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55回国会衆議院1967/07/20

法務委員会 第35号

発言数
169
登壇者
18
会派数
4
開催日
1967/07/20

会議録

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 これより会議を開きます。  閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  まず、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  すなわち、先ほどの理事会における協議のとおり、刑法の一部を改正する法律案について閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、松本善明君より発言を求められておりますので、この際、これを許します。松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私は日本共産党を代表いたしまして、この刑法の一部を改正する法律案の取り扱いについて一言発言をしておきます。  刑法の一部を改正する法律案の提案理由は、結局のところ酔っぱらい運転でありますとか、あるいは無免許運転であるとか、特に悪質な業務上過失致死傷罪の宣告刑が、法定刑の上限に達している。したがって、法定刑の上限を引き上げなければならないということであり、提出された資料もほとんどそのすべてがこのような酒酔い運転、あるいは無免許運転に関するものであります。しかし、審議の過程で、これが航空機でありますとか、あるいは国鉄、あるいは私鉄、タクシー、トラック等の交通労働者だけでなく、医師から食料品関係の業者に至るまでの広範な人たちに影響することは明らかであるということが指摘されており、政府からは、こういう広範な人たちには影響がないのだというような答弁、その明確な保証がないにもかかわらずそのような答弁が繰り返されているという状態であります。最後には、道交法百十七条のひき逃げの場合と、刑の権衡を害するというような理由づけさえ出てくるということで、全く首尾一貫しないものであります。  これらを見ましたときに、政府の提案した改正理由がきわめて薄弱なものであるということは明らかであると思います。交通事故が激増している根本原因は、自動車の急激な増加、安全設備の不備、交通労働者の劣悪な労働条件によるものであることは、政府自身がその答弁の中で否定することができなかったものであります。この法案は、交通事故の根本原因に対する政府の施策の怠慢を免罪し、そしてその政府の責任を交通労働者はじめ広範な人たちに転嫁をする法案といわざるを得ません。こういう法案だからこそ、この国会に至るまで四国会にわたって提案をしても、賛成を得られなかったわけであります。このような法案を、閉会中の審査に付託する必要は全くない、これは廃案にすべきであるということを私たちは考えておりますので、そういう趣旨で、そのようにはからっていただきたいと思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 これより採決いたします。  刑法の一部を改正する法律案について、閉会中の審査を申し出るに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 起立多数。よって、本案について閉会中審査の申し出をすることに決しました。  次に、  裁判所の司法行政に関する件  法務行政及び検察行政に関する件  国内治安及び人権擁護に関する件以上の各案件につきましても、閉会中審査申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次に、おはかりいたします。  閉会中審査に関し、最高裁判所の長官またはその指定する代理者から出席説明の要求がありました場合には、そのつど委員会にはかることなく、その取り扱いを委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査のため、実地調査の必要がある場合には、委員派遣を行なうこととし、派遣委員、派遣地及び期間等、その他議長に対する承認申請の手続等、すべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 次に、請願について御報告を申し上げます。  今国会において、本委員会に付託されました請願は、本日の請願日程のとおり、亡命韓国人の強制送還反対に関する請願外十三件であります。  各請願につきましては、先ほどの理事会におきまして慎重に検討いたしたのでありますが、いずれもその採否を留保することと協議決定いたしました。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 なお、委員会に参考送付されております陳情書は、会社更正法の一部改正に関する陳情書外八件で、お手元に配付いたしましたとおりであります。  以上、御報告申し上げます。      ————◇—————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 裁判所の司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、並びに人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。高橋英吉君。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 北鮮帰還の問題について質問したいと思います。  中垣前法務大臣の勧告もありますし、法務大臣も外務大臣もおられませんし、これは政治問題で重大問題ですから、総理や各閣僚にも直接熱心に進言できる立場におりますので、ごく簡単に質問したいと思います。  北鮮帰還の協定が打ち切りになるということは閣議決定しているのでよく承知しておりますが、大体これを打ち切るというのはどういう利益が日本側にあるのか、打ち切ってどういうふうな日本に利益があるかということをまずお聞きしたいと思うのです。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 先生御承知のようなふうに、当時たくさんな在留朝鮮人の中で帰国を希望しておる者があったわけでありますが、これを決定いたしました当時は、御承知のようなふうに北鮮との輸送交通の方法も全然ございませんし、当時の状況としては、やはり両国の間に国交がございませんので、それから一つの人道上の問題でもございますので、赤十字社間の話し合いの取りきめによって、国が赤十字社にお願いをして、帰国をする方々の便宜をはかってきたわけでございます。その当時の状況をいろいろ調査いたしました結果、帰国いたしたい人は、当時約八万人の希望者があったわけでございますが、作業を進めますうちに、ほとんどそういう希望者が帰国いたしまして、現在では一千人、少ないときには百人に満たないというような状況でございます。したがって、前の協定に基づきまして、ソ連船を、これは北鮮側が借りたものでございますが、二千人ぐらい乗れる船が定期的に約束どおりきておるわけでございますが、一方帰国希望者がそのとおり減ってまいりまして、中には、帰るという届けを出しながら、新潟まで行って引っ返してくる人もかなりあるわけでございます。  一方、そういうふうでございましたが、今日では、昨年だけでも二百五十四、五回北鮮のほうへ、これは客船ではございませんけれども、貨物船が往復をしておる。本年になりますと三百回以上、一日一回ぐらいの割りで北鮮との船の連絡もついたものでございますから、取り立てて特別仕立ての船を、わずかの希望者のために国がめんどうを見なければならないというような状況でもなくなってまいったのでございます。したがいまして、これは当然のことでありますが、帰国するのは本人の自由でございますから、帰国の申し出がございますれば、政府はできるだけ早急に、手続等も親切に取り扱うようにいたしまして、なおまた帰国したくても——これは正式に決定しておるわけではありませんが、帰国したくてもその旅費に困るというような人は、これはまた厚生行政の上からいってもめんどうを見なければならない、旅費とかあるいはそういう費用は見ていこう、別に帰国する費用に困らないような人は自由に帰っていただく、そういう意味でここらで一区切りをつけたほうがいいのではないかということで、昨年閣議決定いたしたわけでございますが、本年また再確認をして、一応そういう、いままでのような帰国の方法を打ち切ろうということに決定したわけでございます。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 お話はよくわかりましたが、たとえば私ども従来了解しておったのは、いま政務次官からの答弁にもありましたが、二千名も収容できるような船をよこして、そうしてそれに百人か二百人くらいしか乗る者がないというふうなことで、そこに不合理があるというふうなことですが、この大きな船を日本の費用で日本の労力によって回しておったのかというふうに私ども思っておりました。先ほど前法務大臣の中垣君も、日本のほうでその費用を持ったりしておったのだが、その船も配船しておったのだが、今度は向こうから出すらしいからというふうな話で、私同様の考え方をしておったようですが、したがって、私どもはそういう大きな船にそのくらいな人しか乗らないのだったらまたあらためて考えるのも当然だろうというふうに考えておったにもかかわらず、費用は向こうが出し、配船も向こうがしておるというふうなことならば、大きな船を持ってきても小さな船を持ってきても同じだと思うのですが、その点はどうなんです。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 まあ、赤十字社の申し合わせにつきまして、わが国のほうは、居住地帯から新潟の収容所へ参りますまでの、いろいろ貨物や本人の旅費などのめんどう見る。船はソ連船を朝鮮側が借り受けまして、それを使っておったわけでございます。それがいままでのいきさつでございますが、そういうことを今度は、それだけ人も減ってまいりましたし、それからやり方にしても、そういう大げさなことをしなくてもやれるんじゃないか。ただ、そういう場合に、ちょっと心配いたしますることは、自由に帰ってくれと言っても、横浜から、神戸からといっても、定期船でございませんので、客船が非常に少ないものですから、なかなかむずかしい。そうなると、香港を経由していかなければならぬとか、あるいはまた南朝鮮との問題もございまして、いろいろトラブルが起きる可能性がございますので、目下のところどういうふうになりますか。それを打ち切るといたしましても、自後のことについて帰りやすいようにするだけのことは、当方にも責任がございますので、朝鮮赤十字社、それから日本赤十字社との間で、今後の問題については、目下いろいろ打ち合わせをして、相談をしておるような段階でございます。ですから、打ち切りといっても、かってにしろ。実際に帰るのに困るのだ。困るつたってしょうがないじゃないか。おまえの費用でやもんだから、おまえの思うようにやれというのでは、少しいままでのいきさつから言って無理もございますので、そういう点についてこれはこれで一応打ち切りましても、あらためてあとのことはあとのことで、赤十字社間でまたいろいろ政府に対する話し合いもあろうかと思っておるわけでございます。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 そうすると、結局打ち切ってどれだけのプラスが日本にあるか、いまの船が、いままでも向こう持ち、これからも向こう持ちということになれば、船に関する費用とか、労力というものは、必要ないわけでありますから、そうすると大きな船を持ってこようと、小さな船を持ってこようと、差しつかえないわけですが、どうしてそれを打ち切らなければいけないか。もっと小さな船にしたほうが得じゃないかというふうに勧告をするならともかくですけれども、何も船の大小まで論ずる必要はないので、打ち切るがためにどういう利益があるのか、プラスがあるのか、すなわち打ち切らなければならない理由。船の大小ということは、向こうの費用持ちであるし、向こうの労力によるのですから、これは日本にプラスマイナスはないと思うのですが、どういうところに日本に不利益があるのか。大きな船を持ってくると、密輸品でもうんと持ち込んでくる、たいへんな弊害があるというふうなことにでもなるのですか。どうですか。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 一口に申しますると、最初考えました目的はもうすでに終わった。一応最初に考えた当時のような情勢で、こうやらなければならないという、そのための目的があったわけでございますが、今日のように、非常に人が減ってまいりまして、希望者が少なくなってまいりますと、これはもうその目的が終わったわけでございます。ですから、今後はひとつ、当然でございますが、国の一つの規定に基づいて帰ってもらおう。いままでは特別な目的があったわけでございますが、その目的が終わったということでございまして、損とか得とかいう——経費にしても一億程度の金であったかと思うのでございますが、最近はだんだん減ってまいりました。ですから、金自体の問題というのじゃなしに、あれだけたくさんな人が来て、帰りたいのに帰れない。だから、これは人道上、国交が回復されてなくとも、日本としてはその責任を持つべきであるということで、今日までやってきたのでございますが、もうそういうふうにうんと希望者も減ってしまったし、それほど国の責任においてやらなければならないというような情勢ではなくなったわけでございますので、別途の、普通の帰還方式で帰ってもらう、こういうことになったわけでございます。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 聞くところによりますと、推定帰国希望者が四、五千人あるという。現在申請しているのが二千二百というのですか、そういうふうな数字になっておるそうですから、一応帰りたい四千人とか五千人だけは、積極的に協力して帰してやるというのが、われわれ日本人としては最善の策じゃないかと思うのです。大体費用の点については、いま大した費用でないというようなお話もありました。一億何かという費用だったらごくわずかなものですが、しかし駐在人が始終おらなければいかぬから、その費用も要るというような話ですけれども、結局そういう弊害もありましょうけれども、しかし、最初の目的が人道的な目的であって、日本として非常に賞揚されるべき態度、立場をとっておるわけでございますからこそ、なおこれは続けたほうがいいと思うのです。ことに当時閣議決定の場合には、いま政務次官から御答弁があったように、いろいろな点について、打ち切っても差しつかえないだろうというふうなことでもあったのでしょうけれども、しかし現在において、御承知のような、非常に熾烈な熱心な反対運動が起こっておる。この打ち切りに対して、たいへん反対が盛んだということになるのでございまして、この点につきましては、当時の情勢とは異なってきたのだということはおわかりになっておると思います。したがって、打ち切りということは大したプラスの面がなくして、マイナス面のほうが多い。すなわち、人道問題から言いましても、これは私ここで申し上げるまでもなく、一人でもそういうふうに苦しんでおる者のないようにすべきがほんとうだと思いまするし、さらに国内治安の問題でも、学校問題も一緒でしょうけれども、こういうふうに毎日、毎日、朝鮮の人のデモで、われわれ不愉快な思いをしなければならないほど、打ち切りというものが大切であるかどうか、何か弊害があるかどうか、われわれは不可解なわけです。国内治安の問題からいっても、帰りたい人は帰したがいいではないかという気がするのです。日本を好まない人におってもらって、日本の治安に多少でも影響するということ、これはほんとうに日本としてとるべき態度ではないと思います。政務次官の言われるように、あらゆる方法で積極的に帰る方法を講じよう、これを打ち切ったところで、他に方法があるというようなことではありますけれども、しかし、この制度をそのまま続けてくれという熾烈な運動、ほんとうに熱心な運動があるのですから、これは続けていいのではないかと思う。国内の治安問題からいいましても、また北鮮関係者の無用な反感といいますか、刺激といいますか、そういうところから見ましても、打ち切りによって得るところの利益、プラスというものが、マイナス面に比較して非常に軽微であること、すなわち日本人がこうむるところの不利益のほうが多いというような点、利益、不利益ばかりで私申し上げるようですけれども、とにかく一応そういうことが考えられるわけでございまして、費用の点とか、多少の弊害の点とかいう事務的な立場からこれを解決されるということは、これは政治不在だというようなことを言わざるを得ないと思うのです。当初の閣議決定のときと事情は違ってきているのですから、何も一ぺん閣議決定したからといって、いつまでもがんこに弾力性のない、変更しないというような態度をとる必要はない。政治は流動しておるもの、流動物ですから、情勢に応じて弾力的に変更して差しつかえないと思うのです。したがって、よほどの弊害がない限りは、いろいろな点から見てぜひこれは打ち切らずに、継続してやるべきだというふうに思っておるのです。日本に在留する韓国の人が六十万人あって、毎年毎年そのうちから二千人ぐらいずつは帰ることを希望する人が出てくるだろうという予想が政府当局にもあるそうですが、そういったような情勢でしたら、とにかく、私は、帰りたい人は帰ってもらったほうがいいのではないか、日本のためにも、日本におることを好まない人を、しいておってもらうというふうな態度、そういうふうな政策を実行するということは、どうかと思うのです。よほどの弊害がなければ、これは打ち切るようなことにならぬと思うのですが、いま政務次官のお話を聞くというと、たいした理由はない。もっとも、韓国との関係なんかで、これが継続されるということになると韓国との関係が非常に悪化するということになると、これはまた考えものですよ。韓国は日本と正常な国交を行なっている国でもありまするし、北鮮との関係が御承知のような関係でございまするから、どちらかのためということになりますならば、それは韓国の意向を十分尊重しなければいけませんけれども、いずれ帰還協定の場合には、韓国は納得したんでございまするし、わずかしか残っておらない人を帰すことについての韓国への説得ということは、これはなお十分でき得ると思うのです。すでに非常に大きな政治問題になっておるわけですから、事務的な弊害などということをこの際考えずに、大乗的な見地から、ぜひその帰還協定を継続してやるべきだというふうに私は考えるので、いずれ総理や、各閣僚にも直接進言するつもりでございますが、政務次官もひとつそういうつもりでやってもらいたいと思うが、そういう点どうでしょう。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 先生の御意向のようなことは、それぞれ伝えますけれども、これは国際的に見て、外国人が帰る場合に、帰す在留国のほうがこういうことをやっておるというのはもう全然ないわけなんです。ただ、この特別な韓国と日本というような関係がありますから、特別扱いを今日までしておるのでありまして、そろそろ平常に帰すべきであります。いつまでも終戦当時の仕事をやり続けていくということは、これはもうやるべきでないと考えるのは、私個人もそう考えるわけでございます。しかしながら、いままでの事情もございまするし、できるだけ人道的な立場からも取り扱うべきことだということで、昨年、すでに一年前でございますが、前に御承知のような閣議決定をいたしまして、それぞれの報道機関、または関係機関等もこのように報道いたしましたものですから、その後現在まで、では帰りたいと言ってきておる人はわずかに二千三百人しか希望者がないわけでございます。この二千三百人の人を帰っていただくのに、いま閣議決定をしたようにいたしましても、ことしの十一月一ぱいにはもう十分帰っていただくだけの準備も政府のほうでしておりまするし、また希望者もありまして、そういうような取り扱いをすることになっておるのでありまして、本年もまたそういう閣議決定したことを再確認いたしましたことも、朝鮮へ帰る方々は、もう十分御認識をしておるのでございますが、ほとんど申し込みがないような状況でございまして、したがって、実質的にはもうこれ以上——さっき申しましたような、終戦処理のようなかっこうで、格別なことを続けたわけでございますが、続ける必要はないのじやないかというの、が政府の見解でございます。しかし、高橋先生の、有力な先輩からの御意思でございますので、なおそれぞれの方向へ意思を伝えたいと存じます。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 よくわかりました。わかりましたが、しかし、もうその希望者がないんだったら、こんな反対運動が起こらないわけなんで、やはりこの制度を継続していって、そして帰る者がなかったら、それはそのときのことでいいんで、やはりこの反対運動が起こっているのを、何もこれを打ち切る必要はない。無理を通す必要はない。無理というとどうですか、打ち切ることはないと思うのですね。イスラエルなど、アラブの難民をみんな追い出してしまって、戻してくれ、帰してくれという者に対して、ようやく少数の者に許可を与えるというようなことで、イスラエルのアラブ難民は——アラブの難民と北鮮人を一つにするわけにはいきませんけれども、ほんとうに日本にいることを好まず、国に帰りたいというならば、何もそういう日本におることを喜ばない人を置いておく必要はないと思うので、もっと、より積極的にこの制度を活用して、この協定どおりの制度をいつまでも置いてくれというならば、置いて、そして、二千人の船の上に一人しか乗れない場合でも、向こうが持ってくる船なんですから、どんどん帰してやるというような、そういう道を開いて、好ましくない人——好ましくないということは、向こうもそう思うし、こっちも好ましくない人、そういう人は国外へ退去してもらったほうがいいのではないかと思います。とにかくいろいろな意味において政治問題になり、反対運動が起こっているにかかわらず、これを無理押し強行するということはどうかと思うのです。ちょっと反対があったから、デモがあったから、すぐに政策を変更するということもたいへんな間違いでありまするし、われわれも反対でございますけれども、しかし、この問題ばかりは、反対運動のほうが理屈があると思いますので、ひとつぜひ御善処を願いたいと思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 高橋委員から御質問がありましたが、この前の四月二十一日でありましたか、法務大臣と本問題については私は質疑応答をいたしたのであります。そこで、きょうあらためて伺いたい点が幾つかあるわけでありますが、法務大臣がお見えにならないのがきわめて残念なんでありますが、それまでに各省の御意見を伺っておきたいと思う。  第一は、協定を打ち切るけれども、お帰りになる諸君に御無理はかけないと——中川政府委員は、「ただいま北朝鮮へ向かっております貿易船が、約二百五十隻ございます。年間にそれぐらいの船が行っております。そのうち清津に百二十隻、それから興南に九十隻、それから南浦に四十隻、そうなっております。これを国籍別に申しますと、日本籍は二百九隻、ポーランドが十二隻、イギリスが十隻、ソ連が六隻、こういうふうになっております。」「一番大きいのが百トンから千トンぐらいまででございまして、これが大体主力、八十隻くらい、」こういうふうになっているから心配はないというように言っている。そのころ中川さんがお調べになったようた配船の状況、船舶の状況に、その後いろいろ陳情があって、御調査を皆さんのほうでなさっていらっしゃると思うのですけれども、実際問題として、この数字に違いはなかったか。また、これによって、実際問題として乗船ができるのか。実は、そういう点について疑わしいという話が方々であるわけです。これらの船が、帰国をしたいという人たちを乗せ得るような条件に実はないのだ。その点は政府のほうでもお気づきになっているという話でありますが、いかがでございましょうか。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 北朝鮮向けに出ております貿易船の数は二百五十隻と申し上げましたのは、昨年の一月から十二月の末までの北鮮向けの船の数を調べた結果でございまして、この数に間違いはございません。先ほどお読み上げいただきましたように、前に局長が、国籍とか、船籍とか、いろいろ申し上げたようでございますが、その点は間違いないのでございます。ただ、船に大きい、小さいがございます。大体これは主として貨物船でございますので、それに乗るのは——これは本来は貨物船でございまするから、乗るには特別の交渉をしなければならないという状況はございます。しかし、乗れないようなものではございません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そういう客観的な言い方でなくして、率直に話し合いたいと思うのですけれども、船は現にそれはあるかもしらぬけれども、実際問題として交渉しなきゃならぬ。その交渉の主たる相手の貿易船が、いやだ、とてもそんなことは、私らのほうとしてはお引き受けいたしかねるというような状況が、出てきたということにお気づきでございますか。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 そういう、いやだというようなことが出てきたということは、聞いておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そういうことは、どこでお調べになっているのですか。入管の関係ではないと思いますが、実際責任を持つ……。じゃ、厚生省が見えていますか。実本さんですか。

