石炭対策特別委員会 第15号
- 発言数
- 83 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1967/06/07
会議録
○多賀谷委員長 これより会議を開きます。 石炭対策に関する件について調査を進めます。 本日は、石炭対策の基本施策に関連して意見をお述べいただくため、参考人として、日本石炭協会会長麻生太賀吉君、日本石炭鉱業連合会会長植田勲君、北海道石炭鉱業協会会長舟橋要君、日本炭鉱労働組合中央執行委員長山本忠義君、全国石炭鉱業労働組合書記長早立栄司君、全国炭鉱職員労働組合協議会議長松葉幸生君の御出席をいただいております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席を賜わり、まことにありがとうございました。御承知のごとく、わが国石炭鉱業の現状は依然としてきわめて苦しいものがございます。本委員会においても、目下石炭鉱業再建整備臨時措置法案をはじめ諸法案の審査をいたしておりますが、この際、石炭鉱業再建整備法案等を含めて、石炭鉱業全般にわたる抜本策につきまして、直接企業に携わっておられる労使の方々に、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 参考人の各位には、最初お一人十五分程度御意見をお述べいただき、そのあとで委員の質疑に応じていただきたいと存じます。 それでは、麻生参考人からお願いいたします。麻生太賀吉君。
○麻生参考人 石炭協会の会長をいたしております麻生太賀吉でございます。 石炭政策の確立につきましては、かねてから本委員会の皆さま方に格別の御配慮をいただきました。感謝しておる次第でございます。私は、昨年八月十一日の本委員会におきまして、石炭鉱業審議会の答申によります抜本安定対策につきまして意見を述べさしていただきましたが、本日はまた、この基本施策につきまして業界の意見を述べる機会をお与えいただきましたことを、心から感謝いたしております。 御承知のように、一昨年石炭の抜本安定対策が検討に入りましてから、実に二年になりますが、その施策もようやく、この前成立いたしました本年度の予算、及び本委員会において目下御審議中の石炭関係諸法案が具体化しますことによって、近く実施になろうといたしておることは御承知のとおりでございます。私どもはこの二ヵ年間、ひたすら抜本策の実施を頼みにいたしまして、どうやらしのいでまいりましたわけでございますが、その間に経営の内容は一段と悪くなってまいりました。そして今日では、答申の際に想定されました需要がさらに減退する状態でございます。自然、貯炭が激増いたしております。その上に、施策のこの二年間ずれましたということなどの諸般の事情から、経理状況は予想以上に悪化いたしております。石炭各社の資金事情は非常に急迫いたしておりますのが現状でございます。そういう関係から、例年に比べまして、財政資金によります先行融資等も相当おくれるんではないかというような状態でございますし、市中金融も思うにまかせません。資金調達難に、あえいでおるというのが現状でございます。 これを二、三数字をあげてみますと、四十一年度におきますトン当たりの赤字――純損益面でございますが、六百数十億円、昨年三月末の実質明積赤字千八十八億円が、本年三月末には一千二円五十億円程度にふえております。同じく借り入れ金の残高も、二千億円が二千二百十六億円に増加いたしております。また本年度の資金不足は、昨年の要対策額は二百億円でございましたが、それをはるかにこえまして四百数十億円になるんではないかと思われます。 以上はわれわれ大手十七社についての数字でございますが、一方、石炭生産業者の持っております手持ち貯炭は、昨年三月末の三百四十一万トンが、現在五月末をとりますと六百七十万トンにふえております。このために、先般とりあえず、つなぎ資金対策としまして返済猶予措置がとられております。目下のところ、そういう関係で最悪の事態はどうにか回避されておるわけでございますが、最近になりますと、大手の中でも、資金調達難のために行き詰まりかけておる――と申したほうがいいかもしれませんが、会社も出ておるような状態でございます。したがいまして、このままの状態が続きますと、肩がわり処置の実施を前にして、資金逼迫に端を発しまして、貯炭の圧迫もございますし、そういう関係で未払い金の増加、また賃金延べ払いの発生、自然、出荷が悪くなって、出炭の不振というような悪循環が石炭各社に次々と広がりまして、収拾つかない状態におちいるおそれがあるわけでございます。 以上のような事情でございますので、目下御審議中の石炭鉱業再建整備臨時措置法案につきましては、特に一日も早く成立の運びになりますようお願いいたしたいと存じます。私どもは、この再建整備法に基づきまして、異常債務の肩がわりを受けることにより資金をつないで経営を正常の軌道に乗せていきたいと念願いたしておる次第でございます。 もう一つ、その上にお願いがあるわけでございますが、そういう処置をとられましても、私どもといたしましては、想定以上の需要の減退が現在起こっております。自然、需給不均衡状態を是正するための政策需要の増加をぜひお願いいたしたい。それから、先ほど申し上げましたが、政策がおくれましたため、それと、この需給の不均衡等によります想定以上の経理の悪化の改善策を、この抜本的安定対策の基本路線に沿って今後講じていただきたいというのが、この機会にお願いいたす点でございます。 以上でございます。
○多賀谷委員長 次に植田勲君。
○植田参考人 私は、中小炭鉱の団体である日本石炭鉱業連合会の会長の植田勲でございます。 石炭政策につきましては、かねてより格段の御高配を賜わり、深く感謝いたしております。本日はまた、石炭政策につきまして意見を申し述べる機会を与えられましたことは、まことに感謝にたえません。厚く御礼を申し上げます。 中小炭鉱は全国出炭量の大体三〇%、すなわち千五百万トンの生産を維持してまいっているのでありますが、炭鉱数は、かつて八百六十余りありましたものが現在百五十に激減しておるのであります。これは自然条件が劣っている等の理由もありますが、国の助成がなくては経営はなかなか困難であるということであります。 中小炭鉱対策につきましては、いろいろ御配慮をしていただいたのでありますが、結果的には具体的施策に結びつかず、大部分の炭鉱が政策のらち外に置かれておった結果でございます。したがいまして、われわれは、一昨年石炭鉱業審議会の中間答申が出まして以来、石炭鉱業の抜本的政策の中におきまして中小炭鉱対策の確立を強く要請してまいったのでございます。 これを具体的に申し上げますれば、過去の過重債務の解消、安定補給金の交付、中小炭鉱の実態に即した諸施策、資金確保対策、やむを得ず閉山しなければならなくなった炭鉱に対する閉山交付金の引き上げでございます。 昨年七月石炭鉱業審議会の最終答申が出され、政府はこれに基づいて具体的政策を決定し、石炭対策特別会計五百二十一億円の予算編成が行なわれましたことは画期的な施策ではございますが、その内容を見ますとき、項目的には一応全部取り上げられてはおりますが、石炭鉱業が長期安定するためにはなお不十分でございまして、ことに中小炭鉱に対する御配慮が実施面においてなお十分反映されていない面のありますことは遺憾と存ずるものでございます。中小炭鉱がはたして自立安定できるかどうか心配いたしておるものでございます。したがいまして、今後この不十分な点をさらに補完する対策を推進せられるとともに、具体的実施にあたりましては、中小炭鉱の実態に即して十分かつあたたかい御配慮のもとに運用せられますことをお願い申し上げる次第でございます。 特にいままでかろうじて経営を維特してまいりました中小炭鉱にとりまして最も効果的であり、期待いたしておりました安定補給金は、われわれはトン当たり三百円を要請いたしたのでございますが、これが百二十円程度では諸物価の高騰、労務費の上昇する現在、さらに事業団納付金の引き上げ、年金基金の掛け金等、相当額の負担増しがある中において、労務者を確保し、保安の万全を期して安定生産を維持することはきわめて困難でありますので、本年度二十五億円の安定補給金予算のワク内において弾力的に運用し、そのトン当たり額は百五十円以上となりますようぜひ特段の御配慮を賜わりますとともに、来年度以降につきましても十分御考慮いただきたいのでございます。われわれは、その上に立って労使相協調して石炭の安定生産に努力いたす所存でございます。 また、坑道掘進の補助金にいたしましても、従来の各種施策が、趣旨はけっこうでございますが、実施の段階において、基準、条件等があまりにも中小炭鉱の実態とかけ離れているため、なかなかその対象になり得ない結果になっておりますので、中小炭鉱も幅広くその助成対象となるようお願いいたしたいのでございます。なおまた、採炭掘進等を機械化するために昨年より機械貸与制度を予算化されましたことはまことにけっこうでございます。今後予算も相当増額していただき、新鋭機械を使用さしてもらいたい、こう考えるものでございます。 次に、現在御審議されております石炭鉱業再建整備臨時措置法についてでございますが、石炭鉱業の過重な負担を軽減するための措置であり、われわれとしても本法案に賛成いたすものでございます。しかし、法案が通過いたしましても、肝要な点の多くは政省令にゆだねられており、政省令のあり方いかんによっては問題がないわけではございません。 これについて二、三意見を申し述べますれば、第一は、財務の状況及び掘採可能鉱量が通産省令で定める基準に該当するものを対象としているのでありますが、この基準があまりにもきびし過ぎますと、中小炭鉱はほとんど対象となり得ない結果となります。したがいましてこれら基準につきましては、答申にも、中小炭鉱については若干の条件緩和をはかる旨明記されており、肩がわりを希望する中小炭鉱はその対象企業となり得ますよう、特段の御配慮をお願いしたい次第であります。 第二は、借入金の対象でありますが、法案によりますれば、償還期間一年以上の長期資金を対象とすることとなっていますが、中小炭鉱の市中借入金のうちには、契約面におきましては一応短期になっていますが、実質は長期であるものが少なくありません。これは金融機関も認めておるところでございます。したがいまして、この実質長期であります市中借入金もぜひ対象としていただきたいのでございます。 次は、元利補給契約をした者が黒字を計上したときは、将来にわたって契約は解除されることとなっていますが、過去の過重負担を軽減するという趣旨からすれば納得できないこともございませんが、実際的に見た場合、元利補給があってやっと少し黒字になったものに対してこれを打ち切られましたら、再び赤字に転落することは明白でございます。したがいまして、元利補給とあわせ企業努力により黒字となって元利補給が解除される企業に対しましては、他の前向きの対策によって将来とも経営が安定するよう、特段の対策措置をお願いいたすものでございます。 また、本法実施にあたり、事務手続を極力簡素化していただきたいのでございます。中小炭鉱は事務的能力は一般的に十分ではありませんので、この事務手続が複雑煩項でありますと、中小炭鉱はこれについていけず、せっかくの国の施策も受け入れられない結果となりますので、この点十分な御配慮をお願いいたしたいのでございます。 以上、法案について希望意見を申し述べましたが、石炭鉱業の抜本対策を必要とし、これを石炭鉱業審議会に諮問されてより二年、審議会の最終答申がなされてからも一年になんなんとしている現状におきまして、石炭業界といたしましては、十分とはいえないにしても、答申に基づく具体的施策のすみやかなる実施を渇望いたしておるのでございます。したがいまして本法案につきましては、十分なる御審議の上可及的すみやかに通過成立さしていただきたいことを心からお願い申し上げる次第でございます。 なお最後に、対策の実施が大幅におくれているため、石炭鉱業は資金的にも非常な苦境に立ち至っており、中小炭鉱の中には対策の実施まで持ちたえられないで脱落閉山のやむなきに至った炭鉱も出ている現状でございますので、前に申し述べました法案の成立施行を含め、早急なる対策実施をお願い申し上げるとともに、それまでの間のつなぎ資金対策並びに越盆資金の確保につきましても、中小企業金融公庫等よりの借り入れについて特別の措置を講じる等、特段の御配慮を賜わりますようお願いいたします次第でございます。 私の公述を終わります。
○多賀谷委員長 次に舟橋要君。
○舟橋参考人 北海道石炭鉱業協会会長の舟橋であります。諸先生方には石炭問題に関して相当の長い間、さらにまた最近の問題等で特段の御配慮とお世話を願っておることを心から厚くお礼を申し上げる次第であります。 昨年の七月二十五日の最終答申案に基づいて、抜本対策という石炭施策を爼上に御審議をいただいておる次第でありますが、今日までのわれわれの知る範囲ではこれから実施されんとしていることは、一口に言って過去のあと始末の政策であり、少なくとも前向きの積極的施策とは言い得ないものと考えるものであります。もとより深手を直してその上の施策とも言えましょうが、われわれ中小炭鉱においては、御承知のとおり、すでに深手のものは閉山し、現在残っておるものは若干の浅手はあるが、トン当たり七百円も一千円もの御援助を願わなくても、わずか四、五百円程度の施策を加えさえしていただければ十分やれる山々であります。 これから六項目にわたり具体的に要望申し上げますので、諸先生方並びに石炭局長さんもおいでになっておりまするが、十分御配慮の上、明確なる御意見、お答えをいただけますならばきわめて幸甚とする次第でございます。 第一には、石炭の需要安定対策についてであります。すでに四十二年度の生産計画を五千三十万トンと定め、告示されたのでありますが、残念ながら漸次石炭需要が減退して、今日業者が六百万トン以上の貯炭を抱いていることは御承知のとおりであります。この貯炭による経費の損失はばく大なもので、さらに来年の三月にはこの上貯炭増加が予想されております。石炭の市況というものはわずかに貯炭が増加してもその影響するところはきわめて大きいのであります。他の物品と異なり、多くの特別な条件があります。かような状況において、われわれははたして安心して今後五千万トンの生産を続けることができるか、はなはだ疑問を持たざるを得ないのであります。ただ一つの国産エネルギーとして国内炭の五千万トンは最低量かもしれません。掘っても金にならない。それかといって、情勢の変化によってたちまち石炭不足を来たすことを私どもは幾度も体験しておるのであります。 きわめて卑近の例でありまするが、最近中東の動乱によって緊迫を告げております。ここからはわが国の石油エネルギーの九〇%近いものが入っておるのでありますが、これらの観点から抜本策の本質である需給安定調整機関の設置をぜひ講じていただき、安心して五千万トンの生産ができるようお願いしたいのであります。 実はこの需要対策については北海道としては知事と私どもの間で具体的に協議した問題がございますので、質問がありますればお答えをする用意がございます。 第二は、安定補給金についてであります。二十五億円の予算が特別会計のうちにできましたが、すでにトン百二十円ぐらいという補給金も、きょうの時点では新たに合理化事業団並びに鉱員年金制度の賦課金の増、計画外の賃金アップと法定福利費の事業主負担、輸送費の増加等、トン当たり百円内外が予定外の負担増となっております。この現状の赤字を北海道では二百円と見まするならば、合わせて少なくも三百円程度の補給金を出していただきたいということをここにあらためてお願いするものでございます。五百円も千円もと申し上げるのではなく、最低三百円の安定補給金の追加予算措置を年内に講じていただきたい。また、補給金の実施には羽幌炭鉱等は該当しないと聞いておりまするが、生産規模にかかわらず、中小炭鉱には公平に取り扱うようお願いいたしておきます。 第三点は、債務の肩がわりの問題であります。 金融機関からの借り入れ金に対して肩がわりの対象になる金額の算定に過去の累積赤字を要素に考えておられると聞いておりますが、先ほど申し上げました安定補給金三百円でどうにかペイする状態ではありますが、重荷になっている借り入れ金に対して、この肩がわりによる措置が必要であります。しかし、この肩がわり対象金額となる累積赤字というものは、個々の企業ごとに条件があり、その算定には種々問題があると考えられますので、問題のないよう最も明確な借り入れ金の残高を対象にして実施していただきたいと存じます。 第四番目には、このたび新たにできる鉱員の年金制度に伴う負担金の問題であります。この制度の趣旨はたいへんけっこうなものでありまして、賛意を表するものであります。私どもは、数度の審議会で、この問題に提案者として、また賛意を表してまいっておりまするが、第二次調査団に対しても、私はこの制度の実施を要望いたしました。しかも企業の状況から、負担はあくまで国で持つことを前提としてお願いしたはずであります。しかし、国営でもない今日、全額国庫負担は形の上では困難性があるかと思われますので、先ほどの安定補給金とのかみ合わせの上、半額程度を特別会計に織り込んでいただきたい。 第五番目としましては、中小炭鉱の金融対策について申し上げますが、早急に実施するようお願いいたしたい。すでに市中金融機関は肩がわり等の問題から非常に窮屈になっていることは御承知のとおりであります。また当然こうなるわけでありますが、答申にも資金対策の強化、すなわち中小炭鉱の金融措置をうたっております。答申後すでに一カ年になんなんとしており、今日合理化事業団あるいは中小企業金融公庫について弾力的な運営は行なわれておりません。この問題に対して特段の先生方の配慮と急速な決定をお願いしたい。資金の現状は、貯炭をかかえますます窮迫を加え、その上夏季手当の支払い等も目前に迫っております。どうか幾回も要望申し上げておりますように、事業団から運転資金を直接貸すあるいは信用保険を炭鉱については特別に引き上げるとか、絵にかいた金融対策でなく、実際に借りられるよう措置を緊急にお願いいたします。 この問題は、先ほど大手協会の麻生さんからもこまかく説明されたので省きますが、最後に保安センター設置のため防災協会に対する補助金と事業負担の問題についてであります。今日債務の肩がわりあるいは安定補給金等の対策を講じなければならない石炭企業に新たに保安センターをつくるからその費用を負担せよということでありますが、もちろん保安の重要性は一刻もゆるがせにしておりません。またしてはなりません。センター設置の趣旨には賛意を表するが、負担できないきびしい現状であることは、先ほど申し上げたとおり十分御承知いただいておると存じます。センター設置には早いことが望ましいので、とりあえず設置のための不足金は防災協会が一時借り入れできるよう措置するとともに、後日特別会計にて設置費とともに今後の運営費も予算化されるよう善処していただきたいと存じます。 以上、時間の関係上、六点について申し上げましたが、この場で明確なるお答えをいただけますならばきわめてしあわせと存じます。 長時間、ありがとうございました。
○多賀谷委員長 次に、山本忠義君。
