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55回国会参議院1967/05/09

社会労働委員会 第5号

発言数
69
登壇者
12
会派数
3
開催日
1967/05/09

会議録

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、おもに児童保育の問題について、今年度予算の関係でお尋ねしておきたいと思うのです。大臣はきょうはお見えになっていないですから、政務次官に一言だけ私はお尋ねしておきたい。といいますのは、予算書というものがこうして出されております。見てくださいよ。予算書が出されて、予算説明をひもといてみると、具体的にそれじゃこのことの内容はどうなっている、どういうぐあいにやっていくのだということが、私はこの予算書だけではなかなかわからぬ。厚生省はこういう冊子で出すときにこの程度だというなら、追っかけて専門的な説明書を各委員に出してもらう。専門的な説明書——今度の予算でどういうぐあいに推進していくのだということを、専門の書籍でも資料でもけっこうですから、これに付随して、これに書き得ないものはこまかい説明書をひとつ委員に配ってもらいたい。そうでなければ、たとえばなぜこういう質問を私もきょうやろうということになったのかと申しますと、児童保育の問題なんか、社会福祉施設費という一項目が書いてあって、裏の説明書を見ると何にも書いてない。予算書だけにしか書いてないということではどうにもならぬと思うんですよ。それじゃ議員は何を対象にことしの予算案を見るか、見るところは何もない、これじゃ困る。だから、これに書けなければ、私はやっぱしきちっと、これには書けないけれども、別の資料で出してもらいたい。環境整備の問題もあります。だから、各局はそういう点を明らかに、具体的な資料としてお出しになっているのなら、その冊子をきちっと委員に配ってもらいたい、このことをひとつ冒頭に、きょうから始まるんですから、至急にこの予算書に付随して、具体的な説明ができるような資料を全部出してもらいたい、このことを私は皆さんにお願いしておきたい、厚生省に。その上に立って、具体的にことしはどうなるか、それじゃ来年はどうしたらよいかということをここは議論するところなんです。その母体がないわけなんです。ですから、それだけはひとつ大臣にかわって出ておいでになる次官から約束をしていただきたい。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) ただいま御指摘の、予算書の詳しい説明をもっと出すようにというお話でございますが、ある程度この予算書には説明が、たとえば社会福祉施設の整備費、あるいは保育所の運営費というようなものが出ておりますけれども、御指摘の、さらに詳しい説明を出せということでございます。できるだけ準備をいたしまして、具体的にわかるように提出をいたすつもりでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 出ていますとおっしゃるのがちょっと気になる。いまの社会福祉施設整備費というのは三十三億ですね、三十三億の内容の説明は何にも書いてない。児童福祉施設整備も含むと書いてあるだけで、何にも書いてない。こればかりじゃありません。たとえば環境整備の、し尿とかごみの問題についても頭割りで、どんぶり勘定で分けておろしているということなんかも、きちっとやっぱし出してもらわないと困っちゃうんです。これは私は児童福祉ばかり言っておるわけじゃないんですよ。だから、これに書けなければほかの資料で出してもらいたいということを言っておるんですから、ひとつ明確にしておいてもらいたい。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) たとえば保育所に関する説明などがここに出ておりますので、おそらくよく理解がおできにならないと思いますけれども、これを一つにまとめるようにすればよくおわかりになるのじゃないかと思います。確かに御指摘の点もおっしゃるとおりでございますから、そうした点をまとめて提出するようにいたします。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 ありがとうございました。  そこで、私のお尋ねしたいのは、最近の傾向というのは、御存じのとおり、小学、中学が義務教育であります。ここ二、三年前から非常に高校全学の問題がやかましくいわれたわけであります。そしてまあ高校が最近は入学が減ってまいりましたから、人口との関係においていろいろ問題が出ておることも事実ですが、いずれにいたしましても、小学、中学、高校というぐあいに、義務教育の小中の上においての学校制度については、非常にいろいろの角度から議論されて対策が立ててこられた。ところが、その小学校へ入るまでの保育所とか幼稚園に分かれているわけでありますけれども、子供たちを親の心理からいって保育しなきゃならぬということから、保育所という、たとえばかぎっ子とか、親が教育できない、保育できない方には保育所だと、文部省の学校令で幼稚園というかっこうであるわけですが、この点が整備できていない。できていないから、いまの子供保育の問題は非常にやかましい世論になっている。厚生省は直接の地方自治との関係はありませんけれども、地方自治体、市町村においては、この保育所の整備については非常に問題になっていることなんです。ですから、小学校以上のものは一応筋道が立ってきたけれども、小学校以下の問題については、まあほっぽらかしといったらちょっと言い過ぎかもわかりませんけれども、何とか整備しなければいかぬのではないか。それで市町村長が頭をひねって保育所をつくろうとしても財源がない。それで調べてみると、きょうも書類をもらったのですが、九十人以上の設施でこれぐらいの保育所を建てようと思えば、土地を別にしても二、三千万かかる。そのかかった中で国が百万円、そして府県が五十万円、あと全部市町村で持たなきゃならぬ。これでは何ぼ住民からやかましくいわれても地方自治体の財政が持たぬわけです。抜け道として、補助金を多少百万円でももらったところには起債があります。起債というものはやっぱり年次計画で返していかなければならぬ。ですから、私の勘ですけれども、厚生省でお調べになっておいでになったらひとつおっしゃっていただきたいのですけれども、私は保育所に入りたいという、そういう希望の十分の一ぐらいも満たしているのかどうかということも疑問に思うくらいでございます。  それから、これは専門家ですから御意見をお聞きしたいと思うのですが、もう一つあわせてお答えを願いたいのは、この整備をどうしていくのか、保育をどうしていくのかということが一つ。それから、もう一つは、文部省の学制の幼稚園というのがある。これは保育じゃありませんから、高い料金をとる、三千円からとる。高いところではもっととっていると思うのです。それで、やっていることは何かというと、保育という理屈に沿ったことをやっておる。幼稚園という、予備知識涵養というのですか、そういう形でやっている保育園と幼稚園の内容というのはほとんど同じだと私は思うのです。同じものを文部省令でやっておいて、こっちは厚生省でやっている。小学校へ入る前の児童ですね。そういう扱いでいいのかという疑問を持っているわけです。この二つについてまずお答えを願いたいと思う。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○政府委員(渥美節夫君) 保育所の整備の問題と幼稚園との関係につきましての御質問をいただいたわけでございますが、先生御承知のように、最近婦人の労働が非常に高まってきております。私たちの昭和三十九年六月の調査によりますると、約百二十一万人の子供たちを保育所に通わせなければならないという調査結果が出ております。現在約九十万近くの子供たちが保育所に通っております。したがいまして、残りの三十万の子供たちを至急に保育所に通わせるような保育所の整備をしなければならないというのが緊急の当面の課題でございます。したがいまして、私どもといたしまして、これを年次計画をもちましてこの三十万の子供たちのために保育所をつくらなくちゃいけないということになります。したがいまして、五年計画で約四千カ所、一年間に約七百カ所から七百五十カ所ぐらいの保育所を確保しなければならないという状況になっております。そういうふうな年次計画によりまして、本年度におきましては国庫補助によりまして約四百五十カ所程度、金額にいたしますと、国庫補助額でいきますと三億五千万円程度の資金を補助いたしましてつくりたい。なお、残りの三百カ所程度につきましては、国民年金の還元融資なり、あるいは住宅団地等におきましては住宅公団の金により、あるいは事業所、会社等におきましてもそれらの資金によりまして、少なくとも七百カ所から七百五十カ所程度の保育所をつくりたい、こういうふうな考えでございます。  次に、補助金の額が一カ所に当たりまして、たとえば九十人以上を定員とする保育所につきましては、国の補助額が百万円、それから、それ未満のものにつきましては国庫補助額が七十万円というふうに、非常に少ないんじゃないかというふうなお話であります。私どもといたしましても、確かにこの補助額が非常に少なくて現状に即応していないというふうなことを実情として認めざるを得ないのでございますから、この点につきましては、今後ともに補助額の増額につきまして努力をしなければならない、かように考えておるわけであります。  それから、第二点の保育所と幼稚園との関係の問題でございますけれども、確かに御指摘のように、保育所におきまして乳幼児に対しまして幼児教育を行なうという点におきましては保育所も幼稚園も変わるところはないかと思います。私どもといたしましても、教育につきましては幼稚園の教育要領によって教育をするということを都道府県に指示をしているわけでございます。しかしながら、保育所と幼稚園とは、やはり何といっても制度的に違うわけでございまして、たとえば入所するもの、つまり対象につきましても、保育所におきましては、市町村が、そういった父兄の労働、あるいは疾病などの理由で子供たちを保育することができないというふうなものを対象としておるわけでございます。これに対しまして幼稚園におきましては、やはり保護者が進んでその幼児教育を受けさせようというふうな希望をする、そういった子供に対しまして、入所といいますか、入園を認めるということでございます。したがいまして、保育所におきましては四歳、五歳というような幼児だけではございませんで、三歳未満の乳児等につきましても当然これは保育を行なわなければなりませんし、また、したがいまして、その保育の時間といいますか、在園、在所の時間におきましても、幼稚園におきましては、通例一日四時間ということに相なっておりますが、保育所におきましては九時間、八時間は保育をするというふうなことにしておるわけでございます。そういうふうな子供の福祉を守るという点におきまして、したがいまして、保育所におきまする子供の保育につきましては公費負担というふうな原則も確立されておるわけでございます。そういうふうな意味で、子供に対する指導の内容は、確かに幼児教育という理念においては同じでございますが、やはり制度的にはこれはおのずから違ったものでございまして、いろいろと問題があろうかとは思いますけれども、私どもの考えといたしましては、保育所と幼稚園というふうなものを制度的にこれを一つのものとするという考え方はいままだ持っていないわけでございます。  以上でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 まあ私は、いま渥美さんおっしゃったのですが、いま保育所に入れたい人は百二十万だ。私は隣の子供が行けば自分の子供もやりたい、一般におつき合いをする中で、同じようなレベルで小学校に入っていくというのが親の願いだと思う。どういう基準でおとりになったのか知りませんけれども、これだけ乳児保育所は少のうございます。少のうございますが、少なくとも三歳から三、四、五、この三年間のものを保育所に入れるとしても百二十万や三百万じゃないと思います。そうしてその勘定で、少し文句を言うようですが、九十万人、これはお聞きしたいのですが、私立も入っているわけでしょう。そこで、あと三十万足らぬから七百カ所か八百カ所、国費で四百五十カ所ぐらいつくるのに三億五千万円。それじゃ二千万も三千万もかかるところでそれだけの手当てをして、あとは市町村で全部負担せよという指示じゃないですか。それ以外に考えられない。保育所を市町村がやるとしたら、少なくとも三分の一ぐらいの費用をみてあげる。これは国家財政の関係があるから、私はどこが適当だということは、全部国がやるのがいいと思いますけれども、まあそうもいかないにしても、少なくとも三分の一ぐらいはみてやる。数が少なくなっても、必要に応じて国民が要求してきて、そういうものが顕在化して、保育というものは将来をになう子供を育てるのにいかに必要かというぐあいに私はやっていくべきだと思うのです。それを七十万か百万、一カ所十分の一、二十分の一、三十分の一ぐらいの費用を出して、しっかり保育所をつくりなさいとは、これはちょっと聞こえぬと思う、そういう話は。だから、そういう点をもう少し私はお考えになってもらわなければ、きのうも私のほうのところで市町村長が寄って頭をかかえているわけですよ。住民の要求というものは激しい。単に一般保育じゃなしに、乳児保育所をつくってもらいたい、かぎっ子や夫婦共かせぎのところなんかは乳児保育所をつくってもらいたいという非常な要求があるが、とてもそこまではいかぬし、一般の保育所ですら、とても手が打てない。二カ所つくったら六千万要る。そんなことは現在の市町村財政ではできっこないのですよ。だけど住民は保育所をつくってやろうという国の方針を聞いて知って、何とかしてもらいたい、住民主権の国家という意識がそこから生まれてくるでしょうし、してもらいたい、しましょうというてやってみたところが、市町村はもう万歳をしてしまう。それで国に言うたら百万と五十万だけ補助をもらえる、これではとてもできぬというわけですね。