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55回国会衆議院1967/03/28

産業公害対策特別委員会 第3号

発言数
119
登壇者
11
会派数
3
開催日
1967/03/28

会議録

八木一男日本社会党

○八木委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡本富夫君。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 きょうは、先般委員会に提出されました公害対策基本法試案要綱につきまして、総理府の方にまず若干御質問をしたいと思います。  総理は、四十九回の臨時国会におきまして「人間尊重は、私の政治の信念であります。人間尊重の社会をつくり上げることは、私の一貫した政治の目標であり、就任以来、これを具体的な政策として裏づけすることにつとめてまいりました。近年、国民所得は増加し、生活水準は著しく向上いたしました。しかし、その反面、たとえば、僻地には、日々の弁当にも事欠く学童があり、都市には、劣悪な居住条件のもと、公害に悩む住民が少なくありません。私は総理として、国民の福祉に責任を負うものであり、このような事実は断じて放置できません。人間尊重の精神に基づく社会開発の強力な推進こそ、これらの課題の解決への道を開くものであると確信いたします。」こういうようにおっしゃっていますけれども、このたび要綱を示されましたが、公害対策推進連絡会議、この会長は佐藤総理であるということを聞いておりますが、間違いありませんか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 公害対策推進連絡会議は、総理府の総務長官が会長になって、その委員は各省の事務次官をもって構成して進んでおるのが実際でございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうしますと、この内容を見ますと、総理の方針から若干後退しておるように思うのですが、総理の方針に沿わなくてもよいということなのでしょうか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 総理の方針に沿ってやっておるわけでございまするが、実際上の経過を申し上げますと、人間尊重という大きな目標のもとに、公害対策基本法を作成して今国会に提出をするというような方針を閣議で打ち出しておるわけでございます。それに基づきまして、公害対策は、岡本委員もお考えのとおりに、きわめて重要な課題でございますし、政府としましても、大きな政治課題としてこれを認識しておるわけでございまして、それとともに各省にまたがっておる問題が非常に多くございますので、これを法案にまとめるに際しまして、各省の意見を調整しながらこれを推進していくというような思想のもとに、この公害対策推進連絡会議を設置いたしたわけであります。そして総理府は御案内のように、各省の総合調整をその任務といたしておりまする関係上、三十回余にわたりましていろいろ会議を進めまして、大体調整をはかってまいったわけでございます。そうして一応その試案要綱というところまでまとめてまいりました。その後、これの主務官庁をどこにするかというような問題が起きてまいりました。そこでその主務官庁を厚生省にお願いをいたすということで、閣議でも了解決定をいたしたようないきさつになっておるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 各省から集まりまして、そうしてこの連絡会議を開いて、総理府がそれをまとめただけであるのか、それとも、総理のすなわち国民を思うところのこの精神をこの要綱にまとめたのが総理府の今度の要綱であるのか。この点についてもう一度お願いしたいと思います。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 総理が打ち出されております人間尊重ということでございますが、もちろんそれは大きな、また普遍的な概念でもございますので、この具体的な法案をまとめるに際しましては、そういう大方針は、みな各省念頭にあるわけでございますが、具体的な意見としましては、いろいろな意見が提出されまして、そうして総理府としましては、これを調整してまとめていった、こういういきさつに相なっております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 では、まずお尋ねいたしますけれども、この目的につきまして、本法律は「国民の健康を公害から保護するとともに、経済の健全な発展との調和を図りつつ、」こういうようにありますが、この基本法は人命を守る精神を第一義にしておるのか、それとも経済の発展とそれを守る、これを両建てにやるところの法案であるのか。両建てでありますと、結局はまた、ざる法のようになってしまうのではないかと非常に懸念されるわけでありますが、その点についてお聞きしたいと思います。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 いま御指摘の個所は、率直に申し上げましてなかなか意見の多く出た個所でございます。何しろ各官庁から意見が出てまいっておりますので、人間尊重という大方針のもとに、いろいろとその調整をはかってまとめ上げたものでございまして、その基本的な考え方というものが人間尊重ということにあることに間違いはないわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 いま私が質問しましたのは、何か総理府の——きょうは実は私は総理に対して質問をしたいと思っておりましたのですが、悲しいことには総理の御出席がありませんし、これをまとめ上げていくところの、また主務官庁が厚生省になる前のあなたの意見といたしましてはどうですか。この国民の健康を守るのが第一義か、あるいはまた、産業経済を守るのか、これと両建てであるのか、もう一度お願いいたします。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 これはウエートの点からまいりますれば、人間尊重というのがもちろんその柱に立っておるわけです。そしてその具体的な運営とか処理とかいう問題の一つの目途、基準というような意味におきまして、いま岡本委員がおっしゃった個所が入っておるわけでございまして、二つの点が同価値のもとに並立をしておるという観念ではないわけであります。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 それではこの文が、これは日本語ですが、「国民の健康を公害から保護するとともに、」「ともに」ということは、「経済の健全な発展との調和をはかる」ということとこれは並列である、こういうように私は解するわけであります。この点いかがですか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 それは法案の最終的なものではございません。御案内のように一つの試案でございまして、その試案の基底をなすものは、総理府としましては総合調整で、各省のいろいろな御意見というようなものを調整しておるわけでございます。それでございますので、それに対して各省が大体調整し得る問題をそこでまとめたという試案に相なっております。けれども、その趣旨というものは、人間尊重というものを基本理念といたしておるわけでございます。二つの概念が平等的並列的なものではない、こういうふうに理解をいたしております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 若干私の聞いているのとこの文章とは——私が聞いたように答えていただけませんけれども。かつて三つの学校の児童について、工業地、商業地、住宅地について検査をした。そうしますと、工業地、すなわち災害地においては児童の体力というものが非常に低い。こういう面から見ますれば、次代を背負うところの日本の子供たちのために、国民の健康を公害から守る、これが第一義でなければならぬと思いますし、また総理も、人間尊重の精神に基づく社会開発の強力な推進こそ使命である、こういうように所信を述べられておるのでありますから、各省の意見各省の意見と申しますけれども、通産省は通産省でいろいろの意見はあると思いますけれども、いまはまとめただけだ、こういう話でありますから、今後はっきりと、公害対策基本法につきましては確固たるところの精神でやってもらいたい、こういうように思うのですが、どうでございますか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 実は、私が申し上げておりますのは、最終法案というわけではないのでありまして、それの重要な資料、基本になることは間違いございませんが、総理府としましては、各省の総合調整をなす機能を持っておりますので、それに基づきましてまとめ上げていった、しかも、総理の基本方針にも沿いながらまとめ上げていった、それが試案でございます。そうして、これをはっきり条文化し、あるいはこれを提出していくという主務官庁は厚生省ということに相なっておるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 非常に責任のがれのように感ずるわけであります。私はいま希望を述べたわけでありまして、そして今後の公害対策基本法につきましては、人間尊重を第一義としてもらいたいという希望を述べたわけでございまして、それに対してのいまのお答えというものは非常に心配であります。  まあ、それは今後の問題といたしまして、次に、この要綱の中で、「事業者の責務」というのが二ページ目にあります。「事業者は、その事業活動によって公害が発生することを防止するため必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する公害の防止のための施策に協力する責務を有すること。」こういうようにある。加害者が協力するというのはちょっとおかしいように思うのですが、その点いかがですか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 岡本委員の御意見、ごもっともかと思うわけでございますが、実は総理府といたしましては、一応それをまとめた関係でございまして、いま立案をしていって、責任ある御答弁をされていく場合におきましては厚生省でございます。責任をのがれるとかのがれないという問題ではなくて、実際上厚生省の方がここに見えておるわけであるし、しかも、それがいま立案をしておる際に、そうでない総理府のほうで意見を言うということはいかがかと思って申し上げたので、決して責任をのがれて云々ということではございません。でございまして、いま立案中でございますので、私のほうから申し上げるよりも、いまそれを立案しておられるほうでお答えをされたほうが、かえって適切か、こう思うわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 このまとめ上げたのは、まとめ上げただけでなくて、連絡会議の会長は、これは総理府の長官である。こういうことになりますれば、ここに示されました要綱というものは、やはり総理府のほうで一応は責任を持って、そうして今後において、厚生省においてはこうしてもらいたい、こういうようにしたい、こういうふうに意見を言うのならば話はわかりますけれども、いま私がこれから厚生省の方に話しますと、いやそれは厚生省試案は別にあるのです、こういうようなことでは、お互いに責任のがれであります、だから、これについて改めるべきは改め、国民の声をいれて、そして今後の試案にはこうするのだ、あるいは今後の法律にはこうするのだと——ただ、そういういまのような考えは非常に危険だと思うのであります。その点いかがでしょうか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 実は総理府は各省の総合調整という機能を持っておるという関係で、とにかく各省の調整をする段階までという話でまとめていったわけです。でございまして、これを基本資料としながら、主務官庁ができて、しかも、それが目下立案中であるということでございまして、しかも、大きく言いますれば政府内部のことである。そしてこちらが総理府としまして、ここで推進をしていくという役割りは果たしていない状態になっておりますので、適切なる一つの政府の意見を聞いていただくということになりまずければ、目下これを資料として立案をいたしておる厚生省からお聞き願ったほうが適切かと、こう思って申し上げておるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうしますと、立ち入って聞いて申しわけないのですが、今後厚生省においてこれをやる。そうすると、公害対策推進連絡会議というのはもう解消するのですか。その点、いかがですか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 これが解消しておるという事態ではございません。これはございます。けれども、私がいまずっと述べておりますように、一応調整をしまして、そして厚生省のほうでいま立案をいたしておりますので、厚生省の御意向によりまして、あるいは推進連絡会議というものを開催していくという段取りに相なるかもわかりませんが、いまのところ出したそのまま、その後はいままで会議は開いていないというのが実情でございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 非常にややこしい。ただ公害対策基本法試案要綱というものをお出しになったと思うのです。たとえば、このうしろのほうにまいりますと、「○○○に、附属機関として、公害対策審議会を置くこと、」「○○○」と、こう書いてある。これは、いまお聞きしまして、厚生省であるということがわかったわけであります。そうすると、この間私たち委員会に配っていただきましたこの要綱というものは一片の紙にすぎない。おそらくたくさんの国民の費用を使って、そうしてこうした要綱というものをつくった。それに対してこの連絡会議というものは、総理府でまとめ上げ、また総理の意向をいれてやったのだと先ほど言明がありましたが、ほんとうに責任がない。これからあらためて厚生省のほうでやっていくのだ、こういうことになりますと、これは出さないほうがいいと思うのです。その点どうでしょうか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 一片の紙であるとか、それから出さないほうがいいとか、そういう意味でない。実は責任があるからこそ、いま立案をいたしておる政府の主務官庁の方からお答えしたほうがいいと申し上げておるのであります。そして、この資料というものはあくまでも政府部内の資料でありまして、その政府の意見は、もちろん一片の紙ではない。三十回にも及ぶところの熱心なる会合によって、各省の調整されたところの資料であるわけです。けれども、国会においていろいろ御審議を願って政府の責任あるいろいろな御説明をするために、これを資料にして厚生省のほうで目下立案しておる、こういうものであります。だから、この資料というものは、とにかく関係者のもとできわめて熱心に討議されてきております。ですから、政府部内の資料としましてもきわめて重要な資料であると私は思いますが、あくまでも政府部内の一応の資料であります。でございまして、それをもとにいたしましていま厚生省は立案をいたしておる。だから、厚生省がいま立案し、意見をまとめておられるのに、総理府のほうでいろいろな御意見を申し上げる段階ではいまなかろうというふうに私が思って申し上げるのであって、その点はひとつ岡本委員のほうでよろしく御了解を賜わりたい、こういう次第でございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そう言われますと、これは何にも話をすることがなくなっちゃう。すなわち質問するところがなくなってしまうわけでありますが、いまのお話は、これは連絡会議でつくっただけであって、これから厚生省でつくるのであるから、こういう話でありますが、少なくとも、先ほど話があったように、こうして何回か連絡会議を開いてつくったものに対して、やはり要綱の責任というものを総理府でとっていただいて、そして今後厚生省でつくられるところの要綱——要綱でなく今度は基本法の原案になるでしょうが、それに対しては国民の声はやはりいれていただかなければならぬ、こういうわけで私は特にまとまる前に意見として話をし、申し上げ、またあなたのほうの考え方、意見というものを聞いているわけでありまして、一つ聞けば、それはもう向こうだ、こういうのじゃお話にならないと思います。ひとつ、そういうわけですから趣旨を取り違えないでいただきたい、こう思います。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 岡本委員のおっしゃることはよくわかるのです。わかりますが、しかし、いま同じ政府部内で、しかも総理府としましては調整機能という意味でおまとめ役をやっておって、そしてその主務官庁がいま鋭意立案中であるというわけでございます。そして、いまの資料は政府部内の資料でございますので、これを十分基本的なものとされながら立案されるだろう、こういうふうに私は思っておるわけです。ですから、もし御要望なりその他がございますれば、厚生省のほうへもおっしゃっていただきますれば、いま立案をしておる最中であります。ですから、私どものほうとしましては、何も責任のがれ云々ということでなくて、政府部内のことでございますから意見は意見として申すわけでございますが、何しろ総合調整の関係になっておりますのでいま言ったようなことを申し上げておるという意味でひとつ御了解を賜わりたい、こう思うわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 じゃ厚生省の方にお聞きいたしますけれども、いまのような話でございますから、厚生省の方……。  この試案の中に、いまお話ししましたように、「事業者の責務」ここで「国又は地方公共団体が実施する公害の防止のための施策に協力する責務を有すること。」こういうようにございますが、こういうところは改める考えはございましょうか。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 そちらにお配りいたしました資料は、先ほど上村副長官が言われましたように、大体各省と意見を交換しておおよそまとまったものでございます。でありますから、私どもとしては、この「事業者の責務」、「国の責務」、「地方公共団体の責務」、「住民の責務」、大体こういうような方針でもって立案をしてみたい、立法をしてみたい、こういうふうに思います。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうしますと、厚生省のほうから、この連絡会議に対しまして厚生省試案というのを出していらっしゃる、それを拝見いたしましたが、この要綱を見ますと、厚生省試案から人間尊重というものがずいぶん後退しているように思う。そこで、この要綱に基づいてやるのか、それとも厚生省試案に基づいてやるのか、その点について……。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 厚生省としては、あくまでも人間尊重という立場で立案をしておるつもりでございます。しかし、実際に立法化するには、いろいろ表現がまた違ってまいります。そういう意味で多少後退したと思われるような表現にとられる面もなきにしもあらずでございます。しかし、法案全体を通じましては、私どもの考え方にそう違いはない、こういうふうに私どもは見ておりますから、これからもそういうつもりで立法を準備しておりますし、現在やっておるつもりでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 あなたはこの前の厚生省試案をお読みになりましたか。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 私、たいへん不勉強でありますけれども、一応読んでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 いま御答弁には、精神は変わっていない、若干表現が変わっているだけだと、こういうお話であります。ではお聞きいたしますけれども、「目的」の中で、厚生省試案は「国民の健康を公害から保護すること」、これが第一にあります。今度の連絡会議の、総理府でまとめられた要綱には、「経済の健全な発展との調和を図り」ということが入っておる。これは決して表現のしかただけとは受け取れないわけですが、どうでございましょう。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 この「国民の健康を公害から保護するとともに、」ということと、いま言われました「経済の健全な発展との調和を図り」という関連でございますけれども、経済の健全な発展との調和をはかりつつということと、それから生活環境を保全していくのだ、生活環境を保全していくには経済の健全な発展の調和をはかりつつやっていくのだというふうに私どもは解釈しております。でありますから、この条項は、公害対策ということにつきましては、あくまで国民の健康を公害から保護するということがまず優先的に考えられるものであるというように私どもは解釈をしておるわけでございます。また、そういう意味で各省との話がまとまったのでありまして、決して人命尊重といいますか、国民の健康という問題と経済の健全な発展というものとが単に並列的ではない、こういうつもりで私どもはおります。

