法務委員会 第19号
- 発言数
- 212 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1967/06/09
会議録
○大竹委員長代理 これより会議を開きます。 大坪法務委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。 法務行政及び検察行政に関する件、並びに人件擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次、これを許します。沖本泰幸君。
○沖本委員 きょうは、出入国の問題に問題をしぼって、御質問していきたいと思います。 まず、現在の出入国管理令についてですけれども、戦後GHQがこれをもっておって、それから移管されていって、それで現在の出入国管理令というものができたわけですけれども、一部聞きますと、これは多分にアメリカの移民法を盛り込んだところの管理令で、いわゆる治安偏重に流れたり、あるいは厳重過ぎる、こういう声があるのですけれども、この点はどうなんでしょうか。
○笛吹説明員 ただいま仰せのとおり、出入国管理令は昭和二十六年、いわゆるポツダム政令として制定されて、その後、昭和二十七年の講和条約発効時において、法律百二十六号をもってこの出入国管理令が、法律の効力をもってその後も施行されるということになっておるわけでございます。アメリカの移民法も相当に取り入れて考えたのでございますが、ただいまおっしゃいました治安偏重、そういった面はあるようには私は考えてはおりません。出入国管理令で、日本の国の利益と、それから外国人の人権といったものの両者をあわせて目的を達成するようにというのがこの令のたてまえでございます。
○沖本委員 大体一つの国の出入国を管理していくという面についても、現在の日本が置かれている国際間の中における地位とか、あるいは現在の世界情勢とか、そういう点に合わせていって、現在の国情を考えて、この管理令そのものが、即、合っておるか合っていないか、多少変えなければならない、あるいはアメリカの移民法を盛り込んだところに欠点があったとか、あるいはスイスとかヨーロッパの国の、スピーディにやっていく入国管理に対して、だいぶ幅がある、こういうふうに聞いているのですが、今後観光ブームによって、人も相当ふえておりますし、そういう観点から、もう少しやさしい手続なり、方法なりで、入れるとか、この管理令そのものを、変えなければならない時期にきているのではないかと考えるわけです。その点はどうですか。
○笛吹説明員 先ほども申し上げましたように、ポツダム政令として発足した出入国管理令でございます。その後わが国の国際的な地位が向上いたしております。それに伴うわが国と外国との間の人的交流がふえております。最近のように、航空機はじめ交通機関が発達してまいりましたので、世界的に人的交流が非常にふえておるわけでございます。そういった面で、十六年前に制定された出入国管理令が、現在のところで全部マッチするかということになりますと、われわれも現在の情勢に合わないところが多少あるのじゃなかろうか、そのように考えておるわけでございます。 そこで、いまおっしゃいました出入国管理令を改正する意向はないかということでございますが、われわれもそういった面を考慮いたしまして、数年前から出入国管理令を廃止して、新しく出入国管理法というものを——これはかりの名前でございますけれども、そういった法律をつくりたいという立法作業に従興しておるわけでございます。それはなかなかむずかしい問題もいろいろございます。単に、法務省だけで考えられることでございません。各省の関係もございます。それからまた、外国の立法を参考にする必要もございます。そういったいろいろな面もございますので、作業はなかなか迅速には進まなくて、いまだに法案をつくるという段階には至っておりませんけれども、鋭意その面に努力いたしまして、新しい法律をつくりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○沖本委員 私の考えですが、東京オリンピックまでには、そういうものができていなければならなかった。また、国際会議も開かれていくし、国連にはこちらの大使が出ていったりして、国際情勢の中における日本の地位というものは、非常に重要になってきている段階ですから、その中にあって、ポツダム政令をまだ引用しておるとか、こういうことであっては全くナンセンスである、こう言わざるを得ないわけです。そういう点で、いま立法化の作業をやっておるというお話なんですが、それはいつごろできるのでしょうか。 また亡命に関する法令あたりもきちっとしたものができていなければ、今度の金東希の問題だとか、いろいろな事件に関連して、たちまち困るわけなんです。こういう点で、この亡命に関しては、出入国管理令や逃亡犯罪人引き渡しの条項なんかを援用してやっていらっしゃるんでしょうか。あわせて答弁していただきたいと思います。
○笛吹説明員 法律の立法作業はいつごろできるかということでございますが、数年前からやっておりまして、特に入国管理局に、参事官室というものではございませんで、参事官を一人置きまして、それに専従させておるわけでございますけれども、いま申しましたように、作業が非常に広範な関係がございますので、いつということをちょっとここで申し上げかねる、こういうことなのでございます。鋭意努力しておるという点で、ひとつ御了承願いたいと思います。 亡命の問題をおっしゃいましたが、亡命という問題になりますと、概念から申しましても、国際的にもなかなか固まっていないような面もございます。わが国におきましては、憲法にもございませんし、そういった亡命関係の、いわゆる一九五一年の難民の地位に関する条約、ああいったものにはわが国は加入いたしておりません。そういう状況でございますので、直ちに新しく法律をつくるといたしましても、かりの名前が入国管理法といたしましても、その法案の中にいきなりそれを織り込むということは、ちょっといまのところはむずかしいのではないかと考えております。
○沖本委員 鋭意努力していらっしゃるというんですけれども、これはそういう問題でないと思うのです。国内だけの問題で済まされるならば問題はないのですけれども、外国と肩を並べて国際社会で活躍していこうという日本の国に、ただポツダム政令を基準にし、アメリカの移民法を基本にしたところの単なる政令にすぎないものしか持っていないということ自体が日本の国の恥ではないか、こういうふうに考えるわけです。ですから、いまここでその問題を押し問答したところで始まらない問題なんですけれども、ただ、鋭意努力します、鋭意努力します、ということではなく、一つの目標をつくって、完全なものをすみやかにつくらなければ、このこと自体は国際社会から日本の国は非常におくれている、こういうそしりを免れないと思うわけです。こういう点はいつまでということを区切ってやることもどうかと思いますけれども、やはり一つの目標をつくって、すみやかに入国管理法のりっぱなものをつくって、そのことだけでも国際社会できちっとしたものができていく、こういう基準がなければならないと考えるわけです。こういう点はむしろ怠慢であると言われてもしかたがないと思うわけです。この点は、いずれ大臣に質問するつもりでおりますけれども、管理局としては、この点に十分力を入れて、早い時期に完全なものをつくりあげていただきたい、こう考えるわけでございます。 次に、これは法務省あるいは外務省にもお伺いしたいのですが、日米安保条約に基づく地位協定というものがきめられておるわけですけれども、その内容はどういうものなのでしょうか、また適用を受けている範囲はどういうものなのでしょうか、関係のほうから御説明願います。
○浅尾説明員 私のほうから、地位協定の規定の点を概括して御説明いたします。 地位協定の第九条に、米軍人あるいは米軍人の家族、それから軍属の出入国の規定がきめられております。 まず、軍人でございますが、軍人については旅券及び査証に関する日本の法令の適用から除外されるということをうたっております。それから軍属及びその家族については、外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外されるということをうたっております。しかし、軍人の場合でも、日本国への入国または出国にあたっては身分証明書、旅行命令書、この二つを常に携帯しているということが義務づけられております。 それから同じく軍属あるいは軍人の家族は、合衆国の当局が発給した適当な文書を常に携帯していなければならない。それから、入国あるいは出国にあたってその文書の提示を求められた場合には、必ずそれを見せなければならないというのが、地位協定上の規定でございます。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕
○沖本委員 そうすると、それは相互間協定になるわけですから、たとえばビザならビザの点について、日本とアメリカとの関係で、旅行する場合の長い期間の取りきめがあるように聞いているわけですが、それに関してはどういうことですか。
○浅尾説明員 ただいまの日米間の査証の免除そのものは、この地位協定とは直接関係ございません。と申しますのは、軍人の場合は、先ほど申しましたように、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外されるということになっておりますので、身分証明書と旅行命令書さえ携行すればよろしい、日本政府の発給する査証を持っている必要はないわけでございます。
○沖本委員 軍人あるいは軍属及びその家族というものをはずして、いわゆるアメリカと日本との間に、旅行に関して長い期間の許可が取れる、こういうようなことを聞いておるわけなんですが、それに関してはどうなんですか。何度も出たり入ったりできる、一々やらなくていい、そういう協定もできているんじゃないでしょうか。
○笛吹説明員 アメリカとの間におきましては、いわゆる数次査証というものの取りきめがございまして、四年間の、取りきめに従った査証にすれば、四年間数次にこの査証で入国できる、こういうことになっておるわけでございます。
○沖本委員 それは日本にも適用されるわけですか。
○笛吹説明員 これは相互的なものでございますので、日本でもそういう点は当然認められておることでございます。
○沖本委員 それによると、どんな恩典があって、どういう行動ができるのでしょうか。また、そのことによって入管の業務がずさんになるようなことはないでしょうか。
○笛吹説明員 一回ずつの入国、出国に際しまして、一度ずつ査証をほんとうは取るべきなんですが、その取りきめに基づきまする数次査証を持っておるものにつきましては、その必要はなく、その期間はその査証で何回も入国できる、こういうことでございます。したがいまして、査証を一々取る煩がこの人にとってはないわけでございます。 入国につきましては、わが国のそれぞれの港におきまして上陸の審査をいたします。ですから、査証を持っておりましても、これは入国さしてはいけないというような人がありますれば、そこで上陸は禁止いたします。したがって、その査証と上陸とは、直接関係ないといえば変なんですけれども、直接の結びつきではなく、査証を持っておっても、上陸させてはいけないというような人は上陸を禁止いたします。これは出入国管理令の第五条に上陸の拒否条項が載っておりまして、そういったものに該当する人は上陸させない、こういうことになっております。
○沖本委員 そうしますと、米軍の基地内では、軍人、軍属、家族という点は、出入りが当然向こう側になるわけですけれども、この基地内に出入りする一般の外国人、あるいは日本人の出入りはどういうふうになっているのでしょうか。
○笛吹説明員 基地内でございましても、たとえば立川のようなところでございますと、こういうところでも、いまの地位協定に基づく軍人、軍属、家族以外の一般の外国人でありますれば、これはやはり普通の出入国管理令の規制を受けるわけでございます。
○沖本委員 米軍内ですから、軍人、軍属は除外されているという点に関して、こういうところから不良外人とか、あるいは全然入国管理を通さずに、日本にどんどん入っておるようなことはありませんでしょうか。
○笛吹説明員 いままで、そういうようなことから、不良外人、あるいはそれ以外の密入国といいますか、そういったようなもので入ったというものはございません。
○沖本委員 そうすると、横田の基地で、あるいは立川ですか、そういう米軍基地で密輸事件があったという事例はあったでしょうか、なかったでしょうか。
○笛吹説明員 密輸事件となりますと、ちょっと所管が違いますので……。
○沖本委員 関係のほうからお願いします。
○谷川(宏)政府委員 米軍基地に関連する密輸事件という問題につきましては、かつてはときどきあったようでございますが、最近は、日本政府の税関当局の強力な取り締まりを行ないましたことによりまして、ほとんどなくなっておるようでございます。
○沖本委員 かつては、というと、いつごろまでですか。
○谷川(宏)政府委員 終戦直後から、講和条約発効前後にかけましては、相当の密輸の問題があったようでございます。この密輸と申しましても、米軍の軍人、軍属が、日本人に対しまして売ってはならないものを売る場合におきましては、関税を払って売らなければいけないものにつきまして、法律違反を起こしまして、そして密輸の事件として処分されたという例がそのころ相当多うございました。最近は、米軍当局に対しましても、関税法違反にならないように軍人、軍属を指導してもらうほか、私どものほうでも、そういう不法行為が起こらないようにしょっちゅう密輸の違反の検挙をやっておりますので、最近はほとんどないように承知しております。
○沖本委員 そうしますと、たとえて言うと、羽田の空港に米軍の軍人、軍属あるいはその家族が入ってきた場合に、その人たちの入管あるいは税関、そういう点、また検疫等に関しては、どういう取り扱いで通っているのでしょうか、それぞれの関係から御説明願います。
○笛吹説明員 入国管理の面におきましては、そういって軍人、軍属、家族はいわゆる入国管理の規定から除外されておりますので、特に一般の外国人のように入国審査はいたしません。ただ、何のために入国したかということは聞いております。それ以外の審査はいたしておりません。
○谷川(宏)政府委員 税関の場合におきましても、この地位協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律の適用を受ける場合におきましては、税関の検査を行なわないことになっております。
○沖本委員 もう一つ、検疫のほうを……。
○後藤説明員 外国、ことに米軍がこちらへ入ります場合に、大体二つの道があると思うのです。たとえば羽田のような場合、これは米国軍用艦船で来る場合には、外国軍用艦船等に関する検疫法特例というものがございます。これに基づきまして、入港あるいは着陸した場合でございますが、これは当該の日本の検疫所長がやります。 それから日米行政協定で米国が使用しております施設、これに入ります場合は、これはそれを管轄いたします検疫所長が米国の検疫官、大体軍医でございますが、これをしてやらしている、したがって、こちらの検疫済み証を渡して初めて検疫が終わる、そういう形になっております。
○沖本委員 そうすると、基地も羽田の場合も同じですが、税関に関してですけれども、どんなものを持って入ってきても、持ちものとして入ってくる場合には、ほとんどそのまま通ってしまうということになるのではないでしょうか。
○谷川(宏)政府委員 この地位協定の実施に伴う関税法の臨時特例に関する法律によりますと、軍隊として公の目的を持って入ってくる場合の軍隊の部隊の携行品、そういう軍事貨物ということになりますると、検査は行なわれないということになっております。ただし、米軍の軍人等が一般の旅客として入ってまいります場合におきましては、これは一応普通の通関の取り扱いをしておりますので、どんなものでもかってに入ってくるということではないわけであります。検査を免除される物品の範囲は限定されております。その範囲内において検査を受けないことがあるということでございます。
○沖本委員 そうすると、軍事貨物の許可をとっておると全然調べられないわけですね。そうすると、拳銃を持ち込もうと、何を持ち込もうと、そういうことに関しては全然無防備状態である、こういうことになるのではないでしょうか。
○谷川(宏)政府委員 合衆国軍隊の部隊の携行品の中に、個人的なものが入っているかどうかという点につきましては、税関におきましては検査をすることができないわけでございますが、そういうことはないものと私どもは考えております。
○沖本委員 そうすると、結局信じる以外にないわけですから、どんなものが入っていてもこちらとしては感知することができない。ただ、事件があって初めてそれが公になってわれわれの目に触れていく、こういうことになるわけですね。どうでしょうか。
