予算委員会 第3号
- 発言数
- 315 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/03/30
会議録
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 三月二十三日、片山武夫君が辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任され、同月二十五日、大谷贇雄君が辞任され、その補欠として内田芳郎君が選任され、同月二十七日、市川房枝君が辞任され、その補欠として林塩君が選任され、昨日、内田芳郎君、木暮武太夫君、西郷吉之助君が辞任され、その補欠として中津井真君、青田源太郎君、任田新治君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 昭和四十二年度一般会計暫定予算、昭和四十二年度特別会計暫定予算、昭和四十二年度政府関係機関暫定予算 以上三案を一括して議題といたします。 まず、委員長及び理事打合会におきまして、三案の取り扱いについて協議を行ないましたので、その要旨について御報告いたします。 審査は、本日から開始して三日間といたしました。その質疑総時間は三百三十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ百三十分、公明党四十分、民主社会党、日本共産党及び第二院クラブはそれぞれ十分といたしました。質疑順位は、日本社会党、自由民主党、日本社会党、自由民主党、公明党、日本社会党、自由民主党、民主社会党、日本共産党、第二院クラブの順序といたしました。 以上、御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 それでは、これより質疑に入ります。藤田進君。
○藤田進君 総選挙が終わりまして、当参議院としては、総理にお尋ねいたしますのは、これが参議院の予算委員会としては初めてでありますが、今日、わが国の国内、ことに経済の動向あるいは外交問題と、きわめて多事多端であり、重大な段階に到達いたしておりますことは、総理みずからお認めになるところと思います。このときにあたりまして、私は、そのような政策遂行立案の以前の問題として、まず最初に、私自身を含めての、与野党、政府等一連の政治の姿勢についてお尋ねいたしたいと思います。 顧みますと、今日、暫定四、五月を組まなければならないというその暫定要因が、むしろ総選挙の関係ということは、これは何びとも否定できません。そこで、私どもは今日あるを見て、すでに昨年、臨時国会の要求をいたしまして、あるいは十月にはぜひと、あるいはまた解散もすでに国民の世論になっていることであるから、早期の解散をと言い続けてまいりましたが、これが次第におくれてまいりまして、ついにこのような暫定二カ月という、近来ない事態を惹起するに至りました。最も重要なこの四、五月、年度初めの暫定というものは、暫定予算の内容にも見られるように、かなり政策の面を織り込まなければならないという羽目におちいったのであります。 こう考えてまいりますと、将来の政治への姿勢、態度としても、十分、総理みずからも反省をいただかなければならぬと思うのであります。ことに政界を流れている国民の不信の中心は、いわゆる田中彰治君の共和製糖等に関連いたしまして、あるいは重政君、残念ながら当参議院においても相澤君の御承知のような事態になり、いまなおこの問題はその過程にあるわけでありますが、こういう黒い霧、スキャンダルというものが今日の政治不信を招いている根源であろうかと思うのであります。そこで、私は総理に対しまして、ただいますでに行なわれ、いよいよ明日から都道府県議会の選挙等を含む一連の選挙場裏を通じまして、今後に対処する政治の姿勢について、施政方針では道義ということでお触れになっておりますが、まことに不十分であります。具体的に、この際、今後の総理としての態度をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま仰せになりましたが、政治に対する国民の信頼を高めること、そのためにわれわれが姿勢を正すこと、これは国民の至上命令でございます。先の選挙は、あるいは黒い霧選挙だという批判もございますが、私は当時申し上げましたように、出直し選挙、これによって国民の政治に対する信頼を高めるようにしたいと、かような意味に申して、私どももその決意の一端を披露したわけであります。ただいままた、衆議院選挙は終わりましたが、全国一斉に統一選挙が行なわれております。これをいかに戦うか。申すまでもなく、抽象的に申せば、ただいまのように国民の信頼を高める、そういう意味の政界の浄化に努力することであります。具体的に申せば、ただいま私どもはこまかな点にまで法律的な、法定されておるものがございます。議会制民主政治のもとにおいて法律を守る、これは最も手っとり早い問題でございます。法を守る、法の命ずるところによりまして、われわれが政界の浄化に一そうの実をあげるようにいたしたいものだと思います。
○藤田進君 法を守るのはもとよりいま始まったことではないのでありますが、にもかかわらず、いろいろな問題が出ております。あとで具体的に触れたいと思います。 最近、特に過般の総選挙、あるいは今日の地方選挙等にあらわれておりますもの、さらには共和製糖その他の黒い霧問題に対する警察ないし検察当局の現実の行動というものがきわめて片手落ちだ。たとえば、共和製糖問題に関しまして相澤君が報じられるような事実とすればまことに許しがたいことであります。と同時に、これをそそのかし、しかも、何とか言うことを聞けということでその使いをしたという人、金銭授受に介在を単にしたのみならず、積極的にこれが誘導していったという人たち、あるいはさらに大きな疑惑を今日持たれて、しかも天下周知の事実になっている被疑者、これらが時の与党に属するということのゆえをもってとしか思えないのですが、何ら警察、検察についての活動は野党に対するもののように行なわれていない。東京都知事選挙等についてもきわめて遺憾な点が出ていることは御承知のとおりであります。そこで、先ほど申し上げた共和製糖問題について、あるいはもうすでに指揮権の発動がなされて、きわめて片手落ちな検察活動が地方選挙を前にして行なわれているのではないかということが、知らず知らずのうちに世上伝わっていることも事実であります。これらについて、今日の共和製糖問題の実情並びに捜査の実態、あるいは衆議院でもお答えになっておりますが、法務大臣は。どういう終結の時期なり、あるいは今後の発展なりということは、われわれには議会を通じてお尋ねする以外にすべはありません。事態を正確にし、かつ、いま触れました片手落ちな警察、検察当局の態度に対する解明をいただきたい。
○国務大臣(田中伊三次君) お答え申し上げます。片手落ちの事実はございません。目下慎重に、しかも公正な態度で検察庁が捜査をいたしておりますが、いずれも重要な最終段階にきております。おそくとも来月の初旬には最終的結論を出して、いまおことばをいただきましたような意味の不公正だと世間から思われるようなきらいのないように十分糾明いたしました中身を公表いたしまして、そして断を下すべきは断を下すという態度で処置をする考えでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 法務大臣のただいま申しましたことで御了承かと思いますが、私はいわゆる黒い霧、この問題が起こりまして以来、国民にはっきり申し上げてまいりましたことは、正すべきは正す、その一語に尽きるのであります。ことに国民の政治に対する不信感が強まる、こういうような事態を起こしてはこれは大へんだと、かように考えますので、この種の問題については、これはどこまでも国民の目をおおうことなく、事態について明確にそのメスを入れる、こういうことをたびたび申してまいりました。私は、ただいま法務大臣がお答えいたしましたが、その考え方でこの問題と取り組んでおります。したがいまして、ただいま一部に指揮権発動があるんじゃないかというようなお話まで出されましたが、そういうもので絶対にないこと、これをひとつ御了承いただきたいと思います。私の考え方は、何よりも政治に対する国民の信頼を高めること、そのためにはわれわれ政治家がもちろん自粛自戒しなければならないと思いますが、同時にまた、今日の制度で認められておる検察当局は検察当局のその職分を果たす、そうして国民に事実を明らかにしていくこと、こういうことであってほしいと、かように考えておりますので、指揮権の発動というようなことは全然ございませんので、その点では一そうさような誤解のないようにお願いしておきます。
○藤田進君 まあ法務大臣が、いや、実はおっしゃるとおり片手落ちでやっておるということを認めるわけはないと思う。しかし、公然とこの事件に調査を進めていった大森創造君の記者会見等による談話も出ておりますし、私も実は昨日会って事情を聞きました。相当な、私は個々の姓をあげてだれをということを意図してはおりませんが、具体的に名簿等を見、そして黒い霧の実態をつかんでいるといわれる大森君のお話によりますと、まことに相澤君の場合は同情すべき、むしろ――この行為はよろしくはない、これは当然ですけれども、検察当局等の活動の中で今日あらわれているものを見ると、まことに片手落ちを言わざるを得ないということが言われており、同時に、われわれ見ましても、この仲介の労をとったというか、もみ消しというか、そういう、あるいは火つけ役というか、その張本人は、むしろ、相澤君の場合をとってみても、他にあることも公表されている。何か資料を預かったが、知らなかったと。そんなことで検察庁は、ああそうですがと、客観的な状況証拠からしても言えるはずがないのですね。それがしかし、今日すでに、来月初旬には打ち切りをされようとするこの期に当たっても、何らのあらわれがないということでは、指揮権の発動は、総理はないと言われるけれども、そう疑わざるを得ないのです。 そこで重ねて聞きますが、その来月、四月の初旬ということは、もうすでに本日は三十日です。この共和製糖一連の事件にかかるものはおおむねその捜査は終了して、あとはそのそれぞれの処分なりを確定させるというむしろ時期にあるということであろうかと思います。ところが、先般、衆議院でもお答えになりましたが、数十名の調査をしたと、こういうことも言われていて、今日、後段申し上げますが、議会に席を持つ議員は、衆参両院を含めて、行政府の皆さんも同様でしょうが、一体、町に出てこのバッジをつけて歩く気になれないのです。私は、田中彰治君のときも、他党のなんというよりも、実際、国会議員として、ああいう人が出て、引き続きいろいろな問題が出て、とにかく外へ出たらバッジぐらいはずすような気持ちになるのです、実際。これは与野党とか何とかの問題よりも、議会人として、こういうときに、しかも数十名ということで大きな網をかぶせられて、私ども参議院の者としても、正しく強く生きている者までが、一般世間の者からは黒い目で見られるということはまことに残念です。これらはやはり白黒をはっきりしてもらいませんと、検察活動の中で、まるっきり国会議員というものはすべてもう一人残らずという印象を与える。新聞記事を見ても、どうも議員をほめた記事はあまり見たことがない。テレビしかり。これではまじめな議員はたまらないと思う。総理並びに法務大臣に対して、これらの迷惑している者に対する――連帯責任とおっしゃられればそうかもしれませんが――あかしは一体どうしてくれるのか。お伺いしておきます。
○国務大臣(田中伊三次君) いまおことばのような感じを御同様に持つわけでございます。これを明らかにいたしますためには、いやしくも疑いありと考えられる者は一人残らず調査をする必要がある。被疑者として調査をするか、参考人として調査をするか、そのいかんを問わず、徹底的にシラミつぶしに調査の必要がございますので、まことに不本意ではありましたけれども、取り調べをいたしました数は、ついに国会議員を中心といたしまして、幾らかその中に前国会議員、元国会議員というものもおいでになりますが、とにかく元、前、現国会議員、これを調べました数は実に数十名に及ぶことにならざるを得なかったのでございます。ひとつも遠慮はいたしておりません。徹底的に調査をいたしました。その調査は大体において終わったのであります。この調査を終わりましたものについて、これをはたして公判に持ち込んで公判の維持ができるかどうか。これを涜職罪として主張をいたしまして、その立証ができるかどうか。これは慎重な態度で判断をいたします必要があるわけでございます。そこで、その目下最終段階に及んでおりますのは、来週――来月の上旬までには結論を出したい。結論を出しました上は、いまおことばのように、善良なる議員の皆さんが御迷惑をなさることのないように、徹底的に判断をいたしました結果を究明してこれを公表したい、こういうような決意でございます。捜査当局をして公表させたい、こういう考えでございますから、この点はその御懸念は御安心をいただきたいと存じます。
○亀田得治君 関連して。法務大臣にただいまの質問、答弁に関連して三点ばかりお聞きしたい。 それは、重政代議士に対して新友会なり共和製糖グループから約三千八百万のものが出ておる。これはもう手続の済んでおる、おらぬ、それは別です。手続があったって、この法案審議等に結びついておればいかぬわけでして、ともかく三千八百万程度のものは出ておる、こういうことが明確になっておる。世間では、このばく大な金が、重政代議士の地位からしても、法案審議などと無関係と、こういうことは常識的にはだれも考えないわけです。考えられません。で、その点は一体どういう究明がされておるのか。一体、そういう立場でこの重政代議士が直接、当局の調べなどを受けておるのかどうか、これを明らかにしてほしいのです。まあほかにもいろいろ聞きたいことがありますが、何といっても世間の注目はそこに集まっておるわけですから、その一番大きなものは、何だかおかしい、この点だけをひとつ明らかにしてほしい。 それからもう一つは、重政代議士の秘書の安原君が逮捕され、調べられておるが、新聞紙上等で見ると、政治資金規正法違反と、こういう立場で逮捕され、調べを受けておるようです。しかし、一体その調べの主たる目的はどこにあるのか。われわれとしてはやはり、政治資金規正法だけであれば、何もそんな逮捕等までしなくたって、届け出の違反ですから、これはもう任意でも調べができるはずだと思う。おそらく重政代議士の贈収賄という関係の究明が重点であろうと思うが、捜査の中身までは聞きませんが、一体そのねらいはどこに置いてやられておるのか、これが第二点、明らかにしてほしい。 それから第三点は、そういうふうに世間がいろいろ疑惑を持っておるときに、最近奈良で、これは電源開発会社の池原ダムですか、この補償金の使途について約三百七十一万円の使途不明の金があると、こういうことが問題になり、そうしてだんだん追及していくと百万円が重政代議士に渡されておる。こういうことが明らかになって、そのことに関連してダムの地元のほうから告発状が出されたと、奈良地検がその告発状に基づいて捜査に着手したと、こういう報道があるわけですが、この真相を、一体そういう告発状が出ておるのかどうか、その真相はどういうふうになっておるのか――中身じゃないですよ、その扱いです。地検における扱いです。 そういう、以上三点を、これは法務大臣からひとつお答えを願います。
○国務大臣(田中伊三次君) 重政代議士に金が渡ったかどうかという最初のおことばでございますが、これは重政代議士の後援会としての政誠会に金が渡ったということは、これは捜査の内容でなくて、政治資金規正法上の届け出の行なわれておる公開の事実でございますから、これは私の口からこの席でお答えを申し上げることは一向差しつかえございません。そこで、その金銭の授受ないし取り扱いは、後援会政誠会の会計の責任者としてわが政府に届け出をされておる者が安原秘書でございます。その責任は秘書にある。そこで、これは厳重な処置をする必要があるものと認めまして、秘書を逮捕いたしまして、同時に強制捜索を行なって現に取り調べをしておる。 そこで、重政本人を取り調べたかどうかというお問いでございますが、これはお断わりを申し上げなきゃなりませんが、その数十名の取り調べをいたしました人名は、最終段階の判断が出ますまでこれは公表を差し控えると、答弁を申し上げないということになっておりますので、重政本人を調べたかどうかということは、数十名の人々のだれを調べたかということが申し上げられないということでどうぞ御承知おきをいただきたいと存じますが、その後援会の責任者は厳重に取り調べて逮捕をいたしまして、目下取り調べ中でございます。 それから最後の奈良地検に告発があったかどうかの問題は、刑事局長が来ておりますから、私はまだ報告を受けておりませんので、局長より御報告をいたします。
○政府委員(内海倫君) 百万円の件について告発状が出ていることはございますけれども、目下奈良地方検察庁において取り調べ中でございますので、その内容につきましては、ここでお答えを遠慮さしていただきたいと、かように思います。
○亀田得治君 ちょっと委員長、関連ですから簡単に。 法務大臣のお答えで一つ抜けたわけですが、安原の調べのほんとうのねらいはどこにあるのかと、重点ですね、検察当局の。その点が大事なところですが、抜けておりますので……。
○国務大臣(田中伊三次君) それを申し上げますことは、捜査の機密に属する事柄を申し上げることになりますので、したがって答弁として申し上げられることは、政治資金規正法上届け出るべき政治献金の届け出を怠っておるということを理由にいたしまして、これは体刑の罰則がございますので、逮捕をいたしまして調べておる、調べの途中においていまおことばをいただきましたような重要な事柄は調べをされておるものと御承知おきをいただきたいのであります。結論は、同時に来月の上旬までには出す考えでございます。
○藤田進君 そこで、私のところに東京都知事選挙で自由民主党から手紙をいただきました。私が社会党の議員であることは御承知かどうかは別として、これを見ますと、たいへん、総理が言う風格のあるものじゃないです。ひどいことが書いてありますな、これ。これちゃんと国会議員の名前を書いて。これを推定しますと、これが一カ所書いてあるのですが、たいへんなものです。あなた見られたかどうか。これだけでもどうでしょう、七百数十万の有権者ですか、御承知でしょうか。これちょっと見てください。赤と青の。漫画だけ見てもいいです。風格を言われておったが、私、受け取りまして、まことに残念に思ったです。いま総理も答弁された、法律を守るとか、あるいは施政方針で風格のある――風格というのはこれはまあ無味、そして写真にもとれないものだなと思ったが、これ確かにその思想から言えば許しがたいものだと思うのです、何党がやるにしても。私のところにもくるくらいですから、聞いてみるとずいぶん出回っています、これ。これは明らかに特定な候補者を当選させるための文書であり、相当に金をかけてあるですね、数から言っても。あれだけ東京都知事選挙はきれいにやろうじゃないかといってわざわざ党首の間でも話し合いができたとわれわれは承っております。これに対して総裁であり総理の私見をまずお伺いしたいです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は今回の統一選挙について、先ほども申し上げました、ことに東京都知事選は日本の首都東京であり、国際都市東京、こういう意味で、これはもうひとり日本人だけではございません。世界に監視されている、こういうことで、これはひとつきれいな選挙をやろう、こういうことでやっております。ただいまどういう点が気に食わないとおっしゃるのか知らないが、とにかく法律的には別に問題は起こるものでは私はないと思っております。
○藤田進君 これ、法務大臣、じゃひとつどういうふうに……。いま法務大臣にも提示いたしましたが、それが法律的に公然と差しつかえがないと、各党は複数ではない、衆議院のように。東京都知事のごとく特定一名の単数の候補で出している、それに対する明らかなこれは運動であります。これが総理並びに法務大臣として許されるならば、しかもそのような風格のない、相手方を根拠のない誹謗をするということであれば、これは今後各党においても、各候補者においても公然とおやりになるでしょう。その選挙資金というものは膨大なものになるでしょう。私はこの際慎重に答弁をいただきたい。
○国務大臣(田中伊三次君) お答えを申します。 この文書は三月十八日付の文書ですね。それで何日に到着したかが問題でございましょうが、とにかく発信は三月十八日ということが一応この文書でわかる。しかし切手を張った郵便でもございませんから、スタンプがないということで到着がわからないのでございますが、選挙前の文書と拝見いたします。告示前の文書届け出前の文書と拝見をいたします。そうすると、たいへん理屈を申し上げるようになって恐縮でございますが、法務大臣の立場では明確に御説明を申し上げておかなければ責任が済まぬものと思いますので、一口申し上げますと、選挙前の文書は、この種のものはいわゆる政治活動の文書と考えられます。政治活動の文書はあらゆる形の文書、あらゆる形の言論、あらゆる形の新聞広告、あらゆる形のラジオ放送というこの一口に申します言動、言論というものは自由が許されておるわけでございます。ただ一つ、事前の運動で、法律上、公職選挙法上いけないといわれるものが一点ある。その一点とはどんなものかというと、やがて選挙がきたならば私に投票をください、わが党に御投票をいただきたい……、得票の意図を持って行なう言動のみがいけない。その得票の意図を持って行なう言動以外は、選挙の事前には自由にやってよろしい。これは憲法が保障をする。言論もよろしい、文書もよろしいというそのことが解釈でございます。また解釈でない、それは事実でなければならぬ。選挙の告示前、立候補届け出前のこの政治活動、文書活動、言論活動が封ぜられるようなことがあっては一大事でございます。選挙がきたならばどうぞ私によろしくお願いします、わが党の候補によろしくお願いをいたしますという、そういう得票の意図を持って行なうもの以外は、文書、言論――わが国の法律制度のもとにおいては自由である。どの国でもそうでありますが、特にわが国は自由である。こういうたてまえから判断をいたしますと、総理のおことばのごとくにそういう文言はこの文書には表示されておらぬ、こう判断をいたしますので、一向差しつかえはない。これは敵味方ということばはおかしいですが、どの候補者も似たようなことをおやりになっておるのではなかろうかと、こう判断をするわけでございます。
○藤田進君 法務大臣がかくも三百代言に成り下がったとはまことに残念しごく。明らかにこれは選挙告示、立候補後に来ている。東京都知事の告示はいつです。しかも中央郵便局料金別納で来ているから、日付がないからこれはいいんだ、別納送りの文書に、依頼状に三月の十八日、だからいいんだと、単純にこういうことを考えてですね……、ですから片手落ちだというのです。これがもし野党がこういうことをやったならば、これはあくまでも捜査して、十八日の日付だが実際はいつだ、郵便局を調べてスタンプは、別納の日付はいつだ、何部出している、そうして現実にこれを渡すところを見れば現行犯で逮捕しているのです。熊本のごときは一挙に八名も逮捕している。これが片手落ちだというのです。しかも一般的な理論を聞いているのじゃないのです。明らかに東京都知事特定候補に頼むという文書なんです。具体的な問題を出して私は追及しているのです。だから片手落ちというのです。
○国務大臣(田中伊三次君) 先ほど御説明を申し上げましたごとくに、政治活動の文書である、選挙運動にあらず、こういうことを意見として、それを拝見をして申し上げておるわけでございます。
○藤田進君 自民党の場合には、政治活動の文書となり、野党の場合にはこれが事前運動となり、特定候補支持の選挙違反となり、これが今日の選挙場裏の実態である。私は警告し、さらに具体的には本予算等通じて追及いたしたいと思います。 次に、議会主義を、今度の総理は、非常に強く施政方針等でも述べられているところですが、私は、十数年議会に席を持ち、顧みて遺憾に思いますことは、本日のこの委員会も同様に、あまりにも審議の時間等が制約されている。これは議会できめることだとおっしゃいますが、与野党できめることであります。ここにおいて、私の時間も五十分ですが、すでにもう十五分これで済んでしまっている、ほんとうの議論というものはなかなかできない、こういうことを考えますと、議会の側においても審議を深める手だてを考えなければなりませんが、一方、行政府である総理以下の各所管大臣等においても、答弁等が的確にひとつ答えてもらわなければならぬと思うのです。何とかやっていれば時間がたつのだということでは議論が深められない、ことにやるべからざることについては、黒い霧、その他申し上げるまでもないけれども、当然行なうべき事柄がなかなか行なわれていないというのが政治姿勢の半面として特に最近顕著に出ております。ことに行政府の実態は、言われるように官僚政治です、大臣はよくかわる、専門家でもむろんない、専門家でない持ち味のよさも認めますが、大臣が何を議会で答えようと、これは議会が終われば、廊下に出れば何の役にも立たない、こういう感を実は深めているのであります。それは各省大臣みんな全部とは私は申し上げませんが、やめた人――死んだ人のことはよくほめるのですが、それは言及しないとしても、わりあい前の大蔵大臣の田中角榮さんなどははっきりしていたですね、わりあいですよ。ところが、今度の衆議院等通じてみますと、答弁が、大体もうすでに異名をとった検討大臣、いまもうそろそろ出始めておりますが、検討しますとか、研究しますとか、考慮しますとか、大体これで終わっていますよ、予算委員会その他の問答は。そろそろ総理もそんなことばを使い始めている、これでは意味がないです、意味がない。 特にこれはたくさんあるのですが、地域開発の問題で、これはたくさんあるが、現在私の調査ですと、農林水産関係を除いて五十九法あるのです、何地方開発特別法ですね、首都圏だ、あるいは近畿圏だの、最近では古都とかずいぶん出ている、これはほとんど議員立法――議員の側も十分反省していかなければなりませんが、こういう国土の総合開発というようなものは、一貫して、行政が国土総合開発審議会を持ち、いろいろしているんだから、立案をし、立法府に、議会にその立法手続をとるべきものだと私は思うのであります。この五十九ある。そしてその中には新産と工特法ですね、そこで昭和三十九年六月二十六日に全会一致の決議をもちまして参議院の地方行政委員会は附帯決議をして、「地方産業開発については、速かに本法並びに」、これは工特法です、略称。「新産業都市建設促進法等の関連法を併せ根本的に再検討すること。」ということで、当時経済企画庁長官であった宮澤喜一君は、全会一致の御決議でございますので、政府といたしましても、当然これを尊重して云々と、こう答えているわけですね。ところが、その後また高橋衛君になりいたしまして、私はこの決議をどう政府が尊重するか期待しておりましたが、今日に至るも何の手もつけてない。 この種のものが実はたくさんあります。外務大臣になられた三木さんの通産大臣時代のこともありますがね、万博のことについてのこととか、もう法案を通過させるための単なるその瞬間の手だてとして附帯決議をつける、それに、政府としてはという答弁が機械的になされる。ですから、附帯決議をつけるほうもいかがかと思うが、受けたほうも、とにかくいま意味をなしていない。あるいは原爆被爆者の援護強化の両院の決議でも、何らこれは生きてない。これでは議会主義だ、何だと総理言われてもどうしようもないのです。 これらについてあらためて、私は当然のことを申し上げているので、まず総理大臣からかような議会における答弁ですね、これはもういつか田中角榮さんが大蔵大臣のとき言ったように、議会の答弁は法律だと事務当局は言われているから慎重にというようなことを答弁されていますね。議会の答弁なんて問題にしてない閣僚が多い。総理もそうかもしれない。 そこで、これは態度をいわば改めてもらいたい。しかもいまのような、院の意思としてつけられた決議、あるいは委員会の附帯決議これに政府が答弁しているというものについては、これを実行してもらいたい。その約束をまた実行しなきゃ困るのですがね。ひとつ約束してください。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま国会のあり方、あるいは審議のあり方について御意見を述べられました。私も同感でございます。 申すまでもなく、議会政治、民主政治、このことにつきましては、いろいろの問題が起きております。しかしその一つに、やはり効率的なものでなきゃならぬ、これは国民の至上命令だと私は思っております。また各方面の意見を聞く、これは民主政治の当然の帰結であります。その二つを結びつけて、そうして効果のあがる制度の運営、これが最も大事なことだと思います。したがいまして、ただいまお話のありますように、やはり決議は尊重しなければなりません。どこまでも尊重しなければなりません。また国会の意思は行政府として当然慎重にいたすつもりでございます。これを尊重してまいるつもりで、ございます。しかし、同時に、ただいま言われるごとく、国会の審議におきましても、国民の期待にこたえるように一そう精出していただきたい、私はかようにお願いをいたします。
○藤田進君 宮澤長官、いま指摘したのだから。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはもうほんとうに困った問題でございまして、ことにまた、行政府の――立法府の御意思が入ってくる場合がございますので、なお問題は複雑なんでございますが、今回はお約束を守ろうと思うのでございます。私としては珍しく予算要求をいたしまして、大蔵大臣から予算をもらいましたので、ことしの七月から大体一年間で全部を見直しまして、新しいものにいたしたい、こう思っております。
○藤田進君 まあそうは言うのですが、ひとつ私は期待いたしますがね。開発法、多いのです。何にもないのです、これ。ただ法律があるだけなんです。ところが、最近特にもう許しがたい状態になったから、貴重な時間を費やさざるを得ないが、行政管理庁、経済企画庁なんというものは、これはやめたほうがいいような状態。こんなものはなくったって何ら差しつかえないような、これはそれぞれの行管、経済企画庁が悪いのではなくて、他の省庁、実施官庁がさっぱりこんなもの相手にしない。行管いかがです。今度も公団の整理なり、これは閣議でもきめられておる。過去の業績を見ると、行管がいろいろおっしゃるが、こんなもの見向きもしない、各省庁が。経済企画庁が今度、経済社会発展計画――四十年代へ挑戦するなんという、あるいは今度、物価安定推進会議――本来経済企画庁がそんなことはやってのけなければならない。ところが総理の諮問機関で別にできる。経済企画庁などというものは一体何する役所だろう。これはもう盲腸みたいなもので、あまり動くと困るんだ。藤山さんなんかの場合そうだったかもしれない。これではやめたほうがいいんです。やはり相当な国家経費を消費しているのですから、私はやめるのが本質ではなくて、行管にしろ、経済企画庁にしろ、各省庁、総理が督励してもっと活用したらどうでしょう。これはいかがでしょう、行管長官、経済企画庁長官、現在のほうがのんびりしてよろしいわいと言うのならいざ知らず、これは国家行政組織の大きなウエートとして、ことに経済企画庁あたりは両院において経済演説もするような、形式は重く見られたようなかっこうですが、さっぱり内容その他で政府の中で相手にしないんですね。時間がないから具体的なものをたくさん持っているけれども私は言及できないことは残念です。
