本会議 第4号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/07/18
会議録
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。 日程第一、アジア開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件(第五十一回国会内閣提出衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長木内四郎君。 〔木内四郎君登壇、拍手〕
○木内四郎君 ただいま議題となりましたアジア開発銀行設立協定につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。 アジア及び極東の地域にある低開発諸国の経済開発に寄与するため、基本的にアジア的性格を有する国際銀行を設立しようとする構想は、かねてより、エカフェ、すなわち国連アジア極東経済委員会において検討されてまいりましたが、昨年十二月、マニラにおいて開かれました銀行設立全権代表会議において、本協定が署名されるに至ったのであります。 この協定は、エカフェ域内の低開発国に対する融資、技術援助の供与等を主要任務とするアジア開発銀行の設立を定めるとともに、銀行の加盟国には、域内国のほかに域外先進国をも加え、その授権資本は十億ドルとすること、銀行の通常の融資は、返済能力等を考慮し、健全な経営原則に基づくものとするが、通常の業務のほか、先進国の信託基金等によって特別業務も行なうこと、銀行の本店はマニラに置き、その最高機関として全加盟国の代表より成る総務会を設けるほか、執行機関たる理事会及び総裁その他の役職員を置くこと、表決にあたって、加盟国は、各国に均等に配分される基本票と、出資額に応じた比例票を有すること、等を定めたものであります。なお、わが国は二億ドルの出資を約束し、米国と並んで最大の出資国となることが予定されているのであります。 本協定は、第五十一回国会中、二月十七日衆議院に提出され、衆議院より五月三十一日送付されましたが、本院においては継続審査となったものであります。 委員会におきましては、前国会及び今国会を通じまして慎重審議を行ない、佐藤総理大臣に対し、アジア情勢全般の問題についてただしたほか、椎名外務大臣、福田大蔵大臣、坂田農林大臣、三木通産大臣、藤山経済企画庁長官に対し、わが国の「低開発国援助の目的、援助の実績と将来の見通し、援助体制の整備強化、ことに対外経済協力審議会の改組活用の問題、この銀行を通ずる援助と二国間援助との関連、ジョンソン米国大統領の東南アジア開発構想とこの銀行との関係、東南アジア農業開発基金構想とこの銀行との関連、ソ連等不参加国の参加の可能性と、これに対するわが国の働きかけの問題」等につき、熱心な質疑応答が行なわれましたが、詳細は会議録で御承知願いたいと思います。 七月十六日、質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して羽生委員より、「日本社会党としては、原則的に低開発国援助に賛成であり、政治体制のいかんを問わず援助すべきだと考えるが、本協定は、何らかの形でベトナム戦争に利用されないという保障がなく、また自由陣営が中心であって、ソ連、フランス及び域内中立主義国の一部が加わっていない等の理由から、遺憾ながら反対せざるを得ない」旨の意見が述べられました。 次いで採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 以上御報告いたします。(拍手)
○議長(重宗雄三君) 本件に対し討論の通告がございます。発言を許します。岡田宗司君。 〔岡田宗司君登壇、拍手〕
○岡田宗司君 私は、ただいま議題となっております「アジア開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件」に対し、日本社会党を代表して、遺憾ながら、ここに反対討論を行なうものでございます。 今日、世界は、少数のいわゆる先進国と、多数の後進国もしくは発展途上にある国々とに分かれているのであります。これらの国々の多くは、第二次世界戦争後、植民地から脱して、独立国となったばかりの新興国家であります。