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55回国会衆議院1967/06/28

沖縄問題等に関する特別委員会 第15号

発言数
173
登壇者
13
会派数
4
開催日
1967/06/28

会議録

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  来たる七月四日、沖繩その他の国有領土に関する件、特に沖繩における人権問題等について、弁護士奥山八郎君、弁護士寺嶋芳一郎君及び弁護士山本忠義君、以上の諸君を本委員会に参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の出頭日時等の変更の場合における処置につきましては、委員長に御一任願います。      ————◇—————

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 次に、沖繩その他の固有領土に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 敗戦後二十年いまだにアメリカによって占領されております沖繩の祖国復帰の問題について、私は、全国民の一致結束のもとに超党派的に取り上げなければならない問題はほかにないんじゃないかと思っております。しかしながら、それは残念ながらいまのところ簡単にはできそうにないわけでありますが、とにかくお互いに努力をする必要があろうと思うのです。そこで、きょうはせっかくそうそうたる閣僚三人も出てきていただいておるわけでございますから、私もいたずらに水かけ論、実りなき議論といったような批判を受けたくございません。実のあるような議論をいたしたいと実は思っております。そのために、わが党の基本的な立場というものも一応離れまして、皆さん方がいままで公式あるいは非公式の形でいろんな案を提示されておりますその内容についてただしていきたいと思うわけです。どういうことを意味しておるのか、あるいは法律的に現実的に可能性があるのか、とにかく国民の判断を仰ぐための素材として内容を明らかにする、そういう意味合いでひとつ質問をしてみたいと思っておりますので、御協力をお願いしたいと思います。時間も非常に制約されておりますので、私の質問もなるべく簡潔にやりたいと思いますが、各大臣の答弁もひとつ端的にお願いをいたしたいと思っております。  ところで、各大臣とも、いままで再三、施政権返還には努力するということを言明しておられますし、特に最近におきましては、佐藤総理が、六月二日でしたか、沖繩の琉球立法院議長の山川さんの要請に対して、ことしの秋アメリカに行くときに、とにかく施政権返還の問題と取り組んで真剣に話し合うつもりだということを語られたようであります。これに対して、日本の国民、なかんずく沖繩の同胞は非常に大きな期待を持っているわけです。私は、この期待を裏切るようなことがあったらたいへんだと実は思います。そういう立場からお尋ねをしてみたいと思うのですが、その際にも山川さんに総理がおっしゃったことばの中で、とにかくベストを尽くす、最善を望んで交渉する、それが無理なら、ベター、次善の方法を見つけ出すように努力したいということをおっしゃったというのですが、政府・与党の立場からいってベストの方法、最善の方法というのは一体どういうものだろうか。社会党の望むものとその辺の線ならば一致するだろうかと実は思うわけですけれども、答弁をいろいろ読んでみますと、大体最善のものをあきらめておるようです。現情勢のもとにおいてはむずかしいということが必ずつきまとっておりますから。しかし、理想としてであろうと、ベストの形というのはどういうものか、このことからまず外務大臣にお尋ねをしてみたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ベスト、ベター、これは総理大臣がどういうお考えで言われたか存じませんけれども、とにかく政府が願っておることは、沖繩の全面的施政権の返還であります。これが一番の、願っておるベストといいますか、政府の願っておる点でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それに「直ちに」というのがつくのじゃないかと思うのです。時期的な問題もありますからね。時期的には即時、そして施政権は全面返還、これが最善の形ということを言われるのだろうと思います。ただ、それはいま直ちに実現することは困難だという見通しを持っておられると思うのです。その点は確認をしておきたいと思いますが、いかがですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 御承知のように、沖繩問題は、一方において、二十数年こういう不自然な状態に置かれておる、これは一日も早く施政権を返してもらいたいという国民の願望があるのと、同時に沖繩の果たしておる極東の安全に関する役割り、これは評価せざるを得ない。したがって、こういう国民の願望と、こういう沖繩の軍事的役割り、この調和をはかるよりほかにない。その調和というものは、いま直ちに沖繩の全面的な施政権の返還という一番最善の形が実現をするということには困難があるという考えでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そこで、総理がベストを尽くすとはおっしゃっておられるけれども、実際には大体ベストと考えておられる形のものはむずかしいということだと思うのです。これは単なる形容詞になっておると私は思います。  そこでいわゆるベターというものがいろんな形で出されてきておるわけですね。皆さん方の考えておられるベター、次善の方法を盛んに模索しておるというのがいまの段階ではないかと思うのです。私たちに言わせますと、はたしてベターと称するものですら実現の可能性があるのかどうか、実は疑問を持つわけでございますが、そのことは先ほど冒頭に申し上げましたから、批判は一応差し控えて、内容に入りたいと思うのです。  いままでベターといわれるもののいろんな形が出されておるわけです。教育権の分離返還というのが最初に出されました。最近では、基地の自由使用を認めた形での返還、あるいは核基地を認めた上での返還といったようなものが出されてきたわけです。そのほかにも、国会の答弁をお聞きしますと、いろいろある。総務長官の答弁の中には、経済、廃業、社会開発、戸籍等のいわゆる機能別分離返還とか、あるいは先島地区だけを切り離して返還させるといったような地域的な分離返還というようなものも検討したことがあるというようなことが述べられております。  そこで、私ここでお聞きしたいのは、いま申し上げたような教育権の分離返還、基地の自由使用を認めた形での返還、核基地を認めた上での返還、あるいはその他もろもろのものをすべて含めて、あらゆる面から総合的に検討しておるというのがいまの政府の段階であるというように理解をいたしておるわけでございますが、この点間違いがないか、まず所管大臣の総務長官にお尋ねをしたいわけです。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 機能別分離返還、これはいま石橋委員が申されたようにたくさんございまするが、私のところにある大濱さんを長とする委員会におきましては、教育の問題を中心として御審議を願っておるわけであります。教育の面における格差の是正と申しますか、日本政府が責任をもって行ない得る教育の行政というようなこと、これは近く答申が出ると考えております。たびたび総理も申しておりまするように、この大濱さんの委員会は、この答申が出ますると、総理直属の、審議会と申しまするか、委員会というものに移っていくと思いますが、そこで単に教育の問題に限らず、沖繩の問題全般についての御審議を願うことになるのではなかろうか。この準備は私と官房長官ですることになっております。これがいまの私のところにおける沖繩の問題の扱いであります。  なお、御質問の、沖繩をいかにするかということでありますが、外務大臣がお答えになりましたように、一日も早い施政権の全面返還ということを望んでおりまするが、いまの極東の情勢からそれが困難である場合、たびたび申し上げておりますように、あらゆる問題をとらえてあらゆる角度からこれを検討するということは、日夜いたしておる次第でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 私いままで総務長官の答弁も聞いておりましたし、速記録も全部読み直してみたわけです。その結果、まず最初に総務長官にお尋ねをしているわけですが、基地の自由使用を認めた返還、あるいは核基地つきの返還、そういうものもこのあらゆるという問題の中に入るのだということを従来答弁しておられましたので確認しておるわけでありますが、間違いございませんですね。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 ベストのものが望めない場合、ベターのもののためには、現地の方がどういうことを考えておるか、また、沖繩の方、日本の方がどういう形で沖繩の返還をすることがよろしいかというようないろいろな問題の提起があろうと私は考えております。そのあらゆる問題をとらえてあらゆる角度から検討するというのが私の立場であります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 所管大臣としての総務長官のお考えははっきりいたしました。  それでは引き続いて防衛庁長官にお尋ねしますが、防衛庁長官も六月二十三日の参議院の特別委員会におきまして、この沖繩が、核装備したポラリス潜水艦の補給基地として、あるいはメースBの基地として、非常に重要な位置を占めておる、したがって、それをつけたままの施政権返還というものも当然考えねばならぬということを認めておられるようでございますが、この御意見も間違いございませんですね。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 現在沖繩が核基地として使われておるらしいと、こういうことを申し上げたわけでございまして、そういうような核基地つきの返還ということまでは私は申しておりません。現在は、ポラリスはどうかわかりませんが、メースBというものが配置されておるということは、マクナマラ国防長官がアメリカの国会において言明しておりますから、それを受けまして、おそらくそうであろうということを私は申しております。  それからなお、核兵器を積んだ長距離爆撃機等も用いようとすれば用い得る。日本では、御承知のとおり、憲法上は、アメリカ軍隊がやるならばやり得るけれども、政治の方針として、核兵器を製造せず、保有せず、持ち込ませない、こういう方針でやっておりまするが、沖繩に関しては違うということを申しておるだけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 岡田宗司委員が、政府側においてそういうことも検討するのかという質問をしているわけです。核基地つきの返還というようなことについてですね。それに対して、政府部内で十分意見の調整をしたいということを答えておられる、私こういうように新聞記事で見ておるわけです。だから、いますぐにそれをやるということをお聞きしているわけじゃございません。先ほどから申し上げているように、そういう方法も今後政府側で考え、あらゆる角度から検討するというその中の一つの案として当然取り上げていくべきだと防衛の責任者としてお考えであるかどうかということをお尋ねしているわけです。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 正確に申すと、私は、沖繩における米軍の基地が日本の平和維持発展に寄与しておるということを申しただけでございます。しかしながら、そういうような核基地がある、その場合に、全面返還ということになると、何らかの調和のとれた線で解決がいただきたい、政府の間において考究する必要があるし、現に考究しております、調和のとれた関係において考慮すべきである、ただいま三木外務大臣がおっしゃったとおり、調和という字を明瞭に使っておるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それでは、私、今度は、実際にアメリカと折衝する立場に置かれておる三木外務大臣にお尋ねをしたいのですが、下田さんは、基地の自由使用を認めた形での返還というのは、二月の一日にたしか記者会見か何かでやっておられるようです。それから、核基地を認めた上での返還というのは、六月十五日に記者会見でやっておられるようです。分けて二度にわたって述べておられるのですが、私はこれは一つのものだと思うのですが、これは二つの案でしょうか、この点どのようにお考えでございますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 最近に下田君が発言をいたして、前にもそういうことがあった、そこで、その直後に私にその事情を説明して了承を求めてまいった。それは積極的に自分がステートメントを発表したりしたのではないのだ、記者団の質問に答えて、日ごろ自分の考えておる個人的な見解を述べたということを申してまいりました。したがって、個人的な見解、これを述べる機会を奪うということもいかがかと考えますので、そのままにいたしたのでございます。したがって、その下田君の発言は、政府の政策の発表、政府の政策というものを下田君が申したのではなくして、個人的な見解、二回ともこれは性質は同じものだと思います。二回とも下田君自身の個人的見解である、政府の見解ではないと御了承を願いたいのでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それはもうよくわかっているのです。だから私は、新聞紙上外務省高官といわれておるわけですが、そういういわゆる高官でも、正式に政府できまったものでもないものを、役人の立場で、特に最近のものは、駐米大使という、折衝しなければならない相手の国の大使におもむかれるという、そういう立場にある人が、個人的な意見を述べることがはたしていいのか、そういう疑問を持っております。これは、先日の委員会におきましても、公務員の服務規律の問題という立場から追及された委員もおります。しかし、それを私は蒸し返そうとしておるのではございません。まだ政府がどういう案で臨むということはさまっていないことはもうわかっておる。しかし、そういう案も含めて検討しようということをいま総務長官も言っておられるのです。だから私は、極付の素材としてこの下田さんが提起された案を掘り下げてみたいという気持ちからお聞きしているのですよ。そこでまず最初にお伺いしているのが、基地の自由使用ということの中には当然核基地を認めるということも入るのであって、これは二つの案があるのではないと私は思う。これは本来一つなんです。核基地つきということは、基地の自由使用という中に当然含まれるものであって、一つの案としてとらえていいのではないか、こういうふうに私は思いますが、大臣はいかがでしょうか、こうお伺いしておるわけです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私も石橋君の言うとおりに解すべきだと思います。しかし、核基地といいますが、それは、必要があれば核兵器も持ち込める自由を持っておるということで、核基地というのとは多少違うかもしれぬが、必要があれば核兵器を持ち込める、その自由もあるのだということが、この自由使用ということの内容をなすものだと私は解釈している。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 大体意見は一致しているのではないかと思うのです。二回にわたって発表されましたので、普通論議している場合には、基地の自由使用を認める形の返還という案が一つあって、それから核基地つきの返還というのがもう一つあるようなとらえ方をしておるけれども、これは全然別個のものではない。本来ならば、基地の自由使用という形に含めて一本に扱っていい案だというふうに私も理解しております。外務大臣も大体そういうお考えのようでございますが、ところで、そうなりますと、ますます私ふに落ちないのは、総務長官は、明らかにこれも一つの案だ——特に今度アンガー高等弁務官ですか、きょうの朝刊あたり見ますと、なかなかおもしろい案だと言わんばかりのことを言っておるわけですけれども、政府においても、総務長官は、一つの案として検討するとおっしゃっている。外務大臣はその点いかがでしょうか。いままでの答弁を見てみますと、外務大臣はちょっと違うようなことをいままで述べておられるようでございますが、その点確認しておきたいと思うのです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私は、塚原総務長官が当面の責任者としてあらゆる問題について研究をされることは当然のことだと思います。しかし、外務省というのは対米交渉の窓口である。この外務省が、いわゆる自由使用といいますか、必要があれば核兵器の持ち込みも自由である、こういう形において対米交渉をしようという、こういうところまで私どもの考え方というものはなっていないというか、そういう考え方で対米交渉を近く始めようという考え方は、現在のところ持っていないということでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 塚原長官は何度も、あらゆる角度からいろいろの場合を検討していくということをおっしゃっておられます。これは塚原長官に限りません。私もすべての速記録も読んでみました。何度も言っているのです。まだ政府案が固まっていないということは、これはかまいませんですよ。佐藤さんの訪米の時期までに政府の案をまとめて持っていけばいいのでしょう。それまでに国民の声も十分に聞く、議会の議論も徹底的にやってもらおう、特に沖繩の同胞の気持ちもくむ、そんないろいろな準備がありましょうから、何で早うきめぬかというようなことを私は言うわけじゃございません。だから、いろいろな案が出てきてけっこうだと思うのです。しかし、それにはおのずから限度があると思いますよ。少なくとも対米折衝をなさる最も責任ある外務省がてんで問題にしていないようなそういう案を、ほかの閣僚は十分に議論の対象になるかのごとき言をなすということになりますと、これは問題ではありませんか。特に皆さん方の一言一句、本委員会の一言一句というものは、そのまま、真剣に耳を傾けておられる沖繩の同胞の人たちの心に微妙な影響を及ぼしておるのです。この間現地に行かれたこの委員会の公明党の委員でしたか、そのことを訴えておりました。さあ基地の自由使用といえば、それで動揺を来たす。教育権の分離返還といえば、それでなくちゃいかぬかのごとき、あるいは核基地つきといえば、それだけが唯一の方法であるかのように、動揺常なき状態を繰り返しておる。私たち責任を持たなくちゃいかぬです。もっと私たちのことばには責任を感じてものを言わなくちゃいけないと思うのです。どうも所管大臣の総務長官と対米折衝の責任者である外務大臣との間にも明確に食い違いがあるんですね。片方は、十分に検討するに値する案だとおっしゃる、あなたのほうは、検討に値しない、こういうことでは、幾らまだ固まっていない段階だから、それぞれ案を述べてもよろしいといっても、ちょっとワクを越えておるのじゃないでしょうか。その辺はいかがです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 塚原長官と私の間に何も食い違いはないのです。これはもうあらゆる可能性というものは検討する必要がある。石橋君お考えになってもこれは非常にむずかしい問題ですね。あらゆる角度から検討する必要があって、塚原君のところでいろいろな可能性について検討を加えるということは、私は当然あってしかるべきだと思うのでございます。ただ、私がこれを対米交渉の一つの日本の考え方として示すということになれば、これはいろいろな角度から検討を加えた結論を得なければ、対米交渉としてこういうような考え方を持ち込む——あらゆる可能性を検討するという間には、多少の違いというか、時間的にも違いがあっていいのではないか、そういうので、いま、核の自由使用による沖繩の施政権返還、こういう方針をきめて対米交渉をする段階には至っていないのだ、しかし、あらゆる可能性を政府のほうとして、ことに塚原君のところとして検討されることは、これは当然のことだと考えておりますから、二人の間に答弁は食い違ってはいないと私は考えます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それでは、核基地つきというものも含めて、基地の自由使用ということを前提にした返還というものも政府部内で検討する案の一つに入れておるのだという塚原長官の立場を一応了解していいというわけですね。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 その点も一つの検討の問題点だと私は思います。しかし、それに私は賛成だというのではないですよ。だから、いろいろたくさん可能性がある中の、その重さ、比重は別として、それが一つであると思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 塚原長官も、積極的に私はその案に賛成だとはおっしゃっていない。ただ、全部読み返してみますと、五月十六日の穗積委員の質問に対してお答えになっているときも、六月二十日の横山委員の質問に対するお答えも、そういう案も念頭から離れぬ、そういうものも含めて十分に検討するのだということを何度もおっしゃっておられるわけです。だから、検討に値するという気持ちを持っておられることは事実です。しかし、従来の三木さんの答弁をずっと見てみますと、頭から問題にしておらぬのです。あれは下田君の個人的な発言で、私はどうも賛成しかねると、頭から問題にしていないので、明らかに食い違いがありますが、いまここで曲がりなりにも統一ができましたから、そういう前提でひとつ質問を進めてみたいと思います。  施政権の全面返還が困難であるから、いろいろな次善の案として出されておる、その中の一つに、いま申し上げたような基地の自由使用、これは核基地を認めるという形も含まれるわけですが、そういうような案が出てきておるわけですが、私よくよく考えてみますと、いま安保条約というものが日本とアメリカ合衆国との間に結ばれておるわけです。これは自民党政府が続く限り当分続くでしょう。そうしますと、全面的な施政権の返還がかりに行なわれたとしても、安保条約のワクの中での基地というものは当然沖繩に残る、これは認められる、こういうことになると思うのですが、この点は間違いないでしょうね。これは外務大臣にお答え願いましょう。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私もそうだと思います。沖繩に何らかの形の基地というものは当分必要とする状態だと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 ところが、それすらも困難だとおっしゃる。全面的な施政権の返還は困難だと、先ほどからおっしゃっていますね。いまの極東の情勢のもとにおいては全面的な施政権の返還は困難だ。何で困難だろうか。いや、基地として重要だから。しかし、その基地も、安保条約というものがある限りこれは残るわけだ。だから、沖繩に関する限り、基地も何もきれいに取り払ってから施政権返還せいということになりますと、これは日本よりももっと大掃除して、もっときれいなものにして返してくれ、こういうことになるわけですね。それも困難だということになると、日本並みの基地ではいかぬ、こういうことになる、こういうふうに理解してようございますか。とにかく安保条約・地位協定のもとにおいてある程度の規制を受ける、その程度の幕地を認めてやっても無理なんだ、もっともっと自由にアメリカの思うままに使わせる基地でなければ、ちょっと施政権返還というのはむずかしいのだ、こういうふうに正確に表現する必要があるんじゃないかと思うのですが、それは間違いございませんですね、外務大臣。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私はだからここで、石橋君の御質問に対して、私も賛成だとは言わない。なぜ言わないかというと、自由使用ということを言う以上は、核兵器の持ち込みの問題があるのです。そうでなければ、安保条約のいわゆる地位協定による一つの基地でいいわけですからね。そういうことでありますから、そうなってくると、非常に核に対して戦略的な変化というものも起こり得ますし、核というものに対する評価というものが永久に変わらぬとは思わない。核基地に対する評価が永久に変わらぬとは私は思わない。そういうことから考えてみて、いま核兵器の自由使用を認めてでなければ沖繩の施政権の返還ができないのだという断定は、時期として早過ぎる。そういう点でいろいろ石橋君の誘導的な質問にも私はイエスとは言わない理由でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 冒頭に断わりましたように、きょうは誘導でもなければ、やっつけようとも思っておりません。やっつけようと思えば、こんな重要な閣内の不統一を黙って見のがす私ではございません。それすら大目に見ているというのは、冒頭に申し上げたように、水かけ論だとか、平行線をたどったとか、実のない議論だということは言われたくない、これは沖繩の人たちにすまぬから、あなた方が打ち上げておりますいろんな案というものの実態をとにかく明らかにして、国民が判断のできるような素材をここに並べようじゃないかという、非常に私どもとしては五十歩も百歩も譲った立場でお尋ねしているのです。三木さんは非常に用心していますけれども、私と三木さんの考え方はそういう点では一致するのです。一致するのだけれども、そういう正しい評価が下されておりません。私は新聞も読み、雑誌も読んでみるけれども、非常に誤解があります。だから、その誤解はやはりなくしていって、正しい判断をしてもらわなくちゃいかぬと思うのですよ。  だから、もう一度申し上げますけれども、いま全面的に施政権を返還してもらったって、安保条約のある限り、沖繩にもアメリカの当地は残るのです。ところが、その全面的な施政権返還は、極東の情勢からいって、沖繩の基地の重要性からいって、むずかしい、これは総理大臣以下全部認めておるのですよ。だから次善の策だ、こう言うのです。次善の策だということになると、日本並みの基地ではいかぬということなんだな、当然そこに思い及ばなくちゃならぬはずです。日本程度の基地じゃ困る、安保条約や地位協定のワクの中での沖繩の基地であっては困る、そんなことを主張しておったのではアメリカは絶対に返しっこない、だから自由に使わせる、核兵器の持ち込みも認める、そういうところまで踏み切っていかなければ、これはとても交渉なんかできっこない、こういう議論が出てきて、下田発言になっている。それで塚原さんたちは、何度聞いても、それは十分に検討に値する案だと言っておる。だから国民も、そうかと思っておるのです。私は整理しているだけですよ。だから私のいま言ったような見方は正しいでしょうねと、同意を求めているだけですから、正しい、そのとおりだとおっしゃっていただければいいので、それ以上私は三木さんをどうこうしようとも追及しようとも思っておりません。安心してひとつお答え願いたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私はこういう問題があると思いますよ。安保条約のもとにおける基地というものは沖繩にも残るであろう。しかし、その基地の形がいまのように広範な基地でいいかどうかという問題がある。基地というもののあり方、安保条約の基地。それから、その基地というものが、はたして核兵器の持ち込みもできる、そういう自由を持った基地である必要があるかどうか。これはやはり最初に申したように、核戦略といいますか、こういうものに対する変化も起こるでしょうから、そういうこともひっくるめて沖繩問題は検討をすべきものだと思います。したがって、もう自由使用でなければ、核兵器を自由に持ち込める基地でなければ、沖繩は返ってこないのだという断定は、早過ぎる。いま言ったようないろいろな研究——いろいろ研究されることはいいけれども、その断定を下すのは争いという感じを私自身は持っておるのでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 しかし、整理していけば、勢い私の言ったようなことになると思うのです。特に下田さんの発言というのは明らかにそういう意識のもとに出てきておると思うのです。  そこで、それではもう少し詰めていただきたいと思うのですが、基地の自由使用を認めた上での返還とか、核つきの返還とかいうことをおっしゃる方は、とにかく安保条約・地位協定のワクの中での基地にしてしまったのでは、日本の本土並みの基地にしてしまったのでは、アメリカはとてもうんと言うまい、こういう頭があることは間違いないと思うのです。これはお認めになりますね。そこで下田さんのような発言が出てくるわけですが、しかし、そのことも、そういうふうにだけとらえていいのだろうかというような疑問を今度私は持ち始めたのです。なぜかといいますと、それではアメリカにとって、安保条約・地位協定のもとにおける基地に沖繩の基地をしてしまったら、いまかってなことをしているのですから、いろいろな点で制約が起きてくるのは事実ですけれども、ほんとうに忍べないほどの制約が加わってくるのだろうかという点で疑問を持つわけです。いまの核の問題一つとってみても、施政権が返還された、そして安保条約・地位協定のもとにおける基地に沖繩の基地もなってしまったということになると、事前協議の対象になる、こういうことなんでしょう。しかし、事前協議のところをよく読んでみますと、核兵器を持ち込むときは相談しろとは書いてないですね。装備の重要な変更を伴うときに事前協議を必要とする、こう書いてある。そうしますと、施政権返還のその時点においてもうすでに核兵器が沖繩にあるということになると、重要な変更にならぬ、こういう解釈をとることも、法的には可能だということになる。可能ですね。その点をまずお伺いしましよう。

