農林水産委員会 第22号
- 発言数
- 162 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/07/04
会議録
○委員長(野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。 本日、北條雋八君が委員を辞任され、その補欠として和泉覚君が選任されました。 —————————————
○委員長(野知浩之君) 中小漁業振興特別措置法案及び外国人漁業の規制に関する法律案を一括して議題といたします。 両案について質疑のある方は、順次御発言願います。
○達田龍彦君 私は、ただいま提案になっております二つの法律案につきまして、特に外国人漁業の規制に関する法律案を中心にいたしまして、若干基本的な問題を御質問をしたいと考えておるわけであります。 外国人漁業の規制に関する法律案でありますけれども、今日の漁業を取り巻く諸情勢から考えてまいりまして、すでに何回も言われておりますように、今日の日本の漁業は、攻める漁業から守る漁業に方向をある程度持っていかなければならぬということは、日本漁業の今日おかれておるところの大きな問題であろうと私は考えるのであります。その意味において、今回提案されておる法律は、日本の漁業を守る立場の最初の一つの方法であろうと私は受け取っておるのであります。そこで、守るほうの問題についても、今日、国際漁業が流動的でございますし、国内の漁業についてもいろいろ解決しなければならない問題が多いわけでありまして、どの程度守っていくかということは、これまた多くの論議があり、しかも問題点があるところだろうと思うのであります。 そこで、私は、この守り第一の法律の立場から考えて、いろいろ論点をしぼって論議をしていかなければならぬと考えておりますけれども、そのまず第一点といたしましては、今日国際漁業の場合に特にいわれておりますところのたとえば領海の問題、あるいは漁業専管水域の問題、あるいは日韓交渉に出てまいりました規制水域の問題等が出てまいるわけでございますけれども、今日まで、日本の立場は、公海自由の原則に基づいて領海三海里説を主張し、実績を尊重した交渉を進めてまいっておるわけでありますけれども、地の諸外国が、領海六海里ないしは十二海里、あるいは専管水域の十二海里、六海里という立場をとっておるのは、沿岸の漁業を守る立場から主張しておると考えるのであります。そういう意味で、日本は今日まで攻める立場であったがゆえに三海里説を主張してきたというのがその主張の真のねらいではないかと考えるのであります。しかし、今日、いま申し上げたように攻める漁業から守る漁業という転換の姿をとるときには、一体、三海里という主張で今日いいのか悪いのかという問題が当然提起されなければならぬと私は考えるのであります。 そういう意味において、まず外国人に日本の漁港を使用させないということが根本的な法のねらいではありますけれども、同時にまた、いま申し上げたように、守る立場の漁業が今回の法律の根底にあるとするならば、さらに守る立場から出ておるところのいわゆる領海の問題、専管水域の問題に対する日本の立場というのは、ある意味では基本的なものをここで踏まえて今後の国際漁業に対処しなければならないのではないかと私は考えるのであります。そういう意味において、日本のそういう立場の中における領海の問題、あるいは専管水域の問題に対して、どういう基本的な立場の御見解をお持ちであるのか、それをまずお伺いをしておきたいと思うのであります。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま御指摘のように、国際間の漁業につきましては、いまお話しのように、多くの問題が出ておりますが、お話のございましたように、わが国は領海三海里、これは国際上慣例となっていままで各国において承認されておる常識でありますが、その後、いまお話しのように、漁業専管水域十二海里を主張いたしておる国が出てまいりました。しかし、このことは、それぞれ特定の国が専管十二海里ということを申しましても、そのことが国際的に公式に承認されておるというわけではございません。ことにわが国は、先ほどのお話にもありましたように、ある国の専管水域十二海里をとっておる、その国の十二海里内でも実績を持っておるというふうなことが現実に漁業協定の間に承認されておりますようなたてまえでありますので、この問題はもちろん将来尾を引く問題でありますし、私どもといたしましても軽々に黙過しておることのできない問題でございますので、それぞれ過去の沿革等を考慮いたしながら、慎重に検討を続け、対処してまいりたいと、こう思っております。
○達田龍彦君 いままで、この領海の問題あるいは専管漁業水域の問題については、いま大臣の御答弁のような答弁を繰り返されておるわけでありますけれども、過去の答弁の中でも、必ずしも三海里にこだわってはいないという趣旨のようであります。そこで、私が三海里に今日までこだわってきたのは、攻める立場のときにはそのほうが国益を増すと考えるのであります。しかし、守る立場になりますと、みずからの漁業権を守り、あるいは漁業の秩序を維持するためには、みずからの領海なり専管水域をやはりきちんときめて、そうして、それによって守っていくべき立場をとらなければいけないのではないかと思うのであります。今回、法律を特にソ連あるいは韓国との関係においてつくらなければならぬという状態になったわけでありますけれども、そういう立場を考えてまいりますと、特にソ連の漁業進出はきわめて近年目ざましいものがあるわけでありますし、また、韓国につきましても、漁業資源を確保しながら漁業進出というのでは国際的にも大きな位置づけをして今日進出をしておる立場を考えてまいりますと、日本の沿岸におけるとりわけ韓国の進出は、きわめて顕著な姿であらわれてくるのではなかろうか。しかも、それは近い将来に行なわれるのではないかという気がしてならない。そういう意味においては、なおかつ実績尊重あるいは領海三海里をこだわるということは、そういう意味における立ちおくれを来たすのではなかろうか。特に沿岸の既成漁業がそのために相当脅かされてくるということだけは間違いないのではないかという気がいたすのであります。そういう観点から、この際、私は、日本の漁業のいまの方向が、沖合いやあるいは遠洋の利益を守るために、結果として沿岸の漁業が犠牲になるということが往々にして多い政策がとられておりますけれども、この外国人漁業の規制の問題にいたしましても、沿岸の漁業の権益あるいは漁業のいわゆる秩序を守るためには、ある意味での領海の幅員を延ばす、あるいは専管水域を設定するという基本的な立場をとられておかないと、韓国が攻め込んできたり、あるいはソ連が攻め込んできて、その結果、領海幾らでございますというのでは、立ちおくれをするのではないか。そういうかまえがないから、むしろ漁業を日本の沿岸に韓国、ソ連を誘導していくような作用をその結果持つのではないかということを今日の韓国とソ連との関係においてたいへん心配をいたすのであります。そういう意味において、なおかつ実績尊重あるいは将来の話し合いによって二国間の協定によって専管水域、領海を求めていく立場は、非常に消極的ではないか、沿岸の漁業を守る立場から、日本の漁業を守る立場からでは。私は、この際もう少し守るという立場に立った漁業専管水域あるいは規制水域というものを主張すべきではないか、宣言すべきではないかと考えますが、その点はどうお考えでありますか、御答弁を願います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 専管水域をたとえば十二海里といたしましても、それを承認するかしないかということは相手方の自由でありますからして、こういう時代において、ただいまお話しのような問題点、また、わが国の権利を確保し守るという意味において、いま専管水域十二海里その他の説をなす国が出てまいっておりますし、また、実際にそれを行なっております現状に即して、私どもは、現状を固定させようという意思ではありませんが、慎重に検討して、間違いのないように対処してまいりたいと、こういうことでございます。
○達田龍彦君 まあ回答としては非常に不十分でございまして、私が言っているのは、そういう心配があるが、一体そういう心配はないのかと、こう聞いているんです。専管水域をどうするということもありますけれども、いま申し上げたように、韓国、ソ連の進出はきわめて顕著である。特に日本の沿岸にその漁場を求めるという姿は、開発途上の国については特に顕著になるであろう。したがって、その場合に、守る立場から考えた場合には、特に沿岸漁業を守るという立場から、いわゆる漁業の規制を外国人に対する規制も考えなければならぬ問題がたくさん出てきておるのではないか。そういう心配がたいへんにするが、そういう点について一体どう水産庁あたりはこれをとらえておるのか、そういう場合の対処のしかたとしてはどうしようとしているのか、そういうものを聞きたいんです。
○政府委員(久宗高君) 大筋のお話は、いま大臣から申し上げたことに尽きるわけでございますが、専管水域の問題につきましていろいろ御質問が出ます場合に、どうも私どもの御説明が不十分なのか、非常に消極的だという御意見が与党からも野党からもよく出るわけでございます。それは違うのでございまして、繰り返して申し上げておりますように、私どもは十二海里、三海里にこだわっておるのではございませんで、御承知のような経過でジュネーブにおきます話し合いがつきません結果、まあ非常にいま混乱した状態にあるわけでございます。三海里より遠い水域におきます既存の漁業の実績をどう見るかという問題が実は全く慣行としても確立していないわけでございます。したがいまして、単純に十二海里がいい悪いということが言えないわけでございます。私どもといたしましては、やはり十二海里問題を議論いたします場合に、その中において当然に尊重さるべき伝統的な漁業でございますとかあるいは漁業の実績というものをどういうふうにきめていったらいいだろうかというものが、いま形成過程だろうというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、一方的な宣言を承服するわけにはまいりませんが、同時に、先ほど大臣から申し上げましたように、十二海里内ですでに実績のある国々との関連におきまして、それをどういうふうに認めさせるかという実績をここに固めまして、それが同時に国際的な慣行のよいモデルになり得るような努力をむしろ積極的にしているような気持ちで事に対処しているわけでございます。 そこで、お尋ねでございましたソ連の関係、あるいは韓国との関連でございますけれども、韓国との間におきましては、御承知のとおり、すでに条約によりまして必要な場合には十二海里の専管水域を日本の沿岸に引き得る体制にあるわけでございます。今日、私どもといたしましては、西のほうの水域においてその必要がございますので、さような措置をとっておりますけれども、まだそれより他の地域におきまして具体的に専管水域を引かなければならぬような事態であるかどうかという問題については、若干そこまでの問題ではないというふうに考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、さような必要が起こりました場合におきましては、さらに二国間でその具体的な内容について相当突っ込んだお話し合いをする余地もございます。まあどうしてもそのお話し合いがつかぬ場合におきましては、現在の条約そのものによりまして当然に必要があれば専管水域が引けるわけでございます。 それからソ連との関係でございますが、御承知のように、ソ連の操業関係を見ますと、いわば十二海里よりももっと遠くの公海上におきます漁業が少なくとも現在においては主体でございますので、かりに十二海里の専管水域をわがほうが個別にソ連と話し合ってかりに設定いたしたといたしましても、なおかつ必要ないわゆる漁業の現制はそれよりも以遠の公海上における漁業のほうが実態として大きいのではないだろうか。そうなりますと、これは二国間でその公海上における操業につきまして協定を結ぶなり何らかのそういう措置が必要ではないだろうか。この種の専管水域では必ずしも片づかない問題がむしろソ連との関連においては漁業種類から見まして多いのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○達田龍彦君 では、もう少し詰めて論議をしなきゃならぬと思いますが、私が先ほど述べておりますように、専管水域を設定する立場の国々というのは、攻める場合に専管水域をつくっているのではなくて、守る立場の側の国が専管水域を主張し、つくっているはずであります。この主張はどうですか。
○政府委員(久宗高君) 一般論として申しまして、さようだと思います。しかしながら、御質問の中にも若干出ておりましたように、低開発国の中でもおおよそ二つございまして、一応の漁業がありましてそれを侵されるのが困るという立場にございます国と、現在においてはほとんどやっていない、しかし、将来においてやろうとする場合に、あらかじめ資源を確保しておきたい、こういう御要望のところもあるわけでございます。ただ、その場合に、御承知のように、ただ資源としてとっておくのがよろしいのか。実際問題としては、食糧問題もございますし、専管水域を引いてもなおかつその中でたとえば漁業協力のような形でこちらに開発してもらいたいという要求が同時に出てきている問題もあるわけでございます。さようでございますので、国の発展段階によりまして、専管水域を引きます基本的な気持ちはおっしゃるように守る立場であろうかと思いますが、必ずしもそれの調子も一本調子ではないように思います。 それから日本の場合におきましては、最初に御質問にございましたように、この種の措置につきましては、従来私どもは外へ外へと出ておりましたので、日本列島の周辺でこういった問題が起こるということにつきましては、はなはだうかつでございまして、あまり考えていなかった。最近になりまして急にその種の事例が出かかっておりますので、振り返ってみますと、全くその辺が無防備でございまして、一番基本的な線といたしまして、わが国の港が基地的に利用されて、反復利用されるような形を制限する必要が最小限度ございますので、それを主体にいたしまして今回の法案が出ておるわけでございます。御指摘のように、これが守るための最初のステップということでございます。しかし、繰り返し申しますように、これに伴いまして、このような措置ととりましても、あるいはこれにさらに加えて——かりに十二海里の専管水域を引くといたしましても、少なくとも見通される現状におきましては、それでは必ずしも守り切れない。十二海里より以遠の公海におきます漁業につきまして二国間あるいは数国間におきまして漁業協定その他の方式によりまして漁業規制をするような必要がだんだん強くなってくるだろうという見通しに立っております。
○達田龍彦君 それはわかるんですよ。その専管水域以遠の魚族をどうとっていくかということは、これは共同漁獲物ですから、それに対する二国間の話し合いをするのか、あるいは三国間の話し合いをするのか、条約をつくって資源を保護しながらそれを安定的に持続的にどうとっていくかということがいわゆる日米加あるいは日ソの交渉の中の論点になっているように、それは当然だと思うのです。ただ、私がいま申し上げたように、専管水域は守る立場のものであるから、韓国あるいはソ連の漁業の進出ということは、日本の沿岸漁業者にとってはたいへん影響を受ける内容を持つのではないか。したがって、専管水域というものの考え方は、ただ港を反復利用させぬことによって第一のステップとして守るという防衛策と同時に、もう一点考えなければならぬのは、最小限専管水域の設定ということを考えてしかるべきではないか。そうしないと、立ちおくれという結果を招くのではないか。ということは、専管水域を設定したということが、逆にそういう人々の進出を抑制していく結果も一面では作用として考えてみなければならぬのではないか。そういう日本の立場を海外に宣言していくということは、今日、韓国との関係においては特に必要ではないかということを考えるがゆえに、日本の場合においては、韓国、ソ連、場合によってはアメリカあるいはカナダという程度のものではないかと実は考えるわけでありますけれども、そういう意味ではそういう立場をこの際同時に立場としてとるべきではないかという気がいたすのであります。 そこで、いま御説明にありましたように、専管水域を引くべき事態にあるところもある。たとえば日韓の場合については、日韓条約でもって専管水域というものを日本は設定をいたしておるわけです。特に以西底びきの問題等が、今日あとで出てまいりますけれども、確かに、専管水域を引くのか、あるいは共同規制水域というものをつくって魚族を保存ないしは漁業種類をある程度考えなければならない問題というのが韓国との関係に出てきておると私は考えておるのであります。そういう意味においては、そういう事態が、確かに、専管水域なり共同水域というものをつくって保護ないしは日本の底びき漁業をどう発展させるかということを考えなければならぬ段階にあると思うのでありますけれども、いま、水産庁の方針としては、専管水域を設定する場合に、二国間の協定による設定の方法だけを考えておるのか、それとも、みずからすべての国に対して専管水域というものを主張して、それを慣行として積み上げながら国際法上の立場で認めさすという立場をとっておるのか、どういうお立場でございますか、その点をお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(久宗高君) 望ましい形といたしましては、領海なり専管水域の問題は、これは国際的な問題でございますので、多数国間でさような秩序が確立されれば一番よろしいのではないかと思っております。したがいまして、前のジュネーブ会議におきましても、日本側といたしましては、さような観点から相当の努力をいたしたわけでございますが、残念ながらそのような話し合いができません結果、いま非常に無秩序な状況になっているわけであります。したがいまして、非常に現実的に考えますと、その中で一番の論点は、先ほど申しましたように、十二海里か三海里かということではなくて、十二海里と三海里の間におきます既存の漁業、これも程度によっていろいろございましょうと思いますが、これについて国際的にこういうルールにしようじゃないかという慣行が熟しておりまして、そういう内容で何海里専管水域というような制度ができるのであれば、これは一番望ましい形だと思うわけでございますが、残念ながらこれが千差万別でございまして、同時にそれがまた今日の非常に混乱した事態を生じておるように思うわけでございます。 かような点から申しますと、私どもの立場といたしましては、すでに多数の国についてそのいわゆる十二海里の内側におきまして漁業の実績を持っておりますので、そういう具体的な実績を持っている国は実は非常に少ないわけでございます。そこで、私どもがさような場合にどういうふうにそういう実績を認めさせるかという実例をつくりませんと、実は国際慣行そのものもできないという事態であろうと思うのでございます。さような意味におきまして、先般、これは低開発国との関連ではございませんけれども、日米の間におきまして、双方の法律的な立場をたな上げにいたしまして、十二海里専管水域に伴う問題を具体的に話し合って解決をつけたわけでございます。これは一つの例でございまして、ああいうような取りきめをすれば秩序は保てるんだなという前例をはっきりつくったというふうに私どもは考えているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、少なくとも現在の段階におきましては、一ぺんに多数国間でお集まりいたしました場合、ジュネーブ会議の段階におきましては別でございますけれども、あれ以後、各国でまちまちな形になっておりますので、一括にこれを集めました場合に、お話し合いが、漁業の実績の合理的な判断よりは、海の分け取りと申しますか、そういう傾向に走るおそれが多分にあるのではないかというふうに考えております。そこで、実際に日本は非常に実績を持っておりますので、今回のニュージーランドの場合のように、あるいはアメリカの場合のように、こういう事態の場合には、こういうふうにきめれば、両国間でそれぞれの立場が貫けて、そうして漁業の秩序を守れるという実績を積み重ねることによりまして、さようなことが外国からも評価され、そうしてそういうような事態のあとで多数国間でお話し合いがきまるのならばそれが望ましいと考えるわけであります。しかし、現段階におきましては、やはり二国間でお話を詰めることがまず先決で、決して私は多国間のお話し合いがいかぬというものではないのでございますけれども、少なくとも現在では時期尚早ではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
○達田龍彦君 では、当面は二国間の専管水域の話し合いをまとめるという方針を堅持しながら、多数国との専管水域の設定ということも、場合によっては、これは時期の問題がありますけれども、考えなければならぬ、そういう方針で当面臨むと、こういう理解でいいですね。そうなってまいりますと、もう一つ心配なのは、たとえば十二海里を主張した場合、三海里から十二海里までの九海里の幅員における専管水域の日本のいわゆる外国における実績ですね、いわゆる不特定多数の国に対して日本が十二海里を主張した場合に、その実績が実績として尊重される結果になるのじゃないか。そういう点はどう御判断になっていますか。
○政府委員(久宗高君) これは先ほど御説明したことと関連するわけでございますが、実績をどう見るかというものにつきまして、国際慣行として確立されたものがないわけでございます。また、事実、いろいろなところと交渉してみますと、それぞれ違った法律的な立場なり、発展段階の違いなり、また、わが国との関連の違いというようなものがございまして、なるほど一律にきめかねるなという感じでございます。したがって、現在の段階で私どもがかりにその中身を抜きにいたしまして十二海里説をとりますと、こういうふうに申し上げた場合におきましては、その実績をどう見るかについて、日本側がどう考えているのかという問題につきましては、相手方がどのようにでも理解できるわけであります。つまり、その九海里の中におきます実績をどう扱うかということが確定しておりませんので、現在十二海里を私どもがかりに一般的に主張するということになれば、その中身におきましては実績の中身をどう見るかということが確定されないまま十二海里をのんでしまうということになるわけです、結果におきまして。それははなはだまずいのでございまして、私どもは、決して三海里でいいとは考えておりませんし、十二海里でなければならぬとも考えていないわけでございます。少なくとも漁業調整上当然に必要なる実績の調整と申しますか、お話し合いというものがないままの形では一般的な主張はできないだろう。それからまた、現在の国際法の立場から申しましても、わが方といたしましては、少なくとも現在の段階においては一方的な宣言で相手方を排除するというのは国際慣行にも反するし、この立場は認められないんだということをまずはっきり言って、その上で必要な場合には二国間でお話をしましようという立場をとっておりますので、少なくとも現在の段階におきましては十二海里を一般的にのむという形をとりました場合には、日本側の主張を非常に主張しにくくなるおそれがございますので、また、さような立場におきまして、たとえば日ソの関係におきましては、安全操業その他の問題につきましても非常に主張のしにくい問題になるのではないかという考慮を払っておるわけでございます。
○達田龍彦君 そうしますと、私は沿岸の漁業の実態というものを実はよく知らないから、水産庁の御説明だけで理解をしなければならぬということになるので、非常に苦慮しているわけですけれども、その九海里の幅員の中で外国の沿岸でどういう操業をしてどういう実績をあげているのか実は私どもわからぬのであります。であるから、説明はされるけれども、それほど九海里の範囲の中で日本の実績というものが生産量においても漁業活動においても必要であるだろうかということが実はどうもぴんとこないのです、実は。むしろ、そういうものがなければ、日本のほうを守ったほうがいいんじゃないか。これは私は沿岸漁業を守る立場からどうしても必要だという気がするから、そういう意味でそういうところのこまかな説明が承りたいのです。
○政府委員(久宗高君) 国といたしましては、もちろん、こういう問題が起こりました場合に、現在私どもが他国の十二海里内におきまして操業している実績を守るというのは当面の問題であると考えております。少なくともいまの十二海里説その他が出てきております背景その他から考えました場合に、単に日本側の既存の権益を守るということだけではなくて、やはり漁業におきます国際的な秩序をどうきめるか、これについて、日本側といたしましては、少なくとも世界的な漁業の第一ランクの国といたしまして、責任もあるし、また、私どもがやらなければさようなものはできないのではないかという考え方を持っておるわけでございます。したがいまして、先般米国と十二海里問題について論議いたしました際も、これはただ日米間でお話をきめる日米間の漁業問題だけではないのであって、この混乱しております国際漁業につきましても秩序の確立のためにひとついいモデルをつくろうじゃないか、そういう立場で議論しようじゃないかということで臨んだわけでございます。さような点から申しますと、個々に拾いますと、相当の実績もございます。また、それはぜひ守らなければならぬと思うのでございますけれども、それだけの問題じゃないというふうに思うわけでございます。 なお、御質問の後半でございますけれども、逆に日本側の沿岸を守るという立場で考えました場合、十二海里を置かないとおくれをとるのではないかという問題でございますけれども、これにつきましては、具体的に問題になりますのは、現在のところ、韓国ソ連でございます。それぞれその国の漁業の態様も違いますので、対処のしかたが若干異なると思うのであります。ただ、基本的に申し上げますと、両国との関係におきましても、十二海里を固めただけではほんとうに問題のあるときにはそれでは不十分であろう。専管水域以外に、二国間の交渉によります漁業協約、協定と申しますか、そういう種類のもう少し十二海里より沖合いの漁業のほうがウエートが大きいというふうに考えておるわけであります。なお、韓国との関係におきまして、沿岸の漁民の方々が若干神経をとがらせておられる問題もあるわけであります。この問題につきましては、必要な場合には現在の条約の機構の中で直ちに専管水域が引けるわけでございます。対韓国につきましても、しかし、さような大ぎょうな形をとります以前に、もっとお話し合いによりまして秩序を保たれるような方法はいくらでもあると考えておりますし、さようなお話はできるというふうに考えております。
○達田龍彦君 前段の水産庁長官の御説明は、私は、非常に概念的で、学問的な意味における考え方としてはわかるわけですけれども、これは世界に漁業の秩序を守らせるためにも、今日の三海里説を主張しながら実績尊重の立場をつくらせると言うのですけれども、これに各国間の利害が結びついていなければその主張は正しいと思うのです。ところが、日本が今日三海里説を主張して十二海里を認めないという立場を貫くのは、昔からの実績を守ろうということが根底にある限り、秩序の維持とは外国はとらないと私は思うのです。そこに日本の権益を守ろうということがあるから日本は主張しているんだ、こうなるんです。そういう意味で、日本がそれを主張してみても、それが国際全体として受け入れるような情勢、態勢にあるかということになれば、ないから、十二海里あるいは六海里というものをかってに各国が宣言をしてその中における操業を規制しておる、こういう事態が出てくるのではないかと思うのです。でありますから、そういう意味では、あまり学問的な問題の理解ではなくて、実際にはそういうことだという認識に立ってものを進めないといけないということを私は考えているのであります。 それからもう一つ、十二海里十二海里とかおっしゃられて、十二海里の実績があると、こうおっしゃられますけれども、十二海里を宣言したところは、一方的に宣言をしてその漁業操業というものをそこで規制しておるわけですから、日本だってそこに入って操業していないと思う。そうしますと、漁業の紛争が起こりまして、拿捕の問題、あるいはその他の安全操業ができないという状態ができるはずです。今日、一方的に宣言されておることは不当だと。不当だけれども、それを守らなければ紛争が起こるんじゃありませんか。だから、一方的に宣言されたものを守らざるを得ないということで紛争を回避しておるというのが今日の十二海里を主張しながら紛争が起こらない最大の問題だろうと思います。そうなってまいりますと、各国が十二海里あるいは六海里——ペルーですかどこですか、二百海里というのを主張しているところがあれば、その主張していることを侵さないという立場をとっている限り、実績なんというのは今日問題になっていないのじゃないかと思います、魚獲高の場合には。そうなってまいりますと、主張においては実績尊重尊重とおっしゃっておるけれども、現実の中には、その十二海里を認めた操業が、日本の場合、沿岸において、いわゆる外国の沿岸において遠洋漁業の中で取り行なわれているのが実績じゃないかと思います。そこら辺が一つも説明がないので理解できませんが、どうですか、その辺は。
