予算委員会 第9号
- 発言数
- 313 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1967/05/09
会議録
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十二年度一般会計予算、昭和四十二年度特別会計予算、昭和四十二年度政府関係機関予算、 以上三案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き質疑を行ないます。山本伊三郎君
○山本伊三郎君 それでは、まず第一に、佐藤内閣の基本的な政策を決定する経済社会発展計画、いわゆる長期計画について。佐藤内閣は組閣以来、経済については高度経済成長よりも安定成長だということを口ぐせに言われました。また、佐藤内閣は社会開発内閣ではないかと言われるぐらいに口すっぱく言われましたが、これについて若干まず基本的な問題を聞いてみたいと思います。 その前に、池田内閣のときの高度経済成長政策と比較いたしますと、私も相当克明に読みましたけれども、内容はきわめて複雑でございます。池田さんの場合は、高度経済成長政策は何かといえば、国民の所得を倍増するのだ、十年間にやるのだと、こういう率直な意見で国民の中に入ったのでありますけれども、今度の場合は経済社会発展計画、名前も若干変わっておりますけれども、この受け取り方について私自身持っておりますからそれによって質問いたしますが、まず冒頭に、国民にこれはこういうところに重点があるのだと、物価安定、経済の効率化、あるいは社会開発という三つの柱がありますけれども、それを端的にひとつ表明していただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 山本君がずいぶん研究していらっしゃると思いますので、この機会に国民に訴える気持ちでお答えしてみたいと思います。 昭和三十年来、いわゆる経済高度成長、たいへんすばらしい成果をあげ、ただいまの所得倍増というような表現も出てきている。経済発展は見られたけれども、同時に、これが生活の面に与えておる悪影響、また経済の面に与えた影響、これを見のがすことはできないと思います。経済の面では一体どういうことかというと、中小企業や農業その他生産性の低い部門が立ちおくれたということであります。また、生活の面では一体どういうことかというと、これは公害等が発生している、いわゆる社会資本の充実、これがおくれている。こういうような点が出てきておりますから、必ずしも経済成長というものが全部にまんべんなく効果をもたらしている、こういうことは言いがたいと、かように私は思います。したがいまして、しばしば皆さんからも言われておりますように、高度成長、それは一部のものだけではないか、こういう端的な表現が当たっている、かように思います。やっぱり経済の成長、これは政治も同じですが、国民にその利便がまんべんなく効果をもたらすという、こういうことでなければいけない、かように思うわけであります。 したがいまして、今度の経済社会発展計画というものは、ただいまのような高度経済成長によってもたらされた幾多の欠陥を究明すると同時に、今後どういうようにしたらいいか。今後の問題は、ただいまも言われますように物価の安定、経済の効率化がこの際必要だろう。したがいまして、ただいまの新しい事態、今度は本格的に経済が国際化する、また同時に、本格的に国際化したり、また高度の技術開発が行なわれたりする際に、ただいまのような弊害をかもし出さないようにする。そのためには、やはり経済成長が五年間を通じて八%程度、最終年度には物価を三%程度の上昇にとどめる、こういうところを目標にしてひとつあらゆる施策を総合的に進めていこう、これがただいま言っている経済社会発展計画というものでございます。問題は、過去の高度経済成長、たいへん私も高く評価いたしますが、それによってかもし出される幾多の弊害、これを除去する、そこに安定した成長が必要でございましょうし、またまんべんなくその利益を享受することができる、こういうような社会をつくる、これが私どものねらいでございます。
○山本伊三郎君 私はこの計画を通読したところ、私のとる意味と大体合っていると思う。ところで、いま言われました経済社会発展計画の一応の基調となるものは、どうしてもやはり高度経済成長から安定成長にこれを戻す——戻すという表現は別として、新しくそういう方向で進む、その上に立って、その上からくるところの効果をもって物価安定あるいはまた経済の効率化あるいは社会開発、いま言われたもろもろの社会開発の問題に入っていく、そういうことだと思っておりますが、その前提となる安定成長自体に問題がある。と申しますのは、五年間にいわゆる平均、名目で一一・三%、実質で八・二%ということが出ておりますけれども、すでに四十二年度当初の年度において予算書に出された経済見通しは九%だと見込んでおられますね。この矛盾と申しますか、五年計画をもってもう当初においてすでに破れておる。しかも、それは徐々に五年でこれを縮めていこうという計画がこれに載っておらない。平均の数字は載っております。しかも、四十二年度、四十三年度、あとからまたこれは関係大臣に聞きますけれども、経済の成長は、八・二%程度でおさまるというような見通しは、各経済指標を見てもないと思いますが、これは一応別といたしまして、その矛盾をこの五年間にどう吸収するかということを聞きたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 実質成長を八%、こう申しておりますが、この実質成長は平均して八%、これは毎年同じようにいくのか、あるいはこの計画の前半においてはもっと高いところにいく、後半において低いところにいく、平均して八%になる、こう考えますと、ただいま申し上げるように、前半においては相当高い成長率、後半においてその成長率ば低い、平均して八%、こういう実はねらいでございます。 ただ、いま言われまするように、これももちろんその危険がございますから、その危険にならないようにた、だいま実は注意しておるのであります。ただいまの成長率が最初は高くてあとは低いというのは、それは主として何によるかというと、労働力のこの変化というものが、いまもうすでに労働不足の状況でございますが、この先になればなるほど労働力の不足が強くなってまいります。その意味において、経済の成長はどうしても低いところにとどまる、こういうことになるのであります。私は、ただいまの八%自身、これはたいへん日本では安定したというようにいいますけれども、外国にも例を見ないこれは高い成長でございます。よく所得倍増ということをいわれますが、十年で所得が倍増になるという、それから見れば七・二%の成長率なら複利で十年で倍になる。それが平均八%といえば、それよりも高いのでございますから、これはなかなか高いのであります。したがって、過去のような高度成長にどうしても走りやすい、そういう危険はもちろんございます。だから、いま気をつけて押えておる、こういう形でございます。
○山本伊三郎君 それは総理ね、あなたの言われることは、ここに出されておる数字から見ると当たらないのですよ。二一ページに表が出ております。正確な表だと思います。四十一年度見込み数字として、これはただ四十一年度の最後が出ていないから、大体実績見込みだから間違いないと思いますが、それを基点として平均、これはもう実績というよりも名目でいかぬとこの数字は合わない。実質でもいいんでございますが、一一・三%ということで、四十六年度は六十一兆七千百億円という数字が出ておるのですよ。したがって、これはいわゆる五年間これだけのものがあって初めてこの数字が出てくるのです。あなたの言われる七・二%も高いのだ、こういうことになると、その数字はちっとも出てきておらない。そういう計算にならぬですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの七・二という数を出しましたのは、これが十年で倍になる数字ですと、こういうことを実は申したのです。したがいまして、この平均七・二で年々こう増加していくと、十年で倍になる、これは複利計算すればそうなる。ところが、それよりも高いのがただいまの八%でございますから、そう低いものじゃないのだ。したがって、これはなお走り出す危険は多分にございますということを申したのでございます。いま言われますように、実質四十年度は二十五兆円、四十六年度はこれが四十兆円、名目で申すと四十年度は三十一兆円、四十六年度は六十二兆円、これはいまあげられた数字でございます。私はそのとおりの指標のもとにただいまの経済社会発展計画を進めておるのであります。
○山本伊三郎君 それは総理ね、それはあなた十分よく御存じだと思いますが、ぼくの言っておるのは、これで平均して八・二%の計算をしておるのなら、四十二年度ではすでに九%上がっておるのですね。上がっておるのですよ。それからいくと、上がった分の約三千億というものが、どこかに吸収されないとこの数字は合わない。しかも、あとで説明いたしますが、四十二年度の成長は九%におさまるかどうかということも問題がある。これはあとでやりますよ。ところが、すでに九%四十二年度で上がっているのだから、この数字からいくともっと上がらなくちゃならぬということを私は言っているのですよ。この数字からそうなるのです、計算が。四十二年度は九%ですよ。この計画書の平均は八・二%になっておるのですよ、計算は。初年度の四十二年度は九%に事実上なっておる。この計算には入っていない。それはどうなんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) そこでさっき申したように、平均でいくとこれが平均が八%。その平均八%になるのは、計画の初めの間は高い率であって、そうして後半は低い率になる。それが平均して八%になる、こういう説明であります。これ、すでにスタートするときに九%というような高いものになっておるから、どうしても計画の後半においてはそれを低いものに下げていかないと平均八%にならないわけです。しかも、それをそれじゃそういうように下げるのは力だけかというと、実際に労働力その他から見ましてもそこまでの成長を維持するわけにいかない、こういう数字になっておりますということを申し上げているわけであります。
○山本伊三郎君 しからばぼくは具体的に聞きますが、あなたは下げていきますと言うが、それは一つも計画に出ていないのですよ。だから、しからば四十二年度は九%、四十三年度は八・五%、最終年度は七%というような考え方でつくられたのか、それを聞いておきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは大体ただいま言われるようになるのですが、それじゃあその数字は一体何なのかと、その数字を示せというお話でございましょうが、これはこの上には出ておらないのですね。平均して八%になるような、いまの最初スタート九%、あるいは九%五になる、こういうものから総体を八%にするのには、じゃあどうすればいいか。やはり下を下げる。しかも、それは下がるような、労働の問題だけを一つ見ましても、そういう数字になってくるわけであります。
○山本伊三郎君 そういう議論をしていると時間がたつわけでありますが、われわれはきわめて不満があるわけであります。そういう見通しでないとぼくは見ておる。それはこれから申し上げますが、しからば四十二年度の九%ということ自体についても、これは一つ大きな問題がある。政府は経済見通しとしてこの計画に沿ってそういうものを出されたかしれませんが、昨年度、四十一年度は九・七%上がっておる。まだもう少し上がっているかもしれませんが、最後の数字が出ていない。しかし、政府の見通しどおり九・七%としまして、今年度、昨年度いかにおさまるという経済指標というものは私は見当たらない。四十二年度ですよ。昨年度は九・七%、本年度は九%にしておるのだが、たとえばまず一応この経済成長の一番先行しようといわれておる機械受注額の傾向を見ましても、これは経済企画庁からもらったんでありますけれども、二月現在でも相当これは伸びておりますよ。その伸び方が単に一時的のものではない、いわゆる経済過熱という傾向も若干あると思うのですよ。二月分の前年同月比が出ておりますが、受注額合計で伸び率が四七・七%ですよ。昨年の二月と今年の二月、先行き指標を見ますと四七・七%と出ておる。経済に影響する度合いの少ない船舶を除いて考えたら六一・八%になる。これは一番経済成長の先行きの指標として重要課題としておるのですね。これだけじゃないですよ。これは菅野通産大臣に聞きたいと思うのですが、いわゆる法人、公共投資のこれの予想額を見ましても、昨年の四十一年度の第一四半期の実情とそれから本年四月から六月の第一四半期の状態を見ると、約一千億ほどのいわゆる投資がふえておる。そういう実情から見ると、昨年の九・七%以下で、九%で四十二年度の経済成長がおさまるというような指標が私は見当たらない。そのほか生産の稼働率、いわゆる操業率といいますか、稼動率についてもそうだし、また、国民消費のバロメーターである主要百貨店の売り上げ高を見ましても、おのおの伸びている傾向がある、昨年に比較してね。それが九%でおさまり得るというその根拠を私は示してもらいたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、先ほど一つの指標として、労働人口の減少を申しました。また、国際収支の問題もひとつ考えなければならぬし、物価の動向ももちろん注意していかなければならぬ。こういうような、抽象的ではございますが、いまのような高度成長、九%、九・五%、九・七とか、こういうものを持続すると、こういう点でその生産を維持できないという結果になるわけであります。したがいまして、私、ただいまの八%、これはもちろんつくった数字だと思います。この辺ならば安定成長は可能だろう、そういう意味で八%をつくったと思います。この八%を実現するためには、ただいま私が説明したように、九・七でスタートすれば、あとの計画の五年の最後のほうでは、これはよほど成長率を小さくしなければ平均にならぬ、こういうことを申したのであります。大体いま申し上げる国際収支の状況だとか、あるいは労働の供給だとか、あるいは物価だとか、こういう点から、これはどうしても民間金融、さらにまた財政政策なり、そういう点で経済成長を押えざるを得ないようになってくるということでございます。したがいまして、私、いまの計画そのものは、各方面の人たちの意見を聞いたのですが、私はいいところに一応おさまっておる、かように存じておる次第であります。ただ、これをいまのようなままでほうっておくと、いま山本君が御指摘になりましたように、設備投資規模、これだけを集めると、たいへん膨大な金になります。しかし、それが必ず経済が過熱する、そういう状況が国際収支もアンバランスになる、これはたいへんだというので金融自体も締める、あるいは政府自身もこれに対して対策を立てるということで押えていこう、こういうことになるわけであります。
○山本伊三郎君 通産大臣どうですか、答弁の余地ありますか。私の言うたことに対して、間違いであれば間違い……。
○国務大臣(菅野和太郎君) 昭和四十二年度の民間設備投資が非常に多いのじゃないかということでお話がありましたが、二月二十日の通産省の設備投資計画によりますると、三九・三%の増ということになっております。よほど多い増加率になっておりますが、これは、過去二年間非常に不景気だったということで、当時、民間設備が沈滞しておったということと、それからもう一つは、資本の自由化にそなえて近代化、大規模の設備投資をやらなければならぬということで設備が非常にふえたということと、それからもう一つは、新しく需要を伸ばしてきても、それに対してやっぱり設備を拡大しなければならぬというようなことで、三九・三%というような数字が出てきたのですが、これが過熱になるかどうかという問題です。しかし私は、こういうような長期的な観点からすれば、また、資本の自由化にそなえて国際競争力を増すというような観点からしますると、この際の設備投資というものは、決してこれは私はそうとがむべきものではない、やがてこれが設備ができますれば、二、三年すれば、それが稼動するのでありますから、したがいまして、私は、この際の設備投資をもって決して過熱であるというようには見ていないのでございます。いまのような設備投資であれば、これはむしろ大いに歓迎すべきであるというように私自身は考えておりますが、しかし業種によっては、あるいはシェアというような関係でこの際設備を拡張したいというようなものもあります。これは警戒しなければならぬので、その点は、産業審議会のほうで、いろいろ私のほうでも審議いたしておりまして、まあこの設備は少し過熱の危険があるというような場合にはできるだけ押えるというような立場でいろいろ審議さしております。たとえば鉄鋼設備のような問題でも、いまいろいろ私どもで、産業審議会で審議いたしまして、できるだけ各メーカーが希望しておるような設備増設は押えようというようなことをやっておるわけであります。 それから、三九・三%の民間設備の増加率が非常に多いじゃないかという御心配ですが、しかしこれは、通産省の調査は、大体、製造業者についての調査でありますから、したがいまして、製造業でない生産者、たとえば、中小企業のようなもの——これは資本金五千万円以上の会社について調べたものですが、そういう中小企業、それから農業生産、これなどはおそらく民間設備の投資で一〇%くらいじゃないかと思います。それからまた、これは皆、計画の数字が出ておるのですからして、実績になってくるとこれはいつも少ないのです。そういうようなことから考えてみますと、経済企画庁の発表では、来年度の成長率が一四・四%——これは名目ですよ——ということになっておりますが、大体そういう農業生産とか、中小企業とかというような生産を総計しますると、大体一四・四%、まあ一五%ぐらいが設備投資になるのじゃないか、そうすれば過熱ということにはならないというように大体考えておる次第であります。
○山本伊三郎君 私、いまの設備投資が適当であるかという論議をしておるのじゃない。そういう経済指標の中にあって、昨年度の九・七%よりも本年度は〇・七%低いところへ押えられるかどうかという問題を質問しているのですよ。言われたように、過去、三十九年の末から四十年の初めにかけての不景気の場合に非常に押えられた。これは自然に押えられたのだが、それが出てきたということもわかる。しかし、それらの指標を全部考えても、昨年の九・七%以下に下がるという指標がない。かりにあなたが、最後は実質的に一四%程度に設備がふえるのだと言われても、なおかつ九%以上の伸びだと思うのです。これはあなたが言われておる、総理も言われておる。八月になればわかるのです。山本伊三郎の数か、佐藤総理大臣の数かは別として、わかるのです。それを自信のあることとされておる。私は過熱であるかどうかという議論は別にしますよ。これをはっきりと認識しておるかどうかということなんです。 経済企画庁長官がおらぬから——代理はだれですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 政府の見通しのように、国民経済計算の上で見ると、今年度の見通しのような国民の消費支出、政府の財貨サービス購入、設備投資の資本形成等が、あの数字のような形でいくなら、大体総生産の伸び率は実質九%に落ちつくだろうという計算でございます。その各項目の変化がいまどういうふうに動いているかというのが山本さんの問題であろうと思いますが、その点で設備投資は当初予想したよりも少し大き目であるということは間違いございませんが、しかしこれも、いままたいろいろなことがいわれておりますが、前半期に率は相当多くなるが、今年度の後半期における動きはまた違ってくるという予想が最近出てまいりました。たとえば開発銀行とか、そのほかの銀行の調査を見ましても、前半が重く後半が非常に少なくなっているという傾向が、各調査の傾向にも出てまいりますし、そういう点を考えますというと、一年を通じてどの辺に落ちつくかということは、まだ実際においてはわからない問題でございますので、私どもは当初の予想のような輸出入を維持でき、そうしてそのほかの指標も大体これを中心にしていくということでしたら、やはり実質九%前後に落ちつくことは可能じゃないかというふうに考えます。 昨年よりもことしのほうが率が多いのはどうかということでございますが、これはいま通産大臣が言われましたように、四十年度が非常に不景気でございましたので、これに比較した伸び率というものは昨年程度でも相当大きい率になっておりますが、本年度は昨年を土台にした伸び率ということでございますので昨年以下になる、経済がよくなっても、率としては昨年を下回るということでこれは別に不思議はないことだろうと思っております。
○羽生三七君 関連して。先ほど、四十一年度から四十二年度それぞれ平均成長率を上回る場合、その場合には労働の需給関係等で下回る場合もあるというお話でしたが、この異常に成長したあとにくる反動で経済の自律作用で下がるのか、あるいは政策的に下げるのか。つまり財政の規模を縮めるとかあるいは投資を抑制するとか、そういう政策的な作業によって平均八・二%に持っていこうというのか、あるいは経済の自律作用で自動的に想定しておる八・二%にほぼ落ちつくというのか、その辺はどうお考えになりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) これは、政府の政策的な意図によってそう簡単に左右できない問題だと思います。さっき総理からもお話がございましたように、労働力の問題ということから自然に後年度の率は下がっていく、自律的に下がっていくということを一応予想して立てた計画であるというふうに考えております。
○山本伊三郎君 大蔵大臣、この数字を、これが間違いであれば間違いと言ってもらいたい。これは経済企画庁から出された数字を基礎にやっているんですよ。これは通産省から出ていると思うんですよ、通産省関係の設備なんかについてそうだと思うんですがね。四十年、一昨年と四十一年あるいは四十二年を考えて言っているんですよ。四十年の四——六月、第一四半期の投資高は五千六百二十五億、四十一年度は同じ同月期間では五千三十億、四十一年度はちょっと落ちておる、昨年は落ちておる。しかし全体ではふえておりますよ。それから本年は六千六百三億。そうすると、あなたの言われることは、実際の実勢から見ると合わない。したがって私の結論としては、こういう数字の上から見ると昨年の九・七%以下におさまるという要素はない、こう言っておる。それはあなたのほうは労働力労働力といっても、そう一年、二年で逼迫するわけじゃないですよ。そんなでたらめじゃないけれども、そういうことではごまかされない。したがって、そういう点から考えると九・幾ら、——私はちょっと無理である、ということは、総理もちょっと言われたのだが、これは事実わかるのだから、大蔵大臣、あなた経済企画庁長官の代理だけれども、ちょっと私は理解できない。
○国務大臣(佐藤榮作君) 数字の問題ですから経済企画庁から説明させますが、山本君と私との間にやや食い違いがあるようです。ただいまの八%、これは平均の数字なんです、成長率。それで、四十二年にはもう八%になるんだと、こうきめられると違っているので、四十二年の成長率ははっきり申しておりません。それから先ほどもお話がございましたが、経済企画庁とすれば、これはいろんな諸条件を勘案して、こういうことへ落ちつくんだ、またここで落ちつかす、それが一つの物価安定の方法だ、こういうことで一つの目標を持っておる、それが物価安定。先ほど羽生君が言われますように、また、すべての条件を国際収支や、あるいは労働力だとか物価だとか、そういうものを勘案すると、やはり八%、それからまた成長率を押えるほうがいいのだ、こういうまあ方法で押えられるだろう、こういうことを言っておるわけであります。しかし、そういう諸条件だけにそれじゃまかせきりかというと、そうじゃなくて、やはりそのつど、あるいは財政政策も、あるいはまたそのときの金融政策も、産業政策もからみ合って、その計画を実現していかなければならぬのです。でございますから、その点は十分御理解をいただいたと思います。なお、数字そのものについてはちょうど経済企画庁の局長がいますから、そのほうに説明させます。