藤崎萬里外務省条約局長

○藤崎政府委員 沖繩が返還される場合にどういう形で返還されるかということは、奄美大島の例にもありますように、やはりそのときの日米間の取りきめの内容いかんによるわけでございまして、その取りきめによって、きめられ方次第でどうにでもなるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 わかったようなわからないようなことをおっしゃいますが、奄美大島のときは、平和条約三条における奄美大島のあの地域におけるアメリカの権利を放棄する、日本が望むから放棄する、それだけじゃないですか。何かほかにありますか。あなたに聞いたって始まらないのですよ。大臣、直接お答えになったほうが早く済みます。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 石橋君の言われるのは、現に核兵器つきの基地があれば、施政権返還になっても、新たなる装備の変更でないから、事前協議の対象にならぬではないか。私はそうは思わない。これは施政権のあるときの沖繩と、施政権の返還後では、ステータスが違う。だから、そのように非常に弾力性を持って石橋君はお考えのようでありますが、そのほうは私のほうがあなたよりきびしい。そう弾力性を持たすべきでない、こういう考えであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そう明確におっしゃればいいわけなんです。ただ、そういうことを言う伏線があるような気がするわけなんですよ。さしあたりは、下田発言ですから、下田さんということになりますけれどもね。そんな伏線があっちゃいけないと思って念を押しておるので、これは条約局長の問題じゃないですよ。大臣が、絶対にそんなことはない、全然ステータスが違うのだから、その場合は新しい条件でまたやるのだということになれば、これはきちっとするわけです。  ところで、これはあとアメリカが支障を来たすと思われる面があるとするならば、現在の沖繩というものは、米韓、米華、米比、SEATO、ANZUS、こういった諸条約の中で、米国の管轄下の区域としてそれぞれの条約の適用を受けているわけです。適用地域になっている。これが、施政権が日本に返されるということになると、はずされることになる。これも一つの障害というふうにお考えになっている向きがあるんじゃないかと思うのですが、日本の施政下に完全に施政権が返還されて返ってくることになると、沖繩はそういった条約適用地域からはずされるのでしょうね。その点いかがですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 石橋君の言うような話は私は聞いたことがない。そのことが障害になっておるという話は聞いたことがない。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 アメリカの立場から私はちょっとお聞きしているだけなんです。  それではこれは条約局長でけっこうです。沖繩におけるアメリカの施政権というものが完全に返還されて日本側に移ったという場合には、米華、米韓、米比各相互援助条約、あるいはSEAO、ANZUS、そういうふうな集団的な援助条約、そういうものの適用地域から沖繩は当然はずされる、こう考えてようございますね。

藤崎萬里外務省条約局長

○藤崎政府委員 一つ一つの条約の条約地域の定め方を見ないと、はっきりしたことは申し上げられませんが、一般論としてはお説のとおりだと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 しかし、これがかりに条約からはずされても、私は問題があると思いますよ。というのは、特に米比の条約とANZUSの場合には、単に太平洋地域におけるアメリカの管轄下にある島というだけではなくて、太平洋地域における同国の軍隊、公船もしくは航空機に対する武力攻撃というものまで含めておりますね。そうしますと、かりに条約の適用地域として沖繩をはずしても、こっちのほうでひっかけるという手がありますから、これは完全に適用地域からはずされるというふうには理解できないのじゃないかと思われる節もあります。その点も同意見ですか。

藤崎萬里外務省条約局長

○藤崎政府委員 そのとおりでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そうしますと、私たちは、施政権が返ってきたからといって、日本とアメリカとのいわゆる安保体制と称されるこの関係が続く限り、これは非常に危険な要素は残るのだという理解をせざるを得ないわけであります。——いいですね。  そこで、時間がありませんから、私は詰めるやつはまたいずれ別の機会にやりたいと思うので、きょうは問題点をなるべくたくさん出したいと思うのです。  極東の情勢からアメリカの沖繩における軍事基地というものの重要性を看過できない、だから全面的な施政権の返還はちょっと求めにくい、そう言っておいて、その基地の自由使用の返還とか、あるいは核つきの返還というような形で打ち上げられると、これは施政権の全面返還じゃないというふうにとらえている面もある。これは何か分離返還の一形態というふうなとらえ方をしている向きがあるのですが、この辺はどうなんですか。その基地の自由使用を認めた上での返還、これには核つきも入ります。これはやはり厳密にいえば分離返還の一種なのでしょうか、この点いかがですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これをどういうふうに定義づけるかというのはなかなかむずかしい。しかし、そういう形は完全な施政権の返還ではない、こう言うほうが私はいいと思う。これを何と名前をつけるかということは、定義があるわけでないですから、非常にむずかしい。そういう形ならば、完全な施政権の返還ではない、こういうことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そうしますと、ここであらためてお聞きしておきたいと思うのですが、完全な施政権の返還ではない。教育権の分離返還なんという場合はもう明らかですね。しかし、いまのような場合は、私自身非常にわからないです。しかし外務大臣は、完全な施政権の返還ではないと言い切られた。いいですね。これは念を押しておきます。あとちょっと質問がありますからね。——何かありますか。用心してください。今度はちょっと用心してもらいます。いいですね。  そうしますと、基地の自由使用を認めた上での返還、この中には核つきも含まれる、そういう返還が行なわれた場合は、これは施政権の全面的な返還とは言えない。施政権の全面的な返還ということは言えないとするならば……