○政府委員(久宗高君) おっしゃるような問題がありまして苦慮しておるわけでありますが、ただ、こういうことでありますね。たとえば、そういう問題について秩序がございませんので、いろいろの国がかってにやっているわけであります。そこで、直ちに国際会議でも開いてこうしようじゃないかというお話し合いがまとまるような中身であれば、これはとうにまとまっているはずだと思います。さようなことがないために、一般的にきめられない。ある地域で、たとえばヨーロッパでございますれば、幾つかの国が集まりまして、ヨーロッパ漁業条約というものをとりあえずつくって漁業秩序を維持していくという動きがあるわけであります。そこで、私どもといたしましては、大きな実績、これは一番大きなものは対米関係でございますが、そういうものの幾つかにつきまして、個別に話し合えば相当固まる性質のものはできるだけ早く固めまして、その拠点ができますれば、あと、それら地域でそういう話し合いをしようじゃないかという話が出た場合においても、一応の何と申しますか地固めができておりますので、それに臨む形がとれるわけであります。少なくともいまいきなり困るからということで多数国間ですぐ話をまとめようといたしましても、それぞれ多数国間の間においても利害が違いますのと、また、わが国の漁業だけではございません。いろいろな貿易の関係でございますとか、さようなものが全部複雑にからみ合っておりますので、少なくとも、私どもといたしましては、現在一方的に宣言されて、そこで紛争を起こさないために、ある程度の調整を過渡期にはしなければならぬと思うわけであります。しかし、それも、その国とあらためて国の力を全部あげまして、漁業だけではない、一連の問題もございますので、話し合いをつけていく、そういう過渡期であろうというふうに判断しております。 過渡期に伴う若干の不利益はございますけれども、さりとて、それを直ちに多数国間の話し合いに移して、全く漁業の法律上の問題だけといたしまして十二海里をどうしようかというお話に皆さんが席に着いてお話しになるように事態は熟していないように思うわけであります。
○達田龍彦君 どうも、私は、問題は、どんなに説明をされても、理解ができません。これは、水産庁長官、私が考えるのには、韓国、ソ連、それからカナダ、アメリカ、これは少なくとも二国間ないし三国間の協定ができているはずです。まして韓国との関係においては、専管水域を両国間で認めておるんですよ。そうなってまいりますと、二国間ないし三国間で、日本の沿岸の主たる漁業を中心にする国とは、話し合いができて、漁業秩序も守られているんですよ。そういうところはひとしく十二海里説をとっているじゃありませんか。そうしてみると、日本がそういう九割以上も沿岸の漁業国と話し合いをつけて、専管水域をおのおのが十二海里を主張されている現実の中で、日本がそれを主張しないというのでは、何としたって理解ができません。東南アジアにおけるいわゆる後進諸国との漁業調整をはかるためだとなれば、それはそれなりにそういう分野での話し合いを考えるべきですよ。そうでしょう。そういう意味において、日本が現実に、日本が水産王国だから、あるいは、日本が水産の指導をして指導的、主体的な条件をつくらなければならないから、その場合の三海里というものを主張していくのが正しい、こういう主張が残ると思いますよ。しかし、そういう主張を今日日本が主張してみても、日本の立場というものがそれによってそこなわれたり、脅かされたりするような内容ではないと思うのです。それは、いま申し上げましたように、韓国がそういう主張をしながら、しかもかってに宣言をした専管水域の中では、漁業秩序が守られるどころか、全然権益を認めていないじゃありませんか。そうなってくると、こういう段階における日本の立場というのが主張されてほとんど実績においては間違いない、損得はないんじゃないか。ただ国際法上の立場を日本が崇高な気持ちで守ろうというだけのものが残るんではないか。それも、いま申し上げたように、それをいま日本が孤立して——これは名誉ある孤立かもしれないけれども、孤立してこれを主張したからといって、日本の世界における漁業国としての位置づけ、立場というものがそれによってそこなわれたりあるいは軽視されたりすることにはならないんではないかという私は気がしてなりません。この論議は、この問題で特にしなければならないのは、今回の法律が出たために大きな問題になるのは、何といったって、沿岸漁業の外国漁船とにおける公海を含めてこの幅員九海里における競合の問題が必ず出てくるんですよ。漁業の圧迫というものは、将来、韓国の進出等によって必ず出てまいります。そういう意味においては、沿岸漁業者の保護ということを実は考えなければならぬということが一つあるわけですよ。それからいま申し上げたように保護するために九海里の幅員をつくる、専管水域をつくるとするならば、相手方の十二海里を認めなければならない。しかし、今日の十二海里を認めるということになれば、遠洋漁業における実績がそこなわれてくるという日本には痛いところがあるわけです。だから、そのために、逆に言うならば遠洋漁業の権益を保護するために沿岸漁業がいわゆる十二海里が主張できないために、漁業の圧迫あるいは漁業秩序の混乱というものが出てくる懸念があるがゆえに、この問題はたいへん重大だと私は思っているわけです。そういう観点からこの問題は相当論議しなければならぬと私は思うがゆえに、論議をし、解明をいたしておるわけですから、その点をもう少し明確に御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(久宗高君) 日本の沿岸との関係でございますが、先ほど申し上げましたように、韓国との関係におきましては、すでに現在の条約で十二海里の専管水域が日本列島の周辺に引ける立場にございます。ただ、少なくとも現在の段階では、一ぺんにべたっと引いてしまう必要はないので、西のほうの海域に一応限定しておるわけでございます。これは、もし必要がございますれば、いつでも直ちに引けるわけでございます。かような意味におきまして、韓国との問題におきましては、二国間ですでに話し合いがついているということでございます。 それからソ連との関係におきましては、御承知のとおり、ソ連は、領海を十二海里ということで、専管水域ではない、そういう立場をとっておりますので、わがほうから申し上げますと、別に安全操業の問題がございまして、むしろその中において実績をとらしてくれという立場に立っておるわけであります。それから現在のソ連の漁獲の内容から見まして、単に十二海里という問題を考えました場合に、十二海里より以遠の地におきます漁業のほうがウエートが非常に多うございますし、また、今後も多いと考えますので、ソ連との関係におきましては、安全操業の問題もあり、十二海里を私どもがいま直ちに引くことは必ずしも得策でないというふうに考えられるわけであります。 これが、日本列島の周辺におきまする当面の相手の問題かと思うわけでございます。 それから外との関係でございますが、もちろん私どもはたびたび申し上げますように三海里に必ずしもこだわっておるわけではございませんけれども、いかにも三海里以遠の地におきます実績の見方につきまして国際的に非常な考え方の違いがございますので、そのような中で一般的にその内容を固めないままに十二海里説をとることは、直ちに日本側の権益を放棄するのにひとしい形になりますので、それは時期がまずいのじゃないか。したがって、一番大きな実績、重要な実績から、まず日米で話をつける。次いで、ニュージーランドと話をつける。今日、スペインまたその他につきまして、これはいろいろ相手方の事情がございます、やり方が違いますが、実績をいかに確保するかという方策を進めているわけでございます。この三つぐらいが大体見当がつきますと、今度はいかなる形で多数国間の話し合いができました場合におきましても、わがほうの立場というものを国際法上の立場におきましても漁業の実態からある程度貫き得るのじゃないかというふうに考えますと、むしろ三海里を墨守する姿勢に立っておると申しますよりも、来たるべき専管水域が一般化する事態におきましてその中で日本側がどういうふうに実績を確保するかというステップをすでに日米間のときから踏んでおるというふうに御理解いただきたいと思います。
○達田龍彦君 その点、まだ私はこの問題についてはどうしても納得いきません。それは複雑な漁業問題でございますから、簡単に納得するような形がつくり得ないところにいろいろと御苦労があると思います。ただ、そうしますと、これは日本が主張する場合に、それを認めるような各国の情勢があるのですか、この見通しはどうですか。
○政府委員(久宗高君) これは、国々によっていろいろでございます。たとえば、よく出ます御質問で、こういう専管水域を日本がかりに認めないでおりましたために何か報復を受けないかといったような御質問があるわけでございます。現在、私どもが、十二海里をその国が引いている引いていないにかかわりませず入って操業しております場合におきましては、あるいは寄港も認められているという場合におきましては、その国としてそれだけの利益があって、たとえば、日本の船が入ったほうがいいとか、あるいは漁獲物を分けてもらったほうがいいとか、あるいはそこにおきます効用がありますとか、それぞれの事情がございまして、一律に専管水域を引いてただ出て行けというだけではないのであります。 したがいまして、これは一般的に申し上げかねるわけでございまして、個々別に相手相手につきましていつごろどういう形で話をしたら一番二国間でこの問題で話がつけいいだろうかという判断が、国によっていろいろ違うわけでございます。そういうような点につきましては、私どもも外務省その他とも十分な御連絡をとりながら、国別にいろいろいつどういう時期にどんな形でお話をしたらいいだろうかというめどをつけるところにいま努力を集中しておるわけでございます。幸いにいたしましてニュージーランドとはああいう形でお話がつきましたので、次の段階におきましてはスペインあるいはインドネシアといったような問題も出てきておるわけでございます。 これは、やはりそれぞれの国によりまして事情が違いますので、一律な形はとれませんが、考え方といたしましては、二国間で話し合って実績を具体的に認めてもらう努力を積み重ねていって、そのあげくの果てにかりに十二海里という問題が一般化してまいりました場合におきましても、この十二海里の中で既存の漁業がどう取り扱わるべきかといったことにつきまして、ある慣行が当然に出てくるのではないか。すなわち、実績を持っておりますのは日本が非常に——ほとんど日本だけと言うと語弊がございますが、非常に典型的なものでございますので、それがどういう話し合いの中身できまったかというようなことは当然に参考にさるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
○達田龍彦君 まあそのたびたびいま言われたような同じ説明をされているんです。私は、実績尊重という日本の立場は十分理解できます。また、そういう主張をしなければならぬと思います。それから見通しの問題についても、これは容易に見通しが立たないんじゃないかと思います。早急に二国間の話あるいは多数国間の話し合いが出てくる情勢というのはそう簡単にないんじゃないか。なぜなれば、一つの例をとってみたって、今日専管水域をかってに自分たちがきめて主張して、そしてその中における操業というものを相手国が認めていかないという立場をとる限り、一方的に宣言した国は別に支障がないわけですから、その限りにおいてはこれはなかなか話し合いはつけ得ないのではないかという気がいたします。でありますから、できればそういう実績尊重という立場は非常に必要でありますけれども、日本が攻める立場から守る立場の漁業をするという前提に立ったときに、やはりどこかの段階で、話し合いがつくつかないは別にして、日本も守る立場からこれを一方的に宣言するという形をとらなければ、日本の権益が守れない。日本の漁業秩序が守れない。あるいは後進諸国の将来の漁業進出に対する日本の立場というものが当然必要になってくる段階において、この問題はやはり日本の立場として主張せざるを得ないと思うんです。でありますから、そういう問題については、いま申し上げたような形で将来にわたって十分御検討をいただかないと、どうも単なる外国人の漁業の操業、あるいは漁港を使用するという問題で処置をすることについては、まだ非常に手ぬるいんではないかというふうに考えますけれども、そういう点についてひとつ大臣からこの問題に対する態度といいますか基本的な立場を御表明いただきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま、政府部内でも、いろいろな角度からこの問題につきましては研究をいたしておるわけであります。御指摘のような点、なかなか重大な問題でありますので、政府も継続して研究を続けておりますが、なおひとつ弾力的に研究をいたしまして結論をつけてまいりたい、こう思っております。
○達田龍彦君 それで、さらにもう一つ、私は、まあ大臣は十一時半までのようですけれども、特に大臣がおられるときに基本的な問題を尋ねておきたいと思うわけです。それは、いま、韓国あるいはソ連、アメリカ、カナダという関係は相当はっきりいたしておりますけれども、東南アジアの漁業ですね、この問題について東南アジアの漁業進出も相当ウエートを持って考えなければならぬ問題が出てきておるというように考えております。最近、新聞の伝えるところでは、インドネシアとの紛争の問題が若干出ているようでありまして、これはまあ新聞の伝えているところでありますから、必ずしも的確かどうかはわかりませんけれども、水産センターですか、そういうものを援助しながら一方では日本の漁業権益を守ろうという姿勢をとられているようであります。 私は、この問題と関連をして、日本の今日の世界漁業における一番主導的な役割を果たしながら世界の漁業をどう発展をさしていくかということは、日本に課せられた大きな課題だろうと思うんです。また、そういう役割り、任務を日本は持っていかなければならぬと思うわけです。そういう立場から考えてきたときに、いま申し上げたように、特に顕著に韓国や東南アジア等の後進諸国が、水産業に対してあるいは水産行政に対して熱心になり、だんだん漁獲量を増大をしてきておるという状態の中で、日本という先進漁業国が後進国にどう対処していくかということは、今日の国際漁業全体を見たときに、たいへん重要な問題ではないかと私は思うのであります。その場合に、いままでみたいに実績だけだという主張で場合によっては他国の後進諸国の漁業進出を押えるという形をとっていくことは、世界漁業全体の立場からよろしくないのではないかという気がするのです。また、日本の世界漁場における主導的な主体的な立場を守る上においては、私は、そうすべきではなくて、むしろ後進諸国の漁業をどう伸ばしながら日本全体の漁業を伸ばし、国際漁業をどう発展させるかという前向きの姿勢をとるべきではないかという考えであります。そういう意味においても、今日の漁業全体の状態を見ておりますと、たとえばインドネシアのこの後進諸国の問題にいたしましても、みずからの権益を守るために漁業センター等をつくって、それによって向こうの権益、こちらの権益を認めさせるというようなやり方は、やり方として卑劣であり、前向きでないのではないだろうか。何かエビでタイを釣るようなやり方は、漁業全体の前進にならぬのではないか。むしろそういう後進諸国も漁業を伸ばしながら、そういう漁業全体の基盤の上に日本漁業が発展をするという進んだ形での漁業全体の発展をはからなければならぬのではないか。さらに、そういう意味で後進諸国は日本の漁業の歴史を今後踏んでくるわけでありますから、進んだ先進漁業国は、新たな開発、開拓という形で漁業の開発をすべきではないか。そういう形で後進漁業国というものをどんどん引っ張って行って、世界漁業というものを発展させるという形をとって、はじめて日本の漁業の世界的な位置づけができると私は考えます。その意味においては、インドネシア等に行なわれておるところの何か援助だとかあるいは目先の利益を相手国に与えて自分の権益を守ろうというやり方は、日本の立場としてよろしくないのではないか、こそくではないか、あるいは、場合によっては何か商取引でものを考えるような考え方で後進諸国の漁業を見ることは日本という立場でよろしくないのではないか、こういう私は基本的な考え方を持っておりますけれども、具体的にいまそういう問題が出てきておりますので、こういう点について大臣の明確な基本的な姿勢と立場をこの際御表明をいただきたいと思うのであります。
○国務大臣(倉石忠雄君) インドネシアがわが国の漁船を拿捕いたしております問題が頻発しております。このことにつきましては、外交ルートを通じて積極的に相手方に折衝をいたしておるわけでありますが、全体の問題といたしましては、お話しのように、私どもも、こういう開発途上国が、ことに政変後の新しい政権が、自分の国の独立の意欲に燃えていろいろな産業を興そうとすることにつきましては、わが国の立場としては、これを援助すると。したがって、旧債権につきましても債権の繰り延べに率先して賛意を表しましたし、さらに引き続いて六千万ドルの新しい借款を与えるというふうなことは、これはエビでタイというような考えではもちろんございませんで、わが国といたしましては、東南アジア諸国が平和になるためにはやはり経済的安定が必要でございますので、そういう角度からアジアの指導国としてインドネシアには援助を与えております。しかしながら、やっぱり各国の間における外交関係でございますから、友情をもって接触いたしておるわれわれの立場からみましても、非常に不当な行為をいたしておることについては、正規のルートを通じて強い態度でただいま折衝いたしておることは、先ほど申し上げたとおりであります。 一般論としては、お説のように、漁業というものは、少しも停滞することなく、流動的に大きくなっていくだろうと思いますし、やがては大海の深海魚等についてもいろいろな方策を各国が講ずるようになってまいるでありましょう。それからまた、新しく出てまいります国々は、先ほども達田さんのお話の中にちょっとおことばが出てまいりましたが、日本の歩んだような道を低開発国はだんだん歩んでくるだろうと。私どももそう思います。現に、漁業ばかりではございませんで、労働賃金が非常に安くてそうして労働力が過剰である国々が、新しい技術を習得したときにやってくる経済的な圧力というものは、日本の経済全体から見ましても容易ならない問題であります。したがって、われわれは、漁業のみならず、あらゆる面においてもそうでありますが、漁業のごときは特にやはり近代化を促進して、そうして効率をあげるようにして、わが国の漁業を保持し、この立場を守っていき、さらに強化していくことが必要でありますが、それについてはなかなか大きな問題が控えておると思います。インドネシアにつきましては、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、もちろん漁業を含めて、農業その他経済開発については、先ほど申し上げましたような政府の方針のもとに援助をいたしておるわけであります。 漁業センターのお話がございましたが、これは、タイ、シンガポールにそういうものをつくりまして指導援助をしてまいるという方針を立てておるわけでありますが、東南アジア全体についての漁業につきましても、私どもは、先ほど申し上げましたような趣旨で援助をいたしてまいりたい、こう考えておるわけであります。
○達田龍彦君 私は、後進諸国に対する日本の立場というものについては、いまの大臣の御説明でまだ基本的な問題について問題がたくさんあると思います。また、そういう態度でいいのか悪いのか、本来もう少し解明しなければならぬ問題がありますけれども、これは後ほどに譲りたいと考えております。 それで、この法律の今回のたてまえで日本が領海三海里という立場をとる限り、領海三海里以遠は公海ということになるわけですね。そうしますと、この領海以遠の漁業については、日本の沿岸漁業についてはほとんど漁業区域の規制が行なわれているわけですね。ところが、外国漁船が三海里以遠で漁業操業、漁業活動をする場合については、公海の上でございますから、何らの規制が特別の場合を除いてないわけであります。サケ・マスだとか特別に二国間、三国間で協定がない、漁獲物、漁業資源については、ないということになります。そうなってまいりますと、私は、漁業の沿岸における外国漁船との競合というものは避けられないと思います。その結果、日本の沿岸漁業が漁業操業について圧迫を受けて、漁獲高に影響があることも考えてみなければならぬと思います。そういう点を私は非常に心配しますけれども、そういう点はどうお考えになっておりますか。
○政府委員(久宗高君) 遠い先のことは別といたしまして、当面の問題といたしましては、現在のところ、日本沿岸での漁業の競合の問題は、主として韓国、ソ連に限定されると思うのでございます。そこで、お話のとおり、たてまえからいえば三海里になっておりますので、理論的には競合が起こり得るわけであります。対韓国との関係におきましては、御承知のように、具体的な話し合いがついておりますけれども、また、万一どうしても処置のない場合におきましては、十二海里の専管水域を残りの地域に引けばよろしいわけであります。さような観点から、私どもといたしましては、当面日本の沿岸におきまして専管水域を直ちに引かなければならないという事態とは必ずしも考えていないわけでございます。しかしながら、むしろ十二海里以遠のところにおきまして、何らかの意味の二国間の話し合いが必要な漁業種類が次第にふえてくるのではないだろうか。特に対ソ連の場合にそういうことが予想されるのではないかと考えて、いろいろ検討を進めておる段階でございます。
○達田龍彦君 そうしますと、日本の沿岸でもって外国の漁船が漁業活動をやってまいりますと、いまサケ・マスを中心にして二国間で種類をきめまして条約を結んでいますね。ところが、今度は、浮遊魚、多獲性魚、こういうものを中心に沿岸でソ連がやった場合には、またサケ・マスと同様に二国間の話し合いによって年間の区域と、種類と、漁獲数を種類によってきめる、こういうことをとらざるを得ないという考え方の上に立っておるわけですね。どうですか、そこは。
○説明員(亀長友義君) 先ほどの前回の質問の補足的な意味であろうと思いますので、私から御説明申し上げます。 日本の近海に当面進出するのは、韓国とソ連以外にはないと私ども思っております。アメリカとかカナダにそういう漁業の意欲もあるわけでもありませんし、あるいは台湾その他の国も当面来るということは私どもは予想できません。そこで、問題は、韓国とソ連でありますが、韓国については、先ほど長官から御説明申し上げておりますように、すでに十二海里の条約ができておりまして、この中ではお互いに全然操業しないんだと、三海里から九海里の間も操業をしないんだということになっておりますので、少なくとも日韓の間では一切問題にならないわけでございます。問題は、十二海里の外の問題でございます。これは、日韓条約のワク内においては、日韓の間において処理するたてまえになっております。したがって、現在のところ、その必要性に応じて審議いたしておりますのは共同規制水域の問題でございますが、しかし、これがさらに日韓の問題を十二海里以外において何らかの解決をする必要があれば、現在の日韓条約の委員会の運営上、いかなる範囲においても、これは両当事者が合致をすれば審議ができるというたてまえになっておるわけでございます。 それからソ連との関係でございますが、ソ連との関係は、現在、十二海里ということは日本側ではきめておりません。ソ連のほうでは十二海里領海説をとっております。むしろ、日本のほうで、ソ連が少なくとも領土と考えておる地域において、日本は三海里であるから、少なくとも過去の伝統的な操業は三海里まで認めるべきだと日本がむしろ積極的な主張をソ連にしておるわけであります。さらに、ソ連の現在の実質的な漁場というのは、日本の十二海里以外のところが大部分であります。もちろん、中には、日本の十二海里の中にたまたま間欠的に入るということはございますけれども、大部分はその外でありまして、その外でサンマとかイカとかを対象にしておるわけであります。 そこで、いま御質問のありましたように、日ソ間では現在日ソ漁業条約というものが存在しておりまして、従来、日ソ条約は、発足当時の経過からいたしまして、サケ・マスとカニだけは対象にしておりますけれども、現在の日ソ条約は、条約の適用水域すなわち北太平洋の水域においては、両当事者が審議の必要があると認めれば、いかなる魚種の規制についても審議できる条約になっております。事実、一昨年から、あるいは本年においても同様でありますが、ソ連側から新しい魚種の提起がありまして、たとえば西カムチャッカの沖合いにおける底びき漁の問題、これは主としてその水域にソ連の底びき船、トロール船と日本のホッケ船等が操業する、あるいは、日本の以東底びきの船が船団になってカニをとりに行くというような問題でありまして、これらは全く新しい問題として、一昨年来、両当事者で話し合いをしておるわけであります。さらに、ウリュトルスク沖のニシン、これはソ連の沿岸になりますが、そこに日本のニシンの船団、あるいは北海道のホッケ船団等がカズノコあるいは親ニシンを目当てに相当数の操業をいたしておりまして、それらについても、ソ連側の希望によりまして、本年からこのニシンの問題を審議をいたしまして、相互にある程度話し合いを行ない、向こうの国内規制措置、さらに日本のそこへとりに行きます場合の規制措置についても、ある程度の話しをした上で、本年度の操業を行なっておるわけであります。したがいまして、現在、ソ連が日本のはるか十二海里沖合いで行なっておりますサンマであるとかイカであるとかというような問題につきましても、当然これはどちらからでも必要があれば審議の対象にすることを請求をして、審議の対象にできるというたてまえになっておるわけであります。私ども、また、そういう必要があれば、当然現在の日ソ条約の範囲内でそういう運営をすべきであろうというふうに思っております。
○達田龍彦君 そのたてまえはよくわかっているんです、私も。 それで、問題は、韓国との関係においては、いま言われたとおり、十二海里の範囲内において専管水域がきめられておる。ソ連の場合について問題になるのは、魚の種類によっては、やはり資源論を中心にした二国間の地域ないしは魚種の条約によるところの話し合いをしなければならぬのではないかと私は思うのです。ただ、いまの場合にやらないというのは、これは私の判断ですけれども、まだそれほど大きな日本の沿岸におけるいわゆる多獲性魚のソ連の実績がないがゆえに、影響が少ないがゆえた、こちらのほうから話し合いをする、あるいは、向こうのほうからもそういう必要性を向こうの体制上の問題としてできないがゆえに、話し合いが両国間で持たれないのではないか、こういう判断をいたしておるわけであります。ところが、将来の傾向として考えなければならぬのは、ソ連のサケ・マスの漁業、あるいはカニ漁業等を考えてみたって、これだけではソ連もじっとしてはおらないだろうと思います。将来、サケ・マスの漁業資源についても、だんだん減っていくような可能性の強い今日の状況の中においては、漁業の果たしておるソ連におけるウェイトが今日高くなって来ているがゆえに、日本の沿岸に求めて操業するということは、必ず増大するであろうと判断せざるを得ないと思います。 そうなってまいりますと、ソ連船がどんどんサケ・マス以外の魚に対して操業をあるいは漁業活動を日本沿岸に展開をしてまいりますと、その結果、日本のいわゆる規制漁業、多獲漁業の中に圧迫を受け、そうしてその対象資源がだんだん少なくなるということから、大きな影響が出てくることを考えなければならぬと私は思うのです。そういう面に対する日本の国内の漁業対策をどうしていくのかということは、非常に重要な問題であろうと考えるのです。あとに出てまいりますところの中小漁業の振興の問題にいたしましても、何か起こってきてどうにもならぬからそのしりぬぐいをするというような形では、私は、やり方として非常にうしろ向きだと思う。そういう政策をとっている限り、日本の漁業というものは、将来、発展の可能性というものは非常に少ないのではないかと思うのです。いま申し上げたように、予想された事態に漁業はどう対処していくのか、日本の権益と日本の漁業者の利益をどう守っていくのかということは、私は当然考えられる情勢の中で対処しなければならないと思う。そういうものに対して、いまのところ、法案の中にも全然出てまいっておりませんし、単なる守る立場としては漁港を守る立場というものに終わっておるということについて、一体、そういう観点からの検討をどうされておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(久宗高君) 最初にお断わりいたしましたとおり、今回の法案におきましては、一番基本的な港の利用、つまり、かりにお話の出ましたような公海におきます漁業の規制が問題になる場合におきましても、日本列島の周辺におきまして日本の漁港が反復利用されるというような形は、漁業活動を非常に助長いたしますので、最少限度のワクにとどめておかなければならぬという手段でございます。関連いたしまして、本邦の水域という問題が出ましたので、その中におきます漁業の禁止その他の法令をその中に入れておるわけでございます。 御指摘のございますような十二海里以遠の問題につきましては、これはもしやるといたしますと、先ほど生産部長が申し上げましたように、あらためて二国間でお話し合いをする必要があるわけでございます。ソ連の関係におきましては、先ほども申し上げましたように、漁業種類を必要があればふやしてまいりまして、漁業委員会において検討すれば、それがいまの条約の範囲内におきましても問題になり得るわけでございますので、私どもといたしましては、法律その他では何も触れておりませんが、準備といたしましては、数年来、ソ連の国家計画と申しますか、そういう中におきます漁業のウエイトが非常にふえてきていることを承知しておりますし、特にその中でも極東の地域におきまして相当な依存度を組んでいるように思いますので、これに対しまして相当な対処のしかたをしなければならぬなということで、寄り寄り準備をいたしておるわけでございます。御承知のとおり、日米でお話し合いをいたします直前に、米ソの間でも例の十二海里の問題と関連いたしまして話し合いがあったわけでございます。これも、最近におきますソ連の太平洋におきます底びき漁業が非常な勢いでふえましたことと関連いたしまして、米ソの間でああいうふうな具体的な取りきめができたわけでございます。私どもといたしましては、御指摘のように、サケ・マスのみならず、いまのソ連の漁獲計画からいたしますと、多獲性魚につきまして漁獲努力をさらにふやしてくるなということは歴然といたしておりますので、さような場合に対処する基本的な考え方といたしまして、少なくとも資源問題が当面問題になってまいりますし、問題はやはり資源問題から入っていく形をとりますので、試験研究におきます重点もさようなことを頭に置きまして若干の仕組みがえをいたしまして準備を実は進めておるわけでございます。どういう時期にどういう形でお話し合いを進めるべきかにつきましては、さらに十分な吟味が要ると思うのでございますが、考え方といたしましては、まず、資源問題につきましての体制を十分整えまして、本格的な議論のできるような体制が同時にぜひ必要だろうというふうに考えております。
