本会議 第4号
- 発言数
- 20 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/03/17
会議録
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。 去る十四日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。椿繁夫君。 〔椿繁夫君登壇、拍手〕
○椿繁夫君 日本社会党を代表して、総理大臣に施政全般にわたる質問を行ないまするにあたり、私は、何よりもまず、目下緊急のベトナム情勢に関し、政府の責任ある立場をお尋ねしたいのであります。 旧正月停戦をきっかけに生ずると思われました平和への希望は、むなしく消え去り、北爆を再開したアメリカは、作戦の量的及び質的拡大に向かっております。先ごろ、ラングーンでハノイの代表と話し合いの機会を持ったウ・タント国連事務総長は、ニューヨークに帰任の際、北爆の無条件、無期限の停止がなければ、ベトナム戦争は長引き、もっと残酷なものになるだろう」との暗たんたる見通しを明らかにいたしました。だが同時に、ウ・タント氏は、「もし北爆が停止されるならば、数週間以内に話し合いの機会が生まれるだろう」と声明したのであります。北爆の停止が平和への第一歩であることは、これまでも多くの国の指導者が繰り返し公にしてきたところであります。この時期に行なわれた国連事務総長の指摘は、その事の重大性をあらためて印象づけるものがありました。 外国通信の報道によりますと、スウェーデンのニルソン外相も、三月八日、スウェーデン議会において、政府は平和交渉をあっせんする用意があると述べながら、アメリカは北爆を停止すべきである旨言明したということであります。総理も御存じのとおり、スウェーデン政府は、平和の撹乱者へ兵器の輸出を禁止する国内法の規制に従って、現在、アメリカに対しスウェーデン製兵器の売り渡しを禁止いたしております。平和回復に役立つ用意があるとのスウェーデン外相の発言は、この点において、北爆停止の要求とともに、一定の政治的及び道義的基礎を持っていると言えるのであります。 北爆の停止は、今日、世界諸国民の良識のこぞって要求するところであります。人道と理性の声であります。その声は、当のアメリカにおいても再び強まろうとしており、アメリカの良識ある市民や言論界、議会の一部に、政府の政策に対する深刻な批判と憂慮が広がりつつありますことは、総理も、つとに御存じのはずであります。 アメリカ政府は、軍事的勝利はアメリカの目的ではない、アメリカが求めているのは政治的解決である、こういうことを、これまでしばしば公言してまいりました。しかしながら、旧正月停戦の期限切れを待ちかねていたかのように、せきを切って開始された新たな戦争拡大の行動は、ワシントンが、政治的解決ではなく、軍事的勝利をしゃにむに追求していることの明白な証左ではありますまいか。一連の経緯を公平に観察するものにとって、いまや、アメリカ政府が、まじめな意味における交渉による解決を求めているのではなく、ハノイ及び民族解放戦線の無条件屈服を求めて、刻々軍事的圧力を増大させていることは明白であります。アメリカは、旧正月停戦の終了早々、圧倒的な世界世論の要求にそむいて、北爆を再開し、また長距離砲や軍艦からの北ベトナム砲撃を開始いたしましたが、そのことを正当化するために、アメリカ政府の当局者は、四日間の停戦期間中に北ベトナムが大規模な補給活動を行なったと宣伝をいたしました。北ベトナム首脳部の誠意を疑うに足る動きが見られたと主張いたしております。それでは一方、アメリカ側はどうであったか。アメリカの兵隊たちは四日間静かに休日を楽しんでいたのではありません。アメリカ人特派員による新聞電報は、停戦の第一日目にアメリカ空軍は、前線への一日の空輸量において二千七百六十二トンという新記録をつくったと伝えております。こうした事実に照らして、われわれは、もはや、戦争拡大の責任を常に北ベトナムの側に押しつけるワシントンの宣伝を、とうてい信ずるわけにはいかないのであります。 総理は、先日の施政方針演説において、ベトナム戦争の平和解決のために、日本政府もあらゆる努力を尽くすと述べられました。ことばだけなら、ずっと前から同じ趣旨の発言を繰り返しておられるのであります。要は、ことばではございません、行動が必要なのであります。そのためには、日本政府自身の確固たる独自の別断と立場がなければなりません。戦争の一方の当事国の単なる代弁者が、平和のための公正な国際的影響力を発揮できるわけはないのであります。現に政府は、平和への努力はおろか、アメリカの軍事行動にあらゆる便宜を与えてきているではありませんか。先ほど申しましたスウェーデン政府のアメリカ向け兵器の輸出禁止のごとき措置は、佐藤内閣において、これまで一度でもお考えになったことがございますか。極東の平和と日本の安全の名のもとに、沖繩を含むわが領土内のアメリカ軍基地と日本の産業力が、多数国民の意思に反して戦争に奉仕させられているではございませんか。もし総理が、まじめに、アジアにおける日本の将来にわたる名誉、アジア諸国に対する日本の責任ということを考えておられるなら、次の三つの提案に真剣に取り組むべきであります。 すなわち、第一に、アメリカによる北爆を、日本政府はもはや支持することがではないこと、第二に、アメリカは北爆を無条件かつ恒久的に停止すべきこと、第三に、沖繩を含む日本領土内のアメリカ軍の施設及び区域が、これ以上ベトナム戦争のために利用されることに、日本政府はもはや寛容たり得ないこと、この三点を、この際、内外に、ことにワシントンに対して明らかにすべきであると信ずるのであります。(拍手)その決意がありますか、お答えをいただきたいのであります。 なお、ベトナム情勢に関連いたしまして、沖繩問題についてお尋ねをいたします。 政府は、これまで、施政権の返還を機会あるごとにアメリカに要望していると言っておられます。極東の平和の維持に沖繩の軍事基地が必要な限り返還できないというのが、アメリカの言い分であり、日本政府もまた、この主張を受け入れておられるのであります。二月二日の各新聞の報ずるところによれば、佐藤総理の発言を受けて、外務省のある高官は、米国が沖繩で自由に基地を使用することを日本国民が支持するならば、全面返還は促進することができるという、注目すべき見解を発表しております。日本政府は、核兵器配備のアメリカ軍基地が沖繩に存在すること、今後も引き続き存在することを、自発的に望んでいるのでありましょうか。これが第一の質問であります。 第二のお尋ねは、政府与党は沖繩の分離返還を進めると言ったり、選挙中の佐藤総理のように、一括返還を言ったりいたしまして、全面返還要求でいくのか、部分的返還要求でいくのか、方針に一貫性がなく、熱意が感じ取れないのであります。政府は、一体、どのような方針をとっているのか、この機会に明確にしていただきたいのであります。 第三の質問は、日本政府はまた、沖繩がベトナム作戦に全面的に利用されている現状が、日本の安全に有益であると考えているのでありましょうか、お答えをいただきたい。 次に、私は、防衛問題についてお尋ねをいたします。詳しいことは関係の各委員会において掘り下げて究明をいたしたいと思いますが、二兆三千四百億円という、第二次計画に倍する第三次防衛力増強計画の開始にあたって、政府は、一体、国防のいかなる基本方針を持っておられるのか。防衛費が国民所得の何%といったことが、政府当局からしばしば言われるのでありますが、国民を、住宅難とスモッグと、農民の出かせぎと、交通難の中に置きながら、一体どこまで、防衛費をふやす考えでありましょうか。予算の数字だけではない。自衛隊を一体どこまでふやし、どういう姿にすれば、国防上十分ということになるのか。自衛力のどういう状態を目標にして、巨額の国費をつぎ込んでいるのであるか。こういう根本問題について、国民はこれまで何も知られていないのであります。一般行政費と同じように、国民所得がふえるにつれて、自衛隊の費用も、これからどこまでも、うなぎのぼりになっていくのでありましょうか。そこに三次防があるから予算がつくんだということでは、納税者はとうてい納得し得ないのであります。さらに、第三次計画を控えて、関係企業はすでに活発に動き始めていると伝えられております。 私は、このときに思うのでありますが、アイゼンハワー元アメリカ大統領が、ホワイトハウスを去るにあたって、産軍相互依存体制、つまり産業と軍部の、巨額の軍事費を媒介とする深い結びつきが、アメリカ民主主義の将来に危険な要素となるおそれが生じていることを警告いたしました。これは、まことに印象的な警告であります。国の安全という美名のもとに、国民の血税が、特定の個人、企業のふところを肥やすがごときことがあっては、断じてなりません。「黒い霧」に象徴される自民党政権の伝統的体質を考えたとき、私は、第三次防が、日本における小型産軍相互依存体制の踏み台になる危険を心から憂えるものであります。(拍手) 国防に関する政府の根本的な判断と方針、隊増強の目標点、それに、兵器発注をめぐる産軍相互依存体制の危険、以上三点について総理からお答えをいただきたいのであります。 次に、国民生活と経済運営の姿勢についてお尋ねをいたします。 総理は、施政方針演説の中で、特に、経済の安定と人間を大切にする政治を基本とすると述べておられます。その中で、物価、住宅、公害、交通など、国民生活の焦眉の急を要する問題に言及されました。しかし、総理の演説を聞いて、政府が今度こそ本気でこれらの問題に取り組んでいるという印象を受けている国民は少なかろうと思います。国民は、百のことばよりも、一つの実行を求めているからであります。 今日、国民生活の最大関心事は物価問題であります。政府は、相も変わらず、物価の安定を口で唱えるだけで、何ら有効な対策をとっていないのであります。四十一年度は、政府が御説明になりましたように、物価上昇を五・五%以内にとどめると言われましたが、なるほど本年はそのとおりにおさまる模様であります。これは消費者物価の寄与率において、大体七〇%をこえるものが農水産物に依存するのでありますから、政府の施策というよりも、幸い四十一年度の天候がよかったことは御同慶にたえません。けれども、五%そのものが高いのでありますから、物価対策は、これをいかにして下げるかというところに、政治の中心の目標がなければならないと思うのであります。