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 完全返還。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 完全な施政権の返還とは言えないということになりますと、そういう状態のもとにおいては、日本の自衛権が沖繩に及ぶというようなことは考えられない、こういうふうに理解してようございますね。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 いま私が言っておるのは、もし、ある地域というものが自由に、たとえば核の持ち込みとか、いろいろなことがあれば、日本の施政権の及ぶ範囲内は核兵器の持ち込みを認めないという方針ですから——法律的にいえばそれに対していろいろな言い方はあると思いますよ。しかし、われわれが政治的に考えれば、それはもう内地どおりに沖繩全体がなるということでありますから、そういう自由に使用できる地域があれば、その施政権の返還というものは、その範囲内において不完全なものである、政治的に私はこのように判断をするのでございます。これを法律的に施政権の問題として取り扱うときにはいろいろな議論があろうと思いますが、私がそれは完全なものだとは言えないというのは、政治的なさような判断を私はいたすということを言っておるのでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 少なくとも具体的に打ち出されている構想の一つなんです。しかも、外務大臣は多少異議があるようですけれども、他の閣僚の中では、これは十分に政府の内部において検討するに値する案といわれておるものなんですよ。そういう案について、法律的に一体どうなるのか、どうなるのか、どうなるのかと突き詰めて、これに対してきちっと答えて、そして国民の判断を仰ぐ素材をきちっと整理しておくという義務が私はあると思う。非常に重要な問題ですから、明確になるまで私はお尋ねせざるを得ません。少なくともアメリカに自由に使わせる当地というものが沖繩の中に残る、そういう形で施政権が日本に返ってくる、これは完全な施政権の返還ではない。不完全なものだ。不完全な形で日本に返ってきた場合に、一体それじゃ日本の自衛権というものはどうなるのか、及ぶのか及ばないのか、これはもう政治的にも影響が非常に大きい問題です。だから、その前に法律的に詰めておく義務がお互いにあるじゃありませんか。法律的にはどうなるのか、これは私は過去においてずいぶん議論しておりますから、その政府の従来の答弁というものを全部ここに持ってきております。そこでお尋ねをしているわけなんです。いかがでしょう。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 石橋君は、いかにもこの案が政府の有力な一つの案として、いろいろ法律的にも詰めるべきだと言うが、私はさようには思っていないのです。この案の中にはいろいろな問題を含んでいます。したがって、研究の題目であることは、私は否定はしなかったわけでありますが、これが一つの有力な案だとして、この問題を中心として法律的にもあるいはその他の面においても詰めるという、そういう段階までこの案が行っておるとは私は思っていないのでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そうおっしゃると、私は一番最初に戻って不統一を突かざるを得ぬ。そして、それも有力な意見として検討に値するとおっしゃる閣僚に私は質問せざるを得ませんよ。総務長官に私はお尋ねしなければならぬことになりますよ。現に閣僚の中に、何回聞いても、検討に値するとおっしゃる閣僚がおるんだから。それではおれに聞いてもらっても困るから、そういう閣僚に聞けということになっちゃうのですよ。私はそれで少しもかまいせんけれどもね、おたくが困るのじゃないかと思って、一番詳しかろうと思う外務大臣にお聞きしておるわけなんです。あれだけ大きく取り上げられて、国民も沖繩の同胞もみんな関心を持って、なるほど、そういう案ならば何とかなるんだろうかと、淡い期待を寄せておる。それに対して私はこの案はこういう欠陥を持つと言う、いや、そんな欠陥はないというふうにちゃんと答えが出てこないと、やはり三木さんの言うとおり、のっけからこんなものは検討に値しないんだということになる。だから、おれの言うことが正しいんだということになるのかもしれませんけれども、それじゃ困るのです。それなら、支持する方に取り消してもらわなければいかぬ。また、あなたも、自分の部下に、しかも最も対米折衝の窓口になる人にそんな無責任なことを言わしておいて黙っておるという手はないですよ。今度はそっちにいきますよ。私はそれを避けたいと言っている。避けたいけれども、それをやらざるを得ないようにあなたはだんだんしむけてしまう。二つの問題になってしまうのです。私は三木さんの言うことがほんとうだとは思うけれども、これを支持する閣僚がある。それから、あなたの直接の部下であり、しかも対米折衝の窓口の責任者がおっしゃっている。その人に、あなたの考え方と全然違う、また外務大臣として答えのできないようなことを言わしておいて黙っておるということは許されぬということになってきますよ。なるべくそういう言い方は差し控えたいと思いますけれども、あなたがお答えにならなければ、やむを得ない、私はそれじゃ総務長官にお尋ねしましょう。  あなたは、十分に検討するに値する案だということを何度もおっしゃっております。よもやお忘れじゃないでしょうけれども、参考のためにあなたの答弁をここで御披露してもいいのですがね。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 私はたびたび申しておりますることを変更いたそうという考えはございません。  それから、ベストのものを望むことは、これはだれしも同じだと思いますが、いまの現実の情勢からベストのものが望めない場合、ベターのものを望む、これはあたりまえでしょう。拱手傍観している手はないと私は思うのです。  そこで、私はいわゆる外交的なアプローチの機関というものは持っておりません。しかし、これだけ重要な国民の関心事である問題に対して、それこそ手をこまねいて待っているということはできないのであります。しかもできるだけ皆さん方の御意見を聞き、また、問題の提起というものも私は頭の中に入れながら、特連局を中心としたものが私の機構ではありますが、あらゆる問題をとらえておるわけでございまして、それは私は決して悪いことではないと思う。  いま外務大臣がおっしゃったことは、他の閣僚の発言に容喙するようでありまするが、いまあなたが法律的にどうこうということ、それがあたかも政府がいまこの問題だけをやっているというふうにおとりになったからそういう答弁があったと私は考えているのです。  ここで誤解を持たれると困ることは、私がたびたび答弁している中でも、下田発言をどう考えるかということについては、これは政府の考え方ではないということは率直に申しております。ですから、外交的なアプローチをする外務省がどう考えているか、私は決して勇み足をしようという考えはございませんけれども、そこまで容喙することは私にはできない。私が、これだけのものが煮詰まってきたならば、外務省と折衝して、こういうことでひとつ御交渉願いたいという場面もあり得るであろう、しかし、この問題は現在まだそこまではきておりません。ということは、下田発言は政府の考えていることではないと申し上げている点から御了解いただけると思うのであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それでは、私、やむを得ませんから、これ以上突き詰めた議論は他日に譲ります。少なくとも政府の見解を統一していただいてからにいたします。  しかし、あなたはそうおっしゃいますけれども、それでははっきりここで読み上げてみます。五月十六日の本委員会におきまして、穗積委員が、「それであれば、検討の中に、基地の自由使用を認めた返還も含まれておると理解していいわけですね。」と、何度もやりとりしたあとに最後に念を押しているんです。そのあとあなたは、「もちろん、極東の情勢あるいは核の問題等から、いま直ちにこれについてどうこう言うことは早計かもしれませんが、先ほどから繰り返しておりまするように、あらゆる問題をとらえ、あらゆる角度から検討するということになれば、私はそのように解釈して差しつかえないんじゃなかろうかと考えております。」こうおっしゃっています。それから二十日の本委員会において横山君が、これは核つきのときですが、核つき発言が出たあとで同じような質問をしたのに対して、「常にこの委員会でも申し上げておるように、あらゆる角度からあらゆる問題をとらえることは、私は当然のことだと考えております。したがって、私も今後いろいろな問題を考えるときに、ああいうこともやはり念頭から離れることはできない、このように考えております。」核つきのやつです。これも念頭から離れることはできない。だから、あなたは十分に検討に値する案だとお考えになっておられるんですよ。間違いないですね。いかがですか。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 私は、いままで私の言ったことに食い違いはないと考えております。こういうせっぱ詰まった問題ですからね、少しでも前向きの形でいきたいという考えはだれでも持っていることでしょう。ですから、外交的なアプローチのそういったものは私はないかもしれないが、あらゆる問題をあらゆる角度からとらえることは、これは私は当然だと思います。そこで、これは外交交渉に移せるかどうかということは、これは初めて私と外務大臣が御相談いたしまして、外務大臣のその場合の判断によって、これは外交交渉に移すか移さないかはむろん外務大臣のお考えでやることでしょうが、私はそういうあらゆる問題をとらえることは当然なすべきことだといまでも考えております。いままで言ったことが食い違っておるとは私は考えておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 だから、総務長官としては十分に検討に値する案だというふうに考えておられる。ところが、あなたは、総理府でそういうふうな意見の統一がなされたら、外務省に持っていって、ひとつこの線で対米交渉をやってくれという場合だってあり得るとおっしゃるけれども、三木さんは、少なくとも三木さんが外務大臣をやっておる限りにおいては、こんなものは検討に値しないと思っているんですよ。下田さんの発言のあとでいろいろお聞きしておるんですが、これも外務大臣はこの委員会でもはっきり打ち消しておられるんです。「問題の提起を下田君はしただけでありまして、政府はその考え方をとらない。やはりそういうふうな沖繩の基地の自由使用を許してそうして沖繩の返還というものを考えていない。」こういうふうにもう言い切っているんです。検討に値しないという考え方を外務大臣はとっておられるのですよ。あなたは検討に値するとおっしゃっても、その対米折衝の責任者は、どうもああいう考え方はおかしいというふうに思っておられる。あれは下田君のたわ言だというふうに外務大臣はおっしゃっている。これは明らかな食い違いじゃありませんか。大いに検討に値するとは外務大臣は思ってはおらないのですよ。だから、これに対して私が質問してもあまり喜んでお答えにもならない。おれはもともと反対なものを、石橋君、無理な質問をするなよというような顔をしておる。そうすると、支持する閣僚に私はお尋ねせざるを得ませんよ。そうしてそのあとに、外務大臣は、下山君のかってな発言なんだと言うけれども、それではあなたはしかりおいたかといかなければならぬのですけれども、それはあと回しにしておきます。  それで、総務長官にお尋ねしているわけですよ。あなたは、検討に値するとおっしゃるが、私は、ほんとうを言えば、これは検討に値しない案だと思っているのです。実際は三木さんと同じなんです。同意見なんです。大体こんなことを認めたら、沖繩が本土並みになって一体じゃなくて、日本が沖繩並みになって一体になってしまうんです。これは後日私は順を追うてそれを明らかにしますよ。この下田発言というものを現量に進めていけば、これは法律的にそうなる運命にある。沖繩と本土との一体はいいですけれども、本土を沖繩並みに合わせた一体という形になってしまう、非常に危険な考え方だ。そしてまた現実的にも、こんな案がそんなにすらすら、これならば通るという次善の案とは私は思っていないのです。しかし、あなたが積極的に検討に値するとおっしゃる以上、あなたに聞かざるを得ない。いろいろ聞きたいが、時間がありませんから、一つだけ聞いていく。  それじゃ完全な施政権の返還ではない、このことはお認めになりますね。米軍の基地を自由に使用するということを認めた上での返還ということがかりにあったとしたならば、これは完全な施政権の返還というふうには言えない、この点では、総務長官、意見一致しますでしょうね。いかがでしょう。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私に関していろいろ質問があったから……

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 いや、あなたにはまたあとで締めくくりでやりますから……