○国務大臣(佐藤榮作君) 行政管理庁、経済企画庁について御批判がございましたが、まあこれをやめろとおっしゃるのが本来ではないと思う。各省の協力を得て、その設置した目的を果たすように、ただいまおしかりと御鞭韃を受けたように思いますが、この上とも精出すようにいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は一般論として、大幅な行政整理が必要だと考えております。
○国務大臣(松平勇雄君) 御指摘のとおり、今回は特殊法人を相当数つくったわけでございますが、しかし純増は四つでございます。臨調の答申によりましても、新設が何でもかんでもいかぬというわけではないのでございまして、経済の伸展あるいは社会の状況によって行政の需要があるわけでございまして、それに即した機構を備えるのが必要だと思います。しかし、簡素化して、能率化された機構でなくてはいけないということを言っておられるわけでございまして、したがって、それにしたがって新しいものをつくると同時に、一面また古い、もうその機能を果たしたもの、あるいはまたほかの法人なりあるいは部局と合併してもいいもの、そういったものを整理統合、あるいは組織がえをするということを言っておるわけでございまして、私どもといたしましては、新設をすると同時に、御承知のとおり三月七日の閣議におきましても申し合わせいたしましたように、そういった要らなくなったと申しますか、そういった機能が、ある程度成立したときから比べて不必要になってきた、あるいはまあ変革したものに対しましては積極的にこれを整理統合しようということになっております。したがって、行政管理庁が要らないのじゃないかというようなお話がございましたが、今度の特殊法人の請求にいたしましても、実は当初二十一あったわけでございます。もしこれ行政管理庁がなかったならば、するするするとその二十一ができるわけでございまして、そういった面においても私は行政管理庁というものは、まあ国民の御期待には十分には沿わなかったけれども、私はある程度機能を果たしておると思っております。また審査会あるいは許認可等の問題にいたしましても鋭意簡素化し、あるいは整理したり統合したりしてやっておりますので、私は行政管理庁というものは非常にじみな仕事でございますが、しかし、しかもまたなかなかこの役人の壁というものは厚いものでございまして、これを突き破るということは藤田委員もおっしゃるとおりなかなか困難でございますが、しかし、困難だからといってそれをほうっておくわけにはまいりませんので、軒より落つる雨だれが石をもうがつ云々というとおりに、じみではございますが、慎重にひとつ熱心に、根気よくやってまいりたいと思いますから、どうぞ国民の皆さま方の御支援をお願いいたしたいと思います。
○藤田進君 まあ松平さんの人のよさというか、あれでたいへんな能率効果があったとおっしゃるので、むしろ返すことばがございませんが、公団にしても役人が七〇何%だとおっしゃる。あれなんかもうまくやっておいて、今後解決せられるかと思いますが、なかなかそういかないのじゃないか。そこで、締めくくりとして、この問題は、総理、何か力なく御答弁になりましたが、現実には、やはり経済企画庁、行官というものの機能が十分発揮されておりません。それにはそれなりの理由があったと思うが、これについて、どういうわけで――それほどの期待をされているのでしょうが、この成果があがっていない。今後活用するようにとおっしゃるんですが、もう少し具体的に画期的な考えを持ってもらいませんと、旧態依然としていまの答弁に終かっちまうと思うんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) この二つ、そればかりではございませんが、最近の行政の行き方でございますが、何といいましても、各省の協力、これは最も必要でございます。協力をさす、その原動力はだれか、これは総理の責任であります。私は、各省協力しない限り、これらの行政機構は十分の機能を発揮できない、かように考えております。これは一に総理自身の指導力の問題である、かように思っております。
○藤田進君 それから、全般的行政改革ということは新しい提案であると、経済企画庁長官、思いますが、もっと具体的な内容をここで言明いただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる臨調でございますか、あそこで提言をされましたようなことそのまますべてとは申しませんが、やはりああいうことを推進していくべきだと私は思います。
○藤田進君 では、次に、いま大詰めにきております政界の浄化の一環である、むしろ大きなウエイトを持つ政治資金規正法並びに選挙法についてであります。時間がないので、答弁のほうで十分ひとつお含みの上で内容を具体的に答弁いただきたいのです。政治資金規正法は、これは審議会にいま審議をゆだね、かつ、答申を待っておる。答申があれば政府提出すると自治大臣も言い、これはもう何回も聞きました。そのことを聞くのではなくて、政治資金規正法がいま審議会でいろいろ検討されておりますが、むしろ大きな対立となって、本朝の報道によると、まとめる一つの案を出し、近く集約したいということのようですが、政治資金規正法が、何といっても法人その他から大量に、国家の経済その他の政策と不可分の関係にある法人、ことに会社法人ですね、これらが相当の供給をする。その供給源と政治との関係が大きな腐敗をもたらしております。共和製糖しかり。このようなうらはらでの融資がなされるとか、あるいは立法だとか、あるいは税制がというように、過去の汚職疑獄にもことごとくこれが見られておる。したがって、そういうものをむしろ断ち切るということが今日の根源を断ち切るということになる。したがって、社会党が発表しておりますように、法人の、これは労働組合を含めてです。法人、団体の寄付というものを、これはお互いに自粛じゃなくて、法規制をしよう、もう断ち切ろう、私はここまで与野党通じて決心をする段階にきていると思うのです。しかし、答申はどうもそこまでいかないような雲行きもある。ここらで政党が、あるいは行政府自身が、運用した法律の経過にかんがみて団体、法人の献金は政党といえどもこれを断ち切るということになぜ踏み切れないのか、お伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょうどいま審議会が答申を出そうとする結論に近づいておるようです。したがいまして、私は、まあその当否についてとやかくは申しませんが、政治資金そのものがなぜ要るのかと、こういうお話と考えてお答えをいたします。これはもう一口に申しまして、昔からいわれておるのですが、政治が十分効果を発揮するためにやはり政治資金が必要だと、これはもうはっきりしているわけです。先ほどもお尋ねございました印刷物を配布しておるこの金だって楽じゃない、少額じゃない、こういうような御指摘です。まあそれほど端的に申しまして、政治活動を続ける限り、政治には金が要るわけであります。その金を一切出してはならない、こういうことは少し無理ではないかと思います。ただ、私考えますのに、今日でも個々の代議士が、あるいは参議院議員が、やはり地方におきましていろいろ地方の必要とする施設について寄付をいろいろ所望される、あるいは特別な団体等を接待される、こういう金をとにかく省こうじゃないか、国会におきましてしばしばそういう申し合わせをされた。しかしながら、なかなかそれもできない。ここらにもひとつ資金が要る具体的な例があると思います。したがいまして、私、今回のようにこの政治資金問題が非常にやかましくなっておる、かように考えますと、その使い方、これも在来のような考え方で使わないで、ここにくふうがなきゃならぬと思います。こういう点をあわせ、個人の金の問題、党の金の問題等々について入ってくることも制限もしますが、同時に、出すほうにもいろいろな制限があるだろう、常識的なものが。とにかくここに結論を見出さなきゃならぬ、かように私は思いますので、選挙制度審議会にそういうことを実は期待いたしております。最近の状態は、ほんとうに金のかかる政治、金をかけまいといたしましても、それでは落後をするというような状態に置かれておりますから、ここらにも問題があるのではないか、かように私は思います。
○藤田進君 総理の説は何回もこれは衆議院等を通じて聞きました。政治には金がかかるということ、もう金が絶対であることを肯定して、かつ、あとの規制をどうするかという、この姿勢そのものを私は改めてもらわなきゃならぬと思う。政治に金をかけない、いまはかけ過ぎておるのです、かけ過ぎておる。ことに自治省に届け出ているものだけ見ても、政党によって非常な大きな、一人当たり議員数に割ってもよろしいですが、得票に割ってもよろしいが、大きな差があるのですね。私どもも選挙をやってきました。現在その籍にいる者としても、これは全然門外漢ではない、使えばきりがない、何者かが使い、あるいはどの政党かがさっきのようなことをやれば、対応してこれにかまえるようになる。だんだんうなぎのぼりに金がかかるようになってきている。これをこの際、世論もやかましいことであるから、政治への信頼を回復するためには、ここらで抜本的に政治には金がかかるそうだ、それをどうまかなうか、まかなうことが第一条件じゃなくて、私は金をかけないようにする。議員は歳費をもらう、総理大臣も所要の歳費はもらっていると、その中でやって、それ以外はいわゆる党費でまかなうということ、これを基本にするということに私は切りかえなければ、いつまでたっても、規制をしたところで、やみの献金がまた生ずるでしょう、犯罪ができるでしょう。ですから、金をかけないということに対して各党とも、特に大政党、与党の総裁である総理としてもここに基本を置いていただきたいというのが私の主張の根本なんです。いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 藤田君と私の考え方は別に違ってはいない。私は金のかかるということを申しましたが、これは無制限にどこまでかけてもよい、そういうものではございません。ことに個人の政治活動というものは、これはもう批判の対象になりますから、特に注意しなきゃならぬと思います。しかし、党の政治活動、これは最近の状態から申しまして、私、相当もっと徹底すべきじゃないか、かように考えております。党としては国民と直結しない、こういうあり方がしばしば問題を引き起こしておりますので、こういう点ではもっと政治活動を活発にすべきだ、かような考え方を持っておりますが、無手勝流に政治活動はできない、このことを私は申しておるのであります。党の活動と申しましても、これが無制限、何らの反省なしに、自粛なしに行なわれてはこれはならないと思います。やはり効果とその目的を十分考えて、その必要のある経費、これを党でまかなっていくということでなければならないと思います。党がまかなうにいたしましても、党自身がこれは事業を経営しておるわけじゃございませんので、やはり支援される方々からの浄財を集める、こういうことだと思います。そういう意味で浄財を集めるにしても、何か限度があるのかどうか、こういうようなこともくふうされておるようでありますから、いまいわれますように、入る金がなければそう無制限にはできない、また無理をして金をつくる、そういうところに批判を受けるようないまの状態でありますから、ここらは自粛自戒しなければならない、かように思っております。言われるように、金は要るにしても、金のかかる選挙、そういうものが常識的に理解できる、その範囲にとどむべきはお説のとおりであります。
○藤田進君 次に、外交問題に移りたいと思いますが、外交、防衛が関連しながら今日論議がなされておるわけであります。 時間の都合で端的に申し上げますが、外務大臣にお答え願いたい。核拡散防止の問題でいろいろ問題を残して、今日いろいろな折衝を持たれていると思いますが、もっと核兵器の保有、米ソ二大国、あるいはこれにフランス、イギリス、あるいは今度中共が持つといったような核保有国はいまのままで固定し、拡散を防止するということはわからないでもありませんが、しかし、核保有国、ことにわが国のような、世界で最初の原爆の被害を受けた国としては、核の保有そのもの、核軍縮ということがいわれておりますが、もっとこの機会に核の保有そのものについて、これを近い将来に否定するような主張をわが国の政府としてはなすべきではないか。非核保有です。いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) わが国の立場は、核兵器を捨てろ、人類の脅威になっている核兵器を捨ててもらいたい、これがわが国の強い主張でありますが、しかし、すぐに核兵器を捨てろといっても、核拡散防止条約ですら中共は入らぬと、こう言うのですから、すぐに全国的に核兵器を捨てろということが理想であっても、そこにいくまでの間にはいろいろなやはり過程を経なければ、言うだけでは実現をしません。そういうことで、一歩一歩であってもやむを得ない。核軍縮、全面的な核兵器の禁止、これに向かってわが国の外交というものはやはり強く推進していくべきものであるということは藤田君と私の考えも変わらないところでございます。
○藤田進君 ところが、いまも指摘されたように、いわゆる中国が漸次核兵器、ことに強力なものを現実の兵器化するという段階になってきておるということはお説のとおりですが、こうなりますと、この核拡散防止条約に加盟をしないものが片やあり、あるいは国連の外にありということでは、本来の核拡散防止の機能をいうものは、これは著しく意味のないものになると言わなければなりません。したがって、これらに対する考慮というものがどういうふうに払われるのか、お伺いしたい。
○国務大臣(三木武夫君) これは藤田君の言われるように、中共が入らぬからこれは効果ないじゃないか、そういう考え方もあり得ると思います。しかし、また、一方において中共が入らぬ、あるいはフランスが入らなくても、第六番目、第七番目の核兵器を持つ国を防ぐ。これをだんだんに皆が核兵器を持つならば、核戦争の危険が増大する。不完全ではあるけれども、やはり第六番目、第七番目の核兵器保有を防ごう、これが核戦争の防止に役立つのだ、こういう立場もある。私は後者の立場をとるということでございます。
○藤田進君 それはもう主張されてきてわかるのですが、次善の策よりも、ことにわが国、アジアにおける日本の外務大臣としては、中共、あるいは欧州においてはフランス等の、これを皆さん、まあわれわれも力を合わせて、この核拡散防止条約、ないし、これを急ぐことよりも、そういうことを含めての、これは国連の加盟問題に関連するでしょうが、もっと大きな視野からの外交の展開ということが必要であって、次善の策自身がそれほど大きな意味を持つものではない。それはないよりはましですよ。けれども、むしろその外にある放たれておるこれらの規制ということが、より重要だと国際情勢その他から思うのです。これに対する努力というものがあまり出てこない。ほとんど出てこない。これに対する対策についてお伺いしたい。
○国務大臣(三木武夫君) 中共の考え方は、中共自身が語っておるところは、核兵器を持っておる国はふえたほうがいいのだ、そうしてふえることによって核戦力の世界的な均衡ができて核戦争の危険を防止するのだという立場である。われわれは中共の説をとらない。そんなに次々に核兵器を持っておる国がふえれば核戦争の危険が増大するのだという立場であって、中共の説はわれわれはとらない。どうか藤田君も、われわれも努力したいということでありますから、中共にも説得願って、われわれもむろん、中共も入り、フランスも入ることを、これはわれわれ日本はできるだけ多く入ってもらうことが日本の立場としても好ましいことは申すまでもない。何とかして中共も入ってもらいたいと思うけれども、核戦力に対する考え方が違っておる、そういうことでなかなか困難であります。困難な中共が入るまで待つために核兵器の拡散を見のがしておいてもいいという立場はわれわれはとらない。なかなか残念なことではあるけれども、将来とも、中共をできるだけ入るようにしてもらいたいという努力を将来にすることを残しながら、現在においては第六番目、第七番目の核兵器保有国をふやさないほうが平和のためにいい、こういう判断がこの条約に賛成しておるという政府の態度であります。
○藤田進君 入るまで待てという、そんなばかげた議論は日本にはない。ただ、米ソがすでに核兵器を二十年前に持ち、自分たちが強力な、しかも、これから製造ないし実験ということはほぼ終わった段階で他の国に持たせないという、そういうことに対する反発は中共あるいはフランスにあると思います、自分たちだけが持って、おまえたちは持つなということに対する。しかし、中共あるいはフランスの現時点における主張を固定化して外交に対処するということは誤りであると私は思います。この点は十分今後の動向と相まって、努力を怠ってはならない。 それから、最近の外交につきまして、一体どういうことが柱となって展開されようとしておるのだろうか。かつては国連外交といわれたのですが、最近外務大臣、あるいは総理大臣から、国連外交などということばはあまり聞かなくなりました。まあ国連の力も弱まってまいりました。ウ・タントが何回何を言ったって、なかなかベトナムはおさまってこない。これらに対して総理並びに外務大臣にお伺いしたいことは、外交の基本的柱というか、方針は、どういうふうなものなんだろうか。施設方針の中では見受けられない。
○国務大臣(三木武夫君) 外交の基本方針は、もう古今東西これは変わりはないのであります。その国の安全を守り、その国の繁栄を増進する、これが基礎になっております。それをアジア、世界の中において追求していこうと、ここにやはり国連との協力というものは日本外交の大きな柱であります。そういうふうな基本的な外交方針を、これは国益ということです、国の利益ということです、これを具体的にどう達成するかということについて外交政策が生まれてくる。私は、外交演説の中にも、現時点における政策は、アジアの安定、繁栄をはかる、日本の安全保障を維持していく、あるいは世界の平和に寄与する、こういうことが今後の外交政策として重要だということを申し上げたものでございます。
○藤田進君 総理、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 外交の基本方針は変えておりません。ただいま外務大臣がお答えしたとおりであります。
○藤田進君 最近、外務大臣は、アメリカ、カナダその他を含むアジアの地域の経済クラブみたいなものを持つんだというようなことを聞きました。その構想なり現状をお尋ねいたします。
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、いま欧州を見ましても、EECのような機構ができるし、アフリカにも、ラテンアメリカにも。世界がやがては一つの世界に向かって準備が進んでおるのでしょうが、一気にはそうはいかない。地域的な協力の機構というものが世界的に生まれてきておる。そういう世界の歴史の流れの中で、われわれの日本というものを考えてみれば、どうしてもやはりアジア・太平洋という広さで問題をとらえることが必要である。その地域というものは、相互に、政治的にも経済的にも文化的にも、ほかの遠い国よりはずっと関係が深いわけであります。したがって、アジアにおいても、地域協力という新しいアジアの傾向が生まれてきておる。また、太平洋先進諸国の間にも、みなが協力してアジアの開発などには協力しようという気運も生まれてきておる。アジアの太平洋先進諸国では、アジア的な意識、アジアの一員であるというような意識がだんだん高まってきている。これを結びつけて、アジア・太平洋という広さでアジアの開発なども考えていくことがアジアの開発のためには絶対に必要である。日本だけの力ではとてもできるものではない。後進低開発国の開発というものが世界最大の課題であるならば、この広さでものを考えるようなその素地を――一ぺんにはできませんよ、これは。何か形をつくってそこへ各国を追い込んでいくという、そんな思い上がった考えは持っていない。しかし、そういう素地をつくるための努力はできるだけ推進したいというのが私の願いでございます。
○藤田進君 従来、国際主義でありましたが、これが地域主義に変わっていくのではないかという一つの懸念。さらには、EECシステムのことを考えているのではないだろうか。このために、将来の貿易がどういうふうに影響するだろうかということがいま懸念の点であります。そこで、そのような構想がいますでに条件が整っているのだろうかどうだろうかという具体化の過程の問題であります。これが一つ。それから従来の貿易政策の基本というものが、そういういわば地域ブロックという考え方に変わり、したがって、この影響というものを不利益な影響を受けるとしなきゃなりませんが、その辺のこと等を基本的な問題としてお伺いしておきます。
○国務大臣(三木武夫君) 日本の外交があんまり地域主義にかたまっていくことはよくないと思う。日本は、貿易にしても、世界各国を相手にして日本の貿易は増進していかなきゃなりません。しかしながら、やはり地域的に近距離にある諸国というものの関係が深いわけですから、民間においてもいろいろな動きが起こってきておるし、また、貿易からいっても、日本の貿易というものは、第一番はアメリカであることは申すまでもありません。三分の一もの貿易はアメリカとやっておる。その次は豪州です。この太平洋諸国との貿易というものは、日本の圧倒的数字を占めておるわけです。だから、地域主義というものも、この地域に日本がかたまってほかの国に対して目を閉ざすということでないならば、重点を置く地域というものが外交にあっていいのではないか。それに重点を置きつつ広く世界に目を向ける外交というものは、今日、現実の外交の進め方として、私はそういう外交の進め方があり得るし、また、好ましいのではないかという考えでございます。
○藤田進君 この際、総理のこれに対する方針も重ねてお伺いしておきます。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまも外務大臣がお答えいたしましたように、地域的に小さくかたまるということは、これはよろしくございません。しかし、そこらに一つのお互いに共通する部分もございます。したがいまして、いま、私どもの外交の中心が、やはりアジア外交、これを中心にいたしております。そうして、その地域において私どもが先進工業国としての責務を果たそうと、こういう考え方も持っております。しかし、いまは、地域的にアジアだから、一切他には手を出さないとか、こういうものではなくて、アジアの問題はやはり欧州ともつながり、また、米州、ラテンアメリカともつながっておるし、世界は一つの方向で非常に狭まった感じでございますから、その地域的な問題だけにあくせくとしないで、やはり伸び伸びとしていかなきゃなりません。しかし、重点といいますか、利害関係の最も深いところに最も緊密な関係を持つのは、これは当然でございますから、いまの行き方は私はしごくもっともだと思います。しかし、太平洋をめぐる諸国の者がいま直ちに一つの団体をつくってそうして行動していく、これが欧州のEECに対抗する、あるいは米州の機構に対抗する、こういうものでないことだけは御承知おき願いたいと思います。
○藤田進君 この際、いまの貿易関係等に関連して、いますでに大詰めになっておるといわれておりますいわゆる関税交渉、ケネディ・ラウンド、これの現状と、並びに、いろいろ不利益がもたらされ、特に片貿易になっている対米貿易等から考えると、どうもこのまま押されて妥結するということになれば、いま外交の基本であるナショナル・インタレストがくずれてくるのではないだろうか、ことに小麦等の価格問題等々からすれば、御承知のように、安閑としてこれが協定に到達するということは不利益ではないかということが伝えられております。はたしてそのとおりなのか、また、政府としてはどのようにこの対処を考えているのか。ことに、来四月で、アメリカ国内の法の有効期限等から見て、期限もあるように承っております。
○国務大臣(三木武夫君) 日本は、貿易を拡大していく以外に日本の経済成長をはかっていく原動力は私はないと思う。貿易の拡大は、これは至上命令です。日本経済の。そうなってくると、関税その他の貿易の障害というものは、日本の貿易拡大のためにこれはマイナスの要件であります。したがって、このケネディ・ラウンドは、関税の引き下げと同時に、貿易上のいろいろな障害もこれを取り除こうというのがそのねらいであります。したがって、日本は、むろん国内の中小企業、日本の産業構造、その他、日本の産業、農水産業に対する影響、いろいろ考えなきゃならぬ。そういうことを頭に入れながら、ケネディ・ラウンドが成功するように努力するということは、大きな日本の国益に沿うものだと私は思う。三月の二十九日から最後の折衝が始まっておるわけです。これが三月の二十九日から始まって、四月の初めにかけて大詰めの話し合いが行なわれて、四月の末には閣僚レベルの最後の話し合いということになる段取りになっておりますが、ぜひともケネディ・ラウンドは日本は成功さすために協力をしたい、そのことが日本の国益に合致するという見地で努力をいたしておる次第でございます。
○藤田進君 ケネディ・ラウンドについては見解が若干違いまして、わが国がそれ自体についてそれほど有効適切なものであるかどうか、私は疑問を持っております。したがって、これが妥結については、十分これらの面を国益を中心に考える必要があるということを申し上げておきたいと思う。 次に、防衛関係についてお伺いいたしますが、その前に、防衛関係論争の中に沖縄問題が必ず入ってきておりますが、総理にこの際一言お伺いしておきたい。 沖縄の施政権の回復と沖縄の祖国復帰ということについて言及されておりますが、どうも歯切れが悪い。つかみにくい。それは、祖国復帰を機会あるごとに主張し、これを念願しながらも、今日の安保体制における沖縄の役割り、アジア並びに日本の安全ということが必ずつけ加えられておりますから、沖縄の祖国復帰ということは、裏を返せば、アジア並びにわが日本の安全に差しさわりが起きる、安保体制に照らして適当でないというふうに聞こえるし、また、祖国復帰は、これは念願であるし、機会あるごとにということで、そこで、どういうことが一体佐藤内閣の統一した見解と態度としてきめられて執行されようとするのか。つまり、施設権、領土の祖国復帰をし、その上でいわゆる核を含む軍事基地の提供と、こういうものの考え方なのか。あるいは、復帰の暁は、軍事協定というか、基地協定というものがむずかしい。したがって、事実上は、このままの状態で推移する以外にないと。近い将来にアジアに、いわれるような脅威が全く解消するということは、これは見解の問題であって、いかようにでもこれはなる。したがって、相当長期にわたる現状維持ということも予想される。この二つの中でどちらなのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) この問題は、二つの中でどちらですか、一つですというものでは実はございません。私は一昨年アメリカに参りまして、ジョンソン大統領と共同声明を出しております。この共同声明にはっきりしておりますので、その状態は今日も続いておりますし、また、そのときに私が考えたとおりのことを今日も考えております。それは、具体的に申しますならば、わが国を含めての極東の平和、安全のために沖縄が果たしておる役割りもなかなか大きいのでありますから、このことを絶えず念頭に置きつつ、沖縄の施政権返還、これを要求する、実現すると、こういうことを実は考えておるのであります。それが、ただいま御指摘になりますように、極東における国際情勢の変化、これも一つでございますが、あるいは、将来の武器の発達、そのほうから見まして沖縄にそんな軍事基地は必要でないというようなそういうときもあろうかと思います。だから、ただいま申し上げますように、アメリカが施政権を持っておるこのこと自身は、いわゆる占領の延長ではない。また、同時に、これは日本から見ると、施政権下に沖縄自身が置かれておる、これは異常なことです。日本が潜在主権を持ちながら、施政権はアメリカにあるということ、これは異常なことであります。しかし、このことが、ただいま申すように、日本を含めての極東の安全と平和に寄与しているその役割り、それはなかなか大きいものがある。これは私ども日本としても無視はできないと、かような状態であります。
○藤田進君 ですから軍事基地、安全保障という見地から、祖国復帰、施政権の返還ということが、これはもう言うべくして困難だというふうに聞こえるのです。だとすれば、祖国復帰、施政権の返還ということについては、これは念願であって、実際の行動のプロセスの期間には出てこない。軍事基地を取り上げるわけにいかん。とすれば、世上問題になっているように、施政権の返還をせしめ、そして軍事基地は別にこれを貸与すると。いまありますね。外務省なんか、それならば話が日程に上るかもしれないというようなことをほのめかしておりますね。その辺を明確にしてもらいたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまお答えしたとおりでございます。これは、私は、いついつまでに実現すると、かようにもいまの状態で考えておりません。が、これからの国際情勢の変化というものはこれは見のがすことはできませんから、いまのような状態でずっと推移する、そういうことではならないのだと思います。そこで、沖縄は必ず返ってくる。その復帰に備えて、私どもは、今日、沖縄の民生向上安定、また、自治権の拡大、その他について努力しておることは、御承知のとおりであります。沖縄復帰、それに備えての現在の財政援助、かように御了承いただきたいと思います。
○藤田進君 立てばすぐ時間を計算するから困るんで、それをねらってぐずぐず言っているのは、総理、なかなかずるいからね。(笑声)何べん聞いても歯切れが悪いじゃないですか。やがて返す。……。さっぱり答えになっていないですな。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま答えになっていないと言われますが、もう一つ申し上げておきますが、いま外務省の一部で、軍基地が云々というようなこと、それと分離ができるような言い方をすること、私はその説を採用しておりませんから、外務省のどういうところでさような話をしているか、責任のあるところの話ではないと、かように御了承いただきたいと思います。
○藤田進君 では、どうするというのですか。沖縄の祖国復帰、施政権の返還、これは施政方針で述べられている。これはやるんでしょう、きょうから、あすから、具体的に。その前に、相手方と話をしなきゃならない。それは、軍事基地があるそのままでひとつ施政権を戻せと、こういう交渉をあなたはすると、こういうんですか。一括返還ということは、本会議でも椿議員に対する答弁があったわけですから。ぐずぐず言わないで、はっきりしてくださいよ。どうする……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖縄問題につきましては、わが内閣は、一貫して絶えずあらゆる機会をつかまえて米国と相談をしている、協議をしている問題でございます。私どもは、この問題を解決するためには、アメリカの理解と協力のもとにやろうと、かように申しておりますから、この態度も、対立的な形においてこの返還を実現できると、かようには私は考えておりません。
○藤田進君 ですから、どういう態度で臨むのですか、言いかえれば。同じことを何回も言うのですが、日本の案はどうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 将来の返還に備えると、そういう意味で、沖縄の民生の向上、また、自治権の拡大、経済的向上、あらゆる面において本土との一体化をはかっていく、これが将来の返還に備える今日の私どもがとっておる態度であります。
