大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第3号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1967/07/13
会議録
○足立小委員長 これより会議を開きます。 税制及び税の執行に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。田中小委員。
○田中(昭)小委員 所得標準率の問題でございますが、前回のこの委員会におきまして、ある程度論議はし尽くされているということでございますが、私はそのときに出席しておりませんでしたものですから、そのことにつきまして、一、二長官に今後の標準率に対する考え方をお尋ねしたいと思います。 まず、標準率なるものを今後とも税務の第一線においては採用していくかどうか。簡単に、するかしないかだけでけっこうです。
○泉政府委員 いま問題になっておりますのは、効率表と標準表と二つあるわけであります。効率表のほうは、もうこれは田中委員よく御存じだと思いますけれども、申告書が出ました場合、あるいは事業を営んでおる場合、たとえば、業種の内容によって違いますけれども、従業員一人当たりの売り上げ額とか、あるいは理髪でありますれば、理髪の座席一台当たりどれくらいの売り上げになるものであるか、こういったような種類のものでございますから、これは申告が適正であるかどうか、あるいは、どの程度の所得、どの程度の売り上げがあるものかというようなことの目安とするためのものですから、これはぜひ必要だと思っております。 標準率につきましては、これはいろいろ問題があるわけでありまして、中には、御承知のとおり農業の所得の標準であるとかというように、これは公開しているものもございます。それから、公開はしてないけれども、たとえば文士の標準率だとかいったような種類の、半ば公開に近い標準率がございます。こういったものは、今後も存続していく考えであります。ただ、純粋に公開していない営業の標準率、これにつきましては、私どもいまいろいろ検討いたしておるのでありますが、その検討の結果を待たないと正確なことを申し上げかねますけれども、現在のところ、それをやめようというつもりはありません。しかし、より合理的な科学的な批判にたえ得るようなりっぱなものに持っていきたい、その場合に公開するかどうかという問題は、これは将来の問題として検討したい、こういう考えでございます。
○田中(昭)小委員 そうしますと、標準率は、現在まで公開したと同じようなものについては、今後も残して公開していく、それ以外については、標準率作成もしない方向で国税庁は考え方を持っており、するにしても、より以上の科学的なものを集めてやるというふうに受け取っていいでしょうか。
○泉政府委員 しないというのは、語弊があるかと思いますが、より科学的なものをつくっていくという方向で検討している、ただ、その場合に、そういったものを公開するかどうかは、もう少し考えた上にしたい、こういうことでございます。
○田中(昭)小委員 そうしますと、同じように、作成をする段階であれば当然公開もすべきじゃないか、私はこう思うのです。 いままでの長官との話し合いにおきましては、標準率を公開することは、他の標準率を適用しない所得者に悪い影響を与えるというような御発言があったのでございますけれども、そういう考え方を根本的に改めなければいけないのじゃないかと私は思うのです。というのは、標準率を公開することによって、青色申告をしている人が収益を減らすとか、所得も減らすであろうというような答弁があったようでございますが、そうしますと、現在適用しております農業標準率の問題から考えてみますと、標準率を適用することによって税務の仕事は省けるかも知れませんけれども、そこには標準率を適用することによって、所得が低下する、低い所得になっておるというような状態も、現在の各種の所得の中には、各種の所得の査定において批判があるわけです。そういうことを心配するわけです。はっきり言いまして、国税庁は、標準率をつくったならば、所得が下がってしまって、調査もできない。これは、特にいまの社会保険診療報酬に対しては法律によって率をきめておりますが、これは明らかに、このことによって大きな問題が起きておる。というのは、税務署も、お医者さんに対しては、こういう所得ではおかしいと思いながら、あくまでも法律によってきめられておる以上は、それ以上の追求ができない。それともう一つは、いま言いました所得がだんだん下がってくる、こういう問題があるのではないかと思いますが、いろいろ事情はありましょうが、今後標準率を作成する以上は、当然公開するというたてまえでいくのがほんとうではないか、こう思います。その問題につきましては、作成についてもあいまいな答えだし、公開についてもはっきりした答えが出ないようでございますけれども……。
○泉政府委員 この点につきましては、私どものほうにおきましては、最初、標準率を公開するかどうかということを昭和三十年ごろ検討したことがあるわけであります。その当時と現在とではいろいろ変わってきているというような事情も、あるいはあるかもしれません。しかし、当時の考え方としましては、結局、標準率を公開することによっていろいろ弊害が起きるのじゃないか、それが、結局は納税者の税務に対する協力と申しますか、納税者の納税意識の問題と非常にからんできている、こういうことでございますから、その納税者の納税意識が非常に高まっておりますれば、標準率を公開しても弊害はないということも考えられるかもしれませんけれども、しかし、標準率よりも、青色申告によって正しい記帳に基づく申告を進めていくというのかより合理的な方法ではないか、そういう点からいいますと、お話のように、標準率の作成範囲というものはできるだけ狭めていくというのが望ましいやり方だと思います。 ただ、そういう方向をとりましても、現在の税務職員の数と納税者の数からいたしますと、とうてい納税者の全部について青色申告を期待することはできない、どうしても白色申告のものが出てくる、この白色申告のもので記帳が何らかでもあればいいのですが、記帳は何もないということになりますと、やむを得ず標準率とかいうようなものに基づいて所得を推計していく以外方法はなくなってくるのではないか、そこが私は問題だと思うのであります。そこができない限りは、やはり標準率というものはつくらざるを得ない、しかし、つくるべき標準率の範囲というものは、青色申告を広げていくことによって範囲を狭めていくことができるのではないか。しかし、それは将来——青色申告が現在営庶業は六八%まで達しておりますが、これがどの程度まで伸びていくかということとも関連してきます。したがって、いま明確に申し上げられませんけれども、標準率の作成範囲というものはできるだけ狭めていくのが一つの方向であろうと思います。 それからいま一つは、なるほど農業の所得標準率は公開しております。しかし、これは所得のブレと申しますか、われわれがそう言っていることは田中委員もよく御承知かと思いますが、労働力の評価というよりも、むしろ他の地力いかんによって農作物のできぐあいがきまってくる、したがって、その地域を上田、中田、下出というふうに区分して標準率をつくりましても、所得のブレというものが比較的少ない。ところが、営業の場合でございますと、その経営のしかたによって、同じ売り上げ金額、あるいは同じ数の労働者を使いましても、所得のブレというものは相当大きいわけでございます。したがって、そこに標準率を公開して差しつかえないような農業所得の場合と、営業のような場合には、標準率を公開すると、青色申告を本来推進していくべきなのに、もう青色申告よりも標準率でやったほうが税金が少なくて済むから、それによってやっていきたい、そういう気持ちを起こさせるような状態になったのではこれは困る、そこら辺が、今後の納税者の納税意識がどういうふうになっていくかということともからんでおると思います。 したがいまして、そういう点を見ながら今後そういった問題を進めていきたい。所得のブレが相当激しい業種については、標準率を公開することは適当ではないのじゃないかというような感じを持っておるわけでございます。
○田中(昭)小委員 根本的なことを解決しなければならないと思いますが、この前の大阪のあの事件の判決文ですか、国税庁のほうからいただきましたが、あの判決文を読みますと、まず、現段階において、税務官庁が標準率なるものを使用するということはしかねないだろう、まあ、私のあさはかな知識でございますから、間違っておれば、長官からもう一回、判決文の内容をどのように受け取ってあるのか、お聞きしておきたいわけです。 次は、あくまでも標準率によって財産権の侵害をすることは、租税法定主義に違反するのだというようなことの判決は趣旨のようでございます。 また、次にもう一つは、秘密の問題は、これは明らかに秘密文書ではない、簡単に言えば、そのような決定がなされておったと思います。あの判決については、判決文が手元に来る前に長官は、判決文が来てないからわからないと言ってあったようでございますが、そのときに新聞で報道されたのが大体そのとおりであった、このように私は受け取っておりますが、あの判決文に対する解釈の間違いがあれば、便宜から御指導いただきたい、こう思います。
○泉政府委員 あの判決につきましていろいろ問題があるわけでございますが、私どもとして問題にしたいと思いますのは、一つは、標準率を使うこと自身について、判決は、それは現在の状況で一やむを得ないということにしていることは御承知のとおりでございますが、その場合に、文書の秘密という場合には、形式的な秘密であることの要件と同時に、実質的な要件、この二つを備えてなくちゃいけない、その標準率が国税局長によって秘密文書とされておる点においては、形式的な秘密の要件は備えておる、しかし、いま一つ実質的な秘密、刑罰をもって保護するに足る実質的な要件がなければならないということを言っておられるのであります。しかし、行政上、いろいろ秘密があり得べきわけでありまして、行政上のそういった秘密は全部裁判所に持っていって、裁判所が認定した上でないと秘密にならないということは、われわれとしては、行政官庁としては耐えがたい問題になってくるという点が一つでございます。 それからいま一つは、租税法律主義の精神からいえば、標準率は公開すべきである、こういう判決の内容になっておるのでありますが、確かに、近代の租税行政を行なうにあたりましては、立法の場合におきましても、また行政の執行を行なう際におきましても、租税法律主義というものを大きなたてまえとして尊重しなければならぬ、これはもう私どもよくわかっておるのであります。 しかし問題は、所得という事実認定の問題について、一体租税法律主義というのはどういうふうに働くのかという点につきましては、判決におきましては、租税法律主義そのものに反するとは言ってないのです。ただ、この標準率を秘密にしておくことは租税法律主義の精神に反する、こういうことになっておるわけであります。しかし、私どもの現実の税務執行の場合に、できるだけ青色申告によって正しい所得を申告していただくというたてまえをとるけれども、何の記帳もない、自分自身で、所得が去年じゅう幾らであったということも明確でないというような人について、一体、幾らの所得として課税すべきであるかということになってくると、どうしてもそういう標準率を使わざるを得ないのではないか、そのときに、それを公開するということは、いろいろ意見はおありだと思いますけれども、私どもの考えとしては、いま申し上げました納税者の税務に対する水準、納税意識の水準と申しますか、それが現状のようではまだ弊害のほうが多いのではないか。判決におきましては、その弊害というのは、まだ実施したことがないわけでありますから想像に基づくものであって、それほど大きな弊害があるとは思われない、こういうようなことを言っておられるのでありますが、私ども税の執行をする立場にある者としましては、その弊害が大きいのではないかということを考えております。 その点で、どうもこれは、あるいは水かけ論と言われるかもしれませんけれども、まだ実施したことがないわけでありますから、その弊害がどの程度であるかということはなかなか想像もむずかしいことでありますけれども、私どもとしては、なかなかその弊害が多いので、むしろ青色申告をもっとすすめていくということを基本の方向としていくべきではないか、こう考えておるわけです。
