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55回国会衆議院1967/04/20

社会労働委員会 第4号

発言数
112
登壇者
9
会派数
3
開催日
1967/04/20

会議録

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 これより会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 佐藤内閣が誕生いたしまして以来、佐藤総理もしょっちゅう言われておりますように、社会開発、人間尊重の政治実現をはかってまいりたい、これが佐藤内閣が誕生いたしてまいりまして以来のおもな国民に対する約束でございます。そこで、それならば社会開発、人間尊重の政治というものが一体どういうものであるかということでいろいろな議論があるわけですが、特にわれわれは、社会保障が私どもの所管でもございますから、この佐藤総理が言ってこられた社会開発ないし人間尊重の政治、こういう政治と社会保障との関連、こういう問題にしぼってきょうは若干総括的な質問を行なってみたい、こういうように考えておるわけであります。  御承知のように、日本の社会保障はその中身というものが非常にアンバランスがございます。たとえば医療保険のごときはある程度水準が高いけれども、一方児童手当制度のごときは全然ゼロだというふうに、非常にアンバランスのあるのが日本の社会保障の特徴だろうと私は思う。したがって、この社会保障全体を地ならしをいたしますと、そういうアンバランスというものが日本の社会保障の水準を非常に低下させる原因になっていると思うのです。そうしますと、佐藤総理が社会開発、人間尊重の政治と言われながら、その裏づけである——それはいろいろな裏づけがあると思いますけれども、私の立場からいえば、その裏づけである社会保障というものは一体どうだということが、この所管委員会としては一番大きな問題になるのじゃないかと私は思う。ところが、いまのようなかっこうで、人間尊重の政治とか社会開発とかが重点施策でありながら、その具体的な社会保障政策については非常に水準が低い。これでは全く羊頭狗肉の策であって、看板倒れに終わっているのが今日の現況ではなかろうか、こういうふうに私は考えるのです。  そこで私は、まず、本論に入ります前に、大臣の、佐藤総理のもとにおける社会保障についての心がまえ、こういう点についてひとつ明快な御見解をお伺いしておきたい、かように思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 お説のとおり、佐藤総理が人間尊重といった理念と申しますか、そういった思想に発想いたしまして、人間の生命、身体といったようなものに対しまして、これを豊かに、支障ないように保持していくということを強く主張してまいっておるのでございますが、その佐藤内閣の中の厚生省をあずかっておる私といたしましても、まさにそういうふうに具体的の政策を考えていかなければならない、かように考えております。  御指摘のとおり、日本の今日の社会保障の実情を振り返ってみますと、児童手当というものが今日欠けておりますが、その他につきましては、姿、形の上におきましては、国民皆保険、国民皆年金と一応整っておりますけれども、その内容を見ますと、これはおっしゃるとおり、まだ非常に内容が西欧の先進国に比べまして劣っておることは否定のできない事実でございまして、われわれといたしましても、できるだけ政策の上におきまして西欧諸国の域にまでこれを近づくように持っていかなければならない、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 その形が整っておるというような御見解でございますけれども、私どもは、形が整っておらぬ、こういう見解なんですね。というのは、児童手当制度のごときはないわけです。ですから、私どもはいまのような見解では困るのであって、そういう認識では私どもは納得できないわけです。  そこで、きょうは時間の制約もございますから、いろいろ多くを申し上げることはできませんが、いまのヨーロッパ並みに近づけていく努力をする、こういう御見解であったわけですが、社会保障制度審議会の答申の中にも、十年計画で日本の社会保障の水準をヨーロッパ並みに引き上げなければならぬ、こういうことを明らかにいたしておるのであります。そこで、この十年間でヨーロッパ並みに日本の社会保障の水準を引き上げていくということになるならば、ことしはどの程度、来年はどの程度まで引き上げていく、再来年はどの程度、こういうことで日本の社会保障制度というものが十年間でヨーロッパ並みに引き上げられなければ、何か無計画で、行き当たりばったりで、この十年間で日本の社会保障制度の水準をヨーロッパ並みに引き上げることは困難だと私は思う。しからば、いま大臣がおっしゃったが、日本の社会保障の水準をヨーロッパの水準まで引き上げたい、それではどういうかっこうでヨーロッパ並みに引き上げようとお考えになっておるのか、その辺の御見解をひとつお聞かせいただきたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 政府の経済社会発展計画におきましても、社会保障を引き上げていくということが社会開発の非常に重大なる柱、こういうふうに考えておりまして、この計画の中には、いわゆる振替所得でございますか、これを目標年次たる四十六年度までにはこういうふうに引き上げていくべきだ、こういうことをうたっておりますが、四十年度におきまして対国民所得比率が五・五%というものを、四十六年度におきましては約二%ばかり引き上げる、こういう計画を持って、その計画の線に沿ったように具体的な政策を打ち立てていく。むろん、四十二年度にどう、四十三年度にどう、こういうことはそのときの日本の経済力といったものと見合って考えていかなければなりませんので、そこで年次的に、何年度はどう、何年度はどう、こういうことは明らかになっておりませんけれども、目標年次たる四十六年度までにはとにかく二%前後これを引き上げようということになっております。そこで、これを年率平均にいたしてみますと、振替所得というものは大体一七%ずつくらい——これは年率平均でございますから、一七%のときもありましょうし、またそれと変わることもありましょうけれども、要するに二%前後というものを引き上げていこう、かような計画でもって進んでいきたいと考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 いま大臣の御見解を聞いておりますと、私はやはり佐藤内閣における閣僚として必ずしも適切な御答弁じゃないと思うのです。御承知のように、鈴木前厚生大臣、それと佐藤総理も、実は私どもに対して、社会保障の長期計画というものをいま大臣が述べられた経済社会発展計画の中に織り込んでいく、こういう約束をされておるわけですね。あなたは各年度における経済の発展状況と見合わせて社会保障に対する計画を立案したいということですけれども、政府の経済社会発展計画というものの中に当然社会保障の長期計画も織り込まれなければならぬし、またそういうことをすでに前厚生大臣も総理大臣もお約束になっておるわけです。それなのにあなただけが、いまのように、年次年次における経済の発展状況と見合わせて日本の社会保障の水準を考えていく、こういうことであれば、私どもは何のためにこの委員会で審議しておるかわからぬのであって、大臣がかわればかわるたびに大臣の見解が違ってくる、これでは困るので、十年後にヨーロッパ並みの水準に高めるということになればやはり長期計画、年次計画というものが当然必要になってくるのであって、それならば、たとえば経済が非常にダウンするということになった場合には、そこで社会保障の水準の引き上げという問題はとまってしまう。これでは十年間でヨーロッパの社会保障並みに水準を上げていくということは実行不可能じゃないか、こういうように私は考えるわけであります。政党政治というものは責任政治でございますから、やはり政府が一貫した見解でこの推進を当然はかっていかなければならないというように私考えるわけですが、その辺ちょっと私はいまの大臣の御見解ではいささか納得しかねる。それでは私は、とてもとても社会保障制度審議会の答申に言われております十年間でのヨーロッパ並みの社会保障の水準ということは国民として期待することはできない、こういうように考えざるを得ないと思う。その点いかがですか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 長期的な見通しを立てまして、目標年度たる四十六年度にはどうしてもその二%だけは上げていく。いま河野委員のおっしゃられましたように、経済が非常にダウンしてしまった——それは非常にダウンするというようなことがあってはならないと私は思う。そこで、社会経済発展計画というものもさようなことのないように、着実に日本の社会、経済というものが発展、成長していくように立てられた計画でございまして、この計画の線に沿いまして、その中でも、いろいろな計画もあり、年次計画等もありますけれども、この社会保障というものについて非常に重点的に考えられておりますのが、社会保障のこれからの方針、計画でございますので、御指摘のように、日本経済ががたっと落ちてしまうというようなことがあってはならないし、さようなことのないように持っていく。計画の中におきまして、社会保障計画というものはいま年次的にはなるほどきまっておりませんけれども、長期的にはそこまで持っていこう、こういう考え方です。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 いま大臣の御答弁、非常に私は矛盾があると思うのです。私が言っているのは、日本の経済というものが伸び悩んじゃいかぬ、ダウンしてはいかぬ、そういうことがないとすれば、私は当然年次計画というものができると思うのです。いま大臣がおっしゃったように、ダウンするようなことがあってはならぬので、もしあったときのことを考えると年次計画はなかなか策定しにくい、これなら話がわかるのです。政府としても、経済社会発展計画というものを立案をして長期計画で進んでいこうということですから、当然日本の経済というものが順調に発展していく、伸びていくという前提で私はそういう計画が立案されていると思うのです。そういうように順調に日本の経済というものが伸びていくとするならば、当然それに相応するだけの年次計画が私は策定し得ると思う。もし私が心配するように、日本の経済がとまってしまうというようなことを大臣がお考えになって、それで年次計画の策定というものがなかなかむずかしいのだ、そういう意味で私はおっしゃったと思った。ところがあなたは、日本の経済は順調に伸びていくのだ、途中でとまるということは考えられないということなら、私は当然長期的な年次計画というものが策定し得ると思うのです。どうも大臣のおっしゃっておることばには非常に矛盾があると私は思うのです。大臣がおっしゃるように、日本の経済というものが順調に伸びていくとするならば、私は、当然長期的な年次計画というものが立案し得る、こういうような考え方です。したがって、日本の経済というものはとまることはなかろう、やはり年次計画というものは当然立案し得る、こういう判断に立って私ども申し上げておるわけです。ところが、どうも大臣のことばを聞いておると、非常に矛盾があると思うのです。これはいささか私ども心外ですけれども、時間の制約がありますから、きょうは私は多くは申し上げません。  そこで、私はさらに、この年次計画というものが必要であるというゆえんのものを、もう一つ申し上げてみたいと思うのです。この内閣の諮問機関でございまする国民生活審議会、この審議会が将来における望ましい日本の生活のあり方という答申をいたしておりますことは、御承知と思うのです。この日本の将来における望ましい生活のあり方がどういう状態であるべきか、どれが一番望ましいか、その一つとして、十年後はヨーロッパ並み、それから二十年後はアメリカ並みの生活水準というものが望ましいし、そういう水準というものができるように努力しなければならぬ、こういうふうな答申を国民生活審議会が行なっておりますことは、これはもう国会の中で言われておりますから大臣御承知のとおりだと思う。ところが、この現状を見てみますと、国の予算の中で占める社会保障の比率を国際的にながめてみますると、四十二年度におきまする日本のいわゆる社会保障費というものは七千百九十五億円でございます。そうしてこの数字は全予算の中で一四・五%という比率を占めておるということでございます。