○国務大臣(水田三喜男君) いま私が労働力云々と言ったのですが、これはさっきの五カ年計画の後半期において伸び率が落ちていくということを言ったのでございまして、昭和四十二年度、今年度の問題で申したわけじゃございません。今年度は、いま申しましたように、設備投資が一番伸びるのですが、その伸びる設備投資の伸び方も、まだいまはっきりしてないということが一つと、それからそのほかの輸出は伸び率は相当減るということと、それから国の財政の伸び率も減る、したがって、政府の財貨サービスの購入も昨年よりも伸び率が非常に減る、こういう減る要素が国民経済計算の中にたくさん含んでいるのでございますから、したがって設備投資そのほかに上下が非常に多く見られるという経済情勢であっても、全体の伸び率がそう伸びないで済むのじゃないかということを私は申したわけでございます。
○山本伊三郎君 あとで、その財政需要が減るといわれますが、これは政府の財貨サービス購入の数字も四十一年度に比べ四十二年度は一二・八%ふえるということになっているのですよ。減るということで書いてない。減らすというのは別です。どういう方法で減らすかは言うてもらったらいいですよ。出された資料は全部あなたの言うことと合っていない。したがって、経済企画庁から説明してください。数字の問題です。
○政府委員(宮沢鉄蔵君) ただいまの御質問の趣旨は、設備投資を中心にして、非常に伸び率が高いような状況のもとに四十二年度の国民総生産の実質伸び率が四十一年度より低いということはあり得ないのではなかろうか、こういう御趣旨の御質問と聞いたのでございますが、この国民経済計算をやります場合には、設備投資以外、消費支出関係とか、あるいは政府の財貨サービス購入とか、あるいは輸出入の関係とか、こういうものを全部総合して数字を出すわけでございます。そこで設備投資につきましては、現在の政府の見通し、われわれ、それが正しいかどうかという問題についてはいろいろ御批判があると思いますが、一応企業設備につきましては、四十二年度の伸びを一四・八%、四十一年度の一二・二%よりは伸びる、こういう想定をして計画を組んでいるわけでございますけれども、ほかの項目についてみますと、たとえば個人消費支出は四十一年度十三・二に対して四十二年度は一三・一と、それから政府の財貨購入は四十一年度は一五・三%伸びたのでございますが四十二年度は伸び率が落ちまして、一二・八、それから、輸出につきましては、四十一年度は一六・二%ふえたのでございますが、これを一一%というふうに減しております。逆に、また、輸入につきましては、これは控除項目になるわけでございますが、輸入は四十一年度一七・一%ふえましたのが、四十二年度は一三・六%とふやす、こういうようなことで、こういう数字を全部総合勘案いたしますと、名目といたしましては四十一年度の国民総生産の伸びが一五・二%アップ、四十二年度はこれが若干落ちまして一三・四%アップ、実質にいたしまして九・七%アップ、九%アップというふうになるのでございます。
○山本伊三郎君 それは政府の試算を出しておるんです。それで、結局名目は一三・四%出しておられるのですから、その説明は何もあなたに聞かぬでもここに書いてあるんですよ。そうじゃないんです。別の要素があるのはどうかというふうに聞いておるんですよ。この設備投資一四・何%でおさまるというようなものがいまの資料であなたが説明された。各経済界の人がまた聞いておりますよ。九%おさめられて一体どうするんだ、資本の自由化を控えてそういうような試算があるかというのが一般経済界の人の言うことですよ。したがって、いま羽生さん言われたように、政府の人為的な方法でこの経済の成長を何らかの方向で押えない限りは、私はそれ以上伸びるという見方をしておる。通産大臣言われたように、いろいろ産業構造審議会ですか、でもやっておられると聞いております。鉄鋼産業相当反発あるらしいんですけれども、通産省は押えようとしておるらしいですがね。ほうっておけば伸びますよ。そのほかファイナンス・ポリシーとか、あるいはポリシー・ミックスなんか使って財政金融の面である程度押えない限りは、私は伸びると思うんですよ。その見方は間違いですか。
○国務大臣(水田三喜男君) その考え方は間違いではございません。そういう趨勢にありますので、私どもはそれに対するいろいろな配慮をいましておるということでございます。
○山本伊三郎君 いよいよ本格に入ってきた。それを早く言えばいい。伸びる傾向にあるということを、何かまあごまかすというと悪いけれども、皆さんが計画されたものを正当づけようと言われるから私はそこまで執拗に言ったんですよ。伸びた場合に、いま言われましたね、政府がいろいろ政策を考えると言われるけれども、はたして財政的、金融的にどういう措置をとるか。私きょう日銀総裁を呼んだのですが、何か私用で来られないという。そうすると、金融方面でも考えておるかどうかと聞きたいのですが、これは大蔵大臣と経済企画庁を兼ねているあなたに聞きます。
○国務大臣(水田三喜男君) さっき通産大臣が言われましたように、そういう傾向にありましても、まだいわゆる経済の過熱というような状態は起こっておりません。しかし、いつも言いますことでございますが、この設備投資が起こってきても、企業の内部資金というものは非常に多いんですから、そこでまかなわれている間は銀行への融資要望となってあらわれてこない。ですから、それがいよいよあらわれてくるというときには、なかなかこの調整をしようとしてもきかないものでございますから、早目にいろんな対策を政府はする必要があるということを考えまして、私どもはいまそういう傾向にどういう方法で対処してこの設備投資を節度あるものに持っていこうかということについて、これはこうするああすると、こういう問題はいろいろ言うことが効果を持つか、逆の効果になるかわからない問題を控えておりますので、はっきり申し上げられませんが、過去の経験から、これを適正なものにするということについては、関係省でもうすでに努力中でございまして、それがうまくいきませば、私は、そう設備投資が大きいものになって、政府が大きい引き締め政策とか、そういうものをやらなければならぬというところへ追い込められる事態がなくて済むんじゃないかと、それで済ましたいためのいろんなことをいまやっている最中でございます。
○山本伊三郎君 いろいろやっている最中も聞きたいんですが、そんな意地悪い質問はいたしませんが、すでに政府は一つやっておられるんです。言わぬけれどもやっておられる、言うのはむずかしくて言われぬと思いますから。これは減税の問題です。非常に四十年度は不景気であったということで、歳入欠陥も無視してですよ、昨年の当初予算の四十一年度を見ますると、九百億の税収の欠陥があった、それにもかかわらず、二千億のいわゆる減税をやってきておる。これは景気刺激ということで、国債発行の七千三百億と合わして景気刺激としてやられておる。ところが、四十二年度の減税は、七千三百億という自然増があるにもかかわらず、八百三億しか減税をやっておらない。国民消費を押えるという意味において、すでに一つは政府はやっておる、かつてのやつはやっておるんです。減税の面ですでにその手をやっておるんです、言わぬけれども。それはまたあとで減税の問題言いますけれども、そういう国民の減税をしぶりながら、国債は依然として八千億発行しておる、こういう矛盾がある。まあそういう問題を言うとこちらから教えるようでありますから言いませんけれども、したがって、私は結論として、いまいろいろ言われましたが、年度後半において、あなたが言われましたような成長を押えるような、抑止するような客観情勢はどこにありますか、それだけ聞いておきます。
○国務大臣(水田三喜男君) ちょっと聞きそこないましたが、景気を押えられる客観情勢といいますか、押える、押えなければならぬ客観情勢か、ちょっとそこのところを。
○山本伊三郎君 あなたはさっき九%以上に伸びることは、後半になったらそういう諸条件が出てくるということもあり得るという発言をされたのですがね。そういうものはぼくはわからぬから、それだけ一つ聞いておきたいんです。あなたは、労働力が非常に逼迫するということは、これは四十六年ぐらいだと、こう言われておるんですね、いま。だから本年度の問題じゃないことはわかった。ほかの問題はどういう情勢が出ますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 本年度の……。
○山本伊三郎君 そう、後半のです。
○国務大臣(水田三喜男君) 前半のいろんな伸び率は相当大きいと思いますが、後半の伸び率がその調子でいくかいかないかという見通しになりますと、その調子にいかないと見られるいろんな要素が出てまいっております。ですから、本年度内においてもこの調子は一本調子にいきませんので、私は、いま政府が予想している成長率をそう大きく上回るところへはいかないんじゃないかというふうに考えているだけでございます。
○山本伊三郎君 無理なことは言いませんが、これは私の考えだけ申し上げておきましょう。参考に聞いていてください。政府は、昨年は一五・二%、名目ですよ、名目で伸びた。本年は一三・四%と踏んでおります。私はいま時間がないからいろいろ言わないんですよ。私の見通しでは、少なくとも本年は、名目ですよ、一六%に伸びる、物価は五%程度ちょっとにいく。あなたのほうは四・五%と言っているけれども、したがって、実質では昨年より〇・二%程度ふえる傾向であるという私は見通しを持っておるんです。どちらが当たるかわかりませんよ。しかし、政府がいろいろの措置をとられるわけです。いまのままでほっておかれたら、私はそういう伸び方をするんじゃないか。昭和三十五年から六年、七年、ずっと計算してみると、そういうような循環がきておるんですがね。この見方について、宮澤さんおらぬのですが、どうですか総理、そういう気配はしませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) いま、たとえば物価の問題が出ましたが、過去の投資がことしの後半期には相当ものをいってきまして、これが生産力となって出てくるという傾向にございますので、したがって、供給力が非常に四十二年度の後半期はふえるというふうなことから見ましても、物価は後半期にきてことしは落ちつくのではないかというふうに私は考えております。そのほかいろいろな要素がございますが、物価が今年度の後半にいって急騰するという条件は考えられませんので、私は、物価は昨年よりも低く、四・五%、あるいはそれよりも低いところでことしは落ちつくのじゃないかとさえいま思っておるところでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま水田君から政府の自信のあるところを御説明いたしましたが、ただいまの山本君のいろいろのお尋ねも、私はこれは前提があるのだと思います。ただいまの状態をほうっておくというか、いわゆる経済の自然現象だけで判断するとこれは実は心配なきにしもあらず、これはもう政府が非常に気をつけた表現をいたしておりますが、いわゆる過熱のおそれがあるのじゃないか。いまの名目にしても、一六%だといえば、それはもう一つの非常な過熱、程度の差こそあれ、それは過熱に違いないのですね。そこで各方面から、過熱におちいったらいわゆる物価の安定などはないのじゃないか、政府の経済安定成長というものは吹っ飛んでいってしまうということで、非常に警戒しておる向きもございます。また、政府は、もういまの予算の編成から、また、公債の発行にしても、さらに税収がふえてくればそれを減らすというようなことを考えておるし、また、国際収支のほうもいまのところとんとんだと言っておるけれども、いまのような経済成長の形から見ると国際収支は悪化するから、そういう際には必ず手を打つのだ、したがって、心配はないのだ、こういうような言い方をしております。とにかくただいまの状態は、私は手放しでだいじょうぶなんだ、こういうようなものじゃないことだけは、山木君から御指摘になるまでもなく、私も承知しておるのでありまして、ここに経済のむずかしさがございます。これは政府が非常なこういうものに対して警戒的な態度をとっておるというと、経済も非常にすくみがちでありますし、また、経済を非常に楽観しておれば、さらに心理的に膨張しがちでございます。したがいまして、ことしの経済につきまして、政府は楽観も、また、非常な悲観もしておりませんが、同時に、経済の動向、これには絶えず注意をしておってくれ、金融の面からも、あるいは国際収支の面からも、あるいは物価の動向からも特に実は注意をしておるのでございますから、先ほどのように心配なさるような結果にはなりませんと自信のあることを言っておるのですが、それは前提として十分注意した暁のことでございます。
○山本伊三郎君 だいぶ折れてきたような答弁でありますので、これはこの程度で置いておきますが、とにかく過熱という限度、名目一六%、実質一〇%以内ということであれば、いまの日本の置かれておる経済の実情からいうと、私は過熱とは思っておらない。資本の自由化を控えて、押えることは相当問題があると思う。ただ、物価の上昇が一つ大きい問題としてかかってくる。現にあんだらばそう言われますけれども、この春闘で昨年から比較すると約三〇%の実は要求を、要求じゃなしに、実際おさまっておる、春闘の相場として。経営者はそんなばかじゃないですよ。ストライキ一つ打たぬでそれだけの賃上げを認めるというところに四十二年度に期待するところが相当あると思う。設備投資の問題にいたしましてもあるのだ。しかし、政府はそれは言わない、また、言えない、こういうところでは。そういうことで総理の答弁というのはきわめて意味深長だと思っております。したがって、私は、その手を打つことは、この国会が終わってから打つか、あるいはその途中で出るかは知りませんが、何かの手を打たなければそういうものが出てくるということを私は心配いたしますので、その点だけ、質問ではありませんけれども、言っておきたい。 経済成長の問題についてはそういう程度に大体論議の中で明らかになりましたが、次に、経済の効率化という問題、これが相当意味深長さを含んでおるんですが、これを一々言う私時間がございませんが、八項目にわたる産業体制の整備という項目をあげられております。それをいろいろ考えますと、ここで一つ心配になるのは、資本の自由化、新しい産業体制ということから、いわゆる単に会社の合併その他はなかなかやりがたい点もありますから、いわゆる昔の財閥再現という持ち株会社のようなものが多く要望されてくると私は見ておるんです。その点は全然考えていない、ここに表現されておりません。抽象的な、合理化とか、あるいは健全化ということばはありますけれども、そういう具体的な文句は使っておりませんが、いわゆる持ち株会社のような財閥再現のような形態のもの、これは独禁法を改正せぬといかないと思うんですが、そういう考え方あるかないか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 経済の効率化についてのお尋ねでありましたが、この効率化ということはいろいろあります。会社の合併とか、あるいは提携とか、それから二重投資をやめさすとかいうようないろいろ効率化があると思いますが、財閥の復帰ということは、これは認めていかぬ、こう考えておりますが、しかし、合併とかいうようなことについては、私はこの際やるべきだ。というのは、御存じのとおり、近代化は、最近の設備というものが非常に大規模になりましたから、小資本ではとても設備をできないというような場合が多くなりましたから、したがって、やはり合併するとか提携するとかいうようなことで設備の近代化、大規模化をはかるというようなことが、それがやはり効率化になるわけでありますからして、そういうようなことの現象はこれからふえるし、また、そういうふうにしなければならぬと思っておりますから、財閥ということについては、これは過去いろいろ弊害があったことでありますから、これは認めてはいかぬという私たちの考えを言っておるわけです。
○山本伊三郎君 これは日本の将来の産業経済界の一つの大きな問題になると思うんです。現在いわゆる純粋な持ち株会社というものは出ておらないけれども、会社が他の会社の株を持ってその会社を支配しているという事実は多くあるんですね。したがってそういうことをいまの経済界は望んでおるんです。資本の自由化を前にして望んでおると思う。現に脱法かどうか別といたしまして、大きい会社は、名をあげませんけれども、弱小会社を全部支配している。合併すると労働問題その他の問題が起こるから、いわゆる株をとってきて自分のところから重役を派遣いたしまして事実上の支配をしておる、これは財閥の一つのあらわれですね。財閥ということを言えるかどうか別として、持ち株会社のあらわれですね。したがって、ここで聞いたのは、そういうことを全然やらないということの政府の方針だけを確認さしてもらったんですが、総理はそれで間違いないですね。
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、大会社が小会社の株を取得して実質的に経営に参加しておるという事実は、これは多々あります。しかし、それはやはり効率化という立場から見まして私は今後も起こる現象であるし、これは決してとがむべきじゃない、こう考えておりますが、しかし、そういう程度ぐらいなら認めるが、いままでのような財閥、三井とか三菱とかいうようなそういういわゆる少数の財閥が産業を支配するということは極力とめにゃいかぬ。こういうように考えておりますが、しかし、まあ同業同士あるいは下請会社というようなことで資本がないという場合には、親会社が資本を出すとか、また、経営がまずいから親会社がものを言って経営するとかいうようなことは今後起こる現象だと、私はこう考えております。
○山本伊三郎君 これは、起こる現象とかなんとかいう問題でなくして、ぼくは将来大きい問題が出てくると思うんですよ。いま産業資本の問題だけ言われましたが、金融資本においては、金融がほとんど日本の産業を支配していると言っても間違いないほど金融資本が発達していますね。したがって、財閥といっても、独占が、産業資本じゃなくして、金融資本が支配するんですね。ここにも「金融体制の整備」とかなんとかありますが、ついでに聞いておきますが、これは大蔵大臣に伺いますが、銀行の合併とかそういう金融界の合理化について考えておられますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 金融機構の効率化ということもやはりこれから必要な方向であろうというようなことを考えて、いま金融制度調査会に一連のこういう問題の諮問をしておる最中でございますので、当局としてもこの問題を検討中でございまして、まだ結論は出ておりません。
○山本伊三郎君 そういう審議会のことを聞いていないんです。政府としてそういう方針であるかどうか。日本の金融界は非常に複雑化しております。市中銀行から地方銀行あるいは信用組合等々、たくさんありますが、それらの機能は、おのおのの特徴はありますけれども、非常に複雑に込み入っておりますが、そういうものを政府としては合理化していくべき方向に考えておるかどうか、こういうことです。
○国務大臣(水田三喜男君) 金融分野の調整とか業務提携、こういうようなことはもっと積極的に推進すべきだというふうに考えております。
○山本伊三郎君 それじゃ、次に、経済の効率化について、いま一般産業について言いましたが、農業の問題についてちょっと聞いておきたい。これは、高度経済成長における一つの大きい問題点になったのは、普通の製造業いわゆる普通産業と農業との間の格差が非常に成長がびっこになった。これをひずみと言っておりますが、この計画書を見ると、農業に関してはきわめて常識的な、いままでのありきたりのことを書いておるんですが、その他の産業のような発展計画、成長計画があまり見られないんですよ、ただ抽象的には書いておりますが。そこで、これは農林大臣に聞いたほうがいいと思いますが、日本の農業と申しますか、食糧の自給体制は、従来ずっと堅持されてきたと私は思っておるんです。しかし、その自給体制というのは堅持しておるけれども、足らざるものば輸入に仰いでおるということはわかるんですが、今後、いろいろ農業の状態から見て、成府としては、日本の食糧の自給体制を放棄した、と言うと悪うございますが、輸入に依存するという考え方が強くなってきたと思うんですが、その点はどうですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 経済社会発展計画の中に農業を論じております。その考え方は、すでに制定されて五年を経過いたしておりますが、農業基本法に決定をいたしておる考え方をさらにこれを拡大していくのであるという考え方をとっておることは御承知のとおりであります。しかしながら、先ほど来いろいろお話のございました高度経済成長政策が実現されまして今日までの経過を考えてみますというと、若干そこに跛行的な状況があらわれておると私どもは認識いたしておるわけであります。そこで、私どもといたしましては、やはり農業基本法に定められた方向というものは間違いないということで生産政策、価格政策に取り組んでおるわけでありますが、ただいまお話しのような食糧の自給につきましては、山本さんがすでに御存じのように、米におきましては大体満たされておりますが、その他最近の国民食糧の嗜好の動向から見ますというと、肉類、野菜、果実というものの需要が非常にふえております。昭和三十九年から四十年の若干不況であるといわれておった時代であるにもかかわらず、一般の国民のそういう肉や野菜や果実に対する需要というものは依然として減っておりません。この傾向を見ますというと、経済社会発展計画その他で指示いたしておりますように、われわれはその動向を見ながら、やはり生産をその面において増強してまいらなければならぬ。したがって、肉類、牛乳等においてはまだ問題はございますけれども、主食たる米、それからあとの肉類、鶏卵等については、それから果実や野菜もそうでありますが、大体において自給をまかない得ると、こういうふうに見て、それがそごしないように鋭意努力をしていかなければならないと、こう考えておるわけであります。
○山本伊三郎君 そういう説明をされても、計画書を読んだ受け取り方ではそうは考えられない。まあいろいろ反駁したいんですが、まず、計画書の前半を見ますると、一般鉱工業については、四十六年度までの経済成長の過程、これは鉱工業生産指数を書いてある。いわゆる重化学工業では、四十年度から四十六年度までは大体平均一一——一二%の成長を考えておる。軽工業については七——八%程度を考えておる。農業についてはそれが一つも書いてないんです。ずっと過去の農業生産の成長率を見ますると、まず一——二%で伸びてきておるんです、総合でね。今度の予算に対する経済企画庁の出しておるいわゆる参考資料を見ますると、四十二年度は三・一%の成長を考えておるように書いておりますが、計画書にはそういうことを一つも書いておらないんですが、そういうものの見通しについて一体農林省はどういう考えでありますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたように、全体の産業構造から見ますというと、農業の面において生産性が低いということは、これはもう否定することのできない事実でございますが、私どもといたしましては、四%そこそこまで成長率を見得るようにひとつ努力をいたしたいと、こういうことで近代化その他の施策を実現しようと、こういう意気込みでおるわけであります。
