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55回国会衆議院1967/05/10

外務委員会 第2号

発言数
59
登壇者
9
会派数
2
開催日
1967/05/10

会議録

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 これより会議を開きます。  理事の補欠選任についておはかりいたします。  去る三月十五日、理事毛利松平君が委員を辞任されましたので、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 御異議なしと認めます。それでは、理事に三原朝雄君を指名いたします。      ————◇—————

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 この際、第三次国際すず協定中の誤植の訂正に関し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。田中政務次官。

田中榮一自由民主党外務政務次官

○田中(榮)政府委員 昨年の第五十一国会で締結について御承認をいただきました第三次国際すず協定のテキストは、同協定の付託国である英国政府が送付してまいりました認証謄本によって作成したものでありますが、その後、その認証謄本の第九条六項で引用している第十四条四項という項は、第十四条九項の誤植であることが判明したので、協定に署名した諸国の了承のもとにそのように訂正する旨、英国政府から通報がありました。この協定は、本年の三月二十一日に所定の発効条件を満たして発効することになりましたので、至急公布する必要があり、この際、さきに提出いたしました協定のテキストを、認証謄本の正誤に従って訂正することにつき御了承を得る次第であります。

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 本件について発言の申し出がありますので、これを許します。戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまの問題を了承しないわけではございませんけれども、この委員会でこの協定は審議をされたのですけれども、そのときに日本の政府は御存じなかったかどらかということが第一点、それから批准をしている国で異議を申し立てた国、違っているということを指摘した国はなかったかどらかということ、この二つをまず伺いたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 お答えいたします。  実は、この誤植につきましては、日本が気がつきまして、日本からイギリス政府に対しまして誤植を指摘したわけでございますけれども、国会での審議中は、この原本自体がイギリス政府が作成したものでございまして、私のほうでかってに誤りであるということを公表するわけにいきませんでした関係上、そのままにしておいた次第でございます。  なお、異議申し立てにつきましては、各国とも異議はなかったという通報に接したので、英国政府が誤植を訂正した次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 もう一点だけ。十四条の四項が十四条九項の誤植であったということですから、これをつなぎ合わせていけば内容がはっきりわかると思うのです。ところが原文のほらが間違っていたからそのまま日本文に訳して、そしてそのままで国会に出してあとから訂正しよう、それで一応批准をしようという形で出されたとなると、私ども何か割り切れないものを感ずるわけなんです。もしそういうことを途中でお気づきになって、そして世界的な慣行として、こういうものを訂正するには理事会をまた開いてこうこうこうしなきゃならない、しかし、手続の問題もいろいろあるから、ここだけはあとからイギリスへ申し入れをするけれども、こらであるがというような説明ぐらいはあって私はしかるべきであったと思うのです。そうでなくて、ほっかぶりをして出されたというのは、私どもが気づかなかった点も非常に不覚ではございましたけれども、非常に割り切れないものを感じますので、今後はそういうことはないとは思いますけれども、もう少し親切に扱っていただきたいということを要望したいと思います。

田中榮一自由民主党外務政務次官

○田中(榮)政府委員 まことにごもっともなお申し出でございまして、実は本件につきましては、誤植というよりも、これを翻訳いたしまして意味の解釈をずっとやっておりまするとどうも意味がおかしい。こういうことで英国政府のほうへ、事務局のほうへ問い合わせをいたしまして、その内容の誤りであることを発見したわけでございまして、別に国会に対して誤植をそのままほっかぶりで通すとかそういうようなことは毛頭ございません。そういうわけでございますので、今後こうしたあやまちのないように十分注意いたしますので、ひとつ今回はぜひ御了承願いたいと思うのであります。

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 それでは、本件については、これを了承することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 御異議なしと認め、本件を了承いたします。      ————◇—————

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 次に、日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件、及び、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の領事条約の締結について承認を求めるの件、以上両件を一括議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。田中政務次官。     —————————————  日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通  商航海条約の締結について承認を求めるの件  日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間  の領事条約の締結について承認を求めるの件   〔本号末尾に掲載〕     —————————————

田中榮一自由民主党外務政務次官

○田中(榮)政府委員 ただいま議題となりました日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国とアルゼンチンとの間には、明治三十一年に署名された修好通商航海条約が戦後復活されておりますが、同条約には国際通貨基金協定やガットとの関連規定が欠けているのみならず、戦後の両国間の通商関係の拡大発展に伴い諸般の待遇保障の改善充実をはかる必要があると認められましたので、新通商航海条約の締結について昭和三十六年に主として東京において交渉を行ない、同年十二月にフロンディシ・アルゼンチン大統領が訪日した際に条約案文につき両政府間で最終的合意に達したので、同年十二月二十日に小坂外務大臣とカルカノ・アルゼンチン外務大臣との間で、本件条約及び議定書の署名調印が行なわれた次第であります。  この条約は、待遇保障の拡充を目的として、滞在、居住、身体の保護、財産の公用収用、裁判権及び課税の各事項については内国民待遇及び最恵国待遇を規定し、また、入国、事業活動及び自由職業の遂行、関税、為替管理については最恵国待遇を、さらに海運については最恵国待遇及び一部事項に関する内国民待遇を規定しております。このように本条約は現行の修好通商航海条約に比べて内国民待遇を広範囲に拡大したほか、IMF及びガットとの関係を明記し、さらに商事仲裁、技術交流等についても新しく規定を設けております。この条約の締結により、わが国とアルゼンチンとの間の友好、通商及び海運関係は、さらに、一そう安定した基礎の上に置かれるものと期待されます。  なお、この条約は、昭和三十七年の第四十通常国会に提出されましたが、同年三月末にアルゼンチンにクーデターが起こって議会が解散になり、アルゼンチン側の批准の見通しが全く立たなくなったので、わがほうの審議も中止され、そのまま審議未了となりました。その後わがほうは、機会あるごとにアルゼンチン側にこの条約の早期批准を要請していましたが、昨年春の先方の外務大臣の訪日及び昨年秋の椎名外務大臣のアルゼンチン訪問を機として、アルゼンチン側においてもようやくその早期発効につき熱意を示すに至りましたので、政府としても本国会において御承認をいただいた上この条約を発効させることといたしたい所存であります。  よって、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  次に、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の領事条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、ソビエト連邦との間の領事の分野における関係を規定するための領事条約の締結につき昭和四十年七月以来同国政府との間で交渉を行ないました結果、最終的合意に達し、昭和四十一年七月二十九日に東京において椎名外務大臣と訪日中のグロムイコ外務大臣との間でこの条約に署名を行なった次第であります。  この条約は、本文四十三ヵ条からなり、これに条約と不可分の議定書が付属し、また、議定書に関連する交換公文があります。その内容は、すでに発効している日米間及び日英間の領事条約とほぼ同様のものであり、領事館の設置、領事の任命手続等のほか、派遣国が接受国において領事館について享有する特権免除、派遣国の領事や領事館職員が接受国において享有ずる特権免除について規定し、また、国民の保護、船舶、遺産等に関する領事の職務の内容について規定しております。なお、交換公文におきましては、日ソ両国間の特殊な問題としまして、北太平洋において領海侵犯を理由としてソビエト連邦当局により逮捕拘禁される日本国民に関して、その保護のための領事の職務、権能について特別の規定を定めております。  わが国とソビエト連邦との間の経済的、文化的及び人的な交流は近年ますます盛んになっており、近く両国間で相互に領事館を設置することも予定されておりますが、ソビエト連邦はその国内体制においてわが国と異なる点が多いので、この条約の締結により領事の職務や特権について両国間で具体的に取りきめておくことによって、わが国の領事の地位及び活動に条約上の保障が与えられることとなることは、きわめて有意義なことと考える次第であります。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につきまして、何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 以上で、両件に対する提案理由の説明は終わりました。  ただいま説明を聴取いたしました条約に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。永田亮一君。

