農林水産委員会 第5号
- 発言数
- 90 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/05/09
会議録
○本名委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小坂善太郎君。
○小坂委員 私は、関税定率法の改正案が大蔵委員会に出ておるのでありますが、この中で、当委員会としてバナナの関税問題が非常に重要な関係がありまするので、これについて政府の所見をただしておきたいと思うのであります。 政務次官、わざわざおいでくださいまして恐縮でございますが、所管の局長からひとつおもに聞きたいと思います。園芸局長も非常に新進気鋭で、大いに果樹振興のことに奮闘してもらっておりますことは、大いに敬意を表したいと思うのでありますが、このバナナ関税の引き下げの問題につきまして、先般来関税率審議会で、非常にあなたもこれは引き下げるべきでないという趣旨の論旨を展開されたというふうに聞いておるのでありますが、この際、その主要な点をひとつ開陳願いたいと思います。
○八塚政府委員 関税率審議会に対しまして、七〇%の案で大蔵省が出すということについて、私ども農林省といたしましても、たいへんけっこうであるということで、七〇%の原案で関税率審議会に臨んだわけであります。 いろいろその際に議論があったわけでございますが、関税率の七〇%という数字が、現実に台湾その他の国からの輸入をそれほど阻害しているというふうにはあまり思えないということ、あるいは計数的にどれだけの影響が国内果実にあるかということは必ずしも計算ができませんけれども、やはり国民のさいふと申しますか、そういう点からいえば、これは国内果樹にも影響があるのだということで申し上げたわけでございます。 そのほか、いろいろの論点があったと思いますが、それに対しまして、やはり国際的に七〇%という関税率は相当高いのであるということ、それから国内果樹に対する影響というものについて、関税率審議会の委員の方も全然ないというふうには必ずしもおっしゃらなかったと思いますが、比較的それだけによるものではないであろうというようなことで、この点がいろいろそれをめぐりまして議論があったわけでございます。
○小坂委員 いまの御答弁で明らかになりましたが、園芸局長としては、七〇%の関税をバナナにかけておいたほうがよろしい、すなわち、国内で農林省が非常に声を大にして言っておられる農業の選択的拡大、つまり、畜産とか果樹というものを伸ばすという面からして、ことにリンゴ等の国内果樹について——ミカンももちろんでございますが、非常にリンゴ等は大きな打撃を受けるのではないか、そういうことからして、何とかして七〇%の関税というものを確保したい。こういう気持ちを持っておったけれども、関税率審議会の委員が非常に強く要請されたので、不承不承この改正案を出すことに同意せざるを得なかった、こういうことのように聞けたのでございますが、そうでありますか。
○八塚政府委員 ただいまも申し上げましたように、どの程度の影響があるかということは、予測と申しますか、計測がなかなかできないということを申し上げたわけでございます。一方、果樹振興につきましては、これはもう御承知のように、昭和二十年代あるいは三十年代に比べまして、だんだん需給事情というものが心配になってくるきざしがある果実もあれば、あるいはすでにそろいう状況にきておるというようなことでもございますので、私どもといたしましては、そういうバナナの問題に直接関係なくとも、もっと果実農業の振興のためには本来手を打たなければならないというふうに考えておったわけでございますし、なお今後ともそういう点について努力をいたすつもりでございます。たまたまそういうときに多少とも影響のあるようなことは、それだけ私どもの努力を倍加せざるを得ないというようなことも当然でございますけれども、そういうマイナスファクターがかりに少なくても、そのマイナスファクターを少なくしたほうがいいという態度でおったわけでございます。
○小坂委員 バナナというものは、非常に生産費が安いものであるわけですね。われわれそれほどにも思わぬのですけれども、南米あたりへ議員の方が行かれますと、ホテルでバナナを食いたいと言われても、ホテルじゃ出さないのですね。そのくらい非常に安いものである。在外公館の公館長なども、議員の御使命だというので、バナナをわざわざ買ってお届けしたという苦心談を私も在任中聞かされたくらいで、バナナというものは非常に安いのです。一方、国内の果実というものは、消毒は何回もするし、摘果も何回もするし、非常に生産費がかかる。この七〇%というものは非常に高いという議論もありますけれども、これは欧米各国では輸送費——ことに美味といわれる台湾のバナナというものは非常に輸送賃がかかるわけですね。日本のほうにはほとんど直に入ってくる。あなたは、関税を下げることによってどのくらい市価に影響があるかということは数字的な根拠を出し得ないというふうに言われましたけれども、これもなかなかむずかしい問題でしょう。それは認めますけれども、しかし、関税を下げたらバナナがどっと入ってくるということになると、その心理的な輸入増加というものはやはり考えなければならぬ。それを一体どのくらいと踏んでおられるか、ひとつそれを伺っておきましょう。
○八塚政府委員 ごく算術的な計算をいたしますと、バナナがかりに五彩値段が下がりまして、かつ一本かりに二十五円だといたしますと、四十銭ないし五十銭の値下がりということになるわけでございます。一〇%にいたしますと約一円ということでございます。ただ、バナナの値段がどういうふうにきまるかと考えますと、やはりバナナの輸入量、それから国内果実の供給量、それから国民所得の高さと申しますか、あるいは嗜好、いろいろなものできまってまいると思います。私どもといたしましては、バナナの供給量の点につきましては、もちろんこれは原則的に自由化されておりますから、全部に適用できることではございませんけれども、台湾につきましては、これは輸入組合をつくらせておりますので、現在は割り当てになっておりますが、かりに輸入組合が今後確立いたしますと、やはり調整規定で、輸入量というものについて農林大臣も通産大臣に対して協議をさせる権限もございます。そういう意味からいいまして、輸入量につきましての調整ということは今後ともでき得るのではないか、あるいはしなければならないというふうに考えております。一般的にバナナの輸入量をどのくらいに押えるかということでございますが、自由化以前は別といたしまして、戦前は国内の果実の供給量の約一一%あるいは一〇%程度であったわけでございます。私どもも先ほど来申し上げておりますように、算定式と申しますか、計数的にどの程度がどうということはなかなかむずかしいわけでございますが、かりに戦前のそういう数字に一応のめどを置きまして、輸入量を調整してまいりたい。したがいまして、大体一割程度バナナを輸入していく。ただこの際、かりに関税定率法の改正によりまして下がりましても、いま申し上げましたように、そういうことで大体戦前の一割をめどとして、かつ台湾の生産力というものも考えなければなりませんが、大体そういう感じで輸入量を調整していく、そういうことで、国内果実に対する影響を最小限度にとどめたいというふうに考えておる次第でございます。
○小坂委員 数字的に見ますと、三十六年には六万四千九百トンバナナを輸入しておるわけです。それが四十一年には三十三万六千六百五十トン、非常にふえておるわけですが、これがいまのお話で、ある程度通産、農林の両大臣の間で規制できるというようなことでありましたが、どのくらいまでというふうにあなたのほうでめどをつけておられますか、数字を伺いたいと思います。——いまの台湾バナナだけでいいです。ほかにエクアドルの七万トンというのがありますが……。
○八塚政府委員 ただいまも申し上げましたように、台湾以外は自由化になっておりますが、これは大体距離あるいは嗜好からいいまして、あまり入ってくる可能性はないだろうと存じます。ただいま先生のおっしゃいました三十三万何がしトン、これは全体といたしますと、台湾以外を加えますと、四十一万六千トンというのが四十一年の輸入量でございます。これは確かに、自由化以前、たとえば三十六年は台湾を含めまして七万四千トン、きわめて膨大な伸び率を示してはおりますが、先ほども申し上げましたように、国内産の果実合計は三十六年が三百二十四万トン、四十一年は四百五十二万三千トンということで、四十一年の国内産果実の総供給量にいたしますと大体八%ということになっております。大体ただいまも申し上げましたように、その国内産果実の供給量の増に見合って、あるいは多少ふえるということもあると思いますが、その率はあまり私どもとしては変わらない、あるいは変えないようにしていくというように考えております。
○小坂委員 他にもいろいろ伺いたいことがあるのですが、時間の制約がありますから、ずばり今度は核心のほうに入っていきたいと思うのでありますが、私ども、この影響というものはなかなか軽視できないと思っておるのです。ことに農民に与える心理的な、何というんですか、ディスカレッジングな影響というものはなかなか軽視できないと思う。そこで、基本的には何とかならぬかというふうな感じを持っておるのですが、先般自民党としていろいろこの問題を討議いたしましたときに、これは関税の問題なんだから、これをあくまでがんばるよりは、輸出をひとつ伸ばすことを考えたらいいじゃないかというような議論もあって、それじゃその輸出を伸ばすことをどうやるんだという話になりまして、台湾にいま十二万・箱か出ておる、これを十五万箱くらいにするのは、戦前の率からいっても決して至難なことではない。三十万、四十万、戦前は百万箱から出たことがある。こういうようなことがあって、これを伸ばすようにするにはどうしたらいいかということになったところが、政府対政府の交渉で、外務省を通じて十分その話をしましょう、そろいう話が出たときに、ひとつこの政令を公布して関税定率法の五%引き下げに踏み切りましょう、こういうような説であったと私は考えております。私は、そのときに、はっきり条件をつけて、停止条件つきでやる、すなわち、輸出の確保ができたときにのみこの関税定率法の交渉ができるのだ、こう了解して了承したのでありますけれども、了承したというか、その程度のことはいたしかたない、こう考えたわけでありますが、それについてはどういうふうに当局は考えておりますか。
○八塚政府委員 ただいまもお話がございましたように、台湾に対するリンゴの輸出は、従来なかなか伸び悩みと申しますか、一時非常に禁止的な状況に相なったわけでございます。これは主として台湾の貿易構造と申しますか、台湾側の希望としては、日本からなるべく重化学工業関係のものを輸入したい、韓国との関係からいえば、韓国はどうも台湾に対して適当な製品、商品がないということで、韓国からできるだけ第一次産品を買いたいというようなことがございまして、私ども戦前から台湾に輸出をいたしておりました日本のリンゴを、せいぜい韓国並みというようなことで最近までまいったわけでございます。ただいま小坂先生からお話がございましたように、この際関税率の引き下げということがもしやむを得なければ、できるだけ貿易を伸ばす、リンゴの輸出を伸ばすということが必要であろうということで、先般エカフェの会合で台湾の李国鼎という経済部長官がお見えになりました際も、外務大臣、通産大臣、農林大臣とそれぞれ会合いたしまして、私どものほうの国内産果実に対する影響にもかんがみて、この際ひとつリンゴをぜひもっと輸入してもらいたいという申し入れがあったわけでございます。台湾側にはそのときすぐ即答する時間がなかったようでございますが、近く、六月の六日になると思いますが、政府といたしまして、——まあそのときの話としましては、もう少し事務レベルでそういう話を詰めようということで、一般的に好意的であったというふうに結局なったわけでございますが、その事務レベルの会合を六月の初めに台湾でやるといろ段取りになっております。私どもといたしましては、もっと早く、五月の半ばあるいは五月の上旬にその会合を持って、具体的な数字等を確定いたしたかったわけでございますが、最高責任者である李長官がただいまアメリカに行っておられるというようなことで、その方がお帰りになるまで待ってくれということで、これはこれでやむを得ないということで、六月の初めになったわけでございます。 そういう経過でございまして、私どもといたしましても、従来ともやってまいったつもりではございますが、こういう場合でございますので、台湾に対するリンゴ輸出について一段と努力をいたしたい、そういう歩みを具体的に歩んでいきたいというふうに考えております。