○山本伊三郎君 これは物価にも大きく影響があるんですが、物価の問題はあとでちょっと触れますけれども、いわゆる農水産の食料品といいますか、そういう生鮮食料品の値上がりが相当大きい問題になっておる。これは季節的にも問題がありますけれども。しかし、もともとやはり成長がおくれておるというところに問題があると思う。いま主食の米を取り上げておりますが、米の場合はほとんど成長はない、指数から見ると。需要がないかといえば、そうでもないらしい。輸入をしているところを見ますとあるのですが、伸びておらない。したがって、農家としては、生産が伸びない限りには、これはもう価格政策によってこれを上げなくちゃいかぬから、毎年生産者米価の引き上げが起こってくることは当然なんですね。これを抑えようと思っても、押えるほうが間違いなんです。したがって、そういう点をどう考えておるかということを私は理解できないんです。いま言われたように、四%上げる努力をすると。努力は一つもあらわれていない。そういう点が私は農林大臣がせっかくいろいろ努力されておるようでありますが、その点はどう思いますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 高度の経済成長が行なわれます反面において、それに要する労働力の給源を農村に求められてまいりました。御承知のとおりであります。私どもといたしましては、このことについて国全体として別に悪いことであるとは思っておりませんが、そこで、どのようにして省力をするか、そういう近代化と真剣に取り組むことがわれわれに与えられた職責だと思っておるわけでありますが、そこで、御承知のように、農業基本法でも申しておりますが、やはり経営規模を拡大をしてまいる構造改善というものがぜひ必要である。まず、われわれは、土地改良、それからして構造改善、こういうことに全力をあげて、そして農家の所得が他産業に比べてなるべく劣らない程度に維持して、そして翌日の生産意欲を増強させるということでございます。四十二年度予算にもいろいろ要望いたしておる点は、ただいま私が申し上げましたような趣旨を予算に盛り込んでおるわけでありまして、私どもといたしましては、いま申し上げたようなことに全力をあげて、そして農業生産を継続してまいりたいと、こう思っております。
○山本伊三郎君 私は、そういう通り一ぺんの答弁では納得できないのでありますがね。政府は、なるほど農業構造改善事業には年々若干の予算を組んでやっておられることはわかります。しかし、私が言っておるのは、一般産業における設備投資の総額、あるいは設備投資の農業を含めての全体を見ましても、農業に対するウエートというものはパーセンテージに出てこないほど少ないのですね。一般市中銀行からの融資とか、農家の金融機関である農協に対する預金はたくさんしておるけれども、農業改善事業とかそういう農業の生産に使わずに、一般産業に回されておるような金融体制ですね、いまは。そういう点が、農林省として、単に政府の資金だけ、予算だけでなくして、他の産業と同じようにもつと力を入れた成長政策をとれぬかというのが私の質問の要点なんです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、昭和四十二年度予算は大体五兆円足らずでありますけれども、農林予算というのは五千億を若干上回っておるわけで、大体国家財政の一割のものが農業予算でありますが、いま、私どもが農業全般のことを産業構造の中で考えまするというと、やはり、先ほど申し上げましたように、日本の産業構造は、高度経済成長の結果、やや跛行的になっておる。それをどのようにして是正し、そして国民食糧の自給度を高めるかということがわれわれに与えられた仕事でありますが、それにはやはりもう少し構造政策等に予算を必要とするわけであります。そういうことにかんがみまして、いま、農林省では、構造政策推進会議という、これは名前は構造政策でありますが、全体の食糧自給、国民の食糧に対する嗜好の動向等もにらみ合わせながら、全体としてのいま山本さんが御指摘になりましたような問題について、これを充足するためにひとつ政府としての方針をきめようということで、鋭意努力をいたしているわけであります。したがって、来年度予算にはそういうような立場に立って農業政策に重点を置いた施策をやってまいりたいと、こう思っております。
○山本伊三郎君 じゃ、物価の問題にちょっと触れてみたいと思うのですが、これはこの計画書にいろいろと政策を、いま農林大臣が言われましたが、相当多く書いておりますが、私は、これはもう書いておるだけで、実効性がどこにあるか、私は非常に疑問に思っております。これも八項目ありますが、そのうちで一番問題のある、いま消費者のいわゆる物価の上がる一つの大きい原因である「政府関与価格の安定化」ということで重要な一条があるんです。これはもちろん公共料金、政府の認許可によるところの料金をさしておると私は思っておるのですが、衆議院における各党の予算に対する共同附帯決議にもあるように、これは相当問題があると思いますが、公共料金について今後の政府の所信を伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いわゆる政府自身の事業並びにただいま御指摘になりました認許可にかかる料金、これはたいへんその影響するところが大きいからこそ、あるいは国が経営し、あるいは認許可にかける、こういう手続をいたしておるわけであります。したがいまして、もちろんこういう事柄がたやすく上げられるものであってはならないのであります。国民の生活の動向等を十分勘案いたしましてきめるべきことであります。そこで、衆議院におきましては、野党三派からですか、公共料金の長期にわたる、あるいは一年、二年のストップというような話が出ておりました。しかし、政府といたしましては、そういう事態はなるべく避けたい。と申しますのは、あまりに経済に与えるドラスティックなやり方でございますから、そういう事態は好ましいことではない。公共料金、公共事業といえども、やはり経済の普通の原則を受けるべき筋のものでございますから。ただ、影響が非常に大きいので、そういう事態が起こらないように、経営自体が合理化その他によりましてこれに対応するということであってほしいと、かように思っております。したがいまして、ただいま、私は、経済の原則によるのだということで何ら手を差し伸べないと、こういうことでもございません。また、野党の諸君の言われるように、これを停止しろ、ストップをかけろと、こういうことは、いまの状況から見ましてあまり適当ではない、かように私は考えております。したがいまして、しからば、どういうような方法をとるんだと、かように考えられますと、やはり国の補助も、利子補給等の補助もございましょうし、あるいは資金の低利のものを融資するというような方法も考えられるし、事業そのものがやっぱり発展拡大していくが、できるだけ料金そのものによって上げないようなくふうはないか、こういう意味の努力をしていきたいと、かように思っております。
○山本伊三郎君 二年かどうかは別として、これは四十二年度の物価四・四%ないし四・五%で押えるという一つの方針がありますが、政府としては、少なくとも四十二年度本年度はいらうべきでないという考えかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大きな問題、たとえば消費者米価、これは一体どうなるのか、これはもうすでに予算にも計上しておりますし、この十月には消費者米価を上げなければならぬだろう。また、上げるほうで申せば、医療関係の料金等につきましても改定せざるを得ないという現状でございます。しかし、鉄道の料金、運賃は一体どうなるのか。これは、いまは四十二年度においてそういう問題は起こらないと、かように思っておりますし、また、電話料金等についても、これは四十二年度はさわらないと、こういうことで経過ができるのじゃないかと、かように思っております。もちろんまだもう少しこれは正確に調査する必要がございますけれども、私はなるべくそういう方向でおさめたいとかように思っております。また、バス料金等につきましては、これは影響するところのものが、規模にもよりますので、大体が済んでおるのではないだろうかと、かように思います。 また、船運賃等におきましても、特に、この際、改定を必要とするようなことはないのではなかろうかと、かように思っております。 まあ大体に、公共料金その他の認許可にかかるものとすれば、きわめて低度の——小さなもの、そういうものはあるかもわかりませんけれども、電気料金とか、あるいはガス料金等の大きなものは、まずないだろうと、かように思っております。もちろん、私、この点では、いままで伺ったもの、問題になっておるものがないから、ただいま申し上げるようなことでございますが、電気ガス、これが一つの問題のように思いますけれども、これも上げなくて済むのではないかと、かように思っております。
○山本伊三郎君 総理の言われることについては、これは非常に反論がありますが、時間の関係でそういう問題に触れることはちょっと避けますが、いま言われた電気ガスとか言われましたが、これは自治大臣にちょっと伺っておきたいのですが、自治省としては、何か水道、ガスその他のものの値段については合理的な引き上げをしたらどうかという指導をされていることを、これは新聞で見たのですが、それはうそですか。
○国務大臣(藤枝泉介君) 御承知のように、公営企業の中では相当赤中を出して再建整備をしなければならないものがございます。これらの企業につきまして、一部、料金を引き上げなければ再建ができないというようなものがございます。適当な、国民生活の事情を勘案しながらも、ある種の値上げはやむを得ないのではないかという程度のことは考えております。
○山本伊三郎君 総理、あなたの言われることについては、それは米価の問題も非常に問題ありますが、これはまた別の同僚議員がやると思いますが、問題ありますが、私は、こういう要素を含めて四十二年度四・五%におさめるということは相当困難な問題があると思いますがね。 したがって、まあそれは水かけ論ですからやめておきますが、現実に問題になるのは、もう一つは地価の抑制の問題なんですね。これは物価に及ぼす影響はきわめて大で、むしろインフレ要素を持つものであると言っても過言でないと思います。十六倍も地価が上がるというようなことは、これは考えられないですね。これに対する対策はどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま御指摘になりましたように、地価、これは物価全般に及ぼす影響がたいへん大きいように思います。御説のとおりであります。したがいまして、この地価対策、これをひとつぜひ真剣に取り組もうじゃないかということで建設大臣に命じ、その地価対策と同時に、土地の取得等について支障を来たさないようにするべく、その対策を種々固めさせておる最中でございます。 なお、それらの詳細については、建設大臣からお答えいたさせます。
○国務大臣(西村英一君) 総理からお答えいたしましたように、地価、土地対策の問題ですが、土地対策で、やはり第一に考えなければならぬことは、土地を有効に使うということと、それからもう一つは、その地価の安定をはかるということではなかろうかと思っております。そのうち、地価の安定に関しましては、ひとり建設省のみならず、政府全体といたしまして、これはいろいろ総合的に考えなければならぬ問題がたくさんあります。しかし、建設省としていま考えておるのは、大体、宅地の開発の供給を推進するということ、もう一つは、市街地において遊んでおるところをなるべくこれは有効に使う、つまり、都市の再開発でございます。それから、この土地の取得制度を改正する、あるいは土地の利用計画を確立する、これは経済開発の答申にも非常に強くうたってありますが、土地の利用計画を確立する。もう一つは、土地に対する税法の問題についても検討しなければならぬというように、いろいろ言われておるわけであります。そうして、この手を一つ打てばちゃんと片づくという問題ではございませんので、あらゆる方策を総合的に考えてやりたいと思っておる次第でございます。なかんずく、地価が上がるということは、やはり人口が都市に集中するものでございますから、その宅地の需要供給の関係で上がるのでございまするから、都市及び都市周辺において宅地をやっぱり十分に供給してやるということが大事ではなかろうかと思っております。したがいまして、それらの政策のうち、土地収用法であるとか、これはもうこの国会に提案いたしましたが、その他の都市の再開発とか、あるいはまた、土地の利用計画等につきましては、ただいま検討をいたしておりまするが、あらゆる政策を総合して地価の安定をはかりたいと、かように考えておる次第でございます。
○山本伊三郎君 ここに書いてあるようなことを言われたのですが、どうも言われることと実際の実績とは、われわれとしては見ておるとあがっておらない、あがっておらないというのはあまり極端なことばかもしれませんけれども。それで、都会周辺に非常に宅地造成があって、インチキ会社が非常に不当広告でつっておるという被害もあるのですがね。こういう点について政府としてはいろいろ取り締まりをやっておられるが、なかなか根絶できない。いま雷われたように、土地がないということが一つの要因ですからね。これに対してどう考えておられるか、簡単に。
○国務大臣(西村英一君) 宅地の供給の場合は、公的機関でやるものと、民間でやるものとあります。したがいまして、民間でもこれからは良好な宅地をある程度供給していただくものには、譲渡所得に対しても、いろいろ税法の恩典をはかってやりたいと思っております。いま御指摘のように、小規模に宅地をどんどんやっていく、そうして、それがあまり良好でないというようなところも、御指摘のようにたくさんあるのでございます。この点につきましては、宅地取引法の改正を今回提案をいたした次第でございます。この取り締まりをひとつもう少しやりたい。誇大広告をするとか、あるいは不当な契約をするとか、いろいろありますので、この点は御指摘のように改善して、少なくとも民間業者が良好な宅地を提供するということについては、十分な税法上の恩典を与えたい、かように考えておる次第でございます。
○山本伊三郎君 それは気をつけてもらわなければいかぬと思うのですが、四十一年度の物価は五%以内、正確には出ておらないのですが、大体政府は四・七%で総合でおさめたと言っているが、その内容を見ると、住居費の家賃地代は一二・七%上がっている。四・七%ないし五%の、ウエートから言うとちょっと高いものですね。これがいまの物価の上昇の原因であって、政府が四・七%におさめたとか、五%以内におさめたと言っても、大衆の家庭の経済から見ると、大きなウエートなんです。物価は一がいに四・五%とか五%とか七%と言うけれども、その内容自体はもう少し吟味しなければならぬ問題がたくさんありますよ。四十年度は生鮮食料品が非常に上がった、それが一挙に大衆家庭に非常に影響した。本年度は家賃地代が大きく影響しておる。したがって、雑費をやかましく言われますけれども、雑費なんか上がるというのは、カラーテレビに買いかえたり、あるいは、そういう耐久消費資財にかわるという家庭というものは少ない。これはしたがって、この消費者物価指数の内容を分析しても、相当大きな問題があるので、これは総理、あなたに答弁をしてもらわなければいかぬ。経済企画庁長官おらぬから、大蔵大臣に、その点だけ、ひとつ注意的な立場から申し上げたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 四十一年度の物価上昇の寄与率を見ますと、いまおっしゃいましたように、住居が非常に大きい、そのほか、主食、生鮮魚介、野菜、くだものというものが、昨年は非常に上昇率が少なかったために、全体として四・七%におさまったということでございますが、ここで、いまの家賃地代、この問題をもう少し合理化して解決すれば、そのほかの問題——雑費そのほかは、大体本年度の予想は、たびたび申しますように、いろいろな手が打たれておりますので、私は、昨年よりもこれを低くすることは可能であろうと思います。 それから、そのほかの物価の問題でございますが、御承知のように、三十六年から四十年までは、平均消費者物価六%ずつこの期間は全部上がっておるというのが、ようやく四十一年に来て五%を切るところまで来たというこの一つの原因は、やはり物価上昇について寄与が一番多かった低生産性部門の合理化がようやくここでだいぶ行なわれてきました。特に四十年の不況時代、それから昨年にかけては、大企業の設備投資が減ったかわりに、中小企業、農業への合理化投資が非常にこの二年間に多く行なわれているということがこの物価に響き出してきたというふうに私どもは見ておりますが、その傾向はさらに、先ほど申しましたように、四十二年度の下半期に相当あらわれてくる、こういう事情がはっきりしておりますし、また、問題になったカルテルもほとんど全部いま解消——一つも残らないようになってしまいましたし、そのほかの販売価格の協定というようなものも、いま手をつけ出しておりまして、これも近く解決されるというような一連の物価対策が浸透してきましたので、一般に物価物価とまだ相当高いように印象されておるようでございますが、私はここまで来たら、この後半期から物価は落ちつくだろう、これだけは、楽観論と言われて困るのですが、私は自信を持っております。必ずそうなるであろうと思っております。
○山本伊三郎君 まことに強く国民を代表して、けっこうな見通しでございまして、お礼を申し上げたいのですが、結果を見て、べそをかかないように注意してもらいたい。 それでは、減税問題をやりますが、これは時間がありませんから簡単にやります。先ほどもちょっと触れましたように、昭和四十一年度、昨年度の減税は歳入欠陥、いわゆる税収欠陥九百億あったにもかかわらず、これは当初ですよ、当初やったときに、しかも、二千億円の減税をやった。これは多いとか少ないとかいうことではないが、それから四十二年度は七千三百五十三億といういわゆる自然増があるにかかわらず、しかも、先ほどから言うように、経済成長は九%以上に伸びる傾向があるというのだから、もうこれ以上ふえることは事実だろう、これだけははっきりしております。これが切ることはありません。これがふえることは事実なんです。そうなのに、八百三億というきわめて少ない減税額をしたということについては、私は意図はわかるのですよ、さっきちょっと言ったが。国民の実際の状態、また、衆議院における共同付帯決議、これらを見ても、なぜ、佐藤内閣は、少なくとも、税調は取り消しておりますけれども、自然増の二割と言っておるが、これは取り消しております。これはまたあとで私はちょっと言いますけれども、そういう線に沿うておるおらぬは別として、明年から見れば減税額はもっと多くできると思うのですが、その点はどうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) これはもうここでもたびたび御答弁申し上げたのですが、減税幅を私どもは、今年度としては、いまのところ少ないと思っておりません。平年度千五百五十億円、初年度として千百三億円という減税は相当大きい減税でございまして、もしこれを昨年と合わせて考えますと、いままで減税が多いか少ないかを見るめどとしまして、自然増収に対してその年度減税をどれくらいの幅でやっているかというのが一つの見方でございますが、四十一年と四十二年度を合わせて見ますというと、この自然増に対して減税の幅ば三割以上に及んでおるということで、過去十年、こういう大きい減税はやったことはないということでございますので、昨年自然増のない年にこれだけやったことを本年度を合わせて考えますと、非常に大きい減税の幅であるということがまず言えようと思います。 それから、それ以上のさらに減税をしてもいいじゃないかということは、これは今年の予算編成の方針とも関係することでございまして、私どもは、本年度はほんとうは減税が押えられるべき、フィスヤルポリシーからいったら押えられるべき年だと考えたのですが、しかし、いまの所得税がもう一歩思い切った減税をする必要があるということを考えて、特にこれだけの減税を今年度においてもするということをした次第でございまして、八百三億円と言われますが、これは配当課税の問題を修正したり、いろいろあって増収が出てきた。これは差し引かれて八百三億円になるのでございますが、だから、ほんとうの意味の減収が八百三億円というふうには私は思っておりません。やはりほんとうの減収ば平年度千五百五十億円を今年もやっているというふうに思っていまして、減税がことし少ないということは、私は間違いのないことだ、私自身は、ほんとうはことしこういう年に、景気云々がされておる年でございますから、ことしはできるだけ減税もほんとうは幅を狭める年だというふうに私個人では思っておりましたが、しかし、所得税の実情から見て、初年度千百億円以上の減税をやったということは、決して少ない額とは私は言えないだろうと思います。ですから、いま申しましたように、去年とことしを比べてみたら、過去十年においても、これだけの減税をやった年はないというふうになるのでございまして、減税が少ないということは絶対ございません。
○山本伊三郎君 税金が多いとか少ないとかという目安をどこに置くかということば問題がありますよ。しかし、少なくとも七千億以上の自然増収があるということを考えて、それがいわゆる多いのだ、適当だということは、それは選挙のとき、あなたの選挙地盤ばどこか知らぬけれども、演説、そうしましたか。国民はそう受けておりませんよ。それは率直にすなおに聞いたら、七千億も税金を納めておるなら、もう少しぐらい減税してもいいじゃないかというのが、これは一般国民の感情ですよ。ところが、これは、わかっておるのですよ、先ほどファイナンスポリシーということをちょっと言われましたが、四十一年度の減税については相当論議があったことは、税調のほうの報告にも出ておりますよ。それまでは言わなかった、税調も。これは総理がそういう諮問をされた結果、こういうものが出てきた。したがって、本年は景気が上昇すると、過熱までいかないが、なるというので、消費を押えなくちゃならぬということが、一つの税制政策としてもあるんですよ。そういうものが含まれておる。したがって、私が言いたいのは、もしそういうものがあるならば、国債で減らすべきですよ。国債で減らして、減税は、昨年同様あるいはそれ以上にあるんだから、自然増収があるんだからやるべきであるというのが、普通の考え方ですよ。その点どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 何でもいいから減税をしろということでしたら、国債をふやして減税をすることは可能でございますが、私どもは国債をふやすんじゃなくて、国債を減らす方向へ持っていこうというために、したがって、減税のある程度幅が制限されたということが言えるんじゃないかと思います。そこで、さっき自然増収との比率を申し上げましたが、昭和二十五年から三十年までの間、これはたとえば二十六年を見ますと、七百四十二億円の自然増があった年に、七百四十三億円の減税をやっておる。一〇〇%以上の減税をやっておりますし、昭和三十年のごときは、四百二十五億円の自然増があったときに三百九十五億円の減税をやっておる。九二・九%というふうに二十五年から三十年までの間は、いわゆるドッヂ政策が行なわれておったときでございますので、その年の経費は一切その年の税金でまかなうという原則で予算が組まれていましたために、この期間は自然増があったら、全部もう減税に充てるということが原則でしたが、これをやったために日本の公共投資がおくれたり、社会資本のおくれが出てきて経済の均衡発展ができないというところに直面しましたので、三十年以後の自然増というものは、できるだけこういうおくれを取り戻す、公共投資にその金を充てて減税のほうを減らすということで、年々一五%から二〇%までの間、一六・七%平均の自然増に対する減税をやって今日まできた。それだけ財政需要のほうが逆に最近は多くなってきているというときで、この傾向は今日でもまだより強くなっておっても、少しもこの傾向は変わっていないと、そういうときにことしになって、去年になって、二カ年間でまたもとへ戻る。自然増のうち三十何%の、三四%の減税をやるということは、過去十年来のこの減税政策から見たならば、相当大幅であるということは言えると思いますが、なぜそうなったかと申しますと、やはり社会資本のおくれ、財政需要というものが、そういうものに対する財政需要がいま急務であるということから、この公債と減税との割合、関係をどうするかということで、私どもは公債を減らすという方向へ本年度は力を入れたのだということになろうと思います。
