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52回国会参議院1966/07/14

本会議 第3号

発言数
20
登壇者
11
会派数
3
開催日
1966/07/14

会議録

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  山崎昇君から、海外旅行のため会期中、請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。  一昨日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。鈴木強君。   〔鈴木強君登壇、拍手〕

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 私は、日本社会党を代表して、佐藤首相の所信表明演説に対し、主として景気回復の見通しと外交問題を中心に、若干の質問をいたします。  質問に入りますに先立ち、私は、今次臨時国会の召集に対し、政府と与党に一言苦言を呈し、反省を求め、その責任を追及しておきたいと存じます。佐藤内閣は、十一日からこの臨時国会を開くことをきめたのでありますが、これは第五十一通常国会において不成立になったアジア開発銀行関係案件などを成立せしめ、政治的責任を回避しようとする、通常国会のあと始末国会であり、事実上の延長国会たらしめようとするものであります。わが党は、会期設定の原則をくずし、国会法の基本精神をじゅうりんするような、この臨時国会の開会には、基本的には反対であります。そして、佐藤内閣とその与党自民党は、このような事態を招来したことについて、第五十一通常国会におけるみずからの不見識と失態を反省するとともに、その責任を強く負うべきものであると思います。  さて、第五十一通常国会終了後、今日、日はまだ浅いのでありますが、この間、米軍機によるハノイ、ハイフォン両聖域の爆撃、日米貿易経済合同委員会の開会、本年度産生産者米価の違法にして不当な方法によっての決定、とどまるところを知らない諸物価の高騰など、当面、国民にとってきわめて重要な関心を持つ問題が山積しているのであります。  そこで、私が第一にお伺いしたいのは、この先、日本の景気と物価はどのような動向をたどるのかという点についてであります。首相は、所信表明演説の中で、「わが国経済は不況を脱却し、上昇の機運に向かっており、引き続き安定成長を基本方針として諸施策を講ずるとともに、特に消費者物価に重点を置き、物価安定への努力を続けていく」と述べられておりますが、実際には、そのように文字やことばにあらわされているような、美しく甘いものではないと思います。首相は、過ぐる第五十一通常国会においても、景気回復と物価の安定は佐藤内閣に課せられた至上命令であると力説して、四兆三千億の大型予算を編成し、二兆五千億にのぼる公共投資をフルに活用し、総力をあげて、大資本、大産業への、てこ入れを行なっているのでありますが、その効果はなかなか出てきていないのであります。むしろ中小企業の面では、この六カ月間に倒産件数は二千八百七十七件、負債総額は千八百七十三億円にも達しているのであります。たとえば、注目されておりました粗鋼の生産調整は、公正取引委員会と通産省の間で、不況を脱出したか、しないかで、意見が統一できず、第二四半期も強行されることになっているのであります。輸出の好転、財政支出の増加などをてこに、景気はなだらかに上昇を続けていると政府は見ているようでありますが、輸出ユーザンスの円金融への振りかわりは、その程度が現在では経常収支の黒字幅にほぼ見合っておりますので、表面上大きな問題にはなっておりませんが、今後も絶対大丈夫という保証はないのであります。本年度上半期は財政支出の促進措置をとっておりますので、これが景気回復への方向をささえていることは事実だと思います。しかし、下半期に入りますと、財政支出が息切れして、景気のなだらかな上昇もストップするのではないか、また財政法違反の国債の消化もどうなるかという心配から、景気短命説が出ていることは御承知のとおりであります。また、物価上昇の面では、去る七月八日、日本銀行が発表した卸売り物価指数の動きを見ると、昭和三十五年を一〇〇とした場合、本年六月では一〇六となっており、昨年同期に比べると四・四%のアップとなり、ことしに入って、六カ月間に何と二・八%もの上昇をしておるのであります。ここ数年間横ばいを続けてきた卸売り物価が急に上昇してきたことは重大であります。総理府統計局発表の消費者物価指数のほうを見ると、昭和三十五年を一〇〇とした場合、ことし六月では一四三・八となっており、本年に入って六カ月間に消費者物価は実に四・八%もの上昇をしていることが明らかになっているのであります。ことしは一月から、消費者米価が八・六%、私鉄運賃が二〇%、地下鉄運賃が二二・六%、二月から部分的ではありますが、水道料金が三五・四%、三月から国鉄運賃が二五%、七月から郵便料金が二八・八%と、軒並みに値上げされております。これらの公共料金が一般物価の引き上げを誘発することは明らかであり、政府が考えておられる本年度の物価上昇率五・五%は全く問題にならない数字であり、その見通しが完全に間違っていたことがはっきりしてきたと思うのであります。首相は、不況を脱却したと言っておりますが、私はその見方は甘いと思います。甘くないとおっしゃるなら、具体的にその事実をあげて御説明願いたいのであります。  また、物価安定に力を入れていると言いますが、一向に物価は安定いたしません。それどころか、ただいまも述べましたように、物価は天井知らずに上昇しているではありませんか。いま、国民が切実に願っておりますのは、上がりゆく物価を抑制するとともに、引き下げの積極的な政策を打ち出していただきたいことであります。政府みずからが公共料金値上げの音頭とりをしておきながら、物価を安定させるのだということは、一体どういうことなのか、国民は不思議に思っているのであります。政府は、どうして物価を安定させようとするのか、具体的にその方針を聞かせていただきたいのであります。この点につきましては、中期経済政策を御破算にして、これにかわるべき新経済政策を目下立案中だと思いますので、新経済政策はいつごろでき上がるのか、これとの関連で、景気の回復と物価問題はどうなりますか、藤山経済企画庁長官からもお答えを願います。  今回の日米貿易経済合同委員会において、日本側は、来年の合同委員会までに、資本の自由化のプログラムを提出することを約束しているのでありますが、これは、アメリカ資本が日本企業に直接経営参加することになるのでありまして、きわめて重大な問題だと思います。西ドイツのような、日本よりも産業基盤の強力なはずのところでも、最近、自動車産業が、フォード、オペル等の米系資本に席巻されているという現実は、日本にとって他山の石ではないでしょうか。資本の自由化はアメリカが押しつけてきたのではないでしょうか。一体、政府は、資本の自由化をいかなる計画で推し進めていこうとするのか、首相にお尋ねいたします。  質問の第二は、さきに開かれた第五回日米貿易経済合同委員会の討議と関連して、ベトナム戦争、中国問題、沖繩問題に対する政府の外交方針についてお伺いします。  