予算委員会第三分科会 第4号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1967/04/22
会議録
○野原主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 昭和四十二年度一般会計予算中、経済企画庁所管を議題といたします。 これより質疑を行ないます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。華山親義君。
○華山分科員 まず、東北開発のことをお聞きいたしますが、東北開発は、地域開発の先端を切って東北開発三法が制定されたわけでございますけれども、その後各地に地域開発の法律等もできました関係もございますためでしょうか、われわれから見ますと、その効果というものはあがっておらないと思うのです。そういうあせり等もあるのでございましょうか、東北知事会は東北開発に関する提言をいたしております。長官にもいろいろ申し上げておると思いますが、それをどういうように受けとめておられるか、また、私の申し上げることをどう受けとめられるか。こまかな問題、いろいろな諸施策につきましては、今日時間もありませんので、また別な機会に申し上げるといたしまして、基本的なことだけをお尋ねし、お答えを願いたいと思うわけであります。 それで、今日の自由主義経済におきまして、生産資本が優先して、社会資本というものがやむを得ない場合にそれに追随していくという体系がとられたのでございますから、ここに地域格差を是正するというようなことはなかなか困難だったろうと思うのでございます。しかし、これらのことが今後是正されるとも私どもの立場から考えられませんし、したがって、現在の行き方におきましてやるとすれば、東北地方というものは、日本の経済においてどういう地位を占めるのか、それに基づく合理的な立場がなければ、幾らやってみたって私はだめなんじゃないかという気がするわけでございます。 それで伺いたいのでありますけれども、この東北知事会の提言につきまして、一番初めに、農業というものについて東北がその負担をしていく、東北地方が農業ということでひとつ立っていこうというものの考え方をしておるわけです。ですけれども、工業がだめだから農業でもやろうとか、長男はりこうだけれども、どうも次男は少しおかしいから、長男のほうはひとつ月給取りにして、次男のほうには農業でもやらせようかとか、そういうでも的農業ではこれは非常にだめなんだと私は思うのです。それで、この知事会の提言につきまして、農業の問題の前提となることは、はたして日本の食糧というものについて今後どういう動向をとるのか、その問題が前提になると私は思うのです。農林省に聞きましても、私の受ける印象では、確信ある印象を受けません。かつて米というものは余るのだというふうな対策をとったこともございますし、最近では米の増産ということもいっておるようでございますけれども、あまり確たる印象を受けません。それから、一面におきまして、経済界その他から発表されるいろいろな提言等によりますれば、やはり依然として、農産物は外国から入れても工業生産物の輸出に重点を置こうというふうな提言も見受けられるわけです。そういうふうなことをいたしますと、混乱した中でこのような対策を立てては、将来かえって農業ということを経済面で負担したために東北が困りはしないか、こういうことも考えられるわけであります。それで、この将来の日本の経済の動向なり、そういうことについては、経済企画庁長官が一番わかっておられる、また、わかっておられなければならない地位と思いますので、農業の日本の経済において今後の占める地位、そういうことについて見通しを伺っておきたい。
○宮澤国務大臣 わが国の地域開発を考えてまいります上で、東北は非常に大きなむずかしい問題を持っておると考えております。 全体を見ますと、まず一つは北海道、東北、それから山陰地方、南九州、ここらあたりが地域開発の非常にむずかしいところであろうと思いますが、その中でも、山陰は山陽との関係で道路政策等を適当にいたしますと開発の方法があると思いますし、南九州は北九州との関係がつけられると思いますけれども、東北については何か特段のことを考えなければ、これというしっかりした開発のプログラムが立たないというのが実情であろうと思います。 それで、昨年東北各県の知事会が提言をされたわけでございますが、私、当時ただいまの仕事はまだしておりませんでしたが、自然そういう観点からあの提言には非常に関心を持っておったわけであります。したがって、このたび就任いたしまして間もなく比較的早い機会に東北の知事皆さんに御参集をいただいて、かなり長い時間お会いをいたしました。そうして御提言の趣旨を伺ったわけであります。 私といたしましては、東北知事会がこのたびのような提言をされたことは、非常な勇気もお要りであったと思うし、よく踏み切ってこういう提言をされたという印象をもってお話を伺ったわけであります。その際、こういう御提言もあることでありますから、従来のいわゆる東北開発三法を中心にした、その中でもことに東北開発株式会社を中心にしてやってまいりました施策が必ずしも思うようにいっていないので、この際何か根本的にもう一ぺん問題を考え直す必要がある、そういうふうに考えまして、昭和四十三年度の予算要求時期、すなわち、ことしの七、八月ごろまでにどういう基本的な政策転換を行なうかということを研究をいたしますが、それについては、どうぞ知事会におかれてもいろいろ御助言もいただきたいし、お力添えもいただきたい、こういうことを申しまして、その後間もなく私どもの役所の中でそういう体制をほぼ整えまして作業を始めたところでございます。 基本的には、私は、東北開発計画を進めていく上で、国がいわゆる投資的な意味でのもうけをする、利益を得る必要はないと思っておるのでございます。しかし、非常に大きな損失が毎年出る、いつまでも出るということも困るわけでございますが、いわゆる経済的なビジネスという意味での利益を国が得る必要はない、こういうことを基本に考えて、いままで東北開発株式会社に相当の繰り越しの赤字があるわけでございますが、これをどう処理するかということ、それから、今後決して利益を得るつもりはありませんけれども、しかし、毎年大きな赤字が累積しないように、しかも、東北各県が望まれるような施策を、東北開発株式会社なりあるいは北海道東北開発公庫なりを中心にどうやっていくかということをこの夏までに思い切ってひとつ施策をきめてみたい。その際非常に問題になりますのは、累積赤字の処理とか、現在東北開発株式会社が直接あるいは間接に関係しておりますその企業のこれからの持って行き方とか、なかなか問題は簡単ではないと思いますけれども、この際、もう放置しておくことはいけないことだ、こう考えておるわけであります。それが私の基本的な気持ちで、東北開発が思うとおり進んでいないことは、私は申しわけないことだというような気持ちで実はおるわけであります。 それから、食糧の問題でございますけれども、御指摘のように、食糧、飼料の輸入は毎年増大をしていっておるわけであります。わが国が今後積極的に食糧、飼料の増産をすべきであるか、あるいはそうでないかということについては、先ほど御指摘のように、世界の環境等の関係で必ずしも従来姿勢が明確でなかったように思いますけれども、おそらくは、ただいまの傾向で見ますと、世界全体の食糧はやや不足ぎみだと考えるのがほんとうではなかろうか、こう思います。したがって、わが国も現在程度の自給率というものは維持していかなければならない、という意味は、増産の方向に向かわなければならないということだと考えております。そうして他方で、農林物資を中心とするところの自由化というものはもうこれで打ち上げでありまして、これ以上進めない、また、米価を中心とした農産物価格というものは逐年、徐々にではあっても上げていくことが基本的には政策として望ましい。それはただ農業、農村のためと申しますよりは、今日なお国民の三割を占めておる農村人口というものが購買力を持つか持たないかということは、わが国経済全体の繁栄にもう明確につながると思います。それは、昔の飢謹のようなことが起こりましたときには必ず経済全体が沈滞したということから見ても明らかでありますので、これは農業のためばかりでなく、わが国経済全体のために、農村の生活水準、購買力を逐年上げていくということが必要であろうと思うので、そういうような考え方をいたしております。
○華山分科員 それにいたしましても、東北地方でございますけれども、東北地方にはまだ開発されないところの水、汚染されないところの水があるわけであります。それから、今日資料を持ってきておりませんけれども、米につきましては、東北は、そうでない県もありますけれども、大体において生産性が全国的に高い地位を占めております。そういうふうなこと、それから、長い間米作になじんできた農民がまだ多数東北地方にはおるわけであります。今後、いまのような米あるいは農産物に対する展望という点からいたしまして、東北地方の農業ということにつきまして特別な考慮を払っていただきたい。その方法等につきましては、具体的なことをいまここで申す時間もございませんけれども、要するに、農業の増産に対するところの事業、それを東北地方に特に濃厚に実施する、これによって生ずるところの農民の負担あるいは地方財政の負担、こういうものについては特別の考慮をしていただきたい。これは東北地方にだけするということはむずかしいのかもしれません。しかし、全国的にやるにしても、事業の量を東北地方に多くして、そして、そこの間に生ずるところの地方財政の問題等につきましては、交付税の面等についても特に考慮を払ってやっていただきたい、こういうことを希望いたしたいと思う次第でございます。 それから、第二番目に工業のことを言っております。 私考えるのに、これは東北地方の人におこられるかもしれませんけれども、極言をいたしますと、東北地方にコンビナート的な重工業基地を設けることは、現在の自由主義経済では非常に困難なのじゃないか。これを打ち消していただけるならば私たいへんありがたいのでありますけれども、非常に困難なことなのじゃないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。そこに農業の適地であるということが出てくるわけです。水がある、それで、コンビナートから出るところのいろいろな公害が農産物に影響を及ぼさない、そういう面で考えられるわけでございますけれども、コンビナートの面につきまして、現在のように、日本の至るところにコンビナートができてくるということ自体が、私はおかしいと思うのでございます。 そういう面でございますけれども、東北地方につきましては、これから出てくるところの若い労働力があるわけです。いままでは出払っておりますけれども、これから出てくるところの労働力がある。したがって、その労働力を多量に使うところの工業、たとえば精密工業であるとか、あるいは電気の部品の製造であるとか、それが発展してまいりまして全体のものができればこれはもう一番いいのでございますけれども、そういうふうに、東北地方の交通を完備するといっても、よそのほうが完備してくるのですから——よそのほうよりも東北地方のほうをより早くやるということであれば別ですけれども、よそのほうがかえってスピードアップしているのですから、他地域との競争の面においてやはり非常に不利だと思う。したがって、交通につきましても不利にならないようにして、そういう精密工業的なものがあそこにできまして、そしてあそこの若い青少年を吸収する。そういうことによって、これは好まないとおっしゃるかもしれませんけれども、農業の兼業形態も出てまいります。それから、今日農村にはお嫁さんの来手がないというのだけれども、そういうことによって、まだお嫁さんの候補者が農村にも残るということになるのじゃないか、こんなふうに私は考えますけれども、じゃ、それはどんなことをやればいいのだということになりますれば、これはまたあとで申し上げますが、そういうものの考え方はどんなものでございましょうか。