アジア、中近東、アフリカ、ラテン・アメリカにまたがる新旧の後進国は、それぞれその国の経済開発をはかり、国民の生活水準の引き上げのために大いに努力をしているのでありますが、国内政治の不安定、国際関係からの影響、資本と技術の不足、適正な経済計画の欠如、技術者、近代的労働者の不足、他面、人口の急速な増加等のために、国の経済発展の基盤をつくり、近代化を促進し、国民の生活水準を引き上げて、国民生活を安定させることに、非常な困難があるのであります。そして、かかる状況は、国民の生活を慢性的な不安におとしいれ、国の政治的不安と混乱を引き起こし、また、その地域における国際政局の不安を招く原因ともなっているのであります。先進国が、その経済組織、社会制度を異にしているにもかかわらず、技術革新を取り入れて、それぞれ急速な発展を遂げつつあるのに、世界の多くの国々は、経済的に停とん状態にあり、混乱を重ね、国民が依然として低い生活水準にあって、苦しい生活にあえいでいることは、先進国の経済と政治にも暗影を投じ、また、世界全体にとって不安と動揺の根源となり、国際紛争や戦争を誘発する要因ともなっているのであります。 このため、いまや、先進国と後進国との関係の問題は、南北問題として、東西問題にかわってクローズアップされてきておりまして、その解決を迫られているのであります。そして、先進国が、有効適切な経済援助を行なって、後進国の経済の発展をはかり、人類の進歩発展に仲間入りさせていくことが、解決の中心課題となってきたのであります。いままでにも、先進国が後進国に対して経済援助を行ない、部分的に成功している例もあるのでありますが、全体的に見れば、まだ、かけ声の割りに成果があがっていないと断定せざるを得ないのであります。しかも、先進国中には、この経済援助によって、被援助国の経済、政治を支配し、この国を自国に従属化せしめようとしているものもあるのであります。古い植民地支配にかわって、かかる方法が、すなわち新植民地主義と呼ばれるものが起こっているのであります。また、この経済援助が、東西間の冷戦の道具として使われ、国際緊張の激化の要因となっている場合もあるのであります。先進国が経済援助をかように政治目的に利用することは、決してほんとうに南北問題を解決することに寄与することにはならないのであります。また、先進国の援助競争は、逆に被援助国をスポイルさせ、腐敗と混乱を生ぜしめ、実際的効果をあげ得ない場合も間々見られるのであります。それゆえ、後進国の経済発展を促進し、被援助国の国民の生活の安定と向上をはかり、先進国と後進国との差を縮めて、人類全体の調和のとれた進歩と発展を実現させるためには、先進国が、経済援助を、自国の政治目的や経済的利己主義のために利用したり、また、東西冷戦の道具として利用することを、やめさせなければなりません。いわゆる、ひもつき援助は排除されなければならないのであります。 西側の先進国のクラブであるOECDは、先進国は、年々、国の国民所得の一%を後進国援助に使うことを要請しております。加盟国中、日本をはじめ、まだ一%に達していない国が多いのでありますが、もしほんとうに、先進国が一%ずつを後進国援助に使い、さらに、ソ連及び東欧諸国の一部も相当額を出すということになりますならば、そして、それがひもつきでなく使われるならば、その効果は見るべきものがあると思われるのであります。しかも、そのうちのかなりの部分が、経済援助のための国際機関に出資されて、総合的に使われ、また、よくくふうされたプロジェクトに対して使われますならば、その効果は一そう大きなものがあるのであります。わが党は、日本が国民所得の一%以上を後進国経済援助に夜川すること、とかく、ひもつきになりがちな一国対一国の援助ではなくて、東西両陣営の国々、非同盟中立の国々、援助国、被援助国を含む国際経済機関を通じて、総合的に行なうようにつとめること、すなわち、後進国援助が、帝国主義支配、新植民地主義、東西冷戦の道具として利用されてはならないという見解を持っているのであります。 今回設立されますアジア開発銀行は、国際連合の一機関であるアジア極東経済委員会、すなわちエカフェが設立推進の母体であって、その組織、目的、任務を見ますならば、援助国、被援助国の出資を総合的に運営し、被援助国に大幅の権限を与え、援助国のひもつき援助を排し、援助国の横暴を抑えることができるように仕組んであって、一見、援助を受けるアジアの後進諸国にとって、非常な利益になるように見えるのであります。だが、詳細に検討してみますならば、この銀行が、この協定に定められている目的、任務のとおりに運営されるかどうか、はなはだ疑問であり、定められているとおりに運営されるという保証はないのであります。 