日本は十年後にヨーロッパ並みにこれを引き上げなければならぬわけですが、一方ヨーロッパの中で、たとえばスエーデンでは、全予算の中におきまする社会保障費の比重というものは三四%、イギリスは三一%、こういうようにヨーロッパと比較いたしまして日本の数字は非常に低いわけですね。そこでこの数字を見て、ただ日本の社会保障の水準というものがヨーロッパの水準に比べて非常に低いというような抽象的なことでなくて、この予算なら予算面だけを見てみても——いろいろな形の問題もあります。実態の問題もありますよ。ですが、そういう数字の上から見てみましても、日本の数字というものが非常に低いことは、いま私が一例に取り上げたとおりでございます。そこで、少なくともこの数字に対応する長期計画というものは当然立案せらるべきだ。そういう意味からも、私はこの長期的な年次計画というものは当然立案しなければ、いま申し上げますような水準に追いつくことができない。そのとき、そのときの状況によって紆余曲折しておって、はたして十年後に追いつくことができるか。本気で政府が十年後にはヨーロッパ並み——そのヨーロッパだって、経済が伸びていけば水準が高まってきますよ。それはヨーロッパが足踏みをしておって日本だけが前進するわけはないのですね。ヨーロッパだって、アメリカだって前進いたしますよ。ですから、この十年間あるいは二十年間、アメリカなりヨーロッパがそのまま足踏みしておればいいですけれども、ヨーロッパだってアメリカだってやはり前進していく。ですから、当然そういう状況というものを考慮しながらこの年次計画を策定していかぬと、単に抽象的にことばの上だけで、十年後にはヨーロッパ並みです、二十年後には日本の生活水準というものはアメリカ並みですと言ったって、私はとうてい実現は不可能だろうと思うのです。そういう意味からも、非常にむずかしいことはわかるけれども、政府がむずかしいと言いながらも本気でやろうとするならば、やはりそういう年次計画をつくって、今年度はこれだけ努力するのだ、来年度はこれだけ努力するのだ、再来年度はこれだけ努力する、そうして十年後にはヨーロッパに追いつく、こういう意欲というものを見せてもらわぬと、私は国民というものはなかなか納得するわけにいかぬと思うのですそれだけでも実現されることについては、とても私は多くを期待することができぬと思うのです。しかも率直に申し上げて、前厚生大臣である鈴木さん、それから佐藤総理も、やはりこれは長期計画に基づいて、日本の経済社会発展計画の中でも、社会保障についての、長期計画というものをその中に織り込んで、それで日本の経済発展と並行しながらやっていくということをお約束になっているわけですからね。所管大臣だけが、その年度年度やるけれども年次計画ができぬということでは、これは全く公約違反だと私は思うのです。この点、率直に御見解をお聞かせいただきたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 おっしゃるとおり、四十六年にはどうなるのだ、あるいは十年後には西欧各国に追いついていくのだ、こういう抽象的なことを申し上げましても、それはまるで希望的な、念願的な考えじゃないかとおっしゃられること、そのとおりでございますが、そこで、どうしてもそう持っていくためには、これは今後の政策論ということに入っていかなければ私はなるまいと思う。私も決して、年次計画を不必要だ、その年その年の状況によってやっていくんだというような考えで申し上げておるのではございません。そこで政策的に、現在の日本の、医療保障はどうなっておるか、それから所得保障はどうなっておるかといったようなことを考えまして、そしてこれらの問題について検討を加えて、そうしてそういったような具体的な政策からまず打ち立てていって、それと並行して年次計画をつくっていかなければならない、かように考えておるのでございますけれども、何しろ、河野さん十分御承知のとおり、いまの日本の医療保障というのはたいへんな危機に至っておる。そこで、こういったようなものをまず抜本的に立て直していくということ、これが一つだと思います。そういったようなことについてのいろいろな検討なり研究なりは、今日も厚生省においてやっておるわけでございます。それからもう一つは、私は、日本の医療保障と所得保障、つまり年金と医療保障を比較いたしてみますというと、年金のほうが非常に立ちおくれておる。この医療保障を抜本的に立て直して、そしてこの年金というもの、所得保障が今日立ちおくれておるのでごさいまするから、そういった方面に——これはむろん医療保障について、これを軽視するとかなんとかという、そういうことではございませんけれども、いま御指摘もありましたように、社会保障の内部に非常にアンバランスがあるじゃないか、このアンバランスを是正していくというような意味におきまして、この所得保障といったような内容を整備充実していかなければならない。そういうようなことを念頭に置きながら、私はどうしても、その場当たりといったようなことでなしに、年次計画を立てていくべきであり、そういうことを厚生省としてはやっていかなければならない、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 社会保障の中に占めまする医療保障の比重というのが非常に大きいわけですから、いまのような御答弁があったと私は思うのです。その点はあとで触れたいと思うけれども、昨年の健康保険法の一部改正の当時、四十二年においては抜本対策を立てる、こういうお約束をされて、昨年の国会においては、健康保険法の一部改正というものが上程をされ、審議をされておるわけですね。ところがそういう抜本対策というものがまた四十二年度も見送られた。そしてそういうふうな対策が立たぬからその長期計画ができぬとおっしゃるなら、それは大臣は、これは申しわけないことばですけれども、もう天を仰いでつばきするようなものですよ。あなたの無為無能をここで暴露されるようなものですよ。社会保障の中における医療保障のウエートが非常に大きい、そこが解決せぬと長期計画ができぬというならば、なぜ四十二年度に抜本的対策というものが許されないのですか。四十二年度においては医療対策に対する抜本対策を立てるんだ、こう言って昨年においては健康保険法の一部改正を上程され、審議をされた経過があるわけです。それをことし見送られそれができぬから社会保障年次計画ができぬということになるなら、それは全く、いま申し上げるように、大臣みずからが天を仰いでつばきするようなものです。厚生省の無為無能ぶりを暴露する以外の何ものでもないんですよ。いずれそのことはあとでもう少し突っ込んで申し上げたいと思いますから、私はその点はここでは留保いたします。  それで、この児童手当制度は、御承知のように佐藤総理も、来年から創設するんだ、こういう御見解を述べられておりますね。それからまた、前厚生大臣でございました鈴木善幸さんも、当委員会でしばしば私どもの質問に対して、児童手当制度というものは四十三年から創設するんだ、こういう御見解を表明されております。そこで、これまた、これがきまらなければ年次計画を策定できぬということじゃ困るのですね。ですから、四十三年から実施しょう。これはもちろん世界の六十二カ国も実施しておるわけですから、明年、四十三年から実施されるとするならば、これは当然七、八月ころまでには、予算編成もあるわけですから、構想というものは明らかにされる段階に来ていると私は思う。そこで、本気で四十三年度から児童手当制度を創設されるという心がまえなら、この際児童手当制度といったものは一体どういうものだということをここで明らかにしてもらいたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 先ほども御指摘がありましたように、日本の社会保障の中で児童手当というものが欠けておるということは、社会保障の立場からいって、西欧各国に比べまして一つの大きな欠陥である、これは私も御意見のとおりだと思います。そこで、社会保障のそういったような欠陥を埋めていくということも、これまた非常に大事なことでありますが、日本の今日の人口問題だとか、あるいは雇用等の関係から考えてみましても、児童手当というものはやはり考えていかなければならない問題である。そこで、私どもといたしましては、これを実現に運んでいくべく、今日各方面の御意見もお聞きし、この検討も始めておるわけでございますけれども、すでに四十二年度の予算におきましても、約一千万円の調査費というものを、要求いたしておるというようなことでございまして、できるだけすみやかにこの制度の実現ということに運んでまいりたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 私は、各界の意見をお聞きになって、やはり児童手当制度を創設すべきだということに踏み切られたと理解をしておるわけですね。それをなお検討をされておるということにっいては、私どもちょっと納得できぬわけですよ。だから、大体もうそれぞれ各界の意見を聞いて、ILO百二号条約にも示されておるし、また世界各国においても六十二カ国がすでに児童手当制度というものを実施しておるわけですから、そういう意味でやはり日本でもすみやかに創設すべきだということで、そのすみやかにが四十三年度になったと思うのですね。それをなお検討しおるようなことで、なぜ厚生大臣が国会のこの委員会で、四十三年から創設するんだ、総理大臣も四十三年から創設するんだというようなことをおっしゃっておるのか。そういうことだと、何か地方選挙目当ての公約としか考えられない。もうそういう見解は済んだんだ、あとは事務当局で、あとどうするんだということをあなた方が鋭意検討されておるということならわかるけれども、いまさらここで各界の意見を聞きおるなどという、そういうことで四十三年から創設するなどと御約束なさることは、私はいささか心外だと思う。もうすでに厚生省の腹はきまったということで鈴木前大臣が約束をし、総理大臣が約束をしたというように、私どもは理解をしておるわけですよ。それをいまさら各界の意見を聞いて鋭意検討中ということでは全く——今度は鋭意検討したら、それはまだ早過ぎるという結果が出たらどうするんですか。それでもやるとおっしゃれば、各界の意見を聞いた意味がないでしょう。私は、おそらく各界から児童手当制というものを創設すべきだという意見が出ることは当然のことだと思うのですが、仮定の問題ですけれども、もし違った見解が出てきたら一体どうするのか。もうすでに国会で四十三年から創設を約束されているのですから、いまさら変更するわけにいかぬでしょう。それをいまさら検討中だということでは、東京都知事選挙に勝とう、統一地方選挙に勝とうというような、全くいやしい魂胆から言われたとしか理解できないですよ。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 たいへんおしかりを受けましたが、児童手当をやるかやらぬかということについて、私は別に、検討しておる、こう申し上げたのではございません。児童手当はやるべく踏み切っておりますけれども、そのやり方を、どういうふうにやっていくかというようなことについてやはり各方面の御意見も承らなければならない、こういう意味で申し上げたのでございまして、やるかやらぬかということで、やるなと、育ったらやらぬのだ、そういうことではございませんから、そのところをひとつ御了承願いたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 各界の御意見をお聞きになれば、どういう形でやるべきだというふうな見解を述べるのは当然だと私は思うのです。私も社会保障制度審議会に出ておりますが、日本の社会保障の姿というものはこうあるべきだという意見を述べるのが、やはり各審議会のたてまえなんです。ですから、児童手当制度を創設するのだという見解が各界から出てくれば、日本の現状における児童手当制度というものはこうあるべきだ、こういうものをおやりなさいというふうな議論が出てくるのは、私は当然だと思うのですよ。だから、私がさっきも言ったとおり、私は何も誤解で申し上げておるのではなくて、そういう各界の意見を聞いた、もう出尽くした、そこでその中であなた方が、こういう点をひとつ四十三年度は実施したい、こういうことにならぬと、四十三年におやりになるかどうかわからぬけれども——この医療制度なら医療制度の問題にいたしましても、四十二年から抜本対策を立てる、こうおっしゃった。立たないでしょう。だから、立たないから、要するに社会保障についての年次計画というのは立たぬのだ、こうおっしゃるから、そういうことになると、またぞろこの児童手当制度についての方針が立たなければ、この社会保障についての年次計画は策定できぬということになってくるのですね。