八木一男日本社会党

○八木委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕

八木一男日本社会党

○八木委員長 速記を始めて。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 いまの御答弁では、国民も非常に疑惑を抱くと思うのであります。いまの一点は、ことばじりをつかまえるような状態で悪いのですけれども、わが公明党の意見としましては、国民をほんとうに守る、国民の健康を守る、こういう国民の代表としてお話をしておるわけでありまして、また、今後この基本法がほんとうにざる法にならずにりっぱに制定されて、そして現在、私も尼崎あるいは四日市、あらゆるところを回ってまいりましたけれども、非常に困っておる。この基本法ができまして、そしてそれがりっぱに国の役に立ち、文化の発展に寄与されなければならぬ、こういう精神から申し上げておるわけであります。厚生省試案では、国民の健康を公害から保護するだけであったが、これを見て、これが入ったからずいぶんゆがめられているじゃないか。これはみなの意見でありますけれども、そればかりを言っておるのではないので、どうか誤解なくこの基本法をつくっていただきたい、こういうふうに局長にお願いするわけですが、どうでしょうか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 先ほど政務次官から申し上げましたように、厚生省が最初につくりました公害対策基本法試案要綱と、今回総理府でまとめられました試案要綱とは基本的な考え方に差異はないわけでございまして、表現に多少の違いがあるのと、内容的にこの「目的」の中で「国民の健康を公害から保護するとともに、」ということで、ここではっきり段落をつけて表現をいたしてあるわけであります。その上でなお生活環境も保全するのであるというのが、つくろうとする基本法の目的でございます。生活環境の保全をするにあたっては、その手段として、経済の健全な発展との調和をはかって措置してまいる、かようなことが書いてあるわけでございまして、あくまでも国民の健康を公害から保護するということは明確にうたってある、かように私どもは考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 いま政務次官から話があったのは、私はこの基本法というものをよく読んでいなかったというふうに解しましたので、この点に関する追及はこの程度でおさめようとしたのですけれども、局長がまたそれに対して、生活環境を保全するためと言う。だから政務次官の話と違う。あなたがこれに対して厚生省試案が大きくゆがめられておるということを認めないならば、「経済の健全な発展との調和をはかる」、これは前なかったのですよ。どうですか。そうすると、先ほどは政務次官があまり知っていないと私は思ったから、この基本法をつくられるにつきましては、立案される局長さんのほう、あるいは皆さん方で検討される、こう思ったので、追及のほこをここでおさめようとしましたけれども、あなたがまた同じことを言うのはおかしいと思う。前の試案と比べてみてください。どうでしょうか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 厚生省が最初出しました試案要綱の中には、このような施策を進めてまいる手段については述べていなかったことは御指摘のとおりであります。今回は手段のことも併記したのでございまして、基本的な姿勢は、あくまでも「国民の健康を公害から保護する」という点において変わっていない、かように申し上げたわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 「経済の健全な発展との調和を図りつつ、」これはこの前の厚生省試案にはなかった。今度通産省あるいは各省の意見によってこれができたわけです。したがって、厚生省のほうは、どうしても国民の健康を守る、そういう第一義でもっていままではつくられたように思うわけでありますが、あまり追及してもしかたがありませんので、もう一度よく考えられて、そしてりっぱな、国民の健康をほんとうに保護できるような基本法をつくっていただきたいと思うわけであります。局長さんの意見はどうですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 お説のように、国民の健康を公害から守るということが最も基本的なものでございまして、なおその上に、生活環境を保全する場合の配慮という点にこの目的が触れておるという点で御指摘があったわけでございますが、あくまでも私どもとしては、この基本法を通じて国民の健康を守るという立場で法文化してまいりたいし、またこの試案もその気持ちがあらわれておると私どもは思っておりますが、表現において間違いのないような努力をしてまいりたい、かように思っております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 もう一度念のために申し上げてこの追及は終わりたいと思うのですが、「国民の健康を公害から保護するとともに、生活環境を保全し、」これであるならば、局長さんあなたのおっしゃることは通るわけです。ところが、ここに何らかの圧力が入りまして、「経済の健全な発展との調和を図りつつ」——これは中小企業あるいはまたできないところに対して大きな財政措置をしてやらなければならない。したがって、この二点をはっきり明確にした目的にしていただきたい。それでなければ、またざる法となって、結局公害がなくならない。こういうふうに思うのですが、局長さん、どうですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 先ほど来申しておりますように、経済上の問題はたとえありましても、あくまで国民の健康は守っていくというのが、この基本法試案の考え方でございます。その上に、健康上支障はなくても国民の生活環境をされいにしていくという配慮もするのである。しかし、その国民の生活環境をされいにするという場合には、ある程度経済の発展というものとのバランスをとって、そういう配慮のもとに施策を進めるのである、こういう考え方がここに表明されておるわけであります。先生のおっしゃっておられる基本線はあくまでも貫いて法制化してまいりたい、かように思っておる次第でございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 時間がまいりましたので、あとに譲りたいと思いますが、そこで、現在アメリカあるいは西ドイツにおけるところの公害の取り締まり、あるいはまたいろいろの状態の資料をひとつ出していただきたい、こう思うわけであります。  また、これは大蔵省、総理府の方にお願いしたいのでありますが、予算を見ますと、河川の水質検査、これが同じ川、同じところを各省でやっておる。たくさんの調査費をかけてずっとやっておるわけですが、こういうのは非常な国費のむだ使いのようにわれわれしろうとは思うわけです。この点もひとつよく考えていただいて、そうして国費のむだ使いをせずに、もっともっと効果のあがるように、これを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木委員長 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まず、委員長に、きょうせっかく委員長のほうに質問の通告をしながら時間がおくれてしまいまして、これはゆうべの飛行機が午後から突風のために出ませんでした。そのためにけさの一番で千歳から来てこの時間でございます。この点、おわび申し上げます。なお、委員の皆さんにこの点はほんとうに御迷惑をかけておわび申し上げさせていただきます。  それと同時に、これから質問を展開していきたいと思いますが、若干岡本委員の御質問の点とダブる点がございますが、やはり質問を進めるために必要でございますので、ダブる答弁でございましても、一応御容赦願いたい、こういうふうに思うわけでございます。  最近、公害問題が非常にクローズアップをしてきております。大きい社会問題になってきております。この社会問題になった原因、これは大体二つに分けられると思います。その一つは、生産第一主義の経済成長が、いわゆる金や物に重点を置いて、人間の生命や生活、こういうようなものを軽んずるようなことになったということが一つ。もう一つは、企業が社会に与えているいわば迷惑に対して、採算を名目にしての無責任なる態度、すなわち企業道徳が大いに低下した、こういうようなことによって引き起こされたものである、私はそう考えます。かてて加えて、国や都道府県や地方公共団体が近代重化学工業の実態、こういうようなものを知らないままに無計画なる工場誘致を個々に画策した。こういうようなことが重大なる公害対策の欠ける欠陥になったのではないか、結果を招来したのではないか。まさに公害は人災である。したがって、この解決こそ焦眉の急を要するのだ、こういうふうに私は思って以下質問を展開してまいりたいと思っておりますが、この意見に対しまして、総理府の副長官並びに厚生省——通産省のほうは来ておられないようでありますので残念ですが、総理府から順次見解を承りたいと思います。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 島本委員がおっしゃった点でございますが、いろいろと人間尊重ということ、こういうようなことが総理からも強く叫ばれてまいりました。この背景にはいろいろいま委員がおっしゃったような点もございましょうし、諸問題で最近大きな社会問題になってまいっておることは事実であります。そういう意味から一刻も早く公害対策基本法というものを立案して、そして国会の御審議を賜わるようにということでまいったわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 したがいまして、公害対策基本法をこれから設定し、これを国会にかけようとするならば、いまのような状態を十分勘案して、これに対する的確なる解決の長期計画と現実的なものを二つ踏んまえてこれを出さなければならないものである、こういうように私は考えておるわけです。このような考え方で当然進むべきだと思うのですが、そうでしょう。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 大体公害というのは大きな問題でございまして、もちろん急速にやるべき問題、それから長期計画、いろいろあると思います。両面足していかなければならぬと思いますが、何しろ公害という問題につきましては、社会問題化され、そして一般的にははだで感ずるわけでありますが、これを法案にして、そして具体化していく際におきましては、新しい問題であるだけに各省にまたがっておる。そしてまた、各省の御意見も一致するところもあればなかなか意見の違う点もあるというようなことから、先ほど岡本委員の御質問の際にも御説明申し上げましたように、各省から出ていただいて公害対策の推進連絡会議というようなものをつくりまして、そして連絡調整、各省の総合調整の任に当たっておりまする総理府におきまして、各省の御意見を聞きながらまとめ上げていく、こういうわけでございます。そして大体基本的な資料もできてきたから、主管省をきめまして、そしていよいよ立案に入る、御審議を賜わるという段階に具体化してきた、こういうわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、いま言ったような考え方でこれを貫いていきますと、若干疑問な点が考え方の中に浮かんでくるわけであります。したがって、これはまだはっきりしたものは出てはおりませんけれども、要綱だけは出ております。要綱だけでは全部を知ることはできませんが、大体の骨子だけは悟ることができるわけです。それに基づいて、要綱そのものじゃなしに、考え方に重点を置いて、以下私は聞いてまいりたいと思います。  総理府に関係のある分だけ先に……。まず私は、人命尊重、生活保全、これを中心に貫くものでなければならない、もしそれに障害を与えるような状態で基本法をつくるならば、これがしり抜けになる。すなわち、経済の発展は他の立法過程においてこれを完全にやっておる。この経済の高度の成長のためにもたらされた害悪を除くために一つの基本法を考え、ここに設定するのに、なぜ「経済の健全な発展」というものをまたここに持ってこなければならないかということは、これは重大なる考え方の違いになってしまいます。こういうようなことはやらないほうが、基本法のたてまえとしてなおいいのではないか、こう明確に思うわけであります。他の立法がないならばまだしも、他のほうに健全なる発展のためにそれぞれの立法があるわけです。それなのにここに再び、それから国民を守るためにもこれを入れるということは障害になるのではないか。産業擁護立法は他のほうでちゃんとやっておるのであるから、この際、こういうような考え方を強く入れないほうが立法の一つのたてまえとして正しいのではないか、こう思うのですが、この考え方について、そうでないという証拠があるならば具体的に出してもらいたいと思います。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 実はいま島本委員のおっしゃるような御意見も、端的に言いまして政府部内にもあるわけです。ところが、この試案をまとめるに際しましては、とにかく各省の全体の意見を調整していくわけですね。これが実際上御審議を賜わるまでにどういうふうになるかは別としましても、一つの調整機能としてやったわけです。その調整機能を果たして、そうして試案ができましたけれども、その試案の中に、いま委員がおっしゃったような意見も実際は出てくるわけです。また、ないほうがすっきりするという意見も当然出てくるわけですけれども、各省全体の調整をはかっていく意味においてその点が出たわけでございます。それでございますが、基本的なものの考え方、要するに人間尊重あるいは人間の健康を第一とするんだというようなことは、先ほど厚生省の局長からお話がございましたように、その趣旨は変わっていない。また、それはないほうがすっきりするのではないかというような御意見ももちろん出てくるわけでございますが、これはいろいろな各省の意見調整をやっておるわけでございますので、そういう各省の意見も入っております。入っておりますけれども、その基本的なものは失っていない、こういうわけでございます。そういう調整されたものに基づきまして、いま厚生省で立案検討しておる、こういうわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういうような考え方では、やはり形式的な取りまとめだけをやっているので、あなたのほうでただ単にそれを形式的にまとめるのならばいいのですが、それを責任をもって提案する責任官庁が総理府じゃありませんか、そうじゃないのですか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 総理府でございますれば、私がまだはっきり申し上げられるわけでございます。総理府でございませんからいまのようなことを申し上げておるわけです。

島本虎三日本社会党

○島本委員 責任をもって提案しないのに、それから窓口は厚生省だというのに、総理府がなぜそれを責任をもってまとめなければならないのか。厚生省に当然それをやって筋を通したらいいじゃありませんか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 実は総理府という官庁が各省の総合調整の機能を持っておりますもので——こういう重要な問題で各省にみなまたがっている、そうすると、どの省が一応まとめることにしましてもなかなかまとめにくい、だからこそ総理府が総合調整をやる、結局おまとめ役をやったわけです。それで、いよいよこれにつきまして主管省をきめるということになり、その主管省がそれを資料に立案し、そして国会へ法案を提出していくという段階に入ってまいります。それで厚生省ということに主管省がきまった、こういうことでございまして、大体責任官庁でいま立案しておる際に——政府部内の資料であって、政府部内でまた調整もできるでしょうけれども、責任をもって遂行しておる際ですから、そこからはっきりお答えしておいたほうがきわめて責任のあることになる、こういう意味なんです。

