交通安全対策特別委員会 第2号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/03/29
会議録
○山下委員長 それではこれより会議を開きます。 この際、議事に入るに先立ちまして、一言委員会の運営方針について申し上げたいと存じます。 本特別委員会は、交通安全に関する総合対策樹立のため、今国会新たに設置され、交通全般にわたる安全対策について検討することになりました。 御承知のように、交通安全行政は、これに関係する省庁が多岐にわたっているため、その対策を樹立してまいりまするには、関係省庁間の施策の総合調整が重要な問題となってまいります。 過般の理事会におきまして、委員会の運営方針について協議いたしたのでありますが、その結果、本特別委員会は、当面、総理府を窓口として、交通安全に関する総合対策樹立のため審議を進めてまいることになりましたので、さよう御了承願いたいと存じます。 なお、運輸省をはじめとする関係省庁は、この趣旨を参酌し、総理府となお一そうの緊密な連絡をとっていかれますよう、委員長から特に要望をいたしておきます。 —————————————
○山下委員長 この際、おはかりいたします。 理事濱野清吾君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。 これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしを認めます。よって、大竹太郎君を理事に指名いたします。御了承いただきます。 ————◇—————
○山下委員長 次に、交通安全対策に関する件について調査を進めることにいたします。 この際、総理府総務長官及び運輸大臣からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許可いたします。塚原総理府総務長官。
○塚原国務大臣 私は、総務長官の塚原でございます。また、総理府に設置されておりまする交通対策本部の本部長もつとめております。 このたび、衆議院に新たに交通安全対策特別委員会が設けられ、交通安全に関する問題を特別に審査していただくこととなった次第でございますが、その審議が開始されるにあたりまして、交通安全対策に関する政府の方針を若干申し述べてみたいと存じます。 御承知のとおり、わが国経済の成長に伴う輸送需要の増加は、ここ数年来自動車台数の急激な増加をもたらし、これが交通事故発生の一つの大きな要因となり、交通事故による死傷者は逐年増加する傾向を示しております。昨年におきましても、政府と国民が一体となって努力いたしたにもかかわらず、交通事故による死者数が約一万三千九百名をこえ、再び史上最高を記録するに至りましたことはまことに憂慮にたえません。 このような趨勢に対処いたしまして、政府は、さきの総理の施政方針演説において示されたとおり、人命尊重、特に歩行者保護の見地から、交通安全対策を政府の最重点施策の一つに取り上げ、交通安全施設の整備、交通安全思想の普及徹底、安全運転の確保、交通秩序の確立、被害者救済対策の強化などの諸般の施策を積極的に推進いたしておるところでありますが、今後におきましても、交通安全対策の強化につきまして、最大の努力を傾注する所存でございます。 すなわち、まず第一に、交通安全施設の整備につきましては、昭和四十一年度を初年度とする交通安全施設等整備事業三カ年計画の実施にあたり、特に昭和四十二年度中に歩道、横断歩道橋、ガードレール、信号機等の歩行者保護施設の大半を完成することを目標として、その事業の促進をはかる所存であります。 第二に、交通安全思想の普及徹底につきましては、春秋二回の全国交通安全運動の実施、交通安全国民会議の開催、都道府県及び市町村における交通安全に関する地域総ぐるみ運動の推進、学校における交通安全教育の充実強化など、あらゆる手段及び機会を通じて強力にこれを行なうことといたす所存であります。 第三に、安全運転の確保につきましては、大型貨物自動車による交通事故の防止の徹底をはかるため、大型自動車の運転資格の引き上げ、運行記録計及び速度表示装置の取りつけの義務づけなどをはかるほか、現行の運行管理制度及び安全運転管理制度の充実強化をはかる所存であります。また、悪質な交通違反をして重大な交通事故を起こした運転者に対する運転免許の効力の仮停止の制度を創設いたす考えであります。 