七月五日より三日間、京都において第五回日米貿易経済合同委員会が開催されたのでありますが、米軍機のハノイ、ハイフォン両地域の爆撃という最悪の事態が発生し、アジアのきびしい政治情勢の変化の中で開かれた委員会だけに、激しい反対のデモをも誘発する等、国民の関心がこの委員会に集中されたことは当然と言えましょう。ラスク国務長官は、開会冒頭の発言において、「国際的な平和と政治の安定が実現するかいなかが将来の安全保障と福祉を大きく左右する」と述べ、さらに、「日米両国は自由及び平和に関して共通の関心を持っている」と強調したこと、また、会議終了後の共同コミュニケの初めに、「アジアにおける最近の事態に重点を置いて世界情勢一般を検討し」と述べられており、政治問題がまっこうから取り上げられたこと等を見ましても、今回の委員会は、過去四回の委員会と比べて、その性格を一変し、政治優先といういまのワシントンの空気を端的に示したものであり、注目に値するものであったと思います。もともと日米経済合同委員会は、池田・ケネディ時代に、安保騒動の傷をいやすというねらいで設けられたのだといわれておったのでありますが、その真のねらいは、むしろ今回のように、政治的問題の討議にあったことをはっきりさせたものと思います。今度の会議では、自由討議や国際情勢の分析、あるいは個別会談に相当な時間をさいたこと等から見ても、アメリカが日本との政治的協力を、実質的にも、また、内外への宣伝という意味においても、強めておきたいという考えのあったことは間違いがないと存じます。そして、日本が日韓正常化をなし遂げ、東南アジア開発閣僚会議やアジア太平洋閣僚会議に参加するようになったことに対する感謝、激励とともに、日本の中国やベトナムに対する米側から見たなまぬるい態度を引き締める効果をねらったものと思います。今度の委員会は、明らかに米国側のペースに乗せられたものだといおれており、米国は共同コミュニケにもベトナムという字句を盛り込もうとする考えを持っていたようでありますが、日本側が、日本の国内政治上、あまり強い表現だと逆効果のおそれがあると抵抗した結果、ベトナムという刺戟的文字は避けられたともいわれております。今回の会議に対して国民が強く期待しておりましたのは、日本がベトナム戦争反対の立場に立って積極的に平和解決をアメリカに迫るとともに、中国問題、沖繩問題についても前向きの姿勢で問題解決への積極的な努力をやってもらいたいということであったと思います。これらの重要な問題について、日本側代表は一体いかなる見解を持って臨まれ、また、いかなる論議をなされたのか、以下順次具体的にお伺いをしたいのであります。  その一つは、ベトナム問題に対する政府の基本的姿勢と方針についてであります。去る六月二十九日、アメリカの北爆は、ついに、ハノイ、ハイフォン両地区にまで及び、ベトナム戦争はエスカレーションの度合いを一段と高めて、ベトナム戦争の平和的解決を熱望する多くの人々に深刻な不安と極度の失望感を与えたのであります。両地区の爆撃にあたり、マクナマラ米国防長官は、もっぱら北からの侵略の激化に対し、高い代価を払わせるという軍事上の必要性を強調し、かつ、攻撃目標は軍事施設であって、民間地域ではない。したがって、新たなエスカレーションではないという旨の弁解をしておるのでありますが、このような弁解は、ベトナム問題の歴史的経緯と現状からすれば、全く一方的であり、きわめて危険なものであると断ぜざるを得ないのであります。アメリカは口を開けばジュネーブ協定の順守を説き、無条件討議を呼びかけているのでありますが、しかし、南北ベトナムがもともと一つの民族、一つの国家として平和的統一を達成すべき旨を定めたジュネーブ協定の実施と、いかなる外国軍隊の駐留も軍事同盟への参加をも禁じた協定の精神を、初めに破ったのはアメリカであります。アメリカ政府の言う平和的意図なるものをただ黙って聞いているわけにはいかないと思うのであります。  われわれはベトナム戦争勃発以来、戦争の拡大につながる政策や行動に対しては、きびしい批判を加え、特に昨年二月の北爆再開以降は、北爆と戦争の国際化に強く反対し、問題の平和的解決をはかるためには、まず北爆を無期限に停止し、南ベトナム政府とアメリカがベトコンを交渉の相手方として認め、それを含めた全当事者が話し合いの場をつくることが必要であると主張してまいったのであります。しかるに、これらの努力が積極的になされず、逆に聖域への爆撃が加えられて、取り返しのつかない事態にまで発展する危険性が生じていることは、きわめて遺憾であるといわなければなりません。  なるほど、いま直ちに米中戦争が勃発する客観情勢があるとは考えられません。だが、かかる戦闘の拡大によって北ベトナムをますます危機に追い込むならば、極東全域を含め、その渦中にまき込む危険性が起こらぬという保障はどこにもないと思うのであります。かかる最悪の事態の発生をおそれればこそ、西側陣営内においても、ハノイ・ハイフォン爆撃を激しく非難する声があがっているのであります。すなわち、マレーシア紛争との関係から、従来アメリカのベトナム政策を支持してきた英国のウィルソン首相でさえ、これを遺憾であるとして、「英国はこの種の行動に関して仲間であることはできないと強調したい」と述べ、また、ウ・タント国連事務総長も大きな不満をぶちまける声明を出しているのであります。また、インドのガンジー首相を中心とする非同盟国の間にも不満の声が高く、平和解決への努力を一段と強めようとの動きが出ておるのであります。しかるに、日本政府は、「アメリカのとった措置はやむを得ないと思う」との官房長官談話と、外務省情報局長談話を発表して、いち早くこの行動を認めたのであります。世界中において型城の爆撃拡大を支持した国は、アメリカとともに現にベトナムに兵を送り、あるいは近く送らんとする、ごく少数の国に限られていると思います。共産側はもとより、前述のとおり、非同盟諸国、さらには西欧の有力な諸国がこぞって批判ないし反対をしているのに、なぜ日本政府は、世界の世論と、日本国民の平和への悲願を無視して、消極的ながらこれを支持する態度に出たのでありましょうか。首相は平和に徹すると言われているのでありますが、首相のいう平和とは、アメリカと組んだ力による平和ということにはならないでしょうか。それでは、首相がいかに口で平和を説かれても、日本国民はもちろんのこと、世界の国々からも信用されず、相手にされなくなるのは当然であります。もしそうでないとすれば、日本は今回の日米合同委員会においても、アメリカに対し、北爆を即時停止して和平交渉に入るよう要求いたしましたか。私は今日ほど日本が自主外交を必要とするときはないと思います。椎名外相とラスク長官との個別会談、及び、東京での首相とラスク長官との会談において、アメリカはベトナム問題について日本に何を求めたのか、また、首相、外相としては、アメリカのベトナム政策遂行に対するわが国の支持の限度をどこに置いて会談したのか、首相の言われる平和の意味とともに明確な説明を承りたいのであります。  その二つは、中国問題についてであります。最近、米国内においても中国再認識の動きが表面化し、政府レベルでも「孤立化なき封じ込め」のハンフリー副大統領発言や、ラスク国務長官による中国政策十項目の公表、中国にかけ橋をかけることを訴えたマクナマラ国防長官演説等がなされておるのであります。