農林水産委員会 第13号
- 発言数
- 143 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/06/09
会議録
○委員長(野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。 本日、岡村文四郎君及び達田龍彦君が委員を辞任され、その補欠として吉江勝保君及び鈴木強君が選任されました。 —————————————
○委員長(野知浩之君) 農林水産政策に関する調査として、寒波及び干ばつによるかんきつ類の被害に関する件を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田鶴一君 現在、わが国の農政にはきわめてむずかしい問題がたくさんあるわけでございますが、きょうは、きわめて時間も制限をされておりますし、そのような問題については後日機会を得て大臣以下政府委員にお伺いすることにいたしまして、ただいま委員長から申されました点について、二、三お伺いいたしたいと思います。 国が行なっておりまする政策のいろいろな中で、農業構造改善事業というのがありますが、この政策の志向するところはいろいろございますけれども、簡単に一つをとらまえて申し上げますならば、金になる農業を進めていくということもその一つのねらいかと思うのであります。そうした意味におきまして、最近は、和歌山、静岡、愛媛といういわゆるミカンに対する先進県に連なって、九州あるいはその他におきましてミカンの植栽がずいぶん急激に行なわれておるというふうに思うのでございますけれども、まず、最近のミカンの植栽の動向なりまたその需給の見通しですね、そういったものについてひとつ簡単に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(八塚陽介君) ただいまお話がありましたように、農業基本法制定の趣旨の一つといたしまして、選択的拡大という線があるわけでございますが、ミカンは、私どもの見るところによりましても、また、政府のみならず、大方の御意見の一致するところとして、非常に需要の盛んな作物であったわけでございます。そういうことを反映いたしまして、特に最近、ミカンを植栽をしようという勢いが非常にふえてまいったのでございます。たとえば、一年間の植栽の面積で申しますと、三十六年には約六千百五十ヘクタールであったわけでございますが、三十九年以降四十一年、ごく最近の三ヵ年は、年々一万町歩——一万ヘクタールをこえる植栽の動向になっております。したがいまして、もちろん未成木・成木を入れての計算でございますが、三十六年には七万一千ヘクタール余であったわけでございますが、現在では十二万六千ヘクタールということになっております。 一方、需要のほうの見通しでございますが、大体、現在までは、需要は順調にと申しますか、需要と供給のあらわれである価格等から見ましても、ほぼ順調にまいっておるのでありますが、御承知のように、永年作物でございますから、ただいまのような勢いで植えられておりますものがそれぞれ結果をいたしまして生産量として顕在化いたします暁にどうなるであろうかということが問題でございます。産地におきましても、こういう勢いでふえていけばどうであろうかという心配がされております。昨年改正をいただきました果樹振興法によりまして、私どもも今年の三月三十一日に公表いたしましたのでありますが、そのミカンの需要見通しということが最も大きな問題であったのでございます。 結論的に申しますと、ミカンは現在くだものとして非常に需要をされておる。その勢いが将来もやはり続くであろう。国民所得の伸びであるとか、人口の増加であるとか、あるいは嗜好等を勘案いたしまして計算をいたしますと、十年先には現在の三倍程度は需要はあるであろう。ただ、いま申し上げました生産の動向をそのまま今後とも伸ばしますと、と申しますのは、一万町歩の勢いで伸ばしますと、これは私どもの見通しではオーバープロダクションになるのではないかというふうに考えまして、大体植栽の勢いをスローダウンさせようというふうに考え、その線といたしましては、今後、一万町歩の勢いで伸びておりますのを急にスローダウンさせることはなかなか困難でございますので、今後五年ぐらいは従来の一万町歩の勢いを年間六千ヘクタールぐらいに落とす、その後は三千ヘクタールぐらいに落としていく、こういうふうにしますならば、ほぼ十年先ごろにおいて、消費者の方の需要にも御迷惑をかけない、生産者のほうのオーバープロダクションという弊害もなくなるであろう、あまりそういう矛盾が出てこないであろうというふうに考えておるのであります。
○和田鶴一君 ただいまの需給の見通しについての政府の調整の方針については大体わかったのでありますが、私、和歌山県でございますけれども、果樹連あたりでは、どうしても加工をあわせて考えなければ、このままの姿では三年先が非常に暗いということを常に幹部連中が言って心配をしておるわけであります。しかも、農業の改善事業等を進めてまいります過程において、漁業でも同じように言えることですが、従来の考え方よりも企業としての農業といったような考え方から、コストをできるだけ安く下げる、そういう考え方からして、平地にミカンをどんどん植えていく。自然発生的にできた過去のミカン畑はきわめて急傾斜地帯にある。そこで、私たちが国会に出る以前のことでございましたけれども、議員の間で一時議員立法が非常に流行して、何々地帯特別振興法、たとえば砂丘地帯農業振興法とか積雪寒冷地帯振興法とかということになると、今度はひとつ急傾斜地帯をやろうというふうなことで、急傾斜地帯農業振興法というものができて、あるいはロープウエイを引くのに対して特別の補助を出したり、あるいは道路をつけるのに補助を出したりといったようなそういう配慮も過去においてされたようでございますけれども、最近では、いわゆるコストを下げるというようなことのためにだんだん植栽が傾斜地帯から下のほうへおりていくという傾向と、また、もう一つは、米やその他のものをつくるよりもミカンをつくるほうが金になるというような考え方から、平地にどんどんミカンを植えていくというようなことが、後進県と思われる各府県はもちろんのこと、従来のミカン県ですらそういう傾向が強くあるというようなことで、果樹連あたりの幹部連中が、国のそういうような施策があるにもかかわらず、なおかつ将来を心配しておる。どうしてもこれは加工を考えていかなければ、このままの姿ではだめだというようなことでいろいろと意見を聞くわけでありますが、そういう点についてもう一度……。
○政府委員(八塚陽介君) 先ほど申し上げました需要の見通しの中には、一応加工の見通しというものも含んでおるわけでございます。加工をいたしまして、それが最終の販路は国内と輸出と二通りに分かれるわけでございますが、特に国外に輸出をするというものの見通しは、やはり外国との関係がございまして、なかなかつかみにくいのであります。専門家と申しますか経験者の意見等もしんしゃくして、一応見通しを立てております。 なお、端的に加工されたミカンというのは、申しますならばかん詰めでございますが、これは、販路といたしましては、英国あるいは西独あるいはアメリカというようなところがおもな輸出先でございます。現在、かなり関係者の努力もございまして、五百万箱程度の輸出になっております。そのためには、政府といたしましても、ミカンの加工業者が原料のミカンを買うための購入原料代に対する保証のための補助であるとか、種々のことをしてその関係の奨励に当たっておるわけでございます。なお一そうそういう意味においては今後努力をいたしたいと思います。 たまたま、実は、最近、アメリカにおきまして——従来は生ミカンの輸出が禁止をされておったのでございます。これは、日本にあります生ミカンについております病気を向こうがこわがって禁止をしておった。それにつきましては、全面的な解除ではございませんが、アラスカを含めまして北部四州には日本のミカンを入れてよい、しかしいろいろ具体的にはセーフガードと申しますか安全な措置をしたところで認めてもよいというふうになりまして、きのうからアメリカの植物防疫官が参って種々打ち合わせをいたしておるというようなことで、私どものほうも需要の拡大ということについては努力をいたしております。 なお、急傾斜の問題でございますが、これはあまり最近の調査がございませんけれども、御指摘のように、平坦地に相当程度新植をされております。三十八年の調査によりますと、十五度以上というような急傾斜がやはり四六%を占めている。それから五度以上十五度以下というのが四一%、五度未満が一三%、まあこれは一応平坦地と考えていいと思います。これは残念ながら三十八年の調査でございます。いま御指摘になったような理由でさらにその後平坦地の植栽がふえておるかと思います。 ただ、ミカンが急傾斜に従来植えられておった理由は、もちろんいろいろな経済的な理由もあったかと思います。できれば米がとりたいけれども米がとれないというような、そういう経済的な事情もあったと思いますが、やはり自然的な条件といたしまして、比較的寒さに弱いミカンでございますから、寒い空気が滞留しない、そういうような観点でやはり傾斜地が選ばれてまいる。一方、私どもといたしましては、果樹振興法に基づきます果樹基本方針で考えておりますミカン園の合理的な姿というのは、そう傾斜地をこわがらなければ機械等の合理化ができないというふうには考えていないのでございます。八度、十度程度の傾斜地では、相当大きなと申しますか、端的に言えば十二、三ヘクタールの円を動き回る大きな機械も入るわけでございますから、私どもといたしましては、いま御指摘にありましたような点を考慮いたしまして、なるべくそういうところを選んで、そうして合理化をはかっていくようにという指導をいたしたいというふうに存じております。
○和田鶴一君 私が四年ほど前に大阪の中央の青果市場をちょっと調べたことがあるのですが、その時分に、すでに、一般の家庭に常食用として売られていくミカンは、いわゆる後進県と称する北九州地方で平地に栽培されたミカンが非常にコストが安いものだから出回っている。すぐお隣のミカン県である和歌山県のミカンは、一応名が通っているので、年末年始の贈答用にはいくのだけれども、一般の家庭向きには、そういういわゆる後進県と称する平地栽培のミカンがコストがうんと安いものだから、それが市場の大きなシェアを占ておるというような姿がありました。過去の先進県では、大部分が傾斜地という姿でございますので、ただいま八度ないし十度ということでは問題にはならぬというあれでございますが、急傾斜地帯にも半分以上のあれがあるわけですから、そういうものに対する今後の国のいろんな施策とか、基本法によって示される合理化対策とか、そういうものについて十分考慮を払って御指導をお願いしたい、こういうふうに思います。 それから果樹農業振興特別措置法で、いろいろと果樹と真剣に取り組む姿が政府から打ち出されているわけでありますけれども、まあ悪口を言うわけでありませんが、過去のこうした果樹に対する政府の臨み方といいますか対処のしかたは、一応比較的恵まれている農業だから、まあ自前でまかなっておけというような形がそこにあったように私は思うわけです。ところが、御承知のように、去年は非常に方々でたくさんできたので、ことしはもうこれをやめて別のものをやろうというように、たとえば野菜のように年々自由に選択できてやりかえられる農業じゃなくて、一たん植えたら、十年も十五年もそれを相手にしなければならぬという、非常なむずかしさがこういう果樹農業にはあるわけです。だから、そういう点を考えていくと、いわゆる国が、法律があろうがなかろうが、長期の展望に立って、そうした困難に直面する前に情勢をすばやくキャッチして指導よろしきを得なければ、非常な打撃を与える。しかも、打撃を与えても、翌年もうこれを抜いちゃってやりかえようというようなそうした簡単なことはできない農業だけにむずかしさがある。そういう意味から、私は、果樹農業に対する政府の見通しなり指導なりというものが、非常にむずかしいんですけれども、きわめて大切な問題ではなかろうかと思います。そういうことについて、局長さんの今後に対する果樹農業の合理化対策といいますか、そういう基本的な考え方をひとつ……。
○政府委員(八塚陽介君) その前に、私、先ほど説明が不十分であったかと存じますが、新しく植えられるところの、いわば後進県であり、地域的には九州等でございますが、こういうところも、やはり大部分は急傾斜地でございます。まあそういうことでございますが、そういうところの府県のミカンというものと、いわゆる名の通った先進県のミカンというものは、やはりいまのところいろいろな点で格差がある。こういう点は、今後時間がたてば、だんだん平準化していく問題であろうかと思います。問題は、先進県ですでに古い構造でやっておるところ、こういうところをどう改善していくかという問題があろうかと思います。ただいまお話しになりましたとおり、果樹は永年作物でございまして、果樹の中にも二十年ぐらいで更新しなければならないという樹種もございますが、特にミカン等は相当な投資をして長い期間植栽されるというものでございますから、最も長期的な見通しに立って指導しなければならない。そういう意味におきまして、先ほども申し上げましたように、それぞれの果樹の品種ごとの先の見通し等を過去において立てたこともございますが、昨年の果樹振興法改正を契機にして、需要の見通し、供給の調整ということに踏み切ったわけでございます。 それに対応いたしまして、具体的に個々の果樹園をどう合理化していくかという問題があるわけでございますが、これも、御承知のように、ミカンは、確かに一般から見ると値段がいいというふうにいわれておりますが、事実、昨年の産額は、前年に比べまして一二六%程度の生産量の増加があったのでございますが、値段は実はあまり落ちなかった。そういう意味では、やはりいまの段階ではなかなか強い作物ではございます。しかし、それにいたしましても、生産費は年々かかっている。特に労賃というのは、これは年々上昇をいたすと覚悟しなければなりません。そういう点からいたしますと、私どもとしましては、やはりミカン園の合理化ということは、非常に必要な、あるいは取り急いで対策を講ずべきであるというふうに考えておるのでございます。従来も、構造改善事業であるとか、開拓。パイロット事業であるとか、そういう他の仕事の中でかなりな程度に果樹についての合理化の対策は講じてまいったわけでございます。和歌山県等においても、有名なそういう構造改善地区等もございます。 今後、いまのようなことをさらに一そう推し進めるために、濃密生産団地というような考え方を中心にして合理化のための諸施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○和田鶴一君 これはまあ余談みたいな話ですけれども、だんだん待遇の改善も進んでまいりましたし、また、行く行くは一週間五日制というようなこともあるいは不可能ではないかもしれない。と同時に、道路、鉄道の整備が進んでくると、時間的に短縮されて、レジャーを楽しむ旅行者がふえる。そこで、どこの県でも観光ということに非常に力を入れて、しかも、工場誘致その他そういう適当な産業が立地条件によって誘致されないような町村では、観光々々といって一生懸命に観光開発に力を入れておる。そのようなときに、汽車の中であれ、あるいは旅館であれ、きわめて衛生的に食べられるのはミカンですね。ナイフで皮をはぐ必要がない。手でもってやれる。そういう意味でミカンの需要は非常に伸びると思います。ところが、おもしろい話ですが、私は和歌山だけれども、紀伊半島を一周するお客さんに紀州の味ということで紀州ミカンが味わってもらえればいいんですが、鉄道で売っているミカンはよそのミカンなんですね。商売上、紀州のミカンが高いから、鉄道弘済会あたりはよそから仕入れてきて売る。そういうことがわかりませんから、旅行者は、紀州ミカンというのはまずいミカンだなと、そういうような笑い話があるんですけれども、これは別に国や県で統制をとるわけにいかないけれども、何かそういうところに地区的にうまい合理的な方法がないものかなあと私はいつも思うんです。ついでのときに、そういうようなことも将来の合理化対策の検討の中に入れておいてもらって、紀州を歩けば、紀州ミカンの味は紀州で味わえるんだという、そういうことができるとうまいなあと思うんですが、これは余談なようなことですが、一つつけ加えておきます。 時間がありませんから、ちょっと災害のことについて二、三伺います。 本年の一月から二月に寒波あるいは豪雪によって相当な被害が出まして、関係府県の統計によると、大体八十六億くらいな被害が出たというようなことで、天災融資法の適用をすみやかに発動せられたいとか、あるいは、被災農家に対して制度融資によりすでに貸し付けられた貸付金に対する償還の期限を延長してほしいというような問題を含んだ条件緩和というようなこととか、自作農維持資金の貸し付け限度を引き上げてほしいとか、あるいはまた、枯死した木の改植用の苗木、及び弱った木の勢いを回復するために樹体保護のための肥料、農薬等の共同購入に対する助成をしてほしいとか、あるいは、国において干害防止の技術的なあれを早期に実現してほしいとか、被災農家に対する所得税の減免といったような、そういう幾つかの陳情がすでにあったと思います。 それに対して、天災融資法の発動はすでになされておるのでございますけれども、その他の問題については、まだ具体的に政府のほうからこうしたというようなことは聞かないのでございますけれども、被災農家の方たちはそれにかなりな期待を寄せてまいっているようですが、これに対して政府としてはどういう考え方を持っているか、伺います。