今回明らかにされた経済社会発展計画によりますと、計画の終わりには物価上昇を三%程度にまで低下させると約束しておりますが、さきに中期経済計画で二・五%に下げるという計画が破綻し、またしても書きかえたにすぎないのであります。具体的に解決の方策を明らかにされたいと思います。 物価問題の中で大きな地位を占めている土地の価格一つをとってみましても、解決の基本は明らかであります。土地は他の商品と異なり、それによって個人や営利企業が利益をむさぼることは許されません。この原則を政府がはっきりさせて、あらゆる施策にこの考えを貫くことであります。昨年十二月の物価問題懇談会の政府に対する勧告の中にも、都市地域における土地の公的保有を推進すべしとする一項目があって、この四月に発足する予定の、イギリスの土地委員会のような機関の設置を検討することも要望いたしております。さらに物価問題懇談会は、勧告の中で、明年度において国債発行額は大幅に縮小すべきである、こういう意見を明らかにつけ加えているのであります。ところが、政府は、来年度また八千億という巨額の国債を細み込み、かつ、長期にわたる公債発行を行なう方向を明らかにしているのであります。政府は、今度もまた物価問題に関する諮問機関をつくられましたが、自分でつくった諮問機関の意見を本気で実行するのでなければ、幾ら機関をつくっても、意味がないのであります。 国民の関心事であり、最大の選挙公約の一つであった消費者米価の値上げも、十月から一四・五%の大幅値上げを織り込み、あえて佐藤内閣は公約違反を行なっております。この米価値上げによる国民の負担増は、減税を無効にするほどのものであり、ことに米価値上げには、減税の恩典にも浴し得ない低所得者すら、これに泣かざるを得ないのであります。総理口ぐせの人間尊重、ヒューマニズムの片りんすら見出し得ないではありませんか。幾ら物価安定のお経を唱えても、左手でやることを右手でこわしているようなものであります。政策に一貫性と斉合性がないのであります。この点については、予算審議の段階で、あらためて批判をしていくつもりでありますが、特にこの際、総理の所見をただしておきたいのであります。物価安定の対策費は、昨年四兆数千億の総予算の中で、各省から出ておりますものを拾い上げてみましたが、百五十七億円程度しかございませんでした。一体、今度の五兆円予算の中では、どの程度の予算を取り、どの程度の具体的な対策を計画されておるのか、この機会に国民の前に明らかにされたいのであります。さらに、この機会に、たとえば米価のごときは、政府がかってにきめられないように、国会の議決を得なければ改定することができないように、法改正を行なう必要があると思うのでありますが、政府のお考えはいかがでしょう。 これと関連して、物価上昇の原因は賃金の上昇にありとして、賃金引き上げを生産性のワク内に押えようとする方向が検討されようとしているようでありますが、これは、物価上昇の中で生活難に苦しむ勤労者の実態を見ない論議であります。被害者は、物価高に苦しむ勤労大衆であります。政府はこれまで、所得政策はとらないとの方向を明らかにされてきましたが、春闘を控えたこの時点で、政府の立場を明らかにしていただきたいのであります。 住宅、公害など、国民生活上焦眉の急を要する問題についても、その一つの例をあげますれば、政府は、七百三十万戸の住宅を、五万ヘクタールの宅地とともに新たに供給することを明らかにしておりますが、これがどのように予算化されているのでしょうか。しかも、この計画も、持ち家政策が中心で、個人まかせの対策が大部分ではありませんか。しかも、公営住宅にいたしましても、国の計画が地方財政を圧迫し、地方の持ち出しや住民負担によって、国の施策が、かろうじて進められている現状であります。この原因は、基準となる補助単価そのものが安過ぎるからであり、巨額の超過負担を地方団体に課している現状でありますから、このような実態に沿うた予算上の配慮が本年はなされているかどうか、大蔵大臣からお答えをいただきたいのであります。 公害基本法の問題にいたしましても、今国会に政府が提出する予定だと言われる法案の内容は、伝えられるところでは、昨年の公害審議会の答申、あるいはそれに沿うた厚生省試案に比べて、国民の健康と生活環境を守るという点において著しく後退しているということであります。企業の利益の観点からする手直しがだいぶ行なわれているようであります。私は、産業の発展という観点を否定するものではありません。しかしながら、そのことを、ほかならぬ公害防止の基本法の中に盛り込み、法のあるべき原理を曲げるというのは、どうしても理解できないのであります。力の弱いもの、みずからの生命と健康を守るべき有効な手段を持たないものを守るというのが、この種立法の根本の意義ではありませんか。それこそ一般に、政治のまず第一に目ざすべきことではありますまいか。それが各省の意見調整の過程で、立法のそもそもの趣旨がねじ曲げられるようなことがあったり、水で薄められるようなことがあってはならないと思うのであります。今日、国民生活を脅かしている問題のすべては、各省のなわ張り争いのごとき、行政の古くさい体質を大きく乗り越えたところにのみ、解決の糸口が見出されるものであります。総理がほんとうにその政治的指導性を発揮されねばならないのは、まさにこの点でありまして、公団や公庫、その他政府機関の役職を養老院がわりに利用するようなことにばかり手腕を発揮するいとまはないはずであります。このことが自覚されない限り、国民生活に関して総理が並べられた数々のもちも、すべて絵にかいただけに終わることは、国民は、長年の経験上から、そのように考えているのであります。そこで、特に総理にお伺いしておきたいのは、公害問題の抜本的解決のために最も重要なことは、公害防止の企業責任を明確にすることであると考えますが、政府のお考えを承っておきたいのであります。 中小企業については、政府は、いつも手厚い政策を実施していると言われますが、昨年も倒産は六千件をこえて最高の記録を示し、ことしになっても、その大勢は衰えを見せておりません。これで、はたして十分な中小企業対策ができていると言えますか。中小企業対策費は来年度二百四十億円をこえ、その伸び率は二〇%になると言っておりますけれども、五兆円予算の中に占める比重はわずかに〇・五%に足りないのであります。資本の自由化、それがための体制整備の促進等によって、中小企業はいま不安のどん底にあります。中小企業、ことに零細企業は、依然として倒産、切り捨ての運命にさらされているのであります。倒産、破産を免れ得るような事前の指導、組織化の推進、さらに大企業の中小企業分野への進出防止、下請代金支払い遅延の画期的な改善など、いまや、政府は勇断をもって対処すべきことが多いと思うが、所見をただしたいのであります。 この機会に、特に万国博覧会問題について触れておきたいのであります。万国博覧会は、申すまでもなく、国家的な行事であり、思想の違いや発展の隔たりをこえて、できるだけ多数の国々が参加する世界的な祭典でなければなりません。したがって、地方財政が窮迫しているおりから、地元負担や大衆負担でまかなうようなことではなく、国家全体の行事として取り扱い、国と地方の負担割合が、国の二に対し地方の一と決定されたようでありますが、全般的に国の積極的配慮が加えらるべきであります。博覧会あと地の利用は、国が買い取って、日本の古都である奈良や京都に匹敵する、二十一世紀へのモニュメントを残すべきであると考えるものであります。同時に、アジアで初めて開催される万国博覧会でもありますから、特にアジアでは、中国をはじめ、どこの国もが参加できるような努力を払うべきであります。政府は、これらの問題について、どのような考えと準備をしてこられましたか、この機会に伺いたいのであります。 最後に、総理の政治姿勢について所信を伺いたいと思います。 さきの総選挙が、自民党政治の中枢部に巣くった腐敗と、政治道義の退廃に対する国民の批判を、佐藤内閣がついにかわし切れなくなった結果行なわれたことは、申すまでもありません。議席数において、自民党はかろうじてていさいを整えたものの、得票率は過半数を割っております。財界から、二十億と言われ、三十億と言われる巨額の献金をつぎ込んだ結果が、これであります。これが黒い霧批判のあらしの中で、「きれいな選挙」、「金のかからない選挙」を約束してこられた総理のおやりになった選挙だったのであります。政府・自民党は、総選挙によって、あたかも、おはらいが済んだ、黒い霧なんてそもそも初めから存在しなかったのに、野党やマスコミがでっち上げた空中楼閣であったと、言わんばかりの様子に見受けられるのであります。のど元過ぎて熱さを忘れたかのごとくであります。ところが、現に地方政治の舞台において、自民党関係者の汚職と腐敗の実例が相次いでいるではありませんか。下みな上にならうとは、このことでありましょう。総理は、自民党と財界、官僚機構の結び目に、絶えず発生する政治腐敗の芽を、どのように取り除いていくおつもりでしょうか。政治浄化のどのような具体策をお考えになっておりますか。 なお、これに関連して、総理の注意を喚起しておきたいことが一つあります。各新聞が一様に報道しているところによりますと、総理は、最近、自民党関係の会合において、二度にわたり、東京都知事選挙に関連して、わが党推薦の候補者の私的生活に関し中傷を加えた由であります。昨日、衆議院の答弁で、堂々と戦おうではないかと、総理は言われました。その総理の言動とは思われないのであります。三日ばかり前、数百人の区会議員候補者を集めて、激励を兼ねて公認料を渡されたようでありますが、その中に、すでに選挙違反に問われて公民権停止中の人さえおったというこどが伝えられているのであります。こういうことでは、明るい政治を口にするその裏で、そのような卑劣きわまることをやるというのは、政治の指導者の行ないとして、およそ想像もし得ないことであります。一国の総理としてその品位を疑わしめるものがあると言わなければなりません。政治の姿勢について、総理が施政演説にしばしば述べられた誓いも約束も、これすべて、国民を欺く一片の美辞麗句にすぎないと言わなければなりません。(拍手)はたして、そのような事実があったのかどうか。さらに具体的には、金のかからない選挙を行なうため、政治資金規正法の改正、買収等悪質違反に対する罰則の強化、高級公務員の立候補制限など、公職選挙法を改正することに対し、きのうのように、審議会の答申を待っておりますなどというお答えではなく、総理はいかなる決意をもって臨もうとしておられるかを、この機会に伺いたいのであります。