外務委員会 第12号
- 発言数
- 63 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1967/06/14
会議録
○福田委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 第三次世界戦争にもなりかねないとたいへんに心配をしておりました中東問題も、たいへん早く一応解決したことは喜ばしいことでございますが、まだまだ問題をたくさんはらんでいるわけでございまして、その戦後処理なども非常に複雑なようでございます。やはり日本としてもむずかしいと言って逃げているわけにはいかないと思います。国連などを中心として、こじらせないように、何らかのいろいろな努力がされなければならないのではないかと思いますが、外務大臣のお考えはいかがでございましょうか。
○三木国務大臣 私は、最終的には国連の場以外の話し合いも必要でしょうけれども、国連を中心として、長続きのする平和を中近東に設定するということが必要なんではないかと思う。それにはどうしてもやはり国連が仲に入ったほうがいいと思うことは、これはやはり休戦が実現しましても、何らかの監視委員会のような制度が要るのではないか、それから難民の処理の問題等もございますし、そういう点で国連を中心にして、そうして長続きのする安定した秩序をあそこに確立することが必要なのではないか。したがって、日本も国連の場で、この問題に対して今後解決のために努力をしていきたい。まだ撃ち方やめでありますからね。今後やはりいろいろな問題がたくさん残っておるので、これは相当根気強く話し合いによって解決をする必要がある、こういうふうに考えております。
○戸叶委員 外務大臣のお考えとして、国連を中心として話し合いを続けていく、日本もそういう形で協力をしていくというお話でございました。そこで一番先に問題になってまいりますのは、きょうあたりソ連が正式に国連の特別総会を開くようにということを提案しているようでございます。これは、おそらくは、手続を経て開かれるであろうと私は考えますが、日本といたしましては、この提案に対して積極的に支持をして緊急総会を開かせようとなさるのか、それとも開かれそうになったらそれに参加するというような消極的なものか、この辺のことをまずお伺いしたいと思います。
○三木国務大臣 この問題の解決というものが、国連総会ということも一つの解決の段階としては必要なんでしょうが、やはり安保理事会を中心にして、そうしていろいろな問題というものを解決していくほうが実際的だと思います。しかし、国連の特別総会なども日本はこれに反対する立場ではない、そういう必要があれば、これに賛成する考えでございます。
○戸叶委員 ソ連としては、おそらく十五ヵ国の安保理事会の意見だけでなくして、世界の世論をある程度盛り上げて、そうしてこの問題を総会等で十分討議をしていこうという、その考えであろうと思います。それに対しましていまの外務大臣の御答弁は、安保理事会が中心でもいいけれども、そういうふうなことになれば、日本としてもこれに別に反対はしない。そうすると、特別総会というものには日本も賛成である、こういうふうに了解してよろしいわけでございますね。
○三木国務大臣 はい。
○戸叶委員 それでは次に、やはり日本が国連の場を通じて中東問題の解決にいろいろな面で努力をしていくということになりますと、的確な情勢分析、こういうふうなものが私は必要だと思います。したがって、この間の中東問題についての多く残されている問題点などにつきましても、政府自身が正しく判断をした上で国連に臨んでいっていただかなければならないと思います。 そこで私が第一にお伺いしたいことは、ナセルがウ・タント事務総長に対して国連軍の撤退を要求し、そうしてまたその点が、どうして要求したかという点だとか、あるいはまた事務総長が安保理事会等にはからずに自分の判断ですぐにこれに応じたというようなことについても、何らかの判断はされておられると思います。しかし、それをここでいろいろおっしゃりたくないというなら、またそれでもいいし、また言ったほうがいいということなら、それをおっしゃっていただきたいのですが、それを基礎として、その次の段階といたしまして、国連軍がガザから撤退をしたわけです。その撤退をしたあとにエジプトの軍隊が入っていったわけでございますけれども、それは自分の国でございますから当然あり得ることであって、これは別に侵略とかなんとかいうことではあり得ない。むしろイスラエルがそのときにあちこちで空爆をどんどんやっていったということのほうが、これは侵略的な性質のものに解釈されるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。この点の外務大臣のお考えなり分析なりを伺いたいと思います。
○三木国務大臣 前段のウ・タント氏の国連緊急軍の撤退につきましては、ウ・タント氏のレポートも出ておるわけです。その限りにおいては、とにかくそういうことであろう、アラブ諸国——イスラエルの側ではないんで、アラブ諸国側におったわけですから、その国々が撤退をしてもらいたいということなら、その同意が条件になっておるわけですから、撤退してもらいたいと言うのに国連軍が駐留するという権利は私はないと思う。だから、その限りにおいてウ・タント氏の処置はやはり行き過ぎた処置とは思いませんが、しかし、はたして撤退後日ならずしてああいう紛争が起こるということまでいろいろ考えておったかどうかという点は、ウ・タント氏が——中止になりましたけれども、日本に来たならば、そういういきさつは、私ウ・タント氏と話してみたいという点でございます。しかし、処置としては、これは行き過ぎた処置だとは私は思っていない。ただ、次の段になってまいりますと、いろいろな言い分が双方にあると思うのですね。したがって、これはそういういままでのいろいろないきさつというものも頭に入れて、その原因の究明もしなければなるまいけれども、むしろ一つの中東における安定した条件をつくり出すためには、やはり今後の問題というものが大問題になってくるのではないか。 その大問題という一つの原則は、日本が考えれば、日本は平和主義という大きな立場に立っておるのですから、現状の変更についても、話し合いで現状の変更は可能でもあるし、それは話し合いによって解決をつければ現状の変更というものは世界にあり得ることでありますが、力による現状の変更というものは、平和主義という原則からいって、これはやはり日本としては認めがたい。