○政府委員(八塚陽介君) ただいまお話がありましたように、本年の一月から二月に非常な寒波が参りまして、あるいは豪雪等がありまして、果樹についての被害から申し上げますと、たとえば、三〇%以上の被害率があったところは約四千ヘクタール、あるいは、被害金額を果樹について申し上げますと、二十六億というようなことに相なっておるのでございます。 これにつきましては、すでに、いまお話がありましたとおり、天災融資法の発動がこの五月にございまして、各府県からの要望額八億何がしに対して八億ということでただいま各県に配分をされておる、こういうふうに存じておるのであります。 なお、それに関連をいたしまして、同じように自作農維持資金というものも二億出ておるのでございます。この自作農維持資金のほうは、この六月の七日でございますので、これらはまだ各府県に配分はされていないというふうに存ずるのであります。 なお、果樹の特に寒波の対策等につきましては、従来も、国のほうで、むしろ平素からの仕事といたしまして、あるいは重油燃焼器の補助をしたとか、あるいは、防風橋と申しますか、そういうものの設置を奨励するとか、種々やってまいったのであります。先ほども当初にお話のありましたように、平坦地におきましては、なかなか寒波の被害が防ぎにくいのであります。特に、生産者のほうからは、樹体が損傷をして改植をいたしたい。それにつきましては、すでに天災融資法そのものが改植の費用でございます。なお、米麦等にも出ておるのだから、こちらのかんきつについても出してもらいたいというような要望がございます。私ども、過去の例といたしましては、そういう改植のためには共同育苗であるとかというようなこともやった例がございますが、米麦その他と同じように今後考えていけるか、あるいは、共同育苗というような方式で考えていけるかというようなことは、なおもう少し検討させていただきたいというふうに存じておるのであります。
○和田鶴一君 米麦と比較して議論するというようなことは、これはいささかあれだと思いますが、ようやく果樹共済も試験的な時期にきておるというような段階でございまして、先ほど申し上げたように、何でもおまえのところでまかなっておけといったような長い間の政府の政策であったと思いますが、そういう過去の実績等から考えて、苗木の購入等に対する補助なんかは何とかしてもらえないだろうかという農民の強い願いがあるものですから、いま局長さんのお話を聞くと、いろいろむずかしい問題があることはよくわかりますが、将来、いま申し上げたようなことも考慮の中に入れていただいて、適当なひとつ措置をお願いいたします。 それからもうそろそろ雨が降り始めてきましたので、干ばつのことは帳消しにしてもよさそうなものですが、またいつあるかわからぬから、こういう機会にこの間の干ばつを反省して、それに対する何らかの対策が基本的に立てられたかどうか。私の県でも、もう二週間降らなければ、いまのミカンが全部かたくなってしまってどうにもならぬという、そういう状態でした。きょうあたり降り始めておるようだから、どうにか持ち直すだろうと思いますが、干ばつ対策について基本的な考え方があったら、この機会にひとつ……。
○政府委員(八塚陽介君) 果樹に対して、特にミカンに対して、水がないという場合に、困ることは二つあろうかと思います。一つは、消毒等をする水がない。それからもう一つは、木の根から吸う水がないという二つの問題があり得るわけであります。ただ、現在の段階では、果樹につきましては、各県にいろいろ照会をとっておりますが、必ずしも干ばつという形にあらわれていないようでございます。現在結果中のモモは、多少実が小さくなるかもわからない。このまま干ばつが続いても、その他はいまのところこの天気では必ずしも悪くはないようでございます。特に果樹は深根性のものでございますから、多少は干ばつぎみのほうが、根が深く入って、むしろ味もよくなるし、木もしっかりするというものでございますが、これが極端になりますと、当然木に悪影響を及ぼします。ただいまお話がありましたように、いつどういうひどい長く続く干ばつがあるか、これはわからない。そういう意味におきましては、私どものほうも、果樹園だけということではなくて、やはり畑作一般のいわゆる土地改良と申しますか、そういう手当てが漸次進められております。できるだけそういう制度を利用して対策を講じてまいりたい、こういうふうに思っております。
○和田鶴一君 与えられた時間が四分経過しておりますから、その他の問題についてはまたの機会に譲りまして、これで終わります。
○吉江勝保君 ひとつ簡単に関連して。果樹農業の振興について、いま和歌山県から質問が出ておりましたが、その他につきまして果樹の一番大事な土壌といいますか土質の改善についてお尋ねをしてみたいのですが、私の聞いておるところでは、あまり重い土質の地帯は土壌の改善を進めておられるように聞いておるのですが、実際問題として、砂を農家が非常に希望しておりましても、その砂を手に入れるのに、河川であれば建設省なり国の管轄になりまして、農家がそう簡単にほかの土を運ぶようにはいかないので、これを何とかして入手しやすいようにしてもらいたいという要望が強いのですが、そういう点について、何らか農林省のほうで建設省と話し合いでもされて、果樹農家の土質改善のために国のほうでめんどうを見てやっていただいておるのか、そういう点について少しお尋ねしてみたいと思います。
○政府委員(八塚陽介君) はなはだ不勉強でございまして、そういう要望が一部の地帯の農家にあるということについて残念ながら聞いておりませんでしたが、具体的にどういう地帯でそういう問題があって、しかるべく建設省等と話をしたほうがいいということでありますならば、これは一般的にそういうところがそれほど多いかどうかちょっといまのところわかりませんけれども、具体的にそういうところがございますならば、県等とも相談をいたしまして、できるだけのことをやってまいりたいと思います。
○吉江勝保君 私の地元の県で、局長も御存じかと思いまするが、あるいはブドウ、あるいは桜桃、あるいはモモの盛んな地帯、峡東地域では、砂が相当たくさん要るのですが、しかもまた、皮肉なことに天井川がありまして、その川に砂がたくさんあっても、なかなかそれをとらさない。ところが、だんだん最近になってきますと、鉄筋高層建築とかあるいは国道の改修とかで土砂がそちらのほうに回されてしまって、農家が入手しにくくなってきておる。天井川の当時に、あり余っているときにとってやればいいというときに、なわ張りが違うというか、管轄が違うために、農家個々に国が補助をしてやっても、農家がそれを入手できない。最近になると、今度は、土砂の採取業者のほうが権利を持って、なかなか農家のほうにとらさない、こういうようなことが起こっておりまするが、これは私は具体的に町村も言えまするが、山梨県ばかりではないのじゃないかと思うのです。全国的に果樹地帯をお調べになって、そういうところの土壌改善のために砂が入手しやすいような手を建設省に講じていただくことが非常に大事ではないか、こういうように思いまするので、これをお願いしておきます。
○政府委員(八塚陽介君) 具体的な事情につきましてもっと勉強をさしていただきたいと存じますが、問題は、河川等の問題いろいろに関係いたしますようでございますので、さっそく県を呼びまして実情を聴取いたしたいと存じます。
○委員長(野知浩之君) 本件につきましては、この程度にとどめます。 —————————————
○委員長(野知浩之君) 次に、農薬によるブドウの被害に関する件を議題といたします。 参考人として、山梨県果樹試験場長岸光夫君、武田薬品工業株式会社常務取締役西村伊一君が出席されております。 参考人の方に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席くだされ、厚く御礼申し上げます。 それでは、本件について質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木強君 本日は、山梨県果樹試験場の津場長さん、それと武田薬品工業の西村常務さんに、たいへんお忙がしいところをお出ましいただきまして、ありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。 実は、すでに御承知のことと存じますが、山梨県をはじめ、大阪、奈良、和歌山、徳島、香川、広島、島根、石川、山形、これらの各県におきまして、ブドウのジベレリン処理が非常に問題になっております。このジベレリン処理というので、御承知のとおり、ブドウの種をなくし、生長を促進するために、薬品を塗布するものでございます。ところが、事実、山梨県をはじめ、いま申し上げました各県において、このジベレリンを使用いたしましたところ、逆にブドウの房は小さくなり、生長はストップし、おまけに種がなくならない。このような科学的効果とは全く逆の結果が出ておるのでありまして、まさにブドウの死命を制せられたような状態が出ております。被害農家にとりましてはまことに重大な問題でありまして、ブドウ一本にかけております生産者は、まさに重大なショックを受けていると思うのであります。 社会党は、この問題を非常に重大視しました。したがって、去る五日の日に、特に災害のひどい山梨県にジベレリン処理被害調査団を派遣いたしました。そして、実情をつぶさに調査して参ったのでございます。すでに、昨日は、衆議院におきましてもこの問題が取り上げられました。私も、その調査団の一員として現地に参り、つぶさにその実状を見て参りました。率直に申しまして、その被害があまりにも大きいのにびっくりしておるのでございます。私は、このような事態に立って、今後再び科学の時代にその目的と反するようなことが起きませんように、さらにまた、いま被害を受けておられます農家の現状を十分認識をしていただき、被害補償等については万全の措置をとっていただきたい。また、農林省のほうにおきましても、これらの経験にかんがみ、現在の農薬取締法という法律は、まだまだ不備な点がたくさんあるようでございます。私は欧米の農薬取締法の実態もよく勉強してみましたが、いろんな点においてまだ日本の農薬取締法は欠けております。特に被害をこうむった場合の補償等につきましてはその道がないのでありまして、これらの点はひとつ十分に検討をされ、善処をしていただくように私は心から願っておるのでございます。 そういう気持ちを述べまして、以下、関係の皆様にその実情についてお伺いをしたいと思うのであります。きのう、衆議院のほうで、農林省に対してかなり実情の質問がございますので、できるだけ私は重複を避けたいと思います。そこで、何といいましても、いま農民が一番問題にいたしておりますのは、補償の問題でございます。したがって、この問題を中心にまずお尋ねします。 西村常務さん、武田のジベラ錠が初めて農林大臣から登録認可をされたのは、いつだったのでございましょうか。
○参考人(西村伊一君) 答弁に先立ちまして一言申し上げたいと思いますが、今回、当社発売のジベラ錠によりましてブドウの栽培の上にいろいろな障害あるいは問題を引き起こしまして、関係の皆様方にたいへんお騒がせをいたしましたことを、まずもっておわび申し上げたいと存じます。 お尋ねの補償の問題でございますが、この障害の起こりました原因につきましては、私どもの会社においてもその究明につとめておりますが、現在のところ、まだその真因をつかんでおりません。また、農林省におかれましても、その真因究明に現在御調査を進めておられます。そういうことでございまして、原因につきましては現在断定できないわけでございますけれども、しかし、私のほうのジベラ錠を使ったものについてそういう現象あるいはそういうことが起こっておるという事実に対しましては、当然にわれわれ道義上の責任を深く感じておる次第でございます。したがいまして、被害農家の方々に対しましては、できるだけ早くまた円満に解決いたしますよう、われわれは誠意をもってこれに当たりたい、そういう態度で臨んでおる次第でございます。
○鈴木強君 補償の問題については、私も意見がありますから、後ほど明確に申し上げます。その上であなたのお答えをいただきたいと思います。それに到達するまで、順序を追って問題点を明らかにしていただきたいと思います。 まず、武田ジベラ錠を初めて登録されたのはいつでございましょうか。
○参考人(西村伊一君) 三十九年二月二十八日でございます。
○鈴木強君 そうしますと、登録の有効期間は三年間になっておりますので、ことしの二月二十七日ですか、に満三年になったわけですね。したがって、今度問題になりました武田ジベラのロット番号LHA001、これは再登録の手続をしたあとに新しくつくったものか。すなわち、ことしの二月二十七日前に製造したものか、あるいは、その後に製造したものか、この点はどうなんでございましょうか。
○参考人(西村伊一君) 再登録の申請手続をいたしますときに製造に着手をいたしました。準備をいたしました。
○鈴木強君 そうしますと、LHA001というのは、製造方法等が、従来のたとえばロット番号の131とか、198とか、297とか、そういうものとどういうところが違うのでございましょうか。それから同時に、農林省では、しからば、再登録の際に、LHA001についての品質の検査、分析等を当然やられていると思いますが、その点は一体どうなんですか。これは両方からあわせてお答えいただきたいと思います。
○参考人(西村伊一君) 001というロット番号がございますが、それ以外にもお話のような番号もございます。これらの製造方法、つまり製造工程といいますか、そういう点につきましては、従来のものと変わっておりませんです。また、成分につきましても、主薬でありますジベレリンの量、それから湿展剤の量、そういうものについて材料は変わっておりませんですが、ただ、今回のものにつきましては、溶解をよくするために——在来のものは、水に入れましても、それが完全に溶けるまでに十分ばかり時間がかかるというので、需要家の皆様方から、これがもっと早く完全に溶けるようにといういろいろ御要望がございましたので、研究をいたしました結果、従来使っておりました重曹の量をごくわずかでございますが少しふやし、一方、有機酸のほうをごくわずか減らすというような工夫をいたしまして、それを水に投入いたしましたときに溶解を非常に早くすることができたわけでございます。そういうような工夫の上での変更はございますけれども、成分そのものについては従来のものと同様でございます。
○鈴木強君 農林省、検査はどうしたんですか。
○説明員(鈴木照麿君) ただいまのお尋ねでございますが、従来の通念でございますと、農薬の種類といたしまして従来のものと同じ種類のものを、三年の期限が参りましたので、再びそこで登録をいたしまして、そして発売を継続するという手続を私どもは確認をしたということでございます。
○鈴木強君 農薬取締法の第二条の四項ですね、ここに「現に登録を受けている農薬について再登録の申請があった場合には、農林大臣は、これについて、前項の検査を省略することができる。」とある。ですから、なるほど省略することはできますが、これは省略をしないのが原則なんだから、そうでしょう、したがって、省略をしたということの事由は、従来つくっておった製造方法とあまり変わりない、成分も変わりない、したがって、書類だけの検査によって再登録を認めた、こういうことですね。——これは少し無責任ですよ。少なくとも農薬というものですから。この法律の精神というものは、少なくとも再登録の場合においても、過去の実績等も十分に勘案され、それから品質その他についても分析を加え、その上に立って皆さんが書面だけでだいじょうぶだという確信を持ったときにそのことはやれるでありましょう。したがって、三年間に、法律に基づく立ち入り検査ですね、それから業務成績の報告、こういったものを一体何回ぐらいとりましたか、この武田のジベラ錠につきまして。そういったものを皆さんから過去の実績を発表していただいて、これこれこういう理由だからだいじょうぶだということを申していただだければわれわれもわかるのですが、いまの答弁は、不親切だし、無責任ですよ。
○説明員(鈴木照麿君) ただいまいろいろおしかりを受けましたのでございますけれども、私どもは、誠心誠意、現在の技術の水準にのっとりまして業務を推進しておるものでございまして、ただいま再登録の場合に書類審査というお話がございましたが、年間抜き取り検査をいたし、また、従来われわれが技術的な水準で行なっております基準に基づきまして、あるいは書類審査をいたし、必要に応じてさらに調査をするということで進めてまいっておるわけでございます。 ただいまお尋ねの抜き取りでございますが、これは三十九年の五月二十六日と三十九年の六月二十三日と、それから四十年の六月十六日と四十年の六月二十二日に抜いておりまして、実は四十一年はございませんのですが、この点につきましては、私どもは、多数の農薬の種類と、それから会社と、それから地方別——日本じゅうにございますので、それぞれできるだけ均等になりますように努力をしておりますが、何ぶんにも数多いことでございますから、たまたまこういうことになりましたし、また、それを抜く場合に、いたずらに均等だけではない問題がございます場合とか、前年度に抜き取りを行ないましたところに遺憾の点があったというようなものは、やはりそれに応じた重点的な配慮をいたしておるのでございますが、まあ結果としてこういうことになりましたということを遺憾に存じております。