○山本伊三郎君 あんた、私の質問を勘違いしておりますよ。何もですね、公債をふやして減税をしろとそんなこと言っていませんよ。減税しても、公債を減らす要素はたくさんありますよ。あるけれども、景気刺激を何とか抑えようという意図があるから、結局減税をしぼってきて消費を押えるということですよ、これは。フィナンス・ポリシーからいったらそうなるんですよ。これは税調がそう言っているんですから。したがって、ぼくはそういうのは、減税もせずに国債も減らさないということは何事だと、こう言っているんですよ。その問題をあなた言っているんですから、答弁要りませんよ。あんたも勘違いで、自分のことをべらべらと二十五年から言っておるから、聞きづろうてしようがないんですよ、わかったことをね。 そこでもう一つ聞きますが、そういう意図であれば、衆議院で、野党共同の附帯決議について、政府は逆の方向に考えておるというとり方をしているのは、これはどうなんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) あの決議の趣旨に沿って私どもは努力するということをあのとき申し上げましたとおり、あの方向に沿って私ども努力するつもりでおります。
○山本伊三郎君 だからいままで言われて、減税はなるべくしぼっていくということの印象を与えたけれども、あの趣旨は要するに守って減税の方針を立てていくということですね。
○国務大臣(水田三喜男君) そういうことでございます。
○山本伊三郎君 それじゃ最後になりましたけれども、沖縄の問題で、総理に伺いたい。 この問題は、この前の外務大臣との質疑応答で、潜在主権の問題、平和条約三条の解釈の問題等々出ましたから、もう時間の関係でそういうことは言いませんが、いわゆる政府の言い方とアメリカ側の——まあ公表はしないけれども——考え方とは差がある。しかも総理は、あの平和条約締結当時の情勢と今日とは、アメリカの考え方変わっております、特に朝鮮動乱の以後における沖縄に対する考え方が変わってきておりますが、したがって、安全保障ということに重点を置いて返還の問題を考えておるのか、沖縄百万の住民の完全復帰という熱望にこたえて政府がいま交渉し、やろうとしておるのかということのウエートはどちらにあるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは過日もお答えしたのでございますが、政府は二つを考えております。どちらにウエートがあるということは言えないと私考えております。
○山本伊三郎君 私はもう時間ありませんから、くどくど言う時間ありませんから、簡単に結論だけ申します。もちろん、あの平和条約は、二国間条約ではなくして多数国条約として締結された。しかし、イニシアをとったのはアメリカ、これは間違いない。ダレス・吉田全権のあの交渉のいろいろ過程も文献で見るとこれは間違いないんだが、しかし、条約の性格そのものは、多数国条約になっておりますから、政府の言われることがほんとうか、アメリカの考えがどうかという論議は、もうわれわれ聞き飽きましたから、この際、国連で——紛争事態になっておらないけれども、国連にこの解釈なり、その方法その他を政府として出すべき時期でないかというのが、私の考え方でありますから、その見解について総理並びに外務大臣の見解を聞きたい。
○国務大臣(三木武夫君) 沖縄のいろいろ山本さんの言われる法的地位というんですか、こういうものを私国連の解釈を求める必要はない。いわゆる沖縄の問題は、これは施政権の全面返還、これをわれわれが望むという、こういうことは別問題として、沖縄の地位というものが、国連であらためてこの問題を論議をしなければならぬほど不明確なものでは私はないと思います。これはやはり国連でいろいろ解釈を求めるという必要はないのではないか。要は、いかにして国民が望んでいる沖縄の全面反還、施政権の全面返還を達成できるかという政治的な課題ではございましても、国連の問題とは私どもは考えていないのでございます。
○山本伊三郎君 二国間の交渉でアメリカとの話し合いについていろいろ交渉されておる努力はわかるんですが、いわゆる法的地位の問題にしても、三条のあの問題にしても、全然解釈が違うとは言いませんけれども、やはりおのおの思惑がある。国際法上異例な実はあの統治方法なんですよ、沖縄の場合はね。これは御存じだと思うんです。そういう異例な、委任統治でもない、租借地でもない、潜在主権はあるという一つの解釈は持っておるけれども、そういう問題を二国間でやっておっても、いろいろあとアメリカはアメリカの主張をすると思うので、解釈を求めるということでなくて、国連憲章に従って、日本の主張はこうだがということを私は出していいと思うんですが、その見解はどうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私はこの沖縄の問題は解釈の問題ではない、これは。やはりいろいろいま総理が言われたように極東の軍事的要請、国民の一日も早く返してもらいたいという国民的な要請、それをどのように調和していくかというところに、この問題のむずかしさがあるので、いまさらこれを国連に持ち出して沖縄の問題を国連の場でということが、この問題の解決を促進する道だとは思わないし、またそういう必要はないのではないかと、私どもは考えておるわけでございます。
○亀田得治君 関連。外務大臣は沖縄の問題について、解釈等の問題ではないと、そういう点については、これはもうほとんど明確なことであるという意味のことを言われておる。しかしこれはもう前回の通常国会でありましたか、あるいはその前でありましたか、この予算委員会におきましても私も総理に考え方を聞きました、その点につきまして。相当この点は政府が言われるほど明確ではないのです、これは。これは単に私だけが、われわれだけが指摘するだけでなしに、沖縄のアメリカの現在の施政の現状、これを合法的と見るかどうかということは、これは相当疑いがあるわけなんです。これは日本の学者の中でも、多数の方がこの点はすでに指摘しております、信用できる学者の方が。アメリカ側においては、これは自分のほうが占拠しておるのですから、あまりそういう問題については立ち入った論議は少ないようであります。現状はそういうことなんです。ただ極東の安全とかそういったような問題、政治的な問題ですこれは。そういうことが前面に出るものですから、その法的な合法性の問題についてこれが影が薄くなる、いつも議論として。そういうことになっているにすぎないわけです。だからその解釈等に一点疑いがないとか、そういう問題では絶対ないわけです。したがって、私たちはその議論をしたときに、総理大臣にも私文献をお示しして、そうして総理大臣三カ月ほどそれを持っておられたはずです。その後に国会図書館から催促があって返してもらった記憶を私はいまでも持っている。そういうわけで、これはそんな日本の国会において疑いのない問題だと、向こうの占領、握っておるのが正しいのだ、そういうものでは私は絶対ないと思う、これは別個の問題です。極東の安全という立場なり、そういう立場から政府はこれを認めざるを得ない、政治的な立場から。それは別個の問題ですよ。だからこれは区別しておいてもらいませんと、いずれやはり私はこういう問題は、情勢が変わればやはり浮び上がってくる問題です。そういうときに、本来一体米軍の占領ということが、合法性があるのかないのかということは、やはりそのとき問題になるはずなんです。その根拠がどういうふうになっておるかということは、これは大きな問題でして、総理大臣もそのとき三木さんと同じようなことを最初言われましたけれども、それは私は日本の将来にとってそんなことはよくない、総理大臣がこういう公式の場で、常々と、専門の学者等があれだけ沖縄の占拠というものについて——法的な立場ですよ、法的な立場から疑問を投げかけておるときに、何もこちらのほうがわざわざ政治的な立場から、それをあたかも全面的に是認するような印象を与えることはおもしろくない。だから何でしょう、本来ならば国際司法裁判所等にこれを持ち出したらどうかという立場で、私はそのとき佐藤さんにも御研究を願ったはずなんです。それは一つの御意見として十分研究しましょう、ことばではそうおっしゃった。この際、私はその研究の結果を、一応聞いておきたいと思う。だから絶えずそういう法的な問題と政治的な必要性の問題というものは、区別して考えてもらわなければいかんです。ごっちゃにされちゃ非常にこれは迷惑です。どうですか、来来ならば私は国連といういまの提案でありますが、もう一つ進んで、専門の法律家、国際的な組織である国際司法裁判所等にこの判断を求める、こういうことのほうが筋が通っておると思うのですがね。それが通ったからというて、すぐそれじゃ返さなければならぬかどうかという問題には、私は政治的な問題が一方にある以上は、そう簡単にはいかぬと思います。しかしそれはそれとして、正しい判断を受けて、その上に立ってさらに日米間で理論的にはこういうことになったが、一体これはどうするのか、社会党の立場で言えば、もちろん即時に返したらいいじゃないかということになるが、政府はおそらく別個な政治的な処理をお考えになるでしょう。それはそれでいいと思う。だからこういうことがともかく問題になるたびに、私たちは将来のことを考えておるから、まあ前にもあんなことを言うておった、ああそうですかと言って黙って聞き逃がすわけにいかんわけですよ、大事なことなんですから。総理大臣の研究の結果もあわせて一ぺん、この二つの問題をはっきりと答えてほしい。
○国務大臣(佐藤榮作君) この問題は、残念ながら社会党と私どもの考えは違っております。社会党の方はいま亀田君が代表して言われるような、どうも法律的には合法性がないというこれはかねての主張でございます。しかし、政府はいろいろ研究いたしました。また、ただいま提示されました材料等も、資料等も十分検討いたしました。私どもは合法的なものだ、そこに法律的な疑義なし、こういう結論を出しております。これはただいまの日本政府ばかりではございません、アメリカ政府も同じような考え方を持っております。したがいまして、ただいまたいへん親切な山本君の御提案でございますが、私はただいま国通に、あるいはまた国際司法裁判所にこういう問題を持ち込む考えは持っておりません。
○山本伊三郎君 外務大臣に聞きますがね、しからば現在の状態で推移して、奄美大島は二十七年にあれ完全復帰になったと思うのですね。これは百万住民の熱望ですが、そういう政治的な交渉は、もう国連に出さぬという政府の態度を明らかにされましたが、そういう二国間のいろいろの交渉で熱意をもってやっておられますが、一体見通しはどうですか。私はこれで質問終わりますが、これ、私に言うのじゃないですよ、まあ新聞に載るかどうか別ですが、沖縄百万の住民の待望しておる問題を、政府はどう考えておるか、見通しの問題。
○国務大臣(三木武夫君) 山本さんと、私どももそういう一日も早く返還してもらいたいという気持ちは、何ら差は私はないと思います。二十何年にわたって、ああいう不自然な状態に置かれておるということで、心を痛めない者はだれもないと思う。しかし一面において、やはり沖縄の果たしておる、一つの極東の安全に対しての沖縄の果たしておる役割りというものも、われわれは無視するわけにはいかん、そういうことから考えて早く返してもらいたいという国民の願望、これやはり極東の安全という役割り、これをどのようにしてそれを調和さして早く解決していくかというところに実際問題の、沖縄問題のむずかしさがあると思います。これは国民の願望から言えば、もうこれは一日も早く返してもらいたいということでありますが、やはりそういうことから考えてみて、これはいろいろこちらばかりの主観的な気持ちでもいかん。極東の情勢というような客観的な推移もございますから、いまここで何年たったら沖縄は返ってくるという見通しを言えというせっかくの山本さんの何でございますが、これは少し日本ばかりの主観的な意思ばかりでもないですから、年限を切ってということは、非常に私は困難というふうなことだと思う。できるだけそういう方向に向かって努力をいたします、ということを申し上げることが正直なところです。いま一般の極東情勢の推移がどうなるかわからないときに、何年といって年限を切ることは、非常に私根拠のないことになって、かえってそのことが沖縄の人たちに無用なやはり誤解を与えてもいかぬ。だからできるだけ早く返るように、あらゆる努力を政府は誠実にやるということを申し上げることが、今日の場合限界だと思うのでございます。
○山本伊三郎君 大体年限を切れと言ったって、条約の内容からいってなかなかそうはいきません。それはわかっておりますが、政府がいままで言っておられる極東の安全とか何とか言われますが、これは見解は違います。総理は、おそらくそういう答弁をすると思うのですが、われわれはあすこにアメリカの基地があるから、極東が安全だということを直ちに信じておるのじゃないのですよ。むしろ危険性があるという考えておるんだから、これは対立しておるのだから言いません。しかし、実際の交渉に移しておるかどうかということも疑問なんですよ。アメリカへ行かれて、また向こうが来たときに、そういう話が出ておるかしらぬが、ただ単に話が出ているというだけであって、ほんとうの二国間交渉で具体的にどうこうということをやっておられるかどうかということも疑問なんです。だから、私は国連に出して、単に世界の人口が見るだけじゃなくして、日本の国民がなるほどアメリカはこういう考え方を持っておるのだということを、やはり内外に私は知らす必要があるということの一つの意図がある。それについて私はもう一ぺん言いますけれども、安全保障、安全保障と言いますけれども、安全保障に対して、安全保障もこれでいいのだという見方をアメリカがするんですよ。日本政府ができないような状態、いままで経緯になっておる。アメリカが必要だったら、日本は何ぼ言っても、安全の必要がないと言っても向こうは受け付けない。その点を言っておるのであって、その点はひとつ政府として、答弁は要りませんから、総理も聞いておられるのですから、政府としては、今後もっと積極的にやっておると思うが、熱意をもって交渉をやっていただきたい。その点について総理から、それはそのとおりだと言われるか、また異議があるかどうか、それだけ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 答弁をやはり要求されるようですけれども、いわゆる交渉をやれという御要望には、私は沿いかねますが、しかし、先ほど来のお話を聞いていると、こういうちょっと考えられないような状態を長く続けることは、同胞のためにまたたいへんじゃないか、こういうようなつもりで、これをできるだけ早く復帰が実現するようにひとつ努力しろと、かように理解いたしまして、御趣旨に沿うようにいたします。
○亀田得治君 委員長……。
○委員長(新谷寅三郎君) 関連ですか、簡単にしてください。
○亀田得治君 これは私もまたいずれ総括の機会がありますので、その際あらためて聞くことにするかもしれませんが、先ほどのお答えですと、アメリカの統治は、もう明確に合法的だというようにとれました。しかし前回には、最初そう言われながらも、いろいろ論議の過程において相当問題点もあることをにおわされておられたわけです。私は十分研究してほしいというふうにお願いしておいたその研究の結果が、結局はまあ法制局長官がうしろからはっきりさらにまたまとめて言われたのだろうと思いますが、そういうふうにはっきり言われたわけですが、一体そういうふうに言われますと、それじゃ社会党なり——それから社会党だけじゃないんですよ、沖縄の米軍統治についての非合法性の論拠を指摘しておるのは。これらの論拠が全く的がはずれたとるに足らぬものだ、こういう意味にも逆になるわけですね。総理はそういう考えを持っておられるのかどうか、ということをはっきりおっしゃってほしい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は先ほど簡単にお答えしたんですが、残念ながら社会党と私は考えが違う、ということを申しました。だからただいまのようないろいろな意見がある、これをこの前もちゃんと資料を出されたんですから、そういう意見のあることは、私も承知しております。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で、山本君の質疑は終了いたしました。 午後五時再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時三十六分休憩 —————・————— 午後五時十一分開会
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、杉原荒太君、山内一郎君が辞任され、その補欠として任田新治君、青柳秀夫君が選任されました。 —————————————
○委員長(新谷寅三郎君) 午前に引き続き質疑を行ないます。黒柳明君。
○黒柳明君 法務大臣にお伺いします。 重ねて共和製糖の問題で恐縮でございますが、共和製糖の捜査の結果、四十九億という非常にばく大な不正融資が発見されたと、このようなことでございますが、農林大臣または大蔵大臣が主管の大臣として認可の権限を持ち、また、監督の権限を持っているわけでありますが、このようなことが起こることは非常に遺憾なことだと思うのですが、ともかくこのような過程において、国民の常識としては、何かそこに贈収賄あるいは背任事件みたいなようなものがあったのではないかと、このようにみんな思っていると思うのです。楠見前理事長及び数人の理事の方々が起訴猶予になった、この理由についてまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中伊三次君) 一応、不正融資、不当融資ではなかろうかということで厳重な捜査を続けたわけでありますが、結論を申し上げますと、不正融資、不当融資というよりは、だまされ融資で、その主要な原因は、六千万か七千万程度の価値しかないと言われるものを三十数億円の価値があるものとして、不動産について、一口に申しますと、でたらめの鑑定書をつくり上げている、こういうことから、とにかく詐欺の被害者という立場であった、すなわちだまされて融資をするに至ったということに捜査の結論が出たのであります。そこでもう一口申し上げますと、このだまされ融資、詐欺の被害者というものには常識から申しましても、法律の理論から申しましてもこれには汚職ということの入り込んでくる余地がない、詐欺の被害者に贈収賄の汚職ということは理論的にもあり得ない。しかしながら、暮れと正月、中元、お歳暮という意味で常識から申しますと、幾らか行き過ぎたものの授受が行なわれている。そこで問題はそういう授受が行なわれておる場合に商工中金の重役であるこれらの人々はどういう法規に基づいて行き過ぎたものの授受が犯罪を構成するかという問題でございます。それは御承知のとおり、これは役人ではございませんので、国家並びに地方公務員ではございませんので、刑法上の収賄罪は公務員ではないから成り立たない、形式上成り立つと考えられますのは、終戦が昭和二十年でございますからその前年の昭和十九年、戦争中につくりあげました経済罰則整備に関する法律というような法律がございます。これはまだ現在形式は生きておるわけでございます。この法律は民間の収賄を罰する法律でございます。民間人の収賄法というものでございますので、この法律を適用する余地があるのじゃないかということになったわけでございます。しかるところ、この法律はもともとこれが昭和十九年にでき上がりまして、適用するに至りましたのは、当時の商工中金というものは政府出資を得ておって、そうして当時の戦時金融統制、戦時経済統制というものに服しまして国家の戦時統制経済金融の重要な任務をしょっておる金融機関であったから、民間の存在であるけれども、公務員同様にこの罰則規定を適用するのだということが適用になりました目的どおりで、しかるところ、今日これを適用することが適当なりやいなやということは疑念がある。これは黒柳先生御承知のとおりに、国の、政府の出資は全額一厘も残らずすでに引き揚げておる。現在は戦時統制はございませんので、民間の金融機間と全く同じ性質、事実においても法律の上からいきましても全く同様の性質で名前のみが商工中金、農林中金でございます。こういう事情でありますので、これを起訴して持ち込んでまいりましても、この法律を適用すること適当なりと裁判所の判断を受けることには多大の疑問があることが一点。それからもう一点、これを適用して起訴できなかった理由を申し上げますと、その授受をいたしました物品については幾らか行き過ぎがあるものと考えられるけれども、それは不当融資の事実を知ってこの授受を行なわせたというものでなくて、盆と暮れに通例行なわれます程度のあいさつ、そういうあいさつの程度を越えておるものであるとしか判定ができない、こういう二つの理由によりまして起訴猶予処分に付することを適当だと判断をするに至ったものでございます。
○黒柳明君 当時取り調べを受けた人数について、新聞では五十一人あるいは五十六人と、ばらばらな数字がございましたが、正確には何人取り調べを受けて、その中の現、前、元も含めて、国会議員は何人であったか、御報告願いたい。
○国務大臣(田中伊三次君) 新聞でいろいろ出ておりますが、事実は次のごとくでございます。 五十一名取り調べを受けておりまして、そのうち旅行、その他やむを得ざる事情で、会計責任者、議員でない会計責任者を取り調べたもの等がございます。ただいま先生の仰せの現、前、元という、いわゆる国会議員関係というものを取り調べました数は、四十四名ということが正確でございます。
○黒柳明君 国政の最高機関である国会が、たびたび取り調べを受けた議員の名前を公表していただきたいと、こういう要請にもかかわらず、今日に至ってもまだ公表を得ておりませんですが、その公表できない法的根拠はどこにあるか、お述べいただきたい。