○宮澤国務大臣 私の知識も実は非常に限られておりますけれども、やはり片方で農業あるいは酪農業等を中心にただいまのような施策が進んでまいることが望ましいと思いますが、他方で、それでもできるだけ工業の拠点を見つけてつくっていきたい。両方の努力をすべきだと思っておるのでございます。常磐、郡山は、東北というより、あるいはもう関東のほうを向いておると考えなければならぬかと思いますので、一つはやはり仙台湾だと考えます。仙台湾の臨海工業をこれからどうやって育てていくかということ、及び、やはり東北と申しましても、あそこが一つの門でございますから、港湾の整備をやっていくことは、どうしても仙台湾には必要ではなかろうかと思っております。それから、あとは八戸でありますとか、あるいは大湊でありますとか、また裏で申しますと、秋田でありますとか、いろいろな工業の拠点をできるだけ育てていきたいと考えますけれども、おそらくその形は、ただいま御指摘のように、大きな装置産業、コンビナートというものよりも、内陸型の工業というものが中心になっていくであろうし、またそれが望ましいのではないか、基本的な考え方としては、そうあるべきではないかと思います。 それから、現在の経済法則のもとでは、ということを言われましたが、確かにそのとおりであります。かつてのように東北の電力料金が割り安であったという利点はすでに失われつつございますから、何かの形で東北地方に企業が入っていくためのいわゆるインセンティブというものをどうやってつくるかということが問題だと思うのでございます。労働力があるということ、それから比較的土地があるということ、それから水が豊富であるということは確かによろしい誘因でありますけれども、どうもそれだけではなかなか事が早くまいらない。といたしますと、金融面で何か事が考えられないかということになるわけであります。 金融の量の問題としては、北海道東北開発公庫の活動をもう少し積極的にするとかいうことがございましょうが、金利の面で何か考えられないかということは、私前から思いつつ、自分の一存でもできないことでございますが、しかし、考え方としては、やはり何かそういうことが考えられないものであろうか、これもこの夏までに、いずれにしても予算に関係がございますから、検討したい一つの事項にしておるわけでございます。
○華山分科員 長官の言われることは、私は東北出身ではございますけれども、現在の経済方式のもとではそうお答えになるだろうと思いますが、前のことを申し上げますと、東北開発三法ができましたとき、私はそのときに県庁におりましたが、説明はどうであったか。その説明は、今後このままで進むならば東京に大きな人口が集結してしまう、その供給源は東北なんだ、そうしますと、東京は人口が多くなって——過密ということばはその当時は使いませんでしたけれども、多くなって、非常な投資を東京にしなければいけない、それを、むしろ東北に投資することによって、現地において人口を吸収してしまったほうが日本の経済のためにいいんだ、こういう説明だったわけです。そのとおりにいけばいいんですけれども、東北のほうの先行投資とか、そういうことはあまりやらなかった。しかし、自民党の代議士、自民党の言われるとおり事態がいま生じてきた、そういうふうなことなんでございます。 私は御参考までに申し上げますが、前から考えているんですけれども、電力料というものについてお考えになったらどうなのか。まあ、東北電力がやっておるわけですけれども、東北電力の起債、現在の起債もありますけれども、債務があるわけでございます。それを低利に借りかえることによって、東北全体の電力料金を下げることはできなくても、私は、特定のものにつきましては電力料金を下げることはできると思う。そういうことによって、特別の国の一般会計の財政の支出なしにでも、財政投融資の面でできるのじゃないだろうか、こういうことを考えているわけです。私は、十年来このことをしばしば言ってまいったのでございますけれども、あまりだれも相手にしてくれなかった。この中にはそういうふうなことがちょっと書いてありますけれども、だれも相手にしてくれなかった。この問題が解決しておれば、電力の安いそういうところに電力を使ういろいろな産業が行ったんじゃないだろうか、そして、人口過密というふうなことは、もう少し、多少でもいまよりはひどくなかったんじゃないか、こんなふうにも考えるわけでございまして、今後特定の東北地方におけるところの企業につきましては、電力料金の問題について考えられることも一法かと思いますので、御研究中だそうでございますから、御参考に申し上げたいと思います。 それで、もう一つの問題でございますが、理論的なことしか申し上げられませんけれども、観光のことを言っております。これは現在、御承知のとおり、日本の観光というものは商業化しているわけです。どこでも観光地というものは、高い旅館、設備の整った旅館、そういうふうなことにだけなっているわけでございますけれども、都会の過密化するとともに、東北地方というものはそのままの形でまだ残っておりますから、私は、自然のままの形態におけるところの観光地としての発展、こういうことにいかれたほうがいいんじゃないかと思うわけです。 それにつきまして申し上げますれば、先ほどから言われましたけれども、東北開発株式会社は、私は、あの会社はいまのようなことで仕事をやってはだめだと思うんです。あるいは東北開発株式会社の行き方というものを、政府が根本的に変えられるなら別ですけれども、とにかくいまのような、先ほどおっしゃったように、もうけなくてもいいからあまり借金を残さないようにという限度では、東北地方にはそんな産業はありません。それで、東北開発株式会社の一つの重要な仕事といたしまして、ここには観光公社ということばもございますけれども、東北開発株式会社に仕事を命ぜられたならば、そして、ある程度の資金をつけられれば、そう損をするものでもございませんし、そして、自然を温存する仕事をやらしていただいたらどうかと思うのですけれども、御所見をひとつ承りたい。
○宮澤国務大臣 東北開発株式会社はずいぶん金を使ってきたわけでございますが、大ざっぱに申して、あれだけの金を使うのなら、もう少し何かやりようがあったのじゃないだろうかという印象を、私は少なくとも持っておるわけでございます。それで、東北の現状が御指摘のとおりでございますし、私もそう思いますので、今後とも金を使っていかなければならぬことは確かだと思います。 それで、基本的な方向としては、私は相当の金を使うつもりで、しかもなるべく——あれも一つの役所みたいなものでございますから、いわゆるそういう役所が自分で仕事をしないで、できるだけ各県なりあるいは民間なりの創意を生かして、それを金融的に御支援する、そういう形のほうが私はいいんじゃないだろうかというふうに考えております。したがって、夏までに検討いたしますことも、そういう方向で検討したいと思っておるのでございます。 たとえば、いま東北開発株式会社では、観光を中心にして観光道路のようなものをかりにつくって、これをリースしようとかいうようなことを考えておられるので、私はその考えは悪くないと思うのございますけれども、願わくは、そういう仕事は役人がしないで、だれかやる人を、これはきっとあると思いますから、そこへ金融なり権限なりを与えていく形でやっていくほうがいいんじゃないかろうか、そのもとの金融の供給者としての東北開発なりあるいは北海道東北開発公庫なりというものを育てていく、なるべくそういう方向でやりたいというのが、まだ検討中でございますからもう一つ具体的に申し上げられませんけれども、私の基本的な考えでございます。
○華山分科員 いま承ったばかりでございますから、私は、それに対する私の意見は控えたいと思っております。 現在のような東北開発株式会社では、あのままの形、あのままの方針ではどうにも効果があがらない、そういうふうに考えますことは、全く同感でございます。優秀な総裁を迎えては失敗をさしている。これがいままでの経過でございますし、まことに残念な、人材を失う場所の会社になっている。非常に遺憾なことだと私は思うのでございます。 たとえば、青森県におきまして、もう申しませんけれども、製鉄ですか、あれがあんなふうになってしまう。今度は今度で、六戸にあるフジ製糖が閉鎖する。そのためには北海道東北開発公庫が二十億でしたか、あるいは少し違っているかもしれないが、投資をしている。これは一体どうなるのか。つくってはつぶれ、それから、つくろうとしてはつぶれ、ほんとうに迷惑するのは地元だけということだ。 そういうふうな意味で、私は、基本的に東北開発におけるところの東北開発株式会社というものにつきまして、もっとりっぱな仕事のできる仕事を与えていただいて、そしてやらしていただきたい、こういうことを抽象的ではございますけれども、申し上げておきたいと思います。 それから、私は、北海道東北開発公庫というものは相当の効果をあげたものだと思っておる。ということは、あそこにおけるところの中小企業的なもの、そういうものにつきましては相当の効果をあげたものと思いまするし、中小企業金融公庫を中心といってはおかしいかもしれませんが、中心とするところの金融、そういう面につきまして、足りないのであるならば、もっと原資を与えていただいて、そしてやらしていただきたい、それによって東北全体の中小企業的なものが出てくるのじゃないだろうか、大企業ができないということであるならば、中小企業をあそこに発達さしていくということも一つの方法じゃないだろうか、こんなふうにも考えますので、御参考までに申し上げたいと思う次第でございます。 時間もございませんので東北開発のことはこれだけにいたしますが、もう一つの問題は、東北地方には、また東北地方とは限りませんけれども、山間僻地が多いわけであります。しかし、山間僻地といえども私は捨てたものじゃないと思うのです。現在、開拓の土地の基準としては、条件として傾斜度十五度ということを一応基準にしているわけです。ところが、全国において傾斜度十五度をこすところの耕地というのは十五万ヘクタール。これが非常に散在しているわけです。これを無視して増産ということは、私はなかなか考えられない。ところが、その山村がつぶれかかってきた。そして今後ある限界に達したならば、加速度的にそういうところの耕地というのはつぶれるのじゃないか、こういう心配があるわけです。 それで、従来の山村僻地対策というものは、動かなかったところに対して社会資本を充実して、まあ人並みの生活ができるようにしよう、ではないかという努力であったけれども、いまの山村地帯は動いてきている。この動いてきている山村地域につきまして、あるいは僻地につきましてどういうふうにしたらいいのか、従来のものの考え方ではいかないのじゃないか、その点が政府の施策として明確でないわけです。山村というのはつぶれていいのだろうか、自然の傾向としてつぶれるのならしかたがないというものの考え方なのか、あるいは、僻地山村の日本の経済における地位を認めて、これを維持していこうとする政策なのかわからないのです。ただ、わいわい言われるから三千万円程度の、まことに中途はんぱな金をかけてやっているようなこともございますし、それかといって、もうつぶれてもいいのか、どうするのかわからないものですから、あそこから流出する人、つぶれて出ていく村人というのはほんとうに浮浪のようになってくるわけです。これに対する救いの手は全然国から伸びてない。そういう意味で、とにかくあすこから出ていく人のためにはどうするのか、そういうふうな点で確たる方針がないのですね。 それで、行政管理庁の勧告なんかも出て、これにも私は不満足でございますが、そのことがうたわれておりますけれども、長官にお伺いしたいことは、山村がつぶれるのならしかたがないのだ、こうお思いになりますか、あるいは、山村というのは、やはり日本の経済のためにも置いておかなければならないのだ、こうお思いになりますか、基本的なものの考え方を承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 前段の問題でございますが、私も、北海道東北開発公庫は非常にいい仕事を従来してきておるというふうに考えております。 そこで、今回東北開発株式会社のこれからのあり方について検討いたします際に、開発株式会社は、御承知のように相当な赤字をしょっておって、しかも再建計画の途中でございます。必ずしも思ったとおりの再建ができておりません。そこで、今後東北開発株式会社のこれからを考えますときに、その債務の処理をどうするかという問題が一つございますのと、会社が現在出資あるいは融資をいたしております企業が相当ございますが、東北開発株式会社が関係をいたしますと北海道東北開発公庫は関係をしないというようなルールがございまして、どうもその辺のことがうまくいっておりませんので、そこで、できることなら、私は、東北開発株式会社の現在の出資なりあるいは融資なりの関係を公庫のほうへ何か移す方法はないだろうかということも検討してみたいと思うのでございます。 それから、公庫そのものにつきまして、東北あるいは北海道で事業をする場合に何か特利が考えられないか、金利の上でのインセンティブが考えられないかということを、実は四十二年度の予算の際にも考えてみたのでございますけれども、時間切れで実現をいたしませんでした。しかし、何かそういうことをもう一度考えてみて——いずれの問題も財政当局に相当大きな、言ってみれば反対があるのじゃないかと思いますけれども、夏までに何かのことをやってみたいというふうに考えております。 それから、後段のことでございますが、率直に申して、御指摘のとおりの実情だと思うのです。それは政治の貧困ということにもなるじゃないか、私は、正直言ってそのとおりだと思います。で、いろいろ僻地関係の対策、教育でも医療でも、児童福祉でもあるいは豪雪でも、それから財政でも、何かかにか法律をつくったり金を出したりしておるのでございますけれども、やはり隔靴掻痒の感がある。基本的におまえは僻地山村というものに人がいなくなってもいいと思うかとおっしゃれば、私はやはりそうではない。これは大きな経済法則というものはあるといたしましても、やはりああいうものが滅びていくということがあってはならないことだというふうに私は基本は考えております。
○野原主査 華山君に申し上げます。申し合わせによる持ち時間を経過いたしましたので、結論をお急ぎ願います。
