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55回国会衆議院1967/04/19

社会労働委員会 第3号

発言数
88
登壇者
14
会派数
3
開催日
1967/04/19

会議録

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 これより会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 最近の国民経済の発展に伴って国民生活は著しい変動を遂げておりまするけれども、そういう現状の中で、国民の中に重要な位置を占める働く勤労者の状態というものがどのようになっておるかということは、きわめて注目をしなければならぬと思うのです。私は、さきに本会議で佐藤総理並びに労働大臣に対して、勤労者の生活と地位の向上についていかなる具体的な対策を持っておるかということをお聞きをいたしましたけれども、本日は、それに関連をいたしまして、現在労働情勢の中で数多くの問題がありまするが、特に、いま申し上げた国民生活全般と関連のある賃金の問題並びに雇用の問題を主体として、労働行政の立場から大臣以下御答弁をいただきたいと考えるわけであります。  最初に賃金についてお伺いをいたしたいのでありまするけれども、賃金問題についてお伺いをする前に、労働省で出されておりまする「日米両国の賃金事情」という冊子がございます。これは御承知のとおり、一九六一年十一月に開催された第一回日米貿易経済合同委員会において、日米両国間の合意に達したものから両国の労働政策の問題について情報交換をするという立場で意見の交換を行なうということになったのでありますが、そういう事態の中で、日本と米国の賃金事情についてそれぞれ調査研究をして発表する、そうして両方の了解のもとに情報を交換する、こういう立場でこの冊子が書かれたというふうに聞いておるわけであります。この内容を、あとで賃金の現状についていろいろお伺いする中で、比較いたしまして検討さしていただきたいと思うのでありまするけれども、率直に申し上げて、この中身であるところの賃金の現状、それからその分析というものが、きわめて概括的といいましょうか、批判的にいいまするならば、きわめて大まかな点であり、どちらかといえば的をはずした形で書かれております。前段と後段はかなり詳述してありまするけれども、実際の賃金の水準等の分析に対しては、きわめて精密さを欠いておるのであります。アメリカの側の賃金の現状についての把握のしかたも似たり寄ったりですけれども、しかし、どちらかといえば、まだアメリカの側の報告のほうが、やや現状をとらえて数字的にこれをあらわしておる、こういう状態でありまして、私は、これが日米両国の賃金事情を明らかにして、しかもこれを対外的にアピールする材料としてお使いになるといたしますならば、きわめてこれは不備なものではないか、こういうふうに考えておるわけですけれども、これを作成された意図、またどういう目的でもってこれをお使いなされようとするのか、その点に対してまずもって大臣のお考えを承りたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 日米賃金の研究につきましては、一九六一年、当時福永君が労働大臣のときに、日米貿易経済合同委員会においてこういう取りきめができまして、五年間にわたりまして研究し合ったわけでございます。そのときのアメリカ側の意図は、どちらかといえば、日本のチープレーバーということに対するアメリカ国内のいろいろな疑惑がある、そこでほんとうの実情を研究し合ってそういう真実を両国が理解し合おう、こういう意図であったと記憶いたしております。

石黒拓爾労働大臣官房労働統計調査部長

○石黒説明員 大臣から申し上げましたことを補足して、当時のいきさつと意図を若干申し上げます。  日米両国の賃金事情につきまして、これを取り上げました理由は、もちろんわれわれの側から申しますならば、アメリカ人に日本の労働事情、なかんずく賃金事情を理解させるということでありまして、それにつきましては、現在の賃金の額が一どうであるかということはもちろん重要でございますけれども、同時に、日本の現在の賃金が今日に至った事情、その長期的な推移、あるいはその中の賃金が全国民の平均のあれであるということだけではなくて、その中の構成が年齢別とかそのほかどういうようになっておるか、そして賃金の動向が今後どうなるであろうかというような、いわば統計を見ればわかる現在の賃金の数字を並べるだけではなくて、バックグラウンドを明らかにするというところに私どもとしては重点を置いて、これが日本の賃金を理解させる上に一番重要ではなかろうか。数字そのものはうしろのほうにかなり詳細な統計表をつけてございます。そういうバックグラウンドの説明に重点を置いたわけでございますが、何ぶんにもかなり限られた枚数の中でございますので、御指摘のごとく、賃金の実情から見ればなお不完全である、不十分であるという点もあろうかと思います。観点はそういうところであったという点を御了承いただきたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 賃金の実態についていろいろ部長にもお伺いをいたしたいのですが、私は、労働省なり日本政府の賃金に対する考え方の面について、実はいろいろな疑問を持っておるのであります。特に、この中にありまする日本の賃金が現在に至るところの歴史的な過程あるいは経済的な背景というものに対して、われわれが的確に把握をして、それを対外的に発表することはきわめて重要であります。しかし、賃金の現状について、あるいは日本の国民生活の現状について発表するならば、やはり両面からとらえた発表のしかたをしなければならぬと思う。いま言った歴史的なプロセスにいろいろと重きを置かれるということであれば、もちろんこれは重要でありまするけれども、たとえば賃金の現状把握についても、賃金格差については、個人格差なり企業別格差なり男女別格差なり地域的な格差なりというものが最近埋まってきておる、だんだん格差がなくなってきておるという、こういうようなことが書かれておるのであります。しかし、これは年次的にとらえてみた場合に、昭和四十年の場合ある程度そういったことが言える年もありましたけれども、またあとで御質問いたしまする四十一年度の上半期において若干また変動があったという事実もあるわけでございまして、そういった過去の賃金格差なりあるいはいろいろな低賃金なりというものが、最近日本においてはかなり是正されてきておるという、いい面だけをとらえていわばPRの材料に使われている、こういうきらいがある思いが、私はこの前半を読ましていただいてどうしてもぬぐい切れないのであります。そういった面から言いまして、アメリカ側の報告に比べて、何か日本はいまやこれに追いつかんといたしておるという立場でもってものの判断をしようとしているところに、私は、この賃金事情の中身というものが、きわめて全般を通ずる精密なものになり得なかった基本的な事情があるのじゃないか、こういうように思うわけでございまして、もしそうでないというならばお答えをいただきたいのでありまするけれども、これと関連をして現在の賃金事情についてお伺いいたします。  この種のもので、四、五年前に「日本の賃金事情」という冊子を外務省と労働省の共同で発行されたことがあるのです。が、この中身と比べてみて、今度のほうがやや精密になっていることは事実であります。いま部長がおっしゃったような、いろいろな歴史的な経過というものも踏まえて発表されていることは事実でありますけれども、しかしなおかつ前車の轍を繰り返しているような部面もあると思うのでありまして、対外的な影響を持つこういったものの作成にあたっては、やはりその焦点を忘れることなく、しかも全体的に見てものを判断する、こういうことでいかなければならぬと思うのであります。そういった点に対する意欲的な方向をひとつぜひ持ってもらいたいと思いますけれども、大臣の所見を承っておきたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 統計その他とらえ方におきましては、できるだけ真実を追求したつもりでございます。しかし神さまでもありませんので、いろいろもの足らない不備な点もあろうかと思います。しかし、この日米合同研究の結果明らかにされたいろいろな相違、たとえば日本は十年間に賃金は二倍になっている、アメリカは五割だ、調査を始めたときには賃金はアメリカの八分の一だったけれども、いまは五分の一になったというような問題、そうしてアメリカのほうのは年功序列、終身雇用ではない、能率給だというような点、あるいはアメリカにはボーナスの制度がない、退職金の制度がない、いろいろのこの調査の結果、お互いにそれぞれの賃金の特殊事情を理解し合う効果があったと思います。ただ、御指摘の賃金格差が非常に縮まったという表現でありますけれども、事実、企業別、年齢別に縮まりつつあることは申すまでもないわけであります。しかし、これはアメリカのように平均化しておる国に比べますと、なお見劣りするということも事実でございまして、そういった点は客観的にできるだけ真実を追求したのがこのレポートである。こういうことを参考にして、日本の賃金でアメリカの賃金形態のとるべきものがあればどんどんとっていくという労働行政の参考にいたしたい、こういう考えでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 最近において賃金の状態がアメリカとの比較においてその差が縮まってきておるという、こういうことに対しては私どもも数字的にはそのとおりとらえているわけです。しかし、何といっても絶対額が低いという、こういった大前提があることだけは、これはお忘れなく踏まえていただきたいのでありまして、その上に立って若干の差が縮まっただけで足れりとすることは、もちろん大臣としてもとらざるところだろうと思うわけですけれども、われわれとしては、日本の賃金の現実の状態というものを、ただ単に十年前に比べて幾らか差が縮まった、幾らかよくなったというだけでとらえることはきわめて危険である、こういうように考えておるわけでありまして、確かに、この種のものが出される効果もありますけれども、しかしまたそれだけに、こういったものが持つ欠陥に私は目をおおうことなくさらに正確なものを発表されることが望ましい、こういうように考えておるわけです。一応この冊子についての質問は中身を省略いたしまするが、あとで関連をしてそれぞれお伺いをいたしたいと思うのです。  大臣、つい先だっての委員会の所信表明でもって、いろいろと労働行政についてお話がございました。その中で一番最初に、日本の経済は非常に伸びてきて、国民生活もかなりよくなってきた、こういうお話があったのであります。国民所得は世界で有数な地位を占めるようになったというお話があったのでありますが、これは正確に言いますると、幾らかその中身に問題があるわけでありまして、確かに、国民の総生産、生産量、こういうものは異常な伸展を遂げておることは疑いない事実でございまして、われわれは世界有数の生産力を持ってきたということについての認識を新たにするわけでありますが、しかし残念なことに、その国民の生産力の向上、いわゆる国民総生産との比較において国民所得がそれほどよくないということは、これはすでに御案内のとおりでありまして、大臣のことばをとらえて言うわけでありませんけれども、どうも国民所得が世界有数の地位を占めたという御発言が前提にあって、その御認識の中でもって今後の労働行政に携わるということについては、いささか正鵠を欠くと思っておるわけであります。ちょっと横道にそれるようですけれども、ひとつ部長からでもけっこうですから、国民所得が一体どのくらいの現状になっておるか、諸外国と比べていただきましょうか。ちょっと御説明をいただきたいのであります。

石黒拓爾労働大臣官房労働統計調査部長

○石黒説明員 国民所得を外国と比べますと、一九六五年の数字しかただいま手元にございませんですけれども、日本ではドルに換算いたしまして国民所得の総額が六百七十八億ドルでございます。アメリカは五千六百三十億ドル、イギリスは七百九十億ドル、西ドイツが八百五十億ドル、フランスが七百億ドル、イタリアが四百五十五億ドルというふうに相なっております。これを一人当たりの額に換算いましますと、日本では六百九十ドル、アメリカは二千八百九十四ドル、イギリスは千四百四十六ドル、西ドイツ千五百四ドル、フランス千四百三十七ドル、イタリア八百八十三ドルというようなことになっております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いまお話がありましたとおり、大臣国民所得は、確かに戦争直後はもちろん、十年前に比べてもかなり向上しておることは、われわれは認めるわけですけれども、世界の趨勢から言いますならば、まだまだ二十位を前後するというランクにあるわけです。もちろんアメリカの国民所得とは比較にならぬのでありまして、約四・五分の一くらいに当たるわけでありますけれども、同じ比較をいつもされるところの西ドイツに比べてみても、やはりまだ半分に達しない、こういう状態でありまして、われわれとしては、まだまだ世界の各国に比べて日本の全体的な水準というものが決して高いものではない、こういうふうに考えざるを得ないわけでありまして、非常にその点では今後の発展が望まれるわけでございます。そういういわゆる国民所得の現状でありますけれども、私はその中でも特にきょう問題にする労働賃金に限ってみましても、まだまだ日本というものが諸外国に比べてりっぱな賃金事情になっていない、こういうふうに考えておるわけでありますけれども、部長、ひとついまの例にならって、おもだった諸外国との間における賃金の比較をさらに御説明いただきたいと思います。