そういう意味で私は申し上げておるのですよ。だから私は、日本の社会保障の水準というものをヨーロッパ並みに引き上げなければならぬ、そのためには、具体的に長期的年次計画をつくって、こういう形で十年後にはヨーロッパ並みになるのです、生活水準については二十年後にはこういうかっこうでアメリカの水準になるのです、そういうふうな長期計画というものが策定されなければならぬ。ところがあなたは、医療保険の抜本対策ができぬから長期的な年次計画ができぬのだとおっしゃる。そうすれば、長期的な年次計画を策定するためには、まずその基礎である各制度の対策というものをすみやかに立てなければ、私は、日本の社会保障の水準をヨーロッパ並みに引き上げるという計画に非常に大きなそごが出てくると思うのです。そういう意味で私は心配をして建設的に申し上げておるのですから、謙虚にひとつお聞き取りをいただきたいと思うのです。委員長に時間の制限も与えられておりますから、いずれあらためて突っ込んでお尋ねをしたいと思いますが、いずれにしても、いまのようななまぬるい態度では、日本の社会保障水準を十年後にヨーロッパ並みに引き上げるということはなかなか困難な状態ではなかろうかという非常に大きな危惧を私は持っておりますから、そういう危倶を解消するための努力をひとっさらにお願いしなければならぬと思うのです。  そこで、先ほど大臣ちょっとお述べになりましたが、社会保障は大別すれば所得保障と医療保障というように区分されると思うのです。ところが予算面においては医療保障の比重というものがかなり大きい。これは大臣も御指摘のとおりです。いま世間を騒がしておる問題の一つには、健康保険法の一部改正の問題もある。これはいまそれぞれの審議会に諮問中でございますが、この健康保険法の一部改正案なるものは、累積赤字が二千億出てきた、その赤字財政の責任というものを、診療担当者、医師、それから被保険者、患者に転嫁していこうというようなかっこうで考えられておることは、これは医療審議会でいろいろ討議されておりまするから、その討議の状況から見てまいりましても明らかなことだと思います。医療制度については、かなり時間をかけなければ、とてもちょっとやそっとで追及できる筋合いの問題ではないわけですから、私は多く申し上げることができないことを残念に思うわけですが、いずれにしても医療保険で赤字が出てくる。したがって、その赤字というものは被保険者で一部負担しなさい、あるいはそのしわ寄せはお医者さんも負いなさい、こういうかっこうでなされれば、そのために、受診率が減るとか、あるいは医者にかかりたいと思ってもかかれぬとか、いろいろな問題がありましょう。いずれにしても国民医療というものは破壊される、こういう危険性というものがあることは、いろいろ言われているとおりであります。そうしますと、この健康保険法の一部改正というものは、もちろん日本の社会保障を後退させる。いま日本の社会保障の水準というものを高めていかなければならぬ。十年後はヨーロッパ並みに高めなければならぬ。それは平均をしてもそうでございますけれども、特に私は先進国を見て回って、医療保険制度というものは、日本の場合は、低いと言われておる社会保障水準の中ではかなり高いわけですね。せっかく高いものだから、りっぱなものなら私どもはそれを守っていきたいという気持ちがある。ところが、たった一つぬきんでておるこの医療保険制度を今度引きずりおろそう、こういう政府の方針に対しては断じて承服することはできないというのが、私ども、なおまた国民の見解だと思う。そういう国民の医療を破壊するような政策を推進することが、はたして佐藤総理がおっしゃっておる人間尊重の政治と言えるかどうか、こういうことが心配になる。人間破壊の医療政策、こういうことは少なくとも人間尊重の政策ときわめてほど遠い政策である。むしろ人間尊重というよりも人の生命を軽視する。そういう意味で、今日日本の政府に与えられた至上使命というものは、とにかく十カ年間に日本の水準の低い社会保障制度というものをヨーロッパ並みに高めなければならぬということですから、そういう意味で私は今度の健康保険法の一部改正というものは全く納得がいかぬ。どうせこれは法律案についていろいろ審議するわけですから、ここでは多くを申し上げません。ただ、日本の社会保障の水準を高めなければならぬという段階の中で、こういう日本の社会保障を後退させるような方向というものは私どもは断じて承服することができない、こういうことを私特に指摘をいたしておきたいと思います。そこで、この社会保障の水準を高めるという立場から、こういう施策についてどういうふうにお考えになっておるか、ひとつ大臣の率直な御見解を一お聞かせ願いたいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 今度政管健保の御審議を願おうとしておる改正は、社会保障、医療保険を後退させるのではないか、こういうお話でございますけれども、先ほど河野さんがおっしゃられましたように、私どもといたしましても、四十二年度から何とかして根本的な立て直しをいたしたい、かように考えておったのでございますけれども、そこは河野さんもわれわれと一緒に政治家でございまして、政治の非常に大きな流れというものがございまして、これは弁解にも何にもなりませんけれども、事実上、そういう事態の中におきましてこれが抜本的な立て直しという作業ができなかったということは、たいへん遺憾ではございますけれども、ひとつ御了承をお願い申し上げたい。そこで、後退じゃないか、こうおっしゃられるのでございますけれども、もしもその抜本的の立て直しが四十二年度からできないということになってまいりますと、そのままにしておきますと、結局、政管健保におきまして、支払い遅延などというような、全く最悪の事態が生ずるおそれがあるというようなことは、どうしても厚生当局としては食いとめなければなるまいというようなことで、今度の政管健保及び船員保険の改正案というものをつくったのでございまして、そのままにどうしても伏せておけないというので緊急の財政対策というものをつくったというととも、ひとつおいおい御審議を願うことになろうと思いますけれども、御了承を願いたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 実は了承できないわけなんですね。と申し上げますのは、これは大臣も御承知のように、昨年健康保険法の一部改正が出て非常に世間を騒がせた時期がございました。その当時、一応曲がりなりにも健康保険法の一部改正というものが成立をしたわけですが、その際政府は、四十二年度において抜本対策というものを立てるのだ、こういうお約束があったのです。ところが、今度はまたぞろ四十二年度において健康保険の一部改正をして、そして抜本対策というものはまた四十三年というような言い方をされておる。だから私どもは、緊急措置、当面の赤字対策ということで、その赤字の責任というものは全部国民が負担させられる、こういう事態というものが出てきておると思うのです。ですから、国民が、患者なり医者なり、あるいは保険者がしわ寄せを食ったりというようなことで赤字を補てんしていくということで収拾するなら、政府はむしろこの抜本対策を立てぬほうが望ましい。抜本対策を立てれば政府はよけい財政負担をしなければならないから、私は抜本対策を立てることをサボっておられるのじゃないかと思うのです。そして赤字が出てくれば国民に負担させれば、それは一番イージーな方法でしょうけれども、昨年も、四十二年からやるのです、そこで四十一年度においては健康保険の一部改正、料率の引き上げについてはひとつ御協力願いたい、こういうような言い方をされてきておる。そうしたらまたぞろ今度は、赤字を埋めるための当面の緊急措置をやる、そしてまた抜本対策というものは見送られた、こういう事態はいつまで続くのですか、その点をひとつ明確にしてほしいと思います。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 今度の措置は、先ほども申し上げましたとおり、政界の激流の中でどうしても根本的な立て直しがおくれ、そういう作業ができなかった、しかしほうっておいてはいけないということで急場をしのぐ、こういう意味においての財政対策でございますから、私は、こういう事態がいつまでも続くなどということは、決して思っておりません。いまの日本の国の医療保障制度も、このままほうっておいたのでは、いろいろな点に、非常に不合理な点、あるいは脆弱な点、あるいは不均衡な点といったようなものが、すでにこれだけ露呈されておるので、でき得る限りすみやかに根本的に立て直しをやっていく、こういうことでございまして、今度の緊急財政対策といったようなものをまたやる、またやるというようなことは、断じて考えておりません。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今度の財政対策のための緊急措置によって、国民のほうは、料率の引き上げによって三百二十五億円、それから初診料が百円から二百円になるということのための負担増が三十九億円、それから入院料の負担額三十円が六十円になることで五億円、薬剤の一部負担が百二十六億円、合計いたしますと四百九十五億円の国民の負担増になっておるわけです。そういうことで赤字を埋めていこうということで計算なさっておるわけですから、これはもう明らかな事実です。そうしますと、結局、政府が四十二年度の抜本対策をサボったために、国民が四百九十五億の負担増を背負わされたということになるのですよ。これは政府が抜本対策を立てておればそうはならなかった。立てないできたから、またぞろ赤字が出てきた。あなたのほうは、国庫負担が二百二十五億だからと恩着せがましく言うかもしれぬけれども、国民のほうは四百九十五億円も負担が加重されておるわけですよ。もしこれがあなたのほうで抜本対策が立てられておれば、この四百九十五億円は負担しないで済んだんですよ。あなたのほうは、国民に対して四百九十五億円の被害を与えておるでしょう。政府は加害者ですよ。当面の緊急対策というようなかっこうでおっしゃるけれども、そのために国民は四百九十五億円も負担加重を背負わされた。国民はそういう数字はわからないから、どうも困る困るというような感情しかないかもわからないけれども、具体的には四百九十五億円という負担増が生まれておるわけですから、この責任は大きいと思うのです。政府が抜本対策をサボったために国民に四百九十五億円という負担増が生まれてきておるのです。そういう意味で、政府の対策が手ぬるいという問題については、非常に大きな責任を感じてもらわなければならぬ。ですから、またぞろ四十三年において抜本対策ができぬということになりますと、おそらく今度はまた五百億以上——国民所得は伸びていきますからね。そこで料率の引き上げというものの係数を生んでいくわけですから、おそらく来年は五百億を突破するでしょう。ですから、もう今後は緊急対策をやらないのだというようなことだけでは納得できぬので、絶対に四十三年はやらないのだということだったら、厚生省は全責任を負うのだというぐらいのことを言ってもらわぬと、国民はまた五百億以上の負担増ということになるわけですから、それだけの負担が加重されるわけですから、ちっとは大臣も——お坊さんというのは慈悲深いわけでしょう。そのお坊さんが人の命を軽視するような政策をとってもらっては困る。坊主ですから、医者から坊主のところに早く来いとおっしゃるかもしれぬけれども、これはやはりもう少し温情ある政策というものをぜひひとつ慈悲深い坊大臣からとってもらいたいと思うのです。そういう意味で、重ねてですけれども、緊急処置対策というものはもうことし一年だ——それも私どもは納得できませんよ。ですけれども、また五百億も六百億も負担させられてはたいへんですから、こういうことは今後は絶対やらぬのだという明言をここで得ておきたいと思うのです。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 だんだんの御意見も承りましたけれども、御意見に沿うように——私は坊主でも何でもございませんけれども、百姓のせがれでございますが、とにかく厚生大臣としての責任は非常に重いものであるということを感じておりますので、さようなことによって国民にどんどん負担をかけていくというようなことは、これはでき得る限りしないように抜本対策というものをすみやかに立てていこう、こういう決意をいたしております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 特に健康保険法の一部改正というのが——基本的には政府管掌の健保ということですが、特に私はここで重要視しておきたいと思いますことは、政府管掌健康保険というものは、元来所得の低い人々の保険でございますことは御承知のとおりです。