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 何か石橋君は、私自身がこういう案は内心軽べつしておるのだとか——軽べつということばは使わなかったが、そういう意味のことを言われたが、私はそうは思わないのです。この問題はなかなか大問題であって、いろいろな可能性、何とか施政権の返還に一歩でも近づけることはできないかと、いろいろな案を塚原総務長官のもとで検討するということは当然のことだと思います。ただ、私のところへ持ってくるということになれば、そこまでくればこれは対米交渉の一つの問題点として取り上げることになりますから、したがって、まだアメリカにその案を日本政府の考え方であるとして交渉するような段階でないことは、これは石橋君もおわかりのとおりでございます。したがって、これがもう全然問題にも何にもならぬということではなくして、いろいろの考えられる一つの考え方としてはこの問題はあり得ようと私は思うのです。あり得ようとは思いますけれども、政府がこれを取り上げて、対米折衝にこういう案をもって臨もうというような考え方は私はいま持っていないということを申し上げておるので、いまあらゆる角度から塚原君が検討することと、外務大臣としての私との発言の間には食い違いはないということでございます。また、こういう施政権の返還の場合に、一部のところに自由に使用できるような基地ができれば、これは条約の上においてはそういう条約を結べばいろいろ私の考えと違った考えが出ると私は思うのです。しかし、私自身が政治的に判断して、そういう形というものは完全な施政権の返還ではないのではないかという私は政治的な判断をするということで、これは条約の上においてはいろいろそういうふうな条約を結ぶ場合もあるのでしょうから、これはまた別の法理論はあろうと思う。政治的な判断は、これはやはり不完全な形である、こういうふうに私は政治的判断をすると申し上げておるのでございます。条約論はまたいろいろあろうと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 政治的な判断はわかります。それはもう完全なものじゃない。わざわざ大臣をわずらわさなくたって、しろうとでもわかります。しかし、少なくとも対米折衝をする場合には、法律的な詰めをやらなければいけないのです。ところが、肝心なそれ一つもこの案はやはり答えられないじゃないですか。  具体的に今度は増田さんにお尋ねしてみましょうか。  その沖繩の基地を自由にアメリカに使わせる、もちろん核つきだ、こういう形で施政権の返還が行なわれたとする。これは政治的に完全ないわば施政権の返還ではない。これはもうわかり切っている。法律的にどうか。たとえば自衛権のごときはそういった場合に沖繩に全面的に及ぶのか。答えがない。  具体的にお聞きします。そういう状態の中でそれでは自衛隊を沖繩に配置することができますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 返還のしかたにもよると思いまするが、まず、日本の横田なら梅田、厚木なら厚木に、憲法上は核兵器を置き得るということを法制局長官は前から答えております。しかしながら、岸内閣以来、行政の方針として、核兵器は製造せず、特ち込まず、保有せずということを言っておるのであります。それであなたが仮定の問題として私にお聞きになるのでしたら、私も仮定の問題としてお答えしますが、私はそれがこうなんだと言い切ったということでなしにお聞きを願いたいと思う。  そこで、沖繩の基地があるでしょう。横田にも基地がある、厚木なら厚木に基地がある、沖繩にも基地がある。憲法論としては、沖繩の基地を核基地として使用することは、憲法上合憲ということになります。しかし、行政府の方針としては、従来、四十六都道府県においては——沖繩は四十七になりますから、これは日本の施政権外でございます。四十六都道府県内における、つまり日本の施政権の及ぶ範囲におきましては、行政府の方針としては、核兵器を製造せず、持ち込まず、保有せず、こういう方針を堅持しておるわけでございまして、そこで、沖繩が返還される場合の態様いかんでございまして、防衛庁長官としては、あまり法制局長官のお株まで奪わないで、極東の平和なり日本の平和なり安全なりが保障される形で返還されることが一番けっこうですから、どうぞ御協力をお願いします、こういう御答弁しかできないわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 私の尋ねたことと全然関係ないことをおっしゃっておる。増田さん、私が三木さんと塚原さんに質問しておるものだから、おれにはないからと安心して、聞いてなかったのじゃないですか。そういうことになると、ちょいちょいあなたにお尋ねしなければいかぬわけです。当然緊張しているものだと思った。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 もう一つ追加したします。  自衛隊は行き得るか。もちろん行き得るのでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そうしますと、これは法律的に自衛権は及ぶということになるじゃないですか。外務大臣いかがですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 施政権が返れば、日本の自衛権が及ぶことは申すまでもないことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 申すまでもないとあなたはおっしゃいますけれども、少なくとも政治的にはそういう状態は完全に施政権が返ったというふうには言えない、こう言っているのですよ。日本の完全な主権というものは沖繩には及ばないのですよ。それでいて自衛権は及ぶ、自衛隊は配置できると直ちに結論づけていいのですか。従来の答弁はそうじゃありませんですよ。少なくとも私はこの問題につていは政府とずいぶんやりとりをいたしておりますが、安保特別委員会におきましても、五月七日に——その前もありますが、五月七日をちょっと引用しましょう。私は何度も聞いているのです。これに対して政府は、当時は林法制局長官が主として答弁に立っておりますけれども、全面的な施政権の返還が行なわれなければだめなんだ、部分的な返還では日本の自衛権は及ばないのだ、こういう答弁を繰り返しておられます。そういう状態のままで日本の自衛隊が沖繩を守るということはやはり憲法上認められない、こう答えておられます。完全な施政権の返還ではない、アメリカが自由自在に使える、日本の主権の及ばない部分が現存する、そういう状態の中で、日本の自衛権は及ぶ、自衛隊の配置はできると即断していいものでしょうか、外務大臣。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これは非常に石橋君の仮定に深入りした議論になるわけです。一体そういう場合どういうふうな協定ができるかということにも影響をいたしますが、したがって、私はいろいろ仮定をして深入りしたくない。なぜかといったら、政府がそういう方針をきめたわけではないのです。しかし、施政権が日本に返るならば、私は全面返還を望むと言っておるのですから、全面返還がもし実現すれば、当然のこと自衛権は及ぶと私は考えておるし、したがって、どういうふうな協定ということになるかわかりませんが、この場合は原則的な考えのほうが私はいいと思う。まだ政府がとってないのに、その基地の自由使用とかなんとかいって、そのときの自衛権とか、いろいろそういう仮定のもとにお答えをすることは、非常に誤解を生ずる。施政権が返れば日本の自衛権は及ぶ、この原則的な御答弁でこの場合は適当なのではないか、私はこういうふうに考えます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 時間がありませんので、残念ながらあまり続けられないのですが、私が先ほど言った、日本本土を沖繩並みにする一体論になっていくというのは、このことなんです。いいですか。アメリカの基地はアメリカの自由意思で自由に使われる、核兵器も現存する、それなのに、日本の自衛権は及ぶ、自衛隊も配置される、そうしますと、本土に核兵器を持ち込んでは困るが、日本の施政権の及ぶ範囲で沖繩にはよろしい、こんな区別がどうしてできますか。あなた方の解釈でいくと、沖繩にも日本の施政権がそのときは及ぶのですよ、しかし、本土には核基地は困る、自由使用も困る、沖繩は核基地よろしい、自由使用もよろしい、こんな論理薄弱な外交交渉ができますか、三木さん。ここで一ぺんに矛盾が出てくるのですよ。だからこんな議論は成り立たない。成り立つとするならば、日本政府が全面的に政策を変更しなければ——核兵器の持ち込みも認める、事前協議もやめる、こういう立場をとらない限り、この議論は出てこないということになるのです。私は、だからこんな議論はおかしい、こう申し上げているのですけれども、私、持ち時間を超過して同僚に済まないと思いますから、とにかく私はこの次引き続いて徹底的にこの議論は続けさしていただきます。きょうは終わります。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 石橋君に私はお答えをしておいたほうがいいと思うのは、石橋君は、いかにも政府がそういう方針をきめている、その前提に立って法理論、政治論をいろいろ展開しようとされておりますが、事実はやはりそういう段階ではないということでございます。だから私が、ここでお答えするのは原則的なお答えだけすることが適当だというのは、そういうことなんですよ。もういかにも政府自身がけしからぬといって、あなた最後になってから少し声が大きくなったけれども、何かもうきめてかかって、こういうワクで議論を展開されることは、そこまでこれはそういうふうな議論の対象になる段階にいっておる問題ではないということだけは申し上げておいたほうが適当であろうと、ちょっと蛇足ですけれども、つけ加えてお答えをいたします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そうおっしゃいますけれども、私も、先ほど申し上げたように、政府の意思としてかたまっていないということは認めているのです。そしてまた、三木さんが非常にこの案に消極的だということも認めているのです。しかし、積極的に検討に値するという閣僚もおるし、言い出した張本人はまたあなたのところの高官じゃありませんか。高官かどうか知らないけれども、少なくとも事務次官とか駐米大使といえば高官でしょう。そういう人たちが言っていることを、あなた、全然否定することはできませんよ。しかも沖繩の人たちは、こういう意見が出たときに、ああ、そういうものに賛成すればわれわれは日本に帰れるのだろうかと思い詰めちゃうのですよ。私に言わせれば、いま申し上げたように、こんなものは検討に値しない案なんだ。あなたと同じ考えなんだ。しかし、そうじゃない、迷わされている人たちが一ぱいおるのだから、これは克明にその矛盾点をただしていくのが私たちお互いのつとめでしょう。そういう意味で、きょうははしりをやったわけなんで、声が大きくなるのは、ちょっと答弁がすっきりしていないために私の癖が出ただけで、あしからず御了承願います。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 外務大臣、時間がなくなってまいりましたが、いまの問題について、補足的にちょっと明らかにしておきたいと思います。  と申しますのは、あなたのいまおっしゃいましたように、または塚原長官も言うように、下田発言の提案というものは、これは対策のワン・オブ・ゼムである、しかもまだ草案であるということですけれども、これは実はまず第一に下田発言の政治的な背景を申しますと、昨年の暮れにライシャワーがこの問題を提案いたしております。続いて、ことしの一月に、有力な与党の外交委員であるマンスフィールドが上院外交委員会でこの問題を提案した。これを受けて二月に下田発言の自由使用を伴う返還という提案が行なわれた。したがって、これは単なる下田氏の個人的発言ではない、孤立した発言ではないということを私は心配しておった。はたせるかな、昨日のアンガーの談話発表を見ますと、下田発言を取り上げておる。その前後の政治的な軌跡を見ますと、これは単たるワン・オブ・ゼムではないということ、そしてまた、もう一つ私が考えますのは、これは、この前あなたがおいでにならぬから、このことは外務大臣に聞いてくれという塚原長官のお話であって、実は質問がそこで中絶しておるわけですけれども、私は時間がありませんから率直に申しますが、現在の状態の中で、ベトナム戦争あるいは中国の態度が原則的にこのようなものでありますならば、おそらくはそれを口実にして核基地の自由使用を認めた条件つきの返還——いまのあなたのことばで言えば不完全返還ですね、それか、しからずんば、核基地を撤去せしめて完全返還を求めるか、その二者択一しかないと、私も政治的に判断をいたします。少なくともその中の一つの案として、最近臼井委員長が、核兵器を含むアメリカの基地全部を西表島に集結せしめて、西表島以外の地域を完全返還せしめることはどうかという構想を発表しておられるわけです。いずれにいたしましても、これを理論的に整理してみますとそれしかないということですから、これが確定した対米交渉の一つの案である、交渉に乗り出す案である、私はそこまではまだいっていないと思うけれども、いま申し上げましたような政治的な諸背景を考えますならば、さらに、先ほど午前中の外務委員会でも申し上げたように、戦争に近づこうとしておる佐藤内閣の外交政策から見ますならば、核基地の自由使用を特別に沖繩に認めた返還ということになる危険性が相当多い。石橋君が語気を強めて言ったのも、私はそういう認識に立っているからだと思うのです。したがって、これから簡単に整理いたしますから、率直にお答えをいただきたい。すなわち、下田発言で言われておる、自由使用を認めたそういう条件つきの返還の中には、年前協議をはずすことも含まれておりますね。自由使用という中には、安保条約による事前協議のアメリカの義務を免除することも含まれておる、こう解釈すべきであると思いますが、その点をまずお尋ねいたしておきましょう。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 穗積君に申し上げたいのは、あなたは簡単に、下田君の案は草案だとか、いろいろこれは背景があって、マンスフィールドが言った、ライシャワーが言ったとか、非常な背景ができているので、いかにもこういう案で沖繩の施政権の返還が実現するのではないかというふうに非常にせっぱ詰まったような感じを持っていられるか、これは大問題であります。簡単な問題ではない。これはもういますぐにでもそういうふうな形で沖繩の問題が解決できるという簡単な問題でない。これは、自由使用と簡単に一口に言いますけれども、重大ないろいろな問題を含んでおります。だから、そんなにいますぐにでも何かこれで穂積君の知らぬ間にこういう問題が固まってくるという御心配は絶対に要りません。これは国民の十分な論議を尽くさなければならぬし、また国会においても、この問題は、政府の案が固まってくれば十分な国会の論議を経なければいけない問題なので、そんなに、いかにも固まって、いまここで何かやっておかなければこの案がずっと対米交渉に進んでいくのだというふうな、そういう切迫した御心境であるならば、それは事実に違います。そんなところまでこの問題は行っておるものでもなければ、また、これは重大な問題を含んでおるのでありますから、したがって、これをもうきまった案だとして、事前協議をはずすとかはずさぬとか、そういうふうに具体的に一々この問題を——この案に固まっているならば、そういうことを一々問題について具体的に検討しますが、いま言っておった一つの考え方として検討の中には入るにしても、これに政府が固まってこれから対米交渉をしようというようなものでもございませんから、具体的に事前協議の場合どうだこうだというふうには、まだ話をこの問題は煮詰めては考えていないという段階でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 煮詰まっておったらたいへんですよ。それも一つの案として検討するとあなたも言い、塚原長官、主管大臣も言っておるのだから、自由使用という中には、事前協議の義務を免除することが含まれておるでしょうと言うのです。私はそう解釈しておる。それは誤りと思いますか、それを聞いておるのです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 それはその場合は考え方としていろいろな場合があるでしょう。しかし、政府がこの案でやろうということで、この案を中心に沖繩の施政権の返還を考えておるわけでないのですから、それを中心としてこまかい議論を展開するのに適当な時期だとは私は思わない。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 適当な時期でないといっても、さっき石橋委員との話でそれが出ているじゃないですか。自由使用という中には、私は、下田発言が出たときに、事前協議の責任を免除する意味も含まれておる、ただし、それは沖繩に限ると、こういう意味に理解したわけです。それを、何を答えるのが早過ぎますか。もうすでに提案しておるのですよ。しかも、その下田君は高官だというだけじゃない。これから大使に任命されてアグレマンが来て、その赴任の直前にその大使が発言したことは、これはもう国際的に見まして一つの前奏ですよ。ネゴシエーションまでは行っていませんけれども、前奏であることは事実だ。したがって、地位が高い低いよりも、むしろ駐米大使であるというその立場、これが非常に大事なのです。だからアンガー高等弁務官が直ちに取り上げておる。こういうことに発展してくるのですから、それでいままで石橋委員とあなた方との間で討論したのです。自由使用の問題については、すなわち、核の持ち込み自由というだけでなくて、事前協議の責任を免除する意味も含まれておる、こう解釈すべきだと私は思いますが、それについてはどういう意見を持っておられるか、伺いたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私が言いたいのは、自由使用ということは、必要があれば核の持ち込みも自由である、こういうふうに解釈すべきであると考えると私は石橋君にも答えた。この案をいま政府が採用するとも言わないのに、これを日米安保条約と結びつけて、事前協議はどうするのだ、何するのだということは、私はこの際適当な時期だとは思わない。この自由使用ということは、核兵器の必要があったら持ち込みもできるということが自由使用の性格であろうというこの定義だけで穗積さんが質問をなさることにいささかの不便もないのではないでしょうか。何も政府が一つの政府案としていないのに、次々とこれを仮定して、事前協議はどうだ、安保関係はどうだという、こういう質問の展開に対して一々お答えすることは、私は親切だとは思わない。私はできるだけお答えしたいと思いますよ。しかし、政府の固まってもいない案をいかにも政府案として、これでこまかくいろいろ議論を積み重ねていくことが、今日の段階として適当だとは思わない、こう申し上げておるのでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そんなことはありませんよ。沖繩の施政権返還を政府が口だけのごまかしでなくてほんとうに考えておるというなら、当然その問題をお考えなくして交渉ができますか。しかも、近く佐藤総理が行って、そのときに話をしようと言っておるのだ。それで、ああいう発言を駐米大使が再度にわたってして、それでもなおかつそれに対して取り消しもしていない、取り消し談話も出ていない。そういうことで、いまの問題を討議せずして一体何の準備ができますか。ただアメリカに行って、沖繩返還の願望が強いから、頼みますよ。ああそうですか、聞いておきましょう。それで終わりだ。そんな見せかけのごまかしのようなことであるなら別ですよ。そうであるならそうとおっしゃい。見せかけのために言うだけのことであって、施政権返還のことばまだ本気に考えていない、だからそんなことを具体的に討議する必要はないのだというなら、それでよろしい。そうじゃない、真剣に考えようというのなら、この事前協議の問題は、核持ち込みの問題と並べて重要な問題なのです。  それじゃ増田長官にお尋ねいたします。  施政権返還に障害になっているのは、核基地の問題が一つ、それから作戦行動における事前協議の問題が一つ。事前協議は、言うまでもなく重要な装備の変更のときに、核兵器を持ち込む装備変更のときも含まれておりますが、もう一つは、作戦行動に基地を使用するときに事前協議があるわけですね。したがって、沖繩の施政権返還の重大なる障害になっておるのは、核兵器の持ち込みの問題と、もう一つは事前協議の問題なんです。特に作戦行動における事前協議の問題が、責任の問題が、これが返還の障害に作戦上なっておるとアメリカは理解しておると思うのです。あなたの御意見はどうですか。私はその二つにしぼれると思うのです。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 私は、ただ日米安保体制、実質的に共同防御あるいはアメリカの極東の平和と安全を維持するという関係につきまして沖繩の基地が重要なる寄与をしておるということは、どんな機会においても明確にお答えいたしております。そこで、その沖繩の基地をうまく解決できて、調和のある関係を見出しまして、そうして全面返還ができればけっこうでございまして、感謝にたえない。そこで委員会の皆さまにも御勉強を願っておる次第であると私は思っております。これは何も政府ばかりが研究しておるわけではございませんで、野党の国会議員も五十五十の立場で検討していただきたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 検討した結果を言っておるのだ。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 私があなたにお答えするのは、沖繩の核基地は相当重要なる寄与をしておるかと言うから、寄与をしておりますということをお答えいたしております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 あなた、そんなふざけたような答弁はだめですよ。あなたは勉強家をもって任じ、しかも防衛庁長官の立場で、思うことはわりあいずばずば言っておる方だ。われわれは、共通の問題として、与野党含めて、全国民的な、だれも反対がない、一致した願望として、沖繩施政権の完全返還を求めたいと思う。そのときに障害になっておるのは、私は経理して、核基地と事前協議の責任が免除されておる点にある、こういうふうに思うわけです。特にアジアの作戦の立場から見れば——われわれは違いますけれども、アメリカの立場に立って見たときに、その二つが沖繩の施政権返還をなしがたい大きな原因になっておる、障害になっておる、これを解決しなければ、沖繩の施政権の完全返還はなりがたいのではないか。完全返還を求めようとするならば、この二つを解決しなければできないのではないか、こういうことを提案しておる。あなた方もわれわれ以上に真剣に——外交権を持っておるあなた方が、口で言うように真剣に考えておるならば、その問題に対して何か答えられないのですか。そんなごまかすようなことをおっしゃらずに、もっと誠実、正直に答えていただきたい。そんなでたらめな答弁をしてごまかそうというなら、施政権返還問題に対する政府の見せかけを暴露するだけですよ。だから、二つ提案しているのですよ。二つが障害だろう、それに対してあなたはどう考えるかと言っているのです。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 穗積さんにお答えいたしますが、私に障害であるというふうに答えさせるようにいたしておりますが、私は重要問題であるという範囲にいたしております。しかも、世の中でいわゆるこぶつきなんていいますけれども、そのこぶというものは、私は、極東の平和、日本の平和に寄与しておる基地でありますから、障害なんということばはやはりどうかと思います。(穗積委員「ことばはどうでもよろしい」と呼ぶ)私の発言中はやはりお聞きください。国会法にも書いてあります。政府の答弁をする権利はある。あなたのおっしゃる点は私はお答えしにくいです。(発言する者あり)答弁中でございます。要するに、重要なる問題であるということを申しております。障害とは申しません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 障害でなければことばを変えてもよろしい。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 これは極東の平和と安全を守り、日本の平和を万一のときには極東で守るというための基地として寄与しておる。その問題はやはり解決してもらいまして、そうして沖繩の全面返還を望むというのが私の立場でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 続いてお尋ねいたしましょう。  私どもは安保条約そのものに反対をいたしております。日本全土が安保条約の支配下に置かれておることに反対をしておる。しかしながら、当面沖繩を少なくともまずわが本土と同様の状態に置くべきである。すなわち、それをいま完全施政権返還といっておるわけです。いいですか。そのときに問題になるのは、いまの核基地の問題と、事前協議の免除がされておるということが、アメリカの作戦上のメリットである、それが原因になって返すことは困難だ困難だといつも言っておるわけですね。そういうわけです。その認識については、障害であるか、原因であるか、ことばのことは別として、それはあなたも認めておる。  そうであるなら、続いて増田長官にお尋ねいたしますが、いままで伺いますと、アメリカの核兵器の実情については、あなたは直接アメリカの司令官から何らの報告を受けていないわけですね。アメリカの本国において、あるいは国会において当局が発表しておるから、そういう核兵器があるであろうと推測をしておるのだ、それを信じておるのだ、こういうことですが、これははなはだしく奇怪なことです。この前、あなたも外務大臣もおられませんでしたが、そのときに外務省は明確に、もうアメリカの核兵器が沖繩に持ち込まれておる事実を、ここの委員会で私の質問に対して報告をなさったことがあるのです。そこで、もし日本とアメリカが対等の協力者であり、安保条約においては、片務的ではなくて対等の関係であるといい、下田発計による、アメリカの核のかさのもとにあるのだというならば、それで安心しておるというならば、本国における発表でそれを推測し、それを一方的に信じ、それで安心しておるのだということではなくて、沖繩にはたしてどの程度の核兵器が用意されておるか、そのことを知る権利があると思うのですよ。また日本国民に対しては、そのことを知っておく義務があると思うのです。それはどうなんですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 私の知っておる範囲のことを正直に申しますから、あまり悪くとらないでいただくということを前提に申し上げます。  すなわち、石橋君にお答え申し上げましたとおり、マクナマラ国防長官が、メースBを沖繩に配置しておるということをアメリカの上院の会議において申し上げておりますから、その範囲の知識しか私はないのであります。それから同じく国防省等から発表されておる数字は、アメリカの陸軍、海軍、空軍が四万数千おるということでございます。その範囲しか知らないわけでございます。ただ、なし得るかなし得ないかといえば、いまの沖繩の基地には、長距離爆撃機に核を積んだものを使用するような空軍基地にもなし得るし、一メガトンを十六発積んでおるポラリスが七、八隻ばかり——これはやはり軍機でございますから、向こうは機密にしておりまして、よくわかりませんが、東洋方面を遊よくしておる。その際にあそこへ立り寄り得るか立ち得り得ないかといえば、日本ば立ち寄りを拒んでおりますが、しかしながら、現在沖繩は向こうの施政権下にありますから、立ち寄り得るのである。ここまで私は正直に申し上げておるのでありますから、あとはひとつ対話という形でぜひやっていただきたい、こう思うわけです。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 対話をいたしましょう。  それで、日本とアメリカとは対等でなければならないわけですね。しかも、近代史始まって以来、このような不法不当な施政権を長年にわたって固定化しておるということも、国辱的な事実です。それをしも忍んでおるのは、そのことが日本の安全保障に役立つものであるとあなた方は信じておる。われわれは、実は沖繩があることがアジアの情勢を激化せしめ、戦争の危険を増しておる原動力であると思うのです。逆に、根源であると思っておるのだ。けれども、その認識は別として、あなた方としては、そういう認識、論理に立って沖繩の施政権をジャスティファイし、これを認めておるわけでしょう。国民にがまんしろといっておるわけでしょう。そうであるなら、沖繩にいかなる基地があるか、いかなる核兵器が持ち込まれておるか、これは当然アメリカに聞く権利があり、知る権利があると思いますが、どうですか。おそれ多くて聞けないのでしょう。アメリカの国会における発表からかすかに資料をとって知るだけの権利しかないのですか。直接聞き、かつ知る権利はないのですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いままで私もまだ聞いておりませんということを先ほど正直に申しておるわけで、おそれ多いなんということば絶体ないのでありまして、対等でございますから、おまえのところはどれくらい置いておるかくらいのことは幾らでも聞きます、御注文があれば。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 よろしい。当然なことです。それでは、聞き、かつ知る権利を実行していただきたい、そしてこの委員会に報告をしていただきたいのです。ぜひお願いをいたしておきます。  委員長、それをお願いします。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 私は、聞く権利もあるし、聞いてしかるべきことだと思いまするが、聞いて、あらゆる態様をここで報告せんならぬということはないと思います。やはり向こうには向こうの機密もあります。自衛隊ですら自衛隊の機密があるわけでありますから、一切ここでお話をしなければならぬということはお約束いたしかねます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それはあなた方も政府機関である。国会も国家機関です。これは憲法に保障された国家機関。国家機関が知る権利はありますよ。または国民に対しては義務がある。それをどう取り扱うかは、これは別問題だ。あなた方だけが愛国者であって、われわれはそんな責任のないものであるということは、失礼ですよ。取り扱い上必要があるなら、秘密会にしたらよろしい。場合によっては必ずしも公開を私は要求しない。ぜひそれを実行していただきたい。  そこで、三木外務大臣にお尋ねいたします。  アメリカの施政権返還に伴って、核持ち込みを含む核基地の自由使用を特例として——これは本土に及ぼさないという特例で、そして施政権返還いたしますね。ところが、これは国内における主観的な心覚えにすぎないのであって、対外的には、これは日本が核基地を持ち、そしてその基地をしてアジアの作戦行動に出動せしめる自由を与えておる、こういうことになるのであって、したがって、そうなれば本土と沖繩との区別はなくなるわけです。これが先ほど石橋委員が指摘した重要な点なんです。私は、対外的な関係から見れば、本国政府は核基地を認めていない、あるいは自由使用も認めていない、作戦行動も認めていないといいましても、対外的には、施政権が返還された場合には、日本は核基地を置き、しかも自由なる作戦行動を許しておる、こういうことに協力しておるということになることは当然ですけれども、これは対外的な条約上の問題でございますから、明らかに答弁しておいていただきたいのでございます。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 条約上の問題ではないですね。やはり沖繩の問題は、沖繩返還協定というものがつくられるわけですから、その協定で、あなたがいまいろいろ質問されておるようなことがどういう協定になるかという内容になる。核の自由持ち込みという一つの地域が沖繩にあるというようなことは、条約上の問題というよりは、とにかく施政権が返ってきてなおかつ日本の施政権下に核兵器の持ち込みが自由な地域があるということを——本土は違う、持ち込みはできないにしても、それをどういうふうな政治的な判断を各国がするかということは、これはやはりいまここでそういうふうに政府が案をきめておるわけでもないのに、そういう場合を考えて、これがどういう反響だということも、この問題もまだお答えするのには少し先ばしっていると思う。これは条約上の問題だとは私は思わない。問題があるとするならば、沖繩返還協定の中の問題点であることは事実です。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 ちょっと穂積君……

