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55回国会衆議院1967/06/09

外務委員会 第11号

発言数
93
登壇者
9
会派数
2
開催日
1967/06/09

会議録

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 これより会議を開きます。  関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する千九百六十七年五月五日の締約国団の第三確認書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。     —————————————    関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する千九百六十七年五月五日の締約国団の第三確認書の締結について承認を求めるの件   〔本号末尾に掲載〕     —————————————

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。三木外務大臣。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ただいま議題となりました関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する千九百六十七年五月五日の締約国団の第三確認書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国の国定税率を定める関税定率法の別表は、昨年四月一日全面的に改正され、新しい関税品目分類法に基づくものとなりました。これに伴って、この改正前に締結したガット文書に収録されているわが国の関税譲許表をも新しい品目分類法に基づいたものにするよう訂正することが関税事務の運用上必要となり、政府は、各譲許をそのように訂正することにつき、当該譲許に関係を有する各国の了解を求めるための交渉を進めてまいりました。  かかる交渉は本年春に終了いたし、五月五日、この訂正を実施するために必要なガット上の手続を了しました。本件確認書は、右の訂正を加えたわが国の新譲許表を他国の譲許表とともに収録するものでありまして、わが国の新譲許表は、政府が国会の御承認を得た後ガットの事務局長に対して行なう通告によって効力を生ずることとなっております。  よって、ここにこの確認書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 次に、国際法定計量機関を設立する条約の改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 国際法定計量機関が設立されまして以来すでに十年を経過しておるのでありますが、この機関が設立して以来今日までにどのような実績をあげてきたか、具体的に説明を願いたい、こう思います。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 いまお話しのように十年間を経過いたしておるわけでございますが、その間におきまして、総会である国際法定計量会議が二回、それからその下部機構として実際の活動を担当している国際法定計量委員会が八回の会議を開催いたしております。  それで、これらの会議並びにその会議に基づきまして、各国間におきまして各事業についてそれぞれ協議を事務局を中心にやっておりますが、そういったコミュニケーションを通じまして、計量器並びにその使用に関連する諸問題につきまして、今日まで数多くの実績をあげてきております。その例として申し上げますと、まず暫定的国際勧告というのが八つほど出ておりまして、これは、はかり、分銅等でございますが、この八つの勧告につきましては、先般の計量法改正におきましてその骨子を取り入れて、その施行期日が六月三十日というふうになっております。  それから二番目でございますが、調査研究という項目がございます。調査に関連しましては、各国の計量制度というのは非常に歴史的にそれぞれ異なった発展を遂げてきたがために、計量器そのものの構造なり何なりというものが非常に違っております。そういった制度と、それから計量器の各国間のディファレンス、違いを調整さして、統一的な規格、基準をきめていこうというのがこの法定機関のねらいでございますから、それに従いまして、それぞれ研究を行ない、そして統一的な基準をきめる、行く行くは計量器そのものの国際規格をきめる、こういう方向で研究項目が現在約七十ございますが、それにつきまして各国の共同作業で実施をいたしておるというわけでございます。わが国もそのうちの数十項目につきまして共同作業に参画をいたしておるのでございます。  そのほか、各国の計量制度につきまして翻訳をし、注釈を付するというふうな形で事務局は担当いたしまして、これを定期刊行物に載っけて各国に配付をいたしております。  おもなものは大体以上でございますが、そのほかにも、それぞれ論文の交換とかいうふうな点で非常に有益な事業を営んでおります。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうしますと、いまの説明で、わが国が加盟したのは六一年だそうで、今日までそう長い年月ではありませんが、この六一年にわが日本が加盟して以来、いま説明になったような協力を日本もしてきた、こういうことでございますね。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 はい。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 しかし、ただいまの説明によりますと、十年たって会議は二回やっておる。もっとも委員会もわりあい数が少ないように思われるのですが、それでこうした方面の調査研究あるいは今後の国際的な統一ですか、何かそういうものをやるんだとおっしゃいますが、これぐらいの会議、委員会等で十分間に合っているんでございますか。条約はあってもあまり活動をしてない、こういう状態ではないのですか。もう一度説明を願います。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 八回の計量委員会が開催されているというほかに、実は、先ほど申し上げましたが、研究テーマにつきましてわが国は七十項目のうち五十項目について作業に参画しているわけでございます。たとえばの話でございますが、その作業におきまして、わが国は、研究がある段階に達しますと、そのつど国際法定計量事務局のほうにそのデータを送付することにいたしております。つまり文書でもって意見交換を行なっているわけでございます。各国はそういう形で事務局を中心に、いわば扇のかなめのような形で事務局が機能しているということでございます。特にわが国はヨーロッパから遠うございますから、会議は普通パリで開かれますが、そう再々参加するわけにはいきませんので、そういうふうな文書によるコミュニケーションというふうな形で、その点は意思の疎通においては十分ではございませんけれども、できるだけ文書での往復という形で、そのコミュニケーションで、十分でないという不便さというものを克服しているというふうな形で作業が進められております。