予算委員会 第2号
- 発言数
- 58 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1967/03/20
会議録
○植木委員長 これより会議を開きます。 この際、御報告申し上げます。 本日、昭和四十二年度一般会計暫定予算、昭和四十二年度特別会計暫定予算、昭和四十二年度政府関係機関暫定予算の三案が付託になりました。これは、理事会の申し合わせによりまして、本日、総予算とともに趣旨の説明を求めることとなっておりますので、御了承願います。 それでは、昭和四十二年度一般会計予算、昭和四十二年度特別会計予算、昭和四十二年度政府関係機関予算、並びに昭和四十二年度一般会計暫定予算、昭和四十二年度特別会計暫定予算、昭和四十二年度政府関係機関暫定予算、以上の各案を一括して議題とし、政府より趣旨の説明を求めます。大蔵大臣水田三喜男君。 ————————————— 昭和四十二年度一般会計予算 昭和四十二年度特別会計予算 昭和四十二年度政府関係機関予算 昭和四十二年度一般会計暫定予算 昭和四十二年度特別会計暫定予算 昭和四十二年度政府関係機関暫定予算 〔本号(その二)に掲載〕 —————————————
○水田国務大臣 昭和四十二年度予算編成の基本方針及びその大綱につきましては、先日、本会議において申し述べたところでありますが、予算委員会での御審議をお願いするにあたり、あらためてその概要を御説明いたします。 昭和四十二年度予算の編成にあたりましては、先日の財政演説で申し述べました財政金融政策の基本的な考え方にのっとりまして、経済に刺激を与え、景気の行き過ぎを招くことのないよう、中立的な立場を堅持することとし、これにより新しい財政政策の二年掛として、財政の弾力的運営の基本的方向を確立することといたしました。 すなわち、第一に、一般会計、財政投融資ともその規模の膨張を抑制することとし、一般会計はその規模を五兆円以内に抑え、財政投融資は四十一年度当初に対し、伸び率、伸び額ともに四十一年度を下回る規模といたしました。 第二に、公債、政府保証債の発行額を極力抑制することとし、公債の発行額は八千億円、政府保証債の発行額は五千百億円といたしております。この結果、一般会計歳入に占める公債の割合は、前年度の約一七%から約一六%に低下しておりますが、これは、公債政策の節度ある運用を行なおうとする政府の態度のあらわれであります。 第三に、財源の重点的な配分を行なったことであります。 まず、減税につきましては、最近における国民負担の状況及び経済情勢の推移を勘案し、国民生活の安定と企業の体質の強化等をはかることを目的といたしまして、現下の経済情勢に即応しつつ、所得税の減税を中心とし、これに加えて相続税の減税、企業減税、印紙税・登録税の全面改正、税制の簡素化、その他当面要請される諸施策に対応する税制改正を行なうこととし、国税において平年度一千五百五十億円余の減税を行ない、租税負担の軽減合理化をはかることといたしました。 歳出面におきましては、住宅政策の推進をはじめ、道路、下水道の五カ年計画の策定等を中心とする社会資本の整備、文教及び科学技術の振興、農業中小企業の近代化、交通安全対策等の強化、社会保障の充実、輸出振興及び対外経済協力の推進、石炭及び繊維工業に対する対策の確立など重要施策の推進につとめることとし、他方、零細補助金を整理合理化し、定員の増加を真にやむを得ないものに限るなど、経費の効率的使用をはかることといたしました。 以上により編成されました昭和四十二年度一般会計予算の総額は、歳入歳出ともに四兆九千五百九億円でありまして、四十一年度当初予算に対しまして六千三百六十六億円、補正後予算に対しまして四千七百三十八億円の増加となっております。 また、財政投融資計画の総額は二兆三千八百八十四億円でありまして、四十一年度当初計画に対し三千六百十一億円の増加となっております。 まず、一般会計について申し述べます。 歳入予算の総額四兆九千五百九億円の内訳は、租税及び印紙収入三兆八千五十二億円、税外収入三千四百三十六億円、公債金八千億円及び前年度剰余金受け入れ二十一億円となっております。 まず、租税及び印紙収入三兆八千五十二億円は、四十一年度当初予算に対し六千七十五億円の増加、また、補正後予算に対し四千六百十五億円の増加となっております。 この租税及び印紙収入三兆八千五十二億円は、現行税法を前提とする四十二年度の税収見込み額三兆九千三百三十億円から、石炭対策特別会計への税源振りかえ分四百七十五億円及び減税等による減収八百三億円を差し引いた額であります。 税外収入三千四百三十六億円は、四十一年度当初予算に対し三百七十七億円の減少となっております。これは、四十一年度に行ないました農業近代化資金の取りくずし等の特別な収入がなくなったこと及びたばこ消費税率の引き上げに伴う専売納付金の減少等によるものであります。 次に、公債金八千億円は、財政法第四条の規定により公共事業費、出資金及び貸し付け金の財源に充てるため発行する公債でありまして、民間資金需要との調和に十分配意して決定いたしたものであります。 前年度剰余金受け入れ二十一億円は、四十年度に新たに生じました純剰余金を受け入れるものでありまして、四十一年度当初予算に比べ三十二億円の減少となっております。 次に、歳出のおもな経費について順次御説明いたします。 社会保障関係費といたしましては、総額七千百九十五億円を計上し施策の充実をはかっております。 まず、生活保護費におきまして、生活扶助基準を一三・五%引き上げ、その改善をはかることといたしております。 また、児童保護、老人福祉対策の充実をはかるため、保護施設の収容人員の増加、社会福祉施設職員の処遇改善等を行なうとともに、コロニーの建設等心身障害児(者)対策の強化をはかることといたしております。 社会保険費につきましては、福祉年金の年金額の引き上げを行なうほか、近年著しく悪化しております政府管掌健康保険等の保険財政の立て直しをはかるため、保険料率の引き上げ、被保険者本人の自己負担の増額等の緊急措置を講じますとともに、特別の国庫補助を行なうことといたしております。 さらに、保健衛生対策につきましては、精神衛生、原爆障害等に対する経費を増額いたしますとともに、特に、ガン対策、血液対策につきまして、その拡充強化をはかっております。 雇用対策につきましても、失業者の就職促進と労働力移動の円滑化に資するための施策を拡充することにいたしております。 文教及び科学振興費といたしましては、総額六千二百四十六億円を計上し、青少年の健全な育成と科学技術の振興をはかることといたしております。 すなわち、初等中等教育につきましては、学級編制基準の改善、特殊学級の増設を行なうこととし、父兄負担の軽減をはかるため教材費を大幅に増額いたしております。 また、低所得階層の児童生徒に対する就学援助の拡大、僻地教育・特殊教育の振興、学校給食の改善等についても、所要の措置を講じております。 次に、大学教育につきましては、大学入学志願者の急増に対処して、国立大学の学部・学科の新設、拡充により、入学定員の増加三千九百八十五人を予定いたしますとともに、これに即応した施設の整備充実をはかることといたしております。 また、育英貸し付け金につきましては、その資金の拡充をはかり、対象人員の増加、貸与月額の引き上げをはかっております。 私学振興につきましては、特に私立大学学生につきまして、新たに日本育英会から奨学資金の特別貸与を行なう制度を設けることといたしました。また、私立学校振興会の貸し付け規模の大幅拡充をはかるほか、新たに私立幼稚園の施設に対する補助制度を設ける等により、その強化をはかることといたしております。 なお、税制面におきましても、寄付金控除制度の改正、指定寄付金の対象の拡大、収益事業の助成を通じまして、私学の振興をはかることといたしております。 さらに、科学技術の振興につきましても、原子力の平和利用、宇宙開発、大型工業技術の研究開発等の重要研究を推進するとともに、各省の試験研究体制の整備をはかっております。特に、動力炉の研究開発を推進するため、動力炉開発事業団を設立することにいたしました。 また、税制面におきましても、企業の試験研究費の税額控除制度を創設する等により、技術開発の促進をはかることといたしました。 なお、このほか、ユニバーシアード東京大会の実施及び札幌オリンピック冬季大会の準備のための費用を計上することといたしております。 国債費といたしましては、国債の償還及び利子の支払い等に要する財源を国債整理基金特別会計へ繰り入れるため、一千百五十三億円を計上いたしております。 なお、四十二年度におきましては、公債政策の健全な運営をはかるため、新たな構想のもとに減債制度を確立することといたしております。 恩給関係費につきましては、恩給年額の引き上げを行なう等改善をはかることとし、二千百七十九億円を計上いたしております。 次は、地方財政対策であります。 四十二年度の地方財政は、景気の上昇に伴う地方税の著しい増収、国税三税の増収に伴う地方交付税の大幅増加等により、その収支は格段の改善をみるものと思われますが、さらに、たばこ消費税率の引き上げにより二百六十五億円の地方財源の強化をはかるほか、四十二年度限りの措置として臨時地方財政交付金百二十億円を交付し、地方財政の健全化に資することといたしております。 このほか、地方公営企業に対する再建措置等をあわせ講ずることにより、地方の行政水準と住民福祉の一そうの向上を期することといたしております。 防衛関係につきましては、防衛力の計画的整備をはかるため、向こう五カ年間の第三次防衛力整備計画を策定するとともに、四十二年度予算におきましては三千八百九億円を計上いたしまして、国力に応じた防衛力の充実につとめることといたしております。 特殊対外債務処理費につきましては、その実施に必要な経費として三百三十五億円を計上いたしております。 公共投資につきましては、最近の経済情勢にかんがみ、全体の伸びを前年度以下に押えることといたしましたが、その内容におきましては、道路、下水道、空港の整備につき長期計画を策定する等、極力その充実をはかることといたし、約一兆円を計上いたしております。 まず、住宅対策につきましては、住宅建設五カ年計画の線に沿い、公営住宅、改良住宅、公庫住宅及び公団住宅を合わせまして、四十一年度より三万六千五百戸増の三十四万戸を建設するとともに、宅地造成を推進することとし、一般会計の住宅対策費として六百四十九億円、財政投融資計画におきまして住宅金融公庫及び日本住宅公団に対し三千百四十億円を計上しております。 なお、税制面におきましても、住宅貯蓄の助成、住宅取得借入金の金利負担の軽減、貸し家高層住宅建築の促進のための措置をとり、住宅対策の充実に資することといたしております。 また、生活環境施設の整備につきましては、市街地面積の予想を上回る拡大等にかんがみ、総事業費九千三百億円にのぼる下水道整備五カ年計画を策定することとし、四十二年度は、その初年度として、一般会計において二百七十億円を計上いたしております。公園緑地の整備、上水道水源の開発にも特に配意いたしております。 次に、道路整備につきましては、最近の道路事情にかんがみ、新たに四十二年度を初年度とする総規模六兆六千億円の第五次道路整備五カ年計画を策定することといたしました。四十二年度には、一般会計において四千百二十四億円、財政投融資において道路公団等の有料道路事業に二千三百四十二億円の資金を投入することといたしております。 空港整備につきましては、新たに投資規模一千百五十億円の空港整備五カ年計画を定め、特に、航空保安に留意して、東京、大阪及び主要地方空港の整備を促進するほか、新東京国際空港の建設についてもその推進をはかることといたしております。港湾につきましても、既定計画に基づきその整備をはかるとともに、最近の海運の近代化に対処するため、京浜及び阪神地区に外貿埠頭公団を設立し、外貿定期船埠頭及びコンテナ埠頭の整備を促進することといたしました。 次に、日本国有鉄道につきましては、山陽新幹線の建設を推進するとともに、幹線輸送力及び通勤輸送力を増強するため、財政投融資を増額することにし、日本鉄道建設公団につきましても、新線建設を促進するため七百五十億円の事業規模を確保することといたしております。 日本電信電話公社につきましては、旺盛な電話需要に対処するため、加入電話等百六十万個を増設するなど、電信電話施設の整備を進めることといたしました。 さらに、治山治水対策については、既定の計画の促進をはかるとともに、一級水系の指定追加等を行なうことといたしました。 輸出の振興と経済協力の推進は、わが国経済が均衡ある発展をはかってゆく上において不可欠の要件でありまして、四十二年度においても重点的に施策の拡充をはかっております。 すなわち、日本輸出入銀行に対し二千二百八十億円の財政資金を投入し、貸し付け規模を大幅に増額いたしますほか、日本貿易振興会の行なう事業を拡充することといたしております。 また、貿易外収支の改善に資するため、外航船腹の拡充、国際航空事業の育成独化等につきましても格段の配慮を加えております。 経済協力につきましては、海外経済協力基金に対する財政資金を大幅に増額することにし、また、海外技術協力事業団を通じての発展途上国に対する医療協力、農業協力に力を注ぐことといたしております。 また、税制面でも、従来に引き続いて輸出振興税制の充実をはかることにいたしております。 なお、昭和四十五年に大阪で開催される予定の万国博覧会関係の経費として五十四億円を計上し、同時に、税制面では出展企業の準備を容易にするための措置を講ずることとしております。 中小企業の構造改善を推進するため、四十二年度におきましては、財政、税制、金融の各面から強力な施策を講ずることといたしております。 まず、中小企業対策を推進するための体制を整備することとし、このため、中小企業高度化資金融通特別会計と日本中小企業指導センターとを統合し、構造改善のための融資事業及び指導事業を総合的に実施する機関として中小企業振興事業団を新設することにいたしました。 中小企業金融につきましても、財政投融資計画において、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫に二千九百九十八億円を振り向けることとし、その貸し付け規模の拡大をはかっております。また、信用補完制度につきましても、信用保証協会に対する貸し付け原資の増大をはかるため中小企業信用保険公庫の融資基金を増額し、金融の円滑化をはかることといたしております。 また、税制面におきましては、中小企業の体質強化に資するため、青色申告者の専従者控除制度について昭和四十三年よりいわゆる完全給与制を実施するほか、小規模企業共済制度についての改正、中小企業の信用保証制度の助成、中小企業者の機械等の割り増し償却について適用対象企業の範囲の拡大等の措置を講じ、国税において平年度百三十億円の減税を行なうことといたしております。 農林漁業につきましては、その近代化、合理化を推進するため、生産基盤を整備充実するとともに、需要の変化に即応する生産の選択的拡大、経営の近代化、農畜水産物の価格の安定及び生鮮食料品の流通の改善をはかることといたしております。 まず、農業基盤整備費につきましては、四十二年度農政の重点といたしまして、土地改良長期計画との関連を考慮しながら、圃場、農道及び基幹かんがい排水施設の整備を中心としてこれを拡充するとともに、農林漁業を通ずる構造改善事業の推進、農業保険の円滑な運営についても特に配慮することといたしております。さらに、農畜産物の価格安定のため野菜の主産地の育成、食肉供給の増大につとめるほか、生鮮食料品の流通改善のため中央卸売り市場を整備するとともに、新しく流通情報サービスの提供、公設小売り市場整備のための経費を計上するなど、施策の充実を期しております。 さらに、金融面におきましては、農林漁業金融公庫、農業近代化資金及び農業改良資金につき、その融資ワクをそれぞれ拡大するとともに、農業基盤整備等の円滑な推進のため、農林漁業金融公庫の貸し出し金利の一部につきその引き下げをはかることといたしております。 石炭対策といたしましては、四十二年度に新たに石炭対策特別会計を設けることとし、五百二十二億円を計上して対策の飛躍的拡大をはかっております。 おもな内容は、石炭鉱業の合理化過程で借り入れた債務の元利償還資金の補給、再建会社、中小炭鉱に対する安定補給金の交付、炭層探査、坑道掘進に対する補助の拡大、石炭引き取り補給金の交付、鉱害復旧事業の促進、離職者対策等の強化であります。 また、繊維工業につきましては、繊維工業の現状にかんがみ、紡績業、織布業の構造改善対策を進めることとし、一般会計、財政投融資において所、要の措置を講ずることとしております。 食糧管理特別会計につきましては、予算上、消費者米価を十月一日から一四・四%引き上げることとして算定し、なお食糧管理勘定に生ずると見込まれる一千二百三十六億円の損失を処理するため、調整資金として一千二百三十五億円を繰り入れるとともに、輸入飼料の売買に伴う損失を補てんするため、輸入飼料勘定に五十二億円を繰り入れることといたしております。 産業投資特別会計におきましては、日本輸出入銀行に対する出資をはじめとして総額六百十二億円の出資を行なうこととし、これに要する財源に充てるため五百六十九億円を一般会計から同特別会計へ繰り入れることといたしております。 交通安全対策につきましては、交通安全施設等整備事業三カ年計画を大幅に繰り上げ、横断歩道橋や信号機等、歩行者保護を中心とする交通安全施設の整備に重点を置いて交通事故の防止をはかるとともに、被害者救済のための救急医療センターの整備、交通事故相談所の設置等を行なっております。 公害対策といたしましても、公害の調査及び規制に必要な経費を計上するほか、公害防止技術の試験研究に要する経費を大幅に増額するとともに、財政投融資計画におきましても公害防止事業団の事業の推進等をはかっております。 さらに、税制面では、公害防止施設、都市交通緩和のための都心乗り入れ施設等について特別償却を認める等の措置をとることといたしております。 予備費といたしましては、最近におけるその使用状況等を勘案して七百億円を計上することといたしております。 以上、主として一般会計予算について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、経費及び資金の重点的配分と効率的使用につとめ、事業の円滑な遂行を期することといたしております。 