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 これで終わりますから……。  それをなぜ言うかというと、重要な問題だから言っているのです。国民をそれでごまかそうとしている。したがって、沖繩の百万の県民が核基地を承認すれば返るんだ、そうでなければ返らないんだという攻め方をしておる。それで、日本本土の一億の国民にとってはそれは関係のないことであるかのごときPRが行なわれておるわけです。錯覚がそこから行なわれておる。ところが、そうじゃないのです。戦闘状態に入って、報復攻撃が行なわれたときに実は問題になるのは、何ら日本の意思によらざる戦争への問題が出てくるわけですよ。すなわち、安保条約五条と関連してくるわけです。だからぼくは、日米間の条約上の問題としてこれはけじめをつけておかないといけない問題というので提起しておるわけです。だから当然でしょう。それは安保条約五条の義務が無制限に出てくるということです。日本の意思なくして出てくる、こういうことになる。しかも、国際的に、核兵器使用の責任も日本は自動的に出てくるわけです。だから重要な問題なんです。  きょうは時間がありませんからこれでやめますが、以上申しましたところを見ましても、不十分な——きょうの討議で明らかになった点は、すなわち、一つの案であるこの問題は、これは日本の国全体にとって深刻な後退である。前進ではありません。この施政権返還の方式というものは後退である、しかも危険を増すものであるというふうに思いますから、われわれとしては、他の一つの方法、核基地を撤去させて完全返還を求める道しかない。政府はこの態度をもってアメリカと交渉すべきである、こういうことを私は最後に注意を申し上げ、この点は総理にもよくあなたから言っておいていただきたいのであります。いずれまた総理自身にもお尋ねいたしますが、これから沖繩の施政権返還問題を取り上げるにあたって、先ほどの塚原長官の説明によれば、大濱懇談会の報告があったら、首相直属の審議機関に移すのだということでありますから、その審議の過程において大事な点でありますから、ぜひ総理にもお伝えおきを願いたい、こういうような注意を申し上げまして、私の質問をこれで打ち切ります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 永末英一君。

永末英一民主社会党

○永末委員 外務大臣に伺います。  佐藤・ジョンソン会談以来、沖繩の施政権返還について日本政府はアメリカ国政府と交渉されたことがございますか、伺いたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 政府の態度は、永末君御承知のように、一ぺんに施政権の返還ということは、これは大問題であることはおわかりのとおりでありますから、施政権の返還に近づき得る問題は、何でもそれが一歩でも前進であるという問題は解決をしようということで、こまかいと言われますけれども、沖繩の人たちにはそれなりに意義を持っておる問題を幾つか解決してきたわけであります。また、沖繩と本土との格差是正という面からも、沖繩に対する財政援助をふやした。だから、施政権をすぐに返還ということについては、問題は進展しておりません。しかし、それに向かって一歩でも近づき得るような岡極点については幾つか解決がなされたことは、御承知のとおりでございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 外務大臣のお話をもう一ぺん確かめますが、いろいろな沖繩県民の要望する問題について外交折衝をされるということは、施政権返還を一途にしていなければおかしな話だと思うのです。目標がない。そこで、そういう問題をあなたはやはり施政権返還交渉の一部だと考えてその折衝を続けられましたか、伺います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 施政権返還というのを永末君はどういうふうに言われるのか。全部施政権が日本に返ってくる、これが一審理想的な形でしょう。そういう問題を解決するのには、おのずからいろいろな話し合いも積み重ねていかなければなりませんので、たとえば一つの例をとって、私が覚えておる問題で、沖繩の漁船に対する日の丸の問題にしても、これは施政権返還とは言えませんけれども、しかし、沖繩の人にはそれなりにこれは意義を持っておることであります。その問題は施政権返還そのものではないが、施政権の返還ということは、結局日本と沖繩とが一体化するということでしょうから、それにやはり近づき得ることならば何でもやりたいというのが私の方針で、それに沿うていままで努力をしてきたのであり、これからも努力をしたい。しかし、施政権の全面返還ということを決してこれはおろそかにしておるわけではない。これこそが一番大きな問題であることは認めますが、それがいま直ちに実現できなければ、じっと手をこまねいておるという考えは私はない。一歩でもそれに近づき得るようなことはやりたいということで努力をしたし、今後もやりたいということを申し上げておるのでございます。施政権そのものではないことは明らかでございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 わが国でアメリカ政府と折衝し得る能力を持っているのは、内閣総理大臣とあなたなんです。ところが、いまのあなたのお話を聞いておりますと、大問題だ、したがって、施政権返還という問題については、それを表面に立てて佐藤・ジョンソン会談以来折衝したことはないと、このように承ったのですが、これはいつやるのですか、どういう条件がくればやるのですか、伺いたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私は、いろんな日米会談のときに、施政権の返還というものを持ち出さないときはないのですよ。それを折衝というならば、それは施政権の返還というのはいずれの日米会談においても議題になっておる。少なくとも日米間の会議であるといわれるときに、この問題が議題にならぬことは一ぺんもありませんでした。しかし、それならいま直ちに持ち出してもこの問題が解決可能かというと、なかなか解決が今日までできてないことは、これは事実ですから、そうなってくると、それができるまでは何にもしないというのではなくして、それができなくても、少しでも問題の前進になるものはこれを解決したい、日米会談の折衝の題目にするということは、これはもういつでもやるべきであるし、やらなければならぬ問題だと思っております。しかし、解決はいまできてないのですから、解決のできる問題は、小さい問題でも解決のために話し合いをしたいというのが私の態度でございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 あなたは、先ほどからのお話を聞いておりますと、全面返還ということをあなたの方針としておられるように承りました。そこで、外務大臣になられてからだいぶ日にちがたっておりますし、あちら側の責任者ともお話をなさって、そのときに、いまのお話ですと、やはり施政権の返還ということを、題目か何かわかりませんが、まくらにしながら話をしたということでありますが、相手方はなぜそれに乗らぬのですか、どこに難点があるのですか、それをはっきりさしていただきたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 問題はやはり極東情勢だと思います。だれが考えても、今日の極東情勢が安定した状態であるということは言えない。そういうことを考えてみると、施政権返還ということと基地、これはいまアメリカ側が自由使用という形になっておりますから、こういうこととの間には、非常な安定してない極大情勢からいって、この問題というものの見通しが今日の段階ではなかなか立ちにくい、したがって、沖繩の施政権の全面返還というもののこの話が進展しない原因になっておると私は思っております。

永末英一民主社会党

○永末委員 基地の自由使用というのは、これは平和条約以来アメリカがとってきた一つの権利ですね。極東情勢の問題は、これは動いておるのであって、これの判断、これが沖繩施政権返還にふさわしい状態に立ち至ったかどうか、この判断は、日本国、アメリカ国ともにそれぞれ判断はございましょう。しかし、そうおっしゃるなら伺いたいのだけれども、一体いまこの時点でアメリカが沖繩に施政権を持っておる根拠は、外務大臣はどう判断されるのですか。昔でなく、いまなんです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 いまは、極東の安全に寄与するためと、こう考えております。