○谷川(宏)政府委員 関税法あるいは関税法の関連する法律によりまして関税をかける場合は、原則として外国貨物を輸入した場合に、輸入した時点において法律に照らして関税を徴収するわけでございます。一応合衆国軍隊が駐留しておるところの基地のPX等において、輸入関税が課せられないものがあった場合において、たとえばそれを持ち出しまして日本人に売る、アメリカの国内法によりましてそういうことができる場合におきましては、その関税が課せられない。外国貨物を日本において売った時点におきまして、これは輸入とみなされて、そこの時点におきまして関税を払わなければならないたてまえになっておりますので、私どもはそういう事態が起こった場合におきましては、直ちに関税を徴収するという手続をとっております。ただ、私ども気がつかない場合が間々あるわけでございますが、この場合につきましては、米軍当局に対しまして、年に数回にわたりましてそういう事態を起こさないように厳重な注意を喚起するとともに、私どもはそういう不法な行為が行なわれることを防止するために、そういう犯罪が起こりそうな場所に対しまして強力な検査、取り締まりの体制をとっておりまして、それによってそういうことが起こらないように最善の努力を尽くしておる次第であります。
○沖本委員 ことばじりをとって言うわけではないのですが、年に数回厳重に勧告もし、申し入れもしておるということになると、年に数回勧告しなければならないようなことがあった、こう理解していいのでしょうか。
○谷川(宏)政府委員 私どもは、米軍の駐留する各地区におきまして、税関の出先機関との打ち合わせ会等の機会が年に数回ございますので、そのときの話題として常にそういうことを言っておるという意味でございまして、ありがちなことでございますから、念には念を入れてやっておるわけでございます。そういう事件があったからということではないのであります。
○沖本委員 比較的貨物を多く持ってくるのは、軍人であるという場合、将校が多いわけです。それはキャンプ内なんかに、軍用貨物として自分の指定された家屋の中にものを持ち込んでおっても、それはこちらが何ら干渉することはできないわけです。そうすると、そういうところからおもにいろいろなものが飛び込んでこないとは限らないわけです。わが国としては、拳銃の持ち込みなんかは、フィリピンとか、その他からの不法持ち込みはやかましく監視はしておるわけですけれども、そういうところから自然に入ってくるということは想像できるわけですね。その点はどうなんですか。
○谷川(宏)政府委員 私どもはそういうことがないように一応考えておりますけれども、いま御指摘のように、全然可能性がないかと申しますると、そういう可能性もないことはないと考えられますので、今後とも一そうそういうことがないように、米軍当局に対しましても注意をしていただくようにすると同時に、私どもといたしましても、そういう犯罪が起こりそうな場所に対しまして、そういうことがあった場合には、関税を必ず払った上で買い取るということの励行につとめてもらうように努力しております。
○沖本委員 そのことに関して米軍との取りきめは、はっきりしたものはないのですか。たとえば、日本の国に入ると武器は携行しなくていいわけです。ところが、アメリカは、武器は登録すれば自由に持っていることもできるし、運ぶこともできるわけです。そういう点に国民性の違うところもあるわけなんですけれども、米軍のキャンプは警備員もおるわけですし、そういう危険性はないわけですし、また強盗が武器を持って米軍のキャンプ内に入ることも想像できないわけです。そういう点につきまして、米軍との間においてはっきりした取りきめはあるのかないのか、お答え願いたい。
○谷川(宏)政府委員 米軍の各部隊所在地における税関の出先機関とその部隊の代表との間で、関税法違反を起こさないようにしてもらうという趣旨におきまして、一応の取りきめはございますけれども、その内容は、主としてたばこと酒類に関する問題でございまして、拳銃等の武器のようなものにつきましては、私どもはそういうことはほとんどあり得ないというような考え方で、具体的に特に打ち合わせ、取りきめというものはないわけでございますが、いま申したような酒あるいはたばこに関しましては、従来から不法な持ち出しという事態が、終戦直後の事態から見て特に激しかった経験に徴しまして、一定の数量を限りまして、それ以上は持ち出してもらわないように、部隊側と取りきめができておるわけであります。拳銃等につきましては、当然絶対に持ち出すことはあり得ないというふうに考えております。
○沖本委員 いまの日本の国では、先ほど言いましたとおり、銃拳なんか持つことは、国民自体は全然考えていないわけです。そういうものが入手できるところもないわけです。しかし、日本を一歩出れば、フィリピンなりアメリカなりでは自由に店頭で買うことができるわけです。登録さえすれば何丁でも持つわけですし、そういう国民性の違いがあるわけですから、自然に持っておるということは想像できるわけです。そうすると、たくさん持ってきて、持ち出したって何らわからないわけです。ほかのほうで一生懸命になってそれを取り締まったところで、そういうところからすぱすぱ抜けていけばどうしようもない。こういうことになるわけですけれども、こういう点、取りきめがないのなら、やっぱり国民性というものは、はっきり言って、日本の国内では治安維持がはっきり整っておるわけですから、日本の法律はこうだから、この点に関しては絶対にそういうものの携行とか何かは、ある一カ所の武器庫に入れるなり何なりするなり相当の取りきめをしていただいて、そういう危険防止をしていただくことは当然だと考えますが、その点はどうですか。
○谷川(宏)政府委員 駐留米軍と日本政府との間で、日本内地におきまして駐留している米軍軍人、軍属すべて日本の法律を守るということは当然のこととして、取りきめと申しますか、当然なことになっているわけであります。関税当局におきましても、武器、弾薬、拳銃等は輸入禁制品でございますので、これを基地から日本国内に持ち出す、第三者に売却するということは法律の禁止するところでございますので、その法律によりまして輸入禁制品となっているものはこれこれである、これは当然に米国の軍隊の部隊長も十分確認をしてもらっておるわけであります。なお、日本の国内法を厳重に守ってくれということは、これは当然なことでございますけれども、今後とも一そうそういうことのないように、日本の国内法の順守方につきましては、私ども関税の面におきましても今後ともそういうことで努力をしたいと思います。
○沖本委員 それから、ベトナムの帰休兵の防疫や検疫については、どの程度行なわれておるのですか。
○後藤説明員 ベトナムからまいりますものの検疫でございますが、私たちのところは、検疫伝染病できめられている三つの伝染病につきましては、先ほど申し上げました検疫の窓口でやっておるわけでございますが、特にベトナムにつきましては、コレラとかペストとか、相当多い発生数を見せておりますので、特に厳重な検疫をやっております。
○沖本委員 基地から外出する人があるわけですから、その点に関してこちら側は検疫しない場合、防疫処置をとっていない場合には、米軍のほうでそういうものをとってもらっている、あるいはベトナムでいまどういう伝染病がはやっておる、だからそういう点に関してはどういう処置をとって、どういう証明書を持って日本の町へ出ていく、こういうような取りきめがないといけないと思うのですが、そういう相互間の取りきめはいまどういうふうになっていますか。
○後藤説明員 これはすでに検疫の門を通過した検疫済み証を受けて、検疫伝染病のおそれがないということで基地に入るわけでございます。それから基地から出る場合、主として基地内の検疫伝染病あるいは法定伝染病、そういう心配がございましても、これは先般、昨年八月と思いますが、合同委員会を通じまして、向こうの基地内の患者の発生数、基地周辺はこちらの当該保健所長の管轄でございますから、こちらの発生状況、こういう情報の交換を緊密にやるという取りきめをいたしております。特に、ただいま申し上げました検疫伝染病が発生した場合、これは直ちに報告をする、それから法定伝染病の集団発生のきざしが見える、あるいは集団発生の場合は、これも直ちに報告する、それ以外の伝染病については定期的に報告する、これはそういう取りきめで防疫体制が即刻確立できるようにこの間の合同委員会できまったわけであります。
○沖本委員 そうすると、この間もちょっと話があったのですが、米軍から修理に持ち込んできたアメリカの戦車に人肉がついておった、こういうようなことが一つのそのときの争点になりましたけれども、こういうふうな修理で持ち込むとか、そういうふうな米軍のいろいろな修理品の検疫なんかはどうなさっておるのでしょう。
○後藤説明員 私たちは、検疫伝染病に汚染されたおそれがある場合ということばを使っておりますが、人間はもちろん十分に検疫をやっております。それから積んでくる荷物、ただいまの御質問のようなものもあるだろうと思いますが、そういうものについても、検疫伝染病病原体が付着しているのではないか、あるいは汚染されているのではないかということがわかれば、これは検疫の対象になります。
○沖本委員 わかれば検疫の対象になるということですが、そういうものについての一々のマークはできないわけなんですか。そうすると、病気が発生してから初めてわかってくるということになるわけですけれども、たとえば戦車なら戦車が、日本の国に入るわけですから、入ってきた場合には、そのまま初めに検疫の対象として見ていけば、いろんな異物がついていればそこで発見できるわけです。そういう点についてあとになってどうこうということは、その辺が全く無防備で、そのまま入ってきているということになるのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
○後藤説明員 おそれがあるということでございますけれども、汚染のおそれがあるということは、たとえばネズミの死体、これについてわれわれはすぐペストということを考えますが、一方、そういう交通を、スムーズに通そうという面もございますので、来たものを全部初めから検疫伝染病のおそれがあるというふうにはわれわれ見ておりません。その飛行機の発航地が、そういう病原体で汚染されているという場合は、これはいたします。
○沖本委員 飛行場の飛行機だけではなくて、船で運んでき、あるいはLSTで運んできて、日本の国に陸揚げしていって、それを修理したりするトラックとか、戦車とか、それに類似する機材なんかの場合に、——ネズミがいたということをおっしゃいますけれども、ネズミがおって、工場の中に入って、工場の職員がネズミを捨ててしまえばもうわからないわけですよ。そういうものに対する一々のマークはどこでやっていらっしゃるのですか。
○後藤説明員 これは、検疫の時点、飛行機あるいは艦船が入りまして、その時点で、まだ入国できる前の時点でございますけれども、検疫の時点で、われわれはそれをいろんな面から、さっき言いました発航地の汚染状況とかそういうふうなことでいろいろ検討しております。 それから、ただいまの質問ですと、国内をそういうものが走るということでございますが、その場合は、もう検疫の門を通ったものについては、国内防疫の面として、いろんな消毒とかそういうことをやる段階になっています。
○沖本委員 ちょっと納得できないのですけれども、飛行機が着いた場合に、汚染された地域を通ってきたものに対してはマークする、こういうようなことをおっしゃるわけですが、全く汚染地域を通ってくるわけです。戦車にしても、トラックにしても。そういうものが修理を受けるために日本の産業の中へ入ってきているわけです。ですから陸揚げされる前に防疫するなり何なりの処置が講ぜられなければならないはずなんですけれども、どういうふうな地点でマークしてそれに対する検疫、防疫というものをやっていらっしゃるかどうかという点は、どうなんですか。
○後藤説明員 陸揚げする前の時点でわれわれが検疫というものをやっております。検疫して、これは心配ないということで初めて検疫済み証が渡されて陸揚げされるわけであります。陸揚げされたものについては、われわれは、検疫伝染病のおそれのないものと検疫所長が認めておるわけでございますから、その心配がない。ただ、いろいろなほかの伝染病があるいはあるかもしれないという危惧もございますので、その場合は、やはりその時点でほかの一般伝染病に汚染されたようなものは、防疫措置として消毒あるいは廃棄するということでございます。
○沖本委員 そうしますと、結局、具体的に言いますと、戦車、トラックが入ってきます。陸揚げされますけれども、その前の段階に米軍のほうは、きっちりそれに対する消毒措置とか何らかの措置を講じさせておるのでしょうか。あるいは日本のほうでそれをやってやるのでしょうか。あるいは側だけ消毒するにしても、中に入っている機材とかなんとかそういうものは、全部手が触れたり何かするわけですから、そういうものは完全に予防措置をとって国内に入れて修理をしておるかどうか、そういう点はどうですか。
○後藤説明員 先ほど申し上げました二つの道がございますけれども、こちらの当該検疫所長がやる場合は、こちらが全部やります。それから行政協定によって米国側が使用している施設については、向こうの検疫官がやるということになります。
○沖本委員 その場合、こちらは立ち会っているわけなんですか、どうなんですか。あるいは兵器とかなんとかは軍事機密という意味で日本の国が全然手を触れられないというものがあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○後藤説明員 検疫伝染病に汚染されたという疑いが非常にある、そういうことでありますと、向こうは仮検疫済み証とか、あるいは患者がいたというような場合は、これはもちろん検疫済み証を出しませんけれども、そういう場合は直ちに向こうの検疫官がこちらの当該検疫所長に連絡いたします。そして両方で協議をして、どこまではどこがやるということをきめまして、直ちに検疫措置、隔離とか、停留とか、消毒、そういう道に進むということであります。
○沖本委員 そうすると、結局そういう事態がわかるとか、何かの形であるものをマークしなければ、そういう措置を講じられないということになるのですね。ベトナムならベトナムという戦略地域を通ってきたものは、ほとんど危険状態の中をくぐってきているわけです。日本の国でも、いま渇水状態になって、雨が降らないというので、防疫体制がたいへんやかましいことになっているわけです。伝染病がはやるのじゃないだろうか、それに対する防疫対策は十分だろうか、あるいは水が足りなくなったら水洗便所の水が出なくなるけれども、それに対してどういう予防措置をやりていくのだということが、国の中でやかましく言われているのですが、そのものが、ただ一つだけマークした分だけから事が発していく。そのほかのものはみんな無通過でどんどん入っていっているということになると、全く何をやっているのか、わけがわからなくなるのです。
○後藤説明員 先ほど人と物というふうに分けましたが、ただいま戦車の話が出ましたが、たとえば水にしろあるいはその他のいろいろな荷物、こういうものについても検疫伝染病の汚染した疑いが持たれた場合は、これは全部、たとえば水であれば、検査して、不適当であれば廃棄する、あるいは消毒する、そういうような措置をとるということになっております。
○沖本委員 どうもそういう点が網の目が荒過ぎて、人が非常に気を使っているという点、危険性というものとあわせ考えて、もっと米軍との間を十分はかって完全な防疫体制に持っていっていただかなければならないと思うのです。その点はもっと完全なものができ上がっていくように早急に検討なさって、これに対するいろいろな対策を立てていただかなければ全くあぶない、こう言わざるを得ないのです。しろうとの私が言うよりも、そちらのほうでよくわかっていると思うのですが、その点厳重にお願いいたします。たとえ米軍たりとも、日本の中へ伝染病を持ち込んでもらっては困る、こういうわけですし、どうも飛行場の検疫とか一般の検疫よりも、この辺のほうがあぶないような気がするわけです。その点はよろしくお願いいたします。 それから次に、潜水艦で熱海あたりにひょっこり来て、アメリカの兵隊が熱海あたりへ上陸して遊んでいるということを週刊誌でちらっと読んだことがあるのですが、そういうことはあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
○浅尾説明員 いま御指摘の点は、かつてそういうことはございました。ただ、これは全部入国手続あるいは検疫手続は横須賀で済ませまして、それから熱海のほうへ行ったということでございます。
○沖本委員 それは全部わかったのでしょうか。ある時点でわかったのでしょうか。何回ぐらいあったのでしょうか。
○浅尾説明員 ただいま私手元に資料を持っておりませんけれども、全部確実な数字を私たち承知しております。
○沖本委員 その後はもうないんですね。
○浅尾説明員 現在のところはございません。
○沖本委員 いろいろ伺ったのですが、そうすると不良外国人についてのマークは、各国に対してどういうような形でマークされておるのでしょうか。また、どういう点で取り締まりをしていらっしゃるのでしょうか。これは法務省、外務省のほうからお願いいたします。