財政投融資につきましては、以上のそれぞれの項目において御説明いたしたところでありますが、その原資といたしましては、出資原資として産業投資特別会計出資六百十二億円、融資原資として、資金運用部資金一兆四千九十四億円及び簡保資金二千百億円、合計一兆六千八百六億円の財政資金のほか、民間資金の活用として公募債借り入れ金等七千七十八億円を予定いたしております。 次に、その運用の内容につきましては、輸出の振興、住宅の建設、生活環境施設の整備、中小企業金融の充実等に重点を置くとともに、道路、運輸通信等の社会資本の強化に特に配意することといたしております。また、地方財政につきましても、地方債について必要な措置を講ずることといたしております。 以上、昭和四十二年度予算につきまして、その概要を御説明いたしましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして補足説明いたさせます。 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同いただきたいと存じます。 次に、本日提案いたしました昭和四十二年度暫定予算の概要について御説明いたします。 四十二年度予算につきましては、年度内に成立を見ることは困難であると思われますので、本予算が成立いたしますまでの間、国政の運営に支障を来たさないよう、四月及び五月の二カ月間について暫定予算を作成することといたしたのであります。 今回の一般会計暫定予算の歳出総額は九千三百億円、歳入総額は八千百三十五億円でありまして、千百六十五億円の歳出超過となっておりますが、国庫の資金繰りにつきましては、余裕金を運用するほか、必要に応じ大蔵省証券を五千億円まで発行できるよう措置することといたしておりますので、支障は生じない見込みであります。 次に、一般会計暫定予算編成の方針と概要について申し上げます。 まず、第一に、今回の暫定予算におきましては、暫定予算が本予算成立までの応急的な措置である点にかんがみ、人件費、事務費等の経常的な経費のほか、既定の施策に基づく経費を計上することとし、新規の施策にかかる経費は原則として計上しないことといたしております。また、経費の積算にあたりましては、原則として四十一年度予算を基準といたしておりますが、法令に基づく義務的な経費等につきましては、四十二年度提出予算に基づき、四、五月中に支出を必要とする最小限の額を計上いたしております。 しかしながら、新規の施策でありましても、教育及び社会政策上の配慮等から、暫定予算の期間といえども放置することが適当でない経費がありますので、これらのものにつきましては、真にやむを得ないものに限定して計上することといたしております。おもなものといたしましては、扶助基準の引き上げ、失業対策事業の賃金日額の引き上げ及び大学生の増募に伴う経費であります。 次に、公共事業関係費でありますが、前例等に照らし、四十一年度予算額のおおむね四分の一を目途として計上いたしました。なお、積雪寒冷地の事業その他季節的要因に留意しなければならない事業につきましては、特にその円滑な実施をはかり得るよう配慮いたしております。 また、出資金につきましては、対象機関の損益状況等を勘案いたしまして、特に必要なものに限定して計上することといたしております。 第二に、公債の発行について申し上げます。 四十二年度において発行を予定している公債につきまして、年度間を通じて円滑な市中消化をはかり、市中消化の原則を貫くためには、例年季節的に金融が緩和する四、五月におきまして相当額の公債を発行することがぜひとも必要であります。このような見地から、今回の暫定予算におきましては、四十一年度の四、五月における市中消化の額を目途とし、千八百八十億円の公債を発行することといたしております。 第三に、税制の改正について申し上げます。 四十二年度におきましては、所得税を中心といたしまして減税を実施することといたしておりますが、給与所得にかかる所得控除の引き上げ、退職所得にかかる特別控除の引き上げ等を四月分の源泉徴収から実施することとし、別途法律案を提出いたしております。なお、本年四月末までに期限の到来いたします国税の特別措置等につきましては、本年五月末までその期限を延長することとし、法律案を提出いたしております。 以上、一般会計暫定予算について申し上げましたが、このほか、特別会計、政府関係機関については、一般会計の例に準じて暫定予算を作成いたしております。 なお、財政投融資中、予算に関連のある機関につきましては、暫定予算の措置に即応して運用いたすこととしております。 最後に、地方財政について申し上げます。 今回の暫定予算におきましては、地方交付税交付金について、四十二年度の国税三税の収入見込み額に基づき普通交付税の四分の一相当額を地方公共団体に交付できるようにするとともに、補助金等につきましても、公共事業関係費をはじめ四、五月中に交付を必要とするものにつきましては、前述のように適切な配慮をいたしており、地方財政の運営に支障を来たすことはないと確信いたしております。なお、地方公共団体に対する資金運用部資金の短期融資につきましても、特別の配慮をいたすこととしております。 以上、昭和四十二年度暫定予算について御説明申し上げました。詳細につきましては、政府委員をして補足説明いたさせます。 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同いただきたいと存じます。
○植木委員長 これにて大蔵大臣の説明は終わりました。 引き続き、順次政府委員の補足説明を許します。生計局長村上孝太郎君。
○村上(孝)政府委員 最初に、昭和四十二年度の本予算の補足説明を申し上げます。お手元の資料に予算の説明の参照ページがそれぞれ付記してございまするので、御参考にしていただきたいと存じます。 まず、一般会計予算の規模でございまするが、新年度予算の前年度当初予算に対する伸び率は一四・八%でございます。石炭対策特別会計への振りかえ分を含めた実直規模の伸び率といたしましても五・九%でありまして、四十一年度の伸び率一七・九%を下回っております。また、国債費を除いた実質規模の伸びを見ますると、昨年度の一七・三%に対して一四・五%となっておりまして、これまた大きく下回っております。 次に、国民総生産との比較でありまするが、四十二年度の一般会計予算の規模は、四十二年度の国民総生産の見込み額四十兆九千五百億円の一二・一%に相当しており、四十一年度の当初見通しの割合でございまする一四%を下回っております。また、中央・地方を合わせた政府の財貨サービス購入の経済成長に対する寄与率は一九・六%となると見込まれまするが、これも四十一年度当初の見通しにおける約三〇%を大幅に下回るものであり、経済に対する財政の控え目な態度を示すものと考えられます。 次に、歳入について申し上げます。 税外収入三千四百三十六億円の内訳は、専売納付金千六百十二億円、官業益金及び官業収入百六十一億円、政府資産整理収入二百四十一億円及び雑収入千四百二十二億円となっております。雑収入のうちのおもなるものは、日本銀行納付金五百八十四億円、懲罰及び没収金二百六十六億円であります。 次に、公債金収入でございまするが、財政法第四条第三項に規定する公債発行対象事業費の金額は八千六百九十六億円でありますが、その内訳は、一般会計予算総則第七条に掲げました公共事業費七千四百二十九億円のほか、出資金千百二十三億円及び貸し付け金百四十四億円であります。 なお、公債発行対象経費の金額八千六百九十六億円と公債発行額八千億円との差は六百九十六億円であり、四十一年度当初の三百五十億円に比べて大きく増加しておりまするが、これは、公債発行対象経費にできるだけ多くの一般財源を充当し、公債発行額を抑制しようとすることによるものでありまして、公債政策の健全な運用をはかろうとする政府の姿勢を示すものでございます。 前年度剰余金受け入れは二十一億円でありますが、このうち道路整備緊急措置法第三条の規定に基づき、六億円は道路整備費に充て、これを差し引いた残額の二分の一に相当する八億円を、財政法第六条の規定により、国債償還の財源として国債整理基金特別会計に繰り入れることといたしております。 重要経費ごとに、歳出の内容について御説明を申し上げます。 第一に、社会保障関係でありますが、社会保障関係費七千百九十五億円は、四十一年度当初予算に対し九百七十七億円の増加、伸び率は一五・七%であります。 その内容といたしましては、まず生活扶助基準の改定であります。生活保護費のうち、生活扶助基準の引き上げは一三・五%でございます。これにより、東京都の標準四人世帯に例をとりますと、生活扶助のための支給額は二万六百六十二円から二万三千四百五十一円に増額されることと相なります。 次に、重症心身障害児(者)対策といたしましては、四十一年度に引き続き六百床の国立重症心外障害児(者)施設の整備をはかることといたしております。そのほか、新たに心身障害児(者)コロニーの建設に着手するものとし、土地購入並びに整地のための費用の一部を計上いたしました。 また、新たに低肺機能者、心機能障害者を身体障害者福祉法の対象として所要の経費を計上するなど、その援護の充実を期することといたしております。 福祉年金につきましては、老齢福祉年金を月額千五百円から千六百円に、障害福祉年金を月額二千二百円から二千五百円に、母子福祉年金を月額千七百円から二千円にそれぞれ引き上げるとともに、所得による支給制限の緩和をはかっております。 医療保険対策でありますが、保険財政対策として予定しておりまする保険料率の引き上げは、政府管掌健康保険で千分の六十五から千分の七十二、船員保険で千分の五十四から千分の六十であります。また、一般会計におきましても、政府管掌健衆保険に対して二百二十五億円、船員保険に対し六億円、日雇健康保険に対し三億円の国庫補助を計上しております。 第二に、文教及び科学の振興であります。 文教及び科学振興費六千二百四十六億円は、四十一年度当初予算に対し、八百十三億円の増加と相なっております。伸び率は一五%であります。 まず、義務教育の充実でありまするが、義務教育諸学校の学級編制基準を四十一年度の一学級当たり最高児童生徒数四十七人から四十六人に改めますとともに、特殊学級千二百の増設を予定いたしております。 また、給与費につきましては、基準財政収入額が基準財政需要額をこえる都府県の教職員給与等の政令定額の是正をはかることといたしております。このほか、教材費につきましては、新たに教材の整備充実の目標となる基準を設定し、この基準により整備をはかることといたしておりまして、二十八億円から五七%増の四十四億円へと増額をいたしております。 次に、私学の振興でありまするが、私立学校振興会に対する出資を十二億円から十五億円に、財政投融資を百九十億円から二百四十五億円に増額して、その貸し付け規模を二百四十二億円から三百十億円へと大幅に拡大しております。 このほか、理科教育設備等に対する補助を拡充し、新たに私立幼稚園の施設整備に対し一億円の補助を行なうなど、私立学校助成費といたしましては六十三億円を計上し、四十一年度当初予算に対し約二〇%の増加を行なっております。 育英奨学事業の強化につきましては、日本育英会の行なう貸し付け事業に対する補助を九十六億円から百二十一億円に大幅な増額をいたしておりますが、私立大学の学費の高騰等にかんがみまして、新たに私立大学の学生を対象とする特別貸与制度を設けまして、新規入学者のうち四千六百人を対象に月額七千五百円から一万二千円の貸し付けを行なうことといたしております。 第三に、国債費といたしまして千百五十三億円を計上いたしております。これは、四十一年度当初予算に比べ六百六十四億円の増加となっております。 その内訳は、国債償還のための経費二百十七億円、国債利子八百十八億円及び大蔵省証券割引料六十八億円等であります。また、四十二年度におきましては、公債政策の健全な運営に資するため減債制度の充実改善をはかることとし、毎年度、前年度期首国債残高の百分の一・六に相当する額を国債整理基金特別会計に繰り入れることといたしました。本制度に基づく一般会計の繰り入れ額として四十一億円を計上いたしております。 第四に、地方財政といたしましては、一般会計におきまして、地方交付税交付金八千九百八十一億円、臨時地方財政交付金百二十億円、合計九千百一億円を計上いたしております。 右の臨時地方財政交付金百二十億円のうち、九十五億円は普通交付税の配分方式に準じ、二十五億円はその区域内に存する一定の市町村道の延長により案分して交付することといたしております。 なお、四十一年度の臨時地方特例交付金のうち、第一種特例交付金につきましては、たばこ消費税に移行することといたしまして、たばこ消費税率を四・四%引き上げることといたしております。この結果、たばこ消費税率は二八・四%となります。 第五に、公共事業関係費といたしましては、特別失業対策事業費四十一億円を含めまして総額一兆五億円と相なっております。これは、四十一年度当初予算に対し一千二百四十三億円の増加でありまして、伸び率は一四・二%でありまするが、災害復旧等の事業費を除いた建設改良関係では約一七%の伸びと相なっております。 まず、道路整備事業費四千百三十四億円の財源構成について申し上げますと、ガソリン税収入等の特定財源三千三百三億円、一般財源八百二十一億円となっております。 次に、住宅対策のおもな内容について申し上げますと、政府施策住宅の建築単価を建築物価指数の上昇率に応じて引き上げますほか、改良住宅及び公庫の分譲共同住宅等について、規模を〇・五坪それぞれ拡大するとともに、特に、公営住宅につきまして、中層耐火住宅の割合を従来の三六%から四六%に引き上げ、くい打ち工事等の工事費について大幅な改善をはかり、地方の超過負担の軽減をはかることといたしております。 次に、政府関係機関の投資について申し上げますと、日本国有鉄道の工事規模を四十一年度予算の三千五百億円から三千七百八十億円に拡大しておりまするほか、日本電信電話公社建設費につきましても、四十一年度予算の四千百二十億円を四千九百六億円に拡大することといたしております。 第六に、貿易振興及び経済協力関係の経費であります。 貿易振興及び経済協力費三百六十五億円は、四十一年度当初予算に対しまして八十四億円の増加となっておりまして、伸び率は三〇%でございます。また、このほか外航関係の海運対策として百五十一億円を計上いたしております。 また、日本輸出入銀行の貸し付け規模を四十一年度当初計画の二千三百三十億円から三千億円に拡大することといたしておりまするほか、海外経済協力基金に対する一般会計出資及び財政投融資をそれぞれ四十一年度の七十五億円から九十億円に増額し、合わせて百八十億円の財政資金を投入して、その事業規模を四十一年度の二百二十億円から二百九十億円に拡大することといたしております。 また、万国博覧会関係といたしましては、この開催準備のための経費五十四億円を計上し、その内訳は、政府出展準備費として五億円及び博覧会会場建設費に対する補助四十九億円と相なっております。 第七に、中小企業対策費でありますが、四十一年度当初予算に対し五十五億円増の三百四十八億円と相なっております。その伸び率は一八・七%であります。 まず、中小企業振興対策の推進のために、中小企業高度化資金融通特別会計と日本中小企業指導センターを統合いたしまして、中小企業振興事業団を設立することといたしておりますが、その融資条件は、一般分で融資割合四〇%、金利三分五厘、織布業に対しては融資割合六〇%、金利三分、共同工場及び公害施設については融資割合四〇%、無利子となっております。なお、同事業団に対しましては、一般会計より出資金百四億円、補助金四億円を、財政投融資五十八億円を予定いたしております。 また、政府関係中小金融三機関に対する財政投融資を御説明申し上げますと、総額二千九百九十八億円となっておりまして、その内訳は、国民金融公庫千四百六十億円、中小企業金融公庫千四百七十八億円、商工組合中央金庫六十億円となっております。 なお、このほか、環境衛生営業に対する貸し付け原資に充てるため、二百三十七億円の財政投融資を予定しておりますが、このうち五十九億円は、環境衛生金融公庫が設立されるまでの間、その業務を行なう国民金融公庫に対するものであります。 なお、信用補完制度につきましては、四十年十二月に創設いたしました無担保保険及び連鎖倒産防止のための保険の制度を恒久化することといたしておりまして、さらに、中小企業信用保険公庫の融資基金に充てるため九十五億円を追加出資することといたしております。 第八に、農林漁業関係であります。 まず、農林水産業構造改善対策といたしましては二百六十七億円を計上しておりますが、その内訳は、農業関係二百十五億円、林業関係三十六億円及び沿岸漁業関係十七億円となっております。このうち、農業構造改善事業につきましては、四十二年度新たに五百五十地域において事業に着手いたしますほか、さらに五百市町村を計画区域として指定することとしております。 次に、畜産振興関係といたしましては、酪農対策として、加工原料乳の不足払いの財源に充てるため二十億円、学校給食向け牛乳の補助のため六十五億円をそれぞれ畜産振興事業団に交付することとするほか、乳牛の算入に対する助成を拡大強化する等の措置を講ずることとしております。また、牛肉の、安定的供給をはかるための対策として、家畜導入に対する助成を強化するとともに、繁殖育成センターの設置に対する助成を行なうこととしております。 また、消費者物価対策の重要な課題でございまする生鮮食料品の流通対策といたしましては、中央卸売り市場の整備費を大幅に増額するとともに、公設小売り市場、生鮮食料品集配センター、大規模精米施設の新設等に対し新たに補助を行ない、また、産地及び消費地向けの流通情報サービスを強化する等、流通の改善合理化につきましては特に力を入れております。 なお、農林金融を充実するため、まず農林漁業金融公庫におきまして、貸し付け計画額を四十一年度の千四百二十億円から千六百億円に増額いたしております。また、基盤整備関係資金のうち、団体営土地改良及び一般林道等につき現行の六分五厘の金利を五分五厘に引き下げるとともに、新たに中小漁業経営改善資金の貸し付けを予定しております。 