島本虎三日本社会党

○島本委員 せっかく厚生政務次官も来ました。大臣でないのがほんとうに困るわけです。この問題だけは大臣にはっきりと意思を聞いておかなければ困るのです。しかし、あなたは副大臣でしょう。そういうような意味で、私の言っておることはよく大臣に申し上げて、責任をもって申しますと言っておいてください。  いま総理府のほうでは、副長官のほうから、それぞれ責任をもって取りまとめのほうをやった、あなたのほうが責任官庁だ、こういうようなことでございます。そういたしますと、今度の基本法をつくる基本的な考え方は、あくまでも人命尊重、それによって生活保全を中心にしたものでなければならないのじゃないか。あなたがいないうちに、三つの点をあげて原則的に言ったのです。けれども、それはあなたは聞いていないから、もう一回言わなければなりませんが、煩瑣でございますから省略いたします。ただこの中で、産業擁護立法ではなく、高度に経済が発展したためにそれによってあらゆる産業から受ける一つの被害が、公害ということになってあらわれてきておる。いま、これを守る基本的な立法が公害基本法になってあらわれてきたのだ。そういたしますと、人命尊重、生活保全、こういうような見地に立って、他の産業に対しては産業擁護立法は別にあるのであるから、今度はそれによって被害を受ける国民並びにそれに類するものを守る、動植物を守る、この立場に立つならば、他にりっぱに産業擁護立法があるのに、公害基本法にまでまた産業擁護的な要素を持ってこないほうがすっきりしていいし、これがいわゆる基本法のたてまえでなければならないのじゃないか、こういうふうにいま聞いたところです。総理府のほうでは、そういう意見もあるけれども、早く言えば通らなかったというような意見のようです。しかし、厚生省が窓口であって責任官庁であるならば、これをはっきりと貫くのでなければ、これは困るのじゃないか、こう思いますが、厚生省としては、いま私の言った考えに対してどういうような態度でがんばったのですか。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 先ほど来私申し上げましたように、厚生省といたしましては、あくまで人命尊重、国民の健康を公害から守るということをまず第一番に主眼にしてこの法律をつくり上げるということについては変わりはございません。そういう方針で立案の準備をしておるのでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 では、もう少し具体的に聞いてまいります。  これも「目的」の中にはっきり「経済の健全な発展との調和を図りつつ、」というのが入れてあって、これは基本的に変わりないんだ、こういうようにあなたはおっしゃっているわけです。そうしたならば、「目的」の中にそれが入りますから、今後いろいろな基準をつくる場合でも、責任をはっきりする場合でも、規制をする場合でも、ちゃんと産業との調整というのが入ってしまったならば、当然その両方からひとつ考えなければならないということで、き然たる態度、本来の公害から国民を守るという態度ができないじゃありませんか。これをできるというならば、どうしてできるのです。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 先ほど申し上げましたように、この「目的」の中に「国民の健康を公害から保護する」ということが書かれてございますし、先ほど申し上げました「経済の健全な発展との調和を図りつつ、」というのは、あくまで生活環境を保全していくということについていろいろ調和をはからなければならぬ面もあるということでありまして、国民の健康を公害から守るということ、これが第一原則で優先をしておるのだという解釈で私どもはおるわけでございまして、決して二つを並べて同じものである、同列のものであるというふうには解釈しておりません。そして、この字句を挿入したいきさつにつきましては私よく存じませんので、それに当たりました局長に説明をいたさせます。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 この試案の中の目的の部分に、経済との調和をはかりつつという文章が入ったことが、目的としてふさわしくないという考え方は、私は必ずしも一ここへ入れなければならないかどうかという問題はあり得ると思いますが、これが入ったことによって、基本的な公害に取り組む姿勢がくずれたというわけではない。ただそういう懸念を起こすような印象を与えるおそれがあるという点があるいはあったかと思うわけであります。しかし、あくまでもこの部分の表現のしかたは、国民の健康を守るということを大前提に書いてありまして、そこから区別をいたしまして、生活環境の保全をはかる、その生活環境の保全をはかるには、産業との調和を考えて保全をはかる、こう書いてあるわけであります。これを具体的に例示して申し上げますと、多摩川の水をされいにするといっても、どこまできれいにするか、すなわち、生活環境を守る、東京都内を非常に空気をされいにしてウグイスが鳴くようにするのか、隅田川をアユが住むように非常にきれいにするのかという、生活環境の清潔化というか、生活環境をされいにする限度というのは、ある程度産業との調和をはかっていかざるを得ない。しかし、その限度は、あくまでも健康は絶対にそこなわれないということが前提条件である。こういう考え方でこの目的は表現してあると私どもは思っておりますし、また、この試案がまとめられる段階におきましての論議も、各省何らの疑点がなくまとめられたわけでありまして、先生の御懸念のような懸念が生ずるとすれば、表現に問題があるということでございまして、考え方はそのような考えで貫いておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 私は決して疑い深くはないのです。しかし、局長がそういうような考え方をもってこれに賛意を表しているとすると、今後の運営の点で疑わしくなる。というのは、原因者と名前をつけていますが、加害者、これも「目的」の中に入って調和する一つの要素になる。したがって、被害を受ける人、加害者、こういうような者も中へ入って今度は基準をつくることになる。そうなったら、加害者と被害者とやったならば、当然力関係になるじゃありませんか。いま弱いのは、金のない、権力のない人です。強いのは、金のある、権力のある人ですよ。そういうような人たちでやって、完全に甘くないりっぱな基準ができるということをあなたは考えられますか。そういうようなところにおいて尾を引いて疑問が生ずると言うのです。また、責任なんかはっきりきめて、これからやろうとする、これも双方の目的に合致するようにするというならば、やはり二つ足して二で割れば公平、そうでなければ力の強いほうへ持っていかれる。したがって、しり抜けになるのじゃないかということが当然考えられませんか。それだけじゃない。今度規制するとしても、両方からその代表が、目的にあるのだからといって意見を戦わし、目的に沿うためにというならば、本来のものもその目的のために弱まるということになりませんか。こういうような懸念をするがゆえに、これを入れることによって、運営上今後大いに蹉跌を来たすような結果になるおそれがある。総理府のほうでは、それは単にまとめたのだとおっしゃる。しかし、窓口は、責任ある官庁として、それを一本筋を通すために、こういうようなのはありませんということでなければ、これは内容は同じであって、字句だけ、表現の違いだということにはならない。私はそう懸念するのです。したがって、もう産業擁護立法じゃないのですから、こういうようなものは必要がない、これがきれいではっきりして一番いいのに、きれいではっきりして一番いい方法をなぜとらないのだ。これ以上答弁しますか。してもらいたいところなんだけれども、次官、どうなんです。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 本来なら、そういう経済の字句を入れないほうが、いま島本委員がおっしゃったような誤解を生ずるおそれはないと思います。そういう意味では非常にすっきりすると思いますけれども、これも各省のいろいろな意見がございましてこういう字句を入れるようになったわけであります。しかし、精神は、あくまで先ほど私が申し上げましたような精神でございまして、こういう点は各省とも了解がついておりますので、そういう産業を擁護するようなことには決してならない、こういうふうに私どもは思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 どうもそれじゃ困るのです。それじゃだめです。したがいまして、これはもう少し大臣に対して明確にしないと、これは大事なところで、運営の面でしり抜けになりますから、これはほんとうに大事です。  それから私は、両次官おりますから、この際はっきりこれに対してメスを入れておきたいと思います。といいますのは——通産政務次官は、なぜ来ないのですか。

八木一男日本社会党

○八木委員長 通産政務次官は商工委員会で大臣のかわりに答弁して、予算委員会が終わるまでぶっ続けで休憩なしでやる、再三交渉しておりますが、向こうで主任の答弁者で、どうしても放せないという状態で、その点非常に申しわけないと思っております。通産省の立場で馬場君がおります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まず、同じような産業擁護的な意味を入れた立法の中で水質二法があるということは、御存じだと思います。それで、兵庫県の高砂市で、上水道水源のために使っている加古川の問題で、上流にパルプ、染色会社十一社、これを相手どって、昨年の十二月六日に、これは大阪の地裁に六千万円の損害賠償で提訴し、目下これは争っている最中だと聞いておる。その内容は、水質汚濁の被害の程度が、農業や水産業や一般の人だけじゃなしに地方自治体にまで及び、それが住民の飲料水としても上水道の取水が不可能になったということに原因があるようです。この事態は、裁判の結果よりも、水質保全の弱点が浮き彫りにされたということが問題じゃないかと思うのです。それは現行の水質保全法、この裏づけになっておるのが、「産業の相互協和」ということばを使ってこれを実施しておるわけです。したがって、いつやっても、産業の相互協和ということでこの問題の実があがらない。まさに実施法ともいうべき工場排水法、これさえも、しり抜けになって運営されておる。こういうようになってしまいますと、この水質二法があって、水を清め、それによって住民の一つの生活の安定の基盤まで考えてやったはずのものが、この中に産業の相互協和ということばがあって、そのために具体的に入っていけない結果が、地方自治体からの訴訟になって現在あらわれている。農業や水産、こういうようなものを乗り越えて、もう生命財産にまで危害が及ぶような状態になっている。この事態は通産省で知っておるでしょう。そういうようになりますと、水質関係法運営上の矛盾、これがはっきり露呈されておる。これは、すなわち産業の相互協和ということばのために具体的にこの問題にメスを入れられない、この結果じゃございませんか。これはまことに大事だと思うのですが、こういうようなことを考えるから、今回のこれにも考えが及びます。当然こうなるような基本法であってはだめじゃないか。現に証拠があるのです。ないということが、次官、これで言えますか。通産省、これはどういうようになっておるのです。

