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55回国会衆議院1967/06/16

法務委員会 第22号

発言数
159
登壇者
13
会派数
3
開催日
1967/06/16

会議録

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 これより会議を開きます。  法務行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 昨日は、おそくまでこの問題についてずいぶん議論を尽くしたわけでありますが、まず第一に問題にしなければならぬのは、きのう両大臣から御答弁願った内容、その以前の地方行政委員会における藤枝大臣の答弁、それからさらにさかのぼれば、参議院における答弁、ずいぶん食い違いがあるわけであります。その食い違いを整理しませんと議事は進みませんから、まずそこから始めたいと思うのであります。  はしなくも、私がきのう婦人デモを申し上げた直前、地方行政委員会でも婦人デモが問題になった模様であります。きょう各新聞がそれを取り上げておるのでありますが、私の手元は読売でありますけれども、一応引用いたしますと、「藤枝国家公安委員長は地方行政委で「婦人の集団示威は少数であれば禁止する必要はない」とのべたのに対し、田中法相は法務委で「国会デモは男女を問わず禁止すべきである」」と言うた。「これに加え、藤枝国家公安委員長は地方行政委のあとで出席した法務委において「集団的示威行為は婦人といえど好ましくない」と前言に反するような答弁をした」きのうは「地方行政委員会で社会党の依田圭五氏が「政府はデモ行進がときによっては暴徒化する性質をもつとの考え方に立っているようだが、国会周辺への婦人デモも禁示する考えか」と質問したのに対し、藤枝国家公安委員長は「少数の婦人による集団示威は人数や性格を考え平穏なものなら禁止する必要はないのではないかと思う」と答えた。」しかし、法務委員会での私の関連質問に対して「「集団示威運動はいわゆる示威であって、主婦でもすわり込みやシュプレヒコールをしないとは限らない。東京都公安条例も集団行進と示威とをわけているが、集団示威運動は好ましくないものと考えている」と述べた。」参議院における答弁は、私の記憶に誤りなくんば、将来といえどもすべてこれを禁止する考えであるというような趣旨のように聞いておるわけであります。一人の国務大臣があちらではこう言い、こちらではこう言う。なるほどきのうは法務大臣が先に答弁をされて、全面的にいかぬという趣旨のことをおっしゃったので、藤枝国家公安委員長はそれに引きずられたせいかもしれませんが、これはいささかおかしいのではないかということを、私、質問した依田圭五君にもあとで聞きましても、また新聞を読みましても、これはいささかおかしいということを痛感したわけであります。まず、その釈明からお伺いしたいと思います。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 昨日、午前中の地方行政委員会で、依田さんの質問にお答えいたしたときは、私はこのように申し上げたわけでございます。それは依田さんが前から御質問継続中でございまして、私は途中で入りましたから、前からの御質問が十分受け取れてなかったせいもありますが、少数の婦人による国会へ集団で参る場合に、それまで取り締まるというか禁止するのかということに答えまして、少数で、しかも平穏で、そうして構成員の性格などや内容がはっきりしている場合に、それまで規制する必要はないのではないか。これはまた横山さんの昨夜の御質問に対しましても、二、三名の非常に少数のものまでいうのではございませんということをお答えしたことは御記憶だと思います。そういう意味でお答えしたつもりでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 警察庁は、地方行政委員会で、どういうふうに答えたか、もう一ぺん反復して答えてもらいたいと思います。

川島広守警察庁警備局長

○川島(広)政府委員 少なくとも開会中の国会周辺の集団示威運動につきましては、従来から御遠慮願っておるわけでございます。したがいまして、お話しの婦人デモ等の場合でございますが、依田先生のお話は、私もお聞きしたのでございますけれども、きわめて平穏に行なわれる場合、こういうふうにお話しでございます。したがいまして、東京都公安条例に即して申し上げますならば、それは集団行進ということに相なろうか、こう存ずるわけでございます。そういう意味合いで、昨日お答えをいたした次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 藤枝さんと警察庁の答弁と、ちょっと食い違うんですけれども、藤枝さんは、婦人デモと解釈してお答えになったんでしょうね。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 平穏な形でというお話でございますから、それは集団行進と私は解釈してお答えをしていたわけであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 速記録を取り寄せてもよろしゅうございますが、議題になっておるのは婦人デモであります。私が質問者から聞きましたのも、警察庁のお答えも、婦人デモについて答えられた、こう考えておるわけです。意見が変更になったのかならないのかよくわかりませんが、少なくともきのう地方行政委員会においてお答えになったのは、平穏に行なわれるならば、婦人デモをケース・バイ・ケースでこれを認めるにやぶさかでないというように、御両所はお答えになったと質問者は理解しておる。また、これは速記録に明らかだと私は思うのです。それは違いますか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 デモということばが非常にあれで、たとえば、請願行進なども、ときによって請願デモということばが使われております。しかし、これは請願について集団が行進するのは集団行進でございまして、その点は東京都公安委員会でもつとに認めておることは御承知のとおりでございます。したがって、デモということばがいろいろ誤解を受けるかと存じますが、少なくとも私がお答えした気持ちは、平穏な形でということは、いわゆる集団示威運動という範疇に入らないものという観念のもとにお答えいたしておった次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 集団示威運動が平穏であるか喧騒であるかは問題ではない。まず第一に集団示威運動である。それから、各新聞も、婦人デモとは集団示威運動である。そう理解をするのがあたりまえのことです。あなたは意見を変えたのか変えぬのか。質問者は、いわゆる集団示威運動として理解して質問したことは明白なことだと言っている。もしことばのやりとりが問題になるようであるならば、一たん中断して、速記録を取り寄せてやらざるを得ない。しかし、それは時間的に問題であるから言うのでありますけれども、あなたは、そうすると、婦人の集団示威運動も絶対禁止するつもりなのか。それとも、いまお話しのように、平穏に行なわれるならば、ケース・バイ・ケースで認めるというつもりなのか、どちらか、まず議論の立て方をはっきりしてください。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 私がお答えした表現が不十分であったかと思いますが、私が依田さんにお答えしたのは、婦人による集団行進の意味でお答えいたしておった次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたがそういう意味でお答えしておったというても、速記録を見れば——いやしくも公正な国会の議事録でありますから、これが客観的に見て集団示威運動に対する答弁だというふうに認識された場合においては、あなたはそれを明白に取り消さなければだめですよ。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 私のことばが足りないで、そういう意味にお受け取りいただいたとするならば、私のことばの足らないところはおわびをする次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 取り消すんですか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 さようでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これはまことに驚いた話でございます。どんな状況であったか知りませんけれども、いやしくも国家公安委員長が、集団行進と集団示威運動とを区別しかねて、地方行政委員会で一たんはケース・バイ・ケースで認めるとおっしゃっておきながら、今度は、法務委員会へ来て、二人以上の集団示威運動は一切認めないとおっしゃるということは、見識にかかわるじゃありませんか。私は、まずそのいい悪いという議論の前に、これほど政治問題化している問題を、集団行進と集団示威運動を取り違えて御答弁なさって、そうして質問者に対して、そういう印象を与えておいて、その日のうちに、今度は法務大臣と一緒に並んだら、さきの前言をひるがえしたような印象を与える。私はそういうことは知りませんでしたから、私は私なりに質問をしたところが、全面的にいかぬのだ。そんな話は朝令暮改といいますけれども、昼令暮改ですよ。まだ数時間しかたっておらぬじゃありませんか。これがそんなことで唐突に出てきた問題ならともかくとして、まさに今回の問題がたいへんな政治的な課題になっておるときに、そういう誤解を与えたら取り消します、と言うて簡単に済ませる問題じゃないと私は思うのであります。新聞で騒がれたからこれはまずい、閣僚間で意見の食い違いがあったからこれはまずいというて、自分の気持ち々押して、何とかうまいこと通せるものなら通したい。それじゃ、きのう地方行政委員会でやった答弁はちょっとまぎらわしい、うまく瞞着できるから、ひとつこの際法務大臣の答弁に合わせようなんてお考えのように私はとられてならぬのであります。それじゃ藤枝さんが泣くと思うのであります。公家公安委員長としての立場というものば一体どういうものだ。このデモの問題について直接責任者であるならば、もう少しき然たる立場で御答弁をなされ、そうして、一たん言った以上は、自分の言うたことはあくまで守るという気持ちがあってしかるべきじゃありませんか。どうなんですか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 それですから私は、あくまでも平穏な行動ということを中心にして、集団行進という意味においてお答えをいたしたのでございますが、私のことばが足りないで質問者に誤解を与えたとするならば、それは私のことばの足りなかったところでございますから、いまあらためてお答えをした次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたよく言われるのだが、平穏だとか平穏でないとかということは、集団行進であっても、いわゆる平穏である場合と平穏でないときがある。集団示威運動が常に喧騒であり平穏でないという理屈はどこから生まれるのですか。それじゃ、明白にひとつお答え願いたいのですが、集団行進と集団示威運動との区別というものをあなた明白にしてください。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 集団行進というのは、集団が場所を移動することによって国民に何かを訴える。集団示威運動というのは、それに集団のエネルギーと申しますか、気勢と申しますか、そういうものが加わって、そうして国民に訴える手段と解釈しております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 いずれにしても国民に訴えることは事実ですね。現実的な問題として、私どもはこれは集団行進です、私どもは集団示威運動ですと言うたことによって、現実的にはああそうかと思う場合がある。しかし、実際問題として、集団行進と集団示威運動を、交通信号みたいに青と赤と明白に区別できるものじゃないのです。そう思いませんか。あなたは先入主として、集団行進はきわめて静穏で、原則的に静穏で、そして集団示威運動はやかましいのが普通である、何かことばの魔術といいますか、示威運動ということが書いてあるんだから、そんな感じにあなた先入主にとらわれておるんじゃありませんか。あなたが繰り返し言うように、静穏であればということになれば、集団示威運動だって、静穏であればいいのじゃないですか。どうなんですか。あなた、その辺を無理に区別をつけようとしておるんじゃないですか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 御承知のように、東京都の公安条例におきましても、集団行進と集団示威運動とを分けてやっております。それから、取り扱いにおきましても、元来集団行進というものは静ひつに行なわれるという考え方で、その取り扱いをいたしておることば御承知のとおりでございます。集団示威運動が常に喧騒にわたるなんという先入主を持っておりませんが、集団示威運動というものは、いまも申しましたような集団の力と申しますか、気勢と申しますか、それを集団に加えて、そうして国民に訴える手段であると私は考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 政府の「群集心理の法則と現実の経験」ということがございましたが、その「群集心理の法則」というのは一体何を言おうとしておるのでありましょうか。「群集心理の法則」というのは、群集というものは何かあると暴発するということを言おうとしておるのでありましょうか。その点を御説明を願いたい。

川島広守警察庁警備局長

○川島(広)政府委員 「群集心理の法則」と申しますのは、内外からいたします刺激、扇動、そういうものにかられて一般大衆の人が興奮の渦に巻き込まれまして行動が激烈化する、こういうふうなことだと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この群集というのは、いわゆる何となくそこへ、何か交通事故があってみんなが集まってきたというものを通常群集というと私は理解しておるのでありますが、どうですか。

川島広守警察庁警備局長

○川島(広)政府委員 お話のとおりだと思います。  つけ加えて申し上げたいと思いますが、現在の日本におきます集団行動の中には、いま申しました、実際に指揮、統制が十分にとれませんで、それぞれモッブ化しておる現実は随所にあるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 何ですか、いまちょっと気になることをおっしゃいましたが、いまのお話は、交通事故で偶然にみんなやじ馬気分で集まったものを群集というけれども、しかし、一定の組織された中にもモッブ化する危険がある、こうおっしゃったのですか。

川島広守警察庁警備局長

○川島(広)政府委員 そのとおりでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 きわめて乱暴な話でありますが、一定の組織をされたものも日本においてはモッブ化する、つまり暴発する危険性がみんなあるというのは、何の根拠をもってそうおっしゃるのですか。

川島広守警察庁警備局長

○川島(広)政府委員 そのような意味で申し上げたわけではございません。私が申し上げましたのは、現実にいま行なわれております集団行動の中にはそのようなものがあるということを申し上げたわけでございます。さらにいま委員が引用されました最高裁の判決に判示されております内容も、過去の長い間の経験、実績から、いわゆる集団行動の特性がそういうものを持っているのだということを判示されたかと理解しておるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 一定の指揮された統制のされておる人々、その人々も、そうすると、あなたの解釈でいくと、群集心理が常に内在しておる、したがって、政府の異議申し立てにあるように、常に国会の周辺はいかぬ、こういうように論理が三段論法でいくわけですか。