○笛吹説明員 不良外国人の入国につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、出入国管理令の第五条によりまして上陸を拒否することができることになっております。われわれのほうにおきましては、過去において不良な行跡のあった外国人、あるいは外国の警察方面あるいは国際刑事機構ですか、そういった方面からの手配があって、警察庁のほうから入管のほうにお知らせ願ったようなそういった不良外国人、こういった者につきましては、それぞれそのつど各港に手配をいたしまして、その者の入国をチェックするということをいたしておるわけでございます。そういった不良外国人というものが相当リストにありますので、そういったリストをみな各港に配っておりますし、いま申しましたように、またその後警察庁のほうからお知らせいただいたといったようなものはそれに付加いたしまして、順次それを整備していっておるわけでございます。そういうようにして不良外国人は極力上陸を拒否するという方針をとって防いでおるわけでございます。
○内藤説明員 外務省のほうにおきましては、在外公館において査証の申請があった段階におきまして、法務省のほうから入手した入国審査リスト、すなわち不良外国人についてのリストを照合いたしまして、差しつかえのある者については査証拒否、そういう措置をとって不良外国人に入られないようにしております。
○沖本委員 だいぶ渋い顔をしていらっしゃるので、あと残りを次に譲りたいと思いますが、実際に空港へ行ってみましても、あれだけどんどん入ってきたのではマークのしようがないわけですね、いかにリストがたくさんあったにしましても。また、旅券を偽造しているにしたって、よほどの専門家でなければ、ゆっくり見ていかないと見つけられない、こういう実情なんですね。ですから、ズブリスキーとか、ああいうのがたまたまつかまった、こういうようなのは、全く奇跡的ということはないですけれども、よくやったと言わざるを得ないような状態です。そこで羽田の管理状況に関しますけれども、初めの審査官当時には、外務省のほうから相当語学のたんのうな方がたくさんいらっしゃった。それがだんだん外務省にお帰りになって、いまは英語一本やりでやっていらっしゃる。ですから、フランス語が飛び込んできた、そのほかのことばが入ってきたりして、さっぱりわからなくなる。ただし、旅行された方々は、だいぶじょうずになって、英語一本やりだったのが、どうにか通じそうな状態である。こういう状況なんですけれども、その点に関する語学とか、審査官の今後の状況に対しては、どういうふうになさっているのですか。
○笛吹説明員 審査官並びに警備官一般につきまして、語学が必要であることは御指摘のとおりでございます。 英語につきましては、毎年予算もいただきまして、日米会話学院に派遣いたしておりますし、その他各地方の入国管理事務所所在地のそれぞれの個所にあるYMCAの会話学院といったようなところに派遣いたしまして、教育いたしております。したがいまして、英語につきましては、まず大体みな職務に支障がない程度になっているのではなかろうかと思っております。まだ今後とも、一そうの研さんをやらせるようにつとめております。 いま申しましたその他のフランス語とかいうことになってまいりますと、これははなはだ弱体でございまして、フランス語ができる人はわずかしかございませんで、まことにりょうりょうたるものでございます。ドイツ語もまたしかりでございますが、数年前からこれも予算をいただいて、朝鮮語と中国語、これは天理大学のほうに一年間委託いたしまして、そこで教育いたしております。そのほか、朝鮮語は、港だけでなくて、事務所におけるいわゆる資格審査の段階においても、あるいはまた強制退去の移送還の関係にいたしましても必要でございますので、警察大学のほうにもごやっかいになったり、管区警察局にごやっかいになりまして、できるだけ機会を見ては教育するようにしております。このような状況でございまして、入管の職員は全国で千五百三十三名というわずかな人数でございますので、一度に語学研究ばかりやっておるわけにもいきませんけれども、実態を見て、順番に教育して、業務に支障のないようにつとめておるわけでございます。
○沖本委員 フランス語にたんのうな、とおっしゃったんですが、私が行ってみたところでは、一人しかいなかった。それも、フランス語はブロークンであって、フランス語が少しわかるだけで、あとはアフリカのことばしかわからないのが来て困ったという実情も聞きました。そこで、現在の入管の審査官で、羽田だけでこれを完全に行なうようにすると、もう五名の人を加えていって、ちょうどそれでまかなえるようになっておる。それから、観光ブームで人々がどんどんふえていく、国際会議でふえてきて、現状としては、ことしの入ってくる一番低いときでさえ、三十九年のオリンピックの最高のときと同じ度合いになってきている。そういう点から、このリストもいただきましたが、ただいま御指摘のように、平均年々二〇%、三〇%と増加していくようになっておるわけです。羽田だけがこういう状態なんですけれども、そうしていきますと、この前質問しましたときに、来年度は予算をとって、こういう点に関しては十分の措置をとっていきたい、こういうお答えはあったんですけれども、行って伺いますと、いわゆる法律的な知識、手続の問題、いろいろな問題を合わせて、現在向こうに行らっしゃる方は六年から十年のベテランがみなついていらっしゃる。そういう点のお話を伺ってきますと、一つの時点を考え、たとえば万国博で半年の間に百万人の外国人が入ってくる、こういうことを予想して、そういう事業を進めていっているという状態を考えてみますと、自然増でさえも毎年二〇%からふえておるわけです。そうすると、半年やそこいらで養成できるわけでもありませんし、これから募集して入れたにしても、いつごろになったら一人前の審査官ができ上がっていくか、こういうことになると、いまの入管業務あるいはそれに対する対策というものは、全然なっていないのではないか、こういうふうに考えるわけです。 もう一つひどいのは、羽田の所長さんが伊丹の空港を知らない。それから外国へ旅行した審査官が、一人か二人しかいない。これでは——飛行機の中で入国用のカードを、どういう径路で入国してくるかということを実際に知らないようでは、まるで国鉄の職員が汽車に乗ったことがないというのと同じようなことになりますが、予算がありませんということでは済まされない問題だと思います。その点はどういうふうにおやりになっているのか。 あわせて申し上げますと、これは法務省のほうに申し上げたいのでありますが、大体法律ばかりいじっているのが法務省。そういうことになると、その中にいわゆる外務省に類似するような業務をやる入管がひょっこり入っている。まるでまま子みたいな状態なんです。ですから、管理局の中へ入っていくと、まるでこっちが密入国者のように見られるような、非常にサービスの悪い顔つきをされるわけです。そういう点、本省におつとめの審査官とか警備官とか、こういう方々の態度とか服装というものを、もっと考えていただいて、あるいは対外的な問題がたくさん含まれるわけですから、せせこましいところでなく、もっと明るい、いつどんな人が来てもいいような状態に持っていくべきではないかと考える。こういう点、今後どういう処置をなさっていくか、お伺いしたいと思います。
○笛吹説明員 入国管理局関係の仕事の中で、一番典型的にあらわれてくる業務の状態を見るのは、入国者の数なんです。ただいま御指摘のように、羽田の空港におきましては、これは先ほど申し上げましたように、特に航空機の発達といったものが目ざましいので、この一両年においては非常に伸びがあるわけでございます。海の港におきましても、相当伸びているわけでございますけれども、羽田におきましては特に著しく、沖本委員も御存じのように、四十年が五十一万九千人の入国者が、四十一年では六十六万一千人というふうに、非常に伸びているというような状況でございます。 これに対処するために、もっと増員しなければいかぬじゃないかという御激励のことばを賜わりまして恐縮している次第でございますが、私たちといたしましても、いまの羽田あるいは全般的に入管の千五百三十三名の人員をもって十分だとは考えておらないのでございますが、年々増加する業務量に伴って、やはり増員もし、また各港の出張所も増設していかなければならない、このように考え、また質的には、先ほど申しました研修なんかを考え、質的な向上もはかってまいらなければならない、こういうふうに考えておるわけでございますが、予算がと言うと、非常に申しわけないわけですが、なかなかこちらの思うとおりにいきません。本年度も増員ということはついに認められなかったわけでございますので、われわれといたしましては、これから毎年羽田なんかに、特に第二空港ができますと、またジャンボジェットのような、四百人も一度に運ぶような大きな飛行機がこちらへやってくる時代がもう目の前に来ておりますので、そういったものに対処するためには、相当飛躍的なビザ業務の人員の増加というものを、はからなければならないというふうに考えておりますので、今年度の予算では、このような程度でございましたですけれども、来年度以降におきましては、われわれも極力努力いたしまして、その質的な向上もはかりたいと考えておるわけでございます。 それから、法務省の中で入管がまま子扱いだと、こうおっしゃいましたが、われわれ別に、そうまま子に扱われているとは考えてないのでございます。やはり法務省の内情といたしまして、法務省のほうで、ほかの庁と同じように努力いたしておるわけでございます。法務省だから法律ばかりというわけでもありませんので、やはりそういった外国人に接する仕事でございますので、そういう法律一点ばりというのではなくて、そういった面の教養もやっておるわけでございます。 教養の面から申し上げますと、まず警備官として採用いたしましたならば、初任研修というものを二カ月やっております。またそれが数年たちますと、今度は普通科研修というのをやり、さらに、審査官には大体警備官あたりが転官いたすわけでありますが、審査官は行政職(一)のほうの俸給表で六等級ということになっておりますので、大体採用後十年というところが基準になっております。十年間警備官をしてたたき上げてきたものを、転官させていくということになっておりまして、審査官になりました場合には、相当教養がついておる。その間に警備官としての仕事をやりながらの実務の研修、並びに先ほど申しました法務総合研究所における初任研修から普通科研修というものに入りましての研修を十分やらせておるという状況でございます。さらに審査官になりましてからも、その中から普通科研修にいくものもございますれば、さらに法務総合研究所の高度の研修としまして、高等科研修というのがございます。さらにまた、中間監督者研修というものもやっておりまして、いわゆる管理職として一般部下を指導する、そういったポストのものについても監督者研修をやって、業務の万全をはかりたい、このように考えて現在すでに実施しておるわけでございます。 入管の本省の本局のほうにおいで願って、何か暗い感じを与えたようでございますけれども、あそこの建物は戦後できた建物で、法務省としてはまだ新しい部類に入るわけなんでございますが、何ぶん廊下をまん中にしまして、両方に部屋がございますので、その廊下が何となく薄暗い感じがいたしておるわけでございます。それで、そういう気持ちを抱かせたのではないかと思いますが、決して来る人来る人に密入国者扱いをしておるわけでもございません。職場を明朗化して執務するようにと申しておるのでありまして、部屋の中ではわりあい明るくするようにしておるのでございますけれども、ごらんのように部屋が狭いという面もございまして、おいで願ったお客さんすべての人に、応接セットでおかけ願うというようなスペースもございませんので、勢い職員のほうはいすに腰かけて、相手が立って話をするというようなこともあり得るのではないかと考えております。この点は、なるべくそういったことにならないような配慮はいたしておるのでございますけれども、そういうやむを得ない事情も御了承願いたいと思うのであります。 また、一般の職員、並びに審査官としてもそうですか、服装については常々やかましく申しておりまして、審査官、警備官はそれぞれ制服を持っておるわけでございます。この制服につきましても、あまり質のいいのは予算の関係で望めませんけれども、なるべく清潔な服装をして、心も引き締まるというような環境にしたい、そのように教育しておる次第でございます。
○大坪委員長 沖本君に申し上げますが、約束の時間がだいぶ過ぎましたから、あと一問だけにして、あとは次会に延ばしてください。
○沖本委員 これだけでやめますけれども、先ほど言いましたとおりに、羽田の所長が伊丹の飛行場を実際に知らなかったとか、あるいは審査官が、実際に飛行機に乗って、入管の手続を実地にやったことがないとか、こういうようなことは予算以前の問題だ、こういうふうになるわけです。それから、先ほど言いましたとおりに、英語しかいまはできない。韓国語のことをおっしゃっておりますけれども、これは日本に在留する韓国人あるいは北鮮の方を中心にした考え方だと思うのでありますけれども、入管業務がそのほうばかりに重点が置かれているのではないか、こういう感じも受けないこともないわけです。先ほど申しましたとおり、語学の点、審査官の能力の点、こういう点からも、成田の飛行場ができるまでの間に大きい飛行機が入ってくる、それに対してどうするかということも現地で非常に心配しておったというような点もあるわけですから、こういう点は、予算が少ないとかなんとかいうことではなくて、早急にことしからそれに対する準備をおやりにならなければ大きな失態が起きてくる、こういうことになってまいります。 もっと深く突っ込んでお伺いしたいのでありますが、次会に譲らしていただきます。 以上で終わります。
○大坪委員長 中谷鉄也君。
○中谷委員 お尋ねをいたします。 私が通告いたしました質問の内容は、いわゆる代用監獄についてということであります。 代用監獄の問題というのは、被疑者、被告人の段階における、ほとんどの人権じゅうりん問題というのが代用監獄の中で行なわれている。そういうような人権じゅうりんあるいは利益誘導による自白というようなことが、ひいては最も重大な事実誤認、誤判という問題をも生ずる。こういうふうな人権擁護の観点から若干お尋ねをいたしたいと思うのでございます。 聞くところによりますと、臨床医家の場合には、解剖検査の結果、誤診が一四・二%あるというふうなことが、有名な東京大学の沖中教室の責任者である沖中教授の「医者と患者」という書物の中で書かれておりまするけれども、誤判、誤認というようなことが一件でもあってはならない。そういうふうな誤判を誘発するような代用監獄というふうなものをどうするか、これが私のお尋ねしたい問題の焦点なんです。 そこで、最初に政務次官に御答弁をいただきたいと思いまするけれども、監獄法改正の作業でありまするけれども、経過を調べてみますると、大正十一年に量刑制度調査委員会が発足をいたしましてから、すでにほぼ足かけ五十年近くたっている。明治四十一年に監獄法が制定されておるわけでありまするが、監獄法の代用監獄の問題については、明治四十一年当時の帝国議会当時の会議録にもそれが論議されているということになりますると、まさに足かけ六十年近くこの問題は論議されたということになるだろうと思うのです。 そこで政務次官に御答弁をいただきたいのは、近く法務省は監獄法改正に着手される、非常にけっこうなことであります。一時、刑法の全面改正の問題に関連いたしまして、作業がストップしておったけれども、大臣のほうから指示があって改正に着手された、その見通しについてお答えいただきたいと思う。法制審議会に対する諮問が一体いつごろになるのか、そしてどの時期に国会に装いを新しくして——これは監獄法というような名前でなしに、刑務所法という名前として提案されるだろうということは当然のことでありますが、まず、その諮問と、法案策定、提出の時期について、次官のほうから御答弁をいただきたい。
○井原政府委員 わが国の監獄法の歴史というのは非常に古いものがございまして、その後におきまして、順次各国の、あるいはまた国内のいろんな条件等を記録いたしましたもの等を参考にいたしましては、早くこの問題を解決いたしたい、見通しをつけたいというようなことで、過般も欧米における先進国の局長会議等にも派遣いたしまして、各国の状況等も早急に検討いたしておるわけでございます。したがいまして、具体的なことにつきましては、当該局長から御説明させることにいたしたいと思います。
○中谷委員 矯正局長御不在でございますね。今回はけっこうです。問題は、次官からお答えをいただきたいのは、監獄法改正について作業に着手をした、中止しておったものを着手をした。欧米先進諸国に追いつく。古い監獄法では矛盾が出てきておる。だからこそ、刑法と非常に密接な関係があるけれども、刑法に先行して改正作業に着手をして、現在努力をしておられる。その点は私けっこうなことだと思う。そこでお答えをいただきたいのは、いつ法制審議会に諮問できるようになるのか。聞くところによると、来年の通常国会には、いよいよ装いを新しくして監獄法が刑務所法として提案されるやにも私は聞いておる。その点については、私は次官の御答弁の問題だと思うのです。この点に限ってひとつ御答弁をいただきたい。
○井原政府委員 ただいま御質問にございますように、いますでにそういう目的のために、作業を進めておるわけでございまして、次期国会になりますか、できるだけ早い機会に御提案いたしまして御審議をいただきたい、かようなつもりで作業を進めておるのが今日の段階でございます。