実本博次厚生省援護局長

○実本政府委員 私らのほうとしては、そういうことは全然関係いたしておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 政府側としては、そういうのはどこで……。貿易があるのだから、船はあることはある。しかし、それは貿易という意味においてあるのだけれども、実際問題として、船はある。だから、それに乗ればいいじゃないか、交渉すればいいじやないかということでは無責任な話でありまして、じゃ、今後引き揚げる人がかってに交渉しろ、——けれども、いまの私の入手したところでは、貿易船はそういうようなことは好ましくない。大体貿易船に人を乗ぜるということは、原則としてそういう設備はないのでありますから、私の入手した情報によりますと、それは実際問題としてはうまくいかないということがわかってまいりました。外務省は、その点についてお気づきではありませんか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 貿易船が就航しているということは、ただいま法務省からお答えがあったとおりでございまして、この貿易船で旅客が渡航した実績もございますので、船会社のほうで拒否するという話は、私どもは聞いておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 拒否する話は聞いておらない、一般の旅客は、中には乗っているものもあるだろう。けれども、北朝鮮に対する引き揚げの問題について、各省ともそれは少し無責任ではありませんか。現にあなた方が、貿易船にそれぞれ交渉して、引き揚げについて乗船を許してくれる、また応じ得るという保証をもって、国会でさあそれではお引き揚げください、それでやってくださいというならともかくとして、船があるのですよ、前にも普通の旅客が乗ったことがあるのだから、交渉すればいいでしょうという話では、少し無責任過ぎると私は思う。私どもが入手した話では、とてもそんなことは応じるはずはない。また各船舶本、好ましくないという言い方をしておるということなんです。そういうことをあなた方は調査もしないで、じゃ、船があるのだから乗ればいいでしょう。交渉をかってにしなさいということでは、全くこれは無責任きわまる話です。もしもそういう事実が、私の言う事実が事実であったとしたら、一体どうするつもりですか。その点は責任を持って答えてもらいたい。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 この協定が終了しました後に北鮮へ帰りたいという希望者につきましては、一般の外国人がそれぞれ海外へ、日本国外へ出ていくのと同じような取り扱いで、本来その人の自由に出ていってもらう、そういうつもりでございますので、船はそれぞれが、やはり自分の乗りたいという船にそれぞれ交渉して、それに乗るということがたてまえと考えております。そこで、この船につきまして、人が乗れないようなものじゃないかというようなおことばでございましたが、それはそうじゃないのでございまして、相当大きな船もございまして、これはやはり相当数の人間が乗れる設備がございます。したがってこれは、先ほどアジア局長がおっしゃいましたように、やはり実績もございまして、交渉して運賃を払えばそういうふうに乗してくれるというような船だろうと思っておるわけでございます。その点で私のほうとしては、いまおっしゃいましたように、これらの北朝鮮へ帰るという人について、この船が乗せないというようなことを言ったということは、いままで聞いたことはないのであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そんな仮定の議論をお互いにしておってもしかたがないのです。だから、いまあなたがはしなくもおっしゃったように、乗れなきゃ乗れぬでしょうがないじやないか。香港からでも、どこからでも、ほかの国を経由してから入ってもらえばいいじゃないか、そういう無責任なことをおっしゃるなら、それも一つの方法ですよ。けれども、あなたのほうが、そうではなくして直通の船があるのだから、それにお乗りになればいいでしょうというのが、一貫した御主張であったわけですね。ところが、そういう船は実際問題として乗ぜない、好ましくないという考えでおるということが明確になってきたと私ども言うのですから、あなたのほうは、もしいままでどおりの御主張であるならば、乗せられるという保証をひとつとってください。それがとれなかったら、今度はもう少し別な角度で考えなければならぬのではないか。きのうあなたは外務委員会へお出になりましたか、出られないのですか。外務委員会でこの問題が一つの焦点になっておる模様なんであります。事実問題として、その貿易船については、ちょっとこれは実現不可能ではないかという雰囲気になってきておるのですから、その点は厚生省も、法務省も、外務省も、少し責任をもって調査をして、じゃ、貿易船が、実際問題として活用ができなかった場合のことを考えてくださいよ。それができなかったら、しょうがないですよ。香港からでも、どこからでも、ひとつソビエトからでも帰ってくださいよという無責任なことをおっしゃるつもりはないでしょうね。どうですか。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 私は何も、香港からでもどこからでも帰ったらということを言った覚えはないのでございます。そんなことは言った覚えはないのです。ただ。本来今度の協定が終わってから帰国したいという人は、これは自分の意思で自由にお帰りくださればいいのだから、だから、船も自分で選択してお帰りになれば、それでけっこうだ。それをこちらのほうは拘束しない。ですから、自由に船会社との間で交渉して、その船に乗って帰られれば、私のほうは出国の手続について特に便宜をはかる、こういうような考えでおるわけでございます。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 ちょっと関連して。先ほど井原政務次官からのお話によると、私の聞き間違いだったかもしれないが、これは打ち切っても、政府として積極的に帰国希望者に対しては協力をする、あっせんをする、何か積極的な帰国方法を講じてやるという、かうに聞こえたのだが、いまの次長の話を聞いてみるというと、何かもうあとは自由で、帰国の許可か認可か何か知らないけれども、帰国だけは自由にさすが、帰る方法は政府は知ったことじゃないというふうに聞こえるが、それなら私どもは大反対しなければならぬが、どうでしょうか。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 たてまえとしては、いま局長が答弁をしたそのとおりでございます。しかしながら、政治的な立場から申しまするというと、一たん政府がきめたものを、さりとてあとのことは知らぬ、おまえら、かってにしろというのも、確かに少しかわいそうじゃないかということを考えてまいりますというと、日本の赤十字社と朝鮮の赤十字社の間で、いろいろ話し合いをばして、以後どういう方法でやればあとは連中も帰りやすいようになるかということ、たとえば、船は交渉してみたけれども、実際、船は拒否して、これが乗せないのだというような場合であれば、こちらのほうで交渉してやって、こういうふうにやってくれというようなふうに、日本の国籍の船ですから、こちらからまた交渉してやるとか、そういうふうな具体的なことを——いまわれわれのほらでこの間政務次官会議でもその話が出まして、何かそういうようなことを考えてやろうじゃないかというのが——表立った話は出ておりませんけれども、そういう話し合いをしておる段階でございますので、少なくともそれくらいのことはしてやらなければならない、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そこなんだがね、ぼくの第二番目の質問はそこなんですよ。四月二十一日ぼくが執拗に言ったのは、政府は「協定は打ち切る、あとは便宜を計らうといっても、便宜を計らう内容が、何ら意思統一されてないじやないか」ということを執拗に私は言っているわけです。その場合に厚生省はこんなことを言っていますね。「貧困者の問題につきましては、厚生省が責任を持つということになると思います。」けれども予算を整備をしていったなら「一般的な生活保護予算のワク内で実施される」これでは便宜を計らうということではないではないかと私は言ったのです。それから入管につきましてもその際確めたことがありますが、田中法務大臣は「どの外国人が帰る場合でも便宜を計らうという趣旨、いまのそれぞれの答弁がそういうふうに聞こえておるかもしれませんが、そういうことではない。」そういうことでなければ、在日朝鮮人についてどういう便宜を計らうのかと言うたら、その点について十分な答弁がなかったのであります。田中法務大臣は閣僚の一員として、この協定が打ち切られたあとの人については、帰りたいときには便宜を計らうということを閣議の決定でありますと言っている。便宜を計らうという内容について、具体的に各省意思統一をしてもう一度答えてもらいたいというのがその日の終わりになっております。わかりましたということになっているわけです。  ところが、いま笛吹さんの話を聞きましても、その便宜を計らう内容が不明確です。たとえば笛吹さん、外務省でも、どなたでもいいのですが、北朝鮮から、それじゃわしのほうが自発的に引き取りに来ます、帰国をする人はこの船に乗せますからといって、北朝鮮の船がやってきた場合はどうなさいますか。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 協定が終了したあとの点について、便宜を計らうという閣議の了解があったそうでございますが、その点、法務省としての点はどうなのだというお問いのようでございます。本来、国交のない地域へ帰国するという形になるわけでございますので、帰る人が旅券を持っていない、これはもうあたりまえでございます。したがいまして、出入国管理令によりますと、日本から出国する人は、旅券に出国証明をしなければならぬ。その手続をしないと密出国に問われるわけであります。したがいまして、このままこちらのほうが何の便宜もはからなければ、これは帰れないという状況になるわけです。しかし私たちのほうは、北朝鮮へ帰りたいという人につきましては、外国人の出国は、その手続さえ踏めば認めていかなければならぬというわけで、本来旅券は本国で出すわけでございますが、特に入管のほうで旅券にかわるべきものをつくりまして、出国証明書というような形にしようかと思っておりますけれども、そういうものをつくって、特に便宜をはかって、それに出国証明をして出国を認める、こういうような特別な配慮をしよう、そういうふうに考えておる、これは法務省としての便宜を計らうということで考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 厚生省はどういう便宜を計られますか。