またいろいろ国際的な諸原則があります。公海自由の原則、いろいろな原則がある。こういうことを頭に入れながら、長続きのする安定した秩序を中近東につくり上げるということが今後の大きな課題であります。紛争の起こったその当時、いろいろ振り返って、これはどちらにいろいろ問題があるということよりも、どのようにして新しい安定した秩序を中近東につくり出すかということこそ、世界政治の一つの大きな関心点ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○戸叶委員 原因をとやかく言うよりも、前進的な意味で平和的な解決をどうするか、こういうことに力を入れたい、それは私も同感でございます。しかし、そういうふうな解決をするにしても、日本側として一体どちらがどういうふうな形をとったのだろうかというふうな点で、はっきりとしたものを持っていなければ、平和的な前進的な解決というものは見出すことができないのではないか、こういうことを考えるのでございます。外務大臣は、イスラエルの空爆はやはり行き過ぎであったというふうにお考えになりませんか。それともそういうことについては、どうもちょっと言えないというお気持ちでしょうか。その点をもう一度念のために伺っておきたいと思います。
○三木国務大臣 これは当然に原因というものを究明しなければならぬことは、仰せのとおりであります。そういうことを何にもしないで将来のことだけということではない。将来の解決にも、いろいろ検討することによって解決に対するいろいろな示唆というものを受けると思いますが、しかし、いずれにしても、力による現状の変更というものは、日本の平和主義の基本に反するということでございます。それはわれわれの立場ではない。
○戸叶委員 私は、どちらが先にやったかとかなんとかいうことを外務大臣にしいて言わせようと思っていないのです。ただ、私がここでそういうことを質問いたしますのは、これまでベトナム戦争なり朝鮮戦争なり中印紛争のように、共産圏の国が関係しているときには、いつでも外務大臣が、共産圏の国が侵略したのだ、こういう言い方をされているわけなんです。北鮮にしても北ベトナムにしても中国等を今日まで非難をしてきたわけです。 そこで私は、中東の問題はそういう状態にないけれども、一体それらをずっと勘案してきてみて、どういうお考えを持っておるかということをやはり今後の参考にも聞いてみたい、こういうふうに考えたわけでございます。
○三木国務大臣 私が申し上げておるのは、武力による現状の変更というものは、日本の立場としてそれは容認し得ない立場である、こういうことでありますから、そういう尺度でいろいろな点をよく見てみたいと考えておるわけでございます。
○戸叶委員 いまの外務大臣のお考えの中には、現在イスラエルがシナイ半島なりヨルダンの一部なりシリアの一部なりを占領しておりますけれども、そういう問題に対しても、大西洋憲章なりカイロ宣言などに照らして、領土の拡張を認めない、こういうふうな立場からも、武力による領土の拡張なり進撃というものは認められないのだ、こういうことで、イスラエルは、やはり何といっても、この問題の解決には、現在占領している地点から事変前に戻るということが一つ必要であり、そうした上でアカバ湾なりスエズ運河の航行権の問題なりを解決していく、こういうふうなことでなければなかなか解決はできないと思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。事変前に戻った形でそれらの問題を解決する、さらにまたアラブの圏がイスラエルを認めないというようなことも言っておるようですけれども、やはり国として存在するという、あるというその事実は見のがせないのだ、こういうふうな立場に立って仲をとっていくというやり方でなければ解決は認められない、領土権を拡充していくというような考え方では認めることができないのだ、こういうふうに考えてもよろしゅうございましょうか。
○三木国務大臣 いろいろ困難な問題に対しては、現実というものを尊重しなければならぬ、そういう立場もございましょうし、それからまた武力による領土の拡張は認められない、また国際法上における基本的な諸原則というものは守らなければならぬ、この中近東の問題の解決には、幾多の今日現在の時点における諸原則というものがからみ合っていると思いますよ。だから、戸叶さんの言うように、一つ一つを解決していけという方法もありましょうが、おそらく全体としての安定した秩序を回復しようとするならば、そういうすべての問題を含めた解決案というものが実際的ではないであろうか。そういう点でみな今日の世界の水準からして認められておる諸原則、この上に立って中東に対する一つの解決策を全体として見出すということでなければ、一つ一つという解決も、順序としてそういうことも考えられるかもしれませんが、それは一つ一つと言っても必ず結びついた問題ですから、そこでやはりこれを長続きした秩序を回復しようとするならば、いろいろな問題をひっくるめて解決するということでなければ、なかなかほんとうの解決にならないのではないかというふうに考えております。
○戸叶委員 全体として解決するという点は私も承知をしておりますけれども、その中の内容で、いま申し上げたような点を含んでの全体としての解決ではないか、私はこう考えるわけでございます。 そこで、先ほど来の外務大臣の御答弁ではっきりしたことは、やはり領土の拡大ということは認められないのである、こういうことだけははっきり言えるのではないか。これを念のために伺っておきたい。
○三木国務大臣 武力による領土の拡張は認めがたいという立場でございます。
○戸叶委員 先ほど外務大臣もお述べになりましたいわゆる難民の問題でございますが、パレスチナの戦争のときにアラブ人をイスラエルが追い払って、その難民が百万もヨルダン側に住んでいて、非常にひどい生活をしている。これには私はイギリスも責任があるのではないかと思います。イスラエルの方にもあるいはまたアラブ人に対してもいいようなことを言って、二枚舌を使った外交をやって、そしてあとでは責任をとらなかったというようなことになったと思いますが、この問題については日本としても積極的にこの難民問題を解決するようにという発言を国連においてしない限り、この国においての平和的な解決はなかなかむずかしいのではないか、今後尾を引くような問題にはならないかということを心配いたしますが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○三木国務大臣 私も戸叶さん、あの付近へ行ったことがあるのです。レバノンなんかの海岸で非常に——いまは多少事情が違っておるかもしれませんが、難民問題はたいへんな問題である。だからこれは単に中近東だけの問題というよりも国連の場でこれの解決の道を見出すことがいいんだということは、これはいろいろ責任の薄い濃いはありましょう、しかしやはり世界的な課題であるという戸叶さんのお考えは私も同感でございます。こういう問題は、国連の場においても、中近東における安定した秩序をつくり出す一つの大きな問題点であるということは、われわれとしても主張をいたす考えでございます。