中国に対する米政府の認識、態度に、具体的な変化が生ずる可能性は当面乏しいとは言えますが、硬直した封じ込め政策からの漸進的脱皮が模索されつつある徴候は出ていると思うのであります。したがって、合同委員会において日米首脳が中国問題についてもきびしい意見を交換し、一つの方向を見出すことについていかなる努力をしたかは、国民のよく知りたいところだと思います。  伝統的な日中関係の特異性はもとより、政経分離という変則的な方式ではあっても、現に日中間には往復五億ドル近い貿易があり、制限されたワク内とは言え、新聞記者の交換もあり、各界にわたってかなりの人的交流も行なわれているのでありまして、日本が確保したこのような窓は、中国問題の全面解決が世界各国共通の課題である以上、米国にとっても貴重な窓であろうと思います。合同委員会におけるいままでの例から見ますと、共産中国の脅威の強調のみが正面に出ていたきらいがなかったでしょうか。われわれは中国における核武装化の進行をそのまま見過ごすわけにはまいりません。中国の核の脅威をアメリカの核のかさの中に入って防ぐなどということは、日本国民の望むところではないと思います。私は、日本は、中国の国連加盟を認め、中国も参加した世界軍縮会議の中で、核拡散防止から核兵器の製造、貯蔵、使用の全面禁止を行なうこと以外に、世界の人類が核の脅威からのがれ、平和を守る道のないことを強調し、その実現のためあらゆる努力をすべきだと確信いたします。  今度の合同委員会では、ベトナム戦争と中国との関係、中国の核問題、日中貿易、中国の国連加盟問題等が当然討議されたことと思いますが、その経過と結論を詳細に説明していただきたいのであります。  特に、今秋の国連総会においても、中国の加盟について、わが国が重ねて重要指定方式に賛成することをアメリカに約束したとの報道がなされておりますが、事実とすれば、現実離れした、とんでもない話だと思います。その真相を明らかにしていただきたいと思います。  その三つは、沖繩問題についてであります。ベトナム戦争の拡大強化は、直接米軍の軍事基地となっております沖繩同胞の上に、大きな脅威と不安を与えているのであります。首相は、昨年の夏、沖繩を訪問した際、現地で、「沖繩が祖国復帰できない限り戦後は終わらない。」と述べられたのでありますが、戦後を終わらせるために今日までいかなる努力をなされたか、お聞きしたいのであります。具体的には、施政権の返還は緊急にしてかつ基本的問題であり、沖繩同胞九十四万の悲願であります。また、最近問題になっておりますサンマ課税事件、あるいは琉球立法院議員当選無効事件等の裁判移送問題について、今度の合同委員会では、日本が沖繩同胞の気持ちを率直に主張してくれましたでしょうか。これに対して、アメリカはどのような見解を示されたのでありましょうか。お伺いいたします。  質問の第三は、北方領土と北方近海における安全操業の問題についてであります。椎名外務大臣は、今年一月訪ソの際、北方領土の問題を切り出したところ、ソ連側は、領土問題は解決済みとのかたい態度をくずさなかったといわれております。「領土を解決する見通しがなければ、平和条約は結べない」、「平和条約を結ばなければ、歯舞、色丹さえ返らない」という、固定し、硬直した情勢を、首相はどう打開しようとしておられるのか、お尋ねします。  北方近海の安全操業問題については、日本は、歯舞、色丹海域を対象としたいわゆる赤城試案なるものを用意して、イシコフ漁業相の来日を期待したものでありますが、来日したイシコフ漁業相は、赤城試案に対しては自分の権限外であるとして確答を避け、問題を水晶島周辺に限定した対案を示すとともに、さらにソ連漁船の日本の港への入港及び漁獲物の日本への売りつけを条件として要求してきたのであります。かくして、イシコフ漁業相を迎えての安全操業の確保は、ソ連側のきびしい態度で進展は見られず、結局、今月下旬来日するグロムイコ外相との政治折衝に持ち越されているのであります。日本政府は、イシコフ提案を拒否して、赤城試案でさらに折衝すると伝えられておりますが、椎名外相と坂田農相は、来日するグロムイコ外相とどういう腹がまえで交渉に当たろうとしているのか、お伺いします。首相は、過般のNHKのテレビとラジオ放送「総理と語る」の中で、「外相同士の交歓ができたら、次は首相同士の交歓する段階になると思う」と述べられ、訪ソの用意のあることを明らかにしておられるのであります。首相は、今秋ソ連を訪問し、ベトナム戦争の平和解決の問題をはじめ、北方領土や北洋の安全操業など、日ソ両国間の懸案問題について、高度の政治会談を行なうおつもりはないでしょうか。東南アジア訪問の予定とも関連して、お答え願います。  質問の第四は、未開発諸国に対する経済援助政策についてであります。  わが党は、開発途上にあるすべての国に対し、平和共栄の基本理念のもとに、技術協力を中心にして、資金及び資本財をも含めて協力する方針を決定しているのであります。したがって、わが党が未開発国への経済援助に対して反対しているがごとき言辞を弄している者がいるとすれば、きわめて迷惑であります。われわれが、アジア開発銀行の設立について反対をしているのは、その設立の動機と融資の目的に問題があることを知っているからであります。すなわち、昨年七月ワシントンで行なわれた第四回日米貿易経済委員会で、米国はベトナム戦争遂行に対して日本の協力を強く要請したのでありますが、その調子の強さには日本側代表がびっくりしたということであります。東南アジアに対する経済援助について、米国がベトナム戦争とのからみ合いから、この地域における反共体制の強化を第一に考えるのは、容易に想像されるところであります。今回の合同委員会終了後の共同コミュニケの中にも「アジア開発銀行の設立に期待した」という文句が入っていることを見ても、同銀行の設立がアメリカのさしがねで行なわれていることは、ほぼ間違いないと考えられるのであります。したがいまして、アジア開発銀行を開設することが、ベトナム戦争を支援し、反共体制を強化する結果を招来する危険性なしとしないのでありまして、これでは、援助を受けるその国と国民の利益にはならず、経済援助の目的を失うことになるのでありまして、ここにわが党が反対する理由があるのであります。首相は、ただいま私が指摘いたしましたような危険性が全くないと断言できますか、お伺いいたします。  最後に、国会解散についてお伺いします。佐藤内閣は、昭和三十九年十一月九日、池田内閣の総辞職に伴い成立した内閣であり、いまだ総選挙の洗礼を受けていないのであります。成立以来ここに一年九カ月、首相の御苦労のほどはよくわかります。しかし、最近の世論調査の結果を見てもわかるように、佐藤内閣に対する国民の人気は、安保闘争当時の岸内閣とほぼ同程度に落ちているのであります。その原因はいろいろあろうかと存じますが、とどまるところを知らない諸物価の値上がりや、ベトナム戦争に対する政府の態度に、強い不満を抱く国民の気持ちのあらわれだと思うのであります。いまや、佐藤内閣は国民に信を問うべき時期に参っていると思います。国会解散に対する首相の御所信をお伺いして、私の代表質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まず第一に、今回の臨時国会開催について、もうすでに御了承のことだと思いますが、この席から特に反対だったと、かようなお話がございますので申し上げますが、私は、前通常国会に引き続いて今回臨時国会を開いたことを、まことに残念に思っております。