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55回国会衆議院1967/04/17

予算委員会公聴会 第1号

発言数
59
登壇者
8
会派数
2
開催日
1967/04/17

会議録

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度一般会計予算、昭和四十二年度特別会計予算、昭和四十二年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会に入ります。  本日午前中に御出席を願いました公述人は、京都大学経済学部助教授鎌倉昇君、国学院大学経済学部教授正木千冬君のお二人であります。  この際、御出席の公述人各位にごあいさつを申し上げます。本日は御多用中のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。御承知のとおり、国及び政府関係機関の予算は、国政の根幹をなす最重要議案でありまして、当委員会といたしましても慎重審議を続けておるわけでありますが、この機会に、各界の学識経験豊かな各位の有益な御意見を拝聴いたしまして、今後の予算審議の上において貴重な参考といたしたいと存ずる次第であります。何とぞ各位におかれましては、昭和四十二年度総予算に対しまして、それぞれ御専門の立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと思う次第であります。  次に、御意見を承る順序といたしましては、まず鎌倉公述人、続いて正木公述人の順で約三十分程度ずつ一通りの御意見をお述べいただき、その後、公述人各位に対し一括して委員から質疑を願うことにいたしたいと思います。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を求められること、また、公述人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、この点、あらかじめ御承知おき願います。  なお、委員各位に申し上げますが、公述人各位に対し御質疑のある方は、あらかじめ委員長にお申し出くださるようお願いをいたします。  それでは、鎌倉公述人から御意見を承りたいと存じます。鎌倉公述人。

鎌倉昇京都大学経済学部助教授

○鎌倉公述人 鎌倉でございます。  本日は、昭和四十二年度の総予算について私見を若干持っておりますので、それについての意見を述べさせていただきたいと思います。  昭和四十二年度の総予算につきましては、細部につきましては、私自身も必ずしも同意しがたい部分があるわけでございますが、しかし、全体としまして、予算規模その他に関しましては、ほぼ現在の景気の動向から考えまして妥当なものであると考えておるわけでございます。私は、これに関連いたしまして、特に最初に強調いたしたいと思いますのは、予算規模とそれに関連いたします国債発行並びにその国債の償還についての問題でございます。国債発行の問題は、私自身、かねがね昭和三十九年、四十年ごろから、これは日本の経済にとってきわめて重要なものである、したがって、発行をなるべく早くすべきであるという考え方を持っておったわけであります。各種の新聞、雑誌等についてそういう私見を発表したこともございます。その考え方の基本にありますことは、これは日本のかつてとられておりました均衡財政と申しますものは、それはそれなりの意義を持っております。決してそれを否定するわけではございませんが、他方、経済の運営にあたって国及び日本銀行がとり得る経済政策ということになりますと、日本の国は直接統制の行なわれる国ではございませんので、財政並びに金融の、いわば車の両輪という形でこれは運用すべきであるという考え方であったわけでございます。従来は、ともすれば金融政策だけにその重点がかかりまして、財政は均衡のたてまえ、特に一般会計につきましては均衡のたてまえをとってまいったわけでございます。しかし、これから先、まず第一に金融政策だけで景気の調整をはかることはきわめて困難な情勢になりつつあります。その点に関連をいたしまして、財政政策というものも弾力的に運用される必要がある、こういう考え方をかねがね持っておったわけでございます。そういう考え方からいたしますと、不況のときには税収及び税外の収入だけにたよることなく、少なくとも一般会計に限りまして申しましても、国債を発行することによって財政規模を拡大する必要がある。しかし、その反面といたしまして、景気調整という観点から考えました場合には、景気が上昇の方向に向かい、あるいは過熱の方向に向かうというふうなことが起こってまいりました場合には、その国債発行額に対して限度を設け、また、必要によってはその国債発行額を逆に償還でいわば相殺し、さらに場合によっては、償還のほうが多くなるような制度に持っていくべきである。そういう考え方に立ちましたならば、景気の悪いときには国債発行によって税収を補うために国債を活用し、さらに、景気が過熱の方向に向かいました場合は税収をすべて国の予算に使ってしまうことなく、逆に国債を償還するということによってある程度節度のある財政というものがつくられていいのではないか、こういう考え方をかねがね持っておったわけでございます。そういう観点からいたしますと、昭和四十年度の一月から三月にかけて発行されました国債というものは、本来財政の歳入欠陥を補うためのものでございますが、続いて昭和四十一年度、これは公共事業費それから出資金、貸し付け金をまかなうためのいわゆる建設国債でございます。こういうものが行なわれるようになったことは、日本の財政というものが従来ともすれば閑却がちであったいわゆる経済政策のために、あるいは景気調整のために財政を弾力的に運用するという、いわば本道に立ち返ったものである、こういう意味で、私どもは心からこういう方向に向かったことを、いわば心中喜んでおったわけでございます。そういう観点を突き詰めてまいりますと、おかげさまで日本の景気というものも順調に上昇の軌道に乗ってまいりました。そういたしますと、そろそろこれから先のいわば運営というものに対して、硬直的な財政支出によって国債発行というものが慢性的にならないように、かつまた、それが累積効果だけを果たすということがないように心しなければならない時期になり至っておると思います。  本年度の予算につきましては、大体予算の総額から申しますとほぼ一五%を上回る増加になっておるようでございますが、その中には国債費とかあるいは石炭対策のための臨時やむを得ざる費用もございますので、そういう点を勘案いたしますと、実質上は一四%程度の伸びである。これは昭和四十二年度、これからの日本経済の成長を名目率で、つまり貨幣額で考えましたものとほぼ規模が合っておるであろう、こういうふうな見通しを立てておりますので、これを過大と考えることには、現在まだ時期尚早であろうと考えております。そういう点から私どもの考えておりますことは、これからの国債の発行についての運用というものを十分慎重にしていただきたい。もう少し具体的に申し上げますと、こういうことになるわけでございます。すなわち、これから景気がどの程度のテンポで上昇してまいりますかということに対しては、現在各種の予測がなされております。去る三月十三日に閣議決定を経ましたところの例の昭和四十二年度の経済見通しというのは、そのうちの最も責任あるものでございましょうが、それ以外に各種の機関等においても見通しがなされております。率直に申しますと、こういう経済に対する見通しというものはそれぞれ根拠を持ってなされるものでございますが、ただ、これから先、設備投資がどの程度行なわれるか、あるいは経済活動がどの程度活発になるかによって、そういう見通しが見通しどおりに実現しない可能性もあるわけでございます。そこで、そういう場合にむしろ私どもが心配いたしますのは、経済が予想以上の速度で上昇してまいりましたときに、それによって税収が当然ふえてくるということが考えられるわけでございます。これはきわめて正直なものでございまして、景気の動向というものはまず税収の面に非常に敏感にあらわれてまいります。不況になりますと、税収が当然減ってまいりますし、好況になりますと、法人税とかあるいは個人所得税とかその他のものが増加してまいります。そこで、そういうふうに税収がふえてまいりますと、当然のことでございますが、金融の面で申しますと、財政資金の対民間の揚げ超が起こってまいります。そこで、最近非常に問題になっておりますことでございますが、一方の側からは、こういうふうに国債発行を進めてまいりますと、そのことがある意味では民間の金融というものに圧迫を加えないか、こういうことがいわれるわけでございます。  そこで、私がこの際ひとつ今後の動向としてお願いしたいと思っております第一の事柄は、税収が現在政府の見通しよりも上回って増加した場合には、その増加の部分を補正予算等に回して財政規模を拡大することをなさらないで、現在おきめになっております国債発行の限度を、税収が増加した部分は、これを補うことによってこれを減少するような方向に持っていっていただきたい。と申しますのは、これは現在考えられております経済見通しの上にいまの予算が成り立っておるわけでございますから、それ以上にもし景気が過熱の方向に向かうようなことがありました場合には、税収の増加に見合って、国債発行を限度内にとどめるというふうな形に持っていっていただきますと、これは国債発行というものの本来の趣旨でございますところの、すなわち、景気の調整の政策として、従来の金融政策にもっぱらよっておったような体制を改めるという考え方からくれば当然のことであろうと考えております。もちろん、補正予算がつくられますについては種々の事情がございまして、毎年やむを得ざる形で補正予算が組まれるようなものがあるわけでございます。しかし、そういうものはこれはやむを得ないといたしまして、税収がふえた部分を利用して、すべて今後の補正予算その他によって支出を増加せしめるような方向にお向かいいただくことになりますと、これはしばしば一部でいわれておりますような心配を実現化することになると思っております。こういう一部の心配を杞憂に終わらしめるために、私どもは、これから先の国債の発行というものは現時点においてあの額が妥当であるとしても、それから先弾力的に考えていただきたい。これがまず第一番目の点でございます。  第二の点は、そのこととすぐ関連いたしておるわけでございますが、現在の日本の景気の上昇の段階が一体どういうところにあるかということと関連してまいっております。これは話が前後いたすわけでございますが、日本経済は昭和四十年まで非常に深刻な不況に、しかも長期にわたって悩んでまいったわけでございます。昭和四十年の十一月がほぼ景気の底入れであったということは、政府並びに民間各機関における調査の結果ほぼ定説になっておりますが、昭和四十年の十一月に景気が底入れをいたしまして、昭和四十一年三月ごろから日本の景気は回復の方向に向かい始めてまいっております。回復と申しますことは、つまりそのころから生産の上昇が順調に進んでまいりまして、あわせて、生産の上昇にもかかわらず、いわば製品在庫、売れ残りが減少の方向に向かってまいっております。同時に、そういうことと関連いたしまして、同じ時期にほぼ歩調を合わせて、従来から非常に巨額にのぼっております企業間信用の解きほぐれ現象が始まってまいっております。ところで、そういうことを背景といたしまして、私ども考えておりますのは、昭和四十二年、つまりことしでございますが、昭和四十二年の景気の動向というものはどういうものであろうか。昭和四十二年は、大体一月から二月にかけてのころに、かなりまとまった形態で製造工業部門における設備投資というものが出てまいりました。これは景気の上昇にとっては非常に順調な過程でございます。いまの段階で景気の過熱ということはまだ早うございますし、また同時に、景気が回復の方向から上昇の方向に本格的に転移した時期である。したがって、これから先上昇ということになりますと、先ほど申し上げましたように、設備投資の波が次第に大きくなりまして、それが一般的な有効需要に影響を与える、そういう側面に推移してくるわけでございます。ですから、こういうふうな上昇の過程において、財政が、あるいは金融が、あるいはその両方が、と申しましてもよろしゅうございますが、それが引き締めに推移するのはまだ早いわけでございます。景気はようやく上昇の正常な軌道にのぼった。ですから、これから先は、この上昇の軌道に乗ったものをもう少しすなおに発展さしていって、日本経済の持っております潜在的な能力というものを十分発揮せしめる時期である。そういう点で、私どもは、現在の昭和四十二年度の予算というものが、それほど刺激的ではないが、また逆に、日本経済に対してむしろチェックし、これを抑圧する要因になっておらないという意味で賛成を申し上げたわけでございます。ただ、繰り返して申し上げますが、これから先のいわば推移につきましては、設備投資の波が相互に波及するということがございますので、先ほど申し上げましたように、税収の増加等による財政資金の揚げが起こりました場合には、それをいわば財政のほうに還元していって、それを拡大の方向に向かわさないという方向にしていただきたいと思っておるわけでございます。  第三の点でございますが、そういう観点から考えてまいりますと、私どもは、現在の財政の中にある程度やむを得ないものが多いわけでございますけれども、一般的に申しますと、非常に硬直的な要素がふえてきておるという点にいささかの危惧を持っておるわけでございます。これは先ほど来申しておりますことと同一の論理に立つわけでございますが、財政というものは、一面においては、もちろん国がみずから財政を通じて資金を配分し、それによって資源の適正な配分をはかるという、こういう面があるわけでございます。他方、また財政というのは、非常に有力な景気並びに経済の調節機能を果たすものであるという観点に立ちました場合に、それから当然起こってまいりますことは、その増加しますいわば経費の中に固定的なものをふやしていくということは、そういう弾力的な運用ということに対して妨げになることであろうというわけでございます。たとえば、公共事業のために使いますということになりますと、この場合でも、これを固定的に考えないで、もちろん日本の国において道路とか港湾とか住宅とか、そういうものの立ちおくれと申しますか、これが非常に大きなことになっておりまして、今後これに対して早急に手を打たなければならないということは当然のことでございます。しかし、それもいわば国の経済の動きというものを勘案しながら、これと調整をはかっていかなければいけないというのが基本的な考え方でございます。そういう基本的な考え方にかりに立つといたしますと、港湾とかあるいは道路とか、あるいは鉄道、運輸、それから住宅、こういうふうなものに関しましては、やはり弾力的に考えていって、将来に対する固定計画というものを立てることは、ある程度の見通しとしての範囲にのみ限るべきことであって、現在から、来年あるいは再来年等にわたる計画というものをきめてしまって、これを固定化したものであるという考え方は、やはり避ける必要があろうかと思っております。私どもがいささか心配いたしておりますのは、この順調な景気の上昇というのが、昭和四十三年度の少なくとも中ごろ以降になりますと、ある程度景気が過熱の傾向に向かい得るであろうということは、これはほぼ多くの人々が想像していることでございます。多くの人々の中に、一部は、もう非常にいまでも景気の過熱が起こるということを心配なさっている方があるのですが、私どもは、そういう心配はまだ早い。しかし、昭和四十三年度というのはある意味で警戒すべき年である。ですから、その場合に、現在から、たとえば五カ年計画とか何カ年計画というような形で既定予算、既定の経費というものを織り込んでしまうことがないように、予算そのものにはそういうことがないわけでございますが、その他いろいろな計画等におきまして非常に固定化された考え方が出てまいっております。それは、私たちは、財政の弾力的運用ということで、そのときそのときの日本経済の動きに合わせて、これを弾力的に運用し得る余地があるものというふうにお考えいただきたいと考えておるわけでございます。  そこで、時間の制限もございますので、あと一、二の論点をつけ加えさしていただきたいと思っております。  まず、その一、二のつけ加えます論点の第一といたしまして、現在の日本の国の財政の運用ということを考えました場合に、先ほども申しましたように、弾力的な運用、そういたしますと、減債基金制度というものも、もう少し現在の状況よりは弾力的に考えていただく必要があるのでないだろうか。国債といいますものは、言うまでもございませんが、これは期限というものがきまっておりますので、その期限がきまっております間に償還ということは非常に困難でございます。で、減債基金につきましては、すでに今年度の予算の中にもこれが盛られておりますし、国債費等の名目の中でそれを処理するような方法が行なわれておるわけでございますが、国債の発行というものを弾力的に考えるとともに、それの償還——しかし償還そのものはもう期限がきまっておりますから、かりに償還ができないとしますと、それにかわるものとしましての減債基金制度というものを十分にお使いいただきまして、国の財政というものが経済に対して、あるときにはこれを助長することによって不況から立ち上がらせるような要因をつくるとともに、あるときには景気の過熱を防止し、行き過ぎを引き締めるような手綱の役割りを果たしていただきたい。そういうふうになってまいりますと、これは非常に理想的な、たとえばアメリカとか西ヨーロッパ諸国等に行なわれておりますようなオーソドックスな財政政策の形態になるわけでございますから、この際、拡大いたしました国債というものを慢性化させないような努力がこれから先非常に必要なことではなかろうかと思っております。すでにそういう点は十分御承知のことでございまして、今年度の予算案の中にもそういうことが十分盛られておるわけでございまして、これをさらに進めてまいりますと、来年度、再来年度等についても、こういうお考えが出てくるものと私どもは確信しておるわけでございますが、そういう考え方というのは、この際、財政政策というものの持っております一つの重要な役割りという観点から考えていただきたいと思っておるわけでございます。  それからもう一つは、日本の経済が現在直面しております非常に重要な問題といたしまして、日本の経済というものが、今年度あたりから、たとえば資本の自由化とか、そういうことと関連いたしまして、非常に激烈な国際競争の中に入っていくことになるわけでございます。すでに輸出、輸入等につきましては、日本経済は国際的な競争に巻き込まれております。現在までのところは、その国際競争の中で優位を保ちながら、日本の国の輸出は順調に伸びてまいっております。しかし、その反面といたしまして、まだ残っております資本移動の自由化ということが、徐々にではありましょうが、段階的に実現してまいりますと、競争の激烈さというものは今後非常に急速な形で増加してくる、あるいは激烈の度合いを加えてくるということが考えられるわけでございます。海を越えて完成品を外国から日本へ持ち込んできて売るという状況よりは、この日本の国土の上で外国の企業が工場を経営し、そこでまた企業を経常し、場合によっては資本参加によって日本の企業を、悪いことばで言いますと、乗っ取るということになりましょうが、経営参加という形でここで生産をし、日本の国内で販売ということを考えてまいりますと、当然、競争というのは激化してまいります。それに対して私どもは、いたずらな保護政策という形で考えることは、場合によってはマイナスになるだろうと思っております。いたずらに日本の経済をいつまでも温存の形にいたしておりますと、その温存のあたたかさになれることによって、経営がともすれば安易になりがちな部面がいままで幾らも見られておるわけでございます。私どもは、やがてそういう外国の冷たい風が強く当たってくるということになりますと、現在の段階から、徐々にではありますが、競争に耐え得るだけの能力をつくり上げていくということが必要でなかろうかと思っております。現在までの日本の経済というものは、部分的には次第に外国との関係の中に巻き込まれてはまいったわけでございますが、しかし他面、多くの点において保護の政策が行なわれております。補助金というものも、これはやはり効率的にひとつ考えていただきたい。と申しますのは、いたずらに生産性の低い部門、いたずらに競争力の劣っておる部門を、たまたまこれを補助金であるとか、あるいは特定の業者間協定をするという形で温存しておりますと、しばらくの間はそれでよろしいでしょうけれども、外国からの風が当たって非常に激烈な競争になってまいりましたときに、いわばそれに耐え得る力を失っておるということになる可能性があるわけでございます。また、こういう補助金というものは、しばしば固定的な性格を持つ費用になりがちでございます。そういう固定化の費用というものをつくりますことは、先ほど来申しております観点から申しましても、やはり日本の財政にとって非常に大きな負担になるわけでございます。同町に、そういう補助金——これは国会の審議を経てでございますが、そういう形の補助金で多くの人々に対して恩恵を与えていらっしゃることはけっこうなことでございます。しかし、その恩恵がむしろ温存の結果になるということになりますと、せっかくの御好意が、これは日本の経済あるいは産業あるいは企業、またそこに働く一般の従業員労働者、そういう人々に対しても逆効果を与えることがあり得る。そういう点から考えてまいりました場合に、やはりこの際補助金というふうなものを徹底的にもう一度御検討いただいて、既存のものの中にいろいろのいきさつがあるわけでございますが、何年かの過程を経ながらこれを整理淘汰し、重点的に、むしろ前向きとし申しますか、生産性の向上に役立つようなものにひとつ振り向けるような努力というものが、今後の予算としては非常に重要な問題でなかろうか、こう考えておるわけでございます。これは資本自由化というものは今年度から徐々に段階的になり、来年、再来年となってまいりますと、いよいよその重要性というものは増してまいりますので、そういう観点からもお考えいただく必要があろうかと思っておるわけでございます。  同じようなことは、たとえば財政の費目の中で非常に硬直的な、社会政策的な費目というものが非常に多うございます。私どもも国民といたしまして、いろいろな点で財政の面でごやっかいになっておりますことはたいへんありがたいことだと感謝いたしておるわけでございますが、しかし、そういうことがある程度硬直化の傾向をたどってまいりますと、むしろ慢性的な形で、いつも財政のお世話になっておるという形になってまいりますと、これはやはり二つの面から、一つは民間と申しますか、国民の自主的な生活という考え方を鈍化せしめてくるような面がありますことと、それから、あわせて財政そのものの中に、一たん増加いたしますと、あとそれが減少しにくいような性質を持った費目をふやしてくることになる。そういう点から考えまして、財政というものは器が限られております。不況の時期には国債によって歳入を補う部面がありましょうし、場合によっては、好況のときにはいささかそれを削って償還に充てるという面がありましょうが、大局から申しますと、器は限られておるわけでございます。その限られた器の中に無限の欲求というものが各方面から出てまいっておりますので、それをどういうふうに調整していくかということについては、本日御出席の諸先生方がいろいろ真剣にお考えのことだろうと思っておるわけでございますが、しかし、私どもといたしまして、長い目で考えていきました場合に、やはりかつてのような封鎖的な日本経済から開放的な体制に移っていく、こういう非常に重要な時期になっておりますので、いままでよかったということが今後そのままで推移していけるものであるかどうかということについては、現在特に考える必要があろうかと思っておるわけでございます。そういう点を考えまして、私は、現在の予算の規模そのものにつきましては、先ほど来申し上げましたように、国債発行額も含めまして、それからあわせて国債費としてのそれの償還ないし利払いのためにつくられた予算の額等も考えまして、ほぼ妥当なものである、しかもこれは、景気の現段階から考えまして、大体順調に推移していきます景気に特に刺激的でもなく、特にこれに抑制的でもないという点で、賛成意見を申し述べたわけでございますが、あわせまして、今後の日本経済の動きというものを考えました場合に、景気の順調な発展が、やがて場合によっては過熱の方向に向かうこともあり得る。あわせてまた、日本経済が国際経済の中に巻き込まれてまいりました場合に、競争の激烈化ということが出てまいります。その場合に、日本経済というものをほんとうに強いものにするためにはどういうことを考えなければいけないか。そのためには、国内の経済調整というものも、これは適時適所に金融並びに財政で、車の両輪の形で調整していただくと同時に、単なる温存政策という形で日本の企業というものを弱いものにしていただかないように、こういうことをこれから先の問題としてお願いいたしたわけでございます。  今年度の問題につきましても、税収等が景気の上昇によりまして順調に増加いたしました場合は、これをなるべく国債発行額を減らすように考えていただきましたならば、私は、ことしの財政というものは画竜点睛と申しますか、現在の形がもっとりっぱなものになり得る可能性——今後の動きというものを考えながら、そういうふうに弾力的に運用していただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  はなはだ簡略でございましたが、与えられました時間がほぼ終わりに来ておりますので、私のかねがね考えております私見の一端を申し述べさせていただいたわけでございます。どうもたいへんありがとうございました。(拍手)