また、農業近代化資金の融資ワクを四十一年度の八百億円から九百億円に拡大するほか、農業改良資金につきましては、そのうちの後継者育成資金及び生活改善資金を、四十二年度から農林漁業用ガソリン税財源の身がわり事業の対象からはずした上、その融資ワクを四十億円に倍増することといたしております。 最後に、石炭対策でありますが、昨年七月の石炭鉱業審議会の答申の趣旨を尊重いたしまして、石炭鉱業の抜本的な立て直しのために、原重油関税の税率一〇%相当分を特定財源として四百七十五億円を石炭対策特別会計の歳入に計上するとともに、収支差額四十六億円を一般会計から受け入れることといたしております。 特別会計及び政府関係機関についての必要な御説明は、一般会計の関連する項目において、それぞれ御説明をいたしましたので説明を省略させていただきます。 次に、昭和四十二年度暫定予算について、補足説明を申し上げます。 まず、一般会計歳出の規模でありますが、四十二年度一般会計暫定予算の歳出は、総額九千三百億円でありまして、四十一年度補正後予算に対する割合は二〇・八%となっております。 この割合が二カ月分の月割り相当をこえておりますのは、法令等に基づく義務的な経費につきまして、四十二年度提出予算を基準といたしましたこと、また、地方交付税交付金については、法律の定めるところにより四十二年度の普通交付税の四分の一を計上いたしましたこと、さらに、公共事業関係費につきまして、四十一年度予算の四分の一を基準とするとともに、積雪寒冷地の事業につき、その円滑な実施をはかるため特段の配慮を加えましたこと等によるのでございます。 一般会計歳入の総額は八千百三十五億円でありまして、その内訳は、租税及び印紙収入六千百三十九億円、その他収入百十六億円、公債金収入千八百八十億円となっております。 租税及び印紙収入につきましては、最近の収納実績等に基づき、給与所得及び退職所得につきまして四月から実施される減税を織り込み、四、五月における収納額を見込んでおります。 なお、四月末までに期限の到来する国税の特別措置等につきましては、これを五月末まで延長することといたしております。 その他収入につきましても、最近の収納実績等に基づき、四、五月中に収納を見込まれる額を計上いたしました。 おもなものは、懲罰及び没収金、日本中央競馬会納付金でございます。 公債金収入につきましては、年度間における円滑な市中消化を確保するため、四、五月において発行を予定いたすことといたしまして、千八百八十億円を計上しております。この額は、四十一年度における四、五月中の発行額を勘案して定めたものでございます。 次に、一般会計歳出のおもなものについて御説明申し上げます。 第一に、社会保障関係費でありますが、総額千百九十八億円を計上いたしております。この経費のうちには、生活保証費、結核医療費、精神衛生対策費、国民健康保険助成費、失業保険費負担金等の役務的経費が多いのでありますが、これらにつきましては、四十二年度における人員、単価を基礎として、四、五月に必要な額を計上いたしております。 生活保護費につきましては、特に生活扶助基準を四月から一三・五%き上げる等の改善を織り込みまして、二百八十億円を計上いたしております。 社会福祉費におきましては、児童保護費、老人保護費、身体障害者保護等の経費につきまして七十八億円を計上いたしております。 また、社会保険費といたしましては、四、五月に必要となる経費について五百三十五億円を計上いたしております。保健衛生対策費につきましては、結核医療費、精神衛生対策費、保健所費、国立病院施設費等につきまして百六十七億円を計上いたしております。 失業対策費につきましては、失業対策事業費四十六億円、特別失業対策事業費七億円、職業転換対策事業費十一億円、失業保険費七十四億円、合計百三十八億円を計上いたしておりますが、このうち、失業対策事業につきましては、四、五月の月平均吸収人員を十五万八千人といたしますとともに、特にその賃金日額を四十一年度の六百二十九円二十七銭から七百十円七十銭と一三%引き上げることといたしております。 第二に、文教及び科学振興費につきましては、総額七百八十七億円を計上いたしております。 まず、義務教育費国庫負担金でありますが、義務教育諸学校における教職員給与費の国庫負担分につきまして、四、五月中に交付する必要のある額といたしまして、四十二年度の定数に基づきます四、五月の所要額三百五十九億円を計上いたしております。 国立学校特別会計への繰り入れにつきましては、国立学校、国立病院及び大学附置研究所の管理運営等に必要な経費の財源に充てるため二百七十三億円を計上いたしております。 なお、大学入学志願者急増に対処するには、学科の新設、拡充、改組等を四月から行なう必要がありますので、大学生の増募とこれに伴う教職員の定数増加等につきまして特段の措置を講じております。 科学技術振興費につきましては、原子力関係費二十二億円、各省試験研究機関経費三十四億円等、六十四億円を計上いたしております。 また、文教施設費につきましては、公立小中学校校舎の不足を整備する等の公立文教施設整備費、公立文教施設災害復旧費、合わせて三十一億円を計上し、教育振興助成費につきましては、義務教育教科書費、学校給食費等三十三億円を計上いたしております。 育英事業費につきましては、日本育英会に対し貸し付け金二十六億円及び事務費補助一億円、合計二十七億円を計上いたしておりまするほか、特に育英事業の緊要性にかんがみ、対象人員の増加、貸与月額の引き上げにつきましても格段の考慮を払っております。 第三に、国債費につきましては、四、五月中に支払い期日の到来する国債利子百五十五億円のほか、大蔵省証券割引料及び国債事務取扱費につきまして四、五月における所要額を計上することとし、総額二百億円を計上いたしております。 第四に、恩給関係費につきましては、四、五月に支給の必要な金額を積算し、総額四百九十一億円を計上いたしております。そのおもなものは、文官等恩給費五十八億円、旧軍人遺族等恩給費四百九億円、遺族及び留守家族等援護費二十一億円であります。 第五に、地方交付税交付金につきましては二千四百五十六億円を計上いたしております。このうち、二千九十六億円は、地方交付税法等の規定に基づき、四十二年度の国税三税の収入見込みにより算出した普通交付税年額の四分の一を四月に地方公共団体に交付することとしております。その財源として、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるものでございます。 このほか、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金三百六十億円を円滑に償還できますよう、その財源として同額を四十二年度の地方交付税交付金のうちから繰り上げて同特別会計に繰り入れることといたしております。 第六に、防衛関係費につきましては、防衛庁費四百七十億円のほか、防衛庁施設費等十一億円、合わせて四百八十一億円を計上いたしております。防衛庁費につきましては、防衛庁の四十一年度末における態勢を維持するため必要な額を計上いたしたものでございます。 第七に、特殊対外債務処理費につきましては三十八億円を計上いたしておりますが、これは、韓国、ビルマに対する無償経済協力費及びインドネシア賠償等の実施に伴って四、五月中に必要となる金額の賠償等特殊債務処理特別会計への繰り入れでございます。 第八に、公共事業関係費におきましては、四十一年度予算額の四分の一を基準といたしますとともに、積雪寒冷地の事業等、季節的な要因に特に留意しなければならない事業について特別の配慮を加えることとし、また、災害復旧につきましては、四十二年度所要額のおおむね三分の一を計上いたしております。この結果、公共事業関係費の総額は二千三百七十八億円と相なっております。 その内訳は、治山治水事業費三百八十五億円、道路整備事業費九百八十三億円、港湾漁港空港整備事業費百七十六億円、住宅対策費百二十四億円、生活環境施設整備費六十一億円、農業基盤整備費三百二十六億円、林道工業用水等事業費五十億円、災害復旧等事業費二百七十三億円であります。 第九に、貿易振興及び経済協力費につきましては、総額二十三億円を計上いたしております。 まず、貿易振興費につきましては、日本貿易振興会等が行なう事業の補助に必要な経費、万国博覧会開催準備のための経費等、合わせて十七億円を計上し、経済協力費につきましても六億円を計上いたしております。 次に、海運対策費でありますが、五十四億円を計上し、その内容といたしましては、日本開発銀行に交付する海運業再建整備交付金、並びに市中金融機関及び日本開発銀行に支給する外航船舶建造融資利子補給金でありまして、いずれも四、五月中に交付または支給を要する額でございます。 中小企業対策費につきましては、中小企業高度化資金融通特別会計への繰り入れ六億円、中小企業信用保険公庫出資金二十億円等、合計二十八億円を計上いたしております。 次に、石炭対策費につきましては、炭鉱整理促進費、鉱害復旧事業費及び炭鉱離職者援護対策費等について十九億円を計上いたしております。 なお、この歳出は、本予算が成立いたしました場合には、新設予定の石炭対策特別会計の歳出として整理されることに相なっております。 また、農業保険費につきましては、四、五月中に現実に支出を必要とする額十七億円を計上いたしております。 次に、農林水鹿業構造改善対策費につきましては、農業、林業及び沿岸漁業それぞれの継続地域分の四、五月に必要な額として四十一億円を計上いたしております。 産業投資特別会計への繰り入れでございまするが、特に日本輸出入銀行の損益状況を考慮しまして、四十一年度の四、五月における出資と同額の三百七十億円を出資することといたしておりますので、この財源に充てるため、一般会計から同特別会計へ繰り入れることといたしております。 予備費につきましては、四、五月中における予見しがたい予算の不足に充てるため五十億円を計上いたしております。 最後に、特別会計及び政府関係機関でありますが、特別会計につきましては造幣局特別会計ほか四十四の特別会計、政府関係機関につきましては日本専売公社ほか十二の機関につきまして、一般会計に準じて暫定予算を作成いたしております。 以上でございます。
○植木委員長 次に主税局長塩崎潤君。
○塩崎政府委員 それでは租税及び印紙収入についての補足説明を申し上げます。 詳細はお手元に配付してございますところの昭和四十二年度租税及び印紙収入予算の説明に詳しく書いてございますので、御参考にしていただければしあわせでございます。 昭和四十二年度の一般会計における租税及び印紙収入予算額は三兆八千五十二億二千七百万円でありまして、この額は昭和四十一年度の当初予算額三兆一千九百七十七億一千百万円に対しまして、六千七十五億一千六百万円の増加となっております。また、これを昭和四十一年度の補正後の予算額三兆三千四百三十七億二千八百万円に比較いたしますと、四千六百十四億九千九百万円の増かとなっております。 この予算額は、昭和四十二年度における租税及び印紙収入予算額を現行の税法によって見積もった場合の収入額三兆九千三百三十億三千八百万円、つまり昭和四十二年度の自然増収額を、昭和四十一年度の当初予算額に対しては七千三百五十三億二千七百万円、補正後の予算額に対しては五千八百九十三億一千万円と見積もっております。その収入額から今回の税制改正に伴う所得税減税、相続税減税、企業減税等による減収見込み額千百三億八千万円より税制の調整合理化による増収見込み額三百億六千万円を差し引いた八百三億二千万円の減収見込み額を差し引き、さらに石炭対策特別会計の税源(原重油関税分)振りかえ額四百七十億九千百万円を差し引いたものが、昭和四十二年度の一般会計の税収予算額であります。なお、この一般会計における予算額に、交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入となる地方道路税、石油ガス税(譲与税)及び特別とん税の予算額と、新設の石炭対策特別会計の歳入となる原重油関税の予算額千百五十六億五千二百万円を合わせますと、昭和四十二年度における国の租税及び印紙収入予算額の総額は三兆九千二百八億七千九百万円となっております。 以上が昭和四十二年度の一般会計における租税及び印紙収入予算額の概要でありますが、その全貌を二つに分けて御説明いたします。 第一に、現行法のもとにおきますところの四十二年度の租税及び印紙収入予算額であります。この予算額は、最近までの課税及び収入状況並びに今後の経済情勢の推移等を考慮して見積もったものでありますが、昭和四十二年度経済見通しに基づきまして、昭和四十二年度のわが国の経済は、均衡がとれ安定した発展を持続して、効率のよい経済と充実した国民生活を実現するものと期待し、国民総生産は対前年度一三・四%、実質九%成長するものと想定して、租税及び印紙収入予算の見積もりを立てております。 すなわち、昭和四十二年度におきましては、鉱工業生産は対前年度一四%と順調な伸びを続け、昭和四十一年度における一五・八%の伸び率に引き続いてかなりの増加を示すものと見込まれますので、物価については卸売り物価はほぼ横ばいに推移するものと想定されるのでありますが、法人税収入は相当の増加が見込まれるのであります。また、雇用や賃金の伸びに伴う給与所得の増加や個人消費等の堅調な増勢にささえられた事業所得の増加などが見込まれますので、所得税におきましてもかなりの増収が期待できます。また、間接諸税につきましても、最近の課税の状況等を勘案して算定いたしましたが、総じて経済の安定的な成長に応じて、相応、の増収が見込まれております。 ちなみに、七千三百五十三億二千七百万円の自然増収額のうちで、法人税が二千九百億二千百万円、所得税は二千二百四十五億五百万円となっておりまして、法人税は自然増収のうち三九・四%、所得税が三〇・五%を占めており、両者で約七〇%となっております。 各税ごとの歳入見込みの詳細につきましては略させていただきまして、第二に、このような現行法による租税及び印紙収入の予算を前提といたしまして行なわれます税制改正の大要と、それに伴いまして生じます科税及び印紙収入予算額の増減収額につきまして御説明いたします。 今回の税制改正は、最近における国民負担の状況や経済情勢の推移を勘案いたし、国民生活の安定と企業の体質の強化等をはかることを目的として、現下の経済情勢に即応しつつ所得税の減税を中心とし、これに加えて相続税の減税、企業減税、印紙税・登録税の全面改正、税制の簡素化その他当面要請される諸施策に対応する税制改正を行なうことといたし、国税におきまして平年度千五百五十二億九千四百万円、初年度千百三億八千万円の減税を行なうことになっております。 その大要は次のとおりでございます。 第一に所得税減税であります。これには重点が二つございます。一つは、夫婦子三人の給与所得者の課税最低限を、現在の六十三万二千円から平年分七十四万円に十万円程度引き上げることを目途といたします所得控除の引き上げでございます。他の一つは、永年勤続者の退職所得の課税最低限を五百万円程度に引き上げることを目的といたします退職所得の特別控除の引き上げでございます。その他の措置も合わせまして所得税減税は平年度千二百八十億五千六百万円、初年度千八十億七千八百万円となる見込みでございます。 第二は相続税減税であります。 これは、配偶者に対する減税と生命保険金の非課税限度額の改正によりまして平年度三十億五千万円、初年度九億千六百万円の減税となる見込みであります。 第三は企業減税等であります。 これには四つの重点がございます。その一つは、技術開発の促進などによる企業体質の改善であり、その一つは、個人の青色申告者の専従者について昭和四十三年からいわゆる完全給与制の採用をはかることを中心とする中小企業の体質の強化であり、その一つは、従来に引き続く輸出の振興であり、その一つは、公害防止及び都市交通緩和のための税制措置による社会開発の促進であります。これにその他の減税も加えまして、平年度二百四十一億八千八百万円、初年度十三億八千六百万円の減税となる見込みであります。 第四は税制の調整合理化であります。 これには二つの重点がございます。その一つは、印紙税・登録税の全面改正であります。印紙税の税率は昭和二十九年以来、登録税の定額税率は昭和二十三年以来据え置かれておりまして、物価水準や経済の実情に即応しなくなっている点に着目し、今回調整合理化の措置をはかる次第でございます。その増収額は平年度三百一億千万円、初年度百五十一億千七百万円となるものと見込まれます。 他の一つは、租税特別措置の整理合理化であります。特別措置については、私学の振興、土地対策の推進、住宅対策の充実等の減税を行なう反面、利子所得及び配当所得に対する特別措置の改正、交際費課税制度の合理化等により、平年度三百十一億四千三百万円、初年度百四十九億四千三百万円の増収となる見込みでございます。 以上のような税制改正の結果、先ほど申し上げたとおり平年度千五百五十二億九千四百万円、初年度千百三億八千万円の減税が行なわれるほか、税制の調整合理化で平年度六百十二億五千三百万円、初年度三百億六千万円の増収が生ずることになりますので、差し引きいたしまして、合計では国税におきましては平年度九百四十億四千百万円、初年度八百三億二千万円の減収が一般会計において生ずるのでございます。 なお、御参考までに、地方税におきましては平年度四百六十四億円、初年度九十八億円の減税が行なわれることになっておりまして、国税、地方税を通じまして平年度二千十七億円、初年度千二百一億円の国民負担の軽減が行なわれることになっているのでございます。 このような税制改正の結果、国民所得に対する国税、地方税を通ずる租税負担率は昭和四十二年度には一八・五%になる見込みであります。これは昭和四十一年度の負担率が一八・三%程度になることと比較いたしますと、税制改正を通じまして国民負担をほぼ横ばいにとどめているものと見られます。 また、直接税と間接税の割合は、昭和四十一年度には直接税が五八・八%、間接税が四一・二%でございますが、昭和四十二年度には面接税の割合が五九・三%、間接税の割合が四〇・七%となるものと見込まれます。 以上が、簡単でございますが昭和四十二年度の租税及び印紙収入予算の補足説明でございます。 次に、昭和四十二年度の暫定予算の租税及び印紙収入について御説明申し上げます。 今回の暫定予算におきましては、租税収入は現行法令に基づき、最近の収入実績を勘案して四月及び五月分を算定して計上いたしました。一般会計の租税及び印紙収入予算額は六千百三十八億八千二百万円でありまして、前年同期の実績五千百十六億二千万円に対しましては千二十二億六千二百万円の増加を見込んでおります。 なお、昭和四十二年度におきましては、所得税を中心といたしまして減税を実施することといたしておりますが、そのうち給与所得にかかる所得控除の引き上げ、退職所得にかかる特別控除の引き上げ等を四、五月の給与所得及び退職所得について実施することとし、別途、昭和四十二年分の給与所得等に係る所得税の源泉徴収の臨時特例に関する法律案を提案いたしております。また、四月末までに期限の到来いたします国税の特別措置等につきましては本年五月三十一日までその期限を延長することとし、期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案を提出いたしております。 以上が暫定予算の租税及び印紙収入予算の概要であります。