第四に、交通秩序の確立につきましては、当面、酒酔い運転、無免許運転などの交通暴力を排除するため、強力な取り締まりを行なうほか、交通事故に伴う悪質な事犯が多発している実情にかんがみ、業務上過失致死傷罪等に対する罰則を強化いたす所存であります。 第五に、被害者救済対策につきましては、救急自動車の整備増強及び救急業務実施市町村の拡大による救急搬送体制の整備、頭部外傷等交通外傷を専門的に取り扱う救急医療センターの整備を中心とした救急医療体制の整備等を強力に進める所存であります。 次に、損害賠償問題、更生問題等、交通事故被害者にかかる諸般の問題に関する相談活動の充実強化をはかるため、都道府県市町村等、公的機関による体系的な相談活動を整備し、相談活動の積極化をはかることといたしております。 また、自動車損害賠償責任保険の保険金額につきましては、その大幅な引き上げをはかるべく、現在大蔵、運輸等関係各省間で検討を進めているところであります。 以上、簡単に政府の交通安全施策の概要について申し述べまして、ごあいさつにかえさせていただきたいと存じます。
○山下委員長 次に、大橋運輸大臣の説明を願います。
○大橋国務大臣 運輸大臣といたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。 今日、運輸省が所管いたしておりまする行政は、鉄道、自動車、船舶、航空等、陸海空の各分野にわたっておりますが、いずれの分野におきましても、交通の安全を確保いたしますことは、運輸行政における最も基本的な使命であると考える次第でございます。 このため、運輸省といたしましては、わが国の経済規模の拡大や輸送構造の変化に対応し、長期的かつ総合的観点から、輸送力の増強及び保安施設の整備をはかりますとともに、交通安全確保のための関係法令の整備及び交通関係事業者に対する指導監督の強化等、諸般の安全施策を推進いたすことといたしております。 最近における交通事故発生の状況を概観いたしますと、まず、鉄道におきましては、国鉄、私鉄とも保安施設の整備の進捗等により、事故は逐年減少の傾向を見せつつありますが、一方、自動車による事故は依然増加の傾向を示し、また船舶の海難も、件数では横ばいの傾向ながら、大型タンカーの増加に伴い、危険度の高い事故の多発が憂慮されており、さらに航空につきましては、特に昨年において重大事故が相次ぎ、多大の犠牲者を出しましたことは皆さまの記憶になお新しいところでございます。 このような趨勢に対処いたしまして、私といたしましては、今後さらに交通関係事故の絶滅を期しますため、関係施策のあらゆる面において格段の努力を行ない、もって一日も早く国民各層の期待に沿い得るよう最善を尽くす決意でございます。 次に、この機会に特に四十二年度におけるおもな具体的施策について簡単に申し述べたいと存じます。 第一に、自動車関係におきましては、車両検査の充実等による車両の安全性の向上並びに自動車運送事業における運行管理及び車両管理の適正化をはかりまするほか、船舶技術研究所に交通安全部を設け、研究機構の拡充を行なうことといたしております。 また、ダンプカー等大型トラックに対しましては、街頭検査の強化による整備不良車両の絶滅、運行管理者制度の拡充による管理体制の明確化並びに自動車運送事業者に対する特別保安監査の実施等を強力に推進いたしますとともに、運行記録計等の備えつけを義務づけるために関係法令を改正いたします作業を進めることにいたしております。 さらに、自動車事故の被害者の保護をはかりまするため、自動車損害賠償責任保険の保険金額の適切な引き上げを検討するとともに、既存の交通事故相談施設を整備強化いたしまして、その活用をはかるよう検討する所存であります。 第二に、鉄道関係につきましては、まず国鉄、私鉄を通じ、鉄道の運転事故の過半数を占める踏切事故の防止対策として、踏切道改良促進法による立体交差化、踏切保安設備の整備等の踏切道の改良措置を強く推進いたす所存であります。 次に、一般的運転事故防止対策として、信号、保安装置の近代化、列車無線装置の整備等を強力に推進いたしておりますが、特に列車の衝突事故防止のための自動列車停止装置、ATSにつきましては、国鉄ではすでに全線にわたりその整備を終えておりますので、私鉄の大手を中心とする十六社の主要線区につき、四十四年度中にこれを完成させ、特に重要な線区につきましては、四十二年度末までに完成させることとして指導をいたしますとともに、所要の財政融資及び税制上の援助措置を講ずることといたしております。 