予算委員会 第5号
- 発言数
- 295 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1967/03/25
会議録
○植木委員長 これより会議を開きます。 去る二十三日の本委員会において、矢野絢也君から御要望がありました自由民主党の国会対策費の使途についての資料提出の問題につきましては、理事会におきまして協議いたしました結果、公明党を除く各党全理事の意見は、この資料要求は、法規に基づき、予算委員会において取り扱うべき問題ではないとのことでありました。 右御報告いたします。 この際、中澤茂一君、小平忠君から発言を求められておりますので、順次これを許します。中澤茂一君。
○中澤委員 本日は、総理としてでなく、自民党総裁として、一昨日問題になりました国会対策費の問題につきまして、総裁の御答弁を求めたいと思うのであります。 公明党の矢野書記長の発言において、われわれ社会党が、その国会対策費の一部をちょうだいしているようなニュアンスの発言が多分にございまして、わが党の名誉の失墜は、全く遺憾に存じておるのであります。そういう点について、自民党総裁として、わが日本社会党に国会対策費の一部を流しておるのかどうか、その点、明確に御答弁を願いたいと存じます。
○佐藤内閣総理大臣 私は、総理であると同時に総裁でもございますから、便宜お答えいたします。 矢野君からお尋ねがありましてから、幹事長を招致し、いろいろ検討もし、報告も求めましたが、わが党の国会対策費が他党へ流れておるようなことは絶対にございません。
○中澤委員 確かに国会対策費の問題は、非常に疑惑をもって見られておることは事実でございます。これは、政治をほんとうに近代化し、明朗化するためには、やはりわれわれは、ほんとうに各党ともそういう不明朗な姿は一掃しなければ、国民の信頼の回復はあり得ないと思うのであります。そういう点についていろいろ議論がございましたが、この際、特に総裁に要望しておくことは、ほんとうに国会の信用を高めるために、お互いに自粛自戒、各党とも不明朗は一掃すると、そういう方針で総裁として臨んでもらいたい、こういう御要望を申し上げたいのですが、一言御答弁を願いたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 日本社会党も、さようなものがわが党から流れたということは御迷惑だと思いますし、私のほうの党も、さようなものを社会党へ流した、それ自身たいへん迷惑でございます。したがいまして、かようなことは、よく調べたのですが、絶対にございません。 また、ただいま、今後の問題につきまして、各党の心がまえについての御意見がございましたが、そのとおり、私も同感でございます。
○中澤委員 実は、一昨日の矢野公明党書記長の発言で、特にわが党の名誉を著しく傷つけられたという点は、この際、明確にしておきたいと存ずるのでございます。この速記録を一応お読みいたします。 新聞を持ってまいりました。これを読むのは長くなりますから省略いたしますが、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━こういう御発言があるわけであります。少なくとも、金と法案が結びついておるような印象を与える発言であったことは間違いないのであります。特に、われわれこの審議の経過を存じておりますが、国鉄運賃の値上げは、これは御承知のように、社会党の猛反対で、結局多数決、強行採決がされた法案でございます。そのようなところに疑念を持たれるのは、わが党としてまことに遺憾でございます。同時に、同定資産税の問題は、御承知のように、一昨年の国会で地方財政計画を提出せしめたところが、百億円の増税が出ていたのをわが党は問題にしたのであります。地方税法改正で三十九年から四十一年まで上げないという、こういう附則までつけた公約問題が、百億円の増税になっているのが問題になり、予算委員会が二日間ストップしたことは御承知のとおりであります。そして結果は、国会対策委員長会談もまとまらず、書記長会談に持ち上げて、政府側は財源がないからというので、最後には幹事長・書記長会談で五十億の増税にとどめたという経過は皆さんも御承知のとおりであります。このとき三党協定が五十億の減税を約束させて成立したことも御承知のとおりであります。そういうものに金がからんだかのごとく疑惑をされては、われわれ社会党の名誉というものは全く失墜されたわけでございます。その点について、私といたしましては、委員長に、この公明党矢野書記長に証拠を確実に提出させてもらいたい。いつ、わが党のだれが、自民党のだれから、幾らの金を手交されておるか、その証拠を提出させてもらいたい。さもないと、わが党の国民大衆に疑惑を持たれたことは晴れないのであります。その点を強く委員長に要望いたす次第でございます。
○植木委員長 小平忠君。
○小平(忠)委員 本委員会が、一昨日の公明党の矢野絢也君の質問の内容に端を発しまして混乱をし、さらに昨日、本日と二日間にわたって理事会が混乱をして、重要なる予算案、国政の審議に停滞を来たしておりますことは、まことに遺憾なことであります。 私は、矢野委員の発言の内容につきまして、特に自由民主党の国会対策費の使途が、あたかも野党と法案成立をめぐって、なれ合いあるいは不純なる金銭の授受がされたかのごとき疑いを持たれたということについては、まことに遺憾なことでありますが、この問題について、総理であるが総裁でもある佐藤総理から、ただいま社会党の中澤委員よりの質問に対しまして御答弁があったので、私は重ねて総理の所見をここに伺おうとはいたしません。私は、少なくとも国会における審議は神聖でなければなりませんし、特に議員の国会における発言は保障されておりますけれども、おのずから議員の品位と節度がなければなりません。私は、議員が予算案なり法案の審議についての資料の要求は、国会法第百四条、衆議院規則第五十六条によって、内閣あるいは官公署がその資料を提出しけなければなりませんけれども、およそ個人あるいは任意団体並びに政党から国会の場を通じて提出を要求し、また提出を義務づけられておるものではないのであります。かかる問題については、委員長において適切に処理されんことを望むと同時に、また発言の内容につきましても、国会法第百十九条等を見ますれば、これはお互い無礼なる言辞やあるいは他党に迷惑を及ぼすようなことは厳に慎まなければならないのでありまして、特に逸脱した発言等については、委員長においてこれを厳重に処置し、すみやかに本委員会の審議を軌道に乗せられんことを、私は特に委員長に強く要請をするものであります。 以上、私の発言を終わります。
○植木委員長 ただいまの問題につきましては、理事会におきましても、しばしば自由民主党、日本社会党、民主社会党、各党から公明党に対し御要求のあったところでございますが、公明党からはいまだに御提示がございません。はなはだ遺憾であります。 この際、委員長から申し上げます。 去る二十三日の矢野絢也君の発言の中には、世間に誤解を与え、議院の品位を傷つけることはなはだしい点がございます。不謹慎な発言があったと認められます。よって、委員長は、去る二十三日の本委員会における矢野絢也君の発言中、自由民主党の国会対策費の使途に関する発言について不穏当の言辞があるものと認め、その取り消しを命じ、会議録より削除することにいたします。 なお、削除の個所に関しては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○植木委員長 起立多数。よって、さよう決定いたしました。 〔発言する者あり〕 ————◇—————
○植木委員長 これより昭和四十二年度一般会計予算、昭和四十二年度特別会計予算、昭和四十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。石橋政嗣君。
○石橋委員 最初に、核兵器拡散防止条約の問題についてお尋ねをいたしてみたいと思います。 この問題は、ベトナムの戦争、中国の文化革命とともに、当面の世界情勢の中におきまして、非常に大きな関心を集めておりますいわば焦点になっておる問題だと考えております。二月の二十一日からジュネーブにおきまして、十八カ国のジュネーブ軍縮委員会というのが開かれて討議が行なわれておるわけですが、伝えられるところによりますと、五月の九日まで休会するということでございます。とにかく非常に重大な内容を含んだ、今後の日本なり世界に大きな影響を及ぼす問題だと理解しておるわけであります。日本はこの十八カ国の軍縮委員会の構成メンバーではございません。そのためかどうか知りませんけれども、政府の取り組み方も必ずしも熱意あるというふうには見えないのであります。特に西ドイツあたりの活躍に比べまして——西ドイツも同じように構成国ではございません。十八カ国の中には入っていないのでございますが、この西ドイツに比べましても非常に低調な感じを受けます。実際、国内におきまして議論が始まりましたのも、いわゆる下田発言というのが出ましてから以後のことであります。私は非常に残念に思うわけでございますが、それはさておくとして、三木外務大臣が、この問題について超党派で話し合いを持って積極的に意見反映につとめるといったようなことを述べておられるわけでございます。新聞あたりでは超党派外交ということばまで使っておるのでございますけれども、具体的にどういうことを考えておられるのか、それをまず最初にお尋ねしてみたいと思うわけです。
○三木国務大臣 今日において一番人類の大きな課題は、いかにして核戦争を防止するかということであります。この問題に比べたら、ほかの問題は小さいと言ってもいいくらい。そうなってくると、この核拡散防止条約は非常に重大な影響を将来の人類の上にもたらすものでありますから、このような重要な問題を、でき得べくんば各政党と共同歩調をとって進むことができ、それによってできるだけ多数の国民の合意が成立するということになれば、非常に好ましいものだと考えるわけであります。ところが各政党とも、この精神に対して反対であるという意思表示は私は聞いていないわけであります。いろいろな条件はありますけれども、この核拡散防止条約のねらうところについては、御賛成のようでもあるし、ほかの外交問題というものはなかなか各党のよって立つ基本的な立場というものが違っておりまして、共同歩調はとりにくい、そういう点から考えて、この問題はでき得べくんば共同歩調をとって、日本の国民の多数の意思がこの条約の中に反映されることが好ましい、こういう考え方から、可能であるならばそういう歩調をとるほうがよろしいという発言をいたしたのでございます。
○石橋委員 ここに、新聞のいわば内容も私持ってきておるわけですが、大きく超党派外交の推進という見出しが使われておるわけです。この内容が、いまの御答弁でもあまりはっきりいたしません。ただ、解説記事の中に、具体的に党首会談を開くことも考えておる、その党首会談においては、いままで明らかにされております米ソ合意案といったようなものの内容についても率直に出していくし、日米間で行なわれた意見の交換の内容についても話し合っていきたいというようなことまで実は述べておるわけです。そこまでおやりになるつもりなのかどうか、もう少し具体的にお述べ願いたい、こう申し上げたわけです。
○三木国務大臣 どういう形式をとるかということは、これは総理のお考え方もありましょうし、いろいろ各党間の話し合いも必要でしょうが、とにかく、そういう会談が開かれるならば、いままで日本の政府が入手しておる情報は、できるだけ詳細に説明することが当然であると考えております。
○石橋委員 それでは、これはジュネーブから伝えられてきております報道によると、米ソ、これにはイギリスも加わっておると思いますけれども、米ソ合意案と普通いわれておりますその内容が、すでに西側の各国には配付されておる。大体一月四日にこの案はまとまったんだというようなことが伝えられてきておりますが、これは間違いございませんか。
○三木国務大臣 私が承知しておるところによりますと、米ソがちゃんと固まった草案ができておるとは思わないのでございます。もしそれができておるならば、ジュネーブの十八カ国軍縮委員会においても提出されるはずでありますが、まだ草案が固まったというふうには承知をいたしていないのでございます。
○石橋委員 十八カ国軍縮委員会に出されておらないことは私も知っております。しかし、少なくとも当初この軍縮委員会を再開したときには、とんとんと問題が片づくだろう、冒頭から米ソ合意案なるものが出てくるだろうという見通しすらあったわけなんです。だから、いままで出てないから、それはできてないんじゃないかということは言えないんじゃないかと思うのです。私、これから質問していく際に、米ソ合意案という、具体的に表面に出ておりますものにも触れたいと思いますので、ある程度の内容をアメリカ側から伝えられておるかどうかということを、最初にお伺いしておきたいわけです。
○三木国務大臣 いま申し上げたように、草案の形というのでなくして、核拡散防止条約の大体ねらいとする骨子というものは承知をいたしておるわけでございます。
○石橋委員 それでは本論に入ります。 私たちも、核軍縮、ひいては一般軍縮、完全軍縮へ、そういった大きな悲願を持っております。この悲願を実現するために、一つの方法として、今度いわゆる核兵器の拡散防止条約というものが俎上にあがっているわけですから、りっぱなものをつくりたい、そしてぜひ目標に向かって進んでもらいたい、こういう希望を持っております。こういった問題は、確かにこれは平和外交ということも言えると思うんです。だから、できますれば、十分に与野党話し合いをしていこう、そして、全国民的な支持の立場に立って、条約の中にわれわれの要求を織り込ませるようにしていきたい、こういう気持ちは持っております。しかし、そのためには、単に平和外交として適当なテーマだというだけではちょっとむずかしいと思う。もう一つ最低の条件が私はあると思います。それは何かといえば、自主外交です。この自主外交というもう一つの柱がなければ、なかなか一緒にやるということは、言うはやすく行なうはかたしということになるんじゃないか、このように見ております。 そこで、超党派的な基盤ができるかどうか。それを探るという意味で私は質問をしてみたいと思うんです。いままで散発的にいろいろな問題が出ておりますので重複する点があるかもしれませんが、全部洗っていきたいと思います。そして、共通の基盤があるかどうかということを探ってみるという、そういう立場でお尋ねをしてみたいと思いますので、ひとつ総理なり外務大臣におきましても、率直なお答えをお願いしたいと思います。 そこでまず第一に、この核兵器拡散防止条約というものが、予想以上に急テンポでまとまってわれわれの前に提起されたその背景というものについての認識をお伺いしてみたいと思うわけです。私は私なりの意見を述べたいと思いますが、その前に、なぜこういうふうに非常に早いナンポで米ソの意見がまとまり、われわれの前にクローズアップされてきたか、その背景をどう見るか、このことからお尋ねをしたいと思います。
○三木国務大臣 もちろん、米ソ両国の歩み寄りというものが促進をした大きな動機にはなっておりましょうけれども、急にこの問題がクローズアップされたとは私は思っていない。一九五八年の第十三回国連総会アイルランド決議案、これにやはり核拡散防止に対する決議が国連に提出されておりますし、九六四年、中共の核爆発実験以来、核拡散防止をしなければならぬという世界世倫の非常な高まりがあったわけでありします。だから、こういう核拡散防止条約をここまで現実の課題と世界政治がなしてきた背景の中には、高まる世界の世論というものが大きく動いておった。しかも、核兵器というものが、今日ではそう高度な秘密に属さない、安易に、あるいはそう高価なものでなくて核兵器が製造できるという科学技術の進歩、これはやはり核を拡散する、核兵器を拡放するという可能性が非常に生まれてきた。この事実からして世界の世論が高まってきた、米ソの歩み寄りが行なわれた、こういうことがからみ合って、こういうことになってきたと理解いたしておるものであります。
○石橋委員 核拡散防止条約をつくれ、これがぜひ必要だ、そういう声はずっとあります。ありますけれども、やはり米ソの間の意見の食い違い、あるいは現在すでに核兵器を保有しております国と持たない国との意見の食い違い、そういうものからなかなか簡単にはまとまらないという情勢だったわけです。それが昨年の秋、ジョンソン大統領とソ連のグロムイコ外務大臣との会談以降急速にまとまった。これは事実だと思います。これは予想以上の速いテンポではないかと私は思う。だから、その辺に私は焦点を置いて、米ソがこの核拡散防止条約を早くつくろうという気持ちになった裏には、何か特殊の背景があるのではなかろうか、こう思ってはお尋ねをいたしたわけです。この点につきまして、最近、お読みになったと思いますが、フランスのガロア将軍あたりが自分の考え方を述べておるわけでありますが、これは、結局いま外務大臣も触れましたように、中国の核開発というものが予想以上に速いテンポで行なわれておる、これが一つの契機になっておるだろう、ある程度後進国と思われる国でも、本気で取り組めば意外に速いテンポで核の開発ができるのだ、何とかここで早く核拡散防止をやらなければたいへんな事態を招くという点で意見の一致を見た。ガロア将軍の言うところによれば、ベトナム戦争というものも十分に関連を持っておる。アメリカがベトナムに大きな精力をさかれ、軍事費も膨大なものになっておる、どこか削減しなければならぬ部分が出てきておる。いま米ソの交渉のテーマに取り上げられておりますABMの問題などもその一つでありましょうけれども、どこかで費用を減らしたい、節減をはかってその分をベトナムに集中したいという気持ちがある。ソ連のほうにしてみれば、西ドイツに何としても核についての発言権を持たしたくない。発言権のみでなくて、管理権に参画するということばがよく使われておるわけですが、そういう形に西ドイツが接近していくことは好ましくない、何とかそれを食いとめたい、この両者の意見が一致して急激にまとまったのじゃないだろうかということも述べておるわけです。そういうことについても、私はもっと深くお伺いしたかったわけでありますが、特に重要な部分ではございませんから、以上のお答え必ずしも満足いたしませんけれども、次の質問に移りたいと思います。 ところで、これから私たちがこの問題に取り組む場合に一つ考えなければならない問題として何があるかというと、拙速でもいいから早く何とかまとめるという方向を選ぶべきだろうか、そうじゃなくて、理想的なものはできないにしても、じっくりとある程度の時間をかけても理想に近いものをつくるように努力すべきだろうか、これは非常に重要な分かれ道だと私は思います。どちらの道を選んだほうが正しいかということを判断する場合に、一つの目安として、核拡散が切迫した、差し迫った問題かどうかという、その見方によって態度がきまるんじゃないだろうかと私は思うわけです。もし核拡散というものが差し迫った問題であるとするならば、これは多少荒削りでも速いテンポでまとめなくちゃならないかもしれません。しかし、そうでないというならば、少し腰を落ちつけて理想に近いものをつくるという努力をしていったほうがいいんじゃないか、こういう気がするわけです。そこで、核の拡散は差し迫った、非常に切迫した問題かどうか。中国のあと、第六、第七、第八の核クラブの会員が近々にふえるような見通しがあるというようにお考えかどうか、この点についての御判断をお伺いしたいと思う。
○三木国務大臣 石橋君の言う差し迫ったという時間的な判断でありますが、もし半年とか一年とかいうことを石橋君が差し迫ったと言われるならば、差し迫ったとは思いませんが、もし数年というような時間をかければ、これは差し迫った課題だと私は思う。そういうことで、この問題は、結局は第六、第七の核兵器保有国を防ぐことが核戦争の防止に役立つかどうか、そういう立場から判断をしなければならぬわけで、半年とか一年というよりも、やはり数年という期間をおいてその危険があるというならば、核戦争を防止することが人類最大の課題でありますから、それに近づけるための判断を下すことが適当であろう。だから、できるだけこの条約はわれわれの意向も反映しながらまとめたほうがいいという見解でございます。
○石橋委員 外務大臣の答弁でも、差し迫ったと言うが、一年やそこらの問題ではない、五、六年先ならいざ知らずということですね。大体、核保有の潜在的な能力を持っておる国、たくさんあげられております。たとえばアメリカの原子力委員長のシーボーグなどは、まず第一に日本をあげているのです。日本、インド、西ドイツ、スウェーデン、イタリア、カナダ、イスラエル、こういうふうなあげ方をしております。自分の国日本が潜在能力を持っておるナンバーワンだということになりますと、これは差し迫ったといっても、私はそんなに差し迫った問題じゃないのじゃないかという感じが率直にするわけだ。私は、どちらかというと、拙速主義ではいけないんじゃないか。じっくり腰を落ちつけて、そして完全な形に近いものをつくる努力をここですべきじゃないか。そうしなければ、また時間的に、超党派外交だなんだといったって準備不足じゃありませんか。国内において十分な議論もなされておらないじゃないですか。それだけでなくて、政府自体の意見も統一されてない部分がずいぶんあると私は思います。 これから一つ一つお伺いいたします。これは総理大臣ですけれども、あなたのお答えにしても、一日おいたら違った答えをしているのがずいぶん出てきているんですよ。そんなことはないつもりかもしれません。私はこれから指摘します。また政府自体の意見も、どうもまとまっておりそうもない。そういう状態の中で、ことしの国連総会でぜひまとめてしまおうなんということになると、あまり完全に近いものはできないのじゃないかという懸念も実はあるわけです。それはおくとしまして、とにかくそれでは内容に入ります。 われわれはどのような条約を持つべきか。先ほどから申し上げておるように、理想に近い条約をつくるためにはどうしたらいいか、この本論に入るわけでございますが、この点について、本会議における外務大臣の外交演説を見ますと、大体問題点が三つ出ております。まず第一が、現に核兵器を持たない国々の安全保障の問題、二番目が、この条約が必ず次の核軍縮、一般軍縮に一歩前進ということが保障されなくちゃならないという問題、第三が、原子力平和利用の問題、大体この三つに問題がしぼられておるようでございますから、最初に、この三つの問題についてそれぞれ問題点を出してみたいと思うわけです。 そこで、最初にこの外交演説を読んでみました。非常に簡単ですからここでもう一度読んでみますが、「この条約がその目的を達成するためには、核兵器を持つものも持たないものも、できるだけ多くの国がこれに参加することが必要であり、そのためにも、核兵器を持たない国の安全保障について十分の考慮が払われなければなりません。」これだけです。そのためには一体どういう内容が盛られなくちゃならないと思っているのか。いまの通常言われております米ソ合意案というようなことで日本は満足できるのかどうか。この批判もないわけです。日本政府としては内容の中にどういうものを織り込め、こういうものも何もないわけです。この点どんなふうにお考えになっておるのか、最初にお伺いしたいと思います。
○三木国務大臣 一つには、やはり集団安全保障条約、世界の安全保障体制として御承知のように集団安全保障条約があるわけです。各地にそういう安全保障の体制ができておるわけです。そういう意味からして、この条約は、集団的安全保障条約を結んでおる国に対しては、核拡散防止条約は、これに対して何ら機能を阻害しないのですから、そういう国々は、安全保障の問題というものはこの条約を締結することによって起こってはこないわけです。集団安全保障に入ってない非同盟諸国の立場というものが非常に微妙になると思う。こういう国々については、いろいろその国によって国の防衛に対して特殊な立場を各国が持っていると思う。したがって、これはその国その国のイニシアチブでこの問題は考えることが適当だとは思いますけれども、好ましい形としてはどういう形か。とにかく、この締結国が核攻撃を受けるとか核の脅威を受けたときには、保有国がこれに対して援助をするというような、一つの何らかの共同宣言といいますか、そういう形が生まれるならば非常に好ましいのではないかという考え方を私は持っておるわけです。しかし、各国の防衛は、その国その国がやはり立場が違うのでありますから、自主的に考えなければならぬ問題があることが基本だと思うのでございます。