それから最近は疾病構造が多様化してきたということも、これは否定することのできない点です。それからもう一つは、老齢層が非常に増加をしてきた。これはいろいろございますけれども、大きく要約して申し上げると、いま申し上げたような、所得が非常に低い、あるいは疾病構造の多様化、あるいは老齢化の問題だとか、こういう特色というものがあると思うのです。ですから、特にこの政府管掌健康保険の対策については、そういう特殊性というものが当然尊重されなければならぬということを私どもは強く指摘をしておきたいと思うのです。そういう赤字の負担というものは、国民が背負わされるというのでなくて、やはり今後政府が国庫負担について特に力を注いでいくというたてまえをとっていかなければならぬと思うのです。そうしなければ、赤字が出てきた、これは国民が負担しなさいということになれば、特にいまの政府管掌健康保険のごときは三つの特性があるわけですから、一番しわ寄せを食う立場にあると思うのです。そういう意味で、国庫負担で赤字を解消するたてまえというものは今後とも強く貫いていかれなければならぬ、こういう点を基本的に確認してもらっておかぬと、また次々にこの国民負担の問題が非常に大きな問題になってくると思うのです。そこで、財政上、国が、たとえばいまの国庫負担等について政府が今後とるべき対策の一つとしての姿勢と申しますか、そういう点についてひとつこの際御見解をはっきり聞いておきたいと思う。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 医療保険についての大きな問題は、ただいま御指摘のように、負担をどうするか、あるいは料率をどうするか、あるいはその給付の内容、給付の率をどうするかとか、それから保険の中の財政がきわめていま脆弱である、その財政を長期的にどういうような方法をとって安定さしていくか、こういったようなことが、概観してみまして大事な事項だと思います。そういったようなことについて、これをどうやっていくかというようなことは、ぜひとも、抜本対策と申しますか、根本的の立て直しと申しますか、そういったような中におきましてこれをきめてまいりたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 私がお聞きしたいのは、先ほど申し上げましたように、政府管掌健康保険については三つの特性がある。だから、よほど政府が財政負担についてさらに強い心がまえで大蔵省にお臨みいただかないと、ますます国民の負担というものが加重される、こういう心配で御指摘を申し上げておるのです。ですから、まずそれを強く政府がお考え願わぬと、私は、この抜本対策の中でまたぞろ国民が非常に大きなしわ寄せを受けなければならぬ、こういう心配をしております。抜本対策を立てれば——抜本対策の中で国民の負担増というもが非常に加重されるという抜本対策なら、私は困るのですよ。私どもが言っておる抜本対策というのは、国民の負担というものが軽減されるという形の抜本対策が行なわれなければ——国民の負担がどうなろうとかまわぬのだというかっこうでの抜本対策では困るのですよ。ですから、そういう抜本対策をお考えになる場合には、国庫負担のあり方についてはどうだというその御見解をはっきり聞いておかぬと、抜本対策はできたが、全く国民の負担を加重させるようなかっこうで抜本対策ができたということになれば、私どもはたいへん困るので、そういう意味から、特にいまのような財政負担について政府がどう考えておるのかということを御指摘を申し上げておるのですから、そういう意味でひとつお答えを願いたい。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 抜本対策の中で国民の負担のみを加重していこう、そういうふうなことは考えておりません。各般の角度から考えまして、一体その内容をどういうふうに持っていこうかということに苦心があるのでございまして、保険制度をやっていくのに、ほんとうにこれを確立していくためには、とにかく国民の負担のみを増していって、そして確立しようなどということは考えておりません。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 大臣はしろうとだから、隣の熊崎さんあたりから適当に言われてそういう御見解を持っておられるかどうかわかりませんけれども、たとえばいま被保険者は十割給付なんですよ。ところが今度は、入院したならば三十円が六十円納める、薬剤費は十五円納めるということになりますと、実質的には十割給付が九割給付ということになる。ことばの上には出ておりませんが、非常に大きな抜本改正ですよ。それともう一つは、薬剤費の一部負担にしたところで、これはいままでなかったものでしょう。それを新しく加えておるじゃないですか。これは抜本改正ですよ。だから、そういうところには目をふさいで、そうして何か抜本改正、抜本改正とおっしゃっておるから、私はそういうことは納得ができないのです。もっともことばの上では九割給付じゃないかもしれませんけれども、実質的には十割給付が九割給付になっておるじゃないですか。暫定処置、緊急処置とおっしゃっておるけれども、いままでなかったところの薬剤費の一部負担をやらしておるじゃないですか。これは抜本改正ですよ。そういうなしくずしの改正をしておって、今後国民の負担が過重になるような抜本改正はやりませんなんと言っても、私どもは承認できませんよ。現実に緊急処置と言いながら抜本改正みたいなことをやっておるじゃありませんか。これは十割給付を九割給付にしたとは言っていないが、しかし実質的には九割給付じゃないですか。これは抜本改正ですよ。十割給付を九割給付にするということは、抜本改正じゃないですか。また、いままで制度になかった薬剤費を一部負担させておるのじゃないですか。これは抜本改正ですよ。そういうことをやっておいて、私どもが問い詰めると、抜本改正の中で国民の負担を加重するようなことはやりませんとおっしゃるなんて、私は全くナンセンスだと思う。ナンセンスですよ。それはあなたがしろうとだから、おわかりにならぬでおっしゃっておるのだろうと思いますが、それなら私ははっきり申し上げておきますが、今度の緊急処置、緊急処置とおっしゃっておるが、抜本改正と思われる改正があるということを十分御認識いただきたいと思うのです。そういう点を十分頭に入れてこの抜本改正、抜本対策に対して取り組まれぬと、結果的には、抜本対策が行なわれたが、その対策というものが国民の負担を加重するという方向での抜本対策になってくるということを私どもは強くおそれるわけです。ですから私は大臣は少し認識不足だと思うのですよ。もう少し認識を改めていただきたいと思うのです。そういう意味でひとつ国庫負担等についての御見解をいただきたいと思うのです。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 いまの緊急財政対策、これが今度の抜本対策にずっと続いていく、そういう考えは私どもは持っていないのです。そこで、いまの緊急対策の中にも抜本対策があるじゃないか、こういう御指摘なんですけれども、料率の点は別に抜本改正というわけではないと思います。それから薬でございますが、この薬というものをもしやらなかったならば、現にある初診時の一時負担、それから入院時の負担といったようなものを何倍にもしていかなければならないというような——これは現にあるのでございますから、そういうようなことを何とかして避けたい、こういうことで薬の負担というものをきめたわけでございまして、これは実は抜本対策じゃないか、十割給付が九割給付になるから、こうおっしゃられますけれども、私どもはこれは抜本対策とは考えていないわけであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 負担させぬというのが十割給付ですよ。負担させれば、それは十割給付じゃないわけですよ。だから、結果的に十割給付が九割給付になるじゃないですか。九割給付と書けば抜本改正ですよ。今度は書いていないわけなんですよ。だから、そういうことばの上では抜本改正でないかもわからぬけれども、実質的には抜本改正ではないかと言っているのです。なお、たとえば初診料を上げる、入院時の負担を上げるということは、現在あるわけですから、それに上積みするわけでしょう。ところが、薬剤費の一部負担というものは、金額は別として、制度としては今度新しく出てくる制度じゃないでしょうか。それがどうして抜本改正じゃないのでしょうか。だから私が言っているのは、実質的な抜本改正だと言っているのですよ。何も九割給付にしますと政府は言っているわけじゃないけれども、全然負担させぬということが十割給付なんですよ。ところが、それが実質的に九割になれば、実質的な抜本改正じゃないですか、そういうことを言っているのです。だから、大臣がことばを荒らげて、何も抜本改正じゃないんだとおっしゃられる筋合いのものじゃないと思うのです。  もう一つ、いま料率は別としても、その他の既成事実というものがずっと生きていくわけじゃないんだとおっしゃった。これは非常に重要なことですよ。だから抜本改正の中には、初診料がなくなる、入院負担がなくなる、薬剤費一部負担がなくなるということはあり得るわけですね。既成事実としないということをあなたはおっしゃったわけですから、これはあり得ますね。これは非常に重要なことです。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 ただいま抜本改正の中においてどういうことをやっていくんだということは、抜本改正につきましてはまだ成案も何も得ておりませんので、抜本改正の中でこれをどうするのだということは、ここで言明を申し上げるわけにはまいらぬと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 あなたは前言を訂正するなら訂正するとおっしゃってください。その前に明らかにあなたは、そういうことは次の抜本改正の中に入ることじゃないです、こうおっしゃったわけです。だからこれは非常に重要なことだから、私はここであらためて確認をしたのです。それは議事録を見てもらえばわかります。だから自分の言い誤りだったら、それを訂正してその上で言ってくださいよ。あなたははっきりそういうことをおっしゃっているわけだから、それは議事録を見てもらえばわかりますよ。熊崎さん、あなたも聞いていたでしょう。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 私がさきに申し上げましたことは、今度の緊急対策がそのまま抜本対策へずっと移行していくということではない、こういうふうに申しあげたつもりなんでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 大臣は料率は別としてとはっきりおっしゃった。薬剤費の一部負担なり、おそらく入院費負担、初診料ということでしょうが、料率は別としてその他の緊急対策というものが今後生きていくわけじゃないのだ。ということは、料率は別としても、その他については既成事実にならぬというふうに私どもは理解せざるを得ぬのですよ。それで、これはたいへんなことをおっしゃったなということで、私は再確認を求めたのです。あなたはことさら料率は別としてとおっしゃったのですよ。料率は既成事実だ、その他については既成事実じゃない、こういう意味であなたはおっしゃったわけですよ。それは非常に重要なことだということで私は再確認を求めたわけですから、もし私の言うことについて疑問があれば、直ちに一応ここで休憩をして議事録を点検してください。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 料率は別としてと申し上げたかどうか、まあこの速記録を見ればわかりましょうが、料率というものはこれはもう全然抜本的対策ではない。保険の方式をとっておりまするから——非常識に料率を上げるというふうなことは、これはたいへんなことでございますけれども、保険の形式をとっておりまするから、料率というものは、これはもうどこから見ましても抜本対策でない、こういうつもりで申し上げたように思いますがね。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 委員長、休憩して議事録を調べてください。(「大臣、もう一度はっきり答弁しなさい」と呼ぶ者あり)