その他一般につきましては大体文書でまいりますが、そのほかにも委員会には今日まで四回工業技術院の計量研究所の方々が参加をいたしておりまして、実際にいろいろな討論に参画いたしております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 質問の方向を変えましてさらにお尋ねをしたいと思いますが、わが国が輸出しておる計量器具はどんなものがあるのでしょうか、その点をひとつお示しを願いたい、こう思うのです。  そして、もう一つあるのですが、大体金額は毎年どれくらい出ておるのか、もしわかっておったらお答え願いたいと思います。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 最初に計量器の総生産額を申し上げますが、計量器はいろいろございまして、一番単純なものはものさしのたぐいでございます。それから非常に技術的に高度なものといたしましては精密測定器あるいは試験器、分析機器、こういうふうなところまで包括されますけれども、四十年度におきましては、総生産額は千百億円でございます。わが国が参加いたしましたのが三十六年でございますが、その数字をとりますと六百三十億円でございますから、七割余りの増になっております。これに対しまして、輸出のほうは、四十年度におきまして百十億でございます。三十六年度の数字をとりますと二十三億でございますから、輸出のほうは非常に伸びてきておるというふうなことになります。  先ほどの話にも関連するわけですが、国際規格の統一、これが一つの目標ではございますが、その線に沿って、この国際法定機関の事務局のほうから、各国のいろいろこまかい技術上の事柄につきまして、主として制度でございますが、定期刊行物の形でいろいろ各国に情報が流れております。それに基づきまして、いろいろな計量器を輸出する場合に、それぞれその国にどういうふうな制約があるかというふうなことは、計量研究所のほうにまいりましたその情報に基づきまして、それで各メーカーのほうに知らせる、こういうふうなシステムをとっております。そういう意味では輸出にも若干の貢献があったろうかと思いますが、数字としては一応そういうことで、輸出は最近は非常に伸びているというふうな実情にございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 大体どういう国に輸出されておるのか、輸出先をあわせて答弁願いたいと思います。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 正確なパーセンテージまではじいておりませんが、大体を申し上げますと、やはりアメリカが多うございます。次いで東南アジアでございます。三番目としてこの国際法定機関のメンバーが一番多いヨーロッパ、こういうふうな順序になっております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうしますと、この国際機関にわが国が加盟しましてから、あなたのさっきの答弁によりますと、急激な輸出の増が来ておる、こういうことが言えると思うのであります。輸出振興に非常によい影響がある、こういうことでございますか。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 いまの数字がふえた、輸出がふえたその理由といたしましては、法定機関のほうから流れてくる各国の計量制度の実情に関する資料、これが役に立っていることは事実でございますが、それは一つの要因というふうにお考えおきくださって、そのほかにも、やはり三十九年以降非常に国内が不景気でございまして、そのために輸出ドライブがかかったというふうな面もございます。確かに一つの理由であることは指摘することができると思います。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 輸出振興にある程度の効果はある、こういう程度でございますね。  もう一つお聞きしたいのでありますが、この条約は正文がフランス語でございますね。そしてわれわれにいま、私はフランス語は読めませんから当然でありましょうが、日本語で書かれてあるこの条約というもの、これはそうすると正文ではないわけですか。条約でもない。それは一体何でございますか。ただ審議の参考資料としてわれわれに配られている、こういうものでございますか。これは、きょうに限ったことじゃない、たくさんほかにもあるわけですが、私どうもしろうとで、これはどういうものなのか、どういう権威があるものなのか、よくわからぬものですから、どういうものであるか、その点もひとつ聞いておきたい、こう思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 先生の御指摘のとおり、この日本文の改正の内容は、従来国会に御承認のために提出いたしました条文の形とは変わっております。その理由は、実はこの国際法定計量機関でもって委員会の構成に関する改正を行なった際の改正の手続が普通の条約の改正というかっこうをとりませんで、総会の、つまり法定計量機関の会議の委託を受けた委員会が、その委員会の審議の過程におきまして、こういう形でもって第十三条を中心とする改正をしたいということでもって、その報告が各加盟国政府にまいった次第でございます。したがいまして、フランス文がつけてございますけれども、これは報告の抜粋でございます。この抜粋の部分が条約の改正の部分に相応いたしますので、この部分を日本語にわかりやすいように便宜訳した次第でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そうすると、これは正確な意味ではもちろん条約でもないし議定書でもない、こういうふうな連絡が委員会からあったのでこれを了承したいと政府は思うので、当委員会で審議をして、そして賛否をきめてもらいたいという参考資料、審議の資料として出てきた、こういうことでございますか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 正確に申しまして、参考資料ということではございません、やはりこの日本語で響きました第十三条を中心といたします改正について御承認いただくというのが趣旨でございます。ちょうどこれに類似した例といたしましては、国際連合の安全保障理事会それから経済社会理事会の構成員の改正がございましたとき、これも決議の形でもってその改正の内容が確定いたしまして、その決議の部分からさらに改正の実質に当たる部分を国会に提出したという経緯がございます。ちょうどそれと同じような経緯でございまして、国際機関の中には、厳密な意味での条約の改正ということで議定書のかっこうをとって改正する場合と、そうでなく決議でやったりあるいはこういう委員会の決定の中でやったりというふうなことも間々ある次第でございます。そして、このような改正は別個の独立した文書になりませんで、現在の条約の中にこの改正部分が溶け込む。改正された場合にはちょうど日本の国内法と同じように溶け込んでしまう。したがって、改正されたあとにはこの文書は何ら意味のないものになってしまうというふうに考えております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 わかりました。  終わります。