石黒拓爾労働大臣官房労働統計調査部長

○石黒説明員 製造業の一時間当たりの賃金で申し上げますと、貨幣単位が違いますので、日本に対する比率で申し上げます。日本を一〇〇といたしますと、アメリカは四九九、約五〇〇でございます。イギリスが二三四、西ドイツが一九五、フランスが一一六というふうになっております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 大臣、御承知のとおり、さっきお話の出ました日米間の賃金事情というものは、ある意味では比較にならぬいろいろな歴史的な経過もあり、特に戦争の被害という日本にとっては特別に入れなければならない事情もあるわけですから、そういった点では私はこれだけを参考にして賃金問題を論ずることはいかがかと思のでありますが、それ以外の国の状態と比べてみても、いま御説明のありましたように、日本の労働賃金というものはまだまだ欧米に比較をして非常に低いものである、われわれはせめて手近な目標としては西ドイツ、もっとインフレその他の状況が似通っている面から見て、イタリア、フランスに追いつき追い越せ、こういうことにならなければならぬと思うのでありまして、そういった立場で今後の賃金問題をやはり国際的視野から考えていかなければならぬと思うわけでありますけれども、大臣いかがでありましょうか。日本の国民所得にしても労働賃金にしても、希望するところとはまだまだ相かけ離れておる現状というものをよく御認識をいただきたいと思うわけでありますが、この際ひとつ大臣の、現在の日本の賃金の状態というものが諸外国に比べてどのような地位にあるか、現状認識についてひとつ御発言をいただきたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 日本のように平野が少なく資源が乏しい国土に一億も人口をかかえておる国の国民として、ドイツや、あるいはイギリスのように連邦諸国を持っておる、あるいはアメリカという条件のいいのに比べますと、客観的に見て、終戦後二十年間ここまでよくぞ来たという評価は、世界の人は認めるわけであります。そこでこの賃金の比較でありますが、率直に言って、五百人以上の製造業におきましては、諸物価を勘案いたしますと、フランス、イタリアとほぼ同じ、あるいはイタリアを凌駕しておる、特に鉄鋼業なんかむしろ西ドイツ、イギリスの鉄鋼業とほとんど変わらないという報告も聞いておるわけであります。もちろんアメリカとは五分の一というわけでありますが、そういうところまで来ておる。ただ問題は、西ドイツ、フランスその他欧米諸国においては、業種別の賃金格差が非常に少ないのです。いわゆる労働力の流動化ということですね。西ドイツでは、ある会社で十万取っておる人が、マイスターとかゲゼルとか技能の資格を持っておれば、ほかの会社に行っても同じように待遇される。そういう事情では日本はございませんので、中小企業あるいは農業、そういった人たちの賃金水準というものは、非常に格差は縮まっておりますけれども、昨日の中小企業の賃金統計を見ましても、やはり平均二万円とか一万八千円というサービス業もあるのです。鉄の五万円というような製造業に比べますと非常に低い。格差が依然として残っておる、そういう点では欧米諸国にはなお大きい開きがある、かような認識を持っております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 大臣、率直にお話がありましたので、私は、その認識をやはり正確にお持ちの上で、今後特に中小企業の問題なり、そこに働く労働者の問題をやっていただかなければならぬと考えておるわけです。私自身もこれを数字的にながめてみて、いわゆる規模別賃金の格差というもの、これが構造的に日本の賃金の上におおいかぶさっておるという現状が、これはいずれの場合もきわめて重要だろうと思うのでありまして、先んじて大臣から率直な答弁がありましたから、これに対するこまかい説明を求めることは省略いたしますけれども、いわゆる賃金の額の問題も重要でありますが、その賃金の中身ですね。いま大臣がお話のありましたいわゆる規模別賃金格差、これも含めて賃金の質の問題といいましょうか、これがやはり非常に重要だろうと思うのでありまして、そういう面で実は日本の賃金事情というものはいろいろな欠陥を持っておる、いろいろ穴を持っておる、こういうように実は考えざるを得ないわけであります。特に低賃金の層というのが——これはいわゆる規模別の面でなく横断的にながめてみて低賃金層というものが非常に多いわけであります。これも労働省の統計によりましても現金給与年額三十万円未満の労働者が一千万をこえるという状態でありまして、全体の四四%近くも存在する、こういう状況にあるわけであります。ところで、大企業と中小企業との間における賃金の格差、こういうことを見た場合に、われわれとしてはやはりこの中身をどう改善していくかということが非常に重要だろうと思うのであります。  あわせてお伺いをしたいのは、特に男女別賃金の格差というのが日本においては外国に比べてまだまだ著しいのでありまして、総理大臣が私の質問にも答えられましたとおり、政府はILO百号条約の准批を近くするという決意をお持ちでありますが、この特に男女間にあらわれた賃金の格差の現状、これをどうやって克服するかという熱意と努力がまず先行いたしませんと、ただ単にILO百号条約を批准するというようなことのお話がありましても、これは羊頭を掲げて狗肉を売るような結果に終わることをわれわれはおそれるわけであります。これに対してどういうお考えをお持ちであるか、ひとつ所見を承りたいのであります。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 ILO百号条約は男女間における同一労働に対する同一賃金という条約でございます。労働基準法の第四条には男女の雇用において差別をしてはならないと書いてございます。その精神をさらにILO百号条約を批准することによって、男女平等を実現しようということでございます。その場合に現状はどうかと申しますと、あとから政府委員からお答えをさせますが、初任給におきましては、中学出、高等学校出——あるいは中学出においては女子のほうが繊維産業なんかは高い、まず平等と見ていいと思うのでありますが、その後の昇給という面になりますと、女子には一生そこに腰を落ちつけるという気持ちで就職してない人もかなりおり、結婚までの腰かけというような層も非常に多いわけでございますので、現実には、会社内で昇給その他におきましては女子が非常に低いという実情がございます。そういう実情、同時に婦人と男子と一体どれだけ仕事ができるかという判定が、はっきり言うとなかなかむずかしい。そういうむずかしい問題がございますが、百号条約を批准することによって、少なくとも同じ能力あるいは同じ労働の者は男女は差別してはならないというような世論、慣行が日本に生まれてくる、これを期待して百号条約を批准ずる、こういうわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 部長はきっとお答えがあると思うのですが、この際、男女間における賃金の差というものがどういうものであるかということを——日本の賃金事情を知る上において一つの特徴的な点は、何といっても世帯主の勤労収入が諸外国に比べて割合からいって少ないということであります。すなわち、共かせぎなりいわゆる一家総ぐるみの労働というものが必要だという状態でありますが、この両者についてひとつ現状をお知らせいただきたいと思う。

石黒拓爾労働大臣官房労働統計調査部長

○石黒説明員 男女間の賃金の水準についてお答えいたします。  男子労働者と女子労働者のトータルの総平均で申しますと、女子の平均給与総額の月額は男子の四八%。これは大臣から申し上げましたように、年齢、勤続、職務内容いろいろございまして、諸外国も相当な格差がございます。初任給で申しますと、製造業の初任給では、中卒では男女は全く同じに相なっております。高卒では九二%ということで、ほとんど違いはございません。十七歳以下の女子をとりますと、やはり男子の九三%でございます。それが逐次年齢が上がるに従いまして格差が開いてくる。この辺は昇給の問題もございますし、大きな点は勤続が非常に短いという点にあるかと存じます。職務内容の一番差の少ないと思われる小学校の教師、これも国立、公立はもちろん同じでございますので 私立の小学校の教師をとりますと、女子は男子の八八%の給与を得ている。それもたとえば二十歳台では九七、八%で、ほとんど同じでございます。高齢の女子の教師に若干差が開いてまいります。それの中身を見ますと、扶養家族数の問題、勤続年齢が少し違うというようなことで、小学校の先生では実質上そう違いはなくなっているというふうに考えています。こまかいのはいろいろございますが、大体のことはそういうことでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま言った男女の賃金の格差というのは、これは確かに大臣が言われたように、繊維産業を例に出されましたけれども、それでは逐年賃金が上昇していることは事実であります。しかし、おおうべくもない事実として、大臣自身も言われたように、女性であるというだけでもって賃金が低いという観念が概括的にあることは事実であると思います。低くていいという観念は、これはわれわれとしては何とか払拭していかなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。婦人の職場が一体拡大をしているのか、あるいは縮小しているのかということについては、これは内容的に見ますといろいろありますけれども、私は必ずしも拡大しているとは言いがたいと思うのです。あとでちょっと賃金問題でお伺いしますが、電電公社は最近は何か局長以下女性の職場をつくったそうであります。なかなか画期的な話だそうでありますけれども、しかし、これを一体一般的な事例として受け取っていいかどうかということになりますと、いろいろ実は問題があるわけであります。したがって、ひとつ向うべき筋として——いま部長からお話があったように、賃金の格差は諸外国にもあります。しかし、日本ほどひどくないのであります。日本の四八%という概括的なお話がありました。内容的にはいろいろ違いますけれども、しかし概括的に見ても、フランスを筆頭にして賃金格差は実は縮まってきているのであります。日本ほどはひどくないのであります。そういう現状でありますが、大臣よりもひとつ婦人少年局長にお伺いしましょうか。いまのような現状であります。しかも大臣もお話がありましたように、婦人の職場というものがほんとうに定着するためには、いろいろと婦人の立場からする検討も必要だろうと思うのです。いま言ったような、結婚までの腰かけというようなことも考えなければなりませんでしょうし、そのことが、四十歳以上の女の教師はひとつやめてもらおうじゃないかというようなことを言うような、ふらちな役所があらわれたり、いろいろと職場を縮めるという状態をつくり上げているのじゃないかと思うのです。それとまた、パートタイムにしても、それから最近非常に盛んになってまいりました女子の保険の外交員にしても、いわば正規の賃金を受けないでもって働いておる女性というものが非常に多いのであります。これが一面では女性全体の賃金の足を引っぱる、こういう状態にあるわけでありまして、内容的には非常にむずかしい部面がたくさんあろうと思うのですが、この際ひとつILO百号条約を批准しようという政府の心がまえの中でありますから、婦人の全体的な職場の拡大、それから、賃金の格差の解消、それから婦人全体の賃金向上に結びつく問題について、ひとつ局長さんのほうからお伺いをいたしたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 田邊委員の婦人に対する御理解、非常に感銘を受けておるわけでございますが、職場は非常に進んでまいりまして、被雇用者二千八百万の中で、すでに九百万人が婦人になってきているわけでございます。ただ、日本とアメリカと違うのは、日本は結婚までの若年婦人層が非常に多いわけですね。日本は二十八歳平均ですが、アメリカは四十歳平均、いわゆる中高年になって家庭に帰ったのがまた職場に出ていく、ここが違う点でございます。そこで、この婦人の待遇を平等にするということは、これはなかなか一朝一夕にはできませんが、たとえば労働省は率先して、婦人局長、課長、これは全く男女を同じ待遇でやっておることは御承知のとおりでありますし、昨日私は共闘委が来ましたので、総評の幹部に言ったんですよ。労働組合自身が婦人を重視してないじゃないか、総評で百二十万の婦人労働者があるのだから、総評も婦人の副議長をつくったらどうだ。全繊にも言ったのです。あそこは婦人労働者がほとんど半分ですけれども、労働組合の役職は部長だけだ。そういうように、あらゆる層で婦人を軽く扱うという風潮、これはやはり労働組合自身も考えなければいけない。社会全体の風潮なればこそ、百号条約を批准してそういう風潮を打破していく。そのかわり御婦人も、ただ従来の婦人のように、腰かけ的な、愛社心もなければ、自分の能力にインフェリオリティ・コンプレックスを感じるという、いわゆる日本型婦人の観念を脱却しなさい、これが世論だと思うわけです。  なお直接婦人である局長からお答えをいたします。