○山本参考人 炭労の山本でございます。 長い間にわたって石炭の問題について皆さん方の多大な御尽力をいただいておることについては心から感謝を申し上げておるわけでございます。ただ、私ども、実際に働いている者の立場から、今度の諸政策について考えてまいりますと、いままでずいぶん閉山になったりあるいはまた合理化と称して賃金が下げられたり、いろんな過酷な条件の中で炭鉱にしがみついて、地域経済の発展のために、あるいはまた石炭産業の発展のためにいささかなりとも寄与しておるというふうに考えておる私どもの傘下の組合員と家族からいたしますと、どうもやはり中途はんぱではないだろうか。今度のこの施策によって明るいムードは現実には出てきていないというのが、まことに言いにくいことではございますけれども、率直なところでございます。いまだに自然減耗、定年退職でやめていく人以外に、特に優秀な先山であるとか、あるいは坑内で中堅的に働いている若手の労働者であるとか、こういう方々が自発的に炭鉱に見切りをつけて退職をしているという現実は、数字ではっきり示されているところであります。 これらの点から考えてみて、私どもは、かねてからも政府の関係者の皆さん方やあるいは本委員会の諸先生方にもるるお願いを申し上げてきておったのでございますが、たまたま昨年の暮れに石炭対策特別委員会の決議となってございました労働条件の向上並びに生活環境の整備ということについて、組織的にきわめて期待をかけておったところでございます。ずいぶんいろんなあらしをくぐり抜けてきたけれども、残っておってよかったわい、炭鉱といえども必らずこういうふうになるのだから、こういうことで組織的に説得をしてまいったのですが、それが今度はみごとに期待が裏切られている、こういうようなきびしい現実に直面をしているわけです。 特に災害に至っては、それぞれ過酷な条件の中で、石炭経営者がゆえをもってサボっているというふうには考えませんけれども、どうしても保安の面については手抜かりな面が多い。こういう面から、まことに遺憾なことでございますが、本年の五月までに百二十人、百五十人の方々が殉職をされておるというきびしい現実がございます。これらの点や、いろいろな点から考えてみまして、私どもはこの際、この国会で抜本策と称する答申案を受けて立つ法律をつくっていただくのならば、こういう実情についても払拭のできる思い切った措置をひとつ先生方にぜひお願いをしたいと考えております。 今度、政府の皆さん方それぞれのお力を得て、賃金問題につきましても解決を一応見ました。しかし、現実には鉄鋼や国鉄なんかが五千八十円の大幅なベースアップをしているにもかかわらず、炭鉱の労働者の賃金の上昇は約二千円弱であります。一時金の三千五百円ということで、ずいぶん無理算段をして石炭当局のお方々の御努力もいただいたのですが、これの支払いについても、いまだに融資のできるまでということで、一時金のありがたみがすっかり吹っ飛んでしまって、いつ支払われるものか、あるいは三千五百円という金が分割払いになるものか、こういうようなことで、一応賃闘については妥結をいたしましたけれども、組織的に終止符を打った私ども組合幹部が、きわめて大衆との板ばさみの中で苦慮をしているというのが現実でございます。 こういう面から考えてみても、炭鉱の労働者が、皆さん方に御決議をいただいた生活の安定並びに労働条件の向上ということが空文化をされて、やはり炭鉱というのは、先行きけが人ばかりが多くなって見通しがないんだ、こういう印象を与えておるんではないかということを悩んでおる次第でございます。 すぐまた八月になりますと期末手当がございますけれども、これらにいたしましても、新制高校を卒業して銀行へつとめた女の子が五万円のボーナスをもらってくるのに、炭鉱で二十年も三十年も働いている者がわずかに四万二千円しかもらえない。特に国家管理になっている管理炭鉱と称するところは、賃金にしても大手が七%のときにわずか三%である、あるいは期末手当に至っては二万五千円しかもらえない。まことにきょう日、諸情勢から比べてみて、まあそんなところがあるのかといわれるくらいの実情になっているというのは、皆さんもとくと御承知のことと思うわけでございまして、こういう面についても何らかの形でやはり払拭をしてまいりませんと、かねてから申し上げておりますように、石炭産業の場合には遺憾ながら工場のようにオートメーションでボタン一つ押すと生産品が続々と出る、こういうことではございませんから、当然優秀な、長年つとめた石炭労働者の汗と血によって石炭の一かけらが出てくる、こういう実情でありますので、そういう面から必ず崩壊をする時期があるんではないか、こういうことを私どもは石炭産業というものを愛するがゆえに特に懸念をして皆さん方に訴えている次第であります。 何といいましても、生産をやっておりますのは炭鉱の労働者でありますから、これらの労働者に対して、たとえば新しい機械を導入するように、あるいは古くなった機械でも手入れを怠らないで油を入れるように、人間でありますから、よりもっとそういう面について配慮をいたしませんと、石炭産業はどぶへ捨てた一千億円ということになりかねない、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。 なおまた、この政策の中で私どもが特に不満と思いますのは、個別企業に救済をするという点であります。確かに今日の状態の中では、企業を国家管理にするとかなんとかということは、それぞれ弊害のほうが多いだろうという点は十分熟知をいたしておりますけれども、事今日ここまできた石炭産業というものについて、政府はこれだけ思い切った措置をするんならば、その措置を生かせるような方向でやはり考えてみる必要があるんではないか。旧来の因習にとらわれたような形では、やはりうまくいくということにはならないのではないか。そのいい例が、これだけの施策がありながらなおかつ今年に入りましてから、北海道を特に主体にいたしますけれども、中小炭鉱を中心にして九つの炭鉱がつぶれております。なおまた本年じゅうつぶれるところもあるように聞いておるわけであります。というのは遊休鉱区がたくさんございます。あるいはまたそれぞれの企業がこれだけの施策を受けながら競争をしているということについて、私どもはまことに納得がいきかねるわけでございます。苦しいときに立った場合には、必ず合同をして難関を切り抜けるというのが当然の措置であろう、こう考えますが、これだけの施策をしながら、やはりそれぞれの企業にしがみついて企業抗争が激化をしていく、これは悪循環の悪循環でございます。こういうやり方をやっていますと、当然それはうんと強い企業は残るかもしれませんけれども、まわりの企業はばたばたとつぶれていく。特に中小炭鉱の場合にはそのあおりを受けやすい、こういうふうに考えられるところであります。 したがって、私どもは、これらの企業について合同化を促進するとか、あらゆる面でコストの圧迫をはねのける意味で、流通機構やその他の面についてもメスを入れて、それぞれが販売会社を持って、営業マンを雇って、それぞれの都市に販売員を常駐さしておくというようなむだなことをやめて、一元化をして石炭産業の防衛のために、石炭資本の側のほうも思い切った措置をするということを指導をしてもらわないと、やはりこれだけの措置をとっても石炭産業の自立、安定ということはあり得ないのではないか、こういうふうに、きわめて極論を申し上げますけれども、悲観的な見通しを持っているわけであります。したがって、鉱業審議会やその他の場でも申し上げましたけれども、鉱区の開放や調整と相まって、新規開発を含め、流通機構の一元化というのはこれだけの施策の実際的な裏打ちとして必ず必要なことである、こういうふうに私どもは考えておる次第でございますので、その点につきましても十分にひとつ御論議を賜わって、私どもの言うところについても御理解をいただきたいと思う次第でございます。 それぞれたくさん申し上げたいこともございますけれども、後ほど質問等もあるやに聞いておりますので、その過程の中でお答えを申し上げることにいたしまして、きわめて失礼なことを申し上げましたけれども、炭鉱で働いている者の立場から立って、率直に事実について御披瀝を申し上げた次第でございますので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。終わります。
○多賀谷委員長 次に、早立栄司君。
○早立参考人 私、全国石炭鉱業労働組合書記長の早立でございます。 石炭産業の経営並びに労働問題を含めた現状につきましては、先ほど来四人の参考人が申されたところでございますが、私ども全炭鉱は、そういう意味において魅力ある炭鉱の実現を目ざして、今日まで労働組合の立場からいろいろ取り組んでまいってきておりますが、そのような立場から、石炭政策について感ずるところを要約して申し上げたいと存じます。 まず第一に、御下問のありました石炭対策の基本施策についてでありますが、これを私どもの立場から一言で申し上げますならば、すなわち、日本の石炭産業の石炭の位置づけを明確に確立をして、それを国策として推進をしていくということになると考えます。 具体的に申し上げますならば、昨年の抜本策答申以来、いろいろの角度から検討をされ、石炭についてはおおむね五千万トン程度というように今日位置づけをされてきておりますけれども、私どもは、さしあたってはこの五千万トン程度を供給力並びに需要とも確実に確保していくような施策が必要であると同時に、加えて、将来的な問題としては、五千万トン程度を基本としてさらに五千五百万トン程度にこれを伸ばし得るような措置を講じ、将来的には五千五百万トン程度の位置づけというものを国策として確立をすべきではないかと考えておる次第でございます。 特に石炭の位置づけについては、いろいろの角度からの検討もございますが、最近の国際情勢の微妙な関係等から見ましても、エネルギー資源の供給の安全性という面について、もう少し強いウエートを置いて問題を考え、こういう立場から石炭の位置づけ、五千五百万トン程度というものを将来の方向として指向すべきではないかと考えておるわけであります。同時に、そういう方向を指向するにあたって、さしあたっての五千万トン程度なりあるいは将来的な五千五百万トン程度というものを確保する意味で、国の強力なる助成措置と同時に、それに対応した強力なる公共的規制、この両面の施策を通じて供給力を確保すると同時に、対応する需要を確保していくということが、すなわち石炭対策の基本施策になるのではないかと考えておるわけであります。 以下、その基本的な考え方に基づいて、若干施策の面について申し上げますならば、まず第一番に需要の確保についてであります。 先ほど来、今日すでに膨大なる一般炭の貯炭をかかえておる現状が、前の参考人からいろいろ述べられておりますが、私どもは五千万トン程度の需要を確保するにあたって、ほんとうに国がその気になってそのための措置を行ない、同時にまた、石炭の労使が真剣になって取り組み、業界一体となって取り組んでいく場合に、必ずこの程度の需要は確保できると考えておるわけであります。 すなわち、そのための施策としては、一つは、もうすでにしばしばいわれておりますが、一般炭については電力用炭の引き取り量をふやす、そのために電発、火力発電所等、石炭火力発電所等を増設するということも一つであります。さらには、国鉄における自家用発電所の建設によって国鉄納入炭を確保し、拡大をしていくということも一つの施策であります。さらには、官公庁需要の拡大のための具体的措置として、政府官公舎はもちろんのこと、公団、公営アパート等の新設にあたって、石炭ボイラーによるセントラルヒーティング方式等の採用等によって、ある程度の一般炭の需要を確保できるとも考えるわけであります。その他流通機構の改善等を含め、石炭の需要五千万トン程度を確保する道は、本気になってやろうと思い、そのための具体的な施策のバックアップ体制とあわせて、業界の結束した体制がとられるならば、必ずそれが確保し得ると考えるわけであります。同時に、そういう努力の累積の上に立って、将来的には冒頭申し上げたように五千五百万トン程度の国内炭の需要を確立していくという方向に結びつけていかなければならないと考えておるわけであります。 さらに、供給の面でありますが、今日五千万トン程度の供給を確保していくことすらも一面においてむずかしい面が生じてきております。すなわち、先ほど炭労の山本委員長からも述べられましたが、いまや石炭産業においては労働条件の劣悪な状況あるいは石炭産業の将来に対する不安、不信感というものが相重なって、最も必要とする若い労働力が他に流出をするというような傾向が生じてまいってきております。すなわち、このような傾向を放置するならば、炭鉱はやがて労務倒産という状況にもなりかねないということをわれわれは懸念いたしておるわけでありますが、そういう面の対策をも含めて、さしあたっての五千万トン程度、将来的には五千五百万トン程度の供給力を確実に確立をしていくということが、施策として重要になってくると考えるわけであります。 特に、今日までの石炭対策の長年にわたる諸施策によって、一応坑内骨格構造の改革とかあるいは機械の導入その他採炭方式、技術的な改善等の措置がかなり進んでまいってきておりますけれども、そういう諸般の対策の中で最もおくれておるのは、私どもが考えるところでは、一つは、需要とも関連します流通対策、流通機構の問題であり、さらに一つは、労務対策の問題であると考えておるわけであります。特に、技術、生産関係の諸施策がかなり近代化されてきた中において、労務対策関係については依然として非近代的な面が残されておるとわれわれは考えております。したがって、今後はこういう面についても国の強力な助成措置と相まちつつ、その近代化を進めることによって、五千万トンないしは五千五百万トンの供給を確実に確保していけるような体制を築き上げていかなければならないと考えております。 もう少し具体的に申し上げますならば、炭鉱労働者の労務対策の面の非近代性について、一つは賃金関係にあり、あるいは、さらには住宅、福祉対策を含めたところの生活環境関係に問題が存在いたしますが、同時に、賃金については、先ほど山本炭労委員長が申し上げたような状況のもとで、われわれは過般の四月一日以降の大手炭鉱における賃金の交渉にあたりまして、従来まで数年間にわたって、石炭産業のきびしい事態を考慮した上に立って、ストライキ等の行為を行なわなかったところのわれわれ全炭鉱でございましたが、今回の賃金交渉にあたっては、やむを得ず四十八時間のストライキをもあえて行なわざるを得なかったわけであります。そのことは、なるほど企業経理の実態として一応最終的に示されたところの賃金の回答というものについて、これが経理的に許容される限界であるということをわれわれも承知をいたしましたけれども、しかしながら、今日の世間の賃金相場の中において、その程度の賃金をもってしてはもはやほんとうに労働者が炭鉱企業再建のために意欲を持って取り組んでいくという体制をつくり上げることは至難である。不可能であるというように判断をせざるを得なかったからであります。私たちはしたがってそういう中において、まさに六年ぶりのストライキ実施によって、事実をもって炭鉱労務関係における問題の深刻さというものを関係者に知っていただき、政府当局のバックアップのもとにようやくにして多少ながら前進をして賃金の解決を見ることができたわけでありますが、今後そういう面について諸先生方の一そうの御配慮を賜わりまして、炭鉱の近代化推進の中で特に必要な労務対策の近代化という観点から、賃金あるいは生活環境諸条件の改善のための諸施策を石炭対策の一環として実施をしていただきたいと考えますし、同時に、それらの大部分は石炭産業内における労使間の話し合いによって解決をし、あるいは前進をさしていくべき問題でありますけれども、それを可能とするような政策的なバックアップ措置をぜひともとっていただきたいということを心からお願いを申し上げる次第でございます。 いろいろございますが、時間にもなりましたので、以上で私どもの考えておる石炭対策のきわめて概括的な要点のみを申し上げましたが、私の意見にかえたいと思います。 ただ、最後に、一言いろいろ経営者側代表の参考人からも述べられておりますように、当面さしあたっての最も重要な問題として、いま国会で審議をされておる石炭対策関係諸法案等が一日も早く成立を見、そしてそれに基づくところの個別企業への施策の具体的展開というものを、一日も早く実施をしていただかなければ、非常に困った事態になってくるというのが現状でございますが、そういう面をお願いすると同時に、もう一点あわせて今日私ども全炭鉱傘下支部の属しておる炭鉱企業におきましても、大手では西日本関係で一社、それから東部常磐炭田関係で一社、全般的に石炭産業、企業の苦しい中において、特にまたきわめて深刻な事態にこの両社があるわけであります。常磐炭田におけるところの一社につきましては、われわれ組合ともども真剣にこの再建対策を考え、他の炭鉱が賃金ベースアップを多少ながら行なっておる中において、この炭鉱については組合がみずからベースアップを返上し、九月までは現行賃金を横すべりという中でもって組合みずからが再建案をつくり、再建のために真剣になって取り組んでおります。しかしながら何ぶんにも資金経理的に窮迫をし、いまや賃金についても二、三カ月分遅払いという状況に置かれております。再建をするためにはどうしてもそのための措置が必要であるというところから、われわれ全炭鉱が労働金庫等からの融資によって当面の賃金のおくれについて対策を行ない、組合みずからが賃金のおくれについての対策を行なうことを通じつつ、再建のために今日大いに真剣に努力をしておる現状でございます。したがって、そういうような炭鉱の実情等についても十分御検討いただきまして、全般的な対策を急ぐと同時に、特に緊急を要するその種炭鉱対策について格別なる緊急対策を実施していただきますことを最後にお願いを申し上げまして、きわめて簡単でございましたが、私の意見にかえさせていただきたいと思います。
○多賀谷委員長 次に松葉幸生君。
○松葉参考人 炭職協の松葉でございます。しんがりでございますので、若干の重複はお許し願いたいと思いますが、私は、スエズ運河の封鎖というニュースのその日に、こういう場にお呼びいただいたということについて、何か感慨深いものを感ずるわけですが、あえてこの問題に関連をしまして、安全保障の見地からるる申し上げる意図は毛頭ございません。しかしながら、やはり日本のきわめて乏しい資源の中での貴重な石炭資源というものについて、これらの問題ともあらためて関連を考えながら、より手厚い施策というものを今後とも御努力をいただきたいということを冒頭にお願い申し上げたいと思うのです。 まず最初に、今回の施策全般について端的に意見を申し上げたいと思うのです。 これまでの炭鉱の合理化の実績というものをあらためて振り返ってみまして、一つの事例を申し上げますが、昭和三十二年度の石炭産業の状態というのはどういうものであったかというふうに見てみますと、炭鉱の数が八百二十、労働者が二十九万八千人、出炭規模が五千二百万トン、能率が一四・六トン、こういう状態であったわけであります。それがその後の激しい合理化の結果といたしまして、昭和四十二年度の合理化実施計画としては、炭鉱数は二百を下回る状態になりましたし、労働者は約九万六千名、出炭規模は当時とほぼ横ばいの五千三十万トン、能率は四三・八トンというふうに、炭鉱数におきましては四分の一になり、人数におきましては三分の一に減り、能率は三倍になっておる、こういうような状態であります。 一方収支の面では、昭和三十三年度の対比で見ますと、当時は販売原価が五千円、それに対して手取りが四千七百円というような状態であったようであります。それが四十二年度の計画等を望見いたしますと、販売原価は四千三百円前後、手取りは四千円弱、こういうような状態になっておるようであります。なぜ私がこういう事例を申し上げたかということを申し上げますと、わずかこの十年間にこのような激しい合理化、そして結果としてはかなりの目標を達成しながら、なおかつ現在死活の問題が論議されておるということであります。 この間の過程におきまして、諸先生方の御努力もありまして、いろいろ手厚い施策がされたことも事実でございます。しかしなぜ今日なおかつ今回の施策をもってしてすら安定ができるかどうかということが論議されるのかという点につきまして、私の感じで申し上げますと、施策が常に一歩おくれておるということではないかと思うのです。ですから単に施策の量的な問題を手厚いという表現をとるよりか、はたしてその時点における安定施策としての実を伴った施策であるかどうか、時期的な問題、質的な問題、そういう点ではたして適切であったかどうかという点になりますと、現在の事実が如実にその誤りというものを示していると思うのです。もちろん情勢の変化が非常にきびしかっただけに、一〇〇%の施策の効果ということは期待できないという面がございますけれども、常に施策そのものがきわめて現実の問題としては舌足らずのかっこうで、あたかも石炭産業に対する恩恵であるかのごとき形でなされたというところに致命的な欠陥があったのではないかという点を特に痛感をいたしておるわけであります。 今回の施策におきましても、答申以来いろいろ論議されてまいりまして、私といたしましても、はたしてこれで抜本施策になり得るかどうかという疑念を呈してまいった一員でございますけれども、予算要求の段階においては若干の希望を持ちましたけれども、落ちついた本年度の予算そのもので見てみますと、経営者の方々からもいろいろございましたけれども、むしろわれわれの杞憂が的中をしつつあるのではないか、そしてその実施の時期自体がすでに一年をずれようとしておるという状態の中では、なおのことその問題があるのではないかというふうに強調せざるを得ないわけであります。 特に一つの事例として申し上げますと、五百二十一億という政策予算というものを非常に大きな予算であるように言われておりますけれども、われわれ石炭当事者の立場から見ますと、これまでの傷あとをいやすための費用、あるいはこれまでの石炭産業の過程から付帯的に発生してきている諸問題を解明するための費用、そういうものを除いて、今後石炭産業を自立安定をさせるためのビルド費用としてみなされるものが幾らあるかというふうに見てみますと、安定補給金を含めたにしてもわずか百二十五億ぐらいしかないわけです。これを四十一年度の今回の施策以前の予算規模から見てみましても、ビルド対策費用としてはわずか四十七億の増加にしかすぎない、こういうことが指摘できると思うのです。ですから、私は、五百二十一億という予算規模自体が小さいとは申しません。特に通産省内部における石炭局の御努力というものに対しては感謝を申し上げるわけでございますが、予算編成の段階でわれわれが主張いたしましたように、二次的な費用、こういうような従来は石炭対策予算の外で考えられておったものが全部持ち込まれてしまって、いま申し上げましたように、約半分のそういうような二次的な対策費用が、あたかも石炭産業の自立安定のための直接的な対策であるかのごとく計上されているというところに問題があると思います。 