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 ありがとうございました。  次に、正木公述人にお願いいたします。正木公述人。

正木千冬国学院大学経済学部教授

○正木公述人 昭和四十二年度予算につきまして卑見を申し述べる機会を与えられましたことははなはだ光栄に存ずる次第でございます。時間も十分ございませんので、主として昭和四十二年度予算と国債政策というサイドから申し述べたいと考えております。たまたま、私の前にお話しくだすった鎌倉教授も主として国債政策についてお話しになったのでありますが、私は、少し先生の御意見と違った結論になるかと思います。  四十年度と四十一年度、これは不況に直面した予算でございましたが、四十二年度予算にあたりましては、景気が正常化しており、好況に直面しておるのであります。したがって、四十二年度予算編成の基本的方針は、景気に中立的予算を組むことだ、こういうことは早くから唱えられておりまして、今回の予算の提出にあたりましても、政府側からしばしば中立予算だという説明が流されておるのであります。水田大蔵大臣の御説明によりましても、経済に刺激を与える、景気の行き過ぎを招くことのないような中立的立場を堅持したと言われております。その御趣旨が予算のどこに出ているかと申しますならば、一般会計の予算規模が五兆円以内にとどまっておること、財政投融資の規模は四十一年度当初に対して伸び率も伸び額もともに下回っており、ここ四年間の財政の平均伸び率は二〇%をこえているのであるけれども、今回は一七・八%に押えている、それから国債の発行も八千億にとどめた、政府保証債は五千百億と極力押えて、その結果、一般会計歳入に占めます公債の割合も一七%から一六%に低下しているということは、これ節度ある公債政策の運用を示すものだ、こういう御説明なのであります。しかし、あらゆる財政手段を使いまして総需要の拡大につとめました前年度予算の規模と比較して、幾らかことしはそれを下回っているというだけでもって、はたして中立型予算と言えるかどうかということは問題であると思います。それよりも、予算編成方針がきめられました昨年の暮れから、実際予算が組まれましたこの二月でありますか、その間に日本経済の景気局面としましてはかなり変化をし、好況というよりも、むしろ過熱へ一歩近づくというような熱っぽい状況になっているということは、正式に政府のほうでもお認めになり、したがって、若干景気見通し、経済見通しの数字の変化があったのであります。それにもかかわらず五兆円の財政規模が変わらなかったということ、それから、財政投融資の計画額が大蔵省の原案の段階よりもさらにに千三百数億円ふくらんで決定され、二兆四千億近くになったということであるとか、あるいは公共事業の予算も、大蔵省原案よりも最後の政府案になりますとかなり伸びてきておる。そういったことで、大蔵当局がこの四十二年度予算について堅持しようとした警戒的あるいは中立的な性格が、このただいま提出されております予算においてはかなり薄れておるということは、何人も指摘することだと思います。異常な時期に対する予算でなくて、経済が大体正常な局面であります。中立予算を組むその場合の中立性の基準でありますが、単に前年度の伸び率との比較でどうということでなくて、経済の成長率に対して財政の規模が均衡しているかどうか、その結果として物価や国際収支に悪い影響を与えないかどうか、こういったところが中立性の基準であるかと思います。  それにつきまして、昨年の十一月、物価懇談会が、消費者物価が安定するまで財政規模の伸び率は経済成長率とほぼ同じ程度にすべきである、四十二年度の国債発行額は、四十一年度の発行額を下回るべきであるということを、物価政策の見地からでありますが、特に見解を発表いたしておるのであります。また、公式な政府の機関である財政制度審議会もまた、「今後の財政運営について」という報告書の中で「四二年度以降の財政については、四一年度とはおのずから異なる態度で臨まなければならない。」としまして、財政規模の伸びについては、趨勢的にいえば、想定された適度の経流成長率をやや上回る程度とするのが適当である。年々の国債発行については、現在のように高い国債依存率を続けるべきではなくて、平均的な依存率はもっとずっと低いものにしなければならない、こう申しておるのであります。五兆円の一般会計規模、二兆四千億の財政投融資規模、これは両審議会の言うような適度の経済成長率と見合っていないと私は考えるのであります。特に答申の線と大きく離れておりますのは、今年度の国債発行額を前年度より減らせということに対して、自民党の今回の予算は、逆に七百億円を上乗せして八千億ということになっておりまして、この一事をもってしましても、四十二年度予算が中立性を欠いているというふうに考えざるを得ないかと思うのであります。私は、四十二年度予算におきまして、昨年度より七百億円も多く、八千億という建設公債発行が計画されていることを、はなはだ重大であると考えるものであります。これは四十二年度限りの財源調達として申し上げているのではなくて、今後相当長い期間にわたって日本の財政の行くえを決定する重大な分かれ目をなすものだと考えておるわけであります。  その理由を申し述べます。  日本の財政は、昭和四十年度から、戦後久しきにわたった均衡財政を脱却しまして、国債を含む財政に転換いたしたのであります。しかし、四十年度当初予算は均衡予算として出発し、その執行途上において不況が激化し、税収の落ち込みがひどくなったために、補正予算におきまして、ちょうど税収の減収相当額を特例債、すなわち赤字公債の発行で埋めたわけであります。これはいわば事後処理的な国債発行であったと申せるのでありますが、四十一年度になりますと、そうではなくなりまして、意識的、計画的に七千三百億円の公債発行を、財政法四条の規定によるものとして当初予算において計画されたことは御承知のとおりであります。四十一年度は、これによって大幅な財源振りかえが可能になったのであります。すなわち、一般税収が不況のために大体伸び悩んでおるところに、二千億の減税をいたしました結果として、税収の予算面において、前年度に比べて約千億の減収というふうな異常な状態になっておったにかかわらず、それを補てんし、その上に六千三百億円も経費の増加をなさしめたのがこの公債であります。その結果として、大いに需要喚起の効果を果たしたわけであります。このように、経済が不況なときに巨額の公債を発行するということで、それは均衡予算の原則に固執しまして、いたずらに節約を強化しようとか、あるいは増税をやろうというようなことよりも、むしろこのほうが合理的な財政政策というべきであります。私は、公債発行自体に反対するのではございません。問題は、このような公債対策を、臨時的、非正常的なものと見るか、発行された公債を赤字公債と見るか、建設公債あるいは生産的公債と見るか、その考え方、これが肝心であるかと思うのであります。福田前蔵相は、四十年度の特例債と四十一年度の第四条公債の差を強調されました。四十一年度債は公共事業と出資、融資の財源に充てるために発行されるものであるから建設公債であり、生産公債である、で、発行の量を過ごさなければインフレとなる危険はなくて、今日のような低圧経済で四兆円以上にのぼると見られる供給能力の超過は一朝にしては解決できない、であるから、今後数年にわたる国債発行を続け、そして公共投資を拡充する必要がある、こういうふうに説明されておったかと思います。福田さんの場合に、公債政策の導入を促したものは、まぎれもなくいわゆるフィスカルポリシーの発想でありますが、同時に、経済の実態を、上昇力が鈍った低圧経済である、こういうふうに見られて、そして臨時的であるべき公債政策が長期化するという根拠にそれが転化しておるのであります。しかし、ここには一種の落とし穴があったと思います。福田さんが見られた四兆円のデフレギャップというものは、これは福田さんだけの責任ではないと思いますが、まぼろしのギャップであったかのようであります。昨年末からことしの春にかけて、日本の製造業は大半能力一ぱい近い操業を続け、産業によりましては、供給力を越えて、引き渡し納期が遅延したり、あるいは輸出意欲が減退するというようなところまで進んできております。今日は、低圧経済でもなく、設備投資指導型の、すなわち生産力不足と対応するための新しい設備投資の上昇、こういった形でのいわゆる大型経済の戸口に立たされておるのであります。福田さんの言われた生産公債だということ、これはわかるのであります。ただし、それは建設公債であるから生産公債だというのではなくて、不況だから生産公債であったということであります。すなわち、経済不況のために資源も資金も余裕があった、それを結びつけたのでありますから、そういう意味において生産効果があり、そういった公債が生産的な公債である。それは直接の使途が消費であろうと建設事業であろうと変わらないのであります。すなわち、赤字公債であっても、それは不況のときに発行されれば生産的な公債だ、こう言えるかと思うのであります。そのかわり、不況という状況がなくなって、資源、資金の完全な消化がされておる状況におきましては、公債を出すということ自体がインフレにつながる、こういうことになろうかと思います。財政法の四条によって発行されます公債は建設公債であるという解釈が普通になされているのでありますが、これはやや間違いと私は申し上げたいのであります。一般会計で発行される公債は、それはいかなる経費の財源だということははっきりと裏づけられない、きめることができないはずであります。四十二年度の八千億が公共事業のための財源だといいましても、あるいはこの八千億は地方交付税のために出しているのだ、こういっても同じことなんであります。四十年度公債も四十一年度公債も、それから四十二年度公債も、一般会計におきまして歳出に対する歳入不足、これを補う公債という意味でやはりこれは赤字公債である、こう申して何ら差しつかえない、そのように観念すべきだと思うのであります。すべて赤字公債でありますが、四十一年度債までは生産的な効果が期待できた。資源、資金に余裕のなくなった四十二年度におきましては、赤字公債の発行がインフレにつながる、こういうふうに観念すべきだ、こう思うのであります。  しかるに、水田大蔵大臣のもとで編成されました四十二年度予算を見ますると、福田大臣の場合と同じように、第四条の建設公債として、しかも前年度より七百億円も多額に計上されておるのであります。福田前蔵相が正当に国債政策を導入することになりましたこの経済不況は、すでに解消しております。で、赤字公債の発行を続ける理由はなくなっているのであります。まさにそのときに、建設公債という名のもとに増発をはかっておられるのであります。  一般会計における公共事業、これは資本支出であるから公債財源で充当してよいのだ、こういうふうにいたしますると、公共事業に対しその財政需要は非常に強いのでありますから、したがって、公債に対する要求も強い、こうなります。したがいまして、結局、公共事業財源の不足に応ずるために出される公債でありますから、年々増大するということになってきまして、結局公債が完全に財政の中にビルトインされてしまうということになります。そして、公債は歳入歳出のバランシングファクターとして利用するのだ、こういうふうにいわれておりましたのが、逆に、公債発行が先にきまりまして、そして財政規模がきまるというようなことになってまいりまして、かえって財政の硬直化というふうな形になるかと思います。四十二年度予算編成にあたりまして、財政当局の決意いかんによっては国債依存から脱却する契機をつかみ得たと私は思うのでありますが、逆に公債増発を含む予算をつくってしまったのであります。そこに、四十二年度予算が日本財政の大きな岐路に立っておる、こういうふうに申し上げたいのであります。  フィスカルポリシーとして導入されました国債政策が、四十二年度予算において国債がビルトインされた財政に転換した結果はどうなるかと申しますると、その一つは、今後における公債の減額はなかなか困難である、公債累積というものが不可避になるだろう、こういうことであります。かりに、さっき申しましたように、公債は建設事業に使うのだ、こういう立場に立つ。そうしますと、大体、この一般会計の規模が、いまの四兆九千五百億、これを起点としまして、はなはだ機械的な推定でありますが、予算のほうが毎年一五%くらい伸びていく。それに対して国債の依存率を一六%——普通には一六%ですが、それから一%ずつ下げていく、一五、一四、一三、一二というふうに漸次公債依存率を下げていく、こういうふうなことでいったら、四十六年ころどれくらいの国債発行になっているだろうか、こういうことを——これは非常に単純な算術でありますが、そういうことを計算してみますると、一兆四百億円くらいになるので断ります。これは本年より二千四百億円もふえてまいります。極端な場合でありますが、かりにこのように事態が推移する、そうしますると、四十年度以降の公債を含めまして四十六年までにどれくらいの公債になるか、そうすると大体工兆五千億ばかりであります。四十年度の公債の出るまでにすでに四兆数千億の内債があったわけでありますから、それを加えますと、四十六年度の国債累積額が大体十兆ということが予想されるのであります。このように、財政に国債がビルトインされて組み込まれてしまいますと、それから抜け出すことはなかなか困難であります。  その一つの理由は、公債発行で財源の振りかえができるのはその第一年度だけなんです。したがいまして、第一年度以降は、国債発行を増額しない限り、これが予算ワクの拡大につながらないことであります。したがいまして、どうしても、よほどの努力をしない限り、公債発行額が年々増加してくる、こういうことになってくるのであります。そこで、財政制度審議会はそういう点を心配して、いまの国債依存率というものは非常に高いのであるから、これを下げる必要がある、一挙にはいかないから、年々この依存率が下がるようにということを提言しておるのでありますが、それが政府によって、一%下げてあるから財政制度審議会の答申に沿っているのだ、こういうふうにいわれますならば、まことに、この財政制度審議会の心配しておられたこととは違うと思うのであります。もっと大幅な、この依存率を下げるという努力がなさるべきではなかったか、こういうことを申し上げたいのであります。  