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55回国会衆議院1967/04/21

予算委員会第二分科会 第3号

発言数
194
登壇者
19
会派数
3
開催日
1967/04/21

会議録

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十二年度一般会計予算及び昭和四十二年度特別会計予算中、労働省所管を議題とし、説明を求めます。早川労働大臣。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 昭和四十二年度一般会計及び特別会計の予算中、労働省所管分につきまして、その概要を御説明申し上げます。  労働省所管の一般会計の歳出予算額は、一千五十一億六千八百四十五万四千円でありまして、これを前年度当初予算額一千十五億五千百六十八万円に比較いたしますと三十六億一千六百七十七万四千円の増加となっております。  次に、そのおもな内容について概略を御説明いたします。  その一は、積極的雇用対策の推進に必要な経費であります。  今後のわが国の労働力需給は、新規学卒労働力の減少を中心に労働力の不足基調が一そう強まることが予想されますが、他面、人口構成の高齢化や技術革新の進展等により中高年齢層の職業転換問題など、労働力需給について種々の不均衡や摩擦現象の発生が予想されるのであります。  このような情勢に対処し、このたび雇用対策基本計画を策定し、政府全体が雇用問題に取り組む態勢を確立し、この計画に沿って、労働者の有する能力を有効に発揮することができるようにするという観点から、労働市場センターの機能の整備、求人、求職者に対する雇用情報の迅速な提供、中高年齢者の雇用の促進と職業転換対策の充実、移転就職者用宿舎の大量建設、雇用促進融資の拡大等の措置を講ずることといたしております。  次に、当面の問題に対処する雇用政策といたしましては、まず、炭鉱労働者に対しましては、炭鉱離職者が独立して事業を開始する場合に、自営支度金を支給すること、及び金融機関から借り入れる資金の債務を保証する制度を新設することのほか、就職促進手当の最高額の引き上げ、移住資金の拡充など、従来の援護措置を充実するとともに、炭鉱離職者緊急就労対策事業等を引き続き実施することといたしております。  また、港湾労働者に対しましては、港湾労働法に基づく諸施策を実施するほか、雇用調整手当の支給額の改善、港湾労働者福祉センター、簡易宿泊所の建設、雇用促進融資の活用、職業紹介体制の充実強化などの措置を講ずることとしております。  以上、これらに必要な経費として二百五十六億二千七百四十七万五千円を計上いたしております。  なお、炭鉱対策関係予算のうち、行政事務費を除く五十億三千三百五万五千円につきましては、今国会において新設が予定されている石炭対策特別会計に計上することといたしております。  また、財政投融資計画中に雇用促進融資として百二十億円を計上いたしております。  その二は、失業対策の推進に必要な経費であります。  失業対策事業に就労する者に対しては、雇用奨励制度を中心として、一般雇用への復帰を引き続き促進するとともに、失業対策事業につきましては、就労者賃金の引き上げ、超過負担の軽減等積極的な改善を行なうこととし、これらに必要な経費及び失業保険国庫負担金に必要な経費として七百五十九億三千五百八十一万六千円を計上いたしております。  その三は、技能労働力の質的向上対策の推進に必要な経費であります。  最近における技能労働力の不足の激化にかんがみ、積極的に技能労働者の養成をはかるため、事業内職業訓練につきましては、補助対象となる訓練人員の拡大、補助単価の改善、訓練施設に対する融資の拡充等、その助成を強化するとともに、公共職業訓練につきましては、総合職業訓練所、一般職業訓練所、身体障害者職業訓練所の増設を行なうほか、就職困難な中高年齢失業者等に対する職業訓練などを実施することとし、さらに、技能水準を一そう向上させるため、技能検定職種の拡大、技能競技大会に対する積極的な指導援助、技能者表彰制度の新設、技能オリンピック開催準備のための技能センターの拡充整備等を行なうことといたしております。以上、これらに必要な経費として百三億八千九百六十八万八千円を計上いたしております。  その四は、労働災害防止対策及び労働条件の近代化の推進に必要な経費であります。  労働災害の防止につきましては、人命尊重の基本的観点から、労働災害に関する諸施策を強力に展開することとし、安全衛生局の新設、第一線監督指導機関の強化等の行政体制の整備、第三次産業災害防止五カ年計画の策定、監督指導及び検査、検定の充実、労働災害防止団体活動の充実強化等につとめるとともに、労務管理面からする交通災害防止対策をも進め、総合的に労働災害防止対策を推進することといたしております。  また、経済、労働事情の変貌の過程における賃金、労働時間に関する問題の合理的な解決をはかるため、実効ある最低賃金制の推進、賃金制度の改善指導、長時間労働の排除、社内預金管理の指導等の措置を行なうことといたしております。  以上、これらに必要な経費として十三億五千二百一万円を計上いたしております。  その五は、労働保険の拡充整備に必要な経費であります。  昭和四十三年度から、労災保険、失業保険を五人未満事業所に対しましても全面適用することとし、今国会に関係法案を提出することといたしております。  また、この際、事務組合による米適用事業主の加入の促進、労災保険の適用範囲の拡大を行なう等、全面適用の実施に万全を期することといたしております。  なお、失業保険につきましては、低所得層に対する給付内容の改善、沖繩帰郷者等に対する失業保険相当給付の実施等により、失業保険制度の健全な運営をはかることとしております。  以上、これらに必要な経費として五十九億一千三百七十四万六千円を計上いたしております。  その六は、労働者の福祉の増進に必要な経費であります。  労働者の福祉を一そう増進するため、労働福祉施設に対する雇用促進融資等の拡充、港湾労働者、建設労働者に対する福祉施設の拡充等をはかり、また、中小企業退職金共済制度について、その普及促進につとめるとともに、清酒製造業退職金共済制度を新設し、さらに勤労者持ち家を中心とする勤労者財産形成に関する施策の検討と啓蒙をはかることとし、これらに必要な経費として十六億三千三百七十一万九千円を計上いたしております。  その七は、恵まれない労働者層に対する対策の強化に必要な経費であります。  恵まれない労働者層に対して積極的な配慮を行なうこととし、これらの労働者層のうち、身体障害者については、労災リハビリテーション・センターの増設、義肢センターの新設、身体障害者職業訓練所の増設をはかるとともに、身体障害者を雇用する事業所の作業施設、設備に対する融資制度を新設し、その労働市場への復帰を促進することといたしております。  出かせぎ労働者に対しましては、就労前の職業相談の強化、主要地における出かせぎ相談所の新設、通年雇用促進のための行政指導の強化と融資の拡充、内職相談員の新設等、その援護の充実をはかることといたしております。  家内労働者に対しましては、最低工賃の決定、家内労働手帳制度の普及等の行政措置の推進をはかるとともに、家内労働審議会において総合的家内労働対策の樹立のための検討を進めることといたしております。  また、愛隣地区に対しましては、公共職業安定所、福祉センター等を設置し、同地区における労働者の福祉と就職対策とを総合的に推進することといたしております。  以上、これらに必要な経費として十二億九千六百六十万九千円を計上いたしております。  その八は、合理的労使関係の促進に必要な経費であります。  労使が相互信頼と協力の精神を基調とし、企業の実態に応じ、平和的、合理的な話し合いを通じて労使問題の解決をはかる慣行を樹立するため、労働教育等の指導啓蒙に意を用いるとともに、労働紛争議の予防とその円満な解決につとめることとし、これらに必要な経費として、十億五千五百九十七万八千円を計上いたしております。  その九は、婦人及び年少労働者対策に必要な経費であります。  婦人及び年少労働者に対しましては、婦人が有する能力を有効に発揮するための条件の整備、家事サービス職業訓練の実施、内職相談施設の拡充等、婦人の職業対策の充実をはかるとともに、勤労青少年ホーム及び働く婦人の家の増設、年少労働者職場適応対策の推進など、婦人及び年少労働者の福祉対策を強化するほか、出かせぎ労働者留守家族対策の推進、農村婦人の過労対策をはかるための調査の実施など、農村婦人に対する指導援助、婦人の地位向上対策を進めることとし、これらに必要な経費として三億九千六百八十一万二千円を計上いたしております。  その十は、中小企業労働対策の推進に必要な経費であります。  最近における中小企業の深刻な労働力不足等の事態にかんがみ、事業内職業訓練の実施及びその施設の設置等に対する助成を拡大し、技能労働者の養成確保と、その技能水準の向上をはかるとともに、中小企業集団に対して助成を強化し、労働力の確保、労働条件の改善、労使関係の安定、労働福祉の向上等に関する行政指導を統一的、一元的に実施することといたしております。  また、各種福祉施設の増設、福祉施設に対する融資の拡大、中小企業退職金共済制度の普及、効果的な最低賃金制の推進、小規模事業場に対する労災保険及び失業保険の全面適用等福祉対策の充実をはかるなど、中小企業労働対策を総合的に推進することといたしております。  以上、これらに必要な経費として、二百七十八億一千九百八十四万三千円を計上いたしております。  以上のほか、国際労働行政の充実、その他一般行政事務費等に必要な経費が計上してあります。  次に、労働者災害補償保険特別会計について御説明いたします。  この会計の歳入及び歳出予算額は、ともに、一千三百十五億六千六百七十三万六千円でありまして、歳入のうち、保険料収入は、八百五十一億六千八百五十八万一千円で、また、一般会計よりの受け入れは十五億円であります。  また、歳出のうち、保険給付に必要な経費として、六百八十七億五千二十三万一千円、労災病院等の施設の整備拡充のための労働福祉事業団出資に必要な経費として二十九億三千八百六十八万円を計上いたしております。  最後に、失業保険特別会計について御説明いたします。  この会計の歳入及び歳出予算額は、ともに、一千九百五十億三千七百三万八千円でありまして、歳入のうち、保険料収入は一千四百三十六億七千七百万円であり、失業保険国庫負担金受け入れは三百九十億六千九百万円であります。  また、歳出のうち、保険給付に必要な経費として一千五百四十三億六千八百万円、総合職業訓練所の整備拡充、移転就職者用宿舎の建設等のため、雇用促進事業団に対する出資に必要な経費として百四十八億九十九万円を計上いたしております。  以上、昭和四十二年度の労働省所管一般会計及び特別会計の予算につきまして、概略を御説明申し上げたのであります。  何とぞ本予算の成立につきまして、格段の御協力をお願い申し上げる次第であります。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 以上をもちまして労働省所管についての説明は終了いたしました。     —————————————

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 これより質疑に入るのでありますが、念のため、この際分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度、兼務貝もしくは交代して分科員となられた方々は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に、要領よく簡潔に行なうよう特に御注意申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 私は、きょうは女子労働者の定年制の問題と、基準監督官の危険作業の監督に当たっている方の手当の問題、この二つの問題にしぼって質問させていただきたいと思います。  まず、婦人労働者の定年制の問題でございますが、私は、過日大田区のある工場で働いている婦人労働者から、こういう手紙をもらいました。「女子労働者は補助作業につかせるから、男女別の定年制をしくことはきわめて自然である。補助作業に若年労働者を大量に投入する当社にとって、中年過ぎの女子の労働力は当面も将来も必要としない、女子は三十歳で定年とする。」そして「昨年春闘の賃上げ要求その他がほぼ妥結に近づこうとしたころ、会社はこんなとんでもないことを言ってきました。まさかこんな乱暴な考えが通用するとも思えませんでした。しかし、多くの労働者の反対を無視して、せめて在職する女子には適用しないでという妥協も認められず、当該者八名(六名は独身の女性)が四十二年三月二十日までにやめていかざるを得ない立場になり、四人が次々やめさせられていきました。」云々、こういう手紙をもらったわけでございます。もちろん、この定年制というのは、法律できめられているものでもなければ、就業規則の範囲内でやることでございますけれども、最近大企業に特に目立っていることは、女子の定年制を男子より早くして三十歳前後に置いてはというような議論でございます。その一つの例が住友セメントに見られるようなところでもはっきりしているわけでございますけれども、こういうことに対して、労働大臣は根本的にどういうお考えをお持ちでいらっしゃるかを、まずお伺いをしたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 法律的には、労働基準法第三条の解釈からは、定年制に差別をつけるということがひっかかるとは解釈をしにくいのでございます。同時に、住友セメントの鈴本節子さんの訴訟の問題が第一審で公序良俗という点から勝訴になったわけでありますが、そういう点、まだ最終判決もきまっておりませんので、法律的には何とも申し上げられませんが、労働省の見解といたしましては、ILO百号条約とか、あるいは労働基準法第四条とかの精神と同時に、これからどうしても婦人労働力というものを使わなければ、男子の若年労働力がうんと減っていくわけでありますから、女子を定年の面で差別するということは好ましくないと考えておりまして、行政指導、指導啓蒙につとめてまいっておる次節でございまするし、今後も引き続きまして、実態に即しまして、そのような指導をしてまいりたいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 大臣のお考えとしても、男女の別をつけて、女子の早期の定年制ということの考え方には賛成ではないということがはっきりされました。それで行政指導なりあるいは啓蒙なりをしていらっしゃるということですけれども、具体的にどういうふうなことをされていられるかを伺いたいし、また、いま現実に私のところにこういう手紙がきているのですけれども、これも大田区の工場に働いている婦人がいまのように八人なり六人なりやめさせられていく、こういうふうな問題も出てまいりますので、もう少し積極的にお考えを願いたいと思いますけれども、どういうふうな行政指導をされているかを伺わせていただきたいと思います。

高橋展子労働省婦人少年局長

○高橋(展)政府委員 お答えいたします。  この点に関しましては、すでに昭和二十五年以来数次にわたりまして、婦人少年局長名あるいは労働基準局長と合名をもちまして地方に通達を出しております。婦人少年局の地方の出先でございます婦人少年室に対しまして、このような若年定年制ということが望ましくないものであるということを理由といたしまして、そのような制度を改善するような啓蒙指導を行なうように指示をしているわけでございます。  この指示に基づきまして、婦人少年室では、そのような制度を採用しております事業所に対しまして、その是正に関する申し入れを行ない、話し合いをいたしてその改善につとめております。しかし、大臣からも申し上げましたとおり、法的な拘束力を持たないものでございますから、あくまでも話し合いでの説得、この線で改善方を申し入れしております、また、この制度が労働協約あるいは就業規則に定められておりますために、その改善にはかなりな時間がかかるということもあるわけでございます。  そのほかに、また一般的な啓蒙指導といたしまして、個別的なケースは別といたしましても、このような制度が発生するその基盤になっているところの婦人労働を軽視する思潮であるとか、あるいは非近代的な制度、慣行等を改善するための啓蒙指導のためのキャンペーンを随時行なっております。特に、昨年度以来、婦人の能力を生かすという見地から、非常に大規模に制度、慣行の再検討を呼びかけて、労使双方を集めまして懇談会等を開いて啓発につとめておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 いま、高橋局長からいろいろ御丁寧に御答弁がございましたけれども、そういうふうに地方通達なり啓蒙の話し合いなりをしていらっしゃって、いままでにたいへん効果があったとお思いになりますか。私らの目からは、残念ながらあまり効果がないように思うのですけれども、何かこういうことによってたいへん効果があがりましたというような実績がたくさんおありでしょうか。

高橋展子労働省婦人少年局長

○高橋(展)政府委員 はっきりと若年定年制のありました企業におきまして、それが是正されて廃止されたという例はわずかでございますが、改善の方向を向いて検討が進められている例はございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 労働大臣、いま局長が御答弁されたような事情のようでございますけれども、そういう中にあっても、だんだん改善されるというふうな考え方を局長も持っていらっしゃるし、しないよりはたいへんいいことだと思いますから、もっと積極的にやっていただきたいと思います。しかし、なかなか効果があがらない面がいろいろあるわけです。また、ことしの婦人週間は、婦人の能力を生かすということなんですけれども、どうも婦人労働者はきまった一つの仕事についていられるというのではなくて、内職的な方向にやられるという可能性が非常に多いわけでございまして、そうなってきますと、婦人の能力というものが十分に生かされない、こういう面もあるわけでございますので、こういう通達なりあるいは指導なりもけっこうではございますけれども、さらにさらに高い次元から労働大臣が何らかのお考えを示して、もう少し婦人の能力を生かせるように、若年定年を何とか阻止できるようなお考えを持っていただけないものかどうかということを伺いたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 日本の女子勤労者を欧米と比べますと、非常に違っておるのは、九百万人もおる平均年齢が二十八歳、アメリカあたりは平均年齢四十歳、こういわれております。そこで、今度は日本の男子若年労働力が非常に枯渇してきておりますので、中高年と婦人が勤労に携わってもらわなければならないという大きい社会的変化が迫ってきておるわけでございます。そういう観点からいいますと、労働基準法第三条、男女の差別待遇が入らない、四条では、賃金については差別してはいけない、この間の脈絡がないわけであります。さらに、ILO百号条約を批准するという、こういう新しい事態に、あるいはお説のような行政指導なり啓蒙だけでは片づかない場合には、労働基準法を改正して、差別待遇はしてはならぬという立法も必要になってくるかと思いますが、これは非常に重要な問題でありますから、総合的に検討してみたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 労働大臣からも総合的に検討してみたいというお話でございましたので、高橋局長のいろいろな指導の面にあわせて、ぜひとも強力なものを打ち出していただきたい、このことをまず要望したいと思います。  次に、私は、基準監督官の問題に入っていきたいと思うのですけれども、たとえばトンネルの中へ入るとか、栃木県にあります大谷石を切るような、ああいう作業に働く人たちの——何か土石採取場の坑内に入るというのだそうですね、そういうふうな方たちの問題を取り上げたいのですが、こういう作業場が全国で大体幾つくらいあって、その監督官は幾人くらいおるかということをまず最初に伺いたいのです。これは事務当局でけっこうです。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 ただいまの先生の御指摘の点は、坑内作業場という意味でございますか。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 そうです。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 坑内作業場としての数は、土石採取場という観点からすると、ちょっといま手元に資料を持っておりません。しかし、土石採取作業といっても、露天掘りもあり、坑内掘りもあります。坑内労働の関係につきましては、ちょっといま……。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 あとで調べておいてください。調べていただく間に、次の質問に入りたいと思います。  ついででございますから、露天の土石採取場と坑内の土石採取場を分けて、その数と、基準監督官がどのくらいいられるかということをお示し願えれば、なおけっこうだと思います。  私は、いま一つの例を引きますけれども、たとえば、先ほど話に出ました大谷石を切る作業ですね。そういう作業をしている労働者というのは、いろいろな面で非常に苦労しております。それから、労働だけじゃなくて、それに付随してけい肺が出てくるとか、いろいろな問題が出てきますので、そのけい肺の問題とか労働問題とか、私はいろいろあると思いますけれども、そういうものに対しては、今後それらの抜本的対策をどういうふうにするかというような問題をからめまして、次の機会にしたいと思いますけれども、きょうは、その人たちの監督の立場にある基準監督官の問題だけにしぼって伺いたいと思うわけでございます。  これは労働省の中にある基準局につとめておる基準監督官の問題ですから、大臣もあるいはよくお調べになって御存じかもしれませんけれども、私もちょっと調べてみて、あまりひどい待遇なんで、ちょっと驚いたわけなんです。それで、どうしても黙っていることができないで質問させていただくわけなんですけれども、大谷の例を取り上げてみましても、大谷石というのはよく落盤をするのです。村上局長はよく御存じだと思うのですが、落盤をして、もう今度はしばらく落盤がないだろうと思うと、すぐ落盤をすることがあるわけです。そして長雨になりますと、非常にくずれやすいわけです。石炭山とか銅山なんかと違って、支柱がない、木のワクもない。そういう地下ががらんどうになっているところへずっと入って行きますから、とても命がけでやらなければならないような立場に置かれているわけなんですけれども、そういうところの基準監督官の手当を私は聞いて驚いたのです。いままで、四時間そういう中へ入って指導をして七十二円だそうです。四時間以上五時間で百二十円だそうです。今度の予算で何か百六十円になったということを聞いたんですけれども、ともかく命がけで、いつ落ちてきて死ぬかもしれないというような立場に立って監督していて、今度の予算でたった百六十円ということなんですけれども、こういう実情を一体大臣はどういうふうにお考えになるか、一ぺん伺っておきたいのです。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 本年度予算におきまして、昨年に比して三〇%の危険手当単価の引き上げを行ないましたし、坑内作業につきましては、それ以外の特別の高額の手当を設けることにいたしたわけでございます。御指摘のような御同情ある御意見、まことにありがたいのですが、同時に、同じような他の官職との均衡の面もございますので、そういうものもあわせまして、今後とも手当の引き上げに努力をいたしてまいりたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 三〇%の引き上げということは、具体的に単価で百二十円から百六十円のことですか。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 御指摘のように、坑内の作業手当は、百二十円のものは百六十円に引き上げるということにいたしております。ただ、実態をいろいろお話しの上でのことでたいへんありがたいのでございますが、私ども、労働基準監督官という制度は、国際的にも一定の基準とか水準を保った制度でございまして、しかも、公開試験を実施して、試験で採用するという特殊な官職でございます。したがいまして、その職務内容は、司法警察官の権限を行使する。会社、工場へ参りまして、臨検、監督をする、送検もするといったような、きびしい権限を行使するものでございまして、その職務内容が、坑内のみならず、あるいは局所にありまして、法違反がないかどうかを調べたり、あるいは船舶に乗り込みまして荷役作業を見る、いろいろ危険を伴う特殊な形態のものでございます。したがいまして、職務自体が相当責任ある、かつ危険な内容でございますし、選任手続きがただいま申しましたような試験制度でもございますので、労働基準監督官については、本来の給与上特別の配慮をしてもらいたいということが私どもの念願でありまして、ここ数年来、予算当局に対しましても強く要望いたしておりますけれども、現在は一般職のワク内におさめられておりまして、この危険手当とか、こういった問題よりも、むしろ根本的に職責、職務内容に相応した所遇をしてもらいたいというのが基本でございます。しかし、それがかなわぬものでございますから、ただいま申しましたように、特殊手当で操作しておるのでございます。なおこういう面で努力はいたしますが、基本的には、労働基準監督官にふさわしい所遇というものを私どもは熱望しておる次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 いまのお話でございますけれども、職務内容にふさわしいような手当、これは当然願うべきことだと思います。けれども、ともかく現実の問題として、非常に危険な作業に従事していて、しかも、その手当は、別に金銭的な問題で人間の価値をどうのこうのというのではないのですけれども、やはり家族もありますし、そういう人たちが中に入って四時間なり五時間一生懸命いろいろと監督して、間違いのないように、危険がないようにしてやる、そういう人に百六十円とかというようなお金は、あまりにもばかげた手当じゃないかというふうに考えるわけです。いまおっしゃったような理想的なものならばいいですけれども、ならない段階において、こういうところにとどまっておるんでは、ちょっとひど過ぎやしないかと思うのです。その点はいかがでございますか。  それからもう一つ、三〇%引き上げということは四十円ですが、四十円の引き上げの基準は何ですか。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 この危険手当は、労働基準監督官の固有のものではございません。他の公務員の同種の特殊勤務について設けられている制度でございます。したがいまして、労働基準監督官だけについてどうこうというのではございませんで、政府で抗内手当が一般的に設けられるという場合に、わがほうだけ特殊事情を押し通すということがなかなかむずかしいという事情にある。一般的な特殊勤務手当の引き上げに伴う、こういうことでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 基準監督官も、たとえば通産省にある監督官がありますけれども、保安監督をする人、この人たちとのつり合いはどうなっておりますか。  それから、基準監督官は、三段階に分けられてその危険手当というものが支給されているわけですか、その点も伺いたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 坑内労働につきましては、いわゆる鉱務監督官のほうが若干高いのでございますが、いま先生御指摘の三段階というのは、たとえば坑内手当につきまして、従来は八十円、百二十円、百六十円、こう三段階になっておる。それが百十円、百六十円、二百十円におのおの引き上げられた、こういうことでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 その三段階に分かれている理由といいますか、どうして三段階に分かれているわけですか。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 たとえば、従来八十円で四十二年度から百十円に引き上げられますものを申し上げますと、「鉱山、土石採取場又は掘さく中のトンネルの坑内で行なう労働者の災害補償に関する調査」、この関係は八十円。それから、「土石採取場の坑内又は掘さく中のトンネルの坑内で行なう監督」、これは百二十円。つまり災害調査の場合は、災害が起きまして、一応、何と申しますか、災害後の安定したと申しますか、災害が進行してないというような状態のものですから、その場合の危険性と、それからそういった災害が起こったあとでない、現にどういう危険が発生するかもわからぬという場合の状態とを一応分けまして、こういった区分ができております。そして最も高いものは、「鉱山、土石採取場又は掘さく中のトンネルの坑内でガス爆発、火災、出水、若しくは落盤又はこれらに類する災害があった場合に行なう著しい危険を伴う監督」、その場合には高額なものが支給されるというように、予想されます危険の度合いに応じまして、三種類に区分しておるということでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 そこら辺に、私から見ると問題があると思うのです。と申しますのは、こういう場合には、もう一度災害があったんだから、もうしばらくはないであろうというふうな考え方で、それでこれだけに限る。それからその次には、掘さく中の場合には、ちょっと危険がありそうだからこれだけにするとか、そういうふうに分けていらっしゃるようですけれども、坑内に入って行く危険の度合いというものは、私は同じじゃないかと思うのです。災害があったから次に来ないとは限らないのです。またすぐ来るかもしらぬ。そういう例が、ごく少数かもしれませんけれども、大谷石の場合などはあるわけです。落盤してすぐまた落盤というようなことがあるわけです。そういうふうに考えますと、その差をつけていくというつけ方に、私はちょっと矛盾を感じるわけです。やはり坑内へ入って、監督なりあるいはいろいろな調査なりをする危険の度合いというものは、みんな同じじゃないかと思うのですけれども、この点はそうはお思いにならないのですか。やはり一度あったら次は大体起こらないからいいとか、しばらく起こらないから今度は起こるだろう、そういうようなお考えでおやりになっておるのですか。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 率直に言いまして、私は満足しておるものではございません。たとえば、鉱務監督官につきましても、鉱務監督官のほうは巡回検査または災害検査三百円で、それから労働基準監督官は二百十円と、差があるわけです。要するに危険の度合いの判断につきまして、私どもが主張するところのものが、政府全体の同種の業務の執行と比較いたしまして、評価が必ずしも同じでないということによるものであろうと思います。したがいまして、多少金額に差があるといたしましても、比較的危険の少ないものが百六十円で、比較的危険の多いものが二百十円と申しましても、その差額が五十円ということで、生命、身体の危険の度合いから見ましたならば、このような差額でいいのかどうか、いろいろ議論があろうと思います。労働基準監督官の仕事というものは、その管轄区域の事情によりまして、こういうところに行くのが常態であるということもあるわけでございまして、職務の執行そのものについて、あるいは坑内、あるいは高所作業の監督、いろいろございますので、こういった業務の一々につきまして、こま切れに見ていただくのがいいのか、職務全体について見ていただくのがいいのか、いろいろ意見はあるところでございます。しかしながら、そうは申しますものの、一応国として、政府としまして決定されたこういう基準でございますし、私どもは、この危険手当の現在の制度をできるだけ適正に執行いたしまして、監督官の職務執行に見合う手当の支給をいたしたい、かように考えておる次第であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 私は、いまの局長の御答弁にあまり納得できないのです。こうなっているから、しかたがないからある程度あきらめていくよりしょうがないということなんで、それをやはり直していかなければいけないと思うのです。ですから、ぜひ直すための積極性を持っていただきたいと思うのです。そこで監督官の問題で、たとえば高いところにのぼる危険性、坑内にもぐる危険性、これは同じだと思います。ただ、私の目にとまり、それから話を聞き、あまり驚いたものですから、一体こういうところでいいのかしら、これでいいのかしらという非常に疑問を感じまして問題に出したわけですけれども、高いところの危険も、私は同じだと思うのです。同じだと思いますし、いろいろ理屈やら標準やら何やらおありでしょうと思いますけれども、やはり命をかけてやることでございますし、もう少しその辺のことを考えて、危険手当というものをもっと引き上げていただきたいということを希望します。  それからもう一つの希望は、通産省の鉱務監督官の方々の手当と比べますと——この通産省関係の鉱山保安法による鉱務監督官の手当も、私は十分であるとは思いません。たいへんに低いと思います。たいへんに低いと思いますけれども、せめてそのくらい並みにまで引き上げることはできないものでしょうか。その点もちょっと伺っておきたいのです。きょうは大蔵省の方もおいででございますから、局長のあとで、労働大臣のお考えも伺ったあとで、大蔵省からの御意見も伺いたいと思います。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 それは、私どもこの必要性を最も痛感しておるものでございまして、毎年実はやっておるわけでございます。しかしながら、微力にしてなかなか実現しないのであります。大蔵省のみならず、人事院にも関係いたしております。おことばはもう一々非常に胸にこたえまして、痛感いたすわけであります。仰せは全くありがたくちょうだいいたします。今後も極力努力いたしたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 私の部下に対して、かゆいところに手の届く御意見、まことに感謝にたえません。今後私たちも大いに努力をして、処遇の改善につとめたいと思います。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○辻説明員 特殊勤務手当の金額につきましては、御承知のように、昭和三十七年度に全般的に大幅な改正をいたしまして、支給の対象の範囲とか手当額を直したわけでございます。その後、一部の手当を除きまして、おおむね据え置きのまま今日に至ったわけでございますが、その間俸給が上昇しておりますので、御参考までに申し上げますと、三十八年には六・七%、三十九年には七・九%、四十年には六・四%、四十一年には六・〇%というふうに、ベース改定によりまして俸給が上がってまいりました。それを累計いたしますと、おおむね三〇%になりますので、先ほど労働省から御答弁がありましたように、四十二年度予算におきましては、単価を三〇%改定いたしたわけであります。その一環として、労働基準監督官に支給されます坑内作業手当であるとか、高所作業手当であるとか、あるいはボイラ検査手当とかいうものも、おおむね三割引き上げになったわけでございます。  なお特殊勤務手当につきましては、特殊勤務の評価というのはなかなか技術的にも問題がございまして、いろいろ御意見のあるところでございます。通産省の鉱務監督官とのバランスにつきましても、いろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、現在の状況におきましては、やはりその危険の度合いというものが、若干差があるというように私ども考えております。そういうようなことで、従来から差がついてまいったわけでありますが、これも先ほど労働省から御答弁がありましたように、今回、労働基準監督官につきましても、重大災害等の場合には相当大幅に金額を引き上げております。六百二十円というようなランクもつくっております。そういう措置をとったわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 いまの大蔵省の御答弁でございますけれども、特殊勤務手当の問題で、いまのような場合に、危険の度合いがいろいろ差があるということですね。しかし、実際に、たとえば私が持ち出しました大谷石のような場合をごらんになれば、決して危険性が少ないということは言えないわけです。行ってごらんになればよくおわかりになります。歩いてみましても、いつ落ちるかもしれないというところがあるわけですが、そういう中へ入って行くのです。そういうことをお考えいただきまして、いま労働省のお考えもお述べになったようでございますので、それらを勘案して、来年には特段の考慮を願いたいと思いますけれども、この点についてのお考えを伺いたいのです。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○辻説明員 給与の問題は、いろいろ給与体系全般のバランスもございますし、ほかにもいろいろ同種の作業がございますので、それをどういうふうに評価していくかは、先ほど申し上げましたように非常に問題が多いと思います。なお、いろいろな調査等につきましては、人事院その他もやっておりますし、私どものほうも、直接給与を担当しております給与課のほうにも、なお十分連絡いたしたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶分科員 いまおっしゃるような公式答弁は、私も大体わかっております。給与関係のほうがどうなる、それは知っておりますけれども、こういう質問をするのは、やはり問題があるから質問するわけです。また、いいかげんな監督なり調査をするような人はいないと思いますけれども、そういうことで、うしろ髪を引かれる思いで十分できなくて、そして危険を未然に防げないという場合が、いろいろあるわけです。災害が起きてから問題にするのじゃなくて、起きないうちに問題にしなさいというのが、国会でやられるいろいろな決議等においてもおわかりになるとおりなものですから、そういうことから勘案されて、今後こういう問題について、危険手当の問題は、もう少し愛情を持って、人情を持ってやっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原分科員 きょうは時間もなんですから、身体障害者の雇用問題と、それから、時間がありましたら内職の問題、さらに時間がありましたら全般の問題、こういうことであります。  第一は、身体障害者なのですが、身体障害者の実態と、それから身体障害者は増加の傾向にあるわけですが、その状況、これについて、どなたでもけっこうですから、御答弁いただきたい。   〔北澤主査退席、正示主査代理着席〕