実本博次厚生省援護局長

○実本政府委員 厚生省といたしましては、主としてどこの港になりますか、港にまでいらっしゃる国内の関係の旅費あるいは船が出る停泊地において、かりに宿泊するとすれば、その宿泊の経費、それを自費負担で持ち得ないような社会的、あるいは経済的な条件の弱い方につきましては、そういうサービスをして差し上げる、こういうふうに、主として国内措置ということで処遇を考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 外務省はどういう便宜をはかりますか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 外務省は実施官庁でございませんので、特別にございませんが、各省の協議に参加いたしまして意見を述べさしていただくことになっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 政府次官、さっきあなたの、便宜を計らうと言ったことは、抽象的ではあるがずいぶん思いやりのある発言だと思うのです。いまお聞きになったように、便宜を計らうと言ったって、たいしたことないですね。私はそれじゃ閣議の決定が泣くと思うのです。ですから、たとえば私が例に出しましたように、北朝鮮からそれじゃ引き取りに来ましょう、自分のほうで船を出しましょうといって、新潟へ船が来たという場合には、どうなんですか。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 いま、そういうような場合もやはり想定されるわけでございます。本来でございますと、国際的な関係もございまして、そういうような場合に許可するかどうかという問題もあるでしょうが、おそらくこちらが入港を認めることも当然でございましょうし、さっき申し上げましたように、もう打ち切ろうということで、はっきりしておるわけでございますから、この上政府がこうする、ああするとかいうようなことを言うことも、非常に変でございます。打ち切りながら、あとあとのことを、こうするああすると言うのもおかしい。したがって、赤十字社間で話し合いをさして、赤十字社間で最も妥当な、これくらいのことはこうしてもらいたいという申し出があれば、またそういうふうにしむけてまいりまして、それにできるだけ沿うように協力していこうという予定で実は話をしておるわけであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ちょっと笛吹さん、そばであまり知恵をつけないでください。いま大事な点なんだから、ちょっと黙っておってください。政務次官、協定を打ち切るというふうにいまきめておるときに、あとのことをいろいろ言うのはおかしいとおっしゃるのだけれども、私のベースは、何も私の主張を言っているのではなくて、政府の便宜を供与するという意味を聞いているのですからね。別に何も差しつかえない。その便宜を供与するという意味の中で、北朝鮮から船が来たら、それは入港を認めましょうという御発言があったことは、たいへんいいことだと思います。それからもう一つは、いまあなたのお話の中で、赤十字同士があとあとのことをいま相談をしておるから、その相談がまとまったら政府としても考えよう、こういうわけです。二点がたいへん意味のあることだと思うのです。日本赤十字があとのことについて話し合いをするということを政府は認めていらっしゃるわけですね。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 そこまで実は掘り下げて申し上げるのはちょっと政務次官としては言い過ぎでございますが、大体先生の御質問のような方向で、内輪話でございますから、そういう話をしておることは事実でございます。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 関連。横山君の質問は、何か前提として打ち切りを肯定したように聞こえるのだが、私は打ち切りはやはり中止になったほうがいいという考え方を持っておるのであって、万一打ち切りを実行されるということになれば、打ち切り後もやはり協定中の諸条件、それ以上の積極的な便宜を与える、協力をするというか、とにかく協定中以上の条件、それによってこれを解決する、善処するという方向に進んでもらいたいと思うのです。赤十字の関係なんかも、赤十字社同士で話し合いをすればいいというふうな放任的なことではなくて、政府として積極的に指導、勧告といいますか、お願いというか、それはどういう立場になるか知りませんけれども、赤十字のほうとも密接な連絡はとって、そして打ち切りをストップするか、ストップしなければ、打ち切りを実行するということになれば、協定中以上の条件といいますか、便宜を与えてやるというふうなことでこの問題の解決をしていただきたいと思うのですが、政務次官どうですか。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 前に、ちょっと御答弁申し上げましたようなふうに、できるだけ便宜をはかるというようなことで、本来でございますと八月が打ち切りの最終になるわけでございますが、それを延長いたしまして、二千何百人の方がまだ残っておりますから、だからそういう方々の希望に沿えるように、十一月まで帰国取り扱いをいまのような制度でやろう……(横山委員「何をやるのですか申請ですか」と呼ぶ)申請ではございません。申請は一応八月二日で……。協定を十一月まで延ばそうということでございます。ですから、それまで日本と朝鮮の赤十字社でこうやってもらいたい、そこまでの両赤十字社の話し合いもございまして、それにこたえておるわけでございます。また、それ以後のことにつきましてはそれから後の問題でございますが、ただいま先生から御質問のございましたようなことも、やはり政治をやる立場のものからいえば、役所はまた役所の立場がございましょうが、われわれはいわば皆さんの代表としてお預かりしている以上は、御意思に沿うようにやりたい、かように考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 各省とも、政務次官の含みのあることばを、少しは拳々服膺してもらって答弁してもらわぬと、まるきりあなた方と政務次官と話が違うじゃないの。これでは私は、各省に聞いても意味がないという感じを持たざるを得ないのですが、政務次官の御趣旨については、法務省は当然御了解というか従われるわけですね。笛吹さん、どうですか。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 別に、そう違ったことを私申し上げておるつもりはないのですが……(横山委員「違っとるよ、はっきり違うじゃないか」と呼ぶ)とにかくこの協定が昭和三十四年できましたときの精神は、終戦前から日本におって、日本の国籍を持っておって、それが平和条約によって日本国籍を離脱した、そういった朝鮮人で、その中から特に北鮮のほうへ帰りたいという人が、それまで道が閉ざされておったというので、まずその道をつけようじゃないかというので始まったのがこの両赤十字間の協定による北鮮帰還でございます。したがいまして、これはいわば先ほど政務次官も言われましたように、一種の終戦処理の一つの問題だと思っておるわけでございます。それが当時は三十五年と三十六年とこの二年間に七万人以上の者が帰っておりますが、それから今日まで七年余もたっておりますのに、全体で八万七千幾らというくらいで、わずか二年間で七万人帰り、それでどっと帰ってしまって、あとは非常に少ない。現在では、ことしの一月なんかは四十九名しか帰らない。またこの五月を見ましてもせいぜい百六十何名くらいしか帰らないというふうに、非常に少なくなっておる。去年の夏でもそうでございますが、非常に数が減っております。数が減ったことはとにかくとしまして、始めに帰りたいというような希望を出して、最初にそういうような協定の動機になりました帰りたいという人たちは、もうすでに帰ってしまっておる。最近帰りたいと言ってきている人は、これはその後新しく、最近になって帰りたいと言ってきている人である。そうすると、協定ができた当時と現在は状況が非常に違うのじゃないか。そういうことから、昨年ああいう閣議了解で、昭和四十二年の十一月でもって終了すろ、それ以上は更新しない、こういうことになったわけでございます。その協定そのものの有効期限は、一年になっております。したがって、これは打ち切るとかなんとかいう問題じゃなく、その年その年で終了すべきものでございますが、これを更新してまいったのが現在までの状況でございます。  それで私たちはこの終了しましたあとどうするかという問題につきましては、先ほど申しましたように、外国人でございますので、帰りたいという人はそれはもうお帰りになれば非常にいいんだということで、特に便宜を計らって帰ってもらうという考えで、何も日本に閉じ込めておこうというようなことは全然考えておりませんから、お帰りになりたい人は、自由な意思でお帰りになればいいんだというようなことで、政務次官と私たちは、精神は同じだと思うのですが、特に便宜をはかってあげてお帰りいただこう、そういうふうに考えておるわけなんでございます。ただ、いまおっしゃいました船の問題、こういった問題はございますが、これはわれわれのほうとしては、いままでの実績から見て、それは交渉すれば船会社のほうも船に乗せて帰ってくれるものだと思っております……(横山委員「いや、それが違うのだ。調べなさいよ」と呼ぶ)断わられたというようなことは聞いておりませんので、いままでの実績もございますので、そういった特日船を利用して帰ったという人はあるわけなんでございます。また、そのほかの人でも、ごくわずかでございますけれども、日本人でも正規に北鮮へ行った人が、若干国会議員でもございますし、そういう人も、そういう船を利用されてまいるわけでありますから、そういうルートがないというわけではなくて、相当あるというふうに私たちは踏んでおるわけでございます。それについては、帰りたいという人には私たちは相当な便宜をはかっておるつもりでございまして、この精神は政務次官と私たちは同じだと思っておりますので、その点は誤解のないように願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 すみませんが、ことばは悪いけれども、お役人の皆さんに、一ぺん説教をしたいと思うのです。  この問題は、法務大臣が人道的立場ということを言い、政務次官も人道的立場と言っておるわけです。この人道的立場の底辺にあります問題が、いま笛吹さんが言いましたように終戦処理の一項で、これは日本人の、日本帝国主義の贖罪意識というものがなければ私はうそだと思う。これは朝鮮人の諸君に、私どもが、どうのこうのといって弁明するつもりはありません。日本人として、日本国政府として贖罪意識というものがなければ、ほんとうの気持ちがあらわれぬ、私はそう考えておる。それは関東大震災から、大東亜戦争から、歴史的に見て、日本が朝鮮に対してどういう扱いをしたか、そして幾十万の朝鮮人諸君が、日本の終戦前においてどういう扱いをされたかというその気持ちがあり、そういうことをまっとうに言うわけにもいかないので、人道的立場から、国際法の立場から、帰りたいという人についてはいろいろな意味で便宜を与えたい、こういう気持ちがなければ、あなたのお話のようにきわめて事務的に、終わったから、もう少なくなったからいいじゃないかということでは律しされないものがあると思うのです。  問題は少し違いますけれども、やはり各種学校の問題でもそうですが、私、外国へ行って大使館、公使館に回りますと、必ずその晩の懇談会の中で子供のことが話に出る。大使や、公使や、あるいは書記官の諸君の子供の話が出る。どこでも日本人学校をつくりたいという気持ちですね。これは裏返しに言えば、いまの朝鮮人諸君が、朝鮮人学校をつくりたいという気持ちと同じことだとぼくは思うのです。  いろいろな問題があるが、その基本的なものの考え方というものを、よくふまえていかなければならぬと思うのです。そういう意味合いでは、日本人が海外におって、祖国を慕い、祖国へ帰りたい、いつでもその道が開けておる、そしてそれについていつでも便宜が与えられておるという、そういう救いというものは、実にあたたかい気持ちがある。同時に、この朝鮮人諸君が、いつでも朝鮮に帰れるというその条件、そしてそれに対して便宜が与えられておるという気持ちというものは、極端に言うならば、帰ろうが、帰るまいが、その人たちの人間的な気持ちのささえになっておるということを、もう少し政府側としても考えてもらわなければ、この問題について、きわめて事務的なお話とベースが合わないと思うのです。政務次官が先ほど思いやりのある話をなさっておるのですけれども、そのそばから、あなたが何か制肘するような雰囲気に見えるんですよ。そういうつもりじゃないかもしれぬけれどもね。だから少なくとも私は、いま自分の立場を離れて、この協定打ち切り後において、政府が便宜を与えるということはどういう意味なのか。単に飾りで言っておるのか、ごまかしで言っておるのかと言うたら、そうではないというこの前のお話だったから、それでは北鮮から船がきて、新潟へ迎えに入ったらどうするのだと言ったら、政務次官は、それは断わることはないでしょう、認めます、こう言われた。認めるとなると、それは国内法によって入国の保障を与えなければならぬわけですね、いろいろな意味において。そしてそれについて来た人たちが、向こうの代表が新潟へ上陸をすることについても了解を与えなければいかぬ。そういうようなことを含みに入れて政務次官はおっしゃったと思いますが、そうでしょうね政務次官。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 こまかいそういう手続のことは私もまだ勉強しておりませんが、おそらくまたそういう時限になりますと、そういう問題も検討しなければ入港を認めるわけにいかぬということになりますから、それで役所の立場もございますから、一応連絡をとって、そういうふうなこと等を打ち合わせをすることになろうかと存じます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そういうことになりますれば、今度は、高橋さんがいま言っておったのだけれども、形式はどうあろうと、実際問題としては、事案上継続するということになるのじゃありませんか。どうなんですか。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 ただいままでの帰還協定は、一応打ち切る。しかし打ち切りはしますけれども、さっき申しましたように、いろいろ人道的な立場から考えてもこの程度のことはということは、赤十字社間で話し合った結果、またわれわれのほうも、できるだけ赤十字社の意思に沿うような方向へ協力していくというふうにやりたい、こういうことであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうしますと、あまりことばにこだわらないようにしたいと思うのですけれども、一応政府は打ち切ったけれども、実際問題としては、赤十字社間で話し合ったことについては政府もこれに対して援助なり保障を与えるとなれば、赤十字社間で話し合った結果が、新協定になるか、あるいは覚え書きになるか、ある程度国際間的なことになるのですから、やはり文書になったり、その名称が覚え書きか、協定になるか知らぬけれども、そういう場合にも、政府はそれに対して新しい立場から援助と保障を与えるというように解してよろしゅうございますね。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 そこまで、協定文書をまた新しくつくるとかなんとかいうところまでは、一たん打ち切りながら、また、多少変わったニュアンスといいながら、新しい協定を結ぶということも不見識なことだと存じますが、何かその線は、実質的に困っており、また帰りたい人が帰れるような世話を、どういうふうになりますか、赤十字社でやることに協力するということになる、かように私は考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 たとえば向こうから船がくるのに、かってにある日こつ然として新潟へ船がきて、さあ、おれの国の人間を乗せてくれといわれても、これは日本政府としても困るだろうと思うのですね。そうだとすれば、大体いつごろ入るだろうということが連絡があれば、では朝鮮人諸君にも何月何日ごろに船はくるから、さあ、集まってちょうだい、そこへ行く輸送費、食費あるいは荷物等の運搬について、先ほど厚生省から話があったように、銭がない人は、では政府がめんどうを見ましょう、どうぞ行ってください、ということになりますね、これは。厚生省、どうでしょうか、そういうことを引き続きやっていただけるのでしょうな。

実本博次厚生省援護局長

○実本政府委員 いまお話しのように、生活に困窮してそういった余分の旅費がないといったような方々につきましては、そういう旅費とか、あるいは宿泊費というものを考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 在日朝鮮人の諸君は、所得階層から言うならば非常に低い人たちですね。しかも長年おった日本を引き揚げるというのですから、所得階層が低くても家財道具なりあるいは資産なりを処分する、金を持って帰るということになる。そういうものについては、前協定におきましてはいろいろ特別な扱いがされたのですけれども、この協定がかりになくなったといたしますと、これは現行法規によって持ち出しの制限がございますね。その点は、協定と現行法規との違いはどういうことになっておりますか。これは入管ですか、大蔵省ですか、どっか御説明していただけませんか。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 入管の所管ではございませんので、ちょっと私はわかりかねます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 援護局、わかりませんか。