第二に、公債の累増に伴って国債費、すなわち利払い、元金償還費が増加してまいりますことは当然でありまして、それは財政における最も固定的な経費としまして、弾力的運用を妨げる原因をつくるのであります。四十一年度におきましても一般会計の国債費千百五十二億、これは前年度より六百六十四億という大幅な増加になっております。本年度から新減債基金制度が発足いたしまして、これによって繰り入れが七十四億円、それから剰余金の繰り入れ、これが一時二割を繰り入れるということに減額されておりましたのを半額に戻されまして、そしてその関係で十億、合計八十四億円ばかりが償還原資として積み立てられておる、こういうことであります。新規減債資金の率のきめ方は、前年度の内外債それから交付公債を除きましたものの百分の一・六相当でありますが、償還原資がこれだけとしますと、平均六十二年半の償還になりまして、新規の公債の期限が最長七カ年ということでありますから、この減債基金の作用で国債の累積を抑制するということはとうてい不可能であります。  それから第三としまして、国債が財政に組み込まれましたということは、同時に、金融にも国債が組み込まれるということであります。四十年債、四十一年債の八千億が発行されまして、そのうち運用部の引き受け九百億ほどを除きますと、七千百億ばかりがいわゆる市中消化されたわけであります。しかし、このような市中消化が可能だった事由といいますと、それは、四十一年度は景気が不況から回復に向かうという過程でありまして、大体において緩慢な資金需要——民間の資金需要が弱かったのであります。そこに政府、日銀として、国債の消化を可能ならしめるためにあらゆる抜け目のない手を打たれた。政府債中心の買いオペレーションであるとか、日銀貸し出しの積極化であるとか、コールレートの低位なくぎづけ政策であるとかなどによりまして、四十一年度の国債消化というものは、いわばつくられた市中消化であった、こういわなければならぬと思います。それが、国債発行の第二年度になりますと、民間の資金需要がすでに動き出しておりまして、都市大銀行の資金のポジションは圧迫されてきておる。四十二年度の国債、政府保証債の引き受けに重圧を感じて、いろいろと金融筋からの注文が出ておることは御承知のとおりであります。昨年まで発行債が一年を経過しておりませんために、国債は買いオペ対象からはずされて、また貸し出し担保にも使っておりませんが、この二月以来、国債はオペ対象となっております。蔵相の説明いたしましたとおり、今後は国債は、時間でいいますならば一年おくれ、それから総額では大体六〇%ないし七〇%というワクはありますが、大体市中保有交付公債はそのまま日銀の庫中に移行するということでありましょう。これは実質的な日銀の直接引き受けによる公債発行といっても、さして違いはないのであります。このような事態のもとで民間資金の需要がさらに高まってまいりますと、政府資金と民間資金の競合が生じ、右のような機構を通じて国債発行がインフレへつながっていく危険性はさらに一段と濃厚となってまいると思います。日本銀行は国債消化の責任を分担させられておりまする関係上、従来の、すなわち公債を発行するということを考えなかった場合のような勇敢、果敢な金利政策あるいは金融政策を実行し、景気調整の役割りを果たし得るかどうか、こういうことになると、これはここで宇佐美さんが大みえを切られたことを聞きますが、なかなかむずかしいと思うのであります。日本の金融構造、また国債が組み込まれて二年目になりまして、いまや大きな困難に直面している、かように私には感じられるのであります。  私のこれまで申し述べましたことを要約しますると、フィスカルポリシーとして出発した国債政策が、すでにその政策目的を達した。それにもかかわらず建設公債という解釈をとりましたために、公債が恒久的財源として財政の中に組み込まれて、ビルトインされて、そうしてかえって弾力的な伸縮性を失う結果になっております。そのことは、国債の累積、国債費の累増をもたらしまして、財政運営を硬直化せしめる、また日本の金融構造のうちに定着した公債が、インフレーションの道を開くものである、こういうことになるのであります。  私のこのような指摘に対しまして、政府側からおそらく次のような答弁が用意されているかと思います。すなわち、今後経済活動が過度に拡大し、経済の安定成長に悪影響をもたらす、こういうようなおそれの生じた場合には、機を逸することなく、金融面、財政面で格段の施策を講じる、そして経済の過熱を未然に防止する、こういうことがいわれておるのであります。これはいかにも金融と財政を機動的に運営できるのだ、こういう立場のように見られます。しかし、先ほど申しましたように、国債を組み込んだ金融政策は、前述のごとく、もはやかつてのごとく果敢、機動的には作用し得ないことになっておるのであります。それから経費を保留したり、財政投融資を削減するということは、これは最後に用いるべき問題であって、そう軽々に発動すべき問題ではない。初めから放漫予算だということを知りながら予算を組んでしまって、それを実行段階で天引きすればいいのだ、もしそういうことを考えておられるならば、これはあまりにも無責任で、私はさようなことだとは思っておらないのであります。  もう一つの答弁は、景気が想定された以上に好転すれば、税収は予算以上に伸びるだろう、一般財政が揚げ超を続ければ金融がタイトになり、景気が過熱化するのを自然に予防する効果がありましょうし、年度末に至って剰余金となる部分で、公債発行をそれだけ減らせる、それによって国債の発行額は実際にはふえないであろう、こういうのであります。これは前のとは違いまして、十分検討に値するところがあります。私の前の公述人の方もその点を言われたと思いますが、すでに四十一年度におきましても、七千三百億円と計画された国債発行が、自然増収や不用額などによって、結局六百五十億ばかり削ることができた。そして六千七百億円ばかりの発行額で済んだのであります。  そこで、四十二年度租税収入予算の基礎を検討いたしてみましょう。租税収入を推定する一つの方法としまして、税収の伸びと総生産の伸びを利用した、いわゆる租税弾性値を使うという方法、これは非常にラフな方法でございますが、一つの手がかりを与えるのであります。この弾性値は、景気の局面でたいへんに動く数値でありまして、過去十カ年平均で見ますると一・五、すなわち、総生産が一〇%伸びる場合に租税収入が一五%伸びる、こういった関係を示すわけです。総平均で、この十カ年平均で一・五でありますが、好況期に向かいます年次では一・八であるとか二以上の出る場合があるのであります。四十二年度の租税の減税以前のこの見積もり、それと前年度予算との伸びが七千三百五十三億となっているわけでありますが、これを前年度の当初予算と比較するのではなしに、四十一年度の実収の水準、最新の実績ですね、それからはかってみますると、五千五百四十三億円の増になっております。これは比率で一六・四%であります。これに対して経済見通しの予想しておりますGNPの伸び率は一三・四%でありますから、それから逆算しますと、四十二年度の租税の弾性値は一・三として予算に計上されているのだ、こういうふうに言えるのであります。この一・二という弾性値は、不況期から好況期へ転換する場合の値としては、やや不自然に低過ぎるのではないか、こういうことであります。そこから相当巨額の自然増収が発生するのではなかろうか、こう思います。これについて、財政当局が意識的にこの財源を隠されたのであるか、それとも、租税見積もりのやり方と、それから経済企画庁におけるGNPの予測が別々にされておるためにこういうふうな結果になっておるのか、いずれかで、これはわからないのであります。それよりも、意図的に隠されたかどうかということは別問題として、今後当然相当多額の自然増収が発生すると見込まれますが、その場合に、これをどう処分するかということであります。これが重大な点だと思います。一応考えられますことは、補正予算に使い、そして、そのあとを国債削減に回すということでありましょう。ところで、従来の均衡予算のもとで組まれた補正予算の例で見ますると、自然増収の多かった年は補正の幅も大きい。かなり大幅に米価を引き上げるとかいろいろな手が講ぜられておるのであります。ことしの秋における補正予算が問題になるときに、政府がはたしてどのような態度でこれに臨まれるか。先ほどの鎌倉公述人の言われましたように、この際補正予算の財源にはなるべく使わないで、全額に近いものを国債の発行を削減するほうに使え、こういう御意見については、私もまことに同感であり、そういう態度がされない限りは、すでに放漫政策に踏み込んだ日本の財政を救う道がないんじゃないか。こういう点で次期の補正予算の態度というものが非常に重視されるのであります。  以上をもちまして、私は昭和四十二年度予算と国債政策についての公述を終わらせていただきます。最初にお断わり申しましたように、公述は、この予算が含んでおります他のいろいろな重大な問題につきまして、一言も触れませんでした。まことにその一側面観であることをあらためて御了承を請う次第でございます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)     —————————————

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 ありがとうございました。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 これより両公述人に対する質疑に入ります。北山愛郎君。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私は、正木さんにお尋ねをしたいのでありますが、正木さんのおっしゃることは、一々内容的に私どもの意見と同感できる点がたくさんあるわけであります。ですから、そのお話しになった内容については別に御質問いたしませんが、別の問題で、正木さんは国会の予算審議等についても、その実態について知識を持っておられますから、予算制度あるいは予算審議のあり方について御見解を承りたいのであります。  それは、実はわれわれ予算審議をしておりましても、何となしに政府の予算編成のやり方、あるいはまた予算の様式、それからまた国会における予算審議のあり方というものが硬直化しているというか、ひとつの悪い形でマンネリ化しているような感じがするわけであります。  私の印象を申し上げますと、まず第一に、政府が予算編成をしますときの予算大綱あるいは経済の見通しというものが、大体大蔵省の原案ができると同時にでき上がってくる。要するに、大蔵省に各省の要求書が出てまいって、それを大蔵省が整理をする、原案をつくる、そのときに、政府の経済見通しなり予算編成の基本方針がきまるというのはおかしいじゃないか、むしろ政府がそれよりも前に明年度の予算に対する、あるいは財政政策、経済政策に対する基本的なものを十分検討した上で示して、そしてそれによって、それを十分論議をした上で、それに基づいた予算編成の作業が行なわれるということが理想的じゃないかというふうに考えるわけです。たとえば、きょう、公聴会を開いたのですが、失礼でございますけれども、予算の公聴会のいろいろな御意見、これが、予算が確定をして審議をするという場合に、実際に予算の成立には結果的にはほとんど反映されない、そのような形で毎国会済んでおるわけであります。極端に言うと、公聴会というのはアクセサリーみたいな、そういう効果しかないということで、私自身も公述人からいろいろな不平なども聞いたことがございますが、こういう点もやはり関係しているのではないか。やはり経済見通しとか、あるいは予算編成の基本方針というものを国会の場である程度討議をされる、そのときに各界の意見がこれに反映される、その意見が予算の内容に反映するというような順序を経るのが私は理想的だと思うのでありまして、そういう点で政府の予算編成のいままでのやり方、順序というものにひとつ問題があるんじゃないか、しかも予算の内容を動かすものは、むしろ各省なり、あるいは地方団体その他圧力団体が編成過程の中に入り乱れて分取り合戦をするということを毎年繰り返しておるわけでありまして、そういう点で、私は、政府全体としても、重要な予算編成の中に、政府自体の大きな政策というものが反映されないような、いわゆる政策不在の予算案というような感じがするわけであります。そこにも問題がある。  それからもう一つは、国会の中における予算審議でございますが、実は予算委員会というものが、ともすると、大きな国政一般、政治、外交、防衛等の問題がより活発に論議をされて、そして予算の内容なり、そういうものの実質審議というものが非常に不十分ではないか。予算案というものは非常に膨大な内容を持っておりまして、一般会計だけでも大きなものですが、それ以外に四十六の特別会計を持っておる。それから政府関係機関、国鉄あるいは電電公社等だけをとってみても、膨大な内容を持っている。それ以外に、財政投融資計画がある、また地方財政があるということになりますと、延べでいうと十七兆円くらいになるのではないかと私は思うのですが、そういう膨大な内容を持ったものが、十分その予算の内容についての実質審議が行なわれないで、まあ、言うならば表価をちょっとかすった程度で、そうして国会をまかり通ってしまうという点について、私は非常に疑問を持っておるわけであります。そこで、この予算審議のやり方についても改善の方法があるのではないか、これは国会の構成なり、委員会の構成等にも関連する問題でありますが、それらの点。  それから、予算の内容がそれだけ膨大になりますと、国民に対する予算の内容についての公開の原則といいますか、これがわかりにくい。ただ去年から社会保障費は何%ふえたとか、総額がどれだけの規模ふえたとか、そういうことでありまして、予算案全体が国民生活にどういうふうな影響を与えておるのかというような内容についてのことが、国民によくわからないままに毎年まかり通っておるのではないか、こういうふうな感じがするわけでありまして、これらのいわゆる政府の予算の編成の手続、順序あるいは予算の様式、また国会における予算審議のやり方、こういうもの全体について、ひとつ正木さんの平素の御見解、御研究があれば、これでお示しを願いたい、こういうことであります。

