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55回国会衆議院1967/03/16

本会議 第4号

発言数
14
登壇者
10
会派数
2
開催日
1967/03/16

会議録

石井光次郎自由民主党議長

○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣の演説に対する質疑

石井光次郎自由民主党議長

○議長(石井光次郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。佐々木更三君。   〔佐々木更三君登壇〕

佐々木更三日本社会党

○佐々木更三君 解散、総選挙の洗礼を経たこの特別国会の冒頭におきまして、私は、日本社会党を代表して、政府の施政演説に対する質問を行ない、佐藤総理にだけその所信を承りたいと存じます。(拍手)  私は、特に政府・与党の公約に焦点をしぼって御質問をいたしたいと存じます。  第一は、国会正常化の問題であります。  申すまでもなく、国会の運営は、与野党がともに責任を持つべきであります。したがって、かつては、国会の議長は与党から、副議長は野党第一党から、常任委員長は各党の議席数に応じて配分する慣例が実行されておりました。昭和三十七年八月には、国会の運営は与野党ともに責任を持つものとし、国会役員の構成はこの精神で行なう、こういう議院運営委員会の申し合わせがなされておったのであります。また、昭和三十三年十一月には、岸総理と当時の社会党鈴木委員長の党首会談で国会正常化の申し合わせがなされまして、そうして、議長、副議長はその党籍を離脱することになっておったのであります。しかるに、党首会談や各党の慣例や話し合い事項を一方的に踏みにじって、自民党が正副議長はもとより全常任委員長を独占し、しかも、正副議長は、自民党の党籍を平然として維持しておるのであります。また、二月十四日の党首会談で、私はこの点を指摘いたしまして、佐藤総理が、従来の党首間の協定及び慣例や申し合わせ事項を尊重し、国民に見せかけの口頭禅に終わらせないで、国会正常化の第一歩として、院の構成について良識ある措置を実行されるよう要望したにもかかわらず、総理は、正副議長、常任委員長をあえて独占したのであります。総理が力説した国会正常化の公約は、全く国民をあざむくものといわざるを得ないのであります。(拍手)これは、将来において再び国会を混乱せしめる危険をはらむものであり、この責任は、あげて総理にありといわざるを得ないのであります。(拍手)いまからでもおそくはありません。真の国会正常化のために、過去の慣例と各党一致の申し合わせを尊重して、これを今国会において実行するお考えが総理にあるかどうか、まず、その所信を承りたいと存じます。(拍手)  第二には、政治道義の確立の問題であります。  先般の黒い霧解散にあたって、佐藤総理は、政治道義確立を強く公約されました。しかし、総選挙の結果だけによって、黒い霧がすでに流されたと思うならば大間違いであります。先般の総選挙は、表面的には粛正ムードといわれながら、その事実は空前の金権買収の選挙でありました。その金による選挙を実行したものの大部分が、すなわち保守党候補であったことは言うまでもないのであります。(拍手)また、本年度予算編成の姿を見てごらんなさい。大蔵当局は、一般会計にあらかじめ千数百億円の隠し財源を含ませ、それをめぐって各種圧力団体と与党議員が、復活交渉と称して、砂糖にたかるアリのように群がり、予算ぶんどり合戦を行なったのであります。ここには相承変わらぬ自民党議員と官僚と利益団体の結びつきがあらわれておるのであります。こうした政府・与党のあり方こそ、従来のいわゆる黒い霧政治の温床となったところであり、今後もまた黒い霧の温床となることは疑いないと思うのであります。  こうした腐敗を粛正するには、まず具体的には公職選挙法の改正であります。すなわち、買収供応の違反の罰則をさらに強化し、候補者の親族、総括主宰者、出納責任者が買収供応で有罪となった場合は、候補者の当選を無効とし、その公民権を十年程度の長きにわたって剥奪するという連座制と罰則強化の思い切った措置をとる必要があるのであります。  他方、選挙は政策をもって争うものである以上、現在、警察並びに検察当局がやっておるところの形式事犯に対する追及をあまりにきびしくすることは不当弾圧に通ずるものであります。(拍手)むしろ言論、文書等の活動はその自由を大幅に拡大し、しかもその言論、文書活動の大部分を公営とすべきであります。また、政治資金規正法を改正し、国の補助、出資を受け、または国と特別の利益を伴う契約関係にある会社、法人の政治献金を禁止し、政治献金の免税措置を廃止すべきであります。総理はこれらの措置を実行される御意思があるかどうか。選挙制度審議会の審議とは別に、総理みずからの決意と所信をお示しいただきたいのであります。(拍手)  なおまた、近く統一地方選挙が行なわれますが、国会選挙よりもさらに腐敗混乱のはなはだしいのが従来の地方選挙の姿であったのであります。地方選挙を代表する首都東京の都知事選挙は、美濃部亮吉、松下正寿、阿部憲一の三氏によって争われようとしております。私は佐藤総理に御提案をしたいと存じます。前回の都知事選挙で行なわれたような、いわゆるにせ証紙、怪文書などの不祥事件がもしも再び発生したならば、それに直接、間接に関係した陣営では、みずからの候補者を辞退せしめることを申し合わせようではありませんか。(拍手)私は、ここに日本社会党委員長として責任をもってお約束いたします。佐藤総理もまた、自民党総裁としてこのことをお約束される意思があるかどうか。一千万都民及び日本の全国民に向かって、所信の表明をお願いいたす次第であります。(拍手)  第三は、国民生活と経済安定の問題であります。  佐藤総理は、総選挙にあたっていろいろと国民生活安定の政策を公約されました。これらの公約は一体どうなったでありましょうか。まず、総選挙後に政府は酒の値上げを認めました。続いて十月一日から消費者米価の一四・四%引き上げをきめました。政府・与党が消費者米価は当分の間値上げしないと公約した当分の間とは、すなわち国民の投票をかき集めるまでの間であることが、いまや明白になったのであります。(拍手)また、政府・与党が鳴りもの入りで公約した減税はどうでしょう。四十二年度税制改正は、所得税減税が印紙・登録税その他の増税で帳消しされて、わずか減税規模にして八百億円にすぎないではありませんか。ところが、物価値上がりに伴う名目所得増加は、自動的に税負担を増加させ、この税負担増加分は約四百億円に達するのであります。そのほか消費者米価値上げによる国民負担増加は何と千二百億円であります。さらに加えて政府は、約五百億円の健康保険料引き上げを昨年に引き続き本年もまたもや強行しようとしておるのであります。これでは国民は何一つ政府の約束を信用できません。しかしそれにもかかわらず、国民の切実な生活安定の願いに立って、私はあえて佐藤総理に要求をいたします。消費者米価値上げを取りやめること、また、現在値上げを検討されておるたばこ、大学授業料、電信電話料金などの公共料金を少なくとも今後二年間値上げしないことを約束し、この約束を厳粛に実行する決意をこの際国民に向かって表明すべきであると思うが、あなたの所信はいかがでございましょうか。(拍手)  さらに、私はこの際わが国経済の根本問題についてお尋ねをいたします。  政府・与党がいかに否定しようとも、インフレと物価騰貴を促進する根本的要因が公債発行にあることは天下周知の事実であります。本年度一般会計予算において政府は八千億円の国債を出そうとしております。また、財政投融資の原資として五千百億円の政府保証債を発行しようとしておるのであります。これらの国債または公債が日銀の引き受けとなり、通貨増発をもたらすことは日銀券発行高の推移が証明いたしております。一例をあげれば、昭和三十年から三十四年の間にわが国の生産は七〇%ふえたのに対し、通貨の増加は五四%でありまして、この時期が比較的物価の安定していた時期であったことは御承知のとおりであります。ところが三十五年から四十一年にかけては、生産の増加が九六%であるのに対し、通貨は何と二・五倍にふえ、このため物貨は急上昇してきたのであります。これこそまさにインフレであり、国債発行はこれにさらに拍車をかけるものであります。かかるインフレ政策を推進しながら、口先では物価安定を唱える政府の姿は、あたかも耳をおおうて鈴を盗むに似ておるといわなければなりません。(拍手)  このインフレ政策の基調の上において、わが国経済は次第に民間設備投資に刺激された景気過熱の様相を示しつつあるのであります。しかも、景気過熱の陰において、中小企業の倒産は最高の水準に達し、出かせぎしなければ食えない農村の窮状は一そう進行し、国民は物価騰貴に追われて、そして地方財政は超過負担と赤字に押しつぶされておるのであります。まさにこの好景気は、一部大資本のみの好景気にしかすぎないのであります。  他方、わが国がドル経済に巻き込まれておるその本拠のアメリカにおいては、明らかに景気後退の徴候があらわれております。大きな地震のあとに津波が襲来するように、わが国経済にまたもや国際収支の危機が襲来することは、おそかれ早かれ必然と見なければなりません。総理は、直接間接十五億ドルにのぼるベトナム特需と膨大なる第三次防衛計画の軍需生産に依存して、この経済的な津波を乗り切ろうとされるのか、それとも、中ソをはじめとする平和的東西貿易の拡大でわが国貿易構造を是正し、もっていかなる津波をも寄せつけない自主経済の防波堤を築かれるのか、基本的経済政策の方向を国民に明示される責任があるのであります。そして、後者の平和的、自主経済の方向をとられるときにのみ、わが国経済は安定的成長拡大の軌道に乗り、国債発行をやめて租税財源による健全なる予算編成が可能となるでありましょう。(拍手)あなたは、勇断をもってこの道を進む決意をお持ちになるべきであります。総理の所見はいかがでございましょうか。  第四は、平和に関係する外交問題であります。  本年の旧正月のあと、アメリカは、北ベトナムに対しては北爆を一そう強化し、あわせて海上からの艦砲射撃及び十七度線を越えて長距離砲の砲撃を加えております。南ベトナムでは、メコンデルタ地帯に対する無差別掃討作戦を行なっております。その残酷無比、非人道的なやり方は、世界のすべてが非難するところであります。(拍手)しかし、この軍事的やり方でアメリカが勝利できるかといえば、ベトナム民族をみな殺しにしない限り、アメリカの軍事的勝利はあり得ないのであります。