○植木委員長 次に、理財局長中尾博之君。
○中尾政府委員 昭和四十二年度の財政投融資計画と、それから財政資金の対民間収支見込みにつきまして補足して申し上げます。 投融資計画のほうは総額二兆三千八百八十四億円でございまして、これは四十一年度の当初計画二兆二百七十三億円と比較いたしますると三千六百十一億円の増加、伸び率にいたしまして一七・八%の伸びでございます。ここ四年間の財投の伸び率は二〇%以上でございまして、特に四十一年度は当初計画で四千六十七億円を増加いたしまして、伸び率では二五・一%ということになっておりましたのに比べまするというと、明年度の財政投融資計画の規模は控え目な線になっておるということでございます。 原資でございますが、まず産投会計の出資は、先ほど御説明申し上げましたとおり六百十二億円でございまして、四十一年度の計画の四百八十億円に対しまして百三十二億円の増加でございます。 次に、資金運用部資金でございますが、これは四十一年度の当初計画額に対しまして千七百三十三億円増加を見まして一兆四千九十四億円を見込んでおる次第でございます。 このうち、郵便貯金につきましては五千六百億円を見込んでおります。それから厚生年金の積み立て金の預託金につきましては四千四百四億円を見込んでおります。 簡保資金は、四十一年度に比べまして四百億円の増加を見込みまして二千百億円を見込んでおるものでございます。 それから次に、公募債借り入れ金等につきましては、四十一年度に比べまして千三百四十六億円を増加いたしまして七千七十八億円を予定しております。このうち、国内の民間の資金を利用する分につきましては、政府保証債の発行予定を五千百億円と見込んでおりますが、このうち一般公募は五千億円で、百億円は調整年金の積み立て金による引き受けを予定いたしておるものでございます。 そのほかに、民間資金の利用といたしましては公募地方債を六百六十億円、それから住宅公団が生命保険会社と信託銀行から借り入れまする借り入れ金等九百五十四億円を見込んでおります。 次に、外貨債等につきましては、四十二年度は世銀借款のすでに契約ができておりまする分の工事の進捗に伴いまする引き出し予定額三百六十四億円を見込んでおりまするほかは、外貨債の発行は外債市場の状況等から判断いたしまして、財政投融資計画の原資としてはこれを予定いたしておりません。 以上の原資を合計いたしますと二兆三千八百八十四億円でございます。 運用面でございまするが、この原資をもちまして四十二年度の財政投融資の運用を行なうわけでございまするが、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、輸出の振興、住宅の建設、生活環境施設の整備並びに中小企業金融の充実に重点を置きまするとともに、道路、運輸通信等の社会資本の強化に特に配慮いたしておる次第でございます。 各機関に対する運用の詳細につきましては、重要な事項は大臣あるいは主計局長のほうからすでにお耳に達しておりますので、別途総括いたしまして、使途別分類表によりまして簡単に御説明申し上げますと、住宅以下、農林漁業等のいわゆる国民生活に最も密接な関係を有する部門に対しまして、先ほど申し上げましたように住宅、生活環境施設等の整備に重点を置きました関係上、これらの部門に対する財政投融資は総額一兆二千六百五十一億円になっております。 それからその次は、使途別分類表の(7)から(10)までの関係で、いわゆる社会資本を形成する部門でございますが、この点につきましては七千二百七十六億円の財政投融資を行なうことにいたしております。特に(8)の道路につきましては、四十一年度に対しまして三九・九%と大幅の増加を行なっております。 また輸出の振興につきましては、先ほどもお話がございましたが、特に配慮いたしまして、総額二千三百七十億円、四十一年度に対しまして四八・六%と大幅に増加をいたしておる次第でございます。 以上で昭和四十二年度の財政投融資計画の総括的な補足説明を終わります。 次に、国庫の収支の見込みについて御説明を申し上げます。 これは、簡単な一枚の紙で表紙のついた「昭和四十二年度予算に関する参考資料」というものをお手元に配付いたしてございまするが、その内容について繰り返し御説明いたします。 そこにございます合計欄の数字のとおり、四十二年度におきましては三百二十億円の散布超過と見込んでおります。 まず一般会計におきましては、前年度剰余金を使用することによりまして過去の蓄積資金の散布が行なわれますので、二十億円の散布超過、食管会計におきましては食糧証券の発行増加が計画されますので、これが千百十億円の散布超過、それから資金運用部、産投会計におきましても三百五十億円の散布超過が見込まれます。以上、合計いたしますと、これらの関係で散布超過要因は千四百八十億円になります。 他方、国庫と日本銀行との間の納付金とか法人税等のやりとり、これが支払いでありましても散布にならない。それから、受け取りましても民間からの吸収になりません。そういう関係を調整いたしまして、その他の特別会計の収支の関係を考えますると、全体で八百六十億円の引き揚げ超過要因が見込まれますので、この二つの要因を差し引きますというと、外為資金以外の国庫収支では六百二十億円の放心超過が見込まれる次第でございます。 最後に、外為資金につきましては、四十二年度中の外貨準備高は増減なし、すなわち外貨収支関係ではとんとんと見込まれるのでございますが、このうちには民間への円貨支払いを必要としない外貨収支が含まれております。したがって、これに見合う金額は国庫収支面では引き揚げ超過になりますので、その関係が三百億円の引き揚げになります。 以上によりまして、これを総合いたしますると、四十二年度の国庫収支全体といたしましては差し引き三百二十億円の散布超過と見込まれる次第でございます。もとよりこの見込みは、予算やその基礎になっておりまする経済見通しがそのとおりに実行され、または実現されて推移することを前提としたものでございます。 以上で予算に関連いたしまする国庫収支の見込みについての説明の補足を終わります。 なお、大蔵大臣より、暫定予算に関しまして、財政投融資中、予算に関連のある機関につきましては、柳定予算の措置に即応して運用いたす旨御説明を申し上げておりまするが、本年四月、五月の暫定予算の期間中におきまして、財政投融資計画のうち予算に関連あるものにつきましては、暫定予算に規定いたしまする措置、すなわち出資でありますとか、政府保証でありますとかいうような措置に即応いたしましてこれが実施されることになりますので、暫定予算の御審議の参考に供するため、この暫定予算に関連いたしまする各機関の財政投融資の見積もりを「暫定予算の説明」の末尾に掲げる予定でございまするので、必要に応じまして御参照いただけますればたいへん幸いでございます。
○植木委員長 次に、経済企画庁調整局長宮沢鉄蔵君。
○宮沢(鉄)政府委員 予算の参考として、昭和四十一年度の経済情勢と昭和四十二年度の経済運営の基本的態度及び経済見通しにつきまして、概要を御説明申し上げます。 初めに、四十二年度の出発点となります四十一年度の経済情勢について申し上げますと、御承知のとおり、わが国経済は、四十年末ごろから立ち直り過程に入り、その後も順調な上昇過程をたどってきております。その結果、四十一年度のわが国経済は、四十年度に比べましてかなりの拡大が見込まれ、経済成長率は、前年度比で実質九・七%程度となる見込みであります。 他方、国際収支につきましては、経常収支におきましては、前年度をやや上回る黒字が予想されますが、資本収支の赤字を差し引いた総合収支は、一億一千万ドル程度の黒字にとどまり、黒字幅は、前年度を大幅に下回るものと予想されます。 また、物価の動向について見ますと、卸売り物価は、非鉄金属等における国際的な価格上昇、一部の工業製品の価格上昇等によりまして、年度間では前年度比四%程度の上昇になるものと見込まれます。一方、消費者物価は、生鮮魚介、野菜等の季節商品が比較的安定的に推移してきたこともありまして、前年度に対する上昇率は、五%程度にとどまるものと見込まれます。 次に、昭和四十二年度の経済運営の基本的態度及び経済見通しについて御説明申し上げます。 四十二年度のわが国経済は、前年度の景気上昇のあとを受けまして、強い上昇基調にあります。反面、国際収支面につきましては、世界貿易の拡大の鈍化が見込まれ、また国際競争の一そうの激化、国内需要の増大が予想されますので、四十二年度の輸出は、前年度ほどの伸びが期待できません。一方、輸入は、国内経済の上昇に伴い、引き続き相当の増加が見込まれますので、国際収支の先行きには楽観を許さないものがあります。 したがいまして、四十二年度におきましては、景気の行き過ぎがないように、国際収支の動向を十分注視しつつ、着実にして安定的な成長を堅持することが必要であると考えられます。 他方におきまして、わが国経済が均衡のとれ、安定した発展を持続して、効率のよい経済と充実した国民生活を実現するためには、消費者物価の安定をはじめ、社会資本の充実、産業体制の整備、農業、中小企業等の近代化、労働力の流動化等経済の体質強化と社会開発の推進をはかることが必要であることは申すまでもありませんが、これら構造的問題の解決につきましては、四十二年度においてその着実な前進を期待するものであります。 したがいまして、四十二年度の経済運営にあたりましては、これらの内外の情勢を認識し、国民経済全体との調和を考えまして、財政規模及び公債発行額を極力抑え、景気に対する財政の中立的な立場を堅持するとともに、物価や国際収支の動向に応じて、財政金融政策を中心とする経済政策の弾力的運用をはかり、同時に、民間経済界における節度ある投資態度に期待することによりまして、現在の景気上昇を持続的な安定成長に結びつけるとともに、経済の体質を強化し、社会開発を推進することによりまして、長期にわたる経済発展の基盤を整備し、国民生活の充実をはかることを基本的態度とすることにしております。また、この場合、経済活動が過度に拡大し、経済の安定成長に悪影響をもたらすおそれが生じてきました場合には、わが国経済の長期にわたる発展の基盤の保持に十分留意しつつ、機を逸することなく、金融面、財政面その他各般の施策を講じて、経済の過熱を未然に防止するよう慎重な政策運営を行なうことといたします。 このような経済運営の基本的態度に基づき経済を運営することによりまして、四十二年度の経済成長率は実質九%程度となることを期待しております。 この場合、まず個人消費支出は経済の安定的な成長に対応して着実な伸びを示すものと思われますので、伸び率は前年度比一三・一%程度となるものと見込まれます。企業設備投資につきましては、製造業部門におきまして相当の増加が見込まれます上に、非製造業部門におきましても引き続き堅調な伸びを示すものと思われますので、投資規模は前年度水準を一四・八%程度上回るものと思われます。また、在庫投資は、経済の安定的な成長に伴いまして着実な増加を示し、一兆円を上回るものと思われ、民間住宅建設も四十一年度に引き続き一九・五%程度増加するものと見込まれます。次に、政府の財貨サービスの購入は、四十一年度に比べ一二・八%増の八兆三千五百億円程度となるものと思われます。 このような需要面に対応する供給面におきましては、まず、鉱工業生産は、四十一年度に引き続きかなりの伸びを示し、前年度比一四%程度増加するものと見込まれます。農林漁業生産につきましては、全体として三・一%程度の上昇となるものと見込まれます。 次に、国際収支でございますが、輸出は、その伸びが若干鈍化し、年度間百九億五千万ドル程度となり、輸入は、国内経済の上昇に伴い、前年度比一四・八%増の八十九億ドル程度に達するものと思われます。したがいまして、貿易収支の黒字は、前年度をやや下回る二十億五千万ドル程度にとどまるものと予想されます。加えて、貿易外収支の赤字が増大するものと思われますので、経常収支全体としては、前年度をやや下回る九億五千万ドル程度の黒字となるものと思われます。他方、資本収支につきましては、前年度に引き続き九億五千万ドル程度の大幅な赤字が避けられないものと思われますので、総合収支において黒字を計上することは、困難と思われます。 最後に、物価につきましては、卸売り物価は、ほぼ横ばいに推移するものと考えております。消費者物価につきましては、その先行きは楽観を許さないものがあるのでありますが、各般の物価対策を強力に推進することによりまして、前年度比四・五%程度の上昇におさまることが見込まれます。 以上、四十二年度の経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして御説明申し上げた次第でございます。
○植木委員長 以上をもちまして補足説明は終わりました。 午前の会議はこの程度にとどめ、午後は二時から会議を再開し、昭和四十二年度の総予算に対する総括質疑に入ることといたします。 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ————◇————— 午後二時十二分開議
○植木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 ————◇—————
○植木委員長 この際、公聴会の件についておはかりいたします。 御承知のとおり、総予算につきましては公聴会を開かなければならないことになっておりますので、この際、昭和四十二年度総予算について、議長に対し公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 御異議なしと認めます。 なお、公聴会の開会承認要求並びに公聴会の開会に関する諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ————◇—————
○植木委員長 これより昭和四十二年度一般会計予算、昭和四十二年度特別会計予算、昭和四十二年度政府関係機関予算を議題といたします。 これより総括質疑に入ります。根本龍太郎君。
○根本委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、当面する重要なる諸問題について政府の所信をお伺いいたします。かなり広範にわたって御質問いたしまするので、答弁はイエスかノーか、簡潔にひとつ御答弁をお願いいたします。 まず第一に、政治道義の確立についてお尋ねいたします。 政治は、道義によって貫かれることによって、初めて国民の信を得られるのでございます。古来、信なくんば立たずといわれるゆえんでございます。ところで、近来わが国の政界並びに官界の一部に不当あるいは腐敗の事実が発生したために、政治に対する国民の信が失われつつあったのでございます。いわゆる黒い霧のきびしい状況下において先般の総選挙が行なわれたのでありまするが、その結果、自由民主党は国民の強い支持を得まして、衆議院において絶対過半数の勢力は得たのでございます。これによって佐藤内閣は再び発足したのでございまするが、選挙の結果を見ると、その投票率は、自由民主党に対する投票率が五〇%を割っておるのでございます。このことは、まだ自由民主党に対する国民の信頼が完全に回復していないという事実を物語るものと思います。このことは、政権を担当しておる与党として、また政府として、深刻に反省し、国民の信を回復するために決意を新たにして対処しなければならぬものと思うのでございます。特にまた、昨今いわゆる黒い霧なる問題が現実の問題としていま司法当局の発動するところとなっておる事実を見るとき、特にこれは深刻に考えなければなりません。これは与党たると野党たるとを問わず、政治家たる者、ひとしく国民の前に謙虚に反省し、政治道義の確立をするということが目下の重大なる政治家としての責任であると同時に、特に政局を担当しておる佐藤総理としては重大なる決意を持っておられると思うのでございまするが、この政治道義の確立についてまず総理の所信をお伺いいたしたいのでございます。
○佐藤内閣総理大臣 いまお話にありましたように、信なくんば立たず、これは政治の基本的な大事な問題だと思います。私は、根本君がただいま述べられたことについて、全面的に同意見でございます。私どもこの上ともみずから反省し、自粛し、自戒し、もって国民の政治に対する信頼を高めようとするものでございます。
○根本委員 総理の決意のほどはわかりましたが、これに関連して若干具体的に今度はお伺いいたします。 それは、従来与党である自由民主党に対し、党内の派閥解消をすべきである、現在における政治モラルの低下と不当あるいはまた腐敗の原因は、党内派閥の抗争にある、これあるがゆえに、人事も、したがって政治の運営も近代化されていない、国民から見れば全く理解のできないことが行なわれておるという非難が強く、これにこたえるために、池田内閣当時、党内に組織調査会が設けられて、特に当時、三木武夫氏が懇望せられてその会長となり、意欲的な研究をいたし、いろいろの提案をなされました。しかし、それにもかかわらず、その実はいまだ完全にあがっていない。しかも、ただいま総理が所信を明らかにせられた立場からするならば、まず与党みずからの政治姿勢を正し、政界の浄化をはかり、党の近代化をはかるということが当然なされなければならぬと思います。しかも、現在の党内情勢は、総理、総裁たるあなたが確固たる信念を持ってやろうとするならば、派閥解消がなし得る条件があるものと私は信じます。派閥解消について具体的にいかなる措置を講じようとするか、これについてまずお伺いいたしたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 政治道義の確立と同時に、党の近代化、これは私の公約でもございます。そこで、党員各位の協力を得まして、近代化を積極的に進める、それには御指摘になりましたような派閥をなくする、このことがただいまの近代化の中心をなす課題だ、かように思っております。そういう意味で、党自身におきまして、この派閥解消について積極的に取り組んでいる、これが今日の状態でございます。