したがいまして、本年度の予算はすでに通過をしている状態でございますから、いまさらどうこういっても始まりませんわけですが、間もなく昭和四十三年度の予算が準備される時点に立ち至っております。したがいまして、論議を蒸し返すということにはなりましょうけれども、やはり二次的な費用というものはまずさておいて、少なくとも五千万トン程度の生産規模というものを維持して、石炭産業がほんとうに四十五年度の時点において自立できるためのビルド費用というものをどう処置すればいいかという点を、ぜひ諸先生方の御努力によって明確にしていただき、当局の御努力とあわせまして、明年度予算において、われわれが少なくとも納得できるような、そういう前向きの施策というものが実現できるように、冒頭お願い申し上げたいと思います。 次に需要確保の問題でございますが、これも前者からいろいろ申し上げられましたが、私は具体的に触れてみますと、前回この特別委員会に参考人として呼ばれましたときに、私は電力用炭以外の一般炭の需要見通しというものについての大きな疑問を提起したことを記憶をいたしておりますが、不幸にしてその疑問が適中してまいった。すなわち、四十年度から四十一年度にかけて、その他口の一般炭の需要というものが二百四十六万トン減少をいたしました。四十一年度の実績対比で四十二年度の実施計画としては二百六十万トンの減少を見込んでおります。合計いたしますと、この二年間で、五百六万トンというその他口の一般炭の減少を見ておるという事実は、きわめて重大だと思います。このことは、さらに本格答申の段階における背景になっておりました需要見通しというものを見てみますと、その時点では、この二年間の減少は三百四十一万トンというふうに見込んでおったわけでありますから、答申時点における調査団の見通しというものと現実の事実というものとが、すでに百六十五万トンの食い違いを示しておるということは、致命的な問題ではないかと思います。この需要のズレというものがはたして施策全体とどういう関連性を持つのか、私としてはつまびらかにできませんけれども、この事実自体は、特に諸先生方の御注意をお願いを申し上げたい。 特にこの需要減少の中でも、食料品、繊維、紙パルプとか化学工業関係、これが二百三十七万トンございます。それから暖厨房用炭が六十六万トンというふうに減少しておりますが、暖厨房用炭につきましては、四十年度ごろまでは若干なりとも上昇傾向をたどっておった需要先でございますが、それが急激に年間三十万トンないし四十万トンの減少傾向を示し始めた。今後とも少なくともその程度の減少を見込まざるを得ないという事実は、これはまさに致命的だと思います。それから、食料品、繊維、紙パルプとか化学工業関係、これはどの程度の影響があるかわかりませんけれども、これまでの傾向は推移するであろうし、さらに重油ボイラー規制法の廃止という問題と関連をいたしまして、さらに拍車をかけられるということが当然予想されるのではないかと思います。 したがいまして、こういうような需要減退に対しましての対策としてお願い申し上げます点は、前数者と変わらないと思いますけれども、やはり第一の問題としては、電力用炭にその減少の振りかえをお願いする。そのお願いのしかたとしても、電発火力をつくるという問題は、もちろん諸先生方の御決議もいただいておるところでございますから、早急にあの決議の実現をお願いしますと同時に、私の仄聞するところでは、九電力の現有の火力設備についても、電力側の御協力が得られるならば、五十万トンや百万トンの消費増ということは決して不可能ではないということを伺っておりますので、かなり経営的には余裕のあります電力業であり、公共的な性格も持っておるわけでございますので、そういうような現有設備を通しての電力用炭の消費増という問題についても、諸先生方の御検討によりまして、若干なりともさらに一そうの拡大をお願いできればというふうに考えるわけであります。 次に、暖房用炭関係の問題であります。これは非常に深刻な問題でございますが、具体的にはやはり石炭サイドとして、燃焼器具の改良等も通して、販路開拓、特に北海道における暖房用炭の減少を歯どめするために、業界一体となって取り組むということも必要だと思いますが、これも、伺うところによりますと、関東、東北、北陸関係における暖房用炭の需要増というものは不可能ではないということをしばしば聞いておりますし、先日常磐炭礦の調査で拝見いたしたのですが、長野県のある市の小、中学校のボイラーが、五百六十あるうち、石炭をたいているのは四十であり、残りは全部まきをたいておる。ところがコスト的にはまきのほうが石炭よりか一五%程度値段は高い、さらに労働力不足から、まきの値段は逐次上昇傾向にある、こういう点がありまして、常磐炭礦としてはかなり積極的に市場開拓に乗り出すということがございました。これも私は単に常磐炭礦一社の問題としてではなく、業界全体として集中的な調査、それからできるならば機動的な開拓班等も設置をいたしまして、大胆にこういうような面の需要開拓というものに乗り出すべきではないかという意見も持っておりますので、これらの点につきましても、諸先生方の御協力をぜひお願い申し上げたいと思います。 次に、貯炭の問題でございますが、これも御承知のように、本年の三月末で千三百万トンをこえておりますし、先ほど申し上げましたようなその他口の一般炭の需要傾向という問題から考えますと、生産規模が現状のまま推移するとするならば、四十五年度の時点においては千五百万トンをこえる貯炭になるのではないかというふうに危倶されますが、しかもこれらの貯炭が、原料炭と一般炭という形では、ほとんどが一般炭でございますし、しかもその一般炭の中でも特定の企業に片寄った過剰貯炭という問題が出ておるという点が、業界内部としては非常に処理しにくい要素がございますけれども、しかしそのことは、石炭産業全体としては、単に一社の過剰貯炭という問題では処理しきれない問題でありますので、これらも今後の貯炭対策という問題について、特段の御配慮をわずらわしたいというふうに考えるわけであります。 過剰貯炭の対策といたしましては、かねがねから私はお願い申し上げているのですが、何か従来のいきさつがありまして、非常にむずかしいようでございますが、電力用炭販売会社等で貯炭保有機能というものがどうしても考えられないものかどうか。それが考えられないとするならば、やはり貯炭融資という問題については無利子の融資というものを配慮するということが必要ではないか。 第二番目といたしましては、石炭鉱業審議会の中でも、需要業界の方々がときには過剰過剰といって大騒ぎするが、不足をするとすぐ石炭業者は供給責任がないと盛んに言われる、そういう点から、安定供給というたてまえから、むしろランニングストックのレベル程度を考慮して貯炭をする、こういうような対策というものが考えられるかどうか、以上の点についての御配慮をわずらわしたいと思います。 時間もございませんようでございますので、あとは省略をいたしますが、私もあえてダブって申し上げたいのは、これまでの施策の最大のウィークポイントであったのは労働者対策であったと思います。これは労働者の賃金というものをあたかも特別なもののように考えられているようでございますが、私はやはり労働力という商品の価格だと思うのです。ですからこれまではむしろ癒着ということばが適当であるような定着をしておる労働者というものは、なかなか逃げ出しにくい事情もございました、しかし、新しい労働力というものはやはり社会的な商品価格というものに対応する賃金というものが保障されない限りは、絶対に確保できないということは言うまでもないわけでございますし、事実非常に大きな矛盾が出ております。たとえば百名程度の人間を肩入れ金まで使って一生懸命集めてくる、半年もたたないうちにそのうちの九割程度はやめてしまう。また新しく肩入れ金等をつくって雇ってこなければならぬというのが大手の中でもたくさん発生をしておるという事実であります。そういう点から考えまして、やはり一挙にはいかないにしても、他産業レベルの賃金というものが保障されるという前提に立って政策というものが再度検討されますように、諸先生方にお願い申し上げたいと思います。 最後に一つお願い申し上げたいのですが、経理規制の問題に関連しまして、私、職員組合として重大な関心を持っておる点がございます。これは多角経営という問題に関連をいたしましてかなりむずかしい問題が出てくるのではないかと思いますが、施策の対策費用を横流しをするという意味ではなくて、今後石炭産業が生産規模そのものを横すべりで維持するといたしましても、労働者の数なりその他は販売面、生産面を通して、さらに縮小を余儀なくされる。一面では石炭産業それ自体が生々発展をする可能性というものはまずないという点から、やはり石炭産業としては多角経営という問題についてかなり大きな比重をかけて今後の経営というものを考えていなくちゃならないという実情にあると思うのです。そういう点も御配慮の上ひとつ御検討願いたい。 以上、非常に取りとめなくなりましたけれども、私の要望を申し上げまして終わりたいと思います。
○多賀谷委員長 これにて参考人各位の御意見の陳述は終わりました。 ―――――――――――――
○多賀谷委員長 これより参考人各位の御意見に対する質疑を行ないます。 質疑の通告がありますので、これを許します。篠田弘作君。
○篠田委員 長時間にわたりまして、各参考人のお話、まことに当を得ておりますし、われわれも共鳴するところであります。問題は、対策が立てられましても、実施がおくれているために実情に即さないという面、古い問題に対する石炭対策、新しい前向きの問題は少ないというようなこと、それは石炭の位置づけであるとか、労務対策であるとか、流通機構の対策であるとか、いろんな面をあげられましたが、そのとおりで、私はやはり対策を立てた以上は実行するということが先決問題であると考えております。 その実行の面につきまして、ただいまいろいろな抽象的な面と具体的な面とがありますけれども、具体的な面といたしまして、私はやはり安定補給金の増額が絶対必要である。 いま一つは、電力、鉄鋼等に対して、石炭を消費した場合に還付金が渡されておりますが、紙、パルプの百万トン以上の消費に対しては還付金がない、非常に不公平であるという問題をひとつここで取り上げてまいりたい。 いま一つは、中近東の最近の状態に対しまして、日本の固有のエネルギーというものの必要性の増大、それに対する見通しが立たなければ、私は日本の産業というものが、破滅とはいわないけれども、少なくとも影響を受けるのではないか、こういうように考えております。こういう面につきまして、ぜひ参考人の言われた面を委員会として取り上げていただきたい。 質問ではございませんけれども、ほかに委員会がもう一つ十二時からございますので、それだけの注文を申し上げて、質問にかえたい、こう思います。 どうもありがとうございました。
○多賀谷委員長 委員会に対する要望でありますので、今後理事会を開いて協議したいと思います。
○篠田委員 どうぞひとつ……。
○多賀谷委員長 中川俊思君。
○中川(俊)委員 私も大して質問というわけではないのですけれども、ちょっと感じたことを二、三申し述べて、ひとつ御意見を拝聴したいと思うのです。 石炭政策が二転、三転しまして今日に及んでおることは、私ども国会におります者としてもまことに申しわけないことだと思いますし、政府が非常に怠慢である、優柔不断であるということについては、私どもは後日あらためて政府を追及いたします。いま篠田君からお話しのあったように、すでに国会に提案されておる緊急な二つの問題についてもまたこの委員会の採決が延びておるような状態でございまして、その結果、石炭に関係していらっしゃる方々に対して非常な御迷惑を及ぼしておる点が非常に多いだろうと思うのです。これらの点につきましては、後日本委員会でも、いま委員長のお話のとおり、理事会なりあるいは委員会で審議され、協議することでございますので、できるだけ早急に御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。 私は、数年来日本には総合エネルギー政策がないということを唱えております。これは通産省一つごらんになりましても、石炭局と鉱山局というものは互いにいがみ合っておる。石炭は、ここに井上局長おりますが、井上さんなんか非常に熱心にやっておるのですが、しかし井上さん一人の力ではだめなんです。これは政府全体の責任である。大体いまの総理をはじめとして石炭に対する認識がないと私は思います。私がかつて、いまの総理が通産大臣時代に、二時間ばかりこの問題について佐藤通産大臣と質疑応答をかわしたことがございますが、そのとき一体石炭というものに対してどう考えるのかとこう言ったところが、速記を調べてみればすぐわかるのですが、石炭はだめなんだ、石油でいくのだとはっきり言っておるのです。もう数年前にいまの総理は石炭というものは投げ出してしまっておるのです。ですから、そういう意味から考えましたら、政府のやっておることというものはまるでなっていない。だからあなた方自体がそういう間違った政府の考えを是正する努力が足りないと思うのです、第一番は。 それから私は率直に申し上げて、はなはだ失礼でございますが、石炭業界の方は少しのんき過ぎる。たとえば在外財産の問題でも二千億も三千億も出そうとしているのですよ、いま。しかるに日本の産業をささえるエネルギー、日本の資源といったら石炭以外にない、そのエネルギー資源がなくなって――、先ほど篠田君からもお話がございましたし、それから松葉さんからもお話があったけれども、いまの中近東情勢、世界情勢なんか全くむとんちゃくに論ぜられておると私は思うのです。いまの総理が通産大臣時代に、私は、スエズ運河がこの前もナセルがぽかっとやったらすぐ石油が来なくなって日本は大騒ぎしたではないか、将来そういうことがあったらどうするんだと言ったところが、そんなことはありはしない、こうはっきり言っている。そのくらいな認識しか持っていない者がいま石炭政策をどうこう言うてみたってだめなんですから、その間違った考えを是正さすために石炭業界の方もうんと努力していただく。また野党の諸君もいい攻撃材料だから、私は攻撃材料を与えておるようなものだが、そういう点に対して野党の諸君もうんとやらなければならないんだが、野党の諸君もピントはずれの攻撃ばかりやっておる。したがって石炭政策というものはいつまでたっても私が冒頭に申し上げましたように、二転、三転して進まない。いろいろな原因があると思うのですが、いまの中近東の情勢は非常に大きくなってまいります。私はおそらく拡大してくるだろうと思う。日本が何ぼ中立を盛んに声明しておりましたところで、日本が西欧に加担しておるくらいのことはあれらはばかじゃないですからよく知っておるのです。ですから米英に対して石油を輸出しないというようなことはもうすでに声明しておりますが、その波紋は私は必ずくると思う。そのときに一体日本はどうするのか。まっ暗になりますよ。電灯もつかなくなるかもしれない。新聞も発行できなくなるかもしれない。機械もみなとまるかもしれない。そのときになったら石炭のありがたみがわかるのです。ところがそれじゃおそいのです。だから総合エネルギー政策というものを充実しなければいけないといって、私はかつてエネルギー調査に方々回りましたときに、社会党の諸君とも一緒に回ったのですが、帰ってきて総合エネルギー政策を樹立しなければいけない、それにはまず日本は、エネルギー省というものをつくれ、石炭局だとか鉱山局だとか原子力局だとか全然方々へ分かれてしまって、各省がばらばらにそのエネルギー対策をやっておるが、それではだめだから、エネルギー省でもつくって、総合エネルギー政策を早急に樹立しておかないと日本は将来困ることがあるぞということを盛んに言って、総合エネルギー政策議員懇談会というものまでつくったのですが、時の幹事長である前尾君はこれをつぶしにかかった。私は野党の諸君もここいらにいらっしゃる方も全部入っていただいて、そうして総合エネルギー政策議員懇談会というものをつくって、私はしばしばこの問題を討議しておったのですが、そんなものを野党と一緒につくる必要はないというようなばかなことを言うやつが時の幹事長をやっておった。そういうことから日本の国会をあげて、政府も同じでございますが、総合エネルギー政策というものに対する政策が非常に貧困である。同時に業界の皆さまも、申し上げてははなはだ失礼でございますが、自分のことでありながら政府が何とかしてくれるだろう、労働組合の方は、端的に申し上げてはなはだ失礼かもしれませんが、賃金値上げの闘争ばかり年じゅうやっておる。そういうようなことで石炭業というものをみんなで力を合わして伸ばしていかなければならないという熱意が、私は率直に申し上げて政府も国会も業者も労働組合もみな足らぬと思うのです。ですからそういう熱意が足らないところにその業界が発展する素質はありません。ですからこれは私どもは政府を責めます、これからうんと。政府を責めます。野党と一緒になって責める。私は与党であっても責める。責めるが、同時にあなた方も政府に対する具体的な対策を提出してもらわなければいけない。先ほど植田さんがおっしゃっておりましたけれども、あと始末で前向きの政策がない。実際そうなんです。あと始末ばかりやっておる。それも一歩も二歩もおくれておる。そういうあと始末ばかりやっておる。役人というものはなかなか前向きの政策を立てないものです。責任ばかり――自分の首ばかりなでておりますから、なかなか前向きの政策は立ちやしない。その立てない役人を立てさすようにするには、私は業界のあなた方の熱意が足らないのじゃないかと思う。 そういうような点から考えまして私はちょっと一、二感じたことをお尋ねするのですが、最近経済界の実情が急激に変わってまいります。そういうようなことから、たとえば電力会社が技術コンサルタントをつくってみたり、あるいは土地会社を経営してみたり、それからそれに関連するいろいろな施策、事業をやる。たとえばこれは先ほど松葉さんからおっしゃった中にあったと思うのですが、いわゆる多角経営とでも申しますか、そういうようなことをやって、いろいろ四苦八苦して何とか電力事業というものを軌道に乗せなければならないという非常な努力をして今日の電力会社はできておるのじゃないかと私は思うのです。商事会社にしましても、商事会社が建築会社をやってみたり、観光事業をやってみたり、いろいろなことをやる。多角経営をやる。サイドワークといいますか、そういうことをやる。しかし商事会社が建築会社をやるのは私は邪道だと思う。電力会社が建築会社をやるというのもちょっと邪道だと思います。しかしながら電力会社そのもの、商事会社そのものを軌道に乗せる、それぞれの株主がおって、人の金を預かって仕事をしておるのですから、その責任を果たす上からいっても、その事業を盛大に持っていくという見地からそういう仕事をやることは私は差しつかえないと思う。その方面に力を入れ過ぎて、腰を入れ過ぎて、本来の商事会社、電力会社というものの仕事がだめになったのでは、これは角をためんとして牛を殺す結果になりますけれども、そうじやない、いまいろいろな多角経営、松葉さんがおっしゃっておった多角経営ということばですが、多角経営に乗り出すというについては、背に腹はかえられない、何とかして自分の会社を盛り立てていかなければならない。経済事情は悪い、政府はぐずくずしてなかなか施策をやってくれない、銀行は金を貸してくれない、しかしながらそうかといって給料は払わなければならない、経営費は要る、だから多角経営をやってでも何とかして本来の仕事を盛り立てていこうというところに、業界の多角経営を各方面でやられるのじゃないかと思うのですが、石炭業界においてもそういうことを経営者の方は一体考えていらっしゃるのかどうかという点が一点でございます。 それからそういうことをやった場合に、労働組合の方々は協力されるのかどうか。そんなことをやられちゃ困るじゃないか、おれらのほうはめしが食えなくて給料もろくすっぽ上げてくれないんだ、だからそういうことをやらないで石炭オンリーの仕事をやってわれわれの給料を増してくれという要求を山本さんや早立さんや松葉さんはなさるのかどうか。そういうことであるならば、せっかく経営者が何とかして自分の会社を盛り立てようという努力をされても足を引っぱられる結果になって私は成功しないと思います。そういう点についてまず経営者の皆さん方、麻生さん、植田さん、舟橋さんからひとつ御意見を、積極的な施策――私は多角経営であるとかサイドワークとかいうものは、その本来の仕事を生かす上における積極的な施策だと思うのです。政府の施策とかなんとかということは、むろん私どもは後日、先ほど申し上げたように追及いたしますが、経営者自体として積極的な施策を一体どういうふうに考えていらっしゃるか。それから組合の方々は一体そういうようなことに対してお考えになったことがあるのかどうか。もし経営者の方がそういうことをやられんとした場合に、足を引っぱられるようなことはされないのかどうか、こういう点をまずお伺い申し上げます。