○中谷委員 さてそこで、次官にこれは御答弁をいただきたい。こまかいことはけっこうです。 監獄法改正のポイント、一言でいえば——これは具体的な問題、たとえば減食の問題をどうするか、作業賃の問題をどうするか、戒具の使用をどうするかというようなことを私はお聞きするのじゃない。要するに監獄法改正の基本的な目的、これは一体何なんだ、要するに監獄法改正は人権保障、それと受刑者の社会復帰、この二つだと思うけれども、装いを新しくするところの監獄法改正というのは、どのような観点から監獄法改正というものの焦点を合わせて作業に努力をしておられるか、これは次官の御答弁があってしかるべきものだと思うので、御答弁いただきたい。
○井原政府委員 監獄法改正をいたします問題点、改正にあたりまして特に考慮をいたしておりますおもな事項の二、三点を列挙いたしますと、次のとおりでございます。 一つは拘禁設備、給養等の最低基準の保障をやらなければならない。それから受刑者処遇の技術的な方法として、分類優遇、累進処遇、開放施設等の作業をやる、あるいは中間処遇として閉鎖施設に付設の開放区ないしは半開放区への収容、構外作業場等の開放施設への移送、外部事業所等への通勤、帰住地等への帰休のような制度を採用する、受刑者に対します善時制の採用、こういうことをやりたい、こういうことで作業を進めておるわけでございますが、大きく申しますと、ただいま御質問のように憲法が改正され、この法律は昔つくった監獄法でございますので、非常に人権、自由というものを保障する憲法の精神から申しましても、でき得る限り受刑者の人権を一方では矯正をしながら尊重をしていく、そういうような方向へ向けるようなつもりで、ただいまのような問題を処理していきたい、かように考えておるわけであります。
○中谷委員 具体的な内容についてお尋ねするわけではないので、要するに受刑者の人権保障と社会復帰、この二つに焦点がしぼられなければならない、そういうところで改正作業が進められておる、その具体的な問題として次官の御答弁のいろいろな改正案というものが出てきておる、こういうふうに私は理解しておる。 しからば、本日質問を通告させていただいた代用監獄について、これは先ほど冒頭に申し上げましたように、明治四十一年に監獄法を制定せられたときから、代用監獄とは一体何か、代用監獄についてはいかにあるべきかということが足かけ六十年以上論議されてきた問題なんです。代用監獄というものについてどういうように考えておるか、これは政務次官から御答弁をいただきたいと思いますけれども、平井検事さんのほうからひとつ御答弁をいただきたいと思います。簡単にその方針を……。
○平井説明員 それではお答えいたします。 御承知のように、代用監獄は監獄法の一条第三項によって警察署の留置場を監獄に代用するということになっておるものでございます。この代用監獄と申しますのは、制度上は都道府県に属する施設ということになっておりますので、その運営につきましては結局都道府県警察がこれを行なうという形になります。そして代用監獄においていかなる業務を運営しておるかという点につきましては……
○中谷委員 廃止の方向にいくかどうかというような点をお答えいただきたいのです。
○平井説明員 わかりました。 本来国家の行なうべき司法あるいは刑罰の執行の一部をやっておるわけであります。したがって、この代用監獄におきまして国の業務を行なっておる関係上、それに要した費用は後日国が一括して都道府県に償還するというたてまえになっております。こういうような基本的事実を踏んまえまして、どういう問題点があるかということに触れていきたいと思います。 この代用監獄につきましては、いま申しましたように、私どものほうとしては、何ぶん施設が都道府県に属するものでございますので、その運営につきまして、これを管理、監督するという権限がないということになっております。しかしながら、制度上の問題といたしましては、漸次、代用監獄を縮小して、これを拘置所、あるいは拘置支所あるいは刑務支所というようなものに切りかえていくべきであるという論議が確かになされておることは間違いありません。そうしてこの問題点というものは、代用監獄の将来のあり方について十分検討すべきものがあるということを示唆しておると考えております。したがいまして、なるべくそういうような趣旨を体しまして、関係省庁などとも十分協議検討の上、その問題点の解決に努力したい、かように考えます。
○中谷委員 御答弁非常にまとまっていてよくわかりました。 そこで、刑事局長さんにお答えをいただきたいと思うのです。いま平井検事さんのほうから代用監獄についての問題点、御指摘があったわけですが、私、冒頭にこういうことを申しました。要するに、あらゆる違法捜査、そしてその違法捜査の最たる人権じゅうりん、あるいはまた利益誘導による自白、そういうふうなものが、代用監獄という場において行なわれている。そういうふうなものが問題になってきたのは必ず代用監獄なんだ。ということは、従来の違法な自白、あるいは利益誘導に基づく自白、要するに、不当な取り調べ、それがほとんど代用監獄という場で行なわれているんだということは、これは局長さん、刑事を御担当になったその長い御経験の中から、私、そういうふうな問題等をいつも御心配になっておられるので、この点についてはいかがでございましょうか。
○川井政府委員 代用監獄が、被疑者ないしは被告人を勾留する場として、制度的にまた実態的に適当なものであるかどうかということにつきましては、ただいま議論がなされておりまして、私も大体同じような意見を持っております。いままで不当な自由が主として代用監獄の場において行なわれたんではないかと、こういうふうな御趣旨のお尋ねだと思いますけれども、不当な自白というものが常に行なわれているわけではございませんで、代用監獄に留置することによって、自白を強要するというふうなたてまえなり考え方は、現在の戦後における捜査官は、こういう考え方をとっておりません。したがいまして、一般的にいって、代用監獄において常に自白がしいられているというふうなことは、これはもう私の経験からいいましても、また一般的な監獄のあり方、あるいは捜査官の取り調べのあり方からいきましても、そういうことはあってはならないし、またあり得ないことだ、かように考えております。
○中谷委員 川井刑事局長さんにお尋ねいたしますけれども、あってはならないことがあったということを聞いているわけです。自白を強要するために、代用監獄に入れているというようなことを言うているわけでもないのです。ただ代用監獄という場の中で被疑者、被告人が、従来あってはならない自白強要であるとか、利益誘導に基づく自白などということが行なわれた。あってはならない例というのは、代用監獄に入れられておるところの被疑者、被告人がほとんどではないか、そういうふうなものがほとんどではないか。代用監獄へ入れて自白させているんじゃないかという、そんな乱暴な議論をしているんじゃないですよ。あってはならないことが行なわれた場合というのは、代用監獄に入っている場合がほとんどじゃないか、こういうふうに聞いているわけです。この点についてお答えいただきたい。
○川井政府委員 たいへんじょうずなお尋ねで、私も慎重にならざるを得ないのでありますけれども、具体的に例をあげられまして、このケースにおいてこういうことが行なわれているんじゃないか、それは裁判の結果不当な自白というふうな認定がなされている、しかも、そのケースは、たまたまある署の代用監獄において勾留されておったときにとられた自白であるというようなことでありますと、またお答えのしかたがあると思いますけれども、もう一つ言わせていただきますと、たまたま代用監獄に身柄を拘束されておった。そのときに取り調べを受けて自白がなされたということは、代用監獄に入れておくことによってその不当な自白がしいられたとか、あるいはつくられたというふうに見ますと、まさにお尋ねのようなかっこうになりますけれども、代用監獄に身柄が拘置されておったということと、そのときに自白がなされた。しかも、その自白についてはあるいは虚偽の自白であったというようなことになりましても、その代用監獄に拘置されておったということと、その過程にとられたあるいは得られた供述の自白が、たまたまその不当な自白であったということには、私は理論的に必然的な結びつきというものは、やはり個々のケース・バイ・ケースで議論をしていかなければ結論が出ないじゃないか、こんなふうにも考えます。
○中谷委員 局長は、現在のお仕事は矯正のお仕事ではございませんけれども、これは何といっても刑事の御専門家として、私、矯正の問題にもかかわる問題でありますが、お尋ねいたしますけれども、日本弁護士連合会がすでに監獄法改正について意見書を提出をいたしております。その意見書の中に、「現在裁判の途上に暴露されている人権蹂躙問題は殆んど代用監獄として使用されている警察署の留置場に勾留中の被疑者又は被告人に対して司法警察職員によりなされているものであるが、代用監獄の性格が明確でないため、これが防止策に支障を生じていること。」先ほど平井検事さんがお答えになったように、代用監獄を監獄法一条によって指定をする。ところが、組織の上では代用監獄であっても、監督の面が及ばない。要するに、警察が代用監獄ということについてのすべてを取り仕切っておる。こういう中で日弁連の指摘するようなところの「裁判の途上に暴露されている人権蹂躙問題は殆んど代用監獄として使用されている警察署の留置場に勾留中の被疑者又は被告人に対して司法警察職員によりなされているもの」この点は日弁連の詳しい調査と、そうして在野法曹としてのとにかく長い経験の中から、人権擁護の立場から出されたところの監獄法改正に対する意見書なんです。この点は、局長さん、じゃこういうふうに素朴にお尋ねをすれば、そのとおりだということはお答えになっていただけるでしょう。
○川井政府委員 実態が、通常の場合、刑事関係の被疑者を警察官がまず逮捕いたしまして、そして警察官が取り調べをした上で検察官に送り、検察官が勾留をして、さらにその勾留の期間にまた警察官が取り調べをして、そして事件として検事の手元にまとまった形で出てくる、こういう捜査の実態になっておりますので、ほとんど九九%の事件というものがいわゆる代用監獄に身柄を留置されて、その間に取り調べが司法警察官によって行なわれてくるというのが現在の捜査の実態でございますので、そういうふうな実態から考えてみますと、そのたくさんあるケースの中で、たまたま御指摘のような適当でない自白がとられたというふうなケースがあるとしまするならば、代用監獄に留置中にそういうふうな自白が得られたんだ、こういうふうに言うのは、言うこと自体は正しい、また実態から見ましてもそれはほとんど全部が代用監獄で取り調べが行なわれておりまするので、そういうことにならざるを得ないと思います。 日弁連から、たびたびその種の決議なり、あるいは法務大臣に対する要望なりが出されていること、私もよく承知しております。事態は事態、また実態は実態といたしまして、さような御指摘についてはその趣旨を謙虚にくみまして、私ども法務行政に携わる者といたしましては、あるべき姿についてなお一そう研究と研さんを重ねてまいりたい、こういう決意でございます。
○中谷委員 あと十分ほど時間が残っておるようですので、平井検事さんにお答えをいただきたいと思います。 日弁連の意見書の中には監獄法の改正に関して、まず、代用監獄等について弁護士会に所属する弁護士に監獄を巡視せしめる。正確に申しますと、「日本弁護士連合会及び各都道府県弁護士会は法務大臣又は監獄の長と協議の上、各弁護士会所属の弁護士をして、監獄を巡視せしめることができる。」人権擁護の立場から、このようなものが改正案に盛り込まれるべきだということを強く要望している。同時にいま一つは、第一条の二という項目を設けて「第一条第三項により代用監獄として使用する警察署の留置場は法務省令をもって、これを指定する。」この点、現在どうなっているか私よくわからないのですけれども、こういうふうな要望も出ているわけでございます。こういろ点については人権擁護という立場、特に局長からも若干お話があったように、代用監獄に入れられている被疑者、被告人については、人権じゅうりんされた場合の防止策がない。こういう問題との関連において改正案の中に弁護士をして巡視せしめるということはぜひ必要だと思う。この点について平井検事さんから御答弁をいただきたいと思いますが、これはむしろ、質問しているうちに、人権擁護という大きな問題だと思うので、次官のほうから、そうあるべきだという御答弁をいただきたいと思います。
○井原政府委員 ただいま御質問ございましたが、前、御質問にちょっとお答えいたしましたように、今日人権尊重を基調とした新しい憲法の施行及び世界の思潮から申しましても、監獄法の問題は、わが国としても相当研究し、改正しなければならないという問題で、審議会等を開きまして二次にわたっていろいろな答申が出ておる中に、お説のような問題も出ておろうかと思うのでございます。そういう意味におきまして、ただいま仰せのような問題も、必ずなすとは言えないわけでございますが、弁護士会の申し込みのことも当然のことであろうかと思うのでございますので、今度の改正にあたっては、こういう問題も取り入れて検討いたしたいと思います。
○中谷委員 局長さんのほうから、具体的な問題として指摘しろというお話があったのですが、実はきょうはむしろ私は監獄法改正との関係において、代用監獄のあり方の問題をもっと論議したかった。局長さんのほうから具体な問題を出しなさい、出しなさい、こういうふうにおっしゃるので、具体的な問題のほうへ入っていきます。 ただ、きょう私の質問したかったことは、むしろ代用監獄はいかにあるべきかという問題をやはり論議したかった。そこで、すでに別の委員会においても問題になっているようですけれども、判決文に次のような記載がございますが、昭和三八年(わ)第四七号福岡地裁小倉支部判決、検察官控訴事件でございます。もうすでに局長さん御存じの事件でございますが、その一審判決によりますと、「同年五月二十五日までの約四カ月間監獄法第一条第三項の規定に違背して同被告人を前記刑執行の形のまま同留置場に留置し、その間、前叙のとおり度々参考人として取調べている松本イシをして、殆んど連日の如く昼食を差し入れることを許容し」略「同被告人所有のテレビ受像機を同警察署取調室等に持ち込ませてこれを視聴させ、取調後はそのまま雑談、喫煙を許すなどしたうえ、」云々、さらにまた「同年四月中旬、同年五月上旬、同月二十五日ごろの各深夜、同被告人の求めに応じ同留置場非常口附近で、手錠はおろか立会人もなく、同被告人と前記松本イシとを密会させ、その結果同被告人が脱獄するに至つたことが認められ、」云々、判決文にこういう趣旨の記載があるわけです。こういうようなことは、代用監獄のあり方としてまことに遺憾なことだ。 さらに同じような事件として「自由と正義」の三月号には、千葉地裁昭和三七年(わ)第四七五号の「マージャンパイを片手にした供述」なんという、そういうふうな利益誘導のことが弁護人から強く主張された。さらにまた同じく、水戸集団すり事件の清酒四号びんの差し入れというようなことも、これは弁護人のほうから強く主張されている。 こういうふうな問題についてひとつお尋ねをいたしますけれども、警察の段階で、そういうふうな不当な利益誘導の取り調べが行なわれているということについて、検察官は監督をし、これを防止するために具体的な努力をするということだけではなしに、実際、そういう代用監獄に入れられている被疑者、被告人が、そのような取り調べを受けている問題について、検察官としてほんとうに自信を持って監督し防止できるかどうか、この点はいかがでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○川井政府委員 代用監獄に拘置中の被疑者について、検察官が取り調べをした上で起訴、不起訴をきめるということが実際であり制度でありますので、代用監獄に留置中の身柄の取り扱いについては、警察官にまかしておくというのではなくて、検察官もいろいろ配慮を払うべきものである、そういうふうに私は考えております。ただ御承知のとおり、制度の面といたしましては、身柄の拘束は代用監獄の長である警察署長がその責任と権限を持っておられることであるし、それから、事件あるいは捜査というふうなものについて、昔のように検察官は一々警察官に対して指揮監督権を持っておらないわけでございますので、精神的な面において、また実際的な面において、具体的事件を取り扱っておる検察官は、できる限り良心的に、また慎重に身柄の取り扱いに注意をし、また警察にも連絡をすべきものであるということは当然のことでございますけれども、その間に、画然とした制度上の責任の分割がなされておるということも、ひとつ御了承を賜わりたいと思います。
