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55回国会参議院1967/03/23

法務委員会 第2号

発言数
276
登壇者
9
会派数
3
開催日
1967/03/23

会議録

浅井亨公明党

○委員長(浅井亨君) それでは、ただいまから法務委員会を開会いたします。  検察及び裁判の運営等に関する調査を行ないます。御質疑のある方は順次御発言願います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 私は、本日福岡地方検察庁における綱紀に関する問題並びに韓国軍人の亡命事件、この二つにつきまして質問をいたしたいと考えております。  最初に、福岡地検に関する問題を取り上げることにいたします。この問題は、なかんずく福岡地区におきましては、法律を公正に執行するはずの検察庁においてこのような問題が起きておるということで、非常に世論の注目を浴びておるところであります。したがいまして、そういう立場から、私もこれらの問題について若干ひとつ明らかにしてほしいと考えておるわけです。  問題が三つほどあるわけですが、まず第一に、福岡地検小倉支部の元検察事務官嶺崎忠氏が、是沢芳光から収賄をして、そして収監を延ばしたり、あるいは検察内部の情報を漏らしたりした。このはなはだ遺憾な事件につきましてお尋ねするわけですが、これは法務当局におきましても事情をお調べになっていると思います。  そこで、まず最初に、あなたのほうでいままでお調べになった結果、これをひとつ報告いただきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) ただいま御指摘のような疑いのある事件が起きましたことにつきまして、たいへん申しわけないことだと存じております。元福岡地方検察庁小倉支部の事務官嶺崎忠が、是沢某から請託を受けまして収賄をした、こういう事実がございます。この事実につきまして、検察庁といたしまして、詳細取り調べをいたしました結果、本年一月二十一日、嶺崎忠を枉法収賄のかどで小倉支部に公判請求をいたしております。その後、二月一日第一回公判が開廷され、同月八日に第二回公判が開廷されまして、検察官の立証が終わりまして、目下弁護人側の立証準備のために続行中という経過に相なっております。  この事実の概要でございますが、問題の元事務官であります嶺崎は、小倉支部の検務第二課の執行係長をしていた者でありますが、三十七年の六月五日に上告棄却になりまして懲役五年の刑が確定いたしました是沢某から、収監並びに刑執行に関することにつきましてその延期を求められまして、数回にわたって検察官の指揮を受けて延期の手続をとっておったものであります。その間、数回にわたりまして是沢から現金七万円の貸与を受けたということと、別に現金合計五万五千円の供与を受けたという事実、さらに航空機の切符一枚八千四百円相当のものを供与を受けた、こういう事実が発覚したわけでございます。その間におきまして、延期の請託を受けたことにつきましては、いろいろ調査をいたしました結果、必ずしもその延期をしたことが不法であるとは認められませんでしたけれども、最後に、三十七年の十一月六日ごろのことでございますが、是沢に対しまして収監状が発せられていると、こういう事実を知らせたことが発覚したわけでございまして、この点が枉法収賄であるということに認定されまして、刑法百九十七条の三の枉法収賄罪として公訴を提起した、こういうことに相なっております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 ただいまお読みになったことが起訴状の骨子にもなっているんだと思いますが、その起訴状は資料として御提出願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 先ほど御説明いたしましたとおり、すでに公判も開廷されておりますので、後刻資料として提出いたしたい、こう思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それでは、本件に関する問題点につきまして、少しお尋ねをしていきたいと思います。嶺崎は、昭和三十八年三月何日になるんですか、辞職しておりますが、この辞職の理由はどういうことなんでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 本人のほうから上司に対しまして、妹さんが東京でもって事業をしているんだけれども、その経理担当の適当な者がないために、兄である嶺崎に対してぜひ東京のほうへ出てきて経理を担当してほしいと、こういう要望があるので、この際辞職をさしていただきたいと、こういう趣旨の願い出が支部長のほうにありまして、支部長それを了といたしまして、検事正のほうに示達いたしまして、本人は依願退職をしたと、こういうふうに報告されております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その要請は三十八年のいつあったのでしょうか。また、文書によってそういう理由を書いて出しておるのでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 文書は、報告を詳しく受けておりませんが、その後事件が問題になりまして、私のほうから照会をいたしまして、その事情を問い合わした結果は、先ほど申し上げましたような事情が明らかになったわけでございまして、おそらく文書の中にはそこまで具体的には記載がないと思います。一身上の都合によりと、こういうふうな例文になっているのではないかと、こう思っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ、そういたしますと、あとからいろんな理屈がつけられるわけでありまして、普通の例文にすぎないようなものなのかどうか、確かめてもらいたいと思います。よろしゅうございますね。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) もう一回確かめた上で、また回答いたしたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 辞職の許可になったのは、何月何日になるんでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 正確には、三十八年三月二十日に辞職願いが支部長のところに提出されまして、直ちに検事正にこれを進達いたしまして、同月の二十三日に辞職願いが承認されて退職したと、こういうことになっております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そこでお聞きをしたいのは、表向きの形はそういうことになっておるかもしれませんが、実際は、当時嶺崎が是沢より収賄しておる、金をもらっておる、こういうことが検察庁内部事務官の皆さんの間でもほとんどわかっていたんじゃありませんか。そういうことから、これではまずいということになって、形の上では依願退職という形をとったのではないでしょうか。実際はどうなんでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) たいへんな不始末でございますので、その後あらゆる手を尽くしましてその間の事情を法務省といたしまして取り調べをいたしましたし、また現在さらにまた続けております。具体的には、最高検察庁において、具体的な事件の刑の執行についての問題であるということで、検察上の不始末というふうなことにも考えまして、鋭意捜査を進めておる段階でございます。今日までに判明したその間の事情の概略につきまして御説明を申し上げることにいたしたいと思います。  この相手方の是沢某と申しますのは、いろいろだいへん供述が変わっておりまして、現在服役中の前の犯罪事実につきましてもいろいろ非常に複雑な供述がなされておりますが、その後の、今度問題になっております日豊汚職事件の経過につきましても、非常にいろいろ問題を起こしている人であるわけでございます。検察事務官に対して今回贈賄をしたわけでございますが、その前に警察官に対しましても監房におるうちに同じような行為をやっておりますし、また市の出納係の事務官に対しましても同じような行為をやっております。そういうようなことで、今度日豊汚職事件が——派生事件を含めて日豊汚職事件ということで問題になっておる人であるわけでございます。  そこで、三十八年一月の二十日に是沢は、日豊汚職事件の関係で検察庁に警察から事件の送致がありまして、受理したわけでございます。それを取り調べまして、三十八年の二月の四日から六月の二十五日までの間に七回にわたりまして追記訴が行なわれているわけでございます。その事件が受理されて数回の追起訴が行なわれておりますそのちょうど中間であります三月の二十日に問題の嶺崎が退職した、こういう事情に相なっているわけでございます。そこで、非常に問題がごてごてして恐縮でございますが、この嶺崎の収賄の事実が地検、高検、最高検のほうに発覚いたしまして、これは容易ならぬことである、直ちに捜査をして結末をつけろ、こういうふうに上司のほうにおいてこの容疑があることをつかんだのは、昨年である四十一年の八月の二十九日に日豊汚職の第一審判決がありまして、その一部無罪が出ましたので、検察官控訴の当否を検討するために判決文全体を取り寄せてしさいに検討してまいりましたところ、その判決理由の中に、小倉支部の検察事務官に金品を贈って収監を延期してもらった、こういうふうな趣旨のことが出ておったわけでございます。それを見まして、最高検察庁のほうから、また高検のほうからも、直ちに地検のほうに連絡をいたしまして、さような事実の有無について厳格な調査を命じたと、こういうことが真相でございます。その結果、検事正において小倉支部に特命検事を派遣してその間の事情を調べましたところが、次のようなことが判明してきた、こういう結果になっております。  そこで、そういう調べの結果判明した経過でございますが、その経過の概要は、是沢を起訴いたしました三十八年の二、三月になりまして、小倉支部の内部において、事務官が被告人である是沢から収賄をしているのじゃないか、金品をもらっているのじゃないかというふうな風評が立ち始めまして、それが支部長あるいは地検のほうの耳に入りまして、さような事実の有無について取り調べが行なわれております。当時是沢の事件を取り調べ中でありました主任の検察官が、まず是沢につきましてそういうような事実があるかどうかということにつきまして数回にわたって取り調べをいたしております。その結果、是沢は最初のうちは、そういう事実があるのだ、嶺崎に金を貸したことがあるというふうなことを言ったり、あるいは金をおどし取られたことがあるというようなことを言いましたり、あるいは金をわいろとして贈ったことがあるというようなことを言っておりましたが、だんだん調べを進めていきますうちに、いやそれはうそであるというふうなことも言っておりまして、調書をつくりましても、署名、捺印を拒否するというようなことでありました。  そこで、今度は嶺崎のほうに対しまして検察官はそういう事実があるかどうかということを糾明したわけでありますけれども、嶺崎は当初の段階におきましては、さような事実は全くないということを検察官に申し述べております。当初に申し上げましたように、是沢の供述がはなはだ虚言癖が多くてあいまいな人でありますので、それとまさか自分の部下である検察事務官がさようなことをいたしているとは考えられないというふうな平素からの親近感と信頼感に基づきまして、嶺崎の言うことがほんとうであろうと、こういうふうに当時主任検事は判断をいたしまして、調べたけれどもそういう事実はないということを報告いたしているわけでございます。このことは、この日豊汚職事件の第一審の判決の中に一部無罪が出ておりますが、その一部無罪の理由といたしまして裁判所があげていることの中にこういうことがあるわけでございます。是沢は日豊汚職に関しまして国鉄の係員に金品を贈賄したわけでありますが、その贈賄した関係を自分の経理の帳面にいろいろ書いてあるわけであります。何月何日にだれに幾ら供与したというようなことを書いてあるわけで、かようなものが証拠としてこの法廷に提出されましたけれども、裁判所はいろいろ取り調べをした結果、この経理簿は信用がおけない、是沢が何らかのためにする意図をもってつくったものだと思われるのであって、この記載は措信しがたいというようなことを言って、この相手が四人ございますけれども、一人だけ有罪にして三人を無罪にしているわけでありますが、その無罪の理由の中にそういうふうなことの記載があるわけでございまして、あとから考えてみますと、この是沢という人はそういうふうなものをつくったりあるいはそういうふうな事実があるということを言いふらして捜査を牽制しておったのじゃなかろうか、こんなことも予想されたわけでございます。当時調べをいたしました検察官はよく是沢の人物を知っておりますので、さようなことも手伝いまして、捜査の段階において問題にしたときには、そういうふうな事実はないと、こういうふうに判断をしたようでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ、そこまででいい。  当時その調べを担当した検事はどなたでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 柴田カズアキ検事と申します。カズアキというのはたいへんめんどうな字ですが、昭和の和と徹底的にやるという徹で和徹と申します。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この柴田検事は、現在はどこにいらっしゃるのですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 福岡地検の本庁に勤務しております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 当時柴田検事が是沢と嶺崎の間に入って、そうして示談をさせたということがあるようですが、この点はお調べの結果どうなっておるでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) さようなことが新聞の一部に出ておりましたので、いままでいろいろ手を尽くして関係者を取り調べておりますが、いままで判明したところでは、さような事実はございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 十万円支払う、是沢に対して嶺崎が。そういうことで一応話し合いができたと、検事のお骨折りで、そういうことが言われておるのですが、これは全くそんなことはなかったんですか。あなたのほうでそれは念を入れてお調べになったんでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 看過することはできない事実だと考えますので、いろいろ念を入れて取り調べをしたわけでございますが、一つ、そういう事実がなかったんだと、こういう根拠になるかと思いますけれども、三十九年に至りまして、是沢が嶺崎を相手どりまして、貸し金の返還請求の民事訴訟を提起しているわけでございまして、その民事訴訟は、その後和解が成立いたしまして、その金額を履行いたして片がついているのでございますけれども、その片がつきましたのはたしか四十年の終わりのことであったと思うわけでありますが、柴田検事は三十八年の六月にこの事件の捜査を完結して公訴を提起いたしまして、その後三十八年の十月に小倉支部から本庁のほうに転任になっておりますので、本庁のほうに転任になってから後になおかつそのことに関係していろいろ画策するということはまずなかったのじゃないかと、こういうふうに考えられますので、少なくとも柴田検事が両者の間にあっせんして云々したということは、柴田検事は強くその事実がないことを主張しておりまするし、そういうことはなかったんじゃなかろうかと思います。  なお、いま三十八年十月に福岡本庁に柴田検事が転任したと申し上げました。これは誤りで、本庁へ来る前に鹿児島地検に転任になっておりますが、そうだといたしますと、鹿児島と小倉というのは、ちょっとやっぱり間違いではなかろうか、こう思っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 私が調べた結果、聞いておるのは、昭和三十八年の三月に嶺崎が退職しましたね。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) はい。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そのころ柴田検事が仲に入って話をつけた。しかし、話をつけたんだが、それを実行しなかったようです。是沢は、実行しないので、この三十九年になってから民事訴訟を起こしたと、こういう経過を私聞いているのです。だから、私の調べによれば、当然この柴田検事がまだ小倉におるころにそのようなことが行なわれた、こういうことなんですが、ただいまのお答えによると、柴田検事がそんなことをするはずがないと言われますが、そういう示談の話があったのは退職のその当時の問題なんで、間違いありませんか、いまのお答えで。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 私どものいままでの調べでは、間違いないと、こういうふうに思っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この三十九年になって民事訴訟が起きた。これはいつ起こされて、いつ和解が成立したんですか、お調べの結果を報告してください。