第三に、船舶関係につきましては、海上交通量の増大とタンカーの大型化に対処し、海難救助体制をさらに強化し、このため特に海上保安庁の巡視船艇、航空機、化学消防力等の増強整備と、船舶の安全性の向上並びに航路、港湾の整備に特段の努力をいたす所存であります。 最後に、航空交通の安全につきましては、昨年の航空審議会の答申もあり、航空全般について長期的視野に立った安全対策を実施中でございますが、特に空港につきましては、空港整備五カ年計画を策定し、滑走路等の空港施設及び航空保安施設の整備を強力に推進する所存でございます。 以上、簡単ではございますが、運輸省の安全施策の一端を申し述べまして、私のごあいさつを終わらせていただきます。
○山下委員長 それでは次に、総理府陸上交通安全調査室長から、交通事故の概況及び交通安全対策の概要について説明を求めることにいたします。宮崎陸上交通安全調査室長。
○宮崎政府委員 総理府の陸上交通安全調査室長でございます。陸上におきまする交通安全行政の取りまとめをやっております。当委員会におかれましても、政府側の窓口は私のほうでいたしますので、何かとよろしくお願いいたします。 御指名によりまして、最近におきます主として道路交通上の交通事故の概況と、これに対します政府の交通安全対策の概要を簡単に御説明申し上げます。 お手元に総理府という判こを押しました袋の中に、私がこれから申し上げますことの概要を書きました資料が入れてございます。それに基づきまして簡単に申し上げます。 先ほど総務長官、運輸大臣からも御説明がございましたように、最近わが国におきます経済成長に伴いまして、自動車の保有台数が急激に増加いたしております。昭和四十一年末におきましては、自動車の保有台数は九百三十四万台に達しております。この場合の自動車と申しますのは大型の二輪自動車、つまりオートバイまで含めました自動車台数でございます。それから、それ以外に原動機付自転車、いわゆるモーターバイクといわれておりますものが、これは昨年の三月末の統計でありますが、約七百三十六万台でございます。合わせまして約千六百万台の車がわが国内で動いているわけでございます。この昨年の自動車台数を昭和三十一年のそれに比較いたしますと、昭和三十一年におきます自動車の保有台数を一〇〇といたしました場合には実に五四三という数になっておりますし、さらに昭和二十二年におきますわが国の自動車保有台数を一〇〇といたしました場合には四九六〇という数字になるわけでございます。このように自動車は非常にふえたわけでございます。また、自動車の増加に伴いまして、運転免許人口も最近非常にふえております。昭和四十一年末におきましては、約二千三百万の人が運転免許を持ちまして、これによって自動車を運転いたしているわけでございます。このように自動車がふえ、また運転人口がふえますと、どうしても事故がある程度必然的にふえるわけでございまして、昨年におきましては、一年間に交通事故による死者が一万三千九百四名、また交通事故による負傷者は五十一万七千七百七十五人を数えております。ちなみに従来わが国におきます交通事故の死者の最高数といわれておりましたのは、昭和三十九年の一万三千三百十八人でございますが、昨年は非常に残念なことに、かつての史上最高といわれました三十九年の数字をさらに大幅に上回ったわけでございます。まことに憂慮すべき事態かと思っております。 ただ、このように交通事故は非常にふえておりますが、自動車の保有台数がふえていると同じ率では必ずしもふえておりません。試みに自動車千台あたりにつきまして交通事故による死者が何人出ているかという統計をとってみますと、昭和三十五年におきましては自動車千台当たり四・四人の死者が出ております。これがその後だんだん減りまして、昭和四十年にはこれが一・六人までに減っております。しかも昨年は交通事故による死者が非常にふえたわけでございますが、この昨年の交通事故による死者数も、自動車千台当たりで割ってみますると一・五人という数字になっておりまして、一昨年より多少は減少しておるわけでございます。このように交通事故はふえておりますが、自動車の保有台数のふえほどはふえていない、こういうことでございます。 ところで、このわが国の交通事故を諸外国と比較した場合どうであろうかということでございます。