○小坂委員 御努力の点は多といたしますが、私もそういうことと並行してぜひあなたから決意を伺っておきたいと思いますのは、そろいう輸出増加の約定ができざる限りこの関税は引き下げない、こういうことと私は了解していますが、それはそうでよろしゅうございます。
○八塚政府委員 私どもとしましては、これはもう従来よりは輸出増加はできるというふうに考えておりますが、できるだけたくさん輸出の増加をさせることが望ましい。一方、国内のほうの輸出につきましては、やはり輸出の一種の規格と申しますか、そういうものもございますので、国内のほうの輸出余力と申しますか、輸出の力等を勘案いたしまして、大いに努力をいたしたいと思いますが、現実には、数量を最終的に、つまり取引として確定するのは八月の終わりごろになるであろうと思います。と申しますのは、台湾のリンゴの輸入体制は、一種の国家機関である外貿会が日本において入札その他日本の民間業者と取引をすることになっておりますから、そういう民間ベースにおりて最終的に確定をするのは例年八月の終わりになる、大体そういう時期に相なると思います。
○小坂委員 民間ベースにおりて決定されるから政府対政府の話し合いではどうにもならぬのだ、こういう心配があって、だから困る、非常に心配だ、こういう陳情もあるわけです。その点は心配ないとあなたのお話からとれるわけだけれども、その根拠です。いまのお話で大体わかったが、絶対だいじょうぶなんだ、そういうことと、それからもう一つは、この定率法の施行期日は政令を出すときにきまる。政令を出して、いつから施行、こういうことによってきまるのだけれども、これはなにか昭和四十三年三月三十一日までの間と書いてあるのだが、こういう話がかりにこの期日までにつかなかったら、今度はこっちが交渉上まずい立場になるのですね。だから私は、これはあなただけではいかぬ、大蔵省の話も聞かなければいかぬと思うが、この政令の施行期日の中の昭和四十三年三月三十一日までにというのは削ってもらいたい、かように私は思っておりますが、その二点についてお答え願います。
○八塚政府委員 ただいまも申し上げましたように、台湾側の輸入体制というのは、国家の意思が相当入るかっこうになっております。従来きわめて制限的であったというのは、一つは、たとえば韓国との関係で制限的であった。これもやはり単にその民間ベースで制限的であったのではなくて、国家と申しますか、台湾、中華民国政府の意思が相当入っておる。それから、ただいまも申し上げましたように、外貿会というのは、これはやはり政府の意思にいわば左右される機関であろうと思います。そういう関係で、私どもといたしましては、確定の期日を先ほど申し上げましたわけで、それは民間と外貿会との契約ということになるわけでございますが、政府間のそういう話し合いというのは拘束力を持つ、あるいは実行力のあるものだというふうに考えております。 それからもう一点は、政令の点でございますが、リンゴ輸出は、これは当然リンゴの収穫期を当てにしてどれくらい四十二年産を輸出できるかということでございます。したがいまして、私どもの台湾輸出その他のあらゆる問題も、四十二年産のリンゴについて話を進めておる。一般的に将来幾ら幾らのリンゴを買ってほしいということではなくて、四十二年産のリンゴをどうだということで考えておるわけでございます。したがいまして、四十二年度中に——これはあるいは疑えばいろいろお疑いはあるかと思いますが、四十二年度の問題である。それ以外のことについては考えられない状況でございますので、四十二年度中に片づけることは、これはもうはっきり申し上げていいというふうに思っております。
○小坂委員 その問題はまた別の機会に申し上げることにしましょう。そうすると、いまの御議論からもう一つ出てくる問題は、四十二年度五%、四十三年度五%、四十三年度のものはこの際は問題にならぬ、四十二年度の五%だけを問題にしておって、四十三年度の分はまたあらためて協議する、こういうことですか。
○八塚政府委員 まだ台湾とのそういう定期的な会談についてのルールが一般論としてできておりません。したがいまして、比較的長期的な契約と申しますか、長期的な合意を進めるか、あるいは毎年毎年のことを進めるか、これはちょっと私の現在の立場からは確定的に申し上げられないので、外務省その他と相談をして、今後の日本の態度をきめていくことになろうと思いますが、ただ、そういう事務レベルの会合というものは今後相当定期的に持っていこうということになっております。したがいまして、かりに四十二年産のリンゴについてことし合意したといたしましても、当然四十三年についてのチャンスというのは今後とも必ずある。のみならず、私どもとしましては、当然四十二年、四十三年と国内産の果樹、リンゴ等が供給増加にもなるわけでございますし、かたがた台湾のほうも、中華民国のほうも、やはり国民所得の増加とともに購入の力というものも伸びるはずであるということで、かりに四十二年度についてだけきめましても、四十三年以降その程度でいいというふうなことにはならないというふうに考えておる次第であります。
○小坂委員 台湾との輸出の問題については、非常に明るい見通しを述べていただいたわけでありますが、もちろん他にも香港とかソビエトとかいろいろあるので、輸出の拡大には大いに御努力願いたいと思います。 それからもう一点、国内の問題で、われわれとしては、四十二年度予算の際に、リンゴに対する学童給食の補助を五千万円、自民党として特に重点事項としてお願いした経緯があるわけです。これがいよいよ予算のヒヤリングも始まる時期になってくるわけでありますが、農林省としては、これは必ず四十三年度についてはやってもらえると期待してよろしいのでありましょうね。
○八塚政府委員 リンゴの学校給食の問題でございますが、これは実はいろいろ技術的な問題がたくさんあるわけでございます。私どもといたしましては、そういう技術的な問題、たとえば学童に定期的に食べきせるといたしますと、現在いわゆる市販されております大ぶりの高価なリンゴというものではなくて、やはり子供一人に一つずつ当たるということであれば、小ぶりのリンゴ、しかも市価の騰落にかかわらず、一定の価格で安定的に供給する、それにはかなりな技術的な問題があると思います。コンスタントな価格あるいは規格の統一、あるいは規格の統一の基礎には生産のそういうコントロールということも必要になってくるだろうと思います。一方、学校給食ということになりますと、これは子供にとって保健上必要な栄養物資としては、リンゴのみならず、いろいろなものがあるわけでございまして、大体現在でも平均いたしまして一日十五グラムの学童給食の果実の消費があるわけでございます。そのうちの五グラムはミカンであるとかいうことで、学校給食という制度にのせる場合には、やはりあらゆる果実のことも考えなければならない。むしろ私どもは、現在の気持ちを率直に申し上げますと、学校給食というのはリンゴの生産者の御要望であり、それはいろいろな理由もありますが、いわゆる学校給食という制度に特に結びつけなくとも、需要の拡大という一般的な方向の大きな視野で、もう一ぺんいまの技術的な問題その他もあわせて検討してみたいというふうに考えておるわけでございます。一般に果樹の需要というものは、なお全般的には相当伸びると思いますが、リンゴ等については、いまのところ需要の増加というのはあまり期待できない。しかし、リンゴの中にも、国光、紅玉のようにきわめて消費支出の弾性値の低いものもあれば、あるいはデリシャスとか、そういうふうに非常に高いのもある。そういうものにはやはり品種更新をして需要に沿っていくというようなこと、いろいろなことを含めて需要拡大について今後検討をいたしたいというふうに考えております。
○小坂委員 時間がないので急がざるを得ませんが、いまのお話で、やはり局長としてはもう少し考えられる必要があるのじゃないかと思う点は品種改良、これは最もやらなければならぬ。それから全体の需要拡大の方途、これも園芸局長として十分考えていただかなければならない問題だと思う。しかし、そういう問題ができて、少なくともそれが緒について、さあこういう道もある、そこでひとつ関税を下げるのはどうだ、こう持ってきていただくと、農民も安心して仕事に従事できるわけですね。ところが、こういうふうにばっさりと関税のほうからくる。需要の点は、輸出をせいぜいやってみましょうという程度のものでは、政府に対する信頼感といいますか、選択的拡大に果樹を大きく取り上げておるこの政府のやっておることは、これでいいのかということが私は非常に強いと思うのです。これは無理もないことだと思うのです。そこで、予算の点でこれはいずれよく御相談しなければ、短時間では考え方もまとまりませんでしょうが、少なくともいまの品種改良の補助はぜひ要求をざれたい。これも当然やるべきことであります。 それからもう一つは、学童給食、また輸送の補助、そういうような問題につきましても、昨年政府与党が最重点項目として取り上げておる。そういう頭をもって政策の線に沿うて考えてもらわぬと困る。いまの話ではもう全然逆戻りしている。これでは困るのです。そういう気持ちを持ってやられるかどうかということをもう一度お答え願いたい。
○八塚政府委員 果樹振興のいわば予算的な体制につきましては、私どもとしましても、確かに御指摘になりますように、まわりの条件の変化に対応して同じスピードで進められておったかどうかということについては反省いたさなければならないと思っております。昨年改正になりました果樹振興法に基づきまして、四十二年度についてはそういう線に基づいた予算の姿勢というものをとってまいりたいというふうに現在考えております。その具体的な内容等につきましては、もちろん各界の御意見を十分に伺いまして、充実したあるいは適切なものをつくってまいりたいというふうに考えております。 それから学校給食につきましては、確かに非常に重点的な項目として私どもも承っておったわけでございます。ただ、いかんせん、先ほど申し上げましたように、技術的に非常にいろいろな問題がございまして、これをこなす、あるいは十分に検討するには、いささか時間がなかったということでございます。ただいま申し上げましたように、果樹の振興に対する一般的な予算の充実あるいは政策の確立というものは、四十三年度を目ざしてできるだけ努力をいたしたいと思いますので、御了承を願いたいと思います。
○小坂委員 この学童給食の問題は、数年前に私が言い出して、現に長野県では同士もたくさんできてやっておるのです。御承知と思いますが、東京や神奈川県、また大阪にもいっておる。これをやはり政府の大きなラインで、できるだけ果樹振興の線に沿うて消費の拡大を考えてもらいたいということですから、十分御相談したいと思っております。 飛び入りで質問をお願いしましたので、約束の時間がやや超過しておりますので、これでやめたいと思いますが、ただ問題は、私、この質問をやっておって非常に感じたのですが、これは大蔵省が出している関税定率法の改正なんです。これを農林委員会としてやっておっても、園芸局長非常に誠意を持ってお答えになるのでありますが、やはり肝心の大蔵省との話でないと、どうも話が煮詰まらない。そこで、私は委員長にお願いしたいのでございますが、この問題についてはひとつ連合審査を御要求あってしかるべしかと思うのでありますが、どうぞ御相談の上、善処方をお願いしたいと思います。 以上をもって終わります。
○本名委員長 休憩中に理事会を開会して善処いたします。 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。 午前十一時二十二分休憩 ————◇————— 午後二時四十一分開議
○本名委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。森田重次郎君。
○森田委員 私、農村の一般的な問題と思われる二、三の点について質問いたしたいと思います。 まず第一番に、農村から労働力がどんどん抜けていっている、このことについて御質問申し上げたい。 いっか、岡山県の山の中の部落ほとんど全部が脱落してほかのほうへ移動したということをテレビで私見まして、中国地方においての山の中の農業経営の状態からどうしてそう労働力が抜けていって、しかも挙家離村あるいは部落全体が脱落していくということになるのだろうと、こう考えて、この間広島県へ参りまして、広島県から山陰道の浜田まで、さらに山口県を萩まで行って、これを二度往復するというぐあいに、つぶさに実情を視察してまいりました。そしてそこの村に入りまして、村長さんその他農協の方々とも会って、いろいろそういう現象について調査を進めてまいったのであります。これは日本に相当広範に起こっている現象ではないかと私は見てきたのですが、私はその部分だけ見てまいったのですが、これは一体どの程度までそういう現象が起こっているかということを農林省にまずお伺いします。