今日ほど議会政治が国民の信頼を回復するために重要なときはないと思います。勝つためには手段を選ばないということを総理みずからが行なうようなことでは、とうてい政治家や議会政治に国民の信頼をつなぐことはできないのであります。総理みずからがその政治姿勢を正されることこそ、何よりも先決であることを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 椿君にお答えをいたします。 まず第一、ベトナム問題についていろいろ御意見を交えて私の所見をただされました。私は、この会議場、あるいはその他の場所等におきましても、ベトナム問題についてはしばしば説明をいたしたのであります。これはやはり、一方的にアメリカを非難するだけでは問題は解決しないのであります。双方について公平な判断をして、しかる上に初めて平和が招来されるのだということを、しばしば申し上げてまいりました。私は、椿君御自身が、ベトナム問題が一日も早く平和を回復すること、それを心から願っておられることに、私はたいへん敬意を表しますが、しかし、遺憾ながら結論におきましては、ただいま申し上げますように、アメリカだけを非難しても問題は解決しない、かように思うのであります。私が申し上げるまでもなく、この問題の起こり、それをこの際に詳しく申そうとは思いませんが、ただいま出てきておる現象だけを非難したのでほおさまらない、かように思うのであります。ことに、ただいま行なわれております北爆は、北からの侵透を防ぐためでございます。これは現にクリスマス休戦や正月休戦、さらにまた、旧正月の休戦というようないいチャンスがあったのであります。こういうチャンスにおきまして、関係国が十分過去のあり方について反省をすれば、おのずから道があったと思います。しかし、なかなかそういうような状態にならなかった。これは私はまことに残念に思います。 そこで、お尋ねになりますように、北爆を支持しない、あるいは北爆を無条件かつ無期限に停止することを提案しろとか、また、沖繩をはじめ日本の領土などを一切これに使わすなというお話ですが、いまの沖繩、これは私どもには、潜在主権は持っておりますが、ただいま施政権がございません。したがいまして、とやかく言う権利はございません。また、私どもの本土、この本土自身は、ただいまベトナム問題にこれを作戦基地として使わしておらない、これは椿君も御承知のとおりだと思います。いずれにいたしましても、一日も早く平和が招来するように、私は、あらゆる機会をとらえまして十分努力するつもりであります。その具体的な話は、この機会にこれを説明しろと言われましても、私、今日申し上げることは適当でない、かように考えますので、御了承を願いたいと思います。 第二は、沖繩問題についてであります。沖繩の施政権返還、これは心から沖繩百万の住民を含めての日本全国民の願望であります。一日も早くこれを実現したいと思います。過去におきましても、あらゆる機会をとらえて努力してまいりました。私自身が、ジョンソン大統領に会いましても、一番先に発言をし、要望したものは、この施政権の返還であります。しかし、この点につきましては、諸君も御承知のように、日本を含めての極東の安全、平和、そのために、ただいま沖繩が米軍によって、そういう平和確保のために使われておる、こういう事実を全然無視するわけにいかないのであります。私どもが日米安全保障条約を締結し、そうして、その関係においての一つの極東の平和と安全を確保すること、同時にまた、日本国民が外国の施政権下にあるというこの不幸な状態について、この二つを解決することが重大な問題であります。したがいまして、私は、こういうことについてのくふう、これはジョンソン大統領に会ました際に、ジョンソン大統領も申しておりますように、沖繩を返還することにおいて別に異存はないのだげれとも、とにかく極東の安全——この状態が沖繩を返還するような状態であることを心から願うと、こういうような表現をしておりますが、この表現、共同声明が、非常に事態を明白に説明しておると思います。私は、そういう意味で、今日直ちに、極東の安全、平和の関係から、この返還を実現さすということは困難のようだ。しかし、沖繩住民を不幸な状態に置くということについては、私は忍びないのである。本土との一体化について一そうの努力を払っていく。そうして、これは観念論や抽象論じゃなしに、具体的に実際問題として一つ一つ片づけていく。こういうことで、自治権の拡大や、あるいは経済的活動についての援助や、あるいは教育の内容の充実等につきまして、私どもができることを順次実施してまいっておるのであります。施政権——これは御承知のように、援助費が非常に増額されておる、これは、はっきり御承知だと思います。ことしは百億以上の援助費を沖繩に送ることになっております。これは昨年に比べれば倍額にもなります。この事実で事実ははっきりすると思います。そうして、お尋ねになりました、全面返還かあるいは分割返還かというお尋ねでありますが、ただいま沖繩問題懇談会におきましてこの問題を中心にいろいろ検討いたしております。沖繩問題懇談会は総理府にありましたものを、最近はさらに改組いたしまして、真剣に取り上げ、現地の住民の利益になるように私ども積極的に取り組んでまいるつもりであります。 ベトナム作戦への利用をやめさせることが沖繩返還の早道ではないかというお話でございますが、私はさようには考えません。問題は沖繩の返還、これは極東の安全と平和、同時に国際的平和にもつながるものだと、かように御理解をいただきたいのであります。 次に、わが国の防衛問題についてお尋ねであります。わが国の防衛問題は、二兆三千四百億、第三次防衛計画を樹立したばかりであります。私どもは、いままでしばしば申し上げておりますように、わが国の国防は攻撃的なものでは絶対にない。これはいわゆる直接間接の侵略に対して局地的にこれを抑止する、そのために必要な防衛力だと、かように説明してまいりました。また、わが国自身は、国力、国情に応じた自衛力を持つということ、これが基本的な態度であります。この点も、しばしば説明してまいりましたので、重ねてさらに追加はいたしません。 また、お尋ねになりましたように、兵器発注をめぐる産軍相互依存体制ができるのではないかということで、たいへん御心配のようであります。私どもも、もしもそういうようなことがあれば、注意しなければならないと思いますが、ただいままで、このわが国の生産力に対する軍需生産、この依存度というものは、わずか〇・五%にも及ばないのであります。そういうことを考えますと、ただいま言われる産軍相互依存体制というようなものはもちろんございません。しかし、過去におきまして、私どもも苦い経験をなめたのでありますから、ただいま椿君の御指摘になりましたように、そういう危険がないように、今後とも十分注意してまいるつもりであります。 次に、国民生活と経済運営の姿勢についてお尋ねがありました。 まず第一が物価問題であります。物価問題は、これまたしばしば説明してまいったのでありますが、もちろんその基本におきましては、経済を安定成長さすことだ。さらにまた、構造政策をとることだ。さらに、流通機構の面等におきまして所要の補強をいたしますと同時に、基本的には自由競争の条件を整備することであります。私が申し上げるまでもなく、この方向で真剣に取り組んでまいりました。御承知のように、わが国の経済はすでに上昇機運を呈しておりますが、しかし、なおなお経済そのものの動静にあらゆる注意をいたしまして、安定成長、これを守る、同時に生産性の低い部門についての生産性向上について努力すること、この二つが特に私どもが注意すべきことだと思います。 それで、椿君自身も言われましたように、最近は、本年度は五%以内に物価の上昇をおさめる。また、その見通しが十分立ちました。そうして、これは天候の結果だということを言われますが、申すまでもなく、この消費者物価で最もその上昇に大きな影響を与えますものは、お説にありましたような農産物、水産物、畜産物、これはもちろんであります。同時に、中小企業の加工品、サービス部門、こういうことを考えてまいりますと、いわゆる生産性の低い部門に対する積極的な施策が必要なのであります。これは天候にたよっては中小企業の改善はできませんので、そういう点は、政府におきまして一そう努力してまいるつもりであります。 地価対策について、物懇の勧告等も含めていろいろ御意見が述べられました。私も、ただいま物価問題の根幹をなすものとして、地価問題は最も重要な問題だと思います。したがいまして、この物懇の勧告等も十分注意してまいりますが、宅地造成について、政府は積極的な努力をいたしておるわけであります。また公有地等、これが宅地造成の際に利用できないか、こういう点は、もし利用できるような公有地あるいは国有地等につきましては、これをまんべんなく十二分に利用してまいるつもりであります。 同時にまた、この公債発行について、物懇からも勧告があったではないかというお話でございますが、この公債発行については、これは問題は、申すまでもなく公債発行の規模と同時に、またそれが市中消化である、そういうことが最も中心だと思います。そういう意味におきまして、公債の発行額や、また、その消化方法等について十分注意いたしておりますので、ただいまお話になりましたような御議論には私は賛成をいたしません。 また、米価の問題、消費者米価についてのお話がありました。これは御承知のように、昨年以来もうすでに一年以上も消費者米価を据え置いております。これをさらにこの上据え置くことが望ましいのか、あるいは財政上の負担に耐えられるか、これらの点を十分勘案したわけであります。私は公約違反だということをしばしば言われますが、選挙中も、この問題については、当分の間、消費者米価は上げませんということを申し上げた。しかし、今日予算編成にあたりまして、十月にはこれを改訂するということを一応予定いたしております。したがいまして、これは皆さま方の御審議をいただくのでございますから、その際にまた、とくと御意見を聞かせていただきたいと思います。また、米価そのものを決定するのを国会の議決事項にしてはどうか、こういう御提案でございますが、私はただいま議決事項にする考えは持っておりません。 いずれにいたしましても、ただいま椿君からもたいへん物価問題についてはきびしい御批判がありました。また物懇等を今度改組いたしまして、そうして物価安定推進会議にいたしまして、各界の方々の御意見を聞くことにいたしております。