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 三十九年の七月に民事訴訟を是沢が提起いたしまして、合計約三十九万円の貸し金請求をいたしております。それにつきましてその後審理がありましたが、四十年の三月三十一日に十五万円を支払うということで和解が成立いたしまして、嶺崎は四十年の十二月三十一日までに十五万円を完済して話がついていると、こういう報告になっております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それは、裁判所の和解調書に、なっておるんですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) そうだと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そうしたら、これもひとつ、この資料としては和解調書並びに訴状、二つを御提出願いたいと思います。よろしいな。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 提出いたしたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それで、その裁判上の和解が成立するについて、検察官がタッチしておりませんか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) いままでの調べによりますと、検察官はタッチしておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この日豊線汚職事件の公判を担当した検察官、これはだれとだれですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 最初三十八年十月までの間は、捜査検事である柴田検事が公判を担当いたしております。それから、翌年の三十八年十月から三十九年一月の初めごろまで中野勇夫検事がこれを担当しております。その後第一審判決があります四十一年八月までの間は吉永普二雄検事がこれを担当しております。結局三人がこれを担当した、こういうことになっております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そこで、この是沢が、柴田検事が担当しておる当時、公判廷において、自分は検察事務官に金を与えた、こういうことを公判廷でしゃべっておるようです。そうして、そういうことから、この公判の立ち会い検事に相当食ってかかった、こういうことを当時公判の立ち会いをした裁判官が言っておるようですが、そのような事実が公判廷であったんですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) あったようでございます。四十年三月十五日の五十七回公判廷で是沢がいまおっしゃったような趣旨のことを陳述したことが公判調書に出ております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 公判調書に出ておるのは四十年三月と言われましたが、もっと早い時期にそのような主張がなされておるのじゃないでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 私いままで調べたところでは、その前には出ていたようには聞いておりません。いま申しました五十七回公判廷で是沢がさようなことを供述した、こういうことになっております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この公判は速記録でなしに要領だけを記載しておる調書なんでしょうか、どっちなんでしょう。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 要領のようでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それじゃ、いま御指摘になった四十年三月の公判で是沢が本件のことについて触れた部分ですね、その部分だけでけっこうですが、これもひとつどういう言い方をしておるのか知りたいので資料として次回までに整えてほしいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) そういうふうにしたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それから次にお尋ねしたいのは、昭和四十一年八月二十九日にこの判決の言い渡しがあったわけですね。そのときの立ち会い検事は吉永検事というお答えがありましたが、この判決の中でこのような重大な問題が指摘されておるのに、なぜすぐ捜査に着手しなかったのか。福岡地検の山根次席の談話を見ておりますと、十月ころから本件についての資料集めにかかった。これはだんだん世間が騒がしくなってきたのでしぶしぶ何か仕事にかかったというような印象しか与えないわけなんですが、どうなんですか、それまでは。あなたのほうも、嶺崎が退職の当時からこれはもう知っているわけですね。いまお答えを聞きますと、問題のあることは知っておる。また、公判廷でも是沢がそういう主張をした。しかも、その段階では是沢が一方的なことを言っておるので、嶺崎がそういうことはないだろうというふうな、きわめて嶺崎をかばうような御判断をずっとしてきておるわけなんですが、しかし四十一年八月二十九日には判決で権限のある裁判官が事実をはっきり認定しておるわけなんですね。立ち会いの検察官がほんとうに法を厳正に守る、執行していくという立場をとっておるのであれば、直ちにこれは支部長検事等に報告をして、その段階から自発的に調べにかかるべきである。私の言うのは、これは少なくともと、こう言っているんですよ。これは三十八年当時からしっかりやるべきことなんですが、いわんやこの判決が出てもなおかつ世間がうるさくなってくるまでは本腰で立ち上がろうとしなかった、ここに私は非常な疑問を持つわけですが、その間の事情を説明してください。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 確かに御指摘のような不審を私も抱くものであります。捜査の段階におきましては、是沢の性格その他の事情から、その間の捜査が徹底しなかったということはある程度理解ができると思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、三十九年には民事訴訟が起こされておる、それについて金を払うということで和解が成立しているという事情もあり、また四十年に至りましては、三月十五日に公判廷におきましてそのような供述がなされておるということであり、さらに八月二十九日には、まさに御指摘のように、裁判書きそのものの理由の中にさようなことが記載されておるということでございますので、その時分に至りましては、さらに疑いを深めて嶺崎を追及すべきではなかったか、こういうふうに私どもにも感ぜられるわけでありまして、たいへんその点が不徹底であったということをまことに遺憾なことだと、かように私も考えております。  まことに弁解になりますけれども、先ほど申し上げましたような事情で、すでに嶺崎も退職しておりまして、その後東京におりましても居所がしばらく不明であったというような事情もあったようでございます。それから、判決がありましたときには、判決書き全文が直ちに入手されたわけではございませんで、しばらく経過を経て判決の全文が検察庁に入手されましたので、支部も地検もあわせて一緒に検討して、ここまではっきり裁判官が証拠に基づいて判決理由の中に書いてあるということはきわめて重大なことだということで、直ちに捜査が開始されまして、九月の初めから十月の初めごろまでの間は、小倉支部における執行関係の、是沢関係の書類を全部、特命を受けた検事が精査いたしまして、数回にわたって是沢の収監を延期した事実が妥当であるかどうかということを綿密に調べをいたしまして、その結果最後の段階に至りまして、収監状が発付されているのに、そのことを漏らした事実がうかがわれるということになりまして、こればまさに枉法収賄になるのではないか。単純収賄でございますと、すでに三年の時効が経過しておったわけでございますけれども、請託があれば枉法収賄として五年の公訴時効になりますので、まだその当時時効期間が残っておりましたので、急いでこれを処置すべきだということで、内偵約一カ月しばらく終わりまして、十月二十六日に正式に検事認知事件としてこれを立件いたしまして、嶺崎の居所を追及して、これを年末に逮捕して、先ほど申し上げましたとおり、一月二十一日に公訴を提起した、こういうことに相なっておりますので、御指摘のように、裁判書きに出てから、八月二十九日でございますから、すでに心証を得ておれば、まさに電光石火で、十月か十一月には通常の事件ならば処理すべきであったと、こう思いますけれども、報告によりますというと、いまのような内偵と若干調査の期間を経て、そして暮れにこれを突きとめて逮捕した、こういうふうな事情になっておりますので、この判決書きが出てから後に特にこの嶺崎をかばってその捜査処理が特別に遅延した、こういうことにはならないのではなかろうか、こういうふうに私は考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この嶺崎は是沢を収監するために数回上京しておるはずですが、それはどういうことになっていますか。いつといつ上京していますか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 是沢からの収監延期の日時、それに対してとった検察庁の処置経過につきましては詳細整理してまいったのでありますけれども、その嶺崎が何回上京したかということについては詳細な調べをしてまいりませんでした。ただ、先ほど冒頭に申し上げましたように、一度羽田から板付までの切符一枚を是沢から供与してもらったということがありますので、そのとき一度東京へ上京してきたことは間違いないと思いますが、そのほかに何回ありましたか、またあとで調べてお答えしたい、こう思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その上京は公費——公の費用で来ておるように聞くんです。したがって、その費用の関係も明確にしてほしいと思います。結果から見ると、そういうものを出して上京させながら、実際は検察庁の情報を向こうに流してつかまらぬようにするために、これは上京しておる結果になっておる。そこで、嶺崎の行動をけしからぬということは当然なんですが、一体監督の責任にある検事、これは何をしておったかということなんです、一年間も。嶺崎の主張によりますと、ちゃんと監督の検察官の了承を得て事を運んだ、こう言っておる。その点は、お調べになった法務当局もそのことを認めておられるように先ほどお答えになりました。一体検事の責任というものはそれで果たせるでしょうか。収監延期ということは、病気とか、家庭の事情とか、いろんなことがありましても、私もそういうことにはタッチする場合もありますが、なかなかそう簡単ではない。一年近くもでしょう。その検事は一体何をしておったかということなんです。是沢は検事にも金が渡っておるというような趣旨の主張もしたことがあるようですね。そういう点のお調べがあったのかどうか、あわせてお答えを願いたい。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) あとのほうから先にお答えさせていただきたいと思いますが、検察事務官だけではなくて、検察官にも金品を贈ったのではなかろうかというようなことも、うわさでは当時飛んでいたようでありますけれども、これはいままで取り調べた調査の結果によりますというと、さようなことは全然認められません。  それから、収監指揮についての事務について是沢が数回にわたって延期をしておる、こういう手続について是沢の上司である検事は何をしておったのだ、こういう最初の御質疑でございますが、これに対しましては、確かに三十六年の十二月十三日から翌三十七年十一月九日に収監されるまでの間約十一カ月間が収監延期で出ておったわけでございますけれども、この間数回にわたりまして収監の延期願いが提出され、その延期願いにつきましては、それぞれ担当の検察官が書類を精査いたしまして、あるいは延期の手続をとり、あるいは収監指揮書を発付してその所在を追及する、こういう手続をとっておりますので、検察官が部下の検察事務官の非行ないしはきわめて妥当でない措置を見抜くことができなかった、こういう点におきましては、まことに遺憾なことだと、かように存じますけれども、嶺崎が一人でその間の延期手続の事務の執行係長といたしまして取り扱っておりましたので、係の検察官は彼を信頼してその書類を整理しておった、こういうふうな状況が見受けられるわけでございまして、部下である執行係長がまさかさようなことをしておるとは考えない、そのすきに乗じて上司としての監督なり指揮なりがいろいろな徹底を欠いたということにつきましては、まことに遺憾なことだと、かように思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この延期願いの理由というのは、どういうことが書いてあるのでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 是沢は、小倉地区と言いますよりは、むしろ北九州市全体における非常に手広い著名な土地のブローカーをしておる人でございまして、あちらこちらに自分の名義の土地を持っておりまして、当時の小倉市が市道を開設するというところに是沢所有の名義の土地がございまして、市が市道を建設するためにその是沢所有の土地の買収にかかるというようなことで、その折衝の問題があるということで、市のほうにも検察庁のほうからさような事実の有無について問い合わせをしておる事実はもちろんあるわけでございます。それが、間もなくその折衝が完結するというようなことを理由として執行の延期を願い出ておるわけであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その延期願い書もひとつ参考に資料として提出を願います。いいですね。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) はい。調べまして出したいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この問題になる点をしぼってきょうはお尋ねしたのですが、いろいろな資料を出された後にこれはもう少し審議をしたいと思います。ことに責任の関係というものが非常に大事だと思うのです、これが。ただいまのお答えを聞きましても、十一カ月も監督の責任のある検察官がこういう事態に気づかなかったということは、私はちょっと納得がいかぬのです。これは普通の事件で、そうして特殊な事情で延期をしたということならいいですが、そうじゃなしに、嶺崎の問題について、退職当時非常なうわさが部内においてもあったわけなんです。だから、それとの関連等から見ますると、結局、部内のことだから何とか内々で済ませたい、表ざたにしたくないと、こういう一連の考え方が、柴田検事だけじゃなしに、支部長検事等にもあって、そうしてこういう経過をたどった、これは私だけじゃなしに、新聞の論調等を見ていてもそういうふうに感ずるわけです。で、ちょうどこれも最近に発覚したことですが、昭和三十八年二月ごろの事件として新聞にも出ておりましたが、やはり同じ場所の小倉支部の森事務官ですか、暴力団から金をもらって収監を延期していた、こういうことが本件が起きてからまた明るみに出て、これは現在福岡地検でもお調べになっているようですが、つまり、嶺崎のような問題について支部長なり監督の検事がそういうかばうような、何とかうやむやで内輪で伏せておきたい、そういうふうなことが私は影響しているのじゃないかというふうに思うのです。あっちもやっているからこっちもじゃあひとつ何しておこうか、そういうたまたま時期が一緒なんです。悪く推測すれば、それじゃもっとほかにもあるのじゃなかろうか、こういうふうに世間からは思われるかもしれぬわけですね。私は、そういう意味で、きょうは法務大臣が出ておられませんが、この福岡地検の一連の今度の措置というものは、はなはだ責任が重いというふうに感じておるわけなんです。それらの点は、本日要求した資料等を検討し、場合によっては、法務省のほうは何といっても間接的な調査になります。直接この問題にタッチし、こういう処理をした検事に直接お聞きしてみなければ、私は真相はなかなかつかみにくいと思う。ことに柴田検事と嶺崎との関係、これは両者から直接聞かなければわれわれとしてはちょっと納得がいかぬ点がある。そういう意味で、次回にさらに、責任の問題、それらの事実関係においても不明確な点、こういう点をさらに明らかにするように、ひとつ法務当局においても協力してほしいと思うのです。こういう問題になった以上は、新聞なり世論等で指摘しておる疑問点、これはもう残りなくお答えいただくということにしてもらうほうが、私は検察の名誉のためにもいいことだと思っているのです。だから、そういう態度で、この問題について参議院の法務委員会において納得のいくような資料の提出なりお答えを今後とも要望しておきます。よろしいな。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) そういう方向で努力したいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 私、この問題については一応この程度にして、から出張の問題に移りたいと思いますが、ちょっと——稲葉さんがこの問題で。