川島広守警察庁警備局長

○川島(広)政府委員 繰り返して申し上げますが、最高裁の判示されております内容が、あくまでも集団行動というものの特性、そのことがそこに述べられておるものと思うのであります。したがいまして、繰り返しになりますが、集団行動、もちろん全部ではございません、あるいはきわめて少ない部分であるかも存じませんが、現実には自主統制が十分に行なわれませんで、一部暴徒化するというような事案はたくさんあるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 きわめて乱暴なお話でございまして、もうあなたに質問をする気持ちがなくなるくらいであります。何か本案に関しまして警察庁が誇大妄想狂的な感覚に立って、何とかしてこの理屈をつけようというような感じがきわめて濃厚であります。私はむしろ危険な考えであるというふうにさえ思われるのであります。  法制局長官がおいでになりましたから、きのう同僚の中谷君が質問をいたしました点に触れて少し長官にお伺いをします。  念のためにもう一度、ふくそうをいたしますけれども、二十七条関係で植木国務大臣が答弁したことから始めたいと思うのであります。三十七年四月十九日、植木国務大臣はこう、言っております。  ○植木国務大臣 総理大臣の異議の申し立てにつきましては、その理由が、公共の福祉に対してほんとうに重大な影響を及ぼすということがあまりにも考えられ、放置するときは、そのためにどうしても公共の福祉が妨げられるということがはっきりしておるという、非常に重大だというときに、いわゆるこの異議の申し立てをしまして、そうして処分の状況をしばらく、最終判決が下るまでの間効力を存続していきたい、こういう考え方でできておるのであります。従って、この問題につきましては、総理大臣として容易にこの異議の申し立てをすべきものではなくて、この事案そのものが影響するところあまりに大きいという、その大きさについて、これをどうしても放置することができないと考えなければならぬほどの重大さ、そういうときに初めてこの異議の申し立ての二十七条を使っていきたい、こういうのでございます。  ○阿部委員 今のお答えは、先ほどからのお答えから一歩も出ておりません。私のお尋ねしたいのは、司法権の行使に対する、すなわち裁判所の行動に関する行政権の関与、こういう問題について聞いておるのでありますが、その点には少しもお触れになっておりません。この点いかがでございましょうか。  ○植木国務大臣 司法権に対して行政権が介入することがいいか悪いか、これは悪いときまっておると思うのです。だから、なるべくならばこういう事態は避けたい。従って、この二十七条の提案におきましても、めったにこれをやらないのだ、ほんとうに真に公共の福祉に及ぼす影響が重大であると認めたときのみ執行するのだ、こういうところにあるのでありますから、司法権を尊重していこうという気持は、これはもう変わりない。しかし、それにもまさって、その裁判の決定をそのままにしておいて、訴訟が進行していく状態をそのままにしておくわけにはいかぬ、そういう場合に初めて使う、こういうのでありますから、だから司法権を尊重していこうという気持は十分ある。しかしながら、その間において、先ほども申し上げましたように、裁判所といえども、すでに行なわれた処分を取り消すというようなときには、普通の手続、最終判決のごとく必ずしも十分慎重なる手続であるかどうかについては、ややそこに急いでやらなければならぬ建前になっておりますから、従って、時には見解が違い、その見解が、どうしても行政官庁としてこれに承服することができない、それでは公共の福祉が侵されるという場合にのみ使おう、こういうのであります。まだほかにもございますが、この二回にわたる植木国務大臣の答弁を見ますと、簡単に言いますと、現実かつ明白にこの公共の福祉が失われるという、きわめて厳密な考えに立っておるのでありますが、法制局長官は、植木国務大臣が、立法にあたってこの答弁いたしました趣旨については、法律の運用その他について変わりはない、こう考えられますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 この行政事件訴訟法の二十七条の内閣総理大臣の異議の問題に関しては、お話のとおりに、立案段階及び立法段階におきましていろいろな議論のあったところでございまして、ただいまお話しのような議論が戦わされたことも私は大体承知しております。  ところで、ただいまお話がありましたのは、結局は二十七条の三項の「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示すものとする。」というところから見ましても、この「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」があるかどうかというところにかかることは、法文を見れば明らかなところでございます。それにつきましては、ただいまお話のありましたような基準もその基準であると思いますが、結局この認定はだれがやるかということに帰着するわけで、まず公安委員会が条例の定めるところによって条件を付する、その条件を付したことにも理由があると思いますが、内閣総理大臣が行政の責任者として、いま申したような事情があるという判断になったのでございまして、それは責任者の判断としては、やはりその限り尊重して考えていいものだと私は思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたもおわかりのとおり、きわめて重大なことをあなたはおっしゃっているように思うのであります。つまり、あなたの言われているのは、植木国務大臣の言ったことは言ったこととして、運用はそのときの責任者がきめるのだ、つまり、その間に矛盾があっても、運用の責任者がきめることだから、この責任においてきめるのだからいいではないか、こう言いたいのですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 私が申し上げたいのは、先ほども申しましたように、二十七条の三項にありますように、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある場合について異議を述べる、それは間違いないことでございます。輝どころで、そういうものについての認識、これはおそらく、ただいまもお話がありますように、そういうものには合わないのではないかという議論もありましょうし、同時にまた、それは相当理由があることであるという認定もなされ得ると私は思います。で、そういう場合に、人々によってそれぞれ中身の認識が違うということは、これは世の中に往々にしてあることでございますが、その点について、根も葉もないことであれば別でございますが、やはり責任者としての公共の福祉に重大な影響があるという認定はそれなりに誤っているということは、少なくも簡単には言えないのじゃないか、そのことを申し上げておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の言うことにすなおにあなたは御答弁になりませんね。私がまず最初に伺ったことは、この植木国務大臣の認定の基準ともいうべきことについて、あなたは同意しておるかしていないかということを聞いておるのです。今回の問題じゃない。法律解釈だ。立法のときに植木国務大臣が、認定の基準ともいうべきことを国会に説明をして、国会は、これに対して、反対、賛成はあったけれども、この答弁を中心にしてきめたではないか。その植木国務大臣の言ったことについて、あなたは同意しておるかいないかということを言っておる。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 植木国務大臣が当時おっしゃいました、この公共の福祉に重大な影響を及ぼすというのは、そうやたらに考えるべきではない、やはり慎重に、その場合に応じて検討すべきであるという基本精神は、もとより私も同意でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そういう抽象的なことばであなた逃げてはいけませんよ。私が、だから、これは一言一句も間違いないように読んだ。これは同僚諸君だって、聞いておられる人だっておわかりのように、きわめて厳密な解釈をしておる。その理由が、公共の福祉に対してほんとうに重大な影響を及ぼすということがあまりにも考えられる、放置するときは、そのためにどうしても公共の福祉が妨げられるということがはっきりしておるという非常に重大だというときに、いわゆるこの異議の申し立てをしました、こう言っておる。だから、ことばをかえて言えば、現実かつ明白だということばが引用されると私は言うのです。  だから、もう一ぺん聞きますけれども、あなたはこの植木国務大臣の答えた答弁に同意をしておるのか、していないのか。それはそれ、植木国務大臣が答えたことは植木個人の答えであって、私の同意するところではない、私はもっと広い自由裁量を持っておるというなら、それでもいいですからはっきりおっしゃいよ。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 植木国務大臣は、私人としておっしゃったわけではなくて、やはり当面の国務大臣としておっしゃったことであると、当然それは思います。したがって私は、先ほど来申しておりますように、その基本的な考え方、これは私は全く同意しております。ただ、先生仰せになりますように、明白かつ現実の危険といいますか、よくいわれますあの基準でございますが、それはどうかという気がするわけでございます。と申しますのは、むろんそれはりっぱな一つの原理、原則であると思いますけれども、やはり社会事象に及ぼす影響というものの度合いによって考えるべきだ。たとえば、言論の自由というようなものについては、言論の自由について、ものをしゃべるということが世の中に浸透するには、やはり時間もかかる。それに対する対応の手段も可能であるというようなものにつきましては、いまおっしゃったような原理がそのまま当てはまるということも言ってもいいのじゃないかと思いますけれども、現実の行動、それが社会生活に直ちに影響を及ぼすというようなたぐいのものにつきましては、必ずしもそれがそのまま適用させなければいけないというようなことになるかどうか、この辺はあまり議論をしてもしかたがありませんが、ただいまおっしゃったような意味で、きわめて厳密にというような意味での明白眼前の危険、クリアー・アンド・プレゼント・デンジャーというような考え方、植木さんのおっしゃったことは必ずしもそうではないのではないかと私は思うわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなた、そこに植木国務大臣の答弁持って見えますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 持っておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 持っていない。持っていなくて、あなたかってに植木さんのことばを解釈してはいけませんよ。私はあくまで、てにをはに注意しながらものを言っておるのですから。植木さんの言っておることが、現実かつ明白という表現と何が違うか、何回も何回も、これを植木さんはまさにことばを尽くして言っておる。何回も別なことばで、あらゆる立場から裏打ちして言っておるのです。公共の福祉が妨げられるということがはっきりしておるという非常に重大だというときに、こう言っておる。はっきりしておる。これが、この答弁というものが現実かつ明白でない、そういうことばに当てはまらぬと言いそうな話ですが、植木さんは現実かつ明白、異常な点で強調している、私はそう考えられるのであります。しかし、ことばをさらに発展して言いますと、あなたが先ほどおっしゃったのですけれども、要するにその時の為政者が責任を持って、そのおそれというものを主体的に自分が判断をして、それでおそれがあると考えられるならそれでいいのだという理論のように拝聴しましたが、そういうことですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 植木さんの速記録は、実は仰せがあれば熟読してくるところでございましたが……(横山委員「貸してあげましょう」と呼ぶ)ただいまおっしゃいましたところから判断をして私は申し上げたわけです。  ところで、ただいまのお尋ねは、非常に私が申し上げたことを誤解していらっしゃると思うのでありますが、行政事件訴訟法には明白に二十七条に、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情」ということが書いてあります。したがって、為政者が何でもいいからそう思えばそうだ、そうなるのだというようなことを何か私が言ったように仰せられますけれども、そういうことは全然申しておりません。二十七条のこの規定の趣旨からいって、ここに書いてあるとおりである、しかもその解釈については、植木さんのおことば等を御引用になりましたが、その精神はそのとおりだと思うと申し上げておることはまず一つお聞き取りを願いたいと思います。それが、なるほどそういう要件があるが、ある事象について、それがどう見られるかということについては、あるいは人によって認定の差があるかもしれない。したがって、そういうようなふうにお考えになることが全然でたらめだと私は申し上げないけれども、そういう認定、やむを得ない際については、責任者の認定というものもやはり一つの認定として考えてもいいんじゃないか、ただ、それだけのことでございまして、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないのにやってよろしいということは絶対にない、そのことは明確に申し上げておるつもりでございますので、そのように御了解願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 納得できませんね。あなたの答弁は、いかにして植木さんの答弁を拡大解釈をするかということにきゅうきゅうとして見えるように思われるのであります。私は、こう質問する以上は、きのう中谷君がやってから何回も植木さんの答弁を読んでみたわけであります。あなたも、そこにありますから、どうぞ一ぺんお読みください。何回読んでも、実に誠意を込めてといいますか、あるいはあらゆる角度から、これ以上言いようがない、これ以上もう答えようがないというほどの厳密さで植木さんは言っておるわけであります。これ以上答えようがないという厳密さということは、現実明白な公共の福祉を阻害するという立場にしかないわけです。私は今回の事例を言っているのではないのですよ。法理論を言っておるのですよ。だからあなたの頭に、今回の事象が頭にあるならそれを一ぺんふき払って、植木さんのことばが間違っておるというならそれもいいだろう、けれども植木さんの答弁が間違っていないとするならば、それが立法の趣旨である、その立法の精神によって国会は賛否を決したのである。それがあなたに言わせると、何でもいいとは言わぬけれども、それは私もちょっと言い過ぎであったかもしれぬけれども、しかしながら、現実の事象によって、この現実かつ明白というものの考え方も変わるのじゃないかという気がするのです、あなたの答弁を聞いておりますと。変わるじゃないかという答弁なんです。そこから現実の問題に移りますけれども、この間のあのような事象が現実かつ明白な公共の福祉を阻害すると論じられるかどうか。あなたも今回の異議申し立てに御参画をなさったのですか。あの決定をいたしますときに御参画なさったのですか。あの決定の瞬間に、あなたも御協議を受けたわけですか。受けましたか。そのときの心境を一ぺん聞かしてもらいたいと思います。植木さんの答弁と、それから現実の問題とがどういうからみ合いになるのか、私はあくまで現実かつ明白な事態によって公共の福祉が阻害される、これが植木さんの解釈の正当な、普通に読んだ解釈だ。それが今回、どういう現実かつ明白なおそれがあったか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 ちょっとただいまのお尋ねに、私も席からすわったままお答えするのがどうかと思ってお答え申し上げませんでしたが、異議の問題につきましては私は参画をいたしておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 おらないならよけい話がしやすいと思う。あなたが参画して答弁をしておられると思ったのですが、席におらなかったら、あなたも政府の役人ではあるけれども、法制局長官という立場においてどういうふうに判断をされるか、それをお聞かせ願いたい。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 これは参画したかしなかったかということと別に、仰せのとおりに考えていくべき問題だと思いますので、そのつもりで申し上げておるわけでありますが、公安委員の措置については、本案訴訟が出ております。これにつきましては、都条例上の措置について憲法上どうかということは、終局の判決で判断が下ると思いますので、それは結局は裁判所の判断になると思いますが、ただいまのお話で、内閣総理大臣が異議を申し立てるというところで介在をしておることでございますので、そこでただいま御質疑のような、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるということについての解釈をめぐっての御質問でございますが、全くこの公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるかないかということにかかるわけで、植木国務大臣は、その運用にあたってはこれを慎重に処理するということを、一言にして言えば、おっしゃっているものだと私は思うわけでございます。  それからまた、再び明白かつ現在の危険、そういうことのお話がございましたが、これは基本的人権というものも大きく分ければいろいろ種類がございまして、たとえばこんなことを申し上げるのは失礼でございますが、たとえば経済生活に関する権利というようなものもございますし、何でもかんでもクリアー・アンド・プレーゼント・デンジャーというのがそこに顔を出してくるのではないというふうに私は思います。一番典型的にはまさに民主主義のとりでであり、民主政治のとりでである言論の自由、表現の自由、そういうものについては、これはまさに仰せのようなことがシビアーに出てくると思いますが、実際行動によって社会生活に直接に影響を及ぼすようなたぐいのものになりますと、それは表現の自由、単なる言論、出版等の自由とは必ずしも同じではないというように私は従来から考えておるわけでございます。だからといって、それでは何でもいいということを申した趣旨でないことは御理解いただいたと思いますが、そうはなるんではなくて、やはり公共の福祉に重大な影響を及ぼすということについては、やはり少なくも一般の社会人がそう思うような程度のものでなければいけない。だれもがそう思うかどうかということになりますと、こういうものにありがちなことでございますが、すべてが一致するとはきまらない。一致しなければいかぬというようなものでは私はないだろうと思っておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたもお役人の一人ですから、ここでどういうふうにお考えになっても一つの束縛があると思いますから、あなたの心中を割って言えということは、あるいは無理かもしれません。しかし、少なくとも私の感じましたことは、あなたがあっちから言い、こっちから言い、何だか遠回しのことをおっしゃって、肝心なことをおっしゃらないところに、あなたの別な考えが腹の中にあるような気がするわけです。私の憶測であれば別でありますが……。少なくとも私は、だれがどう考えましても今回の問題については、社説あるいは世論、あらゆるところから押しましても、政府の力み過ぎという表現だとか、あるいは逸脱行為だというような表現だとか、すべてその社説ばっかりであるということからいいましても、法理的にも、常識的にも、私はこれは妥当な措置ではないと思っておるわけであります。これは余談でありますが……。  次の面からお伺いするのですけれども、法務大臣に伺いますけれども、この間からの答弁によりますと、藤枝さんと田中さんとの答弁をずっと整理していきますと、今後とも国会周辺の静ひつを害する集団示威行動は認めないという前提に立っておられるようであります。お間違いがあるならば言ってほしいのであります。これが第一であります。  第二番目に、その意味からいうならば、今後、今回のような決定が出る場合は、決定の出る直前、総理大臣の異議申し立てがやはり同様に行なわれるという可能性ががあると思われるのであります。これも間違いがあるならば言ってもらいたい。そうすると二十七条を含む現行法規によって、国会周辺の集団示威行動はできないことが可能である、政府はやめさせることが可能である。こういう判断になると思うのでありますが、そういうことでございましょうか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 立場を異にいたします政府の立場では、たいへんお答えがしにくいのであります。仰せのとおりにお答えをせぬわけにいかぬ。またうそを言うわけにいかぬ。調子のいい話でここを切り抜けようというわけにいかぬ。そこで、これは明白に申し上げますと、この二十七条の条文が存在する限りは、政府の方針は、開会中の国会の周辺においてはデモは許さぬとの方針であります。いや、女なら許すとか、数が少なかったら許すということじゃないのでありまして、集団示威運動と認められるものについては、いかに静かなものであろうと、いかによい目的を持っておるものであろうと、いかなるものであろうと、国会の周辺は御遠慮を願いたいとの考え方を今後といえどもとっていきたい。しかるところ、そういう申請をなさいまして、それに対していけないという公安委員会の決定があるにかかわらず、停止決定の申請をなさって、停止の決定が裁判所において認められるところとなったというような事態が、ことばをかえていえば、今回のごとき同様な事態が起こる場合においては、めったに使ってはならぬ伝家の宝刀ではありますけれども、そのつど何回でもこの二十七条の発動はするんだ、まことに残念ながらこれをする。そうしてでも開会中の国会の周辺はデモは御遠慮を願いたいのだ、こういう政府の一貫した方針は変わりはございません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 二十七条ができましたのは三十七年でしたね。法制局長官御存じでございますか。二十七条の前身というか、私もちょっと記憶がさだかでないのですが、その前の行政事件訴訟特例法の十条に、二十七条に該当するような文句がありましたね。一ぺん読んでください。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 第十条「執行停止命令」これは六法がつけたあれでございますが、第二項を読みます。「第二条の訴の提起があった場合において、処分の執行に因り生ずべき償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、裁判所は、申立に因り又は職権で、決定を以て、処分の執行を停止すべきことを命ずることができる。但し、執行の停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼす虞のあるとき及び内閣総理大臣が異議を述べたときは、この限りでない。」ほかはよろしゅうございますね。