永末英一民主社会党

○永末委員 これは私も、それを端的にあなたがお答えになりましたので、そういう日本政府の方針だと思うのです。従来は、平和条約三条ということをよく繰り返し言われました。しかし、新しいアンガー高等弁務官は、日本の本土内では言いませんでしたが、よそでは、いまわれわれが沖繩におるのは、極東の情勢にかんがみて日本政府がわれわれのおることを容認しておるのだ、こういうことを申しました。あなたもそのように受け取っておられますね。もう一ぺんお答えを願いたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 法律的にいえば、平和条約の第三条とか、いろいろあるのでしょうが、三条があっても、日本に返すことは可能ですからね。やはり根底にあるものは、極東の安全に寄与するということが根底にあると私は解釈しております。

永末英一民主社会党

○永末委員 極東の情勢につきましては、これは三木さんが返還し得る状態に立ち至ったような極東情勢だと判断されれば、私は交渉される問題だと思う。しかし、基地の自由使用の問題については、これは交渉しなければいけませんね。アメリカ側がうんと言わなければできない問題である。この点はどういうときに一体あなたは交渉されますか、伺いたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 沖繩の完全な施政権の返還というものは、やはり極東情勢の安定という環境においてなさるべきだと思いますが、しかし、だれが考えても、今日の極東情勢は安定しておると言う人はないですよ。しかし、極東情勢が安定してないにもかかわらず施政権の返還というものをする場合には、どういう可能性があるかというようなことで、いろいろな案というものが出されておるわけであります。したがって、その一番の、完全な施政権の返還をし得る条件というものは、極東情勢が、だれが見ても、ある一国の主観的な見方だけでなしに、客観的に見てまず安定した状態であるということならば、これは施政権返還の非常な条件であると私は思うのですよ。しかし、だれが見てもまだ安定してないときに施政権を返してもらいたいということになれば、そういう一つの過渡期の間における処置というものは、いろいろな角度から検討しなければならない問題がたくさんに含まれておる。そういうことでいろいろ検討を政府のほうとしてもすると言っておるので、そういうことが当面の研究の題目に私はなり得ると考えております。

永末英一民主社会党

○永末委員 極東情勢が原因であるということは承りました。これはきょうのあなたの重要な御発言でありますが、しかし、具体的に壁になっておるのは基地自由使用ですね。この点の御見解を承りたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 自由使用と申しますか、ああいう形において沖繩の基地というものが——アメリカが施政権を完全に持っておるわけですから、基地の使用という場合において、アメリカの施政権下において基地が使用できるというのが沖繩の今日の特徴だ、こう考えております。

永末英一民主社会党

○永末委員 私はもう少し伺いたいのでありますが、同僚委員にも外務大臣に質問をされる時間が必要のようでございますから、一点だけ外務大臣に伺いたい。  先ほどあなたのお話にもございましたが、七月一日から沖繩船難の船舶に日の丸があがるわけです。当委員会で、だいぶ前に、その日の丸の旗を掲げた船舶が海洋の上を航行するときには、日本政府はその船舶に対する外交保護権についてアメリカ政府と交渉をして、全く手が及ばないのだというようなことにならないようにひとつその交渉の努力をしてほしいと思う、こういうことを申し上げておきました。あなたのお耳に入っておるかどうか、その点どういう努力をされ、そして何らかの日本の外交保護権がこの船舶に加わるかいなか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。

東郷文彦外務省北米局長

○東郷政府委員 先般の話し合いによりまして、いよいよ七月一日から日の丸を沖繩の漁船が掲げることになりました。これは御承知のごとく、沖繩の船舶に対する管轄権はアメリカ側に残ったままということでございますが、その結果、沖繩外におきまする船舶に対します外交的保護の第一次的責任は依然としてアメリカに残るわけでございます。ということは、日本政府が手をこまねいて出せないということではございませんので、たまたまアメリカが第一次的に責任を持つというだけで、実際問題としては、現実の例もそうでございますが、両政府協力して保護に当たるということになっております。ただ、管轄権も全部こちらにきたほうがいろいろな点でいいことはむろんでございますので、それは今後の検討対象といたす考えでございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 ちょっと詰めておきますが、第一次的責任はアメリカ政府にある、しかし、それで全部まかない切れぬように思うというので、あとのくだりのところはアメリカ政府も承認しておりますね。

東郷文彦外務省北米局長

○東郷政府委員 その辺に関して何ら双方に意見の食い違いはございません。

永末英一民主社会党

○永末委員 あとの質問は次回に保留しておきます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 それでは、関連質問がありますので、これを許します。渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部委員 一言外務大臣にお伺いさしていただきます。  沖繩の施政権の分離返還につきましてアンガー高等弁務官が意見を表明されているようであります。新聞によりますと——もしお読みにならないならばこれを差し上げますが、高等弁務官が二十七日那覇市におきまして記者会見を行なった席上、「日本と沖繩で施政権分離返還についての動きがあるが、実現はきわめて困難で、またこれが可能な方法であるということを聞いていない。基地と施政権の二つは複雑に関連しており、基地の機能を十分発揮するためには分離することには支障がある。」と述べております。私の質問は簡単ですが、これについて外務大臣の見解をお伺いしたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これは私も新聞で読みましたが、これはアンガー弁務官の意見である。われわれは日米の間で話し合いをする場合には、最高責任者と話をするわけであります。弁務官がこういう意見を持っておるということは、新聞で見たのでありまして、いま私は弁務官の意見にここで日本の外務大臣が一々論評を加える必要はないと思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員 防衛庁長官に、先ほどの御質問の中から二つだけ念を押しておきたいと思います。  一つは、長官は、極東の安全が達成された際においては、沖繩におけるところの全血返還ということは可能である、こういう表現をされました。この極東の安全というものが達成されるということは、長官は、どういう時点、具体的にどういう事態になればその時期がきたと判定されるか、軍事的にお答えを願いたいと思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 渡部さんにお答えいたします。  極東とは、従来の政府の答弁は、フィリピン以北でございます。フィリピン以北の平和と安全の保障に沖繩基地が非常に役立っておる。であるから重要問題であるということまでは、いま穗積七郎君にお答えしておりまするが、極東の安全が達成された場合には、基地は一切なくともいいということはお答えしていないのでございます。お答えしておりません。それは何かの聞き違いじゃございませんでしょうか。

渡部一郎公明党

○渡部委員 極東の安全が達成されたとき全面返還になるというふうに長官は言われたと思います。言われないですか。そうすると、全面返還が達成されるに必要な条件というのは何ですか、それを言っていただきたいのです。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いま沖繩における米軍基地が日本を含む極東の平和と安全の保障に寄与しておることは事実でございまして、その問題は重要問題でございますから、それが円満に調和ある解決を見まして、そうして全面的な返還をしていただくようになればけっこうだということを私は申しておるのでございまして、外務大臣や主務大臣の塚原長官の答弁を別に侵すような発言はしていないのでございまして、基地の問題がうまく解決されて——極東の安全というものは、相当長期にわたって米軍というものがやはり存在することが必要であるという考えでございます。すなわち、防衛庁という立場においてお答えをいたしました。

渡部一郎公明党

○渡部委員 私が申し上げておるのは、いま抽象的なお話が非常に多いので、私は具体的に庶民にわかりやすく言っていただこうと思いましてお話をしておるわけです。  全面的に調和ある解決と言われましたが、その全面的に調和ある解決とは、軍事的にどういうふうになることなのか、それは自衛隊の力がどの程度になったらそういうふうに言えるのか、あるいは、そんなことではなくて、他の国々の軍事的な連携の状況がこうなったらそうなるのか、そういうようなことを、具体的に構想していらっしゃることを話していただきたいのです。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 まだ渡部さんにお答えするほど具体的の結論というものを持ち合わせておりませんが、核拡散防止条約もできておりませんし、軍縮条約もまだ成功していないのでございます。そういうものが成功した場合には——私の人生観としては、武器よさらばというのが私の人生観でございます。それが人生観です。それに向かうべくいまグラスボロなどでも相当努力しておるようですし、だんだん実を結びはせぬか。それまでの間はやはり核兵器も必要である。しかしながら、日本は核兵器を製造せず、保有せず、持ち込まないのであるから、アメリカの核兵器に、文字どおり率直に申しますが、たよっておるという状況でございます。そのアメリカの核兵器というものも、核戦争を抑止する力でございまして、抑止というのは——世界的にどんどん出ていくといったようなお説の国会議員もいらっしゃいましたが、そうではございませんで、核戦争をしかけようとしてもしかけられない、じゃまをする力、妨げる力、そういうものになっていることは事実でございます。アメリカの核兵器が、核戦争を起こさないように未然に防止する力になっておる、これが抑止力というものであると私は考えております。全世界に出ていって、それでアメリカの核兵器が世界の警察軍であるというふうに考えてはいないのでございまして、とにかくそれまでの間は、当分、極東におきましても核兵器の存在は、日本に対する核戦争がこないようにじゃまをしてくれる力であると私は考えております。しかしながら、やはりお答えといたしましては、沖繩の核基地が調和ある関係において解決されまして、そうして立法、司法、行政の三権が日本に返ってくることを望むことは、全国民の皆さまと同様であるということでございます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 渡部君に申し上げますが、防衛庁長官は約束の時間がだいぶ過ぎておりますから、厚生省と総理府のほうを……

渡部一郎公明党

○渡部委員 もう一つ聞かしてください。いまの締めくくりをしますから。  そうすると、長官の言われることは、核拡散防止条約ができ、軍縮条約ができると、自分の人生観ともぴったりするから、それに加えて、核兵器というのは戦争抑止力であるから、アメリカが持つか日本が持つかは知らぬけれども、それが十分日本の上をおおうだけある、こういう状況になったら、そのときには沖繩の全面返還は可能である、こういう意味でございますね。どうですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 沖繩の果たしておる核基地としての任務は相当重要であると言っただけでございまして、日本全体をカバーしているとは私は考えておりません。世界のどこの国においてもカバーしているとは考えませんけれども、しかし、ある程度核兵器があれば、無責任なる帝国主義者が膨張主義というものを満足させるような積極的戦争を起こさないであろう、こういうことだけは言えますが、いま日本全体の北海道から種子島までおおっておる、また、おおう状態にならないと沖繩は返さないとまでは言っていないわけでございまして、沖繩の核基地がこの現在の段階におきましては相当重要なる意義がある。穗積さんは障害になるなんと言いましたけれども、私は、障害でなく、重要である……

渡部一郎公明党

○渡部委員 私は穗積さんじゃない。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 そうではございませんが、御参考に申し上げます。つまり、重要なる意義があるということを渡部さんは御了解くださるのじゃないか、こう思う次第であります。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それでは、いよいよ総務長官、ひとつよろしくお願いします。  私は先日沖繩へ行かしていただきましたとき、さまざまな問題点を沖繩で伺ってまいりました。そうして私たちが痛切に感じておりますことは、沖繩の人々が祖国復帰に対して大きな希望と理想と情熱を抱いていらっしゃることを私ははだ身にしみて帰ってまいったのであります。しかしながら、沖繩において論じられておりますところの復帰の問題と、私たちがこの委員会で論じておりますところには、私はちょっと差があるように感ずるのであります。それは、沖繩においては祖国復帰の問題が現実問題として扱われておって、その復帰に対するもろもろの障害というものを何とかして取り除いていこう、そういう立場でみんなが熱心にその問題について協議をしているということであります。現実的にいいますと非常に困難がある。たとえ三木外務大臣が非常な英邁なる外交手腕をふるってそうして返還が行なわれたとしても、返還が行なわれたときにおいてはどういうことが起こるかといえば、未曽有の経済混乱と福祉行政に対する破綻が目の前に見えてくるのでありまして、おそらくは、日本の経済的な大きな力をもってしても、これを長期計画をもって助成することがなければ、返還運動は単なる絵にかいたようにすぎない、私はかよう痛感して戻ってまいった一人であります。  そのような立場から、私は、この復帰問題に対して、ただ返還を呼号するだけではなくて、極東の上安全とか言われておりましたけれども、きょう返還が現実の問題になった場合に、それが現実のものとして受け入れられるだけの素地を日本の本土と沖繩との間につくり上げていかねばならない、かよう考えるのであります。そのような立場から見ますと、まことに現在の施策といいますか、いろいろな問題というものは、それこそ破綻状態を来たしておると言っても過言でないと思うのであります。一例をあげれば、沖繩にビール会社があります。そのビール会社は、一生懸命やりまして、沖繩の九十数%というビールを売っておりますが、祖国復帰になったらわれわれは破産である、一両こう言っております。しからばそういう場合にどうしたらいいか、この問題を一つとってみたとしても、それこそ祖国復帰がなみなみならぬ大きな問題をかかえているということはおわかりだろうと思います。  また、沖繩の経済が直接的には五〇%も軍事基地につとめている人々によって維持されておる。また、沖繩の輸出しているものの半分以上がいわゆる高いサトウキビであって、それは日本政府が国際価格の三倍の価格のものを買うことによってその経済が維持されておる。ほんとうに日本本土に沖繩の復帰が可能になった際において、この資本自由化の波の打ち寄せる日本本土の中にかかえて沖繩をほんとうに生かしていくことができるかといえば、その荒い風のために一たまりもなく経済的にも崩壊することは当然であると私は思うのであります。  そうしますと、私は思うのでありますが、まさに返還に関するいろんな主力的な問題はこれを解明しなければなりませんけれども、いま大事なことは、いつ返還があってもだいじょうぶなようにさまざまな事実を積み上げてくることが、歴代の総務長官の大きな役目ではなかろうか、私はこう思うのであります。そうしてそのために大きなスケジュールをつくった上で、これを現実問題として一歩一歩と実際の返還問題が行なわれていくようないろいろな施策というものが打たれてまいらねばならない、私はこう感ずるのであります。そのような立場から、私は、総務長官がこういう問題に対してどう考えていらっしゃるのか、まず一言だけ最初に伺っておきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 先ほどから論議が展開されておりますように、沖繩の方々の気持ち、また日本本土の方々の気持ちから、施政権の全面返還が望ましいことは当然でありますけれども、その返還の日に備えて、いま御指摘になりましたようなことを考慮しつつ、そのことを頭に入れて本土との格差の是正にあらゆる努力を今日まで払ってまいったのであります。もちろん、一つ一つとらえてみまして、本土のたとえば佐賀県なら佐賀県、島根県なら島根県等と比較いたしまして、なおこの点についてこういう格差があるではないかという御議論もたびたび拝聴いたしております。ただいまあげた県が決して日本で悪い県という意味ではありませんから、その点はどうぞ誤解のないようにお願いいたしたいのでありますが、そういった御発言のありますことは存じておりますだけに、復帰の日に備えた対策と申しますか、復帰がきまった、しかし現実はこうであったということを取り除くためにも、格差是正のためのあらゆる努力というものを今日まで続けてまいりましたし、今後ともその努力を続けていく考えでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それでは、私は、いまから沖繩のハンセン氏病、いわゆるらい病の問題について総務長官並びに関係の部局の方々の御説明を仰ぎたいと思うのであります。私が参りましたところでは、これは非常に微妙な問題でありますので、国民のすべての方々に知っていただいていい部類の問題と悪い部類の問題とがあるのは、おわかりのとおりだと思います。そこで、公式的に言えない話が一部あるのもわかっております。しかし、私は、この問題解決の糸口は私どもが多く握っておるのであって、沖繩にいる人々だけが握っている問題じゃない、こういうふうに思いますので、あえて伺うのであります。  まず、公衆衛生局長にお伺いいたしますが、現在の沖繩のらいの現況について、私が話すよりもおそらくは正確な資料をお持ちであろうと思いますので、御説明をいただきたいと思います。