浅井亨公明党

○委員長(浅井亨君) 関連ですか。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 議員総会の関係で途中から来たもので、前の亀田さんの質問聞いておりませんから、あるいはダブるかもわかりませんが、その点は前にあったということならば、あったとお答えになってけっこうだと思います。  そこで、いまの嶺崎という執行係長ですね、これは小倉の支部の中ではどこに属しますか、検務二課ですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 検務二課です。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 検務二課ですから、検務二課長などみんな同じ部屋にいるわけでしょう。あるいは小倉支部は、ぼくら行ったことありませんけれども、大きな支部ではあるけれども、本庁のような場合は別の部屋にいるのでしょうが、支部のほうは一緒にいるのではないですか、小倉はどういうふうになっておりますか、大きいから。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 残念ながら私、小倉見ておりませんからわかりませんが、小倉は大支部ですので、あるいは一課、二課別かもしれないと思いますが。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その執行を延期する場合ですね、執行係長がどの程度の権限をまかされておるのですか。この程度までは執行係長でできる、それ以上は執行係長ではできないと、ある程度権限がまかされているでしょう、それはどの程度ですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 刑の執行延期はたいへん重要な事務でございますし、原則として刑の執行延期はしないことになっております。本人が重病でありますとか、あるいは公益上特に重要な事情があるからというふうな事情のほかには、刑の執行延期はしないたてまえになっておりますので、したがいまして、刑の執行延期は事務官限りでできる仕事ではございません。必ず検事のところに進達をして指揮を仰ぐと、こういうふうに取り扱っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 刑の執行などをあまり聞くと逆効果になるといけませんから、ぼくらに頼みに来ることがあるから。ある程度の一カ月か二カ月の、そういうような場合はそこで許してくれるのではないですか。何も上の検事のところまで——地検の場合は次席のところに行くかわかりませんが、支部の場合は支部長に行くかわかりませんが、そこまで行かないで、係長がある程度権限を握っているのではないですか。罰金の場合はどうですか。罰金を延納する、分割する、罰金をある程度延ばして、その間収監しないとか、あるでしょう。それを一々上まで行くんではないでしょう。ちょっとあまりこまか過ぎて恐縮ですが。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 全部の地方を実態調査をしておりませんので、確言はいたしかねますけれども、私ども本省として指導し監督しておる限度におきましては、これは必ず検察官まで行くべき筋合いのものであり、また行っているものと、こういう運用になっているものと、そう思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 刑の執行はもちろん検察官でなければできないわけですね。支部の場合はどうしているのですか、支部長が刑の執行をするのですか、各検事が執行するのですか。本庁の場合は各検事がやりますね。支部の場合はどうしておりますか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 支部の場合も、支部長がおりますので、必ず検事がやっているものだと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そういう意味ではなくて、支部長検事がいるでしょう。支部長検事が全部まとめて刑の執行をするのか。支部によってはほかにも検事がいますわね。副検事がいるところもありますけれども、各検事が、自分が執行に立ち会った検事がやる場合もあるし、そのときに便宜そこにいた検事に執行を頼む場合もあるでしょう。その場合には、小倉なんかはどういうふうにやっているのですか。支部長が全部執行をやるのですか、すべての執行を。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 御質問の趣旨わかりました。必ず刑の執行指揮をその長の検察官が統括してやっておると、こういうわけではもちろんございません。検察官でありますれば刑の執行指揮ができるわけでございます。御案内のとおりたくさんの事件がありますし、たくさんの検事がごちゃごちゃといろいろな仕事をいたしておりますので、そのつど、小さい検察庁でありますれば、たまたま手のすいておる、在庁しておる検察官が指揮を受けて執行するというのがたてまえでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 前に聞かれたかもわかりませんけれども、そうすると、執行を延期する場合には、執行係長と、その上に検務二課長がいますわね。あとは大体同じ部屋にいるわけでしょう。それを一々通じて上の支部長まで行って執行を延期していたのですか。本件の場合そこにはどういうふうになっているのですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 本件の場合には、検務一課長、二課長を通じましてそれぞれ検事の指揮を受けております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 高検が事務の監査をしますね。本件の場合でも、福岡高検が年に一回かやるわけでしょう。そのときに本件は問題にならなかったのですか。どういうような高検が事務監査をやっていますか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 事務の部内監査を最近徹底させまして、最高検、高検におきましても、それから本庁におきましても支部の監査をいたしておりますが、その監査のつど全事務を、全体やるわけじゃございませんで、本年度は何を中心として、どこを重点としてこれを執行すると、こういうふうなたてまえに相なっておりますので、おそらく地検本庁も、高検も、小倉支部をその間に監査があったかと思いますけれども、この点は監査の際に特に問題になっておるような報告は受けておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それがおかしいと言えばおかしいじゃないですかね。福岡地検としても事務監査をしているし、高検としても年に一回か二回出ていってやるわけでしょう。どこに主眼を置くかといえば、これは起訴した事件に主眼を置いて監査をしないと——起訴した事件の監査でしたね、中心は。なぜこの事件は不起訴になったか、起訴にしたことが妥当か妥当でないかということも一つは監査でしょう。それから一つは無罪になった場合の監査もありますわね。それは中心ですわね。もう一つは会計上の問題なり関連しますけれども、同時に刑の執行が不当に長く延ばされているのがありはしないか、あればそれはどこに原因があるかというようなのが高検なり地検の監査の内容になっていなきゃいかぬわけですよね。だから、本件についてわからなかったとしても、福岡高検なりそれから福岡地検がこの年次にどういう監査をやったのか、どういうことを目的としてやっていったのか、この執行関係ということは全然監査の対象にならなかったのか、なったのだけれども発見できなかったのか、いろいろ問題はあると思うのですけれども、それはどうなっているのでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 御指摘のとおりでございまして、もしこの間に地検本庁ないしは高検の小倉支部に対する監査がありまして、そしてこの機会に執行延期の点について不審を持ってこれを是正しておったとするならば、かような始末には相ならなかったと思うわけでございまして、私どももたいへんこの点残念に思っておるわけでございますが、三十六年の十二月から三十七年の十一月までの一年の間にだれがどういう監査をしたかということをいま調べてまいりませんでしたので、また別な機会に調べた上で答えさしていただきたい、こう思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 いまの点は、まあ検察庁の部内監査のあり方ということにも関連してくると思うのですけれども、高検なり地検がどういう監査をこのときあるいはその後においてやっていたか。それで、この問題が対象になったのかならないのか、なったのだけれどもまあ見過ごしちゃったのか、いろいろあると思うのですがね。こういう点については、きょう調べてなければ、あとで調べた形で御報告を願いたいと、こう思うのです。  それからもう一つ。何か記録係長ですか、二万円もらったとかいうのは。いま亀田さん言った森とかいうのは記録係長ですか。これはどうなっておるのですか。職務権限があるとかないとか、法律上の意味はいろいろありますね。あっせん収賄になるとかならないとか、いろいろありますわね。これはどうなっておるのですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) これは先ほどの福岡地検管内の区検の森という事務官でございますが、先ほども御質問がありましたが、三十八年の二月の中ごろに執行延期の請託を受けて二万円を収受したと、こういうことが発見いたしまして、その後事件として立件、取り調べ中のようでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それはあれですか、やっぱり検務二課になるわけですか。記録係というのは何課でしょうか、一課ですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 記録は検務二課です。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、あれですか、法律的な見解としては、職務権限が記録係長でしょう、これ。それともやっぱり刑の執行延期について金もらったということで、職務権限があって贈収賄が成立と、こういう見方をしておるわけですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 検務二課には、いまの刑の執行の係、それから記録の係と、いろいろございますけれども、小さな区検でありますというと、担当は直接は記録の係でありましても、場合によってはその執行の係をつとめることもあろうかと思うわけでありまして、もしそういうふうな職務関係の実態であるといたしますれば、その間におきましてあるいは収賄罪が成立するということもあるのではないかと、かように思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この関係で小倉支部の支部長なりあるいは福岡の検事正、あるいはどこですか、やった人たちが何か責任をとらせられたとか、ある程度の法務省で処分をしたとかいうことがあるのですか、この関係で。あるいはこの関係なり、あとから亀田さんが言うから出張、全部を含めて一ぺんに処分したのか、あるいは全体を含めて福岡支部として何かその当時の支部長か何かの人を処分したということはあるのですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) まだ先ほどの関係とこの関係を含めまして行政処分をした事実はございませんが、目下あわせてこの事実関係を明確にした上で法務省として適当な措置をとりたいと、かように考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 まあ事実関係を明確というのだけれども、明確になったつもりだけれども、適当な措置というのですからね。これは法務省の内部のことですからどうこう言う筋合いのものじゃないと思いますけれども、もっと早くすべきじゃなかったのですか。きょうの質問までに間に合わせるということじゃなかったのですか、そうでもないのですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 実は率直に申し上げまして、具体的に関係を直接持ったのは数名の上司でございますけれども、長い期間でありまして、それをすべて監督者全体にわたっていろいろ事情を聞くということも措置の妥当ということを期するためには必要かといいますというと、かなりな人数にも及びますし、それぞれすでに退官をされて全国にばらまかれているというような事情もございますし、また慎重を期したいというふうな事情もありまして、実は本日間に合わなかったことはたいへん残念に思います。なるべく早い機会に何らかの結論を出したいと、こう考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それでは次に問題をかえまして、例のから出張の点についてお聞きします。  これは、この福岡地検の四十人ばかりの検事が、昨年の六月十七、八日、原鶴温泉の「なおみ」旅館で宴会をやったと。その費用をから出張で浮かした。こういうことで、これもたいへん世間の批判を受けておる問題です。法務当局のお調べの結果をまず明らかにしてもらって、その上で問題点について若干質問をしておきたいと思います。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) お答えいたします。  ただいま御指摘のように、昭和四十一年の六月十七日に福岡地検の検事正が、福岡地検本庁及び管内に勤務しております全検事を本庁に招集いたしまして会議を開催いたしました。その後引き続き原鶴に会場を移しましてさらに会議を続行いたしまして、その後一同があそこで飲食をともにし一泊したと、こういう事実がございます。これにつきましては、その会議の目的でございますが、その六月十七日の直前の六月九日と十日の二日間、法務本省におきまして全国の検察長官会同が開催されたわけでございます。その長官会同の結果を検事正が部下の検察官、検事に徹底するという目的と、それから福岡地検の当時の一つの問題点といたしまして、公判活動の隘路とその打開策についてお互いに議論をしようということにつきまして、この二つの協議を目的にいたしましてただいま申し上げたいわゆる検事会同、検察官会同が六月十七日、本庁と原鶴の「ほなみ」旅館においてて行なわれたわけでございます。この検察官会同につきましては、福岡の本庁に勤務しております検事と、本庁以外の管内に勤務しております検事がおるわけでございますが、管内に勤務いたしております十七名の検事につきましては、それぞれ福岡への出張命令を出しまして、福岡で一泊するという形の出張命令を出しまして、それに要する旅費を支給いたしたわけでございます。それから、本庁の検事は、検事正以下二十三名になるわけでございますが、それにつきましては小倉外十四カ所にそれぞれ出張命令を出しまして、それに伴う旅費を支出いたしまして、かような出席いたしました検事にそれぞれ旅費を支給し、その旅費のうちからこの「ほなみ」旅館におきます会議終了後の飲食費と宿泊料を拠出させたと、かような事実関係になっておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まずこの十七、十八の会議ですね、これは何か印刷した招集状というか案内状というものは出ているのですか。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) おそらくこれは福岡地検の本庁におきまして検事正名義で各検事に出ておると思いますが、具体的にはいまこちらに持ってまいりませんでしたので……。出ておるはずと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これもひとつ文書による資料を出してもらいたい、よろしいな。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) よく調べまして善処さしていただきたいと存じます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それから十七日の会議は、本庁で何時から何時までやったのですか。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) おそらく九時半から五時ごろまで本庁で行なったと聞いております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それから原鶴温泉では会議はやっておらぬでしょう、実際。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) これは原鶴温泉で、最初に、きょうの本庁における会議の反省と申しますか。そういうことをひざ突き合わせて話し合うという趣旨で話し合ったというふうに理解しておるわけでございます。これを会議と言えばむろん会議であろうと考えておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それはしかし、なんでしょう、酒を飲みながらの雑談でしょう、中身は。それは検事さんのこっちゃから、平生の仕事上の話も出るかもしれん。そんなことは当然、ほかの職業の人であればその話が出ると同じようなことであって、会議は事実上、本庁で終わっているわけでしょう。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) 先ほども申し上げました議題になっていまする全国長官会同の協議事項の伝達でございますとか、公判活動の隘路という問題につきましては、おそらく本庁で全部終わったと思うのでございますけれども、何せ福岡地検の場合には、管内から十七名の検事が参っておりますし、本庁二十三名の検事が出たわけでございます。この四十名の者が一堂に集まるということは非常に珍しい機会でございますので、この者が一緒にこの機会におきまして平生の問題点というものを語り合ったと、かように考えておるわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その本庁でやっているように、ちゃんと検事正が座長に着いて、そうして順序よく発言をしたり、そういう会議は、原鶴温泉ではないでしょう。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) おそらくこれは御指摘のように、検事正が書類を配り、書類に基づいて協議をしていくという形の会議ではなかったと存じております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それでなにですね。から出張で費用を浮かした関係、これをいま十七名と二十三名に分けて御説明があったわけですが、一つ一つ若干これは違うのだと思います。それ、四十名を一覧表にして、合計こうなるというふうな、これはもうあなたのほうじゃわかっておると思いますが、そういう資料をつくって出していただけませんか。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) 提出さしていただきす。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 時間の都合もありますので、端的に聞きますが、新聞等で散見するところによると、こういうことは慣習になっているのだ、だからたいした違法性はないのだと、こういう意味のことがちらちらと言われておるわけですね。法務当局ではこれはどういうふうにそこを考えておるか。