これはただ単に防波堤にするのじゃなくて、その貴重なる御意見を行政の面に取り入れて、また政策樹立の基礎にするという考えでございますから、これも御了承いただきたいと思います。 そして、この大事な物価問題について予算が一体幾ら計上されているのか、こういうお話でございますが、百数十億の金をあげられましたが、私は必ずしもどうもそういうようには思いません。あるいは物価に対する直接非常に限定した金額で、あるいは非常に少額にごらんになるかわかりませんが、先ほど来申し上げたような経済成長の安定計画はすべての流通機構にまで関すると、かように考えれば、非常にまた広範にもなります。これはやっぱりそういう方も納得されないだろうと思います。しかし、少なくともいまの中小企業やあるいは農業等の構造改善等と積極的に取り組んで、生産性を上げるというその費用を抽出すれば、数十億ではないかと思います。私は、今回の予算の審議にあたりまして、これらの点も十分御検討願いたいと思います。 次に、生産性と賃金との問題をめぐりまして理論的にいろいろお話がありました。物価と賃金との悪循環というようなことばがしばしば言われますが、私はさようには考えません。しかし、少なくとも物価と賃金とが関係があることは、これは事実であります。そこで、ただいま生産性と賃金、その関係について十分検討してみますると、三十五年から今日までのところは、大体賃金の上昇が物価の値上がりを上回っております。しかし、その三十五年からでなくて、三十年以降でこれを見ますると、生産性と賃金の上昇はほぼこれが均衡がとれている、かように思うのであります。ここらに一つの問題があるようであります。最近は景気が上昇いたしまして、たいへん会社はもうかっておる、こういう際にこそ賃金は大幅に上げ得る機会じゃないか、こういうことで、なかなか春闘がきびしいようであります。それかと思うと、資本家自身は一体どう言っておるか。せっかくもうかったのだ、将来の資本の自由化、あるいは貿易の自由化に備えて競争力を強化しなければならぬ、この際こそ蓄積しなければならない、こういうふうに労使の意見は対立しているようであります。 私は、こういうような事柄を見まするにつけましても、やはり生産が上がれば、その生産の上がった部分、これを最終の受益者である消費者に還元することをやっぱり考えていただく。利潤を追求するもよろしい、賃金を追求するもよろしいが、消費者を忘れてはならない。いわゆる国家的経済観点に立ちまして、労使双方で十分話し合いをされること、これが最も望ましいことだと思います。 次は、住宅問題について御批判がございました。住宅問題についても、私は、持ち家政策も大事でございますが、同時にまた、現実にいま住宅に困っておるのでありますから、やはり低家賃の公営住宅、これをふやすことは必要だと思います。いわゆる持ち家政策と合わせてこれをやるべきだと思います。そうしてお話のありましたように、地方自治体におきましての公営住宅建設等においてのいわゆる超過負担といいますか、単価のきめ方が大蔵省となかなか意見が合わないということでありまして、この超過負担を解決してくれないと、地方財政がいよいよ困るのだ、こういうような御批判でございました。私は、この超過負担の問題は、ひとり住宅ばかりではなく、全般の問題について、しばしば大蔵省と自治省の間で問題が提起されておりまして、前の福田大蔵大臣の時分から、この是正をするという——あるいはもっと前の田中大蔵大臣のときから、絶えずこの超過負担の問題を是正してこれを解決していく、それで、地方自治体が実情に合ったような予算を計上することができるように、政府がそれに注意し是正していくという処置をとるということで、今日まで取り組んでおります。これはやはり機会あるごとにこういう点について注意しなければならないと思います。特に大蔵大臣水田君を御指名でございましたが、私からこの点を説明いたしておきます。 次は公害対策の問題であります。 これは、基本法を近く提案いたしまして御審議をいただきます。その際に、御提案になりましたように、企業の責任というものを明確にしろ、これはまことにお説のとおりだと思います。公害防止基本法では、やはり企業の責任、国あるいは地方自治体、公共団体のなすべき事柄等につきまして、これを明確に基本法の中に盛るつもりでございます。これらの点について十分御研究いただき、そうして公害対策の総合性、これで万全を期するようにいたしたいものだと思います。 次は中小企業対策であります。 ことに零細企業対策についての御批判でございますが、私は、今回、中小企業振興事業団ができる際でございますが、中小企業の再建近代化には特に力を入れてまいるつもりであります。その際に、いわゆる中小企業にも入らない零細企業、これについては特に注意をしたらどうかという御注意でございますが、今回税制の面で完全給与制を採用するなどは、零細企業を対象にして政府がくふうした政策でございます。これも御理解をいただきたいと思います。 次に、万国博のあと地についての御意見であります。 私もせっかく万国博というような明治以来三代にまたがる大事業——国の大事業、これを成功さしたいものだ、かように思いまして、博覧会の振興会の仕事とは別に、政府自身が十分連絡を緊密にいたしまして、そうしてあらゆるくふうをいたし、あらゆる努力をしてまいっているのであります。どうか官民一致して、この世紀の大事業を成功さすように、この上とも御協力を願いたいと思います。 それで、そのあと地の利用について、いろいろの御意見が出ております。私は、これだけの仕事をして、そのあと地が将来に役立つようなくふうがされること、これが望ましいことだと思います。まあ、各省におきましても、いろいろの御意見が出ているようでありますし、関係するところが広範でありますから、できるだけそれらの意見を統一し、そうして御指摘になりましたように、りっぱな世紀のモニュメントとしてこれが残るように一そうくふういたしたい、かようにこの機会にお約束いたしておきます。 次に、この万国博について、中共にも案内を出せというお話でございますが、ただいまこの万国博自身はできるだけ多数の国の参加を希望いたしております。しかしながら、国交のある国、これが主体でございますし、また招請状を出すにいたしましても、主体の面から見まして、こういう国交未回復の国とはなかなか困難な状態があります。そこに中共自身があるのだということを御理解いただきたいと思います。 最後に、政治姿勢について詳細にお尋ねがあり、私自身の言動等についても注意を喚起されました。私は、さきの衆議院選挙については、いわゆる私ども政治家の態度——姿勢につきまして、国民から非常にきびしい批判を受けました。そういう意味で、謙虚に耳を傾け、また党員全体が一丸となりまして、姿勢を正してまいったのであります。したがいまして、公認候補選定等につきましても、非常にきびしい状態でこれと取り組んだのであります。私は、国民の皆さま方に対しまして、初めて自民党もやや自粛しているんじゃないか、かような御批判をいただいたのではないかと思います。そのことが結局、政局を安定さすに足る議席を与えていただいた結果だと私は思っております。御指摘になりましたように、投票の率から申せば五〇%以下、初めてこれを割ったということでありまして、まことに残念でございます。しかし、これは弁解するわけじゃありませんが、私ども公認候補を非常に限定したこと、また、保守系無所属、これの票を合わせますと五〇%以上に確かになっておると思いますので、そこに国民はわれわれ保守党を支持してくれている、そうして政局を安定さすに足る議席を与えていただいた、かように思い、感謝いたしておるのであります。しかし、これでおはらいが済んだというような考え方では毛頭ございません。もちろん、これは私どもが今後進むべき道、姿勢を正す第一歩をようやく踏み出したものだと、かように思っているのであります。私は、この特別国会開会に先立ちまして、社会党や民社党や公明党の党首とお目にかかりました。そうして申しましたのは、国会の正常化をひとつお約束しようじゃないか。とにかく国民自身は議会制民主政治をほんとうに心から願っておるのだ。この期待にこたえないようでは申しわけないんじゃないか。もちろん、われわれは政治道義を確立して、そうして国民の要望するような清潔な政治をすることをお誓いするが、まず第一に、議会制民主政治、これを確立するのだ、こう言って三党首とお約束をいたしたのであります。しかし、御批判にありましたように、なかなか一朝一夕で民主政治の確立も困難ならば、また、政治道義を確立することもなかなか容易なことではないと思います。私どもようやく第一歩を踏み出したばかりであります。各政党、また、各党員の方々の御協力を願わなければならぬ問題だと思います。 次に、企業と行政とのつながりがあるんじゃないか、いわゆる綱紀の問題についてお尋ねがございました。しばしば本議場をはじめ、その他の場所におきましても、これらの点について政府の所信をただされました。今後とも一そう綱紀を厳粛にして、そうして再び前回のような批判を受けることのないようにいたしたいものだと思います。 なお、いろいろ問題もありました事柄につきましては、今後とも、私どもは事態を明確にいたしまして、そうして国民に十分御理解をいただくつもりであります。 また、最後に、東京都知事選についての私の言動につき、御批判あるいはお尋ねがございました。私は、皆さまとともに、今回行なわれる統一選挙、これはさきの衆議院を見習い、さらにりっぱな業績をあげるような選挙をするように努力をするつもりで決意いたしております。申すまでもなく、民主政治の基盤は正常な選挙だと、かように思うのであります。したがいまして、いわゆる選挙制度審議会におきましても十分御審議をいただいて、そうして政治資金規正、この問題をも含めて答申をお願いいたしております。いろいろ衆議院選挙から幾多の点を教えられておりますので、選挙制度審議会におきましても熱心に御討議のようでございます。いずれ近くこれが結論が出てくれば、答申を得れば、それを忠実に皆さま方にはかって法制化する努力をいたします。また、東京都知事選は、申すまでもなく、他の地方選挙と同様に、ことに日本の顔だと、こういう立場からも、東京都知事選は特に注意しなければならないものであります。佐々木委員長から昨日御提案がございました。私も佐々木委員長の御提案が、堂々と戦うべき趣旨からの御提案でありますので、その趣旨に全面的に賛同したわけであります。どうか、いろいろ今後とも私も十分注意してまいりますが、どうぞこれらの点がりっぱにこの選挙が行なわれるように、心からお願いする次第であります。(拍手) 〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