○石橋委員 私は、この問題については、やはり条約の中に明確に規定を設けさせるべきだと思います。現に日本政府の代表も、一九六五年第二十回国連総務会第一委員会におきまして発言をしておられるわけですが、その際には、やっぱり原則的に非核保有国を核攻撃またはその脅威から守るための保障措置を設けるべきであると主張しておるではありませんか。これから後退したような印象を与えますよ。私は、この原則をあくまでもこの段階においては主張していく、こういう立場をとらないと、いわば日米安保条約のかさの中に入り込んで、そして何とかしようというような考え方では、共通の基盤を求めることはできないと思う。これは後退したのですか、その際の日本政府代表の発言から。
○三木国務大臣 少しも後退ではありません。何らかの、これが条約の中か、あるいはまた別の形をとるかは、これはいろいろ条約作成上の問題点もあろうと思いますが、いずれにしても、非核保有国の安全保障について、核の脅威を受け、あるいはまた攻撃を受けた場合に、核保有国がこれに対して援助を与えるという何らかの意思表示というものが必要だと考える考え方は、いささかも後退してはいないのでございます。
○石橋委員 では総理にお尋ねいたしますけれども、この非核保有国の安全保障というものは、あくまでも保有国が核攻撃をしない、また核をもって脅威を与えるようなことはしないという規定を条約の中に織り込め、こういう立場を貫いていくべきだというふうに考えておると理解してようございますか。
○三木国務大臣 何らかの形でそういう意思表示がなされることが必要であると考えております。
○石橋委員 総理はお答えにならないようでございますが、同意見なんですか。
○佐藤内閣総理大臣 外務大臣の答えたとおりでございます。
○石橋委員 ただ、日本政府代表がそれを言うときには、必ず例外規定を言うんですよ。しかし、そのような保障措置をとる、明示することがむずかしいならばというのがつくんです。ここに誤解があるんです。原則として言いはするが、むずかしいだろうからという形で逃げている、そういう印象を与えます。だから、そういう印象を与えないように、原則をあくまでも守ってやりますという決意のほどを知りたいわけですよ。例外のほうにあまりウエートを置かないようになさってくださいということを申し上げているわけですよ。ようございますか。
○三木国務大臣 私は、いま石橋君に、それが可能ならばという条件はつけてない。何らかの形で非核保有国に対する核攻撃、核の脅威に対する安全の措置に対する意思表示がなさるべきである、こう申し上げておるので、条件は格別付してはいないのであります。
○石橋委員 そうしますと、これは今度、非核保有国である日本のような国の立場で一つの義務が生ずると思います。それは何かといえば、非核保有国は核兵器をみずから持たないだけでなくて、みずからの領域内に他国の核兵器を一切配置させない、こういう義務規定がなければ平仄が合わないということになると思いますが、いかがですか。
○三木国務大臣 地域的な安全保障条約というものは、その機能を阻害されないわけでありますから、その核不拡散条約はそういうことにはならない、そこまで発展するものではない。それは北大西洋条約においてもそうだと考えております。
○石橋委員 これはコスイギン提案との関連で私お尋ねしているわけです。核保有国に、核を持たない国に対して攻撃するな、脅威を与えるようなことをするな、こういう要求をわれわれするわけです。しかし、そういう要求をするからには、自分のほうはほんとうに核を持っておりません、みずからの核を持たないだけでなくて、よその国の核も置いておりませんという保障がなければ、一方的な要求をしたってこれは通じないじゃありませんか。だから平仄が合わないと私言っているんですよ。先ほども、原則のほうは言うことは言うけれども、すぐ例外のほうに逃げようとするというのはその点なんです。それだけの決意がないから迫力がないじゃありませんか。前段の迫力がないじゃありませんか。ここで早くも馬脚をあらわしているわけです。核保有国に、核を使って攻めてくるようなことをするなよ、脅威を与えるようなことをするなよと言うのに、自分の国には、自分のものでないにしても、よその国の核を置いておく。これじゃ、つじつまが合わないでしょう。そんなつじつまの合わない理論で国際舞台で議論ができるんですか。私どもの常識ではできないと思うのですが、いかがですか。
○三木国務大臣 それは石橋君はコスイギン提案をとって言われておるのだと思いますが、しかし、私はコスイギン提案そのままをこの非核保有国の安全の保障に採用せよと言っておるのではない。やはりコスイギン提案とか何提案というのではなくて、全体的に非核保有国の安全保障というものに対しては十分な意思表示が必要だということで、コスイギン提案のように、核兵器というものを置いてはいけぬということになってくると、現在の集団安全保障条約というものは非常に重大な変革を伴うことになります。これは一番核の拡散を防止しようということをねらっておるわけでありますから、不完全なものであっても、そのことが世界の平和の一歩前進である。ベストなことではないでしょう、ベストではない。しかし、少しでもこれは前進だということで、こういう核不拡散の条約を結ぼうというわけでありますから、一ぺんに何もかも理想的なような状態に問題がなるということではなかなか——これか核戦争防止への第一歩ですから、第一歩からそういう根本的ないろいろな核戦力の問題、現在の安全保障機構を変革するということになれば、私はなかなかこの条約は、いまでさえこれほどたいへんな世界的問題になっておるのですから、まとまることはできない、そういうことで、これは将来の課題としておかなければ、現在の集団安全保障条約のその機能に重大な変革をもたらすようなことをこれに含むならば、非常にこの条約の成立を不可能にすると判断をいたしているわけであります。
○石橋委員 そういう考え方でいきますと、先ほど申し上げたように、核保有国は非核保有国に対して核兵器をもって攻撃したりあるいは核の脅威を加えない、そういうような規定を織り込むなんということは不可能だということになります。一歩前進にもいろいろあるわけです。 それでは私、角度を変えてお尋ねしますが、最近成立を見直したラテンアメリカの核兵器禁止条約、これらについてはどのような評価をしておられるのですか。
○三木国務大臣 基本的には核拡散を防ぐことに賛成であるという立場だと思う。ただ、核爆発エネルギーが平和利用に実用化される場合に対していろいろな留保をつけているので、全体として、この条約の精神というものは、核兵器の拡大を防ごうということに賛成である立場だと考えております。
○石橋委員 私がお尋ねしているのは、その問題よりも、このラテンアメリカの核兵器禁止条約が持っております問題のもう一つの部分、すなわち、核保有国すべての批准というものがなければこの条約が発効しないというところに私はウェートを置いているのですよ。これがついている限り、中国がこんな条約を批准する見込みございますか、ない。なければ発効しない。そういう条約でしょう。それでも、やはり一つの形がラテンアメリカでできたということで高く評価するか、実効がないような条約を幾らつくったってはじまらぬというふうに批判されるか、そこのところをお聞きしているのですよ。
○三木国務大臣 この条約に中共、フランスが入ることは好ましい。これはだれが考えてもそうであります。しかしながら、これはなかなか、いま石橋君の言われたように、態度は入らぬという方向だと見るべきでしょう。そんならば、それが入らぬからといって、それはしかたない、中共とフランスが入らぬからしかたがない、核の拡散というものはやむを得ないという選択を政治がとるか、なかなか不完全なもので残念だけれども、それにもかかわらず、核の拡散を防止することが平和に一歩近づくために、これをとろうという判断に立つかということは、これは分かれ道だ。私は後者のほうをとりたいと思うのであります。
○石橋委員 効力を発効させることがほとんど見込みがない、当分見込みがありません。それでもなおかつ、あなたは評価される、このようにおっしゃるわけです。私は、そのことはそういう考え方として成り立つかもしれませんが、いまの問題についてはやはりもう一歩進めて、核兵器の脅威をこの条約ができることによってほんとうになくする、われわれが持たないで済むというようなものをねらっていくべきじゃないかと思う。長い間国会の中で議論されております、核兵器持ち込みがあるのじゃなかろうか、いやない、そういった議論に終止符を打つこともできるわけです。だから、あくまで最初から、むずかしいという逃げたかまえじゃなくて、原則論でもう少し押してみるということを望んでいるわけです。これ以上お伺いしても前進がないようでございますから、次に移ります。 そればさらに一歩進めて、核軍縮、一般軍縮に前進させなくてはならぬ。そのためには、今度の条約がどうあらねばならぬかということについてです。これについても外交演説の中でいろいろ言っておられますが、やはり具体的には何もない。一体、この条約が成立することによって、はたして核軍縮の方向に行くんだろうか。やはり中国の問題を頭に置きながら私は議論しなくてはならないわけですが、自信がおありですか。どうしたらいいと思いますか。その具体案を示していただきたいと思います。
○三木国務大臣 前半の石橋君の御発言の中に、核兵器を何とかして持ち込むか何かで核兵器を温存するという、そういうふうな逃げ腰のような御発言があった。そうじゃないんで、われわれもやはり核兵器をなくしてもらいたい。この人類の社会から核兵器をなくしてもらいたいという最終の目標は、石橋君と変わらない。しかし、一気に理想に到達することは非常に困難なことは石橋君御存じのとおり、目標はあなたと変わらない。それを実現性のあるような方法で押し進めていきたいということだけの違いでありまして、その最終の目標はあなたと違っているとは私は思わない。 その軍縮の問題でありますが、これは当然に、この軍縮に対する核保有国の明白な意思というものがこの条約の中に表明されなければならぬと考えておりますし、また、その軍縮に対しての意思が表明されるばかりでなく、これが実績が上がっていくことをわれわれとしては検討する機会も持たなければならぬと思っておりますので、軍縮が核軍縮の一歩前進であるということを私は信じておるものであります。
○石橋委員 中国あたりは、より多くの国が核兵器を掌握したほうがほんとうに核軍縮の成立を早めることになるのだという議論すら展開しているのです。これは私もおかしな議論だと思いますけれども、とにかく一方に、核保有国の中にそういう有力な意見がある。ただ、はたしてこんな核拡散防止条約をつくったから、必ず軍縮の方向に進むだろうなんという安易な期待感を持つことは私たちはできない。そういうことも事実だと思います。だから、今度の条約の中に必ずそういう方向に行くようにしむける何かがなくてはならぬ、歯どめがなくてはならぬ。このことを言っているわけです。その歯どめなるものは何だろうか。結局考えてみたら、期限を区切って、核保有国が軍縮について真剣に誠意を示したかどうかということを検討する、そういう時間を設けなければいかぬ、こう思う。三年なら三年、五年なら五年、条約の期限をはっきり区切る。そうしてそこで検討する。核保有国が軍縮についてどういう誠意を示したか、この要求をあくまで貫いていく。この点はいかがですか。
○三木国務大臣 単に軍縮ばかりでなくして、この条約が成立すれば、その目的、規定、これの実施状態を何年目何年目ごとにかこれを再審議するだけの機会は条約の中に持たなければならぬと考えております。
○石橋委員 いまの米ソ案にはそれがございませんですね。いまの米ソ合意案なるものには、この点については不満だと考えてようございますか。
○三木国務大臣 草案が固まっておりませんから、草案と言えるかどうかは別といたしまして、ある条約が成立したら、一定期間後には再審議する機会を持とうというような考え方は、米ソ案の中にも入っているやに私は考えておるわけでありますが、これは日本として、何年目ごとにか再審議する機会を持つようにしたいというのは、日本の主張であります。この主張はできるだけ反映さすように努力をいたしたい考えでございます。
○石橋委員 発効の五年後に会議を開いて、条約の実施状況を再審査するというだけですよ。これじゃ歯どめになりませんですよ。私は、この点については不十分だから、完全にチェックできるような形にまで持っていく努力をなさるべきだと思います。 第三の平和利用の問題です。これについても同じようなことが言えるのではないかと思うのです。やはり明確に期限を切る。そして点検して、どの程度いわゆる平和利用というものにわれわれが利用できるものが現実の問題としてできているか。それを勘案しながら条約の不備な点を改めるという形に持っていくのが至当ではないか、このように考えておりますが、いかがですか。
○三木国務大臣 日本は六番目の核兵器保有国にならぬ、こういう決意を広く世界に表明しておるのでありますから、軍事目的というものに核開発をやろうという意思はない、これを明らかにしている。したがって、平和利用の面に対しては、将来のために十二分な保障をとりたいと考えておるわけでございます。したがって、原子力の平和利用あるいは核爆発エネルギーの平和利用に対しては、日本が不平等な取り扱いを受けないように、平和利用の面に対しては十二分の保障を確保するために日本は今後努力をいたしたい考えでございます。
○石橋委員 その平和利用という問題で、私どもしろうとでなかなか整理ができない面があるんです。一般に原子力の平和利用、平和利用と言っておるけれども、何をさしているのか、ここで整理してみたいと思う。原子力を平和利用するという場合に、どういうものがあるかということを、これは科学技術庁長官ですか、ひとつお伺いしてみたいと思う。 私の調べた範囲では、一つには、原子エネルギーをコントロールして使用するという場合がある。もう一つは、いまこの条約に関連して問題になっておりますように、核爆発の際のエネルギーをダイナマイトがわりのような形で使うといったような場合の平和利用がある。この二つだけだというふうに聞いておりますが、そのほかにまだあるならば、教えていただきたい。
○二階堂国務大臣 原子力の平和利用については、いま石橋委員から申されたとおり、核分裂の作用を利用して熱を起こして電力その他に利用するという方法が一つあるかと思っております。私は原子力委員長といたしましては、その平和利用、電力等に利用する平和利用、これは原子力基本法の精神でありますので、あくまでも平和利用のみに限られた開発研究を行なうというたてまえから申しますと、それが一つ。もう一つは、アイソトープなどを利用いたしまして、健康管理に使う、こういう面があろうかと思っております。ただ、これをダイナマイトみたような爆発に使うということは、今日、世界においてそういうものが真の平和利用として使用されておるかどうかということについては、私どもはまだ今日存じておりません。
○石橋委員 外務大臣、この米ソの合意案によって規定されておりますものからいくと、これで禁ぜられているのは、いま申し上げた平和利用といわれている部分のうちのどの部分ですか。いわゆる核爆発、その部分だけですか。
○三木国務大臣 この条約は核爆発エネルギーを問題にしておるので、それ以外の平和利用の場合は、査察というような問題はありますけれども、これに対して制限を加えようというのが、この核拡散防止条約ではない。核爆発エネルギーそのものである。それ以外に高速増殖炉であるとか、新型転換炉であるとか、あるいは核融合の研究であるとか、こういうことがこの条約によって制限を受けるものではないということでございます。
○石橋委員 そうしますと、実際問題として、その部分についてとかく議論がなされているように私は聞くわけです。下田発言もそうでした。私、ふに落ちないのは、実際問題として、核兵器としては使用できない核爆発装置なんというものが開発される見込みがあるんだろうかということです。あなた方の答弁を聞いておりましても、あるかのごとくおっしゃるのですね。そういうことになったときには、われわれも利用さしてください、それを留保しよう、留保しようというふうに聞こえる。核兵器に転用できない、平和利用にだけ使える核爆発なんというのが、実際問題として、将来の問題としてでもあるのでございますか。
○三木国務大臣 科学技術の進歩というものは、なかなか予測できない。たとえば原爆のようなものが、こういうように開発されるというようなことを、石橋君、前に予想されたでしょうか。なかなかこれは予想されないので、やはり一国の政治は後世の国民の立場も考えて、大事をとるという面があってもいいと私は思うのです。いまのところでは、核爆発エネルギーが軍事利用と平和利用と区別できて、そうして平和利用にいますぐ使えるというようなことは、私は考えられないと思う。しかし将来、核爆発エネルギーが放射能の被害もないようになり、何か小型のようなもので、あるいはいろいろな掘さくなどに使うような場合、たとえば大きな運河などの掘さくなどに使われるような場合がないとはいえないと思う。まあ、いまはちょっと考えられぬけれども、後世の国民のために大事をとっておきたいという考えでございます。
○石橋委員 どうも、夢みたいな話なんです。夢を持つことはお互いに必要でございますけれども、はたしてそれが可能なんだろうか。ちょっとふに落ちません。しかしあなた方は、ひょっとしたらそういうことが可能かもしれぬということを頭に置いておっしゃっておるようですが、非常に微妙な問題がからんできます。たとえば核実験の問題です。現在でも平和利用のための核爆発というものはやっているのですよ。御承知でしょう。われわれはどんな核実験でも反対だという立場をとってきております。平和利用のための核爆発ならば賛成なんですか。こういう問題も出てまいりますよ。この点いかがですか。
○三木国務大臣 これは日本の政府は、地下爆発まで禁止せよという立場に立っておるわけで、みずからも平和利用であろうが核爆発をやる意思はないということを明らかにしておりますから、したがって、これは反対。そういうものも現在の段階においては好ましいものではない。地下爆発もやめてもらいたいというのが日本の主張でありますから、おのずから明らかであると思われます。
○石橋委員 平和利用のための核爆発というものは、いまでもやっているのです。ソ連あたりは現にやっている。これは新聞の記事にもはっきり出ております。そうしますと、いかにも平和利用の核爆発はいいのだ、いいのだ。われわれにもこれは将来参加させてもらわなければ困る、困るというようなことになりますと混乱を来たしますよ。実験そのものも、平和利用のためならば、核爆発そのものもわれわれは賛成だ、こういう議論が展開されてくる可能性があります。その意味からも、あまり現時点の問題として、ここにかかずらうのはどうかと思います。この点では大体意見が一致しておるのではないかと思います。 そこで時間がありませんから、以上のような考えの上に立って、それではどういう方法をもってこの意見を反映させるようにするか、方法論になるわけですけれども、方法として考えられるのは、関係各国と連絡はとりながらも日本単独で動く、こういう方法、それから集団的にグループをつくって、大きな圧力を背景にして意見をいれさせるようにやる、こういう方法と二つあると思う。それから態度としても、最初から、もうこの条約賛成でございます、われわれは調印もします、批准もやりましょう、そういうかまえで、しかし、ここのところはこういうふうに直してくれというふうに向かっていく方法と、気に入らなければやめる、参加しない、署名はしません、こういう強いかまえでいく方法と二つあると思う。これが組み合わされた形が考えられるわけですが、総理の答弁にも、ここに非常に混乱があるような気がするのですよ。そこではっきりさせたいと思うのですが、まず第一に、関係各国と連絡をとりながら日本単独で動きたいのか、それとも、非核保有国、特に潜在的な能力を持った国々を中心にグループをつくって、そして動きたいのか。これはひとついままで総理がお答えになっておられますから、総理大臣から直接にお答えを願いたいと思う。
○三木国務大臣 関連がありますから私からお答えいたします。 三つの場合が、石橋君、あると思うのです。アメリカとも連絡をとる場合、あるいは非核保有国、これはいろいろな立場がありますから一緒ではありません。非核保有国が全部一緒の立場だとは私は思わない。しかし、共通の問題点、平和利用に対しての保障というものについては、非常に共通の立場がありますから、そういう国とも外交機関を通じて十分な連絡をとらなければならぬ。また十八カ国軍縮委員会、このメンバーに対しても出先の外交機関を通じて十分な連絡をとる、この三つのことを、どれ一つだけやるというのは外交問題の処理として好ましくない。あらゆる努力をして、目的は日本の意思、日本の考え方をこの条約に反映さすということが一番のねらいでありますから、そういう意味において、あらゆる日本の意思が反映できるような、そういうことであるならば、これだけということでなくして、あらゆる機会をとらえて努力をすることが好ましいと私は考えております。
○石橋委員 総理がいままで本会議なり予算委員会なりで再三質問に答えているわけですよ。だから私は、それをここであらためて確認したいのです。というのは、総理の答弁、場所によって計うことが違うのですよ。だから私は、総理にお尋ねしておるのです。あなたにお聞きしておりません。 アメリカを通じてやるのも、ソ連を通じてやるのも、これは一の分類のほうに入るわけです。関係各国と連絡をとりながら日本単独でやります、こういうかまえ、こういう方法でおやりになるのか、それともグループで、われわれの意見をいれろという形でおやりになるのか。具体的には西尾民社党委員長の提案があったわけです。非核保有国の中でも潜在的に核保有能力を持っておると思われている国々が、この際団結してグループをつくって当たるという方法にあなた賛成しておられるのです。だから、どちらをお考えになっておられるのですかと総理にお聞きしているわけです。
○三木国務大臣 総理ともいろいろ打ち合わせしておるのですが、必要があれば非核保有国が会合するという場合もあると思いますが、現在のところ、まだそういう必要は起こっていない。やはりこれはいま言ったいろいろな機会をとらえて、日本の意向がこの条約の中に反映できるようにあらゆる機会をとらえたほうがいい。必要があったならば非核保有国が寄って話をするという場合があってもいいが、現在はその必要性は起こっていないので、そういう考え方は、現在のところはこれを実行に移すという考え方はないということでございます。必要があったらそういう——だから総理も、原則的には、そういう場合があれば賛成だということを言われたのだと思います。いますぐに日本が非核保有国を集めて、それで団体の圧力をもってというふうには考えていないのが総理の真意だと承っております。
○石橋委員 私、総理にお伺いしているのに、なんであなたが出てくるのですか。あなたは次期総理候補かもしれませんけれども、まだ総理大臣じゃない、まだ候補者にすぎない。私は現職の総理大臣にお伺いしている。 ここに一枚だけ新聞を持ってきているのですけれども、こんなに大きく出ているのですよ。「非核クラブ結成に賛成、首相西尾提案に答える」国民はみんな、はあ佐藤さん、ええこと今度は考えておるようだな、張り切ってやるのだな。みんな見た。翌日になったら、今度は外務省が当惑顔ですよ。こういうのがいまからたくさん出てくるのです。あまりにも一貫しないじゃありませんか。私も速記録持ってきておりますが、これ読んでも明らかに賛成しておられますよ。その翌日になったら、外務省であなたがお役人集めてきめたのかどうか知らぬが、あれは違うのだ、総理の真意はほかにあるようだと憶測をする、こんなことでは困りますよ。議会で国民に向かって総理大臣がはっきりおっしゃったことを、翌日になったら外務省が打ち消してしまう。そんな不見識な人と党首会談やったってだめです。だから、これまでのは罪を許しますから、今度はどっちが本当だというやつを、ここで本物を出してください。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど詳細に三木外務大臣がお話をいたしました。同一の意見でございます。
○石橋委員 もう一つあるのです。それは後段のほうで私が申し上げた、条約賛成という立場をとって、賛成だからという立場はとりながらも、条件があります、こういうふうにひとつ手直ししてもらいたい、こういうふうにやっていこうとするのか、賛成という立場はなかなか出さない、要求いれてくれ、この要求をいれなければ少なくとも日本は署名いたしません、こういう立場でいくのか、これも不明確なんです。総理大臣の答弁を全部照合してみますと、どっちでもいいようなかっこうなんですね。これまたどの姿勢でお臨みになるつもりか、総理大臣にお伺いします