永田亮一自由民主党

○永田委員 きょうは質問の時間をえらく制限されておりますので、あまりゆっくり質問ができないのが残念でありますが、大臣に対して最初に核拡散防止条約の問題、それから北鮮の帰還の問題について少しお尋ねをしたいと思います。  三木さんが外務大臣になられてからまだ日が浅いわけでありますが、最近の三木さんの外交が、非常に積極的にやる気十分でやっておられるということに、私は非常に敬意を表しておるものであります。戦後の日本の外交というものはなかったとよく悪口を言われておるのでありますが、最近の、特に三木外務大臣になられてから、実に積極的に外交を展開されておられる。私は、この戦後の外交の中でも特に核拡散防止条約についての大臣の態度について、まことにわが意を得たりという気がいたしておるのでありますが、なお二、三具体的なことをお尋ねしたいと思うわけであります。  まず、つい最近来られたフォスター氏の問題でありますが、こういう人を日本に呼びつけたということも、日本外交としては一つの大きな成功であったと思うのであります。その会談の内容につきまして、新聞などでは大体のことは出ておりますけれども、きょうは大臣のお口から、どういう話し合いをされたのか、その点をまずお聞きしたいと思うわけです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 フォスター長官は中心になってこの核拡散防止条約を推進されておるわけですから、現在この条約の反応が世界各国でどうなっておるかということを一番知っておるわけでありますから、その話、どういう状態かという話を聞いたわけであります。各国の事情についていろいろ報告を受けたわけですが、私からは、日本の立場というものを従来いろいろな外交機関あるいは特使を通じて伝えてはおりますが、さらに最高の責任者であるフォスター長官に、じかに私の説明を加えて日本の立場を説明しておいたほうが、公正な条約の成立に役立つと思って述べたわけでございます。  一つは、やはり軍縮というものについて、これは単に核兵器の保有国が次々にふえていくのを防ぐというだけでは不十分ではないか、やはり核兵器を持っておる国も——これは一ぺんにはなかなかできません。これはやはり軍事の世界のバランスという問題もありますから、ことに中共などもこれに入ってこないだろうと見られているわけでありますから、一ぺんに全面的な軍縮ということはできないにしても、核戦備の競争をやめるとか、地下爆発をやめるとか、あるいは核分裂物質の生産を削減するとか、あるいはまた一般の普通の軍備ともにらみ合わせながら全面軍縮に向かっていくとか、とにかく段階的に軍縮をやるのだという誠実な意図がこの条約の中に表明されなければ、いかにも核保有国が自分の持っておる優位性を固定化そうという誤解を与えることはよくないではないかという点で、これが第一点であります。  第二点は、この安全保障の問題というものは、各国とも非常な、国として第一番の課題ですから、この安全保障という問題については、この条約の中に安全保障の問題を取り扱うということは適当ではないだろうと私は思う。これはなぜかといえば、核の拡散を防止しようをいうところに集団安全保障のような形態のそういうものを入れるということは、これは不可能だと思います。しかし、何らかの意思表示が——核保有国において、この核兵器による脅威を与えない、またそういう攻撃を受けたような場合には援助するのだという、そういう何らかの——国際連合も一つの場でしょうが、そういう決議というようなものがあって、非核保有国に対する安全保障の不安を解消することが、多数の国々がこの条約に参加される一つの道を開くゆえんである。これに対して十分な配慮がなければならないという点が第二点であります。  第三点としては、平和利用については、日本のような、原子科学といいますか、原子科学の発展、あるいはまた原子力産業のある程度の発展過程を経ておる国として、この平和利用というものがこの条約に加盟することによって非常な制約を受けたり束縛を受けたりということでは国民は承服できないのだ。これはもう核兵器に関するものであって、平和利用に関係をする問題については条約による制限というものはないものでなくては困る。それがこの条約の中に十分保障されなくてはいけない。この平和利用に対する保障が第三点。  それから第四点は、改正とか再審査という手続の問題について、世の中はやはり非常な勢いで科学技術が進歩しておるのですから、どういう状態になってくるか、核の将来というものは未知数なものをたくさん持っておる。だからこの条約がその時勢の科学技術の進歩にマッチしないようなことになれば、改正しなければならぬですから、その改正の機会というものを持たなければならぬし、その改正をするためにもある年限ごと——日本は五年がいいと考えておるのですが、あまり二年、三年というものは短い、まあ五年ごとにはこれを再審査して、そしてこの条約が誠実に履行されておるかどらかも検討するし、あるいはまたこの時代の進運に合わないときには改正もしなければならないし、そういうような再審査の機会を持たなければならないし、そういう点の手続問題に対する意見を述べたのでございます。ところが、これはまだ米ソの草案というものはでき上がってないわけです。私と会って直ちにその晩ジュネーブに帰ったわけですから、これから米ソ間にこういうわれわれの意向も反映しながら米ソ間の交渉を始めて、そして十八日ですか、軍縮委員会の再開までに何とか草案をまとめようというのでありますから、私の言ったことに対してみなコミットをしたことはないのです。しかし十分に耳を傾けて、日本の意向というものができるだけ反映できるような努力はしてくれることを私は信じておるものであります。これがフォスター長官との話の内容をなすものでございます。