高橋展子労働省婦人少年局長

○高橋(展)政府委員 ただいま大臣が仰せられたとおりでございますが、女子の職場が縮まっているのではないかという御質問に対しましては、総体といたしましては非常に女子の雇用は増勢を続けておりまして、男子の伸びよりも連年大きな伸びを見せております。九百三十万を数える女子が職場に出ているわけでございますが、中でも、そのような増勢に伴いまして、女子の職場の分布もいささか変化を見せてまいっておりまして、従来圧倒的に多かった工場の単純な生産過程に従事する者よりも、事務職のほうが多くなっております。また、いわゆる専門的、技術的職業、あるいは管理的職業に分類されますような職種についております婦人も、比重から言いますとふえておりまして、総体的に申しますと、女子の就業構造も近代化といった路線になるように見られるわけでございます。また女子の職場に働きます者の年齢構成等が非常に高くなりつつあります。全体の三分の一は三十歳以上の者が占めるようになっております。また、これに伴いまして、いわゆる配偶者のある者がふえておりまして、これも約三分の一をこす者が現在は配偶者を持って働いております。このように女子労働者が非常に多くなっている、それからまた年齢が高くなっている、あるいは配偶者のある者が多くなっている、あるいは事務的な職種、専門的、技術的職種等への就業が拡大していること等は、総じてやはり女子の雇用パターンというものが近代的な方向に進んでいることをさしているようでございます。しかし現実には、日本では伝統的に女子は若年短期労働といったイメージが根強くございまして、受け入れ側にもまた婦人側にもそれが払拭されないというふうなことから、たとえば職場の制度、慣行の上でも女子が長期に安定した労働力として働くことを妨げるようなものがございますし、また女子の側にも職業に取り組む姿勢において欠けるものがある、そのようなことが重なりましていろいろな摩擦的現象が起こっているというように観察しているところでございます。  それから先ほど御指摘のパートタイムあるいは保険外交等のいわゆる不安定な職場と申しましょうか、その問題でございますが、特に最近はパートタイム雇用が増大しているようでございます。これにつきましては、主婦が働く一つのパターンとしては諸外国においてもかなり発展を見せているものでございますし、今後わが国においてもこのパターンは広がっていくものと思われますが、現段階ではまだいろいろな条件整備が十分でございませんために、身分の不安定あるいは賃金等が不当に安いというふうな問題もあるようでございますので、その問題につきましては早急に対策を立ててまいりたいと思っております。すでにパートタイム雇用の実情、実態につきましての調査を先般行ないまして、その結果も発表されておるようでございますが、今後は特にパートタイム雇用のあり方について審議機関を設けまして、具体的な対策を考えていきたい、このように考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 あとでまた質問する機会がありまするから多くを質問いたしませんけれども、全体的に婦人の雇用が増大をしている、また賃金の状態も非常によくなってきている、あるいはまた職場における婦人の地位も向上されつつあるという喜ばしい御報告は私も率直に承って、なおそれをひとつ拡大するような御努力を賜わりたいと思うのですが、しかし現実には新しい婦人労働者の採用というものをかなりきらう、こういう現象がつい最近また著しく見えつつあるということを、これはひとつはっきりと着目をしていただきたいと思うのであります。電電公社ばかり例に出しますけれども、かなり婦人の職場としては有望株であった電電公社自身も、最近の合理化に伴って婦人の高等学校卒業者の採用をここ二、三年取りやめておる、こういう現象が出てきておることは疑いのない事実ですし、また婦人の採用があったといたしましても、それは全体的な需要供給のアンバランスからいって、労働力の不足というものを補う補完的な立場からやむを得ず婦人を採用する、こういうこともあり得ると思うのであります。それからまたさっき私がお話を申し上げたように、四十歳以上の婦人はひとつそろそろやめてもらおうじゃないかとか、あるいは結婚した婦人で共かせぎになった婦人はやめてもらおうじゃないか、こういうことがかなり言われてきておるわけでありまして、これは地方自治体なり、さっき申し上げた一番安定したといわれておる婦人教師の中においてもそういうことがいわれてきておるわけであります。したがって、いま言った数字的な趨勢とは逆に、そういう婦人の職場を締め出すような傾向が随所に見えつつあるということは、私は非常に心配される点だろうと思うのです。いま言った労働力が不足をしておる現状であるから、まあまあそれがあまり全体的な面であらわれてこないけれども、一たびそれが逆転をした場合に、まっ先に締め出されるのはやはり何といっても婦人である。そしてまた中高年齢層である。こういうことを考えたときに、いま増勢の傾向にあるといわれる現状の中で、いまからこれはしっかりと定着した状態というものをつくり上げないと、将来やはり経済の変動やその他に見合って、再び非常にむずかしい状態がくるのではないか、私はこういうふうに思うのでありまして、その点に対してひとつしっかりした心がまえを持っていただきたいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 全く田邊委員と同感でございます。しかしながら、婦人の価値を理解し大いに雇用していくというのは、先日も山梨県で婦人だけの教師の学校ということが出ておりましたが、今日聞いてみますと、残念ながら長い社会習慣でだめだ、なぜか、原因はPTAが反対しておるのだ、ということは、婦人だけの先生では子供の教育が不安だということでありましょう。しかしそういうことは、社会的な一つの慣習とか考え方というのが根強く残っている証拠でございます。婦人自身もほんとうに男性とそういう面で——婦人でなければできない仕事は問題ありません、看護婦とかあるいは繊維関係とか。しかし男子と競合する場合にはやはり劣らないのだということも必要なことなんで、これは両々相まちまして、どっちにしましても労働力が不足してまいりまして、これは五年、十年ますますひどくなるわけでございます。婦人、中傷年という人の労働力が日本の経済を発展さす原動力になりつつある時代でございます。ILO百号条約その他の批准を機会に、御指摘のような気風を会社にもあるいは社会にも労働組合にも、ひとつ醸成していくことに御協力を賜わりたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 時間がございませんから次へ進みたいと思います。  いままではきわめて数字的なお話を承ってまいりましたから、大臣お聞きをいただいた程度でけっこうなんでありますけれども、現実に日本の労働者の生活水準なり賃金というものが劣悪であるということについては御案内のとおりでありますが、さて賃金はもちろん労使双方で自主的にきめるべきものでありますから、政府なりあるいはその他一般的にそれを拘束すべきものではないわけでありますので、われわれとしては労使間の自主的な判断というものを尊重しなければなりませんけれども、しかし一番問題になるのは、国の立場からいいまするならば、やはりその国の実力、これはいま言った生産力の増大もありまするし、国民経済の成長というものが一つの尺度になるわけですけれども、このいわゆる経済の成長率と賃金の見合いというものがいつも問題になるわけです。われわれとしては、政府の予想以上に昨年あたりの経済の成長率はよくなってきていると思うわけですが、それに引き比べて賃金というものがまだまだ上昇がにぶい、こういうふうに実は考えざるを得ないわけです。特にアメリカやヨーロッパのように、日本に比べて経済の成長率が非常に鈍化をしておる国にあっても、労働賃金の上昇というものはまだまだ続いておる状態であります。これはもうお答えをいただく時間もあれでしょうから、私のほうで説明をしながら具体的な質問に入りたいと思いますので御了承いただきたいのですけれども、特に昨年は大体実質経済成長率を七・五%と見込みましたけれども、実際にはそれ以上の成長率を見込まれるという状態であります。一昨年は四・三%の実質成長率を見込みましたけれども、名目成長率は一〇%をこえるという状態であります。いずれにいたしましても、一昨年から昨年にかけての不況の状態の中でも日本の経済成長率というものはかなりのものがあったことは事実であります。こういう状態から見まするならば、われわれとしては、労働賃金についてさらに伸ばし得るものはやはり伸ばしていかなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。特にわれわれが問題にいたしまするのは、労働の分配率の面からいいましても、日本の労働者のいわゆるもらう割合というのはきわめて少ないのであります。われわれとしては、もちろん資本の蓄積なり、いわゆる利益率なんというものも当然見なければいかぬことは、現在の日本の経済機構の面からいって決してこれを無視をするものではありません。しかし実際には、その付加価値の面では最近資本の利益率というのが若干落ちておりますけれども、しかしその内容分析をいたしますると、実際には人件費なりの占める割合というのはあまり変わっておらないのでありまして、実際にこの利益率が若干低下をしている主要な要素というのは、何といっても金融のための費用なりあるいは減価償却の部面なり、そういったいわば労働の分配率とは一応関係のない過大の設備投資からくるいろいろな部面というものが、この利益率を幾らか低下させる主要な原因をなしていることが統計的に明らかなのであります。そういう内容分析をいたした上で、付加価値の中に占めるいわゆる分配率というのは諸外国に比べてきわめて少ない状態です。しかもこれは年々低下をしているという現状であります。この状態を見た場合に、労働者がもらうべき賃金の部面というのは、まだまだ日本においては非常に少ない。したがって絶対的な賃金が低いということについては、これはいろいろな歴史的な経過があることを言って弁解できるとは思いますけれども、しかしいま言ったような分配率がだんだん低下をし、しかも諸外国に比べて非常に低い、こういう状態の中から見まするならば、日本の労働者のもらうべき賃金というのはもっと向上してしかるべきである、こういうふうに考えられるわけですけれども、大臣いかがでありますか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でございまして、一応過去五年間は企業の生産性を若干上回る賃金でございましたが、十年平均をとりますと、生産性と労働賃金の上昇はほぼ並行して進んでおることは御案内のとおりでございます。問題は、企業における賃金の配分が低い、これは日本の企業は御承知のように八割近くが金融によって発展してきた。これは諸外国と非常に根本的に違うことで、そういう利子なり償却費というものを考えますと、御指摘のように欧米諸国よりも賃金の占める配分のウエートが低いということもいえるかと思いますけれども、これはそういった企業の内容の相違からくるわけでございます。  それからドイツやイギリスでは生産性を上回る賃金を出しましたので、御承知のようにイギリスはポンド危機になりましたし、西ドイツも成長がそのためにとまっていま困っておるという実情になっておることは、これまた御承知のとおりと思います。そこで政府といたしましては、生産性の向上と賃金の上昇と、それから利益配分だけではなくて、公式に申しておるのは物価を下げるという方向にもその成果を配分したらどうか、こういう考え方、それが結局労働者の実質賃金を上げるゆえんだ、こういう考え方に立っておるわけでございまして、そういう考えが大体妥当なところじゃないでしょうか。生産性を上回る賃金上昇ということは、なるほどイギリスやドイツでやりましたけれども、結果はまずかった、こう私は考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いわゆる労働生産性と賃金との問題は、長い目で見なければならぬことは事実でありまして、私は、ある年度は賃金が生産性を上回ったということだけでコストインフレが起こる、こういう単純な考え方というものが誤りであることを前々から指摘をしておるのでありまするけれども、しかし確かに国民の経済の成長率、その中における、たとえば労働生産の向上の度合い、こういったものと賃金が無縁でないことは事実でありまするけれども、いま大臣がいみじくも御指摘をされたとおり、日本の労働者の賃金は年々上がっていますけれども、これは名目賃金の上昇であります。いま言った非常な物価の値上がりによって実質的な賃金というものは実はあまり向上しておらないのであります。しかも諸外国に比べてみましても、名目賃金の上では確かにアメリカをはじめとして、諸外国にかなり追いついておるというふうにいわれておるのでありますけれども、いま言った物価の上昇の部面をわれわれは考えたときに、実質的な賃金の引き上げという点からいいますると、かなりその差を縮めてきた日本の労働者の賃金というものが物価高によって逆にまたその差を引き上げられつつある、その差が拡大しつつある、こういう状況というものをわれわれとしては無視することができないと思っておるわけであります。したがって、いままでの全体的な賃金水準が低いわけですから、そういった面からある程度まではかなり実質賃金の向上をはかっていかなければならない、こういうことは当然なことであります。必ずしもそれがいま大臣がおっしゃったように、いつも労働生産性を上回る賃金であり、それから国の経済の成長を無視した賃金であるならば、これはもちろんその結果がどのようになるかということについての御心配はあろうと思うのでありますけれども、しかしまだまだ残念ながら大臣が心配されるような域まで達しておらないわけであります。まあ実質賃金の部面についての国際比率はいろいろ見方がありまするけれども、たとえば経済の状態からいっても、インフレ的な傾向からいっても一番比較をされるイタリアの場合を例にとってみましても、一九六〇年に大体イタリアと日本の賃金は一%ぐらいの差が実質的にはあったわけでありまするが、これが一九六四年には七%差というものが生まれてきておるわけであります。西ドイツについても約六九%の違いでございましたのが、一九六五年には八六%差、こういうふうに、実は実質賃金の面では逆にその差が広がっているという国もあるわけです。したがって、われわれとしては、あくまでも実質的な生活水準というものがどうなっているかということが一番重要でありまして、この点に対してもぜひお考えをいただいて、日本の労働者賃金の中身が実質的に向上するような施策というものを逐次ひとつとっていただきたいと思っておるわけです。  そこで、いま春の賃金引き上げの運動が労働組合によってなされるわけですけれども、その中で政府が直接的に関与いたしまする公務員の給与なり、それから公企体の職員の給与なりについては、いま一つの段階に差しかかっておるわけです。公務員給与は、これは人事院勧告に基づくものでありまするから、現行の人事院勧告制度というものを一体どうするかという問題も当然出てくるわけでございまして、われわれはいろいろ心配をいたすわけでありますけれども、これは時間の関係できょうはおきますが、いわゆる公企体の職員の賃金問題については実は長い間の懸案があるわけであります。これはひとつ当事者から簡単に現状をお聞きいたしたいと思うのでありますが、郵政省にお聞きいたしまするけれども、いま調停段階に入っておる賃金の争いは、一体あなたのほうではいつ解決をし、どのような形でもってこの結論を見出そうとするのか、その点に対するお考えをお伺いします。