○佐藤内閣総理大臣 先ほど来三木外務大臣から詳細にお答えしております。この核拡散防止条約といいますか、そういう方向でものごとをぜひともしたいという、そういう気持ちは十分あるわけです。したがって、その精神そのものについては、これはもう各党ともみんな御賛成のようですし、私どもも基本的な問題としてのその精神についてはけっこうだ、かように思っております。しかしながら、その表現が不十分だったり、あるいはその他の点で、あるいは国の安全あるいは平和利用その他について十分の保障といいますか、見通しがつかなければ、私どもはやはり国の利益を代表し、自主的な外交を展開しておるのですから、そう簡単に、何でもかんでも賛成だというようなわけにもまいりません。しかしながら、最初から何でもかんでも反対だ、こういうわけにもいかないですね。だからそういうところに、ただいまのように、どちらともとれるというようなお話が出ていると思う。大体外交の問題ですから、一方的なはっきりした態度で外交交渉に臨むことは私はまずいと思う。こういうところはやっぱり現実の外交、そういうところでそれは政府におまかせ願ったらいい、私はかように思います。
○石橋委員 おまかせ願いたいといっても、どうも私たちから見ていると、識見がなさ過ぎるような気がしてしようがないんですよ。というのは、言ったことをぐらぐら、ぐらぐら変えるということは、これは何といったってやはり喜ばしいことではございません。私はもう少し前から調べているのです。総理大臣が二月十八日に記者会見をやっておられます。そのときには明らかに賛成という立場を出しておるのです。思い出していただくために読みましょうか。「米ソ両国間で話が進んでいる核拡散防止条約については原則として賛成であります」そのあとにも条約には賛成だ、条約に賛成だと言っていますよ。最近の施政方針演説その他には精神とか趣旨とかいうことばが入っていますが、二月十八日の段階におきましては、条約に賛成ですと言っているのです。それがだんだんいろいろな議論が出てきて、中身が少しわかってきたのでしょう、決定的に、今度は参議院の本会議におきましては、「最後にどうしてもわれわれが納得ができないということであるならば、これはそういうような条約に賛成するわけにはいかない、これは申すまでもないことであります。」と非常に強く言っておる。だから姿勢として、それじゃいま確認いたします。われわれの要求をのんでくれ、のまなければわれわれは署名しないこともありますぞ、こういう強い姿勢で臨む、こういうふうに理解してようございますか。
○佐藤内閣総理大臣 その問題は、原則あるいは趣旨賛成、こういうことでございますから、過去のものを取り上げられて、いろいろあげ足とりとは私は申しませんが、表現の一字句について議論されることは、私は迷惑だと思います。また、いまの問題にいたしましても、いろいろこれから皆さん方の御意見でも聞く、こうなりますと、これは絶対にわが方の主張を通さなければならない問題だ、これはしかし、まあこの点はこれから交渉するんだ、まあ理解してほしいんだ、こういうような問題もあるだろうと思います。そういう点を一々こういう会議で明確にして外交交渉をするということは、私はまずいことだと思うのですよ。だから問題は、基本的な精神が貫かれないようなことは、これは私どもは断固として反対だ、これはもうそのとおりであります。だからその点をよくお考え願って、ことばの端々にあまりとらわれないようにひとつお願いしたいのです。
○石橋委員 あなたはことばの端々などと言いますけれども、先ほど私ははっきり申し上げたでしょう。これほど新聞に大きく出て、そうして一般国民は、ああ、佐藤総理はそんな考えかと思ったら、翌日、打ち消すような記事が同じ政府から出てくる。こういうことを言っているのです。こういうことを、それじゃ新聞が違ったことを述べているかと思うと、調べてみると確かに新聞も間違いがない。こういうところに混乱を生じるのですよ。そのことを私は申し上げておるのです。ことばの端々の問題じゃありません。国民に、きょう言ったこととあす言ったことと違うような印象を現実に与えているわけです。そのことについて御注意申し上げているだけであります。 時間がありませんから三次防に移ります。第三次防衛力整備計画についてお尋ねをしたいと思うのです。三月の十三日の国防会談において三次防が決定を見たわけですが、私、ふに落ちないことがあります。それは何かというと、この三月十三日というのは、昭和四十二年度の予算案が国会に提出された日なんです。これはよく考えてみますと、第三次防衛力整備計画というのは、四十二年度が出発点なんです、初年度なんです。四十二、四十三、四十四、四十五、四十六と、五カ年間にわたる計画がつくられているんですが、この計画のいわばスタートになります四十二年度は、すでに予算化されている。予算が固まってしまって国会に出されたそのあとで、第三次防衛力整備計画を国防会談で決定する。私はこれは納得いきません。三次防などというものがいかに権威がないかということを示したことになる。国防会議というものがいかに有名無実の存在であるかということを示している、私はそういう感じを受けましたが、国防会議の議長としては、その点については何ら矛盾を感じておられないのですか。
○佐藤内閣総理大臣 別に矛盾を感じておりません。
○石橋委員 なぜですか。初年度がどういうふうに予算化されていくか、これはある意味では三次防の性格づけをする重大な問題ですよ。計画もできないうちに初年度がもう予算化されてしまって、すっすっといっちゃっている。不見識じゃありませんか。どこに権威がありますか、国防会議の。私は、これは当然矛盾を感じていいと思うのですが、なぜそれじゃ矛盾を感じませんか。
○佐藤内閣総理大臣 三次防は、第二次防に引き続いての計画であります。そうして、これは一つの目標であります。予算は現実の編成の問題であります。矛盾は感じません。
○石橋委員 それじゃ、三次防に関係なく四十二年度、予算がスタートしても少しもおかしくないと、こうおっしゃるのですか。
○佐藤内閣総理大臣 だれも全然関係なしとは申しません。関係ございます。
○石橋委員 しかし、現実には三次防がきまらぬうちに予算がきまっているじゃありませんか。初年度の予算はきまっているじゃありませんか。何でおかしくないのです。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま申し上げますように、三次防計画というもの、具体的なはっきりしたものはございませんでも、大体の傾向というものはございますから、それによって予算を現実に編成してちっとも矛盾はございません。そのことを申し上げているのです。
○石橋委員 矛盾を感じないというほうがおかしいですよ、これは。何のための計画ですか。何のために第三次防衛力整備計画というものをつくるのですか。もう五分の一は済んでしまったそのあとで、第三次防なんていったって始まらぬじゃありませんか。私は不見識だと思います、国防会議の議長としても。当然計画ができてから、その計画に基づいて予算化されなくちゃおかしいじゃありませんか。何も関係ありませんなんて、どういうことですか。それじゃ、三次防なんて何のためにつくるんですか、要らぬじゃありませんか。
○佐藤内閣総理大臣 石橋君、特別御研究ですからおわかりだと思っていたんですが、四十一年十一月、この第三次防の大綱をきめております。だから、この大綱に基づいて予算を組んでおるのです。したがって、ただいまのように、私は矛盾を感じないし、石橋君と私とはだいぶ意見が食い違っているようですが、それはしかたございません。
○石橋委員 そういうお答えをするだろうと思ってお聞きしているのです。あなた方はそんな小手先細工をやられる。そうして、国防会議が無能ぶりをさらす、三次防の権威なんというものはなくなる、こういうことになるのです。十一月の二十九日の第三次防衛力整備計画の大綱、これをあなたおっしゃっているのでしょう。これは名前だけ大綱とつけているだけですよ。実体は何もありませんよ、こんなもの。先につくらなければおかしいと知っているから、こんな小手先細工やるんじゃないですか。予算案の成立する前に大綱をつくらなくちゃいかぬということを知っているから、こんなことをやるんじゃないですか。本物ができない。本物は三月十三日にできているんです。これじゃ、つじつまが合わないから、何とかつじつまを合わしておこうというので、こういう作文をやっている。これは大綱でも何でもないですよ。中身を読んでごらんなさい。そういう弁明をするために、かっこうをつけるためにつくっただけです。第三次防衛力整備計画の大綱というのは、三月十三日にできたのが大綱ですよ。明らかに矛盾を知っているのです。矛盾を感じないならば、こんな小手先細工をする必要はないのです。十一月二十九日に、間に合わぬものですから、とにかく文章だけ何かつくって、大綱という名前だけ表に出しておこう、そうしてこの大綱に基づいて予算ができたようなかっこうだけとっておこう、実際の大綱は、三月十三日予算ができてしまって国会に出されてからつくった、こういうかっこうになっているのです。あなたはその重要さというものがいまだにおわかりにならぬようです。しかし、少なくともわかっている人たちは、そういう小手先細工を講じているんだということだけは覚えておいてください。予算の前にできなければおかしい。第三次防衛力整備計画というものができてから初年度分が予算化される、こういう手続が生まれなくちゃならぬ。これは知っているんです、みんな。知っているけれども、どうしても間に合わぬ、間に合わわぬから、何か大綱という名前だけつけたものをつくっておこう、そうして四十二年度予算、初年度の予算をつくった、そのあとで本物の第三次防衛力整備計画ができた、こういう経過をたどっていることを頭に置いておいてください。肝心なことなんですよ、これは。 それで、私は、そういうふうに第三次防衛力整備計画の決定の時期というものが非常にずれて、実際にはもう役に立たぬ、初年度の予算編成には間に合わぬという醜態をさらしたその原因は何だろうかということをもう一度掘り下げて考えてみた。それはまず第一に、現時点において三次防をつくること自体に無理があったんだという私は判断を下しました。なぜそういうふうな判断を下したか。あなたはくしくも、先ほどちょっと触れたのですけれども、二次防と三次防との間にはつながりがあります。しかし、このつながりを直接つけておらないのです、一次防と二次防の間には。これは偶然の要素もあるのですけれども、一次防と二次防の間には一年の過渡期があるのです。三十六年というものはいわゆる長期計画のワク外です。何のためにそういう一年をつくったか。いま申し上げたように、偶然の要素もありますが、あとで合理化しております。その合理化しているほうが私は筋が通ると思う。一次防の点検をやる、そして二次防の準備態勢に入る、その一年です。この考え方が今度もとられておったならば、あるいはこういう醜態をさらさなくて済んだのではなかろうかと私は思う。だから、とにもかくにも二次防と三次防を直接ひっつけようとしたところに無理があったんじゃなかろうか、これが一つ。 もう一つは、今度の防衛計画の前提となる中期、長期の経済計画がない、これも重要ですよ。二次防のときにはあったんです。今度は中期、長期の経済計画がまだできないうちにまたスタートしている。こんな不見識なことでいいのですか。 私は、所管大臣たる経済企画庁長官にお伺いしたいのですが、経済企画庁のほうは、こんなことを黙って見のがしておっていいのか。あなたも国防会議の正式メンバーです、一言ありましたか。特に、あとからだんだん質問しますけれども、三次防の特徴は兵器の国産化です。日本の産業界に重大な影響を持ちます。日本の経済と重大な関連を持っております。それが、関連なしに三次防がぱあっと飛び出してきている。こういうことが許されるのか。私はまず最初に、その点の矛盾を経済企画庁長官としてお感じになったかどうか、国防会議の議員たる長官は、この点について何が一言あったかどうか、このことを経済企画庁長官にお伺いします。
○宮澤国務大臣 いずれの立場からしましても、別段矛盾を感じておらないわけでございます。政府の長期計画との関係とおっしゃいましたが、いわゆる経済社会発展計画の中で申しますと、防衛計画は、国民所得の計算の上では政府の財貨サービスの購入というところに入りますわけで、これは一つの約束ごとでございますが、その中へ入っておる。そうして二兆三千四百億円、上下の幅がございますけれども、これは四十六年度までの経済計画の中で、十分政府の財貨サービス購入の中へ包摂し得る妥当な金額だと、国防会議の議員としては、私そう考えました。
○石橋委員 あなたは、いま政治的な発言をしておられますけれども、経済企画庁の事務当局においては申し入れをしているのですよ。中長期の経済計画ができるまで待ってもらえぬものだろうか、そういう申し入れを国防会議の事務当局にしておりますよ。これは当然です。しかし、いまさらあなたに言ってみたところで、あなたがそれを肯定するわけにもまいりませんでしょう。しかし、明らかに第二番目の理由として、中長期の経済計画との関連なしにこの三次防ができたということ、ここに問題がある。問題があるということは、ことばをかえれば、やはり本年度、昭和四十二年度を初年度とする三次防をつくることには無理があったのだということになると思うのです。これが二番目の理由です。 それからもう一つは、いまここで三次防をつくって、いわば今後五年間、長期にわたって予算の先取りを認める。こういうことは私は最も不適当な時期じゃないかと思うのです。これから先の経済見通し、景気の見通し、非常にむずかしい段階にあって、いま防衛計画をつくって五年先まで予算の先取りをやらしてしまうような形、これは大蔵省が相当強硬に反対したようです。弾力性がなくなるという表現をとられたようです。この点からいっても、三次防策定の時期としては適当でなかった。これが決定をおくらせて、初年度の予算編成にも間に合わぬというような醜態をさらす原因にもなっておる、このように私は見ます。 そこで、ちょっとお伺いしておきたいのですけれども、これから五年間の防衛計画です。一応総理大臣が裁断という形で二兆三千四百億、上下の幅二百五十億、こういう経費を認めたようでありますが、この総理裁断なんというやり方も、私は不見識だと思う。国防会議なんというものはどこに行ったかわからぬ。そういうかっこうできめられているということは不見識だと思うが、そのことはさておいて、はたしてこのワクの中でおさまるのだろうか。一つの問題が人件費、物件費の値上がりです。これが相当ふえる見込みがあるのですが、はたしてこのワクの中でおさまるだろうか。ずいぶんはみ出してしまうのじゃないか、この点はどうお考えになっておりますか。
○水田国務大臣 この計画の中からは、ベースアップ関係の費用はこの中に含まれていないということでございます。
○石橋委員 だから、今後どんどん物価も上がります。したがって、人件費も上がります。このワクではおさまりませんでしょうと、こう聞いているのです。
○水田国務大臣 ベースアップ関係のものを除けば、他の計画の費用はこの中へおさまるということになります。
○石橋委員 人件費が何割を占めておりますか。
○村上(孝)政府委員 人件費は約四割を占めております。
○石橋委員 その四割を占める人件費は、物価の上昇に基づくいわば給与の引き上げというようなものは全然考慮しておらぬ、これが一つ。それから一兆円になんなんとする兵器の調達が行なわれるわけです。しかもそのほとんどの部分が今度は国産です。国産というのは非常にコスト高を招きます。いままでの例からいっても、F104の場合にしてもバッジの場合にしても、追加追加で、当初見込んだ予算ででき上がったことはありません。必ずコスト高から、あとでワクが広がっていくわけです。そういう条件を勘案しますと、二兆三千四百億、上下の幅二百五十億なんてもっともらしいことを言っておりますが、私はとても最初からそれにおさまる見込みはないといわざるを得ない。大蔵大臣、このワクの中におさまるという自信がありますか。 〔委員長退席、小川(半)委員長代理着席〕
○水田国務大臣 私は完全におさまると思います。これは私どもの計算で見ますと、二兆三千四百億円というのは、ある程度余裕のある目標であるというふうに思っております。
○石橋委員 それじゃ二次防の実績をまずお伺いしてみましょう。 二次防は一兆一千五百億から一兆一千八百億というものを予想して計画がつくられました。実績はどれくらいになっておりますか。
○村上(孝)政府委員 二次防の総経費は、先ほど大臣から申されましたベースアップのものを除きますと、他のものは当初の予定の中に入っております。
○石橋委員 ベースアップの分を除きますと、ということが必ずつくのです。これは当然です。だから二兆三千四百億といま申しておりますけれども、結果的には、最低限ベースアップの分だけでもオーバーする、このことははっきりしております。私はそのことに主眼を置いていまお尋ねをしているわけではないのです。とにかく先行き物価の上昇がまだ当分続く、これは人件費の上昇をもたらすだけではなくて、物件費の値上がり、そういうものも当然出てくるし、なかなか長期計画をつくるのには適当な時期とは思えない、少なくとも経済計画との関連の中でこれをつくろうと思えば、こういうことを言いたかったわけです。しかし、先に進まなければ時間がだんだんなくなりますから、次に移ります。 三次防の決定にあたって、まずその前提となる情勢分析、それに基づく防衛構想というものが立てられなくてはなりません。そこで現在の世界情勢の中で特徴的なものを私二、三あげて、そのことが何らかの形でこの三次防の策定にあたって考慮されたか、影響を受けたかということをお伺いしたい。 その一つは、先ほどちょっと質問いたしました核兵器の拡散防止条約が米ソ合意の上でまとまろうとしておる、あるいはABMの凍結の交渉が始まろうとしている。こういうものに象徴されております米ソの平和共存ムード、協調ムード、これがはね返った形の日ソのいわば友好ムード、こういうものがこの防備計画に何らかの影響を持ってきているか、あるいは中ソの対立の激化、これなども日本の安全保障政策を打ち出す場合には見のがすことのできない条件だと思いますが、このことも何らかの形で防衛計画に反映をしておるか、あるいはまた中ソの核武装、核開発、こういうものも影響を持ってきているか、とにかく世界情勢のこういった特徴的な動きというものが、何らかの形で三次防に影響をもたらしておるのかどうかということを防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
○増田国務大臣 石橋委員にお答えいたします。 国際情勢はあなたのおっしゃったとおり、平和の方面に寄与する情勢も見られまするし、また必ずしもそうでない情勢も見られます。総合いたしまして、今度決定されました二兆三千四百億というものは、わが国が日米安保条約、あるいは昭和三十二年に決定されました国防の基本方針に基づいてまず妥当なる線である、こういうことで主要項目が三月十三日に決定を見た次第でございます。
○石橋委員 ポイントをお答え願いたいと思うのです。私は、特徴的なものとして米ソの協調ムード、そのはね返りとしての日ソの友好ムード、あるいは中ソの対立の激化、中国の核開発、そういうようなものが何らかの形で防衛計画策定に影響を持っておるのか、考慮されておるのかと、こうお尋ねしているわけです。
○増田国務大臣 考慮されております。
○石橋委員 私の見るところでは、ほとんど考慮されておらないような気がする。どういう部分で考慮されておるか、具体的にそれではお示し願います。
○増田国務大臣 具体的に一つずつあげて申し上げることは、防衛計画上機密の点もございますから遠慮させていただきますが、ただあなたも御承知のとおり、部分核停にすら絶対に反対しておる国がある。これは自由陣営にもございますが共産陣営にもございます、というようなことも、賢明なる石橋君の考慮の中にぜひ入れていただきたいと思います。
○石橋委員 それでは、誤解をしておられるようですから、一番最後の中国の核開発というのは除きましょう。米ソの協調ムード、日ソの友好ムード、中ソの対立激化、そういう問題について何らかの形で反映をしておりますか、影響を持っておりますか。
○増田国務大臣 当初お答えいたしたとおり、プラスの部面もあり、マイナスの部面もありまして、総合的に判断いたしまして、先般きまりました二兆三千四百億が最も妥当なる線であると考えております。
○石橋委員 私の見たところ、世界情勢がどう動こうと、極東の情勢がどう変わろうと、そういうことには目を閉じて今度の三次防はできたように思っております。具体的な例をあげろというならあげられますけれども、あなたにはよくおわかりになっておられないようですから、次の質問に移ります。 一口に、三次防の総経費二兆三千四百億円、簡単に言いますけれども、たいへんな額です。二次防の倍以上の経費を使って、これから日本は自衛隊の強化をはかろうというわけです。そこで考えてみたいのでございますが、一体いまの日本の自衛隊というのは、どの程度の実力のものを備えているのだろうか、軍隊としてどの程度の能力を持っているのだろうか、このことをまず知りたいのです。 最初に、防衛費から見ますと、絶対額でいって世界で十一番目といわれております。共産圏を除けば八番目といわれております。この点は間違いございませんか。
○増田国務大臣 そのとおりでございます。
○石橋委員 防御費の絶対額からいうと、すでに現在日本は世界で十一番目、共産圏を除けば八番目、しかも今度は中身で、総合戦力という点からいきますと、おそらく現在の日本の国防力の水準は五番目ではなかろうか、共産圏を入れても七番目に当たるのではなかろうかと国際的に評価を受けておりますが、この点は自信おありでございますか。
○増田国務大臣 いま石橋君のおっしゃったあとのほうはよくわかりませんが、ただ、総理がいつもおっしゃっておりまする、通常兵器による局地戦争を——これは外国からの日本に対する侵略戦争でございますが、それを抑止する防衛力を持っておると確信をいたしております。
○石橋委員 防衛費の総額あるいは陸海空三幕の現在の装備の質的、量的な内容、そういうものを総合的に判断をすると、日本の国防力は、現在すでに自由主義国家の中では五番目、共産圏を含めても七番目の水準にあるという評価を受けているのですよ。そういった国際的評価について、防衛庁長官として、そのとおりでございますと言う自信がございますかと聞いておるのです。
○増田国務大臣 先ほど申しました防衛力の予算の面におきまする順位は、石橋君の御指摘のとおり肯定いたしますが、あとの防衛抑止力の点につきましては、五番目であるか七番目であるかということはまだ検討中でございまして、私は即座には答え得ないわけでございます。しかし、要するに石橋君や皆様に知っていただきたいのは、通常兵器による局地的侵略を抑止する防衛力を日本は持っておるということでございます。
○石橋委員 防衛費の絶対額が世界で十一番目、共産圏を除けば八番目だということはお認めになりました。総合戦力のほうは多少遠慮気味のようでございます。しかし、どっちにしても、日本の自衛隊はたいへんな勢力になっておるということです。これが現在三次防を終わろうとしております、終了しようとしております現時点においてその程度です。これが三次防が完全に消化されるようなことになりますと、確実にあと二、三位はランクが上がりますよ。もう世界有数の軍隊になるわけです。そのことを微妙に示しているものがございます。そのことから申し上げておきたいのですが、それは防衛力整備計画のこの中に盛られておるわけです。第一次防衛力整備目標にはこういうふうに書かれております。「国防の基本方針に従い、国力、国情に応じた必要最小限度の自衛力を整備する」、こういう表現が第一次防衛力整備計画では使われております。二次防では、「わが国に対し起こり得べき脅威に対処して、有効な防衛力」これをつくるという。「有効な防衛力」ということばが使われております。今度の三次防は、在来兵器の使用による局地戦以下の侵略に対し有効に対処し得る防衛体制、こういうふうに使われております。最初の一次防の場合には、「必要最小限度」というのが入っておったのです。これが抜けておるということに私は重大な意味を感じます。 一体このままどんどんいって、こうして自衛隊を質的にも量的にも増強していっていいものだろうか。もはや眼中には憲法の制約も何もない。このままの姿で一体見のがしておいていいものだろうか、こういう疑問を持ち始める。特に今月の二十九日には、恵庭裁判で、これまで自衛隊違憲論というものが展開されておったわけですけれども、これが大体採用される可能性が出てきております。これは皆さん方もお認めになると思う。いままでの訴訟指揮の状態などを見ておりますと、明らかに野崎兄弟は無罪、自衛隊は違憲の存在という判決が下されるのじゃないかと思う。そういう時期でもございますから、いま一度私はこれを振り返ってみる必要があると思う。ずるずる、ずるずる一次防の場合の金を使って二次防、二次防の場合の金を使って三次防、世界有数の軍隊をどんどん、どんどんつくり上げておる。そういうものを見のがしていいものだろうか。自衛力の限界というものをもう一回私はここであらためて確認する必要がある。これは重大な問題でございますから、総理にお尋ねをしたいのでございますけれども、一体限界はないのですか。どこまでこれは増強させるつもりですか。