だから、もっとやはり国民の要求が顕在化してきて、そして保育がいかに必要かという、義務教育に続いてその問題が国民世論になってくるような方向、それが実際せめて三分の一ぐらいに補助分を考えてやる、数が少のうてもいいと思うのです。そういう中から発展があると思うのです。ただざっと七十万、百万と並べておいて保育所をつくりなさいといっても市町村ではどうにもならない。だから、特別交付税でも足らぬ点を全部みてやるというなら、これは私は話が別でだと思うのです、自治省を通じての。それができない。ただ起債だけは何とか考えてやろう、全額起債じゃないですよ、一ぱいいったって七割起債です。七割起債までいかぬところが多い。だから、そうなると市町村は起債は返していかなければいかぬ。私はきょうはあまり長くやりませんけれども、ここはひとつ補助金の問題については、きちっとやはり市町村がやれる条件をつくってもらいたい、これが一つ。  それから、幼稚園といっても、いまおっしゃったように、幼稚園の要綱をそのとおりやりなさいといって指示をしているとまでおっしゃる。私はそういうものだと思うのです。義務教育前の幼児の保育教育というのはそういうものだと思うのです。だから、どうもなわ張り争いのように、私のところは保育という社会的義務がないから幾ら金をとってもいいというかっこうで幼稚園が進んでいく、私はそれが社会福祉とは、どうも私の見方が狭いかもわかりませんけれども、考えにくい。むしろセクト的ななわ張りを捨てて、そうして共同してでも三歳児から五歳児までの保育はどうする、特別困っているところの乳児保育をどうするという、そういうものまでやって、それが市町村  で建てられるような条件を私はやはりお考えになったらどうだろうかという気がしているわけです。それをやらないと、いま保育所建設の要求というのは非常に強い。私の住んでいるところは急激に人口がふえるところですけれども、何か私の聞くところでは、千人以上の保育所に入りたいという要求や願いがあって、その中で百人ですか、それぐらいにしか受け付けぬ、一カ所しかない。そこで、もうやむを得ず今度一カ所こしらえた。こしらえたけれども、それだけの設備をつくるのに百万円ではできぬ。そこで、それだけのもっともらしい理屈がついて、下から順番に上のほうはふるいにかけられるのでしょうけれども、そういう状態にあるのに百二十万で、九十万だけみたらあと三十万だと、平均にしたら百万以下になりますが、それをやりますから市町村は保育所をやりなさい、補助金を出してあげますよということではどうにもならぬ。私は、保育所問題というのはもっと大胆に考えなければ、国民のいまの願いとは大きくかけ離れた状態でいま保育の問題が進んでいるということはひとつ考えてもらわぬとこれはどうにもならぬのじゃないか、私はそれを聞きたい。それを詳しく運営費の問題はここに出ていますね、運営の処置については相当やっていただいている。しかし、問題は、人を入れる箱をまずこしらえなければ、箱というか学校というか、保育所というものをこしらえなければ、できたものに対する運営費を多少みてもらっても、もとがなければ入りようがないわけです。住民の希望や願いというものに合わない。非常に最近もうどこへ行ってもその問題が出てくる。どこへ行っても、どの町村に行っても、保育所を建ててくれと市町村に要求をするが、できない。それは理事者が万歳をしている、こういうかっこうになっている。これは何とかしてあげなければどうにもならないのではないか。だから、私は、そんな百万円で、数が多くなったらどんぶり勘定的予算でこういうものはやるべきではない。真剣に、もっと義務教育の前段処置として、そうして真剣にこれに取り組んでもらわなければ、ほんとうに地方自治体は困っておる。われわれもそういうことを言われてもどうにもならぬわけで、きょうはひとつその奮起を促すために私は質問をしておるわけですよ。だから、発展させるというには、せめて三分の一くらい国家が補助する、府県がどれだけ補助するか、財政上の、財源上の問題がありますけれども、これだけ補助をしてあげて、運営費も何とかできるだけめんどうをみるから保育所を建てなさいという筋が立たなければ、これはなかなか保育所は建たぬですよ、ざっくばらんに言って。そこをよくお考えいただきたい。  それから、もう一つ、文部省関係の幼稚園と保育所の関係についてもっと真剣に取り組んでいただきたい。それはこっちは保育を十分できぬから収容するのだというので理屈は通るのです、筋は。こっちはそうじゃない、準備教育、予備教育をやるということで幼稚園の筋は通るでしょう。しかし、義務教育で小学校に入ったときに同じ教育をしていくのですから、その前段の教育ですから、こっちのコースはこんなにえろうて、こっちのコースはあまりえらくないということは、国民全体の成長発展のためにも、私はそんなところでセクトを出してもらってはよくないのではないか。最近のように国民から要求がこれだけ出てくると、よけいこんなことになるわけでありますから、そういう点は十分に厚生省としてお考えをいただきたい。いずれも大臣がおいでになったときに、大臣から明確にそれは今後の方針をお聞かせいただくことになりましょうが、きょうは宿題として、この問題をひとつ省議にかけて御相談をしておいていただきたい、これをきょうは私は明らかにしたかったわけですから、よろしゅうございますか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○政府委員(渥美節夫君) 整備の問題でございますが、先生の御指摘のとおりであろうと私も思うのでございます。ただ、さっき申し上げましたように、ともかく箱を早くたくさんつくるという問題が至上命令になってきておりまして、予算額の限度がある現状におきましては、補助額の増額よりは、むしろそういった保育所をたくさんつくるというほうにどうしてもその重点が置かれたために、補助額自体は従来のとおりに本年度も押えられた。しかし、保育所の数は、従来は三百数十カ所であったのを四百五十カ所というふうな、そちらのほうを優先的に考えたという結果になってしまったわけでありますが、補助額の問題につきましても非常に大きな問題がございます。たとえば自治省で行ないました地方公共団体の超過負担の調べによりましても、保育所の設置に要する超過負担というものは相当他のものに比べますと大きいわけであります。そういった点もございますので、今後ともに私どもこれは大いに努力してまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。  それから、第二点の、文部省と厚生省との間に何か問題があるようなお話のようでございましたけれども、この保育所と幼稚園の設置運営の問題につきましては、かねてから十分文部省とも協議をしておりまして、私が先ほど申し上げましたような趣旨で保育所は運営をするということで、そういった方向によりまして通牒なども出しております。したがいまして、幼稚園の設置と保育所の設置等につきましては、市町村、都道府県の段階におきましても、教育委員会などと民生部等との間も十分調整をはかって設置をするようにお願いをしておるという段階でございます。なお、保育所におきましては、特に三歳未満児の乳児保育という問題が非常に大きな問題になってきておりますことは御指摘のとおりでございまして、現在ややもすると乳児保育が、特に大都会におきましては少しおくれがちでございます。したがいまして、今後ともに乳児保育につきましては重点的に考えていきたい、かように考えておるところでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 関連。基本的な考え方はこの間もそういうふうに説明されたのですが、文部省関係の幼稚園の場合は国が五〇%の負担をしておると思うのです。さらに、また、都道府県で、県で二五%、そうすると地方の町村でもし建てる場合には二五%出せばいい、こういうように幼稚園の場合にはなっておるのですね。ところが、いま説明のごとく、保育所の場合は設備のないものを、この構造が全然違うわけです。それは零歳から三歳児の大事な子供を預かって、そういう点を考えてみて、いまの国庫補助が百万円なんということは、一体地方自治体にそれだけの負担能力があるかということをどうして考えられなかったのかですね。幼稚園から比較してみても、幼稚園はすでに義務教育にすべきじゃないかという意見も出ておりますけれども、今度はそれ以上に保育所というものは零歳より預かるということは、内部の設備というものはがらり変わるわけです。それにもかかわらず、国がわずか百万円の補助を出して、そうして数だけつくればいいと、これではちょっと私は納得しないと思うのだね。どうして文部省くらいの程度のことを保育所もやらぬのか、この点どうです。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○政府委員(渥美節夫君) 保育所に対する補助の制度におきましても、実は先生から幼稚園につきましてお話があったように、制度的には国が二分の一補助ということに相なっております。国が二分の一、都道府県が四分の一、地元の市町村が四分の一、したがいまして、国が五〇%持つということに相なっておるのでありますが、藤田先生も御指摘のように、国の補助額自体が非常に少ないというところに問題があるわけでございまして、これは先ほど私が御答弁申し上げましたように、地元の超過負担等の非常に大きいというような問題もあわせまして、今後ともにひとつこの補助額の増額等につきましてはがんばっていかなければならない大きな問題である、かように考えております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は少しおくれてきたので、ピントが狂うかもしれませんが、重複したらごめんなさい。  先ほどからお話を伺っていると、どうも幼児対策にまことに不熱心だと思うのです。このごろ子供の事故というものはもう毎日、新聞を見るのがこわいくらい出ているのです。にもかかわらず、幼児対策というものが非常におくれているのです。そこで伺いたいのは、この補助額の基準ですね、算定基準はどういうところから出しているのか。国の予算がないからしかたがない、数をつくる、入れものが大事だとおっしゃるけれども、それなら地方自治体の予算が十分にあるのですか。地方財政のいま窮迫していることは言うまでもないこと、問題になっているじゃありませんか。国が予算がないから地方へ負担させる、とんでもない話だ。児童福祉法の精神からいきましても、私はいまの答弁は納得できない。  それから、一番大事なことで一番おくれているのは乳児保育です。あれは金がかかるからやらないのですよ。一番求めているのは乳児保育です。これに対してどういう考えを持っていらっしゃるのか、いつも答弁が同じなんです。これは黒木さん当時から同じなんです。その場さえのがれればそれでいいという厚生省のやり方は、どうしても私は承認できない。この点についてどういう対策を立てて考えておいでになるかをお聞かせ願いたい。  それから、幼児教育の問題ですね、これはあまり考えていないとさっきおっしゃったように聞いたのですが、幼稚園と保育所の関係をどうするか、私は児童福祉法の制定のときにやはり委員会で質問しております。ところが、幼児教育の一元化、これは非常に大切だから将来検討いたしますと言うけれども、児童福祉法ができてから何年たちますか。そのとき大臣の答弁は、保育所は人手がないから預かるのだ、幼稚園は幼児教育だと言ったから私は問題にした。子供は平等でなければならない。幼児教育が必要ならばすべての子供に必要じゃないか、だからどうするのだと、三歳まで、四歳までは保育所にしておく、それ以上は幼児教育を重点にして扱うような幼児教育の一元化が必要じゃないかというようなことが論議になりましたときに、そのとき大臣ははっきり、この問題については非常に御説ごもっともでございますので、十分検討いたしまして、何とか早く実現できるように努力いたしますという答弁だった。児童福祉法ができてから何年たちますか。この点についてまだ何も考えがないということじゃないと思う。それもこの際明らかにしてもらいたい。  それから、もう一つは、乳児保育となると非常に保母さんが問題になってくる。それから、いま保育所は八時間から九時間がたてまえだとおっしゃった。このごろは非常にそれが問題になっているのですよ。おかあさんが迎えに行くのがおそくなって、子供は一人しょんぼり待っている。それで、しかたがないから保母さんは過重労働になっているのですよ。入れものだけつくったって保母が足りなければ何にもならない。保母の養成はどうなっているか。それから、将来保母の基準はどういうふうに考えているか、その点だけをきょうお聞かせいただいて、委員長、どうせこの幼児問題については、また日をあらためて徹底的にやりたいと思います。これだけの御答弁をお願いいたします。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○政府委員(渥美節夫君) 保育所の整備に要する補助金の額がきわめて実情に即してないという御指摘でございました。この点につきましては私どももそのとおりであると、かように考えておりまして、先ほど来御答弁申し上げましたように、どうしてもこの補助単価の引き上げについては大きな努力をする必要がある、かように考えております。したがいまして、現状ではそうなっておるわけでございますので、これはまた言いのがれかもしれませんが、こういった補助金に並行いたしまして、国民年金の還元融資等、補助うらにつきましては十分に配慮を払ってまいりたい。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 いつやるのですか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○政府委員(渥美節夫君) これはもうすでにやっております。国民年金の還元融資等を、補助対象の施設につきまして、市町村につきましては還元融資を割り当てて現在までやっておりますし、今後ともこういった制度は活用する、かように考えておるわけでございます。  それから、第二点の乳児保育の問題でございます。確かに乳児保育の必要性がとみにふえております。