しかも、そのやり方を続けることは、アメリカみずからの財政金融の破綻とドル危機を招き、世界世論の中でもアメリカの孤立を招き、またアメリカの国内世論の分裂を招くでありましょう。すなわち、軍事的勝利を求めつつ、結局経済的、政治的、外交的に敗北するのが、いまやアメリカの必至の運命であるといわなければならないのであります。(拍手)だが、私たちはそれを腕をこまねいて待つことは許されません。いまのこの瞬間においてもベトナム民衆とアメリカの青年の血が流されております。佐藤総理にもし人間としてのあたたかい心があるならば、ベトナム侵略のエスカレーションに人道の名において断固として反対することをアメリカに通告すべきであると思うのであります。(拍手)少なくとも北爆を即時無条件に停止することを要求すべきであります。これ以外にアジア平和の回復の方策があるならば、この際総理は具体的に国民に示していただきたいのであります。(拍手)  次は、中国問題であります。  現在中国においてはいわゆる文化大革命が行なわれておりますが、これが今後どういう過程をたどるか、どういう結果をもたらすか、それはすべて中国の内政問題であります。それに対し、日中の経済、文化の交流と国交関係をどう処理するか、これは日中間の外交問題であります。これを現在のような外交不在の状態に放置しておくことは許されません。日本と中国の外交関係が前進するかどうかは、わが国の平和と安全と経済発展を左右する最大のかぎであります。あなたがもし、社会党はなぜそんなに中国を問題にするのかと聞かれるならば、答えは簡単であります。すなわち、好むと好まざるとにかかわらず、日本の至近距離の隣国として、八億の人口を擁して厳然として中国は存在するからであります。この中国をまず重視し、友好を深めなければならないという外交の基本は、自由党であろうと社会党であろうと、何党を問わず中国に対する永久不変の外交原則でなければなりません。(拍手)アジア情勢の激動するいまこそ、日中国交打開を目ざして、何らかの政府間の接触の道を前向きに開くべきではないでしょうか。戦後二十年の間、日本は自分自身の外交を喪失してまいりましたが、いまこそみずからの外交を取り戻すべきときであり、その絶好の場所は対中国外交の場所であります。総理の所見いかがでございましょうか。(拍手)  次は、沖繩の問題であります。  政府は総理府を通じて、沖繩施政権の分離返還の方針を進めてまいりましたが、選挙中に突如として、あなたは分離返還ではなく全面返還の方針をとると言明いたしました。ところが、その後、外務省筋から、施政権返還と引きかえに沖繩の米軍基地の使用と、核兵器持ち込みの自由を保障するとの見解も表明されました。これらの政府の方針、見解は、ばらばらであり、不統一であり、いずれも米軍基地の撤去と施政権全面返還を不離一体のものとして要望しておる沖繩同胞と、全国民の願いを踏みにじるものといわなければなりません。現在、沖繩においては反動的教育二法に反対する重大なる政治的戦いが展開されておりますが、これも根本的には祖国復帰の悲願から発しておるものといわなければなりません。総理が極東の平和と安全が確保されるまでは沖繩、小笠原を返還しないというあのアメリカの主張に追従しておる限り、沖繩同胞は永久にアメリカ極東戦略のいけにえの地位をのがれることはできないのであります。(拍手)あなたは「沖繩の復帰がない限り戦後は終わらない」と言われました。このあなたのことばにみずから責任を負うべきであります。対日平和条約第三条が国連憲章違反であることを、国連をはじめとする国際世論に明確に訴えて、沖繩、小笠原の即時無条件全面返還を要求すべきであります。あなたは選挙中に全面返還と言われたが、一国の総理たる者が全面返還と言う以上は、何かのプログラムがあるでありましょう。私は、一体いつまでにそれをどうして実現されるのか、この機会に国民に向かって所信を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)  最後に、核拡散防止条約についてお尋ねいたします。  危険な核の拡散を防止することにはわが党も賛成であります。しかしながら、新しい核兵器保有国の出現を防止するとの名目で、いままでに核を保有している国の核独占体制を許すことはできないのであります。少なくとも、新しい核保有国の出現を禁止するときは、核保有国はみずからの核兵器を廃棄する義務を負うべきであります。その第一歩として、地下を含む一切の核爆発実験の全面禁止及び非核保有国に対し、また、核保有国相互の間でも一切核兵器を使用しないという義務を負うべきであります。また、他国に核兵器を持ち込み、核基地を設けることも危険な核拡散であるがゆえに、核拡散防止条約には、これを禁止する規定を盛り込むべきであります。さらに、米ソがかってに条約をつくり、これを他国に押しつけるのではなく、中国、フランス等々はもとより、すべての非保有国も参加する形の中で、民主的に条約がつくり上げられるべきものであります。日本政府としては、世界で唯一の被爆国民を代表して、以上のことを特に米ソに向かって要求し、同時に、みずからは核拡散防止条約の成否にかかわらず、非核武装宣言を発すべきであります。佐藤総理、私はここに、今国会において、衆議院及び参議院の意思として、各党一致で日本の非核武装宣言を行なうことに、あなたの御賛成をいただきたいと思います。(拍手)総選挙にあたり平和の確保を約束されたあなたが、国民のこの平和の願いに前向きにこたえられることを切望してやまないものであります。  また、政府は日米安保条約をさらに永続させる方針を明らかにいたしましたが、安保はアジアの緊張をさらに深刻にし、事実上日本がベトナム戦争に介入し、アジアの紛争を激化させることによって、日本にとってはおそるべき不安全保障であるのであります。わが党及び国民の絶対反対することをここに銘記されたいのであります。  以上、私は、国会の正常化、政治道義の確立、国民生活及び経済の安定、平和の確保という四つの重大な問題を中心に御質問いたしました。いずれの問題も、私に対してというよりも、国民に対して、総理みずから誠意をもって御答弁されるようお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  まず第一は、国会の正常化についてのお尋ねであります。  私は、今回の選挙を通じましていろいろなことを勉強いたしましたが、そのうちに特に国民の皆さんは、健全な議会制民主政治を守り、またそれを育ててくれろ、こういうことにたいへんな熱意を示されました。私は、現在の状態のもとにおきまして、この議会制民主政治をわれわれの力によってぜひとも確立し、これを守り抜き前進させなければならない、かようなかたい決意をいたしたのであります。これは、わが自由民主党ばかりではございません。おそらく選挙で選ばれた皆さん方も同じような気持ちを持っておられるだろうと思います。  そこで、これは各党の協力を得なければならない問題であります。協力をするから国会の院の構成についても考慮しろ、こういう御意見でございますが、私は、多数を与えられた自由民主党が政局も担当いたしますが、また国会の運営についても責任をもってその運営の衝に当たるのが当然だ、かように考えておるのであります。(拍手)私は、さような意味におきまして、今日の国会の機構そのものにつきましては、私どもが責任をもって運営に当たる、それにふさわしい機構だ、かように考えておるのであります。(拍手)もちろん、国会の運営におきましては、各党の良識とまた謙虚な相互の融和によりまして、この運営を行なっていくのであります。ことに、多数党が謙虚な態度をもちましてその責任を遂行するということ、これはもちろん当然のことであります。私は、この際に皆さん方に特にお願いしたいのは、国民の要望にこたえるためにも、この際民主主義の原則に基づきまして、そうして審議を尽くしていく、こういうことで国会の運営を円滑にやっていきたいと思います。(拍手)  第二の問題についてお答えをいたしますが、衆議院選挙といわず参議院選挙といわず、また統一選挙といわず、この選挙は民主政治の基盤でありますから、これはどこまでも清潔、明朗な選挙が行なわれることを国民も期待しておりますし、これは政治家あるいは政党に対する国民の至上命令だともいうべきものだと思います。  先ほど、東京都知事選について、これを公正に、りっぱに戦い抜こうというこの御趣旨から、佐々木君が御提案になりました趣旨に全面的に私も賛成でございます。堂々と今回のこの地方選挙は戦おうではございませんか。(拍手)  私は、この地方選挙のうちでも、特に東京都につきましては、これが日本の顔であり、また国際都市であるということでございますだけに、この選挙は、他の選挙も同様でありますが、ぜひとも御協力を得まして、公明正大に選挙を戦い抜く、こういうことにいたしたいと思います。  また、さきの選挙につきまして、これはまれに見る買収選挙だ、こういう御批判がございました。私は他の党でどういうことであったかは知りませんが、わが自由民主党に関する限りさような事実はございません。(拍手)これははっきり申し上げておきます。また、皆さん方も御承知のことだと思いますが、選挙が済んでから四十日たちました際の法務省の検挙件数、それなどを調べてみますと、前回の選挙に比べまして約半分に減じております。これは現実の数でございますから、はっきりいたしておるのであります。私は、この意味におきましては、この数字から見ますると、今回の選挙は各党とも自粛されたものだと思います。先ほど言われるような金力による買収選挙だ、かようにお考えにならないように、この事実で説明をいたした次第であります。また、今後とも一そうこれにつきましてはお互いに協力すべきものだと思います。  また、予算編成について圧力団体云々の御批判をいただきましたが、私どもが政党、そうして民主政治を行ないます際に、国民の各界の意見を聞くということは、これは当然のことであります。現に野党諸君の御意見でも、とるべきものはとっておるではございませんか。(拍手)この点は佐々木君もよく御承知のとおりであります。少なくとも、私自身総理といたしまして、圧力団体の圧力を感じたようなことは一切ございませんから、御心配のないようにお願いしておきます。(拍手)  また、選挙制度につきまして、連座規定その他、いろいろの点について具体的にお尋ねがあり、私の意見を徴されましたが、この点は、ただいま政治資金の規正の問題をも含めて選挙制度審議会に諮問いたしておる最中でございます。私は、この審議会におきまして、これらの点が具体的に答申されることをただいま期待いたしておりますので、私の個人的な見解は、この際に述べることを差し控えたいと思います。  