○華山分科員 私も長官の言われたとおりだと思うのです。そうであるならば、いまここで具体的な方策を述べる時間もございませんけれども、山村、ああいうものがとにかく存在していくということにつきまして、もっと徹底的なやり方をしていただきたい。現在のような山村振興法に基づく予算というふうなことでは、あれはもうなまはんかで何ともならない。とにかく一カ町村に大体平均三千万円、それを四カ年でしたか、やる。一年に七、八百万円、そんなことでは林道一本できるだけだ。そういうことでは山村振興にはならないですね。そうして、その後それを負担していかなければならない。たださえ乏しいところの市町村がある程度財政負担していかなければならない。ある市町村におきましては、そういう負担能力がないからといって指定を拒んでいるという状態なんです。 私は、先ほど申し上げましたとおり、ほんとうに山村というものが、あるいはそういうところの田がだんだんつぶれていく、そういう事態になりますと、先ほどおっしゃいました農産物の増産の面にも影響があると思いますし、根本的にひとつ、山村とはいかにあるべきか、山村振興につきましてはどういう財政措置をすべきか、そういう点について、もう一度基本からお考え直しをいただいて、御検討いただきたいと思います。 お答えがなければ、私、これで質問を終わります。
○野原主査 和田耕作君。
○和田分科員 企画庁長官にお伺いいたします。 一昨日、物価問題対策特別委員会で四党共同の決議案を出したわけであります。その中にいろいろと要望事項があるわけですけれども、きのう長官が新聞でお話しになっておられる合理化カルテルですね。牛乳の小売り商、この問題をさっそくお取り上げになっておられるわけです。あの決議でいろいろたくさん議論をした問題があるのですが、その問題は、重要な議論の中の一つの問題なんです。 つまり、ああいう小売り商のカルテルというものが現段階で持つ意味というのは二つあるわけです。物価の問題から見ると、プラスになる面とマイナスになる面とがあるという問題があると思うのです。おそらくそのプラスになる面を評価をされてさっそくお取り上げになっておるという感じがするのですけれども、あのカルテルを、今後即時にああいうものをつくらすように指導なさろうと思うのか、あるいは、どういうふうな意味であのカルテル構想を評価しておられるのかということをお聞きしたい。
○宮澤国務大臣 実は、あの問題は、まあ当面牛乳を中心にして起こってきておる話でございますが、今度牛乳の生産者の手取りを引き上げました際に、それが消費者価格にはね返るべきかどうかということが当面の問題でございますが、各地で消費者と、主として小売り店でございますが、それとの間で接触がいろいろに行なわれております。私どもも、これは直接各地方での話し合いということは非常に有意義だと考えまして、役所の者もできるだけそういう場に出まして話し合いの機会をつくりつつあるわけでございます。 その結果だんだんわかってまいりましたことは、根本的な理論上の論争はともかくといたしまして、非常に具体的にその地区地区で話してまいりますと、あるいはみんなでまとめて取りにいったらどうなるとか、早朝配達を廃止するとか、隔日配達にしたらどうなるとかいうことが、相当具体的に消費者と配給業者との間で議論になりまして、かなり具体的な結論が出そうな場合が各地に相当出てきておるわけでございます。ただ、その場合に、配給業者のほうは、やはり過当競争が相当ございますために、自分はやってもいいけれども、ほかがやらなければ自分のところが没落してしまうというような懸念を相当持っておるわけでございます。そこで、できるならばみんな一緒にそういうことを申し合わせて実行したらどうなんだということになりますと、現在の状態では、それは公正取引の関係で違法になるということでございますから、何とかしてこの際その違法性を阻却する方法はないだろうか。それは中小企業団体法で商工組合をつくるということが一つの方法である。アウトサイダーの規制はございませんけれども、しかし、相当多数の業者が、自分はやってもいいが、みんなが一緒ならという気持ちでございますから、みんなが一緒にやれるような、しかもそれが違法でないような方法は何かということになりますとああいうことが出てくるわけでございます。ただ、御指摘のように、ああいうカルテルというものはもろ刃の剣でございますから、悪用される心配がございます。 それで、たとえばその牛乳を早朝にはもう配達しないことにするとか、取りにいくことにするとか、隔日にするとかいうことは長い間の慣行を変えることでございますので、かりに一年ないし二年でもやってみて、今度新しい慣行を確立いたしましたら、もうカルテルというようなことは必要のないことでございますから、また、ないほうがいいのでございますから、そういうものを認めるときにやはり期限をつけることが必要であろう、慣行になってしまえば、もうそのとおり自然にいくと思いますので、一年とか二年とかいう期限をつけることが必要であろう、大体そういう考え方をいたしておるわけでございます。
○和田分科員 きょうの新聞でも長官は期限をおつけになるという記事もありましたけれども、いまおっしゃる意味でその点はよくわかりましたが、ただ、この問題は、特に牛乳の小売り商というものが、実際の状態から申し上げますと、四大メーカーに直結をした——その度合いはいろいろございましょうけれども、非常に直結をした状態で牛乳の販売をしている。設備の問題でもあるいはいろいろな運営の問題でも、いろいろ強大な四大メーカーから指示を受けるという関係にある人がおそらく六、七〇%に達するのではないか。実際はそういう人同士のカルテルになるわけですね。そういうふうなところから、四大メーカーではできないいろいろな協定がそういう小売り商の場で行なわれる可能性も出てくる、意向を含んでいろいろすることも出てくるということで、当面いろいろな問題も、いい面もあるように指導していただきたいと思うのですけれども、まあ、あの商工組合というのは、つまり技術の問題だとか、あるいは品質の問題だとか、あるいはコストその他のはっきり合理化の問題なんですから、その趣旨としてはそう悪いものじゃないのですけれども、実際にこういう段階で小売り商が横断的な一つの共同動作をとるということ、その上に四大メーカーというものがしつかり控えておるという問題があるので、よほど御注意なさらぬと、この指導が逆になっていくという可能性が非常に多いわけでございます。 そういう問題を含めての決議の趣旨だと私は思うわけでございまして、その点が実行できるような指導あるいはつくり方をしなければならない、こういうふうに考えるわけでございますけれども、あまりマイナス面が出ないような、何かそういう有効な方法はお考えになっておられますか。
○宮澤国務大臣 実はまだ話の途中でございまして、これからのことになるのでございますが、確かに、店はみな上から四大メーカーにひもがついておるというかっこうでございまして、それを今度は横割りに、地域でもって協定を結ぼうというのでございますから、御指摘の点はよほど注意してまいらないといけないと思っております。いま具体的にどういう問題が起こりそうだということがはっきりいたしておりませんので、どうするかということもはっきり申し上げられませんが、弊害が生じやすいことでございますから、よほど注意をしていかなければならない、そういう心がまえでやるようにということを申しております。
○和田分科員 最近、牛乳の安売りというような問題が新聞紙上でいろいろ出ているんですけれども、ああいう問題についても、こういう安売りするものには品物を渡さないというようないろいろな問題が起こってくるわけでございまして、これは単なる仮定の問題ではないわけでございますね。また、四大メーカーはかなりもうけておるということでございまして、そういう問題もあるので、特にああいうカルテルを、商工組合というものをつくる場合には、その点を特に御注意をしていただかないといけないんじゃないかというふうに思うわけでございまして、ぜひひとつお願いしたいと思います。 それから、その問題と関連するのですけれども、物価問題懇談会以降、現在の物価安定推進会議の問題でもそうですけれども、根本の理念として、物価を安定さすために、自由な価格形成の条件を整備していくという基本観念がおありになるわけですね。 これは経済合理性の問題と関連をして、名分としては正しいと思うのですけれども、ただ一方で、現在日本の中小企業の問題は非常に複雑な問題がございます。中小企業の場合には、去年あたりまでは過当競争で非常に苦しんでおったという問題がございますね。その他いろいろな資金問題その他の問題もあって、合理化のためのカルテルだとか、あるいは不況のための不況カルテルだとか、あるいはその他の協同組合法によるいろんな中小企業の共同動作を必要とする要素があるわけですね。つまり、これも、日本の中小企業は、ああいうものは経済の非合理だから切って捨てろという意見であれば別問題ですけれども、そういうふうな意見は正当ではないと思います。やはり中小企業としてりっぱに安定するような方策を講じなければならない。そうするためには中小企業の共同動作というものがぜひとも必要だという要請が片一方ではあるわけですね。つまり、日本の当面の価格の問題と中小企業の安定の問題という問題を含めて、物価行政の問題にしましても、次第にこの二つの基本政策がまともに突き当たってくるというような段階にきている。これは単に牛乳の問題だけではございません。他のすべての問題がそういう段階に当面している。あるいは価格の支持制度の問題にしてもそうでございますね。 こういうような問題について、経済企画庁長官として、行政指導なり立案をする場合に具体的にどういうふうにこの問題を消化されて指導されようとしているのか、お聞きしたい。
○宮澤国務大臣 それはもう非常にむずかしい問題で、しょっちゅう突き当たる問題でございます。私は、大企業については、いわゆる自由競争によって価格というものは、どっちかといえば少しでも下がっていくのがほんとうだというふうに見ておるわけでございますが、中小企業の二重構造というものがどうしてもまだ解消しておりませんので、やはり協業化であるとか高度化であるとかということで、生産性を片一方で上げていく、経常の規模を大きくする、商業についていえばボランタリーチェーンなんというものもその一つになると思うのでございますけれども、共同仕入れでありますとか、あるいは共同経営であるとか、いずれにしても、商業にしても工業にしても、資本装備率は非常に低うございますので、したがって、人件費の上昇というものをなかなかこなし切れないということは事実だと思うのであります。ですから、生産性を上げる努力をいろんな形でやりながら、しかし、中小企業の生産する商品あるいは扱う商品、また、中小企業がいたしますサービスの料金といったようなものは多少ずつは上がっていくことはおそらく避けられない。そうしなければやっていけないのだろうと思います。そういう中で、徐々に協業化あるいは高度化等で資本装備率を上げていって生産性を高める、こういう形で処理するしか方法がないような気持ちがいたしております。
○和田分科員 現在、物価の問題、物価を安定させなければならないという大義名分があるわけでございまして、したがって中小企業のいろいろむずかしい問題がある。ことによれば倒産をするかもわからないというような問題があっても、それはそういう問題が出たときに手当てをすることであって、何よりもかによりも自由な価格形成の条件を整えることが先決だ。そこにはっきりウェートを置いておられる——はきりというのは語弊がありますけれども、十のものなら六、七はそこにウェートがあって、そこから起こってくる中小企業の問題をそのつどケース・バイ・ケースで解決していくというような御方針と承っていいのですか。
○宮澤国務大臣 後段のほうはさようでございますけれども、しかし、中小企業が一番経済成長に即応しにくいものの一つでございますから、ある程度の価格、サービス料金の上昇というものは、中小企業についてはやむを得ないのではないだろうかということは片一方でやはり踏んまえて考えておかないといけないじゃないか、こら思っております。