○麻生参考人 いま中川委員から、経営者は非常に熱意が足りぬというお話でございます。それは反省してみますとそういう点もあるかもしれません。経営者もこれだけ追い込まれますと非常に消極的になりがちでございますので、いまのおことばに従いまして今後ともひとつやってみたいと思います。 いまの多角経営の問題であります。これは端的に申しまして多角経営は必要だと思います。しかし節度はあると思います。石炭がわれわれの本業でございますから、これをなげうってと申しますか、というような多角経営のやり方というものは筋が違いやしないかと思いますが、いままで、過去の例から申しますと、ある程度石炭の値段は年々需要供給のバランスによって上がってまいります。現在の状態でございますと、ある程度くぎづけという形でございます。年々コストは上がるわけでございますから、これを石炭の合理化で補って、それ以外に、場合によっては資本を有利な事業に投資をして事業を興して、そこからの収益でもって会社の内容をよくするということでございます。これは、一つには炭鉱を合理化していく場合の従業員の一つの行く先にもなるかということでございます。私も、これは協会会長としてではなく、麻生産業でありますが、私のセメント工場をつくります場合にはかわり切り羽という名前で炭鉱の従業員だけでやったという例がある。こういうのが各社あると思います。これは、私は組合のほうからもきょう御発言あると思いますが、協力していただける、いままでもいただいておるものでございます。
○植田参考人 中川先生のおっしゃること、ごもっともでございます。私はもともと日窒鉱業の社長を十五年やっていたのですが、それでメタルのほうもやっておりました。その他採石もやっております。いろいろ多角でやっておった経験がございます。それは大いにいままでずっとやってきておりました。私のほうも炭鉱を二、三年前にやめたのですが、そのあとへ機械の工場をつくりまして、それは炭鉱があるうちから別会社にして、それへ工作場をつくって、そして佐世保の船舶あるいは三菱の長崎の造船所、その下請をやって炭鉱の仕事もさす、こっちの外注も受けるというような多角経営をやった経験があるわけです。そういうことで、まことにけっこうなお説だと存じます。
○舟橋参考人 私どもの言いたいこと、国民の言わんとすることを中川さんにおっしゃっていただいて、非常に衆議院の先生方の中にもあなたみたいな人がおられることにわれわれ意を強うしたわけでございますが、心から尊敬もし、同時に今後ひとつその意気を捨てないように御援助を願えることをまずもってお願いしておきます。 多角経営の問題に対しては、私どもも終戦前後の中小炭鉱の経営者ですが、合理化の問題が爼上に上がるまでは多角経営なんかということは石炭との関連にあたっては考えておりません。合理化が進むに従って、先ほど松葉君が指摘したとおり、二十九万幾らの人間が九万何ぼに減る。その人間の持っていき場所ということを一番先に考えた。どんな小さい炭鉱でも閉山するときには雇用の促進、完全雇用ということばを使われるわけなんです。完全雇用ということになりますと、労働者全部をそれぞれ完全な雇用に振り向けなければならぬ。ようやく五年前にやっと初めて雇用促進事業団というのができました。これもちょうど半身不随のような形になっておる。したがって、経営者としては、私ども中小炭鉱は、特に中小企業というものは労働者が全部の資本なんです。これはもう資本の基礎なんです。金がない者がやるのだから、資本の基礎は労働者しかないわけですから、労働者とよく相談して、労働者の将来を考えてそれぞれの機能を持った者をそれぞれの立場に振り向けてやりたい。そうして、それらからもし収入が得られるならばそれを炭鉱に向けたいというので、私どもも自分の炭鉱を全部で四つ、五つやっておりますが、現在ではほかの産業から上がった金を全部炭鉱に突っ込んでおる。もうほとんど質に置くのがないぐらい突っ込んでおります。女房も質に置きたいけれども、ばばだから質の取り手がないということで、ほとんどそういうようなことで突っ込んでおるのですが、そういうことで、私は、この問題に対しては組合もあらゆる角度から協力してくれておる。組合員であったものが、――いま私どもはハイヤー会社を一つやっておりますが、ハイヤー会社の運転手の全部がもとの組合員です。若いのは二十代、年のいったのは五十くらいまでやってくれている。そこで多少でも収入が上がったら、それを炭鉱にみんな持っていっている。そのことは炭鉱の労働者であっただけに、炭鉱に持っていくことは喜んでやっていただいておる。こういうことで、私ども結局炭鉱を維持するためには、あらゆることをやっておる。どろぼうをやらぬだけで、あとほかのことはあらゆることをやっておるわけなんです。そういうようなことをひとつ御承知願いたい。 それから、同時に、組合員のことは、ここにいる山本委員長は、これは北海道出身で、最近委員長というえらい職になって東京に来られたのです。北海道のことはよく知っておられるのですが、私どもあらゆる角度から相談し合って、私ども中小炭鉱と北海道の炭労なんかというのはほんとうの親子の関係で、相談し合ってやっておるわけです。したがって、あまり中小炭鉱には大きな争議もなく今日まで持ってきたのは、組合のおかげだと思っている。また組合をそういうふうに持ってきたのは炭労のおかげだ、炭労と私どもとほんとうの密接な関係をとってそういうことをやらない、こういうことでできる限りやってきておりますから、今後もそのことは必要だと思います。したがって松葉さんの御意見のごとく、今後は関連産業によって炭鉱を育てていくということなんですが、もうそれも限度がきておる、どの産業も限度が来ておる。ただ問題は、大手の関連産業を見ますと、会社みずからが全部投資している。たとえば三井鉱山、三菱鉱業が投資して建築会社をやり、さらに油の会社をやっている。油に食われながら油の会社をやっている。これらはほとんどその関連的の子会社が赤字なんですね。私どもふしぎでしょうがないんです。私ども関連の子会社はみんな黒字で、それを炭鉱に逆に持っていっている。ところが大手のほうの関連の仕事は、会社みずからが――私は各大手の会社の株主ですから、決算書をもらっているんだが、決算書の内容を見ますと、それが全部子会社に食われていっている。私どもは逆に子会社から炭鉱に持っていっておる。そこにちょっと開きがありますが、これは経営のあり方に基因すると思います。そういうようなことで、私どもは自分たちの中小企業ですから、始めたら死ぬまで、地獄までついていくわけですが、大手さんのほうは適当な機会に、会社が悪くてもよくても退職金をもらっておやめになればそれで済むのですが、われわれはやめるわけにいかない、地獄までしょい込んでいかなければならない。そういうことで多少あり方が違うと思いますが、そういうことをひとつよく御理解願いたい。 特に先生から言われた、今後国会の法案を早く通していただきたい。そこでことしはもうきまった予算だからこの範囲で早くやっていただいて、そして次の来年度の問題にはひとつ先生のところにこれから全部持ってきますから御協力願って、ひとつよろしくお願いいたします。
○山本参考人 中小の場合と大手の場合と区別をされますが、中小の経営が行き詰まって何とかしなければならぬというときには、再建案というのを労使双方でつくります。そういう過程では、多角経営の問題も積極的に取り上げて、むしろ推進をするという例が間々ございます。大手炭鉱の場合ですが、それぞれセメントであるとかあるいは建設会社であるとか土地、不動産であるとか、あるいはまた観光会社、タクシー会社、こういうようなことを資本を持ち出してそれぞれやっております。当然それらの議題については、経営協議会等を通じて諮問をされますし、意見を徴されます。いままでの経過の中では、積極的に反対をしたことはございません。むしろそういうような点については、炭鉱離職者の面等もございますから、雇用の増大という方向で積極的に承認をしたという例はあります。 しかし、いまになって考えは変わっています。私どもはむしろそういうことを朝鮮動乱を契機にしてやるべきでなかった、こういう認識を持っております。あの辺で少しもうかって資本が蓄積されたならば、むしろ坑内のほうに設備投資をして、炭鉱の近代化をはかっていくということを積極的にやるべきだった、こういう反省を持っております。皆さん御承知のように、それぞれの大手の企業の収支計算書なり損益決算書をごらんになっていただければわかるんですけれども、それぞれの子会社で黒字になっているところもありますし、赤字になっているところもあります。しかし黒字になっているところからの本家のほうへの見返りというのは、営業外収益の中に若干計上されるだけで、資本を持ち出した炭鉱の方にはちっとも恩恵がない、これが現実であります。したがって、私どもはむしろ今日の時点でそういうことは誤りでなかったのか、ああいう五十億であるとか三十億であるとか、そういう金を不動産会社をつくったり、タクシー会社をつくったりするためにやるんだったら、あのときに、もっと坑内のほうに、荒廃しないように設備投資をしたり、機械を導入したり、いろいろなことをどんどんやっておけば、かほどにまでならなかったのではないかという、反省を含めて考えております。
○早立参考人 私は今日まで取り組んできた具体的な事実をもってお答えしたいと思います。 私どもの傘下の組合支部である常磐炭礦の労働組合を見てみますと、いままでの長い苦しい歩みの中で企業の多角経営という問題にも、企業再建、ひいては常磐炭礦の存在する地域社会、住民全体のしあわせの向上という立場から、労働組合も真剣に取り組んで、いろんな問題を扱ってまいりました。現実に十幾つかの小さな子会社でありますが、できまして、いずれも今日まで炭鉱企業部門の合理化の過程で八百人ないし千人という余剰人員が淘汰されてまいりました。その人たち並びにその家族をかかえる意味において、十幾つかの小さな子会社がつくられ、それぞれそちらのほうに就業しておるという状況でございます。ただ、いずれもいままでのところは何ぶんにも規模も小さいし、炭鉱における余剰人員をかかえるというのを第一義的な目的として発足しておりますだけに、それぞれの子会社が十分な利益を上げて炭鉱企業のほうを資金的にバックアップするという体制にはまだまだなっておらないという現状であります。 それから、かなり古い話になりますが、今日の石炭事情の中でかなり効果的な存在となっておるところの、御承知の、常磐共同火力発電所につきましては、かつて常磐の労使が石炭産業の将来、常磐炭礦の将来の展望というものを真剣になって考えた際に、みずから掘った石炭をみずから需要を取りつける、その石炭を使用し得るような道を近くに確保しなければならないという点に思いが至りまして、そういう話し合いの中からだんだん発展してあの共同火発の建設になってきたという事実もございます。そういうことで、今日まで取り組んできたという事実をもって、今後とも必要な面について、企業の再建なり、あるいは体質改善、合理化の途上で生ずるところの問題について、どう合理的に解決すべきかということに労使真剣に取り組んでまいりますから、必要が生じてくれば、同時にまたそのことが可能であれば御指摘のような多角経営等の問題についても積極的に取り組んでいく決意であることを申し上げます。
○松葉参考人 私が提起した問題でございますが、いま山本さんもおっしゃいましたように、いままでの石炭産業がやった多角経営、いろいろなケースがございますが、端的に離職者対策というかっこうでやむを得ずつくった、赤字覚悟でつくったというようなものもございますし、それからその企業自体として黒字を上げ得るというかっこうでやったものもございますし、共存共栄というかっこうでやったものもございますが、端的に申しまして、非常にみみっちいやつばかりであったと思うのです。だから行った者も必ずしも労働条件その他で恵まれているかどうかわからないという矛盾もございます。 しかし、私が先ほどお願い申し上げました本旨は、少なくとも石炭産業本体が自立できるという施策を適用される中から、かといって、石炭産業それ自体が生々発展するという条件はないわけでございますから、企業それ自体としての存立を可能にする施策を遂行する中で、当然、合理化すれば人員の問題も出てまいりますし、そういう人員の有効利用という角度からもやはり長期的な展望に立った、そしてスケールとしても大きい多角経営というものをねらってほしいという気持ちがございます。あまりみみっちいものでなく。そういう場合に、やはり多角経営をやるからには、自己資金が要るわけで、いま山本さんが指摘されたように、炭鉱は先き行きがないから、炭鉱に投下すべき資本を流出させようというかっこうは私としては反対でございます。石炭産業自体としての自立の展望をこの施策の中から与えられていく中で、若干の自己資本は、当然経営姿勢その他とも関連してまいりますけれども、投下を認めていただいて、そうして本来の共存共栄的な形での石炭産業の発展に資するような多角経営というのは大胆に進めていただきたい。 特に私は職員組合として、と申し上げましたのは、私自身が流通機構の統一化という問題を主張しておる一人でございます。そうしますと、販売サイドの人間というのは現在かなりございますから、当然相当大幅な余剰というものは覚悟しなければならない。その場合の販売サイドの人員を発展的に吸収するということは、当然御考慮いただきませんと、なま首を切るというかっこうに、われわれとしては理屈抜きに反対せざるを得ないという面も切実にございますものですから、特にいま申しましたような趣旨で今後の御配慮をお願いしたわけであります。
○中川(俊)委員 時間がありませんからもうやめますが、非常にむずかしい問題だと思います。労働組合の側から考えてみますと、給料もろくすっぽ上げないし、抗内の保安設備もろくすっぽやらないで、ほかの事業をやるのはけしからぬではないかという議は、確かに起こると思うのです。一方しかしながらまた経営者から考えてみますと、その給料を上げるような方法を他の道で講じ、坑内の保安設備を講ずるためにこういう仕事をするのだという場合も私はあるのじゃないかと思うのです。これは非常にむずかしい問題だと思いますから、そういう具体的な事例に遭遇した場合には、むろんケース・バイ・ケースで組合と経営者の方がよく協議をなさっておやりになることだろうと思いますから、そういう点にひとつ万全を期していただいて、いま石油がいばっておりますが、やがて石油が原子力に追い回される時代がくると思うのです。いまのちょうど石炭のように、そう言ってははなはだ失礼ですが、いま石炭は石油に追いまくられておる。そういう時代がやがてくる。そういう点から考えても、政府はすみやかに総合エネルギー政策を樹立して、日本の百年の大計を立てなければならぬということを私はいつも考えておるわけでありますが、そういう点について、ひとつ労働組合の方々も、それから経営者の方々も真剣にひとつお考えいただいて、政府をうんと鞭撻していただく、こういうことをぜひ心がけていただきたい。このことを御注文申し上げて、私の質問を終わります。
○多賀谷委員長 岡田利春君。
○岡田(利)委員 長時間にわたって参考人の方々から貴重な御意見を拝聴しましてありがとうございました。 二、三御質問申し上げたいと存じますが、まず第一点は、石炭政策を要求され、今度の政策を受けられる側に立ったわけです。もちろんわが国の石炭産業の歴史的経過から見て、大手、中小の協調と対立の歴史、こういうものをわれわれは身をもって実は味わってきたわけです。しかし、今日のこの時点に立って考えれば、いずれにしても昭和四十五年で日本の石炭産業の自立を目標にする、しかも体質的には残る山というものはほぼ決定に近づいておる、こう申さなければならないのではないかと思うのであります。そういたしますと、大手の協会の中には、中小炭鉱も一山くらい入っておるとか、あるいは鉱業協会自体が北海道と日本連合会に分かれておる。こういう面について大同団結をすべき時期にきたのではないか、こう実は考えざるを得ないわけです。しかも日本の石炭協会は、西ドイツの協会等をきのうもわれわれが研究した場合には、非常な弱体な協会である、こう実は言わざるを得ないわけです。私はそういう反省を含めて、この際もちろん一挙に組織統合ということはむずかしかろうと思いますけれども、そういう努力あるいは次善の策、こういうものをとりつつ、これからの石炭政策に対してまとまった意見で要求をしていく、またこれを受けてこたえるという体制が必要ではないか、この点について端的にそれぞれ御意見を承りたいと思うわけです。 それと同時に労働組合も、いま日本の労働戦線が分裂をいたしておりまして、炭労は総評である、全炭鉱は全労に加盟をしている。さらにまた炭職協が一応中立というような立場にあるわけです。しかも、今回の賃金闘争の経過等を見ますと、石炭サイドという立場で見れば、それが単なる縦の系列だけにこだわって、団結、協調の方向を阻害されるという点については、それぞれ加盟の組織のいかんを問わず、大きな阻害的要因というものが出てくるのではないか、こういう意味では、石炭サイドの立場から、三者が積極的に協議機関をつくるとか、そういう創造的な組織的連携といいますか、こういう立場がやはり客観的にも要求されておるし、石炭政策を進めるわれわれの立場からも、そのことは強く要望しなければならぬと思うわけです。私は、そういう意味において、それぞれ三者から端的にそういう点についての考え方をお伺いしたいと思うわけです。
○麻生参考人 いま岡田委員のおっしゃるとおり、方向は全くそのとおりでございます。過去の歴史を申しましても、私の記憶だけでも、一緒になり別れる、一緒になり別れるというのでいままできております。去年ごろからまた一緒になろうじゃないかという話が出ておりまして、方向としては、おっしゃるとおりの方向でいきたいというのが、私ども業界全体の考え方と御承知いただいていいのじゃないかと思います。
○植田参考人 一緒になる。――原則的に、われわれ連合会としましても賛成なんです。それで二、三年前から原則的にやろうじゃないかということで、ずっと懇談をしておったのです。今度抜本策が出ましたので、その運動する過程において一応延期しておるということになっておりますが、これを進めるべきではないかと私たちは考えております。
○舟橋参考人 いま申し上げたことが全部ですが、実は昨年もほとんどそれに近いところまで話が進んで、そして麻生さんの会長さんとしては受け入れ態勢もできて、しかも事務所までも話し合ったのです。私どもはそのつもりで私どもの協会の総意をもってこれに臨んでおったのですが、遺憾ながらこの北九、西九、宇部、常磐のほうの都合で、都合の内容は知りませんが、都合で、合同はしないのだということで、それで私は、麻生さんに、この四地区がしないのなら、北海道だけ大手と合同したいと言ったら、どうもそれじゃ困る、全部でなければ困るから、しばらく待ってくれ、こういうことだったのです。 これは合同する前提というものが一つあるわけです。先ほど中川さんの意見も聞きましたが、石炭に対しては、いつの場合でも、与党も野党も。ほんとうに一緒になって心配してくださっておる、これは非常に私どもうれしいのですが、また今後ともそうあってほしいわけなんです。その中で、われわれ業者としては、どうしても流通機構の大同団結を早くやらなければいかぬ、そして私、これはご質問くださった岡田先生は知っておられると思うのですが、舟橋構想というものを打ち出してから五年になるわけです。まず北海道だけでも、暖房炭を中心にひとつ流通機構の大同団結をやろうじゃないかということ、これを出発点として、将来早くやらなければいかぬということを言ったのですが、なかなか大手さんのほうでは踏み切りがつかない。踏み切りがつかないのには、先ほど松葉さんの言った中にもあるごとく、いまの営業部というところに各社は非常に大きなウエートがかかっておる。人員も多いし、人も多く使っておる、有能な士もおる、会社で会議をすれば営業部に言いまくられてしまうことになるでしょう。そういうことで、社内のセクショナリズムの体系が今日をなしたと私は思っておるのです。しかしここへくれば、そんなことは議論抜きで早くやらなければいかぬ、そういうことを考えて、それをやるためにも大手、中小が一緒になって、そしてそういうことを話し合う機会をつくりたい、実は北海道で中小だけつくったらどうかという意見がしばしば出るのですが、北海道の暖房炭の販売の約二百四十万トンのうちの百四十万トンが大手であって、中小が八十万トンとか九十万トンであるということから、つくっても意味をなさない、そんなことで今日まで延びておりますが、ただいまの御意見は、御指摘のあったとおり、私どもも考えていないことはないのですが、いろいろの事情で延びております。急速にこれをやりたいと思っておりますことをお答えしておきます。