○森本政府委員 全般的に、御指摘のように農村から人口が流出しておりますが、特に人口が流出しておりますところの地帯を分けてみますと、山村、農山村、都市近郊、平地農村といったような順序になるかと思いますが、特に山村におきましては、ただいま御指摘がございましたように、かなり人口が流出をしておる。またその結果、その辺の村自体がある意味では過疎現象を起こしておるというふうなことは、一般的に傾向が強まっておるというふうに聞いておりますが、ただ、具体的に、全国でどの程度の市町村においてそういう現象が起こっておるかといったようなことにつきましては、私どもの手元にはまだ確たる資料はございません。そういう現象がかなり深まっておるということは聞いておりますけれども、総体として調査したものは実はございません。
○森田委員 そこで、この現象は、私はいま申し上げた地方の山の中へ入ってつぶさに見た姿でありますけれども、しかし、ひとりそういう場所ばかりではなく、やはり農村各方面に同じような現象が起こって、兼業農家等も非常に多くなっていることは、これはもう争いのない事実なのでありますが、こういろふうに労働力が抜けていくということになりますれば、したがって生産力も低下してくる、これも当然のことだと思うのでございまして、これに対して農林省はどういうような方法で生産力を低下させないようにしていく方針を立てているのであるか、その方針について承りたい。
○倉石国務大臣 御承知のように、日本のいわゆる高度経済成長政策以来とみにそういう状況が激しいのでありますが、五年前に農業基本法を制定いたしまして予測いたしました当時の状況から見ますと、著しい変化を生じてきているわけであります。日本全体の産業構造の中で見ますと、私どもは、鉱工業が国際競争力を持ってどんどん伸びていくことそれ自体はけっこうなことだと思います。ただ、そのために、それに要する労働力の補給源として農村がねらわれた。したがって、いま日本が国際的に経済力を競争できる位置に置かれたといたしましても、全体の産業構造から見ますと、きわめて跛行的な経済の成長だ、低開発部門が若干立ちおくれておる状態であるということはいなめないことであると思います。その一つは、やはりいまお話のございましたような労働力不足であります。しかし、労働省が出しております将来の見通しにつきましても、たとえば昭和四十五年までに技能労働者が二百万人そこそこ不足を生ずるといわれておるような次第でありますからして、わが国の経済がいまの政府の予定いたしておるような足取りで伸びていくといたしますと、労働力の面から、これはたいへんにむずかしい問題だと思います。そのことは本日は別といたしまして、したがって、農業はどのようにして省力しながら、労働力を省きながら生産をあげていくかということが大きな問題だと思うのであります。したがって、私どもは、第一には構造政策を推し進めまして、経営規模の拡大をして、そうして他産業に劣らないような農家所得を保持できるような態勢に進めていかなければならない。そのためには、土地改良、圃場整備、そういうものを並行して進めてまいらなければならぬと思いますし、そのためには、第一は機械力を活用すること、もう一つは森田先生も御承知のように、いわゆる第一種、第二種兼業農家というものが、全体の農家のうちの七七、八%を占めておると思います。そういう状況の中で、できるだけ経営規模を拡大してまいることを考えていきますと、やはり土地の流動性、農地の流動性ということをすみやかにやることを考えなければなりません。したがって、そういう場合に、土地の移動についての税法に対することも考えなければなりませんし、またもう一つは、離農しやすくして、そうして一方においてはその経営規模を拡大されるようなふうにしむけてまいらなければならぬ。同時に、いまの機械力を活用して生産をあげていくことをしなければならぬ。平地もさることながら、やはり山地における機械力の活用ということについて、いま農林省ではそういう地域に活用のできる機械の研究等にも精を出しておるようなわけであります。私は、必然的になくなってまいります労働力にかえて生産力を増強していく方途を講じなければならない、このように考えておるわけであります。
○森田委員 そこで、 いま大臣の御答弁の中にある機械化のことに質問を限定してお伺いいたしたいと思います。 そこで、これも日本の山村地方に多くある水田に特に問題を集中したいと思いますが、段々の田というものがあるわけでございます。大臣のところは特にそういう田が多い場所だと思うのでございますが、あの方式の、つまり、一枚の田といってもきわめて狭くて、ちょうどバナナのかっこうをしたような田が、私の見たところでは、山口県とか広島県の山地には非常に多いわけなんです。そこで、これを構造改善して基盤整備をするといってみたところで、これはもう手のつけようがないということになると私は見てきたのです。一体こういうものを機械化する方法というものをどう考えておいでになるか。私、行って聞いてみますと、一反歩から一町歩くらいしか田を持っていない、そういう山の段々の田ですね。田毎の月の出るような田です。非常に狭い。そういう田にいま自動耕うん機を持った人が相当いて、ほとんど毎戸持っている、こう言うのです。こういうような狭い面積のところに、一戸に一つずつ耕うん機を持たせるという指導方針というものは、一体妥当であったかどうか、私は反省する必要があると実は思うのです。これは一つの試行錯誤として、われわれは一応容認するよりしかたがない。借金しょって買った、使う度数というものはきわめて少ない、あとはたな上げしておくというような形で、実に非生産的な機械の利用なんです。この方法をどこまでも続けていくということになりますと、どうしてもこういう地方の生産力というものは高まるものではない。私は、この機械化をどういう方向へ持っていけばいいのかということが一つの問題だということを考えてきたのですが、これに対して農林省では一体どういう方法でこういうようなものの機械化をなさろうとするのか。いま申し上げたような、毎戸に機械を一つずつ持たせるようなことをどこまでも続けるつもりか、それともまた、これを別な方法で合理化していくという方針が立っているのかどうか、この点をひとつお伺いしておきたい。
○倉石国務大臣 私はせんだっての日曜日に、私の選挙区ではありませんが、長野県の傾斜地を持っておる圃場整備構造改善事業を視察に行ってまいりましたが、ああいうところで気がつきますのは、農林省がかねてから言っております傾斜地に対するトラクターあるいは機械、そういうものの研究をいま盛んにやっておりますが、もう一つは、やはりいまお話のように、小さな畑で、それぞれあぜ道をつくって、機械を運搬するにも不都合なような状態というのは、やはり逐次改善していくべきではないか、そうして協業または構造政策でこの圃場を大きくしていって、そうして共同に機械力を持ち得るような状態に改めていくことが一つ必要ではないか。地方によりましては、いまお話のように、各戸が機械を持つということのために、その負担で、せっかく生産があっても、その生産を上回るような利子並びに支払いをさせられておる現状がしばしばあるのでありまして、私は、やはりその機械力を効率的に運用していくような圃場の整備が必要ではないか、一般論としては、傾斜地に向かってはそういうようなことを進めていって、そうして機械力の効果のあがるような指導する必要があるのではないか、こう考えておるわけであります。
○森田委員 いま大臣が抽象的におっしゃった、そういう場所の圃場整備をおやりになるというようなこと、これはできるところはおやりになっていいと思うのですが、実際私らの見たような場所では、とても圃場整備などのできるような場所でないところが非常に多いのです。そこで、 いまの自動耕うん機なら自動耕うん機を使わせて、これをもっと合理的に機械の運用ができるような方法を、これは農林省が考えて指導して いくべきだ。機械の種類というものを、いま新たに傾斜地にも適用できるもの云々と御答弁になりましたが、その点は、もしできればこれにこしたことはございません。だが、圃場整備もできない、いわんや傾斜地で——どういう機械ができるかわかりませんが、それの適用の非常に困難な場所、そうしていま申し上げた段々の田というようなものが、もう中国地方へ行くと、どこへ行ってもほとんどそれだと見ていいような場所ばかりなんです。それをそのまま旧来のとおりやっていくつもりか、それとも何か方法を考えて、この自動耕うん機を活用する別な分別を農林省ではしていらっしゃるのか、その方向へとひとつ指導してもらわなければ困るのじゃないかという質問を私申し上げているのです。
○森本政府委員 御指摘のように、山村あるいは傾斜地等におきましては、その自然的な条件からいきまして、機械化をスムーズに進めていくということはなかなかむずかしいというふうに思います。しかし、御指摘がありましたように、また一面、人口の流出がきわめて激しいといったようなことから、機械化の要請もまた強いということでございます。したがいまして、そういった地形なりあるいは営農の実態に合ったようなことで、できるだけ具体的な機械化の方途を進めていかなければならぬというふうに思います。 まず、基盤の関係からいきまして、御承知のように、山村あるいは傾斜地におきましては、道路がきわめて不備である、平たん地よりもなお道路が不備であるといったようなととがございますから、農道なりあるいはその他の道路を整備するということがまず第一の前提であろうかというふうに思います。また、機械の種類にいたしましても、先ほど御指摘あるいは大臣から御説明がございましたようなことで、そういった特殊な地帯に適応するような機械を編み出していくということも、今後あるいは試験研究なり実際の開発研究といったようなものに属することも多いと思いますが、ぜひとも進めていきたいと思います。 なお、利用の方法につきましては、御指摘がございました、単に個々の農家がそれぞれ一つの機械を持ってやっていくということのみでは、必ずしも機械化の方向としては適切ではないと思います。したがって、数戸によって山村においてもやはり能率的な機械の利用をはかっていくといったような方向に指導をする必要があるというふうに思いますが、ただ、先ほど言いましたような前提条件を整備し、またそれに適した機械を編み出すというふうなことと並行しながら、そういった方面についても適切な指導を加えていく必要があるんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
○森田委員 一応抽象的な御答弁としてはそれでいいようですが、何か画竜点睛を欠くような感じがするのです。 それじゃしかたがありませんから、私案をひとつ申し上げてみたい。それは大体、自動耕うん機一台で五町歩は耕せると思うのです。そこで、一町歩ずつ持っている農家が五戸あるとすれば、そこへ一台の自動耕うん機を入れて、そして熟練したオペレーターを養成して、その人に機械の運用を全部責任を持たせるようなかっこうの協業というものの姿でおやりになったらどうだろう。ある場所においては、その姿でやっているところが随所にあるようでございます。これはやはり農林省としてはっきりと、ああいうような土地の条件に合わせるには、いま私が申し上げたようなことでひとつやるんだという指導方針を立てて、そしてこれを奨励する方向へ持っていってもらいたい。そこで、奨励という意味では、たとえば新しく五人の組合をつくる、機械利用の組合をつくる、こういうことでしたならば、機械購入に対しては、構造改善の際のあれと同じように半分くらいの助成金を出してやるくらいのめんどうを農林省で見なければ、ああいう山村の水田などというものはとても農家としてたえ切れるものではない。したがって、ああいうところから崩壊していくんだとわれわれは考える。その辺、これは私見でありますが、ひとつ御答弁を得られれば……。
○倉石国務大臣 私、先ほど協業化を進めると申し上げましたのも、いまあなたの御指摘のようなことでありまして、やはりそういう山間地には小さな田畑が多いのでありますから、やはり一戸ずつ分けて機械力を用いるとしても、先ほど申しましたように、その支払いと利子に追われてしまう。したがって、私は、そういうところほどよけいに協業を進めていくべきである、森田さんの御提案につきましても、非常に関心を持ってそういうことに努力をしていきたいと思います。