これは私は法務大臣に率直に聞いてみたいところなんですが、予算委員会の関係できょうは来れませんから、次回にこれは聞きたいと思うところですが、刑事局長としてはどういうふうにこの点をお考えになっておるでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 検察庁において、このようなことが日常普通に行なわれておるとは、私はとうてい考えられません。こういうようなことは行なわれていないと思います。  なお、いま問題になりました福岡の例は、昨年の夏の一回だけでありまして、その後、検事正は、これはどうもうまくきちんと旅費の執行がいっていないじゃないかということで、それ以降、本件が問題とされます暮れまでの七カ月間というものは、かようなことを一切やっておりません。こういうふうな事情から見ましても、全国検察庁においてこのような旅費の執行ぶりが行なわれているというふうには私はとても考えられないと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 福岡の地検につきまして、一昨年の状態というものをお調べになったでしょうか。これは昨年の事件。一昨年のは。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) 一昨年に検察官会同があったかどうかという実情を調べたかという御質疑でございますか。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 ちょっと待ってください。まあ、時間がないから簡略に申し上げたのですが、ともかく、こういうことが慣習になっておるのだというような、そういう意味の発言が、本件が起きてからこう伝わるわけなんです。したがって、それであれば、一方ではそんなことはないと言う、一方はいやあると言う、そういう水かけ論じゃいけないわけであって、やはり事実が一番大事なことなんです。したがって、年に一回の検察官の会同というものは、これはおそらく一昨年も福岡で行なわれておると思います、これは。その会同についてこのようなことがなかったかどうかお調べになったかということを聞いておるのです。どうです。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) 一昨年については調べておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これはやはりいま私が指摘したようなことが言われるわけですから、それは全国の検察庁全部、そんなことはとても望めぬことですが、せめて問題になった福岡地検だけでも一昨年はどうだろうかというふうなことを調べてみることくらいは私は必要じゃないか。そのほうが良心的なやり方じゃないかというふうに思うのですが、これは調べてもらえますか。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) 一昨年につきましても、調べてみたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 お調べの結果、ひとつ報告いただいた上でさらにお尋ねすることにいたします。  そこで、告発が二つ出ておりますね。一つは一月十九日、藤原明哲という人から、もう一つは、二月三日、弁護士の諸君から出ております。一月十九日、民間の人が告発したけれども、どうも検察庁、本格的に調べないようだということで、専門の弁護士の諸君が出した、こういうふうに聞いておるのですが、この扱いは一体どういうふうになっているのでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 御指摘のとおり、本件につきまして虚偽公文書作成行使、業務上横領という罪名で告発が出ております。高検の検事一名を特命いたしまして、直ちにこの事件の捜査に着手させまして、目下捜査中で、まだ結論についての報告には接しておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 捜査中とは言いますが、この事件は、これは検事の皆さんがおやりになったことなんで、その高検の検事であるか、上と下との関係で、これは調べはきわめて簡単に、常識的に考えても簡単に済むわけなんです。その後このお金を返したというふうなことにもなっていたりしておりまして、事実関係は私はこれはもうきわめて明らかなんだと思う。事実そんな不明確なんですか。明らかでしょう。先ほどあなたが、ちゃんとから出張のからくりについては一覧表にして出します、こうお答えになるくらいこれはもう事実ははっきりしておるわけですよ。何を一体お調べになっておるのでしょうか、刑事局長。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 先ほど経理部長から覧表を提出すると申し上げましたのは、おそらく原鶴へ四十人の検事が行って、会議なり懇親会なりを開いたということにつきまして、各検察官の旅費の支給がそれぞれについてどういうふうに仕切られているかということについての一覧表を御要望によりまして提出すると、こういうことであったと思います。本件は、検事正と、次席と、会計課長の三人を被告発人といたしまして、公文書に虚偽の記入をしたと、それを行使して予算を保管している者がこれを横領したと、こういう罪名になっておりますので、私どもといたしましては、本庁並びに原鶴で開かれた会議の性格なり、その具体的な内容なり、また原鶴における会議の内容はどういうふうなものであったか、それから意見の交換の状況はどういうふうなことかということは、この事実関係確定のまさに基本になる事柄だろうと、こういうふうに思っております。それから旅費の支出の具体的な状況、その支出に関与した人たちの職務権限と、それから具体的な捺印ないしは文書作成の状況、その地位と会計法上における責任、さらには会計法、財政法、それらに関係のあるいろいろの法令の研究、検討というふうなこと。それからさらに、たくさんの人が関与をしておりますので、それらについての率直な意見の弁明を求めるというふうな仕事をやっておりますので、しかく明確な事件で、直ちに結論が出そうなものだと、こういうふうなお考えもあろうかと思います。けれども、やはり慎重にいろいろな方面を調べて結論を出すべきものだと、こういうふうに私は考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 しかし、この虚偽の公文書の作成及びその行使罪ですね、この点は少なくとも明確なんじゃないですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) この旅費の支給にあたりまして、どういうふうな文書が支給の過程において作成されているかという事柄と、その文書の作成の名義並びにそれについての、具体的には捺印とその職務権限、さらにまた具体的な事実の内容を認識してその文書がつくられているかどうかといふうな点は、なかなかそう簡単に必ずしも結論が出るものとは思いません。なお御承知のとおり、たしか大阪高裁にこれとほぼ同じような事件が係属いたしまして、その際に、この下僚が上司の了解のもとに内容虚偽の文書を作成したというふうな場合におきましては、必ずしも直ちに公文書の虚偽記入罪が成立するとは言えないと、こういうふうな判断をされた判決も現に出ているような状況に相なっておりますので、本件の場合に、何と申しましても、検事正が最高の責任者だと思いまするけれども、その下にある、これを補佐する次席検事の権限並びにこの文書を現実に作成いたしましたあるいは会計課長ないしは秘書係長というふうな者の文書偽造についての責任はどの程度にとどまるのかどうかというふうな点、さらには検事正の場合におきましても、文書の虚偽記入についての範囲はどの程度これを確認することができるかというふうな問題はなかなか微妙なものがあるのじゃないか、かように考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それは私は一人一人の刑事責任ということになれば、いまお答えになったような問題点がいろいろあると思うのです。しかし、だれも責任がないということはないでしょう。一人一人がみんな、いや範囲の点だとか、職務権限の点とか、いろんなことでずれていってだれも残らん、そんなことはあり得ないわけですわね。れっきとした文書がちゃんとあるわけですから。その文書の裏づけになる事実がちゃんと現存するわけですから、私はそういう意味でお尋ねしているわけです。この少なくとも虚偽の公文書の作成、その行使罪という点については法律的には成立するということぐらいははっきりこれは断定していいことじゃないかと思うのですがね。一人一人のことまでは、あなた、いまもう少し調べたいと言うんなら、それは調べてもらってけっこうですが、だれも責任がない、そんなことはあり得ぬですわね。その点を聞いている。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) ただいま告発を二つ受けて、高検の検事が特命を受けてその点を詳細取り調べ中でありますので、私どもといたしましては、その取り調べの結果を待ってお答えを申し上げたい、こう思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ告発が出ると、よくそういうことを言われて逃げられるわけですが、まあこれは相当公になっておる問題でもあり、やはり一日も早く明確にしてもらわなきゃいかんと思うのです、こういうことは。  それからこれに関連して、結局、宴会費のうち、約十万余りですか、みんなで国庫のほうに返されたようですね。それはどういういきさつですか。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) 先ほど申し上げました、本庁の検事二十三名について旅費を支出したわけでございますが、この金額が全部で十万九千五百三十四円になるわけでございます。これは二十三名につきまして、先ほど申し上げました小倉外十四カ所に出張したという形になって支出されておるわけでございますが、かような出張が行なわれていないということが私どもの調査で明らかになりましたので、これに対して旅費を支出したのは、支出できないものを支出したということになるわけでございますので、これをそれぞれ返納さした次第でございます。返納手続は、本年の二月二日で、歳入に編入されておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これは一人一人によって金額が若干違ってくるのだと思いますが、だれに幾ら返さしたかという一覧表を出してほしいと思うのです。そうしてその金額を返さした理由もわかるように。できますね。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) ただいまの十万九千五百三十四円の返納につきましては、飯田前検事正が当時のこの二十三名の者にかわって立てかえて、自分の金を立てかえて返納しておるという事情になっております。と申しますのは、当時の検事ですでに転勤をしておる者もございますし、直ちにその各人について返納さすということがむずかしい事情もございましたので、とりあえずこの関係のほうは、本来支出すべきでなかったということが明らかになりましたので、急ぎ返納を命じた次第でございまして、飯田検事正が自分の判断で立てかえて返納をしたという経過になっております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 立てかえてというと、そうすると、ほかの検事の方に一応了解は得ておるんでしょうか。立てかえて、自分のほうから返しておくから、後に各検事から検事正のほうにこれは返さんといかんですわね。そういうことはちゃんと了解されて、そのような手続になっておるんでしょうか。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) これは飯田前検事正において、当然各検事に了承を得てかような措置をとられたものと考えております。あと、飯田前検事正においては、おそらくこれを立てかえたから各検事に立てかえ分を返してくれというような請求はなさらない、自分としてもお騒がせした、経理上の一応の不手ぎわをしたということを痛感されまして、自分のほうで全部責任をもって立てかえ払いをしておるということでこれを措置されたというふうに私どもは考えておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それは各検事に出してもらったほうがいいんじゃないですか。こういうことはよろしくないんだという前提に立つのであれば、そういう措置のほうが私は筋として通るんじゃないかと思うのですね。そうでなしに、検事正だけが自腹を切って穴埋めをしておくというのでは、最初申し上げたような、何か、これは普通行なわれておることなんで、こんなことはもうわかったからえらい当惑しておるものの、それほど一人一人の検事にまであとから出してもらう、そんなもんじゃないんだ、どうもそんなような考え方に通ずるように思うんですがね。せっかく飯田検事正、責任を感じて処理されたんだと思いますが、かえってまずいような感じもするんですが、これは刑事局長、どうなんです。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 人のことを具体的に申し上げてどうかと思いますけれども、前検事正である飯田さんはクリスチャンでもありまして、非常に、検察事務はもとより、自分の身の処し方について非常にきびしい方であるわけであります。先ほどもちょっと触れましたように、適当な措置でないということで、以後は一切そういう措置をやめているというふうなこともその一つでありまするし、今度も、自分のこの旅費の支給については、まことに不手ぎわのために大ぜいの検事に迷惑をかけたというふうなことで、みずから共済組合から相当金額を自分が借り出しまして、その金で支払いに充てているというふうな事情もございますし、それからもう一つ、私どもの考え方といたしまして、先ほど、一昨年は調べなかったかと、こういう御質問で実は気がついたのでありますけれども、検事正は管内のどこの地域にも部下の検事に出張命令を出すことが合法的にできるわけでございまして、本庁だけで会議をしておりますというと、およそ検事は本庁しか知らないので、支部や区検を知らない検事がいまたくさん出ているわけでございます。たとえば異動なんか本省で計画いたしましても、最近の若い検事は全部都会地を好みまして、いなかのほうへ赴任を好まないわけでございます。そういうふうなところから、本省のほうからも指導いたしまして、なるべく検事に本庁だけではなくて支部、区検もよく実態を認識させるようにと、土地を知るようにというふうなことも指導しておりまして、検事正によりましては、そういうふうな年の一、二回の全検事が集まるそういう会同におきましては、必ずしも本庁でやりませんで、あるいは小倉でそれを開催するとか、あるいは久留米でそれを開催するとかいうふうなことをして、全検事に管内を全部周知徹底させるというふうな措置を講じておる方もあるわけでございます。そういうふうな場合におきましては、久留米なら久留米、あるいは原鶴の所在地であるそこを管轄しておる支部に出張命令を出して、そこでもって全検事を集めて、そして先ほど経理部長が申しましたような会議を開催するならば、これはどこから見ましても、むしろ私どもの指導に沿った好ましい会議の持ち方でございまして、旅費の支給につきましても、いささかも非難される点はなかったわけでございます。ところが、検事正、考えまして、原鶴は農業共済組合の「ほなみ」という寮でございまして、純然たる旅館ではございませんけれども、それにいたしましても、原鶴というのは一応温泉地として名前が通っている、そういうところで会議をするのは適当でない、こう検事正が判断されまして、朝九時半から夕方五時過ぎまで、四十人の検事を集めて本庁でもって会議をした。そうしてその後引き続き意見の交換ということで原鶴のほうへ行って、さらに懇親会に移った。これが率直な実態であるわけでございます。  そこで私どもといたしましては、この措置をとられました検事正の人柄なり、その宗教的な態度なり、人格なりというふうなものから考えまして、いわゆるから出張と、こう言うのでしょうか、そういうような形式、内容にも見られるような一面もございますけれども、ほんとうに本質というものを見きわめて見るならば、これは本来そこに出張をさせて、そこでやれば何でもなかったけれども、いろいろな思惑なり、自分の生活態度なりというふうなものから本庁でやって、そうしてあと続いて原鶴に持っていって会議をし、懇親をすると、こういうふうな、何と申しますか、考え過ぎた結果がこのような不始末を生んだ、こういうふうに私ども本質を理解しているわけでございますので、もしこういうふうな見方が許される、またそれが正しい見方だと、そういたしますと、検事正といたしましては、本来原鶴に出張を命じて、あるいは原鶴付近の支部に出張を命じて、そこで会議をすることができたのだ。そうだといたしましたならば、各検事に支給されました旅費は、各検事がそれを正当にもらって、もらった中から相当分を拠出して、お互いの旅費の中から金を出し合って懇親会をしたのだと、こういうことになりますので、結果は、まことに形式的にだけ見ますと形が非常に悪うございますけれども、実質的には、各検事に行くべかりしものを、その行かせるといいますか、受領させて、しかしながら、先ほど経理部長が御説明しましたように、経理の面では確かに不始末でございますので、それに相当するものを検事正が全責任を負って歳入をした、こういうような結果に相なっておりますので、私どもといたしましては、またその後、半分ぐらいがそれぞれ転任して、あちらこちらに行っておりますけれども、もう一回さかのぼりまして、それぞれ自分があのときもらった旅費全部をこの際検事正に返せ、こういうふうに言うのもいかがかと思いまして、思案中であったわけでございます。率直に申し上げて、実情は私はそういうふうに理解をしているわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 おやめになった飯田さんのことは、これは大阪にもおられたし、私もよく人柄は存じております。ただ、いま刑事局長からお答えになった中身を聞いておりますと、やり方がまずかったのだ、やり方さえ間違わなければ、それでよかったのだというふうな気持ちも底に流れておるようですね。だから、そうなりますと、そういうふうなやり方で、いろいろなことがあっちこっちでもやはり行なわれているのじゃないか、つまり実質はいいのだが、形において間違ったことが。実質さえよければ形なんかちょっと曲っておってもいいのだと、こういうふうにも聞えるわけですね。だから、こういうことに慣習になっているのだというような発言が福岡地検内部から出ているようです。だから、そういう意味で言われているのだとすると、そういう意味であれば、これはまた相当広がっているというふうにも推測される。だから、その辺のところがはなはだ割り切れないわけなんです。だから、それはきょうは時間も限られておりますので、あらためてもう少し大臣等にも来てもらって検討したいと思います。それは非常に大事なところです。そこで、われわれは資料として、検事正が立てかえになられたにいたしましても、各人別に、この人についてはこれだけ、この人については幾ら返させるという形でまとめて金額も出され、返されたはずですから、その資料はひとつ出してください。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) 先ほど各本庁の検事についての出張の明細を出せという御指摘でございましたが、その資料でいまの資料がまかなえるわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それは最初の資料で返還の部分も記載してあれば、それでけっこうです。  そこで、会計検査院来ておられますね。またあらためて聞くことにしますが、一言だけ聞いておきますが、いまお聞きになっていたような意味でのから出張、こういうことについて、会計検査院として、いままで事件になったことがあるのかないのか明らかにしてほしい。