同時に、大都会におきましては保育所が足りないために乳児保育というものがおくれぎみになっておることも事実でございますので、乳児保育については、先ほど触れましたように、重点的に考えていきたい、かように思っております。内容といたしましては、従来まで受け持ち乳児が七人に対しまして保母が一人という現状でありましたが、四十二年度におきましてはこれを受け持ち乳児六人に対して保母一人というふうなことで労働条件を緩和し、乳児保育の前進に一役買わせるように考えていきたい、かように思っておるわけでございます。  それから、幼児教育の問題でございますが、先ほど申しましたように、幼稚園におきまする教育と、それから保育所におきますところの教育というふうな問題は、これは御説のように、四歳、五歳の幼児に対しましての教育内容というものは、これは変わるということは非常に不自然でございます。したがいまして、先般厚生省から出しました通知によりましても、教育の点につきましては保育所におきましても幼稚園の教育要領に準じて行なえというような通知を出しておるわけでございます。もちろん先生御承知のように、保育所におきましては乳児の教育という機能のほかに、たとえば家庭環境にかわるような環境を与えるというようなことなど、児童福祉の観点から、保育所におきまする機能というものは幼稚園におきまする機能とは異なっているところもあるわけでございますので、したがいまして、こういった制度的な問題といたしましては、直ちにこれを一元化するというふうなことは考えられないと思いますが、少なくともその教育というふうな点につきましては同じような歩調をとって行なうのがしかるべきであろう、かように考えるわけでございます。  なお、第四点の労働時間、あるいは労働条件との関係におきまして保母の養成はどう考えるかというふうな問題でございます。これにつきましては、保母になるための条件というものは二つあるわけでございます。第一は、保母の養成施設を卒業するということ。それから、第二は、都道府県の行なう試験に合格するということでございます。実はそういった養成施設も最近だいぶふえてまいりまして、本年におきましても二十カ所以上こういった養成施設をふやしていくということを考えております。と同時に、保母になるための都道府県の行なう試験でございますが、これも実は昭和三十八年度までは年一回だったわけでございます。しかしながら、これもそういった保母の確保対策が非常に重要であるというふうな点にかんがみまして、三十八年度以降は年に二回やってもらうように都道府県によくお願いをしております。ただ、まだ年に二回やっておらない都道府県もございます。したがいまして、先般の全国の民生部長会議等におきましても、私から、ぜひひとつ年二回やってほしいというふうなことで十分お願いを申し上げておったわけでございます。  なお、また、保母の養成施設等に入っておりまする学生に対しまする修学資金の貸与というふうな問題もあります。これも本年度におきましても、昨年度に比べまして、その貸与人員を相当増加するということも考えておるわけでございます。  なお、やはり最も重要でありますところの労働条件の改善、たとえば受け持ち幼児を減らすとかいうふうな問題、あるいは給与を改善するというふうな問題も重要でございます。先ほど幼児、乳児について申し上げました受け持ち事項の改善につきましてはそのようでございますが、なお、給与の問題につきましては、毎年行なわれまする国家公務員の給与改善のベースに乗って補助基準は毎年アップしている、これは当然でございますけれども、本年度におきましては、いわゆる大都市と、その大都市以外の地域におきまして、現在補助基準におきましては給与の単価が違っておりまして、格差がございます。これをなくしたいというふうなことで、計画的にその格差の是正をやっておるところでございまして、四十二年度におきましては、その格差の二割程度を改善をしておるという予算を盛り込んだわけでございます。なお、これだけではもちろん足りませんので、もっといろいろと運営上の問題におきましても、保母さんの労働条件なり、あるいは勤務体制なり、そういった点につきまして予算なりでできないようないろんなくふうをやってみる必要があろう、そういうふうなことで努力してみたい、かように思っております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私が伺った補助基準の算定は、補助額を決定するその基準はどういうことでおやりになっていらっしゃるか、あまりに低過ぎるので、その基準をちょっと伺いたいことが一つ。  それから、もう一つは、乳児保育の保母さんが六人に一人だと、えらい顔していらっしゃるが、赤ちゃんの場合は乳児七人に一人だったのが、今度六人に一人、これなんかは一人でも減ったことはいいですけれどもあなたの奥さんに赤ん坊六人世話しろといったらどうしてしますか、非常に無理があるんです。乳児保育所へ行って見てください。子供を予算にはめて仕事をさしているわけです。ところが、必要なところへは必要な人員を置くというように厚生省は率先してやってくれなきゃ困ると思います。これもさらに考えてもらいたい。  それから、もう一つは、幼児教育を厚生省のあれに準じてやるようにという通達をいたしましたと、すましていらっしゃる。そうすると保母さんの仕事はまた過重になるわけですね。ところが、幼稚園のほうは教諭というのですか、それから、保育所のほうは保母ですよね、そういうことで魅力がないという。仕事は同じようなことをさせられて、名前とか待遇は非常に格差がある、こういうことの不満が非常にあるのですよ。そういう点についてはどうお考えになるか。それから、通達を出しましたと、すましているほうはいいけれども、やる人は仕事過重なんですよ。それに対して待遇というものは考えられておらない。こういう点は矛盾だらけですね。きょう私は関連ですからこの程度にいたします。いずれあとで。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○政府委員(渥美節夫君) 保育所の設備費に対する補助基準の額がいつ交付になっているのかということなんでございますが、実は昭和三十九年度まで大体毎年補助単価というものは少しずつ改善されておったわけなのでございます。ところが、昭和四十年度の予算におきまして、やはり保育所の設置の必要性が非常に高くなってきたために、財政的な問題もございまして、昭和四十年からこの補助がいわゆる定額、つまり一カ所について子供九十人以上につきましては百万円、それから九十人未満につきましては七十万というふうになったわけでございます。そういうふうに定額補助という制度になって、したがいまして、保育所に対する補助額全体の額はふえたのでございますが、単価自体は四十年度から百万と七十万というふうなことに相なったというのが経緯でございます。  それから、御指摘の保育所の保母さんと幼稚園の教諭の資格の問題でございます。これは実は幼稚園と保育所は異なっておるのでございますが、同じ幼児教育をするというような点につきましては、この資格はなるべくそろえていく。逆に言いますと、保育所の保母の資格をもっと専門職化をするというような問題点はあるわけでございます。大きな問題でございます。そこで、現在、中央児童福祉審議会におきましてこういった施設に従事をする職員のこういった問題を議論する専門の部会が持たれておるわけでございます。したがいまして、現在その中央児童福祉審議会の施設職員に関する特別部会というところにおきまして、経験のある学識のある方々にいま御審議をいただいておりまして、早急にこれらの結論が出ますれば、これをまとめまして改善をはかっていきたい、こういうのが現状でございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 政府として民間の法人を奨励しようとしておるのか、地方自治体にこれをやらせようというのか、基本的な考え方はどちらなんですか、どちらを大体奨励していこうという考え方を持っているのですか。いま両方あると思うのですが、どちらにウエートを置いてやろうとするのか、その点をひとつ。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○政府委員(渥美節夫君) 現在の九十万人の子供たちが通っておりまする保育所の数は全国で一万一千六百五十五、これは昨年末の数字でございます。これを公立と私立に分けますと、公立が七千百九十七カ所と、私立が四千四百五十八カ所と相なっております。大体の比率は六対四というふうなことでございまして、こういうふうな観点からいたしましても、私どもといたしましては、やや公立優先的な取り扱いにしたわけでございますけれども、考え方といたしましては、公私ともにこういった重要な仕事をやっていただくという考え方でございます。そういうふうな考え方でございまして、少なくとも現在三千四百の市町村の中で、まだ八百はいわゆる無保育所町村なんでございます。まだそれだけ保育所を持っていない町村が八百もあるわけでございまして、したがいまして、公私ともにこの仕事をやっていただくという考え方でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 いろいろ御意見が出ましたけれども、いずれこれはあらためてやることになっておりますので、そこで、これもひとつ一緒に考えてもらいたい。幼稚園の先生になる資格と保育所の指導者になる資格とが根本的に違うわけですね。学校教育の免許を持っていても保育所の先生にはなれぬというかっこうなんですね。だから、ここらも、幼稚園と保育所との関係において考えていくということの一つとして、そういう問題は、一定の教育を受けた者は講習かなんかして保育所の先生になれる、保育所の指導者、保母になれるというような、もっと簡素な考え方をやらないと人が不足する。不足するから長時間労働が始まる。そればかりじゃないでしょうけれども、過重がかかってくるということにも私はなると思うので、そういう点も一緒に考えてもらいたい。お願いしておきたいと思います。  私は、保育所の問題はきょうはこれくらいにして、北朝鮮の帰国問題について、ひとついままでのいきさつを聞かしていただきたい、こういうわけです。いろいろといま問題になっている教育の問題と、それから帰国問題、これは人道上の問題で六年か七年続けてきたわけです。赤十字同士の申し合わせでこれが実施されているわけですが、最近何か十一月一ぱいでこれをやめる、やめたあとの措置をどうするかという、いろいろの解決をしてない問題がたくさんあるので、きょうはそれをちょっと聞いておきたいと思うんです。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) 北鮮の人たちを本国へお送りするという業務は、ちょうど昭和三十四年に日本の赤十字と朝鮮民主主義人民共和国の赤十字との間で協定が結ばれました。そして、その協定の際は、調印の日から一年三カ月の間に帰還の業務を終わらせるということでございました。これは平和条約に基づいて外国人になった方々をできるだけ早くお帰ししなきゃならぬ。また、帰国の希望者もずいぶんあったわけです。そういうことでこういうような協定が結ばれたわけでございますが、その後、期限の一年三カ月が過ぎましても帰還の業務が終わらないために、延長延長で今日までやってきたわけでございます。ところが、最近の帰国の人員の数を見ますと、当初から比べますとずいぶん少なくなってきておるわけです。帰還の業務が始められた当時は月に四、五千人あったこともございますけれども、最近は大体百名前後というような非常に少ない数になってきておるわけでございます。そういうような状態から見まして、この協定をいつまでもこれを無限に延長していくことは当初の協定の趣旨にも沿わないし、また、客観情勢もだいぶ違ってきておるというようなことで、政府といたしましては、今年の十一月十二日をもちましてこの協定を打ち切るというようなことになったわけでございます。大体以上が経過の大要でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 しかし、その三十四年から四十二年の今日まで八年間、いずれにしたって帰国者があって、それを送還と申しますか、移送する任務に、こちらから朝鮮のほうに船をチャーターして新潟で世話をして帰すのだ。それをそんなまだ希望者がたくさんあるのに打ち切って、あと帰りたいという人はどうするのですか。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) これは協定を打ち切りますと一般の外国人並みになるわけでございます。今日までは、朝鮮の方々は一般の外国人と違って、特別めんどうをみさせていただいてきたわけでございます。でありますから、協定が消滅をしたからといって帰れないということではございませんで、自由に一般の外国人並みに出国証明をもらいましてお帰りできるということでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 自由に帰れるというたって、国交が回復していない状態で、それじゃ船の便が——まあ貿易上の船は交互にやっていますけれども、それ以外の一般人を移送するような、たとえば新潟から清津の港へ行くような、ただ、世話が十分にいままでのようにできないけれども、新潟から定期的に船が通って、そしてスムーズに帰国するという条件が生まれるのですか。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) 国交が回復されていないから自由に帰れないということはないと思うのです。中華人民共和国の方々も国交が回復されておりませんが、お帰りになられる方は自由に帰られるわけでございますが、ただ、いままでの協定の中の、協定に基づく帰国のしかたと、今後の、協定がなくなったあとの帰国のしかたとはおのずから違ってまいります。協定による帰国は、たとえば千葉県にお住まいの朝鮮の方が帰国をする場合には、まあ最近は月に一回便が出ておりますが、新潟に集結をして、そして新潟から北朝鮮のチャーター船に乗って、そして団体でお帰りになるということであります。で、自分の家から新潟までの旅費は、これは日本側でめんどうをみるというようなことになっております。