○戸叶委員 さらに日本の国としての問題としては、この前中東の動乱が起きたときにこの委員会でも取り上げられたことですが、日本の国の同胞があちらに二百三十人ですか行っている。そして、これらの人たちの引き揚げの問題で不安のないようにしてあげなさいということをこの委員会で同僚の委員が発言されたと思います。その後一昨日の新聞かなんかで、やはりまだ問題が残っていて、米、英、イタリア、ユーゴの外国人は帰国してしまって、なお日本人はたいへんに不安な状態の中に置かれているというような記事を読んで驚いたわけです。外地においてぼんぼん空襲されますと、そういう中でいたたまれない気持ちになるのに、ほかの国はそういう人たちをどんどん避難させて、日本人だけほうっておいたということになると、いろいろ問題があると思います。その中にはいまなお労働者なり技術者が引き揚げを望んでいるのだというようなことも書いてございまして、これはほうっておけない問題ではないか、こういうふうに考えたわけですが、その後の状況がどうなっていて、どういう御計画をお持ちであるかをまず伺いたい。これはほかの国に行っている方にまたこういう問題が起きないとも限りませんので、やはりそういうような点をはっきり外務省としてもきめておいていただきたいと思いますが、この点はいかがお考えになりますか。
○三木国務大臣 英米などは、御承知のように、アラブ諸国が国交断絶して、英米と日本の立場とは多少この紛争において違っておりましたから、非常に前広く在留民に対する引き揚げ準備をしたようであります。日本の場合は、新聞紙上では費用を出し渋って引き揚げなかったように書いてありますが、そういうことは絶対ありません。カイロの空港が封鎖になっておりましたから、特別機の手配をしても空港に引き揚げのために行けないということだけであって、そしてまたこの紛争がわりに早期に解決をした。みな宣戦布告をして本格的に戦乱のちまたになったのがこんなに短期間に解決されたという例も珍しいわけでありますから、そういうことで紛争が非常に早期にああいう一応の解決の曙光を見出したということであって、われわれとしては一人といえども在留日本人の生命に対して政府が関心を持つということは当然のことでありますから、何か費用の点で引き揚げがなかなかできなかったのだということではないわけでございます。飛行場が使えなかったという物理的な原因というものが引き揚げをおくらしたのでございます。しかし在留日本人の保護については、われわれは万遺憾なきような保護を与えるよう大使館には厳重な指示を与えておった次第でございます。
○戸叶委員 いま外務大臣の御答弁でございますけれども、飛行場が使えなかったということでとうとい人命を危険にさらしておくということは、ちょっと私どもも納得できないことだと思うのです。もしそれがだめなら、またほかの方法も何か考えられるのじゃないか。そういうふうな親切心、人命をまず第一に尊重するのだという気持ちがあれば、私はもっと何らかの手を打てたのではないか、こういうふうに考えますけれども、この点はどうですかということが一つ。 もう一つは、いまなお帰国を望んでいるけれども、帰れないで困っているという話も伝えられているわけです。こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○力石政府委員 御説明申し上げます。 六月の一日にカイロの大使館では、在留邦人に対しまして、大国は戦争を欲していないけれども、戦争の危険が現時点では相当強い。それから特にアカバ湾の封鎖に関連しまして、イスラエルはどこまで隠忍自重を続け得るか疑問である。またPLOと申しますパレスチナの難民の団体がございますが、これが自国の利益のために無益、無謀の挙に出るおそれがないとも限らない。戦闘を開始いたしましたならば、大使館としては最もすみやかに在留邦人の出国査証を取りつけまして、JALで避難させるように準備を進めているけれども、開戦と同時にJALが通わなくなる可能性を無視するわけにいかないというような警告をも与えたわけであります。 それで、時局が急に緊迫いたしまして、実際JALは開戦と同時に飛べなくなったのでございます。現地からの報告によりますと、戦争は初め非常に激しく行なわれまして、一切の手段をとっても在留邦人を避難させるようにということを申しまして、カイロからトブルクへ鉄道に乗ってそれから先はバスでリビアに逃げる道があるのでございます、これの可能性について検討していただきましたところ、これは婦女子なんかに対しては非常に過酷な旅行であって困難である、そしてカイロにはそれほどの危険が差し迫っているとはまだ思えないというようなことでございまして、これは見合わす。それから付近にあります日本の船にアレキサンドリアあたりに行ってもらって、引き揚げの日本人を積んでくるということを検討したわけでございますが、これに対しましても、アレキサンドリアとの連絡が非常に悪くて、なかなか話が進まないうちに停戦になったわけでございます。停戦になりますと、もうだんだんカイロの飛行場も開ける見通しであるということを現地から言ってまいったわけです。 それで、現在のところ、きのうからカイロの飛行場は、UARの飛行機に対しまして、これは商業機でございますが、すでに開かれておるそうでございます。またおそらく日航の一番機は十七日にカイロに行くであろうといわれておりまして、UARの飛行機も相当飛んでいるとは思いますけれども、乗って乗れないことはないという状態であろうと思います。 なお、この前パキスタンで印・パ紛争がございましたときに、やはり特別機を出して救出したことがあるのですが、そのときは開戦から約一カ月くらいかかっております。