次の物価問題について、お答えをいたします。  私、いろいろ具体的な問題がございましたから、具体的な問題についても私の意見を表明いたしますが、まず第一に、いわゆる物価問題についての私の所論を御紹介いたしたいと思います。  私が申し上げるまでもなく、物価は国民生活に影響するものでありますから、政治のその姿勢といたしまして、根本的に物価問題と真剣に取り組んでまいりました。そうして、真剣に取り組んでまいりました結果、四十年代には大体六・一%の上昇率でございましたが、さらにそれが、努力の結果、本年度は五%以内におさまるようでございます。五%自身がまだまだ高いのでありますので、これは施政演説でも申しましたように、さらに国民生活を圧迫することのないように、この引き下げについて努力してまいるつもりであります。  ただこの際に、物価と一口に申しますが、値上がりをいたしました物価問題で、その七三%というものは農水畜産物、さらにまた中小企業の加工品、あるいは個人サービスの問題でございます。こういうようないわゆる生産性の低い部門におきまして、いわゆる物価問題、これが国民生活に重圧を加えておる、こういう結論になっておるようであります。したがいまして、この物価問題と取り組む場合におきましては、当然農業あるいは水産業、あるいは中小企業等の生産性を上げていくことがまず大事であります。そういう意味で、いわゆる近代化、機械化を推進していかなければならないと思います。これが具体的な問題でありますが、基本的には、何といいましてもも経済自身を安定基調に乗せて、そうして円滑なる経済活動がはかられるということが基本でございます。そういう意味で、基礎的な、いまの経済自身を安定さすという方向で努力しておることは、御承知のとおりであります。  そこで、酒や消費者米価や健康保険料を引き上げるではないかという点についてのお尋ねであります。酒そのものは、御承知でもあるだろうと思いますが、これは政府が決定する価格ではございません。したがいまして、この問題は別といたしましても、消費者米価は、私は、選挙中におきまして、御指摘になりましたように、当分の間これは上げないということをはっきり約束してまいりました。今回も予算編成にあたりまして、十月になりまして——ことしの十月でございます、になりまして、この消費者米価を取り扱わなければ——上げなければならないだろう、こういうことで、ただいま予算編成に際して、予定した消費者米価の値上げを計上しておるわけでございます。私は、この消費者米価を値上げする、あるいは健康保険料の一部負担を上げるというようなことにつきましては、やはり経済の問題でありますから、受益者負担の原則というものは、どこかに出てくるのであります。特定の受益者に対しての負担をも、いわゆる税だけでまかなっていくということには、限度があるのであります。私は、そういうことを考えますと、国民の皆さんも納得していただける処置ではないかと思います。  次に、減税について今回処置いたしましたが、この減税は物価上昇にその効果を取られて、全然減税の意義をなさないという……(「そのとおり」と呼ぶ者あり)これは、そのとおりだと言われますが、国民を迷わす私は暴論ではないかと思います。(拍手)かようなことばは慎んでいただきたいと思います。なるほど、物価は上がりますから、そこでいろいろの問題が起こるのでありますが、物価値上げによる調整分は、大体三百億を見込んでおります。しかもなお、七百七十九億円が減税になるのであります。したがいまして、この七百七十九億ということは、中小所得者にとりまして、決して小さい金額ではないと思います。どうか、ただいまのように、物価値上げでこれが吹っ飛んだというような暴論はなさらないようにお願いをいたしておきます。(拍手)  次に、公債発行とインフレについての意見であります。私どもが、昨年公債に踏み切りました際に、社会党の諸君は、いまにインフレになるといってずいぶん非難されたものであります。しかし、御承知のように、昨年はりっぱに私どもは不況を克服することができて、景気は現に上昇したではありませんか。だから、その理論は間違いであったことを、如実に事実で証明したわけであります。私は、この公債の問題は、もちろん社会党が注意されるように、無制限に出されるならば、必ず経済の破綻を招きます。したがいまして、公債発行額の規模が適正であるかどうか、さらにまた、これが市中消化ができるものであるかどうか、この二点に特に注意を払いまして、そうして、ことしも公債を発行するのであります。  全般の経済の動向といたしましても、もちろん私が施政演説で申しましたように、過熱になるということがあってはならないのでありますから、十分今後と毛注意してまいりますが、一がいに公債発行はインフレに通じる、こういうような議論は、学問的にも無意味な議論だと思いますので、御訂正を願います。  さらに、日本の経済の今日の好況を持続するために、ベトナム特需によるのか、平和な中ソとの貿易によるのかという割り切ったお尋ねがございましたが、私どもの貿易はいずれの国とも仲よくしていくということでございまして、ただいまのように、ベトナム特需あるいは中ソ貿易に限るような片寄った処置はとるつもりはございません。もちろんりっぱな品物をつくりまして、どこの国からも求められるような貿易拡大に努力するつもりであります。  最後に、平和に関する外交問題についてのお尋ねがございました。私どもも、施政演説で申しましたように、ベトナムの戦火がいまなおおさまらないこと、まことに残念であります。しかし、佐々木君のお話のように、一方的にアメリカが侵略者であるとか言うだけでは事柄は解決はできないと思います。私は、佐々木君の、その他の部分については賛成する点もありますが、一方的にアメリカだけを非難されるこの態度には、どうも納得がいきません。(拍手)ことにまた、国際的にも佐々木君の御議論は通用しないように思いますから、これはもう少し御注意なすったらどうかと思います。私どもは、このベトナム問題について、一日も早く平和を回復するように努力しておりますが、しかし、もちろんこういうような紛争は関係国一同がその気にならないとおさまるものではございません。一方的だけではいかない。かように考えますと、正月あるいはクリスマス休戦、あるいは旧正月休戦、これなどはたいへんいい機会であったと思いますが、こういう際に、北側におきまして何ら和解の方向への歩み寄りをしなかった、この点はまことに残念であります。国際的にすべてが非常に心配しておりますが、まだその機運が醸成されておらないのだと思います。それだからといって、私どもは現状を放任するつもりはございません。外務大臣とも相談をいたしまして、あらゆる機会に平和を招来するような努力を続けてまいるつもりでございます。  次に、中共問題についてのお尋ねでございます。お説のように、事柄は隣国との問題であります。この点は御指摘のとおりでありますが、私ども、ただいま中共の流動する情勢に対処いたしまして慎重なる注意を払っておる次第であります。したがいまして、在来からとっておる政経分離の原則、これは今日もまだ変える時期でないこと、これをはっきり申し上げておきます。  次に、沖繩問題についていろいろお尋ねがございました。私は、一昨年参りまして、沖繩住民に対し、「沖繩の施政権の返還なくしては戦後は終わらない」ということを申しました。御指摘のとおりであります。百万の住民を含めて日本の全国民が復帰を心から願っておる、これは私どもが十分今後とも努力しなければならないことだと思います。しかし、わが国を含めての極東の安全、その問題とも深い関係のある問題でありますだけに、十分この点をにらみ合わして、ただいまの施政権返還についての処置をきめるべきであります。私はアメリカに要求すべき状況だとは思いません。むしろ、アメリカの協力のもとに、理解のもとに、この問題が解決されることを念願しておるのであります。もちろん、それまでの間、何もしないというわけにはまいりません。私は、沖繩住民の福祉向上のために、また、地方自治の範囲を拡大する点におきましても、経済活動に便するためにも、あらゆる努力をしてき、また協力をしてまいりました。現に御審議をいただきますように、沖繩に対する援助額も、これは飛躍的にふやしたのでございます。申すまでもなく、この沖繩住民と本土国民とが一体となる、そうして沖繩住民が、いまのアメリカの施政権下のために非常な不幸を見るというようなことのないように、同じ日本人でありますので、あらゆる努力をするつもりでございます。今後とも御支援、御協力をお願いいたします。(拍手)  次に、核拡散防止条約の問題についてお触れになりました。ただいま、核を持つ国と核を持たない国との間にいろいろな差別的な待遇があるということ、これは私どももなかなか納得のいかない問題であります。わが国日本は、世界における唯一の被爆国であります。そういう意味におきまして、核兵器を憎むこと、これはいずれの国よりもたいへん強く、深いと思います。この立場から、核拡散防止の基本的な趣旨には、私どもは賛成いたしております。社会党の方も御賛成のようであります。同時に、核の被害を、また悲惨なる状況をなくすために、核軍縮へ踏み切ることが最も必要なことだと思います。そういう意味において、核を持ち得る能力を持ちながら核を持たない国、たとえば日本のような国に、核を持っておる米ソ等がその地位から非常に不公正な待遇をすることのないように、この核を持つ国自身も、核軍縮に一そう積極的であるべきだと私どもは思います。ことに、この核のエネルギーというものが将来平和的利用もできるというようなことになれば、ただいま私がこれを持とうというのではありませんが、もちろんわれわれも同じような権利を保有するのが当然ではないだろうか、かような主張をいたすわけであります。私は、今日、誤解があると困りますから申し上げますが、核兵器を持つあるいは核兵器を持ち込む、核爆発の実験をする、こういうようなことは絶対にいたしません。これはたびたび申し上げたことでございます。  そこで、佐々木君から御提案になりましたように、核の非武装の宣言をしたらどうかというお話でございますが、私どものいままでの数次にわたる声明から、いまさらその必要はないものだ、私はかように考えております。(拍手)  また、日米安全保障条約のもとでわが国の安全が確保され、そうして今日のような繁栄を来たしたのであります。私どもが自由な活動ができるように、この国の安全は確保されておるのであります。政府自身は、この安保体制を堅持するつもりでございますが、国民もまた、安保体制を存続することに御異議がないようでございます。(拍手)     —————————————