横山利秋日本社会党

○横山委員 二十条とそれとの相違点を説明を願います。

青木義人法務省訟務局長

○青木政府委員 特例法時代の内閣総理大臣の異議と、現在の行政事件訴訟法の異議、本質的に変わりないと思います。ただ事後に異議が述べれるかどうか、こういう問題を立法的に解決している面がまず一点であります。それから、この内閣総理大臣の異議は、先ほど来お話がありましたように、行政権と司法権と、接点の問題であります。慎重に取り扱わるべきことであります。今度の行政事件訴訟法におきまして、特にやむを得ざる場合にのみこれを使う、そしてその結果は次の常会において国会に報告しなければならない、さような規定が取り入れられておる。こういう点が両者相違いたしております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 総理大臣が異議申し立てた場合の効力についてはどうなんですか。

青木義人法務省訟務局長

○青木政府委員 従前の特例法時代におきましては、執行停止決定が出る前に、内閣総理大臣が異議を述べたときには、これは執行停止決定ができないというこの解釈は、何ら異説はなかったのであります。ただ、停止決定があったあとに異議を述べた場合どうなるかという、その際執行停止決定後に異議が申し立て得るかどうかという、その前提がまず問題でありまして、この点学説でも二説あったのであります。二十八年の最高裁の大法廷の決定によりまして、特例法の十条の解釈としては、決定後の事後の異議はできない、かような最高裁の決定がありました。したがって法律的には、その後は事後の異議という問題は、最高裁の決定の線に沿って考える以上はなかったわけでございます。ただ事後でも異議が述べられるという説では、事後に異議を述べれば裁判所はその停止決定を取り消さなければならない、こういう考え方、当然それによって停止決定が失効する、かような二つの説に分かれておったわけです。  さような点がいろいろ問題がありましたので、立法的にはっきりさす、こういうことで、特に今度の訴訟法におきましては事後の異議も述べられる。事後の異議を述べれば、裁判所は前の停止決定を取り消さなければならない。かような規定を特に置いたわけです。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうしますと、十条の当時でも、決定前に異議申し立てをすれば、今日と同様の結果を招く、こういうわけですね。  そこで、私はあらためてお伺いしたいのでありますが、三十四年の国会の議事録、これは例のデモ規制の法律のときの国会の審議模様なんであります。ここで石原国務大臣がこういう答弁をしておるわけです。  ○石原国務大臣 従来は、国会周辺等において行なわれておりまする集団示威運動等に対しましては、都公安条例でやっておったのでありますが、私どもは、今回の事例等にかんがみまして、先ほど提案の理由等にもありましたように、国会議員の登院の確保、あるいは正当なる国会審議のために、国会周辺の静穏を保つというような上から見まして、今回提案になっておりますような法律ができ得ましたならば、さらに一そう適正なる国会の尊重というようなことが行なわれ得ると思うのでありまして、私も、こういう法律ができましたならば、それに基づいてさらに適正な取り締まりが行なわれる、かように信じております。  ○長谷川(峻)委員 そうすると、現行法規では不十分であるということを委員長はお認めになりますか。  ○石原国務大臣 私は、今回の事例等から考えまして、現行法規ではやはり至らざるものがあるということをかたく信じております。 こう言っております。この石原国務大臣の考えは、当時十条があるにもかかわりませず、現行法規では国会周辺の集団示威運動の取り締まりはできない、こういう観点に立って、できないとかたく信じておる、こういうわけですね。なるほど三十七年に二十七条ができた。それは事後の問題についてチェックをする方法が生まれた。しかしながら、三十四年当時におきましても、事前に、そういう決定の直前にすれば、同一効果が生まれるということは承知しておる。承知しておるけれども、それはやはり完ぺきなものではない。つまり現行法規をもって国会周辺の集団示威運動を規制することはできないんだ、あなたの言うように、完ぺきにはそういうことはできないんだ、こういう立場を石原国務大臣がかたくとっておる、かたく信じておる。この判断もあなたはおとりになりませんね。あなたは石原国務大臣の国会における説明と違った説明をなさっておりますね。あなたの理論から言うと、とにかく政府の意思である、そして二十七条を発動する、国会周辺の集団示威運動はこれによってできない、つまり現行法規でとめられるのだと言う。ところが、石原国務大臣は現行法規ではやはり至らざるものがあることをかたく信じておる。どうしてそういう矛盾になるんですか。つまり、これこそ私どもは政府が言う拡大解釈といいますか、この二十七条をいささか乱用しようとしておる何よりの証拠だと思っております。田中法務大臣、その辺はどうですか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 むずかしい質問ばかりされるのでありますが、ありのままに申し上げますと、逆の言い方でありますが、二十七条がないとすると、何しろ下級裁判所がこういう決定をするのですから、それは間違っておると政府は言うのでありますけれども、それは政府の言い分であって、裁判所の立場においては、停止決定ということを行なっておる、こういう現状でございますから、二十七条という条項がなければ認められないのではないか。ところが、三十五年から二十七条という条項ができたので、守れるようになった。乱用はいけないのであります。国家最高の機関である国会の開会中にデモを許すということは、これは容易ならざることである、こういう考え方に立って、非常に高い必要性、非常に高い公共性というものを認めまして、二十七条を適用していく、こういうことはどうもこの法律を適用していきますならば、デモの規制ができていく、しかし、立場の違う野党の皆さんが仰せになると、それは無理ではないか、こう言われる。私は、ありのままに申しますと、この二十七条と違って、ことごとに——極端に言えば、毎日でも、どんどん来るデモ、来るデモ、ことごとく二十七条を活用してやっていかなければならぬ公共の必要性を政府が認めるなどということは、幾らか無理があるのではないかと私は思う。そういう現実の姿が陸続として出てくるようなことがあって、陸続として出てくる許可申請の一つ一つが、本件の問題のごとくに、公安委員会の当局と、願い出をせられる代表者の方々との間に、話し合いがつかないという事態が陸続として起こってくるということになりますならば、これも簡単に申し上げてはならぬことでありますが、勢いのおもむくところ、法による規制、二十七条のお世話にならぬでいいように、法による規制ということに政府与党は踏み切る以外に道はない、こういうふうに考えるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは賛成、反対ということを私はなるべく言わぬようにして、法理論を詰めておるわけでありますが、これが国会の周辺のデモ規制、つまり三十四年の法律ができておればこんな問題はないのです。私どもが反対しようが、現に法律は生きているのですから問題はないのです。けれども、それは残念ながら法律は制定されていない。その法律を制定する段階において、国務大臣が、なるほど三十七年に二十七条ができたけれども、しかし、それは事後の問題であって、にはとめられる、いまのあなたの解釈によれば、やろうと思えば幾らでもやれる。それをやれないのだという解釈を石原国務大臣はとったんですよ。この旧十条でも、あなたの解釈でやればやれるのだけれども、それはやれないのだという解釈をとった、かたく信じておると言っている。だから、その考えと法務大臣のお考えとは非常に違う。また、先ほど引用いたしました植木国務大臣の答弁とも非常に違う、これは常識ですよ。私はこの間から田中さんの御答弁を聞いておりますけれども、まあ率直にお願いしたいのですけれども、いまのようにすなおにひとつ議論をしてほしいと思うのであります。まあ委員会が終わったあとで田中さんの御答弁を批評なさる人があるのですね。法律が必要ならば、法律が必要というオーソドックスの道を私はとるのだ、とらなければならぬと率直に言うのだったら、それならそれでいい。なぜ、法律をつくらなければならぬのか、現行法では不備だからつくらなければならぬのだ、これが筋でしょう。なぜ現行法で不備であるのか、できないから不備であるというのか、そこをはっきりしなければならぬ。それをあなたはできるという立場に立っている。現行法規では二十七条の運用によって、国会周辺のデモがとめられるのだという考え方だからおかしい。もしそれができないのなら、やはり三十四年にかえって、デモ規制の法律をつくるといういまのあなたの理論が正しいので、どっちかあなたもはっきりしてもらわなければいかぬのであります。いまのあなたの理論から言うと、国会周辺のデモ規制の法律は必要ないですよ。そうでしょうが。それに何ぞや、いまお話を聞いてみますと、デモ規制の法律をつくらねばならぬようなお話をされるから、矛盾撞着もはなはだしい、あなたの理論であります。  藤枝さん、国家公安委員長として、国務大臣石原さんが答えた答弁と、またあなた、いま——田中さんに対しても同じでありますが、矛盾するようですね。国家公安委員長である先任者とあなたとは、そういう解釈に違いがあるわけですね。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 私に対する大事な御意見が出ておりますから、一口だけ言わしていただきたいと思います。  それは、この二十七条でいけるという信念を持っておる。政府はそういう信念で、たいした無理はないと見ておる。幾らかどうも手続をする上において複雑な手続を踏まねばならぬ。あんまり感心はせぬとは考えておるが、しかし、無理なしにこれはやれるものと考えておる。どうしてこういうことが陸続として続いてくるならば法律をつくらなければならぬのかといいますと、本来日本政府は、こういう考え方を持っておるのであります。一口に申しますと、わが国の民主主義は高度の民主主義でございますから——いや、イギリスはこうだ、アメリカはどうだ、フランスはこうだ、西ドイツはどうだなどということは、それはそれといたしまして、できることならば、国会周辺といえどもデモ規制の法律をつくらないで、現在やっておりますように、許可当局とデモの団体の方々との間に話し合いをつけて運用をしていただいて、法律はないのだけれども、事実は国会周辺は御遠慮くださるんだ、こういうことに運用の面でスムーズにこれが行なわれていくならば、私は世界に誇るべき理想だと思う。こういう考え方があるわけでございます。しかしながら、そういうことがどうしてもいかないで、いま言うたように、手続的にたいへんめんどうきわまることをやらねばならぬ、こういう事柄が陸続と続いてくるならば、そういう無理——無理というのはそういう意味でありますが、そういう無理をしなければならぬものであるならば、立法以外に道はない。立法は、いまは政府はやらぬと言っておりますよ。内閣総理大臣も国会の本会議において、いまは考えておらぬということを言っておられるのでありますけれども、それはそういう情勢が陸続と出てくるということになりますというと、やはり立法をせざるを得なくなる、悲しむべきいやなことをせなければならぬことになる、こういうふうに考えておるわけでございます。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 当時の石原国家公安委員長の国会でのやりとり、私も記憶は薄らいでおるので、あるいは間違ったことを申し上げるかと思いますが、要するに、これは横山さんに言わせれば釈迦に説法なんですが、この集団示威運動については、東京都のいわゆる公安条例に基づいて申請が出され、そして東京都の公安委員会がこれに対して処置をする。しかも、それがわれわれの現在の考え方と同じように、国会周辺においては集団示威運動はしてもらいたくないというような意味で、公安条例三条一項の六号でありますかに従って、路線の変更等を条件にして許可する。それ以前にそういうことをやることがいいか悪いかは別問題として、ただいま法務大臣もお答えしたように、主催者側と公安委員会側と話し合って、話し合いの上で路線を変更することもありますし、あるいは話し合いがつかずに路線の変更を条件にするというような、まあそのこと自体について御批判はありましょうけれども、現在はそういうことで好ましい状態である。しかし、あくまでそれは東京都公安委員会の行政処分の問題でございます。したがいまして、東京都公安委員会がそうした方針を変更して、国会周辺を集団示威運動を通してもよろしいんだというような決定をいたすようになりますならば、これは政府としては、現在法律のないときに、何らこれを規制する処置はないわけなんです。したがって、当時の石原国家公安委員長が言われたことは、あくまでいわば他力本願的な形でやっておるわけであるから、その意味において十分でないと申しますか、不十分だということを発言なすったのではないか。(横山委員「もうすでに十条がありましたよ」と呼ぶ)十条もありまするけれども、あくまで都の公安委員会がやることについて——ですから、都の公安委員会が常に同じように、国会周辺に対する集団示威運動は好ましくないということで、路線の変更をやるという現在の方針を常に維持しておるならよろしゅうございますが、あるいはこれが当時の行政訴訟特例法でございますかにかかって、決定がある前に異議の申し立てをすればそれでとめられるという方法はあったでしょう。しかし、あくまでそれは東京都公安委員会の行政処分が先行して初めて行なわれた。したがって、いわばいま申し上げたように他力本願的なものであるから、そういう意味においては不十分であるという意味で言われたんじゃないかと私は考えます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 関連して一点だけ、法務大臣と自治大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  法務大臣の御答弁の中に、こんなことが陸続として起こってきたら、というおことばがありました。非常に率直にいつもそういう御答弁があるのですけれども、昨日から問題にいたしておりますのは、二十七条というのは、行政権と司法権とのいわゆる接点になる、接触交錯をする条文なんだという、そういう立場に立って、本日も横山委員質疑を続けられていると私は思うわけです。したがいまして、こんなことが次から次へと起こってくるということですけれども、それは逆に言うと、この国会周辺を管轄しておる東京地方裁判所、そこのとにかく裁判官が、やはりこういうふうな構成員のはっきりした、こういうふうに指揮系統の明確な、そんな集団示威行進については認めるべきだという決定を、司法の立場において次から次へとお出しになるということについては、私は、二十七条の条文の本旨からいっても、政府として重大な、やはり謙虚な司法権のお立場というものを考えた反省がなければならないと思うのです。にもかかわらず、法務大臣の御答弁は、むしろ逆に、そんなものがそんなに、裁判所が次から次へとそんな停止決定をするなら、それでは二十七条では無理だからというようなことであれば、これは私は、二十七条の異議によっては司法権としては文句を言うことができないことになれば、これは全く司法権の存立の基盤は危ういと思うのです。裁判所はこれがただ一回きりの御決定でなく、次から次へと起こってくるというのは——いまのそんな申請が起こってくるということを私は問題にしているのではないのです。そのことを裁判所が司法権の立場から不眠不休で御検討になって、よかろうというお立場について、逆にそういうふうに何べんも裁判所がそういう決定をすれば、単独立法も辞しませんぞというおことばは、私は非常に残念だと思います。したがいまして、そういう立場でいま一度御答弁いただきたいことが一つです。このことについては、同時に自治大臣にも、私、御答弁をいただきたいと思っております。  さらに、法務大臣に御答弁いただきたいと思いますけれども、三権分立という立場からいきまして、この二十七条の総理大臣の異議について、どんな訴訟になり、どんなかっこうになるか私わかりませんけれども、最高裁判所が、司法権のいわゆる最高の立場である最高裁判所が、とにかく異議の申し立てというのは、この二十七条の規定からいって、総理大臣の異議の申し立てによっては無理がありますよ、乱用ですよというような御判断を、何らかの形でお示しになられたということがあっても、政府はやはりどんどん異議の申し立てを今後もされるか。これでは全く最高裁判所のそういう御判断が何らかの形において、まともな形といいますか、本訴、それに対するお答えというかっこうではなしに、このようなかっこうで出たとしても、それにはやはり私は行政権というものは従っていただく、それが私は民主主義であり、法の支配だと思うのですが、そのことをも含めて、私は大事な問題だと問うのです。司法権の独立を守るという大事な問題だと思いますので、ひとつ法務大臣からお答えをいただくと同時に、自治大臣の御見解も承りたいと思います。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 同じことが陸続起こる、そういうことがかりにある場合は、正しい方法として二つあると思う。一つは、先生の仰せになるように、何度も何度もこのようなことを重ねて裁判所が御決定になるならば、これは裁判所の御決定に従って、二十七条を発動することをあきらめて、国会周辺のデモは停止することがよかろうという行き方が一つの行き方でございます。もう一つの行き方はどういう行き方か。裁判所の御判決、ことに下級裁判所の御判決、誤りであり当を得ないものである。その根拠は、国会開会中における国会周辺の秩序の維持に関する必要性を認める度合いが違う。裁判所は低い、政府は高いのだ、そういう見解を異にする裁判を何度も続けてやられることはこのままには捨ておけぬ。二十七条があるじゃないかというけれども、二十七条というものは、そもそも地方庁である都公安委員会が決定をしたものを司法裁判所がこれに対してストップをかける。それを地方庁に関係のない中央の政府の最高の長官である内閣総理大臣がこれに対してさらにストップをかける、こんなややこしい法律は日本にもほかにはないが、外国にも例がない。こういうわけのわからぬ制度は——この制度はわけのわからない制度だと言っていい。りっぱな制度とはだれも言っておらぬ。学者も困った制度と言っておる。こういう困った制度をたびたび使わなければならぬものであるならば、公共の福祉というものは、天下の憲法が認めるところなのだから、憲法の認めるところによって、合法的立法を行なうべきものである。合法的立法を行なって裁判所に反省を求めるということ、これも一つの行き方である。この二つの行き方のいずれをとるかということは、その時の政府なり与党が判断をすべきもの、野党の御意見を聞くべきものでありましょう。そういう二つの道があるのだ、こういうふうに御承知をいただきたい。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 関連して。ちょっと誤解があると思うのだが、二十七条がいいか悪いかは、裁判所が独特の判断でやられる。二十七条に基づいての裁判所の決定。裁判所が二十七条に基づいて許すか許さぬかという判断は独自なものである。しかし、それが実情にそぐわないような判断であれば、その二十七条というもの自身が、いまも大臣が言われるように不完全なのだから、どうしてもそういう秩序維持のために法律が要るということになれば、規則が要るということになれば、別個の法律をこしらえなければいけない。完全な法律をこしらえなければいかぬというようなことなので、何も三権分立や裁判所の権限に侵害を与えるとかなんとかというものとは違うと思うから、要するに二十七条が完全かどうか、それが完全でなければ、裁判所の判断がほんとうかもしれないし、完全なものを裁判所が違った判断をする場合には、それぞれのあれがあるでしょうし、しかし、こちら政府のほうとしては、完全なものでないというふうなことになるおそれがあれば、完全な法律をこしらえる、規則をこしらえるというふうなことのわけでしょう。簡単じゃないかな問題は。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 陸続とそのような決定が行なわれるということについて、私は将来の問題についていろいろ予断をして申し上げるのはいかがかと存じますので、お許しをいただきたいと思います。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 ちょっといまの高橋先生の御発言で、私の答弁漏れがございます。  司法権を侵害する態度ではないかということでございますが、こういう手数のかかるめんどくさいこういう制度、論議される余地のあるようなこういう制度を抹殺して、同じことが繰り返されるならば法律をつくったほうがよいということを先ほど申し上げたのでありますが、そういう法律をつくっていくということは司法権の侵害にはならぬ。立法をいたします国会は、裁判所より上位に憲法に基づいて置かれておるわけでございます。国会がこれを認めて法律をつくるならば、裁判所はこの法律に従え、こういう態度は決して裁判所を圧迫したり侵害するものではない、これに従っていただくことが裁判所の憲法上の大切な義務である、こういうふうに御承知置きをいただきたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 委員長。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 まだありますか。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 答弁漏れがありますから一点だけ。  私がお尋ねした後段の部分についてのお答えがなかったと思うのです。ただ問題は、法務大臣のほうからは陸続ということばがあったので、陸続、次々にとおっしゃるその意味は、法務大臣そういうようにおっしゃるのは、デモの申請が次から次ということであろうけれども、結局は裁判所の御決定がという意味になりますよということで、私は問題点を指摘したわけです。その点について積極的にお答えになった。自治大臣はその点についてはお答えを避けられたわけです。  そこで法務大臣に私もう一点お尋ねした点は、最高裁判所が——下級裁判所だ下級裁判所だとおっしゃるけれども、異議の問題について何らかの形で、まともにあるいは法の形においてでもこの問題について御見解をお示しになった。そんなときでさえも異議の申し立てをされるのでしょうかということを私申し上げたわけなんです。  なお、法務大臣の御答弁の中に、非常に私にとっては関心を引いた重大な御答弁がありましたので、この点について長官にお尋ねいたしたいと思います。法制局長官に私のお尋ねいたしたいのは次の点です。  要するに二十七条というのは、総理大臣のそういう異議申し立て権というものを認めたと同時に、二十七条というのは、二十七条に従うということで、きわめて厳格に総理大臣の異議申し立て権というものを拘束されている。そういうのは、逆に総理大臣を拘束している面もこの条文にあると私思うのです。ところが法務大臣の御答弁の中で、これはあまりいい法律じゃありませんよ、論議を呼びますよ、こういうふうに率直におっしゃった。そうですね。そんなものであるなら、それこそまさに二十七条というのは、論議を呼ばないような、まさに先ほど横山委員が何べんも質疑を申し上げ、私も昨日触れたように、だれが考えても、ほとんど大部分の人が総理大臣の異議についてはやむを得なかろうという、そういう場合でなければ異議申し立てば乱用になるじゃないか。そもそも最初から法務大臣のおっしゃるように、二十七条が論議を呼ぶようなものであるならば、まさにその行使については非常に謙虚な立場で乱用にわたらないようにということに留意すべきであって、そういうふうなことについて論議を呼んだこと自体が、まさに乱用のそしりを免れないというように私は考えるわけなんです。この点についての長官の御答弁をいただきたい、こういうことです。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 これは政府にとっての大事なことでございます。本件が乱用であったかどうか、法制局長官に答えさせるより、私が責任を持って答えをいたします。  それは、あなたのお考えは、乱用だと仰せになる。乱用ではないか、乱用に近いではないかと仰せになる。政府は乱用でないと言うのです。その根拠は、開会中の国会周辺の秩序を守る、これを静ひつなる環境にするということはこれ以上ないと思えるほどの大事な、国権の最高機関たる国会の非常に大事な公共の福祉、公共の秩序だ。それほど公共性が高いんだという観点に私たちは立っておる。これが政府と与党でございます。そんなことがあるか、大したことはない、こう仰せになるのは皆さん方。そこでいつまでたっても、何百時間議論しましても……(「平行線だ」と呼ぶ者あり)そういうことです。平行線でございます。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 加藤君。簡単にやってください。