○戸叶委員 今回は日本でもたもたしているうちに紛争が済んじゃったからいいようなものの、やはり外地にいる人にどんなに不安感を与えるかということも考えて、まず人命ということを考えて解決していただきたいし、それからいま帰国を希望している人は、いまのおしまいのほうの話を聞いていますと、大体帰れそうですね。だからなるべく早くそういう人の希望を達成してあげていただきたい。これを要望します。 それから次に、私はいろいろ質問があるのですけれども、時間の制約がありますので一つ伺いたいのは、国連監視軍の問題でございます。きのうあたりの国連の空気ではUNTSOというのですか、国連休戦監視団の拡充が急務である、こういうようなことをいわれております。それからきょうあたりの新聞ですと、英国とかデンマークなどの同盟国の提唱した国連平和維持兵力をアラブ、イスラエルの境界線の両側に置くべきだというような意見も出ております。ラスク長官がこれに対しては拒否をした、こういうふうにいわれております。 ここで今回の国連監視団の問題に入る前に、私ははっきりさせておきたいと思いますが、よく紛争が起きますと、四十三条に言うところの待機軍の国連軍でなくして、いわゆる安保理事会の決議によって国連軍、国連警察軍それから国連緊急軍というようなもの、あるいはまた監視団、こういうようなものが出されるわけでありますけれども、これを区別すると、大体どういうふうになってくるのかを伺いたいと思います。なるべく簡単に、要領よくお答え願いたいと思います。
○藤崎政府委員 大きく分けますと、武力行使を目的とするものとそうでないものとにまず大別できると思います。あとのほうの武力行使を目的としないものの中でまた分けるとすれば、休戦監視的なものあるいは全然そういう戦争と関係のないもの、そういうふうに分けられるかと思います。しかし、これは従来あった例をただそう分けたにすぎないのでございまして、そういう区分けが国連憲章なりその他の規定から出てくるというわけではないのでございます。
○戸叶委員 いまの条約局長のお話から判断をいたしましても、結局この武力行使を目的とするものというものは、安保理事会等の決議によって、そして出された場合に、これは武力を行使してもいい、そういう権限を与えられたもの、こういうものが国連軍なりあるいは国連警察軍なり国連緊急軍、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
○藤崎政府委員 名称はそのときどきに与えられますので、名称で区分けすることは非常に困難でございますが、武力行使を目的としたものというのは、典型的には朝鮮動乱の際の国連軍でございます。国連警察軍とか緊急軍とかという名前のものは、従来は休戦監視的な任務を帯びたものに与えられた名称でございます。
○戸叶委員 私どもがたいへんにこんがらかるのは、やはり何といっても朝鮮に出された国連軍だと思うのです。あれがああいう国連軍という形で出されて、そしてアメリカの司令官のもとにアメリカの兵隊と一緒になって、どっちがどうかわからないような形で国連軍が出兵されておりますので、やはり国連軍というとそういうものをだれでも想像してしまいます。最初に出されたのが非常に間違った形で使われているというところに問題があると思います。 そこで、やはりいままでの例で、国連軍なり国連警察軍なり国連緊急軍というものは、これはやはり監視団とは少なくとも違うのですか、それともやはりそれらはみんな同じ性質のものであるというふうに解釈するのですか、ここら辺のところをちょっとはっきりさせていただきたい。
○藤崎政府委員 それぞれの場合において、この目的、任務が違うわけでございまして、たとえば休戦監視の目的である、あるいはコンゴにおける国内の治安が乱れたから警察的な援助のために軍隊が派遣される、それぞれ目的がそのときどきにきめられるわけでございまして、なかなかこれを単純に区分けするということは困難かと思います。
○戸叶委員 ただ武器を使わない、武力を行使しないという形で出される場合は監視団的なものになるというふうに了解するのは間違いかどうか。たとえば国連警察軍なり国連緊急軍なり国連軍というようなものは、武力をときどき行使することもあり得るというふうに解釈をするのかどうか、この辺のことがちょっと私もこんがらかってわからないものですから、はっきりさせておいていただきたいと思います。
○藤崎政府委員 武力攻撃がどこかで起こって、それに対して国連が、武力攻撃を受けている国を助けるために、武力行使をするという目的で軍隊を送る場合、これは一つはっきりしていると思います。それ以外の場合は、それぞれの受け入れ国の同意を得て軍隊を送り込むわけでございます。その送り込まれた国に対して、武力を行使するという関係じゃないわけでございます。ただそれが、政府以外の国内の反乱分子等から攻撃を受けた場合に、武力を結果的に行使することになるということはあるわけでございます。これは初めから武力行使の目的で行ったものではないという意味において、やはり監視団的なものと考えるべきである。先ほどおっしゃいましたように、武力行使以外の目的のものはすべて監視団というように考えてよろしいかというのは、そのとおりだと思います。
○戸叶委員 いまの条約局長のですと、ちょっと私は判断できない。たとえば、朝鮮のようなはっきりした武力行使を目的とした場合というのは、朝鮮だけでしょう。ほかの場合にそういうふうな武力行使というものを目的として出されたものがありますか。
○藤崎政府委員 コンゴにおける事態がちょっとまぎらわしいわけでございます。カタンガが独立しようとして武力闘争という状態が国内で生じておったわけでございます。それを鎮圧するという目的があったわけでございますから、初めから武力行使を目的としておったといえばいえる。しかしそれは国際的な関係においてやるわけじゃなくて、治安維持を助ける目的なんだから、朝鮮動乱の場合とは違うんだというふうに考えたほうが適当であろうということを申し上げたわけでございます。
○戸叶委員 武力行使を目的としないという、そういうお考えはいいと思いますけれども、それにこだわるからいまのような説明になると思うのです。コンゴの場合は、国内の紛争を解決するために要請されて行ったわけですよ。ところがそこで内乱があって、そして武力行使をせざるを得なくなった。したがって、国連軍というものが要請をされた場合に、武力行使の目的でなくても、そういうふうな内乱なり混乱なり起きれば、武力行使をせざるを得ない立場に置かれてしまうのだというふうに解釈しなければ、今後において問題が起きてくるのじゃないか、私はこういうふうに考えますけれども、この点はいかがでございますか。