○達田龍彦君 私はいまの御回答ではまだ不十分だと思うのでありますが、たとえば八月から十二月にかけて一斉更新の時期にかかるわけですね、許可漁業の。その場合に、いま申し上げたような、後ほど中小漁業振興の問題が出てまいりますけれども、国際漁業の観点から、底びきの問題、あるいはサケ・マスの漁業の中小、特に中に位置するような漁業の助成策を講ずるということが出てまいっておる。私は、それと関連をいたしまして、国際漁業の中においては、サケ・マスや以西底びきだけではなくて、多獲性魚に従事する漁業業種についてもやはり国際的な観点からのてこ入れなり底入れなりを国の施策としてとらなければ、これまたおくれていきはしないかという今日の漁業の情勢にあると思うのです。そういう観点から考えたときに、中小漁業の振興にいたしましても、いま問題になっている問題を中心にして糊塗的に対策を練るということではなく、沿岸における中小漁業の今日の日本漁業において果たしておる役割りの中において、日本の中小企業漁業というものをどう位置づけ、どう発展をさしていくかという基本の上に立ってこの問題は本来出てこなければならぬと思う。そういう観点から考えれば、私は、多獲性魚に携わる許可漁業に対して、十分なる対策あるいは裏打ちというものをこの際考えなければならぬ時期に情勢としてはあるのではないかと思うのです。そういう意味で、八月から行なわれる一斉更新の問題にいたしましても、外国の漁船がどんどん日本の沿岸に入ってくるということになりますと、日本のいまの許可漁業の中で、操業の競合、あるいは漁業の規制競合というものが出てまいるわけでありますから、単なる資金上の規制ということでなくて、許可を今日どうしていくかということも含めて根本的に考える問題がこの問題と関連して出てくると思うのであります。 この前、私は、本会議で、農林大臣にこのことを尋ねました。ところが、きわめてピンぼけな実は回答をいただいたんです。私の聞いているのは、許可漁業に対する今日の状態を打解するために、沿岸漁業者に対して一部許可を与えるという方向で沿岸漁業の振興をはかるべきであるということを言っているにもかかわらず、それに対するまともな回答ではなくて、ただ基本的には変更する意思はございませんということで、今日の客観情勢あるいは置かれておる立場を無視したきわめてあいまいな回答であったのでありましたけれども、こういう関係において一体どう考えていくべきかということはたいへん重要だと思います。それに対する長官の水産庁としての立場を御説明願いたいと思うのであります。
○政府委員(久宗高君) 中小漁業が日本の水産の中において占めております地位なり役割りにつきましては、御指摘のとおり、数字の上からも意外に大きなウエートを持っておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、中小漁業の振興の特別法を出しておりますのは、たまたま今日の段階では、これまたその御質問の際に詳しく申し上げるつもりでございますけれども、一ぺんにばく然と取り上げられませんので、相当しぼりをかけまして、特定の漁業種類に限定をいたしまして、次々に拾い上げていくという形をとって、初年度といたしましては、以西底びきとカツオ・マグロを取り上げておるわけであります。もちろん、これに限定する必要はないわけでありまして、必要があればさらに拡大していくわけでございます。 いずれにいたしましても、中小漁業につきまして、これに相当本格的なてこ入れをする必要があることは、十分私どもも認識いたしまして、今回それの一番もとになるような法体系を整備していただこうということで御提案申し上げておるわけであります。国際関係におきましても、大資本のみならず、中小関係におきましても、相当今後漁場におきます競合関係が起こり得るものが予想されますので、それに対しまして体制を整備していくということが必要であろうというふうに考えております。ただ、取り上げます順序その他につきましては、その漁業種類の置かれております現在の見通しなり、特にその業界の体制の整いぐあいといったものも考えませんと、せっかく特別措置をとりましても熟した形になりませんので、その辺の準備の進捗ぐあいと関連いたしまして、かつ、国際的な漁業の競合の度合いと関連いたしまして取り上げてまいりたいということでございまして、決して中小漁業の問題を軽視しているわけでもございませんし、また、国際的な漁業紛争の調整に乗り出します場合にその辺の準備も頭に置きまして、一応この段階で中小漁業振興法を基本的な形だけは整えていただくつもりで提案いたしておるわけであります。
○達田龍彦君 これは中小漁業とも若干関連してまいりますけれども、いま申し上げたように、ソ連、場合によっては以西の場合は、韓国の進出はかなりきびしく、しかも早く来るだろうと思っております。あとで中小漁業振興の場合に出てまいりますけれども、以西底びきが今日経営不振である。あるいは生産が非常に上がらない。この原因は、私は私なりに一つの原因を考えておるのです。それに対する対策としては、私は私なりの実は見解と方法を考えておるのであります。これは、将来、以西底びきは、なおかつ非常に深刻になるだろうと思います。それは、韓国の進出はその中に大きなウエートを占めると思います。特に、このあとでこれも尋ねてみたいと思っておりますけれども、たとえば日韓交渉に基づくところの賠償によって漁船の賠償が行なわれておりますけれども、その結果、日本の漁業が圧迫されるという現実も一つあるのです。 それから国際漁業という観点から以西底びきを取り上げることも一つの方向であるけれども、同時に、もう一つは、資源の面から考えた以西底びきの問題がある。これは、サケ・マスの場合について考えれば、ソ連やあるいはアメリカ、カナダと資源保護を中心にして今日漁業条約が結ばれ、漁獲高というものがきめられて、そうして永続的に安定して魚族が保護できるような措置をとっておるわけです。ところが、今日、東シナ海やあるいは対馬沿岸の漁業というのは、日本の取りほうだいであったわけですね、韓国の進出以前は。そういう意味においては、以西底びきの場合等について考えてみると、魚族の保護あるいは漁業資源の問題よりも、どうしたらとれるかということを優先したがゆえに魚族が減っていったということは、私はぬぐい去れない現実ではないかと思うのであります。そうなってまいりますと、漁業装備をどうするかということよりも、魚族をどう保護していくかということを先に考えていかないと、以西底びきの経営の安定、あるいは経営の伸びというものは私は実は期待できぬと思っておるんです。そういう問題が、多獲性魚のあぐりの問題についても今日言えると思います。長崎にはそういう業者がたくさんおりますけれども、いまたいへん危険な操業、危険な経営をやっていることだけは間違いない。こういう人たちの中小漁業についてはこれはどうなんだというと、台湾沖までほとんど行っているようでありますけれども、魚がなかなかいないと、こういうことを率直に言っている。どこの外国船と競合しているのかというと、競合しているような節はあまりない。 こういう点についても私は心配をいたしておりますけれども、そういうように、今後は、韓国の進出と同時に、ソ連等の進出によって、中小漁業、沖合い漁業というのは相当問題を提起するのではないかと思うのです。でありますから、この問題についても、単なるカツオ・マグロやあるいはいま申し上げたように以西ということだけではなくて、中小漁業というものをどう位置づけて、どうこれをその漁業の中に役割りを果たしていくかということについて抜本的な方策を立てて、来たるべき国会には早急に出してもらわないと、日本の漁業というのは、その漁獲量の中においても半数以上を中小漁業、沖合いが占めているがゆえに、十分対策を講ずる必要が今日あるのではないかということを強く申し上げておきたいと思うのであります。 さらにいま申し上げたように、韓国との漁業規制の問題については、水産庁のほうではいろいろ言われておりますけれども、私は、満足ではない、不十分であると考えております。こういう点についても、もう少しきめのこまかい、そうして漁業者として立ち行くような方途を十分練ってもらいたいというふうに考えておるのであります。 それからもう一つ、この際伺っておきますけれども、それは、先ほど論議をいたしました専管水域、領海の問題で、遠洋漁業の中で十二海里を主張することが日本の場合については必ずしも得策ではない、利益ではないという配慮から、今日、一面で三海里説をとっていることは、これは私は先ほどの説明でもそうだと思うのであります。ところが、そのためにその沿岸漁業が脅かされるのではないか、十二海里をとらなければ脅かされるのではないかということを主張しましたけれども、先ほど生産部長の説明あるいは長官の説明では、韓国については十二海里を確保しておる、ソ連等については将来二国間の話し合いで解決をしたい、こう言っておるのであります。しかし、私は、この問題は、いま当面の問題はソ連、韓国でありますけれども、将来やはり台湾あるいは東南アジアの漁業の進出ということは特に以西の海域については避けられない情勢が早晩来るのではないかという考えを持っております。この情勢の分析に間違いがあれば御指摘をいただきたいと思いますけれども、そういう場合について、やはり日本の権益を保つためには、沿岸漁業の利益を確保し、漁業を守るためには、そういう意味での十二海里説というものをとらなければならないのではないかという感じがいたすのでありますけれども、そういう点についてどう考えておられるか、お伺いをしておきたいと思うのであります。
○説明員(亀長友義君) 最初に、以西底びきその他業種別の御質問がございました。一応簡単に説明をさせていただきます。 以西底びきにつきましては、確かに、御指摘のように、資源という点を最大に考慮すべきだろうと思います。事実、われわれ水産庁としましても、業界としても、そういう考え方でいままで来たことも事実であります。特に、戦後から、以西につきましては、減船も行ない、あるいはその他資源調査等も拡充してまいりまして、日本側としてはあくまで資源という側から非常に慎重に以西に対しては考えてきたわけであります。しかし、一方、日韓との外交関係の復活というような政治事情もありまして、韓国には御承知のようにばく大なる援助資金も参る。この中においてはやはり以西底びきに対する韓国の進出も拒むわけにはいかないというような事情がございます。ただ、そうした事情からいたしまして、日本も、従来以西にとってきました行政の側面から言えば、率直に言って韓国にはわれわれは出てもらいたくないというのがおそらく日本の漁民の偽らざる心情だろうと思いますけれども、しかし、その点は、韓国の立場、あるいは日韓の政治関係を考慮すれば、韓国の希望も、以西については双方協調するというたてまえのもとに進出を認めなければならない。しかし、一方、資源に対する要請というのは、それを阻止するような方向に働くわけでありまして、その際には、先ほどから日本の実績尊重だけでなくて、後進国の開発も尊重すべきだというお話がございましたけれども、少なくとも以西においては新規資源を開発するという余地はないのであります。したがって、従来の日本のような行き方というものと韓国の進出というものは、資源がふえないという大きなワクの中で実質的に相いれざる形をとってまいるわけでありまして、しかしながら、韓国に対する日本の大きな立場から考えますと、われわれとしては、以西漁業は少なくともこれはある程度大きな発展はしない、むしろ従来よりも韓国の進出によって日本が相当程度——これは企業的な線は維持するとしても、少なくとも漁獲努力というような面では大いに自粛をするという立場でない限りは以西の資源を維持できないし、韓国のほうも進出してもお互いに共倒れになるというようなことでありまして、少なくとも以西については、日本としては大乗的な気持ちで以西の漁業を見守っていくほかないだろうというのが私どもの考えであります。もちろん、その中で、以西としては一段と企業合理化をして、かりに漁獲量が減っても資源の維持あるいは企業の合理化によって長期的にはこの産業が維持される、しかし、実質的に日本の占めるいわゆるシェアというものは大きく韓国に譲るというぐらいの大局的な気持ちが必要だろうと思っております。 それからあぐりについてお話がございましたが、あぐりにつきましては、私は、率直に申しまして、韓国と現実に競合があるとは思っておりません。また、魚がいないということもあの海域については事実でありますが、この点に対する科学的究明というのはまことに不十分であります。また、事実、日本の学者の人の大部分あるいは業界の人も、これは全くの回遊魚であって、主として海流その他による影響であって、漁獲による影響ではないというような見解が現在のところ支配的であるように思います。これがほんとうに科学的に正しいかどうか、なお今後の研究にまたなければならない問題でありますが、一般的にこういう多獲性の魚種については、そういう考えが日本の漁業者なりあるいは学界においても強いようであります。このことは、まき網であるとか、あるいは北のほうのサバであるとかサンマであるとかイカであるとかいうふうなものについても、そういうふうな考えが非常に強いようであります。北のほうにおきましては、そういうふうなものについてソ連が現在進出してきておるというふうな事情でありまして、これが端的に日本の漁獲に大きく影響するんだという十分な論拠をいまだ得るに至っておりません。事実、業者のほうでも、端的にその漁獲が日本の漁業者のほうに影響してきたというふうに必ずしも考えておらないようであります。こういう多獲性魚につきましては、今後もう少し日本側としてそういう資源面なり科学的面なりの研究をもっと強化をして、はっきり外国にも日本の漁業に影響があるというふうにものが言えるような体制をわれわれとしても逐次つくっていきたい、かように考えておるわけであります。 それから最後の点の御質問でございますが、将来台湾あるいは東南アジアの諸国も日本の近海に進出して来るのではないかというふうな御質問でございまして、非常に先のことを考えますと、私もはっきり絶対そんなことはあり得ないと言うだけの論拠は持ち合わせておりません。しかしながら、当面、私どもとしては、そこまでがこういう国によって可能であるとは思っておりません。もし、将来、そういう国が、あるいはそういう計画をし、あるいは技術的に経済的にそういう事態が可能になってきた場合には、やはりわれわれとしては韓国に対する場合と同じように、これはお互いに話し合うなり、あるいは十二海里のことも考えていくという基本的な態度はわれわれとして持っておりますけれども、当面これは遠い将来のこととわれわれ考えるほかないだろうと思っております。ただ、遠い将来のことでも、いまから何か手を打っておけというお話でございますが、国際間の趨勢として非常にむずかしい問題があるのでありまして、非常に遠い将来のことを考えていろいろやっておる国もございます。たとえば、自分のところは何も魚をとっていない、特に外国の船も来ていない、しかし、大きな専管水域を要求する、二十海里あるいは三十海里あるいは二百海里というふうな大きな要求をしてまいる。日本としては、現実の必要な、あるいは現実にそういうことが予見されない前に、そういう手を意識的にやるということは、必ずしもこれは大局的に見て得策じゃないのじゃないか。さらに、意識的にかりに台湾なりあるいは東南アジアの国を目標ということになりますれば、これまた日本の東南アジアに対するあるいは後進国に対する態度についても疑いを持たれるわけでありまして、現実にそういう可能性があるとわれわれ認識を持った場合には、やはりこれは韓国に対すると同じような考え方を持つべきであろうと思いますけれども、当面そういう事態を真剣に考えていまから手を打っていくということについては、われわれはかなり消極的に考えております。しかし、御指摘のような問題については、常にわれわれは事態の把握とそれから対策の研究については十分研究をしてまいりたいと、かように考えております。
○達田龍彦君 それで、以西底びきの場合に、資源の問題は、いま生産部長ですかおっしゃられたように、たいへん資源が枯渇しつつある、それから経営者も非常に苦しいという立場、それからあぐりの場合だって危険な操業をやりながら、しかも非常に危険な経営をやっておる、ちょっと融資が停滞しますとがたっといく、こういう状態は非常に多いんです。それで、以西底びきの問題は、あとで中小漁業の振興の問題が出てまいりますけれども、金等の少々のてこ入れではこれは経営は安定しないと思う。それは、いま申し上げたように、いくら合理化、機械化をやってみても、それによって、全体の隻数が減らない限り、とるものを合理的に短時間でとるという結果になってしまって、これは私はそういう意味での経営の安定は必ずしも出てこないんじゃないかと思うんです。以西底びきの場合は、国際漁業の対抗上、合理化、機械化をやるという観点よりも——サケ・マスの場合は別ですよ。ところが、以西底びきの場合は、国際的な問題よりも、むしろウエートを資源の保護、資源をより守りながら安定した操業をしていくということを中心に対策をとるべきだと私は考えておる。その意味においては、機械化、合理化を先にすることよりも、私は、いわゆる規制水域を、自分らで保護水域をつくって保護していくなり、あるいはそこで操業する隻数を少なくするなり、網目をどうするなりして魚族の保護ということを考えていかなきゃならぬと思うのであります。そういう点のほうがむしろ以西底びきの健全な経営につながると考えている。これはサケ・マスなどの場合と観点が違うと、そういう意味でとっているわけであります。そこで、以西底びきを、単なる中小漁業に金の融資によっててこ入れをするということは、将来において魚族が多くなるという見通しがない今日において、むしろ許可漁業における八月から十二月までの間に以西底びきの隻数を減らして転換をさせるなり、何らかの根本的なことをやらないと、単なる中小企業の金の融資だけでこの問題をすることは、むしろ大きく融資をしてそうして合理化、機械化をやって優秀な機械をつくったけれども、魚がないために経営不振に陥って倒れるということになれば、負債はより多くかかえ、漁業混乱がより多く出てき、経営者としてもどうにもならぬさらに負担をさせられる結果になるのです。私はこの問題については非常に懸念をするのだけれども、一体、水産庁としてはそういうことに対してどうお考えなのか。私は、むしろ、いま申し上げたように、魚族の保護の立場から、網目をどうする、あるいは保護水域をつくる、あるいは隻数の規制をする、あるいは許可漁業を他の漁業に転換させる等のことをするほうが根本ではないかと思うのですけれども、その点はどうですか。
○説明員(亀長友義君) 以西漁業についてのいまの御質問について、資源を重点的に以西については基本方針とすることについては、私ども全く同様でございまして、従来とも以西についてはそういう態度をずっと続けておるわけでございます。具体的に転換をいたしました数字を私いま記憶をいたしておりませんけれども、たとえばアフリカに参りましたトロールのうち、相当部分は以西からの転換であります。さらに、現在、許可面では残っておりますけれども、一年のうち半年あるいは十カ月近い操業をベーリング海のほうでやらしております。これはいずれも以西あるいは以東の船を使うという条件で許可をいたしておりますので、当然その間は以西なりの漁業圧力の緩和になっておるわけであります。今後といたしましても、外国方面において日本が新しく進出ができるというような分野がありました場合には、当然これは以西等の転換を十分考慮してまいりたいと思います。さらに、今回の振興法に伴いまして低利の融資が行なわれる。そこで、合理化、機械化というものが行なわれますけれども、その際には、私どもは、ある船を大きくする場合には、当然ある程度の隻数の減少が伴うものというふうに考えております。現在のトン数で合理化を行なう面においては主として労力の緩和ということになるのでありますが、船型が大きくなる場合においては、やはり何らかの隻数の削減が実現するような方策を現在考えておりまして、これは従来とも以西はそうでございましたが、今回の一斉更新に際しましても、非常に大型の船をつくる場合は、必ずそれに見合う船を削減するということと併用して以西の減船を進めてまいるつもりでおります。
○達田龍彦君 これは後ほど川村先生等が中心になっていろいろ御論議いただくと思いますので、私は深く立ち入って申し上げませんけれども、私も、長崎の出身ですから、五島に以西底びきをやっている経営者の友人がいるんです。その連中と話をよくするんです。あぐりの友だちも何人か経営者におります。台湾向けの実情を、帰るとよくいろいろ話を聞くんです。以西底びきの場合、話を聞いてみますと、たいへん魚は少なくなった、ただ、低漁であるために、少なくなるがゆえに、値段が上がって、それで採算がとれているんだということを彼らがよく言います。そういうのが、今日の以西底びきの漁業者をささえている実情です。本来、漁業政策としては、魚が多くとれて、コストを下げる、そして生産者が収益を上げるというのが前向きであり、健全です。ところが、逆に、魚が減って、それが高く売れるから経営がやっと持てているということは、まさにつぶれる寸前の状態です。そういう状態が以西底びきを中心にする経営の実情だということを私はよく知っております。だから、この問題については、単なる融資の問題ではないと思う。根本的には、いま申し上げたように、漁業資源の問題を含めた隻数の問題、あるいは保護をどうしていくか、区画をどうきめていくかということをきめて根本的にやらなければならない問題だと思いますので、そういう点について、いま生産部長も、そういう点の認識の把握については大体私ども一致をいたしておりますようでございますから、その上に立っての抜本的な対策というものをほんとうに掘り下げた検討をいただきたいということをお願いをいたしておきたいと思います。 それで、若干小さくなりますけれども、時間もいよいよ過ぎましたので、二、三もう少し御質問をして終わりたいと思いますけれども、この法律の案文の中に「本邦の水域」というのがあるですね。この水域というのは、解釈はどういうふうにすればいいですか。
○説明員(亀長友義君) 「本邦の水域」と申しますのは、領海及び内水をさすというふうにわれわれは考えております。したがいまして、内水面、海につきましては領海三海里までというふうに現在考えております。しかし、韓国につきましては、現在別個の法制すなわち農林省の別の法律によりまして韓国につきましては十二海里まで日本国の漁業法を適用するというふうにきまっております。したがって、韓国につきましては——この法律では一般的にこうしてございますけれども、韓国につきましては別段の十二海里までの日本の規制に服するということでありまして、これは別の扱いになります。これは将来かりに日本が専管水域等を宣言した場合にどうするのかという場合におきましては、この法律を修正するなり、あるいは将来そういう国際的にも国内的にも解釈上それが可能であるということになりますれば、あるいは法律の修正ということも要らないかと思いますけれども、一応現在提案しておる法案の解釈といたしましては、領海であり、それは現在日本が宣言をしておる三海里であるということであります。 しかしながら、三海里というものは、現在法律できまっておるわけではないのであります。すなわち、日本の外交的宣言でありまして、これをかりに政府の宣言によって修正することも可能であろうかと思います。その場合には、当然領海としてその範囲がきまってくるということでございます。
○達田龍彦君 そうしますと、領海と水域に幅員の違いがあると主張しているところがあるのですか。そういう解釈が立てられる解釈があるのですかどうですか。
○説明員(亀長友義君) ちょっと御質問の意味がよくわからなかったのでありますが……。
○達田龍彦君 それは、たとえば領海及び接続水域に関する条約というものがあるんです。そうすると、接続する水域という水域の解釈が違うのです。いまあなたが説明されたのは、日本の場合は領海が水域なんだという解釈になっている。そうすると、領海というものと水域というものと違った解釈で、いわゆる幅員において。領海三海里という場合と、水域と言った場合は、領海は三海里なんだけれども、水域は五海里なんだという解釈が国によってとられるのかどうか。そういうことがあるとするならば、日本の場合は一致しているのに、何で領海と言わないで水域ということばを使うのか、そこはどうですか。
○説明員(亀長友義君) ここで水域ということばを使いましたのは、領海及び水面いわゆる内水ということばがございます。国際上ことばが非常に混乱をいたしております。国内法制といたしましては、「本邦の水域」と。すなわち、領海及び内水を含むんだというような解釈でこれを本邦の水域として統一して提案をしておるのであります。外国では、もちろん、領海——テリトリアル・ウオーターズということばを使っておる国が多いようであります。もちろん、漁業水域とはまた別に使われておりまして、漁業水域は、フィッシャリ・ゾーン、フィッシャリ・リミットということばを使っておりまして、また、接続水域とも違う概念で使われているわけでございます。したがいまして、外国のは、いわゆる漁業水域、漁業区域ということばで使われております。
○達田龍彦君 そうすると、これはまたあとで、法律問題はよくわかりませんけれども、領海だとか水域だということによって管轄権の違いがあるのですか。あるいは日韓協商の場合にいろいろ論議がありました。たとえば専管水域に入った場合に追跡権があるのかないのか、あるいは領海の中だったらあるんだというような解釈のようですね。しかし、専管水域をはずれた場合の追跡権はないんだとか、管轄権の中には裁判権も入っているのだから、それも含むんだという解釈なんですね。そうすると、水域という表現の場合は、あるいは領海という宣言をした場合におけるそういう管轄権との法的な解釈があってそういう用語を使っていらっしゃるのか、そこら辺も統一されているのですか、国際的にも国内的にも。どうですか。
○説明員(亀長友義君) 今回の法律で「本邦の水域」と申しましたのは、領海を言わなかったのは、従来、日本の立法例としまして、出入国管理令あるいはその他の法律におきましても、本邦の水域ということばで領海を含むんだというような日本での先例なり用例がありますので、したがいまして、国際的には、一番日本の支配する海の外の限界をとれば、すなわちそれは領海の限界と一致をするということであります。そこで、追跡権その他についてはどうなるのかと申しますと、これは、本邦の水域と言おうと、領海と言おうと、そういう外の限界は一致をいたしております。さらに、その中における日本の主権の行使というものも一致をいたしておりますので、追跡権につきましても領海の場合と本邦の水域と言った場合と全く変わりはないというふうに考えております。
○達田龍彦君 それは国際的に水域と言っても認められるのですね。いわゆるそういう管轄権の起点は、水域と表現した場合も、領海と規定した場合も、管轄権のいわゆる限界の線ですね、いわゆる起点ですね、それは同じなんですか、法律効果としては。
○説明員(亀長友義君) 同じと解釈いたしております。
○達田龍彦君 それでは、これは私もよくわからないのだが、たとえば北海道にもあるし、長崎の場合に特に多いのですが、島がありますね。そうすると、それは水域、領海の基線というのかな、それはどういうふうに見るのですか。
○説明員(亀長友義君) 領海の基線につきましては、日本としては、低潮線を基礎にする、しかし、非常な例外の場合には直線基線の場合もあり得るというのが日本の立場であります。これは現在日本はいまだ批准をいたしておりませんけれども、国際的にも従来の確立した国際慣行であるというふうに認められておるものとわれわれは解釈いたしております。海洋法にもそういう趣旨の規定もございますし、具体的に個々の地点についてどういうふうに引いてあるか、私ちょっと詳細な地図を持っておりませんが、たてまえとしてはそういうたてまえでございます。 さらに、日本は、その例外として、瀬戸内海についてはまん中に若干空白の部分ができますが、これは日本の歴史的な水湾である、歴史的に支配してきた水域であるという国際的主張をいたしております。
