておりません。なかなか複雑な問題があるようでございます。
○亀田得治君 外務省はどうなんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 小笠原については、沖繩と分離をして、そして返還要求をしようという考えではないのです。小笠原に住んでおった人がまだ帰れずにおるのですから墓参は実現したので、何とか帰島というものができないかということでひとつ努力をしてみたい、こう考えておるわけでございます。
○瀬谷英行君 関連、いまの問題。この間の分科会で外務大臣にお伺いしたのでありますが、この前の予算委員会の際ですね、沖繩の返還についての質疑が行なわれた際に、軍事上の理由というものをいろいろあげられたわけなんでございますが、現在の沖繩の地理的な条件その他、それに比較をすれば、小笠原の場合は、その現在の位置から考えてみても、沖繩よりももっと日本に返還をする場合の条件がむずかしくないんじゃないかということを考えたので質問したのでありますが、いまの外務大臣のような答弁が先般あったのですが、いまの総理のおことばによると、非常に複雑な内容のものがあるというようなことを言われた。その複雑な内容というのは、軍事的な何か理由があるのか、あるいは、それ以外の事情があるのか。一体どういう事情があって小笠原の返還というものがむずかしいのか。日米が日米の友好関係ということをいままで強調されておりますが、もし対等な立場における友好関係であるならば、理由もなしに、これといった重大な理由もなしに日本人の帰島をも許さない、たまさか墓参り程度しか許さない、こういうようなことはわれわれのふに落ちないところであります。だから、小笠原の問題については解決の可能性があるのならば、早期にこれは帰島を許すだけではなくて、返還をこれは求める、積極的に求めるという態度を政府としては示すべきでないかと思うのであります。その帰島を求めるということもちょっとはばからなければならない理由があるとすれば、その理由をこの際総理からお答え願いたい。 それからもう一つ、総理の答弁に関連してお尋ねいたしますが、これは亀田さんの質問にはなかったけれども、北方領土の問題にも関心を持っておる、こういうことを言われた。北方領土の問題ということになると、国後、択捉あるいは歯舞、色丹ということになってくるのではないかと思うのでありますが、その場合に、ソビエトと話し合いをしなければ問題は解決しないだろうと思います。総理の外遊計趣の中で北方領土の問題に触れられるとするならば、ソビエトを訪問してこの問題について話し合いをするということもいまスケジュールの中に組んでおられるのかどうか、このことについてもお伺いいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 小笠原の問題は、この前に墓参が許されたそのときの経緯、これは福田前防衛庁長官にいろいろ折衝さし、そうして私どもがその後この問題と取り組んだのであります。ただいま瀬谷君からお話がありますように、小笠原にもまだ帰島が許されていない、まだわずかに一部が帰島できたという程度でございます。したがいまして、これはその辺の制限がある、そこらに複雑なものがあるという——まあ、複雑ということばはあるいは適当でないかもしれませんけれども、ただいま申し上げたのでございます。ただ私は、小笠原は当然日本に返るべきものだ、かように考えておりますし、また、そういう決意のもとに私は行動すべきである、かように考えておりますので、よくアメリカと話し合ってこれが実現ができるようにしたい、かように申したのでございます。事情はよく瀬谷君も御承知のようでありますから、それ以上のことは詳しく申しません。 また、北方領土の問題でありますが、歯舞、色丹、国後、択捉、これは全部を含めての問題でございます。これはもう長い間一貫してわが国の主張は変わっておりません。あらゆる機会にこの話をしておるわけであります。今回も私はソ連には出かけません。ことしはどうも無理なようでありますから、出かけるわけにはまいりません。しかし、東京に赴任してまいりましたソ連大使とせんだって会いました際も、最初から実はこの話を持ち出してあります。こういうことも、あるいは最初から話をすること、領土の問題を持ち出すということは、あるいは外交儀礼に反するか知らないが、これは両国間にある多年の懸案、重要事項である。だから、総理——大使、そういう間においてこれは機会あるごとに話し合って解決の方向に進めてほしい、こういうことを実は申し入れたのであります。同時に、その際も私自身がモスコーを訪問するように重ねて招待をされました。これに対しては私、丁寧に招待をお受けするということだけは申し上げましたが、その時期等については、まだ明言はいたしておりません。そういうこで、この問題とも今後とも変わらない取り組み方をするつもりであります。
○亀田得治君 五月二十二日、川島特使もコスイギン首相から重ねて招待のことばを受けたようですね。相当、総理はこの意欲が出てきておるようでありますが、来年あたりは行く可能性はあるんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも日本では、来年のことを言うと鬼が笑うと言いますから、まして、どうも総理というような立場におりますので、来年のことはあまり言わないほうがいいかと思いますが、私はモスコーに出かける。これはもういま外務大臣との定期会談等がございますけれども、やはり私自身が、総理自身が出かけることが望ましいと、かように考えて、その考え方にはただいまも変わりはございません。
○亀田得治君 それでは最後に会期問題について若干お聞きしておきます。これは福田幹事長もすでに、会期問題は検討しなければならぬ、こういうことを記者団にもしゃべっております。総理の考えはどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはもう率直に申しまして、政府の考えも、あるいは同時に国会の考え方があるだろう、各党の考え方があるだろうと思います。各党はどういう考え方をされるか。この際政府の考え方を率直に申し上げますと、なかなか、この国会は途中で地方選挙があったと、こういうことで、たいへん審議その他が混乱している。混乱ということばが不適当ですが、やや軌道に乗ることがなかなかむずかしかったと、かように思っております。ただいま重要法案の提出もおくれておりますが、同時に、その重要法案の成立等の見込みもこのままではややむずかしくなるんじゃないだろうか。衆参両院の各議員方に特別に努力を願い、ずいぶんおそくまで審議をしていただいた。毎日毎日熱心に御討議をいただいておりますけれども、なかなか所定の法案を成立させることもむずかしいのじゃないかと、かように実は思っております。いままでも冒頭にお尋ねがありました、あと残っている問題で一番重要な問題というのは、何と言っても政治資金規正の問題がありますし、これだってその成案を得るのがおくれております。それだけに必ず、国会に出てくれば各党とも熱心なる討議が行なわれるだろうと、こう思います。過去のこの政治資金規正に関する法案の取り扱い方を見ますと、国会審議にずいぶん長い期間を要しております。費しております。そういう実績において考えると、たいへん、この六月末までの会期で、いま申し上げたような重要法案、公害基本法とかあるいは都市計画法だとか、再開発法だとか、その他まだ未提出のものがございますが、そういうものの審議を終了することは困難じゃないだろうか。まあ、衆参両院の議員の方の積極的な御協力を願って、そうして会期延長などはなるべくしないようにしたいものだとは思いますけれども、どうも、ただいまの審議の経過を見ると、ある程度これは必要なんじゃないか。それなら一体その審議の期間をどのくらいに考えておるかと、こういうようなことですが、これは私まだただいま申し上げるような段階ではございません。これらの点については、やはり衆参両院当局と政府とよくひとつ相談したいものだと、かように思っております。
○亀田得治君 大体、総理の考え方はわかりました。それで、ともかく重要法案がたくさんあり、まあ現在、昨日調べたのでは七件成立しておる。非常に率が悪い。そういう中で、さらに、たとえば、外国人学校法案、これはこちらから出してもらわぬほうがいいと言うと、社会党から言うだからというて、それに従うわけにはいかぬという、その理屈はわかるのですが、そのようなものは一体どうなるんでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 非常に端的なお尋ねでございます。特殊学校の問題、これはぜひ成立を見たいものもございますし、ものによっては、これは反対されるようなものもあると、こういうことで、その取り扱い方についてずいぶん苦心をしております。私どもも、各党で十分事前に相談のできるものは相談をしたいと思います。ただ、問題は、こういう法律案を、社会党がどう言われたから、あるいは共産党がどう言われたからと、こう申すわけじゃありませんが、やはり政府、政治の責任者としてのこの法案の提出、そのまた国会の審議、これはもう拘束しないつもりでありますから、やはりその責任の所在は明確にしていくというのが望ましいことじゃないかと思っております。それだからといって、よく相談のできるものは相談するということでありますから、ただいまの外国人学校の問題など、ただいま政府でもその取り扱い方に実は腐心しておる最中である、かように御理解をいただきたいのであります。私、これ、あと会期は短いし、また重要法案はいまの政治資金規正法だけじゃありませんし、厚生省関係のものにいたしましても、医療費関係などは、これは重要な法案ですから、それらのことを考えますと、短い期間中にいろいろ問題を引き起こすこともどうかと、あまり政治的な考慮が払われないと、そういう意味の非難が必ずあるだろうと思いますので、まあ、それらに処して万全を期したいと思います。
○亀田得治君 まあ、ひとつ大所高所から考えていただきたいと思います。 それから若干質問を残しておかなければいかぬのですが、防衛庁長官の対象国があるものですから……。 それから、沖繩の問題に関して総理が大浜南方同胞援護会の会長に会ったときに、この施政権の返還を具体的な手続を検討する審議会、こういうことを考慮するというふうに言われたようですが、その真意をこの際明らかにしてほしいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大浜君がアメリカを訪問して、ついせんだって帰ってまいりました、それで私、そのアメリカの報告を輝いたばかりであります。その際に話をしたことでありますが、ただいま沖繩問題懇談会、これが総理府を中心にして行なわれておる。そうして、いわゆる教育権の返還問題これをいろいろ審議してきた。途中で政府が全面的な施政権返還を言って、あまり部分的な観念論をやってもどうか、こういう話をして、そうするとその沖繩問題懇談会としては取り扱い方にちょっと迷ったようで、しかしこの問題は、大浜君がアメリカに行って、アメリカにおける沖繩問題の非常な関心さの、関心の深さと申しますか、そういう点からも、わが国のほうがもっと積極的なんだから、もっと積極的に取り組むべきだと、こういう感じを持って帰られた。まあ今後の扱い方は一体どうしたらいいかということでありますので、私は、今後は総理府に沖繩問題懇談会を設置することにしよう——今後は私自身のもとにその沖繩問題懇談会を設置することにしよう、それでただいままである総理府の沖繩問題懇談会、これは一応結論を出したい、こういうことを言っております。それで、どういうような、教育権だけを中心にして、教育の内地との一体化の具体的な案ばかりするのでなくて、それをも含めてさらにもっと広い視野で沖繩問題と取り組むという、そういう意味の沖繩問題懇談会をつくろう、大体これは了承しておるようであります。 そこで、その後、記者会見等をし、新聞に報ぜられているところで、なかなか全面的な施政権返還がむずかしければ、あるいは教育権返還もひとつ考えていいんじゃないのか、こういうような表現がされております。ところで、私自身の見方をしますと、ただいまのような問題をひっくるめて沖繩問題懇談会で扱ってもらいたいと思います。むろん、施政権返還、全価的返還が困難であることは、現在の実情から見ましてこれは容易にわかる。私どもは祖国復帰を願っておる日本国民並びに沖繩同胞の気持ちは十分わかるが、同時に、沖繩が果たしておる、この極東の平和、安全、そういうことに果たしておる役割り、これも無視はできないのだということをしばしば申し上げておりますので、この点がなかなかむずかしいから、そう簡単に容易に短期間の間に全面的返還ができる、こういうふうには思わない。これも、大浜君もさように了承しておるわけです。しかして、今度は教育権の返還だけならこれは容易であるかのように見ておると、これまたなかなか困難な問題じゃないかと思います。私は直接まだぶつかりませんからわかりませんが、いわゆる教育権の返還、こういう問題と取り組みましても、これなかなかむずかしいことのように実は思います。そこで、ただいまの返還、どういうところから返還を実現していくのか、こういうことを十分懇談会で審議していただきまして、同時にまた実質的に——いわゆる返還の形式はとらないで、実質的に本土との一体化はいかにしてはかられるか、こういうようなことも懇談会で十分検討していただきたいと、かように思うのであります。新聞等で一部報道されたところ、必ずしも大浜君と私との間の話し合い、それを全部を報道したと、こういうものではないこと、でありますので、あるいはお尋ねではなかったかと思いますけれども、私の感じた沖繩問題、これをめぐって今日まで記事等が出ておること、あわせてお答えするような次第でございます。
○亀田得治君 きょうまあ沖繩問題そう突っ込んでやるつもりはないのですが、一時教育権の分離返還ということが出たときに、政府も若干それに乗るような姿勢があったが、しかしその後そうじゃないと、全面返還だと、こういうふうに変わった。ところが、いまの説明を聞いておりますと、また若干前の姿勢に変わったといいますか、幅を広げたといいますかね、何かそういう感じがするわけですが、そこら辺が変わったように思うのですが、どうなんですか、それが一つ。 それからもう一つは、一緒に聞いておきます。橋本登美三郎さんですね、万博の自民党の委員長、万博建設等の関係で労務者が足らなければ沖繩の人に来てもらおうじゃないか、こういう提案を総理がされた——これも記事で見ているのですが、これは非常に重要なことになると思いますが、その真相もひとつ明らかにしてほしいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 前段でございますが、実は私は考えが変わってはおらないのです。しかし、せっかく沖繩問題懇談会を開く以上、これこれについて十分検討しろという、そういうことをワクをはめることはどうかと思います。沖繩問題懇談会では、これはもう広範にわたって、そうして意見を聞かしていただく。意見を聞きたい、かように私思っておりますので、ただいま別に政府がぐらぐらしておるわけじゃありません。しかし、各方面の意見を、またいろいろの見方から意見を聞くこと、これは誤りなきを期する意味において適当だ、かように思っております。 それから、第二の問題でありますが、この万博の施設建設について、これはもう亀田君もいろいろ御心配だと思います。いままでなかなか予定どおり進まないのじゃないのか、たいへん心配しておられるようです。そして、その一番の心配しているのは、建設の労務者が足らない、こういうことが言われておる。そこで、外国から労務者を集めたらどうかというような意見が一部にあるやに聞いております。そこで、外国労務者を万博に使うということは、これは私は賛成しない。なるほど、工事がおくれるばかりではない、労務が足らない、そういう意味で工事費がかさむ、あるいは諸物価に影響する、あまり好ましい状況ではございませんから、工事が円滑にできるように政府はくふうしなければならない、こういうことを実は申しております。いろいろ農閑期のいわゆる出かせぎというような問題もしばしばあるじゃないか、また広い範囲にわたってそういうものをくふうしたらどうか、こういうことを申しましたら、まあ一部から、沖繩からどうでしょうという、沖繩にそういう余力があれば望ましいから、だけれどもそれを簡単に片づけるわけにいかぬですよ、私は、もともと同胞の働き場所が内地に見つかるならそれはたいへんけっこうですから、いわゆる東北地方の農閑期の出かせぎみたいな問題じゃないのだから、そういう意味で、沖繩の経済を助けることにもなりましょうし、沖繩同胞の諸君も内地の永続的な仕事が見つかるといえばこれはたいへんいいことじゃないか、かように思っておるような次第であります。そういうことをひとつ考えてみよう、こういうことでございます。
○亀田得治君 じゃ、一応これで中止しておきます。
○岡田宗司君 委員長。
○委員長(新谷寅三郎君) 岡田君、簡単にしてください。
○岡田宗司君 沖繩の問題についてちょっと関連して。 先ほど総理が、いまある、大浜さんなんかのやっておられる懇談会は一応解消をして、総理府に沖繩問題の懇談会を新しく発足させたい、こういうふうに言われましたが、これは閣僚の間のものか、あるいはまた政府関係当局者のものか、それとも民間人も入れたものか、その点をひとつ明らかにしていただきたいことと、それから、いま言われました懇談会は早急に出発させるものかどうか、その二点をお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまのことばに私誤解があると困るから途中でちょっと直したのですが、ただいまありますのが、総理府に実はあるわけなんです。これは塚原君のところでこの沖繩懇談会をしている。これが森君のとき以来の一つの懸案があった。この問題が実はまだ結論が出ておらない。その結論を出す意味からも、大浜君がアメリカへ行ってきて、最近帰ったばかりであります。これを今度はあの程度で扱うことには、どうも申しわけないように思う。だから、今度は内閣——私のもとにそういう委員会を設けて、そしてまた、いまの沖繩懇談会と同じように、外部の方の意見をまとめるようなものをひとつつくりたい、こう言っておるのであります。そこで、そのほうへ移行した場合に、いままで扱ってきた問題をも含めて、そして広い視野からこの問題と取り組む、こういうことにしたい、かように思っております。