正木千冬国学院大学経済学部教授

○正木公述人 北山先生にお答え申し上げますが、いろいろ問題を御提示になったのでありまして、いかにも、予算がきまってから経済見通しの数字が出たり、運営方針が出たり、予算編成方針が出されるというような形になっておりますのは、事態そのものははなはだおかしいと思います。したがいまして、先生のお考えをどうしたら実効的に考えられるかと申しますならば、この予算編成の段階の前に、もう少し一カ月ほど前に、経済政策、経済計画の編成の一つのプロセスというものがあるべきである。これはアメリカ等の例の大統領諮問委員会、それが作成する経済白書というようなものと関連するわけですが、それを国会の予算委員会が検討するというような段階において、経済の状況、それに対する経済政策、それからその場合にやはり必要なのは、長期の財政計画というものがある程度なければ骨がないと思うのであります。経済の見通しも、あるいは抽象的な経済政策の論議をしましても、それと長期の財政計画というものと結びつかないと、これは意味がないのではないか。そういう意味におきまして、五年くらいの——もちろん国会も政府も拘束しない一つの長期の財政の収支の見通しでありますが、そういったものがまずあって、それを土台としながら経済情勢、経済政策というものを論議する場合がありますと、かなり有効な審議ができるのではなかろうか、かように考えます。  それから、ただいまの予算委員会あるいは本会議における予算審議につきましてどうかという御意見でありますが、私は十数年間参議院の予算委員会におりまして拝見いたしておりまして、そう申しては失礼かと思いますが、十分掘り下げた審議がされないままに毎年毎年予算が通過していくという感じは免れません。それには政府の怠慢といいますか、これだけ複雑になりました予算を審議してもらうために必要な資料が整備されていないのじゃないか、また予算の形式につきましても、このようなたくさんの特別会計、政府関係機関、それから財政投融資、こういったものにわたって財政活動がされるのでありますが、財政規模一つとりましても、一体幾らの財政規模と見ていいのか、これはなかなかむずかしいのであります。そういったことについて、もっと政府も勉強すべきであるし、少なくも、予算を御審議なさるところの予算委員会として、一体どういうふうな形の資料を出されたらば能率的に、また徹底的な審議ができるか、こういう見地で、予算形式それからそれに伴う必備資料をもう一ぺん御検討になったらいいのじゃないか。財政法二十八条の資料といったものもございますが、ずいぶんこれも入り用なものもあるし、不要なものもある、こう思います。  それから、そういった場合に、既定経費と新規経費、こういったものの区分というようなものも参考資料として出されておりますならば、この予算においてどれとどれとが新規事業で、それにどれだけの金がかかったか、またそれが平年化した場合にどれくらいの負担になるかということが、まとめて一目りょう然になる、そういうような形にしておく。そして一方に、この既定経費というものがどれくらいであるかといったようなことも明らかになる。こういうような資料のつくり方、たしかフランスあたりの財政がそういったような形になっているかと思いますが、例もあることであって、新規経費というものを特別な扱いをする、参考資料としてでありますが、そういったようなことも考えられるのじゃないか。  それから、さっきお触れになりましたように、たくさんの特別会計、それから政府の独立機関、こういったものをわずかの期間で予算委員会が審議しようといっても無理だと思うのです。もっとこれが審議できるような形において資料をつくってもらわなければ、これはできないと思うのであります。簡単に申しますれば、予算委員会は日本国という大財閥の会社の株主総会だ、こう考えまして、この委員の方々がその株主代表である、そうした場合に、この日本国のどの事業はどうもうかって、どこに赤字があるか、それからどれだけの投資をするか、こういうことが、本社のほかに、関係会社全部をひっくるめた、全体をながめ渡すようなものがなければならないと思うのであります。そういう意味において、ただいまの会社におきましても子会社連結財務諸表が要求されておりますように、財政におきましても同じような一般会計と特別会計との関連、それはいまのような単なる純計というような形で機械的に寄せたのでは意味がありませんが、それをもっと機能別に分けて表示をする。それから政府企業、行政事業それぞれにつきましても、それがどれだけの大きさの仕事をして、またどれが赤字であって、そのために政府資金の借り入れがふえている、そういうようなことが一目してわかるようにし、それが財政上あるいは金融上どういう意味があるかといったようなことがはっきり提示されておりますれば、予算委員会におきましても相当能率的に御審議できるかと思うのであります。私どもが参議院において見ておりましても、ずいぶん問題でありそうな、たとえば特別会計のある事業が赤字になっておる、それに何も御質問なくて通ってしまったというようなこともあるのであります。それから、政府の特殊機関等におきましても、もちろん非常に膨大な赤字を年々繰り返して知らぬ顔をしている、こういったものもあるのでありまして、それらのことがすぐわかって、これはここに問題がありますよということがわかるようにして、政府はやはり出すべきだと思います。また、それを出さないようであるならば、予算委員会におきまして、国会の立場から、どういうふうにつくってくれということをお示しになればいいのじゃないか、そういった資料と相まって、ひとつ自主的な御審議を願いたい。  それから、もう一つ申し上げますならば、これまでの予算の審議のしかたにおきまして、歳入の面の検討が非常に欠けておったように思います。大蔵省の説明をただ一通りお聞きになって、そうですかという程度で終わってしまっているのじゃないか。ところが、実際はなかなかそこにいろいろな問題があり、その歳入の見積もりがいいか悪いかによってはね返ってくるのが、やはり歳出面における費用のアプロプリエーションのバランスの問題に影響してくるのでありますから、どうか歳入面におきましても、十分これが妥当であるかどうかということについての御検討があっていただきたい、かように思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 どうもありがとうございました。  もう一点伺っておきたいのですが、いまの財政投融資計画の取り扱いです。これが単に予算案の参考資料という形式になっているわけですけれども、これでいいのかどうかですね。実質的には予算案と同じような程度の重要性を持った内容のものだ、性質のものだ、こういうことでありますから、これもひとつやはり国会の議決の対象として取り扱うのが本則ではないだろうか。何かしらただ予算の添付書類みたいに——しかし、実質上は同じような重要性を持っている。しかも、国民の重要な貯蓄、貯金を投資、運営をするという重要な内容のものでありますから、私はやはり国会の議決を経るという項目、そういう対象にすべきじゃないか、こう思うのですけれども、正木さんの御意見を承りたいのです。

正木千冬国学院大学経済学部教授

○正木公述人 財政投融資の重要性につきましては、申すまでもないのでありまして、規模におきましても一般会計の約半分くらいになってきておりまして、第二の予算とか第三の予算とかいわれるのでありますが、しかし、それではどうしたらいいかということになりますと、かなりむずかしい問題でありまして、一つは、一体一般会計と特別会計の一部、それから財政投融資とを入れました、ひっくるめて一つの政府というものの財務勘定といったものを、どういうふうにして構成するかということがまず考えられると思うのです。そのつくり方、いろいろむずかしい問題があると思いますが、そうした中で、今度は個々の財政投融資のプロジェクト、あるいは機関のこの一年間の資金計画、あるいは事業計画というものがどうあるべきかといった問題になる。それで、どういうふうに国会の意思を反映するかということは、別問題にして、まず必要なのは、さっきちょっと触れましたような、政府の財政活動の全般をどういう形であらわしたらいいかということをひとつ研究してみて、その上で、今度はどうコントロールするかということになると思うのです。私は、ある意味では、政府の官業ですね、公社等の予算をいまの拘束制度のもとに置くことが妥当であるかどうか、かりにいま拘束制度に置きましても、非常に款項目は流用できるし、弾力条項はあるし、いろいろな形でほとんど拘束の意味がなくなってきておる。しかも、いまのような予算下において、はたして電電なり国鉄の経営が完全に正しく予算あるいは決算において出されていて、そして経営状態がつかめているかというと、そうではないのであります、したがいまして、いまのような形式的な予算を出させるということ、それを議決するということだけでは、そういった政府の、ことに事業をなす機関のあれを監督することにならないのじゃないか。それには何か違った方法を考える必要があるのじゃないか。でありますから、財政投融資の各機関、それをもっと繰り上げて、たとえば公団のあるものは公社並みに予算を出させろ、こういうことも一つの方法でございましょう。それもそうでありますが、もう一段、ああいった事業をなす政府機関の財政監督というものをどうするかということについて、別の見地から考える必要がありはしないか。いずれにしましても、国会はある程度の発言権を持つ必要はある。個々の経費につきまして拘束するということは、これはある場合には二重の拘束になるし、ある場合にはどうしても弾力的な条項を認めなければならないことになりますから無意味になります。したがって、ある意味において営業政策上の発言ができるとか、あるいは経理が赤字になった場合に、改善的な策を何月までに出せと、こういうような注文を出せるとか、あるいは人事の刷新を要求するとか、そういうような発言をする権限は国会側が持つ必要がある。これは何も公社、公庫だけに限るべきじゃなくて、いまのいわゆる政府機関ですね、ああいったもの全体についてそういった発言力を確保すべきだ、そういう意味におきまして、私は公社、公庫以外の政府の独立機関を一括したようなパブリック・コーポレーション・アクトというようなものを一ぺん考えてみて、そこで監督すべき機関あるいは国会との関係、国会がどういうことが脅えるか、こういったことをおきめになるのも一つの方法である。いまのままの財政投融資、あれでいいかと言われれば、あれではいけないと思いますが、いまのままでそれを議決対象に持ち上げたところで、これは意味がない。そこらにおいてもっと十分掘り下げた御研究が必要じゃないか、かように考えるわけであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 どうもありがとうございました。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 次に、加藤清二君。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私は、この際、簡単に公債について二、三点だけお教えをいただきたいと思います。  まず第一番に鎌倉先生にお願いしたいのでございますが、先生は先ほどの公述で、減債基金を弾力的に行なうようにとのお説でございました。この弾力的の内容を承りたいのです。

鎌倉昇京都大学経済学部助教授

○鎌倉公述人 お答えをさせていただきます。  弾力的と申しますのは、現在の財政法できめられておりますことは、以上ということばでございますので、以下にはもちろんなっては困りますが、景気の動向その他を見合わせまして、場合によってはこれを十分にお使いいただく、そういう意味でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 それじゃ、ちょっと予算審議上まだわかりかねますが、たとえば期限は七年ときめられている。したがって、その他のことで弾力的にと先ほどおっしゃったのですが、それから類推していきますと、この借りかえをするとか、あるいは買いオペの制限期限を縮めるとか、いろいろその弾力的に扱うという具体策があると思いますが、たとえばどんなことでございますか。

鎌倉昇京都大学経済学部助教授

○鎌倉公述人 お答えさせていただきます。  三つの問題をいまお出しになりました。一つは減債基金の問題、それから私が弾力的と申し上げましたことは、それ以外の問題と関連いたしまして、まず第一番目に、先ほど正木教授のほうからもお話がございましたように、景気の動向とにらみ合わせまして、公債発行というものの額そのものを減じていくような方向に向かわなければいけない。景気の動向でございますから、不況になりました場合はこれが増加するというのは当然のことでございますが、逆に景気が上昇の方向に向かいますと、たとえば、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、来年度以降につきましては、ことしの上昇軌道に乗りました景気が、これから先さらに上昇を続けるということになってまいりますと、当然来年度の発行額は減らなければいけない。それから、先ほど申し上げたのをもう一度繰り返しますが、今年度につきましても、税収は、これも先ほどの正木公述人から詳しいお話がございましたが、大体私どもは、租税の国民総生産に対する伸びの弾力性は大体一・五から一・七、八が見込めるのでないか、かりに一・五と見ましても現在より多うございますので、景気が順調に推移いたしますと、かなり税収がふえてまいりますから、この点は発行限度内にとどめていただきたい。国会でお通しいただいております予算の中の国債発行額というのは、これは最高限をおきめになったものというふうに私ども了解いたしておりますので、そこまでは発行の権限があるということでございます。しかし、これはそれだけのものを発行しなければいけないということではございませんので、これはその限度内に、なるべく補正予算等におきましてお使いになる必要最小限度におとどめいただいて、あとは国債発行を減らすようにしていただきたい。  それからもう一つ、最後におっしゃいました第三の問題点でございますが、オペの問題でございます。オペの問題については、私は、期限を短くするというようなことは別にいま考えなくてもよろしいかと思っております。一年の制限ということを、たとえば半年とか、そういう形にする必要はないかと思っております。ただ、この点に関連しまして、このオペというものは、よくいわれることでございますが、経済成長に伴いまして、どうしてもやはりそれをまかなうための通貨の供給の増加ということが必要でございます。通常成長通貨と呼ばれております。成長通貨というのは、これは経済審議会のついこの間の答申の中にも大体そういう考え方が盛られておるわけでございます。過去の実例を見ますと、年々によって若干の変動がございますが、やはり経済成長の速度、これは名目額の成長でございますが、それに見合うように大体通貨の量というものはふえております。これは単純に貨幣の流通速度がほぼ一定といたしますと、そういう形になるわけでございます。その場合の通貨の供給の道でございますが、これは日本銀行主要勘定項目、貸借対照表を念頭に貫いていただくとすぐわかることでございますが、銀行券発行商は貸し方負債の部でございます。これが趨勢的に伸びるためには借り方の項目がふえなければいけない。借り方の項目というのは、大ざっぱに分けますと、外貨等の、つまり対外資産、それからもう一つは、政府等の借り入れ並びに国債、それからもう一つは、民間の金融機関を通しての借り、この三つでございます。要するに、だれかが借りるということが、いわば日本銀行の債務である、銀行発行券をふやす形になると思っております。そこで、昭和三十六年十二月からの日本銀行の新通貨供給方式でございますが、この中で、これから成長通貨をオペでまかなうということになりますと、やはりこれはアメリカあるいはフランス等で考えられておりますように、あるいは現実に行なわれておりますように、長期趨勢的にいいますと、日本銀行が買いオペによってある意味で国債というものの手持ちがふえていくということはやむを得ないことであるし、もしそうしなければそれ以外の分野、つまり日本銀行信用の過大な膨張になる傾向が起こってまいります。もちろん国際収支の黒字でまかなわれればいいわけでございますが、国際収支というものはその本来の性質から、万年黒字ということは望めませんし、日本は過去の実績は黒字のほうが多うございますのでけっこうなんでございますが、しかし、成長をまかなうだけのものが必ず国際収支から出るということを期待することは困難でございますので、そういう点で、買いオペというものが買い超といいますか、買いオペのほうが売りオペよりふえるということがあってもこれはやむを得ないし、むしろ金融の論理からいうと当然のことであろう、こう考えております。ただし、この問題は、先ほど申しております弾力的ということよりか、これは金融政策の弾力的でございますので、いまの減債基金とかあるいは発行等に関する弾力の問題とはいささか違う側面のことであると理解いたしておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 次には、第四条にいうところの償還計画の必要条件、それから減債基金のつくり方、これは第六条にうたっておりまするが、それ等はどの程度の規模があったらよろしいでしょうか。なぜこう質問しなければならないかと申しますと、四十一年度にはこれがございませんです。今度初めてある程度のものが出ておりますが、私はあれを計画書とは見れないのでございます。そこで、この点を正木先生にお尋ねいたします。

正木千冬国学院大学経済学部教授

○正木公述人 この問題は、四十年度の国債が出たときからの問題なんでございます。私も委員会でいろいろ聞いておりましたが、結局何といいますか、はっきりわからないままで来ておる。それは私は先ほどちょっと申したのでありますが、財政法四条のいわゆるただし書きの公債であります。これはいま政府が四条公債だ、四条公債だといっているものとは違うのであって、ただいま公社なり公団なり事業団なりというものになっておって、その政府保証債というような形になっておりますもの、これが本来財政法四条の置かれたときに考えられておったことで、そういったような公共事業あるいは公共投資、こういったものだったろうと思うのであります。したがいまして、そういうものでありますから、それがどれだけ聖業収入がある、あるいは手数料収入がある、そのかわりに、その足りない分はどれくらいか、そういうことによりまして、投資に対してどれくらいの償却ができるかというようなことから、当然そのために発行したものに対する償還計画自体があり得るわけですね、そういったものを国会に出す。したがって、それを見ながら、どの公共事業は適債事業であるか適債事業でないか、そういうことも判定できると思うのであります。ところが、いまのような一般会計で全く行政施設を獲得するためのもの、あるいは行政的な資金供給で、貨し付けあるいは出資といいながら、全く赤字埋めをしておるというものがあるのでありますから、そういった償却による国債の償還、こういったものが本来ないのであります。したがって、私がさっき申しましたように、論理はちょっとおかしいかもしれませんが、四条の公債、四条のただし書きにあれするような対象の事業がないのであって、その意味において無理にあれいたしますと、どうしても解釈上無理なことになりまして、償還計価といっても、公債全般の償還計画しか出せない。あれを読んでみますと、どうしても個々のプロジェクトに対する起債であり、それの償還計画、何年で償還しますとか、一般会計で足りない部分以外はどういう特殊な特別収入がある、こういったことが、字には書いてありませんが、そういったことは補って考えなければ読めないような字句であろうと思うのであります。でありますから、何度繰り返しまして出せ出せと国会のほうでおっしゃっても、政府のほうではいま以上のものは出せない、そのために若干の減債基金計画を立てました、ここらでほこをおさめていただくよりしかたがないのじゃないか、それ以上は財政法全体をひとつ御検討になるという時期があるのじゃないか、かように考えるわけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 この減債基金のいまの方法でいきますると、元金を返すだけで六十二年の余かかるのですね。これが次々と新しい公債が発行されていきました場合には、私はたいへんなことになるのじゃないか。これは私のみならず、心ある人ならみんな心配しているのですが、このところを財政審議会も検討の上、立法措置その他をしなければならぬと答申しておるようでございまするけれども、一体、はたして六十二年かかって返すような減債基金のつくり方でよろしいものでございましょうか。これはどんなものでございましょうか、お教え願いたい。