○山本参考人 私どものほうはもっと実際的でして、協会が一本化するというだけでは、確かにある意味では機運を促進するという役目は果たすでしょうけれども、それより一歩進めて、国の力なりあるいは行政の面で大型炭鉱化というようなことをはかって、能率アップなりコストの軽減なりをやらなければ、石炭政策の実際の意味にこたえる現実施策にならないのではないか、こういう意味で申し上げております。たとえば、赤平炭鉱と周辺の茂尻炭鉱が合同をした炭鉱ということを考えてみた場合には、非常にこれはいいあれがあるのじゃないか。あるいは夕張炭田で大夕張炭鉱と夕張炭鉱が一緒になる、これは十分に採算がとれるし、利潤もはじき出すことができる、こういう現実に即した面で申し上げております。 それから流通機構というのは、どうしてもこれは一本化する必要がある。お互い落ちぶれたもの同士が、なおおれが生き残ろう、こういうような無用な競争なんというものはやめるべきだ。膨大な人員と膨大な費用をかかえて、何でこの段階で流通機構の面でお互いに競争をしてむだなことをしなければならぬのだ。これを一本化して、販売会社をつくるとか、共同出資による会社をつくり上げていくとか、こういうことによって、労働者の賃金を押えているような悪条件というのは、トン当たり二百円から三百円軽々と浮いてくるじゃないか、それを労働者のほうへ回せば、なおのこと炭鉱労働者も一生懸命になって働くのだから、政府から金をよこせとか融資をせよということももちろん必要だけれども、みずから自立するという立場に立ってやるのなら、そういうことをやれば、あまりお世話にならぬでも、労働組合やあるいは炭鉱の労働者や地域自治体の人たちに迷惑をかけなくてもやれる道があるじゃないか、そいつをやりなさい、こういうふうに申し上げているので、むしろそういう意味で強く推進を願いたい。 それから組織が割れているということは、これは全く悲劇なことでございまして、やはり炭鉱の労働者というのは、どの中小炭鉱で働こうが、大手で働こうが、三井であろうが住友であろうが三菱であろうが、それぞれ同じレベルで同じに働くというのが理想でありますから、そういう面に向かって共通の課題をとらえて一緒になるように努力をするということは、私どもの行動方針の中で再三決議をしていることでありますから、現実の問題でより一そう関係の炭職協やあるいは全炭鉱の方々とも心を開いてよく話し合いをしてこたえたい、こういうふうには思っております。
○早立参考人 第一番の大手、中小業界の大同団結問題等につきましては、まさにきわめて望ましい措置であるとわれわれは考えております。したがいまして、いま炭労の山本委員長が申し上げましたような方策を具体的に話し合っていくための場が必要であると考えております。そういう意味において、われわれはかつてわれわれの組織関係だけにおける石炭産業危機突破の全国労使協議会というものを制度化しておりましたが、その後、石炭協会内部の機構の改革等との関連から、どうも有名無実的な関係になってまいりました。したがって、今日の段階において、われわれは従来ありましたそういう制度をさらに一歩前進させた形で、大手のみではなく、大手、中小全体の業界代表と、一方労働組合は、われわれ、炭労、炭職協、この三組合代表、したがって名実ともに石炭産業の経営者側、業界側代表と、それから労働者側代表、この双方で、まず中央段階における政策その他について腹を割って話し合い、協力体制をつくっていくための協議会制度というものをつくるべきである、こういうふうに考えております。かつて石炭大手協会等にそういう提案をしたこともありますが、趣旨はともかくとしてなかなかということでもって、いまだ実現いたしておりませんが、そういう面については、ぜひとも実現をさせ、そのような方途を通じて、山本炭労委員長が提記されましたような点についても、そういう場の話し合いの中から進展をはかってまいりたいと考えておるわけであります。 それから二番目の労働組合の統一問題についてでありますが、もちろん、われわれ炭鉱の労働組合、現在の三組合がほんとうに実質的に完全一本の体制になって進むことが望ましいと思っております。しかしながら、いずれも三組合それぞれ歴史的な組合の性格、経過があるわけでありますから、それをただ統一のための統一ということで考えていったのでは問題があるわけでありまして、そういう立場ではなくて、実際的に、それぞれの組合三つありますけれども、その中で実際的に共通の課題に対して具体的に活動面において、あるいは目標の設定の面において十分話し合い、協力し合い、実質的な個々の具体的面についての実質的な一本化の対処の体制というものをつくり上げていくということが必要であると考えて、そういう意味での努力をいたしております。具体的には炭鉱年金設定のための組合側の活動の時期において、あるいは最近における賃金交渉の際にあたりましても、私ども三組合、そういう意味ではそれぞれの発足の歴史的性格の違い等を持ちつつも、具体的そういう問題について実際的に意思を統一して行動できたという事実がありますので、この事実の上に立って、さらにいま申し上げたような意味での努力を推し進めてまいりたいと考えておるわけであります。
○松葉参考人 大体同じような意見でございますが、まず組合サイドの問題については事実の積み重ねの中から、御指摘、御要望されておるような方向に進む努力を続けたいというように考えます。 業界の問題についてはおこがましく申し上げるつもりはございませんけれども、私自身も石炭産業中央労使協議会的な場はやはり必要なのじゃないか、それと協会の機能自体が、私によくわかりませんけれども、多分に寄り合い世帯的な形でまだいるような印象も受けますので、やはり石炭産業の戦略、戦術を決定する参謀本部という機能を持たせる方向での統合という問題を御検討いただければという気持ちでございます。
○岡田委員 たいへんけっこうな御意見だと思うわけです。しかもそういう労使ともに体制ができて、またさらに労使が十分石炭施策について意思統一、意見の交換をするという場合には、本委員会ですでに通産省、労働省もそういう点を歓迎いたしておりますし、これには積極的に協力を惜しまないということがそれぞれの大臣から表明されておるわけですから、そういう方向に進むことを特に希望いたしておきたいと思います。 次に麻生参考人にお聞きいたしたいのですが、鉱区の調整の問題はずいぶん個々のケースで進んでまいっていると思います。しかしまだまだ調整をしなければならない個所が多いと私は思います。それと同時にいま調整が行なわれておるのは、これは緊急に調整をしなければならない、さしあたってどうしても必要であるという部面に限って鉱区の調整が行なわれておるわけです。しかしその石炭企業、炭鉱が二十年、三十年、四十年という展望に立って現在の坑口の設計からフィールドを確定いたしますと、相当数まだ鉱区の調整を必要とする個所が多いわけです。しかもそういう点が確定いたしておりますと、新たな採掘計画を立てる場合にそういう展望に立って合理的な設計を行なうことが可能であると思うわけです。そういう面になりますと、まだまだ鉱区の調整については非常におくれているのじゃないか。この抜本策を契機にしていわゆる長期的なそれぞれの残る炭鉱のフィールドをむしろ業界みずからが確定すべく積極的な努力をすべきではないか。どうせ自分がそこに鉱区を持っていても新たに坑口を開設して掘れるわけではないのです。しかもそれを高く評価をしますと、その鉱区を得て実際その採算に合うかということになると、これまた問題があるわけですから、この点は業界が自主的にむしろふん切りをつけるべきではないか、それを積極的にみずからまず進めるべきではないか。しかし炭鉱経営者というのがなかなかものがわからないでそういう解決ができないとするならば、そのためのある程度強制を伴った立法のことも考えなければいかぬのではないか。合理化法で一部改正すればできますけれども、そういうところまで考えざるを得ないのではないか、こういう気が私はするわけです。 この点が一点と、いま流通問題について出ましたけれども、石炭は御存じのようにカロリーと灰分だけで価格をきめるわけにはまいらぬわけです。特に暖房用炭の場合には持ち味があるわけですから、これを一手引き受けて価格をカロリーと灰分等できめるといっても、いままでの実勢価格があるわけですから、足並みがそろわないわけです。そういう持ち味というのは長い間の実勢価格になって示されておると私は思うわけですね。ですからそれを一応尊重するという前提に立てば、ある程度暖房用炭の販売等の一元化と言わなくても、協調体制というものは進むのではなかろうか。しかも消費者側にすれば、たとえばどこどこのメーカーでなければ絶対だめだということではないわけです。むしろミックスすると価格も適当であり、たいてまた適当であるという炭ができるわけですね。非常に簡単にできるわけです。そういう点も可能になってくるし、そういう意味では石油に押されておる暖房用炭の確保、特に北海道地区の場合には寒地なわけですから、むしろ拡大の方向に向かっていくことも可能ではないか、こう実は私は思うわけです。いままで長い間石炭政策をやってまいりましたけれども、どうも、、こういう流通の問題になると、結局は意見が違って、これは自分のプラスになるかマイナスになるかということが先に立ちますから、言うだけであって実りがないという経過で終始をしてきたと私は思うのですが、こういう点について一本化するという前提に立てば、業界がやはりみずから英断、決断を持って努力をしなければならないのではないか、そういう努力がやはり一般国民に示されなければいかぬのではないか、こう思うわけですが、この点の見解を承りたいと思うわけです。
○麻生参考人 いまの最初の鉱区の問題からお答えいたしますが、鉱区の問題はお説のとおりだと思います。いままでもだいぶ懸案だったもの、片づいたものもございます。しかし、いま岡田委員のおっしゃるように、大きな目で見て、将来のことについての鉱区調整というものについてはまだ欠けておる点があるように思います。ただ歴史的な問題、よく御承知でございましょうが、いままでも、大きな炭鉱同士でも、鉱区調整をしない前に、鉱区線に立て坑をあけて、隣の鉱区は当然とるものだと思うというようなことでやっていたことがあるわけです。(笑声)そういう歴史的なものがやはり感情的に残っておりますものを、そう一ぺんにはいかないかと思いますが、筋から言えば、おっしゃるとおりでございます。私どももその線に沿ってこれからやっていきたい、こういうふうに思います。 それから流通問題、いまのお話の銘柄との関係でございますが、私どもがいつも流通問題で何回も考えたことでございますが、一番問題になりますのは、買っていただく側がこれに対してよほどの御理解をいただかないと、こちらが一緒になった銘柄でなかなか渡せません。結局カロリー、アッシュというものでやっていくとなりますと、いままでの自分の買っていた炭が買えない。そういうことだと、石炭をやめるぞというようなお話が、逆に言えばおどかされているのかもしれませんが、そういうことがあっちこっちからかかります。先ほどおっしゃる営業マンが、そういうことをまた一緒にならない種に使っておるかもしれません。そういうこともあるでしょうね。いままでのところ、そういうことでなかなか進みません。 それからやはりおっしゃるとおり石炭はカロリーとアッシュだけで売るのは私はおかしいと思います。やはり持ち味というものは生かしてやらなければいけない。今後やります場合は、そういうものを生かした前提に立っての流通機構が一緒になるということを考えなければいけないのではないか、こういうふうに思っております。御承知のように一つの例で、戦争中に三池と杵島、あれは非常に硫黄分が多いというので銘柄としては安かったのです。あれはカロリーと灰分だというので値段がつきました。ぽんとそこで値段が上がりました。当時石炭のないころですから、みな買っていただいたわけでございますけれども、現在非常に売りにくくなっているというのは、やはり銘柄というものでなくて、カロリーとアッシュだけで一つの価格がくっついておるということに問題が一つあるのではないかと思います。これからやりますときには、そういうことのございませんように気をつけてやっていかなくちゃいけない、こういうふうに思っております。
○岡田委員 次に植田さんと舟橋さんにちょっとお聞きしたいのですが、特に卑近な例で言いますと、常磐のある地区では中小炭鉱が二つあって、しかも一方は経営がよくて一方は経営が悪い。しかも、それを総合的に開発するためには、またA、B以外にCという鉱区を掘らなければなりません。企業が別々であると結局は総合開発ができないから、いずれも七年前後で掘り尽くしてしまう、こういうような個所に似通ったようなケースは全国にあるのではないかと私は思う。しかし、企業の格差がついていますから非常にむずかしいわけですね。しかしながら、これはやらなければ長期的にその地域経済に寄与し、炭鉱の経営の安定をはかることができないという問題が実はあるわけです。そういう意味では非常にむずかしい問題ではあろうかと思いますけれども、これを一歩進めて共同経営をする、企業合同をするといいますか、もちろんそれは地域経済に寄与するわけですから、それに対応する施策ももちろん考えなければならないわけですが、そういうことを前提にして踏み切っていくという姿勢が特に必要ではないか。中小炭鉱の場合にはそういう例が出てくるわけです。こういう点についてお考えを承っておきたいと思います。
○植田参考人 もともと各炭鉱の経営内容が非常に違うわけです。それと同時に、せんだって調査団が出まして、調べてもらった炭鉱もございますのですが、それを見ますと、やはり炭量が確定しておらぬ。ここの区域は炭量が何ぼあるというのをもう少しボーリングをしたり坑道掘進して調べなければならないというので、とんざしておるところもございます。ですから、そういう区域を――大きな区域ですから、ボーリングをうんとやる、あるいは坑道掘進をしたりして炭量を確定する。あるかないか、あるいはどのくらいの炭量であるというのをきめてかからぬと、技術的に言って算定するのが非常にむずかしいというようなケースもございますので、国家がいま探鉱探査に対して補助をしますから、そういうケースに乗っかって、そこで各鉱区で――いきな炭田を中小側で持っておるところがありますから、そういうところもボーリングしたりして、まず第一に炭量を確保するということが先決問題じゃないかということになっておりますから、そういうところを補助してよく調べて、そういう方向に向かうというのが私は至当だろうと思うのですが、それは大きなフィールドがありますれば、それを一つにして、それで大きい単位で掘るというのが一番いい方向だろうと私は考えております。
○舟橋参考人 非常にいいことを聞いていただいたのですが、実は私一昨昨年この鉱区調整という問題をやかましく言っておった一人でした。北海道では現在大体認可されておる全鉱区の一八%ぐらいが稼行区域になっております。たとえば、百万坪あるものならば十八万坪が稼行対象になって、あとは全部遊休鉱区です。特に三井とか北炭が一番よけい持っておるわけです。そういうことで、もとは天皇陛下が法律を扱っておったのですが、いまは主権在民になって国会が法律の設定をされるのですから、国会議員の先生方に特にお考えを願いたいことは、地下資源及び沼、川、湖というものは国のものなんです。石炭も国のものなんです。ただ、私がこの区域を採掘したいから許可してくれという願書を出して、採掘をするならば許可を与えるといって許可をしてもらっておるのが石炭鉱区なり地下資源の鉱区の採掘権なんで、いわゆる所有権ではないのです。採掘権を与えられておる、このことが一番前提になると私は思います。そういうことで、したがって、掘らないならばすみやかに国に戻す。国は、戻してもらって、それを周辺の一番掘りやすい一番能率のあがっておる炭鉱にこれをまた与えるとかなんとか方法があると思うのです。そういうことですが、しかし、明治以来もう百年にもなろうとするときに、五十年なり六十年なりの採掘権を持って、その採掘権にまた掘らないところの鉱区税も国が全部取っておるわけです。ここに国として強いことが言えない一つの弱みがあると思うのです。食べない飲食代を取っておるようなことになる。掘らない鉱区からも税金を取っておるということで、鶏と卵の関係ができてしまっておると思うのです。したがって、国も強いことが言えない。しかし、ようやく鉱区の調整というものが法律化してできておるんですから、もう一歩進めてそれらの問題まで御検討願うことが必要であるかどうかということはこれからの問題でありますが、大体いまは大手もよく理解して、そうして中小からの申し出あるいは大手同士の統合にだんだん踏み切っております。一昨年東幌内炭鉱株式会社と隣の美流渡炭鉱と合併いたしました。私と萩原君の間ですから話し合いがついて、下部組織の中で労働組合の組合員にも相当強い反対があり、それから会社の中にも、社長と舟橋は何をやるかわからぬというような批判も受けて、私どもボイコットされたのですが、しかし、まず北海道でほんとうの近代化調整の第一号をつくろうじゃないかというので、あそこの鉱区を統合いたしまして、自来二年の間に、二十万トン足らずの出炭がようやくこの九月には斜坑も完成いたしまして五十万トン近いものが掘り得る体制までできたことは一つの大きなサンプルになったのであります。 先ほど山本さんから話があったごとく、赤平と茂尻と北炭の赤間は一本になることが一番よろしい、夕張なんか一本にならないのがふしぎなくらいで、それと北夕を入れて三菱との間に一本になるべき性格を持っておるけれども、まっすぐにいけば三百円も五百円もコストが安くなるのに、曲がりくねっていかなければならないから五百円も高いコストをあえてとっておるというようなことを今日でもやっておるわけですが、石炭の事情がここまで追い詰められると、いろいろなことが全部国から施策をせられることになれば、極端に言えば、国有民営にすることが一番いいのではないか、国有国営ということはなかなかむずかしいから、国有民営にすることが一番いいのではないか。石炭は全部国有だ、国有にするためには、各会社の払い込みの株式金が六百億ほどあるので、一千億も肩がわりしてやるときだから、六百億は高いことはない。政府が肩がわりして株金だけ払ってやればいい、そうして力のある者に経営さすことが必要だ、行き過ぎかどうかわかりませんが、そういうことを考えております。 その意味から鉱区の調整なんていうことはもはや問題にする時期ではない、ほとんど各企業、会社も考えておると思うのです。ただし、それをすることによって、従来九州で起こったように、上のほうの炭層を借してやると掘りっぱなしにして水をためて、今度大手が計画的に下にいったときには上から水がきて掘れなくなったというような実例もあるので、非常にむずかしい問題があるわけですから、結局は大同団結して大合併することが一番望ましいことだ。私が萩原君に言っておるのは、北海道では北炭が中心になって北海道を一つの会社にしたらいい、そうして損をしない、掘りやすいところから掘って、掘りにくいところは保安を十分にして、国の財産だから残しておく。いつ何どき何が起こってもいいようにしておかなければ、日本のエネルギーは石炭しかないのだから坑内貯炭もしておこうではないかということを提唱しておる一人でありますが、私ども人生の最終列車に乗っておる者は下車駅が棺おけなんだから、あまり長い話をしてもだめなんで、なるベく急速にと思っておるやさきに中近東の問題というのが起きて、この機会に今日この石炭の問題の会議を開いた委員長の卓見といいますか識見といいますか、非常にりっぱなものだと思って敬意を表しておるのです。そういうことでひとつ十分に御検討願いたいと思います。いまの問題はそういう形でお答えして、それで逐次やっていきたいと思っておりますから、ひとつよろしくお願いいたします。
○岡田(利)委員 総括的にいいますと、沈滞ムードを破って石炭産業を安定させる、創造的盛り上がりを期待したいわけです。鉱区の問題でも流通の問題でも、あるいは地域的な福利厚生の共同利用の問題でも、歴史的な経過はもちろん違いますけれども、ドイツでやっておるわけです。やはりそういう業界自体の盛り上がりをわれわれは期待したいわけです。やるものはやって施策を受ける、こういう体制で行かなければ国民から石炭というものは見放されてしまう、こういう結果になるので、特に私はそのことを期待をいたしておきたいと思います。 特に麻生参考人にもう一つ伺っておきたいのですが、中小炭鉱は安定補給金の額が少ないという意見が述べられた。それから大手の場合には再建炭鉱だけに安定補給金が出されておる、あとの場合には補給金ではなくて一般的な坑道掘進補助金という政策がすでに予算として決定されているわけです。どちらからも述べられておるのは、金融の問題が特に貯炭の累増と相まって非常に逼迫をしてきた、こういう実情が述べられておるのですが、来年、再来年を展望してもこのことはついて回ると思うわけです。そういたしますと、掘進補助金の場合には当初一年間の実績で金を出す、それじゃいかぬから上期が終わったらその実績で補助金を出す、下期が終わった場合にその実績で補助金を出す。ですからなかなか金がすぐ回らないわけです。安定補給金の場合には一カ月の実績主義ですからすぐ金が入ってくる。しかもこれはそのときの状態で経理の内容である程度弾力的に運用されるという面があるわけです。そういう意味で、今年の抜本的な施策について来年度はある程度考えざるを得ないんではないか、再検討を必要とするんではないか、いわゆる安定補給金的な面を加味していかないと、この問題は来年度になっても解決しないのではないか、私はこう思うのですが、御見解を承っておきたいと思います。