○委員長(新谷寅三郎君) 亀田君の残余の質疑は、後刻行なうことにいたします。 —————————————
○委員長(新谷寅三郎君) 引き続き、これより西田信一君の質疑を行なします。西田君。
○西田信一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、予算委員会最後の締めくくり質問を若干いたしたいと思います。 まず、政治姿勢の問題について触れたいのでありますが、政治姿勢につきましては多くの質疑が行なわれておりますが、私は若干別な角度から総理のお考えをお聞きしたいと思います。総理は施政方針演説の中で、道義に貫かれた議会制民主主義を確立して国民の負託にこたえたいと述べておられますが、わが国の議会制民主主義は政党中心に行なわれております。政党内閣制度下におきまする行政府としての責任体制の確立ということが、第一義的に必要な事柄であると思うのであります。責任政治の立場から見て、正しい姿勢で政策をどしどし遂行していく、このためには自主的な強い決意を持って政局を担当していただきたいと思うわけでありますが、こういう展望に立って私は問題を投げかけているものとして、審議会制度というものを見てみたいと思うのであります。 その前提として、行管長官からひとつお聞きしたいのでありますが、現存する審議会——もちろんこれには調査会等も含んでおりますが、これを次のような分類にいたしますとどういうことになるのか。その第一は、立法的な要素を含んでおるものと、全く行政の補助的な性格のもの、これに分類すればどうなるか。次は、臨時的なものと常設的なもの、これに分ければどうなるか。それから三番目には、法律によって設置されておるものとしからざるものを分類すればどうなるか。次には、審議会等の答申の結果についていろいろな制約条件を付してあるものもあるようでありますが、これとしからざるものとに分類すればどうなるか。それから、国会議員を審議会に含んでいるものとしからざるものとがあるようでありますが、これを分類区分をすればどういう数字が出てくるのかということをまずもってお伺いしたいと思います。
○国務大臣(松平勇雄君) お答えいたします。現存の審議会は全体で二百六十ございます。そのうち、主管大臣の諮問に応じて調査審議するもの及び主管大臣に特定事項を建議するものが、百九十九がそれに当たるわけであります。それから試験、検定、懲戒等、特定の資格得喪に関する事務を処理するものが二十七、行政不服審査に関する事務を処理するものが二十ございます。その他が十四で、合計二百六十になっております。その中で、主務大臣から独立して職権を行使するものが十五ございます。それから存続期限のあるものが十六ございます。それから国会議員が構成員となっておりますものは、現在法律できめられておりますのが十八で、法律外で事実上入っておりますのが一つございまして、十九あるわけであります。なお、詳細に関しましては政府委員から……。
○西田信一君 けっこうです。 いまのお答えでもわかりますように、政策立案を任務とするものが二百六十のうち百九十九あるということであります。私は率直に申しまして、審議会制度のあり方、運営等について政治の高い次元から再検討の時期に来ておるのではないかというような気持ちがいたすのであります。世間では審議会の存在をもっていろいろ申しておりますが、政府の隠れみのであるとか、あるいは政策のなれ合いのつり場であるとかいうような酷評をする向きもございます。しかし、審議会は審議会なりに十分意義のあるものでありますし、またりっぱな業績をあげておるものもたくさんございまして、その役割りは決して小さいものではない、こういうふうに考えております。しかしながら、要は政府の、いわゆる行政府のこれに対する態度、姿勢のいかんにあるのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、審議会の答申に——これは少し言い方が適当でないかもしれませんが、やや引きずり回されると申しますか、あるいは基本政策にワクがはめられたりいたしましたのでは、近代民主主義国家の運営、政党政治の正しい発展のためにはいかがかと思われる余地もないわけではないと思うのであります。この問題はなかなか微妙な点があることは私も了解しておりますが、先ほど申しましたように、総理は、政治の姿勢を正す、こういうことを常に申しておられまするが、さらに一歩進めて、正しい姿勢で自主的な政策をどんどん進めていくという方向についても、ただいま申しましたような観点からどのような総理はお考えをお持ちになっておられますか、この点を基本的にまずお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。西田君のこの政治のあり方についての御意見、あるいは一般の審議会等のあり方についての御意見、これはもう総括的なものでありまして、私も賛成でございます。大体同意見でございます。問題の一番むずかしさは、その総体、概括的な問題じゃなくて、その個々の場合に一体それをどう扱うかという、これが実はむずかしいのであります。たとえば、いまのは具体的に言われたわけでもないのでございますが、今回答申を得た選挙制度調査会、これなどは、法定もされておるし、またこの答申は尊重しなければならない、こういうワクが入っている。むしろ責任を回避したような見方はあるかもわからぬが、そうではなくて、政府が責任遂行上も必ずこの答申を十分尊重してやっていけという最初からワクのきまったものであります。また、その他のものについては、あるいは立法府、行政府、司法府、この三権はせつ然と分けてお互いに干渉しないようにしたらどうか、こういうような議論も出ております。そこらに初めて責任を明確にするゆえんがあるんじゃないか、こういうことが言われております。ところで、しからば、具体的にこの場合は立法と行政が混淆されたのかどうか、こういうような問題になりますと、これはなかなかそれぞれ意見が違うのであります。そこで、政府が単純に、これは行政府、立法府権限が混淆しているとか、こういうことで簡単に結論を出すわけにはいきません。でありますから、問題は、原則的な御意見にはしごく私も賛成であります。同時に、それを今度は具体化していく場合、具体的事例に当てはめたときに、その原則にどういう場合が合致するのか、これはひとつ気をつけていかなければならぬ点じゃないか。本来から申せば議会政治、政党政治でございますが、政府が責任を負っていく、そういう意味で、政府自身が独断でおはかりする場合もあります。しかし、最も厳禁されておりますものは、民主政治のもとにおいては独断だけは禁物だぞと、こう言ってワクがはめられておりますから、政府はさようなことは今日はいたしませんけれども、しかし、責任の所在からいえば、政府が責任を負う、そういう立場でみずからの信ずるところを皆さま方にはかっていく、こういうことが望ましいと、こういうこともわかるのであります。問題は、個々の具体的な場合にどの原則でやられるかということに私は問題があるのだと思います。
○西田信一君 先ほどの御答弁にもありましたように、審議会の姿というものはいろいろあります。しかも、法律によるもの、よらざるもの等もございますし、必ずその答申を尊重すべしということを法律で書いておるというふうなものもございまして、どうも私どもそこら辺が、尊重すべきものと、あるいは尊重しなくてもいいという意味じゃないと思いますけれども、そういう区別をしておるところにも、どうも解せないものがあるわけです。そこで、総理の一般的なお答えで私もよく了解できるのでありますけれども、やはり審議会というもののあり方、扱い方、あるいはまた諮問のしかた等にも相当の関係を持ってくると思うのでございますが、審議会の答申の中を見ますと、たとえば税制調査会なんかでも、私はちょっとどうかと考えております。今度の減税はいかにあるべきかというようなことをどうも税制調査会にほとんどおまかせしているようなふうにも見える点もありますし、たとえばいま総理がお述べになりました選挙制度審議会なんかのことについても、ほとんど法律案要綱に近いようなものを出されて、それを受けて、そうして行政執行についてことこまかに注文をつけるようはものも中にはあります。非常に大綱を示したものもございますけれども、そこら辺にどうもやはり行政府の責任政治ということがともすれば、いい面ももちろんさっき申したようにございますけれども、これがどうも、何と申しますか、非常に政治がぼけていくというようなことも非常に感じられる面が多いわけです。ことに、審議会が二百何十もございまして、そこら辺に一ぺん姿勢を正してみる必要があるんじゃないかという気持ちで申しておるわけでございますが、答申の趣旨はもちろん尊重される、すべての答申は尊重されるべきだと思うわけでありますけれども、尊重するということと、拘束されるということと、そこに混同されることがあってはいけないというような気がいたします。ときには、そういうことになりますと、立法府も行政府も自由な判断を妨げられるということにもなりがちでございますし、場合によっては権限介入というようなことにもなりかねないという危険を感ずるわけであります。また実際に、立法府や行政府は国民に対して直接責任を持っておりますけれども、審議会というものは国民に対して直接の責任は負っておりません。そういう意味で、この諮問のしかた等にもいろいろ考えていただく必要があるんじゃないか。政府の考えを示して、そうしてこれはどうかというような諮問をしていただくことも私は一つの行き方ではないかと思うのでありますが、答申は十分重要な参考として、これに行政府としての、また政党内閣としての最終的な判断を下す、そうして結論を出すということであるべきだと思いますが、世上ともすれば、答申そのものをやらなければ答申無視である、けしからぬ、こういう議論が世上にもあり、国会内においても非常に強く言われておる。ここら辺は、私は決して答申を軽視するという意味じゃありませんけれども、将来の問題として十分考える必要があるというふうに考えるわけでございまして、審議会制度のあり方ということに触れましてひとつ総理にもう一度お考えをお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまのお話ですが、大体総体から見まして隠れみのになっているのではないか、そういう意味から審議会を整理しろと、これは臨調あたりがそういうことを申しておりますが、これも整理の方向にあってしかるべきだ。たいへん便利なものだということでこの審議会が使われては、またいかないように思います。もう一つは、ずいぶん多数の国民がいるのでありますが、審議会の委員になられる方がどうもダブっている、有能な方はどの委員会でもお願いをする、こういうことで、実際にはなかなか十分御意見を拝聴することができなくなる、こういううらみもありますので、今度は構成をする委員の立場についてくふうをしろと、こういうこともございます。それからまたもう一つは、いまの答申は尊重する、これはあらゆる機会にさように申しておりますし、またお願いする以上、出た答申を無視してやるということになっては、これはもう審議会の効を発揮しないことになるんですから、それはよくない、これは申すまでもないことであります。ところが、その答申の尊重のしかたが、非常に具体的に法律でまできまったものがあるわけですね。こういうものになりますと、これは政府は、それも法律を守るという立場から、これは十分実質的な尊重が加えられる、こういうことでなければならないと思います。したがいまして、そういうような法律で定める審議会、またその答申というようなことについては、十分慎重にお願いをしたい、また慎重であるべきだと、私はかように思います。また、この答申を得る場合に、諮問のしかた、これが、ただいま仰せになるように、たいへん実は答申に影響してきます。いわゆる自由な立場で答申をするのか、あるいは非常に目隠しをされて、この範囲で答申を願いたいというのか、ずいぶん問題があると思います。でありますから、各種審議会、それぞれの効果、功績はありますが、また十二分に各界の協力を得るためにも、もっと濶達に意見が述べられる、こういうようであってほしいと思います。しかし、全般から見まして、ただいまの状況では数が多過ぎる、これはもうこの御批判は当たっておると思います。そういう意味では、積極的にやはり整理の方向に向かわなければいけない。さらにまた、委員の方々が幾つも兼職されること、これはあまり望ましい形ではございませんから、この辺にもくふうをこらしていく。そしてあとは、審議会自身が責任を持つのでなく、政府が責任を持つのだ、こういう立場に立ちまして、法律に定める場合におきましても、そこらには相当政府が関与する余地のあるように、それをひとつ残してもらうことが望ましいんではないか、かように思っております。
○委員長(新谷寅三郎君) 西田君の質疑の途中でありますが、都合により午後三時まで休憩いたします。 午後二時休憩 —————・————— 午後三時十三分開会
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、西田信一君の質疑を行ないます。西田君。
○西田信一君 四十二年度の予算に関連して締めくくり的に若干の質問を申し上げます。 四十二年度予算の基本問題については、いろいろすでに論議が尽くされています。次の二、三の点についてもう一度確認の意味でお尋ねいたしたいと思う。 第一にお聞きしたいことは、この三月に立てた景気見通しの目標数字というものは、現在もう五月末でありますが、なお変更の必要がないというふうに考えられておるのかどうか。もう少し私は具体的にお聞きしたいのは、懸案のケネディラウンドの妥結を見た立場において、国際収支等の見通しについて、ただいま申したような点はどうか。また、設備投資の問題も、これはいろいろ自主調整等が努力されておりますが、これが非常にうまくいかない場合、この見通しはどうであるか。それから個人消費等についてどういう見通しであるか。やや時点が変わっておりますから、そういう意味でまずお尋ねしたい。
○国務大臣(水田三喜男君) ケネディラウンドの妥結につきましては、長期的に見て日本への影響は非常にいいと、将来、貿易の拡大に役立つということは考えられますが、当面としますと、これによって諸外国が関税を引き下げるということは、来年度から始まる措置でございますので、本年度は、このケネディラウンドの妥結ということは、日本の国際収支にはそう影響はないものというふうに私どもは見ております。 それから設備投資を初めとする一連の経済の動きでございますが、非常に上昇の基調は依然として強いということはいわれますが、卸売り物価それから消費者物価、消費者物価のごときは、ほんとうは四月は、私どももう少し上がるのではないかと、学校——就学の問題がございますしなんですが、その一番上がると予定しておった月の物価の動きが非常に落ちついているというようなことを見ますと、このままこの上昇傾向が過熱へいくというようなおそれもいまのところはないというふうに見ておりますので、これは当初の予定より設備投資は進むかもしれませんが、全体としてまだ三月の見込みがそう大きく狂ってどうこうという問題は、まだ発足したばかりの四月、五月でございますから、そういうものは見られない。 国際収支、特に貿易収支のほうは予定よりも、いま当初の見込みより月二千万ドルから二千五百万ドル程度黒字幅が縮まっておるということでございますが、しかし、いま輸入期のことでもございますし、これをもってすぐ後年度貿易が予定とどれくらい狂うかという見通しもいまのところつかないと、こういう状態でございます。
○西田信一君 一般世論もそうでありますが、この間の当委員会における公聴会の公述人の意見々聞きましても、税収が予想以上多くなった場合、これを公債発行の減額に回せと、こういうような意見が述べられております。これについては大蔵大臣もお述べになっておりますので、大体わかっておりますが、こういう意見をどういうふうに受けとめられるか。 もう一つは、公債発行の減額ということは、税収増加という結果にもよって生じてまいりましょうけれども、むしろ金融市場の実勢から減額あるいはまた方法を変えるというようなことが予想されるわけでありますが、けさも日銀総裁が見解を発表しておりますが、こういうような点についてどういうふうにお考えであるか。
○国務大臣(水田三喜男君) 自然増収が多ければこれを公債の減額に回すという方針は変わりございません。で、そのほかに市中の金融が非常に逼迫しているという、そういう方面から公債を事実上制限せざるを得ない事態にはならぬかというようなお話でございましたが、経済が非常に強くて金融市場が非常に梗塞をするというときは、やはり大体税の自然増がある程度あるときということでございまして、公債削減も可能であるということと大体一致するのが普通でございますので、そういう意味において、やはり民間資金を圧迫しない形で公債の調節ということは、そういう事態が出てきたときにはある程度できるというふうに考えております。
