法務委員会 第17号
- 発言数
- 15 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1967/06/06
会議録
○大坪委員長 これより会議を開きます。 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。大竹太郎君。
○大竹委員 まず第一にお伺いしたいのでありますが、この法律で設置を規定しております簡易裁判所の中で、現在まだ開庁していない簡易裁判所があるということでありまして、たしか第四十六国会だったと思うのでありますが、附帯決議がこの法案の審議の際につけられたのであります。それを読んでみますと、政府、最高裁当局は「当該箇所について再検討を行ない、開庁を必要とするもの、又は、当面開庁を必要としないものを区分し、すみやかに、これらの法的措置並びに予算措置を行ない、」簡易裁判所の運営の合理化をはかられたい云々という附帯決議がついておるわけです。 それで、今度のこの法案の審議につきまして、拝見いたしますと、この開庁されてない簡易裁判所の措置については何ら触れていないように思うのでありますが、これらについてどういうふうに考えていらっしゃるか、ひとつ方針その他についてお伺いいたしたい。
○川島(一)政府委員 それでは、まず私からお答えさせていただきます。 ただいまお話のございました当委員会の御決議につきましては、その御決議の趣旨に従いまして必要な措置をとりたい、かように考えておりますことは、御決議の当時からずっと変わっていないわけでございます。法務省といたしましては、最高裁判所の事務当局とも連絡をとりまして、その措置をとるために必要となりますいろいろな調査検討を行なっておるわけでございます。 ただ、ただいま仰せになりましたように、今回の法案を提出するに際して、まだ最終的な結論が出ておりませんために、その措置をこの法案に盛り込むことができなかったわけでございまして、この点はまことに心苦しく存じておる次第でございます。 最終的な結論がおくれております事情につきまして、この際一言申し上げますと、御承知のとおり、ただいまお話のございました決議がなされましたのは、昭和三十九年の四月のことでございます。その一カ月前であります昭和三十九年の三月に、日本弁護士連合会から法務大臣及び最高裁判所長官に対しまして、百三十三の簡易裁判所を整理統合されたいという趣旨の要望がなされております。この百三十三庁の簡易裁判所の中には、決議で問題とされております事務移転中の簡易裁判所十四庁が全部含まれておるわけでございます。 それからまた、その少し後であります昭和三十九年の八月に、臨時司法制度調査会が内閣総理大臣に対して司法制度の改善に関する意見書を提出いたしております。この意見書の中でも、人口、交通事情等の社会事情の著しい変動に伴って簡易裁判所の整理統合を考慮すべきである、こういう趣旨の意見が述べられております。この意見書によりますと、ここでいわれております整理統合というのは、相当多数の簡易裁判所を念頭に置いているということがうかがわれるのでございます。 このような事情から、政府といたしましては、簡易裁判所の整理の問題を考えるにあたりましては、決議で問題とされております十四庁だけに限らない簡易裁判所の全体の立場から、この配置がいかにあるべきか、その整理はどのような方法でなすべきかということを検討せざるを得ないことになったわけでございます。 そこで、問題を簡易裁判所全体の整理統合という角度からもながめる必要があるというので、最高裁判所のほうの御協力も得まして、必要な資料の調査、それから実地調査などもいたしまして、数十庁、実際には百庁に近い数の簡易裁判所が問題とされたわけでございますが、非常にたくさんの数の簡易裁判所につきまして、整理統合を行なうべきかどうかということを逐一検討してまいったわけでございます。その結果、大体調査は完了いたしたわけでございますが、何ぶんにも調査の規模が広がりましたために、その調査を行なう期間が意外に長引いたという事情が一つございます。 それからもう一つの事情といたしまして、簡易裁判所の整理を実際に行なうという段になりますと、これは事務的な資料の面からだけの判断で事を決するというわけにはまいらない面があるわけでございます。地元の市町村にとりましては、簡易裁判所を廃止するかどうかということは、単に事件数が少ない、管内人口が少ない、あるいは隣の簡易裁判所に行くのに交通が便利であるというような理由だけからでは、なかなか納得していただけない。また市町村当局といたしましても、自分の町に簡易裁判所を置いておくかどうするかということは、一つの地方政治の問題にもからんでくるわけでございます。