今村譲厚生省社会局長

○今村(譲)政府委員 労働省関係でございますが、厚生省のほうから、身体障害者の数、その今後の動向と見通しということについて申し上げたいと思います。  四十年八月の全国の実態調査によりますと、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由障害、三つを含めまして、十八歳以上の身体障害者が百四万八千人、児童が九万八千人、合計百十四万六千人、そのうちで、視覚障害が十八歳以上、児童を含めまして二十四万四千、約二一%、聴覚のほうが二十二万九千で約二〇%、それから肢体不自由、これは背骨の障害などの体幹不自由も含めますけれども、六十七万四千というので五八・五%、こういうふうな状況でございます。これは四十年八月以降調査いたしておりませんが……

大原亨日本社会党

○大原分科員 その前との比較でいいのです。四十年八月以前の増加の傾向。

今村譲厚生省社会局長

○今村(譲)政府委員 増加の傾向は、交通障害その他の関係で肢体不自由関係が相当ふえてきているという傾向でございますけれども、その前の調査をちょっと持ってまいりませんでしたので、記憶には残っておりますけれども、数字をはっきり申し上げかねます。五年前に八十五万人、ちょっと打ち合わせして調べますけれども、それが四十年八月百十四万六千ということで、これには実質上非常に数がふえたという問題と、それから調査の方法が非常に緻密になりまして、いろいろ隠れておったものが出てきたというふうな問題と、二つあるかと思います。そういうふうな状況です。

大原亨日本社会党

○大原分科員 身体障害者の中で、就業している人と就業していない人ですね、仕事をやっている人と仕事をやっていない人、これをひとつ……。

今村譲厚生省社会局長

○今村(譲)政府委員 厚生省のほうから申し上げます。  四十年八月の同じ実態調査によりまして、これは成人、十八歳以上だけを調べたわけでありますが、就業している者が四十一万二千人というので全数の三九・三%、それから不就業が六十三万六千人というので六〇・七%、こういうふうな状況です。

大原亨日本社会党

○大原分科員 六十三万六千名の不就業の理由。

今村譲厚生省社会局長

○今村(譲)政府委員 これは、たとえば家庭におって、御婦人でも身体障害者があるわけですが、そういう事情において就業の必要がないというのが十五万九千人で全体の二五%、それから就業不能というのが四十万一千人で六三%、この就業不能の中には、手足ともに全部不自由で就業が事実上できないというふうな者がほとんどでございますけれども、就業の意思があっても現実になかなか職が見つからない、つい思い切れない、世間に出る自信がないというふうな意味で就業不能という心理的なものも相当あると思いますが、それが四十万一千人で六三%、それから休業、失業が一万一千人で一・七%、それから六万五千人、一〇・二%、これは病院に通っておったりあるいは学校に通っておったりというふうな者でございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 就業と不就業と分けて、不就業が六十三万六千名ということですが、不就業の中で、就業不能が六三%を占めて四十万人あるわけです。その就業不能の中で、就業の意思と能力がある、教育訓練その他を考えるなら就業する意思、能力あり、こう考えられる人はわかりますか、わかりませんか。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 ただいま厚生省から答弁がありましたように、身体障害者の総数が非常に多いのでございますが、現実に労働市場に登場してくるものを考えますと、四十一年の三月末現在で安定所に登録しております数が、五万一千四百一名ございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 しかし、いまの話では、就業が四十一万二千名で、不就業が六十三万六千名、それで、不就業の中で就業不能、いま就業できていない人を含めて、意思と能力があっても、そういう条件がないから、こういうことなのですが、その中で労働省の職安に登録している人が五万一千名、こういう数字では、やはり身体障害者の福祉対策で、消極的な福祉対策、所得保障、その他医療保障、教育、そういうふうなものと、積極的な雇用対策との関係が、いまの質疑応答だけでも相当ギャップがあるのではないか、少し開きが多過ぎるのじゃないか。もう一回申し上げますよ。まあ大臣もお聞きいただきたいのですが、厚生省の、これは五年前というのですから、昭和三十五年ごろの調査だと思うのです。そのころ八十五万人おりました身体障害者が、いまお話しになりました昭和四十年八月の調査では百十四万人にふえておる。もっとも、調査の方法は若干変わっておるかもしれないが、これはばく大なふえ方です。五カ年間にふえておる。その中で、特に交通事故とか後天的な労働災害とか、あるいはその他の問題で増加が著しい。あるいは、その原因についてもお尋ねしたいところですが、時間がないので、その点ははしょっていきますが、その百十四万人の身体障害者の中で就業者が四十一万二千名、この内訳は、また時間があれば別に言いますが、不就業が六十三万六千名、この六十三万六千名の中で就業不能——就業の必要がないのは別にいたしまして、就業不能の四十万一千名の中には、就業の意思と能力があるのに就業できない人も相当数あると思われる。こういう点でやはり身体障害者が増加しておる。その人権を守る、積極的には職場を与えていく、そういう点等を考慮した際に、労働省の登録人員とこれらとの間においては、ばく大な開きがあるのではないかと思われるわけです。  そこで、いままでの質疑応答の中に関連いたしまして質問いたしますが、就業の四十一万二千名の大体職種別の内訳がわかっておったら、大きいほうから拾い上げてひとつ説明してもらいたい。

今村譲厚生省社会局長

○今村(譲)政府委員 四十年八月の実態調査でございますが、総数一〇〇%としますと、専門的、技術的職業、これが八%、それから管理的、事務的職業、これが七・三%、それから販売従事者、いろんな販売関係者が一三%、それから農林漁業従事者、これが三三・六%、それから採鉱、採石従事者、これが〇・六%、運輸、通信従事者一・六%、それから技能工、生産工程従事者、いわゆる工場なり何なり、あるいは自分で仕事をしておるという方、生産関係、これが三一%、サービス業その他四・四%、こういうふうなことでございます。   〔正示主査代理退席、主査着席〕

大原亨日本社会党

○大原分科員 そうすると、労働省がいま言われた登録人員の五万一千名というのは、いまの分類のしかたとは違うんでしょうか。どこに入るのですか。不就業の就業不能の中に入るのですか。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 先ほど申し上げました、安定所で昨年の三月末現在に登録しておりまする五万一千名というのは、登録名の数でございまして、この五万一千名のうち、すでに就職中の者が三万八千四百六十六名おります。  そこで、先ほどの厚生省の就業中の四十一万人の内訳との関連になるわけですが、大きく見まして、農林関係は、これは自営業で雇用労働者でない場合が大多数だと思います。したがって、問題になりますのは、技能、生産工程に従事する三一%を中心とした約三割強の方々が、雇用労働者として就業中の者に該当するわけでございますが、雇用促進法に規定しております雇用率の設定の区分から申し上げてみますと、官公庁関係に現在三万六千四百九十九名身障者が就業いたしております。それから、民間関係におきまして七万五千十二名就業いたしております。この現在就業中の者を入れますと、約十一万ちょっとになります。したがって、この雇用率設定をしておる官公庁並びに民間は百人以上の中規模以上の事業所でございますので、大体いま申し上げました就業の分類と雇用の状態と、それから安定所に登録しておる関係というものが、これではっきりするのではないかと思います。

大原亨日本社会党

○大原分科員 それから、これははっきりしないので、念のために申し上げるのですが、官公庁、民間に就労している十一万人の人の障害の級別です。一級、二級、三級、四級、重度障害、中度、軽度、こういうふうに分けますね。その内訳をひとつ伺っておきたい。一級から二級までは重度、三級から四級までが中度、それ以下について軽度、こういうふうに分けますね。それの中身があればひとつ教えてもらいたい。ないのですか。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 現在、申し上げました十一万何がしの身障者の障害級別の内訳は、ちょっといまのところわかりません。

大原亨日本社会党

○大原分科員 厚生省、わかりませんか。

今村譲厚生省社会局長

○今村(譲)政府委員 そういう統計はとっておりません。

大原亨日本社会党

○大原分科員 労働省が身体障害者雇用促進法で十一万人の就業を報告されておるわけです。しかし、厚生省の発表によりますと、就業が四十一万二千名、もちろんこの三三・六%は自営業その他ということはあるでしょう。あるでしょうが、就業が四十一万二千名ということになるのですが、それにいたしましても、その就業についての重度、中度、軽度という、そういう分類のしかたはやっておりませんか。つまり、私が尋ねようとしておるのは、ずばり言えば、いまこの身体障害者雇用促進法というものは非常に大まかな倫理規定です。労働大臣、これは倫理規定で、できるだけ身体障害者をこれくらいの率で雇えという倫理規定です。通報しなければならぬ、こういうことなんです。科学的な裏づけがない。障害者の能力を啓発し、これを社会に役立てるというような、雇用対策に積極面がない。あるいは総合性がない。ずばり言えば、労働省、厚生省、文部省、そういう全体の中に総合性がないということ、こういうことを私は言いたい。言いたいのはそういう問題だと思うのです。日本の身体障害者がだんだんふえているし、あるいはその状況、それらの人権、福祉の問題から言えば、消極的な施設とかそういうことだけでなしに、それとのつながりで積極的な政策がほしい。それは雇用だ、社会復帰だ、職業の樹立である、こういう考え方からいくならば、身体障害者雇用促進法というものが非常に倫理規定であって、包括的にやってあるけれども、その点においては、いま議論しただけでもやはり問題があるのではないかというふうに思うわけですが、それはともかくとして、そういう点でやはり軽度の者だけを雇っておるのじゃないか、そこに一つの大きな制度上の欠陥があるのではないか、こういうことを私は言いたいわけです。その点、私が指摘した点は、計数上の根拠がなくても当たっておると私は思うのですが、どういうものでしょうか。  それじゃ、せっかく文部省の方が見えているから文部省に伺います。ほかのほうはひとつ考えてもらうこととして、文部省は特殊教育をいろいろやっておられますね。盲ろう養学校とかの特殊教育をやっておられる。そういう観点から見た場合に、盲ろう、身体障害者、そういう児童、生徒の雇用ということについて、制度上あるいは運営上意見を持っておられますか。意見を持っておられるはずだと思うけれども、いかがですか。

寒川英希文部省初等中等教育局特殊教育課長

○寒川説明員 身体障害者の社会的な自立、これは特殊教育の最も大きな目標でございまして、このために特殊教育は職業教育を中心にやっているわけでございます。その卒業生に対する就職の面につきましては、その卒業をする児童あるいは生徒の教育の内応を充実、向上するということに重点を置きまして、教育課程の改定あるいは指導者の資質の向上等をはかっておるわけでございます。  なお、就職のあっせんにつきましては、職業安定所と学校がいろいろ連携をとりまして、雇用情報等を学校が積極的に入手して協力をいたしておるところでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 あまり私の質問がばく然としておったから大臣答弁みたいなことになったが、とにかく、私どもが実際に特殊教育をやっておる人の意見を職場、学校その他で聞きますと、やはり将来どのような職業に積極的に身体障害の児童、生徒を役立てるんだという制度上の目標がないから、非常に教育についても手さぐりのようなかっこうであって、しかも、不安定な職業につかせるということしかない。こういういろいろな不安、意見をもっておられると私は思うのです。その点について、もう少し、たとえば両足がない場合を考えてみたって、設備さえあれば手を動かすことができる仕事があるはずです。片目だけでも、あるいはいろいろの相当の障害児であっても、仕事の内容によってはその能力を生かすことができる。十全に生かすことができなくても、相当程度生かすことができる。そういうようなこと等が教育の中においてつながりがない。こういうことが教育あるいは厚生省の中における授産その他訓練の問題とつながってくる。ですから、厚生省の中のそういう養護、治療と一緒に職業教育を早くからやるわけでしょうが、その問題と将来の職場を与える問題と、あるいは文部省のそういう特殊教育の分野における教育と、そして将来の職業の問題、これについて日本の制度においてはつながりがないのではないか。そういう面において身体障害者に対する保護設備あるいはアフターケアその他いろいろあるけれども、しかし、積極的に職業を与える、あるいは能力を啓発する、こういうことが本来の身体障害者の要求です。身体障害者は、やはり人さまのごやっかいになってだけ生きたくなくて、自分の力で生きていきたい、これは人間本能、生きている者の本能的な要求です。こういう面において私は問題があるのではないかと思う。こういう点をひとつ問題として私は指摘しておきたい。  それからもう一つは、角度を変えまして、身体障害者雇用促進法では、いま十一万何がしというふうに言われましたが、現在の雇用率を変えていく考えはないか。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 現在の法定雇用率は、大体官公庁の場合におきまして、非現業の機関、国会をはじめ市町村に至る行政機関でございますが、これは雇用率が一・五%でございます。その他の現業的な機関は一・四%でございます。それから、民間の事業所で、現業的な事業所は一・一%、事務的な事業所は一・三%、これが基準になっております。この法定の雇用率は、おおむね現在において達成いたしております。これを改定すべきではないかという先生の御意見でございますが、私ども、この点については身体障害者雇用審議会にいま御検討を願っておる段階でございまして、この意見が出ましたならば、必要に応じて改定をしていきたい、かように考えております。

大原亨日本社会党

○大原分科員 外国の立法の中には形式、内容ともに違うのが多いわけですが、それはともかくといたしまして、外国の雇用率といろいろ比較いたしてみましていかがですか。日本の雇用率は低いじゃないですか。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 外国における身体障害者の雇用対策は、それぞれの国柄によって非常に大きく違っております。大きく分けまして、傷痍軍人対策としてこの問題が取り上げられた経緯が非常に強いわけでございますが、現在おもな国でとられているが雇用率的なものを拾ってみますと、西ドイツにおきまして、民間の場合に、従業員が十五人以上の事業所においては六%と相当高い目標率を掲げております。そして、この率を達成しなかった場合には、月五十マルクの保証金を徴収するというふうな制度もございます。アメリカ等においては、連邦公務員の補充について優先雇用の制度がございます。また、公務員の試験制度において、身体障害者の場合には五点ないし十点の加算が行なわれるというふうな制度をとって、身体障害者に有利な公務員試験制度になっているようでございます。いろいろまちまちでございまして、必ずしも雇用率一本ヤリで雇用対策を講じているわけではないという状況でございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 大体立法の経過からいうと、特に第二次大戦後からというようなことですが、傷痍軍人やその他が中心で、漸次工場災害その他も加えながら身体障害者の雇用についてやっておると思うのです。経過はそうであるといたしましても、やはり雇用率は私は迷うと思うのです。最初、身体障害者雇用促進法をつくったときには、そう無理なことはできぬだろうけれども、しかし、それにいたしましても、日本のは一つの倫理的な規定であって、結果について、できるだけやって報告しろというような報告義務程度であって、罰則もないわけです。ですから、これはできるだけ軽度のものを雇ってお茶を濁す、こういうことになっていると思うのです。それであってはならぬのであって、私はやはり雇用率も高めていって、身体障害者がどんどんふえているのですから、雇用率を高めていく。そういうことが一つと、それから雇用についての官公庁——現業、非現業を加えて官公庁、あるいは民間その他の企業の社会的な責任をやはり明確にしながら、積極的に身体障害者を雇わなければならぬというふうな、そういう義務的な規定にしていく、こういうことについてはっきりした方針を持つべきじゃないか、私はこう思うのです。労働大臣、その点について、もうこのくらい大臣が答弁されてもいいと思うのですが、いかがですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 だんだんの答弁を通じましておわかりかと思うのでございますが、雇用率の達成状況はかなりいいわけでありまして、百人以上の民間企業におきましては、大体六百六十七万人の従業員数がおりますが、その会社を例にとりましても、一・一二%の雇用率を達成しているわけであります。そこで、必ずしも義務制にしなくても、この法定雇用率を達成できておる事業所が非常に多いのでありますが、まだ法定雇用率を未達成の事業所もかなりございますので、そういった面に行政指導を通じてできるだけ身障者を雇っていく、こういう努力をしていきたいと思います。  ただ、問題は、公共職業安定所に登録をした求職者数が五万人台だという点が私は理解できない。先般東京都の身障者の職業訓練所を見てまいりましたけれども、これは訓練を受けようという人が定数に満たないのですね。その辺に身障者の求職というものに対する熱意といいますか、そういうところに何か隘路があるのではないか、かように思いまして、事務当局にもそういったところを検討さしておる段階でございます。ただ法律を改正して、強制的に雇用さすという問題は、これはいま直ちにこれをどうするという段階ではございません。審議会あたりで大いに検討すべき非常に重大な問題だと思っております。