○和田分科員 実は私も二、三年前まではそういう考えを持っておりました。つまり、経済合理性という問題が非常に重要だという感じで、非合理なものはかなり急速に変えていく必要があるという感じを持っておりましたけれども、実際に選挙をやりまして、地域の中小企業の方々と毎日接触をしていろいろと状態を承っておりますと、小売り商でも中小のメーカーでも、日本の経済のいろいろな状況を総合的に見て、なかなかこれはそう単純にいくものではないのだ、つまり、経済の合理性というものがあるから、非合理なものは切り捨ててでも、というような態度ではこれはいけない問題だ、そこに苦労があっても、中小企業の、政府もよくおっしゃるような生産性の向上のための根本的な援助が必要だ、その援助によってできるだけ近代化をしていくという、この意欲が重要だということを非常に痛切に考えるようになったわけです。 つまり、いまのは、物価対策を焦点にして考えてみますと、いろいろ言っておられます中小企業の生産性の向上の問題、先ほど問題になった山村の問題でもそうだと思いますけれども、それについての具体的な意欲というものが足らない。どうせこれはもうだめだというような感じを半分以上持っておられて、しかしそう言っちゃたいへんだから言わないけれどもという、そういうふうなお気持ちが、経済指導の——これは単に企画庁だけじゃございません。一般学者の諸君にもそれがあると思いますけれども、そういう問題をひとつもう一度じかに当たってみて、中小企業の近代化のために本気になって、中小企業の育成と申しますか、育成というより近代化ですね。近代化という目標に向かって一生懸命になってひとつ政府が取り組んでみる、この姿がぜひ必要だと思いますね。これは、前に向いて前進していけば、物価の自由な価格形成の問題とそう突き当たることだけじゃないと思います。当面突き当たるように見えても、現在解決しようと思えばそうだけれども、一歩前に向かって解決を求めていけば解決できない問題じゃないんじゃないかということなんです。たとえば、物価はだんだんと上がるからしょうがないのだということではなくて、何とか物価を押えようという気持ちで物価を扱うのとだいぶ違うのと同じように、中小企業は、これはいろいろやってもだめだ、いいものもあるけれども、大部分はちょっとあかんのだというような気持ちであるのかどうかという問題は、単にこれはことばのあやだけではなくて、現在まともに衝突することだと思いますから、この問題をぜひともひとつ真剣に検討してみていただきたい。このことをぜひお願いをするわけなんです。 中小企業という問題は、長官として具体的に見ていろいろ仕分けできると思います。大企業と直結するような中小企業もあれば、中小企業として独立の経営のできるものもあれば、あるいはまた非常にむずかしい問題が確かにある。いろいろ仕分けはできると思いますけれども、こういう問題について、日本の経済の一つの今後の見通しをつける責任官庁の企画庁長官として、この問題をどういうふうに考えておるかということをお聞きしたい。
○宮澤国務大臣 かりに財界ということばを使わしていただきます。で、財界でありますとか、あるいは一部の報道機関等々がビッグビジネスを中心にものを考えやすいという傾向は確かに私はあると思います。そのことは中小企業についても申せますが、さらにもっと極端なのは、農業についてそういう発言がしばしばございます。私ども自民党の政策が、いわゆる選挙目当てであるという批判をそういう面から受けるのでございますけれども、私の考え方はかなりそれとは違うつもりでおります。 つまり、先ほどもちょっと申し上げかけましたが、農業とか中小企業とかいうものが栄えていくか栄えていかないかということは、その部分的な利益だけではなくて、日本経済全体に非常に大きな影響がございますので、それで、経済合理性というものがそれだけでは貫いていかれない。中小企業のほうはまだ幾らかそれでも貫いていけますけれども、農業についてはなかなか貫いていけるものではないし、また、それはそういうものとして考えなければならない。ですから、自由化もある程度でとめなければなりませんし、生産者価格を徐々に上げてでも国内で農業の米なんかの増産をしていかなければならないので、これはやはり大企業と違いまして、経済成長に即応するのに時間がかかるのでございますから、その時間をかけて、忍耐をして生産性を上げていくということを考えていくのが、やはり私はほんとうの政治だろうというふうに考えておるのでございます。 中小企業が将来どういう姿になるかということについて、製造業のほうは私はわりに楽観をいたしております。つまり、スペシャリストになっていくということだろうと思うのでございます。大企業ではできないものをやっていく、労働集約的なものをやっていくといったようなふうになっていきますので、したがって、おのずから中小企業の製品が手が込んでおるだけ高い、また高いだけの値打ちがあるといったような姿になっていくと思います。 商業のほうは非常にむずかしいと思いますが、やはり商業の中でもサービス業は手の届いたサービスをするといったような形で生きていくのではないだろうか。それから、八百屋さんとか魚屋さんとかいうものでございますが、これは、一つジェネレーションが変わっていきますと、やはり協業のようなふうに進んでいくのではないだろうか。幸いにしてこの人たちは大体土地という資産を持っておりますので、金融をうまくつければそういう姿に進んでいくのではないだろうか。非常にばく然としてはおりますけれども、そういうふうに見ております。
○和田分科員 いま細部に入ることは時間がございませんけれども、実際、いまの中小企業の人たち、商業をやっている人たちは土地という問題に依存をして、これは逆に農民と違って土地の価格の高騰という問題を背景にしながらいろいろ苦労してやっておられるという問題がある。土地の高騰という問題も、これは別途に相当規制をしなければならない非常に重要な問題が出てくるわけでございまして、私は、案外早い機会に現在起こっておる矛盾が表面に出てくるような可能性が非常に強いのじゃないかという感じがあるわけでございまして、そういうような面からも、つまり、政府が実際お考えになっている経済合理性の限度——それがすぐ行なわれなければいけないということはわかりますけれども、こういう問題を隠さないで中小企業の方々にお話をして、そして御協力を求める、同時に、政府はできるだけの援助を、近代化への援助をしていく、こういうふうな態度を物価問題と並行して進めていかれなければならない。 しかし、こういうような問題は、企画庁長官が何ぼ気ばってもなかなかできるわけではないので、今度の物価安定推進会議の問題に期待を寄せるわけですけれども、そういうことも含めまして、この前の物価問題等特別委員会での決議の中には、企画庁の指導力を強化しなければならないという一項目が入っているわけなんですけれども、たとえば、いまの商業、先ほどの小売り業の問題でも、これを実施するにしても企画庁の手から離れるわけですね。しかもこれは、中小企業の関係であれば、必然的に中小企業の人たちの生活が安定するような方向にウエートの置かれた行政をなさる、これは当然のことですね。そうなると、先ほどから言っている物価安定のためのカルテルのはずのものが逆のものになってしまうというおそれが濃厚にあるといろ問題も出てくるわけでありまして、こういうような問題を、商工組合をつくるという正しい趣旨を生かすために、企画庁長官としてどういうふうな方法があるのか。権限を強化する、あるいは指導力を強化するという必要があると思いますけれども、それについてどういう措置が必要なのかという御意見を聞かしていただきたい。
○宮澤国務大臣 私は、やはり権限という問題よりも説得というようなことに重きを置いて考えるべきじゃないかと思います。もしほんとうに何でもやることになれば、各省のことをやるようなことになってしまいますので、それではやはり行政が動きません。したがって、御承知のように、企画庁は企画庁それ自身のスタッフも持っておりますけれども、各省から優秀な人に二年ぐらいの期間出てきてもらってやっておるわけでございますが、そういう形で各省に働きかける。これは調整ばかりではなくて、積極的に働きかけをしておるのでございます。まあ、大まかにこの問題の所在を指摘して、そして各省に働きかけて、そういう認識のもとに仕事をしてもらう、こういう形で運営されることが一番望ましいのではないだろうか。固有の権限を持ってそれでやろうということになりますと、やはりなかなかうまくいかないような感じでございますけれども、私はそういう感じがいたしております。
○和田分科員 たとえば、消費者基本法という考え方が一つあるわけですけれども、これは物価の問題にとって非常に重要な要素になるわけでありますが、こういうふうなものができて、それを企画庁がその法律に基づいて企画庁の調整行動が行なわれるというふうなことは、可能だとは思いませんか。
○宮澤国務大臣 現在の行政機構、それが持っております慣習等々から考えますと、なかなか容易ではない、率直にはそういう感じがしております。
○和田分科員 好ましくもないという意味ですか。
○宮澤国務大臣 必ずしも好ましくないと、率直には思います。
○和田分科員 私は、先ほどから申し上げておりますように、なかなか各省の一致行動ができないという背景には、特に物価の問題については、ことばで言ってもなかなか説得のできない問題が背後にあるような感じがするのです。安い物を売るということと、小売り商を援助するという問題は、これは説得をなさってもなかなかむずかしい。役所自体がその問題を背後にしておるわけですから、なかなかむずかしい問題があると思いますので、本気に、物価の問題を総合的な観点に立って正しい実行を監視していくということがぜひ必要だと私は思うのです。そのためには、おっしゃるとおり、そういう権限を持てば、かえってトラブルが大きくなって、できるものもできなくなってしまうというおそれもあります。ありますけれども、それよりももっと、その前提として、官庁間の非常に利害の違った、意見の違う可能性のある問題ばかりが今後出てくることでございましょうから、何かその問題について、企画庁というものが、自分がせっかく立てた意見というものが実施できるような、その実行を監視できるような、あるいは調査できるような、そういうふうなものが必要じゃないかと私は思うのですけれども、これはやはり、確かにいままで、企画庁長官がそういう問題について発言をすれば新聞が取り上げる、あるいは物価問題懇談会が取り上げれば新聞は大きく書く、そういうふうな、これは一つの野党的な意味になって——長官の発言がかえって政府の中で野党的な発言になって、それを新聞は興味を持って書き上げる。そういうふうな意味で、他の行政官庁を道義で縛っていくという役割りはありますけれども、そういう状態では、実行について、現在の総合的な調整を必要とする段階では、もうかえって弊害が起こるのではないかということすら私は考えるのです。 したがって、問題のむずかしさはありましても、経済企画庁というものが、各省の上に立つようなものであってはいけないと思いますけれども、もっと調整機能が発揮できるような権限を持つために、必要があれば、消費者基本法だとか、そういうふうな物価問題を中心とした——当面この問題が一番最大の問題ですから、この問題を中心とした一つの基本法的なものがあって、いわば常時閣議決定で各省が縛られるというようなものを機構化したような意味のものをお考えになる必要があるのではないか。こういうような意味で、物価問題等特別委員会の各党一致の見解として、企画庁の指導力を強化しなければならないということだと思うのですけれども、何らかその問題について、まあ、いまの状態ではしようがない、それをかえってやらないほうがいいのだというお考えでなくて、その問題を何とかしようという意欲をお持ちいただきたいと思うのです。 これは、御本人がそういう気持ちがないのに、よそからやれやれと言ったってなかなかむずかしいことですけれども、率直に言って、どうなんでしょうかね。
○宮澤国務大臣 御指摘の点はよくわかりました。 結局、私は、企画庁がもし物価というものについて非常に強力な発言ができるとすれば、これはもうほとんど経済全部を掌握するようなことになりますので、そういうことは考えない。結局、総理大臣をはじめとする閣議の各閣僚の物価問題についての関心と各省に対する指導力の問題だ、その面は私はそう考えております。ただ、他の面で、これは御指摘になったことだと思いますけれども、つまり、物価のあり方について注意をし、あるいは、場合によっては監視をするというような機能は、本来公正取引委員会の機能ではないはずではないか、これは不公正な取引について公正取引委員会がものを言うのであって、物価の上下ということについてものを言うのは本来ではないではないかということは、私もそうだと思います。ですから、そういう意味では、不公正な取引は公正取引委員会が見るといたしましても、物価そのものを何かの意味で監視をする、そういう機構は別に要るのではないか、こういう御指摘は、私はやはりそうではないかと思います。それで、ただいま物価安定推進会議は部会を設けて検討を始めたわけでございますけれども、何かひとつ監視の機能をどこかが持たなければならないのじゃないかということは、あそこの部会で検討してみていただこう、こう実は思っております。
○和田分科員 それでは、私の質問はこれで終わります。どうもありがとうございました。
○野原主査 堀昌雄君。
○堀分科員 私は、企画庁長官に、経済見通しを中心とした日本経済の今後の問題、及び経済見通しというのはいかにあるべきかという問題と、あと物価、それに関連する経済と物価の問題を少しお伺いをいたします。 まず最初にちょっと伺いたいのですけれども、昭和四十一年の実績見込みで民間設備投資五兆四千億円というのが、この前三月十三日ですかの閣議で決定を見ておるわけですが、大臣どうでしょうね。私はやはりこの四十一年度の民間設備投資というのは、もうちょっと高いように思うのですがね。現在の時点でまだ七—九までしかわかっていませんからあれですけれども、。しかし四—六、七—九の状態を見ると、その後の経済情勢というのは、第三クォーター、第四クォーターとも、前半の第一クォーター、第二クォーターに比べて生産活動も高いししますから、これから見ると、設備投資水準というものは四十一年でもすでにかなり高い水準でこの三月から四月に移行してきているのではないか、こう思うのですが、長官、これについてはいかがですか。