○田中(昭)小委員 いまの長官のお話を聞きまして、私は、大いに改めてもらわなければならない問題があると思うのです。 なるほど、行政の中において秘密があるということを言われるのはけっこうですけれども、裁判所の判定に対して、あの判決に対しては、まず、国税庁は謙虚に反省すべきである。反省して、そして秘密があるものならば秘密があるものでもけっこうです。現在の租税制度は申告制度であります。申告制度であるならば、納税者が自発的にやる上において秘密があるはずがない。 また、長官は租税法定主義につきましてもそのような御答弁をなさいますけれども、それじゃ、現実において帳面をつけ、青色申告しておる者が、その帳面を無視されて、標準率を適用されておるという事実を御存じなのか。そう言いましても、抽象的になりますから私は申し上げておきますが、山林所得においては、現在は帳面をつけておっても全部標準率で課税しておりますよ。そういう問題をもう少しよく知って、そして、この権威ある委員会でも私は発言してもらいたいと思うのです。裁判所の判決に対しても謙虚な気持ちもなくして、ただ秘密だ秘密だというようなことは、もう古いと思うのです。これは標準率の問題が水かけ論になるという問題はわかりますけれども、私は、もう少しこの問題については、根本的に国税庁の姿勢を改めなければいけない、こういう点を申し上げまして、最後にそのように希望して、この問題について終わりたいと思います。
○足立小委員長 平林剛君。
○平林小委員 きょうは、私から自由職業人の税金の問題について、少し国税当局と、それから主税局おりましたら主税局のほうの見解も聞きたいと思っておったのですけれども、その前に、ちょっと緊急の問題がありますので、国税庁の長官に御配慮をいただきたいという点で申し上げたいと思います。 それは、富山県の高岡というところに般若鉄工という会社がございました。これは昭和三十六年当時は、従業員が三千名、わが国の旋盤の機械については六割のシェアを占めるというぐらいの大メーカーであったのですけれども、計画がまずくて、倒産をしたということがございました。それで、会社更生法によりましていろいろな措置がとられたのですけれども、昭和三十九年に第二次の倒産をしてしまいまして、この倒産をめぐりまして、国会でも、特に参議院のほうでは二回か、かなり問題になりまして、議論をされたことでございまして、御記憶の方もあるかと思うのでございます。 この般若鉄工の倒産をめぐりまして、結局一番国会で問題になりましたのは、従業員の賃金、退職金、あるいはまた社内預金、こういうような取り扱いをどうするか。そして、現段階におきましても、これらの補償が何らされていないということは、従業員の生活にとりまして大きな問題として検討せねばなりませんので、国会でもしばしば取り上げられたと思うのであります。しかも、残余財産といいますか、更生あるいは破産という段階におきまして、この般若鉄工をめぐる金融界の動きなどにはなはだ不明朗なことがありまして、これは私、近く大蔵委員会で正式に議論をしていきたいと思っておるのでございます。けれども、金融界などは、賃金だとか、退職金だとか、社内預金だとかは優先にかかわらず、更生債権を先に取り上げてしまって、いまだに解決できぬというようなことでございまして、私ども、この問題は、金融機関あるいは般若鉄工の倒産をめぐっての措置につきましてかなり問題があると思うのですけれども、この経緯を経て、いまだに未解決のまま今日に至っておるわけです。 ところが、最近金沢の国税局が国税債権の早期徴収ということで、こまかいことはよくわからぬのですけれども、般若鉄工の公売をするということを通告してきたという話でございます。参議院でしばしば取り上げられまして、ここに働く従業員の賃金あるいは退職金などにつきまして、その取り扱いがよろしくないということでいろいろ議論がされている中で、もちろん公租公課も政府としては相当重要視せねばならぬと思いますけれども、全般的にどういうやり方をとるかということを検討中のときに、国税当局がまず国税債権の早期徴収ということだけに力を入れて公売に付していくというようなことはいかがなものであろうか。これは全般的解決と見合って措置をしてもよいのではないかと思うのでございますけれども、国税庁長官、何かこれに関して、金沢の国税局のほうから連絡なり報告なりを受けたことがございますか。
○泉政府委員 お話の般若鉄工につきまして、税の面では三十六年に法人成りを了したわけでございますが、その以前からの個人の申告所得税及びその後の個人の申告所得税、それから個人時代の従業員の源泉所得税が滞納になっておりまして、その本税額が約九千万円、それから法人成り後に、法人のほうはずっと欠損でありますから問題はないのですが、従業員に払った給与についての源泉所得税、これが最初法人が三つできまして、その三つの法人ともそれぞれ滞納になっておるわけでございます。その滞納額が、般若鉄工で申しますと八百八十五万円、それから庄川般若鉄工で九十二万円、氷見般若鉄工で六十六万円、この程度給与を払ったにかかわらず、源泉徴収の所得税を滞納しておるということになっておるわけであります。 で、私どもとしましては、そういうことで、これらの債権につきまして、個人時代の税について、個人の財産、般若松平氏個人の財産と、それから三十六年に法人成りのときに持ち込んだ資産、これについて差し押えをいたしておるわけでありますが、同時に、地方税のほうもやはり差し押えをいたしております。 ところが、これにつきまして、先ほど金融機関云々のお話がございましたが、優先債権というのが二億九千万円あります。差し押え財産としては相当たくさんあるわけでありますけれども、そういう優先債権の関係がありますので、私どものほうとしては、優先債権に関係のない部分について公売をしていきたいという気持ちで、いまお話のありましたように、まだ公売公告いたしておりませんけれども、公売予定ということから、財産の調査を一応はしておるわけでありますけれども、公売に備えての財産調査というものをもう一ぺんやり直すということをいたしておるということの報告を受けております。 問題は、かってそこの従業員——現在はすでに破産宣告を受けておりまして、破産管財人が任命されて、管財人が処理いたしておるのでありますが、その従業員の賃金、退職金あるいは社内預金等につきまして、いろいろまだ支払われておらないということについて、労働基準法違反であるとか、いろんな問題が出ておるようでございます。 私どもが承っておるところにおきましては、これをつぶしてしまうより、何らか再建の方法はないかということで、いろいろ検討がなされておるようてありますか、再建をするということについて、四十年の二月に破産宣告を受けまして以来、すでに二年半に相なるわけでございますけれれども、まだそういった再建の見通しがなかなか立たない、そういう状況でありますので、私ども国税債権をこのままに放置しておくことはできないので、何らか考えていかなければならないということから調査を始めた次第であります。 問題は、したがって、その再建というか、従前の方で再建をするわけにはいかないでありましょうから、だれか他の者が引き受けてこれを再建するという方法でうまくいくのかどうかということだろうと思います。私どもとしまして、それをずっと待っておるというわけにまいりませんので財産調査を開始したというのが、現段階の事情でございます。
○平林小委員 そこで、この従業員の、いわば未払いの賃金、第二次倒産のときの資産でありますけれども、約一億円あるわけです。それから退職金は約二億五千万円あるわけです。そのほかに件内預金なども多数ございまして、私どもといたしましては、まあ公租公課もありましょうけれども、そうした賃金とか社内預金とか退職金というものは、それぞれ従業員の生活に重大な関係があるものでありますし、かつ、基準法でも、あらゆるものに優先してこうしたものが保障されねばならぬという規定があるとおり、私はどれを優先するかということについてはいろいろ議論があると思うのです。そして、公租公課を先取りするか、賃金のほうをまずあれするかというようなことも私は問題があると思うので、いまお話を聞くと、優先債権に関係のないものについて差し押さえをするという準備を進めているというお話ですけれども、私は、いまの準備が実際に執行された場合に、優先債権に関係のないものというけれども、はたしてそううまくいくのかどうかという点は、なお疑問を残すわけでございます。そこで、金沢の国税当局に対しましても、現地ではいろいろお話をしておるのだそうですけれども、どうも、労働者の賃金とは関係がないというような、それは一方耳ですからわかりませんけれども、労働者の賃金とは関係ないというような回答をなさっておるそうでございまして、これは私、適当じゃないのじゃないかと思うのです。これはまあ片方の耳ですから実相はわかりません。わかりませんが、私はまず第一に、その辺も、国税庁長官としていろいろあると思うのですけれども、とにかく生活がかかっている問題ですから、トラブルのないような配慮をまずひとつ願いたいということ、これが一つ。 それからもう一つは、私は、これは金融機関がまことにけしからぬと思っておるのでありまして、その更生法によりましていろいろやっている間に、もう金融機関の幹部の方がそこに乗り込んでいきまして、そうして、まず自分のところだけの債権は確保してしまって、労働者のほうの問題についてはわれ関せずとは言いませんけれども、そのまま放置しておくという態度、これはまことにけしからぬことだと思っていますから、これはいずれあらためて大蔵委員会でやりますけれども、国税当局でも、何が優先債権であるかという点をひとつもう少し検討して、いま私が指摘をいたしましたように、賃金とは関係ないというような態度だけで臨まれないようにひとつ希望したいのです。特に、従来、こうした問題は訴訟にかなりありまして、訴訟の判決でも、まず賃金というものは優先すべきである。その次には公租公課、退職金というような順位だとかいう順位が一つあるのだそうでして、こういうことを考えますと、優先債権に関係のないものだけをやるということだけでなく、私は、もっと全般的な配慮の上に立ってこの処理を進めていってもらいたいと思うのですけれども、ひとつ、長官の御見解を聞いておきたいと思うのです。
○泉政府委員 この点につきましては、もう平林委員よく御承知のとおり、国税徴収法に債権の優先順位がきまっておるわけでありまして、国税は原則として私債権に優先するわけでありますが、利債権のうち、国税の納期限より前に抵当権の設定されておるものについては、いかに国税が優先権を主張しても、それは私債権には劣後するということになっております。私が先ほど申し上げました優先権のない財産と申しましたのは、先ほど申し上げました二億九千万円という抵当権の設定されておる債権、これは主として金融機関の債権のようでありますが、それには国税はおくれますが、いまの従業員の賃金、退職金に対しては国税のほうが優先するということになっておるわけであります。 確かに、従業員の方は、賃金も支払いを受けることができない、破産して退職した場合に、退職金の支給も受けられないということはたいへんお気の毒に思うわけでございますが、国税徴収法上のたてまえとしましては、国税債権はそういったものに優先して徴収するということになっております。 しかし、優先して徴収することになっているのだから、そういった従業員の立場というものを何ら考慮することなくして公売を決行するのだというような態度は、私のほうとしては別段とっておるわけではありません。できますれば、この事業が、他の適当な経営者がおって、それが経営を引き継ぐことによって円滑に処理されることが一番望ましいと考えておるわけでございますが、しかし、二年半たちましても、なおそういった見通しが立ちませんので、じんぜん、いつまでもそのまま放置しておくことは適当でない、したがって、他の優先債権に関係のない財産の公売をしてはどうかということで調査に入ったというのが現状でございまして、今後、それはどういうふうにしていくかということにつきましては、いまお話のような点をいろいろ考慮しながら円滑な処理をはかっていきたい、こう思っております。
○平林小委員 そうすると、私がいま国税庁長官に要請いたしましたように、そういう全般的な問題について、私は、やはりつい最近の間に総合的調整をして、何らかの対策を生み出していかなければならないと思うので、そういう意味で国会でも二回にわたっていろいろ議論されたことですから、何らかの解決点を見出すように、私どもも近く大蔵委員会でも議論していきたい、こう思っておるのです。 そこで、そういう一つの機関、そういう調整というものを待って、調査はこれは別ですけれども、執行する場合には、そうしたものと関連してやってもらいたいと思いますけれども、その点はいかがですか。