○藤田進君 外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 全面返還を目標にして、それに一歩でも半歩でも近づくことは何でもする。一切のことをやっていく。日の丸の問題にしても、戸籍の問題にしても、旅券の問題にしても、外交保護権の問題にしても、何でもやって、全面返還に向かって近づくものに対しては、小さなことであろうが、それを積み上げていきたい。一方、施政権の返還の過程としては、いろんな案があり得る。それは研究しなきゃならぬ。とにかく、いま極東の情勢が沖縄の軍事基地を必要とするわけですから、やっぱり極東の軍事バランスというものを急に破るわけにはいかない、徐々に問題を解決していかなければならぬとすると、いろんな基地の問題が起こってくるし、あるいはまた、機能的に、機能別に何とか全面返還に近づけられないかという問題も起こってくる。こういう問題については、あらゆる問題をとらえて、全面返還に近づけるような努力、研究をわれわれとしてもいたしますが、とりあえずやることは、もう何でも、やはり沖縄の全面返還に近づけることには努力をするということでいくことが、一番実際的だと思うのでございます。
○藤田進君 要約すれば、当面、まあそれは、いま言う兵器の進歩で大きな必要にならなくなればとか、熟して落ちるのを待つというような気がしますが、日本から、わがほうから、アメリカに対して施政権の返還についての交渉を申し入れるということは、当面やるんですか、やらぬのですか。機会あるごとに……。ちょっとついでで話したが、というのは、これはだめですよ。だんだんやっていくと、沖縄はいつの間にか日本に施政権が返っていたわいと、そんなものじゃないですね。権力の所在というものの移動は。
○国務大臣(三木武夫君) 私、一昨年、佐藤総理のお供をしてワシントンに参っております。総理とジョンソン大統領との会談の中の一つの大きな佐藤総理の主張は、沖縄の施政権の全面返還、これが大きな日米の議題になった一つでございます。だから、あらゆる機会にわれわれは沖縄の施政権の全面返還ということに対してあらゆる努力をいたしておりますが、いま言った極東の情勢ということもありますから、ただ言っただけですぐ実現するということではありますまい。しかし、絶えざる努力を政府がしておることは、これは事実でございます。一日も早く本土復帰を実現したいという、この願い、その努力は、われわれとして絶えずいたしておることは事実でございます。
○藤田進君 第三次防に関連して、まず、防衛庁長官に……。
○岡田宗司君 ちょっとその前に、沖縄問題で……。 いま総理、外務大臣からいろいろお話しになりましたことで、私、いまの沖縄の問題に関連して、具体的な問題についての政府の所見をただしたいのであります。 それは、過日、日本弁護士連合会から調査団が派遣をされました。そうして、沖縄における沖縄の人々の法的地位の問題等について、いろいろと調査をされたのでございますが、全く、沖縄におきましては、沖縄の住民の人たちは人権が保護されていないのであります。御承知のように、アメリカ軍は非常にたくさんおるんです。日本人、つまり沖縄の住民に対する犯罪行為は非常に多いのであります。一々申し上げませんけれども、年々その数はふえていっております。しかしながら、これに対して、沖縄のほうでは、沖縄の住民側では、全くこれに対する対抗措置がないのであります。たとえば裁判権にいたしましても、上訴裁判所の判事は向こうの任命になっておるというような事態でございます。また、軍人軍属が日本人に対して行ないました犯罪というものは検挙することができない。犯人の引き渡しの要求もできない。また、日本人側がこれに裁判を要求することもできない。こういうような、全く人権が無視をされているような事態があることは、この法律の専門家たちの調査で明らかになっておるのであります。いずれその調査は明らかにされるでございましょうが、こういうように、百万のわれわれの同胞が、全く無権利、人権をじゅうりんされておる状態を、どうお考えになるか。また、それに対して、たとえ平和条約第三条によって施政権がアメリカ側にあるといえども、これは政治的な話し合いでそういう事態の改善をはかって、人権が尊重されるようにするということは、日本政府の責任ではないか、また、当然とるべき措置ではないかと思うのだが、その点に対する総理のお考えをお伺いしたいのであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどお答えいたしましたように、あらゆる面において、日本政府は、沖縄住民の利益、これをはかっていくつもりでございます。ただいま御指摘になりましたような具体的な事例で、人権が尊重されていない、侵害されている、こういうことがございますれば、協議委員会その他におきましても問題を提起して、十分考えてみたいと思います。
○岡田宗司君 いままで、そういう問題について総理府等において調査をしたことがあるかどうか、そういう事態について政府からアメリカ側に対して何らかの話し合いをしたことがあるかどうか、その点はいかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 具体的な裁判移送問題、これでは、もうはつきり交渉を持ったのでございまして、ただいま言われまするのは弁護士団の調査、その具体的事例について、まだやや抽象的なような気がいたしますが、よく私もまで報告を見ておりませんから、それらの点について、研究すべきものは研究しなきゃなりません。いま両国の間で話し合いのできるようなそれぞれの道が開かれておりますから、そこで申し上げたい、かように申しておきます。
○藤田進君 沖縄問題ですね。外務大臣は、総理についていって何だとか、まあ問わず語りであすこにすわってしまったのですがね。 総理にお伺いします。まあ過去は過去。これから日本の外交折衝の日程の中に、沖縄の施政権の返還というものを乗せて交渉するというのかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、民族の願望、熱願であることは、これはわかっております。ただいま、日程に乗せるかどうかという問題でございますが、さような意味の特別日程はつくっておりません。
○藤田進君 じゃ、やらないと解していいのですかね。
○国務大臣(佐藤榮作君) やらないのではございません。やるつもりでごげいますが、特別な日程をつくってはおらないということを申し上げたわけであります。
○藤田進君 じゃ、どうなんですか。やらないのじゃないが日程はつくっていない――これが困るのですよ。議会主義の話をあれほど時間をかけて申し上げた。もうはっきりすることが必要です。やる気だが、きょうのところ日程がないが、やがて日程をつくるということなんですか。まあ幅を広げて……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 何度も申し上げるごとく、ただいまのところ日程をつくっておらない、かように申しております。
○藤田進君 だから、これからやがて日程をつくって交渉するのかと聞いているのですよ。その次に質問は発展しているのですから……。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、沖縄百万の住民を含め、日本国民の熱願だ、願望だ、かようなことを申しておりますから、ただいまのところ日程はつくっておりませんが、これは交渉する。これは私どもその実現をはかる最善の努力をするつもりでございます。
○藤田進君 まあ、日程をつくるということで、これもその限りにならないようにお願いします。 防衛関係ですがね。まあ、今日のわが国憲法、特に第九条が明確に再軍備を否定していることは、これはもう明白です。しかし、だんだんとこの解釈が拡張されてまいりました。そこで第三次防は、どういう根拠からこの必要――国力を浮揚とか、いろいろなことをいうでしょうが、そんなことは抽象的でわかりませんが、第三次防を必要とする具体的な根拠、それはたとえば対象勢力が何とか、いろいろ書いておる資料はもらっておりますが、あらためてお伺いしたい。
○国務大臣(増田甲子七君) 藤田君御承知のとおり、第二次防が本年三月三十一日をもって終わります。そこで、四月一日から向こう五か年計画の自衛力の整備計画を樹立いたしたわけでございます。
○藤田進君 三次防を必要とする根拠を聞いている。たとえば国際情勢が非常に険悪になってきたとか、何かあるのじゃないですかね、これは。
○国務大臣(増田甲子七君) 藤田君が何ゆえに三次防を計画したかと御質問でございまするから、二次防は明日をもって終わりまするから、明後日以後の計画を立てないことには自衛力というものの整備ができないからでございます。 また、自衛力の限界等は、総理がかねて本会議においても明瞭にいたしておりまするとおり、通常兵器による局地的侵略がないようにこれを阻止し、これを排除する、こういう目標のもとに大綱が立てられ、また大綱に基づきまして、去る三月十四日の閣議決定におきまして主要項目というものが決定され、また関係経費等も決定されておるわけでございます。
○藤田進君 何か二回上がったから三回上がるのだというような調子ですね、これは。二兆円余をあなた使おうとしておる。そこでまあ大臣、防衛庁長官、あなたはいわゆる実力者だ、古いといわれている、もっと勉強してくださいよ。あなた、まあ戦前の方ですが、過去のいわゆるシナ事変あるいは大東亜戦争、第二次世界大戦から日本はたいへんな戦争の渦中に入ったというよりも、その戦争を勃発させたわけですね。この過去のある戦争というものは、防衛庁長官は過去の戦史等から見て、これは一体正当防衛、自衛の戦争だったのか、あるいはいわゆる侵略戦争だったのか。二つありますね。あれは自衛のためだという人がありますし、あれはやはり侵略戦争だという人がある。防衛庁長官は、この戦史をどう理解しているか。
○国務大臣(増田甲子七君) 私の年齢から見て、戦前、戦中、戦後派と言われることはけっこうなことであります。ただし、過去におけるもろもろの戦争が自衛のためのものであるか、侵略のためのものであるかということは、いまにわかに断定しがたいのでございまして、後世史家の判断に待つ。明瞭にいたしておきます。(「憲法読んでおらぬよ」と呼ぶ者あり)
○藤田進君 総理はどう思いますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま私は憲法第九条、これを読んでみますると、平和主義に、また一面国際協調主義にその前文で書かれておる。したがってこの第九条の自衛権、これはいわゆる戦力――他国に対して侵略的脅威を与える戦力を持つことは、これは許されない。いわゆる国際紛争を武力によって解決する、こういうことは禁止されております。しかし、国本来の固有の自衛権を持つことは、これは差しつかえないものだと、かように思っております。おそらく藤田君も自衛権を否定はなさらないだろうと思います。 私は、この憲法が許しておる自衛権、これは非常に明確になりつつあるのじゃないか、かように考えておりますので、過去の問題についてのいろいろの御意見を徴されますが、私は、現在のあるべきそのことが最も正しい行き方、それさえ承認してくだされば、別に過去の問題をとやかく言う必要はないのじゃないか、かように私は思っております。
○藤田進君 いや、過去の戦争をどう性格づけるかを、言うべきか言うべきでないかというお尋ねじゃなくて、これに対してはどういう判断をされているかという問いなんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 過去の宣戦の詔勅等を見ますと、自存自衛ということばが使われております。しかし、今日の憲法でいう自衛権、これとはおよそ事が違っておるように思います。非常に過去のほうが範囲が広い、かように思っております。
○藤田進君 これでわかるように、三軍長官の防衛庁長官は後世にということになる。あれから、二十年をさらにこえて、一国の総理大臣は詔勅によると自衛だと言っておるが、何やら幅広いようだと言っておられる。このように、自衛のためならば第九条はその軍備を否定していないという議論が、いかに危険なものであるかということは、もう証明されたんです。自衛とか自衛権というようなものは、したがって、足の長い爆撃機だなんだ、あるいは座して死滅をだ、ほかの方法がなければ敵の基地もたたき得るとか、だんだんと発展していっているのです。おそらく三矢作戦研究とおっしゃるが、そんなものから推定すると、かりにです、あたな方が思っているような局地戦にしろ――この定義はまだ聞いておりませんが、何か撃ち合いでもあったということになれば、日本の憲法なんというものは吹き飛ばしてしまうというふうにしか見えないのですね。 お伺いしますが、いま三軍自衛隊の中では空あるいは海、陸と、いろいろな論争がもうすでに多年にわたってあります。今日、その拡充強化は一体どの自衛隊かという議論も聞き、いろいろな文書も流れてきた。ところが現実には、陸上自衛隊――これは戦車隊が中心になっている、その装備は。増田さん、これは海外派兵をしないということになれば結局どういうことに使うのですか、この戦車隊、その用兵、作戦。
○国務大臣(増田甲子七君) 別段仮想敵国というものは、われわれは定めておりません。日本国土に対する急迫不正な侵略がないようにこれを阻止し、もしあった場合にはこれを排除する、こういう目標のもとに陸上自衛隊も設置し、これを訓練しておるのでございます。海上も航空も同じくでございます。
○藤田進君 問いに答えてもらわなければ困るのです。陸上自衛隊のことは戦車隊が主力でしょうが、その戦車はどういうふうに使うのか。あなた司令官だ。
○国務大臣(増田甲子七君) 最高司令官は総理大臣でございます。
○藤田進君 じゃ、総理にお伺いします。あなた、部隊作戦まで総理にやらせるのかね。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも立ち上がらないから不規則発言じゃないかと思って答えなかったのです。しかし、はっきり委員長が許可しておるようですから、私お答えいたします。 ただいまのわが国の自衛隊は何に使うか――これは、もうはっきりいたしております。通常兵器による局地的侵略に対して、これを抑止しようとしての戦力でございます。戦力と申しますか、自衛力でございます。したがって、自衛権という、これはもう先ほども増田防衛庁長官からもお答えいたしましたように、この自衛権が発動いたします場合はいわゆる急迫不正の侵害がある、それが一つです。また、第二の問題として、そういう場合に他に方法がなければ、その国本来の、固有の権利であるみずからを守るという、そういう立場に立っての自衛権の発動があるわけであります。またこれは、しかし自衛権の発動と申します以上、これは自衛権の範囲でなきゃなりませんから、これが行き過ぎてはいけない。ある一定の限度のあるということも私どもは承知しております。
○藤田進君 いや、日本の戦軍隊はどういうふうに使うのかと言っている。それだけなんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 戦車隊は、先ほど申しますように、局地的戦力としてこれを持っておるということであります。
○瀬谷英行君 関連。藤田さんが言っていたことは、戦車隊というものを取り上げて、この戦車というものは一体どういう場合に使うかということを聞いているわけですよ。この戦車が使われるというのは、国内で使われるのか、あるいは国外で使われるのか、こういうことになるのですけれども、ベトナムへでも出かけていくというのならば別だけれども、そうでないということであれば、国内で使われることしか想定されないでしょう。そういうことになると、急迫不正の侵略というものは、どこかの国が上陸用舟艇でもって上陸をしてきたという場合でなければ戦車を使うことはないんじゃないですか。その程度のことが大元帥がわからなかったらこれは困るでしょう。
○国務大臣(増田甲子七君) 先ほどから藤田君に明瞭に申し上げております。また瀬谷君の御質問もございまするが、国土に対して侵略があると思われる場合にこれを阻止し、これを排除するために戦車を使うのでございます。明瞭にいたしておきます。
○瀬谷英行君 ちっとも明瞭じゃないですよ。急迫不正の侵略がある場合と、こう言ったでしょう。国土に対して侵略があって、戦車が出かけていくということなんですから、日本の国土のように海に囲まれているところにもし侵略をするものがあったとすれば、これは泳いでくるわけにはいかない。上陸用舟艇なり、輸送船団を組んで、そして日本の沿岸まで来て、そして上陸をするか、あるいは輸送機でもって向こうのほうからはるかに飛んで来てどこかに着陸しなければならん、こういうことになるわけです。そういう場合以外には想定できないじゃないですか。そうすると、急迫不正、こういうふうに言われるけれども、あらかじめこれはわかっている場合でなければ、これは事実上戦車をもって要撃をするような侵略ということはあり得ないわけなんです。そういうあり得ないことを抽象的に言われては困る。もし防衛庁長官が戦車の必要性を力説をするならば、これはどこの国がどういう理由でもって日本に上陸をするかもしれないのだということを想定していなければこれはできないことだ。想定のできないものをこちらのほうで準備をする必要はないのだ。それは一体何が、どこの国が、どういう場合ということを指摘をしているのですから、その点を明確に言ってもらいたいと思う。それがわからなかったら何も戦車なんかつくる必要はないと思うんだ。
○国務大臣(増田甲子七君) 藤田君にはっきり先ほどから申しましたとおり、われわれは仮想敵国ということは考えておりません。どこの国から――とにかく世界の上に存在する国でございます。その国が日本に対して急迫不正なる侵略をせんとする場合に、これを阻止し、これを排除する。あくまで国土が対象となって侵略されんとする場合に対処するものが日本に存在する自衛隊の戦車であることを明確にしておきます。
○藤田進君 要するに、増田さん相手ではこれはもうばかばかしいからやめますが、戦車隊の作戦だけ考えてみてもこんなナンセンスなものはありませんよ。いま瀬谷委員も指摘するように戦車隊、まあ本土作戦です、要するに。過去の戦いでも本土作戦なんてできなかった。国内が本土作戦の対象になりますか、第一。国産なさるという戦車も三十八トンからある。いまの道路改修、その他やっておいでになりますが、いまの舗装は一体どれだけの能力があるか、いろいろなことを考えてごらんなさい。一体何のためになるのか。海外派兵をしないということを規定したら、あなたのやっておいでになる三次防だってこれはナンセンスです。 そこで、これは時間をかけてまた後刻やりますが、いわゆる恵庭判決、今度あれですか、自衛隊の通信線その他、切りほうだいということを認めますか。
○国務大臣(増田甲子七君) 昨日の判決は自衛隊法百二十一条のいわゆる防衛物件にあらずという判定でございまして、百二十一条を扱っておることは明瞭でございます。そこでございまするから、あなたの御質問はそこまでいってないようでございますが、われわれは御質問の範囲内において私はお答えいたします。目下検討中でございます。
○亀田得治君 関連。ちょっと恵庭判決のただいまの質問に関連して、二、三点確かめておきますが、一つは、昨日の恵庭判決は国民の期待する判断というものを避けたということで、はなはだ遺憾な判決である。私まずそのことを明らかにしておきたいと思います。公判ではですね、自衛隊の違憲論という問題をめぐって、被告弁護団、それから検察陣双方がずいぶん詳細な論戦をやったわけなんです。裁判当局もそのことをずっと許してきたわけなんです。で、この裁判の経過から見ますと、当然検察側もまた被告側も、また第三者の憲法学者なり関係者にいたしましても、当然この点についての判断が出される、こういうことはもう常識的な見方であったわけなんです。それが最後の段階において避けられた。はなはだこれは不可解なんですね。裁判の経過においてそのような憲法論というものを制約してきたのなら別なんです。裁判長自身もその点についての判断をする決意というものを公判廷で表明しておるわけなんです。ここに詳細な公判記録全部私持ってきておりますが、これはいずれまは別な機会で検討したいと思っておりますが、はなはだそういう意味で、独立の機関である裁判所の態度について云々することは好まないところですが、あまりにもこれはひどすぎるという感じを持っておる。そこで政府にお聞きしたいのは、何かこの判決の直前に、政府側から適当な方法で憲法論は避けてもらいたい、というふうな圧力といいますか、そういうことがかけられたのではないか、これは疑惑のかかっておるところです。総理からこの点はひとつ明確にしてほしい。 それから第二は、これは法務大臣にお聞きします。法務大臣も御存じだと思いますが、この恵庭事件は、当初器物毀棄罪、器物損壊罪、刑法の。それで告訴が出、また捜査が始まった。ところが途中から検察首脳の意見などによって、自衛隊法百二十一条違反に切りかえられて、わざわざ自衛隊法違反ということでこの起訴をされた、経過は。したがってその経過から見ても、私はその検察官の意見が通らなかったわけですから、当然検察の威信にかけても控訴すべきだと思う。検察側が自衛隊法違反にわざわざ持っていったということは、そこに自信があったからです。刑法の規定で告訴が出たものをわざわざ切りかえておる。だから私は当然通常の扱いであれば、検察側は控訴するというのがあたりまえだと思う。それがなければ、いま藤田委員から質問がありましたように、通信線等は、切りほうだいということに――まあ実際上はならぬかもしれませんが、そういう印象を与えることはこれは間違いない。検察側がそういうことを黙って見ておるはずがないでしょう。だから当然私は控訴されてしかるべきものだと考える。その点についての法務大臣の考え方をこの際明らかにしてほしい。 それから防衛庁長官にひとつ聞きますがね、防衛庁の当局では、判決のいろんな場合を想定して、数種――談話ですね、判決に対する談話、これを準備していたようです。長官が知らなければ局長でもよろしい。最終的なものは、まあ発表されているものは一つですが、そういう準備がされたことを、事務当局でしたことを、われわれ伝え聞くわけですが、その間の事実を防衛庁のほうでひとつ明らかにしてほしい。 以上三つ。
○国務大臣(佐藤榮作君) いわゆる通称恵庭判決といわれる問題について、その直前に政府が干渉したんではないか、さようなことは絶対にございません。もしもさようなことがあるなら、その出所を、一体どこでさような疑いを持たれたのか、明確にしていただいて――日本の裁判官は、すべてこれは良心に従い、独立して、ちゃんとどこからも圧迫を受けずに判決をいたしておるのであります。私は、国民の期待したような判決が出なかったと、かように言われますが、とんでもない話。国民は判決について、事前に何々を期待するとか、さようなことはいたしません。社会党がやられたなら別です。はっきり申し上げておきます。
○国務大臣(田中伊三次君) 本件の恵庭事件の判決は、全国民が非常に注目をしておる事件でございます。したがって、これに関する控訴という問題は、非常に慎重を要する昨日の判決であります。本日より数えて十四日間期間があるわけであります。来月の十二日一ぱいまで慎重に検察当局において検討をいたしまして、その検討の上、結論を得て、検察庁当局はいかに措置をするか、これは検察当局にまかせたいという心境でございます。
○国務大臣(増田甲子七君) 私どもは、対国民、また対自衛隊に対しまして、いかなる場合におきましても対処できるように準備をしておった事実はございます。というのは、各般の判決を予想したということにかんがみましても、亀田君のおっしゃることは間違いである。すなわち、憲法違反の判決があるかもしれないし、その中間段階のものがあるかもしれないし、また百二十一条に抵触しないという判決があるかもしれない、こういうふうな各般のことを考えておる。これは私の部下に法制調査官というものがございます。そういうことを考えて月給をもらっておるのでございます。
○亀田得治君 たいへんえらいぶっきらぼうな御返事を三人とも言われるわけですが、もう一度重要な問題ですからお聞きします。 私は、まず総理に対してお聞きしますが、この出所があれば明確にしてほしいというふうなおことばがありましたが、それは出所があれば、私は言われなくてもこちらから出します。たいへんに重要な問題です。しかしですね、これだけほとんどの者が、自衛隊の憲法論についての結論というものを期待したわけですね。期待してますよ。これは賛否にかかわらずですよ、私の言うのは。賛否にかかわらず、どの立場をとるにしても、この公判の経過を知っている者は、これは当然裁判長はその結論を出すだろう、それはそうじゃないですか。これは控訴審で争うべきことかもしれません。自衛隊法百二十一条云々と言ったって、自衛隊法そのものについての疑問が法廷で出されたわけでしょう。それについての弁論をずっとやって、それはあなた、国会でいえば院の運営に関するたとえば議長選挙のようなものですよ。そういう問題もあなたほったらかしにして、判断もしないで、そうしてともかく無罪にしてなだめておくと。被告人が第一おこっているじゃないですか。無罪になった被告が承服しない、おこるような一体判決というものは、これは裁判所みずからが、自分の大事な権能というものを放棄しているものですよ。私はそこまで言いたい。だから、これは、ただごとではないというふうに、いろいろうわさが出るのは、これはあたりまえじゃないですか。だからそれはそういうことはないというなら、そのことをこういう場で総理が明確におっしゃれば、私はそれでいいと思います。しかし、疑問があるから私は聞くわけでありまして、これは当然議員としても聞くべきだということであります。これは賛否の問題とは違うのですよ。で、総理は、何か期待しておったのは、それは社会党だけだというふうなこともちょっとおっしゃったが、社会党だけじゃありませんよ、これは。それはよく公判の経過なり、これに関するいろいろな論議というようなものを総理も検討してですね、社会党だけだといったようなことばを使う以上は、ひとつやってもらわんと、これは事実に反しますよ。そういうことは検察側だって非常な力を入れてやっておった、それなりに私は期待を持っておったと思う。だからその点について、そういう意味で私は疑問を投げかけたわけでありまして、これはすなおに、そういう事実はないと――私もないという御答弁を実はそれでいいと思っているのです。そんなことをおこって言う心要は断じてない。 法務大臣にさらに念を押しておきます。控訴するかしないかを、政治的に扱ってもらっては困るということなんです、政治的に、これもまあいろいろ流れてくる情報でありますが、これは普通ならば、検察の法律適用が誤りだと、ばちんとやられたわけですから、これは当然控訴ということになるべきなんです。初めてですわね、こういう事件は。この一つの事件でけられたわけですからね。当然これは控訴にいくべきなんです。ただ控訴審にいくと、再び憲法論が出てくる。これは出るのがあたりまえなんだ。一審判決は、それはそういう意味じゃ、まことにこれは逃げた判決でありまして、出るのがあたりまえ。控訴審じゃ、まさか逃げて歩くようなことはなさらぬと私は思います。だからそういう点を政治的に考えるのでは、私はやはり非常にまずいと思う。そこの点についての考え方を聞いておきたい。それは検察当局にまかすと言いますけれども、こういう重要な問題を、最終的に法務大臣の意見を求めないで決定されるとは私は思いません。そういう立場からもう一度、その扱い方の根本といいますか、要点は私がいま申し上げたところなんです。それについてどう考えておられるか。 それから防衛庁長官も、まことにぶっきらぼうなことを言われるわけですが、自衛隊が違憲という判決が出た場合には、こういう声明書を出そうというものが用意されたのでしょう。具体的に聞きましょう。
○国務大臣(田中伊三次君) 先ほど申し上げたとおり、お説のとおり検察当局の判断にゆだねる、いわゆる指揮をしない、こういう決心でおります。
○国務大臣(増田甲子七君) 亀田君の御質問があった機会に、この機会に言うと、やっぱり自衛隊は国民的基礎のもとに立つものでございまするから、私の考えを明瞭にいたしておきます。自衛隊法並びに防衛庁設置法は、ほかならぬこの立法府で通ったものでございます。立法府とは、御承知のとおり衆議院、参議院でございます。すなわち、立法府が合法、合憲ということで通っております。それから行政府は法の執行に任ずるものでございまして、その措置といたしまして、自衛隊法に基づいて自衛隊を設置し、これを訓練し、有事に備えておるわけでございます。それから過去の判例といたしましては、もし違憲と出た場合にどうかというようなことも御質問がございましたから、私は、その用意の内容は必ずしも申しませんが、過去に、立法、司法、行政と、こういう三権分立の形で政治が行なわれていることは、亀田君御承知のとおりでございまするが、立法府、行政府等においては合憲、合法という見地から、自衛隊法あるいは自衛隊というものに対処いたしておるわけでございます。司法府はどうか、司法府はこれは三権分立でございます。でございまするから、どういうような裁判があるかということは、私どもは注目いたしておりました。亀田君はいま裁判所をしかるような発言をされたのは、これは私は遺憾であると思います。やっぱり立法府、司法府と三権はそれぞれ分立いたしておるのでございますから、過去における司法府の判決は、参考とすべきものは砂川判決でございまして、憲法第九条第一項、第二項等は、わが国がいやしくも主権国家として存在する以上は、固有の防衛の権利を否定したものとは思われない、したがって、その権利に基づいて各般の措置をとることはきわめて当然である、こう書いてございます。その各般の措置の中に、立法措置も入れば行政措置も入る、こういうふうに解釈いたしておるのでございます。
○亀田得治君 ちょっと私の端的に聞いておる質問に対して、ほぼお認めになったようですが、このあとのことを聞いてるんじゃないです。砂川判決なども私十分承知しております。それの議論をしようというなら、まあ幾らでもやりますがね。この違憲判決が出ることを想定してのこの声明というか、談話といいますか、意見表明というか、そういうものは用意したんでしょう。したようにいまおっしゃったが、そこだけはっきり言うてください。
○国務大臣(増田甲子七君) いろいろ勉強を、法制調査官というものがいたしまして、これに対して公務員として月給を払っておるということを先ほど申したとおりでございます。
○国務大臣(田中伊三次君) 大事な御発言でございますから明確にしておく必要があろうと思います。注目しております重要事件につきましては、すべて判決は予想できるものであります。こうせよ、ああせよなどということが言えるべき筋のものではございませんが、受ける立場から、判決の予想は被告の立場で弁護人も予想できるし、また、これを攻撃いたします検察当局の手でも判決の予想としてもできるのであります。それはできなければ訴訟手続に基づく法廷における論争、具体的に申せば攻撃、防御の手続はできないわけでございます。できて当然でございます。本件の問題につきましては、防衛庁も同様のことと思いますが、法務省におきましても、この判決には大体二通りの判決が予想される。証拠調べ、却下その他の状況から見まして予想ができる。その第一の種類は、本件は、自衛隊の存在は憲法違反である、したがって、自衛隊も憲法に違反をするものである、よって、自衛隊法に基づいて有罪の起訴をしておるこの起訴は認むべきでない、被告人を無罪とするという判決が、理論的に一つは起こる余地がある。もう一つの判決は、憲法違反などということに言及をする必要は本件はないのではないか。防衛の用に供せられたるものである電線、その電線を切ったということは争いがない事実でございますから、法律上の判断といたしましては、はたしてこの電線は、刑法でいう普通の物であるか、あるいは防衛の用に供するものであるか、いずれのものであるかという判断だけで本件判決はできるのではないか。憲法違反などというむだなことに言及する必要なくして、判決は可能なものではなかろうかと、こう考えると、そういうことに触れないで有罪、無罪の判決をする判決が出てくるという一つの判決があろう。この二つの場合を想定をして期待を持っておったわけでございます。どういう判決をするか、非常に注目をしておった。何もおかしいことはないのであります。しかるところ、裁判所は、前者をとらないで、私の言う後者の単純なる判決をした、むだな言及をしなかった、こういうことでございます。