石井光次郎自由民主党議長

○議長(石井光次郎君) 西村直己君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔西村直己君登壇〕

西村直己自由民主党

○西村直己君 私は、自由民主党を代表いたしまして、政府の施政方針について若干の質問をいたしたいと思います。  さきの総選挙におきまして、わが自由民主党が引き続き国民多数の支持を得て、ここに第二次佐藤内閣は成立を見たのであります。わが党は、この際一段と心を新たにし、責任ある与党として、国民の信頼と負託にこたえ、議会制民主主義を守り、各種政策を推進してまいりたいのであります。  わが国を取り巻きます内外の情勢は、いまや新しい段階を迎えております。すなわち、国際政局は、御承知のとおり、ベトナム紛争、また、混乱を続けます中共の文化大革命が、当面の焦点となっております。しかし、長期的な展望に立ってながめますと、かつての東西冷戦時代は去りまして、いまや、大勢としては、各国とも、その国家利益——ナショナルインタレストを追求する多角的な時代に変わっておるのであります。  アジアにおきましても、それぞれの政治的立場を越えまして、開発、経済建設を目ざし、連帯、協力の機運が盛り上がっております。いわゆるアジアの新風といわれるのがそれであります。戦後二十余年を経まして、国際政局は、流動的な段階から漸次新しい変貌の時代に入っております。  一方、国内について申しましても、敗戦から近代国家建設へのわが国民の歩みは、まさに世界各国の驚嘆するところであります。民族の巨大なエネルギーが、平和と自由と繁栄を目ざすわが党並びに政府の政策の断行と相まって、逐次その成果をおさめてきたのであります。しかし、歴史の流れは一瞬の停滞を許さないのであります。わが国は、さらに国民生活の向上、充実につとめるとともに、経済と社会の一そうの発展をはかり、国際社会における責任を果たすことによって、世界の中における平和国家日本、この立場を明らかにしてまいらなければなりません。同時に、経済の全面的な国際化と激しい都市化現象、労働力の不足による産業構造の変化等、近代国家の発展過程に伴う経済の複雑な変化にわれわれは勇敢に取り組むべき段階にあります。国民が、こういうような情勢に際しまして、さきの選挙にあたりましては、適切な政策を立て、その着実な実行ということをわが自由民主党に期待し、わが党を力強く支援したものと考えるのであります。(拍手)特に、われわれは、物価や交通安全、公害をはじめ、国民生活に密接した問題の解決を求められております。これらの問題は複雑なものであります。従来の行政分野や視野の狭いセクショナリズムでは解決は容易でありません。  こういうような状況の転換期に際しまして重要なことは、内閣総理大臣の指導力——リーダーシップの確立であります。将来を見通して、幅の広い視野に立った適切な判断と力強い指導を行なうことを国民は総理大臣に期待しております。総理大臣は、したがって、国民の先頭に立って責任を果たすと言っておられますが、重ねて所信を承りたいのであります。(拍手)  外交問題につきまして次に御質問申し上げます。  アジアの安定と経済協力につきましてでありますが、アジアの諸国では、ベトナムを除きまして、政治的な安定をだんだんに得ております。これらアジアにおいて連帯感が強まり、自由陣営、アジアの先進国でありますわが国に進んで協力を求めてきておることは御存じのとおりであります。したがって、この機運にこたえまして積極的な協力をすべきでありますが、経済協力の問題は貿易振興の面だけではない。単なる経済問題ではとどまりません。アジアから貧困を追放する、アジアに平和をもたらすという高い次元から考えらるべきであります。したがって、アジア外交を進めるにあたりまして、この点を十分に配慮されまして、強力な、効率的な運営、推進がはかられたいと思うのであります。総理大臣と外務大臣に御質問をいたしたいと思います。  また、アジア太平洋の外交であります。  外務大臣がアジア太平洋外交を推進すると言っております。世界の各地域で産業経済の発展で共同市場や地域協力が行なわれております。しかし、アジア州と米州との間の太平洋を中心とした広い地域は、人類の新しい文化と発展のために役立つものだと考えるのであります。したがって、わが日本をはじめ、アジア沿岸諸国と米国、カナダ、豪州、ニュージーランド等の国との間に強固な連帯関係を目ざして協力し合っていくこともまたきわめて世界平和に必要である。外務大臣のこの点に対しての具体的な構想を重ねて聞きたいのであります。  沖繩の問題であります。  沖繩が今日なお他国の施政権下に置かれているという現状は全く不自然であり、これが是正を求めておることは、民族の悲願であります。しかし、他面、現時点におきまして、沖繩がわが国及び極東の安全保障に重要な役割りを果たしていることも明白な事実であります。沖繩の施政権返還につきまして、極東の安全保障上の要請、沖繩の早期復帰に対する国民の悲願、これをいかに調整するかが日米間の最大の課題であり、この点につきまして、沖繩の本土復帰に対する悲願達成のために真剣にあらゆる努力を払うよう願ってやみません。もちろん、これと並行して、沖繩の自治権拡大と民生、福祉の向上、さらに本土との格差の是正、各種機能の一体化等について、日米間で不断に密接な協議が行なわれ、具体化をはかられていくことが重要でありますが、この点につきまして、重ねて総理大臣の見解を求めたいのであります。  核兵器拡散防止についてであります。  今日はすでに原子力時代に入っているのであのます。原子力の利用はたての両面であります。平和利用の面から見ますと、われわれの人類生活の前途に大きな光明を与えるものであります。しかし、これを軍事的に利用すれば人類を破滅と恐怖におとしいれます。このような点から、核兵器の拡散を防ぐ国際世論が強まっており、核兵器拡散防止条約締結の機運が盛り上がっているのは当然であります。わが国は世界唯一の原爆の被災国であります、核兵器を持たない、核の持ち込みも認めない、いかなる国の核実験にも反対するという態度をわれわれはとっております。この趣旨から見まして、わが国が、現在各国間で協議が進められておりますこの種条約、核軍縮につきましては、基本的に賛成すべきものだと考えます。しかし、核の問題は、わが国の安全保障はもちろん、未来に向かってその平和利用を目ざす国民的課題と深い関係を有するのであります。したがって、日本国民が核兵器について強い反感と恐怖を持っているのは当然でありますが、しかし、他面、核問題に対しましては、あくまでも現実を直視し、冷静かつ合理的に対処していかなければならないと思います。(拍手)  このようなときに、政府は、どうすればわが国のような核兵器を持たない国が原子力の平和的な開発利用を進められるか、またわが国の安全を確保し得るか、大局的な観点に立って本問題の処理に当たられたいのでありますが、総理大臣並びに関係大臣の御所信を承っておきたいのであります。  次は、安全保障の問題であります。  この点につきまして、世界は大勢として緊張緩和と申し上げましたが、国際共産主義の浸透によるベトナム戦争は、まだ解決の徴候を見出すことは困難であります。中共と米ソ両国との間の対立も続いております。アジアの困難と不安というものは依然去っていないのであります。このような情勢のもとで、ひとり平和と繁栄が享受できるのは日米安全保障条約に基づくものであることは、きわめて明白な事実であります。(拍手)わが党は、今後とも、わが国の安全保障政策の中核として、日米安全保障体制はこれを長く堅持すべきものと考えます。これに対する総理大臣の決意を重ねて御表明願いたいのであります。  もちろん、祖国の安全を確保するということは、国民の一人一人が、父祖伝来の国土と平和な家庭を守るという、素朴かつ純粋な人間性に根ざすことであります。わが国が国力と国情に相応する自衛力を整備することは、きわめて当然であります。このたび政府が第三次防衛力整備計画を決定されました。この機会に、総理また防衛庁長官より大要を示されたいのであります。  経済、財政に関する一、二の問題についてお尋ねします。  今後の景気見通しであります。  四十一年度におきましては、公債政策の導入と大幅な減税によりまして、みごとに不況は克服されたのであります。当時、野党の諸君は、公債発行はインフレを招くと、強く反対を唱えた。しかし、公債政策と平年度三千六百億円の減税は、国民生活の向上と社会資本の充実を促進しました。所期の目的は十分達成されたのであります。昭和四十二年度予算編成に際しましても、わが党並びに政府は、経済の現状にかんがみ、国際収支の均衡と物価の安定をねらいとし、景気に刺激を与えないよう財政規模や公債等の発行額を適正限度に押え、同時に、限られたる財源の重点的な配分によりまして、過ぐる総選挙の公約の忠実なる実現をくふう、配慮したのであります。(拍手)特に、財政規模を五兆円に押える、また民間経済の節度と相まって安定成長を持続しようというわれわれの考えは正しいのであります。ただ、昨今の景気の足取りが行き過ぎのおそれをはらんでおるという点でありまして、したがって、設備投資の行き過ぎや過当なシェア競争などは、節度ある経営態度を必要といたします。また、国民経済は国民の創意と努力によって不断に躍動を続けております。したがって、総理、関係閣僚よく一致されまして、タイミングをとらえまして財政金融政策の弾力的な運営をはかるとともに、他面、関係各界の適切な誘導を望むものでありまして、この点につきまして、総理、大蔵大臣、経企庁長官の所見を承りたいのであります。  物価問題であります。  四十一年度の消費者物価が五%程度にとどまる、これは、政府並びに関係方面の努力によるものであって、その意義は一応評価されてよいと思うのであります。しかし、毎年五%程度の上昇は大幅であります。特に私が指摘したいのは、物価と賃金と生産性の関係であります。この問題について、総理は、その施政方針におきましても、真剣に考えるべき段階であると述べております。この課題は、物価問題を根本的に解決する一つのかぎだと思うのであります。昭和三十五年から四十年までに至る間の生産性と賃金の上昇を比べてみますと、生産性は年率八・二%の上昇であるのに対して、賃金は一〇・三%と、はるかにこれを上回っておるのであります。