○泉政府委員 その点は、私ども一番の根本は、この企業をだれかが経営をしていくことが、はたしてできるのかどうかという点であろうかと思います。般若鉄工それ自身としましては、四十年二月に破産宣告を受けまして、いま管財人がその処理をはかっておるわけであります。したがって、当初三十六年に会社更正法の申し立てがありまして、三十七年三月に更正手続が開始されたわけでございますが、どうも更生計画が適当でないということから更生認可が廃止されて、そうして破産宣告を受けたという状況になっておりますので、これは、はたして継続して企業として生かしていく方法がうまく見つかるかどうか、その方法が見つからぬ限りは、現在ある財産を処分して、それぞれ債権を持っているものの間で——これは全部の債権を満足するだけの資産がないわけでありますから、結局、債権の優先順位によって満足をはかるよりほかはないということになると思うのです。したがって、うまくその企業を継続して、債権を長い間かかってでも納めていくということができますれば、それでけっこうだと思います。そういう見通しがない限りは現在の段階としては、もう破産の通例のやり方に従って、債権者の間でその優先順位に従って満足をはかっていくというよりほかはないことだと思います。
○平林小委員 理屈は、いまおっしゃった国税徴収法の問題であろうと私は思いますけれども、労働基準法との関係は一体どうなりますか。私はそこのところがまたちょっと明確に——いま法案を見ているのだけれども、労働者の賃金は税金よりも優先するんじゃないですか。
○泉政府委員 差し押えいたしますときには、給与債権については、生活の原資であるということからいたしまして、差し押えを全部についてはできないということがとられておりますが、それは会社が債権を持っておる場合の話でありまして、会社が債務を持っておる場合に、その給与債務について、それを優先して払って、国税のほうがおくれるということにはなっていないと思います。確かに、労働基準法においては、賃金債権が優先して支払わるべしということになっておりますが、それは、国税の滞納処分になった場合に、国税に優先して支払われるべきものだ——また正確にその点は調べておりませんから、間違っておりましたら後ほど訂正させていただきますが、そういうふうに思っております。
○平林小委員 たしか、労働基準法では賃金は優先するということになっておりまして、労働者の保護のために、それは経営者の税金の滞納もありましょうけれども、まず賃金は最優先するというふうに、たしか規定があるはずです。 それからもう一つは、すでにそうした判例もありまして、もし優先順位をつけるならば、賃金、公租公課、退職金、こういう順位になっておると私承知しておるわけです。この点、私ももう少し検討してみたいと思いますけれども、私の希望は、この問題については、ここ一、二カ月、それでできるかどうかは別にいたしまして、短期間の間に問題にして、できるだけ円満な解決を見たいと考えておりますので、どうかひとつ、その間調査を進めることは別にいたしましても、執行については、とにかく国会で一度問題になっていることですから、そうしたことを抜きにして、これは国税徴収法にあることだということだけで執行なさらぬように、その御配慮をいただきたいと思いますが、その点はどうですか。
○泉政府委員 その点につきましては、私どもも、債権の優先順位にかかわらず、従業員の方が非常に気の毒な立場にあるということは、よく考えていきたいと思っております。ただ、そのことのために、滞納処分の執行を、ただ待ってくれ待ってくれと言われておって、いま申し上げましたこの事業の再建ということ、あるいは更生計画はもうだめでありますが、再建ということが、はたして見込みがあるのかどうか、ただじんぜんと日にちのたつのを待つというわけにはまいりかねますので、その辺の事情は、これらの関係者の方がよくくんでいただいて、再建の方向を見出していただくことが一番先決問題ではないかと思います。
○平林小委員 いずれにしても、近く全般的な問題について、金融機関のやり方については是正させなければならぬところもあると思いますので、これは近く提議をいたしまして、とにかく最善の解決策を見出したいと私ども検討しておりますので、それとにらみ合わせてこの処置を進めていかれるように希望しておきたいと思います。 次に、自由職業人の税金の問題についてですけれども、いわゆる自由職業というのは、具体的に言うと、どういうものがあるのか。おおむね医師、歯科医師、薬剤師、助産婦などのいわゆる医師系統の職業、それから弁護士、公証人、執行吏、司法書士というような法務関係の職業、税理士、公認会計士、計理士などの経理業務に携わる者、それから、この自由職業という名称ですぐびんとくるようなものとしては、著述家とか、作家、画家、書家、彫刻家、作曲家、あるいは映画演劇の監督、演出、脚色、撮影、録音、照明または装置等に従事する者、音楽指揮者とか、いろいろそのほかにあると思うのです。野球の選手もあれば、拳闘家もあれば、競馬の騎手もあれば、力士もあれば、広く言えば芸妓、ダンサー、仲居まで入ると思いますけれども、何か、こういう自由職業の業種についての定義といいますか、その区分というようなものは、国税庁のほうでまとまった体系的なものがあるのでしょうか。
○泉政府委員 国税庁で別段そういうものをまとめた体系的なものはございません、ただ、日本産業分類におきましては、いまお話の弁護士であるとか、司法書士であるとか、公証人あるいは弁理士、これは法務業に入っております。それから医師、歯科医師、看護婦、こういったものは医療保健業に入っております。それから文士、俳優、こういった人たちは、結局その所得の源泉である原稿、講演、印税——外交員、集金人等というような分類もあるようでありますが、いずれにいたしましても、庶業ということで税務の上では扱っておりますが、何か統一した分類というものは別段ございません。
○平林小委員 基本通達百号というので、前にこうした分類をなさったということを私承知しておりますけれども、基本通達百号というのは、いまどうなっておりますか。
○泉政府委員 いま手元に持っていないからあれですが、その例示としていま申し上げたようなのをずっとあげておると思います。
○平林小委員 基本通達の百号というのには、私がいま申し上げたように、いわゆる医業に従事する医師、歯科医師、薬剤師、助産婦、看護婦、はり、きゅう等の療術者、獣医、装蹄工というのを入れております。それから次の分類には、弁護士、公証人、執行吏、司法書士、第三の分類では、税理士、公認会計士、計理士、第四では、弁理士、測量士、設計士、製図士、第五では、著述家、作家、画家、書家、彫刻家、作曲家、第六では、映画演劇の監督、演出、脚色、撮影、録音、照明または装置等に従事する者、音楽指揮者、第七が、映画演劇の俳優、和洋の音楽家、囲碁または将棋の棋士、茶の湯、いけ花または舞踊の師匠、講談、落語、浪曲、漫才その他の芸能家、第八が、芸妓、ダンサー、仲居、九が、野球選手、力士、拳闘家、競馬の騎手、競輪の選手、十が、神職、僧侶、教主、十一が、私立学校、私塾等の経営者、十二が、前各号に類似する職業に従事する者、この間、これのほかに政令が出まして、そうして最近は新しい職業がだいぶふえてまいりましたから、その職業の中で分類したものも新たに加えられたようですけれども、基本通達百号にはたしかそんなことが書いてあるように思うのですが、ちょっとそこの点、確認したいのです。もしなければ、あとで一覧表でこういうふうに出せたら提出してもらいたいのです。わしがこれだけ言うておるんだから間違いはないと思うのです。
○泉政府委員 その点は、報酬に対する源泉徴収の制度に関連いたしまして、いまお話のような分類をいたしております。その点は後ほど正確なものをお届けしたいと思いますが、結局、最後には、前各号に類似するということでくくらざるを得ない状況になるのであります。まあ代表的なのは、いまお話のような数個の形態に分かれると思います。
○平林小委員 それでは、これは自由職業の業種の分類できるもの、それから最近新たにこうした自由職業に類するものが法律でも規定され、先回の所得税法に関連する政令で加えられているものなども適当なところに加えて分類したものをまとめてもらいたいと思うのです。 国税局忙しいだろうと思うのですけれども、それぞれのいわゆる自由職業の業種別で大体どのくらいの所得があるかというような調査はしてございませんか。たとえば、医師、歯科医師なんというのはどのくらいの所得があるかということにつきましてはどういうふうになっているか知りませんけれども、弁護士業務、あるいは私がいまそれぞれ十数項目にあげて申し上げましたような分類において、大体平均所得はどのくらいになっているのかというような調査は、まとまっているものがあるでしょうか、ないですか。これはなかなかたいへんなことだと思いますけれども、長年国税局というのはあるわけですから、たまには、そういう特殊的な調査がまとまっているものがあれば、それはどんなふうになっているのかをひとつ知らしてください。
○泉政府委員 その点につきましては、私どものほうとしましては、所得階級別表というので、所得階層ごとに、どういう階層の納税者が何人いる、そしてその業のトータルの納税者が何人いるという統計は持っております。ただ、その場合、たとえば、先ほどもちょっと申し上げましたが、医療保健業ということになりますと、この中に医師、歯科医師、薬剤師といったような内訳がこまかくあるわけですが、そういうこまかい内訳ごとにはとっておりませんで、医療保健業一本でとっておるわけです。それから法務業につきましても、弁護士、司法書士、弁理士それから公証人、そういったものが全部入った法務業ということでとっておりますが、弁護士が何ぼで公証人が何ぼで弁理士が何ぼでというところまでのこまかい統計はできておりません。
○平林小委員 それじゃ、まとまっているものをひとつ資料として提出をしてもらいたいと思うのです。私、この自由職業人の問題について、今後少し検討していきたいと思いますから、まとまっている分でけっこうでございますから、ひとつ資料としてまとめてほしいと思います。 そこで、きょうはそのうちどれを取り上げますかね。いま野球をやっていますからね。この野球の選手の所得というのは、大体どのくらいあるものでしょうか。それは長島とか王とか、こういう有名選手と、それからレギュラーメンバーに入っている者と第二軍、そのほかにもいろいろございましょうけれども、ちょっと参考のために、どのくらいのものだろうかということを、ございましたら、これは特定の名前をあげたって有名税だからしょうがない。長島はどのくらいか、王はどのくらいかというようなことは、これはどうなんでしょうか。これは特定の人だからあれですけれども、何か、大体どのくらいの所得があるものかなというようなことを、われわれが参考のためにわかる範囲において、ひとつ明らかにしてください。
○泉政府委員 野球選手の所得というのは、御承知のように、毎年の参稼報酬というものと、それから最初に契約する場合の一時金と申しますか、そういうものと、こう分かれております。私ども課税にあたりましては、毎年の参稼報酬は当然その年分の所得として課税するわけでございますが、当初契約するときの一時金につきましては、いまは引き抜き制限とかいうようなことのために一定の制限を加えておりますけれども、実際にはそれを上回った支払いが行なわれるというようなことにもあらわれておりますように、相当多額なものが払われるわけでありますし、しかも、その払い方も、一時に払うのでなしに、年々に分けて払ったりなどもいたしております。したがって、その年の所得として課税するのは酷でありますので、臨時所得といたしまして計算して、一年分の所得でなしに、数年分の所得と見て課税する方法をとっております。 そこで、そういう所得のある人とない人とでかなり違いがあるわけでございますが、公示した範囲のもので申し上げますと、長島選手は、四十一年分の所得が千八百六十万二千円、王選手が千五百二十一万五千円、この二人は御承知のとおり職業野球選手の代表的な人でありますから、相当多額なものになっております。それ以外の人になりますとかなり落ちるようでありまして、たとえばサンケイの豊田選手は七百九十七万円、大洋の稲川選手は七百九万円、こういったようなことになっております。
○平林小委員 これはいずれも公表したものですから、一つの参考として聞きますが、いま相撲のほうもやっていますな。今度は柏戸が優勝するかだれが優勝するか、とにかく、いま名古屋場所というのをやっているのですけれども、大体横綱というのはどのくらい所得のあるものなんでしょうかね。横綱、大関。
○泉政府委員 相撲の場合、いま手元に資料を持っておりませんが、これは所得にいたしますと、かなり低いものでございます。公示限度すれすれぐらいじゃないかと思います。
○平林小委員 それじゃもう一つ、映画、演劇関係で、私はこのごろあまり映画を見ないんだけれども、最近のスターといわれるような人はどのくらい所得があるものですか。
○泉政府委員 これも一部しかございませんが、たとえて申し上げますと、石原裕次郎が四十一年の所得が四千四百六十二万三千円、女の代表といたしましては、吉永小百合が三千十七万五千円といった状況でありますが、しかし、そういったいわゆる非常な大スター以外の人になりますと、かなり落ちるようであります。もっとも、映画に出る人も、映画だけの収入でなしに、歌を歌うことによって、レコードに吹き込みました収入、あるいはテレビに出た収入、こういったものが相当なウエートを占めておりまして、映画に出るだけのことによる収入というのは、この中ではっきりいたしておりません。しかし、最近はテレビに出るほうが収入はいいというようなことを聞いております。たとえば宍戸錠という、よくテレビに出ますが、この方が八百七十一万二千円、こういった状況で、大スターとそうでない人との間にはかなり開きがあるようでございます。