実本博次厚生省援護局長

○実本政府委員 これは大蔵省にお聞き願わないと……

横山利秋日本社会党

○横山委員 協定の六条は、「帰還者は、一人当り日本の通貨四万五千円までを英ポンド小切手で携行することができる。前記の限度を超える日本の通貨を所有する者は、本人名義で日本の銀行に預金し、後日本人の申請に基き日本の法令によって外貨で引き出すことが認められる。」「帰還者の持ち帰りできるものは、旅行携帯品、引越荷物及び職業用具とする。日本の法令によって輸出が禁止されているもの及び違反品は携帯することができない。」「日本側は、帰還者が持ち帰る一切の財産に対して関税を賦課しない。」「日本側は、帰還者が止むを得ない事情によって持ち帰れない財産に対して引続き本人の所有権を法的に認める。」こういうことがあるわけですね。いまこの協定がなくなる、それで一切取っ払うということについて、政務次官、どう思いますか。少し便宜をはからう中に、これは入ってもいいのじゃないですか。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 御質問の趣旨はよくわかるわけでございますが、いろいろ法律上の制約もありますので、やはりそれは専門家に一応答弁を——いまいないようでございますが、何か大蔵省関係の人の答弁を求めていただく、その時限でまた御答弁を申し上げることにいたします。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 北鮮へ帰る人が、この協定終了後帰るといった場合の人が持ち帰りの通貨でございますが、これは現在四万五千円を英ポンドで持てるということになっておりますが、これはおそらくこのとおりか、あるいはこれ以上のものが許されるものだと理解しております。ですから、これ以上のものになるのではないかと考えております。  それから、携帯品、引っ越し荷物、そういったものにつきましても、大体現在どおりのものは認められるのじゃないか。これは大蔵省のほうにまだ確かめておりませんので恐縮でございますけれども、私たちの考え方では、これはその程度は認められるのじゃなかろうか、このように思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 現在どおりとおっしゃるのは、現在の協定どおりという意味ですか。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 そのとおり、協定のとおりでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 関連して。入管の方にお伺いしますが、先日法務大臣が入国管理令をすみやかに変えて、できるだけ近い国会で管理法として提案する、こういう発言があったわけですけれども、ものの順序から考えてみて、管理令の間はまだものは考えやすい。それがはっきりと管理法ということになってくると、変わってくるのじゃないか。あるいはそういう段階になってきて、いろいろな協定の内容も全部そのまま流されてしまって、そういうものが出てしまうと、一切がっさいのものが全部だめになってしまう、そういうようなことも考えられるわけです。先ほどからのいろいろな御答弁を伺っていると、これで一応打ち切ったんだ、こういうようなお話がたくさん出ているわけで、政務次官とのお話の食い違いはいま横山先生からいろいろおっしゃっておられたわけですけれども、そういう問題が出るまでに内容をはっきりして、何らかの処置を講じてあげなければならない、こういうふうに考えるわけですけれども、そういう関連性は何もない、そういうことによって打ち切ってしまうような冷酷なことはおやりにならないか、あるいはこの際だから早く話をまとめておいて、何らかの打ち合わせを残してあげて、その分だけを置いておいてあげる、こういうことになるのか、また厚生省のほうには、厚生省のほうとして、人命救助というような点からは、井戸にはまった子供を、死にもの狂いでばく大な金を使って助けることがあるわけです。内容は一つも変わりはないはずなんです。自分の国へ帰りたいという方を、道をとめるということは絶対にあり得ない、こういうことになるわけですけれども、それぞれ事情があって残っていられるわけです。たとえて言えば、新聞なんかに載っておるところの、いわゆる子供や妻は先に帰した、自分は経済的理由で帰れない。こういうことが帰れないことの事情の一端になっておったりするわけですから、そういうものをとめておく法はないはずです。だから、そこに打ち切るという内容は、政府のほうから発言するかわからないけれども、帰れる内容については、何ら変わらないようにしてあげてもらいたい、こういうふうに考えるわけですけれども、いま申し上げた中に重複した点もありますけれども、お答え願いたいと思います。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 入管令の改正にからんでの御質問ですが、入管令で、先ほどちょっと触れましたが、入管令によりましても北朝鮮への帰国といいますか、帰る点は、旅券を持っている人でないために、そのままでは入管令にうまく乗らないわけでございます。それで先ほども申しましたように、旅券がなければ帰国承認できない。それに特に便宜をはかって、旅券にかわるべきもの、出国証明書というようなものを予定しておりますが、そういったものを入管のほうでつくりまして、それでもって便宜をはかって、出国証印を押して出すということを考えておるわけです。したがいまして、この旅券に出国証印を押さなければ出国できないというこのたてまえは、この入管令を改正して、出入国管理法というものに改正したといたしましても、この点は同じでございます。これを変えようという考えは全然ございませんので、その点は、現行の入管令でありましても、改正いたしました改正法のもとにおきましても、取り扱いは同じだ、こういうように御理解願えればけっこうだと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 いろいろ聞きたいことが多いのですけれども、政務次官がどうもにこにこ笑って、わしの顔ばかり見ているので困るのだけれども、政務次官、どうですか。あなたは、先ほど意味深長な御意見を伺ったのですが、これを一政務次官のお考えでなくして、この公式な国会の法務委員会で御答弁なさったことが、副大臣としての御発言と見て、しばらく見ておってもらいたいという意味だと思うのですけれども、こう解釈してよろしゅうございますか。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 いま各先生方から強い反対なり、また御希望のあるような点は、これはただ単に法務政務次官というだけでなしに、関係しておりまする政務次官会議でも話し合っておるわけでございますので、私のお答えしておることは、単に私だけの考え方ではないわけでございます。しかし政府当局の責任者の立場になりますというと、われわれはそうして話し合っておる程度のものでございますが、閣議決定しておるわけではございませんし、また先生が御期待するような御答弁のできぬこともやむを得ないかと存じますので、ひとつ私の申し上げることを一応御信用を願いたいと思うわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでは私も意見を表明して善処をお願いしたいと思いますが、少し政府はこだわり過ぎておると思うのであります。協定が一年ごとであったから、しかも人数が減ったからということで、閣議で決定したものをいまさらひっくり返すのはみっともないという、こだわりが過ぎると思うのであります。高橋さんが先ほど与党でありながら、ずいぶん思い切った発言をされておるのでありますけれども、私ども全く同感でありまして、大体打ち切ってどういう国益があるかという点を、もう一度考えてみる必要があるのではあるまいか。打ち切ることによって、日本側で国益というものがないのではないか。ただ、一年ごとでずるずると続けてきて、みっともないということだけのことではないか。これを続けることによって、どのくらいの国費が要るのかといって先般も聞きましたら、いやこれは歳出の問題ではありませんという御答弁が得られたわけです。お金の問題で断わるのでもない。ただ、一年ごとで何回も続けてきたから、人数も減ったからというだけのようであります。そうだとするならば、まあ在日朝鮮人の諸君が、帰る者も希望しない者も、ともに祖国への道が何か閉ざされるという民族的な感情というものは、これはもう少し尊重してあげていいではないか。どうしても打ち切らなければならぬという積極的理由はないのであって、道を開いておくことによって六十万の在日朝鮮人の諸君、北朝鮮へ帰りたい諸君、帰りたくない諸君といえども心理的な支柱がある。そうして日本政府に対しても、好意を持って物事に処してくれる、われわれ国会議員といたしましても、何かのっぴきならない理由があるならば、打ち切らなければならない理由があるならば、こうも言いませんけれども、どう考えてもそれはない。もうメンツで協定は打ち切って、そうして事実上は、政務次官のおっしゃったような方式をとるということであるならば、この際思いを新たにして協定を延長する、さっぱりと延長する。そうして心要な是正は少し加えるということならば、これもやむを得ないと思うのでありますが、人数も減ったのだから、必要な是正があるとするならばやむを得ない。けれども、いまお伺いしてみますと、まあ政務次官会議の共通した意見というようなお話を承っておるのですけれども、実際問題としては、この協定の内容に含まれるようなことは、やってやろうじゃないかというような御趣旨のように私は見受けられるわけであります。それならば百尺竿頭一歩を伸ばして、この辺でさっぱり思いを新たにしてはどうか、こう思うのです。協定を打ち切るな、打ち切ろうという、その論争を続けると、政府のメンツになるだろうと思う。だけれども、それでは便宜を与えるという政府の閣議決定から入っていくと、実質変わらないではないか、それなら何もメンツにこだわる必要はないではないかと思うのです。どうですか。全く同感でしょう。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 私はそう思わないのでございます。やはり一応この際、終戦処理ということばが適当ではございませんかもしれませんが、あの当時の情勢によって、一たんこういうものが発足したのでございますが、希望者がもうほとんどなくなってしまっておるのでございまして、また当時の協定に基づくような考え方の人は、もうほとんど帰ってしまっておる。もうこれからはほんとうに別な、変わった意思でお帰りになるわけであります。さりとて、さっき申しました歴史的ないろいろな問題もございますから、だから普通の取り扱いというのでは、まことに気の毒だ、だから、さっき申しました厚生省の、帰れない人に旅費を支給するとか、あるいはまた私が申しましたようなふうに、もし船のルートで困るようなことがあれば、これは政府が交渉いたしますか、赤十字社が中心になって折衝いたしますか、そういうようなものも仮定の問題でございますが、できるだけ希望に沿えるように話をつけてあげる。そういうようなことで、あらためて別の方法で帰れるような世話をしたい。さっき局長が申し上げましたような問題もございましょうが、いろいろな方面で便宜をはかって、サービスをするということ、これは当然そうすべきではないか、かように考えるわけでございます。さりとて、先生のおっしゃるようなふうに、長い歴史やいままでのいろいろな問題を見て非常にけしからぬ、薄情だというようなことは、われわれは考えてもらいたくない、そういうような批判を受けることは、当然政府はとるべきではない、かように考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間がございませんから、次に移りますが、やはり五月十九日に法務大臣にお伺いしたのでありますが、韓国籍の米兵がキューバ大使館に救いを求めて、現在もキューバ大使館におる模様でありますが、これにつきまして、法務省の今日ただいまの態度はどういう態度でございますか。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 これは実は米国兵でございますので、法務省といたしましては、いわゆる日米安保条約刑事特別法によりまして、アメリカから引き渡しの要求がございますれば、それに対して、逮捕して向こうに引き渡すという責任はあるわけでございまするが、これは入管の所管ではございませんでして、本日刑事局も来ておりませんようですが、法務省としてはその程度のことでございます。しかし、おそらくただいまもキューバ大使館の中におるのだろうと思いますが、そういたしますと、ちょっとそれも実現しかねているような状況と承っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この間私が申し上げたのは、これは亡命ではないか、亡命として扱うべき問題ではないかと言ったら、法務大臣が、亡命であるか、難民であるか、亡命でないかもしれぬが、単なる脱走であるか、その点について十分ではないということでありましたが、お調べになりましたか。外務省、どうです。

長崎弘外務省中南米移住局外務参事官

○長崎説明員 お答えいたします。外務省といたしましては、政治亡命者と考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 政治亡命であるならば、単にキューバ大使館から出てきたら、それをつかまえて、すぐアメリカに引き渡すということは、国際的な立場からいっていかがかと思うのですが、どうですか。

長崎弘外務省中南米移住局外務参事官

○長崎説明員 政治亡命者でございますけれども、もし本人が、現在入っておりますキューバ大使館の構外に出てきました場合には、安保条約に基づきます地位協定に基づきまして、これを逮捕、あるいはこの当該事実について調査せざるを得ない義務になっておるわけでございます。その調査の結果、もし米国軍人であるということが明らかになりますれば、地位協定上の日本政府の義務といたしまして、これを米軍に引き渡すことになっております。それから、もしかりに本人の申し立てと違いまして、米国軍人でないということになりますと、出入国管理令違反の容疑で、日本政府が取り調べるということになるかと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私が言っているのは、政治亡命であるということが明らかである場合においては、その身分あるいはそのほかの条件を問わず、国際的な問題として日本が保護すべきものではないか、こう言っておるのですが、どうなんですか。

長崎弘外務省中南米移住局外務参事官

○長崎説明員 キューバ大使館からの書簡並びに在京大使館からの情報によりますと、当人は米国の軍籍にあるということが大体明らかのようでございます。したがいまして、政治亡命者ではありますけれども、同時に米国の軍人であるという両面からこの問題をとらえる必要があるかと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 軍人であろうがあるまいが、政治亡命なら政治亡命として扱って、亡命者を保護すべき国際的な習慣に基づくべきではありませんか。

長崎弘外務省中南米移住局外務参事官

○長崎説明員 政治亡命者を必ずしも自由に外国に出さなければならない、こういう国際法上の通念はないわけでございまして、一般国際法上の通念といたしましては、政治亡命者が外国公館に庇護されておる場合には、当該接受国の官憲からその引き渡し要求があった者は引き渡すのが、大体の国際法上の一般の考え方でございます。その考え方に基づきまして、日本政府はキューバ大使に対しまして、当人の身柄の引き渡しの要求をしておる段階でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 キューバ大使館は、それに対してどう答えておりますか。

長崎弘外務省中南米移住局外務参事官

○長崎説明員 キューバ大使は、本国政府に請訓した結果といたしまして、日本政府に身柄を引き渡すことはできないという回答をよこしております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 その理由は。

長崎弘外務省中南米移住局外務参事官

○長崎説明員 理由といたしましては、特別に明らかにしておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次に、先般来、中国から日中友好のために十数人の人が日本に入国をしたいということになりまして、各省で御協議をなさっておるようでありますが、法務省が一番それに難色を呈しておるという話を聞いておるわけであります。聞くところによりますと、法務大臣並びに関係大臣が最終的な処理をなさる段階にあると思いますが、どういう結論になりましたか。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 中日友好協会の代表団の入国の問題でございますが、現在のところでまだ検討中ということでございますので、もうしばらくお待ち願いたいと思うのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法務省が一番難色を呈しておった理由というのは、何か日中友好の今日の状況からいって云々というようなふうに聞いておるわけでありますが、それは少し邪推が過ぎるのではあるまいかと思う。そして明らかに、その代表団の中には純経済的な視野で参加しておる人が、御存じのようにかなり多いわけであります。すでに日中友好協会の大会も終わったのであるから、来訪の理由が薄いということだとするならば、それは法務省としていささか不穏当な言い方で、それならば、なぜ大会のときに許可をしなかったのか、自分のほうで許可せずにおいて、そうして終わったんだから意味がないだろうというのは、少しおかしな言い方だと私は思っておるわけであります。いつごろ結論がつきますか。