○亀田得治君 法務大臣は、わりあいすなおに、法務省としても二つをどうも用意しておったようですね。だから、防衛庁が一番当事者なんですからね、私はそれを聞いている、端的に。それを、ほかのことを言わないで、用意しておったならしておったと、法律専門家の法務省のほうが二通りの用意をしておる。結論だけ言ってください。
○国務大臣(増田甲子七君) 各般の場合について準備をして研究をいたしておったことは事実でございます。これは、法制調査官として当然の職責を行なっておるのである、こういうことを申し上げます。 また、百二十一条に抵触しないという判決は、昨日下りましたが、これは防衛物件でないというふうに認めたのでございます。亀田君も専門家でございますから、そこで、私どもも法制調査官を使いまして研究いたしておりまするが、百二十一条の防衛物件にあらずという、すなわち、百二十一条に抵触せずということは、司法府である裁判官が、自衛隊法を認めたという前提に立っておるものであるということを、この際明瞭にしておきます。
○占部秀男君 委員長、議事進行。いまの増田長官の答弁ですが、調査官にいろいろな場合を想定して準備させておいた、そういうような答弁をすればいいわけだ。それを好んで、調査官に月給を払っておる、こういうような答弁のしかたは私はないと思う。これはあなたね、何か外に出て無頼漢がやっているような答弁、議院をばかにしたような答弁ですよ、あなたの答弁は。私はそう思う。それを取り消せとかなんとか私は言わぬけれども、少なくとも委員長は、議会の品位を保つために、ああいうような答弁はさせないように、ひとつ今後注意をしてもらいたい。その点だけ私は希望をしておきます。
○委員長(新谷寅三郎君) 田中法務大臣。
○国務大臣(田中伊三次君) ただいまの御発言の中で、法務省の立場から考えてたいへん気になる御発言がございます。それはどういうことかというと、無罪になったから、これから自衛隊の電線のごときはずたずたに切って差しつかえないのだ。これは影響するところは、しろうとに影響するところが多大であろうと思う。そうではないので、自衛隊法に基づく罪というものは、有罪と判定をすることはできないということ、刑法にいう器物毀棄の犯罪は明瞭に成立するものである。今後といえども、そういう事態があったときには、器物毀棄の刑法に照らして厳重に処断をするということは明らかでございますから、かってに切っていいんだ、ただだということにはならぬわけでございます。これだけ明瞭にしておきます。
○亀田得治君 これは法務大臣がそういうことを断定されるのは、これはまた重要ですよ。これは、この恵庭事件の第一の論点は違憲論の問題、第二は被告人に自衛隊がいろんな迷惑をかけた、これは皆さんよう知らぬのでしょう。これは非常な迷惑をかけているんですよ。そうして何回も自衛隊に頼みにいく。じゃあそうしましょうとなる。そうはいかない。母親がそのために死ぬ。いろんな問題が山積しているんですよ。これは違憲論がばあっと上に出ているものですから、その具体的な事実についての問題は少し陰に隠れたようなかっこうに世間的にはなっておりますが、そうじゃないんです、これは。したがって、この違憲論もさることながら、自衛隊法を適用する、あるいは器物損壊罪を適用するにしても、こういう状態、これだけの迷惑をかけておる、やむを得ずそれをとめるために帰りがけに電線を切った、これが真相なんです。これは当然違法性というものは阻却される問題がそこに大きくあるわけなんです。違法性の問題になれば、自衛隊法であろうが器物損壊罪であろうが、同じようにその基礎はあるわけなんです。いまあなた、法務大臣のようなことを断定的におっしゃると、それは自衛隊は恵庭でやっておったようにどれだけ迷惑をかけてもそんなことはいいんだ、法務大臣は国会で、その場合は自衛隊法ではないけれども器物損壊罪で必ず縛り上げるのだ、こんなことがまかり通ったら、これは自衛隊のためにもならぬ。この恵庭事件の数年間の被告人の苦しみというものをほんとうに考えておりますか。それがわかっていたら、こんなものはあなた、百二十一条の適用を待つまでもなく、簡単に有罪にできる事件じゃないですよ。だから、その裏のほうを法務大臣一つも言わないで、ともかく自衛隊にそんなことをするのは、何にもないのにそんなことが起こり得るわけがないでしょう。最近は公害ということがやかましい。公害の一種でしょうが、これは。だから、そことの関連があるのですから、さっき法務大臣あんなことを、それは藤田発言が誤解を与えてはいかぬと思って、訂正しなければならぬという法務大臣の責任感から言われたんでしょうが、しかし、それはまた逆に非常な行き過ぎだ、そんな言い方は。だから、それは自衛隊のためにも、それを取り巻く国民のためにもならぬ、そんな言い方は。
○国務大臣(田中伊三次君) くどく申し上げることはいかがかと御遠慮を申し上げたいという気持ちでございますが、事が非常に重大な影響をあなたと私の論争は及ぼすものだと思う。そこで、一口お聞き取りいただきたいのでありますが、自衛隊が騒音その他で付近の住民に御迷惑をかけた、申しわけのないことでございますが、そういう迷惑をかけた、その迷惑に耐えられなければ、そういう背景があるならば、電線のごときは切っていいんだ、電線を切った者を起訴するとは何事かという御発言が響きましては、国家に秩序というものがなくなる。それは申し上げるまでもなく、器物を毀棄したる者は刑法の器物毀棄罪に照らして処分する。それを法廷に持ち出して、法廷の裁判官の立場で、これは正当防衛を認むべきものであるなどという、そんなことはめったにないことでございましょうが、そういうことがありました場合においては、執行猶予なり無罪にするということは、その場面においてはあり得る。法務省の私の立場におきましては、本件が無罪になったからといって、恵庭事件無罪の理由をもって自衛隊の電線、電線に類するそういう防衛の用に供するものと認められる器物はどんどん破壊されても何ら文句はないのだ、裁判に行って無罪になるのだ、参議院の席において議員がそういうことを仰せになっているじゃないかなどということが明らかになりますことをおそれるだけでございます。どうぞ誤解のないように………。
○亀田得治君 これは非常に大事なことで、これは法務大臣から議論を吹きかけられたわけでして、法務大臣のような考えであればなおさら控訴をすべきなんです。そして自衛隊法の適用がかりにできないということならば、罰条も変更して、そして刑法の器物毀棄罪の適用を求めるとかなんとかしなければ、いまおっしゃった筋が通りませんよ。だから、堂々と控訴をして、やはり実態についての証拠調べもしておらない、こういう委員会で幾ら議論しておっても決着がつかぬわけでして、控訴をして、そして裁判所によって、その点の私は判断を求めるべきものだと思うのです。
○国務大臣(田中伊三次君) ごもっともであります。先ほど申し上げるとおり、検察当局独自の慎重なる判断にまつ、この態度でいくことにいたします。
○藤田進君 持ち時間がないので残念ですが、法務大臣がいろいろ言われたが、かえってあなたの発言が世上をまどわすことになるので慎重にひとつお願いしたい。 水田大蔵大臣、先ほどからお待ちかねで、あなたの予算審議の過程を衆議院で見ますと、三分では無理なんですが、そのポイントとして景気の過熱論、これらについては、財政金融の運営を弾力的に行なうというところがあなたの説明の落ちですよ。これがそうなっていますね。ところが、その弾力的なというのは過去には具体的な例がある。今度はどのようにしようか、おそらくいまの設備投資の趨勢、たくさん資料持ってきておりますが、あるいは各方面からの説等から見ますれば、三度目、四十二年度の経済見通しについてやり直しせられましたが、ことしになりましても。たとえば外貨は、外貨じりはとんとんであるとかいうようなこと、経済成長率等、これは経済全画庁長官も言うように、一つの努力の目標だ、ほんとうは経済成長率も足りないだろうということが正直のところだと思います。そこで、当面六月、議会が終わればなどというようなことを待たないで、弾力的な運営の出動というものが当然行なわれるべきじゃないか、もう六月になってはおそい、こう私は思う。したがって、国債の発行をある程度とめるとか、予算の四、五月の暫定が成立いたしました暁においても、四、五月等を含めて、少なくとも六月以降どのようにするとかいうことが当然具体的にわれわれの手元に明確にされるもう時期が来ていると思うのです。よって、景気過熱に対する所論と、それからもう一つは、外貨問題をどのように考えられるか、さらには、これらに対する弾力的な運営というものの中身はどういうものであるか、お伺いしたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 経済の基調は非常に強いことは御承知のとおりでございます。したがって、私どもは、予算を編成するときに、すでにこれに対してどう予算を編成するかということで、御承知のように予算のワクを圧縮するとか、公債をできるだけ押える、それから中央、地方を通ずる政府の購入物の増加を経済成長率よりも落とすということによって、経済に不適当な刺激を与えないようにという配慮のもとにこの予算を編成したのでございますから、この予算の執行をうまくやっていけば、これで私どもはいいんじゃないかと思っておりますが、しかし、経済の事情を見ますと、私どもの考えた以上にテンポが速いものもございますので、もしそういう事態が来るということでございましたら、これはそのときの情勢に応じて、私どもは弾力的ないろいろな措置をとらなければならぬじゃないかというふうに考えております。 で、そのとり方はいろいろあるのでございましょうが、たとえば四十一年度におきましては、私どもは、予定された公債の発行を相当削減するというような措置をとりましたし、今後も税収の見込み、経済の情勢の動同というようなものを見て、そのときどきで何をするのが一番適切かということをなるたけ早目に私どもはやるために、十分に動向を慎重に見きわめておることが当面大切だろうと思っております。いままだ、予想されておっても、そういう事態に現実がぶつかっているということはなかろうと思っております。
○藤田進君 過熱懸念はお持ちのことはわかりましたが、それに対する対処がおくれますというと、過去三十年代で二度のいわゆる景気過熱や、それが導因となり物価高ということなんだが、同じことを、いわゆる設備投資主導型、投資が投資を呼ぶ景気と、これを批判して佐藤内閣は誕生したような、これは池田さんの病気もあったけれども、したがって同じことを、前車の轍を踏みつつあることは間違いないです。ですからお伺いいたしますが、その懸念はまだ来ていないように言われるけれども、予算審議の過程であるから、それが一つの発言をコントロールしているようにも思いますが、しからば、蔵相としてこの弾力的運営を具体的に、国債発行その他予算の執行ですね、財投を含む、というものはどういう時期に考えなければならないかという予想ですね、もう過熱過程に入っていると見て間違いないと思うのです。しかし、大蔵大臣はそうではないということであれば、過熱懸念についての時期的な判断についてお聞かせをぜひいただきたい。伝えられるところによると、この予算成立後、これはおそらく四十二年度一般会計予算その他だと思いますが、業界等を集めてそうして警告をするといったようなこともけさも伝えられております。そういう時期も一つの方法でしょうが、私は非常におそいと思う。同時に、今日産業界における資金事情等から見て、いわれているように、金融の引き締めとか、あるいは財敵の弾力的運営だけではなかなかこれ、設備の旺盛な需要というものを押えることは困難じゃないかと思います。とすれば、いわゆる経済界の協力なり適切な総合約な対策というものを、しかも、時期をはずさないということが非常に大切になってくると思うのです。したがって、以上に対して、時期的な判断等について、を含めての御答弁をいただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) たとえばいま設備投資の意欲が非常に強いということについて非常に心配されておりますが、この設備投資の意欲が強くっても、各企業の自己金融力というものが御承知のように非常に大きい、したがって、設備投資が金融機関への資金要望となってあらわれるということは、相当いまのところ先であろうと私どもは考えています。しかし、いずれはそういうことがくるというときに、政府需要と民間需要が非常に競合するというような事態がきますというと、そのときの調整をうまくしてやらないと、金利の高騰というようなものになって、過熱というものが現象になってあらわれてくる、そうなってきて、引き締め政策というようなものをやらざるを得ないというようなことは、経済に私はやはり犠牲を与え過ぎると、過去の経験から私どもはそこまで持っていかない措置が一番これはベターでございますので、そういう意味において、一定の動向があらわれていると、これを見きわめましたらそこまでいかないいろいろの方法を事前に早目に私どもはとりたい、こういうふうに考えております。
○藤田進君 総理いかがですか。これは佐藤内閣の大きな試金石になると思うのです、景気問題。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来大蔵大臣から詳細に意見を述べまして、私が申し上げるまでもなく、経済は生きものという、そういう表現が当たるかと思います。したがいまして、経済の動向、情勢につきましては、これは油断することなく、絶えず目を光らしていなければならない問題だと思います。そうして、そういう懸念すべき事態が起これば、そういう際に、時期を失せず適当な処置をとる、こういうことが望ましいこと、これはお説のとおりであります。したがいまして、今日過熱の危険ありと、まあ危険というのは少し言い過ぎですが、過熱のおそれありと、こういうようなことがいわれておりますだけに、一そう注意しなければならない、かように思っております。具体的な処置につきましては、ただいま一番はっきり申し上げるものは公債の発行の問題でございます。しかしその他、金融政策の問題が今後は役目を果たすべきそのときにきておる。かように思いますので、量並びに質等につきましても注意することは当然であります。
○委員長(新谷寅三郎君) 藤田君に申し上げますが、持ち時間がありませんので、これでおしまいに……。
○藤田進君 他の大臣の御出席をいただきましたが、委員長、何か言おうとしておりますが、時間が実はなくなりまして、せっかく御足労かけましたがこれで終わります。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして藤田君の質疑は終了いたしました。 午後は一時半再開することといたしまして、これにて休憩いたします。 午後零時五十六分休憩 ―――――・――――― 午後一時四十三分開会
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き質疑を行ないます。西田信一君。
○西田信一君 私は自由民主党を代表して、現在国民が最も深い関心を示しておる諸問題について総理並びに関係大臣にお尋ねをしたいと思います。 先ほどの質問にもございましたけれども、まず第一にお聞きをいたしたいのは、総理のおっしゃいます出直し解散による今次の総選挙におきまして、国民の信頼と支持を得て第二次佐藤内閣の成立を見ました今日、国家国民の佐藤総理に対する期待と、そしてまた責任は非常に倍加したものと申さなければならぬと思うのです。最近なお組次いで起こっております政界の不祥事に対する世論は特にきびしいものがございます。この際、政界の浄化と、こういう点について佐藤総理の率直な赤裸々なお考えを承りたいと存じます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政界の浄化は、国民のこれは至上命令でございます。政府並びにわれわれ政治家に課せられた至上命令で、これはあらゆる努力をいたしまして成果があがるように今後とも自粛自戒していかなければならぬと思っております。さきの選挙、これですべてが流れたものではございません。私自身はさきの選挙によりまして、ようやく第一歩を踏み出したばかりだと、かように実は考えております。今後のわれわれの努力によりまして国民の期待するような政界の浄化をここに招来いたいと、かように念願しております。
○西田信一君 どうか国民の期待に十分ひとつ沿っていただきまするような総理の御勇断を期待いたしまして、次の問題に移りたいと思います。 佐藤総理は本院の所信表明におきまして、自由を守り平和に徹する外交方針を堅持する、こういうふうにお述べになりました。わが国の国力は世界の第三位の工業国と言われるほどに成長をいたしました。国民生活も充実いたしまして、さらに向上が期待できるわけであります。このおもな原因は、国の防衛が日米安全保障体制によって強く保持されておる。何ら外患なく、ひたすらに経済発展に専念できたたまものであることはしばしば佐藤総理の御指摘になっておるとおりでございます。こうして、多少のゆとりができてきました今日のわが国のとるべき外交態度は、国際正義への味方をする、世界の平和への寄与をする、低開発国への援助をする、こういうようなことに応分の貢献をするということにあると考えるのでございます。総理の言われる、平和に徹する外交、この中身はそういう姿勢であるとも私は受け取っておるのでございます。政府は、かつてわが国の外交の三原則として、国連中心主義、自由陣営の側に立つ、またアジアの一員として行動する、こういう三点を揚げられました。近年、日本を中心としたアジア繁栄を求めるための動きは非常に顕著で、昨年行なわれました東南アジア経済開発閣僚会議あるいは農業開発会議、アジア開発銀行の創立、インドネシア債権国会議の積極的な指導など、その成果は各国からアジアの新風として評価されておると申してよろしいと思うのであります。こういう姿勢、努力こそ今後のいわゆる平和外交の方向として推進されるべきと考えるのでありますが、総理の御心境をひとつこの機会にお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 西田君に対しましては事新しく申し上げる必要はないのでありますが、しかし、ただいま述べられました御意見、私もさように考えております。しかし、この機会に国民にもよく理解していただきたいと思いますことは、私どもはこの憲法――現在の憲法におきましては、平和主義、同時にまた国際協調主義、これを前文で唱えております。そうして九条以下の平和に徹する基本的な態度が明示されております。したがいまして、国民各位ともこの点では誤解のないことだと思いますが、私は憲法の前文に示しておる平和主義、並びに国際協調主義、これは厳に守っていかなければならぬ、またその解釈におきましていろいろ幅があってはならない、かように実は考えております。したがいまして、ただいまお述べになりましたような、わが国自身が国の安全を確保する、そういう場合に足らない点もございますから、日米安全保障条約、それによって補ってもらっておる、そうしてわが国の安全が確保され、安全が確保されておるそのものにおいて今日の繁栄があったと、かように私も確信をいたしております。 また、アジアにおける日本として、アジアの諸国に対する連帯感から私どもが工業先進国として果たすべき役割、これもはっきりみずから認めておるつもりでございます。そういう意味で自由を守り平和に徹する、そうしてわが国の国連を伸ばしていく、伸層を期していく、これが私の役目だ、かように思います。
○西田信一君 総理からも私の所見と全く一致する御答弁をいただきましたが、これに関連いたす意味におきまして三木外務大臣にお尋ねをいたしたいのであります。 三木外務大臣は、本院での外交演説におきまして、非常に格調の高い御演説がございましたが、その中で、アジア太平洋地域諸国間の連帯協力の精神をじみちにつちかいたい、こう申されておるのでございます。先ほど藤田君も大体同様の御質問があったようでありまするけれども、外相はこの問題に特に重点を置いて、外務省を督励されておる、こういうふうに伺っておるわけです。外務大臣の構想は、究極はアジア太平洋経済共同体のようなものの設定というようなことを目ざしておられるのかどうか、先ほどの質問と若干似通った質問になるわけでありますが、この先進国で構成されておりますところのいわゆるEECとは違いまして、アジア太平洋諸国間の国々には民度も違います、経済力も、あるいは民族性等も相違しておる、格差も多い、こういうことであって、共同体結成にはいろいろな困難があるというような見方も耳にいたすわけでありますが、しかしながら、私は外務大臣の構想にはビジョンとして一つの魅力を感ずるものでございまして、そういう意味におきまして外務大臣にあらためて御所懐をお聞きいたしたいと思うのであります。
○国務大臣(三木武夫君) 将来の方向として、アジア太平洋地域諸国の協力関係というものはますます緊密化されていくものだというふうに私は見ておるのです。ただしかし、御承知のように、EECのような、ああいうふうなそのままな機構がこのアジア太平洋地域にそういう協力体制ができるとは私は思わない。ことにEECの場合は、いろいろ歴史も伝統も産業の発展過程も、生活水準も大体似通った国々が寄ってできておるわけです。ところがアジア太平洋地域というものは、これはアジアが入り、また根を同じくしているヨーロッパ文明の影響を受けた国々が入るわけですから、アジアと東洋とが一緒になるということでありますから、もしそれが一つの協力体制ができるならば、これは歴史的なできごとだと思います。そういう意味で、これはいま急にこういう形をするんだと言って頭の中に入れて、無理にそこへみなを持っていくというようなことでは成功しない、せっかくアジア太平洋地域の協力連帯の気持ちが生まれ始めておるんですから、その空気を助長して、そしてやがて新しいものを、生まれてくるであろうその素地を日本の外交はつちかっていくというのがじみちな外交のやり方である、こう考えておる次第でございます。
○西田信一君 このアジアにおきましては単なる経済協力という面だけではなくて、あらゆる面におきましてそういう姿が生まれてくることは私は望ましいと思います。私もそういうようなことを目ざした、アジアは一つであるというような団体等にも微力をいたしておるものでありますが、ぜひそういう方向で強力にお進め願いたいということを希望申し上げまして、次に続いてお聞きしておきたいと思う点は、三木外交の中で、いわゆる今度は東西問題――いまは南北問題とも言えると思うのですが、今度は東西問題、これが三木外交の中でどういう地位を占めておるのかということを一つお示しを願いたいと思うわけです。 東西問題は南北問題と並んでわが国にも非常に関連の深い問題でありますが、また歴史的にも関係の深い隣の中国は、現在御承知のような国内事情にあります上に、中ソの対立もますます激化しつつあるというような状況のもとで、東西問題に対して三木外相はどういうふうにこれから対処していかれようとお考えになっておられますか。東西問題に対する三木外務大臣の基本的なお考え方をひとつお示し願いたいと思うわけであります。
○国務大臣(三木武夫君) 西田さんの御指摘のように、東西問題は南北問題と同様に重要な問題で、その背後にはイデオロギーという問題が含まれておりますから、きわめて重大な対立関係をかもし出して、それがまあ冷戦になったと、ところがその冷戦の頂点にあった米ソ関係というものが御承知のように対立が緩和されておることは事実であります。また西ヨーロッパ諸国と東ヨーロッパ諸国との関係が非常に対立が緩和されて、西欧諸国の東欧に対する接近というものが非常に顕著にあらわれておる。だから東西関係というものが昔のような先鋭化されたものではない。まあ中共がこういう国際的一つの大きな流れから少し離れておるようでありますけれども、それ以外を考えてみると、東西関係には何かこうかつてないような緊張緩和の傾向がある。日本もやはり平和というものを口にする以上は、南北問題と同様に東西問題というものはきわめて重要でございます。したがって、ソ連、東欧諸国、まあ中共はなかなか国内問題――文化大革命が進行して、これは少し落ちつかないと、なかなか日中関係といってもこれはいまどうしようもない段階でございます。そういう点でソ連とか東欧諸国との外交というものは積極的にやはりこの日本との関係もよくするし、また東西の緩和をはかるために日本の役割りは非常にある、それがまた日本の平和外交に連なるものである、こう考えて、ソ連、東欧諸国に対しては積極的な外交の姿勢をとりたいと考えておる次第でございます。
○西田信一君 南北問題といい、東西問題といい、大いにその自主外交の妙味を発揮していただきたいと思うわけでありますが、そういう意味において関連して総理にお尋ねを申し上げたいのでありますが、これはいろいろ新聞にも報道されておりますが、総理はこの特別国会が終わりました後、方々に外遊なさるお考えがおありのように伺っております。どういう目的で、どういうような国を御訪問されるのかというようなことを伺いたいわけでございますが、もっとも私は特別な目的はなくとも、世界各国の指導者に接触せられまして、個人的にも友誼を深める、意見の交換をするということは当然非常に有意義なことであると思うわけでございます。従来どうも、やや何か行っておみやげを持ってこれないような状態のもとではどうというような考え方もあったようにも思うわけでありますけれども、現在はもう首脳者外交の時代である。ウィルソンでもドゴールでも、あるいはまたコスイギンでも、随時気軽に外国に出かけていって、これがいざというときに非常に役立っておるように思うわけであります。わが国の総理といたしましても、できるだけひまをつくって外国首脳と会談の機会をつくるように積極的にお考えになることが私はよろしいのではないか、こういう意味で、軽い意味でお尋ねするわけでありますが、何かいろいろな御計画がおありでございますならば、お伺いをいたしたいと思います。 さらにまた、三月十日でございましたが、アメリカからの帰り道に日本に立ち寄りました韓国の丁総理から、ぜひ来ていただきたいという要請があったようで、総理もなるべく早く、できるならばイの一番に韓国に行きたいというようなお考えを述べられたようにも伺っておるわけでありますが、そういう点も含めまして、ひとつ外遊に対するお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はいわゆる外遊ということばはあまり好きでございません。いま言われますように、今日は国際的にそれぞれの者が意見を交換する機会をたびたび、また早く、また広い範囲で持つことが望ましい。この立場から、外国に出かけることは私どものつとめでもあると、かように考えております。昨年は外国へ出かけることができませんでした。ずいぶん招待されておる国もたくさんあります。これらに対する私一々答礼――招待があったから云々というだけではございません。しかし、義理を欠いてもいかぬと思うし、また外国から日本に総理その他首脳者が来ていろいろの話をして帰られたところもあります。そういうところに対しましても、また出かけまして話をする必要がある、かように実は考えております。ただ、いま国会が開会中でございますので、こういう機会に私ども計画を発表することは、やや時期としては適当ではない、かように考えております。率直に申しますが、気持ちとしては、できるだけ国会が済めばこの機会に外国へ出かける、みずから見聞をし、同時にまた首脳者と話し合う、そういう機会をつくりたい、かように思っております。 ただいまそれで、韓国へ行くか、こういうお話が出ておりますが、もちろん韓国はそのうちの一つになっておる、これはこの機会にはっきり申し上げておきます。
○西田信一君 私も同じ考えを持っておりながら、外遊などというまずいことばを使わないでむしろ訪問外交、こういったほうがよろしいと思いますが、ぜひそういうふうに積極的にやっていただきたいことを希望申し上げておきます。 それからこの機会に、ついででございますから、いわゆる招待外交と申しますか、迎える側の外交でございます。これについてもお聞きしたいのでありますが、数年来いわゆる招待をするということに非常に力を入れられまして、いままででも各国の元首あるいは総理あるいは有力閣僚あるいは経済界の有力者、こういう数多くの方が来日せられまして、国際親善あるいはまた相互理解の上に非常に私は効果をあげた、こういうふうに思っておるわけです。これからますますそういう招待外交も活発におやりになると思うのでありますが、これもまた、そういう計画はお聞きするほうが無理かもしれませんが、チトーとか、ナセルとか、ドゴールというようなところもぜひ招きたいというようなお考えもあるというふうに伺っておりますし、また、わが国にとって最大の友好国ともいうべきアメリカの大統領の来日がまだずっと実現をしておらないわけです。昨年ジョンソン駐日大使が着任いたしました際に、ジョンソン大統領も適当な機会に日本を訪問したい、こういう御意向を伝えられたようにも報道されておるわけでありますが、これらの招待外交についてのお考え方をひとつお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまお話がありましたように、こちらからも出かけますが、同時に先方からも日本を訪問していただきたい、そういう機会をつくりたい、この上とも努力するつもりであります。私いま具体的にだれだれがというようなことは申しません。できるだけ多数の方々が日本に来られるような、そういう機会をつくるつもりでございます。