大原亨日本社会党

○大原分科員 職安局長に聞いてもいいのですが、身体障害者の職業訓練所が定員にも達しない、これはどういう理由なのですか。

和田勝美労働省職業訓練局長

○和田(勝)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたが、全国的にいいまして現在九カ所ございまして、卒業時における在所率が九二%程度、そういうことでございます。これにつきましては、訓練を受けている間に入所生のいろいろな事情があったりなんかいたしますことも一つあるだろうと思います。訓練にこれではちょっと耐えられない、なかなか技術が進まない、こういうことで、せっかく入っても出てしまう、こういうことが隘路になっております。といいますのは、全国的に、入所の希望者は大体一一一%くらいございます、が収容人員を卒業時において考えますと、いま申しましたようなことではないかと思います。

大原亨日本社会党

○大原分科員 それは入所しましても、訓練に耐えないとかいろいろあると思うのです。しかし、それは訓練所を出ましても、やはりしっかりした職場がない、その点に対する不安が一つある。それからこれは文部省の関係が深いのですが、小さいときからの教育というものを、できるだけ早く教育したほうがいいのでしょうが、職業教育は小さい幼時教育から始めるべきである。そういう点から見ると、文部省との関係もあるわけです。しかし、将来どういう職業につくのだということについてのビジョン、目標がないから、これは教育についてもばく然と時をかせぐというようなことになるのではないか、こういうふうに思われるわけです。  それで、私は職安局長に質問をいたしておることは、身体障害者雇用促進法については雇用率が相当満たされておると言ったところで、非常に軽度な人で、ほとんど同じような条件の人だけやっておるわけです。その結果を報告さしておるだけで、身体障害者の雇用促進ということは、ほんとうに中身は魂が入っていないと思う。だから雇用率を上げていけば、やや重度の、中度くらいの障害者もその中へ入っていく可能性がある。あるいは経営者も公務員あるいは民間を問わず、積極的に身体障害者のために職を探していくということが一つある。たとえばエレベーターの運転とか受付とか、あるいはその他いろいろな職業のことを外国では例にあげて、これを留保職種として、身体障害者のために留保するのだ、こういう職種を設けて、そのほかの者は原則的に雇わない。いない場合に雇う。日本では若い娘や若い青年がそういう仕事をしたりしておる。こういうことは、私は完全雇用の問題からいったって、くふうが足りないのではないかと思う。ですから雇用率を高める、あるいは留保職種、留保というようなところまでいかなくても、こういう職種についてはというような、そういう示唆を与えるような指導方法をとって、その内容についても報告させるとか、そういうふうなこと等をくふうをしていくならば、それに適応するような訓練や教育がなされるのではないか。そうして、だんだんにできていく身体障害者の積極的な権利の尊重や人格の尊重や福祉の面が一方においては進んでいくのではないか。私は、そういう雇用率を高める。これは日本は高いことはないのだから、雇用率を高める、そういうことと、雇用についての民間企業の社会的な責任をやはり法律上もかぶせていく、こういうことによって、きめのこまかい完全雇用対策というものができ上がるのじゃないかと思います。私は、二つの面について考えてもらいたいということです。それがどうも、労働省は非常に元気な者ばかり産業の要請に従ってやっていくというようなことで、やはり文部省とか厚生省のような消極的な、あるいは所得保障その他社会福祉的な面をやっておる面とあまりつながりのないものは、職安局から移して、社会局か何かに持っていくほうがいいのじゃないか。身体障害者の雇用問題は職安局から離してしまう、あまり熱意がないから。雇用だから労働省ということではなく、こういうふうにしたほうがいいのではないか。その関係は一体どういうふうにとっているのか。私は三つくらいの問題をあげましたけれども、その総合政策がないのじゃないか。そうすると予算が非常にむだ使いということになってしまう。厚生省なんかでは、非常に人件費も要るし、身体障害者に対する福祉施設も要るわけだ。これはたいへんなことなんです。個人個人の国民や家庭をとってみると、重度身体障害者をかかえたならば、とにかく一生不幸な目にあう。経済的にもいろいろな面において不幸な目にあう。これを何とかしなければならぬということは、重度障害の問題を契機として非常に大きな社会問題になっておる。しかしながら、それらを進めようとすれば、総合的な対策が進めていかれる。身体障害者で働き得る能力と意思を持っておる者については、やはりそれにふさわしいような適職が与えられるという本来の政策を進めることが大きく前進をしないと、私は政治じゃないのじゃないか、全く行き当たりばったりの政治になるのではないか、身体障害者雇用促進法をつくったからといって、これでいいということはないのじゃないかと思う。もしも労働省のほうで——これは予算委員会の総括質問なりでやれば、総理大臣からみんなおるわけだからいいと思うのですけれども、労働省のほうでそういうふうに改善の意思がないのであるならば、社会局か何か、責任の分野について変えたほうがいいのではないか、私はそう思う。現在の身体障害者雇用促進法はこのままで十分です、こういうことを言うことは、私は大体そういう点について全く重視をしていない、軽視をしているものだと思う。身体障害者の雇用問題については全く取り上げていないじゃないか、おざなりのことで済ましておるのではないか、こういうふうに言われてもしかたがないのではないか、こう思うのですが、いかがですか。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 大原先生のきびしい御批判でございましたが、私どもは、身体障害者の雇用の促進については、決して軽視しているわけではございませんで、今回策定されました雇用対策基本計画におきましても、身体障害者の雇用の問題については、るる方針を述べておるのでございます。私どもこの基本計画の方針に従って、先ほど御指摘がありました文部省、厚生省、労働省における訓練、この三部門との連携をより緊密にはかっていこう。その一つの手段としましては、安定所に専門的な担当官を設置いたしまして、これを通じて具体的に適性に応じた職業指導なり職業紹介を展開していく、こういう体制を強化しつつあるわけでございます。  それからもう一つ、重度障害者を扱っていないじゃないかというおしかりがございましたが、先ほど申し上げました登録者全数五万一千名のうち、約八千名はいわゆる重度障害者が登録されておるわけでございます。そしてこの八千名のうちの六千名は現在就職中でございます。決して軽度の者だけ安定機関は扱っているというわけではないのでございます。  それから、これからの促進対策として、指定職種制を拡大して義務制にしたらどうかというような御意見がございましたが、私どもも、指定職種の拡大については現在審議会に諮問中でございまして、その方向で重度の身体障害者の職場を極力確保していくというふうな方向で今後考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 この面で非常に明るい一つのニュースがあるんです。五月末に、富士山ろく御殿場にムサシノ電子工業株式会社というのが重度身障者だけを三百人雇いまして、手押し車でやるという工場ができるわけでございます。私もそれを見て、それが経営上だいじょうぶなのかという質問をいたしましたが、とにかく経営者は、それに適した電子工業だから、まるまる重度身障者で運営できるのだという、非常に画期的な工場が五月末にできます。もし御関心があれば、御一緒に見ていただきたいと思います。そういうことになりますと、たとえば電子工業については雇用率一・一%とかいう原則が根本的にくずれてくるわけですね。そういう非常に重度身障者に適し、しかも、経営も成り立つという一つのモデルケースとして非常に注目しているわけでございまして、そういう結果が出ましたら、大原先生御指摘のように、雇用率の設定をこういう職種にはもっと高くするとかいうようなことは当然考えてみたいと思っておりますので、そういう工場もございますことをちょっと申し上げておきます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 この指定職種についてもひとつ考えていく、それから雇用率の問題も、実績を見ながら啓発と相まってやっていく、こういうお話ですが、たとえば外国の例なんかで、身体障害者の中で木工家具あるいは洋裁とかいう職の——公団的なものですが、これは雇用促進事業団でやるかどうかは別にして、そういった作業場、工場をつくるわけですね。そうして、同じような条件の人を集めましてやるわけですが、やはり労働の効率は上がっていかないでしょう。しかし、いかないにしても、五割、六割、七割にとどまるにいたしましても、これを日本全体、社会的に見るならば、住宅政策としてそういう作業場その他を総合して考えるならば、これを社会福祉の面で、社会保障あるいは手当その他の予算面から見てみましても、そういう面はある程度軽減できるし、あるいは教育についても目標が立つ、国の生産全体にも生きてくる、木工家具あるいは洋裁その他について一つの安定した職場があれば、教育や訓練の目標にもなる、そうすると訓練所への希望者も多くなってくる、こういうこともあり得るわけだと思うのです。したがって、積極的に民間が身体障害者を雇い入れる、そういう積極的なくふうをこらしているという一つの例を大臣が言われましたが、そういう気風を助長するような法律を——法律で規制することがいいとは言わないが、しかし、それは社会的な義務としてやりながら、そういうことについてどんどん奨励していく。あるいは特にそういう身体障害者のために施設が要るような場合には、国が安い利子の金を貸していくとか、国が施設をつくって、両足がなくても設備さえあれば一人前の仕事ができるような職場を与える、こういうふうに積極的な仕事を与えるということ。やはり身体障害者の問題は、所得保障の問題と一緒に職業自立、社会復帰の問題として考えていくということ。たとえばいまの公団とかその他で、独立経営はできないけれども、それに対して赤字を少々補てんしてでも、やはり自分の力で生きていける、あるいは社会的にも、その人が他に依存をして徒食をするということがない、こういうことで考えてみれば、個人経済からも社会経済からも社会保障の面からも、これはプラスになる面があるのではないか。そういう点について各省はもう少し、職安局長が言われたように、第一線で連絡をとるだけではなしに——大臣は五万一千名はどうもおかしいと言われたけれども、第一線で連絡をとるだけではなしに、中枢部において、政府において、やはり雇用の面については労働省が責任を持つなら労働大臣、社会福祉の面においては社会保障その他所得保障、医療の問題はどう、あるいは訓練、教育の関係はどうと、もう少し緊密な連絡をとって、だんだんと増加をしている身体障害者のこういう職業自立の問題、社会復帰の問題について積極的にひとつ考慮をしてもらう必要があるのではないか。これは大臣のほうからお答えいただきたい。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 交通事故の激増、産業公害の激増等を通じまして、本来的な身障者、加うるに後天的な身障者が非常にふえてくるという社会情勢にございますので、いま御指摘の線に沿いまして、単に他に依存して生活保護的に生活するというよりも、働ける人にはどんどん働いてもらうということが好ましいことは、国の政治全体としては申すまでもないところでございます。御指示の線に沿いまして関係各省にも御協力を願って、できるだけ身障者が希望すれば——希望しない人はやむを得ませんが、適当な職種につけるように最善の努力をいたしたいと思っております。

大原亨日本社会党

○大原分科員 それでは身体障害者問題はそれだけにいたしまして、内職の問題を一つ。これは小さな問題ですが、大切な問題ですから、時間があるだけ質問します。  これは私は通告をしておかなかったから何ですが、現在、内職をやっている人の実態ですね。人数、それから平均工賃、二つの面ぐらいについて、もしわかっていましたら、お答えいただきたい。

高橋展子労働省婦人少年局長

○高橋(展)政府委員 内職に従事する者の数につきましては、その把握がかなり困難でございますが、一応昭和四十年に労働省のほうで把握しました数字によりますと、内職者、これは主として主婦あるいは老人などで、世帯主以外の家族が家計補助などのために、家事の合い間に従事するものでございますが、そのような定義によりまして把握された内職者数というものは、全国で六十七万人とされております。  また、工賃につきましても、その把握は非常にむずかしいのでございますが、内職者の就業援助、あるいは就業条件の向上のために、私どものほうで設置をいたしております内職公共職業補導所という施設がございます。そちらの施設でもって内職をあっせんいたしましたケースについて、その工賃を申し上げたいと思います。内職工賃は、職種によりまして、あるいは地域によりましてかなり差がございまして、一律に平均ということは申し上げにくいのでございますが、昭和三十九年度の数字でございますけれども、一時間当たりにいたしまして、いろいろな調査をいたしました職種のこれは平均でございますが、二十五・八円というような数字が三十九年度におきまして出ております。職種によりまして、たとえば造花等は非常に安くて十四円くらいでございますが、洋裁内職等は四十六円というように、かなりの格差がございます。また、地域によりましても非常に差がございまして、たとえば東京などでは、一時間当たりの工賃が大体五十円から七十円程度といった線が出ているようでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 二十五円八十銭という一時間当たりの工賃、これもやはり厚生省のほうであっせんされた統計でしょうが、それにいたしましても、二十五日間働いたといたしましても、まあ月に五、六千円の収入ではないかと思うのです。これはもう朝から晩までというふうなことで、非常にたいへんなことです。これは最低賃金制の問題で、労使対等あるいは全国一率のそういう議論ばかりが非常にあるわけですけれども、これは問題が非常に大切な問題であると同時に、当然内職の賃金についてやはり規制をすべきではないか。下請、下請のかっこうで、結果はもう内職に持ち込まれておるという場合が多くて、それが非常に安い賃金で、実際上はやはり教育やその他金がかかるものですからやるわけですが、これが非常に過酷である。賃金の規制をやはりすべきではないか。その前提として、必要な内職等をやる場合には賃金について報告させるとか、そういうような規制をして、やはりそういう初歩的な段階等から実態を把握して、そうして、あまりひどい非人道的な内職については、できないようなことにしなければ、日本の賃金問題、賃金安定の問題は解決できない。内職の賃金についてどのように制度上扱っておられるか、基準局長のほうからでもお願いいたします。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 御指摘のように、家内労働の工賃の問題につきましては、最低賃金の問題等とも関連がございまして、御指摘のように、現在の最低賃金法におきましても、最低賃金の決定との見合いにおきまして最低工賃設定という制度がございます。この制度があるわけですが、最近まで最低工賃設定の例がほとんどございませんでした。しかし、本年に入りましてから最低賃金の基準と相まちまして、二、三最低工賃を決定するという例が出てまいりました。たとえば奈良県のくつ下製造業におきましては、これは八時間労働を前提にいたしまして、たとえば、おとな用短ぐつ下ですと六百八円、婦人用長くつ下ですと六百二十七円、中児用くつ下ですと六百二十七円というように、これは作業ごとに違いますけれども、大体六百十七円見当になるような形の最低工賃がきめられております。この工賃のきめ方は、作業ごとにこまかくいたしませんと実効を期しがたいというので、こまかくなっておりまして、たとえば、山梨県で撚糸の製造業の最低工賃が決定されました。この例を見ましても、繊維の種類とそれから撚糸の種類によって違いまするが、八時間換算について申し上げますと、七十五デニールという種類につきましては五百七十二円、四十デニールにつきましては五百七十円、三十デニールにつきましては五百六十一円というように、その種類ごとに違いまするが、こういった最低工賃が決定されまして、これが法的な拘束力を持つということになってまいりました。これは法的な最低工賃でございます。それ以外に、現在労働省が行政指導として行なっておりますものに、標準工賃の設定というものがございます。これは法的な拘束力を持つものではありませんが、指導によりまして標準的な工賃を設定する、こういうことでございまして、現在五十一業種、家内労働者数八万三千三百人につきまして、指導で標準工質を設定する、こういうような措置も講じておるわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように、非常な多種多様にわたります業種、業態につきまして家内労働の工賃を決定するということにつきましては、必要性は非常に大きいのでありますが、それを工賃自体で規制するか、あるいはその家内労働に対しまして委託をいたします、その委託者だとか発注者といったような経路でいたすか、いろいろなやり方があるわけであります。これらの点につきましては、現在家内労働審議会におきましていろいろ検討されておりますが、昨年十月、家内労働審議会が発足して以来、かなり精力的に審議を進めてまいっております。今後、一口に内職あるいは家内労働と申しますけれども、それをどのように的確に把握し、それに対する委託経路をどうするか、具体的な最低工賃をどうするか、いろいろな角度からの検討が進められると存じます。  なお、諸外国の例を見ましても、工賃の決定というのはきわめて詳細、精緻に行なわれておりまして、たとえば縫製加工などにつきましてドイツの例を見ましても、実におびただしく細分化されました最低工賃が決定されておるということでありまして、技術的にもなお検討すべき多くのものを含んでおります。しかしながら、現下の情勢を見ますと、家内労働に対しまして適切な工賃を設定するという必要性はきわめて高いわけでありますので、将来家内労働法といったような法制の問題も含めまして審議会で検討いたしておるわけでありますが、当面の措置といたしましては、最低貸金法に基づくところの最低工賃の設定——最低賃金が普及しておりませんと最低工賃は設定できないというたてまえになっておりますので、そういう部面につきましては標準工賃という、行政指導による工賃の設定ということに努力をいたしたいと考えておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 それでは、時間ですが、内職の六十七万人というのは、これはおかしいじゃないですか。おかしいというのは、実態の把握はできていないのじゃないですか。内職は、いまはものすごい。いなかのほうでは、トラックや何かで持っていきまして、それで各戸別に分けて、一生懸命働いて月に四、五千円という。そういうことですから、実際は私は、これが非常に日本の生活費やいろんな点での問題の矛盾を深めている一つの問題だと思うのですが、標準工賃の問題のよしあしは別にいたしまして、やはり内職の賃金について一定の、これだけくらいは賃金として保障するという考え方——もちろん家庭婦人がパートタイムをやったり、いろんな新しい状態に即する、労働力不足等に即するようなパートタイムとかあるいは内職その他いろいろな形が出ておりますが、しかし、その非常に安い内職にささえられて日本の輸出があるということなんかにいたしましても、何%にいたしましても問題があると思う。  それから私は、そういう内職、家内工賃についての審議の際に、たとえば税金を——税金の問題は、若干これはことしよくなったと思うのですが、税金の問題なんかも考えなければいけない。結局そのことが表面化してくると、たとえば家内内職を持っていく業者に報告させよう、こういうようなことをすると、これは税金に関係するというようなことで、こっそりやれば安くてもいい、こういうことになってしまう。だから、税金なんかにいたしましても、これはやはり控除額をきちっと設けるとかしまして、病気をおかし、あるいは生活の悪循環をおかしながらやっておる内職の実情ですから、そういう点は、税金等についても、免税、控除その他を考えるという、そういう総合的な検討をいまの審議会等においてはしてもらいたい。どうですか。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 家内労働審議会におきましても、家内労働、内職等と税金の関係が非常に重要な関係にあるということに着目いたしまして、すでにいろいろ検討いたしてまいっておりますが、当面の問題としましては、内職ないしはもっと広く家内労働による収入が、いわゆる事業主としての所得か勤労者としての所得か、こういった点から、いずれかに属することによって、俗にいう損をしたり得をしたりといったような関係もございまして、そういった点をどうするかという点につきましては、税務当局の方々も審議会に参られまして、いろいろ検討したという事情がございます。そういった問題から、ただいま先生の御指摘のように、内職と指定いたしますものが、たとえば家庭の奥さんがやるという場合に、一定の金額以上——従来ですと五万円、四十二年度以降は十万円、それをオーバーいたしますと扶養控除から除かれるということで、働いて収入は得たけれども、税金の面では非常な損をするといったような問題もございまして、そういった点、非常に重大なかかわりがあるわけでございます。今後審議会の検討段階におきまして、いろいろそういった問題についても掘り下げられるものというふうに期待しておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 業種によって最低工賃はたくさんの違いがある、こういうことについてわからぬこともないわけですが、しかし、熟練度がまず一人前というふうになった場合には、最低一時間このくらいな賃金は、内職を持って行く業者は保障すべきである、そういうことは、生活保護その他もあることですから、やはり相当科学的な根拠で、職権方式その他で行政指導を強めてもらう、そういうふうにしないと、やはりいまのような問題の解決はできないので、最低賃金制の問題はどうせ根本的な改革を要するのですが、その際には家内工賃の問題について十分な配慮をしなければ、日本において最低賃金制があるということはできないと私どもは思いますので、その点について、税金の問題その他を含めて総合的な検討をされるように希望いたしまして、私の質問を終わります。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      ————◇—————    午後一時九分開議

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働省所管について質疑を続行いたします。只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 ただいまから定年制問題について若干お尋ねをしたいと思います。  私は、ことしで四年間引き続いて定年制問題を本分科会あるいはほかのところでやっておるわけです。だいぶんこの問題も前進をし始めておるようで、たいへん喜びにたえないところであります。  まず最初に、厚生省の方に、わが国の現在の平均余命、それから世界各国の平均余命についてひとつお答えをいただきたいと思います。

前田正久厚生大臣官房統計調査部統計調査官

○前田説明員 私からお答え申し上げます。  現在わが国で作成しておりまする生命表は完全生命表と申しまするものと簡易生命表と申しまするものと二種類ございます。完全生命表は、国勢調査が行なわれます年次ごとに、各歳別にきわめて厳格な手続で作成をいたすものであります。現状のように非常に移動の激しい時期におきましては、推計人口を基礎にいたしまして、毎年生命表を作成し発表しておる。それを簡易生命表と申しますが、ただいまの御質問で一番新しいということでございまするので、昭和四十年の簡易生命表が最も新しい数字でございますから、四十年の簡易生命表の結果から数字をお答え申し上げたいと思います。男子の平均寿命は、昭和四十年におきまして六七・七三年でございます。これはおぎゃあと産まれました男の赤ん坊は平均して六七・七三年生き延びることが期待できるという数字でございます。それに対して女子は七二・九五年でございます。これらはすべて零歳における平均余命でございまするので、もし何歳のという御要望がございますれば、各歳についてもお答え申し上げたいと思います。  それに対しまして、現在世界各国で最も平均寿命の長いのはスウエーデン、ノルウエー、オランダなどの諸国でございます。わが国は大体第二集団に属するわけでございますが、第二集団と申しまするのは、第一集団が男女ともに平均寿命が七十年をこえておる国々でございます。わが国は女子の平均寿命は七十年をこえておりますけれども、男子の平均寿命がまだ二、三年ほど七十年に達しておりませんので、女子のほうだけが七十年をこえた国ということで、第二集団に属する平均寿命の長さを持った国でございます。最も長いといわれておりまするスウエーデンで男子が七一・三二年でございます。女子が七五・三九年。次のオランダが男子が七一・四年、女子が七四・八年。ノルウェーが男子が七一・一一年、女子が七四・七〇年。大体わが国はスペイン、西ドイツくらいのところでございます。ちなみに西ドイツ、スペインを申しますと、西ドイツが男子が六六・八六年、女子が七二・三九年。スペインが男子が六七・三二年、女子が七一・九〇年。ただ各国とも作成年次がまちまちでございます。以上申し上げた平均寿命につきましても、国ごとに若干のズレがございます。わが国は一九六六年でございますが、一番古いのは、たとえば西ドイツの一九六〇年−一九六二年でございます。一九六〇年から一九六二年の三カ年を作成基礎にいたしました計算結果でございますので、以上申し上げました世界各国は、この以後若干延びを見せておるというふうに考えられます。ただ、わが国はまだ延びの進度が早うございますが、諸外国はほとんど停滞しておりますので、伸び率はほんのわずかだというふうに考えられます。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 簡易のほうでいいですが、十歳と二十歳のわが国のものがわかりましたら……。