馬場一也通商産業省企業局産業立地部長

○馬場説明員 政務次官が他の委員会へ失礼いたしまして、たいへん申しわけないと思います。私がかわってお答え申し上げます。  ただいま先生が仰せになりました加古川の問題でございますが、水質保全法に基づきまして工場排水の規制が実際に法律に基づいて行なわれますのは、御承知のように、その川が保全法に基づく指定水域になって、法律による基準がきめられてから正式に行なわれるのでございますが、加古川は、今日現在水質基準をきめるべく調査中でございまして、まだ正式の指定水域になっておりません。ただしかしながら、ただいま仰せになりましたように、上流にございます染色工場その他の汚水によりまして地元のいろんな産業その他に被害が及んでおるという事実は、そのとおりでございます。したがいまして、通産省といたしましては、この加古川の問題に限って申しますと、指定水域になり、正式に取り締まりが行なわれますまでの間この状態を放置することができませんので、本年度から——上流にございます染色工場その他の工場は、大体中小企業がおもでございます。したがいまして、この中小企業に、汚水を出します場合に、各個の処理でなくて、共同でこの汚水をされいにして被害を起こさない状態にして放流をさせるという施設をさせますように、対象が中小企業がおもでございますので、これに組合をつくらせまして、その施設をつくらせますのに、国と府県から相当部分を無利子の融資をしてこれを行なわせるという具体的な対策を明年度から実施してまいりたい、かように対策を考えておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういうような重大なる事件が起き、裁判ざたになって、そういうような方法をとらざるを得ないような状態になってからようやく手をつける。もしも、産業の相互協和ということばでなしに、そういうようになる前から手をつけて、そういうような状態であるならば、早く水質の基準をきめさせて、そうして融資をしてやる、こういうようなことがなぜできないのですか。やはりこの字句のために具体的には事が運ばなかったじゃありませんか。なったあとから手を打つのはおそいし、基本法であるから、そういうようなことかないように万全の手を今後打たせなければならないのだ。現にこういうような問題があって訴訟になってしまっている問題であり、人命にかかわる問題である。それも水質の基準を測定するその川にまだ指定されてない、こういうような状態でございます。そういうのが幾つもあるのです。日本全国で見たならば、これ一つじゃないでしょう。これは大きい問題です。それさえしり抜けになっておる。大きい基本法、こういうようなものに対しても、しり抜けのような運営をさせてはいけない。これはまさに国家的領域で真剣に検討しなければならない問題になっておるのだ。地方の問題じゃないということです。この点、窓口になっておる厚生省、それから総理府のほうでも十分これを考えてやる。いま言った相互協和ということばが具体的にこういうようになったその結果を十分考えて、今後ひとつ善処しなければならないと思います。これは皆さんにもよくお考えおき願いたい。したがって、産業立法的なこういうような色彩を帯びるこのことばは持ってこないほうが、「目的」の中に入れないほうが正しいのだ、こういうようなことでございます。それとあわせて、現在の問題にすると、水質二法と水産資源保護法、それから水質汚濁関係法令、こういうようなものはこの機会に抜本的に解決させるように通産省で持っていかないとだめなんじゃないか、私はそういうような点も考えて、この点なんかについてはどう考えましょうか、ひとつ御意見を伺いたいと思います。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 島本委員のお説ごもっともだと思っております。現行法があるものにつきましては、それが十分効果があがるべきように措置しなければなりませず、なお、今回国民全体が最も注目をし期待をしておりまする公害基本法につきまして、これができてもどうも所期の目的を達することが不十分であるというようなことであってはならぬ、こういうふうに基本的に考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それはそのままにして、次に、この総体的な要綱を見て私がちょっと感ずるのですが、確かに必要なのは、公害防止という見地が一番重要だと思います。それはよくわかります。しかし、それのみだということに限定するならば、また片手落ちになりはせぬか。この際、やはりもう現に発生している公害によるところの被害者の救済、それの損害の補償、こういうようなこともき然とうたっておかなければならないはずのものじゃないかと思うのですが、この点に対する見解を承りたい。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 お説のように、公害の被害者の救済という問題は非常に重要な問題でございまして、従来からも各方面でそういう事例があるわけであります。ところが、公害の原因が必ずしもはっきりしない。因果関係が明確でない。また、おおよその原因がわかりましても、多くの場合はその原因は一つではない。多数のものが寄り集まって原因となっておる。その多数のものの原因の程度がまた種々雑多であるということから、普通の、隣の煙突が倒れたというような明確な原因の場合にその補償を求めるとかいう私法上の措置を講ずるのと違いまして、公害で加害者といいますか原因者が明確でない、原因の追及がはっきりしないということから、非常に救済がおくれやすい、不十分であるという問題があるわけでありまして、公害基本法をつくります場合にも、この点にはっきりした基本姿勢を打ち出すべきであるということから、一応今回の最終の項目の中で、救済に対して何らかの制度を今後打ち立てていくべきであるということを明記してあるわけでありますが、それではそれに対応するどのような制度をこれから考えていくかということは、政府として今後十分検討してまいりたい、かような考えでおるわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 もしいま言ったようなことばで貫くならば、やはり「事業者の責務」の中にもこの防止ということばを明確に入れたほうが、こっちのほうがきれいさっぱりするじゃありませんか。それがさっぱり入っていないということに対してはどうなんですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 したがいまして、「事業者の責務」の中で、公害防止に対して必要な措置を講じ最善の努力をするように述べてあるわけであります。ところが、今日の規定によりましても、たとえば特定の地域におきましては、ばい煙であれば排出の基準をきめてありまして、それ以下にとどめろ、こういうことになっておるわけでありますが、一本一本はそれ以下にとどめましても、それが何千何万と集まりまして集積いたしますと公害を惹起するという事態が起こってまいるわけであります。したがいまして、排出等の規制を十分にするばかりですべてが防ぎ切れない。それでもなおかつ、そのわずかながらの排出の原因が寄り集まっていつとはなしに公害を起こすという問題があるわけでありまして、それをどう救済していくかという具体的な問題が提起されることになるわけであります。そういうものの制度を今後検討してまいりたい、かように思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その制度の点は、第九章か何かに、これからやろうとする意向が書いてある。産業の面については「目的」の中に入れて書いてある。私は要らないと思いますが、入れてある。ところが、肝心の、防止と一緒にうらはらになって考えてやらなければならない被害者の救済というものは入れてない。入れたって何でもないじゃありませんか。一方、産業のほうはちゃんと「目的」の中に入っておる。かてて加えてもう一つ、今度は「環境基準の設定」の中にも、あえて目的の中に入っておるのにまた入れてある。「産業間の相互協和」、二つも入っているのに、なぜこの責任の中に被害者の救済というものを入れないのか。それは片手落ちじゃありませんか。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 先ほど来いろいろ申し上げておるとおり、総合調整のもとにとにかくまとめ上げたものであります。これにつきましていろいろと検討する、これはもちろん重要な資料であることは間違いありません。それに基づきまして検討し立案していきまする主務官庁があるわけでございます。でございますので、この点につきましては主務官庁のほうにお尋ねくださるほうが適当であろう、こういうふうに思うわけであります、

島本虎三日本社会党

○島本委員 厚生政務次官、どうですか。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 私どももできるだけそういう趣旨を生かしてこれからの立法をやっていきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それを生かしてこれからの立法の中に入れてもらいたいと思います。それは、もう一度申しますと、「目的」の中に「調和」ということばが入っており、「環境基準の設定」の中にも再び「相互協和と」いうことばが入っておる。しかしながら、被害者の「防止」ということばは載っておるけれども、うらはらの被害者の「救済」というものは入っておらない。うしろのほうに章を設けて、これからそれを考えるという段階だ。これではやはり画竜点睛を欠くおそれがありますから、この点は十分考えていただきたい。この問題についてはこれで終止符を打ちます。  そういうふうにして、原因者の——よくわからないのですが、私どもは、加害者である、こういうふうに思っておるのですが、いろいろ皆さんのほうの答弁では原因者ということばを使っておるようです。これは加害者と言ったほうがきれいじゃありませんか。この考え方はどうなんですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 加害者といいますと、いかにも公害を発生する意思があって発生しておるように、そういう印象を受けるわけであります。