○西田信一君 外交に関連したことは、時間の関係上この程度にいたしまして、次に大蔵大臣に、公債についての考え方について若干私の考えを申し述べながら御意見をお聞きしたいと思うわけです。 政府は四十一年度から本格的な公債政策を導入いたして、不況の克服にりっぱに成功して、ことしに入ってからも予想以上の景気上昇を続けております。四十二年度も引き続き九%程度の成長が見込まれておるわけであります。こういう情勢から、一部には公債政策はもうすでにその任務を終えたのではないか、こういうような考え方、あるいはインフレという懸念から公債をやめたらどうか、廃止論もございます。公債の大幅な減少論等も聞かれるわけです。しかしながら、私は公債政策は決して景気対策のためだけではない、より重要な性格を持った重要な財政手段として考えるべきものであるというふうに思うわけでございます。財政法のたてまえに立って、まず第一次的に公共投資の財源調達の最も合理的な手段でありまして、現在相当立ちおくれておるところの社会資本の充実をはかること、しかも耐用年数の長い公共施設の財政負担を、現代の国民の税のみによってこれを負担させないで、後代にも公平に配分するという機能を持っていることは申すまでもないわけであります。したがって、いやしくもいかなる国でありましても、近代国家である限り、公債を有効な財源調達の手段として活用しているわけでございます。わが国の公債政策も全くその例外ではないのでありまして、もちろん市中消化あるいは償還のこと、あるいは社会資本の要請、こういうものと見合った公債政策は、これは持続されてしかるべきものと思うわけであります。ただ不況対策を契機として導入をさせられましたために、その景気調整機能ということがやや問題にされる、重視される、こういうようなこともあるようでありまして、この点はいささか何か私はそれにあまりこだわり過ぎておるというような気がするわけであります。一部のこのような錯覚的と申すのは言い過ぎかもしれませんが、そういう考え方を抱かせるのは、政府にも多少お考えを願ったほうがいいのではないかという、失礼でございますが、気がするわけです。と申しますのは、政府自身が不況のときには公債を出す、好況になれば発行をやめるとか、あるいはまた減すとか、あるいは四、五年間は公債発行はやめないというような御趣旨の御発言等もございます。確かにその一面は認めるのでありますけれども、むしろその持つところの本質について十分国民の理解と協力を求める必要があるんじゃないかと、こういう気がいたすわけであります。繰り返し強調いたしたいのは、当面最大の急務は、立ちおくれておるところの社会資本の拡充に向かって均衡ある社会経済の実現をはかることにある、こういうふうに思うわけであります。どうも民間が出てきたから今度は政府のほうは引っ込むというようなもしやり方を極端にとるならば、立ちおくれの回復どころか、生産資本と社会資本との格差、これはますます開いていくということになるのではないかと思うわけであります。いま行なわれております公債政策に対する議論の多くは、副次的な景気調整機能ということを少し重視し過ぎて、最も本質的な点をやや見落しているような感じがいたします。これは間違っておれば御指摘をいただきたいと思いますが、しかも公債は民間資金を吸収するということでありますから、過熱防止の役割りをもある程度、若干果すと思いますし、ひいては例の問題の国際収支の上にも、こういう民間のほうに流れる金を吸収するということによってプラスする性格を持っておるというようなことも見逃がしてはならないものではないかと思うわけであります。そこで租税と並んで、財政の最も重要な手段である公債散策について、短期約な見通しもさることながら、もう少し長い目で見た長期的な視野に立つ御自信のある公債政策を国民にひとつ十分納得させていただくことが必要でないだろうか、こういうような気がいたしまして、公債対策の考え方について若干私見を述べまして、ひとつ大蔵大臣のお教えをお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 昨年公債発行に政府は踏み切ったということは、政策的に申しまして、あなたのおっしゃられるとおり、必ずしも不況対策というためのこれは制度ではなくって、社会資本の立ちおくれとか、こういうものを是正するというような、財政需要の非常に強いときに、これを国民の税だけによってまかなうのがいいか、民間の蓄積を公債発行によってこれを活用するという方向によって対処することがいいかということで考えますというと、公債発行というのは単なる不況対策ではなくて、それ自身別個の機能を持っておるということは私は間違いなかろうと思います。それで、ただし財政の持つ使命というものは、一方そういう資金の合理的な配分をするという使命と同時に、景気調整機能、この機能を果たすことがすなわち財政の使命でございますが、その場合いわゆるフィスカルポリシーというものは、この財政の持つ景気調整機能を働かせながらも、経済を運営していくということでございまして、この方法ということになりますと幾つかございますが、まずその一つに、民間需要の弱いときには国の財政支出を増加する、民間需要の強いというときには、この財政の機能をそこなわない範囲内において財政の支出を圧縮するということがやはりフィスカルポリシーの手段だと思いますので、そういうことから見ますというと、財政の中の消費支出という部面は、これはなかなか簡単に削減できない、縮められないという部面を持っておりますので、結局調整機能を発揮しようということでしたら、投資支出に向かわざるを得ないということになりますと、要するに民間の需要の強い弱いというものを見ながら私どもがフィスカルポリシーをやろうとしましたら、投資支出のほうに対して弾力性を発揮しなければならぬ、こういうことになろうと思いますので、この調和がむずかしいことでございまして、公債発行、意義はもう十分ございますが、経済情勢によってそういうものを調整する必要があるのだというときには、財政の投資部門というものについて私どもが考えるという必要が出てきますので、これはいかにその調整を、二つをうまく調和させてとるかというのがわれわれのいい財政の運用ということになろうと思います。
○西田信一君 次に、景気過熱について、まあもし景気が過熱するとすれば、一番それが心配されるのが最近の設備投資の動向ではないかと思うんです。四十二年度の企業設備投資につきましては、政府のお見通しでは一四・八%の増と、こう見込まれております。こういうふうにお示しがありましたが、開銀の調査では二七%とか、あるいは日本経済新聞の調査も見たんですが、これは二六%、こういうふうに言われておる。これはもちろん何か希望的数字も入っておるんじゃないかと思いますから、そのままうのみはいたしておりませんけれども、こういう数字を直ちにとることがもし危険だといたしましても、その動向には十分注意をする必要があるというふうに考えるわけです。 それで民間設備の投資につきまして、まあ私ども専門家でありませんけれども、客観的に心配されるのはまあ鉄鋼などがあるように思うんです。鉄鋼につきましては、投資量が非常に大型でありますし、場合によっては景気過熱の原因になることも考えられると思いますが、これらについてお見通しはどうであるか。ひとつ経済企画庁長官と、それからまたそれにつきまして通産大臣からお考えをひとつ聞きたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 見通しにつきましては、けさほど大蔵大臣が答弁をされたことで要点が尽きておると思うのでございますが、つまりもう景気が過熱をしておるというふうに私ども申しておるのではなくて、実績の指標でございますとどうしても経済の実勢に二、三カ月おくれますので、なるべく先行指標を拾ってみていこうとしておるのでございます。機械受注でありますとか、建設工事の受注であるとか、信用状でございますとか、そういうのを見ておりますと、やはりかなり経済の動きが早い、その力も強いというふうに思いますので、まあ比較的早めに各方面お互いに注意をしていこうと、こういうことを申したわけでございます。で、各方面と申しますのは、政府の場合にはこの予算案を五兆円のワクで縛って国債を減額しつつあるということで、一つの心がまえをあらわしておると思うのでございます。 それから、産業界ではただいま御指摘のように、やはり鉄鋼が一番当面の問題であろうと思います。で、その他いわゆるシェア競争のような投資がないように産業界も金融界も気をつけてもらいたいということでございます。で、労使関係におきましては、さしづめこの春の賃金の決定が国民経済全体の観点から見まして穏やかなものであってほしいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(菅野和太郎君) 鉄鋼の問題についてお尋ねがあったと思いますが、大体御承知のとおり景気は上向いてまいりましたし、昨年来鉄鋼の一部について暴騰いたしましたので、そういう関係で各製鉄業者が設備の拡張をやろうといたしております。そこで、この製鉄所の鉄鋼設備の問題につきましては、産業構造審議会の鉄鋼部会でいま審議をしてもらっておるのでありまして、まあ私たちは民間人の良識に訴えてひとつ設備過剰にならぬように設備をしてもらいたいということで、いまメーカーのほうでいろいろと討議をいたしております。で、もし彼らで調整がとれぬようであれば、やむを得ず通産省のほうで最後の決を下さなけりゃならぬかとこう考えております。
○西田信一君 次は、この経済社会発展というものを今後お示しになりました。まあ端的に申しまして、お尋ねしたい要点は、今度発表された経済社会発展計画のねらいは端的にいってどこにあるのか、こういうことでございます。申すまでもなく、かつての所得倍増計画というのは、これはまあ十年間に国民の所得を倍増しよう、こういうことを目標にしておったように端的に表現できると思います。それからまた中期経済計画というのは、これはそれによって生じた、倍増計画等によって生じたひずみをひとつなるべく早く、すみやかに是正しようと、こういうところにねらいがある、こういうふうに思うわけであります。これに対しまして、今回の長期計画の目標は、ずばり言って一体何であるか、こういうことをお聞きしたいわけであります。私があれを読みまして受けました印象を率直に申しますと、従来の計画は、その名の示すように経済ということが重点であるというふうに思いますが、今回の計画は二つあって、その一つは、社会をも含めた全面的なまあ国家の近代化計画を立てる、こういうふうなことが一つと、もう一つは、ひずみの是正というよりは、もう一歩進んで、積極的に、ひずみの生じないような均衡ある発展をはかっていこう、こういう二点にほんとうのねらいがあるように私はまあ感じておるわけでございます。こういう二大特徴を持った計画であるように思いますが、経済企画庁長官に、ずばり言って何であるかということをひとつ国民に知らしてもらいたいと、こう思うわけであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはただいま西田委員が御指摘なされたとおりと思いますが、結局相当なお日本経済は成長する力がある。そこで、人間が経済に振り回されないような成長のし方をどういうふうにすればいいだろうかと、こういうことだろうと思います。
○西田信一君 ちょっとむずかしいあれで、私、頭が悪いのでわからないのですが、人間が経済に振り回されないということは、人間が経済を振り回すということなんでしょうか。どうも私、頭が悪いので、またあとで勉強さしてもらいたいと思います。 これに関連して、私は今度は、この前も申したのでありますが、これはぜひ重要だと思いますから総理にもお尋ねし、経済企画庁長官からも場合によっては大蔵大臣もお答えいただきたいと思うのでありますが、私はこれはわが国の人口や産業の適正配置の問題、これはもう全くいまは政治の全体の焦点である、こう申してよろしいと思うのです。いろいろなたくさんのことありますけれども、これは国内最大の問題だというふうに実は私、感じております。しばしばそういうことを申して恐縮でありますが、そこで、国民的な重要課題である、こういうふうに思うわけです。人口や産業、あるいは文化が大都市に急激に、しかも過度に集中いたしました結果は、その弊害が、これはもう申すまでもなく極度に達しておりますし、市民生活をむしばむ、破壊するというような、一方におきましては、全国のほとんどの地域の人口が今度は逆に過疎に悩んでおる。このまま推移いたしまするならば、おそらく、これは私の推算ではありませんけれども、学者が、二十年後には、わが国の人口の七五%が太平洋沿岸ベルト地帯に集中し、そして国民経済全体が根底からゆさぶられることはもう不可避である、こういうふうなことを申す識者もあるわけでございます。私はこの問題について、前国会も前々国会にも政府のお考えを、あるいは対策をお答え願ったわけでございますが、たびたびで恐縮でありますけれども、若干の私、提案のようなものを含めましてこれから重ねてお尋ねをしてみたいと思うのであります。 人口の都市集中は、これは世界的な趨勢であることは間違いございません。しかしながら、わが国の場合は、世界にもまことに例を見ないほどに異常だということが言えると思います。この原因は何であるかと考えてみますと、明治以来日本が先進国に追いつくために懸命な努力をした。この追いつくために効率投資という名のもとに行なってまいりました東京、大阪、こういうところを中心にしたいわゆる拠点投資、これにあると思うのです。これがわが国の発展と繁栄をもたらした大きな原動力になったことは、これは確かでございます。しかしながら、もうこういう効率投資は、すでに限界点をこえておるのみならず、いまではかえってそのために逆効果が出て、むだな国費の投資等もしなければならぬという状態になってきておると、こういうふうに実は言っても差しつかえないと思うわけであります。この現実を十分直視すべきであると思うわけでありまして、現時点のほんとうの意味の効率投資は何であるかと申しますと、このようなかたわな、びった的な、跛行的な都市化傾向に対応して、新しい政策に立ち向かっていかなければならぬというふうに実は私は考えております。過密、過疎、これは要するに一つの両面であります。同時解決をはかるためのたった一つの手段は何であるかと言えば、この限られた国土、また、乏しい資源、それをもっと生かし、豊かな人口を最大限活用する、そうして均衡のとれた国土総合開発を、ひとつあらためてがっちりとつくるということだと思います。そうしてもう一つは、次は古い効率投資の概念を捨ててしまって、新しい先行投資の概念を、政策の根幹に取り入れていかなければならぬ、こういうふうに私は思う。この二点があると思うわけであります。自然発生のあと始末的な対策に追いまくられておりましては、すべてが後手後手に回るのみでございます。例をとりましてまことに恐縮でありますが、私は北海道に住んでおりますけれども、明治二年には人口わずか五万八千しか北海道におりませんでした。この五万八千の北海道が、明治三十四年以来のいわゆる拓殖計画第一次、第二次とやりまして、現在開発計画をやっていただいているわけでありますが、こういうことによりまして、現在の人口はすでに五百万、五万から五百万をこえる北海道を築いておる。さらにもうすでに第二次、第三次の産業の振興時代を迎えておりまして、今後この施策に当を得るならば、私は、あと半世紀を出ないで、半世紀たたなくても、将来人口一千万を収容するところの近代産業地帯が実現できる、こういうふうに思っているわけであります。私は、先行投資の一つの大きな示唆であるというふうに思うわけでございます。ひとり北海道だけを申すのではございません。私の特にこの際申し上げたいことは、目先の感情だけではなく、税制度の上において、あるいは金融制度の上において、公共投資の上において、このみなを含むところの総合的な先行投資を行なうために、大胆な、しかも新しい経済計算によって、この築くところの政策転換と申しましては言い過ぎかもしれませんが、政策移行と申しますか、こういうことをもうやるべきときである、断行すべきときであるというふうに思うわけでございまして、総理に、また、企画庁長官にもそういう意味におきまして、ひとつ御所信を承りたいと思います。また、もしもこういうような考え方に基づくことをお考えであるとすれば、十年後、二十年後の目標、すなわち、十年後、二十年後のあるべき日本の姿、経済構造において産業の配置、人口分布において、そのビジョンを青写真につくって、その目標に向かって施策を進める、こういうことが私は必要だと思うわけでありまして、そういう御用意がおありになるかどうかということを、ひとつお聞きしたいわけであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) たしか、十二月にも西田委員から御同様の御提言がございました。ちょうど経済社会発展計画の作業中でございましたので、私ども考え方をなるべく今度の案の中へ入れようと思いまして、かなり考え方としては入っております。しかし、実際問題としては、思うようになかなかまいらないことも、そのとおりでございます。それで、東京、大阪にこれだけ大きな資本の蓄積ができたということは、私はいろいろ理由がございますと思いますが、やはり、一つは、港であったのではなかろうかと思っております。そこで、今後地域の開発計画を考えますときに、可能な場合には港湾、それからあと、何といっても道路であると思います。そういうものを重視をして、先行投資をしていくことがいいのではないか。午前中申し上げましたように、全国総合開発計画を書き直そうと思っておりますので、そういう視野からもやってまいりたいと思っております。なお、昨年十二月に金融の観点からひとつ御提言ございました。これは私ども引き続いて、何かそういうことをしたいということで考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまお答えいたしましたので、もういいかと思いますが、ただいま西田君が御提案になりました国土の均衡のとれた開発、同時にまた、先行投資をまんべんなくやれ、こういうお話でございます。これはまさしくそのとおりでなければならぬと思います。明治時代の先進国に追いつけ、追い越せ、これもそういうような観点で取り組んだと思います。現在のように、産業もどんどん発展しますし、国民も日に日に新たになる、こういう時代でございますから、一そう御提案のようなことを考えていかなければならぬ、かように思っております。なかなかむずかしい問題で、そう簡単にもまいりませんし、また、計画どおり私どもが国土の開発、これの均衡のとれた、また、格差のできないようにと、いろいろ努力しておりましても、現情勢下におきましては、都市集中の傾向は非常に顕著であります。この都市集中の顕著な、これに対する対策にも追われているような状況であります。また、先行投資が必要である。これは社会発展、経済発展の基盤をなす、こういうものに先行投資としてしばしば考えられる。それが港であったり、あるいは道路であったり、あるいは鉄道であったり、そういう交通機関、あるいは通信機関等でもありましょうし、また、産業界から申せば、その基盤をなすような産業について特に力を入れろ、こういうことにもなろうかと思います。御提案はまさしく私どもも賛成でございますが、今日、あり余る財力はないものですから、現象にとらわれてただいま追っかけられて、都市集中についても、私どもは、まず当面の解決すべき課題だと、かよう御承知願いたいと思います。
○西田信一君 私も、よく実情は承知しておって、こういうことを申しておるわけでございますけれども、宮澤長官がつくられました計画が前進されておるということは、私どもも認めておるわけであります。どうか、ひとつそういう趣旨で勇敢にやっていただきたいことを御期待申し上げまして、次の問題に移ります。 次は、これは総理、大蔵大臣、通産大臣にお答えいただくことが適当と思いますが、資本自由化の対策の問題でございます。ことしの経済課題は、物価の問題もたいへん大事でありますが、並んで、私は資本自由化対策ということが非常に重要だというふうに思っているわけです。一昨年来から諸外国からいろいろと強い要請も出ておるようでありまして、政府も前向きの姿勢で対処する決意を持っておられるようでございますが、しかし、この問題の推進にあたっては、まだ政府部内にもいろんな御意見があるようでありますし、民間におきましても、いろいろ積極、消極の考え方が対立しておるように感ずるわけであります。この際、政府の基本的なお考えを確認しておく必要があると思いまして、次の諸点についてひとつ具体的にお尋ねをしたいのでありますが、第一点は、政府の最終的なまあ態度決定と申しますか、これはいつごろを予定しておられますかということ。外資審議会等でも五月ごろに答申というようなことも言われておるようでありますが、その結論なり、実行の時期がおくれるようなことはないかということでございます。 第二は、今回政府の検討しておられます措置、これは、一口に申すことはできないと思いますが、外国からの要請による点を非常に重視しておられるのか、それとも、わが国の自主的な判断に基づいて考えられておるのかということであります。 第三は、規制緩和の基本的方向といたしまして、従来比較的受け入れなかった直接投資、これについて抜本的な改正をお考えになっておられるか、それとも手直し程度にとどまるであろうかという点であります。 第四は、OECDで問題になっております自由化コードに対する留保数を減少させるというような方向であるのかどうか。特に、留保しておる直接投資については、どの程度の改善を考えられるかというような点をお聞きしたいわけでありますが、この資本自由化の問題は経済に及ぼす影響も非常に重要でございますだけに、民間でも非常に真剣であるし、また見方によりましては、もう少し政府に努力を払ってもらいたいというような、まあ希望といいますか、そういうことも、強い希望があるように思うわけでありますが、この資本自由化の問題について、いろいろこまかい点ははっきりいたしませんが、政府の御見解をお述べ願いたいと思うわけでございます。
○国務大臣(水田三喜男君) さきに、私どもが貿易の自由化の問題に取り組んで、一応克服してまいりましたが、ようやく、今度は資本の自由化に対処する段階になったものと、私どもは考えております。これは外国から要請されるものではなくて、日本自身のもう要請、必要からも、資本の自由化には、私どもは積極的に対処しなければならぬ。こう考えまして、ただいま外資審議会に諮問をいたしておりまして、四月一ぱいに結論を出していただきたいということで進んでおりますので、この答申を得てから、政府部内の相談をしまして、五月には最初のこの自由化スケジュールを、第一段階のスケジュールをきめたいと思っております。そこで、いま外資審議会に検討をお願いしておりますものは、対内直接投資についてでございまして、同時にそれと関連して対内証券投資の問題もあわせて検討になっておる、こういう段階でございます。
○国務大臣(菅野和太郎君) 資本の自由化に対する根本対策については、ただいま大蔵大臣からお話がありましたが、大体この資本取引の自由化については、政府としては積極的に前向きに進んでいきたいという考えを持っておるのでございまして、とかくこの資本取引の自由化については、産業界のうちでも、まあ少し私から言えば、おびえている人もあるように思うし、まあある人は第二の黒船と言っておりますが、日本に黒船が来たおかげで、日本は明治時代が生まれてきたと思うのであります。この資本取引の自由化をむしろこれを契機として日本の産業の一大飛躍をせしめたいという考えで、むしろそういう意味においては非常に積極的にわれわれ考えておるのであります。がしかし、この資本自由化をやることによって、直ちに日本の産業に影響を及ぼすところ決して少なくないのでありますからして、影響の少ない産業から自由化を認め、そうして漸次自由化に進んでいきたい。こういうつもりをしておりますが、問題はやはりこの自由化に対して日本の産業構造をいかにするかということ、それから、もう一つ根本的には、技術開発の問題でありまして、日本が技術開発力さえ持っておれば、いかに外国から資本が入ってきてもびくともしないのでありますからして、根本的には技術開発をいかにするかということで、この資本の自由化に対処したいと、こう考えております。
○西田信一君 留保品目、OECDがやっておる、あれを減少するについてはどういう方向でやっていくか。
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいまもちょっと申し上げましたが、例外規定というものを設けまして、そうして、例外品目というものを設けて、それは、われわれのほうでも技術の開発、産業構造の改造ということをやって、前進したいと考えております。
○西田信一君 この問題は、当面重大問題でありますので、ひとついまの政府の御方針のように御推進を願いたいと思います。 それから次は、ちょっと藤田君がお尋ねになったのでございますから、軽くお尋ねいたしますが、例の関税一括引き下げ交渉の問題であります。これはせっかくの関税引き下げ交渉ですけれども、どうもいろいろかえって皮肉にも、国益とか、保護主義とかいうものが出てまいって、なかなか交渉がむずかしいわけでありますが、日本でも、この工業製品のネガリスト百二十五品目ですが、農産物のポジリスト――同意品目二百三十三品目出されたようでありますが、この中でいろいろ問題が多いと思いますのですが、自動車とかあるいは電子計算機とか、あるいは大型発電機、紙パルプ、非鉄金属、穀物、食肉、酪農製品、これらがいろいろ問題になっているように思いますが、日本といたしましては、米、欧のまた差別待遇の撤廃であるとか非関税障壁の撤廃というようなことを要求を出されていくのだろうと思います。そこで、いよいよもうこれは先ほどもお答えがあったようでありますが、大詰めを迎えて、これに対する態度をお聞きしたいと同時に、私は今後の貿易拡大の糸口としては、ぜひやはり日本は成功させる努力は必要である、こういうふうに思うわけでございます。そこで工業製品のうち、自動車とか、電子計算機なんかについては見通しはどうなのか。農産物のうちの穀物協定の見通しはどうなのか。それから、非関税障害のうち、特に対日差別輸入制限、あるいはまた輸出規制、こういう問題はどのように解決ができる見通しかという点をちょっとお聞きしておきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 外務大臣がおられませんので、便宜私から申し上げます。 私ども確かに、ケネディラウンドを成功させることは、わが国のような国にとっては非常に受ける利益が多いと、こう考えております。根本的に。それで、ただいまのオファーのリストのことでございますが、御承知のように、わが国の出しましたものの評価のしかたについて、日米間に数億ドルの差がございます。で、これを、この見解の違いをまず埋めるという問題が一つあるのでございます。これは私、ある程度で話がつくんではないか、ただいま御指摘なさいましたようなものは出さずに話がつくんではないかと思うのでございます。 それから穀物協定でございますが、わが国のような輸入国としましては、単価が上がりますことはもとより好ましくないわけでございますが、しかし、アメリカ、カナダ、アルゼンチン、オーストラリア、この四カ国がもうほとんど主たる輸出国でございますので、そこがどうしても上げようということになりますと、その交渉に入りませんと、今度は小麦の標準価格をきめます地点がございます、どこの港という。わが国に有利な地点を選んでおきませんと損をいたしますから、その辺のかね合いなんではないか。やはりある程度入っていったほうが、結果としては利益になるんではないかと思っております。 それから、援助の問題をこれにからめるということは、ものの考え方としては私はあまり正しくないと思います。ただ、穀物協定との妥協のしかたで、ある程度のことはあり得るかと思いますが、本筋は援助の問題は別だと考えておくべきじゃないかと思っております。
○西田信一君 時間がありませんから次の問題ですが、これは自動車や、いろいろな質問がいろいろの角度からあるのでありますが、一応ひとつ四十二年度の経済見通しについて、しばしば御説明いただいておるわけでありますけれども、念のために伺っておきたいと思います。 来年度の経済については、宮澤長官は財政演説でこう言っておられる、生産や出荷は引き続き拡大基調にあり、卸売り物価は強含みであり、消費者物価の騰勢には依然として根強いものがあるけれども、輸出の伸びの鈍化、輸入の増加という最近の動きに注意して弾力的な財政金融政策を進めてまいるならば、実質九%の安定成長は可能であろう、こういうふうに述べておられる。景気過熱の警戒信号と見る向きもいろいろ政府のおことばに対してあるようでありますが、実は鉱工業生産について一月の速報指数は前月に比べて非常に大幅にふえたんですね、三・三%と。こういうことから、どうも前の神武景気のときと同じように伸びるのではないかということを問題にしている向きもあるようでありましたが、その後の確報数字は下がっておって、二・六%になっております。また、二月の速報では、かえって低下傾向を示しておるようでございまして、なかなかこういう点から見ると、予測はむずかしいと私も思うわけです。また、国際収支について見ましても、IMF統計で一月が二億三千万ドルの大幅な赤字を示したんですが、しかし、これも一月は季節的な国際収支の赤字月ということを考えますと、基調としては、さきほどの心配を要しないというような見方もあると思うんです。また、卸売り物価について見ますと、一月の指数は若干上がっております、〇・八%ですか、上がっておるように思う。こういう一連の経済指標というものを基礎にして見た場合に、四十二年度の経済見通しについては、どういう見解というか、見通しを持たれますか、こういうことをひとつ経済企画庁長官あるいはまた通産大臣にお聞きしてみたい、こう思うんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに、一月と二月の統計は多少いろいろ問題があるように思います。ことに一月の場合は、前年の一月に海運ストがございましたから、前の年と比較が非常にむずかしいということ。それから二月の生産指数は、新たに建国記念日が入りましたので、一日、前の年より少ないといったようなことですから、一月、二月でどうもいろいろなことが判断しにくいように思うわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、信用状なんかを見ておりますと、これは二カ月ぐらいの先行指数でございますが、かなりやはり輸出の伸びがよくない――輸入が多い、輸出の伸びがよくないと申すべきじゃないかと思うんです。ですから、先はやはりかなり注意しておく必要がございますし、先ほどの各銀行等の設備投資予測なんかも相当高くなっております。ですから、総合収支で国際収支をゼロと出しましたのは、これはまあゼロ以下はやはり困ると思いますので、かなり、どう申しますか、経済は早く進むぞというように考えておいたほうがいいんじゃないかというように思っております。
○西田信一君 経済企画庁長官にもう一つだけお聞きします。 それはいま暫定予算を審議しておるわけですけれども、暫定予算が国民経済にどんな影響があるだろうかという点でございます。今回、総選挙のために本予算の成立がおくれました。これはやむを得ない。そこで四月、五月の暫定予算となったことは、これは事情やむを得ないと思います。しかし、経済に対する影響というものはやはり相当あるんじゃないか、こういうふうに本予算がおくれたということによって、心理的にもあると思うんであります。ことに昨年は公共事業というものが非常に支出の促進をおやりになったわけでありまして、そういうことに比べますと、たいへん差が出てくるような気がいたします。ことに建設業界等は、ちょうど去年の裏目が出てくるのではないかというような心配も相当あるようであります。受注減というようなことも出てくるのではないかといういうなことから、中小の建設業なんかの倒産がずいぶんふえるのではないかというようなことも心配されるわけでありますが、こういうような点について、どんなふうにお考えになるのか。また、ことしの四、五月の対民間と国庫との収支関係、これは昨年と比べて、どんなような動きを示すであろうか、こういうようなことについて、暫定予算があまり影響がないのか、もしあるとすれば、それに対するどういうふうな措置が必要か、というようなことをひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今度暫定予算を組みましたときに、これは主として大蔵大臣の御所管でございますけれども、一部からは相当御批判がありましたけれども、公共事業など、かなり思い切って入れております。ことに積雪寒冷地についてはよけいにしておりますので、これは私は非常に妥当なやり方ではないかと思います。したがって、過去の暫定予算の場合に起こったようなことは大体起こらずに順調にいくのではないだろうか。生活保護なんかについても同じことでございますが、そういうふうに考えていいんじゃなかろうか。また、国債発行についても御批判がございますけれども、四月、五月はかなり対民間との関係では、金融はゆるむ時期と思いますので、この際に発行することは適当なことではなかろうか。で、総合いたしまして、私は、まあこういう暫定予算であれば、悪い影響はない、むしろ、いい影響があるのではないか。たいへん大づかみのことでございますが、そう思っております。