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、今度の財政対策というものは抜本対策とは全く別でございまするので、そこで、緊急対策の中に取り入れられておる薬の対策等につきましては、これを今度の抜本対策の中に取り入れるか取り入れないかといったようなことについては、これはいまここではっきりとこれをどうするんだということを申し上げるわけにはまいらない、こういうことでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 抜本対策については私どもは非常に重要視しておるので、きちっとしておかぬといかぬから、そういう意味で御指摘申し上げたわけですから、そのようにひとつ御了承願いたいと思います。  そこで、この保険財政が赤字になれば、緊急措置で赤字を埋める、そういう措置が行なわれる。そうすると、一方医療費という問題については一体どういうことになるのか。保険財政で赤字が出たら緊急措置でやるなら、医療費についても、医療経費がこうなってくれば、緊急是正というものは、私どもは常識的にやるべきじゃないかというふうに判断するわけですが、その点はどうなんですか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 医療費の問題は、やはり抜本対策の際に——これは、ほかの制度の問題と、その周辺の問題としての医療費、診療費という問題は、非常に重大なる問題だと考えておりまして、現在中医協におきまして根本的に考えていただいておる、こういうような事態でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 それは抜本対策の中で医療費体系をお考えになるのはけっこうですよ。ですけれども、先ほど言っているように、医療制度の抜本対策は立たぬから、そこで結局緊急措置をしようとおっしゃっておるのでしょう。だから、抜本的な医療費の体系をいろいろ諮問しておつくりになるのはけっこうですが、当面どうするかという問題が、保険財政のほうではなくて医療費のほうにあるのじゃないですか。それが片手落ちじゃないかと言っているのです。その点はいかがです。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 医療費の緊急に是正をしなければならないといったような問題も含めて、中医協においてこれを検討してもらっておる、こういう事態でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 保険財政で赤字が出てくれば、抜本対策が立つまでの措置として緊急措置でやる。だから、医療費体系を抜本対策の中に織り込まれるのはけっこうですけれども、当面をどうするか。その抜本対策と緊急措置は切り離すべきじゃないか。そうでないと片手落ちじゃないですか。保険財政のほうは、抜本対策が立つまでは緊急措置でやっていこう、片一方のほうは抜本対策の中で考えていこう−それは医療費だって、いま物件費が上がっておりますね。物件費も非常に高騰しておるわけですから、当然こっちは切り離す、こっちは切り離さぬという考え方はいささか片手落ちじゃないか、こう言っておるわけです。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 医療費の緊急是正という問題につきましては、すでに昨年から医療担当者の側のほうから、入院料その他を含めまして一三・五%の緊急是正ということが必要だという御要望がなされております。したがいまして、現在中央医療協議会におきましてその問題を含めて検討いたしておりますが、その内容は、いわば中央医療協議会の、一昨年の東畑意見書と通称いわれております意見書の中に、診療報酬の合理化ということばを使っておられますことは河野先生よく御存じだと思いますが、中医協におきましては、その問題を含めて診療報酬合理化の一環として診療報酬部会において検討する、こういう形になって現在審議をいたしておりますので、根本問題は実態調査その他を含めて、しかし片一方で一三・五%の医療費の分につきましては、合理化の一環としてそれも含めて検討する、こういうことで両方含めて診療報酬部会のほうで検討しておる、こういうことでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 その点は私はどうも納得がいかぬわけです。私はこれは医者の立場でなくて、純理論的に言っているのですよ。というのは、一方においては、赤字が出てくるから抜本対策が立つまでの暫定措置としての緊急措置をやっていこう。そうすると、なぜ医療費については一それはもう医療費体系を抜本的に検討されるのはけっこうですよ。それは国民の立場からそうしてもらいたいと思う。だけれども、現実に出ておる赤字についてはどうなさるつもりか。それは当然切り離すべきじゃないか。それをいまおっしゃるように、報酬合理化の一環とかなんとか、そういうことじゃなくて、赤字が出ておるならば——それは物件費が上がっておるのは事実ですよ。医務局長が来ておりますからちょっとお聞きしたいが、国立病院の医療労働者は今度賃金が上がりませんか。これはどうですか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 国立病院における従業員は国家公務員でございますので、人事院勧告等の線に沿いまして、病院の経営それ自体とは関係なしに賃金は毎年上昇しているのが実態でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 いまお聞きのように、この医療費がどうであろうとこうであろうと、国家公務員だから、医療労働者であるにもかかわらず賃金は上がるわけですね。これは消費米価、お米の値段も上がるでしょう。それなら一般の私的医療機関ではお米の値段を上げませんか。一般の医療機関では賃金は据え置きでよろしいとお考えですか。この点、大臣いかがですか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 そういった場合には、やはり賃金は上げるべきものだと思います。  それから消費米価のことは、もう一ぺん……。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 消費米価が一四・五%上がりますね。それから賃金は、いま若松医務局長がおっしゃったように、上がるわけですね。それなら、国立病院以外の一般の私的医療機関の中では、消費米価が上がらぬのか、お米の値段が上がらぬのか、それから賃金は上げぬでよろしいというふうにお考えか、こういうことを言っておる。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 聞き漏らしておりましてたいへん失礼いたしましたが、消費米価が上がれば、これはもう一般にわれわれ食べるものはみんな上がる、こういうことであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そうしますと、現在の入院料の中から払っておる消費米価が上がるわけですね。それから現在の医療費の中から出る人件費は上がるのですね。上げるのがあたりまえだとおっしゃっておるのだから、上がるわけですね。そうすると、そういう原資というものは、国の場合は予算関係だからいいですけれども、一般の医療機関というものは、それこそ医療費ですべての予算がきまるわけですね。そういう点については、どういうふうに病院が運営されておるというふうにお考えであるのか。そうすると、おのずから緊急是正という問題についての結論が出てきはせぬでしょうか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 おっしゃるようなことがございますので、中医協におきまして、緊急是正ということも含めてやっていただいておる。それが中医協のいろいろな関係でおくれたということは、非常に遺憾だと思っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そういう御見解でございますから、私はいま消費米価をあげましたけれども、消費米価だけでございません。光熱費も上がっておりますし、いろいろな物価も上がっておる。それから人件費も上げなければならぬ。そうすると、診療報酬合理化の一環なんて言わぬで、この際、幾ら上げるかは別としても、当然緊急措置として考えられるべきじゃないかという判断を私どもするわけです。ところがどうもそれについての中医協の結論が出てこぬので困るということなら、この健康保険の赤字財政について緊急措置が行なわれるわけですけれども、いずれこの国会に法律が上程されるでしょうけれども、この法律が通らぬでもよろしいということですか。そういうことになってしまうでしょうか。協力できませんよ。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 この法律はぜひ御審議の上、通していただきたいと思っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 自分のほうはぜひやってもらいたい、医療費のほうはそれはまことに残念ですと、対岸の火事のような見解では困るので、もう少しお坊さんらしく慈悲深い措置をぜひとってもらいたいと思うのですね。医療費の緊急是正について、あなたの心がまえをひとつ聞きましょう。それでこれは先に進みます。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 そういうこともございますので、中医協に対しまして審議の促進を極力お願いを申し上げておる次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 だんだん与えられた時間が参りましたので、多くを申し上げることができないのが非常に残念ですが、医療保障については、時間がないので非常にはしょって申し上げましたけれども、今度は所得保障について若干申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。委員長が、もうやめぬだろうかというような顔をしておられますから……。  その一つとして国民年金についてですが、予算委員会における佐藤総理の言明によりましても、農民年金の創設をはかっていきたいというふうな一言明がございましたことは御承知のとおりです。そこで私は、国民年金の加入者のうちの四割、八百万が農民ですから、この国民年金と農民年金と無関係で考えていくわけにいかぬと思うのです。そこで、この農民年金の構想というものについて、ひとつ御見解をいただきたいと思います。というのは、これは私は単に農民年金を切り離して申すのじゃなくて、今日国民年金がありますね。国民年金の半分は農民が入っておるわけですね。約八百万ぐらい入っておるわけです。ですから、それが別個のものになると、あとは国民年金がどうなるかという問題もありましょうし、そういう意味でひとつこの農民年金の構想について御見解をいただきたいと思います。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部政府委員 農民年金問題につきましては、先般の予算委員会におきます総理の御答弁のように、主として農業を継続をしていく、引き続き継続をしていく方々のために、年金の面につきましてもいろいろ知恵を出せということでございまして、この点につきましては国民年金審議会で検討を進めよということでございます。そのため、国民年金審議会にこの問題を担当する専門部会を設置いたしまして、この部会で今後各方面の意見を徴して問題点を煮詰めていくということになろうかと思うのでございます。ただ、ただいま河野先生の御指摘のように、国民年金の四割が農民でございます。かつまた年金制度といたしましては、いろいろな意味で被保険者にとっての有利な扱いが、規模が大きければ大きいほどできるわけでございますので、国民年金審議会の審議の全体的な傾向としては、国民年金制度を踏まえながら、この制度にさらに農民の特殊性を考えつつくふうを加えていくという方向で解決がはかられていくのではなかろうかという予想を持っておるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 予算委員会でも指摘されておるわけですが、農民には農民の特殊性があるということで農民年金ができるなら、最近中小企業の倒産が非常におびただしいものがある、中小企業にも特殊性があるじゃないか、それならば中小企業年金も創設されるであろうかという議論もあると思うのです。そこで私どもはこの国民年金の質の向上をはかってもらいたい。これが私が冒頭取り上げた社会保障の水準を高めるゆえんですから。ところが、いまのように、てんでんばらばらになっていくことが質の向上になるのか、この辺が私は非常に問題だと思うのですね。この点はどうですか。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部政府委員 先般の国民年金審議会の御議論におきましても、ただいま御指摘のような点は出ておるのでございまして、農民の特殊性と申しましても、これはやはり国民的な規模で納得ができる特殊性がなければならないということでございます。それが他産業も納得できる特殊性があれば、これは国民年金のワク内でやるべきであろうという御議論もございます。また基本的に、御指摘のように、今後の審議を通じまして——いずれにせよ、国民年金は先般の改正によりまして大幅に引き上げを実施したのでございますけれども、引き続き改善をはからねばならないことは御指摘のとおりでございまして、あるいは農民問題を審議する過程におきまして、全体のレベルの大幅な改善ということで問題を解決するかもしれません。これらの点をも念頭に置きつつ今後審議を進めたいということに、年金審議会の方向としてはなっておるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 鋭意検討をされておるということですけれども、これは一体どこが担当してやるのですか。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部政府委員 厚生省でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そうすると、予算は農林省が二千万円の調査費を組んでいるわけですね。そうして農林省農政局で検討を進めておるようになっておるわけですね。そうすると、これはちょうど、自動車学校に運転を習いに行った者が運転するのじゃなくて、習いに行くのは女房が行って、運転するのは結局おやじだというのと同じだ。調査検討するのが農林省で、やるのは厚生省、こんな不見識なことがありますか。全く精神分裂症的ですよ。調査費をもらって調査するのは農林省のほうですよ。それで、やろうというのは、どこでどうなってくるのか知らぬけれども、厚生省だというのは、これは全くナンセンスじゃないですか。この点どういうようにお考えになりますか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 農民年金につきましてはいろいろの御議論があると思います。いま河野さん御指摘の点も重要な問題点だと思います。いま農林省で調査しておるじゃないか、やるのは厚生省じゃないかというお話もございますが、農林省の農業構造改善といったような作業におきましても、農林省は農林省の立場において、これは非常に重大なる問題でございますから、そこで農林省としても調査をせなければなるまいということで、それは決して農民年金を農林省でつくるとかなんとかということではなくて、調査は調査といたしまして、厚生省で農民年金をどうするかということをきめていくということは、総理も予算委員会ではっきりと言明しておるような次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 全く不見識な話で、実施は厚生省でやります、調査研究は農林省がやります——全く厚生省は無能力じゃないですか。それは当然農林省の協力を得るけれども、主管は厚生省というのがたてまえです。厚生省でやるとおっしゃるならば、厚生省がやるのだけれども、農業構造改善その他のいろいろな問題点もあるから農林省の協力を得るというなら、話はわかるのですよ。全く本末転倒しておるじゃないですか。厚生省がおやりになって農林省の意見をお聞きになるなら話はわかるけれども、農林省が金を二千万円ももらってやって、そしてそれを今度は厚生省がやるというのだから、これは厚生省は全く無能であるということを暴露しているのですよ。さっき言うように、自動車学校に女房が運転を習いに行って、運転するのはおやじが運転するのと同じことですよ。それは夜、家庭の中で、いろいろどういうものであるか聞いておったろうけれども。それは全くナンセンスだと私は思うのです。行政のあり方としてもナンセンスだと思うのですよ。だから、農民の福祉を考えるなら考えるで、厚生省はもう少し緊褌一番意欲を持ってやってくださいよ。これはだれが聞いたって——私は、二、三聞いてみたのですが、みんながナンセンスだと言うのですよ。私は念のために、こういうことがほんとうに許されるだろうかと聞いたら、それはだれに聞いても、私の部屋に来た人がそれはナンセンスだ、こう言っておるのです。そういう意味で、この際年金局長の緊褌一番奮起をひとつ望みたい。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部政府委員 河野先生の御趣旨のとおりでございまして、国民年金審議会におきましても、農林省等の協力も得て農政関係の専門家も入ってもらって、そこでの専門委員会をつくってまいりたい、こういう方向でございます。  なお、厚生省におきましてもこの問題についての調査費をいただいておるわけでございますが、農林省におきます調査費は、農業構造改善の立場で農業に関連する種々の問題を検討したい、その結果年金に対する要望が出てまいりますれば、その時点において厚生省とともによく相談をしたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 いまの御答弁はちょっと勇み足ですよ。私は厚生省も十分調査したのです。そうしたら、結局、農民年金についての調査費は農林省でございますという報告を、私は厚生省から受けているのですよ。だから、そういうことならそういうことで、ちゃんと私に対して正しく報告しなければいかぬですよ。(「両方でやればいい」と呼ぶ者あり)両方でいい。両方でいいけれども、主管は厚生省なんですからね。もう時間が参りましたので、緊褌一番、国民年金局長と大臣の御奮起をひとつお願いして、せっかく農民福祉をおやりになるならば、ひとつ厚生省あげて農民福祉のためにおやり願いたい、こういうふうにお願い申し上げておきたい。  そこで、私ども心配しておりますのは、せっかく国民年金ができたのですから、国民年金の内容というものが充実されていかなければならぬ。先般給付が上がりましたことも事実でございますけれども、しかし、それは二十五年先の話であって、いろいろの問題がございます。私どもは、農民年金ができる、中小企業年金ができる——これはそうおっしゃっておらぬようでありますけれども、そういう特殊性からいえば当然そうだと思う。そういうてんでんばらばらになることが、はたして国民の福祉のためになる手段であろうかという心配がございます。むしろ一元化しなければいかぬという議論が多いわけですね。もう一つは、農民年金もけっこうだけれども、福祉年金の給付額の引き上げというのが非常に少ないわけです。百円でしょう。千五百円が千六百円になる。私は、いろいろな年金をつくるのもけっこうですけれども、やはりあるものの質の向上をはかってもらいたい。特に、低所得者であってこの福祉年金についての必要がある、そういうような者にひとつ考えてもらいたい。要は私は国民年金の質の向上をはかってもらいたいということが最後のお願いですが、冒頭に申し上げましたように、私はきょうは社会保障一本でやってまいったわけですから、そういう国民年金の質が向上することが、結果的には日本の社会保障の水準を上げることであるし、十年後にはヨーロッパに追いつくことになるわけですから、そういうことでひとつ最後に——委員長から予定の時間が過ぎましたというお知らせがありました。そういう国民年金、特に福祉年金に対する今後の心づもり、決意の一端をお聞きして、私の質疑を終わりたい。しかし再質問をせぬようなりっぱな答えをしてください。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 御意見を承りまして、国民年金、特に福祉年金、これが少ないじゃないかとおっしゃることは私も全く同感でございまして、極力御趣旨に沿うように努力をしてまいりたい、かように考えております。