前田正久厚生大臣官房統計調査部統計調査官

○前田説明員 男子の十歳は五九・八〇年、男子の二十歳は五〇・一七年、女子の十歳は六四・六六年、女子の二十歳は五四・八八年。いずれもこの年齢に達しまして以降、さらに以上申し上げました年齢だけ平均して生き延びることが期待できるという数字でございます。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 このようにわが国の平均余命というのは延びてまいりました。昔、人生五十年といわれたが、時代変わって七十年。ところが、わが国の定年は若干延長の傾向はたどっておりますけれども、公務員の五十五歳の勧奨退職をはじめといたしまして、ほとんどが、まあ七、八割前後とにかく五十五歳です。あるいは五十七、八歳、若干六十歳というのが出てきておりますけれども、五十七、八歳になりましても、一応五十五歳で首にして、それから臨時雇用のような形で、あるいは嘱託のような形で雇っていく、いわばお情けで雇う、こういう形のいわゆる延長でございます。こういう事態というのは、私が毎年言っておるのは、昔のうば捨て山ということばがあるけれども、昭和のじじ捨て山、あるいは実際上のうば捨て山だ、こういうふうに思っております。したがって、その内容をなす年金との関係、社会保障制度との関係、あるいはいろいろな社会の矛盾、一例をあげれば、官僚の天下り、横すべり、こういう問題をはじめといたしまして、あるいは昔、特権的な座にあった内務官僚、こういう人々というのは、いまはこういう経済官僚と違って行き場所がなくなってきた。たとえば警察官にいたしましても、署長さんくらいになると、自動車学校長等があったわけですが、いま自動車学校もそんなにどんどんできない、こういうことで警察署長もない。むろん平警察官の人は行き場所がない。会社の労務対策に雇われるわけにもいかない。こういうことで、いろいろな矛盾を呼んできておるわけでございますが、こういうことに対して大臣は、いままでの大臣に比べれば一番熱心に定年制延長問題についてお考えのようでございます。そういう個人的には私は敬意を表しますけれども、いま私が申し上げましたような点について、いかなるお考えをお持ちになっておるか、まず所感をお聞きしたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 定年制の延長につきましては、只松委員と考えをひとしくするわけでございます。これは二つの面から一応必要性が出てきておるわけでございまして、一つは国民経済的、国民雇用全体の面から見まして、若年労働力が、出生率の低下その他寿命の延びに伴いまして、非常に逼迫してまいっておるのであります。他面、中高年齢層は、十年後、現在よりも五百万人ふえるということでございまして、その労働需給のアンバランスを埋めるためには、中高年の人にもっともっと働いてもらわなければならない。他方、中高年になった人の側から申しますと、いま只松委員が申されましたように、平均余命が非常に延びてまいっておるわけでございまして、五十五歳まで生き延びた人の平均余命も、戦前、昭和十年ごろに比べまして約四歳平均余命が延びておる。いわゆる五十五の戦前の人は、ちょうど現在の五十九歳ぐらいの精神的、肉体的な対応をなすわけであります。両面から申しまして、五十五歳定年制というものは実情に合わなくなっなてきておるのではないかと思っております。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 そこで、労働省の官房長でけっこうですが、諸外国の退職年齢、これは諸外国といってもいろいろありますが、おもなところでけっこうです。並びに退職の制度、こういうものを、概略でけっこうでありますから、お教えいただきたい。

辻英雄労働大臣官房長

○辻(英)政府委員 先生御承知でございますが、諸外国のいわゆる定年制と申しますと、日本のように退職を強制されると申しますか、そういう制度ではございませんで、むしろその年齢以降、公的老齢年金が支給せられますために、一般にはその年齢でリタイアするという年齢のように理解をいたしております。なお、諸外国でも、公務員等については一部の国に強制、日本の定年と似たような考え方があるようでございますが、一般には、ただいま申し上げたような制度のように承知をいたしております。その年齢はフランス、フィリピン、トルコ等が六十歳、アメリカ、西ドイツ、オランダ、ニュージーランド等が六十五歳、アイスランド、スウエーデン、デンマークが六十七歳、カナダ、アイルランド、ノルウエーが七十歳、このように承知いたしております。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 大臣、いまお聞きのとおり、諸外国では一番低いところで六十歳。七十歳なり、アメリカの事務部門では七十五歳というのがあるのですが、日本は依然として明治の太政官布告以来五十五歳、こういうばかげたといいますか、ある意味では悲しいと申しますか、情けない状態にあるわけであります。さっき、考えとしては、私の簡単に言った趣旨と同じだ、こういうお話でございますが、大臣としては、基本的に何歳ぐらいが適当と思われるか、あるいは当面、諸般の経済的、社会的情勢を考えて、わが国においては何歳ぐらいが適当とお考えか、大臣のお考えを聞きたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 何歳ということを労働大臣がここで言うのは、少し影響が大きいわけであります。公務員の定年制の問題も論議されておりますし、民間に対しては労働省見解も発表した段階でございますが、先ほど申し上げましたように、五十五歳以後の平均余命がこういうように延びておるというような背景から妥当な結論を出す、こういうことであります。  それから、もう一つ参考にしたいのは、やはり老齢年金、厚生年金に六十歳でつながるという問題がございます。そういったことを総合的に判断して民間企業は考える。国家公務員の場合、地方公務員の場合は、目下関係各省で検討中でございますので、いま具体的に何歳ということは差し控えたいと思います。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 何か、担当閣僚の間でも御論議があったようですし、佐藤総理とも大体了解の線といいますか、そういう形で話が進んでおる、こういうふうに私は聞いておるわけでございますが、それが話の結論として出されなくても、大体私がいま言いますように、二つ言ったわけですが、当面の問題とともに、基本的に、雇用政策を担当しておる労働大臣として、何歳ぐらいがわが国にとって望ましいか。さっきもちょっと聞きましたが、諸外国では最低で六十ですから、これより下回るお答えはないと思いますが、私は、ほんとうは六十五歳ぐらいが望ましい。労働大臣と個人と、なかなかむずかしい使い分けでございますが、お考えがあると思いますので、ひとつ大臣のお考えを聞かしていただきたい。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 諸外国の定年制と、先ほど官房長がお答えしたように性質が違いまするし、また、もう一つ違うのは、終身雇用、年功序列賃金形態でございますので、日本は諸外国のように能率給、職務給でない、こういう定年制を考える場合に、大きい相違がございますので、諸外国が六十歳あるいは六十五歳だからということが必ずしも、妥当だとは申し上げられないのでございます。しかし、常識的に言えることは、五十五歳定年は現在の実情はそぐわない、こういうことは申し上げられると思います。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 五十五歳がそぐわないことは、現状においてもそのとおりでございます。私は、時間がございませんから、個々のこまかいことを言おうと思いませんけれども、私たちのように戦争に行ってきた人間は、戦争から帰ってきて結婚したわけですから、したがって子供が晩年にできておりますね。私たちが五十五になりましても、子供は中学か高校生というのがほとんどでございます。どうかすると、小学校に行っておる子もある。こういう状態です。近ごろの一般的な傾向も、晩婚というのが相当あるわけであります。そういう具体的な問題は、私は討議する時間がありませんから討議しようと思いませんけれども、そういうことから考えただけでも、五十九歳というのが、平均余命だけではない、社会の実態にそぐわないということは当然なんです。それから、いまの社会保障制度あるいは日本の賃金形態、そういうものから、諸外国とイコールそのままに一挙にならない。これは賃金形態なり社会保障制度全般とも関連させていかなければならないけれども、私がさっきから言っておるように、抽象的といいますか、一般的に言って、皆さん方のほうでも民間に対して、六十くらいが適当と思う、これは要望ですか、何としてお出しになったのですか、新聞によりますと、そういうこともお出しになっておるわけでありますから、そこで、少なくとも一国のそういう労働問題を担当される大臣として、六十歳なら六十歳ぐらいの方向を国会で出されるということは、私は当然のことではないかと思います。労働省の通達なり要望なり、そういう形でなくて、むしろ、国民の論議をするこの国会の場において、そういうことを私はお聞かせいただきたい。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 労働省の定年制についての四月六日の見解というものにも、御承知のように、具体的に六十とか五十八とかいうのは出しておらないわけでございます。そういう観点から申しまして、この席で六十が妥当だということは差し控えたいと思うわけでありまして、大体常識で、それぞれ企業が六十とか五十八とか五十七とか、いろいろ各企業の実情もありますから、労働大臣が六十歳、五十八歳と言うことはひとつ差し控えたいと思います。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 民間でも、鐘紡、東洋レーヨン、あるいは三井化学、安田生命とか呉造船とか、いろいろな形で六十歳程度のものはどんどん出されておるわけですね。民間でこういう方向が出、あるいはすでに実施をされておる。それを労働省側がきちっと労働大臣通達として出せないか。法律できめろという論議まで私はしておらないわけで、大臣が民間に立ちおくれて、ものも言えないというのは、あまりにも情ないじゃないですか。ぼくは新聞報道や何かを見て、早川さんは熱意を持っておられて、そういうものに対して積極的なひとつの意欲というものを持ち、したがって、そういうものをきょうあたり示唆される、こういうふうに思ってきたわけです。これではだいぶん話と実際の腹と違うような気がするのですが、どうなんですか。その程度のことを、民間がこれだけやっているのに、労働省として言えないのですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございます。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 それでは、五十五歳は不適当だ、しかし言えないというなら、七十歳ではどうですか、長過ぎますか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 お説のとおりと考えます。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 お説のとおりというのは……。長過ぎますかどうですかと言っているので、私は説は言ってないのです。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 六十歳から厚生年金、老齢年金というものが開始されますから、定年の七十歳というのは、裁判官とか、特殊な業種は別ですけれども、一般的には長過ぎる、こういうふうに考えます。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 五十五歳では若過ぎるということだけは明らかになりました。七十歳でも、いまのところはちょっと長いのじゃないかということも明らかになりました。日本も、近ごろは高度経済成長とか、——一等国とかいうことばはなくなりましたから何ですが、そういうことをうたい文句にする経済界といたしましては、あるいは政府としては、やはり諸外国の先進資本主義国家と同じように、六十歳なり六十五歳なりにすべきが私は当然だと思います。ぜひひとつそういうふうに努力をしていただきたいと思います。  そこで、ただそういうふうに基本的に、あるいは抽象的に思いましても、先ほどからちょっと話の端々に出てまいりましたように、いろいろな社会保障制度や年金の関係や、あるいは日本の賃金形態、こういう問題と関連して、一挙に五年も十年も引き上げるということは容易でない面もあるわけです。したがって私は、一昨年もそういうことで労働大臣、当時だれだったですか、お約束したわけなんですが、やはりこれに対処する調査研究機関をすみやかに設置したらいいんじゃないか、こういうことを私は要望しました。労働省側の、ことしの四月一日ですか、通達か要望事項か知りませんが、それを見ると、賃金審議会ですか、賃金相談室、こういうものをおつくりになることになったんですか、こういうこともお考えのようでございますが、具体的に定年制延長問題にどう取り組んでいかれるのですか、その取り組み方をひとつお聞かせ願いたいと思います。

辻英雄労働大臣官房長

○辻(英)政府委員 先生、かねてから御指摘ございまして、私どもも定年制の問題につきましては真剣に取り組んでおるつもりでございます。具体的に申し上げてみますと、昭和三十九年、民間企業定年制の調査を初めていたしまして、同時に、海外の定年制の調査をいたしまして、四十年の六月にこれを公表しました。先生ただいま御指摘のような客観的な情勢の変化の中で、現状がこのように動いておるということを示唆する意味のものを発表いたしたのでございます。それからさらに四十一年の三月には、中高年齢労働者の適正作業配置に関する研究というものも、学者にお願いしたものを出しております。一番具体的な策といたしましては、先ほど大臣から申されましたように、労働省が、この時点において定年制の延長についてこう考えるという正式の見解を、初めて先般大臣から御発表願ったわけでございます。これは非常に周知徹底させる意味で効果があったと思っております。さらに具体的には、使用者側がこれをひとつ理解をしてくれる、もちろん労働側も理解をするということが重要なことでございます。いまの段階では、法律で強制するということでございませんので、労使が客観的な情勢の変化、大臣申し上げましたような国民経済的に見た労働力事情の変化なり、あるいは労働者の平均年齢、寿命延伸に伴う、いわゆる従来の定年後の生活の問題ということを考えて対処してもらうという意味で、四十一年の十月には、雇用対策協議会に大臣からその検討を要請いたしまして、小委員会を設けまして、雇用対策協議会でも具体化について研究を進めてもらっております。その他各般の措置をいたしておりますが、先生御質問ございました賃金の研究会の問題は、定年に限りませず、全体として最近の雇用労働事情の変化、あるいは技術革新等に伴います賃金体系の変化の問題として、労働の質、量に対応する方向に動いておるということを中心にしまして、学者方に検討をお願いして、これまで三つのレポートを出しております。さらに、いまも定年制の延長等に関連しまして、労働能力が上昇しない段階になって雇用を延ばすということになってまいりますと、賃金問題との調整等がございます。その一般的なデータの提供をいたしますとともに、本年度から主要な基準局、監督署に賃金相談室というものを設けまして、その問題等の具体的な相談に応じまして、データの提供、具体的な援助ということをやりまして、定年延長等が円滑に進むようにいたしたいということで、本年度の予算にお願いをいたしておるわけでございます。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 そういたしますと、抜本的に六十とか六十五という目標をきめる勇気はない、俗にいえば。そうでなくて、実際上いろいろやろう、なしくずしと申しますか、徐々に雇用の逼迫、そういうものと関連させながら、定年の延長というものをはかっていきたい、こういうふうに聞こえるわけですが、そういうことですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 いまの政治は自由民主主義の政治でございますので、たとえ定年延長をしろと強制しても、企業が採用しなければ何にもならないわけであります。そこで労働省としては、国全体の雇用情勢、また、国民経済的視野からの雇用という立場から、定年延長、中高年の活用を呼びかけたわけでございまして、これがマスコミあるいは国会で御論議になり、そこに一つの世論というものが形成され、その世論を背景として、特に労働組合が政府の見解はこうではないかというようなこと、また、雇用者も事業主も、若年労働者が逼迫しておるから、中高年を活用しなければならないという御認識を持っていただく、そういう過程を通じて、すでに定年延長、中高年者を活用しようという気風が起こってきておるわけであります。これがさらに発展して、六十なりあるいは五十八という、日本の大正以来の画期的な定年制延長が行なわれるという姿にくるのが、自由主義経済における一つのあり方でございます。本日、只松委員が国会の場で定年延長を叫ばれておるということ、これまた定年延長を促進する一つの大きいファクターになるかと私は思います。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 民間の場合は、資本主義経済のもとですから、お説のとおりかしれませんけれども、官公庁の場合は、政府が五十五歳の勧奨退職をやっていますね。そうすると、大臣のそういう御趣旨に従えば、少なくとも、ことしなり来年から勧奨退職は行なわない、あるいは強く勧奨退職を行なうというようなことはしない、こういうふうに理解しても私はいいかと思うのですが、そういうことを言えばこれはたいへんだ、そういうことのために、おそらく六十歳ということで大体方向が出ておるにかかわらず、お答えにならないんだと私は思うのです。しかし、やはり気持ちがそういうところにあるならば——民間のある程度の会社まで六十歳という線がこないと官公庁はやらないんだという、こういういわばずるい考えのように思うのです。そういうことじゃなくて、いま国会で私がこう言ったり皆さんが言うのも、世論の一つの方向だとおっしゃるならば、官公庁においても一挙に六十歳ということまで言わなくても、希望者があるならば、強い勧奨退職というものは行なわなくてもいい、私はこういう方向が打ち出されていいんではないかと思う。たとえば私のところにも、退職したくないという方がことしも何人かお見えになって、多少金がかかっても、裁判までしようかという話が出ておるのです。公務員法には退職年齢がございませんから、裁判すればまずまず負ける心配はないというので、ひとつみんなのためにやってみようかという気持ちに私もなったのですが、最後になって本人たちが、そこまではというのでお開きになった。私は、やってみればこれはおもしろいと思うのですが、そういう裁判とか、突き詰めた論議はここではおきまして、そういう気持ちがあるならば、民間のことはもうこれ以上言いませんが、官公庁においての強い勧奨退職というものはやらないということを、何らかの形で労働省側から各官庁に要請なり要望される、こういう意図はございますか。あるいはそういうことを適当とお思いになりますか、どうですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 現在は御存じのように、国家公務員、地方公務員には定年がないわけでございまして、定年がない関係上、事実上五十五あるいは五十六というようなところで、もういいかげんにやめたらどうだというようなことがあることは聞いておるわけでございます。そこで政府といたしましても、たとえば六十歳にするか五十八歳にするか、やはり何らか定年制をしくことによって、臨時行政調査会の勧告もございますので、公務員の人事管理の能率化をはかるというために検討をしようではないかというふうな段階に目下至っておるわけであります。  大体五十五で退職している人が多いのですが、もしここで五年ふえたとするならば、労務経済の面からいいますと、大体六分の一の人間が節約されるわけなんです。結局、中高年がそれだけ働いてくれるために、それだけの労働節約がその部門でできるわけであります。それが人手不足のいまの日本の経済全体から見て非常なプラスになると考えるわけでございまして、現在定年制がございませんので、勧奨退職がいかぬとか、いいとかいうことは、私のほうからは言う意思もありませんし、また言い得る根拠もございません。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 労働省としては言う権限も根拠もないかもしれませんけれども、佐藤内閣のもとにおいて労働を担当されておる早川さんが、総理のほうなり、三者閣僚会議というようなものを設けられておるようでございますが、そういうところに向かって一定の要望を出す、こういうことは私はできると思うのです。それさえもできないというのでは、よほど無能な大臣になると思うのですが、早川さんはそういう人じゃないと思いますからひとつ……。  それから、あるらしいということじゃなくて、勧奨退職が強く行なわれて、私が裁判をやろうかというようなことまで言いましたように、ものすごい勧奨退職が末端にいけば行なわれるのですよ。ことしやめなければこうするぞ、ああするぞというわけで、ある意味の人権じゅうりんに近いような勧奨退職というものが、表面では肩たたきということになっていますが、行なわれるわけですね。もしそれをしなければ、とんでもないところに飛ばしてしまう、こういうことになる。私は資本家じゃありませんし、それから時間がありませんから、雇用経済の面からは一つも申しませんでしたけれども、雇用経済の面から見たって、政治家は五十五くらいでは鼻たれとまでは言いませんけれども、まだかけ出しかその程度、六十か六十五になってやっと一人前扱いをされるというのに、片一方の労働者は、五十五になったら、もうおまえ役に立たぬと首を切られる。この人たちが第二会社や第三会社に行きまして、意気消沈して働くのが日本経済のためになるのか、それとも五十五くらいはまだぴんぴんしているわけですから、この人たちが続いてその会社に残って働くほうがためになるのかということを考えれば、これは日本の雇用経済の面から見てたいへんな損をしているわけです。その面はきょうは話す時間がありませんから、ただ単に定年の制度の問題だけを私は取り上げて言っているわけですけれども、ここまできておる段階で、私は、もう一歩具体的にお進めになったらいかがかと思う。大体労働大臣の腹はそういうところにあるようでございますけれども、固まらないから、きょうあたりそこまで言うなという注意を総理から受けたかどうか知りませんが、まだ御発表になりません。年度内あたりにある程度の具体的な対策をお出しになる御意思がありますか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 定年制を延長するための隘路は、私は二つあると思います。まず、民間企業から申しましょう。  第一は、大企業というものには実は人手不足がないわけでございます。若年労働者が五倍、六倍求職を申し込んでくるわけでございます。そういう関係で、どちらかといえば、マグロでいえばトロを食い得るのが大企業であります。したがって、そういう面から、いままで人手不足というものが深刻に響いておらなかったわけであります。ところが国全体の労働力は、御案内のように出産率の低下、若年労働力がうんと減ってくるということで、新陳代謝の穴埋めもできない。五年後には、百六十万の学卒者が百十七万人に減るという実情でございますので、勢い、ほかの企業に若年労働力の不足が響いてくる。特に中小企業に響いてまいりまして、雇用の面で倒産するものも出てきていることは御承知のとおりでございます。  それからもう一つは、五十五からたとえば六十となりますと——いまの賃金体系が年功序列型でございますので、ただ一年、三年たつだけで自動的に賃金が上がっていく。ところが高年になりますと、特に肉体労働その他では仕事が落ちてくる。五年延長すると退職金も機械的にふえていくということになりますと、企業全体の経理という面で非常な難点にぶつかるわけであります。したがって、労働省の見解は、九十五以降の定年延長については、機械的な年功序列賃金は是正されたらどうでしょうか、機械的な退職金の増応は是正されたらどうでしょうか、こういう勧告をしているわけです。それでも、首切られて七割くらいの安い賃金の下請へ行くよりもよろしいし、大部分は、首切られたあとは半年以上失業しておるわけであります。そういう点からいうと、定年に達した御本人も、むしろ前者を選ぶのではないだろうか。そういった二つの面で、民間企業に対して定年延長の勧告をする場合に考えなければならぬ問題があるかと思います。  公務員の場合も、人事の渋滞と申しますか、無能なやつも年がいってくれば給料がだんだん上がっていく、その辺の考慮、新陳代謝あるいは能率給、職務給を加味した定年延長の姿はないだろうか、こういう点は公務員の定年延長を考える場合に各省ともひとつ相談しながらやらなければ、ただ機械的に延長というだけでは、またマイナスの面も出てくる、こういうところで公務員については検討しようじゃないかという段階でございますので、私は、定年をしかるべき年齢できめるべきだという主張を持っております。が、これは公務員全体の人事管理、能率その他を含めまして結論を得べきものと考えておるのでございまして、いまから何歳定年ということを申し上げられないというのは、そういうことをも含めてのことでございますので、御了解願いたいと思います。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 ものごとを進める場合には多少の矛盾なり、いろいろな問題、波紋が出てくるのは当然でございます。一挙に五年なり何なり進める場合には、こういう賃金問題から始まっていろいろな問題が出てくるのは当然だ。しかし、一度はどこかでこの波をくぐる、人事が停滞するなり何なりをくぐっていかないと、さっきお読みいただいたように、諸外国は最低六十から六十五、七十歳、こういう——平均余命だけは追いついてきております。あるいは第二集団の中でも上位に位する、第一集団に入ろう、こういうことでございますけれども、定年だけは依然として五十五、しかも、経済の成長率なり総生産高というのは世界の一流国家になっておる。しかし定年だけは五十五、こういう矛盾したものは、それは資本主義であろうと社会主義であろうと、労働行政を担当すると、佐藤内閣のもとにおいても、何とか自分が労働大臣をやっている間にこの問題と取り組んでいきたい、解決していきたい、こういう意欲にかられるだろうと思うのです。多少の矛盾があっても、どこかで踏み切っていかなければこの問題は解決しない。そうでなければ、私は矛盾の面はたくさんは申しませんでしたけれども、逆に若干の波紋を残すことよりも、いまあまりにも矛盾の面というのが多過ぎるのじゃないですか、五十五歳定年ということで。しかも、晩婚になってきて子供がおそく成長してくる、こういうことになれば、あと五年か十年してくると、五十五の首切りということがたいへんな一つの問題になってくると思うのです。だから、そういうことを見越せば、政治家というものは、その問題が起こってこぬ先にある程度対処しておかなければならぬ。ところが早川さんの意図は、たぶんそういうところにあるのだろうと思うのですけれども、きょうの答弁が渋っておるところが、私はなかなか理解できないのですが、ひとつそこらはどこかで踏み切らなければならぬ、こういうことをお考えいただきたい。そのためにも、一挙にやるというのは蛮勇が要りますから、それだけ大きな総合的な問題であるがために、定年制の問題についての調査研究を行なう機関ぐらい設けたらどうですか、こういうことを私は二、三年前から言っておるわけです。大臣は、そういう点についてお考えいかがですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 その調査機関の結果、四十年に結論が出ました。もう調査研究の段階を過ぎまして、労働大臣といたしましては、日経連その他大企業の側からもかなりの抵抗がございましたが、労働省の定年制延長に対する意思表示を天下に四月六日にいたしたわけでございます。そういう意味では、この線に沿って、もうすでに大きく労使間で動きつつあるわけなので、昨日も中部電力、これは定年の延長ではございませんけれども、二年間再雇用して延長するという記事も見ました。おそらく、今度は労使の交渉においては、組合側から、労働省もこう言っているじゃないか、定年を延長しろという強い動きも出てまいると思います。国家公務員、地方公務員におきましても、先般関係閣僚で定年制問題をやろうじゃないかということになりましたことも、もうすでに実行段階に進んでおるという一つのエクザンプルでありまして、只松先生の三年来の御主張というものは、もうすでに実行段階に一歩も二歩も踏み出したと御理解いただいてけっこうだと思うわけでありますから、あらためて調査機関というものを設ける気持ちは持っておりません。