加藤勘十日本社会党

○加藤(勘)委員 いま法務大臣は、この二十七条をしばしば用いることがあり得る、けれども、そういうことではめんどうだから、独立の法律を制定してそういうめんどうがないようにしたい、かもわからぬという答弁があったですね。私は、もう一ぺん憲法を読み直してもらいたいと思う。憲法の条文の中には、この憲法に反するような、この憲法の精神に反するような立法、詔勅、命令等は、その効力を全部もしくは一部失なうことがある、こういう規定があるですね。そこで、あなたがいま言われるようなそういう立法が無条件でこの憲法の規定に沿うものであるかどうか。なお一方においては、明らかに公共の福祉ということを表現しておる。憲法は、同時にまた国民の基本的人権としての自由、表現、あらゆる権利を約束しておる。だから、この二つのものの調和をいかにするかということが問題であって、ただ都合が悪いから都合がよいように、簡単に何でも政府ができるように法律さえつくればよいという考え方は、私は非常に間違っていると思う。それでは少なくとも憲法の精神に反する。だから、そういうことはただ現在の法律ではめんどうだから、そういうことが繰り返されてはならぬから単独の法律をつくる。その単独の法律が、どれだけ国民の憲法に保障された自由を侵害するかわからない。そういうおそれのある法律を軽々しく制定するのであろうというような予断をなされるということは、私は憲法をもう一ぺん読み直してから答えてもらいたいと思う。   〔委員長退席、安倍委員長代理着席〕