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 和田耕作君。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それでは厚生大臣にお伺いをしたいと思います。  きょう私は一時間くらいの時間がいただけると思ったのですけれども、半時間にしてくれということでございますから、私がいま健康保険、医療の問題について最も大事だと思う一点だけを、ひとつお聞きしたいと思います。つまり、厚生大臣、いま緊急対策を出されておられる赤字の問題ですが、この数年間で医療保険の赤字が驚くほどの急増をした、その原因には薬剤費の急騰が最大のものだということはお認めになりますか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 そのとおりでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 これは四月六日の予算委員会の一般質問でもお尋ねをしたのですけれども、私は、緊急対策がいろいろ出ているのですけれども、現在の赤字の実態がどこから出ておるのかということをしっかりと突きとめることなしに、赤字が出たからこれはたいへんだ、健康保険だから赤字は何とかしなければならない、そしてまた今年は抜本的な対策をしなければならないという形でこの問を検討しているという感じがしてならない。したがって、この赤字の実態についてきょうはお伺いしたいわけなのです。  四月六日の予算委員会で、私この問題にも言及したのですけれども、四月五日の社会保険審議会で、京都の健康保険の一人当たりの医療費の額がげたはずれに大きいということがございましたお和。これは事実でございますね。それで六大都市の数字をちょっとお示し願えませんか。そして低い県の二、三の県でけっこうでございます。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 六大市別の資料は持ち合わせてございませんけれども、政府管掌健康保険の都道府県別の数字自体が社会保険審議会でも問題になったわけでございますので、それを申し上げてみますと、京都の場合は、被保険者本人の外来につきましての金額を申し上げてみますと、四十一年の十二月分が千七百六十八円、それから東京が七百二十九円、神奈川が七百十三円、大阪が九百九十八円ということになっておりまして、平均は九百七十円、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、京都が千七百六十八円というのはずば抜けて高いのじゃないかという御議論があったわけであります。