○中谷委員 刑事局長にあと一点だけお尋ねをして、次に警察庁の刑事局長さんにお尋ねをしていきたいと思います。 この問題について判決にこういうふうに書かれていることは、読んでいて全くいやになるできごとだ。まさに言語道断といいますか、そういうふうなことが公然と行なわれているなんということは、きわめて残念だ。 そこで、刑事局長さんの御答弁によると、なるほど刑事訴訟法の規定によって、警察官の取り調べの権限、検察官の権限、そこに工作をしたり、あるいは具体的な指示、あるいは一般的な指揮権がないという問題などいろいろある。その中で私がお尋ねしたのは、検察官のほうで、具体的にこういうふうなことが行なわれたときに、それを監督し、防止することに責任が持てますか、こういうふうにお尋ねしたわけです。では逆に、この小倉支部のできごとについて検事さんは知っておったのじゃないかというふうなことがすでに問題として指摘されている。取り調べに当たっておった検事さんは、知っておったのじゃないか。そうしてすすめはしないでしょうけれども、見のがす、あるいは黙認しておったのではなかろうかというふうなことが質疑されておる。この点については、警備局長さんのほうで早急に調査をしますということのお話であったと私は伺っている。この点についてはその後調査はどういうことに相なっているのでしょうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○川井政府委員 このケースは、身柄の出入りなり、それから事件の内容なりが非常に複雑になっておりますけれども、ただいまそれを一切やめまして、結論だけ申し上げますが、三十八年の二月の四日に第一回の起訴が行なわれまして、それから同年の六月二十五日に第七回目の追起訴が行なわれております。したがいまして、約五カ月ほど代用監獄に拘置されておった間のできごとでありますが、一番最後の六月の十日と六月の二十五日の追起訴事件は、先ほどの留置場において警察官が被疑者から買収をされて、そして逃走をするに至ったという逃走幇助と収賄の事件が最後の段階で検察官の手元に送られてまいりましたので、検察官は六月の初めにそれを取り調べて、最後の追起訴をしておりますので、おそらくこの事件を調べたときごろからは、検察官は伝えられるような内容のすべてにおいて承知していたかどうかということは、なお調べないとわかりませんけれども、少なくとも留置場の監視を担当しておった警察官が買収をされて逃走幇助になったというふうなできごとについては、三十八年の六月初め以後においては、その内容を知っておった、こういうふうにほかの委員会で私説明をしたわけでございます。そうしましたら、その前はどうか。前については知っておったというふうにはこれはとうてい考えられない。そうであるならば、その前において、その検察官は警察に出張をして調べたことがないか、それは調べてみないとわかりません、こうお答えしましたら、それならば二月の四日から六月の初めまでの間に、その当該検察官は、いつ、幾日、何日に何回、どこの警察に出張して調べたかということを調べて報告をしてくれ、こういうふうな御要望でございましたので、その辺の調査はお約束した次第であります。
○中谷委員 そこで、じゃ一点だけで終わるということでしたけれども、そういうことで、その問題の検事さん、問題というのは、そのお調べの衝に当たられた検事さんが、警察署へ出張されてお調べになったということであって、しかも先ほど局長御答弁になった以前には、そんなとんでもないことが行なわれているというようなことについては全然わからなかった。またわかりようもなかったということに相なるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
○川井政府委員 検察官がそういうようなことを知っておって、放置しておったというようなことは私はあり得ないと思います。
○中谷委員 私もそうであってほしいと思います。 そこで、問題になってくるのは、一体警察官の人権感覚の問題、警察官の捜査に対する態度の問題、こういう点が私は問題になっていくと思うのです。警察庁の刑事局長さんにお尋ねをいたしますけれども、要するに最近の新聞を毎日見るのがいやになってくる。もう新聞を見たら必ず警察官の問題が出てきている。交通安全協会でお酒を飲んだとか、あるいはまたお酒を飲んで人をはねたとかというようなことがある。それで警察庁も、ふえた私用車事故、ハンドル警官総点検、結果公表しえりただすというようなことで、交通についてはずいぶん交通警察を監察、長官特命で九都道県警に対して、というふうなことの措置もされておる。ただしかし問題になるのは、被疑者留置規則というふうなものが、これは非常に厳格なものができております。そうして被疑者留置規則の一番最後には、監獄法との関係についての三十五条の規定もある。この被疑者留置規則によると、たとえば事故の防止から始まって、あるいはまた凶器の検査、あるいはまた監視者の配置、あるいは石けん差し入れ、これはずいぶんむずかしいといいますか、捜査と人権擁護とを兼ね合わせた厳格なものなんです。 ところが、私が先ほど指摘いたしましたような小倉支部のような事件、裁判所の判決の中で指摘されているような問題が起こってくる。これは一体どこにその原因があるか、どのような措置を今後おとりになるか。これも自白にたよらないような捜査のやり方を強要いたしますとか、あるいはまた人権感覚を警察官に持たせるようにいたしますとかいうふうな、従来言い古されたようなことだけでは問題は解決しないのじゃないか。何か最近は、そういうことを言ったら悪いけれども、警察官のそういう事故が続発している。まじめな警察官は反面では泣いていると思います。そういうふうな警察に対する信頼もなくなっている段階で、交通事故のいわゆる監察だけではなしに、ひとつ取り調べに対する違法な、とにかく利益誘導あるいは人権じゅうりん等による自白などをさせないほんとうに正しい取り調べをする。何もちやほや調べるというのでは決してありません。刑事訴訟法その他法によって保障されたところの捜査官としてのき然とした、しかも人権を擁護する、相手の被疑者の人権を擁護するという立場の取り調べをするということについて、ひとつ基本的に考え直していただかなければ、こういう問題は続出してくるおそれがあると私は思う。特に先ほどから私が質疑を申し上げましたとおり、代用監獄については、法務省のほうは機能的に代用監獄については何らタッチできない。検察官もそういうふうな警察官の取り調べについて直接監督し、そうして積極的にこれを防止するということは不可能である。そうなってきますと、人権じゅうりん問題というのは、警察官対被疑者の関係において起こってくるということ以外にあり得ないので、この点についてひとつ御答弁いただきたいと思う。 それからいま一つこの機会に、刑事局長さんにこういうことをお尋ねするのは恐縮だけれども、とにかくこういうふうな交通事故が起きた、警察官の非行があったという場合に、すぐ問題の警察官懲戒免あるいは依願退職ということで処分になる。ところが、そういうふうなことだけではたしていいのだろうか。これは私、こういうことを申し上げるのは非常に強縮だけれども、私の友人の裁判官で、かつて交通事故を起こした人がいた。非常に優秀な裁判官だった。ところが、ほとんど不可抗力のような事件ではあったけれども、そういう交通事故を起こして、自分は裁判をするような気持ちになれない。略式でたしか五万円だったと思いますけれども、そういうことで、まわりの人のとめるのを振り切って裁判官の職を辞された、これは私の友人でありますけれども、裁判所にはそういう伝統というものがあると私は思うのです。ところが、何か交通警察を監察、長官特命で九都道県警、こういうような書き方あるいは措置のしかた、いろいろな問題があっても、結局処分されるのは下級の警察官、一体、上司の方がそういうふうなことをないようにしようという行政措置をおとりになる——県警本部長戒告というようなことも、ときどき新聞に出ておりますけれども、言うだけではたして問題を済ましていいような段階なんだろうか、こういうふうな交通警察官の交通事故の頻発、同時にいま一つは、ここに弁護士会の「自由と正義」の中に出てきているような代用監獄の中の警察官対被疑者、警察官対被告人という中での、利益誘導の中での自白というふうなものが、盛んに言われているような段階で、一体警察庁として、これについてどういうふうな態度、心がまえをお持ちなのか、この点をひとつ私お尋ねをいたしたいと思います。
○内海政府委員 いろいろ私どもの取り調べの問題、あるいはその中から出てくる諸問題につきまして、貴重な御意見をいただきました。一口に言いますならば、私どもはさらに自粛自戒して、機動的な犯罪捜査、取り調べに当たらなければならないと考えるわけでありますが、いろいろ御質問をいただいておりますので、この機会に私どもの考えております点を申し上げたいと思います。 まず、私どもは非常に多くの警察官によって、非常に多くの、しかも困難な事件を毎日処理いたしております。それらのすべてが何一つの間違いなく的確に行なわれなければならないのが、われわれに与えられておる至上命令であります。したがって、われわれはそういうふうな間違いのない、りっぱな捜査、取り調べが行なわれるように努力しております。かつまた私は、現在第一線に立ち働いておる大部分の警察官というものは、ほんとうに真剣に努力をし、いかにして人権を擁護しながら、しかも困難な犯罪の実体をあばき出すかということに、ほんとうに努力をいたしておる、かように思っております。またそれを私は信じておる。しかしながら、そうは言いましても、この雑誌にも掲げられており、その中に裁判の判決をもって述べられておるようないろいろな事実が、私は全部そういう事実があったとは思いませんけれども、そういう事実があるということも、この実情から否定できません。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕 したがって、そういうふうなことのないような努力をいたさなければなりません。 その場合における一番大事な問題は、先ほども言われましたように、人権を尊重するとか、あるいは合理的な捜査を行なうとかという、在来続けて言ってきておること以外に、さらに私どもが考えなければならないのは、やはり人間が人間に対して、犯罪容疑という事柄をまん中にはさんで、権力をもって取り調べなければならないものでありますだけに、少なくとも取り調べに当たる人間としての警察官の質的な向上、充実というもの、あるいはすべてを深くのみ込んだ取り調べの要領というものを、今後さらに高めていかなければならない。そういう意味で、私どもはいろいろな機械に、いろいろな方法でそうしたことに対する注意を喚起いたしております。特にそういうふうな観点から、すでにあるいは新聞等で御存じかもしれませんが、おそまきではあったかもしれませんが、特に捜査幹部の研修所を設置いたしまして、ここでより望ましい、捜査官としてはいかにあるべきかということの徹底した教育を行ない、それらを通じてさらに末端の司法警察官の教育訓練、とりわけ心のあり方という問題に真剣な研究と努力をさせたい、かように考えておるところであります。 捜査というものは、繰り返しますけれども、人間が人間に対する事柄でありますので、あるいはその間人間としての感情が激発し、あるいは人間としての弱い気持ちが出てくることもあろうと思いますが、捜査官に与えられた使命というものは、そういうものを克服して、なおかつ、犯罪捜査に臨まなければならない、こういうことにたえ得る人間をつくっていかなければならない。ここに根幹の問題があると思います。 交通事故を起こしたり、あるいは先ほどのようないろいろな問題を起こすということについて、私どもはあらゆる注意をして、さようなことのないようにという努力をいたしておりますが、その場合に、やはり責められる点において、そういう事柄を行なった者を責めるということはやむを得ない組織の中における措置だと思います。が、同時にそういう者に対する監督の責任あるいは教養の責任というふうなものも的確に追及する必要はあろうと思います。しかし、その場合におきまして、やはり組織の中における人間の人権というものも守らなければならない。したがって、その犯した警察官の非違に対して、それにふさわしい監督責任なり指導の責任を追及していく、これによっていわゆる警察の中における水も漏らさないようなしっかりとした措置をとっていく、これが必要であると思います。今後はそういうことで努力をいたしたい、かように思います。
○中谷委員 以上で私の質問を終わります。 ただ、監獄法の改正の問題は何十年来非常に論議されてきた問題でございますし、この問題が、同時に代用監獄の問題としては被疑者、被告人の人権擁護の問題にもこれは関連してくる。最後に、刑事局長さん、それから警察庁の刑事局長さん、ことに警察庁の刑事局長さんの御答弁については、私はいろいろな現在の現状を打開しようとする、そういうお気持ちの切実な御答弁があったので、今後、私自身が、先ほど申し上げたように、毎朝新聞を見てまた何か載ってないかというふうなことのないように、十分ひとつ努力をしていただきたい、このことを最後に要望いたしまして、私の質疑を終わります。
○大竹委員長代理 小沢貞孝君。
○小沢(貞)委員 私もその人権問題が主なんですが、質問する者も食事も食べないで人権を無視され、御答弁するほうもどうもたいへん人権を無視されているというかっこうですが、ひとついまから与えられた時間、一時間ばかりあるらしいのですが、質問をいたしたいと思います。 それから、大臣はきょうは見えませんか。
○大竹委員長代理 内閣委員会において答弁中だそうであります。
○小沢(貞)委員 それでは、簡単なことですから、政務次官にあとでお答えいただきたいと思います。 私の質問しようとするのは、京都の郵便局を中心に大阪郵政局管内、あるいは一部長野郵政局管内にあった集団暴力事件、あるいは人権を無視したようないろいろなことが行なわれておる、そういう問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 これは先月二十三日の社会労働委員会においても一部取り上げられておるようですから、経過等の詳しいことは別といたしまして、最初に、郵政省の人事局長から、この二点についてだけ概要を報告をいただきたいと思うわけです。 五月十二日から十三日にかけて、京都中央郵便局において起こった中島孝一君、それから山口伝一君、この二人の集団リンチ、暴行その他の人権を無視されたような問題があったと思いますが、この問題について最初お答えをいただきたいと思います。
○山本(博)政府委員 ただいまお尋ねがございました京都中央郵便局の事件の概要について申し上げます。 かねてから、京都の中央郵便局では第二組合といいますか、郵政省には、全逓という組合と、全郵政という組合と二つございますが、全郵政という組合の京都中央郵便局における拡大運動、そういう気配がございました。特に、昨年の暮れからことしの春にかけまして、年末闘争ないし春闘、これが継続されておる過程におきまして、ここにそういう傾向が非常に顕著になってきたのであります。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 特に近畿地方におきまして、昨年の暮れ以来約千数百名の組織の異動がございました。そういう傾向に伴いまして、京都中央郵便局でそういう運動が非常に盛り上がってきた、顕著になってきた。先月の十三日にその発会式が行なわれる予定でありましたところが、その前々日あたりから、全逓組合のほうから、この運動に対する阻止という形の運動もまた起こってきたわけでございます。その結果といたしまして、いまお尋ねの中島君並びに山口君、この二人はいま申し上げた全郵政の勢力拡大のほうの指導者になっておったわけでございますが、この二人に対しまして、全逓のほうから、十一日以降この局の中で、いわば最初のうちは説得行動が行なわれておったのでありますけれども、やがてそれが単なる説得という段階をやや越えたのではないかと、私たちは得ました情報からは判断いたしておりますが、数時間にわたって数十人が取り囲みまして、形はいわば説得でございますけれども、ほとんど行動の自由というものが保障されない形で説得が行なわれたということがございます。また、山口君のほうは途中一時失心をするというような事態もございました。しかし、これは何せ私のほうからいたしますと、二つの組合の間の問題でございますし、不当労働行為という労働組合への支配、介入になるというようなことは従来から非常にタブーといたしまして、介入しないことにいたしております関係から、それが平穏に行なわれている間は、一切管理者としてはこれに手を触れないという態度で見守ってきたわけでございますが、その当時、中島、山口両君とも、その囲みの中からあえて脱出をするという形をとらなかったものでございますので、管理者としてはそれをただ見守っておったという状況でございます。しかし、客観的にいいますと、相当長い時間にわたって囲まれて説得工作ということではございますけれども、相当苦しい状態にあったのではないかというふうに判断いたします。
○小沢(貞)委員 その問題についてはあとで質問いたします。 続いて、概要だけ説明をしていただきたいと思いますが、さらに人事局長にお尋ねしたいのですが、大阪局管内各所において、いまのような集団暴行的な説得とは若干様相を異にすると思うのですが、ビラを家のまわりに配布する、あるいは通勤の途上あとから追いかける、隣近所にビラを配るというような、いわば法すれすれの人権を侵害したような事件がたくさん起こっていると思います。その概要についてお尋ねしたいと思います。 なお、長野郵政局の松本局にもそういうことが起こっておりますから、それもあわせて、概要でけっこうです。