○鈴木強君 私も、皆さんの御苦労は心から感謝しております。ただ、それはそれとして、問題を究明する場合に、皆さんのおやりになったことについて私たちはあくまでも理解納得のできる御回答がいただけますならば、われわれも誤解が氷解し、国民も氷解するわけでありますから、こういうたてまえで申し上げておるのであります。鈴木さんの御苦労はよくわかっております。特に、検査官等が不足しておりまして、現に山梨県には一人もおりませんね、検査官というものは。検査をやっていないのでしょう。ああいうブドウの一番大きな産地にすら検査官がいないということを聞きました。あとから間違っておったら訂正をしてください。 そこで、たまたまこういう問題があるから気にかかるのですが、なるほど三十九年の二月に登録を認め、登録されたものに対して二回ずつやっておりました。これは五月とか六月というときに抜き取り検査の人が来ておりますのはどういう事情か私にはわかりませんが、少なくとも四十一年度においては全然やっておらなかった。その翌年の四十二年度、しかも再登録によって001という新しい製品が出てまいり、そういうものが参りましたときに、その主成分なりあるいは副成分なり等について厳密な検査をし——一回使いますと、これはもう再び取り返しのつかない結果になるわけでありますから、農民は、農林省が登録をし認可をしたんだというそのことに安心感を持っておりますね。何よりもこれをたよりにしているわけであります。ところが、これを使ってみたらこういう被害が出るということは、一体どういうことかということが農民としては納得ができないんですね。そうでしょう。ですから、私は、001の再登録の場合に、従来だいじょうぶだったからということでなしに、もう少しこの検査をやるべきだったと思うんですが、その点に対してはどうでしょう。
○説明員(鈴木照麿君) ただいま、最初に、山梨県には検査官がおいでにならないと、こういうお話がございましたですけれども、実は、私どもの検査員がすべて出回っておりまして、どこの県にもそういう該当の検査官という人はおらないのでございます。すべて、私どものほうから、北海道でございましても、九州でございましても、出かけておりまして、したがいまして、先ほど申し上げましたように、地域的に均等にできるようにいたしておるわけであります。 それからもう一つの問題は、五月、六月に云々ということでございましたけれども、私どもの従来やっておりますやり方では、およそ一年間を二つに切りまして、一方は、工場へ参りますし、一方は、特約店と申しますか、農協と申しますか、現地側へ出向くようなやり方をやっております。それで、工場が大体前年度から冬から春にかけて製造いたしますから、そのときに工場に出向きまして、工場でつくり上げつつあるものから抜き取りをして参ります。それからそれらが出回りますと、五月、六月ごろになりますと、大体お使いになる方の手元に届くわけであります。それで五月、六月という時期がここに出てまいりますから、これは別に一年じゅう歩いているわけでもございませんし、そういう時期をできるだけ手分けをいたしまして、それによって大体のことは押えられる。従来の経験もそうでございますので、そういうことでございますから、どうか御了承をいただきたい、こう思います。 それから私どもの常識と申しますか通念と申しますか、そういうことでは、ただいま御発言の001ということと、この種類の武田のジベラ錠でございますか、そういう登録になっております農薬とは、ちょっと違いまして、たとえて申しますれば、万年筆がございまして、この万年筆はある会社のあるタイプの万年筆だと申しますときに、つくりますときの時期とかあるいは機械とかというものが違う。会社がおつけになっておりますのはロット番号と申しますが、それと、先ほど会社の方が御説明になりました、農家の方の御希望に沿うように若干溶けやすくする、まあ俗に申しますというと溶けやすくするということでございますが、これは、御存じのとおり、錠剤を水の中に入れましたときに泡を出して錠剤をこわして早く水の中に均一な分散をするように、われわれはそういうことを常識として持っておりますけれども、そういう点で農家の方の御希望もございましたので、効果に直接の関係ではなくして、そういう使い方の点についての改良——改良にならなくてはこれは困るのでございますけれども、そういう意図でされておる。したがいまして、先ほどたいへんおしかりを受けちゃったのですけれども、登録の場合に、発泡性武田ジベラ錠、そうしてジベレリンが三・八五%含まれておりますと、こういう書類名の商品につきまして引き続き登録を認めておる、こういうことをちょっと申し上げたわけなのでございます。 つまり、ロット番号というのは、会社側の問題でございまして、001ということばは、いろいろな意味で特殊なものでございます。私どものほうとしては、抜き取りに参りますと、いろいろな製品がございます。それはそういうことを全部控えてございまして、試験のときに使いますけれども、それは工場のほうでいろいろ生産の責任上おとりになっている番号だ、こういうふうに私は理解しております。
○鈴木強君 そんなあんたいいかげんの答弁をしなさんな。そんなら、三十九年に認可をして登録をして、その年に二回やり、四十年に二回やり、なぜ四十一年にやらなかったのですか。やる必要はなかったのですか。だから私は言うんですよ。その点が手抜かりだというなら、人間のやることですから、そのことがないようにしてもらえばいいんですよ。そういうあんた役人というのは責任のがれをしていかんのだ。私がしろうとだと思ってそういうことを言うのなら、私は承知しませんよ。これからあなたに私はいろいろ質問しますけれども、とにかく私の質問にすなおに答えてください。三十九年に二回やり、四十年に二回やり、四十一年になぜ二回やらなかったかということを言っておるのだから、その点は、人が足りないなら足りない、こういう理由でやれなかったと、こう言ってくださいよ。一番大事なところをそらして答弁をされては困る。(「質問にだけ答えればいい」と呼ぶ者あり)その点、政務次官、どうですか。
○説明員(鈴木照麿君) たいへん申しわけございませんけれども、四十一年度は、先ほどのような事情で抜き取りをしておりませんでした。これはまことに申しわけございません。
○鈴木強君 どういう事情ですか。どういう事情だか明らかにしてください。予算が足りないなら足りないとか……。(「どういう事情でやらなかったかということを言わなければだめだ」「職務怠慢なら怠慢でいいし、人が足りないなら足りないでいい」と呼ぶ者あり)
○説明員(鈴木照麿君) 毎年商品につきまして抜き取り検査をすべきたてまえでございますけれども、残急なことに……。(「なぜ残念だ」「残念というのは何だ」と呼ぶ者あり)抜き取りは、私どもは、先ほど申しましたように、できるだけ均等にやるように心がけておりまして、そうして二年に一ぺん全体の商品に回るように努力をいたしておりまして、たまたまかようなことになりました点は、やむを得ないとは申せ、まことに……。
○鈴木強君 やむを得ないということがあるか。どういうわけでそういうことになったのかと言っているんです。
○政府委員(森本修君) 抜き取りのほうは、実は、たてまえとしましては、必ずしも毎年やるということではないわけでございまして、同一の商品が御案内のように三年間登録の有効期間がございます。したがいまして、その三年間の間に検査官として必要だと思う回数について抜き取りをするというたてまえになっております。先ほど御説明しました三十九年、四十年とやって、四十一年にやらなかったのは怠慢ではないかというお話がございましたけれども、検査官の判断として三年間に二回程度やればこの品物についてはしかるべき抜き取りの効果が出るということであれば、必ずしも怠慢というわけには私はいかないと思うのであります。したがいまして、なぜ二回やったかというその技術的な判断が適正であればまずいいというふうに私どもは行政的な立場としては思っておるわけであります。
○鈴木強君 森本さん、あなたさっきからの質問をそこで聞いておられるでしょう。検査所長は毎年二回くらいやるたてまえをとってきたというんですよ。ところが、四十一年度についてはいろいろな事情でできませんでしたと。その事情はどういう事情か言ってくれませんが、できませんでしたとおっしゃるから、その事情はここで言えないならまた言えないでけっこうです。しかし、こういうわけでできませんでしたとおっしゃてもらいたかった。あなたは、横から話をとって、行政的立場に立って、検査官が判断して三年に一ペんはやればいいんだぐらいの、そんなのんきなことを言うのだけれども、そんなことはいままでの慣例からすればおかしいですよ、局長がそんな答弁をするのは。 要するに、われわれの言うのは、念には念を入れて、所長さんがおっしゃるように——所長さんのおっしゃることはあたりまえだ。所長さんのほうがりっぱですよ、答弁は。そういう立場で、やはりできるだけ念には念を入れて検査をしていく、抜き取りしていくということが大事なことなんですよ。ポッカレモンだってそうじゃないですか。表示と中身にうそをついて、厚生省認可の特殊飲料として売り出して、一年間に二十七億円ももうけたじゃないですか。こういうことがあるから、やはりちゃんと検査をしてもらいたいんだ。私は。法律上云々ということは、それはすぐあなた方がおっしゃることなんですよ。しかし、法律というものは生きているものなんだから、その実情に合うように、農民が安心できるように念には念を入れてやるべきだ。やるべきが筋です。やるべきことはやる、そういうことでいま話がいっているわけなんです。 四十一年度にですね、所長、それができなかったということは、非常に残念でしょう、あなたとしてみれば。それがどういう理由でできなかったか、あなた言ってくださいよ。これは局長の答弁じゃない。
○説明員(鈴木照麿君) ちょっと初めに、誤解を招いたかもしれませんので、お断わりいたしておきます。一年に二度と申しました。それは、工場と特約店でございます。これは一つの商品が二度受けるということではないのでございまして、要するに、局長がいま申し上げましたとは、三年で全部の商品が回る、こういうことでございまして、私どもは二回にグループを分けましてそれぞれ別の場所に出かける、こういうことを申し上げましたので、どうぞ局長をおしかりにならぬようにお願いをいたします。 それからただいま四十一年度ということでございまして、ただいま局長が申し上げましたように、全商品が三年で一度回ってくるというのがたてまえでございますので、二回年に出ますけれども、たまたまその場合に同じ商品が二度抜かれることもしたがってございますが、やはり三年に一度回ってくるというのがたてまえであり、現状でございます。したがいまして、まことに申しわけないと思います。
○鈴木強君 委員長、あなた聞いておってどう思いますかね。あまり国会議員を猿回しみたいにごまかしてもらっちゃいかんですよ。自分の言ったことに責任を持たなきゃならぬ。国会でしょう、場所は。さっきの発言は間違いなら間違いですと、いいですか、男らしくやんなさいよ。あなたのやっていることはりっぱなことですよ。不当表示法の中には、回収なんてできないんですよ。しかし、厚生省の行政措置として販売中止をやったから回収したんですよ。これは私は法律違反ではないと言うんだ、法律の精神からいって。それをびくびくして、そこを突っ込まれたら困るということを言っているが、私はりっぱだと思う。法律というのはそういうものなんですよ。だから、あなたが言うように、できるだけ検査をしていこうということはりっぱなんですよ。あなたは、行政官として、また学者として研究に携わっておられるわけですから、法律論を無視して——無視というか、法律論は別にしても、学者としての良心があるわけだから、その良心の発露としてやろうという心根は私はりっぱなものだと思うんですよ。ですから、それが正しいんですよ。それを、局長が言うと、局長をしからないでくださいと、そういう前提でもって局長の方向にあなたの意見が近寄っていくわけだ。こんなばかげた答弁をして国会を乗り切ろうと思ったって、できませんよ。これは、委員長、整理してくださいよ。そんな無責任な答弁をされたんでは質問ができない。大臣が来なきゃだめですよ。政務次官、かわりにやるなら、ちゃんとやってください。
○政府委員(久保勘一君) お答えいたします。 先ほど来説明を申し上げておりますように、検査所としましては、少ない人員で、全国の農薬につきまして、製造所、あるいは実際使用している部面等にわたって検査をいたしておるわけでございまして、そういう体制ではたして十分整っておるかどうかということについてはいろいろ検討する課題があろうと思いますが、検査所としましては、従来の実績等も十分考慮に入れまして、先ほど来御説明申し上げておりますように、三年間の間に二回抜き取り検査もしておる、こういうことでございます。ただ、御指摘のように、たまたま問題の起きておりまするこの農薬につきまして四十一年に抜き取り検査が行なわれていなかったという点については、結果的に考えまして、そのことによって今度の問題が起きたのかどうかという点については十分これは技術的にも検討してみなければならぬ、かように存ずるわけでありますが、いずれにしましても、今後やはり十分検査の問題については体制を整えまして、抜かりのないように実施してまいらなければならぬ問題であると存ずるわけであります。
○鈴木強君 まあ政務次官が両方まとめて言ってくれました。人員が足りないことは私も知っています。ですから、私は、そのことについては、むしろ検査官をふやしてもらいたいんですよ。そうして、農薬に関する限りはもっときびしいふだんの管理をしていただかなければ、万々一のときにどうするかということですよね。実際、甲府なんかへ行って見ましても、ブドウだけで、畑もたんぼもないんですね。もうブドウだけに生活をかけているのですから、これが十四、五億の損害になるという話も聞いているのですが、そうしますと、いままで借金をしてやっておって、その金も払えない。子供を学校にやっているのだが、その授業料をどうするかといって農民は悲嘆に暮れているわけですよ。そういう現実のことを考えた場合に、万が一つにもこういうことが起きてはならない。そのためには、やはりきびしい管理を行政の中でやっていただくというのが筋でございましょう。だから、そういう方向で、もし行政官が足りないならば、ふやしてもらいたい。検査官が足りないならば、検査官をふやしてもらいたい。私はそういう気持ちを申し上げようと思っている、もしあなたのおっしゃるようなことであるならばですよ。あんな公団とか事業団に七年間つとめて二千万円も退職手当をもらっているとか、きょうあたりの新聞に出ておりましたけれども、ああいうむだなところに金をどんどん使っているじゃないですか。なぜ検査官が足らなければもっと金を出さないか。これは行政の仕組みが悪いからです。やはり、そういう点をちゃんと整理していけば、国民は納得して、必要なところに人をふやすことについては認めてくれますよ。そういうところに勇気を持って、自分たちがやっている努力というものを無にしないように、国会において私は感謝しつつさっき言ったように質問申し上げているわけですから、みなさんの足りない点は私たちはどういうことによってそういうことが出てくるかということを知りたいんです、正直いって。そういう意味において私は質問しているわけですから、まあ政務次官の久保さんのおっしゃるように、いろいろな点について勘案してみると足りない点があった、この点については今後是正していくということですから、ぜひそうしてもらいたい。 そこで、ひとつ前へそれによって進みますが、西村さんにちょっとお尋ねしたいのです、いままでのジベラ錠の製造方法は、まああとから主成分と副成分についてはお尋ねしますが、まず、製造の方法について、001というのをつくる場合に、一かまに何キロぐらいのものを入れて従来つくっておったのでございましょうか。それで、今度001になった場合には、一かまはどの程度のキロ数を入れて攪拌してつくっておられるのか。その製造の方法については、私の調べたところでは、前のよりも変わっていますから、その点はどうでしょう。
○参考人(西村伊一君) 四十二年度に今回出しましたジベラ錠は、実は、ロット別に申し上げますと、こういうことになっております。御指摘のLHA001というのは九万本でございます。それからそれ以外に番号がいろいろございますのですが、FHC198番というのがございますが、それは三万本でございます。それからLHB131番というのが七万五千本ございます。それからもう一つ、LHC296番というのが二万八千七百十本、合計で二十二万三千七百十本というのが四十二年度のジベラ錠の生産総量でございます。 それで001というのは、新聞などにも出ましてクローブアップされておりますのは、ただいま申し上げましたように、この数量が二十二万のうちで一番たくさんございまして、したがって、これが一番多く市場に頒布されておりますので、事故の発生を調べると001が多い。そういうことから、001が特別変わっているのじゃないか、そういう御疑問が出ておるわけでございますが、製造の方法なり処方なり、そういうものはこの四口は全く同じものでございます。 ただ、先ほども申しましたように、四十二年度の四口のロットのものは、全く同じでございますけれども、前年までのジベラ錠と相違いたします点は、重曹の量と有機酸の量、これが従来よりもやや重曹を多くしておる、そして崩壊性を高めておるという点が相違しているわけでございまして、その他の点につきましてはほとんど変わっておりませんのでございます。