○達田龍彦君 そうすると、沖繩だとか小笠原であるとかあるいは千島だとか、ああいう施政権のないところがあると、こういう関係は領海との関係においてどう日本の立場はとるのですか。
○説明員(亀長友義君) いま御指摘のような区域につきましては、現在実質的に日本の行政権が存在いたしておりません。しかし、日本が潜在権あるいは領土権を主張している地域につきましては、当然日本の主張が、すなわち領海は三海里であるという主張が現存しておるものとわれわれは考えております。ただ、この法律におきましては、現実に実際に日本の行政権が及んでおる地域だけを考えておりますが、この点は、外国為替管理法であるとか、あるいは出入国管理令であるとか、すなわち現在の日本の行政権が及んでおる地域だけに限定をして適用するという考えであります。
○達田龍彦君 まだよくわからない問題がありますけれども、こまかいことはまたあとに譲りますが、そこで、領海に入ったかどうか、水域に入ったかどうか、監視しなければなりませんね。従来までもしていると思うのです、領海というのは厳然としてあったものですから。それは、分野として海上保安庁がやったのか水産庁がやったのか、その体制ですね。どういうふうにこういう法律をつくってこれを守ろうとしておるのか。そうたいしたウエートはないと思いますけれども、そのウエートが漁港を使わせないということにウエートがあれば、なるほど操業活動というのはできないわけです、考えてみればね。だから、三海里を侵したか侵さないかというのはたいして私は問題にはならないと思うのだけれども、法律のたてまえ上、理論のたてまえ上は、監視制度というものはなければならぬ問題だと思うのです。やはり、そういう意味においては、体制上の問題というものも一つ考えてみなきやならぬと思うから聞くのですけれども、どうですか、そこは。
○説明員(亀長友義君) 従来とも、法律はございませんでしたけれども、日本が領海三海里の主張を外交的にいたしておるということは周知の事実でございまして、これに外国船が入った場合は、日本としてはその国に当然抗議する権利を持っておるわけであります。これは外交的な権利であります。しかしながら、現実にそこに入ってきた場合に、これを執行すべき、その違反事態を是正すべき執行関係、すなわち、海上保安官であるとかあるいは漁業監督官あるいは警察官というものが具体的にその違反者をどう処置するか、あるいはどうして退去をさせるかという手続はなければならないわけであります。今回、この法律によってその執行の手続をも同時にきめたいというのがこの考え方であります。 具体的にどういう監視体制でやるのかと申しますと、原則的には、日本の沿岸を警備します海上保安庁が何と申しましても主力になると思います。さらに、漁業監督官も、水産庁の漁業監督官もございますし、あるいは県の漁業監督吏員もございますが、これらは、漁業法の規定によりまして、漁業関係法令の施行に関する法令励行の事務をつかさどるというふうに考えておりまして、私ども、今回の法案も、漁業関係立法の一連と考えておりまして、当然これの実施をする資格があるものと思っております。もちろん、陸上の警察官も、これは国の法規の執行として同様であります。 実際上の措置といたしましては、やはりこれはお互いの通報体制、特にこういう海上保安官であるとか陸上の警察官であるとか漁業監督官であるとかいうふうな行政警察、さらに司法警察というふうな警察的組織のほかに、税関あるいは入国管理官、さらに漁業協同組合、あるいは市場の管理者というふうなものの協力を得まして、相互の連絡通報の体制を整備してまいりたいと思います。いずれにしましても、海上保安官だけでも十分を期せられない。さらに水揚げ地における情報というものが非常に重要な要素となりますので、そういう点で関係者の十分な連絡体制をやってもらいたい、かように考えております。
○達田龍彦君 従来は、これは自由に寄港して、そしてお魚を日本の市場に揚げていると、こういう立場をとっていたのですかどうですか。
○説明員(亀長友義君) 従来は、御指摘のとおりでございます。それで、日本の港にはいかなる国の船も自由に出入ができたわけであります。そして、さらに、漁獲物も、これはもちろん自由化物資であるとかあるいは外貨割り当てであるとかいうことはございますけれども、単に通商上の手続をすれば、いつでも自由に入港ができて、自由に魚の販売ができたのでございます。御承知のように、昨年、各種の問題がございまして、私どもとしては、将来本格的立法措置を講ずるという前提のもとに閣議で御決定をいただきまして、とりあえず緊急の事態であるから、漁業法で可能な範囲で農林大臣の省令でできる範囲のことはとりあえず措置をしておこうということに相なりまして、昨年から漁獲物の陸揚げだけについては農林大臣の許可を要するということにいたしてございます。しかし、その他の面については、目下、何らの法規もないわけであります。
○達田龍彦君 それでもう一つ懸念されるのは、沖合いでもって法をくぐろうということで軟載するわけです、日本漁船に。それを陸揚げするということについては、監視をしておかなきゃ、これこそわからない。これは私が一つ心配するのは、私は長崎の魚市の役員の方に友だちがおるんです。名前を出していいかどうかわかりませんが、かつていわゆる密漁で有名な漁協が四国にあるんですね。これがよくその長崎沿岸に出てまいります。そうして、底びきをやっちゃって、密漁をやるわけです、規制区域外に対して。そうすると、いままで長崎の魚市場の場合は、密漁している魚がどんどん揚がっちゃうわけですね。だから、密漁しているという現場をとらえなければ密漁かどうか規制できないという制度は私はけしからぬと言ったことがある。なぜならば、魚市の三年から五年魚を取り扱っている連中に言わせますと、魚を見ただけで、これは密漁かどうかわかるというんです。だから、県がほんとうに密漁かどうか取り締まろうとするならば、魚市場でもって揚がった魚を見て密漁かどうか取り締まることが実はできるんです。それを本気にやろうとしないから、実は監視船だけはうろうろしているけれども、監視船から情報をもらって、何時何分にどこの沖を通るから、そのあと漁をやったらいいという情報があって、通報したって密漁をやるという例があるんです。それを取り締まるためには、揚がった魚を専門家が見れば密漁かどうかわかるんです。それをしないから、密漁を取り締まることができないし、県はしり抜けで業者と結託していると、こういううわさが出ているのです。まさにそういうことが一面言えると思う。だから、私は、監視体制を沖合いでやみの中でやられたらどうにもなりませんから、日本の場合だって、入って来た魚が外国の漁船によってとられたかどうかということの監視体制ができるような研究を何かやったらどうかという気がしている。現にそういう密漁の関係で私はかつて経験したことがあるのですが、どうですかそういう面、網目の違いだとか操業の違いだとか地域の違いによって、そういうことが魚自体で転載した場合の防止方法は、陸揚げの際にできますかね。
○説明員(亀長友義君) 最初の場合は、密漁船の一般的な場合、外国船に関係なく、日本の密漁船の場合であろうと思います。確かに、御指摘のように、専門家が魚を見ればわかるということは、ある程度事実だろうと思います。事実、そのとおりであります。しかしながら、専門家なり漁業者なりというのは、一つの勘なり長年の経験でありまして、一番役所側としてこれを処理することに困ることは、そういう事態のもとにかりに起訴をする、裁判になるという場合に、はたして勝てる自信があるかどうかということであります。私自身も、数回そういうことを監督官に昔やらせてみたことがありますけれども、これを科学的に立証することは非常にむずかしいのであります。この魚種はこの地域だけで生息しているんだということを立証することは非常にむずかしいのであります。そこは漁業者の勘等で判断されることを、法廷内においてこれを十分に裁判の証拠として立証するということは非常にむずかしいのでありまして、かりにまあそういう経験なりあるいは長年の勘によりまして県なり行政当局が告発いたしましても、裁判所においては学者をお呼びになる。学者をお呼びになると、必ずしも簡単にきめる科学的根拠はないということになりがちでありまして、私どもとしても事実上はおそらくそうであろうと思うのでありますが、非常にむずかしい。特に区域の内外によって違法・合法がきまるような場合には、非常にむずかしいのであります。しかしながら、全く漁業の許可のない船が、まあほんとうのやみ船でやっておるというふうな事態については、これはどこで魚をとろうと、無許可は無許可でありますから、そういう場合は非常に簡単でありますが、区域の内外によって漁業の違法・合法がきまるという場合には、非常に処理が困難というのがいままでの私どもの経験なり実情でございます。 それから第二は、かりにそういう日本の密漁船がそこで魚をとって、それを日本の船に積んで送ってくるということになれば、これは密漁の手伝いになるわけでありまして、これは直接今回の提案している法律とは関係ないと思いますが、かりに沖で密漁して、第三国の船に積んでもらって日本に持って来るということになりました場合に、従来でありますと、何らそれについては日本は取り締まりを出す手はなかったわけであります。今回からは、それが合法にとられようと、違法にとられようと、外国の船に積んで来れば、日本側としては一応この寄港をチェックする権限が生まれるということになるわけであります。さらに、そういう点から、外貨法上適正な手続を経ているかどうかというふうな点もだんだんわかってまいるわけでありまして、そういう点から密漁の防止という点でも役立つというふうに思っております。
○達田龍彦君 ただ、私がちょっと心配するのは、いま言ったように、いままで自由だったから秘密に転載することがなかったけれども、こういうふうに規制をしてみますと、規制をされた結果として起こることがあるんです。転載の問題なんか出てくる、沖合いでもって。いままでは自由だったから、実際は出てこないのです、転載なんということは。しかし、規制されるから、結果として出てくる。特に、私は、壱岐、対馬あたりは出るのじゃないかという気がしています。長崎県の人はいい人が多いから、そういうことはないと思いますけれども、いずれにいたしましても、そういう点についての監視体制、これは法を守るためにどうしても必要ですから、そういうことはひとつ十分検討してもらって、そういうことがいままでなかったから今後もないということじゃない。今後あるであろうという想定に立った対策が必要であろう、こう思いますから、その点をひとつ御検討いただきたい。監視体制の強化というものをある意味ではあまりむちゃにやりますと、国際関係の漁業に対する影響が出てきますから、これは非常に問題だと思いますけれども、いずれにしても法を守るという立場からの最小限度の監視体制は私は必要だ、こう思いますから、そういう点、ひとつ十分御検討いただきたいと思います。 それから最後に、いろいろ政令にゆだねている点が非常に多いのですね。これは政令を見てみなければわかりません、実は。ですから、政令を早急にお出しいただきたいと思うのです。この資料が、私だれかに言ったのですが、まだ来ていないから、ひとつお尋ねしておきたいのですが、権限の委譲というのがあるんですね。知事に委譲するというのがあるんですが、どういう状態の場合を想定して委譲しようとしているのか。これは政令が来ておればわかるのですが、すでに政令をつくられていると思いますけれども、説明いただきたいと思います。
○説明員(亀長友義君) 政令案につきましては、私どものほうからすでに御提出をしてあるそうでございます。いずれお手元に届くことと存じます。 それから県知事に対する委任の権限、委任の範囲でございますが、法律上から申しますと、都道府県知事に委任し得る権限の範囲は、寄港許可の権限と退去命令の権限の二つでございます。この権限のうち、何をどの程度委任するかということについては、現在のところ、すぐ委任する考えはございません。問題は、この法律施行後の推移につきまして、実際上、外国船がどういうふうな動きをするかというふうなことを考えた上で措置をしてまいりたいと思います。御承知のように、昨年緊急の陸揚げ省令を出しましてから現在までに至ります経過は、非常に件数が少ないのでございまして、その程度の範囲でありますれば、いままでのところ地方なりあるいは海上保安庁から水産庁に連絡をいただきまして、それを回答するという程度で、事務的には十分間に合っております。したがいまして、過去半年の状態が続くようであれば、特に地方当局をわずらわすほどの事務量にならないわけであります。これは結果的に今後の外国漁船の動向によるわけでございまして、その模様を見てさらに知事に委任する事務的な量になれば委任をしたいというつもりでこの規定を入れさしていただいているわけでございます。
○達田龍彦君 大体終わりましたけれども、私はまだこまかな問題やあるいは説明で必ずしも納得しない問題があるわけでありまして、まあ時間の関係もございますし、いまの説明をまあお伺いする範囲では、国会の答弁ではなくて、実際に熱意をもってやられるような態度の御答弁でございますので、一応私はこれで終わりまして、あとこの中小の問題も若干触れたいと思っておりましたけれども、時間の関係で、あと時間が、これは理事とも相談をしたいと思いますけれども、将来割愛ができれば、その中でも若干やってみたいと思います。これはまたあとでしたいということで、一応これで終わりたいと思います。
○委員長(野知浩之君) これにて暫時休憩いたします。 午後零時四十一分休憩 —————・————— 午後二時十四分開会
○委員長(野知浩之君) これより委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行ないます。 質疑のある方は、順次御発言願います。
○櫻井志郎君 私は、御提案になっておる法案につきまして簡単に質問を数点いたしますから、答弁も簡潔にお願いいたします。なお、答弁は、だれからということは言いませんから、長官でなくとも、政務次官でなくとも、部長でも課長でもかまいません。 まず、将来の漁獲量の予定でございますが、四十六年度の需要は大体九百万トンですかに見ておりますが、一方、供給は七百七十万トンということを出しておるようです。この内訳を、内訳といいましても、沿岸漁業と沖合い・遠洋漁業に分けまして、それから沖合い・遠洋漁業のうち中小漁業関係はどのくらいになるか、それだけまずお願いいたします。
○説明員(池田俊也君) 昭和四十六年度におきます漁業生産の見通しでございますが、全体につきましては、ただいま先生からお話がありましたような、意欲見通しと私どものほうで呼んでおりますが、約七百七十万トンでございます。内訳は、沿岸漁業におきまして二百四十七万トン、沖合い・遠洋漁業におきまして五百五万トン、内水面漁業におきまして十六万トンでございます。
○櫻井志郎君 遠洋漁業の内訳は……。
○説明員(池田俊也君) 遠洋漁業の内訳は、こまかい積算はいたしておりません。
○櫻井志郎君 遠洋漁業の五百五万トンというのは、中小漁業はどれだけであるかという内訳がないということでありますが、その内訳——それでは、現状はどうなっておりますか。答弁がおそいので、どうも時間がかかり過ぎますから、少なくとも漁獲全体で七百万トンが七百七十万トンに、七十万トンふえるという予想を持っておるわけです。そのふえ方は、沿岸漁業でどれだけ、遠洋漁業でどれだけ、その積算の根拠がなければ、ただ簡単に一割ふえるということであるのか、ある程度の科学的のこの方面にはこれだけふえるという根拠を持っておるのか。
○説明員(下浦静平君) 私からお答え申し上げますが、ただいま漁政部長から答弁のございました七百七十万トンの積算でございますが、これは、漁業種類別の、この漁業がどのくらい伸びるであろうか、こういう積算をいたしております。したがいまして、たとえば母船式サケ・マス漁業では、過去の数字がこうこうである、これが昭和四十六年におきましてはどの程度まで行き得るかという見通しを立てたものでございまして、この漁業種類をただいまおっしゃいました中小漁業、その他の漁業、こういうことに分けますれば、そういう御質問にございましたような数字も出て来ようかと思いますけれども、この経済社会発展計画の関連におきましての積算におきましては、そこまでの作業をいたしておらないのでございます。
○櫻井志郎君 そういう根拠であるなら、私はちょっと不満なんでありますが、中小漁業振興特別措置法案というものを出すからには、やはり中小漁業でどのくらいふやす可能性があるというくらいの考え方は当然あって、そういう点からながめた一応の計算というものがあってしかるべきではないでしょうか。考えておりませんか。
○政府委員(久宗高君) 経済計画の中で計算いたしましたものは、積算の方法といたしまして、需要のほうにつきましては、全体の経済の伸びを見、供給のほうにおきましては、ただいま説明員から申し上げましたように、一応漁業別に積み重ねて計数をはじいたわけでございます。これを企業の規模別に分けた計算は、社会経済計画の中ではしてないわけでございます。そこで、中小漁業の振興法を出しますにつきまして、最初お配りしましたように、現在の中小企業として私どもが対象として考えようとしている漁業種類につきまして、現状の数字は、この前御説明した中で示しておるわけでございます。これに伴いまして、振興計画によって何万トン漁業種類別にふえるかという計算は、実ははなはだ恣意的になりますので、してないわけでございます。たとえば、これが、カツオ・マグロにおきますように、主として漁獲努力の問題よりは、経営そのものの合理化を、この場合には複船経営というような形で考えておりますし、以西底びきでございますと、適正船型を頭に置きましてそれへの移行というようなことで考えておりますので、漁獲高そのものといたしましてどうという数字は、実は出していないわけでございます。 なお、一応のものがございますので、御必要でございましたら説明させます。
○櫻井志郎君 聞いたことだけ答えてください。ほかのことを言われると時間がかかってしようがないですから。 全然そういう考え方での調査というものはない、そういうことですね。そこで、その点は、もう少し水産庁としてはお考え願ったほうがいいんではないか。これは将来の問題として意見を申し上げておきます。 時間がありませんから、急ぎますけれども、漁港計画の問題でありますが、三十八年に八カ年計画で漁港改修整備計画を立てましたが、四カ年経過して、本年度の予算を加えると五カ年ということになると思いますが、本年度の予算を加えて、その計画の進度が半分に達していない。八カ年計画で五カ年を考えて半分に達しないということになりますと、計画の進度が非常におそい。国会でここで承認したあの計画自体の進度が非常におそい。金で言ってそうである上に、実際に相当経費が上がってきておりますから、ほんとうの進度はもっとおそいんじゃないかと思います。こういうことでは、ほんとうに漁業振興を考える場合に、むしろ計画よりは進んでおって、八カ年計画を済まないうちに整備計画を立て直すというくらいの考え方で進めていかなければ、なかなか第一次産業の伸展ということは実際には期待できないんではないかと思うのですが、国会で承認したその計画でさえも達成できておらない、はるかにそれより進度がおくれておるということについては、長官はどうお思いですか。
○政府委員(久宗高君) 御指摘のように、漁港計画がたいへんおくれておりまして、私どもも非常にこれは問題があると考えておるわけでございます。経過といたしましては、補助率の問題に非常にこだわりまして、また、これが非常な問題でございましたので、その獲得に若干ウエートがかかり過ぎまして、事業量の進捗が非常におくれたわけでございます。なお、本年の予算におきましても、中小漁業の振興の問題もございますし、あるいは一斉更新の問題もございますので、ちょうどいい機会であるということで、少し事業量のおくれを取り返したいと考えたわけでございます。公共事業費全体の制約のために十分な伸びが得られませんので、ただいま御質問でも御指摘のございましたような経過になっておるわけでございます。私どもといたしましては、計画の切りかえの問題がすでに問題の日程にのぼっておると考えておりますので、他の経済計画との関連も考え、できるだけ早い機会にこの組み直しの問題に取りかかりたいと考えておるわけでございます。
○櫻井志郎君 公共事業のワクの制約のためにというお話でございましたけれども、公共事業の中ではるかに大きいワクを占めておる河川とか農業基盤整備とか、そういう方面の伸びを考えても、あるいは五カ年計画の達成率を考えましても、公共事業のワクの制限という制約をひどく受けておるとは言えない。むしろ漁港関係は、そういう点ではその制約を非常に受けておる。これは長官として一そう奮発して、日本の漁業のために漁港整備のもっとすみやかなる進展をはからなければ、ここで大きな支障ができてくると思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(久宗高君) 全く御指摘のとおりでございまして、現在の漁船勢力から考えましても、予定しました計画はすでに三十九年度末において達成しておるといったような事態もございますので、急速な整備が必要だと考えております。一応の考え方といたしましては、第四次ということになるわけでございますけれども、今回まとめて御提案しておりますような協同組合の合併でございますとか、中小漁業の振興でございますとか、そのような一連の問題を考えますと、第四次計画におきましては、単なる漁港計画の延長ということではなくて、もう少し全体としての経済の発展なり流通その他の関係も含めました、また、沿岸その他の漁業調整上の問題も含めました施策の核になるような形で組みたいというふうに考えまして、そのような計画の検討に入ろうとしておる段階でございます。
○櫻井志郎君 午前中の達田議員の質問に対して、私も達田議員と全く同じ考えを持っておるのですが、その際の大臣の答弁に、こういうことばがあります。現状を固定させようとは思っておりません、慎重に検討いたします。このとおりのことばが大臣からあったんですが、私はこれは何を言っているのか実はわからないんです。農林省の基本的な考え方は、従来の三海里そのままできるだけ固定していこうという考え方がやはり腹の中にある。基本方針にそういう点がある。むしろ世界の流動しておる状態が領海十二海里にしようという傾向が漸次強くなってきておる。そういう傾向に対して即応していこうという考えが農林省には全然ない。むしろ現状を守っていこう。現状を守ることが、つまり三海里を守っていくことが基本方針であって、その基本方針からはずれた方向には非常に消極的な態度、むしろ十二海里という問題に対しては積極的には取り組まない、そういう考え方が基本理念であるというふうにしか私には解釈できないのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(久宗高君) けさの御説明の冒頭にも申し上げたわけでございますが、私どもは決してこの問題に消極的であるとは考えておらないのでございます。おそらく、さっき引用されました大臣の申し上げましたのも、三海里に必ずしもこだわらぬという意味を申し上げたものと思うわけでございまして、繰り返し申し上げますように、私どもといたしましては、現在言われておりますいわゆる十二海里専管水域の中におきます既存の漁業の取り扱いが国際慣行として確立しておりませんので、そのままの形での十二海里の説をとるわけにいかない、こういうことに尽きるわけでございます。しかし、傾向といたしましては、各国におきまして専管水域の問題がどんどん進行しておりますのもよくわかっておりますので、そのような事態で考えますと、あくまで十二海里におきます実績をどう取り扱うべきかという問題につきまして具体的な事例を通じて積極的に取り組んでいくのが、十二海里専管水域を含めました一般の現在の国際漁業の動向に対して積極的に対処していく当面の道であるというふうに考えておるわけであります。決して三海里に固執いたしまして大勢を見ないというふうにお考えいただいては困るわけでありまして、私どもといたしましては、十二海里問題と積極的に取り組む具体的な方法といたしましては、現在の段階では、二国間においてその中におきますわが国の実績というものをどういう形で認めさせていくか、また、それによって二国間でどういう協力関係ができるかというものを実証してまいりたい、こう考えておるわけでございまして、決して消極的な態度をとっておるわけではないわけでございます。
○櫻井志郎君 私はこの問題については相当お尋ねするつもりでおったのですけれども、達田委員からすでに長時間質問がありましたから、簡単にいたしておきますが、たとえば日韓漁業協定で十二海里ということがきまっておっても、事実問題として日本では西方海域しかはっきり十二海里ということはきめておらぬ。きめればきめれるんだけれども、きめておらない。現状では十二海里をもっと入り込んで領海近くまでやってくるということがないからきめないんだ、こういう説明ではありますけれども、そういう協定のできた瞬間にはっきりきめれるのだから、その際に十二海里ということをなぜきめてはいけないのか、そういう点についてわからないことが第一点。 それから積極的に十二海里という問題を取り上げていくことは現時点において日本が既得権益を失うほうがはるかに多いんだという考え方が水産庁にありましょう。はるかかどうか私は知りませんが、少なくとも失うものが多いということで先ほどの大臣のような答弁になったのではなかろうかと思うのですが、これは私の推測であります。しかし、韓国は少なくとも近い将来いまの状態でそのままいくということはあり得ないと思いますし、北鮮にしても同様でしょう。また、ソ連にしても同様でないかと思います。ましてや、共産国なんかは、ただ漁業の目的だけでやってくるとは思えません。漁業以外の国家目的、いわゆる多目的で領土近くにやってくる。日本がそれに対してきびしい線を引いてやらなければ、合法的にやってくるということも十分考えられるし、また、そうした問題が現に起こっております。そういう点についてはどうお考えですか。
○政府委員(久宗高君) 最初のお尋ねの韓国との関係におきまして、一部北方の水域につきましてまだ専管水域を引いてない問題でございますが、少なくとも日韓条約を締結いたしまして具体的なお話が進行した過程におきましては、西のほうの問題が具体的な問題でございまして、かつて具体的な競合関係があったわけでございます。したがいまして、この関係におきましてははっきり国内法といたしましても十二海里の専管水域を処置をいたしたわけでございます。現在、北方関係におきましては、御承知のとおり、昨年来サケ・マス問題が出ました場合に、これがまだ現実的なものでないにもかかわりませず、両国の漁業界におきまして異常なまでの関心を呼びまして、問題の処理いかんによりましては日韓の間にひびの入るような性質の問題に発展のおそれがあるくらいな受け取り方を双方においてしたわけでございます。さような関係から申しますと、現在、北方の水域におきまして、少なくとも十二海里の専管水域が、具体的に問題が、しかも処理を要するような形で起こってはおりませんので、さような意味から申しますと、問題を日本沿岸全般に広げまして、あるいは魚種の調査その他におきましてもそうなりますと問題がだいぶ変わってまいりますので、さような形に日韓問題を拡大してしまう必要があるかないかという評価の問題になろうと思うのでございます。そこで、実際問題といたしまして、たとえば、試験船が来たとか、あるいは試験操業をいたしましたという場合におきましては、その問題が具体的にいつどの程度に展開されてくるものであろうかという問題を含めまして、日韓の間で十分お話し合いをする余地がまだございますし、さような意味から申しますと、私どもといたしましては、現在の段階で、非常な強い措置になるわけでございますが、十二海里の専管水域を対韓国に対しましてもいま直ちに施行いたしますことは、いろいろな問題のバランスから考えましてやや早急なのではないだろうか。少なくとも十二海里の専管水域を引いてないことによって起こる問題につきましてまだまだお話し合いによっていくらでも解決する余地があると思いますので、控えておるわけでございます。 なお、第二点の問題といたしまして、先ほどの午前中の論議におきましても申し上げたわけでございますが、現実の問題といたしましては、日本列島周辺におきまして多少問題の起こりますのは、ソ連、韓国の関係にほぼ限定されると思うわけでございます。しかも、現状におきましては、その程度がどの程度であるかも若干わかっておりますので、少なくともこの段階におきまして、また、世界におきましてこの種の問題がそれぞれ帰一するところがなくて、いろいろな形で地域によってたとえば二百海里にするとかこういったような状況下におきましては、少なくとも私どものように現在世界じゅうの海に出て、しかも十二海里の専管水域内におきましても相当の漁業をやっております段階におきましては、二国間のお話し合いで、しかもこれは漁業だけでございませんで、貿易その他いろいろな問題がからみ合いますので、お話し合いによって話をきめていくのが当面の段階ではないだろうか。しかも、ある程度問題の大きいところにつきましては、日米の間でございますとか、対ニュージーランドでありますとか、あるいはお話が進むと思いますスペインでございますとかインドネシアでございますとか、かようなところにつきまして具体的な取りきめをいたしまして、それによって十二海里という専管水域問題という問題の今後の展開に対して備えていくというのが当面の考え方というふうに考えるわけでございます。 御指摘のように、日本の沿岸に問題を限局いたしますと、この種の問題は漁業だけではございませんで、その他の関係で国益といたしまして高い角度から判断を要する問題が幾つかあると思います。そこで、今回の法案におきましては、専管水域の問題はそれ自体いろいろな問題を含んでおりますので、これについては触れておりませんが、少なくともその場合に櫻井委員の御指摘の漁業以外の問題で一番問題になろうと思います寄港問題につきまして非常にはっきりした態度を打ち出しておるわけでございまして、なお、大臣からも申し上げましたように、この種の問題につきましては今後の外国漁船その他の動きを十分慎重に考慮いたしまして弾力的に対処していく必要があろうかと考えておるわけでございます。先ほどの大臣の御答弁も、さようなことを要約して申されたものと考えております。
