本会議 第5号
- 発言数
- 49 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1967/03/18
会議録
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。 この際、おはかりいたします。栗原祐幸君、高橋文五郎君から裁判官訴追委員を、大森久司君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。 —————・—————
○議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、 裁判官訴追委員二名、同予備員一名、及び欠員中の 北海道開発審議会委員二名、 離島振興対策審議会委員一名、 国土開発幹線自動車道建設審議会委員二名、 北陸地方開発審議会委員一名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
○園田清充君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
○永岡光治君 ただいまの園田君の動議に賛成いたします。
○議長(重宗雄三君) 園田君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。 よって議長は、裁判官訴追委員に大森久司君、二木謙吾君、同予備員に柳田桃太郎君、 北海道開発審議会委員に高橋雄之助君、吉田忠三郎君、 離島振興対策審議会委員に園田清充君、 国土開発幹線自動車道建設審議会委員に山内一郎君、金丸冨夫君、 北陸地方開発審議会委員に熊谷太三郎君を指名いたします。 —————・—————
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第三日)。 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。横川正市君。 〔横川正市君登壇、拍手〕
○横川正市君 日本社会党を代表して、私は、当面している内外の諸問題について、総理並びに関係大臣に対し、所信をお尋ねいたしたいと存じます。 アジアはもちろんのこと、世界の諸国民が、際限なく拡大するベトナム戦争に対してひとしく憂慮し、その早期解決と、また平和回復を強く熱望しているときに、日本がアジアの一員として、はたまた日本の憲法に明らかなごとくに、「恒久の平和を念願し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しよう」という崇高な理想を持つ平和憲法に立脚して、ベトナム戦争の平和解決、諸国民の平和共存の達成のために、積極的な役割りを果たすべきときと信じております。 昨日、佐藤総理は、椿提案にかかる平和回復の三つの要件に対して、その答弁中、両者の立場を理解し、米国のみを非難することはできないと言っております。これは、質問の真意を故意に、中共側、北ベトナムの立場をとってなされたごとく規定づけた、偏見もはなはだしいと思うのであります。いずれの立場からでもなく、公平に判断をして、日本の方針をどう立てるかについての見解は、総理の見解の中からは示されておらないのであります。一体、日本は何の役割りと貢献を果たそうとしているのか、平和回復について総理の具体的構想と決意を再度お尋ねいたしたいと思います。 あわせて、軍事力のみが平和を保障するのではなく、軍事力にも増して、アジアの緊張に対する外交政策を重視し、事態に対処することが必要であります。今日こそ、ベトナムの火を消すため、平和外交を強力に進め、甘木が指導的役割りを積極的に果たすべきと思うのであります。総理は施政演説の中で、話し合いの土俵の上にいかにすれば乗ってくるかという問題については、具体的に触れられておりません。北爆の停止以外に何か他に方法があるならば、この点を具体的に示して、総理、外相のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。 現在、佐藤政府は、日本の進むべき道として、日米安保条約の長期固定化と、アメリカの核のかさのもとに、国の平和と安全をはかろうとする危険な方針をとっております。先般、大綱の決定をみた第三次防衛整備計画は、明らかにその一環であります。自衛隊がますます深くアメリカのアジア戦略に組み込まれ、自衛隊の指揮権の所在、編成、配置、装備等の点から見て、アメリカの極東軍事体制強化の性格を強めていることが明確であります。政府は本年度防衛予算として三千八百億円を計上しておりますが、これでも、老人から赤ん坊に至るまでの国民一人一人が約三千八百円ずつ負担しなければならないのであります。国民生活水準を低く押えられている日本において、防衛費の増大が、必ずや、国民生活の向上と民生安定に大きな障害となるであろうことは明らかであります。防衛関係者は国民所得の二%までと主張する向きもありますが、防衛費の重みは見かけより大きいものであることと、あわせて、一般会計内の他の経費と競合することは見のがすことができません。ことに公共事業費——公害、災害、住宅、下水道、生活環境整備、これらのものとあわせまして、特別会計や公社、公団の会計並びに地方財政へのしわ寄せとなり、これらが一般会計債を発行させる圧力となるのであります。また、一般会計の七・六九%という数字は、日米安保条約体制のもとで、通常兵器による局地戦以下の侵略に有効に対処するための防衛費としては、過大にすぎると考えられますが、この点、国民が納得のいく政府の説明を伺いたいと思います。 さらに、日米安保体制下の日米軍事協力の限界についても、あらためて明確にしてもらいたいと思います。私は、日本はアメリカにとって、ばあちゃん子のごとくに、かわいい一方だとは思わないのであります。今日、佐藤政府は、日米安保条約でいう「極東の範囲」を不当に拡大解釈して、ベトナムを極東に準ずる地域とし、アメリカに協力しております。米韓、米台、米比等の軍事体制は、日本も含むものであると理解されることが明瞭となってきております。ことに、三月三日、駐日アメリカ大使は沖繩で、アジアにおける日本の地位は、沖繩の極東における軍事的重要性とあわせて、沖繩、日本の一体化を強調しつつ、日本の防衛力強化を要望いたしております。ことに注目すべきことは、中国を敵視するゆえに、日本の防衛力体制がなくてはならないと言明いたしておるのであります。私は、日本の指導者の指導理念が、国民の全く知らない間に、国民を戦争のふちに落とし込まないためにも、この際、明快なお答えをいただきたいと思います。 また、三次防について特に伺いたいのは、政府は、いままで何回となく、核兵器は持ち込まない、核武装はしないと、これを言明してまいりました。が、しかし、この三次防が明らかに将来自衛隊の核武装化を指向しているということであります。政府・自民党は、三次防の中で、ナイキ改良型の採用と、それの重要都市周辺の配置を決定しておりますが、これは、通常・核弾頭兼用のミサイルであり、戦術上容易に核弾頭装備に転換できるミサイルであります。こればかりでなく、三次防では、将来、全軍ミサイル化を見越した開発に堰点を置いております。運搬手段の開発はアジアにおけるいずれの国より先んじているとまで言われている日本が、次の段階でこれに戦術核弾頭を装備することは、技術的にきわめて容易であります。「中共の核攻撃に応ずる防衛体制を整える」というのは、政府の一貫した発言であります。また、自衛隊単独で戦術核兵器を使用する局地戦争を想定した相馬ヶ原図上演習の実施を考慮するときに、疑いもなく、第三次防は、中ソを仮想敵視した、日本核武装化の第一歩を踏み出した軍事予算であると断ぜざるを得ないのであります。平和憲法を持つ日本として、核兵器の保有、核武装はできないと思考いたしますが、政府の見解をあらためて明らかにしていただきたいと思います。 また、核兵器の極限的発達を遂げた今日、地下核爆発実験を含めた核兵器の全面禁止と廃棄は、資本主義であろうと共産主義であろうと、人数の普遍的な熱願として今日持っておるわけであります。現在、ジュネーブ軍縮委員会において核拡散防止条約が論議されておりますが、この条約案は、非核保有国が指摘いたしておりますように、きわめて重大な欠陥を持っております。 これに対して、政府は、「平和利用のための核爆発の権利を留保する」との見解を表明しておりますが、核エネルギーの利用が将来経済の動かしがたい趨勢にあるとき、これらの考え方は正当とは考えます。しかし、平和利用のための核爆発装置が容易に軍事目的に砥用することのできる状況にあるとき、平和利用の権限を主張するとともに、政府の決定のみにて非核武装の決意とする考えは、妥当なものとは受け取れません。また、核条約の条件がもし米ソにいれられなかった場合について、あわせて総理の所見をお伺いいたしたいと思うのであります。 次に、三月十三日付新聞で報道されました米原子力潜水艦と海上自衛隊の合同演習についてであります。 私は、この報道を耳にいたしまして、関係者の無謀な行動にがく然といたしました。原子力は、人類にとって悪魔のささやきであります。原子力は、絶対平和主義のもとでこそ、はじめて人類の発展に貢献するものではありませんでしょうか。オッペンハイマー教授が、みずからつくり出した原子力を、おのれの社会的地位をかけてまでその禁止を叫ばざるを得なかった、この事実を、厳粛に受けとめるべきと考えるのであります。この際、私は、政府と関係者が、日本をして四度目の原爆被害国とさせないことを念頭に置いて、これらの問題に対処すべきと考えます。 合同演習についての詳細な報告とともに、昨日、総理は、在外資産の処理が戦後処理の終息と答えられましたが、広島、長崎等の被爆者に対する援護に対してはどんな措置をとられようとするのでしょうか。あわせて総理の所見を求めたいと思います。 次に、労働関係について御質問いたします。 昨年、政府、日経連は、不況を理由として、企業の支払い能力の範囲内で賃金を支払いなさいと言い、本年は、景気が上昇していることをほおかぶりいたしまして、企業の節度ある賃金と、こう言っております。いわば労働者の賃金要求を押えつけるかまえを見せていると言って過言ではないと思います。 一方、労働者の生計負担は、選挙中の政府の公約にかかわらず、物価上昇が年平均六・二%となり、これらは西欧諸外国の上昇率と比べてみますと、おおよそ三%から四%も高いものであります。さらに、本年も政府は五・五%以内の方針をとっておりますけれども、これも希望の域を出ていないのであります。しかも、第二次佐藤政府発足後、日も浅いにもかかわらず、広範な必需品の値上がり、これらに対しては黙認をするとか、あるいは許可を与えるとか、すでに決定を見ているものがあるわけであります。政府の政策の失敗から、とどまるところを知らない物価の上昇が、賃金を上げざるを得ない原因となっていることは明らかであります。 また、日本の企業の生産性が諸外国に比べて驚くべき高能率を記録していることは、単に企業努力であるとか、あるいは勤勉な労働力にあるのではなくして、低賃金と劣悪な労働条件の上に築き上げられたものであることは、当事者である企業経営者が十分承知のところと考えるのであります。低賃金を克服するため、物価や生活にあわせて賃金を要求することは、当然のことと言わざるを得ません。 政府は、国民の約三割が参加する春闘を重視し、企業と組合の公正なる団交を通じ、賃金引き上げの正当性、妥当性を認め、労働者の地位の向上に抜本策を示すべきであると思います。また公務員、公社員の賃金要求に対しても、諸般の条件を進んで把握し、早期に解決することによって、安定した業務に専念できるように努力すべきであります。これらの賃金の紛争にあたって、過去のとうとい経験の中から、年度当初の政府予算に給与予算をあらかじめ組み込んで、予算上、資金上ゼロから交渉に応ずることのないようにすべきであるという点、公社等の団体交渉が、予算上質金上の理由とあわせ、予算執行の権限問題から、労働組合の好むところとしない紛争が長期化しているのでありまして、これらに対して、当事者として団体交渉に臨むにあたり、能力を持って出席できるよう改正すべきであると思うのであります。 以上二点については、前給与担当の大臣はじめ紛争当事者は、紛争を長引かせないためにも改正すべきであるとされていましたが、政府の明快な御説明を願いたいと思います。 あわせて、最低賃金制の改正についてお尋ねいたします。業者間協定を軸とした現行制度は、成立を見て八年を経過いたしたのであります。しかし、その実行性はきわめて低く、一千二百万労働者の要望にこたえられず、名も実もあげるに至っておりません。原因は、初任給において、人事院標準生計費と比較し、約六千円もの格差があること、また業者間協定であるために地域格差がはなはだしいという点、まさに最低賃金制としての根本問題が立法化されていない致命的な欠陥があるために、法律としてはすでに無用化されようといたしているのであります。わが党は、現行法制定当時から今日あることを予期いたしまして、すみやかに現行法を廃棄し、全国一律最低賃金法の制定をはかるべきだと考えてまいりました。政府は、この非情なまで後退した制度をつくった過去を反省し、社労委での前労働大臣の確約や審議会の意見を尊重して、政府の前向きの誠意を示すべきだと思います。また、中央、地方の最低賃金審議会の委員である労働者側委員の参加を求めて、すみやかに改正をするための誠意を示すべきだと思いますが、お答えいただきたいと思います。 また、資本の自由化に関連して、政府の労働基本権に対する政策をお伺いいたしたいと思います。資本の自由化は、それ自体、日本の企業にとっては第二の黒船渡来にも匹敵する重要問題とされております。しかし、資本自由化による産業の再編成は、政府と企業の重要問題にとどまらず、企業と同体である労働者にとっても、きわめて重要な問題であります。しかるに、今日、労働組合は、政府と企業の連係強化とは無関係のように放任されまして、依然として、いままでどおり政府と企業対労働者の対立は解けるきざしもないのであります。そればかりか、両者閥に底流する不信感は一そうの激しさを加えようとしております。日本の組合は、企業が高度の生産力を持つ中で、政府と資本の強圧に対抗して、労働基本権の確立のための戦いに終始しておりますため、近代的な労使の慣行はできない。それ以前の対立関係は、体質的にも、政策的にも、慣習上も、除かれないまま今日を迎えておるのであります。 ひとつ労働問題にとって考えてみますと、検挙とか起訴数とか、裁判において無罪になる比率は、実に、逮捕されるその者のうちの二〇%が起訴され、これに対して、裁判の結果無罪になる者は一七・六%という高率を示すのであります。この主たる原因は、自由民主党の労働対策が、早くいえば治安対策との同意語であり、逮捕、弾圧によって現状を保持しようとする力の政治のゆえであると考えるのであります。(拍手)急を要する産業再編成の重要なる時期を迎えた労働界の中に、産業体質改善の合議の中に一枚加わっても、三者が納得する合意を得ることはできないのではないかとの、相手に対する不信感がきわめて強いのであります。私はこの際、労働関係諸法の再検討を必要とするときを迎えて、政府に対して次の諸点を強く要求したいと思うのであります。 その一つは、労働三権を正当な労働者の権利として全体に認めるべきであります。その二つは、前時代的な労働軽視を改めて、使用者による不当労働行為は、単に指導にとどめる現行法を改めて、罰則を強化すべきであります。その三つは、労働協約での労使は対等であることを基礎づけるために、トレーズユニオン制を採用することであります。 これら前向きの政府の労働政策が労働組合の立場を確立させ、その上に立って初めて労働の義務と責任とを果たすことができるものと考えるのであります。労働組合側をして、産業再編成による基盤強化に一役買わしめるべきだと考えますが、政府の考えをお聞きいたしたいと思います。 さらに、昨年十月二十六日に、労働基本権に関する最高裁の判断が、全逓中郵事件の判決を通して示されました。 その一つは、労働基本権の制限は、国民生活に重大な支障をもたらすおそれのある場合に限る。その二つは、かつ合理性の認められる必要最小限のものにとどめるべきこと。その三つは、単なる債務不履行について、刑事制裁を科すべきではないこと。その四つは、労働基本権の制限には、これに見合った代償を講ずべきこと。 これらの内容は、時の流れを反映いたしまして、労働関係の裁判においてかつて見られなかったものであります。労働基本権の尊重すべき道を強く指向したものであることは間違いありません。(拍手)また、この判決は、ILO条約百五号、強制労働廃止条約と全く一致したものなのであります。総理は、この最高裁の判決を尊重し、自民党の前時代的な労働治安思想を是正して、すみやかにILO条約百五号の批准をいたすべきと考えますが、いかがでしょうか。 なお、労働基本権関係のILO条約は、百号をはじめとして、多くの取り残された問題があるのでありまして、あわせてお答えいただきたいと思います。 次に、人手不足問題についてお尋ねいたしたいと思います。総理、あなたが善意をもって出された炭鉱の少女に対しての文章は、官房長官の手紙によって、おくめんもなくこれは打ち破られました。私は、この事実を見たときに、ことにアンデルセンのマッチ売りの少女を思い出し、弱い者に対して何らの具体性を持たない政治に対して、きわめてその不実を怒ったのであります。日本の人手不足は、不安定雇用に原因しているのであって、この不安定雇用を解消することが今日問題であろうと思うのであります。そのためには、日本の労働の価値を定めることの是正がまずもって必要であります。たとえば事務系労働を尊重して、技術労働を軽視する偏見が牢固として残っております。そのために、初めの職業選択から偏重するごとくに社会機構ができておるのであります。喫緊の問題は、出かせぎ労働者の法的保護による地位の確立や、中筒年齢層の職業の訓練が重視されねばなりません。また、技能労働者に対する待遇の改善も、社会的な地位の引き上げも、喫緊の問題であります。また技能者養成に対する本腰の入った政策をとるべきであると思います。本年卒業の集団就職の状況を見ましても、何ら見るべき改善がなされておらないのであります。たとえば、若い労働力のにない手は、自分の新しい人生の第一歩を踏み出すのに、職場も仕事も知らない不安に胸を痛めて旅立っていくのでありまして、この実態の中には、国の政策の欠除が見えるだけであります。私は、義務教育は高校までとして、高学年に対しては、本人の希望も入れて職業訓練を行なうならば、技能労働者をどしどし実社会に送ることができると考えますが、これらに対しての総理と労働大臣の所見を伺いたいと存じます。 次に、社会保障費関係についてお尋ねをいたします。 もはや戦後ではないと強調した経済白書にいどんで、「はたして戦争は終わったか」との副題をつけ、決して戦後は終わっていない事実を明らかにした骨のある厚生白書が出されて、すでに十余年を経過いたしております。今日、国民生活の改善から取り残されて、所得倍増計画のひずみの中で政治不在を嘆いているのは、社会保障問題であります。しかも、その後、政府も厚生行政も、その果たすべき問題が重大化しているのにもかかわらず、抜本的対策は進まず、不均衡、格差は放置されていることを、強く指摘しなければなりません。 四十二年度の予算によりますと、社会保障費の予算に占める割合は一五・五%で、全体の伸び率が一四・八%に比べると〇・七%多いといわれます。しかし、三十七年から四十一年までの五年間の社会保障費の伸び率は二〇%前後を示しておったのであります。これらと比較いたしますと、佐藤内閣が自前でつくった予算が一番大きな低下を示しているといわなければなりません。さきに経済社会発展計画では、四十六年度に社会保障水準を三十八年当時の西欧水準まで引き上げると述べておりますし、また昨年八月の社会保障制度審議議会における懇談会でも、四十五年度には、わが国の社会保障水準を三十六年当時の西欧水準までと、あわせて一般会計に占める割合を少なくとも二〇%に引き上げ、一兆円台にのせるべきだという要望をいたしておるのであります。総理は、よもやこの点についてお忘れではあるまいと思います。総理、蔵相、厚相は、これらの長期計画ないし勧告との関連において、わが国の社会保障拡充の問題について、いかなる展望をお持ちなのか、また四十二年度予算についていかなる所信をお持ちなのか、お尋ねいたしたいと思うのであります。 総理が選挙前に養老院を回られ、あるいは千葉の団地を回られて、保育所の陳情を受けましたときに、公約は始まったと思います。しかし、今日、養老院は全国で六百八十五カ所に及んで、五万人を収容いたしております。これらの養老院におけるところの実情はまさに暗たんたるものでありまして、身体の不自由な人々が三分の一を占めるという、そういう養老院の中で、院長とか寮母の無資格者はその七割ないし六割を示しておるのであります。原因は賃金が低いということに基因いたしております。また、ある保育所は、物置き同然の所を改造したり、北向きであろうがどうであろうがおかまいなし、暗い部屋に風が吹き込んできても何ら対策が立てられない。広い間切りのない部屋に、保育室も、遊戯室も、調理室も区別を持たない、そういうところに生後六週間の子供を預かっているのであります。これらは全部無許可施設であります。遊ばせる庭もない、暗い部屋で一日を過ごす子供に、わずかな、あたたかい手も差し出せないものか。このような保育所が全国には二千二百九カ所もあり、約十一万五千人が収容されているのであります。しかも、これらの保育所には、一円の補助もなければ、修理費もいかないのであります。さらに、驚くべきことは、厚生省の役人に陳情いたしますと、憲法に違反をするから出されないと言って断わるそうであります。一体、これらの問題に対して、政府はどう対処しようとするのか、具体的方針をお尋ねいたします。 さらに、健康保険法改正についてでありますが、政府と自民党が合意に達したこの改正は、佐藤総理の言う人間尊重の方針からは生まれてこないものと思うのであります。保険料の引き上げ、本人初診料改正、入院費の自己負担、外来通院者の薬代等は、いずれも、保険を最も必要とする低所得階層に対するものであります。