○鈴木強君 それは先ほどお尋ねしてわかっておりますが、私の聞いているのは、普通、製造する場合、一かまに何キロお入れになっておりましたか、今度の場合には何キロお入れになってこの001をおつくりになりましたか、そこだけでいいんですよ。
○参考人(西村伊一君) 実は、先ほど来申し上げておりますロケット番号というものは、製造工程が何段にも分かれておりまして……
○鈴木強君 001だけです。
○参考人(西村伊一君) 001は、錠剤を区分けして最終製品として出しますときの番号でございます。したがいまして、そこへ参りますまでには、主薬のジベレリンをつくりますときにも、その管理上、これはまあ内部の整理番号でもちろんございますけれども、ナンバー違いのものがあるわけでございますが、それを主薬といたしまして、あと補助的な材料を加えまして錠剤にそれをつくるという工程、その工程もまた幾つかに何段階かに分けて製造いたしておりまして、その出てきた錠剤を最終的に試験をして、そして規格に合格したものを包装して出すというところが、この問題の001の番号がついてくる個所でございます。そういうように、工程が大きく分けまして三つに分かれておりますのですが……。
○鈴木強君 三つに分かれているということもわかっていますから、一かまに何キロ入れて攪拌して、従来普通の場合につくっておりましたか、001の場合には何キロ入れて攪拌しましたかということを聞いているんです。一番先の工程です。
○参考人(西村伊一君) 錠剤を製造するロットの大きさは、大体百万錠単位でございます。それで……
○鈴木強君 西村さん、そういうことでなくて、今度九万本ですね、いま御説明によりますと、LHA001というやつは。あと、FHC198というのが三万本ですか。私どもの調べたところによると、LHA001については十二万本製造していると聞いているんですよ。だから、十二万本つくる場合に、従来、普通でやると、一かま二キロなら二キロ、四キロなら四キロ入れているでしょう。ところが、今度の場合、それがもっとそれよりふえておったかどうかということを聞いているんですから、百万本単位とか、そんなことは関係がないですよ。ことしつくった場合には一かま幾ら入れてつくりましたかということを聞いているんですから、それだけ答えてください。
○参考人(西村伊一君) ただいま担当者に確かめましたが、十二万本というのは、LHA001の九万本と、それからFHC198番の三万本、それを二つ合わせて十二万本、そういうことでございますけれども……。
○鈴木強君 それはいいですから、その九万本つくるときにジベレリンなりそれから展着剤ですね、そういったものを入れるわけでしょう。それをかき回してつくるわけでしょう。それを最初にかまに入れてつくるときに、大体何キロぐらい普通は入れてつくりましたか、今度の場合は何キロ入れたかを聞いているんで、ピントがはずれているですね。すみませんが、もとつ的確に答えてください。
○参考人(西村伊一君) 一回の仕込み量は、ジベレリンの結晶一・二五キロでございます。
○鈴木強君 どうも質問が依然わからないのでしょうか。いま私の質問しているのは、ことし四十二年度におつくりになりましたね。おたくのLHAというのは九万本つくられました。その九万本をつくるときに、ジベレリンとそれから展着剤を一緒に混ぜますね。知っているでしょう、製法を。これをかまに入れますね。そういうときに、従来131とか昨年までずっとつくっておりましたのは、たとえば二キロなら二キロ入れてつくっております。今度の場合はそれよりもふえているのじゃないですかと、そういうことを聞いているんですよ。九万本つくった場合に、何キロになったですか。一・二五キロはわかりましたけれども、比較してお答えをしていただかないとわからないんです。
○参考人(西村伊一君) ちょっと御説明が……
○委員長(野知浩之君) 委員長から申し上げますが、あわてなくていいですから、ゆっくり質問に答えて、的確なことを調べて御返事願いたいと思います。
○鈴木強君 それじゃ、私が知っている範囲で申しますと、普通、ジベラ錠をつくる場合の製造方法は、一かま二キロかあるいは四キロぐらいだったんですよ。ところが、今度の001の場合には、二十四キロ、約十二倍くらいの量にしたという話を聞いているんですよ。ですから、攪拌する場合に、どうしても二キロよりも多いわけです、九万本一ぺんにやっちゃったんだから。したがって、攪拌する場合に展着剤とジベレリンがうまくまざらなかった。ですから、九万本のうちまざらない部分の展着剤が足りなくて付着が悪かったというので被害ができているんじゃないかということを私は推測するわけですよ。それが二キロ、四キロでなかったのか、あるいは、二十四キロであったのかということは、すぐわかるでしょう。だから、そういう点を言ってもらえばいいんです。わからなかったら、これをあとにして、次に進みますが、どうですか。それは。
○参考人(西村伊一君) 担当者から聞きます解釈と、私が先生の御質問を聞きます解釈とでは、ちょっと食い違っておるようでございまして、打ち合わせをいたしましても二説ございますので、たびたび同じようなことを繰り返して申しわけございませんが、私の解釈いたしますところ、先生のおっしゃるのは、錠剤につくるとき、つまり、最後の包装するというよりも、ジベレリンを入れて、展着剤その他を入れて、そしてこね合わしてそれを錠剤の機械で打つ、そのときにどのくらいのものを仕込んでおるかと、そういう意味でございますね。
○鈴木強君 そうです。第一工程です。
○参考人(西村伊一君) 先ほど申し上げました一キロ二百五十グラムが一回の仕込み量でございまして、それを何回も繰り返して、そして……。一回一キロ二百五十グラムずつ主薬を入れまして、そしてそれを二十回繰り返します。それですから、合計で二十五キロのジベレリンを入れるわけでございますが、それに相応する展着剤その他を入れまして……
○委員長(野知浩之君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(野知浩之君) 速記を起こして。
○鈴木強君 これは、私の調査では、いいですか、従来は一かま二キログラム程度のものを入れて仕込んでやっておったんですが、今度の場合には十二倍の二十四キログラムというものが一つのかまでやられている。私の調査では十二万本ということなんだが、九万本で、LHAとちょっと違うFHC198を三万本入れると十二万本になるんですが、そこのところがちょっと違います。いまおっしゃるように、一・二五キロというのも違いますから、この点、もう少し専門的なおたくのほうの会社の担当の人と相談をしていただいて、この辺の食い違いがあるのかないのか、ひとつ明らかにしてもらいたい。きょう間に合わなかったら、これは委員長のお許しを得て、質問者のほうに、おたくのほうから、こうなっているという間違いのないものを届けてもらいたい。私のほうは、現におたくに問い合わした結果、そういうことを言っているのだから、あなたの言うことが内部的に違っているわけだ、もしきょう言うことがそうだとすればですね。それは展着剤を入れているかというと、入れていないというわけだ。すると、一・二五のほかに展着剤が入っているわけです。そうすると、一・二五が入っておるわけですから、そこのところがわかりませんから……。 そこで、鈴木さん、この製造方法についても、こういうふうに当事者がよくわからないんですね。従来のジベレリン剤と違った製造方法をとっている。私はそこに非常に問題があったと思うんですね。そこで、ちょっとお尋ねしますけれども——これはあとでいずれ明らかになるでしょう。そこで、種なしブドウにするためのジベレリン処理ということは、御承知のとおり、満開前の十四日ごろに一回目をやります。そして、もう一回またやるわけですね。その処理をしますと、そのジベレリンの濃度が一〇〇PPM——百万分の一が一PPMですが、一〇〇PPMというものがジベレリンの中にあるわけですね。それからもう一つ、同じ濃度の展着剤、これはエアロールOPというのだな。これもやはり一〇〇PPMというものが、両者が混合し合って、はじめて成果があがるわけですよ。それで、それを二房二房につけるわけですね、手数がかかりますけど。そうなりますと、種がなくなって生長が伸びていくと、こういうしかけになっていると私は思うわけですね。ですから、この濃度というものが、展着剤にしても、あるいは主成分にしても副成分にしても、そのバランスがくずれたときに問題が起きると私は聞いているんですよ。 したがって、あなたに聞きたいのは、あなたは専門家ですから、この一〇〇対一〇〇というバランスがどっちがどうくずれて、たとえば、一方が一〇〇で一方が五〇PPMになった、こういうふうな場合にもやはり効果はあるのかないのか。逆の場合に、展着剤が五〇になって、それからジベレリンが一〇〇PPMがあった場合に、その効果は一体どうなるのか。そういう研究ということは、そんなものは当然やっていると思いますから、私は知りませんから教えてもらいたい。どうですか。
○説明員(鈴木照麿君) ただいまの御質問にお答えいたします。 一〇〇PPMというのは、百万分の百ということでございますが、一応ジベレリンが一〇〇PPMという濃度の場合に有効であるということになっておりまして、それからただいまお話しの展着剤と申しますか、それのほうにつきましては、従来のいろいろな試験の結果から配合が定められてまいると思います。それで、それは錠剤の組成の中に配合されておりますが、試験の結果としてその配合の割合のものを製品として登録いたしておりますから、その配合が展着剤の量が減りますと、その影響はあるものと思われます。一応、ジベレリンが主体でございます。そう考えるわけでございます。
○鈴木強君 どうもわかりませんが、おたくはそれで飯を食っておられるのですから、朝から晩まで研究されているのですから、もう少し私にわかるようにしてもらいたいのですが、私の言っているのは、一〇〇対一〇〇というバランスが、一〇〇対八〇になった、あるいは一〇〇対五〇になった、一〇〇対三〇になったという場合に、展着剤が五〇になった場合は致命的に効果がないのか、あるいは、展着剤が八〇に下がっておってもその効力というものはかなりあるのか、その辺の比較研究をされていると思いますから、私の質問のしかたが悪かったらおわびして、その辺のデータはどうか、そういうことをお伺いしているんですから。
○説明員(鈴木照麿君) はっきり申し上げまして、検査所では、ただいま御質問の点の研究そのものはいたしておりません。それで、これは、従来各地の試験場で御試験いただた結果、有効であるという試験の成績に基づいて、検査所でもそれを審査しておるということでございます。検査所そのものでは、検査の業務の本質上、ただいまの点の試験研究はいたしておりません。ただ、効果としては相違が出てまいると思います。
○鈴木強君 実に足りないですね。農薬の研究としては、これはもう一番そこが使命じゃないですかね。展着剤の作用というものは、一番重要な要素ですよ。武田シベラの場合には、天候とか時期とかいうことはありますけれども、これがやはり決定的な要素になると思うんですよ。あなたがおっしゃったように、農林省の農薬検査所でやっておらないとするならば、各県の検査所もあると思いますから、そういう試験の全国的なデーターを集めて、一体ジベレリンの場合、おたくで認可する場合、一〇〇対一〇〇は一番理想ですから、それまでよろしいのだが、誤差というものも出てくるかもしれないし、また、科学的には一体どこまで濃度が落ちても可能かという、そういうような点くらいまでは研究されていると思ったのですが、研究されていないなら、これは質問してもどうにもなりませんが……。 そこで、きょうは、山梨県の果樹試験場長さんに来ていただいているのですが、あなたは世界的に有名な学者で、われわれも尊敬しているのですが、ブドウの国山梨の責任者ですから、ふだん非常な御苦労もあるし、検査も進められていると思いますので、もし御研究のデーターがありましたら、教えてもらいたいと思います。いかがでしょうか。
○参考人(岸光夫君) ブドウのデラウェアを種なしにし、二回の処理によって粒をふくらます濃度は、ジベリンの濃度といたしまして最低申し上げますれば、七五PPMで十分でございます。ただ、危険なのが、降雨その他がございますれば、やはり一〇〇PPMで処理するよりも、七五PPMでした場合に、安全な期間が長くなるわけです。たとえば、いまの一〇〇PPMの場合に、二十ミリの雨があったら、八時間後だったら再処理を必要としませんが、八時間以内に降った場合には、再処理をする。それを七五PPMにすると、十時間か十二時間後に雨に降られると再処理をする。こういう点を考慮しまして、最低限度を一〇〇PPMにしております。一〇〇PPM以上の濃度でございましても、効果が増すことはございません。 その次に、エアロールOPの展着剤でございますけれども、これは実に残念ながら一〇〇PPM以下を行なったのは、おそらくないと思います。権威ある試験場といいますか、官庁やその他ではないと私は思います。上はございます。一五一〇、二〇〇、二五〇というのはございます。ただし、一〇〇をふやしましても、実は副作用的に第二回目の処理で顆粒に傷が生じますものですから、現在の一五〇でも相当傷という危険がありますから、一番適切なのが八〇から一〇〇PPMであります。 その次に、これは私が聞き及んだ農家の実験でございますから、つけ加えさせていただきます。その人は、四〇から六〇、八〇、一〇〇、一二〇という段階でやられた方の結果では、八〇PPMが最低である。それより下がれば付着が悪くなるために、一部の顆粒が種ありになる。ですから、先ほど鈴木先生がおっしゃったように、花の前の十四日、まあ十四日というのは標準でございまして、前後二日ぐらいございますから、四日か五日間あるのですけれども、そのときが適期で、その時期に各花に全部ジベレリンがつかない限り種ありになります。そういう関係上、そのつける作用はエアロールOPがやる。そのために、八〇PPM以下になれば、かなり危険になる。要するに、ジベレリンの効果を発揮できないのだということになります。
○鈴木強君 明快な御研究をなさっておりまして、非常に参考になりました。ありがとうございました。 そこで、山梨の地元で今度の事件については夜も寝ないで御苦労されているようですが、現在まで場長さんでいろいろと実情を調査された結果、最終的にはこれはいま農林省の検査所でやっておりますから、おそらく二十五、六日頃ですか、その結果が発表されてくると思いますけれども、主成分その他の品質の問題については分析結果がわかると思いますので、それは科学的な判定にまつことにいたします。私も、ここでは、そんな観念論で論ずべきことではないわけですから、それはそれとして、その結果を待つことにいたしますが、おおよそ現実にいま起きております——ここにも持って参りましたけれども、これはジベレリン明治を使った場合ですが、これだけの房が普通ですと生育してくるわけです。ところが、武田の場合、こんなもんですから、比較をしてみればよくわかる。これが正常なものであり、おたくの武田のものを使ったらこれだけしか伸びません。これじゃ商売になりません。ひどいものです。こういうことが出てくるのです、現実に。おそろしいでしょう、これは。 これはハウス栽培のやつですけれども、中を切ってみますと、種がざくざくある。こちらはおたくのやつです。こちらは協和ですが、ちゃんと種がない。これが正常なんです。こういうことで促成栽培をやって商品化したところで、種なしブドウといって、三分の一ぐらい種があったのじゃ、これは品物になりませんね。 こういうふうに現実に被害が起きているわけですから、そこで、場長さんも、こういう現実をよくごらんになった上で、いま申されたように、展着剤のほうが七五PPMないし八〇PPM、そういうPPMを保持するところが農家の実験では一番最低だ、こういうふうな結果も出ておりますが、いずれにしても、同じ時期に同じ木に、おたくのやつをやった場合と、協和、明治をやった場合では、ここに写真もありますけれども、これは同じ木を写真をとってきたのですけれども、あとでよく見てください。だから、こういうふうに、天候とかあるいは時期がどうとかということよりも、同じ時期に、同じ木に、同じ土壌に植えているものに、武田と明治とやれば、明らかにこの差があるわけですから、これはもう明確に武田ジベラが悪かった、薬が悪かったんだという唯一の証拠なんですよ。これは薬理的な研究をするよりも、これが一番の現実をわれわれに証明している。薬が悪いんだという証明だと思います。これはもう新聞の方々もカメラマンがずっと行って一緒に写してきたやつですから、間違いありませんね。木が違うとか、ジベレリンを処理したときの時期が違うとかということになると別ですけれども、そうでないのですから。それは明らかに武田のあれにあったと思う。その辺の判断は、岸先生としては、どうなんでしょうか、科学的な分析を待たなければいけませんけれども、いままで御苦労されてきた経験からして、やはり武田の薬品に悪いところはないと、こういう推定をされますか。