○櫻井志郎君 現状で判断するということだけでは私はいけないのじゃないかと思います。やはり世界の流れておる方向を認識してそれに対処していくのが、現実にトラブルが起こらない大きな手段ではなかろうか、そういうことも一つ考えて積極的にこの問題をお考え願いたいと思います。特に日本のような制度をとっておると、少なくとも三海里から外は特別に協定のない国に対しては、これは言うまでもなく、幾ら漁業で入ってきてもかまわない、そういうことになりますと、漁業の中を、大漁業、中漁業、それから沿岸漁業、かりにこの三つに分けますと、一番被害を受けるのは、経営形態の零細な沿岸漁民に一番被害が考えられる。そうした点からも、ただ漁獲量で現状を維持しもっと漁獲量をふやしたいという観念のみならず、漁業の中の階層の立場も考えてやってもらうのがほんとうの行政ではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(久宗高君) 十二海里問題一般としてお答えをしましたので、その点がぼやけておりますので、あるいは誤解があったかと思うのでございますが、具体問題として日本の沿岸水域におきまして沿洋漁業そのものが脅威にさらされるというおそれがございます場合には、少なくとも対韓国につきましては、先ほども申し上げましたように、現在の条約下におきまして直ちに専管水域を残りの区域について引くことができるわけでございますので、さような必要が現実に起こります場合におきましては、私どもはそれを引くのにちゅうちょしないわけでございますし、また、さような意味で国会のほうの御了承も得ていると思うわけでございます。ただ、現在の段階では、直ちにやる必要は少なくともいまの段階ではないのではないかと思っているだけでございまして、必要がございます場合には直ちに引けるわけでございますので、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
○櫻井志郎君 私は誤解しておるのじゃないんです。だから、あなたのほうが誤解しないで……。 時間がありませんから、簡単にやりますが、調査の問題ですけれども、各日本の水域において水産研究所がございますね。それの総定員それから総予算は大体どんなものでしょうか。簡単でいいです。——じゃ、調べておいてください。次の質問に移ります。 新しい漁場を発見するということがやはり非常に大切な問題であろうかと思います。きのうの「朝日新聞」でありましたか、あるいは「日経」だったか、どっちだったか忘れましたが、科学技術庁が中心になって日本海水域のあらゆる資源の調査をやる、その中に水産庁のいまの水産研究所が漁業関係の担当をしてやるということが出ております。これは当然のことでありますけれども、少なくとも日本海水域に対する従来の水産庁の調査が不十分ではなかろうか。うそかほんとうか知りませんが、ソ連あたりは非常に熱心に相当大規模にやっておるという話も聞いておるんですが、この点についてはいかがでしょうか。
○説明員(亀長友義君) 海洋調査につきましては、二年くらい前から非常に関心が高まってきております。さらに国連でも開発決議というのも行なわれておりまして、必ずしもこれは漁業だけでなくて、鉱物、石油資源の地下開発というようなことで関心が高まってきているわけであります。日本でも、いま御指摘のように、科学技術庁で新たに潜水の船をつくる。これにつきましては、運営については、船でございますので、海上保安庁がその管理運営に当たる。それについては、水産庁は漁業面から、あるいは科学技術庁はその他の技術面から運営の実施については協力をするというたてまえをとっております。また、さらに、文部省におきましても、一昨年来、東大に海洋研究所を新設するとかというふうに非常に関心が高まってきております。しかしながら、きわめて大ざっぱに申しまして、日本の財力と申しますか、そういう面から申しますと、ソ連とかアメリカの研究に比すれば財政的にも非常に小さな規模であります。当然、日本のような島の国の将来の発展の余地として、われわれとしては、もっともっとこの面の研究開発を強化してもらいたいという気持ちを持っておりまして、逐次いろんな面での充実がはかられてきているような実情であります。さらに、水産庁でも、本年から大型の三千トンの漁場開発をするための調査船が近く竣工をいたしまして、漁業だけでなくて、広く海洋調査という面で協力して進めていくという体制をとっております。 なお、先ほど御質問のありました水産研究所の定員は、全部で七百二十名でございます。水産研究所の予算は、本年度九億三千万円という数字でございます。 それから最初に御質問ございました、実は計算ができておりませんでしたが、中小漁業の漁獲高の拡大につきましては、全体の生産量が四十年から四十六年にかけまして約一割ふえ、六百九十万トンが七百七十万トンになるという状態に即応しまして、中小漁業についても大体同様の伸び率になっております。現在は、中小漁業は三百八十五万トン、これは中小漁業の分類のしかたにもよりますが、一応全体の五・五割を占めております。これが三十七万トンから三十八万トンくらい増加をする、すなわち全体の伸び率と同じ程度の伸び率を中小漁業にも考えておるということでございます。
○櫻井志郎君 先ほどの質問のお答えですが、大体全体の伸び率と同じ程度伸ばしておるというお答えですけれども、ということは、結論は科学的には積み上げておらない。——ちょっと待って。積み上げておらないのは、私はそれはけしからぬという意味で言っておるのでもないのですが、一割程度現状より伸びるという見通しも勘で言っているのではないか。なかなか科学的に積み上げるといっても、実際はむずかしいです。それは私は口で言うように簡単にいかないことはもちろんわかっておりますが、しかし、ある程度科学的な根拠をもってこういう問題はやってもらいたいことを希望いたしておきます。 そこで、先ほど、日本の国力では十分なる調査もできませんというお答えでありましたけれども、私はこれは日本の国力の問題ではないと思います。たかが九億や十億の問題です、全体で。そんなものは国力の問題とは関係はない。もっと何百億とか何千億とか金がかかるというなら、国力の問題を引っぱり出されてもこれは合理的だと思いますけれども、それは国力の問題ではなしに、水産庁の努力が足りない結果だ、熱意が足りない結果だ、私はそう思う。そういう意味で、もっと努力をしてこうした問題に積極的に取り組んでいただきたい。ましてや、長官は、前に技術会議の事務局長もしておられたんですから、そういう点についての基本的な考え方というものは十分あるはずですから、こうした問題にはもっともっと前向きで取り組んでいただきたいということをお願いしておきます。 時間もなにですから、次に水質問題でありますが、水質問題といいますと、とかく沿岸漁業関係、沿振法の関係であって、今度の提案になっておる法案に関係した問題ではないというふうに見られるかもしれませんが、しかし、私は、魚族の繁殖という点からいきますならば、水質問題はまことに重要な問題ではなかろうか、今度の提案の法案にも密接な関係のある問題ではなかろうかと思うんですが、私ども知る範囲では、水質規制基準といいましょうか、そうした問題がまだ政府でもきまっておらないのじゃないかと思うんです。公共用水域の水質の保全に関する法律、たしかそういう名前の法律があったかと思いますけれども、それに従って少なくとも水産の面から見た水質基準、そういうものがきまっておったら私の質問は取り消しますけれども、きまっておらなければ、魚族繁殖の見地からして水質基準というものを早急にきめて、魚族繁殖という点について積極的に水産庁が取り組むべきではないかと思うんですが、いかがですか。
○説明員(池田俊也君) 水質につきましては、ただいまお話がございました水質の保全に関する法律がございまして、これとさらに工場排水等の規制に関する法律によって規制をいたしておるわけでございますが、これにつきましては、水質基準というかっこうではございませんで、工場の排水基準ということでその各水域におきます基準がきめられておるわけでございます。ただ、その場合に、この水域についてはどのくらいの流水についてどの程度の汚濁が限度であるか、こういうものの一応の考え方がございまして、これに基づきまして工場の排水基準がきめられておるわけでございます。なお、現在国会に提案されております公害対策基本法におきましては、環境基準ということでその点を明らかにするというような予定になっておるわけでございます。この工場の排水基準をきめます場合には、当然、水産庁の関係では、魚族の繁殖等に支障がないように、そういうような観点が排水基準の中に盛り込まれるように経済企画庁等と御相談をしておるわけでございます。
○櫻井志郎君 私はまだ尋ねたいこともありますが、四十分以内という約束を委員長にいたしましたので、質問はこの程度でやめますけれども、最後に、漁船装備と災害の問題ですが、装備については安全装備に関する法律の規定があったと思うんです。そのことが守られておるかどうか、守られていない場合にはどういう措置をとるんですか。漁船の災害というものは、これは毎年々々相当ございます。中には船長自身が無謀な出漁をやるというようなことに基因する問題もございますけれども、そうでない問題も相当あるように考えておりますが、その点はいかがでしょうか。
○説明員(亀長友義君) 御質問の御趣旨のように、船舶に関する事故が相当多いわけであります。御承知のように、船舶に関する安全法規につきましては運輸省の船舶安全法に規定がございまして、二十トン以上の船舶につきましては漁船も当然この適用を受けるわけでございます。さらに、船舶安全とは別の問題でございますけれども、船員法がございまして、船員の労働条件あるいは船員の安全に必要なる各種の労働上の規制がございます。さらに、これらによってカバーされない分野におきましては、漁業法の漁業規制の一部として課し得るものについては課しております。たとえば、ベッドの広さをこのくらいにしろとか、あるいは救命胴衣を備えろとか、ラジオ・ブイをつけろとかいうふうな、船員法、船舶安全法で十分カバーし切れないような面について、漁業法で漁業の許可をする際に特別の配慮で規制をしておるものもございます。 いずれにしましても、こういうものを守っていなければ、それぞれの法規の違反となるわけでございます。実際におきましても、運輸省において定期検査を行なうとか、あるいは、水産庁においても、これは全部ではございませんけれども、そういう可能性のあるものについては、事前に水産庁あるいは各府県の監督吏員が出向きまして出港前の検査をするというふうなことをいたしまして、この法令の順守を励行いたしておるわけでございます。もちろん、これは、経営者あるいは実際に船に乗られる船員諸君の自覚と御協力がなければ、私どもとしては十分徹底し得ない次第でございますので、こういうことで業界なりあるいは船員組合の自覚なりによってそういうものの実施を指導してまいるという反面、法規上の督励もいろいろ努力をしておるような実情でございます。
○櫻井志郎君 私は、その法律の規制を守っていない漁船があった場合には、それに対してどういう措置をとり得るか、また、とっておるかということを尋ねたんですが、それに対して答えがない。
○説明員(亀長友義君) 船員法、船舶安全法の違反に対しましては、それぞれの違反といたしまして、船員局あるいは労政局というようなところで、運輸省の出先の海運局を督励いたしまして、いままでそれぞれ船主においてもしかるべき処分なりあるいは警告を受けるというような事態も相当数ございます。また、漁業法の違反につきましては、完全な装備を備えつけておらない場合には、これは停泊命令をするというふうなことを当然とり得るわけでございます。漁業の分野におきましては、このために許可を取り消すというようなことは現在ございませんけれども、現地の出先において船主に注意を促すというふうな事例はしばしばあるわけでございます。
○櫻井志郎君 質問をやめるつもりだったんですが、どうも答えが明確でないんですが、どういう措置を現実にとっておるか、その措置が守られておるかどうかということ。事は人命に関する問題ですから、なるほど漁獲に出漁できなければ、経済的な打撃は相当大きいでしょう。しかし、人命にはかえられません。その点で、もっとはっきり規制を守らせる措置、これは強制的にやって、できるだけ安全操業ができるというくらいのことは官庁としてやって当然であろうと思います。実際にやっておるのですか。ただ勧告したとか、そういうことだけでは済まないと思います。
○説明員(亀長友義君) もちろん、こういう法律で各種の規制を課しておりますので、率直に申しまして、一〇〇%かと言われますと、私どももはっきりお答えすることはできませんけれども、ほとんど大部分の漁船によって守られておるものとわれわれは確信を持っております。また、そのとおりでございます。ただ、天候の測定であるとかということの不完全のために、あるいは漁獲物を積み過ぎることのために、不慮の事故というものが往々にしてありますけれども、船員法、船舶安全法で各種の規制を課しております各種の安全措置につきましては、相当程度の実効があがっておるというふうに考えております。
○櫻井志郎君 私はこれでやめますけれども、よく、遭難したあとで原因を調査したところが、どういう点に不備があったとか、あるいはボートがおろせなかったとか、いろいろな問題を私ども新聞紙上で見るのです。そのことは事実であるかどうか、私は客観的にはわかりませんけれども、やはり安全操業という点については官庁ができるだけ力を尽くして、積極的に規制を守る、守らない者に対しては営業を取り消すぐらいのことは当然やっていい。そのくらいのことをやって、安全操業をあくまで守っていくということをやってもらいたい。 それから先ほども申し上げたことでありますけれども、専管漁業水域の問題については、ただここでこう答弁したからこれで済んだということではなしに、期せずして私は社会党の達田議員も同じ考えで質問されているのを聞きました。多くの議員は、やっぱりそうした考えを持っておられる人もあると思います。全部とは私は何も知りませんから申しませんけれども、もっと前向きに水産庁長官において考えられて善処していかれることを要望しまして、私の質問は終わります。
○和田鶴一君 私も、時間の制約がございますから、お答えはどなたからでもけっこうです。できるだけ要領よくお答えいただきたいと思います。 農林大臣が、四十二年度の予算の説明にあたりまして、「国民食糧の安定的な供給を確保し、農林漁業の生産性と農林漁業従事者の所得の向上をはかるという農林漁業政策の基本的目標に沿い、農林漁業生産基盤の整備、農林漁業生産対策の拡充、」云々と言われておるのでありますが、ただいま議題となっておりまする中小漁業振興特別措置法案、外国人漁業の規制に関する法律案の質疑に入ります前に、基本的な二、三の問題について政府の考え方を伺っておきたいと思います。 ただいまもお話がございましたし、もうすでにこの委員会におきましてもたびたび議論されてまいった問題でございますが、話の順序といたしまして、農林大臣の言われるように、国民食糧の安定的な供給を確保するというその点から、水産物需給の今後の見通しとその対策、それをまず御説明をいただきたいと思います。
○説明員(池田俊也君) 先ほど櫻井先生から御質問があったことでございますが、一応私どものほうで経済社会発展計画との関係で試算をしたところでございますが、四十六年の数字を見てみますと、全体といたしましては、需要が九百万トン、それから供給が七百七十万トンということで、需要が生産を上回るわけでございます。今後の需要の動向を考えてみますと、やはり農村等を中心にかなり需要がふえるというふうに一応考えられますので、こういうような状態がやはり将来も続くのではなかろうか。四十六年には百三十万トンの不足でございますが、さらに五年後の五十一年ごろになりますと、その差が大体二百万トン前後になるのではなかろうかというように試算をしているわけでございます。 こういうようなギャップに対して、それならばどういうふうな供給の増大をはかるかということでございますが、国内的な対策といたしましては、漁場を新しく開発するということがございますし、さらに、沿岸漁業の関係では、従来あります漁場の改良造成をはかるというようなことが基本になるわけでございますが、さらに、水質の汚濁が最近沿岸のほうでかなりひどうございますので、これにつきましても、水産資源の維持増大をはかるという観点から、水質関係法律あるいはその他の施策を推進する必要があるわけでございますが、結果といたしましては、相当量の輸入を、たとえば四十六年におきましては百万トン程度の輸入は見込まざるを得ないのではないかと考えておるわけでございます。
○和田鶴一君 急ぎますので、あとでまとめて御意見を交換いたしたいと思います。 第二の質問といたしましては、わが国の漁業に対しまして国際規制が年々強化されてきているような現状でございまして、これに対する対策はどのようにされておるか。
○説明員(亀長友義君) 御質問のように、日本の漁業に対する国際規制というのは、逐年強化をいたしております。これにも二つございまして、一つは、沿岸国の主権の拡張の勢いであります。すなわち、それは、漁業水域であるとかあるいはいろいろの名目でもって自分の国の専管的水域を拡大するという動きがあります。これは単に十二海里だけではなく、二十海里、三十海里、あるいは二百海里という広大な水域を主張している国も多いのでございます。必ずしも十二海里に各国は満足しているわけではございません。さらに、将来の食糧資源不足を見越して、海もやはりおかのように分割をするんだという極端なことを言う国もあるわけであります。もう一つは、資源保護という観点でありまして、これは、要するに、各国が盛んに日本に進出をして来る。これはいつかは資源の再生産を阻害する。すなわち、そこで何らかの形で資源の再生産が維持できるように、漁獲高の長期的な維持をはかるために生産を制限しなければいかぬ。こういう二つの動きであります。 日本としては、沿岸国の水域拡大に対しては、やはり現在の国際慣行を非常に離れたものに対しては、日本としては反対である。しかし、ある程度国際慣行が確立されつつあるようなものについては、弾力的な態度をとって、日本の実績を操業に支障ないようにすることと同時に、相手国の沿岸国の事情も考えながら日本の生産を維持していきたいという考え方であります。 国際規制につきましては、資源保護につきましては、世界的な食糧の供給を安定する、一時的な乱獲を行なわないという点につきましては、日本としても、たとえ一時的に生産が削減することがあっても、科学的な根拠に立脚した資源保護に対しては十分これを尊重するのが大漁業国としての態度であろう、こういう考え方であります。
○和田鶴一君 次に、第三点といたしまして、最近数年間の水産物の消費者価格の動向、今後の見通し、それに対する対策、これをお聞かせ願いたい。
○説明員(池田俊也君) 水産物の消費者価格でございますが、御承知のように、最近数年間にかなり急速に上昇しているわけでございます。三十五年を一〇〇にいたしました数字で申し上げますと、都市におきます消費者価格は、毎年大体一〇%あるいは二〇%、年によりまして違いますが、二〇%近くも上昇している年がございまして、四十一年の平均の数字で申し上げますと、一八一という程度になっているわけでございます。で、おそらくこれは今後いろいろな施策を講ずるわけでございますけれども、やはり傾向としては今後も上昇するのではないかというふうに一応考えられるわけでございます。 この原因は、先ほども申し上げました基本的に需要が生産に比べまして相対的にかなり強いということがあるわけでございますが、それと同時に、私どもの感じでは、流通面におきますコストの上昇と申しますか、一般的な所得の上昇に伴いましていろいろな流通面におきますコストが上がるというような傾向がかなり多いのではなかろうかと考えているわけでございます。産地と消費地の価格を比べてみますと、産地価格の上昇よりか消費地価格の上昇のほうが非常に幅が大きいわけでございます。 そういうようなことでございますので、私どものこれに対する対策といたしましては、これはよく言われることばでございますけれども、生産をふやすということはもちろんでございますが、中心的な施策といたしましては、流通の改善をはかり、そして経費の節減につとめるというのが、非常にじみではございますが、基本的に非常に重要な対策なのではなかろうかと考えているわけでございます。さらに、水産庁といたしましては、従来から、産地あるいは消費地の一部におきまして、冷蔵庫あるいは冷蔵自動車というようなものを助成いたしまして、そういうような流通改善の一つのてこにしよう、こういう考えで従来やっているわけでございます。
○和田鶴一君 もう一つお尋ねいたします。沿岸漁業、中小漁業における労働力の問題ですね、それと、その対策をひとつ……。
○説明員(池田俊也君) 沿岸漁業あるいは中小漁業におきます労働力は、御承知のように、労働力不足の傾向が顕著でございます。特に若年の労働力が減りまして、全体といたしまして高齢化するというような傾向がございます。 それで、私どもとしては、漁業の生産力を高めるという点から申しまして、優秀な労働力を確保するということが基本的に非常に重要であると考えるわけでございまして、そのための具体的ないろいろな方策といたしましては、漁村におきます青壮年のいろいろな育成のための助成事業を行なっております。そういうようなことをやっておりますが、基本的には、漁業が、何といいますか、青壮年にとって魅力のある産業と言うと非常にあれでございますが、とにかく働くに足りるような報酬を伴って、かつ安全な職場であるというようなことでないと、なかなか集まりませんので、そういうような点にまず基本的な重点を置きたいということで、これは従来運輸省とも御相談をしてやっているわけでございますが、労働条件の改善指導要綱というものをきめまして、賃金制度でございますとか、その他の労働条件の改善等につきまして、あるいは船員のための設備でございますとか、そういうような点につきましても従来指導しておったわけでございますが、特に今回、これは具体的な措置といたしまして、漁業法で申します指定漁業につきましては、今後建造されます二十トン以上の船舶については、一定の基準をきめまして、そうしてそれを強制的に適用する。それによって船員の労働条件を確保する。あるいは、さらに、これは二十トン以上の船舶の全部に対してでございますが、漁船の安全を確保するということから、乾舷マークというものを漁船につけさせる。それによって積み荷を必要かつ能力以上に積むというようなことがないように、要するに漁船の安全を確保するための措置をとることにしたわけでございます。 そういうような対策が基本にありまして、そのほかに、漁村の青壮年に対するいろいろな技術の修得でございますとか、その他の事業を進めるというようなことで、基本的にそういう面の改善をはかりながら労働力の漁業への補充をやりたい、こういう考えでございます。
○和田鶴一君 ただいまいろいろと政府のお考えをお伺いいたしましたが、近年、わが国の漁業生産は、需要を満たし得ない。相当部分これが輸入されなければならない実情にある。年間一億七千万ドル程度とも言われておりますが、将来その量がますます拡大される見通しであるということ、それに伴って漁業経営はかろうじて価格の上昇によってささえられているということであります。しかしながら、一方において国内消費者価格の安定が要求せられますので、そのために、最初に申し上げました需給のバランスとともに、輸入の増加がはかられていくという問題がある。また、単に足らざるを補うために輸入をするということになりますと、国内生産者に大きな不安を与えるだけではなくて、流通を混乱せしめるような危険すら考えられてこなければならない。 また、漁業経営における労働者の平均賃金は、ただいまいろいろ伺いましたが、他産業並みにいろいろと上昇をしておる。加えて、労働力の他産業への流出の傾向が非常に強い場合に、価格上昇による経営の好転というものは、単にうわべの現象であり、根本的に漁業経営の体質が改善しつつあるということは考えられない、こういうふうに思います。その事実は、白書にも述べられておるとおり、中小漁業の資本構成の悪化という事実によってあらわれておると思います。 さらに生産面を見てまいりますと、遠洋漁業、沖合い漁業においては漁獲調整が多方面で議論にのぼっております。ただいまもお話がございましたように、沿岸国の漁場権益の主張が強く打ち出されて、いわゆる漁業専管水域の問題がやかましくなってきた。また、戦後のわが国の水産政策であった沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へというこの政策、これのもとは、戦後沿岸に密集した漁民を沖合いへ遠洋へと招くための消極的なものが出発点であったかと思うのでございますが、やがて後にはそれは積極的な政策に拡大政策となって今日に及んでおるが、こういうことが現状では国際的にも行き詰まっておるし、国内的にもまた過当競争というような事態も生みつつあり、生産の拡大は多くを望み得ないと言わなければならぬと思います。沿岸漁業について言いますと、第二次産業の隆盛に伴いまして、埋め立て等による漁場の喪失とか、水質汚濁による漁業価値の低下というきわめて憂慮すべき状況にあるのでありまして、このようなわが国の漁業を取り巻く内外の諸情勢を見てまいりますと、水産の振興策について抜本的な対策が早急に樹立されなければならないと思うのであります。 先ほどお尋ねをいたしました四点を考慮に入れながら、ただいまきわめて大ざっぱに私の考え方を言ったのでありますけれども、わが国の漁業の現状の認識に立って、さらに一、二点をお伺いいたしたいと思いますが、まず第一点といたしまして、国の産業政策の中で漁業はいかに位置づけなければならないかという意味で、わが国の国民食糧生活、食生活のパターンから見るときに、わが国水産業の持つ意味は諸外国のそれに比べてきわめて大きいものがあると考えられておりながら、国益産業としての認識がきわめて低い。農業の片すみで細々と二番せんじの施策に甘んじてきたという感じがするのであります。四十二年度の予算においても、五千十三億円という農林漁業総予算の中で、漁業関係予算は、漁港関係等の公共事業費百三十四億六千五百万円を含めましても、三百億にほど遠いという状態である。この現実を水産庁長官は一体どういうように考えられますか。これは、大臣がおったら、大臣にお答え願いたいことですが。
○政府委員(久宗高君) 確かに御指摘のように、農業も含めまして、国民経済の中におきます位置づけがおかしいではないかという御議論はあり得ると思うのであります。特にここ数年間におきます非常な高度な成長をいたしましたひずみといたしまして一連の問題が出ておりますので、それを数字によって示しますと、経済白書のようなことになりまして、あれだけを見ますと、まことに困ることばかりなのでありますが、私どもの実感といたしましては、最近のように、きょうも御議論が出ましたような国際的な関係におきましては、非常な締め出しをくって守勢に立っているということでございますけれども、その背景にはやはり世界的な規模におきます食糧問題が根底にはっきりあるように思いますし、漁業につきましても、先進国におきましても、あるいは低開発国におきましても、漁業の食糧供給におきます位置づけというものがあらためて認識された結果、非常な関心が高まったというふうにも考えられるのであります。 そこで、国内的ないろいろな他産業との比較でございますとか、あるいは農林予算に見ますと、おっしゃるような非常なシェアの少ないものでございますけれども、ひるがえって世界の漁業の中での位置づけを考えてみますと、極東の一角に、日本列島周辺に、たとえば組合の数を一つ考えてみましても、協同組合なんていうものはよその国は多数の国はないというふうに考えてよろしいのじゃないかというふうにも思いますし、金融制度にいたしましても、何にいたしましても、不十分ではございますけれども、一連の漁業の体系というものが私どもにはあるように思うのです。ただ、急な経済の成長の中で、沿岸から沖合いへといったような場合に、沿岸漁業にやや見限りをつけて外へ外へ出ていくというような感じがなきにしもあらずであったと思うのでありますが、一部、御承知でございますように、試験研究機関におきましても、最近の研さんの結果、養殖その他の部面におきまして相当おもしろいものが出てきておりますし、また、一方では、非常な悪い条件として考えられておりますけれども、労働力の移動の問題におきましても、沿岸におきます漁業の資源の調整といったような意味から大局的に見ました場合に、これは悪い条件だけでは必ずしもないというふうにも思われるわけでございます。 さような意味で、可能性のほうを逆に拾ってまいりますと、いろいろな可能性が十分あり得るというふうに思いますし、特にこれから問題になりますような低開発国から見ますと、私どもがこれを非常に困った数字だと思って発表しておりますけれども、低開発国から見れば、日本におきます漁業の体制というものは垂涎おくあたわずと申しますか、あらゆる制度が整っておって、それこそそこまで行くのに何十年かかるかといったようなていのものではないかというふうに思うのでございます。さような意味におきますと、役所も含めまして水産関係者といたしましては、この段階でやはり日本の漁業の持っている可能性というものを思い切って引き出すべき段階に来たようにも思いますし、さような意味におきまして今回沿岸漁業に関する一連の法案を出しておりますが、これは一つのけじめでございまして、私どもといたしましては、この段階におきまして主として試験研究の可能性の上に制度を組み立て直すということをもし考えるといたしますならば、沿岸におきましても、中小におきましても、相当の潜在的な生産力があるというふうに考えておるわけでございます。ただ、それが数字の上で具体的にお示しできないのが非常に残念でございますが、取り組み方といたしましては、たまたま今回幾つかの宿題をまとめてお出ししたようなかっこうになっておりまするので、このような制度が一応御了承をいただくということになりますれば、この機会にやや従来の惰性を切りまして本格的な漁業の建て直しに取り組みたいという気持ちで対処いたしておるわけでございます。