しかし、この上とも国民の政治に対する信頼を高めたい、かように私は思いまして、今回の臨時国会を開くことにお願いをいたしたのでございます。どうか各党におきましても、自民党のただいま考えております国民の政治に対する信頼を高める、こういう意味でこの国会の運営を期したいと思いますので、御協力を願いたいと思います。  第二の問題で、物価についてのお尋ねでございます。所信表明ですでに明確にいたしておりますが、私は、現在の経済の状態は、いわゆる不況を脱却しつつあり、上昇の方向に向かっておる、かように考えておりますが、しかし、倒産件数がなお多数出ておる、まことに残念であります。しかし、この数も一時非常にふえたりしておりましたが、大体そういうこともなく、だんだん落ちついてくるのではないかと思います。また負債金額なども小口化したと、私かように思いますので、そういう点では、経済は、私ども考えているように上昇の方向をたどっているのではないか、かように思います。下半期になりまして一体どうなるかと、たいへん御心配のようなお話でありますが、私は、公共事業投資を特に注意いたしまして、上半期に契約を集中した。しかしながら、工事の実情はやはり下期につながっておりますし、また公共事業投資等も、予算も非常に増大しておりますので、一部で心配されるようなことはないと思います。ことに経済全般が上向いておりますので、だんだん民需もそのうち出てくる。かように期待しておりますので、その点は御心配を願わないでいただきたいと思います。ことに輸出の増勢については、引き続き増勢をたどっておりますが、前年同月比をとってみますと、三月は一三・五%、また四月も一三・三%、五月は八・八%、いずれも増勢を示しております。これなどは、輸出が好調だということを申しましたが、数字の上でもこれを裏書きしている。また、鉱工業生産もたいへん好調であります。同時に、消費支出、在庫投資等も持ち直しておりますが、これも対前月比におきまして、三月は一・九%、四月は一・五%、五月は一・四%、いずれもそれぞれ増加しております。これらの数字が私は今日景気は上昇の方向をたどっておるということを示しておる、かように説明ができるのであります。  また、卸売り物価は、ただいま御指摘がありましたが、昨年の十二月から本年の六月までの期間をとってみますと、二・八%上がっておる、これはいかにも上がり方が大きいではないか、かようなおしかりを受けておりますが、しかし、その中身をしさいに検討していただくならば、価格の高くなりました農産物、あるいは非鉄金属、ことに銅等を除いて計算してみると、大体一・一%の上昇であります。これは過去におきましても、景気回復の際に卸売り物価の騰勢を示しておりますが、大体その数字と同様でございますので、これも景気回復を示しておる数字だと、かように私は考えております。  消費者物価についてでありますが、本年四月の対前年比は二・二%となって、これも大幅な上昇でございますが、その後は一高一低、大体落ちついております。ことに、ことしは、野菜、生鮮魚介等が昨年よりはたいへん低くて、また消費者に幸いしておるように思いますので、これらのことを考えてみますと、在来の政府の施策を遂行することによりまして、大体、政府が考えておるような消費者物価、これを期待することができる、かような確信を持って取り組んでおる次第でございます。  次の質問といたしまして、資本の自由化についてのお尋ねがございました。私どもは、自由化については、たいへん賛成している方向であります。ことに、資本を自由化すれば、企業の近代化や、あるいは合理化に役立つということも言えると思いますが、同時に、これを自由化すれば、わが国の特殊な産業構造から見まして、中小企業問題や、あるいは過当競争、こういうような弊害も生じてくるのでありますから、産業構造の整備に対応して、順次前向きの方向で、この自由化と取り組む、こういうのは、これは当然のことであります。これは、日米合同委員会におきましても、そういう方向で話がされたのでございます。  その次に、ベトナム問題についてのわが国の基本的態度とその方針でございますが、これは、しばしば今日まで、国会の、あるいは本会議、あるいは予算委員会等を通じまして説明したところと、何ら変わりはございません。一日も早く、私どもは、ここに平和が招来されることを心から願っております。また、そういう意味で、関係国相互がお互いに話し合いに入るように、あらゆる機会にそのことを呼びかけております。が、しかしながら、なかなかそういう機運がまだ醸成されておりません。今日なお紛争が続いておることは、まことに私は残念に思っております。今回のハノイ近郊に対する爆撃、これも、在来の軍事施設や軍需施設に対する攻撃で、その範囲は出でておらないのであります。在来から私どもの考えておるような方向、それをアメリカ自身も守っておる、かように私、確信しておりますので、どうか、所信表明で申しましたように、関係者相互がぜひとも話し合いに入るように、そして一日も早く平和を招来するように、在来の行き方にこだわらないで、この上とも願いたいものだと思います。  同時に、米中戦争の問題は、これは、ただいま鈴木君も、まさかそういうこともないだろうというようなお話でございましたが、しかし、発展すればたいへん心配なんだ、だから、できるだけただいまのベトナム紛争が早期に平和になるように、これは同じように、私もそれを心から願っております。  また、中国問題に対する態度等が、米国の一部におきましても、いろいろ変わっているじゃないかというお話でございます。私は絶えず、私の考えとして、平和に徹する、いずれの国とも仲よくするんだということを申しておりますから、このことを十分理解していただいて、相手国におきましても、みずからが孤立的な方向をたどるような政策にとらわれないで、どうか十分お互いの立場を尊重し、そして内政に干渉しない、こういうことで、つき合いをうまく進めていきたいものだと思います。私は、封じ込め政策だとか、あるいは特殊な考え方をとっておるものではありません。すでに御承知のように、中共との間で、政経分離で貿易も拡大がはかられておりますから、そういう点では、相手方におきましても、この方向に御協力を願いたいものだと思います。  日米合同会議の各種の事案について、具体的に、詳細に説明しろ、こういうお話でございますが、これは共同コミュニケ等ですでに発表しております。また、その詳細等につきましては、それぞれの関係の方々から、他の機会におきまして十分説明も願えるかと思います。私は、いまの共同コミュニケ、これで御了承いただきたいと思います。  また、私とラスク長官、椎名君とラスク長官との関係等につきまして、それを明らかにしろというお話でございますが、事は外交上の問題でありますので、私ども、全部を具体的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、日本国民の要望しておるもの、また、私どもが申さなければならないというような点については、十分当方の意見を率直に申し述べて、そうして相手方の了解を得ておるような次第であります。  