○国務大臣(水田三喜男君) 公営住宅の問題につきましては、ただいま総理がお答えになったとおりでございます。できるだけ地方公共団体の超過負担をなくするためにい、ままで努力してきましたが、まだ完全に解消するところに至っておりません。そこで、本年度は、たとえば木造住宅は一三・四%単価を引き上げる、ほかもこれに準ずるというふうに、物価上昇よりも多い単価引き上げということをやって、できるだけこの超過負担の解消につとめたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(菅野和太郎君) 私に特に御指名があっての御質問はなかったと思うのですが、大体、問題は、中小企業の問題と万国博覧会の問題について私にお尋ねになったのではないかと思うのであります。この問題については、総理から大体お答えになりましたから、ただ、私は、その総理の御答弁に付加してお答えしたいと存じております。 中小企業の問題につきましては、総理からもお話がありましたが、来年度におきまして中小企業振興事業団を設けまして、これによって、中小企業の問題をひとつ大々的に解決したい、こういう考えを持っております。大体、中小企業の問題は、これは大企業に比べて格差があるという点において、もう皆さん方も御承知のとおりでありますが、この格差をなくするというところに中小企業の問題があると、こう思うのでありまして、そこで、たとえば、技術の問題、資金の問題、労働の問題、こういうような問題につきましては、できるだけ技術の近代化をはかり、あるいは資金につきましては政府の三金庫の資金を豊富にするとかというようなこと、あるいは技術の問題につきましては中小企業では購入することのできない機械の貸与制を設けるとかというようなこと、それから労働の問題につきましては、これはいろいろ問題があるのでありますが、これらの労働の供給を十分にするとかというような問題、これらの問題につきましては、政府としてはあらゆる点からこの問題の対策を講じておるのでありますが、結局、中小企業に対して政府が指導誘掖する必要があるということで、その協業化をはかって、そうして資金力を強め、あるいは技術の近代化をはかり、あるいは労働力の豊富をはかるということをやろうということで、中小企業振興事業団を設けたのでありまして、これによって中小企業の問題については大々的にその解決をはかりたいと、こう存じておる次第であります。 それから万国博の問題につきましては、大体総理からお答えがありましたが、できるだけ政府が金を出すべきではないかというお話でありましたが、お説のとおり、万国博というものは、これは国家がやるべきものでありまして、万国博協会に政府がその運営を委託しているのであります。でありますからして、できるだけ政府がこれについては補助金を出すべきだということで、大体三分の二の補助金を出すことに決定いたしたのでありますが、しかし、これは建設費だけの補助でありますからして、それ以外に政府自体がいろいろ設備を設けたりいたしますからして、相当政府が金を出しまするし、また万国博を完全に成功せしめるためには、関連公共事業を相当思い切ってやらなきゃならぬので、それらについて相当の金を政府が出しておりますから、したがいまして、この万国博覧会につきましては、政府は相当思い切った補助をして、あるいは事業費を出して、そしてこの成功を期したいと、こういう考えをいたしておりますから、さよう御承知のほどをお願いいたします。(拍手) 〔椿繁夫君発言の許可を求む〕
○議長(重宗雄三君) 椿君、何ですか。
○椿繁夫君 二点ばかり答弁漏れがございますので、お答えをいただきたいと思いますが、簡単でありますから、自席での発言をお許しいただきたいと思います。
○議長(重宗雄三君) 自席において、大臣を御指名の上御指摘ください。
○椿繁夫君 その一つは、総理大臣に対してであります。沖繩の返還について、全面的な返還を考えているのか、部分的な返還を要求するのか、この一点であります。さきに自民党の一部では、教育権を中心とする部分返還要求の動きがございました。ところが、総理は選挙中、一括全面返還を要求すべきであるとの談をしておられるのであります。いずれが政府の真意であるかということを、この機会に国民に明示されたいのであります。 いま一つは、東京都知事選に関連いたしまして、わが党が推薦をする候補者の私的生活について、複雑であるようだが、個人の生活、家庭は単純であるべきであるというようなことを、二回にわたって総理が発言をしておられるやに伝えられているのであります。こういうことは、フェアに行なわなければならない選挙において、お互いが最も慎まなければならない個人的な中傷ではないかと思うのであります。こういうことが、政治の最高指導の地位にあられる総理から出ているということが伝えられておりますので、もしそういう事実があるとするならば、まことにもって議会政治、選挙そのものに対して、国民の不信をだんだん深くし、拡大するばかりであることをおそれておりますので、重ねて総理大臣からこの点を伺いたいのであります。 〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩問題懇談会というものがあります。そこで全面返還あるいは部分分割返還というようなことをただいま検討いたしております。しかし、政府自身は、ただいまお尋ねがありましたように、全面返還を目途にいたしております。これが実現するまでにあらゆる努力をいたしまして、本土との一体化をはかる。さらにまた、沖繩住民の生活の向上に努力してまいる。そうしてあらゆる機会を通じまして、できるだけ早く全面返還が実現するように努力するつもりでございます。この点は、私、先ほどお答えもいたしましたが、それがやや不明確であった、かように思いますので、重ねて補足して申し上げます。 また、東京都知事選の問題について重ねてお尋ねがございました。私は特定の候補者を中傷するような考えで発言したのではございません。ただ、私自身の考えでもなく、そういう記事のあることを、そういう意見のあることを申し上げただけであります。(拍手) —————————————
○議長(重宗雄三君) 安井謙君。 〔安井謙君登壇、拍手〕
○安井謙君 自由民主党を代表いたしまして、総理並びに関係閣僚に対し、若干の質問を試みたいと存じます。 〔議長退席、副議長着席〕 まず初めに、政治の姿勢について総理の御所信を伺います。さきの衆議院総選挙は、一部、綱紀問題等もうわさされましたわが党にとりましては、かなり不利と思われる政局下に行なわれた選挙であったにもかかわりまぜず、結果といたしましては、国民多数の力強い支持を得て、政局安定に必要なる絶対多数の議席確保をいたしたのであります。かかる結果をもたらした原因について、私は次のように考えます。 その第一は、過去における佐藤内閣の治政の実績が国民に正しく評価されたということであります。すなわち、佐藤内閣は、発足以来、社会開発、人間尊重の政治を旗じるしといたしまして、重要問題に勇敢に取り組み、わずか二年にして、多年の懸案であった日韓関係の正常化、ILO条約の批准と、それに関連する国内問題の処理、農地被買収者に対する報償、建国記念の日の制定など、ことごとく解決したのみならず、一方、四十一年度予算におきましては、平年度三千億に及ぶ減税を行ない、同時に、財政のてこ入れによる不況の克服もみごとになし遂げたのであります。この実行の内閣としての真価は、世人の広く認めるところとなったのであります。 その第二は、今回の選挙を通じて議会民主主義を守るということを国民が強く要望したという点であります。昨年暮れの国会の運営ぶりは、まことに常軌を逸したものであり、その原因、理由のいかんを問わず、国民の多数はまことにきびしい批判をし、それが投票の上にあらわれたということでありましょう。 その三は、わが党が国民の建設的批判の声に謙虚に耳を傾け、党内に綱紀粛正調査会等を設けるなど、きびしい自己反省を行なったことが、責任ある公党の正しい態度として、国民の期待にそむかなかったということでありましょう。 このようにいたしまして、佐藤内閣はあらためて国民の信任をかちえたのであります。この国民の信任の上に立って、いまや佐藤内閣は新らしいスタートを迎えております。先日の施政方針演説の中で、総理は、議会主義、民主主義を守るために努力することを重ねて強調されました。与野党ともに良識と寛容の精神をもって国会運営に当たるべきことを訴えられたのであります。国会の運営が良識と寛容の精神によらなければならないということは申すまでもありません。しかし一方、議会政治は、国民多数の意思を結集した公約数の政治であり、多数決原理が当然重要視されなければなりません。多数を頼みとする無理押しは排すべきでありますが、多数決の原則はあくまで貫かれるべきであり、国民の多数はまたそれを望んでいると考えますが、総理の御所信を伺いたいと思います。 なお、この際、あわせてお伺いいたしますが、総理は、最近、政治優先ということばを申しておられます。これはおそらく、政治の動向を国民の前に明らかにして、日本民族のあるべき姿を正していきたいという御趣旨かと思います。その御趣旨であれば、まことに時宜を得たものと存じます。 ただ私は、このことばのニュアンスについて、理解のしかたいかんによっては、若干の誤解を生む危険はなかろうかと、いささかの懸念を持つ次第であります。と申しますのは、今日、世界を通じ、政治の基本的考え方は、およそ三つに分けられるかと思います。その一つは、国民の自由な意思、高い英知、はつらつたる創意を伸ばす行き方、すなわち自由主義を大もととする議会民主政治であります。第二は、社会主義社会の実現を理想とはするが、その手段方法は、あくまで議会主義により、その目的を達しようとする行き方でございます。第三は、完全なる革命を目途とし、目的のためには手段を選ばないという考え方であります。この場合には議会政治も一つの手段として利用はするが、議会主義そのものが尊重されるわけではありません。そして学問も芸術も、その他一切の文化も、一定の政治目的に従属させるという行き方であります。これは、いうなれば政治第一主義であり、その行きつくところは、一党独裁の権力政治であります。われわれは、日本国憲法のたてまえからいっても、この思想には断じて反対せざるを得ないのであります。