○参考人(岸光夫君) 鈴木先生のおっしゃったのは、結論から申しますれば、薬が最も大きな原因であると思います。いままでには例がなかったことでございますし、さらに、先ほど鈴木先生のおっしゃった、ジベレリンの濃度がどうであって、エアロールOPの濃度がどうであったかということになりますと、現在の段階ではちょっとわかりにくい。ただ、段階がいろいろございます。極端に申し上げれば、ジベレリンの処理をしないと全く同じような状態のものもございます。そうかと思えば、完全に近くなっているような段階のものもございます。そういう段階がいろいろございますけれども、やはり一つの薬の何かの規定どおりの作用を起こさなかったような薬が大きな単位の中にまじっていたんじゃないか。全部が全部悪いということはございません。何%がよくて何%が悪いということは、今後畑の大規模な調査によってわかりますけれども、現段階でわかることは、やはり五割前後じゃなかろうか。悪いほうが五割弱になる、もしくはいいほうが五割弱になる。その点は今後も調査しますけれども、いままで県が調べた範囲の処理面積から被害面積を推定しますと、そういうように現在の段階において推定できると思います。
○鈴木強君 それからこれは農林省に伺いたいのですが、農薬取締法第七条によりますと、「農薬を販売するときは、その容器に左の事項の真実な表示をしなければならない。」とここに十一書いてあります。ここに、私、協和とそれからいまの武田さんのと両方容器を持ってきて調べてみたのですが、この中に何かおかしなところはないですか、その点を調べたことがありますか。法律に照らして、十一の条項に照らして、どこかおかしなところはないですか。そういう点は調べないですか、全然。お答えください。
○説明員(鈴木照麿君) ただいまの御質問につきましては、ただいまのところ私は残念ながら承知いたしておりません。
○鈴木強君 ですから、そういう法律に基づく表示が正しくしてあるかどうか、そのくらいのことを検討しておく必要があるのじゃないですか。これはおたくのほうがまずいですよね。協和さんのはりっぱです。
○委員長(野知浩之君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(野知浩之君) 速記を起こして。
○鈴木強君 それを全然調べてないと言うんですけれども、やはり法律を守る立場にあるのですから、その辺の書き方はちょっとおかしくないですか。法律第七条に「表示をしなければならない。」というこのうちの九項目に、「貯蔵上又は使用上の注意事項」と、こう書いてある。協和さんのほうは、貯蔵上の注意事項、使用上の注意事項を書いてあるが、おたくの場合は、使用上の注意しか書いてない。一回使ったものについてはふたをしっかりしなさい、暗いところへ入れておきなさい、二、三日はもちます、できればその日に使ってくださいと書いてある。それは使うときのあれであって、貯蔵するときのあれとは違うんです。だから、使用上の注意があって、貯蔵上の注意というのが抜けている。これはどうしたことですか。法律違反じゃないですか。これはまずいでしょう。局長、どうですか。これは注意したほうがいいですよ。
○政府委員(森本修君) いまいただきました書類と、登録をいたしました際の貯蔵上の注意事項と、表現あるいは項目において若干相違した点がございます。したがいまして、そういう点と法律との関係はどうかということは、後刻よく検討して申し上げたいと思います。
○鈴木強君 これはあげ足をとろうと思って私はやっておることではないんです。表示されたことがやはり農民にとりますと唯一の頼りですからね。薬を買うときでも、ちょっとわからぬのでわれわれが能書きを見て飲むのと同じです。 それから山梨県に現におたくがお送りになった大箱の外側には、去年の武田ジベラの表示があるんですよ。これはあとで実物を見せますけれども、それから中箱にもそう書いてある。中をあけてみたら、001が入っておる。これは間違いないです、見てきたんですから。そういう表示上のあれでも農民はうんとおこっていますよ、人をばかにしているといって。外装と中身が違うじゃないかと。それは、去年たくさん段ボールをつくったんでしょうな。たまたま余ったから、その中に便宜上入れて送ったのかもしれませんが、これは桜井というところの古屋さんという市会議員までやった人にゆうべ電話で確認したんです。時間がなかったから現物は持ってこなかったけれども、そういう事実がある。武田薬品工業といったら、長い伝統と取引の中で誇りを持っていらっしゃるのでしょう。だから、もう少し品質の管理とか包装とか、その他やっぱり国民の信頼を得るようなことをやっていただかないと、これはうそじゃないですか。私は武田のために惜しむのですよ。こういうことをやって、またあとから少し問題がありますから私は最後に言いますけれどもね、そんなえげつない売り込みをしなくてもいいですよ。その点はどうです、西村さん。
○参考人(西村伊一君) ただいま御指摘の点につきましては、十分調査をいたしまして、今後注意をいたしたいと思います。
○鈴木強君 それから農林省のほうも、局長が率直に第七条に照らして表示のしかたが誤解を受けるしまずいと。これは直さしてくださいね。 それからこれを見ましても、絶えず、製品というものがどういうふうに販売されてくるか、表示がどうなっているかということを、足りない検査員の方で御苦労ですけれども、足りなかったら人をふやしてもらうようにして、やはり管理をよくやっていただかないと、人間のやることですから、悪意がなくても落ち度があるかもしれません。しかし、その落ち度があることが、農民にとりましては決定的な要素になりまして、そのことが悲劇が起こり得る原因になるのです。効能書きというものは、法律に規定されているように必要なものですから、これを適切に書いてもらわないと迷惑をします。その点は十分にひとつ御注意いただきたいと思います。 それからこの製薬会社の販売ルートですね。武田ジベラを販売する場合に、どういうルートをとられておるのでしょうか、各県に対して。
○参考人(西村伊一君) 当社から出荷をいたしますのは、各地に特約店という商社がございまして、そこへ一度全部販売いたします。それから農協とかあるいは小売り店とか、そういったルートを経まして末端農家の需要家に届くわけでございます。
○鈴木強君 その場合に、セールスの仕事は、各販売店なりあるいは——まあ販売店でしょうね。各販売店から、農協なり経済連なり単位農協なりに行くと思うのですが、本社から直接セールスに出かけるようなことはないのでしょうか。すべて特約店にまかして販売させるということでしょうか。
○参考人(西村伊一君) 当社の農薬の販売従業員の数は少のうございますので、直接販売の宣伝とかあるいは使用の依頼とか、そういったような連絡には参りますが、末端での日常活動につきましては、土地の特約店の方々がやってくれておるわけでございます。
○鈴木強君 それはわかりました。 それから価格のことでちょっとお尋ねしたいのですが、山梨のあたりを全部わらじをはいて回ってみますと、明治にしても、協和にしても、武田にいたしましても、何か一つの価格協定をしておるのではないかというふうにとられるような節があるのです。というのは、この一びんが四百二十円ですね。まあいろいろあとから申し上げるようなからくりがあるようですけれども、とにかく四百二十円、どこの会社も、メーカーも。これは、そういう価格協定なるものはやっていないですか。
○参考人(西村伊一君) そういう価格協定はいたしておりませんです。
○鈴木強君 そうすると、偶然に四百二十円で売っているのだと、こういうことでしょうか。
○参考人(西村伊一君) そういうことでございます。
○鈴木強君 これは、私は、公正取引委員会にも意見を具申するつもりでおります。 それからこの販売のやり方が、おたくのほうから直接セールスが行っておらないようですから、まあおたくをここでいま責めるのもどうかと思いますけれども、実情は聞いておいてください。たとえば四百二十円になっておるが、ほかとの会社の関係があるから、とにかく四百二十円にしておいてくれ、あとで十五円なり二十円なりは割引いたします、こういうことを現実に言っておりますね。中には、ナイロンでできたエプロンですね、女子用のエプロンをプレミアムつきで売り込みしていらっしゃる。そのことが不当景品取締法に違反するかどうか調べてみましたが、それはいいです。ただし、価格協定になると問題があるわけですが、いずれにしても、そういう激しい売り込み合戦がことし行なわれたんです。そうして、おたくが約六万本のジベレリンを山梨のほうに売っているわけですね。ロット番号LHA001が六万本、それからあと131番、297番、198番の三つで一万五千本、合計七万五千本おたくのほうから入っている。あと、明治、協和等を含めまして三十四万三千三百本山梨に入っております。そのうち、おたくは七万五千本入っている。ですから、私は、商売ですから、いろいろの方法をとることはこれは許された自由でございましょう、不当景品取締法に引っかからない限りにおいてはね。しかし、どうもやり方が少し他の会社と比べまして激し過ぎるような気もしたわけです。そういう点は、出先の特約店がおそらくおやりになることでしょうから、おたくのほうは知らないということでしょうが、たとえばナイロンのエプロンの景品の金は、一体どこから出るのでしょうか。本社のほうからそういうものについてはプレミアムで金を出しておるのでしょうか、特約店で負担しておるのですか。
○参考人(西村伊一君) ナイロンエプロンと申しますのは、農薬を扱いますときに着物をよごさないように使うエプロンでございますが、それは現地の特約店の着想によりましてそういうものを配りたいということで自発的におやりになっておるわけでございますけれども、私のほうももちろんそれに若干の援助をしておるそうでございます。
○鈴木強君 この四百二十円をとりあえずまあそう約束しておいて、あとから十五円なり二十円なり割引する。場合によっては、三十円ぐらいやっておるようですね。これはちゃんと証人がいますから、私はでたらめなことは言いません、少なくとも国会の場所でございますからね。要するに、そういう割引価格というものが行なわれているようですが、そういう事実は知っていますか。
○参考人(西村伊一君) 私のほうからは割り戻しをしておりません。特約店がそういう販売政策をとっておるようでございます。
○鈴木強君 そうすると、これを、四百二十円に売ろうが、三百九十円に売ろうが、これは自由であると。おたくには幾ら入れればいいのですか、一本に対して。それは言えないですか。
○参考人(西村伊一君) 当社の販売価格は四百円でございます。
○鈴木強君 わかりました。 それからですね、山梨県の場合に限ってたいへん恐縮ですが、さっき最初に申し上げましたように、大阪その他たくさんの府県の被害が出ておりますが、まあ視察に行ってまいりました関係、あるいは被害の度合いの大きい関係上、時間がありませんから、山梨に限って恐縮ですけれども、一体、山梨から被害の状況を受けたのは、いつごろだったんでございましょうか。そして、直接本社から、あるいは東京支社から山梨においでになって農民と語し合いを始めたのは、いつでございましょうか。
○参考人(西村伊一君) 山梨県におきましては、当初、房が短い、伸びが悪いということが発生いたしましたのは、あるいは事実もっと早く発生しておったのかもしれませんが、私たちの聞いておるところでは、五月二十三日にそういうものが発見されまして、それから二十四日並びに二十五日には山梨県の御当局から武田ジベラ錠の処理に関する指導方針、そういうものが示されましたので、当社といたしましては、二十六日に、「ラジオ山梨」で朝六時半から夜八時半までの間、合計八回、次のような放送をいたしまして需要家に御注意を申し上げました。ラジオで申しましたことは、「武田ジベラ錠の処理結果については、私どもは全力をあげて原因究明に努力しております。ジベレリンの再処理につきましては、関係機関の御指導に従ってください。」と、そういう文言をラジオ放送いたしました。また、五月三十一日には、臨時県議会で県当局から、「武田ジベラ錠は効果が薄いようである。第二回目には、必要なものは武田以外の製品でやるように、その用意ができておる」という御発表がございました。それに伴いまして、私ども武田のほうといたしましては、六月一日に「山梨日日新聞」並びに「山梨時事新聞」両新聞で「ぶどう用武田ジベラ錠ご使用の農家の皆様へ」と題しまして、当社の声明を発表いたしました。そして、農家各位に武田の考え方を徹底するようにいたしました。 それから六月三日には、農林省のほうから、本年度生産の武田ジベラ錠を至急回収するように、引き取るように御指示をいただきましたので、即日全国の関係特約店へとりあえず電話で、また、念のために電報をもちまして、返品の手配をいたしました。それから六月五日には、特に山梨県は販売量が多うございますので、回収の徹底を期しますために「武田ジベラ錠返品お願いの件」という広告を六月五日付で「山梨日日新聞」並びに「山梨時事新聞」に掲載いたしました。現在のところ、出荷総量は、全国で申しますと二十万五千本出荷いたしました中で、約十三万本が回収、引き取りの見込みでございます。 それから当社が担当者を出張させましたのは、二十四日には農薬課長、二十五日には農薬部長、二十六日には農薬事業部長がそれぞれ現地に出向いております。
○鈴木強君 現地においでになりましていろいろ直接農家の方々とお話があったと思いますが、その中で、私は調査の結果問題になりましたのは、その一つは、いまおたくで申し述べられたようなラジオ放送なり新聞広告なりが、それぞれ私もここに写しを持っておりますから、そのとおりだと思いますが、ただ、二十三日当時の判断というものが非常に問題だったということですね。というのは、その具体的な例ですが、甲府市の桜井という地区に私どもは視察に参りました。その際に、現地の代表者が申すのには、いまお話しのように、五月二十三日に、武田ジベラ錠で処理したものと協和のジベレリンで処理したるものとの間に差があることを発見した。そこで、山梨県の県の果樹試験場のほうからも係官が現地へはせ参じておるようです。そこで、いろいろと調査をした結果、大体武田ジベラ錠のためではないかと、こういうことがわかったわけです。そこで、農家の方々はほかのジベレリンで再処理をしようとしたのですけれども、おたくのほうから——これはセールスマンだと思いますね。当時まだ二十三日は行っておらぬわけですから、セールスマンが来ておられて、絶対だいじょうぶだ、これは絶対だいじょうぶだ、こういうふうに強硬に主張されまして、再処理をしようとする農民の気持ちを押えつけた。当時、県は、再処理をしなさいと指示を出しておったわけですね。ところが、そこへ行って、再処理をしちゃいかんと主張して、とうとう処理をしなかった部面もあるわけですね。そういうことがございます。これは五月三十一日の「山口」じゃないかと思いますが、六月一日ですか、私の持っておるのは日付が三十一日になっておりますが、おたくの新聞広告を見ると、出先のセールスマンか、あるいはメーカーの代表者でしょうか、そういう人がおっしゃった内容があるわけですよ。「弊社といたしましては、製品の品質にはまちがいないと信じておりますが、」と。ここで万一のことを言っている。「万一これにより損害を与えたことが明らかとなりました時は、よく調査の上、誠意をもって善処し事態に応じた措置をとって、ご使用された方々のご納得を得る様努力したいと考えております。」と。要するに、だいじょうぶなんだということをここで言っているわけですよ。万一のときは補償するから、まあ補償というか措置をするから、心配しないでくれというふうな趣旨のことを言って、再処理を妨害した。農民の側から言えば、再処理を妨害された、武田の人たちによって。これはけしからぬと、こういう意見が率直に出ておりました。 それからもう一つは、そこに来ておりました玉諸という地区の代表者が私たちに話してくれたんですが、その翌日の五月二十四日に、朝、農民が集まって、たいへんなことが起きたというので、大体二百名ぐらい農家があるのですが、そのうちの百名、半分が集まって、いろいろ協議をしてみた。しかし、そのときも、メーカーは、おたくのほうは二十四日に行っておりますから、あるいはその方が言ったかわかりません。あるいは着いておらないかもわかりません、二十四日の朝ですから。協議した結果、やはりメーカーのほうで、どうしてもこれはだいじょうぶだから再処理の必要はありませんよ、もしするならば、問題があった001を使ってくださいと、こういうことを言ったんですね。そこで、農民は、これは大事だというので、半分の人じゃだめだというので、夜また二百名全員を集めて、そこで協議したわけですよ。その際にも、おたくのほうから見えまして、絶対だいじょうぶなんだ、だからもしも再処理するなら001を使ってください、万一のことがあったら補償しますと、一筆書いた。これは向こうの玉諸地区の人は持っていますよ。一筆書いたものですから、農民はたいへん心配しつつも、補償してくれるならひとつ会社の言うとおりに、この問題になった001だと思うのですけれども、それを使ってみようということで使った。そうしたら、最悪の事態になっちゃって、ここにもありますような全くもう何にもならないという形になった、こういう事実があるわけですよ。 だから、一たん売り出した薬品について、そういうときには、農林省なりあるいは現地の試験場もあるわけですから、そういう方々とも十分連絡をとって適切な措置をしていただきませぬと、非常に問題が根にこもってくるわけですよ。農林省から回収の指示をしたのが六月の三日でございますか。それで、いま十三万本返ってきたというのですが、これだけの措置を農林省がとろうとするその趣旨はわかります。これは検査の結果でなければわかりませんけれども、とりあえずこれはあぶないというので、こういう措置をとったんでしょう。だから、私はこれはいいと思うんですよ、こういう措置をしたことは。だから、その間における、おたくの会社における意識過剰といいますか、自信過剰といいますか、そういうものが被害をさらに助長させているという結果がわれわれの視察から出てきているわけですから、これらの点は、もうほんとうに武田製薬ぐらいの大きなところですから、もう少し各方面の意見も聞いてやるようなことができなかったんでしょうか。少なくとも二十四日に問題が起きて、農林省も農林省で、どういう報告を受けておったか知らないが、三日になるまで回収措置もとれなかったというようなことも、これもおかしな話しですよね、言うならば。すでに大阪府でも、新聞によって知るんですが、二日の日に、大阪府の農林部と府の農業技術センターが、使用禁止処分をしておるですよ。それからこういうことがはっきりした。それだから、山形県では、せっかくおたくから買ったけれども全部お返ししますということで返しているわけですよ。ですから、もう少し徹底的な段階に至らない前にもう少し適切な措置がとれなかったんだろうかということを私はいまつくづく思うんですがね。顧みて反省するところがないでしょうか。これは農林省からも聞きたい。