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いま伺っておりますと、日本の計量器の輸出の相手国が、一番多いのがアメリカだという話でした。この条約の中にアメリカが参加しておらないようですけれども、その理由はどういうわけですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 アメリカがこの国際法定計量機関に参加しておりません理由は、州によりましていろいろ計量制度に関します制度が違う関係上、統一的な制度としてアメリカの計量制度を持った上でこの計量機関に入るということができなかったということが理由だと伺っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 アメリカの加盟しておらないほかの条約なんかと照らし合わしてみまして、大体そういうことではないかと思ったのですけどれも、そういうふうなことになりますと、アメリカが日本から輸出した計量器を使用する場合に、実際上の不都合というようなものが生じないかどうか、そういう点について伺いたいと思います。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 その点につきましては、アメリカは標準局というのを持っておりまして、そこでわが国で言えば計量研究所とそれからわれわれのほう、計量課と合わせたような機能を営んでおるわけです。一元的にそういうふうな研究活動、それから各州の法制の統一化といいますか、そういうふうな事業を進めておるわけでございまして、そちらのほうからの資料は、別途に大使館等を通じまして入手をいたしております。その資料に基づきまして、私たちのほうでは各メーカー等に、それぞれこまかい技術的な内容、それから制度の概要等を流しておりまして、それが輸出の面で支障がないようにというふうな機能を果たしているかと思います。事実上はそういう形でアメリカの制度あるいは技術的な制約等は大体わかっておりまして、支障なく輸出が行なわれているというふうなのが実情じゃないかと思うのです。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 その場合に、アメリカのほうの制約に合わせた場合に、この機関の条項と抵触するような場合はないですか。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 この条約は勧告的な性格のものでございまして、各国の法制そのものを、その勧告に従って改正する義務を負わせるというところまではいっておりません。それはアメリカについても同様で、わが国についても同様でございまして、そういう関係でございますから、アメリカの制度は確かにわが国の制度とも違いますし、ヨーロッパの制度とも違う点はございます。そういう理由がありますから、こういう法定機関の設立が必要であろうというふうなことになったかと思いますが、アメリカも実は参加はいたしておりませんけれども、オブザーバーを派遣して、それで事実上はいろいろ各国の実情、討論の内容等について情報をキャッチしているというようなことでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまのお話の中で、この条約ですと、「勧告を決定する」ということが八条にありますね。そうすると、これは拘束力はないものだと考えるわけですけれども、日本の計量法とこれと何か抵触するような場合、矛盾するような場合というものがいままでにあったかなかったか、そしてまた、もしあった場合には、計量法を改正するのか、それともそれほどきびしいものじゃないからそのままにしておいて、そしてこちらの勧告はまあ勧告としてのんでおきます。そういう程度に終わるものかどうか、その点を伺いたい。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 今日までのところは、八つの勧告が出されていると申し上げましたが、その八つにつきまして、わが国の計量法の規定する内容と抵触する点はかなりございます。しかしながら、国際勧告は非常に合理的な内容のものでございまして、その決定には実はわが国の、特に計量研究所のスタッフが非常に大きな役割りを果たしてきているのでございます。合理的なるがゆえにというわけで、先ほども申し上げましたが、計量法令の全面的な改正を今般行なっておりますが、それで今度は、はかり、分銅について、この二つの勧告内容をそのまま採択するというふうなことで、改正の作業が進められておるということでございます。そのほかにつきましては、実は計量法令の内容とそれほど抵触しないわけでございます。わが国の規定する内容とほぼ一致しておるというような点もございますので、一番重要な、はかりと分銅につきましての国際勧告の内容をそのまま採用するということで、いま進められておる次第であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 もう一度念のために伺っておきますけれども、いま日本の計量法と抵触するような国際法定計量委員会の勧告があって、それに対して日本の計量法もある程度改正しようとしているし、それからまたほかの部分は大体において一致している。そういうことは、つまりこの条約によって勧告されたものに対しては、日本の法令も変えるのだ、そういうふうに解釈してよろしいわけですか。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 現在まで出されている八つの勧告につきましては、抵触する部分は一部ある。そして、はかりと分銅につきましては、これはわが国の制度そのもの、現行の計量法の定めそのものが非常に古い、明治この方の制度でございまして、いずれ変えるべき定めにはなっておったわけでございます。そういうことで、わが国も参画して定められた、はかり、分銅の、特に検定誤差という誤差の問題でございますが、それに関するものは、そのまま採用しても差しつかえない。むしろ採用することを前提にわが国も共同作業に参加し、そういう勧告案の採択にも賛成したというのが実情でございます。  今後の問題につきましたは、これはあるいは国際的な国家間の意見の相違というものはございましょうけれども、わが国の制度と違った勧告が採択されるというふうなことで、しかも計量法に取り入れにくいような内容のものであるというふうな場合には、これは格別それを取り入れる義務も何もないわけでございますから、わが国の実情に基づいて、わが国の自主的な判断で、それを採択しないならしないというような方向で進むものと思われます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、勧告はある場合においては相当重んずるけれども、しかし、日本の実情に合わないような勧告である場合には、別に拘束力がないのだから、その勧告に従わなくてもいい、こういうふうに理解してよろしいわけですね。

東現通商産業省重工業局計量課長

○東説明員 そのとおりでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 けっこうです。     —————————————

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 次に、千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。青木正久君。