笛吹亨三法務省入国管理局次長

○笛吹説明員 この代表団の入国の申請からお話し申し上げたいと思うのですが、六月十六日に入国趣意書が提出されたのでございます。その際に日程表がついてまいりましたが、その日程表が、まことに内容がブランクに近いといっても過言でないくらい——東京でいつからいつまで、大阪でいつからいつまでというだけで、中が全然わからぬというような程度の日程表でございまして、これではとてもこちらのほうとしては審査ができないから、日程表を、もっと具体的に日程を詰めて出してくれということで要求したわけですが、十六日にはそういった入国趣旨書が出てまいりました。それに基づきまして、六月二十日に代理人から正式の入国申請書が提出されました。ところが、まだ内容が埋まった日程表が出てまいりませんので、またこちらのほうから催促いたしたわけ一であります。日中友好の第十六回総会というのは、六月二十四日、五日であったと思いますけれども、六月の二十四日に入国申請書を出してきておる。しかも日程表がブランクに近いといったようなもので、四、五日の間でそんなものが審査できるというのは、物理的に不可能なことでございます。したがいまして、これはとても間に合わな  いということは、初めから申したわけであります。そして内容が大体ずっと埋まった日程表が出てまいりましたのが、六月二十八日でございます。それから私のほうで本格的な審査を始めておるわけでございます。いろいろな資料を集め検討もいたしておるわけでございます。法務省が難色を示しておるというようにおっしゃいましたが、そういうことじゃなくして、いまは法務省とか何省とかいう問題じゃなくして、政府としてお考えいただくということになっております。ですから、法務省がどの点はいかぬとか、法務省がいかぬといったとかいうそんなことは、ここで申し上げることではないかと思いますので、いずれにいたしましても政府としてお考えいただいてきめていただくということになっておりますので、いつということをちょっと私、申し上げかねますが、まあもう少しお待ち願いたいということで御了承いただきたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 だいぶ新聞と違うのですが、額面どおりに、あなたの御説明どおりだと理解をしまして、それでは政府の代表である、政務次官の、またきわめて人格円満な御発言を承ることによって、質問を終了いたしたいと思いますが、どうぞひとつ円満なところをお願いします。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 いま次長から御答弁申し上げましたように、いま審査中でございますが、横山先生以外の先生方からもいろいろなことを伺っております。よりよりそういう話もいたしておるわけでございますが、御意思に沿うような結論が出ますかどうか、それはここで申し上げる限りじゃございませんが、できるだけ慎重に審査いたしまして、できるだけ早い機会にひとつ公式の発表をするようにいたしたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 どっち向きにとったらいいのですか。前向きですか、うしろ向きですか。そう辺だけ聞かしてもらわんと、どうもかっこうがつかぬ。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 ただいま審査をいたしておる最中でございますので、私がここで前向きとかうしろ向きとか申し上げるのも、言い過ぎかと思いますので、ひとつその程度で御了承願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これとても、やはり佐藤さん、池田さんが言うように、もしも大国の襟度というものがかりにあるとしたならば、つまらぬことでくよくよして、ああではないか、こうではないかということを、選択をしないで、良識を持って、どうぞ日本へいらっしゃい、日本を見てください。日本の状況をよく国民とも触れて見てもらって、そうしてわれわれの気持ちをくんでどうぞお国の政策をお立てになりますようにという、おおらかなところを見せられるべきだと思うのです。こういうことに十分配慮をせられるようにお願いをいたしまして質問を終わります。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 松前重義君。

松前重義日本社会党

○松前委員 私は人権擁護の問題で少しばかり見解をお聞きいたしたいと思います。それは二つのケースがあるのでありますが、第一は、婦女子に対する人身売買の点であります。詳しいことは、私は法律家ではありませんからわかりませんが、常識的に見て、婦女子をある金銭で買うと申しますが、誘惑というか、しかるべきところに就職というか、仕事につかせる。こういうことは婦女誘拐と申しますか、人身売買、それでもっていろいろ法のさばきを受けておる、こういうことであります。ところがもう一つは、私は非常に矛盾した現象の一つと考えるのは、たとえば現在のプロ野球の選手たちが、方々にいわゆる候補者なるものがおります。ちょうど野球のシーズンになりましたから、いまスカウトという者が方々かけ回って、あの選手はいいとか、あの選手は悪いといって評価しておるようであります。その評価された選手たちは、ある一定の準備金か何かを渡されて、ある球団に入るというのであります。ところが、その場合において、一つの球団に、というのはどの選手とどの選手はこの球団に入らなければならない。プロ野球の選手になろうと思っても、その球団に割り当てられた選手は、その球団がきらいであるならば選手にはなれない。そしてそれに対するいわゆる価格というものが、大体きまっておるようであります。価格を協定され、そうして自分の思わしくない球団に対しても、プロに入ろうというならば、しかたなくそれで従わざるを得ない。こういうようなやり方は、これは前の婦人に対するいわゆる人身売買の問題とどういうふうな違いがあるのか、その見解を伺いたいというのであります。これが第一の質問であります。

堀内恒雄法務省人権擁護局長

○堀内政府委員 ただいま御質問のありました、プロの野球界におきまして、一部の選手につきまして御質問のように、あるいは人身売買というような疑いがあるのではないかという御質問でありますが、私ども先生の御質問のありますまで、ただいままで検討いたしたことがございませんで、本人の意思というものを全く無視して、そうして強制が行なわれるというような事態がありますれば、人権上の問題であると考えます。今後リーグから規約など取り寄せまして、慎重な検討をいたしたいと思います。

松前重義日本社会党

○松前委員 この問題は、いろいろ深くお尋ねしようとは思いません。いまのような御答弁でけっこうだと思いますが、ただ現実問題として、某球団に入りたい。プロには入りたい。どうしてもやりたい。けれども、自分はどういう球団でなければいかぬ。大体この辺がいいというのが本人の希望できまっておっても、自分のきらいな球団に割り当てられて、プロに入るならば、そこに泣く泣く入らざるを得ないというかっこう、それは承知したからそれでいいではないかといえばそれきりでありますけれども、それならば人身売買のときも同じではないかと私は思うのでありまして、そこのところに何か非常な窮屈な、人権をじゅうんりしたような姿があるのではないかというような、ぼんやりした見方を私は今日までしてまいっておりますので、この点は十分ひとつ御検討願いたいと思います。プロ野球側でどういうふうにお考えになっておられるか知りませんけれども、何の連絡もないし、とにかく何だか割り切れないものを持っておった、そのことを御質問申し上げたわけであります。  次に、実は同じような人権問題でありますが、学生と学校当局との関係であります。この一例を申し上げますと、この間昭和女子大というところの女子学生に対して、大学当局が退学処分をいたしました。これは裁判にかかりまして、退学は不当であるということにきまりました。それが控訴されまして、高裁で、それは学生について一番よく知っておるものは大学であるから、大学当局の考え方を中心にして、退学させたいというならそれで妥当ではないか、こういうふうな判決がおりたようであります。このことは私は文部省として特にお考えにならなくちゃならない問題だと思うのであります。と申しますのは、一体そういうふうな判決が、これは地方裁判所と高裁との間で判決が違ってくるのはあたりまえのことでありますが、しかし、事、こういう問題について、あまり百八十度の判決の相違があるというようなことは、これは学生自体に対して非常な混乱を与えしむるものであります。また学校当局にも非常な混乱を与えるものであります。一体どちらが正しいのかというような問題になりますと、この問題については、文部省は一体教育に対してどうお考えになっておるかという基本的な問題も出てまいります。そこで、このいわゆる憲法に保障されたる人権を優先するという、あらゆる学校教育法やその他はこれに従属したものであるというような考え方でいくということになるとするならば、これは人権尊重の立場からそうなるとするならば、それでもよろしい、一応政府の見解を私は伺いたいと思うのであります。それとも学校教育法あるいはまた教育基本法等が優先するのである、そういうふうな考え方でやるかどうか、その辺のところがこの問題は非常に私は重要な問題であると思います。今後、いろいろ社会問題として学校問題が起こっておる今日においてこの秩序を回復すると申しますか、これらの被害というか、国の損失を少なからしめるためには、これは非常に重要な問題だと私は思うのであります。私はきょう文部省から御答弁をいただこうとは思いません。また人権擁護局からも御答弁をいただこうとは思いません。これは少なくとも両者におきまして、今後決定的な政府の見解をひとつ具体的に伺いたいと思います。それは何もきょう答弁を得ようと思いませんので、今後書いたものでこの問題は答弁していただきたい、こういうふうに思うのであります。これは今後の問題として、将来の問題として、われわれは真剣に取っ組んでいかなければならない課題であると思うからであります。  要するに、最初の地方裁判所の判決が出たときには、非常な経営者側における、いわゆる管理者の側における学校当局に混乱を与えました。第二の高裁の判決が出たときには、今度は学生側に対して非常な混乱を与えておる。一体そういうふうにして動揺きわまりない中に、私はだんだん社会秩序が乱れていくと思うのです。ですから、これはほかの罪人に対する、罪を犯した人に対するいろいろな裁判をやられるということよりも、あるいはまた民事的ないろいろな問題よりも、より以上に社会に、日本の将来に影響する基本的な大きな問題であると思うのであります。この点に対して特に文部省はふんどしを締めて、もっと確信ある方向に対しての具体的な意見を一応聞かしていただきたい。それから私の質問に移りたいと思うのでありますが、この辺に対しまして文部省の清水さんがお見えになっておるようでありますから、私は結論の答弁を得ようとは思いませんけれども、どういうお答えをなさるか、文部省の御見解と、それから法務省の御見解を伺いたいと思います。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 松前先生には、優秀な私学を経営しておられまして、いつも御鞭撻を受けておるのでございます。  ただいまの点でございますが、裁判の判決自体につきましては、学生側から最高裁に上告中でありますので、行政府の私のほうからどうこう言うことは、ちょっとしばらく控えさせていただきたいと思いますが、一般論といたしまして憲法の二十六条に、法律の定めるところによって教育を受ける権利があるという学生側の一つの地位がございます。その法律を受けまして、学校教育法でいろいろなことを規定しておりますが、その中に、学園の秩序を維持して教育の目的を遂行するために懲戒規定も置いておるわけでございます。その懲戒規定にのっとりまして、先ほど先生も多少おっしゃいましたように、一番現場で通暁しておられます学校当局にその懲戒権が法律上まかされておる、こういう立場で私どもおるわけでございまして、昭和女子大事件の場合も、そういう立場で大学当局が信念を持って退学懲戒処分を行なった、こういうふうに確信をしておる次第でございます。

堀内恒雄法務省人権擁護局長

○堀内政府委員 判決が一審と二審とで違ってくることによって学校当局に混乱を与える、あるいは学生に混乱を与えるじゃないかというお尋ねでありますが、お尋ねのとおり判決の変更がありますと、確かにお尋ねのような混乱を与えることは間違いがございませんけれども、これに対する対策としましては、私どもやはり訴訟で争われている限りは訴訟手続によって解決をはかっていただくほかはないのじゃなかろうか。たとえば学生の側からすれば仮の地位を定める仮処分の申請をする、あるいは一審の判決が退学を相当とするような場合には控訴をしまして、控訴と同時に執行の停止を求めるとか、やはり訴訟上の手続でその混乱を避けるような手を打っていだだくということよりしかたがないのじゃないかとただいま考えております。

松前重義日本社会党

○松前委員 そういうことになっておるから、やはり教育の元締めである文部省が、どうお考えになっておるかというようなことをあなたからいまお聞きしましたけれども、しかし、これは省としてひとつ基本方針を打ち出していただけないだろうか。そうしてどういうお考えをお持ちなのか。学校側がいたずらに方々で混乱しております。これはゆゆしい問題だと私は思うのです。こういうようなものに対してやはり文教の府が、何か無関心でおるというような感じを持つのであります。やあ、やっておるな、責任はおれにはないというような調子でおられるようですが、これじゃ私は文教政策というものは実行できないと思う。ただ予算を取ったり、建物をつくったりするだけが文部省じゃないと思うのです。あるいは私学を盛んに統制するというようなことが、文部省の使命ではないと思う。一番大事な点に、私は今日の文教行政の中に欠けている点があるのじゃないか、こう思うのであります。この点、特に先ほどの人身売買のような問題と同じ立場で、これは一応学生というものがある学校を志望するときには、学校の問題、私学の場合においては、設立者のこういう方向でやろうという気持が、教育の方針があります。それに沿わない者でもどんどん入学していく、そうしてやるということになると、これはとんでもないことになる。だからしてやはりそこのところをはっきりしておれば、初めから学生はそんな学校に入らない。ぼうっとしておるから入っちまうというようなことでありまして、この辺はそれぞれ設立者の意図もありますし、そして学生がそういうところへ入らないでおれば、ほかの学校に入れば無事に卒業できる。けれども、そこへ入ったがゆえに、自分の考え方と違うもんだから、いろいろやりだすというところに退学の原因も出てくるのでありまして、やはり社会秩序を維持する意味においては個人の人権というか、あるいはその他の思想の自由といいますか、そういうものを土台として学校を選んだり何かすることになります。そういうふうに持っていくのには、やはり文部省というものがもう少し教育の基本方針に対して、いろいろ考えてはおられるようですけれども、根本的なこの問題に触れてお考えになる必要があるのじゃないか、こういうふうに私は思うのであります。これは裁判所ではいまみたいな手続でおやりになりましょうけれども、これは法務省との間に話し合いは私はつかないと思いますが、しかし話し合いをつける必要はありません。けれども、どういう所信を持って今後教育というものを育てていこうと思っておられるのか、この辺のところを伺わなくちゃならぬと思うのです。  たとえば一例を申し上げますと、アメリカが必ずしもいいとは言いませんが、アメリカの学校では入学試験はないのです。だれでも入れるのです。入れるかわりに成業の見込みがないと思った者は、片っぱしから落第させる、同時にまた退学させる。三分の一しか大学を卒業しないのです。しかし日本の大学じゃ、入れたら卒業させなければならないのかどうか、そういう義務があるかどうかというような基本的な問題もある。どうも文部省あたりでは、定員なんかということをおっしゃって、定員というものがある以上は卒業させなければならぬということに私はなると思うのです。そうなると、卒業させなければならないというように義務づけられたら、学校は絶対に退学処分をしてはいかぬことになる、卒業させなければなりませんから。その辺の考え方は一体どうお考えになっているか。どんどん希望者は入学をさせる。そのかわり成業の見込みのない者はどんどん退学させる。アメリカでは三分の一しか卒業しないのです。それでも別にどうのこうのは起こっておりません。それは卒業させなくちゃならないという義務は大学にはないのです。ところが、定員というものを、大学設置審議会等においておきめになる以上は、卒業させる義務があると思うのです。義務があるならば退学させちゃいけません。これが基本的な精神だと思うのです。それを文部省は一体どうお考えになっているかということが、私はこの問題の基本じゃないかと思うのです。  そこで大学設置審議会、あるいはまた文部省の教育機関に対する管理の基本的方針、これをもっと伺っておかなければならぬと思うのでありますが、これは定員問題、ことに何人定員があればこれだけの校舎をつくれといって盛んにお調べになる。そういうところに矛盾撞着があると思うのです。学校の基本方針に対して、退学させるのは適当じゃないかというお話ですけれども、そうはいくまい。何人の定員であって、どれだけの施設を設けなければならない。それでなければ認可しない、こうおっしゃるのですから、そこに私はやはり施設とか何とかという問題以外に、精神として一つの大きな入学に対する問題があるんではないか、こういうふうに思うのであります。これを特にひとつあなたお帰りになったら、剱木文部大臣ともお話しになりまして、それから省として厳粛にお考え直していただきたい、このことをお願いしておきます。これが少なくとも人権問題を生む一つの原因をつくっておる、こう私は思っておりますから。そうして同時に一応その方針がおきまりになると、学生側においても入学のときにちゃんと考えますよ。そうしてやりますよ。そういうふうなところで、混乱をまずその原因において防ぐということが大事ではないかと私は思うのであります。あまりにも最近の混乱ぶり——私のところなんかあまり混乱しておりませんけれども、方々で問題が起こりますので、客観的に見てそういう点に対して、特に政府として具体的な方針を打ち出していただきたい。しかし、このことはひとつ書いたものでお願いしたいと思います。そして将来の問題として、ただ答弁をいただくだけでなく、質疑を続行したいと思っております。私の質疑はこれで終わります。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 関連して、高橋英吉君。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 昭和女子大学の処分、私も具体的に調べましたが、正当だと思いますが、しかし、退学制度の問題、往々にして人権問題を惹起するのですが、これは私の地元の愛媛県で、高等学校の生徒の退学問題で、いま人権問題並びに裁判問題になっておりますが、これに私は関係してみて痛切に思ったのですが、懲戒処分としての退学制度というものをなくしてしまって、無期停学というものを最高の懲罰ということにして、ほんとうに改悛の情が顕著である者は復学さす。もしそうでないものはやはり退学の目的を達成すると同様なことになるわけですから、そういう無期停学というふうなことで差しつかえないのではないか。ことに大学なんかそうでもないのですが、高等学校程度だというと、その少年の一生を誤ることになる。退学なんかという処分をしますと、その点どうしても人権問題が付随してくることになりますが、私、今度文教部会でそういう問題を議員立法として提起したいとも思っておりますが、そういうことに対して、文部省当局はお考えになったことがあるかどうか。退学制度というようなもの、これは非常に考えなければいかぬ制度であって、青少年の前途に対して、その一生の運命に対して、非常な重大な影響を及ぼすというふうなことを厳粛に考えられたことがあるかどうか。その辺ひとつお伺いしたいと思います。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 ただいまの高橋先生の御質問でございますが、文教部会等でいろいろと御意見を拝聴しておるわけでございますが、いまおっしゃいましたように、端的に申しまして、退学制度を検討したことは正直に言ってございません。学校によりまして、停学処分のうち無期停学処分ということでやっておりまして、そして改悛の情が顕著だ、他の学生にもまず影響がないというところで、また復学を認めておる、こういうようなケースも若干承知しておりますが、ケース・バイ・ケースの問題でございまして、全体の学生に対する影響というような点も、学校としては考えなければならぬと思います。ひとつ慎重に検討さしていただきたい、かように思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 関連して、神近市子君。