山本博郵政省人事局長

○山本(博)政府委員 お答えいたします。  現在、私のほうは労働組合が二つ調停申請をいたしております。過日、十一日に第一回の事情聴取がございまして、近く第二回があろうと思います。現在私のほうがどういう考えで対処しておりますかと申しますと、私のほうの賃金は、御承知の特例法の第三条で基準がきまっております。いろいろな条件はございますけれども、主として民間賃金の動向を見て、それをしんしゃくしまして決定することになっております。現在調停段階に入っておりますが、民間賃金の動向というものを完全に把握するという段階にはなっておりませんので、もう少しその動向を見きわめた上で回答をいたしたい、こういうふうな態度で臨んでおります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま民間賃金との差が大体どのくらいあって、賃金引き上げを必要とするという認識であるのか、賃金引き上げはする必要ないという考え方なのか、この点はどうですか。

山本博郵政省人事局長

○山本(博)政府委員 私のほうの賃金と民間賃金との関係は、昨年公労委の仲裁裁定がございまして、昨年の四月以降それを実施いたしております。その過程におきまして、裁定が民間賃金との関係というもの、そういうものについて十分勘案された上で出されたものと考えておりますので、昨年度の賃金につきましては、民間との間の平衝がとれておるというふうに考えております。したがいまして、四十二年度以降の賃金につきましてただいま問題になっおるというふうに理解いたしております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 そういう人をばかにしたような答弁をされちゃ困りますよ。われわれは、賃金問題は過去の民間賃金との格差については公労委でもって仲裁を出されたことは十分承知しておるのであって、現状の中で一体賃金の格差が生まれておるかどうか、これが争いのもとなんでありまして、それに基づいて一体あなたのほうはどう対処されようとするつもりなのかということをわれわれは聞いておるのであります。昨年仲裁が出たから格差が縮まって、一応妥当な賃金になったという、こういうことはいまあらためてあなたからお聞きをしなくても十分わかっておるのでありまして、今回の賃金の争いについて、あなたのほうは自主的な解決をする意図があるか、その前提となる民間賃金との差、あるいは全体的な賃金の事情、そういったものに対してどういう御認識を持っておるかということをお聞きしておるのでありますから、ひとつ正確にお答えをいただきたいと思います。

山本博郵政省人事局長

○山本(博)政府委員 今年度の賃金の問題につきましては、現在民間賃金の各方面からの資料がいろいろ集まっておりまして、その傾向をただいま見ますと、本年度も私たちのほうの給与について改定をするという方向に向かっておるということは認識として持っております。ただ、現在すべての資料というものについて十分的確な把握をする段階ではございませんので、いずれそういうものを見計らい得る時期に来ましたら、そういう方向で、現在調停にかかっておりますが、調停段階においても努力をするというつもりでおります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 大体いま賃金の問題が問題になっている状態の中で、まだ正確な把握をしないというような、こういうことが実際には許されるでしょうかね。あなたのほうは、具体的な資料に基づいた結論をいつ出される見通しですか。

山本博郵政省人事局長

○山本(博)政府委員 ただいま、いつという時期をはっきり申し上げる段階ではないと思いますが、方向としてはそういう方向に努力をしたいというのが現在の気持ちでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 電電公社と国鉄のほうは、郵政省とは違う考え方でございますね。これは自主的に解決をされる熱意をもって、かなり全電通の組合と一の間においては自主交渉したものと思うのでありますが、電電公社のほうでは御自分のほうで解決をされるお気持ちがあるわけですね。

遠藤正介日本電信電話公社職員局長

○遠藤説明員 私どものほうは、御承知のように自主交渉という点につきましては回数も期間も相当長くやりましたのでございますが、現在調停段階に移っている点については、ほかの公企体と同じでございます。したがいまして、全体の考えとしてはもちろんできるだけ解決を得たいと思っておりますが、現在の段階では、ただいま郵政省の人事局長がお述べになった考えに近いと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 国鉄はどうでしょう。

武田啓介日本国有鉄道職員局長

○武田説明員 国鉄の場合は、御承知と思いますが組合が三つございまして、いずれも調停段階でございます。すでに一回目の調停は聴取が終わってございますが、考え方といたしまして、やはりいまお話がございましたように、国鉄の職員の給与は公務員給与あるいは民間賃金あるいは生活費というようなものを勘案してきめるということになってございますので、民間賃金の大宗がまだ未確定の段階でございますので、いまのところ返事ができないという段階でございます。さらに加えまして、経営上実質的に支払い能力があるかどうかという問題もございまして、非常に苦慮いたしておるという段階でございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 それでは、国鉄の場合は、民間賃金の趨勢がきまれば、あなたのほうは自主的に解決をするお考えがあるわけですね。またそれができるわけですね。

武田啓介日本国有鉄道職員局長

○武田説明員 いま申し上げましたのは、民間のベースというものが国鉄の職員のベースに引き比べられるような要素が出てまいりまして、これが一つの判断の材料だと思います。かたがた申し上げますように、経営上支払能力との関連で苦慮しておりますが、その時期に判断すべきかと思いますが、目下のところ、まだそれを判断するには早い、こういうことだろうと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 支払い能力があるのですかないのですか。

武田啓介日本国有鉄道職員局長

○武田説明員 その点につきましては、まことにむずかしゅうございまして、形の上では支払い能力がないとは申し上げかねるかもしれませんけれども、いま国会で御審議願っております四十二年度の予算案を見ますと、運輸収入におきまして、約八千二百余億円でございまして、もちろん提出した以上は、これを確保すべく努力いたしますけれども、過去両三年この収入予算というものが達成できておりません状態でございます。かたがたこれも御承認いただいております国鉄の体質改善のための、長期計画の第三年目に入りますので、このために三千七百八十億円という工事費をお願いしておるわけでございます。これをもぜひ着工したいという面から申しますと、実際問題として、支払い能力の点につきましては、非常にむずかしい、こう申し上げざるを得ないのでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 仲裁、調停でも、解決することが一番必要ですけれども、まあ最終的には仲裁という場面が予想されますのですが、そうすると、公労委の仲裁が下ったときには、あなたのほうは、いまの判断では予算の補正をしなければ賃金は払えませんか。

武田啓介日本国有鉄道職員局長

○武田説明員 御質問の点、仲裁は仮定の議論でございますので、その点御了承願ってお返事申し上げますと、万一仲裁になりますれば、もちろんこれは従わなければならぬ。そのときには、関係方面によく御相談をして対処したい、このように考えておりまして、直ちに補正予算ということになるかどうか、これはちょっと問題があろうと存じます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 問題だというようなことではなくて、一体過去の例からいって、電電公社も郵政省もそうですけれども、支払い能力という点は、これは法律できめられていることですから、われわれとしては十分公労法上検討しなければならないことですけども、一体予算補正をしているかどうかという点を見れば明かなとおりなんです。したがって、あなた方自身に賃金問題についての実質的な解決の熱意と判断があれば、私は必ずしも仲裁裁定を待たずとも、ある程度の回答は当然出せるものである、こういうように思っておるわけです。ことしはひとつ、例年のような形でもって、まあまあ適当な交渉をしておって、何回交渉をやれば調停である、調停が進んでいって、そこでだめならば仲裁だ、最終的には仲裁裁定に従うのだ、こういう形だけで、イージーゴーイングな形でものごとを判断しておったのでは——私がさっきから賃金問題を労働大臣とやりとりをしておるのは、実際には、国の全体の経済というものも、なおかつ企業の間におけるいろいろな能力も、生産力の向上も考えないむちゃな賃金の論議はあまりしたくないと思って、実はさっき少し迂遠だけれども、いろいろと説明を聞いてまいったのであります。その上に立って、実はお伺いをしておるのでありまして、例年のとおり、まあ何とか仲裁までもっていけば、やむを得ず仲裁裁定が下って、それに従わざるを得ない、まあやりくりでもって予算の補正はしなくて済む、こういう形でありますが、一番成長株であります電電公社のほうはどうですか。これは補正予算を組まなくても、大体仲裁裁定が出た場合には従うというのが例でありますけれども、現状の中では、ある程度の賃金引き上げについて、予算資金上これはでき得ない、こういうことは絶対にあり得ないと私は思っておるわけでありますけれども、その点に対する見通しはいかがですか。

遠藤正介日本電信電話公社職員局長

○遠藤説明員 これは仲裁裁定にいたしましても、調停段階にいたしましても、金額が問題でございます。これは従来の例からいいまして、そういう点を含めまして、そういう意味では支払い能力がやはり関連いたしますが、私のほうでは、組合のほうにお願いしている現在の段階では、民間その他の諸情勢を見て御回答申し上げる、こう言っておるわけでありますので、いまの段階では、民間の情勢がまずきまりましてからそういう問題を含めて検討いたしたいと思っておる次第であります。