○平林小委員 私はいま野球、相撲、映画などを取り上げまして、代表的な人の所得を聞いておるわけですけれども、表面にあらわれたこれらの人以外に、いわゆるこうした分野を受け持っておる中堅だとか、裏で活躍をしている人たちの所得は必ずしも高くはないということを十分承知しております。承知していますが、ちょっとこれからの議論の展開の必要上、もり少しほかの問題について聞いておきます。 歌手なんかで代表的な人、最近のはやりっ子、いろいろありますけれども、大体年間所得どのくらいでしょう。
○泉政府委員 歌手もまあ、はやり、ことに、レコードが売れるかどうかによってたいへん違うわけでありますが、たとえば村田英雄が昨年の所得が三千八百七十三万二千円、坂本九が二千六十万一千円、こういったことになっております。
○平林小委員 ついでですから、このごろは茶の湯、いけ花などが非常に盛んになりまして、何とか流というようなものがあるんだそうでございまして、私は、その専門じゃないからわかりませんが、勅使河原さんとか、いろんな最近のはやりのあれがありますね。ああいうものはどのくらいの所得になっていますか。
○泉政府委員 ここに正確な資料を持っておりませんが、勅使河原さんが九千百六十四万二千円、それから池坊専永さんが二千八百三十九万八千円、茶の湯の千宗室さんが三千百七十六万九千円、それからもう一つ小原流という小原豊さんが五千二百九十四万四千円、こういった状況でございます。 なお、失礼いたしました。先ほどお尋ねのありました横綱の大鵬は千二百六十万八千円で、これはさすがに横綱であますから相当たくさんあるようでありますが、その次は非常に落ちるようであります。
○平林小委員 大体このくらい聞いておけばいいと思うのですが、いま私の質問に答えて、何か資料があるようで、そういうものについては、何か一覧表が出ておるのですか。もし出ていたら、ひとつそれも今後の参考のために提出をしてもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○泉政府委員 公示したものは差し上げます。
○平林小委員 それはたぶんあると思うのですけれども、この間ファィティング原田なんというのは世界選手権とりましたね。それから藤猛、ああいう世界一流の拳闘家になります、大体どのくらいになりますか。
○泉政府委員 拳闘選手の所得は非常に低いものでありまして、たいてい公示限度以下だと思います。
○平林小委員 それでは、これからいよいよ本題に入っていきますけれども、こうした野球の選手、あるいは相撲、映画・歌手それから茶の湯、そういうものは、所得の取り扱いとしては事業所得的と、こういうふうに事業所得としてみなして課税の方向を定めておるように承知しておるのですけれども、そうですが。
○泉政府委員 さようでございます。野球選手のような場合には、その球団と契約を結んで、その球団の参加する野球の試合に出場してプレーをするということでの前提ででき上がっておりますので、場合によっては、それは給与所得ではないかというような見方もおありになろうかと思いますが、しかし、スパイクであるとか、パットであるとか、グローブといったようなものは自分で支弁をするたてまえになっておりまして、そういう意味では給与所得者として扱うのは適当でない、したがって、先ほど申し上げましたように事業所得として扱って、事業所得としての経費控除をいたす、こういうことになっております。
○平林小委員 昨年でしたか、税法の改正がありまして、今後、自由職業人の事業所得に対して源泉徴収を行なうようになりまして、一〇%は源泉徴収を行なうということになっておるのですけれども、その後の経過から見まして、この税の執行の状況についてはどういうふうにおやりになっておりますか。
○泉政府委員 この点は、事業所得でありましても、源泉徴収をしておいたほうが、納税額が一ぺんに多額にならないで円滑に納税ができる、ことに、支払い者がそう多数でなくて、たとえば野球の球団のような場合には円滑な処理ができるということで、源泉徴収をいたすことにしておるわけであります。それから、映画あるいはレコードの歌手などにつきましても、法人をつくりまして、その法人にそういうようなものを払うということによって、法人からは給与の支払いを受けるというようなことが行なわれますものですから、それでは適正な課税ができにくいということから、そういった報酬料金をまず払う段階において源泉徴収をするという制度を取り入れまして、これはかなり円滑にまいっております。 それから、御承知のとおり、ことしの税法改正によりまして、バー、キャバレーのホステスにつきましても源泉徴収を始めるということになっておるわけでありますが、このほうは来年の一月から実施するということで、そういうふうな目当てのもとに準備を進めております。源泉徴収の制度をどの程度広げるべきかということにつきましては、いろいろ御意見があろうかと思います。が、私どもとしましては、そういった事業所得の場合におきましても、やはりある程度源泉徴収をしておいたほうが、かえって所得を得る人もあとで納税が楽だからといったようなお話もありますし、円滑な納税ができるという点においては非常にいいものではないか、こう思っております。ただ、それをあまり広げ過ぎて、源泉徴収したものを還付しなければならないというような事例が非常に多く出る。たとえば外交員とか集金人のような場合でございますが、こういったものについてはよほど考えなければなりませんので、御承知のとおり、今度控除制をしきまして、毎月の外交員としての報酬が一定額以上のものについてだけ源泉徴収をする、こういう制度にしまして、いままでのように相当広範囲に源泉徴収しますと、あとで返さなければならないという事例が多くなります。それをできるだけ少なくしたいといったような苦労、苦心をしながらやっていきたい、こう思っておるわけでございます。
○平林小委員 きょうは多彩にわたっておりますから、全部やると繁雑になるから、ひとつ最初野球にしぼってお尋ねしますけれども、野球の選手は、長島にしても、王にしても、あるいは豊田にしても、中にしても、高い所得の人もあれば、そうでない所得の人も私はあると思います。ですから、その差というものは、こういう興行界におきましてはかなり違いがあります。ですから、私は全般をやり玉に上げて議論をしようとする考えは全くありません。しかし、野球の選手はすべて事業所得として取り扱っているのですか。それとも、給与所得として課税をしておるものもあるのですか、ないのですか。そこら辺はどういう実情になっていましょうか。
○泉政府委員 野球の選手は、参稼報酬としての部分はすべて事業所得として扱っております。そのほかに、プロマイドをつくって、それが売られることによる収入、それから映画に出たりするような場合もありますが、そういった分も、そういった自由職業の所得として扱うことになっております。ただ、通達におきましては、固定給となっておるもの、たとえば二軍の選手でございますと、月給二万五千円とかいうような固定した給与がございます。この部分は給与として扱っております。しかし、一流選手は、すべて固定給でありませんので、参稼報酬を事業所得として見る、こういうことになっております。
○平林小委員 それで、野球の選手にしても、映画、歌手その他のものにつきましても、年の割合には非常に高い所得を得ておるわけです。子供たちが結局その所得を追ってあこがれるということもありましょう。所得だけに限らず、そのものに対して魅力を感じて志望する者もございましょうが、どうも最近の子供たちの傾向を見ると、一時的なものであったにしても、これにあこがれていくというような風潮は見のがすことができません。 そこで私は、そのことは別にいたしましても、長島とか王とかという、いわゆる一流の選手の所得が非常に多い、ということは、これは興行政策上の必要から出るいろいろなことがございましょう。それで、多いからどうというわけじゃありませんけれども、これらの人たちの必要経費というものは、どういうふうにしてやっておるわけですか。私は、きょうは、ほんとうは、各自由職業別にどういうものを必要経費として認めているのか。いまあげられたようなものの中から、たとえば、野球の場合にどういうものを必要経費として認めていますか。そういう何か、大ざっぱでいいですから、大きなものについて、どういうものとどういうものとどういうものは必要経費として認めておりましたというようなことを、ひとつ参考のためにお話をいただきたいと思います。まず、野球の選手から。
○泉政府委員 まず、野球の選手について申し上げますと、野球選手の場合、大体球団から支払われる参稼報酬の額を基準としまして、標準率によってやっておる場合が多いわけでありますが、その標準率を作成する場合にどれだけの経費を見ておるかと申しますと、これは人によってかなり違いがあるわけでありますけれども、治療費、それから野球選手が有名でありますと、いろいろ交際費がかかりますので交際費、それから野球の技術をいろいろ勉強するということのために、フィルムで自分のスタイルを写したり、あるいは外国の選手のフォームを研究するというようなことで研究費がかかりますので、研究費、それからファンからのいろいろのあれがありますので、それとの通信費、それから自分の野球のいろいろな道具がこわれたりしますので、その修繕費、それから先ほど申し上げましたグローブであるとかバットであるとかスパイク、こういったものは自分で購入することになっておりますから、そういったもの、こういったものを経費として認めております。
○平林小委員 野球にしぼって、もう少しお尋ねしていきますが、いまあげられました必要経費につきましては、治療費というようなものは、まあ金田選手が腕を悪くして長く休んだりするとか、あるいはけがをして休む選手もありますけれども、実際には、普遍的に見ますとそれほどたいしてかかってはいないと思うのです。また、グローブやスパイクも毎日取りかえるわけじゃないのですからね。試合回数がかなり多くなれば五足や十足ではないと思いますけれども、かなり必要なことはございましょう。しかし、やはり一番多いのは交際費なんかじゃないかと思うのですけれども、ちょっと参考のために、長島、王あたりはどのくらいの交際費を必要経費として認められておりますか。
○田中(昭)小委員 ちょっといまのに関連して。 長官、いまの必要経費の総額は幾らで、そのうちに交際費が何ぼだ、スパイクならスパイクが何ぼだ、こういうふうにすればはっきりするのじゃないですか。総額で出なければ、割合でもいいじゃないですか。交際費が何%……と。
○泉政府委員 これは実は参稼報酬の額によって標準率を違えておりますが、最低の標準率は、所得率六五%、つまり経費を三五%見るわけです。
○田中(昭)小委員 最高は。
○泉政府委員 それが最高でございまして、参稼報酬の額が大きくなりますと、所得率が七五%になりまして、したがって経費率は二五%しか認めない、こういうことになるわけであります。六五%の場合の治療費は一〇・〇三%、それから交際費は六・一八%、研究費が四・四〇%、通信費が四・二七%、修繕費が〇・九三%、その他の雑費としていろいろ加えておりますものが八・三九%、こういったところでございます。
○平林小委員 パーセントが合わないな。
○泉政府委員 三四・二%になりますが、それを三五%にしております。
○田中(昭)小委員 三五%の総額は幾らですか。
○泉政府委員 総額は、したがって、人によって、その参稼報酬の額によって違うわけでございます。
○田中(昭)小委員 標準率を調査したその資料のもとになっておるものは……。
○泉政府委員 これはいま手元に持っておりませんので……。
○平林小委員 いまお話しになったのは、要するに、経費三五%の中の分類ですね。 それで金額はいまわからないわけですな。
○田中(昭)小委員 かりに一千万円とした場合には三百五十万円。
○泉政府委員 一千万円のときにはそれほど認めません。
○田中(昭)小委員 かりにですよ。
○泉政府委員 かりにでも。
○田中(昭)小委員 しかし、一千万円の場合には。
○泉政府委員 一千万円の場合には二五%です。
○平林小委員 それでは、映画の場合はどういうふうに見ていますか。
○泉政府委員 俳優の場合でございますが、これもやはりその収入金額に応じまして、所得率は六〇%ないし七〇%と見ております。
○平林小委員 中身については、たとえば、いま言いました——今度は映画の場合は、必要経費の分類というのはまた違ってくると思うのですけれども、おもなものはどういうものですか。