○西田信一君 大体了解できますが、大蔵大臣、この間、減債基金制度というものは世界に自慢のできるりっぱな制度だというふうにお述べになったように記憶しておりますが、その意味はどういう点にあるのか、ひとつ御説明を願いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 減債制度について私が申し上げましたことは、この公債政策の節度は公債発行を適正に行なうことによって保持されるもので、減債基金への繰り入れ財源があるぐらいならばむしろそれをもって公債の新規発行を減らすべきだというような考えが外国には非常に強うございまして、したがって、英国、米国、ドイツ、フランス、いずれの国を見ても、もうこのような考え方から、減債制度が一ぺんあっても廃止されたり、廃止されなくても事実上有名無実化しているというのが外国の実情でございます。こういう点から見て、百分の一・六、これは相当面率だと思いますが、こういう年々一般会計からこういう率の繰り入れをする減債制度を新たにつくるということは、いまの諸外国の実例から見ても、これは非常に独得な制度であるということがまずひとつ。 それからこの減債制度ができた沿革的な見方をしますというと、戦争や何かで著しく公債が累増したというときに、これを整理するために設けるというのが通例でございます。ところが、日本の場合は、まだ公債の額が、残高が国民所得に対しても非常に小さい率であって、外国に比べて何らまだ公債の累積を心配する必要のないというようなときに減債制度をわざわざつくって、しかも、従来のあり方より強化するということも、これは世界のやり方から見たら異例である。しかし、この異例であるにかかわらず、初めて今回公債政策に踏み切るのだから、やはり国民の信頼を得るためにこういう機構が必要だということで踏み切ったということでして、まあ普通なら公債の発行を節度を持ってやっている限りは、こういう措置は要らないというのが大体諸外国の例であるのに、日本がこれをやったということは異例である、こういう意味で申したことでございます。
○西田信一君 大蔵大臣の御所信に信頼を申し上げますが、そこで、公債発行を積極財政の手段として使っていく以上、私は経常支出の節約ということを十分これは努力しなければならぬ、そうしてこそ初めて国民の支持が得られる、こういうふうに思うわけであります。財政が絶えず膨張していく傾向は、近代国家の運営上これは当然のことだと思いますけれども、これが徹底した冗費節約、それから財政健全化について真剣な政治努力が必要だ、取り組みが必要だと、こういうふうに考えます。この裏づけがぜひ必要だと思いますが、これについての決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) もう私はおっしゃられるとおりだと思います。したがって、自然増があったという場合に、他の経費にこれを充てるということはしないで、余裕があればこれを公債の削減という方向へ持っていくということが必要だというふうに考えております。
○西田信一君 これは、先ほど亀田委員からお尋ねがありましたから私は繰り返しませんが、租税収入の中で間接税の比率を高めていきたい、こういう御意向のようでありますが、十分御検討いただくことにして質問は申し上げません。 次に、若干外交の問題に触れてみたいと思いますが、総理にまず伺いますが、今回川島さんを特使としてソ連に御派遣になりましたが、これは何か特別な意味合いを持っているのでありましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 川島君が出かけられるという機会に、私がかねてから考えていたような私の親書を持って、そうして親善関係にこの上とも協力してほしいということでございます。
○西田信一君 日ソ間には解決すべき懸案がたくさんございますし、たいへんけっこうなことだと思います。そこで、新聞の報道によりましても、かねての懸案である北方水域の安全操業の問題について、いろいろ赤城さんもおいでになって、提案と申しますか、あるいは打診と申しますか、これをなさったようでございますが、これについてだいぶその経緯もあるわけでありますが、四十年の五月に、赤城さんが行って示した赤城試案があり、また、昨年の六月には、イシコフ漁業相が来た際にも、ソ連の対案が示された。そのあとすぐソ連から日本の漁港に対する寄港の問題を持ち出された。また、昨年の七月には、グロムイコ外相も来てこの主張を譲らなかったというふうに記憶しております。四十年以来の交渉の経過について、ひとつ私が申した以外に何かありましたら伺いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 外務省の政府委員から説明いたします。
○政府委員(北原秀雄君) 安全操業の日ソ間の交渉経緯について簡単に御説明申し上げます。 本件は、ほとんど毎年機会あるごとにこの問題を取り上げてまいりました。日ソ国交回復の宣言ができましてから、おそらく、少なくとも毎年二度は取り上げてまいったのであります。もっとも当初におきましては、領土権の問題からして非常に広範囲にわがほうの提案を基礎に交渉してまいりました。それが赤城試案というものが出ましてから、相当具体的に話が入ってまいったわけでございます。安全操業と申しますのは、もともとこの領土権のうらはらをなす問題でございますので、そこで、この領海三海里を主張しております日本側といたしましては、あくまでも三海里までの漁労を認められたい、ソ連側のほうは十二海里ということで、根本的な相違があるわけでございます。実際問題といたしましては、国後、択捉の西側につきましては、ソ連も相当二海里ないし三海里程度までの漁労を事実上認めております。そういう経緯もございまして、赤城試案というのが歯舞、色丹等を中心といたしまして、多少の出入りはございますが、大体三海里の線での提案をされたわけでございます。先方は、この安全操業というものはどうしても領土権の問題と関連あるということで非常に強硬でございます。実際問題としまして、ソ連が領海内で、十二海里内での漁労を外国漁船に認めたという例は実は皆無でございます。そういう非常に困難な事態を背景といたしまして、しかし日本側といたしましては、あくまでも歯舞、色丹は当然平和条約とともに日本に返るべき領土であるから、それまでの間といえども、三海里までは認めてくれ、でき得れば接岸漁獲を認められたというのが当方の主張でございます。昨年の夏、イシコフ漁業大臣が参りまして、その際にだいぶ具体的な案についての交渉を行なってみました。先方は水晶島——歯舞島の最も根室に近い部分でございますが、水晶島の近海における漁獲をひとつ検討してみようというところまでまいったのでございますが、この案は結局合意を見るに至りませんでした。その後、グロムイコ外務大臣が参りましたときに、先方から、ある意味での、相互に何らか利益を与え合うべくしてこの問題を取り上げてもらえないかということを抽象的に提案いたしました。原則として、わがほうはよいということを申したのでございますが、具体的な要求としまして、先方は、寄港問題をその後持ち出してまいりました。そこでわがほうとしましては、寄港問題ではこれは交渉にならないということで拒絶したわけでございます。その後先方は、具体案といたしまして、貝殻島周辺の、現在コンブ協定で認めております地域を広げようという非常にささやかな案を提案してまいりました。わがほうといたしましては、安全操業の問題は領土権のうらはらをなす問題であるので、こういう小さな範囲ではとうてい交渉に入るわけにいかないということで拒絶せざるを得なかったわけでございます。今般赤城議員が参られまして、個人的なベースでその後の先方の要求をひとつ聞いてみようということで話し合いが行なわれたわけでございます。 以上でございます。
○西田信一君 今回赤城さんがおいでになって一つの提案をされたように伝え聞いております。また、ソ連側はそれに対して断わったということでありますが、この内容が、新聞の報道でしかわかりませんけれども、もしおわかりなら承りたいのでありますが、時間の関係で私のほうからちょっと申しますけれども、歯舞、色丹両島周辺の安全操業が確保されれば、向こうが承知すれば、その対価として漁獲量の一部——新聞では三割と書いてありますが、現物か金で渡す、こういう内容のように報道されているわけです。これはいまの経過によっても、相互の利益で解決されるというような提案があったということからあるいはこういうことになったんじゃないかと思うのでありますけれども、どうも私は、何かソ連側が日本寄港というような大きな難題と申しますか、むずかしい問題を出してきた、だんだん押されていって、本来日本の領土であり、平和条約がきまれば返ってくる、これはお互いに確認し合っている。その領土の問題とうらはらと申し上げましたが、そこにちょうど何か自分が所有権のある家をだれかが不法占領しておって、そうしてその屋敷の、家の周囲に畑があるからその畑で耕作するのに、そこの収穫を幾ら上げますというのと同じで、そうなればその家の所有権というものは、一体将来問題を解決するのに問題を残さないのか、こういうことを私は心配するからお聞きするわけでありますが、そういう点について、どういうふうに政府側としてはお考えになっておられますか。
○政府委員(北原秀雄君) 本来、日本の領土、領海であるべき所で漁獲を行なうということでございますので、そのたてまえからして、われわれは、日ソ共同宣言において、ソ連も、日本に返還することを認めた歯舞、色丹の領海において漁業を認めてくれというのが、当方の主張でございます。先方からすれば、平和条約のできたときにはこれは返す、しかし、それまでの間これはソ連側で管理しているので、管理している期間は何らかの代償を要求してもいいではないかというのが、先方の言い分でございます。実際問題といたしまして、その安全操業の問題につきましては、領土権の問題からいたしますと、これはなかなか妥協の困難な問題でございます。他面、北海道根室地方の零細漁民の問題、これとからみ合いますので、そういう事情を勘案されまして、ひとつ漁獲童のごく一部——これは新聞にはいろいろなあれが出たようですが、それは政府としては何も関知いたしておりません。そういう試案を一応持ち出してみられたのじゃないかというふうに考えます。
○西田信一君 両国の懸案解決のために話し合うということはたいへんけっこうだと思います。そういう糸口になるということもけっこうだと思います。ただ私の心配した点は、先ほど申したような点でございまして、私は念のために北海道の業界あるいは北海道知事等の意見も開いてみたが、やはりそういう心配を持っておる、現地でも。それでありますから、やはり慎重に扱っていただいて、両国の懸案解決にさらに努力していただくということをお願いいたして、この問題はこれだけにいたします。 それから外務大臣、最近南千島海域で非常にソ連側に捕獲される漁船がふえておるのですね。この間も、五月十七日も四隻もつかまっておる。ことしに入ってから八隻も捕獲されておるという問題もありますが、どういうような状況にあるのか、これをお伺いしておきます。 それからもう一つは、きのうも北朝鮮の清津の沖合いで、しかも百三十五キロというから公海ですね、当然。そこで操業中の日本漁船が北朝鮮の漁船に機銃射撃を受けて、しかも船長が連行されたという事件が起きた。これはどうも納得いかないのでありますが、この真相を、あるいはまた、これに対してどういう措置をするのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) ソ連の問題は、本年度に入って、北方の海域で六十六名、船にしたら十一隻拿捕されております。一隻と十名は帰って来たのですが、まだ残っておるわけであります。それはやはりいま北原局長が説明申し上げましたように、水域に対するいろいろな日本との考え方が違うものですから、そういう拿捕された場合は、ソ連における日本大使館を通じて、船及び人間の釈放というものを、ソ連に対して外交交渉を通じて強く要求をいたしておるわけでございます。また一方、水産庁とも連絡をとって、できるだけそういう紛争が起こらないような行政指導もしておるわけでございます。まだ残っておる人たち、船もおりますので、今後も外交交渉を続けていきたいと思っております。 それから北朝鮮の、松登丸ですか、あれは私も調べてみたのですが、北鮮のほうが流し網でやっておった。日本の松登丸が引っかかった。そうして魚類の探知機なども引っかけて持って行った。そこへ北鮮の漁船がやってきて、そうして船長だけ連れて行っておるわけですが、こういうことの報告を受けましたので、これは北鮮との間に国交がありませんから、日本赤十字社を通じて、早く釈放してもらいたいという交渉を行なうべく協議をいたしておる。これは一昨日の話でありましたが、今後釈放については努力をいたしたいと思っております。
○西田信一君 どうも漁船を機関銃をもって射撃するというようなことは、常識上理解できないのですが、十分にひとつしかるべき機関を通して、十分なる措置をとっていただきたいということをお願いいたしておきます。 次は、通産大臣おられますね。石炭対策について一つお聞きしたいのでありますが、政府は不況のどん底にある石炭鉱業再建の抜本策として、石炭特別会計の設定をはじめといたしまして一連の総合政策を実施されることになったことはたいへんけっこうです。ところが、これらの総合政策というものは四十年度末と申しますか、四十一年三月のあらゆる石炭産業の実態を基礎にして、そこに基準を置いてすべての政策がスタートしたと思うのであります。ところが、先般日本石炭協会が発表したところによりますと、この一年間の間に財務内容が非常に極度に悪化して、赤字の繰り越し、累積赤字、借り入れ金の残高、あるいはトン当たりの赤字額等が非常に悪くなっておるということを申しておるようでありますが、この実態をおわかりでありましたら、ひとつそれからお伺いしたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) 最近の石炭鉱業の実況を申し上げますと、なるほど四十年度から見ますと四十一年度の下半期は経営状態が非常に悪くなっております。これはもう申すまでもないことでありますが、労務者の労賃の上昇、それから山元の手取りの値下がり等によりまして、営業の損益が四十年度の下期に比べて悪化しておるのであります。純損益は四十年度よりもさらに悪化するものとまあ見られておりますが、現在の計算では、四十一年度の下期では六十二億円の純損金になっているのではないかと、こう考えております。
○西田信一君 政府委員からでもよろしゅうございますから、もう少しこの公表損失だけでなくして、繰り越しの赤字額が幾らになっておるのか、それから累計の実績赤字は幾らになっておるのか、また借金の残高はどのぐらいになっておるのか、あるいはトン当たりの赤字額はどんなふうに変わってきたのか等について、もう少し数字をあげて説明していただきたい。
○政府委員(井上亮君) お答えをいたします。 ただいまお尋ねの四十年度の損益の関係と四十一年度の損益の関係につきましては、ただいま通産大臣からお答えのありましたとおりでございます。なお、もう少し詳しく申し上げますと、通産大臣もお答えになりました損益の状況は公表損益でございまして、これを実質損益で見てみますと、実質損益と申しますのは、これはまあいろいろな計策の方法があろうかと思いますけれども、公表ではいろいろ減価償却の引き当てとか、あるいは退職金の引き当てとか、いろいろな点について必ずしも十分でない点がございますので、そういったものを入れまして実質の損益で申しますと、昭和四十年の下期の実質損益は百億余りになっております。四十一年の下期におきましても大体百億程度というような数字になっています。なお、これをトン当たりの状況で見てみますと、先ほど通産大臣から御説明のありました昭和四十年度の下期、下期の公表損益における純損益ではトン当たり百十四円程度の赤字ということですが、これを実質で見ますると四百八十円程度のトン当たり赤字に相なります。なお、四十一年下期でこれを見てみますると、通産大臣のお答えになりました公表損益六十一億の赤と、これはトン当たり二百六十円程度の赤に相なります。なおこれを実質損益で見てみますると、同じく四百三、四十円の赤字ということになるわけでございます。大体四十一年度上下を通じますと、実質損益では五百円余りのトン当たりの赤字というのが実態でございます。 なお、お尋ねのありました累積赤字がどういう数になっておるかということでございますが、昨年石炭鉱業審議会が政府に抜本対策についての答申を出しました当時の調査によりますと、千億程度が累積赤字という数字に相なっておりました。まあこの累積赤字の見方もいろいろございますが、計算のしようもございますが、二百億程度が追加されているのではないか、この審議会が見ました千億という計算方式で見ますると、その程度になっておると思います。 それからなお金融機関からの借り入れ残高につきましては、これは政府、市中を合わせまして、昨年の四十一年三月末現在でおおむね二千億程度でありましたものが、今日では四十二年三月末でございますが、二千二百億程度に相なっております。