ところが、公害は、必ずしも原因者がそのような間違いをおかしておるという意思がなくて、それが寄り集まり、積もり積もって障害になるという事例がむしろ大部分でありまして、はっきり悪いということであれば、先ほど来申しておりますように、民法によって損害賠償の対象になる、公害でなく私害になるというくらいのものでありますので、この際、表現としては加害者ということばを使わなかったわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いままでいろいろ水俣病、阿賀野川のあの問題、こういうような問題等につきましても、複数の原因があるかもしれませんが、被害を受けるのはやはりその流域の人なんです。しかし、依然として、被害は受けても、それは原因者があって加害者ではないんだ、こういうようなことを厚生省のほうで考えて立案されるとするならば、立案の過程で少し困るじゃありませんか。それに対する原因者であるのだから、損害なんかは考えませんよ、補償はいたしませんよ、こういうようなことがまた貫かれるじゃありませんか。矛、ういうおそれはないのですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 この問題は、厚生省にございます公害審議会でも論議されたわけでございますが、加害者という表現が適当でないということで、公害審議会としては、原因者という表現にしたわけであります。害を受ける立場からいえば、だれかが害を加えたのであるから、加害者という表現も、確かに被害者の立場に立てばそういう表現もあり得ると思いますけれども、先ほど来申しておりますように、別の意味にもとられるということから、この際はそういう加害者という表現を用いなかったわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、因果関係、原因と結果がはっきりするために訴訟を起こしても、これは何年かかってこれが加害者になるのかわからない。ずいぶんおそくなる、時間がかかる。そのうちに被害を受けた特定の人はもうすでに生命の危機にまでさらされる。もう現にさらされている事例がある。こういうようなことを見てみますと、現在のこの判例なんかを見ましても、最近は、そういうような場合には、無過失責任ということでやはり被害者を守る、こういうような立場が敢然と学者の間で論議され、もうすでに実施されておる面もあるのです。人権擁護局あたりでも、現在の刑法関係では、複雑な化学関係の事例については、法に規定する証拠固めはなかなかできない、したがって無過失責任制がない、これに対してのはっきりした法体系で被害者の保護はでき得ない、こういうようなことを聞きまするけれども、しかし、やはりそういうふうな原因者であるならば、その考えのもとに、被害者は完全にあるのですから、被害者がある、それを助ける無過失賠償制をここにはっきり考え出さなければならないのに、原因者といいながらも、今度も加害者でないと規定しながらも、無過失責任を明らかにしないというのは、この根拠はどういうわけですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 公害施策の最もむずかしい部分は、その原因者が必ずしも明確でない。たとえば、東京都の空が非常によごれておると申しましても、それはどこの工場とどこの工場が悪いのであるということは必ずしも言い切れない。ことに札幌等であれば個々の家庭が原因者であるというような、非常に広範なものでございまして、しかもその汚染の原因となるものの程度も非常に複雑でございまして、だれがどのくらい悪いかということがはっきりしない。そのようなぼうばくたる原因に向かってその原因を追及するという方向でこれを解決しようとしても、ただいま島本先生のおっしゃるように、これは訴訟がそもそも成り立つかどうか、訴訟になっても解決できるかどうかわからない種類が非常に多いわけであります。したがって、施策の上にそれを反映するなり、特別な救済制度を考えるなり、特別の措置をする必要があるわけでございまして、それを原因者というような方向からとらえるばかりでなくて、そもそも施策の中に織り込んで事業者の責任を求めるという方向でこの公害対策を広範に打ち出してまいりたいという考え方がございますので、あまり加害者というような方向でこれを表現しなかったわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 やはりこれからはそういうような考え方で臨む、それはおっしゃるとおり臨まなければならないと思うのです。しかし、事実は現実にいま起きている問題があるのです。起きている問題に対しても法的にはっきりメスを入れる。入れても結論は出ないのです。被害は受けているのです。そういうようなものをばく然とまた入れても、実効があるような施策が、責任をもってできますか。やはりこの中には無過失賠償制、無過失責任と申しますか、この精神を貫くんだ、こういうことでなければ、これははっきり出ないんじゃございませんか。貫かないでいてそうしてこれはできますか、伺いたいと思います。これは次官のほう、どうですか。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 無過失賠償、無過失責任という問題は非常にむずかしい問題でございまして、私どもといたしましてもただいま検討をしているところでございまして、いまここではっきり申し上げることができないのでございます。検討をしておるということで御了解をいただきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 検討しているならば、いい結論を出してもらいたい。私は、それをはっきり貫くのでなければこれは画竜点睛を欠く、こう思いますから。現に、水俣病の発生したのは三十一年ですか、そのあとでまた四十年ころですか、去年、おととしですか、あの新潟県の阿賀野川でもこういう事件が発生した。もうすでに二年たっていても政府のほうからはっきり報告がありますか。調査団も行ったでしょう。行ってもまだ報告もない。こういうような事態で、これから基本法をもってやっても、同じような態度で臨むのでは、しり抜けでしょう。そういうような点では、やはり原因者がはっきりしないからだ。加害者と認定されないからだ。したがって、いろいろ調べてみても何が何だかわからない。被害者が何ぼあっても、これはやむを得ないのだというような考え方では、ほんとうに今後これは公害基本法の意味をなさなくなるのです。もう現にこういうような事例があるのです。二年もたってどういうようになっているのですか。やはり無過失責任というものを明らかにしない以上、これは公害基本法の意味が通らないのじゃないか。現にこういうような事例があるじゃありませんか。これはこれとして今後だけはうまくやるというのですか、どうですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 確かに、公害といいますか、そういう人工的な害によりまして被害を受けた場合の補償といいますか、賠償といいますか、そういうものの明確化は、もしそれがきわめて明快に答えが出るのであれば民法上の損害賠償ということになると思いますが、公害の多くはそういう民法上の損害賠償ということができないたぐいのものが多いわけであります。したがって、こういうものに対する救済の制度といいますか、それを取り上げ、被害を受けた人を救済していくということをやはり公害対策の大きな部分として考えていく必要があるということは、御指摘のとおりでございまして、これはいま直ちにそういう場合の答えが——どういう責任を疑わしい原因者に負わせるのか、疑わしい程度で責任を負わせられるのか、どのような和解といいますか、仲介といいますか、あるいはそれらの賠償がどういう形の賠償金になるのか、そういうことは、従来は、たとえば御指摘になりましたように、水俣病等におきましては見舞い金のような形で処理されておるわけでありますが、これを一つのルールの形にして法的な規制の中へ入れていくということが今後は必要であろうかと私どもも考えております。それらの点は、なおこの基本法の制定と相まちまして私どもとしても制度化として考えてまいりたい、かように思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 制度化としてこの問題を十分考えるということで、この点は考えておいてもらいたい。現に大正三年のころには判例さえも出ておりますから、そういうような点を考えて、あくまでも、加害者であろうと原因者であろうと、これは被害を受ける国民を守る、この公害基本法立法の精神をあくまでも貫き、生かさなければならない、こういう考え方です。これは十分次官も考えてもらいたい、こういうふうに思います。  なお、私のほうではいろいろとあるのですが、これは厚生省の次官以下の皆さんのほうからお聞きしたいのですが、悪臭に対しての基準の設定は何によってするのですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 実は環境基準をつくります場合に、大気汚染、水質汚濁、騒音まではできやすいわけであります。悪臭に対して環境の基準というものはできるであろうかということで、実はこの公害審議会の答申の場合にも、悪臭に対する基準は答申の中からはずそうかという議論があったほどでございます。しかしながら、これはあくまでも悪臭についても基準をつくる努力をすべきであるということから、公害審議会の答申の中には、悪臭の部分の基準をつくるべきであるという考えが入っております。私どもとしても、今後努力をして、何らか科学性のある悪臭の基準をつくってまいりたい。これは学者の先生にお願いをしまして、悪臭を発生させる何らかの化学物質があるはずであるから、そういう基準をつくる方向で検討してまいりたい、かように思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、いまの場合は、悪臭に対する基準の設定の方法は全然考えられないということですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 ちょっと私、間違って申し上げましたが、審議会の答申の中では、最終的には除かれております。今後つくります環境基準の中では、悪臭の部分は——大気汚染や水質汚濁、騒音についてははっきり基準をつくりたい、これに準ずるものとして悪臭の基準も配慮するというような表現になっておるわけであります。