○藤崎政府委員 あまり私考えが違っていると思いませんが、とにかく、要するに朝鮮動乱の場合は別であります。(戸叶委員「あれは特殊ですよ」と呼ぶ)それからほかの場合で、現実に武力を行使する危険性が非常にあるようなものと、そうでなくてほとんどまる腰で軍服を着ているような形でも差しつかえないような監視団と、そういうものがいろいろな場合場合によって段階的にあると思います。だから私がそのあとのほうの第二種のものについて簡単に区分けしにくいと申し上げた。それで非常に注意深く申し上げておりますのは、たとえば日本国憲法の関係でいろいろ日本がこれに協力するとかという問題が前からございましたが、この朝鮮動乱みたいなもの以外なら全部いいのかというような、簡単には割り切れないのであって、第二のものについても、その場合場合によって判断せざるを得ない、これは従来から政府が申し上げていることでございますが、そういう点がありますので、注意して申し上げておるわけでございます。
○戸叶委員 条約局長、私が何か変なふうに出てくるのじゃないかと思ってたいへん警戒をしておっしゃるけれども、もっと率直にこの問題をはっきりさせておく必要が今回私はあると思うのです。というのは、政府でも、三木さんも、平和的解決のために日本は監視団を出すこともあり得る、こういうふうな答弁をところどころでされているわけです。ところがその監視団というものが一体何だろうということでいろいろ考えてみたり、勉強してみたりするわけです。そうすると、国連軍、国連緊急軍、国連警察軍、そういうふうなものと監視団というものが多少でも分けられるかなということを考えてみると、そういうものが出た場合に、国内の紛争が起きた場合にはどうしてもそれに対する武力を行使せざるを得ないわけです。それで監視団といえども、何か混乱が起きれば、それに対して防衛ということをしなければならないと思うのです。そうすると、そこに武力行使という問題が出てくるように私は考えます。 そこで、いまの条約局長のお話ですと、国連軍、いわゆる軍と名のつくものの場合には、武装をしている場合がある。しかし監視団のときには、軍服は着ているけれども、まあまる腰の場合で監視をするんだ、こういうふうに考えてもいいように答弁されたのですが、そうなんですか、そういうふうに分けられるわけですか。
○藤崎政府委員 第二の種類のものの分類ということはなかなかむずかしいと思います。
○戸叶委員 第二と言わないで、監視団なら監視団とおっしゃってください。
○藤崎政府委員 監視団というのは、これは名前でございまして、監視団ということばで先生がおっしゃっているのは、つまり初めから武力行使を目的としていない、しかし軍服を着た者のことだろうと思いますが、そういうものを監視団と呼ぶとすれば、それはそれぞれの場合によって、任務、目的がきまっておりますので、これを分類するということは非常に困難だと思うのでございます。いままで十回ぐらい国連のそういう監視団が出ておりますが、それぞれの場合で違うわけでございます。それを二種類なり三種類に分けるということは非常に困難だと思います。
○戸叶委員 監視団を分けることは困難であるということはわかりました。そうしますと、監視団の場合でも、紛争の渦中に巻き込まれることもあり得る、こういうふうに考えてもいいわけですね。監視の形で行った場合に、武力行使をされればやはりそれに対しては武力行使をせざるを得なくなりますね。そう考えてもいいわけですね。
○藤崎政府委員 それも場合によりけりでございまして、相当の部隊で、しかもそういうことが起こる可能性が非常にあるような環境であるかどうかということもありますし、あるいは、場合によったら、たとえば十人か二十人の監視団で、あぶなくなったらすぐ引き揚げるというのもありましょうし、それぞれにたよって国連が人員を派遣する目的が違うと申し上げる以外にはないと思います。
○戸叶委員 外務大臣、いまお聞きになったとおりですけれども、やはり監視団にもいろいろある。たとえば十人ぐらいで、あぶなくなればすぐ引き揚げるような監視団もあるということですが、その裏には、やはり監視団でも武力行使をされた場合にはそれに対して抵抗しなければならない、こういうふうなことも考えられるのではないかと思いますけれども、この点は外務大臣、どういうふうに御判断になりますか。
○三木国務大臣 これは実際の問題としていろいろなケースがあり得ると思いますが、武力行使という意味も場合によって非常にやはり違うと思います。あるいは自己防衛的なものもあるだろうし、あるいはそれよりも進んだような場合もあるかもしれないし、したがって、これについてはそういう何らかの形で国連で派遣をする場合に、まあケース、ケースによって判断をするよりほかにはないのじゃないでしょうか。一がいに定義づけることは非常に困難があるような気がいたします。
○戸叶委員 なぜ私がこういうことを伺うかといえば、やはり政府なり外務大臣なり外務省なりが、ときおり、日本も監視団に参加してもいいのだというようなことをおっしゃいますし、ラオスのときにもたしか日本政府にそういう要請があったと思うのです。これからもそういうふうな問題が起きてくると思うのです。そこで、それでは監視団の場合には日本の政府がどういうふうな協力をするというふうにお考えになっていらっしゃるのですか。たとえばというふうな場合に。
○藤崎政府委員 休戦監視のためではあるが、平服を着た者がやる場合には、これはもう初めから問題ないと思います。それが軍人によって行なわれる場合にはすぐ問題が生ずるわけでございますが、その点について初めからいわば類型的に、抽象的に、こういう場合はよろしいということがなかなか申し上げにくいので、先ほどからその場合場合によって判断するよりほかない、戦争に巻き込まれるような危険性なんというものもやはりその場合によって違うわけでございます。その点を申し上げておるわけでございます。