中原龍之助厚生省公衆衛生局長

○中原政府委員 沖繩のハンセン氏病患者につきまして、私の承知いたしております点についてお答えを申し上げます。  沖繩のハンセン氏病患者数は、一九六六年七月末現在で、入院患者数が九百九十三名、在宅患者数が、推計で約七百名、計千七百名の患者がいるものと考えられております。また、年間の新登録患者数は、最近三カ年間の平均で、年間約九十名となっております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 この沖繩の地域に対しまして、先日、国立療養所のお医者さんの方九名と、現地の医師一名と協力なさって派遣の医師一名、合計十一名で先高地区におきましてらい病の共同調査を行なわれたということでありますが、その点について御報告していただきたいと思います。

中原龍之助厚生省公衆衛生局長

○中原政府委員 ことしの四月十日から六月九日まで、ハンセン氏病の検査が専門医十一名によりまして行なわれましたが、その対象になりましたものは、宮古、それから八重山の小中学生二万九千六百九十六名を対象といたしまして検診が行なわれました。受診率は約九九・六%、その結果、五十四名の患者が発見されました。しかし、そのうち七名は登録済みでございます。新患者発見は四十七名ということになっております。  これに対しまして、措置といたしましては、これは入所を要するような感染性患者が八名おりまして、これは収容いたしまして、その他の非感染性の患者はきわめて軽症でございますので、大体二年程度の観察とその間の投薬治療によりまして、これはだいじょうぶというような見込みを立てておるそうであります。これらの患者の管理につきましては、南静園、八重山保健所、これが大体行なうというふうに私は聞いております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 この患者の割合は、人口のどれくらいの割合であり、日本の本土の現在の割合と比べてどのようでありますか、言っていただきたいと思います。

中原龍之助厚生省公衆衛生局長

○中原政府委員 患者の割合は、先ほど申し上げました推計で沖繩には大体千七百名ということになりますと、それは人口千に対して大体一・八というような形になります。これを本土のほうと比較してみますと、本土は昭和四十一年度末で収容と未収容合わせまして大体一万四百余名というふうに私ども勘定をしておりますので、したがいまして、人口率で言いますと、人口千に対して〇・一、こういう率であると存じます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうすると、その割合は、本土地域におけるところの大体十八倍という意味でございますか。

中原龍之助厚生省公衆衛生局長

○中原政府委員 この数字から見ますとさようになります。

渡部一郎公明党

○渡部委員 私が最も心配いたしますのは、このような医師団の派遣によりましてこのような年収が明らかになったのでありますが、いままで日本政府としては、この地域のらいについて調査並びに対策はいかなるものでありましたか、それについてお話いただきたいと思います。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 従来沖繩のハンセン氏病だけをとらえて検査をするとかあるいは健康診断をするとかいうようなことは特に行なわれていなかったのであります。これにつきましてはいろいろ事情がございまして、おそらく渡部先生も御案内と思いますが、そういういろいろな事情がありまして、特にそれだけを取り出しての調査は行なわれていなかったのであります。ただ、従来、本土からいろいろ医師が参りまして、特にそういう感染率の多いようなところをとらえて調査をしたことはございまして、また、昭和四十一年度の予算で、先ほど厚生省からお答えになりましたような医師団を派遣しまして、それだけではございませんが、ハンセン氏病を中心にした調査をやっておりますが、それは今度がむしろ初めてだろうと思うわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 これまでの間、日本政府としては特連局として医師を派遣されたことばありますか。ございましたら、どれくらいの規模で出されておったのか、伺いたい。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 先ほど申しましたように、これは主として琉球政府が中心になって、琉球政府の意見を聞いて、それに基づいて本土政府から援助していくわけでございますから、したがいまして、従来は琉球政府のそういう強い要請はなかったといっていいわけでございます。したがいまして、特別にその目的のために医師を派遣したという事例はあまりありません。しかし、そうかといって全くなかったかというと、そういうわけではございませんので、ほかの問題とあわせていろいろ調査を願ったことはあるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 いまのお話のしかたで私は非常に不満足でありますが、琉球政府の要請がなければ行かないという意味ですか。そうしますと、琉球政府の要請がなかったからいままで行かなかった、琉球政府の要請があれば行くのだ、要するに琉球政府が全部悪いのだ、おまえたちが一体らい病なんかに関心がないからいけないのだ、わが特連局は行きたいという気持ちに燃え上がっておるのだ、愚かなる者よ、なぜ早く言ってこぬか、こういう意味でございますか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 そういう意味ではございませんので、政府は昭和三十七年以来沖繩のハンセン氏病対策にはいろいろ各般の措置を講じてまいっております。しかし、いま御指摘のように、ハンセン氏病の調査に医師を派遣したかという問題になりますと、これは御案内のように、琉球政府が毎年度公衆衛生あるいは医療全般についての計画を持っておりますので、その計画に基づいて本土に要請があった場合に、そういう要請にこたえて本土から医師を派遣していくわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それならば、琉球政府がらいに対してどういう対策を立てたか御存じですか、特連局長。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 琉球政府のほうも従来このハンセン氏病につきましては非常に重要な関心を持ってきたことは事実でございます。したがいまして、小さい問題でございますが、いろいろな面から、ハンセン氏病の対策を講じておりますけれども、御案内のように小さい島、狭い島で九十六万の人口をかかえており、社会環境もきわめて狭い範囲でございます。したがいまして、この病気の特殊性にかんがみまして、いろいろ各般の配慮を琉球政府として行なうことは当然のことだと思うのでありまして、したがいまして、そういう面から表立ってかくかくの措置をハンセン氏病に対してとったということは大々的には打ち出されてはおりませんけれども、毎年度毎年度注意深く諸般の措置をとってきたことは事実でございます。これに対して日本政府としても相当力を入れて援助してきたことも当然でございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 しからば局長に伺いますが、沖繩におけるらいの専門医が一体何人いると思われますか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 私もはっきりは知りませんが、二、三名であろうと思います。  なお、私のほうから特に、南静園でしたか、技術援助で医者を一名毎年予算措置をもって送っております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 いま局長はどう思われているか知りませんけれども、私は、きょうは通常の質問と違って、何もやっつけようとして言っているのではない。いままでやってなかったのはちゃんとわかっておりますよ。  時間ばかりかかりますから申し上げますけれども、こちらから派遣されている医師は、昭和三十五年二人、三十六年一人、三十七年二人、三十八年二人、三十九年三人、四十年三人、四十一年十一人——これは延べです。二、三カ月行って、二、三カ月で帰ってくれば、常時行っているのは一名ないしゼロです。しかも、現地にいる医者は三人です。これで琉球政府もこの問題については十分な施策と対策を立てておって、目には見えないなどというような、そういうものの考え方では、この問題はなくなりはしない。とんでもない間違いだと私は思う。もし局長が、そんな専門医が三人しかいないのに対して、これは十分な措置が行なわれているんだというなら、現地の医者の意見を聞いていただきたいと思う。現地の医者は人手がなくて悲鳴を上げているのです。また、こちらから行かれた医師団の方は、とても潜在患者の追跡調査に対して手が伸びない。血まなこになっている。それで琉球政府は十分の対策を立てているとか、十分の措置をとっているとか局長は言えるのですか。私はその言い方は間違いだと思う。私はきょうはあなたとけんかしにここに来ているのじゃない。あなたを啓蒙しようと思って来ているのだ。そういうように頭がどうかしているから、この問題がこんなに広がっているのじゃないか。私はほんとう言っておこっているんですよ。これでもし祖国復帰といったら大問題になってしまうじゃないですか。問題はもう起こり始めている。沖繩と日本との間にはたくさんな通行があるじゃないですか。そのたくさんの通行があるにもかかわらず、それに対して対策が打たれていない。向こうへ行く人もある、あっちからこっちへ来る人だってある。こんなべらぼうな感染率が広がっているところは、日本本土にはありはしない。それにもかかわらず、この問題がうまくいっていると考えているなら、日本本土まで被害が及びますよ。だから、どうするのか、本気になってこれは日本自体の問題としても考えなければならないではないかということを私は言おうとしているのじゃないですか。そうしたら、琉球政府はちゃんと対策を立てていますなんて、何ですか、その言い方は。そんなことを言うなら、私はあるだけの資料を出してあなたとけんかしますよ。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 私は、別に渡部先生に、完全な対策を立てていますという大げさなものの言い方をしたつもりではないわけでございますが、確かに現在の沖繩のハンセン氏病という問題は非常に大きな問題であり、その対策が必ずしも完全に行なわれていないということは私どもも認めております。しかし、従来ハンセン氏病に対する琉球政府の対策の態度ですね、そういう問題についても、何といいますか、あまりに神経質な配慮が行政上払われ過ぎていたわけでございます。したがいまして、その意見が当然民政府にも反映いたしまして、毎年度、たとえば本土のほうから技術援助をしたいという場合にも、ハンセン氏病の医師に対する要請というのはほとんどないわけでございます。今度患者を発見しましたあの八重山の医師団ですね、健康診断をするための医師の派遣も、あれは日本政府のほうがむしろ積極的にこういうことをやりたいということで提案した案でございます。したがいまして、私どもはこの現状を——先生いま御指摘になりましたような重大な問題だという面から、今後可及的すみやかに厚生省とも、それから琉球政府とも相談いたしまして、完全な、できるだけ効果的な援助措置をこれから検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 私はそう言われるならわかるのです。さっきあなたは、琉球政府は十分な施策を立てているとおっしゃった。十分な施策なんというのは何も立てていないですよ。何も施策なんか立てていないんだ。そうしてらい病の問題について投げやりなんだ。アメリカ民政府のごときはここ数年間に何もしていなかった。琉球政府も手を打っていなかった。やったのは何かといえば、日本政府の援助金でらい病の病院の病棟を建てただけにすぎない。医者は沖繩では非常に高額の給料を取るために、らい病のような病院に、公衆衛生に任ずる医師というのはきわめて少なくて、ほとんどいなくなってしまって、現地では悲鳴を上げているのです。そうしてその結果はどこがあおりを受けなければならないかという問題を考えていかなければならないと私は思う。琉球政府の問題ではない、日本政府の問題なんです。私は人道上の問題でもあると思うのです。日本は本国です。そして日本は母親の国のようなものです。里子に出している国みたいなものです。その沖繩において、らい病の問題一つ片づかないといって、そうして苦心に苦心を重ねてやっている。それに対して日本政府が応援するのは、もう当然のことだと私は思う。ではその原因は一体どこにあるのか、どうしてそんなにたくさん広がっちゃったのか、またそれに対する対策はどうしたらいいのか、私は率直にここで意見を交換したいのです。そうすれば私のほうの意見も申し上げる。局長は私の前にぼろを出さないというだけで話を進められるのなら、これは話にならぬと思うのです。  だから、どの程度認識されておるのか。なぜこんなに日本本土とはひどい差がついておるか。先ほど人口千人中〇・一というお話があったが、私の調査とは非常に違う。日本は人口千人中〇・〇〇五です。ひどい差がある。そのように違っておる。現場の統計とはずいぶん話が違うのだ。それからまた、現地におけるらい病患者は一・八ではない。二・四だ。それはずいぶん違いがあると私は思う。その数字的なことは別としても、一体どうしてこんなにらい病の患者が多いのか、そしてこの問題が日本の本土内と違ったこういう状況になってしまったのか、その原因について局長は説明をしていただきたいと思うのです。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 これはむしろ厚生省のほうから専門的にお答えをいただいたほうがいいと思いますが、少なくとも私の知っておる限りにおきましては、何といってもハンセン氏病患者の実態が正確に把握されていない。というのは、把握するための健康診断なりあるいはその他の調査が行なわれていないというところに一番問題があるのではないか。したがいまして、これをただそれだけで調査をいたしますと、また調査の実効があがらぬ。むしろ、そういう病気のおそれのある人はそういう健康診断なり調査に参加しません。そういう面もありますので、何か全体としてそういうハンセン氏病が的確に把握できるような実態調査をすることが一番大事じゃないか。そうしてそういう患者がはっきり把握されましたら、それに伴うたとえば入院の施策とか、あるいは投薬の施策とか、そういうことについては、これは経費にかかわらず幾らでも対策は講じ得るわけでございますから、そういう実態調査が一番の根本じゃないかと考えております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 らい病に対する施策がおくれたのは、実態調査が行なわれていないからだ、こういう意見でありますが、では厚生省の方に私はお伺いします。  それでは、沖繩においてはどうしてこんなにらい病がふえてしまっていたのか、日本本土と違ってどうしてこんなにふえておるのか、これを厚生省側の方に御説明を願います。

中原龍之助厚生省公衆衛生局長

○中原政府委員 これはいろいろ見解の相違がありますので、あるいは私の申し上げるのも個人的な見解ということになるかもしれませんけれども、要するに、いわゆるハンセン氏病の患者をできるだけ発見して、そしてすみやかに治療を加えるということが一番大切なわけでございます。しかしまた、その患者の発見のほかに、いろいろの予防の対策もございますが……