それから、協定がなくなったあとは、そういうような団体行動できめられたときに帰らないでよろしいことになって、いつでも自分がお帰りになれるときに帰れるというようなことになるわけでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そのもっとものような話、たとえば東京から新幹線に乗って大阪に行くという筋道がいつでも通っていたら、自由にどうぞ大阪に行ってくださいということになろうけれども、個人が帰るということになると、チャーター船の処置はどういう処置をとるのか。たとえばその新潟からとか、また、横浜から出るとしても、定期的に、そういうものが手続的に自由にとあなたはおっしゃるけれども、自由に、それじゃ私は何月何日に帰りたいから、じゃよし、乗って行きなさいということになるのですか、そういう条件に。私は国交回復していないからという話をしたのはそこで、いまでも貿易船は通っているわけですけれども、たけれども、自由に、あなたのおっしゃるように、東京から新幹線に乗って大阪に行くようにはいかぬでしょう。いま国交が回復してないから、そういうことが赤十字同士の申し合わせや関係において厚生省や国があらゆる措置を講じて、チャーター船もうまいこと来てそれで帰れるようになるわけでしょう。しかし、それが一切政府がめんどうみないということになったら、実際帰りたい人はそう自由に手軽にと申しましょうか、帰れると思うのですか。なかなかいろいろむずかしい条件が生まれてくるのじゃないですか。だから、そういう点でどういうぐあいにお帰りになるのか、道筋をもうちょっと話してください。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) あと自由に帰れるという問題でございますが、これには幾つかの問題点がございます。たとえば船でお帰りになる場合に、まあ韓国の船に妨害されるかもしれないという御心配も朝鮮の方にはあるわけでございます。そういう協定がなくなったあとの帰還の問題については、今後両赤十字の間でお話し合いが持たれると思うのでございますが、私どもといたしましても、この問題については多少考えなければならないというふうに思っております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 あなたのいまの話だと、赤十字が話し合うだろう、厚生省としても政府としても何らか措置をとらなければいかぬだろうということだけで打ち切ってしまって、そしていま問題点になっているあとの問題もあわせて話し合って円満にいこうという全然話し合いができていないという話を私は聞くわけです。厚生省は一切会わぬ、政府の機関は一切そこらの代表の人には会わぬと、こう言う。いまの話だと赤十字がやったのだから、あと始末の問題は赤十字がやるだろう、そのとき初めて厚生省が考えるということと自由にお帰りなさいというのと、話がだいぶ違うじゃないですか。だから、これはまず打ち切ったらあとどうしていくか。一般外国人といいましても、日本と朝鮮との関係は特殊な関係にあるでしょう。そのことを配慮なしに、一般外国人並みにそれじゃお帰りなさいで事が済むんですか、私はなかなか済みにくいと思う。そうでしょう。長い歴史の間で、日韓併合を含めて三十六年間、その間にいろいろなことがあった。そういうものも頭の中に入れながらこの問題の処置をしなければならぬということで、丁重に帰国の処置をされたというのが出発点。これは人道問題としても日本と朝鮮との関係においてもやってきた。だから、そこらはもっともっと当事者と話をしてこの問題の処理をおやりにならないと、つんぼさじきに置いて措置を一方的にきめるということは、たいへんな問題じゃないかと私は心配して、そういう話をよく聞くわけです。一面からいえば人道問題なんですから、この人道問題を紋切り型で、それじゃこれでおしまいだ、あとは自由にお帰りくださいと言っても帰りようがないじゃないですか。そこへ韓国との問題といまいみじくもおっしゃったけれども、私はここではあまり言いませんけれども、そういう問題もあると思うのです。思想の問題を議論しているのじゃなしに、われわれはこれは人道上の問題を議論をしている。だから、そういう点をもっとやはり親切に十分に話をして、そうして双方が了解した上で、今後の帰還船の取り扱いをどうするのだというぐあいにいかなければこの問題は解決しないのじゃないかという心配を一番している。それを聞いているのですよ。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) 帰国協定の終わったあとの問題についての御心配でございますけれども、私どもとしましても、これを突っ放してそのまま自由にというわけにもなかなかまいらないと思うのです。たとえば現在ソ連船のナホトカ航路の船もございますし、そういう船を利用してお帰りになるということも心配をしなければならんことじゃないかと思っておりますが、決してあとは知らぬというような冷たい態度を持っているわけではございません。ただ、最初に申し上げましたように、この協定をそれではいつまでもずるずる延ばしていくということは必ずしも協定の趣旨に沿わないし、現実にも沿わないことにもなるわけでございますので、私も朝鮮の方々に何回もお会いしております。厚生省の者は決して会わないということではございませんので、まああとの問題についてはやはり検討すべき点は検討しなければならんということで、ただ一切もう会わないのだとか知らぬとかというようなことではないことをひとつ御了解願いたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 だから、いま外で問題になっているような、厚生省はつんぼさじきに帰国したい人を置いておいて、十一月に打ち切るのだという話がわれわれの耳に入る。そういうことでは私は問題にならんと思う。私は、やはり始まった趣旨からいって、日本と朝鮮との関係からいって今後の帰国をどう扱うか。たとえば百人だというなら、百人行く人がかたまって帰ってもらうような相談を相手方とすることが、それは赤十字同士がやるのだし、国内的には厚生省がおやりになるわけでしょう。何か感情問題が先に立って、そうしてそのものを取り扱うというようなことは、われわれとしてはなかなか了解がしにくいわけです。だから、将来の帰国される方はどうしていくのかということを、もっとスムーズに相手にもぶつかって、相手にも団体があるわけでしょう、国内に。だから、それともっと赤裸々に話をして、赤十字同士話をして、そうしていつ打ち切るのが適当かというように、いままでの形式がこうだから将来はどうするとか、そういうやはり人間同士の話ですから、そういうことをもっとすなおにお話し合いをして問題を解決するということにならなければ、私たちはそういうように、あとは自由にお帰りくださいということになれば、それは初めの趣旨と違うじゃないか、なぜこの帰国船の措置をもっと続けないかということに、われわれの立場からいったらそうならざるを得ないのです。だから、そういう点をもっと私は、何といいますか、真剣といいましょうか、もっとじかにぶち当たって問題の解決点を見出していく。ただ看板さえ掲げたらいいという態度じゃ困る、こういうことを私は言いたい。だから、将来そういう問題が解決するならば、打ち切りその他の問題についてもよく話し合いできめるということに政府はするわけですね。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) 日本の赤十字から北鮮の赤十字のほうへ通知を最近いたしましたので、おそらく北朝鮮のほうから何らかのさたがあると思うのであります。そういうことをにらみ合わせて私どもも考えていかなければならんことじゃないかと思っております。何回も申し上げたようでございますけれども、やはり朝鮮の方々にも、これまでの帰国の状態、帰国の促進について反省をしていただかなければならん点もあるわけでございます。それは帰国をしたいというふうに希望されておっても帰国をされない方があるわけです。そうして、また、ごく最近帰国したいという方もあるわけです。そうすると、自分の都合のいいときにだけ帰国したい。だから、いつ帰国するのかわからないというような方がずいぶんあるわけです。それを、そういう方々のおっしゃるとおりにこの帰国業務を続けていくとすれば、これは永久に帰国協定を続けていかなければならんということもあり得るわけでございまして、やはりこの際はひとつ段階を設けていくことがむしろ両国の間にすっきりしたものができるのじゃないかというふうに私どもは解釈をしておるわけでございます。決して冷たい仕打ちをしているのではないわけでございまして、私どもといたしましては、あくまでも円満にお帰り願うという精神をもってこの帰国業務に対処をしておるつもりでございます。その点はひとつ御了承いただきたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 円満にということなら、円満に話が進んでいるという状態が社会人の共通の理解にならなければ、あなたのほうはここではそうおっしゃっても、対、向こうの団体との関係はそんなぐあいに理解されてないところに問題がある。だから、私は、やはり真摯な気持ちでこの問題と取り組むということだけは明らかにしておいてもらいたい。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) 私どもといたしましてはまじめな態度で、また、従来続けてきたような精神でこの問題に対処をしておるつもりでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いまちょっとお話を聞いておりました中にもありましたが、いま現在月々に何千人か帰っているわけでございますね、二千人ぐらい帰っていると聞いているわけでありますが、そういうふうにして現段階で帰りつつあるわけなんですが、そうしていままだ相当多数残っているはずです。その希望者の残っている数も同時に伺いたいと思いますが、また、一面、相当長く日本に居住して引き揚げて帰ろうという場合、私はそれはやはり家財から、あるいは、また、いろいろなものの処理をしていかなければならぬので、相当進みながらも、たとえば家を売るのに売れなくて予定よりおくれたとか、いろいろな種々な事情があろうと思います。同時に、また、私は、いまの問題の、適当にうまく帰ってもらうという段階では、いま帰れるような境遇にある人はいいと思う。たとえば相当家財を整理したことによってたくさんなお金もできて帰れるという人があればいいのですが、なかなかいまおる人の中にはこちらで生活保護を受けているような人もあるわけです。そういう方が帰る場合に、それは船はありますが、ナホトカに行く船を北朝鮮に回しますということでは帰れないような向きもいて、いままでの段階では、先ほど藤田委員も触れましたように、非常にいままで日韓条約以前からいろいろ強制的に日本に来たような場合の人もある。いろいろなそういう段階を踏んまえて、私は良心的にやられるということはいいと思いますが、しかし、良心的だけじゃなしに、現在このようにしてまだ帰りつつある人も、毎月実績としても帰っておったし、まだこれからの希望の人もあるということであるから、私はそれを打ち切るということは、それは一つのけじめと言えばけじめかもしれませんが、そういうようなけじめのつけ方、しかも、それには藤田委員から最後に詰められましたように、やはり十分に話し合いの場を持ってやるというのじゃなくて、一方的にそれを出されるというふうなやり方に対しては、私は何ともそういう点では納得のいかない点がある。私もこの間京都の代表の人に依頼されて厚生省にまいりました。いろいろな御用があって会えなかったかもしれないけれども、実に既定方針をもって押しつけるような答弁であって、ほんとうになごやかに話し合いをして納得をしてもらう、そうしてそういうふうな処置をとるというようなことがない。ぼくはそういうわけで、特にそういうような困った人に対しては、たとえば新潟まではごめんどうをみられるような話でありますが、以後においての問題についても、ある程度の処置をするようなことが話し合いの中にできているかどうか。そういうようなことも含めて話し合わないことには、いままでのような良心的に、あるいは、また、まじめなということばだけではそれが表現されてないと思うわけですが、その点はどうでしょうか。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) こまかい数字のことはあとで局長から説明をさせますが、現在残っておられる方々の中に困っておる人ももちろんありますけれども、むしろお困りにならないで、日本で手広く御商売をおやりになる、工場を経営されておるというような方々が、まあ本国の様子を見て帰るときに帰りたいという方が相当おありになるんじゃないかと思います。というのは、私も数年前から朝鮮の方とおつき合いをしておりますし、総連の幹部の方ともしょっちゅうお会いをしております。そういう方々のお話の中からうかがえることはいま申し上げましたようなことであります。ですから、朝鮮の方々のお話を伺いますと、困っておる者がなかなか帰れないのだということではなくて、安全に自分の国に帰りたいというのが一番の主張の重点だと私は解釈しておるわけです。困っておる方々はもうお国へ早く帰っておる方々が相当多いわけです。もちろん困っておる方で残っておる人々もありますけれども、そういうような方に対しましては生活保護法のほうでごめんどうをみるということになっておりますし、現在もやっておるわけです。ですから、朝鮮の方の一番の希望は、やはり安全に祖国へ自分の帰りたいときに帰れるというのが一番の希望じゃないかと思うのです。ですから、そういうことを日本の政府で考えてやれば話し合いは十分につくんじゃないかと、こういうふうに私は思っております。最近の帰国状況は、もう数年前と違って、非常に少なくなりまして、先ほど私は三、四千人と言ったのは一年です。一カ月で三、四千人お帰りになったときもあったわけです。いまは月に百人かそこいら、大体百人前後というようなことになっております。ちょっと数字についてはいま局長から申し上げます。