○泉政府委員 それは、標準率をつくるときの資料はあるのですが、いまここに手元に持ってきておりませんのであれですが……。先ほどの野球選手の場合に、治療費は人によって違うということは確かでございますが、しかし、医者に行かないからといっても、マッサージを受けたり、そういうことによってからだをやわらかくしていく、それから運動器具を購入して健康なからだを維持していくようにやっていく、そういった経費は野球選手の場合には一番かかるものだと思っております。したがって、治療費といいましても、単純に医者にかかった治療費だけでなしに、いろいろなものが入っているわけでございます。
○平林小委員 それじゃ、きょうはこれを一々やっていく時間もございませんから、こういうような各種自由業の中の必要経費率というものは、これは公表できるのですか、できないのですか。
○泉政府委員 これは標準率でございますので、公表はいたしておりませんけれども、一部その関係者、たとえば球団とか、それから文士でありますれば作家協会、こういったところにはある程度明らかにして、それによって間違いの起こらないようにということはいたしておりますが、公表はいたしておりません。
○平林小委員 そこで、もう一つ聞いておきますが、評論家ですね。評論家は、しょっちゅうテレビに出てくる人や雑誌などに登場する人、また、あまり問題にされないような評論家もいろいろありますし、一般の社会においては、あいつは評論家だなんていわれる、単にあだ名だけもらっているのは、職業としているものでないでしょうし、職業でないものもいろいろありますけれども、いわゆる評論家というものの最高所得は、六体どのくらいになっておりますか。
○泉政府委員 いま手元に資料を持っておりませんから、後ほど資料を見ました上で……。
○平林小委員 評論家の必要経費は、私の承知しているところでは、五〇%ぐらい見ておると承知しておるのですが、いかがですか。
○泉政府委員 これもその収入金額によりまして違いますので、収入金額が低いところでは五〇%ぐらい認めておりますが、収入金額が多くなりますと、これは所得率を六〇%六五%というふうに上げて、つまり、必要経費は必ずしも収入金額に対して同じ率ではなしに、収入金額が多くなれば、必要経費の絶対額は多くなりましょうけれども、率でいきますと、必要経費の率は少なくなる、こういう考え方をとっております。
○平林小委員 評論家の場合の必要経費は、おもなるものはどういうものをあげることができるでしょうか。
○泉政府委員 これは、自分の見識を養うためにいろいろな読書をしなければなりませんが、その書籍の購入代、あるいは旅行して見聞を広めていくというようなこと、そういったものから、小に至っては、万年筆代とかインク代、こういったものまで入ってくるわけでございます。
○平林小委員 たとえば、想を練るために、どこかに旅行して別荘に滞在する、そういうような経費も必要経費とみなしておりますか。
○泉政府委員 これも、その程度次第でございますが、通常そういうふうに必要と認められるものは、見ております。
○平林小委員 そろそろ結論を申し上げますけれども、こういう意味で、いわゆる自由職業人に対する必要経費というものは、まあ一流、二流、三流、いろいろ違いましょうけれども、また、その金額によって違いましょうけれども、三〇%、あるいは大きいのは五〇%、医師の場合には、これは特殊の法律で規定をされておりまして、診療報酬に対して七二%という、必要経費といいますか、そういうようなものか認められておるわけでございます。そういうことを大体私として承知したのですけれども、なお、こまかい資料をいただきまして、公表できるものとできないものがございましょうけれども、必要経費の大体の率、あるいは、率がもし公表できなければ、どういうものは必要経費として認めているという、各業種にわたりまして、税務署の実際の執行にあたっておやりになっておるおもなものを列記したものを、ひとつ資料として御提出願いたいと思うのですが、いかがですか。
○泉政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、公表いたしておりませんので……。
○平林小委員 率が公表できなければ、どういうものを必要経費として認めておるかということを列記してもらいたい。おもなものでいいです。いまのように、評論家の場合に、ペンだなんといったって、二十ドルも三十ドルもするのもありましょうけれども、国内産を使えば三千円ぐらいでけっこう使えるものもございますし、ペンなんというわけにいかないでしょう。大きなものはどういうものがあるかということを、各業種にわたって、これから調べるというならたいへんですが、調べてあるものでけっこうでございますから、そうしたものをひとつ資料として提出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますね。
○泉政府委員 公表いたさない範囲内で、できるだけの資料を差し上げたいと思います。ただ一つ、これは先ほど田中委員からもお話がございましたが、医師について七二%の標準率、これは法律できまっていることでございまして、私どもといたしましては、この標準率は実際の課税にあたりましてはいろいろ問題を生じておりまして、これはもうかねてから申し上げておるとおりで、ここで繰り返して申し上げる必要はないと思いますけれども、あれがきまっておるからほかも、というふうにお考えいただくのは非常に迷惑いたしますので、あれはあまり標準にならぬというふうにお考えいただきたいと思います。
○平林小委員 そこで、この問題はまた別に検討したいと思いますが、この間、私主税局長と議論をしたのですけれども、特定の事業団体から受けているものは給与とみなすべきであるというような大蔵当局の見解を私聞いておるわけでございます。野球選手の場合、これはきまった特定の球団からそれぞれ——それは参稼報酬にせよ、一時金にせよ、臨時所得にせよ、あるいは給与所得になっている場合もありましょうし、一流選手ならそれはないという話ですが、特定の球団から受ける報酬であることは間違いございません。それならば、これを事業所得としている理由はどういうところにありましょうか。
○泉政府委員 これは先ほど申し上げましたように、野球選手の場合、その参稼報酬は確かに特定の球団からもらうことになっております。それから後のオールスターの場合であるとか、それから最終のセ・リーグとパ・リーグとの両方の優勝者の争い、これは球団からもらうものでなしに、野球連盟のほうからもらうので違っておりますが、いずれにしましても、特定の球団からもらう報酬が非常に多いということは確かでございます。しかし、その所得の形態を見ますと、給与所得として給与所得控除だけしか認めないということでは、その所得を得るために必要な経費、やはりまあ大選手としてスタープレヤーになるためには、それだけのいろいろな元手をかけてやっと収入がふえるわけであります。したがって、給与所得控除の、今度直りまして二十二万円ということでございますが、そういうことでは、とうていその必要な経費を償うことができないということからいたしまして、事業所得として課税しておる、しかし、二軍選手のように、もう月給できまっておって、その二軍の試合には出ますけれども、まあそれほど収入が多くなくて、必要経費もまたそれほどかからないというような人については、給与所得として見て差しつかえないではないか、こういうことでやっておるわけであります。それに、参稼報酬は毎年契約をしてきめることになってはおりますけれども、そのきめ方もやはり考慮して、固定給として支払われる分については給与所得として見てもいいわけですし、それ以外のスタープレーヤーになりますと固定給という形で払われておりませんので、事業所得として見なければ経費が償えない、これが大きな理由でございます。
○平林小委員 きょうはもうだいぶ時間を経過しましたから、いずれ、きょう私が求めました資料が整ってからさらに検討したいと思いますので、きょうはこの辺にしておきますけれども、先ほど要求した資料につきましては、今後の参考のために、ひとつできるだけ早い機会に取りまとめていただきまして御提出していただくように御配慮をお願いして、質問を終わりたいと思います。
○足立小委員長 永末英一君。
○永末小委員 宗教法人の収入の課税について伺いたいのですが、まず文部省の方、来ておられますので、宗教法人というのは、どういう収入でやっておるのですか、実態をひとつ明らかにしていただきたい。
○萬波説明員 宗教法人と申しましても、御承知のように、文部省の所轄いたしております宗派、教団と称するいわゆる包括法人というものと、それから各お寺、神社、教会と申しますか、いわゆる宗派の中に入っておる法人または単立法人、現在包括法人が三百七十三ございます、宗派、教団と称するものが。それから、それ以外のものが大体十八万あるわけでございます。したがいまして、宗教法人はピンからキリまであるわけでございまして、大体宗派は、御承知のように非包括法人の賦課金と申しますか、あるいは分担金と申しますか、そういうものと、篤志家の寄付金、これはごく少数かと思います。そういうもので維持されるわけでございます。それ以外の各単立法人、もっとも単立法人と申しましても、ずいぶんございまして、たとえば、全国単一でございます創価学会のような場合、それから各お寺のような場合、これは全然違うわけであります。いずれにいたしましても、神社のいわゆる信仰的な面を進めていくための資金、おさい銭、お布施というようなもの、これは基本的な財政の中心になっておる、こういうふうに承知いたしております。
○永末小委員 対象がたくさんでありますから、ぼけるといけませんのでしぼりまして、包括法人でないほうで、ある神社、ある社寺というようなものにしぼって伺いたいと思いますが、そういうある神社なり社寺なりが、昔建てましてもだんだんつぶれてくる、そうすると修繕しなければならない。その場合に、社寺なら檀家、神社ならいろいろな団体をつくって寄付を集めてやるわけでありますけれども、昔建てたときにはたくさんの金が集まったが、今はなかなか集まらぬというので、零細な金をたくさんの人から集めるとか、大きな金をもらう場合があり得るのだが、そういうことはどういうふうに把握しておられますか。
○萬波説明員 大きな金を取得する実態的なものは私承知しておりませんが、全般的に申しますと、いわゆる神社、寺院という古い既成宗教の各寺院の場合は、従来檀信徒あるいは氏子という関係の中で維持されてきたという点がありましたけれども、信教の自由、それから農村の都市化ということに伴いまして、経営が非常に苦しくなっておることは事実だと思います。結局、現在私どもがそういうものの状況を各地調査して歩いておりますし、現在四年計画で調査をまた進めておる段階でございますが、大体そういうところでは、一応境内地の処分、あるいは境内地をアパートにして、その収入によって経常の修繕費を出す、あるいは一部車庫等に、いわゆる駐車場を一部経営して、ことに、都市の中のお寺さんなどの場合には特に要望も多いものですから、そういう形で収益事業を行なって、その収入で寺院の経営を行なう。御承知のように、宗教法人法におきまして、目的に反しない限り収益事業ができる、しかし、その収益は本来の事業または公益事業に使用しなければならぬ、こういうことになっております。
○永末小委員 そこで、国税庁に伺いますが、いま神社なりお寺なりがいろいろな形の収入を得ている。一つは、個人が寄付なり奉納なりをする場合の限度というものは、税制上、税金を取る側から見て、何か限度を設けておられますか。
○泉政府委員 個人から寄付をいたします場合におきましては、御承知のように、神社が災害によってこわれたから、それを建て直しするというような場合、指定寄付金というようなことで認めておりますものにつきましては、これは寄付金控除の対象になりますが、それ以外のものにつきましては、寄付金控除の対象になりません。それから、法人からの場合におきましても、同じようにそういう指定寄付金になりますと、その全額を損金算入しますが、それ以外の寄付でございますと、資本金の千分の二・五、所得の百分の二・五の合計額の二分の一までという寄付金の損金算入限度額までは損金に入りますけれども、それをこえるものは損金に入らない、こういうことでございまして、個々の寄付する人について、そういう損金算入を認めないとか、あるいは認めるとか、あるいは寄付金控除を認める、寄付金控除を認めない、こういう扱いをしておるのであります。寄付を受けるほうについてはきめておりません。
○永末小委員 いま文部省のほうから、収益事業をやっておる——私は京都でございますから、収益事業をやっておる実態をあっちこっちで見るのでございますけれども、収益事業をやった場合には、宗教法人は課税の対象になりますね。