○西田信一君 いま詳細なお答えがありましたように、非常に赤字がふえてきておる。トン当たりの赤字も百十四円から二百六十円になってきておる、借金も二百億円もふえておる、それから累積赤字も二百億ふえておる、こういうようなことが実態として明らかになったわけです。そこでひとつ通産大臣、大蔵大臣にお伺いいたしたいことは、いま立てられたところのこの方針、これは四十一年三月の時点を基準として立てられたものでございますから、法律案や何かについては別に数字を書いているわけじゃないんですが、ことしは五百二十億の特別会計予算でありますけれども、こういう実態に沿うようにやはりやっていただかなければ、石炭産業のほんとうの安定は期せられないと思うわけです。たとえば赤字肩がわりの問題にいたしましても、あるいはいろいろな各種の補助金を出すことにいたしましても、あるいはことに一番問題なのは、中小炭鉱がほかの肩がわりとか、その他の恩恵を受けない立場におるものは、どうしても安定補給金というようなものでこれの安定をはかっていかなければならぬという非常に強い要望がございまして、いまきめられておるのは一応は平均でトン百二十円ですか、二十五億からの予算が本年度は組まれておるわけでありますが、これらについても実情に合うように弾力的に考えていただく必要があると思いますが、これらに対して通産大臣、また大蔵大臣のお考えをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、昨年から見ますると、本年度も石炭産業というものは悪くなっておると思います。しかしいませっかく昨年審議会の答申が出ましたし、 〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕 閣議決定をして、その審議会の答申どおりの対策によりまして特別会計を設け、またいろいろそれぞれの対策の法案を皆さん方に御審議をお願いしておるのでありますからして、したがいまして、現状は悪化しておりますけれども、一応この予算なりあるいは対策をひとつ本国会において成立さしていただいて、そうしてことしやってみて、はたして実際どれだけ石炭の答申どおりでやることが不適当であるかどうかということをよく確かめた上で、あらためて対策を講じてみたいと、こう存じておる次第でございます。 それから安定補給金の問題についてお尋ねがありましたが、これはなるほどつかみ金で二十五億円で、まあ一トン当たり百二十円でありますけれども、これはひとつ今後の運営についてはできるだけゆとりのある運営をしたいと、こう考えておる次第でございます。
○国務大臣(水田三喜男君) 私も先般この委員会で申しましたとおり、早く私どもこの予算を発足させることは、石炭業界にとっては急務だと存じておりますので、幸い予算も大詰めにきましたようでございますから、この際特別会計を発足させて、それから石炭の問題の解決に入りたい、それをもちろん希望しておるところでございますが、それによってほんとうにすべり出せば、私はある程度計画どおりいろいろな石炭問題は解決していくのじゃないか、こういうふうに考えております。
○西田信一君 通産大臣が申されましたが、安定補給金の扱いについてはどうお考えですか。
○国務大臣(水田三喜男君) これはその後どういう変化がきておるかわかりませんが、審議会の答申はトン当たり百円ということでございましたが、予算折衝のときに私どもはいろいろ相談して、関係省との間で二十円加えて百二十円にしたと、こういういきさつがございますので、これはいますぐ必要とするかどうかについては、いまのところはわかりません。
○西田信一君 通産大臣と何か御答弁が違っておるわけですけれども、私の申しましたのは、十分実情に合うように全体の予算のワク内において弾力的に扱っていただきたい、こういう意味で申したわけで、通産大臣はそのように御答弁になりましたが、大蔵大臣お考え違うのでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は少し違うようです。これはずいぶん吟味して今度も計算しておりますが、いまのところはこの中で赤字がまかなえるという私どもの見方でございます。
○西田信一君 大蔵大臣の御見解が違うか違わないか、もう少し様子を見てからまたお尋ねしたいと思います。 次に外務大臣に。核拡散防止条約の交渉についていろいろお尋ねもありましたし、お答えもありましたが、若干最後のあれとしてお伺いいたします。大へん再開後難航しておるようでございます。米ソの意見の調整もむずかしいという様子もありますし、政府は特別に田中大使を軍縮担当大使として送られたようでございます。そこで私はこの核防に対する外務省の基本的な考え、また日独協議の共同声明等によりましても、お考えよくわかるのでありますが、私は交渉の本質的な問題は三つあると思うのでありますが、その第一は、核保有国の軍縮を促進するということが第一、それから第二は非核保有国の安全保障をどうはかるかということが第二であり、第三には原子力平和利用の平等性をどうして確保するかという事柄になろうと思うのでありますが、こういう観点に立って、外務大臣ひとつ日本の対外的あるいはまた国内的な大臣の方針をもう一度伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 核拡散防止条約の重要な点はこの三点だと西田さん言われるわけです。全く私もそういうふうに思います。この三点が一番重要な点である。第一点は軍縮の問題、これは核兵器を持つ国をふやすな、これを押えていくということも必要ですけれども、持っておる国がだんだんと段階的に核軍縮をやっていくということが、また核戦争の脅威を防ぐ意味において必要ですから、これはぜひとも——亀田委員の御質問にも答えたのですが、日本は本文でも入れてもらいたいと強く希望を持っておるわけです。今後とも努力をいたします。 第二の、日本は安保条約というものがありますから、多少日本の立場は違いますが、できるだけ多数の国がこの条約に入らなければいけない。そうなれば非同盟諸国などの立場も考えなければならぬし、また世界全体から言っても核の脅威、核の攻撃、そういうものをなくすることは必要ですから、何らかの形で、国連の決議等で核兵器を持っておる国は核兵器でよその国に脅威を与えない、攻撃をしない、攻撃を受ければこれを守る、こういうような精神が盛り込まれた決議がなさるべきであるというように思っております。 第三の平和利用の点については、この条約というものが平和利用をいささかでも阻害するものであってはいかぬ、目的は平和利用を押さえるためではないのですから、その条約のついでに非核保有国の平和利用を押さえるというのでは、これはもうこの条約の本質を曲げるわけでありますから、これはもう日本の場合、ほかの国でも非核保有国が原子力の研究開発に対してはいささかも阻害されないように、これはもう最後まで念を入れて、この保障はとりたい、この三点は御指摘のとおりであるし、この三点に対する政府の見解は以上のごとくでございます。
○西田信一君 そこで、日本の立場を条約に反映させるための努力をされておることはたいへんけっこうだと思います。ただ最近欧州諸国でも、アメリカとの間に技術的な格差がだいぶできておるということで問題になっておる。これらの国際的な経済競争の中で、技術開発が果たす役割りが非常に大きいわけであるが、その中で原子力産業が将来の国際経済に持つ役割りは非常に大きい、こういうふうに思うわけでございます。こういう点から言って、西独の産業界ではこの問題を非常にやかましく取り上げているようでございますが、日本の産業界ではまだそこまで深刻な、何といいますか問題として取り上げられておらないような感じがするわけですが、こういうようなことで、日独産業界でのこれらに対する反応がやや違うような気がいたします。こういう点から、ひとつそういう面もやはり政府として十分お考えの上、この問題の推進に当たっていただきたいと存じますが、御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 西独でやかましいのは査察の問題なんです。国際原子力機構でなしに、ユーラトムの査察を受けたい、これでやかましくなっておるのでありまして、このことが産業のスパイなどされては困る、日本の立場はもうこれは簡単明瞭で、国際原子力機構の査察を一様に受ける、核兵器を持っておる国も受ける、こういう立場でやっておるわけでありまして、ドイツは平和利用というよりも査察の問題でやかましく言っておるわけであります。平和利用の面については、草案が出ましたら原子力産業に関係しておる人もみな寄ってもらおう、そうしてお互いにその草案を基礎にしていろいろ話し合いをして、こういう点が不安があるというなら一つ一つ不安の種をなくしていくような努力をいたしたいと考えております。
○西田信一君 大臣、そのことはよくわかっておるのです。ただこれからの技術開発に、この原子力利用ということに対する産業界の関心というものが、やや日本のほうが薄いという意味で申したわけでございますが、御答弁要りませんが、そういう方面も十分ひとつ啓発していただきたい、こういう意味でございます。 次に、関税交渉のことに若干触れて将来の対策をお聞きしたいのでありますが、これは提案以来五年越しの関税交渉が、若干のこまかい問題が残っておると申しましても、決裂の事態を回避して妥結にこぎつけたということは、宮澤さん、日本の代表をはじめ各国の代表あるいはガット事務局、非常に私はその努力に敬意を払いたいと思う。ことに、日本は非常に孤立的な苦しい立場に立ちながらも、最もむずかしい穀物協定におきましても非常にいい結果を得たということについては、高く評価されてよろしいと思うのでありますが、そこでお伺いしたいことは、これからこの関税交渉を契機として、世界経済の潮流がどういうふうに動いていくというふうに見ておられますか。 同時に、次にお聞きしたいのは、これからのわが国の経済政策の焦点は、貿易の自由化から今度は資本自由化のほうに課題が移っていくように思います。そこで世界経済の潮流は、この交渉の成立を境目として、先進国対低開発国の経済格差の問題が強く浮び上がってくる。つまり資本自由化という問題と非常に異質の南北問題というものが、これから同時に取り組むべき日本の基本的な問題として登場してくるというふうに思いますが、これらに対する腹がまえをひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの関税一括交渉妥結の結果といたしまして、工業製品を中心といたしまして、関税及びいわゆる非関税障壁が撤廃あるいは非常に低くなりますので、それを中心とした世界貿易の増大というものは見るべきものがあるであろうと思います。農業製品につきましては、一部にやはり関税引き下げもございましたし、他方で国際小麦協定あるいは穀物による援助等々の一応国際的な取りきめもできましたので、おそらくはそれらの穀物の増産、世界を通じての流通の増大ということになろうかと思うわけであります。それでただいま御指摘の点は、私もまさにそのとおりだと思うのでございますが、このたびの会議、並びに一九六四年ごろからございます低開発国の動き、これは特恵関税あるいは援助などを中心にして起こっておるものでありますが、来年二月に開かれますUNCTADの総会を当面の目標にいたしまして、相当激しい動きがあると想像されます。この点は、やはり世界に平和が求められております限り、私は必然の流れであるというふうに考えます。また、わが国もそれに対して当然対処する用意をいたさなければならないと思うわけであります。それから同時に、おそらくはこういう平和が続き、かつ世界の諸国民が平和を望む限りは、東西貿易の動きというものが活発に同じくなるであろうというふうに考えますので、今後東西問題と南北問題が一緒に交差した形で、わが国を取り巻く国際経済の環境になるであろう、こう考えるわけであります。 なお、資本自由化につきましては、今回の関税一括引き下げ交渉と直接には関係がないようなものの、御指摘のように、わが国が国際経済社会においては、すでに相当高い地位を占めるに至りましたので、かねてOECDに加盟いたしましたときの条件もございますし、もとよりこれはわが国自身が自分の国益できめればいいことではございますけれども、やはり大勢としては資本自由化というものが進行していく、わが国もそれに対して前向きに対処いたさなければならない、こういうことであろうと思いますので、したがいまして、ただいま申し述べましたような国際環境を頭に置きながら、わが国の経済全体がそれに対処する必要がある、かように考えます。
○西田信一君 資本自由化の問題については、長期的な視野に立って、これを前向きに推進をしたい、またそれが日本の国益に沿う、こういうのが政府のお考えのように承知しておきます。 資本取引の自由化は、すでにもう実行に移されている西欧先進国の例を見てみますると、アメリカ企業の進出が相当、正直に申して非常に著しいわけであります。そこで、事業の新設ということもさることながら、既存企業への資本参加とか、あるいはまた買収というような形で、これを効果的に活用して、欧州各国に相当の企業基盤を確立しているのが実際だと思うのです。わが国が資本取引の自由化という事態を迎えた場合に諸外国、とりわけこれは何と申しましても経済的な実力者である国が、最もそういう傾向を示すと思うのでありますが、そういう意味から申せば、率直に申して、アメリカ企業の積極的な進出が予想される、非常に企業がその嵐の中に立つことを当然覚悟しなければならないわけであります。これについては、けさの新聞にも出ておりますように、いろいろな政府では外資対策について検討されているようでございますが、こういう既存企業が嵐の中で防衛していくためには、まず第一に政府の適切な施策が必要であります。それと相まって私が考えますのに、企業経営者の経営意識を高めることが最も大切だと、こういうふうに実は思うわけでございます。こういう点について本委員会でも、いろいろ論議が行なわれてきたのでありますが、時期が時期でございますから、ひとつ通産大臣から具体的な政府の対策についてお伺いしたいと思います。 それから、あわせてお聞きしたいのは、直接的ではないと思いますけれども、中小企業への影響というものが相当あると思うのです。これに対する対策というものを十分考えておかなければならないと思いますから、この中小企業に対する対策についても、あわせてひとつ御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) 資本自由化の問題についていろいろお尋ねがありましたが、今日資本自由化の問題で、西ドイツあるいは英国などは、アメリカ資本の跳梁と申しますか、ばっこによって、非常に打撃を受けているということは、いろいろの文献にも出ているのであります。がしかし、最近の傾向といたしましては、これではいかん、経営者自身がこれに対してもう少し対立意識を持たなければならぬということで、みな自衛的な、自主的な考え方を持っているのであります。日本におきましても、経営者側、企業者側に対しましても、みな自主的な考え方でこの資本自由化を迎えてくれということをわれわれも申しているのでありますが、また企業家側も、経営者側も、そういうつもりで資本の自由化を迎えたいというようなことは、先般も右坂経団連の会長が総会で言明されたのでありまして、でありますからして、自分の会社の利益のためにやるということではなくして、日本全体の産業の利益のために自由化をやるというように企業者側が考えてもらいたい、こういうふうに考えているのであります。幸いと申すと語弊がありますが、西ドイツや英国で失敗しておりますから、前者の轍を踏まぬように、今後とも経営者側に対しても注意を促したいし、もしも、あるいは合弁などして会社の経営が悪いと、そうすると日本人側の持ち株を売るというような場合には、これはまたそれに対しては、外国の株主に売らさないように特別な融資の方法も考えてみたいというようなことで、乗っ取られないような方策も考えてみたいというように考えております。それで既存の企業につきましては、今日は一人当たり大体五%ずつ株式取得を増加いたしまして、非制限の業種については一五%、制限業種については一〇%というようなことをいたしまして、多少外国人の持ち株の率をふやしましたけれども、その外国人の持ち株によってその会社が牛耳られないように、それぞれのいま手はずをしておるような次第であります。 それから最も自由化で影響を受けるのは中小企業です。そこでこれが資本自由化の対策といたしまして、われわれのほうも、中小企業をどうするかということをいま慎重に考慮いたしまして、したがいまして、大体自由化してもいいというような状態に立ち至れば自由化を許すということで、それより前に、まず業種自体の体質改善をやらなければならぬ、あるいは構造改善をやらなければならぬということで、そういう方面に今後力を入れていきたいと、こう考えておりますので、たとえば中小企業の振興事業団などもその一つのあらわれでありますし、あるいは繊維産業の特別措置法などもその一つのあらわれであるのでありまして、とにかく体質改善、構造改善をやって、国際競争力が十分できたときに自由化を認めようということで、もっぱら中小企業をいかにして防御するかということについて、今日われわれ非常に苦心をいたしておるところであります。