正木千冬国学院大学経済学部教授

○正木公述人 今回の百分の一・六でありますか、それはお話しのように、それだけが償還原資であれば六十二年半かかるわけであります。私は、おそらくそれ以外の剰余金を繰り入れるとか、また、それで足りない分はどうしても償還期限が来ておりますような場合には、交付公債なんかの場合はそうでありますが、一般会計から入れるであろうと思うのであります。しかし、制度としてどうかというふうな御質問でありますが、以前日本が持っておった減債基金積み立ての割合は、たしか万分の百十六でありましたか、今度のよりたしか比率が低いのです。低いのでありますが、当時の日本の国債の平均償還期限は二十五年とかいうような長いのですね、でありますから、万分の百十六というようなものでも、ある程度償還の真半分とか三分の一くらいは出せるというようなことになっておったのじゃないか。  問題は、倉卒の間に出されたこのいまの国債の期限が最高七年、これは異常に短いのだと思うのであります。これは極力長くする必要がある。その方法として、市場との関係もありますから、市場の分とあるいは資金運用部で引き受ける場合のものとは期限を変えるとかなんとか、全体の公債を減らすことが必要だと思いますが、減らせない限りにおいては、この長期化をはかるということが必要であり、長期化をはかり得る一番早い方法は、ある程度資金運用部の引き受けをふやして、その分については十五年とかなんとかいうふうな長いものを持たせるということも考えられるのじゃないか。こういうことで、要するに量を減らせるのと、公債の平均償還期限を延長し得るのじゃないか、かように考える次第でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 もう一点、一般予算の公債に対する依存度、その率でございますが、先ほどのお話を聞いておりますと、鎌倉先生は、これで大体規模は妥当であるというように承りました。正木先生の場合は、四十六年度をめどに考えてみるというと膨大なものになってくる、したがって依存度は低めるべきである、こういうふうに私受け取ったのでございますが、一体、依存度はどの程度が妥当であるのか、諸外国の例はどんなものであるか等々を、もう一度お教え願いたいのです。それは鎌倉先生と、正木先生の両方に承りたい。

鎌倉昇京都大学経済学部助教授

○鎌倉公述人 お答えさしていただきます。  私ども、実は経済審議会の財政金融分科会でこの問題についていろいろ議論をいたしました。公債発行というものに関しましてまず第一の点は、一般財政中国債に依存する部分が何%になるかということについては、これを確定した数字できめる根拠というようなものはいまのところないわけでございます。それで、私どもといたしましては、ここ三、四年の間に次第にこの依存度を縮めていくことが必要であるということを申しております。それはどういうことかと申しますと、今年度につきましてほぼ妥当であると申し上げました根拠をまず申し上げるわけでございます。これは先ほど正木公述人のほうからお話がございましたように、一つは、やはり現在財政審議会その他から答申等に出ておりますように、財政の伸び率といいますものは、国の経済の成長率を若干上回る程度にとどめたい。ところが、経済の成長率というものは、われわれはやはり一二%ないし一三%名目で伸びるものと思っておりますから、そうしますと、国債費を除きました純粋の意味の財政というものは大体一四%ぐらいの増、これはそれほど不当なものではない。そうしますと、その点から考えて、かりに税収というものを大蔵当局が見ておりますように考えるとしましたならば、国債発行額はそうなってくるというのが差し引き計算でございます。  それから第二、ただそのときに、繰り返して申し上げますが、あの税収の見込みは、私は過小であるという見方を若干持っております。ただ、これは先ほど申しましたように、これからの経済の推移によって一がいには申し上げかねるわけでございますが、もし一・五なり一・六の、あるいは一・八とこれは見方が分かれるわけでございますが、最低一・五ないし一・八の弾性値があるということであれば、これは先ほど来申し上げておりますように、現在おきめになっております予算案の中に含まれておる国債発行の規模よりこれを抑える可能性が十分ございますので、その点を先ほど申し上げたわけでございますが、なるべくこれはお押えいただきたい、こういうことでございます。  それから諸外国の例でございますが、諸外国の例につきましては、これは別に確定的なものはございませんが、たとえば、現在アメリカのようにああいう戦争をいたしておりますところを見ますと、当然この率は大きくなってまいりますから、これを例とすることはできません。しかし、大体五%ないし七%ぐらいのところ、場合によっては、それを若干越えて一〇%ということが考えられるわけでございます。それで、御存じのように、経済審議会の考え方といたしましては、答申案の中に書いておりますが、ここ数年間のうちに七%を限度とするように持っていっていただきたい。ただしかし、現在の、今年度に関しましてはそう一気にも、なかなか既定経費その他もございますし、それから財政規模全体の伸び率を考えました場合に、若干それを上回っておりますが、これはやむを得ないことである、こういう考え方をいたしておるわけでございます。

正木千冬国学院大学経済学部教授

○正木公述人 先ほど私は、いまの赤字公債をなるべく早く脱却すべきであるという立場で申し上げたわけであります。そうすると、非常にきびしいことを申すようでありますが、私は、いわゆる公債政策でやっておるこういった積極的な建設あるいは投資に関するものは、先ほど申しましたように、いわゆる財政投融資の形で行なわれておるわけであります。それを含めまして、一体、政府のいわゆる国債あるいは政府債務、こう考えるか、その中で一般会計だけを特別に考えて、一般会計の場合はこれは赤字公債であるから、普通の場合はなるべくゼロにするのが理想である、こういう立場で考えて、それが非常に縮まった場合に、片方のいわゆる財政投融資のほうで見ておりますそういった種類の政府保証債なり何なりふえていく、伸びていくというような関係もあるかと思うのです。したがいまして、いわゆる一般会計の国債依存度を幾らにすべきかということについては、私はなるべくすみやかにゼロにするのが望ましいということを重ねて申し上げたい。それだけの決意をしていかないと、とかく放漫に流れ、インフレにつながるおそれがあるのじゃないか、こういうことでございます。  それから一般のほかの国の状態はどうかということでありますが、これは何がいわゆる政府の債務であるかということを初めからきめておきませんと、議論ができないのであります。それは日本の場合でも、いわゆる政府保証債といったようなものは一体国債になるのかならぬのか、こういったことを一ぺん全部洗ってしまって、そうしてほかの国と同じ条件において同じような計算をしたらどうか、こういうふうにならないとうまく比較がでなきいわけでありますが、大体におきまして、いわゆる経常収入に対する経常支出、その差額といったようなものがイギリスやフランスにおきましてはプラスになっておるのが多いんですね。それで、むしろその格差以下の、いわゆる財政投融資の形で負債勘定が出てくる、こういう関係でございますので、どうしても、ここで一般会計と財政投融資をどういうふうに扱って、どういうふうに比率を計算するかということまで進みませんと、正確なお答えはできないかと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 ありがとうございました。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 これにて両公述人に対する質疑は終了いたしました。  鎌倉、正木両公述人には、御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  午後は一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ————◇—————    午後一時十五分開議

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十二年度総予算について公聴会を続行いたします。  ただいま御出席の公述人は、日本証券業協会連合会会長福田千里君、東洋大学経済学部教授御園生等君のお二人であります。  この際、御出席の公述人各位にごあいさつを申し上げます。本日は御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。御承知のとおり、国及び政府関係機関の予算は国政の根幹をなす最重要議案でありまして、当委員会といたしましても、慎重審議を続けておるわけでありますが、この機会に、各界の学識経験豊かな各位の有益な御意見を拝聴いたしまして、今後の予算審議のにおいて貴重な参考といたしたいと思う次第であります。何とぞ各位におかれましては、それぞれ御専門のお立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存ずる次第であります。  次に、御意見を承る順序といたしましては、まず福田公述人、続いて御園生公述人の順序で、約三十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただき、しかる後、公述人各位に対し一括して委員から質疑を願うことにいたしたいと思いますので、あらかじめ御了承願います。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を求められること、また、公述人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、この点あらかじめ御承知おき願いたいと思います。  それでは、まず福田公述人から御意見を承りたいと存じます。福田公述人。

福田千里日本証券業協会連合会会長大和証券株式会社会長

○福田公述人 私がただいま御紹介を受けました福田でございます、本日は昭和四十二年度の予算案につきまして意見を申し述べよということでありますので、証券界に身を赴く者の立場から、いささか所見を申し述べて御参考に供したいと存じます。  まず本論に入りますに先立ちまして、簡単に最近の経済情勢並びに今後の見通し等につきまして、私の考え方を申し述べたいと存じます。  御承知のとおり、わが国の経済は、昨年における政府の本格的な国債発行の導入による積極的な景気振興財政の運営と産業界の真剣な企業努力によりまして、四十年の秋を底として、マクロの面においてもミクロの面においても、予想以上に急速な回復を見、今日まで引き続き順調な上昇過程を歩んでおるのであります。すなわち四十一年度の鉱工業生産指数は、前年度に比べまして一五・八%の上昇、経済の実質成長率においても九・七%の上昇が見られておるのであります。また産業界の企業実績も、昨年九月の好収益に引き続きまして、本年の三月も予想以上の好況を示しておるのであります。これを、東京証券取引所市場第一部上場会社について見ますと、昨年九月期決算は前期比九・一%の増収、二二・五%の増益を示しておりまして、さらに、本年三月期の決算も八・一%の増収率、一四・九%の増益率が見込まれておるのであります。本年度も旺盛な個人消費支出と根強い企業の設備投資意欲にささえられまして、鉱工業生産もかなりの伸びが見込まれるなど順調な上昇傾向を持続するものと予想されるのであります。昨年を景気回復の年とすれば、本年はまさに景気上昇の年と申せるものといってもさしつかえないかと存じます。  ことに、民間設備投資につきましては、昨年度に比して一五%ないし二〇%の増加を見るものと予想されまして、一部には下期以降において景気の過熱を招くのではないかとの警戒的意見も聞かれるのでありますが、景気の立ち直りから来る需要の増加に対処し、ことに、今後の資本取引の自由化の進展に対処して、設備の近代化、合理化の必要はまことに切実なものがありますので、過度の警戒的意識にとらわれて、長期的視野に立った日本経済の拡大と発展の芽をつむようなことのないよう、特に留意することが肝要ではあるまいかと思うのであります。  次に、わが国経済の環境条件としての国際経済の動向でありますが、欧米、ことに米国における本年の景気は、成長率が鈍化し、いわゆるリセッションに入るのではないかという観察も行なわれつつある状況でありますので、国際収支の面では、国内における生産の増加に応じて輸入の増勢が今後一そう強まるものと予想される反面において、輸出の伸び率は内外の要因から幾分鈍化することは避けられないのではないかと見られるのであります。さらに、貿易外収支及び資本収支の面におきましても、赤字は多少増加するのではないかと予想されますので、総合収支の上では、その先行きは必ずしも手放しの楽観は許されないかと存ずる次第であります。  このように考えますと、今後の経済運営の基本は、国際収支の均衡と物価の安定を主眼として、経済を持続的な安定成長の路線に定着させることにあるといわなければならないと思うのであります。  そこで、これから本論に入りますが、以上の見地から本年度の予算案につきまして、私の所見を申し述べてみたいと存じます。  まず、本年度の予算の性格及び規模についてでありますが、これは私がいまさら申すまでもなく、一般会計予算の規模は四兆九千五百九億円で、その伸び率は一四・八%、石炭対策特別会計への振りかえ分を含めるといたしましても一五・九%、これは昨年度の伸び率一七・九%よりかなり低目に押えられておりますし、特に景気に対して影響の大きい公共事業関係費の伸び率は一四・二%と、前年度の一八・八%から相当に下回っております。また財政投融資計画につきましても二兆三千八百億円、その伸び率は一七・八%と、昨年度の二五・一%に比べて大幅に抑えられております。なお、国債については、昨年度より七百億円増加して八千億円の発行が予想されておるようでありますが、予算の公債依存率の点では、昨年度より若干低くなっており、わが国の著しい社会資本の立ちおくれと、昨年度の大規模の減税等による財源の振りかえを考慮すれば、やむを得ないところであろうと存じます。  これを要するに、本予算案は、今後の経済見通しに立脚しつつ、景気に対して中立的立場がおおむねとられて貫かれたものとして賛意を表する次第であります。  また、本年度の税制改正案におきましては、国民負担の現状にかんがみて、昨年度の大幅減税に引き続き、所得税を中心とする減税措置が織り込まれましたことは、大筋においては当を得たものと存する次第であります。  次に、予算の内容についてでありますが、その詳細につきましてはいろいろな見方もありましょうが、全体として重点的に取り上げられたもの、すなわち、住宅、生活環境施設の整備拡充、社会保障の充実、道路、港湾、治山治水等、そのほか等々の施策が重点的に取り上げられまして、これらについて格段の配慮が加えられておりますことは、これまた時宜に適したものと賛意を表する次第であります。しかしながら、今後における経済の基本的なあり方にかんがみまして、本年度予算の運営等について、この機会に二、三私の意見を申し述べてみたいと存じます。  その第一は、本年度予算案を景気に対してやや警戒的な中立的立場で貫くという政府の基本的かまえについては私も全く同感でありますが、本年度の経済に対して、景気の過熱をあまり神経質に考える必要はないのではないか、むしろ行き過ぎた景気過熱懸念から、産業界の企業意欲を阻害するような抑制策をとられることは、先ほども触れましたように、わが国の将来にとって、かえってマイナスになるのではないかと思われるのであります。今回の設備投資意欲の台頭は、過去のきびしい試練を経た冷静な判断に裏づけられた企業意欲に根ざすものであって、既往の苦い事例と同日に論ずることは、かえって誤りをおかすことになりはしないかと思うのであります。しかしながら、最近における経済の急速な回復と上昇が、民間の根強い投資意欲の再燃によるものであることは事実でありまして、本年度は民間企業の資金需要も増勢をたどることが予想されまして、民間と政府との資金需要の競合が考えられるとともに、また一方、景気の好転に伴って税収の増加傾向も強くなってまいるものと見込まれるのであります。したがって、今後の経済動向には十分の注意を払いながら、政府・民間両部門におけるバランスのとれた資金の配分が行なわれるよう、必要に応じて財政政策を弾力的に運用されるよう切に希望するものであります。  第二には、国債発行に関してでありますが、私ども証券界に身を置く者といたしましては、明年度からの本格的な国債発行に対して、業界をあげて個人消化の促進につとめるとともに、売買市場の整備を行ないまして、昨年十月から国債を東西両取引所市場に上場するなど、流通の円滑化をはかってまいったのでありますが、この際特に申し上げておきたいことは、国債発行はあくまでも市中消化を原則とし、発行条件につきましても市場の実勢を十分勘案されるよう格段の御配慮を賜わるとともに、特に景気の上昇下において、国債管理政策に万全を期せられたいと存ずるのであります。また、今後、国債をはじめ、公社債の発行増加が予想されますので、その市中消化の促進をはかるためには、いわゆる既発債、すでに発行された債券の流通市場を健全に発展拡充することが必要であります。このような見地から、公社債の流通並びに引き受けに関する証券金融の拡充について、特段の御配慮を賜わりますようお願いいたしたいのであります。  なお、この機会をおかりして特にお願いしておきたいことは、国債及び政府保証債の大衆消化促進についてであります。私どもは、この国債及び政府保証債を証券貯蓄として国民大衆に広く保有していただくよう真剣な努力を重ねているところでありますが、その成果は、国民大衆がどこまでこの証券になじむかということによって影響されるところが大きいのでありますので、この際私は、特にそのPR活動について関係各方面の格段の御配慮と御協力をお願いしたいと存ずるのであります。  第三番目は、企業の自己資本充実のための税制に関する問題であります。今回の税制改正案において、利子、配当に対する特別処置が、税率を引き上げられて三年間適用期限を延長するということに対しましては、私どもといたしましてはいささか不満の点もあるのでありますが、やむを得ないものがあったことと存じておるのであります。しかしながら、わが国企業の自己資本の比率は近年悪化の一途をたどって、最近では二〇%を割る一九・何%というような、はなはだ憂慮すべき事態に立ち至っておるのみならず、わが国の当面する資本取引の自由化に備えて、企業の体質を改善して、国際競争力を強化することが喫緊の要務とされているのであります。このためには、企業減税等によって内部留保の充実をはかることももとより必要でありますが、根本的には、国民の直接投資を一そう促進して、増資を容易にして、自己資本の充実をはかることがぜひとも必要なのであります。この観点から、この際、広く国民の貯蓄性資金を資本市場に導入するために、証券投資に対する税制面での優遇措置が切に望まれるのであります。  利子、配当に対する特別措置については、従来いろいろの意見があるようでありますが、今後わが国が当面するきびしい国際競争に対処して、経済の安定成長を確保するためには、直接投資に対する税制上の優遇措置を推進して、企業の体質強化をはかることがぜひとも必要だと考えるのであります。委員の各位におかれましては、この間の事情をぜひよく御認識くださいまして、何とぞ一そうの御理解と御配慮を賜わりたいのであります。  以上、簡単ながら所見を申し上げた次第でありますが、国債を抱いた経済が真に定着し、物価の安定と国際収支の均衡をはかりつつ長期にわたって経済の安定成長を確保していくためには、経済の推移に応じて、財政、金融両政策が密接な連携協調のもとに機動的かつ弾力的に運用されることが特に必要であることを、終わりに臨んで重ねて要望する次第であります。  以上をもちまして私の公述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 ありがとうございました。  続いて御園生公述人にお願いいたします。