○国務大臣(田中伊三次君) 法的根拠の第一は刑事訴訟法の規定でございます。この刑事訴訟法の規定は、捜査の機密に属するもの、これは公表はできない。それからもう一つは、当人の、本人といいますか、当人といいますか、疑惑のかかっておる人でございますが、その人の名誉を守る、これも刑事訴訟法における法律の明文でございます。そういうものによりまして、今日は公表を差し控えておるわけでございます。しかしながら、御承知のとおりに、強制手続をとりましたものについては、当然従来の例によりまして公表しておる。これは名誉もそうろうもないのであります。 ただ、いまもおことばにありましたように、何が理由で公表できないのかと仰せをいただきますと、お答えといたしましては、厳格に取り調べました結果、嫌疑があるということになりまして、その嫌疑に基づきまして、いわゆる強制捜索、家宅捜索をいたしますとか、あるいは逮捕をいたしますとかいうような強制手続を踏みましたものについては名誉もそうろうもない、これは公表すべきものである。世の中の公益のほうが先に立つわけでございますから、これは公表しておるわけでございます。ところが、いまここに、先ほど申し上げましたような数字にわたる人々、あるいは参考人として呼んだ者あり、あるいは幾らか嫌疑があるのではないかという前提に立ってこれを呼びました者あり、いろいろでございますが、要は、調べました結果、嫌疑なしとの結論を得たものでございます。嫌疑はないと、嫌疑を証明することはできない。で、嫌疑なしとの結論でこれを不起訴の処分にいたしておりますということでございます。そういうことで、これをもし今日の、おしかりをいただいておる、世の中からおしかりをいただいておりますようなこのムードのもとで、この名前をかりに発表をいたしましたときには、これは私の推測でございますが、おそらくは、衆参両院はもちろんのこと、それが何党に属するかということは、これは別論といたしまして、ここで現職の人々、あるいは将来出馬をしようとしておるような人々で名前がありましたならば、現下のムードのもとにおきましては、おそらくは政治的には死刑の宣告を受けたと同様の結果を招くのではなかろうかということが、たいへん心を痛めておる点でございます。 そういう点から申しますと、罪なき者、どんなにしたって立証のできない、しかし、これはありのままに申し上げますと、神さま仏さまの目から見ると、何を言っておるのかと、金銭授受があるではないかということは私はあろうと思う。しかし、人間の社会において、人間が調べる立場から申しますというと、嫌疑を証明する何ものもないと、そういう場合に、人間の社会においては、これは無舞ということになるわけでございますが、その無罪の者をここで姓名を発表して、捜査の機密に属することまでここで公表をして、名誉を顧みない、その結果、罪なき者に死刑の宣告を加えるような結果になることがいかにしてもやれない。私は、なぜこれを公表しないかと仰せをいただくお気持ちは十分にわかるのであります。わかるのでありますけれども、罪なき者をそういう羽目におちらしめるというような取り扱いで、はたして国会はいいものであろうか、こういうふうに考えてみるというと、ここでたいへん割り切れぬものがあるのでありますけれども、公表を差し控える以外に道はないと思う、こういうことが理由であります。
○黒柳明君 かつて造船疑獄事件では二億数千万の国費が捜査にあたって使われた、こう聞いております。今回の捜査にあたっては、どのくらいの国費が使われたか、御報告できますでしょうか。
○国務大臣(田中伊三次君) たくさんな融資の中で、検察は前後数回にわたる強制手続によりまして押収いたしました書類の数字は二万六千点に及んでおります。この点は衆議院でも御報告を申し上げたとおりでございます。それを、たいへんきたないことばでありますけれども、一つ一つシラミつぶしにこれを調べ上げてまいりました。その結果、いまお尋ねの一体どれだけの金が行くえ不明になっておるか、正規の使途を明白にいたしましたもののほかに使途不明の金……。(「そうじゃない、捜査費」と呼ぶ者あり)ああ、捜査費、それでは、それをちょっと取り消します。取り消して、専門家が来ておりますから……。
○政府委員(川井英良君) 造船のときには、たしかあとから予備費の請求をしたと思いますので、この捜査だけにかかった費用の計算ができたわけでありますが、今回の共和製糖事件につきましては、まだ予備費の請求をしておりませんし、結局経常の予算でまかなっておりますので、事務当局といたしまして、この捜査に警察官が何人動員され、また自動車をどういうふうに使ったとか、あるいはその他の活動費、交渉費をどういうふうに使った、あるいは旅費をどういうふうに使ったかというふうなことは、この事件に限ってのまだ計算をしておりませんので、正確にはここでまだお答えはできません。
○黒柳明君 総理にお尋ねしますが、総理御存じだと思いますが、かつてアメリカのニクソン副大統領が、奥さんのミンクのコートについての国民の疑惑の目が向けられたときに、テレビでみずからのわが家の家計簿を公開した。また、イギリスのロイド・ジョージも同じような事件がありまして、金銭的な疑惑があった。同じく国会の場において、みずからの預金通帳を公開した。このように近代国家の政治家というものは、たとえ個人のことであっても、公開の場でそういう疑惑を明らかにし、そして国民の信頼をかち得て、そして政治を行なっていく、このような態度で臨んでいったと思うのですが、当然先進国日本の代表である総理大臣として、このようなことがいつまでも国民の疑惑のままに葬り去られることは、同じく法務大臣と同じに心苦しいのじゃないか、こう思うのですが、総理大臣の立場として、かえって、むしろ法務大臣に名前を発表したらどうかと、このような勇断を下すようなお考えはございませんでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 黒柳君にお答えいたしますが、ただいまのような方法も一つかわかりません。しかし、この事件といたしましては、検察庁の自由な捜査、これがまず第一に必要なことだったと思います。したがいまして、私どもが、もちろん政治的に関与するつもりはございません。そういうような点で疑惑を受けるようなことは一切しない。したがいまして、私はこの事件の捜査の実態についても全然知りません。また、ただいまのお尋ねがございましたけれども、どこまでも検察当局にまかすべきものだ、かように実は考えて終始しておるのであります。ただ私、先ほど田中法務大臣がお答えしたもののうちに、非常に重大なことがあると思いますのは、個人の名誉に関することだ、これはお互いにやはり注意すべきことではないかと思います。ましてただいま捜査を受けた、しかしながら、それは起訴はされておらないというような場合に、その名前を全部出しますと、それでなくとも今回の問題はいろいろと政治的に考慮されておるのではないかということが一部で言われておりますが、一そうそういうようなことからも疑惑を深めるようなことになるのではないか。これがひいては人格名誉に関するその問題にまで発展するおそれがある、かように思いますので、私はただいまのお話につきましては、検察当局が自分たちの判断で発表するというならば、私はそれでけっこうだと思いますが、もし私の意見を聞かれるならば、私自身はどうもいまやっておる、いま法務大臣の答えたような処置が最も適当であったのではないか、かように思っております。
○鈴木一弘君 関連して。これは法務大臣にいまの問題で関連して伺っておきたいのですが、先ほど発表できないのは割り切れないものがあるというお話しだった。割り切れないものがあるということは、これは大臣のお気持ちの中に発表したほうがいいのではないか、むしろそのほうが国民の疑惑を解くのに非常にぐあいがいい。国民の側からすると、あれがしりつぼみのような状態になったということでものすごい疑惑を持っている。かえって疑惑が深まったような感じがする。大臣の言われた割り切れないということばは、言えばあなたの御本心としては、これはもう当然公表すべきである、こういうようにお考えになっているのではないかという点が第一点。 いま一つは、先ほど「経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律」は、農林中金は現在では政府出資でないからまあ対象としないほうがいいのじゃないかというお話だった。そのときに、昭和十九年制定の法律だと言われたのですが、そのとおりですが、昭和三十九年に法律第一七〇号によって改正された。そういうところから見ると、三十九年に改正をされているということは、現在、この法律が堂々と生きて適用しなきゃいかぬということを示しておるのだ。その中にはっきりと、農林中金が別表乙号の中に載っておるわけです。そういうところから見ると、これはそういう理由をもってこれを適用しないというのは非常に解せないことである。その二つの点。
○国務大臣(田中伊三次君) あとのお尋ねのほうを先にお答えを申し上げます。 法律全体、経済の罰則整備に関する法律、その法律全体を踏まえて判断をいたしますと、先生御発言のとおりであろうと思います。しかるところ、本件の事件、これを具体的に言えば農林中金というものに、農林中金の重役というものに公務性があるのかないのか。したがって、この法律を適用することが妥当なりやいなやという、その所論になってまいりますと、やはり私の言うたように、これを最高裁まで持ち込みました場合を想定いたしますというと、適用なしとの判断を受けるとの危険が多分にある。それからこの法律は、すでに二年前に廃止をしようとして、廃止の準備をいたしまして、ものにはなりませんでしたが、そういう準備をいたしましてまいりました今日までの経過もあることであります。具体的な本件の適用という点から申しますと、私の所見のとおりではなかろうかと、こう考えておるわけであります。 それから前者のお尋ねでございますが、私はもうここに総理もいらっしゃっておしかりを受けるかもしれぬと思うのでありますが、その個人の名誉ということを、それを第二次的に置きまして、それはもうどうでもいいのだという考えから、本件を世の中の人々、いわゆる単純な常識でものを御判断になる世の中の人々のために、これをすっきりしていくためには名前を公表することがいいと思います。何を言っておるのかと仰せになるかもしれませんが、私は、公表するほうがいい、思い切って公表すべきだという判断を持つわけであります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、名誉を守れということは刑事訴訟法の精神でもあり、明文の中にも出ておることでございます。また、個人の名誉を、こういう本件のごとき場合に、個人の名誉を守らなくてよろしいんだという、一種の人権じゅうりんでありますが、そういう発表をするということはいかにも忍びぬということでございまして、刑事訴訟法の個人の名誉を傷つけないようにということばでございますが、そういう観点に立つときに、これはいかにしても発表をいたしかねる、これは御了解をいただきたいということを申し上げる以外にないのでございます。
○鈴木一弘君 いまの最初の経済関係罰則の整備のほうでありますけれども、これは公務員ないしは公務員にみなす者という規定はないわけでございます。別表の甲号のほうだけは、公務員もしくはそれとみなす、とありますけれども、いわゆる農林中金は乙号に入っていて、公務員にみなすとか、そういうことの対象になっていない。大臣はいま公務員にみなせないからだというお話だったのですが、それとこれとでは話が違う。これをどうしてそういうように言い張られるのかわからないのですが、その点。 それからいまの、個人の名誉に関することであるからというけれども、しかし、世上うわさされているように、名前がいつの間にか流布されていれば、かえって個人の名誉に関することになってしまう。数字をはっきり公表して、むしろ、この人はこうであったけれども白であったと、はっきりなさったほうが個人の名誉をはっきりさせることができるのではないか、たてることができるのではないか。そのように割り切られたらいかがでしょう。
○国務大臣(田中伊三次君) 私は、いま先生仰せのような、かえってすっきりするということも考えられる。これは確かに、お説のように考えられると存じますが、同時に私の申しておりますように、このムードのもとで発表しろ、発表しない——たいへんなムードでございます。しかも、嫌疑を受けて参考人にしても、何にしても、国会議員たる者が召喚を受けて取り調べを受けた、こういう事実が明らかになり、それぞれの金額が明らかになってくるわけでございますから、このムードで発表になりますと、先ほど申しましたようなたいへん気の毒な結果をきたすものと——どちらが一体大きいかといえば、私が判断いたしますような危険があるというほうに重点を置いて判断をいたしますときに、これは発表を差し控えなければならぬということになるわけでございます。
○鈴木一弘君 経済事犯のほうは……。
○国務大臣(田中伊三次君) 経済整備罰則に関する法律の判断については、たいへんこだわるようで申しわけないのでありますが、私の判断のほうが正しいと信ずる。それは再犯になりました場合をお考えいただきますと、すぐに話がわかるのでありますが、解釈論でございますけれども、この農林中金を公務性ありとしてこの適用に加えましたときの事情と、ただいまの事情とは全く違う。現在は公務性がない。これはだれが判断いたしましても、おまえはそういうように言うが、公務性がある、という判断は私はできないと存じます。そういうことでございますから、これは適用が適当であるということで持ち込みましても、ものになる見込みがたいへん薄い。それから、それだけではないのです。先生は、いま先ほど申し上げましたことについて、半分御記憶になって、半分はお忘れになっているようでありますが、私がもう半分申しておりますのは、盆と募れに持ってまいりました単純な贈答という程度をこえておるという程度のものである、こういうふうに判断ができる。不正融資の不正の実情を知って授受した授受ではない、こう単純なるものと判断をいしますので、両方をあわせ考えるときに、これは起訴猶予が正しいとの判断になったんだ、だろう、こういうことでございます。
○黒柳明君 法務大臣、何か言いたいことがのどからことばになって出てこないのではないかと、私このように感ずるわけでございます——。うなずいているから、私はそういうふうに思います。そこで、もし私が反対に、それじゃ疑わしい人の名前をここで一人一人あげれば、それに対して法務大臣は調べを受けたその事実を認めるかどうか、あるいはその内容まで触れていただけるかどうか。いかがでしょう。
○国務大臣(田中伊三次君) この間実は似たような失敗をひとつ衆議院でおかしておるのでございます。閣僚の中に関係者がおるかというお尋ねがあった。非常に雄弁に質問をなさるものでありますから、春日一幸君の質問についつり込まれて、私が、事実ないものでありますから、事実ないということを申し上げた、これはこういう発言は法務大臣の誤りでございます。ついつり込まれた間違いでございます。それで一々先生から、何の何がしはどうだということでお尋ねをいただきましても、それに対してお答えはできない。その理由は一人、一人についてお答えをする結果は全体の発表をすることとなるからである、こういうことでございます。
○黒柳明君 国会議員については答えかねると、しからば高級公務員についてはいかがでしよう。私が名前を言ったら、それについて調査したかいなかの事実を認めていただけますか。
○国務大臣(田中伊三次君) 全く国会議員の場合と同様でございます。
○黒柳明君 こうなりますと、総理はじめ各大臣がかねてから政界の粛正をする、あるいは綱紀のびん乱を正すと、このようなことばがほんとうに口だけのことであって、実際は違うんじゃないか、こうなりますと、これは質問に対して追究の余地がないわけですが、先ほど総理大臣がもし検察当局が自分で発表するならばいいと、このようなおことばがございましたんですが、私は委員長にこれを報告したいんですが、申し上げたいんですが、ここで馬場検事総長と東京地検の河合次席検事を証人としての喚問を願いたいのですが。
○委員長(新谷寅三郎君) この問題はあとで理事会を開いて協議の上決定をしたいと思います。
○黒柳明君 いまどうですか。
○委員長(新谷寅三郎君) いま簡単に言われましても、やはり手続きがありますから、とにかく質問を続けてください。
○鈴木一弘君 議事進行。いまの要求ですね。証人としてこちらに出てもらうようにということでありますが、それが進まないとこれは質問がその問題については続行ができない。それを委員長が無理にやれということになれば、質疑者のペースを乱すというと悪いですが、そういうかっこうになってくる。これは緊急に理事会をひとつ開いていただきたい。
○委員長(新谷寅三郎君) 鈴木君に申し上げますが、委員会の運営については規則もありますし、また、従来の慣例もございます。証人喚問とか、参考人の招致とかいうものにつきましては、いずれも理事会で前もって決定をいたしているのでありますから、いま急に証人を喚問しろ、参考人を呼べと言われましても、この質問には間に合わないということにならざるを得ないのじゃないでしょうか。ですから、黒柳委員からは、農林中金の理事長を参考人に呼んでもらいたいということでございます。旅行中だったそうでありますが、委員部から交渉させまして、きょうはその旅行を取りやめてこちらのほうに参考人として呼んでおります。これはいままでの御要求どおりに取りはからっているのでありますから、質疑を続行して いただきたいと思います。
○鈴木一弘君 いまの委員長の答弁でありますけれども、質疑者のほうからすれば、はたして証人が呼べるのか、呼ぶということが決定されるのか、決定されないのかということは非常に大きな問題であります。それによって今後のあれが変わってくるわけであります。ですから、緊急に開いていただきたい、理事会を。
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと理事の方、ここにお集まりください。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて。 黒柳委員に申し上げます。ただいま理事の方の参集を求めまして協議いたしました結果、御要求の件につきましては、追って理事会を開きまして協議の上処理をすることにいたしますから、質疑を続行していただきたいと思います。
○黒柳明君 いまの委員長のおことばどおり、この問題は理事会の決定が出次第、また次の機会に回したいと思います。 農林大臣に伺います。先ほど、農中金から職員諸君に望む、このような文書が出ているのですが、これは出たことは御存じでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 存じません。
○黒柳明君 これはやっぱり監督行政機関として、こういうふうな問題になっているときですから、このぐらいな文書が出ている、非常に農中金としては、前向きの姿勢で新理事長を先頭に、何とかしてこの農中金のうみを出したい、このような態度でいま臨んでいるわけです。きようも聞くところによると、お忙しいところわざわざ出席なされた、こういう姿勢をとっているにもかかわらず、農林省当局がそういう態度であると、これがまた二つ三つ四つと、そういう共和製糖と類似するような問題を生む原因をつくっていくのじゃないか、こう思います。至急、この通達文書を読んでいただいて、どのような農中金が腹がまえで今後の運営をやっていくか、ひとつ監督行政機関の総責任者としてすぐ読まれることを希望します。これは希望にとどめておきますが、片柳理事長にお願いします。その農中金が出した職員諸君に望む、この文書の中で、金庫の使命、要するに、農民の利益を守ること、これを強調していますが、残念ながら関連産業の融資及びその融資の対象の選択及び業者とのくされ縁、そのようなことについて、何かずるずる深みにはまり込んでいくような傾向があるのではないかと、こう思えるわけですが、所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(片柳真吉君) お答えをいたしますが、農林中金の運営の問題につきましては、共和問題等を中心といたしまして非常な御配慮をいただきまして、まことに恐縮をいたしております。私も昨年の暮れに就任をいたした次第でございまますが、とりあえず、中金の使命を全職員に徹底しまして、あのような問題が今後ないように、極力部内の体制を引き締めておるわけでございまして、特に今回検察当局の結論も出た次第でございますので、その事態に対応いたしまして、重ねて十分自粛、反省いたしまして、問題になりました融資の分につきましては、あらゆる努力を払いまして、債権の管理にいま努力中でございます。 しかし今後さようなことがございましては、中金本来の使命にも反するわけでございますので、私どもは、農林中金が農山漁村のためにあるということ、農山漁村民が働きました大事なお金を扱っておるわけでございますので、協同組合の本来の精神に立脚いたしまして、あくまで農山漁村民に奉仕するという考え方で運営をやっていってほしいということを、強く職員に実は示達をいたしたわけでございまして、あらゆる機会にさような措置をとっておるわけでございまして、今後かようなことが絶対に起こりませんように、現在役職員一体となりまして、御期待に沿うように、努力しているわけでございます。御理解を願います。
○黒柳明君 そこで具体例として、現在農中金が非常に頭を悩ましておりますモロゾフ酒造の融資について、どのように反省しておりますでしょうか。
○参考人(片柳真吉君) 実は私も就任まだ日もあまりたっていないわけでございまするので、就任以来、すでに融質をされておりますものにつきましても、全面的な実は再調査を命じておるわけであります。もちろん、大部分の融資は問題ない健全な融資でございまするけれども、しかし、客観情勢の変化なり、あるいは事業の運営の過程におきまして、当初の見込みと実績と多少そごしているものもございますので、そういうことを精査いたしまして、先ほど申し上げましたように、今後の債権の管理、貴重なお金を融資をしておるわけでございますから、これが回収に最善を尽くしております。 このモロゾフの問題につきましても、現在過去のいきさつをよく調査をしておるわけでございまするが、すでに起こったことはやむを得ない次第でございますので、極力債権の回収——会社をもり立てまして、多少瞬間はかかると思いまするけれども、これが回収に遺憾なきを期するように、最善の努力をしてまいりたいということでございます。
○黒柳明君 すでに起こったことは確かにやむを得ないと思いますが、前のうみはどんどんここでしぼり出していただきたいと、こう希望しますが、三十八年の九月三十日、農中金が初めてモロゾフに四千万の融資をした、そのときの農民との関連と、これについてお答え願いたいと思います。
○参考人(片柳真吉君) 率直に申し上げまして、最近までのいわゆる関連産業の関連度としましては、多少遺憾の点があったようでございますので、私が参りましてからは、農業団体の全販連からイモを買いまして、そのなまイモをアルコール製造に委託をするという、現在はさようでございますから、農産物でございまするイモの原料を当該会社が買ってくるということに改めた次第でございまして、従来は御指摘のように多少その点の明確を欠いておる点は申しわけないと思っております。
○黒柳明君 どなたか関連度についてお答え願えませんでしょうか。
○参考人(片柳真吉君) 私から概括的なことで恐縮でございますが、お答え申し上げます。 中金法で御承知のとおりでございますが、金庫は、農林漁業の発達なり、あるいは農林漁業団体の発達のために必要ないわゆる関連産業に融資ができるわけでございまして、その関連度と申しますのは、ものによりまして多少違っておる……。
○黒柳明君 モロゾフの関連度、三十八年九月三十日、融資をしたときの関連度。
○参考人(片柳真吉君) それはちょっといま記憶にございませんが、現在は、いま申し上げましたように、全販連からイモを買いまして、それを委託加工をしておるというかっこうで処理しておりますから……。
○黒柳明君 四、五日前ですね、それは。
○参考人(片柳真吉君) 四、五日前といいまするか、いま少し前だと思います。
○黒柳明君 ついせんだってですね。
○参考人(片柳真吉君) 現在は基準にもちろん合致しておるというふうに解釈しております。