○佐藤内閣総理大臣 むろん、その限度はございます。ただいま申しましたように、通常兵器による局地戦、その侵略戦争を抑止する、こういうことでございます。もうこれは非常にはっきりしておる。したがって、これは限度があるとお考えになっていいと思います。
○石橋委員 私は具体的な限度をお伺いしておるのです。世界には百三十からの国がある。日本のような特殊な憲法九条の規定を持っておるようなところはない。それなのに、自衛隊の戦力はすでに世界で十番目前後に位する。限界はないのだろうか、自衛力の限界は一体どこにあるのだ、こういう疑問をもう一回ここで提起してみるのは、先ほど申し上げたように、恵庭の裁判の成り行きとも関連して非常に重大だと私は思う。あらためてその自衛力の限界というものをお伺いします。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまお答えしたとおりでございます。通常兵器による局地侵略、これを抑止する力、これが私どもが考えておる防衛力の限度であります。それより以上のものを考えてはおりません。
○石橋委員 憲法九条の規定のようなものを持たない国と同じように日本は軍隊を持っていいはずはありません。ところが百三十九国からある国のうち、日本は、もうさっき申し上げたように八番から十一番というようなところまで軍隊を、戦力を持っておるのですよ。こんな九条のような規定の制限のない国よりもはるかに強力な軍隊を持っておるのですよ。一体どこに九条の働いておる、九条がチェックしておる部分があるのだろうか、そういう疑問を持つのは当然じゃないでしょうか。九条のような規定を持たない国のように、自由にわれわれは軍隊を増強することができるのですか、いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 私は、どうも無制限——無限度といいますか、軍隊を持てるとは申しておりません。大きくは憲法の条章下において国力、国情に応じ、こういうことを申しております。しかし、その国力、国情に応じてとは一体どういうことかといえば、通常兵器による局地戦、それを抑止する力、これが限度であります。それが強かろうが弱かろうが、いまやっておる限度であります。どっちとも、何番目だとかいわれて批判を受けるような筋では私ないように思いますが、いかがでしょう。
○石橋委員 防衛力整備計画一つ見ても、第一次防では「必要最小限度の自衛力」といい、二次防では「有効に対処しうる防衛体制」といい、今度の三次防では、最も有効に対処し得る効果的なもの、こういう。どんどん、どんどん上げている。限度を上げてしまって、ないのと一緒ではありませんか。今度なんかは、最も有効に対処し得る効果的なもの、これは際限がありませんよ。限度は一体どこにあるのか。だから私は具体的にお聞きしておる。憲法九条のような規定のない国と同じように増強できるのですか、こう聞いておる。
○高辻政府委員 お答え申し上げます。 問題の提起としてはきわめてごもっともな御提起だろうと思いますが、むろん憲法九条のもとにおいて持てる自衛力というものは、自衛力ということばから当然にまいりますように、自衛のため必要最小の限度というのがいままで何べんか申し上げた解釈でございますし、現に政府当局が持っておる解釈でございます。 ところで、先ほど来、この第三次防についてはいままでの方針と変わっているのではないかというお話も一つございましたが、国防の基本方針、これは石橋委員十分御存じでございますが、自衛のため必要な限度において効率的な防衛力を漸進的に整備する、三次防の大綱においても、この国防の基本方針にのっとっておるということがたしか明示してあるはずでございます。したがって、国防の基本方針にありますようなものが当然にそこにはかぶっておるというふうに御了承願いたいわけでございます。 それから憲法の本論でございますが、これは先ほども触れましたように、当然に自衛力には限界がある。その自衛力の限度というのは何であるか。これはむろんしばしば問題の提起として反省するのは適当だとは思いますが、実は何べんとなく議論されている問題であります。そこで、ただいま総理大臣が仰せになりましたように、今度の三次防におきます目標というのは、通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対処する、それが、実力がそれにふさわしいものかどうか、これは確かに国会、したがってまた国民が判定をすべき問題ではございますが、予算や法律等に関連していろいろ御議論のあるところと思います。しかしともかくも、そういうような局地戦以下の侵略事態に対処する、それに向かって漸進的に整備していくというのが現在の姿でございまして、それが自衛力を越える、憲法が許しておる自衛力の限界を越えるということにはとうていなり得ないというふうに考えております。
○石橋委員 私はそういうようにお伺いしたわけですが、先ほどもちょっと申し上げたように、一次防、二次防、三次防の間に、単に文章上の変化と見のがすことのできない微妙な違いが出てきておるということなんです。一次防では「必要最小限度の自衛力」、二次防では「有効に対処しうる防衛体制」、三次防では、最も有効に対処し得る効果的なもの、どんどん、どんどん限界を切り上げているのです。私は、この一次防の「必要最小限度の自衛力」というのがいわゆる限度じゃないかと思っておるのです。歴代保守党内閣に自衛権の定義いかんと聞いたら、急迫不正の侵害があった場合に、他に何らの手段がない、その場合に必要最小限度の防御をするために何らかの手段を講ずる、その裏づけが自衛力だと説明してきておる。ところが、その必要最小限度というのは一次防で示されただけで、あと消えちゃっているのですよ。それで今度などは、最も有効的に対処し得る効果的なものをつくるのだ、こんなところまで上げられておるのだ。一体憲法九条なんというのが頭の中にあるのだろうか、こういう疑問を持たざるを得ません。必要最小限度というものはあくまでも九条の条件じゃないですか、あなた方の解釈からいっても。われわれは軍隊を持てないという解釈をとっておりますが、あなた方の立場からいっても、従来の説明からいけば必要最小限度、これが限界じゃないですか。
○佐藤内閣総理大臣 どうも石橋君と私、食い違っておるようですが、先ほど来申し上げますように、局地戦、これの侵略を抑止する力、これはもう最小限度の防衛力、かように言うこともできるのじゃありませんか。私は、この自衛力をみずから持つ、そしてこの国の安全を確保する、これが自衛隊の使命だと思っておりますが、そういう際に、局地戦に対する侵略を抑止するのだ、だから十一番目から上に上がっちゃいかぬとか二十番目でなければならぬ、そんな議論はないのじゃないですか。私、どうもそこがわからないのです。これが攻撃的な戦力を持つといえば、これは明らかに憲法違反だ、これはもうおっしゃってしかるべきだと思います。しかし自衛力、自衛隊そのものが十一番目じゃ高過ぎる、もっと低くなければならぬ、そんな議論はないと私は思うんですよ。
○石橋委員 攻撃的な兵器は持てない、こうおっしゃいました。それじゃ爆撃機は持てませんか。
○高辻政府委員 お答えを申し上げます。 石橋委員も御存じのように、自衛のため必要な最小限度、要するに必要な自衛の正当な目的と限度以上にわたるようなものでありますと、これは憲法上問題になります。しかし、自衛の正当な目的と限度にとどまるような効果をもたらすような兵器、これは憲法上問題があるというような解釈はとっておりません。ところで、個々の兵器はどうかということになると思いますが、個々の兵器は、爆撃機といわず何であろうと、いまの標準に照らして考えていけば、おのずから結論が出るというふうに考えております。
○石橋委員 私は、具体的に爆撃機を持つことができるかと聞いているのです。これは防衛庁長官にお伺いしましょう。
○増田国務大臣 爆撃機のことにつきましては、いまのところ私どもは検討中でございまするが、長距離爆撃機はおもしろくない、できないのではないかと思っております。
○石橋委員 ここにもまた従来の解釈を踏み越えようとしている現象があらわれているから、私は聞いているのですよ。いままで爆撃機は持てないとはっきり言ってますよ、安保条約の審議のときにも。高辻さん、あなた聞いておって知っているはずだ。中長距離のミサイルや爆撃機は憲法九条の規定から持てませんと、岸さんもここで答弁しているじゃないですか。どうです。
○高辻政府委員 ただいま申し上げたのが理論でございますが、その理論から見まして、それを逸脱するようなもの、これは当然、先ほども申し上げましたように、憲法に違反するということになります。したがって、ただいま増田長官が仰せになりましたように、自衛の正当な目的と限度を越えるような効果をもたらすような兵器になりますれば、それは違憲ということになります。ただいま増田長官のおっしゃった長距離爆撃機というのは、そういう効果を持つものについて言われたものだと思います。そういう意味において正当だと思います。
○石橋委員 いままでは中長距離のミサイル、爆撃機は、現在の憲法九条の規定がある以上違憲であるから持てないと明確に言っていました。これは速記録を調べればわかります、安保の特別委員会の。あなたも知っておられる。ところがきょうになったら、距離でいこうと言い出した。いままでミサイルについては中長距離、こういう前提をつけておりましたが、爆撃機については、そんな足の長いものはいけない、足の短いものはよろしいなんていう分類はしておりません、急に変わってきているのです。変わってきているには変わってきている事情がある。あなた方は憲法解釈をどんどん拡張しているのですよ。 増田長官、F86Fを爆撃機に改装して使っている。その点は間違いございませんか。
○増田国務大臣 よく存じませんから、政府委員をして答弁をさせます。
○石橋委員 憲法の限界に触れるか触れぬかというような重大な問題を私はお伺いしているのですよ。いままで憲法九条の規定からいって爆撃機などというものは持てませんという答弁を国会で何度もしております。それがきょうになったら、急に足の長い爆撃機は持てないけれども、足の短い爆撃機ならば持てるかのごとく言い直そうとし始めている。これだけの重要な問題を知りませんで通りますか。憲法九条のワクの中のものか外のものか、こういう議論をしているのですから、あなた、政府委員から聞くのはかまいませんけれども、直接お答え願いたいと思います。
○増田国務大臣 通常兵器による局地的侵略に対処するためでございます。そこで地上における急迫不正なる侵略に対処するために——わが国の地上でございますよ、そこをはっきりもう一ぺん申します。わが国の地上にそういう仮想の現象が起きたときに、これを抑止するためには戦闘爆撃機等は持ち得るということをはっきりこの際申し上げておきます。
○石橋委員 そういう解釈をいままでしてないのです。少なくとも、爆撃機というからには、それは日本の領土内で爆撃することも全然ないと言えないかもしれません。ないと言えないかもしれませんが、しかし、爆撃機といえば一応領域外に飛んでいくということも任務として入るわけなんです。それだからこそ、いままでは爆撃機は憲法九条で持てない、こういう説明を政府は常にしてきている。爆撃機は持てないといままで言ってきている。その爆撃機を無理に今度は分けようとしている。足の短いものならばいいのですか。
○増田国務大臣 あくまでも外国へこちらから出向かっていく爆撃機は否定いたしております。わが国の本上が侵略されたときに、座して死を待つべしということは憲法に規定してないのでございます。したがって、戦闘爆撃機は、従来の答弁のいかんにかかわらず——私は従来の答弁は矛盾していないと思います。戦闘爆撃機はこれを持って国家、国民を守るのが当然であると思っております。
○石橋委員 座して死を待つことを日本の憲法はとかなんとかおっしゃいましたが、敵の基地を攻撃する必要がある場合、敵の基地の攻撃をやらなければもう自滅あるのみというような場合に、その敵の基地を攻撃することは憲法上許されている、こういうことでしょう、いままでおっしゃったのは。しかし、その敵の基地を攻撃するに必要な武器を持つことは禁じられている、こう言っているのですよ。あとのほうをはっきり言ってくださいよ、前のほうだけ言わずに。その敵の基地を攻撃する能力を持ったものの一つに中距離、長距離のミサイル、爆撃機、こういうものが入ります。だから、そういうものを常時日本が持っておることは許されませんし、緊急の場合だからといってアメリカのを借りてきて使うことも許されません、こう言って、佐藤さんのおにいさんがここで答弁しておる。爆撃機は持てない、こう言っておる。 先に聞きましょう。とにかく爆撃機を持つようにしているわけですね。
○増田国務大臣 戦闘爆撃機のことでございます。
○石橋委員 あなた、そのように強くおっしゃるなら、私もお聞きしましょう。戦闘爆撃機といってもいろいろござんす。有名なF105の能力をあなた知っておられますか。何トンの積載量を持っておりますか。爆弾何トン積めますか。B29なんかと比べた場合に、どっちのほうがよけいに爆弾積めますか。これも戦闘爆撃機ですよ。F105は。どうです。あなたそれだけ自信を持っておられるなら、B29と戦闘爆撃機のF105とどっちがよけい爆弾を積めるか、おっしゃってください。
○増田国務大臣 こまかいことは政府委員をして答弁せしめます。
○石橋委員 あなたは戦闘爆撃機というところに力を置いておっしゃったから、私は戦闘爆撃機にはこういうものがあるのですということを言ったのです。——答弁は指名しておらぬ。戦闘爆撃機といっても時代は違うのです。いまはF105のごときは五・四トン、水爆も積めるのです。そういう時代ですよ。あなたは戦闘機を改装して爆撃機にする分ならかまわぬぐらい、そういうような簡単な気持ちでお答えになったら間違いです。F86Fを改装して戦闘爆撃機として使う、これは憲法の容認するところ、こういう解釈を一たんとりましたらFの105までも持てることになりますよ、そうじゃないですか。Fの105は戦闘爆撃機ですよ。いかがです。
○増田国務大臣 あくまで常識の線でお考えを願い、また私も答弁をいたしております。すなわち、わが国土が急迫不正なる通常兵器により侵略をされた場合に、戦闘機等を爆撃機として用い得る。足の長いものは憲法上否定しておるのでございます。
○石橋委員 これは重要な問題ですから、もう少し掘り下げようじゃないですか。 最初に、それじゃお伺いします。とにかく戦闘爆撃機であろうと、爆撃機の編隊を自衛隊としては備えるんだ、持つんだ、持っておるんだ、こういうことですね。
○増田国務大臣 F105のことは、われわれは保有しておりませんから申し上げかねますが、あとF86Fというようなものを爆撃機に転用する、すなわち、足の短い戦闘爆撃機のことを私は申しておるにすぎないのでございます。
○石橋委員 はっきりいたしました。とにかく自衛隊は戦闘爆撃機をすでに持っておるのです。この三次防で完成しようとしている。これは私は大きな憲法の解釈の拡大だと思います。いままでは、とにかく爆撃機は持てないんだ、憲法九条違反でございますと、国会で責任をもって答弁をしてきた。その持てないと言ってきた爆撃機をすでに持ち始めている、三次防で相当のものにしようとしている、これは見のがすことができますか。足が長いとか短いとかいったって、一たん戦闘爆撃機を持つことができるんだという解釈をとれば、より性能のすぐれた戦闘爆撃機を持てる理屈になるじゃありませんか。昔の爆撃機の観念であなた考えておったら大間違いですよ、いまは時代が違うのですから。戦闘爆撃機といえば、何か戦闘機に毛のはえたぐらいに思ったら大間違いですよ。
○増田国務大臣 あなたはあくまでF86Fが爆撃機に兼用された問題についてどうかということを聞かれますから、それは戦闘用にもなるし、爆撃用にもなるしということを私は答えております。それから共通の前提として、わが国土を守るということがあくまで立論の前提に立つわけでございます。それから最初石橋君の申されたうちで、私は申しますが、文言はいろいろ変わっておりましょうが、憲法上許されたる最小限度の防衛力ということはいつも変わっておりません。
○石橋委員 ここにも速記録を持ってきておりますけれども、私はICBMとか、IRBMとか、あるいは爆撃機とか、こういうものは攻撃的な兵器だから憲法上持つことを禁止されております、間違いありませんねと、安保条約の審議のときに何度もお尋ねしておるのです。そのときに、また何度も、持てません、こう言っておるのです。当時議論しておるときには、とにかく爆撃機は持てません、憲法上持てませんということで、もう議論は一貫しておるんですよ。それがきょう急に爆撃機が持てるようになってきたのです。きょうから政府の憲法解釈は変わろうとしておるんですよ。爆撃機は爆撃機でも、戦闘爆撃機なら持てるというふうにあなたたちはいまや憲法解釈を拡大しようとしておるんですよ。戦闘爆撃機といっても、先ほどから申し上げておるように、昔の爆撃機と比べて形が小さいから、あれならたいしたことはないだろうなんていう考えを持ったらたいへんな間違いです。代表的なのがFの105でございますけれども、爆弾は五トン以上も積めます、水爆も積めます、足も相当長い、そういう時代になっておるのでございますよ。一たび戦闘爆撃機は持てるという解決を確立したら、それじゃより優秀な戦闘爆撃機をと、こういくのが当然じゃないですか。でき得ればF105くらいの能力を持ったものも行く行くは持とうという方向に進んでいくのは当然ではありませんか。純粋に軍事的な立場でいけば、そういう欲望を持つのは当然だと私は思う。そう思わないのが私は間違いだと思いますよ。どこで一体区切りますか。どの程度の戦闘爆撃機なら持てる、どれから先の戦闘爆撃機なら持てない——憲法解釈というのはそんなに融通無碍でございますか。
○高辻政府委員 憲法解釈の問題でございますので、お答えをさせていただきます。 ただいままでに申し上げている政府側の答弁を総合的にお聞き取り願えれば、おのずからおわかりいただけるのではないかと思いますが、その要旨は、いろいろなことばを使っておりますが、自衛に必要な最小限度といったり、あるいは自衛のための正当な目的と限度にとどまる効果以上にわたらないような兵器、そういうことが基本的な考え方でございます。 〔小川(半)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、私が先ほど爆撃機といわず何といわずと申し上げましたが、爆撃機ということばが問題ではなくて、爆撃機の兵器としての効果、それが実は問題なのでございます。したがって、爆撃機と名前がつけばもうだめであるとか、爆撃機なら全部だめであるとか、あるいは爆撃機がいいといえば全部いいとかいうことになるのではなくて、その爆撃機の性能の問題と必ずうらはらの関係になるわけでございます。そこをひとつ十分にお聞き取りいただきたいと思います。
○石橋委員 あなたがここで何と言おうと、私がさっき言ったことを認めるでしょう。いままでは爆撃機は持てませんと言ってきたことはお認めになりましょう。
○高辻政府委員 おそらくこの爆撃機という表現ができました場合につきましても、やはり自衛というものを離れての論議ではないと思います。必ず自衛ということから見てそれはどうかというのが常に問題であったと思います。したがって、先ほど石橋委員がおっしゃいましたように、爆撃機といえば、外国を爆撃するものであるというふうに定義づければ、その爆撃機は先ほど増田さんが言われたように憲法上問題であるということになりますし、そのようなものでなくて、ちょうど局地戦以下の侵略事態に対処するために特定の地域において爆弾を投げるというようなことであれば、それはかりに爆撃機という名前がつくものであってもいけないという理論にはならないわけでございます。したがって、個々の、爆撃機であるかどうかということが問題ではなくて、その爆撃機の兵器としての効果、性能、そういうものが問題であるわけでございますので、前に申し上げたことがあるとすれば、その場合も当然そういうような前提を置いてのお答えであったことは間違いないと思います。
○石橋委員 攻撃的な兵器は持てない、防御的な兵器は持てる、こういう分類がなされておったのです。私のほうは、兵器は、使うほうが攻撃的に使う場合も、防衛的に使う場合があっても、兵器本来の任務として、これは防衛専門、これは攻撃専門というような、そういう分類はむずかしいのじゃないかと言っておったのですよ。そこで、それが発展していって、それじゃ、たとえばICBMIRBM、爆撃機というものは持てるのかと言って詰めていった。それは持てないという結論がいままで出たんですよ。それは間違いないじゃないですか。それがきょうになったら、爆撃機をまた分けようとしている。持てる爆撃機、持てぬ爆撃機、そういうふうなことになってくると、持てないものは何もありませんよ。使うものが攻撃的な目的で使いさえしなければ何でも持てるということになるじゃないですか。そう言いたいんですか。——そう言いたいんですか、いかがです。
○高辻政府委員 ただいまお話しのように、兵器というものは、攻撃的にも防御的にも使えるというお話でございます。それは、攻撃的、防御的ということばをそのまま受け取ればそういうような見方も確かに出てまいります。そこでその当時、あるいは攻撃的なものはいけない、防御的なものはいいというようなことを申しましたのは、ただいま申した自衛という観点からの問題でございまして、それが自衛の目的と限度を越えるようなもの、あるいは侵略的といってもいいかもしれません。そうでないものを、あるいは防御的といってもいいかもしれませんが、そういうようなたぐいの分類のしかたであったと思います。しかし、お話しのように、そういうことばが使われたことがあったこと、これは私も認めます。
○石橋委員 それは、あなたはいつも立ち会っておられるのだから、認めざるを得ませんよ。明らかに爆撃機、ICBM、IRBMは憲法の規定に反するから持てませんと、いままで一貫して答弁してこられているのです。きょう初めてその爆撃機が分類されようとしているのです。攻撃的な目的で使いさえしなければ、爆撃機といえども持てるんだというところにきょうは切りかえようとしているんですよ。これは非常に重要な意味合いを持っているわけです。私は、これは容認できません。またここで憲法解釈を広げる、たまったものではありません。しかし、ここの場で決着をつけるというには時間がなさ過ぎますから、私は総理大臣にお伺いしておきたい。 二十九日に、先ほど申し上げたように恵庭で判決が下ります。これはどう見ても野崎兄弟は無罪、自衛隊は違憲、こういう立場に立った判決が下されると私は思います、これは予想にすぎませんけれども。かりにそういう判決が下ったならば、あなた方はおそらく跳躍上告なさるつもりでしょう。しかし、少なくとも姿勢を正す意味において、当分自衛隊は凍結しておく、増強はやらない、質的にも量的にも、それぐらいの謙虚な態度があってしかるべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 どうも石橋君と私、残念ながら意見を異にしておりますが、この席でいままでも私は総理として、一国の安全を確保する、またそれについて平和を維持する、それに私は最高、最大の注意を払う、また献身的努力をする、かように申してまいりました。ただいま判決がどうあろうと、かようなことは私申しません。ただいまその判決がどんな判決が下りますか、私どもいま三権分立のもとにおいて政治をいたしておるのであります。判決は判決、また政治を担当する私どもの責任は責任だ、かように考えております。どういうような結果が出ますか、ただいま何か連絡でもあるかのような、非常に確信のある見通しを立てられますが、私はちょっと意外に思っております。これはまあひとつ、判決がどんなに下りますか、三権分立のたてまえから判断いたします。その判決があるから、それまでは自衛隊を増強するな、こういうことは、私は総理として、憲法の条章は守りますけれども、石橋君のその御命令は聞くわけにまいりません。
○石橋委員 判決があればと私は言っているんです。 それでは時間がありませんから急ぎます。 もう一つ。三次防の大きな特徴の一つは、先ほどもちょっと申し上げましたが、兵器の国産化です。約一兆円、国産化を中心として兵器の調達に使われるわけです。これは日本の産業界にも非常に多大な影響を持つわけでございますが、国防会議の議長として、あるいは総理大臣として、佐藤さんにお尋ねしたいのは、国防会議にはからなくてはならないことの一つに、防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱というのがあるのですが、これを国防会議にはかる意思はございませんか。必要ないとお考えになっているわけですか、これだけ重要な問題について。いかがです。