神近市子日本社会党

○神近委員 これはこの間新聞に出ていたことでしたけれど、いつも私は国士館を例に出すので、何か含むところがあるようにお考えになるかもしれませんが、このごろ青少年問題でいろいろな雑誌から感想を書いてくれといわれるのですけれど、私、書けないのです。この間千葉で線路に爆弾をしかけたのが、十七歳の少年でしょう。あの二人でしょう。理由があったのかといえば、何も理由はない。ちょっとやってみようかというようなこと。あれがいまの青少年の多くの人の状態だったら、私は日本のあすというものは、よほど悲観的に考えなければならないと思うので、私はいま何かしゃべってみろとか、書いてみろといわれても、ほとんど案が出ないくらいで、ただ現実の問題をもう少し反省する必要はないかということを考えるのでございます。  それで、いまなぜ国士舘大学を言うかといいますと、前に何回か御質問申し上げたことがあった。そして文部省でも、あるいは法務省でも一向これに対しての正しいやり方をなさったようには思えない。この間問題になったのは、国士舘大学の佐藤という人が、七億円の脱税をしてつかまったという件だった。国士舘が大学になったのはいつでございますか。文部省の方にお尋ねいたします。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 申しわけないのですけれども、ちょっと時期ははっきりと覚えておりませんので、ひとつ調べてあとで報告いたします。

神近市子日本社会党

○神近委員 大体四十二、三年くらい前で、そのときの新聞の切り抜きを、私ちょっと見落としたのではっきりしませんが、三十八年か九年。そうすると、博士の称号を与えるには何年かかりますか。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 五年課程でございますから、学部卒業後少なくとも五年かかります。

神近市子日本社会党

○神近委員 それが五年たたない、二年くらいのあとでその人は博士号をもらっている。そういうふうなことで、新聞にちゃんと出ているのを、文部省は何とも感じないのですか。これを処分するとか、あるいは学校法に違反しているじゃないかというようなことで、何か警告とか、あるいは忠告とか、あるいは罰則とか、そういうものはあるのですか、ないのですか。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 いま先生おっしゃいました例、新制度におきまして五年の博士課程、そのほかに論文博士の問題が認められておりますので、いまお尋ねの件が論文博士でいったのかどうか、その辺ちょっと私つまびらかにいたしませんので、博士課程に正規の学生として入った人が、五年の博士課程を卒業しないうちに出したというケースなのか、あるいは正規で認められております論文を出して、博士号——論文博士が認められておりますので、それで出したのか、その辺ちょっとはっきりいたしませんけれども、私の多少記憶しているところによりますと、ある大学の博士課程におった人が、国士舘大学へ途中で移った、それを通算して博士課程が出せないかどうか、こういう問題があったのは記憶しております。そのときに、文部省当局の指導としまして、いまの制度では、博士課程に入った場合に各大学間の相互単位の流用を認めておりませんので、同一の教官の指導のもとに五年間博士課程で指導を受けるということでございますので、それは困るということを、当時担当局のほうから申した記憶が、私にございます。いまの場合に、論文博士であったのかどうか、ケースとして存じません。

神近市子日本社会党

○神近委員 国士舘というところは、いろいろな問題を含んでいる。この許可をおろしたときり状態は、どなたかわかっていますか。一回でぱっと出たのか、二回目で出したのかというふうなことがわかりますか。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 ただいまの件でございますが、私当時管理局あるいは大学局におりませんでしたので、詳細は承知しておりませんが、学部が各年度にまたがって増設をされていったようでございますが、その間の過程で、教官の専任、兼任の問題、こういうような問題について、ほかに職業を持っていて教官としては国士舘大学だけだというので、専任ということで最初提出があって、そいつは教官数から見て、兼任と専任との比率割合から見て困るという指導をした。あとでそれが補正になった、こういうような経緯は聞いております。

神近市子日本社会党

○神近委員 いまの大臣の剱木さんがその時期に監事ですか、をやっていらっしゃったということは、文部省の人は知っていらっしゃいますか。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 いまの大臣の管理局ということは、私ちょっと承知しないのでございますが、大学課長なんかなり、あるいは大学局長——いまの大学学術局長でございますが、そういう局長なんかをやっていた時期はございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 私が青少年の問題とこれをからめて考えて、こういう教育が行なわれたら、日本のあしたはどうなるかということが、私の一番の懸念なんです。そのほかに自分で関係しているようなところがないものですから、地域的に近くに住んでいたということから関心を持つわけなんですけれど、この大学の許可なんかも変な形で行なわれている。これはまた他日お伺いしてもいいと思うのですけれど、その大学になった祝賀会の席上で、こういうことを言っているのです。わしが佐藤総理に一回会えば、このとおりじゃないか。許可を文部省がぐずぐずしていたのが、佐藤の一言で、これきまったじゃないかというふうなことを、たいへん自慢にしていらっしゃる。私は前にこれは何度も——石井さんも、佐藤さんも、なくなったやはり福岡から出ていた方々、そういう方々が顧問あるいは監事をやっていらっしゃるということは知っていましたけれど、ともかくもそういうことで大学の許可がおろされる、いろいろの資格が必要なのにその許可がおりたということは、私はこのことはとても日本の現在の教育制度の中でほんとうに恥ずべきことだというふうに考えるもので、こういうお尋ねをしているのです。この前何度も質問したけれども、ここでは七人ばかり不当な解雇をされている教授がいらっしゃる。それで地裁の裁判が一向進行しないので、あるいは不起訴になったので、人権擁護局に持ってきてあるケースがあるはずです。その後人権擁護局では、どういうような調査を——非常に長くかかってなさっているようですけれど、ちょうど局長がおいでになっているようですから、ひとつ局長が御存じかどうか。この不当に解雇された人たち、それからこの二百人か、三百人の前で校長からけ飛ばされている佐藤教授、そういう方が告訴したのが、あるいは診断書を出したのが兄弟であったという理由で、地域では不起訴にされているのであります。これは人権擁護局に持ってきてあるはずですけれど、それを御存じかどうか。

堀内恒雄法務省人権擁護局長

○堀内政府委員 国士舘に関係します人権関係の事件というものは、この大学の教授の鹿島宗二郎という方外二名の方から申告を受けている。それで、それ以来今日まで私ども非常に長いことかかりましたけれども、いろいろな調査をいたしまして、その間延べ百十名ばかりの人たちの調査をいたしております。先生、まだ法務省何も知っておらぬとおっしゃっているのですが、近く何らかの措置をとりたいと考えております。私ども何らかの措置といいますと、強制権がございませんで、命令をすることはいたしませんが、結局学校のほうに話し合いをいたしまして、話をする、あるいは説得をいたしまして、将来人権上問題になるような措置をとらないでほしいということを学校のほうに申し入れる、そういうことになると思います。どういう措置がよろしいか、ただいま検討中でございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 百十人調べるといえば、ずいぶん時間かかるでしょう。それで一体これは何年かかっていますか、告訴あるいは持ち込まれてから。

堀内恒雄法務省人権擁護局長

○堀内政府委員 申告がありましたのは昭和四十一年十二月十日でございますから、ただいままでちょうど七カ月たっておるわけでございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 私どもがこの問題を取り上げてからも七カ月くらいになっていて、もっと早く六月ごろ解決が出るというようなことをおっしゃったことを聞いたことがありますけれども、呼んだのかもしれませんが、人権擁護というのはよっぽどむずかしいことと見えて、ケースが非常に長くかかる。これは早くさっさと片づけるということはできないものですか。

堀内恒雄法務省人権擁護局長

○堀内政府委員 この事件、ちょっと特殊な事件でありまして、申告がありましてから間もなく次々と事件が起こりましたので、その新しく発生した事件を次々と調査したという関係から、長引いたものであります。事件を早く処理するほうが望ましいので、私どもも鋭意なるべく早く処理したいと思っております。

神近市子日本社会党

○神近委員 もう一問、私は関連ですから早くしなくちゃならないけれども、問題がたくさんあるものですから……。  ここでは公然と学生の間で政治運動が行なわれているのですよ。学生から寄金をもらって、これは強制的で、たとえば時間におくれたりあるいは何か異例なことをやったりした場合には、罰金として、親類とか友人とか、そういう者を強制的に連れてきてこれに加盟させて、そして二百円だかの政治寄金を出させる。この問題は一度文部委員会でお取り上げになって、学内には置かない、学外に置くということでしたが、名目の事務所だけは学外に置いて、実態には、やはり学生相手だから、学生に強制しなければお金ができないから、学校の中に置いてある、こういうことを知っていらっしゃいますか。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 いまのお尋ねにお答えします前に、先ほど保留しました国士舘大学の設立年月日について先にお答えしますが、大学として設置認可されて発足しましたのが、昭和三十三年四月一日でございます。それからその前に、短大が昭和二十八年三月二十六日、こういうことになっております。  それからいまの学生の政治活動の金の点でございますが、あれは何でも銀行倶楽部とかいう問題と記憶しておりますが、いま先生おっしゃいましたような問題がございまして、文部省としまして、学園の中で政治活動をやるということは好ましくない、こういう指導をいたしましたところ、いま先生も御指摘のように、私ども承知しております範囲内では、その銀行倶楽部の事務所を学校から外へ出した、そして学生としてじゃなしに、市民の立場において金を集めておるのであって、強制はしていないということを繰り返し学校当局が言っておるわけでございます。学内と学外とせつ然として分けた。しかし、こういう指摘があるのはどうかというこちら側の尋ねに対しまして、そういうことはない、こういうことを申しております。担当局のほうから国士舘大学へ、その問題もあり、あるいはまたその他この前御指摘の点もございまして、現場へ視察に行ったわけでございます。それらが聞き、かつまた現場を見てきました範囲内では、銀行倶楽部が外へ出ていって、学内ではやっていない、こういう報告を私ども受けております。

神近市子日本社会党

○神近委員 私、関連だからあまり長くしないようにと思うのですけれども——次官、目をあけて聞いておいていただきたいのですが、この前の選挙のときには、特定の候補者を出していますよ。そして資金もこの学校から出ている。これを何と思いますか。学校法に違反するだけでなく、あってはならないことが公然と行なわれているという状態です。これは佐藤さんも、石井さんもなくなった緒方さんも、剱木さんも、みんなこの学校には関係していらっしゃる。私はまだ問題をたくさん持っています。きょうは関連だからここらでおいておきますけれども、ともかく選挙運動まで始めて、国士舘内閣をつくるというふうなことを公然と言って歩いている。そういったことについて、あなたが法務大臣なり総理大臣なりに注意を喚起することはできませんか。ちょっとそのことを聞かしていただきたい。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 先生は学校のそばにいらっしゃいますし、ちょっと言い方はどうかと思うのでありますが、御婦人だけに、非常にこまかい、われわれ男子の気がつかない点までお気を配っていろいろ御心配いただいて、そういう実情調査をされておるのじゃないかと存じます。したがいまして、そのとおりであるかどうか、これはまた政府なり、そういった機関の調べたいきさつもございましょうけれども、できるだけ学校教育の方針に沿わないような、むしろそれに災いをかもすようなことのないように、私からそれぞれの上司にも伝えておきたいと存じます。