総理は、常々議会民主主義の擁護を力説しておられますから、おそらく誤解を受ける心配はないとは存じますが、たまたま総理の「政治優先」が、独裁国家で見られるような自由のかけらもない政治第一主義ということばに置きかえられて、不必要な誤解を招くようなおそれはないかという点、これは杞憂にすぎないとは存じますが、この際、総理の意のあるところをお聞かせ願いたいと存じます。 次に、外交政策についてお尋ねいたします。自由国家群の一員としての立場を堅持しつつ、わが国の安全を守り、アジアの繁栄と世界の平和に寄与することは、わが国外交の一貫した基本方針であります。ここ数年来の国際情勢の微妙な変化、すなわち、共産圏内における多元化の進行と、一方、東西関係の緩和、アジア、アフリカの発展途上にある諸国において、各国独自の行き方をとろうとする機運の醸成、その一部における政治権力の移動、また隣国中国大陸における予想を絶する混乱、ベトナムにおける戦闘行動の継続、こうした情勢の中にあって、わが国の外交はよくその進路を誤ることなく、わが国の平和と安全は確実に維持せられ、わが国と世界諸国との友好関係がますます増進しつつありますことは、まことに喜ばしいことであります。わが国が、戦後の荒廃の中から立ち上って、世界にも類のない目ざましい発展を遂げることができたのは、その間わが国の平和と安全が確実に維持せられてきたためでありまして、その基調をなすものは、申すまでもなく日米安保条約であります。最近には、第三次防衛力整備計画もいよいよ最終的な決定を見、わが国の国防も一そう安固を加えることとなりました。この際、私は、日米安保条約とわが国の防衛力の増強が、わが国の繁栄と国民生活の向上にとって欠くことのできない裏づけとなり、ささえとなっていることについて、さらに国民の理解を深めるよう、政府として一段の努力を払う必要があると考えますが、いかがでございましょう。 外務大臣は、先日の外交演説の中で、最近アジア諸国の間に、政治的立場の相違をこえて、経済建設のための連携と協力の必要性が次第に深まりつつあることを指摘され、この協力関係を、アジアのみならず、太平洋をめぐる諸国をも大きく包含した、いわばアジア・太平洋圏というようなものにまで拡大するというお考えをお述べになりました。これはまことに雄大な構想でありまして、私は双手をあげて賛意を表するものでございますが、この広域圏の中でわが国の果たす役割りがいかなるものであるか、この構想を実現するための手順はどうか、率直な、具体的な御意見が承れれば幸いであると思います。 さらに、ベトナム紛争の平和的解決について、政府は従来にも増して積極的な姿勢をお示しになりましたが、紛争の平和的解決にわが国がその外交機能を活用するについては、その時機とアプローチのしかたに、きわめてデリケートなものがあろうと思います。いまここで、具体的な方策をこまかく伺うわけにはまいらないと考えますが、可能な範囲において見通しをお聞かせ願いたいと存じます。 沖繩の問題につきましては、総理は、就任以来、強い関心をお示しになり、先般も総理訪米の際に、佐藤・ジョンソン会談においても、沖繩施政権返還は基本的には合意に達したと伺っております。さらに、総理の沖繩訪問によりまして、この問題は国民の前に大きくクローズアップされてまいりました。自来、日米両国の協力によって、沖繩への財政援助は画期的に増大し、沖繩住民の生活水準は向上しつつあります。また義務教育費の国庫負担・教科書無償配付等々、いわゆる日本本土との格差是正も着々と実現を見ております。また、自治権拡大の面につきましても、米政府側の布令布告は漸次縮小され、立法院の自主権にまかされつつあり、またパスポートの発給権、船舶の日の丸掲揚の問題等も解決しました。また、今国会には失業保険について日琉共通の法律案も近く出るやに伺っております。しかし、まだまだ問題がこれで全部解決したことでないことは申すまでもありません。ことに最近、私どもが特に憂慮をいたしておりますのは、今日の沖繩の議会運営の状況でございます。ことに、去る二月二十四日の沖繩立法院におきまして教育二法案をめぐって生じました紛糾は、まことに遺憾でございます。健全なる議会主義が完全に破壊されたと申しても過言ではなかろうかと存じます。これらの現状に対処しつつ、施政権の全面的返還を含む当面の政府の御方針について伺いたいと存じます。 なお、沖繩施政権の返還を叫ぶ人々の中で、北方領土の問題に口をつぐんでいる方々があるのは片手落ちもはなはだしいと言わざるを得ません。(拍手)沖繩だけでなく、北方領土の問題が片づかない限り、わが国の終戦処理が完全に終わったとは申せません。その解決をどのように進めていくか、あわせてお聞かせを願いたいと存じます。 次は、内政の問題に移り、まず、政府の財政政策についてお尋ねいたします。 昭和四十二年度予算は、経済の安定した成長を目途として、万般の施策を予算化しておりますが、とりわけ社会開発を基調とし、都市、農村を通じた総合的施策、道路、住宅建設の促進、上下水道の整備、交通安全対策の拡充、公害防止対策の充実をはかるなど、時宜を得たものと考えます。 歳入面におきましても、各種の所得控除の引き上げ、退職金と配偶者の相続分に対する特別の減税措置、青色申告者の専従者控除に対する抜本的な改正が意図されておる点など、まことに刮目すべきものがあります。これらはいずれも、総選挙におけるわが党の公約を具体化したものでありまして、国民の期待に十分に沿えたものであると考えます。 予算全体の規模は、最近における経済情勢を考慮して、景気に対して中立的な性格を持つものとし、一般会計の総額を五兆以下に押え、公債の発行額も、当初の予定を二百億減額して八千億にとどめるなど、中立性の維持について深い配慮が加えられております。しかるに、世論の一部には、新年度予算は、中立的というよりは、やや積極性を帯びた予算であるかのように評する向きもありますが、はたしていかがでございましょう。予算の中立性がそこなわれたという見方をする人人が例証としてあげておりますものに、公庫、公団など、政府関係機関の新設がございます。しかし、社会経済事情は常に流動し、その変化に応じて必要な機関が新設されていくことは、私は当然であろうと存じます。同時に、その使命を終わった機関、あるいは時勢の変化に伴って、それほどの重要性を持たなくなった機関については、その廃止、改組、縮小等の措置をとることが至当でありましょう。行政機構についても、同じようなことが言えるのでありまして、政府の良識ある処理を期待する次第であります。 景気がどう動くかということは、政府の財政支出と民間の設備投資をどう調整するかにかかっております。経済の安定した持続的発展をはかるには、政府の財政金融政策が十分の弾力性を持たなければならないと同時に、民間におきましても、設備投資その他に節度ある態度が望まれるのであります。この点で政府の指導が適切に行なわれることを期待してやみません。財政の弾力的運用と民間経済活動に対する指導について、政府のお考えを承りたいと存じます。 次に、中小企業につきましては、政府は中小企業振興事業団の設置など、特に積極的な対策がとられておることは、十分に承知をいたしております。景気が急速に回復した今日においても、なお中小企業の中には、十分その恩恵に浴さず、倒産に立ち至るものも少なくありません。中小企業のための対策は、あらゆる部面にわたって、きめのこまかい措置が必要であることは申すまでもございません。つずめていえば、資金の円滑な供給、技術革新、協業化による企業体質の改善、それと税制の合理化、これらが並行して有効に実施されなければならないと思うのであります。金融問題一つをとってみましても、制度はあるが、はたして、その実施にあたって円滑に効率高く運用されているかどうか、こういう点になりますと、まだ若干の懸念なしとしないと思うのであります。 次に、新しい長期計画である「経済社会発展計画」についてお尋ねをいたします。このたびの長期計画は、昭和三十年代における目ざましい経済成長の成果を踏まえて、その過程で生じた諸種の欠陥を是正しながら、四十年代の新しい環境に適応して、経済の一そうの発展と、国民生活の充実向上を実現しようとするものでありまして、「四十年代への挑戦」という副題にも、政府のなみなみならぬ意欲的態度が読み取れるのであります。御承知のとおり、三十年代の経済成長の主導的要因は、民間の設備投資でありました。その後、公共投資の持つ役割りが重視せられるようになりまして、このたびの長期計画も、計画期間内には公共投資の民間住宅投資の割合が高まり、民間設備投資の割合は若干低下するものとしております。しかるに、最近における経済の動きを見ておりますと、デフレ・ギャップはすでに解消いたし、鉄鋼業等を中心とする設備投資が景気上昇の主役となっているかに見えます。この傾向は一時的なものでありましょうか。安定成長を目ざす新長期計画に関連して、この点をお伺いいたします。 また、四十二年度は新長期計画の初年度でありまするから、新年度予算は長期計画の線にマッチしたものでなければなりませんが、はたしてそのとおりになっておりますか。たとえば、道路計画その他長期計画の公共投資の規模などは、やや控え目であるやに感ぜられますが、どのようにお考えでありましよう。 物価につきましては、本年度、消費者物価の上昇を予想以下の五%程度にとどめることができましたことは、成功と申せましょう。しかし、長期計画の目標である三%にまで引き下げるについては、今後とも相当の努力を要するかと思います。 米価にせよ、公共料金にせよ、あるいは医療費にせよ、これまで非常に無理な抑制を加えてきた部分があります。その結果、価格体系の不合理性が巨額の赤字となってまいりました。この赤字は、結局は、しかし国民の税負担に振りかえられるものでございます。今回も、その一部については、米価等、是正が行なわれるわけでありますが、そうした不合理を是正しながら、しかも長期的には上昇率の引き下げをはかろうとするには、なみなみならぬ努力が要ると存じますが、私どもは、この際、財政金融政策、低生産部門の近代化対策、労働力の確保対策、所得、とりわけ賃金と消費に関する対策、これらが総合的に力強く運営されることを期待いたす次第であります。この点で、私は、新たに設けられました物価安定推進会議が、真に総合的な物価対策の実行に果たすべき役割りに大きな期待を寄せておるものであります。この会議の運営に関する総理の御方針を承りたいと存じます。 さらに、大都市への人口集中、都市化の進行は、非常な勢いで進んでおります。これを自然の成り行きにまかせてよいものかどうか。