橋本道夫厚生省環境衛生局公害課長

○橋本説明員 非常に事務的な、技術的な問題の入った問題でございますので、若干補足説明をさしていただきます。  悪臭の問題につきましては、公害審議会の答申の中では、公害の対象として取り上げるべきものであろうということでいろいろ論議はございましたが、対象としての中に入っておりました。それで、この基本法の中で悪臭を公害として取り上げるかどうかというようないろいろな論議がありまして、先生のおっしゃいましたように、非常に技術的に難点がございます。しかしながら、現在の段階で悪臭問題は公害の一つであるということは、社会的にかなり定着をしてきておる。特に北海道におきましては、一部の市で悪臭対策の条例を設けているところすらある。あるいはへい獣処理場の法律の中にも、悪臭対策を意識した条文がございます。そういうことで、省くわけにはいかないということになりまして、厚生省試案にも入っておりました。それから今回の政府試案の中にも、対象の公害として取り上げております。ただ、環境基準として、悪臭についての環境基準を設定することは、これは現在の段階では至難でございまして、人間の鼻のほうが機械よりもはるかに鋭敏だということでございますので、環境基準の設定は、政府としては大気汚染、水質汚濁、騒音、この三つに限っております。そういう意味で直ちに環境基準につきまして、悪臭のほうは法律に基づいてやるという考え方には立っておりません。ただ「排出等の規制」のところにおきまして、政府試案要綱では一項と二項とに分かれておりまして、悪臭の問題は第二項に入っております。第一項のものは排出基準を明確に設定し得るものとして大気汚染、水質汚濁をあげておりますが、悪臭の問題につきましては、大気汚染、水質汚濁の場合のような排出基準というような形で明確な基準を設けがたいということで、第一項に準じて必要な措置を講ずるようつとめるということになっておりまして、これは今後も悪臭防止法というような形では、私どもの事務的、技術的な考え方では不可能かと思われますが、大気汚染防止法というような形を将来検討する場合に、部分的にそれで対処し得るものもあり、水質保全法なりあるいは工排法の中で、部分的に結果として対処し得るものもございましょうし、私どものほうとしては、清掃法、へい獣処理場の法律あるいはと畜場の法律で、そのほかのごくローカルなものにつきましては地方条例で処理していく。内容としましては、施設の構造、あるいはその取り扱い監視の基準ということで対処していくべきものと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 第一が目的、第二が定義で、公害の定義の中には、やはり悪臭というものが入っておるのです。基本法として定義の中に入っておるものを除いて、わりあいにやわらかくしていく、こういうような考え方は、もう差別をつけておるのではないですか。これも産業の調和のためであるとは思いませんけれども、しかしながら、やはり悪臭で悩むものが、現在その測定に困難だということは、これはわからないわけではございません。わかります。それから準拠するへい獣何とかという法律、それから清掃法関係の法律、こういうようなものは、やはりわりあいににおいの点では過酷に扱っておりません。   〔委員長退席、板川委員長代理着席〕 そういうような点ではよくわかっておるのです。だからこれはやらなくてもいいということにはならぬです。むしろ、これが必要だということになりますまで、むしろいまのような環境基準の中に入れて、もう少し具体性を持たせるようにしていくべきだと思うのです。他の方面は十分考えていますが、これだけを——直ちにいまというのは困難かもしれぬけれども、一歩も二歩も下がってこれは入れるのだということは、これはやはり考え方としてずれておるのじゃございませんか。こういうことをしちゃいけません。これは次官もやはり相当考えておかないといけませんよ。困難性はわかりますけれども、やはりやらなければならない問題です。  それともう一つ、今度は、監視、取り締まり、この面に対しては、やはり現在の状態では、ことばがあってもなかなか困難なように思われますけれども、もう今後の公害関係の監視、取り締まり、これは強力に行なわなければなりませんけれども、これに対してどういうふうにしてやるのだという方策が考えられましたら、お知らせ願いたい。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 お説のように、公害は、中には一般住民が気がつく公害もあれば、知らず知らずの間に呼吸器をおかされ、心臓をおかされるというような、公のところで絶えず監視をしておる必要があるものも相当あるわけであります。したがいまして、公害の監視は、公害対策の非常に重要な部門でございます。それに対しまして、従来は一定の場所へ一定の時期に行きまして人間が調べるというようなことによって調査をしておった、不連続的な調査資料に基づいて公害の存在を探知するという方法をとっておったわけですが、こういうことでは、二十四時間常時監視ということにはなりませんし、また、人間の使い方でも非常に能率的でございませんので、大気汚染に関しましては、自動的に二十四時間調査をする、その資料は中央の司令部へ集まってくるというテレメーター方式の監視網を、明年度から必要な個所につくるということにいたしまして、国がそれを助成する、地方公共団体がそういうものを設置することにいたしたわけであります。また、特別な研究方法を用いて調査しなければならないものの調査のためには、地方に研究所といいますか、検査所というようなものを整備させる、そして検査をさせるということで、検査施設に対する助成もいたすことにいたしております。なお今後は、ただいまお尋ねの悪臭の問題もございましょうし、また水質の汚濁の問題もございますので、これらの全面的な、常時監視の制度を広げてまいりたい、かように思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 今度は少し方向を変えさしてもらって、文部省来ておりますか。——こういうようにして、いま公害の問題は大きい問題になってきておりますことは、いままで聞いて御存じのとおりです。そういたしますと、これはやはり原因は、三つに分けてちょっと先ほど言いました。それも聞いておられたと思うのです。企業が社会に与える迷惑に対する無責任な態度も公害のあらわれた一つの原因でもある。それと同時に、今度は近代重化学工業のこの実態をよく知らぬままに工場を誘致したという地方自治体のやり方にも一つの欠陥があった。それと同時に、いままで生産第一主義の経済成長で、金や物に重点を置いて、人の生命や生活を軽視しておったということである。こういうような一つの産業過程で、社会的責任を十分企業自身が果たしているということはいえないじゃないか。もし現在のような状態の中で、やはり学校教育の面でも、いろいろな立場から、健全なる企業というものはということで、公害排除のために今後これと取っ組んでやるべきだと私ども思うのですが、これはほんとうは大臣の意向を聞けば一番いいのですけれども、菅野さんですか、ひとつその点に対して御見解を承りたいと思います。