このことは、簡易裁判所が、現にその事務を行なっている場合でありましても、それから事務移転して、単に名目だけ存在しているにすぎないという場合でありましても、事情は異ならないのでございまして、このために法務省といたしましては、事務的な資料は一応整備いたしましたものの、地元に対する折衝、納得のつく話し合いを進めるという点で、実は非常に苦慮をいたしておるわけであります。いままでの調査で、大体地元の意向がどうであろうかというようなことは、おおむね見当つけておるわけでございますけれども、しかし、市町村当局の事情もございまして、現在のところ、まだ地元との正式な交渉が行なわれていない、こういう段階でございます。したがいまして、これからそういった作業を進めまして、なるべく近い機会に御決議の趣旨を実現したいというふうに考えておりますが、今回は、以上申し上げたような事情でその措置がとれなかったわけでございます。最初申しましたように、御決議がありましてからかなりの期間経過しておりますのに、いまだその措置がとれていないということは、たいへん心苦しい次第でございますが、事情は以上のようなことでございますので、御了承を賜わりたいと思います。
○大竹委員 大体の事情はわかったのでありますが、ただここで申し上げておきたいのでありますが、もちろん俗にいう机の上でいろいろのプランをお立てになっても、実際問題として、地元の市町村その他が同意しないで反対等があれば、スムーズにいかないということは、よく役所でも御承知なわけなのでありますから申し上げるのでありますが、それならそれだけに、全国のものを一つのプランとしてまとめて、そうしてそれを一挙にやるということはもちろんできないわけでありますので、先ほど申し上げましたような二十年近くも未開庁でいるというようなものについては、地元でもその事情等も相当わかっておるわけでありますから、それらのものを、一括でなくても逐次おやりになるということは、結局仕事を早めることになると思うのであります。今度提案をされなかったけれども、もう話がついていつでもできるというふうになっておるものが相当あるのでありますか、どうですか。
○川島(一)政府委員 まず十四庁を切り離して整理を行なうかどうかという点につきましては、今回この法案を提出する際に私どももかなり考えまして、一部についてだけでもこの法案に盛り込んではどうかという点について、裁判所当局とも御相談をいたしたわけでございます。しかしながら、この法案を提出する時期がちょうど本年は地方選挙の時期にぶつかりまして、地方の理事者が交代する、あるいは議員の総入れかえが行なわれるというようなこともございましたので、地元のほうと、最終的な折衝をするということができなかったわけでございます。このような事情から、今回は画一的に差し控えるということで、全部見送ることにしたわけでございます。 十四庁のうち廃止に異議のないというところもあるのではないかというお尋ねでございますが、その点は確かに、若干の地方につきましては、そういう事情が認められるわけでございます。ただ、これも考え方でございまして、十四庁のうち一部のものについて先に廃止の措置をとりますと、残った部分については、これは自分たちが反対しておるから留保されたんだというようなことになりまして、要するに反対すれば廃止されないというような感じを持たせるということも心配されたわけでございます。 そこで実際に十四庁のうち、賛成とまでいかなくても、廃止に異議がないというところもございますけれども、それはどこであるというようなことは、ちょっとこの場では申し上げにくいわけでございます。
○大竹委員 まあ、お役所の立場、わからぬわけではございませんが、十四庁一気におやりになるということは、実際問題としてなかなかむずかしいと思う。それからまた、一面からいえば、現在の市町村の責任者等の立場からいって、何でも、いや、なくなってもけっこうですよといって、正面切って賛成するということも実際問題としてはむずかしいことであります。そういうような面から見ますと、やはりこちらで一応客観的情勢から見て、なくてもいいというもの、また地元としてはたいして反対しないものというようなものを、逐次御整理になっていかないと、私はこの仕事はいつまでたっても始まらぬのじゃないかというふうに考えるわけでございますので、一応お考えおきをいただきたいと思いますし、また最近の簡易裁判所の古いもの等について非常に力を入れられ、予算その他の面でも、裁判所の庁舎改築その他等が大きく取り上げられてきておるわけであります。こういうようなことを考えてみますと、その改築その他については、弁護士会とか地元の市町村その他では、非常に要望しておる面もあるということで、いわゆる簡易裁判所の統廃合というものと、この改築というものを、にらみ合わして仕事をお進めになるということが、私、非常に大切ではないかというふうに思うわけでありまして、これらについてはひとつ十分計画を立てられて、地元とよく連絡をして仕事をお進めいただきたいというふうに特に希望を申し上げておきます。