只松祐治日本社会党

○只松分科員 もう調査の段階を過ぎたとおっしゃいますけれども、私は、単に定年延長の調査ではなく、実施するための賃金面や何かのいろいろな大きな矛盾が出てくるだろう、だからそういうものを含んで、それは閣僚懇談会なりそういう機関ではなく、具体的にいまから実施ができるんだ、こういうことなら、そしてその面は私たちよりも行政を握っておられる自民党の皆さん方の範囲の問題ですから、それでおやりになればそれだけですけれども、私は、相当大きな問題だから十分配慮するために、そういう懇談会程度ではなくて、一つの学識経験者や何かを集めた、十分なものをつくったほうがいいんじゃないか、こういう考えを持っておるわけです。ひとつそういう意味を含めて、具体的にもう実施の段階だと大臣みずからがおっしゃったように、実施をお願いいたしまして私の質問を終わりますが、最後に大臣のお考えだけを聞いておきます。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 実は、ちょっとお答えを忘れましたが、現在、中央雇用対策協議会という機関がありまして、定年延長を含めまして中高年の活用ということを審議することになっておるわけでございます。只松委員の言われました趣旨もそういうところに盛り込みまして、大いに研究いたしたいと存じます。また、農業におきましては、もうすでに日本の農業のほとんどが中高年、というよりも高年の男女によって労働されておるという実情でございます。ここ五年を考えますと、中高年の人にうんと働いてもらわなければならない。さらに婦人にうんと働いてもらわなければならない。雇用の姿がわっと変わっていく、一つの革命的な変化がすでに農村では起こっておる。それ以外にも起こってくるという、雇用面から言えば革命的な事態に来つつあるわけでありますから、そういったことも含めまして、中央雇用対策協議会におきまして、只松委員の御趣旨を体しまして、定年延長並びに中高年者が有効に働く対策を真剣にひとつ検討してまいりたいと考えております。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 華山親義君。

華山親義日本社会党

○華山分科員 労働省の事務当局の方は、またかと言われるかもしれませんけれども、大臣は毎年のようにおかわりになりますから、また同じことを繰り返します。  私、もう出かせぎ者のことばかり言っているのでございますけれども、私の考え方としまして、団結力がなくて働いている者、強い訴えのない者、そういう者に対しても、労働省はことに手厚い手を伸ばしてもらわなければいけない、こういうふうに思うわけでございますが、現在におきまして大きな問題は出かせぎ者の問題でございます。それで、事務的なことをお伺いいたしますけれども、このたび失業保険法の改正を考えていられて、ただいま中央職業安定審議会等におきまして御審議中でございます。その中に書いてあること、それからいままで、もうたびたびその問題につきまして労働省の事務当局から伺っておりますが、その中で私お聞きいたしたいことは、あの出された原案の文章並びにいままでのお話の中で、既得権は侵害しないんだ、こういうことを言われているわけでございます。そういたしますと、いままで、極端に言えば一度でも季節労務者として保険金をもらった、しかしこの一、二年いろいろ家庭の事情あるいはからだの状態等によって出かせぎはしなかった、こういう者も既往にさかのぼって、そういうことがあるならば、既得権としてこの人は今後長く失業保険金を現在の制度のままで受け取れるのかどうか、その点を明らかにしていただきたい。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 既得権を擁護するという考え方を現実に法制化する場合に、これは非常にむずかしい問題がございます。そこで、私どもの考え方は、いままで失業保険で生活をしている保険の受給者の生活実態に着目しまして、生活に激変を与えない、こういう考え方から、この既得権擁護の思想を打ち出しているわけでございます。  そこで、十年前までさかのぼって既得権を擁護する必要があるのかどうかという御議論になろうかと思いますが、私どもの考え方は、最近、といっても原案は四十一年の四月一日から、この法律が予定どおりに施行になりますとすれば、ことしの十月一日を予定しておりますので、それまでの間、一年半にわたっての期間をとらえて、その間に失業保険の短期受給の資格を取得した者を既得権者として、その者の既得権を今後擁護していこう、こういうとらえ方をいたしております。その一年半の期間がいいかどうかということはいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、そういう原案になっております。

華山親義日本社会党

○華山分科員 私の見た原案には書いてなかったものですからお聞きしたのでございますけれども、そういうふうな一年半というふうにおきめになったのには、何か事務上の理由でもおありになるのですか。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 これは、ごく最近の生活実態に激変を与えないという考え方で、この時期をとらえて既得権擁護をしていきたい。これは事務的にも、さかのぼればさかのぼるほど、かつての受給者の資料というものはございませんので、そうさかのぼるわけにもいきません。事務的な限界もございますし、両面から見て、いまのような原案を考えております。

華山親義日本社会党

○華山分科員 最近の生活に激変を与えないと言われますけれども、私は、前に出てきた人が——最近の農業の状態を考えますと、もう出なくてよくなったのだという人はあるまいと思う。何らか病気になったとか、あるいは家庭の事情だとか、いろいろなことで出てこられなかったという人が多いと思うのであります。十年前にさかのぼれと私は申すわけではございませんけれども、一年半という期間は短過ぎると思う。承るところによると、一年半の期間くらいしか労働省のほうでは事務的に認定する資料がないからだということも、うわさには聞きますけれども、そういうことでないとするならば、あるいはあったとしても、万難を克服してでもさかのぼって、できるだけ長くさかのぼってやっていただきたいということを私は強く申し上げたいと思います。  その次に伺いますが、審議会の経過、過程におきまして変わったようにも聞きますけれども、十月一日限りで十一日が十八日という原案になっております。これは世上あまり論議されませんけれども、また、どういうわけでああいうふうな立法をなすったかということも私は承知しておりますから、その点は御説明なくてもいいのでございますけれども、これは農業に対しまして相当の影響があると思う。  と申しますことは、出かせぎに出かける時期が一週間ないし十日早くなる。また、農村に帰る時期が一週間ないし十日おそくなるわけです。これは現在におきまして十月——四月ということを考えますと、農事に関しまして、特に帰る時期につきましては、最も出かせぎの多い東北地方では苗しろをつくる最盛期なんですね。その時期を失することは、苗七分作といいますけれども、苗のよしあしということは非常に重大な問題であって、農民としては、ほかのことが考えられないほど重大なものである。しかも、苗しろというものは、これは機械によってできるものではない。そういうことであるので、私は、これは非常に重要なことだと思いますけれども、そこまで御考慮になったのか、あるいは農林省等につきましてその辺の考えをお聞きになったのか、そういう点をお伺いしておきたい。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 月の計算単位を十一日から十八日に引き上げようというのが労働省の原案でございますが、これに対しまして、審議会では、月の半分を一日越した十六日程度がいいのじゃないかという意見がすでに出てきております。そこで、この問題が、御指摘のように農繁期といいますか、苗しろ等の時期と関連するわけでございますが、この点は東北各県の労働主管部長あるいは安定課長会議もやりまして、いろいろ農村県の実情も聞いておるのでございます。私どものこの失業保険は、やはり千八百万から二千万になんなんとする被保険者をかかえて、全国的な全産業を網羅した失業保険でございますので、そこら辺がまあ非常に——ちょっとしたところではございますけれども、農業との関連にも非常にむずかしい問題がございます。しかし、月単位の計算日数を十六日程度、答申を尊重するとすれば十六日になりますので、この程度であれば何とか差し繰りはできるのじゃなかろうか、こういうふうに私ども判断をいたしております。現地との連絡、相談はそういう形でやっておりまして、いまのところ農林省と直接この問題で話し合ってはおりません。

華山親義日本社会党

○華山分科員 よく話し合っていただきたいものでございます。現在ちょうど、きょうにももう苗しろの時期が終わっている時期なんです。いまごろ帰ったのでは——十六日というと、休日もございましょうから、いまごろ、きょうあたり帰る時期になるのじゃないかというふうな気持ちもいたしますし、私は、この点は農林省のほうにもよくお聞きになって、そうして再検討をお願いしたい、こう思う次第でございます。  それから、今度の失業保険法の問題でございますが、いままでの点は、失業保険法の改正がいいという前提で私は言っているのじゃありませんから、その点だけは誤解のないようにお願いしたい。疑いのある点をお聞きしただけでございます。  それから、私はもう三年も同じことを言っているわけでございますけれども、前の大臣あるいは労働省の事務当局で、現在の法律の範囲内においていろいろ御心配をいただいたことは、私はこれを多といたします。ただしかし、現在の法規の中で、はたして保護の万全が期せられるかどうか、私は非常に疑問に思っておるのでございまして、立法措置をお願いいたしまして、失業保険のほうは立法措置をとられたけれども、当の出かせぎ者のほうの問題については少しも立法措置を講ぜられない。この立法措置を講ぜられるということにつきましての第一点は、現在大多数の出かせぎ者が出ているところは、最も労働条件の悪い土建業なんです。この土建業におけるところの雇用の実態、雇用機構というものはきわめて前時代的なものがある。手配師が集めてくる、わけもわからないようなことで給料を払う、非常な悪い飯場にこれを置く。そして、その中に未払いが起きたり、いろいろなことが起きてくる。労働災害が起きる。そういうふうなことで、現在とにかくいろいろな問題で、出かせぎ者が労災でなくなったとかなんとかいうことを、新聞が出かせぎ者の哀話として書くにすぎない。このごろは出かせぎの歌という歌が放送されているが、この時代の哀話とか、悲しそうな歌とかで済まされる問題ではないと私は思う。そして、私が言いましたことは、とにかく現在の土建労働というものを近代的に直すために立法してもらいたいということを申し上げた。その際に、石田労働大臣は、港湾労働についてようやくできたので、直ちに土建労働の問題について、これを近代化するために取り組む、こうおっしゃった。どんなふうに取り組み、どんなふうに進行しているか、その状態を、大臣が御存じでなければ大臣でなくてもけっこうでございますけれども、伺っておきたい。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 御指摘の建設労働法の問題につきましては、港湾労働法の成立直後におきまして、そういういきさつがございまして、私どもとしましては、建設労働は港湾労働と似た面もございまするが、いろいろと違っておる実態もございますので、その後この問題の実態を十分把握する必要がある、そういう角度から、職業安定審議会に建設労働部会を特に設けまして、昨年は建設省あるいは農林省、運輸省関係の各省から実態のヒアリングをいたしまして、今年度は審議会みずから実態調査をする、その結果、どういう対策なり立法措置が必要であるかということを検討しよう、こういう段取りになっております。立法問題以外の措置につきましては、御承知のように、一昨年来対策要綱をつくりまして、これで出かせぎ者の就労経路の正常化という点の指導をやっております。また、昨年来、通年雇用融資の制度も創設いたしまして、出かせぎ者が、できることなら年間を通じて働けるように、また、ことしからは雇用促進融資を建設業の作業員のいわゆる飯場といっておりますが、作業員の宿舎に融資をして、いままでの飯場のような条件の悪い宿舎じゃなくて、人間の住めるような宿舎程度に改善をするために融資の道をはかっていきたい、こういうふうな積極的な施策も進めております。出かせぎ者の対策を決して軽視しているわけではない。むしろ、その後非常に重視して今日に至っているということを御了解いただきたいと思います。

華山親義日本社会党

○華山分科員 先進国家というふうなこともこのごろいわれるようになりましたし、工業国にもなったのでございますけれども、いわゆる先進国家といわれるところにつきまして、日本の建設労働界というものは、私はまことに立ちおくれたものだと思います。ぜひひとつすみやかに法律でもって秩序のある労働界をつくっていただきたい。こういうことをお願いする次第でございます。施策をやられたやられたと言いますけれども、私は実態を見ないで言っているのじゃございません。ことしも、御承知のように選挙もありましたし、地方統一選挙までありまして、ひまはございませんでしたけれども、私はやはり十カ所程度のものは見てきている。二、三年前に比べて、ここがよくなったというようなところは何も見つからない。やはりひどい飯場にふとんを並べて寝ております。入り口は一カ所しかない。そういう状態であって、お役人式にやって、よくなっただろうというふうにお考えになられちゃ困ると私は思う。  その次に伺いますが、今日労働の監督官といいますか、私よくわかりませんけれども、そういう現場を監督するところの職員の数及び機動力、そういうものが非常に不足しておるのではないか。二千の出かせぎの現場、それは飯場ばかりじゃありません。二千の監督すべき場所について一人の監督官しかいない、こういう状態で、目の届くはずがない。これをふやしてもらいたいということを予算委員会でも言い、大蔵大臣も、承知いたしましたと言ったのですが、監督官はことしはどのくらいふえたのでしょうか。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 労働基準監督官の増員問題につきましては、かねて御指摘をいただいておるわけでございますが、一昨年は監督官百名をふやしたのであります。昨年は十名でございます。あけて本年度は三十名ほど増員を予定いたしております。もちろんこの定数だけでは十分ではございません。ただ、監督官以外につきまして、たとえば安全専門、衛生専門といったものにつきましても、数は少のうございますが、それぞれ多少とも増員をいたしまして、体制の充実をはかっておるわけでございますが、それ以外に、監督能率の増大という見地から、たとえば自動車台数をふやすとか、それから監督にあたりましてのいろいろな装備を改善するといったような措置を講じておる次第でございます。  ただ、監督の運用につきましては、現有定員をもちましていかに重点的かつ機動的に監督をするかということは、私どもに課せられた一つの大きな課題でもあるわけでございます。たとえば、先生御指摘の出かせぎ労働者の飯場問題につきましても、私ども、かねてこれを非常に重視しておったわけでありますが、一昨年でございますか、この問題が華山先生はじめ諸先生から非常に強く御指摘がございましたので、個別的な監督ではなしに、一斉監督をやりまして、飯場の実態を把握し、これを改善したい、その改善も単なる行政的な改善ではなくて、規則そのものを改正していく、こういう方向で問題を扱ったわけでありまして、たとえば、昨年三月に一斉監督を行ないました。二千四百五十三の宿舎を短期間に一斉監督いたしまして、その結果に基づいた問題点を中心にして、労働基準審議会で宿舎の改善を審議してきたわけであります。今日の段階におきましては、問題点と対策ということで内容は示しておりますが、もうほとんど規則の内容を示したという形のものが審議会で議論されておるわけでありまして、たとえば宿舎の設置場所をどうするか、あるいは避難階段をどうするか、あるいは出入口、警報設備、消防設備、階段の構造、廊下の幅、寝室、食堂及び炊事場、土間といったものがいろいろありまして、監督能力と関係いたします問題もございますが、成果は、そのようにいろいろ形となってあらわれるように努力いたしておる次第であります。

華山親義日本社会党

○華山分科員 私は、監督官の増員等につきましてあれだけのことを申し上げて、大蔵大臣もこれに同意を示されておるにかかわらず増員を身なかった。ただ言いわけ的な増員にすぎなかったということは、まことに残念に思います。ひとつ、少ない人員であるならば、にわかにことしから多くしようというわけにはいかないでしょうが、えこひいきをするわけではありませんけれども、一番欠陥のある飯場を重点的に監督してもらいたい。全能力をあげて監督していただきたいということを、この際は要望する以外にありません。よろしくやっていただきたいと思います。  その次に、未払いの問題でございますけれども、未払いの問題につきましては、いろいろ御配慮をいただいておりますことはわかります。しかし、依然として多い。私の県の統計等を見ましても、決して去年よりも減っておらない。私のところにもずいぶんそういう申し入れがあって、労働省の皆さま等をわずらわして解決しておりますけれども、それでもなおかつ解決しない問題がある。そういう実態、もうこれでは行政指導では解決しないのじゃないのか、そういう気持ちがいたします。それで理論的に申し上げましても、皆さま方あまり賛成なされないのでございますけれども、私は、やはり元請が責任を持つということが法律的にきめられなければだめなんじゃないかと思う。何年やったって同じこと、私は、この元請が責任を持つようなことに持っていく。そして政府機関等の入札については、下請がそういうことをした場合には、指名をする場合に、これを認定の資料にしていくというふうなことをなすったこともよく承知しておりますけれども、しかもなお依然として絶えない。私はここで再び申し上げます。先ほど立法化せよということで申し上げたのでございますけれども、とにかく、そういうふうなふらちな下請を使って、そして大企業なり元請がもうけている。それはもう事実なんです。社会的責任がある。そうであるならば、これはやはり民法上の過失がないとしても、無過失の責任としてでも私は法律できめるべきじゃないか。しかし、そういうことになりますと、下請全般につきまして、いろいろな中小企業等の下請にも及ぶ問題かもしれません。しかし、現実におきまして、この土建業におけるところの特異な現象なんですから、この特異の現象について、これを救済するために法律をもってこれをやっていただきたいと、二、三年前から私は申し上げているのでございますけれども、やっていただけない。この点につきまして大臣のお考えをお願いしたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 従来の経過もございますし、私どもいろいろやってまいりました経験もございますので、とりあえず私からお答え申し上げたいと存じます。  内容は先生御承知のとおりであり、御指摘のとおりでございます。この問題を考えます場合に幾つかの考え方があると思うのですが、基本構造といたしまして、労働契約の所在が不明確であるということが、一番基本的な問題でございます。一体だれのところに雇われたのか、賃金は幾らか、労働条件がわからない。御承知のように労働基準法では、基準法の第十五条で、労働条件の明示という規定があるわけでございます。ところが、そもそもだれに雇われたかわからないということから問題がございまして、私ども、賃金不払い事件を解決するにあたって一番困難を感じますのは、だれに雇われたかわからないということにございます。そういった観点から、雇い入れ通知書という一つのひな型をこしらえまして、業界に対しましては、集団指導その他のいろいろな手を通じまして、雇い入れの形をまず明確にするという指導をしてまいってきておるわけであります。御指摘の、元請が下請に対して責任を待つかいなかという点につきましても、基本構造でありますだれに雇われたかということをできるだけ明確にするということが確立されませんと、土台がしっかりせぬ、こういう問題があるわけであります。その問題が一つでありますが、何とかこれを正したいというのが私どもの考え方であり、行政指導の監督者の指導は、それがいま中心になっております。  それから、元請の責任の問題でございます。社会的責任がどういった場合に認められるかということでありますが、現在御承知の通報制度を実施しております。賃金不払いにつきまして、元請が責任ありと認められる場合には、その元請について支払わしめるように行政指導はいたしておりますし、かつ、その行政指導に一つの経済的な影響を与えるという考慮から、入札参加資格について影響を与えるような通報制度を考慮しております。これは先生御承知のとおりでございます。そこで、その法律をつくるかどうかという場合には、その問題の所在と、特に雇用関係の基本的な問題点を正すということがございます。それからなお、特に私は申し上げておきたいのですが、全国的な出かせぎの賃金不払いの事情を見ますと、関西のほうは件数としてはほとんどないのでございます。大部分が東京、神奈川でありまして、出身地は東北が多いのであります。したがいまして、近代的な雇用関係に習熟すると申しますか、もっと俗に言いますと、お金のことにがめついというか、社会風土的なものもあるやに監督を通じまして思うのでございまして、その点、近代的な雇用関係といたしまして、雇い入れ通知書で私ども明確化を期待いたしております。ああいったような形にできるだけ慣熟いたすように、私も心から念願をいたしておるような次第でございます。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 いまの労働問題で、短期循環季節労働者の問題、それから土建業の労働者の問題は、普通の製造業あるいはホワイトカラーと非常に違う特殊な複雑な形態がございまして、こういった問題を大いに検討いたしておる段階でございますが、それまで待てませんので、いま局長がお答えしたとおり、出かせぎ土建労働者が賃金不払いあるいは不良な飯場におるというようなことにつきましては、行政機関といたしまして、それをなくするように最善の努力を尽くしておるわけでございます。なお、特に東北の出かせぎの人が、お金をもらうのがもらえない人が多いというような御報告でございますが、よく関係機関を督励いたしまして、そういうことの一切ないように最善の努力をいたしてまいりたいと思っております。

華山親義日本社会党

○華山分科員 大臣のお話は、まことにその場限りのものでありますが、基準局長がいまおっしゃいましたけれども、責任は不払いを受けた者が悪いようなものの言い方、東北人はばかだから不払いを受けたのだ、こういうことですが、それはけしからぬですよ。どこに雇われているかというようなことを本人が知らないのも、これはおかしいかもしれぬけれども、仕事をさせている元請が知っているわけですよ。元請は知っているはずなんです。あるいは三段、四段にも下がってきてやっているから、元請は知らないというふうな状態になっている。そのこと自体がおかしいのだ。そのことから直していかなければいけないのだけれども、本人が知らないからいけないのだみたいなことを言われたのでは困る。それは元請は知っていなければいけない。それを知らないから、私は社会責任がある、こう言っている。これは気をつけなければいかぬことは気をつけなければいかぬけれども、そういうふうに、雇われるほうが悪いのじゃなくて、雇われるほうは弱いので、雇うほうが強いのだ。強いほうをついてやってもらわなければ困る。私はいまの御答弁はたいへんおかしいと思う。私は雇われるほうの責任をお尋ねしているんじゃない。雇ったほうの責任をどうするかということをお尋ねしているので、おかしいと思うので、もう一度。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 どうも私も出が山形で、生まれは北海道でございます。私どもも、個人的に日ごろ感じておるものでございますから、つい言い過ぎの点は訂正させていただきますが、決して雇われるほうの責任を云々しておるわけでございませんので、この点はひとつあしからず御了承を賜わりたいと思います。  もとより、建設業の大半が下請制度に依存しておるという基本構造に問題があるということは御指摘のとおりでございまして、重々私どもも承知いたしております。しこうして、その中に専門技術的下請という——これは造船も同様でございますがあるわけでございます。単純労務下請につきまして、現在のような体制でいいのかどうかということは、一般雇用事情の関係からも問題でございます。そこで、法律問題とは別に、具体的に、元請と下請との責任の明確化という点につきましては、いろいろ考えておりますけれども、先生御承知のように、労災保険における加入関係のような、あの元請と下請のような関係を直ちに一般的な労働関係として考え得るかどうかという点については、なおしばらく検討の要があるんじゃないか。かつまた、その段階までに私どももなすべき方策がまだまだあるんじゃないかというふうに感じて努力をいたしておるような次第でございます。よろしく御了解のほどをお願いいたします。

華山親義日本社会党

○華山分科員 工場労働者は、その工場が大部分のものと契約があると思うのです。ところが、たとえば大土木業者、何組でもよろしい、大土木業者があれだけの仕事をやっておって、現場職員が社員として雇用関係を結んでいるものはほとんどないんじゃないか。ほとんど全部が下請とか、労働人夫供給業者とか、それらが下請の名前を使っている場合もありますけれども、そういう形で出ているのですね。ここに大きな問題が私はあると思うのです。そういうふうなことを直していかなくちゃいけないと思うのでございますけれども、そこまで直すのがたいへんだという段階もありましょうから、私はとにかく何とかしたい。法律の規定でも、元請は社会的責任があるんだし、そういう雇用の体系でもってもうけている。そのもうけというものは、不払い等の実害によって成り立つ場合もあるんだから、不払いがあった場合には、労災と同様に元請業者が責任を負うということを立法化していただきたい。大臣、ひとつお考えを願いたいのでございますけれども、いかがでございますか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 いまの下請との関係の問題につきましては、大手土建業界の労務委員会におきましても検討を始めておるわけでございます。これはいい面もあれば悪い面もある日本的一つの形態でございますので、これをどう直していくかという問題は、これは一朝一夕に論ぜられないことでございます。ただ、民法上無過失責任ということが法律の原則でございますので、その間の問題は、よくひとつ検討さしていただきたいと存じます。ただ、従来できておるように、そういうふらちな土建会社がありましたならば、県なり国の入札にはもう入れない。このほうが何ぼその土建業者にとってこたえるかわからない。それを厳密にやっていくことだと思うのです。私は、そういう面をさらに厳密に実施をいたしまして、立法をまつまでもなく、賃金不当不払いをなくしていくということに全力をあげたいと思っております。