ことに、沖繩問題についてもお触れになりましたが、沖繩の本土復帰につきましては、わが国の基本的な方針でございます。そういう意味で、私どもは、アメリカの理解と協力のもとにこれを実現するという基本的な態度をとっております。本年度予算を編成するにあたりましても、民生の向上等について、特にくふうをいたしたのであります。この上とも、本土との一体化と申しますか、その標準化等について、格差の是正等について、努力してまいるつもりであります。また、ただいま問題になっております裁判移送問題については、ラスク長官に、よく、詳しく、私どもの気持ちを申し入れてございます。そうして、この問題は、ぜひとも現地におきまして円満に解決することを心から願っておる次第でございます。  次に、北方の問題、安全操業や領土問題についてのお尋ねがございました。近くグロムイコも来ることでありますので、私は、わが国の基本的な態度を、文書によらないで、今度は直接面接することによって伝えたいと思います。すでに、北方領土の問題については、前内閣以来、文書によりまして、しばしば当方の明確な主張を申し出ておりますが、今回は、面接してそういう話し合いができる、かように思っておる次第であります。また、領土問題と関連はございますが、どうしても早急に解決しなければならないというのは、安全操業の問題でございます。これまた、お話のように、たいへんいい機会でありますから、積極的に取り組んでまいるつもりであります。  また、私の訪ソ問題、これは、私まだきめてはおりません。しかし、ソ連からも招待を受けておる事柄でございますので、私が行きたいという、招待をお受けしたいといいますか、それを実行する、したいという、そういう気持ちは十分ございます。これらのことは、今回のグロムイコ外相が訪日することによりまして、さらに進む方向であればたいへんいいがと、かように思っておる次第であります。  また、東南アジア諸地域からも私が招待を受けておりますが、これらの問題も、それぞれ訪ソと勘案いたしまして、その上できめるべきものだと、かように思いますので、ただいままだそれらの点も決定をいたしておりません。その点を申し上げておきます。誤解のないように願っておきます。  最後に、解散問題についてお触れになりましたが、しばしば機会あるごとに解散問題を聞かれるのでありますが、私自身、解散問題をいま考えておらない。そのことをはっきり申し上げておきます。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私に対する御質問の物価の問題につきましては、総理が数字的に御説明になりましたので、その点は触れないことにいたしますが、ただ、卸売り物価の動向というのは、非常に大事でございまして、特に非鉄金属を除きまして一・一%の値上がりといいましても、その内容が、食糧、木材等が相当のウエートを持っておりますので、ここらの問題が消費者物価にも影響してまいります。したがって、こういう問題については、十分今後戒心してまいらなければならぬと思います。  消費者物価の問題につきましては、われわれも全力をあげて問題に取り組んでまいります。幸いにして、衆議院においては、各党共同提案の案、また、参議院におきましては、物価問題委員会における委員の総意によります委員長報告も出ております。私どもの物価問題懇談会で出た問題点の指摘等も、ほとんど共通して、問題のありかと、そうしてその解決方法を指示されておりますので、われわれもそれらのお考え方を尊重しながら、物価問題に対して十分取り組んでまいりたいと、こう考えております。  なお、新規の経済計画がいつごろできるかというお話でございますが、大体いま予定といたしましては、十一月を目標にして、経済審議会で作業を進めていただいております。もちろん安定成長を期した今後の計画でございますから、したがって、物価問題がその重要な柱になっておりますことは申すまでもございません。むろん同時に、国民生活の向上ということにも一つの大きな柱を持って、そうしてこの経済計画の案の中心的課題として進めてまいるということで、現在、審議会の委員の皆様方に熱心に御審議をいただいておるところでございます。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) アジア開発銀行は、国際連合のアジア極東経済委員会のイニシアチブによって構想をされまして、当初からでき上がるまで、同委員会のもとにその準備が推進されてきておるのでありまして、米国のイニシアチブによるものではございません。先般の日米合同委員会の共同コミュニケにおける関連部分の意味は、アジア開銀が将来発揮すべき遠大な意義に対する期待をあらわしたものでありまして、これは日本と同じく米国も、アジア開銀がアジア諸国の経済発展のために持つべき意義につきまして、将来を期待すると、こういう趣旨をうたったものであります。さようなわけで、米国のアジア政策でこれを道具に使うためにアメリカによって仕組まれたものでもなく、また、そんなことがかりに意図されても、実際問題としてはできるものでもありません。この点をよく御了解を願います。(拍手)   〔国務大臣坂田英一君登壇、拍手〕

坂田英一自由民主党農林大臣

○国務大臣(坂田英一君) イシコフ漁業大臣の滞在中に、北方漁業の安全操業の問題を協議をいたしたのでございますが、先ほど総理からお話のとおり、滞在中には解決を見なかったわけでございます。今後なお引き続いてこの問題を協議することに相なっております。したがって、グロムイコ外相の来訪等の際におきましては、また、この問題も話し合いになることであろうと、こう思っております。(拍手)     —————————————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 佐野芳雄君。   〔佐野芳雄君登壇、拍手〕

佐野芳雄日本社会党

○佐野芳雄君 私は、日本社会党を代表して、佐藤総理並びに関係大臣に対し若干の質疑をいたします。  その質疑に入る前に申し上げたいことは、一昨日、佐藤総理の所信表明がありましたが、その所信表明演説は、まことに通り一ぺんの内容でありまして、真に国民が聞きたいと思っていること、知りたいと願っている問題には、全く触れていないのであります。国民が国会を通して聞きたいと欲しているのは、抽象的な美辞麗句の羅列ではなく、政府が実行しようとする、国民のための政策の具体的な内容の約束であります。ところが、その演説は、まことに簡単で、施政の全般に触れず、これでは、審議の場としての国会を軽視するものであります。国民もまた、失望したと思うのであります。しかも、総理はその演説の中で、冒頭に、「最近におけるわが国経済は、不況を脱却し、上昇の機運に向かっております。」と言われましたが、中小企業の倒産は相変わらず多く、東京商工興信所の調べによりますと、五月度の企業倒産の発生件数は約五百件に達しております。昨年の同期に比べて、実に七・三%の増加であります。企業倒産の件数はこのように異常なくらい多いのであります。このきびしい現実にどう対応しようとするのか、総理の率直な御見解をお聞きいたします。  質問の第一は、物価対策の問題であります。物価対策の推進機関として消費者物価対策連絡協議会あるいは臨時物価対策閣僚協議会等々、数多くの推進機関が設けられ、十数回にわたって閣議決定が行なわれているのでありますが、その成果は一向にあらわれていない。