これは道路交通環境がいろいろ違いますので、簡単には比較できかねるわけでございますが、非常に大ざっぱな観察でございますが、ただいま申し上げました自動車千台当たりの交通事故による死者数につきまして西欧諸国と比較してみますと、これはちょっと古い統計で恐縮でございますが、一九六三年の国連統計によりますと、アメリカ合衆国におきましては自動車千台当たりの死者が〇・五人、それからイギリスが〇・八人、フランスが一・〇人、西ドイツでは一・七人、こういう数字になっております。フランス、西ドイツ、イギリス、このヨーロッパの三国を平均いたしますと、一・一人でございます。これに対しまして、一九六三年におきます国連統計式によるわが国の自動車千台当たりの交通事故による死者は三・七人ということになっておりまして、一九六三年におきましては、わが国の交通事故の自動車千台当たり死者はアメリカの六倍、それからヨーロッパ三国の平均の三倍という数字になっておりまして、わが国がまだまだ交通安全対策で立ちおくれをとっているということを示すものではないかと思っております。 それからもう一つ、わが国の交通事故の特色は、先生方御承知と思いますが、交通事故による死者のうちに歩行者の占める割合が非常に高いということでございます。ここ数年間大体平均いたしますと交通事故による死者のうちの約三分の一、三三%内外が歩行中車にはねられて死亡した人、かように相なっております。これに自転車に乗っかっていて同じく車にはねられて死んだ人を加えますと、大体四七、八%になります。つまりわが国におきます現在の交通事故による死者数のうちの約半数に近い数字は、道路の歩行者であるかあるいは自転車に乗っている人である、こういうことでございます。これに対しまして、たとえば、一九六五年のアメリカ合衆国の統計によりますと、アメリカ合衆国におきます交通事故による死者のうちの歩行者の占める割合はわずか一八%程度でございます。アメリカはまた自転車に乗っている人が少ないのかもしれませんが、自転車乗車中に死亡した者を加えましても、そのパーセントは二〇%程度でございまして、わが国はそれに比べて倍以上の高い死亡率を出しておる。このことは後にも申し上げますが、わが国におきましては、何よりも道路交通の安全施設がまだ必ずしも十分に整備されていない、特に歩行者保護のための施設が必ずしも十分でないために歩行者の死亡事故が高いのではないか、かように推定いたしております。 なお、最後にわが国の交通事故の最近の特色でございますが、最近顕著に見られますことは、交通事故の発生がここ数年間大府県より中小県へ移行している、また同一府県内におきましては都市部より都市の周辺部あるいは地方部に移行している、こういうことでございます。これにもいろいろの原因が考えられるわけでございますが、簡単に申しますと、最近非常に地方部におきまして自動車の保有台数が増加している。それにもかかわらず地方部の道路の先ほど申し上げました安全施設の整備がまだ十分に行なわれていない。あるいは地方の住民の方々に交通安全思想が普及徹底されていない。そういうところから最近地方部に事故がふえているのではないか、このように考えております。 以上が交通事故の概況でございます。 ところで交通事故の原因は何か、これにはいろいろのものがございます。また交通事故の多くはたくさんの原因が重なり合って発生するのが傾向でございますが、非常に大ざっぱに分けますと、道路環境の不備に基因する事故、それから車両構造の不備に基因する事故、それから人、つまり運転者または歩行者の行為、これは大部分が不注意でございますが、これに基因するものの三つに分けることが可能かと存じます。したがいまして、交通事故を防止いたしますためには、それぞれにつきまして道路環境の不備を是正する、車両構造の不備があればこれを是正する、運転者、人に対しましてはいろいろ注意をしたり教育をしたりいたしましてそういう行為を防止する。こういうことによって交通事故が防げる、こういうことになるわけでございます。 ちょうど第二次大戦の前後からアメリカ合衆国におきまして非常に交通事故が急激に増加したことがございます。当時アメリカ合衆国におきましては、交通事故防止対策の柱といたしまして、これはあるいは先生方御承知かとも思いますが、三つのEというものを打ち出しております。このEと申しますのはA・B・C・D・EのEでありまして、エンジニアリング、エデュケーション、エンフォースメント、この三つのEが交通事故対策の基本的な柱になるのだ、こういうことをアメリカ合衆国ではその当時からいっております。 