華山親義日本社会党

○華山分科員 私が扱った例では、手に負えないのがいるのですよ。元請に言ったってだめだし、下請に言ったってだめだし、それで労働基準法違反でこれを告発した。その点につきましては、私は、労働幕準関係の出先には敬意を表しますけれども、それをやっておって払わない実にふらちなのがいるのですよ。それで、検察庁は検察庁で、これは検察庁の悪口を言うのはどうかと思うのですけれども、なかなか呼び出しをかけないのですね。もうこれはほんとうに手をあげるほかないと思うのですよ。ですから、そういうふうな法理論も成り立つこともあるし、私は、法律で規定していただきたいということを申し上げておる。労働災害についてできるならば、不払いについてもできるのではないか、そういうふうに思うわけでございますので、強く推進をしていただきたいと思います。  私は去年こういうことをお願いした。総理府の青少年局、それから総理府の総務長官にお願いした。現在東北地方からは多数の青少年が出かせぎに来ているわけです。ですから、このこともありまして、山形県におきましては、多くの市町村が一月十九日の成年式を延ばし、あるいは出かせぎの前に実施している。その青少年が東京に出てきて、あの劣悪な飯場、しかも、おとなの中に入って悪習に染まらざるを得ないと思う。酒、たばこを覚えてくる。総理大臣は、農村は国民の苗しろとか言われたそうですけれども、できの悪い苗しろでは何にもならぬ。ですから私は、口をすっぱくして、とにかく青少年をこういうふうな悪風に染まらせないために、青少年の冬場に働ける場所を東北なら東北の現場につくってやらしてもらいたい。もしも、東北のほうにはそういう仕事がないというならば、東京の近所にでも大きな仕事を起して、そこのある一定の場所に、ぜいたくであってもいいから施設をつくって、一冬集めて、青少年だけが働く場所をつくらしてもらいたいということを御要望申し上げたら、長官はごもっともだと言われた。そしてその後、青少年局長でしたか、課長でしたか、私のところにおいでになって、いろいろ御相談なさった。ことしはその予算を提出なさったのかどうか。提出したけれども、これが通らなかったのか、お出しにならなかったとすれば、どういうわけでお出しにならなかったのか。こういうところでうまいことだけ言って、その場限りでごまかされたのでは困る。どういうことなのか、経緯をひとつ御説明願いたい。

安嶋彌総理府青少年局長

○安嶋政府委員 総理府の青少年局長でございますが、ただいまお話のございましたような考え方によります予算は、実は要求いたしておりません。おりませんけれども、先ほど来いろいろお話がございましたように、季節的な出かせぎ青少年の問題、ほかに恒常的な雇用関係に入りますたくさんの勤労青少年があるわけでございます。これが都会に参りまして悪習に染まるというような点は、確かに御指摘のとおり憂慮すべきものだと考えております。私ども政府における関係の部局は多数あるわけでございますが、全体を通じまして考えておりますことは、都会に集まりました青少年が健全に育つようにということが一つ、それから、非行化、不良化することがないようにということでございます。やや具体的に申しますると、これは教育の面、それから福祉の面、いろいろあるわけでございますが、教育の面におきましては、文部省におきまして、今年度は新たに教育センターといったような予算が計上されております。また、労働省におきましては、従来からの勤労青少年ホームの増設が予算に計上されておるようでもございます。また、私ども総理府におきましては、これは補助金でございますが、府県が都会地に設置をいたしまする少年補導センターの増設に対する補助金増額計上をいたしておるような状況でございまして、大都市におきまする勤労青少年その他一般青少年の健全育成、非行防止につきましては、このような考え方で進んでおるわけでございます。その中には、当然お説のような季節的な出かせぎ青少年も含まれるというふうに考えております。

華山親義日本社会党

○華山分科員 それはあなた、机の上ではそうお考えになるでしょうけれども、半年出てきて、あの劣悪の飯場でやっておる人に、あなた方のような考えが及ぶわけがありません。大体その飯場の長がそんなところに出しますか。おまえ教育センターに行ってこいなんて、そんなこと許しはしませんよ。それほど劣悪なんです。ただ机の上でそんなことを考えているだけなんです。そんなこと及ぶはずがないのです。ですから私は、そういうものは特別の働き場所をつくりなさいということを申し上げた。もう一度考え直していただきたい。そういうふうなことを、そんな飯場なんかにできるものですか。飯場の親方なんて、あなた方の考えるような紳士じゃありませんよ。それはもうたいへんな、ドスを持ったような、入れ墨しているような男ですよ、みんな。そんなところに行って、青少年のなんのと言って、理念なんか言ったって、そんなもの通ずるものじゃない、文明の社会じゃないのだから。そういう非文明のようなところに置かれるところのものを救い上げる、青少年を救い上げることがあなた方の任務じゃないか、外国に青少年を派遣するとかそういうふうなことでなくて。そして、こういう連中が非常に多いわけです。いまここで御回答ができないならやむを得ませんが、もう一ぺん考え直していただきたい。あなたのような、机の上の紳士的なものの考え方じゃ、非紳士には通じませんから……。

安嶋彌総理府青少年局長

○安嶋政府委員 御指摘の点でございますが、これは総理府の青少年局だけで処理できる問題ではもちろんございません。関係省庁も多いことでございますから、十分連絡をいたしまして、検討さしていただきたいと思います。

華山親義日本社会党

○華山分科員 それから、これは出かせぎとも関連をいたすのでございますけれども、労働省にお聞きいたします。最近出かせぎの問題のために農村の婦人というものが非常に過労になっている。一切の家事を見回らなければならない、それから若い人が不足してきたので仕事も非常に多くなってきている、そういう実態があります。農夫症ということをこのごろしばしば言われる。神経痛、それから尿意の頻発、そういうふうな集合的な症状が高進して、そして高血圧等になるというふうなこともいわれている。農夫症というものの存在を認められているのかどうか。また、これに対する対策があるのかどうか。  それから、時間もございませんので一ぺんに申し上げますけれども、このごろ献血が非常に普及してきた。献血する際には、一定の比重といいますか、濃度、そういうものを検査をして、そしてやるということになっているということでございますけれども、農村の婦人は、その試験に合格しないのが非常に多いという現象が起きているわけです。そういう実態を認められるのかどうか。そうだとすれば、この慢性的な一つの症状に対して厚生省は打つべき手を打つべきだと私は思うのでございますが、厚生省はこの農夫症に対しまして、あるいは血液の濃度の低いということに対してどういうお考えを持っているのか、認識と対策とをお伺いしておきたい。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 厚生省の局長がいま別な委員会に出ておりますものですから、労働省の高橋婦人少年局長にお答弁願います。高矯婦人少年局長。

高橋展子労働省婦人少年局長

○高橋(展)政府委員 農村の婦人の状態につきましては、先生御指摘のとおり、男子労働力が都会に流出することに伴いまして、婦人にかかる負担が非常に大きくなっております。そのために、御指摘の農夫症といわれる症状があらわれていることも私どもよく存じております。ただいまデータがございませんが、過般農林省のお調べになったところでは、農村婦人の四三%でございますかが農夫症にかかっておるというような報告があったようでございます。これは男子と比べてはなはだ高い率であったと思います。  この問題に対する対策につきましては、衛生、保健の面につきましては厚生省のほうからお聞きいただきたいと思いますが、私どもといたしましては、これを農村婦人の労働の問題という角度から取り上げまして、対策を進めてまいりたいと思います。特に四十二年度におきまして、農村婦人の労働の実態、また、どのような作業がどのような疲労を招きやすいのであるかという、労働衛生学的な見地も含みました調査を全国的に実施いたしまして、その結果を待ちまして検討してまいりたい、このような段階でございます。

華山親義日本社会党

○華山分科員 先ほどからお聞きいたしておりますと、調査の段階ばかり多くてたいへんもの足らないのでございますけれども、これは私は非常に重要な問題だと思います。血液の濃度が低くて献血の落第者が非常に農村に多い。そういう事実は非常に心配すべきことだと思うのでありますが、厚生省の部門も多いと思います。厚生省がおいでにならないとしますれば、私はぜひひとつお取り次ぎを願いたいと思うのでございますけれども、何とかして農村労働婦人、特に出かせぎ等でだんなさんが半年もいないというふうな婦人、そういう婦人の精神的な負担という面も何とか軽くしてあげなければいけない。一例を申しますと、中学校から高等学校に進む子供がいる、高等学校に進めるべきか、中学校でやめるべきかという問題についてだんなさんに相談できない、それで学校の先生が指導する、学校の先生が雇われ先の父親に対して電話をかける、その電話料金が市町村にない、こういう実態。その間における母親の焦燥というものは私は相当なものだと思う。それから、御婦人ですから申し上げますけれども、つまらないうわさだって中には飛ぶのです、半年もだんなさんがうちを留守にいたしますとね。それが農村特有の悪い点でもありますけれども、そういう精神的負担もかかってくる。こういうふうなこともございますので、出かせぎ留守家族につきましては、厚生省のみならず、労働省においてもひとつ十分な御配慮を願いたいと思うのでございます。  それから山間部につきまして、とにかく子供さんのために、だんなさんの留守の間一人で見守っていかなければならぬ、何とかこれらの子供さんを見守ってあげるところの保育所のような施設、そういうものをできるだけ山間部にも、あまりやかましいことを言わないで置くように、それも厚生省の所管だと思いますけれども、私からお願いいたしまして、そして出かせぎの留守家庭あるいは農村全般の婦人の負担、こういうものを軽減するように特にお願いをいたしたいと思います。御答弁、大臣からでもひとつ……。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 私が大臣になりまして農林省の——特に東北が多いのでございますが、農夫症にかかっておる御婦人が約五割ある、私も非常にショックを受けました。そこで婦人少年局と——これは所管は農林省、厚生省といろいろ分かれますけれども、とりあえず、各県にある婦人少年室に命じまして、婦人相談員というのにまた委嘱している方が多いわけでございます。親身になって留守家族の農村婦人の相談を始めておるわけでございますし、また出かせぎ者という人たちは高度成長における一つの谷間でございます。そこで、いま申されましたように、東京、大阪にも出かせぎ相談所を今度設置することにいたしました。そうしてまた、地元には留守家族相談所も設置しようと考えておるわけでございまして、そういった施策を通じまして、この出かせぎ労働者というものに親身になって取り組んでいこう、こう考えておるわけでございます。これは、だからといって一朝一夕に直ちに解決する問題じゃございませんが、労働行政の重点施策の一つとして、そういった方々、また零細企業に働く方々の労務政策を重点的に取り上げてまいりたいと思っております。御協力を……。

華山親義日本社会党

○華山分科員 終わります。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 私は、先般労働省で発表になった雇用対策基本計画に関連をして、結局いままでの質問者と同じような項目になりますが、ダブらない点をお聞きしたい。  いま出かせぎの問題が出ましたが、これも私、東北農民の立場の実感を持っておるものだから、労働大臣に念を押しておきたいと思うのです。社会保険の問題ですが、理論を越えて、東北の農民の出かせぎという立場からいうと、これ以上条件を少しでも悪くするということは、どうしても私は認めるわけにいかない。農民の出かせぎに関する社会保険金の支給の条件を悪化するということは認められないと思うのです。この点についてぜひ認識を深めてもらいたいと思うのは、最近の農家収入というものは、東北農家からいいますと、農業収入と農業外収入の比率は、農業収入の率がだんだん減ってまいって、農業外収入がほとんど五〇%で農家の生活をささえておる。大体昭和三十年ぐらいの場合の農業収入と農業外収入の比率は、農業外収入が二〇%から三〇%であるが、現在は五〇%ですね。それだけ農業収入が減っておるわけです。したがって、出かせぎをするということ自体は、東北あたりの農家からいいますと、農家であるにかかわらず、農業収入では家族を養えないので出ていっているんだ、これは理屈なしに。そしてその失業社会保険金というものによってようやく養っているという現実ですから、この保険金の制度について思わしくあるかないかということを越えた問題であろうと私は思うのです。その点については十分に検討されて、この法案を検討するときに間違えないようにしていただきたい。これは私からも痛切に感じておるので申し上げておきたいと思います。  ことに岩手の出かせぎを見ましても、昨年四十一年度で、出かせぎ農民として三万四千人ぐらいは行っている。世帯にして二万八千世帯、だれか一人は行っている。ほとんど八割は農業経営者です。それから長男です。そういうふうな状態であるので、今度新聞その他に出たような社会保険法の一部改正というふうなことがあるときには、実に切実な要求があるのです。これは一般の場合と違うと思う。これに影響のない検討だけはどうあってもしてもらいたい。  それで、なおこれは認識をしてもらうために申し上げるのですが、いま、労働省の婦人局長さんがおりますが、婦人局のほうでお調べになった出かせぎの留守家族調査、出かせぎ者調査、これは調査されましたね、労働省婦人少年局の調査と書いてありますから……。これを見て、お調べになったのはこれは局長さんがおられるから間違いないと思いますが、大体留守宅の奥さんの生活に充てる送金が第一で、その次は子供の教育費、その次が営農資金、借金返済、その次が家屋修理費、こういうことになっております。これが現在の支給された保険金による使い方なんです。これを見ると、もう切実なものだろうと思う。これを何かいろいろ条件を加えて少なくしていくということは、人道上、政策以前の問題で、私はできないのじゃないかと思う。いま申し上げた農業収入の率が減っておることと、裏から言えば、出かせぎ収入が農家をささえておるということなんです。使途はこれだ。こういう実態からいいますと、都市感覚で、あるいは関西感覚で画一的にいじくるというような法案が出ることは、私はどうしても認められない。それは間違いなく、ひとつ労働大臣のほうで具体的に処理をされるときには考えていただきたい。いま調査については、大体東北をお調べになったようですね。これを見ると、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、新潟、長野、あと兵庫と、これは関西も入っておるようですが、関西と東北との生活実態の差というものについて、あなたのほうから少し調査の結果をここで報告していただきたいと思う。