○佐藤内閣総理大臣 いまお尋ねの御趣旨がよく私にも理解しかねたのですが、私、国防会議の議長でございますが、また必要な大臣をそこへ招致することもできるように思っておりますので、ただいま、いろいろの計画についてそごを来たさないように、十分の注意をするつもりでございます。
○石橋委員 防衛計画の大綱とその防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱というものは、国防会議にはからなくちゃならぬようになっているわけです。それを見落としておられるのではなかろうか、こう考えてお尋ねしたわけです。これはいまつくる必要ないわけですか。このことをお尋ねしておるわけです。
○佐藤内閣総理大臣 御注意もございましたが、国政運営に万全を期してまいります。
○石橋委員 それじゃ、この国産化の問題に関連して論議されました一、二の問題点についてお尋ねをしておきたいのですが、業界の非常に強い要望があり、防衛庁もまたそれを受けて大蔵省を説得するときに使った根拠の中に、こういうのがあります。日本の国産はコストが高くつく、兵器の国産化というものはたいへんにコストが広くつく、そのコストダウンをはかるためには、自衛隊だけを相手にしてつくっておったんでは引き合わぬ、だから兵器の輸出を認めてくれ、これができるようになればコストダウンがはかれるじゃないか、こういうことを盛んに議論として展開しておられたんですが、これをお認めになるつもりがあるのかどうか。これはだれに聞いたらいいんでしょうかね、通産大臣ですか。兵器の国産化は非常にコスト高を招く、これじゃ困る、したがって、自衛隊だけを相手に武器をつくるんじゃなくて、これを輸出するという面をあわせて考えていけばコストダウンをはかれる、こういう議論があるわけです。お認めになるつもりですかということです。
○菅野国務大臣 ただいまお尋ねの件については、私全然聞いておりません。で、いま方針といたしましては、海外へ出す武器はつくらせないという方針でおります。
○石橋委員 それじゃ、総理大臣に確認しておきます。おやりになりますか、お認めになりますか、兵器の輸出。
○佐藤内閣総理大臣 いま通産大臣が答えたとおりでございます。
○石橋委員 この国産化というのが今度の三次防の非常に大きな特徴です。とにかくたいへんなものを、たくさん国産化を考えておられるようです。ナイキハーキュリーズ、ホーク、超音速のジェット練習機、あるいは新しいジェット戦闘機あるいは輸送機、大量の国産化を考えておられるようてございますが、その中で純国産でいこうとしておるものと、ライセンス制生産を考えておるものと、二つに分けてひとつ御説明を願いたいと思うのですが……。
○島田(豊)政府委員 ただいま御指摘になりました各種の機種の中でCx次期中型輸送機、これは純粋に国産でございます。
○石橋委員 時間がありませんから、このナイキハーキュリーズの問題についてのみお尋ねをしますが、核弾頭を装着することのできないナイキハーキュリーズを生産するのだということを盛んに力説しておられます。それでは核弾頭を装備できない、装着できないようなナイキハーキュリーズをつくるということは、従来の政府の方針であることはよくわかっております。それは国民感情といったようなものを考慮した上の決定であって、純軍事的な立場で議論すればどちらのほうが有効だというふうに防衛庁はお考えになっておりますか。本来ならば核弾頭をつけたほうが有効なのだ、しかしいろんな制約があるから、それができぬ、したがって通常弾頭だけつけられるようなものをつくるのだ、こうお考えですか。それとも、狭義の純軍事的な立場からいっても通常弾頭でいいのだ、そのほうがいいのだ、こういうふうなお考えの上におやりになっておるのですか、その辺はいかがですか。
○増田国務大臣 日本の自衛力というものはおよそ限界があるのでございまして、その自衛力にかんがみまして、純軍事的に見ましても非核弾頭用のハーキュリーズが最もよろしい、こう考えておるわけでございます。
○石橋委員 よくおわかりになっておらないようですから、事務当局でけっこうです。
○島田(豊)政府委員 ただいま長官から申し上げましたとおりでございます。
○石橋委員 国民感情、憲法の制約その他のものはのけて、純軍事的に考えても、日本の場合は通常弾頭のほうが有効である、より有効である、その論拠をそれじゃお示しください。
○増田国務大臣 わが本土に対する急迫不正なる侵略に対処する防衛力でございます。でございまするから、その設置場所その他からごらんになっても、純軍事的に見まして、射程はアジャックスよりも三倍くらいになりますけれども、非核弾頭用が最もよろしい、こういう確信に立っておるわけでございます。
○石橋委員 純軍事的な答弁を防衛庁長官にしていただこうとは夢にも思いませんでした。ずいぶん無理をなさっておられるようでございます。あなた方は通常弾頭、通常弾頭ということを盛んにおっしゃるけれども、いざというときにはアメリカから持ってくればいつでも核弾頭のほうも使えるのですよ。その点には何らの変わりはないのです。いかにも通常弾頭しか使えないようなことを言っておりますが、これは国民を欺くものだということを申し上げておきたいと思います。しかし時間がありません。 最後に一つだけ。どんどんこれからホークなりナイキなり国産し、装備し、数をふやしていくわけですが、この発射要員のほうは十分に間に合うのですか。 まず第一にお伺いしたいのは、ミサイルを完全にこなす、習熟するためには最低どの程度の年数を必要としますか。どんどん兵器をつくる計画は立てておられるようでありますが、要員のほうは完全に間に合う、こういう目安まで立てておられるのですか、その辺を防衛庁長官にお伺いして質問を終わります。
○増田国務大臣 もう一ぺん、この際やっぱり国民の前にはっきりしておく必要があるから申し上げますが、ランチャーも発射装置も非核弾頭用は全然変わっておるのでございまして、容易にアメリカ等から輸入して使えるというような発言は訂正せられんことを求めます。 それから要員は十分に用意がございます。
○石橋委員 その最低何年習熟するために必要か、肝心のところが抜けておりますから、どうぞ。
○島田(豊)政府委員 高度な技術を必要といたしますので、最岡の技術者は五年ないし七年ぐらいかかると思いますけれども、すでにナイキアジャックスの要員を持っておりますので、逐次それに対する教育を施しまして、要員の確保は十分できるというふうに確信をいたしております。
○石橋委員 時間がありませんから、別の機会で掘り下げてやります。
○植木委員長 これにて石橋君の質疑は終了いたしました。 次に、芳賀貢君。
○芳賀委員 この際、人口、食糧問題並びに農林漁業政策の主要なる点についてお尋ねをいたします。 まず第一に、先般の総理大臣の施政演説を本会議で承ったわけでありますが、その中で、特にわが国の人口、食糧問題等について、一国の総理として確固たる方針というものが述べられていないわけです。時間の限定もあったと思いますけれども、総理としてどのような基本的な方針で、わが国の農業について、これをしかも国民経済的な位置づけというものをなされるかという点をまずお伺いしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま芳賀君からのお尋ねですが、ここで農政あるいは食糧問題全般についてお話をすることはたいへん時間をとって申しわけないと思います。あるいは要点がはずれていたら重ねてお尋ねをいただきたいと思います。 わが国の食糧問題、これは国産による自給度を高める、かように——まあ、高めるというわけにもまいりませんが、自給度をある程度のものを維持しながら、それに相応する農業構造改善等をはかりまして食糧を確保する、そして足らないところは外国から持ってくる、こういう考え方でございます。
○芳賀委員 特に、先般政府としては、経済社会発展計画なるものを閣議決定されたわけです。この点についても、総理は施政演説の中でいささか論及されておるわけです。私どもとしては、政府の発展計画なるものは、既往において、たとえば新長期経済計画、所得倍増計画、その手直しである中期経済計画、また今回の佐藤色を出したといわれる発展計画、これはおおよそ九年間に四つの経済計画というものが出ているわけでありますからして、決してこれでは長期計画とか中期計画とわれわれば認めることはできないわけです。年次的な計画あるいは経済計画ではなくて、むしろ経済の展望的なものであるというふうに批判しておるわけでありますが、この点はどのように考えていますか。
○佐藤内閣総理大臣 今後の経済社会開発計画、これは基本的な経済政策あるいは社会政策その他の点から政治を行なっていきますと、わが国力がどんどん増進してまいります。これを食糧の面から考えると、食糧の需要の面でもよほど中身が変わってまいります。カロリーも非常にふえていくでしょうし、おそらく今後三千カロリーに近いものになりましょうし、また米食から肉の摂取量はだんだんふえていくとか、あるいは牛乳がふえるとか等々、たいへん食糧の中身も変わってくる。これはまあ生活向上の結果だと思いますが、それに対応する国産の食糧政策、これを立てていくというのが私どものねらいでございます。
○芳賀委員 この際明確にしてもらいたいことは、自国の経済計画を立てる場合においても、前提となる条件はやはり国際的な動向というものが的確に把握されていなければならぬと思うわけです。そこで、人口、食糧問題等についても、この前提としての認識が全然ないわけですね、発展計画の中には。そこで総理として、あるいは総理がおわかりにならなければこれは外務大臣でもいいですが、最近における世界の人口、食糧事情というものは一体どうなっておるか、この点は非常に重要だと思うわけです。たとえば国際連合の食糧農業機関の調査発表等によっても、これはFAOの発表でありますが、もうすでに世界の食糧は過剰傾向の時代を過ぎて、不足傾向の時代に入っておる。いままでは世界の各国においては、部分的には食糧の過剰傾向等がありましたが、これからの世界の人口、食糧問題というものは、単に自国だけの食糧の充足、民生の安定だけでは済まぬと思うのですよ。やはり世界諸国民が飢餓と貧困から解放されるということを念願として、国際的な人口、食糧問題の運営と各国が取り組んでおるわけですからして、この点について総理あるいは外務大臣というものは、どのような把握をされておるかということをお聞かせ願いたいわけです。
○宮澤国務大臣 便宜私からお答え申し上げます。 最近の傾向は、御承知のように米国の余剰農産物、ことに麦を中心といたしまして、これが正常在庫を割るに至っております。それからカナダ等も相当中国等々に輸出をいたしておりますし、御承知のように、インドにはかなりの食糧危機がございます。それらの傾向から見て、国連などでは、従来考えておりましたのと多少違って、二十一世紀になりますと、むしろ世界的な食糧不足の方向に経済が動くのではないか、そういう見方が多いように聞きますけれども、従来の見方とそれが多少変わっておりますので、まだ幾らか気迷いなところがあるのではないかと思います。
○三木国務大臣 数字は私もいま記憶しておりませんが、これはやはり世界的に、傾向としては食糧不足の傾向にある。それは何かといえば、低開発諸国の人口の増加が非常に顕著であって、アジアにおいても食糧輸入国がもうほとんどになってしまった。食糧を輸出できる能力があるのはビルマとタイぐらい、こういうことで、世界的にやはり食糧が不足する傾向にある。したがって、この食糧増産あるいは人口問題といいますか、人口調節、この問題が世界的な大きな課題になりつつある。数字は国連等で調べた数字もございますから、後ほど申し上げてよろしかろう。そういう傾向に今日の世界はあるということでございます。
○芳賀委員 それでは外務大臣に尋ねますが、傾向的には、世界各国においても、自国の食糧問題等については自給度というものについて相当重視して政策努力を進めておる、そういう共通の努力目標がとられておるというふうに認識されておるわけですか。
○三木国務大臣 まあ一面において世界分業的な傾向もありますから、みな食糧を自給自足しなければならぬというのが今日の世界の傾向だとは申し上げられぬと思いますが、できるだけ自給度を高めていこうという努力は各国においてなされつつある傾向にあります。
○芳賀委員 ところが、発展計画の中においては、自給度を高めるという努力が全然ないわけですね。傾向的には、農業というものはいまの自民党の意図的な政策のもとで衰退する。したがって、国民が要求する食糧の充足というものは前向きでなくて、むしろ減少傾向をたどるという判断の上に立って、発展計画の随所に輸入の活用なる字句を使っておるわけです、食糧問題にしてもあるいは家畜の飼料にしても。これはいま三木外務大臣の言われた自給度向上への努力、意欲的なものが、発展計画の中には全然見受けることができないわけです。この点は重要な問題だと思うわけですね。 そこで具体的にお尋ねしますが、たとえば昭和三十五年度に比較して四十年度、つまり五年間にわが国の食糧全体の、あるいは畜産物全体の自給度というものは、どういうような推移をたどっておるかということを、これは数字をあげて示してもらいたいわけです。
○倉石国務大臣 お答えいたしますが、ただいま御指摘の経済社会発展計画について若干こちらの考え方も申し上げたいと思いましたが、先に数字が出ましたので、事務当局からその点を先にお答えいたさせます。
○鹿野政府委員 農産物の総合自給度の推移につきまして申し上げます。 三十五年度は八五%、三十六年度が八三%、三十七年度が八二%、三十八年度が七八%、三十九年度が七七%、大体そのような傾向になっております。
○芳賀委員 三十五年ベースでいくと……。
○鹿野政府委員 三十五年が八五%でございます。
○芳賀委員 だからそのベースでいくと……。
○鹿野政府委員 全体の自給度が八五%から七五%に低下いたしております。
○芳賀委員 結局、いま政府委員の言うたとおり、五年間で一〇%自給率が低下しておるわけですね。これはゆゆしい問題だと思うわけですよ。いわゆるこれは経済の高度成長政策の所産だと総理はお認めになるかどうか。
○佐藤内閣総理大臣 この自給度がだんだん下がっておる、いま事務当局がお答えしたとおりでございます。これが経済成長の結果ではないかということでございますが、確かに高度経済成長、その農業部門においてこれに対応した生産性の向上をはかることができなかった、こういうことだと思います。
○芳賀委員 ただいまの点はあとで農業白書の問題に触れてお尋ねしますが、ここで率直に総理に申し上げたいことは、たとえばフランスのドゴール大統領は、「自国の食糧自給を怠る国は完全な独立国家とはいえない」ということをいみじくも表現しておるわけです。もちろんフランスと日本の場合においては農業の事情あるいは経済事情は違うが、いやしくも一国の総理あるいは政治の最高の責任の所在にある者は、このような決意と気魄の上に立たなければ、国民に期待される政治の遂行はできないと思うのですよ。このドゴールのことばというものは、一体佐藤さんはどういうふうに受けとめられるのですか。
○佐藤内閣総理大臣 ドゴール大統領はとにかくドゴール大統領ですが、私は、先ほども申しましたように、自給度を確保するという——先ほど事務当局から説明いたしましたこの傾向から見まして、八〇%確保するということは、たいへんなことだと思っております。いまそういうことを目標にして農業政策を推進しておる最中でございます。
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、国土の開発の問題です。これは、政府のいうところの社会開発とは相当意味が違うわけですが、まず、わが国の国土の総面積は三千七百万ヘクタール、そのうち農用地が七百万ヘクタールで、農用地の利用率は二〇%ということになっておるわけです。森林面積が二千五百万ヘクタールですから、これが国土の七〇%を占めておるわけです。ですから、森林を除いて、国土の総面積に対する農用地等の利用度というものは、非常にこれは低いわけです。 参考までに申し上げますと、西ドイツの場合には利用率が五八%、フランスの場合には六二%、イタリアの場合には六八%、イギリスの場合には八一%。これは事情が異なる点はわれわれも承知しておりますが、たとえばいま総理の言われた食糧の自給率を高める努力をするという場合においても、結局は土地を基本にして、土地を対象にした、土地の生産力あるいは農業の労働生産性の向上というものが強力に推進されなければ、期待する効果はあがらぬと思うわけです。ですから、この国土の開発の問題について、たとえば現に国土調査法というものがあるわけでありますけれども、これも予算が非常に寡少ですからして、調査が進んでいないわけです。ですから、国土全体に対する土地利用区分というものもできておらぬ。あるいは水の資源開発も、長期的な構想というものは固まっていないというようなのが現状であります。したがって、具体的に、同じ発展計画を立てるということであれば、この国土の利用、総合的な開発というものに対して明確な進路というものを設定すべきであるとわれわれは批判するものでありますけれども、この点は何か具体的な案があれば、政府から示してもらいたいわけです。特にこのうち、今後農用地の開発を進める場合において、一体どの程度の面積というものが農用地開発適地として現存するかという点であります。
○佐藤内閣総理大臣 芳賀君も御承知のように、わが国土はたいへん山が多い。したがって、いま相当の傾斜地すら農用地として耕作しております。こういうことがはたして近代的農業に対応し得るかどうか、いわゆる平地でないと、なかなかたいへんじゃないかと思います。そういう意味で、いろいろ評価を立てておりますから、詳しくは農林大臣からお聞き取りをいただきます。
○倉石国務大臣 ただいまお話のございました自給度のことについてちょっと先に申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げましたパーセンテージは、芳賀さんもうすでによく御存じだと思いますか、全部の農産物の自給度を申しました。お尋ねのほうは食糧農産物だと思いますか、それだと八二%ぐらいに昨年なっていることは、御承知のとおりであります。 それからまた、経済社会発展計画におきましては、ただいまお話がございました。いまあなたのお話しになりました土地の利用区分について政府は考えなければならないではないか、まことに御卓見でありまして、私どもも実は政府部内でも、高度経済成長以来農業が今日の事態になってまいりましたことを基礎にいたしまして、総理も常に申しておりますように、日本の経済は調和のとれた経済の発展をしていくのがわれわれの理想でございますから、そこで、一方において非常に成長の伸びた産業がある反面においては、若干その影響等もあって立ちおくれてまいるようなことがあっては、わが国全体の経済の発展というわけにはまいりませんからして、そういう面で、御指摘のように、経済社会発展計画におきましても、農政面では農基法に定めております方向に即して、構造政策、価格政策、それから流通政策等の施策を相互に有機的に脈絡を保ちながら進めてまいる。方向はそういう考え方でやっておるわけでございます。 いまお話のございましたように、一方において経済成長が伸び、産業構造の変化に伴って農村の労働力というものがだんだん一方の伸びてまいる産業の補給源になっておるような結果でございまして、部分的に見ますと、わが国の農業は、御指摘のように、多くの問題をそういう点においてかかえておるわけであります。したがって、政府は、この農基法の精神にのっとりまして、まず第一には、生産を拡大いたしてまいるために土地基盤の造成あるいは構造改善政策を進めてまいって、そして先ほどお話のような自給度を確保することに全力をあげておるわけでございます。 ただしかし、先ほどもお話のございましたように、輸入食糧につきましては、この経済社会発展計画でも指摘いたしておりますように、近来日本の経済が伸びていくにつれて日本人の食生活に対する嗜好の変化がございまして、したがって、畜産その他の果樹、そういうものの需要が非常にふえてきております。でありますから、農林省は、いわゆる選択的拡大という方向をとって、この食糧の国定の嗜好の変化に伴って生産をそれに比較的ウエートを輝いてやってまいりましたことも、御承知のとおりであります。ところが、御承知のように、たとえば畜産を例にとりましても、輸入飼料の問題がすぐ出てまいる。でありますから、私どもは芳賀さん御指摘のようなことについて憂いを同じくいたしておりますので、そういうことに調整をとりながらひとつ進めてまいりたい、このように考えておるわけであります。
○芳賀委員 私のただいま聞いているのは、今後農用地に開発できる適地が一体どの程度あるかという開発見込みの面積あるいは適地、この点を明確に示してもらいたいのです。これは場合によっては政府委員でもいいですよ。
○倉石国務大臣 政府委員から……
○檜垣政府委員 お答えを申し上げます。 農耕地の適地面積は、厳密には把握はなかなかむずかしいのでございますが、開発予定面積は、御承知の土地改良長期計画におきまして、今後十年間に耕地三十五万町歩、草地四十万町歩の開発をするという計画を持っております。
○芳賀委員 そういうことを聞いておるのじゃないですよ。土地改良十カ年計画は、差し引きすれば幾らも農用地がふえないという、そういう計画になっておる。ですから、今後開発できる可能地が一体何百万ヘクタールあるかということを聞いておるわけですよ。資料がなければ、何もここまで出てこなくてもいいです。
○檜垣政府委員 農耕地の適地調査は、端的に申し上げまして、農林省の調査ではございません。草地の適地の調査につきましては、中間的な調査の結果、約八十万町歩程度の草地としての開発適地があるという調査がございます。
○芳賀委員 それでは経済企画庁長官からお答えを願います。
○宮澤国務大臣 それは私どものほうにもございません。
○芳賀委員 国土調査は経済企画庁の所管じゃないのですか。それは調査を行なう意思がなくてやらないのか、予算がなくてできないのか、その点はどうなんです。
○宮澤国務大臣 国土調査というのは、御承知のとおり、幾つか全国の地区を選びまして、何千とかいう地区でございますが、これをかんがいとか排水とかいうものを便ならしめるために所有椎関係を確定する、こういう調査でございますので、全国にどれだけ面積があるかというような調査ではございません。
○芳賀委員 それでは、国土調査法というのは何をうたっているのですか。
○宮澤国務大臣 ただいま申し上げましたように、農業の構造改善等々をいたしますとき、あるいは公共事業で用地の収用をいたしましたりいたしますときに、所有権関係が従来しばしば不明確でございますので、国土調査ではそういうことを確定して、そういう仕事に便ならしめる、こういうものと承知しているのでございますが……。
○芳賀委員 それでは、政府の行政任務として総体的な土地利用計画を立てる所管はないのですね。調査を行なう所管もないのですね。
○宮澤国務大臣 土地利用計画ということになりますと……(芳賀委員「利用区分ですよ」と呼ぶ)利用区分の計画をするということになりますと、これは本来的には建設大臣の所管であろうと思いますが……。
○芳賀委員 これは非常に問題があるのじゃないですか。政府の各機関の設置法にも、国土調査とかあるいは利用区分計画、これは建設省所管というようなことにはなっていないんじゃないですか。あなたは何もわからぬければいいですよ。何を言っているのだ。
○宮澤国務大臣 御質問の趣旨が実ははっきりしないのでありまして、たとえば土地利用計画ならば、これは都市計画法とかああいうほうの関係でございますから、土地利用計画というものをいままでやったことはございませんけれども、宅地審議会等々で答申になっておりますのは、これはやはりあの答申は主として建設大臣になされる、あるいは総理大臣になされるというべきかもしれませんけれども……。それから全国総合開発計画は、経済企画庁の所管でございます。
○芳賀委員 次に、農林大臣にお尋ねしますが、現在の経営農家の分類というものは、従来はそれを区分して、まず専業農家、兼業農家に分けて、兼業をさらに区分して第一種兼業、第二種兼業ということにしてきたわけですが、本年はこの明確な区分をやめて、第一種農家、第二種農家というふうになさったようでありますが、この目的は一体どうなんですか。