この条件は日本の交通事故防止につきましてもほぼ同様でございまして、わが国におきましては、最初のエンジニアリングというのは最近一種のはやりことばでございますが、交通工学という訳をいたしておりますが、内容といたしましては、先ほどからしばしば申し上げておりますように横断歩道橋とか歩道、ガードレール、信号機その他の交通安全施設を整備することが一つ、それから車両の安全性の向上をはかることあるいは交通規制の合理化をはかること、こういうことを交通工学と称して、そのほうの柱といたしております。 第二の交通安全教育、これは申すまでもありません。わが国におきましては特に学校における交通安全教育、それから地域社会における交通安全教育、もう一つは運転者に対する再教育、この三つが中心になっております。 それから三番目の交通取り締まり、これは特に御説明を加える必要はなかろうかと存じます。 このようにわが国におきましても、いま申し上げました三つのEが交通事故防止の大きな柱になっておるわけでございますが、それ以外にわが国におきましては、たとえば救急医療の問題であるとかあるいは損害賠償の額の問題であるとか、いわゆる被害者の救済対策関係がいままで相当立ちおくれております。そこで現在政府といたしましては、先ほど申し上げました三つのEに加えまして、被害者救済対策の強化ということをもう一つ大きな柱として、大体四本柱を立てまして、これらのそれぞれの項目をバランスをとりながら、総合的に交通安全対策を進めていきたい、かように考えている次第でございます。 そこで具体的な政府の交通安全施策はどうかということでございますが、いろいろ資料をお手元にお配りしてございますが、最近におきますわが国の交通安全対策の基本は、昭和三十九年の三月に出されました交通基本問題調査会の答申にその基調を置いております。この交通基本問題調査会と申しますのは、昭和三十七年の四月に内閣総理大臣の諮問機関といたしまして総理府に設置されまして、学識経験者十数名の方に委員をお願いいたしまして、二年間にわたりわが国の交通問題全般につき慎重審議をお願いいたしたわけでございます。その結果、いま申し上げましたように三十九年の三月に答申を出されました。この答申は三つの部門に分かれておりまして、交通体系部門、大都市交通部門、交通安全部門、三つの部門に分かれておりまして、それぞれ答申が出されたわけでございます。そのうちの第三の交通安全に関する答申が現在政府でいろいろやっております施策の基調になっておるわけでございます。この中ではいろいろのことがいわれておりますが、大体政府はその線に沿って実施いたしております。ただ、たとえば交通安全基本法といったような法律の制定の問題でございますとか、そういう二、三の問題がまだ検討中の事項として残されております。これを受けまして、昭和四十年の一月に、これはお手元に資料をお配りしてございますが、「交通事故防止の徹底を図るための緊急対策」というものを政府の交通対策本部で決定いたしました。 項目を簡単に申し上げますと、第一が、道路及び交通環境の整備拡充、第二が交通安全活動の推進、第三が交通秩序の確立、第四が被害者救済対策の確立、第五が交通事故防止に関する総合的研究の推進、第六が交通安全国民会議の開催、この六つの項目を内容といたします緊急対策を決定いたしております。先ほど申し上げました四本柱がほぼここではっきりした形になっておりまして、自来政府はいろいろの対策を打ち出しておりますが、いま御説明申し上げました昭和四十年一月に決定いたしました緊急対策を基本といたしまして、その後その強力な推進につとめているわけでございます。 なお、この緊急対策の結果といたしまして、第六の項目でございます交通安全国民会議につきましては、御案内のように、昭和四十年の三月に第一回の会議を開きまして、自来昨年秋に至りますまで、四回の国民会議を開催いたしております。これは簡単に申しますと、内閣総理大臣を議長といたしまして、関係閣僚及び民間の交通安全に関係ある諸団体の代表者の方、学識経験者数十名にお集まり願いまして、文字どおり官民一体となって意見の交換をし合い、交通安全を推進していこう、こういう会議でございます。 なお、地方におきましては、これに準じまして、交通安全府県民会議等が活発に開催されておりまして、これも多くの成果をおさめておるわけでございます。 