○戸叶委員 平服を着た者であれば監視団としても危険はない。純粋な監視団であるというふうに解釈をするということでした。そこで、私はいろいろいままでの監視団を調べてみますと、この国連休戦監察機構に入って行った監視団、一九四八年のもの、あるいは一九五八年の六月の安保理事会の決議によるレバノンの監視団、これも将校です。それから一九六二年の西イリアンの保安軍及び軍事監視団、これも軍隊です。それからイエメンの国連監視団、これも軍隊です。こうなってみますと、いずれも軍人ですね。そうするとその中に日本が、いわゆる監視団なんだからまあそれに参加してもいい、幸いにして——ここで幸いにしてということばを使いますと、これまでの監視団に関する限りは武力を使っていません。国連軍なり何なりは使っていても、こういう人たちは武力を使っていないのです。武力を使っていないからいいと言ってみても、こういう人たちはみな軍人なんですよ。そういう軍人の中に日本が平服で入っていく監視団というものが一体あるものかないものか。今日の段階においてあるのでしょうか、ないのでしょうかということが一つ。 それからもう一つは、三木外務大臣が参議院でおっしゃったことは、監視団は国内法に違反しない。それからもう一つは、武力を行使しない、こういうふうにおっしゃった。これらをあわせてみますと、どうも現在の段階で監視団というものに日本が参加できるような情勢なり、そういうものはないのではないかということを考えるわけですけれども、この点についてまず一点伺いたい。 あともう一問で済みますから……。
○三木国務大臣 まあ国連に対して何とか協力したいという気持ちはあるわけです。したがって、そういうふうにいままでのところはおもに軍人ですよ。文民といいますか、そういう監視団というものはあっても、やはり国連の機構としては私はほとんどなかったのじゃないかと思うわけです。しかし、将来できてくる場合があれば、これはむろん、日本がいま言ったような原則に抵触しなければ、派遣をして私はいいと思う。これは、そういう形で協力することは望ましいことですが、現状でみな軍人ということになってまいりますと、やはりいろいろ問題がありますから、そういうふうなことになれば、いろいろ手続というものが必要だと私は思います。現行法の中ではいろいろな疑義が生ずる。したがって、自衛隊をそういうところへ政策として派遣する考えはない、こう申したのでございます。
○戸叶委員 もうやめますが、大体いまの段階ではそういうふうなものに参加できるようなものはないのだ、こういうことははっきりわかりました。 そこで、もう一点だけ伺いたいのは、いわゆる海外に駐在防衛武官というのがいますね。そういう人たちが監視団に加わるということがあり得るかどうか、それだけのイエスかノーだけ伺えばけっこうです。
○三木国務大臣 現在のところはないと考えております。
○福田委員長 この際十一時三十分まで休憩いたします。 午前十一時二分休憩 ————◇————— 午前十一時五十九分開議
○福田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 国際情勢に関する件について質疑を続行いたします。曽祢益君。
○曽祢委員 先ほど同僚の戸叶委員から触れられた中東問題のこれからの解決、つまり戦後処理の問題に関連してでございますが、若干重複することもあると思うのですけれども、まず第一に、国連の関与の問題であります。 現在の監視班といいますか、停戦そのものが現実に行なわれていることの監視、これは私は監視チームくらいなものでもいいのじゃないかと思います。しかし、それよりも根本的に今度の事件の発端あるいは拡大、急速に悪化した一つの原因として、この前の委員会の席上でも出ました国連事務総長のアラブ連合の撤兵要求の受け取り方があまりにも早過ぎたということ、そのことがやはり結果的には危機を深めているきらいがあるのじゃないか、そういう意味からいっても、まず停戦の実行がどうかということを監視する、そのときは監視のチームでもいいけれども、それからあとの戦後処理の問題として非常に重要な問題は、ある係争の地点については、当分の間、国連軍、むろんこれは警察部隊ですね、この前の緊急部隊的なものがある程度長期にわたって存在して、いわゆる中東における国連のある程度の実力部隊の存在、プレゼンス、国連の存在ということがやはり必要ではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。現在の停戦の監視から、両軍を引き離すことについて、この時点においてどうしても警察部隊が、これはむろん治安維持の意味ですけれども、そういうものの部隊が必要なんじゃないか。現にまだ国連の部隊が引き揚げの途中らしいですけれども、実におかしなことで、あれは一ぺん引き揚げることになったのですけれども、今後の行き方としてはむしろ国連軍の警察部隊、むろん中小国——大国が関与しない、そういうものが必要なんではないか。またもう一つ、日本は特殊な立場ですから、監視班の場合にはいろいろ先ほども議論がありましたが、少なくとも警察部隊のときには日本が出すべきではないこと、これは私は確立していると思うのです。そういったような国連の権威とある程度の部隊くらいを送って、しばらくの間、国連があすこを預かるという姿勢がなければ、一方においては戦勝に誇っているイスラエル、他方においては寸土も渡さないというアラブ、しかもそのアラブが、はたしてイスラエルの存在そのものを平和条約において認めるということすら言ってないというような事態で、とても国連が手を引いた姿では問題にならないと思うんですね。日本政府としては多少その点が、こっちは部隊を出さないのにという点があるかもしれないが、それはかまわないんで、やはり国連軍のいわゆる警察部隊的なものをかなり長期にわたってでもあすこに出すというくらいに国連が深く関与していくことが平和解決に非常に必要だと思うのですが、外務大臣の御意向を承っておきたいと思います。
○三木国務大臣 私も曽祢君と同じような考えを持っておるものです。あれがいますぐに停戦、これから長期にわたる休戦の事態が来ましても、なかなか対立は、歴史的にまた今度の対立で一そう根を深めたと思いますから、相当の国連の関与があることが平和維持のために必要だという曽祢君の考えに、私も同じような考えを持っておるものでございます。日本がこれはなかなか寄与できないところが、声を大にして言えという場合に、何かやはり日本も国連という一つの平和機構の中にもっと寄与できる方法はないかということを実は考えるのですけれども、しかしそれには限界がございますから、こういう立場で今度国連の中においても日本が平和維持に対して寄与する場合の考え方として、そういう立場に立ちたいと考えておるのです。