実本博次厚生省援護局長

○政府委員(実本博次君) ことしの三月末現在の日赤の調べで、日赤の窓口に帰還いたしたいというので申請が出てまいっておりますものが四千二百十三人いるということでございます。そのうち、帰還希望時期が明らかになっておりますもの、たとえばことしの八月に帰りますということで明らかになっておるものが千六十二人というふうな数になっております。それから、帰還の希望時期をまだはうきりきめていない、ただまあ帰りたいということで出てまいっておりますものが二千四百七十人、そのほかの二百人あるいは四百人といったような、約六百七、八十人の方々については、いろいろ申請は出しましたが、手続上の問題、その他御病気になったとかいうようなことで保留されておるのが六百八十人ばかりございます。そういった数字で、現在そういうことになっておりますが、毎年申請になる方が大体五千人程度ありまして、昨年の実績もそういうことになっておりますが、そうして現実にお帰りになる方はその半分、約二千人から二千五百人といったようなところで推移してまいっておるわけでございます。したがいまして、現協定期間中にお帰りになりたいという方のすべてをお帰しするということは、見通しといたしまして可能ではないかというふうに考えておるわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 まあ関連ですから、私はちょっと簡単にあれさしていただきますが、いまの話を聞いておりますと、私の聞いておる数字ではもっと希望はあるわけですね。いまおっしゃっているのは日赤に登録した人数だと思うのですが、あるわけです。そういう点から考えまして、また、おっしゃっておるように、安全性ももちろんそれは心配されておることだと思います。現在生保を受けておられる数も、ちょっと私は現在資料を持ってきていないのでありますが、聞いておるわけでございますが、相当な数で、余裕しゃくしゃくといまおっしゃっておるように、商売をやっている方もありましょうけれども、そうでない方もあると思う。私は、いまの考え方では、人道上の問題から考えるのでは、余裕があって、いい時期に安全に帰りたいという人たちに対しての考慮よりは、私は、もっと切実に、帰りたいけれどもどうしていいのかと非常に困っておられるような人に対してあたたかい人道的な手を差し伸べることが一番欠かしてはいけない問題ではなかろうかと思っているわけなんです。そういう観点から申しますと、御自由にお帰りくださいというような形でもって、私はまじめな気持ちでやりますといういまのお話でありますけれども、それに対しては、もう少し具体的ないろいろなものを話し合って、そういう人たちがほんとうに安心ができるというものを与えないと私はいけないのじゃないか。過去の過程から考えても、そういうことをするすべはもう一歩必要ではないか。  それから、もう一つ私は最後に申しておきたいことは、数はいま何ぼか、登録されているのは二千とか何とか言われておりますけれども、私はそうじゃなくて、やはり相当の希望者もあるのだ。私はいまちょっと、数字を持っていますけれども、持ってきてないのでありますけれども、そういう観点で、たくさんあるわけなんですから、そういうことに関しての問題を明らかにして、そうして私の申したいのは、相当の人数が現在でもあり、記録がずっと下がってしまって、ほとんどないという場合なら別でありますけれども、あなたの報告でも二千人も年内には帰っている、二千五百人も帰っておられる、こういうような実績がある。それをむやみに打ち切るという行き方じゃなくて、それをいつの時期にしましょうかということをもう少し紳士的に話し合いをして、両方が納得できるようにしなければならぬ。特に私はいまの状態では、会わないようにはしていないのだということを次官おっしゃいましたけれども、なかなか十分会えないような状態、十分話し合いも進みにくいような状態にあるわけです。ですからして、大ぜいが詰めかけてわっさわっさするばかりが能でないと思いますけれども、少なくとも代表者が行った場合には、十分紳士的に会って話し合いをして、納得ずくでこういう話し合いを進めなければならぬというのであって、ある程度一方的に打ち切りをして、それを余儀なく打ち切ってしまって、その前提のもとに話し合いをしていくという考え方を改めてもらいたい。十分に話し合いをしてこの問題を解決する、解決していくというような方針を明確にしておいてもらいたいと思います。御意見をちょっと伺いたい。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) 御自由にお帰りくだすってけっこうですということは、これは協定がなくなったらどうなるかということを理論上申し上げたわけで、突っ放すという、そういうような冷やかな態度ではないわけでございます。帰ろうと思えばいつでも自由に帰れることになるという理論上の説明でございますから、それは誤解のないようにお願いをしたい。  それから、先方との話し合いは非公式にはされておるわけでございますので、これは外交上の問題にもなりますので、いまその内容の点についてはちょっとここでまだお話しする段階に至っておりませんので、御容赦を願いたいと思います。  それから、陳情者に対する厚生省の態度でございますけれども、これはまあ一々お会いしておりますと、これはまた朝鮮総連のほうの側でも人を動員しておられまして、これに一々お会いしておったら、これはもうとても仕事が何にも一日できないわけでございます。ですから、私も、統制をとって陳情をされれば、私個人としては何回でもお会いするということを申し上げておるわけですが、なかなかそれが徹底しないのでございます。で、そういうことで厚生省に直接来られても事務が停滞いたしますので、あそこではちょっとお会いできないといういま制限をしておりますけれども、まあ私個人といたしましては幾らでもお会いしてお話を伺って現在までやっておりますし、今後もお話を伺うようにしておりますから、もし御用の際は私あてにひとつ陳情の手続をしてくださったらけっこうだと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それじゃこの問題はこの辺にしまして、私は次の段階で、低所得者の対策についてひとつお伺いをしたいと思うのであります。  三月の十四日の衆議院の本会議において、施政方針演説で佐藤総理大臣は次のように述べられております。「社会の主体は人間であり、経済の繁栄は人間の尊厳と社会の福祉に奉仕するものでなければなりません。」と、まだいろいろありましたが、そして、経済の繁栄や減税の恩恵にあずかることの少ない低所得階層の人々に、国民の生活水準の向上に見合って、よりよいところの生活を保障して、そして老齢者、あるいは、また、身体障害者、母子家庭など、恵まれない人々に対する施策を一段と充実する、こういうようなことを総理大臣が言っておられたわけでありますが、この施政方針の趣旨を受けて、一体行政責任をお持ちでおられるところの厚生省におきましては、今後どういうような低所得者対策を行なおうとしていらっしゃるのか、この点をひとつあげて御説明を願いたいと思うわけであります。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(田川誠一君) 低所得者に対する今後の対策は、生活保護法の拡充強化をはかるということであると考えております。あるいは、また、健康保険につきましても、できるだけ低所得者に対することを考えていかなければならないということで、今回の健康保険に対する暫定措置に対しても、低所得者に対する措置を考慮しつつやっておるつもりでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ちょっと今村社会局長も私が頼んだのですが、行き違いになっておるようですから、次官だけにお願いするのも何ですから、ちょっと来てもらってからにしますから、呼んでいただいて、それじゃあ私ちょっと次の問題を先にやらせていただきます。そしたら国立療養所関係、あるいは、また、保険局長あたりがおいでになると思いますから、ちょっとそのほうで御質問を先にやらせていただきまして、その問題はあとにやらせていただきたいと思います。  最近の新聞で見てみますと、この国立の療養所の差額ベッドの問題が盛んに出ているわけでございます。この問題について、差額徴収のベッドはいまほとんど公然化しておるわけでありまして、国立の病院においてさえ、たとえば東京の第一病院では六百五十八ベッドの中で、六十八ベッドが一日五百円ないし三千円の差額徴収を行なっておる。同じく、また第二病院では、八百五十ベッドの中で、百五十ベッドが一日二百円ないし四千五百円、大きな金額の差額徴収が行なわれているのであります。五月七日の朝日新聞でございましたか、報道によりますと、長期療養者を対象とするところの国立療養所中野病院まで差額ベッドをつくるということであります。その問題について加倉井国立療養所の課長は、国立療養所の経営は親方日の丸でやっておるのだ、一般病院と同じように差額ベッドをつくって、特別会計のワクの中で企業意欲を燃やすのだ、こういうようなことの考え方が必要だということで主張しておられるようであります。一体、公的医療機関において、この企業意欲を燃やすとは、一体、具体的にどのようなことをいうのか、どうも明らかでありませんが、こういうことについては、一体、保険局長あたりはどういうふうに、あるいは、また、国立療養所長あたり、あるいは、また、こういう国立の機関を指導しておられる側の厚生省においてはどういうふうなことに御理解になっているのか、ちょっと聞かせていただきたい。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) 新聞に出ました談話がそのまま本人の言ったとおりかどうかということはたいへん疑問でございます。ただし、企業意欲を燃やすということばは私は適当でないと思っております。国立病院、国立療養所を比較いたしまして、国立病院のほうが特別会計で、その運営上の成果が端的に施設の経費にはね返ってきますので、国立病院のほうでは経理の改善その他に非常に敏感であることは確かでございます。それに比べまして、国立療養所はきめられた予算を使えばいいというような考え方が抜け切れませんで、そういう意味では非常に親方日の丸ということばがございましたが、そういう気持ちで、経営的な努力をするという意欲が非常に欠けております。そういう意味で、私どもは、国立療養所は特殊な使命を持っておりますので、独立採算をしろとか、採算率を特に上げろというようなことは申しませんけれども、国立療養所の経費といえども、税金を使ってやっているんだから、この経費の使い方については最も合理的にやれと、経営的なセンスも十分に入れていけと、いわゆる採算をよくしろということでなしに、当然な経営的な努力をしろということは申しております。冗費の節約をはかるとか、むだな支出を防ぐというような意味の努力は、これはいかなる意味の施設であっても当然しなければならぬ。そういうような合理的な経営努力というものは国立療養所といえどもやれという指示はいたしております。