それからもう一つ、これは昭和四十年におきまして道路交通法の一部改正が行なわれました場合に、衆参両院の附帯決議でも強く要請されたところでございますが、総理府に交通安全行政の総合調整機関をつくるべきである、こういう御意見が非常に強くなりました。それを受けまして、昭和四十年の五月に現在私が勤務いたしております陸上交通安全調査室を総理府に設置いたしまして、自来主として陸上におきます交通行政の総合調整を行なってきているわけでございます。 それから第三といたしましては、かねてから問題になっております交通安全施設の整備、これを緊急に行なうべきであるという見地から、昨年国会におきまして、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法を制定していただきまして、これに基づきます三カ年計画を政府が決定いたしまして、自来この三カ年計画に基づきまして、交通安全施設の、これは主として既存の道路でございますが、既存の道路におきます交通安全施設の整備を強力に実施しているわけでございます。 こういったわけでございまして、政府はいろいろの対策を講じておるわけでございますが、当面政府といたしまして、何を考えているかということでございます。 この点につきましては、昨年の十一月及び十二月に、昨年の交通事故の経過をずっと見ておりましたところが、大体秋ごろになりますと、これはどうも非常に残念だが、また再び史上最高の死者数を出すのではないか、こういうことがはっきりしてまいりましたので、昨年の十一月二十一日に「交通安全施策の強化に関する当面の方針」、これを交通対策本部で決定いたしております。また昨年の下半期におきましては、新聞等でしばしば出ましたように、ダンプカー等の無謀操縦によりまして、学童幼児が多数死傷するという非常に悲惨な事故が相次いで起こったわけでございますが、このような事故を徹底的に絶滅する目的で、同じく昨年の十二月十九日には「大型貨物自動車による事故防止等に関する特別措置」というものを決定いたしております。これによりまして、いろいろの交通安全対策のうち、昭和四十二年度におきまして、予算措置を講ずべきものは極力その予算措置を講ずる、法律改正を必要とするものは今特別国会に改正案を提出する、行政措置でまかなえるものは即刻これを実施する、こういうことをきめたわけでございまして、自来行政措置でまかなえるものにつきましては、すでに実施中でございますし、予算につきましては、昭和四十二年度予算におきまして大体その予算の措置を終わりまして、関係法規の改正につきましては、それぞれ関係の省庁から今国会に法律案を提出して御審議をお願いする、こういう段取りになっております。 二、三の例を申し上げますと、たとえば交通安全施設整備につきましては、最初は大体三カ年計画で順次整備をしていくつもりでございましたが、昨年のような状況にかんがみまして、三年目の事業量を二年目に繰り上げて、早急にこれを実施するということを決定いたしております。三カ年計画の事業量といたしましては、総額約六百三億を見込んでおります。そのうち第一年度におきまして百十三億の事業を現在大体完了しつつあるわけでございますが、第二年度につきましては、当初大体百八十億程度の事業量を見込んでおりますが、これに約七十数億を第三年度分から繰り上げまして、第二年度におきましては二百六十億の事業を実施し、特にその場合におきましては、先ほどから申し上げておりますように、歩行者保護のための施設はおおむね第二年度でこれを完成させるということを目途といたしまして、目下その準備をいたしておるわけでございます。 それから学校におきます交通安全教育の徹底等につきましては、文部省におきまして「交通安全指導の手びき」というような先生の参考書、これはすでにできておりますが、これを作成いたしまして配りまして、学校における交通安全教育の推進をはかる、こういうことを考えております。 また安全運転の確保といたしましては、最近大型自動車による事故が非常に問題になっておりますので、たとえば大型自動車の運転受験資格を強化する。これは道路交通法の一部改正といたしまして、本国会に提案される予定でございます。 また、運転免許を得ようとする者が、精神病であるかないかというような医師の診断書を添付する、これもすでに所要の規則の改正の手続を終わりまして、四月一日から実施する予定になっております。 また幅員六・五メートル未満で、しかも歩車道のないような道路には大型車の乗り入れを禁止する、これは行政措置でまかなえますので、すでに昨年末から各都道府県において実施いたしておるところでございます。 