大蔵委員会 第12号
- 発言数
- 131 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/05/26
会議録
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告申し上げます。 本日、白木義一郎君が委員を辞任され、その補欠として二宮文造君が選任せられました。 ―――――――――――――
○委員長(竹中恒夫君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、政府より提案理由、同補足説明を順次聴取いたします。米田大蔵政務次官。
○政府委員(米田正文君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、本年二月税制調査会から提出された昭和四十二年度の税制改正に関する答申を中心に、さらに検討を重ねた結果、昭和四十二年度におきましては、最近における国民負担の状況及び経済情勢の推移を勘案し、国民生活の安定と企業の体質の強化等をはかることを目的として、所得税の減税を中心とし、これに加えて相続税の減税、企業減税、印紙税、登録税の全面改正、税制の簡素化その他当面要請される諸施策に対応する税制改正を行なうこととし、国税において平年度一千五百五十億円にのぼる減税を行なうことといたしたのであります。 今回は、これらの税制改正のための諸法案のうち、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。 まず、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。 第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかっていることであります。すなわち、基礎控除及び扶養控除をそれぞれ一万円引き上げるほか、配偶者控除を二万円引き上げるとともに、給与所得控除について、定額控除及び最高限度額をそれぞれ四万円引き上げ、また、これらの控除の引き上げと関連して、最低税率を八・五%から九%に引き上げることとしております。なお、これらの諸控除の引き上げにより、所得税の課税最低限は、夫婦と子供三人の給与所得者を例にとりますと、現在の約六十三万円が約七十四万円となるのであります。 さらに、永年勤続者の退職所得の課税最低限を五百万円程度に引き上げることを目途として、現在勤続年数一年につき一律五万円となっている退職所得の特別控除を、その年数が長くなるに応じて五万円ないし三十万円に引き上げることといたしております。 第二は、中小企業の体質の強化に資するため、専従者控除制度の改正を行なっていることであります。すなわち、青色事業専従者給与の必要経費算入制度について、昭和四十三年分からその限度の法定を廃止し、専従者の受けるべき給与の実態に即するよう制度を整備いたしております。 第三は、税額控除制度の改正を行なっていることであります。すなわち、私学の振興に資する等の見地から、寄付金控除について、現行の税額控除を所得控除に改めるとともに、控除足切り限度額を現在の三十万円から二十万円に引き下げるほか、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除について、これらを税額控除から所得控除に改め、その額を扶養控除と同額とすることとしております。 第四は、少額貯蓄非課税制度の適用要件の緩和をはかっていることであります。すなわち、少額貯蓄非課税制度について、現行の一種類一店舗の要件を緩和し、貯蓄の種類が一種類でなくとも、また、店舗が一店舗でなくても、元本の合計額が百万円をこえない限り、その利子所得を非課税とすることとしております。 以上のほか、配偶者控除及び扶養控除の適用条件である所得限度を給与所得等については現行の五万円から十万円に引き上げること、小規模企業共済制度のうち事業廃止に備えるものの掛け金の全額について所得控除を認めること、山林所得、譲渡所得及び一時所得の特別控除を一律三十万円に引き上げること、資産所得の合算課税を行なう所得限度を現行の二百万円から三百万円に引き上げること、源泉徴収を行なう報酬等の範囲を拡大すること、小規模な事業を営む青色申告者について現金主義による所得計算方法を導入すること等、所要の規定の整備合理化をはかることとしております。 ――――――――――――― 次に、法人税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。 第一は、法人の解散、合併に際して行なわれる清算所得に対する法人税課税の仕組みの合理化をはかっていることであります。すなわち、解散、合併の場合には、清算に伴って生ずる法人所得についてのみ法人税を課税することとし、清算分配金は、これを受け取る株主の段階において配当所得として課税することとしております。これに伴い、清算所得に対する法人税率を普通法人については四一%から三〇%に、協同組合については三五%から二一%に引き下げることといたしました。 第二は、主として中小法人に対する税務申告の手続の簡素化等所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。すなわち、一年決算の法人について中間申告とこれに伴う納税を要しないこととされている限度を、現行の二万五千円から三万円に引き上げ、また、被合併法人について控除できることとなっていた外国税額等を合併法人においても控除できることとするほか、法人税の課税所得に関する会計慣行の尊重等、所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。 ――――――――――――― 最後に、相続税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。 第一は、被相続人の配偶者である相続人に対する相続税の減税であります。すなわち、配偶者に対する相続税につきましては、現在遺産額三千万円までの相続分については半額課税の制度を設けておりますが、夫婦間における財産形成及び相続の実情等を考慮して、この半額課税を全額免税にすることとしております。これにより、夫婦間の相続は、ごく限られた高額財産階層を除いて非課税となります。 第二は、生命保険金及び死亡退職金の非課税限度額の改正であります。すなわち、生命保険金は、現在、各相続人が受け取った保険金で一人当たり百万円を限度として非課税としておりますが、この限度額を各相続人の受け取り金額のいかんにかかわらず、百万円に相続人数を乗じた金額とするものであります。 また、死亡退職金につきましては、現在、五十万円に相続人数を乗じた金額のうち、受遺者が取得した死亡退職金に相当する部分を除いた金額を非課税限度としておりますが、これを受遺者による取得の有無にかかわらず、五十万円に相続人数を乗じた金額まで非課税としようとするものであります。 その他、相続税の総額を各相続人に案分する際の計算の簡素化をはかることとしております。 以上三法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し述べました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○説明員(結城義人君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明をいたします。 所得税法の一部を改正する法律案でございます。 最近における所得税負担の状況に顧みまして、中小所得者に重点を置いて所得税の負担を軽減するために、所得税法の改正を行なうことといたし、あわせて所得税制の整備合理化を行なうこととしております。 第一に、課税最低限の引き上げにつきましては、夫婦と子供三人の給与所得者の課税最低限を十万円程度引き上げることを目途としまして、諸控除を引き上げます結果、昭和四十二年度の所得税の納税人員は、改正前で二千三百三十五万人と見込まれるのでございますが、これが改正後で二千七十五万人となり、二百六十万人の減少と相なるわけでございます。 また、退職所得につきましては、現在、勤続年数一年につき一律五万円の特別控除を行なうこととしておりますのを、勤続年数に応じ、十年までは一年につき五万円、十年をこえ二十年までは十万円、二十年をこえ三十年までは二十万円、三十年をこえる年数については三十万円に、それぞれ引き上げ、これによりまして、勤続年数三十五年で退職した人を例にとりますと、現在の課税最低限百七十五万円が五百万円に引き上げられることになるのであります。 第二は、専従者控除制度の改正でございます。中小企業の体質の強化に資するため、今回、この限度の法定を昭和四十三年から廃止し、専従者の受けるべき給与の実態に即するよう制度を整備することとしているのであります。 第三は、税額控除制度の改正でございます。現在、障害者控除、寡婦控除等につきましては、六千円の税額控除としているのでありますが、税制の簡素化をはかるとともに制度の趣旨を理解しやすくする見地から、これを七万円の所得控除に改めることとしております。また、寄付金控除につきましても、寄付を一そうしやすくして私学の振興に資する等の見地から、税額控除を所得控除に改め、控除足切り限度額を二十万円に引き下げることとしております。 第四は、少額貯蓄非課税制度の改正でございます。この制度は、現在、一種類一店舗に限ることと相なっておりますために、一般に利用しがたい面がございますので、この要件を緩和いたしまして、多種類多店舗の場合も、元本の合計額が百万円をこえない限りこの制度を利用できるように改めることといたしております。 なお、税制の整備合理化としまして、配偶者控除及び扶養控除の適用条件の緩和、小規模企業共済掛け金控除制度の創設、譲渡所得等の特別控除の引き上げ、資産所得の合算課税制度の所得限度の引き上げ、源泉徴収の対象となる報酬等の範囲の拡大、現金主義による所得計算方法の導入のほか、児童福祉法により里親に養育されているいわゆる里子を扶養親族の範囲に加えること、予定納税を要しない予定納税基準額を現行の一万二千円から一万五千円に引き上げること、使用人が常時十人未満の小規模事業所における源泉徴収税額の納期の特例制度について、現行の年四回の納付を年二回の納付で足りることとすること等の改正を行なうこととしております。 ――――――――――――― 次に法人税法の一部を改正する法律案について説明申し上げます。 企業に対しましては、わが国経済の現状に顧みて、技術革新に対処するための試験研究の助長、社会開発の促進など緊急を要する特別措置に限って行なうことにし、一般的な減税は行なっておりません。したがいまして、法人税法の改正は税制の簡素合理化に関するものであります。 第一は、法人が解散や合併した場合について生ずる清算所程課税につきましては、本来株主の配当所得と考えられる清算分配分についても配当所得に対する所得税を法人税という名前で、源泉で一律に徴収しておりますが、今回これを改正しまして、現在所得税にかえて法人税が課税されている部分は、これを受け取る株主の段階で配当所得として所得税を課税することとして、本来の姿に戻すことにしております。これに伴い清算所得に対する法人税率の引き下げ等、所要の規定の整備をはかることとしております。 第二は、主として中小法人を中心とする税務申告の手続の簡素化その他所要の規定の整備合理化であります。これは中間申告の提出不要限度を二万五千円から三万円に引き上げることにしておりますが、この改正によって新たに約一万五千の法人が中間申告書を提出する必要がなくなるものと推計されています。 このほか税制の簡素合理化をはかるため割賦販売等について繁雑な明細書の提出の廃止、被合併法人の外国税額、粉飾決算の場合の過納法人税額の控除の合併法人への引き継ぎ、課税所得計算に関して企業の会計慣行の尊重の趣旨を明確に規定する等の改正を行なっております。 ――――――――――――― 次は、相続税法の一部を改正する法律案であります。 第一は、配偶者に対する相続税の減税であります。昭和三十三年来配偶者に対する相続税につきまして、現在遺産額が三千万円である場合の法定相続分を限度として、その相続税額の二分の一を控除することとしておりますが、最近における配偶者の財産形成への寄与及び老後の生活安定の観点から、現行の制度では不十分であると考えられるに至りましたので、この際二分の一控除を一〇〇%控除とするよう改正することとしております。これにより、夫婦間の相続は、ごく限られた高額財産階層を除いて非課税となる予定であります。 第二は、生命保険金及び死亡退職金の非課税限度額の改正であります。現在、生命保険金は、受け取った各相続人ごとに計算し、百万円を限度として非課税としておりますが、これでは生命保険金を受け取らない相続人がいるような場合は不利益になる場合が生じますので、相続人の総体について各相続人の受け取り金額にかかわらず、百万円に相続人数を乗じた金額まで非課税となるよう弾力化しようとするものであります。 また、死亡退職金につきましては、現在、五十万円に相続人数を乗じた金額のうち、受遺者が取得した死亡退職金に相当する部分を除いた金額を非課税限度としておりますが、これについても、生命保険金の場合と同様に、各受遺者の取得の有無にかかわらず、五十万円に相続人数を乗じた金額まで非課税にしようとするものであります。 その他、相続税の総額を各相続人等に案分する際の現在の計算は、各人の取得した財産額から一定金額を控除した後の金額の割合によることとし、複雑となっておりますので、税制の簡素化等の見地から、これを各人の実際の取得財産額の割合によって計算することに改めることとしております。 なお、この改正は、本年一月一日以後の相続等にかかる相続税について適用することとしております。 以上、三法律案の提案理由の補足説明を申し上げた次第でございます。