○麻生参考人 いま岡田委員から御質問ございましたが、先ほど一番おしまいのほうにこの法案を急いでいただきたいということを申し上げました。そのあとに需要が相当減るということによってのコストアップ、具体的に申しますと、最近生産が減りますのでコストアップになります。また数年間おくれたための圧迫が最初の計画よりはふえております。先ほどお話が出ました来年度の予算と申しますか、もう近いうちに組む。そこではそういう問題を加味していただきたいというところを遠回しに申し上げたつもりでございます。 いまそれを具体的に御質問があってどうしたらばいいかというお話でございますが、私は今後地域的な問題もいろいろあるかと思いますが、しかし安定補給金式の金額を今後どんどんふやしていただいて、そこでもっていまみたいなものを順繰りにカバーしていくことをしていただくということが必要なんじゃないか、こういうふうに考えております。
○岡田(利)委員 この際労働側にお聞きいたしておきますけれども、いまの労働時間を見ますと、残業がほぼ一時間半というのが実績として出ておると思うのです。これはもちろんいろいろ理由もございますけれども、炭鉱労働賃金というのはこういう膨大な異常な時間外労働賃金も加味されて一カ月の総収入が出されて、それが他産業と比較をされる、こういう傾向を常に持っておるわけです。しかしこのアブノーマルな一時間半の残業というのは保安上から見ても好ましくないし、将来日本の石炭産業の安定という面から見てもやはり異常だと思うわけです。この点基準外労働時間を常識的な他産業並みといいますか、それにほぼ近いものに戻すについて、どういうことが一体ネックになっておるのか、この際端的に承っておきたいと思います。
○山本参考人 御指摘のとおりだと思うので、私どもの悩みでもあるわけです。特に重筋労働であり、生命の安全に絶えず脅かされているところですから、諸外国の例などから見ますと、短時間主義というのは他産業に比べて当然のことなんですが、むしろ逆に最近のような情勢になっています。時間外労働にほとんどたよって、生産なりあるいは収入というものをやっているというのが実情でございまして、まことに遺憾だと思いますが、根本的に低賃金であるということがなかなかこのことをして踏み切らせない。特に坑外なんかの場合においては、政府のほうでおきめをいただいた失対労働者の賃金よりもはるかに安いという実情でありますから、どうしても時間外にたよらざるを得ない。坑内の場合でも、それに見合う賃金ということになりませんから、そういう面では命をすり減らしているということがわかりながらも時間外労働にたよって、残業がないのか、残業がないのか、こういうことになっているのが実情でございまして、私どもはそういう面を向上した上で、政策プランとしての賃率七%というようなことは一日も早く払拭をしていただいて、重筋労働者として見合うところの、坑内条件や保安安全の見地から見てこれくらい、こういう面からの基礎的な資料というものを政策の根本にしてもらいたい。こういうことを念願しているわけであります。 御質問の趣旨に端的にお答えいたしますと、やはり炭鉱労働者の賃金については、重筋労働者、坑内で生命の安全を願う、そういう見地からも引き上げる必要がある、こういうふうに思っております。
○早立参考人 いま山本炭労委員長が申し上げたと同じような考え方を持っております。ただ加えて一点だけこの問題について若干われわれの希望的な考え方を申し上げてみますと、私が冒頭に参考意見を述べるにあたって、炭鉱の労務対策が最もおくれておるという点を申し上げた。労務対策の近代化ということについても、特にいろいろ政府の助成も願いつつ、われわれも努力しなければならない問題であるということをあげました。その中で、ちょっと落としましたが、労務対策の近代化という中において一つ考えなければならないのは、炭鉱の職員は現在月給制でありますが、鉱員は御承知のごとく日給制であります。特に坑内の採炭員、直接員等はさらにその上に請負給制になっております。まず職員、鉱員の身分制を撤廃すると同時に、鉱員についても月給制に踏み切っていくということが炭鉱における労務対策の近代化のための一つの施策として必要なことではないかと考えております。しかし早急にこれは実現し得る問題ではありませんので、長期的にはそのようなことも考えつつ、われわれはそういう意味でのいろいろの努力をしてまいりたいと思っております。 労働時間の問題につきましては、先ほど申し上げたように炭労委員長が述べたと同じような見解であります。
○松葉参考人 一番大きな障害といえば、労働者の側から見ますと低賃金、これが無意識のうちに長時間労働に依存する、非常に矛盾したことなんですが、そういう点は事実だろうと思います。いま一つ、私は経営者自身が従来の時間外労働依存ということの切りかえができないところに一つの問題があるのではないか。これは生産構造自体も近代化をしていくという問題とも無関係ではありませんけれども、たとえば現在支払っている総賃金というものを保障する形で、技術的な検討を通して時間短縮というものが不可能なのかということを、経営者の側からもっと真剣に取り組むということも必要なのじゃないか。多分に長時間労働というものが、要素は違いますけれども惰性的なっている傾向もあるのじゃないかと思います。 それからもう一つは、坑内の生産体制は、テンポの問題を抜きにしまして近代化されていくわけですが、先ほど意見の中で申し上げましたように、労働力は老齢化、未熟練化、これを余儀なくされている。そうしますと、当然経営の側としては、予定出炭の確保という至上命題を追求せざるを得ないというかっこうになりまして、コスト的にどうか、時間単位でどうかという問題を抜きにしまして、何としてでも、長時間労働を強要してでも生産を確保しなければならぬ、こういう矛盾が収支という問題ともからんでやむなくさせられておるというような要素がからみ合って、なかなか脱出口が見出せないでおるというふうに思います。 これはモラルの問題とも関係すると思うのでありますが、私が聞いたところでは、西ドイツかどこかでは、むしろ昼食時間は要らない、こういう主張すらある。ということは、何といっても危険な地下に長時間滞在するということは、それだけ危険に逢着する度合いが高い、したがって、自令のノルマを達成したならば直ちに上がりたいということで、昼食時間を三十分なり一時間きわだってとるということをしないで、任意に食事をとって、自分のノルマを果たしたら直ちに上がる、そしてレジャーを楽しむ、こういうふうになりますと、多分に西欧のモラルの次元というものと、それからわが国のモラルなり置かれた条件というものとはたいへんな食い違いがあるというふうに考えますが、将来的にはやはりそういう方向に――休憩時間をなくしていいという意味じゃなくて、そういうようなかっこうである程度の生活が保障されるような賃金を確保するノルマを達成し得るならば、労使とも坑内労働時間というものは最大限短縮する、こういう指向性を求めるべきではないかと思います。
○多賀谷委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○多賀谷委員長 速記を始めて。
○岡田(利)委員 これだけの石炭政策が出て、もちろんアフターケアはしなければならぬと思うのですが、この方向で石炭企業の安定がなかなかむずかしいという場合には、石炭資本はいさぎよく石炭産業を国に返上すべきではないか。そのことがわが国のエネルギーを確保する上において最も大事だと思うのです。この判断を間違ってはならないと思うわけです。そういう決意というものがあるのかないのか、またやってみてだめならまた何とかお願いしなければならぬということなのか、この点だけを明確にひとつお聞きしておきたいと思います。
○麻生参考人 いまの御質問でございますが、いろいろ前提があると思います。私は先ほど中川委員は政府自身はわからないと言いましたが、私自身はわかっていただいていると思っております。そういう関係で石炭はやれるようにしていただける、私たちはその中でやる、こういうつもりでおります。
○多賀谷委員長 石川次夫君。
○石川委員 麻生さんに、御都合があるようですからひとつ簡単に……。 私は茨城県の常磐炭田におるわけなんですが、ことしの初めに七つばかりあった炭鉱で、一つは閉山、あと一つは先ほど早立さんから話がありましたように閉山寸前というところまできておる。これが賃金を上げないで協力するというのじゃなくて、一時間時間を延長して協力するという、非常に悲壮な決意でされておる。そうするとこれの起死回生の道は、先ほど御質問がありましたように、一つは鉱区の整備を強行しなければならぬ、国有とか合併とかいうこともありますが、第一段階としては早急にやらなければならぬだろう、こう思うのです。そのことはあとでまた質問いたしますけれども、炭鉱を維持し、安定をさせるということのためには需要を増大させる、ボイラー規制法がなくなって石炭需要が減る。その分を補うということを含めて政策需要というものをつくるのだ、こういう前向きの政策をやらないといけない。いままではほとんどビルド対策じゃなくて、スクラップ対策に終始している。それも一歩ずつおくれておるというのが現状である。したがって、麻生さんのお話の中にもちょっと政策需要を喚起するということばがあったわけですが、常磐炭田地域は火発をどうしても持ってきたいということが具体的にあるわけなんですけれども、麻生さんたちがお考えになっておる政策需要で新たな増加を期待するということの具体的な方策は一体何か、この点を伺いたいと思う。
○麻生参考人 いまの政策需要というものは、いまのところは鉄鋼と電力でございますが、やはり一般炭は電力がおもだと思います。これからもどうしてもそれにたよらざるを得ない。いままでは電発火力というものもございましたが……。もう一ついま実際問題として有効なのは、常磐地方における常磐の共同火力をもっと大きくすること、それから三池が、三池の炭を使って自家発をやりますか、九電と共同火力をやりますか、そういうものを、ともかく揚げ地でなくて積み地に、輸送費をかけない発電所をつくっていきたいというので、いままでと違った意味での政策需要をつくりたい、そういうことであります。
○多賀谷委員長 田畑金光君。
○田畑委員 麻生会長は時間の約束があるようですから、私も麻生さんに一つだけ聞いておきたい、それで質問を終わりたいと思います。きょう、実は党の用事で外に出ておりまして、皆さんの貴重なお話も、松葉さんのお話だけで、ほかの参考人の御意見は聞いておりませんが、後日速記を見て勉強させていただきたいと思っております。ただ、一つお尋ねしたいのは、いま麻生会長も何か借金の問題でお出かけのようでございますが、その金融の問題について、私端的にお伺いしたいと思っていたのです。と申しますのは、いろいろ大手の金融懇談会なり、中小の金融懇談会を持たれて、借金の返済問題あるいは当面の金融の問題特に不需要期に入る貯炭の問題など、いろいろ業界としてはこの金融の問題はたいへんだろうなという感じを持っておりますが、いま一体どういう状況にあるかということをまず第一にお尋ねしたいと思います。 第二にお尋ねしたいのは、現在この委員会では、皆さんから早く成立をさせてくれと強い要望のある、例の肩がわり措置を持った再建整備法案が審議途上にあるわけです。われわれもきょうの労使の御意見のとおりに、早くこの法律は審議をさせて、そしてこれによる政策措置が一日も早く行き渡るように努力していくのが、またわれわれのつとめだ、こういう感じを持っているわけです。ただこの法律の中で、御承知のように肩がわり措置が政府関係の金融機関並びに市中金融機関になされるわけでありますが、この肩がわり措置によって市中銀行は今後石炭業に対しても喜んで、積極的に融資の手を差し伸べるであろう。これか通産大臣以下政府当局の答弁であり、見通しであるわけです。ただしかし、私たちが実際心配することは、肩がわり措置にいたしましても、政府関係金融機関は十二年、市中金融機関は十年、こういうことになっておりまして、その意味においては市中金融機関が優遇されておりますが、政府の補給する利息の措置を見ますと、政府機関が六分五厘、市中銀行は五分で利息は打ち切りだ、こうなっております。私は、いい悪いはいろいろな批判があるかもしれぬが、政府の政策措置としては、市中金融機関にもっと金利の面などを考慮して、むしろしんぼうするのは政府機関のほうがしんぼうする、そういう形をとらなければ、政府がいう、肩がわり措置をやったから、これから炭鉱に対する銀行の金融措置は軌道に乗るであろうということは、甘過ぎる観測だという感じを持つわけで、この点について率直に麻生会長以下鉱業連合会の皆さんの御意見もこの際一言承っておきたい、こう思っております。
○麻生参考人 最初のお話の現在の金融の詰まり方でございますが、例年でございますと、五月の末から六月の初めにかけまして、開発銀行なり合理化事業団というものは先行融資が出ております。ほんとうは総額をきめてそのうちを出すわけでございますが、一応このくらいのものは間違いない、継続事業だというようなものが出ておりました。ことしは、この抜本策との関連で、こちらがきまってからきめようというような感じでございます。実はきょういまから参りますのもそのことで、何とか目先の先行融資をお願いしたいということを開発銀行に協会長としてお願いにいくので、その時間を申し上げておる。そういう状態で、非常に詰まっているというのが現状でございます。 それから先ほど、肩がわりが始まりました場合に、さっき、大臣のおことばかと思いますが、市中銀行が喜んで融資をするだろうというお話であったそうでございますが、喜んではなかなかしないのじゃないか、私はこういうふうにいま観測しております。非常にやっぱり市中銀行は渋いものだと思います。しかしいままでよりかは幾らかものの考え方を変えてくれるのではないかと思いますが、しかしこれもやっぱり、先ほど岡田委員からお話がございまして、お願いいたし、委員もおっしゃった来年からの予算がどういうふうになるかということも、市中銀行としては考えるのじゃないか。一体いまの状態だけですぐ全部の会社がペイラインに乗っているとはみんな見ておりませんので、今後のアフターケアというものがついた場合それがどういうふうになるか、それでこの会社はやれるなと思えば、しぶしぶと申しますか、金をつないでくれるということになるでありましょうが、アフターケアの幅次第では、相当窮屈なものになりやしないかという心配はございます。
○植田参考人 われわれの分野でも非常に金融にはいま困っておるわけですが、もうすぐ盆の資金が要るのでございます。それで金融のほうは特別に考えてくださいということを中小のほうもお願いしておったのですが、中小金融公庫は、あれが五千万円というワクになっているのです。これは設備資金と運転資金と両方なんでございますけれども、あのワクをふやしてもらいたいという陳情をずっと続けてまいっておるわけです。一億程度にふやしてもらいたい、そういうことをずっと前から陳情しておるのですが、これがまだ五千万円で頭打ちになっていまして、これは設備資金と運転資金と両方で五千万円というワクになっています。これをぜひこの機会にふやしてもらいたい、こう思うのです。 それからあの市中の肩がわりの五分の金利ですね。あれがなかなか中小のほうは、担保はうんと取って貸すところは貸しておりますから、そうすると八分なら八分、九分なら九分の金利で銀行のほうは返ってくるわけですね。それが五分になるものですから、なかなか小さいところは非常にいやがるわけですね、担保は十分取っておる関係で。そういうことで、今度は肩がわりできたというとき、今後の金融が大手と違いまして中小のほうは非常にむずかしいのじゃないか、こういうケースが出てきつつあるようでございます。そういうことを市中のほうが心配しておるわけなんです。これをひとつ何とか解決する方法はないかというので、みんな心配はして、各個々の炭鉱では手を打っておるだろうと思うのですが、非常にもう、肩がわりをしたからおまえのほうはと言うて、今後の金融は非常にむずかしくなるのじゃないか、こう思います。
○舟橋参考人 私の午前中の公述の中にも、目先の金融、将来の金融を強くお願いしておるわけなんですが、そのことがいまとつながるのです。目先は貯炭融資とさらにこの政策がはっきり打ち出されるまでの間のつなぎ融資を緊急に出してもらわないとどうにもならない。実は過去三年間お盆と正月、お盆と正月ということで、石炭局長さんここにおられますが、石炭局長の配慮で緊炭融資という名前で、いいも悪いも抜きにして、一件当たり千万ずつの金を出してもらった。ところが、今度のこの政策を実現するまでの間というのは、この緊炭融資というものがつけられるのかつけられないのか。きょうお願いして、特別の配慮をしていただいて、中小公庫から緊炭融資でもつけてもらわぬ限りはどうにもならない。ちょうど賃金アップの問題があり、さらに期末手当の問題があり、それから貯炭で、もう金融はにっちもさっちもいきません。これが前段のお答えなんです。したがいまして、どうかひとつ緊急融資をしていただきたい、このことをひとつお願いしておきます。 その次、後段の問題ですが、中小炭鉱は財政投融資の借り方が非常に少ないわけなんです。財政投融資で肩がわりしてもらう炭鉱は北海道で四つぐらいしかないわけです。あとはもうほとんど市中銀行でまかなっている。市中銀行でまかなっておるのですが、市中銀行でまかなっておるのは、社長、重役ほとんど全部、あるいは部長クラスまでの土地、建物、私有財産がほとんど担保に入っています。土地の値上がりが最近しておりますので、まあ担保物件としては競売にまで付せられれば大体銀行はとり得る可能性がある。こういうことで実は数度市中銀行との協議会を開いて、私もすすめておるのですが、市中銀行としては、五分の肩がわりをしてもらいたくない、そのかわりあなた方の担保物件をすぐ競売に付してもらいたいというような意見が強かったわけなんです。それをしてしまうとこれはたいへんなことになるので、そうでなくてさえ中小炭鉱なんかはだめだろうといわれておるところに、土地建物から自分の入っている家まで競売に付されたとなると、あと融資がつきません。山は滅亡してしまいますから、ビルドになる山で、これからの運営は特に今後の政府の施策に待たざるを得ないということが大きな課題になるわけです。その意味で銀行のほうの肩がわりをいま特にいろいろお願いしておるのですが、銀行はなるべくしたがらない。市中銀行の意見としては、御指摘のあったごとく、一体政府の肩がわりなんかということは要らぬのじゃないか、政府から金を出して政府が肩がわりをなぜするのだ、政府の肩がわりはたな上げしておけばいいのではないか、市中銀行のものこそが、長年間払えない、三年で払うところが十年で払えないものの肩がわりは必要だけれどもという意見は相当強く出て、したがいまして、最小限度政府の肩がわりの金利六分五厘の保証ぐらいのものは市中銀行には当然してもらいたいのだ。それから、あまりやかましいことを言うと、銀行もある程度までは政府当局から干渉も受けられるだろうから言わないが、われわれに向かっては非常にきついのです。その点をひとつ十分に考慮していただきたいということは、この前も井上局長のところまで具申してあるわけですが、非常にむずかしくなります。この肩がわりもしてもらわない、市中銀行だけにたよっておるという山は、ビルドの山でりっぱに生きていける山といえども金融のためにまいっちゃう、こういうおそれがあります。このことをひとつ申し上げておきます。
○多賀谷委員長 この際申し上げますが、麻生参考人が所用のため退席されますので、日本石炭協会専務理事町田幹夫君を本日の参考人に追加して御意見を承ることといたしたいと存じますので、御了承を願いたいと思います。 石川次夫君。
○石川委員 最初に要望を一つ申し上げておきたいのですが、ちょっとさっき触れましたように、これは国有、国管あるいはまた炭鉱の合併、これをぜひ進めなければならぬとは思いますけれども、その過渡的な措置としての鉱区調整、これはどうしても積極的にやらなければどうにも急場をしのぐことは不可能ではないか。先ほど来これは舟橋さんあたりからも相当強い意見が出たわけでありますけれども、御承知のように所有権ではないわけです。たとえば最近土地の問題がたいへんうるさく取り上げられております。土地はもちろん所有されるものではあるけれども、国土の関連を持たなければこの土地問題の解決はできないのじゃないかという意見が出てきておるわけです。しかし鉱区というのはこれは絶対に所有権ではない。これは許可をされて鉱区を開発をしているだけでありますから、組合側も経営者のほうの側も、何とかこの鉱区調整というものをやらない限りは、さしあたっての安定対策はできないということを断々固と鼓を鳴らして強く要求してもらわなければならぬ段階ではないか、こう思うわけです。それはひとつ要望として申し上げておきます。 それから、これは実は麻生さんにもお伺いしたかったわけでありますけれども、今度の予算を見ますと、石炭鉱業審議会の答申に基づいた対策というものがある程度盛られておるわけでありまして、実をいいますとビルド対策としてのこの石炭産業というものが日本のただ一つのエネルギー産業である。これは中近東の問題は別といたしましても、将来原子力というものがとってかわる時代がくるとはいいましても、高速増殖炉というものが完成するのは何十年先かわかりません。そういうことを考えますと、どうしても石炭を、唯一のエネルギー産業であるということによって、これを何とか大事に前向きに希望の持てるような形に持っていくということのためには、ビルド対策としての新鉱開発をする。今度の予算を見ますと、原料炭を開発するための新鉱開発費の予算が一億何千万でしたか盛られておりますが、それ以外には新鉱開発費として積極的に石炭を開発して前向きの姿勢に持っていくものがほとんど見られないと思うのです。常磐炭田については、これは巷間の話では、海底のほうをボーリングをして何とか海の中の新鉱を見つけ出していこうというふうなうわさもあるわけですが、どの程度具体化されておるかわかりません。そういう点で新鉱開発のための予算をもっと前向きに、もっと積極的に組むべきではないか、こういう感じを強くするわけでありますけれども、その点についてこれはひとつ植田さんあたりの御意見を伺いたい。ことしの予算についてどうお考えになっておられるか。これが一点、承りたいのであります。