また、先ほど総務長官の説明にもございましたように、大型トラックの事故防止のために、大型トラックにいわゆるタコメーターと申します運行記録計を取りつけさせる、あるいは速度表示装置、これはまだ決定的ではございませんが、自動車の上にランプがつきまして、一定のスピードになるとそのランプの色が変わる、こういうようなものを考えております。これは関係法令の改正を必要といたしますので、近く国会で御審議をお願いする予定になっております。 それから被害者救済の関係といたしましては、総理府において補助金を獲得いたしまして、昭和四十二年度から各都道府県に交通事故相談所を設置いたしまして、これに所要の補助をいたす、こういう予定にしております。現在、御承知のように、交通事故による被害者の方々は、あるいは法律知識が乏しいとかあるいは経済的に恵まれないために、十分な損害賠償を得られない。みすみすそのために悪質の示談屋にひっかかって泣き寝入りするというケースが多うございます。このために民間におきますいろいろな交通相談活動を強化することも必要でございますが、何よりも地方公共団体におきまして、公の機関による手厚い相談を行なう必要があるであろう、こういうところから、政府といたしましては、いま申し上げましたように、都道府県に交通事故相談所をつくると同時に、地方交付税の措置によりまして、市町村等にも簡単な交通事故の相談ができるような窓口を設置いたしたい、これを四十二年度からぜひ実現いたしたい、かように考えておる次第でございます。 また、先ほど長官が触れておられました、自動車損害賠償保障法に基づきますいわゆる強制保険の保険金の限度額の引き上げにつきましては、現在関係省庁で検討中でございますが、なるべく早い機会に現在の死亡事故について百五十万の限度額を引き上げたい、かように考えております。 最後に、先ほど申し上げましたダンプカー等によります学童園児の痛ましい事故が非常に続発していることにかんがみまして、昨年末交通対策本部にダンプカー等事故防止対策専門部会と、それから学童等事故防止対策専門部会の二つの専門部会を設けまして、これらの点につきまして、いろいろ慎重に検討してまいりました。そのうち、ダンプカーの事故防止につきましては、そのよって来たる原因が非常に複雑多岐でございますので、目下関係各省でいろいろ検討中でございますが、なるべく早い機会に何らかの結論を出したいと思っております。学童等の事故防止につきましては、去る二月十三日に一応の結論といたしまして、市町村に学童の事故防止に関する関係機関よりなる協議会を設置させまして、それによってもう一度学校周辺における交通安全施設その他交通の状況を総点検をして、その結果改めるべき点があれば早急にこれらの関係機関が協議いたしまして、きめのこまかい学童の事故防止対策を講ずる、こういうことを二月十三日に決定いたして、すでに着々実施中でございます。 時間がございませんので、非常にはしょって申し上げましたが、以上が最近におきます政府の交通事故防止対策のおもな点でございます。詳細はお配りいたしました資料に書いてございますので、あとで御参照いただければ幸いでございます。 なお、最後に一言、来年度の、昭和四十二年度の交通安全対策関係の予算でございますが、これもお手元に一括した表をお配りしてございますので、これをごらんいただければ幸いでございますが、一応私のほうで直接道路交通の事故防止に関係ありと思われる予算をまとめました額が二百六十九億円となっております。これは、この範囲におきまして昨年度の予算は百四十六億円でございまして、昨年度に比べますと百二十三億円増加いたしております。約八四%程度増加いたしております。もちろん、われわれといたしましても、これで完全であるとは考えておりませんが、少なくとも昨年度の倍近くなったということで、政府といたしましても、交通安全施策に関する予算の重点的投入は相当考慮しているということを申し上げておるわけでございますが、なお、細部につきましては今後いろいろ御質問がございましたらお答えを申し上げたいと思っております。 以上で、私の概括の説明を終わらしていただきます。
○山下委員長 それではこれにて説明は終了をいたしました。 なお、関係各省庁の説明は後日に譲ることといたします。 次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時十三分散会