○根本委員 与党として、政治姿勢を正す意味における派閥解消がなされることは必要でありまするが、それと同時に、政界の浄化は、私は、野党もともにその責任を負うべきものと思います。ところが、近来、政界に対する不信の原因が、与党のみならず野党においても派閥抗争があり、かつ選挙に多くの資金が要るということによって政界の腐敗がまた誘発されておるところにあると見られるのでございます。そこで、国民の世論は、ここで金のかからない、そうして政党本位の選挙制度に変えるべきだという世論があり、またこれを受けまして、日本のジャーナリズム、さらには選挙制度調査会も、これに即応したところの小選挙区制度を提唱しておるように見られます。しかるに野党の諸君は、最近になりまして、その党略的立場から、小選挙区制反対、そのために、これを唯一の共通の場として野党連合すらなそうとしておるのであります。私は、政治家が国民に対して政治姿勢を正すということを唱えるならば、当然に、謙虚に国民の要望するところの政治の場をされいにするためにも小選挙区制度をとるべきであると思います。もとより、与党内においてもこれには反対論がありまするけれども、現下の情勢から見まして、私は、選挙制度調査会が客観的立場において、国民の立場において決定されたならば、総理は、これをすなおにそのままに立法して、謙虚な感度で国民にその政治姿勢を正すという責任があると思いまするが、これに対する総理の所見を承りたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま政界の浄化についてお触れになりました。国民諸君が最も望むものは、政界の浄化にあろうと思います。そういう点で、わが党は、もちろん積極的に、党として可能な事柄について、この浄化の努力をしてまいります。他党のことは、私がかれこれ申しません。しかし国民自身が、この政界の浄化の実をあげたかどうか、そういう審判を下すべきものだ、かように私は思いますので、各党とも国民の要望する至上命令に沿っての行動をとるのは、これは当然だろうと思います。 そこで、具体的なものとして、金をかけないような政界でありたい、そういう意味の選挙をやるべきだ、そこで最後に小選挙区制が金のかからないことではないか、こういうような結論でございまするが、私は、ただいま政界の浄化、そのためには選挙を正すことだ、そうして金のかからないような選挙制度を実現することだ、こういう意味から選挙制度調査会にいろいろのお願いをして、ただいまそれを調査願っておる次第でございます。いずれ近く政治資金の問題をも含め、また選挙区制などの問題を含めての選挙制度調査会が答申を出されると思います。いま諮問をお願いしておる際でありますから、私の意見を申し上げるよりも、この選挙制度調査会が自由に調査を進められることが望ましいことだと思います。 そこで、政府自身は、大事なことは、答申があったらすなおに、謙虚に、これを法制化して、立法化して、そうして皆さん方の御審議をいただく、このことが望ましいのだと思います。政府自身も、すなおに、謙虚に、こういう問題と取り組むつもりでございます。各党におかれましても、どうかこの政界の浄化、そういう国民の至上命令に沿っての措置でございますから、十分こういう問題は謙虚に批判もし、同時にまた建設的に意見を交換していただきたい、かように私は思います。
○根本委員 次に、民主政治の基本的態度について総理の所信を承りたいのであります。 自由経済を土台としまして、議会主義民主政治をもってその国を運営するというのが、いわゆる自由主義陣営における共通の政治理念でございます。これは長い人類の歴史的経験に基づいて得たところの政治的英知によって築かれたものと思うのでございます。これは、人間は自由なる社会においてその創造的意欲とその能力が最も有効に発揮されるという事実に基づくものだと思うのであります。しかし、この自由社会におきましては、必然的に生存競争、したがって優勝劣敗が出てまいります。そのために階級の対立、分化が行なわれる。自由社会におきましては、自由なる企業は認めていくけれども、能力あるものは、そのために経済的にも社会的にも有利な地位には立ちます。しかし、能力のあるものが社会的に得たところの所得を全部そのままその人間に帰属せしむることなく、その相当の部分を国が租税として取り上げて、これを国家が総合的見地に立って国民並びに国家の繁栄に資する、そうして能力の劣ったものに政府の力において生活を保障し、あるいは社会的、文化的な恩恵を与える、これが政治のあり方でございます。 こういう立場からするときに、自由社会において一番の問題は、人権の尊重と自由を擁護するということでございます。もし自由社会において、自己の権利と利益のために他人の権利とその自由を侵害するということが許されるならば、これは民主政治の基本がくずれるのでございます。政治は元来妥協といわれまするが、いろいろの政策については妥協がありまするけれども、この民主社会の一番の基本である個人の人権と自由を侵害することだけは、断じて妥協してはならないのです。必ずこれを守らなければならない。これはすべての国民の責務であると同時に、特に国の政治の責任にあるものの崇高なる国民に対する義務であると思うのであります。 しかるに、戦後日本の民主主義はいわば与えられた民主主義といわれるような状況でありまするので、いまだ真の人権尊重が国民に定着しておりません。そのために、自己の利益あるいは自分の属する集団の利益のために他人の人権もしくは利益を侵害してあえて異としないところの風潮があるのでございます。特に労働運動の名において、あるいは政治結社、団結の自由の名においてこれがなされておる。これをこのままに過ごしていくならば、経済的繁栄も、社会福祉国家の建設に対するいろいろの努力も、これはすべて槿花一朝の夢となってくずれ去っていくと思います。総理は、政治のモットーとして寛容と調和ということを言われておりまするが、これはどこまでも法秩序を厳然として守り、社会秩序を守るという前提に立ってのみ私はこれは許されるべきであろうと思います。この意味において私は、民主政治のあり方に対する総理の御所信と、また現実にこの社会秋序を守る現在の国家機構において最高のいわば行政的責任ある法務大臣の御所見を承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 民主政治、これはただいまの御意見のありましたとおり、人権と自由を尊重する、これが守られなければならないこと、これはお説のとおりであります。しかも、これが守られるそのもとにおいては、法秩序が守られるというか、法の秩序のもとにおいて人権、自由が守られるということであるべきだと思います。お説のとおりだと思います。
○田中国務大臣 近代の民主国家におきましては、国民はすべて何ものによっても奪われることのない権利と自由を持つ。しかしながら、その権利と自由は、また同時に、他人の権利と自由を侵さない義務を伴うものである。これは近代国家における施政の基本となるべきものであるということにおいて、御意見に全く同感でございます。
○根本委員 次に、私は総理に対し、国政の運営にあたっての総理のリーダーシップについてお伺いいたします。 この件につきましては、すでに本会議場においてわが党の西村政調会長が触れられまして、総理の決意のほども表明せられましたが、しかし私は現下の情勢にかんがみて、非常に重大なことでありまするので、具体的にひとつ総理のお考えを伺いたいと思います。 それは、まず第一に、政策決定についてでございます。従来、わが党におきましても、国の重要なる政策につきましては、政調会その他で慎重に審議をして、党の政策が策定されます。内閣におきましては、閣僚の皆さんが非常に御努力なさって、その所管事項について重要政策が提示されて、最後に閣議においてこれが調整される、これは事実であります。しかし現在は、一つの歴史的な大きな構造変化の時代とさえいわれる。これは国際的にも国内的にも大きな流動的な変革の時期だと思います。これに伴いまして、政策も、国政全般にわたることのうち、特に重点を指向していかなければならぬものと、一般行政的にやっていいものと出てくるわけであります。そこで、総理のリーダーシップなるものは、まず現在当面しておるわが国の内外の諸情勢に基づいて、これぞという重要なる問題については総理みずからが決定し、それに基づいて関係閣僚並びに行政機関がそれぞれの具体的な措置をあとづけするというようなことであるべきだと私は思います。現在世界の多くの国々において、国の最高の指導的責任者においてこのようなことが要求せられ、もしそれをなし得ないところの指導者は次々と退陣せざるを得ない状況にあるものと思うのであります。 私はまずその意味において、総理がこの政策決定においていままでのような官僚機構あるいは党の機関によって出されたものだけを調整するということから一歩進めて、みずからの政治的見識と責任において決定するという態度をとられるかどうか、これをまず伺いたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまのたてまえのもとにおいても、総理、総裁としての権限はたいへんなものでございます。そういう意味でリーダーシップを発揮しろ、かように言われるのだと思います。申すまでもなく、私どもは民主政治を行なっている。したがって、民主的にそれらのものが決定されること、これは当然であります。しかし一方において、その権限があり、同時にそこに責任の所在が明らかにありますような問題につきましては、私どもが、総理がリーダーシップをとる、これは当然のことであります。
○根本委員 重ねて、これに関連してお願いしまするが、近代国家はいわゆる行政権限がそれぞれ法律によって分割されていることも事実です。しかし、わが日本憲法は明治憲法と違いまして、現存総理には非常に大きな権限が与えられておるのであります。いわば内閣の首班は国の元首に相当するほどの法律に基づく、憲法に基づく限りオールマイティとも言うべき権限が与えられております。これは閣僚の罷免権さえ与えられておるのでございます。このことは何を意味するかというならば、私は、民主政治は、その国の重大なる問題を決定する人間を選ぶためには、国民の自由なる意思によって選ばれるけれども、最高の権限をゆだねられた者は、みずからの責任においてこれを決定する権限があるのみならず、責務があると思います。もし、これをやることができなかったならば、これは、私は、民主政治の一面の大きな機能をなくすものだと思います。 具体的に申しますれば、現在の問題において、たとえば行政機構の問題でございます。行政機構の改革、これは現在変転する国際並びに国内の諸情勢に対応して常に流動的に機構を変えていかなければならぬものだと思います。現在民間の企業においては、技術革新一つ起こるたびにも機構を変えて、そうして対処しようとする。ひとり国家の機構は、一たんきまるならば、これによって動かない。なぜかならば、官僚並びにこれによってリードされる利害団体が常に抵抗することによって、もっと機能的機構になすべきことが阻害されておる。このようなときにあたって、行政機構の改革を官僚にまかせるというほど無意味なことはないと私は思う。これこそ政治家のやるべきこと、これこそ私は総理みずからやるべきことであると思うのであります。 また、もう一つ具体的に言うならば、行政権限はすでに明確にその責任が規定されておるといっておりますけれども、現在の日本における交通戦争の処置についてでございます。年々二万人以上が死んでおります。五十万人以上の人間が負傷しております。日清、日露の戦争の被害よりも、より深刻であります。しかもこれが年々行なわれつつあります。しかもこの交通戦争を終息せしむるためには、制度のそれぞれの機関が、それぞれの権限を持って、一生懸命やっておることも事実であります。事実ではありまするけれども、問題を解決でき得ないということも事実であります。これは単に行政の問題ではありません。これに対してはもとよりすべての国民が注意しなければならぬことでありまするけれども、このような問題についてこそ、総理がみずから陣頭に立って基本的方策を示し、必要とあらば立法措置をし、予算措置もし、そうして国民に真に人命尊重——総理が言われるこの問題については、即刻にリーダーシップをとって処置すべきであると私は思うのであります。もとより総理はこの交通戦争については相当の意欲的な姿勢を示しておりまするけれども、あらためて私はこの具体的事実についての総理のリーダーシップについての所見を承りたいのでございます。
○佐藤内閣総理大臣 リーダーシップについて重ねてお尋ねがありますので、私の考え方を率直に申し上げます。 先ほど申しましたように、民主的な民主政治、これは守り抜かなければなりません。リーダーシップだということと、独裁者になってはならないということ、ここは私も区別していくつもりであります。お尋ねになりました根本君にも、さような意味の混淆はないと思いますが……。 そこで、一つの具体的事例で行政改革の問題にお触れになりました。機構の改革、これも新しい仕事が起きますと、これは今後総合的に効果を発揮する必要のあるもの、そういう問題が幾つもぶつかるのであります。在来のセクショナリズム等であるとこれが解決しない、こういう問題に当面をいたします。そういう際に総理がリーダーシップをとる、最も好適な例だと思います。現に下水道の問題、浄化装置の問題等について今回断を下しましたが、そういう意味でこれはもう官僚にまかすべき事柄ではない、かように私ども考えております。 また、ただいま交通戦争の処置についてお話がございました。これに関しては、いわゆる権限争いというものはあまり見受けません。しかし、この交通戦争をなくする、まあ勝利に導くと申しますか、そのためには総合的な協力が最も必要であります。そこで私は、この二年前、内閣、政局を担当するようになりまして直ちに国民総ぐるみ運動を展開することにいたしました。これは政府機関ばかりでなく、国民自身、国民の積極的協力がなければ交通戦争、交通の災害防除、これはできない、かように思って、非常に規模の大きな総合的な運動を展開してまいったのであります。昨年は成績があがりませんでしたが、一昨年はたいへん成績があがったように思います。そこで、ことしも総合的な総ぐるみ運動、これを強く展開するつもりでございます。こういう点は各省関係の権限争い——そういう場合に積極的に解決をすることも仕事でございますが、なお各省の機能を結びつけて、そうして積極的に成績をあげていく、効果をあげていく、こういうようにいたしたいと思います。まだまだ不十分でございますが、私は、私どもの政府、また私自身のやり方等につきまして皆さん方の御批判を謙虚に伺うつもりでございますし、ただいま言われるように、国民のために能率的な、また効果のある政治をぜひいたすようにいたしたいと、かように考えております。
○根本委員 その次に、私は政党の政治責任についてお伺いしたいと思います。 現在、政治道義、政治モラルの高揚が要求されておるのは、個人個人の政治家についてのみならず、私は政党についてその政治責任を問われなければならぬと思うのであります。特に、日本においては政党の責任政治がはたしてほんとうにとられているかどうか、これは大きく疑問とされるところでございます。何か起これば政治家個人に責任を転嫁する、これをやめさした、除名した、これだけで解決しようとする空気さえあります。これも必要でありまするけれども、もっと私は政党というものは国民に対して政治の責任をとらなければならぬものと思います。これは与党であると野党であるとを問わず、なされなければなりません。なぜならば、国民は、政党に対して信任するがゆえに国民の持っておる最大の権限であるところの国家主権をゆだねておるからであります。ところで、こういう観点からするならば、政党は何によって国民からその信を得るか、いわゆる何を担保として国民からその国家主権をゆだねられるかというと、これは結局その政党の綱領、政策だと私は思います。綱領、政策によって国民はその政党を支持し、あるいは支持せずということになるのでございます。こういう点から見るときに、私はわが国における社会主義諸政党のあり方について問題があると思うのであります。なぜならば、本来社会主義をもってその国の政治に当たらんとするものは、少なくともその綱領、政策について、その理論に基づくところの政策、綱領を国民に示さなければならぬはずであります。しからば、端的に申しますならば、社会主義の諸政党は、自由主義社会におけるいろいろの欠陥を、自由主義経済理論、自由主義政治理論をもっては解決ができないから、これにかわって社会主義的経済理論、政治理論をもって解決するということがその本来の面目であらねばなりません。しかるに、現在の日本の革命的社会主義をもって任ずる諸政党が、そうしたことを明確に国民に指示しておるであろうかどうか、これは大きに疑問とするところであります。もとより革命政党と自認する政党にとっては、国民に示すところの政策なるものは、これは政権をとるまで、あるいはまた革命を遂行するために手段として示しておるにすぎないというように言うかもしれません。もしそうであるとするならば、これは明らかに政治の責任を回避するものといわなければなりません。私はこの意味においてまことに重大なる問題だと思います。政府は国民の善意と国民の権利を守る立場にあるのであります。その観点からするとき、政府が、社会主義政策をもって立党の精神とする諸政党のいろいろの提案については、政府自身がただ単にこれは賛成だとか反対だというような結論だけを申し述べる問題ではなくして、われわれの政策はいかなる理論的根拠に立ってやるのであるが、社会主義政党において出されておるところの提案は、いかなる立場においてわれわれとその立場を異にし、目的を異にするか、もし社会主義政策の立場からするなら当然こうあらねばならぬというところまで丁寧に解明して、国民にその責任を明らかにする必要があると私は思うのでございます。 いずれ私は物価問題等について触れるときにこれに一言触れていくのでありますけれども、私は、政府を担当する者は、単にただいま申し上げたように他党をけなすという意味ではないのです、これは、ほんとうに国民の善意と国民の権利を守るために、もっと親切に政策の基礎について解明して、その立場を明らにする必要があると思うのでございます。総理の所信を伺いたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。 なかなか高遠な考え方から発想した御議論のようにお見受けいたしました、聞きましたが、まあ、他党のやり方についてとやかく私はこの席で批判することは差し控えます。しかし、この政治、これは申すまでもなく国民が主権者であります。主権者は、各政党の理念、理論、これを基礎にいたしまして、そうして判断をし、与えられた機会に厳粛なる審判を下すものであります。したがいまして私は、同じような結論が出ている、その結論だけに私ども政治家が賛成だとかあるいは反対だとか、かように申すだけでなく、主権者たる国民はもっとさかのぼってその基盤についての批判をもして、そして政策論争に断を下されるのだ、かように思っておりますので、これはどこまでも、ただいまのお話にありましたように、主権者たる国民の利益、権利を守る、こういうことで各政党が真剣に取り組まないと、国民の審判が時に予想しない方向に下るのだ、かように私ども思います。主権者は国民でございますから、国民のための政治をする、そういうことで私どもは一そう励まなければならない、かように思っております。