永田亮一自由民主党

○永田委員 よくわかりました。核を持っておらない日本などを含めて非保有国の立場というものは大体共通をしておると思うのでありますが、それでもやはり国によってはそれぞれ主張をする重点の置き方が多少ずつ違うのじゃないかと思うのです。いまおっしゃったような安全保障のような問題はどこの国にも共通しておるはずでありますけれども、日本のように核のかさを借りておるところと、あるいはインドとかスウェーデンなんかのように非同盟の国とはまたその安全保障に対する要求の度合いが違うのではないかと思う。日本の立場からいいますと、いまおっしゃった中で、特に平和利用ということについてドイツあるいはイタリアなんかとともに工業の先進国の一つとして特に不公平があってはならぬということを主張されるのがいいのじゃないかと思うのです。  ただ、ここでいま査察の問題にあまりお触れにならなかったようでありますが、この査察の点で日本はいま東海村の原子力の問題は国際原子力機関で査察を受けておるわけです。ところが、ドイツなどの主張しておるのは、ユーラトムの二本立てでやってくれということを強く要求しておるということが出ておりますが、私は条約の他の問題についてはドイツと共同の歩調をとっていくということが日本としていいのじゃないかと思うのです。ただ、この査察の問題が、ドイツは国際原子力機構の査察はきついからいやだ、ユーラトムの二本立てでやれということをいっておるのですが、日本はすでにもう国際原子力機構の査察を受けることを承諾して、現に査察を受けておるわけなんですから、この点がどういうかね合いで日本の外交を進めていったらいいのか、ドイツともし差別をつけられるのでしたら、二本立てになるというようなことがあれば、これは核の非保有国の中に差別がまたできるわけなんです。核を持っている国と持っておらぬ国との間の不平等条約だといってわれわれは憤慨をしておるわけなんですが、非保有国の中でもそういう問題が起きないように、日本が不利にならぬように進めていただきたいと思うのですけれども、この査察の問題についてどういうお考えを持っておられるか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 日本は国際原子力機構の査察を受け入れて公開しているわけですね。この点では日本が原子力の平和利用に対しては一番開放的であるわけです。ところが、欧州では、ドイツに限らずイタリアでもやはりユーラトムというものの査察でないと産業スパイをされるのではないかというような疑念が出て、最後まで草案の作成には非常に米ソ間でも話し合いをする場合の難関の一つに私はなると思う。まだこれはどういうふうに結論がなるか、いまちょっと予測はできぬと思いますが、日本の立場は、やはり日本はもらすでに査察は受けているのですから、国際原子力機構による査察を、核兵器を持っておる国も一緒に平和利用は受けたらいいではないか。平和利用に関する限りは核保有国も非保有国もみなやはり一様な国際原子力機構による国際保障のもとに平和利用というものを進めたらいいではないかという主張をしておるわけです。これもなかなかむずかしい問題だ。これはみな保有国全体が足並みをなかなかそろえにくい問題で、どのように最終的にはなるかどうかということはいま予測はできませんが、こういう問題は、確かに今後の米ソの折衝においても、あるいは十八ヵ国の軍縮委員会が開かれても、やはりあとに引いて論議を呼ぶ問題であろうと思うのでございます。日本の立場はいま申し上げたようなことで主張をいたしておるということでございます。

永田亮一自由民主党

○永田委員 核保有国も査察を受けるべきだ、これは大いに同感であります。大いにやっていただきたい。ところがこういう意見をいう場を通じてやるのか。フォスター氏を通じて大いに日本の意向を反映させるということも現実には非常にいいやり方だと思う。ところが軍縮委員会にはまだ日本は入ってないわけですね。それで将来日本の主張をいろいろ述べるためには、どうしても十八ヵ国だけの軍縮委員会ではなくて、日本も中に入っていった軍縮委員会になるのがいいと思うのです。日本が軍縮委員会の中に入るための努力というものを何かなさるおつもりがあるか。西ドイツはいまオブザーバーで入っておるわけですが、西ドイツとは共同歩調でいいと思うのですが、軍縮委員会の内部に入って日本の意向を十分に反映させる、そういう努力をやっていただきたいと思うわけであります。いかがですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 永田さん御指摘のように、入ってないのですから、フォスター氏に来てもらったりソ連の大使に外務省に来てもらったり、あるいは外交機関を通じて各国に意向を伝えたり、直接に十八ヵ国軍縮委員会に入っておれば日本の軍縮問題ことに核拡散防止条約ができたような場合にはその場でいろいろ日本が意見を述べられるのですから、まことに不便だなということを私も感じまして、フォスター長官にもそれを強く希望いたしました。ソ連に対しても、大使を呼んだときに、何かトロイカ方式などいろいろなことを言わないで、日本というものはことに核兵器の問題については発言権を持っておるではないか、そういうことで加入を支持してもらいたいということを申し述べたわけでありますが、これはなかなかすぐには実現をするというふうにも見られませんが、今後私は努力を重ねていきたい、あの中に入りたいと思っておる。入ってその場でいろいろと今後の軍縮問題に貢献をしていきたい、こう考えております。

永田亮一自由民主党

○永田委員 質問の時間を非常に制限されておりますので、核の問題をもう一つだけ……。  この核の問題を論議する前に、超党派で党首会談なんかを開かれてお話をされたわけですが、これからあとこの軍縮委員会が開かれてどういう草案が出るかわかりませんが、それに対して政府が態度をきめていくという場合に、さらに野党との党首会談を開かれるおつもりかどうかということを伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 永田さん御承知のように、外交政策に与野党の非常な開きがあって、外交問題というものがなかなか超党派的に扱いにくいことは、日本の政党政治のために不幸なことだと私は思っております。しかし、現実はこうですから、ただ意見が全部一致しなくてもいいわけで、またしない問題もあっていいわけですけれども、しかしお互いに立場を理解し合って、意見の違いは違いであっても、与野党がその立場を知り合うということは大事である。そういう意味において、今後も問題があれば与野党で話し合いをしていいではないか。ことに核拡散防止条約については、核兵器がだんだんと拡散していくということには反対である。これはもう社会党も民社党も公明党も全部それは反対である。しかしいろいろ条件はあるぞという条件の違いだけでありますから、この問題では超党派で話し合って、そしてできるだけ日本の国民多数の合意が成立するように努力をすることは非常に私はいいと思いまして、何も超党派外交という旗を立ててやろうという意思はない。そこまで日本はまだ来てないのですが、しかし問題があればそれはもう野党の諸君といろいろ話し合っていいではないか、これはみんな敵国人でないのですから話し合って、そしていろいろ与野党の考え方というものを、違いは違いとしてできるだけ理解し合うということが大事じゃないか、今後もやるつもりでございます。

永田亮一自由民主党

○永田委員 よくわかりました。核の問題についていろいろ伺いたいのですが、時間がありませんからまた別の機会にゆっくり伺いたいと思います。  次は、北鮮帰還の問題でありますが、北鮮帰還の協定が四月二十一日でしたか、閣議報告で終了ということになったようでありますが、そういうふうになるまで、どうして決定したかというような理由についてちょっと御説明をいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 御承知のように、この協定ができて八年になるわけですね。八万人ぐらい北鮮に帰ってだんだんと少なくなってきておったことは事実であります。そこで協定の目的はだいぶ達成された。そこで去年の八月にもう一回延長して——もう一回延長というのは今年の十一月まで延長して、いろいろな事情はあるだろうけれども、帰る希望のある人はどうぞ十一月までに帰ってくれ、そういうことで閣議の決定を行なったわけでございます。しかし、その十一月が過ぎましても、こういう協定による北鮮の帰還ということはなくなりますが、やはり帰りたいという人には普通の手続でお帰り願うということは何も阻害するものではないのですが、協定もいつまでも協定という——一応この辺でひとつきまりをつけようということが閣議決定になった理由でございます。

永田亮一自由民主党

○永田委員 この協定が終わったことに伴って、政府あるいは日赤のほうでどういう措置をとっておるかということを伺いたいわけであります。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 現在、大臣が申されましたとおり、十一月で協定が終わるわけでございますが、八月までに帰還希望者は申請してもらいまして、それによりまして十一月までに帰還希望者を帰す、そういう手配にしております。日赤のほうにおきましても、そういう周知徹底の手段をとっております。

永田亮一自由民主党

○永田委員 よく世間では、こういう協定が終わったあとで、北鮮の帰還希望者を封じ込めてしまうのじゃないかということを心配しておる人があるようでありますが、どういう方法で帰還させるようになるのか、便宜供与の内容ということを説明していただきたいと思います。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 ただいま御指摘の点は、全くの誤解でございまして、先ほど大臣が申されましたとおり、協定による船はなくなるわけでございますけれども、その後さらに残っておりまして帰りたい方には、通常の外国人が帰国する場合の出国手続によって帰れるわけでございます。出国証明書その他の発給は法務省あるいは特に生活援護の対象になるようなものにつきましては援護の処置を講ずる、そういうことでございますので、協定がなくなっても帰れる道が封じられるということではないわけでございます。