このように国民経済全体の生産性を上回る賃金所得の上昇が、三十五年度以降の大幅な消費者物価上昇の要因の一つになっておるのであります。今後、物価と賃金とが悪循環を繰り返すことなく、消費者物価上昇率を昭和四十六年度には三%に安定させるという政府の長期展望を裏切らないように努力をいたされたいのであります。  経済成長の過程におきまして、賃金、所得の増加は当然であります。しかし、生産性を無視した大幅賃上げ、これと合理化反対を主張する総評の毎年のスケジュール闘争は、物価安定を期待する勤労者、農民、そして家庭の主婦の真の要望にこたえるものではないといわざるを得ないのであります。(拍手)物価問題の根本的解決は、低生産性部門たる中小企業、農業等に対する政府の強力な政策展開はもとより必要であります。同時に、国民各層が、国民経済全体の視野の上に立って解決するという問題意識を持つこともまた必要なのであります。(拍手)さきに政府が、わが党の公約に基づきまして、国民各層の権威者を集めた物価安定推進会議を設けましたが、適切な措置であります。全国民の期待に沿うように、その機能が十分に発揮されることを望むのであります。  特にこの際、物価と賃金所得の関係に対する政府の基本的な態度、さらに、政府みずからが責任を持ち得る公務員や公共企業体職員の給与決定の方式に改善の余地はないか、さらに、当面する春闘に対していかようの見解を持っておられるか、総理並びに関係大臣に答弁を求めたいのであります。  第三の問題は、都市問題と地域格差の是正についてであります。  経済の発展と構造変化に伴って、全国的に都市化現象と人口の都市集中が急速に進んでおります。都市機能は、整備がなかなか追いつきません。ために、通勤難、住宅難、あるいは生活環境施設の不備等、諸問題が生じております。総理の言われる社会開発も、このような生活のひずみを解消して、近代的にして健全な市民生活を保障するところが大きなねらいだと思うのであります。この問題を解決し、住みよい都市づくりを進めるためには、よく将来を見通しての基本計画の策定、事業の総合性と能率の確保ということが必要であります。すなわち、抜本的な都市政策の確立とその体制を整えることが急務であると思うのであります。他面、農村におきまする若年労働者の流出は、生産の停滞あるいは低下を生じやすいのであります。地域格差の是正と農業所得、農家所得の向上も、調和のとれた国づくりの一環として必要であり、これらの諸点に関して、総理、関係閣僚の所見を承りたいのであります。  次は、人の問題であります。  科学技術の急速な発達や、政治、経済、社会における経験の累積によって、人類の理想も欲求もだんだんに変わりつつあります。この大きな時代の変化にあって、わが日本民族の恒久的な発展、繁栄を確保するには、人間を大切にする、この基本理念に立って、能力とエネルギーを最大限に発揮させることが、絶対の条件であります。わが国の人口は、昭和四十年代の後半に至りますと、労働力人口の伸びが急激に低下するのであります。最も需要の多い若い労働力が減少して、特に技能労働者の不足という傾向が一そう強くなるのであります。この関門を乗り切るために、私は、科学技術の向上と豊かな人間性の涵養によって、貴重な人間の力を二倍にも三倍にも伸ばすことが基本であると考えます。すなわち、教育の刷新と科学技術の振興、特に後期中等教育のあり方について再検討を進め、すみやかにその結論を得ることが必要と思うのであります。総理並びに文部大臣の所見を承りたいのであります。  在外財産問題につきましては、特に太平洋戦争の結果、国民各層に非常な幾多の犠牲、被害を与えましたことは御承知のとおりでありますが、わが党は、遺家族、傷痍軍人の処遇をはじめ、最近におきます農地報償等一連の解決をはかってまいりました。政府は、いま、さらに多年の懸案である在外資産問題も適切な解決をはからんとしておられます。戦後処理の大きな問題がこれをもっておおむね解決されるのであります。戦後二十年、いまやわが国は新しい時代に向かいつつあるのであります。戦後処理の問題は、本問題の処理をもって最終解決とするとともに、残されました問題ありとしますれば、将来社会保障の拡充整備等によりこれが処理に当たるべきだと思いますが、総理大臣の所信を承りたいと思うのであります。  最後に、私は政治の姿勢についてお尋ねしたいと思います。  昨年来、政治の姿勢という、いわば政治以前の問題が大きな課題となったのはまことに遺憾であります。しかし、「災いを転じて福となす」ということわざのように、これらの問題は、わが国の民主政治を健全に発展させるためのよき契機と考えるべきであります。この機会に、われわれ政治に携わる者すべてが真剣にこの問題を考え、正しく明るい民主政治の確立に一段とつとめたいと考えます。もとより、民主政治の基本は個人の自由と人権の尊重であります。西欧のことばに、「自由の担保は責任である」ということばがありますが、責任を明らかにして初めて自由は守られ、民主政治は根づくのであります。根をおろすのであります。わが党がさきの総選挙におきまして、中央、地方を通じ議会と行政府の責任分野を明確にし、それぞれの姿勢を正すとともに、広く国民のこの点に関する理解と協力を求めると公約したのも、この趣旨によるものであります。  次に、国会はあくまでも話し合いの政治の場であるということであります。国会の論議に、院外の闘争や、または実力行使をからませることは、まさしく議会政治の後退であります。(拍手)私どもは、主権者である国民から選ばれました文字どおりの選良として行動すべきであります。国民の前で、国民が納得するような、現実に即した話し合い、すなわち対話を深めていくことがきわめて大事であります。与党であれ野党であれ、国会論議は、良識に基づき、平穏かつ十分に行なわれ、しかる後多数意思の決定に従っていく方式をお行いに認め合う以外に、議会政治を確立し、発展させる道は絶対にないと信ずるのであります。(拍手)  また、政治は限られた人たちのものであってはなりません。したがって、たとえ政治的見解を異にする与党、野党の党首も、できる限り機会をとらえ、形式を離れ、打ち解けて話し合い、そのことが広く一般家庭や働く人たちのいこいの場において話題として取り上げられることも、議会制民主政治を国民のものにするという道であると考えるのであります。いまこそ国民の輿望にこたえ、明朗公正、かつ効率的な国会運営によって、政治に対する国民の信頼を高める絶好の機会である〉存じます。総理大臣の所見を承りたいのであります。  今日われわれの自由民主党並びに政府に課せられた課題は非常に多いのであります。総理大臣の言われるごとく、道は険しく、困難に満ちております。しかし、佐藤内閣が長期的な視野に立って今日の問題と勇敢に取り組む、これこそがあすへの具体的前進になるのであります。広く国民の希望にこたえてもらいたいのであります。  以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  私は、施政演説で、国民の先頭に立って重責を果たし、そうして国民の期待にこたえるということを申し上げました。私考えますのに、政治というものは、他のものにこれは優先するものではないかと思う。いわゆる国の歩みをリードするものは、それは政治でなければならないということを実は感ずるのであります。その意味におきまして、私ども政治家、あるいは政党、それにただいまのような、世の中をリードする力、それをぜひとも実行してほしいという、これは国民の皆さんの期待だと思うのです。そういう意味におきまして、るる御説明がありましたが、国内的諸問題、また国際的地位等とにらみ合わせまして、わが国が間違いのない歩みをするように、一そう、この上とも力を、勇気をもちましてリードしていく、これが私に課せられた責任だと、かように思います。(拍手)  次に、経済協力についてのお話がございました。アジア外交を展開いたします際に、私どもは、経済協力、あるいは技術協力、あるいは資金的援助等々を申しておりますが、これは申し上げるまでもなく、アジアにおける先進工業国としての日本、この日本の責務は、アジアの開発途上にある国々に対しまして、それらの国々の繁栄を願う、また、それらの国々の平和を願うという心から、経済協力をしなければならないのであります。私は、西村君が御指摘になりましたような意味におきまして、この経済協力を高い視野から実施してまいるつもりであります。ただいまのように、アジアにおいてその貧困を除去するのにわが国が一役を買う、そして、それが効果があがるということになりますならば、アジアの平和がそこにもたらされる。同時にこれはわが国の安全にも寄与するところでありまして、事柄は単なる経済問題ではないと、かように私は思いますので、積極的に平和外交を推進するという立場におきまして、この点を進めるべきだと、かように考えております。  次に、沖繩の施政権返還の問題についてお尋ねがありました。先ほども佐々木君にお答えしたとおりでありますが、重ねて尋ねるというお話であります。その中に、私どもが指摘しておりますように、わが国を含む極東の安全保障体制、そういう問題と、この沖繩の施政権をアメリカが持っておる、そしてこれを返還さすという、この二つの問題がお互いにからみ合っておるのであります。これを調整してそうして国民の願望を達成しようとする、これが私どもの考え方であります。したがいまして、ただいまお話にありましたように、この基本的な問題は、私が一昨年アメリカのジョンソン大統領と話をいたしました際も、両国は沖繩を日本に返すことについて異存はないんだが、極東の平和がそういうことを許し得るような状態になることを心から望んでおる、こういうような共同声明を出したのであります。したがいまして、この沖繩の問題は、わが国を含む極東の安全保障体制、それを全然無視はできないのであります。私どもは、沖繩住民が非常な苦しい状態に置かれておること、やはり祖国に復帰する、これが住民の念願でもありますし、この念願がかなうまでは、せめても、本土との間の一体化をはかるために、民生の向上や自治権の拡大等において努力すべきではないかと思います。いかに事柄が小さかろうが一つ一つこれを解決していく。