次に、御質問申し上げたいのでありますが、私、最近弁護士の仕事をあまりやっておりませんから実情はよくわからぬのでありますが、簡易裁判所で、いわゆる専任の裁判官が配置されておりません場所が相当あると思うのでありますが、現在の実情をちょっとお伺いしたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま大竹委員からお話のございました、簡易裁判所で裁判官を実際に配置していない庁という件でございますが、これは私どものほうの表現と申しますか考え方からまいりますと、いわゆる総合配置ということでございます。つまり非常に事務量の少ない庁につきましては、二庁で一人の裁判官を配置するというようなやり方をやっておるところがあるわけでございます。と申しますのは、御承知のとおり簡易裁判所は五百数十庁ございまして、その中には事務量の非常に少ないものがございます。一人の裁判官の事務量を一といたしました場合に、たとえば〇・三以下、つまり一人前の仕事の三分の一以下ぐらいの事務量しかないというところが、全国で二百庁ばかりあるわけでございます。そういうところにそれぞれ全部一人の専任の裁判官を置きますと、どうしてもその負担がほかの忙しいほうにしわ寄せになる。また、当該裁判官にいたしましても、いわば時間的の余裕が非常にあり過ぎる、こういうようなことになりますので、地理的関係その他も考えまして、二庁で一人というような配置をしておるところがあるわけでございます。それが全国で大体八十組くらいでございます。結局、それを両方足しますと、百六十庁になるわけですが、そのうち半分には現におるわけで、その相手になるところにいないわけでございますが、そうして、いるほうからいないほうへ、てん補に参るということで、そういうところが、そういう関係で専任がおりませんところが、八十庁ばかりございます。それからそのほかに二庁に二人というような配置のしかたをしておるところもございます。つまりAとBの簡易裁判所がございまして、Aはかなり事務量も多いし、相当大きな簡易裁判所、それに対してBは非常に小さな簡易裁判所、それらが二つ比較的接近しておるという場合に、Aのほうに二人置きまして、そしてBのほうには無配置として、そうしてAからBへ交互にてん補に参る、応援に参る、こういうやり方のところが全国で十六組、つまり三十二庁でございますが、このやり方で無配置になっておりますところが十六庁ございます。そういうようなことで、そのほか若干これに類するやり方のところがございますが、トータルいたしまして、百庁前後のところに現在いわば無配置ということで、つまりほかの庁に配置された裁判官が応援に行っている、こういうやり方になっておるわけでございます。
○大竹委員 そういたしますと、いまの御説明から、こういうように解釈してよろしゅうございますか。事件が少ないから兼任というようなことになるわけでありますが、そうすると、簡易裁判所の裁判官というものは、現在のところでは不足しているということではないのですか。その点を……。
○寺田最高裁判所長官代理者 これは、いかに事務量の少ないところでも、一人配置を当然すべきものだという前提からいたしますれば、不足いたしておるわけでございます。ただ、その間の考え方の問題もあろうかと思いますが、比較的接近しておりますところで、たとえば事務量が〇・三のところが二庁ございます場合に、裁判官が一日置きに両方へ参るということでも大体まかなえるようにいまのところは考えておるわけでございます。しかしながら、理想から申しますれば、ずっといることにこしたことはございませんので、将来の方向としては、先ほど来お話のございます整理統合の問題とも関連はいたしますが、いろいろ増員等についても考えてまいらなければならぬ。ただ、現在何ぶんにも大都会のほうの忙しさとの関連がございまして、さようなことになっておる次第でございます。
○大竹委員 次に、具体的な問題でありますが、今度の提案理由説明書の第二のところに書いてございます。この尾道簡裁の管轄に属する広島県松永市は福山簡裁に、それから福島の富岡簡裁に属する双葉郡の久之浜町及び大久村をいわき簡裁に移すというのがございまして、これは行政区画が変わったから変わったほうへ移すという御趣旨だと思うのでありますが、私はいわゆる国家機関の裁判所その他、あるいは電信電話というようなもの、そのほかにいたしましても、これはやはり広域行政の面から常にものを考えていかなければならぬと思うのでありまして、ただ行政区画にとらわれて、この管轄を動かすということは、ことに裁判所のようなものはいかがかと思うのでありますが、移すということは、住民そのものが、現在よりもそのほうが非常に便利かどうかということの考えが主にならなければならぬと思うのでありますが、これは具体的にどういうことなんでしょうか。