高橋展子労働省婦人少年局長

○高橋(展)政府委員 いま御指摘の調査は四十年度から四十一年度にかけて行ないました調査でございまして、出かせぎ農家約三百六十戸ほどであったと思います。それにつきまして、その農家のほうと、それから出かせぎ者のほうと両方調べたものでございますが、こまかなデータにつきましては後ほど届けさしていただきたいと思うのでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 労働大臣、私の申し上げたことで一言答えておいてください。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 これは保険という問題と社会保障という問題とからみますので、お気持ちといたしましては、東北、北海道の出かせぎ労働者というものに対しましては非常に同情をいたしておることは申すまでもないわけであります。さればこそ、この失業保険は、六カ月働いて大体三カ月保険金で暮らす、保険料の約二十倍を保険金としてもらう人が五十八万人いる。三百億円もらって本人分は七億円ぐらいより保険料を納めない繰り返し循環受給する季節労務者というものがいま問題になっておるわけでございます。今回五人未満というものを適用する段階になりまして、これも失業者が非常に多く出ることが予想されますので、山中委員のお気持ちも十分入れまして、いままでやっておる五十八万人の季節労務者に対しましては、ずっと約二十倍という循環季節失業保険を継続をしてまいりたいというつもりでございます。ただ、今後新しく保険に入っていくという人に対しましては、二カ年は現状どおりでございますが、三年目には給付を二分の一にする。それでも保険料の約十倍になるわけでございまして、その間常用雇用に持っていくとか、いろいろ考慮をいたしたいと思っております。審議会におきましては、それでも、もうちょっと何とか方法がないかという御意見、あるいは会長の私案というのも、答申案におきましては、新規の人でも三十五歳以上、いわゆる世帯を持っておるような人という意味でありましょうか、こういう人は同じように続けていったらどうかという御意見が出ておるわけであります。ただ、若いひとり者の場合には、半年働いて冬場遊んでいるという姿が必ずしもいいかどうか、御承知のように、ほかの積雪寒冷地帯でない面においては何ぼでも就職の道があるわけでありますから、需要の道があるわけであります。家族を持っておるのと違って、身軽に仕事をしていけるわけでありまして、青森県の例を見ましても、冬場も就職希望があるかというと、半分は冬場もあるのです。ありましても家族持ちの非常に中高年の人は、そうなると一年じゅう出かせぎして、家族と生活する期間がなくなるわけですね。これはお気の毒だから、有澤調査会の答申で中高年の人は何とかできる、若いひとり者の人というのは、半年働いてあと三カ月保険金で何にもしないでいくということは、はっきり申しまして必ずしもいいことではないと私は思うのですよ。こういう人手不足の時代でありますから、そういう有澤答申の御趣旨もくみまして、せっかく保険経済というのがここまで続いてきたのですから……。保険というのはそもそも予期せざる事故による保険というのが保険の本質であります。失業すれば必ず保険金を出す、これを全面的にやりますとカナダのように三千億もありました黒字がもうすぐだめになって、いまは保険がつぶれた、そういう轍を踏みたくございませんので、合同の五人未満の零細事業所に対する失業保険の適用を機会にある程度の修正をしようと、有澤答申、これも大いに検討いたしておるわけであります。世論も新聞論調もあげてこれを支持しているというのはそういうことでございますので、われわれといたしましては、十分実情もくんだ、むしろ保険理論からいえば少し甘過ぎる、後退し過ぎるという非難を甘んじて受けてああいう案をつくっておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 それは一般論としてはわかるのです。大臣、それは一般論としてはそのとおりです。東北農家の出かせぎ状況からいいますと、大体農家自体が失業状態だと思うのです。農業収入が農家収入の半分以下なんですから、農業経営そのものが失業状態だと思うのです。東北の岩手あたりの県北を見まして、大体農家が農家収入で食っていけないのは失業だと思う。そこでやむを得ず出かせぎをすることによって家計を保っておるわけです。そこでいまの一般論はわかるが、それ以前に政治にはいろいろな施策をすべきものがあるのではないか。ヨーロッパ水準のように完全失業ではなくて、現実に失業ならざる失業だと思うのです。そこに一般適用のケースのほかに少し特殊な状況を調べなければならぬということと、寒冷地というものは、それが寒冷地ということになりますとたいへんなことなんです。寒冷地ということでどれだけ悩んでおるかわからない。東北の場合は、その点になってくると、生活水準というものと寒冷地と合わなくなってくる。そこに一つ問題があるでしょう。それから、出かせぎのうちの八割は、これは岩手だけではないが、局長も調べておるけれども、農家経営者、長男です。長男が農機具を買うときには出かせぎの収益で買わざるを得ないとか、やはり農業経営のためにやむを得ず行っておる。八割は経営者と長男で、次男や三男にはならないのです。これはお調べ願ってもわかる。それから奥さんのほうは、婦人少年局長の調査を見ても、御主人が出かせぎをして三カ月、四カ月いなくなっても、それを望むか望まないかというのに対して、出かせぎをしてもらったほうがいいというのが多いのです。生活のためですからね。出かせぎをしないでおってほしいというのは、一〇%しかないというものがある。それほど切実なものだと思うので、一般論としては早川労働大臣の言われるとおりだが、農家の出かせぎの実態についてもう少し血の通った現実の調査、それに対する施策がないと非常な悪政になると私は思うのですが、この一つ一つの問題の一般論は別として、よくひとつ検討してもらいたい。これを切望しておきます。  次に、定年の問題で先ほど只松委員が質問いたしました。私はわきで聞いておったわけですけれども、定年延長方向への御努力はわかると思いますが、労働終着年齢よりも労働基準法の問題になると思うのです。就労年齢は現在十五歳以上はいい、十四歳以下は禁止をされておる。いわゆる労働終着年齢よりも、十五歳という労働開始年齢を同時に検討さるべき段階ではないかということを私は考える。大体高等学校の進学率がすでに七〇%をこえて、それから政府の経済開発の計画の最後の四十五年でしたか、四十六年でしたか、もう八〇%をこえる。それから東京においてはすでに九十何%です。この現実を考えてみたときに、むしろ日本の労働開始年齢というものは、あなたの雇用計画の中にも職業教育を非常に重視されておりますが、そういう技能、技術というものを十分に身につけて就職をさせるという計画も含め、現実に日本の進学率が準義務化しておる現実を考えたときには、むしろ満十八歳から就職するのだ、就職年齢十八歳ということを考えて、それを前提として労働計画、雇用計画をお立てになるのがしかるべきではないか。そのときに初めて、日本の平均寿命が女性が七十歳をこえ、男性が六十八歳になって、十年も延びておるということを考えると、日本の労働人口の総量というのは、満十八歳からとしても決して減少しない。そういうことも含み、それから最低賃金の問題も出ておるのですが、低賃金の日本の悪習慣を法律で是正するよりも、労働基準法の開始年齢を日本の実態に即して十八歳にして、その中で適切なる賃金の対策を立てるとか、もう少し総合的にこの定年制をお考えになるべきではないか。日本の制度の場合においては、いわゆる国家社会制度の中に、年齢制限の制度が相当あると思うのです。いまのような労働年齢、あるいは民法、刑法上の責任年齢、あるいは教育年齢もあります、義務教育ですね、そういうものを含んで、私は、日本の社会制度のもう少し全体をにらみ合わせて、各省まちまちの便宜主義で論議をされないで、年齢制度そのものを総合的に検討される段階ではないか、そういう考えです。私は、この労働人口の計画をお立てになる場合に、定年だけをお考えになるのじゃなくて、開始の年齢も同時に検討すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 すでに戦前は小学校を卒業したら職業戦線に入ったわけでございますから、少なくとも若年労働力の三割を占める中学卒という一番若い職業戦線に入る人を考えましても、三年延びておるわけでございます。いわんや高校卒業者が七割をこえておるというわけでありまして、戦前に比べて非常に高校卒の人が多くなっておるわけでございますから、六年すでに就職へ入る年齢が高くなっておるわけでございます。にもかかわらず、定年のほうは少しも変わってない。しかも寿命は延び、平均余命は延びた。片方労働力が非常に逼迫しておる、こういうのが全般的な雇用情勢でございますので、労働省といたしましては、就職開始年齢というものをさらに十八歳に引き上げる、そうして雇用力をますます逼迫さすということは考えておらないわけでありまして、定年の延長と中高年を活用するという面を中心に考慮をいたしておる、こういうわけです。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 いままでに労働大臣は考えてないことはわかっている。だから考えたらどうかという私はいま論議をしているのです。すでにいまの現実は高等学校進学がほとんど常識化しておるのだから、そこで残りの二〇%か一五%の、いわゆる勤労青少年と労働省ではいっておるのですが、十五歳、十六歳、十七歳、これについて、若年労働人口が減少したと変な心配をされておる。それを技能訓練でどうだこうだという、そういうエネルギーを浪費されるよりも、むしろ十七歳までしっかりとした技能も供給をして、能率の高い労働を供給するという、そういうところにむしろいく段階ではないか。平均寿命が十歳以上延びているのですから、開始年齢を十八歳にしても日本全体の労働人口は減らない。ただし企業のほうでは、十五、六歳のまだ十分の責任と自由能力のないそういう子供を、過酷なる条件で安く雇用するに便利だから、企業の利潤追求の立場から要求している。しかし、それに追従する労働行政であってはならぬ。また、現在の技能というのは、すでに科学を離れて技能はないと思うのです。だから、技能ということばよりも、私は技術ということば、技術訓練ということばを使うべきだと思うのですが、そういう段階に来ておるのであるから、終着年齢ばかりをお考えにならないで、労働基準法というものを含んでやはり開始年齢をお考えになる段階ではないか、こう思うので、自分の意見を含んで、労働大臣にそういう検討をされてはどうか、あるいは労働省の中で何かあれば、ひとつ局長から答えてください。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 御指摘のように、現在の労働基準法の規定では、満十五歳に満たない児童は労働者として使用してはならないということになっております。この趣旨は、先生御承知のように、心身ともにまだ未発達の状態にある年少者に対しまして就業をさせることを禁止する趣旨でございます。しかも、この基準と申しますのは、これもまた先生御承知のように、ILO条約におきましても、かつて一九一九年の条約では十四歳でございましたが、それが一九三七年に改正されまして、十五歳に引き上げられたという経緯はございますけれども、一応国際的な水準に合致しておる年齢であるわけでございます。しかも、それは就業を禁止するというたてまえのものでございますので、ある国における雇用計画なら雇用計画で何歳以上の者が現実に就業可能であり、それを計画的に考えるということとおのずからその平面を異にすると申しますか、若干趣旨を異にする点があるわけでございます。したがいまして、現実に労働者として使用するに適したものとしての量的把握と、法的に禁止をするという点からの問題は、やや平面を異にすると思うのでございます。いま就業を禁止するという立場からの考え方はどうかということでございますれば、一応国際的にも水準がございます。この例に従って現行法規の水準というものは妥当ではないかというふうに存ずる次第でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 その思想が私非常に古いと思うので、論議をしているのです。大体日本の民法が、満十八歳までは無能力者にしているのでしょう。法律行為能力がないのだ。そうして雇用契約を結んで働かして、それで高い賃金ならば税金も取れる。刑法上にしても、いわゆる刑罰能力が不完全でというふうな、保護処分という一つの制度もあるのですから、労働省の考え方というのは、むしろそういう制度との矛盾を感じたときには、十四歳まで禁止する、これで適当であるというのでなく、ヨーロッパなんかどうでもいいじゃないですか、日本の独創的な考えで、しかも現実に、すでに日本は高等学校の入学率がそこまで来て、最高の教育といってもいい、そういう現実もある。しかも、一方に雇用条件というものは、日本の場合は婦人、青少年には過酷な、奴隷とは言わないが、一方的勤労条件で働いてきた悪習慣のある社会である。労働省の考え方というものは、むしろその点についてはもっと進歩的に考え、しかも低賃金国でもあるので、そういうものを含んで総合的に独創的なお考えを持つのが、この新しい民主憲法における労働省の考え方でなければならぬ。いまのように、局長が妥当だと思うというような、そういう考え方を一度直したらどうだということを私は申し上げているのです。  それで一方に、たとえば文部省の学校教育制度の後期中等教育の答申も、将来満十八歳まで、高等学校まで義務化を検討しつつという思想までいっているのですよ。そういうことを考えてみますと、日本の現実を考えて、労働制度というものを具体的な日本の土質に合わせながらいいものにしていくのには、この開始年齢を検討するというのが一番近道ではないかと私は思うのですが、いまの御答弁には、定着して、これが当然で、妥当でというだけであるのは、さびしいと思うのです。検討すべき一つの価値がある問題じゃないかと思うのですが、大臣どうですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 一にも二にも財政の問題でございまして、中学校を出たあと、それじゃ三年間家庭の人が食わさなければならぬわけですね。ですから、後期中等教育、高等学校まで義務教育という時代が来ますれば問題外です。そうでない以上、技能訓練にいたしましても、寄宿舎をつくり、一人一万円近いものを食わさなければ中学校を出た人を遊ばしておくわけにいかない。これが大体三十万人になるわけですね。ですから、そういう手当てをし、また会社に雇っても二年間は働かさないのだ、事業内訓練で訓練だけしておるのだというならば別ですけれども、理想としては、なるほどこういう時代ですから、十七、八歳まで、いわゆる高等学校を出てからというのは理想ですけれども、これはもう財政が許せば六・三・三制を義務教育にしていただいて——これはむしろ文部省の問題ですが、していただかなければ、労働省が先んじて三十万人に及ぶ中卒者を労働基準法で縛って、しかも金の手当もできぬとなりますと、これはたいへんな問題になります。理想としては義務教育とあわせて考慮すべき問題だ、労働省だけ先走ってもどうにもならない、こう申し上げるよりしようがない。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 これで終わりますが、財政に少しも関係ないじゃないですか。国の予算に何も関係がない。十八歳まではあるいは労働時間を制限するとか、そういう漸進的なやり方もあるだろうし、むしろ大体満十七歳ぐらいまで何らかの教育を受けさせなければならないというなら、ドイツの制度もあるわけです。そしてそれと同時に、そのかわり十八歳から成人にしてもいい。それだけ国が教育に責任を持てばいいのだが、義務教育化しなくても、労働というものを人道的な、人間的なものを守るという意味において、大体社会制度で無能力と認めておるものを一人前に雇用契約の中にほうり込んで、それで労働政策としては妥当だというのは、非常識だと思うのです。それなら、民法、刑法上でも一人前という制度が前提でなければならない。労働だけは、社会制度として無能力であるが、働く自由があり、そして雇用者の支配のもとに非人道的な条件が加えられても、それに対する批判も、あるいはそれに対して常々主張するいわゆる一人前の能力も持っていない。いないと制度がきめているのですから……。それは企業に対する一つの制限にすぎないのであって、国の財政には関係ない。いま財政というのはちょっと話が違うのですが、社会制度として検討さるべきものではないか、こう申し上げているのです。言質をとる気も何にもない。思想はもう少し前進されてしかるべきだ。もう一言だけ聞いておきます。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 職場に少年を雇った場合に、特殊な勤務条件、労働基準法の中にそういうものを設けろ、婦人がそうなっておりますね、月のうちの休暇とか、そういうことを考慮してはどうかという御意見であれば、確かに一つの検討する価値がある問題だと私は思うわけでございます。御意見でございますから、よく検討していきたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 逆な制度でもあるわけですけれども、たとえば西ドイツのように、経営者は一週の間に有給休暇を与えて、一日または二日定時制高校に行かせる義務があるという制度もあるし、あるいは満十八歳以下は労働時間を短縮するという規定のしかたもあるし、何か前進をすべきものである。大体労働大臣もそういう方向の御意見があったので、検討されることを切望いたしたいと思います。ヨーロッパのまねなんかする必要はないと思うのです。大体いつも政府委員の答弁は必ずヨーロッパ、ヨーロッパと言うのですが、何もヨーロッパのまねをしなくても、いいことであればやればいい。  次に、閣議で決定された雇用対策基本計画で、私予算委員会の総括質問で労働大臣にお聞きしたいと思って、時間がなかったのです。そこで、「雇用政策と文教政策との調整問題」という項目で、「技能労働力の不足が激化するとともに相対的に事務系職種の供給過剰が懸念される。基本計画では、学校教育が個人の適性、能力に適合するとともに、その規模、構成が長期的見通しに基づく経済社会の要請にも対応するよう文教政策との調整を十分配慮する。」これは新聞ですから、要約しておると思うのです。その労働省の雇用対策が、文部省の教育計画と密接に関係するものであり、調整をすべき項目がある。そういう意味において文部省といろいろとお話をされたらどうか。なぜかと言いますと、こういうことになってくると、職業教育についての考え方が、少なくとも教育的立場で文部大臣は考えるが、労働大臣のほうは企業の立場ばかり考えているんじゃ、これは非常な禍根を残す。その辺についての一つの定見を持っておる必要があると思うので、これは責任を持って発表されたのですから、労働大臣として職業教育観というのですか、それについての間違いのない、一つの基本的な考えをお聞きしておく必要がある。それをひとつ伺いたい。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 「期律される人間像」にも、技能を尊重するという項目を入れていただきまして、文部省とはそういった問題で常に協議をいたしておるわけでございます。ただ、これを特に取り上げましたのは、御承知のように、大学もどんどんふえてくる。おそらく五年後は、大学卒業生は三割になるでしょう。中学出よりも多くなるでしょう。その場合に、無計画にホワイトカラー、文科系ばかりふえたりしまして、特に私立学校の場合は、経営の面から、技能あるいは技術というよりも文科系を大量生産するというようなことになりましたならば、雇用する面からいいますと、いわゆる頭でっかちな、ブルーカラーを好まない層が非常にふえてくるわけで、管理職ばかりおって下積みの者がおらぬ、将校はおるけれども下士官、兵がおらぬというような、ことばは語弊がありますけれども、そういうアンバランスな教育形態になりますと、これはたいへんなことになる。そういう危険すらあるわけですね。ですから、あくまで学校教育は人格の練成であり、知能の充実でございますけれども、同時に、卒業して適当な企業に雇用されるという雇用計画とマッチしないでどんどん教育されるということになりましたら、結局日本の経済発展もございませんし、頭でっかちの民族ができますので、そういう大まかなことはひとつ常に相談してもらいたい。現在はまだ、そういうことがアンバランスになったとか、失業者が、大学出のホワイトカラーが町にはんらんしているとは申しません。しかし、そういう危険をも予期しながら、やはり教育と申しましても、雇用というものを無視した教育というのはあり得ないのですから、大いにそういうことも考慮しながらひとつお考えを願いたい。そういう立場から工業高等専門学校みたいなものもどんどんできましたし、おそらくそういう線に沿って文部行政をやられると思いますけれども、そういう一つの警告といいますか、そういう立場から問題を提起したということであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 局長のほうで何か文部省と話されたことがありますか。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 最近は、この雇用政策と文教政策との調整という考え方で、数年来文部省とは非常に緊密な連絡をとりながら相談をして進めております。現に一昨年は、大学急増の問題と、それから卒業生の就職難の問題と、二つ問題がございましたので、それを契機といたしまして、文部省側と雇用と教育の問題を話し合いまして、一昨年の十二月には、御承知のように、文部省と労働省との間に、この問題についての一応の覚え書きができております。その後も、その基本計画にのっとりまして、先ほど大臣から御答弁がありましたような線に沿って、今後ますます文部省との連絡を緊密にしていきたい、このように考えております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 覚え書き、あとで一部よこしてください。  そうしますと、大体わかったんですが、大体こちらの雇用計画に基づいて、文部省のほうにおいてはこういう職種の技術者が不足であるからこれをとか、いわゆる主として定員関係の調整であって、職業教育の方針というか、そういう内容については、別に労働省と文部省が——職業教育人間像というのですか、そういうことについては別にタッチしていないのですか。それはどうなんですか。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 労働省から、教育の内容、方法等について立ち入った具体的な注文はしておりませんし、またすべきでない面も相当あると思います。さらに、「期待される人間像」等についても、私のほうから特に注文をつけた経緯はございません。ただし、出てきた答申を見ますと、仕事に対する使命感その他におきまして、私どもの職業指導の面からも非常に役立つ資料であるというふうに理解をいたしております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 例の「期待される人間像」ですか、あれは私はあんな古くさいものはないと思っているのだが、労働省のほうでは大いに賛意を表しておるので、これはここで論議してもどうにもならぬですが、そういう人間像まで指導する場合には、労働省のほうについては、通産省のあれと同じように、ほんとうに教育の本質を曲げるようなそういう立場が濃厚に入っては間違いを起こすと思って、いまどういう程度に入っておるかお聞きしたわけですが、たいしたことはないようです。ああいうものをあまり称賛されぬほうがいいと思います。  私は質問をこれで終わりますけれども、日本の労働行政については、もう少し根本的に、総合的に検討すべきものがあるのではないかと思うので、そういう意味において、私は、思いつきは少し入っておりますけれども、意見を加えながら労働大臣にお考えを聞いたわけです。質問を終わります。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 田代文久君。

田代文久日本共産党

○田代分科員 きょう実は報告で知ったのですが、日本人の労務者がベトナム戦線で突然戦死する、また同時に数人の人が負傷するというような事件が起こっております。ですから、この問題について、これは日本人の労働者ですから、少し質問したいと思います。  それはサイゴンでLST五五〇号乗り組みの日本人一名が戦死をする、四名が負傷したという、こういう事件でありますが、労働大臣はこの事件を知っておられますか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 まだ聞いておりません。

田代文久日本共産党

○田代分科員 全然御存じないですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 聞いておりません。

田代文久日本共産党

○田代分科員 きょう佐藤総理大臣が決算委員会か何かで答弁されたということを聞いておりますが、全然御存じないですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 聞いておりません。

田代文久日本共産党

○田代分科員 テレビで昼に放送しておりましたが、これも御存じないですか。——それははなはだ遺憾ですね。実はこういう事実が発生しておるのですね。ほんとうにこれは知らないのですか。これは全くふしぎですね。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 朝から委員会にばかりおりまして、まだ報告を受けておりません。いまお聞きしますと、これはむしろ運輸省のほうが主管でございますから、運輸省のほうに詳しい資料があろうかと思います。

田代文久日本共産党

○田代分科員 しかし、これは運輸省の主管とかなんとかいうような、そういう小さい問題じゃないのですよ。実際に国家的な問題であるし、これは政府にとっても問題ですから……。とにかくこういう日本人が国外において殺されている、死んだというような問題に対して、これはテレビでも一般の日本の国民全体が知っているような問題について知らないというのは、はなはだうかつな話です。これは実際御存じないわけですね。私はそこに問題があるのじゃないかと思うのです。これは全く無感覚ですよ。これでは私は政治はできないと思うのですが、いずれにしましてもこれを御存じないということになれば、答弁もできないということになりましょうが、そうなると、これは佐藤首相が決算委員会で答弁している、これも御存じないのですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 概して外交上の問題とかあるいは防衛上の問題とか、いろいろな問題だと思いますが、労働大臣主管としてどういうことを御質問いただきますか、そういうものに限って御質問いただければ、むろんお答えいたします。

田代文久日本共産党

○田代分科員 これはつまりLSTにとにかく日本人の労務者が乗って、そうして海外に行くという問題は、早くから問題になった問題ですね。そういう日本人の労務者が実際において戦死した、殺されたという問題です。それをあなたは御存じないかもしれぬけれども、これは現実に起こっておる。これはあなたが御存じなくとも、事実起こっておるのですから、そういう日本人の労務者が殺されている、戦死しているという事態が現実に起こっておるのですから、これに対して労働大臣として、私は即時ここでもって何らかの見解が発表できると思うのです。事実そういう事実があるのですから、答弁を願いたいと思うのです。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 田代先生の御指摘の事実、寡聞にしてまだ私ども承知いたしておりませんですが、もしそういう問題が事実ございましたとすれば、LSTの乗り組み員は船員の扱いでございますので、労働者には違いないと思いますが、所管は運輸省の所管になるということで、もしその事実並びに問題を究明しようとすれば、運輸省のほうにお尋ね願いたいと思います。

田代文久日本共産党

○田代分科員 ちょっとお尋ねしますが、そういう点非常に無感覚で、全然御存じないということですが、どうせこれははっきりわかることです。事実これはもうわかっていることなんですが、では大臣なり政府はこういう通告を、日本人がサイゴンにおいて殺されたという事実を、そういうニュースなり報告なりを大体どこからキャッチされますか。どういうことになっておりますか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 もちろん出先の外交機関もありますし、また報道機関もありますから、あるいはそのLSTの船からも入りましょうし、そういう経路を通じて、情報はニュースとして入るわけでございます。

田代文久日本共産党

○田代分科員 そうすると、これは事実アメリカのベトナム戦争に参加するという中で起こっているのですね。そうすると、とにかく日本人がそういうベトナム戦線において死んだ、殺されたというような大事件が起こっておるのに、アメリカ当局としては、日本に対して何らの通告も、正式なあれもなされないのですか。全然無関心ですか。いまあなたのお話では、とにかく日本の報道機関なり何なりが知らせてくれ、それによってわかるのだという、こういうお話ですが、その点どうでしょう。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 この問題は、予算委員会で、私の記憶するところでは、こういうものに乗るのがどうというふうに、日米安保条約とかその他の関係で論議されたことは、承知いたしております。また、日本の船員で希望する者がかなり多いということも記憶いたしておるわけでございまして、輸送業務というものが直接戦線に入っていく、海外派兵というものではないのだという見解を政府が述べておったことも、だいぶ前でございますけれども、聞いておるわけでございます。そこで、労働大臣としては、そういう問題は私の所管じゃないので、どういうような質問をされるのか、それによりましてお答えできる面はお答えいたしたいと思います。

田代文久日本共産党

○田代分科員 私は、所管でないとおっしゃいますけれども、あなたは国務大臣ですからね。したがって、こういう問題については所管がどうとかいう小さい問題ではない、そのように思うのです。ですから、そういう政府の見解なんかを、あなたは責任を持って発言する資格もあるし、また責任もあるという点から言っておるのです。ですから、何か局長とか各分野の所管の非常に小さい、そういう問題についてかれこれ言っているという意味じゃないのです。そういう点では、私は、はっきりあなた自身が御答弁できるという点から、あなたにお尋ねしておるわけです。どうです、その点。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 先ほども申しましたように、国務大臣ではありますけれども、やはり所管もありますし、内閣全体の問題は総理大臣、外務大臣という、あるいは防衛庁長官、いわゆる日米安保条約の行政協定その他に関連いたしますから、私に質問される点は、労務関係、労働行政に限って御質問賜われば、お答えできると思います。

田代文久日本共産党

○田代分科員 いずれにしましても、これは全然御存じない話のようです。LSTに乗った人は、これは明らかに労働者ですよ、労務者ですよ。また、労務者であろうとなかろうとあれですが、労務者であるということははっきりしています。しかし、非常に重大な問題でありますし、いま言った、日本の政府はどういう形でこのニュースを公式に通告を受けるのか、知るのかというような問題もあるし、それからまた、補償問題を一体どうするかというような、いろいろ重大な外交上の問題もありますが、これはいずれあとから追及することにいたしまして、質問を別に変えたいと思います。  実は、これはやはり中心的な労働問題なんですが、政府は石炭産業の抜本的な長期安定策というものを立てて、そうして四十二年度におけるその合理化の実施計画案を出していますね。そうすると、その実施計画が実際において実行されるということになった場合にどういうことが起こるかという点について、通産省で推定をやっていますね。その推定によると、長期安定という、そういうもとでいろいろ計画を立てる、それによっては大体三万人以上の労働者が首を切られる。それから実施計画で、つまり四十二年度にやはり一万人をこえる労働者の首切りがあるということがいわれておるし、それから関連企業がそれによって失業者を二万五千人出す。それから産炭地の人口の減少が三十五万人、それから関係市町村の税収減が七十億円、それから生活保護受給者の増加がそれによって五万七千五百人、各商品などの売り上げ減が三千七百億円という状態が起きる、こういうふうに通産省は推定しているのです。通産省自身がそういう推定をやっておるわけなんですが、石炭産業の長期安定政策というものを考慮されている場合に、すでに通産省が、これを実行された場合において、労働者が三万人以上首切られるとか、ことしだけで一万人以上の労働者が職を奪われるというような問題、これを見て、実際ぞっとしたのです。なぜかといえば、これは長期的な石炭産業の安定政策ということになっていますね。そうすると、これは実際において何が安定があるかというのです。すでにこの等によって、こういう労働者の首切りから、あるいはその地域住民の被害から、あるいは商品の売り上げ高というものがとにかくこういうばく大な損害なんか出てきておるという事実ですね。そういうことをはっきり見通しているようなこともすでに出ているのですね。したがって、石炭産業の長期安定政策、しかもそれを抜本的にやるというようなこととは、これは全く内容が反しているじゃないか。実はこの長期安定政策のねらいは、これは早川さんにはっきりお尋ねしたいのだけれども、ほんとうのねらいというのは、実は労働者を整理する、首を切るという、そこにこの目標があるのではないか。もちろん、その反面には、一千億円にもなる赤字を特別会計までつくって救済するという、大資本に対して、まず、いままでにない不当な、破格な、そういう救済措置がとられるというのでありますが、その反面において、いま言ったように、労働者は三万——すでにもう十数万、とにかくばく大な炭鉱労働者が失業させられておるわけです。そして今度第三次合理化という名目で首切りということが出ているのですが、私たちは、やはり石炭産業は長期安定されなければならないということを考えます。しかし、その長期安定をさせるという根本問題は何かという問題です。こういう石炭産業の長期安定の基礎には、労働者の生活あるいは生命が全くそこに安定するという状態が基礎にならなければならない、労働者の生活あるいは生命が長期安定するという基礎があって、はじめて石炭産業の長期安定ということが考えられる、それが基礎でなくちゃならぬと私たちは考えるわけですが、その問題についての早川さんの考え方を私は聞きたいと思うのです。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 具体的なこまかいことは、通産省の石炭局長がおいででございますからお答えしますが、根本は、燃料革命、いわゆる石油という液体燃料のコストが安く、そして石炭というものがああいう状態では、結局しわ寄せの負担は経済の発展を阻害し、ひいては国民の所得を低下させるというところから出発したのだろうと思うわけであります。したがって、どんなに高い石炭でも、人さえかかえておればどんなに損をしてもいいのだ、石油、重油、ガソリンを入れないで押えればいいではないかというのでは、相対的に日本の経済、ひいては国民を食わせることができないという観点から、五千万トン程度というものがこの有沢答申に出てきたわけであります。同時に、そのためには非常な大きい犠牲が伴いますので、そこで、そういうことは、中小企業が倒れたり、あるいは燃料革命で炭焼きが失業したり、いろいろありますけれども、石炭に対してだけは、十何方の人が失業するというような事態でもありまするので、政府としては、二千億円近い予算あるいは融資を通じまして、特別の措置をしてまいったわけであります。石炭によって離職した十二万人の人の九割は——いろいろな手厚い再就職の措置も、ほかの産業と違いまして講じまして、九割の再就職率を示しておる。本年も一万四百人出ますけれども、これまた四十億円から五十億円近い労働省の予算をこれに投入いたしまして、それらの人たちの再雇用なりあるいは就職について特段の措置を払っておる、こういうわけでありまして、この問題は国民経済全体の立場で考えなければ採算が合わない、あれをただ保護していくということは、結局国民全体の不幸になる、こういう観点でございますから、やむを得ずこういう措置をとったと私は信じております。