○山本(博)政府委員 いまお尋ねの件につきましては、私のほうで、これは何せ局外のことでございますので、正確な情報というものをつかんでおるわけではございませんが、いろいろな私のほうに入りました完全に事実を確認した情報ではございませんけれども、自宅の付近にビラを張られたとか、あるいは自宅の付近でビラをまかれたとか、あるいは通勤の途中において、いろいろ罵声を浴びせられたというような話は聞いておりますけれども、事実そのものについては完全な確認はいたしておりません。また、その個所数も、相当広範にわたっておるということは聞いております。 それから松本の郵便局の場合の問題でございますけれども、これも局外のことでございますので、私のほうで完全にこれを確認はいたしておりませんけれども、情報によりますと、松本の郵便局で先月第二組合、いわゆる全郵政組合が発足いたしましたときに、その指導者に対しまして、家庭の周辺、あるいはその通勤の途次で、いろいろなビラをまかれたとか、罵声を浴びせられたということがあったということについては話を聞いております。
○小沢(貞)委員 次に、人権擁護局長にお尋ねしたいのですが、これも人権擁護局で掌握したいまお尋ねの範囲、大阪郵政局管内、あるいは長野郵政局管内、そういうところで人権の侵害が行なわれたという申告あるいは情報、そういうようなことで法務局あるいは地方法務局から連絡がある、連絡と申しますか申達といいますか、何か専門語でいうと立件伺い、こういわれておるそうですか、そういうものについて一覧表を提出していただくように昨日お願いしておきました。ひとつ委員長からこれを配付していただいて、配付していただいた一件、一件、説明をしていただくとたいへん時間がかかりますので、概要だけ説明をしていただいて、その件名は全部議事録にあげていただきたい。一件、一件、説明していただくかわりに、議事録にあげていただきたい、こういうような取り扱いをお願いし、質問をいたします。
○大坪委員長 取り扱いの点はそういたしましょう。
○堀内政府委員 私ども法務省といたしましては、本年の五月四日の日に大阪法務局に対しまして、全日本郵政労働組合の近畿地方本部書記長久山龍彦氏から申告がございまして、それによってそれ以後情報の収集を開始したわけでございます。それによりまして大体得ました情報は、本日書面によりまして一覧表として提出いたしましたが、速記の関係もございますから、それを大約御説明をいたします。 まず第一は、大阪郵便局の事件でございますが、人事部長板倉豊文美ほか幹部に対しまして、これは手紙などが出されております。その内容は「殺すぞ」あるいは「今日限りの命」とか、「火をつける」とか、「全逓弾圧の親玉かくごせよ」といったような脅迫的な文言の書かれた手紙が出されておる、こういう事実でございます。 それから第二番目は、全郵政東住吉支部でございますが、これは組合員の宇野勇ほか七名に対しまして、それぞれの家庭の周辺で「労働者の敵だれだれ」あるいは「だれだれは東住吉の仲間を裏切った労働者の風上におけぬ奴」とか、あるいは「裏切者〇〇仲間を裏切った犬」といったような内容のビラを五十枚以上張った、そういうような点でございます。 第三番目は……
○小沢(貞)委員 私のお願いしたのは、それを全部読み上げるのはたいへんですから、この表は議事録に載せていただいて、この全体の概要あるいは審査だか、調査だか、その概要、そういうようなことについてだけ説明をしていただきたい、こういう趣旨の質問だったわけです。一件、一件は必要ありませんから……。
○大坪委員長 そういうことで御答弁ください。
○堀内政府委員 一覧表に載せましたような事件につきまして情報がありまして、私どものほうで京都地方法務局、大阪の法務局などで調査に着手いたしまして、大阪郵便局の関係の、ただいま申し上げました人事部長板倉豊文美ほか数名の幹部に対する、手紙による脅迫的な文書を出したというもの。それから第二番目の宇野勇ほかに対しまして、家庭の周辺に脅迫的なあるいは名誉を侵害するようなビラを張ったという点。それから全郵政の和歌山支部の労働組合員長尾泰弘に対しまして、やはり同じように家庭の周辺にビラを張り、あるいは壁新聞といいますか、そういうようなものを二百枚ほど張りめぐらしまして、本人の名誉を侵害した、こういうような点は、調査の結果やや確認されております。ただいまのところ調査の段階ではその程度でございます。
○小沢(貞)委員 擁護局長への質問はあと回しにして、さらに今度は警察庁警備局長にお尋ねしますが、以上郵政省の人事局長、法務省の擁護局長から、それぞれいまここで発表のあったような事件について、告発、告訴あるいは情報を入手して、捜査をどのように進めているか、それについて御説明いただきたいと思います。
○川島(広)政府委員 ただいまお尋ねの全逓及び全郵政両組合の組織対立をめぐりましての不法事案は、私どものほうで承知いたしておりますのは、九州地方で二件、いまお話がございました近畿地方で十六件、計十八件の不法事案が発生していることを承知いたしております。 その内訳を簡単に申し上げますと、被害者が全郵政登録組合員の場合、これが八件でございます。それから管理者が被害者になっておりますものが五件ございます。さらに被害者が全逓労組員の事件が五件ございまして、計以上十八件でございます。このうち全郵政から告訴されましたものが三件、全逓から告訴がございましたものが四件、計七件でございます。これらの事件のうち現在まで被疑者を立件送致いたしましたのが、鹿児島県の二名と福岡県久留米の一名、計二件、三名でございます。さらにまた現在までに被疑者の取り調べが終わっておりますのが、和歌山県の事件でございまして、これが一件、六名の捜査が完了しております。さらに近くこの問題は立件送致の運びになろうかと思います。その他の事件につきましては、目下慎重に捜査中という段階でございます。
○小沢(貞)委員 和歌山県の一件の捜査完了というのは、人権擁護局で出していただいたこの一覧表のどれかに該当するのですか。
○川島(広)政府委員 これは該当いたします。
○小沢(貞)委員 どれですが。
○川島(広)政府委員 四ページにございます和歌山地方法務局関係です。長尾泰弘と伊藤博文です。
○小沢(貞)委員 それでは一応三局長から、それぞれ概要をお聞きいたしましたので、逐次各局長に御質問をいたしたいと思います。 まず郵政局の人事局長にお尋ねしたいと思いますが、局の中で説得をしておったが、もう説得の段階を越えておった。数十人でやっておった。行動の自由さえ保障されておらなかった。こういうような御報告であります。私の聞いたところによれば、あるいは現地で調べたところによれば、そこには管理者がおったではないか。管理者はその管理者の任務を果たしておったか、それをまず第一点、お尋ねをしたいと思います。
○山本(博)政府委員 先ほど申し上げましたように、組合と組合との間に、ある程度はっきりした暴力行為というような形が出ませんで、説得というような形が行なわれております間は、管理者といたしましてはこれは従来ともどちらの組合にも、いわば片寄った扱いをしないということをたてまえとしておりますので、今度の場合も管理者といたしましては、それが暴力行為という形に発展しない限り、いわば両者が説得をし合っておるという状態が続いておる間は、これはいわば取り囲まれた中島君なり山口君なりがそこから脱出をはかる。あるいはこの状態では困るから、管理者が何とかしてくれという積極的な意思表示がない限りにおきましては、一応両者が説得のし合いをしておるという判断をいたしまして、特に先ほど申し上げましたように、全郵政の発足というものを、一日ないし二日後に控えておるという状態でございまして、ここでいろいろなトラブルを起こすことは、お互いの組合のためにもよろしくないという判断を管理者がいたしまして、できるだけ内容にかかわらない態度をとったということがございます。結果論といたしましては、管理者がもう少しこういう点について消極的でなくて、そういう状態というものを解消するために、何らかの措置をとったほうがよかったのではないかと、現状では反省をいたしております。
○小沢(貞)委員 そういう反省がある上に、さらに御質問するのはどうかと思いますが、私の聞くところによれば、こういうスト中というか、当局と全逓との争議中というか、そういうときは、局舎は貸与しないのだ、こういうような取りきめ、あるいはこれは京都郵便局だけの話かもしれませんけれども、そういうぐあいになっているそうです。それは事実ですか。
○山本(博)政府委員 局舎を貸与しないといいますか、そこにおる人間が、その局の人間相互の間でいろいろな話し合いをしておるときには、そういう問題はございませんが、一般に闘争状態になりましたときには、いまおっしゃったように、その中で組合活動をすること、あるいは組合事務室を利用するということについてはとめております。
○小沢(貞)委員 このときは局舎を使用していることについて現地で調べたところによれば、全逓は借りておるのだこう言って、こういうことが始まった。ところが、当局側のほうは貸していないから出ろ出ろ、こう言ったということですから、いまの人事局長の話はちょっと違うと思うのですが、その点どうでしょう。
○山本(博)政府委員 局舎と申しましても、この京都中央郵便局というのは非常に広うございまして、最初は局舎の中でそういう行動がございましたので、管理者としては、そういう一般の作業場でそういうことをするのは困るということで、局の中の面会室か何かに移りまして、作業場そのものからは出ていってもらう。お互いに話し合いをするにしても、公衆の見えるところ、あるいはほかの従業員のいるところ、そういうところは避けてもらいたいということで、面会室のほうへ移したというのが実態でございます。
○小沢(貞)委員 わかりました。とにかく管理者としては、暗黙のうちに局舎の使用を許している、こういう実態だと思うのです。こういう、中にいたのでは困るから、面会室のほうへ行きなさいということは、事実として、管理者として局舎の貸与を許している、こういう実態が行なわれているわけです。そういうようにわれわれ確認していいですか。
○山本(博)政府委員 これも結果論になりましてたいへん恐縮でありますが、その途中におきまして、管理者のほうが再三退去命令を出しました。出しましたけれども、これは一つの力関係ということになりまして、言いわけにならないのですけれども、最終的には完全な退去命令が守られないで、妥協した形で面会室ということになったということでございます。
○小沢(貞)委員 退去命令が実施されなかった、こういう御答弁です。 それじゃ引き続いてお尋ねしますが、こういう事態が起こったことについて、あそこは京都の七条署ですか、あるいは京都府警ですか、そういうところへ通報した、連絡をしたと私たちは聞いております。そういうことに対して、連絡をしたが、一体警察はどういう態度であったか、警察は動いたかどうか、これは人事局長のほうからもそうですし、ひとつ警備局長のほうからも御答弁をいただきたいと思います。これは相互に傍観をしておれ、こういうことになったのか、退去命令を聞かずに、警察に連絡をした、しかし、そのままであった、こういう実態だと思うのですが、ひとつ警備局長のほう及び人事局長のほうから、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
○山本(博)政府委員 私のほうに入っております情報では、警察署に頼んだという情報は入っておりません。
○川島(広)政府委員 ただいまの京都中央郵便局の問題でございますが、七条署に対しまして、五月十六日であったかと思いますけれども、御本人から告訴がありまして、これを受理して、告訴調書も取っております。また同時に全逓側のほうからも、六月一日に至りまして告訴がございました。双方から告訴がある、こういうふうな段階でございまして、目下慎重に捜査を進めておるという段階でございます。
○小沢(貞)委員 警備局長の答弁は、それは違うことを言っておるわけです。私はそのときに現地で聞いたところによれば、庶務課長が警察に連絡をつけた、こう言っている。警察のほうとしては、それは出ていくとか、そういうことをしないで、傍観しておったというふうに私には解釈できるわけなんです。そういう事実については御存じであるかどうか、こういうことなんです。
○川島(広)政府委員 ただいまの御質問につきましては、実は聞いてないのでございます。
○小沢(貞)委員 この点については私の調査と違いますので、人事局長のほうも御調査願い、局長のほうもひとつ御調査をいただきたいと思います。事実は、局舎を退去しろという再三の命令を出したけれども、出なかった。最初の御答弁においては、行動の自由すらなかった、こういう中において、現地の庶務課長だと思いました、へ連絡に行ったけれども、警察も動いてくれなかった、何もできなかったと、こういう実態だというように聞いておりますので、これはまた次回か、次々回に御質問したいと思いますので、その当時の模様については後ほど御調査いただきたいと思います。 続いて私は質問をしますが、人権擁護局長のこの資料の冒頭には、大阪郵便局の人事部長の、これは板倉豊文美さんとおっしゃるのですか、「「殺すぞ」「今日限りの命」「火をつける」「全逓弾圧の親玉かくごせよ」などの脅迫的文言の手紙により脅迫され、かつ、名誉を侵害」された、こういうことが、人権擁護局長のほうの資料には載っておるわけです。こういうように、私はこれは郵政労だとかあるいは全逓労組だとか、そういう区別を言っておるわけではありません。あるいは管理職でもけっこうだと思います。こういう事態が起こったときに対して、一体当局側、ここでいえば大阪郵政局長のほうは一体どういう保護手段といいますか、対策といいますか、そういうものを立てたかどうか。これは郵政局側の申し立てによって、この事件は人権擁護局で取り上げるようになったかどうか、あるいはこういう事件が起こっているにかかわらず、警察に情報すら提供しておらなかったかどうか、こういう問題について人事局長にお尋ねしたいと思います。
○山本(博)政府委員 先ほど申し上げましたように、そういう中央郵便局の事態の場合は、警察のほうに通報いたしておりません。はっきりした暴力行為という形を表に出しておりませんので、こちらとしては警察に通報いたしませんでした。 それから第二の問題でございますが、こういういろいろな投書なりビラなりが張ってあって、本人が非常に迷惑しておるということは、私どものほうも聞いておりますが、これについて、大阪の郵政局長が、法的に申しますと、これを保護する手段はございません。しかし、こういうことをしないようにということについて全逓労組に申し入れをするというようなことについてはしておるのではないか。これははっきり申し上げられませんが、当然のことだと思います。
○小沢(貞)委員 これは警備局長にお尋ねいたしますが、こういうことがあって、法的にどうすることもできないのですか。これは法的の問題です。「殺すぞ」「火をつける」というような脅迫があった場合に、警察に通報された、こういう場合には予防手段でも、あるいは注意でも、勧告でも、これは警備局長として何もする手段はありませんか。
○川島(広)政府委員 いまお話しのような場合でございますれば、当然警察から警告をいたします。特に、いまお尋ねのこの問題につきましては、被害者からも届け出がございまして、現在はがきも領置いたしておりまして、目下筆跡鑑定その他なし得る手段を使いまして捜査をしている段階であります。
○小沢(貞)委員 いま警備局長の御答弁だと、こういうものが届け出になれば、何らかの方法が講ぜられるように私は聞こえるわけです。ところが、人事局長さんのほうは、そういうことについては内部の問題として何にも通報しなかった、こう言うのです。警察のほうでは、これはどういうような動機から取り調べるようになったか知りませんけれども、私がここで言いたいことは、こういうものは内部の問題だとして放置しておるところに問題が出てくる、こう私は考えるわけです。どうです、再度人事局長の御答弁を願います。
○山本(博)政府委員 私が申し上げましたのは、個人としては、自宅付近にいろいろビラを張られたというようなことについて警察に告発するとか、あるいは調査を頼むというようなことは、これはみな、しておると思います。これは個人の問題となります。ただ郵政局長といたしまして、こういうことがありましたときに、先ほど申し上げたうち、板倉人事部長の問題あるいは西原郵政局長の自宅付近に張られた問題、こういうことについては、それぞれ各人が警察のほうに通報いたしております。ただ郵政局長といたしまして、管内にこういうようなことがあるということで、一般的な問題として警察のほうに通報するということはいたしておりませんと申し上げたのです。
○小沢(貞)委員 職制としてはやらないということですか。たとえば自分の部下の人事部長がこういうことをやられておっても、職制としてはやらないということ、局としてはやらないということですか。それをやられておる個人がかってに処理しろ、こういう方針なんですか。
○山本(博)政府委員 ただいままでは、各人が告発をするということの方法をとっておりまして、郵政局として一般的な問題として、警察関係とそういう連絡をする、あるいは通報するということはいたしておりません。
○小沢(貞)委員 それは、そういう答弁でいいのですか。自分のところの人事部長がこういうようなことをされておる、あるいはその下の課長でもよろしい、あるいは一般職員でもよろしい。そういう事態が起こっておるときに、その上の課長でも局長でも人事部長でも、そういうものを何にも取り扱いをしない。何の保護も加えようとしない。そういうことでいいのですか。これは、こういう事件が起こった反省として現在においてもそれでいいと考えておりますか。ほかにおいてもみなそうなんですか。