○委員長(竹中恒夫君) 以上で三案の提案理由、同補足説明を終わります。 これより三案を一括して質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○田中寿美子君 今回の減税あるいは税制改正三案についてですけれども、税金を納める人口、納税人口は年々非常にふえている。二千三百三十五万人とおっしゃいました。大部分の国の経営というのは働く国民の税金でまかなっているわけですから、したがって、国民は納税者としての自覚と権利意識を持たなきゃならないと。しかし、それは税金の納め方や取られ方、あるいは税金の使い方、行くえ、そういうものに対して十分な発言権がなければ、納税者意識というものは育たないと思っているのです。日本の税制の体系は、シヤウプ勧告以来、資本蓄積をおもな一番の目的としておりまして、そうして主として大衆課税に非常に不当な重さがあった。税負担の公平が非常に公平でなかった。そういう状態の中で、国民所得が十分高くて、また国民の暮らしにその税金が戻ってくるということが十分意識されれば、納税者も文句を言わないのですけれども、しかし、今日の税制が一貫して資本蓄積のほうを第一とし、大衆課税が重い、大衆収奪という立場に立っているために、大資本に対する優遇、それから高額所得者に対する優遇措置、そういうことに非常に重点が置かれてきた。そういう点から、税の体系そのものに問題が私はあると思います。 で、税制調査会が三十九年度の基本的租税制度のあり方についての答申をしましたとおりのあの方針、それに対してその後の次々出されます税制調査会の答申の方向などが、ごく最近むしろ逆行していくのじゃないかというような心配を感じているのですが、たとえば最近社会開発計画を出されまして、それに関連して、国民は税金を出すことを文句を言うけれども、社会保障もほしがっている、住宅もほしがっている、公害対策もやれと、そういうことを言っておきながら、税のほうを文句を言うのはけしからぬ、だから、国民所得に対して二〇%以下にすべきだという最初の基本的な租税制度のあり方についての答申の方向から、さらにむしろ二〇%をこえて二二%くらいまでいってもいいのではないかというような意見さえ出てきている状況でございます。いまこの二〇%というのは、国民所得の計算のしかたを変えて、一八・五%ですかに数字は変わっているようですけれども、それにしましても、全体として国民所得に対する税負担の割合というのはふえていっておる。そうして納税人口もだんだんふえていくばかりですね。この今回の税制改正の、いまおっしゃられましたように、簡素化すること、合理化することを一番大きな目的としているのだということで、いろいろの点である程度簡素化も行なわれておりますけれども、しかしその反面やはり税率は八・五%から九%に上がっております。中小所得者を益するためだという目的にかなっていないということを、最初に感じているわけなんです。 そこで、税制、税法というのは非常にわかりにくいですね。納税者でありますところの国民に、もう少し税法というものがわかりやすいものであっていいはずだというふうに思うのです。それは一つは、そのわかりにくいというのは、大衆の税負担のどんなふうに重くされているのかというところがはっきりわからせないようにしようとしているかと思われるくらいにむずかしゅうございます。私どももしろうとですから、特にわかりにくいのですが、税制調査会の四十二年度中間答申の中で、税制簡素化についての第一次答申というのがありますが、その中に四〇ページのところに、「税制の簡素化に当たっては、納税者の便宜を優先的に考慮し、全般的な視野から均衡のある簡素化を図る必要がある。」ということを言われておりますけれども、しかし、実際には私ども自分で申告ができないような複雑さがあるわけですね。まして、事業をやっている人なんかは、自分で申告をしたらば損になるというか、税理士にでも頼まなければわからないというようなこの複雑さというものは、もう少し何とかならないのかどうかということなんですけれどもね、いかがですか、その点。
○説明員(結城義人君) 田中先生のお話、非常にごもっともでございます。われわれ税制を毎日の仕事としておる者にとりましても、現在の税制は複雑にして、非常にわかりにくい点がたくさんございます。 ただ、しいてその点について若干の論拠を求めますと、やはり公平の原則を貫くために、それぞれの具体的な事情を考慮すればするほど、詳しく複雑になるということがまず第一点かと思います。それから、第二点といたしましては、やはり租税法定主義ということがございますので、こまかい点まで法律に規定するということでございますので、これも非常に複雑化の一因かと思うのであります。しかし、それでいいということはございませんので、去年の税制調査会に、わざわざ実は簡素化部会というものを設けまして、これはいわゆる各界代表という方以外に、それぞれ税制についての専門的知識を有する方々にお集まり願いまして、第一次答申をいただきまして、今回の税制改正には、その七、八〇%の部分を盛り込んでおります。国会が終わりましたら、また本年度も税制調査会が開かれる予定でございますが、簡素化部会にも力を入れまして、第二次第三次の答申をいただいて、それに基づいて今後の簡素化を一そう強力に進めていくというつもりでございますので、何とぞひとつよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
○田中寿美子君 わかりにくさというのですね、大いにごまかせると言ってはちょっとことばは悪いのですけれども、大衆の負担をいかにも軽減しているように思わせるような、で、事実は、四十二年度の一千百億減税というのは、これはほとんど物価調整の一部分にすぎない。実際にはこれは減税に、事例で申し上げたらそうなんですけれども、ならないのです。しかし、一般の人々には、たとえば課税最低限を標準家族七十四万円にすると、こう言われますと、いかにも十万円免税点が上がったという感じがするわけで、その辺をもっとほんとうの意味で、親切にほんとうのことを言ってもらわないと国民は困るのです。これは予算委員会で公明党の鈴木一弘さんがやはり指摘していられましたように、標準家族という五人家族というのは、いまや普通ではないわけです。ですから、七十四万円が免税点になったそうだと言われましても、自分らは実はそうではなくて、もっと免税点は低いのだということがわかっていないのですね。ですから、幻想を抱かされるということが大いにあって、こういう点はもっと簡素化、それこそはっきりわかるように、普通の標準の世帯数でやる。また、独身者だったら幾らまでかかるのだということを国民にはっきりわかるようなもっとPRをしてもらいたいと思います。そういう意味で、この標準家族五人というのは直す意思があるというふうに大臣は言われたように思うのですけれども、それは当局のほうではいかがなんですか。
○説明員(結城義人君) 標準家族ということばは、実は新聞紙上へ発表するような場合に、一々、独身者では幾ら、二人家族で幾ら、三人家族で幾らというのをたくさん並べるわけにいきませんので、一例だけをいう場合に常にとっておるという意味で標準家族ということばを使っておるのでございます。たとえば国会へ提出する資料等におきましては、税額の計算あるいは課税最低限の数字をお示しする表には、独身者、二人家族、三人家族、六人家族ぐらいまであるかと思います。そういう表には標準家族ということばを実は使っておらないわけでございます。 ただ、五人という事例をいろいろ発表等の場合に使っておりますゆえんは、多分に沿革的なものがございまして、戦争中から実は五人という数字をとってきております。当時はまあ五人が一応統計上の平均世帯人数であったということはございますでしょう。最近ではたしか四・二、三人というのが平均になったと存じ上げておりますので、今後はなるべく標準的な平均家族人数に合わせた解説、公表のしかたをしていくべく方法を検討していきたいと存じております。ただ、たとえばことしなんかも五人というのを使いましたゆえんは、従来との比較が五人で出ておりますので、そのほうがわかりやすいということがあろうかと思いますので、こういう方法をとったということでございます。ことしなんか、たとえば五人で幾ら、四人で幾らと並列して解説したらどうかというようなことを考えたのでございますが、ことしは従来のとおりでいこうというようなことでございますので、今後十分に検討させていただきたいと思います。
○田中寿美子君 簡素化とか合理化とか近代化というのは、いまの実情に即さなければいけないと思いますので、特に重税を感じているのは独身者でもございますから、ですから、そういうものをみんな出すということが必要だと思います。 それから、その次に、まだ非常にわかりにくいことばというか、しろうとには何のことかわからないことばに初年度、平年度というのがあるのですがね。私なんかも、一体平年度というのはいつ実際に実現されるのかと思っておったのです。しかし、しろうとだから、こういうことは私がわからないのかと思っておりましたら、永久に平年度というのは実現されないで、毎年毎年これは物価も上がっていきますし、自然増収があるから、どうしても減税しなければならないわけでしょう。そうしなかったら、納税人口というのは非常にふえるばかりなんですから、いつもいつもその年四分の三だけですから、その初年度とか平年度なんというようなおかしな言い方をしないで、四十二年度というふうに言って、そして平年度で千五百億で初年度千百億なんて言いますと、やはりこれもごまかしの感じがいたします。千五百億減税になるかと思ったら実際は千百億、こういうようなことはむだだと思いますけれども、これはやめるわけにはいきませんか。
○説明員(結城義人君) たしか、それもわかりにくくなっている一つの原因かと存じます。ただ、これは実は初年度とはいえ、税目により、その年の施行期日によりましていろいろございますが、所得税が一番いい例だと思いますので所得税を例にとりますと、大体国会を通過するのが三月、政治シーズンの問題がございますが――そうすると四月一日から法律が施行されることになりますので、適宜遡及できるものはございますけれども、四月以降、たとえば源泉徴収の税額というものは四月以降徴収する金額を法律できめる。もちろん一年間を通算して調整するということはございますけれども、まあそういうような点がございますので、おそらく国会がたとえば十二月じゅうに全部税法を上げ、一月一日から施行になるというようなことでございますと、そういった区別をしなければならない一番大きな原因がまだほかにもございますけれども、なくなるのじゃないかと、かように考えます。 ただ、実は考えましたのは、たとえば基礎控除十五万円ということになるのですが、これは平年度そうしますと、ことしは十四万七千五百円という半ぱな数字になるのです。これは実はせめてその点だけでも、いま田中先生おっしゃいました趣旨にのっとりまして、わかりやすくする方法はないか、初年度のほうをきれいな数字にしまして、平年度のほうを端数がついた数字にするということを実は研究してみたのでございますけれども、いろいろ技術的なむずかしい問題がございますので、その点も実は今後の研究課題ということにいたしております。
○田中寿美子君 初年度のほうはカッコになっているのですがね、これは全く反対にすべきだと思います。それで、簡素化部会でぜひこれは問題にしていただきたいと思います。 それから、さらにわかりにくくしておりますのは、課税最低限を十万円引き上げた、さっきの標準家族五人で七十四万円まで税がつかない、こういうふうに申しますと、実はこれは所得税ですから、さらに給与所得者にとってはそれに地方税が取られます。地方税のほうの最低限はもっとずっと低うございますね。四十三万円ですか。それですから、実際には何となくぬか喜びさせられながら、実は毎年税金は上がるばかりなんですね。毎年毎年減税しておるのに、税金は上がるばかりです。 それは事例は幾らでもありますけれども、たとえば、これは電報電話局につとめておる中くらいの平均的な所得の家庭ですけれどもね、四十年度、月の収入平均で五万五千八百九十六円ですか、それに対して所得税は二万五千七百十一円、地方税が一万三千二十円ついております。四十一年度というのは三千億減税の史上最大の減税をしましたといいましても、やはりその年は、収入は六万五千四百二十円ですから一万円ほど上がっておりますが、所得税のほうは三万三千四十九円、それから地方税のほうは一万五千三百五十円ついております。ですから、減税になるどころか増税になっております。これはずっと何年間とっても、みんなそうなんですね。それから、これは給与所得者でない場合も、事業者の場合もそうです。毎年収入は上がるけれども、そして毎年減税はされるけれども、納税しなければならない額というのは毎年毎年上がっている。減税にならない。だから、物価上昇分で相殺される部分、物価が上がっていくためにその減税の効果が相殺される部分を差し引いても、それだけじゃなくて、納税額が上がっているわけなんです。ですから、よほどの減税をしない限り減税にはならないということ。 ですから、減税減税と言われても、私どもは、非常に複雑な言い方をされ、いろんな用語でもってごまかしをされているという感じがする。その点を簡素に、上がっているなら上がっているということをわかるようにしてもらいたい。そして、ほんとうに大衆の税負担を軽くしたいと思うならば、そんなことではだめなんだぞということをよくわかっていただきたいと思います。ほんとうに大衆の負担、大衆課税を軽減させるのには、いま程度の減税ではだめだと思うんですけれども、その辺はどうお思いになりますですか。増税になっているとはお思いになりませんか。
○説明員(結城義人君) たとえば、ことしの例でございますが、所得税約千億減税といっても、その中に物価上昇分で相殺される部分があるのではないか、こういうことでございますが、いろいろな計算のしかたがあろうかと思うのでございますが、かつて中山伊知郎先生会長時代の税調の答申に出ておりました物価調整減税の必要な額の計算のしかた、ないしは現在われわれが行なっております、若干それと違った方式でございますけれども、その方式、いずれによりましても、大体物価が一%上がった場合に減税額は所得税で七十億円前後という計算が出ております。したがいまして、ことし五%上がりますと約三百五十億円、四・五%上がりますと約三百十五億円が物価調整のために必要な減税額である。したがって、千億との差額は実質的な減税になると、こういう一応計算をしておるわけでございます。その場合の物価調整減税の必要額の計算のしかたの基本的な考え方は、要するに、六十三万円の基礎控除がございます。これを単純に五%なら五%伸ばして課税最低限を上げる分は、これを物価調整であって減税ではないという考え方でございます、基本的には。
○田中寿美子君 その物価調整分をどういう計算をするかということ、これはまた問題ですけれども、それで、それを差し引けば減税になったはずだというのはこれは紙の上の計算で、実際に所得を受け取る者は、毎年家計簿をつけているとみんな上がっているんですね。これは東京地方裁判所の職員の場合もそうです。昭和三十九年には平均の所得が四万九千九百九十八円、それで税金が四千五百九十三円、四十年には所得が六万五百十二円、税金のほうが八千八百三十円とまた上がっているんですね。ですから、実情を見ていただかないと困るんです。実情は増税になっているという、その点を考えに入れませんと減税にならないということを税務当局はぜひ考えて、ほんとうの減税をしてもらいませんと、ほんとうに減税でないものを減税であるというふうに思わせるところが、簡素化とは相反する、合理化と相反すると思うんです。 次に、今度の税改正は簡素化をねらいにしているんですけれども、その簡素化のねらいというのは一体どこにあるのか。で、税負担の軽減や負担の公平化よりも簡素化のほうが目的なのかどうか、その辺ちょっと伺いたい。
○説明員(結城義人君) 先ほど申し上げましたように、公平の原則を貫くために、個別の事情、Aにはこういう事情がある、Bにはこういう事情があるという事情を考慮に入れて税法を規定すればするほど、複雑になります。また、逆にそれを簡単にして、A、Bの個別事情をある程度無視して画一的な基準をとればとるほど、税法は簡単になります。したがいまして、ある意味で公平の原則と簡素化の原則とは、これはある意味においてでございますけれども、矛盾撞着する面がございます。これをどの辺をかね合いにとっていくかというのが実はむずかしい問題でございまして、何でも簡単でいい、一人十万円ずつ税金出せというのが一番簡単でわかりいいわけでございますけれども、これでは公平の原則が貫けない。そこで、公平の原則を貫くために、老年者はどうする、障害者はどうする、子供が二人あったらどうする、三人あったらどうするという事情を入れれば入れるほど、実は複雑になります。そのかわり、ある意味では公平にはなろうかと思うのでございます。その間をとる程度の問題というのは、そのとき、そのところにおけるやはり現実的な判断でございまして、一般的な原則はない。やはりそのときそのときの現実の問題であろうかと思うのであります。 いまの段階では、われわれは若干、いまの税制の上では、簡素化をもっと強力に推し進める点にウエートを置いて事柄を判断する必要があるのではないか、かように考えまして、去年以来の実は努力をしておるということでございます。