熊崎正夫厚生省保険局長

○政府委員(熊崎正夫君) 差額ベッドの問題につきまして保険局はどう考えておるかというふうな御質問でございますが、現在私どもとしては、差額ベッドにつきましては、患者のほうから希望のあった場合に限り認めてよろしいというふうなことで、保険診療で入院する場合、差額徴収を強制するというようなことはないように指導しているところでございます。ただ、患者側がやはり入院する場合に、特別環境のいい場所でゆっくり入院をしたいという強い希望があることはこれまた事実でございまして、一がいに差額ベッドはけしからぬというようなことでこれを禁止してしまうというふうなことには非常に問題があるというふうに私ども考えております。ただ、国立病院とか、あるいは公的医療機関という一般の医療を担当しております病院につきましては、その使命にかんがみまして、やはり差額ベッドを大幅に認めるということはいささかどうかということで、これは極力差額ベッドは少なくするという方向で指導いたしておるところでございまして、私どものデータによりましても、国立病院等につきましては、昭和三十九年に大々的な差額ベッドの調査をいたしましたけれども、その当時に比べまして、ただいまのところ、率は低下をしておるという数字を持ってございますが、やはり国立病院、公的病院等につきましては、差額ベッドを多少持つということについては極力避けるように今後とも指導してまいりたいと考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 また、いま企業努力というか、悪くてもある程度そういうことに対して神経を使えという指導をしているという話でありましたが、国立の療養機関において営利化を非常に公然と認めるというようなことにいまの発言ではなると思うわけですが、そうでなくても、それは微妙な言いあらわし方であったと思うんですが、私は、取りようによっては、やはり相当営利化を公然と認めて厚生省が指導しておられるというふうにも取れるわけです。この医療というものが貧富の差なく、ひとしく広範囲に供給されるというたてまえからいいますと、国立だとか公的医療機関の役割りがその一番先端なものでなかろうかと思うわけでありまして、そういうところでやはり営利というものをある程度考えなければいけない。特に国立病院でも営利のうまくいけそうなところに対してはだんだんと、何といいますか、投資をされてりっぱな病院ができていくけれども、その将来の営利の問題がうまくいかないところにはなかなかそれが控えられているという傾向があるやに聞いておるわけであります。私はこういうことに対しては非常に問題ではなかろうかと思っておるわけであります。また、中野病院ですか、あの馬場院長は、いまちょうど保険局長がおっしゃったように、金をたくさん払ってもいいから特別な個室に入りたいという人は現にたくさんいるのだ、いるんだからしてこれをやるのがあたりまえである、やむを得ないではないかというようなふうなことが先行をいたしまして、そうしてこういうところにそうした設備が行なわれていく、しかも、デラックスな病院になっていく、こういうようなことでは私はたいへんな問題じゃないか。特にまたそこらにつとめている若いお医者さんが、それであってはいけないという抵抗を示しているということも現実のようであります。また、事実、国立療養所にできたそういうりっぱなデラックスな病院が使用されてなくて、しかも、最近は医局の人たちの休み場になったりしているというようなことも新聞で伺いました。真実のほどは存じませんが、新聞で伺ったわけであります。こういうようなことは、一体、国立として、あんまり親方日の丸で、全然たより過ぎた考え方もいかぬという気持ちはわからぬことはない、そのとおりだと思いますけれども、しかし、国立というところが、じゃ一体そういうことを考えなかったならばだれがそういうことを考えるか。どの病院が考えるのが筋がいいのか。じゃ、一つの公立病院、あるいは、また、私的の病院かということになるわけであります。私は、むしろこの国立病院こそ国で、何と申しますか、私的医療機関にできないようなりっぱな設備をして、しかも、私はその病気の重きによって、病気の重い人はそういう個室に入れてやる、そういうふうな形でいくのがほんとうであって、むしろ金を持っている人が望むから、そういう人はいいところに入れる。金はないけれども、病気が重くてあすの命もわからない手術後の人が、六人か十人も入っている相室であえいでいる。そのうめき声でもって隣の人も十分の睡眠が阻害される、あるいはそういうことを見ているために、非常に病気に対して不安が起こってノイローゼになるということも私はないではないと思う。むしろ私は、国立あたりはもっと筋を通して、病気の重さでもって、重い人は個室に入れてやる。また、話によりますと、バス、トイレつきのデラックスな病室をつくる。私は、国立としてはそういう行き方じゃ、金がある人が非常に気持ちのいいベッドに入りたいという希望があるから、そういう人に向けてやる、それを私は全然否定するものではないけれども、もう少し一般のすべての者があまねく病気に対して処置を受けるというような筋を通したやり方を国立でやってもらってはどうであろうか。これをやるのは、一番しなければならぬ立場にあるのは国立じゃないかと思うわけです。そういう観点から、私は、重症患者、あるいは、また、非常に他の人が見て、そういう見るに忍びないような手術後の患者とか、あるいは、また、その処置をしなければならない人というのを私は重点的にそこに入れるのがほんとうじゃないかと、こう考えているわけですが、そういう考え方は、やっぱり同じようにそういう希望者があればあたりまえという考え方に徹せられるのかどうか。一ぺんいまのところを伺いたい。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) ただいまお話のありました趣旨については、私も全面的にそのように考えております。医療というものが国立病院で行なわれております場合に、貧富によって医療の内容が違うということは、これはもう当然あり得ないことでございまして、医療に必要な限りにおいて個室を使うということは、これはもう個室料云々という問題と別に、生保患者であろうが普通の保険患者であろうが、病状によって個室が必要な者には個室を使用させるということは当然でございます。ただ、そのほかに、現在は病院において社会生活のあり方というようなことは当然行なわれます。重役さんなり県会議員さんなりが、どこそこの国立病院に入りたいのだけれども、あんな病室じゃおれたち生活できないというようなことで、どうしてももう少しましなものをつくってくれという要望が出てまいりますのもまた事実でございます。そういう意味で特別個室というものもつくっているわけでございまして、中野療養所が千ベッド近くございますけれども、その中で、いわゆる有料個室というものは二十四ございます。バス、トイレがついている部屋はわずかに二つでございます。千ベッドの中で、バス、トイレを使っても、そういう実際上の社会生活のあり方に不自由のないようにしたいという方が二人ぐらいは国立でめんどうみてもいいじゃないかという趣旨でございまして、当然無料の個室も中野療養所においても二十カ所ちゃんとございまして、これは全く患者の病状の必要に応じて使用させるベッドを用意しておるわけでございます。したがって、これは私どもは採算をあげるためとか、あるいは病院の経理をよくするために個室料を取るというつもりは全くございません。そういう実際に社会的な必要に応じていくということが趣旨でございます。したがって、国立療養所におきましては、現在国立療養所が百六十施設ございますけれども、療養所で有料ベッドを持っておるものはわずかに七施設でございまして、これは特に中野とか、あるいは横浜の浩風園とか、近畿の中央病院とかいうような、都会地に近くて、そして現実にそういう需要のある、しかも、施設を近代化したりっぱな施設にしたところだけわずかにつけているという実情でございまして、総ベッド数からいいますと〇・六%が個室になっておるのが実情でございます。国立病院におきましては整備が相当進みましたので、若干比率が多くなっておりまして、国立病院は総体ではちょっと上がっております。国立病院は八十九施設あるうちで、五十五施設に有料個室を設けております。しかし、総ベッド数に対しては一〇%に満たない程度でございまして、もちろんそのほかに無料の個室があることは当然でございまして、この傾向は、決して国立の施設としては、国立以外の施設に比べてやり過ぎであるというふうには考えておりません。現実に東京都内におきます私立大学病院、あるいはその他の有名な病院は、大体五割以上の有料個室を持っておりますが、国立はそのようなことはいたさないという趣旨でやっております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 パーセントをお聞きいたしましたが、しかし、国立は、ぼくは先ほどもちょっと申したように、こういうふうなデラックスにしているからそういう希望者もあるので、その希望者を入れるところのバス、トイレつきの部屋もこしらえたということですが、もう少し私は純粋に、国立のあり方というものも、ぼくが先ほど質問申し上げたように、もっと筋を通して平等にいくというふうに、病気というものを主体に置いたやり方でいってもらってはどうかという考え方です。ことに私は、そういうふうなデラックスな病室をこしらえていくということであれば、私は、これは零細な開業医を非常に大きく国の経済によって圧迫していくことにも一面には通ずるものと思うのであります。そういう観点からいって、私は、やはりこれがまた親方日の丸式になると思うので、金がたくさんあがるからデラックスな設備をする、バス、トイレつきのデラックスな個室をつくる。これがそういう傾向になっていけば、町の開業医もある程度そういうことをしなければ患者が来てくれない、これはデラックスにやらなければならないということで、これはむしろ医業というものを国が先端的にそういうものをこしらえて悪く指導していくことになるのだ、私はそういうふうに考える。先ほど保険局長にお尋ねしたときに、保険局としては、そういうものに対して希望があるときはやむを得ないとしても、積極的にそういうことをするのじゃないということだったが、私はそれが当然だと思うわけであります。そういう観点からいって、私は、少なくとも国立がそういうデラックスな病室をこしらえるという考えの前に、ぼくは、もっといまの国立でなければできない施設をするとか、あるいは患者を収容するとか、そういう方向で私は打ち出してもらうほうが、国としての医療のあり方としてはぼくはいいんじゃないか。特にこのごろは医療の赤字の問題だとか、いろいろの問題があって、いま改正が叫ばれているときであります。私は、そういう点からいっても、国立の病院のあり方というものは、厚生省のやり方では私はまずいのじゃないか。特に私は、現場で働いているところのお医者さん、国立病院につとめているお医者さんが見るに見かねて、いろいろ困った患者さんがたくさんこられているにかかわらず、入る人がおるからというのでデラックスな病室ができてくるということは、ある程度良心的に考えて、ヒューマニズムの上から抵抗を感じていると言っているじゃありませんか。今度できている療養所あたりでは、その病室が現にあいているでしょう、それが使われていないという現状であります。こういうような現状ですから、それをあいたままで医局の者を泊めたり、医局員が宿直にあいたあとを使っているということこそ親方日の丸式の考え方じゃないか。大きな金を投資してりっぱなデラックスな病室をつくっても、これを使わないでいるということは私は納得できないが、その点どうですか。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) 大体、国立病院の差額ベッドは、むしろ応募が多くて順番を待っていただくというのがむしろ実情でございます。ただ、一、二あいているのがあるかもしれません。これは私詳しく存じておりませんが、たとえば国立東京病院はそういうようなバス、トイレつきではございませんけれども、副室のあるような、ごく簡素な差額ベッドのほうですが、そういうものをつくりましたけれども、差額徴収はいたしておりません。そういうところで、病院によってある程度徴収のしかたが若干違ったりしておりまして、そういうところに一部、おそらくまれだと思いますが、あき部屋があるかもしれませんが、一般的には差額ベッドの部屋は、むしろ需要が多くて順番を待っていただいているというのが実情でございます。また、料金等につきましても、東京あたりの私立の大学、あるいはその他の大きな病院が徴収しております金額に比べますと非常に低額でございます。そういう意味で、運営上の問題、あるいは金額等についても配慮をいたしておるところでございます。運営面から申し上げますと、実は差額ベッドをつくるということで、運営上はむしろマイナスの面が多いわけで、といいますのは、通常、病室は、大部屋でございますと一人に二坪程度が標準でございますが、いわゆるデラックス病棟と称します部屋は十坪とっております。五人分のスペースをとっております。したがって、そういう意味では、採算からいいますと、むしろマイナスになるわけです。それをあえて国立病院においても需要にこたえるために、たとえば池田総理が入院されるのに、がんセンターにそういう部屋が一つもないということで、特殊な方に逆に利用を制限するということにもなりますので、あえてそういう部屋をごく少数だけつくるという方針でやっているわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 あなたは池田総理を入れるために国立病院に国費を使ってやるのですか。ぼくはそんな考え方で言われると、どうもひっかかりがあるのですよ。たとえばのお話ですが、そういう人を入れるために国費を使わなくても、国費を使うところの国立病院は、もっと医療というものをまじめに考えて、やはり先ほどぼくが話したように、重い病気の人に対しては十分やっていける装置をつくっていくという国のあり方でなければならぬ。そういう目的でやる、それはまだほかにどこでもあるわけではありませんか。国費を使って、医療の重大な転換期にあるときに、たとえば池田さんみたいな人を入れるところの病室をつくるという、そういう姿勢でもし厚生省が国立病院をやっていく、独立採算制で。池田さんにはこだわらないのですが、お金持ちを大ぜい集めてくればもうかるわけですね。少なくともそういうことで国立を運営するということになれば、私は、それはちょっとたいへんな問題となるのですが、どうですか。そんなおかしなことを言ってもらうと私は困ると思うのです。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) 池田総理という個人の名前を出しまして恐縮でございますが、と申し上げますのは、そういうような、たとえば国立がんセンターを利用したいという御希望の方がたくさんあるはずでございます。しかも、そういう方々が、国立がんセンターにそのようなベッドがないために、逆に利用ができないということもあり得るという一般的なことを申し上げましたが、ただいまの個人名を出しましたことは取り消さしていただきます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 時間がありませんから、簡単に一つ。ぼくが言いたいことは、やはり国立の病院は、これは個室も必要ですよ、必要だと思いますけれども、そんなバス、トイレがついたような、そしてそれは大きなスペースをとって、もう六人も七人も入れるようなスペースを一人の患者のためにとって、そしてその差額を六千円取るとか四千五百円も取るとかという考え方をやめてほしい。少なくとも、個室であっても、池田総理が行かれても、ちょっと質素ではあるけれども、ちょっとした部屋であったという程度でいいじゃありませんか。バス、トイレ、応接間がついたものがなかったら治療ができないのか。ぼくはそういうことを言いたいので、そういう考え方を変えてもらわなかったら、これから医療の改正の問題がいろいろ叫ばれているときに重大な支障を来たすであろう。特に国費を使いながら、何といいますか、医療施設としての模型といいますか、サンプルといいますか、の先端をなすものをつくってもらうわけですから、そういったものをつくれば、有無も言わさずに国立が国の費用を使ってそういうデラックス病室をつくっておったら、おまえら開業医やってはぐあいが悪いと言っても、開業医がそれにならっていかなかったら患者がそこに行かなくなってしまう。それはとにかく経営上やむを得ないから、またそれの競争が起こってくるということになるわけです。そういうことにもなるわけだから、少なくとも国立というものは、個室をつくるにしても、そういうデラックスなものはやめて、病気をなおすのに最も必要なところであって、しかし、少々のことはお金持ちでもがまんしてもらってそこに行ってもらうという施設をつくるのが私は本筋だと思う。そういう点でひとつ十分配慮してもらいたい、こういうふうに考えます。  社会局長もおいでのようでございますから、低所得者の問題についてちょっと御質問させていただきます。先ほどちょっと申しましたけれども、総理大臣の施政演説におきましてありましたものなんですけれども、いわゆる低所得者の人に対して、総理は十分これを充実させていきたいということを三月十四日の衆議院の本会議でも所信を述べられておりますのは御存じだと思いますが、そういうことについて、一体、今度のこの予算の面についても、あるいは、また、これを担当するところの責任者である厚生省の側として、一体これをどういうふうに低所得者層の対策というものを行なおうと考えられておるのか、具体的な考え方をひとつ聞かしていただきたい。

今村譲厚生省社会局長

○政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。  これは低所得者対策というのは、いろいろな厚生省の部面につきましても、たとえば生活保護法の内容をできるだけよくする、それから、世帯更生資金という、国が三分の二出しまして、県が三分の一つけまして、困ったとき医療とかいろいろなものに金を最高十万、あるいは二十万円貸し付けるというふうな制度もございますが、そういうふうなもの、それから、これは保険局の問題になりますが、国保のたとえば保険料というふうなものについても、なるべく上げないようにいろいろな公費を出していって、それのアップを押えるというふうな問題、あるいは児童局の内容につきましては、たとえば低所得階層の母子、妊産婦、それから、乳幼児に対するミルクを無償で支給するとかというふうなこと。そのほかに、施設面で言いますと、たとえば老人ホーム七百五十カ所、五万五千人というふうなものがありますが、これもほとんど身寄りのないといいますか、非常に収入の低い、所得保障が十分でないような人を施設に入れるとか、そういうふうな施設面における——母子ホームもそうでありますが、施設面における設備強化全部の総体的な問題になるのではないか、こういうふうに考えます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 これについては、もう少しあとから詳しく一ぺん説明を聞きたいと思うのですが、大体この総理のおっしゃっているのは、社会が、経済が繁栄する、あるいは、また、状態がよくなるにしたがって、やっぱり社会保障のほうも拡充していく、これが常に調和を保っていかなければならぬぞ、こういうふうに言っておられるわけですけれども、そういうふうなことが一体それじゃ格差の解消、あるいは、また、こういうものをどういうふうに実際低所得の者に対して実際に行なっていかれておるか、そういう点が私はまだ非常にあいまいなふうに感じております。そういうふうに、いつも佐藤総理は低所得者層の生活を保障するということを非常に言っておられるわけでありますけれども、それがどういうふうに一体あらわれておるかとか、予算の面で一体どういうふうにあらわれておるかということが私は非常に疑問に思うわけでありますし、何か言うばかりであって実行が盛られていないようにずっと予算を見ましても感ずるわけであります。だから、いまあげられたうちにあると思いますけれども、私は、ほんの申しわけ的なものであって、それがほんとうに低所得者に対しての救い、いわゆる経済の発展と、それから、こういう低所得者の保障される面というものが同じバランスで上がってきているかどうかということが私は非常に疑問だと思うわけです。そういう点が私は特にこれから言いたい点なのであります。特に私は、低所得者低所得者と総理大臣は言われるけれども、低所得者とはどの辺の程度を言われておられるのかというふうなことから考えてみましても、明確でないほど政策がぼけているように思うわけであります。そして一ぺん社会局長あたりは、いわゆる総理大臣がそういうことを言っておられるが、大体どういうところの辺をとらえて言っておられるから、社会局としてはこれを具体的に具体策に反映していくのだ、こういうふうなつかみ方というもの、低所得者とはどう考えておられるかという点を私はちょっと聞いておきたいと思います。