抽象論や観念論は排しまして、具体的問題として沖繩住民の福祉のためにわれわれが努力する、これが当然の責務だと、かように考えておる次第であります。(拍手)  次に、核の問題についてのお尋ねであります。これも佐々木君にお答えしたとおりでありますが、ただいま核を持った国と持たざる国、しかもその持たざる国のうちに、核を開発し得る能力を持ちながらなおかつ持たない国と、こういうものがあるわけであります。これらの国がひとしく期待いたしますものは、この核の平和利用についてはみんな公平であってほしい、そうして同じような待遇を受けるべきだ、そうして核軍備はしない、核武装はしない、こういう方向に考え方が向いておるように思います。私は、この基本的態度については何ら疑念を持たないのでありますし、また今後とも、そういうような意味において、持たざる日本も、持っておる米、ソ、仏、中共等がかってなことをしないように、同じような義務と権利を保有するように国際取りきめがあるべきだ、かように考えるのでありまして、そういう意味の努力をするつもりであります。ことに、私どもは原子力についての平和利用の基本的な法律も持っておりまして、平和利用については、これは原子力といえども、わが国も有効にそのエネルギーを使っておるわけであります。平和、自主、公開、これが平和利用の原則だと思います。核物質の開発につきましても、同じような考え方でこの問題と取り組むべきものだ、かように思っております。  なお、誤解はないと思いますが、この核拡散防止協定は、ただいまあります国の集団的安全保障措置を阻害するものでないこと、これは御指摘のとおりであります。  次に、わが国の安全確保のために、先ほども御説明をいたしたのでありますが、わが国は安全確保の中核として日米安全保障体制を堅持する、これは間違いのない、われわれは今後ともこれを堅持してまいるつもりであります。この点につきましては、具体的方法はどうするのかというお尋ねがあろうかと思いますが、これは今後十分検討いたしまして、どういうような形がいいか——しかし、いずれにいたしましても安保条約体制はこれを堅持するという方向で結論を出す考えでございます。  次に、第三次防衛力整備計画についてのお尋ねがありました。わが国は、国防の基本方針というものをかねてからきめております。そうして時機に対処いたしまして、国力、国情に即した自衛力を持つというのが私どもの基本的態度であります。今回の第二次防衛力整備計画に引き続いての第三次防衛力整備計画を立てるに際しましても、わが国の国力、国情に即応した計画を立てたつもりでございます。二兆三千四百億、そうして上下二百五十億のゆとりを見た計画を立てたのであります。これも計画と申しますが、国防の一応のめどであります。国の防衛体制は最も大事なことでありますから、今後とも国際情勢の変化に十分注意いたしまして、そうしてわが国の安全確保に万全を期する考えでございます。(拍手)  次に、五兆円以内に予算を切り詰めましたことについて、これはたいへんな苦労があったと思いますが、現在の経済をいかように見るかというお尋ねでございます。私がしばしば聞かされることばのうちに、政治は生きものだということばがあります。同時に、経済は生きものだということを、この際皆さま方にも十分理解していただきたいと思うのでありまして、もちろんわれわれはある一定のめどのもとに経済を進めておりますが、しかし、自由経済のもと、いわゆる計画経済はいたしておりませんし、統制経済もいたしておりませんから、諸条件を見落とすことのないように、十分終始注意いたしまして、そうして安定成長を願っていかなければならないと思います。この際、特に、心配といいますか、注意を要するものは、過熱にならないような指導が必要だと思います。そういう意味で、民間の産業界の協力も特にお願いする次第であります。  次に、物価と賃金所得との関係についてのお尋ねであります。もちろん、物価と賃金とこれは関係のないような世の中はございません。しかし、私は、簡単にいわゆる物価と賃金との悪循環というような考え方をするものではありません。しかし、御指摘にもありましたように、三十五年以降のものを調べてみますると、遺憾ながら生産性の向上を上回るような賃金の引き上げであります。こういう状態では、これは賃金を上げましても、いわゆる正常なる経済状態はなかなかできないのであります。そこで、三十年から見ますると、やや長期的に見れば、まずとんとんに上がっておる、まあ均衡がとれておる、こういうような状態であります。私は、今後とも、経済が成長し、そうして経済が発展いたします際に、こういう際だから賃金を上げよう、あるいは利潤を大にしよう、この二つで争うことなしに、労使双方とも、その利益を消費者に還元するという、そういう考え方で取り組んでいただきたいと思うのであります。そうすれば、いわゆる賃金の上昇が名目賃金の上昇にならないで、実質的賃金の上昇、そういうことを招来し得るのではないかと思います。これは大事なことだと思います。ことに、中小企業や農業や商業、サービス部門、こういうところが生産性はなかなか上がりにくい、しかも労働力は、他の生産性の上がり、利潤の多いほうにみんな取られる、そうしてそういう産業では労賃はどんどん上がっていく、そこで中小企業や農業や商業やサービス業などは労働力不足、こういう事態を招くのであります。やむを得ずこれが賃金を上げる、これが物価に悪い影響を与えておる、かようなことにもなりますので、これは労使双方におきまして、いわゆる社会経済的観点に立って対処されることを心から期待するものであります。  さらに、お尋ねがありました人事院勧告についての問題でありますが、三公社五現業のほうは調停や仲裁規定もありますので、それによってものごとがきまりますが、しかし、それにいたしましても、いわゆる当事者能力の問題が起きております。これはいろいろむずかしい問題を引き起こしておりますので、公務員制度審議会におきましてただいま審議中でございますが、結論を早く出したいものだと思います。  また、人事院勧告の場合におきましても、今日の勧告につきましては、私どもも、もっと円滑にこの勧告を実施するために、制度をいかにしたらいいだろうか、いろいろくふうをしておる次第でございます。もちろん、関係各大臣において協議はいたしておりますが、予算編成ともからみましてなかなかむずかしい問題があります。ただいままだ結論を得ておりませんが、急ぎ結論を出すように、誠意をもって処置するつもりでございます。  また、最後に、春季闘争の問題についてお尋ねがありました。これは冒頭に申しましたように、最近は経済が好景気になったから、こういう際こそ賃金を上げるべき好機だという、また、賃金を上げるよりも、資本の自由化、これが世界の大勢だ、したがって構造改善すべきその時期だという議論もあります。こういう意味で、労使双方におきまして十分まだ意見の一致を来たしておりませんが、ただいま私が申し上げましたように、こういう際こそ、国民経済的視野に立ちまして、労使双方で納得のいくようなこの問題の解決をはかっていただきたいと思うのであります。  次に、都市問題についてのお尋ねがありました。今後十年、ますます都市集中の傾向に人口がまいるだろうと思います。そこで、住宅問題をはじめ、交通問題その他たいへんな問題を引き起こしております。最近は、都市再開発の要請にこたえるべく、いろいろ政府も党もこれは検討いたしております。この点について、いま御意見を提起されましたのは、こういう事態に、基本的な計画を立て、各省にまたがるような問題を総合的に実施に移すためには、行政機構の面においてもくふうすべきではないだろうかというのが、御意見の中核をなすものではないかと思うのであります。私は、都市再開発あるいは都市問題と取り組むために、その総合性を必要とする施策から、単一の省を設けろというような御意見も当然出てくるのではないかと思います。しかし、事柄はたいへん重大な問題でありますので、さらにさらにこの問題は引き続いて検討いたすつもりでございます。  同時に、農業等について、若年労働など、いろいろの御意見が述べられました。要は、調和のとれた国づくりをすべきだ。農業の問題は、物価問題と取り組みまして、いろいろむずかしい近代化や機械化や協業化などの問題があると思います。しかし、やはり調和のとれた国づくり、これに一そうの努力をすべきだ、これが政治家の使命だと、かように考えます。  次に、将来のわが国の人口構造の想定をされまして、いろいろ対処すべき方向についての御意見でございます。何と申しましても、人間がその能力とエネルギーを十二分に発揮し得るようなそういう社会にしなければなりません。そのためには、何といっても教育にもっと力を入れる、あるいは科学技術の振興にさらに力をいたさなければならない、かように思いますので、その方向でさらに努力することをお誓いいたします。  次に、在外財産処理の問題についての御意見であります。私は、戦後のいろいろのむずかしい問題と取り組みまして、あと残っているものは、おおむねこの在外財産処理の問題だけのように思うのであります。したがいまして、審議会の答申等によりましての、今回はぜひともその処理をつける考えでございます。そうして、ただいま西村君から御指摘になりましたように、政府がいたずらに戦後処理に追われることなしに、今度は、これが済めば、今後の社会問題その他については、戦争によろうがよるまいが、とにかく社会保障制度を充実してこれに立ち向かっていく、そうして不幸な方々がないようにする、これが今後の行き方だと思います。その点を西村君からも御指摘になりましたが、私は今後ぜひともそういう方向で進んでいきたい、かように思います。  最後に、国会運営についてのいろいろの御意見を伺いました。私も、確かに、国民の要望するものは、健全な議会制民主政治だと思います。明朗公正にして、しかも効率のいい国会運営、これを心から望んでおると思います。それらの点におきまして、多数党もまたみずから謙虚に、十分話し合いの場であるこの国会、そうして国民のために私どもがお手伝いができるようにぜひともいたしたいものだと思います。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇〕

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) 西村君の私に対する御質問は、第一点は、経済外交の進め方についてでございますが、西村君も、経済協力というものは、今後、貿易の振興という面から取り上げるのではなくして、アジアの安定、平和、そういう高い見地から経済協力をやるべきではないかという御意見でありますが、全く同感でございます。われわれといたしましても、そのような見地からこの問題を取り扱うことが、ひいては日本の安定、繁栄にも通ずるものであると考えるものでございます。したがって、今後は、総理大臣のリーダーシップのもとに、関係閣僚が協力して、国策的見地から経済協力を進めたい決心でございます。  第二点は、アジア太平洋外交についてお尋ねでございましたが、西村君も御指摘のように、地域的に近隣諸国はお互いに影響し合うものであります。したがって、共同の意識あるいは連帯、協力の体制というものが生まれてくることは、自然の趨勢であります。欧州においても、ラテンアメリカにおいても、アフリカにおいても、その例を見るのであります。そういう観点からアジアを考えたときに、やはりわれわれの社会は、アジア太平洋という一つの共同社会をなすものだと考えてよろしいと私は思います。したがって、今後のアジアの開発を考える場合に、世界人類の三分の二もが住んでおるこのアジア、十七億という人間が住んでおるアジア、しかも非常な停滞しておるアジアの開発を考えたときに、どうしてもアジア太平洋という広さでこの問題を解決するというのでなければ、アジアの開発は促進されるものではないと思うのであります。(拍手)したがって、いまヨーロッパにおける共同市場というような、一つの固定した機構を頭に入れてアジア太平洋外交というものを私は言っておるのではない。将来には何らかの新しい協力の方式が生まれてくるでしょうが、今日必要なことは、アジア太平洋地域の諸国がお互いに連帯、協力の機運を助長するということが、将来新しいものを生むための重要な素地になると思うのであります。民間の側においても、太平洋産業会議とか、あるいはアジア太平洋医療協力機構などの動きとか、いろいろこの広さでものを考えようという傾向が民間の活動の中にも生まれてきております。非常に喜ぶべき傾向であって、政府はこういう民間の活動を助長すると同時に、政府みずからも、このアジア太平洋地域の相互の外交を通じて連帯、協力の機運をつちかって、将来の新しい大きな共同あるいは協力の体制が生まれる素地をつくりたいというのが、アジア太平洋外交を今日推進しておるゆえんでございます。  お答えをいたします。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男君登壇〕