○田中寿美子君 いまの御説明でちょっとそうらしいということはわかりました。というのは、四十二年度の長期税制のあり方についての答申の四一ページのところに、「簡素化は税負担の変動や税収の異動をもたらすことが目的ではないことからも、若干の変動や異動は大きな目的をもつ簡素化の付随的現象として許容する必要はあるとしても、工夫をこらして税負担の変動や税収上の影響を避けることができる簡素化案を作成する必要がある。減税や増税の意図をもって簡素化の実行を考えることはあまりにも安易にすぎるように思われる。」ということばがあるんですが、これもたいへんことばはわかりにくいけれども、「若干の変動や異動は大きな目的をもつ簡素化の付随的現象として許容する必要はあるとしても」というのはどういう意味ですか。これは多少増税になってもしようがないというようにも考えられるんですがね、簡素化のためには。
○説明員(結城義人君) 考え方といたしましては、先ほども申し上げましたように、税法を簡素にするために若干の増税や減税が起こると、どちらを優先するかという問題だということでございます。もちろん、そう申し上げますと、それじゃ今度の簡素化で増税があるのかと、こういうことになるのでございますが、現実の改正作業といたしましては、減税のほうになってもやむを得ないという点で行なっている部分が大部分でございまして、増税になってもやむを得ないということで行なわれている点はまずございませんつもりでございます。
○田中寿美子君 たとえば、いまのおことばからしますと、税負担が多少は重くなることがあっても、今回は簡素化を一切優先するということなんだと思いますけれども、たとえば、これまでの所得控除を税額控除に変えましたね。所得控除と税額控除の二本立てがありましたですね、いままで。それを一本にしたと。これは簡素化のためですか。
○説明員(結城義人君) 一番大きな目的は、簡素化のためであります。
○田中寿美子君 そうしますと、従来税額控除であったもの、すなわち障害者控除、それから老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除、寄付金控除ですか、こういうものを所得控除に改めるわけですね。これらの税額控除のときには、一律に六千円が控除された。今度は、七万円の所得控除になりましたね。そうしますと、これは最低税率の場合は六千三百円控除される。だから、三百円は控除額がふえたということになりますね。これは最高の場合はどのくらいになりますか。非常にここに不公平が起こってくると思いますが……。
○説明員(結城義人君) 所得税法の最高の税率は七五%でございますので、七万円に七五%をかけた金額が免除される、こういうことになります。一番最高でございます六千万円をこえる部分の金額についてはでございます。
○田中寿美子君 ですから、これは課税される対象の額によって非常にここのところに不公平が起こってくるわけですね。で、こういう点で、所得控除に変えたということは、簡素化のためにむしろ増税をしたという例になるのですか。この辺、これでもいいんですか。不公平になる……。
○説明員(結城義人君) 増税にはなりませんで、減税が大きくなったということだと思います、上のほうはですね。下のほうは、六千円の方が六千三百円になっておりますが、増税になった部分はない。しかし、減税の割合が上のほうが大きいということでございますが、実はその程度は簡素化のためにはやむを得ないんではないかという意味で実は踏み切っておるのでございます。 税額控除を所得控除に改めますと、常にこういう問題が起こるのでございまして、それが不公平だということになりますと、たとえば基礎控除十五万円という問題と、あるいは扶養控除七万円という問題と――扶養控除七万円は、実は所得の金額によりまして、七万円の扶養控除を受けることによって税額が減る金額は実はみな違うわけでございまして、そういう意味で所得控除は実はそういう働きをしておるのでございます。したがいまして、どうも税額控除が複雑でよくわからないと。それを直そうじゃないかという要請を優先させれば、どうしてもこうならざるを得ないということかと思うのでございます。
○田中寿美子君 いまのその所得控除に変えた項目というのは、非常にいろいろ問題のある人々を対象にしたものが多いですね。傷害者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除ですね。そういう点でやっぱり、公平を期する意味で何かの方法を講ずるべきじゃないかと。単に簡素化のために税額控除を所得控除に変えたというならば、何らかの方法をとるべきじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
○説明員(結城義人君) お説の点、もちろんごもっともな心配でございまして、先ほども申し上げましたように、税額控除を所得控除に改めますと、若干従来の税額とは変わった負担割合が起こることはおっしゃるとおりでございます。そして、たとえば今回でも老年者控除につきましては、税額控除をやはり所得控除に改めたわけでございますが、六十五歳以上の方はまあ無条件で、従来は税額で六千円、今度は所得から七万円引いてもらうわけでございますから、先生御心配になるような、それぞれの所得の大きさによりまして老年者控除の受ける利益が違いますので、所得制限を今回は置くことにいたしまして、所得が五百万円以上の方には実は老年者控除は適用しないということで、五百万円をこえる金額の方ですね、老年者控除は適用しないということにいたしまして、そっちのほうからの実は公平を考えるという点も改正の中に入れてございます。
○田中寿美子君 そこで、簡素化もそうですけれども、本来税制を長期にわたって改正していく方向というのは、税負担を公平にするというところにあるはずでございますね。それで、ほんとうに税負担の公平をはかるためには、一番重大な問題は独身者の税金を軽減することでございます。毎年毎年納税人口がふえるのは、独身者の免税点が非常に低いと、そういうところにあると思うので、思い切って独身者の税金を軽減する必要があると思うのですが、この点、あとで大蔵大臣がいらっしゃいましたら、ちょっとお伺いしたいと思いますけれども、衆議院の大蔵委員会で今後意欲的に免税点を独身者のために引き上げるのだといわれておりますが、当局のほうでそういう計画がおありになりますか。
○説明員(結城義人君) 大臣が国会で、そういう方向で検討すると申しておりますので、当然事務当局といたしましても、そういった方向で検討することになろうかと思います。
○田中寿美子君 現在、大学卒の人は全部かかりますですね、二十七万円――幾らですか、独身者は。大学卒の人は、ほとんど全部かかるわけですね、一〇〇%。それから、高卒で七〇%ぐらいかかる。こういう状態は、ぜひ改めていただかないと、納税人口はふえるばかりで、先ほど御説明のときに私ちょっと聞きもらしておりましたけれども、四十二年度の納税人口、二千三百三十五万人というのでしょう。
○説明員(結城義人君) 四十二年度のわれわれの見込みでございますが、二千七十五万人、所得税の納税人口は。
○田中寿美子君 減るわけですか。
○説明員(結城義人君) 一応、税制改正ございませんと、四十二年度は二千三百三十五万人になる見込みでございますが、税制改正で二千七十五万人に減る見込みである、こういうことでございます。
○田中寿美子君 これまで毎年毎年ふえているのですね。で、昨年のように大幅減税したといわれている年でも、ふえているわけで、実際にはそうならないと思います。というのは、賃金も上がってきますから、税率も上がるんですから、ふえていくと思います。そうして絶対数が非常に多い。その点を減らさなければならない。 国民所得に対する税の負担率の問題ですけれども、先ほどちょっと触れましたけれども、日本は国民総生産では世界でも有数の地位を占めているけれども、国民所得は二十一位。その国民所得に対する税負担率、これを数字を変更した事情をちょっと教えてくださいませんか。二〇%から二〇・五%ぐらいになったと思っておりましたら、国民所得の計算のしかたを変えたために、税の負担率は下がったというのですね、一八・五%ですか。それはどうしてそうなりましたか。
○説明員(結城義人君) 実は国民所得計算の方法は、私どものほうでは実は一切関係しておりません。
○田中寿美子君 それはいいんです。
○説明員(結城義人君) これは企画庁のほうの国民所得研究部門でやっておることでございまして、われわれのほうは、実はその数字をただ前提にするということなんでございますが……。
○田中寿美子君 おかしいですね。国民所得が上がれば、税金も、税収入も上がっているはずだと思います。税率が同じである……。
○説明員(結城義人君) 従来のやり方に比べまして国民所得がふえたわけでございますので、税額は実績でございますので変わらないわけでございます、絶対額は。したがいまして、分母がふえましたので、負担率は下がった、こういうことでございます。
○田中寿美子君 非常に機械的な簡単な出し方で、少し私はそれはおかしいと思うのですけれども、その比率だけの数が一八・三から一八・五というふうになったとしても、実際に納めている者の実態や実感というのは、ちっとも下がってやしないと思うのですね。そういう点で今後も単純に、いつの間にか二〇%台以下に下がったということになるわけですね。最初の長期税制改正に対する答申では、国民所得の二〇%以下にすべきだというのが目標だったわけですね。そうすると、もうその目標を達成したということになってしまいますか。
○説明員(結城義人君) 昭和三十六年でございましたか、税制調査会でそういう答申があったことを存じております。ただ、最近とその当時とは若干社会経済的事情が変わったかと思いますが、たとえば三十六年当時は、国債は全然発行されておらなかったわけでございまして、最近は国債を発行してまで公共事業ないしは社会保障を行なうという形になっておるわけでございまして、そういう背景で税制調査会の実は答申も変わったかと考えております。
○田中寿美子君 一般にサラリーマン、給与所得者は源泉徴収で、所得の捕捉率が一〇〇%近いのですね。それで非常に税の重荷を感じているわけなんですが、私ども主張しておりますように、免税点を早く百万円までにすべきだ。しかし、これも標準家族という、五人というのじゃなくて、現在の平均の家族でそのくらいにすべきだと思います。ちょうど昨年福田大蔵大臣の当時に、昨年度の物価の水準と消費水準の状況で、八十万円くらいの課税最低限が妥当だと思うということが言われているわけなんですね。そしてその後の物価上昇と消費水準の上昇と見合って、それはスライドさせていくべきだということをおっしゃっていたのですが、大蔵大臣も同じような立場でいまいられるわけなんでしょうか。
○説明員(結城義人君) 大蔵大臣は国会でも、なるべく早く課税最低限を百万円に引き上げたいということを言明しておられるわけでございます。その場合に、百万円の物価水準はいつの物価水準かということでございますが、実はそれほど詰めたことではございませんで、もちろん、たとえば百万円の課税最低限が実現したときに、現在の七十三万円と――物価水準で割り戻せば七十三万円と同じだということに、極端な場合でございますが、なった場合でも、百万円は実現したのだからいいのだというようなことは、もちろん申しておるわけではないかと思います。しかし、一%、二%がどうかということまで、実は計算に入れて申し上げていることではないと思いますので、そういった問題はできるだけ早く、物価が上がる前に早期に実現すれば、そういった問題は比較的問題にならないわけでございますので、なるべく早く実現するように努力するということが基本かと思います。
○田中寿美子君 前に同志社大学の教授が、所得税に対しての必要経費を、研究者ですね、研究者に対する必要経費の認め方が非常に少ないというので訴訟を提起しましたですね。この点はどういうふうにお思いになりますですか。あれは源泉徴収そのものが悪いという訴訟じゃなくて、もっと必要経費を認めよということだったですけれどもね、どうですか。
○説明員(結城義人君) あの同志社大学教授の方の訴訟は、先生おっしゃるように、給与所得者にも必要経費を認めろという実は訴訟であったかと存じます。給与所得者に関しましては、御承知のように、現在給与所得控除というのがございますが、一律に最低今度八万円、それから最高二十二万円の範囲で二〇%引くというような計算になっておりますが、この給与所得控除なるものは、第一の目的は給与所得者の必要経費を概算的に算定して引いておる。これは事業所得者には認めておらない点でございますので、そういう目的でできておる制度でございます。もちろん、各人個別の事情によりまして、それでは必要経費の足りないという人もありましょうし、あるいはやや多目であるという人もあろうかと存ずるのでありますが、その点では、ある意味では簡素化の見地で、一律に引く。給与所得者は一千七百万人もございますので、一々一人ずつ計算するというのもたいへんでございますので、一律に引くということになっておるかと思うのであります。
○田中寿美子君 私は、研究員だけがたくさんの必要経費を認められるべきだというのじゃなくて、全体として給与所得者の必要経費をもっと認められるべきだと思います。というのは、所得の捕捉率はよくクロヨンといわれておりますように、事業所得者や農業所得者に比べて給与所得者はほとんど完全に捕捉されるのですから、そういう意味では、もっともっと必要経費を認めるべきだと思います。 それで、大蔵大臣がいらっしゃったときに伺いたいと思いますのであとへ回しまして、次に、配偶者控除のことなんですが、四十二年度改正で妻の座がちょっぴり高められたというふうにいわれておるわけです。妻の収入十万円まで無税、これはこれまでの二倍になったのです。それから株式配当、利子所得など資産所得については従来のまま五万円までが無税。この妻の収入十万円までは無税という考え方はどういうところに立っているわけなんでしょう。
○説明員(結城義人君) 無税というのではございませんで、たとえば御主人が税金を納める場合に、奥さんをお持ちになっているので扶養控除が働く。その扶養控除が十万円以上の所得の方だけに限りますと、こういう趣旨でございます。
○田中寿美子君 いまたいへん女の人は内職をしていますし、パートタイマーもあるし、共かせぎもあるわけです。それは夫の収入だけでなかなかいまの物価高で食べていけないためだと思うのですが、たとえば内職して、月――内職といっても、ほとんどぴたりとやって月二万円ずつぐらいかせいでいる主婦がいるわけなんですがね、それは教育費その他どうしても補助をしていかなければ生活がやっていけない情勢なんですが、そういう場合に税金がかかってくるということについて、非常に主婦たちの内職大会などで訴えがあるわけですね。ですから、十万円だけ扶養控除ですか、するという考え方に対して、もう少し実情から見て、生活の実態から見て、妻の働きに対してはもっとこの線を上げてしかるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょう。