○森田委員 それじゃ、山間地の問題についてはその程度にいたしておきまして、今度は平たん地の大きい機械の適用のできるような問題について、ちょっと質問いたしたいと思います。 まず、五十町歩から二百町歩くらいの面積の平たん地、そういうようなもので、例の基盤整備、構造改善でやっていけるような土地の日本全体での面積というのは、大体どれくらい見込まれるのでございましょうか。
○和田(正)政府委員 ただいまお尋ねの点は、圃場整備という立場に限って申し上げますれば、いろいろと傾斜度が高かったりすれば問題がございますけれども、おもに平たん部ということでございますと、現在、昨年閣議決定をいたしました土地改良長期計画では、四十九年までに二百万へクタールくらいの圃場整備を全国で実施をしたいというふうに考えております。
○森田委員 そこで、これが構造改善という方針に基づいて、助成などが相当出ているらしいのでございますが、これは何か時限的に、何年かたつとおやめになるというのですが、そうなっているのですか。
○森本政府委員 圃場整備の事業をやりますための助成といたしましては、ただいま御指摘がございました構造改善事業でもって圃場整備をやりますことと、それから一般の土地改良事業で圃場整備をやるといったように、二通りあるわけでございます。構造改善事業のほうは、御案内のように、昭和三十七年から出発をいたしましたが、当初の構想といたしましては、約十年間でもってほぼ事業をやるのであるということになっておりまして、三十七年以来やってまいりまして、昭和四十二年度で、当初の構想によりますと、一応地域の指定を終了するというふうな計画になっております。私どもとしましては、当初一応そういうふうな計画で出発をいたしましたので、現在のところは、当初の構想のとおり実施してはどうかというふうに思っておりますが、なお各地等の実情あるいは要望等をよく考えまして、今後構造改善事業についていかにするか最終的にはきめたい、こういうふうに思っておるわけであります。
○森田委員 これらについても詳しく尋ねたいのですが、時間がありませんので、はしょって、結局大臣の意見をお伺いしておきたい。 日本の大体の傾向が、国策として工業化の傾向にあって、それに労働力がどんどん吸収される。したがって、どうしても機械化ということが、これは農村としても絶対的な要請なんです。同時に、食糧自給といろ点から考えましても、あまり金をかけないで合理化して生産していかなければならないということも大事なことであります。そうなると、いまのとおり、構造改善による圃場整備の問題なども一定の期限があって、しかもそう思うほど進捗していないようなかっこうなんです。そうして平たん地の面積というものは、先ほどの御答弁にありましたように、まだ相当広いものがある。これを思い切ってひとつ助成金を出して、そして農林省の最も重要な眼目としてこれを実行すべきものではないかということがきょうの私の質問の焦点なんです。ところが、どういうものか、これに対して必ずしも熱があると考えられないような節もありますので、大臣どうですか、繰り返して申し上げますけれども、日本の国家要請として、工業化、労働力が農村から吸収される。そうすると、機械化、圃場整備、構造改善、こうなるのでありますから、これを何と考えても、私は、いまの農林行政としては最も大事なものだから、思い切った予算をとってもらいたいというふうに考えているわけなんです。そのことについて大臣の責任ある御答弁と、それから大臣の一つの大きい施策として、これはぜひ実行していただきたいという希望を私は持っているのでありますから、この点についてひとつ御答弁を願いたいと思います。
○倉石国務大臣 われわれも全く同感でございまして、農林政策の眼目は、あとう限り食糧の自給度を高めてまいりたいということであります。幸いに、まだ今月は米については八二%くらいな自給度を持っておりますが、そういうときに、ただいまお話のございましたような労働力が欠如してまいる、もう一つは生産力が他産業に比べてやや劣っておる、これを急速に伸ばしてまいって、そして調和のとれた経済の発展をやりたいというのが政府の基本的な考え方でございますので、たとえば昭和四十二年度の予算を見ましても、五兆円足らずの予算のうち、農林予算は五千億余りとっております。森田先生御存じのように、アメリカをはじめヨーロッパ諸国を見ましても、財政支出の中で一〇%以上を農林政策に使っておるという国はそうざらにはございません。ことに四十二年度予算は、皆さん方の御協力で、ほかのほうでは公共に対する予算はわりあいにしぶかったのでありますが、農林省所管については前年に比べて大体二〇%程度増加されております。いかに政府がこういう土地改良長期計画のようなところに重点を置いておるかということがわかると思うのでありますが、農林省は元来じみでありまして、宣伝がへたなんじゃないかと思うのですけれども、実際は非常にきめこまかに私はいろいろやっておると思うのでございます。 そこで、ただいま御指摘のように、われわれの政治の方向の中心としては、日本の農業というものは、もっと生産力を上げて、そして国民の必要とするところの農作物に対しては心配かけないという、そういう目標を立ててやっておるわけであります。したがって、ただいま農林省の中で、全局を動員いたしまして構造政策推進会議というものを持ちまして、これは名前は構造政策でありますが、全体の、先ほど来お話のありましたような農林政策をここでさらに反省をしてみて、所期の目的に到達するような考え方を持ちたい、こういうので鋭意努力をいたしておるわけであります。
○森田委員 そこで、もう結論になりますが、開田可能の場所がまだ東北地方には相当残されておるわけでございます。山口県あたりに行きますと、もうほとんど新しく開拓する余地がないようでございますけれども、東北地方はまだ相当残されている。それに対して、開拓計画、開田計画というものを立ててやるのですが、この計画も、どうも速度が少しのろいのじゃないかと私は思う。ことにいまの大臣の御意見のとおりの国家要請が非常に迫ってきておるのに、この開田計画というものは何かしらスピードがおそいという感じがしてなりません。この点について、大臣特段の御努力を願いたいと思うのですが、これはどんなふうになっておりますか。
○和田(正)政府委員 いまの御質問にお答えいたします前に、大臣が、圃場整備について、昨年に比して予算も増額をしたということをお答えになりましたが、具体的に予算額で申しますと、圃場整備関係の四十一年度の予算は七十億六千万円弱でございますが、四十二年度は百六億五千万円というふうに計上いたしまして、圃場整備に予算を重点的に計上いたしたわけでございます。 それから、開田の問題につきましては、土地改良長期計画で、今後十年間に農地全体として三十五万ヘクタールの造成を考えておるわけでございまして、お話しのように、東北地帯におきましての開田熱は、現地の農民からも非常に要望が強うございますので、できる限り開拓。パイロットなりあるいは非補助小団地の融資なりで十分めんどうを見まして、今後とも現地の要望にこたえて外延的な水田の要請には尽力をいたしたいというふうに思っております。
○森田委員 そこで、概算でいいのですが、いまの予算の取り方でいって、先ほどあなたはまだ平坦地で圃場整備の可能性のあるものはという御答弁がありましたが、あれをほとんど全部圃場整備するに、いまのあなたの予算の程度で何年ぐらいかかれば一体でき上がるのですか。
○和田(正)政府委員 現在、土地改良長期計画を定めまして、四十年度が初年度でございますが、四十二年度までの予算のつき方でまいりますれば、土地改良長期計画に考えておりますものはほぼ達成できるというふうに考えてはおりますが、今後とも予算を一そう獲得をいたしまして、当初の目的どおりいきたいというふうに思っております。ただ、先ほど私二百万ヘクタールというふうに申し上げましたのは、圃場整備を必要とする面積の全部でございまして、とりあえず長期計画に盛り込みましたのは八十五万ヘクタールでございます。
○森田委員 そこを私はさっきから追及しているわけなんです。圃場整備をやりたいというのが二百万云々あって、それでいままでのは十五万か幾らなんでしょう。そういうようなことで、一体日本の食糧自給の可能性があるのかどうか。私はいまに非常に追い込まれる危険性が迫ってくるような感がしてならない。だから、思い切ってここで金を投じて圃場整備などをやって、それで機械化の方向に持っていくのが大事だと申し上げたのは、その点を申し上げているわけなんです。あなた方の御努力に対しては必ずしも非難するわけではありませんけれども、その程度の低さについて非常な不満を感じさせられるわけなんです。そこは大臣どうなんです。
○倉石国務大臣 先ほど米の自給率を八二%と申し上げましたが、米だけに関しては九二%でございまして、全体の農産物の比率が八二%と訂正いたしておきますが、米につきましては、いまここで農地局長申し上げましたように、圃場整備その他のことで増産計画はもちろんでありますが、品種の改良であるとか、反当収穫をふやすための技術的な検討——御承知のように、いわゆる新佐賀段階というような、ああいう地方においても非常な研究がいま進められておりまして、反当収穫も逐次増強されております。 ただ、私は、ここでお話が出ましたついでに、政府側でも考えておりますが、国会の皆さまにもひとつお考えを願って、これは国のためでありますからぜひやらなければならないと思いますのは、わが国の領土というのは限られたものであります。この中で、従来、先ほどお話のありましたような高度経済成長に伴って、いろいろなところに作業場ができるのはけっこうでありますけれども、見ておりますと、せっかく金をかけたような良田をつぶしてコンビナートなどを無計画に建てておるということは、これは私は将来必ず禍根を残すのではないかと思うのです。よその国のまねをするわけではありませんけれども、やはり私どもといたしましては、十年先、十五年先に日本の人口がどのくらいふえていくか、食料に対する嗜好がどのような変化を生じていくかということを、すでに政府のいろいろな諮問機関等でも学者先生方がその結論を出しております。そういうものを見ても、やはり土地利用の計画についてはもっと計画性を持つべきではないか、私はこういうことを考えておるわけでありますが、これは農林省だけで考えるべきことでなくて、したがって、政府全体としてそういう計画の立案についていまどのようにしたらいいかということも考えておるわけでありますけれども、これから開田し得る可能性のある土地につきましては、地方庁とも協力をいたしまして、農林省としては鋭意耕作面積の拡大について最大の努力を払ってまいりたい。来年度予算にはそういう方向でひとつお願いをしていきたい、スピードアップするようにいたしたいと思っております。