○植田参考人 新鉱開発の問題でございますが、これはおもにいままでは原料炭ということになっておりまして、北海道で一鉱と、それから有明の日鉄の鉱区、あれは資金がついたようでございますが、私たちはやはり一般炭についても新鉱開発の助成は必要だろう、どうせいま掘っておりますのがだんだん深くなりますし、コストも上がってくる関係でやはり新鉱でやるところがあればどうしても新鉱開発をやるべきじゃないか、それに補助すべきじゃないか、こう考えるわけでございます。以上でございます。
○石川委員 では次に舟橋参考人にお伺いいたしたい。一つは、この要望事項というのを拝見いたしました。先ほどのお話を伺いますと、五千万トンを安心して生産できる需給調整機関を設置してもらいたい、こういう御意見があったようであります。これはいままでは石炭局が中心になって通産省がやるべきだということになるわけでありますけれども、これだけでは不十分であって、さらにこういうものをつくりたいと言うには言うだけの何かの根拠があると私考えるので、これはどういう構想で需給調整機関をおつくりになるということなのかということが一つであります。 それからあと一つは、この要望事項の第三に、債務肩がわりは借り入れ金残高を対象にして実施されたいという項が一つございます。これは算定にあたりまして諸要素があるけれども、最も明確な借り入れ残高を対象とすべきであるという御意見であったと思うのであります。その諸要素というのは一体どういうものをさしておるのか。どうすれば明確な借り入れの残高となるのか。こういうふうなことについて御意見を承りたいと思います。
○舟橋参考人 需給調整の問題は、御承知のごとくすでにもう三月末で六百万トン一以上の貯炭ができたわけです。これには、いままでの約十年間にわたって石炭の審議会ができて、しかも石炭対策がいろいろ盛られましたが、この石炭の問題であろうと、経済の問題は常に三本足が要るわけです。建て値価格、出炭の問題、ところが調整問題ということがいつも抜けているわけであります、いわゆる需給の問題が。それゆえ五千万トンの需給の調整ができなければ、私はほんとうの出炭規模の策定はすべきものではないということを常に審議会で申し上げているのですが、その五億の三本足が常に一本ずっと欠けてきたのが石炭対策の一番大きな欠陥であるわけです。したがいまして、その欠陥が、五千三十万トンを策定した第一年度でもう六百万トン以上の業者貯炭が如実にできてきたのです。どうしてもこの機会に、たとえばいま電力用炭の電炭会社がこれを取り扱っておるのですが、これを拡大強化するのか、別に機構をつくるのか、需給調整機関というものがあって三百万トンや五百万トンくらいの貯炭は常にその需給調整機関でもって保有しておくのだ。足らなくなった場合はそこから出すのだ。私ども石炭をやりつけて二十五年になるのでありますが、足らないという声のときにどのくらい足りないのかというと、まず百万トンくらい足りないともう石炭が足りないと大騒ぎするわけです。余ったときは、二百万トンか百五十万トン余ってくると、これはたいへんなことになって価格がたたかれる。常にアップ・アンド・ダウンしているわけなんです。したがいまして、私はこういう国の政策を盛り込み、国が大きな金を出してめんどうを見る限りにおいては、需給の調整機関がない限りは常にこれが起きるのだ。そして五千万トン掘りながらも常に不安定で、売れなければどうにも金ができないから、労働賃金も三月も払えない。あるいは私どもは昨年から炭鉱から給料をもらっていないのです。ほかの産業をやっていたからたまたま生きておれるのでありますが、私どもの会社は重役には炭鉱から給料を払っておりません。それくらいにして締めて再建をはかっているわけであります。したがいまして貯炭でもできますと、非常に大きなもので、たんすにしまって置けるダイヤモンドでないのでありますから、大きな場所をとって、これを一回繰り返すと――北海道のごときは積雪丈余の雪の中で一回繰り返しますと、トン当たり三百円なり四百円欠損を生ずるわけです。その意味で私は需給の調整機関をぜひつくっていただきたい。これが私のお願いした理由であります。いわゆる五千万トンという出炭規模ができた限りは、その五千万トンが全部売れることが望ましいのでありますが、それには相当時間がかかるのでありますから、五千万トンを、需給に見合う調整機関があって、ここでもって調整していくのだ。三百万トン余ったら、三百万トンはそこで抱く。足りなければ、その抱いた炭を出していくのだ。常にこのロング、ショートがあってしかるべきだ、私はこういうことを考えてこのお願いをしたわけであります。 それからもう一点の、借り入れ金の残高によって清算せよということは、これはもう明瞭なことであって、いま役所あたりで困っているのが、たとえば肩がわりの金の算定が非常にむずかしいことだと思うのです。それは一年ごとに借りた金が、三年なり五年なり長引いており、さらにもうすでに払うべき金が払われずにおるわけであります。その中から金利も一部払っている会社もあれば、金利を払えない会社もあるわけです。そういうところの算定が非常にむずかしいので、借り入れ残高によって肩がわりすればきわめて操作も楽であるし、また公平を期することができるのではないか。私どもは専門家でありませんから、経理の専門家から言いますと多少意見が出るかもしれませんが、きわめて簡単な方法としてはそれが一番いい方法だろう、こういうことを考えましてお願いをしたわけであります。 ひとつよろしくお願いをします。
○石川委員 あと一点伺いたい。これは労働組合の側に伺うのでありますが、実は私、昭和三十年から昭和四十年ごろまでの統計を見たときに発見をして驚いたのでありますけれども、三十年のころの金融機関あるいは政府機関からの貸し出しを一〇〇といたしますと、産業は高度成長で相当伸びておりますから、貸し出し、融資というものは相当増額をしているわけであります。その中で非常に目立ちましたのは、斜陽産業といわれる石炭産業に対して貸し出す。それから、その次は農業、これは驚くなかれ、二六%激減をしておるといった実態を見て、あ然とした。先ほど来お話がありますように、労働者の数がどんどん減っておる、炭鉱の数も減っておる。したがって、一人当たりの増産というものは相当きびしく強要されておるわけです。そういうところからいって、この保安対策は一体どうなるんだということ。数字の上から――私はほんとうの鉱山はえ抜きではございませんから、よくわかりませんが、非常に不安を感ずる。それから、何か知りませんけれども、先ほど来申し上げましたように、私のほうの茨城県内に炭鉱が七つほどございます。そこではいままで絶対に災害が起こらなかった。こういう山が最近ぼつぼつと災害が出始めております。保安対策には金の関係で回りかねておるのではないか。私どもは率直に言って、資本主義は非常に冷めたいものだ、人間の命まで無視して、かからなければならぬようになっておるということをよく言うわけであります。たとえば石炭鉱業審議会ができたそのきっかけになったのは一体何だ。これは北海道、九州で相次いで災害が起こった。これは何とかしなければならぬということがきっかけになって、石炭鉱業審議会というものが急遽設けられたといういきさつがあるのにかかわらず、鉱業審議会の答申を見ますと、保安対策は通り一ぺんしか触れておらないわけです。あとはスクラップ対策なんかの今日の答申案が出ておるわけで承ります。私は、その点保安対策というものについて非常な危惧の念を持たざるを得ない。そういう点で、労働者が働いている立場から見て、いまのような融資が非常に減って、しかも、増産をしいられているというふうな状況から見て、私は、率直に、しろうとなりに、第三者的に見ても、保安対策がおろそかにならざるを得ないのではないか、山が荒れざるを得ないのではないか、こういうように感じます。労働者側はどういうふうにそれをおとりになっておるか、ひとつお三人から伺いたい。
○山本参考人 御指摘のとおりだと思います。先ほど来もちょっと触れましたけれども、災害の数字というのはむしろ減っているどころか、ふえています。これは坑内構造によるところもあるでしょうけれども、ほとんどは未然に防止でき得るものについても、いま言ったような面からの手抜かりなんかで、大惨事を引き起こしているという面が多々ある。事故後の労使間の団体交渉、その他の中で、もう一歩この点を努力すればというようなことが事実となって出ておる面もございます。 それから、何といいましても、炭鉱の労働者の平均年齢は四十一歳であります。標準作業量その他は、こういう今日的な事態でありますから、非常に増大をしています。昔は、四メートルとり切りで、それぞれかせぎがあったものが、五メートルになり、六メートルになった。年齢がいっているわりに、逆にノルマが上がってきている。だから、昔は四メートルとり切りで、午前中汗もかかないでもある程度作業ができたのが、今度は汗をどっぶりかきながら、なかなか作業ができない。こういう面もあるんではないか、こう思っております。うちへ帰っても、なかなか疲労が回復しない。こういうような点から、どうしても災害というのは長時間労働、疲労度のぐあい、あるいはまたいま言ったような、意識的に石炭資本の側のほうが保安をさぼるというふうには考えておりませんけれども、御指摘のような点で、いろいろな悪条件が出て、保安の面についてはどうしても手抜かりが出てくる。こういうことで、総合的に今日相当関係の方面、その他を含めて保安問題については努力をしているのですけれども、数字の面からはちっとも減らないで、むしろふえている。こういうところに原因があるのではないか、こう思っておる次第でございます。
○早立参考人 確かにいろいろ御指摘のような面がたくさん見受けられるわけですが、その対策としては、今日中央鉱山保安協議会というものがございまして、労使あるいは公益の代表によって炭鉱の保安問題についてかなり専門的に突っ込んだ協議、検討がなされておるわけであります。しばしばその中央鉱山保安協議会でまとまった意見が政府のほうに提起され、それに基づいた具体的な設備面も含めた諸施策について、予算の裏づけという問題になってくるわけでありますが、従来の例では、せっかく中央鉱山保安協議会において検討し、出された結論に対して具体的に政府が施策として実施をする段階で、予算の関係上、大蔵省との関係から圧縮をされてきております。中央鉱山保安協議会において全体的に検討し、企図したものが十分実際的には実施されないという状況に今日までなってきておると思います。したがって、私どもの望むのは、中央鉱山保安協議会において突っ込んで検討し、出された結論については、それは即実施されるような、特にその結論の中で政府が実施をすべき点については十分掛け値なしに実施をされる、こういう態勢をとっていただきたいということを希望いたしております。
○松葉参考人 私のところは、保安技術職員を組織しているところでございますから、特に責任の重大さを感じておるわけですが、大体毎日一人ずつは死んでいるというのが実態でございます。私がしゃべっている間にも一人死んでいるかわからないという悲惨な状況でございまして、私のところでは、保安技術職員を組織する立場から、いろいろはっぱもかけておりますし、取り組みもさしております。 一例として、地方におきまして五、六人のグループで交流点検班というものを設けまして、Aの山、Bの山というように混成で入りまして、そこでお互いの経験交流もやるし、欠陥の指摘もやるということで、経営の側にもできればそういう場合には何人かの方が参加して、共同討議に加わっていただけないかという提唱をしている段階でありますが、なかなか成果が結びついていっていないというのが実情でございます。 保安の問題は、すべての要素がからんでいる。老齢化、未熟練化、長時間労働、経営不安、陳腐化、生産追及、こういう面が、どれがどれほどの比重というか、すべてからまり合って袋小路に入っているという状態ではないかと思います。一番はっきり成果に結びつくといわれますのは、私は、何といっても石炭企業が経営的に余裕を持つことでない限りは、それらの要素はすべて解明できないというふうに考えます。 ですから、くどいようでございますけれども、明年度の予算審議にあたりましては、もう少し技術再建の方途についての施策、内容というものの厚みを加えていただいて、若干なりとも余裕を持って保安の問題に取り組めるという物心両面の余裕というものを与えていただくことがまず第一義的だと思います。 二番目の問題といたしまして、やはり技術的な角度からもう少し集中的に経営の側も労組の側ももっと虚心に取り組むという体制をつくり、そうして施策と相まって機器その他の開発の中から坑内構造も含めての保安体制を早期につくり上げるという努力をしていくということだろうと思いますが、私も前二者と同じように、予算との関係で常に保安という問題はどっかに忘れられてしまう。今回わずか二億五千万円の予算しか組んでいただけなかった、教育保安センター三カ所もいまの調子ではいつできるかわからない。まだ場所の設定すら混迷しているという状態でありますから、すべて具体的に浮び上がりました保安センターの場合でも、一日も早く仕上げ、そうしてその目的に沿った運動ができるような、そういう官民一体となった前向きのかまえというのが早急に必要ではないかというふうに考えます。
○多賀谷委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 数名の先輩議員の質問でほとんど言い尽されたようなものでありますが、私もしんがりで一、二問組合の側、事業主側の方にお尋ねいたしたいと思います。 その前に一言私の気持ちを率直に申し上げますと、私は福岡県の出身でありまして、特に産炭地を控えた地盤から出た議員でありながら、正直言いましていままでその実情に暗かった。当委員会に所属いたしまして、先輩議員からいろいろと石炭産業の実情を聞き、また、きょうのような参考人の皆さんから事情を聞くたびに、石炭産業の深刻の度合いをさらに深めているものでありますが、先ほど自民党の委員さんから、佐藤総理はもう石炭産業については投げ出しているのだというようなお話しを聞きまして、思いを新たにしているわけであります。そう言われてみますと、なるほど今度の再建整備法も、一千億円の肩がわりだと言いますが、確かにわれわれ貧乏人から見る一千億円というのは大金かもしれませんが、現在の日本の石炭業界から見る一千億円なんというものは、少しオーバーかもしりませんが焼け石に水じゃないか。先ほど麻生先生のお話の中にも、大手十七社のみで借り入れ金の残高が二千二百十六億円もある。こういう話から想像しますと、再建整備法の恩典もおそらくは大手のみで終わってしまうじゃないか。先ほどから中小炭鉱の先生方からその点についてたいへん心配な話がありましたが、確かに貯炭対策についての、あるいは再建整備についての財務の問題あるいは炭量の省令できめる基準等は、今後委員会でどしどしと追及し明らかにしていくところでありますが、ここでまず組合側の方に率直な気持ちでお尋ねするのですけれども、最近組合活動が迫力をなくしてきているということを聞くのです。先ほども労務倒産の話も出ておりましたようですが、これは私も同感であります。ところが、組合の幹部の皆さんは何としても石炭産業の再建にと情熱を燃やしていらっしゃるようでありますけれども、先ほどの、総理が石炭産業を投げ出しているように、一般の労務者の心の中にもそれがあるのじゃないか。幾ら一生懸命働いてみたって賃金は上がらないし、そして先行き暗い石炭業界の問題だというならば、転職を常にうかがっているのじゃないかというようなことで私も心配しているわけですが、こういう点について組合側の幹部の皆さんの気持もを伺いたいと思います。これが一点であります。 それともう一つは、まず事業主側に聞きたいことは労務対策ですが、最近自動車界あるいは鉄鋼界の他産業から炭鉱鉱員に対する大量スカウトが活発になってきている、こういうことを新聞で見たり話を聞いてみたりするのですが、このようなものに対する対策ですね。たとえば賃金の問題もありましょうし、あるいは生活環境の問題等もあると思いますが、そういう点についてお伺いしてみたいと思います。
○山本参考人 公述の過程で申し上げましたが、そういう事実がございます。特に、高年齢の場合には、さて家族も多いし、これから未知の職場へ行ってもというふうに二の足があるでしょう。しかし、あちこちの炭鉱で閉山になった仲間たちの手紙なり消息なりを聞くと、必ずしもそう就職がないというようなことでも――前はひどかったのですけれども最近の場合はない、こういうようなこと等を考えてみると、災害は多い、賃金は上がらなない、合理化合理化でノルマはどんどんふえてきて、日常の仕事もずいぶんきつくなってきた、まわり近所を見渡してみると知っているやつもだいぶいなくなってきた、産炭地地方自治体自体が活気がなくなってきておる、活気がないから、映画だって何だって、娯楽設備だってさっぱりいいものができない、こういういろいろな意味からいって、ずいぶん私どもが訴えておりましたのは、どんなに金をつぎ込んで石炭政策だといって鳴りものを鳴らしても、掘っている人間の処遇をあやまつと土台からくずれてしまいますよ。ほんとうに金をつぎ込んで、十年間しかめんどうは見ませんという抜本策ですからね、そういう意味ではその土台にしっかり盤打ちをしてもらって、やれるようにしないと、どぶに捨てた一千億円になりかねません。現に自然減耗、定年退職だけでやめているのではなしに、自己都合退職ということで若手の労働者や中堅幹部や、あるいはまた先山クラスがやめている。これは非常にたいへんな話です。切り羽というのはある程度の熟練を要しますから、そういう勘のいい、長年の経験を持っている先山がやめるということは、連鎖反応を起こしてまいりましてたいへんなことになります。そういうことが間々ございます。間々ございますというよりも、そういう実情です。特に今度の賃金の問題なんかでも、関係筋には訴えてまいったのですけれども、それぞれで四千三百円から五千八百円、あるいは四千三百円もらった鉄鋼なんかの場合は、北海道にも富士製鉄なんというのがございますけれども、基準外割り増し分やふくらみを含めますと、六千七、八百円になります。こういう実情の中でわがほうは二千円弱ですから、そういう面では魅力がなくなって、これは先行きいよいよだめだわい。だから組合幹部として私どもは、何とかいままでしがみついて残った方々ですから、明るい展望を求めさせて、その中で子供も養っていくということをやりたいと思っているのだが、いまの段階では、私どもの説得力と指導性の中では、炭鉱労働者の流出については責任が持てません。これははっきり申し上げていいと思います。昔はものをきめたときに文句を言って、組会幹部何と言ったと、こういうふうに言ったものですけれども、今度の場合はのれんに腕押しです。なに言ってやがるんだ、やめていけばいいんだからと、こういうことでございまして、非常に危機になっているという点をあらためて皆さん方ひとつ御認識を賜わりたいと思います。 それから、あの答申案の中で、魅力のある施策だということになっていた一つに、炭鉱特別年金制度がございます。しかし今日一トン当たり四十円にするかどうかの問題を含めて石炭経営者側のほうが了解をしていないという事実がございます。石炭経営者のほうが、末端の場所長等を含めて、炭鉱労働者の心理状態やそれらについてはよくわかっているはずでありますが、そういう方々でさえもなかなか炭鉱年金については――これは労使でまとめるべきものなのですけれども、まだ反対をしてまとまっていない。一万円年金だと思ったやつが、一万円年金ではなしにもっと下がってきている。こういうような事情等と関連をして暗いムードが一ぱいだ、こういうことだけははっきり申し上げておきたいと思います。