菅野誠文部省管理局教育施設部技術参事官

○菅野説明員 おっしゃること非常にごもっともでございます。特に学校施設の面で公害に対応することも考えなくてはならぬということもあるわけでございます。おっしゃるように、その周辺から教育環境が阻害されるということが非常に困るわけでございまして、これに対しまして、この環境を適当な教育環境のもとにおくということにつきまして、できるだけ文部省といたしましても努力してまいりたいというふうに考えます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ことに文部省の場合には、私のほうにもらった調査資料によりますと、基地周辺の騒音の多い土地の進学率は、平均よりもみな下がっておるようでございます。北海道の場合は千歳、全国の平均が七〇・七%の進学率、北海道が六六・三%なのに、千歳は六四・一%という数字が出ておるようです。これはわりあい音の影響のないのも入ってこうですから、影響の多いところはもっとひどいのじゃないかと思います。東京都の立川の場合でもはっきりここに出ております。東京都の平均八六・八%、立川の平均八〇・八%、これは他の校のどこよりも、A校、B校、C校のいずれよりも悪い。こういうふうにして見ますと、やはり騒音対策というものは教育上相当影響のあるものである、こういうふうに思うのです。公害発生のうちでも騒音、これが教育上にやはり重大な影響を及ぼしているんじゃないか、こう思われますが、それに対する具体的な対策や今後の施策がありましたならば、お知らせ願いたい。

菅野誠文部省管理局教育施設部技術参事官

○菅野説明員 おっしゃるとおり、実は文部省といたしましても学力等につきまして非常に心配しておるところでございまして、ただいまのような数字も承知いたしております。   〔板川委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、この基地周辺の中学校の、ただいまおっしゃいましたのは高校進学率の問題かと思うのでございますが、これは全体として考えますれば、高校進学率が必ずしも一律に悪いという問題でもございませんので、その地域も、僻地部にある学校であるか、都心部にある学校であるか、周辺部にある学校であるかというような別があり、また、父母の職業別とか、教育に対する考え方とか、社会的、個人的ないろいろな要素が入ってきておりますので、いまのようなことからにわかに断定するということがなかなか困難な面はあるのでございますが、しかし、その点につきまして、私どももそういう格差がなくなることが望ましいことでございますので、できるだけそのようにいたしたいと考えておるわけでございます。  この基地周辺等におきましては、御案内のように防衛施設庁のほうとも連絡いたしまして、いままでのところ教育関係には防衛施設庁のほうでも非常に御理解を賜わっております。ただいままでのところ防音装置ににつきましては、御案内のように駐留軍施設関係は昭和二十八年度以降自衛隊基地周辺については昭和三十年度以降防音工事が実施されてきておるのでございますが、四十年度までに約四百三十九校で百八十七億ばかりの防音施設の金額が予算で支出されておるわけでございます。四十一年度が約百五十校ばかりかと思いますが、精算されないかもしれませんが、約五十七億という数字、相当多くの金額で防音工事を実施していただいております。四十二年度におきましてもほぼ同様、六十一億ばかりの工事がなされるようになろうかと思っております。なお細部につきましては、それぞれ防衛施設庁のほうと連絡いたしまして実施していただくことになるわけでございます。  なお、今後どのくらいになるかという問題が、どの程度進捗したかということに関連してあるいは御質問の中にあろうかと思いますが、実は飛行機の種類が変わってまいりますので、だんだん騒音が激しくなったり、逆にそうでないところが起こったりするわけでございますけれども、現在のところ、私どもといたしましては、今後、約五百校ばかりに対してさらに防音施設が必要ではないかと考えまして、施設庁などと連絡をいたしまして、その予算化に努力を続けてまいりたい、このように考えております。  なお、この校数につきましては、年度によって一校ごとにきれいに仕上げるという部分が必ずしもないわけでございまして、二年にわたってやるというようなこともありますので、重複する部分があるかもしれませんので、延べといいますか、そういう重複の関係で若干変わることもあり得るということを御了承願いたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは、防衛施設庁のほうからも来ておりますけれども、いま言ったように、就学児童に対して基地騒音の影響が相当あるという事実、航空機の高度化、伝播範囲が広くなった、こういうようなことで、現在のように五百メートル範囲内のものならば強制立ちのき、それから滑走路から一千メートルくらいならば行政指導によってやる、こういうような状態では、その近辺の小学校その他の被害は、いかによくやっても窓をあけられない。窓があけられないということになると、健康上やはり相当影響がある。これは、現在基地周辺にあるものに対してそのまま設備するのがいいのか、それともまた、別に何とかしなければならないのかという点は考えなければならない問題ではないかと思うのです。現在のように航空機の高度化によって音の伝播力が大きくなってきました以上、これは相当騒音の被害を受けていますから、こういうことは文部省のほうでももっともっと具体的に調べ上げてやったほうがいい。  それだけじゃございませんで、都市計画の面なんかでも、現在いわゆる基地基本法とぶつかって困っている面もあります。北海道大学の工学部で調べた資料によりますと、九七%までの住民が音に対しては、うるさい、困る、こういうような反応を示している。そして飛行正面下に対しては、もうすでに措置をしなければならない状態だという結論が出ているようです。学童もみんなそこにいるのです。そういうふうに考えますと、学校のほうを完全にしてやっても健康上よくない。うちへ帰ってくると、今度は家庭生活の面でもまたいろいろ不十分な手当てを受ける。こういうようなことが成績になってあらわれてくる。こういうことになりますと、この公害の問題では、文部省自身も今度は一歩先に指導しなければならない立場に立つわけです。この点なんかも十分考えておかなければならないと思うのですが、今後の問題等について、防衛施設庁のほうではどう考えておりますか。

鐘江士郎防衛施設庁施設部長

○鐘江政府委員 御承知のとおり、米軍並びに自衛隊が使用しております主要な飛行場は、全国的に約二十ございますが、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、飛行機の離発着に伴うところの騒音によりまして、相当学童にも影響を与えておるわけでございまして、この影響による被害の軽減ないしは防止ということで、従来私どもとしましては学校に防音工事を施す、木造の校舎に対しまして防音工事を施しても、さらに完全に防除措置ができないといった場合には、木造の校舎を一気に鉄筋化するという措置を講じまして、極力この騒音の軽減、防止に力を注いでまいったわけでございますが、ただいま先生御指摘のとおり、学校におりますときにはそういう防音工事をやっておりますけれども、一たん自宅に帰りますと、やはり学童は相当騒音に悩まされるということで、この問題を何とか解決しなければならないということで、昨年制定されました防衛施設周辺の整備等に関する法律によりまして、学習等の共用施設、これを各市町村ごとに設置する。その場合に防衛施設庁といたしましては、定額定率方式によりまして所要の経費を補助する。と申しますのは、この学習等の共用施設をつくることによりまして、学童がそこに行って勉強する、あるいはこの施設の中に病弱者の休養施設あるいは老齢者の休養施設、こういったものもあわせ含めてそういう施設を利用していただくという考え方で、この問題は今年度から積極的に措置を進めていきたい、かように存じております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 長くなって申しわけありませんが、最後に一つだけ念を押して聞きたいと思う。  先ほど岡本委員のほうからもいろいろ言われておりますけれども、この基本法の目的の中の、「国民の健康を公害から保護するとともに、」というのは、以下の続くものは、これは並列ではなくて、国民の健康を公害から保護することが主なんだ、並列じゃなくてあとに続くのだ、こういうことをさっき答弁があったようですが、それは間違いありませんか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 健康がそこなわれない限度ではない、それよりさらにもう一歩進んで国民の生活環境まで守るのだという、かなり積極的な目標だと私どもは考えております。健康を守るということだけであれば、川の水がよごれても、そこから水道を取らないという川であれど、それほどの健康上の支障はないかもしれないけれども、さらにもう一歩先へ出て、その上に美しい生活環境といいますか、国民にふさわしい生活環境も守るのだ、こういうことがこの目的の主眼であります。ただ、その生活環境の部分は、あまりそれを強く追求いたしますと、産業との調和ということが必要になってくるので、その生活環境の部分は、産業との調和を考えて守っていく、こういうことが目的でございます。その意味からいいますと二段がまえでございまして、健康はあくまでも守るのだ、こういうことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 先ほどの質問にまた戻ったのです。それは、国民の健康を公害から保護するのが主だ。生活環境、この中にカッコがあって、「財産並びに動植物及びその生育環境であって、人の生活に密接な関係のあるもの」も守る、こういうようになっている。もしこれが国民の傾康を公害から守る、あとは、生活環境は経済との健全な調和の上でこれをはかっていくのだ、こういうことだとすると、補償の面は、さっき言ったことと全然違う結果になるわけです。うらはらじゃないということです。防止、補償、これは両方とも考えると言ったけれども、これだったら、国民の健康を公害から保護するということが主で、あとは、生活環境は経済の健全な発展との調和をはかって考える、こういうような意味だというのでしょう、あなたのほうは。そうだとすれば、「財産並びに動植物及びその生育環境であって、人の生活に密接な関係のあるもの」、こういうようなものは、場合によれば、経済の健全な発展との調和をはかれないならば考えないということでしょう。そういうような意味ですか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 このカッコ内にあるものについても、生活環境の中には、川が美しいとか、美しい花が咲くとか、そういうものだけではなくて、あるいは空気が澄んでおるとかいうようなことだけではなくて、やはり植物が枯れるとか、あるいは魚が死ぬとか、そういうようなものも含めて人の生活に必要な生活環境というものは保全をしていく、守っていく、万全を保っていくということではございますけれども、そうかといってそれに徹底して既存のものは全部保護するということであれば、産業の発達の余地がない場合もあり得るわけであります。したがって、健康には差しつかえない範囲であれば、既存の施設が多少はよごれるかもしれないし、多少植物に被害はあるかもしれないが、それは産業との調和をはかるという意味合いにおきまして、場合によれば損害賠償で解決する場合もございましょうし、移転ということで解決する場合もございましょうし、解決の方法はいろいろございましょうが、その場合は、既存のものは一切守るという形でなくて、調和をはかりながら調整をしていく、こういう考えがここに含まれておるわけであります。その場合、当然にこの既存のものの納得する調和をはかっていく、こういう考え方で処理してまいるということであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういう御答弁だと私もまた水俣病の問題を申し上げなければならない。ああいうふうになると、もう水の点だけではなく職業も奪われてしまう。結論が出るまで本人は生活保護費を受けて生活しなければならないような状態になってくる。こういうのに対してもはっきりこれを守ってやるのでなければ、公害基本法といわれないじゃございませんか。これはやはりおかしいじゃありませんか。したがって、この場合には、「経済の健全な発展との調和を図り」というようなものを入れるから前後の関係がおかしくなってきて、あなたの言っていることと、実際の例をとってこれからやらんとすることが、どうも一致しなくなってくるんじゃありませんか。それでいて無過失賠償制をやるか、これは次官が十分考えると言ったからいいですけれども、現在のような状態の中では何かこの目的の字句の問題や考え方の点で私はしっくりしないものがまだあります。この点は大臣に申し上げまして十分検討しておいてもらいたい、こういうふうに思います。いままでの答弁では、どうも私は前後して、初めからこの目的の点では不満でございます。まああえて言うと、言っていることと考えていることが別なような印象を私は受けますから、この点は十分一致させるようにして考えてもらいたい。この点は私はまだまだ議論があることをこの際に委員長に申し上げておきたいと思います。そうして当然今度は、すみやかにこの基準の問題だとか、生活環境を明らかにする問題だとか、そして操業停止も含むような規制の問題だとか、こういうようなことをして、人権擁護と住民福祉のために早く貢献されるようにこれはやってもらいたい。このことをつけ加えて、きょうは私の質問を終わります。