○森田委員 まだ関連した質問を申し上げたいのですが、時間が追い込まれておりますので、あと一般質問としてお伺いいたしたいことは、この農産物の自由化に伴うて、日本の農作物でとても太刀打ちのできないようなものが起こってきているわけなんです。バレイショ、カンショしかり、さらに大豆、なたねのごときに至ってはほとんど問題にならないほど追い込まれている姿なんです。こういうようになっておるので、これをこのままにして自由化され、野放しにされたのでは、全く日本の農村というものは行き場がない。いまのところ米作は何とかなるということになっておりますけれども、ほかの畑作物に至ってはとても太刀打ちができない。だから、耕作面積でも何でもどんどん減っていくというのが現状なんです。ところが、どうも自由化するときの政府の約束というものは、これを保護していくのだ、何らかの方法で保護していくのだ、こういうような方針だったと思うのです。 一例をいまあげてみます。大臣もよく御存じだろうと思いますが、なたねの問題でありますが、昭和三十一年の耕作面積と昨年の耕作面積を比べてみると、全国で三分の一に減っております。しかも農林省の行き方は、交付金をやる基準価格のきめ方が非常に低いものですから、これによって一向農民のふところが豊かにならないのです。ばかばかしい、こういうことなんです。ただ、換金作物でもあるし、畑をほうっておいてもしようがないからというので、泣く泣くつくっているというのがいまの姿なんです。バレイショなども、私らのほうでは面積などほとんど十分の一にも足りないほど減ってしまうというようなかっこうなんです。こういうふうに、農林省が自由化の場合は農民を保護するんだという約束をしていながら、もう一ぺんなたねに返りますと、なたねの差額交付金の予算を三十億まで出すという約束をして、それを使うことによってなたねは保護されるんだという約束だったはずです。ところが、これが十五億に減り、八億に減り、五億に減り、ことしは四億をやっと五億にしてもらったというような形なんです。しかもその予算は使いやしません。そして国のほうでは、昨年の関税は七十二億大豆、なたねでとっているのです。七十二億も国家が関税でもうけて、そして農民のほうには五億の予算をつけても、その予算も一億か二億使えるか使えないかというようなかっこうなんです。それは値がいいから差額交付の対象にならないのだと言うが、基準価格を安くきめれば当然のことですよ。とにかくそういうようなことで、保護すると言うが、保護にも何にもならないのです。とにかく耕作面積がどんどん減っていて、農民がこれを耕作しようという意欲がない。そこにわれわれは政府の約束違反があると実は考えるのですよ。だから、こういう場合は、ことし五億予算をつけていただいたようでございますから、その五億全部使うというくらいの高い基準価格をきめてもらうのでなければいけない。ほかのバレイショあるいはカンショ、そういうようなものもまた同じような形でやってもらうのでなければ、日本の農村というものは滅んでしまいますよ。農林省は私は農民の味方だと思っているのに、どういうものか、大蔵省のごきげんばかりとっているようなかっこうなんです。われわれはどうしても納得ができない。 そこで大臣、あなたのような聡明な方が大臣になっていらっしゃるのですから、そして農民の苦労もよく御存じのはずですから、農産物の自由化のために個々の現象だけ追っかけるのでなくて、一つの一般的原則で、この限度でこれを保護していこうじゃないかという方針というものを定めなければいけない、こんなふうに私は考えているのです。たいへん単純化して申し上げたのですが、これに対してひとつ大臣の御所見を承りたい。
○荒勝説明員 ただいま森田先生からお話がありましたように、大豆、なたねにつきましては、交付金法ができまして、いわゆる大豆、なたねの貿易の自由化に伴って農民には差額を補てんする、取引価格が非常に安い外国の大豆あるいはなたねが入ってきたときに不当に農民に迷惑かけないように、そういう形で大豆、なたねに関する特別立法の交付金法が制定されまして、それに基づきまして、われわれは毎年いわゆる法律に根拠を求めまして、パリティ価格の基準を基礎に置きつつ値段を検討いたしまして、そして政府としては一種の最低保障価格といいますか、そういうものを検討しております。ところが、実際問題としまして、いま先生が御指摘になりましたように、大豆あるいはなたねいずれにしましても、国内のほうで、先ほど先生から農政一般の御質問がありましたように、多少労働力の不足もあったかとも思いますが、年々相当減産してまいりまして、実際問題として、当初は三十億円の予算で出発したのでございますが、ただいまのところ、五億円をもってしてもむしろ年度末に余るというのは、単に価格だけではなしに、なたね等につきましては、過去二、三年来——園芸局のほうからあるいは御答弁願ったほうが適切でないかとも思いますけれども、なたねの菌核病という病気が北東北あるいは南九州、いずれにしても日本のなたねの大主産地に出まして、これの対策が十分にいまだ発見されないままに、なたねのほうは急速に面積が減退してきたというのが実情でございます。 それから大豆につきましても、内地各方面にありました大豆も、その後やはりほかの作物、野菜とかあるいはオカボとか、あるいは場所によりましては果樹その他の園芸作物のほうに切りかわっていきまして、生産がやはり非常に減退して、現在のところ、大豆、なたねについてはあまり増産が今後期待し得ないのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○森田委員 これは大臣ひとつ真剣にお考えを願いたいと思うのです。一つの限界というものはあると思います。保護するといったって、そうやたらに無制限に保護できるものでないことはわれわれだってよくわかるところなんで、一つの限界があることはわかるのですが、しかし、とにかく農民が立っていけるような方向に保護のラインをひとつ立てて、そして各作物についてその方針を明確にしていただきたい。こういうことを、これは私の意見ですから……。実はまだ申し上げたいのですが、あと何分ぐらいいいですか。
○本名委員長 大体予定の時間がまいりましたのですが……。
○森田委員 それじゃもう一つ。そこで、いまの自由化の問題からくるビートの問題でございます。これは青森県、岩手県、北東北にビートの奨励をしていただいたわけです。そうしてフジ製糖が製糖工場を持っていってそこでやりました。それから大臣にも陳情申し上げたので——もう時間もないのではしょりますけれども、とにかくこれで四、五年やってみて、やっと農民がこれならばやっていけそうだという気持ちがいま出てきたところ、これが一つ。それから同時に、酪農との関連性においてパルプなどを利用する、あるいはまた切ったあとの株などを飼料にするということで、それでうまく酪農との調和がとれるような形でやっている農民が相当いるわけでございます。ところが、今度はいよいよそれをやめるということになったわけなんです。 そこで、まずここに二つだけ大臣にお伺いいたしたい。このフジ製糖の工場はとても採算がとれないから、いまの姿ではやり切れません、何か政府のほうで助成の方法でもお考えくださるならばやってもいいと思いますという含みのある意思表示をフジ製糖からしていたはずなんであります。これに対しては全然お答えにならなかったのでありまして、そうしてフジ製糖は、それじゃもう見込みがないからやめました、こうはっきり最近意思表示をいたしたようであります。これは農林省の御研究の結果、工場として利用の方法がございましょうか、あるいはもうその点については見込みはないのでございましょうか。その研究の結果が明瞭でありましたら、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
○倉石国務大臣 砂糖の自給度を高めたいという方針で、北海道のビートがある程度成功いたした。そこで、北東北におきましても、寒令地畑作農作物としてはビートがよかろうということで、盛んにやってまいった歴史でありますが、日ははっきり記憶いたしておりませんが、二、三カ月前にフジ製糖の社長が見えまして、いろいろな都合で工場を閉鎖しなければならなくなりました、そのことのお知らせに参りましたということだけでございました。それから間もなく関係の四県の知事がおいでになりまして、これはやむを得ないが、善後措置について御協力願いたい、こういうことでありました。私どもといたしましては、ちょうど播種期に属するわけでありますからして、農家としては、フジ製糖が平常に買い上げてくれるであろうという想定のもとにああいうふうに作付をいたしておるのでありますから、これを政府としては見殺しにするわけにはいきませんからして、本年作付のものがどのくらいあるか未定でありますけれども、とにかく農村の人々には御迷惑をかけないようにいたしたい、こういう方針であるということを四県の知事にも私のほうからお答えいたしたわけであります。最近もまた四県知事が見えまして、とにかく善後措置について県のほうでも考えるが、政府においても何ぶんの御協力を願いたいということでありますので、なるべく早く私のほろで調査団をつくりまして実情を調査いたして、どのようにしたらいいかということについて検討するつもりでありますが、政府といたしましては、いままでの工場を政府が運営するわけにはまいりませんので、そういうことについては農民に迷惑を与えないということの方針だけはひとつ私どもは確立してまいりたい、こういう考えでただいまおるところであります。
○森田委員 そうすると、いまのところは、まだ具体的にどういう方法でこれを救済するのだという案は立っていないと承ってよろしゅうございましょうか。
○倉石国務大臣 いま申し上げましたように、関係知事と農林省と相談をいたしまして、よい時期によく調査をいたしまして、そして農民諸君に迷惑をかけないような方法をそこで講じよう、こういうことでございます。
○森田委員 それでは最後に一点お伺いいたしたいのですが、ことしの問題はそれで一応おきまるでございましょう。しかし、先ほど申し上げましたように、ビートを栽培することと酪農とを結びつけて、そして両全の姿を立てて経営しておる農家が相当あるわけです。これはいよいよビートをつくらないということになると、飼料の関係がすぐ発生するわけでありますから、これは酪農のほうも何らかの姿で整備しなければならない人も出てくると思うのです。また、これは五年に一回の輪作でなければならないという作物だというのでありまして、地方としてはいろいろ切りかえに苦労するし、それから栽培方法等でも、農協とかあるいはその他の人々が非常に金をかけて教育をする、そろいうようなことが幾つも重なってきて、それである程度の成果がいまあがるような段階になってきた。そして突然今度は谷底にたたき落とされたというような形になるのであって、こういう経済上の損害も直接に与えられるわけであります。前途に希望を持ってやろうとする、これが全然挫折する。それで、農林省は全然あてにならないじゃないかという、また怨嗟の声が農民の間から上がってくるというようなことなんですが、これは何らかの姿で農林省としては、この感情等を——いま申し上げた程度の経済上の損害を農民に直接与えるのでありますから、これらは何か救済の方法が立てられていいのではないか、こんなふうに思うのでありますが、大臣の見解をひとつ承りたい。
○倉石国務大臣 ただいま申し上げましたように、なるべく早く調査団を派遣いたしまして、四県知事と協力のもとに実情を調べまして、明年のことについては、そういう上でひとつわれわれの協力できる面についてはできるだけ御協力を申し上げたい。森田さん御承知のように、ビートを作付しておる地方でも、すでに土地改良などについて希望して、実際行なわれておるところもあるような次第でありまして、やはり私は、ああいう北東北のような比較的寒冷の地帯における畑作については、いろいろ地元とも御協力いたしまして、農村の人々が明年の農作業については心配のないように政府はしてあげたい。いまお話の畜産との関係でございますが、すでに畜産の牛はなお多々ますます弁ずる必要があるわけでありますから、そういうものはそれなりにやはりそれを継承していく。ビートだけのえさでなくても、何とかそういう畜産がありますならば、それも保護して継続するように、何にいたしましても、実情を調査の上で、ひとつ方針をきめたいと思っておるわけであります。
○森田委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○本名委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 ただいま森田委員から食糧の自給度の問題について質問がございまして、大臣からあとう限りの自給度を高めることに努力をしたいという御答弁がありましたので、私は、その点について重ねて質問を申し上げようとは存じませんが、ただ、今日の食糧の中での畜産物でありますが、畜産が相当に伸びたようでありますけれども、外国の飼料に依存する分が非常に高いのでありまして、はたして日本の畜産がそのように伸びたかどうかという点については、大きな疑問を持たざるを得ないわけでありまして、一部の学者は、四本足の家畜は三本まで輸入ではないか、日本自体の畜産の伸長ではないという酷評をしておる向きもあるようでありますので、その点についてはどのようにお考えになっておられるのか。それから、現状においては米は九二%、全体で八二%であるという御答弁でありますが、ただいま申しました畜産との関連において、将来の自給度のめどをどこに置いてお進めになるのであるか、これを承りたいと思います。 なお、予算の点について、相当大幅な予算が獲得されたという御答弁でありますが、それはそのとおりだと思うのです。けれども、従来ずっと見ておりますと、農林省の関係で、たとえば愛知用水公団であるとか、あるいは有明湾の干拓事業であるとか、その他農地造成と称して相当多額な投資が行なわれておりまするけれども、愛知用水のごときは、むしろ工業用水となったと言ってもこれは言い過ぎではないでしょうし、有明湾その他の干拓も農地として造成されておるけれども、直ちにそれが工場団地に転換される、こういうような事情がございまして、私ども長い間農政を見ておりますと、農林省の予算が膨張したからそれで農業の発展と繁栄につながるかどうか、農民生活の安定につながるかどうかということになると、非常な疑問を持たなければならないのであります。