○早立参考人 炭鉱の労働者は、過去数年にわたってきわめてきびしい事態の中で苦闘してまいりました。その際われわれはそういう苦しみの中で、労働組合の姿勢としては、われわれが真剣になってがんばっていけば、再建のため努力をしていけば必ずよくなってくる、石炭産業の将来はそう暗いものではない、もちろん政府からのいろいろな施策的助成援助を受けつつ、同時にまたわれわれみずからが、天はみずから助くる者を助くという信念のもとに、労使真剣に取り組んでいけば必ず再建できるし、りっぱな魅力ある炭鉱を建設できるのだということで組合員を指導をし、ともすれば浮き足立つ内部態勢を引き締めてがんばってきたつもりであります。しかしながらいまや、先ほど炭労の委員長も申し上げましたが、そういうわれわれの精神面からする意気込みだけでは、一般組合員大衆がなかなかついてこない、具体的によくなっていくということを事実をもって示し、あるいは具体的な今日の労働条件、生活条件、そういうものに答えを出していかない限り、ほんとうの意味でいって、ほんとうに魅力ある炭鉱をつくり上げることができるのだという意気込みで取り組んでいける態勢にはならない。むしろ一面においては他の産業の情勢との関連において労働力が他に流出をするという傾向さえ出つつあるというのが現状であります。したがってわれわれは従来から堅持してきておる労働組合としてのそのような姿勢はあくまでも持続をしていく、持ち続けてがんばってまいりたいと思いますけれども、同時にそれをバックアップする意味において、具体的な対策としての、炭鉱労働者自身の目に、はだに直接感ずるものを与えていく必要があるということをひしひしと今日感じておる状態でございます。
○松葉参考人 大体同様な意見でありますが、今回の賃金闘争の時期に、組合幹部は納得をしても組合員は納得しないだろうということばがよく言われたのです。組合幹部としては、戦いをするからには何とかおさめなければならないわけですから、納得せざるを得ないわけですが、個々人の労働者としては、納得できなければ去るということでございます。そういう言い方さえされるような深刻な状態でございます。私は、現在石炭産業が何とかもっておるのは、平均年齢四十二歳といわれますように、非常に高齢化した層が、ある意味では離れがたいという問題と、それから長年血を流してきた石炭産業に対するいい意味での執着というものでかろうじて命脈を保っておるというふうに言っていいのではないかと思うのです。現在十万人くらいおる中で三万人くらいは五十歳以上です。三十歳以下は一〇%に満たないという労働力構成なんです。そうしますと、五年たちますと、三万人は定年退職でやめていく。ところが下のほうは、現在ですら一〇%に満たないわけですから、今後進学率等が高くなればなおのこと、一般的にも確保難という状態ですから、炭鉱の労働力構成自体から見て帰趨は明らかであるというふうにいえるのではないかと思います。ですから、年金の問題が若干のともしびというふうに考えておりましたが、不幸にしまして――まさに不幸にしまして、石炭産業全体が不幸にしましてなんですが、他産業の賃金がことしは非常に高かったということのために、年金の魅力も打ち消されたような印象すら受けております。他産業が四千円以上という状態のときに二千円以下という状態で、現状においてすら一万円以上の賃金格差があるという状態ですから、これではやはり飲みたくない馬に水を飲ませるより以上に、今後の労働力の確保は困難であり、五、六年もこのまま放置しておくなら、私はもう帰趨は明らかだというふうに感じております。
○大橋(敏)委員 いまの組合側の皆さんのお話を聞かれて、経営者側としてどのような考えに立っておられるか、先ほど申し上げましたように、労務対策についてどのような考えでいらっしゃいますか、順々にお答え願いたいと思います。
○町田参考人 ただいま組合側からきわめて深刻なお話がございました。労務倒産の危機が非常に間近いというようなお話でございました。私も全面的に賛成とは申しませんけれども、ある程度そういう労務面の非常な危機があるということについては認めるものでございます。 今般の春闘におきます賃金につきましても二千数百円のアップでございまして、他の産業の四千数百円等に比べればはるかに低いものであります。これでわれわれ経営者といたしましても決して十分だと考えておるわけではございません。ただ現在経営者の置かれております環境、あるいはまた支払い能力の点から申しまして、また国家に対しまして非常な御援助をお願いいたしまして石炭の再建に取り組んでおります現段階におきまして、これ以上の賃金を支払いますことは、石炭企業自体の経営を非常な危険にならしめることでございます。労務倒産の危険もございますけれども、その前に経営自体ができなくなるという点から、ああいう賃金ベースで当面はひとつごしんぼう願って、とにかく石炭産業を何とかして再建したい。この一時金の問題にいたしましても、非常に資金が窮迫いたしておりますので、これも分割払いにせざるを得ないというふうな情勢でございます。そういう面からおきましても、先ほど麻生から申しましたように、この再建整備法を中心といたします石炭諸法案を一日も早く成立させていただきまして、経営に援助の手を差し伸べていただきたいと思います。 先ほどちょっと労務側から年金のお話が出まして、年金に対して経営者側は現在もなお反対しておるというお話がございましたが、これにつきましては若干訂正を要する点がありまして、われわれといたしましては反対はいたしておりません。いわば条件つき賛成と申しますか、トン当たり四十円の負担というものが非常につらいので、ことしはこの負担が幾らになりますか、その点はまたこれからの議論でございますが、本年度はすでに予算もきまっておることでありますから、これは負担が幾らになるかやむを得ないといたしまして、来年度から四十円の負担が非常につらいから、その点につきましては明年度予算においてひとつこれが支払えるように特別の御配慮をお願いしたいという条件はつけておりますけれども、年金そのものにつきましては賛成いたしております。昨日も社長会議を開きまして年金法案等も説明いたしまして、これを進める準備をいろいろ進める、こういうことにいたしております。ただ負担の点は明年度以降ひとつ特別の御配慮をお願いしたい、こういう条件をつけまして賛成いたしておる次第でございます。 なお労務対策につきまして、いわゆる労務の定着対策というものは確かに現在非常に真剣に考えなければならない時期にきていることは御承知のとおりでございます。どちらかと申しますと、従来炭鉱の労務対策と申しますのは、ずっと過去十年間にわたりまして、先ほどもお話がございましたように、二十八万七千人の労務者を約三分の一まで減らすという過程におきまして、いわゆる離職対策というものに非常に重点が置かれておったわけでございます。現在もなお離職者対策が講ぜられておりますけれども、離職者対策ということにあまりに重点が置かれまして、労務者の確保と申しますかあるいは定着という面についての関心なり、また政府の施策というものも必ずしも十分でなかったというふうにも考えられますので、今後の方策といたしましては、先ほどもお話のございました五百二十億あるいは明年度は関税収入の増加等によりましてこれがさらにふえるということも期待されるわけでございますけれども、ひとつ石炭特別会計の対策費を、二次的な部門はできるだけ節約と申しますか削減いたしまして、ひとつ炭鉱定着対策も含めた前向きの対策にこれを重点的に振り向けていただきたい、こういうふうに経営者といたしましては念願し、何とか労働組合あるいはまた従業員の皆さんのいましばらくのごしんぼうを願って、相ともに石炭産業を再建してまいりたい、こういうふうに考えております。
○植田参考人 平均年齢が四十一とか二とか、そういうのが事実でございます。それで技術のたんのうな人がだんだん――年をとった人がたんのうなのでございますが、仕繰り夫とか、採炭のほうもそうでありますが、若い人がここに入ってくるのが少ないということで非常に困っておるわけでございますが、私はその点から考えましてもうんと機械化をやりまして、一部そのほうで機械化を推進しまして、新鋭機械を投入しまして、そういう若手の労務者が少ないということを補助していきたい、こういう考え方から、数年前から機械の貸与制度をつくってもらいたいということを私たち要望しておりまして、それが去年からその制度ができまして、非常にこれはいい制度だと私たちは考えております。午前中にも申し上げたのでございますが、うんと予算をこのほうにかけてもらって、新鋭機械を、掘進機械なりあるいは採炭機械、積み込み機とかそういうものを投入して補っていきたい、こういう考え方で、私は特にこういうことを陳述申し上げたのでございます。それでやはりおっしゃるとおりの、労務者の方々が、若手がなかなか入ってこないということを非常に心配しておるものでございます。
○舟橋参考人 いずれも経営者から申されたとおりでありますが、私は率直に申し上げますと、山本参考人の申されたことを全面的に承認せざるを得ないと思うのです、ただし私は石炭というものが、いままでは、ただいま麻生代理参考人から言われたごとく、この十年間は人の整理をすることに政府も経営者もそれに全力を注いだと申し上げて差しつかえないと思うのです。幸いにして私ども中小炭鉱は人の整理は要らなかったのですが、そういうようなことでほんとうに残り得る労務者の、これからの大事な労務者に対する対策が、十分じゃない、多少手が抜けておったのじゃないか、これが一つ。 それからムードが、石炭というものの暗いムードの中で――私ども戦後におけるところの石炭産業に従事する者は、私ども以下プライドを持って、国の基礎づくりをするのだ、敗戦国家を立て直すんだ、こういうことで日本国民として一番りっぱな仕事なんだということが私どもの仕事をやっておる気持ちであり、また働いておる者も日本人である限りはこれを全面的に承認しておったと思うのです。ところがこの十年間にだんだん人を減らしていく、減らすのに非常に苦心をして、国もそれに対してめんどうを見ていく、こういうようなことでだんだんとその気持ちが、石炭というのはつまらぬ産業だという感覚に最近なってきたことが、私は一番大きな原因だと思うのです。そうではなくわが国唯一無二のエネルギー源であるのだ。農業に次いで基礎産業としては石炭は一番大事なんだ、生産品はつくれば十分できるけれども、石炭だけはそうではないのだというような感覚をこれから植えつけていくといったって困難でありましょう、こういうふうになってくると。これから先は、私はやはり労働組合の委員長の言ったごとく、賃金もそれから環境も、他産業に負けないのだということをしてやらぬ限りは、これはだんだん減っていきます。これは労務管理がおまえらへただとかじょうずだとかいうものじゃありません。これは人間の心理状態からいってそうならざるを得ない。したがってそういうことにもうなってしまった場合には、あるいは労働者がいなくなって崩壊するおそれもありますが、しかしそこまでいくのにはまだ時間がかかると思いますから、早く国の施策を十分に生かしていただいて、そしてことしはもう予算化してしまったのですが、早く予算を先生方にお願いして通していただいて、深手をいやして、それから浅手に対して徐々に施策を講じてもらう。 それからビルドに対してはほとんど施策はないのだ、五百二十億のうちの一部、百二十五億がビルドに振り向けられておるというだけで、特に中小炭鉱あたりは見るべきものがないのでありますが、いろいろ私どもは六項目にわたってお願いした点もそれでありますが、今後は生き残った山、いわゆるこれから前向きの姿勢で残る山は大手も中小もなく、同じ施策で出炭量の多い少ないは別としてやっていただきたい。そして私ども経営者及び従事しておる者全部が石炭産業というものにプライドを持ってやっていきたい、それ以外私はないと思うのです。それには十分な金融措置なりあるいはめんどうなりをしていただいて、いつまででもありませんが、ここ三年間くらいは思い切ってやっていただきたい。幸いにも先生方の御努力で石炭特別会計というものができて、重油の関税還付というものをことしは五百二十億か三十億つけてもらったのですが、昭和四十五年まで見ますと、この金額も、油が入らぬではたいへんでありますが、油が入る限りにおいては七百五十億なり七百七十億になる可能性があるから、これだけのものはひとまず石炭に振り向けていただいて、そしてわが国唯一無二の石炭産業を保存してもらう、維持してもらう、そのことが一番大事なことじゃないか。一たん緩急あろうが何があろうが、国がエネルギーの三分の一ぐらい持っていれば持ちこたえることができるわけです。いよいよ海外から入らなくなって産業が全部崩壊するより、石炭に何ぼ金かけたって、そのほうが大きな問題じゃないと思います。そういうことをひとつこの機会にお断りすると同時にお願いしたいと思うのです。 それからもう一つ、先ほど山本委員長のことばの中に、年金制度がどうも業界のほうがまとまらぬとか、そんなことはありません。年金制度を一番先に提唱したのは私だと思っております。私が一番年金制度の提唱者です。これは何か、役人は十年おると幾ら、二十年おると幾ら、三十年おると遊んでいて食えるほどの年金制度なんて言うが、炭鉱の暗い穴の中で命をかけて掘っているのに、五十五歳になったら十万か二十万の退職金で一体何ができるんだ。したがって私は、少なくとも五十以上まで炭鉱におった者は、年金制度として一カ月二万円や三万円の金があたるようにすべきだ、こういうことを強く提唱しておった。私の提唱した初めは、六年ぐらい前でありますが、どうかこうか炭鉱がやれたから、年金制度がトン当たり百円かかっても出せると思っておった。ところがだんだん悪くなりまして、四十円もかかるとなったら出すどころか出せない時代になったから、そこで私どもは年金制度とかみ合わせて補給金をよけいいただきたい。いま北海道では、二百円内外の赤字で、百二十円の補給金をもらったのではまだ赤字だ。そこへもってきて鉄道は上がる、それから年金制度の金が四十円もかかる、事業団の経費は上がる、賃金アップになってくるとなれば、百円というものは消えてしまう。そうすると、二十円もらってそこでやれったってやれないわけなんだ。これは何ぼ強く命令されても、おしかりを受けてもやれないことはやれないのです。その点をはっきり申し上げる。私どもはこれから石炭をやりながらぜいたくをしようと思っておりません。私ども、昨年もことしも石炭からは一銭の給料なしに、ほかの産業からもらって食っておるわけです。土地を売ったりして食っているわけですから、したがいましてぜひひとつこの機会に補給金を上げていただく、年金制度を織り込んだ考えを持って上げていただく、これは先生方の御配慮でありますが、そして早く年金制度をつくって、実施するにしても今年か明年になるわけですから、これから二十年も二十五年もおれったって、五十になる者はそんなにおれないわけですから、特別措置の方法で、そういう人には何かの方法で別途年金の前渡し金をするとか、何かの方法でめんどうを見ていきたい。これが私は経営者の責任であり、同時に国としての責任でもあろうと思います。よろしくお願いいたします。
○大橋(敏)委員 時間もたいへんだっておりますので、最後に一言。 いまのお話を聞きましてほんとうに参考になりました。審議会の答申を見ましても、今後も五千万トン以上の位置づけでもって前進していくんだ、ところが五千万トンを確保するためには、どうしても、労務者が少なくとも十万人は必要じゃないか、こういうこともよく聞かされております。そういう意味からいきまして、労務確保についてはあらゆる手段をもってがんばっていただきたい。ただ、私いまふしぎに思うことは、最初の総理大臣も石炭産業にはさじを投げているんだということに対する皆さまの反応がなかったことなんです。いままでのお話の中にも、戦前、戦中とにかく日本経済をささえてきたのは農業と石炭であった、このように聞いたわけでございますが、それだけに日本産業に貢献してきた皆さんが、現在エネルギー革命によってこうなったというものの、この際もう少し強腰で総理とじきじきにでもぶち当たって、また委員会は委員会として推し進めてまいりますけれども、そういう強い意気込みでぶつかっていかなければならないのじゃないか、このように思うわけであります。 きょうは時間もたちましたので、これで一応終わります。
○田畑委員 質問は私もう先ほどのあれでやめようと思っておりましたが、いまの雇用安定の問題と関連して一つだけちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。 今度のこの賃金ベースアップの闘争で、全炭鉱あるいは炭労が実力行使もやらねばならぬ、こういうことになったわけです。これもあれもすべては石炭の再建計画の基礎に経理計算の基礎として賃金のベースアップは七%、こういう大前提があるわけです。しかし、結果においては金額はそれほど大きな七%以上というわけではありませんが、とにかく一方八十六円、一時金三千五百円、こういう線で妥結したわけですが、これはパーセンテージに引き直しますと何%に相当するのかということが一つ。それからトン当たり幾らになるのかというのが一つ。舟橋参考人の資料の中には、賃金の予想外上昇と福利厚生費の負担増がトン当たり十円と出ておりまするが、協会の計算としてもこれでいいのかどうか。 それからもう一つ、これに関連してお尋ねしておきたいというのも、これは舟橋参考人からは強い雇用安定についての前向きの決意というものが表明されて、われわれといたしましても力強く、またそれが当然な経営者としての態度であろうと存ずるわけでありまするが、舟橋さん一人でなくして、協会並びに鉱業連合会あるいは鉱業協会等々の方針として今後どういう決意でおられるのか。七%のこのベースアップの基礎というものをどこまでも固守するということになれば、毎年毎年労使の間においてはいろいろな必要以上の紛争というものが起きてくることは必至でありまして、このことを考えてみただけでも、またいままでの質疑応答の中で明らかになりましたように、今後の雇用面から炭鉱を守っていこうとするためには、いまの七%というものだけについてはこの辺で明確な方針を経営者のほうとしては打ち出して、それをやはり政府当局にも強く当たっていくということが大事な課題じゃなかろうか、こう考えているわけです。この点について簡潔でけっこうでありまするから、協会並びに鉱業会としてはどういう方針でいかれるのか、ひとつ結論的でけっこうでありまするから、方針だけ聞かせていただきたい、こう思います。
○町田参考人 今度の春闘のベースアップはどのくらいの。パーセントになるかというお話でありますが、ベースアップのほうは七・四%くらいに計算すればなるかと思います。一時金を入れれば八%近くになるかと思います。 それから、トン当たりは百五十円くらいになります。トン当たり百五十円、これは全部でございます。百五十円くらいのコストのアップになります。 労務者の定着確保につきましては、大手業界といたしましてももちろん前向きの姿勢で取り組んでまいりたい。 それからさらに今後の賃金ベースを七%にくぎづけにするかどうかという問題でございますが、これは今後再建計画というものを実際に立てていくわけでございまして、各会社によりましてもいろいろ会社の経営事情等も違いますし、また、政府の援助措置が今後どのくらいになりますか、大体のところはわかっておりますけれども、個別企業によりまして必ずしもそれがまだ正確に計算もできませんし、あるいはまた今後のこれから明年度以降お願いいたします追加対策というようなものも考えられますので、そういうものを勘案しつつ、これから再建計画を経理審査会で御審議いただきまして、この再建計画の中で可能なできるだけの賃金を出したいということでございまして、いまこれが何%になりますか、その辺のところちょっと申し上げかねる段階でございます。
○植田参考人 町田参考人の意見と同様でございます。できるだけやりたいのはやりたいのですが、やれぬ中小炭鉱がやればその炭鉱はやめなければならぬというようなことにつながりますものですから、できるだけ賃金はやりたい、こういう考えであります。 以上でございます。
○舟橋参考人 先ほど申し上げたように、他産業に負けないところまでがんばりたい。それには政府の施策も思い切って前向きの姿勢で、ことしはやむを得ないとしても、来年度からこの予算を思い切って盛り込んでいただきたい、こういうことをお願いしたわけであります。 どうかこれは議論倒れになっておってはいけませんので、この機会に特にお願いしたいことは、早くこの国会で通してもらわぬと何にもできないわけなんです。それが一番大きなネックになって、議論は議論として、通すべきものは通しておいてあとから議論してもらわぬと、私どもは車の下敷きになっておるのです。出してくれずに、いやひいた車が悪いんだ、下になったやつが悪いんだといわれるとたいへんなことになるので、どうか車をのけてもらって、通してもらって、あとから治療法は考えていただくということで、早くひとつこの国会で通していただきたい、これをきょうはお約束を願いたいと思います。そういうふうに心得てよろしゅうございますか。委員長さん、よろしゅうございますか。
○多賀谷委員長 あとから委員会の運営で、理事会ではかりますから……。
○舟橋参考人 あなたの決意をひとつ……。
○多賀谷委員長 これにて参考人各位に対する質疑は終わりました。 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多用中のところ、長時間にわたり石炭の基本施策につきまして貴重な御意見をお述べいただき、非常に参考になりました。厚く御礼申し上げます。 次会は明八日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十九分散会