○参考人(西村伊一君) まず、終わりのほうから申し上げますが、山形県で回収が比較的に早く実施できましたのは、当地方よりも若干開花の時期がおそうございます。したがって、ジベラの処理もまだ手をつけておらなかったというときにそういう疑わしい状況でございましたので、山形県当局も、また、われわれのほうも出張員がおりまして、これは使ってもらっちゃいけないということで回収措置をすばやくすることができました。ところが、山梨県の場合には、まだ問題の当初でございまして、先ほど自信過剰じゃないかという御忠告をいただいておりますが、あるいはそういうことあったかもわかりませんが、薬の作用によって今回の場合に従来の経験からしてもそういうことが起こるはずがないというふうに思っておりましたので、末端の販売員などは、あるいはこの製品は間違っておらないということを強調したかもわからないと思います。一方、情報は、異常がないという報告もあり、また、異常が起こっておるという報告もまちまちでございましたが、ともかく疑わしいものについては早急に処置しなければならぬということで、先ほど申しましたように、それぞれ指示はいたしたのでございますけれども、何ぶん、時点の相違によりまして、若干の行き違いと申しますか、不徹底というような点があったのじゃないか、そういうふうに考えます。
○政府委員(森本修君) 各県において起こりました日付とそれから私のほうの処置をいたしました日付との間に若干の日にちがございまして、結果的にこう並べてみますと、かなり日にちの開きがあるというふうなかっこうになっております。その点は、私どものほうとしても、今後、こういう事態が起こりました際の中央と各県との連絡のあり方については、十分今後敏速にいくように検討しなければならぬと思っております。 事の動きを正確に申し上げますと、実は、山梨県から連絡が口頭でございましたのが、五月三十日ということになっております。それで、正式に書類で来ましたのが、六月一日付の書類が六月二日に私どものほうに到着いたした、こういうことでございます。その後、各県にも同種事態がありそうだということで、実は照会をして、各県の状況が現在の段階ではややわかってきておるところでございますが、とりあえず先ほど申し上げました山梨県の事態を主として基礎にいたしまして先ほどの処置をとった、六月三日に。そういう経過になっております。
○鈴木強君 まあこれはどちらを責めるということじゃなくて、それぞれ有機的な連携をとりつつ中央地方の行政は動いているわけですから、まあ県側のほうも、五月三十日に口頭で初めて農林省に来た、そういうことは非常に遺憾だと思います。その点、私ももう少し調査をしてみたいと思いますが、いずれにしても、こういう経験をひとつ生かして、他山の石として、もっと適切な措置をとっていただくようにしていただくことと、また、会社のほうの、自分の品物は悪いとは言いにくいでしょうね。しかし、現実にそういう被害が起きたときには、もっと早くそういう再処理をとりなさい、あるいは、あぶないからほかのものを使ってくださいと。第一回の処理をして、残っているのがおそらく何十万本とあるはずですよ。武田でも協和でもそういうものをつくっているのですから、それを使っていただいて安心のできる再処理をして、少しでも第一回の農薬の被害をカバーしてやるという親切心が、そういう場合には商魂を忘れて、人道観として出ていかなきゃならぬ。それが薬屋さんの仕事でしょう。私はそう思います。そういう点にまことに欠けておった点があったと私は残念に思っております。これは私の強い要望として申し上げておきます。 そこで、何回かあなたもおっしゃいますように、最終的な科学的な調査は農林省の農薬検査所の結果を待つといたしましても、西村さんのおっしゃっているように、現地農民は被害が出ていることは間違いないわけでから、相当の損害を受けております。たとえば、甲府市でちょっと聞きました話で十四、五億という話もあるんでして、そういったことはいずれ最終的な収穫を待ってみないと、どの程度の品物が売れたのか、品質がどうなっているかということはつかめないと思いますから、それは一応時間がかかるとしても、とりあえずその被害に対して、現在の農業取締法その他においては、武田製薬が責任をもって賠償の責めに応ずるということがないわけですね、法律的には。もちろん損害賠償を民事的にあるいは刑事的に起こすことは自由でありましょう。しかし、そういう争いでなくしておさめたいというのが私は武田のお気持ちだと思います。 また、この取り締まりその他について、さっきから申し上げておりますように、行政のあり方に足りない点があったことは、やはりこれは農林省の重大責任だと私は思うんですね。ですから、これは、どっちがどうということでなくて、あらゆる知恵をしぼって、いま農民があすからの生活に困る。おそらく、生育がおくれておりますから、普通ですと、六月のたとえば十日になれば製品として出荷でき、現金になるものが、十日か二週間かおくれると思います。そうなりますと、もう何月何日にお返しするということで借金している人がたくさんあります。その金を払わなきゃなりません。こういう金について、一体、農林省は、つなぎ融資的なものを出してくれるか、補償の問題の一貫として。これを私は聞いておきたい。 それから基本的に、武田製薬としては、ああいう長い歴史と伝統の中でおたくののれんがあるわけですから、そののれんにふさわしい誠意を持った被害に対する補償ということを考えていただけるものと思うわけであります。大阪におきましては、新聞によりますと、すでに六億の被害が予想される。そこで、とりあえず会社のほうでは一億五千万円を関係の農協に預託をして、農民の方々に、些少ではありますが、とりあえず——これは内金とおっしゃったかどうか知りませんが、これだけは見返りとして預託しておきます、あとは収穫期を待って被害の状態を十分調査した上で最終的な決着をしてあげましょうと、こういう一応責任のある態度をとっておられますね。さっきも言ったように、半ば強制的に悪いやつを使えと言った、もし間違いがあったら補償すると言った一筆も入っているわけですから、そういう道義的な責任からいっても、私はやはりこの被害に対しては農民が納得できる補償をぜひ考えてもらいたいと思うのでありますが、これはあなたは社長でないのですから、ここで最終的に腹まで言ってもらいたいと思いませんが、また、できないかもしれませんけれども、担当の常務としてやっぱり御所信もあるでしょうし、決意もあるでしょうし、それからまた、ここにいらっしゃるのには、社長、副社長ともその点については少なくとも打ち合わせ、お話をして来ていると思いますから、どうかひとつ被害農民が納得のできるような誠意を持った補償に対するお答えをまず武田さんから伺い、それからさっきのつなぎ融資その他の問題を含めて、農林省としての責任もあると思いますから、その責任をどう果たしてくれるのか、私は誠意を持ったお答えをいただきたいと思います。大体、農林大臣が三時半に来るというのが、もう四時半になったが来ない。これはどうしたことですか。大臣に聞きたいことだが、来なければ、まあ政務次官でいいですから。
○参考人(西村伊一君) 冒頭に申し上げましたように、今回の事故につきましては、被害農家の方々が非常に当惑をされておるということについて、たいへん遺憾に存じている次第であります。大阪のほうでは、比較的地域も狭く、また、農家の方々の御要求も比較的早期にまとまって出てまいりました。さっそく交渉に入ったわけでございます。その結果につきましては、一億五千万を預託するということ、なお、その後の経過によって相談する、そういうことで、現在なお交渉は継続中でございます。山梨県下の方々に対しましても、御申し出がございますれば、われわれはできるだけ早く御交渉に応じて御折衝申し上げたいと存じます。補償につきましては、たびたび申し上げましたように、誠意をもってこれに当たりたい、そういうようなことでございます。
○鈴木強君 少し熱意の点で私は疑問を感ずるから、重ねて申しますが、その申し入れがあればというおことばですが、それはあなた何か人ごとじゃないですか。もう少し現地に乗り込んで、いま、あすをどうするかという農民とひざをまじえて話はできないのですか。そうして、もう少し誠意のある態度で接してもらいたいんですよ。実際、農民は、むしろ旗を立ててあなたのほうの本社まで乗り込もうと言っておりますよ。いいですか。それだけのやっぱり憤りを持っておりますよ、この農民の被害については。そんななまぬるい問題じゃないですよ。あしたから自分の子供の学校の授業料をどうするかということに響いてくるんですよ。飯がかかっているんですよ、これは。 私は、ここで、約二時間にわたって意見を伺いました。幾つかの点においてわれわれは納得のできない点がございます。しかし、ここでその問題を申し上げてもどうにもなりませんから、最初から申し上げましたように、私の質問は、再びこの事態を起こさないように、農薬の管理についても、品質の分析についても、法律的な不備があればそれを直していただいて、再び被害を起こさないようにしてもらいたい、その願いを込めて私はあなたに質問をすると申し上げたでしょう。決して私はあげ足をとろうとか、そんな気持ちは全然ございません。要は、起きたことはやむを得ません。何んとしても元に戻りません。再び起こらないことを考えてください。そのために、いまとりあえず農民が困っているその被害の窮状について、法律的にはそれは訴訟を起こすかもしれません、損害賠償を。あなたそれは好まないでしょう。それならば、県側におきましてもその交渉の窓口を開いて皆さん方とやろうとしております。ですから、もっと積極的に、社長がいらっしゃるなり副社長がいらっしゃるなり、あなただって一度も行っていないでしょう、山梨へ。いらっしゃったんですか。いらっしゃったんなら失礼ですから取り消しますが、もう少し社をあげて農民に対する償いをしてくれませんかね。
○参考人(西村伊一君) 先ほど少し私の答弁が足りなかったように思いますので、つけ加えて申し上げたいと思います。 農家の方々から御要求があればというのは、きわめて交渉の形というような意味で申し上げましたわけでございまして、気持ちにおきましては、決してお話があるのをばく然と待っておるわけではございません。六月五日には当社の副社長ほかが現地に参りまして、そうして早くお話し合いができるようにしたい、そのためには、広い範囲のたくさんの方々、これの代表が集まってお話しになるということで、ぜひ早くやりたい、できるだけ早くやりたいということを現地で言っております。私も、去る七日に現地に参りました。そういうことでございますので、ちょっとつけ加えさしていただきます。 なお、当社の農薬の製造あるいは販売価格その他一般につきまして、いろいろ先生から御注意がございましたが、今日、われわれは、全くそのとおりに感じております。農薬の問題につきまして、今後再びかかる事故を起こさないように戒心をいたしまして、十分そういう面におきましても償いをつけたい、そういう覚悟でありますので、どうぞ御了承いただきたいと思います。
○鈴木強君 私の誤解の点はたいへんすみませんでした。これは率直におわびします。 それで、私はもう少し詰めた話をしておきたいと思うのです。要するに、農民は、何らかの具体的な問題についての補償を求めているわけです。ですから、大阪の六億に対して一億五千万の預託をされたということは、何といっても農民にとりましては一つの安心感です。いま、山梨の被害を私も聞いて、甲府市の調査では十四億という数字をちょっと見ましたが、そのほか八代郡、中巨摩郡、また南巨摩の一部等にブドウ栽培者がおりますから、そこを集めて、額がはっきりわかりませんので残念ですが、いませっかく調査を進めておりますから、そういう被害額がおおよそわかりましたときに、大阪と同じように、その一つの償いの一部として農民が安心できるようなそういう措置をぜひとっていただきたい。これは少し具体的になって恐縮ですけれども、あなたの誠意はわかりましたので、その点はいかがでしょう。やっていただきたいと思います。
○参考人(西村伊一君) われわれは、そのつもりでおります。
○鈴木強君 じゃ、農林大臣からお願いします。
○国務大臣(倉石忠雄君) 全部のお話の内容を承っておりませんが、先般来事情を聞いております。そこで、今後、このような問題が起きまして農家に不安を与えるようなことがないようにいたさなければなりません。農林省といたしましては、ただいまその原因及びその実態を調べておるところでありますから、それに基づいてできるだけのことをいたす用意を持っております。
○鈴木強君 大臣が三時半ごろいらっしゃるということですから、お待ちしておりましたが、何かの御都合でおくれたのだと思います。そこで、いまお話を承りましたが、大臣、こういう点ですね、もう少し具体的にお答えをいただきたいんです。 一つは、ジベレリン処理のための農薬を購入する資金を各農家は借金しております。ところが、収獲が皆無の場合、あるいはいずれにしても生育がおくれておりますから、収獲の時期が延びますね。普通ですと六月十日が、六月二十日になるということは当然予想されます。そうしますと、十日にはもう商品は出回って金になる。したがって、返済の期日は六月十日としておりますね、農民は。ところが、十日なり十四日なり延びますから、その場合困るというんですね。その場合につなぎ融資的なものを何とかしてもらえないだろうかというのが一つあるわけです。 それからもう一つは、さっきから私は農薬検査所長さんあるいは農政局長の森本さんからもいろいろとこの問題についてはただしましたが、行政機構、組織上というよりも、運営の面において人が足りない点もあるのでございましょう。それから根本的に、やはり農薬に対する考え方についても、あるいは検査所長のおっしゃる考え方、あるいは農政局長のおっしゃる考え方には、明らかに食い違いがありました。これは久保政務次官にその点は中に入って調整をしていただきましたが、かくのごとくやはりそれぞれの立場立場においてお考えもあるようですから、私は、要員の面におきましても、もし不十分であるならば、ぜひこれは是正をしていただきたい。公団・公社の廃止の問題もあります。けさも新聞で拝見しました。十年勤めると二千万近い退職手当をもらって、しかも二度三度と場所をかえて理事長なり総裁になる人もおります。これはむだです。こんなものはすぐなくしたらよろしい。だけど、現実に検査員が本省に駐在しておるようですが、関係の各全県下に派遣するような場合でも、人が少ないように思います。農薬の管理そのものに対するかまえがやっぱり欠けておるように思うのであります。ですから、そういう点の行政面の引っこんだところはぜひ直してもらいたい。 それから根本的には、いま問題になっている補償の問題については、これは刑法上あるいは民法上の争いをして損害賠償をするということはあるでしょう。あるいは、表示が間違っていることから詐欺罪で告発するかもしれませんが、そういうことがあるとしても、もっと農薬の補償に対して、まあこれはブドウだけじゃないと思います、全体のものに言えると思いますが、そういうものに対する何らかの補償措置というものも法律上不備があると思いますから、それらの点についても十分検討していただいて、そして是正すべき点は是正していただきたい。 こういう三つを中心にいま論議してきたわけですが、締めくくりとして——渡辺委員も質問があるようですからこれで終わりたいと思いますから、大臣からそれらの点についての御所見を承りたいのであります。要は、武田のほうも誠意をもって補償に当たるということも言ってくれました。まことに私はけっこうだと思いますし、どうかそのようにしてもらいたいと重ねて願うわけでありますが、同時に、そういう管理その他についての欠けている点はやっぱりあったわけですから、農林省としてもその責任は当然あるわけです。したがって、その責任を果たしてもらいたい。そういう角度から、いま三つの問題についても具体的に取り上げたわけですから、その点を心得てくださいまして、ひとつ大臣から農民の納得できる御回答をいただいておきたいと、こう思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 行政関係のことにつきましては、私ども気のつくこともございますので、こういうことを契機に至急に対策を講じてまいりたいと思います。 それからつなぎ資金のことも、もしそういう事実であるならば、これはお気の毒なことでありますので、系統の資金をもってそういうことの便宜を与えられるように指導いたしてまいりたいと思っております。