結果から見て、潜在疾病化や有病率の高い層の健康保持を守ることができないと、医師会も言っておるわけであります。これら社会保障制度に全く反逆する改正に、私どもは賛成するわけにいきません。すみやかに撤回して、保険本来のたてまえを堅持すべきと思うのであります。 次に、政界浄化のための選挙制度並びに政治資金の規正改善の問題について、審議会に委託しておりますからという答弁ではなく、総理の根本的な方針として、その決意を伺いたいのであります。 国民の政治に対する不信は、総選挙によって解消されてはおりません。黒い霧を発生させる条件は、だれの目にも明らかに存続をいたしておるのであります。本日の新聞をのぞいて見ましても、共和製糖の問題で現職の議員の取り調べが続けられております。私は、この中で、議員と秘書との関係であるとか、あるいは、当選をしているから、その違反が過去の例に照らしてもきわめて僅少であるというような、そういう安易感の中でこの問題が処理されるということになれば、政治不信を除くわけにはまいらぬと思うのであります。これらについても、総理の見解をお聞かせいただきたいと思います。 また、選挙法改正について、政権担当政党としての責任というものは、これはきわめて重大であります。しかも、可能な範囲における具体策をもって実行すべきであります。たとえば政治資金につきましても、政府は何らかの形において国家予算を投入している団体からの政治献金は、名目のいかんを問わず受け取らない、こういう決意があってこそ、私は、初めて、総理の言う道義に貫かれた議会民主主義体制の確立があると思うのであります。この点において、総理は率先して、清潔な選挙と政治を実現する決意があるかないか、まずお示し願いたいと思うのであります。 次の問題は、選挙の自由化であります。わが国の選挙法があまりにもこまかく制限規定を列挙するにとどまって、自由な政見発表や、国民の選挙参加については、手かせ足かせの状況にありますために、運動が陰にゆがんだ形になっております。自由な選挙、自由な投票は基本でありますから、この問題は、単に技術的、事務的改善にとどまらないで、問題はこれを掘り起こし、責任を持って自由な選挙を実施するための基礎的な改正、これを明確に総理はいたすべきだと思うのであります。私は、こういう点が明らかになってこそ、初めて、審議会での審議が最も国民の期待に沿えるごとくに進むものと考えるわけであります。 次に、最近新聞で報道されました政府の放送番組介入問題についてお伺いをいたしたいと思います。新聞の報道によりますと、二月二十一日の閣議で、小林郵政大臣は、最近、民間放送局のテレビ番組に偏向ありとして、実情の調査を行ない、また、偏向を指摘された放送局の幹部が遺憾の意を表明したと閣議で報告をし、この小林郵政大臣の発言に対して、他の閣僚から、放送全体に対して、スポンサーを通じて民放に圧力をかけるべきである、NHKは国が人事や予算を握っているのだから、政府に協力をさせ、もっとこれを利用すべきである等々、マスコミに対する介入規制の問題が活発に論議されたというのであります。言論、出版、その他一切の表現の自由と放送の不偏不党、自主自律は、憲法及び放送法によって保障されているところであります。放送番組は、法律によらねば、何人からも干渉され、または規律されることがないと、明確に規定しているのであります。しかるに、政府は、権力を背景として個々の放送番組に介入し、立ち入り調査的行為をあえてし、さらに閣議の席上、堂々と放送番組の規制問題を論ずることは、明らかに憲法や放送法を無視した不法介入であると思うのであります。社会の公器たる放送を、政府与党のためのものとするマスコミ工作と断ぜざるを得ないのであります。このような政府の言動は、言論、報道の統制を意図したものでありまして、きわめて悪質かつ重大な問題であります。われわれは、これを絶対に看過することはできないのであります。従来から、ラジオ、テレビの報道番組に対して、政府与党からしばしば批判介入の手段がとられたと聞いております。今回は正面から介入され、マスコミ界に多大のショックを与えているのであります。ことに、十一月の免許更新を控えております放送界は、政府から番組の干渉を受ける筋合いはないと反論しつつも、一部民間放送局は、すでに自主規制の強化の名のもとに、政府に都合のよいような番組編成に動き出しているというのであります。今日、国民は、政府のNHK支配をはじめ、スポンサーを通じてのマスコミの御用化に対して、強い批判の目を向けているのであります。この際、小林大臣の番組介入の意図についてと、政府の偏向番組とは何をさすものかについて御説明を願い、かつ、マスコミ界や国民の疑惑を解消させるためにも、この放送番組の介入問題に対し、いかなる方針をもって臨まれようとされるのか、総理、郵政大臣の明確な御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ベトナム問題につきまして私どもが平和を願っているということ、これは、社会党の諸君と同様に、たいへん熾烈なものがございます。しかし、今日までこれが効果をあげることができない、平和をもたらすことができないのは、まことに残念であります。私は、ただいまの御意見本伺い、同時に、わが政府に対する御鞭撻だと、かように伺いまして、この上とも平和招来への努力を続けてまいるつもりであります。 次に、防衛力の問題についてお話がございました。今回決定をいたしました第三次防衛計画、これは、御指摘のとおり、わが国の国防は、通常兵器による局地戦、これを抑止するということでございまして、局地的侵略に対して、これを抑止する力があればいいということであります。そこで、その観点に立つと、これは少し大き過ぎるのではないかということでございますが、最近の兵器の発達等からみまして、決して大きいものではございません。ことに今回は、在来兵器の充実といいますか、整備といいますか、取りかえを主としているものでありまして、そういう点でも御了承いただきたいと思います。これによりまして民生を圧迫する、さようなことはないと思います。また、私はそういうことはさせません。 次に、日米軍事協力に限界があるのではないかというお尋ねであります。御承知のように、安全保障条約第三条によりまして、日米の軍事協力は、各国の憲法上の規定に従うということが一つの条件であります。また、共通の危険に対処する旨を宣言しております。だから、こういう点が、限界といえば、限界かと思います。わが国は、核兵器はもちろん持ちませんし、核兵器の持ち込みも許さない。こういうことでございますが、この日米安全保障条約では、核の攻撃に対してもアメリカは日本を守る、こういうことでございますので、その点の御心配もないように願います。 また、三次防は中ソを敵視しているものではないか、こういうことでございますが、これは、わが国の安全を確保するという、その観点に立っての計画でありまして、中ソを敵視したものではございません。 また、核武装への第一歩ではないかという御心配があるようでありますが、私どもがしばしば申しますように、核の持ち込みも、また、核装備も一切しない。この点も御信頼いただきたいと思うのであります。今回の三次防は、決して核武装への指向ではない。国民の皆さんに御了承を得たいと思います。 次に、核拡散防止条約に対して、非保有国として条件をつけているが、条件がいれられない場合はどうするか、こういうお尋ねであります。私は、核拡散防止条約と、いま、いわれておりますその草案等を見まして、その趣旨、その精神には、全面的に賛成しております。しかし、それぞれ保有国と非保有国との間における権利義務等が平等でなければなりませんが、そういう点について、やや、なお確かめていかなければならないものがあるのでございます。したがいまして、この条件がいれられない場合はどうするかということでありますが、私は、条約の全般的内容と諸般の情勢をも勘案した上で、慎重に考慮すべき、また、決定すべき問題だと、かように考えております。 日米合同演習についてのお尋ねがありましたが、私は、まだ報告を受けておりませんので、知りません。 次に、原爆被害者につきましては、もうすでに御承知のように、今日実態調査中であります。この実態調査をいたしまして、十分実情を把握した上で、これに対する対策を立てるべきだと思っております。いま医療については原爆医療法がございますから、これで今日の状態は済んでおりますけれども、生活の実態はもっと現状を把握しなければならない、かように思います。 次に、労働問題について種々お尋ねがございました。その基本的な問題については、私からお答えいたしまして、個々の問題につきましては労働大臣の説明を聞いていただきたいと思いますが、いわゆる労働問題は、簡単に今日までの所得倍増計画の失敗だと、かように言われることには、私、納得をいたさないのであります。御承知のように、三十五年以降の賃金の値上がりは、これは確かに生産性の向上を上回っておる、こういう事実でございますが、三十年以後をとってみますると、賃金の値上がり、また生産性の向上、これは適当な見合った状況であると思います。そこで、私、今後ともますます経済は発展し、生産性は拡大してまいりますが、そういう際に、労使双方におきまして、最後の受益者、国民消費者の利益のためにも、この生産性向上の利益を分配する、そういう観点に立って、賃金の引き上げあるいは利潤の追求、そういうこともあわせて考えていただきたい。いわゆる国民経済的視野に立って賃金はきめらるべきだ、こういうことを十分理解していただきたいのであります。この点が問題になりまして、それぞれの立場だけで主張する、労働者は賃金の引き上げ、また経営者は利潤の追求、こういうようなことになれば、これはたいへんなことだと思います。消費者不在、国民不在の物価ということにもなるのでありますから、ここらの点を十分勘案していただきたいと思います。 次に、労働問題について、公務員の賃金の問題だとか、あるいは三公社五現業の当事者能力の問題であるとか、あるいは最低賃金制の問題等々ございますが、これらは労働大臣の説明を聞いていただきたい。 労働者全体に対する労働基本権の問題と、最近の資本自由化との関係についての御意見でございます。私は、この最近の資本自由化、いわゆる産業界の革命的な事柄に対しまして、労使双方が一体となりまして、これに対応する制度、機構等を考えるということは、ほんとうに望ましいことだと思います。そういう意味で、組合の自主性を確立して、産業再編成について、政府、企業あるいは労働者等が対等な立場で合議に参加せしめよと、こう言われる趣旨は、よく私もわかるのであります。ただ、労働者と言われますが、この労働者一般の中に、いわゆる公務員あるいは公共企業体職員等が入っておりますが、この公務員や公共企業体職員は、その担当する職務や業務内容等で、おのずから制約を受けるのでありますので、産業界、民間におけるいわゆる一般労働者とは、その立場がやや異なっているように思います。それで、これらの公務員や公共企業体職員の労働基本権は、いかにして守られるか、こういう点については、ただいま、公務員制度審議会で十分検討している最中でございます。 それで、私は、横川君の御指摘になりましたように、資本の自由化に備えての産業再編成、こういう問題について、民間の労使双方において十分話し合うということ、これは、その趣旨において望ましいことを、重ねてつけ加えておきます。 次に、中郵事件に対する最高裁判所の判決、これは、私どもは尊重するのは当然であります。もちろん、これを尊重いたします。 ILO百五号条約批准、この問題については、これはやや問題があるようでございますので、この条約の批准につきましては、さらに検討を要します。 次に、人手不足対策についてのお尋ねがございました。確かにいま、問題になっておりました炭鉱離職者の再就職は、これは順調に進んでおるようであります。例を引かれましたあの炭鉱などは、たいへんうまくいっておるようであります。全般といたしまして、高等学校を義務教育にしろという御意見でございましたが、私は現在は、さような考え方を持っておりません。また、高校生に対して職業教育を充実し、予算的にもそういう処置をとっておることは御承知のとおりであります。出稼ぎ労働の問題について、これに法的な保護が必要であるかどうか、なお検討を要する問題だと思います。人手不足に対しましては、もちろん、中庸年齢層の就職問題が最も大事なことでありますので、民間の協力を得まして、きめこまかい措置をとりたいと思います。 次は、社会保障制度の改善についてのお話であります。パーセンテージをあげて、これは後退ではないか、かように言われますが、私どもが、いわゆる近代国家といたしまして、特に力を入れているのは、福祉国家の建設であります。そういう観点から、社会保障制度の充実には力をいたすつもりであります。ただ、御提案になりましたように、全体の予算の二〇%まで引き上げて、一兆円にしろと、こういうことは、やや現実から見まして、予算編成上の難点もあるようであります。私は、御趣旨によりまして、限られた予算を重点的に配分したと、かように思いまして、今回の予算を編成したつもりであります。なお、養老院、保育所、身体障害者等について種々お話がありました。そうして、これらの施設も悪いが、ことに療養担当従業者の資格等が非常に低下しておる、これらは予算の問題だと、こういうおしかりであります。これらの点についても今後十分検討してまいりたいと思います。 次に、健保の各種改訂についてのお話を承りました。もうすでに、これは抜本的改正の時期にきておると、こういうことを言われておりますが、しかし、今回は抜本的な改正ということに取り組むには、まだ全体の体制が整っておりません。しかして臨時応急の赤字対策、そういうことで制度の崩壊を食いとめると、こういう意味の最小限度の措置をとったのであります。これは全然反対だと言われないで、制度を崩壊させない、さらに充実さしていく、こういう意味で、ぜひとも御賛成、御協力を願いたいと思います。 最後に、政界の浄化のためにいろいろのお話がございました。私はしばしばこの政界浄化の問題について私の決意を表明いたしております。申すまでもなく、あの前回の選挙で私どもは自粛自戒して、その第一歩を踏み出した、かように考えております。今後ともなかなかむずかしい問題でありますが、根気強くまたその努力を続けてまいりたい、かように思います。そうして国民の政治に対する信頼を高めるように、ぜひともしていかなければならない、かように思っております。また、選挙制度審議会におきまして、すでに一次、二次の答中を得ておる、それらの実施ができておらない、こういうものをどうするかと言われますが、一次、二次の答申を得ましたものは各党においてそれぞれお話し合いをいたして、そうして取り得るものは今日まで取ってきたのであります。しかし、私はこの機会に決意を新たにいたしまして、一次、二次の答申についても再検討を加え、そうして今後出てくる選挙制度審議会の答申と相まちまして、ぜひとも各党協力の上で、この政界の浄化、これに巨歩を踏み出したい、かように考えます。 また、御指摘のございました政府及び国家予算に関係の深い会社等の献金についてはどうするかというお話でありますが、これはいままでも国家予算に関係のあるものは、選挙について献金は受けてはならないというような規定がございます。また、外国人からの献金も受けてはならないということがございます。どこまでも清潔な選挙が行なわれ、そうして政治家が、どこからも縛られない自由な立場において、自主的な立場において政治を行ない得る、そういうことに支障を来たさないように、献金問題と取り組むべきだと思っております。 選挙の自由化方策についてのお話であります。もともと選挙は、世の中がうまく皆さま、みんな神様になれば自由であるのが、その基本だと、かように思います。なかなか現状においては、選挙の自由化は、そこまで許すわけにいかない、こういう状況でありますから、これは御趣旨等を十分勘案して、そうして適切な、実際問題として合うような法律をつくるべきだと、かように思っております。 最後に、行政機関のマスコミ介入についてのお話がありました。これは小林君からお答えいたしますが、私どもは、いわゆる政府が介入するという、介入の意はございません。そうして放送が、いわゆるマスコミが真に公共の福祉に役立つよう、心から念願をしておるような次第でございます。(拍手) 〔国務大臣早川崇君登壇、拍手〕
○国務大臣(早川崇君) 総理がお答えされました以外の労働関係についてお答えいたします。 第一は、三公社五現業の当事者能力の問題でございますが、現在でも限られました当事者能力はあるのでございます。ただ予算に関係いたしますので、国会の御承認を得なければならぬということが、大幅値上げの場合に起こるわけであります。そういう関係では、当事者能力が制限されておる。そこで、この問題をどうするかという問題につきましては、公務員制度審議会の御検討を願っておる最中でございます。その結論を持ちまして考えたいと思っております。第二番目には、最低賃金の問題でございます。現在の業者間協定を主とする最低賃金は、ILO二十六号の精神から疑義があると私も感じております。そこで、現在、中央最低賃金審議会を有沢会長のもとでやっておりまして、特に二十六号条約の精神に合致する答申を期待いたしておるのであります。ところが、残念なことに、総評の委員が全国一律最賃制という立場を固執されまして、なかなか参加がされておらないので、目下、審議会に入って——いろいろ方法があるわけでありますから、地域別、あるいは職業別、あるいは総評や社会党の御主張の全国一律制というような、いろいろな意見があります。諸外国では、全国一律制の最賃ということを採用している国はございません。それに固執することなく、審議会で妥当な結論を期待しておるわけでありまして、この審議会の結論が出次第、国会の御審議をわずらわしたい、こういう考えで進めております。 労働三権の問題で、不当労働行為に対して罰則を強化しろとか、いろいろな基本的な意見を述べられましたが、私は日本の労働三法というのは世界でも非常に進んだ労働法だと思っております。そこで、石井照久教授を会長とする労使関係法研究会の結論を見ましても、いま直ちにこの労働関係の法律を改正するような答申にはなっておりません。しかし、その中で、労働委員会を強化しろとか、あるいは労働組合の政治献金の問題なんかにつきましても、いろいろ意見が述べられておりますので、そういった参考意見も慎重に検討をいたしておる段階でございまして、いま直ちに労働関係の基本法を改正する意思は持っておりません。 人手不足に関連いたしまして、出かせぎ労働者の問題につきまして一言お答え申したいのでありまするが、現在出かせぎ労働者で、国の職安機関でこのお世話をしておるのがまだ三〇%でございます。われわれといたしましては、この出かせぎ労働者対策というものを重視いたしまして、巡回相談所を派遣いたしまして、できるだけ正常なるルートで出かせぎ労働者が職場に行くように指導し、また努力をいたしておるわけであります。そのためには、出かせぎ労働者台帳というものも設けましたし、また、受け入れる事業所には事業所台帳を設けまして、出かせぎ労働者に対する賃金の不払いとかいうようなことをやった土建業者等に対しまして、国、地方の入札にはこれを入れないというような措置をもとりまして、出かせぎ労働者の保護に万全を期しておるわけであります。 また、中高年労働者の問題につきましては、若年労働者がたいへん不足してまいりましたので、どうしても中高年に依存する社会的要請が強くなっております。これを雇用の面に活用するためには、私は一番大きいのは、定年制を延長することだと思います。現在五十五歳という民間会社の定年は、現在の中高年の年齢が延長した現状からいいまして不適当である。これの延長をわれわれは指導していきたいのでありますが、しかし、ただ年功序列で、定年が上がったからそれだけ賃金が上がっていくんでは、これは経済効率が非常に低下するおそれがありますので、能力給、職務給とあわせて、定年延長問題を考慮してまいりたいと考えているわけであります。また、中高年専門の職業安定所を設けました、人材銀行という名前で渋谷に。今度は大阪その他名古屋を含めまして、大都市に三カ所、新しい予算で設けまして、中高年の能力ある人を適当な職場に採用するように、労働省といたしましては全力を尽くして職業あっせんをいたしているわけであります。 最後に、技能者不足に伴う技能者尊重の問題、——率直に申しまして、現在の日本の社会では、工員さん、いわゆるブルーカラーに対する軽視という風潮が続いていることは事実でございます。会社の雇用条件においてもしかりであります。われわれは、今後雇用勤労者の不足時代を迎えまして、技能者の地位を高めていく。しかも、中学校、高等学校を出た人が、ホワイトカラーでなくて、ブルーカラーにも希望していく、こういう社会的風潮をつくらなければならないと考えまして、技能者検定制度を改正し、また、技能者表彰制度を新設をいたしまするとともに、会社に対しましても、ブルーカラーとホワイトカラーの差別をつけないように行政指導してまいりまして、技能者尊重の気風をわが国内に醸成してまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