○泉政府委員 さようでございます。収益事業を営みますと、それが課税の対象になるわけであります。これは、永末委員御承知だと思いますが、収益事業の所得の三割までは、公益事業のほうに使った場合、それを寄付金の損金算入限度の特例として課税しないという制度になっておるわけでございます。
○永末小委員 この収益の場合にも、売ってしまって、そこにものを建てて貸す場合もありますし、土地そのものに借地権を設定せしめて借り賃を取る場合もありますが、それはそれぞれかかっておると思います。たまたま、その土地を貸すということにひっかけて寄付を受ける場合があるし、寄付を受けた事例もあるわけです。その寄付を受けた金について、それは収益に関係ありとして課税してきたわけです。しかし、先ほどのお話ですと、なるほど寄付をしたほうには、法人でございますと、ある一定の法律の限度以上のものは損金不算入だというけれども、受けた宗教法人側には、もし、いまのような条件がなければ、まるまるもらっておるわけですね。
○泉政府委員 その点は、その寄付を受けたということと、収益事業として、たとえば土地の賃貸を行なったということ、それとの関連において地代をどういうふうにきめておるか、その土地の時価がどれくらいのものか、その上に借地権の対象となるのはどういう建物を建てる、したがって、借地契約期間が何十年になるか、こういった四囲の事情によって、寄付を受けたということにはなっておるけれども、それは借地権の対価の一部と認められるということになりますと、これは収益事業である、賃貸借契約の収入であるべきであって、いわゆる純粋の寄付ではない、反対給付を伴っておる寄付である、したがって、それは収益事業のほうの収入になるべきもので、純粋の寄付ではない、こういうことがあり得ると思います。
○永末小委員 たとえば、神社が荒廃してくる、そこで、ある社殿の改築を行なわなければならない、法人がその改築を寄付をしてやった、しかし、それはそれだけのことで、そこにモータープールをつくるとかなんとかということではなくてやれば、その場合には別段収益事業には関係ございませんね。
○泉政府委員 そういう場合におきましての事例は、個々に判断しなければならぬ事情がいろいろありますので、抽象的に申し上げかねますが、たとえば、会社がその建物を建てることを請け負った、しかし、表面上は非常に安い価格にしておって、それでは普通の建築会社としては損になるというような場合、何かほかに反対給付があるかどうか、そういった事情をいろいろ調べてみませんと、なかなか抽象的にお答えすることはできない、やはり個別のケースに応じて、どういう事情で寄付したか、それを調べてみないとわからないと思います。
○永末小委員 事例を一つ申し上げますと、ある神社が自分の境内地をホテル業に貸して、地上権の設定契約をやって、それは毎月貸し代を取るわけです。その地上権の設定契約の中に奉納金を払うという一項目をつけて奉納金をもらった場合ですが、奉納金は神社の修理に使ってしまった、それから別途建物をつくって寄付をされた、その両方について課税をする、こうきたわけです。それの理由は、地上権の設定契約だから、収益事業である、その収益事業に関連をした収入であるから、収益事業に関連あり、こういうことで税金をかける、こうきた。その限りにおいてはそうかもしれないとぼくも思います。もし、その契約が地上権設定で、地代だけをきめておるのであって、別途、契約なしに奉納金をその会社が渡すとか、あるいはまた、その神社の修理をそこの会社がやって寄付するとか、こうなった場合はどうなりますか。
○泉政府委員 その場合におきましても、結局、その土地の時価がどれくらいであって、借地権契約の期間がどれくらいの期間であるか、そういうことで、そういう借地権契約をする場合には、その付近の場合ならばどれくらいの借地料を取るものかというようないろいろな事情を見比べて、該当ケースの場合、毎月の地代は安くきめておる、しかし、本来借地権設定等の場合、たいてい一時金として取るわけです。その分は安くなっておるけれども、かわりに寄付をしたというふうに認められますと、その寄付というのは、純粋のものではない、やはり借地権の設定の対価としての性質を持っておるというふうに見られる場合があると思います。しかし、そういうことでなくて、借地権の対価も相当な対価を払っており、地代も付近の地代と比べて相当のものである、そうして純粋な気持ちで寄付がなされておって、借地権の対価としての性質を持っていないということになりますれば、それは寄付として扱うことになります。
○永末小委員 その場合に、地代の算定について、その付近の土地の価格並びに土地賃貸の実情に合わせて見た場合、奉納金で出てきた場合と、それからそこの賃貸価格の場合を考えると、たとえば、幾らくらいまでは食い込んでおるという算定がつけば、その上の部分は純粋の寄付になりますか。分量の問題です。
○泉政府委員 そうなってきますと、分量というよりも、そういう奉納金の性質そのものがやはり問題になるだろうと思います。したがって、奉納金の中身の内訳で、この部分は借地権の対価としての性質があり、この部分は寄付金としての性格があるというふうに、分けることがなかなかむずかしいのではないかと思います。
○永末小委員 もう一つは、その奉納金をやった会社が、会社の経費で出したわけだが、そのものはそのまま会社の資産勘定に組み入れて決算しておるわけだ。そうすると、それは会社の決算ですから、いろいろな経理が出てきますけれども、とりあえず、この税金の対象になる資産として残っておりますから、それはそれで法人は税金をかけられておるわけだ。その分については移ってないわけだ。ところが、まるまるもらったほうは、物をもらっていますから、そいつは宗教法人で税金をかける、こうなりますと、渡した営利法人もかかるし、もらった宗教法人もかかるしということになりはしませんか。
○泉政府委員 出したほうの法人の経理がどういうふうになっておるか、それは個々の例について調べなければいかぬと思いますが……。
○永末小委員 いまはそうなっている例を申し上げているんです。
○泉政府委員 資産としてあがっておるということはないので、お寺に渡せば、資産としてはあがっていないはずでございますから、その分については……。
○永末小委員 つまり、奉納金を自分の地上権の中身に加えて税務署に申告してしまった……。
○泉政府委員 したがって、そういう場合は借地権としての資産になっているわけですね。だから、その分については、借地権の設定を受けた中で、それとして資産にあげるわけです。その分については課税になるというわけではない。
○永末小委員 バランスをとれば、それはあげてきますからね。だから、そのものが直ちに課税対象になっておりませんけれども、バランスの中には自分の地上権の権利にこれだけをあげますから、もしほかの収入が少なければ、当然バランスをとった場合には、それと見合いつつ営利法人の課税を行なわれるわけでしょうね。
○泉政府委員 いまの事例では資産としてあげておるということですから、それは課税にはなっていないわけです、営利法人のほうは。資産が左右バランスしておるわけですから……。
○永末小委員 なっていないと言ったって、資産勘定であげてきた場合には、法人決算というものは……。
○泉政府委員 借地権があがっているわけですから……。
○永末小委員 借地権があがっているわけですから、それは別として。
○泉政府委員 課税になっていないわけです。
○永末小委員 内容になっているわけでしょう。
○泉政府委員 資産にはなっているけれでも課税にはなっていない。損益には関係ないわけです。
○永末小委員 その辺のいろんなケースがあるが、宗教法人に対して個人の寄付限度というのは知れたものだと思いますが、いまのように、収益事業をやらなくちゃ宗教法人が回っていかぬとしますと、相手方に立つのは大体法人ですよ。営利法人がいろんな形で寄付をしてくる場合に、宗教法人としては、絶えず税金を考えつつ寄付を受けなくちゃならぬ、こういうことになりますか。
○泉政府委員 それは、この世の中ではやはり税金ということを考えていろんなことをやっていただかぬいかぬ場合か多いと思います。
○永末小委員 では、具体的にはまた相談します。
○田中(昭)小委員 ちょっといまのに関連して。いま宗務課長さんのお話の中で、創価学会が寄付を受けた、おさい銭を受けて収入にしているというようなお話がありましたね。ほかの神社仏閣と同様に見て、創価学会もさい銭や寄付を受けておるというお話でございましたが、大きな間違いでございますから、あなたのほうで取り消してください。そういう認識を宗務課長がしておれば問題です。ここで問題にしますから。
○萬波説明員 私、別に創価学会ということではございませんので、たとえば単一の法人という場合に、こういうようないろんな形態があるし、たとえば、神社などでも宮司もいない……。
○田中(昭)小委員 それはいいから、創価学会がさい銭や寄付を受けて収入にしているという、そこを問題にしている。そういうことはないです。
○萬波説明員 そういうことは言っておりません。
○田中(昭)小委員 それを取り消してください。
○萬波説明員 いや、そういうふうにお受け取りになったとすれば、私の表現の足りなかったところだと思います。
○足立小委員長 大村襄治君より、かねて国税庁に対し調査を求めた、いわゆる民商の実態についてその報告を求めたいとの申し出がありますので、この際、議題といたします。 国税庁長官より報告を願います。 資料があったら配ってください。
○泉政府委員 資料がございますので、資料をお配りいたしまして御説明申し上げたいと思います。 本件につきまして、かねて大村委員から御注文を受けておったわけでありまして、これはできるだけ客観的な資料としてつくったつもりでございますが、民商の状態を御理解願える範囲と思ってこういった資料をつくりました。 まず第一に、その民主商工会と普通いっておりますが、その組織と名称でございます。中央組織といたしまして全国商工団体連合会、通称全商連と、こういうのがございまして、地方組織といたしましては県連合会があります。また県連合会のないところもあります。その下に地区別に支部組織がございます。その地区組織の使用している名称はいろいろございまして、商工会という名称を用いておるところもありますが、御承知のように、商工会の組織等に関する法律によりまして、その法律に基づいて組織された商工会以外のものは商工会の名称を使用してはいけないということになっておりますので、最近では、商工会の名称を用いておる支部組織もございますが、そうでなくて、商工事業協同組合であるとか、互助商工業協同組合であるとか、商工業協同組合、商工協同組合、商工事務協同組合、経営センター、生活擁護同盟といった、あるいは何々(業種)会といったような、いろいろな名称を使っておるようでございます。そういった全国的な組織になっております。 それから、民商の会員数はどの程度かといいますと、全国商工新聞というのが出ておりますが、それによりますと、会員数は十一万人といっておられます。しかし、私どものほうで把握しておりますのは、そこの資料に出しておきましたように、個人と法人に分けまして、個人では現在、まん中辺にございますが、四十一年十二月三十一日現在では四万九千八百人、法人が同じく三千八百人ということでございまして、約五万人余りということでございます。これを各国税局別に見ますと、一番多いのが大阪国税局管内の二万一千二百人、それに次いで東京国税局管内の、個人でございますが一万一千二百人、こういった数字になっております。当方の把握しております数字と新聞のほうに出ております数字と、相当開きがございます。半分くらいになっておりますが、これは、一つは、商工新聞のほうでは、自分の威力を示すという意味で、多少誇大に出ておるのではないか、また、私どものほうの数字は、若干、国税の納税者でない者、無資格の者も含んでおりますが、しかし、これ以外に、国税の納税者資格はない、しかし地方税の納税資格がある、こういった者が会員になっておることも考えられます。そういったことによる差異だと思っております。 それから、活動内容でございますが、その活動内容は、ここに全国商工団体連合会の規約として一部掲げておきました。その規約の第四条に、目的及び事業として「次の活動を行なう。」ということが記載されております。 一つは「中小商工業者の営業と生活、諸権利を守るために力を合せ努力する。」二が「税に関する知識を高め税制と税務行政の民主的改革に努力する。」三が「経営問題の研究と改善、業種別対策、融資制度の改善などのために努力する。」四が「社会保障制度の確立のため努力する。」五が「政府、自治体及び関係官庁に交渉、連絡し、中小商工業者の振興施策をつよめるために努力する。」六が「各種商工団体ならびに民主諸団体との相互の連絡、提携をつよめ、民主勢力を発展させるよう努力する。」七が「機関紙誌を発行する。」八が「その他、会の目的を実現するため必要な運動と事業を行なう。」