○説明員(結城義人君) 資産所得以外の所得で十万円ということでございますと、たとえばこのごろよくある例でございますけれども、パートタイマーに行って内職をするというような場合には、これは給与所得でございますので、給与所得控除が働きまして、十万円というのは二十万五千円ということになるんでございます。
○田中寿美子君 大蔵省で妻の所得免税基準というのをつくられた。そしていろいろの職種別に一定の利益率というものを出していらっしゃいますね。あれは違法ではないんですか。つまり、利益率とか利益の標準率を想定するということですね。これは租税法定主義というのに違反しませんか。いろいろな職種別に出していらっしゃるでしょう。たとえばパートタイマーでおつとめの場合は、二十万五千円までは控除になる。それから保険の外交員だったら十七万九千円、集金人の場合十六万七千円、美容師だったら十三万九千円、農業だったら反別四万七千五百円、たばこの小売り業だったら、そのマージンが低いから、百六十万五千円までは、妻がやっていても、この場合には控除になるというように、職種別に出しておりますね。この職業に対する利潤率の想定、こういうことはしてもよいことなんですか。また事実上やってらっしゃると思いますけれども、その税金を徴収するについては。しかし、これはどうお思いになりますか。
○説明員(結城義人君) 先ほど、パートタイマーの場合には給与所得でございますので、十万円というのは二十万五千円に該当すると申し上げましたのは、これは給与所得控除でございますので、法律できまっておる給与所得控除率を適用しますと、二十万五千円は新しい改正法の給与所得控除を引きまして十万円の所得ということになるということでございます。これは法律できまっておる給与所得控除の問題でございます。 それから、お尋ねございました保険外交員、集金人その他の場合でございますが、これはかりに収入金に対する所得率を一応想定いたしまして、それぞれの業種につきましてそれで計算すれば、この収入金額ではこの程度になりますという、これはひとつの推定計算でございます。まあわかりやすく例として御説明するために出した例にすぎない、こういうことでございますので、ひとつ御了承をお願いいたします。
○田中寿美子君 それはそういうとらの巻ができているのと違いますか。
○説明員(結城義人君) いや……。
○田中寿美子君 やっぱり租税というのは、その実際の収入に対して徴収すべきものなんですね。憲法八十四条ですか、租税法定主義というのは。こっちから推定して、たぶんこれだけぐらい入るだろうということで基準をつくっておくというようなことは、これはどうですか。
○説明員(結城義人君) さようでございますので、先ほど、集金人ですと十六万七千円ぐらいの収入の方なら扶養控除の対象者になる資格に入る、十万円のでございますね、限度に。そういうことを申し上げましたのは、十六万七千円でなければ税務執行当局が認めないという趣旨ではございません。それぞれ計算書をお出し願って、収入金が幾らで必要経費が幾らで、したがって所得は十万円以下だという計算書をお出し願って、その個別の計算を税務署において調査いたしまして、認められれば、これ以上の場合でももちろん認められる、こういうことでございます。
○田中寿美子君 少し私まだ釈然としないところがありますけれども、これはまたもう少しあとで問題にしたいと思います。 ついでですから、妻の相続税のことを聞きます。まあ三千万円までを無税にするということ、これは夫婦の協力でつくり上げた財産を相続するのに税をかけるということ自体、私は間違っていると思っていますから、そのことはけっこうだと思うのですが、特に夫を失った妻の場合ですね、家屋を相続するというときに、現金で税金を取り立てられます。これは全然ないので、場合によっては家を売って納めなければならなくなり、居住権を侵害してしまうというたいへん悲惨な例をよく知っておりますので、これは当然そうあるべきだというふうに思います。 それで、そのほかにですね、いま非常に共かせぎが多いわけですね。その夫婦の収入についての課税のしかたですね、これはいま総合的な累進課税、非常に不当に高くなっていると私は思うのですがね。アメリカや西ドイツなんかでやっている二分二乗方式というもの、ああいう方式を、つまり夫婦の収入を合算して二等分して、そのおのおのに課税をする、そういうふうにするようなことをお考えになりませんですか。
○説明員(結城義人君) 現在の制度は、合算して累進税率を適用しているということはございませんで、それぞれの方、別々に計算しておりますので、合算した上での累進税率を適用するという方式は適用しておりません。
○田中寿美子君 二分二乗方式というのは。
○説明員(結城義人君) 二分二乗方式、その場合は非常に高額者に有利になる形でございます。それから、二分二乗方式をとる場合の問題は、二分二乗でない場合の税率をそのままに夫婦者と独身者に同じように適用するかどうかということは問題でございますが、まあもちろん将来の研究課題として、たとえば税制調査会の報告書にも課税単位の問題ということで、また先生から課税単位なんというのはわからぬじゃないかというおしかりがあるかと思うのでございますが、実は課税単位の問題も将来の検討事項であるという項目があったかと思うのでございますが、その課税単位というのは実はそういう意味でございます。
○田中寿美子君 労働力が非常に不足する。で、経済企画庁の例の社会開発計画の中に、今後女子労働力を引き出さなければならないというようなことを書いてある。中高年齢層と女子労働力。共かせぎが非常に多いので、共かせぎをしたために税金が非常にかかってくるということ、非常に不当なことになると思うのですが、これは将来ぜひ研究していただきたいと思います。そうしないと女子労働力を確保できないと思うのです。
○説明員(結城義人君) 共かせぎをした場合に不当に高くなるというお説のような点なんでございますが、それぞれ別に所得税を計算いたしますのです、現在。実は戦前の日本の所得税法は、合算しまして、それに一人のものとしての累進税率を適用しておりましたので、非常に高くなったわけでございますが、現在はその点は実は、個人主義といいますか、だんなさんの、御主人の分と奥さんの分はそれぞれ独立の所得税として累進税率を適用しますと、全然御夫婦でない場合と同じことになるわけでございます。もちろん、実は扶養控除が働かなくなるという問題はございますけれども。
○田中寿美子君 その共かせぎして、しかも何か資産があるというようなことですね、そういうときの総合課税ですね、こういうのはね、非常にこれは高率な……。
○説明員(結城義人君) 現在の制度では、合算は、資産所得だけは、三百万円以上の所得の世帯に対しまして合算しまして税率を適用するということになっております。いろいろ考え方がこれはあろうと思います。ことし実は合算の限度を二百万円から三百万円に改正するという提案をしておるわけでございますけれども、いろいろの考え方はあろうかと思いますが、三百万円以上の所得のあるような方というのは、現在の日本では高額所得者の範囲に入ろうかと思います。そこで資産所得があるということでございます。たとえば配当または不動産所得があるという場合でございますので、その場合には家族単位で税金を計算するということが現在の制度でございます。
○田中寿美子君 それじゃ、次に法人税のことについて少しお伺いします。 中小企業、特に零細企業の立場から、いまの税制にたいへん疑問がたくさんあるんです。今度の改正以前の問題として、たくさんの問題があると思います。大体、中小企業と申しましても、資本金一億円以下というような定義ではなくて、私どもが問題にするのは千万、二千万、もっと小さな個人の商店、そういう零細な企業にとって、非常に税金の問題が多いと思います。で、本来、大企業に対しては租税特別措置なんかずいぶんありますし、全面的な適用があるし、そのほかいろいろ恩典、特典があると思います。零細な企業には実に徴税はきびしいと思うんですね。その徴税のしかたを少し問題にしたいと思うんですが、これは徴税に当たる税務職員の態度とか何だとか、そういうことじゃなくてですね、この制度そのものに私は問題があると思うんです。非常に実情に即していない。まず納税者を悪者扱いというのか、どうせ脱税しているとか、あるいは隠しているとかいうような扱い方をしているように感じられるのですが、その点はいかがですか。
○説明員(結城義人君) 実は税務執行の問題は国税庁の問題でございまして、われわれ実は大蔵省の内局である主税局は立法の仕事しかいたしておりませんので、私のほうからお答えするのは適当でないと存じます。
○田中寿美子君 それじゃ、しかたそのものというよりも、もう少し質問のしかたを変えます。 実情に即さない徴税のやり方、事例が一ぱい零細な企業にはあるんですが、たとえば零細企業で損金の否認される場合が非常に多い。このことは、一つは――国税局の方がいらっしゃらないと、これはやっぱり答えられないことなんでしょうか。たとえば一つの事例をあげますと、ある会社の役員で、小さな企業ですから、名義上の株を持っている。実際には自分も働いて給料を取っています。ボーナスもある。そうすると、法人税の課税と給与所得者の課税と両方がダブってくるわけですね。株はほんとに名義だけだと。もう実にぎゅうぎゅう締めつけられて、ほんとに倒れるよりしようがないような状況にあっても、損金としては認めてくれないという実情、こういうようなことは、これは指導はどこがされるわけですか。国税庁ですか。主税局かな。
○説明員(中橋敬次郎君) 役員賞与の問題でございまして、税制上、役員になっておりますれば、その受けます賞与につきましては、原則としまして会社の益金として課税が行なわれるわけでございます。役員でありましても、使用人の地位を兼ねております者につきまして、その使用人に対応――使用人としての仕事に対しまするところの賞与、これは従業員に対する賞与と同じように、損金に扱うわけでございますけれども、重役そのものとしてもらいますところの賞与というのは、これは一般的に、大法人でありましても、小法人でありましても、全部会社の利益の処分として行なわれるものでございますから、法人税が一たん課税される、こういう仕組みになっているわけでございます。
○田中寿美子君 じゃ、まだもう一つ例をあげますと、ある月賦販売業者なんですが、三年前に広告費をたくさん使って、そして商売の宣伝をしたわけです。で、その広告会社がつぶれてしまったわけですね。そして税務の調査官という制度がありますでしょう。あれは三年に一ぺんぐらい回ってくるわけですね、企業に。そしたら、その広告業者がつぶれてしまっているから、あれは架空の経費を損金として入れたというので、三年前にさかのぼって税の徴収をされて、非常に苦しい目にあった。そういうときに、全然実情を見てもらえないという、そういうことはどういう指導をされるのですか。
○説明員(中橋敬次郎君) いまお話しの広告宣伝費を実際に支出しておりますれば、当然その会社のその事業年度におきますところの損金になることは間違いございません。ただ、それを支出しましたということについての証憑書類が不足でございますれば、実際に出ておったということについて調査官吏がいろいろ調査をいたします。その場合に、はっきりと宣伝広告費として支出したということの心証が得られません場合が多々あると思います。その場合に、あくまでも調査官吏といたしましては、実際に出ておったか出ていなかったかというところが判断のキーポイントになるわけでございまして、その場合に、往々にして会社側は出たということを主張なさいますし、しかしながら、調査官吏に対しましてはその出たという証憑をお示しにならぬということが往々にしてある。その場合には、私どもといたしましては、これは使途が不明の経費でございますので、その場合にはやはり損金としては認めがたい、こういうことはどうしてもやむを得ないと思いますが、そういうことについて、損金である、支出されたと。相手はどに出たかというようなことにつきまして、証憑書類を備えつけておいていただくということ以外には解決の道はないのだと思います。
○田中寿美子君 それが小さな企業、零細な企業では、今度の改正法案にもそういう文句があったと思いますが、公正妥当な会計経理ですか、そういう慣行を持っていないような企業というのはずいぶんあるわけですね。で、実際に出したことは事実であっても、いまみたいに広告会社がつぶれてしまって、それを証明してくれることができない、また書類のほうは不備だったというようなときに、やはり実情をほんとうに見てもらうという救いはないわけでしょうか。
○説明員(中橋敬次郎君) すべて個々の事案についての判定にかかると思いますけれども、つぶれます前に、会社のほうに出しました際にやはり領収書を取るとか、そういう証憑書類を備えつけておいていただくということがやはり救いの道に、唯一の救いの道ではございませんけれども、簡単に問題を解決する道だと思います。
○田中寿美子君 零細企業に対しては、ですから、税務署というようなものは非常におそろしいところなんですね。で、言われるままに、ことに、最初から申し上げますように、税法というのはややこしくて、むずかしくて、ちょっとあれ読んだってわからないですね。それから、記帳だってちゃんとしていなかったりするわけなんで、そういうものに対する指導、これは行政指導、税制、税務行政というのですか、こういう点で税務行政というのはどういうふうなことをなさるわけでしょうね。そういう零細な企業に対してですね、こういうことをしておかなければいけないとかね、というような、いまおっしゃったようなことが徹底するような行政指導みたいな形のもの、それはどうやっていらっしゃるのですか。
○説明員(中橋敬次郎君) このことに関しまして私からお答えするのは適当じゃないかと思いますけれども、私が承知いたしておりますことをこの際申し上げますならば、まず青色申告の制度というのがございます。したがいまして、青色申告をなし得るような帳簿を備えつけていただくというようなことの指導、これは税務署におきましては、相当に納税者である会社の方々には勧奨をやっておると思います。それから、そういう青色申告のための帳簿という点につきましては、私どもなり国税庁といたしましては、できるだけ多くの会社、小規模な会社の人までが利用できますように、あるいは零細な個人企業の人が利用できますように、従来はなかなかむずかしい帳簿を備えつける必要があるというふうにいたしておりましたけれども、できるだけこれを簡素化いたすように従来からやってまいりまして、今回もまた簡素化の方向に沿いまして大幅にこれを簡素化いたしまして、簡易帳簿でも、相当の簡易帳簿でも青色申告ができるというふうな方法をとるようにいたしております。 それから第三には、これは個人業者でございますけれども、個人の小規模な事業者は、往々にして、税法が原則といたしております発生主義の経理というものになかなかなじみがたいのでございます。現金主義でもって事業の経営の会計処理をやっておるというふうな場合が非常に多うございまするから、今回の所得税法の改正案におきましては、そういう小規模な事業者に対しまして、現金主義でもって税務の計算がやり得るというような方法を御提案申し上げておるわけでございます。