○鈴木強君 補償の法律問題は……。法律的に補償する道がないんですよ、農薬の被害に対して。
○国務大臣(倉石忠雄君) それは、先ほど申しましたように、ただいまこちらのほうでは原因と実態を調べておりますので、その上で、そういうことが必要であるということならば、当然やらなければならないと思います。その実態を調査いたしておるところでありますから、その結果に基づいて善処いたしたいと思まいす。
○鈴木強君 それからきょうは山梨県から岸先生においでいただいのですが、私は先ほども御研究に対する明快な御回答をいただきましたのですが、ひとついい機会ですから、せっかくお忙しいところをおいでいただいたので、今回の事件に対して東奔西走されました先生として、よってきたった原因、さらに今後どういうふうな措置をすべきかというようなことの御所見がありましたら、非常に貴重な機会でございますから、あなたのとうとい意見を承っておきたい、こう思うのですが、いかがですか。
○参考人(岸光夫君) 一つは、再処理によって種ありが含まれることを防ぐ時期に見つかったことは不幸中の幸いだと思います。二十四日は、横根地区は全部処理をいたしました。二十三日の午後、現地におきまして指導したわけです。二十四日には、普及員を全部集めまして、こういう段階でこういう程度の伸びの悪いものは再処理をするようにということを指示いたしました。それが末端までどの程度到達し、実施されたかは、いまのところまだ明らかではございません。今後それを調べていきたいと思っております。 そのときに、直感的には、これは薬がいけないのじゃなかろうかという感じが来ました。次に来たのは、ロットナンバーでこの被害がどの程度しぼれるかということがぴんと来たのですけれども、それで関係者にお聞きしたところが、あまりロットの数が多いものですから、これじゃ県内全部にばらまいているからたいへんだぞと二十三日に考えて、二十四日に再処理という手段をとったわけでございます。そのときは防げる。花が咲いてしまうと防げないのでございます。大阪の被害が多いということは、私の知っている範囲では、花が咲いたあと感知したものですから、やっぱり時間切れみたいなかっこうで、あとの手は打ちようが技術的にはございません。そういう点では、手当てされてどの程度被害が軽減されたか、今後の調査を待たなければなりませんけれども、私たちとしては、そういう貴重な体験として今後こういう場合に処していきたい。 要するに、種なしブドウというのは、花が咲くときに、柱頭の中に——専門的になってしまいますけれども、ジベレリンの濃度が、私たちが調べた範囲では、一億分の八十ですね、〇・八PPM程度入っておれば種なしになるようでございます。それが皮をかぶっておりますから、二週間前、十二日前にかけまして、それがだんだん浸透していって、その期間が十日であり、十二日であり、十四日であるというように解釈しております。しかしながら、武田ジベラ錠を使って伸長の悪いものは、おそらく五〇%か七〇%か八〇%か種なしになるわけだと思います。あとの残りのものは、種なしにならないでしょう。概して、おそく咲く花が種ありになる可能性がある。早く咲く花は薬がきいているものですから、そういうことから、花の咲く直前であっても、処理すれば種なしになるという一つの判定で、それも一〇〇パーセントにはいくかいかぬかはちょっと結果を見ないとわかりませんけれども、普通、九五%以上でございますれば、種なしとしての商品性は失うことはないのです。われわれの研究は、九五%を一応の最低線として研究もしておりますし、その効果も判定しております。そういう点から、それには到達するであろうということで、現在の発育状態から見まして、やはり再処理をしたのはよかったというのが農民の偽らざる声でございます。 以上でございます。
○委員長(野知浩之君) 参考人の方には、長い間、本件調査に御協力をいただき、ありがとうございました。 本件につきましてはこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(野知浩之君) 次に、干ばつ対策に関する件を議題といたします。 なお、資料要求について申し上げます。渡辺委員から、昭和四十二年の干ばつ被害状況及び干害応急対策事業に要した経費について資料要求があり、ただいま農林省から提出されましたので、これを本委員会の資料といたしますから、御了承願います。 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○渡辺勘吉君 少し要約してお伺いをいたしたいと思いますから、答弁も要点だけを簡潔にひとつお願いいたしたいと思います。 まず、ただいま提出をいただきました資料について、農林省の災害対策本部から七日現在の干ばつ被害状況の集計が出ておりますから、それのトータルだけでけっこうでありますから、ひとつ御説明をお願いします。
○政府委員(桧垣徳太郎君) お手元へ御配付を申し上げました「昭和四十二年干ばつ被害状況調査集計表」の総計の数字だけ御説明申し上げます。 被害の発生総面積は、六月七日現在で三十一万二千三百六十七ヘクタールでございます。そのうち、応急対策によって救済を措置されました面積が十四万八千五十一ヘクタールでございます。差し引き六月七日現在の被害面積として残っておりますものが十六万四千三百七ヘクタールということに相なっております。
○渡辺勘吉君 もう一つ、応急対策事業の経費……。
○政府委員(和田正明君) もう一つのほうの資料について簡単に御説明を申し上げますと、県庁の報告によりますと、六月七日現在におきまして、応急対策として水路を掘さくいたしまするとか、あるいは井戸を掘りまするとか、ポンプを購入し、あるいはポンプを借り入れました等の事業をいたしました総額が二十二億二千三百四十四万三千円ということで現在県の報告が出ております。
○渡辺勘吉君 気象庁長官にお伺いしますが、短期予報、今後の一週間あるいは三週間、あるいは三ヵ月、そういうものをお伺いをいたしたいのと、時間がありませんから、まとめてお伺いしますが、最近の過去十ヵ年間を見ましても、三十三年、三十五年、三十六年、三十七年、三十九年、四十年、四十一年、そして本年と、八年も干ばつが発生しております。また、インドにおいても、大干ばつが現在発生中である。したがって、こういうことは、気象学的に見たならば、干ばつの周期に入っているのではないかという学説も見出されるようでありますが、このような干ばつは、気象庁では、今後の長期の展望において、一体どういうふうに掌握をされておるか。 以上、二つをまとめてお答えをお願いします。
○政府委員(柴田淑次君) 初めの御質問の今後の見通しでございます。 まず、短期予報といたしましてきょう週間予報を発表しましたところによりますと、実は、まだ先生のお耳に入っていないかもしれませんが、きょうつゆの入りということを公表いたしました。しかし、本格的の雨が期待されるのは、中旬あるいは中旬以後のことであろうと考えております。 今後、あしたからの一週間の天気でごございますが、一週間のうちの前半は曇りときどき雨、曇り一時雨、そういうことでございまして、来週の火曜、水曜ぐらいに晴れたり曇ったりというように天気がよくなりまして、そのあと、木曜、金曜にかけましてまた、曇り後雨、あるいはときどき雨というような天気になると考えております。 それからもう少し長い一ヵ月予報でございますが、六月の中旬は、つまり十日以後でありますが、梅雨らしい天気が多くなります。しかし、先ほど申しましたように、中旬の後半ぐらいから各地で比較的雨量が多くなる。それから下旬になりますと、いよいよ梅雨となりまして、各地で雨が降りやすくなる。特に六月下旬から七月上旬にかけましては、局地的の大雨のおそれがございます。今度のつゆは、何度も申し上げていますように、陽性のつゆでございまして、局地的に大雨が降るかと思えば、局地的にはあまり雨が降らない。干ばつというほどのことはございませんけれども、雨が降らない。それから一ヵ所においても、降ったかと思うと、ぱっと晴れるような陽性のつゆでございます。 それからもう少し長くなりまして三ヵ月予報のことを申し上げますと、梅雨は七月の十日ぐらいに明けるのでございますが、そういった陽性のつゆが明けますと、今度は暑さが急にきびしくなりまして、われわれが心配しているのは、特に関東以西の地方で雨量が少なくなるような傾向にある。干ばつのおそれがあると言えば、またこれちょっと大げさになるかもしれませんけれども、ともかく関東以西の方面では雨量が少なくなる。それから本席は農林水産委員会でございますので、ついでに気温のことを申し上げますと、東北地方の冷害の心配は、ことしはまずないのではないか。しかし、北海道におきましては、若干の心配が残るというようにわれわれは考えています。 なお、台風につきましては、平年よりも本年は多少多目に発生するようでございまして、八月下旬までに大体二個ぐらいが日本に接近するのではないかということでございます。 それから第二の御質問の、干ばつのずっと数年後の見通しでございますが、先日、新聞にも一つの論文のようなものが発表されまして、これから干ばつ期に入るであろうということが新聞に載っておりました。確かに、世界的に見まして、気候の変動期に現在当たっているということは言えると存じます。したがいまして、どういうような動期かと申しますと、雨の少ない寡雨の傾向にありまして、まだこの寡雨の傾向は当分続く。当分と申しましても、十年余りは寡雨の傾向が続くのではないかというように気象庁のほうでは見ております。 以上であります。
○渡辺勘吉君 一気かせいに伺ったので、ちょっと私なりに整理することは容易じゃないのですけれども、実は、一昨日、この委員会で茨城県を中心に干害の現地調査をいたしたのであります。その際に、現地の案内で守谷町の大野土地改良区に参ったわけであります。百四十ヘクタールを対象とする改良区でありますけれども、そこでは、従来は湧水地帯で水に悩まされておる地帯であったので、当然の措置として排水施設が完備をしております。しかし、ことしはこの干ばつで、揚水機場の施設もいまだ完備しておらないために、百四十ヘクタールのうちの四十ヘクタールが作付をしたままで、あとの百ヘクタールは、現在も鬼怒川からの仮施設による揚水作業では一体何日かかったならば完全に作付が完了するか、それぞれの当事者に聞いても統一した見通しすら現地では回答が得られないような非常な容易ならざる事態にあるわけであります。水に悩み、水害におびえ、干害におびえておる。まさに水に悩まされておる縮図を見た思いがいたしたのであります。これは、単に一昨日見た大野地区の特殊現象であるのかどうか。私は、これは広く考えたならばやはり国全体として触れておかなければならない基本的な政治課題ではないかというふうに感じて帰った一人であります。 たまたま、きのうの新聞を見ますと、夕刊でありますが、同じスペースに、建設省は今度は出水警戒ということで次官通達を各地方建設局や都道府県に出しておる。いま気象庁から答弁がありましたように、梅雨は陽性型であるということで、土石の流出発生危険区域の対象をあげて一万六千ヵ所をこえると、これに対する警戒警報を出しておる。同じ続けた記事に、干ばつ調査団が衆議院の議運できまった云々の記事が出ておる。一方は水の危険についての記事が出、一方は干ばつの記事が出ておる。これは、応急的なこともいろいろお伺いをいたしたいし、特に大臣の出席を求めたのは恒久的な点について若干お尋ねしたかったからにほかならないのでありますが、これは設建省でありますか、もっと基本的に、一体、政府としては、水の問題を長期の展望に立って検討もし、対策も十分確立しておるのかどうかということに私は問題意識を感ぜざるを得ないわけであります。 ただ、きょうは、時間がありませんので、いろいろお伺いすることも差し控えなければならぬわけでありますけれども、たとえば、ただいま農林省で発表されました干害による被害面積、七〇日現在の十六万四千ヘクタールも、これから作付をする地帯において、今後の降雨量等の問題、あるいはダムからの放出の流量の問題等々を勘案したならば、かなりこれは心配が拡大するという方向というものが多分に懸念されるのではないかと思うのでありますが、これはもとより予想された天候とのかね合いで実態は相当変更することも当然あるわけでありますが、もとより対策本部でありますから、それぞれ専門のスタッフでそれらも検討されておられることだと思いますので、六月末までを限って、各県別の七日現在の作付の実態に応じての被害の現状把握でありますが、今後植えつけをしなければならない特に西日本地方等を見て、気象庁の予報等を勘案して、どれだけの干ばつ被害というものを六月末を目途として検討しておられるか、その点をこの機会に明らかにしていただきたい。
○政府委員(桧垣徳太郎君) 本年の気象の現象が、御案内のとおり、非常に異常な気象の状態をもたらしておるのでございまして、そういうことから、現に発生いたしております干ばつの被害もその結果にほかならないのでございますが、現状におきます被害の状況は御報告申し上げたとおりでございますが、六月末の時期におきまして、これから稲の作付が西部へ順次伸びていくわけでございますが、それを見通してどれだけの被害面積が発生する見込みかということにつきましては、今後の降雨その他の事情も明確にはとうてい見通せない事情でございますので、遺憾ながらどのくらいということを申し上げるわけにまいらないのでございます。 ただ、ただいま気象庁のほうからも御説明がございましたように、梅雨に近づいてまいりまして、現在までの足取りを見ましても、東北地方等ではこの一週間ばかりかなりの雨量がございまして、著しく干ばつの事情は解消をいたしておるのでございます。関東につきましては、ダムの放水等の効果が今後あらわれてまいるというふうに思われますので、現在の気象の条件のもとでは、少なくとも当面は被害の解消は進んでまいるというふうに思われるのでございます。私どもといたしましては、現在、十六万四千ヘクタールの被害面積として残っておるものがあるのでございますが、そのうち、各種の手だてをいたしまして約十一万二千ヘクタール程度は現状において解消し得るということでございます。若干現状において見通しが立ちにくいというものが五万ヘクタールばかりあるということでございます。
○渡辺勘吉君 六月までは、私も、そういうようなことの御回答をいただけば、そういうものかと思うわけです。ただ、気象庁の先ほどの報告にもありましたように、これが、来月の中旬以降、いわゆるつゆ明け以降の干ばつの危険がいまの答弁にあるわけです。干ばつ自体を取り上げて考えますと、九月まではこれはやはり問題があるわけで、しからば、九月までの展望で、一体、対策本部はどういう見通しをお立てになっておられるのか。
○政府委員(桧垣徳太郎君) 長期の気象予報についても気象庁のほうからお話がございましたが、私ども、本年の稲作の開始期以前にあたりまして、気象庁の長期予報等も伺って、それについての農林省としての心がまえ、対策の方針等を考えなければいけないということで勉強いたしたのでございますが、ともかく、ことしは、少なくとも当時伺いましたところでは、気象の変動が非常に激しい年である、したがって、干天が続くかと思えば、局地的には豪雨が起こり得るというようなことで、たとえば例年に比べてどのような地域的にあるいは全体的に雨量になるかということも予測しにくい気象であるということでございますので、また、そういう長期の予報はそもそもそれほど雨量というような形ではなかなかつかまえられるものではないというようなことでもございますから、お話のように、九月初旬までは、これは農業用水を必要とする時期でございますから、気象のいかんによっては干ばつなしとしないということではございますが、それを九月まで見通しましてどういうになるだろうということは、残念ながら私どもの力では何とも見通しがつかないのでございます。