○西田信一君 いろいろな配慮を加えられまして、従来と内容的に相当違う暫定予算が組まれておりますから、ことに積雪寒冷地に対する特別な配慮もなされておりますし、そういう面ではやや安心できるというような気がいたします。ただいまの御答弁で、そう従来の暫定予算のような日本経済全体に対する影響はなかろう、こういうことでございますから、ぜひそうありたいということでございまして、これ以上はお聞きをいたしません。 それから、続いて、これは自治大臣にひとつお聞きしたいんでございますが、暫定予算が国の経済全体に対しては、いまの御答弁のようでございますけれども、地方財政に対してどういうような影響があるだろうか、どういうような意味において、ということでございます。この暫定予算の期間中の地方財政の収支状況につきましてはへ今回の暫定予算では、四十二年度の予算を基礎にして、年間のたとえば交付税に四分の一組ませるというようなこともありますし、公共事業につきましても、先ほどのお話のように、積雪寒冷地帯につきます事業費の特別な配慮、補助金の交付というようなこともおきめになったようでありますけれども、本予算の成立がおくれるということによる影響ば、やはり私は若干免れないであろうかと、こう思うわけです。そこで、暫定期間中におきます地方財政の資金の収支等がどんな状況になるかということとあわせて、ひとつ地方財政に対する影響について御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(藤枝泉介君) 国の暫定予算が地方団体の運営に支障のないようにあらかじめ各方面に要請をいたしておったところでございまして、ただいまお話がありましたように、公共事業費あるいは社会保障費等については、十分な費用を組んでいただきましたし、御指摘にありましたように、地方交付税でも四分の一を組みましたので、大体影響なしにやっていけるつもりでございます。全体といたしましては、四月から五月へ七百七十億ほど、五月から六月へ六百億ほど繰り越せると見込んでおります。ただし、各個々の団体におきましては資金繰りに困るところもあろうかと思いますが、それについては、つなぎ融資の準備をいたしておる次第でございます。
○西田信一君 次に、地方財政においてお伺いをしたいのでございますが、第十一次でありますか、この間の地方制度調査会では、相当長期間にわたりまして、国債発行下におきますところの地方財政のあり方ということについて、かなり積極的な真剣な検討が行なわれました。昨年の十二月に答申がなされたわけでありますが、それによりますと、国から地方に配分される財源のめどを国税及び国債収入との比率を数字で示しておるわけですね、二三%。こういうようなことが適当であるというふうに述べておるわけでございますが、こういう答申の趣旨というものが、この四十二年度の地方財政対策にどういうふうに取り入れられておるか、この答申がどのように活用されて尊重されておるかということにつきまして、大蔵大臣に続いて自治大臣からひとつ補足説明を願いたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 御質問の地方制度調査会の答申でございますが、いま言われました二三%というこの調査会の答申だけは、われわれはどうにもこれは承認できない、国税と国債というものを全く同じに見ておる。もしそうだとしますというと、国債は国が償還していかなければなりませんし、地方は、その必要はないと、国が公債を出すということに基づいてこういう比率の交付を地方にしなければならぬというようなことをしたら、国の財政はがたがた来てしまうということで、これは昨年の非常に地方財政の悪いときにいろいろこの調査会が心配されてつくられた答申だと思いますが、本年度は昨年の答申のときとは事情が違いまして、非常に地方税も収入が多いし、国の交付税も非常に多いというようなことになりましたので、この答申のほかの部門だけは答申の線に沿って私どもは今度措置いたしました。たとえば特例事業債を廃止して、普通の地方債を非常に充実したこととか、昨年の特別事業債の事後処理の問題、それから市町村の道路財源等の問題に関連して、臨時地方財政交付金を百二十億円交付するということ、それから、いわゆる超過負担の解消でございますが、昨年に引き続いて二年間で見ますというと、六百億円をこす大体超過負担の解消というようなことも措置いたしましたし、また、地方債のうちでも、さっきお話がございました公共用地の先行取得事業債、これの六十億のワクを設けたというようなこと、それから辺地に対する一般単独事業債を設けるというようないろいろなこと、そういうことが大体答申の趣旨でございましたが、その線に沿った措置はいたしましたが、いま問題の、この二三%、これはたいへんな問題で、まだまだこの問題に触れますというと、中央地方の事務配分から経費の配分というような、もっと大きい問題に触れるものではございますし、まあとにかく、国債と国税を一緒にした考え方というものは、根本的にはわれわれには承知できない、こういう事情で、そのほかのものは答申の趣旨に沿って地方財政についてのいろいろな努力はしたつもりでございます。
○西田信一君 答弁伺いまして、わからないこともないのでありますけれども、公債発行下における地方財政の考え方は、公債発行をしないときとは非常に内容的には違っておるという意味でいまお述べになったのでございましょうか。二三%ということは別として、その他の面でいろいろめんどう見ているということをおっしゃった、それからまた、地方財政は相当財源に余裕が出てきているということも、政府の御説明でも出ておりますけれども、実際はなかなかそうでないと思うのですが、国債発行下における考え方は、国債発行しないときとは、地方財政についても非常に別な考えをしているというふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 国の公債発行、これに対応して地方税で研究されることは、いま国の公債依存度を見ましても、中央と地方では、地方のほうが非常に少ない、国が公債を出す、これに対応する地方税のあり方はどうかといいますというと、やはり地方債の問題との関連で合理的にいろいろ解決する方法はあろうと思いますが、そうでない答申案のような形のものは筋違いじゃないかというふうに考えております。
○国務大臣(藤枝泉介君) 第十一次の地方制度調査会の答申第一は、例の二三%論でございます。これはいろいろ御意見あろうかと思いますが、実際、四十二年度予算におきましては、たばこ消費税の引き上げその他によりまして、総計で大体二一・五%ぐらいに、あの考え方ではなっております。しかし、そのほかに地方税も伸びが相当ございますので、大体地方制度調査会が御懸念になったようなことはないと存じます。 第二は、特別事業債はただいま大蔵大臣の仰せのとおりでございます。地方、ことに市町村の道路財源につきましては、十分な解決を見なかったわけでございますが、臨時地方財政交付金に二十五億円を計上いたし、それから超過負担及び零細補助金整理統合でございますが、超過負担には四十二年度におきましては、大体二百六十六億ぐらいの解消をいたしておりますが、まだ相当残っておりますので、今後、来年度の予算編成をめどにいたしまして、財政当局と十分打ち合わせをして、計画的に解消をいたしてまいりたいと存じております。零細補助金の整理統合約五億、その他補助金のうちにメニュー化されたものが相当ございますことは御承知のとおりでございます。
○西田信一君 自主的に審議会答申のようなものに近づいているという御趣旨でございますから、自治大臣もそれをお認めになっておりますので、その問題はこれといたしまして、ただいま自治大臣ちょっとお触れになりましたけれども、私は、市町村のいろいろな事業の中で非常に一番おくれておる道路、市町村道路等にすでにもうウエートを移していかなければならぬ、だんだん施行していかなければならぬという時期が来ておると思うわけであります。これにつきましては、まだ今度は予算上の結論が出なかったということをいまお述べになりましたが、そのとおりでございますけれども、市町村のいろいろな事業でありますが、市町村道路の整備ということにつきましては、相当積極的にこれから考えてやらなければならぬ問題であると考えるわけでございまして、この問題について、この財源確保という立場から、大蔵大臣にも自治大臣にもひとつ御見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(藤枝泉介君) お話のように、今後、道路の整備が地方の、ことに市町村道等に移行するものと思います。新しい道路五カ年計画はその大ワクが先般閣議で了解されただけで、その内容につきましてはこれから詰めるわけでございますが、この道路計画と相待ちまして特に市町村道の道路財源につきまして十分考慮をしてまいりたいと存じております。
○国務大臣(水田三喜男君) いま、自治大臣の言われたとおりでございます。五カ年計画の内容をきめていく過程で検討しようということになっております。
○西田信一君 道路五カ年計画の内容を検討される際には、ぜひともこういう問題について特別御配慮を願いたいということを希望いたします。これは市町村道と申しましても、市町村道だけでなくて、市町村では、たとえば農村等では林道あるいは農道等もこれはもう重要なものでございますから、こういうことも含めてひとつ御検討願いたいということを希望を申し上げておきます。 次に、受け持ちの時間もなくなりましたが、在外資産問題について、これは総理からもひとつお考えをお輝きしたいと思いますし、また、御担当の総務長官からもお答えをいただきたいと思うわけでございますが、政府は戦後処理の最終のものとして在外資産問題をこの国会で措置するということを明らかにせられました。かつて国策に沿って、国の政策に沿って海外あるいは大陸等で活躍しておった方々、六百数十万の引き揚げ者は非常な私はこれに対して大きな期待を持っておると思うわけであります。総理は本会議でも在外財産問題審議会答申の線に沿って適正な措置をする、こう仰せられました。そのとおりであろうと思いますが、そこでお聞きをいたしたいのは、こういう問題は、何と申しましてもやはり一面において非常に強い希望がございますし、これも十分あたたかい気持ちで考えてやらなければならぬと思います。一面また、国民が納得するものでなければならぬという立場もございます。 そこで、この問題は、今国会で始末をつけるということでありまするから、これに対しまする政府の基本的なお考え、いまここで在外財産問題審議会の答申の線に沿って云々と言っておられますが、どういう考え方、理論的な根拠をどこに置いてこの措置をされるのか、あるいはされるお考えであるのかということをお伺いしたいと思うわけであります。私は、外地においてほんとうに営々として働いておった人たちが全く生活の根拠を根底から失ってしまったということにおいて、他にもたくさんのとうとい戦災の犠牲がありますけれども、それとはまあ多少意味が違うと思います。あるいはまた、非常に、引き揚げ者たちの言っておることを聞きますと、自分たちは直接賠償とは言いませんけれども、何か戦後処理に、国家のためにお役に立った、こういうような気持ちがあった、それをくんでもらいたいというようなことを申しておるわけであります。 そこでこの問題に対するできればひとつ政府の大体の考え方、措置の大綱といいますか、こういうものがもしおありならばひとつお伺いをいたしたい、こう思うわけであります。
○国務大臣(塚原俊郎君) 在外資産の補償の問題につきましては、昨年十一月審議会の答申も出ておりますし、また、総理も施政方針演説の中でこの国会で法案を提出して片づける、この問題で戦後の問題は一応終わらせたいという気持ちでいまこの法案の作成にかかっているわけであります。言うまでもなく、資料を集めるのに非常に苦慮いたしておりまして、この世帯数あるいは総人員がどれくらいになるか、関係各省と打ち合わせて大体の推定の数量は確保いたしましたけれども、今度はどれだけのものを特別の交付金としてこれを支給するか、もちろん法律案は特別交付金で支給する法律案になるわけですが、そこで財産を単に失ったというだけではなく、生活基盤を失った、その土地における対人関係というものがゼロになったという特殊な事情を考慮いたしまして、強い御要望もあると存じておりますので、また一方、今日の国家財政の状況ともにらみ合わせまして、またこれは非常に世論が鋭く見守っておりますから、最後の戦後の処理の問題としていかように扱うべきかということでいま関係各省と協議しながら法案の作成に急いでおるわけであります。できるだけ早い機会にこの国会に法案を提出して御審議をお願いしたい、このように考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま塚原君がお答えしたとおりでございます。
○西田信一君 非常にむずかい問題でございますから、なかなかたいへんだと思いますけれども、いまお述べになりましたような一切の生活の基盤を失ったと、あるいはまた、国の多少お役に立ったという気持ちをくんでやるというようなあたたかい気持ちで御処理を願えれば、私は引き揚げ者は納得するだろうと、こういうふうに思います。善処をひとつお願い申し上げておきます。 最後に一つ聞きたいのでありますが、一九七二年の冬季オリンピックが札幌で開催されることにきまりました。この四十二年度の予算にも競技施設の設計調査費、ことし設計を終えてしまうということに対する設計調査費でありますとか、あるいは選手強化に対する若干の予算等が計上されております。私は札幌招致がうまくいったということの最大の理由は、あのすばらしかった東京大会の大成功、これにあると、こういうふうに思うわけであります。これは否定できないことだと思います。それだけに札幌大会というものを、やはり東京と比べて規模は小さくても、劣らない負けないだけのりっぱな大会に終わらせる、内容的に。ということはぜひ必要であると考えていかなければならぬと思っているわけでございます。 そこで少しく実情に触れて申し上げたいのでありますけしども、じゃ、東京大会と札幌大会と比べてみたらどんなふうに違うかということでありますが、まず第一に、規模が小さいことは確かであります。しかしながら、違っている点を数点あげますと、冬の場合は日本でまだ全く経験をせざる種目も消化していかなければならぬという課題を背負っている。これが一つ違う。それから北海道でありますから、積雪寒冷のために実際は一年の半分しか工事ができません。したがって、実質的な工事というものは実際には東京あたりと比べて二分の一しかないということを考慮しなけりゃならぬと思います。それから、どうせ日本でやるオリンピックでありますから、やはり日本選手に大いに活躍をしてもらわなきゃならぬ。日本の各競技の国際水準はどうかと申しますと、夏に比較すればまだやや低いというのが実際だと思います。したがいまして、これをもう少し水準を上げて、そしてりっぱな成績をあげる。オリンピックを成功させるためには、やはり日本選手の活躍というものがなくてはほんとうの意味の成功にならないという意味において、これも大事なことだと思っておるわけであります。そらからまた、もう一つ違う点は、東京とか大阪とかと違いまして、北海道は地方団体の財政力等も決してこれは強くない、むしろ弱いということがあげられると思うわけでございます。こういうような実態を十分考えて、そしていろいろな計画をしていかなければならぬと思うわけであります。この意味におきまして、組織委員会や体協等でもいろいろ具体的な計画を立てて政府に要請をしておることだろうと思うわけであります。そういう意味におきまして、政府といたしましては、どういうスケジュールで大体の準備を進められるのか、組織委員会の要望等もあわせて、ひとつこの点をお伺いいたしたいと思います。 また、同時に伺いますならば、まずその施設というものが、関連施設は別でありますが、競技施設等はいつごろに完成して、そしてオリンピックに備えるというようなお考えであるかということであります。それからまた、これは相当の設備費がかかるわけでありますが、当然、これは相当国でごめんどうを見ていただかなければならぬと思うわけでございます。万博もたいへん準備が進んでおるようでありまして、万博に対しましても相当の高率補助をお考えになっておるようでございますが、私は、それ以上にひとつごめんどうを見ていただかなきゃならぬと思うわけでございます。万博は物のオリンピックであるとも言える。北海道の場合は人間の能力のオリンピックである。逆に言えば、札幌は人間の能力の博覧会だということも言えると思うんです。その意味におきまして、ひとつ同様な考え方で御援助願わなきゃならぬと思います。また、準備を進めていただかなきゃならぬと思いますが、ひとつこのことにつきまして、御担当の文部大臣からまずお伺いし、総理からひとつ、総理のサインによってこの招致は成功したわけでございますから、ひとつお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(剱木亨弘君) お答えいたします。札幌オリンピック冬季大会が一九七二年に開催されることになりまして、これが東京オリンピックに比較しまして劣らないようなりっぱな成績をあげるということのためには、相当いまから準備をしなければならぬと思います。西田委員も申されましたように、ただいま組織委員会で着々と準備の相談をしていただいておるのでございますが、この組織委員会には私ども関係閣僚も入りまして、できるだけの協力をいたして、完全に成功するようにという準備を進めたいと思っております。準備におきましては、いま申されましたように、競技施設の準備をどういうふうにしてやるかということが一つと、それから競技種目が、特に冬季の、スキー、スケート、アイスホッケー等におきましても、冬季の競技は日本は非常に弱いのでございます。まして、いま申されましたように、三種目、全然日本でやったことのない種目がございます。また、開催国である限りにおきましては、この六競技、三十五種目ですか、これに、全種目にわたって選手を出すことが義務づけられるわけでございますので、この選手養成並びに強化活動、これが一つの、いまから相当早期に準備をしなければならぬ問題だと思います。 そこで、競技施設のほうにつきましては、四十二年度の予算にオリンピック関係としまして二億二千万円ばかり計上し、各競技場の設計等につきましてもこれをちゃんとすることにいたしたのでございますが、これから各競技場の分担区分をきめまして着工し、そしておそくとも昭和四十六年のプレ・オリンピックまでには全部一応完成したい。そこで、そのためには、やはり四十二年ごろから設計をし、三年、四年におきましてこれを完成しなければならぬというように、相当工事としましては急ぐ問題だと思います。それに万遺憾のないように、政府としましても協力態勢でやってまいりたいと思います。 なお、この選手養成の面につきましては、非常に珍しい種目もあることでございますが、五年後のことでございますので、その教育対象になりますのが、相当若い世代の青年から教育しなきゃなりません。これは体育協会等が主として責任をもってやりますが、この体育協会の選手養成に対しまして、政府といたしましても十分協力をしてやっていくということと、もう一つは、学校体育におきましても、このオリンピックに備えまして広い層にやはり冬季競技の教育をしていくというので、準備を進めてまいりたいと思っております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一九七二年の冬季オリンピック、これを札幌に招致することができたことは、これはたいへん国民といたしまして喜びにたえません。ましてや西田君は、当初からこれに関係してこられて、これがいよいよ招致ができた、きまったと、こういう意味で、札幌、北海道代表の方としてひとしおのものがあるだろうと思います。この成功は、申すまでもなく、オリンピック東京大会、これが大成功であったと、その結果が招致がきまったのだと、かように御指摘でありますが、私も、皆さま方の熱意もさることながら、この東京大会の成功、これが大きく影響しておるだろうと、かように思います。東京大会、これが成功いたしましたので、今度は私どもは、日本の名誉にかけても、札幌オリンピック大会、冬季オリンピック大会、これを成功させなければなりません。ただいま御指摘になりましたように、設備等におきましても、自治体の財政力もまことに弱い、したがって、国の積極的な援助がぜひとも必要だと、また、競技種目等においても、わが国が初めてのものもあるんだと、こういう意味で、選手強化の面におきましても、あまり恥ずかしくないようなりっぱな成績をあげるようにぜひともしなければならぬ、かように思います。まだ五年後と、かように申しましても、もうすぐ日がたちますので、この際にさらに積極的に力を結集して、そして成功に導くようにあらゆる努力をしなきゃならぬと思います。ただいまその中心になるものがオリンピック組織委員会であり、あるいは体協等であると思いますが、政府も、これをぜひ成功さすと、こういう意味で、皆さん方とともどもにさらに積極的にくふうし、また努力してまいるつもりでございます。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして西田君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、瀬谷英行君の質疑に入ります。瀬谷英行君。
○瀬谷英行君 恵庭事件の判決の問題でありますが、先ほどいろいろ御論議があったところでありますが、この判決を妥当と思われるのかどうか、本件に対する総理の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、まあ司法権に属する事柄でございますから、ただいまあまり私の考え方を申し上げないことにいたしております。これが、ただいまの三権分立のたてまえから申しまして、当然のことじゃないかと、御了承を願います。
○瀬谷英行君 三権分立はわかっておりますけれども、これは自衛隊の問題、憲法の問題、関係しておりますので、やはり国会議員として、総理としてのしっかりした見解を披歴してもらって一向差しつかえないと思う。本日の新聞等によりますと、官房長官は、常識的に予想されていたことであって何もふしぎはないんだと、こういう意味のことを発表しておられます。官房長官にお伺いしたいと思うのですけれども、あなたは、常識的に予想されておった、つまり、この判決はおおむね妥当である、このように感じられたのかどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(福永健司君) どの新聞にそう出ておりましたか、新聞によりましていろいろの書き方をいたしております。私、さようなことは申しません。
○瀬谷英行君 新聞を持ってきて広げてもいいけれども、新聞には官房長官の談話というものがたくさん出ておりますから、言った覚えがなければ、あなたがおっしゃった要旨をここで述べていただきたい。
○国務大臣(福永健司君) 総理大臣談話、あるいは官房長官談話というようなものは出した覚えはございません。
○瀬谷英行君 談話を出した覚えがなくても、新聞に名前が出ておるのだから、それじゃ、あなたの見解をお伺いしたい。
○国務大臣(福永健司君) 私は、見解は何も述べておりません。
○瀬谷英行君 述べてないのならば、ここで述べてもらいたい。
○国務大臣(福永健司君) さきも総理大臣が言われたようなのと同じような趣旨に事いて、内閣のスポークスマンとして、これについての見解を述べる意思はございません。
○瀬谷英行君 見解を述べる意思はないと言うけれども、いままでの各大臣、それぞれ見解を述べているわけです。そこで、何をおじけづいたか知らぬけれども、官房長官、あれだけ新聞に名前が載っておりながら、引っ込んだのです。 それじゃ、あらためて私はもう一度、官房長官にじゃなくて、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。合憲を立証されたと、本判決によって合憲を立証されたということになると思うのかどうか、本件についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(増田甲子七君) 自衛隊法百二十一条に抵触せずというのが判決でございます。そこで、裁判官は、自衛隊法百二十一条を含む自衛隊法を認めておるという前提に立った判決というふうに私は考えております。
○瀬谷英行君 自衛隊法を認めておる。で、そこでこの判決は無罪になっておる。行為というものは、言うなれば、犯罪行為、刑法上の犯罪行為というものがあったことは間違いない。ところが、それが結論として無罪になった。これはまことに奇異の感を抱かざるを得ない。だから、この判決が妥当であるかどうかということを私は聞いておる。今度は法務大臣にお伺いします。
○国務大臣(田中伊三次君) こういうことでございます。裁判所の判決をつまびらかに読んでみましたら、読んだ結果、これを一口に申しますと、自衛隊法に規定してある「防衛の用に供する物」というものを、特に、法律が、特に刑法があるにかかわらず、刑法でなくて、特に強い刑罰をもって自衛隊法で守っておるのは、これは刑法の器物毀棄と、自衛隊法に要するものをこわした場合とは、質が違うんだ、どう質が違うのか、同じものではないか、こういうことになるわけでありますが、それに対する裁判所の判断が、刑法にいわゆる器物毀棄は、一般の器物を毀棄することによって守られる法益であるけれども、自衛隊法に書いてある規定からいうと、これは器物の毀棄ということでなくて、おもしろい言い方をしておるのでありますが、器物毀棄でなくて、公務の執行を妨害するという観点に立って、その妨害を守るための法律である、公務執行妨害的規定である。国が法律をもって守ってやる法益が違うのだ。よって法益が違う場合には、器物毀棄で有罪の判決をすることは法律上できない。同じ法益である場合においではできるのでございます。違う法益である場合においては、あるいは訴因を変更するとか、起訴をし直すとか、何かのことが行なわれない限りは、法益が違う場合には、こちらは無罪だがこちらは有罪で判決をするのだという判決はできないと、こういう合理的な立場に立っておるわけでありまして、裁判所の判断は、まことに合理的であろうと思います。
○瀬谷英行君 裁判所の判断は合理的だと、こういうふうにおっしゃったけれども、それじゃ、法の適用をあやまったのかどうか、法の適用をあやまったとすれば、裁判所のミスということになる心しかし、ミスをおかして判決を下したということが妥当であるということには今度はならぬと思う。だから私は先ほど総理にも質問をしたのですけれども、妥当と思うのかどうかということを聞いているわけです。だから裁判所のミスであり法の適用をあやまったものである。手続上としてはそういうことであるが、結論としてはこれは妥当である、こういうふうにお考えになるのが、やはり裁判所のミスと、こういうふうにお考えになるのか、どちらかということを伺いたい。
○国務大臣(田中伊三次君) ミスであると言い切ることはできないと思います。
○瀬谷英行君 それじゃ、無罪は全くの無罪である。何らとがめられることなし、被告については、とがめられること何らなし、このように解釈をされることになるのですか。
○国務大臣(田中伊三次君) そういう内容のことを、ここであなたと私との間に論及していきますことは、いやしくも立法府の立場で、裁判官の心情なり法の適用に関していろいろ論及していくということになる、それは慎むべきものではなかろうかと思うので、あえてミスとは言えないという、このわかったようなわからぬ私は答弁をしておるわけでございます。これがミスであるとか、いやミスでないとか、何を言うかとかいうことを言う余地があるといたしますならば、刑事訴訟法の手続によりまして、検事なり本人なり裁判官なりの間に、三者の刑事訴訟関係人の間に所論を戦わし、攻撃防御の訴訟手続をとって最高裁において争う、控訴審において争うというふうにいくことが、三権分立の立憲国の態度ではなかろうか。あまりここであなたと私が議論をしておりますと、知らぬ間に裁判所の職権を侵してしまっておるというふうなことにもなるおそれがあります。私はそう信ずるのでございます。
○亀田得治君 関連。また多少微妙になってきたのですが、法務大臣にお聞きしますが、一審の無罪判決が出たと、検察庁の考えが退けられたわけですね。したがって、控訴しないでこのままで終われば、検察庁のミスであったと、これはたとえ仮定のことであっても、はっきり言えるでしょう、出したのが無罪になったのだから。その点ではいかがです。
○国務大臣(田中伊三次君) 先生の仰せになることでありますが、私はそこまで言っちゃいけないと思うのです。公判廷において判決を言い渡したものは、判決の主文及びその主文を言い渡すに至った中身としての理由を公表しておるわけでございます。公表された主文の意味、その主文を導くに至った理由の意味、裁判官の申し渡した裁判の趣旨はこういう意味であったという意味を解明することはよろしい。意味の解明を一歩越えて、これはけしからぬとか、これは当を得ないとか、これはミスであるとかないとかいうことに論及することは、訴訟手続においてやるべきことで、訴訟関係人以外、ことに三権分立の思想の上からいいまして、立法府でやるべき事柄ではない、こう判断いたします。
○亀田得治君 私は、裁判のことじゃなしに、検察庁のことを聞いておるのです。これは法務大臣の指揮下にあるわけですから、十分また国会でも論議の対象にしてもらっていいわけです。結局検察庁は、百二十一条の防衛物件に該当するのだと、こういう立場で起訴をしたのだけれども、それが退けられたわけなんです、はっきり。そうすると、これはもう常識的に考えたって、控訴をしないで確定すれば、これは検察庁のミスであったと、これだけははっきり言えるじゃありませんか。
○国務大臣(田中伊三次君) 仰せのとおりでございます。検察庁の立場では、ミスであるとかないとか大いに理由を付して力を入れて言わねばならぬ。それは言う考えでございます。それの言う言い方、行き方でございますが、これは私がこの席であわてて言明をせずに、本日より数えて、判決の翌日より数えて二週間の間があるわけで、四月の十二日までゆっくり考えて、今度は負けないようにしっかり考えました上で、独自の見解で検察当局が態度を決する、そして私のところにそれを持ってくるのを待つ、私のほうからは指揮権の発動をしない、こういう態度でいきたいということは、午前中申し上げたとおりでございます。