○川島(一)政府委員 まず具体的なケースについて御説明申し上げたいと思いますが、参考資料の三三ページに地図がございます。これをごらんいただきますとおわかりになりますように、旧松永市の区域は、これは現在尾道簡易裁判所の管轄に属しておるわけでございますが、この旧松永市が昨年の五月一日に隣の福山市と合併をいたしまして、新しくできました福山市の一部となったわけでございます。それで福山市のほうは前から福山簡易裁判所の管轄に属しておりまして、この合併の結果新しくできました福山市の一部分だけが尾道簡易裁判所の管轄にはみ出ている、こういう形を生じたわけでございます。そこで今回は、この旧松永市の部分を、福山市のほかの部分を管轄しております福山簡易裁判所の管轄に移そう、こういう趣旨でありますが、この地図をごらんいただきますとわかりますように、旧松永市はちょうど福山市と尾道市との中間にございまして、鉄道がずっと続いておりまして、どちらに行くにもそれほどたいした違いはないという事情にあるわけでございます。それから他方、合併後の福山市というものから考えました場合には、市としての統一性を確保すると申しますか、そういう意味では福山市全部が、同じ簡易裁判所にしていたほうが都合がよい、警察の管轄などもそういうことになるわけでございますので、裁判所の管轄も、それに合わしたほうがぐあいがいいというような事情もあるわけでございます。この管轄を福山簡易裁判所に移すかどうかという点につきましては、もちろん地元にも照会をいたしました。また裁判所、検察庁等にも意見を求めたわけでございます。いずれも一致して福山簡易裁判所のほうへ移してほしいということでございましたので、特に移すについてほかに問題がありませんので、このような改正を行ないたいというふうに考えたわけでございます。 それから三六ページでございますが、ここに福島県の福島富岡簡易裁判所の管轄に属しております旧大久村、それから旧久之浜町の関係の地図がございますが、これも先ほど申し上げました福山の場合と事情はちょうど同じようでございまして、昨年の十月一日に、いわき市と合併したわけでございますが、いわき市の大部分が平簡易裁判所の管轄に属しておる、そうしてその一部である旧大久村と久之浜町、この二つの区域だけが、平簡易裁判所の管轄をはみ出て福島富岡簡易裁判所の管轄に属している、こういう状態になりましたので、この点につきましても、地元市町村の意見でありますとかあるいは裁判所、検察庁などの意見を求めましたところ、いずれもこれはいわき簡易裁判所のほうに移すべきものであるということでございましたので、このような改正をいたしたいと考えたわけでございます。
○大竹委員 この管轄区域の問題でいま思い出したから、あわせてお聞きしたり、こちらの希望を申し上げておきたいと思うのでありますが、ついこの間、交通事犯の処理その他の件もございまして、東京の墨田でございますか、あそこの交通裁判所を視察したわけであります。非常に狭いところにたくさん込んでおるということで、いろいろ事情をお聞きしたりあれしたのでありますが、あそこの管轄は、三多摩を除いた全東京都のいわゆる交通事件だけをあそこに集中しているということでありますが、場所その他から見まして、非常に事件が多い、しかも偏在しているということからしまして、一ところへ寄せるということは非常に能率的なことであるかもしれないけれども、来る人の立場からすると、非常に位置が悪いんじゃないかということを痛感してきたわけでありますが、これらについてどうお考えになっておりますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまのお話の点は、まことにごもっともでございます。事務の能率的な処理という面からいたしますると、ああいうふうにまとめますことが非常に能率的であり、それが訴訟促進の道でもあるわけでございますが、同時にそのために非常に遠方からおいでいただくことになるということについてはいろいろ問題がございまして、特にまた現在の場所が適当であるかどうかということにも相当問題がございます。そういう点であれの移転ということも具体的に進行いたしておるわけでございます。ただこの問題は、御承知の反則金制度の問題ともからみますので、そういうこととの関連において今後いろいろ解決されなければならない問題であると考えておりますが、場合によりますれば二カ所でやるというようなことにやはり考えるべきであろうと私ども考えておるわけでございます。
○大竹委員 質問をこれで終わります。
○大坪委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。 次会は、来たる八日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四分散会