○西田信一君 物価問題についていろいろこれも論議がございましたが、政府は真剣な施策を行なっておられますけれども、なお楽観を許さない問題点が若干あると思います。そこで問題点をあげてひとつお伺いしたいのでありますが、その一つは、消費者物価の中で相当のウェートを占めておるものの中に米価の問題がございます。これはすでにもう決定されておることでありますし、普通の商品ならば少しずつ順次上がっていくわけでありますけれども、管理商品でありますから、一挙に上がるわけでありますが、これがやはり消費者物価全体に相当影響を与えると思いますが、これに対するやはりこまかい対策が必要であると考えるわけでありますが、いまからその用意をすべきであると思いますが、どういうふうにお考えでありますか。 第二の問題は、春闘の結果、相当の大幅な賃金アップが実施されました。民間企業では相当の率になっておりますし、また現在進行中の三公社五現業等の賃金紛争も、いま仲裁裁定に持ち込まれているわけであります。これも進行過程でありますが、相当のアップになるということが予想されます。このようなコスト・プッシュの物価騰貴に及ぼす影響、これは生産性なり、合理化でもって、吸収されればよろしいのでありますが、これがなかなかむずかしい面もあり、ことに中小企業などでは、これがやはり消費者に転嫁することになるというふうに考えられますし、公労協関係でも、これを生産性で吸収することがなかなかむずかしいんじゃないかというふうに考えるわけでありまして、その対策というものが必要であると思うわけであります。 いま一つは、やはりこの好景気ということによって生ずるであろう設備投資の誘発、これはいろいろそれぞれの経済団体においても真剣に考えられておりますし、佐藤総理も財界に向かって強い要望を出しておられますけれども、必ずしも財界はこれを歓迎しているというふうにも思えないのであります。こういうようなことで、ふたたびこういう高度成長的な性格で物価上昇が相当問題を包蔵するようにも思うわけであります。これらの点について、政府の物価についてのこういう問題点をあげてのひとつ対策を伺いたいわけでありますが、もう一つ、これは総理にお伺いしたいのでありますが、物価問題は非常に広範多岐にわたっておりますし、各省庁にも関係しておりますが、政府機関の中に何かこれを担当する責任機関があったほうがよろしいような気もいたすわけでございます。協議会とかいろいろございますが、こういう点についてどのようにお考えになりますか、物価問題について問題点をあげてひとつ御意見をお伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 予算で見込んでおります消費者米価一四・四%の引き上げがかりに十月から実現いたしますと、御承知のように、最近配給米の持っておりますウエートが一万分の五百をちょっと割ったところでございますので、一四・四%といたしますと、ほぼ〇・七という上昇になるはずでございます。そこで、十月からでございますと半年分でございますので、この昭和四十二年度の物価に及ぼします影響はその半分ということになろうかと思います。しかしいずれにいたしましても、御指摘のように、米価はいろいろな物の値段の基本にどうしてもなりますので、これはやはり考え方としては、わが国の人口のうちで三千万に近いものがなお農家人口としておりますので、しかも、農業生産性向上というのは、御承知のように困難なものでございますから、徐々に生産者米価を引き上げていくということは、わが国経済全体のために、私はこの際としては必要である。やむを得ないばかりでなく、ある程度私は必要ではないかとすら考えておりますので、それをある程度消費者が負担してもらうということは、私はある程度は認めざるを得ない、生産者米価が合理的に構成されます限り私はそう考えます。ただ、それが消費者物価に影響を及ぼすことは確かでございますから、やはりその他の農産物等について増産体制をとる、あるいは価格の安定をはかることによって生産の自給の安定をはかる、そういったような施策を進めていく。また、低生産性部門につきましては、その生産性の向上を、それには時間がかかりますけれども、徐々にはかっていく、こういう一応正面からの対策が一番正当的なものではないかと考えているわけであります。 それから賃金の問題でございますが、このたびのいわゆる春闘と申しますものも、ほぼ終了したに近いと思われます。かなり確かに商いベースで決定したような印象は持っておりますけれども、まあ労使の間できまり、しかもそれが賃金制度の改善に向かってかなり前向きに労使の間で話が進んでいるとすれば、これは一つのそういう意味では進歩であろう。三公社五現業については、まだ正式には決定していないかと思いますが、これも民間の賃金ベースがきまりましたことの因果関係においてまずまず無事に決定をしたということをやはり一つの進歩と考えるべきかと考えます。しかし、これが御指摘のように、中小企業の賃金に相当な影響を与えるだろうということは疑いもないことでございます。この一、二年かなり中小企業の資本装備率が上がってきております。それでこなしていってもらう、またこれからもそういうことでいわゆる省力、人手を省くというようなことで、賃金上昇分を吸収してもらう、そういう努力を、政府としても助けなければなりませんし、中小企業にもお願いする、そういう方向で考えるべきじゃないか、こう思うわけでございます。 それから最後に、設備投資につきましては、先般申し上げましたように、私ども、一番鉄鋼、石油精製、石油化学等々の動きを気にしておったわけでございますが、ここにまいりまして、鉄鋼については、ある程度話がつきそうなふうにも承知をしております。産業構造審議会の資金部会が来月早々に開かれるように聞いておりますが、そのときまでに、ほぼ各方面の設備調整がまあまあ話がつくのではないか。そういたしますと、かねて心配しておりましたような高い見方はせずに、まずまずという設備調整がおも立った企業の間でできるように思いますので、そうなりますと、私どもの考えておりました経済見通しが大きな狂いはなく進むのではないか、ほぼ山が見えてきたようにただいま見ておるところでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 物価問題は、ただいま宮澤君から詳細にお答えをいたしました。しかし、経済これ自身が常に生きものだという表現をされております。したがいまして、ただいまこの時点においてうまくいっているからと申しましても、油断はできないのでございます。ただいま御指摘がございましたように、経済自身過熱する、そういう心配が全然ないわけじゃございません。したがいまして、絶えずこの経済情勢、この動向を見きわめて、そうして物価の安定を期していく、こういう政府は態度を堅持するつもりであります。 そこで、この物価問題は各省にまたがる問題であります。それぞれの主務官庁が業種、業態あるいは事業規模等によりまして、それぞれ適当な対策を立て、また、指導しなければならない問題であります。そこで、内閣におきまして、ただいま物価安定推進会議、これを中心にして、各大臣等の協力を得て、そうして強力に物価の安定へ努力する、こういう形でございます。ただいまお尋ねになりました点は、あるいは物価安定推進会議では不十分だ、こういうことを言われるのかと思いますが、私は、この会議を通じ、また、各省が相互に横の連絡を緊密にいたしまして、そうして、ただいま政治的課題としてわれわれに課せられておる物価問題、これと取り組んでまいるつもりでございます。
○西田信一君 私、不十分だという意味ではなくて、できればそういう最高の機関のもとに、総理直属の何か一つの機構があって、それが強力に働くというような形がよくはないだろうかという意味で申したわけでございますが、御検討願えればと思います。 それからデノミネーションの問題については触れようと思いましたが、先ほど亀田委員から触れられましたので、私は総理の見解も明らかになりましたから、あえて触れる必要はないと思いますが、ただ、資本自由化というような、こういう際でございますし、戦後二十年たっておりまして、非常に経済界も安定してきておるわけでございますが、どうも貨幣を粗末にするといいますか、そういうような傾向もないわけでもございません。貨幣を大切にするというような貨幣観を植えつけるということがまず第一に必要じゃないかというようなこと、それから政府、企業でも、家庭でも、非常に計算上便宜があるというようなことは、あるいは小さい問題かもしれませんけれども、対外貨幣価値が改善されて日本の経済力に自信を持つというような利点もあるというふうにも思われます。ただ、平価切り下げというふうな一つの誤解を招くという危険もございますから、十分今後慎重にやっていただくことが必要であると思いますけれども、これは急にやるというわけにはなかなかまいりませんし、相当な影響を考えながら、長期的に検討をしていく必要があると思いまするけれども、やはりある時点においては、そういうことが必要でございますから、十分御検討の上、国民にも十分誤解のないような宣伝をしながら、そういう時期を選んでいただきたいということを、希望だけを申し上げておくにとどめます。 次に、農林大臣に、この間から実はいろいろ問題になっておったのでありますが、農業金融の中の農林中央金庫の過剰融資というものがいろいろなことでだいぶやかましい問題になりました。これらの一連の事件は、ただ単なる表面の問題でなくて、何か構造的な不可避のものがあるように思うのでありますが、農林大臣としては、どのように見ておられますか。まず、この点からお伺いします。 〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕
○国務大臣(倉石忠雄君) 農林中金は御承知のように、設立いたしました当時は、政府出資と、それから構成員の出資で出発いたしたものでありますが、だんだんその後、態様が変わってまいりまして、ただいまでは、関係団体だけがいわゆる民主的に構成いたしておる農業関係の中央金融機関であります。そこで、私どもといたしましては、大蔵省とも協議をいたしまして、農林中金の特殊な金融機関としての体質を考えまして、さらに、この経営者、経営当事者が特殊な農業団体の資金を預かっておるという立場から、その責任感を十分に感じまして、慎重に運営してまいるように、常々注意をいたしておるわけであります。
○西田信一君 お伺いしますが、これは事務当局でけっこうでありますが、農中は相当な資金調達額に達しておると思うのでありますが、どのくらいの額に達しておるのか、それから相当の余裕金もかかえていると思いますが、現状はどうなっているか、それから貸し出しはやっておるが、系統的な貸し出しはどのくらい、系統外の額はどのくらいの割合になっているかということを、政府委員からでもけっこうです。
○政府委員(大和田啓気君) 御説明申し上げます。 まず、農中の資金調達でございますが、預金が九千九百七十一億円、農林債券が二千九百六十九億円、その他が千七百六十六億円で、計が一兆四千七百六億円、これは最近の四十二年三月末の数字でございます。 これをもとといたしまして、資金の運用状況を申し上げますと、まず、所属団体の貸し付けが二千三百一億円、関連産業の貸し付けが四千八百四十九億円、有価証券が三千八百四十八億円、金融機関貸し付け及びコールローンが二千五十四億円、その他が千六百五十四億円、計が一兆四千七百六億円になっております。
○西田信一君 ただいま伺いますと、総額一兆四千億余となっておりますが、その調達は大体系統的にきまっておるのが九千九百億、これはもともと、農協、信連等系統機関を通じて農民から集まった金が大部分ですね。私はここに問題があると思うのですが、農協はたとえば定期でやりますと、普通の銀行は五分五厘ですが、これは特利がついて五分六厘になっておるし、市中銀行より高いわけですね。信連では五分八厘、こういうように商い。農中では六分ぐらいになっていて資金コストが非常に高い。したがって、貸し出しをして、やはりそこに金融機関としての何といいますか、利益といいますか、それをあげていかなければいかぬ、そういうところに問題があって、結局、もちろん、いま資金的に余裕ができた時代には借り手もないということもありましょうが、有利な借り手をさがす、言いかえれば貸しあせりというようなことではないだろうか。大体、もともと、この中金の設立の目的というものは、これは四十何年たっておるわけですが、農民の金を集めて農民のために設立された機関であったが、金はそこから集まっておるけれども、実際には、系統外に七割も貸しておるという、その系統外に貸すということは、やはりそういうところに起因するのじゃないかというふうに私は思うわけです。単なるその当事者の扱いが悪かったとかなんとかいうことだけじゃなくて、もっとそういうところに原因があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、農林大臣、どういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、中金が相手方に選択いたします関係の農業は、きわめて低利で、そしてまた、長期の金融を必要といたすわけでありますから、そういう面から考えまして、それにマッチするようなコストでなかなか資金コストはうまくいきませんのは、御承知のように、農協というものの、ああいう現在の一般地方の単協の経営状態がああいう状態でありますので、資金コストは自然に高くなってきている。その高い資金コストで金融機関としての経営をやっていくだけの経営をいたしますためには、どうしても貸し出し金利も高くならざるを得ない。そういうところに一つの難関があると思います。したがって、先ほどここで政府委員が申し上げましたように、系統金融よりも関連産業への金融のほうが金額が上にいっておる、そういう事実であります。そこで、いまお話にちょっとありましたけれども、特利ということはやっておりません。ただ、系統金融は、その系統に貯蓄推進をいたすために奨励金という制度をやっております。これは系統金融を、なるべく農中の目的を到達させるために、系統にできるだけ金融をさせるというためには、やむを得ない方法ではないかと思っております。
○西田信一君 農中は現在一つの金融機関になっておるわけですけれども、私は中途はんぱな、性格があいまいだと思うのですね。これは資本構成では民間機関の形になっておる。それからまた、役員選任も昔と違って、政府は直接関係しないことになっておりますけれども、業務運営では政府の規制を受けているのですね。長期融資は一件ごとに許可をもらう、短期では年二回の限度額を大蔵省から認可をもらうというようなことで、だから民間機関なのか政府機関なのか、そこら辺がぼけてはっきりしないという点もありますし、本来、農林漁業者のために金融すべき目的で設立されたものが、実際には、八割近くまでも系統外のほうに貸し出しておるというようなことで、農業金融機関なのか、非農業金融機関なのかも、性格がはっきりしておらぬというようなことがありますし、また、農中は短期の金融機関なのか、長期金融機関なのかということ、まあ両方やっているわけですが、いずれもはっきりしておらぬというふうに、非常に問題が多いと思うのですね。そこで、これについては、ひとつ、農林大臣も、この間からこの委員会で、改善について考えるというお話がございましたが、どういうふうにこれを考えて、普通の市中銀行にするのか、あるいは、もとのようなほんとうの本来の姿に戻すのか、そういうことも含めまして、農林大臣も大蔵大臣も、ひとつそれぞれの立場から、農中の姿について御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先般この席で農林中金のお話が出ましたときも申し上げましたのでありますが、私ども農業をあずかっておりますものの立場から申しますというと、たとえば食管法による米の買い上げ金というものは一括して政府が農中に流します。また、下から上がってくる、農協から吸収してきました資金も農中に集中いたしてまいります。したがって、金融機関としては、おそらく民間のビッグファイブといわれる銀行に次ぐ大きな金融機関になっておると思います。したがって、普通の金融機関もさることながら、農中というのは普通の市中銀行と違いまして、預金集めに狂奔するような努力は要らないのであります。したがって、率直に申し上げますならば、ただいまの農林中金の構成というものは、その昔政府が出資をいたしておったような時代のその人たちの多くの方々がそのままつとめておられて、金融業者というと、ことばが悪いかもしれませんが、金融業者としての素質、研究等を十分に備えておるかどうかということについては、私は、農林中金も農林省も一緒になって再検討すべきではないか。ことに一般市中銀行と違いまして、御承知のような零細なる農民の資金を集中しておるところでありますから、そういう性格上、私どもといたしましては、大蔵省とも相談いたしまして、こういう特殊の金融機関のあり方については、慎重に検討いたして、多くの農民の期待に沿うようにしなければならないと思っております。
○国務大臣(水田三喜男君) いま農林大臣が言われたとおりだと思います。実情を見ますというと、農協の資金が県信連へ行く途中に、各部に信連の支所がある、ここを経由して行く。そうして中金に行くまでに、各府県に中金の支社がある、そこを経由して行くという、この三段階を通じて中金に資金が集まっていくということでございますので、資金コストがもう非常に高い。元来が農林漁業に対する還元融資が基本的な機能でございますが、そういう意味からいいますというと、この高いコストの金を農村自身は使えないというのが実情になっておりますので、まず、何としても、この資金コストを極度に下げることを農中はこれからやらなければならぬと考えております。それと同時に、やはり農林漁業にとって必要なことは、関連産業への融資、これも非常に意味のあることでございますので、この運営対象、運営限度、こういうようなものを十分に指導して、この二つを適当な比率においてやるということが、農林中金の機能を生かす道であるというふうに考えます。
○西田信一君 次の問題に移ります。時間もありませんから御答弁も簡潔でけっこうです。 国の研究投資の態度についてでありますが、この間からいろいろアメリカから研究費をもらったということで問題になっていたくらいでありますけれども、私が調べているところでは、最近六カ年間の研究費の累計は一兆二十九百何がし、アメリカの二十三分の一、ソ連の六・六分の一、英、独の二分の一ですし、国民所得に対する割合も、日本は一・八、アメリカは三・七、ソ連は二・七、イギリスは二・四と、非常に日本が低いのです。それから三十九年一年を見ましても、三千八百億でありまして、これの割合を見ますと、政府出資と民間出資とが、日本の場合は、政府出資が三二%、アメリカは六三%、イギリスは六四%が政府出資、民間と政府の比率はちょうど逆になっておる。もう少しやはり国直接の研究投資、あるいは助成も含めまして、もう少しやはり、民間も必要でありますが、政府の研究投資に対する施策というものが必要と思いますが、どういうふうにお考えでございましょうか。