○宮澤国務大臣 これは御指摘のようなことで、最後の四半期の資料がございませんので何とも申し上げかねますけれども、あるいはそうであったかもしれないと思います。
○堀分科員 私がいまこの問題を特にそういう感じで申し上げておりますのは、この前出た四半期別で、四十一年の四—六が五兆一千四百億円、それから七—九が五兆四千五百億円というのが年率で出ているわけですから、それから見ると五兆四千億円というのは少し低いような感じが私はするわけです。そうすると、それからずっと引っぱってくると、四十二年の四—六の段階というのは、どうももうすでに六兆円べースに乗っかっているのではないのかな、そういうふうな感じがするので、その点でも、昭和四十二年度の皆さんのほうの六兆二千億円、これがやはりどうも低いんじゃないのか。それは前が低くて、それに対して上積みを幾らという見方をしておるから、当然その五兆四千億円が動けば六兆二千億円は動かざるを得ないと思いますが、依然として少し低いんじゃないか。すでに私は四—六は六兆円ベースだというふうに思うのですがね。これはいまこまかい計数があって議論するわけではありませんけれども、しかし、過去の動きと現在の鉱工業生産の伸びの状態を見ますと、どうも私は、そういうトレンドを見ればそこいらへくるのではないかと感じますが、いかがですか。
○宮澤国務大臣 私どもも四十二年度の上期、少し期間が長うございますけれども、上期はほぼ六兆円べースになるであろう、多少の上下はございますが、ほぼ六兆円のべースになるのじゃないか。実は私自身、去年の暮れからことしの一月ごろにかけまして、相当高いベースになるのじゃないかという懸念を持っておりました。 ところで、その後二月、三月と経過してまいりまして、どうも経済がどっちに向かっていくのか、前半ぐらいの見当はつくのでございますが、後半の見当が率直に言ってよくついておりません。おそらく、それをほぼ決定いたしますのは、産業構造審議会の資金部会で最終的にどういう決定が出るかということでほぼ見当がつくように思いますが、そこへいきますためには、まだ鉄鋼をはじめ、石油化学、石油精製等の設備調整の問題がございますので、どうもそれを見ておりませんと、どういう落ちつき方をするのか、はっきり下半期のほうがよくわからないような気がいたします。上半期は、どうもしかしほぼ六兆円のベースになるのじゃないかと思っております。
○堀分科員 そこで、長官、私はこれまで、経済見通し問題というのは、歴代企画庁長官と大蔵委員会でもやり、ここでもよく議論をしてきたわけですが、昨年私は非常にうれしかったのは、昨年は確かに経済の動きがかなり激しかったわけですが、八月に私は藤山前経済企画庁長官に、現在の経済の動き方としては、どうしてもひとつ改定見通しを中間的に出してもらいたいということを強く要請をいたしました。藤山さんは気持ちよく、これはぜひこういう動きのときには改定見通しを出すべきだという答弁をしていただいて、十月に御承知のような改定見通しが出ました。これは改定見通しというだけではなくて、国民所得計算のいろいろな問題もあわせてそこから変わってきたわけでありますが、私は、この経済見通しというものが一つである必要はないのじゃないかという気がしております。 一つである必要はないのじゃないかということは、まず出される時期は十二月でもどこでもいいのですが、その出される時期に、もしいまの経済情勢を、特別な政策配慮をいろいろやらないでそのまま持続したとすると、この経済は大体こういう姿になるのだろうというように、一つ試算があっていいのじゃないか。それは、その後の情勢はわかりません。政策配慮が当然入るから変わるわけですけれども、しかし、いまおっしゃるように、現状で動いているのは、私はもう間違いなく六兆円ベースの上に乗っている、こう見ています。ところが、産構審の資金部会でいろいろやってみましても、これまでの過去の経緯から見まして、それでは設備投資が少しスローダウンするかというと、実はあまりスローダウンしないのですね。それほど産構審の資金部会は力がないと私は思っております。 同時に、あそこの仕組みは、私はこの前堀越さんに委員会へ来てもらって、資金部会長にこう聞いたわけですよ。大体、ここで資金の割り当てをこう見ていましても、内部留保はこれだけないじゃないですか、現実にここではこれだけの内部留保は引き当てになっているけれども、それだけの内部留保はない、それから、ここではともかく銀行の借り入れ金をこれだけ見ているけれども、銀行側としても、これだけはとても無理だ、こういうふうにはっきり言っているではないか、増資については、私が議論したときは、いまもそうだけれども、証券は非常に低迷していて、増資はストップしている、それなのに増資資金がこれだけ出ておるじゃないか、そういうふうに資金のつじつまが全然合っていない、こんな資金部会の答申は意味がないのじゃないですかと言って、私は堀越さんに聞いたら、堀越さんは、あなたのおっしゃるとおりです、こう言うのです。私どもも全然納得していません、納得していないけれども、下からこう積み上がってきたものを、最終段階でさわりようがないのです、と言うのですよ。要するに、ここをどれかさわるとなったら、全部下へ戻って全部さわり直して、もう一ぺん積み上げるのでなかったらさわれないから、実は資金部会でいろいろやっていますけれども、あなたのおっしゃるように、ちっともつじつまの合わないものが出ております、というのが資金部会長の公式答弁なのです。そういうところを見ますと、私は資金部会がたいへんいろいろお骨折りをいただいておるのにけちをつけるのじゃないのですけれども、やはり非常にラフなことがされておるために、現実にはコントロールがあまりきかないというふうに私は感じておるわけです。 だから、私は、いろいろなことを言われますけれども、少なくともことしの民間設備投資は、経済の先行きの見通しは別として、依然としてかなり後半も伸びていくような情勢にあるという判断をしております。これに多少チェックがかかるとすれば、やはり資金需要の問題でチェックがかかってくる以外にはチェックはかからない。ところが、ずっとこまかく調べてみると、どうも内部留保、内部資金がだいぶ多くなってきましたから、かなりのものは内部資金でやれるという情勢に、一面的にはなっておるわけですね。 ですから、そういう点で私がいま申し上げるのは、ひとつ自然の姿で出るものを一ぺん出してみて、それにこういう政策的な処置を政府がとったら、その場合には今度はこれはこうなるのだという——だから、それがいまの見通しの問題ですね。こういう問題の出し方が一つあっていいのじゃないかな、こう思うのですけれども、どうですか、企画庁長官。
○宮澤国務大臣 私も、経済見通しというものがたくさんあるといいということは常々思っております。 ただ、その場合に堀委員の言われますのと多少意味合いが違うかと思いますが、つまり、政府ばかりでなくて、政府以外の権威のある経済見通しを幾つか先進国のように立ててくれるところがあると、国民各位もいろいろ比較されるのに好都合であろうということは非常に考えております。 それから、いま言われましたようなことは私も何度か考えてみましたけれども、実は政府自身が経済活動の相当大きな部分の主体でございます。おそらく量的には二割ぐらいの主体であろうと思うのですが、したがって、その部分はこのままほうっておけばというのが、政府自身のことだもんでございますから、そういう立場がなかなか成り立ちません。それから、広い意味では日本銀行とかあるいは政府関係諸機関というのが同じく政府でございますから、それがどういう態度をとるかということは政府自身の問題で、これをほうっておけばという立場がなかなか成り立たないのであります。おっしゃる意味は私もよくわかりますが、そういうことからなかなかそういうことができない。もしこれが第三者機関でありましたら、政府とか日本銀行とかいうもののビヘービアが大体客観的に見えまして、それでいまのようなビヘービアだとこうなるはずだぞ、したがって、ということができるのでございましょうが、どうも政府自身にはそれがやりにくいということであります。
○堀分科員 確かに、おっしゃることも一つの側面でありますから、それは政府がつくりにくいということはよくわかります。ただ、いまの経済見通しというものが、多くは政府のこうあってほしいという願望であったり、いろいろな要素がそこへ並んでいるわけですね。これが必ずしも経済見通しではないということになっているわけです。だから私は、やはり願望は願望として持つものがあっていいけれども、客観的にはもう少しほんとうの見通しですね、そういうものがあると、みなももう少し考えやすいと思う。けれども、やはり経済見通しというものをわれわれがかなり重要視をしているものですから、こんなものははなもひっかけないならどんなものが出てもいいのですけれども、やはり重要視をする。なぜ重要視をするかというと、たとえば、歳入一つを計算するにしても、大蔵省がこれを基本にしてそろばんを置くわけですから、そうすると、やはりこれをかなり重要視せざるを得ない、こういうふうになってくる。ところが、その重要視されるべき経済見通しは、過去においてもしょっちゅう私どもが予言をしたとおりの動き方をかなりしておるというのも、実はまた間違いがないのですね。 そこで、もう一つの問題は、だから、それならば、四半期別に変えるのもどうかと思うけれども、一ぺん第二クォーターが終わったところでは一番新しい資料をもとにして、その年度における見通しの改定をやるというような——昨年やってもらったわけですが、私は、そういうことをやってもらうと、まだ現実に近い問題の見通しにはなってくるでしょうね。私も、何回も申し上げてなかなか前進をしないところの、国民所得統計の概算でいいから早いものを一つ出してもらいたいという提案を長くここでやっているわけです。予算委員会の一般質問でやったり、いろいろなところでやっている。この前は総理も、たいへんけっこうなことだから、ひとつ予算的にも配慮して、ぜひそういうふうにしたいなんて言っているけれども、まだ依然として、いま三月に七—九月が出たらそれまでだということで、なかなかそういうものの早いものが出てこない。早いものが出ないから、結局不確実なものが見通しとしてずっと長く置かれておる、こういうことになると思うのですが、これは一つどうですか、ことしも第三四半期の始まりくらいのところで一ぺん最近の資料をもとにして改定見通しを出すという方針でやってもらったらどうだろうかと思うのです。
○宮澤国務大臣 経済見通しがただの見通しではないと言われるのは、そのとおりでございます。私ども、正式には経済見通しと経済運営の基本方針ということで発表するわけでございますから、そのとおりでございます。 それから、経済見通しというものがもう非常にいろいろな制約を持っておって、なかなか当たらないということもそのとおりでございまして、これは顧みて他を言うのではございませんけれども、わが国ばかりでなくて、米国あたりでもやはり確率は六割くらいという過去十年くらいの統計があるようでございます。これは民間を含めてでございます。でありますから、従来もしばしば、十二月に立てました翌年度の見通しが非常に大きく狂いましたときには、秋には改定をするということがございました。今後ともそういうことが必要であれば、あえて全くはずれた当初の見通しにこだわることはないということは、従来と変わらない態度のつもりでございます。 それから、国民所得統計も、もっと早くということは、しばしば堀委員が御指摘になっておられまして、従来は半年おくれぐらいでございました。で、今回、と申しますのは昨年の十—十二付月期でございますが、これは大体四カ月おくれぐらいまで短縮をしたい。五月の初旬には十—十二月出るようにしたい、こう考えております。