井上鼎会計検査院事務総局第二局長

○説明員(井上鼎君) ただいまの御質問でございますが、過去十年間の検査報告を調べてみましたところ、旅費の、いわゆる先生のおっしゃるから出張という問題でございますが、そういった問題で検査報告に載った事例というものは、国の機関については一つもないと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 先ほどの刑事局長のお話を聞きますと、実質はまあ理由があるんだけど、形だけほかの形をかりておるというふうなものが相当あるやに私思うんですがね、そういう立場で調べたことは実際にないんでしょう。ないから会計検査院の問題になっておらないというふうに理解していいんですか。それを検事事項に取り上げてどこそこの役所をやってみたとかいうことが、そのこと自体がないんでしょう。どうなんです。

井上鼎会計検査院事務総局第二局長

○説明員(井上鼎君) 先生おっしゃいますように、旅費につきましては、会計検査院に証拠書類など一応参っておりますけれども、そして私ども書面検査で全部目を通しておりますけれども、やはりそういった、何と申しますか、架空の出張と申しますか、から出張というような問題につきましては、事実書面検査をしても、形式が整っておりますとわからないわけなんでございます。したがいまして、まあ今回のように新聞その他の報道で取り上げられると、そういったような場合でないと、本院だけの書面検査では発見できないのがいままでの例だったわけである、こうお考え願いたいと思います。ですから、実際にそういったから出張があるかどうかということについて全然無関心であったということはないと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 結局、まあ調べなかったからわからなかったと、簡単に言えばそういうことですね。  それで、今回のことについては会計検査院としてはどういうふうな考え方なんですか。お金を返すについても会計検査院が若干助言をされたというふうにも、こう伝え聞いておるわけですが、その間の事情並びに考え方をこの際明らかにしてほしい。

井上鼎会計検査院事務総局第二局長

○説明員(井上鼎君) 今回の事件につきまして、先ほど法務当局のほうからもお話がございましたように、福岡地検の本庁勤務の検事二十三名分でございますが、この二十三名分につきまして小倉ほか十四カ所へ出張したということで、十万九千五百三十四円というものが支払われておるわけでございます。で、この分につきましては、これは全く小倉ほか十四カ所へ行った事実ももちろんございませんし、あらかじめ、何といいますか、作為された旅行命令というものが作成されて支払われた旅費でございます。したがって、これは旅費法に違反する、国家公務員等の旅費に関する法律に違反する行為であるというふうにわれわれは判断しております。したがって、その金額については、これは全額国に返していただかなければならないということを法務当局にも申し上げて、現実に二月二日に全額歳入納付されたと、こういう次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その返し方の問題ですがね。先ほどのお話ですと、検事正がああいう人柄ですからほかの検事から徴収しないで自分で返したと、実質はそうなっているんですが、それはそれでいいのでしょうか、会計検査院の立場としては。それは内部関係であって、そういうことはどちらでもいいというお考えでしょうか。

井上鼎会計検査院事務総局第二局長

○説明員(井上鼎君) なかなかむずかしい問題かと思いますが、まあ、私どもの立場といたしますと、十万何がしといういわば違法に支払われた金額が歳入納付されたということで、その経理が是正されたものと考えておるわけでございまして、その金額が、検事正だけがお払いになったものか、あるいは他の検事分をそれぞれ集めてお払いになった、何と申しますか、払い込まれたものかどうかということは、一応現状では問題にしておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ、この点は一応この程度にしておきます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この出張は六月十七、十八ですね、去年。これは何曜日だったのですか。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) 六月十七日は金曜日でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、金、土と行ってですね。これは公判なんかの立ち合いなんかあるわけですね。それは延期して行っているのですか。どういうふうにして行っているのですか。これはよくあるのですね。会同だっていうので公判が延期になっちゃう。身柄入れっぱなしで行ってみればきょうは延期なんて……。まあ、こちらが延ばす場合があるからあまり言えないのですが。よくあるのですね。どうなっているのですか、これは。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) その点を考慮して検事正が本庁で朝から晩まで開かれたのだと思いますが、支部は、支部長だけは来ておりますが、おそらく公判には支障なくまかなっていたものだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、会議に出た人と原鶴に行った人とは違うのですか。全部行ったわけじゃないのですか、管内全部は。十七日の朝から晩までの会議に出た人と、出ないで、支部で公判なんかやっていて、原鶴か何かにだけに参加した人もいるわけですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 一応全検事が参加しておりますので、支部のほうは検察官、本来の検事たる検察官はいないと思いまするけれども、それ以外の副検事ないしは検察官事務取扱の事務官というふうなものは支部におるわけでございますから、その点は、それでまかなえる部分はそれでまかなっておったと思います。本庁は一応本庁で全部おりますので、公判担当の人がそのときだけ会議をはずすと、こういうことでやっていたのだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 どうしてこんなことが、まあ、わかったと言っちゃおかしいですけれども、問題になったのですか、この事件がね。から出張とかとまあ騒ぎ出しましたね。どうしてこんなことが騒がれるようになったのですか、変な質問だけれども。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) どういうきっかけでこれが公になったかということにつきまして、私ども検察庁という役所といたしまして、どういうきっかけで出たかということ、興味はありますけれども、これは適当なことではございませんので、私どもとしてはそのニュースのソースについてはあまり追及をしておりません。ただいろいろ新聞雑誌等に語り伝えられるところによりますというと、部内の人から故意に外部に漏らしたものじゃないかというふうなことが伝えられておるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 まあ、そういう点はですね、何もぼくも興味持って聞くわけじゃありませんけれども、まあ、部内が一応不統一だったんじゃないですかね。というのは、検事正がああいうおとなしい人ですから、これは判事出身の人でしょう。途中から検事になった人ですね。次席もわりにおとなしい人ですわね。うまく、何というかな、部内を統御できなかったとか、そういうことがあったんじゃかないと思いますけれども、これはまあここで論議する筋合いじゃないからやめますが。そうすると、法律上の問題点いろいろありますね。本件が、まあ旅費法の問題は別として、いわゆるこの一般刑法上の犯罪が成立しないという見解も成り立つのですか。その余地があるのですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 文書偽造とそれから横領の点だと思いまするけれども、まあ、何と申しましても、検察庁が調べ中で、まだ結論出しておりませんので、罰則の行政解釈をする立場にある私から、ここでそれがなるとかならないとかと言うことは、実はその前にはっきり申し上げることは、まあ、できれば差し控えさしていただきたいというのが私どもの率直な気持ちでございますので、その辺でどうぞ。  先ほどちょっと、実質だけよければ形式はというおしかりがございましたが、実質を正すとともに形式も正すというのが私は公務員のあり方だと、こう思っておりますので、形式の点がうまくいかなかったという点につきましては、経理部長とともに本日きわめて低姿勢でお答えを申し上げておる次第でございますので、御了解を得たいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 刑事局長かわられてから、あなたになられてからというと語弊があるけれども、初めてですけれども、なかなか答弁もまじめで——まじめと言っちゃ悪いけれども、あなたのほうがぼくより先輩なんだから、ぼくは後輩なんであれだけれども、非常に内容もあるし、よく勉強もしておられるしということでなかなかだと思いますけれども、何か聞いていると、犯罪にならないという前提のように聞こえるんですよ、聞いていると。そこへ持っていこう持っていこうというふうに聞こえるんですけれども、犯罪は成立しないということも考えられるんですよ。これ以上聞きませんけれども、そういうこともあり得るわけですね。あなたのほうで、高検でやっているわけですか、これはだれがやっているんですか、村上検事がやっているわけですね。そこでやっているものをこっちがかれこれ言うべき筋合いじゃありませんね。捜査を請求することになりましたから、これ以上聞きませんけれども、聞いていると、何だか犯罪にならないというような前提で話をされているように聞こえるわけです。まあこれ以上聞きませんが。そうすると、こういうふうなことが問題になって、検察の威信というようなものが——検察の威信とは何ぞやという議論になるけれども、検察の威信というものが落とされたと、こういうふうにお考えなんですか、いや、どうってことはないということなんでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 検察の威信が落ちることを私はたいへん憂えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 いや、落ちることを憂えているんじゃなくて、こういうことがあったので落ちるというふうにお考えなんでしょうか。そこはどうなんですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) たいへん遺憾なできごとだったと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 どういう点が遺憾なんでしょうか。あなたの話を聞くと、別に遺憾でも何でもないように聞えるんだが。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) あとの原鶴出張の点でございますけれども、これがすべて犯罪にならないんだというふうには申し上げてこなかったつもりでございまして、せっかく調べ中でありますので、検察庁の結果を待ってまた私どもの見解を申し上、げたいと、これが結論でございまして、犯罪にならないということは私実は申しておらないつもりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、旅費法違反というのは、条文はどういうところですか。これは会計検査院のほうですか。

井上鼎会計検査院事務総局第二局長

○説明員(井上鼎君) 旅費法では、第三条で「職員が出張し、又は赴任した場合には、当該職員に対し、旅費を支給する。」とございまして、それから第四条におきまして、そのただいま読みました条文に該当する旅行については、旅行命令権者が旅行命令を発することによって行なわなければならない、こういうことになっております。したがって、旅行をするについては、旅行命令によって現実にその命令を受けた者が旅行をするにあたりまして旅費を必要とした場合に旅費の請求をすることができるのです。しかるにこの本件の場合は、その前提となりますところの旅行の事実がない、旅行命令の内容が虚偽であるということで旅費法に違反する、こう申したわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 このことに関連をする処分というようなものはどういうふうになっているんですか、処分といったって何もやめさすとか何とかという意味じゃなくて、検事正は任意的に辞表を出されたのでしょう。受理されたのですけれども、それで本件については終わっちゃうわけですか。