永田亮一自由民主党

○永田委員 この協定が終わったあとの配船計画といいますか、運輸省の方がおられますかどうか——まだ帰りたいという希望者がたくさん残っておるというようなことになった場合には、どういうようにされる御計画か、伺いたいと思うのであります。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 ただいま御説明いたしましたように、最終の船は十一月に出るわけでございますので、その帰還船によって——帰還船が便宜であるということで便宜な方法によって帰りたい方はなるべく十一月までにお帰りになることが便宜であると考えます。  その後の帰国のルートでございますが、現在北鮮との間に貿易上の若干の船が就航しております。収容人員は多くないわけでございますけれども、個々に帰られるときにはこれらの船によって帰ることもできるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、便利な方法で帰る方はなるべく十一月までに帰還船で帰っていただきたい、こういうふうに考えておる次第であります。

永田亮一自由民主党

○永田委員 いま私が質問したのは、帰還協定の有効期間中にたまっている申請者が帰れないというような場合が、もしたくさんたまっていてできたら、そういう配船計画はできるかということを言ったのです。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 帰還者の数は、先ほど申しましたように、八月で確定いたします。したがいまして、その段階におきまして十一月までの帰還希望者の数がわかりますので、それが非常に多数であります場合には、あるいは配船の増加その他を日本赤十字と北鮮赤十字と話し合うことができると思います。

永田亮一自由民主党

○永田委員 その協定後において、たとえばソ連なんかの船を利用するというような関係はどうなっておりますか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 ソ連の船がナホトカに来ております。もしこれが北鮮に寄るというようなことになりますれば、通常の帰国者にとっては非常に便利でありますので、その可能性について打診しておりますけれども、現在のところまだ可能であるかどうかということは判明しておりません。日本赤十字社においても同様の趣旨を北鮮の赤十字に連絡しているところでございます。

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 帆足計君。

帆足計日本社会党

○帆足委員 あと三十分くらいの見当ですが、第一に外務大臣にお伺いしたいと思いますのは、一体外務委員会というものは、ことによっては、党派を越えてほとんど一致する問題も案外に多いのです。国内の問題でもたくさんあります。病気をなおす問題などは全く同じです。歩道橋をつくる問題なども交通地獄の対策も同じでしょう。こうしてほとんど外務委員会では同僚議員が同じ意見を持っておられて、政府も局長も次官も責任を持ってお答えになって、そのお答えが速記録に載っておる。これは尊重されるべきものである。外務委員会の論議というものは茶番劇であるかどうか、大臣は始終おかわりになる、事務次官は議会に出ないから責任を感じない、そのエアポケットに乗じて茶番劇が行なわれているのが、この外務委員会であるということをある役人から聞いたのですけれども、大臣はそのようにお考えですか。それともここで約束したことは非常に厳粛な事実として尊重されているでしょうか。当然尊重されねばならぬと思いますが。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これは申すまでもなく国の最高の機関、国会であります。国会の意思は尊重されなければならない、これは当然だと思います。

帆足計日本社会党

○帆足委員 実はまことに遺憾ですが、速記録に書かれてほんの一、二週間もたたないうちにその速記録が全部くつがえされてしまったという問題とこの帰国問題は連関があります。私は単に社会党の立場ではなくて、国会の権威とそれから論理を通すために、保守政党もまた合理的であり、野党も合理的であるならば、それぞれ国に稗益するところが大きいと思うのです。保守政党の支配の国でもりっぱな国になっている国もたくさんありますし、急進主義でも合理的でなくて失敗して、逆に国民に迷惑をかけたという歴史を見ることも少なくないと思います。そういう見地からお尋ねいたしますが、ただいま帰国打ち切りの理由としてあげられていましたのは、帰国者の数が減ってきた、激減してきた、こういうことです。  そこで私がお尋ねしたいのは、帰国者の数は一体今後どのくらい予想されるかということと、それから、結局その数が相当の数であった場合に、航路をどうするか。これは定期航路があれば何も問題はありません。しかし、国交もなく、互いに定期航路を交換する規定もありませんから、現在でも政府協定ではなくて赤十字間のこれは民間協定で人道の仕事として行なわれているわけです。そこで、時間がありませんから問題をはしょってお尋ねし、また政府側のほうに重大なミステークがあったならば改むるにやぶさかでない態度をとっていただきたい、それは国民のためですから。  第一に、この協定の中には帰国事業がまだ完了しないときは、協定のまままだ続けるか、修正して続けるか、それは両赤十字が相談してきめよう、こういうことに文章がなっております。まことにもっともなことだと思うのです。帰国事業が完了したという意味は、帰国者がほとんどなくなったということです。普通一ヵ月に二人か三人とか四、五人ぐらいになったということでしょう。しかし、一ヵ月にかりに五十人、百人あるとしたならば、従来の例では冬と夏は減りまして、春と秋はふえます。不景気のときはふえまして、景気がいいと日本はいい国ですから、日本にいたいというのが人情でしょう。また子供が大学に入るとき、三月には非常にふえまして、そして夏には一応ちょっと減ります。これらのことは、おおむね帰国六ヵ月前に大体いろいろ家庭の事情があって考えも変わったりして、紆余曲折を経てそれできまるわけでございます。背後に五十八万人の朝鮮人が比較的苦しい生活をしておりますから、帰国の流れというものは、谷川の水の流れのようにあるいは細りあるいはふえ、こうして流れていくわけです。正常な航路があれば問題はありません。したがいまして、政府当局としては、特に入管当局としては帰国者の数が現在どのくらいあって、その後、年に何人ぐらい帰国すると大体社会学的に予想されておられるでしょうか。専門家ならば大体の見当はつくものです。私のほうでも下調査はいたしております。援護局は良心的ですから、むしろこれを直接所管して、その頭脳もないくせにかってなことをおやりになっている入管の一部の方に聞きたいと思います。

実本博次厚生省援護局長

○実本政府委員 援護局として………   〔帆足委員「中川さんのほうに一応伺っておきたいと思います」と呼ぶ〕

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 帆足君、正式な発言を願います。

帆足計日本社会党

○帆足委員 中川さんが決して悪いわけじゃありません。しかし中川さんの意見を一応聞いて——しかし、厚生省が資料をお持ちならば、厚生省から伺いましょう。

実本博次厚生省援護局長

○実本政府委員 日赤の窓口であります市町村の分布に四十二年の三月末現在で出てまいっております帰還申請者の数でございますが、これが四千二百十三人ということになっておるわけでございます。これは大体三ヵ月間。三ヵ月間でこれだけの申請が出てまいります。そうして、そのうちもう希望時期が明らかになっておる、帰る日にちが、申請を審査いたしまして、そうしてはっきりといつ幾日に帰るというふうにきまっておられる方が千六十二人、それから希望の時期を調査するというものが二千四百七十人、あとの六百八十一人につきましては、まだ病気とかあるいはいろいろな都合が起きまして、審査をしているというのがあります。その合計が四千二百十三人というふうになっております。大体昨年一年間の状態を見ますと、この程度、三ヵ月、三ヵ月で申請者の数が出てまいっておりまして、そのうち実際に帰還される方というのが約一割というふうな実績でまいっております。ですから、今後そういった経過をたどっていくのではないだろうかというふうに考えられますので、一ヵ月当たりに今後帰還されるだろうと思われるのは、約百五、六十人から百人程度の方々が実際に帰られるのではないか、こういうふうな見通しを持っておるわけであります。