御園生等東洋大学経済学部教授

○御園生公述人 御承知のように、ここ数年来の消費者物価の上昇はまことに著しいものがあるのでありまして、国民経済の発展と国民生活の向上という経済政策の基本に照らしまして、重大な問題を投げかけている次第でございます。したがって、先ごろ発表されました企画庁の新しい経済計画である経済社会発展計画におきましても、四十年代の課題の第一に経済成長と物価安定の両立をあげまして、今後の経済発展にとって物価の安定が不可欠の重要課題であることを強調しているわけであります。また、予算編成上の最も重大な問題の一つとして物価安定の問題があるのは、言うまでもないことであると考えられます。  そこで、この機会に、四十二年度予算案を物価対策の見地から考えてみたいと思う次第でございます。  申すまでもなく、国民経済の発展は、国民生活の向上、福祉の増大を最終の目標とすべきものであります。にもかかわらず、消費者物価の上昇が三十六年以来、年率平均約六%をこえるというような事態、そのうち四十年度のごときは、不況下にもかかわらず七・六%の上昇を見たことは、まことに異常な事態であるといわなければなりません。まして勤労者が多少の所得を上昇させ得ても、そのほとんどが物価上昇分に吸収されてしまうというような事態が起こっているということは、国民経済上もゆゆしい大問題だと考えられるわけでございます。また、四十一年度は、多少その上昇も鈍化し、大体五%程度に消費者物価の上昇がおさまるという見通しがあるやに聞いておりますが、それにしてもかなり高い上昇率であることは言うまでもありません。のみならず、四十年度まで、消費者物価の上昇をよそに安定をしておりました卸売り物価が、四十一年において約四%の急上昇を示している。消費者物価の上昇が卸売り物価の騰貴に影響を及ぼしつつあると考えられるわけで、国際収支の見通しが問題となっております際に、主として工業製品の価格をあらわします卸売り物価の上昇は、今後の輸出の伸長に大きな不安材料として投げかけられているわけであります。  もちろん、御承知のように、消費者物価の上昇はわが国だけの現象ではありません。たとえばここ数年間の経緯を取ってみましても、西ドイツ、フランス、イタリア、イギリス等の西欧諸国においても、大体平均して二、三%、あるいはそれを上回る上昇がございます。アメリカのごときも一、二%の上昇をこの間に示しているわけで、おそらく、こういうような各国共通の現象である物価騰貴の根底にあるものは、先進諸国に等しく採用されつつあるケインズ的な財政政策、経済成長と雇用の安定を目ざすいわゆるフィスカルポリシーにあると考えられます。その意味において、経済成長に対するいわゆる積極的な財政政策のもとでは、物価のある程度の上昇はやむを得ないものとされるのかもしれません。  わが国においても、三十年代を通じて一〇%をこえる高い成長率を維持し得たのは、所得倍増計画をはじめとする積極的な経済成長政策と、これをささえる財政規模の拡大、日銀の信用膨張政策、そのもとで旺盛な民間設備投資の力が中心になってきたものと考えられます。その結果、国民総支出中の比率を見ましても、民間設備投資は三〇%台の高率を維持しているのに対しまして、個人消費支出は次第に圧縮され、五〇%台に圧縮せられております。このような経済成長がはたしてだれのものであったかを疑わしめるものであると言い得ます。しかしながら、問題は、こういういわゆるフィスカルポリシーの当否はしばらくおくといたしましても、高い成長と雇用増進のもと、たとえば各国に見られるような年率三%以内、その程度であるというような物価上昇がやむを得ざる悪であることをかりに認めるといたしましても、わが国における物価上昇は、すでに三十六年以来六%をこえる異常な上昇であるという点にあります。  もはやここにおいては、経済成長と雇用増進という目標において必要悪であるという物価騰貴の範囲を逸脱するものだと見なければなりません。たとえば昭和四十年度のごときは、名目賃金の上昇約一〇%の大半が七・六%という物価上昇に食われ、実質賃金はわずかに一・三%しか上昇しないという結果になっております。まさに経済成長という目標のもとに勤労者の生活向上が犠牲に供されていると言っても過言ではありません。これはまさにさか立ちした経済成長といえべきであります。  しかるに、今年度においても、昨年に引き続いて合計八千億にのぼる国債発行が予定されております。また、財政投融資計画における七千七十八億の公募債借り入れ、六千六百九億にのぼる地方債の計画を合わせて、公債発行総額は約二兆円になんなんとしております。もちろん、これらはいずれも必要やむを得ざる支出のためではありましょうが、八千億円の国債を含んだ予算規模が、一般会計において約四兆九千億円、財政投融資二兆三千八百億円という絶対額を示していることは、たとえ前年規模との比較において一五・九%、一七・八%というそれぞれの伸び率におきまして、前年度より伸び率が下回ったとしても、かなり積極的な性格を持ち、国民総生産の伸び率見込み九%に対してすら、中立的な予算規模であるかどうかを疑わしめるものであります。ことに現在、景気は再び民間設備投資の増勢を中心として過熱化する勢いにあります。もしそうであるといたしますならば、昨年度七千二百億及び本年度八千億の国債がかりに市中消化されたといたしましても、公社債市場の未発達なわが国の金融市場の状況から見まして、今後民間設備投資が再燃し、資金需要が逼迫するという事態のもとでは、これを緩和するために、再び日銀の買いオペの積極化あるいは市中貸し出し限度の引き上げなどによって、これを補う日銀信用の追加が行なわれる可能性が非常に大であると考えられます。かりに国債が日銀に還流しなくても、同じ日銀追加信用に基づく通貨増発というインフレ要因が生じないという保証はないと考えられます。それによって物価騰貴が貨幣的側面から一そうかき立てられないという保証はないのでありまして、議員の皆さんの慎重な御検討が期待されるゆえんであります。  このような物価騰貴の貨幣的側面に加えまして、もう一つ、物価に及ぼす生産性とコストとの関係を考えてみたいと思います。この点につきまして、三十五年度から四十年度に至る特殊分類による消費者物価指数によりますと、騰貴率の最も向いものは農水畜産物でございまして、三十五年度を基準にいたしまして約四七・八%の上昇、これに加えまして、加工食品が同じく三二・八%、サービス料金が四七・六%の上昇を示しております。その反面、耐久消費財、工業製品のごときは、ほとんど上昇しないか、あるいはごくわずかの上昇率を示しているにしかすぎません。物価上昇寄与率から見ましても、農水畜産物が約三五%、サービス料金が三二%、加工食品が一八%ばかりとなりますから、ほとんどこの三者によって最近の物価上昇がもたらされていると言っても過言ではございません。つまり農水畜産物のような零細農漁業、加工食品中のみそ、とうふのようなものに至る中小企業製品、及びサービス料金中特に対個人サービス料金等、おもに中小零細企業製品が上昇することによって消費者物価の上昇がもたらされていると言ってもいいと考えられます。その反面、耐久消費財、繊維品その他の工業製品等の大企業商品価格は、ほぼ安定しているというのが特徴でございます。このことは、大企業の工業製品が、その大半を占める卸売り物価の安定とも符節を合するところであります。  このように、中小零細生産物価格が上がったのは何ゆえかと申しますと、高度成長下、大企業生産部門が拡大され、それにつれて労働市場の基調が、従来の過剰からやや不足に転じたわけでありまして、ために、従来低い生産性を低い賃金で補っておりました農水産、中小企業が、賃金上昇によるコストの上昇を料金価格の引き上げによって償おうとしたことだと考えられます。これが解決といたしましては、低い生産性に見合う低い労働装備率という関係を断ち切る以外にありません。しかるに、これらの中小企業生産品あるいは農漁民の生産にかかる製品は、設備改良のための資金源を持っていないわけであります。多くは、町の金融業者による高利借り入れかあるいは市中銀行からの借り入れが可能であったとしても、多く歩積み両建て版金つきでなければ借り入れることができない。この点、中小企業、農漁業振興のための国家的な政策の意義が重大ならざるを得ないわけであります。幸い、四十二年度予算において三百四十八億円の中小企業対策費及び三千二百九十三億円の財政投融資計画が計上されておりますことは、この点に着目されましたものと考えられます。なお、その使途において、単に中小企業の非近代性を保護、温存するのではなくて、効率化という観点から重点的な使用と政策が必要だと考えられます。  しかしながら、これとともに特に私がここで強調いたしたいのは、物価騰貴が及ぼす工業製品中大企業による生産品、つまりカルテル、管理価格の影響についてであります。公正取引委員会の発表を見ますと、現在法律によって認められたカルテルだけで、合計一千協定以上にのぼっているといわれております。それによって、製造工業出高額の二八%がカルテルの影響下にあるといわれております。のみならず、非合法的ないわゆる地下カルテルは、先ごろ公正取引委員会によって審判に付されましたカラーテレビをはじめとして、ほとんど大企業部門をおおっております。このような地下カルテルの形態をとるものから、いわゆる紳士協定、ゆるい業界申し合わせ等に至る価格協定、及び明確な協定なくして、いわゆる価格主導者に追随する習慣が制度としてありますものを加えますと、私の推定するところによりますと、日銀の卸売り物価七百七十品目中四百五十三品目、ウエートにして六八四・八はこれらの非競争価格であると考えざるを得ないわけでありまして、工業製品中約七割は人為的に維持された、あるいはつり上げられた価格と言わざるを得ません。  それでは、卸売り物価の安定あるいは消費者物価中、工業製品の安定とこのようなカルテル、管理価格制度とは、どういう関係にあるのでしょうか。一般にカルテルは、市況低落に基づく業界の共倒れを防ぐいわば緊急避難であって、独占価格、いわゆる引き上げられた価格ではないというふうにいわれております。私はそうは思いません。なるほど、大企業製品価格はそれほど上昇してはおりません。しかし、昭和三十年以降、大企業は技術革新的な大量生産設備を導入することによって、労働生産性を飛躍的に高めております。労働生産性は、昭和三十二年から四十年までに、年率九・四%という急上昇を示しております。そのため、生産費に占める賃金コストのウエートは四・七%の低下を見せておるのでありまして、それにもかかわらず卸売り物価が安定しているということは、ここに問題があることをうかがわしめるわけであります。一方において、工業生産も増大し、生産性も上昇している。もし需給による市場価格調整のメカニズムが生かされていたとすれば、当然価格は低下に向かうはずであります。にもかかわらず、卸売り物価及び消費者物価中、大企業製品がほとんど安定し、三十九年、四十年度の不況期においてすらわずか〇・五%しか下落せず、現在においてほとんど下落分を取り戻し、強調を続けているという事態の中に、カルテル及び管理価格の影響を認めないわけにはいかないのであります。もしこれらの大企業カルテル、管理価格が、生産性の上昇分を価格引き下げに十分振り向けましたならば、かりに生産性の上昇しにくいサービス料金及び中小企業製品、農水産物等の価格が多少上昇しても、平均して体系としての物価はほとんど騰貴しなかったと申せましょう。ある期間をとれば、生産性の上昇の程度に応じ個別商品それぞれの価格が上がったり下がったりするというのは、避けがたい事態だと考えられます。しかし、このような相対価格の変化が、生産性の上昇、停滞に応じて引き起こされる限り、上昇分と下降分は相殺され、物価全体としては安定するはずであります。しかし、現在のわが国の物価上昇は、このような相対価格の変化に対し、独占価格が底上げの作用をなしている、全体として独占価格による底上げが行なわれていると言わざるを得ないのであります。これは安定ではなくして、まさに価格の下方硬直化であり、管理価格の特徴が卸売り物価並びに消費者物価中の大企業製品にあらわれていると言わざるを得ません。  以上のごとき大企業カルテル、管理価格に対しまして、最近の公正取引委員会の活動はかなりの影響を及ぼしていると考えられます。現在いわゆる行政指導に基づく勧告操短はほとんどなくなりまして、不況カルテルもまたほとんどなくなりつつあります。その根底になるものは、景気の上昇という事情があるからではありましょうが、今後かりに不況という事態を迎えるようになりましても、過去のごとく、安易なカルテル、勧告操短を認むべきではないと考えられます。しかるに、一方、いわゆる産業構造改善と称しまして、合併、集中と企業提携による寡占体制の強化が政府によって進められようとしております。そのため、開銀は今年度約百億円の構造改善金融を予定し、これに対して助成しようとさえしております。また、経済、社会発展計画におきましても、一方において消費者物価の上昇を押えるために安易なカルテルを認めるべきでないとしておりながら、他方では資本取引の自由化対策として、経済の効率化のため、合併、集中を進むべきであるとし、そのため独禁法の弾力的な運用の必要を説いております。これは明らかに矛盾であると考えられます。カルテルよりも寡占トラストが望ましいとは決して言えないわけであります。もちろん大規模生産の利益はありますから、したがって、その限りにおいて合併もやむを得ないものがあるのかもしれません。けれども、合併、集中と寡占化はたての両面をなすものであることも認識しなければならないと考えられます。しかも寡占による管理価格は、カルテルが法運用の態度こそ誤らなければ取り締まり得るのに対して、協定なき独占価格として有効な取り締まりが困難であることは、アメリカにおける管理価格問題を見ても明らかな事態であると考えられます。資本取引の自由化に対し、外国資本の進出に対抗するためには、利潤率が不当に高い場合こそ、外国企業の参入を激しくするゆえんになると考えられます。言いかえれば、独禁法を緩和することではなくて、その厳正な施行によるカルテル、トラストの不当な独占力の排除によってこそ、独占価格を引き下げ得る、そうしてこそ資本自由化対策と言い得ましょう。しかもこのことは、単に自由化対策にとどまらず、消費者物価の安定と国民生活の向上につながる経済運営の基本政策であると考えられます。四十二年度予算において、財政投融資だけで基幹産業のため約三千九百五十七億円にのぼる費用が計上されておりますが、これらの支出が国民経済上誤りなく使用されるかどうかを監視するためにも、国会として、カルテル、管理価格の監視が必要と考えられる次第でございます。  御清聴を感謝いたします。(拍手)     —————————————