○根本委員 次に、防衛問題についてお尋ねいたします。 政府は国土と国民を他国の侵略もしくは他国の間接侵略に基づく国内の暴力革命から守る嵩高なる義務があるのでございます。ところで、敗戦後わが国においては、国の防衛を論ずることがそれが直ちに軍国主義の復活だとか、あるいはまた国の防衛力を廃棄することこそが実はこれが平和国家に行く道だという極端な議論すらなす者が相当おるのでございます。このような議論は明らかに現在人類が到達し得る歴史的段階を無視するものであり、国際政治の実際から遊離したところの空論であるといわなければなりません。 ところで、従来わが国の左翼陣営の人々がいわゆる平和友好国家と称する国々においてすら、いわゆる高度の国防国家に変貌しておるのであります。これは後ほど防衛担当大臣からお聞きいたしたいと思うのでありまするが、その国の全体の国民所得に対する防衛費の負担の状況から見てもわかることであり、国民皆兵の制度が、この平和友好とせられている共産圏陣営において非常に著しいという事実、この事実も私は率直に国民に示して、いわゆる単なることばにおける平和国家なるものと現実の姿というものを明確に示して、国民の公明なる判断の資料に供すべきであると私は思うのでございます。 わが国が戦前において誤れる軍国主義の指導のもとに戦争に突入し、歴史上かつてない敗戦のうき目を見て、そのために国民が塗炭の苦しみを受けたという経験からいたしまして、戦後国民の一部には国の防衛力即これはおそろしいものだというような感じすら与えたことも事実であろうと思います。しかしながら、先ほど申しましたごとくに、国の防衛は、政府の最大の、そうして第一番のこれは義務であります。国民に対する義務であります。ところが、戦後、ただいま申し上げたような状況において、政府自体も国民も、防衛を論ずることがあたかも軍国主義の復活だ、あるいはまたこれは平和に反するものだという一つのムードに押し流されて、大事な国家独立のための防衛問題が、意識的にあるいは無意識的に回避されておるということは、まことにこれはふしぎなことでございます。これはおよそ欧米諸国をはじめとする新しい独立国家においても見られない現象でございます。政府といたしましては、この日本の防衛について率直にそして正直にその事態を明らかにし、そうして国民とともにこの祖国を守るという態度を明らかにすべきであると私は思います。 この意味において、最近政府が第三次防衛計画を策定し、これに対する決定がなされたということは、まことに時宜を得たことと存じますし、これによって日本は自由主義陣営からは信頼を受け、また日本の内部崩壊に基づく革命を期待するものについてはその野望をなくすることになり、国民に安心感を与えるという結果になるものと思うのであります。時宜を得たものと思いまするが、この第三次防衛計画に対するところの総理の眼目とするところ、これは総理から、第三次防衛計画の大綱については防衛庁長官から、御答弁を願いたいのでございます。
○佐藤内閣総理大臣 平和を念願しておること、これはいずれの国民にも劣らない日本民族の願望であります。しこうして、平和のためには、まずその国の安全を確保しなければならない。安全の確保ができなくて平和はございません。そういう意味でわが国の防衛問題は考えられてきておるのであります。いずれの国に対しても脅威は与えない。攻撃的なものではない。どこまでもわが国の安全を確保するのだ。これは、わが国に関する基本方針、三十三年かに定められましたもの、その基本方針に基づきまして、そして第二次防衛計画が樹立され、今回は引き続いて第三次防、五カ年計画に取り組むことになったのであります。これは申すまでもなく、わが国の国防は通常兵器による局地的侵略を抑止する力、これを持とうとするものでありまして、これが攻撃的なものでないことはよくおわかりだと思います。そうして、その規模等につきましては、国力、国情に応じてこれをきめるということであります。この点では、申すまでもなく政府だけの国防計画であってはなりません。または自由民主党だけの国防計画であってもなりません。国民全体の防衛計画でなければならない。だから、国力、国情に応じてというところに限度もあるわけであります。そういう意味で、今回第三次防衛計画を樹立いたしたのであります。国民の御協力を得たい、かように思っております。
○増田国務大臣 防衛に関する根本君の高い御識見に対しまして、心から敬意を表します。 防衛は、ただいま総理がおっしゃったとおりでございまして、第二次防衛計画が本年三月三十一日をもって終了いたしますから、必然的に四月一日からの五カ年計画を策定したものでございます。また、その基本構想は総理のおっしゃったとおりでございまして、通常兵器によるわが国周辺に対する侵略に対処するというのが自衛力の限界でございます。そのあとのことは、日米安保体制に依存しておるわけでございます。しかも、三次防というものは、国情、国力、日本の経済力にのっとりまして、まず適切であるという範囲額をきめたものでございまして、そのめどは二兆三千四百億円でございます。また、上下に二百五十億円の幅を持たしておるわけでございます。これに基づきまして、陸海空の自衛隊の維持並びに整備をはかりたい、これが大綱でございます。
○根本委員 次に、日米安全保障条約について御説明をお願いしたいのでありまするが、その前に若干、これは増田防衛庁長官にお願いしたのであります。 現在、自由主義陣営におきましても、あるいはまた共産主義陣営においても、その国の安全保障のために、集団安全保障条約をそれぞれ結んでおるようでございます。この概略についてお調べがありましたら、お知らせ願いたい。どういうような防衛のための軍事同盟条約があるか。 さらに、これとは別に、世界に現在存在するところの永世中立国が、その国の防衛のために国民所得の中のどの程度の負担をしておるか、あるいはまた、国家予算の中に占める防衛費の比率、これがおわかりでしたらお示し願いたい。 その次に、これはなかなかむずかしいと思いまするけれども、日米安全保障条約がなくなりまして、日本が単独で日本の防衛をいまもしやるとするならば、どの程度の経費がかかり、それが国民経済に対してどれだけの負担になるか、予算にどれだけ占めることになるか、もし御研究がありますならばお示し願いたい。
○増田国務大臣 根本君の御承知のとおり、自由主義諸国家におきましても、また、共産陣営におきましても、集団安全保障体制というのが、いまこの時点における全世界における通例の安全保障体制でございます。そこで、自由主義諸国におけるまず安全保障体制の一番大きなものは北大西洋安全保障条約でございます。NATOでございます。これはフランスが先般脱退したようでございまするが、参加国数は、主としてヨーロッパでございますが、フランスを除きますと十二カ国であります。それにアメリカとカナダが入りまして十四カ国になります。それからCENTO、これは中央条約機構といわれております。それから東南アジア集団安全保障条約でございます。それから南北アメリカの集団安全保障条約がございます。アジアの周辺におきましては、まず日米安全保障条約でございます。米韓安全保障条約でございます。米国とフィリピンとの安全保障条約がございます。それから米加の安全保障条約でございます。それからANZUSと申しまして、アメリカと豪州、ニュージーランドとの安全保障条約がございます。その他、まだアメリカとスペインとの安全保障条約、いろいろございますが、大体以上でございます。 共産主義諸国家における安全保障条約は、一番有名なのはワルシャワ安全保障条約でございます。それからソ連と中共との友好相互安全保障条約がございます。ソ連と外蒙がありますし、ソ連と北鮮がございますし、中共と北鮮との相互安全保障条約がございます。 その次に、永世中立国の国防費はどれくらいであるか、スイスにおきましては予算総額に対しまして一三%でございます。絶対額は、ただいま調べたところでは千二百六十七億円でございますが、何しろ人口五百三十万の小さな国でございますから、予算総額も少ないわけでございます。ただ比率は三一%であるということを申し上げておきます。スウェーデンも同じく人口八百万の小国でございますが、国防には相当力を入れておりまして、予算総額に対しては一六%でございます。 それから、日本がもし日米安保条約がなくなったとすればどうなるかという御質問でございますが、これは、私どもは仮定の問題として、実は研究はいたしてはおりますけれども、まだ申し上げる段階ではございません。ただ、総理のおっしゃるとおり、通常兵器による侵略があったとしてこれに対処する、その範囲を考えただけで、すなわち、核兵器等は政府は絶対に考えていないわけでございまして、それに対処するといたしましても、おそらくいまの国防費の数倍になるのであろう。いま検討中でございます。 以上、大体お答えといたします。
○根本委員 そこで、日米安全保障条約に対する総理の所見を伺いたいのでありまするが、この日米安全保障条約は、日本が独立を回復すると同時に締結されたわけでございます。日本の憲法は占領下において制定せられたのでありますが、この日本の憲法は、平和主義を貫くあまりと申しましょうか、日本の国の安全保障を他国の善意と道義にゆだねておるというようなたてまえになっておるのであります。しかるところ、日本がサンフランシスコ条約で独立するにあたって、独立とともに無条件に連合軍が撤退し、日本が防衛力を持たざるまま、憲法の条章どおりに他国の善意と道義にのみ依存するということは、当時の国際情勢が許さなかった。もしそのようなことをしたならば、日本自身が独立を維持することができないのみならず、やがて世界の大きな動乱の原因になるということをおそれられたのであります。そのために日米安全保障条約が結ばれたわけでございます。ところが、これは占領下において立案されたといってもいいほどでありますから、不平等であったことは事実であります。岸内閣の当時、これを平等条約に変えて今日に至っているのであります。国際情勢のきびしい中にあって、日本がひとりアジアにおいて安定した経済成長を遂げながら、しかも、国内における暴力革命のおそれもなく今日に至ったゆえんのものは、実にこの安保条約のおかげであるということが言えると思うのであります。しかるに、共産主義陣営の国々は、日米安全保障条約は、これは日本の独立をそこなうものであり、軍国主義に至るものであり、戦争に突入するものなどとこれを強く非難し、これの撤廃を求めており、しかも、これに全く追従しておるのがわが国における社会主義、いわゆる革新政党と称する諸君の姿でございます。先ほど防衛庁長官によって示されたごとくに、世界の現状は、自由主義諸国といわず共産主義国といわず、すべて集団的な安全保障条約をもってその国の防御をするとともに、世界の平和に寄与しておる姿であります。しかるに、この日米安全保障条約を否定する者がある。一体何の立場において、何の根拠においてこれを国民に訴えておるのでありましょうか。まことにこれはふしぎなことでございます。これは要するに、日本のように文化的にも経済的にも相当進歩した国においては、いかに国内の革命を企図する者が努力しても、革命の成功は不可能でございます。もし日本に革命が起こり得る条件がありとするならば、それは他国の武力侵略に基づく軍事支配あるいはまた間接侵略に基づく国内の動揺を根拠とするところの武装蜂起、この二つであるはずであります。この立場からするならば、日米安全保障条約があることは、この日本を社会主義国家に、共産主義国家に支配せしめ、あるいはそのような国に変革せしむることにとっては、最大の妨害になるからであります。この日米安全保障条約については、総理も絶えず、日本はこれを堅持しなければならぬということを申して、国民も相当理解しておるはずでございまするけれども、もっと詳しく、国民にこの日米安全保障条約は断じて日本の独立を阻害するものではない、これは日本の国家存亡に関する重要なる保障になっておるものであるということを国民に知らしむべきであり、これは世界に対して大きく貢献しておるという自負心すら持たしてもいいと私は信ずるのであります。日米安全保障条約に対する総理の御意見を伺いたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 日米安全保障条約についての根本君の御所見、私も全然同感でございます。わが国が戦後平和のうちに繁栄への道をたどり得たということ、これは安全保障条約のもとにおいて初めてわれわれが生活の向上や経済的発展を遂げることができたのであります。一部におきましては、この日米安全保障条約は、それこそ戦争へ行くものだとか、中には、これがあるからいまに戦争になるんだとまで実は激しい議論をいたしたのであります。しかし、この条約のもとにおきまして、私どもは戦争の危険を全然感じておりませんし、また戦争にもならなかったのであります。そればかりじゃない、逆にどんどん繁栄してまいりました。国民全体も、大部分の方々は、この日米安全保障条約はこれを守るべきだ、これを堅持して今後も対処すべきだ、かように賛成しておられるようであります。政府におきましても、この日米安全保障条約体制、これを堅持してまいるつもりであります。
○根本委員 次に沖縄問題について総理の御所見を伺いたいと思うのであります。 沖縄がわが国の固有の領土であり、また、この沖縄の住民は全くわれわれと同一民族でございます。戦後世界の国々は一民族一国家という原則において新しく独立国が発生をしておる事実から見ましても、この沖縄がその住民の意思に反して祖国から離れておることは不自然なことであり、沖縄国民が全面日本復帰を熱望し、政府もまた当然これにこたえるという態度をとっておることは当然のことだと思います。しかし一面において、そういう事実にもかかわらず、これが直ちに日本の要求において実行できるかどうか、これは別個の問題でございます。政治とはきびしい現実に立って判断しなければならぬと思うのでございます。これは隣の韓国が国民の意思に反して分断されておる、あるいはまた現在のベトナムにおいて、あるいはドイツがあのように分離しておるという姿から見ればまだ幸福でございまするけれども、しかし、いかに願望してもなかなかこれが実行できないならば、これに対して次善の措置をとるということが私は考えられなければならぬと思うのであります。しからば、沖縄が何ゆえに現在アメリカの支配下にあるか。これは単にアメリカの国益のために、沖縄をアメリカの植民地にすることがアメリカ国民にとってだけの利益であるならば、これは断固世界に訴えて戦わなければならぬと思いまするが、そうではなくして、沖縄が現在世界の平和、極東の安全、そうして直接には日本と結ばれておる日米安全保障条約を効果あらしめるために、必要不可欠なる措置としてとられておるということになりますれば、この事実をはっきりと国民に向かって説得し、沖縄の人々についてもそれを理解してもらい、その前提に立って私は措置すべきではないかと思うのでございます。現在わが国の固有の領土といわれておる千島の領土が、同じように、われわれの主張にもかかわらず、これはソ連の軍事支配下にあります。しかも、ここには日本人は一人もその居住を許されず、全部撤退させられております。日本は幾たびか日ソの平和条約のためにこの領土問題を提起しておるけれども、これはソ連によって認められません。しかもソ連は、潜在的主権すらこの北方領土については認めようとしていないのであります。しかも日本は、この北方領土を実力をもって回復することはできませんし、またなし得ません。と同じように、沖縄についても、いま日本が自分の実力においてこれを回復することができ得ない状況であるとするならば、私がただいま申し上げたような立場において、私は沖縄問題を単に感傷的に、あるいはまたこの同一民族同一国家、だから返せという単純なる論理でこれは論じ切れないものがあると思うのであります。むしろ、この際私は、沖縄が現在祖国の防衛の第一線として、しかもまたアジアの平和のために大きな国際的な任務を果たしておるという光栄すら感ずる程度まで、私は沖縄の方々の一つの精神的な奮起をお願いするとともに、これに対しまして日本は必ず回復させるのだということばを繰り返すだけではなく、せめて、このような重大なる任務を帯びておるところの沖縄の人々については、教育はもとよりのこと、一般社会福祉その他経済的にも日本の内地同様なる処遇を与えるために政府は全面的に努力することこそ、沖縄の人々に対する祖国の責めであり、日本の総理大国の責任であると私は思います。総理の所見を伺いたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま沖縄問題についてるる御意見を述べられました。