○亀田得治君 そのお答えの中から感ずることは、今度は負けないようにしっかり検討してとこういうふうにおっしゃっておるわけなんです。だから、その態度は、当然これは控訴に通ずるわけですがね。一審の判決で否定されたわけだから、負けないようにということは控訴しかない。こういう場所で論議するよりもそれは裁判所でやらなければいかぬことだと法務大臣みずから言われるわけですから、これは普通の、仮定のことを言っておるのじゃないのでして、十分その点を期待しておきます、これは。これは当然そうあるべきなんです。 それからもう一点お聞きしておきますが、防衛庁長官などのお答えを驚いておりますと、この判決によって自衛隊法の合憲性が認められたと、こういうふうな感じのする答えをしておるわけなんです、いま速記録も取っておりますが。しかし、それは政府の皆さんがそういう立場に立っておるからそういうことを言うわけであって、判決自体はそうはなっておらぬのです。ここにいま裁判長が法廷で読み上げたその速記録が来ております、判決が。これによりましても、ずっと自衛隊法百二十一条の適用の問題を判決理由の中で書いてきて、最後にこう言うておるわけなんです。「よって、弁護側から主張されている憲法問題についての判断にはいるまでもなく、被告人両名の行為は罪とならないものとして、無罪を言い渡す」、こうなっているわけなんです。だから、憲法問題には入っていないのですよ。ところが、かりに百二十一条というものをとって考えてみても、そこには入らぬと。入らぬから、これはもう無罪放免。したがって、もうほかのことを判断する必要がないのだと、対象がないわけだから。そういう立場なんですよ、この判決は。それを、その判断はしないと言うておるのに、かってにこの判決によって自衛隊の合憲性というものは認められたというのは、これは判決に対するつけ足しですよ、政府側の立場に立った。それはちょっと言い過ぎじゃありませんか、どうですか。防衛庁長官先に答えて、それから法務大臣また正確に答えてください。
○国務大臣(増田甲子七君) 先ほど私が申し上げた速記録をよくごらん願いたいと思います。すなわち、私の申しておることは、百二十一条に抵触しないというのが判決でございます。そこで、百二十一条にいわゆる「防衛の用に供する物」と言うを得ずと、こういうのが判決の理由になっております。ということは、裁判官が百二十一条を含む自衛隊法を認めたという前提から立っておるということを言って覚るのでございまして、合憲とも非合憲とも私は申しておりません。裁判官が自衛隊法の存在を認めたという前提から判決を下しておるというふうに私は解釈をいたしております。
○国務大臣(田中伊三次君) 今度は負けぬようにしっかりやりますということでございます。それはここでお話をしている間にそういうふうにことばが出てくるわけでございまして、私の本旨が間違うと、申し上げた大事なことが間違えますので、もう一度一口に申し上げますが、控訴を――これは跳躍でございませんで、控訴でございます。控訴をするかせぬか、する場合においては、いかなる内容をもっていかなる理由をもって控訴をするかということは、すべてあげて信頼しておる検察独自の考えに待つのだと、こういうふうに私の答弁をはっきりお聞き取りをいただきたいと存じます。 それから、ただいま増田大臣の仰せになりましたことでございますが、せっかくのお尋ねに対して、やはりこれは判決の解釈、公表された解釈に関する問題でございますので、私から一言これも誤解のないようにお答えを申し上げてみますと、増田大臣が仰せのように、本件の判決の理由は、無罪の理由は、自衛隊法に言う防衛の用に供したる物と考えられないと、こういうことが理由として明示されておる。そう明示される以上は、それじゃ、この自衛隊法というものの存在を認めておるから解れるとか触れぬとかいうことがあり得るのであろうと、これもまたもっともな話でございます。そうすると、自衛隊の存在というものも認めておる。憲法上存在を認めないものならば、そういうことが言えぬわけであります。こういうふうにこれを延長してまいりますと、正式の法理学上の解釈拡張論というわけにはまいりませんけれども、この判決を拝見をいたしました政治家なり一般国民なりというものの印象的な観測をいたしますというと、インプレッションとしては、確かにこれは合憲のものと認めたものだ、違憲だったら、こんな判決をするはずがないと、こう解釈をすることも、けしからぬ間違ったことを言うておる、曲げたことを言うておると言うわけにはいかぬのではなかろうか、こう考えておるのであります。
○亀田得治君 その裁判の経過を抜きにして、この判決などの正確な解釈というのは実際はできないのです。これは判例を引用する場合でもお互いにそうです。ことばが一緒であっても、まるっきり事案が違うことはたくあんあるわけですね。ともかく、本件の公判で憲法問題が非常に論議になり、指摘してきたわけであります。それで、それについての判断をしないと、こう言っているわけですよ。はっきりこの判決の最終で、そんなことは何も書いていない。ただずっと自衛隊法百二十一条の適用の問題だけを理由でずっと書いてきて、したがって無罪と、こう来ているのと違う。わざわざ裁判所はこの憲法問題についての判断をしませんと、こう書いておる。だから、うんと明確に言えば、かりにある自衛隊法百二十一条なんですよ。かりにある。かりにあるのですよ、これは。そういう解釈も十分成り立つのですよ。かりにあるその自衛隊法百二十一条を持ってきても、それには当たらないのです。無罪にする場合には、そういう考え方でいいわけですね。かりにそれだとしても、これは検察庁が百二十一条だと言うから、かりにそれを適用してみても、これに当たらない、こういうことなんです。憲法問題は判断しませんと、はっきり断わっておるのですよ。こういうものについて自衛隊法が認められたの認められないの、そんな問題にはこれはなりませんよ。これを適用して有罪にしていったということなら、かりにといったような問題は、これは当然出てきませんよ。かりにという問題は、無罪にするのだからそれに当たらぬ、したがって、そんなめんどうくさいことは要らぬ、こういう意味なんですからね。こういう判決から、皆さんの立場としては、何とかプラスアルファを引き出したいところであろうが、そういうことをやっちゃいかぬと思う。それをほんとうにやるなら、控訴してそっちでやるべきなんです。そう思いませんか、法務大臣。
○国務大臣(田中伊三次君) 仰せのとおり、判決の中身にははっきりと憲法問題には触れないということが明らかになっておりますから、それはおことばのとおりであります。同時に、自衛隊を、かりに自衛隊法をかりに有効とするならば、などということばはないわけで、そういうことはありません。ありませんから、印象的に一般国民が、法律家でない常識をもって国民が印象としてこの判決を拝見するならば、これは合憲の判決だなと、新聞にも書いてありましたが、そういうふうに思うことはおかしいことはないということを言っておるわけです、私は。私がそう思っておるとこう言っておるのではない。世間がそう思うのは無理はない、こういうことを言っておるわけです。
○委員長(新谷寅三郎君) 亀田君に申しますが、関連質問ですから簡単に願います。
○亀田得治君 もう一点。 そうすると、法務大臣なり防衛庁長官の先ほどからお答えになっておること、これはこの皆さんの、お二人の主観的な見解と、こういうことでしょうな。政府で相談して、公的にこういうふうにきめておるというふうなものではなかろうと思うのですが、そこだけ確かめておきます。
○国務大臣(田中伊三次君) 政府がそういうことをきめたわけではございません。世間がそう思うのは無理はなかろうという話をしておるわけであります。
○瀬谷英行君 世間がどう思うかということは、これまたさまざまなんです。あなたのように思う人もいるかもしれませんけれども、そう思わない人だっている。 そこでもう一度はっきりさしておきたいのですけれども、政府としてはそれじゃ合憲かどうかという見解は発表していないと、このように確認してよろしいのか。その理由は、新聞には官房長官の談話であるとか福田幹事長の談話というのが発表になっておる。いま官房長官、言った覚えはない、こう言いましたけれども、新聞には載っております、確かに。私は見違えたのではない。だから、もし官房長官が何らこの問題について意見を述べたことはないんだ、幹事長も言ったことはないのだということになれば、それは新聞がかってに空想をして書いたのだ、こういうことになっちゃうのです。だから、念を押しておきますけれども、政府としては合憲かどうか、これらの見解は何ら発表していない、それから新聞に載っておった官房長官の談話であるとかあるいは福田幹事長がしゃべったとか、これらについてはこれは違うと、このように理解してよろしいのかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、この恵庭判決というこの判決について、とやかく言うのではございません。かねてから、自衛隊は憲法違反ではない、合憲であると、かように確信を持っておる、このことはしばしば申し上げております。だから、これだけははっきり申し上げておきます。
○瀬谷英行君 まあ、そうでなかったら第三次防衛計画なんか立てようがない。それはまあ違憲だとここで総理大臣が認めたらとんでもないことになりますがね。私が言っているのは、政府としてはこの今度の恵庭事件の判決に対して、この判決によって合憲かどうかを立証されたとかなんとか、そういったような見解は発表していないのだ、このように理解してよろしいかどうか、こういうことです。
○国務大臣(福永健司君) 政府のスポークスマンとしての内閣官房長官福永健司は、さようなことにつきましては――いまさようなことと申しますのは、恵庭判決につきまして、これを批判する等のことを一切いたしておりません。
○瀬谷英行君 ここで言ったことがそれじゃほんものである、新聞に載ったのは官房長官の責任じゃないのだ、このようにそうすると理解されることになります。それならそれでけっこうです。で、私はこの判決についてやはり不審の念を抱いた人が相当多いのじゃないかと思うのです。裁かれるのは被告だけではなくて自衛隊でもある、裁判所でもあるということはもう朝日新聞に書いておった。もし合憲であるという立場だったならば、どうして裁判所が合憲であるということを明らかにしないか。犯罪行為、たとえば、この自衛隊のものであろうと何の電線であろうと、電線を切った、そこらの電線を切った、あるいは――高圧線は切らないと思うけれども――何かそういうものを切った、こういうことがあったとすれば、事の大小にかかわらずこれは犯罪行為になるわけですよ。そうすると、そのことは罪になるわけです。それがここでは無罪になった。もし普通だったならば何らかの形で有罪になるものが無罪になったというのは、裁判官自身が、察するところ、宮仕えする者の苦しまぎれの知恵でもって政府の顔も立てる、それから自分の良心にもさからわないということから無罪の判決を下したのではないかというふうに考えるのは常識的なところじゃないか、こう思うのです。これがまあ私の観測なんだし、私自身、残念ながらこの私自身の予想が的中したわけです。だから、総理の見解もそういうところじゃないのかということを先ほどお伺いした。あなた自身が自衛隊を合憲であると認めているだろうとは思うから、そのこととは切り離してこの問題についての所見をお伺いしたのです。再度本件についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 恵庭、通称恵庭裁判、本件については、私の考えは申し上げないと先ほど申したばかりでございます。先ほど来法務大臣がお答えしておりますように、何らの政治的な圧力を加えないで検察当局が事後の処理については刑事訴訟法の手続によってそれぞれ適当な方法を考えるだろう、処置を考えるだろう、それにまかしておく、この考えでございます。
○瀬谷英行君 言いたくなきゃ言わなくったっていいのですがね。言ったところでたいしてそう問題になるようなことはないのですよ。だけれども、慎重を期して言いたくないというなら、言わなくてもけっこう。それじゃ、この恵庭事件の判決について、やはり違憲ではないかという疑念を持つ人がいても私はふしぎじゃないと思う、これが無罪になったということで、これは法務大臣にちょっとお伺いしたいのですけれども、あなたはあなた自身の立場なり考え方でもって合憲という考えを引き出した。しかし、この判決から違憲である、自衛隊法そのものに違憲の疑いが濃いんじゃないか、こういう考え方が出るのも、これまた無理からぬところと理解していいんじゃないでしょうか。
○国務大臣(田中伊三次君) それは、判決が合憲、違憲触れないと言っているのですから、無理な御解釈です。
○瀬谷英行君 そんなこと言うなら、あなた自身が、合憲だといったようなつけ足しをしたことだって無理な解釈、そうでしょう、違いますか。自分の言うことは無理じゃなくて、人の言うことは無理だ。触れてないということは同じなんだから、両方に対して。そういうことになりませんか。
○国務大臣(田中伊三次君) 妙な水かけ論に発展をしてまいりましたが、総理が仰せのとおり、福永官房長官が論及しておられますとおり、私の言うておりますとおり、また防衛庁長官が言っておられますとおり、合憲、違憲に判決は触れていないのだ、ということは、読んで字のごとく判定どおりでございます。ただ印象を言うならば、これこれの事情によって、どうもこれは合憲を前提としておるごときものであると思えぬこともないということを、ここで、議会のことでございますから、裁判所の法廷ではないのでありますから、ここでこれを申し上げておいただけのことでございます。それだけのことでございます。
○瀬谷英行君 印象を言うならば、お互いっこです。あなたの印象も印象なら、こっちの印象だって印象なんです。それはお互いっこだ。要するに、政府の見解としては、憲法の問題に裁判所の判決がずるく回ったのかどうか知らぬけれども、すり抜けちまった、これは確かなんです。だからこの問題に関係する限り、政府としても今日の段階では、違憲であるとかないとか、こういう見解の表明はできないのだ、結論的にね。このように考えるほかないですね。
○国務大臣(増田甲子七君) 私は午前中も申し上げましたが、もう一ぺん繰り返して申し上げます。すなわち、立法府が三権分立のもとにおいて政治を行なっている、これが民主政治で、日本の憲法はそうでございます。そこで、立法府が法律をつくって、みずから違憲と思っているはずはないのでございます。それから、行政府は、法の執行に任じておるわけで、この法の執行をいたしておるわけでございます。きわめて忠実にいたしております。司法府はまた別個の見地から、立法府のつくった法律でも、憲法に触れているか、触れていないかということを判定し得るのでございまして、ただいままでのところ、私は午前中亀田君にお答えいたしましたが、砂川判決において、憲法九条は日本の主権国家として、固有の防衛権を持っていることを否定したものではない。したがって、各種の措置をなし得るということを判決いたしております。これが最高裁の判決でございまして、司法府のいままでの見解であると私は思っております。なお、加うるに、百二十一条違反というかどをもって、有罪の宣告を受け、確定したものが二件ございます。こういうようなものが司法府のただいままでの考えである。とにかく合憲か、非合憲かわからないような、ただよえる姿ではないということをこの際明らかにいたしておきます。
○藤田進君 関連、増田防衛庁長官にお伺いいたしますが、午前中私の質問に関連してさらに出ておりますいろいろ申し上げてみたい、お尋ねしたいことがありましたが、持ち時間が切迫して残念でしたが、ただいま委員長のお計らいでこの機会を与えていただいてまことにありがとうございました。 さて、いまの増田防衛庁長官の御発言は非常に問題があると思うのであります。おそらく現佐藤内閣におかれて、総理みずからもそうじゃないかと思います、これはお尋ねしてみなければわかりません。その第一は、あなたが午前中言及せられました私への回答に、いま速記を取ってありますし、これを見ますと、ことさらに自衛隊法のこの件に触れて、自衛隊法を認めたということがあたかも裁判の今度の成果であるような言及でありました。そこで再度午後追及いたしましたところ、合憲、非合憲ということについては、一応言明を避けられましたが、しかし、自衛隊法があるということの強調の底意は、あたかも合憲性なりと判断されたようなあなたが主観に立っていると見なければなりません。しかし、そのまた第二、第三に言及を重ねてまいりますと、いまほど言われたように、これは同じことを再三あなたは答弁されておりますが、砂川判決その他自余の判決については、すでに自衛権ありと、これまたあなたの御発言はそのまま過去の判決例、ことに最高裁の判決として、確定判決として、自衛隊は合憲なりという判決が出ていると、こういうふうな印象を私はまともに受けたわけですが、御発言でありますが、そうなのかどうか。私どもの理解としては、あなたがおっしゃるように、なるほど立法府は今日の憲法では国の最高機関です。三権分立統治方式の中でも、特に立法府の優位性というか、これを認めていることは御承知のとおりであります。だからといって、自衛隊法のみならず、多数のそのときどきの議会の勢力といいますか、いまでは自由民主党、このもとにおいて多数の方々が合憲なりと、かりに、あるいは本気でもいい、認めて立法したものがすべてこれは合憲なりということはこれは断定し得ない。そこでわが国の場合は、憲法裁判所と別の制度はないけれども、最高裁判所がこれを判断することが、これはもう通説でございましょう。今日の定説です。こういうふうになっていると思う。したがって、再三強調されますが、立法府の多数のきめた合憲なりという意思、これも一つの過程ではございましょうが、今日の判決と関連して直接作用しない。よって私は、おっしゃることが基本的にわれわれの誤解かどうかということを聞きたいのでありますが、いまの恵庭判決なるものは、亀田委員からも再三指摘するように、判決が示しているそのもの自体にはまことに不合理なものがあります。若干の裁判批判、批判何ぼしたって一向さしつかえないと思います。しかし、筋の通らない判決ではあるが、しかし、その中でも、自衛隊法はいま申されたような、確かに議会――立法府では多数によってきまり、なおこれが憲法第九条を中心に違憲、合憲の論争がある、そういうそのままの姿で今日自衛隊があるのだと、その意味では存在を認めたということは言えましょう、あるのだから、これは。ですが、そのあるということが、すなわち合憲なりという趣旨のもとにあるのではない。これだけははっきりされないと、後ほどの判例を引用されましたが、自衛隊がはたして合憲なりや違憲なりやという判断はされていない。自衛権はあるとか、そういうのには触れてありますよ。この点は、私がいま申し上げたこの趣旨というものは、あなたも了承されますか、どうですか。あなたのはき違えじゃないかと思う。
○国務大臣(増田甲子七君) ことばがきわめて具体的に自衛隊法は合憲なりという判決があるということを私は言っておりません。ただ、ただいまのところ司法府の判決といたしまして拘束力があるのは最高裁の判決が確定した場合でございます。それは昭和三十四年に最高裁の判決が確定いたしておりまするが、その判決理由の中に、日本の憲法は主権国家としての独自の国家を守る固有の自衛権を否定したものとは思われない。したがって、固有の自衛権に基づく各般の措置をとり得ることはきわめて当然と言わなければならない、これだけのことが書いてございます。そこでその措置の中でございますが、その措置の一つとして日米安保条約も一つの措置でございます。各種の立法措置も措置でございます。各種の行政措置も措置でございます。その措置の中に入っておるものと考えておるわけでございます。
○藤田進君 非常に重要なことを申されております。重ねて恐縮ですが、しからば端的にお伺いしますが、今日の自衛隊法は、これはすでに合憲判決が出たと、いまの引用せられたことによって、合憲なりと判決が出ている、こう防衛庁長官は解釈されているのかいなや。
○国務大臣(増田甲子七君) そのとおりに考えております。
○藤田進君 総理大臣はいかがこの判決についてお考えでしょうか。防衛庁長官は、すでに自衛隊法は合憲なりという最終確定判決が出ていると考えていると、こういうことになるわけであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) なかなか私が説明しても納得なさらないでしょうから、法制局長官がおりますから、長官から答えさせます。
○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。ただいま防衛庁長官がおっしゃいましたように、最高裁判所の判決では、わが国の憲法が自衛権を否定していないこと、また、それに伴って自衛のための措置を講ずることができること、その二点を明らかにいたしております。
○藤田進君 どうしたんだ、きみは聞いてないのか。わざわざここへ出て答弁しろという点に触れないで。
○政府委員(高辻正巳君) 先ほどおっしゃいました用語は、私はたしか、ただいま判決は持っておりませんが、自衛のための措置をとることはよろしいということであったと思います。ところで、その自衛のための措置は一体何であるかということの具体的な項目につきましては、御承知のとおりに、最高裁判所の判決では触れておらないところでございます。しかし、自衛のための措置というものにはいろいろ考え方があろう、防衛庁長官のおっしゃったことをふえんいたしますれば、その中の措置の一つとして自衛隊法というものが国会で法律として制定されたものであるから、それは自衛のための措置に入るのであろうということをおっしゃったものだと思います。
○藤田進君 防衛庁長官がどういうふうに言ったのか、おれは聞こえないから、法制局長官もう一ぺん言ってくれと、そんなことをぼくは聞いているんじゃない、そんなこと言ったんでしょうとなんて聞いてないんです。明らかに防衛庁長官はいろいろ引用されて、あなたがメモを渡したから、先刻ね。そこで私が尋ねたのは、端的に聞きますが、今日ただいまある自衛隊法というものはその最高裁の最終判決、これによって合憲なりとなったものだというふうに解するのかと言ったら、そうですと言って、答えているわけですね。防衛庁長官はそう信念を持って答えている。そのことが佐藤内閣の統一した自衛隊法と憲法、合憲あるいは違憲の最終的な判断が統一見解で出ているのかどうか、私はまだ知りませんから、総理にその点はいかがですかと聞いたところ、あなたが出てきたけれども、さっぱりだめだ。これは総理みずから答えるべきです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は合憲だと考えております。
○藤田進君 合憲か違憲かは、これはもう立法の経過から見て、それがなければおやりにならないでしょう。そうじゃなくて、砂川判決を引用し――私は意見がありますが、その判決で自衛権あり、いろいろな手段をとることもいいのだということから今日の自衛隊法は合憲だと、こういうふうに理解していると防衛庁長官は言ったでしょう。最高裁の判決によって最終的なもう確定判決が出たと、それは自衛隊法合憲なり、こういう答弁なんですね。あなたもそう理解しておられるのかどうか、佐藤内閣。その点です。はぐらかしちゃだめだ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は自衛隊法は合憲だと、かように考えております。(「判決はどう認めているか。」と呼ぶ者あり)判決の一つ一つできまるわけじゃございません。自衛隊ははっきりもう合憲、私ども政府は合憲だと、かように考えてやっているわけでございます。それは誤解があればもう一度申しますが、いま恵庭判決でこれがきまるわけじゃないということを申すんです。
○亀田得治君 関連。藤田君の言うのは、砂川判決を引用しているわけよ、向こうが、政府が。砂川判決からそういうものは出てこぬじゃないかという立場で聞いているわけです。砂川判決に自衛隊ということを書いてありますか、書いてないでしょうが。しかも砂川判決では、ここに成文もありますが、問題になったのは日米安保条約でしょう。それから政府が引用されているのは、判決の理由の中の一こまなんです。自衛権はある、これは社会党だって認めている。ただ、その使い方の問題ですがね、問題ば。そういう場合にこの各般の措置をとれる、とり得る、それは社会党の場合だって各般の措置はとり得ますよ。中身は全く具体的に考えれば、それは抽象的なんです。そういう判決理由の一こまを持ってきて、あれもいい、これもいい、そうじゃなしに、砂川判決の正当な読み方は、なるほど自衛権についての考えは法制局長官も指摘されたように書いてある。しかし、最終的にこういう問題については、この統治所為論を持ってきているわけですね、砂川判決では。裁判所としては積極的なこの意思表示をしておらないわけなんだ、逆に。ただ自衛権とその各般の措置についての理論をこの判決理由の中に書いているだけなんですよ。そういうことの反射的な、もう一方には統治行為論を出している。そういうことの反射的な効果として問題になった日米安保条約、これは一応合憲性というものが認められるようなかっこうになっている。これは正当に読まなければいかぬですよ。そういう趣旨の、言うてみると、きわめてこれは消極的な認め方ですよ。一種のそういう趣旨の砂川判決の中に自衛隊までがこれで合憲化されたのだというふうなことはね、これは幾ら立場が違いましても、私は言い過ぎだと思うんです。違いますか、総理に聞きましょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま自衛隊が憲法違反なりやあるいは合憲なりや、議論があるんだ、こういう御議論のように聞いたんですが、そうですが。
○亀田得治君 砂川判決の中で。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は個々の判決についてとやかく批判しているわけじゃございません。私は、もう先ほどから申し上げておりますように、自衛隊はりっぱに憲法に基づいて、憲法の許す自衛隊でございますから、これはもう(「それはわかる」と呼ぶ者あり)それはおわかりだ、また自衛隊法も、これはおわかりだ。だから、そこで判決との結びつきについていろいろお尋ねのようだから法制局長官にお答えさせましょうと、こう言うのです。だから、それは事情は、純法律的なものですから、ひとつ法制局長官の話をお聞き取りいただきたい。
○政府委員(高辻正巳君) 先ほど御答弁を申し上げたことにたいした誤りはないようでございます。ただいま砂川判決を持ってまいりましたから、その部分だけ御承知とは思いますが、念のために申し上げます。「わが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、わが憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではないのである。」ということが一つ。もう一つ――正確に申し上げるためです。もう一つは、「わが国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な」先ほども申し上げましたが、「自衛隊のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。」、これは先ほど申し上げたことでございますが、この二点について判決は申しておるということを申し上げたわけでございます。先ほどはふえんして申し上げましたが、この自衛のための措置の中に、国会が御制定になった自衛隊法というものもその措置の中に一つ入るだろうとこういうことを防衛庁長官はおっしゃったものと私が伺ったように思うわけでございます。(「委員長、委員長」と呼ぶ者あり)
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっとお待ちください。関連質問ですからなるべく簡潔にお願いします。
○藤田進君 法制局長官は代々どうもああいう男がなって困るのだが、わからないはずない。増田防衛庁長官は私の質問に答えて、質問が、つまり増田さん自身が引用した砂川判決等々、これによってすでにわが国で言えば最高ですね、最高裁判所の判決があり、これは今日の自衛隊法を合憲なりと判断をしたと――最高裁が、すでにもう済んだ、憲法論争、違憲合憲論争なんてあるのがおかしいんだと、こうふえんすれば、増田さんそう言うのだ。われわれ議会にいる立法府の者が言うのではなくて、最高裁が判断した、合憲なりというふうにおっしゃるから、私が念を押したところ、そうなんだと、最高裁がすでに判断済み、合憲、こうおっしゃるから、総理同じ見解ですかとこう尋ねたら、法制局長官にと、こう言うのだ。法制局長官は、増田防衛庁長官はたしかこうおっしゃったんだと思いますなんて、そんなあなたが何を思っているか聞いたのではないのです。最高裁の最終判決、今日の自衛隊法合憲なりという判断をすでに下したと増田さん言うんだよ、いま問題になっている防衛庁長官が。そのことがそのとおりなのか違っているのか。防衛庁長官と食い違ったことを言っては困るし、かといってあれをそうだとも言えず困っているのでしょう、実は。ちょっと相談してみてよ。こんなこと何べん繰り返したってだめです。大事なことですよ、恵庭判決に関連した。ちょっぴりじゃないですよ。政府の態度はどうなんです。だから三次防だ何だとああいうふうなものが出てくる。衣の下からよろいが出たようなものだ。
○羽生三七君 補足して。それで、自衛権のあることは当然です。その結果として各種の措置がとられるということも、そこに書いてあるとおりです。砂川判決も、各種の措置がとられることになっております。それから政府自身も、政府自身の解釈としては、行政府として合憲だと解釈をしておる。しかし、判決の中には自衛隊が合憲だとはうたっておらないと、それは認めると、それでいいんじゃないですか。
○政府委員(高辻正巳君) 私は、先ほど申し上げたことでおわかりかと思うのでございますが、判決で言っておりますのは、自衛のための措置をとること、それから自衛権があること、そのことだけを判断をしているわけです。そのほかのことについては触れておりません。そのほかのことと言うと語弊がございますが、あの場合にはアメリカの駐兵の問題が問題だったわけでございますので、その点以外のことについて、判決はそれ以上にわたって判断を下しておりません。このことは、さっき申し上げたとおりでございます。あとは防衛庁長官のおっしゃったお考えをふえんして述べると申し上げたとおりでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、もう先ほどからはっきり申し上げております。法律論がどうあろうと、自衛隊は合憲、自衛隊法は合憲、そのとおりです。
○瀬谷英行君 総理の見解、あるいは防衛庁長官の見解だけじゃなくて、いま問題にしているのは、増田防衛庁長官は砂川判決を引用し、あるいは昭和二十九年に自衛隊法が立法府によって成立したんだということを強調をして合憲性をにおわせようと、強調しようと、こうしているわけなんです。自分の考え方のよりどころにしているわけなんです。しかし、藤田さんが問題にしたのは、最終的にそれじゃもうはっきりと、最高裁でもうこういうふうに動かしようのないように本ぎまりになっているのかという点を確認をしようとしたわけなんです。 そこで、私がここでもう一度念を押して申し上げますと、われわれがいま問題にしているのは恵庭事件なんですからね。恵庭事件です。いやおうなしに自衛隊が違憲か合憲か、白か黒かということをきめなければならないところにぶつかった、そのように世間では思われた。問題の取り上げ方もそうだったんです。ところが、この判決では、違憲か合憲かというところをすり抜けてしまった。憲法のわきをすり抜けて通ってしまった。だから、違憲ともつかず、合憲ともつかず、恵庭事件の判決に関する限りはここで黒白をつけられなかったというのが私は結論じゃなかったかと思うんです。それを無理に、しかし、砂川判決であるとか、ずっと前にできたから合憲だ、こういうことはつけ足しだ、こういうことになるんじゃないかと思うんです。もし、最終的にこれは間違いないんだと、文句なしだということであれば、先ほど、控訴するかしないか法務大臣はゆっくりと時間をかけて検討をした上でと、こう言ったでしょう。もう議論の余地のないものだったら、検討もへったくれもないでしょう。議論の余地がある、恵庭判決については大事なところが持ち越しになっているということをあなたはお認めになっているんじゃないですか。そうでしょう。