○黒柳明君 私が簡単にそのいきさつを述べますから、理事長確認していただきたいと思います。当時、要するに農中金からモロゾフ酒造が融資を受けなければならなくなった。金融引き締め及びモロゾフの主銀行であった埼玉銀行が、平沼頭取の辞職からうまくいかなくなった。ここで農中金から融資を受けるためには、どうしても全敗連からイモを買わなければならない。そのイモを買う資金として、何もかにも一回きり、昭和三十八年九月三十日に四千万融資を受けてイモを買った。これを明利酒類に出してアルコールにさした。これが何もかにもただ一つの関連性、それ以来四十二年の、一カ月前、四月ですか、それまでの四年間というものは一つも関連性がない。このような関連度がモロゾフ酒造と農民との関連である、こう思うのですが、いかがでしょう。
○参考人(片柳真吉君) 過去の経過を聞いてみますると、大体御指摘のようでございまして、その間、まことに遺憾に存じております。それに関しまして最近改正いたしたということでございます。
○黒柳明君 この三十八年九月三十日の融資が、四十二年四月三十日現在では十四億数千万にもふくれ上がってきた。この四年間における融資の過程についてお述べいただけますでしょうか。
○参考人(片柳真吉君) 実は私最近の就任でございまして、その間の経緯は詳しくは承知をしておらぬわけでございますが、結局、結論といたしましては、当初この会社も相当配当等もいたしておりまして、事業の運営よろしきを得ますれば、大体軌道に乗るということで、前任者等がいろいろ融資をされたというふうに承知をしておるわけでございます。
○黒柳明君 まあ、知らぬ存ぜぬで、ちょっと質問が戸惑うわけですが、相当な配当というのは、三十九年三月末の決算、期末の利潤が五千三百万、配当二八%、ところが四十年三月、四十一年三月、四十二年三月、ずっと赤字欠損です。一億四百万、一億九千三百万、三千五百万、もちろん配当はなし、このような状態でずっときているわけですね。こういう非常に下り坂の企業に対して水ぶくれに融資がふくれている、これが非常に問題があると思うのですが、その過程——どういうふうにして、なぜこのように融資がどんどんどんどんふくれざるを得なかったのか、この点についてだれか農中金の方でお答えいただける人いらっしゃいませんでしょうか。
○委員長(新谷寅三郎君) 黒柳委員に申し上げます。黒柳委員の御要求の参考人は農林中金の理事長でございます。したがいまして、農林中金の理事長は呼んでおりますが、他の参考人は呼んでおりませんことを御了承いただきたいと思います。(黒柳君「だって答えられないじゃありませんか。何も答えられなきゃ質問になりゃしないじゃないですか。だれか来ていませんか。いまそこでお立ちになった方、違うのですか。農林省相当調べたんじゃないですか。遺憾です、遺憾ですと言ったって、これじゃ全然質問が進まないじゃないですか。いるじゃないですか、ちゃんと。説明してくださいよ。」と述ぶ。)
○政府委員(大和田啓気君) お答え申し上げます。中金の融資につきましては、私ども短期資金の融資に関しまして一件ごとの認可をいたしておりませんから、このモロゾフ酒造に対する中金の融資の状況につきましては十分つまびらかにいたしておりません。中金とも連絡の上、今後詳細に調査をいたしたいと思います。(黒柳君「そんなの答えになりゃしませんよ。何言っているのだ。幼稚園の子供と議論しているのではない。人をごまかしている。とんでもない話だ。笑いごとじゃ済まされない。真剣におれだって調べたんだから、ごまかすな。」と述ぶ。)
○委員長(新谷寅三郎君) 黒柳君、質疑を続行してください。
○鈴木一弘君 議事進行。いまの黒柳委員からの質問に対して、政府側もそれから農林中金の理事長のほうも、詳細にわかっているのかわかっていないのかわかりませんけれども、答弁ができないということは進まないということになる。(黒柳君「これは不正融資で過剰融資ですよ、はっきり。担保不足関連度ないんですよ。言っているじゃないですか、遺憾です、遺憾ですって。それならはっきり言いなさいよ、その実態を。それでなければ進まないじゃないですか。」と述ぶ。)
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっとお待ち下さい。発言の許可を求めてから御発言願いたいと思います。
○鈴木一弘君 ですから、いつごろになったらはっきり御答弁ができるように参考人のほうもまた農林省のほうもできるのか、それを伺いたいのです。それによってきめます。
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまの鈴木委員の質問に対しまして、片柳理事長お答えございますか。
○参考人(片柳真吉君) 実は、先生にもおわかりをいただいておると存じますが、農林中金のことには非常な御配慮をいただいておりまして恐縮に存じますが、実は、民間金融機関の中金の内容を、できるだけ御協力をいただいておるわけでございますから、率直に申し上げたいと存じまするけれども、金融機関でございますので、きわめて実はいろんな影響もあるわけでございまして、この問題の会社ももちろん株式第二部にも上場されておる関係でもありまするし、また、取引先からも実は私のほうにもいろいろ問い合わせもあるというようなことでございますので、御協力をいたさないわけではございまするけれども、(笑声)私どものデリケートな立場も御了察願いたいと思うわけでございます。経過は、先ほど言ったように、会社をあくまで盛り立てて、その上で債権回収をしていきたいということで、今日までも融資があったというように理解をしておるわけでございます。しかし、御指摘の中心ば、今後さようなことがないようにということがおそらく御質問の重点だと思っておりますので、御意見は、ただいま申しましたように、できるだけの努力をいたしたいということで御了承願いたいと思います。
○黒柳明君 そういうふうにかってに自分できめていただいたら困っちゃうわけです。私も、参考人としてお忙しい中来ていらっしゃるわけですから、当然ていねいに質問もし、答えていただきたいと思うのですけれども、前向きの姿勢で進めばそれでいいだろう。そのためには、過去の非をあからさまにしないと、これ一つじゃないのですよ。まだ二つ、三つ、四つとあるのですよ。そのたび、そのたびどうするのですか。同じような答えをしていくのですか。うまくないじゃないですか、それならば。それじゃ国会審議なんか要りはしませんよ。参考人を呼んだってしようがないじゃないですか、遺憾です、遺憾です、遺憾ですじゃ。どうです。
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまの黒柳委員の御発言に対しまして、農林中金の理事長からお答えがございますか。
○参考人(片柳真吉君) 私も多額の預金を預かってもおり、また、融資先の信用にも関する事項でございますので、やはりそういう趣旨を考慮しながらのお答えということで、ひとつこれは御了察をいただきたいと思いますが、とにかく過去に起きましたことには、先ほど申し上げましたように、現在全面的な調査、再検討を命じておりまして、それに基づきまして、債権管理には万全を期してまいりたい。また、今後は絶対にさようなことの起こりませんように、最善を尽くすということで、この席では説明をお許しをいただきたい。
○鈴木一弘君 関連。議事進行。いまの答弁では進まないですよ。黒柳委員のほうからは、過剰融資なのかどうかという質問があったわけです。それに対して参考人の農林中金の理事長、それから、主務大臣である大蔵大臣と農林大臣からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、個々の金融の問題でございますので、その点については、私が何とも申しかねるわけでありますが、御承知のように、農林中金というものは、往年は政府出資もございました。したがって、人事等についても政府は関与いたしておりましたが、農業団体の要望等もございまして、現在ではそういう形がすっかり変わりまして、一般の金融機関と同列になっているわけでありますが、私どもといたしましては、その預金の数多くのものは地方の農協に関係をいたしておる農民の資金もかなり入っておるわけでございまして、したがってそういう意味では監督権を持っておるわけでありますけれども、いろいろ遺憾な運営がもし行なわれるとすれば、まことにわれわれとしても困ったことでありまして、したがってこれからはなおそういうことについて慎重を期するように警告はいたしますが、御承知のように、個々の金融につきましては私どものほうでよく存じておりませんので、ただいまの点につきましてそれ以上私がお答えをいたすことはただいまは不可能であります。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は実は、きょうの新聞を見まして、やはり監督官庁として責任を感じましたので、本日中にこの問題のいろんな調査を私のほうでできるだけはいたします。で、いま農林大臣がお話しになったように、余裕金を運用する場合に、短期貸し付けをするときは主務大臣の認可を受けなければならぬということになっておりますが、長期の貸し付けのほうは一件ごとに認可を受けることになっておりますし、短期貸し付けのほうは年二期に分けて、その融資限度額をきめて、その範囲で農林中金にどの対象を選ぶかをまかして、一件一件認可しない、包括認可という形でやっておりますので、ここへ貸していいかということはそのつど農林省にも大蔵省にも来ないという形になっております。そこで、この検査でございますが、大蔵省でいままでやった検査は、ちょうど四十年の二月に検査をしております。そのときの貸し付け額は七億円ということでございました。ところが、検査をしたのが二月で、その三月ごろからこの会社がウイスキーをつくってその成績を上げるために——業績が赤字になってくる、そのために借り増しがそれ以後多くなって、ただいまおっしゃられたような数字のところまで貸し出しがふえておるということでございまして、また農林中金が、いま農林大臣からお話ございましたように、国の出資は一文もございませんし、財政投融資も全然いまは農林中金にはしていない、全く民間の市中の金融機関と同じでございますので、したがって検査というようなものも一般市中銀行と同じような検査をやっているというようなことで、私どものほうではちょうど検査が二年前の二月に行なわれて、それ以後行なっていませんので、そのためにそれ以後の今日の貸し付け状態というようなものは、私どもはこれを把握することができなかったというのが真相でございます。
○黒柳明君 大蔵大臣の御答弁は若干誠意があろと、こう思われますが、農林大臣のほうは何か人ごとみたいに聞こえたんですが、いま旨いましたように、この貸し付けに対しては主務大臣の認可が要るわけです。行政機関として当然責任がある、そういう立場にあるわけですよ。こういう事件が、また共和製糖、またモロゾフ、さらにまだこの次もこの次もと起こってきたらどういうふうにするか、そのような事件がまた起こるその理由は那辺にあるか、農林大臣いかがでしょう。
○国務大臣(倉石忠雄君) そういうことのないように、この際厳重に警告をいたしたいと思いますが、いま申し上げましたように、われわれから見ますというと、零細なる農民の資金が入っておるわけでありまして、間違ってこの金庫の当局がぼろを出すようなことになりますというと、その影響するところはたいへんなことになるわけでありまして、したがって、先ほどちょっと申し上げましたように、農林中金というもののあり方について、農業団体の希望がありまして、いまのような形に、いわゆる自主的運営になってきたのでありますけれども、私はやはり、農林中金のような金融機関の特殊性から見て、そのあり方についてはこういう機会に再検討をする必要があるのではないか、こういうことを考えておる次第であります。
○黒柳明君 私もそのことばを信じたいですけれどもね。大蔵大臣はきょうのうちでもすぐ手をつける。農林大臣もひとつきょうがきょうでもいま言ったおことばのとおりに再検討するならしていただきませんと、またこれ追っかけ二つ三つとあると、そのたんびにいま言ったような発言をすると、今度は農林大臣の責任問題になる。何か農林大臣というのはたよりにならないのじゃないかと、このようなことにも発展することがあると、このように私憂えるわけですが、まあここで私なりの感想を述べておきます。 で、もう一回理事長にお伺いしたいんですが、この焦点の問題、さっき鈴木から若干話がございましたですが、過剰融資——担保が非常に少ないわけですね。それで、いま十何億にもなっておる。担保の極度額は、農中金でも、あるいは大和でも、日本相互でも、まあ三億がせいぜいじゃないか。それが十四億にもなった、こういう事実はお認めになるでしょうか。
○参考人(片柳真吉君) 担保の評価はいろいろ見方があると存じますが、先ほど申し上げましたように、この会社をあくまでも立て面していきたいということでございますので、その結果実際上の担保以上の融資が行なわれておるということは認めざるを得ないと思います。しかし、最近会社の業績も若干の好転を示しておりますので、できるだけ関係業界の協力を得まして、今後の債権回収に努力をしてまいりたいということでございます。
○黒柳明君 総理大臣にお尋ねしますが、ともかくこのようなことは、金庫の業務の状態、あるいは体制の状態、種々あると思うんですが、問題は、必ずこういうようなところに政治家が介入する。今回の場合も、申しわけございませんが、自民党の大ものの某代議士がこれに関係している、このようなことが、私はうわさかあるいは事実かわかりませんが、そういうことがあるわけです。このようなことも非常にうまくないと思うんですが、こういう事件がまたここに起こった。またくどいようですが、農林大臣、大蔵大臣の直ちにこの農中金に対する勇断もお願いしたいと思いますし、また、いま言いましたように、政治家が介入している、こういうようなことについてどのように総理はお思いになるか、所信を披瀝していただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、きょうの新聞記事だけ見まして、なかなかたいへんな問題が起きたと、こう思います。ただいま黒柳君の説明で、いろいろ関係者もあるのだというようなお話ですが、この段階で私自身が事態をよく知っておりません。おりませんから、責任のあるお答えをするためには、もっとみずからが事態を把握することがいいと思っております。幸いに農林大臣が、大蔵大臣が、これを、事態を明確にするようにつとめると、かように申しておりますから、その後におきまして私の感じも申し上げたいと思います。ただ、いま言われるような事柄があるとすれば、これは世間に対しましてもまことに申しわけのないことだとかように思いますので、党の総裁として今後とも十分注意してまいるつもりでございます。
○黒柳明君 農林大臣と大蔵大臣にお願いしたいのですが、農中金法を改めると、こういう問題もあると思うんですが、いまその農中金の民主化の問題ですね、所属の農協とあるいは話し合いをして民主化に持っていこうと、このような話があるやに聞いておりますが、これについて御所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたように、もうすでにこの民主化という名前で政府から手を切って、そして農業団体のほうでいわゆる自主的、民主的にやるのだ、こういうわけでいまのような一般の市中の金融機関と同じような姿にもうすでになっておるわけであります。そこで、私は先ほど申し上げましたように、そういう姿が、はたしていよいよ何かあった場合に、農民の零細なる資金を預かってそれが集中しておる機関としてそういう姿でいいかどうかということについては各方面の御意見も承りまして、こういうことについては一ぺん考えてみる必要があるのではないか、このように申し上げたわけであります。
○国務大臣(水田三喜男君) 大体農林大臣と同様でございます。
○黒柳明君 これは私の私見でございますが、大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、農中金の融資の現在高、それを調べ、また、農中金から各会社に職員が派遣になっている。どこに派遣になっているかこれを調べる。そうすれば、必ずそこの会社には、いま言ったような過剰融資なりあるいは関連度がきわめて薄い、いろいろな問題点があるわけです。このようなことも、ひとつ先ほど言ったような勇断、きょうのうちに何とか手をつけてみたい、このようなおことばの中にそういうようなお考えも含まれるでしょうか——。おわかりになりませんですか、大蔵大臣。もう一回……。
○国務大臣(水田三喜男君) そういう人事との結びつきの問題は十分調査をしたいと思います。
○黒柳明君 人事だけじゃなくて——いや、いま答弁が、人事だけじゃなくて、要するに農中金から出ているわけですね。融資残高、それから今度は農中金から職員が各会社に派遣になっている。その派遣になっている先はどこか。ここらあたりを調べれば簡単明瞭に農中金の不備、それがわかってくるわけですよ。これをおやりになれば、いま言ったような大臣の姿勢というものが明確にこれは打ち出されてくるのじゃないか。これについて先ほどお述べになったおことばの中にそのようなお考えも含まれているでしょうか、こういうことです。
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、いま一兆三千億ぐらいの資金で、そのうちの三分の一以上、四千何百億円というものが余裕金の短期貸し付け金になっておる。そのほか、長期のほうはわずかでございますが、そのほかはいわゆる員内貸し付けと申しますか系統金融をやっておりますので、もしそういういろんな問題があるとしますればいまの短期貸し付けのものにいろんな問題が起こりやすいというふうに考えますので、そういう点をくるめて十分調査したいと考えております。
○黒柳明君 くどいようですけれども、もう一回再確認したいと思うのですけれどもね。その点も含めてということは、農中金の融資残高、各会社に対してですね。いまモロゾフ十四億あるわけですね。この融資残高を見れば、これはちょっとおかしいなと、こうこれはもう私みたいなしろうとでもわかるわけです。また、農中金から職員が派遣になっている。これはモロゾフにおいてもそういう時点がありまして、その職員が派遣になって、農中金、そこから融資がどんどんされた。まだこういう会社うんとあるわけです。そういう農中金から職員が派遣になっている会社、それを見ればすぐこのような不備がわかる。それをすぐおやりになると、こういうことですね。
○国務大臣(水田三喜男君) さっき申しましたように、政府の出資があったり財政投融資をしておるところでございましたら、私どもにいろいろなまたそれに伴った監督権限があると思いますが、もういまではそうじゃなくて全然民間金融機関でございますので、私どもとしては、一般金融機関に対すると同じように検査を通じてこういうものの是正をはかっていくというよりほかしかたがないと思いますので、その線に沿いまして、いまの金融のあり方、結びつきというようなものは、私どもの検査権を通じて今後調査しこの是正をはかっていきたい、こういうことでございます。
○黒柳明君 以上でモロゾフの問題は終わりたいと思いますが、次は外交の問題に入りたいと思いますので、超党派でやっていきたいと思います。 総理は、従来から安保問題については、時期尚早である、このような発言、また態度を示されてきましたですが、新聞報道によりますと、今秋に予想されている訪米及びまた日米首脳会談の際に安保条約が討議されるのじゃないか。そのときに際して、外務省が事務レベルで検討を始めた、また自民党の安保調査会でも安保条約の審議のやり直しを始めた、このような報道がありますが、政府としてもいよいよ安保問題と真剣に取り組む時期がきたのだと、このように判断をしてよろしいでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、この安保条約体制、それを堅持するという言い方をしてまいっております。そこで、この七〇年と申しますか、この次、いよいよ十年たったときどういう形にするかというその問題は、まだ時期が早い。したがいまして、そのときになって、どんな形でこの安保条約体制を堅持すべきかそれを考えればいいと、かように思っております。ただいまは、いわゆる私どもは、いまの条約のもとにおいてこれはもう当然のことですが、安保体制、それが守られているか——これが当分続いていくという考え方でございますから、そのときになりましてどんな形が一番いいのだろうかと、こういうことを考えております。こういうことでございます。
○黒柳明君 そのときといいますと、一九七〇年、あるいは六九年と、こうございますが、そのときというのはどのときでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはもう六九年あたりにはもちろん考えなければならぬと、かように思っております。
○黒柳明君 六九年ぐらいには安保のことを考えなければならない、このようなことですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 安保条約体制はどういう形がいいだろうかということをその辺で考えるべきじゃないかと、そのように考えておるわけです。
○黒柳明君 外務大臣はせんだって、日米安保条約をめぐって一九七〇年の危機と言われているが、安保条約に期限があると解釈するのは誤りである、このように述べておりますが、何となく安保自動延長というような感じを受けるのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) それは自動延長でも何延長でもありません。安保条約を読んだら、あれもやっぱり、期限というような形で、いつになったらこの効力を失うというのではない。国際連合による有効な安全保障の措置ができたことをアメリカ及び日本の政府が認めるまでこの条約は効力を有すると書いてあるのですから、それを私はあたりまえに条約を読んでいるだけの話でございます。
○黒柳明君 十六日に日米安保協議委員会が行なわれますが、このときには安保の問題は話題に取り上げるつもりでしょうか、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) いま安保条約を話題に取り上げる必要というものは起こっておりません。安保条約そのものを取り上げるということはございません。
○黒柳明君 総理大臣にお伺いします。 中共は本年じゅうにICBMをある程度の開発段階までいくのではないか、あるいは七十年までには実戦に配置する可能性もあるのではないか、これはマクナマラ国防長官も言っておりますが、そういう観測です。中共の核というものは、おそらく無限大にこれから拡大されていくと思うのです。この中共の核の脅威に対して、わが国が長期的にどのように対処したらいいか、総理のお考えはどうでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) わが国の自衛力の整備と申しますか、これも通常兵器と申しますか、そういう侵略に対して自衛力を整備する、こういう考え方でございます。私は、一部におきましては、その自衛力がたいへん強いではないかというようなお話がありまして、これもこれではよけいなことだというようなこともございますので、私はただいまの状況においての自衛力、これは国民の協力を得まして必要最小限度のものは整備されつつあると、かように思っております。 そこで、ただいまの核兵器による攻撃に対しまして、一体、どうなのか。これはしばしば言われますように、日本はアメリカの核の傘のもとにあるのでと、こういうような言われ方をしております。私は、核兵器に対する攻撃に対して日米安全保障条約が果たしておるこの抑止力、これはアメリカの持つ兵力、これが抑止力になっておる、このことは高く評価していいのではないか、かように私は思っております。