○国務大臣(坊秀男君) 社会保障の問題等につきまして、総理からお答えがございましたが、若干補足をさせていただきたいと思います。 社会保障の問題につきましては、御指摘の三十七年度に行なわれました社会保障制度審議会の答申を受けまして以来、政府はこれを社会保障充実の指針といたしまして、生活保護制度につきまして、逐年、格差の縮小の方向でその改善をはかるとともに、年金制度につきましても大幅な改正を行ない、国民健康保険の給付割合につきましても、四十二年度を最終年次として、年次的にその引き上げをはかるなど、社会保障の充実につとめてまいりましたのでございます。今後におきましても、長期的な観点のもとに、その総合的な体系整備と実質的な水準の向上をはかることといたしまして、医療保障部門における当面の課題の解決と、その制度の建て直しを行ないまして、極力、年金制度等、所得保障部門の充実につとめました。また、老人福祉、児童福祉、心身障害者福祉、成人病対策、環境衛生対策などの分野の拡充に格段の努力を払っていきたいと考えております。 四十二年度予算において社会保障が後退したじゃないかという御意見でございまして、総理はこれに対しまして、パーセンテージでもって議論をするのは、これは必ずしも適当ではないと、こういうお話もございましたが、ここでパーセンテージについて申し上げましても、厚生省所管の一般会計歳出予算は、一般会計歳出総額が、対前年度の当初予算に比べまして増加率が一四・八%であるのに対しまして、厚生省予算は一六・五%と、これを上回っておる、こういうような状況を示しております。これは生活保護基準の大幅な引き上げ、福祉年金額の引き上げ、老人、心身障害者対策の拡充、ガン対策の一そうの推進、救急医療体制の整備、公害対策、生活環境施設等の整備など、幅広く国民の生活向上と福祉に力を入れたということの証左ではなかろうかと、私は思っております。 次に、この政管健保の今度の御審議をお願いしておる問題でございますが、これは政府管掌健康保険の財政状況が一段と悪化いたしまして、支払い遅延などのまことに憂慮すべき事態が生ずるかもしれないと、こういう現状に対しまして、この急場をしのぐために必要な臨時応急の対策として行なうものでございまして、制度の崩壊を食いとめるためには最小限度ぎりぎりの対策を考えたのでございまして、どうぞこの点を御理解願いたいと思います。 保育所につきまして御質問でございますが、保育所は現に不足しておるので、昭和四十二年度には大幅にふやしたいと考えております。そして、従来は保育所の増改築についてだけ補助していたのでございますけれども、今国会で、社会福祉法人の設置する保育所については、その新設についても補助できるように関係法令を改正してまいりたいと思うのでございますが、これもどうぞ御理解の上、ひとつよろしく御審議、御決定のほどをお願い申し上げる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣小林武治君登壇、拍手〕
○国務大臣(小林武治君) 放送番組のことにつきましては、総理がお答えになりましたように、政府は介入した事実はありません。また、介入する意図も持っておりません。ただ、問題の番組につきましては、新聞に大きく批判的な報道がありましたので、どんな内容かと、係の者がそれぞれ放送当事者の好意で見せてもらったのでありますが、これはもとより、介入とか、あるいはこれを規制するとかの意図によるものではないのでございます。この点に関しましては、私どもも今後誤解を受けることのないように気をつけてまいりたいと思います。また、偏向ということでございますが、これは御承知のとおり、放送法に番組の基準というものが響いてありまするから、これに反するようなものは偏向であろうと思うのでありますが、当局といたしましては、まだ偏向等を指摘したこともありません。これはやはり聴視者たる国民多数の批判に待つべきものと思っているのであります。要は、国民のものである電波が、放送当事者において自主的に、広く国民的立場で、公平適正に活用せられることをわれわれは期待しておるのでございます。(拍手) —————————————
○議長(重宗雄三君) 杉山善太郎君。 〔杉山善太郎君登壇、拍手〕
○杉山善太郎君 私は日本社会党を代表いたしまして、第二次佐藤内閣の施政方針演説に関しまして、佐藤総理はもちろんのこと、関係の各大臣に若干の質問を展開せんとするものであります。 ついては、質問の要旨を、前段の部と後段の部に分けて質問いたさんとするのでありますが、まず前段の部といたしまして、佐藤総理、あなたは、言うならば日本丸の船長でもあろうというふうに思うわけであります。したがいまして、目まぐるしく、しかも激しくゆれ動く、流動するところの現下の内外諸情勢に対処し、世界の平和と日本国の安全と繁栄はもとより、すべての勤労国民の生活の安定向上のための、しかも具体的な施策、方途について、たとえば政策路線の基調を、人間尊重あるいは社会開発に力点を置こうとするのか。それとも、旧態依然として、独占資本擁護のための産業本位、企業利益優先のための経済開発に重点を置こうとしておられるのか。はたまた、国の基本法である日本国憲法の美徳でもあるところの、言うならば民主的な諸条項、すなわち、憲法第二十五条、第二十六条、第二十七条、第二十八条等の完全実施と不可分な関係を持つところの、すなわち社会保障、国民福祉の整備充実、教育の機会均等、義務教育費の全額国庫負担、賃金、労働時間、完全雇用を含む労働条件の改善、さらに結社の自由に基づく団結権、交渉権、団体行動権等を含むところのいわゆる労働基本権の確立に関する法改正等の、いわば国民生活向上のための平和路線につながるバターの政策をおとりになろうとしておるのか。それとも、国連協力法、防衛二法、あるいは膨大な国費を投入し、しかも将来核兵器導入につながることが十分に予測されるところの地対空ミサイル兵器の国産を企図するなど、第三次防衛計画実践のための法的措置等により、自衛隊の海外派兵、防衛庁の国防省昇格、あるいは自衛隊を陸海空の三軍に仕立て、言うならば、軍国主義復活、再軍備のための、戦争につながるところの大砲の政策をおとりになろうとするのか。一体全体、日本本丸の進路をどの方向に向けて、かじをとろうとなさっておるのか。すなわち、日本丸の船長であるあなたは、少なくともこの壇上において、あなたの所信を国民の前に明確にしていただきたいことを、国民の名において、私は強く要求するのであります。 次に、後段の部として、農業、漁業及び災害、公害に関するもろもろの問題について、若干の質問をいたします。 まず、質問の第一点。すでに農業基本法が成立をして六年にもなります。昨年、政府が出した「農業動向に関する五年報」においても、みずから生産の低下、輸入の激増、自立経営農家の育成の失敗は認められているのであります。すなわち、日本社会党は、農業基本法の審議の際にも、政府の食糧自給の見通しの甘さ、農地拡大の見通しのない自立経営農家育成策の矛盾、兼業農家の激増を追及したのでありまするが、今日の農業は、わが党が指摘したとおり、まさしく、明白にそのことを実証しておるのであります。さらに、昭和四十年度の農業白書も、「米の生産は三十八年以降三年間連続し、しかも近年その傾向が加速化した」ことを認めているのであります。また、兼業農家は全農家の八割をこえ、農業基本法農政の柱であった自立経営農家の育成は、完全に失敗していることが証明されているのであります。一方、農産物の輸入は急増し、わが国の輸入総額に占める割合はきわめて大きいのであります。要するに、これは、食糧自給度向上を怠り、安易な輸入政策にたよった結果でありまして、世界的に食糧不足の傾向にある現在、食糧確保に大きな不安をもたらしているのであります。さきの総選挙中において、倉石農相は、農基法の改正を云々されたと聞いているのでありますが、一体、どのような方向で改正されようとしているのか、明確にしていただきたい、かように思うのであります。また、農基法農政が破綻し、今日の農業の荒廃と衰退を招いた原因を率直に認め、農基法農政を改め、農業政策を抜本的に改めて、出直すべきだと思うが、政府の御所見を伺いたい、こう思うのであります。 次に、質問の第二点は、食糧管理制度の問題であります。総選挙中、政府は、当分の間、消費者米価を上げないということを言明しながら、予算編成の中で、食管会計の赤字を理由に、選挙中の公約を一片のほごとしたのであります。これは国民大衆を欺くものであります。要するに、食管会計の財政支出が増加するのは、政府が農業生産の改善をはかるための総合施策を、言うならば怠ったからであります。政府の責任であると、かようにわれわれは判断するのであります。第一に、政府は、農産物の長期需給の見通しを誤っているのであります。言うならば、米麦軽視の政策をとって、米の生産性を臨める努力を怠ってきたのであります。すなわち、米の生産が減退すると、あわてて土地改良十カ年計画を追っかけ主義でつくったり、その怠慢は、はなはだしいものがあると思うのであります。しかも、こうした政策不在が、米の生産費を高くし、生産者米価を上げざるを得なくしたのであります。およそ農政の失敗の原因を国民に押しつけるなどは、もってのほかと言わざるを得ないのであります。すなわち、先般来、わが党は、経営規模の拡大、生産性の向上を強く主張してきたのであります。そのためには、基幹的な土地改良事業はすべて全額国庫負担によって大規模に行なうべきであり、農家の生産経費をふやさないで生産を高めることが、生産者米価——回り回って消費者米価対策の根本的な要因であると、かように考えているのであります。政府の具体的な対策を、本件に関して明確にしていただきたい。また、上からの画一的な押しつけによって、農業構造改善事業は至るところで失敗しているじゃありませんか。しかも、赤字は累積をしております。こうした農家負債の増大は、農家にとってはきわめて重い負担であります。こうした現状の中で生産者米価を押えようとすることは、農家を苦しめるだけと思うが、政府の御所見を伺いたいと思うのであります。 質問の第三点として、食管制度の改廃に関する政府の見解と、ほんとうの、真に意中に秘められたものを伺いたいと、かように考えるのであります。すなわち、食管法第三条二項では「政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と、うたっているのであります。また、第四条の二項では「政府ノ売渡ノ価格ハ政令ノ定ムル所二依リ家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と、かように、はっきりうたっているのであります。生産者農民には生産費の保障を、消費者市民には家計安定を、食糧管理法では明確に打ち出しているところであります。しかるに、昭和三十九年九月開催の米価審議会の小委員会は、小倉武一会長のもとでは、食管法の精神を無視じゅうりんし、理不尽にも生産者米価の算定基準に検討を加え、そこで出された案としては、要するに、生産者米価の算定は指数化方式を使いなさい、米価のワク外に特別の加算をしちやいかぬ、消費者米価はコスト価格にすべきだ、生産者米価と消費者米価は当然スライドされるべきだ、食管会計内で両米価の赤字の逆ざやを一般会計で負担するのはもってのほかである旨を答申しているのであります。一方、財界でも、その動きに同ずるがごとく、今後の農政は社会保障政策的ではなく、経済合理主義を貫徹すること、米価の算定方式を改定するとともに、食管制度を改廃して、米の自由販売化を促進すること、農産物の全面的貿易の自由化を推し進めること、企業的農業の育成を推進すること等々を正面に掲げて、政府に食管制度の改廃を迫っているようであります。すなわち、以上のごとく、米審小委員会並びに財界筋の意見の中からうかがい知ることのできるのは、要するに、資本主義に残された最後のとりでとして、日本人の主食である米穀をわがものにせんとして、食管制度の廃止により、日本農業を独占資本の系列下に押える意図がはっきりうかがえるのであります。こうした独占資本、すなわち、財界筋の意向を受けて、自民党政府は、食管制度のなしくずしを心中ひそかに企図しているのではないのか。総理の食管制度に関する見解と所信のほどを、これはきわめて重大な問題でありまするから、あからさまに、率直に、正直に、意中のほどを、国民の知らんとするところを答えていただきたいと、かように考えるのであります。 次に、質問の第四点は、乳価対策についてお聞きしたいのであります。白書でも明らかなように、乳牛頭数の伸びは鈍化しております。肉牛頭数は激減しているのであります。政府が選択的拡大で酪農を奨励したことは、まごうかたない真実であります。しかし、現状は逆に後退するばかりであります。たとえば乳価にしても、生産者価格は低く抑えられてしまって、農民の生産費と所得を補償するにはほど遠いものがあります。最近、飲用牛乳の値上げが消費者にとって大きな問題となっていることは、御承知のとおりであります。生産者対策を実施しない限り、大乳業メーカーを太らせることだけに役立っているのであります。乳価問題の根本対策は、何といっても、生産費に大きな比重を占めているところの飼料対策にかかっているのであります。現在のように飼料対策を怠り、飼料を輸入に依存して、値上がりが続くのでは、畜産不振は当然でありましょう。政府の飼料自給及び草地造成対策について伺いたいのであります。また、輸入飼料は国で管理をし、安く農民に供給すべきだと考えます。その施策が、農民に対する、そして乳価値上げ問題を根本に調整する自然の施策ではなかろうか、かように考えます。政府はどういうふうにお思いになっておられますか、ひとつ明確にお答えいただきたいと思います。 次に、漁業問題について二点ほどお伺いいたします。去る三月一日から東京で開かれている日ソ漁業交渉において、ソ連側は日ソ両国のサケ・マス漁獲量の均衡、北洋カニ漁業のソ連許可制への移行を主張しているといわれております。元来、ソ連は、タラバガニを大陸だなの天然資源に含めるべきであることを主張しております。一九五八年の国際連合海洋法会議以来主張してまいっているのであります。また、去る四十年二月五日締結された米ソ・タラバガニ協定においても、タラバガニを大陸だなの天然資源とすることに、両国の合意が成立しているのであります。これは、まさしく国際漁業に対する規制強化の一例でありまして、そこで、私は、これはどうしても総理にお聞きしておきたいのでありますが、言うならば、朝に一城、夕に一郭を落とされるような今日のわが国の国際漁業を発展させるために、政府は、今日まで、外交交渉その他を通じて、一体全体どのような努力をなすってきたか、今後また、どのような努力をされようというのか、率直にひとつ、その意中をお示しいただきたい、かように考えるのであります。 次に、農林大臣に、これはどうしてもお伺いいたしたいわけでありますが、タラバガニをいわゆる大陸だな資源からはずすためには、ちょっとやそっとの手段では、これはだめです。そこで、言うならば、カニの生活史といいますか、カニの生活実態というものを科学的に十分資料を集める。そのためには、どうしてもその水中写真などを十分精密にとって、しかも、だれの前に出しても真実はこうだというところの科学的資料に基づいて、国際間の話し合いを行なうべき旨を、わが党は幾たびか過去において要求してきているのでありますが、政府は、今日まで、一体どのような具体的な努力をしてきたか、また、今後、いまからでもおそくないが、どのような努力をしようとするのか、あるいはその計画などについて、できる限り詳細にひとつ明らかにしていただきたい。こう思うのであります。 第二点として、今日まで政府が、かつて二度も真剣に努力してきたことのない問題——胸に手を当てて考えていただくとよくわかる問題でありますが、すなわち、治岸漁業の振興について伺いたいのであります。今日、わが国の沿岸漁業は、資本制漁業による能率漁業が、魚群が沿岸に回遊してまいります前に、これを沖合いで根こそぎ捕える一方、他方では、陸上産業による工場廃液その他によって水質がよごれ、沿岸がいまや魚の産卵生息の場でなくなりつつあることによって、沿岸漁業は例外的なものを除いては、窮乏と衰亡の一途をたどっているのが現状であります。なるほど、条件のある地域では養殖への転換も行なわれているが、何といっても沿岸漁業の中心は漁船漁業であります。その盛衰が沿岸漁業の運命を定めると言っても過言でないのであります。沿岸の漁船漁業を振興させるためには、どうしても、船の大型化、能率化をはかり、沖合いまで出かけていって魚群を捕獲することの必要があるのであります。しかしながら、資力の乏しい沿岸漁民には、造船資金を手に入れることは困難でありまして、結局、むなしく座して死を待つよりほかないのが、今日沿岸漁民の実情であります。そこで、農林大臣にお聞きしたいが、政府は、沿岸漁業の発展をはかために、信用力の乏しい沿岸漁民が、漁船漁具を大型化し、生産性を高めることができるように、農林漁業金融公庫の中に、零細漁民を対象とした、親切な特別ワクを設け、十分な原資を備えて、年利三分以下、三十五年以上の長期低利資金を貸し出す意思はないか。これくらいな気ばった施策をとっていただきたいと思うのでありまするが、御所見を今日的な次元においてお伺いしたいのであります。 次に、公害問題について若干の質問を行ないます。 そもそも、佐藤内閣の重要施策の一つである社会開発の中でも、特に重要な課題と見られている公害問題は、決して新しい問題ではないのであります。すなわち、厚生省や関係当局、あるいは全国各地の住民たちが、ばい煙その他による大気汚染、海水、河川のよごれ、自動車の排気ガス、騒音、地盤沈下、悪臭、工場廃液等による有機性水銀中毒、その他公害による被害を訴え始めてから、すでに十年以上も経過しているのであります。しかも、この間、関係各省の多くの審議会や委員会が公害対策について出した答申や建議というものも、数知れないのであります。また、公害の調査についても、関係各省によってばらばらに何回も行なわれている事実であります。こうした作文づくりに追われ、答申や意見をこんなに山積みにし、調査に明け暮れているうちに、公害はどんどん深刻化しているのが現状であります。したがって、いまや公害対策は、もはや研究、論議、調査の段階ではなく、まさに決断と実行のときであります。たとえば、おそまきながら政府も、ようやく公害基本法の制定に踏み切ったようでありますが、しかも勇断をもって一たん踏み切った限りは、中途はんぱの基本法であってはなりません。そこで、どうしても権威ある審議会が、公害に関する基本施策について答申を行なった精神と原則を踏んまえ、すなわち答申は、「公害によって受忍限度を越える損害を生じたときは、原因者が賠償責任を負うことを義務づけているのであります。さらに、国、地方公共団体は、公害防止に必要な事業を実施し、企業もその費用の一部を負抗することを義務づけるべきである。さらに、公害基本法の制定にあたっては、さしあたり、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、悪臭の五種数を規制対象とし、このうち、どうしても大気汚染、水質汚濁、騒音の三つについては、環境基準の設定を急ぐべきである。さらに、公害の被害者救済措置として、企業出資の、いわゆる「公害基金」の構想を検討すべきである」ということを指摘しているのであります。 すなわち、以上のごとき指摘をしているのであります。しかるに、企業の責任団体であり、しかも公害発生原因者の集団でもあるところの経済団体連合会が、公害対策について公表した意見番によれば、産業発展を妨げるような公害規制は認められないし、公害被害者の救済や補償は国の資金で行なうべきだなどを中心として、意見書を公表しているのでありますが、一たび口を開けば、企業の社会的責任を強調するところの財界団体が、みずからの損得、いわゆるそろばんに影響があるとなると、たちまち態度を手の裏を返すように豹変いたしまして、権威ある公害審議会の答申に水をさすがごときは、身がってもはなはだしく、まことに言語道断であるというふうに考えるのであります。 かくのごとき公害に関する経団連の思想は、百害あって一利なき危険思想であります。たとえば、新潟県阿賀野川流域におけるところの世上第二の有機性水銀中毒事件に関する、科学技術庁、厚生省を中心とする関係各省の委員と学者グループで構成した大がかりな調査団と、学者グループの良心と、精密にして権威ある科学的な実験と研究によって、いわゆる第二の水俣病の発生原因が、阿賀野川の上流の昭和電工鹿の瀬工場の廃液の中の有機性水銀であると結論づけられたにもかかわらず、しかも、国民の健康と生命を守る行政長官である厚生大臣が、国会の答弁において、昨年末か、おそくとも、ことし一月じゅうには、科学技術庁を窓口として、全国民の前に公表することが約束された過去の経過があったのであります。その後、経団連を背景とする昭電側の反論にあい、うやむやのうちに葬り去られようとする事件があるが、佐藤総理、あなたは御存じでありますか。お聞きになっておりませんか。要するに、財界と自民党政権との因果関係が、たとえどうあろうとも、いやしくも人間尊慮、社会開発優先の理念からして、公害に関する答申の趣旨と精神をあくまでも貫き通し、諸外国の公害基本法に劣らない、すなわち、国民の生命と健康を公害から守ることを大原則とするりっぱな基本法を、わが国においてもすみやかに法制化すべきである。と同時に、公害防止対策に関する必要な予算指貫については、十分これについて配慮すべきであるというふうに考えているのであります。したがって、公害基本法制度の過程においても、たとえば大気の汚染によって、いわゆる受忍限度を越えた三重県四日市ぜんそくの根絶であるとか、さらに、三井三池炭鉱の炭じんガス爆発による一酸化炭素中毒事件等による、その被害者に対する適正な救済と保護措置はもとよりのこと、大都市の自動車による排気ガスの問題、あるいは規制措置、及び、油による海水汚濁の防止に関する国際条約の早期批准に関する諸案件、及び、世上第二の水俣病と評価されている新潟県阿賀野川流域における有機性水銀中毒事件の解決をも含め、佐藤総理の公害問題に関する全般のやはり所見というものを国民の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。 最後に、災害に関する諸問題について若干の質問を行ないます。一口に言って、日本国は災害国であります。しかも、天災と人災は紙一重である。もし総理が誠実をもって、人命尊重、社会開発を国策として、大自然の暴威により、しかも、毎年のごとく日本全土にそのつめあとを残す各種の災害に対処するため、科学と技術と財政力と人間の努力によって、大自然の暴威による激甚災害を最小限度に食いとめるための防災対策に万遺憾なきを期すると同時に、すでに自然の暴威によって破壊され、あまつさえ、人命に被害を与えたなまなましい過去の傷あとに対し、たとえば日本全土を襲った昭和四十一年台風二十四号及び二十六号による死傷者、家屋崩壊等による被害をはじめ、新潟県加治川はんらん等により収穫皆無におちいった新発田市及び豊栄町周辺における被災農民及び罹災者の救済と、公共施設の改良復旧の強化促進について、今後における具体的な施策、方途に関し、政府の御所見を伺いたいと思うのであります。 次に、地震の町、長野県松代町一帯における激震と、その範囲拡大を続けるところの松代地震群の対策を、総合的に強化する必要があると思うのであります。