辻辰三郎法務大臣官房経理部長

○政府委員(辻辰三郎君) 本件につきましては、会計的には予算執行職員等の責任に関する法律の第三条による弁償責任があるかどうかという問題が、一つの会計的な責任の問題になろうかと考えておるわけでございますが、私ども部内におきましては、十分この点につきまして検討いたしたわけでございますが、現在は第三条には該当しないと、返納の事実をもって会計的には裁定処分の処置を了したと考えている次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 検事正がやめられて、長富さんが検事正で行かれたわけですね。その福岡の検事の人が、あの件があってから、一般の週刊誌に出たり、新聞に出た関係もあって非常に仕事がやりにくくて困るというふうなことを仄聞をするわけですよね。それで何か、これは内部の話ですけれども、福岡地検の検事を大幅に何か異動さすというふうなことが伝えられておりますね。それでないというと面目一新しないと、面目というか、内容一新しないと非常に仕事がやりにくいというのですね。罰金なんか納めろというので呼ぶでしょう。そうすると、何だ、検察庁でから出張していながらおれたちに罰金納めろと言うのはけしからぬとやられるらしいんですね。それで困っているという話も伝わっているんですがね。そんなことで、これはあなたが答えるべき筋合いじゃないので大臣——まあ大臣が答えるかどうかということがあるとしても、何か全体的な、長富さんが行って、その結果としての陣容をある程度一新するというか、そういうふうな形で、何といいますかね、新しい福岡地検の出発というか、気分的な出発というか、こういうふうなものをはかろうというふうな動きがあるのですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 仰せのとおりでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それでは次に金東希の亡命事件についてお尋ねいたします。この韓国人の金東希氏は韓国の軍人でありますが、彼が韓国の南ベトナム派遣軍の一員ということでベトナムに派遣される、こういうことになりましたが、本人はこれに反対ということで、昭和四十年八月十六日ですか、韓国から日本に入って来た。彼の希望は、第一には日本におること、もしそれがどうしてもだめならば朝鮮民主主義人民共和国、北のほうに行きたい、こういう希望を日本政府に出しておるようです。ところが、日本のほうでは、まず入管令違反ということで裁判にかけ、その結果実刑が科されたわけで玄が、その刑が終わると同時に、今度は韓国への強制退去、こういう処分をされておるわけですが、まあ、この問題の本質をずっと究明してみますると、こういう処分はあまりにも過酷ではないかと、国際的な慣例なり、人道の立場にも反するのじゃないかと、こういう感じがいたしまして、ぜひ法務当局のひとつ見解を聞きたいということで議題になったわけです。入管のほうでも当然問題点を整理をされて来ておると思いますが、当初にひとつ法務当局の見解を明らかにしてもらいたいと考えます。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) お答えいたします。金東希は、ただいま亀田先生御指摘のとおり、昭和四十年八月十六日、長崎県上県警察署につかまりましたのでございます。そのつかまりましたのが長崎県の対馬に不法入国をしたからでございます。そして、その後の経過も、ただいま亀田先生の御指摘のとおり、裁判を受けまして一年の懲役実刑を終わりまして、この二月に出てまいりました。ただいま大村収容所に収容し、退去強制を待っておる次第でございます。ただ、金東希が、今回と申しますか、昭和四十年に日本に参ったのは、本人の申し立てによりますと、確かにベトナム派兵と申しますか、出征と申しますか、ベトナムへ出かける命令を受けたということに対して、自分は主義上は反対であるし、いやであるということで日本に逃げてきた、一種の徴兵忌避と申しますか、脱走と申しますか、そういう立場で逃げてきたと申しておるのでございまして、その供述はうそではないと思うのでございます。しかし、この人は、亀田先生もすでに御存じだと思いますが、昭和三十年四月に日本にまず密航してまいっております。それから次には昭和三十七年に日本に密航してまいっております。最初、昭和三十年に参りましたときには、実は東京にこの金東希という人の兄が荒川区のほうでくつ屋をやっておるのでございまして、十二人も従業員を使っておりますので相当大きなくつ屋さんだと思いますが、この金東仁と申します兄をたよりましてまいったのでございまして、そしてうまくと申しますか、日本の官憲に見つからないで兄のところまで着きまして、そしてここを根城に韓国学園高等学校という学校へ通っておりまして、そこを終えてから今度日本大学へ入学いたしまして、日本大学でいろいろの手続の関係から、この人が外国人登録証明書を持っておらないじゃないかということが問題になりまして、どうして入ってきたのだろうということからだんだん筋をたどってみますと、この人は密入国で来たのではなかろうかということになりまして、当時の司直に発覚したわけでございまして、強制退去を命ぜられ、三十五年三月に帰ったのでございます。次いで三十七年の五月に再び参ったのでございますが、これもやはり当時の申し立ては、自分は近く徴兵にとられるおそれがある、したがって、本国におりたくないということで参ったのでございまして、このときもやはり徴兵忌避という、まあ忌避と申しますか、徴兵に行きたくないということを口実に参ったのでございますが、このときは運悪くと申しますか、入国後すぐつかまりました。そして若干の手続その他の期間を経まして、その年の十月に送り帰されておるのでございます。そういう過去二回の経歴がございまして、そして今度三回目に日本に参ったのでございまして、もちろん最初に来たときはまだ徴兵とかなんとかいうこともなかった関係もございましょうが、とにかく日本に来たい、日本におりたい、日本に住みたいということがこの人の一番大きな日本に来る動機であり、目的である、かように考える次第でございます。したがいまして、私どもといたしましては、とにもかくにもこの人は日本に来たい、そして日本に住みたい、そういうために、その自分の目的を達するがために不法入国をした人である、この事実は何としてもおかし得られないのでございますから、法令の規定するところによりまして不法入国をした人はとにかく退去強制を命ずるという考えに基づきまして退去強制を命じておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 問題点幾つかあるわけですが、まず本人が韓国において軍籍にあったこと、このことは法務当局も認めておられるようですが、念を押したいと思います。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 本人が軍籍にあったかどうかということは実はただいま私が申し上げましたように、本人はそう申しておるのでございまして、おそらくそうであろうと私ども推定はいたしております。しかしながら、本人の姉の金東月と申しましたか、本人の姉がやはり不法入国でつかまりまして、この本人のことについて陳述したことによりますというと、本人はすでにもう軍籍は出た、除隊したということを申しております。しかし、またその後この姉がどういう経緯があったのか知りませんが、やはり本人の金東希なる者が韓国に逃げてきた四十年八月現在は軍籍にいたんだということで、供述をひるがえしておるのでございまして、そういうような点から私どもといたしましても、亀田先生御指摘のごとく、軍籍にあったものであろうという推定はいたしておるのでございますが、最後的な確信はございませんので、この点はただいま調査中でございます。ただし、おそらくそうでないかという印象は持っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 本人は軍籍証明書を持っているようですが、これは法務省当局では確認しておられますか、文書自体。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) そういうものを持っておったという報告は受けております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その写しなどはとっておられぬわけでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) ございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それはどういう写しなのか、本件の事実関係を判断していく上で相当重要な文書になろうと思いますので、御提出を願いたいと思いますが、よろしいですか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 喜んで御提出いたします。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それからこれは刑事裁判にかけられましたね。その中でもおそらくそういう点についての本人からの申し開き等があっていたしておることと思いますが、判決文などにはそういう事情等については書かれておのるでしょうか、どうでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) その点は承知いたしません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これは第一審判決が一番詳しいわけですが、判決文は持っておられませんか、法務当局として。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 判決文自体は、本局、役所に帰ればございますが、ただいまここには持っておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その判決文ではその点の記載などがどういうふうになっているかちょっと御記憶ないでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) その点は先ほども申しましたように、私まだ判決自体は読んでおりませんから、帰りまして読みました上であらためて御連絡申し上げます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これは事実を確定していくことが本件を扱うに非常に大事だと思いますので、判決のことですから、こちらも最高裁へ要求すればもらえるわけですが、あなたのほうにあるのであれば写しをひとついただきたいと思いますが、よろしいですね。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) けっこうでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そこで次にお尋ねしたいのは、本人の意思ですね、考え方、これはいま局長からもともかく日本におりたいという希望を持っておる人のようだ、そうして過去二回のことについてお話があったわけですが、今回が三回目、今回はともかく日本に兄弟もおることだし、こちらに来たいということのほかに、ベトナム派兵というものが重なってきておるのが本件の事案だと思うのですね。そういう意思を持っておること自体、これを日本政府が承認するしないというのは、また別個な問題になりますが、本人としては日本におりたい、それにプラス今度はベトナム派兵には行きたくない、こういう考え方で来ておるのだという本人の主観的な意図ですね、これはそういうふうに受け取っておられますか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) ただいま御指摘の点でございますが、これは当初私からも申し上げましたごとく、今回の金東希の来日しました動機と申しますか、理由の一つにベトナム問題があるということも私ども承知しております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 本人から一月二十三日付で亡命願いというものが法務大臣あてに出されておるようですが、これは間違いございませんね。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) はい、そのとおりでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この亡命願いの中身ですね、端的に言うてどういうことなんでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) これは亡命願いで、要するに、日本におらしてくれということでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 理由はどういうことですか。いろいろ書いてあるようですが。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 理由は、やはりいまのベトナムに対する出征は自分は好まないということでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 われわれも亡命願いなるもののこれは印刷したものを見ておるわけですが、しかし、これは何といっても私的なものでありまして、あなたのほうに出ておる正規のものの写しですね、これも資料としてひとつ御提出願いたいと思いますが、よろしいですな。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) かしこまりました。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そこで福岡の入管の警備二課長——名前は私ちょっと失念しておりますが、本人に対してそういうことを言わないで、韓国へ帰れ、こういう説得をしておるやに聞くわけですが、もちろん本人はそれは聞かないが、説得には応じないが、そういうことをやらしておるようですが、これは法務当局あたりからの指示か何かでおやりになったことでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) ただいまの御質問でございますが、福岡には警備二課長という職はないそうでございますから、あるいはだれか警備官がそういうふうなことを申したかと思うのでございますが、私どものほうからそういう説得をしろという指示を出したことはございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 警備二課長というのがないということなら、ちょっと私のこれは資料の集め方の間違いだと思いますが、ともかくそういう説得が入管の内部の方からなされて本人としては当惑しておるということがあるわけですが、これはひとつお調べ願いたいと思うのです。だれがそういう説得をやっておるのか。  それともう一つは、韓国の日本におる領事ですね、この方が金東希に面会を求める。金東希はそれは会いたくないと言うておるのに、策略を用いて会うような場面をつくった、こういうことがまた伝わってきておるのですが、こういう事実はお聞きになっておらぬでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 韓国の領事がこの金東希に面会をしたというのは、事入管に関しまする限りは、大牟田に収容いたしましてから二月二十日に一回会っただけでございます。ただいま御指摘の策略をやっておるおらぬということは、私どもとしては承知いたしません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 しかし、本人は在日韓国領事には会いたくない。それをどういうふうにして会わしたのか知りませんが、それも調べさせてください、事実を。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) いや、ただいまのは私のことばが足りなかったのか知りませんが、韓国の領事が実際会いたいと言っておりましたのは、二月二十日に言ったのでありますが、結局本人は拒絶しておりますから会っておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 結局会わなかったわけですか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 入管に身柄が来てから会っておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それじゃ、まあ会っておらぬのならそれでけっこうです。会う前に、そういういろいろ会わせようとした段階での私の資料の取り違いかもしれませんのでけっこうです。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 亀田先生などにはまさに釈迦に説法と申しますか、私ごときから特に御説明するまでもないことでございますが、御承知のごとく、領事というものは自国民保護ということで、自国民が諸外国の牢屋などに入れられますと、とかく面会に行きまして、本人に心身の異常がないか、獄吏から拷問などを受けることがないか、意思に反した自白を強要されることがないかというようなことを心配することがございまして、これは日本でも、日本人が外国において何か牢屋に入れられますと、やはり面会を求めに行くのが領事の職務の一つになっておりますので、あるいは韓国領事がやはり自分の職務に忠実ならんとしていろいろ面会を求めているということは、これはまあうなずけることでございますし、また、収容しておるほうから申しますと、その外国の領事からそういう要求がございましたならば、これはやはりできるだけ会うように、何といいますか、取り計らってやるというのがまあ一つの国際的な世界の慣例になっておると存ずるのでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあそれは一応局長は理屈を言われますが、その不法入国した者に領事が一々会うておることでも平素ないわけでありまして、これについてだけ特に面会を希望する。これはやっぱり意図があってやっている、意図があってね。そういうことだから無理をせぬほうがいい、こういうふうに無理をして会う意図があるのだから、ほんとうに保護するということなら、それは向こうだってその面会に応じます、当然。だからそういう意図があっての面会というようなことを押しつけるというふうなことは、やはりせぬほうがいいというのが私たちの考えなんです。そこで金東希のことについて、韓国政府から、早う送り帰してくれというふうな申し込みが日本政府には来ておりませんか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) いまのところは来ておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 正規の文書では来ておらぬかもしれぬが、そういうふうな話もありませんか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 金東希個人に関しては、特に話はございません。ただ一般論といたしまして、韓国から来たものは韓国へ帰してもらいたいという話はございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 一般論は別として、金東希についてそういう意思表示がなされておらぬということであればこれはけっこうなことです。金東希についてこの扱いをどうするかということは、非常に重要な問題だと思うわけで、私の考えを端的に申し上げますと、金東希は政治亡命者または政治犯罪人、少なくとも、いわゆる政治的な難民、こういうふうな立場の者と見るべきじゃないか。結論的に申し上げると、ともかくベトナム派兵に反対してこちらへ来たわけですから、韓国のほうには国家保安法とか、反共法とか、特殊犯罪処罰法とか、いろいろなこういう案件に適応できる法律がたくさんある。兵役法などでも規定しているでしょう。それは非常に重い刑ですね。死刑とか無期とか、そういう対象の人でして、当然、私はいま申し上げたような範疇に入れて考えるべきものだと思う。それは第一回目は事情が違います。第二回目は若干、兵隊の関係が出てきた。第一回目と第二回目がこうだったから第三回目も普通の密入国者として考えるのだと、ただ日本におりたいということだけに着目をして、金東希の性格をきめるということは、これは私はちょっと現実に合わないはなはだ酷な見方だと思うのですね。どうでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 金東希の日本への入国——不法入国でございますが、この不法入国をいかに見るかということは、ただいま亀田先生御指摘の点を含めまして研究中でございまして、ただいまの亀田先生の御意見は十分考慮に入れた上で研究したいと存じております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これは大いに御考慮を願えるのであれば、もうこれ以上聞く必要もないわけですが、何ですね、昨年、まだあなたが入管局長になられる前に、平新艇事件というのがありましたね。これは公海上で殺人をして……。

浅井亨公明党

○委員長(浅井亨君) ちょっと速記をとめて。

浅井亨公明党

○委員長(浅井亨君) それじゃ速記を起こして。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃ大臣が来られたから、立ってなにしますが、これはあなたのお茶の会か選挙違反か、新聞では選挙違反のようにもとられている、告発としては選挙違反の告発がありましたね、あれの。一つは警察ですか、告発の内容をちょっとお聞かせ願いたいと思う。