青木正久自由民主党

○青木委員 ただいま議題となりましたワルソー条約を改正するヘーグ議定書、これはいろいろ規定を整備したり、あるいは明確にしたり、また改善されておりますが、その中心はやはり旅客運送における運送人の責任限度額、つまり飛行機が墜落した場合の乗客に対する補償が、三百万円から倍に引き上げられたという点にあると思います。航空機の事故は、日本の関係は、ことしはまだなくて非常にけっこうなのでありますが、先ほどはイギリスにおいて相次いで二台墜落いたしました。わが国におきましては、昨年羽田空港におけるカナダ太平洋航空の事故、あるいは富士山ろくにおけるBOACの事故、また全日空関係では羽田沖の事故、さらに松山沖における事故という、悲惨な事故が続いておった際、この事故のあとにいわゆる日本人の命というものは外国人に比べて低過ぎるのではないかと、だいぶ世論がわき立ったことがございます。この議定書が国会に回り、批准の段階に来たことはたいへんな前進だと思う次第でございます。したがいまして、批准は大いに歓迎すべきことだとは思いますが、ただ目を世界の航空機の補償ということに向けますと、まだまだいろいろ複雑な事情がございます。未定着の状態だと思います。まだ十分ではないと思うわけでございます。この議定書の批准の段階にあたりまして、これに関連した幾つかの点について、お伺いしたいと思います。  まず第一に、わが国はワルソーの航空運送条約というものを昭和二十八年に批准したのであります。その後、この議題になっておりますヘーグの議定書につきましては、いままで署名だけをいたしまして、現在まで批准をしなかった、約十年間ほうってあったわけでございますが、この十年間ほうっておいた理由についてお伺いしたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 日本は戦後平和条約の規定に基づきましてワルソー条約に加入いたしました。その御指摘のとおり、一九五五年にヘーグでワルソー条約の責任限度額を改正する、今回御提出いたしましたヘーグ議定書が採択されました。当時まだ日本航空といたしましては、やっと企業の運航を開始したばかりでもございましたし、日本におきます一般の事故の場合の損害賠償水準等も当時日本が入ったワルソー条約の限度額でそれほどおかしくない、大体そのくらいの水準であるというふうなこともいろいろ関係いたしまして、直ちにはヘーグ議定書を批准しなくても差しつかえないというふうな判断が主要な原因でございます。しかし、この会議にはもちろん参加いたしました。日本は署名いたしました。その後の状況を見た上で適当な時期に批准するという考えで来たわけであります。

青木正久自由民主党

○青木委員 政務次官の提案理由の説明の中にもそのようなことがございまして、国民所得の上昇と、それから日航が負担にたえ得るということがあげられておりますけれども、国民所得の七昇にいたしましても、あるいは日航のその後の発展ということを考えましても、少なくとも二、三年前にやっておくべきではなかったかというような感じがするわけでございます。と申しますのは、このヘーグ議定書、これを批准しないことによってわが国の航空運送事業に対する威信というものが多少なりともゆらいだのではないか、航空運送事業だけではなくて、日本の国の威信を低めるようなことになったのではないかという気がいたしまして、私といたしましては、若干おそきに失したような感じがするわけでございます。それにしても今回批准の段階になったことは歓迎すべきことと存じます。  次に、このヘーグの議定書につきまして、アメリカとイギリスなどの態度がはっきりしていなかったわけであります。イギリスは最近批准をいたしたそうでございますが、イギリスが批准をおくらした理由についてお伺いしたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 イギリスはこの六月一日から正式にヘーグの議定書の当事国になりました。もちろん御指摘のとおり批准がおくれたわけでございますけれども、おくれた理由につきましては、われわれの想像では、おそらくアメリカと大体同じような考えで、つまり責任の限度額が低過ぎるというふうな考え方からおくれたのではないかというふうに考えております。

青木正久自由民主党

○青木委員 アメリカでございますが、アメリカは現在でもヘーグ条約に加わっておりませんわけで、独自で昨年の春、いわゆるモントリオール協定というものを世界の各航空会社九十七社と協定を結んでおるといいますが、いわゆるモントリオール協定の内容についてお伺いしたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 アメリカはワルソー条約には現在も加入しておりまして、ワルソー条約の当事国であります。ただアメリカはワルソー条約に基づきます損害賠償の責任限度額が約三百万円というのはあまりに低過ぎるという不平、不満から、一昨年十一月にワルソー条約から脱退するというふうな通告をいたしました。これは脱退通告をいたしますと、半年の間で発効いたしまして、完全にワルソー条約から抜けてしまいますので、世界の航空企業に参加しておる各国は非常に憂慮いたしまして、もしアメリカがそのような体制から抜けますと、アメリカを出発し、あるいは到着します国際運送におきまして、事故が起きた場合に、アメリカで裁判になったときは全く青天井になりまして、損害賠償の限度額が定まらない、したがって、運送人が非常に不安定な状況になるというようなことで、国際民間航空機構、それからIATAという名前で知られております国際航空運送協会が中心になりまして、アメリカに乗り入れております各航空企業の間の話し合いによりまして、ワルソー条約の特約といたしまして、損害が起きた場合に、ワルソー条約では過失責任という制度になっておりますのを、絶対責任ということで、過失の有無にかかわらず、航空機の運送責任についての一つの原則、それからもう一つは、責任の限度額を、訴訟費用等を含まない場合は五万八千ドル、訴訟費用を含みます場合には七万五千ドルという限度額を定めました。そういう協定を民間のアメリカに乗り入れております航空企業の間で締結いたしました。これがいわゆるモントリオール・アグリーメントといわれておるものであります。日本の日航ももちろんこれに参加しておりまして、したがいまして、日本からアメリカへ飛ぶというふうな国際運送にあたりまして、万一事故があって、アメリカの裁判所に問題が提起されるというふうな場合には、当然その限度額が適用になるわけでございます。したがいまして、日本航空がそのような事故の当事者になる、つまり国際航空運送人に日航がなった場合にはその適用を受けるという結果になるわけであります。