○堀分科員 まあ二カ月、たいへんな努力でしょうが、そうやって縮めていただくと非常にけっこうですから、できるだけ近いところの正確な統計がなくては見通しが立ちませんから……。 それから、経済運営というのが、やはりいま一つの大きな盲点は、在庫がどうも不明確なんですね。これは昨日私は通産の分科会でもやっておるのですが、鉄鋼問題一つ取り上げてみても、どうも最終の需要家在庫なんというものはほとんどわかっていない。それから流通在庫でも、末端在庫がわからないというようなことが、やはり指導上でも、そんなに買い急ぎしなくてもいいですよということが言えないために、異常な高値が突然として起こるというようなことで、それによって需要家に不測の損失を与えるというようなことが起きておるわけですね。私は、だんだん日本も近代化しつつあるわけだから、そういう意味では、もう少しやはり在庫も十分何らかの方法で調査ができるような努力を、企画庁のようなところでプランを立てて考えてもらいたいと思うのです。これはやはり、在庫が狂うことはかなり大きく見通しに対して影響がありますし、在庫が正確に把握されておれば、それだけ早くいろいろな経済的な先行きに対しての予告ができるわけですから、その点は、もう少し正確にこれが把握できるような問題をひとつ考えてもらいたいと思います。 その次に、いまので皆さんのほうの努力をしていただいていることはわかりましたが、私は、この間あなたと大蔵委員会で議論をしながら一つ気になることがあるわけです。それは、あなたはあのときに、全体がバランスがとれていれば、たとえ九%の実質成長でも安定成長ですという御答弁をされたのです。覚えておられますか。——それで、私は、この前佐藤総理と議論をしたときに、安定成長というのは、あなたはどういうものを安定成長と言っておるのですか、あなた方の親分であった池田さんの高度成長に対して、佐藤さんは安定成長という、よくわからぬ表現ですけれども、そのころとは違って、あまり高度成長でなく安定してもらいたいということだとわれわれは理解をしておったのです。そこで、話を聞いてみると、まあ七、八%程度の成長というのが安定的だ。私は、安定というのは、物価が安定する成長というのがほんとうの意味の安定成長ではないかという言い方をそのときにしておるわけですけれども、そこで、ことしの実質成長は、皆さんのほうでは実質九%ですね。名目一三・四%、こう出していらっしゃる。私は、昨年とことしの経過をにらみ合わせてみて、とてもこれは九%にはおさまらない、少なくとも実質一〇%はこえるだろう、こう思います。いまの特に設備投資がそういう六兆円べースでずんずん前へいくということになれば、おそらくそういうふうになるだろうと思う。 そこで、これまでの物価の問題について、あなたは経済の実質成長率と物価は関係があると思われますか、ないと思われますか。消費者物価です。
○宮澤国務大臣 在庫のことでございますが、もう全く仰せのとおりであります。在庫もわからないし、操業率もわからないというようなことが実際ございまして、最近では、結局この積み上げの統計をいたしますと非常に時間がかかりますし、また、官庁でございますので、その責任を負わなければならぬというようなことでたいへんおくれますので、主として通産省あたりにお願いをしまして、マクロでもって、少し間違ってもいいから早くというようなことをだんだんにお願いしております。確かにその点がいま一つの弱味でございます。何とか実質上改善をしてまいりたいと思っています。 後段のお尋ねでございますが、実質成長というものと消費者物価と関係ないかと言われれば、それは関係がないと言うわけにはまいらない。関係があると思います。
○堀分科員 そこで、私は、もちろん、その成長がそれでは消費者物価にどのくらいの寄与率があるかというような議論は、これはむずかしい問題ですからする気もありませんけれども、少なくともいま日本の置かれておる客観情勢の中では高度成長。要するに、もう九%なんというのは、私はやはり高度成長だと思っているのです。大体いいところで日本の成長というのが、——まあ民間は、この前もちょっと申し上げたように、借り入れが過多であるために損益分岐点が非常に低い。だから、操業率がちょっと下がるとすぐ赤字になるといって騒ぐ。それが政府にはね返って、財政需要で需要を起こせとなって悪循環しているという感じがどうしてもするのですが、それにしても、六%ぐらいのところなら、まあまあ、好況感はないだろうけれども、そんなひどい不況感がないというぐらいのところで、六ないし七%ぐらいのところで実質成長が動いておるときには、私は、まあ物価にはね返る分ももちろんありますが、それほど大きくないのじゃないか。それから上へ上がるほど、私は弾性値が高くなるというふうな感じになってくるのではないかという気がするわけです。 それの一つの大きな原因は何かといえば、日本の場合に、実質成長が伸びてくるというようなととが、一体どこで伸びるかというところに私はやはり問題があると思います。その一番よく伸びているもとは、私は、これは今度経済社会発展計画の中では、幸いにして将来のあるべき姿の中の民間住宅のウエートがだいぶ高くなるように絵が描いてありますから、これはたいへんけっこうだと思うのですが、諸外国の設備投資の中身を調べてみると、大体日本と同じように、民間設備投資の中の住宅が八%だの何だのというのは、フィリピンとかそんなところには少しあるようですが、大体西ドイツあたりでは五〇%民間住宅になってお るわけです。その他のところでも大体二五、六% というのが民間住宅で、いわゆる企業設備のほう の比重が日本より高いところは大体ない、こうなっておるわけです。 日本のように企業設備が非常にふえるということはどういうことかというと、合理化投資もあるでしょうけれども、やはり私は、労働力をどうしたって必要とせざるを得ない。ところが、日本の現在置かれておる状況というのは、これは労働力が今後は総体的に減りこそすれ、ふえはしないという情勢に置かれておるとすれば、ここであまり高度成長をやれば、当然的に私は労働力のところにしわが寄ってくることになると思う。そのしわが寄ったことは、やはり今度は、サービス料金とかその他を含めて、消費者物価へ漸次はね返ってくる。だから、私は、いまの物価問題の一つの基本の中には、労働力の需給状態にマッチしたところの企業の成長といいますか、そういうものがある程度配慮をされていなければ、やはりそういうところからかなり物価を上昇させる要因というものが出てくるのではないか。だから、そのためには、実質が九%とか一〇%とかということになれば、当然賃金上昇を下のほうから引き起とさざるを得ない要素がすでにもう日本の客観的な条件の中にはあるわけですから、ここらをやはりモデレートな成長で長期的に安定していくということのほうが、物価面に対するはね返りも少なくて済むのではないのか。その間、主としてそれが合理化投資その他が行なわれて、そういう企業の成長そのものが必ずしも労働力の大幅な吸収と結びつかないというかっこうになるならば、これはさらにけっこうなのではないのか、こう思うのですけれども、そこらを一体企画庁長官はどうお考えになりますか。
○宮澤国務大臣 成長率が高ければ、それが消費者物価を引き上げる要因になるだろうということは、一般論として私も別に異存がございませんけれども、ただ過去のトレンドを見ておりますと、申し上げるまでもないことですけれども、どうも両方が必ずしも相関的には動いてきていないので、そこに日本の消費者物価問題の一つの特殊件 があるのかとも思います。 それで、いま言われましたことは、根本的には、私違った意見があるわけじゃございませんけれども、ただ、政府が経済成長をあおっておるかといいまずと、どうもそうも言えないようなところがございまして、しかし、たとえば、おまえたちは国債を出したではないかというような御指摘がかりにあるといたしますと、それはわが国の公共投資がこのような状態でございますから、一昨年度は別といたしまして、今年度などは需要喚起のために国債を出しておるわけではないわけなので、したがって、経済成長は九%よりも六%のほうがいいじゃないかとおっしゃいましても、どうやって政府はこれを六%にできるかということになりますと、実はもう、はなはだ手段は限られておるということに現実問題としてはなっているのじゃないかと思います。
○堀分科員 いまのお話ですけれども、やはり政府はあおっておると私は思うのです。なぜ政府があおっておるかというと、一昨年の四十年のときから昨年の前半にかけては、ある程度経済の実態の動きが政府もよくわかっておりませんから、実は大体半年ラグがあると思います。気がつくのは大体半年たって気がつく。そうすると、非常に悪いと思って、ここへ公共投資をうんとやらなければならぬと思っているときは、実はそろそろ底入れして上がりかけている。ところが、今度はこいつが気がつかない。かなり上がったところでどんどん公債発行でやる。繰り上げだということでどんどん前に寄せてくる。それで、実際にはそのときはもう上がってきているものだから、それが加速度的に行くから、ふうっと行っちゃうわけですね。これはやはり現状では無理でしょう。それは私どももあのときに、もうすでに底入れで上がっているというふうに私も思っていなかった。もう少し低迷するだろうと思っていたから、それはおそらく、だれが責任ということじゃありませんけれども、結果としてそうなってきたわけですね。今度少し上がりだしてきたときには、私は、やはり財政をもっと考えていいじゃないかという気がするのです。これは非常にむずかしい問題ではありますけれども、考えていいはずです。 だから、その点は、ことしの国債発行問題については私は明らかに多過ぎると実は思っているのです。やはり私、この間も、あなたのいらしたところでやったかどうか、ことしの自然増収は政府がはじいたようなものではないと思うのです。私はすでに昨年の八月の大蔵委員会で、人事院勧告の問題が出たときに、ともかく税の自然増収が最低二千五百億円くらい出る、二千億円は絶対上回る、こういう議論をしていたわけです。少なくともそれは、当時の鉱工業生産の伸びその他から考えて、そのくらいはいくんだという議論を昨年夏すでにしていたのですけれども、実質的に四十一年度の自然増収は、やはり二千億円をこえるだけのものがあったわけです。それだけは国債を落としましたから、話は別ですけれども。そういう意味では、やはりことしの場合でも実は必要以上にそういうものは積まれておるし、同時に、むずかしいところが一つあるのは、なるほどいま社会資本がおくれておるから公共投資が必要だとわれわれも思いますが、この間大蔵委員会でやっておるように、民間と公共投資が競合したらどうしますかと言ったら、大蔵大臣は、やはり民間優先で、公共投資を引っ込めるべきだ、こういうことになるわけですね。これは、資本主義社会だからある程度しかたがないだろうけれども、しかし、おくれておるものがますますおくれるようになるわけですね。本来なら逆に、民間引っ込めと言っていいはずだけれども、あなたのほうではなかなか言えない。佐藤さんは一生懸命過熱を防ぐと言っているらしいけれども、いまのところは、大体御承知のように、なっていない。だから、そのためには、やはり私は、順序が逆になるかもしれないけれども、政府の投資その他、財政需要の出し方なりを財政の面でもってもう少し加減をすることなくしては、いまのようにあおっておるというのは言い過ぎかもしれないけれども、しかし、やはりいまの政府の考え方は、加速に手をかしておるという感じを私は否定できない。 だから、その点でここでひとつ伺いたいのは、もし見通しが九%とか一〇%になりそうなら、もっと何か手を打つというようなことをあなた方は考えておられますか。やはり一〇%になれば、それでもいいのだということでしょうか。
○宮澤国務大臣 確かに、いまごろになりまして、景気の底は一昨年の秋だったというようなことがわかってくるわけでございますから、御指摘のようなことはそのとおりでございます。 それで、これからのことでございますが、堀委員と私と多少違う感じとまで申しませんが、持っていますのは、夏ごろまでのことは、もうかなりはっきりわかっておりますので、それについては私も別に異論はございませんが、それからあとがどうなるのかということについて、堀委員はやはり間違いないというお考えをお持ちのようでございますが、私自身は、どうもそこがまだよくわからないという感じを持っております。それでも国際収支の天井というものが、御承知のように、どうも今年度はああいう理由から一般には感じられないようになると思いますので、つまり金利の面や何かの問題で、やはりどちらかといえば堀委員の言われるようになるのかなという感じは私もするのですが、もう一つ、そこはいずれの方向にいくか、はっきり私自信が持てないのです。 しかし、自然増収があった場合にどうするか、かりにそうなればどうするかと言われることについては、先般来総理大臣も大蔵大臣も答弁を申し上げておりますように、それはやはり財政が引っ込むのだということでございますから、これは国債発行額を手控えるのだということになると思うのです。
○野原主査 堀君に申し上げます。結論をお急ぎ願います。持ち時間は終わりました。
○堀分科員 いまのお話で、先のわからないことがありますから、それをいま議論しようと思いません。ただしかし、あなたもいまお触れになったように、金利が変わってまいりましたし、短資もどんどん入ってくるというような情勢は、必ずしも私は金融的に見ましてもかなり金融がタイトになりにくい条件が出てきておりますから、押え得るのは私は金融だと思うわけですね。その民間設備投資を押えるのに一番強いのは資金だと思いますが、それすらもいろいろな情勢で必ずしもタイトにならないかもしれない、また、しにくい情勢も一つある。こうなりますと、なかなか私は今後の状態というのはむずかしい点があると思う。しかし、だからといって、政府はただ過熱を避けてくれというようなことでなくて、もう少し具体的なめどを立てて、特にそれは、私また産構審の問題を取り上げて議論をほかのところでやりますけれども、もう少し折り目が立って無理がないようなことになるよう、政府の指導を明確にしてもらいたいということを要望いたしまして、終わります。
○野原主査 岡本富夫君。
○岡本(富)分科員 私は、公明党を代表いたしまして、宮澤企画庁長官に若干質問いたします。 〔主査退席、亀岡主査代理着席〕 その第一点は、本国会において経済に関する演説の中で、社会開発を一そう推進する、計画期間中に二十七兆五千億円にのぼる社会資本を投資し、道路、住宅、生活環境施設など積極的に進めるとともに公害の防除につとめ、国民に快的な生活の場を確保する、こういうように約束されましたが、実行は間違いありませんか。