沖縄は、ただいまアメリカの施政権下にある。しかし、アメリカ自身は、わが国の潜在主権を認めております。したがいまして、この土地に住む日本人、やがては必ずや日本に復帰するものだ、私はかように確信をいたしております。しかしてただいま、沖縄自身は、お話にもありましたように、米軍がおります。そしてこのことは、日本を含むアジアの、極東の平和確保に果たしておる沖縄の役割りというものは、たいへん大きいものがあるのであります。したがいまして、この沖縄の復帰、いわゆる潜在主権を顕在主権にして、そうして日本に返ってくるという、そういうことを実現することと、ただいまこれがアジアの平和、ひいては世界の平和のために果たしておる役割り、これと調和すること、ここに一つの問題があるわけであります。したがいまして、そこで次善の策として——直ちに復帰のできない今日におきましては、次善の策として、沖縄住民の福祉向上をはじめ、生活環境等を本土と一体ならしめる、こういう意味でいろいろの努力をいたしておるわけであります。財政援助も百億をこすものを提供するようになりましたが、これなども、将来に備えて、そうして本土との格差をなくしていく、こういうことのわが政府の一つの努力のあらわれであります。しかし、まだまだ本土との一体化の点から見ましても、沖縄と同じような経済力を持つ地域と比べてみますると、今後さらに生活の向上充実に努力しなければならないのであります。そういう意味で、私ども、次善の策ではございますが、一そう生活の向上について努力するつもりであります。 この沖縄問題について、同時に、北の国後、択捉をおあげになりました。全く国後、択捉、日本の本来固有の領土である地域、これが軍事占領されておる。そうして、そこにいる日本人はみな退去させられた。そうして、この両島をはじめ固有の領土を日本に復帰さすべくあらゆる交渉をいたしておりますが、いままでのところ全然まだ解決の見込みが立っておらない、これはまことに残念であります。アメリカ自身が沖縄については潜在主権を認めておる。しかし北方の国後、択捉等については、われわれの、日本の潜在主権すら認められておらない、軍事占領下にあるという、こういう事態を、国民の一致した願望でもありますので、政府におきましてもぜひ解消したいと、かように思いまして、池田内閣あるいはその以前からも同じようにいろいろ努力をしております。根本君御自身も、これらにつき鳩山内閣以来関心を寄せておられますし、当事者の一人でもあったということで、事情はよく御存じのことだと思います。私ども、これこそ民族の悲願とでも申しますか、そういう意味で、今後とも引き続いてこれが復帰するように努力してまいるつもりであります。 重ねて申しますが、沖縄の場合は、ただ施政権があるというだけじゃなく、施政権があるその結果、アメリカの軍基地がある。その軍基地が極東の平和、安全に果たしておる役割り、これはたいへん大きいものがある。そういうところを十分勘案していかなければならないと、かように思っております。
○根本委員 その次に、政府の経済政策の基調についてお伺いいたしたいと思います。 日本は、過ぐる大戦によって敗戦の結果、海外の領土一切を失い、それとともに多くの資源を失い、わずか小さな四つの島に閉じ込められ、しかも、日本の工場というものはほとんど壊滅的状況になった。したがって、二十二年前の日本は、この四つの島には五千万の人間が住むことがせいぜいであろうといわれておった。そうして終戦以来約五、六年間というものは、いわゆる左翼陣営の論調は、いまにも日本は経済崩壊する、革命近づけり、そういうことで三月危機あるいは四月危機、十二月危機ということが叫ばれること実に四、五年の長きにわたりましたが、にもかかわらず日本は、戦後今日世界においても最も安定した経済成長を持つことができ、その上に、日本の現在のすべての人々が戦前に比べてはるかに豊かな、安定した生活が保障されるようになったのであります。これはこの二十年間政権を担当してまいりました日本の保守党の経済政策の一つの成功のあらわれであると私は思います。この点については、私は、自信を持ってよろしいと思いますし、世界のすべての国々が認めるゆえんでございます。しかし、それにもかかわらず、こういうような悪条件下において、このような相当無理をした日本の経済成長でありまするがゆえに、依然として、なお日本経済の中には脆弱なる部面が内包されておることもまた事実でございます。この点を明快に解明して、国民に明らかにし、単なる経済成長の中に浮かれることなく、ともにこの弱点を直しながら、次に来たる経済自由化あるいは経済の国際化に対して、確固たる方針を持って国民とともに進む必要があると私は思うのであります。 ところで、わが国のしからば弱点といわれるものはどういうことかと申すならば、その第一は、日本の経済構造がいわゆる二重構造になっているということでございます。技術革新、合理化が高度に採用されておる化学あるいは重工業、大企業は、非常に国際的なレベルに達してきておりますが、しかし技術革新並びに合理化のおくれておる中小企業、さらにはまた、著しく立ちおくれておる第一次産業としての農林業あるいはまたサービス業のこのあり方、いわゆる二重構造の構造的な弱点。第二は、日本の企業が資本構成において非常に弱体であるということであります。世界の国国は、先進国の自己資本比率が六十数%持っておるとき、現在の日本の資本構成は、実に二〇%の危険ラインを割ってしまいまして、一九・七になっておる。またそれがさらに低下しようとしておるこの現状である。もう一つは、日本の労働組合のあり方が、政治的偏向が著しいために、労使間の関係が経済的な合理性によって規制されることができずに、いわゆる実力抗争、力の対決によってこれがきめられなければならない。この三つが日本の経済の最も特徴的なるウイークポイントであるといわなければならぬのであります。このような内包したところの弱点を持ちながら高度成長をしたために、したがって、日本経済においては現在幾多の難問題が山積しておることは事実でございます。昨年政府がとりましたところのフィスカルポリシーが、勇断をもってなされたために、これが成果をあげて、経済の不況からようやく回復、やがて上昇へのきざしを見せたのでありますが、この上昇ラインは、決して日本経済の自律的な回復力によって持ち来たらされたものではないのでありまして、いまのような、いわばフィスカルポリシーというものによってささえられておるのみならず、いわゆるベトナム特需といわれる不安定な要素によってこれが回復しておるという事実も率直に認めなければなりません。したがって、現在の日本経済の上昇線というものは、不安定なる上昇線と見ざるを得ないのであります。この事実を、政府も国民もともに率直に認めて、その上に経済政策、そしてまた、国民もみずからの経営政策を考えなければならぬと私は思うのでございます。 そこで、日本の経済のいま当面しておる問題として取り上げなければならぬ問題は、第一に中小企業の倒産が依然として減っておらないということ、これは一番ひどかったところの三十九年、四十年に比べてまだまだ油断のならない現状にある。 さらに、企業の業績回復も決して十分ではない。四十一年度の九月期決算は一応増益を示しておりますけれども、しかし、これもいわば不況時代における落ち込みを反動的に回復したということでありまして、資本収益あるいは売り上げ高に対する収益率とを見るとき、まだまだ好景気時代には及びもつかない現状である。 第三には物価の問題でございまするが、消費者物価だけでなく、現在は、昭和四十年七月の底から比べれば、四十一年九月までの一カ年間に実に四・八%の上昇を来たしております。これは国際収支の面から一つの危険信号でございます。これは主として海外の要因にもよりますけれども、実は大幅の賃上げによる原因が大きくこれに影響しておるというこの事実でございます。 さらには、急に輸入が増大しておるということ。四十一年度の輸入は、為替ベースで政府の想定は当初七十六億ドルでありましたが、これが大幅に見込みを越しまして、国際収支の天井はすっかりつかえようとしております。 第五に、企業体質の極端な悪化でありまして、先ほど申し上げましたように、法人企業統計によりますと、三十年に二九%でありました日本の企業の自己資本比率が、三十九年にはついに二〇%の危険ラインを割り込みまして一九・七%になっておる。これはまことに重大であります。OECDに加盟した日本は、これから資本の自由化のあらしに立ち向かわなければなりません。資本の自由化が貿易の自由化に比べてはるかにきびしいものであるという事実を見るとき、これは深刻なる問題といわなければならぬと思うのでございます。 ところで、こういうような状況下において国祭経済に立ち向かう場合に、日本の企業のあり方を見ると、技術開発力が非常に立ちおくれております。いままでは欧米から新しい技術を輸入することによって何とかやっていけたのでありますが、貿易の自由化に比べてもっと深刻な資本の自由化が押し寄せてくる段階において、外国からのパテントの受け入れだけでやるということは、とうていやっていけません。立ちおくれてしまいます。どの程度まで日本の技術開発力がおくれておるかということを示す一助となるものは、国民一人当たりの研究費の負担の状況を見ればわかることであります。 〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕 アメリカでは九十二ドル、西独は三十五ドル、英国では三十九ドルであるといわれておりますが、これに対しまして日本はわずかに十一ドルで、先進国中最低の比率でございます。今回予算においていろいろの配慮がなされておるのでありますが、将来の日本の経済、したがってそれは日本の命運に関する、日本の国民の持っておる能力を発揮するための資本ともいうべきところのこの技術開発に対する政府投資は、はなはだ少ないと思うのでございます。 結局のところ、わが国の企業は、競争激化という国際環境の中で、弱ったからだで、裸で立ち向かうという状況下にあるのでありますが、この際私は、このような環境下において、政府はいかなる措置をもってこのあらしに対応し、日本経済のほんとうの意味における安定的成長をなさんとするか、これは経済企画庁長官と通産大臣、科学技術庁長官にその所見を承わりたいのでございます。
○宮澤国務大臣 ただいま根本委員の御指摘になりました多くの点について、私はまことに同様に考えます。ことに結論を国内技術開発の必要というところに結ばれましたことは、まことにそのとおりであると思います。 ただ、一つ二つ気のついたことを申し上げますと、国際収支につきまして、これはもう申し上げるまでもないことでございますが、今日の国際収支の問題は、数年前の国際収支の問題とかなり質を異にしておりまして、問題の性格は進歩をしたと考えておるわけでございます。すなわち、昭和三十九年の六月ごろから昨年一ぱい、ほぼ二年半の間に、わが国の外国為替銀行の対外ポジションというものがほぼ九億ドル余りよくなっておりますので、それだけ今日はわれわれはある意味で流動性の余裕を持っておるわけでございます。しかも、その間に、わが国は今日、ごく常識的な意味で資本輸出国、資本供与国に転じておるわけでございますから、往年の問題とは問題の質が異なっておる。ただ、資本輸出国になりましたからこそ、むしろそれだけのものを月々の貿易収支でしっかりかせいでおく必要があるのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、数年前に申しましたような意味での国際収支の問題と、今日われわれが持っております問題とは質がかなり違っておる、こう思っておるわけでございます。仰せられますように、わが国の基本的な経済体質の弱みは、やはり一つは二重構造の問題でございますから、これは徐々ではあっても、中小企業をはじめとする低生産部門の効率化、昨年一ぱいかなり中小企業向けの貸し出しがふえておりまして、喜ぶべき傾向でございますが、今年もこれを続けてまいりたい。あるいは農業の体質改善もその一つであります。他方で、大企業につきましては、国際的規模を欠いておる、あるいは資本の内部構成が悪いというような問題がございます。これらの問題を含みながら、いわゆる資本自由化に対処するわけでございますから、結局、片方において企業の財務内容を資本市場の強化等によって改善しながら、他方で、わが国独特の自身の技術開発力を持つ、これが御指摘になりましたように当面私どもの基本的な政策の線であろうと考えております。
○菅野国務大臣 経済の問題についていろいろお話がありまして、まことに根本委員の述べられたとおりの現状であるということをわれわれも承知いたしております。それに対してどうするかということについては、ただいま経済企画庁長官から詳しい御答弁がありましたので、私たちも同じ意見であります。 結局は、技術の開発、それによる生産性の向上ということが資本取引の自由化に対する対抗策でありまして、その方針に従って今後通産行政を進めていきたいと、こう考えております。
○二階堂国務大臣 科学技術の開発の問題につきましては、根本さんが申されたとおりでございまして、まことにわが国の科学技術に対する投資は、国民一人当たりの投資額を見てみましても、遺憾ながら最低である実情でありまして、なおまた、国民所得に占める科学技術投資の割合を見てみましても、現在たしか一・七五%くらいであろうかと思っております。資本取引の自由化を迎えた今日、特にわが国の産業発展の基盤でもございますので、一そう私どもはこの科学技術の開発につきましては長期的な計画を立てまして、着実にそれを推進してまいる所存でございます。また、科学技術会議のほうからも、科学技術の発展に対する総合的な基本計画も出されております。私どもは、このあと数年間において、科学技術に対するわが国の投資を約二・五%程度に引き上げてまいらなければならぬと考えております。
○根本委員 次に、物価と賃金について、政府の所見をお伺いいたしたいのであります。 〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕 現在、一般国民から見て、経済問題といえばすぐに物価問題、これは非常に広範な問題を含む重要な問題でございまするが、これは単に消費者あるいは労働者にとって重要であるのみならず、実に経営者にとっても、あるいはまた農民にとっても、これは国民的な立場において取り上げなければならぬ大きな問題であるのであります。そこで、この物価上昇の原因について、いままで政府並びに野党との論争の形態を見ると、全くこれは筋違いでございます。そこで、私はこの際、詳しくはいま時間がありませんから申し上げられませんが、この問題こそ、政府の経済企画庁長官と野党の立場に立つ人との間で、物価上昇の原因についてもっと経済学的に厳密な論争を重ねて、共通の場をつくって、その上で論争しなければいけないと思うのであります。それをやらなければならぬと思います。 ところで、物価を安定させる、あるいは下げるということは、根本的には企業が労務費あるいは経費の節減、さらには技術革新等によって生産性を高めるということが前提でなければ物価の安定ができないはずであります。そうして、これによってコストダウンをして、そうして出たところの収益をどう配分するかが、その次の問題にならなければならぬはずでございます。したがって、技術革新、合理化、これによってコストダウンをしたところの企業利益をどう配分するかということにおいて、賃金問題と物価問題が具体的に検討される段階にならなければならぬはずであります。しかるに、物価値上げは反対、合理化は反対、生産性向上は反対を唱えるならば、これはもともと物価問題に対して真剣な態度ではない、単なる政治的なゼスチュアにすぎないということになるのでございますから、この点をまず明確に政府当局と野党との間で明らかにしなければならぬ問題だと私は思うのであります。 さらに私は、この賃金問題を論ずるにあたりまして、個々の企業の合理化、それによって収益率が上がったから、そのためにこれだけの所得をよこせというようなことを日本の現在でやるならば、先ほどお示ししたように、日本の経済構造は二重構造になっております。したがって、生産性の高い、技術革新のレベルの高いところで高い賃金が払われたということになりますと、合理化のおくれておる、収益性の低いところのものはどうなるかというと、現在労働市場がこのとおりに労働不足のときに、どうしても労働力不足のためにやむを得ず賃金を上げざるを得なくなってきます。まして合理化の著しく立ちおくれておる第一次産業、サービス業は、そのあおりを受けまして、自分の収益のあれでは吸収できない、高い賃金を払ってまでもやむを得ずこれが経営を継続しなければいけない、こういうことが日本の経済の矛盾でありまして、このために実は中小企業の倒産が出ておるのは、そういう二重構造に基づく弱点、日本の賃金、生産性の高い大企業と技術革新のなされたところに押し流されていく結果であります。この事実を私は国民とともに明確にいたしまして、政府も企業も国民もともに、日本が当面しておる物価問題については着実な、堅実な立場において取り組むべきであると思うのでございます。 これとともに、本来その国の賃金水準というものは私は、その国の経済の全体の平均的な技術水準、合理化の水準によってこれは規定されなければならぬものと思うのでございます。先ほど申し上げたことを換言するならば、技術革新の相当進んでおる大企業における収益は、一部は労働者の賃金としてこれは相当高く出すこともけっこうでございまするが、同時に、次に来たるべき国際競争に耐え得るための資本の蓄積による技術革新と合理化、これも考えなければならぬはずであります。そうでなければ、日本の経済そのものが根本から国際経済の荒波につぶされてしまいます。したがって、これをやることは当然のことであって、資本家の収奪ではない。それと同時に、一面においてはコストダウンをして一部を国民に還元する、そのために合理化の進んだ商品については、これが販売価格を下げる、この三つが行なわれなければ物価問題は解決できないはずであります。こういう点、私はもっとわかりやすく解明して、これを国民に示し、企業者にも示し、勤労者の方のみならず使用者にも示して、そして国民とともにこれに取っ組む、きびしいけれどもこれをやらなければ、この難問題は解決できないと私は思います。私はそのように信ずるのでございまするが、これに対する経済企画庁長官の御所見を承りたいのであります。