内海倫警察庁刑事局長

○政府委員(内海倫君) 告発の内容全部をきょう持ってまいっておりませんが、告発の概要を御説明申し上げたいと思います。  実は、京都府警察本部におきまして、田中法務大臣のお茶会の中止のはがきが出ておりましたので、京都府警察におきましてもその実情を調査中でございましたが、たまたま本年の二月十八日に京都府警察本部の捜査二課に対しまして、京都市左京区在住の弁護士の能勢克男さん外八名の方から、この田中法務大臣のお茶会の中止のはがきを出したことは、田中さんが自己に投票を得る目的で法定外の文書を頒布し、立候補届け出前の選挙運動をしたものである、よってこれは公職選挙法の第百二十九条及び第百四十六条の違反に該当するものと考える、ということで、田中伊三次代議士を被告発人として告発状が提出され、捜査二課ではこれを同日受理いたした次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 法務大臣、予算委員会が一時二十何分から始まるということですから、急いでやります。  そうすると、大臣としては、結局このお茶会の中止ですか、はがきを新聞によると七万枚とか八万枚とか出されたことは御存じなのですか。それを大臣が知っているかどうかということと、どういうおつもりで出されたかということ、ことにこれと公職選挙法との関係についての大臣の見解をこれを先に伺いたい。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 初めてのことでございますから、ごあいさつを一口だけ申し上げます。  このたび私はからずも引き続き就任いたしました。どうかよろしくお願いいたします。  それから、御質疑でございますが、一口申し上げます。私は過去二十三年間、二十二回続いております、今年で二十三回目でございますが、毎年一月一日から三日までこれを慣例といたしまして、私の宅に人に知られた茶室がございます。その茶室に人を招きまして茶会をいたします。これは政治家のやることでございますので、小規模のものではございませんで、大体七、八万通、私の支持者の全団体に一種のごあいさつとしてお招きをいたします。そのうち一千人ぐらいが三日間に参りまして、大ぜいに手伝いをさせますが、私みずからが茶筅を持ちましてお茶を立ててこれを千人の人に差し上げることを例といたしております。本年もやりたいと考えて数カ月前から、夏前から準備をいたしまして、ようやく十二月になりまして八万数千通の表書きができ上がったところに、ほんとうにはからずも私が法務省につとめることにきまりまして、宮中参内もありますし、法務省の行事もありますので、お茶会をやって京都に落ちついているわけにはとうていいかないということになりましたので、案内状を書くつもりで表書きをしておったのを断わり書きに書きかえました。しかし、この断わり書きにもどうぞよろしくなどということばを書いて、選挙が近いのに、いつであるかはわかりませんでしたが、近くあることは想定ができておりましたので、選挙が近いときに誤解を招いてはいかぬというので、一言も選挙に関係のあることは書かないようにいたしました。その文字をそのままに申し上げますと、私は二十三年間にわたり茶会を継続してまいりましたが、このたびは法務省につとめることになり、宮中参内、法務省の行事その他で茶会をすることができなくなりましたので、私の都合のよくなる時期まで延期をさせていただきたい、こういう文章なのです。そのとおりに新聞に出ておりますが、そういう文章のはがきをそのまま出させました。秘書は自分の責任で出したというふうに言っておるかしれませんが、これは間違いでございまして、私がみずからの責任で書いて、それを出してよろしい、選挙が近いと困るから早く出すがよかろうということで、解散にでもなると当然誤解を招くことになりますので、早く解散にならない前に出すようにということで、二十二日に投函をいたしました。投函をしました二十二日には、二十七日の解散については私たち閣僚といえども予測できなかったのが、この本年の解散の特徴でございます。そういう解散の予想ができない時期に、いつかは選挙があるとは思っておりましたが、二十七日ということは予想できなかったのでありますが、その二十二日に投函をいたしまして、大体二十四日中にはおそくとも市内で発送した。東京で出したのではなしに、京都から出したものでございます。二十四日には全部配達が行なわれておる様子でございます。そういう事情でありまして、票を得る意思がない、票を得る意思があったのなら今後ともよろしくお願いしますというぐらいのことは、私のことでございますから書くはずでございます。何にも票を得る意思がない、こういうことでございます。そこで要らぬこと申し上げるようですが、時間がございませんので一口特にお許しをいただきたいと思いますが、選挙で、弁護士が告発しているのは弁護士の勉強不足でございまして、文書違反とか文書図画違反ということは、立候補をいたしまして、告示になりました後に適用される条文でございます。その告示前に文書違反などというものはございません。しからば違反の行動でおしかりをいただくことがあるとするならば、その言動、ことばなり文書なり演説なりというものが、やがて自分が立候補をしたときに票をいただきたい、票を得る意図をもっての言動というものが処罰される。それ以外の言動は憲法上発言はすべて自由でございます。したがって、私の出しましたはがきの文言に、票を得る目標の文字が一字もないという御認定があるならば、どんなに私が情をにくまれてもこれが事前運動になるなどということになろうはずがない、こういうことでございます。しかしながら、それは私の意見でございます。私の法理論の意見でございますが、もしも官憲がこれをごらんになりまして、刊事訴訟手続によって手続が進んでおるわけでございますから、法に触れるものとの認定が行なわれましたときは、私はいやしくも法学博士、法務大臣の私がみずから筆をとって書いたものでございますので、大臣を辞職するのみならず、国会議員を辞する。私の法学博士の学位は返上する。そうして一切政界から足を洗って反省をしたい。私は世に立つ資格はないと、こういう決意を持っておりますので、私は本日も進んで出てきたわけでございますが、どうか諸先生におかれましては、法務大臣とお考えいただかずに 一議員だとお考えをいただいて、厳格にひとつこれを究明をしていただきまして、非あらば私は起訴などを待たずに、直ちに責任をとり、直ちに辞職をするという決意を持っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 時間が十分ないものであれができませんけれども、投票を得る意図とかなんとか言っても、それは必ずしも文字にあらわさなくても幾らでも間接的な表現でわかるわけです。こういうことはあるわけですけれども、ここで世間の人が疑問に思うのは、田中さんのうちにどんな茶室があるのか、ぼくは見たことはありませんけれども、そんな大きな茶室というのはおそらくないわけです。野点をやるわけではないでしょう。茶室でしょう。それでは七万枚も八万枚も出して、みんな来たらどうするのですか。千人ぐらいしか来ないのだという前提がおかしいわけなんで、それが一つと、それから断わり書きを出す必要はなかったのじゃないですか、何も。ちゃんとやればよかったのではないですか。やっても別に毎年やっているならば疑惑をこうむることはないのじゃないですか。そこら辺が疑問になってくるのですがね。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 過去二十二回継続してやっておりますが、最初は三百人内外でございました、数万人の案内状に対しまして。それがだんだん多くなりましても、このごろは千人前後でございまして、千人をこえたことは少のうございます。それでありますから、そんなに来るものではないということ、それから私どもの茶室の控えの間にはたいへん広場がございまして、百四、五十人の人々がゆっくりおれる控えの間がついてございます。茶室に入れるのは三畳小間の、正式の三畳の小間でございます。これが茶室の正式のものでございますが、その三畳の小間に五人ないし七人の人を招きまして、どんどん出ていただいて、交代をしていただくということでございますので、一千人ともに三日間にやることはいと楽にやれることでございます。ただ、湯をついだり、それから茶さじを持って茶を入れる、湯をつぐということは全部女の子にやっていただきまして、私は茶筅を操作するだけが私の役目ということで、おいでになっておすわりになる間に五、六人のお茶は立つ、差し上げる、お飲みになる、瞬間に交代をするということで、千人は十分に三畳小間で操作ができておるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 七万枚も八万枚も出したということは、結局あれでしょう、たくさん出したほうがやはり政治活動——選挙とは言いませんよ。政治活動には有利だという判断があることは間違いないのでしょう。選挙とは言いませんよ。私は政治活動という意味でいった場合にそうじゃないかということが一つと、それからいま言った、何も、延期する必要はなかったのではなかったですか。何も、やったってよかったのじゃなかったですか。そこら辺はいかがですか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 元日は宮中参内がございます。伊勢参宮もございます。とうてい正月に京都に帰って、お茶席をやっておるということはできない、こういうふうに考えました。  それからもう一つ忘れておることは、私は十年前、石橋内閣のときに、十二月二十三日に大臣になりました。ちょうどそのとき——そのときには何も出さなかったのです。あまり接近しておりましたので……。で、今度、十二月三日に大臣になりました。そのときには、ほうっておきましたら、三百人をこえるお客さんが——その当時ですでに十何回か継続しておりました。たしか十二回目か三回目でございました。たくさんの方が見えまして、正月の元日から紋つきを着て、玄関に見えた人におわびをいたしまして、たいへんこちらも困りましたが、おいでをいただきました人にも恐縮をいたしましたようなことがございましたので、このたびは、せっかく表書きをしておったものでございますから、これを書きかえたということでございます。  それから、先生のいま仰せになりました、数が多いのじゃないかということでございますが、数は確かに多いのでございます。多いのでございますが、これは、政治活動の一つとして、私が二十何年間続けてきており、それが選挙運動だと仰せになりますと、それは申し上げることがございませんが、これは許された選挙活動ということでありまして、まさに私の心情は、選挙活動としていたしておりますので、数が多いわけでございます。そういうことでございます。政治活動、政治活動としてお茶の会をやっておるのではないかという仰せをいただきますと、そのとおりでございます。政治活動としてやっておるということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 選挙は近くある、解散はいつかあるとして、近くあるということはわかっていたわけでしょう。そのときに、これはやはり政治活動としてやったほうが、たまたま田中さんは最高点で当選するんでしょうけれども、選挙に有利になるということは、当然常識的に考えられるのじゃないですか。そうじゃないですか。これは、黙っていたらどうなんですか。黙っていて、延期をしたということで、延期の通知も出さなかったら……。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 御無礼ですね。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 御無礼でしょうね。それで延期の通知を出したということによって、自分の政治活動に有利になるわけですね。それは近く選挙があるということはわかっていたとあなたは言われるのですから、そのときは、その通知は、自分の選挙活動にとってプラスになっておるのじゃないですか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) いいえ、それは選挙活動とは関係がございません。立候補をしなければ、わが国の選挙法規では選挙活動はあり得ないわけでございます。立候補をする前はあらゆる言動は自由でございます。ただ、いけないのは、票を得る意図をもってする運動がいけない。それがいけないということでございまして、それ以外は、演説自由、通信自由、いかなることも、立候補いたします前は自由でございまして、憲法はこれに対して保障を与えておるということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 憲法のことはそのとおりです。あらゆる自由があることはわかっておるのですが、私の言うのは、立候補前のは事前運動、いわゆる票を得るための事前運動は違反だと、こういうことなんですね。あなたの言われるのは、政治活動ということは、これは認めておられるわけですね。政治活動ということであるとすれば、近く選挙があるということはわかっていると、あなたはおっしゃったのですから、政治活動はイコール選挙活動という色彩を帯びてくるのじゃないですか。常識的には、合わさっているのではないかということで、ぼくはそれを聞いておるわけです。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) その先生のおことばは、立候補の瞬間以後においては、いま仰せのとおり、私の政治活動は選挙活動につながる。そこで、私、案じましたのは、はがきを本日出すと、明日解散になった、明後日、はがきがついたということもあり得るわけです。いつやるかわからぬというのがことしの特徴でしたから……。そこで、早く出せ、早く解散せぬ前に出しておけ、それを早く出しておけば、いま仰せのように、選挙活動とつながる心配は絶無でございます。決してつながりません、理論的には。つながるものではない。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 まあ、法学博士で、いろいろな御勉強をなすっていると思うのでありますけれども、それはいろいろあると思うが、しかし、世間の人はなかなか納得しないですよ。納得しないというのは、あなたには悪いけれども、とにかく七万枚も八万枚も、何でそんなに出すのだろう。そういうことについて納得しないわけですね。しかしそういう、あなたはあなたの御見解があるわけだから、これは進んでこの問題は検察庁に移っているわけですね。検察庁に移っていったあとでも、これはあなたとしても十分、自分自身の態度については、言いたいことは言って、そうして検察庁の調べに対しても、これは公明正大にそれを受ける、こういうことをお約束できるわけですね。法務大臣としてかれこれ下のほうに圧力を加えるというようなことはしない、公明正大に検察庁の取り調べを受ける。そうして黒白を明らかにするという態度であるということは明らかなわけでしょう。それだけお伺いして、時間がありませんので私は終わります。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 告発を受けたことは新聞で知りましたので、直ちに私はみずから進んで供述書をつくりまして、こういう事情である、選挙のために、票をいただく意図を持って行なったものではない、文面を見ろ、こういう意味の文書をつくりまして、私が進んですぐ送りました。しかし、それはもっと詳しく聞きたいということでございましたので、私も喜んで応じまして、事情の聴取を受けて、こういう供述書ができております。必要があればいつでも私は出てもいいと考えておる次第でございます。そういうことでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 先ほど大臣に一言だけ私は質疑しようと思ったのだが、一言だけ聞いておきたい、時間がないですから。  それは例の金東希、これは御存じですね。この問題。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) はい。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 昨年の暮れ、あなたが大臣に就任する前に平新艇事件が起こりました。これは人道上許すべからざる殺人行為をやって入ってきたわけですね。当時法務当局は、政治犯罪的、政治亡命的なものだ、こういう見解を明らかにされた、ここで。速記録があります、こまかいことは言いません。結論だけ申し上げます。そうして韓国、北に送らないで韓国に送って、結局それでこれが人道的な措置だ、こういう石井法務大臣の考え方等も述べられた。しかし、今度は韓国から入ってきた。理由は、ベトナム派兵には行きたくない、こういうことで入ってきました。当然そういう立場の者についてのきびしい法律が韓国にあることは御承知のとおりで、それで日本への亡命、もし日本におれなければ北のほうに帰りたい、これがいま申し出があるわけですね。これをどう扱うかということになりますと、金東希は何もそういう人道上許すべからざる、いわゆる殺人とか、そういうことをやってきたわけじゃない。全くこれは政治的な色彩、本件に関しては。だから平新艇でああいう措置をとったのに比べれば、金東希の場合にはより一そう保護してやらなければならぬ。どうしても日本に置けないということになれば北のほう、これは行き先は自由だという措置になるのでしょうが、そういう立場で本人も要求しておるし、われわれもまた、それが当然だ、昨年の案件に比較しても、そうせぬと、えらいえこひいきをしておることになるわけでして、これは私は日本政府のためにとらない。場当たりなことをやっておりますと、またこの逆の案件が起きてくる、また困ってしまう。そういうことになるわけでして、首尾一貫してもらわなければ困る。そういう立場でこれからいろいろ質疑をさらに続けて、最終的には要望もしたいと思っていたところに大臣来られたのです。こまかい問題に入らぬままでありますが、いま私の申し上げたような立場で、十分これは慎重に検討してほしいと思っている、大臣に。どうですか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) おことばのとおり私も考えております。  具体的に本件について申し上げますと、脱走いたしまして、長崎の一角に上がったということでございます。その脱走の原因が、おことばのごとく政治亡命的な政治的な原因、政治的な色彩のある事柄を原因として国を離れたものかどうか、これはひとつ厳重に調査をする必要がございます要件でございます。同時に、本人の意思でございます。本人の真意は、ほんとうに北に行きたいのかどうか、こういうことはそんなにむずかしいことではございませんが、これも厳格に確かめなければならない。  それから第三には、南に帰りましたときに、心身に危害を——危害ということばはおかしいが、何か刑罰、法律その他、危険があるかどうかという点も調べてやらなければ、国際慣例に従っての処断ができにくいのでございます。  そういうことができまして、そしていま先生の仰せられた要件がそろいました場合には、どこがどのような反対をいたしましても、これは本人が希望する北なら北、南なら南に送らなければならない。それでなければ人道の立場は守れない、こういうふうに私は考える次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 たいへん明快に結論的なお答えをいただきましたが、そこで、いま大臣がおっしゃったようなことが明らかにならないうちに、ともかくめんどうくさいから韓国のほうへ送ってしまう、そういう乱暴なことはされないでしょうな、身柄を。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) ただいま照会の労をとり、調査をいたしておりますので、遠からず結論が出るものと考えております。結論が出たにもかかわらず、私の言明とは逆のことをするようなことは絶対させません。それは責任を持って私の申しております方針のとおりにやっていく考えでございます。