たとえば、地震の二次災害の一つである異常湧水の中の塩分が増し、春の農耕期を前にして、新たに地下の噴水による農作物の塩害が深刻になったと承っているのであります。しかも、地下に含まれている塩分が濃度を増し、水稲や果樹の生育を妨げることは必至であるとすれば、もはや、自治体の貧弱な財政力をもってしては手の施しようがありません。当然、国の責任において対処すべきでありましょう。要するに、天災と人災は紙一重であり、しかも、天災は忘れたころに、またやってくるといわれます。すなわち、科学と技術と、必要な予算措置と、人間の努力によって、抜本的な災害防止対策として、しかも、国の責任において、中小河川の改修、治山治水、砂防、地すべり、高潮、地盤沈下、海岸保全等の早急な実施をはかることこそ、目下の急務でありましょう。さらに、過去幾多の激甚災害による悲惨な被害状況にかんがみ、とりわけ、大災害により被害を受けた個人に対し——なくなった人じゃありませんよ——一人の個人に対して、必要な援護を行ない、その自立更生に資するべく、たとえば現行の激甚災害に関する法律の一部を改正するなどして、天災による被災者の援護に関する何らかの法的措置を講ずべきだと思うが、総理の御所見を——総理は中央防災会議の議長でいらっしゃいますので、この点についても、ひとつ勘どころを働かせて御所見を伺いたいと、かように考えるのであります。 最後に、前段いろいろ申し上げました諸問題、もろもろの案件に関し、総理並びに関係各大臣から、しかも、国民の納得に値する、親切にして明快なる答弁を上要求いたします。 以上で私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私の施政演説で、このたび特に申しましたのは、もう戦後の諸施策は終わった、今後は新しい歴史の創造に取り組むべき時期に来た、こういうことを実は申し上げました。ただいま冒頭にお尋ねになりました、日本をどちらの方向に進めていくのかという問題に、私はいささかお答えしたつもりでございます。 申すまでもなく、二十世紀はもう半ばを過ぎておりまして、新しい二十一世紀を迎えようとしております。また、わが国の産業、経済力、これは、もう近く、世界第三の工業国になろうとしております。私どもは、国の持つ国力、また科学技術、それはすばらしいものを持っているのであります。そうして、民族そのものも世界に類例を見ないような勤勉な、まことにうるわしい素質を持っている、りっぱな素質を持っている民族であります。これが団結すれば、二十一世紀に対しまして必ず世界の平和と繁栄に働くことができる、貢献することができる、かように実は思っているのであります。そういう意味で、いわゆる風格ある社会をつくろうではないか、かように皆さま方に呼びかけたのであります。せっかくお尋ねがございますので、その一端を披露いたしましてお答えといたします。 次に、食管会計についてお尋ねがございました。また、農業の基本問題についてのお尋ねがございましたが、それらは農林大臣の答弁に譲るといたしまして、私は、食管会計を今日変えるような考えはない、このままいくことを考えている。そうして、なしくずしをするというような考えはもちろんございません。その点を明らかにいたしておきます。 次に、飼料対策についてのお話がありました。これは粗飼料を中心にして濃厚飼料をやめろというようなお話だろうと思いますが、いずれにいたしましても、まあ専門家も多いことでありますから、専門家の議論にまかしておいて、酪農業はそれこそ飼料問題だと、こういう見識のある御発言に対して敬意を表するとともに、その方向で検討してまいるつもりであります。 第三は、漁業問題についてのお話であります。最近の日ソ漁業問題からいろいろの点を考えさせられるのだ、勉強させられるのだ、こういうところで、日本の漁業交渉の基本的態度は何か、こういうお尋ねであります。私が申し上げるまでもなく、御承知のように、海岸から三海里離れれば公海だと、う、これはもう日本の主張でございますし、それはまた通説でもあります。公海における漁業は自由だ、これもまた、了承されておる今日の国際常識でもあります。この観点に立ちまして、外交交渉を展開しておるわけであります。しかし、ときに、漁業資源の確保と、こういう意味から関係国が話し合って、これらの点を、三海里でなく、もっと拡張するような場合もあります。要は、わが国の漁業の発展のために、基本的な主張をし、その場所に適応するように、お互いに資源の乱獲をしないように、そういうようないい方法があれば、十分話し合っていくのであります。これが日ソ漁業交渉であり、日米加漁業交渉でございます。さように御了承をいただきたいと思います。 次に、公害問題についてのお尋ねでございます。私は、今日、最も真剣に社会開発の中心問題として取り組まなければならないものの一つに、この公害問題があると思います。今回、公害防止基本法を提出して、皆さまの御審議をいただこうと考えておるのでありますが、その際に、御懸念になりますような、一部の産業界の圧迫に屈する、こういうことでこの基本法がゆがめられてはこれは相ならないのであります。私は、さような心配はありませんし、また、各党各派の皆さん方の御審議によりまして、必ず先進諸国に負けないような、りっぱな公害防止基本法ができ上がること、これを期待いたしております。もちろん、原因者の責任、さらにまた、国、地方公共団体等がこれに対して対処していく、そういう姿勢もこの基本法ではっきりすべきものだと思います。 また、今日起こっております具体的な問題についてのお話がありましたが、これは担当大臣のほうに説明を譲ります。 最後に、災害が非常に多い、人災と天災、これは紙一壷だ、こういう意味から、この日本のような特殊地域、災害の多い地域において、その政治をする者としては、当然予防的措置をすべきだ、一たん起きた災害、各災害をこうむった被災者を守り、その生活を保障すること、それらについての、あたたかい処置もとるが、同時にまた、予防的な施設も当然すべきだ、かような御指摘だったと思います。今日私どもが災害問題に取り組んでおりますのも、そういう立場でございますので、これまた、今後の予算審議にあたりまして、これらの点についての御意見を聞かしていただきたいと思います。 松代地震について、住民の協力を得て今日までまいりまして、比較的に私は、松代地震に対する諸対策は効果をあげたように思っております。しかし、ただいまも御指摘になりましたように、地下水が水質が変わってきて、たいへん塩分がふえてきておる、これなどは今後の栽培に非常に悪影響があるのじゃないかという御指摘でございます。これなども研究課題の一つでありますが、地震そのものというよりも、この水質の変化について、もちろん対策も立てていかなければならぬと思います。私は、松代地震が今日まで大きな災害にならなかったことを非常にしあわせに思っておりますが、やはりこういう非常時に対する避難訓練その他の心の準備、また、行動の準備、それなとが今日の災害を最小限度にとどめておるゆえんではないかと思います。私、今後とも事前に、いまの科学技術はずいぶん進んでおりますから、これを最高度に発揮し得るように、そういう機構の点など、ただいまの地方連絡協議会は十分その目的を果たしておりますが、さらにそういう点でも注意いたしたいものだと思います。私が、ただいまのお尋ねであります中央防災会議の議長として、ただいまのような考え方で、起こるであろう災害に対して取り組んでおる、その一端を御披露いたしました。(拍手) 〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(倉石忠雄君) たいへん私どもに参考になるお話を聞かせていただきました。 第一に御指摘になりました問題は、農政の基本についてのお考えでございますが、私どもは、農政の目的は国民の食糧を安定的かつ効率的に供給していくことにあるのでございまして、したがって、同時にまた、その生産性の向上をはかるとともに、農業従事者の生活水準を引き上げてまいりたい、こういうことでございます。したがって、農業基本法のお話がただいまもございましたけれども、私どもとしては、農業基本法の定める方向に沿って、生産政策、価格政策、構造政策等を推し進めてまいるつもりでございます。そういう考え方に立って農政をやってまいるのでありますから、選挙中に私が、農業基本法は改めるべきであると申したというふうなお話でございましたが、そのようなことは、何かの誤解ではないかと存じます。 その次のお尋ねは、農業基本法政策は失敗であるというお話でございましたけれども、いま私が申し上げましたような方向で、農業基本法の線に沿うて、すでに今日まで約五カ年周経過いたしてまいりましたが、杉山さんも御承知のように、他産業に比較をいたしまして劣らない所得を持ち得る農家も逐次出てまいっております。さようなことでありますので、やはりわれわれは、農業基本法に定められた方向を尊重しつつ、先ほど申し上げましたように、しかも新しい時代に即応して、選択的拡大の方向をとりつつ進めてまいりたい。昭和四十二年度予算に要求いたしております諸般の施策も、やはりこの線に沿うてやっておるのでございまして、私どもは今日農業基本法に沿うた線を実行しておる。農業政策については、これが破綻いたしておるとは考えておりません。 それから、米のお話がございましたついででございますが、生産者を圧迫しておるのだというふうなお話でございましたけれども、米の生産につきましては、御承知のように、労働力不足などで、農業をめぐる諸情勢の推移に私どもは対応してまいらなければならない時代でございますが、その間にあっても、なお、稲作の生産性の向上、それから米の生産の維持増大をはかることが必要であることは、御指摘のとおりでございます。政府は、決して、米麦に圧迫を加えて——また、生産面でそれを怠っておったのではないかというようなお話がございましたけれども、さようなことはないと思います。政府は、従来とも、米の生産対策としては各種の施策を講じてまいっておりますけれども、なお今後とも、米の生産の基盤として、御承知のように、四十二年度予算にもいろいろ要求してあります。たとえば、圃場条件を整備するための土地改良の長期計画、その他、基盤整備事業等、要するに、私どもは、高能率で、反当収穫を高くあげて、そして稲作の技術の向上を並行してやることによりまして、多収穫をはかり、農業の生産を上げると同時に、農家の生活水準を上げてまいるということでございまして、米麦に対する政策を特に怠っておるようなことはございません。御指摘のことをそのまま私が受け取れば、そのようにお答えをいたしたいと思います。 それから、構造改善が至るところで失敗しているという御指摘がございました。なるほど、地方によりましては、事情がそぐわないために若干の行き違いを持っておるところがあることは、私どもも承知いたしておりますけれども、一般的には、杉山さん御承知のように、非常に外地から構造改善の要望がございます。そのようなことで、基本的に、ただいま、昨年の暮れから農林省には構造政策推准会議というものを設けまして、各局をあげて、鋭意さらに、これをどのようにして拡大し、成果をあげ得るかということについて、農林省をあげて取り組んでおります。七、八月ころまでにはその結論を得て、明年度予算に実行に移してまいりたいと思いますが、四十二年度予算の編成にあたりましても、全国各地からこの構造改善に対する熱烈な要望もございましたことは、御承知のとおりでございます。 それから、食管法のことについてお話がございましたが、生産者米価につきましては、食管法に基づきまして生産費及び所得補償の考え方によりまして、賃金それから物価等の動向を的確に反映して決定してまいっておるのでありますが、生産者米価をお説のように特に抑えているとは私どもは考えておりません。したがって、本年度の生産者米価につきまして本、従来と同様の考え方によりまして、適正に算定してまいりたいと思っております。 それから小心武一君の書かれたものを含めてのこの食管制度についてのお話がございましたけれども、小倉武一君のお書きになったものは、あれはまだ正式に審議会等で決定したものではありませんで、小倉君のこれは私見でございます。で、政府といたしましては、やはり日本人の主食であります食べもの——米につきましては、わが国農業の基幹的作物の一つとして、農家経済上も国民経済上も重要な地位を持っておりますので、総理大臣がお答えいたしましたように、現行食糧管理制度の根幹は、これを維持してまいるという方針を変えておりません。 それから乳価の問題がございました。このことは、ただいまいろいろ世間的にも注目されている問題でもございますので、私どものほうでは、この乳価について、メーカー、それから生産者、小売り人、そういう方々との間に非常に熱心に各諸君が話し合って、適正な結論を得るために努力いたしておるわけでありますが、その乳価のことにつきまして、飼料の御指摘がございました。そこで、私どもといたしましては、やはり御指摘のように草地の造成に真剣に取り組まなければなりませんので、こういうことについても四十二年度予算に相当額の予算を要求いたしておりますし、それからまた草地の造成をいたして牧草の多収穫をいたしますために、私どもは全力をあげて、そういう粗飼料を多産化することについてさらに力を入れてまいっております。時間もございますまいから、あまり数字を詳しく申し上げるのは遠慮いたしますけれども、四十二年度予算にこれらについて詳しく要求をいたしておるものを、予算を提出いたしますれば御了解が願えると思います。御指摘のように、粗飼料を国内でぜひひとつ生産をあげなければならぬということは、もうわかっております。政府もそのつもりでやっております。ただ一つ、ここで濃厚飼料の輸入についてのお話がございましたけれども、これはどうも私どもといたしましては、お話のように政府管掌のものは、政府の何といいますか、食管のようなぐあいに移して、そして低廉なるものを生産者に供給したらどうかという意見でございますけれども、御承知のように、輸入飼料というものは、その一部は政府が管掌いたしておりますけれども、その多くは、一般の商社、または全購連が取り扱っておるわけでございまして、たとえ、政府の取り扱うものを、御期待に沿うようなことをかりにいたしたとしても、それによって価格を強制的に安定させることは、現在の社会では不可能でございます。また、そういうことを飼料についてやってまいるということになれば、米の食管をいたしておるのと——あるいはもっと大きな管理会計をつくらなければならなくなるかと思います。これはたいへんなことでありまして、私どもは、ただいまのお話のようなことについては、賛意を表することはできないのであります。 もう一つ、水産のことについてお話がございました。ただいま、実は御指摘のタラバガニその他のことにつきましては、日ソ漁業条約の話し合いが進行中でございますので、私どもといたしましては、詳細なことをこの席で御報告をいたすことを差し控えたいと思いますが、タラバガニをはじめ、一般のサケ・マスにつきましても、目下両国の間に話し合いがいろいろ進行中でございますけれども、お話の中にございました、専管水域十二海里の問題につきましては、ソビエト.ロシアあるいはアメリカなどは、そういう主張をいたしておりますけれども、私どものほうでは、それを認めておるわけではございません。しかも、海底に固着しておる魚類については、なお非常に両国の間に話し合いもついておりませんし、このことは、杉山さんの御主張のことを、もちろん私どもは参考にひとつ承っておきたいと思いますが、結論として、一つ申し上げておきたいと思いますことは、国際漁業の秩序ある発展について、従来から政府は努力を続けてまいったわけでございますが、この国際漁業に関する規制についても、それが十分な科学的根拠に基づくものであって、一般の国際法の原則に立っておる限りは、資源の保存と有効な利用に関して、関係国と必要な協調をはかっていく考えでございますけれども、わが国の漁業の発展を期するために、国際法上確立していない権利の一方的な主張に対しましては、わが国の立場を主張いたすことは当然なことであります。したがって、わが国の漁業権益の擁護のためには、所要の交渉を目下鋭意続けておる、こういうことにひとつ御了解を願いたいと思います。 それから沿岸漁業のお話がございました。私どもは、沿岸漁業、ことに、零細な漁業のことにつきまして、農林省は従来も種々努力を続けてまいっておるのでありますが、これにつきましては、昭和四十二年度予算でも、二十八億九千万円だと思いますが、融資ワクをそのように拡大をいたしております。沿岸漁業の振興につきまして、御承知のように、沿岸漁業構造改善事業、これを通じまして、必要な助成及び長期の、しかも低利な資金の融通をいたしておるところでございまして、構造改善事業にかかる漁船建造等の資金につきましては、農林漁業金融公庫が、十五年の長期の年賦で、しかも、利息は三分五厘という低利でございますし、そうしていま申しましたように、四十二年度には二十八億九千万という大きなワクをとっておりますので、私ども、いま農林省といたしまして、沿岸漁業に対して、これの保護育成を考えておるということを、ひとつ御理解願いたいと思います。(拍手) 〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
○国務大臣(坊秀男君) 公害問題の細部についてお答えを申し上げます。 公害対策基本法につきましては、国民の健康と生活環境を守る見地から、公害対策の総合的推進をはかるために、厚生省が中心となりまして、その早期制定に向かってつとめておる次第でございます。また、厚生省としましては、公害部の設置と、行政体制の整備をはかるとともに、公害防止のための諸施策を積極的に推堆していくこととしておりますが、その他二、三実例をおあげになりました事例について申し上げます。 四日市のぜんそく病患者に対する医療対策につきまして、原因者の責任を明確にしつつ、国としての施策を講じてまいりたい所存でございます。 阿賀野川における水銀中毒事件については、国としてその原因の調査に当たっておる段階でございますが、その結果によりまして、必要な施策を早急に検討いたしたいと思っております。この結果があらわれるのも遠からざることと存じております。 なお、炭鉱、工場等の災害事故等に関連して生じます住民の保健問題についても、厚生行政の立場から必要とされる施策につとめたいと考えております。以上であります。(拍手) 〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(菅野和太郎君) 公害の問題につきましては、総理並びに厚生大臣から詳細なお話がありましたが、ただ私どもは、公害の加害者の立場から、いかにして公害を未然に防止するかという立場から、いろいろ事務をとっておるのでありまして、そういう意味におきまして、来年度におきましては、公害を防止する予算を相当の増額いたしております。そして問題は、この加害者である利害と被害者である利害とをいかに調整するかというところに、公害基本法の基本問題があると思うのでありまして、そういう意味において、われわれはこの公害を防止するということについて、未然にこれを防ぐという立場から、通帳行政をやりたいと、こう考えておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣西村英一君登壇、拍手〕
○国務大臣(西村英一君) 防災並びに災害復旧等のことについてお尋ねがございましたが、治水事業につきましては、さきに政府といたしましては、昭和四十年度から四十四年度までの治水五カ年計画をもって、それを計画的にただいま進めておるところでございます。 最近における災害の特徴は、従来は大河川の沿線に起こったのですが、近ごろは中小河川の沿線に非常に起こる傾向があります。しかし、中小河川の流域にはやはり産業等もいろいろ集まっておりますので、今後は中小河川の対策に身を入れたいと、かように考えておるのであります。災害が起こりまして、その復旧につきましては、もちろんこれは、災害復旧のみならず、関連事業もやりまして改良してやるわけでございます。昨年起こりました二十四号台風の静岡県の災害、あるいは山梨県の災害等につきましては、ただいま鋭意復旧作業をやっております。砂防工事をやっております。加治川の前線豪雨による災害ですが、非常に農地を荒らした災害でございまするが、今回はやはりこの加治川水系全般につきまして考えまして、上流に治水ダムをつくりたい、また下流には中小河川としての改良をやりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手) —————————————
○議長(重宗雄三君) 渋谷邦彦君。 〔渋谷邦彦君登壇、拍手〕