地域開発、農山漁村の振興ということにも十分な力を注いで、均衡のとれた国土の総合開発を進めなければなりますまい。ことに、人口の都市集中は、現に、農業従事者の老齢化、女性化、あるいは若い農業後継者の減少という、好ましからざる現象を生み出しております。農業の近代化、農業構造の改善によって、魅力ある農業経営、住みよい農村をつくる努力が必要であり、長期計画では、これらの点についても十二分の配慮が払われておると存じますが、いかがでありますか、お尋ねをいたします。 次に、人間尊重という面から、当面の問題について二、三お尋ねをいたします。 その一つは、青少年の健全育成についてであります。佐藤総理は、国の未来を背負う青少年の将来について非常な関心を示しておられます。昨年、民間団体として結成されました青少年健全育成国民会議は、その後、順調な活動を続けており、今後その発展が期待されております。政府は、将来この運動を、どういう形で支持、支援していかれるおつもりでありますか。また、この団体に対して法人格を与える用意があるかどうかをお尋ねをいたします。なお、積極的な青少年育成と並行して、いわば日の当たらない立場におられる身体障害者等に対する政府の配慮が、あわせて行なわれておるかどうかを、お伺いしたいと思います。 第二は、交通事故対策であります。交通事故の激増と人命の損傷は、まことに憂慮にたえません。安全施設の整備、取り締まりの強化、交通違反に対する処罰の強化等、政府は積極的に取り組んでおられますが、特に最近、脳外科関係の悲惨な後遺症が社会的に問題になっております。これらの対策につきまして、四十二年度予算で、いかなる具体策が用意されておりますか、お伺いをいたします。 第三は、公害対策であります。新年度には、公害対策基本法の制定、公害部の新設、また、重油脱硫装置等の特別償却制度などによって、公害に取り組む政府の姿勢は一段と強化されておりますが、公害対策は、政府、自治体、企業、民間、四者一体となって総合施策が必要であると思いますが、この点での政府の配慮はいかがなっておりますか。 第四として、住宅につきましては、五カ年計画も着々進行中でありますが、まだ土地対策、建設単価等につきましては、十分な解決がされておるとは申せません。私は、将来の住宅政策につきましては、生活の余裕の乏しい方々に対しては、当然、政府、自治体、その他関係機関が公的施設をもって十分にめんどうを見るべきであると思いますが、その他比較的生活力のある人々に対しては、できる限り分譲住宅あるいは個人の持ち家政策というものを推進していくのが筋ではなかろうかと存じますが、この点、御所見を伺います。 第五に、当面問題となっております在外財産の処理であります。すでに審議会の答申も出ておる今日、早急に解決さるべき時期だと存じますが、いかがでありますか。 最後に、地方自治の問題について、一言お尋ねいたします。地方自治については、よく「三割自治」ということばが使われております。これは、主として財政上の理由によるものでありますが、ある意味では、やむを得ない現象ともいえるのであります。今日、自治体の仕事の大部分は、全国共通のものであり、地域独自のものというのはきわめて限られております。社会の進歩に伴って、地域間の相互関係は非常に密接になっているにもかかわりませず、明治の廃藩置県以来の古い区画が今日までなお厳然として存在をいたし、それが行政の能率を妨げ、自治体間の格差を拡大しているともいえると思います。地方自治体の今後の方向として、広域行政区画の制定に踏み切るべきときであると存じますが、総理のお考えを伺いたいと思います。 地方財政につきましては、四十二年度は景気の上昇を反映して、かなりの上昇が見込まれます。たばこ消費税率の引き上げ、臨時特別交付金の計上、さらに、道路、住宅等の補助単価の引き上げ等によって、漸次改善されつつあります。ただ、国債の発行による国の公共事業の規模が著しく拡大をいたしました今日、地方負担の分量も規模的に非常に大きなものになってまいっております。国債発行下における地方財政の措置として、応急対策は立てられておりますけれども、この際、私は、国、地方を通ずる新しい根本的な財政的対策が必要ではないかと思うので、政府の見解を承りたいと思います。 なお、近く統一地方選挙が行なわれようとしております。さきの総選挙においては、国民のきびしい監視もあって、相当粛正の実もあがったように思います。次の地方選挙におきましても、公平な取り締まりと相まって、清潔と明朗な選挙が行なわれることを心から念願するものであります。 近年における地方政治の実情をみますと、いわゆる政党化の傾向が顕著でございます。民主政治が政党政治を根幹とする以上、これは当然のこととも存じますが、地方政治は、一方から申しますれば、地域住民の身近な利益に関する問題が、その大部分を占めているのであります。むろん、地方自治にあっても、基本的な思想の相違によって対決すべき問題もございますが、大部分は、主義主張の争いよりは、住民の福祉が先行すべきであります。その意味で、私どもは、自治体の首長は、特に穏健中正な人物であることが望ましいと思いますが、これらに対する御所見を伺いたいと存じます。 以上をもって私の質問を終わります。関係閣僚の率直簡明な御答弁を期待いたします。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 国会の運営が、御指摘のように、各政党、また各党員の方々の良識と寛容によって、話し合いの場として運営される、これは望ましいことであり、また、民主政治を守る上からも、そうあってほしいと思います。そうして論議を尽くして、最後は多数決に従うという、デモクラシーの原理によりまして、これを運営されるということが望ましいのであります。先ほど、多数決の原理を取り上げて、その批判を私どもに求められましたが、私は、ただいま申すように、デモクラシーの原理というものは、そういうところにあるのだ、かように考えておりますので、審議にあたりまして、良識と寛容のもとに、りっぱな民主政治、これを行なっていただきたいと思います。私ども多数党は、絶対に無理押しをするというようなことをしてはなりません。多数党自身が、十分謙虚に事態と取り組み、少数党といえども、とるべき説については、十分敬意を表するということであってほしいと思います。 次に、私の「政治優先」ということについて、このことばは、政治第一に通じはしないかというような御心配でございました。私は、申すまでもなく、三つに分けられた第一の民主主義、自由主義のもとにおける私の主張であります。で、政治そのものがすべてに優先するということを申しますのは、政治はやはり、リードすることが必要なのではないか。政治家の職務、また政党の職務は、世の中の事柄をリードしていく、こういうことであってほしいと思うのであります。そういう意味で、私は政治優先ということばを使ったのであります。誤解のない状態でありますから、詳しくは申し上げません。 次に、沖繩問題について、またお尋ねがありました。安井君は、総務長官の経験もありますので、政府の考え方には十分御理解をいただいております。全面返還を期待し、その実現をはかるまでも、今日の実情において沖繩住民の方々の不幸な状態を、できるだけ向上さすように、充実さすように努力すべきだという、このお説には、私も全面的に賛成でございます。もうすでに、財政援助額も非常に増額いたしました。しかし、現状をもっていたしましても、沖繩とほぼ同様な国内の他の県に比べますと、沖繩に対する中央政府からの援助は、まだまだ不十分でございます。さらに、住民の方々の生活向上、また、その充実に一そうの努力を払いまして、そうして本土との一体化を、現実の問題として実現するように、最善の努力をいたすつもりであります。何と申しましても、全面返還が望ましい、また、それを実現しなければならないことはよくわかります。先ほども申したように、極東の安全、平和につながる今日の状態でございますから、その二つのものの調和をとっていく、そこに重点を置きまして、そうして本来の目的を達するようにいたしたいと思います。 なお、北方領土の問題について、同一な扱い方をさるべきではないか、こういう御意見であります。私は、北方領土の問題については、国内におきましてもあまり論議がされておらない、たいへん残念に思っております。この沖繩の場合は潜在主権が認められておりますし、返還は、時期の問題ではありますが、必ずこれは実現する、かように確信をしております。そういう意味で沖繩住民も安堵して生活をしていただくように、またそういう意味で力をかすにいたしましても、たいへん張り合いのある問題でございますが、国後、択捉等の日本固有の領土、これに対する解決の見通しが今日ついておらない。この点でまことに残念であります。私は、国民各界各層の方々の正しい認識のもとに、また、その御協力のもとに、ぜひとも政府は、民族の悲願である国後、択捉等の固有の領土、これが日本に返ってくるように、あらゆる機会をとらえて努力してまいる決意でございます。昨年、グロムイコ・ソ連外相が訪日いたしました際に、この問題をめぐって十分意見を交換いたしたのであります。しかし、今日の状態では、ソ連側においては自己の主張をかたくいたしておりまして、まだまだこの問題は解決の曙光も見えない。私はまことに残念だと思っておるような次第であります。 内政の問題につきましては、大部分を関係閣僚に譲るといたしまして、二、三の、特に名ざしでお尋ねがありました点に触れてみたいと思います。 一つは物価安定推進会議の問題であります。いわゆる物価懇談会、これはたいへん貴重なる意見を答申してくれました。たいへん効果のあった働きをしてくれたと思います。しかし、物価問題は各省にまたがりますし、各省総合的な働きをして、初めて物価の問題に効果をあげることができるのである。どうも経済企画庁だけでは、この物懇をやりましても、それらの点で欠くるところがあったように思いますので、今度は物価安定推進会議、これには私自身が責任をとりまして、各関係大臣を全部その会議に招致いたしまして、そうして各界各層の国民の広い範囲から意見を伺って、そうしてまた、国民の最も問題にしておられるような問題を取り上げて、具体的にその解決をはかっていこうというのであります。要は、運営にあたって、総合的な施策であるから、私どもが十分各省の協力を得ること、それに努力すること、同時にまた、しばしばいわれておりますように、論議ではなくて、これは実効のある処置をするのだというところが大事だと思います。