浅井亨公明党

○委員長(浅井亨君) 速記をとめて。

浅井亨公明党

○委員長(浅井亨君) 速記を始めて。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いま大臣の結論的な考え方を聞きましたが、前回の平新艇事件ですね、この際には政治亡命的な案件、政治犯罪的な案件、こういう説明がされた。だから当然本件は、いま大臣が言われたような点をこれは確かめてもらわなければなりませんが、そういう結論に落ちつくものと私たちは確信しているのです。大体局長のほうでも、その軍籍があること、本人の意思、その辺のことはつかんでおられるようですね。大体私は条件がそろっておるというふうに見ておるのですが、まだ足りないところがあるのでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) ただいまちょうど私の御説明の途中に大臣がお見えでございますが、ただいま大臣からきわめて明快な御説明がございました。私は特につけ足すところもございませんが、ただ若干ふえんさしていただきますと、ただいま竜田先生の御指摘の点でございますが、まずこれを純粋に政治的亡命ケースと見るべきかどうかということに関しましては、私はそういう亀田先生の御意見も拝聴した上で、十分考慮した上で事実関係を調査したいということを申し上げたのでございまして、これを私どもが現在、政治的亡命であると割り切ったという結論を出しておるということを申し上げておるのではございません。その背後関係、家族関係あるいはこの前参りましたとき、それから二回目に参りましたとき、それからさらには今度参りましたときに、この金東希氏が家族なりあるいは友人なり、そういう者に対してどういうことを言っておるか、どういうことをしておるかというようなことを慎重に調査して、結論を出したいと思っておる次第でございます。  それから先ほどからるる申しますように、金の最大の希望は、日本における滞在でございますが、万一これが不可能であるという場合におきまして、北鮮帰還ということを希望しておるというふうに伝えられておりますが、この点に関しましても、そうであるかとも思いますが、軽々に結論を出すことは慎んで、十分に本人の意思を確認すべくつとめておる次第であります。私どもといたしましては、まだこの点に関しましても最終的な結論は出しておりません。その点ちょっと御断わり申し上げておきます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 事実関係について、韓国政府に何か照会するとか調べるとか、そういうことをするのですか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 兵籍の関係、それから家族関係というようなことは、やはりその国民の属する国家、政府が一番よく承知しておるわけでありますから、私どもといたしましては、韓国政府の調査も依頼しております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それはいつごろ依頼されて、いつごろその回答がくる予定ですか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) これは先月の末に依頼いたしましたが、回答はいつくるか不明でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 本人の意思の点は、これは本人がこちらにおるわけですから、明確になっておるのじゃないのですか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) これは本人の意思と申しましても、やはり本人が言います——言いますといいますか、私どものほうからいうと、逆に言えば、本人のことばを聞いた人によりまして少しずつ違いますものでございますから、まだ最終的にどれが本人のほんとうの意思のあるところであるかということは、必ずしも一〇〇%の自信を持って断定できないというところでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この二月二十日に金東希が共和国に帰国することを強く要求する、そういう意味の文書をつくって弁護士に渡したように聞くのです。その文書には入国警備官が本人の自筆であることを承認する旨の添え書きがついているように聞くのですが、普通こういう文書が弁護士等に渡される場合には、入管ではこの写しをとって渡されるようですが、そういう措置がおそらくこれは重要な文書であるからなされていると思いますが、どうなんでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 役所としては、私どものところへ写しは来ておりませんが、先ほどから申します金東希の兄がその写しを役所に持ってきておりますから、写し自体はございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 兄が役所に持ってきておるというのは、法務省本省に直接ですが、どこなんです。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) さようでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それにはちゃんと入国警備官が判こを押して認証しておりますね、その文書。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) さようでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その文書もひとつ先ほどの資料と一緒に提出願います。よろしいな。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) かしこまりました。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 で、その意思の点ですが、先ほど私、福岡の入管の警備第二課長ということを言いましたが、私の言い間違いでありまして、大村収容所の警備第二課長のようです。この人が、むずかしいことを言わぬで、ひとつ韓国に行ったらどうかというような趣旨の勧告をやっているようですが、この大村収容所には警備第二課長というのはありますね。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) ございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それでは、先ほど調べるとおっしゃったのは、大村収容所のほうについてひとつお調べを願いたいと思います。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) かしこまりました。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そういうことから、いま私が指摘したような点から見ても、本人の意思は、これは私は明確だと思うのです、本件で。で、したがって、ひとつ入管当局では、二月の十六日ですか、この韓国への強制退去処分をしたのは。こういう点についてのやはり検討をし直してほしいと思う。これは訴訟が出ているわけですね、行政訴訟が。おそらく私は事態が一切明らかになれば、裁判官も良識をもって考えると思いますが、しかし、そういう裁判によって強制処分が取り消されると、平新艇事件に比べたら、えらいえこひいきしているじゃないかと、結局、一方は韓国であり、一方は社会主義国家と、こういうふうなことから、こういう人道上の問題についての違った措置をとるのだというふうな印象を法務省が与えることは、はなはだ私はまずいと思うので、ぜひこれは裁判の結果等を待つまでもなく、検討してほしいと思う。いろんな要望があなたのほうにもいっているはずですね。そういう、これは普通の密入国についても、事実上いろいろ事情があれば検討してもらう場合があるわけでしてね、いわんやこれだけの材料があるわけですから、自発的にひとつ法務当局として検討を願いたいと思うのですが、どうでしょう。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) ただいまの御質問の点でございますが、御要望の点でございますが、まず最初に、強制退去命令を確かに出しておるのでございますが、この強制退去命令は、まだ退去を命ずるといっただけで、韓国に退去さすとか、あるいは北鮮に退去さすとかという国名は言うておりません。だから、これは先ほどから申し上げますように、ことに大臣がはっきりここで御回答なさいましたように、本不法入国の性質がはたしていかなるものであるかということ、それから本人の意思、これは亀田先生は一〇〇%もう間違いないとおっしゃいますし、おそらくそうであろうかとも思いますが、私どもといたしましても、まだ私どもの心情といたしましては、必ずしも一〇〇%どちらであるという心証を得ておりません。それから大臣が申されました第三の点である、万が一韓国に帰した場合に、韓国のほうでどういうふうになるであろうかという点、この大臣が御指摘になりました三つの点を慎重に検討いたしまして、その上で善処いたしたいと、かよう考えておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この本人の面会の件ですね。第三者との面会の件、弁護人なり親戚の方は面会しておるようですが、そのほかでも相当関心を持って本人に会いたいというふうな方々が相当あるわけなんですね。それを全部会わせろというふうなことは、これはなかなか事実上できることじゃありませんが、私はやはり、金東希の処遇についてどうなるのかと心配しておるような諸君、これは代表的に本人に会わすと、金東希もそれを希望しておるということなら、面会くらいは適当に、それは何でもかんでもというわけにはいかぬでしょう。適当にやってやるべきじゃないか。これは罪人じゃないわけですね。入管令違反の関係は罪人かもしれぬが、それは刑の執行を終わっているわけなんです。現状では罪人じゃない。だからそういう点なんかについてももう少し考えてやるべきじゃないかと思うのですが、非常に厳重過ぎやせぬか、どうなんですか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) これはかた苦しいことを申し上げて相すみませんが、規則がございまして、四親等以内と、それから、ただいまの申された弁護人という者以外の面会はお断わりしておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 規則といいますがね、まあ普通はそういうことになるでしょうが、それは法務省が一方的にきめている規則ですわね。国際的には私はそんなことは通用せぬと思うのですよ。国会の承認を得た法律でもないし、それは中におる人は、当然ある程度弁護人、四親等以外の方々についても会いたいということはあると思うのです。非常に多くのことを言うのじゃないのです。全然会わないというようなことは、事案によると思うのですな。どうなんでしょう。弁護人と四親等以外は、いかなる人といえども絶対会わしたことないですか、入管におる人について、ほかの事件でも、どうなんです。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 原則として会わしておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その原則としてというのがくせ者なんです。やはり自分に都合のいいような者は会わすと、そういうことになっておるのじゃないですか。だから原則はわかります、そういう規則があるならね。しかし、それはやはり法の運用であって、適当に運用していくということが私は望ましいと思うのです。どうなんでしょうか。その原則としてというと、例外的にはいままで会わしておることもあるというふうにとれるが、絶対ありませんか、どうです。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 原則としてと申しますと、何か非常に都合のいい隠れみのというふうに受け取られたようでございますが、そういう意味ではございませんので、そういう政策的な意味ではございませんので、非常に瀕死の場合でございますとか、あるいは財産の整理の問題という、そういうようなことで、どうしてもこういう人に会わなければいけないというような、そういうような何と申しますか、実体的な面会の必要がある場合に会っておるものでございます。  それから、ただいま亀田先生の御要望の次第はわかるのでございますが、なにしろ本件はただいまいろいろ取り調べ中でございまして、私どもといたしましては、何と申しますか、本人の純粋な判断なり、知識なりというもの以外に、ほかの人からいろいろ、何と言ったらいいですか、知恵をつけてもらうというようなことがむしろないほうがいいのでございまして、私どもの一〇〇%の方針、処置の結論が出るまでは、なるたけ本人にいろいろな人に会って意思の攪乱と申しますか、あれをしないように、本人だけに純粋に置いておいて、そしていろいろなことを調べたい、かように存じておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そんな会うた者が知恵をつけるとか、そういうような見方をするからこうこじれてくるのでしょう。それじゃ中の警備官に南へ行け行け、そんなことを一切言わさぬようにきちんとできるかというと、そうじゃない。それは日常まわりにいて、何か機会があるとそういう態度をとるわけなんです。だからまああまり理屈ばかり言い合いしてもしかたがありませんが、やはり良識的にこういう問題は扱ってもらうというふうにやってほしいと思うのです。  で、本件の最終的な処断について、非常に影響のあることだと思いますので、この際条約についての——条約といいますか、一的般な見解を聞いておきたいのですが、よく問題になる世界人権宣言ですね。これを日本政府、法務省としては尊重する立場でしょうかどうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) 尊重するつもりでおります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 で、これは当然国連の総会で決議された宣言であり、日本が国連に加盟したという以上は、私は、いまお答えのとおり当然尊重していくべきものだと思います。またサンフランシスコ平和条約の前文にも、この世界人権宣言を尊重する意味のことがわざわざ入っておりますね。これは条約上の明文による義務にも私はそういう意味ではなっておると思うのです。だからぜひいまお答えのような立場でひとつ考えてほしい。  それからもう一つ聞いておきますが、一九五四年の難民の地位に関する条約ですね。これは日本政府は批准はしておりませんが、しかしこれは世界的なやはり一種の慣行といいますか、常識になりつつある考え方ですね、この基本に流れておる精神というものは。で、これについてはやはり尊重していくといったような考え方があるのかないのか、一般的な問題としてお聞きしておきます。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) ただいまの亀田先生御指摘の難民の条約でございますが、これは五一年の難民の条約のことをさしておられますか。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そうです。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) ジュネーブでできましたこの三十三条が問題になるのだと思いますが、もちろん私どもといたしましては、御指摘のとおり、これは日本が必ずしも純法律的に覊束されるわけではございませんが、しかしとにかく私どもといたしましては、この世界人権宣言同様、こういう国際連合の主宰して、大多数の国によって可決、しかも批准されましたことは、極力尊重する、その方針にはずれないようにやりたい、こう存じております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 平新艇事件の答弁の中でも、この平新艇の乗り組み員の殺人行為を犯した諸君、これを北に送らんで韓国に送った、その理由の一つとして、やはり難民条約の精神ということを答えておるんですね。そういう立場から、ただいまのお答えは当然だと思いますが、どうか世界人権宣言なり難民の地位に関する条約、そういったような立場からも、本件について間違いのない措置をひとつとられるように要望しておきます。  いずれこれは事態がもうすこし調査の結果明らかになるでしょうから、その段階でさらにお尋ねをする機会を持ちたいと思いますが、この面会の範囲のことについてちょっとひとつ付加して聞いておきます。  先ほど、弁護士と四親等内以外の者はいかんというふうに言われましたが、収容所の受付に掲示されておる文章を見ると、特別の事情がある場合には知人等でもいいと、こういうふうになっておるんですがね。これはどうなんでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) これは特別な場合と申しますのは、先ほどちょっと申し上げましたように、実体的と申しますか、その会わさんならん、たとえば死にそうになりましたときとか、そういう特別な場合だと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この特別な場合というのは、そう狭く解釈せんで、みなが関心を持っておれば、これは場合によっては、個人的に何かつながりがあるということよりも、より以上特別として判断してやるべきだというふうに思われる場合だってあるわけでして、たとえば公の運動をやっておる、そういう立場に立てば、個人的な事情よりももっと強い関係が生まれるのだというようなことは、本件だけでなしに、よくあるわけですわね。だからそういう意味で、規則自体においても若干の広がりがあるわけですから、あまり窮屈にしないで、やはりそこを常識的に検討してやってほしい。そのかわり秩序整然ときちんとやってもらう。罪人でも何でもないんですからね、これは。先ほどあなたのお答えによりますと、退去強制ということを一応きめただけであって、まだどこへやるかというようなところまでは明確ではないのだというふうなことすら言われておるわけですね。そういうようなものであれば、なおさらあなた、外部から一切隔離してしまうような印象を与えるということは、これは私は行き過ぎだと思う。だからこれはひとつ研究をしてください。

中川進法務省入国管理局長

○政府委員(中川進君) かしこまりました。

浅井亨公明党

○委員長(浅井亨君) 速記をとめてください。

浅井亨公明党

○委員長(浅井亨君) 速記を起こして。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 法務省の刑事局長にお尋ねするのですが、もうさっきの件ですね、これは法務大臣が被告発人になっているのですけれども、法務大臣が被告発人だからといって遠慮しないで、検察庁が厳正公平に、国民の納得のいくように調べをやるつもりかどうか、こういう点ですね。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 京都の地方検察庁が、ほんとうに厳正公平に良心的に処理をするものと確信いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると書面審理で、警察がどういう意見つけて送ってきたか知りませんが、書面審理で、本人も呼ばないで、調べないでということでは、これはやはり国民は納得しないですね。告発事件はやはり検察庁が最終的な締めくくりをするわけです。だから当然検察庁でも本人を呼ぶなりなんなりして、事情を聞いて最終的な結論を出す、これは当然だ、こう思うのですね。これを省略してしまうと、国民は何かおかしいぞ、納得しないようになる、こう思うのですが、この点はどうですか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 本人を呼ぶかどうか、いろいろ事件の内容、その取り調べの経過にもよると思いますけれども、さようなこともあげて京都の地検の処理にまかしたい、こう思っております。

浅井亨公明党

○委員長(浅井亨君) ほかに御発言もなければ、本日はこの程度にとどめて散会いたしたいと思います。    午後二時三分散会

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