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 関連質問として発言を求められておりますので、これを許します。後藤俊男君。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 最初に労働大臣にお尋ねしたのでありますが、いまも田邊委員からいろいろ話が出ておりますが、春闘は昭和三十年以来続いております。いまから四年前でございますが、いまはなくなられた池田総理大臣と、さらに総評の前議長でありました太田氏の間で、この最終的春闘の締めくくりの段階で、当事者能力の問題については今後解決するように努力する、こういうはっきりした約束があったと私は記憶いたしております。いま田邊さんが言われるように、問題は、当事者能力の問題が大きな原因だと私は思いますが、それ以来四ヵ年間、政府としては、どういうふうにこの当事者能力の問題についてお考えになってきたのか、現在一体どうされようとしているのか、この点をまず第一番に明確に答えていただきたいと思います。  それから、二つ目の問題としましては、いまもいろいろ話のやりとりがございましたが、三十年以来今日まで春闘が続いております。ことしも大体春闘の山場を迎えようといたしておる次第でございます。いま、国鉄なり、郵政なり、その他からお答えがございましたが、ただ、毎年毎年調停、仲裁を通って、労働組合は実力行使をやる、同じコースを通らぬことには解決しない、これがもう長い間続いておるわけであります。そこにおのずから国民に迷惑をかけるような問題が出てくるだろうと思いますが、これらの官公労関係の責任者におきましても、そういうふうではなしに、みずからこれらの問題を解決する、こういう決意に立っていただいて、積極的にこの賃金問題を解決しようという気持ちがあるとするのなら、まだまだ早くこれらの問題は解決できると私は思います。現在におきましても、いままだ民間相場がどうこうというような話が出ておりますが、民間の春闘のベースアップの賃金というのは大体ぼつぼつ出そろう段階にきておると思います。そうなってまいりますれば、いわゆる公務員、公労協関係の職員にいたしましても、みずから積極的に解決しようとすれば、いたずらに紛争を起こさなくても解決ができると私は考てえおります。こういう点につきまして、いわゆる公共企業体関係、公務員関係の皆さんはそういう決意を持っておられるのかどうか、相変らず去年、おととしと同じようなコースで解決していこうというような気持ちでおられるのかどうかとうい点を、ひとつ決意をはっきりお聞きしたい。この二点を関連質問としてお尋ねいたします。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 三公社五現業の当事者能力につきましては、現在でも実はあるのであります。ただ、実は、予算上措置をする場合には国会にかけなければならぬという制約がございまするが、それをそこまで根本的に直していこうという問題につきましては、公務員制度審議会に根本的な御検討を願っているということでございます。われわれとしては、現在、当事者能力がある範囲内におきまして、できるだけこれを生かしていく、こういうことが必要ではなかろうか。本年は、昨年、おととしと違いまして、民間給与を参考にしてという法律にもございますその民間企業が一応五月半ばぐらいまでには出そろうわけでございます。したがって、労働大臣といたしましては、この機会に三公社五現業はベストを尽くして労使とも調停段階で妥結するように努力してもらいたい、これについては公社の理事者当局も労働組合も異存はないわけでありまして、目下そういった気持ちにおいては同じだと私は信じております。したがって、われわれといたしましては、そういう努力を本年はやってほしい、かように考えております。その結果一〇〇%自主的な妥結ができるかどうか、これは別個の問題であります。あくまで前向きに従来のようにゼロ回答とか実情に合わないようなことはやってもらいたくないということを理事者当局にも申しておるわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま私が質問をいたしましたことと関連をして後藤委員から質問がありましたとおり、大臣は当事者能力を最大限に発揮をして自主的な解決をはかってもらいたいという、その方向を示唆するというお話がありましたけれども、だんだん年がたつにつれて逆の方向に行なっておるわけでありまして、もうもっぱら交渉は形式的——調停段階が過ぎて仲裁に移ればそれでよろしい、しかも仲裁裁定が下れば、まあ予算の中身においてはやりくりをして、補正は組まなくとも何とか過ごせるという、いわばこういう状態というものが来つつあるわけであります。これは、私は非常に寒心にたえないと思うのです。さっき郵政省ほか二公社の人事担当官の方々にお聞きをしまして、私は実は内心憤慨しておるのですけれども、しかし、実際には三公社五現業の努力というものがいかようであっても、実は政府の方針——政府がたがをはめておる、こういう状態の中で、自主的な能力の発揮ということが実はきわめて狭められつつある現状というものは、私どもは何とか是正をしなければならぬと思うのであります。いま大臣のおことばがありましたから、私は必ずそういう方向に転換をしていただけるという期待をいたしておりますけれども、現状はいま私が申し上げたとおりだろうと思うのであります。したがって、これはひとつ大蔵大臣なりあるいは総務長官なりあらためてお呼びをいたしまして、お伺いをいたしたいと思っておるわけでありますけれども、ぜひきょうのお話のように、せっかく調停段階に入り、それから無益な国民に対するいろいろな御迷惑をかけるような事態のないような形というものを所管大臣である労働大臣から特に三公社五現業についてよくお話しをいただきまして、いまのおことばがそのまま調停段階で実が結ぶような御配慮をいただきたい、こういうようにいま考えておるわけであります。したがって、ある段階まで行きましたらまた御質問をいたすことにいたしまして、特にきょう御出席をいただきまた郵政省、電電公社、国鉄についても、いたずらに日を追うことなくぜひ自主的な解決のために大体の経済の動向、民間賃金の大体の動向は、判明しつつある現状でありますから、そういった点で最大の努力を払うように、私は特にお願いをしておきたいと思うのであります。  その他御質問をいたしたかった雇用の問題やその他の問題がございまするけれども、時間がございませんから、きょうは当面する春闘について特に大臣の御熱意と御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 田畑金光君。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 労働大臣に二、三お尋ねしたいのですが、実は、昨日私宿舎に帰りまして夕刊を見たところが、きのうの閣議のあと、労働大臣、塚原総務長官、松平行管長官、三者の間で相談して公務員の定年制実施について、政府としてはなるべく早い、ことし一ぱいをめどにして結論を出したい、こういう記事を見たわけです。そこで労働大臣にお尋ねすることは、かねて労働大臣は、民間の企業の定年制延長などについて相当な見識を持っておられることを新聞などでも拝見しておりますが、まず最初に公務員の定年制実施について政府の今後の構想あるいはいまお話しした三者の相談の方向などについてお尋ねしたいと思います。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 まだ関係閣僚の間で検討中でございますので、具体的な結論は申しかねると思いますが、現在のように五十五、六歳で勧奨退職とか非常に不安定な状況でございまするし、一方若年労働力が減って、中高年層というものに大いに働いてもらわなければならないという観点からすると、民間企業では五十五歳定年、まだぴんぴんしておる。これは労働力全体の需給から申しまして是正すべきではないか、こういう背景のもとで、公務員におきましても、私個人としての考えでは、六十歳ぐらいの定年にして年金につながるというような制度ができれば、その公務員の人も、自分自身の生活設計もできるし、そうして使用者の側でも労働力の合理的なことも計画できますし、現在は五十五歳で公務員で残っておるものはせいぜい一、二%ですから、六十歳というのは少し長過ぎるかもしれませんけれども、こういった問題はやはり実情に即して定年制を設けるほうが、私は区切りがついて妥当だと思っております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 公務員の定年制実施の問題でありますが、これはすでに三十九年の臨時行政調査会の答申の中でも触れておるわけです。ことに今回政府が検討されるに至った一つの事情は、例の非常な問題となっている天下り人事の問題、これを是正しようということも含まれておると聞いておるわけです。いま五十五、六歳というお話でありましたが、とにかく大蔵省だの通産省だの、特に経済官庁などでは、局長になって、次官になれない人は大体五十歳前後ですが、すぐ民間の金融機関やその他大会社に総裁だの副総裁だのあるいは重役となって下っていくということ、労働省はわりに少ないと思いますが、最近は労働省もやはり似たり寄ったりの傾向が出ておるわけですね。(早川国務大臣「出てない、出てない。」と呼ぶ)これはなければないでけっこうなことですが、そこでこれはやはり天下り人事との関連もあって、公務員の定年制などについても延長しようということもその思想の一部にあると聞いておるのですがその点どうですか、また大臣としてはどういうお考えですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 私は公務員関係は主管大臣じゃございませんので、私が、定年五十五歳は現在若年労働力がうんと減ってきて、中高年が十年後五百万人もふえる、五十五歳からあと何年戦前に比べて余命があるかと調べたんです。平均寿命は二十年ほど伸びていますが、それでは参考にならない。定年を考える場合には、五十五歳以後一体現在の日本人はどれだけ平均生きているかという統計を調査いたしますと、戦前の一番豊かな時代の昭和十一年ごろには五十五歳以後余命は十五歳平均、ところがここ三、四年は五十五歳まで生きた人は、あと十九歳ないし二十歳生きる。いわゆる七十四、五まで平均生きられることになっておる。それだけでも四、五歳。とにかく戦前よりもピンピンしている。心身とも元気だ、こういう結論が出たわけです。そういう意味で中高年というものに大いに安心して働いてもらいたいという日本全体の労働力の需給バランスから定年延長ということを労働省の見解として勧告をいたしておるわけでありまして、公務員の定年という問題も、したがって過去では五十五歳定年論があったのですが、私はそれは賛成いたしません。もし定年を設けるとすれば、いま言ったような線に沿った定年、これが公務員の行政にどう影響するか、利害得失はどうかという議論になりますと、これは労働大臣の所管でございませんので、総理府長官なりその他の自治大臣なり、そういう大臣からお聞きいただきたいと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 実は、総務長官も間もなく参られるわけですが、総務長官のいないところではどうかという感じもしますけれども、しかし内閣の一員であり、内閣全体としての政策の方向でありましょうから、そういう意味で、しかも労働大臣というこういう問題については権威者でもある早川労働大臣に伺えばわかるであろう、こう判断いたしましたから、実はお尋ねするわけですが、いまの大臣の御答弁、一般論としてはよくわかるのですが、私、公務員について限定してまず最初にお尋ねしておるわけで、その場合に、先ほど天下り人事の問題などというのは、国民感情から見てもおもしろくない。とにかく経済官庁のおえら方というのは、五十歳前後ではもうやめて民間に下っていくといういうことは、これは確かに先ほどお話しのとおり、国家的な人材の大きな損失だと思うのですね。やっぱりそういうような人方についてはその優秀な才能を、もっと公務員という立場で発揮してもらいたいと思うのだが、それが民間に下っていく。民間にしからば人がないのかというと、人は幾らでもあるわけです。そこに今日役人の天下のような形がだんだん形成されてきておるわけで、まことに遺憾だと思うのですが、当然公務員の定年制延長に関連して、天下り人事という風潮についても、内閣とか政府とか、全体として考えるべき問題だと思うのですが、その点どうですか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 民間企業のほうからこういう人材はほしいという受け身の立場で、公務員として優秀な人が五十歳前後で出ていくというのは、日本経済の効率からいって、決して悪いことじゃないと思います。同様のことは定年制をしいておる各社におきましても、五十歳前後でやめて新しい会社で第二の人生をやろうという人もあるわけであります。御指摘の点は天下り的に強制できるとは申しませんけれども、何らかの圧力で押し込んでいく、こういう風潮に対してはむろん政府としてこれに対して決して賛成もしておりませんし、むろんよくないことだと考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 昨日の三者の相談というのは、何ですか、大臣、年内をめどにして結論を出したい、こういうようなことを私は新聞で見ましたが、年内にこの問題については結論を出して、次の通常国会あたりに法案を出せれば出したいという御意向だと読みましたが、そのように承ってよろしいのかどうか。それからさらにこれもまた大臣に聞くのもちょっと筋違いとは思いますけれども、自治法の改正とか、あるいは単独の法律でもつくるというのか、このあたりは話になっているのかならぬのか。あるいはまたいまお話の中にもありましたが、とにかく公務員がもっと落ちついて、その職場を通じ国民の公僕者として、奉仕者としての職責を遂行させるために、老後の問題などについても当然これは考えなければならぬ、こう思うのですが、そういうような問題などについての議論というのは今後なさるのどうか。もしまた一つの構想があるならば、この際お聞かせいただきたい、こう考えるわけです。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 公務員が安心して、たとえば六十歳の定年まで勤務できるという面と同時に、この公務員の行政能率を渋滞させないでいかなければならぬという半面もございますので、そういう面も含めて検討する。しかもできるだけ早く結論を出す。そのためには、臨時行政調査会から答申も出ておりますし、行管の事務当局が世話役になりまして、大蔵、労働、自治及び総理府という事務当局、次官レベルで検討をしようではないか、こういうことになったわけでございます。   〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕

田畑金光民主社会党

○田畑委員 このような問題については担当大臣でないということで、これ以上質問してもどうかと思いますから、それでは民間部門の定年制延長の問題についてお尋したいのですが、しばしば労働大臣は、この問題を力説されておるわけです。また今後の社会経済の発展を見た場合に、あるいはわが国の労働力市場の今後の推移をながめた場合に、これは最も適切な労働政策の一つであると、その面において私は敬意を表するわけでありますが、これが実現のために労働大臣あるいは労働省としては具体的にどういう指導なり働きかけをなされておるのか、これを承りたいと思うわけです。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 御承知のように、現在の政治は自由民主主義の政治でございますので、労働省の見解を各企業に強制する権限はございません。しかし各企業は自分の企業だけのことを考えておるわけです。われわれは日本全体の労働力の需給問題国民経済的視野から一つの見解を持っておる。それは中高年というものが非常にふえてきている。しかも元気だ。これを活用しなければどこかにこのしわ寄せが来る、こういう見解に立ちまして、定年延長、それに伴って職務給、能率給も考えていくという勧告を天下に発表いたしたわけでございます。これを受けておそらくマスコミも議題にいたしましたし、世論というものも出てまいります。労働組合も労働省がこういう見解じゃないかということで、労使の折衝における一つのてこ入れにもなるでしょう。経営者もなるほどこれは若年労働力不足時代だから、中高年の人たちを使わなければならぬという気持ちになるでしょう。そういうことが積み重なってまいりまして、日本の中高年と若年労働力のアンバランスというものが解消されていく過程、すなわち中高年の人を大いに活用して働いてもらうという姿になってくるものと私は期待もし、またそうなるものであるという見解を持っておる、それだけでも自由民主主義の政治における一つのリーダーシップじゃないかと思っておるわけです。同時に、あわせて、もしこの問題で、いろいろ検討する資料がたくさん労働省にもございまするし、またいろいろな参考意見には相談に乗ろう、こういう考えでおります。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 自由民主主義の経済のたてまえでは、確かにその程度に終わるといえばそれまでかもしれませんが、しかし財政というものが今日経済の動きに果たす大きな役割り、あるいは別な面においては、政治というものが今日の経済に、介入ということばは適当であるかどうか知りませんが、非常な指導力を発揮しておるということを考えたとき、もっと私は、このようなビジョンを掲げて、こういう方向にわが国の労働市場を持っていこうというのであるならば、やはりそれに応じた政府の指導ということも当然考えられてくると思うのですが、その点については何か具体的な、こうしよう、こうするんだというものはないのかどうか。言うならば、労働大臣のお話のように、中高年層をもっと雇用してくれということは国民共通の願望であり、また労働力の今後の需給逼迫の上から見るならばなっていくと思うが、それを自然の推移にまかせるのじゃなくして、政治の指導によってきちんとそういう方向に促進することも必要じゃなかろうかと思う。そういう意味におきまして、私は要するに、たとえば今日の労働市場の流通過程というものがもっと円滑にいくようにするにはどういう条件を整えればいいのかという問題もありましょうし、あるいは今日それをはばんでおる一つの問題が、あるいは終身雇用制とか、あるいはもう一つは年功序列型賃金制度とかいろいろな問題がありまするが、そういう条件を整備することが大事なことであって、したがって、そういう整備の過程で政府や労働省なりがもっと積極的に指導する面が出てきてもいいような感じがするのですが、これはどうでしょうか。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 原則的なことは、先ほど申し上げましたことに尽きるわけでございます。ただ一つ大企業というものは、労働力不足の経済にかかわらず、そこへ入りたいという人が、中学校出、高等学校出で非常に多いわけです。たとえば優秀な製鉄会社にしましても、いわば日本の労働力でいえばマグロのとろを食うようなものです。したがって、そのしわ寄せが中以下のところにずっとくる。さらにそれが農村に及ぶ、こういう形態になっておるわけでございます。したがって定年制延長という場合にも何といいますかほんとうにシリアスな必要性というものは、まだ感覚は、私は率直にいうと、大企業の場合は鈍いわけでございます。そこで大企業の団体その他にまいりますと、それではあまりにも企業本位じゃないか、広く考えたらどうだ、こう申しておるわけでございますが、最近は大企業もその労働力不足が響いてきておる状況でございます。したがって、中高年層というものをどう活用しなければならぬかということを考えておりますが、なお具体的な労働省としてのこの問題に対する取り組み方につきましては、担当局長から御答弁させたいと思います。

有馬元治労働省職業安定局長

○有馬政府委員 先ほど大臣から御答弁ございましたように、この問題は、あくまで自由経済のもとにおいては、産業界の労使の自主的な努力によって一歩一歩解決をしていくという解決のしかたが常道といいますか、こうわれわれは考えておるわけでございます。そこでこの定年制の考え方につきましては、去る三月の十四日に閣議決定をいたしました雇用対策基本計画、この中にもはっきりと、先ほど大臣が御答弁いたしましたような考え方をうたってございます。  そこでどういうふうな呼びかけ方をしておるかということでございますが、去る四月の七日であったかと思いますが、産業界が自主的に持っております中央雇用対策協議会というのがございます。そこにも呼びかけまして、そこの中に、産業界は自主的に小委員会をつくりまして、この問題と真剣に取っ組む態勢ができつつございます。また昨年成立いたしました雇用対策法に基づきまして、中高年対策といたしまして、適職の選定、また引き続いて雇用率の設定というふうな条項がございます。私どももいますぐ中高年対策として、民間企業に雇用率を設定して、指導するというところまでは考えておりませんけれども、さしあたり官公庁については、これを率先垂範という意味で中高年の雇用率を設定いたしまして、三ヵ年計画で、現在の中高年の雇用の状態をさらに一段と目標を設定して、中高年が活用されるように指導をしてまいりたい。その成果、実績を見ながら、民間にもだんだんと押し及ぼしていく、こういう考え方でこの問題に具体的に対処してまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 大臣、今後の新長期経済計画を実現するためにも、一つの隘路は、何と申しましても、雇用の問題である、こう思うわけです。年率八%で、今後の経済の発展をさせていくためにはいろんな問題や制約が出てきましょうが、その一番大きな要素は、労働力需給逼迫の問題、特に若年技能労働者の逼迫だということは、これは常識になっておるわけです。先ほどドイツやイギリス、その他先進ヨーロッパ諸国のお話もありましたが、そのような先例を待つまでもなく、日本もそうなってこようと思うのです。したがって、雇用政策は即産業政策であり、経済政策だ、こういうことだと思います。  それからもう一つ、いま大臣の御答弁の中にもありましたが大企業だけはやはり相変わらずその実力でもって若い人を十分に雇用し、確保しておる。ところがそのはね返りが、言うまでもなく中小企業に人手不足、あるいは若い人を得るためには、無理をしてまで初任給を引き上げなければならぬ。それがまた経営そのものに非常な圧力を加えておる。これは現実の動きだと思うのです。元来、歴史的に見ると、日本の中小企業あるいは下請企業というのは、大企業の犠牲になってきた。犠牲になってきたが、やはり中小企業、あるいは下請企業というのは、若い安い労働力をかかえて、大企業の犠牲というものを何とか切り抜けてきた。ところがこの数年来は、すでにその抜け道もなくなってきて、人の面からも、物の面からも大企業の犠牲にさらされておるというのが今日の中小企業、下請企業だ、こう思うのですね。したがって私は、この労働力の適正配置というのは、そういう面から見ますと、産業政策、経済政策だけでなく、一つの社会政策的な性格も帯びておる、こう思うのです。そういうことを考えてみますと、いま安定局長からのお話で、労働省として今日までとってきたことについてはわかりましたが、もっと大臣といたしましても、民間の定年制延長を呼びかけられるとするならば——私は大いに呼びかけてもらいたいと思うのです。それは望ましいことだと思うのです。やはりそれを大企業をはじめ、わが国の産業全体が受け入れられるような、もっと強力な指導も必要である。ということは、わが国の産業経済はそれほど国の恩恵に浴しているわけでありますから、当然そういう面において協力することは常識の問題だ、こういうふうな気持ちを私は持っているのですが、この点についてもう一度見解を承っておきたい、こう思うのです。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 昨日も財界のトップクラスの人たちと労働問題で懇談をいたしたのでございますが、大企業の経営者も、五十五歳で定年で首を切るということは現在の労働需給からいって妥当でないということはみんな承知いたしておるわけでございます。ただ、そこで、定年延長の場合に、どうしてもやはり五十歳から六十歳になってきますと肉体的にも多少衰えることはやむを得ないわけでございますから、従来のように年功序列で、ただもう年をとって勤務が延びていけば退職金も機械的にふえるというのでは、国際競争の激しい環境下においてはコスト高になるだけであるという気持ちもわかるわけであります。そこで労働省の見解としては、五十五歳から定年延長する部分については、機械的な年功序列の賃上げとか、機械的な退職金の増大とかいうことは再検討をする必要があるんじゃないか、そうすることによって、たとえば賃金カーブはこういう形をとる、いろいろ職務給、能率給も導入するということで考えてもらいたい。五十五歳ぐらいになりますと、もう子供が手を離れるわけであります。一たん失業して、またどこかで、現在よりも二割ほど低い給料のところへ再就職しているのが九割近くおるわけでございますから、そういう不経済なことと比べれば、中高年の方もむしろ前者を選ぶのではないか、そのくふうをしてひとつ中高年の活用というものを考える、それは賛成だ、まあこういう一次第でございますので、いま田畑委員の御指摘の線に沿いまして——われわれは強制はできないけれども、誘導はできるわけでございますから、労働省といたしましても見解を発表した以上、それにずっと日本の企業がならっていくように、しかしこれは明治以来の慣行の革命的な変革でございますので、これはやはり国民全体の世論が盛り上がらなければなりません。幸いこの問題については世論化しつつあるという段階でございます。御趣旨に沿いまして、あの見解が実現されるように、今後とも努力をしたいと考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 これに関連して、先ほどの御質問の中で触れておりました女子労働力の活用の問題、これも特にILO百号条約をこの国会で批准されるということになってまいりますと、先ほどのようなことが当然出てこようかと思いますが、その問題に関連しまして、私は判例を読んでおりませんので、ただ新聞で読んだだけでありますが、女子職員の結婚定年制の問題ですね。これはもちろん、労働協約の問題です。結婚すればやめるんだというこのような労働協約というものは、憲法の職業選択の自由の原則や精神に照らして違反であるというようなことで、たしか下級審ではそういう判決が下ったということを私はかって新聞で読んでおりますが、こういう問題について、大臣としてはどうお考えですか。特に私は、次に若干問題を——労働協約の問題そのものを質問するわではありませんが、例の労使関係法研究会の問題について若干質問したいと思いますが、こういう問題については、労働省としてはどういうふうにお考えですか。