青木正久自由民主党

○青木委員 結局モントリオール協定によりますと、補償額は二千七百万円、七万五千ドル、今度のヘーグ議定書によっても六百万円だ、たいへんな差があるわけでございまして、日本人の旅行者のことを考えますと、たとえばある日本人がヨーロッパに行く場合、アメリカ経由で行って事故が起こったならば二千七百万円もらえる、しかし南方回りで行った場合には六百万円の責任限度額しかもらえないという、たいへんなアンバランスが出てくるわけであります。アメリカがこうした商い責任限度額をきめたのは、航空政策上の問題があるのかないのか。つまりアメリカを発着し、アメリカを通過する旅客だけに高い補償額を出すというのは、ちょっと考えてみますと、われわれ日本人でも、ヨーロッパに行く場合に、万一のことがあったときを考えますと、アメリカ回りのほうが有利だ、そういう点に関連いたしまして、政策的なものがモントリオール協定にはあるのかないのかということをお伺いしたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 このモントリオール・アグリーメントに対して、アメリカを寄航地とする、あるいはアメリカを出発し、到着する国際運送につきまして、モントリオール・アグリーメントが適用になっておることは、そのとおりでございますけれども、この結果、万一事故があった場合に、必ず七万五千ドル支払われるということではございませんで、国際運送人の責任限度額がそれである、その範囲内でいろいろ示談その他、極端な場合には裁判になるわけでございます。したがって、実際に支払われます損害賠償額が必ずこれに拘束されて、運送人は七万五千ドルまで払わなければならないという趣旨では決してございません。したがいまして、その結果、アメリカ経由でヨーロッパに行く場合と、アメリカ経由でなくてヨーロッパに行く場合に差が生ずるというふうなことはないものというふうに私は考えます。  またもう一つ、アメリカがこのような非常に高額の賠償限度額を定めましたのは、航空政策というふうな問題では必ずしもないと思います。一般に、アメリカにおきます損害賠償の水準がこのような高いところにあるということが主要な理由ではないか。これは必ずしも航空機に限りませんで、自動車事故等の場合におきましても、やはりそういうような一般の水準が高い。これが主要な原因になりまして、こういう高額の額が責任限度額になったものであると思います。なお、モントリオール・アグリーメントが一つの契機になりまして、現在このヘーグ議定書の定める約六百万円という責任限度額につきましても改正の動きがございまして、国際民間航空機関が中心になりまして、現在この研究がなされております。

青木正久自由民主党

○青木委員 いずれにいたしましても、結局航空機事故の場合は四つあるわけでございます。全然これらの協定に加わっていないという場合、それからワルソー条約だけの場合、それからヘーグ議定書の場合、モントリオール協定の場合、ゼロから始まって三百万、六百万、二千七百万、こういう段階があるわけであります。責任の限度額ということばがありまして、そのとおり払われるのではないにいたしましても、かなりの責任限度額の開きがある。ただいまヘーグ議定書の改正の動きがあるというお話ですが、この四つのグループに分かれる現状というものは、必ずしも、人命というものの価値を考える場合に適当でないような気がいたすわけでございます。このヘーグ議定書の改定の動きの実情につきまして、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 ヘーグ議定書の改正の動きの御説明の前に、一つだけ補足して説明さしていただきたいと思いますが、ただいま先生が御指摘になりました四つのカテゴリーの中で、ゼロというお話がございましたけれども、これは航空事故があった際の航空運送人の責任を定めるのがワルソー条約のたてまえでありまして、したがってそういう賠償責任につきまして、各国がばらばらの制度をとりますと、非常に運送人の責任が重くなり、あるいは醜くなる、いろいろそういう不公平を生じますので、これを統一しようというのがワルソー条約の主要なねらいでありまして、したがってゼロと申しますのは、つまり責任の限度額がないということで、運送人にとって非常に不安定な状態だ。ゼロではございませんで、むしろ逆にいいますと、青天井、全くどこまでも伸びるというふうな、運送人にとって不利な状態がゼロであろうかと思います。したがいまして、そういう場合、被害者に、全然何も払われないということではございませんで、むしろ非常に逆なケースが多いのではないかと思います。  なお、ヘーグ議定書の改正の動きにつきましては、昨年ICAO、国際民間航空機関の特別会議というのが開かれまして、その中で二つの問題、一つの問題は責任の制度でございます。現在は、過失責任ということでもって、航空運送人が無過失を立証しない限りは過失が推定されまして、航空運送人の責任になるわけでございますけれども、これをモントリオール・アグリーメントと同じような絶対責任にしようではないかというふうな意見がかなり強いように伺っております。それから責任の限度額につきましては、現在のモントリオール・アグリーメントに定めております。万五千ドルを若干上回るような額も提示されておるというふうに聞いておりますが、これに対しましては、いろいろ反対の意見もございまして、まだやっと第一回の理事会のパネルが開かれたという状況でございますので、現在の段階でもって詳しくお話ができるところまでまだいっておりません。