○倉石国務大臣 私どももだいぶその分け方について苦慮いたしたわけでありますが、御承知のように、第一種は主として農業によって所得を打ち、片手間で兼業をやっておる。第二極はその逆でございました。ところが、その兼業農家といわれる中でも、かなりの坪数を持って畑を耕しておる親があるにもかかわらず、今度はその子供が職場に出て、二人ぐらいの子供が職場で現金収入を得ますと、本来の農業所得よりその職場から得る兼業の所得のほうが多いというような現象がたくさんございます。そこで、今度は耕しておる面積を大体基準にいたしましてああいう分け方をいたしたわけであります。その面積の区分が御必要であれば、事務当局から御説明申し上げます。
○芳賀委員 私の尋ねているのは、従来は農業を専業に営んでおる農家というものが、明確に区分されておったわけです。それが当然だと思うのです。農業だけを専業にして生活の維持ができる、またこの専業農家というものが、やはり将来にわたっても中核となって日本の農業を進める、あるいは国際的な競争に対応できる、こういうのが自立専業の農家であるというふうに考えるわけです。ところが、その区分をなくして、従来の一種兼業、二種兼業を第一種農家、第二種農家としたということは、いま農林大臣の説明された目的だけではないと思うのです。これは大きく農政の転換ですね。農業基本法農政といわれるその政策が全く失敗したということを隠蔽するために、これは偽装してこういう区分をやったのじゃないですか。これを率直に判断すると、もうこれからの日本の農業は、専業農業というものを主体に置かない、尊重しない。結局農家所得というものは、農業所得との合算においていずれが主体性を持つかということだけで分類するということになれば、これからの日本の農業の主体というものは、兼業を主体にした兼業農政を進めるということが端的にあらわれておると思うわけです。これは重大な問題ですよ。単にこれは農林大臣の意思だけでやるということでなくて、いまの佐藤内閣自身として農政の基本に触れる問題ですが、今後専業農家というものを一体どう考えていくか、自立専業農業というものをどう考えていくかということは、農業基本法の根本に触れる問題ですから、総理から明らかにしてもらいたい。
○倉石国務大臣 農業基本法制定以来すでに五カ年を経過いたしておりますが、先ほども申し上げましたように、その間における経済の著しい急激な変化等によって、必ずしも全部が目的どおりに進んでおるとは私は申しておりませんけれども、やはり大筋としては、いま御指摘のように、自立農家をいにして保持し、拡大していくか、そして農業所得を安定させるかということに眼目がございまして、この趣旨は農業基本法制定当時以来少しも変わっておらないわけであります。いま第一種、第二種の兼業農家の分け方を新しく分けましたことについて、ちょっと補足的に事務当局から御説明申し上げたいと思います。
○芳賀委員 いや、総理大臣にお尋ねしている。(佐藤内閣総理大臣「ちょっと説明して……」と呼ぶ)いや、事務当局はいいですよ、時間が限定されておるのですから。——いや、いいですよ。質問者が質問を求めないのに、あなた、何のためにぴょこぴょこ出てくる。私の尋ねているのは、これは事務当局に聞いているのじゃないですよ。従来日本の五百六十万戸の農家の中に、農業だけを専業にして営んでおる農家の戸数がどのぐらいあるかとか、あるいは農業を主体として、農業以外の収入も得ておる農家が、第一種兼業農家としてどのくらいあるか、あるいはまた農外の収入を主体にして、農業が従たる立場になっておる農家が、第二種兼業農家としてどうなっておるかということがこの統計上の分類で、これは明らかにすることになっておったわけです。何も不都合はないのですよ。いいですか、私の尋ねておるのは、ことしの農業白書においても明らかであるし、発展計画の指向する内容においても明らかなことは、今度ますますわが国の農業の中においては専業が激減する。現在でも専業農家が全体の二〇%ですからね。残る八割は兼業農家ですからして、これがさらに進行するということになれば、日本の農業の中には、農業だけの経営で生活維持ができないという状態にこれは没落してしまうわけです、衰滅するわけです。それを農民や国民の批判からごまかすために、その専業農家というそういう区分というものを全然取り去って、第一種農家、第二種農家としたということは、これは全くわれわれとして純粋に統計上の区分としてやったということには受け取ることができないわけです。これは議論の必要はないが、明らかに日本の農業というものは全くもう兼業だけになってしまうという段階に来ておるわけだからして、専業を主体にした日本の中核的な農業経営の推進というものはあきらめた、放棄するという考えにこれは相違ないわけです。この点は冒頭の総理の答弁と大きく違うわけですよ。ですから、正直にそうならそうだと言ってもらいたいのですよ。
○佐藤内閣総理大臣 芳賀君は少し誤解していらっしゃるのじゃないかと思います。だから、いま事務当局から説明を私も聞こう、かように申したのですが、いまの専業農家は専業農家、第一種兼業農家というのが農業収入の多い農家、それから月給その他といいますか、農業収入の少ないものが第二種兼業農家だとか、こういうような分け方をいままでしていたのじゃないかと思います。だからそこの説明をもう少しお聞き取りいただいて、そして農業基本法から申しましても、専業農家の育成強化、これは農業の基本でございます。これが二割だ、こういうことで、成功していないじゃないかというお話でありますが、そういう専業農家では、農業規模も大きくなっておりますし、こういうものがやはり近代的農業、そういう方向へ移るのでございますから、その辺の実情をもうちょっと事務当局からお聞き取りいただきたいと思います。
○芳賀委員 いや、私の言っているのは、これは経営形態の区分というものについて、専業農家、第一種、第二種兼業農家というふうに、これは農林省の統計調査部がこのような純粋な区分の扱いをしてきておるわけです。いま総理の言われた所得を基礎にした分類ということになれば、これは農家所得の階層分類というものがあって、農家全体の一年間にあげる所得が幾ばくである、その中で農業からあがった所得が幾らで農外の所得というものが幾らであるということは、農業と農外所得が区分されて、合算したものが農家所得ということになっておるわけですからして、所得の分類からいえば、これは現存しておるわけです。
○佐藤内閣総理大臣 いま農業政策で最も力を入れるのは、農家収入ではなくて農業収入、それに中心が置かれる、これは芳賀君の言われるとおりであります。しかしながら、現状から申しますと、農家というものが農業収入だけでその経営をやっておらない、農業以外の収入がその農家の所得になっておる、これが実際のものですから、そこで兼業農家というものが考えられる。それが一種、二種、こういうことになっているんだ、かように思います。しかし、御指摘になろうとしておる農家収入と農業収入、これは別にすべきものだ。農業所得と農家所得は違うということ、これをはっきり言おうとしておられること、私もそのとおりだと思います。
○芳賀委員 この点は、政府において方針を整理してください。 次にお尋ねしたい点は、農業白書の中においても、数々の農政上の欠点というものが反省されておるわけです。それを項目別に取り上げると、まず第一が、食糧自給率が低下しておる。第二は、専業経営を中心としたいわゆる自立経営農家の育成というものはまことに困難であるという点ですね。第三点は、必然の結果として兼業農家が激増しておるということ、これが第三点。第四点は、将来に不安を持って、農業の後継者が確保されない、後継者の不足。この四つの点が反省として表現されておるわけですが、どの一つを取り上げても、農業基本法の農政というものが効果的に前進しているということは考えることができないわけであります。この功罪をいまここで論議する時間はありませんが、これらの総合的な結果というものを判断して、これからこの欠陥を是正するためにいかなる農業政策上の積極的な変更をやるかということについて、お考えがあれば述べてもらいたいと思います。
○倉石国務大臣 先ほど申し上げましたように、調和のとれた産業構造がそのまま伸びていくことが望ましいのでありますが、御承知のように、その間において、経済成長の発展過程において労働力等が欠除いたしましたこと等もあって、やや立ちおくれておる面もあると申し上げました。そこで、やはり基本法に示しておりますように、まずわれわれは生産の拡大をはからなければならない。そうして農業所得者の所得を増大することにつとめなければならない。同時にまた、価格政策、構造政策に力点を置かなければならない。そういうことのために、これは基本法にも示しております方向で、四十二年度予算においても土地基盤の造成、あるいは構造政策、そういうことに力点を置いてまいりたいと思いますし、それからまた先ほど御指摘の経済社会発展計画の中にも強く申しております畜産、果樹、そういうものの生産に同じく力を入れてまいる、そして農業所得が他産業の従事者に比べて劣らないような所得を持ちつつ出産を持続してまいる、こういうたてまえで努力いたしておるわけであります。
○芳賀委員 次にお尋ねしますが、農業白書によりましても、昭和四十二年度には農業の従事人口が一千万人を割るということが予測されておりますね。これは重大な問題だと思うわけです。この論議は別といたしまして、結局過大な労働力というものが農村から流出しておるというこの事実、これがまた日本の産業の高度成長を支えておるということがいえるわけですが、結局問題は、過度に労働力が流出しておるというこの事実というものが、これからの日本の農業というものをどういうふうに変貌させるかということについて、これは総理としてもお考えがあると思うのです。苦心があると思うわけです。これとあわせて、これからの農業の、次代をになう後継者というものが、ますます枯渇しておるわけですね。ここ三年来の毎年三月の中学校、高等学校の卒業生の就働傾向というものを見ても、まことに寒心にたえないものがあるわけです。ここ三年間大体、新卒の中で農業に従事あるいは残っておるものが六万人程度であります。そこで、このような傾向で六万人程度の新しい農村にとどまる後継者というものが続いた場合において、これからの日本の農業をささえる原動力というものは、十年、二十年、三十年の将来に一体どうなるか。その前に佐藤内閣というものはなくなることは事実ですが、現実にあなたがいま政権を担当しておるわけですから、あなたを除いて責任のある将来の展望を政治的にやれる人は政府当局にはないわけです。後継者問題をあわせて総理の所見を明らかにしてもらいたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 まあ十年、二十年、三十年後の展望、これは国としては必要なことであります。したがいまして、ことに農業のような次の世代をになう後継者を確保することは非常に困難だ。こういう業種におきましてはなおさらでございます。しかも、食糧は大事な問題でございますから、自給度はどうしてもただいま八〇%を切らないように食糧そのものについて努力してまいらなければならない。そこで、いろいろ農業基本法ができ、現在の農業自身に改善が加えられて、そうしていわゆる専業農家の育成強化をはかっておる、そういう場合に、いろいろ労働力にかわる機械力、これを採用するとか、また機械力を採用することが単独ではできないというような場合には、農業の協業化について特に力を入れるわけであります。あるいはまた、適地適作、しかもその経営としては、米麦ばかりでなく、多種多様なものの栽培にもかかる。あるいは酪農をやるとか等々で、いわゆる農業といわれている部門の所得を確保するようにあらゆる努力をしていくつもりであります。まあ、そういう面を見ましても、現在の状況ではなおかつ次代をになう青年を引きとめるということは非常に困難な状況だ、かようにいわれております。しかし、一時よりかやや緩和されて、最近は好んで農村に嫁に行こう、こういう人も出ておるようでございますから、一時いわれたときとはよほど変わってきている、こういうところに魅力のある農業の確立だ、こういうわが政府の政策の成功、これが言えるように実は思うのであります。(笑声)笑われるようでありますけれども、確かにこの問題はまじめな問題でございますが、私は十分、今日のところでもうこれでいいと言うのじゃございません。ございませんが、少なくとも、魅力を与えよう、こういうものでございます。それからまた、労働に従事する、まあ老後の安定もはかろう、こういうような意味で一昨日も議論になりましたように、政府は新しく農民年金を考えよう、こういうようなことでございます。いまの経営自体についての向上をはかる具体的な方法と同時に、老後も安定できる、これでまあ生活は安定だ、こういうような魅力のある農業、これをつくることに最善を尽くすつもりであります。少なくとも、いま言われますように、農家の人口がどんどん流出していく、そうして農業を担当する者がほとんどりょうりょうとした数で非常にさびしい、こういうことではこれはたいへんだと思います。そういう意味で、政府はあらゆるくふうをし、あらゆる努力をしていくつもりであります。
○芳賀委員 次に、それでは世代の交代について一体どう考えていますか。たとえば後継者の問題にしても、現在、毎年男女合わせて六万人しか農村にとどまらぬわけですから、これで十分だということにはならぬと思うんですね。それでは、全体を通じて後継者がいわゆる世代の交代を行なうというその期間ですね、三十年を交代の周期にするか、三十五年をするかということは、それぞれ議論があると思いますが、少なくとも三十年目に世代交代が行なわれるというのが、これが通説だと思うわけです。そうなると、毎年六万人といっても、完全な後継者ということになれば、適齢期にどうしても結婚しなければならぬですから、夫婦一組でこれはあと継ぎということになるわけですね。男女の差が四万人対二万人だから、これは合致しない点もあるが、六万人が二人一組ということになれば、三万組しか後継者ができないということになるわけです。将来また流入するものがあるとしても、単純に計算した場合、毎年三万組の後継者が出たとしても、三十年間で九十万組ということになるわけですね。おおよそ百万。これが兼業を除いても、日本の農業の中核的な後継者ということになるかどうかということは、たいへん重大な問題だと思うわけです。単に農村あるいは農業を労働力の供出のいわゆる給源的な扱いをした農政というものは、いままでとられてきているわけですよ。民族の苗しろといっておだてておいて、優秀な労働力をどんどん、どんどん吸収してしまって、残っておるのはもう年寄りと婦人だけなんですね。私は昭和三十八年の通常国会に、この委員会で、当時の農林大臣の重政君に、いま自民党のやっておる農業政策というのは、これは明らかに三ちゃん農業政策であるということを指摘したことがあるわけですが、もうその三ちゃん農業の時代を過ぎて変形しておるわけです。ですから、この後継者問題というのは、非常に重大な点だと思うわけです。これは発展計画の中にも片りんを見受けることもできないが、やはり一国の総理として、悠久に持続される農業というものに対する後継者の確保ということは、これは真剣に考えてもらいたいと思いますが、その真剣な意欲と熱意というものがあるかどうか、その点だけを聞かしてもらいたいと思うわけです。
○佐藤内閣総理大臣 御指摘のように、この後継者問題は、これはまことに重大な問題でございます。だからこそ、先ほど申しますように、魅力のある農業、青年を引きとめるような、引きつけるような農業経営にしなければならない、これが農業基本法の命ずるところであり、構造改善その他一連の総合的な施策は、ただいま申し上げるように青年を引きとめる魅力のある農業にする、こういうことだと思います。
○芳賀委員 次に、物価問題との関連で、まず米価についてお尋ねします。 第一に、消費者米価の問題でありますが、消費者米価の値上がりは、昭和四十年の一月一日に百五十五円。これは普通米十キロ当たり百五十五円の値上げ。これは指数にして一四・八%。それから、翌年四十一年の一月元旦に百五円の値上げ。これは八・六%。今年度においては、十月一日から一四・四%、つまり十キロ百七十五円の値上げをやる。これは政府の予算の中で、食管特別会計にも、この値上げの金額というものはすでに予定されて組み込まれておるわけです。この点については、先般来同僚委員からも、消費者米価の値上げと物価の値上がりの相関性についてしばしば追及があったわけでありますが、私は、この消費者米価を上げた場合に、幾らそれが消費者米価に寄与するかということでなくて、消費者米価を上げなかった場合に、その時点で消費者物価というものはどういう状態に置かれておったかということについて、むしろ聞きたいと思うわけです。昨年の消費者物価は、年間を通じて約五%の上昇ということにとどまったと説明がありますが、この中で、一月一日からの値上げですからして、八・六%の消費者米価の値上げをしなかった場合に、消費者物価の上昇はどの程度でおさまったかという点について、経企庁長官からお答えを願いたい。 もう一つは、今年の十月一日から消費者米価を値上げするといわれるが、これをことし一ぱいしない場合に、消費者物価というものは、どの水準で抑制することができるかという、この二点について明確に答えてもらいたい。
○宮澤国務大臣 過日も横路委員に申し上げたわけでございますが、消費者物価の見通しは、積み上げ計算をやっておりませんために、たとえば、ことし一四・四%とかりに仰せられましたが、そういう消費者米価の値上げがなかったときには、それが消費者物価にどういう影響を与えるだろうかということは、分析的には実はお答えすることは少しむずかしいわけであります。ただ、過去の、昨年の一月一日の八・六%、これは計算上は〇・三ぐらいのウエートを持っておったと思います。ですが、それならば、それがなければ五%がそれだけ下がっておっただろうかどうだろうかということは、消費者米価の値上げの波及効果というものがやはりあちこちにあると思いますので、正確にはお答えできないように思います。
○芳賀委員 この消費者米価値上げの物価へのはね返りというものは、単にそれ自体だけでは済まないと思うんですね。あるいは食糧費全体とか、また、それに便乗した値上がりというものは当然行なわれるわけですからして、それをわれわれは心配し、指摘しておるわけです。この点については長官から明確な答弁がいままでないんですよ。これは非常に微少であるということで逃げておるが、そういう単純なものではないと思うのです。消費者米価というものを、物価安定政策全体の中の柱として扱うということが、一番私は賢明な施策であるというふうに考えておるが、政府のほうではこれをことさらに非常に軽く取り扱おうとしておるわけですが、そういう誤りをおかさないようにしたほうがいいのじゃないかと思うのです。
○宮澤国務大臣 米価はやはり国民生活の基本的な価格でもありますし、また、生産者米価そのものは、それに従ってやはり農産物価格がそれを基準に形成されるような関係にございますから、確かに係数だけで、たとえばこの間私が、これは〇・七でございますから十月ですと〇・三五になりますというようなことを申し上げましたが、それは係数でそう申し上げるのであって、それ以外に波及的な影響があるだろうとおっしゃることは、私もそう思います。ただ、それを数量的に幾つかと言われますと、それはどうもお答えのしようがない、こう申し上げておるわけであります。消費者米価が上がりますのは、基本的にはもちろん生産者米価が上がるということの関係でございますが、生産者米価が上がります一番直接の原因は、御承知のように生産費所得補償方式でまいりますと、都市の労銀が一〇%上がれば生産者米価は自動的に六%余り上がる、そういう関係になっておるわけでございます。
○芳賀委員 いま生産者米価の発言がありましたから、生産者米価に触れますが、その前に、ことしの食管会計の編成の問題ですが、従来は、新年度の当初予算を編成する場合には、生産者米価あるいは政府が売り渡すいわゆる消費者米価についても、必ず前年度の価格というものをそのまま採用しておるわけですね。ことしに限って十月から、しかも売り渡す米価だけについて明らかに値上げをして、その数字を売り渡しの収入のほうへ計算しておるわけですが、従来はそういうことはやってないんですよ。ですから、たとえば消費者米価の値上げというものを新年度の予算に採用する場合は、相対的に生産者米価というものも、当然その時点で、これは米審の意見等も尊重して正式に決定することにはなるが、一方的に消費者米価の見積もりだけをはっきりして、生産者米価については前年度主義ということは、これは了承できない点なわけです。どうしてそういうような風変わりなやり方をことしされたか、これは大蔵大臣から明確なお答えを願いたい。
○水田国務大臣 従来は、当初予算編成のときに、必ずしも消費者米価の値上げを予想しておりませんでしたので、したがって、特に値上げを予想した予算案計上ということはやらなくて済んだのでございますが、今年度は従来と違いましてもうすでに、生産者米価を上げても消費者米価の据え置きが一年以上になっておりますので、もう逆ざやの現象が出ておる。これをこのまま継続するということは、もう食管会計としては限度に来ているということから、私どもは、十月から値上げをして、そうしてこれを補給するという予定を立てたわけでございます。したがって今年度は、従来と違って、十月から上げるべき金額を予算に計上しているということでございますが、生産者米価のほうは、これはもう御承知のように、毎年、物価、労働費その他のあれによりまして、これは当然上がっていくものだと思います。それを幾ら上げるかということを当初予算で予定するということは非常にむずかしい問題でございます。ことに、これは見込みでございまして、ほんとうに決定するのは審議会を経なければいかぬ。これを当初予算のときに見越すということはいろいろ問題がございますので、これはやはり従来の例にならって、この生産者米価は一応いままでの米価と同一水準ということで計算して予算編成をやる。これは従来の例でございますが、特に生産者米価については従来の例によったのだ。消費者米価は、いま申しましたような今年度の特別の事情で、私どもは十月からの値上げを予定して予算編成をやった、こういうことでございます。
○芳賀委員 私の聞いているのは、まず原則的に、食管特別会計を編成する場合、生産者米価と消費者米価でこれは歳入歳出がきまるわけですから、一方的に消費者米価だけ編成当初から、しかも年度初めの四月一日からというのであれば、これは議論は別にして、十月一日からこれだけ上げるということで、それを予算に計上しておるということは前例にないんですよ。既往は、必ず前年度主義で価格というものは計上しておるわけです。それを、七月に生産者米価がきまる、当然これは予算の補正措置が必要でありますが、これは次の臨時国会等において食管特別会計の補正を国会で審議して行なってきておるわけです。何もいまあわただしく、十月一日から消費者米価の値上げをしたいといっても、その数字まで予算編成の中に計上するということは、これは問題があるですよ。そう思わぬですか。
○水田国務大臣 問題は私はないと思います。もし十月からの値上げ予想、——九月からでも、政府が一定の値上げの予想を立ててやるのでなかったら、この食管から赤字が出ることははっきりしておりますので、これを出初予算に全部計上しなければならないということになりますが、いま申しましたように、すでに一年以上据え置かれて会計があれたけの赤字を出しておるのでございますから、これを解決するためにも、本年は中途から私どもは消費者価格を上げるという方針をとりましたために、その金額を予定して予算に計上するということは、むしろそのほうがほんとうであって、予定しながら計上しないというほうが間違っておるんじゃないかと思っております。
○芳賀委員 それであれは、当然企画庁長官の言われたとおり、生産者米価の値上がりというのはもう必至でしょう。いまの生産費所得補償方式からいっても、前年度の労働賃金が上がれば、その分だけはどうしても農家の自家労賃に反映させなければならぬわけですね。物財費の関係についても、物価が上昇すればやはり物財費にそれだけ反映することになるわけですから、これは値上がりは必至なわけです。ただ決定の場合、前年度に比べて一〇%の値上がりにするか、五%の値上げで決定するかということば未定の問題であるけれども、上げるということは間違いのないことなんですよ。しかも七月に決定しても九月にはもう米は出荷されるわけですから、米代金の支払いもしなければならぬ、そういうことになれば、消費行米価たけ上げて、赤字ができるからいまから措置しておかなければならぬということにならぬじゃないですか。むしろ生産者米価の当然な値上がりというものは——やはりいまの食管会計の扱いからいえば、それは収支上は赤字ということに出てくるわけですから、赤字が予測されるという場合においては当然同時並行的に生産者米価についても予算上触れる、措置するという事前の措置が必要になると思うわけですが、そういう点は全然配慮がされていないと思うのです。そこで、消費者米価だけもうきめてしまったようなものですが、これは実行の段階までに手続上として米価審議会に諮問すると思いますが、ことしはしないつもりですか。米審にも何もかけないで、もう十月一日になればこのとおり上げるということでやるわけですか。