政府の物価安定対策の一つとしている、財政政策の健全均衡の原則も、四十一年度一般会計予算四兆三千百四十二億円、財政投融資二兆二百七十三億円の財政の規模を、本格的な国債発行七千三百億円の増発を行ない、拡大させたことによって、くずれ去っているのであります。しかも、政府は、技術的に生産性を向上しにくい農業、中小企業をなおざりにして、生産効率の高い大企業に資本を集中させ、物価対策よりも、大資本のための不況対策を優先させているのであります。また、公共料金など、政府が直接規制することのできる関係の料金や価格は抑制し、値上げを押えるといいながら、すでに私鉄運賃、地下鉄運賃の大幅な値上げが行なわれ、続いて国鉄運賃の値上げ、さらに国民健保の保険料、郵便料金等を引き上げているのでありまするが、これらの公共料金の引き上げは一般消費物価の価格を刺激し、国民は、政府の物価対策はお題目だけと受け取っているのが実情であります。農業、中小企業等における生産性向上及び流通コストの節減等について、佐藤総理は、生鮮食料品の安定的供給、卸売り市場の改善、流通機構改善等、諸物価に対する強力な行政措置を講じて、物価安定を行なおうといっております。確かに四十一年度予算を見ると、農林漁業、中小企業関係の経営基盤の強化、環境衛生関係への融資、野菜の出荷安定基金の新設、ボランタリー・チェーン関係対策費等々に、相当程度の予算が充てられていることはわかります。けれども、本来この対策は、生産や流通対策であって、物価対策とはいえない性格のものであります。また政府は、輸入政策や関税政策の弾力的運用により価格の低下をはかるといっておるのでありまするが、はたしてどのような結果であったでしょうか。当然その対象となるべき砂糖、乳製品、肉類、バナナ、小麦等の農産物に対しては、その対策は全くの作文になっております。たとえば乳製品の輸入割り当てをとってみましても、乳業会社の団体に割り当てを行ない、実態はまさに生産者中心の行政であり、消費者は犠牲とされています。このような国民不在の物価安定対策が、はたして真の対策といえるでありましょうか。このような物価上昇率から見て、あるいは政策の実施面から検討して、結果は何ら効果はなかったと断言せざるを得ないのであります。その原因の一つは、経済成長の不均等によるもので、特に第二次産業の就業者の減少と生産力の停滞等が、農水産物食品の物価上昇を招いておること、二つには、銀行貸し出しが大企業中心に偏在していること、三つには、サービス業、消費財産業のカルテル化、四つには、消費率が投資率と比べ低く、すなわち消費財及びサービス部分の相対的な不足、五つには、物価の相場づくりにつながる公共料金の値上げであります。  そこで総理の見解をお答え願いたいのでありますが、一つは、今日の物価問題は経済の不均等発展という構造上のひずみから生じたものであり、消費者物価の上昇を阻止するためには、経済構造そのものを変えていく努力をせねばなりません。まして、資本の再生産過程から需要され、供給されるべき資金需要に基づく通貨供給形態からはみ出した公債発行は、この状態を一そう悪化させるものと考えるが、どうでありますか。二つには、不況を発生させたものは、投資と消費のアンバランスであり、しだがって、消費財及びサービス部分の刺激政策を真剣に考えるべきだと思いますが、どうですか。三つには、一般消費者の利益を第一として、独禁法第一条の目的の精神を具体化することが必要であるが、政府の物価行政は生産者中心であって、各企業間の公正取引、能率の向上、カルテル行為等の増加と、独占化傾向に対する行政指導がなおざりにされております。真の物価安定対策は、消費者中心の物価行政を考えるべきだと思うが、経企長官はどうお考えでありますか。また、いままで消費者物価が上がっても、卸売り物価が安定している限りたいした影響はないという考え方が強かった。いまも総理はそのような立場でお答えであったようでありますけれども、いま総理の言われましたように、日銀がまとめた卸売り物価指数は、六月も〇・六%続騰し、ことしに入って二・八%の大幅上昇を示しております。このことについて、もっと具体的に、総理の率直な見解をあらためて答えていただきたいと存じます。同時に、大蔵大臣、経企長官にもお答えを願いたいと思います。  次に、米の問題についてお尋ねいたします。  第一に、本年度の生産者米価は、米価審議会の答申がなされないままで決定されたが、これは昭和二十四年に米価審議会が発足して以来初めての異常事態と言わなければなりません。このような答申不能の事態に追い込んだ責任は、米価審議会軽視を続けてきた政府にあると考えますが、政府としては今後の米価審議会のあり方についてどのような考えをお待ちなのか、総理並びに農林大臣にお伺いします。  第二に、総理は、所信表明演説の中で、生産性の高い農業を目ざしたいと述べられているが、これまで政府は、農産物の長期需給見通しを誤り、米麦軽視の政策をとって、米の生産性を高める努力を怠ってきた。政府はことしになって、あわてて土地改良十カ年計画をつくったりしているが、全く立ちおくれているのであります。しかも、この土地改良十カ年計画は、全体として二十年計画の中の前期十カ年計画であって、東海道新幹線をわずか三カ年くらいで完成させているのに比べ、その怠慢は、はなはだしいものがあると存じます。これが米の生産費を高くして、生産者米価を上げざるを得なくしている原因にもなっているのであります。農業に金をかけないで、その上、物価政策の失敗を農民にしわ寄せすることは、総理の言と全く相反していると言わねばなりません。  第三に、消費者の立場から食糧管理制度の問題についてお尋ねいたします。政府は、生産者米価を上げて、消費者米価を据え置く限り、食管会計の赤字は増大するから、最終的には消費者米価値上げをせざるを得ないと考えておられるようでありますが、私は全く反対であります。食管赤字と一般にいわれているうちの半分以上は、保管料、運賃、食糧庁職員の人件費も含めた、事務費、金利など、政府の管理費用であって、決していわゆる赤字ではないのであります。赤字を誇大に宣伝するのは全くの誤りであるとも言えます。生産者米価引き上げの何カ月か後には消費者米価を引き上げる政府のやり方は、実質的にはスライド方式と同じであります。現行食糧管理法が、生産者米価は農家の再生産と所得確保を旨として定め、消費者米価は家計安定を旨として定めると、別個にきめることとしている精神を踏みにじるものであります。このことは、政府の農業政策の失敗によって生じた生産者価格の上昇を消費者米価にかぶせ、消費者に犠牲を負わせようとすると同時に、消費者の反発を利用して生産者価格を押えようというねらいを持つもので、このようなやり方はきわめて卑劣であります。生産者米価の値上げを消費者米価に転嫁しないかどうか。総理並びに大蔵大臣、経企長官にはっきりお答えいただきたいと思います。  次に、黒磯隧道工事の一酸化炭素中毒事件についてお尋ねいたします。  去る七月八日、栃木県黒磯町において、約六十名の地元農民が農業用水路の土砂取り除き作業中、携帯発電機の排気ガスによって一酸化炭素中毒によりとうとい二十五名の生命が失われたことに対して、心から哀悼の意を表するものであります。