○山本(博)政府委員 従来起こりましたケースの場合は、各人が自分で警察にこういうビラが近所に張られた、あるいは自宅にこういうビラが投げ込まれた、あるいはこういう手紙が来たというようなことで各人ごとにそういう処置をいたしております。 ただ、今後ともそれでよろしいかという御意見につきましては、私のほうといたしましては、そういう大がかりないやがらせといいますか、そういう事態が頻発するようでございましたら、これはもちろん郵政省としまして総括的に防止策というものを講ずる必要があろうかと考えております。
○岡沢委員 関連して。いまの山本人事局長の御答弁に関連してお尋ねするのですけれども、ことに、大阪郵便局で起こりました板倉人事部長に対するいやがらせ、内容が「殺すぞ」とか「今日限りの命」「火をつける」こういう事実を摘示して、文書をもってするいわば脅迫的なもので、これは刑事犯罪にもなろうと思いますが、こういう事実があるのにこれを放置する。法務省とか警察庁の取り扱いは別といたしまして、郵政省としては何もしない、自分の上司に対して刑事犯罪に該当するような事案を示す職員がおるのに、何らの処置を取らないということは、法律的にも常識的にも考えられないと思うわけでございます。ほんとうにこれは、たとえば人事権あるいは懲戒権その他の対象にならないのでございますか。その点をはっきりしていただきたいと思うのです。
○山本(博)政府委員 刑事事件といたしましては、警察なりが捜査をいたして、これを取り扱うことになろうと思います。 問題の第一の点でございますが、郵政省といたしましては、これは、自宅の問題、あるいはそこに電話が何回かかってきたか、あるいはだれからかかってきたか、あるいは手紙の差し出し人はだれであるかということまでの郵便局自身の事実の確認ということは、実は非常に困難でございます。あるいはビラをだれがまいたかは、深夜そこに張り込みか何かしなければ確認はできません。したがいまして、自宅付近において起こったということについての完全な確認ということは技術的に困難でございますので、各人がそれを警察にお願いする。しかし、一般論といたしましては、郵政省ではこういう事例が起こっておるということを、たとえば県警なり市警なり、そういうようなところと事実上の連絡はいたしております。しかし、郵政省という形で告発するというようなことはいたしておりません。事実上の連絡、こういう事例があるからよろしくという連絡はいろいろとっておりますが、郵政省として告発するということはいたしておりません。これは先ほど来申し上げておることでございます。 それから、懲戒等の問題でございますけれども、これは現在の懲戒規程に照らすような内容がはっきりいたしまして、たとえば公務員法第八十二条に書いてあります内容に該当するような事例になりましたら、これはむろん処分ということになりますが、勤務時間外、しかも職場外、あるいは自宅付近で、先ほども申し上げたそういう事例でございますので、なかなか事実確認というようなことは困難でございます。ただし、刑事事件としてそういうものがあがってまいりまして、それ相応の措置がされましたら、それに対応いたしまして処分するということは当然のことであります。
○岡沢委員 それでは局長にお尋ねしたいのですが、事実は確認されていないとおっしゃいますが、確認しようとする努力をなさる意思があるかどうか、あるいは努力なさったのか、非常に消極的な態度であって、これが責任ある局長として、郵政省の省内の職員の身分を守る立場かと私は疑わざるを得ないのですが、それについてお答えをいただきたい。
○山本(博)政府委員 私たちの気持ちといたしましては、職員がそういう目にあっておるということは非常に残念で、また遺憾であり、こういうことに対して、防止できれば大いに防止をするという気持ちにおいては非常に強いものを持っております。ただ、どこでいつどういう形でこういう事件が起こるかということをあらかじめ察知いたしまして、そこに人を配置するということは技術的に困難であるということを先ほど来申し上げておるわけでございますが、気持ちの上では、こういうようなことがあることはまことに遺憾であると考えておりますけれども、具体的に確実な防止対策というものを持っておりませんということを申し上げておきます。
○岡沢委員 防止対策を聞いているのではなしに、現に事実があった場合に、それに対する調査なり調査の努力をする意思があるかどうかをお尋ねしているのです。
○山本(博)政府委員 私のほうでは、この事実の調査というものは、警察なり、そういう専門のほうでやっていただいて、それによって判明したものにつきまして、先ほど申しました行政処分なり、そういうようなもので処理していきたいというふうに考えております。ただ、局内の場合はもちろんこちら側の責任でございますが、局外一般の場合は、気持ちの上ではまことに遺憾に思いますけれども、郵便局の管理者というものは非常に数が少のうございまして、いわば捜査をするとか調査するとかということの万全な数というものはそろっておりません。そういう意味で非常に困難であるということを申し上げておきたいと存じます。
○岡沢委員 それでは、郵政省当局の調査、あるいは警察庁あるいは検察庁の調査の結果で、局員の中でこういう事実行為を犯したものがあるということが判明した場合には、処分をなさる予定でありますか。
○山本(博)政府委員 その事案の内容によりまして、適切な処置をいたしていきたいと思っております。
○小沢(貞)委員 この人権擁護局からの資料の表には載っていないと思いますが、私はこれは警備局からお聞きしたわけですが、「大阪西郵便局事件」というので、「五月二十九日午前八時三十分ごろ、大阪西郵便局集配課室で同課員が郵便物を仕分け中、全逓労組員岡本好司と全郵政労組員松原岩男が、転居者あての郵便物の配達区分をめぐって口論となり、これをそばで見ていた全逓労組員高須博明が、いきなり「お前くばってやれ」とどなりながら、松原の顔面を手拳で殴打し、治療一週間の顔面挫傷および右前腕擦過傷を負わせた。同日、当局側から電話で所轄大阪府西警察署に届出があり、翌五月三十一日被害者が同署に出頭して被害状況について供述調書を作成した。なお、当初当局側の連絡では、被害者が告訴するということであったが、被害者が出頭した際には、「被疑者が謝罪したので告訴はしない」旨を供述した。」こういう事件はあったわけですね。これはおたくのほうからの調書です。
○川島(広)政府委員 いまお尋ねのような事案はございました。
○小沢(貞)委員 こういうのは、被害者から告訴しなければ、刑事事件として取り扱いませんか。
○川島(広)政府委員 事案の内容が傷害事件でございますから、告訴はなくても当然そういたします。
○小沢(貞)委員 郵政局長にお尋ねいたします。 これは職場の中で午前八時三十分ごろから起こって、この書類には全郵政とか全逓とか書いてありますが、これは職制はどうなっておりますか。課長とか、主事とか、主任とかありますが、そういう職制の規律の中で解決さるべき問題ではなかったか、こういうふうに考えるわけでありますが、こういう事件に対してはどうお考えでしょうか。
○山本(博)政府委員 これは当然職場の中の規律の問題として処置さるべきことだと考えております。
○小沢(貞)委員 これは私よくわかりませんが、ここに名前をあげた岡木好司、松原岩男、高須博明、これは主事、主任、一般職員という指揮命令系統はどういうような関係になるのでしょうか。
○山本(博)政府委員 これは、私のほうに入っております情報では、両方とも、職務上の関係で、上下の関係というものがはっきりいたしておりません。両方とも事務官と書いてあるだけでありますが、年齢の点からいきますと、松原事務官のほうが職制上指揮権があったのではないかと想像しております。
○小沢(貞)委員 ついでにお尋ねしますが、組織規程といいますか、指揮命令の規定では、局とか部とか、上のほうはいいですが、課から下のほうはどういうぐあいになっているのでしょうか。
○山本(博)政府委員 例を課にとって申しますと、課長がもちろん最高の指揮権を持っております。その下に副課長、副課長の下に課長代理、その下が主事でございます。それから主任、それから一般の職員、こういうことになっておりまして、主事までは指揮権を持っております。主任の場合は、これはいわば同輩中の主席ということで、指導権だけを持っておりまして、指揮権は持っておりません。
○小沢(貞)委員 そうすると、この職場における直接の指揮権を持つのは主事であるはずですね。
○山本(博)政府委員 そのとおりです。
○小沢(貞)委員 その主事は、このときに一体どういうような処置をしたか。これは全逓とか郵政とかいう問題以前の問題、職場規律、職制上の規律が確立されておったかどうかというところに、こういう問題が起こる原因がありはしないか。そうすると、この京都郵便局の集配の関係の人ですか、そこの指揮命令権を持つ主事というのは、こういう場合に一体どういう態度で何をしていたか。もっぱら全逓だ郵政だというような労組問題で争われているところに職場の規律が確立していない、こういうふうにしか理解できないわけです。主事は一体何をしていて、職制として職制らしい職務を果たしておったかどうか、そういうことについてはおわかりでしょうか。
○山本(博)政府委員 大阪の西局の場合は、その当時管理者がその場で現認をしておらない、管理者のいない場で起こったということでございまして、その後、庶務課長が周囲の者からその事情を聞いて、その事実がわかったということでございます。 なお、大阪西局の場合につきましては、先ほど申し上げましたように、これは純然たる職場規律の問題でございますので、その事案の内容によりまして処分方手続をとっておるところでございます。 なお、京都の中央郵便局の場合に管理者は何をしておったかということでございます。詳細な点は、ただいま私のほうから人を派遣して調査をいたしておりますので、追ってその内容がわかると思いますが、現在でわかっておりますことは、これはそこに集まっておる人間全部が勤務時間外であったということで、管理者がその場に立ち会っておるとか、あるいは指揮権をもってどうするという状態になかったというふうに聞いております。
○小沢(貞)委員 ちょっと小さいところにこだわってたいへん恐縮ですが、この郵便物をおまえ持っていけ、おまえ持っていけというようなことで、全逓と郵政の争いみたいなことが出ております。しかし、私はそれ以前の問題だ、こう理解するわけです。そのときに局長さんの御答弁は、主任とか主事とか課長代理とか副課長とかいう人をすっ飛ばしてしまって、非組合員である庶務課長がいたとかいないとか、こういう御答弁をなさっている。これは課長、副課長、課長代理、主事、主任という職制のラインでしょう、スタッフではなくてラインでしょう。それをまずお尋ねしたいわけです。
○山本(博)政府委員 おっしゃるとおり、そういうラインがございます。ございますが、こういう暴行事件が起こったあと始末、いわばその内容を確認して、処分をどうするかという規律の問題は、庶務課長の担当でございますので、庶務課長がそういう処理をしたんだと思います。しかし、その場におりました主任とか主事とかあるいは課長代理というのが、そういう暴行事件を見ていてどういう態度をとったかということについては、ただいま情報を持ち合わせておりません。
○小沢(貞)委員 情報がないようだから、私はこれ以上追及いたしません。こういう場合に、非組合であるラインの人、職制の者しか出てこないということは、一体何のために——組合員であるかないかはわかりませんが、この辺は大部分組合員かもしれませんが、職制の課長代理、主事、主任、こういうものを職制のラインとして置いてあるわけです。その大部分がどっちの組合に属しているかは私は知りませんが、こういうことを扱うのに、組合問題として扱う以前の問題として、職制の規律として、主任が何をしておったか、指揮命令権を持つ主事は何をしておったか、こういうことを私は問題にしたいわけです。そういうことについて御調査がないようですから、これ以上お尋ねをいたしませんけれども、非組合員である課長だけが職制の権能を持っているんだ、副課長、課長代理、主事、主任は職制の命令指揮権はないんだ、こういう実態がいろいろなトラブルを起こしている、こういうふうに理解をするわけです。だから、ここの場所においても、職制のラインとして指揮あるいは指導ができる主事、主任、こういうものがいたはずです。あるいは課長代理がいたはずです。そういうものが職制の機能を発揮してない、そういうところに問題があるように思います。この点について何か御発言がありましたらひとつ……。
○山本(博)政府委員 ただいま御指摘になりました点は、全くそのとおりでございます。これはどちらの組合に属しているかという問題ではなくて、完全な職場規律の問題でございますので、その場所に居合わせた主事なり課長代理なり、いわば組合員であっても職制上の責任を持っておる者が当然こういうものを阻止し、あるいは直ちにそういうものを取り静める、それで規律を回復する、そういうことの責任を持っておるはずでございますし、それが十分行使されたかどうかにつきましては、いま申し上げたように情報を持ち合わせませんが、たてまえとしてはおっしゃるとおりでございます。
○小沢(貞)委員 そういう反省があって、今後規律を確立しようという御答弁なので、これ以上郵政省の人事局長にはお尋ねすることもないのですが、私は、これはまだいろいろ聞いておるわけです。大阪の西郵便局でしたか、場所は忘れましたが、たとえば局で管理しておる食堂の中に別な組合員の人が来ると、やあイヌが来たぞ、おおくさいぞとかいって、みんな大きな声をあげてやっているとか、職場の中においてすらそういうことが行なわれておる。こういうことで、こまかい規定がどうだということは別にし、休憩時間であったかどうかということは別として、いませっかく職制で課長から副課長、課長代理、主事、主任、こういうラインがあって、指揮命令、指導ができるのに、こういう職制管理が確立していないところに問題があろうか、こういうふうに私は考えるわけです。 特に私はこの際人事局長に申し上げておかなければならないことは、公労法第十七条ではストライキをやっちゃいけないぞ、こうなっておる、そういうことを教育することだってある。一般民間なんというものは、そういうような問題については、常日ごろ、主任、係長、課長が毎日のように徹底して教育をしておるわけです。そういう教育の足りないところにもまだ問題があるのではなかろうか。何もそういう労働問題だけでなくて、職制のラインの者を常に教育する。そういうことは、職制の規律を確立し、郵政省が国民に奉仕する、こういう立場から当然やらなければならないことだ、こういうふうに考えるわけです。この点は反省もあったようですので、さらに追及はいたさないことにいたします。 次に、人権擁護局長にお尋ねをしたいと思います。 実は、私たちは、こういう要件があって、先月の二十九日に現地大阪に調査に行きました。ところが大阪の現地で調査をやっておる中でだんだんわかってきたことは、大阪の局の窓口は、どういう人であったかよくわかりませんけれども、を受けた人が、実はこういうことがありましたといって申し立てに行ったら、いやそういう労働問題はむずかしくていけないといってはね返した、取り扱おうとしない。それから事件があってから十日も二週間も二十日もたった後の先月の二十九日だったと思いましたが、行ったのだけれども、私たちが行ったときに、ようやく大阪の郵政局でぼつぼつ調べようか、これはまたうるさい者が来たから調べようかというようなことで及び腰に出てきておる、こういう実態ではなかったかと思います。現地の取り組み方が、労働問題だから、どうもおっかなくて出ていけないのだ、こういう態度があるように見えるわけです。こういう点について、ひとつ擁護局長からお答えをいただきたいと思うのです。
○堀内政府委員 私ども法務省の人権擁護の立場といたしまして、組合であるから介入しないという態度ではございません。大阪法務局におきまして最初とりました態度は、大阪に問い合わせて聞いてみますと、非常に人権の立場から遺憾な問題であるとは考えたけれども、二つの労働組合が対立抗争をしておる、そしてその中から発生した事件であって、いま直ちに法務局が動き出せば、この対立の激化に油を注ぐことになりはしないかということをおそれたために、しばらく情勢をながめておった、こういうことであったそうであります。
○小沢(貞)委員 どうもあげ足をとるようでたいへん恐縮です。こういう事実について、さっそく何らかの処置をすれば、こういうだんだん大きくなっていくことが防げたのだ。これを拱手傍観をしておるがために、こんなことをやってもどこからも注意も来ないし、どこも何も言わないしということで、ますます燃え上がっていく、こういう実態ではなかろうかと思うのです。だから、それだけの間じんぜんと日を送っていることについて、労働組合問題だからいけないんだ、こういう態度がおかしい。私は、郵政労組だ全逓だという問題以前の問題をいま取り上げて言っているわけです。
○堀内政府委員 おっしゃいますように、私ども労働組合の問題だから介入しないというのではございませんで、対立抗争に油を注ぐような状態になってはということで、しばらく見送っておったのであります。ただいまお話しのように、私どもといたしましても、今後の問題としまして、そういう見送るというような態度を捨てまして、早急に調査をいたしまして、何らかの措置をとりたい、かように考えております。