○田中寿美子君 それじゃ、もう一つだけ例を申し上げて……。これは、Aという会社が破産したのですね。それで、従業員が五、六十人おりましたので、その生活がありますから、その従業員を救うために、Bという会社を新しくつくった。そうして全員を残して、債権債務を負わないで発足したのです。それで裏で払っていたわけですね。つまり、裏で払うということは、表向きは債権債務を負わないで発足したけれども、新しく発足したBという会社の収益の中から、その借り入れ金として、帳簿には出さないで、まあたとえば交際費三千円払うのを五千円というふうにつけ、水増ししたり、家賃を水増ししたり、あるいは売り上げ高を落としたりして、三分の一ほどまで返したわけです。千八百万円ほど債権者に支払ったわけですね。そこへ、調査官ですか、税務署員が見つけて、そうして繰り上げ計上漏れだ、架空の経費だということで非常にきびしく追及されまして、重加算利息というのがついて、一千万円の支払い命令を受けたわけですね。そうしますと、ようやく立ち直ろうとした会社自体がまた今度つぶれかかっています。で、Aの債務を支払いながらBを生かすための苦肉の策だったわけですね。こういうことが零細企業には非常にあるわけなんでね。そういう実情をくんでくれないということ。その零細企業を倒産させてしまう大きな原因になるわけなんです。ですから、税務行政というのは、やっぱりそういう実情を見てもらいたいものです。これは税務職員の数も不足しているでしょうし、調査も十分できないということもあるかもしれないのですけれども、しかしまた、これは徴税のノルマといいますかね、それが税務職員に負わされているというようなこともあって、それでしばしばこういう冷酷なことが行なわれる。大企業に対しては、たとえばマルマンでも山一でも、たいへん政府みずから乗り出して助けてやるわけです。零細な企業に対しては、実に徴税においては冷酷なところがあるということについてですね、もっともっと税務行政をあたたかいものにしてもらいたいと思うのです。 これはやっぱり国税庁でしょうけれども、大蔵省が管轄だと思いますので、そういう点を十分もっと対策を講じていただきたいということ、第一線の税務職員の人たちもそういうことをするのが本意だとは思わないのですが、一定の成績をあげなければならないということで、やっぱり一律に法律によって、税法によって、処理していくということになるわけですね。この点をもっともっとあたたかい心がけを持っていただきたいというふうにお願いしたいわけであります。 それから、その公正妥当な会計処理ということですね、あれは一体どういうところが基準になるのですか。公正妥当な会計処理、これは何条でしたかね、二十二条ですね。公正妥当な何を基準にして、だれが公正妥当ということをきめるわけですか。
○説明員(中橋敬次郎君) 田中先生の第一の御質問ないしは御要請の点につきましては、基本的には、一々の個別事案に対する調査官吏の態度、これはもちろん国税庁が指導いたしております仕事でございますから、そういう点についてのあたたかい心持ちを持った指導という点については、私どもを含めまして十分戒心しなければならぬと思っております。 ただ、お聞きしました事案、これもまた具体的ないろいろなニュアンスがあると思いますけれども、簿外で利益をあげましておる場合に、それに対する課税処理を行なうという点につきましては、これは税務職員に課せられましたノルマというふうなものとは全然関係ございませんで、それこそ正しい税務行政の一つなんではないかというふうに思っております。 第二の御質問の点は、全然観点が変わりました法人税法の第二十二条に関します改正規定の点でございますが、これを入れました趣旨は、簡単に申し上げますと、いまの法人税法を貫いておる精神もまさにそういうことなのでございますけれども、明文的にはいささか明らかでなかった点でございます。これがねらっておりますことは、実は法人の税務調査におきまして、各会社会社がいろいろみずから確立し継続的に適用いたしておりますところの会計処理の基準というのがあるわけでございますけれども、税務のほうではまた一律に非常に精緻に、あるいはむしろ画一的な基準というものをもって調査に臨むわけでございます。よく悪口的に言われますことは、たとえば会社におきましてある事業年度に、翌事業年度にわたりますところの雑誌の購読料を一年分払っておるということになった場合に、ある会社では毎年毎年継続的に、その一年分の雑誌代を出しました事業年度の損金に落とすわけでございます。ところが、私どもの厳密な会計処理の基準と申しますか、調査の考え方から申しますと、たとえばその一年分の雑誌代のうち一月分だけが当該事業年度分に当たるということになりますと、あとの残りの十一カ月分の雑誌代というのは前払い費用であるということで、出しました事業年度におきましては否認をいたすわけでございます。ところが、否認されました会社のほうでは、一年分ぐらいの雑誌代を、しかも毎年毎年同じような考え方で出しておるのに、十一カ月分を事こまかに否認するに当たらないではないかというような苦情と申しますか、何かそぐわない感じを持つ場合が往々にしてあるわけであります。例にあげましたのは非常にこまかい点でありますけれども、そういった会社側が継続的に、しかも恣意的でございませんで、客観的に通用いたすようなそういう確立した会計基準をもって処理しております場合には、税務署のほうは、むしろ個別的に具体的にその適否を判断いたしまして、そういう処理そのままを是認しようということをはっきりと税法上も明らかにいたすという趣旨から、二十二条の改正規定を設けたわけでございます。
○田中寿美子君 そうしますと、別に政令かなんかできめてあるということはないわけですね、標準基準を。
○説明員(中橋敬次郎君) 政令等でそういうものを規定する考えはございませんで、各企業で継続的に適用されておる健全な会計処理の基準というものがそのまま適用されるわけでございます。
○田中寿美子君 そうしますと、やはりこれは零細企業はそういう慣行を持っていないということがありますので、十分指導していただかないと、また絶えず先ほど申し上げましたような問題にぶつかって、ひどい目にあうと思うのです。 それから、ついでに、法文のことになってまいりましたので、六十条の保険会社の契約者配当の損金算入というのがございますね、これは四十年の改正では、相互会社だけであったが、今度は保険会社全部を対象に入れている。これはどういう理由なんですか。
○説明員(中橋敬次郎君) 今回の改正の趣旨は、実は保険会社の中でも特に生命保険会社でございますけれども、その生命保険会社におきまして毎事業年度契約者に契約者配当というものを還元いたしますための準備金を積み立てました場合に損金になるという従来からの処理がございます。ところで、現行法は、そういう規定につきまして、相互会社だけについて規定をいたしておるわけでございますけれども、その契約者配当準備金の損金算入につきましては、株式会社については一々の規定を待ちませんで当然損金に落ちるという考え方のもとに、現行法は相互会社だけにつきまして、その点も明確にするという意味におきまして、相互会社については契約者配当準備金は損金であるという規定を明定しておったわけでございます。 ところで、生命保険会社全体の経理状況をながめてまいりますと、これは相互会社に限りませず株式会社も含めてでございますが、通常の会社でございますればおそらくとられたと同じような考え方でまいりますと、相当多額の剰余金、いわば利益金をあげておるわけであります。ところが、生命保険会社特有の先ほど申しましたような保険契約者に配当いたしますための金、そういうものを損金にいたします関係で、ほとんど法人税を納めるととがないという事態が出る場合が往々にしてあるわけであります。ところで、一方、保険会社のそういう仕組みを考えてみますと、契約者から相当の金を集めまして、その法人におきましてその集めました保険料を運用して利益をあげまして、そうして事業をやっておるという点に着目いたしますれば、やはり相当の法人税というのを納めてしかるべきではないかという点に着目をいたしたわけであります。 そこで、現在の契約者配当準備金の損金算入という事態を考えてまいりますと、例の法人が受け取ります配当金の益金不算入という制度が一般の会社に適用になっております。それがきわめて保険会社につきましては受け取り配当が多うございます。したがって、その分が益金不算入という結果になるわけでございまして、その点が受け取り配当については益金不算入、しかもそれを財源としますところの契約者配当準備金、これがまた損金になる、こういう点に着目いたしまして、今回の改正で受け取り配当益金不算入になる部分、その部分が契約者配当準備金に入ると、そのものについては損金算入いたしませんということで、損金算入の限度を制限するという規定を御提案申し上げておる次第でございます。その点につきましては、相互会社、株式会社を問わないということでございますので、今回は六十条は株式会社、相互会社両方に改正規定を適用する、こういうことで御提案申しております。
○田中寿美子君 まだいまの質問あるのですけれども、大臣がおいでになりましたので、私、二、三点大臣にお伺いしたいと思います。 一つは、政治資金規正法との関連で、福田幹事長は、政治資金に対しての税制上の優遇措置をしたいということを表明していらっしゃいます。で、そのことばは、昨日の夕刊読売からですけれども、「政治資金は、国民の政治参加という見地から、選挙制度審議会答申も税制上の優遇措置をはかることを指摘している。答申尊重の建て前からこれはぜひ実現してもらいたい。具体的措置としては、政治資金を寄付した人に対し、寄付金額分を課税対象から控除する方法がいちばんわかりやすい。」と言っておられますが、大蔵大臣もきのう予算委員会のほうでこのことについてお答えになったように思いますが、大蔵大臣は、やはり政治資金に関しては全額課税の対象としないという考え方を持っていらっしゃるのでございましょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 答申では、寄付した個人に対して税の優遇措置を講ずるようにというのが答申でございます。答申の線に沿えば、これを優遇することを考えなけりゃならぬということでございまして、いま優遇のしかたの検討をやっておりますが、なかなかむずかしい問題でございまして、まだ私たちとしましては結論を得ていない、こういう段階でございます。
○田中寿美子君 もう一つの点は、先ほど大臣がおいでになりませんときに、所得税ですね、非常に納税人口は、毎年毎年減税をしておりながら、納税人口はふえていくし、それから給与所得者の納めております税金も、減税にもかかわらずふえていっております。これは中程度のさっき事例をあげたんですけれども、中ぐらいの給与所得者で、地方税も含めて毎年支出がふえて、税の支出もふえていっている。だから、減税にはなっていない。ほんとうに減税しようと思ったら、独身者の減税を大幅にしなければならないと思いますが、大臣もそのような意見を衆議院の大蔵委員会のほうで述べていらっしゃるわけですね。これは一体、大臣は、見通しとして何年間ぐらいの間に独身者の課税最低限をどのくらいにまで引き上げたいというふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 年々納税者がふえることはもう御承知だと思いますが、一年に百万人ずつ新しい納税者がふえていると。しかも、納税者の九割というものは事実上給与所得者だと、こういう関係から年々ふえますので、したがって、これを調節する減税というものを毎年やってまいりましたが、その際、いままでの減税のしかたがやはり世帯を持った人へ厚くするということをやりましたために、独身者の減税が少しおくれているというために、独身者の納税者がふえておるということは事実でございますので、まずこの訂正を本年度からやるつもりで、平均一八%の減税になろうと思いますが、独身者の課税最低限は特に二一%引き上げるという措置を今年度はとりましたが、この程度の差のつけ方をあと二、三回やれば、独身者に対する課税の均衡というものは大体保たれるのじゃないかというふうに考えております。
○田中寿美子君 日本の現行の税体系というものは非常に大衆課税だと思いますので、それを救う道は、一番下におります独身者の免税点をうんと引き上げる、こういうことをしない限りほんとうに減税にはなっていかないということ、ぜひ大蔵大臣にも、考えておられることをもっと大幅に進めていただきたいということを御要望いたしたいと思います。 それから、もう一点なんですけれども、大臣は売り上げ税というものを考えておられるということが報道せられております。これは現行の法人税を大幅に減税または廃止して、そのかわりに売り上げ税という間接税を設けることによって財源を確保していくというお考えを持っていらっしゃるらしいのですが、それはどういうことですか。つまり、社会開発を一方で進めなければならない、そのための財源にし、一方は減税しなければならないし、そういう点から考えて売り上げ税というようなことをお考えになっておるのでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) これはしばしば申し上げましたが、ちょうどこの委員会で間接税の問題が出ましたのをきっかけに、衆議院のほうの委員会でこの問題が出ましたときに私が申しましたことは、直接税に対する減税の要望は非常に今後ますます強くなってくると思いますし、また税収のうちでいま三本の柱になっておる法人税というものは、将来だんだんに財源として期待できない性質を持っておるにもかかわらず、この直接税を減らせという要望は今後強くなるということを考えますというと、さきに言った長期の税制としていろいろなことを検討する必要が出てくる。ことに公債を発行しているということになりますと、将来にわたって成長していくだろうという税源を開発していくということはどうしても必要だと。そういうことから見ますと、昔は地租が国の歳入の中心でございましたが、いまは斜陽化している。だんだんに税の中心が移っておりますので、ことに福祉国家を建設するのだということになりますというと、企業の段階でもうけを企業者と政府が山分けしてしまうというような税制のあり方というものは、相当再検討さるべきであるということから、私はそういう趨勢に対して、将来の成長税の開発というようなものをやはり研究課題とすべきであるということを言っただけで、そのときたとえばと言ったことでございまして、いますぐこの売り上げ税をどうこうと言ったわけではございません。
○田中寿美子君 それで、ただ間接税というものは所得の低い者に高くなっていくという、これは心配が非常にございますですね。同じたばこでも、大臣の吸われるハイライトと月収三万円の独身者の吸うハイライトと、やはりその税金は同じだけ払うということになりますと、低所得の者に累進して高くなっていく、こういう心配がございますから、間接税を考えられる場合には十分慎重に考えていただかなければならぬと思いますので、御要望しておきたいと思います。 ―――――――――――――