さて、この貧しい農民たちが命の綱と頼む用水路トンネルを台風四号でこわされ、「一日も早く水を」と復旧を急ぎ、勤労奉仕に出かけた農家の貴重な働き手を奪った、この無水地帯の悲劇、目をおおうべきこの惨事に、遺族の人々の胸のうちを察すれば、言うべきことばもありませんが、しかし、この事故の直接の原因は、一酸化炭素中毒に基因するとはいえ、事故をもたらした原因は明らかに佐藤内閣の国民の生命と健康を無視した政治にあると言わねばなりません。石油コンビナートのある四日市市で公害病のぜんそくで病む一老人が自殺するという事件がありましたが、事情は異なるとしても、今回の事件と軌を一にするものであり、貧困に苦しみ、老齢や病気で悩む社会の谷間にいる人たちは、死をもってその犠牲をしいられているのであります。この政治、行政責任は、当然、政府自民党にありと申さねばなりません。人命尊重をモットーとして絶えずそのことを主張される佐藤総理の所信をお伺いいたします。  次に、農民が水に対する考えの深刻さは、想像できないほど強いものであり、問題の用水路は農地に対するただ一つの給水路であり、しかも農家の出費を抑えるために地元農民総出の作業となったのであります。稲作の発育の確保も田植えの農繁期で急ぎ、農林省の災害復旧の査定を待たずに自主的に復旧工事に立ち上がったのであります。いわば、この事故の原因の一つは、農村対策の貧困にあり、同時に、政府の災害復旧に対する対応のあり方が官僚的に処理されたことにあります。土地改良組合は、災害復旧事業計画書を農業用水トンネルの地盤くずれの直後提出したが、関東農政局はその第一回査定を一カ月後になることを回答しているが、農民の生命である用水確保に何らの即応策を講じることができなかったものかと考えまするが、その点、農林大臣はどう考えられるか、明確に御答弁願いたいと存じます。  次に、応急復旧工事が坑内工事という特殊的なものであったにもかかわらず、その安全性について何らの措置すらなし得ない建設業者を野放しにしておいた労働行政上の問題を、労働大臣はどう思われるか。労働省は、この事故発生前に労働安全講習会を実施したということで、あたかも行政責任を免れたかのような態度でありまするが、今日、労働基準監督官が全国で二千数百人しか配置されておらず、各企業、事業所の監督は全くなきにひとしい状態と指摘せざるを得ません。特に、今度の場合、監督上の不行き届きから、労働基準法第六十四条によって禁止されているにもかかわらず、被害者の中に六名の女性が含まれており、また、事前に応急工事開始の連絡を受けた労働基準監督署も、安全指導を全くやられておらず、この点、労働行政上の責任は重大であると考えるが、労働大臣は一体どのように考えられるか、お尋ねいたします。また、工事請負業者の現場監督者は専門的知識を持ち合わせていなかったのでありまするが、労働大臣はこのような問題をどのように考えられているか、今後の対策があれば示してもらいたい。  さらに、今回の惨事の被害者は黒磯町の地元農民でありまするが、その遺族の生活保障並びに被害者の救援対策、補償問題、並びに地元農民と谷黒組との使用関係については、それがかりに勤労奉仕であったにせよ、その労働の対価は形を変えて支払われていると考えます。したがって、そこには広い意味における労使関係が存在していると解釈するのでありますが、労働大臣は労働災害保険法の適用についてどのように考えているか、労働大臣の誠意ある御答弁をお願いしたいと存じます。  また、一酸化炭素中毒の障害については、すでに三池炭鉱や夕張炭鉱の爆発において明らかなように、中枢神経系統を中心に全身障害となり、生涯不具同然で再起不能の場合が多いのでありまするが、今後こうした事故は絶対に起こしてはならないと思いますが、万が一の場合に備えて、わが党から提起している一酸化炭素中毒特別措置法案の実現が望まれます。この問題について労働大臣はいかに対応しようとしているのか、お考えをお聞きします。  次に、住宅政策と土地問題について若干お尋ねいたします。総理は、社会開発政策を強く押し進めると言い、住宅問題の解決を政府の重要施策としているのでありますが、いまだに国民の期待にこたえる実績をあげていないのであります。今日、人口構成の変化と都市への人口集中によって、都市の住宅問題はいよいよ深刻化しています。この住宅問題解決の責任は国家が負うべきものであるのでありまして、そのことは、六年前のILO総会で採択した「労働者住宅に関する勧告」にも、はっきり示されておりますし、この勧告には出席した政府代表も賛成しているのでありまして、その勧告は、労働者の住宅建設計画を国の責任で進めることを、勧告の中心に据えているのであります。昭和三十九年度の建設白書は、「高度成長によって国民の所得や消費の水準は大幅に上昇したにもかかわらず、われわれ国民の生活の基盤である住宅部門の立ちおくれが著しいが、今後の住宅政策の方向としては、このような状態から脱却し、近代国家としてふさわしい居住水準、少なくとも現在の西欧水準を確保し、国民のすべてが健康にして文化的な明るい住生活の実現をはかることを目標としている」と述べております。なるほど、この指摘は正しい。そこで建設大臣にお伺いします。白書のいう西欧水準とはどのような水準をさすのか、文化的な明るい住生活とは何かということについて、そのお考えを示していただきたいと存じます。  また、政府は、四十五年度に一世帯一住宅を実現するため、七百八十万戸の住宅を建設するといっているが、そのうちの政府施設住宅は三百万戸余となっており、このことを裏返していうならば、その過半数の四百万戸をこえる住宅は、もっぱら民間自力の投資にゆだねるということであります。また、政府施策住宅の内容を見れば、公団等が建設する公営住宅のほか、住宅金融公庫の貸し出しによる建設資金の一部を助けるだけの住宅や、その増改築まで含められているのでありますから、政府が公共団体を通じて直接国民に供給する住宅は、全体のごく一部にすぎないのであります。しかも、最近の政府の住宅政策の特徴的傾向は、本来、国が行うべき住宅建設を、財産づくりという美名のもとに、持ち家中心の住宅政策に切りかえ、合理化しようとしていることであります。もし、政府が真に持ち家を奨励するというのならば、少なくとも公共の用地や公共の施設の費用は国が負担すべきであります。ところが、現在一つの団地ができる場合、道路、公園、緑地帯など、公共用地が入居者の負担によって処理されています。おおむね、公共用地は全体の四〇%を占めるのでありますから、かりに入居者の有効宅地を坪当たり二万円とした場合、公共用地を含めるとそれが三万円をこえる価格となり、これでは、分譲であれ、賃貸しであれ、すべて入居者の負担増となることはいなめません。また、そのことが、実際の地価は二万円であるのに公称地価は三万円となり、それがまた、周辺の地価を釣り上げる要因となっているのであります。また、たとえば、水洗便所そのものは二万円ででき上がるのに、下水設備の立ちおくれによって、浄化槽その他の設備のために十万円余の個人負担増となっているのであります。少なくとも、公共用地その他の公共的施設は、国または地方自治体が負担すべきだと思うのでありますが、総理並びに建設大臣のお考えをお聞きいたします。  最後に、建設白書によれば、二十年後の都市人口は現在の四千七百万人から九千三百万人に、農村部の人口は現在の五千百万人から二千四百万人程度に減少するだろうと言っております。