○和田鶴一君 ただいま長官の答弁の中に、低開発国との比較においてわが国漁業の現実についての賛辞というか、そういうことばがございましたが、これはもう当然のことでございまして、議論すべき問題ではないと思います。皮肉にわたるかもしれませんが、由来、日本の農林省は、世界じゅうの海を日本の農林省でコントロールできるといったような考え方が過去においてあったと思うのであります。これは外国人漁業の規制に関する法律案にも関連してあとでお伺いいたしたいと思うのでありますけれども、過去における行政は、許可行政であり取り締まり行政で、最近特に食糧需給の問題等がやかましくなってまいりまして、あるいはまた、他産業との格差是正というような問題から沿岸漁業の構造改善等が取り上げられてまいりましたけれども、過去における水産庁のやってきた漁業行政のあり方というものは、いわゆる許可行政であり、取り締まり行政に終始したと言っても過言ではないのではないか。戦後の漁業政策を見ましても、散発的に流れて、ときどきの緊急事態に対処するということに精一ぱいであった。この際、一般の経済界の躍進の波にほんろうされて苦難をするというようなことなく、自然的条件や経済的条件に周到な考慮を払って、国策としての国益産業としての認識を深めて、午前中の達田委員の質問にもございましたが、十年、二十年先のビジョンというものを打ち立てていただきたいと思いますが、こういうことについて水産庁当局はどのようにお考えであるか、長官にお聞きしたいと思います。
○政府委員(久宗高君) 考え方は全く私どもも同感なんでございますが、ビジョンと申しますと、非常に率直に申しまして、描きにくいわけでございます。計画で申し上げれば、先ほど御説明しましたような社会経済計画でございますとか、そういった計数になってしまうわけでございますが、私どもの気持ちといたしましては、先ほども申しましたように、従来確かに御批判のような許可行政なり取り締まりに終始したような感も非常にございますので、この機会にこれを産業として確立する意味におきまして、もう一回やっぱり落ちついて見直して見る必要があるだろう、こう考えておるわけでございます。さような見方で見ますと、いろいろな可能性があるわけでございます。どうも、その点、従来必ずしもプラスに考えないでマイナスに考えておりましたものが、案外プラスになるということもございますし、また、さようなことをもし行政に組み入れようといたしますと、従来のような行政の体系でよろしいのかどうかという問題にまで実はなるわけでございます。現在のところ、はっきりしたビジョンというものは打ち出しておりませんが、幾つかの可能性につきましてそれを組み立ててみれば、先ほど申し上げましたように、沿岸、沖合い、遠洋、それぞれにおいていろいろな可能性を持っておるし、それの三つの組み合わせいかんではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。 ただ、私ども一番見当をつけますのに困っております問題は、ここ四、五年でも痛感したわけでございますが、やはり一般経済の動きに非常に敏感でございまして、それによって漁業の体制が規制されるほどのウエートを持っておる一連の問題があるわけでございます。そういうものとおかまいなしにわがほうの制度を進めておりました結果、事志と違いまして逆な効果になってしまったといったような事例もないわけではないのでございます。さような意味におきまして、今回、政府におきましても、基本的な経済計画を確立いたしましたし、それの展望が従来のようなややむちゃな成長ではないので安定的な成長ということ、それから特に基礎産業についての考慮を相当払うというようなことになってまいりますれば、それらについての関連性を考えまして、漁業のおっしゃる意味のような産業としての確立をねらった行政を打ち出すべき段階に来たのではないか、こう考えるわけでございます。その前に、一応の懸案は片づけておきたい。それで、今回出しております問題は、やや従来の懸案をこの際整理をいたしまして、次の体制に臨むのに最小限度必要なものを取りそろえておはかりをしておるといったような気持ちでおるわけでございます。
○和田鶴一君 輸入の問題についてちょっと触れてみたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、漸次ふえる傾向にある。これはもうやがては必ず大きな問題になると思います。ここ数年間、民間におきましてもこの対策についてその必要性が議論されておりまして、沿岸漁業等振興審議会でも、本問題について、昨年六月でしたか、当局に対して建議をしておるように思うのでありますけれども、それをどのように受けとめて、どのように検討されておりまするか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○説明員(池田俊也君) 輸入は、先ほども申し上げましたように、今後もかなり増大をするというふうに考えておるわけでございまして、沿岸漁業等振興審議会におきましても、今後輸入に対する基本的な対策を考えるべきである、こういう御意見をいただいたわけでございます。私どもといたしましては、実は、まだこれにつきましては結論を出しておらないわけでございますけれども、今後やはり韓国あるいは場合によりましてはソ連等からも相当量の輸入が出てくるというような事態も考えられますので、これに対しまして、そういうような場合に、沿岸の漁業者あるいは中小の漁業者がそれによって価格の低落を招く、これによって非常に大きな被害を受けるようなことのないようにいたしたいということで、実は、従来は、魚価安定基金という機関がございまして、これはかってサンマが大漁で魚価が非常に暴落をしましたときにそういう機関をつくったわけでございますが、その後サンマが不漁というようなことで、実際にはあまり動いておりませんで、行政管理庁等からもいろいろ御指摘をいただいておるわけでございますが、私どもは、将来の輸入に対しましては、何らかのやはりそれのある意味での防波堤になるような措置が要るのではなかろうか、こういうような感じを実は持っておるわけでございまして、ただ、これは外国との関係でございますので、制度としては非常にむずかしいわけでございます。やり方がまずいと、ガット等に違反をすると、こういうようなこともございますので、そこらのことを考えながら、従来ございました魚価安定基金との関係もまた考えながら、これに対する具体的な対策を現在検討中でございます。まだ実は結論が出ておりませんので、ここで申し上げる段階に至っておりませんけれども、前向きで検討いたしたいと、こういうことでやっております。
○和田鶴一君 制限された時間が刻々近づいてまいりますので、急いで次に移りますが、需給のアンバランスを輸入によって埋め合わせるというようなことにつきまして、長期的に見た場合に、非常に問題もあるし、また、その見通しということについても立ちがたい。先ほど、長官の生産増強対策並びにビジョン等の考え方について、あるいは沿岸、沖合いに相当な可能性もあるということを申しましたが、私もそう思います。そこで、構造改善事業を実施いたしまして他産業との格差の是正ということに努力してまいったわけでございますが、このこと自体、日本の沿岸にきわめて大きな成果があがっておると同時に、第二次構造改善事業といいますか、アフターケア的な意味で四十年度の予算にもいささか考えられておるようでございますけれども、これをいま少し逐年積極的にやっていこうというそうした考え方がないかどうか。それから大型つきいそ等による漁場の造成改良、これは非常な成果があがっておりまして、沿岸漁民のひとしく喜んでおるところでありまして、こういう問題もどんどん積極的にやっていただきたいと思うのでございますが、それと同時に、浅海大型漁場開発事業が公共事業として取り上げられて、すでに指定された十一カ所の地域について調査中だと思うのでありますが、この調査ができた暁にこれを積極的に進めていかなければ、せっかく新しい事業として打ち立てたこのことは期待はずれになっては困ると思うのですが、この事業の進め方に対する長官の考え方をお伺いしたい。
○政府委員(久宗高君) 構造改善事業につきまして、御指摘のような経過がございました。始めましてからだいぶたちましてかえっていい知恵が浮かんでくるといったような問題もございまして、ややこれを補完する意味の第二次の改善事業をことしからお願いしようとしているわけでございます。さらに、大型のつきいそでございますとか、浅海の事業の関連を考えました場合に、私どもといたしましては、これらの問題がもう少し先まで参りますと、もう一つ大きな計画に全体をまとめ得るのではないかといった予感を持っているわけでございます。漁港のお話がよく出るわけでございますが、さような問題と関連いたしまして、今度の組合の合併でございますとかそういう一連の問題を考えますと、その辺のところをもう少し綿密に組み立てますと、非常な大きな基礎的な政策たり得るのではないかと思うわけでございます。どうも、現在の段階では、組み立てきれませんので、もう少し素材を積み重ねたいと思ってやっているところでございます。いずれは漁港問題を本格的にお取り上げいただきますときまでにさような問題をできるだけ組み立てまして、沿岸から沖合いにかけての基礎的な施策の骨組みといたしたいと考えております。 さような意味におきまして、浅海事業につきましても、これを調査いたしました結果をどういう形で計画に組み入れてまいりますか、一応普通の公共事業の形に組み直していくことは大筋の考え方として初めから予想しておった問題でございますが、ただそれだけにとどまるか、もう少し欲ばるかといったような問題もあり得るのではないかと思いますが、もう少し検討の時間をいただきたいと考えております。
○和田鶴一君 ぜひともこれは計画を実行していただきたいと思います。ただいま櫻井議員からも漁港の問題について御意見がございましたが、漁港の整備がある程度進んでまいりますと、必ずその港の水揚げがふえてくる。これは至るところの実績だと思います。完成すればなおさらなんです。と申しますのは、漁業者が一番物心両面の労力を支出するのは、その漁業の基本であるまた財産である漁船の管理ということです。港がりっぱにでき上がりますと、自然、型も大きくなるだろうし、機械化する、そして合理化された形において漁業が営まれてくるという、そういうことで漁獲量の増強、したがって、水揚げ金額もうんとふえていくというのが実態であります。こういう点を考えますと、さらに長官としてはいろんな施策もあると思いますけれども、漁港整備計画の積極的な推進ということをそういう意味からも大いにやってもらいたいと思いますし、同時に、漁港の修築あるいは局改、その他海岸保全、ことごとく合わせて、単に漁船の管理、あるいは漁港あるいは漁村をということだけではなくて、国の防災事業も兼ねておるんだという点から考えますと、先ほどもお話がございましたように、道路にせよ、河川にせよ、あらゆる国の施策が五カ年計画でもって打ち立てられておるのに、漁港だけが八年の整備計画に甘んじておるという理由がわからないのであります。私は、こういう点については、先ほども漁獲量の問題で櫻井議員から科学的な積算の基礎を出せと言われた場合に、非常にお困りのようでございましたが、大蔵省と予算の折衝等にあたって、相手を理論的に納得させるだけのそうした科学的資料の整備ということについては少し手ぬるいのじゃないか。私は、そういう意味におきまして、もっと意欲的な作業をやっていただきたいと思います。 先ほどの需給のアンバランス対策として新しい漁場の開発という説明がございましたが、それに関連いたしまして、海外に新しい漁場を求めていくというそのことも私はきわめて大事かと思います。十二海里あるいは三海里、その専管水域の設定の問題に関連いたしまして、東南アジアに対する協力あるいは進出——ということばを使うと、相手を刺激する面もあるかもわかりませんけれども、そうしたような問題とのかね合いによりましてむずかしい問題もあろうと思いますけれども、そういう海外に新しい漁場を求めるということについて、四十三年度予算の作業中だと思いますけれども、四十三年度あたりから画期的なそういう問題について取り組む用意があるのかないのか、どういう計画をただいまなされておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○説明員(亀長友義君) 海外漁場の開発と協力問題につきましては、御指摘のように、非常にむずかしい問題であります。また、海外の漁場と申しましても、御承知のように、世界の海は広いのでありますけれども、魚のおる場所というのは限られておりまして、また、これが往々にして相手国の岸に近いところにあるというようなことが非常に多いわけであります。したがって、非常な限界と同時に、また、政治的にも特に相手国との関係で困難な面がございます。いずれにしましても、われわれとしましては、日本の漁業の技術あるいは能力というようなものを一方的に振り回すだけでなくて、やはりこれは相手国の立場も考えながら漁場の開発を行なっていくと、こういう考えであります。 具体的に来年度予算の構想として実はまだ十分考えを整備しておらないのでございまして、直ちに来年度予算と結びつけてどうこうというお答えをするような検討ができていない段階でございますけれども、私どもの考えだけを申し上げますと、一つには、今年度大型調査船が九月から発足をすることができるわけであります。本年はまだ試験的運航でありますけれども、来年度からはこれが本格的な運航ができると思います。したがって、これは、そういう意味で、主として漁場の開発と、それも領海ではできないような基礎的な調査をできるだけやりたいというふうに考えております。それから同時に、後進国あるいはその他の国につきましても、十二海里以内等につきましては、これは相手国の立場も尊重して、あるいは合弁が可能なものについては十分そういうものについても考慮する、さらに、沖合い操業が可能なものについては、相手国との協力も得てやる。これは、お互いに資源の開発をやるんだと、そしてお互いに益する方向でやるんだという、共存共栄と申しますか、そういうようなことを念頭に置きながら進めてまいりたいと思います。と同時に、もう一つは、生産の拡大ということが、単に新しい漁場の開発というだけでなくて、すでに知られておる資源であって日本人の食用に供するための加工利用と申しますか、そういう面の開発も非常に重要なことであると思います。数年前にわれわれが食用にしなかったスケソウダラのごときが現在広範に食用に供されておるわけでありまして、四十年度でも約七十万トンに近いものが従来人間の食用に供されなかったものが現在供されておるような事情でありまして、新しい加工技術の開発というものが大きな要素をなしておるわけであります。 したがいまして、新規漁場の開発と同時に、すでに知られておる資源の利用とこれの合理的使用という方面にも力を尽くしてまいりたいと考えております。
○和田鶴一君 時間がありませんので、簡単に希望を取りまぜて申し上げたいと思いますが、新しい試験船の効率的な運用をはかるということはまことにけっこうでありますが、と同時に、従来からあった海外漁業協力会ですか、これの補助が四十二年度で一応終わるという段階に来ておると思うのですが、私はいろいろ各省を調べてまいりますと、このような国の施策に協力する外郭的な、あるいは多額の委託費を受けて事業をやるこういったような形の外郭団体というのはたくさんある。私は、むしろこの際この協力会等にもっと意欲的に仕事をやらせていくという方向で考えていただきたいと思います。これは希望として申し上げておきます。 次に、中小漁業の振興の問題で簡単に要点だけをお尋ねしておきますが、中小漁業振興特別措置法の対象業種として、とりあえずマグロ漁業と以西底びきを考えておるようでございますが、その他の業種については将来どのように考えておるか、簡単にお聞きしたいと思います。
○説明員(池田俊也君) 先般御説明申し上げましたように、この法律が成立いたしました場合には、最初の年度におきましては、カツオ・マグロ漁業と以西底びき網漁業を指定する予定でございますが、その後におきましては、現在、次の年度に何を指定するというような具体的なことをきめておるわけではございませんけれども、この法案にございますような要件に該当するものについては、なるべく弾力的にと申しますか、指定をしてまいりたい、こういう考えでございます。
○和田鶴一君 六分五厘の金利というのは、これは私はきわめて高い、不十分だと思います。この程度のものは、一般の漁船建造資金等がおしなべてこの法に基づいてやる融資については、もっと低率に、五分五厘以下に下げていくというような考え方はないかどうか、お伺いします。
○説明員(池田俊也君) 今般の法律によります融資につきましては六分五厘でございますが、金利は、漁業者の立場から申しましても、実は御指摘のように安ければ安いほどよろしいわけでございます。ただ、金利というものは、御承知のように、一つの体系をなしているわけでございまして、その体系の中で一つだけをまたそれと違ったような基準できめるということはなかなかむずかしいのでございます。私どもといたしましては、当初、実は、もう少し低い金利が実現できないだろうかということで財政当局等とも相談をしたわけでございますけれども、そういうような観点、あるいは、公庫が主要な資金源と仰いでおります資金運用部の金利が六分五厘でございますので、それよりは安いものにするということが実は非常にむずかしかったわけでございます。しかし、確かに、従来の漁船建造の資金につきましては七分五厘でございまして、わずかに一分だけ下がるということで、漁業者の要望も非常に強うございますので、私どもといたしましては、今後はさらにもう少し安くできるように努力をしたいと、こういう考えでございます。
○和田鶴一君 前段の説明は一応わかりますが、公庫のおもな資金の原資が六分五厘だ、だから下げられなかったんだという説明はちょっと私はぐあいが悪いと思うのです。一応、本年度の近代化資金のワクを三十億と予定しているようですけれども、かりにですね、それをもう一%下げたとしたら、公庫の収入は三千万円減るだけですね。ところが、現在、一億七、八千万ドルの輸入がなされている。それがやがては二億ドルにもなんなんとしている。三千万の収入が減ったところで、十万ドル足らずですよ。現在、一億七千万ドル程度の輸入が二億に手が届こうというこういう実態を考えたときに、私は議論のしようもあろうかと思います。ただ原資が六分五厘だから非常に下げにくかったというために引き下がったということだけでは、私は政策がないと言いたい。 時間がないから、次に参ります。本法による融資構造は、中小漁業振興計画に定める経営近代化の目標に即した漁船の建造等のみを対象としているようであります。このような限定をしないで、指定業種漁業における漁船の建造等すべてを対象とすることができないかどうか、これをちょっと伺いたい。
○説明員(池田俊也君) 一つの考え方といたしまして、ただいま先生がおっしゃったような考え方もございます。業種指定をいたしまして、その指定されました業種の漁船につきましては全部融資の対象にするという考え方でございますが、確かにそういう考え方もございますが、私どもといたしまして、今回のように、振興計画において一つの目標をきめまして、その目標に合致するものについて融資の対象にする、こういう考え方を実はとっているわけでございますが、この中小漁業の特別措置法において考えておりますのは、当該業種をより近代的な改善された形での経営にしたい、こういう考え方があるわけでございます。したがいまして、それに合致するようなものについては、当然、融資の対象なりあるいは税法上の恩典の対象にいたしますけれども、中には必ずしもこれに合致しないものもあるわけでございます。これについても融資の対象にするというのははたしてどうであろうかということで、実はある程度の目標をしぼりまして、それに合致するようなものについて融資の対象にするという考え方を現在いたしているわけでございますけれども、ただ、これはあまりかたくいたしますと、それに合致するものが非常に少なくて、三十億円のワクを予定しておりますけれども、非常に使い残るというようなこともございまして、それではまた法律の目的が十分達成されないということになりますので、そこいらにつきましては現在さらに検討を加えておりますけれども、法律の趣旨に沿う点につきましてはなるべく弾力的に考えたいと、こういう気持ちでございます。
○和田鶴一君 大臣がお見えになりまして、ほかの質問者も控えておりますので、私は簡単に質問いたしますから、説明もできるだけ要点を言っていただきたいと思います。 中小漁業の振興計画は、具体的にどういうふうにして定めようとしているのか。たとえば指定を予定されているカツオ・マグロについて、経営近代化の目標について具体的にどのようにその内容を考えているか。 また、将来、この法案の内容をですね、より充実拡大をはかっていくといったようなそうした計画がないかどうか。 それから衆議院の修正によりますと、審議会に諮問をするというふうになってございます。将来、審議会に指定業種の意見が十分反映できるように、指定業種の代表を含めた部会等を設けて、十分その運用の適正化をはかっていくといったようなそういう考え方があるかどうか。
○説明員(池田俊也君) 経営の近代化の目標でございますが、カツオ・マグロについて申し上げますと、現在私どもが考えておりますのは、複船経営ということを一つの目標にしたらどうか。これはいろいろな理由があるわけでございますけれども、単船経営でございますと、いろいろ経営上のマイナスの点が多うございまして、全体として収支がよろしくないわけでございます。やはり何そうか集まって一つの経営体ができ上がりますと、合理的な経営ができるということでございますので、そういう複船経営に持っていこうとする場合の漁船建造等につきましてはこれを融資の対象にする、こういう考え方にいたしたいと考えているわけでございます。どこいらの線がいいかということは、さらに現在検討いたしておりますけれども、私どもの従来の感じでは、大体四隻ぐらいを基準に考えたらどうかと、こういう考え方でございます。 それから将来この計画を変更するということがあるのかという御質問かと思いますが、これはもちろん一応その当時におきましては最も適当であるということで計画をきめるわけでございますけれども、その後におきまして適当でないという新しい事態が出てまいりますれば、これは当然改定ということはあり得るわけでございます。 それから沿岸漁業等振興審議会で関係の方の御意見を伺うことになるわけでございます。その場合、何か部会等のことを考えているかということでございますが、まだこれはきめているわけではございませんが、おそらくやはりそういうことにいたして、関係業界の方とよくじっくり相談できるような機会を持つのがいいのではなかろうか、こういう考え方でございます。
○和田鶴一君 平年度、要するに来年度ですね、この三十億のワクは平年度じゃないんですが、来年度いわゆる平年度はどの程度のワクを考えているかということが一つ。 それから複船化を考えていくために、その複船化を一そう刺激させるという意味からも、現在複船経営者であって新しくすでに建造しているというようなものまでもその対象に入れていくというそういう考え方があるかどうか。 それからまた、その合理化、近代化ということが目標でありますから、それを効果的にするために、将来それに必要な運転資金等もあわせて考えるというような考えがあるかないか。
○説明員(池田俊也君) 最初の年度は三十億でございますが、平年度におきましてはカツオ・マグロと以西につきましては五十億程度を予定しておるわけでございます。 それから従来一定の規模の複船経営になっているものについてこれを融資の対象にするかどうかということでございますが、かりに四隻を一応基準にきめました場合には、たとえば三隻の複船経営の業者がこれを四隻にするという場合には、当然対象になるわけでございます。しかし、それ以上の複船経営になっておりますものは一応対象からは除外される、こういう考え方でございます。
○和田鶴一君 非常に急いであれですが、次回にまたゆっくりあれするといたしまして、もう一つ。 この問題で、本法の示す近代化目標の中に、協業化、複船経営化というようなことが重点的に取り上げられておる。そうすると、法人とか共同経営とか、いろいろの形が出てくる。そうなってまいりますと、だんだん法人の規模が大きくなってくる。そうすると、現在ですらいろいろ漁業協同組合の正組合員の資格にすれすれの者が、また限度をオーバーするというようなことのために、正会員の資格の喪失というような問題が起こってきて、協同組合自体の経営存立、そういう問題にまで影響を与えるということも考えられるわけです。私は、こういう問題につきましても十分考慮を払われたいと思います。 それからもう一つ、最後に、次回にまた時間を置いてお伺いしたいと思いますが、外国人の漁業の規制に関する問題で、私は、先ほど、水産行政が許可行政だ、取り締まり行政だ、こう申しました。このたびの外国人の漁業取り締まりに関する法律案は、その範囲は領海内にとどまっておりますね。ところが、取り締まり、いわゆる規制、あるいは航路の制限であるとか、トン数だとか、馬力だとか、いろいろ日本のさまざまの漁業に規制が行なわれておる。その規制の範囲が領海内にとどまるものはいいけれども、その規制がはるかに領海を越えて領海の外にまで及んでおる規制もあるわけですね。そうした場合に、領海外にやってきた外国船との問題の調整というものが非常に問題が将来に残る。そういう調整についてどのように考えおられるか、この一点だけひとつ……。
○説明員(亀長友義君) 日本の法律でもって日本の国民を拘束することはできますけれども、外国の人を公海においては拘束することができないというのが一般原則でございます。しかし、従来の日本のやっております各種の許可行政あるいは規制というものが十分国際的にも合理性のあるというような場合には、当然相手国と話し合って、そこに漁業に関する取りきめというものが行なわれる。そういう形の従来の規制を守っていく、運用していくということであろうと思います。しかし、従来やっている規制で必ずしも適正でないというようなものについては、われわれとしてもそういう事態が起きた場合には、日本の漁業規制のあり方というものについて再検討しなければいかぬだろうと思います。しかし、これは将来そういう事態においてどういう規制をするかということは、またその時点における各種の状況を心に入れなければならないと思いますけれども、現在まで行なわれている規制にはそれなりに相当の理由があって現在存在しているわけでありまして、できるだけそういうものが事情の変更のない限り踏襲できるような形で取りきめを行なっていくというのがまず穏当なかっこうであろうと思います。 一例を申しますと、現在の日韓漁業条約において、これは日本がそれなりに以西底びきについても、巻き網についてもその他の漁業についても規制を行なってきております。しかし、一方、韓国が日本の規制とは別の形で出てくる。しかし、そこには、おのずからの日本の規制が、日本の漁業者から妥当なものとして受け入れられるだけの経済的な理由なり社会的な理由がある限りにおいては、やはりそれは受け入れられるだろう。しかし、そうでないものについては、機に応じて修正していく。基本的には相手国との取りきめによってそういうものが大きくくずれない取りきめをする。日韓条約の取りきめとその後の運営というものも、大体においてそういうラインに従ってきたものであろうというふうに私ども思っております。
○和田鶴一君 まだいろいろこまかいことをゆっくり尋ねたいことがあるのでございますが、委員長とお約束いたしました時間がすでに五分ばかり経過しましたので、また後の機会にお尋ねをさしていただくということにして、本日の質問を終わります。
○川村清一君 私は、午前のわが党の達田委員の質問に引き続きまして、外国人漁業の規制に関する法律案につきまして若干質問をいたしたいと思います。 一般論につきましては達田委員からだいぶ触れられましたので、私は法案の内容につきましてできるだけ具体的な問題を取り上げてお尋ねをいたしたい、かように考える次第でございます。 まず、第一にお尋ね申し上げたいのは、この法案の第二条に、「この法律において「本邦」とは、本州、北海道、四国、九州及び農林省令で定めるその附属の島をいう。」、こういうふうにうたわれておりまして、そして、このいただいた農林省令のこれから規定する見込み事項と書かれておりますものの内容を読んでみますと、「附属の島は、本州、北海道、四国及び九州に附属する島のうち、当分の間、沖繩、小笠原、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島等を除いたものと規定する見込み。」と、こういうふうに書かれておるわけでございます。そこで、最初に私がお伺い申し上げたいのは、本邦の範囲から特に沖繩、小笠原、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島を除いたという理由、法的根拠があるならば、その法的根拠をお尋ねしたい、かように考えます。