○渋谷邦彦君 私は、公明党を代表して、佐藤総理及び関係閣僚に若干の質問をいたしたいと思います。 〔議長退席、副議長着席〕 世界の平和と社会の繁栄は、すべてのイデオロギーをこえる人類本然の欲求であります。しかして、平和憲法を有し、核兵器絶対反対の立場を貫くわが国こそ、世界の平和と繁栄を確立する重要な使命があることは言うまでもありません。平和への道はわが国の安全保障の確立であり、また繁栄の道は国益を擁護する経済外交によるべきであります。しかるに、自民党政府の外交方針は、「対等の立場に立つ日米協力」と叫びながら、実質的には対米依存編重の域を出ることがないことであり、まことに遺憾と言わざるを得ないのであります。かかる対米追随こそ、かえってわが国の安全保障をそこない、繁栄を閉ざすものと言わざるを得ません。総理は「国民の先頭に立って進む」と誓われたようでありますが、このような事態が続く限り、おそらく国民は一人もついていかないのではないかと憂えるものであります。いまこそ真実の平和自主外交を強く貫くべきであることを訴えるものであります。 わが国の外交、防衛の墓表方針は、あくまでも平和憲法によるべきでありますが、総理は今日まで、平和憲法を守る、特に第九条の精神を守ると言明されております。ところが、自民党の綱領には憲法改正をうたっており、この食い違いはどう理解したらよいのか、今後具体的にいかなる方針で臨まれるのか、明確にしていただきたいのであります。 以下これから数項目にわたり伺いたいと思います。 初めに、日米安全保障条約についてでありますが、総理は施政方針演説で、「今後とも日米安全保障条約関係を堅持する」と申されました。しかし、長期固定化か、あるいは改定か、自動延長かなどについては言及されておりません。昨年三月、総理が安保の長期構想の必要性をみずから言い出されたときには、あたかも総理は長期固定化を考え、外務省は自動延長を考えていたような感があったのでありますが、最近、アメリカ側から自動延長を示唆したというような話もあり、そのため、総理も長期固定化に反対となったという報道や観測がなされているのであります。わが党は、日米安全保障条約の長期固定化や、一そう双務的なものにする改悪には、わが国の平和のためにも断固反対するものでありますが、総理は、少なくともここで長期固定化並びに改悪はなされないという約束を、国民の前に明らかにすべきであると思いますが、どうか。また、わが国の安全保障に関する国民的合意を確立するために、衆参両院に安全保障特別委員会を設け大いに討議すべきであると思いますが、総理として、また自民党総裁として、明快な御所見をお聞かせ願いたいのであります。 次に、わが国の安全保障に対し、各野党はいずれも、それぞれ平和への具体的長期ビジョンを打ち出しているのであります。わが党におきましても、全面完全軍縮、核兵器全廃、また国連の安全保障機能の具体的強化、多面的な平和経済外交、日米安全保障条約の段階的解消、国連軍の設置などを強く叫んでいるのであります。ところが、自民党政府の平和への具体的長期ビジョンは何ら示されていないのであります。総理は、政府与党の最高責任者として、明確な長期ビジョンを示すべきであると思いますが、どうでしょうか。 そもそも、日米安全保障条約は、日本が軍事基地を提供し、アメリカは日本を防衛するという、一種の基地貸与協定でありますが、事実は、日本を基地として使用する目的はアメリカの極東戦略のためであります。その結果、米軍基地の存在によってわが国が他国から攻撃される危険性もますます高まっているのであります。与党野党の一部には、有事駐留、あるいは「駐留なき安保」へ改定すべきであるという意見があります。このような考えは、そのまま安保の長期固定化となり、また、「有事」の解釈の相違などから、実際問題として実現不可能なことと考えられるのであります。したがって、わが党は、国際情勢に対応し、わが国の平和への努力を続け、十年ないし二十年を目標に、日米安全保障条約の段階的解消をすることこそ、最も望ましいあり方であると主張しているのでありますが、総理の御所見を伺いたいのであります。 次に、三次防について若干質問をいたします。今回総理は、国防会議議長として、三次防を今後五カ年間に二兆三千四百億円プラス・マイナス二百五十億円と決定されたようであります。しかるに、三次防において明確な基本方針を示しておりません。三次防は、日米安全保障のもとに、在来兵器の使用による局地戦以下の侵略に対し、有効に対処し得る防衛体制の基盤を確立するなどの方針を打ち出しておりますが、三次防においては、どのような基本的考え方を持っているのか、明確にお答え願いたいと思うのであります。さらに、三次防に二兆三千四百億円といえば、五年間に国民一人が二万四千円ずつ負担することになり、国民生活を著しく圧迫することは口に見えております。この点について、総理はいかなる観点から二次防の二倍と言われる額を決定されたのか、承りたいのであります。また、三次防ではナイキ・八一キュリーズの国産化を決定しておりますが、八一キュリーズはその着弾距離の誤差の範囲から考えて、核弾頭をつけなければ威力を発揮しない性質のものであります。これは将来、核持ち込みを意図しているものではないかと推測されてもいたしかたないのであります。総理はこの点いかに考えておられるか、明らかにしていただきたいと思います。 次に、核兵器拡散防止問題について伺いたいのであります。核兵器の拡散が、人類に多大の不安を与え、世界平和の重大な脅威になることは、十分想像のつくところであります。現在、ジュネーブ軍縮委員会においては、核拡散防止をめぐって激しい討議が繰り返され、アメリカ、ソ連は条約の成立を急いでいるようであります。しかしながら、問題になることは、アメリカ、ソ連の大国意識による核支配という印象がぬぐい切れないことであり、総理は、この点についてどのように考えておられるのか、承りたいのであります。 また、外務大臣は、さきに、核の平和利用について、核爆発の安全性が保障されていないという理由から、核爆発装置を開発する意思がないことを表明されましたが、すでにアメリカの原子力委員会は、現在まで十六回の実験を行なって、その可能性のあることを証明したと言われているのであります。たとえ、平和利用のための核爆発にしても、行なうべきではないと思うのでありますが、特に外務大臣の所見を伺いたいのであります。 さらに、原子力平和利用について、アメリカ、ソ連は、すでに研究投資の段階を過ぎ、産業の地位を確立、採算のとれる原子力発電の時代に入っていると言われ、ことにわが国における核燃料は、石油のように全く米国の大資本に牛耳られ、原子力発電プラントも輸入に頼らなければならない現状から、将来ますます高価なエネルギーに苦しまなければならないと思いますが、政府は、この点について十分な対策をお待ちになっていらっしゃるのか、伺いたいのであります。いずれにせよ、核拡散防止問題は一大転機に立っていると言えるのであります。この条約は、日本や西ドイツのように核開発の能力を持ちながら核武装しない国の参加がなければ、成立しないのでありますから、アメリカやソ連といえども、潜在核保有国の存在を無視するわけにはいかないのであります。したがいまして、アメリカやソ連から不平等な条約を押しつけられ、核大国の属国にならないように、各国と協同して、全面的核軍縮など、強硬な注文をつけてしかるべきであろうと思いますが、これについての政府の基本的な方針を明らかにしていただきたいのであります。加えて、独自の核探知クラブ構想を進めておりますスウェーデンのように、核拡散に全面核停、核物質削減協定を合わせた一桁方式を、軍縮委員会に出すといわれておりますが、政府は、核保有国に対応する条件といたしまして、国連に提案する用意をされていますかどうか。この点も、あわせてお聞かせを願いたいのであります。 要するに、わが国の外交・防衛政策は、あくまでも日本及び世界の平和と繁栄を目的に、国民の総意、与野党の一致した超党派外交が最も望ましいのではないかと思われるのであります。イギリス、アメリカ両国のごときも、外交・防衛政策などは与野党ともに大きな相違が見られないことは申すまでもありません。総理は、施政方針演説におきまして、「多数党たるわが自由民主党は、謙虚な態度で、聴くべきは聴き、とるべきはとる」と言われました。日本の運命を決する外交・防衛問題においてこそ、特にその態度が望ましいのでありますが、総理はどのように考えておられますか、お答えいただきたいと思います。 次に、政府与党の外交に関する態度は、国会を極端に軽視した秘密外交の姿が見られるのであります。わが国の国連外交の成果あるいは横山特使派遣の成果などにおいては、故意に口を固く閉ざして語らずの方式がとられているようであります。政府は、この点について、国民の前に明らかにすべき義務と責任があると思うのでありますが、この点についても御所見を承りたいのであります。 次に、国際情勢、特にアジア諸情勢についてお伺いいたします。総理は、みずから平和外交と銘打って、その所信を述べております。しかし、その内容をしさいに検討するときに、再三問題になっておりますベトナム問題にしろ、中共問題にしろ、沖繩問題にしろ、平和と銘打つべき何らの具体策が提示されていないことを発見するのであります。いや、むしろ、日米安保を強調し、自衛隊の増強を示唆してその結びとしていることに、佐藤外交の本質が隠されていると断ぜざるを得ないのであります。ある外人記者筋では、日本について、「終戦後に始まった中立主義と平和主義の時代は終わろうとしている」というようなことを述べております。これこそ、多くの国民が最も憂慮し、心から嫌悪する事態であることを、総理は深く自省されるべきでありますが、この点についての見解はどうですか、承りたいのであります。 さらに、具体的にお伺いいたします。総理は、ベトナム和平について、再三和平への努力を試みたと申されております。この本会議の席上でもすでに伺っております。しかし、国民の多くは、その努力についていまだ理解しないままであることも、否定できない事実であります。この際、その経過について説明をいただきたいのであります。総理は、紛争当事者が勇断をもって話し合いのテーブルにつくよう強く訴えると申されているのでありますが、いかなる手続、どのような内容をもって訴えようとされるのか、きわめて消極的、抽象的と言わざるを得ないのであります。重ねて総理の見解を承りたいのであります。昨年中におきましては、ウ・タント国連事務総長はじめ、カナダのピアソン首相、フランスのドゴール大統領、イギリスのウィルソン首相、インドのガンジー首相、あるいはローマ法王パウロ六世、等々の人々が和平に動き、提案さえ全世界になしているのであります。しかるに、わが国は、先進国であると言いながら、一度も和平について、世界に訴え、活発に動いたことはないのであります。私は、この際、大国意識を持つ総理こそ、勇断をもって和平への提唱を実施すべきであり、即時停戦、さらには、話し合いのテーブル、すなわち関係各国を含めた平和維持会議の東京での開催、ともに南北ベトナムに対する戦後処理から繁栄への経済援助を議題とすべきではないかと思うのでありますが、総理のお考えを承りたいのであります。また、総理は、戦火に悩む現地住民の民生安定のための協力について述べておられますが、和平を望み、人道的見地に立脚する以上、その対象は、南北ベトナムにわたるべきであり、いやしくも、国際間に日本がとる基本的姿勢に対し、誤解を生ずべきではないと信ずるのでありますが、この点について総理はどうお考えか、述べていただきたいのであります。 ベトナム和平といい、アジアの平和というも、このかぎは、言うまでもなく中共問題の解決にあります。それなくしては、「昨年来、わが国において開催された一連の国際会議の場を通じた、アジア諸国に相互の連帯と協力の気運が高まっている」との総理の見解も、あるいは一場の夢と化するばかりでありましょう。すでに核兵器保有国への道を開いた中共を、いたずらに、国連機構からの疎外をはかることは、日本の国益から見ても決して賢明とは言えないのであります。孤立は不安定をかもし、相互不信は紛争につながることは、歴史が証明しているところであります。中共承認、国連加盟の実現こそ、総理の言われる世界の平和と繁栄の中に、みずからの安全と発展をはかる喫緊の大事であると信ずるのでありますが、御所見を伺いたいのであります。 さらに、総理は、「沖繩の祖国復帰なくしては、戦後は終わらない」との名言を残しておられます。しかも、沖繩の施政権は、厳然としてアメリカの手中にあり、その自治権さえ多くの制約下に置かれているのであります。総理は、「あらゆる機会をとらえ、努力してまいりました」と言われるのでありますが、およそ内容の伴わないことばほど、むなしいものはないと思うのであります。総理は、沖繩返還について、どのようなスケジュール、すなわち、手続と内容、あるいはその条件をお考えになっているのか、構想を明らかにしていただきたいのであります。それなくしては、「沖繩の施政権の返還に備えて」という総理の言、さらには、「やがては返ってくる」という外務大臣の言などは、ただ坐して待つという対米追随の姿としか映らないでありましょうし、羊頭狗肉の策とのそしりをさえ免れないのであります。軍用地接収、裁判移送問題、主席公選制、国政参加の要望等々、沖繩はまさしく懸案累積の現状であります。施政権の分離返還などはあり得ないとする総理は、これら懸案の事項に対し、どのように今後対処されるおつもりなのか、承りたいのであります。 次に、経済外交の一環として、資本自由化に関し、お伺いいたします。昨年七月の日米貿易経済合同委員会において、アメリカ側から資本自由化を強く要望され、また、OECDからも、直接投資をはじめとして、資本自由化を迫られており、おそらく今年の五月に開かれるOECD総会では、強硬な対日勧告がなされることは、予想するにかたくないのであります。この点について、政府は、どのように現状を分析し、対処するおつもりなのか、所信を明らかにしていただきたいのであります。第二の黒船といわれておりますように、資本自由化に対して何らかの強力な対抗策なくしては、日本は米国の経済植民地となることは必至であります。すでにヨーロッパにおいては、アメリカの巨大企業の攻勢にさらされ、米国資本による欧州の従属化を避け、欧州人の欧州を実現しようと懸命であります。フランスのポンピドー首相は、「外資が単純に企業を吸収、植民地化するときに、フランスの企業が外国の頭脳の手足になる場合は導入に反対である、選別的に受け入れなければならない」と述べて、アメリカの植民地化に強く反対しているのであります。さらにEEC諸国では、いずれも対抗策を講じているのであります。前車の轍を踏むなのことわざのとおり、この欧州の前例は、資本の自由化に慎重に臨むべきことを示しているのでありますが、三木外務大臣は、昨年の日米貿易経済合同委員会で、「外資比率五〇%をこえる合弁会社も認める、一年後には、業種別に自由化の可能性を検討して、明確な方針を示す」と発言しているのでありますが、いまにしてみれば、あまりにも軽率にすぎたのではないかと思われるのであります。一体、政府は、自由化を積極的に、具体的に進める所存なのか、方針の発表を行なうのか、また、ポンピドー首相のように、アメリカの植民地化反対という考えがあるのかどうか。当然そうあるべきだと思いますが、総理の基本的姿勢をお伺いしたいのであります。 現在、自由化対策に名をかりて、独占禁止法を改正し、持株会社をつくれるようにしようとの動きがあります。これは直ちにコンツェルンの再現、新財閥の形成という危険をはらみ、いままで独禁法によって経済の適正な競争が行なわれてきたのでありますが、この改正によって、独占価格、一部コンツェルンの市場支配を引き出し、消費者大衆が守られないことになるというおそれもあるのであります。イギリスなどでは、むしろ独禁法の強化が行なわれており、いたずらに資本の拡大だけで外国の巨大な資本と対抗できると考えるのは早計であると思いますが、総理はどうお考えになっておられるのか、伺いたいのであります。また、資本の自由化に対して、政府は、外資法、外為法、独禁法などの改正を考えておられるのかどうか、さらに、欧州の各国が行なっている国策会社や利子補給などの施策をわが国でも行なうものかどうか、お伺いしたいのであります。 総理は、施政方針演説の中で、最も資本自由化の影響を受けるという中小企業に対して、中小企業振興事業団をつくると述べているが、この事業団では、ごく一部の限られた優秀業種しか自由化から守られないということは定説になっております。すでに資本自由化となれば、産業機械の中堅メーカー二百八十社のうち、二百六十社までが倒産するであろうといわれ、その中でも花形輸出産業の陶器メーカーさえ、アメリカ資本に乗っ取られると予想されているのであります。この深刻な事態に対し、あまりにもアメリカに気がねしているのか、自由化対策は全くおくれているのであります。総理は、この責任をどう感じておられるのか。国を売ってしまっては何にもならないということを知っておいでになるかどうか、伺いたいのであります。 さらに、大事なことは、世論の形成であります。経済には国境がないといわれておりますように、外国資本との資本戦争は激化する一方であります。政府は、これに対して、一体どのように世論を起こすべきであると考えておられるのでしょうか、お伺いしたいのであります。 また、資本自由化と同時に、わが国に対し大きな影響を与えるものに関税一括引き下げ交渉があるのでありますが、今月二十九日から始まるガット貿易交渉委員会や、四月に予定されている各国閣僚会議に、どのような態度で臨まれるのか、総理の基本的な方針を承りたいのであります。 特に、工業製品で、五〇%関税引き下げに応じられない例外品目を、現在提出しているリストより減らすのかどうか、また、わが国農業の現状から考えて、穀物協定で穀物の大幅輸入がなされれば、農家の疲弊はとみに増すとしか考えられないのであります。聞くところによりますと、わが国は、輸入保証方式で、穀物の輸入も毎年ふやすという姿勢で交渉するとのことであります。これに対し、かなりアメリカの不満があると聞いておりますが、総理は、農家の保護を第一に考えて、強くわが方針を貫かれるお考えなのかどうか、お伺いするものであります。 そのほか、アメリカの鉄鋼業界には、輸入鉄鋼に対して一時賦課金を徴収せよとの意見もあるが、わが国の経済を根底からゆり動かす圧力が感じられるのでありますが、政府はどのようにこれからの日本経済を世界経済の中に位置づけようとされているのか。いたずらに東南アジア経済開発関係会議など多くの会議を持ったから、わが国の世界に占める地位は確固としてきたかのごとく錯覚したり、英国、EECと並ぶ先進工業国となったと自負したりしている。真剣に日本の将来を考えるときに、このようなことばは出てこないと思うのであります。総理はこの疑いに対してどうお答えになるか。お伺いいたしまして、私の質問を終わらさせていただきます。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ただいまの外交が対米追随外交だ、こういう御批判を受けましたが、私どもはいずれの国とも対等の立場におきまして、そうして提携すべきは提携するという、それは自主的に決定しておるのでありまして、これこそ自主外交の見本でございます。どうか自主外交というものが別にあるようにお考えにならないように願います。 憲法の問題につきまして、わが党が基本綱領におきまして、自主的に憲法を改正する、こういう表現をしておる。それで、私はその総裁でございますから、憲法についても改正論者であるかのように誤解されておりますが、わが党はもちろん、ただいま問題になりますこの憲法の明示しておる平和主義、民主主義、ことに基本人権に関する思想、これなぞはもう国民の血となり肉となっているものでございます。わが党はこういうような実情を十分考えておりますから、こういう点に改正を加える、こういうようなものでないことを、御了承をいただきたいと思います。この憲法制定当時のいきさつを十分お考えになりますと、やはり自主的にこういうものと取り組みたい、これは国民として当然のことだと私は思います。だから誤解のないように、いまの言われておる平和主義あるいは民主主義、基本人権、そういうことについては何ら変わるものではございません。(「第九条はどうするのだ」と呼ぶ者あり)これは平和主義の規定でございます。それくらいおわかりだと思います。 次に申し上げますが、国会を軽視しておるというようなことはございません。国会につきまして、国連における成果、これなどは私どもしばしば施政演説やあるいは外交方針等において明示いたしておりますし、また審議等を通じまして、この成果なども十分わかっていただいていると思います。横山特使の問題につきましても、かつても委員会等においてその実情を報告いたしておりますので、重ねてこれらについての報告を必要としない、かように私は考えております。 超党派外交についてお尋ねがございましたが、私は外交そのものは、外交活動そのものはこれは国民のものだと、かように思っております。そういう意味で、国民から十分理解され、十分その協力を得る、そういうことでなければ、りっぱな外交は進められないと思います。また、皆さんの希望しておられるような自主外交も、もちろんないのでございます。こういう意味でこの外交活動を展開いたしておりますので、どうか、私どもが一党一派に片寄った外交活動を展開しておる、かような誤解を持たれないようお願いをいたします。国民のものだ、これについては私も誤った考え方を持っておりません。ただ、超党派外交という形で、各政党同士が話し合いをしろ、かように言われますと、今日の状況では各政党閥に対話がなさすぎる。これはなぜか。世界観の相違からこういうような状態になっておるのではないかと思います。私は、国益を追求するこの外交活動、こういうことを考えますと、やはり各政党ともこの国益追求、そういうことを共同の土俵として、そして話し合いができるような状態であることを、心から望んでおるような次第でございます。 安全保障条約の問題についての御意見を伺いました。私は、安全保障条約を堅持する、かようなことを申しました。公明党としては、双務的なものにするようなことは改悪だ、かようなお話でございますし、また固定化もいかぬ、こういうことを言っておられますが、現在の安保条約体制を堅持する、それをどういう形にするかという点につきましては、今後十分検討してまいりまして、あやまちのないようにいたすつもりであります。 安全保障特別委員会を設置しろ、これは総理に尋ねるものではない、総裁としての意見を聞かせろということでございますが、この点は、私は、これは国会自身できめるべき問題で、私がこの場で意見を述べることは不適当だ、かように思っております。 次に、安全保障条約の中身におきまして、各政党は長期のビジョンを持っておるが、自民党にないじゃないか、こういうことの御指摘であります。同時に、また有事駐留、あるいは駐留なき安保ということは危険であるので、むしろ段階的解消ということが望ましいのではないか、また、国連軍設置等も必要なことだというような御意見が述べられたと思います。私は、わが国の安全を確保し、そのもとにおいて初めてわれわれの平和があるのだと、かように考えておりますので、ただいま第三次防衛計画を提案して御審議をいただこうとしておる。この第三次防衛計画こそ、わが国の安全確保の道であると、かように思っておるのでありまして、そういう意味で、平和の問題について、ことにわが国の防衛計画は、通常兵器による局地戦に対する抑止力でございますから、今後核時代になって、核攻撃などがある場合には、これは日米安全保障条約のもとでわが国の安全を確保し、私どもの平和を確保していくと、こういう考え方でございます。