村上茂利労働省労働基準局長

○村上(茂)政府委員 ただいま御指摘の点は、昨年の十二月二十日に、東京地方裁判所の住友セメント事件に対する判決として判示がございました点についての御質問と存じます。  判示の内容はすでに新聞などで御承知のとおりだと存じますが、結婚の自由を制限するという観点も取り入れまして、結婚を退職事由とすることは性別を理由とする差別待遇だ、結婚の自由を制限するものだ、この退職については合理的な根拠を見出し得ない、こういうような論旨を展開されておるわけであります。したがって、そういう内容のものを労働協約とか就業規則、労働契約の中に定めるということについては、民法第九十条違反という考え方が成り立つのではないかという趣旨のように私ども見ております。ただ、これは純法律問題として考えまして、労働基準法上どうかといったような問題になりますと、また別な見解もあろうかと存じます。しかし、いま先生が御指摘の点は、その判決そのものについてのお話ではなくして、むしろ先ほど来質疑応答の中に展開されました雇用事情その他から考えまして、さらに女子の労働力の有効活用という観点から、もっとフェアな状態においてこれを活用するという方向で問題を考えるべきじゃないか、こういうふうに私はいま伺っておったわけであります。したがいまして、この判決の当否はしばらくおくといたしましても、今後労働協約なり就業規則といったものの中で、退職事由を定めるという場合には、やはり社会通念なり社会良識の、時の流れによる変遷というものには十分着目いたしまして、そのときその社会における通念なり良識というものに従って、そういうものの内容がさらに発展改善されるということであろうというふうに私ども存じておる次第でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 いまの点に対する私の質問で、特に労働大臣に念頭に置いていただきたいことは、百号条約を批准するということを明確に出されておる政府としては、しかも労働省設置法の三条でしたか、労働省の役割りというのは労働者に対するサービス機関だという精神にのっとられて——私は判決の当否をとやかく言うのではありません、いま基準局長お話しのとおり。今日、今後の労働事情の推移あるいは女子労働力をもっと日本の雇用構造の中で明確に位置づけなければならぬ現在の時点に立って考えたときには、労働協約で結婚定年制などというようなあり方というものは、これは当然是正され、先ほどのことばじゃないが、社会情勢の変化に応じて改めさせるべきだと思いますので、そういう点については、労働省の特段の指導と配慮をひとつ要望しておきたい、こう思っております。  まだほかにお尋ねするのはありますけれども、塚原総務長官がおいでになりましたので、まず最初にお尋ねしておきたいのは、昨日の夕刊を見て私は気づいたのですが、公務員の定年制の問題について、労働大臣、塚原総務長官、松平行管長官の間で相談なされた、こういうことを読みましたので、いつごろをめどに結論を出されようというお考えなのか、さらに年齢は六十歳前後をめどにされるというようなことでありますが、そういうめどであるのか、あるいはまたこれを実施するためには、立法措置としてはどのようなことが検討の俎上にのぼるのか、この点を簡単でけっこうですが御返事いただきたい、こう思います。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 昨日、私が早川労働大臣にお目にかかりましたのは、最近の春闘の問題についていろいろ話し合ったのでありまして、その間定年制の問題というものも出ましたけれども、これを六十歳と言ったとか、いつごろやるとかいったようなお話はいたしておりません。春闘の問題を中心にして話し合ったのが、新聞記事ではああいうふうになったのだと私は考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 私は別にむずかしい質問をしようとしておるわけじゃありませんよ。大体時間もないし、私は要するに民間企業においても定年制を延長せよという問題が出ているわけです。また公務員の場合も、これは地方自治体は定年制を早く設けてくれということを強く政府に働きかけておる。しかし、また一方官公労、自治労などが強い反対をしている事実も承知しておりますが、やはり臨時行政調査会の答申の趣旨から見ても、公務員がもっと落ちついて国民の公僕としてその職責を全うするためには、五十歳前後であるいは五十五歳前後でやめていくということは国民的な損失だ、こう思うのです。そういう面において一つの見識だなと思って私はあの記事を読んだのです。また先ほど労働大臣の御答弁も検討するというようなお話をはっきりお答えになっておるのですから、別にそう逃げなくてもいいですよ。事実を私はお尋ねしているのです。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 私は別に逃げようとかそういう気持ちは毛頭ございません。お目にかかった時間はきのう五分くらいのものだったのです、早川大臣ここにおられますから……。例の三公社五現業の当事者能力の問題等ありますので、そういったことについてお話ししておりまして、談たまたまそういうことにも及んだわけですが、これはもちろんいま大きな関心事でありますから、それぞれの機関において御相談することがいいだろう。しかし、いま新聞に出たように、これは何である、これはどうであるというような結論めいたきめつけたものは一つもなかったということを申し上げておるのであって、私は逃げようなんという気持ちは全然ございません。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 そうするとあれですか、全然話に乗らなかっということですか、あるいは公務員の定年制の問題なんかについても検討しようという話ぐらいあったというのですか、どっちですか。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 ですからいま申し上げたように、それぞれの機関がございますから、たとえば労働省関係とかうちとか、あるいは臨時行政調査会の答申とか、行管などというものもありますから、それぞれのアプローチをはかりながらこの問題を、これは当面の大事な問題ですからご相談しようということにはなっております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 労働大臣にも労使関係法研究会のことについてお尋ねしたいと思っておりますが、総務長官おいでになりましたからついでに総務長官にお尋ねいたします。  公務員制度審議会というのはいま動いておりませんね。あれはどうしていま動いていないのですか、その理由、どこに問題があるのか、それをひとつ明確にしていただきたい、こう思うのです。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 公務員制度審議会は、公務員などの労働問題等の基本問題を諮問している審議会でありますから、私といたしましてはこれのすみやかなる再開と申しますか、昨年の六月以降開かれてないと思いますが、強く要請しておるわけでございます。たとえば同盟の方などもたびたびお見えになりまして、早うやってくれぬか、重要な諮問事項があるではないかというような御要望もありますし、私としては組合関係の方に、たとえば総評との会合の席上でも強くすみやかなる再開ということを政府としては希望しておるという旨も何回となく伝えておりますし、機会あるごとに公務員制度審議会の開会ということをお願いをしている次第でございますが、いまのところまだ開かれるような段階には至ってないように感じられます。その理由については巷間いろいろ伝えておりますけれども、そういったものを排除しながら、重要な基本問題を諮問しているのですから、一日も早い再開を政府としては希望いたしている次第であります。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 新聞の伝えるところによれば、前田会長は辞表を出されて、これに対して政府は慰留をされたというようなことを聞いておりますが、前田会長が辞表を撤回されて、会長就任は、まあ内諾というのかしりませんが、了承されておるわけですか。そのあたりはどうなんです。  それからもう一つ、結局突き詰めて言うと、同盟は開いてくれということをしばしば申し入れしているわけです。結局労働側として総評が内部の事情などがあって参加できないというところに問題があるのか、その辺はどうなんですか。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 前田会長の辞表というものは、私の手元には来ておりません。これはだいぶ前にお出しなされて、人事局長のところで預かり、まだ撤回したという話は私は聞いておりません。したがって人事局長のところに預かっておるのが現状ではなかろうかと考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 私は、なぜこの質問をするかと申しますと、先ほど来大臣がいらっしゃる前に、春闘に関連して、特に当事者能力の問題が議論されておるわけですね。当事者能力の問題について、政府がすみやかに方針を出そうというのは、もういまに始まったことじゃないわけです。先ほどの質問の中にも出ておりましたが、数年前、池田総理があの春闘に際し、太田総評議長とかたく約束した。これは三十九年四月の池田総理と太田総評議長の会談においても明確になっているわけです。しかも公務員制度審議会というのは、公労法、地公労法あるいは公務員法関係、すなわち公社、公務員の労働基本権の問題等についても、当事者能力の問題等についても議論をして、一つの方向を見出すためにできているものだとわれわれは記憶しているわけです。そういう大事な問題をかかえておりながら、審議会が昨年六月以来いまなお開かれていないということは、私は政府としても怠慢のそしりはまぬがれない、こう思うのです。ことに私は会を運営する一番大事な会長が辞表を出したとか、人事局長のところで預かっておるというようなことでは、この審議会を軌道に乗せることはできないと思うのです。元来こういう審議会を円滑に運営するためには、しばしば労使の対立があるかもしれぬ。しかし公益委員あるいは会長が両者の対決、衝突というものをしばしば調整しながら、会全体を円満に運営していこうというのが、通例のこの種審議会を円滑な軌道に乗せる道でありまして、そういう点からするならば、会長が辞表を出して、人事局長がいま預かっているなんてこういうことになれば、この審議会はいつの日に軌道に乗るのかということを疑うわけなんですよ。もっと私はこういうような問題について、政府としては会長がどうしても引き受けられなければ、これは失礼でありますが、前田会長は偉い人だということは承知しておりますが、もっとこれを軌道に乗せるという努力が必要なんじゃないでしょうか。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 田畑委員の話、まことにもっともなことでございまして、そういったような機運が見えれば、私はもう前田さんにすぐにでも会って、みずから陣頭に立ってごあっせんの労をとってもらうようにお願いしたいと思っております。まあ会えば前田さんやってくださると私は考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 それでは、塚原長官の政治力をもってすれば前田会長も説得できるということならば、すみやかにそれをやっていただいて、まず一つずつ隘路を打開して、またその他の事情があるなら、やはりすみやかに政府は努力をして、公務員制度審議会を軌道に乗せて、今日問題になっている当事者能力などについてもすみやかに検討の段階に入り、結論を早期に出していただきたい。  労働大臣がおられませんから、ここでついでに、総務長官せっかくいらっしゃいましたので一つ、これも実はきょうの新聞を私は拝見いたしまして、この委員会と直接の関連はないかもしれませんが、しかし当面大きな政治問題でもありますので、この際総務長官に承っておきたいと思うのです。  それは、すなわち在外財産補償の問題についてのことであります。きょうの朝日のトップ記事によれば、政府は四月二十五日をめどに金額などについても結論を出したい、こういうことを報じておるわけであります。これもまた新聞だけの報道だと言われると困りますが、そういう答え方でなくしてまじめに答えていただきたい。と申しますことは、政府は在外財産補償問題については、立法措置なり金額などについては四十二年度の予算編成の時期を一応めどにされていたわけです。すなわちその点から申しますと、四十二年度の予算政府原案がきまったのは二月二十八日でありますから、その時期をめどにされたわけでありますが、それがお流れになったわけです。その後さらに政府与党といたしましては——政府というよりも与党のしかるべき責任ある方の御意見などを漏れ承るところによれば、四十二年度予算が国会に上程される時期、すなわち三月の十四日前後を予定されていたわけです。これもまたお流れになった。次は衆議院で予算委員会が始まる時期をめどにして総額をきめたいということも言われていたわけです。これは三月十八日前後。さらにまた政府は、あるいは与党などの連絡会議等では、都知事選挙はじめ第一次地方選挙が終わった直後あたりをめどにされておるということを報道されたわけです。そうなってきますと、これは四月十五日。ところが今度はいよいよ四月二十五日に締めくくりをつけたいというようなことを昨日塚原総務、長官、与党の西村政調会長あるいはまた与党の政調会の植木議員懇談会長の三者間でそのような話がなされた、こういうことを新聞は報道しておりますが、総務長官、政府を代表いたしまして、今度は間違いなく四月二十五日前後をめどにして結論を出される予定であるのかどうか、これをまず承っておきたい、こう思うのです。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 田畑委員はいろいろ党内のどなたがというようなことで申されましたが、それは私には関係のないことでありまするから、ひとつ誤解のないように願いたい。  在外財産の補償については、この国会で立法措置によって片をつけるということはこれははっきり公約として申し上げていることも事実であります。御承知のように、世帯数、全体の人員等、これも推定ではありますが、ある数字はつかむことはできたわけでありまするが、その他年数とかそういうものになりますると、杳としてなかなかつかむことができない、非常にむずかしい問題なんです。すべて推定に基づいて事を処理していかなければならないという非常にやっかいな問題であることは、これは田畑委員もおわかりいただけると思うのであります。そこで、この国会で立法措置を講じて提出すること、これは確かにいたします。五月十二日がこの国会に対する法案の閣議決定の最後の日にしてありまするから、それに間に合うようにいま法案を急いでおるわけです。そうして御審議を願いたいと思っております。   〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕  それから四十二年度の予算との関連のお話を先ほどもいたしておりましたが、これは四十二年度の予算と関係あるもののとしては調査費と申しますか準備費というか、この三億何がしだけであって、全体のトータルの額はこれは四十二年度の予算には関係ありませんから、四十三年度からということになりますから、その点も誤解のないようにお願いしたいと思います。  そこで、われわれはむずかしい、つかみにくい資料を集めながら、いま対策を練っておるのですが、五月十二日の閣議の決定にするためには、ほんとうなら今週の末くらいには——二十五日というのも確かに出ておりましたけれども、きめないと今度は事務的になかなかむずかしい段階が入るのじゃないか。連休も返上してやらせるような考えはしておりまするが、目下鋭意苦慮しておる最中でございますが、必ずこの国会には法案を提出いたしまして御審議を願い、この問題の解決をはかりたい、このように考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 この問題についてもう一問だけ総務長官にお尋ねしておきたい。というよりも、私の考え方も述べながら要望しておきたいのです。  率直に申しまして、政府あるいは与党の方々はこの問題を今日まで、言うならば一連の選挙戦に巧みにからましてこられたのですよ。私はその点はひとつ総務長官も率直に認めていただきたい、こう思うのです。昨年十二月の総選挙直前に——まあ総務長官は政府の立場でありますから先ほどのようなな御答弁があるかもしれませんが、与党の責任のある立場の方は六千億を下回らざることを集会などで明確に言明しておられるわけです。しかるに今日法律上補償の義務なし、あるいはまた大蔵省が渋いからなどという理由で、金額などについても結局旧地主の補償総額前後ではなかろうかなどと新聞も伝えておるわけでありますが、私は本件の法律論や政策論をここで述べるつもりは毛頭ないわけです。しかし、おそらく今後の国会における一番大きな政治問題の一つであるには間違いないと私は思うのです。それだけに政府がこの問題について優柔不断な態度をとって延ばしに延ばして今日にきておるということは、私はまことに残念だと思うのです。ことに昨年の一月三十日には、御承知のごとく東京高裁ではある引き揚げ者の訴訟に対して、国に補償の責任があるということを明確にうたっております。法律の解釈に疑わしきときはわれわれは何をよりどころにするかというと、結局判例に待つ以外にないんじゃないかと私は思うのです。これが私は民主国家だと思うのです。そういう立場からながめたときに、法律的に補償の義務がないなどというのは私は一方的な見方だと思うのですよ。それだけをとらえてあるいは大蔵省が渋いからなどということでこの問題の本質的な性格というものを忘れてもらっては困る、私はこう考えているのです。  したがいまして、私は特に政府の責任者として総務長官に願っておきたいことは、総理も本会議で施政方針の演説にわざわざこれを入れておられる。また与党を代表し西村政調会長も本会議の質問で、この問題を大きな戦後処理の一環として解決すべきことを要請しておられるわけです。そういうことからながめてみますならば、私はこの際、いろいろ雑音はあるにしても、同じ運命にあった西独やイタリアやその他敗戦国がこの問題をどう扱っているかなどという先例などもよくかんがみられて、勇気を持ってこの問題の解決にあたっていただきたい。このことを強く要望しまして、総務長官これについて御見解があるならば承っておきたい、こう思うのです。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 われわれはこの問題の処理をわざと遷延させているというようなことは全然ございませんから、重ねて誤解のないようにひとつお願いしたいと思います。  それからあくまでも答申の線に沿いまして、答申の趣旨は尊重しながらこの問題の解決をはかっていきたい、立法措置を講じていきたい、このように考えております。  なお、国民全部がやはり戦争犠牲者であるという考えも捨てるわけにはまいりませんし、国家財政の状況等ともにらみ合わせまして国民の納得のいく姿でこの問題の解決をはかっていきたい、このように思っております。  なお、田畑委員にもたびたびこの問題ではいろいろ私も御教示にあずかっておりまするし、それからいま外国等の例も引かれましたけれども、この関係者の方々等にもできるだけ多くの方々にお目にかかっていろいろ御意見を承りながら政府の態度をきめていきたい。いま田畑委員からいろいろ励ましのことばがありましたが、それを十分意に体しましてこの問題の解決にあたっていきたいと考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 私の時間はあと五分ですから、今度はこの五分間を労働大臣にひとつ承りたい、こう思うのです。  労働大臣にお尋ねしたいのは、時間がなくなりまして非常に残念ですが、すでに御存じのように、労使関係法研究会が昨年秋膨大な報告書を、これは労働省に出したのかどうか知りませんが、発表しておるわけです。申すまでもなく、この労使関係法研究会というのは、昭和三十四年の十一月に、労使関係法運用の実情及び問題点に関する調査研究のために、時の石田労働大臣から委嘱をされて、この研究会が石井教授を会長として発足されて、自来七年間の歳月をけみして、今日膨大な資料が提出されておるわけです。私もその資料を読んでおるわけじゃございません、断片的にしか目を通しておりませんが、この膨大な研究資料について、労働省としてはこれをどのように扱われようとするのか。ことに労働大臣はこの問題について、この資料が出たとき一つの見解を発表されておるということです。それはすなわち、立法する必要がある場合には、労、使、公益三者構成の審議会を設置して検討してまいりたいということなども述べておられまするが、この取り扱いはどうされようとするのか、それを私は承っておきたい、こう思うのです。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 労使関係法研究会、御委嘱いたしましたのは、すでに労働組合法ができまして二十年を経過いたしておりますので、労使関係の実情あるいは問題点というものを広範にわたって御研究いただきまして、そうしてこれは単に政府の労働行政の参考とするのみならず、労使自体においても参考にしてもらいたい、こういう趣旨から研究会の結論を受け取っておるわけでございます。したがって、これによって何らかの立法をしろという意見は入っておりません。しかし、その問題点の指摘を通じまして、政府として立法すべき点が出てまいりましたならば、あらためて労、使、公益三者の審議会を設けまして検討してまいる、こういう心組みでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 そうしますと、労働省としては、この報告書を検討されまして、今後の行政運営の中に、あるいは各企業の労使関係が自主的にこれを参考資料として大いに学んでもらいたいということだということはわかりますが、大臣に特に念を押しておきたいことは、この報告書の公表に際して労働大臣は、先ほども触れましたが、この報告書を検討し、世論の動向を見きわめつつ何らかの立法措置を講ずる必要があれば三者構成の審議会で具体的な検討を行ないたいということを言われておるわけでありますが、検討された結果、労働省はこれが労働三法その他関係法の改正などについてやる必要があるという判断に立ち至っておられるのかどうか、そこをもう一度念を押しておきたいと思います。  それから、時間もまいりましたから特にもう一つだけお尋ねしておきますが、この報告書は各分野にわたって検討しておりますが、特にその中で争議行為、特にスト規制法の問題について触れているわけですね。私はいまスト規制法の問題だけ第二点としてお尋ねし、そして労働大臣の見解を承っておきたいと思うのですが、御存じのようにスト規制法というのは昭和二十八年第十六国会で三年間の限時法として制定を見たわけです。それがその後昭和三十一年の十二月の国会でこのスト規制法の附則に基づいて延長決議がなされ、ここに恒久立法になったわけですね。しかし、そのときの延長決議をなされた国会の決議の節には、廃止の方向に向かって検討するということが約束されたと記憶しております。そこで今度この労使関係法研究会の報告書の中ではどのようにこの問題に触れておるかと申しますと、スト規制法についてこういうことばで触れている。すなわち「現在ともかくも本法の存在のもとに、当事者の自覚により、社会不安となるような停電ストも炭鉱における保安放棄ストも行なわれない実情にあるが、そのような実情のもとに本法をどうするかの問題は、結局、電気、石炭両産業における労使関係の現状及び将来並びに国民一般の考え方を基礎として決すべきであろう。」こういうことが報告書の中にうたわれておるわけです。私は大臣に特にこの点を強調したいのですが、その後の社会経済情勢というものは非常に変わっております。ましてやスト規制法の対象になっておる電気事業、石炭産業の実情を見ても大きく事情が変わっておるわけです。労働組合のあり方もまた変わっておるわけです。この際、私は、スト規制法などは、せっかく労使関係法研究会の検討の報告を待ってみても、この問題などについては、やめろとは言わないが——ということは、元来この研究会の性格が立法論については触れないということになっておるから、そんなことは言っておりませんが、しかし、報告書の内容を見るならば、方向としてはスト規制法などというものはもう再検討すべきであるという示唆をしているわけです。したがって、私はこの際お尋ねしたいことは、スト規制法などについては、諸般の客観情勢の変化に応じて、この際政府はこれを廃棄すべきだ、このように私は考えております。私もまだまだたくさん触れたいのでありますが時間がありませんからこれで質問を終わりますけれども、この際ひとつ労働大臣の見解をはっきり承っておきたい、こう思っております。