今村譲厚生省社会局長

○政府委員(今村譲君) 非常に根本的な問題であり、非常にまたむずかしいのでございますが、私ども厚生行政基礎調査で、昔、ボーダーライン階層、ことばがあまりよくないんですけれども、というふうなもので、農村あるいは都市部というふうなことでとった数字は一千万とか八百万とか、終戦直後なんかは非常に多かったわけであります。最近は特に減ってきておりますが、そういうものの考え方、それから、FIESという、総理府統計局で全都市の勤労世帯の収入支出の実態調査というものを大規模にやっておりますが、その場合に、私どもの目安といたしましては、下のほうから全部全国に伸ばして第一十分位階層、第二十分位階層、第三十分位階層、こういうふうにとっておりますけれども、第一十分位階層といいますか、大体九百万、約一千万、一億人の十分の一ということで第一十分位を目標にしたり、あるいは時に第五分位を、二千万近くになりますけれども、目標にしたりして、その辺の生活水準と、たとえば生活保護法で言う保護基準とをどうするかとか、あるいは世帯更生資金で貸す場合においても、そう金持ちの人に貸す必要はありませんので、しかし、といって第一十分位までとするわけにもいかぬので、それを第五分位まで、もっと上まで貸すとか、そのつどそのつどで実は理論的統一性のちっとしたものを持っているわけではございませんので、その辺は先生おっしゃいますように、いろいろな考え方、こういう場合にはこうという資料をもって御説明してまいりたい、こういうふうに思っております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それはまあいろいろむずかしいからわからぬということもわかるわけでありますが、しかし、何かこう、いまのような問題をある程度の目安をつけながら、少なくともバランスがあまりにくずれないようにしなければ、いわゆる低所得者の層に対しての施策というものが非常に私は貧困になっていくのじゃないかという心配をいたしております。今度の四十二年度の予算に対しまして、先ほどもちょっとお話がありましたように、生活保護基準の引き上げに対して、厚生省はだいぶ大蔵省に対していろいろな資料を出しておられるというふうに私は伺っておるわけでありますが、この際に、なったところの問題点だとか、あるいは、また、それに対して大蔵省がどういう見解を示したかというふうなことを含めて、生活保護基準の成り行き、それから、厚生省の要求せられたものがどういうふうになったかというふうなことを、この予算の面を含めて、ひとつお知らせ願いたいと思います。

今村譲厚生省社会局長

○政府委員(今村譲君) たとえば今度の、いま先生のおっしゃいました、低所得階層とは一体何かというのに、FIES、総理府統計局でこれしか信憑性のある全国的なものはないと思っておりますが、その場合に、たとえば保護基準をとりますとこういう考え方をしております。一般国民の生活がどんどん上がっていくというときに、保護法の保障する、たとえば標準四人世帯というものの生活水準というものは、一般国民平均の生活水準に対して何%ぐらいであるべきかという議論が一つございます。それから、もう一つは、一番下の十分の一階層、第一十分位階層、それを基準にとればどのくらいのパーセントであるべきか、その辺のめどを最終的には八〇%がいい、六〇%がいいということは科学的には出てまいりませんけれども、あまりにも差が低いじゃないか。たとえば昭和二十五、六年くらいに一般の国民の生活水準の約五二、三%ぐらいであったものの基準が、ところが、いろいろな経済情勢の変化で、三十五年ころにはそれが約四〇%くらいにバランスから見て落ちた。これではたいへんだ。しかも、三十六年から所得倍増計画というものがあって、いろいろ国民生活水準が急激に上昇してくるというふうな状況ですから、それは生活保護を大幅に上げて、せめて五〇%台を突破して五二、三%というかつてあった状態まで持っていかなければ行政としては困るじゃないかというふうなことを申したわけです。たとえば一つ例を申し上げますとこういうことです。三十五年を一〇〇にしまして、たとえば五カ年で四十年度平均にしますと、実質が一般国民は大体二割七分ぐらい上がっておる。ところが、低所得階層ほど賃金がどんどん上がりまして、人手が不足ということで、第一十分位は平均しまして四割三分ぐらい上がっておる。それから、被保護階層はそれに応じて格差を縮めるというので、三十五年を一〇〇といたしますと、四十年度は実質一五七というふうなかっこうにまで率を上げてきた。したがって、年率の伸びは国民平均が全般で年率五%ずつ上がってきた。ところが、第一十分位は七・五%ずつ上がってきた。下にいくほど所得の伸びが強いわけです。したがって、もっと下である保護階層はそれよりももっと上げなければならない。格差を上げるということで保護階層は年率五%上がってきておる。ところが、それでもなお五〇%に達していない。したがって、せめて五二、三%を突破するまで上げてくれ、こういう議論をするわけであります。したがって、そのとります場合に、国民平均でものを考えるか、類似の低所得者層を十分の一階層で見るか五分の一階層で見るか、いろいろ理論のとり方でいろいろな問題があるわけです。たとえばいまおっしゃいますように、低所得者層を十分の一階層で見て、十分の一階層が一般より上がっているのだから、その上に生活保護のほうはもっと率を上げて強くしてもらいたいということを、いろいろな経済指標を使いまして大蔵省と折衝しておる、こういうことでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 そういうふうな御方針については非常にありがたいのですが、実際問題がそういうふうになっていないので、非常に私はそれを憂えるものです。特にこの間東京都の本多市長ですか、生活保護について、生活保護の基準を引き上げること、それから、また、科学的な最低基準を出して、それに基づいて予算を組むこと、あるいは、また、実情に合ったところの運用を行なうことなどを提唱いたしておるようであります。心ある全国の市町村長と連名のもとでこういうことをやって提唱したようでありますが、やっぱり第一線のこういう行政責任者の要望がその辺に非常にある私はあらわれだと思うわけであります。これを厚生省ではやはり相当重く見てもらって今後の施策に反映してもらわなきゃいかぬが、その点はどんなものでございましょうか。

今村譲厚生省社会局長

○政府委員(今村譲君) そういう市長さん方のお集まりでいろいろパンフレットをつくられたりしたものを私どもも全部ちょうだいいたしております。それを十分に含んだ上で、しかも、いま申し上げたようないろいろな経済指標なり何なりというもので追っかけると、現実に一般国民が年率五%上がったときに、保護階層はその倍近い年率でスピードアップしてきた。おそらくもうすでに四十一年度では五〇%を突破して、五一・幾ら、そういうかっこうになる。五二%にいかぬと思いますけれども、そういう状況で年々追っかけておるというかっこうでございますので、先生おっしゃいますような基本的な姿勢で進んでいるつもりでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 いまの低所得者のとらえ方、私は幾つかの要因があると思う。あなたのおっしゃるようなかっこうで生活保護世帯の生活をどうするかという要因の中に、私は、物価問題、税金問題というものを考慮しなければ実際に使うことはできない。直接税を納めなくても低い階層、たとえば五、六万クラスの人なら間接税の関係というのは二、三%か五%まで。しかし、低所得者の一万五千円からそこらの人なら二〇%以上の間接税の被害を受けておるという、一昨年あたり大蔵省が出した資料もたしかあったと思う。だから、そういうもので低所得者の生活をどう見るか。それから、もう一つは、物価値上げが所得の高い人と低い人との関係においてどう影響しているかということをいまの要因の中に入れて計算をしないと間違いやせぬかと私は思う。ただ、数字だけあらわして糊塗するということじゃないと思う。問題は、物価値上げをなくするという政府の、いまの大橋さんの、総理大臣の方針の中にはそういうものが出てこなければならぬと思う。直接税がないと思っても、間接税がそれだけの負担になっている要件というものをどう把握するのか、そういうふうなものを総括して大蔵省と談判をしたのかどうか、私もひとつお聞きしておきたい。

今村譲厚生省社会局長

○政府委員(今村譲君) 非常に私どもが悩んでいる問題を突っ込まれました。実は同じ物価値上げでも、いわゆる国民平均の消費者物価指数というものと、それから、やはり生活階級、消費支出階層別のいわゆる使う物量というものが若干やっぱりズレがありまして、そのアップ率が違ってくると思うのです。ただ、これは私ども非常に残念でありますのは、CPIとか、いまあるものはそういう所得階層別の現実の物価というものの分析ができないわけです。したがいまして、やむを得ず経企庁で出しますあれは統計局で出します一本のやつで使って、しかし、感じとしては低いはずだからそれも含んでくれと、こう言わざるを得ない。その辺の何か統計機構上のもっと細分化されたものがほしいなということは常々考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 時間が来ているので、あと二点だけ伺いたいと思うのですけれども、現行の福祉年金をたよりにして生きている老人ホームなんかを考えてみますると、いろいろ調査しておられるから明らかになっておるだろうと思うのでありますが、現在のような経済構造の中では、年金額ではもちろん十分だと考えられないわけでありますが、昨年の四月に東京の浅草でしたか、アパートで死んでいる老人がいろいろ鈴木厚生大臣に何かあれをして、非常に新聞種になったことがあるわけですが、こういうような孤独な老人に対しての生活保護と申しますか、そういうような面から見ますと、ぼくはもっと、何といいますか、全面的にそうした困った人たちの要望をもう少し吸い上げて、あのときには何か生活保護でも受けておられたらそんなことはなかったのにというふうなことも出ておったように思いますけれども、そういう考え方でなくて、もっと全面的にそういう人たちのいろいろなものを吸い上げて、また、法の解釈も、あるいは、また、運用についても、もっと包むようなものがなければ非常に私はいけないじゃないか。先ほどからのお話を承っておると、そういうような方向でいま厚生省では非常に進んでもらっていることはありがたいと思いますが、そういうことがあっておるということを聞きながら、現実にはそういうような事例がたくさん起こってきているわけですね。こういうことは、いま藤田委員からも言っておられるように、もっともっと計数的からも理論的に割り出さなければならぬだろうし、法律はそうなっておっても、それを運用とか適用する面においてもっといろいろあたたかいものがあるとか、いろいろなことが私は低所得者の施策として欠けておると思うのですね。そういう点をひとつ十分に配慮していただきたい、こういうふうに思うわけです。  それから、また、低所得者の対策の中で、何といいますか、完全雇用とか、あるいは、また、最賃、職業補導というものを含めて、もっと生活を引き上げてやるという施策ですね、こういうものが、実際の問題においては行なわれてはおりますけれども、もっとこの時代の、何と申しますか、自由競争の時代で、そういうふうな弱い面の人に対して、たとえば身体障害者だとか何とかというものは施策があるわけでありますが、いわゆるボーダーライン層の人たちに対してはそういう施策がない。こういうものに対して私はもっと積極的に考えてもらうべきじゃなかろうか。また、こういう人たちに対して、厚生省は、たとえば伝染病の予防注射についても、生活保護には多少は恩典がありますけれども、すれすれのボーダーライン層には適用されていない。こういうことからも、法の適用の意味においてもいろいろのことをしないと、やはりそういう人たちが原因になって、また逆に伝染病の発生の原因をもたらしてくる、こういうようなことが考えられるわけでありまして、いろいろなところから考えていけば、いわゆる低所得者の政策の貧困さというものが非常に大きなところにひずみとなってあらわれてくるというふうに私は考えられるわけです。そういう点で、特にそういうこまかいところまでひとつ予算の中にも反映するものは反映し、また、運用面でできるものは運用で徹底してそういう政策というものを考えていただきたいというふうに思うわけです。  それから、ついでに次の問題にすぐいってしまいますが、次は、私はちょっと保険に関係していると思うわけです。各種の医療保険に対して、低所得者に対しては、扶養家族に対しても、保険料、あるいは、また、いろいろ減免制度があるわけですが、これは一体どのくらい行なわれておるか。これは昭和三十七年度の社会保障制度審議会の答申の中にもあったと思うわけでありますが、こういったことがどの程度に行なわれておるか。私は、減免制度があっても、実際こういう低所得者に対して十分適用されていないんじゃないかというような疑いを持っていますが、もしそういうパーセンテージがあったら保険局長から何か聞かしてもらいたいと思います。  それから、東北の各府県では、地方自治体が微力な経済の中で老人及び乳児に対して十割給付というのを行なっておるようであります。これは全国的に取り上げられておるような問題でもあるようでありますが、こういう問題に対して、やはり私は、村の政治を国の政治へとかいっていろいろ書き立てておるようでありますが、国としてはもう少しこういうような問題に対しても何らかの措置をされなければいかぬと思うのですが、お考えをちょっと聞いておきたいと思います。