ここに誤解のないように願います。私自身は、いろいろの批判を受けておりますが、今回の第三次防衛計画は、これが核武装への道でないこと、また、しばしば声明をいたしましたように、私どもは核兵器を持たず、核兵器の開発をしない、持ち込みも許さない、この基本的方針に変わりはございませんので、ここに誤解のないようにお願いをいたします。 第三次防衛計画の基本方針、これがわからないではないかということでございますが、私どもは、わが国の国防計画、在来からの国防計画の基本方針、これを第三次防衛計画の際にも変えるものではございません。したがいまして、国防の基本方針、それに基づいた、いわゆる国力国情に応じた防衛計画でございますので、これが新しい方針によって編成されたものでないことを御了承いただきます。 また、これは膨大であるから民生を圧迫するのではないかと、かように御指摘でありますが、私は民生を圧迫するものではないと、かように考えております。国民所得の増加もすばらしい状況でございますから、民生を圧迫をしない、かように考えております。 また、核の問題等につきましては、外務大臣からお答えをすることにいたします。 もう一つお尋ねについて申し上げたいのですが、この原子力の開発問題、御承知のように原子力基本法がありますので、この平和な学術研究、同時に研究投資あるいは開発投資等は、わが国において自由に行なわれております。これが自由であり、公開であり、そうして平和的利用であるというところに、原子力基本法のねらいがあるのでありまして、わが国も、その意味におきまして、原子力発電、また今回は原子力船も設けるようになっております。私どもの持つ科学技術の力は、他の先進国に比べまして、この平和利用の面では私は劣っておると、かような考え方はいたしておりません。十分平和利用の面では他の先進工業国と肩を並べておる、かような状態だと思っております。また、この燃料の問題につきましては、残念ながらわが国におきましては、ウラニウム等燃料が不足いたしております。これらの点で、米ソにそういう燃料を抑えられて、油と同じように高いものを買わされるのではないか、かような御注意がございましたが、私は、この核燃料の確保、これをいまは、たいへんだやすく外国からも獲得し得るような状況になっておりますし、また値段もよほど変わってまいりまして、安くなっておりますから、御注意の点は今後十分注意をいたしますが、ただいま困ったような状況ではありません。 アジアの情勢についてお話があり、外人記者の言を御紹介になりました。私は、かねてから申しますように、自由を守り、平和に徹する。この国是と申しますか、また私の考え方を明確にいたしております。外人記者が、中立主義が終わったとか、平和主義が終わろうとしておるとか、さようなことを申しましても、私の考え方に全然変わりはございませんから、御心配なく、わが国の平和を守る方向で御協力を願いたいと思います。 沖繩問題、ベトナム問題などについて、この自由を守り、平和に徹する、この考え方から、扱い方あるいは考え方が変わってはおらぬか、もう少し徹したらどうか、ことにベトナム和平の問題については積極的に行動力を発揮すべきではないかというおしかりを受けました。私もこのベトナム問題について、そういうチャンスがくれば、たいへんけっこうだと思います。しかしながら、ただいまのところ、関係者一同がそういう方向に向いておりません。私はそういう関係国を平和への方向に向けること、それ自身もわれわれの仕事だと思いますが、これが全然別な方向に向いておる際には、この効果はないのであります。そのチャンスが到来しておらないことはまことに残念だと思います。 そこで、御提案になりました、東京での平和会議を開催しろ、これはたいへん雄大な考え方でありまして、たいへん敬意を表しますが、ただいまそこまで突き進んだ状況にないことをこの際に申し上げて、御了承をお願いしておきます。 現地住民の民生安定のための協力を日本はしておるようだが、南に対する立場、人道的見地からやっておる、この医療その他の施設、いわゆる民生の安定への協力、これを北にもやるべきではないか、これは人道的見地から当然だ、こういうお話でございます。世の中のことは、なかなか理屈どおりでいくものではございません。北は、私が申し上げるまでもなく、未承認国であります。未承認国に対する援助方式というものは、どういうような形でやったらいいか、これはなかなか一口に片づくものではございません。私は、ただいまのベトナム紛争が平和になり、そうして相互の南北共に手を携えて民生の安定をはかろう、こういうような際に、私どもがこれに協力することは、たいへんやさしいことだと思います。ただいま、そういう時期でないことを残念に思っております。 中共の承認、また、国連加盟についてのお尋ねがありました。ただいまは、残念ながら中共は流動的であります。この際において、在来の方針を変更することは適当でない、かように思います。したがいまして、国連加盟につきましても、また、政経分離の考え方でのつき合いも、在来の方針を変えないで、しばらく模様を見たいと思っております。 沖繩返還のスケジュール、これをひとつ手続や内容等の構想を明らかにしろというお尋ねでありますが、沖繩問題は、私は全面復帰、これが望ましい形だと思います。一日も早くそういう事態をつくるべきだと思います。しかし、これは極東の安全と平和にも関係する問題でございますので、それを十分にらみ合わせた上で、この祖国復帰、施政権の返還の実現を努力すべきだと思います。これが実現するまで、われわれは、本土との一体化について特別な留意をいたし、財政援助等、積極的に民生の充実向上をはかるような努力をするつもりであります。 御指摘になりました軍用地接収の問題、これはほぼただいま片がついたように、沖繩におきましては理解いたしております。しかし、裁判移送問題、これは、選挙無効の問題などが現地で行なわれるようになりまして、たいへんな新しい行き方であります。主席公選まではまいりませんが、ただいま主席が任命制から、ただいまのような制度に変わっておりますので、順次自治権が回復し、経済活動も活発になりつつある、かように思って、一そうこういう面で、日米協議会を通じて、民生の安定向上に努力してまいるつもりであります。 次に、経済外交についてのお尋ねであります。特に資本自由化について基本的な姿勢はどうかということであります。私が申し上げるまでもなく、最近の技術の発展はすばらしいものがあります。技術の交流なくしては、各国の産業が比肩することができない、お互いに競争ができなくなる、こういうような点から、技術的な提携が各面で要求されております。その技術の提携と同時に、この資本の自由化、これがつきまとっているものであります。そういうところから、大勢、趨勢といたしましては、資本の自由化の方向にいかざるを得ないような大勢でございます。しかし、御指摘にもありましたように、この技術の発達、交流をするとか、こういうことは、自国産業をりっぱに活動さす、その基盤をつくるという意味でございますので、自国産業をつぶすような考え方で資本の自由化が行なわれては、これはいけないのであります。だから、御指摘にもありましたように、どこまでも問題は、私は日本国の総理でありますから、日本の産業、それが困るようなことはしない、この上とも、幾ら理屈は自由化の方向だと、かように申しましても、気をつけてまいるつもりであります。その意味においてのいろいろの御注意がございましたが、今後とも、十分皆さんの御意見も聞き、わが国産業のためになるように、この資本の自由化と取り組んでまいるつもりであります。 特に、こういう際に、持ち株会社というものをまた興こすのではないか、それがコンツェルン、財閥の温床になる、たいへんだという御指摘でありますが、いま、外国との競争、それをするためには、何といっても企業の規模が拡大されなければならないといわれております。この規模を拡大する、いわゆる合同する、そういうことを考えますと、いま直ちに各会社の合同はなかなかできない。それぞれの発達の歴史もありますし、あるいは従業員の待遇の相違等もあります。なかなか、いいほうにばかりに一どきに待遇もそろえるわけにはいかない。だから、その規模を拡大する必要はあるが、なかなかそうはいかぬ。そういう中間——将来は合同して規模を拡大するのだが、そうして外国と競争のできるようにするのだが、それまでに、一ぺんこの株式を持つことによって、そこでコントロールする方法はないだろうか——これが、いまいわれている持ち株会社の構想であります。もう一つは、各会社がそれぞれ小さな研究施設を持っておるが、持ち株会社であれば、おそらく共通して一つの大きな、まとまった研究機関も持てるようになるんではないだろうか、そのことが産業の発達に非常に役立つのではないか、こういうようなところから、持ち株会社の設立に賛成する向きもあります。しかしながら、これは非常な弊害をも同時に伴うものでありますので、この問題をめぐりまして、ただいま産業界では賛否相半ばしているというのが実情でございます。政府は、そういう点も、まだ帰趨のきまらないものでありますから、そういう際に、この問題に先行するような、これを許すとか、あるいは独禁法を改正するとか、こういうところに踏み切るのは、まだ時期が早いのではないだろうか、かように思っております。 また、資本の自由化をめぐりまして、国策会社や利子補給等をやったらどうか、やるのか——やったらどうかでなくして、やるのか、こういうお尋ねでありますが、これなども、外国にはそういう例があるわけであります。これはやはり、資本力、技術力等の点から見まして、わが国産業がりっぱに育っていくなら、これはいいのでありますが、育たないような、自由化のあらしでつぶれるような状態ならば、他のくふうをすべきではないだろうか、そういうようなくふうが、ただいまの国策会社や利子補給の形において研究されたというのであります。問題は、わが国におきまして、すでに外資審議会や産業構造審議会等々で、この資本の自由化の問題と真剣に取り組んで、ただいま検討いたしておりますが、私は、新しい技術を導入する、そして国際競争に負けないようにわが国の産業の地位を高める、これには賛成でございますが、先ほど申しましたように、わが国産業がそのために押し流される、あるいはフランスのポンピドー首相が心配しているように、外国の頭脳で、自分たちはただ働きだけをする、労働だけ、奉仕するのだ、こういうような状態は好ましいことではないと思います。 ガットに出る考え方は一体どういう考え方か、たいへん御心配のようですが、貿易あるいは国際関係で最も大事なことは、相互主義であります。自分のほうでこうする、相手の国もそれに対応するという、いわゆる相互主義の原則がございますので、この相互主義の立場に立ちまして、十分話し合いを進めていくつもりであります。 穀物協定による穀物の輸入、これなども先ほどから御心配のようですが、わが国の農家を圧迫するような、そういうような穀物の輸入はいたしません。十分考えて処置するつもりでございますから、御心配のないようにお願いいたしておきます。 米国の、輸入鉄鋼に対する賦課金の問題なども、これは私ども、ガットの会議場におきましても十分主張し、そして相互主義の原則で、お互いの利益を確保するように、ぜひともしたいものだと思っております。 かように考えてまいりますと、わが国が今日とっておりますいわゆる経済外交、その行き方、これは御理解がいくだろうと思います。私はどこの国の総理でもございません。日本の総理でございます。日本の産業を十分考え、日本の産業に奉仕する、これが私の仕事でございますから、御心配のないようにお願いいたします。(拍手) 〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 私の行なった外交演説の中で、今日核爆発装置をみずから開発する意思はない、こう申したことに関連して、渋谷君は、平和利用の場合であってもそうかという御質問であります。それは当然に平和利用であってもそうであります。なぜかといえば、現在の段階で核爆発を、これは平和利用である、これは軍事利用であると、区別することはできないのであります。したがって、これは平和利用であるからといって核爆発装置を開発することは、これは非常に核の拡散に通ずる危険を持っておりますから、現在の段階においては、平和利用の名のもとにおいても核爆発装置を開発する意思は持っていないということでございます。ただ、しかし、この核拡散防止条約が原子力の研究開発を非常に阻害するような誤解を国民の各位がお持ちになっておるならば、それは違うのであります。核爆発をやらないということ以外は、核融合であろうが、あるいはまた核分裂であろうが、そういう研究をしたり開発をすることとは、核拡散防止条約は何の関係もない。ただ、軍事と平和との区別がつかぬから、核爆発をやるということについて、この核拡散防止条約がこれを防止しようというので、それ以外の——核爆発をやるということでなければ、原子力の平和利用というものについて、いささかも制限を受けるものではないという点は、ひとつ明らかな御理解を願っておきたいのであります。 次に、渋谷君は、単に核の拡散を防ぐというばかりでなくして、核を持っている核保有国、この軍縮というものが並行して行なわれなければならぬではないか、これに対する見解はどうであるかという御質問でありましたが、私もさように考える。自分だけは核は保有して、そうして、よそのものが核を持つことを押えるということであっては、道義的に非常に、そういうことについては問題がある。しかも、それは核拡散による人類の不安を除去しようというのが目的でありますから、いま持っておるものも、現に、やはり人類に核戦争の不安を与えておることは事実である。したがって、一気に軍縮はできない。しかも一般軍縮もやらなければ——核だけはいけなくて、ほかの軍備はいいのだということでは均衡がとれませんから、核軍縮、一般軍縮、にらみ合わして、軍縮を今後進めていくということが、核拡散防止条約と並行して行なわれなければならぬという考え方には、われわれも全く同感でございます。また、日本はこういう軍縮というものに対して熱意を持っておる国でありますから、こういうことで、国連の場を通じて、われわれが常に軍縮を促進するための発言をいたす考えでおるということも申し上げておきたいと思います。(拍手) —————————————
○副議長(河野謙三君) 向井長年君。 〔向井長年君登壇、拍手〕
○向井長年君 民主社会党を代表して、私は、当面する外交、内政の緊急な重要課題について、政府の所信をお尋ねいたしたいと存じます。 特に、総理にお願いいたしたいのでございますが、先日来、各党の議員諸君が、種々にわたって質問をされております。これと重複するような質問にも若干なるかと思いますけれども、質問の角度と趣旨が違う点があるかと思いますので、どうか、ひとつ親切丁寧な御答弁をお願いいたしておきたいと思います。 そこで、私の質問の第一点は、外交問題についてでございます。いま、わが国外交が当面する課題は、核拡散防止問題をはじめ、ベトナム問題、沖繩、中国並びに安保等々の各種の問題が山積していることは、周知のとおりであります。特に、外交問題をめぐる左右両極端な対立と、それを反映した国民世論の両極化は、わが国にとって、きわめて不幸な事態であり、今後あらゆる努力を傾注して改善しなければならない基本的の問題だと考えるのであります。外交問題、平和問題に対する国民の共通意識の確立について、佐藤総理は、今後どのような決意と具体的方針をもって臨まんとするのか、その所信をまず明らかにされたいのであります。 そこで、お伺いしたい具体的問題の第一は、ベトナム問題についてでございます。今日、ベトナムの和平を願う世界各国民の期待をになって、世界各国の首脳が、それぞれ、和平への具体的提案を持って、まさに東奔西走していることは周知のとおりであります。最近の英ソ首脳会議、あるいはウ・タント国連事務総長の北ベトナム接近などが、それであります。こうした各国首脳の積極的な和平工作は、直接日の目を見ないまでも、それが今日、当両国双方の和平への動きを活発化させる大きな原因となっていることを、われわれは肝に銘ずべきであります。こうした各国の動向に反し、わが国のベトナム問題に対する姿勢は、単にアメリカの態度の肯定に終始し、全くの傍観的姿勢であると言わなければなりません。このような態度は、まさに、アジアの一員としての使命放棄と言わなければならぬと考えます。われわれは、この際、このような過去の態度を改め、わが国がアジアの一員としての立場と、世界平和への使命感に根ざし、ベトナム和平に対し、まず、総理みずからが、積極的に行動を起こすべきであると思うのであります。こう私が申し上げますならば、先ほどの答弁にありましたように、そういう時期ではないというような考え方を言われておりますけれども、それは、みずからこの態度をもってする、そういう中から、そういうチャンスを、あるいは雰囲気をつくらなければならないと考えるのであります。総理の率直な所見を伺いたいと思います。 第二点は、核拡散防止条約についてでございます。言うまでもなく、核拡散の防止は、現在の世界平和への基本的な課題であると同時に、わが国の安全保障並びに科学技術水準に関する、まことに重要な課題と言うべきであります。かかる認識に立って、現在問題となっている核拡散防止条約に対するわが国政府の見解を見ると、これまで外務次官あるいは外務大臣並びに総理の発言など、政府の方針に全く一貫性がないことは、重大な問題といわなければなりません。核拡散防止条約の締結について、政府は、基本的に賛成なのかいなか、また、日本政府としてこの条約に対する具体的条件は何なのか、さらにまた、わが国の要求がいれられない場合には、この条約にわが国が反対することもあり得るのかどうか、それらの諸点について、政府の正式見解を、この際、明らかにされたいのであります。同時に、この条約に対し、中国、フランスは、部分核停条約の場合と同様、適用外に置かれていることになるが、政府は、中、仏の核保有に対し、今後どのように対処していくつもりなのか。特に隣国である中共の核武装に対し、政府はいかにして対処していくのか、その態度を明らかにされたいのであります。 第三は、沖繩問題についてであります。沖繩がわが国の領土であることは、すでに自明の理であり、その施政権返還が強く叫ばれているにもかかわらず、いまだ、それが実現されていないことは、まことに遺憾といわなければなりません。総理は、施政方針演説中で、施政権返還についての「国民の念願が一日もすみやかに達成できるように、あらゆる機会をとらえて努力してきた」と発言しておるのでございますが、政府がアメリカに対し、民生の安定、福祉の向上等について不十分ながらなした、その努力のあとは認めますけれども、最も国民の期待と念願である施政権返還のための正式交渉をしたことがあるのか、ないのか、また、今後正式に交渉する決意がありやいなや、私はお伺いいたしたいのであります。また同時に、最近、教育権の分離返還などをめぐって、政府部内での見解が、外務省側、総理府側などで大きく異なっている観を呈しておりますけれども、政府としては、全面返還で臨むのか、あるいは分離返還で臨むのか、最近の分離返還論に対する政府の正式見解を、総理並びに外務大臣からお伺いいたしたいのであります。 特に私が、この際、総理に希望したいことは、事、外交に関しては、国の安全と国の繁栄と、国民的利益の立場に立って、国民外交すなわち超党派自主外交を推し進める必要があると考えるのでございます。したがって、総理は、各党と十分話し合い、国民が納得する外交政策を展開すべきであると思いますが、総理にその考えがあるかいなか、お伺いをいたしたいのであります。 次に、経済問題についてお伺いいたしますが、わが国経済は、一昨年の大不況からようやく立ち直る気配を見せておりますが、政府は、この事態を、経済の安定成長への基盤ができたとして、過大評価をしていることは、思い違いもはなはだしいと言わなければならぬと思います。政府は、そのような楽観論を述べる前に、わが国経済の懸案事項として取り上げられてきた基本問題が、景気回復にかかわらず何一つ解決されていないことを、真剣に反省しなければならぬと思うのであります。 その第一点は、景気回復の中にあって中小企業の倒産が依然として激増の一途をたどっていることであります。昨年の倒産件数が戦後最高を記録したことは周知のとおりでありますが、この傾向は本年に入っても衰えず、この二月には七百三十四件と、まさに史上最高の倒産を記録したではありませんか。この現状に対し、担当大臣である通産大臣は、昨年募れの記者会見において、「大きな倒産がないので、影響力は少ない」とか、「高利の資金を借りた企業が倒産するのは当然である」などの無責任な言動は、みずからの政策貧困をたな上げにし、その責任を中小企業に転嫁する態度をとっていることは、無責任もはなはだしいと断ぜざるを得ないのであります。わが国の生産の六割を担当する中小企業に、全融資の四割しか融資しない現在の金融機関のあり方こそ、政府がもっともっとメスを入れるべきであるにかかわらず、この点に対する反省もせず、倒産の責任を一方的に中小企業に負わせることは、本末転倒の態度と言うべきであります。中小企業の倒産防止に対する総理並びに通産大臣の率直な御見解を伺いたいのであります。 第二点は、物価上昇が、従来の消費者物価だけではなく、卸売り物価が昨年来急速に上昇し、卸売り物価は昨年三・八%を記録しております。この十年間の最高の騰貴率を示したと言うべきでありましょう。この上昇が他の消費者物価、輸出価格、賃金に及ぼすところの影響は非常に大きく、もしこの状態を放置するならば、日本経済の基盤は大きくそこなわれることは必至であります。したがって、私は、この卸売り物価の上昇を抑制し、ひいては消費者物価の安定をはかるため、大企業製品の価格形成の実態調査をする独立の物価調査審議機関を設けるべきであると考えます。これは昨年の物価問題懇談会の提案でもありますが、総理並びに経企庁長官の御見解をお伺いいたしたいのであります。 次に、減税の問題でございますが、政府案によれば、今回の減税は、初年度額は昨年度の三分の二、予算規模に対する減税比率はわずかに二%程度であって、まさに戦後最低と言わなければなりません。しかも、問題は、大衆減税から離れた高所得者に有利な不平等減税であります。