八木一男日本社会党

○八木委員長 工藤良平君。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 ごく簡単に二、三の問題について御質問をいたしたいと思います。  まず第一点は、岡本委員あるいは島本委員のほうからもお話がありましたが、私、もう少し明確にしておきたいと思いますのでお聞きいたしたいと思いますが、これから出されてまいります公害対策基本法案について、その所管が厚生省ということなのか、これからの全体的な行政について厚生省が主としてその所管をやって、各省にまたがっておる公害問題を統括するのか、そこら辺をひとつ明らかにしていただきたいと思います。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 この公害対策基本法につきましては、閣議で、主務大臣は厚生大臣とするというふうに口頭で了解を得ましたので、私のほうで主務省としてやることになっております。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 先ほど来総理府並びに厚生政務次官からお答え申し上げているとおり、厚生省のただいまの役割りは公害基本法の法文化でございます。  この公害基本法の試案の要綱の中にもごらんいただいておりますように、公害の国の最高方針は、公害対策会議というのを総理府に——これは○○○と書いてございますが、将来は総理府にこれを置きまして、そこへ各省が出て、そしてここで最高方針を決定する方向で取りまとめてまいりたい。  公害の施策は、御承知のように各省にまたがった行政が非常に多うございまして、これから公害部分を取り出して一つのところへ取りまとめるということは、かえって公害行政そのものに混乱を来たすということから、私どもの考え方としましては、公害対策会議で取りまとめをして、十分な調整をはかってまいりたい、かようなことで今回この試案がまとめられたわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 そういたしますと、第七章でいう対策会議は、いわゆる各省の調整をはかるという程度で、基本的に、非常に大きく問題になってきた公害問題を、国の行政機関としてやはり統一的に扱う方向というものは今後指向していかなければならないのではないか、こういうことが、特にこの被害を受けておる側からいたしますと、重要な問題になってくるわけです。この問題は農林省だ、この問題は厚生省だ、これは通産省だ、十幾つもの各省にまたがった被害というものの届け出あるいは対策というものは、受ける側からすれば非常に大きな問題になるわけで、やはり今後の方向としては、これだけ重大なものでありますので、当然統一的な方向に持っていく行政指導というものがなされるべきではないか。それと同時に、この対策会議の陣容といいますか、どういう程度のものを考えているか。これはいまの問題と関連をいたしまして非常に重要な問題でありますから、お聞きをいたしておきたいと思います。

上村千一郎自由民主党総理府総務副長官

○上村政府委員 実は、いま厚生省の局長からお話しになりましたが、いま工藤委員のおっしゃるように、公害の問題につきまして公害基本法の試案を、一応各省調整して総理府でつくった。そして、これを法文化し、主務官庁として厚生省に決定した。いままでの段階はこういうことです。そしてここで、いま厚生省で立案をし、また、先ほどの各委員の御意見もありまして、いま立案中でしょうから、そういうのもいろいろごしんしゃくされることだと思いますが、そうしてできて、御審議を賜わり、できた後におきまして、厚生省が大体この公害基本法に関連して、主務官庁としてやられるでしょうけれども、しかしそれならば、いま通産省に、最近でも公害関係の部局を充実しようとしたという新聞報道があるじゃないかとか、あるいはほかにも建設省はどうだ、農林省はどうだということで、依然として、それなら公害関係は全部厚生省に集中するかといいますと、そういう構想ではないと思うのです。まだこれは立案中ですから何とも言えませんけれども、しかし、基本法に盛られたそのことについて、主務官庁は厚生省になっていくと思います。けれども、各省にもずっとありますので、どうしても最高的な方針を打ち出し、連絡をする機関というものは必要だ。  それで、これは法案がはっきり出てきて御審議を賜わった後でございましょうが、大体の構想は、公害対策会議というものを最高のものとしてつくる、あるいはそれの長として総理がなるかどうかということは今後の検討でございましょうが、その最高の方針なりそういうものを調整なりをする公害対策会議というものを総理府に置こう、こういうような構想であるということは大体承っておるのでございますが、詳細は、いま立案中でございましょうから、その点は今後の推移に待つ、こういうわけであります。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 ただいま副長官からお話があったとおりでございまして、公害の防止に関して基本的かつ総合的な施策をつくりまして、しかもその実施を推進する役目を持つものとして、中央の機構で内閣総理大臣を会長とする、しかも閣僚を委員とする公害対策会議を設けるということで、今回の公害基本法の試案の要綱がつくられておるわけでございます。  そのほかに、ただいま工藤先生の仰せられるように、国民から見れば公害対策というものは各省にばらばらになっておって、どこに苦情を持っていったらいいかわからないという実態があるわけでございます。この点は、今後実際の被害を受けた住民の持っていく先というものを明確化しまして、住民の救済制度というものを確立いたしたい、そういうものがやはりこの基本法の項目の中に盛られている。その具体化は今後の検討になるということになっておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 この「目的」の中で先ほどから再三問題になっておりました「経済の健全な発展との調和を図る」という問題ですが、これは公害が出た後の被害補償とか行政的な問題との関連もありますが、それ以前の問題として、特に地域開発という問題から一つの産業を誘致をする、そういう過程の中で、地域としてはぜひ産業誘致をしたいという一つの側面と、いまのように公害が非常に大きな問題になってまいりますと、その公害の心配というものが出てくる。したがって、やはりその産業誘致にかかわる行政的な指導といいますか、そういうものが非常に重大になってくるわけなんで、そういう面について基本法においてはどのようなお考えなのか、お伺いしたいと思います。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 お手元にもしこの要綱がございますれば……。基本的には、国民の健康を保護し、生活環境を守るということでございますが、その具体的な施策の一部といたしまして、この要綱の第三章の第一の八の中に、「政府は都市の開発、企業の誘導その他地域の整備及び開発にかかる施策の策定及び実施にあたっては、公害の防止について配慮し必要な措置を講じなければならない」と書いてございまして、次の第二の「地方公共団体の施策」にも、同じような配慮が必要であると書いてございますし、さらに次の第四章の「特定地域の公害の防止」の中の二の中に、「人口及び産業の急速な集中等により顕著な公害の発生が予想されるため、公害防止についての予防的な施策を総合的に講じなければならない」、こういうような記述がございます。さらに第七章「公害対策会議」政府の施策の中にも、二として、同じようなものがございまして、各所に予防的な総合的な開発計画を推進するようにという配慮が盛られております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 先ほど御答弁の中で——私どもは加害者、こう申し上げるわけですが、原因者という発言をなさっておりましたけれども、確かに、たとえば排気ガスのように、非常に不特定多数で、この原因をつかむことが、固定をすることができないという部面もありますけれども、いま私どもが一般にいう、特に特徴的にとらえている公害というものは、やはり特定の工場から出てくるばい煙あるいは亜硫酸ガス等の被害というものを特に公害として私たちが中心的に取り上げているわけなのでありますが、特に今後の問題として、この公害問題が不特定多数のために問題がそらされるということではなくて、やはりその原因の明らかなものについては徹底的にそれを追及し、そして規制を強化していくという方向をとらなければならない。その点は、いま島本委員のほうから最後に御意見が出ておりましたけれども、この点について今後さらに一段とその規制を強化していくという考え方が、この基本法を策定をする場合の方向として考えられているのかどうかということをお聞きしたい。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○舘林政府委員 お説のように、公害の原因たるべきものは不特定多数のものもございましょうし、また特定多数の場合もございましょうし、特定少数、極端な場合は一つの工場の場合もございます。それらがいずれも公害の原因となるものでございまして、単に施策が不特定多数だけを対象として立てられるべきでなくて、当然特定の対象に対しても十分対処できるだけの公害対策でなければならないし、特定なものの場合には、もっと明確に問題の処理ができるということでなければならないわけでございまして、そのような配慮で進めたいと思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 これは後ほどの法案審議の際にさらに詳細にお聞きをしたいわけでありますが、法案を策定するにあたりまして、特に私はこの特定のいわゆる原因者の問題について、私どもも石油精製工場の場合の亜硫酸ガスの問題についてずいぶん検討したことがあるのであります。その際に、工場側の科学者の言をとれば、現在の科学水準からいたしますと、採算を度外視すればほとんどゼロに近いように公害を防止することができる、こういうことを科学的にある程度証明できるということを発言をしているわけです。ただ、問題はそれが採算に合うか合わないか、いわゆる経済性の問題で論議になってくるわけであります。したがって、私はこの第八章の公害対策審議会のほうの問題について、ややもいたしますとこの審議会というものはおざなりな、政府が一つの方向に逃げ込む対策として使われるということがしばしばあるわけでありますが、特に人命に関係をする本公害の審議会においては、相当慎重に、しかもそういった立場でこの問題をとらえる必要があるのではないか。従来のような審議会ではなく、もっと権威のある、権限のある審議会として発足をさせる。その人選等についても十分な配慮が必要ではなかろうか、こういうように考えるわけでありますが、その点について基本的な考え方をお伺いをしておきたいと思います。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、従来よくいわれましたような単なる審議会ということでなくて、権威のある、実効のある審議会が生まれるように私ども努力をしたいと思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 これはいずれ法案の審議の際に詳細にお聞きをいたしたいと思いますので、本日は関連でこの程度にしておきたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木委員長 来たる五月十日午後一時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時三十四分散会

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