○委員長(竹中恒夫君) 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案、石炭対策特別会計法案、税制簡素化のための国税通則法、酒税法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○戸田菊雄君 大臣に二点、この際質問いたしますので、御回答願いたいと思います。 その第一点は、関税定率法の一部改正について、過日の衆議院の大蔵委員会、それから衆議院の農林水産委員会において附帯決議が決定されております。その決定の内容によりますと、一つは、国産果実の生産振興をはかるため基盤整備事業、生産並びに流通近代化施設、品種更新などの助成を拡充すること、第二番目は、国産果実の消費拡大対策として学校給食その他国内需要の増大、輸出振興につとめること、三番は、バナナ等外国産果実、加工品の輸入にあたっては国産果実に悪影響を及ぼさないよう輸入調整をはかるとともに、輸入及び流通秩序の確立をはかること、こういった趣旨の一連の附帯決議が決定をされているわけでありますが、大臣はこういった附帯決議について今後具体的に実施ないし計画をどのように考慮されていくのか、この点をまず第一点としてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) こういう決議がなされましたので、もう政府としましてはさっそくこの趣旨に沿った努力をいたしております。で、先般中華民国の李経済大臣が来日しましたので、その際にもこの問題を持ち出していろいろお話ししましたところが、非常に好意的に向こうも検討してくれるというようなことでございまして、近く関係省の担当者が向こうに行ってこの交渉に入るというような段取りになっておりますが、中華民国がバナナを日本に売るかわりに日本のリンゴを相当に買ってくれるというようなことは、私は実現すると考えております。今後一そうこれは努力するつもりでございますし、また、学校給食に対しましても、バナナの需要を拡大する一つの方法としては非常にいい方法でございますので、リンゴというだけではやはり文部省もいかぬと思いますし、リンゴとかミカン、こういうようなものを給食にどう取り入れるかということは文部大臣に研究をお願いするというようなことも政府内部でやっておりまして、この決議の線に沿って十分努力するつもりであります。
○戸田菊雄君 大蔵大臣の非常に誠意ある検討内容というものが若干御披露されました。この問題については広く問題になっておりまして、ことにいま大臣がおっしゃられた学校給食の問題ですね、この法案が実施されるまでの間に、できるだけ学校給食等については文部大臣といま大臣がおっしゃられた内容というものを十分お話を願って、具体的に政府の助成態様というものを打ち出していただきたいと思うのです。たとえばリンゴの保管のために冷蔵庫を購入するとか、いろいろあると思うのですが、そういった諸施策等についても政府として責任をもって一応この学校給食に向けて促進ができるように、そういう予算を含めた内容を具体的にひとつ実行形態としてあらわしてもらいたい。 もう一つは、中華民国とのバナナ協定については、いま私が言ったような名称でずばりいくかどうか、いろいろそれは疑問がありますけれども、大臣がおっしゃられたように、各省の担当が来月行かれて、そして具体的にこの作業に取りかかる、こういうことでありまするから、そういう作業をより前進さして、でき得るだけこの法案の実施時期前にそういう政府における諸作業をちゃんと終わって、この関税定率法の一部改正というものを実施の方向に持っていきたい、こういうことを私は大臣に強く要望するわけであります。そういう点について大臣の御意見をもう一度お聞かせ願いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 御決議がございますれば、その線に沿って私どものほうも十分善処いたしたいと思います。
○戸田菊雄君 内容はわかりました。関税定率については終わりますが、この際もう一点大臣にお伺いしておきますが、先ほど田中先生のほうからもいろいろと質問があったのですが、税制簡素化についてでありますね、今回の提案内容を見ますと、私はどうも徴収事務に向けて合理化するような半面、徴収に対しては徴税強化、こういうふうにどうも考えられるのです。たとえば、この改正内容には、口座振りかえ納付制度というものが設けられるようでありますが、従来は記帳回収、それが電子計算に移され、今度は振りかえ納付制度というところに持っていこう。私がいろいろ調べた範囲内では、今後一、二年の中で、でき得れば九割程度こういう制度に切りかえていく。そうしますと、かりにある事業をやっている人が銀行預金やあるいは郵便貯金をしているということになると、それは税務関係では全部これを掌握するかっこうになるわけでありますね。そうすると、その金は会社としてはいわゆる事業形成へ使っていくという計画があるのでありますが、それがかりに税金の納付状況がうまく促進をされないということになると、これは税務署でぴっちり押えてしまう。そういうことになると、事業関係にその金を回していけないというような欠陥も出てきやしないか。こういうことにおいて、どうも私は税制簡素化に向けて、いろいろと名目は三項目程度について簡素化し、納税者に対して非常に負担軽減を来たして、便利がよくなるような印象を与えているのでありますが、事実内容というものは逆の方向に行っているのではないか。この点、徴税強化にならないかどうかということについて、大臣から明快な答弁をお願いしたい。
○説明員(結城義人君) ちょっと技術的なところがございますので、私から答弁いたします。 振りかえ納付制度でございますが、これは納税者の方が一々金融機関まで出かけていったり、納付期限を覚えておったりするめんどうくささを排除するという意味で、税務署がかわって納付書を書いて差し上げて金融機関へ送るというサービスのための制度でございまして、この制度に入るということを強制するものではございません。御自由に入っていただく。ただ、こういう制度があるので便宜でございますからという宣伝はいたしておりますけれども、強制するものではございません。 したがいまして、別に預金の額が幾らということは税務署のほうにはわからないわけであります。ただ、納付書を金融機関に送るというだけの話でございますので、預金の額を全部税務署が押えるというようなこともございません。
○戸田菊雄君 おっしゃるようなことなら、さして私は心配はしないのですけれども、どうもやはり、いままで税制改正のたびに、税制簡素化とは言うけれども、結果的には徴税強化体制に落ち込んでおる。たとえば国税通則法なんというのはいい例だと思う。こういうものを強引に立法化して、徹底した徴税強化体制におちいっておる。現にいま税務署では、係員が各中小企業やその他に税の査定に行ってくる場合に、税務署に帰ってくると、増差額があったどうかということで、いわゆる締めつけられる。そういう徴税態様そのものを見ますと、実際の中身というものを見ますと、確かに調査官が言われるように、表向きは非常にりっぱなことを言うのだけれども、徴税の実態というものはそういう方向に行っておらぬ。これがいま偽らない実態だと思う。ですから、そういう意味においても、確かに希望でもって、口座振りかえ納付制度に入っていただくのだと、こう言っても、それは皆さんはそういう方向に全体を追い込んでいく、これは間違いないのですよ。だから、そういう場合に当然私の前に言ったような弊害が起こりやしないか。こういう点について、ですから、端的に大蔵大臣がこのことによって、たとえば徴税強化、具体的には組合等がいろいろやっておられる共済制度に一定の規制を加える、あるいはそういうものまで徴税態様というものを拡大したり、こういう一体徴税強化態様になってくるのか、その辺をはっきりお答え願いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) この改正によって、もう徴税を強化するというような意思は絶対ございませんので、むしろ納税者の便宜という点からの改正でございますので、強化にならぬようにこれはもう十分気をつけますし、そうする意思は全然ございません。
○戸田菊雄君 ことに、そういういま税務署の間にいろいろ問題があるわけです。私が調べました範囲では、税務署では一日に一人くらいの割合でやめていく。ことに、やめるというのは中堅クラスの課長ないし係長で、こういう人たちにいろいろ聞いてみますと、きわめて過酷な労働条件、いわば職場環境に夢がない、そういうところまで追い込むような徴税強化をするということを、税務署職員に徹底的に――これは三十日にいろいろ時間がありますから、具体的にこういうことを質問してまいりたいと思うのですが、そういうところまで追い込んで、そうして毎日一人ぐらいの割合でやめていくというようないまの税務署の内容の実態というものは、局長がりっぱなことを言われておりますが、そこまで実際は追い込まれておる。だから、こういうようなものについて、ぜひ、いま大蔵大臣が答弁なされたように徴税強化、そのことから来る職員が夢も希望も失うようなそういう態様まで追い込まないように、十分ひとつ態様というものについていろいろ御検討願いたい。ぜひひとつお願いして私の質問を終わります。
○柴谷要君 いよいよ三法の採決に入るわけですけれども、私は少し変わった質問を一間だけしたいと思います。というのは、国民に対して保健上からいっても果実類が必要なことは、これは医学的にも言われておるわけです。ですから、国民の要望としては、安いくだものをたくさん食べたいというのが国民の感情だと思う。ところが、その上については、生産者というものがあって、そうして生産者が完全に成り立っていかなければならぬ、こういう条件がある。ただ、その生産者を守るために国民にわざわざ高いものを食わせるというのが私は政治じゃないと思うが、どうですか。だから、私はいわゆる高い関税をかけて高いバナナを国民に食わせるのではない。できることなら安いバナナならどんどん食わせる。しかしながら、国内の柑橘類を守る、こういう点については、やはり政治の上で十分これらの人たちがまかない得るような態勢をつくってやることが、私は真の政治だと思う。そうでしょう。だから、一方に規制を強いて、そうして一方を守ってやる、こういうのは私は政治じゃないと思う。しかし、そういうきらいがややもすると生まれようとしておりますので、これは私は真の政治のあり方ではないと思うので、十分に国民全体が考えなければならぬ。この点、大臣、どうお考えになっておるか。 私はもう、国民の保健上からいっても、たくさんくだものを食べろと、こういうことを言われている。しかし、いろいろの意見があって、それを代弁しなければならぬ国会議員の立場にありますので、むずかしい立場にありますけれども、私は原則論として、政治のあり方はそうあるべきだと思うのですが、この点は、大臣、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) もう全く同感でございます。今日まで特に貿易自由化ということを、昭和三十五年から一定のスケジュールを組んでこれを実行してきましたが、この過程においてこういう問題のむずかしさをしみじみと私どもは経験してまいりましたが、問題は、やはり国民は消費者でございますから、消費者としての国民に安いものを提供するということと同時に、やはり国産をある程度保護し、守ってやる、この二つの実際は反した仕事をどう調和させていくかというのが現実の政治だと思いますし、またそれをやりながら今日私どもやってきましたが、今後もこの調和を考えて前進させるよりほかしかたがないと考えております。
○委員長(竹中恒夫君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
○委員長(竹中恒夫君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより三案につきまして一括して討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
○委員長(竹中恒夫君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 最初に、関税定率法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
○委員長(竹中恒夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおことり可決することに決定いたしました。
○青柳秀夫君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま可決されました関税定率法等の一部を改正する法律案に対し、附帯決議案を提案いたします。 附帯決議案を朗読いたします。 関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案 政府は、バナナ関税引下げの実施に当って、次の措置を講ずべきである。 一、国産果樹の生産振興をはかるため、基盤整備事業、出産ならびに流通近代化施設、品種 更新等の助成を拡充すること。 二、国産果実の消費拡大対策として、学校給食その他国内需要の増大、輸出振興に努めること。 三、バナナ等外国産果実、加工品の輸入に当つては、国産果実に悪影響を及ぼさないよう輸入調整をはかるとともに輸入及び流通秩序の確立をはかること。 四、バナナ関税引下げ実施時期は、中華民国に対するリンゴ輸出についての貿易交渉、果実学校給食その他の事情を勘案して定めること。 右決議する。 何とぞ御賛成くださるようお願いいたします。
○委員長(竹中恒夫君) ただいまの青柳君提出の附帯決議案を議題といたします。青柳君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
○委員長(竹中恒夫君) 多数と認めます。よって、青柳君提出の附帯決議案は、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、水田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。
○国務大臣(水田三喜男君) ただいまの附帯決議につきましては、十分関係省と協議し、御趣旨を体して努力いたします。
○委員長(竹中恒夫君) 次に、石炭対策特別会計法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
○委員長(竹中恒夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、税制簡素化のための国税通則法、酒税法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
○委員長(竹中恒夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、三案につきまして、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
○委員長(竹中恒夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午前の審議はこの程度にいたしまして、午後は三時三十分から再開いたします。それまで休憩いたします。 午後一時十四分休憩 ―――――・――――― 午後三時四十九分開会
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。米田大蔵政務次官。