この物価安定推進会議も、そういうような方向で運営してまいるつもりであります。 青少年健全育成国民会議についてのお尋ねでございましたが、この青少年健全育成国民会議等で論議されました問題は、まことに活発な国民各界各層の協力を得ておるのであります。政府自身も、物心両面にわたりまして積極的に支援してまいるつもりであります。 また、身体障害者等の問題についてのお尋ねがありましたが、これは身体障害者福祉審議会等でもいろいろ意見を出されておりますので、この線に沿いまして、いわゆる日の当たらない方々の救済、生活の向上等について、積極的に対策を立てるつもりであります。 次に、公害対策として、政府、自治体、企業、民間、この四者の総合的施策が必要だ、こういうお話でありますが、これは先ほどもお答えいたしましたとおり、お説のとおりだと私は考えるのであります。 最後に、広域行政に踏み切るべき段階ではないか。——これは私が申し上げるまでもなく、市町村の合併等はどんどん行なわれております。しかし、まだ府県の合併はなかなか実現されておらない。この点が、御指摘のように廃藩置県以来の区域だ。こういうところで、行政の遂行上、たとえば水の利用だとか、あるいは道路の問題だとかにおきましても、今日たいへん不便がございます。また、そういう地域でありますだけに、格差の問題も起こしております。これをもっと広域において行政がさるべきだという、これはお説のとおりだと思います。そういう意味で、いまのままでも、事柄によりましては、広域行政という観点に立って関係各府県の協力を得ておるようでありますが、しかし、やっぱりときに隔靴掻痒の感もありますので、積極的に自治体等が——府県等が合併するというような場合には、政府もこれに力をかすということ、そういう意味ですでに法案等も提出した経緯もございます。おそらく今回も、これらの問題を重ねて御審議をいただくのではないかと思います。そういう際に、いまの自治体のあり方としてやはり広域に踏み切るべきその時期にきている、かように私も思いますので、御審議をよろしくお願いをいたします。 次に、地方自治体がだんだん政党化しておる、政党化することは現実の問題でどうもしかたがないのだが、またそれもいい点もあるけれども、同時にまた、この自治体の首長はやはり穏健中正な人物がいいのではないか、全くこれも私、共鳴する御意見であります。地域住民の福祉が優先する、このたてまえのもとに、地方選挙、統一選挙が行なわれる、そうして正常な、国民から批判を受けるような事柄のないことを、今回の統一選挙でも私は期待しておるような次第であります。(拍手) 〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
○国務大臣(水田三喜男君) 財政運営に対する態度についての御質問がございましたが、これはもうたびたび申しているとおり、情勢に応じて機動的に善処するということを考えております。で、私どもは、いままでの経験によりまして、いわゆる引き締め政策というものは、これは犠牲が大き過ぎますので、できるだけ引き締め政策はやりたくない、これをやらなくてうまく切り抜けることが一番いい運営の態度であろうと考えておりますが、御承知のように、たとえば設備投資がだんだん強くなってくるにしましても、最初は各会社が自己資金で設備をいたしますので、これが金融機関に対して資金需要という形で出てくることは相当おくれる。で、これがそういう事態になってしまってからいろんな施策をとろうとしますというと、なかなかむずかしいものでございますので、私は、やはり運営の態度は、経済の動向を見ながら、早目に、必要な金融政策、財政政策をもってこれに臨むということが、一番大事だというふうに考えておりますので、経済の動きには十分気をつけてまいりたいと考えております。 その次は、交通傷害の問題を中心として、脳外科の予算がどういうふうになっているかということでございましたが、いままでは、これに対する予算は、昨年は全部で二千八百万円ぐらいの予算しか見ておりませんが、ことしは、この問題を特に重点に取り上げましたので、国立病院の整備とか、あるいは公的医療機関の整備、医師の研修と、国立大学については、八つの大学に新たに脳神経外科の講座をふやしたり、また研究施設をふやしたりしまして、予算はことしは三億近いものを見ておりますが、さらにこの方面の予算強化を私どもは順次やってまいるつもりであります。(拍手) 〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 安井さんの私に対する御質問は、アジア・太平洋時代における日本の外交の役割りは何かという点が第一点だと思いますが、このアジア・太平洋という地域社会は、ヨーロッパなどの共同体とは違って、東洋と西洋を含んでおる、歴史も伝統も全然根が違うものを持っておる両地域を含んでおりますから、これは相互の理解を推進するためには、今後非常な努力が要る。案外、東洋と西洋との開きというものは、私はまだ非常に開きがあると思うのであります、みぞは深いと思います。よほどの努力をしなければ、お互いの融和というものはできないものがある。そういう点から、日本は東洋と西洋との接点におるわけでありますから、日本の政府ばかりでなしに、民間活助を通じて相互の理解を促進する。東洋と西洋との接近融和、これをはかっていく、こういう点に一つの大きな役割りがある。 またさらに、第二には、アジアの開発という問題は、これは世界の大問題である。人類の三分の二はアジアの地域に住んでおる。それが非常に立ちおくれておる。十七億という人間が住んでおる。この開発を考えたときに、どうしても太平洋諸国——影響をお互いに受け合うこの地域の先進国が、協力して、アジアの開発というものに当たらなければ、アジアの開発というものはなかなか促進できるものではない。だから、こういう太平洋地域における先進諸国のアジア開発への協力体制をつくるということは、これまた日本外交の大きな役割りだと私は思うのであります。さらに、この地域には、将来もっとヨーロッパのような共同市場のようなものができるとは私は思いませんが、何らかの協力体制が将来生まれるでしょう。その生まれるための素地をつくるということは、現在やらなきゃならぬ。ヨーロッパの共同市場が生まれるのでも長い時間を要した。一ぺんにできたのではない。そういうことを考えると、どういう形のものができるかということをいまから頭に入れて、そこへ世界各国を追い込んでいくというような、そういう思い上がった態度は、日本の外交はとるべきではない。しかし、何らか新しい協力体制が生まれる素地をつくるという努力は日本外交はやらなければならぬ。こういうことがアジア・太平洋地帯における日本外交の役割りと考えておる次第であります。 第二には、ベトナム紛争、これの早期和平の達成に日本外交はこれからどうしようとしておるのか。——これは日本の外交としてこんなに頭をいためておることはないのであります。戦争に使うようなエネルギーを、アジアの建設開発のためにどうして早く使うことができるような状態に持っていけないかということは、われわれ最も心をいためておるところであります。しかし、世界も総がかりになってもなかなか和平の糸口をつかめない、問題が非常に複雑であるし、むずかしいということであります。日本もハノイとの間に正式の外交ルートを持っていないということは、調停者の日本、調停の役割りを果たす日本としては、非常にこれはハンディキャップであります。しかし、だからといって、これをあきらめるわけにはいかぬ。アジアの一員であり、アジアにおける唯一の先進国の日本として、ベトナム戦争に何らかの寄与ができないかということを考えることは、これは当然の責任でもある。したがって、われわれは、出先の外交機関であるとか、閣僚が海外に出張する場合であるとか、いろいろな機会を通じて、このベトナムの和平早期実現の糸口をつかむ、その可能性を探求するということに努力をしておることは事実であります。ただ演説で言っておるのではないのであります。しかし、いまここで、こういうことを将来やろうとしておるんだということを、ここで私は公表して申し上げることが、ベトナムの早期和平の実現のために有益だとは思わないのです。この問題はあとでいろいろ御報告する日はあると思いますが、事前にこうやりますということを公表する形で、早期の和平が達成できるとは考えない。それは有益だと思いませんので、この機会に申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。(拍手) 〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済の運営につきましては、先ほど大蔵大臣が答弁をされましたのと私も全く同意見でございます。それで、その場合、お尋ねは、長期計画の第一年度とどういう関係に立つかということでございますが、私どもで考えております——六兆二千億円程度の企業設備投資を考えておるのでございますが、大体そこへまいりますと、ほぼ長期計画の最初の年度のラインに乗るというふうに考えておるわけでございます。 それから、地域開発の問題でございますが、今回はこの答申は、地方の問題あるいは農業を中心とした問題等についても、従来に比べまして、かなり丁寧に懇切に構想を書いております。ことに農業につきましては、自立経営農家ばかりでなく、いわゆる兼業農家について国がどういうふうに考え、どういうふうな雇用機会をふやしていくべきか、そのためには交通網をどうすべきかというようなことまで、かなり詳しく書いてございます。(拍手) 〔国務大臣藤枝泉介君登壇、拍手〕
○国務大里(藤枝泉介君) 地方財政についてでございますが、御指摘のように、地方は国の公共事業のおつき合いに追われまして、地方の住民に直結する単独事業が片すみに寄せられている傾向はいなめないわけでございますが、幸いに、昭和四十二年度におきましては、地方税、交付税等の相当な伸びがありますし、あるいは、たばこ消費税の税率の引き上げ等によりまして、この国の公共事業のおつき合いのほかに、地域住民に直結する単独事業にもある程度のゆとりができたと存じます。しかし、根本的には、やはり中央地方を通じた行政事務の再配分と、これに関する財源の配分を考えなければなりませんので、地方行政調査会の答申等とも相まちまして、十分に検討をしてまいりたいと存じます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十一分散会