こういうことで、規約にあらわれておる限りにおきましてはそれほどたいした問題はないのでありますが、その次に四ページのところに実際の事業活動を書いておきましたが、こういう規約に基づいていろいろ事業をやっておられます。 イが業者の「帳簿記帳事務の代行、税務書類の記載および作成要領の指導、税問題に関する対税務交渉」、それからロが「国民金融公庫、信用保証協会等からの融資のあっせんおよび償還組合の結成その他融資に関する交渉および書類の作成の指導」、ハが「借家、金融の法律問題および環境衛生、生活保護等の生活問題の相談」、二が「労働保険、社会保険等に関する事務の代行」、ホが「法人の設立、定款変更、解散の手続代行」、へが「火災保険の保険代理業」、トが「経営相談、取引先のの紹介」、チが「納税貯蓄組合」、リが「機関紙等の発行、取次ぎ」こういうことになっております。 イの中で問題になるのが、御承知のとおり、税理士法におきましては、税務相談であるとか、税務書類の作成、税務についての調査立ち会いといったようなことは税理士の独占業務になっておるわけであります。ところが、その民主商工会が行ないます事業の中にはそういった税理士法に違反した税務相談であるとか、調査立ち会い、税務書類の作成などの事業も入っております。中には低廉な料金によって記帳を代行してあげますということで入会を勧誘しておりますけれども、実際は記帳していなかったりあるいはいいかげんな記帳をしている例が多いようであります。なお、これは地区によっていろいろ違いますが、一番多い事例は、入会金として千円取りまして、あとは毎月五百円ずつ会費を取る、そのほかに記帳指導料といったようなものも納めなければいかぬというようなことになっておるようでございます。 そういったことで、私どもそういう民主商工会に入っている業者の所得の調査につきまして非常に苦労いたしておりますのは、この調査に参りますと、事務局員の人たちが非常に大ぜい、少なくとも三、四人、多いときには十人以上も来られまして、調査妨害を受けることが多いわけであります。その調査妨害の態様もいろいろございますが、カメラ、八ミリ撮影機あるいはテープレコーダーを持ち込んで、撮影したり、その業者との一問一答をテープレコーダに吹き込んでおくというようなことで、調査官に心理的な圧迫を加えて調査を妨げるといった事柄、あるいは夜は月夜ばかりではないぞとか、工場には高圧線も入っているから気をつけろといったようなことで脅迫的な言辞を言われる。それから、調査を行ないますと、何で調査に来たんだ、人権じゅうりんだ、いま忙しいのに調査に来るとは営業妨害だ、事前調査は法律上許されてないのに、それをやるのはけしからぬとか、憲法違反だといったようないろいろな議論を持ち出して、調査官の調査を妨げ、最後は、じゃまだから帰れというようなことで追い仮されるということがかなり重なっております。それから納税者と一問一答をいたしておりますと、途中で事務局の人が、そんなことに答える必要はないんだと言って、納税者の発言を封じたり、帳簿を見せてくれと言うと、そういう書類を見せてはだめだと言って、本人が書類を見せようとしても、それをとめたりする。それから調査中調査官がいろいろ筆記をしたりそろばんを入れたりするわけでありますが、それを一々のぞき込んだり、どういう書類を持ってきているんだというようなことで、立ちはだかって調査を妨げる。それから調査に行きますと、どういうことで調査に来たか、申告書の内容のどこが悪いんだというようなことについて、要求書を出しまして、それに署名捺印しなければ調査に応じない、こう言って署名を強要するというようなこと。 それから、これは法律上の問題といろいろ関連するわけでございますが、令状がなければ調査させない、事前通知をすることがたてまえなんだから、事前に通知してこなかったら調査はさせない、事務局員が立ち会いをするのを認めないと調査させない、それから、帳簿は民主商工会の事務所にあるんで、事務所へ行って調べてくれ、あるいは、協議団に回りまして調べに行くと、その争点の内容が明らかでないから調査させない、あるいは主人が留守であるから調査に応じにくいとか、きょうは忙しいから帰れ、きょうは用事があるからだめだというようなことで、なかなか調査がしにくい。そのために、個々の事例をあげますときりがございませんけれども、大阪管内では、一つの審理事案を調査するためにそのうちへ三十回足を運んだといったような事例もございます。 そういう途中のいろいろな状態がありましても、調査を始めるようになりますればまだいいのでありますが、しかし、始めるようになりましても、調査について協力してもらえない事例が多いわけでありまして、自分の都合が悪くなると一切答えない、それから、あとで申し上げますが、民主商工会に「納税者の心得十か条」というのがありまして、それをたてに、質問いたしましても答えない、それから、全部事務局にまかせているんだから、自分は何もわかりません、こういうことで、自分の営業の内容について一つも答えない、こういったことが重なっております。 それから、調査官を数人で駅まで尾行して、今度はどこへ行くんだということでその次の駅へ先回りしておって、そこへまたついてくる、それから宣伝カーを持っておりまして、マイクで、いま私の前を歩いているのがどこそこ税務署の所得税課の何々係長ですと言って、皆さん、これが税金取りですというようなことで、非常に職員が迷惑をいたすような宣伝を行ないます。それから、職員の転任先まで、あれが前の税務署で民商のだれそれを痛めつけた人ですというような宣伝を行なったり、深夜、署長や課長などの私宅に電話をかけたり、あるいは私宅へ多数で押しかけまして、奥さんや子供さんに、お前の亭主はこういうことをやっておるというようなことで、個人の私生活について脅威を感ずるような行為が行なわれております。それから、税務署に集団で陳情に押しかけることはもうしょっちゅうでありますが、そうして署長に面会を強要するといったような事柄、あるいは確定申告時期に集団デモだとかあるいは自動車パレードなどを行ないまして、税務署前で無届け集会を行なったりする、それから、納税相談のときに税務署へお越しくださいということをお願いしましても、一人一人では来ないで、大挙して申告期限ぎりぎり——御承知のとおり、申告期限は三月十五日の午後十二時までは受け付けるわけでありますが、その午後十二時ちょっと前にわっと押しかけておいでになる、こういったことが各地で起きております。 その次に「納税者の心得十か条」というのを、これは向こうがつくっておられるのであります。こういうのをつくって、いま申し上げたようなことの根拠にしておるようであります。 それで、一番最後に「最近における調査妨害等の具体的事例」というので、東京局、大阪局、名古屋局、関信局、福岡局、広島局なんかで起きました事例を掲げておきましたが、暴行傷害事例が相当多うございます。それから、調査拒否といった所得税法違反の事件もいろいろございます。中にはそれぞれ起訴いたしたものも、そこにありますように三件は起訴いたしております。そのうち一件は第一審で審理中、略式命令で罰金八千円を科せられた公務執行妨害の場合もあります。それから所得税法違反として起訴はいたしておりますが、まだ処理のついていないといったようなものもございます。 いずれにいたしましても、こういったことで、税務署員としては非常に苦労をいたしておるわけであります。なかなか民商関係の調査ができにくい。そうして、更正決定を行ないますと、それに対して異議の申し立て、審査の請求という事例が相当多く出ておるわけであります。その異議の申し立て、審査の請求でも片づかないで訴訟になっておる事例が相当ございます。 それから最後に、各局別に訴訟の係属件数として出しておりますが、昭和四十一年十二月三十一日現在での課税に関する訴訟として起きておりますのが八百四十二件が係属になっております。そのうち三分の一弱の民商事件が三百二十四件ございます。ただ、そのうちで特徴的なのは、大阪国税局管内におきまして係属総件数が四百四件ありますが、そのうち民商関係のが二百七十二件、約八割近い件数が民商事案でございまして、これは民商のほうが、大阪地区においては訴訟対策でやるという方針をとっておることによるものだと思います。このために、大阪のほうでは、協議団のほうと、それから訴訟担当者の訟務官が非常に多忙をきわめております。また同時に、裁判所のほうも件数が非常にたくさんなものですから、審理がなかなか進まないというので困っている状況にございます。 以上、大体概況を申し上げました。あといろいろ御質問がありますれば、こまかい点についてお答えいたします。
○足立小委員長 ただいまの報告に対する質疑は、次回に譲ります。 大村君。
○大村小委員 いまの報告に対する質疑は、委員長のおはかりのとおり次回以降にいたしたいと思いますが、この際、ひとつ特にお尋ねしておきたいと思います。民主商工会関係以外ですが、災害の問題についてお尋ねをし、また要望しておきたいと思います。 今回の水害が、大都会なり都市周辺で発生して、中小事業者あるいは住宅にかなり全国各地で大きな被害が出てきていると思います。予定納税の時間も近づいているし、いろいろ源泉徴収なんかの関係もあると思いますが、国税庁として、この際、その辺の扱いについて通達などをお出しになる考えがあるか、あるいは、その他の方法によって納税者に便宜を与え、周知徹底をはかる用意があるか、この辺、ひとつ特にお尋ねしておきます。
○泉政府委員 この点につきましては、御承知のとおり、国税通則法と災害減免法の二つの法律がありまして、災害が起きたとき、それによってその年の所得が減少する、あるいは資産に甚大な被害を受けて、雑損控除の対象なりあるいは災害減免法の適用の対象になる、こういう場合は、もう自動的に納税者のほうからそういった適用を認めてもらいたいという申請書を出して、災害減免法の適用を受けるということになっておりますので、これはそれぞれ災害を受けた地域の税務署におきまして、そういった災害を受けた人たちに周知宣伝をはかるようにいたしております。 それから、いまお話のありました、ちょうど予定納税の第一期分の納税期がこの七月の末日にまいります。それから源泉徴収納付しなければならぬようなこともあるわけでありますが、そういった申告とか納付の期限につきましては、災害の起きましたのが七月の八日でございますが、地域ごとに、その七月八日から七月三十一日までの間に申告、申請あるいは納付しなければならぬ場合におきましては、その期限を八月三十一日まで延期するということで、明日の官報に告示して、その地域の指定をいたすことになっております。 なお、その地域の指定を行ないますのは、そういう災害のために集団的にそういう事例の起きた場合の地域を指定しております。その地域を指定されておらないところにおきましては、納税者のほうから個々に申請を出していただいて、自分のいついつの納税期限をいつまで延長してもらいたいということを出してもらって、そうして税務署長がこれを認める、こういうことになっております。
○大村小委員 いろいろな制度があるわけですから、ひとつ周知徹底を要望いたしておきます。
○平林小委員 いま民主商工会の報告があったのだけれども、いろいろな反税的行動の内容ということを列記してお話になったのだけれども、これはすべてというわけじゃないでしょう。私、やはり行き過ぎた行動については批判を加えなければいかぬと思いますけれども、すべてがこのようだという報告になると、やはり問題があると思うのです。 そこで、たとえば「調査場所にカメラ、8ミリ撮影機、テープレコーダーを持ち込み撮影したり、」したようなところは一体どこなのか。「夜は月夜ばかりではないぞ」「工場には高圧線も入っているから気をつけろ」なんて脅迫すると、すべてがやっているような印象をいま受けたのだけれども、これはこんなことを言うことも中にはあるでしょうけれども、私はすべてではないんじゃないかと思うのでして、そういう点では、ただいまの報告は誤解を全般的に受けさせることにもなる。令状がなければなかなか調査させない、事前に通知してこなかったからだめだ、こういうようなお話だったのですが、令状がなければ調査できないというのは、こういうことを言うからいけぬというようなことだとかいうふうにとられては、やはりわれわれ、徴税行政の行き過ぎについてもチェックしなければならない立場にある者がこれをうのみに報告を聞いておくわけにもいかないので、そういう点を考えますと、ただいまの報告事項については、どういうところにそういうのがあったのかという事例もあわせてひとつ……。これは何もあらためてこの委員会に報告する必要はございませんけれども、どこでどういうことがあったというふうにしておかないと、やはり誤解を招くおそれがあると思うのです。 問題は、私は最近の徴税行政の中におきましても、納税者全般が考えておる税の執行において、国税当局の中にも、必ずしも正当なものばかりとは考えられない。そこいらにやはり国民と国税当局と議論があるわけです。そうかといって、それではこうした団体の中に行き過ぎがないかというと、私は行き過ぎもあると思うのですね。ただ、私の知っている商工会もあるわけなんですが、そこでは必ずしもこういう運営をしていないところもございますし、そういう点は、また適当なとき、場所でけっこうですから、具体的な事例もあわせてひとつ報告をしてもらいたいと考えています。