田代文久日本共産党

○田代分科員 いまの御答弁では、労働者を保護するというようなことをおっしゃいましたが、これはことばじりをとらえるのでなくて、いわゆる  日本の石炭産業の中心、中核というのは、そこに働く労働者が、とにかく生活の安定、首切りの心配のない、生命の心配のないというような状態が、基本的に、理念としても実際としても打ち出されなければ、石炭産業の長期安定というものを考えてもだめだ、しかし、いまの御答弁によりますと、保護してやるのだとか、首切った後の処置は、大体九割就職しておるではないかとか、その問題に触れますといろいろありますけれども、就職しているといっても、これは早川さんよく調べられましたか。実際に一ぺん首を切られた人がまた再就職した場合に、首切り以前におけるそういう同じ労働条件を獲得しておるのかどうか。賃金は一割も二割も低下する、あるいは四割も低下する、家はなくなるというような状態がずっと続いているのですよ。ただ、これは犬かネコをやったというような状態は、われわれは許されないです。私ははっきり申し上げますけれども、労働者がとにかく生産を上げるためには、そこにやはり安定した状態というものをつくるのが政治であるし、それをやらなければならぬ。御承知のようにビルド鉱に対して、どうしてもあなたたちが希望されるように、大手筋のビルド鉱に対しては、とにかく石炭を掘り出さなければならないと考えている。ところが、ビルド鉱自身に労働力が不足しているじゃありませんか。働きに行かぬじゃないですか。労働者がなぜ行かぬのですか。これは行かぬというのは、行きたくても労働条件が悪いからですよ。何らそこに保障がないからですよ。保障なくしてビルド鉱にわれらのとうとい血税をつぎ込んで援助したって、それは石炭が出るはずはないのですよ。ですから、この基本は労働問題にある。労働者の生活と生命を、どうとにかく政府と国家社会の責任においてこれを保障するかという基本的な考え方が明確にされない限りは、いまのお話では、全くこれはこの資本家をどう救済するか以外にはないじゃないですか。私たちは、労働者がどのように不安になっているか、もしあなたが御存じなければ、私は北海道なり筑豊なりへ行ってよく労働者の暮らしに実際に触れてもらいたいと思います。炭鉱労働者というのは、日本の労働者の中で最も過酷な、最も危険な作業に従事している、最も高い賃金をあげなければならない、そういう人々です。ところが最も安い賃金でやっている。しかもこれは労働基準法なんかも、労働省はどのように監督しているかはっきりしていただきたいのですけれども、とても現在の八時間や九時間働いても食えないので、さっきもちょっと問題になっておりましたけれども、組夫とか臨時工なんかを入れて、十二時間、十三時間、あるいは十六時間もこれは働かせておるところがあるのですよ。そうしてまたそういうことによって、その人たちはやっとこさどうにか命をつないでおるという状態です。そういうところもある。それからまた、実際に自分が働いた賃金をもらうのは、これはあたりまえでしょう。ところが、私ははっきりした数字はなんですけれども、貝島大之浦炭鉱だけで、そこを離職した労働者の賃金の未払いが二一億以上もある。そういうことが許されますか。そういうことをどうして政府は監督しておるのか、資本家の責任を追及しないのか。こういうことを解決せずに長期安定政策ということをおっしゃっても、それは全然むだです。ですから、こういう方針を出されておりますけれども、これは必ず失敗する。いささかもこれは計画どおりに遂行されるという見通しは成り立たぬということを、私ははっきり申し上げることができます。災害を御存じでしょう。近くはあの三池炭鉱の大災害から、三井山の北海道の夕張、伊王島ということでしょう。現在それによって災害がストップしたかというと、そうじゃないのですね。依然として災害、ガス爆発というものが、規模は小さくてもずっと続いている。炭鉱の保安というものはほんとうに守られていない。炭鉱労働者が、これは御存じでしょうけれども、労働者が、朝、家をたって坑内に炭掘りに行く場合に、その奥さんや家族は何と言って主人を送り出しているか。おとうさんがきょう炭鉱に炭を掘りに行って帰るときに、出ていくときのその顔で帰ってくるだろうかと毎日毎日そういう不安な状態で、まっ黒けになってよごれて帰ってきて、その顔を見て初めて奥さんなり家族は、ああきょう一日も安全だったか、こういう状態です。こういう状態で、はたして労働者は安心して炭が掘れますか。そういうことを解決することが石炭産業の長期安定ではないですか。そうしてまた、いまこれを整理するという案が出ていますけれども、首を切られたならば、もうおまえは炭鉱には用がないのだから出ていけといって、この長屋の非人間的な労働者住宅から資本家は追っ払うというような事件が次々に起こって、ひどいところではガスも切る、水道も切るというような事件が起こっておるでしょう。こういうことでどうしてこの炭鉱労働者が実際に安心して炭を掘ることができますか。保安問題について、いま出されておるこの計画について、もうだいじょうぶ、絶対ガス爆発をさせない、落盤によって労働者は殺さない、けがをさせない、政府もその責任を持つという方策がこれは出ておりますか。その点を私は承りたい。

井上亮通商産業省石炭局長

○井上(亮)政府委員 石炭産業の問題につきましていろいろとお説を承ったわけでございますが、私どもの石炭鉱業に対する助成策は、単にこれは経営を維持するというような見地だけではなしに、基本的にはやはりこれはエネルギー政策に起因するわけでありますが、日本のエネルギー資源を守っていくというためには、今日の状態では、先年の御指摘もありましたように非常に困難な問題がたくさんございます。したがいまして、その困難に対処して、どうしてもこのエネルギー資源を守っていきますためには、これはやはり今日放置できない状態、これを何とか維持するための助成策、こういうような基本的な観点からいろいろな助成策を講じておるわけでございまして、政府が、御承知のように五千万トン程度の石炭を長期に確保していきたいというような決意を明らかにいたしておりますのもその一つでございます。  それから同時に、五千万トン位置づけをいたしました際にも、いろいろと議論があったわけでございますが、これは早川大臣も先ほどおっしゃいましたように、経済の自然の合理的な流れにまかしておきますれば、この五千万トン維持というのは全然問題にならぬ。おそらくこれは四千五百万トンないし四千万トン、ひどければ三千五百万トン程度にまでなるであろう、これは経済の流通のままにまかしておけばそうなるでしょう。しかしそういうような事態を放置いたしますのは、やはり何と申しましても経済の安全保障、単なる合理主義ではない考え方であります。安全保障の見地もありましょうし、そのためにはやはり国内の資源を守っていかなければならないというような、いわば経済外的な、よしんばそれが価格におきまして重油の価格よりも割高であるといたしましても、そういったような安全保障、資源を保持していくというような見地から、やはり助成をして守っていかなければならぬというような角度が一つあります。それからもう一つは、先ほど申しましたように、自然の流れにまかせますれば、石炭産業は必然的に、ほとんど全面的に崩壊になります。そうなりますと、雇用問題がやはり大きな問題になりますというような角度から、やはり雇用の確保、安定と申しますか、維持、安定といいますか、そういうような点も配慮いたしまして、本来ならば、特に一般炭につきましては重油等に対抗はもはやできないというような客観的な事実があるわけでございますが、しかし、そういう単にプライスメカニズムだけの経済政策ではなしに、そういった資源的なあるいは社会的な配慮をして、あえて五千万トン維持という政策を打ち出しておるわけでございます。私どもは今後ともにこの石炭鉱業といいますか、鉱業というよりも、石炭資源なりここに働く人々の雇用の安定というような見地から石炭政策を進めてまいる決意であります。現に、抜本策も基本的な考え方もそこから発していることを御了承いただきたいと思います。   〔「明快な答弁」と呼ぶ者あり〕

田代文久日本共産党

○田代分科員 明快でも何でもないですよ。何が明快ですか。いまの答弁も、資本家をどう救うか、赤字を出した、しかもその赤字は大体だれの責任ですか。これは国民の責任ですか、労働者の責任ですか。いまの特別会計の予算内容はどうですか。これはいまあなたはいろいろおっしゃった、大臣も言われたのですけれども、この労働者の離職に対する予算は一割しか組んでいないでしょう、保安問題についてせいぜい五、六十億でしょう、五百何十億の特別会計の中で。また炭鉱労働者がいま言ったような不安の状態で毎日死に直面しながら日本の石炭産業に従事しているという中で、その保安問題をどうするかという問題は、予算は幾らです、二億円ないじゃないですか、一億何千万円しかないじゃないですか、これは全然保安を無視しておる、労働者の命はどうなってもよろしいという予算の組み方じゃないですか、どうですそれは。

井上亮通商産業省石炭局長

○井上(亮)政府委員 先生も御指摘になりますように、石炭鉱業を今後健全に発達させていくというような見地から、私どもも保安の重大性を十分認識しておりまして、今度の予算一編成に際しましても、先生おっしゃいますように、二億とか三億とかおっしゃいましたのは、それは非常に少ないわけでございまして、たとえば保安センターをつくるというようなことに際しましても、これは三億程度の予算を計上しております。それからそのほかに、もちろん御承知のように保安の根本的な解決は何かと申しますと、これは釈迦に説法のような感じがいたしますけれども、基本的には今日の炭鉱におきましては、坑道堀進のおくれというようなことが重大災害に結びつく大きな原因になっておりますので、保安対策として災害の根源を断つというような意味からしますれば、将来の安定出炭にも寄与いたしますが、主として保安的な角度からどうしても坑道掘進を整然と事前に行なうという体制、坑内のそういった保安体制の基本的な措置を十分やっておくということが保安の基本でございますので、今度の助政策の一環として坑道掘進補助という点に重点を置きまして、五十億の予算を計上したわけでございます。やはり何と申しましても保安の基本は坑内の骨格構造を整備するという点が基本でございます。そういった措置も講じておるわけであります。そのほか保安につきましては、監督体制の整備等、相当な施策をやっておるものと考えております。

田代文久日本共産党

○田代分科員 そういう答弁では国民は満足しないのですが、次に、これは管野通産大臣もそれから早川さんも、石炭特別委員会で、抜本的な長期政策をやるんだということを非常に強調されておる。その中で通産大臣なんかは、非常に石炭鉱業の構造的な危機が予想以上に急迫の度を強めておるとか、あるいは石炭産業存亡の危機に立つというても過言でない状態でありますという、非常にものすごい危機感を訴えていますね。そういう危機感を訴えておるけれども、じゃ、そういう危機に当面した原因は何か、どういう原因によって日本の石炭産業はそういう破壊と危機に当面しておるかということは一言も言ってない。その根本原因が明らかにされないというと、長期安定政策というものは打ち出されない。ですから、こういうふうに石炭産業が破壊と危機に瀕しているその根本原因はどこにあるかということをはっきりと答弁願いたい。さもないと、日本の経済は自然な流れに放置しておるからという、何か日本の石炭産業というのは自然に放置されておる中でこんなになったんだというような御答弁のようですけれども、そういうばかなことはない。ですから、はっきりしたこの危機の原因はどこにあるかということを政府はどのように分析し、理解されているかを答弁願いたいと思うのです。

井上亮通商産業省石炭局長

○井上(亮)政府委員 原因はいろいろたくさんあるかと思いますが、やはり基本的には、何と申しましてもこれは日本だけの事情ではございません。西欧各国みな石炭産業については共通の悩みでありますが、基本的にはやはり世界的なエネルギー革命の変化、そういった技術の変化、こういった点に起因すると思います。

田代文久日本共産党

○田代分科員 そこで、別の角度から、そういう論説は正しくない——正しくないじゃなくて、そういうところにこそこういう政策自身が出た誤りの根源があるということを考えますと、これはあとから明らかにさせたいと思いますけれども、いまエネルギー革命論ということを盛んに言われましたけれども、それが出る前に、御承知のように石炭産業の斜陽論というものが盛んに言われましたね。これは政府も言われておる。それからほかの一部の組合の幹部なんかもそういうことを盛んに言って、石炭産業がつぶれるのはあたりまえだ、こういうふうに盛んに言われたのです。ですから、私ははっきり質問したいのですけれども、日本に大体石炭はあるのかないのか、もう掘り尽くして残っておるのはわずかだ、こういう説がある。日本に石炭はあるのかないのか、どのくらいの埋蔵量があるのか、可採炭量が幾らあるかという点が一点。それから石炭エネルギー、これは大体日本の産業にとって必要であるのかないのか、これが第二点。これをはっきり明らかにしてもらいたい。第三点といたしましては、日本のエネルギー源として石炭というものは民族的な資源ですね。全くこれは大事な資源です。宝なんですよ。そういう日本の民族的の資源、それの開発についてどのような姿勢、日本の唯一のそういった宝である石炭資源、この開発についてどういう位置づけをやられておるのか。先ほどの話では、自然の成り行きにまかせれば日本の石炭はもうつぶれてしまって、全部なくなってしまうというような全くのんきなお話ですがね。この点ひとつ明らかにしてもらいたい。

井上亮通商産業省石炭局長

○井上(亮)政府委員 埋蔵炭量といたしましては、これは炭量と言います場合に、経済炭量ということばもありますし、それから可採炭量ということばもありますし、いろいろあるわけでございまして、一がいには言えませんけれども、私ども、やはり日本に今日残っております炭量といたしましては、一応まだ今後二十年以上は十分経済的に——経済的にというとまた語弊がありますが、今日の要するに助成を前提にした立場で考えまして、二十年以上の炭量はあるというふうに考えております。ただ炭だけあっても、それを採掘いたしましてもきわめて経済性の劣ります場合には、それを炭量と称し得るかどうかという点がありますので、明確にはお答えできませんが、少なくとも今日私ども二十年以上の炭量はあるというふうに考えております。  それから、なお資源の開発の問題でございますが、この点につきましては先生からも御指摘がありましたように、私ども非常に熱意を持っておりまして、特に未開発の炭鉱資源がまだ相当各地にございます。特に原料炭等につきましては、有望な未開発地点もございますので、政府といたしましても、将来ともに有望な地点につきましては積極的にこれを開発するように指導いたしたい。さしあたって着手しております地点は、九州では、これはだいぶ前からやっておりますが、まだ完成いたしておりませんが、日鉄鉱業の有明炭田の開発、北海道におきましては、南大夕張の原料炭の未開発の地域がございますので、これは昨年から開発に着手しております。そのほか各地にいろいろ資源がありますが、これを開発いたします場合には、やはりそれ相応の将来の見通しがなければなりませんので、海底調査あるいはボーリング等をいたしまして、調査を進めておるというような実情でございます。

田代文久日本共産党

○田代分科員 二十年以上掘るだけの炭があるというお話ですが、学者の説によりますと、それどころじゃないのですね。ですから、これはおそらく政府としては、あまり長くはないということを言わなければぐあいが悪いので、そういう説明じゃないかと思うのです。これは私は日本の国民に非常に確信を持たして、そしてそういう民族資源に対する重要性について認識をはっきりするために申し上げますけれども、これは武谷という学者が書いているものですが、これによると「通産省が一九五〇年から六年間かけて全国の埋蔵炭量と炭質調査を行った結果によると、日本の石炭総理蔵量は二一一・八億トンで、これから採掘不能の量を引いた理論可採炭量は二〇二・五億トンである。このうち、技術的、経済的に確実に採掘できる実収炭量は、三一・八億トンと公表されている。」あなたの二十一億トンとこれはだいぶ違うですね。「この量は年間四五〇〇万トン掘るとして、約七〇年間もつことを意味している。この実収炭量は、坂倉氏(三菱鉱業)の意見では、四〇億トンと見積られていて、この他にも異論がある。」というのは、もう少し多いということでしょうね。それから「埋蔵量は、前にふれたように、その時代の技術と経済によってきまる量だから、七〇年という年月を考え、そのときの科学技術の状態を想像してみると、日本の石炭資源がすぐにもなくなるように考える必要はなさそうである(日本沿岸の海底、大陸ダナには数千億トンにのぼる海底炭田があると予想されている。)。」実にこれはありがたいことですね。これぐらいあるのですよ。ところが、実際においては、石炭はもうないとか、斜陽論だとか、妙につぶせつぶせというような議論が出ている。それで、現在は、あなたたちがいま言われているエネルギー革命論ということになっているのですね。事実はそうじゃない。石炭は幾らでもエネルギーとして大事なものであるし必要なものである。しかもこれは民族資源として国の独立に関する問題であり、日本の運命に関する、そういう重要な決定的な意義を持ったこれはエネルギーである。したがって、この資源を開発するということ、それからその資源を開発する基礎になる労働者をいかに大事にしなければならないかという問題も、ここから出てくるわけです。あなたなり政府は、とにかく自然の流れみたいなふうなことを言われている。そしてこの法則は自然法則だ、そしてこうなっているのだというような説を前提として言われていますけれども、日本の石炭産業の破壊と壊滅状態というのは、そうではないのです。そういう自然法則的な、川の水が高いところから下へずっと流れていくというような、そういうものではない。これは明らかに政治の間違いであるし、貧困であるし、そこに一切の原因があるということを私は考えていただかなければならないと思うのです。幾らか民族資源としての石炭産業の重要性みたいなことをおっしゃったですけれども、実際において施策としてあらわれておらない。だからそういう議論が出るというふうに思うわけなんですが、現在のあなたのほうのエネルギー革命論、政府のエネルギー革命論を反映していると思うのですけれども。四十年度の石炭と石油の使用の比率ですね、これは石炭の二一%に対して、石油は六八%になっておる。今後ますますこれは増大する傾向にありますね。石油だけどんどんふえて、そして石炭は非常に不足になる。統計的にも年々こうなってきておるのですね。これをどう見られるのであるか。これは自然の成り行きなのかどうか。そうして、日本は五千万トンとか、さっきおっしゃったように、少なく見積もられておりますけれども、アメリカ自身が石炭の大増産をやっているのでしょう。御存じですか、そいつは。知っておられるですね。一九八〇年には、現在四億数千万トンのやつを八億何千万トンにするといっている。それを十二億トンにするというふうに、どんどん石炭を掘らなければならない、増産をしなければならないと、増産計画をやっている。それに対して、日本は反対の縮小計画に立っているしそれからまた、その使用の問題にしましても、火力発電に使う場合に、アメリカは石炭を使う比重をどんどん高めておる。石油を使う比重を少なくしている。これも御存じないですか。そういうことを御存じでしょう。それなら、なぜ日本の石炭をもっと重視しないのか。日本の石油の関税は幾らです。私が承知しているところは、はっきりした数字じゃないですけれども、大体六百何十円でしょう。西ドイツやイギリスなんかに対してアメリカから入ってくる重油、石油に対しては、日本の関税の二倍あるいは三倍かけている。これは御存じでしょう。なぜそういうことを日本ができないかという問題ですよ。アメリカからノーズロースにどんどん石油を入れる。だったら日本の石炭が破壊されるのは当然じゃないですか。そのどこに政治がありますか。あなたや政府がおっしゃる自然の成り行きだというのは、そういうことをやっておるということじゃないですか。私は、日本の政治がはっきりした独立の観点を持つ、日本の民族産業を守る、日本の真の平和と繁栄を守るという立場に立つならば、真の独立という立場に立つならば、少なくとも西ドイツやイギリスもそれをやっているのですから、日本の石炭がつぶれつつあるのだから、なぜもっとそういう保護政策をとられぬのか。抜本的な安定政策をとるということになるならば、そういう手を打たなければ、これは何ら抜本的にならないじゃないですか。  大体以上の政府のあれで明らかなように、これは時間がないそうですから終わりたいと思うのですけれども、民族資源としてのそういう貴重な石炭産業は、アメリカを中心とする石油の前に、そういうノーズロースのような形にされておって、そしてアメリカ帝国主義のエネルギー支配の前に全く思うままの道をあけてやっておる。私は、日本の政府として、われわれとしてはアメリカが日本に対してどういう石油政策の観点に立っておるかという点をはっきりしなければ、日本の立場からの問題ははっきりしない。アメリカは日本の石炭はつぶす腹ですよ。そう思われぬですか。アメリカの石油帝国主義ですね、これは、石油だけでなくて、原子エネルギーでもそうですけれども、全体のエネルギー政策というのは、アメリカの手によって日本の一切のエネルギーを握ってしまう。そうしたら、極東の拠点をつくる。それによってアメリカというものは極東の方面に侵略するような軍事的な把握をする。だから、原油だけでなくて、石油の精製とかそういう一切のものを握る。着々いまそいつが進みつつあるでしょう。そいつをはっきりつかまずに石炭産業の長期的な安定なんということを考えるということ自体がおかしいし、完全にそれは失敗するということをはっきり申し上げることができます。ですから、私たちがこのアメリカの政策を認めて、言いなりになって、そして大資本が赤字を出す、それを国民の血税で補うというようなことはやめてもらいたい。そしてまた同時に、そのことによって炭鉱労働者、また労働者の首を切って一切の犠牲をそこにしわ寄せるというようなことが許されますか。そのとばっちりを全部労働者が負う。あなたは、失業するということは大体どうなると思いますか。それは早川さんが大臣をやめたって、おれは食える、それはそうでしょう。しかし、それとは違って、私たちが首になる、労働者が首になるということは生命の問題ですよ。そういう労働者を無慈悲に首を切るというようなことが平然と計画に出て、そしてこれが長期安定政策だ、抜本策だというようなことでは、これは話が絶対わからないし、われわれはそういうことは許すことはできないと思うのです。石炭危機の根本はいま申しましたとおりであるし、だから、したがってこの原因を取り除くということをまず第一番に考えなければ、長期安定政策は意味がない。ところが、いま出されておるこの長期安定政策は一言もそのことに触れていないでしょう。アメリカの石油帝国主義による日本への侵入、それに対して手を打つ、関税では大体こうしなければならないというような点、労働者の生活条件をどうしなければならないということは一言もないじゃないですか。そこで、こういうことを私なんかが言う必要もないようなことだけれども、老婆心にひとつ早川さんにお聞きしますが、これは大体三次の合理化計画になっていますね、この長期安定政策それから今度の具体策のあれは。そうでしょう。だからこれは抜本的な長期安定の日本の石炭産業政策でありますから、私は、これは最後という立場で出されていると思うのです。そうしますと、大体政府はもう今後いかなることがあっても、こういう合理化計画は出さないということを断言されるかどうか、それをお尋ねしたいと思うのです。もうこれより以上、石炭産業についてはおしまいだ、これで長期安定はでき上がるのだ、その確信でもってこれは出しているのだというかどうか、その答弁をお願いしたいと思うのです。

井上亮通商産業省石炭局長

○井上(亮)政府委員 先生、先ほどから、自然の流れにまかせるという私の言いましたことばを引用しておられますが、少し真意を誤解しておられるような点がありますので、釈明させていただきたいと思います。私の申しましたのは、石炭産業を自然の流れと申しますか、いわゆる経済の合理主義といいますか、そういうままにゆだねた政策を政府がとる場合には、今日の五千万トンの出炭は四千万トンにも減り、あるいは三千五百万トンにも減るということを申し上げたわけでして、そういうことは困る。先ほど来先生もおっしゃいましたように、資源政策の立場とか、あるいは雇用安定の立場とか、あるいは地域社会の悪影響をできるだけ少なくするというような配慮から、どうしてもこういう自然の流れにまかすわけにいかないという立場から、あえて五千万トン程度のものはどうあろうとも維持しなければならないというような立場をとっているわけでございまして、その点については御理解をいただきたいと思います。  それからなお、資源政策につきましては、今後ともに先生にも御研究いただき、私も石炭局長として御激励をいただいたような感じで政府の資源政策を聞いておったわけですが、私どもはあくまでも国内資源を大事に育成をしていくというような立場から石炭政策を進めていきたいと思っております。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 田代君に申し上げますが、質疑時間もだいぶ過ぎておりますので、結論をお急ぎ願います。

田代文久日本共産党

○田代分科員 それではあと二分間。  いまのお話は、自然の成り行きというのは、抽象的にものごとを言っているのではないのですよ。手を打たなければならぬ。手を打たなければ、日本政府がある意味がないじゃないですか。何か毛のはえたようなことをやられておることは認めますよ。しかし、そこに大きな本流としてのそういうことはやられていないということを言っているのですよ。  結論を一分間で申し上げますが、さっき言いました、今後これは絶対にやらないということはどうですか、今後長期安定政策というものをまた再び出すようなことはありません、これは最後ですということは答弁ができますか。

井上亮通商産業省石炭局長

○井上(亮)政府委員 私はやはり炭鉱の合理化というものは、絶えず技術の進歩に伴って炭鉱の採炭技術を近代化していくというような意味の合理化は、今後ともやはりやらざるを得ないというふうに考えております。

田代文久日本共産党

○田代分科員 同じことじゃないですか。いままでずっとやられておるのですから、何らこれは抜本的でもなければ、根本的でもなければ、長期安定でもないのです。それは全く小学校の一年生に教える論理ですよ。  では結論。私はやっぱり日本国民として、ほんとうに日本の石炭政策に長期抜本的な安定政策を立てねばならないと考える。それについてはどうするかという問題ですけれども、私はやっぱり第一番は、アメリカのエネルギー支配と戦う。アメリカは日本を支配しておる。そうして石油の独占資本が日本にどんどん入ってくる侵入を制限する。それから第二番目は、アメリカと日本の大資本による炭鉱取りつぶし政策をやめさせる。そうして石炭の生産拡大をどんどんはかる。それから石炭の消費をふやす。電力なんかにどんどんふやさせる。そうして基本的には、これは自民党政府にはできないと思うのです。自民党政府には実際こういうことをやられる能力がある言うことはできないが、そういう点で勤労者が中心となって民主的な連合政権をつくって、そういう政権との関係で全エネルギー産業の独占資本を人民的な統制と国有化ということをすることによってこそはじめて私は抜本的な長期安定政策ができると確信します。ですから、したがって、いま政府が出しておるこういう政策というものは、とにかく必ず失敗するし、そうして労働者を犠牲にする以外の何ものでもない。ですから、私は撤回を要求するということで私の質問を終わります。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 以上をもちまして、昭和四十二年度一般会計予算及び昭和四十二年度特別会計予算中労働省所管に対する質疑は一応終了しました。  明二十二日は午前十時より開会し、文部省所管について質疑を行なうことといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十七分散会

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