和田耕作民主社会党

○和田委員 一番低い県はどこですか。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 静岡あたりが六百六十七円という数字が出ておりまして、一番低いのじゃないかと思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 島根はもっと低いようでしたね。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 はい、どうも失礼いたしました。

和田耕作民主社会党

○和田委員 いいです、それはそれで。時間がありませんから。  そのときに、京都が千七百円というのは異常な高さというときに、厚生省から行った人から、三けた連動が行なわれたとか、こういうことになっているという御答弁があったようです。三けた運動というのはどういうことですか。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 通称三けた会あるいは三けた運動といわれておるわけでございまして、点数が百点以上ということで三けたになりますから、そうすると、一点単価が十円でございますので、千円以上、こういう外来につきましての点数の請求をするというふうに、私どもは聞いております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 そういう運動は現在の健康保険法の違反ですね。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 直ちに違反という形にはならないわけでございまして、つまり医師が診断、治療をする場合に、必要な投薬なりあるいは注射その他の処置をするといった場合に、保険医療機関の順守すべき療養担当規則に従ってやることになっておりますが、その療養担当規則に抵触しない範囲内でいろいろと薬その他の注射をやるということにつきましては、直ちに違反にはつながらない、こういうように私どもは考えております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それじゃ水増しにはなりますね。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 いわゆる水増しという形で表現するのがあるいは適当じゃないかと思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 つまり、水増しという問題が赤字の重要な原因だという問題については、厚生省どのようにお考えですか。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 水増し、いわば濃厚診でございますが、そういうふうな形になります。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それはよくわかりました。あなたもそういう感じを持っておられるということでけっこうです。そういう濃厚診でも水増しでもいいですが、そういう状態が薬剤興が非常に上がっておるという原因だということはお認めになりますか。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 一つの原因にはなっておるというふうに考えます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それからもう一つ、世上いろいろ伝えられておる問題があるのですけれども、いま診療にあたってビタミン類を多用するということがよくいわれております。その問題についてひとつ事実を確かめてみたいと思うのですけれども、四十年の数字でいいのですが、活性ビタミンB、系統の日本の総生産量は、価格でどれくらいになりますか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○坂元政府委員 いま御指摘のビタミンB1誘導体というふうにいわれているものの昭和四十年における生産高は、約三百四十億円程度でございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 三百四十億ですね。これが卸、小売りと渡っての販売価格は、大体二割増しと見ていいのですか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○坂元政府委員 ビタミンB1誘導体だけでなくして、一般的に医薬品の価格体系というものは、これは医薬品産業というものが自由企業であるたてまえから、われわれ政府としては直接関与いたしていないわけでありますが、医薬品産業における長年の商慣習に基づきまして、メーカーの仕切り価格から卸売り価格、それからまた末端の小売り価格、この一連の価格体系は、メーカーの仕切り価格よりも末端の小売り価格のほうが大体三割前後の増になっておる。つまり、メーカーの仕切り価格よりも、末端の小売り価格というのは、卸の価格を含めまして大体三割前後の売り幅をとっておるというふうにわれわれは承知しております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 そうしますと、いまの三百四十何億という金を小売りの段階で見ますと、約四百数十億ということになりますね。それで、現在医療費でビタミン剤として支払っておるお金ですね、これはどれくらいになりますか。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 薬剤費の中でビタミンB1誘導体の占める率は、丁六八%くらいになると思います。したがいまして、薬剤費の占める率は大体四割程度というふうになりますので、総医療費中三・五%前後、こういうふうに推定されるわけであります。

和田耕作民主社会党

○和田委員 その額は大体どれくらいになりますか。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 大体三百四、五十億ということ一になります。

和田耕作民主社会党

○和田委員 総医療費は四十年度で一兆二千億、それに対して四〇%で約三千八百億、その一三%ということになると、約四百億をこえやしませんか。

浦田純一厚生省保険局医療課長

○浦田説明員 ちょっと数字がこまかくなりますので、私からかわって申し上げます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 これは大事なところですから、正確に答えてください。

浦田純一厚生省保険局医療課長

○浦田説明員 昭和四十年の総医療費約一兆一千七百十六億というのが最近の私どもの推計でございます。ところが、これはまるまるということではございませんで、総医療費の中には買薬の費用も入っておりますので、それを引かなくてはならない。そういったもろもろのものを引きますと、約九割前後が実際にお医者さんを通しての医療費ではないかと考えられます。したがいまして、もとにあります一兆一千七百億に〇・九を掛けるということになります。そうしますと大体九千九百億くらいがお医者さん、医療機関を通じての医療費ということになるわけでございます。  さて、先ほど局長が、総医療費の中でビタミン耳誘導体の占める割合は大体三・五%前後と申し上げましたが、これはもう少し詳しく申し上げますと、政府管掌健康保険のほうでとった数字でございます。残念ながら国民健康保険等における関係のビタミン耳誘導体の占める比率はわかっておりません。したがいまして、この三・五%を九千九百億円に直接かけるということには、私どもとしてはいささか問題があるかと考えておるわけでございます。したがいまして、局長が申しましたように、三百四、五十億というふうに推定をすれば、大体間違いはなかろうかと思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それは三百五十億という数でもいいでしょう。けれども、先ほどのビタミンの総生産量のうち、健康保険で使う以外に薬屋でお売りになるのは、約五〇%程度だというふうに聞いておりますけれども、よろしゅうございますか。そうすると、健康保険として生産者から小売りを通じて医者に流れたのは大体二百億ですね。それに対して、健康保険の支払いをしているのが要目五十億。百五十億という金はどういうふうに説明したらいいのですか。