○国務大臣(二階堂進君) わが国における研究投資の額が非常に少ない、数字をあげてお述べになりましたが、まさにそのとおりであろうと思っております。そこで、この技術革新の時代を迎え、さらにまた資本取引の自由化を迎えまして、技術の開発、科学の振興を積極的に進めてまいることは、これは当然のことだと考えておりますので、政府といたしましても、現在研究投資が国民所得に対する割合が大体一・七%程度になっておりますが、これを約五カ年後には二・五%程度にぜひとも引き上げていかなければならないと考えて、目下そういう対策を検討いたしておる段階でございます。
○西田信一君 総理大臣にちょっとお伺いいたしたいのでありますが、靖国神社は国の手で管理運営をしてほしいという声が、非常に国内で高くなっております。靖国神社の祭神あるいはまたその歴史等を考えて、戦没者遺族だけではなくて、国民の精神的指標の一つとしてこれはもっともな声であるとも思うわけでありますが、どのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私もそういう意味のお話をしばしば受けております。ただいま西田君の御指摘になりましたような点も考えなければならないと思いますが、ただいまの法制下におきましては、憲法との関係——これが宗教法人であることは間違いございませんので、なかなかむずかしい事情にございます。
○西田信一君 通産大臣と文部大臣から。万国博ですね、これは先ほども御質問がありましたが、三年後に迫っておるわけです。ところが準備がなかなか進んでいない。世間では、モントリオールの万博に比べて準備が非常におくれていると心配しておりますが、実際はどうなっておるのか。 それから、ついでですから、冬季オリンピックの準備がどうなっているかということでありますが、これは先般も総理大臣も文部大臣も、東京大会同様のりっぱな大会をやりたいという決意を述べられました。そして文部大臣からは、施設は四十三、四十四年で建設したいということもつけ加えて申されたわけでございます。国が積極的に推進していただく必要があると思いますが、そこでそういう建設の時期から申しまして、もうすでにこの建設の分担、国がやるか、あるいは地方公共団体がどれをやるかというようなことは、もうきめるべき時期であると思いますし、いま一つは、ただオリンピックではなくて、積雪寒冷地方の国民体位の向上という点から申しましても、こういう施設は相当国が重点を置いてやるべきものだと考えますが、準備の状況とあわせてどういうお考えでございますか、お伺いいたします。
○国務大臣(菅野和太郎君) 万国博覧会のことについてお尋ねがありましたが、準備がおくれてないかという御心配のようでありますが、なるほど土地造成の点はおくれております。しかし、カナダのモントリオールの状況から見ますると、やはりカナダでも二年前から本腰になって建築や何かにかかっておるのであります。でありますからして、私はいまの状況では、土地の造成は少しおくれてはおりますけれども、まあまだ千日ありますので、大体私はいけるのじゃないかと、こう考えておる次第でございます。
○国務大臣(剱木亨弘君) 札幌オリンピック冬季大会につきましては、政府といたしましても国家的行事として、また東京オリンピックはああいうように成功いたしましたので、相当の成果をあげるためには、国といたしましても相当の協力をすることをきめておるわけでございます。お話しのございました各競技施設の建設区分及び規模その他工事スタイル等につきましては、さきごろ一応冬季オリンピックのこの組織委員会におきまして大体の成案を得て、ただいまわれわれのところに参っております。しかし、この成案をそのとおりに決定するかどうかにつきましては、いろいろこの関係各省との関係、またその施設を将来どういう使用をいたしていくかと、そういったような関連もございまして、この決定はただいま考究中でございますが、しかし、どうしても昭和四十六年二月のプレ・オリンピックまでにはぜひ間に合わせたいと存じますので、四十三年度の予算を決定いたします以前には、ぜひこの問題も決定いたしたいと、ただいませっかく検討中でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの万国博覧会並びに札幌の冬季オリンピック大会、これはもうそれぞれの担当大臣から詳細にお答えいたしましたので、もうよく御了承いただいたと思いますが、私もこれは国家的な行事でございまして、大阪で開かれる万国博、これは日本の万国博、その全国的な視野に立って、ぜひ成功さしたいし、また冬季オリンピック大会も、東京大会に次ぐもので、これまた成功をおさめたい、そういうことで、ただいまのお尋ねはむしろ政府が鞭撻されたと、かように聞いたわけでございます。まあこの上とも政府も積極的に取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いします。
○西田信一君 運輸大臣にお尋ねしますが、新しい長期計画とも称すべき経済社会発展計画の中で、道路あるいは港湾等の長期計画の見通しがきめられておりますが、そこで、これを基礎にして道路整備のほうは、かつての四兆一千億から六兆六千億と具体的に計画がきまりましたね。そこで、私はこの海陸の国内運輸交通、あるいはまた経済動脈として道路と港湾とがもう全く不離一体、両輪であるという立場から考えるなら、当然これは港湾計画もこの長期計画を基礎にして改定されるべきであると思いますが、改定の御意思があるかないか。あるとすればどういう構想であるかということをひとつお伺いします。
○国務大臣(大橋武夫君) 港湾整備五カ年計画は、総投資規模六千五百億円をもって実施いたしておりますが、昭和四十二年度末におきまする進捗率は四九%に達する予定でございます。しかし計画策定後、港湾取り扱い貨物量の増大、船型の大型化、海上コンテナー輸送体制の伸展など、港湾に対する新しい要請が高まりつつありますので、港湾整備にあたりましても、かような点を考慮する必要を生じてまいりました。一方、港湾整備五カ年計画におきましては、こうした計画期間中に生じた新しい要請に対応するために、調整項目として五百五十億円の保留を持っておるのでございますが、しかし、これだけでは新しい情勢に対応するには決して十分とは言えませんので、計画の改定につきまして目下検討をいたしておるところでございますが、その改定がいつできるかという時期につきましては、できるだけすみやかにという程度で、目下具体的に申し上げる段階でもございません。
○西田信一君 次には厚生大臣に。厚生行政の中で非常に大事な問題だと思いますのは、重症心身障害児、これが要するに絶望とも言える子供たちでありますが、実際二万人くらいおるといわれておるわけでありますが、これに対する受け入れ施設が、ほとんどその一割程度しかないということが、一つの問題だと思います。ことに、これらの子供たちがだんだん増加していく傾向にございますが、この設備の不足に対する対応策と、それからこういうような発生予防の態勢をどういうふうに考えておられるか、この点だけひとつお伺いしておきます。
○国務大臣(坊秀男君) 重症心身障害児がたくさん出てまいりまして、それに対する受け入れ態勢と申しますかこれを収容するという施設は、お説のとおり今日十分ではございません。それに対しまして鋭意去年もふやしてまいり、ことしもふやしてまいり、だんだんとふやしてまいっておりますけれども、まだ十分ではございません。今後ともこれは十分ふやしていくということで、四十二年度予算におきましても相当の程度の増加を見込んでお願いをして、五年計画をもちましてこれをやっていく、こういうことになっておりますが、さてその重症心身障害児が生まれてくることに対しまして、何かこれに対する予防の対策がないか、こういうことでございまするが、重症心身障害児が生まれてくる原因は、妊娠またはその分べんの周辺時における何と申しますか遺伝的な、または環境的な原因というようなことでございますので、これに対する対策といたしましては、母性と申しますか母体と申しますか、この母性の健康管理ということの面と、それから生まれてきますその新生児、乳幼児といったものに対する管理の面と、これ両方あろうと思いますけれども、この両方ともやっていかなければならない。そこで母性に対しましては、これを集団または個人の健康の指導あるいはその健康検査、健康指導といったようなものをやるとともに、妊娠中毒といったようなものにかかっておるといったような人たちに対しまして援護の手を差し伸べるといったようなこと、また新生児、乳幼児に対しましては、これも同様にあるいはその健康の管理、健康の診断または訪問をいたしまして診断をするとか、いろいろな方法をやっておりまするけれども、ことに乳幼児のときの重症黄だんといったようなものにつきましては、交換輸血の手段をとるとかいろいろな方法をやっております。さらにまた完全なる重症心身障害児が生まれてくる原因というものを、これを探求いたしますために、あるいは大学、研究所、そういったようなところでいろいろ研究をしていただいておりますけれども、厚生省といたしましても、医療研究補助といったようなものを活用いたしまして、そうしてこれらの大学や研究所の協力を得まして、組織的にこの原因の探究あるいは診療、診断の方法、治療の方法等について、ただいま鋭意研究をいたしておる次第でございます。
○西田信一君 総理大臣に行政改革の推進について御決意を伺いたいのでございますが、例の臨調からの答申がございましてから、いろいろこれに対する対策をやっておられまして、ある程度の失効があがっておると思います。しかしながら、この最も骨子となるべき抜本的な行政改革は、まだいまだしの感があると思うのであります。いろいろ問題ありますけれども一々申しません。内閣の機能を強化するための内閣府の問題、あるいはまたその他もろもろの問題がございます。公社、公団の整理の問題あるいは各省庁における事務改革、部局の改廃その他たくさんございますが、これらはなかなかその各省と同じレベルにある——失礼でありますが、行政管理庁だけに期待することは、これはなかなか無理であるというふうに思うわけでございます。失礼でありますが、総理みずからの強力なる指導力を御発揮願うことなくしては、その実現は困難であると考えるわけでありますが、積極的なこれらの推進について総理の御決意をひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) この問題は、私の真剣に取り組んでおる政治課題の一つでございます。もう二年たっております。御指摘のとおりでありますし、いままで成績もあがったと言われますが、私はあまりあがったと思っておりません。これは申しわけのないことでございます。ただ、この臨調の答申が基本的なものであり、非常に広範にわたっております。たいへん短い期間にこれを実現することができないこと、残念に思っておりますが、政府といたしましては、前向きでこれと取り組んでおること、この点を十分ひとつ御理解をいただきたいと思います。また御指摘になりましたように行政管理庁にこれをまかす、そういうような考え方ではございません。私がそのうしろにいまして、そうして積極的にこの問題と取り組まなければ成果はあがらない、かように私も考えております。
○西田信一君 最後になりましたが、ひとつこれは総理と自治大臣とに伺いたいのでありますが、いま知事の四選禁止の動きが非常に活発になってまいりました。近く法律案も提出されるような方向にあるように聞いておるのであります。同一人物が長期にわたって知事の座に着くということは、これから生ずるであろう弊害、これも考えられまして、その弊害を除くということは、これは必要であることはよく理解できるのであります。しかしながらまた半面、法によってこれを規制するということは、逆に地方自治権をみずから否定するということにもなりかねないという意見や、あるいは憲法上いろいろな疑義があるという意見も相当あることは、御承知のとおりでございます。知事の多選禁止、四選禁止ということはその首長の公選制度の根本、基本にかかわる問題であると思いますが、いまの実際の動きは、政府みずからの動きではございませんけれども、政府としても、この問題に関心を持っておられると思うのでありますが、どのような見解を持っておられるか、まず自治大臣から伺い、総理からもひとつお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(藤枝泉介君) この種の問題は、元来は選挙民の自由にまかされるべき問題だと存じます。多選というのを何選からいうかは別問題として、現に今回の統一選挙におきましても、三選目の知事候補が落選したり、あるいは六選、四選目等の市長の候補が落選しておる例もございます。したがいまして、そういう点では選挙民の判断にまかせるのが最も適当だと思いますが、ただ面、ただいまもお話しのありましたように、同一の人が長くその座にあることによる弊害等もございましょうから、それらは十分見きわめた上で処置すべきものと考えておりますが、現在私どもはこの政府といたしましては、こうした多選禁止という方向の法律をつくろうという意思は持っておりません。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま藤枝君のお答えしたように、政府はただいまこの問題について具体的にどういう案というものを持ってはおりません。
○西田信一君 わかりました。終わります。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で、西田君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、鈴木一弘君の質疑を行ないます。鈴木君。
○鈴木一弘君 公明党を代表して締めくくり総括をやりたいと思います。 初めに社会保障問題で伺っておきたいのですが、現在の総予算中に占める社会保障の比率が一四・五%、これは外国の例から見ると、スエーデンが全予算の四三%、イギリスが三一%、カナダが二五%、アメリカが二七・三%ということでありますから、それから見ると非常に少ない、こういう感じを受けざるを得ない。この点はどういうふうにお考えになっておりますか。総理から伺いたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) この原因は、大きく見て三つあろうと思います。前に一ぺん申し上げたと思いますが、わが国の年金制度が出発して日がまだ浅いために、年金の支出が本格化していないこと、これが外国と比較して社会保障費の割合が非常に少なくなっている一番大きい原因だと思います。その次は、人口の中に占める六十五歳以上の老人の数、これが欧州諸国に比べて、日本は大体率が半分、老人層が非常に少ないということが原因でございます。老人層の多いところは社会保障費が非常に多くなっているのでございますが、日本は外国の半分、老人層が非常に少ないということが一つの原因でございます。もう一つは、そういうような関係がありますから、国民の負担、税及び社会保険の負担の負担率が非常に少ない。負担率が少なければ、当然社会保障費がまたそれに対応して少ないということになろうかと思いますが、外国は社会保障費の負担が、もう四九%、五〇%も国民の負担があるという国の社会保障の給付というものが非常に充実しておるということが言えますが、日本はそういういろんなおくれを持っておりますために、また、国民所得水準が低いために社会保険負担というものがまだ十分でないと、こういうことが外国に比べて日本の社会保障費が少なくなっている原因だと思います。
○鈴木一弘君 いまの答弁わかりますけれども、イギリスの社会保障の父といわれるビバリッジが、多家族と失業、貧困、失業が貧困の最大原因である、このようにいわれております。 ここで、私は、一般質問のときにわが党の小平委員が取り上げました児童手当制度について、さらに最終の詰めを行なっておきたいと思うのですが、世界の六十二カ国でやっておるのに、わが国だけが行なっていない。アメリカと中国は、主要国でそれだけです、やっていないのは。このILO調査による児童手当制度実施国における児童手当給付率はどのくらいになっていますか。厚生大臣に伺いたい。
○国務大臣(坊秀男君) ただいま手元にその調べを持っておりませんので、追って調べましてお答え申し上げますが、一九六〇年でございますが、イギリスの児童手当は国民所得に対しまして〇・七%、西ドイツ〇・四%、フランス四・一%、イタリア二・九%、スエーデン一・五%というような数字でございます。
○鈴木一弘君 社会保障費に対してどの程度の給付率になっていますか。社会保障費の中にどの程度のパーセントを占めていますか。
○国務大臣(坊秀男君) 社会保障給付費の対国民所得費でございますが、ただいま申し上げました一九六〇年におけるイギリス以下のことを言っているのです。イギリス一二・九%、西ドイツ一九・九%、フランス一七・四%、イタリア一五・二%、スエーデン一三・六%でございます。
○鈴木一弘君 私の伺ったのとは違う答弁だったのですが、児童手当給付が社会保障費の何%かと聞いているのです。
○国務大臣(坊秀男君) イギリスのこの国民所得対比が一二・九%でございますので、それの〇・七%と、こういうことになるわけでございます。それからスエーデン一三・六%で、これに児童手当が一・五%になっておりますから、まあちょっと一割、御質問のは、この一三・六%の一割ちょっとこえておる、こういうふうに御理解いただきたい。