第一は、加盟国の問題であります。エカフェの加盟国、準加盟国並びにその他の域内国及び域外先進国で、国連、または、そのいずれかの専門機関に加盟している国が加盟することができることになっていまして、東西面陣営、非同盟中立国等、いかなる立場の国も加盟することができるのでありますが、域内国では、国連に加盟していない中国、北鮮、北ベトナムが入っておらないばかりか、インドネシア、さらにエカフェに参加しているソ連、モンゴル、ビルマ等が、これに加盟しておらないのであります。また、域外国では、出資する側の先進国中に、アメリカと対外政策を異にしておりますフランスをはじめといたしまして、中立的“場にあるオーストリア、スウェーデン、フィンランド等が参加していないことを、指摘しなければなりません。このことからいたしまして、アジア開銀の構成は、たてまえ上はともかくとして、実際には、アメリカ並びにアメリカの与国が圧倒的に多く、東西両陣営に属する国、中立非同盟の国を網羅したものではないという印象を受けざるを得ないのであります。われわれは、これらの国々がこの銀行に参加して、一方に偏した色彩がぬぐい去られることを望むものでありますが、アジアの情勢からして、早急にそうなることに期待はできないのであります。したがって、アジア開発銀行は、現在のところ、われわれが期待しているものとは、構成の画におきましてほど遠いものがあるのであります。 第二に、出資について問題があるのであります。資本金十億ドルのうち、最大の出資者は、城内国日本と城外国であるアメリカでありまして、それぞれ二億ドルであります。資金調達は、域内ではできないので、域外の先進国の出資に待つところが多いのでありますが、アメリカの出資額が、ずば抜けて多いことに注目しなければなりません。イギリスも、アジア地域には深い関係を持っているのでありますが、出資額はわずか一千万ドル、アメリカは実にイギリスの二十倍をこの銀行に出資するのであります。また、先進国の特別出資である信託基金、将来の増資の場合のこと、この銀行が公債を発行したり、借り入れによって資金を調達する場合、それに応じ得る最大の資金供給国がアメリカであることを考えに入れる場合、この銀行の資金の面におきましても、アメリカが圧倒的に優位に立つことは、火を見るより明らかであります。なるほど、この銀行の総裁は、日本から選出される可能性が強いし、また理事十名中七名は、域内国から選ばれることになっており、域外の出資国が、この銀行をかってに動かせないようになっております。しかし、規約の上ではそうなっておりましても、実際には、最大の出資国のアメリカから副総裁に入るとか、あるいは理事に入るとかいたしますならば、その発言権は決定的にならざるを得ないのであります。しかも、この銀行の加盟国にアメリカの与国が圧倒的に多く、アメリカに対してチェック・アンド・バランスを行ない得る国がないという場合に、どうしてこの銀行が、アメリカのアジア政策に利用されないと保証されるでございましょうか。 いま、アメリカのアジア政策を検討いたしますと、アメリカは、その経済力に、ものを言わせ、ひもつき経済援助によって、被援助国をアメリカの陣営にがっちり組み入れようというやり口をとっているのであります。そして今回設立されるアジア開銀は、アメリカにとって、経済援助を、露骨にではなく、間接的に、煙幕に隠れてその目的に利用できる、たいへん好都合な機関となり得るのであります。アジア開銀設立のための協定は、一見したところ、一方の陣営に片寄ることのないように、また、多額の出資国の支配を許さないように、域内の被援助国の地位と発言力が十分に確保されるように仕組まれているように見えるのでありますが、さきに述べましたように、加盟国の顔ぶれから見て、出資額から見て、また、他方、アメリカのアジア政策との関連において、アメリカがこの銀行に対してとる態度から見まして、将来のこの銀行の運用がいかなる意味を持つものかを、考えざるを得ないのであります。 したがいまして、私は、このアジア開発銀行の設立に関する協定の承認につきましては、警告的意味をもって反対せざるを得ないのであります。 これをもちまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 これより採決をいたします。 本件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時三十七分散会