浦田純一厚生省保険局医療課長

○浦田説明員 いま薬務局長もおられるわけでございますが、三百四十六億の昭和四十年のビタミン誘導体の生産額、これは先ほど半分は医家向けに回るであろうというおことばでございますが、実は三十九年までのところは、先ほど薬務局長が申しましたように、五五対四五くらいであろうということでございますが、残念ながら四十年については、実は生産額の統計のとり方が多少違ってきておりまして、その比率はあまりはっきりしておりません。かりに、五五というふうにいたしまして、それからさらにこの生産額をあらわしておる数字は、実はメーカーのほうから卸商のほうに渡すときの大体の平均的な価格でございまして、いわば私どものほうはこれをC価と申しております。ところで、支払い基金その他のほうから医療機関に支払われますときの薬価と申しますものは、これは薬価基準価格でございまして、C価とその間に当然差があるわけでございます。これは医療機関が購入する価格ということになっておりまして、大体C価の一割から一割五分くらい高いところでもって実際にお医者さん方は仕入れているわけでございます。したがいまして、先ほど医療機関側で支払われる額としては三百五十億くらいであろう。それからメーカーの生産する半分、つまり三百四十億の半分といいますと百七十億となりますが、先ほどの比率をこちらのほうで多少修正さしてもらってかりに二百億といたしましても、これが医療施設に渡る場合には、二百三、四十億あるいはもうちょっと上になるかもしれない。それから先ほどの三百四十億という数字の推定そのものも、私どもとしてははっきりした数字をつかんでおりませんので、先生のおっしゃるような考え方もございましょうけれども、実際にはその差はかなり縮まるのではないかというふうに考えております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 いまの問題ですけれども、世上お医者さんが水増しを要求しておるという問題については、いろいろとデータが出ておるし、私どもの地域でも、いろいろな人たちの座談会でも最近必ず出るというようなことで、非常に重要な一つの問題点なんです。この問題を厚生省が熱意を持ってはっきり突きとめないというのはどういうことですか。しかも、いま大騒ぎをして緊急対策までやろうとしておるこの赤字対策として、国が国庫負担二百二十五億も出す、いろいろな診療保険料率の引き上げもする、あるいは一部の負担もさす、こういうことをしておりながら、しかも、先ほど厚生大臣もおっしゃったように、この赤字の根源は薬剤費の急上昇である。その急上昇の原因がはっきりわからないままでこういう緊急是正を出す、あるいは抜本対策を出すというこの態度は、厚生省としては少し怠慢ではないでしょうか。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 医療機関の基金に対する請求の中身につきましていろいろ問題があるという御指摘でございますが、私どもは全然問題がないとは申し上げにくいわけでございます。確かに、過去におきまして、保険医療機関の指導監督をやっております私どもの立場から申しますと、事故の件数は絶えないのでございます。したがいまして、事故の中身といたしましては、あるいは架空請求をしたり、あるいはつけ増し請求をしたり、その他の件数が年次別にふえてきておるわけでございますけれども、しかし、観点を別にいたしまして、薬の使用がふえたということにつきましては、これは現在の薬価基準の登載方法自体が、大体医療機関の購入数量の九〇%まで買える値段を薬価基準の価格に登載をするということになっていまして、九〇%の数量を購入し得る価格ということになりますと、病院等で大量に購入している場合には非常に安く買える、しかし診療所等で小額の購入をする場合には非常に高く買うということになりますので、自然と薬剤価格の間に、いわば購入価格と薬価基準登載価格との間に相当な差が出る。その分がいわば医療機関の収入という形になって残っておることは間違いない事実でございますので、このバルクラインの問題をどうするかという問題を、現在中央医療協議会の調査部会の検討事項として関係者の間で検討いたしておる段階でございます。ただ、バルクラインをどの程度にするかということは非常に大きな問題でございまして、その場合に、バルクラインを下げて、いま申し上げましたよらな医療機関の収入を減らしてしまうということがいいのか、あるいはその分は当然医師の本来の技術のほうに回すのがいいのかということになりますと、これは当然医師の技術のほうに回してしかるべきものだというふうに理論的には考えられるわけでございまして、その辺がこれからの中央医療協議会の調査部会での真剣な検討の中身になるのではなかろうかというふうに私どもは考えております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 私はこういうぶしつけな御質問をいろいろしておるわけですけれども、日本のお医者さんは、先進国のお医者さんとして、やはり先進国並みのお医者さんのようにしっかりした所得を得なければならないということについては、絶対そうだと思うのです。現に日本の総医療費というのは、最近では一兆四千億に達するというけれども、この一兆四千億という額は、アメリカを別としたイギリス、ドイツの先進諸国よりも多いか、あるいはそれと同等かという額ですね。国民はお互いの健康のために先進国並みの一医療負担を現にしておるわけです。したがって、先進国並みのお医軒さんに対する診療報酬というものは、内容を検討すればできるわけですね。しかし、それができないから、いろいろな世上伝えられている水増しその他のいかがわしいことをやらなければ、お医者さんの体面が保てないという状態であるとするならば——これは全体から見てそういうふうにお考えになりますか。診療報酬では足りない、したがってその他の方法でお医者さんが所得を増していかなければ、十分な社会活動家としてのお医者さんの体面は保たれない、それだから世上いろいろと問題になりましたような問題が起こってくる、こういうふうに考えていいですか。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 御承知のように、現在の保険医療の支払いにつきましては、厚生大臣の告示によります点数表があるわけであります。その点数表に従って支払い基金を通じてお医者さんに支払いをいたしておるわけでございますが、御指摘のように、日本の全体の総医療費というものは、欧米先進国に比べて決して少ないとは私どもは思っておりません。大体欧米先進国並みの支払いはして下る。しかし、現在の点数表の仕組自体について非常に問題があるという点は、私どもは常日ごろから考えておりますし、またこの点は、医療関係者、保険医療機関あるいは保険者を含めまして、それぞれ、現在の点数表の仕組み自体に問題がある、これを何らかの意味で解決していかなければ、支払い側も非常に問題があるし、医療担当者自身にもやはり絶えず不満があるということを、私ども承知をいたしておるわけでございます。その辺は中央医療協議会の診療報酬部会——調査部会とは別に診療報酬部会で検討をするということで、現在鋭意検討を続けておるところでございまして、合理化の方向でこの問題は解決をしていかなければならぬ問題だというふうに思っております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 現在の点数表というのは、つまりお医者さんがどのような生活をなさっておられるかという調査をなさったのが昭和二十七年でしたね。二十七年の数虚を何とかいろいろ推算をしたりしていまの点数表になっておると見ていいですか。いいですね。とすれば、その二十七年の調査によって、これにいろいろとその後の事情の変化を加算をして、そしてお医者さんの診療費というものの点数にしておる。この点数表でお医者さんとしての生活ができる、このような根拠がいままではあったわけですね。そう見ていいですね。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 さようでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 そうすると、先ほどの先進国並みの医療費を国民は払っておるが、いま申し上げたような意味でお医者さんの診療報酬としての点数をつけておる、それはどうなりますか。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 医療担当者側からの現在の点数につきましての不満は、技術が正当に評価されてないということで、結局、個々の点数につきましては非常に少額な点数でございますので、患者の数をふやさなければ収入が上がってこないということに非常な不満があるやに私どもは考えておるわけでございます。しかし現実の姿は、少なくとも医師の収入は、非常に御不満でございましょうけれども、平均的に申し上げますと相当確保できておるというように私どもは考えております。ただ御不満としては、現在の点数表の評価が、個々の医療技術につきましての評価が少ないということで、いろいろ御不満があるというふうに聞いておるわけでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それじゃ、現在の診療の技術に対するいろいろな評価の結果の点数で、お医者さんの生活は、お医者さんとして体面が保たれるような生活ができる、こういうことなんですね。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 結果的に支払い基金を通じて払われております分で保険医療機関の経費をまかなっておられるわけでございますが、しかしそれについては非常に御不満がある。つまり、たとえば薬のマージンで、薬価基準と実勢価格との間で収入を上げるということにたよらざるを得ないとかいうことにつきましては、たいへんな御不満があると思いますし、やはり正しい点数のあり方といいますものは、医師の正当な技術を評価した上で点数がきめられるべきだというふうに私どもは考えておりますから、そういう点の技術の正当評価ということで点数表の合理化を考えていかなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 私が先ほどから御質問しておりますのは、お医者さんという非常に重要な社会活動家が、正当な方法できめられた点数でもっての収入ではなかなか生活できない。したがって、現在、先ほどから問題になっておるような、世上いろいろうわさされておるような、水増しだとか、あるいは不正な請求で足りない所得をカバーしておるという、世上広く流れております主張があるわけですね。この実態というものをしっかりおつかみにならないと、いま現にお医者さんのほうから要求されておる診療費一三・四%のアップだとかいろいろな問題を是正することはできないわけですね。したがって、そういうことをやる場合に、中医協でおやりになっておるような実態調査というものも、当然必要になると思います。それはお医者さんは受けるべきだと私は思うのですけれども、その点は、お医者さん側はどうしてそれをいやだというふうにいろいろ答弁をなさっておられるのですか。

熊崎正夫厚生省保険局長

○熊崎政府委員 私どもも、医療機関側に御不満があるとすれば、実態を明らかにした上で、こういう点を是正するというふうな御意見があってしかるべきだと考えております。この調査方法自体につきまして、医療関係者の間で、過去の調査の中身につきましていろいろ御不満がございまして、たとえば官僚的な調査では困るとかいうふうな御意見もあるわけでございますが、この点は幸いにいたしまして、現在中央医療協議会の会長をやっておられます東畑先生とか公益の方々は、この方面には統計的にもあるいは経済学的にも非常に著名な方でございますので、この公益の先生方を中心にいたして調査方法その他の話し合いを続けていただければ、医療機関側のほうでも納得いただける調査方法が確立できるのではないかということを私ども期待をいたしまして、現在調査部会においてその方法等について相談をいたしておるところでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 いずれにしても、これはいまの緊急対策をやる場合に——四十二年度では抜本対策をやるということを、厚生大臣は先ほどの河野さんの質問に対していろいろ言明されておられる。今度の緊急対策につきまして、現在の赤字というものがわれわれの理解できるものであれば、私は個人として反対ではございません。いろいろこういう項目は必要だという感じを持ちます。持ちますけれども、赤字という問題で、大事な問題を隠したままで——どういうような強い政治力があるか知らないけれども、隠したままでその問題を出されているところに問題があるわけです。また、そういうような状態では、四十二年度でやられる抜本対策というものも、いいものは決してできはしないという感じがするわけです。いろいろ御答弁を承っておりますけれども、肝心のところで私が調べておる問題とはかなり違った答弁のようですけれども、これは私自身もあえてこうだということを言えるわけではない。いろいろな伝えられることで言っておるわけですから、あるいは厚生省自身の調査からそのことを申し上げておるわけですけれども、あなたがいまお答えになっておることとはニュアンスの違った受け取り方をしておる。その実態について何か隠しておる。これを隠したのでは正しい抜本対策はできないということなんですね。もっとこれは正しい姿を国民に公表をして、国民の世論の同意を求めて、そうして抜本対策をしなければ、抜本対策は絶対にできはしない。そうでしょう。診療体系が問題でしょう。あるいは先ほど大臣がおっしゃったいろいろな問題にしても、赤字の根源というものに対して重要な点を隠しておる。この隠しておられるということは、お医者さんのためにもならないと私は思うのですよ。それはそうでしょう。お互いの健康をあずけておる人なんですから、その人がこういうことで所得を得ておるとするならば、そういう疑惑があるとするならば、良心的な医療なんというものはできはしないということじゃないですか。したがって、これはこの段階になりまして、いまのような形で緊急対策、緊急対策ということで、年に五、六百億の金を国庫が出していく、あるいは一部の薬価の負担をさしていく、こういうようなことを積み重ねておると、それこそ厚生省の態度それ自身が日本の大事な医療体系を崩壊さしていく。最後のどん詰まりまでいって、一か八かのあれをしなければならない、こういうことに追い込まれるのじゃないですか。この段階にきていると私は思うのです。したがって、その問題については、お医者さんの側と十分にお話し合いになって、その実態だけは国民に知らしてもらわないと——そうでしょう。新聞なんか報道する場合でも、水増しのいろいろな事実の報道があった。いよいよこれで医療問題の核心に触れたという表現をある新聞の報道でもしておる。この核心に触れたという問題について、そういうぼやけたPRのしかたというものでは、これは抜本対策というものはなかなかできないんじゃないかという感じがするのでしつこく申し上げておるのですけれども、厚生大臣、その抜本対策というものは確かに四十二年度でおやりになる——それは人間のすることですから、やれないこともあるでしょうけれども、おやりになるというほんとうの御決意がございますか。

坊秀男自由民主党厚生大臣

○坊国務大臣 その決意でもってやっております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 そういうふうな先ほど来私申し上げておる問題が明らかになれば、当然私はこの医療の問題は必要な赤字は出てくると思います。したがって、適正な定率化した国庫負担という問題を討議しなければならないという感じを持っております。それにしても、その根本の状態を明らかにするということについてもっと勇気を持つべきだ、もっと正義感に立つべきだということですね。国民のこういう問題についての期待にこたえるためにそういうことをしないで、いろいろなその日暮らしのまあまあという状態を続けられるということは、厚生大臣としては責任をとるべき方法ではないのじゃないかということを思いますので、この問題については、とれこそ佐藤さんじゃないですけれども、勇断を持って取りかかってもらいたい。これは国民は、まともな主張、正義に立つ主張であれば支持するし、それからお医者さんも当然支持するはずなんですよ。またそれをおやりになれば——できないことなら別だけれども、一兆四千億というたくさんのお金を国民が払っておるのですから、先進国並みの待遇ができるわけですよ。だから全体としてできるめどははっきりついておる。しかもその実態の肝心なことについてもやもやになっておる。なっておるから、いろいろな対策がおかしな対策になってくる。こういうふうな悪徳環に陥っておるわけでございますので、その点を特にお願い申し上げまして、私の御質問といたす次第でございます。  どうも時間を超過いたしまして、失礼しました。

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十三分散会

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