○黒柳明君 長期的にはやっぱりアメリカの抑止功、核の傘に大体わが国は入っていくんだ、こういうようなことでよろしいでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) たただいまの条件のもとにおいては、さように思っております。
○黒柳明君 もう一つの意見として、中共の核に対してはむしろ脅威である、このような考えよりも、それに対して協調と和解を求めたらいいじゃないか。ですから、この観点から言うと、わが国と中共との国交ば短期的には現状維持、長期的には国連の推進加盟の態度もやむを得ない。また、これがだんだん国際的にこういう考えになりつつあるのではないかと、こう思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私どものように、世界の平和を願っておる、そうして世界が平和で同じように繁栄しよう、こういう場合に、いろいろなくふうが必要であろう。ただ、今日の国際情勢というものは、力と力との均衡といいますか、そういうもとにおいて平和が維持される。したがって、先ほどのような考え方が生まれてくるのであります。ただいま言われますように、その平和をするために各国が同じような考え方に立って、そうしてもう核武装は必要でないのだ、このようなことになれば、また世の中が変わってきますけれども、ただいまの状態ではやはり、力と力の均衡、このもとにおいて平和が維持されておるというのが現実の問題ではないかと、かように思っております。
○黒柳明君 やっぱり現実は現実で踏まえて、長期的なビジョンも必要じゃないかと思うのですが、現実の上に立って、そうして長期的にはわが国もこのような態度で国際情勢の推移といいますか、このような態度をとっていかなければならないのじゃないかと、こういうふうにお思いになりませんでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、二十一世紀にでもなればだんだん変わるだろうと思います。しかし、今日の状況のもとにおきまして、私が一番総理として心配なのは、わが国の安全確保、こういう立場で現実をよく見てものごとに対処していくことが望ましいのではないか、かように私は確信しております。
○黒柳明君 くどいようですが、そうすると、中共の核に対しては、協調、和解よりもむしろ脅威、こういう立場から判断せざるを得ない、こういうふうに確認してよろしいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、中共が核兵器を持った、これはどういうような考え方で持つのか私にはわかりません。しかし、一部で言われておりますように、中共ば核兵器を持ちましても、これは攻撃的に使うのじゃない、自分の、自国の防衛のためだ、かように申しております。これがそのままであれば、私どもはいわゆる脅威というものを感ずる必要はないのじゃないか。ただ私は、国際的な平和が維持される、それが力の均衡だろう、こういう前提ではないのか、かように思いますので、ただいまの安保体制というものがそういう意味では必要があると、かように私は思っておるのであります。 いまの問題は、中共自身、どういうような使い方をされるのか、これは私にはわからないことです。
○黒柳明君 現在問題になっております核防条約は、外交国際問題であると同時に、やっぱり全体的な日本の通商産業の問題でもあり、また、国民の福祉の問題でもある、こういう立場から総理を中心にして、国をあげて何か総合的施策を樹立する必要があるのじゃないかと、このように思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま核拡散防止の観点に立っていろいろ外務大臣が直接交渉しておりますが、これは外務大臣個人の考え方で動いているわけではなくて、佐藤内閣としてこれは一致した考え方でございます。ただいまの核拡散防止については、これはもう超党派的にも皆さんからの御意見も伺っております。最近は、米軍縮局長が日本を訪問したと、こういうこともございますので、これらの詳細については外務大臣からお聞き取りいただきます。
○国務大臣(三木武夫君) 総合的な日本の構想が要るのではないかというお話、これはやはり日本の場合は、日本の外交政策の基調は平和外交ということでありますから、したがって、核戦争の危険を増大するようなことに対してはこれを防止するためにあらゆる努力をする。とにかく戦争と平和という問題が一番人類の最大の課題であります。これを、平和を促進できるようなことに対しては、常に、核拡散防止条約ばかりでなしに、努力をするというところが政策の基調であるわけでございます。
○黒柳明君 これは一部の意見ですが、今回の核防条約は、政府としてはもともと調印する腹をきめているのだと、ところが、はでに起党派の外交のゼスチュアをしたり、あるいは特使を派遣したりしているのだ、このような一部の意見があるのですが、それについていかがですか、総理と外務大臣に。
○国務大臣(三木武夫君) 新聞等でも御承知のように、フォスター軍縮局長と昨日私は会談をした。この核の拡散を防止しようという条約の精神には賛成であるけれども、この条約というものに対する日本の賛否というものは、現在の段階で言うわけにはいかない。これが草案が出て、その草案というものが十分に慎重に検討されて、そうしてわれわれとして賛成すべきものであるというときには、これは賛成いたしますが、現在の段階で、賛否は留保するというのが、私のフォスター長官に対する昨日の発言であったわけであります。初めから、草案も見ない先に賛成をきめて、そういうふうな立場は絶対に政府はとるものではございません。
○黒柳明君 やがてまた調印される段取りになると思いますが、必要があるならば、その調印前において党首会談をやると、このようなお考えはいかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 私と、黒柳さんも御足労くださったわけですが、ああいう会談も必要に応じてやりますし、また、必要な段階がくれば総理にもお願いして党首会談を開いていただきたい、こういうふうに考えております。
○黒柳明君 また、本条約については、これも新聞報道でございますが、財界、原子力産業から、核の平和利用で縛られはしないか、このような懸念が出ている。けさの新聞では、相当外務大臣がこの点も憂慮されまして、フォスター長官には相当な意見を述べていただいた、また長官からも具体的な提案が出ている、このように見ておりますが、特に財界では米国が西独を突破口として、日本、イタリアなどの有力核潜在諸国を抱き込んで、西側に米国の核技術のかさを広げるのではないか、このようなことが一部の見方があるのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 日本は、この核兵器をもって世界のこのパワー・ポリティックスの中に入るという考えはないわけです。平和利用の面については、日本は、世界の中においても原子科学、原子力産業、これが相当発達した国でありますから、この条約を結ぶことによって平和利用の面において制約を受けるということは、これはもう絶対に困る、日本は。そういう点で、昨日フォスター長官と会ったときにも、非常にこれは重点を置いて話をした点でございます。おそらく、出るであろう草案には、平和利用に対する保証は相当な保証がなされるものだと、私は考えておるわけでありますが、草案が出まするならば、やはりアメリカからも専門家の派遣を求め、日本の専門家と、その草案を中心にして、はたして平和利用の面における研究開発が阻害されるようなことはないかということは十分に検討いたしたい。われわれもまた、原子力関係の科学者あるいは産業人とも、草案が発表されるならば、話をしたい。この点については十分念を入れていきたいと考えております。
○黒柳明君 伝えられるその米ソの共同草案の中に、わが国としては、核保有国の軍縮、完全軍縮を要望していると、こう言われておりますが、現実としては、米ソなどの核保有国ははたして軍縮の方向に向かっていくか。これは非常に非現実的だと思うのですが、わが国で言う核軍縮、このことばは、撤廃、そういう意味に通ずるのか、あるいはアームコントロール、武器の管理、こういう意味のことを言っているのか、その点いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 最終的には、やっぱりこれは破棄に通ずるのだ、なくしていく、核兵器をですね。しかし、それは幻想をいだいてはいけない。一ぺんに、もう核兵器がすぐになくなるということではない。これはやはり段階を置かなければならぬ。現在この条約を結んでも中共は入らぬだろうと、こう言われておるわけですから、どうしても現在核兵器を持っておる軍事バランスということも無視するわけにはいかぬわけでありますから、一ぺんに、もうすぐに核兵器の破棄ができるとは私は思いません。そういうことは現実に可能ではありますまい。だから、段階的に軍縮は行なわなければならぬし、また、核兵器ばかりでなしに、普通の兵器の軍縮も行なわれなければならぬわけでありますから、そういうことになれば時間はかかると思います。最終の目標は、核兵器をなくする、これが軍縮の目標でなくてはならぬというのが、われわれの考えでございます。
○黒柳明君 米ソが核防条約の締結を急いでいる。ところが、一方地下実験もやっている。このようなことは何か矛盾しているように思うわけですが、私たち非核保有国としては、この地下実験の禁止をまず迫って、それが、実験がすべて禁止された暁に、また平和利用に対して新しい条約を結んでいく、このようなことはいかがでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 地下爆発の実験が禁止されるならば、それをまずやって、次に核拡散防止条約を結んだらいいではないかということは賛成はいたしません。やはり、核の拡散を防ごうということも、これは軍縮の一歩であります。これを入り口にしなければ、地下爆発をやめろといっても、その条約に入らない国もあるのですから、そういうことであっては……。やはり、公正な核不拡散の条約ができて、それを出発点にして軍縮をやるということが私は順序だと思うのです。しかし、黒柳君の言われる地下爆発実験禁止については、われわれも黒柳君と同意見で、これは何とかしてやめさせなければいかぬ。そのために、御承知のように、地下爆発をしたかどうかという査察をする必要がある、それにはソ連が反対である、こういうことでこの問題が行き詰まったのでございますが、スェーデンが提唱しておる核探知クラブ、これには日本も積極的に参加して、何とかそういう査察というものを機械的にできるような科学的な方法というものが考えられないものか——だから私は、昨日もフォスター長官にも言ったのですが、この核探知クラブにアメリカも入らないか、ソ連も入るし、みなが、現実に人が行って査察をしなくても、これが科学的にわかるような方法というものを検討しようではないか、やはり地下爆発の実験禁止ということは軍縮のワンステップとして非常に大事な問題である、ということを私は申したのです。フォスター長官は、そのことについて、アメリカ自身に関しては反対であるという意見は言いませんでした。だから今後とも、地下爆発の実験禁止、それが条約を結べることを阻害しているこの地下爆発の探知については、何らかの科学的な方法を考え出すことに積極的に日本も協力をいたしたいと考えております。
○黒柳明君 さきに国連大使が、核防条約の中で、非核保有国が核保有国の脅威と攻撃から安全を守るため二カ国または集団的な防衛条約を結ぶことを妨げない、こう国連総会で発言しているわけです。現在、この松井国連大使の演説については、方針が変わっているわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) この核拡散防止条約は、集団保障の体制に影響を及ぼすというものならば、この条約はできない。みな各国とも、自分の国をどうして守るかということが、国の政治としては、これはもう最高の課題でありますから、自分の国の安全保障政策によって、いろいろ、共産国の方式もあれば、日本のような方式もあれば、NATOのような方式もあれば、みな国々によって、自己の安全を守るため、この問題は一番重要な問題でありますから、そういう各国の安全保障の政策によって生まれてきておるのですから、それを、核不拡散条約によって、そういう考え方はいかないのだとか、その国の安全保障政策によってできておる防衛体制に何らかの影響をこの条約が及ぼすとするならば、これはできない。だから、この問題には触れないのだ、この機能には何らの影響を与えないのだということで、この核不拡散条約は出発をしておるものでございますから、松井大使の言われるとおりでございます。
○黒柳明君 総理は、また同じように、日本は日米安保条約によって核攻撃から安全を保障されているが、他のアジア諸国は十分に保障されていない、したがって、核保有国はこれら諸国の安全を保障すべきである、こう言っておるわけですが、現行の日米安保で核の問題はもう十分である、こういうようなおことばのように感ずるわけですが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私がアメリカを訪問しました一昨年ですが、アメリカはどんな攻撃からでも日本を守る、こういうことを申しております。これは、そういう意味で私は安心しております。いわゆる力の、アメリカの抑止力が十分働いておる、かように考えております。
○黒柳明君 そうすると、あらためて核防条約を結ぶ必要はないのじゃないか、こういうことでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申しますように、日本の安全確保というこの点から、ただいまのように、アメリカの戦争抑止力というものを確信しておりますが、しかし、国際約に、また世界から戦争をなくす、こういう立場に立ち、さらにまた人類を、これを壊滅さす、絶滅さすようにいく兵器というものは、これを憎む、その観点からは、やはり核防止、核拡散防止、こういうことがやはり話し合われて、先ほど来申しておる核の完全な、全面的な軍縮が行なわれるということが望ましい、こういう意味において、今回の拡散防止協定と言われておるものの基本的な趣旨に私は賛成しておるのであります。
○黒柳明君 質問を変えたいと思うのですが、外務大臣にお伺いします。 日豪経済合同委員会あるいは第二回東南アジア開発閣僚会議なぞが開かれて、太平洋経済委員会も設立されたわけですが、これは、日本の姿勢があるいは中国封じ込めの日米経済安保体制の拡大版ではないか、このような批判をしている向きもあるわけですし、また、経済侵略じゃないか、こういうような東南アジア諸国の一部からの批判があるわけですが、この際、外務大臣の経済外交に対する基本的態度はいかがでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、経済外交というものを、こういうふうに考えている。一つには、やはり外交の面で経済的発展をはかるような外交を推進していかなければならない。一方においては、やはり日本の経済発展ばかりでなしに、日本はアジアの一員であるということを強調いたしますが、アジアは、黒柳君が御承知のように、一人当たりの国民所得はわずかで、平均したら東南アジアは八十ドルぐらいじゃないですか。貧困です。この貧困な諸国が日本の周辺におるということに対して、日本がこれだけの先進国として責任を感ずるということが、世界平和に対する地域的なやっぱり責任を果たすという道ではないか。だから、一面においては、日本が世界各国に向かって貿易をやらなければならぬのですから、どこにもかしこにも貿易を伸ばして経済発展をはかると同時に、そういう周辺の国々に対して経済協力をしたり、あるいは第一次産品など日本が買えるものはできるだけ輸入を促進するとかして、その低開発諸国の経済発展を助ける、これもまた経済外交の一面である。この二つの面が日本の経済外交としての基調である。これが私の考えでございます。
○黒柳明君 東南アジアを中心にした低開発地域に対して国民所得の一%まで援助を引き上げたい、このような御発言もございました。このような低開発地域に対する経済援助とともに、優秀なわが国の技術、それを持って移民していく、このようなことについての外務大臣の御構想はいかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 黒柳君御指摘のように、金ばかりではないのですよ、金ばかりでは。やはり経験とか技術とか、こういう、何とかして周辺の国もよくなってもらいたいという日本の善意は、金を出せばいいのですということではない。御承知のように、技術などは特に必要です。技術とか、あるいはまた日本がいろいろ持っておる経験、こういう一切を持っておる日本が、これを東南アジア諸国の発展のために使うということが必要で、金ばかりだとは私は思っておりせん。
○黒柳明君 技術移民の具体的な構想は、まだお持ち合わせございませんでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) これは現に、たとえば農業開発では、もう東南アジアの各地にモデル農場のようなものをつくって、そうしてできるだけ、農作物とか米を中心とする収穫を高めるような、農業のそういう試験場のようなものは、すでにやっております。また工業面においても、いろんな面における日本の工業の技術というものをできるだけ向こうが習得するようにしておるとか、研修生を受け入れておるとか、あるいはまた、こちらからこの専門家を派遣するとか、このようなことは全部技術協力という部類の中に入るものと考えております。
○黒柳明君 さきに伝えられました経済協力省新設についての具体的御構想はいかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) これは少し早いお話で、経済協力省というものをつくるという考えはまだ持ってはいないのです。ただしかし、各省に分かれますからね、これが。どうもばらばらになって、ものごとの決定がなかなか早くきまらぬという弊害を日本の行政機構が持っておることは、私は御指摘のとおりだと思います。だから、省というものをつくるということがその解決策だとは思いません。やはりもっと連絡を緊密にして、ものごとを迅速にきめるような行政的くふうは必要だと考えております。
○黒柳明君 沖縄問題に移りたいと思いますが、総理はさきに衆院の予算委員会で、沖縄の基地は、日本だけではなく、韓国、台湾を含む極東の安全確保にとって大きな役割りを果たしている、このようにお述べになっておるわけですが、これは、総理がかねてから否定していらっしゃるNEATOの精神に通ずるのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、NEATOの精神、こういうものを実は考えておりません。私が申し上げたのは、日本を含む極東の安全確保に沖縄の基地が役立っておる。果たしておる役割り、これもわれわれは絶えず念頭に置きつつ沖縄の問題を解決しなければならぬと、かように申したのであります。NEATOとは別に関係ございません。
○黒柳明君 外務大臣は、先ほどアメリカから帰る途中の松岡主席と余人を交えず二人でゆっくり何かお話しになったと、こう報道されておりますが、どのようなことをお話しになったのでしょう。言えるもんなら、ひとつお聞かせ願いたいと思いますが……。
○国務大臣(三木武夫君) 沖縄問題には日本政府も重大な関心を持っておりますから、松岡主席がアメリカでジョンソン大統領はじめラスク長官その他国会関係の人々に会って帰られたので、現地の報告も聞きますし、また旅行を通して松岡氏自身が考えられたいろいろ意見等も承ったのでございます。一々ここでその会談の内容を申し上げるのもどうかと思いますが、松岡さんが言われることは、やはり、当面の大事なことは、本土との格差是正、あるいは自治権の拡大——むろん長期的には施政権の返還であることは、もうこれはだれも異存はないのですが、当面としては、こういう問題について強くアメリカにも訴えたという話を口にしております。
○黒柳明君 外務省は、北米局でここ三カ月沖縄問題を検討してきた。その結果が昨日新聞に報道されておりますが、具体的にはどのようなことが、その検討の最終結果として出てきたわけでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) この沖縄問題、これだけ国民的な関心のある問題ですから、外務省はあらゆる角度から検討することは、私は当然で、しなければ怠慢と言われてもいいと思う。しかし、なかなかこれは、結論が出るというのには、アメリカとの話し合いもありますし、だからすぐに、こういう結論が出ましたと言うべく、やはりいろいろ困難な問題を含んでおる問題でございますから、結論というところには——むろん相手のアメリカとの話し合いもございまいますから、そういうところまでは達してはおりませんが、検討をいたしておることは事実でございます。
○黒柳明君 何か新聞報道によりますと、施政権返還は基地つきでなければ考えられない。基地つきでなければ観念論だと、このようなことが結論として出されたと、このように報道されておりますが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) それは事実に相違をいたします。そういう意見も確かにあるわけですね、基地というものの自由使用を許して施政権の返還を求めるという考え方もあるわけですから、考え方の一つとしては私は否定はしませんが、政府はその考え方をとらない。全面的な施政権返還を求めるというのが政府の考え方であるわけでございますので、そういう結論が外務省で出ておるというわけではございません。
○黒柳明君 総理は、さきに衆議院において核基地つき施政権の返還については、あらゆる面から総合的に検討していると、こうして基地つきの返還論を否定はしておりません。が、さらにその翌日は、近い将来基地つき返還は考えられないと、前日の答弁と若干違うような答弁をなされておる。また、参議院においては、一昨々日か、基地を除いての返還は実際論としては無理だと、このように御答弁が何か一貫性を欠いているような気がするわけですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはいろいろの御批判を受けると思いますが、ただいま沖縄同胞の念願、日本国民の念願から申しますと、変則的ないまの状態を一日も早く解相したい。しかして、一方においてやっぱりこのアメリカの基地がアジアの平和の維持のために果たしておる役割り、これはまことにたいへん大きいものがありますので、このことは日本の安全確保にもつながることであります。この両者の調和も大事なことでございますから、そういう意味で私どもはいろいろのことを考える。また、それぞれのお尋ねもありますし、そういう意味でやや研究の課題になる、これを直ちにこの場合にお答えになっているかとも思います。したがいまして、ただいま現状として言えることは、この軍基地の果たしておる役割り、これを絶えず念頭に置きつつ、沖縄の祖国復帰を考える。しからば、この方針でどういうようなことが具体的にやられるかと、こういうようなことで、いろいろ考え方がまだはっきりまとまっておらないものもあるだろう、かように思います。これはもう率直に私はお答えするわけであります。