青木正久自由民主党

○青木委員 モントリオール協定のほうを拡大するという動きはございませんですか。つまり、アメリカを発着、通過だけでなくて、イギリスとかあるいは日本とか、そういった動きはございませんか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 モントリオール・アグリーメントのようなものをなくして、むしろすべてこの国がヘーグ議定書の改正、将来改正されるべきこの国際条約の中の当事国となるというふうなことを考えての改正の動きでございまして、したがって、モントリオール・アグリーメントそのものをさらにまた改正するというふうなことは、現在のところ全然ございません。

青木正久自由民主党

○青木委員 先ほども御説明にございましたけれども、条文中のおことばで、運送人の責任というのがございます。ちょっと読みますと、これだけの金が支払われるような感じがいたすわけでございますが、実際はそうじゃないということでございますが、その点で運送人の責任ということばの御説明をお願いしたいと思います。  それから特にいわゆる見舞い金とか、慰謝料とか、あるいは香典とか、こういった名目で限度額以上に払われている場合がたくさんあるわけでございまして、昨年の全日空の羽田事故でも運送約款による三百万円のほかに、手荷物の補償が十五万円、葬祭料四十万円、見舞い金が百四十五万円、こういう名目が分かれておるのでありますが、この運送人の責任という、責任のことばの意味と、それから見舞い金その他の現状について御説明願いたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 この日航が発行しております旅客の切符でございますけれども、この切符の中に運送約款の抜粋がございまして、その抜粋の中で書いておりますが、「この運送契約に基づく運送は、条約の定める責任に関する規則に従います。ただし、当該運送が条約にいう国際運送でない場合は、この限りではありません」ということでもって、条約に基づく責任ということをはっきり規定の際に明示してございます。そこでこの運送人の責任という第十七条からございます規定では、この条約に基づきます賠償責任の限度額を書いたものでございまして、それ以外の名目で、たとえば見舞い金あるいは香典その他のいろいろな名目で支払いますものは、この条約と法律上は全く関係のない支払いでございまして、全体の額において、たとえばいままで三百万円以上のものが支払われておったという事実がございましても、三百万円までがこのワルソー条約に基づきます賠償責任限度額でございまして、それ以外のものは条約とは関係のない、運送人と当事者との間の話し合いの結果による支払い額でございまして、法律上は関係のないものというふうに考えます。

青木正久自由民主党

○青木委員 それからヘーグ議定書の条文の中で第四十条のAに領域ということばの規定がございますけれども、この中で「対外関係について責任を有するすべての領域」と「責任を有する」というきわめてばく然たる表現があるわけであります。沖縄はこれに含まれるのでしょうか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 このワルソー条約を改正する際に領域ということばを定義いたしまして、「国の本土地域のみでなく、その国が対外関係について責任を有するすべての領域をもいう。」というふうに番いてございます。現行のワルソー条約ではそれを「自国の殖民地、保護領、委任統治地域その他主権若しくは権力の下にある地域の全部若しくは一部又は自国の宗主権の下にあるその他の地域」というふうに非常に詳しくいろいろございましたものを、その後の世界情勢にかんがみまして、そういったもの一切を包括するような意味で、本土地域だけでなく、その国の対外関係について責任を有するすべての領域というふうに規定してございます。これは私ども外務省といたしまして、沖縄は現在の状態ではこのヘーグ議定書によります第四十条のA第二項の領域に該当するものというふうに考えております。

青木正久自由民主党

○青木委員 最後に、これは国際線に関する条約でございますが、この議定書が批准されて発効しますと、当然国内線の事故の場合も考えなければならないと思うわけでございます。結局運送約款を改めるような措置が必要だと思いますけれども、現在飛行距離にいたしましても、日本の場合は国内線が国際線の倍近く走っております。また旅客の増加を見ましても、一九五五年から六五年の十年の間に旅客は十五倍ふえておるという現状でございます。また昨年の事故を見ましても、全日空の羽田事故、これによる旅客百二十五名の遭難者のうち、まだ七件が解決しておりませんし、また松山の事故のほうでは四十五名の遭難者のうち大部分、つまり四十一件が解決していないわけであります。この点に関連いたしまして、ヘーグ議定書の批准と発効、それに伴って国内線に対する指導をどうするか、運輸省の方がおられたら伺いたいと思います。

金丸信自由民主党運輸政務次官

○金丸政府委員 この問題につきましては、国内線の約款についてヘーグ議定書にならうべきだというようなお話があるわけでありますが、この問題は、いま運輸省といたしましても、国内線に適用するということが適当であるかどうかという問題についてはこれは別の問題として、この精神はくむべきであるというような考えのもとに検討をいたしておる次第でございます。

青木正久自由民主党

○青木委員 全日空、日航は別としまして、中小のいわゆる遊覧飛行をやっているような会社ではまだ百万円前後の補償しかきめていないというところがあるそうでございます。これら中小航空会社に対する指導はいかがでございましょうか。

林陽一運輸省航空局参事官

○林説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、中小の会社の中にまだごく少数ではございますけれども、そのようなものもございます。これにつきましては、今後ヘーグ議定書の批准に伴いまして、日航、全日空の国内約款の改正と並行いたしまして、同じ数字になりますかどうかは今後検討を要する問題とは思いますけれども、しかし旅客の利益とそれから航空企業の状態等を勘案しまして、なるべく旅客の利益に沿うような線で指導いたしていきたいと思います。