○宮澤国務大臣 そういう心がまえでおります。
○岡本(富)分科員 次に、最近河川におけるところの汚濁によって公害が非常に騒がれておる現状であります。特に十数年来からの熊本の水俣病ですか、こういう公害問題を考えますときに、水質保全法の第五条に、「経済企画庁長官は、公共用水域のうち、当該水域の水質汚濁が原因となって関係産業に相当の損害が生じ、若しくは公衆衛生上看過し難い影響が生じているもの又はそれらのおそれのあるものを、水域を限って、指定水域として指定する。」とありますが、長官はこれに対して完全に実施しておるでしょうか。
○宮澤国務大臣 昭和三十三年に水質保全法ができたわけでございますが、昨年度までで調査は八十四水域をいたしました。そうして、水質基準の設定は、御承知のようにいろいろ利害関係が錯綜いたしまして、みんなに納得してもらうのに時間がかかるわけでございますが、現在までに十九の河川につきまして、水域につきまして水質基準を設定いたしました。現在、近畿圏の都市河川等八水域につきまして、水質審議会の部会で検討をいたしております。これも各方面の折り合いがつきますと、間もなくすみやかに結論を得て水質基準を設定いたしたい、こういうふうに考えております。
○岡本(富)分科員 そうすると、二、三日前から新聞に出ておりますように、新潟県の阿賀野川の流域に起こったこの問題について御承知と思いますけれども、文化国家であり、水銀のおそろしさを知っておる、そういうようないまの日本において、かつて水俣病という先例があるのに、また再びこういうような川によって悲劇が起こっている。工場排水に有機水銀が含まれ、長い間これを飲み込んで体内に蓄積された、そういう魚を多量に食べたその水銀中毒による、こういうような三段論法でくる病気であるけれども、当時は全国に約二百カ所こういうような工場があった。通産省は水銀を取り除いてから流すように指示した。また、各工場もそういうように対策をとりましたけれども、阿賀野川は相変わらず昭和電工からの多量の水銀が流れ出た。つまり、通産省の指示が徹底せず、また指導監督も不十分であった。また一方、厚生省においては、工場排水は通産省の仕事であるから口出しはできない、こういうような新聞記事がありましたが、水質保全の責任は経企長官にある。そうすると、この阿賀野川に対するところの長官の責任、これについて聞きたいと思います。
○宮澤国務大臣 阿賀野川につきましては、厚生省から三班の調査員が出まして、調査を行なったわけであります。それで、ただいまの段階は、その所見によれば、これは工場のアセトアルデヒドでございますかによるものであるというほぼ所見のようでございます。これは厚生省の正式の見解ではございませんで、今後食品衛生調査会にかけまして、その上で厚生省としての意見をきめ、それを科学技術庁に通達をいたして、最終的には科学技術庁が判定を下すというのでございますから、事件の最終的なその結論は政府としてはまだ出しておらないわけであります。そこで、かりにそういう結論に最終的になったといたしましたときに、現在もう生産は中止されておりますけれども、工場、合成塔を撤去してしまえば今後問題はないわけでございましょうから、あえて水質基準をきめる必要はないかもしれない。しかし、そうでない場合はやはり水質基準をきめなければならない、こういうことになるかと思います。
○岡本(富)分科員 いまの長官のお答えはまことに不満でございます。なぜならば、病気が起こってから、そういうような汚濁になってから水質基準をきめる、そして規制をする。現在までの姿を見ますと、非常にそれが多いのでありますが、この阿賀野川の問題は、私どもは急拠現地に調査に行ってまいりましたが、その実情というものは非常に悲惨きわまっております。そして、これは昭和三十八年ごろの話であったそうですが、飼いネコが踊り狂って死んだ、それからまた、村民たちが目が見えなくなったり、あるいは耳が聞こえなくなったり、それからでも足かけ三年たっているのです。そうして、新潟の今井さんという人は、長男が、この人は三十三歳だったと思いますが、歩行困難になり、またものが言えなくなる、また狭視角になる、他の家族三人とも手足や顔面がしびれている、そうしていま非常に生活に困っております。また同じように、桑野さんというところは長男が死亡している。また一家の人たちがみんなしびれたり、長女のチイさんという人は自動車の運転中にしびれがきて、発作が起きて交通事故を起こしている、そうして一家そろって発病している。いま生活保護を一万数千円もらっているそうですが、どうしようもない生活苦のところへきている。また、この阿賀野川の水銀中毒のために、淡水魚の漁業ができなくなったうちが非常に多い。特に松浜方面に行きますとそういうところが非常に多かった。阿賀野川流域の奥さんたちは、もうこの阿賀野川というのは死の川だと言っております。また、若い夫婦が子供を産むとどんな子供ができるかわからないといって非常に心配して、子を産めない。あるいは若い娘さんはお嫁にも行けない、こういうので非常にノイローゼにかかっております。五人死亡、二十人発病、こういう悲惨な実例を考えたときに、私は、長官は何をおいてもやはりこの水質基準というものをきめて、そして国民の健康を守るのがあたりまえじゃないか、水質基準をきめたり、あるいはまたそういうようないろんな施策を施すのは、あとからやったのじゃ何もならないと思うのです。 こういう実情を考えるときに、長官の責任というものは非常に大きい。いまお話があったように、工場を撤去したらもう水質基準をきめなくていいんだ、これからそれを考えるんだ、こういうようでは非常に責任がないように思うのですが、どうでございましょうか。
○宮澤国務大臣 御不幸な目にあわれた方がたくさんありまして、心からお気の毒なことだと考えております。 そこで、政府としては最終的にこの工場の排水が原因であったという所見に達しましたならば、むろん生産はもう中止されておりますけれども、なお合成塔の内部にそういうものが残っておるというおそれがございましょうから、したがって、それを撤去してしまえばこれはもう問題がございません。これが水質基準をきめることよりは、むしろ災害のもとを除くということが一番よろしいと思いますが、かりにそうでありませんときには、今度は水質基準をきめて、水銀が流出しないような防除措置をとらせる、こういうことかと思います。
○岡本(富)分科員 よく意向はわかりましたが、一応私長官に申し上げたいのは、文化国家の日本においてこういう悲惨な目にあっているところに対して、総理とともに一ぺん長官が現地を視察して、そうして早急に手を打ってもらいたい。ほんとうに現地の人は不安がっております。また、こういう問題がやかましくいわれてから足かけ三年です。まだどういうようになるかわからない、そういうことを考えるときに、現地へ一ぺん乗り込んでいただいて、そうして緊急な措置をとってもらいたい、こう思います。
○宮澤国務大臣 あと二月ほどいたしますと、ほぼ政府の所見がまとまると思いますので、その上で、できるだけ速急にあとの処置をいたしたいと思います。遺憾ながら、どうもわが国は文化国家とはまだなかなかいえないような実情であると思います。
○岡本(富)分科員 そのことはそのくらいにしておきまして、兵庫県に加古川という川がありますが、この川は指定水域に指定されたのがまだ最近なんです。私は同地にしばらく居住したことがありますが、昭和三十年ごろ、高砂の上水道がまっ黒に濁って、住民が騒いだことがあります。そして三十五年にはもうピークに達した。それから騒ぎ出しまして、三十九年の十二月に高砂市からこの問題を取り上げて、そうして指定水域に要請した。最近になってそれはきめていただいたそうでありますけれども、ところがまだ水質基準が定まっていない、こういうふうに聞いておりますが、どうでしょうか。
○宮澤国務大臣 これは、私、聞きましたところでは、先刻申し上げました八十幾つの調査水域には、御指摘のように入っておるわけでございます。そこで、御指摘のような問題がありまして、最近になりまして、通産省と兵庫県当局がいろいろ指導をし、また研究もいたしまして、水質は、ケミカル・オクシゲン・ディマンド、CODで一八〇PPM程度に改善することがよかろうということで、おおむね合意が見られたようであります。したがって、私どもとしましては、各省と調整をしまして、水質基準の設定をいたしたい、こう思っております。
○岡本(富)分科員 早くやってもらいたいのですがね。実はなぜかといいますと、この高砂市においては上水道で毎日二万トンから二万二千トンを使用している。現在伏流水を使っておりますけれども、またその川の水を同じように工業用水として表面水を使用しておりますが、これが一日に七万トンくらい使っておる。もう水量がぎりぎりのところへきておる。これで渇水期に入りますと、また黒い色素が入ってくるという可能性が非常に多い。この許容限度は五度ということを聞いておりますけれども、このまま推移すればまたたいへんなことになる。聞くところによりますと、経企庁では、加古川の上流の西脇、ここでは染色工場がだいぶあって、廃液をなまのままで流しておる、またパルプ会社があって、そこも廃液の処理が非常に見通しがつかぬ、だから水質基準ができぬのである、こういうふうに聞きましたが、どうですか。
○宮澤国務大臣 そういう問題がある由でございます。それで、各省と相談をいたしまして、審議会にかけまして水質基準の設定をいたしたいと思いますので、二、三カ月御猶予をいただきたいと思います。
○岡本(富)分科員 二、三カ月でできますか。
○宮澤国務大臣 各省の考えもございましょうけれども、ほぼその程度でできるように事務当局は考えておるようでございます。
○岡本(富)分科員 ちょっとこれはおかしいと思う。なぜかならば、上流の西脇あるいは兵庫パルプの廃液の問題は、工場閉鎖以外にいまのところはどうしようもないでしょう。この処理問題について、中小企業ですから相当援助もしてやらなければならぬ。そういうものが現在の役所仕事でできるかどうか、非常に心配なんです。だから二、三カ月ではできないと私は見ております。昔はこの加古川というのはアユ釣りぐらいできたのです。現在は魚は全然おりません。そういうようなもう汚濁し切った水資源で、ちょうどまた阿賀野川のような——まあ水銀は入っていませんからあれでしょうけれども、まつ黒いこの水をこのまま放置しておきますと、また変な病気が起こってくる。これに対して長官は早急に手を打ってもらいたいと思うのです。 そこで、加古川の上流の西脇あたりの中小企業に対するところの廃液の処理問題に対しては、さきに長官が述べたように、二十七兆五千億円に上るところの投資の中から、この金融上の財政措置を通じて、公害問題としっかり取り組んで施政方針を実行してもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
○宮澤国務大臣 二十七兆五千億円の中で下水道の整備等を考えております。具体的に加古川の場合にどうなっておりますか、ちょっと私、実はただいま具体的なお返事を申し上げられませんけれども、全体としてはやはりあの公共投資はそういうものを含んでおるわけでございます。 それから、ただいま非常に具体的なお尋ねでございましたから、はっきりさしておいたほうがよろしいかと思いますので、水資源局長から答弁をすることをお許しいただきたいと思います。