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これからの経済の動向につきましては、御要望のとおり十分気をつけてまいりたいと存じます。  民間の資金需要が非常に強くなったようなときに、政府の需要を強くして、民間と競合させるということのないように、時期を失しないように、機動的な運営をやってまいりたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年一ぱい中小企業に対する金融機関の貨し出しの水準が非常に高うございました。このことは、ぜひともことしもそういうふうに続けてまいりたいと思っておるわけであります。それから、国際化を控えまして、大企業を中心とする効率化投資、これも大切なことでございますから、これらの二つの目的のために、限られた資金、資源を使いますためには、いわゆるシェア競争というような浪費があることは好ましくない、国民全体それをお互いに考えてやろうではないか、こういうことを私としては申しておるわけでございます。  国際収支の観点から申しますと、今日の国際収支の問題は、もう御承知のように、数年前とは一変いたしておりまして、為替銀行のポジションも非常によくなりましたし、貿易の赤を資本の導入でまかなうというのではなくて、逆に資本の輸出国になりつつございますので、したがって、毎月の貿易収支ではそれだけの黒字をかせぐことが必要なのではないか、資本輸出国としては当然そうでなければならないのではないか、ただいまのところ、輸入が多過ぎると申しますよりは、少し輸出が内需に食われる傾向があるので、それを注意しなければならないのではないか、こう思っておるわけでございます。(拍手)   〔国務大臣剱木亨弘君登壇〕

剱木亨弘自由民主党文部大臣

○国務大臣(剱木亨弘君) 私に対する御質疑は、後期中等教育の振興の問題であったと存じます。社会の急激な進展に即応しまして、十五歳から十八歳、いわゆる後期中等教育を振興することは、御承知のとおり、きわめて重大な問題だと存じます。昨年の十月に中央教育審議会からこの問題に対しまする答申がございまして、その答申の趣旨を尊重いたしまして、各個人の能力や適性や進路や、これに即応し、また社会の要請に即応しまして、後期中等教育の多様化の線に向かいまして推進してまいりたいのでございます。ただいま、その具体的な方法につきましては、理科教育並びに産業教育審議会に相談をいたしまして、具体案の作成を急いでおる次第でございます。  なおまた、勤労青少年の教育につきましては、通信教育、定時制高等学校、これらの振興について努力をしてまいるのでございますが、ことしは、特に昭和四十二年度から、定時制高等学校と通信教育とを併置いたしました独立の高等学校を建設することに計画をいたしまして、これを進めてまいるつもりでございますが、なお、勤労青少年に対しまして、夜食、いわゆる夕食の給与でございますとか、あるいは教科書その他の学用品、あるいはまた、運動場におきまして、夜間でございますので運動場の夜間照明を設備する、こういったような面に力をいたしまして、勤労青少年の教育にも大いにその振興を期待したいと努力をいたしておる次第でございます。(拍手)      ————◇—————

亀岡高夫自由民主党

○亀岡高夫君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十七日午後一時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。

園田直自由民主党副議長

○副議長(園田直君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

園田直自由民主党副議長

○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時一分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 田中伊三次君         外 務 大 臣 三木 武夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 剱木 亨弘君         厚 生 大 臣 坊  秀男君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  菅野和太郎君         運 輸 大 臣 大橋 武夫君         郵 政 大 臣 小林 武治君         労 働 大 臣 早川  崇君         建 設 大 臣 西村 英一君         自 治 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 福永 健司君         国 務 大 臣 増田甲子七君         国 務 大 臣 松平 勇雄君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君      ————◇—————

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