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 ありがとうございました。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 これより両公述人に対する質疑を行ないます。北山愛郎君。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私は、最初に福田さんにお伺いするのですが、福田さんは、公債あるいは政保債等を国民の貯蓄として定着させる、それとまた、資本自由化に備えて、企業の資本構成、自己資本比率というものを改善をするための税制を要望されたわけです。この点でちょっと疑問になりますのは、戦後の傾向がいわゆる株式の民主化と称して大衆が株を持つ、大衆資本主義というようなことで当初は相当宣伝されたのですが、最近の傾向を見ると、株式の分布が法人の持ち株がだんだんふえてくる。法人同士が株を持ち合うというような傾向で、法人の持ち株が半分以上を占めておる。それからまた、その中の金融機関の持ち株が約三分の一というような傾向になって、株式の三分の一は金融機関が持っている。また、半分以上は法人が持っているというような傾向になって、しかも株主の分野から見ると、大株主に集中して、そして五千株以下というように、大衆の株主というのは少なくなっている、こういうふうな傾向になっておるわけです。  そこで、お尋ねすることは、この傾向を一体どう見るのか。御希望のような趣旨とは相反するような傾向になってきている。こういう点、この原因等についての見解を承りたいと同時に、国民大衆が貯蓄として国債あるいは政保債等を持つ、あるいは貯金を持つという場合には、やはり消費者物価の上昇というものが大きなじゃまになるわけなんですね。国民が金融資産を持って、銀行なりあるいは郵便貯金なりをする、あるいは公債を持つといっても、それが物価の上昇によってだんだん値段が下がってくるというようなことになるならば、だれだってこんなものは持たないわけです。いわゆる物価の上昇というものをこのままにしておいたならば、御希望のような方向には絶対にいきっこないんだ、こういうふうに思うのですが、福田さんはその点はどう考えるのか。したがって、こういうふうな消費者物価が年々五%、六%も上がるというような情勢をそのままにしておいて、税制だけの優遇措置をとれば、それは一部の資産家階級の利益とか、あるいは企業そのものの利益ということにも通ずるわけなんで、それになってしまって、そしてお話しのような実際の企業の資本構成を改善するというような結果にはならないんだ。これはいままでも企業なり、あるいはいまお話しのような趣旨でもって、利子、配当の分離課税とかその他の特別措置がとられてきたわけなんです。きたのだが、その効果が出なくて、いよいよもって資本構成が悪くなるという結果になっているので、お話しのような自己資本の充実のための税制改革というのはすでに行なわれておるが、効果が出てきておらない、それをさらに要望されても、私どもはどうもその点はよくわからないわけなんです。むしろ、最初申し上げたように、消費者物価を安定させ、いまのように年々相当に消費者物価が上がるという条件をなくさなければならぬ。このほうを強調さるべきが当然じゃないかと私は思うのでありますが、その点はどうでしょうか。  それから、御園生さんにあわせてお伺いをするのですが、大企業の管理価格を抑えなければならぬというふうなお話で、私ども同感なんですけれども、政府としても公取委員会等の強化などを若干やっておりますけれども、もっともっと、単に公取の陣容をふやすとか、そういうことじゃなくて、制度的に、公取機関等の取引——この取引というのは、親企業と下請関係の取引と、もう一つは、流通面におけるメーカー、卸、小売りというような取引と、両面あると思うのでありますけれども、そういう両面にあたって、取引関係の全面的な監督といいますか、監視あるいは規制というような権限の強化というものまでやらなければならないのではないか、こう思うのでありますが、それらについての御見解を承りたいのであります。

福田千里日本証券業協会連合会会長大和証券株式会社会長

○福田公述人 ただいまの御質問に対しましてお答え申します。  株式の分布状態が、法人と個人で法人のほうに非常によけいしわが寄っているじゃないか、個人がだんだん少なくなっていっているじゃないか、それにいまの配当の優遇措置をやっても意味をなさぬじゃないというような御趣旨だったのじゃないかと思うのですけれども、確かに比率的に、法人の持ち株と個人の持ち株との比率は、だんだんと法人のほうがよけいになって、個人が少なくなっておることは事実なんですけれども、私どもは、さればこそ個人の持ち株の比率をもっともっとよけいにしていかなければならぬ、いわゆる民主化していかなければいかぬということに努力をしておるわけなんでございまして、今後何かやはりそういう株式を持つについての魅力を持たせるという意味において、あるいは利回りからいって株式が非常に有利である——あまりに総合課税されたりしますと、非常に実質の利回りが落ちてしまう、これでは魅力がなくなってしまうからというので、魅力を持たせる意味において、個人の株主をよけいにすべきであるという、その手段としても、この優遇措置は逆に必要なんじゃないかと私どもは考えておるわけなんで、それで要望しておるわけなんです。そういったような意味で、証券貯蓄によるところの資本市場にそういう個人の金がやはり入ってくることが一番望ましいのだ、法人の株式の持ち合いとかなんとかいうことは変則的なことであって、やはり個人が持つことが本則じゃないかということなんで、そのほうに努力したい。努力したいと思えばこそ、そういった優遇措置が必要だ。  もう一つ、御質問にありました物価の上昇についてですが、これはわれわれとても、むろん物価は安定、むしろなるべく引き下げるということにしなければ、個人の貯蓄もできてこないのですから、何とかしていろいろの方面から物価の安定という施策をあくまでも講じていただきたいということはわれわれの要望でございまして、われわれもまた同じく要望しておるわけなんです。  そういったようなことで、たしかその二点の御質問だったようですから、お答えいたします。

御園生等東洋大学経済学部教授

○御園生公述人 お答えいたします。  大企業管理価格あるいはカルテル価格を監視するためには、公正取引委員会の機能を強化することが必要ではないかというような御趣旨の御質問でございましたが、全く賛成でございます。ただし、物価を引き下げるために、はたして現在の独禁法の体系だけで十分であるかどうかということには、多少の問題があるかと考えられます。御承知のように、日本の独占禁止法は、アメリカの一八九〇年に制定されましたシャーマン法を一つの模範としております。一八九〇年という時期がアメリカ資本主義にとってどういう時期であったかと申しますと、これは申すまでもなく、やがて世紀の転換期における大トラスト連動が開始される前夜であったわけであります。したがって、独禁法の基本的な考え方は、伝統的な自由競争市場に対する外部からの侵入者としてしか独占を考えていなかったということが基本的に言えるのではないかと思います。したがって、その体系をとりました現在の独占禁止法におきましても、物価を積極的に引き下げるという目的を持っているかどうかという点については、多少の疑問なきを得ないのであります。ただ単にカルテルの力をそげば、カルテルをなくしさえすれば物価が引き下がるであろう、つまり自由競争市場のメカニズムにおいて物価引き下げの機能が働くであろうという考え方があるにすぎないわけでありまして、現在のごとき、カルテルによらないいわゆる管理価格、あるいは将来日本もそういう方向に向かうであろうと思いますし、また構造改善事業のもと、そういう政策が進められつつあるのですが、よりかたい結合であるトラスト、寡占の協定なき管理価格、協定なき独占価格に対して、はたしてどれほどの力を独占禁止法が持ち得るか、多少の疑義なしとしないわけであります。したがって、この点に着目いたしまして、政府は、物価問題懇談会等の組織によって、公取機能の強化とあわせて独占物価の引き下げについて手を打たなければならないと考えているわけだろうと思うのでありまして、そういう点は、ただ単に独禁法の強化だけではなくて、これとあわせて積極的な物価引き下げについて、大企業管理価格を取り締まる、それを監視するという機構が必要だと考えられるわけであります。  御承知のとおり、アメリカの上院におきまして、法務委員会のもとで独占小委員会、通称キフォバー委員会といっておりますが、そういう委員会が管理価格について執拗なまでにこれを追及しているという実績をわれわれは学ぶ必要があるのではないか。なぜ国会においてアメリカのキフォバー委員会のごとき機能を持たずに、民間の、議員を交えない物懇のごときにそれをまかせざるを得なかったかというところに、私は、たいへん失礼な申し分かもしれませんけれども、日本の国会の機能において多少問題があるやに考えられるわけでございます。もちろん独占禁止法の強化、特に下請関係の規制あるいは再販売価格の問題等々において、独禁法の範囲内で独占価格を引き下げる方法はかなりあると思いますが、それだけでは十分ではない、あるいは将来の寡占化の動向に対して手を打つ必要があるという点を申し添えたいと思う次第でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 福田さん、ちょっと私いろいろな問題をごっちゃに言いましたので、あるいは誤解があったかもしれませんが、とにかく、いままでも日本では、いま外国にもあまりないような利子、配当所得の分離課税とか、その他配当税額控除であるとかいうような、税制上はいろいろな優遇措置がとられているわけです。とられておりながら、傾向としては御趣旨のような国民の貯蓄に証券がならないで、むしろ法人のほうに、あるいは金融機関のほうに集中されていく。税制上の優遇措置はとっておりながら、その効果が出ておらないというところに問題があるのであって、むしろ物価問題とか、消費者物価がじゃんじゃん上がるというのであれば、これは貯金そのものもそうでありますけれども、証券を持っておっても、株券を持っておっても、公債を持っておっても、持っておる間に値下がりをしますから、たとえば五、六年の間に一万円という券が七千円ぐらいの実質値打ちしかなくなっちゃう。三千円はなくなってしまうわけです。そういうふうな物価の問題のほうが、むしろ国民のほんとうの貯蓄にするというならば、そのほうが重大ではないか。税制上の優遇措置については、すでにある程度やっておってその効果が出ておらないのですから、むしろそちらのほうが問題ではないかということを私申し上げたわけなんで、もしそれにまた御意見があれば承っておきたいのであります。

福田千里日本証券業協会連合会会長大和証券株式会社会長

○福田公述人 お答えいたします。  いままで効果が上がってないじゃないかというお話、これはよく聞く話なんですけれども、これは優遇措置がとられたのが二年前でして、それで今度二年の期間が来たから延長というような話が出ていることなんですが、その二年の間にちっとも効果が出てないで、むしろ株は非常に安くなるし、非常に悪くなっているじゃないか、それからまた、投資家はみんないわゆる兜町から逃げ出しちゃったじゃないかとか、それがあるにもかかわらずそんなことになったじゃないかと言いますけれども、これは確かにそういう事実は、何ですが、これはほかの理由によって、ちょうど二年前ぐらいからの、一昨年御承知のような証券界といいますか、もう非常な大混乱におちいる一歩手前でやっと食いとめたことは食いとめたのですが、ああいったようなことがありまして、株価がそういうような事情から非常に値下がりをした。したがって、もう株なんか買ったら損するばかりだからいやだといって、もう株を買わなくなった。持っていた人もみんな売って逃げてしまったという事情があるのです。その後徐々に回復して今日まで来ているわけですけれども、これは税制があったにもかかわらずそういうふうに逃げ出しちゃったのだというようなことは、ちょっと意味が違うのじゃないか。もし税制がそういう優遇措置も何もしなかったら、これはもっともっと悪くなったのじゃないかと思われるのです。これは水かけ論みたいになるかもしれませんが、食いとめたということは、確かに一つのあれではなかったかと私は思うのです。ですから、今後そういうことがやはり続けて行なわれることによって、証券貯蓄の意欲をそこへ持ってもらって、資本市場へ貯蓄資金を導入したいということがわれわれの言わんとするところであり、そういうつもりでやっておるわけなんです。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 まあ、私、議論するわけではございませんので……。では、ありがとうございました。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 高田富之君。

高田富之日本社会党

○高田委員 最初に福田さんにお伺いいたしますが、ただいま利子、配当の特別措置につきましては御意見を伺ったわけですが、企業減税についてもお触れになったようでございます。自己資本の充実のために企業減税が必要であるというような御意見であったかと思うのでありますが、企業減税につきましては、昨年度ある程度実施されましたし、さらに、特に大企業ほどいわゆる特別措置の制度がたくさんございまして、中小企業と比べますと税は実は格段と安くなっておるのですが、こういう状態に対して、なおかつさらに一そう大企業についても企業減税の必要ありというふうにお考えになりますか。

福田千里日本証券業協会連合会会長大和証券株式会社会長

○福田公述人 お答えいたします。  先ほど企業減税について触れましたが、それはあとから利子、配当のあれを言おうとするちょっとまくらことばみたいに使ったわけなんです、まくらことばというとおかしいですけれども。本年度は、今度の税制案では企業減税というようなことに触れてなかったようですが、そこで企業減税も必要ではあろうが、それよりもさらに一そう自己資本を充実するためには、増資をたやすくするために配当のほうの優遇措置が必要である。むしろ企業減税よりも、こっちのほうが必要であるということを申し上げたのです。しかし、企業減税が必要でないとは思いませんけれども、比較的に使ったあれなんですから、そういった意味で申し上げたことなのです。

高田富之日本社会党

○高田委員 それでは、一企業の立場からしますと、それはもう減税されるほどいいんですから、そういう要請は相当あると思うのですが、ただ、国家経済全体の立場から考えまして、所得税の減税も必要である、地方税の減税も必要だというようなときに、国家財政需要が大きいのですから、これから大きな予算を組まなければならぬ。財源としまして、ある程度公債は減らしていかなければならぬという要請があるとしますと、負担能力のあります大企業は、中小企業の実際的には大体半分くらいじゃないか、いま数字を持ってきておりませんが、たとえば八幡製鉄なら八幡製鉄の事実上の法人税なんというものは、三〇何%の半分くらいしか実際はかかっていない。特別措置その他によりまして、相当減免税を受けておるわけですから、零細企業と比べますと、大きいほど安い、逆の累進ですね、法人税でいいますと、逆累進になっておると思うのですが、こういうことから考えましても、財源というものは、負担能力のある大企業の方面に国家財政の主要な財源をこれから求めていかなければ、膨大になっていく財政需要をまかなえないのじゃないか、これらの特別措置というものをむしろ廃止していく、むしろ零細企業、中小企業との税負担の逆累進というような形は改めなければならぬというのが、国家全体の見地から見まして必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。その考えについての御意見をちょっと伺わせていただきたい。

福田千里日本証券業協会連合会会長大和証券株式会社会長

○福田公述人 企業減税というものは、結局経済発展の上において、企業の体質をよくしていかなければならぬ。内部保留なり何なりをつくっていかなければならぬという、そういう立場から法人税の軽減とか、いろいろそういったものが必要だと思うのですが、必ずしもこれが大企業にどうの、小企業はどうのということではなしに、全体としてやはり企業というもののそういう体質をよくしていく上において必要だと思うのです。しかし、一国の予算において、所得税のほうも減税しなければならぬ、あれもやらなければならぬ、これもやらなければならぬ、いろいろあるでしょうから、それは重点的にどれから先にとるべきかということは——私は一介の産業人ですから、私から、どれを一番先に取っていいかということについては、何とも申し上げられないし、われわれとしてはわかりません。それは政治家の皆さんなり、あるいは学者の皆さんなりが、いろいろよくお考えになると思いますが、私は実際ただやっていることだけで、どれから先に取っていいかということについては、私としては別に特に意見を申し上げるほどのことも、用意もございませんし、できないと思います。

高田富之日本社会党

○高田委員 それでは御園生先生にお伺いいたしますが、物価を上昇させる一つの原因といたしまして、国債が相当多額に発行され、しかもそれが日銀の買いオペによって、通貨の増発につながっていくことは、物価上昇の危険性をいよいよ臨めつつあるというような御指摘があったわけです。そこで、公債を減らして、しかも財政規模そのものも多少縮められるにいたしましても、財政需要というものは大きいから、財政規模そのもの、予算規模そのものはそんなに小さくはできないと思うのですが、その財源としまして、ただいまのお話なんですけれども、主要な財源をどこへ求めたらいいかということで私はいま御意見をお聞きはしたわけなんです。主要な大企業の法人税というものは、減免税措置、特別措置が非常にたくさんございまして、実質的には中小企業の半分くらいしか税率としては法人税を納めていないのじゃないかと思うのです。ここら辺を相当大きな財源としてこれを捕捉していく以外にはないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

御園生等東洋大学経済学部教授

○御園生公述人 基本的な御意見として、いまの御意見に賛成でございます。公債発行——国債を抱いた財政を考えるくらいなら、物価上昇という事態に対処するためには、むしろ予算規模全体を縮小したほうが国民経済の発展の上にとって、終局的に見れば利益ではないかという考えを私は持っておりますが、しかし、予算規模が現在程度の膨脹をやむを得ないとするならば、財源の問題といたしまして、大企業と中小企業とのバランスは、もう少し是正の余地があるのではないかと考えられます。ことに、勤労所得税の問題につきましては、いま少しく配慮によってこれを減額するという措置が必要ではないか。そうすることによって物価上昇を多少でも緩和する、税制面から緩和していくということにつながってくるかと考えられます。  こまかいことはいま資料を持ち合わしておりませんので、申し上げることはできませんが、基本的な立場から言いますと、財源の問題といたしましては、確かに大企業の減免措置が非常に多過ぎる。たとえば、交際費などの問題につきましても、昨年度合計して約六千五百億でしょうか、という巨額にのぼったということがはたして妥当であるのかどうか。国民一般の立場から見ましても、疑問なしとしないのは御承知のとおりだと考えられます。  以上でございます。