○水田国務大臣 生産者米価は値上げが予想されておりましても、さっき申しましたように、当初予算でこの値上げを予定して予算化するということは非常にむずかしい問題がございますので、例年これはやらないことになっておりました。したがって、例年の例によって、今度もそういうことをやったということでございます。消費者米価のほうは、現在の生産者米価を基礎にして消費者米価の値上げを決定することは、それ自身でできますので、一応そういう予定を立てましたが、これは予算米価でございまして、実際に十月にもし値上げをするとするときには、このしかたについてもいろいろ問題が出てきましょうし、生産者米価の決定のぐあいも、そのときにまた参酌をされるというようないろいろなことが今後出てくると思いますから、実際の米価値土けが幾らになるかということはわかりませんが、予産米価として一四・四%という見込みをつけたということでございます。
○芳賀委員 それでは米価審議会には消費者米価を変更する場合には、事前にはかるわけですね。
○水田国務大臣 当然はかります。
○芳賀委員 その結果、政府の予定した消費者米価に変更を加える、変更しなければならぬという事態が生ずる場合もあるわけですね。絶対に変更にならぬということであれば、何も米審に聞く必要はないわけですから。変更になれば、この食管会計の内容は、これはまた修正しなければならぬわけですね。
○水田国務大臣 これはもう御承知のとおり、生産者米価は最初に予定しないでおいて、そのあとから上がるのでございますから、これを中心にした補正というものは当然行なわれるのが例年のことでございますので、やはり本年度も同様だろうと思います。
○芳賀委員 いま聞いているのは、大蔵大臣は、消費者米価を決定する場合には当然事前に米価審議会にはかってきめる、その結果として予算に計上した十月一日からの消費行米価の価格についても変更はあり得るということを先ほどお述べになったわけですね。ですから変更があるということになれば、必然食管の当初予算のいわゆる消費者米価の部分に対しての予算の修正というものは、これは起きるのがあたりまえでしょう。そうじゃないですか。
○水田国務大臣 消費者米価の問題だけでなくて、生産者米価の問題も合わせてこれは修正要因にむろんなると思っております。
○芳賀委員 消費者米価が当初予算の方針どおりいかないこともあり得る、その場合にはこの予算案というものは、その時点で修正されなければならぬでしょう。その点だけはっきり言ってください。
○水田国務大臣 これは予算米価でございますから、このとおりにいかぬ場合が実際にはある。あったときにどうするかというのですが、消費者米価か決定する以前に生産者米価——新しい生産者米価が決定される、消費者米価の決定よりも前にそれがあるのですから、そういうものとくるめて、あとでこれが予算の補正要因になるということでございます。
○芳賀委員 そうじゃないのですよ。いま政府の予算案の中で、消費者米価は十月一日から上げるということで計上してあるのじゃないですか。それがその時点に変更される場合には、当然予算上の修正というものは、これは起き得るでしょう。その点だけを端的に言ってもらえばいいのですよ。何も生産者米価とからます必要はないのじゃないですか。
○水田国務大臣 変更がなければ予算どおり…。
○芳賀委員 ある場合…。
○水田国務大臣 ある場合は予算が変更されるということになると思います。
○芳賀委員 次に、生産者米価の大体の推定でありますけれども、どの程度ことしは生産者米価というものが上がるという見込みですか、これは所管の農林大臣からお尋ねしたいと思うのです。消費者米価だけ一四・四を上げることを先にきめてしまった。一番肝心な生産者米価というものは、推定してどのぐらい最低限上がるかということは、これはもう計算されておると思うのですよ。おおよそこれが見込みとして一〇%ぐらい上げなければならぬか、まともにやれば一五%上げなければならぬかという、そういう腹づもりは当然あると思うのですよ。この点ほ農林大臣から正直に答えてもらいたい。
○倉石国務大臣 正直に申し上げますと、ただいまのところはまだ、いまお話のありましたように、生産費所得補償というようなことから一つ考えましても、なかなか積算は出てまいりませんし、いまそういうことをやりましても無意味でございますから、いまそれを考えておりません。
○芳賀委員 それではそこまでの配慮がないとすれば、基本的なことをお尋ねしますが、ことしの新しい米価決定の方針については、食糧管理法の第三条の規定に基づいて、精神に基づいて、あくまでも生産者所得補償方式でやるということにかわりはないですか。
○倉石国務大臣 昨年の米価決定のときにもいろいろ御議論がありました。そこで、私どもといたしましては、これからどのような方式で米価について考えをきめるかというようなことは、これからまだ米価審議会にもはかった上できめなければなりませんので、いまここで申し上げるということの段階ではございません。
○芳賀委員 倉石さん、おかしいじゃないですか。経済企画庁長官は生産者米価の点についてはいまの食管制度の規定からいって、これは生産者所得補償方式できめることになっておるので、他産業の労賃が上昇した分は、これは農家の自家労賃に反映しなければならぬ。物価の値上がり部分は、物財費に影響した分は、これは当然採用することになるから、生産者米価の値上がりというものはこれは当然であると、宮津長官はこういうことを言っておるのですよ。ところがかんじんの農林大臣が、どういう基本的な方針できめるかということについてはまだ考えがまとまっていない。あるいは米審に聞いてみなければわからぬというのは、これは全くたよりがないじゃないですか。むしろ経済企画庁長官と立場を異にしたほうがいいんじゃないですか。
○倉石国務大臣 積み上げ方式とか指数化方式とかいろいろ論じられておりましたけれども、結局同じようなもので、積み上げであります。したがって、経済企画庁長官が先ほどここで申し上げましたようなことは、積算の基礎になることは当然でございます。
○芳賀委員 私は、この計算上の小手先の技術を聞いているのじゃないです。食糧管理法というものが現存して、第三条では生産者米価決定の方針が法律でうたってある。第四条では、消費者米価の決定の方針が示されておるわけだから、この法律のある限り、いかに佐藤内閣といえどもこれを無視するわけにいかないと思うのですよ。法律の精神というものは明らかに生産費所得補償方式ということになっておるので、これを動かすわけにはいかないわけなんですよ。それであるが、いままでの政府のやり方を見ると、常にこの精神というものをねじ曲げてきておるというところに問題があるわけですから、ことしはまっすぐな姿勢で、生産費所得補償方式であくまでもやる、この原則の位置づけだけを明確にしてもらいたいと思うのですよ。去年も最後に総理大臣が乗り出して、五十億円か何かつまみ金を出すということを言って、それを、全圏の生産者は一俵当たりにすれば四十八円、これはまあ米価に加算されるだろうと思って、不承不承国に帰ったわけだ。ところが、その後それは米価に対する配分ではないということで、いま地方では混乱しておる事実もあるわけですよ。こういう小手先のインチキを常に米価決定でやるわけですから、これは油断がならないわけです。ね。したがってことしは、原則だけはこの国会を通じて明確にしてもらって、その場合に、採用する都市との均衡労賃の場合には、従来は五人以上の規模であったが、ことしは生産性の向上というものを配慮して三十人以上にするかあるいは公務員や政府機関の職員の諸君の場合には百人以上規模でこれはやっておるわけだから、そこまで公務員並みに上げるということになれば相当の飛躍をしなければならぬと思うわけですよ。しかしまあ残念ながら、いまの政府にはそういう思いやりというものはないでしょう。しかし、いつまでも五人規模以上の男女込みでは相済まぬと思うわけですからして、もう少し、一国の農政を担当する農林大臣として、実のある答弁をこの際しておいてもらいたいと思う。
○倉石国務大臣 先ほど、上げるのか上げないのかとお尋ねだと思いましたので、いまはきまっておりませんと申し上げましたが、御指摘のように食管法第三条及び四条によって、仰せのように筋の通ったまっすぐなやり方をいたします。
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、ことしの米価、審議会の構成が当然行なわれなければならぬが、その際、国会議員を米価審議会から締め出すつもりか、従来同様に扱うつもりか、その点を明らかにしてもらいたい。
○倉石国務大臣 御承知のように、米審の委員はまだ六月まで任期がございますので、委員さんの任期中にやめてもらうとか、やってもらうとかと申すことは失礼だと思いまして、いまそれはまだ検討中でございます。
○芳賀委員 それでは逃げられぬですよ。いいですか、最近、たとえば畜産物価格審議会とか甘味審議会、あるいは繭糸価格審議会等は入れかえが行なわれておるわけです。あるいは米価審議会の場合も、国会議員として衆参両院の承認を得て委員になっておる諸君は、これは参議院は別ですけれども、衆議院議員の場合には解散によってその地位を一たん中断されたわけですから、それは欠員になっておるわけですね。ですから、畜産物価格審議会もいましばしば開催されておる、これは完全に国会議員を締め出したわけですね。ですから、米価審議会の場合にもそれと同じような方針で、国会議員を締め出して、政府が任命した御用委員だけでなごやかにやるというような考えでいくのかどうか、これは重大な点だと思うのですよ、これは明確にしてもらいたい。
○倉石国務大臣 御承知のように、臨時行政調査会から審議会等に関する答申がございまして、私どもは、政府としては、全面的にこの趣旨をあとう限り尊重すべきである、こういうたてまえであるということで、農林省にございます幾多の審議会をいろいろ合併等いたしまして、三つにいたしました。その三つの審議会の委員の方々の任期が切れて、新しく任命するという機会にまいりまして、この臨時行政調査会の趣旨は尊重するほうがいい、こういうことで今度の新しい委員をきめたわけであります。
○芳賀委員 それでは、畜産物価格審議会から国会議員を締め出したことは厳然たる事実ですね。それと同趣旨で扱うということになれば、米価審議会から締め出さなければならぬということになると思うのですよ。この区分けはどうなさるわけですか。
○倉石国務大臣 どうも締め出しということばが何となく気に入らないのでありますが、ほかのほうの三つの審議会は答申にあります趣旨を尊重いたしましたというだけでございます。したがって、米審につきましては、まだどうするかということについては考えておらないわけであります。
○芳賀委員 しかし、米審は国会議員を入れる、ほかの同様の趣旨の審議会には入れないという、こういう器用な区分はできないのじゃないですか。いずれもこれは農林大臣の任命する委員ということになっておるわけですから、臨調の答申を尊重するということになれば、畜産のほうは尊重するが米価のほうは尊重できないということも筋が通らぬと思うのですよ。
○倉石国務大臣 ごもっともな御意見でございますが、何しろ任期中でいらっしゃいますので、任期中の方に例月になったらやめてもらうというようなわけにいきませんので、しばらくひとつ検討いたしたいと思っております。
○芳賀委員 衆議院から出ている委員は、任期中、任期があったってもう国会議員の地位を一たん失ったのですから、ほとんどの諸君がまた選挙で当選はしておりますが、これは欠員でしょう。それはどうしたのですか。
○倉石国務大臣 御承知のように、ただいま米審をわずらわす問題もございませんし、したがって六月に任期が切れるときに、国会議員の皆さん方についても、どのようにしていただくかということについて、各方面の御意向を尊重しながらきめたい、このように思っております。
○芳賀委員 だいぶ苦心されておるようだけれども、きょうはこの点を保留しておきます。ただ私の指摘したい点は、今回、畜産物価格審議会委員が二十五名任命されたわけですが、——これは答弁を聞いていると時間がかかるから私は言いますが、この二十五人のうち、もと大蔵省出身の役人と、もと農林省出身の役人が十名おるわけですよ。二十五分の十は旧官僚ということになっておるわけです。そういう諸君は一体——もちろん学識経験者であるかもしれぬが、これは完全なる政府を代弁する委員ということになるわけですね。大蔵省側のお目付役ですね。農林省から出て原案を支持する役目ということになれば、これは正常な審議会の運営ということはできないと思うのですよ。どうして役人の古手を四割も選ばなければならぬかという問題があるわけですね。そうして残りの分についても、学者の諸君もおりますし、また論説委員、評論家の諸君もおるが、これはわれわれが厳正に判断した場合には、どうしても御用的なにおいがするわけです。あるいはまた消費者代表で女性の方も出ておるが、こういう人は、いままでの実績から見ると、上げないほうにばかり回った議論をして、その法律の目的、趣旨を全然理解しないで、ただ単純に値上げ反対、反対だけの議論をはく委員もおる。一体こういう学識経験者というものは適当かどうかということにも問題があるわけですよ。そうなると、全く国会議員を締め出したという、その場合の審議会の委員構成は、こういう形であってはならぬと思うのですよ。これでは政府の気に入る御用的な委員だけを全部そろえて、そうして結果的には、政府の原案が尊重されました答申が出ました、その答申を尊重してやりましたということで、大事な法律の運営というものを、これを隠れみのにしてごまかすという危険が非常に多いわけです。ですから、われわれも、しいて行政府の諮問機関である審議会に国会議員がどうしても入らなければならぬとは考えておらぬが、政府のいままでのやり方に問題があったから、審議会に学識経験者として出席して、適正な法律の趣旨に基づいた運営ができるようにわれわれはいままでは臨んでおったわけです。ですから、議員が加わらぬということになれば、この審議会の構成——あるいは場合によっては審議会が必要ないということで処理するか、あくまでも国会できめた法律の趣旨に基づいたこの種の運営というものについて、国会の関知しない場所で大事な価格決定等をやることは問題があると思うわけです。ですから、この際、今後の審議会の運営あるいは委員の人選、あるいは決定する場合に国会の議決とか承認を求めるような形にこれを変更する、そういう再検討というものが必要であると思いますが、これは各部門にまたがりますから、総理大臣から所見があれば聞かしてもらいたいと思う。
○佐藤内閣総理大臣 臨時行政調査会がたいへん真剣に公正な答申をしてくださいましたので、それを尊重するということは当然なことだと思います。そこで、そういうものに基づいて、答申を尊重して、そうしてその結果一つの委員会ができる、それについてのいろいろな御批判がございます。しかし国会が関与してこしらえたこの種の委員会だから、国会がどこまでもそれに関与しなければならぬという理屈はどうもないのじゃないか。芳賀さんもそこまでは言っていらっしゃらない。したがって、どこまでも国会がきめたような趣旨で各種委員会が運営されることを心から望んでおられる。またそれがそのとおりでないと、これは国会において御批判を受けることは当然だと思います。ただいまの段階は、行政府あるいは立法府、そういう区分を明確にして、そうして政治が行なわれることが望ましい形ではないか。これは臨調の答申をした基本的な態度だと思います。私は今後とも国会でいろいろ法律をきめられ、また法律の運用等についてそれぞれ議決がされております。それに忠実に行政が行なわれること、これも当然でありますから、今後の問題ではないか、かように私は思います。どこまでも国会の議決、それは尊重しなければなりません。また附帯決議等についても行政府は十分責任を持って、それに忠実に行政を遂行していくということでなければならぬと思います。ただ、いま申しますように、行政府、立法府、やはり区分を明確にすることが望ましいことではないか、かように思います。
○芳賀委員 ただこの際、先ほども言ったとおり、せっかく国会議員の加わらない審議会を編成する場合に、そのうちの半数程度を大蔵省や農林省の古手官僚で埋めなければならぬというような必要性というものはないと思うのですよ。役人をそれだけ入れるのであれば、政府自身がやればいいことですからね。この点を厳格に反省してもらいたいと思うわけです。 次にお尋ねしたいのは、四月一日から加工原料乳の補給金法に基づいた、いわゆるなま乳の価格決定が行なわれるわけです。もう期日が迫っておるわけですが、それに先立って飲用牛乳の価格問題が以前から相当生産者、消費者、両方の立場から論議されておりますが、政府の最近の方針によりますと、農林省が三十九年六月に飲用牛乳指導小売り価格の制限に関する通達を出しておりまして、それによって一合びん一本について二円の限度内の値上げだけでずっと安定してきておったわけです。これを今度は農林省は三月二十四日にこの指導小売り価格というものを撤廃したわけです。これに対して経済企画庁長官は、昨日の衆議院の物価問題特別委員会で、農林省が指導小売り価格通達を撤廃されたことは賛成であるということを述べられたわけです。これによると、今後市乳といわれる飲用牛乳の小売り価格等については、政府として直接適正な行政指導は行なわない、自由におやりなさいということになったとこれは同様だと思うわけであります。これを契機にして、四月一日からある程度市乳小売り価格が値上がりするというような、そういう動きが新聞等にも掲載されておるわけでありますが、どういうわけでこの指導小売り価格なるものを撤廃して、この飲用乳分野だけに政府が行政的な誘導を行なわないかという点に私は疑問があると思うわけです。同じなま乳が生産者から販売されて、飲用牛乳は全体の六割を占めておるが、これを野放しにして、政府は行政責任を全然負わぬ。残り四割の加工原料乳だけについては、補給金法に基づいて、まずなま乳については価格を政府が保証する。生産者団体と乳業者の間における取引基準価格も政府がきめる。生産者に交付する交付金も政府がきめる。指定乳製品の標準的な使用価格についても国がきめる。輸入の場合においては畜産振興事業団が一元的に扱う。そして需給価格の調整を講じて、差益が生じた場合にはそれは事業団が管理するという、こういう周到な措置というものが同じなま乳の四割を占める加工乳部分には講ぜられておるわけです。しかし国民の側から見れば、むしろ六割を占める飲用牛乳の末端価格の安定とか将来にわたっての需給安定がどうなるかという不安というものは、むしろ度合いが高いと私は考えておるわけであります。したがって、この何者の相関関係の上に立って、一体これから政府として飲用乳部門について何ら責任のある取り組みをしないつもりかどうか。この点を明らかにしておいてもらいたいと思うわけです。 それからもう一つの問題は、最近は消費者の側においても安い、純度の高い普通牛乳をあまり好まないわけです。普通牛乳は十八円ですが、それより値段の高い二十円の特別牛乳とか、あるいは二十三円もするいわゆる乳飲料といわれる色もの牛乳を好むわけです。だからほんとうのなま乳によって処理された普通牛乳が全体の消費の五割に至らぬわけです。市乳が高い、高いといったって、実際は高いほうの選択を消費者がやっておるというところに問題があると思うわけですが、この際私は、厚生省、農林省に明確にしてもらいたいわけですが、厚生省の食品衛生法の省令に基づいて飲用牛乳の製品規格というものがきめられておるわけです。それからまた農林省の場合は、補給金法の規定に基づいた省令によってなま乳の規格というものがきめられておるわけです。あるいはまた牛乳取引をする場合は、取引上のいわゆる基礎になる成分規格というものがきめられておって、これが全く不同であります。ですからこの点は、従来同様にするか、現実に即して統一調整するかという問題は、これは非常に重要でありますが、この点については事前に厚生大臣あるいは農林大臣にこの質問の内容を通知してあるわけですからして、ここで私があらためて質問する要はないと思うわけです。ですから、この成分規格の取り扱いの問題等について今後どういうふうに処理するか、これを農林、厚生両大臣から、問題点だけに限って率直に答えてもらいたいと思う。
○倉石国務大臣 昭和三十九年に出しました指導価格というものをやめる、こういうことについて、あとはもうかまわないのかというお話でございますが、芳賀さんよく御存じのように、生産者とメーカーと小売り店との間に長い間いろいろお話し合いがありました。元来この業種は、政府が介入して値段を決定させるべき筋合いのものではございませんし、それからまた、国民生活審議会というものが、物価政策全般の立場から政府の指導価格のあり方について問題が提起されております。したがって、私どもは自由に構成される問題についてはまかせるほうがいい、しかし、いまのような事情でございますからして、これをほったらかしておくという意味ではございません。指導価格というものをやめるにいたしましても、今後も国民生活に関係のある牛乳については、われわれがその安定的供給について努力をいたすことは同様でございます。 それから、いまの生乳の脂肪率のことでございまするけれども、厚生大臣からもお話がございましょうが、農林物資規格上二・八%以上と定めておるところでございまして、飲用牛乳の規格を一律に高い水準に定めることといたしますと、相当部分の牛乳が飲用牛乳となり得ないというおそれもあることはよく御承知のとおりでございますから、私どもはただいま申し上げましたことで足りると、このように解釈しております。
○坊国務大臣 厚生省に対する御質問は、飲用牛乳の脂肪含有率によって規格がきめられておる、こういうものを撤廃したらどうかこういう……(芳賀委員「撤廃とは言っていない。」と呼ぶ)規格を改めたらどうか……。
○芳賀委員 改めるとも言ってないでしょう。不統一になっているが、どういうふうに考えているかと聞いている。聞かぬことは何も答えることはない。
○坊国務大臣 そこで、この問題につきましては、即貧衛生法の趣旨から最低基準として乳脂肪三%ときめておりますけれども、近ごろ牛乳がだんだんとご指摘のとおり脂肪の含有率がふえてきてておる、こういう事実もございますので、この点につきましては、含有率の平均が高まっておりますので、今後十分検討いたしまして、改正の方向へ進んでまいりたいと、かように考えております。
○芳賀委員 次に、農林大臣にお尋ねしますが、加工原料乳の四月一日から実施される価格については、基本的にどういう方針で臨まれるか、まずお尋ねしたいと思います。 その中心は、昨年、一昨年も論議しておりましたなま乳生産農家の自家労賃の評価をいかようにするか、法律上これは米価と同様に、なま乳の加工原料乳の主要な生産地域における他産業の平均労賃を牛乳生産者の自家労賃に当てはめるというのが現在の補給金法の趣旨でありますし、この法律を成立させるときに担当しておった赤城さんが、これは農林大臣としてこの趣旨は明らかにしておるわけです。まあ昨年からようやくこれは実施されたわけでありますが、二年目の今年度の新しい保証乳価を決定する場合には、この点はもう明らかに方針をおきめ願いたいと思うわけです。これは非常に論議のあるところですからして、この際、まず自家労賃の決定というものをどういう方針でやるかという点を明らかにしてもらいたいと思います。
○倉石国務大臣 保証価格のことについて赤城大臣が申し上げましたこと等、その後のいきさつもよく承知いたしておりますが、ただいまこの保証価格等の審議を行う畜産振興審議会も目前に迫っておることでございますからして、これに対する農林省の考え方は急速に決めたいと思いますが、芳賀さんも御存じのように、生産者に対してできるだけ考えてあげるということは必要であると存じますが、この問題については、前の大臣の御発言もあり、とくと研究をいたしてまいりたいと思っております。