○小沢(貞)委員 事務的なお尋ねをします。こういうのは、本人の申し立てがあろうとなかろうといいわけですね。もう一つは何か新聞で聞いたとか、あるいは電話かなんかの情報で得た、こういうことで人権擁護委員会は具体的に動けるわけですね。その点を……。
○堀内政府委員 私どものほうは、申告がございませんでも、新聞あるいはうわさあるいは投書によりましても、そういう情報を得ますれば、調査をいたすということをいたしております。
○小沢(貞)委員 さらに事務的なこと。この侵犯事件処理規程ですが、処理規程によると、特別事件というのが第十三条にあるわけです。この特別事件と一般事件との違いは、おおまかに言ったらどういうことになるのでしょう。
○堀内政府委員 事件が社会的に見て非常に重要性が大きいというような問題、そういうものを各地方で扱います場合に、本省まで報告させるという意味から、そういう重要な問題を特別事件として扱っておるわけであります。
○小沢(貞)委員 そうすると、その条文の中を読んでみると、たとえば食堂の中で、さっき言ったように村八分のような状態にさせられたとか、あるいは九号によれば、出版物、印刷物等によって名誉の棄損、信用等の侵犯があったとか、あるいはまた「組織又は多衆の威力による侵犯」があったとか、そういうような公衆の耳目をひいた侵犯、こういうようなものは特別事件として現地では人権擁護局長のところまで来るわけなんですね。
○堀内政府委員 組織あるいは多衆の威力を用いて侵犯が行なわれるという事件に該当いたしますれば、特別事件として本省まで上がってくる、こういうことであります。
○小沢(貞)委員 いまここで擁護局のほうから資料をいただいたのは、特別事件の取り扱いのこの規定の中に該当するようなことばかりなので、これは特別事件としてお扱いなさいますかということなんです。
○堀内政府委員 一つ一つの事件をとり上げますと、特別事件に該当いたすのでありますが、それがまだ——先ほど私どものほうで事実を確認したと申し上げましたのは、ビラが張られたとか、あるいは家庭の周囲にビラが張ってあるとか、書面が来たとか、脅迫がなされた、そういう客観的な事実が出されましたので、だれかあるいはだれかの指図を受けてやったか、これが組織的な動きをしているか、そういう点までまだ十分な調査をいたしておりません。ですから、ただいまのところでは、そこまで、組織によるものという確認はできておこらないわけでありまして、ただいまのところ、まだそういう特別事件として上げてきておらないということであります。
○小沢(貞)委員 人権擁護局はたいへんマンマンデーなんです。こういうビラが、たとえば「悪事を働き宇野勇はさって行くこんな野郎は即座に引きずりおろせ」とか、「植松は坊主の身でありながら自分自身の出世しか考えないナマグサ坊主です」、それから「ド犬」というようなビラが本人の家庭のまわりに張られている。松木においては「うらぎり者内川隆人偽善者」、「仲間をうらぎっても出世したいか藤井勝人」、こういうのをどういうふうにしてあるか、本人の家の前、近隣に張ったり、あるいは隣組の家の前へ持っていって置いて、これが舞っていかないように石を一つ一つ置いて、隣組の家に置いていく、こういうことです。あるいはまた、もうわれわれがここで言わなくてもみなわかっておると思いますが、隣近辺の者にだけ、こういうように「ご町内のみなさんに訴えます」というガリ刷りの印刷物を配って歩いている。さらにそのビラには発行者がちゃんと出ているわけです。しかも皆さんのほうの出していただいた資料には、相手方まで明確に書いてあるわけです。それでもなおかつ組織的に行なわれていない、いるかいないかわからぬ、こうおっしゃるのでしょうか。
○堀内政府委員 組織によって、あるいは多衆の威力によって行なわれたか、まだ確認されておりませんけれども、この事件はそのほかなお公衆の耳目を引く事件として、特別事件として扱うということで、特別事件に入ってまいると思います。
○小沢(貞)委員 そこで、先ほど擁護局長さんからのこの事件一覧表の説明をお聞きすると、人事部長板倉豊文美、その次には宇野勇、一号、二号ですね。それから最後のページの長尾泰弘、これについてはすでに確認してある、こういうようにお聞きしましたが、どういうような状況でしょう。わかりましたら簡単に、三件について御答弁いただきたいと思います。
○堀内政府委員 この一覧表に記載してございますとおりの侵害容疑欄に掲げてあります点を確認いたしました。相手方欄に掲げたところはまだ明確に確認されておらない。だれがだれの指図を受けてやったかというようなことですね、この点はまだ明確になっておらないのであります。
○小沢(貞)委員 こういうように、十何件ある中で、三件確認をしていただいたということは、たいへんおそいような感じがするのですけれども、とにかく三件確認をしていただいた、こういうことになると、人権擁護局としての処置につていはどういうようになさるわけですか。
○堀内政府委員 できるだけ早急に、相手方につきましても、だれがだれの指図を受けているかという点につきましても調査を進めまして、それらをつき詰めました結果によりまして、何らかの措置——といいますと、結局相手方に今後この種の名誉棄損あるいはいやがらせをやめてほしいということを説得の工作をしたい、こう考えるわけであります。
○小沢(貞)委員 この人権侵犯事件処理規程第九条の一号に、「明らかに犯罪に該当すると認められるときは、文書で、刑事訴訟法の規定により告発する」、こういうようになっているわけです。告発するに至るか至らぬかは別問題として、告発することができるわけなんでしょう。
○堀内政府委員 私ども、規定の上で告発できることになっております。また刑事訴訟法の規定によりましても告発することができるわけでありますが、実際の取り扱いとしまして、最近は告発をいたしませんで、内部的に検察庁に連絡をする、こういう取り扱いをいたしております。
○小沢(貞)委員 どうして具体的には告発せずに、内部的にそおっと処理してしまおう、こうなさるわけですか。
○堀内政府委員 実は、私ども法務省の人権擁護局の立場といたしましては、強制的な捜査力を持っておらないのであります。何らの権限なしに捜査いたしておるのでありまして、確実な証拠に基づいて、事実を確実に認定するという能力に欠けるところがありますので、そういう意味で告訴というところまで——本件につきましても、だれがだれの指図を受けてというところまで明確に確認することが困難なものでありますから、そういうような態度を従来とっておるのであります。
○小沢(貞)委員 どうも私はおかしいと思う。ちょうど二人がここにいらっしゃるのだが、いまのような実態なんです。警備局長、こういうものは積極的に捜査いたしませんか。内部的にそっと検察庁に報告する程度だというふうに伺っているのです。いま一つは、局長は警察の協力を求めて調べようとしないわけですか。
○堀内政府委員 人権擁護機関が警察のお力を借りて調査するというのは、実はアメリカではいたしておりますが、日本の私どもの立場では、の力を借りて調査するということはいたしておらないのであります。
○川島(広)政府委員 ただいまお尋ねの、和歌山県のケースにつきましては、先ほども御報告いたしましたように、現在までにビラ張りあるいはステッカー張り等につきまして指示をした幹部につきましても取り調べが終わっておりまして、六名の取り調べを完了して近く立件するつもりでおります。なおこのビラ張りの事件は二件あるのでございますが、第一の事件についての実行行為者、これがまだ判明しておりませんので、その面について目下捜査している。それから重ねて申し上げますけれども、第二の事件につきましては、実行行為者あるいは幇助した者について六名全部捜査を終了しておりまして、近いうちに立件送致するという段階でございます。
○小沢(貞)委員 人権侵害でたいへん恐縮です。 政務次官にお尋ねしたいのですが、いま人権擁護局長さんの言うように人権擁護ということは社会的ないろいろの判断によってそういうことが行なわれないようにするということで、私はそれはいいことで、何も刑事事件にするとか告発するとか、そういうことが必ずしも望ましいことではないということはわかっていることなんです。そこで法務大臣の権限としては、全国に二万人いるか三万人いるか、人権擁護委員というものを指揮監督することができる、こういうようになっているわけです。私は人権擁護委員はなかなかこういうものの捜査等については、しろうとですから、そううまくはいかないと思います。しかしながら、とにかく労働組合の争いを家庭の中に持ち込んで、こういうビラを配ってこういうことをやっている。これは社会的に常識で考えるとまずいことだ、こういう判断ぐらいは直ちにできるんじゃないか、こう思います。しかもそれを指揮する権能は法務大臣が持っているわけです。しかもこの人権擁護委員法の第二条には「国民の基本的人権が侵犯されることのないように監視し、若し、これが侵犯された場合には、その救済のため、すみやかに適切な処置を採る」こうあるわけです。こういうたいへん大がかりな事件ですから、出先の法務局あるいは地方法務局にもなかなかこういう捜査や調査に当たる人は少ないと思うが、少なくとも何万人いるか知らないけれども、人権擁護委員は法務大臣が指揮できる。しかも法律はすみやかにやれ、こういうようになっているわけですから、その地方における擁護委員なり何なりを指揮して、すみやかに対処をすることをお考えであるかどうか、こういうことを大臣のかわりにお尋ねします。
○井原政府委員 ただいまいろいろ現実の問題につきましてはそのほうの局長からお答えいたしましたように、すでにそれぞれ傷害、暴行事件等で告訴をしておるわけでございまして、目下警察当局がこれを取り調べ中でございますので、近くまた引き続いて検察当局でこの真相をきわめなければならないことになろうかと思います。それはそれといたしまして、こういうことを、そういうふうに問題が現実に起こって後に処理することも大事でございますが、それ以前の問題として、できるだけこういうような紛争の起こらないように指導していくことも擁護局の仕事の一つかと存じます。どちらにいたしましても、そういう現場現場の擁護委員に協力をいただきまして、こういう問題の解明を早急にはっきりいたしまして、今後こういう紛争の起こらないように、起こりましても早急に処置できるように努力いたしたいと存じます。
○小沢(貞)委員 じき本会議の本鈴のようですが、私は警備局長にもたくさんお尋ねしたい点があったわけです。実は私たちが京都府警へ調査に五、六人一で行ったところが、やっと、きょうから七条署へ応援に出しましょう、こういうようなことであったようです。ああいうことに対して迅速に動くということに欠けておったのではないか、こういう点がまず一点われわれには感ぜられました。それからまた私はいなかへ帰ったとき聞いたのですが、長野郵政局の管内の松本郵便局に、先ほど申し上げたような同じような事件がありました。そうしたところが、松本署の人は相手方の親方のところにすぐ忠告をしてやめさせた、そうしたらなるほど警察から注意されたので動きがとまりました、こういう報告を受けているわけです。だから京都のほうと松本のほうとは扱いが違うのかどうか、こういうことも感ずるわけです。もう一つさらに悪いことは、どうもおっかないこと、やかましいことに警察もさわりたくないんだ、そういう態度が見えるような気がしてなりません。真実のことはまだ私も確認してありませんけれども、長野郵政局管内の上田郵便局でことしのストライキのときに——これは郵政労も何もいるわけではありません。全逓の者だけです。こんなストライキはだめだからといって十数名の人が、もしストライキに入るならわれわれは強行就労いたします、こういう態度を明らかにして何か有志が集まってきめたそうです。これは労働組合運動とは全然関係ありません。そういう事態になると、これはまためんどうが起こっちゃいけないということで、上田署の公安関係の人ですかに連絡をした。そうしたら、そういうようなことがないように警備体制なり何なりしいてくれるんであろうかと思っていたところが、あにはからんや、警察では逆にその情報を全逓の役員のところへ持っていった、こういう事実を聞いておるわけです。だから私は警察の動き方にして三色ある。京都や何かのほうは、労働問題や何かでやかましくてしょうがないから、及び腰で、なるべく動くな、動くなというこういう一つのケース、動き方がある。またこれからお尋ねしようと思っておったが時間がありませんから尋ねませんけれども、もう一つは、松本のほうは、こういうビラをまいたらば、公安の人かどうか知りませんけれども、さっそく注意をしたら、その動きはとまったと、こういうわけです。最悪のケースは、左のほうの人が強いもんだから、情報がせっかく入ったのにすぐ教えてやった。まあスパイ的な行為をやっている。同じ警察でもって京都の例、松本の例、上田の例、こういうように違うのは一体どういうことにあるでしょう。私はその地域、地域の情勢に押されて警察もやっている、一つの方針に基づいてやっているんではないのだ、こういうように理解せざるを得ないわけなんです。
○川島(広)政府委員 京都のお話でございますが、実は中島孝一君の問題でございますけれども、七条署で告訴を受理いたします際にやや適切を欠いたような点があったやに報告を受けております。したがいまして、さっそくにも私のほうからでもその旨現地にも伝えまして、自後適切な処理をいたす方針で現在進めております。 それからいまお尋ねの上田署の問題につきましては、実はまだ報告を聞いておらないのでございますが、もし事実であればすぐに善処いたしたい、こういうふうに考えます。
○小沢(貞)委員 これで終わります。 次官に私は、特に人権擁護の立場からお願いをしておかなければなりませんが、最後に、労働問題になりますが、一つの労働組合と新しい労働組合ができたわけです。片方の労働組合がそういうふうにいじめられているわけです。だからそういうことについて、警察か人権擁護局かあるいはまた郵政局かだれか知りませんが、とにかく法治国家であるからには、こういう白昼公然たる暴力行為を、どこかで何かをしないならば、新しい労働組合はこうせざるを得ないと言うんです。われわれもまたあれと同じことをやって激突をして、社会問題になって、そして警察か法務省か郵政省かだれか動いてくれるだろう。それが野放しだからこういうことになる。これは最悪なことなんです。だから適切な方法を講ずれば、私の質問の中にも出てきたように、郵政省が管理体制を強化する、松本の警察署と同じようなちょっとした注意というようなことで防止できたり、あるいは人権擁護局は人権擁護局でそれなりの、弱い力かどうか知りませんけれども、擁護委員を集めて社会的な制裁を加えるようなこともできるはずだ、こういうように考えるので、これに対する処置を適切にすみやかにやっていただく、こういうことを各局長さんと政務次官に要望しておきます。 ただ、これはまだ終わりではありませんから、そういう処置が各局において、それぞれ警察庁と人権擁護局と郵政省とにおいて適切に行なわれたかどうかを、私一、二週間後にまた現地へ行ってよく実態を調査してきて、地方行政委員会か逓信委員会かこの委員会において質問をいたしたいと思いますので、それぞれすみやかに適切な御処置をしていただく、こういうことを要望して質問を終わります。たいへん人権侵害をして恐縮でございました。
○大坪委員長 関連して中谷鉄也君。
○中谷委員 それでは一点だけ。 人権擁護局長にお尋ねしておきますけれども、この会議録にとじられるという「全郵政労組員等に対する名誉侵害等容疑事件一覧表」、非常に特徴的で興味があり関心が持たれるのは、全郵政と全逓とのというお話であるけれども、官に対するものと、そうして全郵政に対するいわゆるなにとがごっちゃになっている。このあたりに私は問題の一つの本質があると思うのだけれども、この表をおつくりになって出されたけれども、これは全部職権で探知をされたものですか、それともいわゆる申告に基づいたものなのか。これ以外にいわゆる人権侵害事件なんというものはないんだということなのかどうか、職権で探知されたものが全部なんですか。それを一点だけ聞いておきたい。
○堀内政府委員 申告に基づいて書かれたものと、その他の情報によって書かれたものとあります。
○中谷委員 大部分はどっちですか。
○堀内政府委員 大部分は申告でございます。
○中谷委員 だからその点だけ私、明確にしておいてもらいたい。こういうものについて、特別調査とかなんとかおやりになるんだったら、申告に基づいたものだけこういう麗々しいかっこうでお出しになるけれども、私は申告のないところに問題がありますと申し上げたい。 それから、きょうは警備局長、それから郵政省の人事局長、答弁きわめて詳細をきわめておったけれども、今後私がこの問題について、同種の同じようなことを別の立場から質問したときに、その点実は調査しておりません、そんな問題については関知しておりませんというふうなことのないようにしていただきたい。ことにこの問題は、もう一度申し上げますけれども、官に対するいわゆる攻撃と全郵政に対する攻撃とごっちゃになっておるという点に問題の本質とこの問題を掘り下げていく角度がございます。この点だけ申し上げておきます。
○大坪委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十二分散会 ————◇—————