渡部一郎公明党

○渡部委員 違うんですよ。沖繩でどうしてこんなにふえておるのかと聞いておるのです。日本と違ってどうしてこんなにふえておるのかと聞いておるのです。

中原龍之助厚生省公衆衛生局長

○中原政府委員 したがいまして、私がいま申しましたのは、患者の発見をして、すみやかに治療を加えるというような、いわゆる一つ組織でありますか、そういう点におきましては本土のほうが非常に発達しておるというように私は考えるわけであります。また、地理的にいいましても、向こうのほうは非常に島でございますので、なかなかうまくいかなかった点もあるかとも存じます。それからまた、その方面の専門の医師の方々が確かに少なかった、そういうことが私は考えられるのであります。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 沖繩におけるハンセン氏病の患者がふえたのをそのままにしておったのはどういう理由かという御質問でございますが、いま局長が大体述べたとおりでございますけれども、いろいろ理由があると思うのです。その中に、やはりこのハンセン氏病を見つけるということが、専門医でないとなかなかこれはわかりにくいということを私どもよく聞いております。そういうことで、今回は専門医の方々が十一名行って、非常に熱心にやられたということで、ずいぶん軽いものまで見ていただいたというようなことを聞いておりますが、そういう専門医が行っておらなかった、あるいは現地にいなかったということが一つあるのではないかと思います。それからもう一つは、日本の本土では、結核予防でBCGをやっておるというようなことがハンセン氏病の予防対策の一助になっておる。ところが、沖繩のほうでは、アメリカに占領されて以来BCGが普及されておらなかったというようなことも一つの原因ではないかと思います。そういうふうに私ども考えております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 だから私はここで申し上げておきたいのですが、局長は、患者を発見できなかったのは、実態調査が行なわれていなかったからだとおっしゃいました。実態調査が行なわれていないということは、医者がいなかったからです。医者がいなかった理由は何によるのか、沖繩の医療体系がこわれていたからです。そして、それに対して援助が行なわれていなかったからだと私は思います。ここに私は特連局として考えるべきところがあると思うのです。  それからBCGの問題です。局長は、いまBCGが沖繩で全部の学童に行なわれているかどうか御存じですか。これはまだ行なわていないのです。御存じですね。まだ行なわれていないのです。ようやくにして、厚生省の公衆衛生の専門家が行かれて、そして一部においてこれをさせるよう説得をしたという段階です。まだこれが行なわれていない。日本においては、BCGの接種が行なわれた地域においては、らいの発生率も一ぺんに下がってしまった事実があります。この問題については、それこそ簡単なことでありますし、そしてBCGの接種については、あるいは医師が足りないならば、いわゆる公衆衛生局の高官の人々の力を借りたってできないことではない問題であるし、これくらいのことはもっと強力に総理府としてかけ合ってもしかるべきことではないかと私は思うのです。そして、かけ合った結果がこうなったということが早く明らかになってほしいと思うのです。  それから第三番目に、いま専門医が少ないと厚生省の方は言われましたけれども、専門医が少ないならば、その専門医をふやすために何かの方策と援助を考えなければならぬということであります。日本本土内におきましては医師が約九十名おるというふうに私は伺いましたけれども、多い数では決してない。しかし、現地の三名よりも多いことは確かであります。その専門医の人々はどういう意見かといえば、すみやかに、日本側の専門医と琉球政府の人々と日本の総理府の関係の人たち、そういう人々が集まって協議をさせてもらいたい、こう言っておるのであります。なぜこんな単純なことができなかったのか、私は了解に苦しむのであります。したがいまして、こういう問題については、今後の施策において十分検討していただきたい。  それからまた、もう一つついでに申し上げますが、実際に患者が全部発見されますと、いまの患者数でも沖繩ではベッド数が足りないわけであります。しかも子供が多くて、小学校、中学校、高校の生徒、こういうところの発病が多いのであります。幸いなことに、日本の療養所においてはベッド数が多少あきがあるから、こういうところに、満員になった場合には沖繩の学童たちを入れて治療することも——現に一部少数は行なわれておりますけれども、十分可能なのではないか。そうするならば、こういうことも特連局は積極的に仲介の労をとって、日本の厚生省とも協力してそういうことを行なったらどうなのか、こう私は思うのであります。そうしてこの現地の医師の少ない隘路を突破して、そうしてこういう問題を解決したらどうか、また、民政府ともっと強硬にかけ合ってこういう問題に対して解決したらどうなのか、こう考えるのであります。  長官でも局長でも、どちらからでもけっこうですから、人道的立場からこの問題に対してお答え願いたいと思います。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 私は、冒頭に申しました中で、格差の是正に努力はいたしておりますけれども、御批判のある点があるということを申し上げたのであります。まさにこの問題などはその大きな一つであろうと私は考えております。渡部委員は直接行かれていろいろな問題をお調べになった。いま質疑応答を拝聴いたしておりましたけれども、総理府といたしましても、琉球政府が主体性をもってやるということは望ましいことではありまするが、事実今日まで御批判のようなことがあるとするならば、十分特連局も琉球政府と御連絡をいたすことはやぶさかではございませんし、なお、対策等につきましては、これは関係省である厚生省と十分打ち合わせをいたしまして、この問題に真剣に取り組まなければならないと考えております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 私はもう一つ申し上げておきたいのですけれども、この前、総務長官に御質問したときに、この問題に対する回答を総務長官は持っておいでになるようにお約束をされたが、おそらくその回答はないだろうと私は思います。私はそこで申し上げるのですが、私はもうきょうは全部自分のほうで提案をいたしました。したがいまして、総務長官のほうから、私が先ほど申し上げた項目についての御回答を、しかるべき施策として、これとこれとこれはこうしたということを明確にこの次の委員会において表明していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 具体的にこの次の委員会までにこの問題をこうしたという回答は困難ではなかろうかと私は思います。しかし、政府がいままで何をやったかということを渡部委員は出せということで、それは事務当局と厚生省と調べまして持ってきておりまするが、いままでの質疑応答の中に出たような対策が中心でありますが、いますぐに言ったことをどういうふうにやったかという答えは困難だと思います。御趣旨の点はよくわかりますので、急を要する問題でもありますから、関係省である厚生省と十分打ち合わせて万遺憾なきを期していきたい、このように考えております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 要するに、私が何でこのことを何回も何回も申し上げておるかというと、いまの御答弁のしかたは、普通の場合の政治的答弁です。ところが、この問題は学童の生死にかかわる問題です。そればかりではない。社会不安すら起きかねない問題です。まことに恐縮なんですけれども、報道関係の方々にお願いして、私がいまから言うことはちょっとストップしていただきたい。  それはなぜかというと、現実にもう不安の問題が起っておる。沖繩と日本の本土との間で姉妹校になっていた学校がある。ところが、その学校においては、現実問題として、もう沖繩の人々がこういうふうにらいの多い地域になってしまった、危険じゃないか、これらの取りきめはやめようじゃないかと言っておるところだってある。また、日本においては、関西地区については大量の集団就職が行なわれておる。その集団就職が行なわれておる地域に対してこの問題が広がったらどうなるか。らいの発病期間は、御存じのとおり二十年、長いものは四十年もかかる。そうしたら、この問題をほうっておいたらどうなるか。沖繩のほうから来た人々はみんな本土から追い出されてしまう、あるいはせっかく就職したところから毛ぎらいされてたたき出されてしまう。私が言いたいのは、そういうことになったらどうするかという問題です。私がこんなに熱を込めて言っても、長官は平然たる様子なので、私は納得ができないのです。緊急にこの問題を解決しなければとんでもないことになるというのは、そのことなんです。日本の社会問題です。日本の人権問題なんです。その問題に関して一生懸命手を打たないとしたら大問題だと思うのです。だから私はこんなに申し上げているのです。そうしなければこれは重大問題になってしまう。私は一議員としては僭越でございますけれども、長官が考えられるべきことであっても、私はあえていろいろやります。私が集めた資料、意見等については、別個にまた申し入れ書にして差し上げるつもりでありますけれども、この問題については早急にやっていただきたい。そうしなければ重大な問題になってしまう。社会不安が起こったとき、だれが責任をとるのですか。厚生省でしょうか、総理府でしょうか、琉球政府が責任をとるのでしょうか、民政府が責任をとるのでしょうか、私はそんなことは言っておられないと思うのです。焦眉の急の問題であるがゆえに私はこう申し上げるのであります。そうしてこれに対しての十分な予算措置並びに緊急対策をやっていただきたい。それを私は長官にお願いしたいのです。長官のまわりの人々からこんなことをわざわざ言っていただいたのはそれなんです。わかっていただかなければならないのです。そうしなければ、沖繩の人もかわいそうだし、日本にいる沖繩の人たちもかわいそうだし、変なところから重大事故が生ずるから私は申し上げたのです。長官、お願いします。

塚原俊郎自由民主党総理府総務長官

○塚原国務大臣 私は決して平然といたしておるわけではございません。事の重大さというものは十分認識いたしておるつもりでございます。その点ひとつ誤解のないようにお願いしたい。  それからなお、病気の特殊性ということも私も十分考慮いたしておりますし、公表できない面もあることは、いろいろ資料等でお教えいただくということでありますから、そういう機会も私は持ちたいと思っておりますが、厚生省と十分打ち合わせして、事の重大さというものを十分認識してこの問題に対処いたす決心でございます。

田川誠一自由民主党厚生政務次官

○田川政府委員 厚生省といたしましても、このハンセン氏病の対策について、特に沖繩の問題については関心を持っております。総理府と緊密に連絡をとりまして、できるだけ早く有効な手が打てるような対策ができますように連絡をとって進めていきたいと思っております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 では、よろしくお願いします。  次に、問題が変わりますけれども、これも緊急性がありますので、私はもう一言お願いしたいのであります。  それはインドネシアに抑留されている二隻の漁船のことでございます。私たちが沖繩に行っておりますときに、現地のほうから電報をいただきました。その電文は、第三八洲丸といいますか、そこから無電で打たれてきたものであります。私たちはこれを立法院議長を経由して受け取りました。「突然ぶしつけな電にて陳情申し上げます。すでに御周知のこととは存ずるも、沖繩漁船第八南琉丸、第三八洲丸がハンダ沖合いにて操漁中、五月五日、十九日と相次いでインドネシア海軍側に拿捕され、現在アンボン島のハロング港へ抑留されています。この難事にあたり、当方乗り組み員をはじめ留守家族の生活も非常に脅かされております。抑留期間が長くなり、事件の早期解決を求めるも、現地側では政府間の連絡がおくれているとの趣旨で延び延びになっており、乗り組み員一同悲痛な毎日であります。どうか一日も早く釈放が許されるよう重ねて交渉くださらんことを心髄よりお願い申し上げます。第八南琉丸、第三八洲丸船長」こういう電報であります。私はこの電報をいただきまして、また家族の方からの陳情もいただきまして、まことに悲惨きわまる思いであります。  これにつきまして、簡単な経過と現状、現在までの交渉の様子につきまして承りたいと思います。

東郷文彦外務省北米局長

○東郷政府委員 沖繩漁船の第八南琉丸と第三八洲丸が、いまお話のように、五月の五日と十九日、それぞれインドネシア水域におきまして拿捕抑留されております。事件の情報を得ますと同時に、わがほうからはインドネシアにおります西山大使にさっそく訓令をいたしまして、現地におけるアメリカ当局と手を携えてインドネシア当局に月来熱心にかけ合っておるわけでございます。西山大使も、まず外務大臣、次は海軍大臣、あるいはまた、スハルト大統領代行にも最善を尽くしてかけ合っておるわけでございますが、遺憾ながらまだ今日までその成果があがっておりません。  アンボンに抑留されておる二隻の船の船員の方方あるいは家族の方々につきましてのいまお話のような事態は、われわれも詳しく聞いておりまして、釈放の実現のために努力しておるわけでございますが、向こうの政府の内部でもなかなか右から左に動かぬ点もございますし、苦心を続けておるわけでございます。  この事件は、御承知のように、一九五七年にインドネシア政府においていわゆる内水宣言をいたしまして——と申しますのは、インドネシアはああいう島からなっておる国でございますから、その島の中で一番遠い周辺を線で結びましてその中を内水として、その外側十二海里を漁業水域ということで外国漁船の漁労を禁止しておるわけでございます。現につかまっておる船の釈放と同時に、この問題、いわば安全操業ということでございますが、これについてインドネシアと何らかの取りきめをして今後安全操業できるようにしたい、この二つの問題があるわけでございますから、後者のほうにつきましても——これはインドネシアだけでなくて、フィリピンも同じような宣言をしておりますし、南米の太平洋岸の国は二百海里の水域を宣言するというようなこともございまして、共通の問題が世界じゅうにありますので、これに対して、インドネシアの問題のみでなく、全体のわが国の漁業の問題として解決するよう、関係の水産庁と協力いたしまして、近くインドネシアとの話を始めるわけでございますが、さようなわけで、いまお話がございましたこの問題については、われわれとしても同じ心配を持って対処しておるわけで、本土の漁船についても同じ問題がございますが、将来長期的の問題として解決する場合には、むろん沖繩の漁船も本土の漁船と一括して解決していきたいというふうに考えております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 御説明をいただきまして、お話は全部それで尽きると思いますが、私がもう一つ申し上げておきたいのは、現地のアンボン島のほうへ外務省のほうでは領事あるいは書記官等を派遣されて、現地の生活がどうなっており、人権問題等がどうなっているかについて現状の認識をなさいましたか、それだけ伺っておきたいと思います。

東郷文彦外務省北米局長

○東郷政府委員 事件がありますと同時に、できるだけ早く現地に出向いて実情も調査し、現地当局ともかけ合うようにということは命令してあるわけでございますが、ジャカルタとアンボンの間の定期航空便は五月の初めから欠航しており、また便船を雇って行く上にはなかなか手はずがつかぬということで、これはまことに申しわけないことでございますが、今日までまだ大使館員が直接現地へは出向いておりません。しかしながら、御指摘のとおりでございますので、しかるべき方法でできるだけ早く現地の状況を確認し、現場当局ともかけ合うようにということを申してやっておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 私がその問題についてなぜ伺うかと申しますと、先ほどの外務委員会におきまして、ソビエトにおいてスパイ容疑でつかまった一人の青年の話についての質疑応答がございましたが、そのときには外務省は直ちに書記官を差し向けて、監獄の中まで入ってその当人に面会までされております。問題の重要性からいったら、それはスパイ容疑というのは大きな問題かもしれませんけれども、この抑留をされておるのは、やはり二十数名の日本人です。そうしますと、漁民のほうはいいかげんにしておく、スパイ容疑の者は大事にする、そうすると、人間的な評価が違うのではないか、私はこれではちょっと問題が起こると思うのであります。したがって、いま局長が言われましたけれども、さらにこの問題については積極的に——私のほうに妙な資料が来ておるのです。裁判費用がない、そのために、現地で魚をとることを許してもらって、毎日一トンずつの魚をとるならば裁判費用は向こうがめんどう見てやろうというような、いいかげんな約束のもとに毎日ただ働きをされておる、こんなような話も私どもには入っております。もちろん御承知かとも思いますけれども、そういうような状況である。一体裁判以前においてこんな約束が行なわれて、金を払わないという問題が起こったら、私はまた問題であろうと思います。これはいずれにせよ問題が大きい。したがって、こういう問題は、現地に対するはっきりした外交保護の立場でやっていただきたい。  また、私もう一つお願いしたいのは、今度近々交渉を始められるそうでありますが、本来はインドネシアに対しては私たちはそうマイナスの面を持っていない。強気の外交のできる地域であろうと思うのであります。ところが、この地域に対する領海の問題等でこの問題が長く延びることは、はなはだ遺憾に思うのであります。日本国民が正常な立場でその業にいそしめるように一段の御努力をお願いしたいと思っております。

東郷文彦外務省北米局長

○東郷政府委員 お話まことにごもっともでございますので、われわれも、従来から、また今後も引き続き、お話のような精神と趣旨で努力をいたす考えでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 最後に長官に私は希望がございます。  長官には、漁船と病気の問題両方含めまして、こういう現地の人々のなまの声をほんとうに吸収して、そしてでき得る限りカバーしていく、アメリカ政府の指揮下にあるから、われわれとしては手の出しようがないというのではなくて、それに対して万全の策を、それこそ嘆きの声を全部吸収してそれを施策に生かしていく——声なき声を聞くと言われた方がありましたけれども、まことに沖繩に対しては声なき声を聞くという立場で行なうのが私は妥当であると思うのであります。したがって、私は、人間味豊かな、それこそ地元の声を必死になって聞く。今度長官は沖繩に行って現地の声を聞いてこられるそうでありますが、私はなるべく早く行かれたほうがほんとうによろしいのじゃないかと思うのであります。  それから、私はもう一つ申しておきますが、現地に行かれましたら、非常に飲む会合が多いようなところにすぐ巻き込まれてしまうのではなくて、現地の方々の悩んでいらっしゃる問題を直接聞いていただくよう要望したいと思うのであります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。       午後五時十五分散会

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