私はここで、従来農業へ投資をしたものが工業用になったものの数字などのこまかなことを承るつもりはございませんけれども、そういう点を勘案されて農林省は予算というものを御検討願いませんと、非常な大きな誤解を生むのではないか、こう考えておりますので、まず、この点について大臣の意見を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 自給度につきましては、まあ米はいまお話がございました。畜産につきましては、石田さん御存じのように、農村の都会化と申しますか、テレビジョンみたいなものが出てまいりましたことも原因かもしれませんが、服装にしても食生活にしても、都会と農村が非常に接近してまいっております。最近においては肉類、野菜、果実の消費が著しくふえております。昭和三十九年、四十年というのは、わが国の不況な時代でありましたにもかかわらず、そういう都会化した食物は依然として消費量が減っておりません。したがって、私どもが将来を見通しての食糧自給を考えますときに、御指摘のように、畜産につきましてはいろいろ苦慮いたしておるわけでありますが、そういうことにつきましては、いまお話しのように、飼料の非常に大きな部分が外国からの輸入にまっている、これはわが国としては非常に不健全なことであると思いますので、できる限り国産の草地造成等をいたしまして自給度を高めてまいりたい、こういうことで努力をいたしておるわけであります。いま有明湾とか愛知用水のお話がございましたが、実際問題として、たとえば愛知用水の木曾川水系の水利事業あるいは豊川用水などを見ましても、まあ豊川のほうはまだ全部完成はしておりませんけれども、主としてこれは農業、ところが、愛知用水、もう一つの名古屋寄りのほうにおきましては、幸いにああいう用水の利用があるものでありますから、つい手っとり早く名古屋市などはそういうところに目をつけるということで、われわれとしては好ましいことではないのでありますが、しかしながら、これもやはりその土地全体の繁栄ということから見ますると、必ずしも拒否するわけにもいきませんけれども、まあ私どもは、当初計画のときに、たとえばいま岡山県で笠岡の干拓をやっておりますが、あれは初めから一部は工場用地というような計画で始めておる場所もありますが、御指摘のように、私どもは主として農業用の水利事業に力を入れてまいりたい、若干とられるのは、まことにわれわれとしては困ったものだ、こういうことであります。
○石田(宥)委員 そこで大臣、私は、実はきょうは農業基本法体制というものについて、大臣のお考えを承りたいと思うのです。 昭和三十六年に農業基本法が制定されますときに、私どもは政府と対決をするような社会党案をつくって実は議論をいたしたのであります。当時、日本の農業団体はあげて、まず第一、食糧の自給度を高めるということを農基法の目的の中に明示すべきだ、こういう主張をいたしておりました。社会党の案は、たまたま私が社会党の農業基本法案の取りまとめ役をいたしておりましたが、これを明記しておったのであります。ところが、自民党の皆さんは、米については十年ぐらい後になると一〇%程度生産過剰になるという見地に立って、食糧の自給度を高めるということを挿入することに対して極力反対されまして、ついに今日の基本法にはそれが挿入されておらないのです。先ほどの大臣の答弁によりますと、あとう限り自給度を高めることに努力をする、こういう御答弁である。ただいまの御答弁によっても、そのような御答弁に受け取れるわけでありますが、そういたしますと、この点について、やはり農基法の構想というものは、いますでに改めなければならない情勢である、こういうふうに御答弁になっておると理解せざるを得ないわけです。まず、この点ひとつお伺いをしておきたい。
○倉石国務大臣 法制定当時の一部の議員さんの御発言について、私はあまり知識を持っておりませんけれども、やはり農業基本法というものを読んでみますと、生産政策、物価政策、構造政策、こういうものを進めてまいって、そして一方においては、食糧増産と同時に、農村の生活を安定させる、こういうことがねらいであると思います。したがって、私ども、今日におきましても、農業基本法の精神にのっとって構造政策、価格政策、生産対策等をやっていくべきである、こういうことで進めてまいりたいと思っておるわけであります。
○石田(宥)委員 大臣、そう詭弁を弄さないで、先ほど答弁されたことを率直に私は申し上げておるのですから、その点は私のほうもあまりこだわっておるわけでございませんから、すなおに御答弁を願いたいと思うのです。 その次に、農基法の一番重要な柱は、何といっても、日本の農業構造というものが、いわゆる過小農経営の状態であって、機械化、近代化に適しておらない、だから、この構造政策を進めなければならないというのが、農基法の中心的な課題であったわけです。しかるに、その後、ほとんどその過小農経営の形態というものが見るべき発展を遂げておらないのではないか。政府は、昭和三十五年の十二月に閣議決定をもちまして、いわゆる所得倍増政策という冊子の中に、二・五ヘクタール程度の農業を自立経営農業として十年後には百万戸つくるという目標を示しておったわけです。私どもはこれに対しては、二・五ヘクタールの自立経営規模の農家というものは、なかなかいろいろな理由でできないであろう、それからもう一つは、二・五ヘクタール程度の農家では、これは自立経営とは言いがたいのではないか、もっと相当規模の大きなものでなければならないのではないかということを指摘してまいったわけです。ところが、今日になりますと、政府の志向し、目途とした方向にはほど遠いものがある。むしろ兼業農家の数がふえたりいたしまして、停滞の状態である、こういうことが言えると思います。そういう状態の中に、一昨年以来各方面から、いろいろな将来の日本農業に対するビジョンというようなものが五つほどの団体から出されております。それによりますと、十五ヘクタール程度という議論もあり、三十ヘクタールないし四十ヘクタール程度という議論もございます。私どもはこれに対しては非常な関心を持っておるところでありますが、現在の日本の農村の実態から、はたしてそういう大規模な経営に移行することが可能であろうかどうかということに大きな疑問を持たざるを得ないのです。あとで農地価格その他について御質問を申し上げたいと思いますけれども、こういうかなり権威のある、政府でいえば経済企画庁の一部などがまとめておる。そのほか、先ほど申しましたように、五つくらいな団体が、それぞれ将来のビジョンなるものをあげておるわけです。これに対して、将来の日本の農業というものを考えた場合に、農林大臣はどうお受けとめになっておられるか。やはりそういう方向に指向しなければならない、そうして企業としての農業をつくり上げなければならないというふうにお考えになっておるか、あるいはどういう御見解であるかをお伺いしたいと思います。
○倉石国務大臣 先ほど森田さんのお尋ねに私がお答えいたしましたように、農業基本法を制定いたしましたころから、ちょうどいわゆる高度経済成長政策というようなものが並行して出てまいりました。 〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕 その結果、一方における鉱工業の伸展は著しいものがございましたけれども、農基法で予定いたしておりましたような農業の進歩程度というものは、やや立ちおくれておる。低生産性のものである。しかしながら、私どもは、やはり日本全体の産業構造が調和のとれた形で伸展していかなければならないのでありますし、一方においては、農村の人々の生活の安定、こういうことも考えてまいらなければなりませんので、やはりやっていけるような農業というものをどのようにして保持していくかということが最大の眼目だと思います。それにつきましては、やはりいまお話しの構造政策が中心である。したがって、まず土地改良をやって、そして構造政策をその間に進めていって、なるべく経営規模は広げていくことによって、生産性を向上して、農家の所得をふやしていくということが必要である、こういうことで考えておるわけでありますけれども、いまさっき申しました他産業との関係で、あるいは一方においては地価が高騰いたしてしまったり、あるいは日本の産業構造の特殊性から、兼業農家というものが非常に大きくなってまいりました。第一種、第二種の兼業農家を合計いたしますと、全体の農村民の七〇何%かを占めておる模様であります。したがって、わが国におきましては、一方において構造政策を進めると同時に、この第一種に属する兼業農家というようなものは、ある程度持続することもしばらくの間は考慮しなければならないのではないか。しかしながら、ヨーロッパなどにありますような大規模な経営に移行できるかどうか、これは、私どもとしては、日本のような土地においては非常に困難性が多いと思います。しかし、いまのような小さな規模が林立しておるようなことでは能率は上がりませんから、やはり構造政策を進めていって経営規模を広げることが必要である、こういう方向で進んでおるわけであります。
○石田(宥)委員 大臣の御答弁ですが、基盤整備事業あるいは土地改良事業を進めることによって経営規模の拡大が可能であるかのように聞き取れたのでありますけれども、いま行なわれておる構造改善事業というものは、いわゆる経営規模拡大のための構造政策とは似て非なるものであって、本質的に違うものであるということが明確でないようなんですが、どうなんでしょうか。
○倉石国務大臣 先ほどここでお話のありました能率をあげるための協業、これも将来できるだけ推し進めていくほうがいいと私は思いますし、やはり構造政策のねらっておりますところは、経済的に効率をあげ得る農業経営をやっていくのが目的でございますから、やはり構造改善をすることによって経営規模は広がっていける、そういうふうに理解しております。
○石田(宥)委員 基盤整備をやることによって経営規模の拡大が行なわれるということは、ちょっと議論が飛躍をしておるのじゃないか。基盤整備事業をやることによって、なるほど三アールか五アールくらいのきわめて零細な規模の農民は切り捨てられて行き場がなくなるけれども、そうでない三反区画にしたとしても、三反区画以下のものが全部切り捨てられて、それが経営規模の拡大につながるかというと、これはつながっておりません。これは大臣、ちょっと認識不足じゃないですか。ですから、私は、構造政策というものは、もっと積極的に経営規模を拡大するような施策がなければならない、こう思うのです。そこで、あなたは、構造改善事業というものを進めることによって何か経営規模の拡大ができて構造政策につながるような御答弁をなさるけれども、これはそうではないのです。これは現地をあまり御承知にならないからかと思うのでありますが、私は、うちは農業で、農業経営をやっておりますから、基盤整備事業もやっておりますし、自分でやったこともありますから、そういうことが直ちに経営規模の拡大につながるというのは大臣の認識不足だと思うのです。 それから、これはひとつ参考までに申し上げておきますけれども、たとえば構造改善事業というものが行なわれて三年目でありますけれども、北陸農政局の局長が、局長会議がありました際に、自分の所管の市町村で言うと、二十部落の中で一部落くらいしか構造改善事業というものは行なわれない、こういうことを報告しておるのです。農林省に文書があるはずです。私は実はその問題で前の池田総理大臣に皮肉を言ったことがあるのです。二十枚の畳敷きの部屋で畳を一枚入れかえて、一体あなたの奥さんは、この部屋は畳を入れかえてよくなったわいとおっしゃいますか、と言ったことがある。二十の部落の中で一つの部落に構造改善事業が行なわれて、これで構造改善事業が進んだとか、構造改善事業が進めば経営規模が拡大されるなどという理論は、どこからも出てこない。現実に出ておらない。この点はもしそういうお考え方だとすると、その考えはひとつ改めてもらわなければならない。どうでしょう。