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 はしなくも大先輩から憲法論を承わるわけであります。よくえりを正さなければならぬと思う。そこで私は、ありのままにその理論を申し上げたいのでありますが、憲法十二条という条項によれば、公共の福祉のために必要なる場合においては、憲法で与えられたデモの権限というものは制限をしてよろしい……(加藤(勘)委員「そんなことは書いてない」と呼ぶ)いえいえ、書いてある。意味は書いてある。公共の福祉のために憲法によって与えられた権利と自由というものは制限を受ける、責任ある、と書いてある。そう書いてある。(加藤(勘)委員「十二条じゃない、十三条だよ」と呼ぶ)十二条ですよ。それはよくお読みになるとわかる。私のほうが専門でございます。それは私が専門ですから、これは間違わぬ。  そこで、お聞き願いたいのでありますが、そういうことが明文としてございますので、そこでこういうややこしい手続を何度も何度も踏んで、論議を生む。皆さまも御迷惑なら、これは与党、野党ともに迷惑しごくな話であります。(「迷惑とは何だ」と呼ぶ者あり)いえいえ、迷惑なことです。お互いが迷惑をすることです。こういうことは、野党も迷惑をする。そういう御質問に時間をかけて、手数をかけなければならぬ。それは非常に双方ともに手数のかかる迷惑しごくな話のものであります。   〔安倍委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、私は、そういう事情にあります場合においては、憲法上認められた法律を、新たに制定するということになるおそれが絶無でない、こういうことを申し上げておるのでありまして、憲法違反なことを平気でやる、憲法の条項は初めから読んだ上で議論せいと仰せになると、憲法違反じゃない、十二条の規定があるということを申し上げるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 委員長、席をおはずしになっておられたときで恐縮なんですけれども、いまどういう意味であろうとも、法務大臣のおっしゃったことはきわめて重大な、遺憾な御発言ですから、私は即刻ひとつ取り消しをされておかれたいと思う。つまり、こういうことを審議しておることが、政府も迷惑なら野党も迷惑であろうという意味の御発言です。迷惑という語源で解釈をしようとは思わないけれども、迷惑ということばは適当でありませんから、即刻取り消してください。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 法律のたてまえが複雑きわまるものであるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。国家公安委員会の行動と裁判所の行為、内閣総理大臣の行為というものが接点になるわけであります。まことに複雑なもので、日本にはほかにこういうものはない、諸外国にも前例はない、こういう複雑きわまることが陸続として起こってくる、野党の皆さんも御迷惑しごくのことであって、また与党のほうでもまことに迷惑をすることである。私は、このことばははたして取り消しを命ぜられるような内容のものであろうか。国会を侮辱したり、野党の皆さんの発言を尊重しなかったり、品位を傷つけたりするようなめんどいものであろうかということを、私は逆に——伺っては悪いのかもしれませんけれども、逆にひとつ御意見を承りたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 少なくとも迷惑ということは、不愉快なこととか、やらぬでもいいことをやるとか、そういう意味です。私どもはここで国政を審議している。国政は、今日この問題というものは、憲法上も、司法権それから立法権の間に重大な問題があるから、多少時間がかかっても真剣な議論をしておるわけです。突如としてあなたは、こういう審議をしていることは政府にとっても迷惑だ、また私がちょっと色をなしたものですから、野党にとっても迷惑であろう……。迷惑ということは、不愉快だとか、やらぬでもいいことだ、つまらぬことだ、こういう本流でない仕事をやっておるのが迷惑だ、と私は解釈をする。不適当きわまることばですよ。私どもは真剣になって議論をしているのです。真剣になって議論しておる議論というものが、質問をされるのが迷惑だ、質問するのも迷惑だろうなんというこの不愉快なことばですが、取り消してくださいよ。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 そういうふうなお考えで仰せになっておるのですか。迷惑という私のことばは、先ほど御説明を申し上げるとおり、こういうわけのわからぬ、非常に解釈のしにくい、非常に複雑な三者接点となっておるような法規、世界に類例のないようなこの法規を、このままに置くことはよいのでございますか。先ほどからくどく言うように、陸続としてあとへあとへと同様の申請が行なわれて、裁判所の手数をかけねばならぬ、内閣総理大臣は、二十七条の発動をしなければならぬ、野党の皆さんは、目の色を変えてお怒りになる。私のほうも、これに対しましては答弁をしなければならぬような、こういう事柄が起こってくるということは、私は野党にとっても迷惑であり、与党にとっても迷惑であり、もっと迷惑なのは国会そのものがまことに迷惑をする。日本政界そのものが、立法府そのものが迷惑をする。これは陸続として起こってくるような危険があるならば、将来は本格的な立法をして、憲法上明白な立場をとることが必要ではなかろうかと、こういう意味であります。そういう意味における迷惑ということでもいけないのでございますが。

横山利秋日本社会党

○横山委員 田中さん、先ほど私が言ったように、すなおに私どもきょうは真剣に議論をしておるのですからね。あなたのことばをひとつ注意をしてもらいたいのですね。あなたが、いまあとから言われた語感と、ニュアンスと、先ほどばっと言われたニュアンスと、もう違っておるのです。私どもが真剣になって議論をしているときに、突如として迷惑だ、と言う、ばっと出てくるのですよ。そういう語感について、あなたは真剣にお考えになるならば、私どもが憤慨する気持ちがわかるだろうと思うのです。本来ならば、これは二十七条は私ども反対したのだけれども、現にあるのですから、なぜこれが問題になったか、乱用したから問題になったと私どもは言っている。あなたのほうは乱用しないと言っているけれども、乱用か乱用でないかが問題なんです。それを真剣になって議論しておるのですよ。それを突如として、平行線だ、この辺で打ち切ったらどうだと言わぬばかりの、平行線だと突き放したり、あるいはさらに加えて、迷惑千万だというようなことばは、法務大臣として慎しんでもらいたい。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 速記を始めて。  横山君。申し合わせの時間も過ぎたのですが、簡潔に願います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 委員長にまことに申しわけない。そのことは承知しております。けれども委員長が先ほどからお聞きのように、私どもとしては実に真剣な気持ちでやっておるのです。そういう点では、時間的にはまことに御迷惑をかけておりますけれども、きわめて真剣にやっておるのです。法務委員会がこんなに時間おそくまでやっているということは稀有のことですけれども、それだけに私どもは真剣にやっている。先ほどからの質疑応答が冗長にわたったり、あるいは真剣味を欠いておるというようなことがかりにあったならば、私どもは率直に反省をいたしますが、そういうつもりはさらさらない、今日、ございません。ですから、たまにやる真剣な議論でありますから、委員長十分事情をお考えになって、政府側としても真剣にひとつ答弁をしてもらうことを希望いたします。

加藤勘十日本社会党

○加藤(勘)委員 関連、さっきの田中さんの答弁で……。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 関連があまりたびたびあるとなかなか議事が進行しませんから、一点だけ簡潔に願います。

加藤勘十日本社会党

○加藤(勘)委員 憲法の条文の中に、「公共」という文字がどこの条文に用いられておるかということについて、われわれは真剣に考えているのです。そういう点から見まして、先ほど田中さんは憲法十二条のことを言われたが、憲法十二条に掲げておる「公共」という文字は、国民はこの法律を公共の利益のために使わなければならない、こういう意味のことが規定してあって、十三条に至って、初めて「公共の福祉に反しない限り」尊重をされなければならぬ、ここに「公共の福祉に反しない」というのが十三条に出てくるのです。きのうも申しましたように、旧憲法の時代は全部「法律」という網がかぶせてあった。「法律」によらなければならぬとか、「法律」の範囲内とか、国民の権利義務十カ条規定をしてある中に全部の条文にそういう文字があると言っていい。一、二の必要のないものは別です。  ところが、今度の新憲法においては、「法律」という文字のかぶせてあるのは、きのうも言った義務教育と納税と不当な逮捕、監禁の場合だけで、ほかには「法律」という文字は使ってないのです。ただ「公共の福祉に反しない」ということが十三条の規定にある。これも消極的ですよ、積極的には国民の自由、権利というものが表へ出ておる。ただその場合、「公共の福祉に反しない」ということが書かれておるにすぎない。したがって、憲法の精神はあくまでも国民の権利、自由というものが土台であって、こんなことはもう新憲法において当然であります。それをあたかも——「公共の福祉に反しない」という文字が、どういう意味で使われておるか、お互いに国民である。民主主義である以上は、自分も尊重されるならば相手も尊重する、これは当然のことなんです。そういう点から二十一条というものの表現の自由ということ、こればかりではない、他の一切の国民の権利、自由に関する問題なんです。だからして公共の福祉に反しないということは、ことばをかえて言えば、当然これらの憲法に規定されたる権利、自由というものは保障されておるのだ。ただその中で公共の福祉に反してはいけないということが表現されておるだけであります。この点を旧憲法の精神でこの新憲法を解釈されては困る。田中さんの頭の中には旧憲法時代のかすが残っておるのじゃないかという危険を私は感ずるのです、あなたのことばから。だから、そういうことのないようにしてもらいたい。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 大事なことですから読んでみると、「この憲法が國民に保障する自由及び権利は、國民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」のであって、「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」これが憲法違反にあらずという法律をもってデモの規定制限ができる基本条項でございます。この十二条の基本条項を受けて、先生仰せのごとく十三条以下の規定があるということもうそではない、こういうことでございます。あくまでも旧憲法と新憲法との異なる基本的な論拠は、十二条に基づく乱用禁止の規定であります。そういうことです。

横山利秋日本社会党

○横山委員 憲法の解釈に及んで、私はあえて言いますけれども、法務大臣の解釈については異論があります。けれども、ここで憲法論をずっと続けておりますと、それこそ時間がたちますから、一応別の角度にしまして、少し次の質問を続けたいと思う。  最高裁来てますか。——本日は事務総長に御出席を願ったのでありますけれども、残念ながら、きのうきょう会議があるそうでございます。あなたに聞くのは少し問題があるかもしれませんが、しかし、あなたも一応最高裁の局長としてここにおいでになった以上は、少なくとも裁判官なり、最高裁という立場というものをお忘れにならないように、できる限りの答弁を願いたいと思うのであります。  私が予測いたしますところを率直に言ったほうがいいと思うのでありますが、これはもちろん本訴が残っております。本訴がどういうことになるかについては、きのう法務大臣が軽々しく政府側の答弁はすべきではないとおっしゃいました。それは私もわからぬことはない。けれども、過去の経験からいたしますれば、明らかにその道筋はわかっておるような気がするのであります。つまりもう事実は行なわれてしまった、行進は行なわれてしまった、だから争う具体的な利益というものがなくなってしまった、したがって、これを判決する積極的必要性を認めない、こういう結果が私には想像されてならぬのであります。そういう想像が間違っておるということもあり得ますが、原則として過去の経緯を私は論じておるわけであります。この機会に、私はそういう原則的な過去の経緯から一ぺんはずして、積極的な必要性をひとつ認めてもらいたいと思っておる。なぜならば、政府側の言うようなことによりますと、あらゆる集団示威運動は、これから事実上禁止されることになるというわけであります。これがもうすでに終局である。本訴は現実的利害がないのであるから、もうその判決は必要ないという過去の経緯から申しますならば、政府のこのたびの異議申し立てによる結果は、帰着であって結果がない。つまりあらゆる国民が政府が行なったことを、——あらゆる国民と言うと語弊があるから正式に言いますが、社説なり、世論なり、あるいは私どもの意見を含めまして、ずいぶんこれは問題がある。つまり、政府のとった態度に対して、国民はもはや争うすべがないとまで考えられる。これは非常に大事なことだと思われる。できるならば、国民のこの憤激と申しますか、疑惑と申しますか、そういうものを、裁判所機構というものが判決をしてもらいたい。それはそれなりの積極的な理由があると私は思っておるわけであります。それをどうお考えになるか。むずかしい質問でありますが……。  それから第二番目は、きのう中谷君が言ったのでありますが、一体この種の事案について、裁判官並びに裁判機構はどう考えておるだろうかということを、国民はすべて知りたがっておる。裁判官が、この間新聞に投書いたしましたことを中谷君が披露いたしましたけれども、当然起こるべき発言だと私は思っておる。裁判官弁解せずというけれども、今日のこのような状態において、裁判官が受けておる印象は、そぞろに想像するに余りあると思っておる。いわんや、この直面いたしました裁判官は、この立法に参画をした人で、先ほど読み上げましたこの三十七年の国務大臣のそばについて立法に参画した裁判官である。その裁判官が、立法の趣旨をくんで、一番よく知っているその人が決定をしたことに対して、ひっくり返されたということについても、多くの裁判官が考えておる感じというものは、そぞろに私は想像ができる。こういうあり方で一体いいものであろうかどうかということは、裁判に携わる者ならば私はすべて感ずることだろうと思う。私の質問は、きわめてあなたの職責からいうとむずかしい質問かもしれませんので、実は、きょうは事務総長に出てもらいたいと特に要望して、どういう要件か聞かれましたから、こういうことです、けれども重大な会議の席上で、私もわからぬことはないから、どうしても事務総長が出てこれなかったならば、こういう趣旨であるからと言うて御伝言を願ったわけでありますから、あなたもそういうつもりでお出になったろうと思うのです。十分ひとつ裁判所の内部における、最高裁判所の御意見を聞かしてもらいたい。

菅野啓蔵最高裁判所事務総局行政局長

○菅野最高裁判所長官代理者 まず、順序は逆になりますけれども、裁判所のただいまの件についての立場と申しますか、雰囲気と申しますか、そういうものについて、まずお答えをいたしたいと思います。  御承知のとおり、この事件の執行停止の申し立てがございまして、これに対しまして、即日東京地裁で執行停止の決定をいたしたわけでございます。続きまして、異議の申し立てがありましたために、これを取り消したという経過になっております。こういう経過は、結局公共の福祉ということに関する東京地裁の見解と、政府側の見解が、一致しなかったという点にあるわけでございまして、こういう経過、すなわち東京地裁の考え方と、政府の考え方とが一致しなかったという、そういう客観的な事実は、それだけでまあ遺憾であるということは申せると思うのでございます。ただしかしながら、これについて裁判所は、この事態をどう見ておるかということになりますと、法律の、行政事件訴訟法というものの立て方が、先刻来いろいろ御議論がありましたとおり、裁判所が執行停止の決定をいたしましても、これに対して異議があれば取り消さなければならないという制度になっているわけでございます。で、今度の事件について、裁判所がその法律の手続に従って、法律どおりのことをやった、しかもこれは国会で審議を経た法律でありますので、それに従ってやったものでございますから、食い違ったことは遺憾であるけれども、しかし裁判所としてはこれ以上のことはでき得ないわけであります。  それから、しからば第一点のほうに戻りまして、本訴はどうなるかということについて。これは係属中の事件でございます。したがいまして、裁判所としてはこの問題、もう少し具体的に申しますと、一体公共の福祉という実体的な問題をきめなければならない立場でございますけれども、それをきめるところはいわゆる受訴裁判所でございます。そこでしか裁判所としては、自己の意見を表明するわけにまいらないわけであります。したがいまして、私がここでこの事件の運命がどうなるであろうかというようなことにつきまして、発言をする立場にないわけでございます。この点は、御了承いただきたいと思います。ただ、なるほど先ほど横山委員のお話がございましたように、これはすでに事実としては済んでしまったことでございますので、従来そういう点がしばしば問題になりました訴訟の例を見ましても、あるいは訴訟の利益がないということでそこの決定にいかないという可能性はあり得る。しかしながら、それは可能性だけで私は申し上げておることでございまして、実際事件を受け持っておる、そうしてそこがほんとうに意見を表明しなければならない受訴裁判所はそういうことになりますが、それは私の申し上げる限りではない、かように考えます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ごもっともな解釈だと私も思います。ただそこから発展しまして、どなたに聞いたらいいんですか、やはり法務大臣に、聞きたくないところでありますけれども、一ぺん意見を聞いておきたいと思います。  立場を離れて、法務大臣、いま最高裁から話がありましたように、これは可能性の問題でありますから、判決があるかもしれませんが、私の解釈するところで論旨を進めます。  現実的利益がないから、——これは判決がない場合が多いのです、過去の例からいうと。そうすると、国民は政府が行なった乱用と見た場合に、もう争う何ものも、すべもないということについて、私は疑問を抱くのであります。国民としては、何かの政府のとった措置に対して、争いというものは、最高裁まで争えるのでありますが、本件に関する限りは事実上争いの余地がないという点について、国民の権利を守るという点から非常にこれは重大な問題、そこに何か解決の方法があるかどうか、これは先ほどからの論旨を一応度外視してその点についてお伺いをしたい。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 たいへん奇妙なお話を申し上げねばならぬことになるのですが、道は一つあるのじゃないか。いま横山先生仰せのように、本件自体につきましては道はふさがれておる。もう道はなさそうに思える。そこで、これはデモの団体の立場に方法を教えておるというような誤解があると、また与党のほうからしかられることになるわけでありますけれども、やはりこれは損害賠償の対象になる。たとえその損害賠償が何千円、何万円というものでありましょうとも、損害賠償の対象になる。そして損害賠償の対象といたしまして、不当なる決定である、政府の行動は不当なる行動であるということになりますと、その不法、違法の行為によって生ずる損害賠償を請求するという手段が起これば、はたして政府の行動が不当、違法なりやいなやに関して裁判をしなければ、その損害賠償の判決を行なうことができないということになりましょうから、全くわが国法制上、どこをどうたたいてみても方法がないというものではなかろう。しかし、先ほど申し上げますように奇妙な話、どんな損害かという問題がございますので、奇妙な話でありますから、非常に少額の金額にならうかと存じますが、そういう道はなくはない。奇妙な答弁でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは突然伺った質問ですから、法務大臣の個人のお答えといいますか、失礼ですが、そういう感じがいたします。法制局長官ないしは法務省側で私の質問にお答えができましたら、ひとついまの法務大臣の損害賠償論以外に当、不当が争えるか、そのほかの方法があるか、どなたかひとつ法務大臣の御答弁以外でございましたら聞きたいと思います。