○国務大臣(田中伊三次君) それはそうじゃないんです。それは、判決は長文にわたっておりますし、いかなる理由で控訴をすべきかという問題につきましては慎重の上に慎重を重ねると、もう単純にそういう考え方なんであります。ほかに意味はございません。
○瀬谷英行君 慎重の上に慎重を重ねるということは、考慮の余地があるから慎重の上に慎重を重ねるんでしょう。別に考える余地がなかったら、慎重も何もありゃしないでしょう。この恵庭事件の問題について、あまり砂川からいろいろ過去の歴史にさかのぼって、おれは自衛隊があるんだから合憲と思うんだ、こういうふうな理屈じゃなくて、恵庭事件の判決を中心にしてその見解を明らかにしてもらったほうが問題はすっきりと整理をされるんじゃないかと思う。どうも枝葉がつき過ぎたような気がするんです。それは、総理の言うように、合憲だと思うと。思うのは自由ですけれども、思いたいばっかりによけいなことをつけるということになると、これは話が混乱してくるんじゃないかと思うんですよ。その点を、政府自身がこの判決についての見解を表明してないんだから、違憲とか合憲とかということを見解を表明してないということをさっき言ったばっかりですから、なければないように態度をさっぱりと表明してもらったほうが私はいいと思うんです。
○国務大臣(田中伊三次君) 態度は、仰せのとおりが一番よいと思います。いろいろなことをこの席で論議をしないで、慎重審議の結果、いかなる理由で控訴をするとかせぬとかいう見解を検察独自の見解できめさすと、これには指揮権の発動は行なわず、こういうことで堂々と争うべきことは争うということで、どうぞひとつこれ以上はいろいろな論議を差し控えるということになりたいと、こう念願するわけであります。
○瀬谷英行君 まあ私はこの辺で差し控えようと思っていたのだから、あなたのほうからよけいなことを言わなくてもやめますが……。
○亀田得治君 関連。非常に重要な問題点が論議になったわけですが、政府の考え方ははっきりさしてほしいと思います。政府は、砂川判決によって自衛隊は合憲性を獲得したと、こういう見解であれば、まあ政府が一応そう考えるなら、それでもよろしい。いやそこまでは考えておらぬというのであれば、それでもいい。いずれの考えであっても、理由を明確にしてほしい、理由を。二つ御意見があるようだ。法制局長官などは、自衛隊のことまで言うのはちょっと行き過ぎのようだという感じのようです。しかし、防衛庁長官は、明らかにこれは自衛隊も含めて考えておる。こういう国の基本の問題について、これは重大なことです。そのことをはっきりしてほしい、はっきり、どちらでもいいですから。それからもう一つは、総理はたびたび、いや判決のことについて私は言いたくないんだという意味のことを再三言われて、自分の信念だけをすかっと言ってすわってしまわれるわけですが、そうは私はいかないと思うんです。やはり憲法上は、重要な問題についてのこの違憲審査権、これは最高裁判所――下級審にももちろんありますが、なかんずく最高裁にはこれは認められておる権限なんですから、その権限の行使として出ておる問題であり、それがどちらに解釈されるかによって、相当これは政治、行政の運用に響くわけですね。だから、こういう問題について、判決の解釈、それには私は触れたくないというわけには私はまいらぬと思うんです。それはそうですよ。砂川判決に関して言っているんですよ。判決の途中で総理が何か発言をするとか、そういう問題じゃない。これは済んでしまった判決についての理解のしかたですからね。非常に重要だと思います。だから、結局が二つあるんですよ、整理すると。一体どちらの考え方で日本政府としては対処しておるのか。これは学説も二つある。だから、そこら辺のことについて明確にしてほしい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、恵庭事件については、この判決についての批判はしない、私の意見は述べない、これははっきり最初に申しました。これは、いま亀田君から言えということですが、私は言わないと言っているのであります。これでいいのであります。 それから、いまの砂川の判決の問題、これは最終判決が出ておりますが、そしてこの砂川判決については防衛庁長官やまた法制局長官からもいろいろの話が出ておると思います。しかし、私は、わが国の自衛隊が砂川判決で合憲になった、かようには思っておりません。これは自衛隊をつくったときちゃんとこれは合憲、そのときにあるんで、砂川判決があったから初めて合憲性を認められた、合憲になったんだと、かように私は思いません。認められたことは、司法権においても行政府と同じように認めたということは差しつかえございませんけれども、私はこの砂川判決で自衛隊の合憲性が確立したとかようには思っておりません。
○亀田得治君 ちょっと明晰に。ちょっと休憩して理事会で少し検討してください。問題点ははっきりしている。
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと理事の方来てください。速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。 それでは瀬谷君、質疑を続けてください。
○瀬谷英行君 非常にいろんなニュアンスのある答弁が出てきたので、これはある程度これをまとめてもらいたいと思いますので、私は……。
○亀田得治君 ちょっと、委員長から理事懇談会の結果をちょっと言うてもらわぬとわからぬ。
○委員長(新谷寅三郎君) 委員長から、ただいま理事の方に集まってもらって御相談した結果を申し上げます。 政府の答弁がいろいろだというような御発言がありましたが、聞いておりますと、そうでないというような意見もありまして、速記を調べた上で明日冒頭に、瀬谷委員のまた質疑が残ると思いますから、その冒頭で政府を代表して、この問題についての答弁をした上で進行するということにしようということにまとまりましたので、他の問題についての瀬谷委員の質疑をきょう続けてもらいたいと思います。瀬谷君。
○瀬谷英行君 それじゃ、ばらばらな答弁のように私も聞いたのであります。だからこれ以上聞いたところで、よけいわけがわからなくなるだろうと思ったので、次に移ろうと思っておったのでありますが、この措置については、委員長のおっしゃるとおりにしてもらいたいと思います。 しかし事のついででありますので、恵庭事件に関連をして、非常に自衛隊のあり方というものにまた一般の国民の関心というものが集中していると思うのです。このときにあたって、二次防から三次防に非常に防衛予算というものが飛躍的に増額をする、こういう状態にあります。ですから、なぜ二次防から三次防に防衛予算を大規模に飛躍をさせなければならないのか、その理由を防衛庁長官にお伺いしたい。
○国務大臣(増田甲子七君) 二次防のときに比べて金額においては確かに増大いたしておりまするが、主として、アメリカのMAPというものがなくなりまして、わが国独自で開発をいたします兵器産業等、そういうような関係と、物価高とベースアップとの関係でこういう数字が出ておりまするが、実質的にそう飛躍的に増強ということには相なっておりません。
○瀬谷英行君 物価高とベースアップでもって防衛予算がふえたみたいな言い方をしておりますが、それにしては少しふえ過ぎるのじゃないかと思います。所得倍増というのはかけ声だけで、いつの間にか消えましたけれども、二次防から三次防とこの防衛計画そのものの内容は、規模からいうと倍増に近いようなものではないかと思うのです。だからそれだけ従来と規模が違ってくるのですから、これは単なるベースアップとかなんとかいう、そういう月並みの問題とはわけが違うと思うのです。何をどれだけ特に重点的にふやさなければならないか、その理由は何か、その根拠は何かということを明らかにしなければ、この三次防の予算の審議というものは、これはできないと思うのです。その点を重点的にひとつ御説明をいただきたい。
○国務大臣(増田甲子七君) 主として陸上の防衛力が八千五百人ふえます。それから海上防衛力におきましては四万八千トンの新艦船をつくることになっておりまするが、これはスクラップ・アンド・ビルドという関係もございます。それから航究兵力におきましてはナイキアジャックスのかわりにナイキハーキュリーズというものを設置いたします。それからホークという陸上兵力の関係でございまするが、このホークを二個大隊増加いたします。それから三次防中にハーキュリーズをやはり四個大隊新設いたします。こういう関係がMAPにかわるものでございます。
○瀬谷英行君 それじゃさらに防衛庁長官にお伺いしたいが、なぜナイキアジャックスをナイキハーキュリーズにしなければならないのか、これをふやす理由、必要性、それからホーク、これらについて重点的にいま申されたから、こういう問題についてお答え願いたいと思います。
○国務大臣(増田甲子七君) あくまで、総理がいつもおっしゃっているとおり、通常兵器による局地的侵略を阻止し、これを排除することを目標といたしておりまするが、近代戦争における防衛戦争といたしましても、相当程度の航空兵力あるいは陸上防衛力、あるいは海上防衛力を強化いたさなければならぬ、こういう関係でふえるわけでございます。ホークは御承知のとおり三十数キロ飛ぶだけでございまするが、これは数をふやすだけで存置いたします。アジャックスは四十六キロばかりでございまするが、今度のハーキュリーズは設置個所から、発射地点から百三十キロくらい飛びます。いずれも迎撃の、要撃の能力をふやす、すなわち防衛力をふやすというわけでございます。
○瀬谷英行君 政府は要員不増ということで、人間はなるべくふやさないようにするという方針を最近とってきておるようでありますが、たとえば防衛計画の中では遠慮なくふやすということ、陸上自衛隊の例をあげると八千五百人ふやす。ではなぜ陸上自衛隊を十八万にしなければならないのか、いままでの人間では間に合わないのか。しかも新聞に出ておるところによりますと、増田防衛庁長官は、これでもまだまだ、日米安全保障条約によってアメリカが日本に期待する自衛力漸増の線までいっているとは思えない、国力に応じたという意味で、やむなくこの程度で妥協しているにすぎない、こういうふうに発表されていますが、そうすると陸上自衛隊をこれだけふやすというのは、陸上自衛隊の必要から割り出したのじゃなくて、アメリカの要請があるので、向こうの気に入るようにふやすのだ、このようにしか解釈されないのでありますが、その点は一体どういうことになっておるのですか。
○国務大臣(増田甲子七君) アメリカの要請等はございません。ただ日米安保条約第三条によりましても、自主的防衛力を漸増いたす――発展するということばになっておりまするが、そういう意味合いのものでございます。
○瀬谷英行君 自主的防衛力を確保するならば、八千五百人ふやして十八万にしなければならないということは、予算を伴わなければ別でありますけれども、予算を伴う以上は、当然その予算の範囲内で考えなければならないことじゃないかと思う。大蔵大臣のほうは、防衛庁のほうから第三次防の注文があった際に、これらはその必要性から割り出して、やむを得ないというふうにお考えになったのか、予算のバランスの中で、防衛庁のほうに二兆三千何百億というものを割り振ったのか、あなた自身の見解は、どういうところからこの第三次防に対して必要な予算をまあふるまったのか、ひとつお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(水田三喜男君) この計画の策定には、私は両方の面からこれを勘案したということでございます。で、まず内容としては、自衛隊の非常に装備が老朽化しておりますので、これを各国の装備の近代化のテンポに合わせて、自衛隊の装備の質的な近代化をはかる、そうして現有の防衛力を維持するというためには、どういう内容であっていいかという一方、内容の面と同時に、私のほうでは国の財政力に即応してこれを漸進させる、他の施策の一般と均衡のとれた防衛力でなければいかぬというようなことから、この財政の範囲がどのくらいにしたらいいかということをやったのでございますが、ちょうど二次防というものがございまして、この五年間に二次防の努力をしておりますが、この努力を落とさない程度でこの計画を立てるのがいいことだということで、大体二次防のときに払った努力、年々の防衛費のふえ方、これをそのまま三次防に持っていって、全体の計画を、財政的な規模をきめたということでございますから、特別にこれは財政的に強化したというのじゃなくて、二次防努力をそのまま続けて、今後五年間の経費を策定したと、こういうことでございます。
○瀬谷英行君 二次防の当初はまだ公債は発行していなかった。最近になって公債を発行する。要するに財政的措置としてはかなり無理をしておるというふうに考えられるわけです。その無理の中に三次防というものが、非常に大きな規模でもって割り込んできているということは、予算のつり合いからいって、はたして妥当であるというふうにお考えになっておるのかどうか、また防衛庁の要求をしておる内容について、十分に国防会議のメンバーとして吟味をして判断を下されておるのかどうか、その点を再度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 予算全体に対する比率、それから国民総生産に対する防衛費の比率というようなものも、私どもは十分考えましたが、この点は二次防と三次防において、その比率は三次防において特に強化しているということではございません。
○瀬谷英行君 それじゃ防衛庁長官にお伺いしますけれども、いまお聞きするところによると、戦闘機であるとか、あるいは戦車、潜水艦、陸上自衛隊十八万、こういったようなことが三次防の中で重点的にいま指摘をされております。先ほどもちょっと藤田さんの質問に対して御答弁があったんでありますが、それじゃその潜水艦とか戦車とか戦闘機とか、特に戦車といったようなものをそろえるということの目的、ねらいは何か。局地戦ということを言われておるけれども、何を想定をしておるのか、どういう事態を想定したから、戦車をこれだけそろえなければならないのか、この点について私は突っ込んだ見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(増田甲子七君) どこに仮想敵を求めているということはないのでありまして、ただ日本の国土が侵された場合に、これを有効に阻止し、これを排除する、こういう意味合いで陸上自衛隊として戦車も考えております。詳しいことでございましたならば、政府委員から答弁させます。
○瀬谷英行君 仮想敵国は考えていないというふうにいまおっしゃったけれども、どこからいつ急迫不正の侵略があるかもしらぬから、こういう意味ですけれども、国と国との間柄というものは、過去の歴史において、とほうもない地球の裏側の国と戦争したなんていう例はないのであります。どこからだれがあらわれるかわからない、夜道を歩く女の子みたいな、そういう性格のものじゃないと思うのです。これはもう日本の近隣にどういう国があって、そして考えられることは、それらの国が侵略をするかもしれない、こういうことがなければ、防衛庁としても、あるいはまた自衛隊としても、教育訓練の方法がないじゃないですか。やみ夜に鉄砲を撃つようなことを自衛隊ではやっておるのかどうか。仮想敵国も何もないままそういうことをやっておるのかどうか、お伺いしたい。
○政府委員(島田豊君) 三次防の前提といたしまして、当然われわれとしては各種の情勢の判断をやっておるわけでございますが、特定の国を対象としてということじゃなくて、わが国周辺諸国の軍備の動向につきまして、詳細にいろいろな検討をいたしたわけでございます。そこで具体的に訓練をやり演習をやります場合、これは当然相手の軍隊というものを予想して対抗演習をやるわけでございますが、その場合におきましても、もちろん普通の青軍、赤軍という形でございまして、特定の国を対象として訓練をする、あるいは演習をするということはございません。
○瀬谷英行君 そんなラグビーの試合みたいなことを言ってもだめです。演習をする場合に特定の国を仮想しないということを言われましたけれども、昔の軍隊でも演習をする場合には、どういう国と、あるいはどんな軍隊と戦争するかというようなことをある程度想定をして、そして訓練をしなければ、これは演習のしようがなかった。いまだってそういう点は私は変わりはないと思うんですよ。それならば、日本の近隣において日本に対して急迫不正の侵略をする可能性のある国とはどことどこであるかということを、見当をつけなければならぬと思う。そういう点について国際情勢のいろいろな見方というものがあるかもしれませんけれども、どのような国がいつ何どき日本に対して侵略をするかもしれないという可能性、危険性というものがあるならば、これはまあ外務大臣のほうからお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 日本の外交は敵視政策をとらない、どこの国が敵だというふうに敵視政策をとらぬというのが、外交の基本方針でありますから、想定した仮想敵国はないということでございます。
○瀬谷英行君 それじゃ防衛庁長官にお伺いするけれども、敵視政策をとらなければ、そんなによけいな金かけて、三次防なんというものを、国民の犠牲において実行する必要はないと思うのでありますが、あなたの場合はどうなんですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 最小限度の備えをいたしておるわけでございます。
○瀬谷英行君 いまの防衛庁長官の答弁じゃ私は答弁にならないと思います。 それじゃ、もっと具体的に言いますけれども、これだけの金を使うんです。何兆という金を使うんですから、その金の内訳というもの、必要性というものは、国民に納得のできるような説明がなければいかぬ。どこから来るかわからないけれども、警戒のために自衛隊を十八万にするとか、軍艦を幾らつくるとか、飛行機を幾らつくるとか、戦車を幾らつくるとか、そういうようなことをばく然とやられたんじゃたいへんだと思う。だから二次防から三次防に切りかえるという、こういう機会でありますから、二次防から三次防へどういう質的な転換をするのか、その必要性の根拠は何かということを私はさっきから聞いておる。だからその必要性の根拠について、あなたのほうではもっと納得のできるような説明をしなければならぬと思う。
○国務大臣(増田甲子七君) 最小限度の防衛をいたしておりまするが、仮想敵国というものはあくまで考えておりません。ただ、図上あるいは実地に各種の防衛演習をいたしておりまするが、これくらいもし侵略があった場合にはこういうふうに対処するんだというような演習も、実地にもいたし、また図上においてもいたしておるわけでございます。
○小林武君 関連。仮想敵国というものを持たないということはわかりました。しかし、いま自衛隊の中で、対象国ということばが公然と使われているということを私は聞いておるんですが、その事実はあるんですか、対象国です。
○国務大臣(増田甲子七君) 対象国ということばも使っておりません。
○小林武君 これは事実ありませんか。ぼくは防衛庁の人たち、自衛隊の人たちのだれに聞いても、対象国というものはありますよ。知らないのは長官ばかりじゃないの。ほんとうにありませんか、あなた。
○政府委員(島田豊君) 対象国というものを特に自衛隊として使用しておりません。
○小林武君 それでは自衛隊、防衛庁の内部において対象国ということばは、一切あなたたちのところでは使用していないということを断言なさいますか、どうですか。これはあなた断言なさるならなさるようにはっきり言いなさい。
○政府委員(島田豊君) 幕僚の中には、あるいはそういうことばを使っている場合があるかもしれませんけれども、われわれとしては、正式には対象国ということばは使用いたしておりません。
○小林武君 いや、そういう逃口上みたいなことを言わないでくださいよ。先ほど来瀬谷君の質問が食い違ってなかなかうまく進まないのはそこだと思うのです。それから、前回の藤田質問の場合もそうなんです。いま自衛隊のことでもって議論しているのですから、あなた、いま幕僚の中にそういうことばを使用する者があるというような話じゃないですか。あるんですよ。むしろ制服のほうが使えばはっきりしているんでしょう。具体的なんでしょう。対象国というものが一体、絶対あなた使用されていないと断言なさらない。幕僚も使っているというようなことならば、これは一体どうなんですか。幕僚が使っておったら自衛隊の中では公然として対象国というものがあるということをあなた言わなければならぬでしょう。どうですか。
○政府委員(島田豊君) 公式には対象国ということばは使用しておらないと思います。
○小林武君 それでは何で使ったのですか、それ。何で使ったのです。公式でなければ非公式ということですか。それは非公式と公式とどういう差があるのですか。幕僚がそういうことばを使い、自衛隊が使うということは、当然自分たちの職責を果たすためにやっているんでしょう。どこの世界に、最小限度とかなんとか言っても、目的のないところに一体何の防備が必要なんですか。軍備が必要なんです。そんなことに国民の血税を使うということ自体がおかしいじゃありませんか。
○政府委員(島田豊君) 御承知のとおりに、自衛隊は直接侵略あるいは間接侵略に対しましてわが国を防衛するということを主たる任務といたしておるわけでございまして、自衛隊はそのためにいろいろな訓練をいたしておるわけでございますが、これは要するに、最近におきますところの国防といいますか、軍備といいますか、これは外国からの侵略を未然に防止するということを主たるねらいといたしておるのでございます。いわゆる抑止力ということばを使っておりますけれども、これは相手方をして侵略の意図をなからしめる、あるいは、ありました場合にそれを挫折せしめるという、そういう抑止力というのが今日の国防あるいは軍備の基本でございまして、わが国としては絶えず、そういう任務を持っております限り、いろいろな情勢の判断をし、あるいはそれにつきましての計画を立て、それに必要な訓練をするということは自衛隊としては当然のことであろうというふうに考える次第でございます。
○小林武君 委員長にあまり関連やらない約束を私もしておったのですが、ああいう答弁ではちょっと困ります。私は、対象国ということばが使われておるということを率直に認めるべきだと思うのです。それを、公式とか非公式とかなんとかということを抜きにして、それは抑止力であろうが、それから、こっちから積極的に攻めていくのであろうが、それから、あるいは外敵の侵略に対してだけ対処するところの軍隊であろうが、それには向こうから来るものを受けとめるという場合ならば、そういう危険性を持ったそういうものは一体どこだろうかということを考えないでこれは国防のことを論ずるわけにいかないのですよ。いまのところ、まさかあなたアメリカから攻めてくるというようなことを考えているわけじゃないでしょう。それならば一体どこか。周辺海域云々ということばはその基本計画の中にあるじゃないですか。周辺海域と言ったらどこなんだ。そういうことになったら、あなたのほうは対象というのはおのずからなければならぬ。そういうことについて中途半端なことをあなたたち言うからいけない。率直に言うべきことは言ってだ、国会の中で国民の前に明らかにするものはするだけのはっきりした責任を持たなければいかぬ。いたずらに国会の中の議論を空転さして、それがあなたたちの何かお家芸のように見せるというのは、はなはだ不謹慎だと私は思う。瀬谷質問に対しこれからはっきり答えなさいよ。
○政府委員(島田豊君) 先ほども申しましたように、自衛隊はわが国の安全を確保することを目的といたしておるわけでございまして、絶えず、周辺諸国の動向等につきましてはこれは判断もしそれに対処する。要するに、いかなる国がわが国に直接侵攻いたしましても、わが国の安全を守るために自衛隊としてはあらゆる措置をとり得るということを前提として自衛力の整備をやっておるわけでございます。また訓練をやっておるわけでございまして、周辺諸国ということは、要するにわが国の国土周辺、周辺諸国と申しますか、周辺諸国はいろいろな国がございますし、たとえば海上自衛隊におきまして周辺海域の防衛をやるということは、これはわが環海一円全部を通じましてのことを考えておるわけでございます。
○瀬谷英行君 これはほかの予算を圧迫をして、ほかの予算でほしいものがあってもこれをみんな削って泣かせてそうして整えようという予算なんだから、それはやはりなぜこれだけのものがこれだけ入り用かということが国民に納得ができるようでないと、私はまずいと思うのです。いまの説明によると、周辺諸国の動向というものを考えて急迫不正の侵略等に対処できるようにするのだと、こういう話だった。じゃ、一体どこの国か。日本の周辺にある国というのは大体知れているわけですよ。南北朝鮮――韓国と朝鮮民主主義人民共和国とソビエトと中共と、まあせいぜいこのくらいじゃないかと思う。これらの国々で日本に対して侵略をしようとするような意図が見えている国があるのかないのか。あるいはそういう動向があるのかないのか。過去において侵略をしたという事実があるのかないのか。これらの点については外務大臣からお答え願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 先ほども申し上げておるように、日本は何かこう仮想敵国を設けて、そのためというのでなくして、日本の防衛力は、侵略をしてくるものがあればこれに対して日本の国土を守るということでありますから、あらかじめ周辺の国々と結びつけてそうしてそれに対して対抗するためにというのでなくして、日本に対する侵略の行為こそが問題であって、その国ということは、初めから侵略とあるいはその国とを結びつけて考えることは適当でないと私は考えるものでございます。
○瀬谷英行君 侵略をしてくるものがあればということを言われたから、ついでだから私は外務大臣にお伺いしたいのですけれども、たとえば竹島なんというのは韓国に占領されておる。日本の領土であるということをはっきり言明をされておるものを韓国が占領しておるならば、これは侵略というふうに見なすほかないのじゃないかと思うのですが、これらの点はどうなんでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) これは日韓会談で合意に達しておって、今後外交折衝を通じて竹島問題は解決をするということになっておりますから、侵略とはわれわれは見ていないということでございます。
○瀬谷英行君 何が一体合意に達しておるのですか。竹島を韓国に占領させておくことについて合意に達しておるのですか。
○国務大臣(三木武夫君) 竹島をどう処理するか、これは要するに島の領土権に対する紛争ですから、これを日韓条約の締結の場合に両方がこの問題について話し合って、この竹島問題を解決しようという合意に達して日韓の条約は結ばれたのですから、侵略したとかされたとかいうことは、現在の時点においては考えていないわけでございます。
○瀬谷英行君 じゃ、いまどうなっているのですか。
○国務大臣(三木武夫君) これは、いまは日韓の条約が締結されて一年余りですから、こういう問題を友好的に話し得られるような時期が来たならば竹島問題についてはすみやかに話したいという考えでございます。
○藤田進君 委員長ちょっと。
○委員長(新谷寅三郎君) 関連ですか。
○藤田進君 ええ、簡単に。 瀬谷委員のも同様時間がないので、答弁はあまり……。三木さんもベテランだから、ついああいうことを言って時間を費やすだけでだめなんです。それがこっちへくる。これは私ども日韓条約批准にあたっていろいろ議論いたしまして、御承知のように、いろいろな韓国、日本の議会における政府答弁が食い違っている一つなんです、竹島問題は。しかし、少なくとも今日まで変更されない限り竹島はわが日本の固有の領土である、これが一つ。ところが、司法裁判所その他の方法でうまくいかないからペンディングしたまま話し合いということで、合議条文にそのことがあるのだ、「竹島」とはないけれども、あの中に、紛争については、もしあるならばこれでいくのだ、こうなっている。韓国のほうでは竹島は解決済み、佐藤さんにもらったとか、総理官邸で約束をしたんだと言っていますよね、向こうの国会では。ところが、最近特に領海十二海里宣言をするとか、なるほど向こうの国会で答弁された韓国の政府がその日程をどんどん進めているという印象をわれわれは受けるわけです。侵略ということばが適当かどうかは政府としては議論のあるところでしょうが、少なくともわがほうは固有の領土として宣言をしているものに対し、かつ、外交二国間の条約では紛争として残されているという見地からいたしますれば、これを占領する、あるいは十二海里の領海宣言をするということは、これはもう絶対に承服できないことだということがはっきりし得るのじゃありませんか。固有の領土に対してああいう措置というものを、これは明らかに侵略だ、これは侵略の定義はそうだと思いますが、あえて侵略のことばを使わないとしても、以上申し上げたことは外務大臣なり総理からはっきり言えるのじゃないですか。韓国へ近く外遊する場合には――外遊は言いたくないとおっしゃった――何とかする場合には、イの一番に韓国ということですから、韓国に行かずして外遊はあり得ないということになっておるようですが、総理が向こうに行かれるのは、おそらく竹島を戻せとかなんとか言うようなことと思うのです。この際明らかにしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) お尋ねの件は、外務大臣から先ほどお答えいたしましたが、私は、ただ藤田君の発言中に、竹島を私がくれたとか、あるいはもらったとか、韓国で言っていると、こういう話でございますので、私は黙まっているとその事実を承認したことになります。私はさようなことをいたした、贈与したようなことはございませんので、これだけははっきり申し上げておきます。
○国務大臣(三木武夫君) 藤田君の言われるように、竹島は日本に帰属しておる、こういう立場です。韓国は韓国に帰属しておると言うので紛争になったわけでありますから、これを外交経路を通じて話し合おうということの合意に達しておるわけでございますので、適当な機会を見てわれわれはわれわれの主張を通すように努力をするということを申し上げておるのでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) そこで、私が韓国に出かけましたら、もちろんこういう問題についていかに取り扱うべきか話し合うつもりでございます。
○瀬谷英行君 日韓問題の際にいろいろにぎやかになりましたけれども、今日においても日本の固有の領土であるということに間違いはない、こういうことを確認の上で、総理も、じゃ、韓国に行かれる、返還について向こうに要求するんだと、このように理解してよろしいのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま外務大臣から申し上げますように、両国間の紛争の問題であると、これをいかに今後解決するか、これを話し合うわけでございます。それがどういう方向になりますか、そういう点はまだいまきまってはおりません。ただいま簡単に要求するとか、これを占領を解除しろとか、そういうような問題ではないのでございます。
○委員長(新谷寅三郎君) 大蔵大臣が他の委員会に出席いたします関係から、瀬谷君の残余の質疑は明日行なうことといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。 午後五時五分散会 ―――――・―――――