熊崎正夫厚生省保険局長

○政府委員(熊崎正夫君) いわゆる医療保険で低所得対策がどの程度行なわれておるかという御質問でございますが、御承知のように、医療保険の場合に低所得対策として考えられる対策といたしましては、保険料を減免をするという考え方と、それから、実際に給付を受ける場合に負担金がございます。国民健康保険の場合には三割ないし五割、あるいは家族の場合には五割、被用者保険の場合もそういう一部負担金の減免をするという考え方が保険の場合にはあるわけでございます。国民健康保険におきましては、御承知のように、保険料というものが市町村民税を基礎として保険料を算定いたしておりまして、いわば総所得という形で世帯単位にかかってきますので、どの程度の世帯の所得があるかということは把握しやすいわけでございます。したがいまして、国民健康保険の場合には保険料の減免措置というものをやっておりまして、御承知のように、所得十万円以下の方々と、それから、十万円以上であっても、扶養家族一人について三万円の分を加算をいたしまして、それ以下の方々については保険料を減免するということで、これは毎年四十億ないし五十億程度の減免措置を講じております。それは財政調整交付金のほうでこれを全部カバーするということで国がこれをみておるわけでございます。ところが、一部負担のほうの減免ということになりますと、国民健康保険の場合には、災害その他の場合には一部負担の減免を認める規定はございますけれども、現実の問題として、やはり大災害が起こったといった場合に、低所得者に限らず、その災害を受けた世帯については、これはその年の保険料を減免するという形でもってやっておるわけでございまして、これについては特別財政調整交付金で国がその面をカバーする。金額にいたしますと二、三億程度しかないわけでございます。その他の被用者保険、健康保険なり、あるいは共済組合、その他被用者保険につきまして低所得対策をどのように取り上げていくかということにつきましては、個々の例をごらんになっていただきますとおわかりのように、保険料ではたして低所得対策がやれるかということについては非常に問題がある。といいますのは、標準報酬制度をとっておりますので、五千円、六千円の標準保険料で保険料を納めておっても、それらの世帯の所得自体がはたしてどの程度あるかということは把握しにくいわけでございます。したがいまして、保険料を対象にして被用者保険の場合に減免措置を講ずるということについては非常に問題が多い。一部負担の場合に、はたしてやれるかどうかということにつきましては、これもやり方といたしましてはミーンズテストをやる、あるいは市町村民税を対象にするというような、いろいろむずかしい問題がございますので、たとえば今回の健康保険の臨時特例法律案の場合には、社会保障制度審議会のほうで、低所得対策をおやりなさい、その例として、継続給付あたりについては、これは当然今回の臨時特例は除外するようなことが望ましいというふうな御意見もございましたので、継続給付については、今度の外来投薬一部負担、あるいは入院、初診時の一部負担は上げないという措置をとったわけでございまして、そのように継続給付という概念の中でとらえる場合には、一応おつとめをやめるということで、収入はその段階においてはとだえるであろうということで、低所得対策として一般的な概念としてとらえることはとらえやすい。あるいは長期療養者、あるいは慢性疾患というふうな、そういうふうな概念でもってとらえることはいいにしても、実際に対象になる被保険者の本人の所得を全部とらえて個々的に一部負担を適用していくということについては非常にむずかしい問題があることは十分御承知のところだろうと思います。したがいまして、私どもとしましては、医療保険において低所得対策をどのように取り上げていくかということにつきましては、将来抜本対策を必ず実現しなければなりませんので、その際に制度全体を通じてどのように取り上げていくかということにつきましては真剣に検討してまいりたい、このように思っておるわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 私、いま保険の中で低所得者という大きな問題についていろいろ意見があると思っております。私も意見を持っているわけで、これはまた後日ゆっくりと時間をかけて論議しなければならないと思いますが、きょう聞きたいのは、東北地方か、そういうことをやっていますね、地方自治体で。こういう問題については地方にまかしておかないで、国のほうからしなければならぬという観点で、国はどうお考えになっておるかということを伺っておるわけです。

熊崎正夫厚生省保険局長

○政府委員(熊崎正夫君) 東北地方に限らず、その他の地方でも一部やっておるわけでございますが、国民健康保険の場合に、乳幼児、あるいは老人につきまして、現在七割給付のところ、十割まで給付するという形で取り上げておるところがあるわけでございますが、これにつきましては、むろん市町村だけの財政状態で云々するわけにはいかないということで、県当局は積極的に補助金を約半分ぐらい支出をいたしまして、それで残りの分について市町村の財政でまかなう、市町村財政といいますと、結局国民健康保険料でまかなうという形で発足をいたしておるわけでございます。したがって、乳幼児等の場合には非常に効果をあげまして、たとえば岩手等につきましては、ここ三、四年の間に非常に乳幼児の死亡率が減ったという実績は出ております。ただ、問題になりますのは、老人の場合にこれを十割にそれぞれ市町村で持っていくかどうかということにつきまして国がどの程度、あるいは県がどの程度援助すべきかという問題があるわけでございます。これにつきましては、御承知のように、老人になりますと非常に疾病罹患率が高い。したがいまして、老人の十割ということになりますと、非常に医療給付費が激増してくるという事実があるわけでございまして、最初はスタートをいたしましても、途中で医療費の激増のために市町村自体が負担に耐えられなくなってしまう、保険料引き上げもなかなかスムーズにいかないというふうなことで、非常に悩んでおるところが多いわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、豊かな市町村、つまり市町村財政が非常にいいところで任意給付として十割やることにつきましては、私どもはこれは御自由におやりいただいてけっこうだと思うわけでございますけれども、これを国全体として十割まで持っていくかどうかということについては、やはり私ども、国民健康保険以外の被用者の制度との関連もございまして、抜本対策の際に十分検討すべきじゃないかというふうに考えておりまして、いま直ちに国民健康保険について、老人については十割までやれというふうな、法定給付の範囲内で取り上げるような考え方は直ちに行なうことはちょっとむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 どうもいろいろありがとうございました。しかし、いま保険局長からもお話になったように、こういう施策をやった、やったからして乳幼児の死亡率がうんと下がったという実績が出てくるわけです。私は、こういう実績をつかまえて厚生省としてはそういうものを打ち出してもらいたい。先ほどぼくがちょっと差額の問題を出しましたけれども、デラックスな差額ベッドをつくって、お金持ちの人にバス、トイレつきの部屋に入ってもらう、要望があるからやるということよりも先に、ほんとうにこれから伸びんとするところの赤ちゃんの死亡率を減らせるような施策がそこにあるわけでありますから、私は、そういうことなんかは厚生省全体としてはほんとうに見のがしてはならない事実だと思うのです。だから、豊かな町村にはおやりください、それはやってもらうことは御自由でございます、だけれども、国としてはそれはちょっとできませんと言うていることは、私は、こういうふうな低所得者政策の上からいっても、あるいは、また、保険行政の上からいっても、あるいは、また、厚生行政の上からいっても非常に大事な問題ではないかと思うのです。こういうことが根本的に厚生省の中で大きく評価をされまして、こういうふうなものを先に手をつけるような形で、それは保険でできなかったならば、また社会局のほうでやってもらうか、いずれにいたしましても、そういう人たちにそういうことができるような施策が実際に行なわれるということが国民の健康を守る上に私は非常に大事なことだと思います。そういうことも含めて私はこういうことを特に要望いたしておきますので、次官のほうからも、どうかひとつこういう問題は特に厚生省の中でも大きくとらえていただいてこの制度に向けていただきたいと思います。  最後に、一点だけ私はちょっとここで保険の問題につけ加えて、薬業の問題に対して一言だけ考え方だけを一ぺん私はお尋ねしておきたいと思うわけでありますが、いま保険の赤字の問題でいろいろその法改正も出ようとしているようでありますけれども、私は、この薬業の問題を考えたときに、一般に製薬の段階では自由経済で、もちろん自由経済だからそれでいいと思うわけでございますが、どんどん開発はされて、私は、いまのような状態であるからこそ薬というものが開発されて、非常に生命も延びたからいいと思うのですよ。全体的にはいいと思うわけでありますが、保険の赤字ということから考えてみると、製薬の段階にもう少しいままでより考えなければ、保険財政の赤字というものが相当製薬の面で私は大きなウエートを持っているのではないか。となると、薬価基準と、それから、実際医者が買う値段との差額があるのではないかということを保険局のほうでは考えられておる。私はそれも考えられるかもしれないけれども、私は、その問題はそのまま運営に関連があるのではないか。それは別な議論に譲りますが、その差額というものは、医者の技術が十分に認められてないから、そこで大まかにしているから医者はどうにか食っているということがあるわけですから、それは別問題といたしましても、私は、大筋に、この製薬という段階で、これを自由の経済であるうちはいいですけれども、しかし、それじゃその製薬の自由に伸びておるところのその資本形態が、それを受けているものはだれかというと、これは被保険者であり、あるいは、また、病人であるわけであります。保険を使わないでも、町で薬を買うとしたら、これは病気をしたときに買うわけです。病人がそれを負担することによってそういう状態に置かれているということをもう少し根本的に考えなければ、医療の赤字の問題を云々する前提条件としては私は考えなきゃならぬ、一つの反省するものがあるのじゃないかと思います。そういう観点で、私は、薬務局長に、今後製薬という面でどういうふうに取り組んでいかれるか、私は、後日何かの機会にこの製薬という問題について根本的にいろいろ議論をしてみたいと思います。また、考え方をお聞きしたいと考えますけれども、きょうは大筋にそういうことだけを一曹お伺いをしておきたいと思うわけでございます。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 製薬企業と申しますか、製薬産業というものが、特に医療保険の財政問題と関連して、ここ数年非常に注目をされてきたわけでありますが、本来、製薬企業というのは、いま先生も申されましたように、国家的な統制なり規制を加えている産業ではないわけでございます。したがいまして、本来から申しますと、いわゆる自由企業の形態を持っているわけであります。ただ、いまもお話がありましたように、医療保険問題と関連して、特に医家向けの医薬品等が、いわゆる薬価基準というような、国のいわば公定価格みたいな形で一定の規制を受けているというような事情もございまして、この製薬企業のあり方、あるいは今後のあるべき姿、そういうようなものについていろいろな御意見もあるわけでございますが、私どもといたしましては、やはり民間の自由企業であります以上、製薬企業というものを根本的に国家的な規制を加える方向に持っていくということについては相当問題があるのじゃなかろうか、こういう考え方を強く持っているわけでございます。ただ、医家向けの医薬品等につきましては、確かに先ほど申しましたように、薬価基準というようなものによって一定の規制を受けておりますが、こういう問題につきましては、今後も薬価基準等の運用を通じまして、できるだけ適正な方向に持っていくということは当然なことであろうと、こういうふうに思っておりますが、逆に、一般大衆向けの医薬品の問題につきまして、この問題をやはりある程度公的な規制を加えるかどうかについては、私どもとして現在の段階においては非常に問題があるだろう、かように考えておるわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 そこらの問題は非常にむずかしい問題でありますから、私は問題の提起だけをいたしておきまして、厚生省のほうといたしまして、薬務局のほうといたしましても、もう少しその点については十分な御検討を願っておきたい。私どももいろいろな考えを持ち、医者でもありますから、いろいろまた私どもの考えを申し上げながら、また厚生省としてのお考え方もいろいろと伺って、この問題に対しては相当微に入り細に入ったお話を承らなければいけないと私は考えております。ひとつよろしく御検討を願っておきたい、こう思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は一つだけですが、薬務局長、薬価基準をきめてやっていくにはいろいろ問題があることは事実ですが、しかし、これはさわるのに問題があるという言い方でなしに、医療行政を進めていくのにはどうしたらいいかということを今後真剣に検討していきたいという話ならわかるけれども、さわるのに問題があるという言い方は、私はちょっと気にかかるので、もっと根本的に、あなたのほうもあるだろうし、薬務審議会もあるだろうし、社労委員会もあるし、社会保障制度審議会もあるし、いろいろな医療問題というのは、天下注目のうちにいま進んでいるのだから、どうすればよいか。特に薬品が三三%か三四%占めるわけですね、そういうものをさわるのにちょっと問題があるというのは、あげ足取りみたいな話になるけれども、やはりどうしたらすなおに医療制度がいくかということの上から、三分の一のウエートを占める薬価の問題、薬業の問題についてもしっかり取り組んで、よい方向をきめたいというくらいにひとつ心をきめておいてもらわぬと、私はちょっとさわるのだが。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 私の申し上げ方が足らなかったかもしれませんが、いわゆる治療薬の問題等につきましては薬価基準というような制度がございます。この薬価基準の問題点というのは、御案内のように、いろいろ問題が現在あるわけでございます。したがいまして、薬価基準の内容、それから、また、薬価基準をどういうふうにして運用していくかというような問題につきましては、確かに私どもも現在医療保険の抜本対策の作成とも関連して、厚生省としても真剣に考えていく問題だ、かように思っているわけでございます。したがいまして、そういう治療薬につきましては、先生御指摘のように、厚生省としても前向きに医療保険の対策に少しでも寄与するように、薬価基準のきめ方、あるいは運用、そういうものを含めまして、積極的に前進策を考えていく、こういうわけでございます。大衆向けの医薬品についてはこういうような考え方で、国家的な公的な色彩で規制を加えていくかどうかについては、私は非常に大きな問題がある、こういうことを申し上げたわけでございます。治療薬のほうにつきましては、確かに薬価基準の内容なり運用をめぐっていろいろな問題がございますので、その問題は逐次漸進的に解決する方向に持っていくように努力をしなければならぬ、かように思っておるわけでございます。

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめておきます。  次回の委員会は十一日、木曜日とし、労働関係の調査を行なうことにいたします。  では、本日はこれにて散会いたします。   午後一時三十四分散会      —————・—————

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