○松本政府委員 加古川の水質汚濁の主たる原因となっておりますのは、上流にございますパルプ工場と、それから西脇市近辺にございます多数の染色工場、この二つでございます。 企画庁といたしましては、三十五年から三十六年にかけまして水質調査を実施いたしました。なるべくすみやかに水質基準を設け、西脇市と、それからまた下流の高砂市におきます水道の水源を確保し、またアユ等の魚類に支障がないようにということを考えてまいったわけでございます。しかしながら、パルプの廃液の処理、また染色の廃液の処理につきまして、技術的にもまた資金的にもいろいろめんどうがございまして、なかなか水質基準を設定するに至らないで今日に至っておるわけでございます。 しかしながら、このパルプのほうにつきましては、凝集沈でん処理をいたしますことが理想でございまして、行く行くはそういうふうに持っていきたいと思っておりますが、さしあたりは洗浄設備を改善いたしまして水質の改善をはかっていきたい、こういうふうに思っております。地元の兵庫県当局及び通産省のほうで、年来いろいろ指導に当たっていただいたわけでございますが、最近に至りまして、そういったことによりまして、大体水質もCOD一八〇ぐらいのところに改善いたしまして処理していけるような大体の目安がついてまいりました。 次に、西脇市の染色工場の排水でございますが、これは数が非常に多うございますのと、それから中小企業でございますのと、排水処理の技術にいろいろ問題があったわけでございます。これも地元の染色業の組合、それから県当局、通産省、いろいろ協議されまして、最近の方法といたしまして、煙道ガス処理法、それから凝集沈でん処理法、この二つを併用いたしまして改善をはかっていこうということで、具体的に計画が進んできております。すでにテストプラントをつくりまして、その試験を実施いたしておるわけでございます。そういう技術的な改善と、それから資金面につきましては、まだ確定いたしておりませんが、公害防止事業団の協力を得ますか、あるいは中小企業合理化資金、あるいは高度化資金、そういった低利の資金を使いまして、こういったことができるだけ容易にできるように、通産省のほうでもいろいろ考慮をしておるところであると聞いております。 そういったことで、具体的にそういう方面の支障も漸次改善の方向が見えてまいりましたので、できるだけ事務を取り急ぎまして、なるべく早い機会に、ここ二、三カ月のうちに水質基準を設定いたしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○岡本(富)分科員 できるだけ早くやってもらいたいと思うのでありますが、いままで、阿賀野川の問題とか、また水俣の問題、こういうような水質汚濁対策を例にとってみましても、かんがい用水は農林省、工場排水は通産省、水資源の開発は経企庁、上水道は厚生省、こういうようにばらばらに担当しておる。したがって、一貫した系統的な研究と対策がない。現在わが国の行政機構が一口にお役所仕事だ、こういうような町の声がありますけれども、社会の発展につれて、行政機構をその時代の要求に即応できる体制に改善し、また能率化をはかっていくことが、過去においても常に重要な政治的の問題であった。このことは、戦後だけでも関係諮問機関から十四回にわたって改革の答申がされていることを見ても明らかである。政府はそのつど行政機構に部分的な手を加えてきたが、はたして根本的な改善がされたかどうか、国民生活と直結した形で改善をされてきたかどうか。むしろ、結果から見ると、改善どころか、ますます膨張し、複雑化し、かえって非能率になっておる、こういうふうにもいわれておる。縦割り行政のみでなく、各省間の連携を保って、そして先ほど話しましたように、農林省あるいはまた通産省、あるいは経企庁、厚生省、こういうような状態でなくして、行政の一本化をはかって、そして大衆に密着したところの行政をやっていただきたい、こういうように思うのであります。 そこで、水の調査を一つ見ましても、この予算書を見ますと、総理府関係で、水質試験が調査費として二千八百万円、また厚生省にもあるし、農林省にもあるし、それから運輸省にもある。こういうようにばらばらなんです。あらゆるところでこの予算をとっております。これは経企庁あたりで一本化して、各省のそれぞれの要望があると思いますから、その要求をいれて、そして水質試験を行なっていく、そうすると、国民の血税ももっと安く済んで、一本化できるのじゃないか、こういうように思われるのですが、長官の考えはどうですか。
○宮澤国務大臣 実は公害基本法を政府ではただいま立案いたしておるのでございますが、やはり同じような問題がございまして、できるだけそういうときの窓口は一本にしたいと考えるのでございますが、しかし、厚生省、通産省といったようなところは、俗なことばで申しますと、ちょうど加害者と被害者というような立場に立ちますものですから、なかなかその間の調整がむずかしゅうございまして、したがって、経済企画庁が水を預かったというようなことになっております。私どもとしては、結局これ説得と相互理解の問題でございますので、ここ数年、正直のところ関係の者は非常に苦労をいたしてまいったようであります。しかし、ともかく数年の経過を経て、ようやく水質基準というものの観念をみんなが受け入れるようになった、そして十幾つかの水質基準の設定ができたということでございまして、結局関係者の相互理解の問題になると思いますので、今後そういうことをさらに公害全体についても進めていきたい。公害基準といったようなものをやはりつくることになるかと思います。同じような問題があるかと思いますので、社会観念として定着するように、お互いの理解を深めていくということが問題の主眼だろうというふうに考えております。
○岡本(富)分科員 何か通産省と経企庁と厚生省は敵みたいなように聞こえますけれども、同じように日本の国の政治を預かり、また総理のもとに統率されておると思うのです。大衆福祉の見地から考えまして、また、国民の健康を守る、そういう考えからしましたならば、調整はつかないわけはないと思います。 たとえば、いま私の申しましたのが長官の答えとちょっと違うのは、水質の検査です。この検査については、各省見ますと同じなんです。そうすると、各省の意見あるいは目的を一本化して、そうして経企庁でもって水の試験所——ぼくは行ったことがあるのですが、同じ検査をするのであれば、一つの水あるいは一つの川の水を一緒にできるわけなんです。これをこっちは通産省が出ていってやる、こっちは厚生省が出ていってやる、こっちは経企庁が出ていってやる、そういうことでなくて、非常に調査費用も安くて、完全なものができるのじゃないか、ここらあたりから改善する必要があるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○宮澤国務大臣 たとえば、上水道の取水口で厚生省がある目的をもって調査をするといったように、各省それぞれの目的で調査をしておるわけでございますから、できるだけそれをお互いに利用し合うというようなことで行政能率をあげていく、どうもそういうことかと思います。
○岡本(富)分科員 一日も早くお互いに協定して、そうして安くあがって完全なものをやってもらいたいと思います。 次に、もう一点お願いしたいことは、長官は、同じく本国会における演説の中で、農業、中小企業、流通部門の近代化のおくれを取り戻すべく、経済審議会の答申に基づいて、今般、経済社会発展計画を策定しました、こういうように話されておりますけれども、この経済審議会の計画を見ますと、非常に膨大なりっぱな計画でありますが、中小工業につきまして「近代化、高度化の推進」というところがありますが、ここに「中小工業の業種別長期ビジョンを確立し、法制の整備、金融・税制措置等」とありますが、この中で「法制の整備」とはどういうことでしょうか。
○宮澤国務大臣 たとえば、中小企業の高度化でありますとか、協業化でありますとか、近代化でありますとか、そういうようなこと、それから、かりにいわゆる税制上の完全給与制の問題にいたしましてもそうでありますが、もろもろの諸法制ということを言っておるかと思います。
○岡本(富)分科員 私は中小企業を経営したことがありますし、また、現在の日本の中小企業のおやじというものは、いま政府が考えておるように共同化ということは国民感情として非常にむずかしい、一国一城のあるじばかりがそろっているわけですから。ですから、国民感情をよく理解した上で行ないませんと、私はこれは有名無実になると思います。名があって実がない。たとえば古い機械をスクラップ化していく、いままで職人かたぎでもって一つの旋盤を使っておった、なかなかその旋盤は自分の子供のように離さない。ですから、机上プランでいろいろつくってみたところで、現実の中小企業は浮かばれないと思うのです。それで、現在の日本の国で九九%近いところの中小企業、いままで政府がこれの救済——すなわち、中小企業の倒産が非常に多いが、これに対するところの救済措置というものは非常に未完成である。だから、いろいろなことを言ってみたところで、いままでしいたげられてきておりますから、決してみんなほんとうにしないわけです。また、中小企業各個においては、相当しいたげられたところでやってきておりますから、潜在勢力というものがある。各一軒一軒、各一人一人に関しては相当抵抗する力はあるわけですけれども、それを保護育成するような政策でなければならないと思うのです。ところが、現在金融面の政策を中小企業の金融公庫であるとかいろいろなもので出してくださっておりますけれども、この金を借りるにしましても相当手間がかかる。もう担保はほとんど一ぱいです。担保のない、無担保で三十万円くらいの金を借りるときにも、この都内において、ある金庫から、その金を借りるならばもう一ぺんその金融機関に定期にしなさいと言われて、そうしてその定期から金を借りる。ですから、利子の二重取りです。なおその上にその株を五千円買わされた。そうなってくると、手に残るのは少ししかない、しかも二カ月かかった、こういうようなのが現実のいまの実態なんです。 ですから、そういう面はよく査察をし、そしてもっと中小企業に対するところのほんとうの政策、地についた政策を立てていただきたい。これは要求なのですが、どうでしょうか。
○宮澤国務大臣 昨年の末の全国の金融機関の貸し出し残高の中で、久しぶりに中小企業向け貸し出しが四〇何%という高率に達しておりまして、新規貸し出しに占める比率は、したがってもっと高かったと思います。ただいまのは残高についてでございますが、この二年間で、したがってかなりそういう貸し出しが行なわれたと思いますけれども、やはり実際には、いま岡本委員の仰せられましたような実情を私自身もよく自分で感じるわけでございます。それですから、一つの問題は、やはり中小企業の側にあまりむずかしい経理上の書類とかというような点について、貸し出します側であまりきついことを要求しないようにしてもらわなければならぬと思うのでございます。同時に、中小企業の側にも、複式簿記とまでは申しませんけれども、もう少し経営の内容を自分で把握してもらうように、これは経営指導とかというような経営の診断員なんかもおりますけれども、やはりそういうことをもう少し普及しなければならないことと、それから国民金融公庫、これがまあ一番とっつきやすい金融機関でありますが、でありますとか、あるいは各県の信用保証協会でありますとか、こういうところを利用してもらうように啓発もしていかなければならないと思います。歩積み・両建ての点は、やはり地方ではしばしば現在もあるように思いますので、これも財務局等を通じて指導を強化していかなければならないと思っております。
○岡本(富)分科員 次に申し上げたいことは、先ほどだれかの質疑の中で、大企業との間の分野調整、この話が長官からありましたけれども、これは具体的にどうやって分野調整をするのですか。
○宮澤国務大臣 それは、分野調整を政府がするということよりは、むしろ労働力が逼迫してまいりますので、中小企業製品あるいは中小企業によるサービスというものが、つまり労働集約的な品質の高いものになる、他方で大企業のものは、まあ言ってみれば、デパートで売ると申しては語弊があるかもしれませんが、一律の標準化されたものになる、そういうふうにおのずから分野が分かれていく傾向にあるのではないかという意味のことを私は申し上げたつもりなのでございます。
○亀岡主査代理 岡本君に申し上げます。申し合わせによる持ち時間を過ぎておりますので、結論をお急ぎ願います。
○岡本(富)分科員 大体大企業の下請会社が中小企業には多い。ひどいところは年末年始に下請をさせられているのです。そうして、そう言われては仕事ができないと言うと、大企業がその仕事をやってしまう。ですから、分野調整というものは、やはりある程度法的に考えなければならぬ、こういうように私は思うのです。 最後に申し上げたいことは、長官にこういう経済演説を述べていただきましたけれども、現実の中小企業の姿というものをきょうは私は申し上げておきましよう。 私はあるところに集金に行きました。ちょうど年末でありました。戸をがらがらとあけて入っていくと、もう除夜の鐘が鳴る少し前だった。入口に箱が置いてあるのです。その箱の中にわらが一ぱい入っている。ひょっと向こうを見ますと、そこの工場の職人連中がその中に入って寝ているのです。おやじが帰ってくるのを待っている。そういう悲惨な姿。そこに集金に行って金くれとは言えませんでしたけれども、大会社の倒産、あるいはまた大企業の整理、そういうことによって非常に苦労している姿があるのです。ですから、一歩進んだところの、ほんとうに慈悲のあるところの政策をひとつ今後とっていただきたい。また指導していただきたい。これを要求して終わります。
○宮澤国務大臣 御指摘のようなことを私も気がついておりまして、たとえば、大企業が少し仕事が忙しくなりますと、中小企業に設備をさせまして、そうして、今回のような不況になりますと、今度はもうそれを知らぬことにして自分で仕事をやってしまうというようなことがございます。 それで、こういう経験にかんがみますと、中小企業が大企業の下請として相談の上で設備をいたしますときには、将来の注文はある程度確保するような、そういう約束でももう少ししっかりしておきませんといけないというのが一つの教訓だと思います。それから、言いやすく行ないがたいかもしれませんが、やはり部品のメーカーというものは、できるならば多角的な、一社の下請でないようなほうに向かっていくということも、施策としては必要なのではないかと思いますが、御指摘のように、中小企業についての配慮はまだまだ十分でない、努力しなければならないと考えております。
○亀岡主査代理 以上をもちまして、昭和四十二年度一般会計予算中、経済企画庁所管に対する質疑は一応終了いたしました。 次会は明後二十四日午前十時より開会し、農林省所管について質疑を行なうことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十九分散会