神近市子日本社会党

○神近委員 私は関連ですからもうこれでとにかくやめますけれども、私がこの問題に関心を持つのは、昔から私は世田谷というところに長く住んでいる。そういう関係から非常に事情がよくわかるので、こうやってお尋ねを繰り返しています。まだ問題はたくさんあります。私今日の青少年の問題は、松前先生はじめ教育に御関係の方がもっと考えていただかなければ——ともかくもう日本のあしたというものには、私は絶望しております。そういう意味でこういう関連質問を申し上げたので、他日また文教委員会か何かでお尋ねして文部省の態度をはっきりしたいと思いますが、日本の青少年の教育を預かる人たちがぼやぼやしていらっしゃるということが、今日の事態を生んでいると考えて、私はこの質問を終わることにいたします。

松前重義日本社会党

○松前委員 私ちょっと質問でなく法務省の方の御答弁を願いたいのは、先ほど申しました政府としての今後の態度です。これらの諸問題に対する態度に対して、どういう方針で行政指導をなさるのか。これらの見解を具体的に書いたものでひとつ示していただきたい。それを土台にして、ただいま神近先生御心配の問題と一緒にいたしまして、また御質問をしたいと思います。でありますから、どうかひとつ書いたものでわれわれにお示しを願いたいと思いますが、その点についてはいかがでありますか。御両所から伺いたいと思います。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 ただいま松前先生の御要請の点でございますが、承知をいたしました。  一つは先ほど御質問の中にもございました点から申しますと、特に先生大学を御経営でございますので、その観点から申しますと、高等学校段階におきます進路指導の問題が、一つの大きな問題としてあるわけであります。それから大学教育の立場からいたしますと、一般教育の問題が、現在非常に問題になっております。これが非常に成果をあげていないという批判が全般的にございまして、今回の中教審諮問にあたりましても、この点がまっ先に取り上げられるべきものじゃないか、かように考えておるわけでございます。御要請の点は、承知いたしました。

堀内恒雄法務省人権擁護局長

○堀内政府委員 御質問の点について、書面で提出をいたします。

松前重義日本社会党

○松前委員 いつごろまでにできますか、大体。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 この問題は、大学だけの問題ではないと思いますし、初中の問題あるいは社会局の問題全般にわたりますので、ちょっといつというふうに時間を切らずに、お時間をいただきたいのでございます。できるだけ早く提出いたしたいと思います。

松前重義日本社会党

○松前委員 おおよそ……。

清水成之文部省大学学術局審議官

○清水説明員 正直なところ申し上げまして、いま大学局としましては、各大学から個別に明年度の予算のヒヤリングをしております。そういう状況でございますので、八月一ぱいお待ち願いたいと思います。

堀内恒雄法務省人権擁護局長

○堀内政府委員 文部省と同じように考えております。

松前重義日本社会党

○松前委員 これで終わりますが、ぜひそれはちょうだいいたしたいと思います。ことに問題が各地で発生しております。また九月ともなれば、いろいろこれらの問題が起こってくるだろうと思うのであります。できるだけ早く、詳しくお願いしたいと思うわけであります。  これをもって終わります。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 十分ばかりお尋ねいたします。先ほど松前委員からプロ野球の選手の人権問題についてお尋ねがあったようであります。私は、競輪選手の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  通産省のほうから最初お答えいただきたいと思いますが、ことしの六月三十日現在でいわゆるA級が二千六百八十六名、B級の選手が千五百四十九名、合わせて四千二百三十五名というのがその選手の数でございますが、その選手諸君のためにできている財団法人全国競輪選手共済会の共済事業調査統計表によりますと、四十一年度、鎖骨骨折、頭部顔面部外傷、頭部骨折、それから胸、腰などの骨折、さらに脳震蕩、肩甲骨骨折、上肢部骨折、それから上肢部外傷、胸、腰椎部外傷というふうなものが全部で九百三十四件一年間に、いわゆる参加中、すなわち競技中の事故として発生しておるという統計が出ているわけです。さらに、参加外の事故についても、相当多数のものが出ているわけなんです。そうしますと、四千二百三十五人ですから、参加外の事故を入れますと、大体三人に一人はけがをしておる。しかもそのけがというのは、足の外傷七十五名だとか、捻挫五十五名だとか、脱臼三十二名というふうなものは除いておるわけです。私が指摘いたしたいのは、選手四千二百三十五名のうち、三人に一人が——あらわれているのは、たとえば頭部、顔面部外傷、あるいは胸、腰椎骨折というようなことで、直接その頭部ということの出ていないけがもありますけれども、何か選手諸君に聞きますと、胸を骨折したというような場合は、必ず、程度の多い少ないにかかわらず、頭のほうのけがもしているんだ、こういうことなんです。そうすると、三人に一人が将来後遺症が残る可能性がある頭部のけが、あるいはそれの危険があるようなけがをしておるということは、非常に異常な事態だ。これは私は、競輪というものの制度の存続について本日論議しようとは思いませんけれども、いかに競輪選手がみずから求めて選手として競技に参加しておるからといって、三人に一人一年間にけがしておるという状態については、何としても人権問題として看過できない。こういう点について、ひとつ通産省の御答弁をいただきたいことと、特に脳外科の専門医が少ないということについては、従来から指摘されている点でありますけれども、いわゆる競技の運営をする責任を持つところの自転車振興会でございましたか、そのほうの関係で競技場に派遣されておるといいますか、待機しておるお医者さんが、いわゆる脳外科の専門家でないのはもちろん、外科の専門家でもない、産婦人科のお医者さんがとにかく待機をしておる。だから、選手は非常に気の毒な状態の中でけがをしておるというふうに、私言わざるを得ないと思うのです。こういうふうな状態について、通産省のほうから、実情は私が申し上げたようなことなのかどうか、ひとつ御答弁をいただいて、人権局長のほうからも、ひとつこの点についての御答弁をいただきたいこういうことでございます。

赤沢璋一通商産業省重工業局次長

○赤沢説明員 ただいま御指摘の競輪選手の負傷問題でございますが、選手につきましては、前日、並びに出走いたします当日朝、それぞれ健康診断をいたす取りきめになっております。やはりからだに故障のある選手が出走いたしますと、それが事故のもとになり、思わざる事態を招くということでございまして、この辺の健康診断は、相当厳重にやっておるように聞いております。にもかかわらず、レースの展開中、いまお話のような負傷者が出るわけでございまして、いずれも落車、転倒、こういった場合の負傷でございます。まあ大部分が上半身の負傷が多いようでありまして、先生のいま御指摘のように、上半身の負傷は、やはり何らかの形で頭部疾患につながるとも考えられます。現在私どもといたしましては、こういったものを防護する形としては、ヘルメットの着用しかないわけでございますが、このヘルメットは、競技の実際の運営を施行者から委託を受けておりまする各地の競技会——関東自転車競技会でございますとか、中部自転車競技会でございますとかいうような競技会がこれを持っておりまして、これを出場する選手に貸与をする、こういうことになっております。このヘルメット問題というのは、実は数年前から問題になっております。いろんな角度からこれの改善強化、こういったことが検討されております。ただ、からだの保護のほうは、これは何ぶんにも自転車に乗って走るものですから、重いものをつけるわけにはいかないということで、この面は、ほかにどうもプロテクトする方法がないようでございます。いずれにいたしましても、こういうことで負傷が多いわけでありますので、今後私どもといたしましては、関係の競技会に対しまして、ヘルメットの改善の引き続きの研究は当然でございますけれども、なおそれ以上にわたりまして、こういった欠陥が起きないように指導してまいりたいと思います。また、選手のほうにおきましても、落車、転倒ということは、選手自身の問題でもありますが、やはりレース展開のしかた、選手の心がまえ等にもよりますので、この点は、選手会を通じまして、また競輪学校で再訓練をいたしておりますので、その機会を通じて、事故のないように指導してまいりたいと思います。  なお、こういったような救急の事態に備えまする医療の問題でありまするが、これもいま申し上げましたように、身体検査のほか、救急医療の備えがあるわけでございます。もちろん負傷の程度によりまして、その場で応急手当てをしてすぐ救急車で送るというような場合もございましょうし、またその場で適当な処置をし得る場合もあろうかと思います。いま御指摘のようなお医者さんの派遣の状態であるといたしますと、これはまことに重大なことでございますので、直ちに現状調査をいたしまして、もしそういう事態であるとすれば、早急に改善方の指導をしてまいりたい、かように考えております。

堀内恒雄法務省人権擁護局長

○堀内政府委員 生命を尊重することと伴いまして、身体を尊重するということ、これは私ども人権の中でも最も基礎的なものと考えておりまして、今年度も生命の尊重ということを広く呼びかけようということを考えておりまして、ただいま御質問の競輪の選手に負傷が多いという点につきまして、従来私どもその実態を調査いたしておりませんが、今後調べてみまして、人権の問題として忍びない点があるようでございましたならば、協会その他に対しまして勧告の措置をとるなど、検討いたしてみたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 あと一点だけです。別のことをお尋ねいたします。  今月の七日、花月園競論場でたいへんなトラブルがございました。それで番狂わせということが原因で逮捕者七人、負傷者三十七人というふうなことの事件、それと、しかもどさくさに二百万円の金が盗まれた、こういう事件がございます。この点についてこういうふうなできごとを踏んまえられて、いわゆる花月園の競輪開催については、特段の措置をおとりになったように聞いておりますが、どういうふうな措置をおとりになったか、この点について簡単にお答えいただきたいと思います。

赤沢璋一通商産業省重工業局次長

○赤沢説明員 花月園の事件は、ただいま御指摘のようなことでございまして、須田選手という非常に優秀な選手でございまするが、七回回るところを、六回目で七回回ったものと誤認をいたしましてスピードをゆるめた。途中で気がついてまた走り出したのでございまするけれども、そういう事態のためにいわゆる大穴と申しますか、これが出ました。こういうことから、全体の売り上げの中の約八割近くが、その選手の札が入っておったわけであります。そういうことから、当時二万三千名といわれておりまするが、その程度の入場者がございまして、全体が非常に不安な、といいますか、不満な状態におちいっておったわけであります。こういったことから、一部の悪質ファンと申しますか、が騒ぎ出しまして、いろいろな事態が起こったわけでございまするが、この事態の鎮静につとめた結果、これは第八レースで起こりまして、引き続き第九レースというのが三十分後に行なわれることになっておりましたが、これが若干おくれまして、五十分ぐらいたってから第九レースを発走いたしました。ところが、この発走するまでの間、本部指令所から全く見えない投票所におきまして、一部の悪質な連中が投票所の窓口をこわしまして中に乱入をいたしました。そして売り上げ金の一部、現在警察が最終的に調べたところでは、約四百二十五万円といわれておりまするが、その金を持って逃げるというような騒動が起こり、またそれから波及をいたしまして、第九レース途中にびん等が投げ込まれましたので、第九レースが中止ということになり、引き続き予定の第十レースも取りやめになった。こういうことからファンの不満と申しまするか、事件がだんだん大きくなりまして、そのために機動隊の出動を要請し、七時半ころまでかかりまして大体鎮静化した、こういうことでございます。  警察が出動いたしましたときには約二千名程度のファンが残っておったということでございますから、まあ大部分の者は競技の主催者の放送に従って比較的平静に退去をしたわけでありまするが、約二千名くらいのファンが残り、そのうちの一部の者が競争場の中に入りまして、いろいろ乱暴するとかいうような事態が起こっておったわけであります。  花月園の場所自身がやはり山の上にありまして、放送設備等が十分でなかった。風の向きによって聞こえない場所ができる。あるいは警備の体制につきまして、もう少し手ぎわのいい、いわゆる一部の悪質ファンの起こします騒動を局地的に取り囲んで処理をしてしまう、こういう警備の初動体制と申しますか、こういう点等がやはり十分でなかったのではないか。また設備等につきましても、びん詰めのものを売らせるとか、あるいはまた窓口がガラス張りであったとか、いろいろな点が反省をされております。  通産省といたしましては、こういった事件にかんがみまして、直ちに関係の団体の首脳部の招集を求め、また検討対策事項を十分調査研究をいたしまして、昨日付をもって関係団体にそれぞれ指導の通牒を出したわけであります。その内容は、一つは施設関係であり、第二は運営体制の問題であり、第三は警備の問題であり、第四は一般のファンに対するサービスの強化と申しまするか、ファンが楽しんで競輪を見ることができるような環境の整備、こういった点に分けて指導の通牒を発しております。と同時に、花月園自身につきましては、こういう事故があり、世間を騒がした火元でもございまするので、昨日神奈川県に対しまして、いま申しましたようなことのほかに、さらに厳重な設備その他にわたる改善要求をいたし、これらが当局によって確認されるまでの間、花月園競輪は中止をされたい、なお、この八月に引き続き開催する予定になっておりまするので、八月の競輪については少なくとも中止、こういう指導通牒を出した次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで、一点だけお尋ねをしておきますが、花月園競輪というのは、売り上げ額区分から申しますと、七億円以上十億円未満のところに入ってくる競輪場、したがいまして、花月園と同クラスのものが京王閣でございますが、それと松戸、立川、そしてその一段上のクラスにあるのが後楽園と川崎というようなことで、五本の指の中に入ってくるような大きな競輪場ということになるわけですね。そうすると、花月園についてそういう措置をおとりになったわけだけれども、いわゆる競輪場について、花月園と同じような紛争が起こるようなその条件というか、紛争というのはいろいろな条件によって起こると思いますが、そういうふうな設備の面等において、花月園並みにもいかないような、そういう設備の競輪場というのは——ほとんどの競輪場というのはそういうことに該当するのではないか、このいうように思われるわけですが、この点については、先ほどのお話では設備の改善等についての通達をお出しになったということだけれども、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。

赤沢璋一通商産業省重工業局次長

○赤沢説明員 花月園がいま申し上げましたように、五指に入ると申しまするか、上位にランクされている競輪場であることは御指摘のとおりであります。  設備の問題につきましては、これは法律に基づきます通産省令をもちまして一定の設備基準というものを定めております。この基準に該当しない競輪場では競輪ができないという法的たてまえになっておりまして、この施設の検査等は随時私どものほうでやっております。しかし、これはいずれも最低の基準でございまして、いわばこれでなければならない、これ以下ではいけないという基準が示されており、現在の競輪場は全国五十一カ所全部そういう基準に合致をいたしておるものと考えています。ただ、いわゆる紛争が起きるということになってまいりますると、紛争を予想した設備、たとえば車券の売り場と本部との間の非常ベル、直通電話の設置、あるいは警備に当たっております警備員がやはりトランシーバー等を持っておりまして、随時場内のいろいろな事件を本部にすぐ連絡ができるようにといったような点等々、非常事態と申しまするか、かりに何らかのトラブルが起きましたときの措置、こういったことについては、必ずしも私ども十分ではない、こういう感じを今度の事件を契機に強く持ったわけでございます。そういう点から、今回の指導通牒におきましても日限を切りまして、各関係団体、警備の問題で申しますると、やはり施行者である各都道府県、市町村、こういったところが中心でございまするので、ここをはじめといたしまして、施設の関係者、また競技を運営いたします競技会等に対しまして日限を切った改善通牒を出しております。競輪が次々あるわけでございますが、こういった点につきまして、私どもも積極的に現地に乗り出しまして、指導強化をはかってまいりたい、かように考えておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 最後に、人権擁護局長にお願いをいたしておきますが、競輪選手の競技参加中の傷害事故といいますか、落車、転倒等に伴う事故というのは想像を絶して多いと思うのです。その点、人権擁護局として御調査いただけるようでありますけれども、その機会に、これは毎年二名ないし三名の人がいわゆる参加中に死亡しているわけです。こういうような点について、死んだ人の命はもう帰ってこないわけですけれども、補償の問題、いわゆる頭部を打ちまして後遺症が残る、そういうことで病床に呻吟している、そういう人の補償の問題についても、あわせて人権擁護の立場から調査をしていただきたい。この点をひとつお願いいたしたいと思います。