高田富之日本社会党

○高田委員 御園生先生にもう一つお伺いいたしますが、物価上昇の原因で、ただいまの通貨増発の問題と、それから中小企業製品、農産物などの生産性の低い部門の問題と、それから大企業の管理価格等をおあげになったんですが、並列的にその三つが原因だというふうに理解すべきものでありますか、それとも何かわが国特有の、これが主要なものだというふうに考えたらよろしいのでしょうか、三つともからみ合っている、どれが重点だということはないというものなのでしょうか、いかがでしょうか。

御園生等東洋大学経済学部教授

○御園生公述人 三つ並べたわけでございますけれども、私の重点といたしましては、専門分野の関係もございますし、最後の独占価格の問題に私は重点を置きたいと思うのです。  国債発行が是であるか非であるかという問題は、それが物価問題にかかわってまいります限り、なかなかむずかしい問題を含んでいるわけでございます。たとえば、それがはたして通貨の増発要因になり、需要の追加になるのであるかどうか。これにつきましては、たとえば日銀の買いオペあるいはクレジットラインの引き上げ等の信用政策ともかかわってまいりますので、なかなか計量的にいいましても、計測が困難な問題でありますし、むずかしい。しかし、これは先ほど申し上げましたように、各国においてひとしくとられているフィスカルポリシーのもとで、大体三%以内の物価上昇はやむを得ないものとして、つまり完全雇用という目標を達成するためには必要悪であると考えられますものの範囲を、日本の物価上昇ははるかに逸脱している、越えているというところに問題があると考えられるのです。したがって、その三%以内はやむを得ないという、必要悪という範囲を越えた部分は、明らかに独占価格、管理価格の影響だと考えられますので、私としましては、管理価格の影響除去に最も重点を置くべきものだと考えるわけでございます。この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、独占禁止法の強化も必要ではあるけれども、それだけでは十分ではないと考えられますので、やはり特段の措置が必要だろう。場合によりましては、大企業が合併集中を進める。その場合、時によっては、一つの産業に一つの企業しかないという事態すら予想されるわけでございますから、それに対しては単に私企業の範囲を越えて何らかの国家的な配慮がその部分に対して加えられるべきだ、こう考えられるわけでございます。私としましては、重ねて申しますように、管理価格、カルテル価格等の独占価格の影響をどうするかという問題に、現在の物価問題は集中してもいいのではないか、そういうふうに考えられます。

高田富之日本社会党

○高田委員 たいへんよく先生のお考えはわかりましたので、質問を終わりますが、くどいようですが、もう一度いまの点で。  ただ経済成長率は、日本が西欧の資本主義国と比べましても格段に副うございますので、経済成長率が落ちれば三%ぐらいになるんだ、そういう意見があるわけですね。だから日本は格段に経済成長率が高いし、また高めることが国民経済的に有利なんだ、そのほうが有利なんだから、したがって、物価上昇が三%の倍ぐらい、あるいは五%ぐらいあっても、どちらを選ぶかということになれば、それは経済成長が他国の倍も高いほうが結局はいいんじゃないか、こういうような議論もございます。先生の御説によると、日本は独占価格の問題に、もっとメスを入れていきさえすれば、経済成長率が高くても、物価上昇率は三%以下に抑えることは可能なんだという御理論でございますね。

御園生等東洋大学経済学部教授

○御園生公述人 そのとおりでございます。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 加藤清二君。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 時間の関係上、簡単に要点をかいつまんでお尋ねしますので、答弁していただく側も、簡潔にひとつどうぞ。  私のお尋ねしたいことは、企業資本をいかにすれば拡大できるか、同時に、証券並びに国債の国民消化促進をする方法、具体策いかん、こういう問題でございます。ところで、福田さんの御意見を承っておりますると、たいへん筋の通ってまことにけっこうでございまするが、福田さんの理論でなくして、具体的事実に矛盾を包蔵していると思うのです。その点を解明していただきたいと思います。  第一番は、資本の自由化の前夜にあたって、企業資本が非常に小さい、企業資本が二〇%を割っている、こんなものは世界的に一等国ではどこにもない、これは確かにそのとおりでございます。したがって、企業経費を見ますると、統計によりますと金利が二兆円の余をこしている。ところが配当金はというと、五千六百億程度なんです。四分の一前後なんです。同時にまた交際費が五千億ある、これは妙な話です。こんな経済なんていうものは、世界の七不思議ですね。  さて、それではなぜ企業資本が、内部保留だとか利子、配当だとか、いろいろな政府の善政があるにもかかわらず、ふえないのかという問題の根本は、企業が株主の資本を借り入れるよりは、つまり授権資本を多くするよりは、銀行で金を借りたほうが資金コストが安うつく、同時に政府の投融資その他の、銀行融資よりももっと有利な、低利な、長期なものを借りたほうが、企業経営にとってはたいへん得であるというところから、政府の財政投融資であるとか、銀行金利にたよることに急であって授権資本あるいは自分の資本をふやしていく、こういうところに努力を怠っていたのではないか、こう思われまするが、かねや太鼓で国民に株を買えと、こうおっしゃっても、会社が資産の再評価はしたけれども、増資をしないという考え方では、これはなかなか追いつかぬことである、かように思われまするが、これはいかがでございますか。

福田千里日本証券業協会連合会会長大和証券株式会社会長

○福田公述人 企業は金を借りたほうが得で、株主の資本によるほうが資金コストが高くなるというお話ですが、これは事実そのとおりだと思うのです。だからして現在それでいいかということを、企業側は反省しなければいかぬと思うのです。体質改善——他人資本によっているような企業のあり方ということは、これはきわめて体質がよくないということなんで、ですからそれはあくまでも今後やはり自己資本を充実することを企業家側が努力していかなくちゃいけないと思うので、その点はいまおっしゃったとおりだと思うのです。  そこで、われわれはその自己資本を充実させるためには、いまの税制の問題とか、いろいろなことであらゆる手段を講じて、この自己資本を充実させるように、われわれはつまりその資本のほうを取り扱っているものですから、そういうほうに向けていく努力を重ねていかなければならぬ。そこで、いろいろな方法の中には、これはいま証取審議会その他でもいろいろ検討しているあれなんですけれども、つまり資本を増資するについての方法なんかにつきまして、もっと多様化しなければいけないのではないかということなんかも検討されておりまして、その中の一つとして、時価による発行——百五十円なら百五十円している株を、増資するときには五十円払い込みすればそれでいいといういままでの慣行、これは明治以来の慣行ですが、そこで百五十円もしているものだったら、百五十円なら百五十円で公募すれば——百五十円でできるかどうかは別問題として、たとえば百五十円でできるとすれば、五十円払い込むよりも三倍の金が入ってきて、三倍だけよけい増資ができるということになりますので、そこでそういった方法もどうだろうかということは、産業界からも盛んに出ておりまして、これはわれわれ証券界のほうでもせんだってうちからしきりに検討いたしました。しかし、明治以来そういったいわゆる時価発行——アメリカでは無額面発行ですからやっておりますけれども、日本でそれをすぐやるのは、日本ではもう明治以来の慣行として、一株五十円の払い込みということできておったものですから、一挙にそれをどこもここもみなやり出したら、これは非常な混乱におちいるし、株価は暴落するだろうし、一般のいままでの投資象が非常な迷惑するということで、われわれのほうはまだ大いに時期尚早だということで言ってまいりました。しかし、やはり自己資本をどうしても充実しなければならぬという二面から見ますと、いつまでもこういった従来のあれにとらわれていることもない、やはり時価による発行ということも、これは企業にとって、国民経済的に見て、全体的に見てそれも必要だというなら、それもやることもいいじゃないか、ただし、やるについては、一挙にそれをやるというようなことは混乱を起こすから、順序を経て、いろいろな条件のもとに、その条件が整ったものから順次やっていくことについてはよかろうじゃないかということで、せんだってうち、私どもも意見を出しておりますような次第で、たとえばそういったようなことで、自己資本の充実ということについて、あくまでもやっていかなければならぬというふうに考えておりますので、どうぞ……。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 これは福田さん、あなた日本証券業協会の連合会の会長としては、重大な発言でございます。証券を発行する場合に、額面金額ではなくして、時価相場で発行する。これは国会において初めて出たことばでございます。しかもこれは、証券界のみならず、株主にも、企業家にも、大きな影響を及ぼすことと思います。実は証券界、企業家側からそういう意見がいままで間々出ていたことは経済雑誌等々で散見しておりまするが、これを額面金額五十円ではなくして、それが百五十円時価していた場合に百五十円で、すなわち時価で発行する、売るということは、企業家にとってはけっこうでございまするが、この株を取得しようとする側ですね、これはたいへんなことになりますね。もしそうだとなりますると、利回りの問題でございまするが、これがかりに一割配当だといたしますと利回りは三分程度になってしまいますね。ここにはたして株を買おうとする魅力、すなわちあなたのおっしゃいました国民消化促進という立場からいって、はたしてそれができるかでなきいか、これは問題ですね。どうですか。

福田千里日本証券業協会連合会会長大和証券株式会社会長

○福田公述人 これはぜひお答えしなければならぬことでして、これは私いま申しましたけれども、すべてのなにを全部時価発行にすぐするというようなことは絶対に言っておりません。そうじゃないのです。これはそういうものができるものから、できるような企業からやっていっても全体的の立場からいいじゃないかということでありまして、決して全部にわたって、五十円でなく、みんなもう百円なり八十円なり百五十円なりで出すのだ、そういうわけにいかないので、これはもう非常にきびしい前提条件がやはりありまして、あくまでも企業側が、これはプレミアムさえ取ればそれだけ自分のところはもうかったのだというような考え方の企業がやろうとするのだったら、絶対にそれはいかぬと私どもは思うのです。あくまでも株主のためになるような方法をとってやる、そういう段階がある、前提条件がある。あくまでもプレミアムというものは結局株主に還元するものであるということを徹底していかなくちゃいけないということで、それをいま徹底するように、そういうことをこの間もわれわれは書いたものも出したわけなのでして、したがって、いまそうなったからといって、全部どこもここもやることはとてもできません。できないのみならず、ほんのわずかの、ほとんど言うに足らぬ数しか、いますぐやれるようなところはおそらくないと思うのです。それですから、決していますぐやるわけじゃなしに、株主が大騒動だ、利回りが少なくなるからといってたいへんなことだ、そんなことには絶対にならぬように心得ておりますし、考えておりますから、どうぞ……。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 それではお尋ねしますが、特価相場で発行するのはいま急にやるのじゃない、条件が満たされたものについてはやる。その条件の範疇並びに一、二のものはとおっしゃいましたが、その銘柄、言えなければ、大体こういうものであるというその範疇だけをお示し願いたい。それから最初に行なわれまする時期ですね、これを承りたい。

福田千里日本証券業協会連合会会長大和証券株式会社会長

○福田公述人 その範疇といいましても、まだ具体的ななにはいろいろ調整——何といいますか、いろいろ検討しなければならぬことであって、そんなものはできておりません。ただあくまでも株主のためになるような、そういう増資でなければならぬ、そういう時価発行でなければならぬということを言うているので、株主といっても、企業家と株主とは結局一体のものでして、企業がよくなれば株主もよくなるわけなのですから、対立したものではないわけなので、企業がよくなることによって株価も上がるでしょうし、株主もそれだけ利益するということでありますから、要するに、逆に言いますと、それによって株価が下がるような時価発行は、これはできないということなので、いつからとかなんとかいうことでなしに、そういうことはできないということでありますが、ただ、ここにお断わりしておかなければならぬのは、現在でもこれを何も法律で禁止されておるわけじゃないのですから、時価発行することをやろうと思ったら、企業はどこだってやれないことはないのです。ないけれども、お互いがそういうことをやるというと、みなに非常に大きな影響を及ぼすから、やらないでいただきたいということをわれわれは要請しているだけのことであって、やろうと思ったら、いま、あしたからだってやれるわけなのです。けれども、そういうことをしたら非常に混乱におちいりますから、ですからそういう、慎重になにしておりますし、まだその範疇——範疇といえば、抽象的な範疇しかありません。株主のために、株主に結局還元されるようなプレミアムつきの時価発行ということでなければできないぞということを申しているだけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 最後にもう一点。国民消化を促進させるという御意見、これは私も大賛成なんです。これは市中消化と称する公債が、銀行シンジケートの強制割り当てになっていますね。だから、銀行協会から、この国債についていろいろな注文や条件をつけられているやさきでございますから、国民消化であればインフレを防ぐという意味にも通じまするから、これはまあ大賛成。しかし、その国民消化を促進するにあたって最も大事なことは、証券並びに、これは国債もそうですが、国民信用を回復するということがその前提に必要だと思うのです。公債については戦争でパアになってしまった。それから証券につきましては、投資信託、これで国民は痛い目を食いました。五千円の額面、五年たって契約期間が切れたから、さあ返してもらいましょう、金利を入れて七千円もらえるはずのものが三千五百円にしかならないじゃ、これは国民についていきませんわ。だから、証券さんよ、さようなら、銀行さんよ、こんにちわということばがはやるようになるわけだ。  そこで、この国民信用を回復するにあたって、運用預かりの行き過ぎを是正することは何よりも大切なことでございまするが、その前に、投資信託を今日解約するとすれば一体幾らになるのか。同時に、その解約は、快く投資家の言うとおりに解約して現金にかえてもらえるのか、もらえないのか、また凍結さして、また延期、また延期、こうくるのではないか、具体的事実はそうなっておるようでございます。この点はいかがでございましょうか。

福田千里日本証券業協会連合会会長大和証券株式会社会長

○福田公述人 いま、最後の投資信託のことでございます。確かに投資信託は一昨年までの間におけるいろいろな事情からの——事情というと、株価の暴落から、額面と申しますか、五千円のものが、現在三千円台のものはもうなくなりまして四千円台にはなっておりますけれども、いずれにしましてもそういうふうなことで、最初の期待どおりにならなかったということに対してはまことに遺憾なことで、われわれ投資信託をやっておりますものといたしましては、まことにその運営のまずかったことやら、いろいろ問題点を反省はさせられておりますが、これはしかし株式を買って、中に入っているものは株式なのですから、株式をそのまま買っていたとしても同様なことが言えるのであって、投資信託だけが悪いというわけじゃないので、株式自身をお持ちの方だってやっぱり損をなさってしまったわけなので、これは証券会社側のほうにも一半の責任はありますけれども、全責任が証券会社側にあるとも言えないので、これは全体のそういう証券の市場の情勢がしからしめた、情勢がそういうふうにさせたのですから、これはどうもやむを得なかったことだろうと思うのですが、現在とにかく——どのくらい値下がりしているかということの御質問ですか。(加藤(清)委員「四十二年度解約になるあれでけっこうです」と呼ぶ)これはユニットになっていますから、いろいろそれぞれなにですから、残存元本がどれだけの時価をいましているかというところを見ればわかるのですけれども、全体的のいまの残存元本の表しかないのでわかりませんけれども、若干とにかく下がっていることは事実です。まだ回復しておらないことはなにですけれども、そういうような信用を失墜しているおりから、証券貯蓄だなんだいったってなかなかできないじゃないかとおっしゃるけれども、これは特にまた、この投資信託につきましては、今回投資信託協会で非常に自主的に、いままでの姿勢の悪かったところや何かを改めまして、それで非常に厳重ないろんな自主規制を設けまして、そして根本的に姿勢を正した投資信託というものがいよいよできることになる、まあ、できつつあるので、それによってやっておりますし、近く投資信託協会というものが、投資信託法の改正によりまして、法律上そういうものを認められるようになるはずでございます。それは皆さま方のほうですけれども、そういうふうに聞いておりますし、これは姿勢を正してやるつもりです。そのほかにつきましても、私は協会長として、証券業界のいままでの再建整備とかいろいろのこともありましたし、免許制を控えまして、いわゆる免許になるので、その内容をいま非常に充実しなければならぬということで、ずっとやってきております。それで、免許にたった証券会社というものの信用を、一般の人からこれによって回復できることと信じておりまして、私どもは、協会長としても、ずっとそのことでもっていろいろ心配してまいりましたわけなんで、今後証券界も、そうやって全く信用のある証券界としていけるものと思いますので、どうぞよろしく……。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 どうもありがとうございました。  いま答弁のできなかった数字は、あとで書類で答えていただければけっこうでございます。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 以上をもちまして両公述人に対する質疑は終了いたしました。  福田、御園生両公述人には、御多用中のところ長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次会は、明十八日午前十時より引き続き公聴会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十四分散会

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