早川崇自由民主党労働大臣

○早川国務大臣 せっかくの御意見でございますが、労使関係法研究会の報告書を読みましても、「労使関係の現状及び将来並びに国民一般の考え方を基礎として決すべき」ものであるという御報告になっております。政府といたしましても、御意見のように電気事業に対する停電スト等を認めるような法律改正というものは、なお慎重に検討しなければならないと存じておりますから、いま直ちにこれを改正する意図はございません。

松永正男労働省労政局長

○松永(正)政府委員 ただいまの第一点に関連いたしまして御説明申し上げますが、ただいま御指摘のように、労使関係法研究会の報告の第一部が昨年末に出たわけでありますが、これは第一部と第二部と二つございまして、それで第一部は第二部でこまかく論じております要約でございます。第二部のほうは、大体二千ページくらいにわたる大きなものでございまして、これが今月の末ぐらいに活字になって出る予定でございます。  それで、ただいま大臣から申し上げましたように、この内容は、労使関係法につきまして、ここをこう直したらいいというような立法意見はほとんどないのでございまして、したがいまして、これを受けて直ちに改正という問題にはもちろんなりませんし、それから、考え方といたしましては、この報告にも載っておりますように、これを受けて労使関係者あるいは学者等が十分に議論をしてもらいたいということをいっております。  そこで、具体的には、労働省におきましてもこれを印刷いたしまして関係者にできるだけお配りをして、これを検討していただく。それから、日本労働協会等におきましても、石井会長をはじめこの報告を出しました先生方が、六班編成をいたしまして、今年度計画的に全国を回りまして、これについての説明やらあるいは討論会をやるというような計画がございます。そのようなことによりましていろいろ議論が出てまいりました結果、世論の動向がどのようになるかということを見きわめました上で、さて改正が必要かどうかということを考えようというのが、大臣談話にも出ております趣旨でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 終わります。

川野芳滿自由民主党

○川野委員長 次会は明二十日午前十一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会

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