○宮澤国務大臣 生産性と賃金と物価との関係について、厳密な学問的な研究、何人も異議がないような客観的な基礎の上に立って議論をしなければならないと御指摘になりました点については、私まことに同感であるばかりでなく、実はその必要を痛感いたしております。経済審議会が過般経済社会発展計画について答申をされましたときにも、この問題についての研究が必要であるということを、根本委員の御指摘のように答申をしておられまして、それに従いまして、間もなく公平な第三者のみによるこの問題研究のための機構を経済審議会の中に設けられる御予定であるように伺っております。そういう予断を持たない研究ができますことを私ども心から必要だと考え、待望をいたしておるわけでございます。 その点は別にいたしまして、ただいま根本委員の御指摘になりましたように、生産性と賃金との関係が、一つの企業あるいは一つの産業の中において、たとえバランスがとれておっても、御指摘のような労務不足を背景にいたしまして、それが低生産部門に伝播をして、その料金あるいは価格というものを押し上げておることは、これはおそらく何人も疑わないところだろうと思います。そういうことから、消費者物価の上昇に下からの突き上げる力がかかっておるということまでは、おそらくどなたも御異存がないであろうと思うわけであります。 そこで、総理大臣が過般所信表明で提起をされましたように、この問題について国民的な視野からの検討が必要であるということ、あるいは私自身も、名目賃金よりは実質賃金云々ということを申し上げました。その意味は、かりに大企業において一〇の生産性向上がございましたときに、賃金を一〇まで引き上げずに、かりに八なら八にいたしまして、利潤もその程度に抑えるといたしましたときには、その残った部分は価格引き下げに使われ得るわけでございます。そういたしますと、かりに一〇全部名目賃金を上げたときよりも、逆に実質賃金は高くなり得る。それが低生産部門にも伝播してのことでございますが、そういうことがございますので、したがって、実質賃金そのものにもう少し国民各位が関心を持っていただきたいと私ども考えるわけであります。いずれにしても、生産性の向上がなければ、いかなる意味での国民生活向上もございませんので、生産性向上そのものを、純粋な意味での生産性向上を否定するというような考え方は私どもとりませんし、おそらくどなたもそれには反対をされる方はないのではないか。いずれにしてもこの問題は、客観的な研究の上に立って真剣に議論をいたすべき問題であろうと考えております。
○根本委員 その次に、社会開発の問題について、これは時間がありませんから、ごく簡潔にお伺いいたします。 現在、わが国は経済の国際化、人口構造の変化、急激な都市化という歴史的な大きな変貌を示しております。これに対処するためには、やはり総理が言われたように、単に経済成長政策としてではなく、バランスのとれたいわゆる経済社会構造をつくらなければなりません。私は、これがいわゆる総理が社会開発と言われたゆえんだと思うのであります。今般政府が、四十二年度を初年度とする五カ年間の経済運営方針として経済社会発展計画を示されまして、この期間に二十七兆五千億にのぼる膨大なる社会投資をなそうとしております。ところで、これは第一歩にすぎません。引き続いて二十一世紀を迎えようとする国際経済に対応するための長期の継続したる計画が次々となされることと思います。その際に必要であることは、こうしたところの総合的な社会開発計画というものは非常にいろいろなファクターが錯綜しております。で、このためには非常に総合力を持つ企画者が相当必要なのでございます。ところが、現在こうしたところの問題を担当する、研究し立案する人間は日本に非常に少ないのでございます。したがいまして、いまからこれらの問題を研究する、また処理する人間を養成しなければなりません。そうでなければ、どんなに膨大な、またどんなに夢多きビジョンを示しましても、その効果が望まれないからであります。この意味において私は、政府としていまから総合開発のための人員を養成するところの、大学における総合開発科というべきか、そういうものをいまから設置する準備が必要であると思います。いまからやらなければおくれてしまうと思います。これに対する総理並びに文部大臣の所見、さらにこれに関連いたしまして、こういうような総合的な研究、立案というものは、官庁でやることは不適当なようであります。いずれの国でも、これは一応やってみても、権限調整がむずかしいのでなかなかうまくいかない。そこでアメリカのごときは、例のランド・コーポレーションで防衛から経済の総合的な立案等をやっておるようでありまして、これはかなりの成果をあげているようでございます。私は、日本においても、政府の指示と援助に基づいて、相当弾力的な立案並びに研究する機関としてのランド・コーポレーションのようなものをつくる必要があると思います。これは半官半民であることが必要だと思いまするが、こういうものの必要性について、総理と経済企画庁長官の御所見を承りたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 これからの社会開発、これは総合的に、また全国的に、しかも長期的な観点に立って進めるべきだ、この説には私もそのとおりだと思います。そこで、そういうような全体的視野に立って計画を立てる人もなかなかないが、そういう人物を養成しろという、これも御指摘のとおりであります。大学等における総合開発科というようなものでも考えて、ものの見方を新しい社会開発の方向になじめるような教育をすべきだ、これも私はしごく賛成であります。しかし、おそらくただいま文部大臣からお答えするにいたしましても、これからの研究課題ではないかと思います。そうしてアメリカのランド・コーポレーションについてのお話がございました。このランド・コーポレーションは、最近になりましてこれを検討する人もずいぶん多くなっております。わが国においても同種のものを考えて、そうして社会開発が長期的、全国的、総合的な視野に立って進めらるべきだ、これには新しい技術も動員する、こういうことでランド・コーポレーションは一つの示唆のある御提案だと思います。十分検討してみたいと思います。
○根本委員 時間がありませんから総理の答弁でけっこうです。 その次に、時間がありませんので国鉄の再建問題について端的に政府の所信を承りたいのであります。 現在、国鉄が負担しておりまする長期負債は約一兆三千億といわれております。この利払いだけで一年間に何と一千億の利子を払わなければなりません。このままで推移しますと、昭和四十三年にはさらに負債が増加しまして、一兆七千億に達するという見通しでございます。こうなりますと、利子を払うためにさらに借金しなければならない、こういう現状に追い込まれております。しかも現在、この鉄道輸送に期待することが非常に大きいのであります。具体的に申し上げまするならば、この都市集中、人口の過密化、いわゆる社会開発の第一歩であるこの問題が、国鉄によるところの輸送力の都市開発が行なわれることなくしては、これは解決できない問題でございます。これを解決するためには、どうしても高架線をつくるとか、あるいは地下鉄をさらにふやすとか、思い切ったこれは投資をしなければならぬはずです。さらにまた、現在地方の総合的な開発、日本の飛躍的な経済の発展に伴う輸送力は、単に道路だけではこれは解決できなくなりました。道路を開発しても依然として解決できないのみならず、かえって自動車の飛躍的な増強のために交通戦争を起こしているような現状を見るとき、これは主要幹線については国鉄が全面的に複線化、電化しなければなりません。さらにまた、地域開発の点から見て新線建設も必要なときに、いまのような国鉄の財政状況下において、国鉄はいわゆる公共企業体である、独立採算制だというその一点だけにとらわれて、日本の経済と社会開発の大きな阻害をなしておるこの現実を総理はどう見られますか。総理は国鉄については特に造詣が深いはずでございまするが、私は、国鉄がこのままに推移するならば破産の状況におとしいれられて、しかも最後の責任は政府がとらなければならぬということになりまするが、国鉄の根本的な再建について、総理の所信並びに運輸大臣の御所見を承りたいのであります。
○大橋国務大臣 日本国有鉄道の財政の現状がきわめて困難な状態であることは御指摘のとおりでございます。しかも、それにもかかわらず、輸送力の増強並びに都市交通の難問解決のために多額の工事費の支出をしなければならぬことも御指摘のとおりでございます。このために、現在の状態は、国鉄の財政に非常に重圧を加えておるのでございますが、これの解決の方法といたしましては、国鉄だけの力ではたしてこの難局をしのぎ得るやいなや、多大の問題がございまするので、ただいま政府といたしましては、運輸省と大蔵省とで相談をいたしまして、四十三年度の予算までにこの問題を十分検討いたしたいと存じております。 特に、検討の目標といたしましては、政府の出資ということについて今後どう処理していくかという問題、もう一つは、御承知の貨物並びに定期旅客運賃の高率の割引が設定されております。これに伴う国鉄財政の公共負担と申しますか、この問題にどう対処すべきか、この二点を目標として次の予算までに再検討をいたしたい、かように政府は考えております。
○根本委員 次に、在外財産問題についてお伺いしたいのであります。時間がありませんから、一項目ずつ簡単にまず御答弁を願います。 在外財産問題調査会は、その答申におきまして、引き揚げ者とその在外財産は国家に対して貢献しておる、こういう答申を出しております。これはどういうことを意味しておると思いますか。これは総務長官が担当しているのでしょうか、総理でありましょうか、どっちです。
○塚原国務大臣 在外資産の補償の問題につきましては、山田さんを委員長とする委員会から答申も出ておりますので、目下その答申に基づきまして、この国会で法的措置をとるよういま検討中であります。この国会には提出いたす考えであります。
○根本委員 いまの御答弁は、それはわかっておりますが、この調査会の答申において、在外財産が国家に対して貢献しておる、これは具体的に言うならば、平和条約において、戦争賠償に対して在外財産が充当されたという事実、これに基づいて日本の独立と平和の回復に貢献しておるとわれわれは見ておるのでありますが、政府においてもそういうふうに認められておるかどうか、まずこれをはっきりと認めていただきたい。
○塚原国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、いろいろ異見をなす者があります。私もいま所管大臣として検討いたしておりますが、根本委員のおっしゃるような点もあるかと考えております。しかし、なおいろいろな資料に基づきまして検討の時期を与えていただきたいと思います。
○根本委員 いろいろ疑義のあるところでありますが、そういうふうに認められるとするならば、この在外財産の補償総額を決定するにあたって、これは政府として十分に考慮していかなければならぬ問題だと思うのでございます。これは普通の戦災とは違うのでございます。いずれの国においても、この国民の持っておる基本的な財産権を戦争のために賠償に充てて、そうしてまた日本のごときは、これが国家の独立のために貢献しておる事実に基づきまして、これは十分に考慮さるべきだと思うのであります。したがいまして、政府が国会におきまして、本会議を通じて、この問題を戦後処理の最後の問題として意欲的な態度をもってこれに臨むということを申されたことは、その点に帰すると思いますが、なるべくすみやかに、政府はこれに対して総額を決定して、いかなる基準によってこれを解決するか、具体的な検討を進めて、近き将来において政府の態度を明らかにしていただきたい。これは御答弁は要りません。 次に、時間がなくなりましたので、これは二つの私の提案でございます。それは、テレビによる通信教育の充実と、これに伴う国家試験ということを、私は提案いたします。なぜかと申しますと、現在日本の国民の教育熱は非常に高くなりました。ほとんどすべての国民が高校、大学への入学を希望しております。しかるに、これを収容する物的教育施設がないために著しい競争難でありまして、そのためにいろいろの弊害が起きております。そうして、生徒もこれのために非常にスポイルされておる。ところが、現在、日本においては、テレビはほとんど各家々にみんな持っております。しかも、近代的な放送設備はNHKをはじめとしまして、民放でもみんなこれを持っておるのであります。そこで、これを巧みに利用するならば、年齢、性別、地域を問わず、すべての人間が、勉強する意思さえあれば、高等、大学教育までも受け得る可能性を持っておると私は思います。ソ連がこれを巧みに利用して、あの非常に広大にして設備の少ないところで人材養成、特に科学技術の教育に非常に大きく利用していることは学ぶべきだと私は思います。一つの学校教育制度が近代においてなされたからといって、それだけにとらわれることなく、新しい技術と、そうしてまた社会の要請にこたえるために、いまからこのテレビによるところの高等、大学教育まで進むべきだと思います。NHKはすでに四年前から通信高等教育をやって成果をおさめているようでありますが、これはぜひひとつやるべきであって、いまから検討すべきだと思いますので、これについてはぜひ政府が進めていただきたい。ただし、これをやる場合には必ず国家試験を伴って、これに対する措置を講じなければなりません。この通信教育を受けた者が国家試験において権威づけられることにおいて、初めてこれが活用されるのでありますから、この二点をひとつぜひ検討を進めていただきたい。これは提案でございます。 その次にもう一つ、これは農業と工業の連携の問題についてでございます。 現在、日本の農業は、生産性がおくれておるといいながらも、しかし、日本の農業の歴史から見るならば、歴史上かつてないほどの一つの構造変化を遂げております。すなわち、省力農業をやらなければ農業経営ができなくなった。そのために、相当の無理をしてまでもすべての農家が相当の機械を持っています。すべての農家は発動機を持っています。しかも今度は、農作業場は非常に整備されてきました。ところが、これが経営面積が少ないために、実質上この機械を使うところの時間も、農作業場を使う時間も非常に少ないのです。一年のうちわずか一カ月かそこそこで、これは休眠してしまいます。そこが農業生産の非合理性がいまだに定着しているゆえんでございます。一方、日本の工業生産の状況から見るならば、各工場も、すべてこれら労働者を収容するための住宅、福祉施設、これがたいへんな問題でありまして、そのために都市におけるところの交通問題あるいは社会保障の問題が重積しております。そこで私は、これは通産大臣と農林大臣とでいまから検討されまして、一方においては、農民の季節的に余っておる労力と技術と——現在農民は相当の機械操作の能力を持っています。それにエネルギー源としての機械を持っております。農作業場を持っておる。そこで、これは製造業については研究をして、単純な規格生産ができるようにして、これを農家に予約生産させて、工場においてこれをアセンブルする、組み立てる、こういうことが当然なされていいことであります。スイスがあの時計においてすら、あの精密工業の一部にすらこれを採用しているという事実を見るとき、それ以上に技術的にも能力のある日本人である限り、私はこれをやるべきだと思います。これが、現在日本が当面しておる、一方においては高度に進歩している先進国、一方においては低開発国や軽工業に進出しているチープレーバーの、この二重の両ばさみの苦境を脱して、しかもいま農村における急速なる陥没的人口流動、これを防ぎつつ、しかも工業の発展になると私は思いまするので、こういうものこそ、たとえその萌芽は小さくとも育てていくよう、これは意欲的にやってほしい、こう私は思うのでございまして、これに対して総括的に、総理からでもけっこうでございまするが、御所見を承れれば幸いでございます。
○倉石国務大臣 ただいまのお話につきましては、たいへん示唆に富んだ御構想であると存じておりますので、大いに検討いたしてまいりたいと思います。
○根本委員 最後に、私は、総理の風格ある日本の国土の建設という点に触れて申し上げたい。 日本は、現在御承知のようにいろいろの難問は持っておりまするけれども、しかし、現在日本において一番欠けておるものは何かというならば、決して経済的な貧しさではなく、心の貧しさであろうと私は思います。戦後日本の国民の自己喪失ともいわれるこの状況は、私は非常に大きな問題であると思うのでございます。また、世界の状況から見ましても、欧米は科学技術の飛躍的な開発に基づく宇宙開発すら行なわれまして、二十一世紀の物質的、経済的な恵みははかり知れないものがあるといわれながら、一面においては、欧米人が心の貧しさのためにまことに索ばくたる心境にあるという事実も、これは見のがすことはできません。ところで、アジアで生まれたところの最高のヒューマニズムともいうべき仏教は、すでにインドにおいて滅びてから長くなっております。いま、中国における儒教を中心とする東洋の哲理も、支化大革命の名においてまさについえ去らんとしております。しかるとき、ひとりわが日本において、このアジアの二つの大きな思想、文化的資産が保存されております。これは大きな世界的な遺産であると私は思うのであります。しかも、日本は近代的な科学技術の富をもいま自分の身につけつつあります。したがいまして、この東洋の文化的な英和と、それから西欧における近代科学の富の技術、これを結びつけることによって世界に貢献することが大きくなると私は思います。二十一世紀からの叫びかけと称せられる大きなビジョンを、日本は誇りを持って示していいと私は思います。これをなし得る、これをなすことが私は風格ある日本の社会の建設になると思うのでありまして、このために、私は、総理が信念を持ってこのような問題について国民と常に対話をする姿勢をとってほしいと思うのでございます。これが私の願いでございます。 以上をもって私の質問を終わりといたします。(拍手)
○植木委員長 これにて根本君の質疑は終了いたしました。 次会は明後二十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十七分散会