青木正久自由民主党

○青木委員 もう一点。航空機の事故に対する責任の限度額が引き上げられますと、これは旅客にとってはけっこうなことでありますが、いわゆる航空会社の負担能力、先ほどの御説明によりますと、負掛能力にたえるからこの議定書を批准するのだというお話でございます。その結果、航空機の整備が悪くなったり、あるいはサービスが低下したりするというようなことになるおそれもなきにしもあらずと思うわけでございますが、この点の指導はいかがでございましょうか。

林陽一運輸省航空局参事官

○林説明員 ただいま先生に御指摘いただきましたことは非常に重要なことでございます。ことに直接ヘーグ議定書の批准に伴いまして法律的に影響をこうむります日本航空はもちろんでございますが、全日空あたりもいろいろと内々相談しておるのでございますけれども、直接これによって企業が支払います保険料がふえる額というのは、全体の支出額からいきますと、それほど大きなものではございませんので、運輸省といたしましても、整備・安全の面にいささかとも支障のないように今後とも厳重に注意しつつ、指導といいますか、航空会社と話を進めていきたいと思います。

青木正久自由民主党

○青木委員 国内線に対する補償、これにつきましてやはりヘーグ議定書の精神にのっとって措置されるというお話でございますが、国際線と同じような措置が一日も早くとられますことを願いまして、私の質問を終わります。

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまの青木委員の質問をお聞きしておりまして、アメリカがモントリオール・アグリーメントで二千七百万円を補償の最晦限度額としている。こちらのヘーグの議定書のほうでは今回六百万円に上げたというふうなことで、そうなると、どうしても補償額のいいほうに商売が繁盛するような形になるのではないかという青木委員の御質問に対しまして、高鳥参事官が、これは最南限度額の金額であるから、そこまで払わなくともいいのであって、標準をきめてあるだけだから、そういうことはないだろうと思いますという御答弁でございましたけれども、私はそういうふうには考えられないのです。やっぱり六百万円と二千七百万円といえば相当な違いがあるわけでございまして、この金額で安心だとかなんだとかいうことはないにいたしましても、あまりにその差額が多過ぎるような気がするのでございます。その辺のことをもう一度伺いたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 先ほど私がお答えいたしました趣旨は、法律的に申しまして、責任限度額というのは、裁判所へ問題を提起された場合に、運送人の側から申しまして、この責任限度額まで払えばあとは被害者の請求に応ずる義務がないという意味の額でございます。したがって、裁判所の問題になった場合と、実際にいままでの例で御承知のとおり、示談その他で解決される場合とは、私は若干実際の結果が違うのではないかと思いますが、私が申しましたのは、実際上の解決といたしまして、必ずすべての場合に限度額まで補償されるということではないのではないか、示談等によって航空会社と被害者の間で話し合いの結果片づく額が、すべての場合においてモントリオール・アグリーメントに定められました二千七百万円ということにはならないのではないかという趣旨が私のお答えの意味であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 高島さんの言わんとなさるところはわかるのですけれども、実際問題として二千七百万円というような最高の限度額が出されているときに、ヘーグのほうでは六百万円の補償額ですというような話は通川しないと思います。だから、最局限度額というものの差が非常に違い過ぎるのではないかということを私はたいへん心配いたします。そういう事故が起こらないでほしいということは、だれでも望むことですけれども、万が一起きた場合に、こんなに違うような、たとえば最高限度額にしてもあまりにその金額が違い過ぎるのではないかというふうなことを心配いたしましたので、念のために伺ったわけでございます。  そこで、二点ほどお伺いしたいのですが、ワルソー条約に加盟をしていてヘーグ議定書に加盟しておらない国は、どのくらいございますか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 現在、ワルソー条約に入りましてヘーグ議定書に加盟していない国は三十二でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 十九条で「条約及びこの議定書は、この議定書の当事国間において、単一の文書とみなして解釈するものとし、「千九百五十五年にヘーグで改正されたワルソー条約」と称するものとする。」というふうに書いてありまして、これは単一のものになったと思うのです。そうしますと、ワルソー条約に入っていてヘーグ議定書に入っておらない国は三十二カ国あるということでございますが、もし単一の文書とみなしてしまった場合に、そういう関係はどういうふうになるわけでしょうか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 単一の文書として改正ワルソー条約と称するというのは、ヘーグ議定書をも批准した締約国間においての関係でございまして、それ以外の国との関係におきましては単一の文書とならないというふうに解釈されます。つまり、例を申しますと、日本が今度ヘーグ議定書を承認いたしまして改正ワルソー条約の当事国になります。またイギリスが改正ワルソー条約の当事国になりましたので、近い将来に、日本とイギリスとの関係においては、単一の文書、つまり改正ワルソー条約一本だけが存在するかっこうになりますが、たとえばインドは、現在ワルソー条約にのみ参加しておりまして、ヘーグ議定書にはまだ入っておりません。そうしますと、将来日本がこれに入りました暁には、日本とインドとの関係においては単一の文書はワルソー条約だけがございまして、ヘーグ議定書の関係は何ら適用されないことになる次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 もう一点伺いたいのは二十六条でございますが、二十六条に「自国の軍当局により又は同当局のために保留されている航空機による同当局のための旅客、貨物及び手荷物の運送に適用しないことを宣言することができる。」こういうふうに、軍当局の場合の適用除外を書いているわけでございます。軍当局の関係はここで除外されておりますけれども、便宜的に軍当局が乗ったときにも適用されないのかどうか、この点をまず伺いたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 軍当局の人が航空機にお客さんとして乗るというふうな場合には、これは関係のないことで、当然国際運送といたしまして、ヘーグ議定書ないしワルソー条約が適用される。しかし航空機自体が軍当局のものである場合は、この第二十六条の規定が適用されるということになろうかと思うのであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、軍当局の飛行機に一般の人が便宜上乗った場合にはどうなりますか、適用外ですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 軍当局の航空機につきまして、この第二十六条によって適用しないということを宣言された場合に、そこに一般のお客さんが乗るということになりますと、これはそのお客さんと軍当局との間の契約でございまして、このヘーグ議定書ないしワルソー条約は関係のないものになろうかと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうだろうと思うのですが、それじゃ、こういうふうな例はあまりないかもしれませんが、念のために伺いますと、たとえば自衛隊がチャーターをして、そしてよそへ行って事故を起こしたときには、一体どういうことになるのですか。これは当然適用になるわけですね。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 日本の自衛隊につきまして、現在この二十六条を適用いたしまして、適用を除外するということは考えておりません。したがいまして、この二十六条がそういう場合に動いていくということはないかと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 けっこうです。