○鈴木一弘君 どうも大臣、政府のほうでははっきりつかんでおらないようですが、児童手当給付率が、ILOの一九六四年の調査では、社会保障費の二七・六%を占めておるわけです。非常にそういう高い、額を持っているわけですが、わが国では二十二年に社会保障制度調査会が、アメリカの社会保障調査団の提案を受けて、すでに十九年間かかっております。ところが、検討されてきたはずなんですけれども、いまだに実現の運びに至っていない。まだ検討するという余地がおありなのかどうか。
○国務大臣(坊秀男君) 厚生省といたしましては、児童手当というものが日本に今日まだできていないということは、社会保障制度の一つのこれは欠けたところである。しかし、日本の社会保障制度と西欧各国の社会保障制度というものを、これを直ちに比較いたしまして、そうしてその優劣ということは考えられないにいたしましても、いずれにいたしましても、児童手当というものができていないということにつきましては、これは厚生省といたしましては、先般総理が予算委員会でも御言明がありましたが、私どもはできるだけすみやかにこれの実現を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 総理は三月二十三日、衆議院の予算委員会で、児童手当制度の創設について、確かに四十三年にはこれを実現するようにしようというふうに発言しておりますが、ところが、大蔵大臣が先日ここの予算委員会での答弁では、二、三年では非常に実現は困難だと、大蔵大臣と総理の答弁が違ったわけです。当時総理がおられなかったので、詰めるわけにいかなかったのですが、はっきりした御答弁をいただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ここに速記録を持ってまいりましたが、私はこう答えております。「ただいま前鈴木厚生大臣のお話を引き合いに出されました。確かに四十三年にはこれを実現するようにしようというのでいろいろ各方面でただいま検討している最中でございます。」、つまり四十三年にやるというふうに申しておりません。検討しておるということを実は申しておるわけであります。この点でただいまも厚生大臣からお答えいたしましたように、厚生省としては非常に積極的に、できるだけ早くやりたい。しかし、なかなか大蔵省は、これは財源等から見ましてそう簡単でない、これがただいまの結論、まあ検討した結果の結論でございます。もちろん今後ともこういう問題につきましては、積極的に検討を続けていくことは、これは当然のことでございますが、ただいまのところはそういうことであります。そうして、これはほかにはないことだと思いますが、わが国においては、いわゆる児童手当という、そういう全般的なものは考えられておりませんが、ただいま実施しておる母子福祉年金だとか、あるいは児童扶養手的だとか、あるいは特別児童扶養手当、こういうもののあることは御承知のとおりだと思います。
○鈴木一弘君 総理は、四十三年にこれを実現するようにしようというので検討中であると言われるが、四十三年には実現するという御意思なのか、とうてい不可能なのかということなんですが、どっちなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 当時お答えいたしましたのは、検討は第一でございます。その検討をするのに、全然いつ実現するかわからない、こういうものではなくて、できるだけ早く、こういう意味で検討する。当時四十三年という年次が出ておる、かように御了承いただきます。
○鈴木一弘君 大蔵大臣は財源的な問題で非常にむずかしい、総理はむずかしいことは御存じなかったからだという答弁をされたわけですが、児童手当の財源が九千億円程度必要だ、こういわれるわけですが、その根拠というものを示していただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 児童一人三千円を支給するということにすれば九千億円になるということでございます。 そこで、いま財源というお話が出ましたが、この問題のむずかしさは、私はこの前話しましたように、財源というよりは、むしろいまの日本の社会保障体制の中にこの児童手当というものをただそのまま簡単に取り入れられるかということについて先般むずかしいというお話をしましたが、もう御承知のように、低所得対策というものを中心にして、児童についてのいろいろな手当制度を取り込んでおるというところへ、今度は一律に無差別に児童手当を出すという制度を持ってくるということ。それから、もう一つは、外国では能率給賃金という体系がございますので、特に子供の多い家庭というものは、非常に日本と違って、年功序列型の賃金形態を持っている国とは違う。児童に対する出費が非常に多い場合には日本よりは外国の労働者のほうが困るというところがございますので、外国では事業主が、特に子供の多い人には賃金体系の欠陥を補う意味の児童手当を出したという、そういう発生の歴史から見ますと、日本の賃金体系の中にすぐにこれをそのまま取り入れるということには、よほど研究を要するということが一つ。それから、税制において、もう教育控除もしろという御要望もございますし、家族控除というもの、扶養控除というもの、各種の控除制度によって国民のこういうものの負担を軽くするために、課税最低限の引き上げというようなことでいろいろ解決しようというような、税制の仕組みがそういう形でもう出発している。そういう中で控除を引き上げてこういう問題の解決をはかれというのと、今度は逆に、現金を支給してこういう問題に対処しろというようなもの、この考え方からいままでの施策から、全部ばらばらになっているときに、こういうものを突然入れ込んでくるというためには、私は、従来の社会保障の体系自身、総合的に相当ここで調整してからでないとこれを植えつけることがむつかしい、こういうことを申しているのでございまして、財源の問題はともかくとして、社会保障の総合調整というものをここでしっかりとしなければ、また、税制との調整というものをよほど考えなければ、すぐにこの制度を移すことはむつかしいだろう、むしろ難点はそこにあると考えております。
○鈴木一弘君 大蔵大臣、すでに二十二年からこれは始まってきておるわけです、すでに十九年たっておる。その間に大蔵省として、当然扶養控除の問題であるとか、あるいはこのところで教育控除を入れろということは、児童手当というようなものが創設されていないから、その点について当然これは税体系、あるいは控除体系、あるいは社会保障の問題について大蔵省としては考え方がまとまっていっていいわけでしょう。全然検討なさっていなかったわけですか。
○国務大臣(水田三喜男君) いま各種の委員全、審議会から財政の効率化ということをいわれております。効率化とは何かと申しますと、条件の違う人に一律に一定の資金を支出するということが財政効率化では最も悪いものだとされて、いろいろ批判されておりますので、私どもは、やはり財政の効率化ということを考えるのでしたら、社会保障においても、一律主義じゃなく、やはり低所得部面にこの措置を厚くするというようなことのほうがいいんだというようなことを考えて、いままできたのは、そういう路線に沿った体系整理をやっておるということでございますので、そこへ今度は、いま言ったような、貧富にかかわらず、条件のいかんにかかわらず、同じように一律な支給をするというような形を突然持ち込もうということになりますと、いままで税制にとってきた態度、社会保障にとってきた基本態度と少しそれる。これは問題でございますので、そこにむつかしさが出ているということでございます。
○鈴木一弘君 突然持ち込むわけではないでしょう。もう前から児童手当制度ということはいわれてきたわけですから、突然持ち込む持ち込むということばだけで逃げようとなさるのはおかしいと思う。厚生省のほうで、いま大蔵大臣から財源が九千億円必要だと、こう言われたんですけれども、これは全部を国家が負担する、こういう考えだろう。これは理想かもしれませんけれども、事業主、使用者が一部負担をするとか、そういういろいろなケースが考えられる。どのような状態においてやりたいと考えていますか。
○国務大臣(坊秀男君) 児童手当をやるという立場から申しましても、その児童手当のやり方等につきましては、いろいろの考え方があろうと思います。たとえば、いま大蔵大臣の述べられましたような月三千円というような方式もありましょうし、何もその月三千円ということただそれ一つに限るというわけでもなかろうと思います。一体、金額というものをどうして割り出していくかということもありましょうし、それからまた、子供が一人、二人、三人、四人といろいろな態様もございましょう。そういったような場合に、第何番目からということもございましょう。それからまた、いまも御議論がありましたように、一体、その親の所持というものを全然考えずにやっていくか、あるいは、その所得がどの程度の場合に児童手当というものをやっていくか、いろいろな考え方がありまして、そういったようなことをしさいに検討いたしまして、また、財務当局が考えておられる財政の角度からこれも見ていかなければなりませんし、各般の角度からこれを考えて厚生省といたしましては何とかしてやっていきたいと、こういう考えでございますが、そのやり方につきまして今後大いに研究をしていかなければならない、こういうことでございます。
○鈴木一弘君 いまの大臣の答弁だと、非常な問題だと思うんです。児童手当制度は、すでに三年も四年も前から言われているし、やるということはわかっている。それがいまだにどういう方法でやっていくかということが厚生省できまっていないということだと、これは責任問題じゃないですか。まだ全然方策はきまっていないのですか、どういう方法というのは。
○国務大臣(坊秀男君) 非常に重大なる問題でございますので、各方面の意見も承ってきめてまいりたいと思っております。
○小平芳平君 関連。総理大臣に伺いますが、鈴木厚生大臣のころから、児童手当は四十三年を目途に検討を進めるということは、もうしばしば答弁も発言もありましたように私は記憶をしておりますが、そこでまた、衆議院の予算委員会で、先ほど総理が読み上げられましたんですが、確かに鈴木前厚生大臣は四十三年ということも言ったし、また、総理も、そのときの御答弁では、四十三年を目途に各方面で検討をしている最中であるというふうに答えられまして、そのあと、四十三年から始めるという重大な総理の発言がありまして云々ということに対しても、別にそのとき否定もなさらなかったわけです。ですから、聞いている人たちは、なるほどいよいよ四十三年から始まるんだなということを思ったわけです。ところが、この前の予算委員会の一般質問のときに、佐藤総理は四十三年と答弁されているではないかというのに対して、大蔵大臣は、総理はそういうむずかしいことを知らないで言ったのじゃないかというように言われて、ばかに話が後退しちゃった、新しく始まろうというこの制度が後退しちゃったというような印象を受けたわけです。そのときには総理大臣はいらっしゃらないので、いらっしゃるときにということできょうになったわけです。ですから、坊厚生大臣は、はっきりした四十三年ということはもう言わないで、ただなるべくすみやかになるべくすみやかにと言っておられるように伺えますが、ですから、厚生省当局として後退なさったのか、あるいは、当面の総理大臣御自身が、四十三年という目標をいままでは持っていたけれども、それを捨てられるのかですね。その辺、ただなるべくすみやかにということだけでいままできたわけじゃないのでありまして、四十三年という目標がもう何回も出ていてからの話ですから、その辺について総理のひとつはっきりしたお答えを願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 小平君にお答えいたしますが、先ほど当時の速記は私が読んだとおりでございます。これに、四十三年というところへ重点を置いて、四十三年を目途にしてと、こういうように御理解のようですが、私は四十三年に実現するようにこれを検討といいますか、各方面からこれを検討すると、こういうことでございますが、むしろこれを実現するというそれがきまった上で、今度は何年からこれをやるということになるのだと思います。お話がありましたように、鈴木前厚生大臣、これはたいへん熱心だったと思います。そこで、いま取り上げている母子福祉年金だとか、あるいは児童扶養手当であるとか、あるいは特別児童扶養手当、こういうものがその時分にだんだんきまったのじゃないかと思います。ことしなぞも、この内容を充実するように予算に計上して、その点はもう御承知のことだと思います。まあこういうような特別な児童に対する手当というばかりでなく、あるいは今後第何番目から児童手当を出すのとか、いろいろな問題があるだろうと思います。各国の例も、二番目から出していたり、あるいは四番目から出していたり、三番目から出していたり、それぞれ違うようですし、まあいろいろ研究することもあるのではないかと私は思います。先ほど大蔵大臣から答えましたように、ただいまの民間給与の体系、これも一様ではございませんから、必ずしも外国の例が日本にそのまま採用されるとも私は思いません。とにかく、みんな、児童手当を創設しろという強い要望が出ております。しかし、それをどんな内容にするかということは、まだまだもう少し研究を要するのじゃないかと思います。 私は、いま、四十三年に実現ができない、そういう意味でたいへん申しわけなく思いますが、しかし、その基本的なこれを実現するような意味で前向きの検討、これはぜひとも続けていきたいものだと思っております。ここで何年ということを申しますと、たいへん誤解を招きやすいので、その点は私は預からしていただきますが、実現するように前向きでこれとひとつ取り組む、そうして、そういう場合に、第何番目の子供かということでまずその所要財源の見方もよほど違うだろうと思います。そういう点もこれから検討すべき問題じゃないかと、かように思っております。
○鈴木一弘君 そこで、厚生大臣に、ちょっとこまかいことになりますが、東京都の武蔵野市で、ことしの四月一日から、児童手当制度を四人以上の子だくさんの家庭に防貧対策として実施している。全国初の試みとして注目されておりますが、生活保護世帯に手当が支給されると、収入が増加したということで生活保護費が削られるので、そういうところには児童手当は支給されていない。これは当然支給すべきように運用上やらなきゃならぬじゃないかと思うのですが、その点、その不合理をどう考えますか。
○国務大臣(坊秀男君) 武蔵野市におきまして、ただいま御発言のような児童手当でございますか、そういったような制度が行なわれておるということは、私も承っております。そこで、武蔵野市におきましては、もしもその児童手当の該当者に児童手当を渡したならば、その人がたまたま生活保護を受けておる人であると、それだけのものが引かれるから、そこで児童手当をその人には支給する制度をとっていないということも承っております。 そこで、たまたま一般に生活保護を受けておる方が福祉年金とか老齢年金とか障害年金とかいったようなものを受ける場合がございますが、そういったような老齢者あるいは障害者といったような方々には、どうもそれだけのお金をもらうだけの必要性が、これは老人や障害者でございまするから、介護が要ったりするわけでございまして、そういったようなものをあげてもいいというようなことになっておりますので、そこで、福祉年金だとかそういったようなものを生活保護費に加算してあげておりますけれども、武蔵野市の場合には、老人だとかあるいは障害だとか介護が要るとかいったような特異の事情を持っておる方ではない。ただ、子供を四人持っておられる方の四番目の子供に対してということになっておりますので、そこのところに趣が少し違う点がございまするので、武蔵野市の場合に、それと同様に扱いまして加算をするという制度はとっていないというわけでございます。
○鈴木一弘君 不合理をどうするかということについて、そういう扱いはしないという非常に冷たい返事だったわけですが、子供というものは、これからは国家社会が育てるべきものであり、それが児童手当制度である、そういうものの考え方であるとすれば、たとえ特異な例であったにしても、そういうことを考えてやるのは当然じゃないか。当然生活保護費からは引かないという特例をそこにだけ考えてやるということはできないわけですか。
○国務大臣(坊秀男君) 福祉年金を受けておるのは、これは、御承知のとおり、障害年金であったり、老齢年金であったり、そういったような人たちが、どうしてもそういうくらいのものが、社会的の生活をしていくためには、看護、介護、そういったようなことが要るわけでございますので、そこで一応これを加算いたしまして、そうして差っ引くのは差っ引くのでございますけれども、一応加算をいたして差っ引くと、こういう制度をとっておるのでございますが、武蔵野市の児童手当というものは、そういうこととは少し趣が違いますので、これを適用していない、こういうわけでございます。
○鈴木一弘君 それはわかるんです。その答弁はわかったんだけれども、それじゃその武蔵野市の場合に何か特別の例を考えないかと私は申し上げている。