○黒柳明君 前駐日大使のライシャワーさんは、日本政府さえ決意すれば、沖縄基地に関する条約を締結して施政権の全面返還を一挙に解決することが可能であると、まあこれは向こうの人の意見なんですが、このようにも言っておるわけですが、日本政府が決意すればいい、これについてどうお思いでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) ライシャワー大使の思想の根底にあるものは基地の自由使用ということで、基地以外の施政権の返還というのが根底の思想にあるのだと私は解釈しております。だから、そういう考え方は、先ほど申したように考え方としてあることは、私は否定をしない。政府は、いまはそういう考えはとらないのだということで、考え方としては確かにあり得る考え方の一つだと思います。
○黒柳明君 また、この考え方としてあり得る一つになるかもわかりませんが、先日、床次徳二氏が床次私案なるものをまとめて高等弁務官に提出した何かこういうことがあると、やっぱり佐藤内閣はこの表面の答弁と、また裏面の作業と食い違ったことをやっているのじゃないかと、こういうような誤解が非常に持たれるような気がするわけですが、これについていかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 表面も裏面もないわけでありまして、政府は全面的な施政権の返還を求める、この方針で努力をしたいということでございます。したがって、表面でそういうことを言って、裏面でどうという、そういうものではございません。
○黒柳明君 昨年から、ことしにかけての自衛隊の沖縄派兵の状況、これを御説明願いたいと思います。
○国務大臣(増田甲子七君) 黒柳委員の御質問の趣旨がよくわかりかねますが、自衛隊は海外へ派兵いたしておりませんし、また日本の施政権下にないところには——派遣といったほうが適当でありますが、派遣をいたしておらないのであります。
○黒柳明君 沖縄に行ってませんですか、自衛隊の人。
○国務大臣(増田甲子七君) 沖縄へ種々勉強には行っております。それから沖縄の東方、あるいは南方の海域等において演習等はいたしております。ただ、あなたのお聞きの点が、自衛隊を沖縄に派遣するやいなやというような御質問でございましたから、そこで見学等には陸・海・空の自衛隊がそれぞれ若干参っておるということを、この際明瞭にいたしておきます。
○黒柳明君 派遣というのは、やはり日本語で派する、つかわすですから、何もそれがイコール戦争をやりに行くと、こういうことでなくて、防衛庁長官ですから、いつもファイト満々で、すぐ一朝事あればと、こういう態度は非常にけっこうだと思うのですが、私は派遣と言ったわけで、別に戦いに行っているかと、こういうことではございません。派兵、派遣、あるいは勉強、訓練、何でもいいですから、沖縄に行っていればその状況。
○国務大臣(増田甲子七君) 見学に行っております事実はございまするから、詳細なことは政府委員に答えさせます。
○政府委員(中井亮一君) お答えいたします。沖縄の第二次大戦の戦跡の見学あるいは沖縄にあります米軍の基地、施設等を見学するというようなことで、防衛研修所、それから陸上自衛隊の幹部学校、幹部候補生学校、航空自衛隊の幹部候補生学校、幹部学校、それから統幕というようなところがら、現地研修ということで行っております。 海上自衛隊で遠洋航海の帰途、寄っております。それから「あまつかぜ」という海上自衛隊の船が、ターターの射撃訓練のために参っておりますのがございます。
○黒柳明君 まあ相当見学なり訓練なりに行っているわけですが、この自衛隊が沖縄に行くこと、これは現地として、まあどのように受け取られているか。好感をもって受け取られるか、あるいは好感を持たれないか。その点、防衛庁長官いかがでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 詳細には存じませんが、戦跡等を見学に行って、それで参考にしておるわけでございます。そこで過去において数百名参っておりまするから、私は好感を持って迎えられておる、こういうふうに感ずるものでございます。
○黒柳明君 去る三月二十八日、沖縄県祖国復帰協議会十三次定期大会で、自衛隊の来島に反対すると、こういうスローガンを打ち出しているわけです、御存じでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 黒柳さんの御質問の点はちょっと私存じません。
○黒柳明君 やはり感情だけで、好感をもって迎えられておると思いますという御答弁では、ちょっと承服しかねると思うのですが、現に、つい先月この沖縄祖国復帰協議会というのは、これは大規模な協議会です。国民すべてを包含しての協議会で。来島に対して反対決議が出されている。このようなことは当然責任者として御存じなければならないし、また知っているべきだと思うし、またこの事情を的確に把握して、そして今後の手を打つべきだと、こう思うのですがね。いかがでしょう。
○国務大臣(増田甲子七君) 黒柳さんにお答えいたします。いま、政府委員に聞いてみましても、そういう実情は知らないそうでございます。これからよく調査をいたします。 それから沖縄の新聞等に記載されておるところによりますというと自衛隊員が見学に来ることを賛成するという記事が相当多いということは申し上げておきます。
○黒柳明君 これこそ新聞記事ですから、ほとんどが正しいとは思いますけれども、まあほんとうのごく一部の代表的発言も載っている場合もあります。まあこのようなことで、当然長官が賛成していると、こういう断を下すわけにいかないと思うのです。これはもう公明正大なる祖国復帰協議会の席上における反対決議ですから、これは単なる、であろう、あるいはそういう感情論とは違うわけです。決定的なものであり、またこういう決議がされたのは初めてです、沖縄において。このことを知らないというのは当然防衛庁当局としていま現在も行っているんじゃないですか。それに対して、もしやもすると危害も加えられるかもしれない、仮定の問題ですが、そういう状態にあるのもそれをまた、や、知らなかった、そういう決議をされていたのか、こういうことじゃ非常に困ると思うのですけれどもね、いかがでしょう、くどいようですけれども。
○国務大臣(増田甲子七君) 先ほども申し上げましたとおり、そういう情報には接しておりませんでしたから、これからよく調べてみたいと思っております。 それから現地へ見学に参ります際にも、沖縄島民九十万の方々が日本国籍がありながら祖国復帰できないということで複雑なる感情を、持っていらっしゃると私は思います。そういう感情を尊重し、いたわりつつ対処する必要がある、これは総理もしばしばこの席で申し上げておることと思いますが、私もさよう心得ておる次第であります。
○黒柳明君 また別の観点から、立法院の祖国復帰要請決議と、これについて総理は具体的にどのように受けとめられていらっしゃいますか。
○国務大臣(三木武夫君) 沖縄の立法院の決議は、もう十六回くらいなされた決議で、その字句を一々検討しておるわけではございませんが、早期にやはり沖縄の施政権を返還してもらうようにしっかり日米交渉を通じて働きかけるという趣旨の決議である、これは沖縄の住民としてまことにもっともな——一々の決議の字句というものを言っておるのではないのです私は……、全体の決議の精神というものは、沖縄の住民としてはもっともなことであるといういうふうに受けとめておる次第でございます。
○黒柳明君 次に、平和部隊についてお伺いしたいと思いますが、政府は、昭和四十五年に常時二千名の平和部隊を海外に派遣すると、このような計画をお持ちだと、こう承っております。その平和部隊の計画及びその進め方について、あるいはどこの国にどれくらい派遣しているのか、その費用はどっから出ておるのか、また現地に行って何をやるのか、このような点についてお答え願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) これは海外技術協力事業団が窓口になって、現に百五十一名すでに派遣をしておるようでありますが、これは私いま記憶しておりませんので、資料として明日でも提出をいたすようにいたします。どこへ一体何人行っておるかということは、資料で提出いたすことにいたします。
○黒柳明君 最近、南ベトナムにも日本の平和部隊が行っていると聞いておりますが、どういう民間団体がやっている仕事か、また政府はどういう旅券を出し、またその手続、資金はどこから出ているか、現地の南ベトナムで何をやっているか、この点をお窓口え願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 南ベトナムには平和部隊は派遣をしておらないということでございます。
○黒柳明君 行っていませんか、平和部隊。
○国務大臣(三木武夫君) 行っておりません。
○黒柳明君 これは新聞報道ですけれどもね、サイゴン五日発です。共同の特派員です。これは平和部隊が行っていることを報道されております。五日の夜同市に着いたと。
○国務大臣(三木武夫君) いま事務当局にも念を押しましたところが、絶対に行っておりませんということでございます。
○黒柳明君 これは朝日と毎日、四月二十八日です。ただいまのはこれは沖縄タイムス、四月の六日です。この両方とも平和部隊のことを言っているわけですけれどもね、これは民間団体、ベトナム農村建設平和日本奉仕団、これは民間団体だと思いますけれども。
○国務大臣(三木武夫君) いま黒柳さんのお尋ねは、政府の平和部隊についてお尋ねであったので、私そういうことはないということを係官にも念を押して、さらに再びお答えしたわけですが、民間でそういう団体があって、民間の団体が平和部隊という名前で行っておる事実は、それはおそらくそういう事実から新聞報道になったのでありましょう。この点は、私のほうで調べのつく程度は調べまして、後刻予算委員会でお答えをしても、調べがつく程度はお答えをしていいと思っております。それは政府でなくて、もしあるとしたならば何らか民間団体でそういうことがあるのかもしれぬと思うのでございます。
○黒柳明君 これは私も勘違いをして申しわけなかったですが、平和部隊でなくて民間団体です。しかしながら、この両方の記事によりますと、これは非常に、LST乗り組み員以上に戦争に巻き込まれる危険性がある、こういう報道なんです。ですから私いまこの旅券、どういうふうな旅券が出ているか、まあここではっきりお答え願い得られないかとは思うのですが、この新聞見ますと、「ベトナム農村奉仕団は米国と南ベトナム政府がベトコン掃討戦と並んで力を入れている農村部での平定計画にそって活動している民間団体である」。すみません、民間団体です。「最近ベトコンは平定計画要員にたいして集中的にテロ攻撃をかけている——などの状況からみて日本奉仕団も米軍、政府軍とベトコンの戦闘に巻き込まれるおそれ」が多分にあると懸念している、これはこの記事も同じような記事です。平定作戦云々ですが、なお日本奉仕団の計画書によれば、第一期、第二期、第三期、合計四十五人がこの次派遣される予定になっている、こう言われております。これはたとえ民間団体にせよやはり日本人であり、生命の危険にさらされるようなところにいること自体は、これ非常にうまくないんじゃないかと思いますが、これに対して至急調査、御報告またはその処置もとられたいと、こう思うんですが。
○国務大臣(三木武夫君) 先ほども申したように、これは私のほうで調査をいたしまして御報告申し上げたいと思います。
○黒柳明君 LSTの問題に移りたいと思いますが、先ごろのなくなられましたLSTの乗り組み員の方の事後処置またはその補償などはどのようになっておりますか。
○政府委員(東郷文彦君) 事件のありましたすぐあと、在京アメリカ大使館に対しまして、今回の事件がはなはだ遺憾であったこと、特になくなった方に対してば十分の補償をするように、また負傷なすった方の本国への、日本への送還等について十分遺憾のないように、また今後このようなことはないように警護その他十分手を尽くすように申し入れました。なくなった方に対する補償その他の問題に関しましては、直接MSTSと話が進んでおるということを承知しておりますが、その発展いかんによりましては、われわれとしても十分お手伝いいたしまして、満足な——満足と申しますか、十分な補償ができるように努力したいと思っております。
○黒柳明君 努力したいと思っている。もう相当の段階にこれは、補償問題あるいは事後処置の問題は進んでるんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
○政府委員(東郷文彦君) 私のほうで、目下当事者のほうでお話を進めていらっしゃるということを承知しておりますが、その発展いかんによって、われわれのほうでも直接外交ルートその他で努力しようと思っております。現在はそういう段階でございます。
○黒柳明君 そうすると現段階においては、なくなられた御家族とMSTS当局と折衝していると、こういうことですか。
○政府委員(東郷文彦君) そのように了解しております。
○黒柳明君 そうすると、あれですか。あくまでも政府としてはこのLST乗り組み員、たとい事故があってなくなられても、それに対してタッチをしない、こういうようなことですか。
○政府委員(東郷文彦君) 最初に申し上げましたとおり、まずこの外交ルートにおいて、アメリカ側として十分の用意を持って臨むように申し入れました。その後私の聞いておりますところでは、直接関係者のほうで、まず自分のほうでやるから、こういうことであると承知いたしております。そこでしかるべき段階においてわれわれが出たほうがよろしいと、いままで考えておりました。
○黒柳明君 そうすると、こういう問題が今後あった場合にですね、やはり当事者と、MSTS、あるいはアメリカ軍当局との折衝に待つよりほかない、こういうことなんですか。
○政府委員(東郷文彦君) このLST乗り組み員の場合には、これは米軍の直接雇用の方々でございますので、そのルートとして、従来のいきさつから、従来のやり方からしても、直接そういうお話合いがあることになっていると承知いたしておりますが、そこで先ほど申しましたように、われわれもまず包括的にアメリカ側に十分な話はしているわけでございますが、その当事者のお話の進行状況によりまして、十分の御援助をするのが筋だと考えております。
○黒柳明君 このLSTの乗り組み員の労働条件あるいは居住条件——まあ、聞くところによりますとですね、アメリカ人はLSTには乗り組まないと、ルームクーラーのきいた、設備の完ぺきな船に乗って、あくまでもLSTは日本人じゃなきゃ乗り組まない、働かない、こういうことも聞いているわけですが、この労働条件なり、居住条件、なぜ日本人が働かなければならないのか、このようなことについて御説明していただきたい。
○政府委員(東郷文彦君) 私、実際の労働条件等のことを直接タッチしておりませんので、詳しいことは申し上げられませんが、地位協定上は労働条件、その他については日本の法律の定めるところに従うということにもなっておりますし、直接担当の雇用契約等は運輸省においてこれを十分チェックしておられる、大体さしつかえないという結論を出しておられると承知いたしております。 なおLST乗り組み員も日本人と限ったわけでなくて、他の国からも乗り組み員がおると承知しております。
○黒柳明君 MSTSは世界の各地にあるということを聞いておりますが、どの辺にあるのでしょうか、防衛庁。
○国務大臣(増田甲子七君) MSTSでございまするが、御承知のとおり、アメリカの海上輸送隊でございまして、主として陸海空、海兵隊の補給物資並びに人員の海上輸送を担当いたしております。その本部はワシントンにございまして、その支部がロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、それから日本の横浜にある、以上でございます。
○黒柳明君 その横浜のMSTS・FEですね、その下に地区司令部があるわけですが、それはどことどこですか。
○政府委員(小幡久男君) 地区司令部の所在地は佐世保、仁川、釜山、台北、沖縄等でございます。
○黒柳明君 佐世保、仁川、釜山、台湾ですか。サイゴン、マニラ、グアムは入りませんか。
○政府委員(小幡久男君) お答えします。 サイゴン、マニラ、グアムも入ります。
○黒柳明君 こちら側は教わる立場ですから、ひとつ明確に答弁していただきたいんですが、そうするとLSTはアメリカ海軍の所属じゃなくて、MSTSの所属、指揮下にある、こういうことですね。
○政府委員(小幡久男君) さようでございます。
○黒柳明君 そうすると、このMSTSの所属のもとにあるLSTは、その中心が横浜にある。そうすると、この地区司令部があるところはどこでもカバーできると、こういうわけですか。
○政府委員(小幡久男君) そのとおりでございます。
○黒柳明君 これは何でそういう行動範囲が広いんですか。根拠はどこにあるんですか。
○政府委員(小幡久男君) 安保条約でLSTは直接は関係しておりませんが、米軍が極東並びにその周辺の軍事輸送について、海上輸送を通じて補給する任務をとる、その補給する任務の範囲内に以上の地区は属しておりますので、その地区に行けるわけであります。
○黒柳明君 そうすると、安保の地位協定によって、あらゆるそういう世界のどこでも行ける、こういうことにも拡大解釈されるわけですか。
○政府委員(小幡久男君) 安保に直接関係ございますのは、LST以外の船でございます。大体極東が中心でございます。
○黒柳明君 そうすると、LSTの米軍内の地位はどういう地位であるか、何と呼ばれているか、いかがでしょう。
○政府委員(小幡久男君) 先ほど防衛庁長官から申し上げましたように、ワシントンの軍事海上輸送司令部の下にある軍隊の輸送機関でございます。英語で言いますと、ミリタリー・シー・トランスポーテーション・サービスと、かように称しております。
○黒柳明君 いわゆる軍属である。乗組員の話では、ネービーと呼ばれている、このように私、承っておりますが、そうすると、LSTはどういう仕事をしているか、月平均どのくらい日本から出ていくのですか、何カ月に何回ぐらい日本に帰ってくるんでしょうか。
○政府委員(小幡久男君) LSTの主管は運輸省でございますので、その実際の配船等につきましては、運輸省からお答えいたします。
○黒柳明君 運輸省いらっしゃいませんですね。
○委員長(新谷寅三郎君) 黒柳委員に申し上げますが、運輸大臣の要求がないのみならず、先ほど御了解を得たそうですから退席しておられます。
○黒柳明君 わかりました。 聞くとろによりますと、数カ月に一度しか日本に帰ってこないというふうに承わっているのですが、そうすると、その間現地では何をやっているか、こういうふうに思うわけなんです。要するにLSTというものは、御承知のように軍事作戦に直接に使うための船である。必然構造上物資を運ぶ船とは形が違っておるわけです。そういう意味から、日本を離れて数カ月もベトナムに行っておる。その間当然これは戦争作戦に従事しておるのではないか、このような疑いが起こってくるわけです。いかがでしょう。
○政府委員(小幡久男君) 先ほど申しましたように、実際の配船は運輸省が担当しておりますので。
○黒柳明君 配船の関係は運輸省ですけれども、やはり防衛当局として当然責任があるのではないですか、こういうところまで、先ほどの民間の団体も、これは平和部隊じゃないと言ったって、日本人ですから、パスポート出しているわけですから、それがまた事故でも起これば、当然日本の外務省当局として知らないというわけにはいかないのじゃないですか。この問題としても、先ほどから配船は運輸省、運輸省とおっしゃっておりますけれども、当然そのくらいのことは御存じなければならないのじゃないですか。防衛庁として、これは所轄でしょう、配船はそうですけれどもね。このくらいの実情はわかりませんか。
○政府委員(小幡久男君) 実情はよくつかめておりません。
○黒柳明君 外務大臣はどうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 雇用条件については、全体としての雇用条件は、これはまあ地位協定も関係ありますから……。個々のことについては、外務省としては、これはそのことにはタッチしておりませんので、お答えできないことを残念に思います。
○黒柳明君 羽田空港の使用についてですが、最近、米軍のチャーター機が羽田を相当使用している。これについての使用状況、説明願いたいと思います。
○政府委員(東郷文彦君) ただいまの羽田空港の件は、米軍の輸送にあたっております米軍チャーター機が羽田の飛行場にたくさん発着して、民間航空を圧迫しているという問題だと存じますが、この点につきまして、三月でございましたか、地位協定の合同委員会を通じまして事態の改善を申し入れました。米軍側もさっそくそれに応じまして、極力羽田の使用を減らす、それから羽田発着の時間もなるべく込まない時間、すなわち午前十一時から夕方までですか、なるべくすいた時間を使うという返事がございました。その話が三月の終わりにあったと思います。そのころ羽田の発着の数は、月平均二百機あまりということでございましたが、その後、四月のところはまだ向こうの手配が時間の関係上十分効果をあらわしませず、四月はなお二百四十機ぐらいだったそうでございますが、しかし、来月はそれより約三割方、つまり百七十機、百八十機程度に下がる見込みでございまして、その程度ならば羽田の民間航空の運航にも支障はなかろうという運輸省事務当局の話でございます。
○黒柳明君 相当の完全武装の兵隊が輸送されていると、こう聞くわけですが、これは外務省ですか。在日米軍、これは地位協定で使用を許可している、使用料はただだ、地位協定に基づくと、こういうわけですが、アメリカから沖縄あるいはベトナム、それに派兵される途中に羽田に寄るわけですね。これが在日米軍と見られるかどうかですね。こう見られることになると、今度は、アメリカが戦闘に従事しているどこに派遣しても、これは全部在日米軍である。このような見方ができるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 輸送の途中に羽田に給油などをするときに……、これはやはり在日米軍とは見られないのじゃないでしょうか。ただ途中に給油するために寄ると、これは在日米軍とはいえないのじゃないかと思います。
○黒柳明君 そうすると、これは使用料をとってないはずなんですけれどもね。使用料をとらなければならない性質じゃないんじゃないでしょうか、そうすると。
○政府委員(東郷文彦君) 地位協定第五条によりまして、米国政府の米軍機あるいは米軍によりチャーターされた飛行機で、それで条約上の公の目的のために運航されるものは使用料をとらぬ、その規定に基づいてこれらのチャーター機も使用料をとっておりません。
○黒柳明君 そうすると、地位協定に基づいてチャーター、使用料はとらないと、アメリカからどこの国に行く場合にあたっても、米軍が羽田に着く場合には使用料はとられないわけですか。どこに行ってもいいわけですか。
○政府委員(東郷文彦君) 米国の公の目的のもとに運行されるものについてはそのとおりでございます。
○黒柳明君 そうすると、安保の地位協定というのは在日米軍との間に効果が発揮するものであると、こういうことじゃないでしょうか。
○政府委員(東郷文彦君) 協定上在日米軍という字は実はございませんわけで、飛行機とか、船舶とか、そのように各地を動き回るものについては公の目的でくる場合には地位協定上の特典を認めることになっております。
○黒柳明君 以上、時間がありますけれども、質問を終わります。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で黒柳君の質疑は終了いたしました。 次回は、明日午前十時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。 午後七時四十一分散会