○政府委員(米田正文君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、昭和四十二年度税制改正の一環として、さきに提出いたしました所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案等の諸法案に引き続き、企業の体質改善の促進、輸出の振興、社会開発の促進等に資する特別の措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案について、その大要を御説明申し上げます。 この法律案の内容は、当面の政策上の要請にこたえて新たに税制上の特別措置を講ずるものと、既存の特別措置につき実情に応じて整理、合理化あるいは期限の延長等の措置を講ずるものとの二つに大別されますが、まず、特別措置を新設したものについて申し上げます。 第一は、企業の体質改善を促進するための措置を講ずることであります。すなわち、資本の自由化に即応して、国内技術の開発の緊要性に顧み、企業が試験研究費の支出を増加した場合には、その増加額の二五%相当額を税額控除することとするとともに、紡績業及び織布業の構造改善対策並びに石炭鉱業の再建整備対策の一環として、それぞれ所要の措置を講ずることとしております。 第二は、中小企業の体質強化のための措置であります。すなわち、中小企業の機械等の割り増し償却について、その適用対象に協業組合を加えるとともに、特定の指定業種については中小企業としての従業員基準を緩和するほか、中小企業の協業化の促進、中小漁業の振興、肉用牛の緊急増産等の要請にこたえて、それぞれ新たに特別の措置を講ずることとしております。 第三に、輸出の振興に資するため、輸出取引に関して企業が海外支店等で支出する交際費を否認の対象から除外するとともに、輸出割り増し償却制度の対象取引に外貨を対価とする測量請負等を加えるほか、輸出等の証明手続の簡素化を行なうこととしております。 第四には、社会開発の促進をはかるため、公害防止施設や都市交通緩和のための私鉄の都心乗り入れ施設等について特別償却制度を新設することとしております。 第五は、土地対策及び住宅対策の充実をはかるための措置であります。すなわち、譲渡所得の課税について、収用等の場合には一千二百万円の特別控除を行ない、また、特定の住宅地造成事業の場合には三百万円の控除制度を新設するとともに、特定の住宅貯蓄契約に基づいて貯蓄をした場合には、その貯蓄額の四%相当額の税額控除を行なうほか、従業員が勤務先から受ける住宅借り入れ金に対する利子補給金について課税しないこととしております。 以上のほか、日本万国博覧会に出展する企業について出展準備金、特定の森林施業計画に基づく山林の伐採等について森林計画特別控除または計画造林準備金を新設する等の措置を講ずることとし、また、税制においても金融政策と並んで景気調整措置の採用が必要とされる状況に顧み、景気過熱の期間において、一定の基準により法人税の延納利子税率の引き上げや合理化機械の特別償却の停止繰り越しを行ない得ることとしております。 次に、特別措置の整理合理化、適用期限の延長等の関係について申し上げます。 第一に、利子所得及び配当所得に対する課税の特例につきましては、貯蓄に及ぼす影響等を考慮しつつ漸進的な措置を講ずることとし、それぞれ特例税率を五%引き上げて、その適用期限を昭和四十五年三月末日まで延長することとし、また、この改正と関連して、新たに割引債券の償還差益についてもその発行時に五%の税率による所得税の源泉徴収を行なうこととしております。 第二に、交際費の損金不算入制度につきましては、交際費の節減をさらに進めるために、交際費が前年同期より増加した場合には、その超過額のうち前年同期の五%をこえる部分の全額を課税する一方、前年同期より減少した場合には、その減少額相当額を否認対象額から控除するという合理化を加えた上、その適用期限を昭和四十四年三月末日まで延長することとしております。 以上のほか、適用期限の到来するその他の特別措置については、開発研究機械の特別償却制度のように新規の措置に吸収するもの、あるいはまた、航空機の国内乗客に対する通行税の軽減措置のように他の政策上の必要等に基づき廃止するものを除いて、実情に応じ簡素化ないしは合理的改定を加えた上、あるいは現行制度のまま、その適用期限を延長することとしております。 なお、以上のほか、税制簡素化の見地から利益処分による特別償却及び準備金の設定の道を開く等、所要の整備合理化を行なうこととしております。 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由とその内容を申し述べました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(竹中恒夫君) 引き続いて補足説明を聴取いたします。結城財務調査官。
○説明員(結城義人君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、補足説明をいたします。 この法律案は、当面の政策上の要請にこたえて、企業の体質改善の促進、輸出の振興、社会開発の促進、住宅対策等のため、新たに税制上の特別措置を講ずることとしているものでありますが、そのほか既存の特別措置についても実情に応じた整理合理化あるいは期限の延長等を行なうこととしております。 第一に、企業の体質改善のための措置といたしまして、企業が試験研究のための支出を増加した場合には、増加額の二五%を税額から控除することとするとともに、紡績業及び織布業の構造改善対策並びに石炭鉱業の再建整備対策の一環として、準備金その他の課税の特例を設けることとしております。なお、右の技術開発促進のための試験研究費を増加した場合の税額控除制度の創設に伴い、開発研究用機械等の特別償却及び重要外国技術使用料の軽減措置は廃止することといたしております。 第二に、中小企業の体質の強化をはかるための措置として、中小企業者の割り増し償却制度について、従業員基準を緩和すること、協同組合から転換した協業組合について三年間課税の特例を認めること、中小漁業者の合併、現物出資及び減価償却について圧縮記帳及び割り増し償却を認めること、肉用牛の売却による所得を免税とすることとしております。 第三に、輸出の振興のための措置といたしまして、輸出控除の対象として新たに測量請負等を追加するとともに、いわゆる輸出交際費の範囲を拡大し、輸出取引に関して海外支店等で支出する交際費を否認の対象外とするほか、輸出割り増し償却制度について手続の簡素化を行なった上で適用期限を二年間延長することといたしております。 第四に、社会開発の促進のための措置として、重油脱硫装置等の公害防止施設、私鉄の都心乗り入れ工事等に関して特別償却を認めることとしております。また、土地対策の推進のための措置として、土地収用等の場合には一千二百万円の特別控除、特定宅地造成事業への土地の譲渡には三百万円の特別控除を行なう制度を新設することとしております。次に、住宅対策の一環として、特定の住宅貯蓄について、その貯蓄額の四%相当額の税額控除を行ない、従業員が勤務先から受ける住宅借り入れ金に対する利子補給金については課税しないこととする措置を講じております。 第五に、以上のほか、日本万国博覧会に出展する企業については出展準備金、特定の森林施業計画に基づく山林の伐採等については森林計画特別控除または計画造林準備金等を設けるとともに、その他税制の景気調整機能の強化をはかるため、景気過熱の期間において、法人税の延納利子税率及び合理化機械の特別償却に関し機動的に景気調整措置を講じ得るような仕組みを導入することとしております。 第六に、特別措置の整理合理化等の関係でありますが、まず、交際費の損金不算入制度につきましては、その支出が前年同期に比し一〇五%以上増加した場合には課税を強化する一方、支出を減少した場合は、課税を軽減することとし、交際費支出抑制の実効を高めるため新たな仕組みを取り入れることとしております。 また、利子所得及び配当所得の特例については、税制調査会の答申の趣旨に沿って漸進的措置を講ずることとし、その特例税率を昭和四十二年七月一日から五%引き上げて、適用期限を延長するほか、この改正と関連し、昭和四十二年七月一日から昭和四十五年三月三十一日までの間に発行される割引債券の償還差益について所得税の源泉徴収を行なうとともに、個人については、これを分離課税とすることとしております。 適用期限の到来するその他の特別措置については、新規措置に吸収しあるいは他の政策上の要請等に基づいて廃止するものを除き、実情に応じ合理的改定を加えつつ適用期限を延長することとしておりますが、このほか、税制簡素化の見地から、利益処分による特別償却及び準備金の設定の道を開く等、所要の整備合理化を行なうこととしております。 以上が租税特別措置法関係の補足説明でございます。
○委員長(竹中恒夫君) この際、本案に対する衆議院における修正点について、修正案提出者衆議院議員村山達雄君から説明を聴取いたします。
○衆議院議員(村山達雄君) 租税特別措置法の修正案が衆議院において全会一致で可決されましたが、その修正案の骨子並びにその提案の理由について、提案者を代表いたしまして簡潔に御説明したいと思います。 今度の修正案は、租税特別措置法六十一条、すなわちこれは協同組合の財政的基礎を確立するために、所得のうち資本金の四分の一に達するまで留保したら、その留保金額の二分の一を損金算入いたしまして、それによる軽減税額を基礎といたして財政的基礎を確立しようという六十一条の規定がございますが、この対象の中に新たに消費生活協同組合並びに消費生活協同組合連合会を加えんとするものでございます。 この規定の沿革を申し上げますと、当初昭和二十八年にこの種の協同組合に対する留保課税の特例が設けられまして、この際は消費生活協同組合は除かれておったのでございますが、翌二十九年、ほかの協同組合につきましては再建整備をする組合に限ってこの規定を適用すると同時に、新たに消費協同組合についてもこの中に入れられたのでございます。ただ、ほかの組合につきましては再建整備の関係がございますので、再建整備が修了するまでずっと期限なしに続いておったのでございますが、消費協同組合については再建整備という問題がございません。そこで、昭和三十五年までという時限を切りましてこの規定が適用になったのでございます。しかるところ、三十五年が参りましたので、自動的にこの特例措置から消費協同組合がはずれたのでございます。その後、消費協同組合以外の事業協同組合につきましては、相次いでそれぞれの基本法が設けられまして、基本法の角度から新たにそれらの協同組合の財政的基礎を確立する必要がある、同じようにやはり留保所得の特例措置を設ける必要があるということになりまして、昭和三十九年新たに再建整備を目的とする協同組合以外につきましても、消費協同組合以外のものにつきましては、すべて基本法がございますので、そこで前項のような資本金の四分の一に達するまでは、もし留保したら、その留保の半分だけは課税から除外するという規定が入ったのでございます。 で、消費協同組合を早く他の組合と同じような扱いにしてくれということはずいぶん論議されまして、当参議院大蔵委員会におきましても四十年において四党の共同提案からなる附帯決議において、今後政府の税制調査会にはかって消費協同組合をもこの対象に加えるよう検討してほしいという決議が行なわれました。なお、昨年の衆議院の大蔵委員会におきましても、委員と大蔵大臣福田さんとの間に質疑応答がかわされまして、その際大蔵大臣としても、今後消費協同組合をこの規定の対象にすることについては検討の上善処する、こういう約束が取りかわされておるのでございます。 しかし、これにはいろいろな議論がございまして、第一は、消費協同組合を野放しにして、もし同じ規定の対象にするとすれば、中小企業者の業務分野との競合をどうするかという問題が一つある。さらにまた、基本法のないものについてこれを認めることについてはいかがかというような論議があって、今日まで参りました。今度の政府提案でも、実はこの点の規定を欠いておったのでございます。で、さらにことし三月十三日に閣議において決定されました経済社会発展計画におきましては、物価抑制の見地並びに消費者保護の見地から消費者の組織団体である消費組合等のこの活動の基礎を強化する必要があるということで、閣議決定で見られているのでございます。それら諸般の事情を勘案いたしまして、中小企業との事業の競合関係に調整をつけることによりまして、衆議院においては従来の懸案にピリオドを打とうということで入れたのでございます。 すなわち、この修正案の骨子とするところは、六十一条のこの留保所得の課税の特例に、原則として消費協同組合並びに連合会を加えます。ただし、現在の中小企業と競合すると思われる資本金あるいは出資金一千万以上であるような組合あるいは連合会は、やはり中小企業基本法のたてまえからいいまして除くのが妥当である、そのことは政令でうたおうとするものでございます。 なお、この実施期日は、六月一日以降終了する事業年度分から適用することになっておりまして、一般の今度の法人税法の改正が六月一日以降開始する事業年度から適用するということに対しまして、非常に時期を早めておるのでございます。 以上が、この修正案の内容並びに趣旨でございます。
○委員長(竹中恒夫君) 以上で説明を終わりました。 ―――――――――――――
○委員長(竹中恒夫君) 次に、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題として、質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○柴谷要君 租税特別措置法の一部を改正する法律案中、委員会の修正にかかる提案の説明がなされました。私は実は衆議院の大蔵委員長さんかあるいは他の方が見えると思いましたが、そのうちの権威者が来られて、とうとうと論じられたので、もはや質問の余地がないような気がいたします。よりもよって、えらい人をよこされたと実は思っておるのでございますが、一つだけお尋ねをしておきたいと思う。 その前に、まず、たいへんりっぱな修正をしていただいたことを、参議院野党の社会党としては心から御努力に感謝いたしたいと思います。 いま御説明のございましたように、消費生活協同組合は、実は五年越しの要請であって、これが六十一条第一項に挿入されたということは、全く喜びにたえないところでございますが、しかし、政令で定めるという条項の中に、出資金額が一千万円以下と、こういうことに相なっておりますし、また農業協同組合と同列に、やはり員外利用等については二〇%をこえてはいかぬというような規定が政令の中にうたわれている。この一千万円以下に規定するということが、中小企業基本法に抵触するという御説明がなされましたが、中小企業基本法のどの部面と抵触するのか。それは将来、状況によりましてはこれが二千万円あるいは三千万円に変更する場合があり得るかどうか。これは率直に申し上げまして、一千万円以下のものは私どもの推定するところでは大体九割ほどあるということになっておりますから、これは実質的に、役割りを考えてみますと、たいした役割りをしていないというのが実情なんですね。これを上回ったいわゆる出資金二千万円、三千万円、あるいは五千万円というような範囲のところが、実は真剣に取り組んでその実をあげているわけです。中には十億という大きな灘生協なんというのがありますが、これは特例でございます。そういうような事情の中で、将来二千万円あるいは三千万円の部面が非常に――たとえば私どもが考えておりますのは、物価引き上げ等をさせないために非常に有利に活躍するというような役割りを果たし得る部面がその階層にあるんではないかというふうに私どもは考えますが、これらの点について御検討をいただいたものかどうか。エキスパートにお尋ねするのは何かと思いますけれども、そういう点まで十分御議論なさった上で、この一千万円ということで規定をされて政令の中にうたわれることになったのか、その点をひとつお聞かせをいただきたい。