○渡辺勘吉君 農民は、本能的にやっぱり最終の収穫までは干ばつについては非常に不安に思っているわけです。事前の措置をできるだけ人力をもってして解決できるものは集中的に予防措置まで講じていただきたいということを、この機会に、あらためて前もってお願いをいたしておきたいわけです。 それから対策本部でありますから、この機会にお伺いをいたしますが、確かに、干ばつの中に局部的な集中豪雨があるという、きわめて変則的な事態を招いておるわけであります。したがって、資料としては干ばつの資料をいただきましたが、局部的な集中豪雨あるいは降雨等のために、干ばつ被害も解消しておる部分的な地域も出て、毎日のようにこの実態が流動しておるわけでありますが、その中で特にこの機会にお伺いをいたしますのは、集中豪雨によっていままで被害を受けておった農作物、水田あるいは畑作というものは、全体でけっこうであります、どういうふうな実態になっておるのでしょうか。
○政府委員(桧垣徳太郎君) ことしは、干ばつの現象と同時に、また、一部には局部的な豪雨があるという気象庁の見解でございましたが、すでにその徴候があらわれておるのでございまして、六月五日に、岩手県下に、中央部のようでございますが、十二時から十八時までの間に豪雨がございました。そのために、統計調査事務所の報告によりますと、約三百五十ヘクタールの水田が冠水をいたしており、一部堤防決壊等もあって、水田の流失、埋没も発生の見込みであるということを言っております。また、同時にその時期に岩手県下の一部の地域に十五分間にわたって降ひょうがあったということが報告をされております。この際の雨量は、花巻で四十四ミリ、北上で五十一ミリというふうに報告が来ております。 なお、異常といいますか、異常気象と思われるような現象の一つとして、五月二十八日に福岡県下で降ひょうがございました。いまのところ、集中豪雨として農林省に報告のございましたものは、岩手県下の六月五日のただいまの集中豪雨でございます。
○渡辺勘吉君 岩手県だけなんですか。私、ここの委員会へ出るのをおくれて来たのも、岩手から直接電話が二回も入ったのでおくれて来たんですが、私のところへ来ましたけさの県の防災本部でまとめた数字によりますと、六月五日の岩手の集中豪雨による被害は八億九千万。そのうち農作物の被害が七億四千六百万。この七億四千六百万のうち、水稲に対する被害が、水田の流水、埋没と冠水で、この面積が四千七百二十六ヘクタール、被害金額四億六千三百万、以下ひょう害が果樹とたばこというふうに報告を受けております。 これからもこういう異常的な集中豪雨等が出てくるということになれば、当然、政府としては、干ばつとあわせて、いずれにしても水の害でありますから、総合的な災害の対象として取り上げられるのですか、また、分離されるのですか、その扱いはどうなるのですか。
○政府委員(桧垣徳太郎君) 私どもといたしましては、今回農林省内に災害対策本部を置きましたのは、本年度の稲作開始期以降の異常気象による農業災害に対処するための前哨的な統一指導機構ということで設置をいたしたつもりでございます。したがって、干ばつはもとより、集中豪雨等による被害に対処する任務も負っておるというふうに考えて発足いたしておるのでございます。
○渡辺勘吉君 それでは、二、三具体的な点についてお伺いして、あと建設省と農林大臣から総合的な点を伺って、私の質問は終わりたいと思います。 現地に参りまして、茨城なりあるいは千葉の県当局あるいは被害地の町村あるいは被災者等の意見の中に共通して出ている問題の一つは、揚水機あるいは水路なり、そうしたような応急工事費がだいぶかかっておる。いただきました応急対策事業経費の中にもありますように、千葉県では七億六千万円かかっておる、茨城県では二億七千万円かかっておるということでありますが、そのまま政府の提出された数字として出ております。時間がありませんから、私は結論だけを申し上げますが、四割補助だ、国では。ところが、やはり、貧弱な地方自治体では、それにかさ上げをする余裕がない。まあ立てかえてやっておるんだが、国から来るのを当てにしてやっておるという程度であります。よその県はわかりませんが、この両県については。そこで、何とか補助率を上げてくれぬかというのであります、説明の中では。何年でしたか、これは政府ではよく御承知のことだと思うのですが、六割五分の年もあった。陳情者がそう教えてくれたんです。それで、六割五分が実現ができるかできないか。まあできないとしても、せめて半額くらいの補助をこの際何とか政府に考えてほしいというのが現地の共通した願いであったのです。いろいろ御都合もあろうかと思うのですが、この点はぜひ実現さしてやりたいと思うのですがね。まあいろいろな理屈とかということは一切抜きにして、そういう点は配慮願えないですか。
○政府委員(和田正明君) 干害の応急対策の工事に要しました経費につきましては、昭和三十六年から現在の制度を定めまして、一般的には原則として四割でございますが、被害額が全国的に大きく、かつ一件当たりでも非常に被害の大きな県につきましては、五割補助をするという制度をとりましたことが過去においては三十九年にございます。今年のにつきましても、七日現在での県の報告は、先ほどお手元にお配りをいたしましたように、二十二億円という工事費になっておりますので、過去の実例に準じて補助をしていきたいというふうに考えておりますが、今後の被害の程度にもよりますが、御要望の御趣旨のように被害が全体として大きく、また県としても大きな被害の県が実際出てまいりますれば、五割補助という過去の例にならった補助率にしたいというふうに考えております。 ただ、これは過去におきましても最終的には決算補助という形をとっておりますので、今後の被害の実態等を把握をいたしました上で、過去の例に準じた率で補助したいというふうに考えております。
○渡辺勘吉君 まあ水害なら水増しということもあるが、干害だから水増しもできないでしょうから、その決算補助というのは、県から報告がある、それらの経費の実態を政府としても確認をされた上でということなんですか。
○政府委員(和田正明君) おっしゃるとおりでございまして、実は、つい数日前に、干害応急対策に要した経費の助成については原則として過去の実例によって措置をしたいからという趣旨も含めて、証拠書類その他を残しておくようにとか、事業主体は土地改良区が望ましいとか、そういうことで、過去の例に準じまして一般的な指導方針を農地局長名で地方に通達をいたしたわけでございます。おっしゃいますように、そういうことで実際にまずやってもらいましたあとで、それらの証拠書類をもらいまして、それに応じた態様で助成をしてまいりたいというように考えております。
○渡辺勘吉君 大臣、いまのお聞きのとおり、今月の七日までの実態では、各県で干ばつに対して応急対策事業に要した経費、ポンプを買ったり、水を引く水路にかかったりしているのが、この表でも二十二億をこしてあるわけです。私、全体でこんなに多くなるとは思わなかったのですが、こういう巨額なものになった場合でも、決算補助で政府では出されるわけですが、従来は、この補助は四割補助であったわけです。これだけのものが出てきた。不幸にしてこれからもやはりこの経費はふえたって減らないわけですよね。あまり好ましいことではありませんが、ふえるだろうと思うのです。したがって、農地局長が答弁されましたように、従来の補助の経過等を踏まえて、ことしは少なくとも従来の四割というものから一割ぐらいは、かさ上げをして、五割補助をひとつここではっきりと大臣から示して——というのは、やはりこういう災害を受けておる人たちの気持というのは非常に暗いですよ。一割ということは、金額にしては依然として五割自己負担という大きな負担であることはあるけれども、倉石農林大臣がここで大所高所からそういう地域の人たちの気持ちを政治的にさらに判断して、前向きに要望にこたえるということは、明るいともしびを示すものだというふうに考えまして、大臣のそういう姿勢というものははかりしれない被災農家に対する勇気を与えるものだと思うので、大臣からさらにその点をお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 干ばつのことにつきましては、今週の火曜日の閣議後に、関係の閣僚協議会を持ちまして、いろいろ報告を受け、これから万遺漏なくひとつ対処してまいるようにということで協議をいたしました。そういうときにもいろいろ融資や補助の話も出たわけでございますが、とりあえず必要なものは、ここに御報告申し上げてありますような施設を実行に移して、あとでこれは国がお世話をするというようなことでございますが、ただいまの補助の率のことにつきましては、渡辺さん御存じのように、一応この基準がございまして、まあ読めば長くなりますから、御存じだと思います。また、先ほど気象庁のほうのお話も承っておれば、天候は流動的でございまして、早くいい天気になってくれることを望みたいのでありますが、あるいはさらにもう少しふえていくかも存じません。こういう基準がございますので、基準を越えたことになりますならば、私どもはいまの補助率等についてもそのように対処していかなければならない、こう思って、その推移を見ておるのでございます。
○渡辺勘吉君 ついでに農地局長に伺いますが、現地に参りますと、盛んにポンプアップをしておるのですが、ガソリンをたいてやっておる。そういうような燃料の補助というものは、ポンプだけ補助があって燃料にないというのは片手落ちじゃないかと思うのです。かつては燃料にも補助をしたことがある。途中からいつの間にかなくなっておる。これを復活する御意思はないですか。
○政府委員(和田正明君) ポンプの稼働に要しました燃料のガソリンなり、あるいは動力用の電気代なりを補助をしました例は、御指摘のように、昭和三十三年と三十五年とに前例はあるわけでございます。それから三十六年以後いまの応急干ばつ対策に対しまする基準を考えましたときには、過去の三十三年ないし三十五年のときのように、何と申しますか、災害復旧的な感覚ではなくて、団体へのかんがい排水事業に準じた考え方で、なるべく恒久的な施策を対象にして助成をして、将来の干ばつにも備え得るような、そういう用意を含めてしたいということで、補助費その他につきましても、団体へのかんがい排水事業に準じた制度にいたしましたわけでございます。動力費なり油なりは、御承知のように、その場限りの消費のものでございまして、恒久的な施設というわけにもまいりませんし、また、消費量その他についてもほんとうに干ばつ対策に使った部分を明確に区分をするということも、技術的になかなか困難でもございますので、三十六年に、いまのように、恒久的な施設を行なって将来にわたる干ばつに対応していく施設ということを対象にして助成をしていくということに考え方を切りかえりまして、以後やめたわけでございますが、今後につきましても、やはり、考え方としては、半恒久的な施設をつくってもらって、それに一定の比率で助成をして、今後の干ばつの際に備えてもらうという考え方で助成をしてまいりたいと考えておりますので、消耗費的なものについて助成をするということについては、現段階では考えておらないのでございます。
○渡辺勘吉君 建設省に伺いたいのですが、今度の干害でも、利根川なりあるいは鬼怒川その他を現実に見て感じるのですが、多目的ダムというもの、こういうものの運営といいますか、そういう点でいろいろ考えさせられるのでありますが、昭和二十五年に国土総合開発法が制定されてから特に多目的ダムが全国に建設されてきておると思うのですが、これが、一体、何ヵ所いままでできて、多目的の分類ではどういう内容になっておるのか。洪水調節なり、発電なり、かんがいなり、上水用なり、いろいろあるわけであります。その実態をまずこの際明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(望月邦夫君) 多目的ダムにつきましては、現在までに完成いたしましたものが、直轄事業といたしまして約二十六、それから府県営事業として完成いたしましたのが約六十ヵ所でございまして、合計して八十ほどございます。現在、さらに小規模の治水ダム等を含めまして八十ほどの施工の態勢に入っておるわけでございますが、この多目的ダムの容量の中身といたしましては、列記いたしますならば、第一点が洪水調節のための容量でございます。第二案といたしまして農業用水でございますが、この農業用水につきましては、個々の新規の開拓開墾あるいは田畑の補給のための農業用水、これをわれわれといたしましては特定の農業用水というふうに考えております。そのほかに、農業用水の中には、下流の既存の農業用水に対する補給用水といたしまして不特定の用水というふうなものも入れでございます。そのほかに、上水道用水とかあるいは工業用水等の容量がございます。そうしてさらにそれを含みまして水力発電の容量がきまっているというふうな現状でございます。
○渡辺勘吉君 私はどうもしろうとですから、ここには委員長のような専門家もおるから、あまりこんな質問をすると恥をさらすのですが、まあ、しろうとなりに疑問点を申し上げますと、多目的ダムは、岩手にも、田瀬ダムを中心としてたくさんあるわけです。洪水調節が主目的であることはわかるのですけれども、どうも多目的の中心の運営は発電に重点が置かれている観があるわけです。そのために、農業用水としての適期適切な水の利用が行なわれない。これが今後のかんがいの問題の基本の一つではないかというふうに考えてみておるのですが、そういう私なりの色めがねで見れば見るほど、そういうふうな感が深くなる。段階的なダムはもとより発電専用のダムとしてできておりますが、公共投資を多目的ダムに投資をして、そうして、安い発電に奉仕をする。したがって、かんがい用水としては、まあ適期に雨が降るとか、あるいは天気がいいとかということがうまくマッチしないものですから、デスクの上では多目的ダムは本来総合的にその機能を調整すべくしてつくられ運営されているはずなんだけれども、どうも実態はその総合的な運営を拒むような実態に置かれている。ここら辺をやはり農林大臣としては少し検討していただく必要があるのじゃないかというふうに私は考えるわけであります。 大臣も時間の都合があるそうですから、もう私は質問はやめます。最後に、大臣にだけ一問お伺いして終わりますが、大体、水の管理ということを政府は本気でやっておるだろうかどうだろうか。今度の災害に対しても、農林大臣を中心として関係閣僚で何かまとまった結論をお持ちになっておるようでありますが、この機会に私は農林大臣に特に期待をいたしますのは、さしあたりの問題は、まあさしあたりのことで、膏薬ばりのことをやるよりほかはないでしょう。しかしながら、かりに二十年後を考えた場合に、一年間の降雨量というものを考えれば、大体六千億トンぐらいしかないわけです。国民一人当たりで十五トンぐらいしかない。アメリカの例をとってみても、百トンぐらいの一日一人当たりの水の使用量になっておる点からみても、非常に少ない。二十年後を展望しますと、人口の増加、あるいは動物たん白の需要も倍加するということになれば、水の需要というものは非常に大きく伸びていくと思うのでありますが、それらとかね合いをして、もっと真剣に恒久的な、農業用水はもとよりでありますが、あらゆる点についての水質源の有効利用ということを抜本的に対策を樹立して、将来向かうべき国民経済発展にゆるぎなきささえになる、そういう施策を明らかにしていくべき責任が政府にあると思うのでありますが、そういう点について農林大臣はどういうお考えをお持ちなのか。決して場当たりのことではなくて、われわれに明るい期待の持てるような、大物大臣らしい答弁をこの機会に伺ってみたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 多目的ダムのことにつきましては、ただいま建設省側からもお話がございました。水資源公団等をつくりましたあのときにも政府の考え方を申しておるわけでありますが、お説のように、私は、こういうかんがいというふうなことだけを考えませんでも、農業全体から見ましても、水の管理ということは国策的に非常に大事な問題であると感じております。ことに、わが国の気象が非常に激しく変化するようなこともあり得る国柄でございますので、こういう問題に対する恒久対策といたしましては、何と申しましても、ただいまお話しのダム、あるいはため池等の建設、あるいはまた、用水路の開さく、それから至るところにございます取水施設の完備などでかんがい施設の整備をはかることが最も大事なことであると存じます。そのようにいたしまして、安定的な用水の確保につとめるということが、全体としては絶対に必要なことではないか、これが基本的に重要なことであるという考えを持っておるわけでございます。 また、農業関係のかんがい施設等につきましても、政府はこれまでもその点についてはいろいろ努力をいたしてまいりました。また、そのための大規模な工事につきましては、御承知のように、国がみずから事業を実施いたしておりますことは御承知のとおりでありますが、そのほか、県営であるとか、団体営等の事業にも国は助成をいたしましてその整備につとめてまいったわけでございますし、その成果は地方においてかなり見るべきものがあると私どもは存じておるのでありますが、今回の干ばつ、それから先ほど気象庁のお話にありましたような異常気象等の関係も考慮いたしまして、さらに私ども政府といたしましては、水の管理について万全を期してその施策を講じてまいらなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。
○委員長(野知浩之君) 本件につきましては、この程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十四分散会