青木義人法務省訟務局長

○青木政府委員 もしもいまお話しのように、本案の訴訟で救済の目的を達し得ないということになりますれば、法律的には先ほど大臣がおっしゃいました以外には方法はちょっと考えられないのじゃかと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法制局長官は……。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 別に加えて申し上げることはありません。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 横山君、打ち合わせの時間の倍の時間になりましたので、どうぞ最終の質問に入ってください。

横山利秋日本社会党

○横山委員 まことに恐縮ですが、私の質問は委員長にもお話ししておきましたように、愛知県における警察官殺害事件に少し触れたいと思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 それはこの次の機会にしてくれませんか。

横山利秋日本社会党

○横山委員 その前にいまのデモ事件につきまして、同僚から最後の関連質問があるそうでございますから、それをお認め願いたい。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 ちょっとお待ちください。あまり関連、関連というと、時間が無制限になりまして、中谷委員にはきのう十分御発言を願っておりますから、関連、関連でやっていかれたんじゃ委員会の運営ができかねます。結局同じような御議論のようですが、いかがですか。全然違った問題ですか。

横山利秋日本社会党

○横山委員 関連という以上は、全然違うはずがないじゃないですか。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 繰り返しにならないかということだ。繰り返しになるようなら時間のむだですから。   〔中谷委員「三十秒だけ」と呼ぶ〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 それじゃ、三十秒、中谷君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 締めくくりで申し上げておきたいと思います。  要するに先ほど横山委員のほうから御発言になりました問題は、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は處分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」というこの規定、この憲法の条文との関係において、いわゆる二十七条の異議申し立てでこの八十一条が生きてこないじゃないかという点が、私は二十七条の制定当事から論議されたと思うのです。  そこで、大臣に一点だけお尋ねしておきたいと思いますけれども、異議権の乱用という問題、大臣としてそれは違法だ、合法だという、まさに違法でなかったらもう乱用じゃないんだということをおっしゃっておるはずではないと思うのです。政府がおやりになったんだから、それが適当であったか不適当であったか、適、不適、妥当、不妥当ということも含めて、先ほど加藤先生がまさに発言されたように、大臣は十二条だとおっしゃる、加藤先生は憲法の十三条だとおっしゃる。まさに私は十三条の立場に立って問題は理解されねばならないと思うのですが、先ほどからおっしゃっているその問題について、大体妥当だとか、不妥当だとか、適当でなかったというようなことについて、救済の方法がありますかどうか。こんな点について救済の方法がないとすれば、先ほど申し上げたように国民の不信感というのはいつまでも解決されないままに残りますぞというのが横山委員の質問なんです。この点についていかがでしょうか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 政府のとりました態度は適法である、しこうして、こうする以外に道はなかったという意味において、やむを得ずに出たる異議の陳述であった、こういうふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 なるべく私どもの意見や感情をまじえないできょうは質問をしたわけでありますが、しかしながら、帰結いたしますところ、政府の今回とりました措置については、私は腹の底からますます憤激をせざるを得ないのであります。これは意見の相違になるけれども、私どもは、質疑応答を通じて乱用のそしり免れがたい。同時に、この立法当時の国務大臣、またデモ規制の当時の国務大臣の国会における答弁と明らかに食い違っておる。  さらにまた、いま最後の締めくくりをいたしておりますように、国民がこれによって訴えるべきすべての道が閉ざされておる。大臣は損害賠償と言いますけれども、損害賠償をやれなんてことを、政府がそういう道があるよということを聞いた国民は、何と思うでございましょうか。そう考えますと、全く今回の措置は、政府としてはこれはもう無策の策というよりは、めちゃくちゃなことだとすら私ば考えざるを得ないのであります。しかし、これはこの質疑応答を通じて国民の諸君の民主的な審判なり、世論というものが、一応結合してくるものと思い、また速記録をさらに十分念査をいたしまして、別の機会に譲ることにいたします。  たいへん時間を使ってまことに恐縮でございましたが、同僚諸君の質問がございますので、恐縮ですが、簡潔に、最近起こりました愛知県の半田警察署におきまして、驚くべき事態でございますが、警察官が……

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 横山君に申し上げますが、その問題は次回の国政調査のときにひとつやってくれませんか。

横山利秋日本社会党

○横山委員 デモ規制と関係があります。なぜかというと、私の言いたいことは……

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 ここでは先般の総理大臣の異議申し立て事項についてということになっておりますから……。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それは関連があるのです。これから申し上げます。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 関連の点だけですよ。

横山利秋日本社会党

○横山委員 こういう事件というものが勃発をしたということは、まことに驚くべきことで、しかも警察署へ、朝、四時五分ごろ一人の男が署内に入り、短刀で同巡査に襲いかかり、二人は同事務所前廊下で格闘の末、暴漢は巡査の下腹部から背骨に達する刺傷を負わせて車で逃げた。同巡査はすぐ近くの半田市民病院に運ばれたが、出血多量で死亡した、こういうことであります。  私どもが先般暴力法の審議の際にいろいろな付帯条件もつけましたし、また希望を申し上げましたが、その中の重要なことに、大衆運動に対する警察官の配置が多過ぎて、そうして右翼暴力だとか、そういうものに対する警察官の配置が少な過ぎるではないか、こういうことを言いました。きのう中谷君の質問に対しましても、警視庁傘下三万数千人の人がおる、それらの人は、全部ではありませんけれども、大多数が大衆運動のほうに回っておる。たまたまこういうこと——すでに聞くところによりますと、最近においても四人の巡査が刺殺をされておるそうでありますが、ことごとくといっていいほど右翼関係あるいは暴力団関係であります。まことに警察庁内部における右翼ないしは暴力事犯に対する人員配置やその他が、大衆運動に比較いたします際にたいへん手薄ではないか。こんなばかなことはあり得べからざることではないかとすら私は考えておるわけであります。  そこで簡潔にお答えを願いたいのでありますが、この彦坂巡査殺害事件の犯人の調査は、どういう状況になっておりましょうか、まずその点を伺いたいと思うのであります。

内海倫警察庁刑事局長

○内海政府委員 お答えを申し上げます。  いまお話のように、六月十二日の早朝、半田警察署の警察官が、現場の諸般の情勢から判断いたしますと、玄関先において、警察署の前において自動車の空気を抜いておった不審の男を発見して、これに職務質問をして、こちらに来いというふうな状態で連れようとして、そのときに玄関付近において刺されたもの、こういうふうな推定ができる事件が発生いたしました。  現在愛知県警察の全力をあげましてこの犯人の捜査に当たっておりますが、現在私どもの接しております報告によりますと、愛知県警察及び半田警察署に設置してあります捜査本部が収集いたしております諸般の資料から考えますと、地元に存在する風天会という、いわばぐれん隊の集団と思われる暴力団員によって、警察官が傷つき、かつ死亡したものと推定されます。現在この団員のうち七名につきまして逮捕しあるいは任意に捜査を行ない、四名につきまして指名手配をいたしまして、現在徹底した捜査をいたしております。私どもとしては、できるだけ早くこの指名手配をいたしておる者が逮捕されまして、それによって実情の明らかになることを期待いたしております。  なお、これらの逮捕あるいは指名手配は、この殺人事件についての容疑というものでなく、その前に行なわれておりますタクシー運転者に対する暴行傷害及び婦女子の監禁というふうな犯罪行為に対しての容疑で逮捕及び指名手配をいたしておるわけでありますけれども、諸般の諸資料から推定いたしまして、この者たちの中に犯人がおるのではなかろうかというふうに推定される次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 今年に入りましてから、警察官の殺された者は四人になんなんとしております。そのことごとくといっていいほど右翼ないし暴力団、ぐれん隊のような者たちであり、暴力法につきまして本委員会で審議をいたしました際に、私どもが強く、これが暴力事犯の絶滅を期するものであるかどうかを、いやというほど皆さんに執拗に言うて、その運用をあやまちなからしめるように迫ったわけでありますが、かくのごとき事態が発生をいたしておりますことは、法律以前の問題ではないか。一体、あれだけ問題のあった暴力法を通しても、実効があがっていないのじゃないかと嘆ぜられるわけであります。  時間の関係上、三つばかりあわせて質問したいのでありますが、いまお話があったところによりますと、別件容疑で逮捕しておるとおっしゃるのですが、その別件容疑というのはタクシー運転手に対する暴行と婦女子に対する暴行と聞いておるのでありますが、それらが山口組の系統になる実は知多風天会の事案であるとするならば、なぜ一体わかっておるそのときに逮捕ができないものであろうか、そういう点で暴力団に対する処置についてまだまだ、あれだけ言っておるにかかわらず甘い点があるのではあるまいかと思われる点が第一であります。  第二番目は、この彦坂巡査という人は、防犯少年係である、防犯少年係である彦坂巡査に対する恨みであるとはどうも考えられないようだ。したがって、警察に対する恨みの犠牲者ではなかろうかというように考えられるのでありますが、その点はどうかという点。  第三番目に、それこそ陸続と警察官が殺されておるわけでありますが、その警察官に対する殉職の弔慰は一体どういうようになっておるのであろうか。ここまで続いてまいりますと、この右翼暴力団に対する警察官の士気を高揚するためにも弔慰は十分でなくてはならぬかと思われるのでありますが、その点はいかがでありますか。