○曽祢委員 これも戸叶委員が触れられたことに関連するのですけれども、私はいまさら日本が紛争の責任等についてあまり議論してみても、両方にいろいろの言い分があるので、いずれの場合でも争いのときに片一方だけが一〇〇%いいというようなことはあり得ないので、どろぼうにも三分の理屈があるのですから、そういう意味でこのせんさくはあまり意味がないと思うのです。一番大切なのは、何しろイスラエルのほうは、率直に言って国連なんかあまり信用できない、せっかく国連軍が一九五六年以来あそこにいてくれて、そしてそのことによって、不満足であるけれども一応兵力のぶつかることを押え、かつアカバ湾の航行の自由を一応保障しておった。それはかりにシンボルであっても、そのシンボルをとってしまうと直ちにむき出しにぶつかる、こういうようなことですから、今度の戦後処理については、戦勝者の立場もあろうから、個別的にアラブにやられちゃ損だから、一対一でアラブの諸国と直接にやっていくのだ、話していくのだ、こういうようなかなり強い姿勢をとっていると思うのですね。その点について、一応無理からぬ気持ちもあると思いますけれども、しかしそのことはやはり結果的には武力によって得た領土をそのままおさめてしまうのじゃないか。威力のもとに領土を取るというようなことになると、これはよろしくないというふうなことにもなるわけなんで、やはり国連が、安保理事会がいいか総会がいいかは別として——ソ連の総会へ持っていくということは、むしろその意図はよくわかる。つまりアラブが多数でわいわいひとつ気勢をあげようということだろうと思うのですけれども、いずれにしても、国連の関与によってということは、言いかえるならば、国連という器を使い、実はもっとはっきり言えば、米ソの両大国の祝福のもとに、何とか両方ににらみをきかしながら、合理的な点で妥結させるように努力しなければならないのではないか。その場合に、やはり何といっても、イスラエルの言っている、いままでの一九四八年あるいは五六年のあの休戦のままということ、いわゆるステータス・クオ、戦争前の事態に返るということは、とてもたまらぬ。あの不安定なことではとても信用できない、だからせめてやはりここでアラブ諸国がイスラエルと平和条約でも結んで、イスラエルという国の存在を認める、国連のメンバーとして認める、そういうことと、そのイスラエルの安全から見て必要なアカバ湾の自由通航あるいはスエズ運河の通航の自由、こういうものを国際的な約束等で確保する、さらには、たとえばシリアの国境においても、シリア領内ではあるけれども、そっちからいつでも大砲で撃ち込めるというようなことのないようにとか、撤兵するにあたっての国境方面の安全保障についての要求はあろうと思うのですね。加えて、一番やっかいなエルサレムの聖地をどうするか、こういうことを考えてくると、やはり何らかそこに原則を立てて、単なる停戦自体だけでなくて、イスラエルとアラブ諸国が平和条約を結んで、お互いに国としての存在を認め合う。それからそういったようなやっかいな地点については、エルサレム等については、ある程度の国際化というようなことも考える。これはすべての宗教の聖地なんですからね。さらには、いわゆるアカバ湾の通航の自由あるいはイスラエルの安全等に対しては、やはりそこに国連の存在、いわゆる国連の警察部隊か何か知りませんが、そういうものが相当長期にわたってそういうところにおって、両方の勢力のぶつかり合いを引き離す。兵力を引き離す。そして、その一方においてはイスラエルの領土的な主張というものは押えていく。その安全については、やはり国連がある程度保障するというようなことは、解決の大きなラインとしてそういう方向が正しいのではないか。そういうふうにでもしなければ、実際問題としていつまでたっても平和は来ない。強いものが取った占領状態は続き、双方の敵意はますますはなはだしくなるだけではないか。そういうふうなラインで、私は、国連の関与によって平和解決に努力するのがほんとうではなかろうかと考えるのですけれども、大臣の御意向を伺いたいと思います。
○三木国務大臣 曽祢君の御指摘は、解決に、基本的な問題として示唆に富む御意見であると私も思います。戸叶さんの御質問にも答えたのですが、武力による領土の変更は認めらるべきではない。また公海の通航の自由は確保されなければならない。こういう原則、これは日本の当然の基本的方針であるわけですが、その上に、いま御指摘のような、イスラエルという国の問題あるいはエルサレムという問題、あるいは国境の問題もそうですが、避難民の問題もあるし、この問題の解決のためには非常にたくさんの問題があるのでありますから、日本の考えておる基本的な原則の上に立って、あまり無理なことをすれば長続きはしませんから、だれが見ても長続きのする秩序というものがこの紛争を契機にして打ち建てられることのために、われわれも国連を舞台にして努力をいたしたい。直接交渉といたしましても、今度の場合はだれか調停するものがないと、そう長続きのする平和が確立されるともなかなか思えませんから、それには、いま国連が、休戦監視委の場合とか、あるいは避難民の救済の場合とか、国連の関与する場面というのは非常に多いと思いますから、国連を舞台にして、われわれも恒久的な安定した秩序確立のために努力をいたしたいと考えております。
○曽祢委員 安保理事会の理事国としても、アジア・アフリカ・グループの一つのリーダーとしても、ぜひひとつ積極的な役割りを果たしていただきたいと思います。加えて、このことはだれも念願しているもっと身近な、もっと危険なベトナム戦争がある段階になったならば、これは国連という形はむずかしいと思いますけれども、やはり中立国等の監視班とか、あるいは監視団とか、将来はアメリカの撤兵等とからめて国際的な中立的ないわゆる警察部隊的なものは、停戦のあとにしばらくあずかるという、こういう一つの例をつくる意味からいっても、私は日本としては中東の問題だからというふうに、非常に縁遠く考えないで、ぜひ国連の権威と現実の役割りですね。あるいは中小国から出ている警察部隊が何らかの意味で国際の平和の維持に、限定された目的ではあるけれども、尽くすように御努力を願いたいと思うのです。 最後にもう一つだけお尋ねしておきますが、スエズ運河がまた船が沈んで航行がとまっておることは、まことに困った問題だと思うのですけれども、この際やはり、実は本会議でも質問したかったのですが、外務大臣に政府の全体を代表して、ぜひお考えを伺わせていただきたいのは、海運国として、また石油等を海外に仰ぐ日本として、一九五六年のスエズの危機以来、中東に対する石油の依存度を西ヨーロッパ諸国が非常に減らしておるのに、わが国はいろいろな関係から、むしろ中東に対する石油供給の依存度が深まっておる。