減税に対する基本的な考え方を那辺に置いているのか、政府の所見をお伺いいたしたいのであります。 最後に私は、民間設備投資調整問題は、さらに、これと関連する資本自由化と国内産業体制整備の問題であります。わが国産業のあり方については、過去に幾たびか論じられ、いままた、資本自由化という新しい事態を迎えても、なお、いまだに混迷した状態が続いているのであります。この根本原因は、今後の産業政策について政府の明確なビジョンが示されていないことに原因していると思います。今日、それぞれの利益の立場から、設備投資の自主調整論、カルテル擁護論、民間持株会社構想などが主張されておりますが、これらは、いずれも国民経済的利益を無視した国民生活不在の産業体制論であります。私は、外国資本に対抗し、なおかつ、独占による弊害を除去した国民生活中心の産業体制を確立するため、この際、イタリアにおける国家持株会社、イギリスの産業再編成公社、フランスの混合経済体制のような構想を、日本にも導入すべきときに来ているのではないかと考えるのでございます。具体的には、現在の共同証券、証券保有組合を統合して、国家持株会社に編成がえし、これを今後の産業体制整備のてこにすることを検討すべき時期に来たと考えます。この点について、総理並びに関係大臣の明快な御見解をただしたいと存じます。 かくのごとく、わが国経済の懸案問題は、依然として何一つ解決されていないのが実情であります。ところが、これら重要問題を残したまま、わが国経済のアキレス腱である国際収支は、早くもこの一月赤字に転じ、景気過熱への危険が叫ばれるに至っておるのであります。まことに日本経済は、床が高く天井は低い不安定な状態であると言わなければなりません。これは、われわれが従来からたびたび主張してまいったところでありますが、また、景気短命論を裏づけるものであると言わなければなりません。政府の国際収支見通し並びに金融引き締めの見通しについて、率直な御見解をお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、わが国のあり方といたしまして、世界の平和と繁栄の中にわが国の平和と繁栄を求めるというその立場で、どこまでも自由を守り平和に徹する国の歩みを続けていく、これが私の基本的な考え方でございます。もうたびたび申すことですから、誤解はないかと思いますが、お尋ねがありましたので、この機会にお話をしておきます。 次に、ベトナム問題についての御意見でございますが、このベトナム問題で、わが国が米国の意を受けて黙っているとか、あるいはその意を迎えて何々をしているとか、こういうことは私はたいへん迷惑でありますから、まずそれは誤解を解いていただきたいと思います。また、アメリカ自身にいたしましても、ただいまベトナムにおいて非常な犠牲を払っておるのであります。金だけの問題ではありません。人命を損傷しておるのであります。したがいまして、アメリカ自身が平和を願っておること、あるいはその当事者でありますだけに、われわれより以上のものがあるかもわかりません。そういうことを考えますと、このただいま言われておりますベトナムの和平について、この上ともわれわれが努力をすべきことは当然だと思います。これはアメリカとともどもにです。しかしながら、ただいま関係する国々が、どうしてもその方向に向かっておらないとき、努力をいたしましても、効果はあがらないのであります。これは、ウ・タント事務総長やあるいはローマ法王などの働きにおいても見るとおりであります。しかし私は、ソ連のコスイギン首相が英国に行っての発言は、昨年のソ連の態度から見ますると、だいぶん流動的になっておる、やはり平和への交渉の機会が熟しつつあるんではないか、かような見方もいたしております。したがいまして、今後とも従来の考え方を貫きまして、この平和の招来に努力をいたすつもりであります。そこで、いろいろ気はあせるでございましょうが、傍観しておるとかいうような御批判だけはひとつやめていただきたいと思います。 核拡散防止についてお尋ねでありますが、私は、核拡散防止条約のその精神、その趣旨には賛成だということを、しばしば申し上げております。核拡散防止は申すまでもなく、米ソが話し合いをして、そして核戦争への機会を減らすようにひとつ努力しようじゃないか、核を持つ国がふえれば、核戦争のチャンス、そういう機会がしばしばあるのであって、そういうことを防ぐようにしようということで、核拡散防止条約を締結しようとしておるのであります。したがって、その精神には私は賛成だ、こういうことを申したのでございます。しかしながら、これは不平等条約ではないのだ、いわゆる核を持つものと持たざるものとの間に、権利義務において非常な差異がある、差等がある、こういうことではいけないから、そういう意味でわれわれは、核軍縮、さらに核戦争の防止、また核の爆発実験等についてもだんだん制限を加えていく、こういうことでありたいと思うのであります。したがって、それらの希望を強く出しておりますから、われわれは、いま条件とまでは申しませんが、われわれの希望がいれられないような不平等なままにおいてこれに賛成するのかと、こういうことでありますが、私は他の機会にも説明をいたしましたが、この核拡散条約には多数の国が参加しない限り効果の少ないものだと思います。したがって、多数の国が参加し得るように、十分関係国が——参加する国が話し合って、納得のいくようなものであってほしいと思うのであります。最後にどうしてもわれわれが納得ができないということであるならば、これはそういうような条約に賛成するわけにはいかない、これは申すまでもないことであります。 そこで、中共の核武装についてどういうように考えるか、——われわれは皆さんとともともに、いままでも中共の核武装、核爆発、この実験について反対をしてまいりました。今日もまた、その考え方で、どうか核武装だけはしてくれるなということを強く願っております。しかして、中共自身が、いままでもあります国際条約、それらのものに自主的に参加を決定されることは望ましいことではないか。私はただいまと同じように、これは中共ばかりではありません。フランスも同じように核を持っておりますが、いまの核爆発実験禁止、地下あるいは空中等の問題にも参加されることを心から願っているものであります。また、中共等がわが国に核攻撃をしたら一体どうなるか、こういうようなことも考えられるのでありますが、私は、中共といわず、しばしば申し上げますように、日米安全保障条約は、アメリカがわが国をあらゆる武力攻撃から守ってくれる、こういうものでございますから、ただいま中共の核武装について率直な考え方を申し上げましたが、これで終わることにいたします。 次に、沖繩の問題についてのお尋ねであります。私は、岸総理以来、各総理がワシントンに参りますと、沖繩の施政権返還について積極的に発言し、これを要望してまいっております。したがいまして、それまで問題にならなかったものが、潜在主権を認めた。さらにまた池田内閣になりましては、さらにこれを一歩進めて、いろいろ協議会等を設け、自治その他の点で住民の福祉のために協議をするように行なわれております。私も参りまして、この点についてはっきりしたお願いをし、交渉を持った。そこで、ジョンソンと私との問の共同声明が発せられたのであります。こういう事柄は、もう皆さんよく御承知のことだと思いましたが、一体、正式に交渉したことがあるのかと、かようなお尋ねを受けまして、私はたいへんびっくりしたのであります。どうかただいまのような外交交渉、これを十分御理解をいただきたいと思います。私は今後とも、こういう事柄につきまして一そう国民を代表し、そうして一日も早くこの施政権返還が実現するように努力してまいるつもりであります。また、この事柄は、アメリカの協力と理解のもとにこの問題を片づけるというのが私どもの基本的な態度でありますから、ここにも誤解のないようにお願いしておきます。 次に、わが国の安全、また外交の問題について、超党派的に展開する必要はないかというお話であります。先ほど公明党からも同じように渋谷君から質問を受けましたが、私は、外交活動そのものは、いわゆる国民外交とでも申しますか、国民が理解し、国民が協力支援するところに外交活動の真の自主的なものがあるのであります。で、どうしてもこれをやりたい。そこで、各政党の間で話し合って、そうしていまの状態とは違うようなことでありたいと思いますが、ただいまは残念ながら、わが国の政党は、幾ら国益を基盤にしてと申しましても、世界観を異にするものもあるのでありまして、この話はいわゆる超党派という形において進行しない。まことに残念に思います。 次は、中小企業の問題でありますが、中小企業の構造、一番むずかしいことは構造改善が非常にむずかしいのであります。したがいまして、税制や金融等でこれを促進をいたしましても、その近代化をはかり、あるいは協業化をはかり、あるいは労務を確保する等々の問題が困難でございますので、ただいまのような再編成の時期とでも申しますか、あるいは産業革命の時期におきましては、中小企業が弱いからこういう点で非常なうき目を見ている、かように思います。したがいまして、政府といたしましては、その弱い中小企業に対し、あたたかい、きめこまかな救済助長の手を差し伸べるつもりであります。 物価問題について、価格の実態を見るための審議機関を設けたらどうかというお話であります。これは前の物懇の勧告でもあるということでございますが、今日物価安定推進会議を開いておりますので、この物価安定推進会議の運営と相まちまして、この種のものが必要かどうかを考えてまいるつもりであります。現状におきましては、なお、これを置くかどうか慎重に取り組んでおる、かように御了承いただきます。 最後に、資本の自由化に対処して、この際、日本も特別なくふうをし、米国式のようなものをとったらどうかということで、持株会社についての賛成論を出されました。私は、先ほど申しましたように、この資本自由化に備えるために新しい産業形態が必要だ、かような説があり、その意味において持株会社を必要とするものがある、あるいは国策会社、国がある程度の株を持つことが必要だ等々の考えがあるが、これらについては賛否半ばし、ただいま私どもは外資審議会や産業構造審議会において十分これについて検討し、納得のいく結論を出したい、かように申し上げまして、御了承いただきたいと思います。(拍手) 〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 沖繩問題に対して御質問であったと思います。総理大臣もお答えになりましたように、全面返還を目標にして、それに一歩でも半歩でも近づけることは何でも努力するということが、沖繩に対するわれわれの態度であります。(拍手) 〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(菅野和太郎君) 好景気になったにもかかわらず、中小企業の倒産が多いということは事実でありまして、その点われわれもまことに遺憾に存じております。これにつきまして、昨年私が新聞記者会見で言ったことの真意が誤り伝えられておるのでありまして、この最近の倒産者を見ますると、大企業の倒産者が少ない。中小企業の倒産者が多いのでありまして、大企業の倒産者があれば、したがいまして下請会社などに波及する場合が多いのでありますが、中小企業であれば下請会社に対する波及が少ないということを言ったにすぎない。それからなお、聞きますると、その中小企業が倒産するのには、高利貸しから金を借りておる。そういうことをさしちゃいかぬじゃないかと、こういうことを私は言ったにすぎないのでありまして、したがいまして、どうしても中小企業に対しては、資金をできるだけ多く貸す制度にしなければならぬというので、昨年末、中小企業に対する財投の額をふやしましたし、また、来年度におきましても相当増額する予定をいたしております。それから本年の一月からは、高利の金を借りないように、使わぬようにさしたいというので、金利を引き下げることにいたしております。 それからなお、中小企業の信用保険制度の法を改正いたしまして、そして無担保保険なりあるいは保険額の増額なり、あるいは保険料率の引き下げとか、それからまた連鎖倒産をしないような措置とか、そういうことで、今度の中小企業信用保険法の改正を今国会に提出する予定をいたしております。それからなお、この連鎖倒産を防ぐ意味で、会社更生法を改正いたしまして、その下請会社などの債権は、特別に優先的に弁償さすというようなことを、法務省のほうへお願いしてやっておるのであります。 それから、なお親会社に対する下請代金の支払いの遅延というような問題につきましては、これは各府県、また各地の通産局を通じて、そういうことのないように、処理を促進さしておる次第であります。(拍手) 〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 価格が自由に形成されることを何か人為的に阻害するような要因が発生しましたときには、やはり公正取引委員会がこれに対処するのが本筋ではないかと思っておるのでありますが、しかし、お話の点もございますので、もう少し推移を見て検討してまいりたいと思います。(拍手) 〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
○国務大臣(水田三喜男君) 減税についての御質問でございましたが、私は、四十二年度減税は四十一年度減税と一体として見ていただくことが必要であると考えます。この両方をあわせて見ますというと、減税規模が三四%程度になりまして、過去十年間の減税割合を上回っておるという状態でございます。四十一年度は、自然増が期待されなかったために、七千億円以上の公債を出して、三千六百億円の減税をするということをやったのでございますが、本年度は御承知のように、現在の景気情勢から公債はできるだけ圧縮することを要請されておるときでもございますので、こういう時期にさらに平年度千五百五十億円以上の減税をするということは、相当減税を大幅にやったということでございまして、私は今年度の情勢から見て、少ない減税であるとは、いまのところ考えておりません。(拍手) —————————————
○副議長(河野謙三君) 岩間正男君。 〔岩間正男君登壇、拍手〕
○岩間正男君 日本共産党を代表して、佐藤総理並びに関係大臣に若干の質問を行ないます。 黒い霧追放の問題はこのたびの総選挙第一の課題であり、政府・自民党は綱紀粛正とか粛党とかを公約しました。しかるに、総理は、施政方針演説でほとんどこれに触れることなく、わずかに「清潔な政治の実現につとめる決心」と述べただけであります。そこで、私は質問しますが、今度の選挙で自民党は、財界から三十数億あるいはその数倍といわれる選挙資金をもらった。これは必然的に買収選挙につながらざるを得ないものであります。現に、買収による逮捕者の圧倒的多数は自民党関係者ではないですか。このように黒い霧追放の選挙が黒い霧によって行なわれた、このことに対して、佐藤総理はどんな責任を感じているか、まず伺いたいのであります。 ところで、大資本家たちは、このような巨額の金をただくれるわけはありません。その陰では何十倍、何百倍もの利権が取引されているのであります。現に今度の予算編成にあたって、財界から数々の要望が出されている。たとえば、期限切れの利子配当の特例を延長するよう、要望が出されました。これに対して政府は、世論の反対を無視して、三年間もの延長をきめたではないですか。その他、予算支出について財界の要望がほとんど実現しており、これによって利益を受ける資本家団体は、金融界の四億六千六百万円をはじめ、電力、鉄鋼、建設、石油、石油化学、自動市、造船等、それぞれ分担して、自民党の選挙費用をまかなっているのであります。これが国政、財政の私物化でなくて何でありましょうか。戦後二十一年、政府・自民党は独占資本と結託し、高級官僚とぐるになって、米日独占資本の利益にひたすら奉仕し、日本の政治、日本の財政を私物化し、食いものにしてきました。これが汚職発生の基本的な根源であります。したがって、わが党は、黒い霧の根を絶やすためには、こうした機構そのものを根本から打ち破って、国の政治、財政を徹底的に民主化するとともに、政党は今後独占資本や財閥からは一切金をもらわないという法的措置が必要だと考えるのであります。そこで、あらためて総理にお聞きします。自民党は今後財界から金をもらうのか、もらわないのか、この議場を通じて、総理の考えを国民の前に明らかにしていただきたいのであります。 ついでに、私は、この際、政府のいわゆる綱紀粛正とも関連して佐藤総理にただしたいことがございます。総理の首席秘書官大津正氏をはじめ、吉永茂、稲葉澄雄氏らの側近が、総理の選挙地盤である山口県上関町で、現職の町長らと結託して、星座山開発株式会社なる、えたいの知れない会社をつくり、広大な町有地を手に入れたり、農林省などから事業補助金を引き出しているといわれています。総理はこういう事実を知っておられるのか。また、つい最近、大津氏は秘書官をやめさせられたようですが、この間の事情についてもあわせて伺いたいと思います。総理、えりを正すより足元を正したらどうですか。 次に、私は、以上述べた黒い霧発生の根源とも関連して、昭和四十二年度予算の性格と人民生活の問題について質問します。 政府は、この予算を、公約を実行し、国民生活を安定させる予算だとうたつています。しかし、それは全くの見せかけで、実際は、人民をますます収奪し、反対に独占資本を強化拡充する予算であります。すなわち、自然増収の名で七千億円以上の税の大増収と、八千億円の赤字公債を発行して、人民を収奪する一方、二兆三千四百億円もの三次防を発足させ、海外進出費を大幅にふやすなど、自衛隊の核武装化を目ざし、アメリカのアジア侵略政策に積極的に加担するとともに、資本取引の自由化に伴う産業体制の整備と称して、独占資本本位の高速道路、工業用地、用水、港湾などの造成、さらに、石炭対策、海運対策、電電公社、国鉄、開銀融資の拡大などのために、国の財政、金融を通じて多くの資金をつぎ込んでいるのであります。このような人民収奪、独占擁護の自民党の政策が、ますます人民の生活と健康を破壊し、耐えがたいものにしています。 そこで、私は、まず政府の交通安全対策について質問します。一瞬にして十一のいとけない命を奪ったあの愛知県猿投町の大交通事故以来、日本の母親たちの不安は激しい憤りに変わりました。わが党は、いち早くこの問題を取り上げ、子供を交通事故から守る緊急対策をきめ、政府に申し入れ、その実現のために戦ってきました。政府は、こうした世論に押されて、今度二百六十億の予算を組んだが、これは、東京、神奈川の施設がやっとまかなえる程度の予算でしかありません。しかも、その四〇%は地方負担というひどいものです。私は、とりあえず緊急を要する東京、大阪、名古屋等の七大都市をはじめ、交通事故の危険の多いすべての地域の主要な通学通園道路に、いま直ちに、歩道橋、歩道、押しボタン式横断歩道、信号機、ガードレールなどの必要な安全施設を設けることをあらためて要求します。その財源は、独占資本本位の長距離幹線自動車道路優先の政策をやめ、その資金のごく一部分を回せば十分です。子供たちの新入学期を間近に控えて、その要求はさらに切実になっています。これに対し、いわゆる人間尊重ともあわせて、総理並びに大蔵大臣、建設大臣の具体的な答弁を求めます。 次に、医療費の問題であります。総理は、医療保険の総合的改善を公約しながら、保険料、初診料、入院料などを大幅に引き上げ、薬代まで負担させる改悪を断行しようとしています。生活の窮乏による人民の健康破壊は、最近ますます深刻であります。東北地方では、国民健康保険の十割給付を老人や幼児に実施せざるを得ない市町村が年々ふえており、いま大きな問題になっております。かかるとき、政府の医療制度の改悪は全くこれに逆行するものであり、総理の言う受益者負担の原則によって、医療制度は根本から破壊されようとしております。わが党は、医療費は全額国庫と資本家負担でまかない、すべての人が無料で医者にかかれるようにすることを要求します。これに対する総理並びにに厚生大臣の御答弁が願いたい。 最後に、私は、人民の生活と健康を守る緊急政策を実行するための財源措置として、次のことを主張します。 まず、歳出面では、軍事費、警察費、海外進出費、さらに、独占資本のための公共事業費、補助金等を大幅に削ること。 歳入面では、一兆円をこえる大資本に対する特別の減免税をやめ、法人税、所得税、固定資産税には高度累進税を課し、あわせて大口脱税を徹底的に取り締まること。 さらに金融面では財政投融資を民主化し、人民のために役立てることであります。 特にこの財源政策は黒い霧を断ち切る具体的な措置としても重要であることを私は強調したいと思うのであります。佐藤総理並びに大蔵大臣は、このような政策の一部でも実行するお考えがあるのかどうか、責任ある答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 岩間君にお答えいたします。 私は、さきの選挙が黒い霧追放、そういう意味でみずから自粛し、自戒し、反省し、そして選挙を戦ったのであります。私は、各党とも、さきの選挙はそういう意味でたいへん自粛の効果をあげたのではないかと思います。選挙違反の件数がほぼ前回の選挙の半分程度になっております。このことは、確かに、ああいう批判の強いのに各候補また各政党がこたえた結果だと、かように思って、この上とも一そう国民の期待に沿うように努力すべきものと、かように思っております。 次に、選挙の腐敗は産業界、財界等のつながりだ、こういう御指摘であります。そうしてその政治をとる上に、特殊の団体と特別な関係があるのだ、こういうことを御指摘になりました。しかし、私どもは、いわゆる圧力団体に屈するとか圧力を感ずるようなことはございません。また特殊の団体からの意見を徴して、それによって将来くされ縁をつくるというようなこともいたしておりません。そうではない。野党の最も強い共産党の言い分でも、とるべきものはこれをとっておるのであります。いま、みずから交通対策の上で、学童、園児等の通学通園については特別な処置をとれ、——これはちゃんと予算も計上されておるじゃありませんか。こういうことがいわゆる民主主義の世の中、民主政治の世の中だ、かように私は思うのでありまして、この点は、どうも事柄がずいぶんかけ違っておる共産党の方でありますが、こういういいことは私どもも採用したのでありますから、どうか今後ともりっぱな考え方は私どもに教えていただくようにひとつお願いいたします。 その次に大津秘書官の問題について言及されました。最近これが週刊誌等に出ておりますから、その関係からお尋ねかと思いますが、大津秘書官を最近かえましたのは、これは人事の都合でかえただけでありまして、こういう事柄に関係があるわけじゃありません。私はただいま御指摘になりましたような問題について、どこからも非難されるようなことはないと確信をいたしておりますし、私自身はもちろんこういう事件を詳しくは知っておりませんが、私の訓育を受けた私の秘書官、秘書等でございますから、こんな間違いはない、かように確信をいたしております。 それから、政治資金をもらうかどうかという話でありますが、私はしばしば申し上げますように、くされ縁がない限り、政党は団体その他から物心両面の応援を受けるのは当然だと思います。したがいまして、支持の票も受けますし、また政治活動に必要なものはちゃんともらう、問題は、そういうものがあとくされがある、特殊の因縁関係をつける、こういうことで政治を曲げる、こういうことが心配なのでありますが、こういうことは御心配のないように、また外国から資金などもらうようなことは、これはもう禁止もいたしておりますが、そういうことも注意しなければならぬと思います。 最後に、医療保険制度についていろいろの御意見を述べられましたが、私は、残念ながら賛成するわけにいきません。 また、予算編成についての各種の具体的提案も、これは要望だと言われましたが、あえて、要望ではあるがこれに答えがほしいということでありましたが、私、ただいまのところおおむね御期待に沿うわけにいかぬことをお答えいたします。(拍手) 〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