内海倫警察庁刑事局長

○内海政府委員 御質問の第一点の問題でございますが、これは本来は経過をたどって御説明をすべきですが、時間がございませんので、はしょって申し上げますが、本来この同じ日の——この事件の起きたのは午前四時でございますが、午前一時にタクシーの運転手に対する暴行を行ないました人間を逮捕して、警察署に連れてきて取り調べ中であった。それから婦女子の監禁の問題は、その警察官、彦坂巡査が殺害されまして、そしてどうも諸般の情勢から、この風天会の人間たちの行動ではなかろうかということで、このアパートに、タクシー運転者の暴行事件と関連しまして捜査に参りましたところ、そこの部屋の押し入れの中から婦女子が助けを求めた。そこで監禁の現行犯としてそこに所在しておった者を逮捕いたしたわけでありますが、その直前に逃亡いたした者が、先ほど申しましたように、五名あったわけでございますが、これについて指名手配をし、一名はすでに逮捕いたしておるわけであります。そういうことで、この事件は、いまのタクシー運転手の暴行あるいは婦女子の暴行というものはいずれもその時点における犯罪の処理でございます。  それから第二点の、彦坂巡査に対する恨みでなくて警察に対する恨みではないか、これはもとより犯人を捕えてみなければわからないところでありますが、現在われわれが知り得る資料において見れば、彦坂巡査に対する恨みというものが考えられないことは、私どもも全くそのようだと思います。と同時に、警察に対する恨みというものをどういうふうに解するかの問題ですが、先ほど申し上げましたように、諸般の情勢、客観的な事態から判断いたしますと、この風天会の者の一部が警察に参りまして、タイヤの空気を抜こうとしておった、あるいは抜いておったという点で、警察に対するいやがらせ、あるいは逮捕された風天会の、彼らの仲間に対する支援、こういうことでやったものと考えられますが、これが警察に対する恨みであるというならば、あるいはそういうことの行動かもしれませんが、そういう点で彦坂巡査がそれを不審に思って出かけていってやられたと、こういうことでございます。私ども、暴力団に対しましては、徹底した措置をとっておりますし、今後におきましても、あるいは現在におきましても、きびしい態度を持っておりますから、あるいは警察に対するそういうこともところによっては起きるかもしれない。これは十分私どもは体制を整えて対処いたしたいと思っております。  それから警察官に対する殉職の弔慰の問題でございますが、これは私の直接主管いたしておりますことでございませんので詳細は申し上げがたいのでございますが、われわれ幹部といたしましても、こうした職務は殉じて傷つきあるいは死亡していく者については、あらゆる形でその弔慰を厚くし、また後顧の憂いのないようなこともやらなければならないというふうなことで、支出する金についても、できるだけの厚いものであるようにということを考えておりますし、また残された遺族に対する措置も、特に子弟の教育というふうなことにつきましても、いろいろ対策を立てて考えておるところでございます。しかしながら、これはさらに政府あるいは国会の皆さま方の御支援によりまして、一そう力を尽くしてまいりたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 半田といえば私も承知しておるし、内海さんも前任地としてよくおわかりのところでありまして、そんなに広くないところであります。そんなに広くないところで、白昼とは言いませんけれども、警察へ行って警察官を殺して逃走するというような前代未聞のことが起こって、しかもまだ、数日かかっておりますのに十分なお答えができないということは、まことに私は遺憾千万なことで、全国のまじめに働いておる警察官諸君のためにも、それはまさに獅子奮励して一刻も早く逮捕してもらいたいと思う。  あわせて藤枝さんに意見がましいことではありますけれども、われわれがこうして——まあ法務大臣の先ほどの、取り消されたと思うのでありますが、迷惑というようなことも出るほど熱心に、しかも事実問題としては、たいしたこともない二百人の人があそこを通るだけでかくも大論争をしておる。他方では、警察官が見るも無残に遺族を残して殺されておるということは、何か私は政府の力点の次元が違っているような気がしてしかたがない。これはひとつ藤枝さんのほうとしても、思いを新たにして、もっと何が重点だということを考えて、全力をあげて督励をし、一刻も早くすみやかなこの暴虐犯人の逮捕に精進してもらいたいし、あわせていま局長が申しましたように、遺族の救援に、弔慰に、遺憾なきを期してもらいたいと思う。どうでございます。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 警察といたしましては、凶悪犯罪の防止並びに早期検挙、また暴力団の撲滅に最重点を置いておるわけでございます。横山さん、何かデモばかりに気をとられているようにおとりですが、事実はそうでないのでございまして、凶悪犯罪並びに暴力団の撲滅に全力をあげておるわけでございまして、その意味におきましてはさらにその点に重点を置いてまいりたいと思います。  また、警察官が警察署の中で殺されたというようなことは、初めてでございます。警察官の殉職が相次いでおりますが、これらについては執務体制の反省等もいたしまして、かようなことのないようにいたしてまいりたいと思います。  弔慰の問題につきましては、法律の許された最大限度のことを考えております。また、政府みずからではございませんけれども、一般の浄財をいただきまして、子弟の教育に万遺憾なきを期すような育英制度も創立した次第でございまして、いずれにいたしましても、殉職警察官の遺族が安心して人生を送れるようにさらに努力をしてまいりたいと思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 松本善明君。  この際、松本君に申し上げます。時間もずいぶん経過しましたから、どうか簡潔に。また、政府側も、答弁はなるべく簡潔にお願いをいたします。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 いままでいろいろ質問がありましたが、できるだけ重複しないように、しかし重要点をお聞きしたいと思います。  まず、国家公安委員長にお聞きしたいのですが、大学教授であります星野安三郎氏を代表とする今回の示威行進を、平穏でない、そして一瞬にして暴徒に化す集団というふうに判断をしたのかどうか、このことをお聞きしたい。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 この異議申し立てをした理由はここにありますが、昨日も、一瞬にして暴徒と化すような事例があるかというお尋ねがございました。そうでなくて、これ全体をお読みいただいて、およそ集団示威運動というものはそういう性格を持っておる、そういう性格を持っておる集団示威運動は、平穏に保たれなければならない国会周辺ではやっていただきたくないということで、都公安委員会が進路の変更を条件にしたそのやり方を、われわれとしては正しいものと認め、そうして異議の申し立てをいたしたわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、いまの答えでは、結局、今度の示威行進を一瞬にして暴徒に化す集団と判断したのではない、だけれどもこういう措置をとったのだというふうに受け取りますが、もしそうだといたしますと、これは平穏な示威行進を抑圧したということになるのじゃないか。なぜ私はこのことを言いますかといいますと、東京都公安条例が合憲であるというふうに判断をいたしました最高裁の判決も、公共の安寧の保持を口実にして、平穏で秩序ある集団まで抑圧することのないよう極力戒心すべきであるということを言っているわけです。この最高裁の判決は、私は間違っている、これはいろいろ問題のあるものであるというふうに考えておりますけれども、その最高裁の判決でさえ、権限を乱用して、平穏な秩序ある集団を抑圧するということはいかぬのだということを言っておるわけです。今回の政府の措置は、まさにこの最高裁判決がいっております内容にぴったり当たるというふうに思います。したがって、そういう意味では憲法違反ではないかと思いますが、政府の見解はどうか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 最高裁の判決の中でも、集団示威運動というものについていろいろ述べられております。そういう物理的な力にささえられて表現をする、国民に訴えるというそうした集団というものは、たとえ初めにおいて平穏にやろうとしても、ときによっては平穏ならざることもある。あるいはまた、平穏と申しましても、集団行進とは違って示威を伴うわけでございますから、一つの気勢にささえられて国民に訴えるという行動でございます。そういう性格のものである、そういうことを一面において前提にし、そうして、一方、国会というものは常に平穏に保たれなければならないという要請、これと両方を踏まえて今回の処置をとったわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 いまの国家公安委員長の答弁は、私の聞きましたことをまっ正面からお答えにならないで、最高裁判決がほかで言っているところを引用して言われたわけですけれども、しかし、その見解によりますと、結局デモというのは、どういう示威行進でありましても、一瞬にして暴徒に化する危険があるのだ、こういう判断を基礎にして考えている。先ほど言われたのは、星野安三郎氏を代表とする今回の示威行進は、そういうものであるとは考えていなかった、こういう趣旨でありましたけれども、いまの答弁によりますと、大体示威行進というものはそういう性質を持っているのだ、だから今回の措置に出たのだ、こういう答弁になっていると思うのです。それでいいのでしょうか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 先ほどのお尋ねは、今回の護憲連合というものが一瞬にして暴徒と化するようなものと判断したのかというお尋ねでございますから、一瞬にして暴徒と化するというほどのことを考えたわけではありませんけれども、この述べておるような性格は、いずれの集団示威運動においてもそういう性格を有しておる、そういう性格のあるものが国会の周辺に来ることは好ましくない、そういう判断でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それはまことに矛盾した答弁であると思います。先ほど言われたことと違うと思います。それは国家公安委員長の答弁のしかたがうまいへたではなくて、政府のとった措置とその理由が矛盾をしているからです。政府はその点の答弁を——先ほど法務大臣は、一時のがれの答弁をするのではないと言いましたけれども、こういう機会に、自分たちのとった措置が矛盾をしていないかどうかということを、やはり謙虚に反省をすべきだと思う。示威行進がそういう性格を持っているとすれば、国家公安委員長がいまあとから言われたように、常に一瞬にして暴徒に化するというような性格を持っているということをもし前提にするならば、これは国会周辺のみならず、どこを行進をさせても危険であります。そうではありませんか。それなら、そういう政府の考えを突き詰めていけば、こういうものは禁止したほうがいいという考えになりかねない。示威行進というのは一瞬にして暴徒に化するのだ、どんなに平穏に見えていてもそれはそういう性格を持っているのだということになるならば、これは国会周辺のみならず、全部禁止したほうがいいということに理屈の上でなるのです。そういう考えが憲法に違反をしているのだということが、いろいろ質問者から言われているわけです。その政府の考え方の根本問題を変える必要があるのじゃないかと私たちは思うわけです。だから、そういう示威行進——これは最高裁判決も間違っていると私は思う。これは、自民党が任命した最高裁の裁判官がそういう判断をしたということは、自民党にも、総理大臣にも責任がある、内閣にも責任があると思いますけれども、私は、この最高裁の判決でいま自治大臣が引用されたところも間違っていると思いますけれども、こういう集団示威行進が一瞬にして暴徒と化すものだ、そういうふうに見るということは、こういう示威行進の自由を最大限に尊重するという態度ではなくて、これを敵視をする態度だ、こういうふうに思うわけです。こういう見解そのものが憲法に違反をしているのじゃないかと思いますけれども、あらためて国家公安委員長の意見を伺いたいと思います。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 一瞬にして暴徒と化するということを、非常に強くおとりになっているようでございます。最高裁の判決の中あるいは今度の異議申し立ての中で申しているのは、はなはだしきに至ってはということでございます。ただ、そういう潜在する物理的な力にささえられておる集団示威運動というものは、ときに計画された、あるいは突発的な刺激によって激高するような場合がある、そういう性格がある、可能性がある、そういう可能性のあるものは、少なくとも平穏を旨とすべき国会の周辺では好ましくない、こういう考え方でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私は、また変わってきたと判断をするのですけれども、そういうはなはだしきに至ってはというのであれば、すべての集団示威行進をいうわけではないけれども、そんなに強くとられたのでは困るけれども、特別の集団だけがそうなんだ、はなはだしきに至ってはなんだということであれば、そのときだけ考えればいいことでしょう。それが、先ほど私、最高裁の判決を引用して申しましたように、平穏な集団示威行進までも抑圧することは決してないようにといっている趣旨ではありませんか。政府のやっていることは、まっ正面からこれに違反をしていることをやっていることだ。国家公安委員長、どう思いますか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 たびたびお答えを繰り返すようですが、最高裁の判決におきましても、集団示威運動というものはこういう性格を持つ——もちろん、一方において平穏な集団行進のようなものまで規制する必要はないと思いますが、しかし、集団示威運動というものはこういう性格を持っているのだ。最高裁の判決そのものに松本さんは御反対でございますから、いろいろあろうと思いますけれども、そういう性格を持っているものが平穏であるべき国会の周辺に近づくことは、これは規制すべきである、こういうことでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この点では、相互に矛盾をした答弁が繰り返されておると私は考えますが、これ以上やりますと、この点では押し問答になりかねないので、これはあらためて国家公安委員長、検討してもらいたいと思います。  もう一つお聞きしたいことは、この委員会でもそうでありますが、参議院の本会議でも、国家公安委員長は、開会中の国会については、集団示威行進は今後も許可しない方針であるという趣旨を言われた。法務大臣もそのことを何度も繰り返されました。それは重要な問題であると思いますので、あらためて確かめておきます。これは間違いのないことであるか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 たびたび繰り返してお答えしたようなものでございますから、そういう性格のものを国会周辺からは規制をいたしたい。しかし、もちろんこれは法律でありませんから、都公安委員会に申請が出されて、都公安委員会がこれを許可する際にいろいろやられるわけでございますが、現在まで都公安委員会がとっておられる方針というものは、私は支持されるべきものと考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 その答弁では、いまのように言われたわけですけれども、いままでの法務大臣の答弁でも、許さない、あるいは許可をしない、そういうことばが盛んに国家公安委員長と法務大臣によって使われるわけです。その考え方、それはいま国家公安委員長の答弁にありましたように、法律上は何の権限のないことであります。政府には許可をするとか許可をしないとかいう権限はないのです。東京都公安委員会の権限であります。それを政府のほうで許可をするとか許さないとか、こういうように表現の自由、示威行進の自由を、政府の思いのままに許可をする、許可をしない、こういう考え方が憲法違反なんだ。外国の立法例でもそんなことは一つもないです。私たち外国の立法例賛成しませんけれども、みんな法律できめている。政府がかって気ままに許可をする、許可をしないというようなことのきめられているところはないです。それが憲法に違反をする、民主主義に違反をする考え方ではないか。国家公安委員長は許可をしないという答弁をいままで参議院の本会議でされた。このことは新聞にも報道されておりますが、その発言は取り消される趣旨でありますか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 当時の表現をどういたしたか、ちょっと記憶が薄れておりますが、要するに都公安委員会、正確に申し上げますと都公安委員会が従来とってきた、集団示威運動については国会周辺は迂回させるという、その方針を支持いたしますということでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 これはあくまで東京都公安委員会の権限に属することであります。地方自治に属することであります。政府が干渉すべからざる問題であります。それに、そのような発言を、平然と法務大臣それから国家公安委員長もするというところに重大な問題があるのである。憲法の本来のたてまえをすっかり忘れ去っておるということを私は指摘をせざるを得ないと思います。今度は東京都におきましては、公安条例の撤廃を目ざすということを掲げている都知事が当選をしている。東京都民の意思は、そういうふうに明らかになっているのであります。政府は、いままでのような地方自治を侵害をするという考え方、これを撤回をする考えはありませんか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 松本さん、あなた法務大臣が許可せぬ、許可せぬといったって、法務大臣は権限の関係はきわめて明白に、何度もくどいほど言っておる。許可は公安委です。それの執行停止をしたのが裁判所であって、それに異議の陳述を行なったのは内閣総理大臣である。こんなややこしい法律はないということまで私は言っておる。許さぬということは、いま藤枝大臣の仰せになったように好ましくないので、国会開会中ば周辺にデモをしてもらうことは困るんだということばも何度も言っている。許すべきでないということばは、私が許可する、すべきでない、そんな意味じゃないです。公安委員会が許可する権限があるんですから、それはそういうことなんです。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私はこまかく説明をすれば、公安委員長やあるいは法務大臣のような答弁が出るということは、十分予想しております。しかし、うかつにも許可をするとか許さないとかということばが出るところを問題にしているのです。これ以上は言いません。そういうことばが出るということについて反省をしてもらいたいと思う。  それからもう一つ、許可をするということばについて、許さないとか許すとかということばについて、これはもっと大事な問題があるわけです。それは皆さんが、政府が根拠にしております最高裁の合憲判決でも、これを許可制というけれども届け出制と同じものなんだ、許可を申請すれば必ず許可をしなければならない、そういう性質の、ほとんど許可といっても許可ではないんだ、許す、許さぬというような問題は、原則として起こらない制度なんです。だから憲法違反ではないと言っているんですよ。それを平然と許可をする、許可をしないということばが大臣からどんどん出るというところに問題がある。それが表現の自由ということ、憲法の保障している基本的な人権を十分に尊重するという姿勢に立っていないということの最大の証拠なんです。そういう意味で言っておる。このこと自身が、この許可制、公安条例、これは憲法違反だということを盛んに言われておる、このことについて法務大臣、国家公安委員長どう考えられますか。この届け出制、許可制ということについて、どういうふうに考えられるか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 東京都のいわゆる公安条例第三条におきまして、一面において「集会、集団行進又は集団示威運動の実施が公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明かに認められる場合の外は、これを許可しなければならない。」という意味において、いわゆる現存明白という危険がない限りは許可しなければいけない。それは、そういうこと以外には許可しなければならないというのは、届け出と同じだという御解釈もありましょう。しかし、そういう現存明白な危険がある場合には許可しないという条項がある意味においては、許可制と考えてもいいんじゃないかと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、最高裁の判決の趣旨とは、国家公安委員長の考え方は少し違うわけですね。最高裁の判決は、許可制とはいうものの、届け出制と同じものなんだ、だから憲法違反ではないんだ、こういっているわけです。国家公安委員長は、これは許可制といってもいいんだ、こういうことですか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 この最高裁のここの判決の中にいっているのは、原判決が許可制だからいけないんだということをいっているけれども、許可制であるとか届け出制というのではなくて、この全体が、いま言いましたようにこの条文を踏まえて、最高裁が第三条の本文を踏まえて、そうしてそういう意味においては原判決のいっているような許可制ではないのだということをいっておるものと私は解釈しますから、先ほどのような私の答弁になると思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この際に、国家公安委員長に言っておきますが、私の知ります範囲では、西ドイツ、フランス、イタリア、こういうところも届け出制であります。それからアメリカの連邦最高裁判所も、何度も、各州の州法だとかあるいは市条例をもって許可制をとっている場合に、これは憲法違反だということを判決をしておるわけです。いわゆるブルジョア民主主義的な自由であります。そういうところの育ってきました国におきましても、表現の自由と集団示威行進を許可制にしてはいかぬのだ、原則として自由にさせなくちゃいかぬのだ、こういうたてまえなんです。日本は、そういうたてまえではないのですか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 原則として、そういうたてまえだと思います。したがいまして、いわゆる東京都公安条例の第三条の本文におきましても、そういうはっきりした現存明白な危険がない限り、許可しなければいけないと書いてあるものと私は解釈しております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 国家公安委員長、昨日は、星野安三郎氏を代表者とする今度のデモは、現存明白な危険はないと言ったんです。いまあなたの答弁では、東京都公安条例は現存明白な危険がない限りは許さなければならない、届け出制と同じものなんだ、だから憲法違反ではないというのでしょう。ところが昨日のあなたの答弁では、これは直接現存明白な危険はない、そこまでは考えていないということをはっきり答弁されたんです。あなたの昨日の答弁ときょうの答弁は食い違っているし、昨日の考え方でいけば、これは許すべきものではないか、こう思いますが、どうですか。