帆足計日本社会党

○帆足委員 まことに良心的な控え目な数字ですが、良心的なお答えで敬意を表する次第です。  実は私がなぜさっき入国管理局の一部の調査がまずいと言うたかといいますと、委員長も御承知のとおり、これが始まりまして、藤山さん、そのときに、三千人か三万人帰れば精一ぱいだろう、五万人もこえたらひとつおまえに勲章をやろう、こういう笑い話が出た。ところが政府の統計と違って八万五千人をこえております。大体従来の例からいいますと、年に千人ないし二千人、少なくなると千人ぐらいに減りますが、しかし、皆さんが二十年後の隠棲の地をどこにするかということがきまらないように、朝鮮の諸君も隠棲の地を南朝鮮にしようか北朝鮮にしようか、きめかねているというのが大部分の状況でありまして、不景気になったり、子供が大きくなったりしたような事情から、大体一年前にぼつぼつあらわれてくるのでございます。これが長い間住みついた、そして長い間の植民地政策のあとの雪解けの現象でございます。私が先ほど谷川の水が流れるようにと申したのはそれでございます。かりに、月に八十人ないし百人でありましても、それでは第二に帰る便があるか。先ほどナホトカ船及び貨物船ということがありました。いま外務省の人がナホトカ船を論じられたということは世にもふしぎなことで、私は日ソ協会の専務理事をやっておりますから、これはよく存じておりますが、ツーリストの船と引き揚げ船とは全く本質が違いまして、引き揚げ船の中で赤ちゃんの生まれた例もあります。高血圧の患者も、病気の重症患者のおることもあります。そういう特殊な、しかも家族を連れて、たくさんの荷物を持った人を、それを普通のツーリストの船に収容することは困難でございます。ソ連側は全然そういう意思はないし、そういう政治的なことに使われたくないということを公然と申しております。私は何回も聞いておりますから、そのこともお伝えしておきます。  そこで私は、船賃があればそれでいいと思うのです。運賃のごときは百万長者にまで一様にやる必要はないのです。必要な方に、過去の植民地政策のあと始末として生活保護法で出してやる。これに準ずることで解決はつくでしょう。あとは宿屋の問題がありますが、これは小さな問題であります。多少重要ですが、事務的な問題でしょう。そうすると、帰えることをきめて店をたたんだ朝鮮の人が月に百人いたとしましても、貨物船をつかまえることは容易なことではありませんし、貨物船は大部分そういう引き揚げ家族を乗せたがりません。私はいままで幾たびか交渉しまして、特別な貿易会社の常務とか社長を乗せてもらった例はありますけれども、ほとんどそういうことはできません。食べ物も違いますし、船のお医者さんもいない、十分な設備もないというときに、毎月毎月、あるときは五十人、あるときは八十人、あるときは百人、あるときは二百人になることもあります。そういうところに収容することが不可能なことは、善意の常識ある人ならだれしもわかることであります。したがいまして、道がないのに対策を講ぜずに打ち切りを声明したということは、少なくとも大臣がおかわりになって何も知らないうちに、どこかの白ネズミがやったとしか思われないのであります。(「仁木弾正だ」と呼ぶ者あり)ほんとに仁木弾正のようなのが陰におるわけです。これはいいことではありません。恥ずかしいことです。日本のためによくありません。ひとつ大いに反省していただきたいと思います。  そこで、大臣をだまくらかして貿易船とか、それから局長もだまくらかしてナホトカ船とか、こういうことをこの外務委員会の席で申されるのはよくない。と申しますのは、すでにこの外務委員会の速記で、治安上の問題については公安調査庁から詳しい説明がありまして、「当初多少のいざこざがあったけれども、現在新潟港で、私も観察いたしましたが、かつてのような不安な状況はなくて、それが理由で帰還打ち切りをすべしというような基本的な問題は何一つありません。」その他詳しくここに述べられております。それから第二に、正示外務次官並びに椎名外務大臣から「この人道の仕事を基本的に打ち切るという意志は全然ありません。」ということを詳しく述べまして、そしてさらに正示次官が大臣のことばをふえんして「少なくとも帰国問題につきましては、帰国協力会並びに帆足委員その他なくなられた岩本委員等にたいへんに御尽力をいただきました。政府としても感謝しております。先ほど外務大臣もこの問題についてははっきりと言明をいたしましたように、私たちは部内一致いたしまして、将来ともこの人道の仕事を大切な事業として円滑に進めるように十分配慮してまいりたい、かように考えておることを繰り返しここで申し上げる次第でございます。」これに対して「帆足委員 ただいまの外務次官の御答弁はすばらしく満足でございました。」その舌の根のかわかないわずか一週間日に、この白ネズミども、いわゆる仁木弾正が、大臣がたびたびかわり、政府が知らないということに乗じて、こういうことが行なわれました。しかし常識論でいえば、人も少なくなった、まあ貿易船ぐらいで帰ればよかろう、その前には、香港経由と言っていたのです。私に、これ以上香港と言えば口をひねるぞと言われると、香港のことはもう言わなくなりました。すると、ナホトカと言いたしました。ナホトカ航路を地図で知っている人がいるかと言いますと、互いに見合わす顔と顔、だれも知らないのです。そういうような航路はない。それから……(発言する者あり)これは同僚諸君はみな超党派の問題ですから、私はそういう立場から皆さんと一緒に政府に苦言を……。  それで、結局船も航路もないんです。特別の貿易船に五十人も乗ぜる腕前があったら、どうぞ乗せてみてください。帰国を目ざして、退職して店をたたむ、どこの船に乗ればいいかわからぬのに、どうして退職願いを出し、店をたたむことができるでしょうか。店をたたむには少なくとも半年前から準備しなければならぬ。ときには奥さんと亭主の意見の違いもありましょう。親子の意見の違いもありましょう。それをやっと取りまとめて、ふるさとに帰ろうということになると、これはあたかも大臣諸公が、やがて功成り名遂げて、代議士をおやめになって、ふるさとをどこに選ぼうかというその心境と同じだと思うのです。それはたしかに早くきまりをつければよいでしょう。しかし、娘が長崎にとついでいるから長崎に行こうとか、あるいは東京の郊外にいようか、鎌倉に移ろうか、こういうふうにいろいろ考え抜いた末にきまる。したがいまして、帰国は、一部で誤解するように、人的資源を送るというようなことでなく、案外お年寄りとか、よぼよぼのおじいさんとか、病人とか、また子供たちなど、実に種々雑多です。よくぞ私は朝鮮側がこんなに大切に引き取っておると一面感心するような風景にさえ接します。これらのことは、もう、厚生省の諸君のみなよく御承知のとおりでございます。(「何を言いたいのか」と呼ぶ者あり)——時間が過ぎましたか。結局私が何を言いたいかといえば、政府のほうが、一部の仁木弾正によって、錯覚を起こさせられて、間違った閣議決定をしてしまった。しかし、閣議決定を修正した例はこれまでもたびたびありますし、それから運営上直す方法もあります。政府は現在の協定を政府協定とお考えでしょうか。幸いに現在も民間協定なのです。そうして問題があったら赤十字間でなごやかに相談して、そうして協定書にあるように、修正するなりいまのままにするなり相談してきめればよいのです。政府は、長い間世話になった国際赤十字を、利用するだけ八年間も利用して、そうして「あの小鳥でさえも巣は恋し」と歌った民謡の国スイスからはるばる日本を訪ねて、八年も男やもめの生活をした赤十字の代表たちを、一言のお礼のあいさつもなく追い返すのですか。