○足立小委員長 ただいまの平林委員の御発言も含めて、質疑は次回に譲ります。 通告がありますから、これを許します。渡辺委員。
○渡辺(美)小委員 時間がないようですから、ごく簡単にお尋ねしますから、簡潔にひとつお答えを願いたいと存じます。 実は、いま政治資金規正法のことで非常にいろいろ議論を呼んでおるわけでございますけれども、これからの思想としては、政治団体というものが、国会議員がおもなる構成員になっていれば、みんなこれは政治団体になる。みんなといってはなんですが、相当部分のものがなる可能性が多いのです。そうすると、寄付制限ということで、政治活動をするには、寄付をまたないで、これからは自前で政治活動の資金をこしらえるという傾向がどうしても出てくるんじゃないかと思う。これは政党ばかりでなくて、政治団体ということになると一万三千ぐらい現在あるのですがね。 そこで、たとえば政党あるいは政治団体で三千円パーティー——アメリカで十ドルパーティーというのがあるそうですが、三千円パーティーをやって、五百円ぐらいしか金をかけないで、二千円は利益をあげる。こういうふうなことは、これは本来の活動として見るのか、それとも非課税法人の収益事業、たとえば宗教法人、学校法人、こういうようなものと同じ取り扱いをするのか。そこらの点をお尋ねしてみたいと思います。 宗教法人等の問題については通達が出ていまして、お札やお守りやそんなものを売っても、それはまあ営利事業じゃない。しかしながら、本を売ったり、あるいは仏具を売ったり、ろうそくを売ったり、じゅずを売ったり、白衣を売ったり、たすきを売ったり、棺箱を売ったり、こういうものは一般の仏具商とあまり値段も変わってないしするので、これは営利事業取り扱いだという通達が出ているのですがね。これから政治活動は寄付によらないで自前でやれというだから、自前でやるほかなくなってくるのだけれども、それは営利活動と見るのですか。どういうふうに取り扱っていくのですか。
○泉政府委員 御承知のとおり、政治団体は人格なき社団だと思います。したがって、その人格なき社団は、収益事業を行なった場合、その収益事業の所得に対して課税されるということになるわけですが、収益事業は何かということは、法人税法の施行令の第五条にその事業の内容を書いてございます。で、やはり収益事業であるためには事業として行なわれることが必要でありまして、まあ、多くの場合は反復、継続性ということが事業としての要件になることが多いと思います。しかし、事業の内容によっては、反復、継続性でなしに、その事業の性格に着目して収益事業になる場合もありますが、いまのお話のアメリカの十ドルパーティー、日本の場合の三千円パーティーというのは収益事業に該当するような事例は少ないのではないでしょうか。
○渡辺(美)小委員 そうすると、いろんな美空ひばりショーだとかあるいは何々ショーだとかいうのを連れてきて、それで政治団体がたくさん集めて、そこで利ざやを取るというか、活動資金をかせぐ、こういうようなのも、一回きりだったら問題は起きないかもしらぬけど、各地でやるというようなケース、これは政治資金規正法からいうと、そういうのは望ましいというのだ、寄付を集めずに、なるべく自前でかせいで、自前で使えという思想なんだから。こういうのはどういう取り扱いになりますか。
○泉政府委員 いまお話のように、三千円パーティーというのじゃなしに、美空ひばりさんを呼んできて歌を歌わせてということになって、それを継続されると、これはどうもちょっと収益事業に当たる例が出てくると思います。興行業とか、そういった場合に当たってくると思います。そういうことでなしに、ただ集まって演説をやる、それで、演説をやったあとパーティーに移って、ビールを飲んだり若干のものを食べたりするという程度のものであれば、それは収益事業にはならぬと思いますが、呼んで歌を聞かせ、あるいは演劇を見せるということになりますと、それは収益事業になってくるでしょう。
○渡辺(美)小委員 それから、きのうもちょっと話が出たのですが、政治資金規正法の届け出、しかも支出の問題で、いままで千円以上の支出は明細を書けといったのだが、今度は一万円以上ということになったわけですよ。しかも、新聞なんかで、料理屋に払ったものは認めるとか認めないとかいう騒ぎになってくると、これからだれもああいうことは書かなくなりますわ。書かないで、金を受け取って、払った人は、その受け取った人の名前を書くようになりますな、どうしたって。渡辺美智雄なら渡辺美智雄、私が何々団体から金をもらった、ほかに払うのだけれども、私の名前しか出さない、それで違反じゃないのだから。そういうのがうんと多くなってくると、結局、私が三千万円預かった、二千万円預かった、こういうふうなものは、人は全然わからないわけだな。実際、これはないしょ話みたいなものなんだけれども、どの程度まで国税庁では——政治家に対する課税の問題とも関係のあることなんですがね。実際のところは、政治団体といっても一万三千もあるのだから、政党ばかりじゃないのだから。だから、どの程度まで基準らしきものをこしらえたり、あるいは研究しているのですか。
○泉政府委員 この点につきましては、私どもとしましては、いまお話のように、政治資金規正法の上で、あまりこまかいものは別として、おもな支出先は個人の方にも報告していただくようにしてもらえないかということを自治省に頼んだわけです。自治省としましては、政治資金規正法のたてまえから、そういうことをするのは好ましくない、政治資金規正法でそこまでは無理だということと、答申にはそういうことはないということから、なかなか認めてもらえなかったのであります。したがって、いまお話のように、いままでゴルフに使ったとか、マージャンの賞品に使ったというような支出が出ておったのでありますが、今後そういう支出の中身は書かないで、いまお話のように、だれそれ氏に渡した、何千万円、組織行動費である、あるいは調査費である。こういう形で出された場合、税の上からいきますと、政治家の収入には確かになっているわけですが、それがはたしてその人の所得になっておるかどうかを調べるのに非常に骨が折れることになるわけであります。これから一々そういうことを調べなければならぬということになりますと、税務職員はかなりふやしていただいても足らない状況ではないか、実は非常に困っておるのです。
○渡辺(美)小委員 ですから、ああいうふうな法律の改正なんかを契機として、各省間でもう少し合議をして、まあ、ああいうやつは、はたして交際費であるか、その人の所得であるか、あるいは実費であるかわからぬですから、だから十万円なら十万円というような一つの標準をつくって、十万円以上のものは末端支出の名称をつけてもらうとか、それ以下のものはいいとか、何とかもう少し私はくふうしてもらったらいいんじゃないかと思うんです。どういうものでしょうか。
○泉政府委員 私のほうからはいまお話のような筋を申し入れたわけであります。申し入れたんですが、自治省としては、それは答申にないということと、それから政治資金規正法でそこまでいくのはどうだろうかというようなお話がありまして、認められなかったわけです。
○渡辺(美)小委員 それから、あそこで長官も聞いていたからわかるだろうけれども、収入支出の限界の問題にしても、たとえば、寄付というのは、法人が計上しても、未払いの場合は国税庁は認めないんですね。
○泉政府委員 これは御承知のように、税法におきましては権利発生主義の原則によっておるわけでありますが、寄付金については現金主義によっております。これは寄付金を損金と認める、あるいは損金の算入限度を越えているかどうかということで損金に入れないということを判定する場合に、寄付をするという約束だけではそういうことをするのはむずかしいので、やはり金を出した、寄付を行なったというその事実に基づいて、その寄付が損金になるか、あるいは損金算入限度を越えているか、こういう判断をせざるを得ないから現金主義をとっておるわけです。ところが、政治資金規正法は、その法律の目的上、従来から発生主義をとっておるわけであります。しかし、その発生主義というのが、企業合計における発生主義よりまたもう少し変わった発生主義になっておるようで、これはなかなか実行上いろいろの問題がある、だろうと思っております。
○渡辺(美)小委員 ですから国民のほうは迷惑するんですよ。同じ寄付の問題でも、自治省の、寄付を経費と認める認めないという考え方と税務当局の考え方と、こんなに違うわけだ。税務署のほうは、要するに、ほかのやつは発生主義だけれども、寄付については現実主義だ、わかりやすく言えば。ところが、自治省のほうは、ただ寄付を受け入れる受け入れないということだけでなくして、たとえば、それが書類でなくても、寄付をすると口約束したら、収入として確定して報告しなければならぬ、それから借金の保証をしてもらったら、別の収入だから報告する。そこで非常に混乱しているのだけれども、これは直接国税庁の管轄じゃないかもしれぬけれども、商法との関係もあるし、税法との関係もあるから、そういうような会計用語の使い方については、やはり当たらずといえども遠からずというくらいの会計用語を使ってもらわぬと、省ごとに用語がまるきり別だ、それが天と地くらいの差があるということは、国民が迷惑するばかりだと思うのです。だから、こういうことはもう少し事前に合議をしていただきたいと思いますが、その点について、別に合議はしてないわけですね。
○泉政府委員 その点については別段合議はいたしておりません。ただ、今度の五条の五項で政治活動に関する寄付については、むしろ自治省のほうで、政治資金規正法で現金主義を打ち出しておられます。この点は、従来の発生主義に比べて、政治活動に関する寄付については現金主義で処理されるということで、従来よりは改善されたのではないか、こう思っております。
○渡辺(美)小委員 いろいろと聞きたいこともありますが、きょうは時間もないし、後日にひとつ譲りたいと思います。
○足立小委員長 只松委員。——只松委員に申し上げますが、資料要求だけにしてください。
○只松小委員 私もちょうど税小のときたまたま戸田市長選挙の告示があって、そういう私用もありましたけれども、大体税小が三回開かれたけれども、発言する機会がまだないわけです。そのくらい税小の時間が少なかったのですが、委員長、どこか海外に出張されるという話でありますけれども、その間代行でも置いて、休会中でもいいですけれども、税小を開く機会をつくっていただきたいということか一つ。 それからいま一つは、昨日泉さんに質問いたしました件で、借地の総坪数、延べ坪数、それから件数、そういうので、建設省が住宅白書か何か出していますね。ああいうのにも出てきているんじゃないか、完全なものじゃないけれども、推計になっているかもしれないが、何か私はあるだろうと思うので、そういうものがありましたら、ひとつ資料としてお出しいただきたい。これは討論じゃないので、資料要求だけでこれ以上言いませんけれども、なければ、私がきのう言ったように、皆さん方があまりそういうことに通じていないで、何百億、何千億に及ぶ所得というものが捕捉されてない。こういうことになるわけです。それはきょうは言いませんが、借家のほうがちょっとむずかしいのじゃないかと思いますが、借家のほうでももし手に入るものがあって、課税の算定基礎になるというものがありましたら、資料をお出しいただきたいと思います。
○泉政府委員 資料をお出しいたしますが、課税はいろいろやっておる事例は相当あります。相当ありますけれども、総坪数がわからなければ課税をやっているかどうかわからぬじゃないかと言われてもそれはあれなんで、課税としてはかなり調査した事例はあります。したがって、そうした事例なども御紹介申し上げて、資料にさしていただきたいと思います。
○只松小委員 いままで私が知っている限りでは、私の町内あたりでも、家を建てたりなんかして全部取られている。私は周旋屋さんをたくさん知っておりますけれども、周旋屋さんなんかに聞いても、そういうことはいま課税対象にならないのですよ。それから、私が一例をあげました何十軒という家作を持っておりながら、私が現に一ぺん借りたことがある経験を通して、そういうものは全然税務署に報告されておらないのです。税務署も捕捉しょうとしていない。そういうことを一々言いたくありませんけれども、そういうことで私が申し上げているものは、社会にあまり害を及ぼさないで、皆さん方のほうからいうならば課税財源になるという。ぼくは最大のものだと思うのです。そういう意味を含んで言っているわけです。
○足立小委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十八分散会