○説明員(亀長友義君) これらの島を除外いたすような考えで省令をつくる考えでございますが、これは必ずしもこれらの島が日本の領土に属しておるというわが国の主張を変更するものでは毛頭ございません。ただ、実際問題として、現在のところわが国の主権が事実上これらの島には及んでおらないのでありまして、こういう現在の事実に基づきまして、その法律の適用についても当分の間本邦には含まれないんだとして省令をつくってまいりたいというものでございます。このことは、実際上、行政上の取り扱いとしてはこういうことによらざるを得ないわけでございまして、この法律のほかにも、現在ございます外為法あるいは関税法についても同様の取り扱いが行なわれておるということでございます。
○川村清一君 私がいま申し上げた島につきましては農林省令で用意されておる文章の中に書かれておるわけでございますが、竹島は何ら触れておりませんが、竹島はどういうことになっておりますか。
○説明員(亀長友義君) 現在の竹島につきましては非常にむずかしい外交問題があるわけでございますが、日韓条約に基づきまして十二海里の専管水域を設定するという場合にいろいろ研究をいたしておりまして、日本側としては、歴史的な事実を根拠にして竹島が日本の固有の領域であると確信しております。したがって、当然竹島の場合にも漁業水域を設定する権利を持っておるものであるというふうに考えておるわけであります。したがって、今度の農林省令で定める附属の島という場合に、現在のところ私どもとしては竹島を除外する考えを持っておりません。しかしながら、外為法、関税法の適用について実は詳細調査をしておりませんので、御指摘の問題につきまして外為法、関税法の適用についてもう少し調査をさしていただきまして、その上で外為法、関税法と同様な措置になるように省令を定めていきたいと考えております。
○川村清一君 竹島につきましては、ただいま生産部長が言われましたとおりのことを日韓条約国会の論議の中で当時の外務大臣がはっきり答弁しておるわけでございまして、日本の固有の領土であるということをはっきり国会の中で言っておるわけでございますから、この省令の中で竹島を除外しておきますと、何か意図があって除外したように勘ぐられますから、ぜひひとつこの中に忘れないで入れておいていただきたい、かように考えるわけでございます。何か入れることに差しつかえがありましたら、大臣からひとつ御答弁を願います。
○説明員(亀長友義君) 私からお答えさせていただきますが、現在の日韓条約で日本側は十二海里を引けるたてまえになっておりまして、現在農林省令で島根県沖合い十二海里という規則をつくってございます。この島根県沖合いと称するのは、日本側の解釈では、当然竹島を島根県の一部とみなしておるたてまえになっております。そこで、現在、実は私どもまだ外為法と関税法の竹島に関する運用を承知しておりませんので、研究の上同様の取り扱いをするように省令は検討いたしたい考えでおります。したがって、現在のところ、外為法及び関税法が竹島についても適用するたてまえをとっておるならば、この省令においても同様適用範囲に入れたいというふうに考えております。しかし、なお、これについては、最終的には外為法、関税法の運用を検討した上でお答えを申し上げたいと思っております。
○川村清一君 あらためて大臣のお答えをお聞きする必要はないかとも思いますが、もし大臣としてただいま部長の言われたことに少しことば足らざるような点にお気づきの点等がございましたならば、大臣のほうからひとつ補正をしておいていただきたい。非常に重大な問題だと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 一言も付け加えるものはありません。
○川村清一君 それでは、沖繩につきましては、わが国の領土であることは間違いがないわけでございます。ただ、施政権が現在アメリカにありますので、日本の主権が沖繩にいま行なわれておらない。小笠原もさようでございます。歯舞群島、色丹、国後、択捉、すなわち南千島、これにつきましては、これは沖繩とは若干趣を異にしておりまして、これはもう固有の日本の領土であることは全く間違いはございませんし、平和条約においてこれはどこの国に帰属するということも決定はしておりませんし、現在ソ連に占領されておることは事実問題としてこれは事実でございます。したがって、事実問題として日本の主権がそこに行なわれておらないということは事実でありますから、これはまあ認めざるを得ないわけでございますが、ただ一点私はお聞きしておきたいことは、千島の領海において——領海というのはまたなかなかむずかしいのですが、ソ連は、千島はわが領土であるということを主張し、領海は十二海里であるということを主張しておるわけであります。これは、日本では、もちろんソ連の領土であるということは認めておりません。したがって、領海十二海里などということは認めておらないのでありますけれども、事実問題としては日本の主権が行なわれておらない。この事実の上に立って私はお尋ねするわけでございますが、一体、ソ連が領海と称しておる海域には日本の国内法は適用されるのかされないのか、こういうことをお尋ねする次第であります。これはいかがですか。
○説明員(亀長友義君) これは私ども日本の漁業法の分野に限って申し上げますと、日本の漁業法につきましては、日本の漁船もしくは日本の漁業者である限り、日本の漁業法が適用あるものと解釈をいたしております。しかし、これについては、必ずしも統一的に日本のすべての法律家が一致した解釈ではないようであります。また、北海道におきましては、若干そういう問題に関して司法当局との間にも見解の違いがありまして、目下その問題については最終的な結論は出ておらないと承知をいたしております。しかし、私ども水産庁の立場の解釈といたしましては、日本国民もしくは日本漁船であれば、漁業法は適用がある、しかしながら、事実上行政権がないので、その地域においてはわれわれがそれを執行する権限を事実上行使することができない、それは事実上の問題である、こういう解釈を私どもはとっております。
○川村清一君 水産庁の御見解はわかりましたけれども、ただいま部長からもお話がございましたように、現に北海道において問題が起きております。昨年当委員会において私がこの問題で質問したこともございますが、どうも各省庁の間において必ずしも意見が一致しておらないのではないかという点も考えられますので、この際、外務省の欧亜局長がおいでになっておられますし、また、条約局の参事官もおいでになっておられますので、どなたからでもよろしゅうございますから、外務省としての御見解をお聞かせいただきたいと思うわけであります。
○説明員(亀長友義君) 外務省のほうから、漁業法のことでございますので水産庁のほうからという御希望ですから、私からお答えをいたしますが、各省庁の間において見解の相違があるわけではございません。問題は、裁判所がどういう判決を下すかという問題であります。その判決が私はまだ下っていないように思います。したがいまして、行政府の解釈としては、私が申し上げたような線で全部の省が特に異議があるわけではございません。問題は、裁判所の解釈がどうなるかということで、その問題についてはまだ最終的にきまっておらないというふうに考えております。行政府としての態度は変わっておりません。
○川村清一君 そういう態度ですからどうも困る——困るといっても、裁判所の態度は行政府としてはしようがないかもしれませんけれども、しかし、行政府の態度もはっきりしないんです。つい最近の「北海道新聞」の切り抜きですが、こういう記事が出ております。「国後島ケラムイ岬沖で操業中の本道ホタテ漁船が、最近相次いでソ連側に捕獲されているが、道はこの対策に苦慮している。それは、これら捕獲漁船はいずれも無許可出漁船で、地元では『道の事前取り締まりが手ぬるい』といった声が強いが、道では『現行漁業法でじゅうぶん取り締まれるが、道の取り締まり船は他海域への出動で手いっぱい。現行体制での法執行は、一管本部の態度にかかっている』といっている。しかし現地の根室海保では」——と言っておりますから、これは根室の海上保安部であろうと思うのでありますが、「『同じケースの第八北島丸事件は、』——これは昨年あった事件で、当委員会でも問題になりましたが、『係争中であり、国後島周辺海域への国内法適用問題は明確にされていない』」——すなわち、裁判所で係争中であってまだ判決が出ていないから、明確にされていない。したがって、ことしもう七隻の違反船が出ておるわけでございます。こういうようなことで、水産庁のほうでは、これは十分現在の漁業法で——また、しかも、こういうことが書いてある。「しかも道では『昨年四月に、第八北島丸事件に関連、法務省から水産庁長官に対し漁業法および関係法令の効力の範囲については〃国後島沿岸を含む周辺海域には、国内法が適用され、この法によって違反操業は処罰することができる〃と見解を示しており、取り締まりになんら疑義はない』としており、」と書いてあります。これはいまの部長の御答弁と同じであります。ところが、海上保安部のほうは、裁判所のほうでまだ判決が出ておらない、したがって、国後島周辺海域に国内法が適用されるかどうかということが明確でない、こういうような態度でございますので、その後も違反船がまたこうやって出ておる、こういうことであります。したがって、行政庁としては、これは日本の領海に間違いないのだから、いまはソ連がわが領海だと言っているけれども、これは日本の固有の領土であるから日本の領海である、こういう解釈の上に立つならば、当然日本の国内法は適用される。したがって、違反操業したところの漁船は日本の法律によって処罰されるわけであるけれども、しかしながら、裁判所の態度がそういうふうな点でありますので、海上保安部がこういう態度ではなかなかうまくないんではないかと思うのでございますが、この辺をもう少し運輸省との間に話し合いを進められないのかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
○説明員(亀長友義君) ただいまの新聞報道につきましては、多分に誤解の点があるように私は見受けられます。一つには、日本の漁業法は日本の国民及び船については相手国の領海内といえども適用があるんだということにつきまして、水産庁がそういう解釈をとっているだけではないのであります。すなわち、行政機関である海上保安庁及び検察庁を担当しております法務省も同様な解釈をとっております。したがって、これに対する起訴が現在行なわれているわけでございます。ただ、私が申しましたのは、裁判所がいまだ判決を下していないというだけのことであります。したがって、この法的解釈として、裁判所を除く行政機関、検察庁を含めて何ら異論はないのであります。したがって、要は、裁判所の判決を待っているという状態でありまして、裁判所は、御承知のように、行政府が拘束するわけにまいりません。そういう意味においては最終的にきまっていないというだけでありまして、行政府の解釈は、検察庁、海上警察である保安庁も一致をいたしているわけであります。 それからもう一つ、私が御説明申し上げておりますのは、歯舞、色丹が固有の領土であるという主張であるがゆえに適用があって、歯舞、色丹の周辺が日本の領海だから適用があるというのではございません。これは、外国の領海であっても、日本の国民及び日本船舶に対しては日本の漁業法が適用できる。しかし、事実上、そこに、相手の領海であるから、取り締まり権、支配権が及ばないということで申し上げているのでありまして、これは、歯舞、色丹に限らず、すべての外国の領土についても適用する問題であります。 それから実際上保安庁がそういう扱いをしていないというように私が聞きました御質問がございましたが、保安庁としては、法律上の解釈につきましては、何らの疑義を私どもと同様持っておりません。ただ、実際上、歯舞、色丹の近海に入った場合を海上保安庁として現場の確認が事実上困難であるということのために、漁業者のほうは違反だ、無許可船だとおっしゃっても、海上保安庁としてそれを現に操業している地点を確認するのに非常に困難が往々にしてあるというだけのことでございます。したがって、十分な確証があがった場合には、私が申し上げましたような解釈に従いまして、しかるべき措置をとっているような実情でございます。
○川村清一君 それでは、もう一点関連してお尋ねいたしますが、いまの部長の御答弁によって、そうしますと、私は外国の領海は日本の国内法は適用されないものと解釈しておったものですから、そういう立場で質問しておりましたが、私の考え方が間違っておったことがわかりました。私は一つ勉強いたしましたが、そこで、領海の問題ですが、そうしますと、いま千島に限って申し上げますが、日本では領海三海里と言っており、向こうでは十二海里と言っておる。そうすると、この違反操業が領海の中に入っている場合と領海の中に入らない、領海であるか領海でないかという場合に、日本のほうでは、三海里以内に入ったときに領海侵犯と見る、三海里入らない、いわゆる十二海里から三海里の中においては、これは領海侵犯とはわれわれのほうでは解釈しない、認めないと、こういうことになりますね。
○説明員(亀長友義君) 現在の国際間における領海の制度のたてまえからいきますと、そういうことでございます。
○川村清一君 それでは、この問題はこのくらいにしまして、次に進みますが、この法律は、けさほど来のいろんなお話し合いから、ソ連、韓国を対象国にして制定されておる、こういう法律である、こういうふうに理解したわけでございますが、そこで、この法律を制定することによって、対象国であるソ連や韓国を刺激することがないのかどうか、その影響度というものをやはり心配するわけでありますが、この点についてお答え願いたいと思います。
○説明員(亀長友義君) この法律は、直接、法律上、ソ連や韓国を目的にしておるわけではございません。一般的に世界の各国が大体においてとっておる制度、それから国際海港条約においても、港というものはお互いに利用し合うんだと、しかし、漁船や漁獲物については国際海港条約は適用しないんだという条約がございまして、日本も加盟国でございますが、そういう条約もございまして、各国とも漁業や漁獲物については、海港利用の原則のほかに何らかの制限をしておるのが多いのであります。私どもも、こういう先例に基づきまして、埠頭なりあるいは漁獲物陸揚げを一つの許可制にしようということでございまして、必ずしも許可の全面禁止ということを直接意味しているわけではございません。ただ、御指摘のように、日本の近海に来る可能性が最も多いのはソ連や韓国であるということは言い得るわけでございます。 そこで、最初にソ連との関係でございますが、ソ連との双務的な関係から申しますと、ソ連は、日本国の漁船に対しまして寄港は全然認めておりません。合法的な寄港が認められるというのは、おそらく緊急避難の事態だけでありましょうけれども、それについても、きわめて限られた、非常に限定された場合だけであります。したがいまして、ソ連との双務的な関係から言いますと、むしろソ連のほうがどちらかといえば完全封鎖的でありまして、双務的な関係からは何ら問題はないものと考えております。ただ、ソ連側としては、歯舞、色丹水域における日本側の安全操業の要求に関連いたしまして日本への寄港を希望しているということはございますけれども、本来、港の利用という双務的な国際的な関係という点から申しますと、現在、ソ連と日本との間には何らそういう関係はないわけでございます。 もう一つは韓国でございますが、韓国も同様でございまして、韓国も日本漁船の寄港は全然認めておりません。現在のところ、韓国との間には通商航海条約の締結の話し合いがあるやに聞いておりますけれども、その交渉におきましても、韓国は緊急避難の場合においてもかなり特別な港だけに限定をしたいという強い意向を持っているようでございまして、一般的な漁獲物の陸揚げであるとかあるいはその他の漁船の利用ということに関しては、完全に閉鎖的であります。したがって、韓国との間に双務的な関係というものは全然存在はしないわけであります。ただ、韓国との間には、従来、貿易的な関係が若干ございます。それも日韓貿易の大部分はこの法律の適用は受けないものでございまして、すなわち韓国の領海から日本の港に魚に運んでくる場合でございまして、そういう場合にはこの法律では貿易上の行為であるとして除外をいたしております。漁場から直接日本に搬入してくるものがこの法律の適用を受けるわけであります。それにつきましては、私どもは、日韓友好という大局的見地から考えまして、日本の漁業に支障のない範囲においてはそういうものも認める、こういう考えでございます。これは法律の規定にもそういうことが明らかにされておりますとおり、漁業調整上支障がない限りはその許可はしなければならないというふうに規定されているわけでございます。 そういう運用によりまして、現在の日韓間の双務上の関係、あるいは通商上の関係というものは、実際上何ら従来の韓国と日本との関係を阻害しないという考えでおります。 ソ連との関係におきましても、ソ連の漁獲物を日本に直接海上から搬入いたしております例は、北海道におきますニシンの輸入であります。これは漁場から直接搬入をいたしております。しかしながら、これは外貨割り当て制度のもとにございます。さらにもう一つは、スケソウダラをソ連の漁船から日本の漁船が買い付けまして、直接日本へ運ばれてまいります。この二件だけがソ連との通商上の問題に直接この法律が該当するわけでありますが、この両者は外貨割り当てになっておりますので、むしろこの法律の運用によって制限をするとかどうとかというよりも、そういう外貨割り当てを与えることが日本の漁業の調整といかなる関係を生ずるのか。従来どおりの割り当てをして支障がないか。あるいは、それをふやしても支障がない、こういうことであれば、それに従って当然この寄港の許可は従来の貿易の形態として許可をしていくべきものであろうというふうに考えておりますので、御質問のソ連や韓国との関係におきましては、この法律の運用、あるいは、外貨割り当てのあるものについては、貿易制度の運用ということによって十分解決ができる問題である。国際的な寄港、漁船の港利用の開放という問題についての双務関係というのは、ソ連と日本、韓国と日本の間には、現在のところ先方が封鎖的であるから、何ら存在はしないということでございます。
○川村清一君 この法律に、対象国はソ連である、韓国である、こういうようなことは書いてないことはもちろんであります。また、そんなことが書いてあったらたいへんだと思います。しかしながら、こういう法律が必要になってきました経緯を考えてみるならば、対象国はソ連であり、韓国であることは明らかであり、けさほど来の本院の審議を通じて長官や部長の御答弁を承っておりまして、その点がはっきりしているわけでございます。 そもそも、経緯を考えてみますというと、ソ連は、数年前から、わが近海、特に北海道東、それから三陸、福島あたりの沖合いに大型の近代的装備を持った漁船が進出してまいりまして、そして大規模な操業をやっていることは事実であります。その資料はいただいているわけでございます。そして、昨年の六月にソ連のイシコフ漁業大臣が来日され、八月にはグロムイコ外務大臣が来日されたそのときに、日本政府が北洋の安全操業のことについて申し入れをしたその節に、現在の安全操業を若干拡大してもいい、しかしながら、そのかわりと言っちゃちょっと語弊がありますが、ぜひ日本の港に寄港を認めてもらいたい、日本の港に対する寄港をソ連側から要請をしてまいってきたという事実があるわけであります。 韓国との関係におきましては、もちろん日韓の漁業協定に基づきまして専管水域あるいは共同規制水域等がありまして、西の海域においてはそれぞれ規制されておりまして、問題はないかと存じますが、これも昨年秋に韓国の漁船が遠くから北海道の近海に参りまして底びき操業をやった、あるいはサケ・マスの流し網の試験操業をやりまして、日本の港に寄港してまいりました。あるいは、函館の港において水産物あるいは漁獲物の水揚げをやった例があるではありませんか。これらが大きな国内問題に発展しまして、そのために、たしか九月の六日でございましたか、閣議決定がなされまして、外国船を入れないという決定がなされ、その決定に基づいて、十二月十二日付ですか農林省令をもってこういう規制がなされたと私は思うわけであります。その農林省の規制が今度一つの法律案となって国会に提案され、ここで可決されたならば、今度は法律となって外国船の寄港が規制される、こういうことになるわけでございまして、この経過をずっと考えてみますときに、韓国の問題は別といたしまして、ソ連側は、現在の貝殻島における安全操業、これを発展させて水晶島まで認めてもいい、こういうようなことを言ったということも聞いております。しかし、これは、直接聞いたわけではございませんから、真偽のほどはわかりませんが。また、別のほうから私の耳にしたところでは、外務省の岡田参事官が北海道の代表の者に対しまして、安全操業といっても、そうむちゃくちゃに拡大するということは困難だ、したがって、水晶島まで拡大する、水晶島の一部を認める、そのかわりに入漁料を払うというようなことで、いわゆる貝殻島方式を水晶島周辺まで拡大する、こういう方式で安全操業の拡大をはかることができるのではないか、こういうようなことを言ったということも聞いておるのであります。しかしながら、ソ連の漁業大臣あるいは外務大臣は、その代償として日本の港への寄港を要求しておるのでございます。ところが、この法律によって、今度は、外国の船は、いわゆるソ連の船は、日本の港に入ることはできないわけです。ですから、こういうようなことから、ソ連の要求は拒否されたと向こうは見ておるかもしれませんね。そこで、このことがはね返って北洋の、特に千島近くにいる漁民の安全操業に対する強い悲願といいますか、願いというのはなかなかこれを実現することは困難になるのではないか、安全操業実現のためにはマイナスの大きな要素になるのではないかということをちょっと心配するわけでありますが、そういうことは心配がないのかどうかということを私はお伺いしたい。全然影響はないんだ、何も心配ないんだという部長のお話でございましたが、それならまことにけっこうですが、そういうことでございますかどうか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(久宗高君) 安全操業との関連につきましては、先ほど生産部長からお答えしたとおりであるわけであります。ただいま経緯の御説明の中でも出ましたように、ソ連といたしましては、わがほうから、安全操業を、これはわれわれの長い悲願でございまして、たびたびいろいろな形で繰り返しまして要求してまいったのであります。昨年たまたまこの問題が出ました際に、寄港問題とからんでお話が出たわけであります。そこで、寄港さしてくれというお話が出るくらいでございますから、何にもこちらは国内法はございませんでも、本来寄港というものはかってにできるものではないというたてまえは、ソ連もよくわかっておるわけでございます。したがいまして、代償というような形で安全操業問題と寄港問題がからんだわけでございます。わがほうにおきましては、寄港問題とこの問題とは本来別個のものでございまして、安全操業と直接に寄港問題とをからますことにつきましては、日本側の態度といたしましては、さようなことではなくて、安全操業につきましては別途に話を進めるべき性質のものであるということを再々申し入れてしてまいっておるわけでございます。 なお、本法律案につきましては、寄港を何らかの意味で認めるか認めないかという問題につきましては、これは全く別個にこの法律に基づいて検討すべき問題でございまして、したがいまして、絶対的な禁止ではないのでございます。ある条件のもとにおきましては寄港を許可するという制度をとっておりますので、絶対的な禁止ではございません。しかしながら、ソ連側におきましてこの法案の内容をまだ詳しくよく知らないという場合におきまして、何らかそれが安全操業との関連でもって特に先方が寄港問題との切り離しをまだ考えていない場合におきましては、若干の問題があり得るというふうに考えるわけでございますが、私どもといたしましては、法案の通りました段階におきまして、本法案の趣旨というものにつきましては、対外的な関係がございますので、詳しく説明をしかるべき時期にいたす必要があろうというふうに考えておるわけでございます。
○川村清一君 質問している私自身が、安全操業と寄港の問題とは全く別な問題である、こういう立場で質問しているわけでございます。その点においては水産庁長官の意見に全く一致しておるわけであります。しかし、反面、そういうことが出るとたいへん心配なので聞いておるのでございまして、ぜひそういうことがないように進めていただきたいということを私は要望したわけなんです。 そこで、せっかくお忙しい中を外務省の欧亜局長においでいただきましたのでお尋ねいたしたいのでございますが、先般、自由民主党の川島さんが、総理の特派大使として訪ソされました。そのとき、元農林大臣の赤城さんが随行された次第でございますが、赤城さんは日ソの漁業交渉のときに訪ソなどをいたしまして、非常に古い顔なじみがあるというようなことで、安全操業にもずいぶん御心配をいただいてきておるわけでございますが、その節いわゆる赤城私案なるものを持って訪ソされたということを承っておるわけでございます。しかし、それを現実の問題として向こうで話し合いをしていただけるものと期待しておりましたが、なかなかそういう話し合いのような機会まで発展しなかったようで、私どもは残念に思っておるわけでございますが、ただ、その赤城私案というものの内容は、新聞で承知しているくらいしか私どもはわからないわけでございますが、この際ひとつ赤城さんが考えている赤城私案というものはどういう内容を持ったところの案なのか、ひとつ承りたいと思います。
○政府委員(北原秀雄君) 先般赤城議員の訪ソされました際のイシコフソ連漁業大臣との非公式の会議でございますが、その際に赤城議員から私案として提示されました。先ほどから話に出ております安全操業問題が日ソ間において難航を続けている、なかなか難局の打開がむつかしいという情勢にかんがみまして、本件に従来とも御苦労願っております赤城議員から、先方の申します何らかの代償を得て安全操業問題を解決したいというソ連の提案に一応乗られまして、ただし、寄港問題はむつかしい、これは困難だと、寄港問題以外の点で何らかの代償を日本側が出すことによって解決し得る方法はないものかと、この安全操業問題が国後、択捉、歯舞、色丹に全域にわたります場合には、領土問題とも表裏一体をなしまして、ますますソ連側においてもなかなか困難だというソ連側の主張もございますので、そこで、赤城議員から、従来貝殻島周辺でやっております民間協定——コンブ協定でございますが、これに何らか似た準拠した形である程度区域を拡大した形、そういう形において、入漁料を払うなり、あるいは漁獲の一部を先方に引き渡すなり、そういう形での解決の方法はないものかということを提案された、そういうふうに私どもは了解しております。
○川村清一君 ちょっと局長の答弁は私がお聞きしたいものに少し足りないのですが、もう少し突っ込んでお聞きしたいことは、赤城私案というのは、現在は貝殻島だけであって、貝殻島周辺の安全操業です、民間協定でやっているのは。赤城試案は、歯舞群島、色丹の周辺に発展させまして、そうしてその群島におけるいわゆる三海里のところまでは日本の漁船が行って安全操業ができるという、そういう内容を持った一つの案である。その代償は、いま局長の言われたそういう代償でどうかと、こういうことで、その操業問題のできる範囲をもう一度お聞きしたいと思います。
○政府委員(北原秀雄君) 赤城私案ということばに少し誤解を生んだ原因があったと思います。従来とも、日ソ漁業交渉では、赤城私案と俗に申してまいりましたのは、ただいま川村先生のおっしゃったとおり、歯舞、色丹群島の周辺大体三海里というところを中心にとりまして、しかし、三海里の海岸の線に沿ってやった場合には、これは三海里領海説を主張しております日本の主張が前面にあらわれるわけでございます。それではとうていソ連はのめない。他方、日ソ共同宣言によりまして、歯舞、色丹島は平和条約ができたときには日本に返すということになっておりますので、そういうこの両国間の話し合いのもとにおいて、海岸線に沿わずにまっすぐに直線で引けば、これは決して領海線を示したものでもない。安全操業というものを日ソ間においてこの微妙な問題を解決するための最もいいのは、直線で間のものをとってしまう。これは要するに安全操業問題を解決するための一つの便法なんだ。領土条項その他すべてのあれを離れてこれ以外にはないのじゃないかというのが赤城私案の趣旨でございます。 先般モスコーで赤城議員の提示されました案は、必ずしも従来の赤城私案ということではなしに、赤城私案というものを基礎にして従来交渉してまいりましたこの話し合いが、ソ連側の提案しました寄港問題によって一時的にとんざしておりますので、それを打開する趣旨において別の赤城私案を出されたということでございます。