あとはまた混乱で、このままの状態では、えんえん長蛇の列をなして国会の付近に請願に来ておるではありませんか。これは国に帰りたくて、心配している人たちが大部分です。それらの人たちの間に、けが人が出たり、日射病になって倒れたりする人が出たりすることは、人道上からも好ましくないことです。現在の帰国協定のやり方は、藤山さんの志をわれわれが継承して、新潟のお別れのスローガンは、「朝鮮の友よ、お元気で」こういうスローガンで、あたたかい心で送っているのです。私は、植民地であった朝鮮の人たちを、「石をもて追わるるごとく」と、そういうことばで送りたくないのです。それで、政府も、赤十字を活用して、経費も幾ばくもかかってはおりません。政府当局の連絡委員会の中で、ナホトカ航路までも日本側が出す、または帰国船まで世話しているのは、ばからしいと失言した人がおるということも漏れ聞きましたが、帰国船の費用は全部朝鮮側が出して、日本で出しているのは、わずかばかりの三油の赤十字の簡易センターの費用と鉄道の汽車賃を出しているだけです。その方々の一部の生活保護法は打ち切りになりまして、財政的には何億という余裕さえできている。もちろんこれは人道の問題であって、金銭ずくの問題ではありません。しかし、実際は何億というプラスになっているということは、財政担当の大蔵省が職務上何とか言われるなら、事実としてお含み願います。そうして、朝鮮の人が、ふるさとに、その祖国に帰れる希望が出ましてからは、自重自戒いたしまして、植民地であったころの犯罪などはいまほとんどなくなっております。おそらくそれさえ何分の一かに減ってしまっております。新潟県の県警察は、これを取りやめたならば、かえって心配だ。このまま続いたほうが治安上も非常にいいんだがということを、新潟県の県警察はたびたび私にそういうことを漏らしております。  こういう事情でありますが、そもそもこの取りまとめ役は一体どこの省でしょうか。私がこれだけ言ったら、お互いにインテリ同士ですから、話がわからぬはずはないでしょう。三木さんにどうぞ取りまとめていただいて、そうして内閣の顔をつぶさずに、道理と人道が通るようにしていただきたい。むだなことで時間を費やすのはまずいと思います。実は私は五月の十日に胆石の手術をすることになって病室までとっておりますが、こういうことではとうてい手術もできない、これも人道上の問題でございます。どうか大臣からはきはきした御答弁をいただいて、そうして法務大臣も良識のある方ということは私もよく存じております。それで、三木外務大臣からひとつ代表して合理的な御答弁を願いたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 るる、みな、ふるさというものを持っておる人間の郷愁をいろいろお述べになりました。それはわれわれもそうだろうと思う。ただ、しかし、この場合は、閣議決定は去年の八月でありましたから(帆足委員「速記録のわずか一週間後」と呼ぶ)それで、時間があって、これはまだ四月ですから、締め切るのは八月ですから、どうか皆さんの御協力で、まあいろいろな事情はあるでしょうが、引き揚げるということになれば、日本に生活をしておったわけですから、いろいろ片づけなければならぬものもあるでしょうが、ふるさとに帰りたいという気持ちに比べたならば、多少の犠牲は忍んでもらって、どうぞみなが早く帰るように、十一月までにはやるというのですから、八月までの間に、できるだけ帰るように、これこそ超党派で、皆さんやはり帰るようにしようじゃないか、政府としても、いつまでもきまりがつかぬのは困るだろうから、ひとつこの機会にできるだけ帰るようにしようではないかということを、どうぞ北鮮に帰る希望者にもひとつ御勧誘を願いたいと思うのでございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 そのように努力いたしまして、そうしてなおかつ、人生ですから、残った——たとえば全部帰ると言われたら、もうたちまち帰れなくて困るでしょう。かりに一万人帰ると言ったら、政府側が困るでしょう。ですから、適当な数帰ることになるでしょう。しかしその後も、人生は長いですから、きょうは北朝鮮のようなところにもう絶対帰るまい——実は大部分の方は南朝鮮の方なんです。だから、長崎に帰る人が東北に行くようなものなんです。大阪の人が東京に帰るようなものなんです。したがって、帰りたくないと思っておっても、不景気が来れば、月に百人ぐらいの帰る人は自然に出てくる。それで、私は、くどいようですけれども、谷川の水の流れるように自然な現象になっていること、したがいまして、月にわずか百人ぐらい、来年の四月に新規卒業生が出て、月に百人ぐらい帰るようになっても、六ヵ月たつともうたちまち六百人、一年たつと千二百人にすぐなるんです。なるとすぐにそれだけたまり水になります。それを、ナホトカ船というような夢のようなことではみなおさまりませんし、それから貿易船に乗せるなんということは、とうてい不可能です。それでは船が引き合わないし、実際上不可能なんです。病人やいろいろの複雑な家族を、引き揚げ船では、ツーリストではありませんからできる。そこで、帰る道がないときには、朝鮮側赤十字が用船するなり、日本赤十字が用船するなりせねばならぬ。しかし日本赤十字が用船してまですることはとうてい引き合わないから、結論としては朝鮮が用船するであろうということも政府部内の各局の専門家からも承りまして、速記録にもそのことが載っております。したがいまして、道がないときは便宜な方法を講ずるという意思があるかどうか。その意思があるというなら、この不安はよほど緩和すると思います。そこからたぐって、それではその宿泊所をどうすればいいか等、その他の問題に移ると思います。したがいまして、船もなくて子供だましのような  運輸省の人に聞いてみたらわかると思うのですが、子供だましのような貿易船で、いつ出るかわからぬものをつかまえて、乗せてくれるかどうかも、従来の例では船長に私が会って保証人になって乗せてくれと言ってもなかなか乗せてくれないで、強制送還の人をわずか十名ぐらい乗せた例があるわけです。したがいまして、その道もないのに、こういう安直なことをこの公開の席で言われるとするなら、大臣はいよいよもってお気の毒だ。何も知らされていない。局長もお気の毒だ、こう言わざるを得ないわけです。したがいまして、それについて、それでは前の御答弁にありましたように、また法務委員会でも御答弁がありましたように、そのときはちゃんと帰る便は——帰る便なしに帰れと言っても、小鳥ではありませんから羽で飛んでいくわけにいきませんから、その便については研究し善処する、こういうお答えをいただくならば、これで大臣をきょうはとりあえずお帰ししてもけっこうですが、そのお答えがいただけないならば、議員の職責を果たしたものと言えないと思いますから、ちょっと再質問を留保いたします。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 帆足さん、るるお述べになりましたけれども、ここでもし政府がああいう決定をしておいたにもかかわらず、また次々に協定を延ばして、そうして船を出しますからということではきまりがつきませんから、やはり政府の決定でひとまずきまりをつけたいと思うのですよ。だから帆足さんもそういう線に沿うて御協力を賜わりたいと思うものであります。