○倉石国務大臣 私の先ほどのことばが少し足りなかったと思いますが、私は、構造改善政策というものはぜひ必要なものであるという認識を持っておるわけであります。その前提としては、やっぱり政府が力を入れた土地改良というものが先行していくべきである。そうすることによって、構造改善をいたしますにしても、それから経営規模を広げようといたしましても、ただいまの客観的社会情勢の中では、ことに比較的都市に近いようなところでは、なかなか農地の流動性というものがむずかしい状態でございます。いわゆる第二種兼業農家というような方々が、土地を持ってがんばっておれば、草ぼうぼうにしておいても時間のたつに従って財産がふえていく、こういうようなお考えで、われわれから見ますと、農耕面積を非常に非生産的に使っていらっしゃる。こういうことでは困るという考え方で、私どもは皆さま方の御協力も得て、そして土地の流動性をしやすくする方法を考えなければならない。小作料等についても、すでにまことに時代おくれのものもございますし、そういうブレーキになっておるような点を徐々に改善することによって構造改善政策がうまく進んでいくようにこれからつとめなければならない、こういうことを申し上げたかったわけであります。
○石田(宥)委員 どうも歯切れが悪いですね。構造政策というものと構造改善事業というものをごっちゃにして構造改善政策などとおっしゃるけれども、これは農林大臣、とぼけなくて、すなおに答弁しなさいよ、これははっきりしておるのだから。構造改善事業によって構造政策が進められるなどというものではないのですよ。これはきわめて明瞭なんです。 そこで大臣、そういうお考えであるということがわかりましたが、経営規模の拡大ということが、何といっても農業経営の機械化、近代化をはかる上における至上命令なわけですね。それには二つの要因がある。その一つは、まず自作農としての自有地の拡大、いわゆる自作地の規模の拡大、もう一つは、共同経営というか、協業経営というか、中身はあまり変わりませんけれども、表現が違う。とにかくそういう形で所有地を統一し拡大する拡大と、それから共同による経営規模の拡大と、これは二つあるわけですよ。ところが、いまも大臣答弁があったように、その農地の価格というものがどんどん上がってまいりまして、これはいまのような農地価格では、いわゆる自立経営農家というようなものが、それは二・五ヘクタールとは限りませんけれども、相当な面積に拡大をするというととは全く不可能だ。私の近所に、新潟市から相当離れた二十キロメートルぐらいある地域に国道ができた。そうすると、新潟市近郊の農地は、まあ十アール当たり五百万から七百万に売れる。そうすると、その金を持ってきて二十キロもあるところへ来て、自分が自作をするんだからといって、今度は相当反別買えるわけです。十アールが今度は十ヘクタールぐらいにも当たるようなところがある。そこへ来てどんどん買い上げてまいりますから、十アールでやはり五十万、七十万という金額になる。一体、五十万、七十万の土地の投資をやって農業経営が成り立つか、成り立ちませんね。しかし、それをいまの法律ではとめるわけにはいかない。みずから耕すんだからといって買うものをとめるわけにはいかない。そういう苦境におちいっておる。実はとの点は、私はやはり政府与党の非常に大きな責任問題だと思うのでありますが、私はその点を憂慮いたしまして、昭和三十七年に予算委員会で、農地の価格が暴騰すると農業経営が非常に困難になるが、農地に対する価格を抑制するような措置を考えるべき段階にきておるのではないかということを質問をしたことがある。これは当時河野一郎さんが農林大臣で、そんな意思は毛頭ありませんとあっさり片づけちゃった。しかし、そういうところに私は根本的な問題あやまちがあったと思うのです。それはどんぴしゃりで一〇〇%効果のある政策というものがないにしても、やはりその当時から農地価格の暴騰を抑制するような何らかの措置が行なわるべきであったと私は考える。 なお、政府自民党に責任があると私はなぜ言うかというと、こういう点が指摘されなければならないと思うのです。 第一は、旧地主に対する農地報償法案が成立しましたね。このことが、土地所園者に対する所有権万能的な思想を強化したことは間違いがない。大臣、これはおわかりでしょう。あれによって所有権万能的な昔の憲法、昔の民法時代の思想が一そう強化されたということが言えると思います。 それからもう一つは、固定資産の評価がえの問題。固定資産を評価がえして固定資産税を高くすれば土地の価格を押えることができるような錯覚を持っておった人もあったが、私どもは当初から、固定資産の評価がえをして評価額を上げれば土地の価格を上げることになるぞということを言って、ずいぶん強くこれを指摘しておったのです。しかし、政府と自民党はついにこれをあげて強行した。われわれの反対を押し切って強行されたそのことが、私は農地の価格を今日のように暴騰せしめた要因であろうと思うのです。そこで、きのう、おとといの国会のようすをちょっと見ておりますと、水田大蔵大臣は、これはちょっと性質が違うのでありますけれども、 〔仮谷委員長代理退席、委員長着席〕 固定資産の税金を高くすることによって、むしろ農地の値上がりを来たすおそれがあるということを、この間ここの予算委員会で答弁をしておりますよ。私は、これはわが意を得たりと思って実は聞いておったわけです。ところが、きのうですか、西村建設大臣は建設委員会で、そういう点については、いわゆる公共のためには私権の制限もまたやむを得ないであろうという意味の答弁をしておる。これはけさの新聞に出ております。この点、土地価格が非常に高過ぎるということは、ひとつ農業経営を困難にするのみならず、いま日本のすべての公共事業のガンになっておる。一体、農林大臣は、この水田大蔵大臣の答弁、それから西村建設大臣の答弁は必ずしも一致しておりませんけれども、これらの問題についてはどうお考えになりますか。そうしてまた、どう対処したらいいとお考えになりますか。
○倉石国務大臣 わが国のいろいろな経済社会でときたま頭打ちになります問題は、土地の価格が諸外国に比較いたしまして非常に割り高であるということだと思います。先般宅地審議会というようなところで付託されておった問題に対する答申がございました。つぶさに答申を拝見いたしますと、都会地で工場を設置する地域ABCというふうにかりに分けるといたしまして、A地域と指定されたところはおそらく非常に地価は高騰するでありましょう。そうしますと、そこへ工場施設などを建てるよりは、とんでもないいなかで、せっかく私どもが高い税金を使って土地改良をいたしたようなところへ持ってきて建てることのほうがはるかに有利でしょう。そうしますと、そういうものが出てきた周囲はたちまち地価が高騰いたします。これはもう東京、大阪、北九州等のいままでの状況を見れば判断のつくことであります。私どもといたしましては、ただいま大蔵大臣や建設大臣の言明についてとかくの批判をいたすことは遠慮いたしますけれども、私は、日本の産業全体について、農業をも含めて、土地の問題というものに対処して、これはどのようにか英断をもってこの価格を押えるということが、政治に与えられた大きな仕事ではないか、これが安定していかなければ、私はいろいろなところに支障を生じてまいると思います。先ほど来のお話のような、経営面積を広げて自立農家をつくりたいと思いましても、そう都市に接近していない土地ですら、第一種兼業農家のような方々は、まあ気分的には先祖代々の土地を離したくないという日本人的土地の愛着心もさることながら、やはり黙っておれば地価が高騰して、日にやけて働くよりは、これをほったらかしておいて財産がふえていくほうが楽しみだという考えを持つ者も多いのでありまして、私は、やはりそういうことを政治の面では何とかして改めていかなければならないのではないか、こういう観測をいたしておるわけであります。
○石田(宥)委員 農林大臣の所管面積が一番大きいのですから、農林大臣の発言権がそういう意味では一番大きいわけですから、ひとつしっかり考えていただきたいと思うのです。 それから、先ほどの答弁の中で、農地法の問題に触れられて、農地の流動化をはかるべきであるという御答弁があったわけですが、この問題は、実は非常に大きな問題でありまして、まず第一、農地法改正について従来のような法制のもとでは流動化がほとんど不可能に近い、だから、流動化を促進するために、いまの農地法を改正すべしという意見がずいぶん前から出ておるわけです。そこで、農地法改正についての御意見を承りたい。同時に、私は私なりの意見を申し上げますと、流動化をはかれという声も、その理由はわからないわけではございませんけれども、現実には、現在適当に流動しておるのではないか。形の上においては、委託耕作その他の名目で行なわれておるけれども、むしろ、いまの農地法というものを厳重にこれを施行することが重要なのではないか。なぜかというと、委託耕作という名目で非常に高い小作料が取られておる。反当り一万五千円も二万円もの小作料を委託耕作という名義で取っておるけれども、そういう違反行為については全然手を触れておらない。むしろ、やはりそういう点を法律どおりに実行することこそが必要なのではないか、こういうことでありまして、もし流動化を促進するような法改正が行なわれるとすれば、それはあるいは一時的に賃貸借が行なわれて、経営規模の拡大が容易になるという面が考えられる。けれども、そういうふうに簡単に借りられるところは、また簡単に返さなければならないという条件だとするならば、相当規模の面積に即応したところの機械その他の装備や施設をいたしましても、いつ何どきまたその返還をしなければならないかわからないような状態のもとでは、安定した経営規模の拡大の上に立った農業経営というものが不可能ではないか。こういう点についてはどうお考えになりますか。
○倉石国務大臣 現行の農地法は、私がさっき申し上げましたけれども、制定以来すでに十何年かたっております。そこで、現在の社会経済情勢の変化に対処いたしまして農業構造の改善を促進するためには、やはり地域の実態に即応して、農地の所有権移転ばかりじゃありませんで、農地の賃貸借の円滑化、あるいは集団的生産組織の育成というような措置につきましても検討をいたさなければならないと存じます。現行農地制度につきましては、やはり所要の手直しをいたすべき時期ではないか、こう思っておるわけでありますけれども、農地制度の問題は、わが国の農業の体質と深く結びついておる問題でありますからして、農業構造改善対策の一環として、総合的な視野からひとつ農地法と取り組んでまいりたい、こう思っております。
○石田(宥)委員 どうも懇切丁寧な御答弁で時間がなくなってしまいましたが、まだちょっとありますから、もう二、三問いたしたいと思いますが、最初に、国有林の開放の問題が非常に問題になっておりますね。それで、特に農業会議所が旗振りをしておるようですが、また、自民党の議員さんの中でも相当ハッスルしていらっしゃる方があるようでありますが、なるほど国有林、特に東北地方に多いわけでありますけれども、これらの国有林の開放と申しましても、従来、ここ数年間に国有林の払い下げ問題というものがいろいろ不祥事を起こしておることは御案内のとおりでありまして、それも一つの理由でありますが、もう一つは、私は、今日の山林行政、これはあとで法案の審議がありますから、その際に譲るといたしますけれども、少なくとも国有林であって、その隣接地域の農民がどうしてもその土地を経営規模の拡大なりあるいは農業経営を容易にするために、これを必要とするような場合においては、その所有権を必ずしも譲り渡す、売り渡す必要はないのではないか。むしろ、現状のもとにおいて使用収益権をその周辺の部落の農民なりあるいは農民の団体なりに与えることが、これが一番賢明な方策ではないかということと、それからもう一つは、きょう特に林野庁長官を呼んでおりませんけれども——見えておれば幸いですけれども、実は、いまの日本の山林の状態は、私知っている限り申し上げますけれども、大体部落有林野というものが、形の上ではだれ外何名とかあるいは町村管理であるとか、いろいろな形になっておるけれども、内容的には、たしか私の記憶では六百万ヘクタールぐらいあるはずです。ところが、それがいまの日本の全林野の中で一番利用率が悪いのです。お互いに寄りかかり合うというか、その責任の所在が明確でないというか、まあ、私のほうの部落にもありますけれども、植林もしなければもう何もしない、そういうところが非常に多いのです。そういうふうなところにむしろ利用度を高めるという目を向けるべきであって、いまの国有林野を要請があるからといって直ちに払い下げをするというような措置はとるべきものではないと私は考えておるのですが、これに対する大臣の率直な御答弁を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 林野行政の大事なことは政府もよく承知いたしておりますので、そういうことに一ついては慎重にいたすつもりでありますが、時間の関係もございますので、方針をきめておりますから、林野庁長官から方針を申し上げます。