堀内恒雄法務省人権擁護局長

○堀内政府委員 ただいま御指摘の分もあわせて調査をいたします。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 終わります。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 沖本泰幸君。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 きのうの新聞によりますと、房総西線のダイナマイト爆破事件が六日目に解決したという記事が出ております。これで東京駅の「みどりの窓口」あるいは新幹線「ひかり21号」、それから山陽電鉄、こういう相次ぐ事件の中で、六日目に急転解決したということになるわけで、警察のほうの早期に解決に至らせたという点については非常に感謝にたえないわけですが、内容を見てみますと、非常にこれはわかりやすいような内容にも見えるわけです。新聞記事によりますと、ことしに入って相次ぐ事件が十二件あった、こういうことになりますけれどへ、それぞれその爆破の内容、手口が違うと思うのですけれども、その十二件の中で、どれだけ解決したかという点についてお答え願いたいと思います。

田村宣明警察庁刑事局捜査第一課長

○田村説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問の件でございますが、ことし十二件という数字でございますけれども、内容を、いかなる事件でございますか、ちょっとこの場ではっきりいたしませんので、全部についてちょっとお答えをいたしかねるのでございますが、今年になりましてから解決いたしました事件は、一つは東京国際空港の爆破事件、それから今回の房総西線の事件、おもなものではこの二件でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 どちらも解決したものは、爆発物の入手が非常に簡単に入手できているという内容にあるわけですけれども、もう時間がありませんので、焦点をしぼって単刀直入に御質問しますから、お答えのほうも簡単にお願いしたいと思います。  この警察庁のほうで立ち入り検査をやった個所が一万六千カ所、そうしていわゆるその消費現場、火薬庫など、約三割に当たる四千三百カ所が違反している、こういうふうにも新聞記事に出ているわけです。非常にルーズな点が明らかになった、こういうことなんですが、その後にこの問題に対してどういうふうな解決方法をおとりになったか、お答え願いたいと思います。

田村宣明警察庁刑事局捜査第一課長

○田村説明員 爆発物の取り締まりは、私の所管事項ではございませんので、御容赦をいただきたいと思います。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 それでは、関係のところをちょっとお伺いしますが、新聞記事によりますと、まあ捜査の段階になるわけですが、この少年はハッパの技術は見よう見まねで覚えた、それでしかけた、こう言っているのですが、小屋のほうは、トタン張りの小屋の中に忍び込んだ、かぎがかかってなかったのですぐ入れた、中から円筒形の爆薬三本と雷管七、八本と、導火線を一巻、それからマジックバッグを盗んでおる、こういう事実なんですが、これは見よう見まねでやったのでしょうか、あるいは下請業ですから、この少年たちはやはりそのハッパをしかけるのに、そういう技術的な面は仕事をやらされて幾らか知っておったのではないか、こういうふうに考えられるわけですが、その点はどうなんでしょうか。

田村宣明警察庁刑事局捜査第一課長

○田村説明員 ただいままで私どものほうにまいっております捜査の結果によりますと、これは見よう見まねで覚えたものである、こういうふうなことであります。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 そうしますと、また話は飛びますけれども、以前戦時中は、警察が火薬に対してはほとんど権限を持っておった。ところが終戦後、この権限というものは通産省に移った、こういうことになるわけですが、通産省のほうからお答え願いたいのですが、その火薬に対する管理あるいは指導あるいは取り締まり、こういうことに対して通産省はどこまで持っている、警察はどこまで持っている、その区分をお教え願いたいのです。

矢野俊比古通商産業省化学工業局保安課長

○矢野説明員 お答えをいたします。  火薬類取締法におきましては、火薬類の製造、販売、貯蔵、運搬、それから消費ということについて規制が書かれてございます。  そのうちで、製造の許可につきましては、いわゆるダイナマイト工場というものにつきまして——二十七工場ございますが、これは通産省が直轄して許認可をいたしております。販売につきましては、すべて都道府県知事が許認可に当たっております。それから運搬につきましては都道府県の公安委員会、いわゆる警察でございます。これがすべて一貫してその所管をしております。それから消費の問題でございますが、これはいわゆる銃砲にからみます消費あるいは譲渡、譲受といったことの許可につきましては、これは警察、いわゆる都道府県公安委員会でございますが、それ以外の産業関係につきましては、都道府県知事の許可という体制でございます。譲渡、譲受あるいは消費につきましては、許可をいたしました際にはすべてその案件を所轄の公安委員会に通報をいたしまして、その通報の結果、公安委員会は消費現場あるいはそういった譲渡、譲受の行なわれたことについて警察署にまた連絡をする、そうして検査につきましてはもちろん都道府県、私ども全部検査権がございますが、同時に特に法律上警察官の立ち入り検査を特別に認めておる、そういうことで法律の体制ができております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 明快なお答えになっているのですが、警察庁のほうの立ち入り検査があったというのは警察のほうで御存じなんですか。その報告は受けられましたか。

矢野俊比古通商産業省化学工業局保安課長

○矢野説明員 先ほどお話のございました警察の立ち入り検査、これは羽田あるいはその後東京駅の事件というようなことになりまして、警察からもお話がございました。私どものほうも、四月二十六日に府県に通牒を出しまして警察も協力する、立ち入り検査をするべしという指導をいたしました。同時に、警察がそれを大々的に取り上げられました結果が、先ほど話のあった件だと思います。その結果、私どもに通報をいただきましたその違反事故の内容の多くが、いわゆる帳簿の記載事務ということがございますけれども、帳簿の記載が欠けておる。それから帳簿と現品が常に一致しなければいけないわけでございますが、これの不一致の点がある。これはもちろん朝使い、昼使うというような出し入れの不一致は全般的に違反とは言えないかもしれないが、現実にはそういうチェックが残されている。おっしゃるとおり三割近い数字が残されているということでございましたので、その後六月十三日に警察庁と私どもで、それぞれ警察庁次長、私どもの事務次官名をもちまして、今後の立ち入り検査あるいは火薬の盗難予防、そういった措置についての通達を、各府県及び公安委員会関係、海上保安庁というようなところに差し上げている、こういう状況でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 それぞれ通達をやったことはわかるのですけれども、実際に内容から見ていきますと、トタンぶきの簡単な小屋にかぎがかかっていなくて、知能指数の非常に少ないのが、ちょうど子供が台所からマッチをとるような調子で火薬を盗み出して、単純な動機で事件を起こしている、こういうふうになるわけです。そうしますと、そこのところがどうしても抜け穴になっておるということになるわけです。ただ単に通達を出したということではなくて、こういう実態についてどこまであなた方が責任を持ってやっておられるか、こういう点です。ただ都道府県のほうへ通達した。都道府県はそれだけ受けたということで済むのなら、危険物がここまでばらばらになるわけはないと思うのです。その点について通産省のほうはどういう責任をもつておやりになるのですか。

矢野俊比古通商産業省化学工業局保安課長

○矢野説明員 通達の内容ということになります。これは先ほど警察のほうからお示しのありました犯人の検挙された事件、盗難事件、これはいずれもハッパ現場、いわゆる消費現場ということでございます。この点につきましては火薬庫というものを備える場合と、きわめて簡易な場合には、火薬類取扱所を設けるという規定になっておりまして、消費現場におきます規制としましては、もう一つ、月に五十キロ以上の火薬を消費する場合には取扱保安責任者を正副二名置かなければならない。五十キロ以下のいわゆる零細ハッパ現場ということになりますと、いまの火薬類取扱所の設置と、これに関しまして盗難予防なりあるいはそれ以外のいろいろな施設のあり方と申しますか、施設基準というふうなものの維持義務が付されているわけでございます。  今回の場合も、私どものほうも昨日専門官を派遣いたしまして、現地の調査を警察にお願いして拝見をしてきたわけですけれども、確かにおっしゃいますように、丸太、角材の組んだもので、それに薄板、トタンぶきといいますか、トタン張りというものをやりまして、ただかぎは一応あったそうでありますけれども、これはそのときにかけ忘れておったというような状況でございます。なお、周囲には鉄条網を張るという形で、一応入りにくいようにしているということで、基準的な点では実は違反がなかったわけでございます。ただ、おっしゃいますように、取扱所というものの整備につきまして、いわばこれは日中だけ使うという場合に限られて認められる場所でございますが、やはりそこらの管理の問題から、遠くに火薬庫がございますので、一々その日のうちに使った残量全部を火薬庫に返すというようなことが若干手抜かりがありまして、そういう形が残されたのではないかという推定を実は持っております。そういうことで、設備的にも火薬庫その他につきまして十分に見張りを置くように、あるいは見張りができなければ、いわゆる赤外線警鳴装置というものを設けさせて、侵入があればすぐに把握できるような体制をつくるというようなことについての基準、これは現在盗難防止措置を講じよということで規制をしておりますけれども、必要があれば省令改正に踏み切っていくということでいま検討を進めております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 これは一本でもどこか人の多いところで爆発したら、とんでもないことになるのですよ。だから、あなたのお話のように、ただ都道府県に通達してとか、あるいは省令を改正してとかいう問題ではないわけでしょう。ただ、新聞記事に載る面でも、山陽電鉄の爆破事故だって、いろいろな記事が表面立ってどんどん載っていくと、それだけ人心を惑乱させるわけです。だから、新聞社も手控えるでしょうし、警察のほうも捜査の段階ではできるだけ秘密を保つでしょう。取り締まりに対してあなた方のほうに直接の権限がないから、どうしても警察の方に頼んで取り締まってもらわなければならないから、あなた方のほうに、こうしなければいけない、たいへんだというものの、その間に一つのみぞがあるから、やることが鈍くなっていく。こういうことになるのじゃないかと思うのです。その罰則についても、銃刀法の罰則と火薬類の罰則にギャップがあるということになるのですよ。時間もありませんから言えませんけれども、これはあなたのほうでも、警察のほうに頼んでというような段階でなくて、早急にやっていかなければ、いまのようなかぎのかかっていなかった倉庫のような状態が、下請業者なんですから、幾らでもどこにでもあるわけです。これからますます高速道路ができていったり、あるいはいろいろな政府の関連土木事業が進むにつれて、火薬が多く使われるわけです。どこにでも同じようなことがいえるわけです。こういう点に対して、あなたのお話はあまりにも何か抜けているような感じがあるのです。ですから、警察と話し合って早急に対策を講じ、厳重な取り締まりをしてもらわなければ、同じ事件が相次いで起きますよ。ただ都道府県に言ったというだけではなくて、もっと積極的にやってもらいたいのです。政府はどうなんですか。

矢野俊比古通商産業省化学工業局保安課長

○矢野説明員 ただいまの御説明は、設備的な規制ということについての中心の御説明を申し上げたわけでございます。しかし、それをいかに実効あらしめるかということは、先生御指摘のとおり、立ち入り検査というものをわれわれとしては十分励行していかなければいけないのじゃないか。これはもちろん、われわれのほうといたしましても、担当職員——その人員について問題はございますけれども、全国二百三十名ばかりの人間がおるわけであります。こういったものを有機的に発動させて、ポイントを押さえた重点的な検査を行なう。これが現実に管理を厳重にしていく対策であろうと思います。  第二番目には、消費現場というものも、先ほどお示しがありましたように、一万数千というような数字が上がっておるわけであります。こういう点では、私どもばかりでなしに、公安委員会のベースにおきます警察当局と相協力した形で、常にそういった現場点検を行なうという形で、盗難防止あるいは不正使用というものがないような対策を進めていかなければならない、こう考えております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 現在の段階はどうなさいますか。一万数千カ所の中で四千三百カ所から違反があったというのです。この問題に対して、あなたのほうはどうなさいますか。同じ事件が起こる条件があるのですよ。そして二百三十名という人はどういう役目の人ですか。

矢野俊比古通商産業省化学工業局保安課長

○矢野説明員 二百三十名の人員というものは、県限りで行なう業務と、いわゆる許認可から完成検査まで、あるいは保安検査というような規定もございますが、そういったことに従事している職員でございます。  いま四千云々で、これをどうするかということでございますが、現在、先ほど申し上げましたように、警察のほうとの共同通達によります範囲としまして、警察官と相提携した形で、さらにそういった問題点についての検査を励行していくということに進めております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 ここのところが、これは捜査一課長さんは捜査に関してだけですから、権限はないと思うのですが、早急に両方の責任でこの問題を解決していただかないと、類似事件は起きるわけです。起きたら、大きいのです。いままでの爆破事件に関して解決しない問題がたくさんあるわけですから、これは全国で二百三十名くらいだったら何にもならないわけです。ですから、何らかの方法を講じて早急にたとえば立ち入りをして厳重にやるなり、あるいは間違った場合には撤収してしまうようなあり方とか、何かの緊急な対策を講じていただかないと再び起きてくると思います。この点どうですか。

矢野俊比古通商産業省化学工業局保安課長

○矢野説明員 国民生活の安全を守るということにつきましては、私ども通産省、あるいは警察ということも離れまして、相協力した形でそういうことのないように努力しなければならないという考えでございますので、御指摘のとおりいろいろな御意見を十分私どもも受け入れまして、検査の励行につとめてまいりたい、こういうふうに考えております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 政務次官、この問題どうなさいます。いま申し上げたとおりたいへんな問題なんですが、早急に対策を立てていただかないとたいへんだと思うのです。

井原岸高自由民主党法務政務次官

○井原政府委員 まことにごもっともな御心配、御意見でございますので、検察側もその覚悟でやっておりますが、なお引き続いて早急に関係各省とも連絡をとりながら、こういうことが再び起こらないように最大の努力をいたします。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 警察庁と両方お願いしますが、直ちに早急に対策を立てていただいて、再び同じ事故が起きないように、予防が一番大切なんですから、対策を立てて、厳重に、こういう危険物がきちっと保管され、管理されるような体制をすぐとっていただきたいのです。そうでなければ大事件が同じように起きてまいります。この点だけは早急にやっていただきたい。  ほかに関連した問題はありますけれども、もう本会議の時間が迫りましたので、委員長、あとは保留させていただいて、この次にやらしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十二分散会

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