○川村清一君 それでは、今月の末ですか、第一回日ソ協議会がございまして、三木外務大臣が訪ソされることになりますが、このときには当然日ソ間における最大の懸案事項である領土問題や、あるいは安全操業問題が話し合いの対象になると思い、また、期待をしているわけでありますが、その安全操業の問題といたしましては、一つのこちらから持って行く案といたしましては、いま欧亜局長が説明されましたそういう案を持って行くということになるわけでございますか。
○政府委員(北原秀雄君) 第一回の定期協議におきまして外務大臣の主たる話の相手方は、先方グロムイコ外務大臣になると考えております。他方、安全操業の問題は、従来ともソ連側におきましてはイシコフ漁業大臣が直接担当してきております。もっとも、昨年夏グロムイコ外務大臣の訪日の際には、その問題を取り上げました。現在、それを取り上げるか否か、もし取り上げるとすればどういう形で取り上げるべきであるかということをせっかく現在検討中でございます。水産庁とも協議中でございますので、本日この席では方針をまだ明らかにし得ません状態でありますので御了承願いたいと思います。
○川村清一君 農林大臣にお尋ねするわけでございますが、実は日ソ会議におきます非常に大きな懸案事項であります安全操業の問題でございますが、この問題はただいままでの私の質問で御了解願えたと思うのでありますが、現在は、貝殻島周辺において安全操業することが認められているわけであります。ただし、それに対しましては入漁料を日本の漁民が払っております。その入漁料の問題は別といたしまして、安全操業の協定が私はどうも不可解なのは、当然日本の政府が窓口になってやって、日本の政府とソ連政府との間に協定が結ばれなければならないはずなのに、これがいままで政府間協定でなくして、日本の大日本水産会——大水とソ連との間の協定によって安全操業の問題が話し合いされ、協定が結ばれているわけであります。その点、非常に私どもとしては了解に苦しむわけでありますが、なぜ一体政府が窓口になって交渉をやり、政府同士間によってあれをしないのか。これは平和条約が締結されないからそうなのか、いつまでも平和条約が締結されるまでこういう状態が続くのかどうか、その点をぜひ大臣からはっきりお聞きしたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 択捉、国後、歯舞、色丹島に関しまして、わが国の固有の領土であるという主張は、先ほど川村さんもお話のあったとおり、ことに歯舞、色丹島は、北海道付属の島嶼でありまして、問題のないところでございます。これがとにかく現状としては不法な占拠が行なわれておる。そこで、そこで漁獲をいたしております漁民の安全操業の問題は、われわれといたしましても一日も早く解決をいたしたいわけでありますが、いままでの状況を見ますというと、いろいろ非常に複雑な問題があると思います。漁業の問題の先に、やはり外交的な国と国との関係の領土問題がほんとうに解決しなければなかなかむずかしい問題が派生してくると思います。たとえば入漁料という問題がありますけれども、元来が歯舞、色丹はわが国固有の領土であると主張いたしておるのでありますから、それについて変わったことをいたしますということについては、なかなか国論もむずかしいでありましょうし、政府としても慎重な態度をとらざるを得ない立場であると存じます。したがって、いわゆる安全操業につきましては、実質的に民間の話し合いによってできるだけのことをやりたいということで、現実の問題としてこれが行なわれておるわけであります。したがって、政府がこの問題にいままでも真剣に考慮検討いたしておるのでありますが、こういう際に、民間の方々、たとえばさっきお話のありました赤城議員のような、かつていろいろな折衝の衝に当たられたような人が打診をされまして、わが国の外交的立場をりっぱに貫徹しながら解決の方法があるならば、これはまことにありがたいことであると存じております。 日ソ間の問題につきましては、いま私が申し上げますようなきわめて複雑な関係にありますので、ただいま私どもは慎重に検討をいたして、どのようにいたすべきであるかということを考えておる最中でありますが、さりとて、やはり安全操業のことについてはできるだけひとつやりたいということで、いままでのやり方をただいまも継続いたしておるのが現状の姿でございます。これを、このままでいいと考えておるわけではありません。なおひとつ政府部内において鋭意検討いたして対処いたしてまいりたいと思っております。
○川村清一君 この問題につきましては、非常に大事な問題ですし、一朝一夕に変わる問題ではございませんので、また今後も何度もお聞きする機会があると思いますので、きょうはこの辺でやめまして、次に水産庁のほうにお尋ねをいたしたいと思います。 どうしても領海の問題、専管水域の問題に問題が発展してくるわけでございますが、実は、私、衆議院の会議録もずっと一とおり目を通さしていただきました。それからけさほど来の本委員会の議論を聞きました。皆さんが口をそろえて領海の問題、専管水域の問題を議論されておるわけであります。ところが、水産庁長官の御答弁はどうも歯切れが悪いのでございますか、説得力がないのでございますか、何度お話しされてもその話がまた出てくるということは、やはり質問される方を説得しておらないと、かように考えるわけであります。そこで、私も真から納得ができませんので、詳しく触れることはもうたくさんの方がなさっておりますので避けますが、簡単に一言だけお聞きしておきたいことは、一体、領海三海里を変更することはなぜ日本にとっては都合が悪いのか、いただいた資料をずっと見ましても、世界で領海三海里を主張しておる国は現在もうずっと少なくなっているようでございます。十三カ国ですか、十九カ国ですか、その程度でございまして、あとの国は、全部、四海里、六海里、あるいは十二海里といったような、うんと広いのは二百海里くらい主張しておるといったような情勢の中で、なぜ日本は三海里に固執するのか、三海里でなければ都合が悪い点があるならば、こういう点が都合が悪いんだということをひとつはっきり言っていただきたいと思います。 それからわれわれが何としても納得できない点は、ここなんです。これは達田委員も申されましたし、先ほどは和田委員も申されておりますが、私もあえてそこのところを言わざるを得ないのでありますが、領海は三海里三海里と言いますけれども、これをメーターに直しますと、五千四百メーターです。陸岸から五千四百メーターが領海、あとは公海でございます。そうすると、公海はもうこれは自由でございますから、公海自由の原則に基づいて何でも漁業ができるということになります。ところが、それでは日本の漁業の秩序は守れません。日本の近海における魚族資源は守られません。したがって、漁業協同組合が管理する共同漁業権の行使規則というものをつくりまして、そうして協同組合の組合員の漁業というものはいろいろな形で規制されているわけであります。その組合の共同漁業権というのは、これは全国的にはわかりませんが、私の住んでいる北海道では、ある組合のごときは沖合い二十五海里、これが共同漁業権でございます。共同漁業権というのは、申すまでもなく、漁業協同組合員の共同の財産、漁場でございます。ところが、共同漁業権でありましても、三海里から以外は公海でありますから、漁業協同組合の方々は、その共同漁業権の行使であってさえ、行使規則に縛られていろいろ規制されて、自由な操業はできないことになりましょう。それから今度、たとえば指定漁業、その他の知事許可漁業、あるいは大臣許可漁業でありましても、たとえば沖合い底びきのごときは、底びきの禁止区域というものに規制されまして、公海だっても日本の船は自由に操業ができないことになる。また、その他の漁業であっても、隻数だとか、トン数だとか、または漁業海域だとか、そういうものにやはり規制されます。日本の漁船が沿岸漁業者あるいは中小漁業者が規制をされておるにもかかわらず、外国の漁船は全く自由であり、野方図に幾らでも漁業ができる。日本の沖合い底びきがひけないところに韓国の底びき船は自由に底びき操業ができる。ただ、今回の法律によって、その船は日本の港にはいれないことと、魚の陸揚げができないということで、反復操業できないということになるわけであります。しかしながら、もっと韓国の漁業が振興してまいりますならば、たとえば、船をもっと大型化するとか、あるいは沖母船式の漁業を経営するとか、あるいは、北洋の母船式漁業、サケ・マス漁業でやっておりますように、中積み船のようなものを使用いたしまして、沖合いで魚を積んで持って行くというような処置等を行なうようなことになりますれば、これは港へ寄らなくても、たとえば北洋における母船式操業のような形態をとるならば、これはできるわけであります。日本の近海において、公海において、日本の漁船がそういう規制をされて資源を守り、漁業秩序を守ると、こういうふうになっておるときに、外国の船が野方図に自由にやることができるということは、どうしてもこれは矛盾じゃないか。いくら説明されましても、やはり私どもは日本人でございますし、日本の沿岸の漁民や日本の中小漁業者のやっぱり味方——韓国の漁民と日本の漁民とどっちのことを心配するかといえば、韓国の漁民のことも心配しますけれども、より日本の漁民のことを心配するという立場に立つならば、その点が何としても了解できないわけであります。もう少しわかりやすく、何とかもう少し説得力をもって説明していただきたいと思うわけであります。
○政府委員(久宗高君) たびたび出ておる御質問でございまして、私の説明がへたなせいか、御説明すればするほど疑問が出てくるので、どうも弱っておるわけであります。いまの第一の問題も第二の問題も、もし私どものいま打ち出しておる線に狂いがございまして矛盾点があれば、私も非常に説明しにくいわけでございますが、これはほとんど同じことを考えて、手段が違うのではないかというふうに思うわけでございます。ただ、どうも御説明がへたでございますので、一応、生産部長から詳しく、誤解のないように、いまの大事な二点でございますので、ゆっくりお聞き取りいただきまして、さらに御疑問がございましたら補足させていただきたいと思います。
○説明員(亀長友義君) 領海三海里がなぜぐあい悪いかというお話でございますが、これは、領海ということになりますと、必ずしも漁業だけの問題でございません。関税、警察、衛生という要素を含むわけでございまして、あるいは私よりも外務省のほうでお答えを願ったほうがよいのではないかと思いますけれども、日本の立場といたしましては、やはり、現在のところ領海三海里が確立して一般の国際慣行である、日本はその国際慣行に従うんだというたてまえに立っておるわけであります。もちろん、十二海里——ソ連は領海十二海里でありますし、それからさらに領海二十海里とか三十海里とかいうような大きなことを言っている国もあります。ただ、問題は、国際的に最小限どの程度が一国の独占に属する海域であるかということを考えますと、日本としてはやはりその最小限の距離をとっておると、こういうことであります。と申しますのは、本質的に日本の国はそう大きな国ではありません。領海を広げるということは海岸線の広い国、したがって、領土の多い国が得をするということであります、裏から言えば。したがって、日本のような小さな国が領海を広くとるという主張をすれば、同時にそれは、日本よりもっと大きな国、あるいは海岸線がより広い国が日本よりもはるかに得をする。まあ得をするということばがあまり妥当でないかもしれませんけれども、現在の国際社会においては、国家間の立場、国益ということがかなり領海なり専管水域の主張というものには反映しておるわけでありまして、そういう立場から申しますと、はたして日本のような国がそれが得策であるかどうかという疑問が存在しておるわけであります。その疑問が存在しておるがゆえに、日本としては最小限の領海をとっておるということであろうと思います。なお、間違いがございましたら、外務省のほうからまた御説明を願いたいと思います。 問題は、私が答えるべき部分は、むしろあとの領海に関しての部分であろうかと思います。それで、確かに、日本の共同漁業権が、日本の領海と考えられておる範囲よりも張り出しており、さらに、底びきの禁止区域であるとかあるいは許可制というものが広く世界にわたって行なわれております。そこで、沿岸で行なわれております共同漁業権とか底びき禁止区域とか申しますが、最初の共同漁業権について申しますれば、これは主として日本人、日本の国民に対する意味しか持っておらないということは、事実そうであろうと思います。というのは、共同漁業権を設定しておる区域において日本国民の第三者がそれを侵害することから守るというのが共同漁業権の目的であります。したがいまして、この領海外にわたった場合、二十五海里とか、あるいは三十海里とかという地点にわたっておるものについては、率直に言って、国際上は、少なくとも現在の国際慣行においては、何らこれを国際的に保護する手段はないのであります。ということは、その制度の主たる目的は、日本人同士の争いを防止するということにあったのであります。 このことは、底びき禁止区域についても同様でありますが、やや事態は変わっておりまして、底びき禁止区域につきましては、これは資源の保護という理由が非常に強いものであろうと思います。こういうものについては、もちろん日本だけで設定しただけでは効果がないので、資源の保護という十分な国際的な理由があるわけでありますから、外国に対しても十分こういうものの協力は、求められるだろうと思っております。現に、韓国との間においても、お互いに相互の底びき禁止区域というものは尊重するのだという約束がございます。昨年、韓国の漁船が一、二のものが北海道の底びき禁止区域において操業したという事例はございますけれども、これは必ずしも韓国政府の真意ではなかったとわれわれ好意的に了解をいたしております。したがいまして、底びき禁止区域のような性格のものについては、国際的な話し合いの基礎として十分われわれとしては理由が成り立つと思うのであります。 それからいろいろ世界の海に出ていく場合に、漁業の許可制を行なっております。このこともやや共同漁業権と同じ色彩でありまして、日本人同士の過当競争を防止するという点が多分にあったように思います。したがいまして、ある分野において許可制をしいておるものについて、外国の船と一緒に遠くでやっておるようなものについて、はたして許可制をやるべきかどうかということについて、現在やっておりますけれども、本質的に私どもは御指摘のような疑問があると思っております。しかし、この点については、むしろこれは漁業者のほうでそういう制度を希望されておるのでありまして、これは、すなわち、外国船がどうであれ、日本人同士の競合、さらに日本の市場における価格面の競争というような面から、むしろこれは一つの企業安定の手段として日本の漁業者としてはこの制度の存続を希望しておられる向きが強いのであります。そういう観点を全く離れれば、たとえば具体的にカツオ・マグロのようなものについて、単にそういう理論からだけ言えば、はたしてそういう必要性があるかどうかという疑問は存在をしておるわけであります。しかし、一方、企業安定とか価格安定という面からは、やはり必要な面が存在しておるということも見のがせないのであります。 これらの点を総括的に申しまして、領海が三海里であろうと、十二海里であろうと、完全に従来の日本の政府あるいは漁業者が日本人だけの間の行政あるいは日本人の相互の競争防止という観点で行なってきたものを、そのすべてについて外国に主張することには非常な困難があるということであります。もちろん、御質問のように、日本の漁業者がそういうことで資源を守り、資源を大きくしてきたではないかという議論は確かにあると思います。しかし、そのことは、外国においても同様でありまして、たとえば日米加条約において、アメリカは、そのサケはアメリカの川で育って産卵をしたものである、だから日本人はこれを全然とるべきでないという主張であります。日米加条約も、基本的にはそういう主張に立っておるわけであります。ソ連のサケについても同様であります。ソ連の川で産卵をしてソ連が保護をしたからこそサケがあるんだ、これを日本人はとるべきでないというのが彼らの基本的な考えであります。しかし、それをわれわれが全面的に肯定した場合には、日本のとるべきサケは存在しないのであります。もっとも、北海道の川に若干の生産量はございますけれども、ほとんど大部分というのは他国のそういうものであります。まあそういうふうな相互の関係はいろいろあります。したがって、御指摘のような、日本で大事に確保してきたんだ、だから遠くでとっておるものでも絶対外国人にはとらせないんだという漁民感情的な存在は、いずれの国においてもあるわけであります。そのことは、同時に、ある程度相互に尊重し合い、相互にその問題を政府において良識をもって善処をしていくというのがわれわれ政府としての態度であろうと思います。したがって、韓国なりあるいはソ連が日本の沿岸の共同利用権の張り出しの大きいところを荒らすとか、あるいは底びき禁止区域を荒らすとかというふうな問題については、やはり相互の良識という点をもって、また、相互に利用というものが入り合って行なわれており、そこには両方に同じような理屈が存在をしておりまして、やはりそれは適当な範囲において一つの協力と申しますか、裏から申しますと、合理的な妥協というふうな線でこの問題を国際的な話し合いの基礎で処理をしていく。お互いに産業なり行政というものを破壊しないというふうなたてまえでやっていくのが現在の国際間の問題であり、あるいは、原則的には自由である海の資源をどう共同利用するかという立場に立ちますと、必ずしも一方だけの利益だけでは問題は解決されない、かように考えて対処をしていきたいと思っております。
○説明員(高島益郎君) 領海につきまして、若干補足さしていただきます。 先ほど先生から御指摘のとおり、現在、領海三海里をとっている国が十九、それからそのほか四海里、五海里、六海里、十二海里等々の国が若干ございます。それは事実でございますけれども、誤解を防ぐために申し上げますと、領海につきまして、このとおり三海里、四海里、五海里、六海里、あるいは十二海里と、いろいろチョイス——選択があって、各国が自由に選択ができるというものでは決してありません。領海三海里の国際法の原則は、実は、十七世紀以来、数世紀にわたりまして国際法上の大きな一つの原則として確立したものでございます。この裏側の理屈といたしまして、先ほど先生から御指摘のとおり、公海使用の自由の原則というものがございまして、なるべく公海を広く各国に公開をするという観念におきまして、過去数世紀にわたりまして三海里の原則が確立しておるわけでございます。したがって、これを日本といたしまして、簡単に、各国が、そういう国際法上の一つの数の原則に従っておらずに、まちまちな幅員をとっている国があるからという理由だけでそれに従うという立場をとるわけにはまいらないのが現状であります。 しかし、日本といたしまして、このような各国の情勢に決してむとんちゃくでいるというわけではございませんで、現に一九六〇年のジュネーブの領海に関する海洋法会議がございました際に、日本といたしましては、領海六海里・専管水域六海里という妥協案が出されまして、もし各国がこれに全部同意するならばこれもやむを得ないということで賛成した経緯がございます。したがって、世界の多くの国が三海里以外の原則につきまして明示的あるいは黙示的に賛成するというふうな情勢になりました場合には、日本もこれに喜んで従っていくという態度をとっているわけでございます。現行のもとでは、三海里が国際法上の唯一の確立された原則であるというふうに了解しております。
○川村清一君 まあ領海が、数世紀前から現在に至る歴史の流れの中において、三海里というのが一つの国際法の原則であるということは、私もこれは理解できるわけであります。しかしながら、現実の問題として、現在領海三海里を主張している国が世界の沿岸を持つ国のうちでわずか十九カ国になっておるというこの現実の中で、三海里は国際法の一つの原則であってあるいは通説であるということを言っておることは、それ自体、私は非常に問題があると思うのであります。それで、ただいま条約局の参事官からもお話がございましたが、一九六〇年の国際海洋法会議のときに、領海六海里、その外側に排他的管轄権を行使するいわゆる専管水域六海里、この十二海里ということをアメリカ、カナダと相互提案で出された。日本はそれに賛成したけれども、これはしぶしぶの賛成であったと思うわけであります。しかし、最終的には規定の賛成票を得られないで、何ら結論を得ないままにその会議は終わっておるわけです。 そこで、専管水域というものがからんでの問題でありますが、私の申し上げたいことは、日本は何といいましても世界一の水産国でございます。ここ二、三年来、生産量においてはペルーに負けましたけれども、しかしながら、現在においても世界第一の水産国である、こういう自信を持っておる、こう言っても決してこれは過言ではないと思うわけであります。この世界第一の水産国である日本は、もう少し世界各国の中にあって問題になっているこういう問題解決のために指導性を発揮して積極的に動くべきではないかと、私はかように考えるわけであります。一九五八年の会議の記録を書いたもの、もちろん簡単に書いたものでございますが、それを読みましても、一九六〇年の会議の模様を書いたものを読みましても、日本が世界一の水産国であるというそういう立場に立って積極的にその会議を指導してきたいという、そういう足跡は何一つ私は見出せないのでございます。したがって、領海の問題、専管水域の問題、こういうような問題で世界じゅうにいろいろな紛争が起きておるこの時点において、もっと日本が指導性を発揮して、そうしてこの問題解決のために当たるべきではないかと、かように考えておるわけでございます。第三回国際海洋法会議でも、日本が積極的に立ってこの招集をする、こういう気がまえでやる御用意がないかどうか。大体において、この四つの漁業条約、これをまだ一つも批准しておりません。総理大臣は、第一と第二の二つはこれはもう批准する用意がある、こういうようなことを私の質問に対して昨年はっきり言っておったのであります。今回の国会の本会議におきましても、同僚の龍田委員がそういう質問をしたのであります。しかしながら、いま会期を終わらんとしている今日、これの批准を求める御提案は出ておらないわけであります。 私はこういうふうなことを考えておるのでありますが、外務当局としてはどうでございますか、お考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
○説明員(高島益郎君) ただいま先生から御指摘のあったとおり、領海の幅員に関しましては、実は、ジュネーブにおける海洋法会議の結果、何ら結論に至りませんで、条約の中に何らこの幅員を規定してございません。したがって、われわれといたしましては、将来、第三次の海洋法会議がもし開かれるならば、そのような会議を促進して、その中でこの幅員を国際的に決定する、そうして現在のような不規則な領海に関するいろいろな制度をやめてしまう、そういうことが一番の理想かと思います。 なお、いま先生のおっしゃいました四条約につきましては、本会期中に外務大臣からお話があったと思いますけれども、領海に関する条約、それから公海に関する条約、この二条約につきましては、過去一年来われわれは事務的にいろいろ準備してまいっておりますけれども、国内的に措置をすべき事項が多々ございまして、その手続上若干おくれましたけれども、この次の国会には必ず御承認いただくための提出をいたしたいというつもりで準備いたしております。
○川村清一君 もし海洋法会議が開かれますならば、ではなくて、私の申し上げますのは、日本が開くように積極的に指導性を発揮して行動していただきたいということを申し上げておるわけでございますから、ぜひ参議院の委員会においてこういう発言があったということを大臣のお耳に御報告いただきまして、外務省は積極的に動いてくださいますことを私は御要望申し上げたいと思うわけでございます。 時間がございませんので、私の質問はこれで終わりますが、せっかく外務省の方がおいでになっておりますので、もう一点だけひとつ質問させていただきたい。その前提が一つあるわけでございますが、けさほどから実は専管水域の問題でずいぶん議論したわけです。水産当局は、こういうことをわれわれにるる申しております。それは、西側におきましては、いわゆる日本列島の西側でございますが、西の海域におきましては、日本と韓国との間に日韓協定ができて、専管水域は現に設定をしておる。その他の海域においても、もし必要が生ずるならばいつでも設定ができるんだ。しかしながら、現在この西の海域以外の海域においてはまだその必要性を認めないと。したがって、韓国との間に専管水域を新たに設ける必要はないと、これが一つの議論であります。 それからソ連につきましては、専管水域十二海里を設けましても、ソ連の漁業の実態というものは十二海里の外のいわゆる公海において漁業をやっておる漁業が多いのであって、かりに十二海里をここで設定したところでそれは関係がない。したがって、専管水域十二海里を設ける必要はないんだ。ただ、実際の漁業としましては、まあ時間がありませんから私のほうでしゃべってしまうわけでございますが、サンマなんかはもう現在四万五千トンから五万トンくらいソ連の船が漁獲しているわけです。それが今度サバのまき網もやっております。イカだって、これはまあ今後もっと漁獲がふえてまいると思うわけであります。こうして大衆魚のソ連の漁獲がうんとふえてくるようなことになりますれば、ソ連との間に何らかの話し合いをし、協定をしていかなければならない。したがって、現在、専管水域を設定する、そういう必要性を認めないと、こういうのが第二の議論であります。 それから専管水域を設けても、要すれば、過去から現在に至る漁業実績、これをどうするかという国際間の取りきめがない、現在においては。したがって、この問題の解決のない限り、みだりに専管水域の設定はできない。これは、衆議院の会議録を読んだら、水産庁の長官は、こういうことばで表現しておりますね。現在の世界の国は、何といいますか、百鬼夜行であると、こういうことばで表現しております。もう少し深く掘り下げていきたいのですが、時間がございませんので、そこで、私は外務省の局長にぜひお尋ねしたいことは、水産庁はこう言っておるんです。ずいぶん専管水域を設定せい設定せいということを衆議院におきましても当委員会でも皆さんが主張していらっしゃるわけです。ところが、それは必要がないといって、主張は曲げないわけであります。ところが、先日、ある新聞を見ましたら、外務省の牛場次官ですか、次官が、太平洋において専管水域十二海里を設定をするという方針で現在検討中である、こういうことを言われておる。それが新聞に出ておるわけです。水産庁長官の言われておることと全く食い違っておるわけであります。そこで、外務省の御見解はこの問題についてどういう御見解を持たれておるのか、この際、せっかくおいでになっておられるのですから、はっきりひとつお聞きしておきたい。
○説明員(高島益郎君) 初めに漁業水域の問題についてでありますけれども、漁業水域につきまして、一般的に私どもの考えは、沿岸国が一方的にたとえば六海里とか十二海里とかそういう水域を設定することは、国際法上認められない、しかし、関係国と合意の上、国際協定によって設定することは差しつかえないという態度をとっております。したがいまして、日本といたしましては、漁業上の必要性その他を勘案いたしまして、これは私どもの関係じゃございませんが、水産庁のほうでいろいろ御検討の結果、漁業上の必要があってそういう水域を設定したほうがいいということであれば、一方的に設定をするのではなしに、関係国と合意の上設定をするということは、外務省といたしましては何ら異存のないところであります。これが第一点であります。 第二点の、牛場次官がある新聞にお話しになったという問題につきましては、私ども、漁業問題につきまして各国といろいろな問題が生じておりまして、これの解決に非常に苦心しておるわけでありますが、特に今後、アジア地域及び太平洋水域に関係国がたくさんございまして、しかもこの関係国の領海の主張、あるいは漁業水域の主張、その他特殊の群島理論等の主張がございまして、この結果日本の漁業に受ける被害は非常に大きうございますので、この問題を、二国間の関係だけでなくて、多数国間の場でもって解決する方法はないかという観点から、われわれ事務レベルでもってその方法を具体的に検討しているというのが実情でございまして、何ら政府としてこの問題を政策決定したということはございません。牛場次官のおっしゃったのは、そういうことも頭に入れて、漁業問題の解決のために、そういう多数国間の会議の場でもって解決することについて、何らかの方法を事務レベルで検討しているというのが実情でございます。その検討につきましては、もちろん水産庁とも十分協議の上、検討しているわけでございます。
○川村清一君 なおいろいろ掘り下げてお尋ねしたいのでございますが、本日はもう時間がだいぶおそくなりましたので、本日の質問は私はこれで打ち切りたいと思います。
○政府委員(久宗高君) 御論議の過程で若干誤解があってはいけないと思いますので一言申し上げておきたいと思いますが、私がいまこの段階で十二海里の専管水域を対韓国についてもしく必要がないと申し上げましたのは、あくまでこの段階の問題でございまして、必要ならばまた別途な状況下におきましては、繰り返し申しますように、現在の条約下におきましても当然に引けますので、必要があれば引くということでございます。ただいまこの時期において引くのは妥当でないのではないかということでございますので、この点、誤解のないようにしていただきたい。
○委員長(野知浩之君) 両案についての質疑は本日はこの程度にとどめます。 これにて散会いたします。 午後五時三十九分散会