帆足計日本社会党

○帆足委員 一言、重要なことです。実は大臣、またこれはだまされているのです。この事件がありました直後に、愛知官房長官と成田書記長と私と山本幸一君と会いました。そのときに愛知さんは、かわりの対策は必ずつくります。その対策はだれが見ても合理的な対策をつくって、おそらく船を雇うことになるでしょう。日本側が雇うといっても無理だから、向こうの港に入っていって、そうして向こうの赤十字に渡さねばならぬから、結局向こうの赤十字船かソ連の赤十字船を雇うことになるであろう。しかし、そのことについては一月後に詳しく相談するから、決して赤十字同士が話し合っていけないという意味のものではない、これは政府の息のかかった協定は一応これで打ち切ろう、しかし赤十字同士の話し合いというものはどうしても必要になるであろうが、それは帰国者の数によることであるから、帰国者の数の見通しを社会学的に立てて、そうして話に応じようというのが、ほんのきのうまでの政府側の答弁で、内閣の決定がありました直後にも、各大臣から、一番保守的といわれる外務次官からも、そのことは伺っておるのです。したがって、椎名さんからも伺っておるし、愛知さんからもそのことを伺っておるので、外務大臣はその点御心配はないわけです。ですから、一たんきまった閣議は全部くつがえすことができないならば、別に政府が協定を結ぶ、そうしてもう一ぺん協定をつくるという意味ではなくて、そういう年に千人も帰るような事態ならば、便がないのであるから、その便についての話し合いはせねばならぬ、このことはたびたび政府側も私に答えているのです。したがいまして、そのような線でとにもかくにも研究していただきたい。でないと、いま帰るようにすすめろと言われる、なるほどすすめます、すすめたあとに、いろいろな家庭の事情で帰る人がまたあらわれてくる。特に高等学校を卒業すると帰る者がふえてくるわけです。また古希のよわいに達すると帰る人がふえてくる、こういうことですから、いい悪いが問題ではなくて、この現実に即した方法を研究する、こういうふうにでもお答えいただかなければ、これは私は騒ぎが起こると思うのです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 るるお話でありますけれども、政府としてもふるさとに帰りたいという人を早く帰してあげることがやはり親切ではないか。まだ何とかいたしますとこう言って、きまりがつかぬことではふん切りがつかぬのじゃいなでしょうか。そして帆足さんに帰りなさいという説得をしていただくについても、まあ一応政府はこれできまりをつけようとしておるから、この間にひとつ帰るようにしようじゃないかと言うほうが説得力があるのじゃないでしょうか。