九〇%というのは、今度は直接にあまり脅かされるに至らなかったようですが、それでも荷役等のストライキでもあれば直ちに響いてくる。中東が完全に常に平静化しておるということを望むのはやはりむずかしい。だとすれば、やはり日本の国策として、外交的見地からいっても、中東に対する石油の過度の依存状態に対しては、長期的なプランでこれを是正していくのは当然だと思うのです。したがって、これは皆さんだれもわかっておることであるけれども、現実に長期プランを立てて、この依存度を減らすために、インドネシアとかマレーシアとか、あるいはアラスカもいいし、カナダもいいし、またソ連のシベリアの開発に、なかなかむずかしい問題だけれども、協力し、そうして。パイプラインを引いてナホトカからの石油供給を、そこにもある程度移していくというような、石油のサプライの分散化の国策を、中東の今回の危機から学びとって、これを直ちにプランを立てて、かなり長い年月にわたって実行に移す必要があると思うのです。これはむろんいろいろな所管大臣が関係されることであると思うけれども、やはり日本の外交の一つの基本として、外務大臣は、こういう問題についてお考えがあろうと思うので、私の意見を添えて、あなたのお考えを聞かせていただきたい。
○三木国務大臣 曽祢君の御指摘のように、九割も原油を依存しておるという状態は、これはあまりにも高い依存度でありますから、政府においても、長期エネルギー政策の中に、今後二十年間に五割程度の依存度に落としていこうというのが方針であります。落とすといっても、これは石油の需要量が拡大しますから、非常に現在の供給量を減らすという意味にはならない。しかし、ますます増大していく石油の需要量からして、中近東以外に石油の供給源を求めていく努力をしたいと思っております。そのためにカナダあるいはアラスカなどに対しても、非常に熱心な石油資源の開発の努力が民間でなされておりますが、政府はこれを助長していきたい。シベリアも、今度の日ソ経済合同委員会でこの問題が議題になることになっておりますから、これにも関心を持っていきたい。また東南アジア方面においては、インドネシアなどに対しては開発輸入の方式をもっと推進できる方法というものを検討したい。こういうことで長期間はかかるにしても、九割という依存度というものは、日本の石油の供給上、非常な不安が起こりますので、これは年月をかけて改善をしていきたい。それにしても一番大事なことは、中近東の長続きのする平和である。これをやはり国連などを舞台にして努力をするということが大前提である、かように考えております。
○堂森委員 すぐ終わりますから……。ただいまの曽祢さんの質問に関連しまして、あるいは戸叶さんの質問に関連しまして、一、二点だけ、局長もおられますから伺いたい。 数年前でありましたが、中近東へ行きましたときに、スエズ運河の補修工事といいますか、数十名、もっと多くおったと思うのですが、運河の工事に従事しておる日本の土建会社の諸君が百名以上もおったということを私見たことがあるのであります。今度の動乱に関連して、向こうに行っておる労働者諸君がどうしても帰りたいんだというのに、ところがさっきの戸叶委員の質問にありましたように、何か事情で帰れない、非常にいまでも帰国を希望しておる、こういう記事を新聞で読んだだけですが、それはさっきの答弁で私も理解はしておるわけでありますけれども、あそこは、非常な国際競争に勝って、入札の競争に勝利を占めて、日本の技術陣が大きく進出しておる現場でありまして、それが今度の動乱に関連して引き揚げるということになると、今後やっぱり大きな影響が来るんではないか、こう思います。外務省に入っている情報といいますか、そういうものがわかっておったら、大臣でなくてもけっこうでありますからお答え願いたい。 もう一つ、大臣にお尋ねしたいことは、これも、きのうでありますか、新聞を読んでおりますと、アラブ連合等では、これから米英系の石油会社は国有化しよう、こういう機運が今度の動乱に関連をして強くなってきた、そして将来は日本等の一という文字が書いてあるのです、資本をどんどん歓迎するような方向に持っていきたいというような意向が、アラブ連合等、中近東で強くなってきた、今後日本の資本と技術と、いろいろな意味で協力するようなことが進むんじゃないか、こういう報道が載っておったのです。こういう場合に、さっきの曽祢さんの質問とちょっとあれみたいになりますけれども、それはそれとして、やはり中東は何といっても世界の石油の重要な産地でありますから、そういうことがかりに来たら、仮定論でありますが、日本の外務省としてはどういう態度をとるか、これも答弁をいただきたいと思います。
○三木国務大臣 水野組がダムの建設に行っておったのですが、これは局長のほうからお答えいたします。 いま、アラブ諸国の動きについては、まだ何もわれわれのところにそういう情報はまいっておらないのでございます。いろんな動きが今後起こるとは思いますが、しかし、これは原油にしましても、やはり掘っただけでは困るわけでしょうから、この問題もひっくるめて、今後の中近東の問題解決のときには、石油の供給という問題も、これはやはり解決の一つの議題たり得るのではないか、こういうように考えております。御指摘のようなことは、まだ外務省には何もそういう情報は伝わっておりません。
○力石政府委員 水野組の人々は、大体六十名ぐらいがスエズ運河の改修工事に行っておりまして、スエズで働いておられるわけです。開戦直後にカイロの大使館は、ともかくあぶないからカイロまで引き揚げてくれということを言いまして、現在はカイロのホテルに集まっているはずでございます。この方々が日本に帰られるかどうかということは、これはもう会社の中の問題でございますが、現在はどうしても会社が引き揚げたいと思えば引き揚げられる状態にだんだんなりつつあるというふうに考えております。
○堂森委員 引き揚げないのですね。そのまま残るという情勢ですか、いまどうなんですか。帰りたいと言っておるのですよ。
○力石政府委員 それは帰りたいという声はございますが、会社のほうでどういう指令を出すかということは、私、存じておりません。
○福田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明後十六日午前十時から理事会、十時十分から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時二十六分散会