○若林政府委員 国有林野の活用につきましては、国有林野が所在いたします地域の農林業の構造改善、あるいは地元産業の振興、または住民の福祉の向上、こういった用に充てますために、林業基本法の第四条で規定されておりまする国土保全その他国有林野事業の使命がございますが、こういったものとの調整をはかりながら、積極的に、かつ適正にその活用がはかられるように配慮いたしておるところでございます。 それから、お話のございました入り会い林野についてでございますが、これは入り会い林野の権利関係を近代化いたしまする法律ができましたので、これに基づきまして、ただいま計画的に入り会い林野の整備をいたしておりまして、その中で、土地利用の高度化ということも整備計画の中に織り込みまして、現在実行中でございます。
○石田(宥)委員 それは法律があることも知っておりますけれども、実はほとんど手がつけられておらないのです。しかし、この点は時間の関係がありますから、また別の機会にひとつお伺いをしたいと思います。 あと二点ばかり御質問申し上げたいと思うのですが、農林金融の問題をちょっと伺いたいと思います。これは官房長ですが、農業設備投資の総額はおおよそどれぐらいであるか、それから、そのうちの制度融資と補助金とはどの程度になっておるか、これを伺いたいと思います。
○桧垣政府委員 別に国会に御提出を申し上げております農業の動向に関する年次報告の中でも明らかにいたしておりますが、四十年度の農業の固定資本の投資総額は五千三百九億円ということでございまして、近年固定資本の投資額は着実に増加をいたしております。この五千三百九億円の原資でございますが、政府補助金でまかなわれましたものが二四%、制度融資等が二〇%でございまして、合わせて四四%を政策的な原資でまかなっておるという実情でございます。
○石田(宥)委員 それでは次に、これは経済局長ですか、農林中金の問題をちょっと承りたいのです。実は最近の農林関係の融資の状況を見ますと、農林中金には相当な金額が吸い上げられておるけれども、それは必ずしも農協や農民のために使われておらなくて、農民から吸い上げた金は農林中金から関連産業に投資されて、農民のほうはいま御説明のあったような制度資金あるいは補助金、こういう形でまかなわれておる、これが実情ではないかと思うのです。そこで、農林中金の預金残高がどれぐらいあるか。それからもう一つは、関連産業への融資がどれぐらいあるのか、農協並びに農民への融資額がどれぐらいあるのか、これをちょっと承っておきたいと思います。
○大和田政府委員 お答えいたします。 ごく最近の数字で申し上げますと、四十二年の一月の数字で、預金は全体で一兆六百七十八億でございます。なお、資本勘定について御説明いたします関係で、四十年度末で申し上げますと、それが九千四百億でございます。中金は預金を所属団体等から受け入れますほか、農林債券を発行いたしておりますから、調達の資金全体としては、四十年度末に一兆三千五百十億になっておるわけでございます。 一兆三千五百十億の調達資金の運用といたしましては、所属団体の貸し付けが二千三百二十五億でございます。これは中金の預金も、それから所属団体に対する貸し付けも最近ふえておりますけれども、預金九千四百億に対します所属団体貸し付け二千三百二十五億というのは、御指摘のとおり相当低い数字でございます。これは農業団体で申し上げますれば、信連、単協等相当資力は充実いたしておりますから、中金からの貸し付けをそれほど必要としないで、もっぱら中金に預金をするという関係になっておるからでございます。それで、調達資金一兆三千五百十億のうちで、産業貸し付けと言いますか、関連産業貸し付けは四千百八十三億ほどございます。 以上でございます。
○石田(宥)委員 大臣に伺いますが、いまお聞きのとおりのような数字で、農民の金は関連産業に大部分が流れて、農民はなかなか使えないという状況である。そこで、農林中央金庫法という法律は時限立法でできておる。五十年という時限立法。五十年前ならば、いま局長からお話がありましたように、単協や信連段階で経済力がないものですから、農林中央金庫というようなものが必要だったのです。ところが、いまのように県信連段階が相当経済力を持ってまいりますと、もう農林中央金庫というものの農民のための存在価値が非常に薄らいできておるのではないか、こう思うのです。そこで大臣、農林中央金庫法というものはあと何年間なのか。実は時間がありませんからはしょって申し上げますが、あと五年と何カ月で五十年になるわけです。ところが、立法当時とは情勢が著しく変わってきておるわけですね。変わってきておるとするならば、五年たった直前になって農林中央金庫法をどうこうするということは、これはできない。いまのうちに、やはり現時点における実情に即するところのこれに対する機構、機能などについて検討をする必要があるのではないか。極端に言うならば、農民の金の吸い上げパイプになって、関連産業という独占資本に使わせるための農林中央金庫ならば必要がないのではないか、政府の補助金や制度資金を流すための団体ならば、これは信連以下の農業団体でけっこうだ、こう実は私は考えておるのですが、大臣どうお考えになりますか。
○倉石国務大臣 農林中金は、御承知のように当初は政府出資もございましたけれども、いまは全く自主的に運営をされておるわけでありますが、しかし、農業団体の資金があそこに集中いたすことは同じことであります。そこで、その監督について私どもも監督権を持っておるわけでありますが、農林中金その他ああいう農業団体としての大きな団体で資金を預かっている機関につきましては、ひとり農林中金に限らず、私どもは、その主たる目的が、単協に入っておる農民の人々の利益をはかることが最大の目的でなければならないのでありますから、その方向で運営されるように引き続いて研究をいたしてまいりたいと思います。
○石田(宥)委員 その研究するとか討議するとか考えるとかいう答弁は、これは無責任きわまる答弁と言わなければならないので、だから私は証明をしておるのですよ。五十年前の時点と今日の時点では、情勢が変化をしておるから、農民の金を吸い上げて他産業に独占に流して使わせるだけになって、そして農民のほうは制度資金を借りたり補助金をもらったりしておるのでは筋違いではないか。だから、これについては、もっと松木的にやはり農民のための金融機関たらしめるように、機能なり機構なりについていまから検討を始めなければだめじゃないですか、こう言っておるのですよ。ですから、これは早急にやっていただきませんと、あれくらい膨大なものでありますから、なかなか簡単に手がつけられないと思うのです。これについては、農林省内部でやはりどうも監督がはなはだ不十分なようです。せんだって以来、ああいう黒い霧などといわれるような大問題を起こしましたが、ところがまた、きょうすでに農林大臣に質問があったかもしれませんし、これから質問があるかもしれませんけれども、「農林中金にまた疑惑」ということで、酒造会社に過剰融資をしておる。「甘い担保で十四億円」、けさごらんになったと思うのですが、こういう新聞も出ておるような状況で、先ほど来私が申し上げておるのは筋論を申し上げておるのだが、しかし、その筋が間違っておるというだけでなしに、こういうふうな放漫な運営が行なわれておるのではないか。こういうことになると、早急にやはりあそこには手をつける必要があるのではないか、こういうふうに伺っておるわけです。
○倉石国務大臣 農林中金はもちろんのことでありますが、私は、地方の小さな農民の利益をはかるためにつくられた多くの団体も、いつの間にかだんだんずうたいが大きくなりまして、そしてその団体経営のほうにだけ主力を注ぐような傾向、これは明治時代の帝国農会などのことを見ましても、どうもああいうふうになりがちなものでございます。そういう意味で、私は、やはりすべての農業団体について、森羅万象が時々刻々変わっていく社会に処して、やはり最終の目標が農村民の利益をはかるということにあるのでありますから、この趣旨について検討いたしたいと思います。 私が研究すると申しましたのは、無責任なことばだというお話でありましたが、私に限っては、ここで申し上げましたら、必ず研究を続けるのでありますから、どうぞ御援助のほどをお願いいたします。
○石田(宥)委員 もう一問で終わたいりと思いますが、どうかひとつこれは真剣に取り組んでいただきたい。農民の不安と、それから不信の声が全く地方では充満しておる。ですから、もちろん単協や県の連合会にもありますけれども、農林中金のああいう姿を見ると、一そうその不信感が高まる。そういうことについて御留意の上で、検討をしていただきたいと思います。 それから、もう一問申し上げたいのは、実は土地改良の基盤整備事業の問題については、いずれまた機会があると思いますから申し上げませんが、昨年の通常国会で私が紹介議員になりまして、土地改良団体の、いわゆる土地改良区の事務人件費の国庫負担についての請願を出したのです。事務当局は知っておるはずですが、それが採択になって政府に送られておるわけです。私どもこれから米価の問題に取り組むわけでありますけれども、最近地方を回ってまいりましたが、ところが、毎年毎年米の値段が幾らかずつ上がるのはけっこうだけれども、実は、私の土地改良区では、その維持管理費、すなわち、事務人件費が年々上がってまいりまして、毎年の米の値段の上がる分だけ土地改良区の賦課金が増額になっておるような現状です。こういうことを訴えられておるのです。いろいろな農業関係の団体がございますけれども、その中で、土地改良団体だけが事務人件費等について全く補助金も助成金もないと私は考えております。これは事務的にはかなりむずかしい問題でございます。それは私よく承知をいたしております。と申しますのは、土地改良区というものはピンからキリまでありまして、わずか四、五名でつくっておるような団体から、大きいのは一万町歩にも及ぶような土地改良区があるわけです。ですから、その点は、一応政令等である程度の規制はやむを得ないと思いますけれども、何といたしましても、やはり農民の一番大きな負担である土地改良区の賦課金の中に占める維持管理費、すなわち、事務人件費くらいは、やはり国がめんどうを見てやらなければならないのではないか、実はこう考えておるわけです。これは先ほども申しますように、そんな簡単にできるとは私も考えておりません。一面において、土地改良団体の整備強化というか、そういう面も伴わなければならないと思いますけれども、やはりこれの配慮をすることがもう緊急の要務だと考えられまするので、これについて大臣のお考えを承っておきたいと思います。
○倉石国務大臣 いままでいろいろ考えておるようでありますから、政府委員からお答えいたさせます。
○和田(正)政府委員 土地改良区の事務人件費の助成については、石田委員からただいまお話しございましたように、昨年も請願があり、また最近におきましても、全国一部の府県から強い要請があることは事実でございます。ただ、石田委員御自身も御承知のように、一つには、土地改良区が非常に幅がございまして、もう少し整備統合を要するという問題もございます。それからあわせて、御承知のように、土地改良区自身が申請主義という形で成り立っておりますので、たとえば農業保険のように強制加入であるという前提の団体ではございませんというような点もございまして、いろいろそういう補助実施をいたすことについては、制度論としてもずいぶん難点があるわけでございますが、一部の府県を中心にしていろいろ問題もございますので、今後鋭意検討をきせていただきたいと思っております。
○石田(宥)委員 私も、もうそのむずかしいということを前提として聞いておるわけなんで、そんな簡単にできるとは思っておりませんけれども、そういう趣旨で作業をしてもらいたいということです。これは必ずしも国会の常任委員会の場でだけ議論する問題ではありませんから、いろいろとひとつ御相談をいたしたいと思いますけれども、そういう趣旨については、大臣は賛成であるのか、反対であるのかということをひとつお聞かせを願いたい。
○倉石国務大臣 たいへんむずかしいと思いますが、なおひとつ検討いたしたいと思います。
○石田(宥)委員 まだ少し質問したいこともありますけれども、予定の時間がまいったようでありますから、大臣にひとつ重ねて申し上げておきますが、大臣の答弁、おおよそ誠意のある答弁だと受けとめまして、十分ひとつ取り組んでいただきたいと要望を申し上げて、私の質問を終わります。
○本名委員長 次会は、明十日十時三十分理事会、十一時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十九分散会