帆足計日本社会党

○帆足委員 外務大臣によくおわかりになっていない点があるのです。それはそういうふうに説得しましたあとに、なおかつ五十八万残るのです。そして赤ちゃんが一年に大体二千人くらい生まれている。五十八万人家族がいる以上、説得して私に誓約書を入れても、家庭の事情が変わって、不景気になって、くず鉄でも暴落すれば、廃品回収をしておった人たちももう引き揚げていかねばならぬというようないろいろな事情が起こってくるわけです。炭鉱が不景気にでもなれば、そっちからまた引き揚げる。ですから、大臣のおっしゃることはわかります。それはくどいほど私も伺って理解しておりますが、その御方法が、ただ貨物船に乗れとか香港を通っていけとか、ナホトカ航路で行けとか、ナホトカがどこにあるかわからないでそういうことを言うのでは、それは人をばかにしたことであるから、一応きまりをつけて、汽車賃を全部渡している協定は済んだけれども、しかしその他のことについてはさらに研究するとでもおっしゃっていただくならば、まだ相談の余地もあるのですけれども、帰ることをすすめても、あと五十八万残る。残った者はどうしていいかわからない。直ちに千人くらいまたふえてくるわけです。それにかってに帰れと言うても、彼らは日本にもうなれてきておって、そうして日本にいたいと一応思っているわけです。いたいと思っておっても、故旧忘るぺけんやで、またふるさとに帰りたくなる。ちょうど三木さんが武蔵野はいいといってお住みになっている、しかし十年たって、もう娘が長崎に行ったから、じゃあ長崎に一緒に行こうかとか、もう総理大臣になって、あとはなすことがないからゆうゆう自適しよう、こういうことになるのと同じなんです。それを全然だめだ、あとはかってにしやがれという言い方はひどいと思うのです。あとで甘えてくるようなことをされては困る、外務大臣はそう言いたいのでしょう。しかし現在は甘えるほどのいい旅行ではないのです。ただ便がないから、向こうがソ連の赤十字船を用船して新潟に迎えに来ているのです。しかし普通の三等船客でもいいから、便があれば、それにだれしも乗るのです。こういう事業は必要はありません。しかし年に五百人、千人出ることは、どこの大学の統計学者に聞いても、美濃部さんに聞いてもそう言うでしょう。そのくらいこれはだれでも知っている問題なんです。外務大臣は朝鮮の諸君が住んでおられる部落に行ったこともないのでしょう。行けば、百聞は一見にしかずでよくわかるのです。年をとって、人を恋いする年ごろになれば、日本娘と恋愛しても、家庭の悲劇になる例も多いのは御承知のとおりです。そこでふるさとに帰ろうかというのはそういうことからも発生しておる。それを何月何日でおまえはもうよう帰れない、あとは何もない、そして聞かれると、ナホトカと言う。これはソ連領で、ソ連は何の関係もないことです。そうしてソ連はそういうことを加勢しようとは言っておりません。それは朝鮮からほんとうに望まれたならば研究するでしょう。しかし朝鮮はそれを望んでおらないので、直接行ったほうが経費が安いし、自分のほうの考えでやっていることですから。だから対策なしに、ただ閣議の決定があるからということだけでいまのようなことを言われたのでは、問題の解決にならないと思うのです。どうして三木さんのような賢い人にこれがわからぬのでしょうか。そしてこれは人道の問題として出発したことですよ。国際赤十字に事前に御相談になりましたか。都合のいいときは国際赤十字を利用し、ノーパッセンジャー、ノーカーゴで赤十字の旗を立てて船を雇っていきながら、今度は自分が政治的理由によって韓国ロビーにちょっとばかり乗ぜられて、そうしてこういうようなお答えをなざるというのは、あまりにも身がってで、現に国際赤十字の諸君は、これを打ち切ったならば、もう再び日本の要求に応じないと言っております。こういう身がってなことはないと実際言っているのです。でありますから、どうかもう少し前向きの含みのある御答弁をひとついただきたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 非常に熱心なお話でございまして、帆足さんの言われることは一つの仮定の上に立っているわけですね。(帆足委員「現実の統計の上にだ」と呼ぶ)こういうものをやっても、だいぶまた帰りたい人がいっぱい残るという仮定の上に立っていろいろ……。(帆足委員「仮定ではないのです。私は全部知っておるのです」と呼ぶ)そういうことで、政府は大体目的も達したので、ここらできまりをつけようとしておるわけですから、だからこの段階で日を切って各地に宣伝する、こういうことになっていますから、帰りたいと思う人はひとつ早く帰ってくれといってやっておるときですからね。ここでまたそのあといろいろ検討いたしますと言ったら、非常にそういう、帰ろうかと思う人も、また次にあるならばということで、きまりがつかないのではないでしょうか。いまこの席上で私に、何とかいたします、将来帰る人がたくさん残るということを仮定して私に答えさせようということは、ちょっと無理があるのではないか……。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ちょっとそれは驚くべきことです。というのは、打ち切ったときに、当事者の局長、八木さんも含めてすべての局長、それからすべての大臣、次官が、それは強引に無理じいするのではなくて、政府が関与しているこの協定を打ち切るだけであって、直ちにそれと実質上たいして変わりのない案を出しますということは、もういままでも速記録に幾たびも書かれてあるのです。ですから、大臣は御存じないから——下僚の人もまだお知らせになっていないのです。だれが知らしてないかという元凶は、先ほどの仁木弾正、言うまでもなく、一部の韓国ロビーの勢力です。ですから、それでは愛知さんもうそを言ったことになる。副長官もうそを言ったことになる。それから官房長官もうそを言ったということになる。朝鮮の代表の諸君に対しても、必ず一種の代案を出すということは言っているわけです。そこで、北朝鮮側がこれは協定で、あとやめるかどうかは協定するという文書になっている。その協定の立ち合い人は国際赤十字が保証人になって、国際赤十字は必要なアドバイスもできるようになっております。朝鮮側が日本政府に対し、それではいやだから船を出さないと言ったらどうなるでしょう。こういうことならば船をやめます、またはいつから以後一切応じませんと言ったら、あとに残りておる朝鮮の諸君は袋の中のネズミになってしまうのでしょうか。絶体絶命のところへ置かれてしまうのでしょうか。みなそれを心配しているわけです。それで大臣の言われるように、あとにも帰る道があるなら無理にも居すわるかというならば、日本はそれほど朝鮮の人たちにとって居ごこちがいいかというと、朝鮮人の諸君は別に優遇されてもおりません。したがって、これは私が説得しようと説得しまいと、残りたい人は残るし、帰りたい人は帰るし、いま帰りたくない人は帰らないで他日帰る人がふえてくると思います。それで申し上げておるわけで、現に来年の三月学校を出て帰りたい子供は非常にたくさんいるでしょう。そういう子供たちは、では、いま修学の途中で帰れといってもなかなか聞かないでしょうし、それからいま朝鮮側のほうも、そういうような話では、私はあるいは七月から船が来なくなるおそれすら、そういう心配すらあると思っているくらいです。というのは、赤十字同士の意思がそれでぱたっと切られてしまったら、取りつく島もなくなる。したがって、赤十字同士が相談して、そして政府に報告して、政府も間接にこういうことにしたらどうであろうというくらいのサゼスチョンをしてきめなければ、急にある日のこと、ある晴れた朝、赤十字協定を取りやめる、自分だけで。いままではジュネーブと朝鮮赤十字と日本赤十字が人道の上では同じベースの上で相談を続けて毎月きているわけです。突然、閣議できまったから外務委員会も無視してしまって、そういうことができ得るでしょうか。したがいまして、私はこれは諸外国の前で、国際赤十字に恥をかかすようなことになるのではないかと思います。大臣の答弁をお願いいたします。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 現実にこの十一月以後に帰りたい人があって、いろいろな便宜は——便宜といいますか、自由に帰れるのですから、帰れないわけではないので、普通の協定による配船というものがなくなるということで、帰る道はあるのです。(帆足委員「どういう道がありますか」と呼ぶ)帰る道はあるし、また、そういうことはできるだけ……(帆足委員「その道があればいままでも必要ないのです。その船がどこにありますか。」と呼ぶ)そういうことは、いまはこれはいろいろ政府のほうとしても、そういうくらいの便宜は検討してみる必要があるのではないでしょうか。しかしいまは——いま政府がやることは、とにかくこういうことになった、できるだけ帰る希望者は帰ってもらいたいということで、そしてたくさん帰る人が残ったというときには、何か帰れるような方法というのも現実問題としては考えるでしょう。しかし、これは政府がいつまでもこういう協定によってということは、もう政府としてはここで打ち切りたいというのですから、他の方法を考えざるを得ないわけですから、どうかいまのところは、帰りたい人は、期間もあるのですから、帰ってもらいたい。その後のことについては、いろいろと帰る道が全然ないというのでも困るでしょうから、帰る人に対してそれはいろいろ検討していく必要はあろうと思います。

帆足計日本社会党

○帆足委員 最後に、私は国際赤十字の諸君と友だちになっておりますので、非常に恥ずかしい思いをしております。国際赤十字に対してどういうあいさつをなさるか、国際赤十字はどういう意見を述べておりますか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 昨年の決定の際に、国際赤十字に直ちに処置を通知してございます。それから今回の四月の決定の際にも通知してございます。それにつきましては、国際赤十字はよく了解すると言っておりまして、非難めいたことは私どものほうには来ておりません。

帆足計日本社会党

○帆足委員 いわゆる知らぬは亭主ばかりでありまして、国際赤十字は、こういう態度を軽べつしておるでしょう。これはやがてわかる日が来るでしょう。それを私は日本のために恥ずかしく、残念に思っております。というのは、あとに問題がないということが明白であるならば、それはいいです。国際赤十字の人が、私に、あとはどうなりますかと言われても、これに対して答えることができません。あとは一年も半年もたてば相当人がたまって、また同じ問題を繰り返すでしょう。そうしたら、それまでに航路はありますか。航路はありません。そのとき国際赤十字にもう一ぺん助けにきてくれといいましても無理な話ですから、困ったことです。必要なことがあったならば国際赤十字からのアドバイスもやむを得なくなるかもしれません。けれども、これは私的会談の印象で、パブリックなものではありません。私はそのとおりだと思って聞きました。したがいまして、政府はどうしてこういう軽率なことをなさるのでしょうか。まことに了解に苦しむ次第です。  わが外務委員会は、この問題の最初からほとんど全員超党派で協力してまいりました。せめて赤十字の意見を聞き、厚生省の意見を聞き、それから八木さんの意見ももっとよく聞く。前の入管局長の気骨りょうりょうたる八木さんは、すでにやめてしまいまして、中川さんという聡明な方が見えましたけらども、八木さんほどの人は珍しいタイプの方ですから、よくおやりになったと思います。外務委員会の速記録は先ほど朗読したような実情です。これ以上続けましても、同僚委員諸君もおられることですし、私は理と情を尽くしたと思います。聡明な大臣におかれては、なるほど深刻な問題があるなということはおわかりになっておられることでしょうから、また、いきさつの手前上御発言もできにくいかと存じますから、きょうはこれでやめまして、切に御善処方を強く要望する次第であります。      ————◇—————

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件の審査に際し、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、この程度にとどめ、次会は明後十二日午前十時より理事会、理事会散会後、委員会を開会することといたし、これにて散会いたします。    午後六時二十分散会      ————◇—————

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