○政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。ただいまの問題、大臣の御答弁に、ちょっと技術的な問題がありますので、補足申し上げたいと思います。 生活保護法は、御承知のように、この第四条におきまして、被保護者になろうとする場合に、収入があり、あるいは資産がありというものは、自分の生活に全部それを注ぎ込んで自分の生活を維持しようと努力して、それが足らぬときには一定の額が生活保護法の支給として出る、こういうような制度でございます。したがいまして、その線に沿いまして、たとえば恩給とか年金とか、年金でも福祉年金とか共済、たくさんございますけれども、そういうふうな収入は、全部本人の収入があるものとしていわゆる収入認定をする、保護費から差っ引く、保護基準から差っ引いて残りを差しあげる、こういう仕組みになっております。その点におきましては、福祉年金でも、恩給でも、退職金、共済でも、全部同じでございます。ただ、いま大臣から申し上げましたのは、たとえば老人の場合で老齢福祉年金千五百円というふうなものをもらう。それは収入認定をする。しかし、現実に一般基準で考えた老人とか身体障害者の場合には、基準で考えたものにいろいろな出費が要るだろうということで加算金をつけている、こういう制度でございます。したがって、収入の認定はする、ただし、別のいわゆる保護基準のほうで加算金をつけている、こういう二本立てで考えているわけでございます。したがいまして、もし武蔵野市のような、実はこれは前もって御相談にもあずかったのでありますが、武蔵野市だけでいま行なわれておりますように、四人以上の子供の、四人目に特別の金が出て、それを収入認定しないということは、ほかの恩給なり何なり全部収入認定しておりますので、その部分と抵触するから、どうしても収入認定をせざるを得ない、それから加算をつける。したがって、千円なら千円の収入認定をして千円の加算をつけるという制度をつくりますと、これは全国に四人以上の家庭がたくさんあるわけでございます。これは武蔵野市だけに特別の基準をつくるというわけにはどうしても保護法上まいらない。全国的にそういう制度を全部に及ぼさなければならない。これは国家的な制度としてできるならば別問題として、特定の市だけについて、四人以上の子供を持った人について特別の基準をつくるということは、現在の生活保護法上、非常に困難であるということを申し上げたわけでございます。
○鈴木一弘君 その点は、もっと法の運用をよくするように、法の改正等を考えるべきだと思うのです。これは答弁要りません。 次に、今度は米価の問題について伺っておきたいのですが、まず物価の問題でありますけれども、エンゲル係数の変化というものは、都市勤労者世帯あるいは全世帯について、どういうふうにこの数年間変化してきておりますか。
○政府委員(中西一郎君) エンゲル係数は、ここ数年にさかのぼって申し上げますと、三十六年が三七・七、三十七年が三六・七、三十八年が三六・四、三十九年の三五・七、四十年が三六・三、少しここで上がっております。四十一年が三五・一、再び下がっております。これは都市勤労者所帯の平均であります。 全所帯のを申し上げます。これは三十八年からになりますが、三十八年が三八・七、三十九年が三八・一、四十年が三八・一、四十一年が三七・三であります。
○鈴木一弘君 これで見ると、エンゲル係数はやっとこのところで三十九年の水準に戻ってきたということです。一度上がりまして再び下がってきたということですから、どうやら前の状態に戻ってきた。 その次に伺いたいのは、賃金指数。名目賃金と実質賃金の指数の傾向はどうなっておりますか。
○政府委員(宮沢鉄蔵君) 名目賃金指数を申し上げますと、三十八年度が八四・七、三十九年度が九三・四、四十年度が一〇一・六、四十一年度が一一三・〇となっております。 実質賃金指数のほうは、三十九年度が九八・七、四十年度が一〇三、四十一年度が一〇六・五となっております。
○鈴木一弘君 確かに片っ方のほうはかなりの伸び、八%以上の伸びがあると思いますが、実質賃金指数の伸びのほうは、はっきり申し上げますと、三十九年度のほうの伸びに対して、四十年度の伸びが少ない、あるいは四十年度、この一年間でもある程度回復はしているけれども、かなり消費者物価の上昇というものが響いているように思う。 その次に、穀類の消費者価格指数というものはどういうふうに変化しておりますか、特に米価値上げの前後のところを言ってもらいたい。
○政府委員(中西一郎君) 米価値上げに関連しまして、やみ米の価格が上がる、あるいはほかの食料品が上がるというような指摘が一般になされますが、必ずしも傾向的に、配給米の値段が上がったから、必ずほかの穀類、あるいはほかの食料品が上がるという傾向を見出すことは非常に困難であります。といいますのは、それぞれ別の市場形成をしておりまして、そこに競争原理が働く、あるいは独自の需給関係があるというようなことでございまして、傾向的な、一般的な法則を見出しがたい、かように思っております。
○鈴木一弘君 はっきりしたデータで言ってもらわなければ、そういうことが言いがたいということもわからない。ですから、三十六年以降の年度別でもいいですから、穀類の消費者価格指数を言ってください。
○政府委員(中西一郎君) 数字を申し上げることになりますが、四十年一月に配給米価の改定がありまして、それは精米で九百五十五円から千百十円に改定がありました。このときの小麦粉の動きでありますが、薄力の一等粉で、改定前が七十五円八十銭、それが一月改定の際には七十六円五十銭に上がっておりましたが、二月になって七十五円八十銭に戻したということで、八月前後にはきわ立った動きはございません。食パンについても同様ですが、こまかい数字を申し上げますと、十二月に食パン一キロが百八円でございました。一月に百七円八十銭、ちょっと下がっております。二月に百八円三十銭、戻しております。それから、ほしうどん等についても同様の傾向でございます。精麦は、十二月が六十円十銭であったのが、一月に六十円三十銭、少しこれは上がっております。四十一年一月の改定の前後でございますが、このときの小麦粉は、前が七十五円四十銭でしたが、改定の月から七十六円五十銭、このときは一円十銭ばかり上がっております。食パンについては、百十一円であったのが百十一円四十銭、二月には百五円九十銭というふうに食パンについては下がっております。ほしうどんについては、十二月が八十二円六十銭、それが一月に八十四円五十銭と上がっておりますが、特殊な事情があったのかと思います。二月には八十二円六十銭にまた戻しています。精麦につきましては、四十年十二月が六十一円でございます。一月に六十二円九十八銭に上がり、二月に六十三円八十銭というふうに上がっております。 以上のような経過でございます。
○鈴木一弘君 いまの穀類のことを言われたのですが、私が調べたのでは、穀類の消費者価格指数が、三十九年十二月が一一五・九だったのが、四十年には一二七・九にのぼっておる。三十九年の一月には一一四でありますから、三十九年中は一一四から一一五ないし一一六の間を左右していたのが、四十年一月に米価を改訂してから一二七・九、そうして四十年の終わりには、十二月が一三〇・八というように、明らかに、米価を上げるたびに穀類の消費者価格指数が大幅に上がっておる。これは言うまでもないことだと思うのです。いまの、個々に一月ないし二月だけを見て、もとに戻ったというような、こういう答弁では困るのです。 次に、消費水準について伺いたいのですが、消費水準はどういうふうに変わってきているか。都市の勤労者全世帯、そういう指数があると思いますが、それが名目的には伸びておると思いますが、実質的な伸びというのは非常に少ないと思う。それについて状況言っていただきたいと思います。
○政府委員(宮沢鉄蔵君) 全国の消費水準につきましての指数でございますが、三十五年基準の指数でございます。三十九年が一二六・七、四十年が一二九・九、四十一年は一三五・二という数字になっております。
○鈴木一弘君 対前年比でどのくらいの伸びになりますか。
○政府委員(宮沢鉄蔵君) 三十九年が六・二%アップ、四十年が二・五%アップ、四十一年が四・一%アップというふうになっております。
○鈴木一弘君 消費水準を見ても、実質というものが確かに私は、三十九年あるいは四十年あたり見ても、そう大きく伸びていないのじゃないか。そこで、はっきり言えば、消費者米価の伸びというものを調べていけば、これははなはだ不合理を生じるのじゃないか。このように思うわけです。 その次に、収入階層別の家計費支出で、その中に占める米の支出というのはどうなっているか。特に五分位階層よりもこまかく十六分位ぐらいの階層の点で答弁していただきたい。
○政府委員(中西一郎君) 通常五分位でやりますので、それで申し上げたいと思います。 四十一年平均で、勤労者世帯でございますが、配給米の支出係数が、第一分位で六・一、第二分位で五・一、第三分位が四・二、第四分位が三・八、第五分位が二・八、平均して四・〇でございます。あわせて、全世帯は、平均でございますが、配給米の支出係数は四・三であります。
○鈴木一弘君 以上のいろいろな答弁から見てみますと、エンゲル係数についても、私の調べたところでは、年収十万未満の層というものは非常に大きくなって、それに対して二百万円以上の層は非常に少ない。これは、こまかい数字をお聞きしないで、私のほうから申し上げますけれども、五六・七、二百万円以上の層が三二・四というように非常に大きい差がある。また、米の支出係数についても、この大きい分位に分けますと、一五・九%から四・一というように、大きな差を持っている。特に五十万円未満の層については、米の支出係数がエンゲル係数のほうよりも落ち込み方が大きい。あるいは米の平均の購入価格にしても、一キロ当たり百十円十八銭から百二十二円七十七銭、こういうように分位階層によっては大きな違いがあって、一割以上の差がある。これは、給料が高くなればいい米を食べておるということでありますが、それにしても、七十万円未満の層はすべて平均よりも低い。こういうようになっている。しかも、年間の米の購入量はどのくらいかといえば、世帯員一人当たりで最高が八十八・五キロ、最低が七十七・一三キロというふうになっておりますが、これも、高所得者層のほうが購入量が少なくて、低所得者層のほうが購入量が多い。その差も一割以上ある。そういうことから考えると、低所得者層のほうに今回の米価値上げというものはかなり響いてくるのではないか。その点のところは、これは経企長官、どうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、エンゲル係数をあげて仰せになりましたとおり、やはり階層によって価格を異ならしめない以上は、所得の小さい階層に与える影響が大きい。これは疑いもないことであろうと思います。
○鈴木一弘君 ここで総理に伺いたいのですけれども、今回一四・四%の米価の値上げをやる。そうすると、この間の答弁では、ウエートは一万分の五百以下であるから〇・七%、その半分だから〇・三五%ぐらいしか物価上昇寄与率はないと言われたのです。ところが、実際には、低所得階層になれば、それは食事のほうも米に依存するところが多いわけです。しかも、その値上げというものは一律にくる。やみ米でなくて、悪いほうの米を食べなければならぬ。一体この低所得者階層に対しては、米価値上げに対してどういうように対処し救済しようとなされるのか、それを伺いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 申し上げるまでもないことでありますが、低所得層の中で、ことに生活保護を受けておるというような階層については、御承知のように、保護基準を上昇させておるわけでございますし、また、不十分ではありますけれども、いわゆる普通外米について自由販売をするというような措置もすでにとっておるわけでございます。もちろん、それらで十分だとは必ずしも考えませんけれども、所得層によって同一銘柄の米の価格を異ならしめるというようなことは、それ自身にいろいろ問題があろうと思いますので、ただいまのような措置を進めていくということになっておるわけでございます。
○鈴木一弘君 とにかく、この表で見てもわかるのですけれども、年間収入が二十万円以下という人になると、——これは二十万円以下です。消費支出が八万六千円、うち食糧費に四万円を使っている。ところが、年間所得が百四十万というようなことになりますと、十九万円の消費支出のうち、食糧費がわずかの六万七千、非常に少ない。三分の一に過ぎないし、片方は過半数を占めている。こういう点で、いまの答弁だけでなくて、何とか救済する方法を考えなくちゃならぬ。 〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕 そうしなければ、米価値上げによるところの不満と申しますか、生活圧迫というものは、ただ保護費とか、いろいろなことを見るということだけでは、とうてい私はいけないのじゃないかと思う。どうなんでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 米につきまして、低所得層について特段の配慮をしたいということで、過去においてもいろいろ検討いたした実績がございますけれども、どうもうまくいきません。したがって、低所得層に対する社会保障関係のほうで十分考慮すべきであると思いますが、私ども米を扱っているほうにおきましても、ひとつ慎重に検討してみたいと思っております。
○鈴木一弘君 慎重に検討するという、その中身はどういうことですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま申し上げましたように、過去においていろいろなことをやることを検討いたしてみた実績はございますけれども、なかなかうまくいかない。低所得層と思われる方々を相手にしている実際の配給所の人に聞きましても、やはりなるべくいい米を持っていらっしゃいよという要求が非常に多いようであります。さればといって、あなたのうちは低所得であるからといって通帳の色を変えるというようなことをいたしたら、これはたいへんなことでありますし、なかなかむずかしいんであります。したがって、社会政策全般から見て、やはり低所得層について特段の配慮をすることは、政治の面で必要であろうとは思いますが、米に関しての取り扱いについては、なお研究は続けますけれども、過去の実績を見て、なかなかむずかしいということでございます。
○鈴木一弘君 総理に……。まあ、いまいろいろ、経企長官からも農林大臣からも御答弁があったわけでありますけれども、米価値上げについて慎重にしなきゃならぬ——それについて、総理としては、一体、まあ上げるのは好ましくないけれどもやむを得ないという考えなのか、そういう低所得者層に対する施策というものを忘れてはならないと……。それの裏づけというものを、どうつけようとなさるのか。まあ厚生のほうにまかせるのか、その辺の御裁断はどうするか。
○国務大臣(佐藤榮作君) この消費者米価、一応ただいま予算に、上げることで組んでおりますが、しかし、これが所定の手続を経なきゃならぬことはもちろんでございます。したがいまして、審議会におきましても、いろいろ取り扱いについての決定を十分審議していただく。それでまあ初めて最終的に決定を見るわけでございます。そういう際にも、ただいま鈴木君が述べられたような点についての意見が必ず出ると私は思っておりますから、そこでまあ、先ほど来のお答えをもう一度繰り返して申しますと、いわゆるその低所得層、この社会生活扶助その他を受けておる階層、これについては、もう予算におきましても、消費者米価が上がることによって、手当をふやすという、そういう方向をとっておりますから、まず、不満にしろ、一応解決ができる、かように思います。 〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕 しかし、生活保護を受けない低所得層、まあたくさんそういう階層がいると思いまするが、その保護を受けないところの諸君にどういうようなことになるのか、これは、ただいまこの席における一番の問題だと思います。それについては、先ほど農林大臣がお答えしておりますように、これを区別して、特別な特用米制度を設けるとかというようなことをいたしましても、差別待遇というようなことで、みんながなかなか納得してくれない。そこで、これらのものについては、どうもいま施す方法がない。こういうようなお話をしたのであります。 私は、まあ全体として、特別な差別待遇をするということは好ましくないことだし、その消費者自身が選択的な立場で、自由な選択の意味で、あるいは安いものを買うということ、これはありましても、いわゆる制度として考えられるものではない。かように、実はまあ私自身割り切っておるのであります。したがいまして、できることならば、消費者米価を上げないで、そのままいきたい。これは何度も申したのであります。しかし、いまの会計制度から申しまして、上げざるを得ないような状態になっておる。ここにひとつ、各人が御協力を願いたいものがあるのであります。私は、低所得層のたいへんお気の毒な状態に対して、これをうまく経済を反映さすことにより、その所得がだんだん上がっていくような方法も考えられるのじゃないだろうか、どうしても救済のできないような方々に対しては、社会保障的な救済制度、こういうものが行なわれ、その他の方については、所得がふえるように、そういうチャンスを与える、そういう機会を与える、こういうことに努力すべきじゃないか、かように私は思っておる次第でございます。
○委員長(新谷寅三郎君) 鈴木君の質疑の途中ですが、都合により、残余の質疑は明日行なうことといたします。 —————————————
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 総予算三案審査のため、明日、参考人の出席を求めて意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 明日は、午前十時開会することにいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。 午後六時一分散会