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 堂森芳夫君。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 日ソの航空協定で、東京とモスクワ間を航空機が飛んでおるわけでありますが、現在はソ連機をチャーターということが当たるか当たらぬかわかりませんが、ソ連の飛行機が飛んでいるのでありますが、この航空機による事故が不幸にしてあった場合には、どういうふうな補償のしかたをやるようにきめられておるのでありますか、お尋ねしておきたい、こう思います。どこが払うのか、どういうふうな払い方をするのか、お聞きしておきたいと思います。

林陽一運輸省航空局参事官

○林説明員 とりあえず先生の最初の御質問の点について御返事させていただきたいと思います。  ソ連はワルソー条約とヘーグ議定書と両方を批准いたしておりますので、ヘーグ議定書が適用になるわけでございます。しかしながら、アエロフロートと日航との共同運航の便でも、モントリオール協定の適用のございます運送が行なわれることも考えられますので、日ソ交渉の過程におきましてソ連と交渉いたしまして、そのような運送につきましてはモントリオール協定と同じ金額、つまり訴訟費用を含めまして七万五千ドルまでという限度が適用されるような約款にソ連側の運送約款を変えてもらうように話をつけてございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 そういうように変えてもらうような話をしておるということですか。いまはどうなんですか。

林陽一運輸省航空局参事官

○林説明員 現在約款がすでに改正されております。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 これはどうなんですか。東京を出ましてモスクワへ行く間に、私、この協定の内容はよくわからないのですが、たとえばどこまでが日本、日航の責任になり、どこからがソ連の航空会社の責任になるとか、そういう規定じゃないのですか。全部ソ連の責任ということもないだろうと思いますが……。

林陽一運輸省航空局参事官

○林説明員 アエロフロートと日航とで共同で運航するようになっておりまして、保険につきましても、保険会社と保険契約を結びますときからして、両方共同で結んでおります。したがいまして、もし万一不幸にして事故が起きましたときには、両方共同で払うということになるわけであります。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 全航空行程、どこからどこまで全部そうですか。

林陽一運輸省航空局参事官

○林説明員 東京−モスクワ間全部でございます。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」という参考に配られておる文書を読んでおって、私、わからぬ点があるのです。それは第二章運送証券のところの四ページの(2)、下の段です。「(2)旅客切符は、反証がない限り、運送契約の締結及び条件に関し、証明力を有する。」云々とあります。あとのほうはわかるのですが、「反証がない限り、」ということがわからないのです。これはどういう意味ですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 このワルソー条約及びヘーグ議定書におきまして航空運送業の責任が決定されますケースは、最初に述べましたように、国際運送という定義がございます。国際運送では、当事者間の約定によれば、出発地、到達地の未締約国にある航空運送というふうに、そういう規定はあるわけであります。そこで旅客切符が、そういう国際運送であるかどうかを判断する一つの有力な資料になる関係上、旅客切符に書いてございます出発地、寄航地、到達地、これが当覇者間の約定であるかどうかを一応判断されまして、それに特別の反対の証拠がない限りは、そういうことでもって国際逓送であるかどうかを判断した上で、航空運送の責任を追求するということになろうかと思います。したがって、ここで申しております主たる意味は、結局切符の証明力について特別な反証がない限りは、切符だけを見て、それがワルソー条約にいう国際補償であるかあるいはヘーグ議定書にいう国際補償であるかということを判断する有力な第一次的な資料とするということの言い方であります。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 その次のほうに、「運送人の同意の下に旅客が旅客切符の交付を受けないで乗り込んだとき、」というようなことが書いてありますね。あるいは「記載がない」——記載がないのはわかりますが、運送人の同意を得て、切符なしで乗るというのはどういう場合ですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 実際問題といたしまして、国際運送の場合に、こういうケースは、少なくとも日本に関する限りは考えられない次第でございますが、仮定の問題といたしまして、非常に私的な航空企業のような場合に、これは仮定の問題ですから何とも言えませんが、そういうケースがあった場合のことを想定して書いた規定だと思います。日本の場合は、現実にはそういうことは絶対に起こり得ないものだと思います。

堂森芳夫日本社会党

○堂森委員 けっこうでございます。

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  両件を承認すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 御異議なしと認めます。よって、両件は承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる六月十四日午前十時より理事会、理事会散会後に委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午前十一時三十一分散会      ————◇—————

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