○国務大臣(水田三喜男君) 交通対策の予算についてでございますが、いま総理がもうお答えになりましたように、ことしの予算では最も重点的に考えた予算でございます。たいていの予算は削られますが、各関係省の要求が、ほとんどもっともであるとして通ったのはこの交通対策の予算でございまして、この点は十分ことしは気をつけたつもりでございます。 それから、高度累進課税をもう少し推進しろという御意見でございましたが、現行法でいいますと、六百万円以上の所得はもう五〇%、これが六千万円以上になりますと七五%、地方税を加えますと九三%。日本の高額所得は六十何%から九三%までの累進課税ということで、ただいまのところ世界で一番高い累進課税国になっておりますので、これ以上の推進は相当考えものだと思っております。(拍手) 〔国務大臣西村英一君登壇、拍手〕
○国務大臣(西村英一君) 私に対する質問も交通安全の施設でございまするが、これは総理大臣、大蔵大臣もただいま答えたとおりでございます。政府は、昨年交通安全施設の整備三カ年計画を立てまして、ただいまそれに従ってやっておりまするが、大体四十一年を約六百億の見当でやっておりまするが、ことに四十二年は、ただいま大蔵大臣が言ったように、われわれのほとんど全要求を認めるように推進しておる次第でございます。ただ、施設といたしましては、架道橋をかけるとか、あるいは横断道路をつくるわけでございますが、それもやはり民間の協力がないとなかなか進まないのでございます。しかも、補助率の問題等につきましても、従来はあまり——地元の負担が非常にひどかったのでありますが、補助率等も相当に今度はいままでと違って高率な補助をもらうことになっておりますので、この問題は、岩間さんも非常にひとつ急いでやれと言いますが、われわれも大いに力を入れたいと、かように考えておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
○国務大臣(坊秀男君) 医療保険の問題につきましては、先刻横川さんにお答え申し上げましたが、医療保険の問題は、これはもう根本的に考え直さなければならない、何とかその抜本対策を立てて、これを実現していかなければならない、こういう段階になっておりますけれども、倉皇の間になかなかこれを実現するということができません。そこで当面応急の対策といたしまして、今度の御審議を願う案をつくったわけでございます。この案につきましては、しばしば申し上げましたとおり、このまま捨ててほっておきますと、政府管掌健保が赤字が累増いたしまして、これが支払い遅滞におちいるというような、非常に憂うべき状態にございますので、そこで、四十二年度見込まれる赤字をまず政府が一番腰を入れて政府が補助金を出す、それとともに、支払い側の事業者も、それから被保険者の勤労者も、それから診療側のお医者さんにもひとつ腰を入れていただきたい、こういうような構想でつくったのが今度の当面応急の対策でございます。どうぞひとつ御輿解いただきまして、御審議、御決定のほどをお願いいたします。(拍手) —————————————
○副議長(河野謙三君) 石本茂君。 〔石本茂君登壇、拍手〕
○石本茂君 私は、質疑の要点を国民の健康とその福祉対策にしぼりまして、佐藤総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。 佐藤総理は日ごろから人間尊重の政治をと申されており、今国会におきましても、施政方針演説の中で、人間尊重の政治意識を強く打ち出しておられますことについて、私は敬意を表したいのでございますが、しかし、政治の実際について見ますとき、はたしてこの御所信が生かされておりますかどうか、大きな疑問を持つ一人でございます。 そこで質問の第一点は、医療制度とその保障対策についてであります。現行の医療制度についてはすでにその全般にわたりまして問題が提起されております。昭和三十八年に医療制度調査会の答申もなされ、抜本的な改善方策が叫ばれておりますのに、今日いまだそのままに放置されているのであります。今日の国民医療は、医療従事者の奉仕と犠牲の上にようやく成り立っていると申しても過言ではないと信じております。このような事態を政府はどのように受けとめておられますのか、不審の念を禁じ得ないのであります。先ごろ本年卒業の医学生の医師国家試験をボイコットするという事件がありました。この事件は、単に医学生自身にからまる小局的な問題ではありませんで、現在の医療界の欠陥と医学界の中にある古い因襲に対する抵抗であることを知るのでありますが、政府はこのような事件についてどのような見解を持っておられますのか、あわせてお尋ねをいたします。 特に近時、医療福祉の強化拡充に伴いまして、医療機関の整備と医療従事者の増強が強く要請されるに至っておりますが、政府はこの現実をどのように打開しようとされておりますのか。ガン対策だとか心身障害者対策だとか、僻地医療対策だとか、救急医療対策だとかなどなどと、アドバルーンを高く上げておられまするが、現実はそれに相応するだけの設備もありませんし、ことに熟練した技術者を得ることが非常に困難な状態であります。このためにかえって国民のひんしゅくを招くことになりはしないでしょうか。去る三月十日付朝日新聞紙上に発表されておりましたが、重症心身障害児の入院希望に対します国立の医療施設の実態についての批判でありました。それはまことに聞くにたえないものであります。受け入れの態勢ができておりませんために、希望と期待に胸をふくらませて訪れる親と子を断わらなければならないという実態は、一体どうしたことでありましょうか。足りぬ施設が、がらあきというこの奇態な事情について、政府は国民の前にどのような言いわけをされようとしておられますのか、お伺いしたいと存じます。また僻地医療対策にいたしましても、十余年来叫ばれておりますにもかかわらず今日なお全く未開拓のままであると申しても過言ではありませんが、以上は、要しますに、医師、看護婦など、医療技術者の需給対策に大きな欠陥があることを知るのであります。政府はこのような事態を今後どのように解処しようとしておられますのか、お伺いします。 次に、保健所の運営についてでありますが、現在総数八百二十六を数えております保健所について、医師などの充足率を調べてみますと、医師は四四・一%という驚くべき低率を示しております。保健指導の立て役者でありますところの保健婦等は七二・八%を満たしておりますが、これとても、とうてい十分な活動ができない状態であります。保健所の真の使命は、地域住民に対しまして衛生思想を普及し、国民生活の健全性をはかることにありますが、現実は、地方自治体の財政上のしわをかぶりましてか、十分にその機能を発揮することができない状態に追い込まれております。せめて、職員の優遇対策などは国家の責任において保障することができないものでありましょうか。現在三分の一国庫負担の額をさらに増強するというようなことについて、お考えになっておられますのかどうか、お尋ねをいたします。 なお、目下検討中でありますところの健康保険料金の改定に関しましては、どうか国民の被保険者の立場に立ちまして、真に納得のできる改正方を熱望する次第であります。 以上の諸点につきまして、総理大臣の総括的な御意見と、厚生大臣の具体的な御所信をお伺いしたいと存じます。 質問の第二点は、公害対策についてであります。 佐藤総理の施政方針演説の中に、「国民の健康と生活環境を公害から守るため、公害対策基本法案を今国会に提出いたします。」と申されており、また、昨年秋、鈴木前厚生大臣は、健康が産業に優先するものであるとの原則に立脚して公害基本法の試案云々と申されております。これは人間尊重の政治意識を貫くべき姿勢の一端を示されるものでありますが、私は、この法律案をめぐりまして、むしろ非常に不安を抱くものであります。今日、わが国の行政機構は、きびしい縦割り方式であります。その間には厚い壁がどっしりと立ちはだかっております。この厚い壁を通して、はたして真に有機的に国民を公害から守ることができるでありましょうかの懸念を持つからであります。この法律が成立いたしましたとき、この法律を根城にいたしまして、関係各省庁ごとに必要な法律規則を枝葉のように制定されるでありましょう。法律そのものは行政のよりどころでありますから、おつくりになることはけっこうでありますが、単に為政者や行政者の満足のためにつくられるような法律でありましたら、これはむしろ、国民生活の中で、ないほうがよいと言わなければならないものもあるのでございます。 そこで、私は厚生大臣にお伺いをいたしますことは、公害対策の分野であります地域住民の生活環境を守ること、すなわち、環境衛生に関しては、現在、厚生行政の体系の中で、地域における実際活動は保健所が所管していると思うのでありますが近い将来、総合化された公害対策の実際について、地域行政の中で、どこが、だれが主導権を持って活動することになりますのか。以上の諸点につきまして、構想の一端なりともお示しをいただきたいと思います。 質問の第三点は、交通安全対策についてであります。 交通安全設備などの整備につきましては、昭和四十一年度国家予算七十二億四千五百万円のところ、四十二年度予算の査定額は、その倍額を上回っております。これはまことに喜ばしいことでありまして、着々と今後多くの問題を解決していただけるものと思うのでございます。今日、私ども国民は、歩行しております場合も、車に乗っております場合も、ともに生命の危険に脅かされて、毎日命がけの通行を余儀なくされているのであります。そこで、政府は、この四十二年度予算を背景といたしまして、何か抜本的な施策をお持ちになっておられますかどうか。私は、特に、老人も子供も、そして足の不自由な人も、安心して歩ける歩道の整備、信頼できる信号機の設置、だれにでもよくわかる標識と標示について、どのように改善されようとしておられるかを、お尋ねしたいのでございます。また、一般国民に対しまして、交通の安全をはかるための施策として、どのような方法で指導教育を実施されておられますのか。車の運転免許を持っております国民はともかく、これを持たない多くの国民は、交通に関する法律や規則について、何らの知識も持っておりません。ただ、「横断歩道は手をあげて渡れ」とか、「信号機が青になったら渡ってもよい」とか、「人は右、車は左」ぐらいの知識しか持ち合わせておりません。人命保護の使命が政府当局におありなのでございましたら、どうか、一般国民にも交通上の知識を普及できる手段を講じていただきたいと存じます。そうして、国民の一人一人が自分自身の生命を守れるように措置していただきますことを希望してやみません。以上の諸点につきましては、国家公安委員長にお伺いをいたします。 なお、交通事故発生後の関連でありますところの救急医療対策についてでありますが、政府は、施設の増備、医師、看護婦などの確保について相当苦慮されておられることは承知しておりますが、現在、ほとんどの病院は救急医療施設の指定を拒否しております。このような実情を勘案されまして、政府におかれては、昭和四十二年度予算を背景にして、どの程度のことを具体的に実施されようとしておりますのか、厚生大臣にお伺いいたします。 以上をもちまして私の質問は終わります。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 現在のわが国の医療施設、これはまことに不十分だと、かような御指摘があり、ことにその未整備な、まずい施設を使って働かしておる医療従事者、これも数が少ない。あるいは資格が足りない。したがってこれらの資質向上に一そう努力すべきだ。どうも、金の使い方が不十分の結果、そういうことになって、ことに特殊なガン対策であるとか、あるいは心身障害者であるとか、あるいは僻地等におけるそういう施設の不十分さ、未整備、これが目立つ、こういうことを御指摘になりました。私も、わずかではございますが、国内において、いまなお、そういう点が非常に抜かっている、かように考えております。したがいまして、医療制度調査会、この答申が出ておりますので、政府はこの答申を中心に、今後さらにその施設の整備に力をいたし、また、医療従聖者の待遇等においても十分のくふうをすべきだ、かように考えております。ことに、医者が足らないのに、最近はインターン制度で問題を起こしている、こういうことであります。この春の国家試験等におきまして問題が起きたことは、私どもたいへん残念に思っております。しかし、医学教育の懇談会の席上等におきましても、今後のあり方について十分考えられるようでありますから、できるだけ早く結論を出しまして、このインターン制度というものをもう一度考えてみる。こういうことをいたしたいと、かように思っております。 なお、交通安全対策につきまして、るる御意見を述べられました。これは、公安委員長がいずれお答えすると思いまするが、私ども内閣といたしまして、総ぐるみ運動——交通災害、それから学童、園児を守ることはもちろんでありますけれども、一般の被害者をなくする、交通事故をなくする、こういう意味で国民総ぐるみ運動を展開して、ことしで三年目になるのであります。私、この総ぐるみ連動は各方面の非常な協力を得たと、かように考えておりましたが、いままで、こういう問題が真剣に、こういう場所、本会議等において論議されてなかった、このことを考えますと、総ぐるみ運動はまだまだ前途まことに遼遠だと、かように思います。この際に、世論を形成して、交通戦争、これを平和にもたらすように一そう努力したいものだと思います。(拍手) 〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
○国務大臣(坊秀男君) 非常に繊細にして、きめのこまかい御質問をいただきました。お答えにあたりまして、多少、私の申し上げることが冗長にわたることもあるかもしれませんけれども、御了承願います。 わが国の将来にわたる国民医療を確保するためには、今後における疾病構造の変化と医療の需要の推移に対処して、施設の整備、医療従事者の確保と資質の向上をはかることが肝要であろうと思います。このような観点に立ちまして、医療制度調査会の答申を十分に尊重いたしまして、医療制度の抜本的検討をはかってまいる所有でございます。 インターン制度につきましては、総理からもお答えがございましたが、現在、医学教育懇談会の場において、医学教育研修全般にわたる審議が行なわれておるところでありまして、その結論を符って、できるだけ早く制度の改善を行なうよう、検討を進めておる次第でございます。 それからガン対策、救急医療等の対策を推進するには、施設面の整備にあわせて医療従事者の養成確保をはかるべきだというお説は、まさに、そのとおりであろうと思います。医師につきましては、文部省当局とも連係をとりつつ、大学医学部の定員の増加をはかる等により、その絶対数の増加をはかっていくことは当然のことでありますが、現在の医師について、ガン、救急医療等に関する研修の強化をはかり、これらの医療対策に即応する体制を、一日も早く整えることが緊要のことと考えております。 看護婦につきましては、従来から養成施設の整備拡充、修学資金についての国庫補助等により、その確保につとめてまいりましたが、来年度においては、これら対策をさらに積極的に推進することにより、看護婦不足の現状を打開していく所存でございます。 また、僻地等における医療従事者の確保については、給与等の待遇改善の面を積極的に進めてまいりたいのでございますが、これにあわせて公的医療機関による親元病院制を活用するとともに、国立病院の医師の定員を増員して、僻地医療対策に協力させる等、医療従事者の不足による僻地問題の解消に全力をあげてまいりたいと思っております。 それから保健所が地域住民の保健衛生の向上をはかることを本来の目的としていることは、御意見のとおりでありまして、今後の保健所の運営にあたっては、最近の疾病構造の変動に対応する保健所活動の強化をはかるため、医師、保健婦等の充足、精神衛生相談員、管理栄養士等の職員の増員、保健所の技術水準の向上、及び保健所施設の整備につとめるとともに、地域の特殊性及び需要に即応した移動保健所活動等の強化をはかることといたしたいと思っております。なお、保健所運営の補助金の充実等に関しましては、今後とも一そうの努力を払ってまいりたいと思います。 医療保険の赤字の問題につきましては、すでに横川さん、岩間さんにお答えいたしましたので、省略をさしていただきます。 公害問題でございますが、公害対策は、種々の行政分野にわたる施策を総合的に推進していくのでなければ、その実効を期することができないが、厚生省といたしましては、公害が、国民の健康と生活環境に対する直接の脅威であることにかんがみまして、その防止対策のために、全面的に取り組むことといたしております。 それから救急医療の問題であります。救急医療体制の整備については、昭和三十九年、救急病院等を定める厚生省令を制定し、自来その数の増加と、適当な配置につとめてまいったところでありますが、現在、逐次増加して、約三千五百カ所の医療施設が、救急病院、診療所として拡充されまして、救急患者の治療に当たっております。昭和四十二年度予算におきましては、重症外傷患者の治療を行なう救急医療センターを、公立病院を中心として整備し、同センターの全国的配置の第一歩を踏みだすとともに、脳外科等、高度な医療技術を医師に習得させるため、研修費等が計上され、昭和四十一年度の十倍に達する二億九千二百万円が予算化されることと相なった次第でございます。 以上であります。(拍手) 〔国務大臣藤枝泉介君登壇、拍手〕
○国務大臣(藤枝泉介君) 交通安全施設の整備につきましては、昨年成立いたしました交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法に基づく三カ年計画を強力に推進してまいりたい所存でございます。御指摘になりました警察のほうは、このうち信号機、横断歩道あるいは交通規制をいたしました際の道路標識等を警察のほうで分担いたしているわけでございます。 それから安全教育につきましては、春秋二回の交通安全運動、その他あらゆる機会をとらえまして、学校や、あるいは交通安全協会、その他の適当な各種団体と連絡をとりまして、運転者ばかりでなくて、歩行者、ことに園児、学童、あるいはそれらのお母さん方の教育につとめているわけでございます。今後なお適切な安全教育を進めてまいりたいと存じます。 なお、ただいま厚生大臣からお答えいたしましたが、救急関係の病院でございますが、私のほうの消防庁で所管をいたしております救急隊と、その所管内にあります救急病院と、常時連絡をとらせておりまして、救急隊がお送りした患者が手違いのないように、十分注意をいたしておるつもりでございます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。 —————・—————
○副議長(河野謙三君) 日程第二、参議院予備金支出の件を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長鍋島直紹君。 〔鍋島直紹君登壇、拍手〕
○鍋島直紹君 ただいま議題となりました参議院予備金支出の件につきまして御報告申し上げます。 今回御報告いたします本院予備金の支出額は、昭和四十年度分六十八万円、昭和四十一年度分五百万円、合計五百六十八万円であります。この支出は、すべて在職中死亡されました議員の遺族に対する弔慰金であります。 すなわち、昭和四十年度分につきましては、故議員岩沢忠恭君の遺族に、昭和四十一年度分につきましては、故議員草葉隆圓君及び松本治一郎君の遺族に対する弔慰金でございます。 以上は、いずれも、そのつど議院運営委員会の承認を経て支出いたしたものでありますが、ここに国会予備金に関する法律第三条の規定によりまして、本院の承諾をお願いする次第でございます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 本件を問題に供します。本件は、委員長報告のとおり承諾することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって本件は承諾することに決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時四十二分散会