藤枝泉介自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○藤枝国務大臣 現存明白な危険がある場合以外許可しなければならない。そうして東京都は許可をいたしました。ただその第六号におきまして「公共の秩序又は公衆の衛生を保持するためやむを得ない場合」に、進路の変更をするという条件で許可をいたしました。この処置をわれわれは妥当なものと考えているわけであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 いまの国家公安委員長の御答弁を前提にいたしまして、法務大臣にお聞きしますが、法務大臣は再三にわたりまして、本件の異議申し立ては、裁判所の判断が誤りである、当を得ないものとして判断を行なわれたものだという趣旨のことを答弁をされております。これはもちろん法律的に裁判所の判断が誤っている、こういうことであるということで言われたのでしょうね。確かめるようなことですけれどもお聞きしたいのです。法律的に裁判所の判断が誤っている、こういう立場で発言をされたのでしょう、こういうことです。いかがでしょうか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 法律的というよりは、公共の福祉、これを維持する、公共の福祉を守る必要性というものに関する認定において、政府と考えの違うところがある。すなわち、政府の考えを基準として申せば、裁判所の判断は間違った、当を得ない、こういうことです。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうしますと、これはいわゆる法律的に裁判所の判断が誤っているというのではない、こういうふうに伺っていいでしょうか。それ以外の、政府のほうの判断と食い違っている、そういう意味で当を得ないとか、誤っているとかいうことを言った趣旨であって、裁判所が法律的に誤っているという判断をしたのではない、こういう趣旨に伺っていいでしょうか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 法律をお読みになると書いてありますように、公共の福祉に重大なる影響がある、法律はこういうことであります。その観点が間違いなんだ、こう言うのでありますから、法律に書いてあるその限度においては、法律上間違っておるということも言わなければ間違いが言えないのですね。ちょっとややこしい言い方でしょうけれども、そうでしょう。そう言うよりしようがない。ことばをかえて言えば、法律にいう公共の福祉に対する重大なる影響というものについての観測が誤りである、政府の判断のほうが正しい、こう考えるから、異議の申し立てをやったわけである、こういうわけです。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、結局法律的にも誤りであるということを言われた。先ほど言われた趣旨では、法律的にというよりは、というふうに答えながら、私のほうが突っ込みますと、そうではない、法律的にも誤りである、こう、またもとへ戻ったように思うのですけれども、あとの答弁を基礎にいたしましてお聞きいたしますけれども、そうしますと、これは東京都公安条例によりますと、先ほど藤枝国家公安委員長が答弁をしましたように、公共の安寧を保持する上で直接に——直接ですよ、危険を及ぼすことが明らかと認められる場合のほかは、許可をしなければならないということになります。そうして、裁判所はそれを判断しているのです。直接その危険があるかどうか、それが明白かどうかということを判断をしているのですよ。直接この二百人の星野安三郎氏を代表とする集団、公安委員長の答弁によれば、直接現存明白な危険はないという集団です。性格として示威行進だから危険な性格を持っているということをあとから言いましたけれども、直接その集団としてはその危険はないのだ。だから東京地方裁判所は、この東京都公安条例のいっている直接危険が明白でないということで許可をしたわけです。それが誤りである、国家公安委員長の言ったような直接明白な危険があるということを政府が判断をした、こういうことですか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 あなた、こんがらがったことばかりおっしゃる。いまあなたの仰せになることは、東京都公安委員会の判断することです。本件の二十七条にいう内閣総理大臣のいわゆる発動だとすれば——その発動ということばはどういうことかというと、その東京都公安委員会の行なった進路変更づきの許可というもの、それが前提になるのです。その許可というものを維持するにあらざれば、変更してもらっちゃ困るので、これを維持するにあらざれば、公共の福祉に重大なる影響を与えるものと認める、こういうことで発動をしておる。はっきりしておるでしょう。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 はっきりしてないですよ。私が法律的にも誤りなのかどうかということを言った趣旨は、そこなんです。政府は行政事件訴訟法二十七条ということだけを判断したのか、それともこの裁判所の判断が誤りだということも判断をしたのかということと、事を分けて聞いたではありませんか。それが重要なんです。裁判所の判断、下級裁判所の判断、これが法律に合致しているかどうか、憲法に合致しているかどうかという判断を、上級裁判所が変えるというならわかる。それが、総理大臣がこの裁判所の判断が間違っているという判断をすることが司法権に対する介入なんだ。法務大臣自身もこれは迷惑な法律だと言った。私のことばを理解すれば、これは悪法だ、五年前に自民党がつくったばかりの悪法だ。だから私はそのことを聞いたわけです。  あらためてお聞きしますと、私の聞いているような趣旨で政府は裁判所の判断が法律的に誤りであるというふうに考えたのかどうか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 裁判所の意見と、政府の意見と、意見が違うということが前提でございます。どう違うのかといえば、それは裁判所の停止決定という裁判をそのままにしておけば——しておけばというとまたことばが悪いが、放任しておけば、国会開会中の国会の周辺に対する公共の福祉、公共の秩序というものを維持することができなくなる。それは困るということがその理由なのであります。何度言うても同じであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣が答弁を掛けていると私は思いますけれども、結局、法律的に誤りであるということになれば、いま申しましたように、司法権、司法的な判断を総理大臣がするということになる。それから、そうでないということになるならばこれはどうなるかといえば、裁判所の憲法違反だという判断もそのまま正しいということになる。だから法務大臣は答弁に困っているのですよ。くどくどしたことでは決してない。一方では憲法違反だという判断を裁判所がなしている。これはこれで正しいのだといえば、政府は憲法違反をやったことになる。だから答弁に困るのですよ。そういう問題なんだ。法務大臣、行政事件訴訟法二十七条が悪法であるということはお認めになるのですか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 先ほどから申し上げるように、悪法であるとか、無効であるとかいうようなことを、一切私が考えるわけがない。ただ先ほどからもくどく申し上げますように、これは二つのものの接点であると言うておりますけれども、事実は東京都の公安委員会と、裁判所と、内閣総理大臣という、実は三つの作用の接点を受け持っておるものであると、こう考える。たいへんその手続自体が複雑なものである、めんどいものである。また、これはめんどいということばが問題になるかもわからぬが、めんどいものである、まことにめんどうきわまるものである、こういうことであります。それは悪法であるとあなたはおっしゃるが、私は悪法とは言わない。現行の法律を守らなければならないのが政府であり、国会であり、私たちの任務でございますから、現行の法律が悪法であるとか、これは無効であるとか、そんなことは簡単に私が言うべきものではございません。また言うてもおりません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そういうことで、結果といたしましては、私たちは意見表明の自由が制限された、憲法違反が行なわれたと思っておりますけれども、これについては非常に適切なことばがあります。ちょっと申し上げて、法務大臣に考えてもらいたいと思うのですけれども、アメリカの連邦裁判所のロバーツという判事の、ハーグ対CIO事件で、これは一九三九年で、相当昔の事件でありますけれども、意見表明の権利を官憲が無制約に抑圧することをもって、意見表明の権利行使に関し生じ得る混乱から社会秩序を保持する官憲の義務にかえることは許されない。これは翻訳だからたいへんむずかしいですけれども、要するに国家公安委員長が言ったように、デモ行進というものは、いつ暴徒に化すかわからぬという危険があるということで事前に抑圧しておくということはいけないということを言っておるわけです。一九三九年ですよ。法務大臣、この意見についてどう考えますか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 これはアメリカさんの御意見ですね。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 何ら関係しませんか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 この大事な微妙な論議をしておるところで、それがよいとか悪いとか私は答えをいたしかねる。現実の本件二十七条発動問題についての御質問ならば、えりを正してお答えをいたします。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 あまりぴったりとするのでお答えをいただけないのだというふうに理解をいたしますが、この示威行進の自由、表現の自由という権利の問題、これはいままでの論議でも平行線をたどっている。これの根本問題について、法務大臣と国家公安委員長にお聞きをしたいわけですけれども、この権利の保障というのは、私は田中さんにしても、藤枝さんにしても、あまりデモは好きでないのだと思います。しかし、好きでないものを聞く義務があるのですよ。よろしいですか。会社の社長だとか、あるいは自民党の代議士の先生方だとか、こういう方は、デモはしないでしょう。自分が一言言えばものごとが通るのです。しかし、通らない人がたくさんいるのです。こういうふうにしてもらいたいと言っても、なかなか通らない人がものすごくたくさんいるのです。この人たちが、自分の意見を表明をするのが示威行進なんです。集団的表現の自由と言われているものなんです。これを尊重しなければならない。これはいまの社会の下で労働者だとか、農民だとか、あるいは主婦だとか、こういう人たちの表現の自由なんです。これを最大限に尊重すべきだというのが憲法の趣旨ではないか。法務大臣、どう考えられますか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 松本さん、あなたは私の経歴を御存じないのだが、私はデモはきらいじゃないのです。保守党におるけれども、デモはきらいじゃないのです。それは、学生時代にストライキをやって首になったこともあるし、デモンストレーションをやり過ぎて首になったことがあるし、それは私はデモはきらいじゃない。あなたは一方的にそうおっしゃるが、そうじゃないのだ。デモを禁止するなんということは政府は言っていないのです。くどく言っておるように、国会の周辺、それも国会の周辺全部がいけないと言っておるのじゃない。開会中の国会周辺だけは、たとえよい目的であろうともデモンストレーションはこらえてもらいたい、こういう趣旨なんです。それ以外のデモは大いにやってよろしい、違法でない限りどんどんやってよろしい。東京都公安委員会も差しつかえない限り積極的にこれを許可してよろしい、届け出同様にどんどんやってよろしい、こういうことであります。どうかその点は誤解のないように。保守党におるからデモがきらいだなんということは要らぬことだね。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 ではないかと思ったのですけれども、実際の措置は、きらいだと思っているとしか理解できないのですよ。国会の周辺で、田中さんや、藤枝さんや、あるいは佐藤さんに聞いてもらいたいことがたくさんあるから国会に来たいといっているのです。そういうことですよ。私は、これは民主主義の根本問題だと思う。あなた方は国会で、選挙が終わったらこの議院だけで何でもきめられるのだ、こう考えておられるかもしれないけれども、そうではないですよ。民衆の声をほんとうに尊重して聞いていくというのが、憲法の予定をしている民主主義ではないか。これが実際上は、先ほど田中法務大臣が言われたように、どれだけ裁判所が判決をしてきても、決定をしてきても、全部とめていくのだという考え、これは政府が、開会中の国会周辺に関する限りは、法律がなくてもここのデモは禁止するということです。これは民主主義の根本原則に反すると私は思います。政府は重大な反省をすべきことではないか。そうすれば解決することだ。だからこそ、何日にも何日にもわたってこの国会で論議をされ、それから世論の中でもいろいろな人たちが——直接共産党や社会党に賛成しない人たちが……(「六時を過ぎているのだから、早く質問しろ」と呼ぶ者あり)質問しているのだ。そういう共産党や社会党に賛成しない人たちまでも、これはいかぬということを言っているのですよ。それを根本的に反省すべきだと思いますが、法務大臣どう思いますか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中国務大臣 お説よくわかりました。反省すべきことは反省せねばなりませんが、お説の根本に違うところがある。あなたのおっしゃるのは、政府に見てもらいたいからデモをするのだ。その気持ち、よくわかる。それじゃ方法があるじゃないか。デモを許すのです。国会の周辺でも、ただ一つでも許す。それはどういうことかというと請願デモ、請願して、おのれの意思を明白に書いて請願するデモは、何万名おいでになっても許すのであります。取り締まりなどはしないのであります。そういう方法によって、どうぞ松本さん、国会の周辺は静ひつにひとつ維持してくださるように、共産党も国会の中にはおるのですから、野党なんだから、それにはひとつ松本さんも御協力をいただくようにしませんと、何だかこう国会周辺の開会中のデモをあおりたてるように——またことばが問題になろうかと思いますが、あおりたてるようなことを仰せになると、みんな全国民がこの御説明を聞いておる、そういうことのないように、わけのわからぬことは言っておらぬのです。意見を聞いてもらいたいことがあったらどんどん意見を持っていらっしゃい。何万名の意見でも受け取るというのです。ですから、そんなにわけのわからぬことは言っていないのです。デモは好きなんですから。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 平穏な示威行進ができるということを言っているのですよ。民衆のほうは自由にできるのだということ。法務大臣の答弁にはたいへん不満でありますけれども、時間の関係もありますので、これで質問を終わります。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十六分散会

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