○芳賀委員 それは研究の余地はないですよ。法律制定時に、時の赤城農林大臣は、加工原料乳の主要なる生産地域における他産業の平均労賃をもって自家労賃に当てるということを、これは国会で言明しておるわけです。ところが昨年は、坂田農林大臣は、これは政府の役人に押されて、なかなかその趣旨を貫徹できなかったわけです。それで農林委員会が前後一週間この問題だけで論議をした結果、最終的には赤城精神を尊重します——これは佐藤さんの直系ですよ、坂田農林大臣は。ようやく直系がこの赤城精神を尊重して、自家労賃については、米価の場合にはこれは全部市の平均労働賃金ですが、加工乳の場合にはおもなる生産地域、北海道外六県、農林大臣の長野県もそのおもなる生産地域に入っておるわけです。そのおもなる生産地域の他産業労賃と見合った自家労賃にしなければ、いまのような牛乳生産の停滞を打開することはできないのですよ。これは国民経済的にも必要な点ですからして——去年は役人の抵抗にあってどうしてもそこまでいけなかったけれども、来年度からはあくまでも法律の精神を尊重して、加工乳の保証価格はきめますということを、これは国会で明らかに言明しておるわけです。それを今度はまた倉石農林大臣があやふやなことを言うのは全くけしからぬですよ。まあ普通の国務大臣は一年交代ですから、一年に一回しか乳価の決定はないわけですから、何とかごまかせばもう選手交代になると思っておるかしらぬが、政府の責任というものはそういうものじゃないと思うのですね。段階的に実行するという約束がある以上、先ほどは米価については自家労賃は生産費所得補償方式でやるということが確認されたわけですから、同様の生産をするなま乳価格についても、この原則というものが適用されるのはあたりまえのことなんです。まあ大臣として責任が重ければ、これは総理からこの点だけを明らかにしてもらえば、万事おさまると思うのです。総理大臣でいいですよ。
○倉石国務大臣 総理大臣がそこまで御存じでないと思いますから申し上げます。赤城元農林大臣はりっぱな識見を御述べになったのでございますが、さっき申しましたように、事務的にいろいろ検討いたしまして、私どもも善処いたしたいと思っておる最中でございます。
○佐藤内閣総理大臣 いま農林大臣がお答えしたとおり、これは十分生産者、消費者、両者の間にありまして、その需要状態その他いろいろ勘案すべき事情がございます。ただ一方的に簡単にきめるわけにもいかぬから、ただいま慎重に検討している。そのとおりでございます。
○芳賀委員 これは一国の総理としてまことに残念な答弁ですよ。いいですか、昨年の決定方法は、他産業との均衡労賃ということを全然採用しないで、農村における臨時日雇い労賃の一時間百円、一日八百円を牛乳生産者の自家労賃に当てはめておるわけです。ところが他産業の場合は、おそらくことしは時間当たり二百円、八時間労働で千六百円には、これは当然毎月の勤労統計から見てもなっているのですよ、五人以上規模の製造工業で。いいですか。たとえば公務員の賃金をきめる場合も、人事院は何を基礎にしておるわけですか。民間産業の日雇い労賃の八百円を基礎にしているわけじゃないでしょう。百人以の製造規模の平均労賃で人事院は勧告を出しているじゃないですか。ところが一番大事な農業に対しては、他産業との労賃の比較をとらないで、農村における全く未経験、未熟練な日雇い労賃の一時間百円というものを、牛乳生産者の自家労賃に去年は当てはめておるわけですよ。こういう点に、政治の姿勢から見ても、生産者の立場から見ても、絶対これは了承できがたい事実だと思うのです。この現実を無視して、生産者もあることだから相談してなんというものではないのですよ。何のために補給金法というものがあるのですか。何のために法律の条文の中で農家の再生産と所得を確保するということをうたってあるわけなんですか。これは大事な点ですよ。政治不信というものはここから出るのですよ。この原則だけはぜひ総理大臣の責任において明確にしてもらいたいのですよ。幾らにするかということよりも、日雇い労賃でなければならぬという、そういうことは了承できないわけですからして、農業者の自家労働の評価というものはこれは非常に貴重なものですからして、この点をもう少し明確に、真剣な答弁を総理大臣からお願いしたい。
○佐藤内閣総理大臣 いろいろの原則があるようですから、私はそれを一々は存じませんが、それに沿いまして農林省で十分検討してもらうように、よく命じます。
○芳賀委員 次に、畜肉の問題について触れますが、最近病原菌の豚肉をはじめ、不正肉が非常に市場に出回っておるわけです。そういう不正な行為をする者はこれは厳重に処断されなければならぬが、一体政府としての行政責任というものは、これらの事件に対しては全然存在しないかどうかという点ですね。従来の措置を見ると、全くこれは手ぬるいというほかないと思うのですよ。昨日の新聞かに、行政管理庁が緊急調査に乗り出すとあったが、一体政府の部内で、農林省とか厚生省のやり方をこれから行管か調査するなんというのは、これは全く変なことだと思うのですよ。こういうような不正な畜肉の取引あるいはまた販売が行なわれることに対して、一体畜肉の正常な取引というものが、社会不安を伴わないで行なわれておるかどうかということは、これは総理としても、農林、厚生両大臣も真剣に考えておると思うわけですよ。たとえば肉豚の枝肉の取引にしても、あるいは肉の販売等にしても、これは全く市場においても不安が増大しておる。あるいは国民が肉を購入しようという場合にも不安と危険で買うことができない、こういう点で、畜肉の取引あるいはひいては畜肉の生産者にまで大きな不安と経済的な損害を及ぼしていることは御存じのとおりであります。ですから、この際政府として、まだこういうような病菌畜肉というものがどこかに貯蔵されておるとか、あるいはまた今後出回る見込みであるとか、いやそういうことは根絶して絶対ない、国民に安心してもらいたいというような、そういう確信をまた持たれておるか、この二点がわれわれとしては不明であります。行管の部内調査も必要であるかもしれぬが、緊急な問題としては、消費する国民大衆に対して、政府の行政責任を通じて、心配があるとかないとかいうことを明らかにしてもらう必要があると思うわけです。ですから、この際、この委員会を通じて、これらの不正な畜肉というものはもう根絶した、処分が行なわれて、もう絶対これから出回る肉には不安がなければないということを、国民の前に担当大臣から明らかにしてもらいたいと思うのです。せひ農林大臣、厚生大臣から明確にしてもらいたいと思うのです。
○倉石国務大臣 問題のような事件がありましたことについては、まことに遺憾千万でございますが、御承知のようにワクチン豚というのは、年に約一万五千頭使うわけであります。その斃獣は、本来ならば焼却または埋却しなければならないことになっておったわけでございますけれども、せっかくの物資を利用することができるならば、それもよかろうということで、化製工場に送りまして、そのあぶらをしぼって、石けんの原料等にいたさせることにいたしておったのでありますが、こういう制度が円満にいくには、やはりみんなの善意と信頼がなければできないことであります。ところが、今般摘発されましたような不当な事実が起きまして、その筋においても捜査しておるわけでございます。結論から申しますと、この捜査の結果、法律上われわれがさらに検討すべき必要があるようなことがありましたならば、新たに立法措置をいたすことも考えておるわけであります。その前に、まず国民の不安を除いていただくために申し上げますと、現在、日本全体にワクチンメーカーは七工場ございます。そのうち熊本にあります一工場だけが焼却設備を持っておるだけでありまして、その他は持っておらないわけでございます。そこで今般その経営者たちも集まりまして農林省に出頭いたしまして、われわれが先般厳重な通達をいたしましたとおりに至急焼却炉を持たない工場は焼却設備を完成いたします、焼却設備ができるまでの閥は外に出さないで、当該工場内に完全に埋却いたします、埋めてしまいます、そういうことに相なっております。大体一年に一千万頭ぐらいな豚が皆さんに食われておるわけでありまして、そのうちのワクチン豚というのは一万五千頭でありますから、全体から見ますと〇・一五%でございます。豚一匹の形でいえば、しっぽの先のほうぐらいな部分しかないわけでありますが、それにしても、世間に大きな不安をかもしましたことについては恐縮いたしております。いま申し上げましたように断固としてそういう処置を講じ、またメーカーもいま申し上げましたように大いに自粛自戒して政府の方針どおりやりますからして、これから芳賀さんもどうぞ御安心の上、豚をせいぜいお食べくださってけっこうだと思います。
○坊国務大臣 不正肉が小売り屋あるいは加工業者に出回りましたことはまことに遺憾なことでございます。そこで、ただいま農林大臣からお話がございましたように、ワクチンメーカーからは絶対にその残骸は出さないということに、根元におきましてこれをふさぐということで、これはもうそこからは新たには出てこないということをやった次第でございますが、しかし、それまでに出た不正肉につきましては、栃木、千葉、神奈川、東京、京都、大阪、岡山、熊本、これは捜査当局とも連絡をとりまして、ここらあたりに出たのでございますが、これは二十日に小売り屋の一斉立ち入り検査を行ないまして、そしてその結果ができるだけすみやかにもたらされる、こういうことに相なったのでございます。その結果に基づきまして、はっきりと町にも不正肉がもうすでに回っていないということが宣言できるというような過程にまでまいっておりますが、しばらくこの一斉検査の結果をお持ちいただきたいと思います。
○芳賀委員 私の聞いているのは、当委員会の委員の諸君に安心してくださいということを聞いているのじゃないですよ。全国民がこの不正肉の問題について不安感を持って、一体政府としてはこの種の問題をどういうふうに処理してくれるか、政府の行政的な責任というものは何らないものかどうかということで、これは不安を持って真剣に見守っているのですよ。芳賀さん、安心して食ってくださいなんというものじゃないですよ。ですから、この委員会においては事態が明らかになりましたが、これは何らかの形で、国民に向かってこのような事態が生じたということについてはまことに遺憾である、政府としても行政責任上やはり手落ちがあったということを率直に認めると同時に、明日からはもう絶対この種の心配のあるような肉は出回りません、安心して使用してくださいということを、政府の責任で、何らかの形で国民に明らかにする必要があると私は考えるわけですよ。その点を先ほど来、行政的な責任の所在と、もう一つは、国民に不安感を与えないという措置というものはどうあるべきかということを聞いておるわけです。これは総理からでもいいですから……。
○倉石国務大臣 ごもっともでございます。この席を通じて、全国民に御安心を願いたいと申し上げたのでありますが、農林省ではただいまお話しのようなことで、畜産局長から各言論機関、通信社等に、新しくそういう先ほど申し上げましたことをやりますということをもう発表いたしておりますが、なおその点については、十分皆さんに安心していただけるように行政的措置もとりますし、発表もいたすようにいたしたいと思います。
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、農地制度の問題について、農林省として懸案の農地法の改正に取り組む用意が整ったかどうかという点と、もう一つは、いままで十年間据え置きになりましたいわゆる統制小作料の措置をいかように今後取り扱うかという問題、この二点について農林大臣からお答えを願いたいわけです。特に、農地法の制度の改定化の問題については、農業白書にも明らかになっておりますが、昭和四十年の農地の権利移動が面積にして七万七千ヘクタールあるわけです。しかし、これは決して経営規模の拡大には役立っていないわけです。むしろ零細な農地所有身の第一種兼業的な農家が財産保有的な考えで農地の取得を行なっておる。これがこの農地の権利移動の大きな流れであります。だから、移動が円滑に進んで自立農業の拡大に役立つということには全然なっていないわけですから、これらの欠陥というものを十分解明して、やはり現在の農地法の適切な改正に取り組む必要がもう到来したと思うわけです。 それからあわせて、小作料の問題等についても、これは、小作料を改定すれば生産者米価が上がるというようなことをおそれて毎年毎年放置してきておるわけですが、なかなかそういうことでは相済まぬと思うわけでありますから、この点について簡明なお答えを願いたい。
○倉石国務大臣 簡明に申し上げます。 農地制度につきましては、御指摘のような点が多々あるわけでありますが、私どもは、この農地制度——すでに農地管理事業団法が国会に提出されまして二回も廃案になりました関係もありまして、違う角度からも再検討しなければなりませんけれども、この点は芳賀さんもよく御存じのように、農地法の改正については真剣に取り取り組むつもりでございます。 それから、小作料につきましては、御指摘のように長い間据え置きであります。これも今日の実情に合いますように改定することについて検討を加えておる最中でございます。
○芳賀委員 この農地制度の問題とあわせて、私は総理大臣から、農業年金の問題についてその構想を明らかにしてもらいたいと思います。おそらく総理の一月十二日宇都宮市における公約も、この農地制度との関係において、農業の構造政策との関係で、農民年金というものを国民年金から分離させて別途に創設するという、そういう公約の御趣旨であったと思うわけであります。この点は農民に大きな期待を与えておるけれども、政府自身の構想が総理の思うようにまだまだ進んでいないようでありますから、直接佐藤総理から、この一番大事な、農民があげて期待しておる農民年金の構想について、基本的な考えを述べてもらいたい。
○佐藤内閣総理大臣 先ほどお尋ねがありましたように、わが国の農業、これが魅力のある農業、そうして老後も十分安心のいくような制度をここにつくるべきではないか、こういうことを申しました。ただいま農民年金の構想について、この機会に全国民に話をしろということでございますが、ただいま厚生省、農林省、両省におきまして具体的な構想をせっかく練りつつある最中でございます。御承知のように、ただいま国民年金制度がございますし、もちろんこれにおきましても、農民の地位等については、特に考慮されてまいったものだと思います。しかし私は、この国民年金のうちにおける農民の地位というものを十分考えて、やはり農民年金といわれるような制度にすべきじゃないか、かように思っております。これはまだこの段階で、どういう具体的構想かと言われましても、説明するだけの材料を持っておりませんけれども、ただいま申しますように、農業の特殊性にかんがみ、農民の方々が老後を安心して今日農業に携わることができるように、老後を十分安心して生活ができるようにするための年金制度にしたい、こういう考えでございます。
○芳賀委員 ただいまの答弁で、大体趣旨はわかりました。特にこれは全国の農民が期待をしておるわけです。単に選挙に勝てばいいということだけで、選挙公約ではいかぬですから、やはり国民に信用させるために、国民年金から別途に農民年金の制度を総理の構想に基づいて確立する、こういう点を私は信用して、別な質問に移りたいと思うわけです。 次に、農業、林業、漁業を通じての労働力対策の問題です。これは変に考えられるかもしれぬが、農村からどんどん労働力が流出しておりながら、どうして足りぬかということです。現実に農村においても、沿岸漁業においても、労働力が足らないわけです。また作業上、季節的に足らぬわけです。ですから、健全な経営を進めるということになれば、季節的にも必要な労働力というものを確保しなければ農業も林業も進めることができないわけですからして、この点と関連して、政府においては、労働省が中心になって失業保険法の改正を意図されておるわけですね。もうすでに職安審議会にこれは政府の構想をかけた段階というふうに聞いておるが、一体この点は政府の部内において完全に意思統一が出てあのような改正の構想がとられておるかどうか。われわれの判断としては、これは農林省の立場から考えた場合、特に問題があると思うわけですよ。その問題の一つには、いわゆる国が行なっておる国有林の経営の中において、季節的な労働者というものは現地作業の大半を占めておるわけです。これは仕事の性格上、周期的に仕事が継続しておるというような状態があるわけです。これはやはり根本的には、国有林の事業については、その作業員については通年雇用、完全雇用を行なうということで問題の解決ができるわけですが、それまでの段階として、国有林事業を進める場合において、毎年反復して必要な労働力の確保と失業保険との運営というものは、これは非常に大事な問題があると思うわけです。こういう点は、やはり政府部内において個個に問題がある、国の行なう事業の部面に問題があるということは、これは労働大臣も知っておると思うわけですね。あるいはまた農村においても、北海道等は冬の半年は雪に埋もれておるが、春から秋までは全く労働力が足らぬ、そういう場合には、季節的に一定期間労働力を確保しなければならぬわけであります。これが季節労働者でしょう。こういう部面に対して、今度の改正の意図というものは、明らかに現状を無視した改悪であるということが指摘できると思うわけです。だから、この点について、労働大臣の説明というよりも、政府部内において、これは農政上問題がある、国有林の経営上問題があるわけでありますからして、まず倉石農林大臣から、自分の担当してやっておる国有林事業の中でこういう問題があるとか、農業あるいは漁業、林業を通じて季節労働力の確保の面から、今回の労働省の改正というものはこれは明らかに時代を無視した改悪であるというような諸点について、率直に説明してもらいたいと思うわけです。これは農林大臣から、まず問題点を明らかにしてもらいたいと思います。
○倉石国務大臣 失業保険法の改正につきましては、あらためてまだ御相談を受けておりません。ただうわさでいろいろ大体のことを聞いておるだけであります。したがって、ここでいろいろ批判をいたすことは遠慮いたしたいと思います。
○芳賀委員 もう一回はっきりしてください。どういう趣旨だかわからない。
○倉石国務大臣 労働省で失業保険法について研究をしておられるという話は聞きましたけれども、内容にわたって私どもにあらためての御相談はまだございませんからして、ここでとかくの批判をいたすことは差し控えたい、こう申しておるわけでございます。
○植木委員長 芳賀君に申し上げます。あと二分でお約束の時間がまいりますが、御了承願います。
○芳賀委員 もうあと一つ。いまの農林大臣の答弁ですが、それでは農林大臣としては、政府の案が最終的にまとまるまでに事前に労働大臣から農林大臣に対して問題点について協議があるはずだが、まだその協議がないので問題について明らかにすることができない、こういう御答弁ですね。事前協議が必ずあるはずだが、まだ何らの協議はない。協議があれば、林野庁の国有林の経営の問題、あるいは農業の季節労働の問題、あるいは農村からの他産業への出かせぎの問題等については、この改正の意図というものは、これは明らかに改悪であって、断じてわれわれとしては承服のできない諸点があるわけですから、この点を農林大臣からもう一回、事前協議があるはずだという点を明確にしてもらいたい。農林大臣先にやってください。
○倉石国務大臣 そういう労働省の腹案がきまりますれば、政府部内でもちろん御相談があるはずでございます。
○早川国務大臣 目下審議会に労働省案を諮問をお願いしておる段階でございます。事務的にはむろん農林省とは相談しておりますが、審議会の答申を得た上で閣議、こういうことになります。倉石農林大臣の言われるとおりでございます。
○植木委員長 芳賀君に申し上げます。お約束の時間がまいりましたから、簡単に一問許します。
○芳賀委員 わかりました。最後にお尋ねしたいのは、これは国際的な問題にも触れるわけですが、日ソ漁業交渉の問題について、ことしは現条約期間の最終年の交渉でありますからして、しかも豊漁年にも当たるわけですから、政府としても代表を通じて最善の努力をされておるということは推測しておるわけです。この経過の問題もありますが、もう一つは、条約の十カ年間の期限が満了した場合、当然これは改定の措置が必要になると思うわけです。延長の改定をする必要がないという意見を持った国民は一人もないわけですから、これは当然改定するということで日ソ両国は臨むと思うわけですが、その場合、従来同様の内容のままで政府としては改定の交渉に臨む考えであるか、また、内容をさらに自国民の有利になるような方法で条約の改定交渉に臨むかという問題が一つと、もう一つは、これはいままでの、毎年の日ソ漁業交渉の中において、御承知のオホーツク海の公海においてサケ・マスの漁獲の操業を行なわないということが、これが昭和三十四年から取りきめになっておるわけです。もう相当長い年月たっておるわけですが、しかし、これは日本の漁業者の立場から見れば、一日も早くオホーツク海の公海である漁場を開放して、そしてサケ・マスの漁業というものは、もちろん秩序維持は必要でありますけれども、漁獲ができるようにしてもらいたい、こういう要望あるいは連動というものは継続的に行なわれておるわけでありまして、この点については、農林水産委員会を通じて毎年のように私からも問題を提起しておるわけです。ただ従来は、適当な時期を見はからって善処する、実現したいというような程度の答弁はありましたけれども、たまたま条約の期限満了に伴って新たな改定交渉をする時期が到来しておるわけですから、この点についても、もちろん両国間における資源調査等も進められておるわけでありますので、それらの基礎に準拠し、あるいはまた、そのオホーツク海沿岸におけるサケ・マスのふ化放流事業というものを相当積極的に行なって、沿岸の関係漁民諸君も、将来に希望を託してこのふ化放流の事業に資源確保のために協力をしておるわけですからして、この点は総理においても、あるいは外務、農林両大臣においても十分留意されて、日ソの漁業交渉に臨んでもらいたいというのと、もう一つは、従来から問題になっておる専管水域の問題、あるいは領海の問題でありますが、日韓漁業条約を契機にして、日韓両国間においては一定の沿岸地域を限定して、両国間で専管水域の設定が行なわれておるわけです。ところが、最近、アメリカはじめ諸国においても、この専管水域を距岸十二海里を基底にして実現するというような動きが大勢的に動いておるわけでありまして、これに対しては、いつまでも日本の政府としても態度を不明にしておくわけにはいかぬと思うのですよ。あるいは頑迷に領海三海里説だけを唱えてこれが貫徹されるとも考えておりませんので、こういう点についても、領海の今後拡大の問題あるいは漁業専管水域の設定の問題等についても、これはやはり外交的な問題もからむわけでありますけれども、非常に重要な問題でありますからして、この日ソ漁業に関する問題と専管水域との関係について、政府の基本的な方針というものをこの際明らかにしておいてもらいたいと思うわけです。
○倉石国務大臣 日ソ漁業条約は昨年十二月期限が切れておるわけでありますが、双方から通告がなければそのまま継続いたしてまいるわけであります。したがって、ただいま行なっております漁業条約につきましては、現在のところは専門家がそれぞれの分野にわたって折衝いたしておる最中でありまして、御報告を申し上げる自由はありませんけれども、これについては、日本の側にとって主張すべきは当然主張して解決いたしてまいりたい、こう思っております。 オホーツク海の禁漁区のことについても、ただいま専門家会議でいろいろ相談をいたしておる最中であります。 それから、十二海里専管水域の問題でありますが、これは先般、このことでアメリカとわが国との漁業交渉は妥結に及ばないで帰りました。しかし、御承知のように、わが国は三海里を主張して、相手方は十二海里、しかしながら、わが国の漁民が世界各国で十二海里以内のところでかなりの漁業を営んでおることもございますので、われわれが十二海里ということにこだわるということにつきましては大いに検討を要することでございますが、これらのことにつきましては、十分慎重に検討の上、善処いたしたいと思います。
○三木国務大臣 農林大臣のお話のとおりで、領海の幅員も三海里を日本は捨てていないわけです。十二海里の場合も、日本が合意に達した場合のみ漁業区域の設定を認めるということで、合意が達せない場合は十二海里を日本は認めていないという立場が、基本的な方針でございます。 漁業交渉は倉石君の言われたとおりで、いま科学技術小委員会で資源状態の調査中でありますから、まだ御指摘のような条約の改定問題などには入っていない段階でございます。
○植木委員長 これにて芳賀君の質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○植木委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。 昨日、日本銀行総裁の御出席を願うことにいたしておりましたが、御承知のような事情でございましたので、あらためて明日午前十時に御出席を求めることにいたしたいと思いますが、これに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 次会は明二十六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時五十四分散会