○衆議院議員(村山達雄君) ただいまの一千万円以下に限定するのは、中小企業基本法に抵触するという意味で一千万円をこえるものは排除されたのかというお尋ねでございますが、法律的に別に抵触するわけではないと思うのでございまして、入れましたのは、中小企業との競合の問題から難色があったという経緯にかんがみまして――通常これは小売りでございます。そこで中小企業基本法でいうところの小売りの段階における中小企業というのは何であるかということになりますと、資本金一千万円以下のものをいうわけでございます。で、メーカーは五千万円以下ということになっております。したがって、そういう意味で平仄を合わす意味で、やはり中小企業といわれるような規模であるならば、同じ中小企業同士の競争ということになりますから、だから、あえて従来競合するからどうだこうだといって非難する理由にはならぬのじゃないか、こういう趣旨からなったのでございます。したがいまして、将来この点が中小企業のほうの定義が基本法において上がってくるというような事情あるいはその他の事情がございますれば、当然それに平仄を合わせてこの点は改定せられるべきものと、かように考えているわけでございます。
○柴谷要君 修正提案者についてはこれで……。ありがとうございました。 それでは、政府側に質問を変えていきたいと思うのでありますが、利子所得の源泉徴収税率あるいは配当所得の源泉徴収税率、これが改正になるわけでありますが、改正点はさておいて、適用期間を昭和四十五年、いわゆる三年間に規定してありますね。その三年間の規定をどういう考えに立って規定をしてきたのか。いまの修正案などを見るというと、四十四年までだ。ところが、利子所得や配当所得は四十五年三月三十一日までというような期限になっておりますが、その期限決定にあたってのいきさつをひとつ御説明いただきたい。
○説明員(結城義人君) 配当、利子につきまして、源泉徴収税率は戦後実は一〇%をこえたことはないわけでございます。はなはだしいときには、実は源泉徴収税率ゼロという時代もございました。それから、五%という時代もございました。その税率を今回一〇%より一五%に上げる。御意見によってはまだ不十分だという御意見も十分あろうかと存じますが、一応一〇%を一五%に上げる、五割増しの実は増税措置でございます。したがいまして、資本、貯蓄あるいは国民の貯蓄心に対する影響といったものを今後十分に見きわめる必要があるのではないか。そのためには三年程度の経験を経た上で再び検討するのが適当ではないか、かように考えて三年間といたした次第であります。
○柴谷要君 三年もという期間は、私どもとしてはどうも納得がいかないので、もっとこの際短縮して二年ぐらいを考えるべきじゃなかったかということなんだが、これはまあ政府がこういう提案をしてきたのでお尋ねしたのですが……。 次に、交際費課税の合理化をした、六十三条を合理化をしたと、こう言っておるのだが、一体どういうふうな合理化をしたのか、その説明をひとつ願いたい。
○説明員(結城義人君) 従来の制度は、交際費につきましては、実は交際費も企業会計の立場から見ますと、全額が損金という考え方が成り立とうかと思うのであります。しかし、交際費につきましてはいろいろ問題がございまして、一定の範囲を越える交際費につきましては、半額は企業会計の立場の損金ということを認めないという立場を租税特別措置法で規定しているわけでございます。この租税特別措置は実は普通の特別措置と違いまして、この特別措置がないならば全額が損金に落ちて税金が減るべき筋のものを、実はその損金を否認いたしまして税金を取っておるという特別措置でございます。 その制限を、今回特別措置の期限が切れました機会に、今後どういうふうにすべきかということが当然問題になったわけでございますが、単純に現在の制限額を拡大する、あるいは縮小するというようなことではあまり意味がないのではないか。現在の制限は詳しく申し上げますと、資本金の千分の二・五プラス四百万円という金額を各会社に設けまして、その金額を越える部分の半額を損金否認するということになっておるわけでございます。交際費につきましては、合理的な節約をはかって交際費の支出を節約するというような場合に毛、節約をいたしましても、その場合には利益金がふえますので、また法人税がふえる。そういうことで節約のメリットがあまりないのではないかというような御意見がございまして、今回の措置では、従来よりも交際費の支出がふえた場合には全額否認をする、減らした場合にはそれだけ減税のメリットを与えるという考え方に立ちました。従来の金額よりもさらに五%以上ふえた場合には、そのふえた部分を否認する。それから、従来の金額より減りました場合にはその金額を半額損金否認をする、金額の対象には加えないということによりまして、節約をする誘因措置をきめたと、こういうことでございます。
○柴谷要君 そのような考え方で実際に交際費があなた方の考えておられるような方向に減少をたどると、こうお考えになっておられますか。それとも、実際に減らないとお考えになっておられますか、その点をひとつ。
○政府委員(塩崎潤君) 確かに、こういった措置だけで私は単純に交際費が減るとは思いません。多分に交際費は事業の売り上げ、あるいは利益、さらにはまた経済の好況、不況、これらと結びついておりますので、過去の趨勢から見ますと、好況のときは相当ふえる、不況のときには節約の努力が払われておる、こんなような状況でございます。しかし、私どもといたしましては、何とか非難の高い交際費につきましてひとつ税制上刺激を与えて減らしたいと。もう交際費の規制のねらいは、税収をそこからあげるということではなくて、減らすということのあらわれだと思うのでありますが、そういう意味で、ひとつこういった手段で減らすことを期待したい。いままでの経済界の批判は、三十六年以降の制度の改正によりまして、どうも減らしても税金がふえるだけで何らのメリットがない、こんなことが大体大きな非難の的でありました。それで今度の仕組みで、減らしたなら減らしただけ税金がふえることのないように、もう一ぺんこれを損金に算入するということで、刺激を与えて減らそうというつもりであります。
○柴谷要君 きょうは時間がありませんし、この程度で終わっておきたいと思うのですが、実は政府筋に特に要望しておく問題なんですが、いつも国会の審議の実情というのは、大部分が衆議院に取られてしまい、それで最終の場面に来て参議院に持ってきて、二、三日の間に重要法案をぱっぱと上げてしまえということで、定例日以外にもひとつやってくれというような無理難題を吹っかけられるわけです。しかしながら、われわれ国民の代表として考えた場合に、一歩でも前進する法律案であれば、早く国民の皆さんのものにしてあげたい、こういう気持ちから鋭意努力をするわけであります。 そこで、実は本日、私の党内でもかなりこの問題について議論をいたしました結果、月曜日から三日間精力的に審議をする、こういうことがきまったわけです。しかし、上げるとか上げないは別問題です。三日間精力的にやるということなんです。その精力的にやるということは、いま私が前段に申し上げたような気持ちでやるわけですから、どうかひとつ月曜から、たいへんですけれども、スタッフだけは全部そろえていただいて、大臣の要求に対しては完全にこたえてもらう、こういう態勢で三日間の経過をさせていただきませんと、なかなかもって期待にこたえていけないと思いますので、どうかひとつその点だけは十分銘記しておいていただきたい。その点は政務次官もお答えになれると思いますが、それがもしはずれるようなことがありますというと、私のほうでは重大な決意があることをほのめかして、私はきょうの質問を終わっておきます。
○政府委員(米田正文君) 重要な法案を提出をいたしまして、しかも十分に審議の時間がなくて結論を急ぐということについては、私も特に参議院に籍があるという点からいいましても、たいへん私は遺憾であると存じております。これは国会全体の運営として考えなければならぬことで、大蔵省としては、これはどうでも早くやっていただきたいというのが本音でございまして、だから、衆参両院で時間の配分を適正にしていただくというような方法もお考えくださって、十分に審議をしていただくようにお願いをいたしたいというのが私どもの心境でございます。 しかし、現実にはこの法案の実施期も刻々と予定のものが迫っておりますことで、来週三日間ぶっ続けで御審議をいただくという御意見については、たいへんありがたく存じておりますが、私どももそれにおこたえをいたしまして、大蔵大臣も本委員会を中心にして御審議を願うようにぜひ取り計らってまいりたいと存じております。大蔵大臣もそう申しておるところでございますから、どうかひとつ御審議のほどお願いを申し上げる次第でございます。どうぞひとつよろしくお願いをして、なるべく早く結論を出していただくようにお願いをいたします。
○藤田正明君 ただいまの柴谷理事の質問に関連して伺いたいのですが、私にとってはどうも納得がいかない。ということは、企業にとって交際費をほとんど必要としない企業がある。それば宣伝広告費という名目によって落とされているのであり、これは経費として全部落ちる。ある企業にとっては、宣伝広告費と同じようなものが交際費として損金不算入になる。たとえば銀行とかそういうものは宣伝広告費であって、交際費というものはほとんど要らないのじゃないか。発注者といいますか、注文者によって物をつくるというようなメーカーは、大いに交際費その他がかかるのです。しかし、大衆消費のそういうものを工場生産、量産的に工場生産するような企業は、宣伝広告費であって、たいした交際費はかからぬ。税の公平という原則におきまして、企業の中に、このような広告宣伝費を使われるところは損金で落とされる、そしてまた注文生産のところは交際費として損金に算入されないというようなことがあると思うのですが、この辺についてどうも私は納得がいかないのですが、ひとつ局長の……。
○政府委員(塩崎潤君) 交際費課税の制度自体、私もほんとうに異例中の異例だと思うのでございます。私どもは、交際費課税を強化して、交際費を全額益金に算入しろというお話がございましたが、常に私ども主張しているのでございます。本来利益に対して課税すべきであって、費用に対して課税するのはおかしい。現に千円当たり六円ばかりの平均的な交際費のコストに占める割合は、売り上げに占める割合に示されますが、業種によって非常に開きがある。それがいま藤田先生おっしゃいましたように、業界の慣行、取引の形態から、交際費の要る企業と要らない企業がある。単に自分だけの意思で、任意できめられるものではないということだと思うのでございます。そういった意味で、私は異例中の異例だと思うのでございますが、三十九年から交際費があまりにも巨大過ぎるということで、こういった制度がある。しかも、私ども早くやめたいという気持ちを持っておるのですけれども、なかなか交際費の額についてのいろんな批判がございますので、やはりこの点についての規制も必要であろうかと思っておるわけでございます。 そういった意味で、私は、交際費の単純なる規制では、先生のおっしゃいましたような非常な弊害がございます。そんなような意味で、ふやさない方向に持っていくというのが今回の改正案のねらいでございまして、私どもの気持ちとしては、できるだけ早く交際費課税というような、法人税の理屈から見ますとおかしなものであるし、また企業間にアンバランスができるものをやめたいと思っております。それでは、交際費をひとつ減らしていただくということがやはり先決ではないか。もう一つの理由は、交際費と宣伝広告費が並びましたが、もう一つ交際費に対する世間の釈然としない面は、やはり接待、供応にからみまして、個人消費に帰属する面が、広告宣伝費と違って多い面がある、そこにやはり何か釈然としない面があるというのが、この交際費課税制度の一つのあらわれとも思われますので、このあたりの点をどういうふうに考えているか。むしろ、広告宣伝費に課税しろという声が常にございますが、私ども広告宣伝費は、やはり企業の維持のための必要な費用であり、さらにまた、交際費と違って、個人消費に結びつく面はないから、これはやはり規制するということは考えないほうがよかろう。その他いろんな理由はありますが、大筋といたしましては、こんなことを言っておるのでございます。 ともかくも、早く交際費課税がなくなるような、将来世間のいろんな方に、私どもPRが足らないかもしれませんが、こういった面のPRは十分してまいりたいというふうに思っております。
○藤田正明君 ただいまの広告宣伝費と交際費との相違は、個人の消費という点においてその相違点をつけておるというふうに思うのですが、ただいまのお話、答弁のとおり、交際費がなくなっていくことが望ましい。世の中に社用族というものは目に余る。それはおっしゃるとおりでありますが、しかし、税の公平という原則においては、広告宣伝費は野放しにして、現在の交際費が、やはりこの環境の中においては、そういうふうな注文生産の会社が生きていく上においては必要やむを得ないものである、これは広告宣伝費と同列のものであるというふうな解釈もできるわけであります。ただ単に、個人消費ということによって広告宣伝費と交際費がそこの点で分けられるということについては、はなはだ納得がいきかねると私は思う。広告宣伝費は、税の公平という原則によるならば、広告宣伝費も当然何らかの形で課税されてしかるべきです。私はどっちをはずしてどっちをどうと言うのではなくして、企業間にそういう相違があるのだから、それを税の公平の原則という意味においてお考え願いたいということを申し上げておるのであって、交際費が減っていくということに対しては大賛成です。この法案自体について私はとやかく申し上げているわけではないわけです。広告宣伝費をいかにするのか、今後は。ということをお尋ねしたかったわけです。
○政府委員(塩崎潤君) 非常に私もごもっともだと思います。ただ、広告宣伝費の取り扱いが非常にむずかしい問題をはらむのじゃないかと思いますので、私ども広告宣伝費に対する課税はひとつ消極的に考えておると申し上げたつもりでございます。常に議論といたしまして、広告宣伝費も同様な規制をしたらどうか、ことにここでは誇大広告はやはり社会的な悪という意味から規制の論議がずいぶん行なわれておりましたけれども、私どもはこれもむしろ角をためて牛を殺すという結果も生みかねない、そういった意味で、広告宣伝費の課税に対しましては、私は法人税の制度としては適当ではない、こういうことを申しております。ただ、現在地方税の中で法定外普通税といたしまして、広告費に対する広告税みたいなものがあることは御存じのとおりであります。法人税の制度として強く課税いたしますと、むしろ欠陥が出るような気がいたします。
○委員長(竹中恒夫君) 本日の審査はこの程度にいたします。次回は五月二十九日午前十時より開会いたします。 それでは、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十三分散会 ―――――・―――――