それでは、そのときの市街地は一体どうなるのか。市街地面積はただいまの三倍程度になる可能性があります。現在の三大都市圏の規模は倍以上、その他の地域で百万都市が十七近くできるだろうと述べているのであります。しかも、都市への人口集中、特に三大都市圏への集中、急激な膨張が、今日の状態で推移するならば、それは都市の破壊となるでありましょう。いま、真に住宅政策を推し進めるために一番必要なことは、今日の各省各局の利害にとらわれることなく、強力な一元的機構をつくるべきだと思うのであります。今日のように各省各局の利害にとらわれて、そのなわ張り的な立場において住宅政策が進められている限り、いつまでたっても今日の深刻な住宅問題は解決しないと思います。この際、総理並びに建設大臣は、強力な一元的機構をつくることに対する構想をお持ちであるかどうか、お伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  私の所信表明に対する御注意あるいは御叱正、これは反省の資料といたしまして、つつしんで承っておきます。  次に、物価の問題についていろいろお話がございました。確かに、御指摘になりますように、今日、私どもが取り組んでおる経済不況、同時に、その不況のもとに特別な構造下において形成される物価、こういうような意味でただいまのお話は続けていかれましたが、確かに、御指摘のように経済不均衡——その発展の途上にあるひずみを是正する、こういうことが、今日私どもが取り組んでおる問題でございます。先ほども申し上げましたように、経済自身はこのひずみ是正に相当の効果をあげつつある、かように思っております。こういうところを考えれば、当然、消費者物価の上昇を阻止するそのためには、経済構造にメスを入れることになるのであります。ただいまそういう点で、生産性の低い部門に対して、特にその生産性を上げるようにいろいろ努力をしておるわけであります。中小企業や、あるいは農業等について、近代化、合理化を進めておるのも、そういう御指摘になりましたような意味でございます。  ただ、公債発行はそういう方向と逆にいくのではないかという御指摘でありますが、これは、公債発行いたしまして経済を拡大したところに、今回の構造改造も容易に改善ができたのだと、かように私は思っております。また、佐野君御自身が、ただいまもこの公債発行をするのはよろしくないと、こういう御指摘でありながら、同時に、第二の問題として、どうも設備投資と消費がアンバランスなんだ、いわゆる供給過多のいまの状況だ、だから刺激的政策をとって消費をふやすべきではないか、こういうお尋ねがあったように思いますが、まあその辺からも、ただいまの公債発行は不可だとおっしゃらないで、これに御賛成をいただきたいと思います。確かにただいまは需給の調整をはかることが一つの問題でありますから、そういう意味で適正なる消費が行なわれる、こういう意味で適正なる公債発行、これはやむを得ないものだ。御賛成をいただきたいと思います。  次に、今日の物価行政、このあり方はどうも生産者本位で、生産者に力を入れ過ぎているんじゃないか、今後力を入れるべきは、消費者中心に切りかえるべきものだ、こういう御指摘だったと思います。これは必ずしも両者を区別して、いずれが中心だと、こういうようにきめないで、やはり生産者、消費者、相互に調和をはかっていくということが最も大事ではないかと思います。特に今日までの行政がどうも生産者中心だと、そういうように見られやすいような状況にあることについては、政府も行政におきまして十分に反省してまいるつもりでございます。私は、生産者と消費者と、その中に立って、そして適正な物価がきめられることであってほしいと思います。調和をはかるということであります。  次に、卸売り物価指数については先ほどお答えしたとおりでございますが、またもう一ぺん具体的に説明しろと言われますが、私が申し上げたいのは、日銀で出したいわゆる卸売り指数、そのうちに、特に農産物やあるいは非鉄金属の銅、こういうようなものを除外いたしますと、いわゆる物価の上昇が一・一%、卸売り物価の上昇が一、一%、この一・一%は、過去の経済の上昇の際に大体示しておるような数字だから御了承をいただきたい。このことが経済が立ち直りつつある証拠にもなっている資料であるということで、御了承を願いたいと思います。  次に、米価の問題についてお尋ねがございました。ことし米価を審議会から答申を得ないできめたということを、まことに私は残念に思っております。これはもともと米審の軽視ではないかという御指摘がございましたが、これは軽視ではございません。これは数日の間、審議検討を加えられまして、また、農林大臣もその話を終始伺ったのでありますが、最終的にどうしても全体として答申することができない、かような状態に立ち至ったのであります。各方面からの意見は農林大臣が直接聞いておりまして、十分その御意見も反映して米価を決定したと、かように私は確信しておりますので、いわゆる軽視には当たらないと思います。また、生産性の高い農業を目ざすと、かように総理は言ったが、一体何なのか、土地改良にもっと積極的に力を入れなけりゃだめじゃないかというおしかりでございます。確かに土地改良に特に力を入れていく、これは必要でございますので、今後農政の一つの大きな柱としてこの問題と取り組んでまいります。  次に、食管会計の赤字を、これを消費者の立場だけで片づけるな、特にこの赤字といわれるもののうちには、一般会計で当然負担すべきものも入っているようだ、運賃あるいは保管費その他事務費についてそういうことが言えるのじゃないか、どうも食管会計の赤字を誇大に政府は宣伝するきらいがあるというおしかりでありますが、しかし、私は、この食管会計の中から運賃やあるいは保管費等を除いて、これを一般経費で見ろという、この説には賛成をいたしません。今日食管会計の中で計算しておりますことについては、会計上の計算上の扱いとしてこれは当然のことだと、かように思います。したがいまして、食管会計の赤字、これは、たてまえそのものから申せば、必ず食管会計内で始末すべきものだ、いわゆる生産者米価が高くなるとか、そういうことで赤字が出てくれば、食管会計の中でその赤字を消していくというくふうをするのが当然だと思います。しかし、ただいま御指摘になりましたように、これを消費者米価を上げることによって全部まかなっていけということが、理論上正しいにしろ、実際問題としてそれがはたしてできるかどうか、こういう問題があると思います。そういう意味で、十分今日の国民生活に与える影響や諸物価に与える影響等も勘案しなければなりませんし、同時に、また、一般財源等をも十分勘案をする必要がございます。ただいまこの席で消費者米価は上げない、かように私は言うわけにはまいりませんけれども、ただいま申し上げるようなあらゆるデータを十分精査いたしまして、そうして国民生活の安定をはかる、そういう方向で政治を進めてまいりたいと思っております。  次に、黒磯隧道の工事についての今回発生いたしました不祥事故につきましてお話がございました。私も同じように、この農業用水隧道で犠牲になられた方々に対しまして心から哀悼の意を表し、遺家族に対しましても、心からお悔やみを申し上げるような次第でございます。この種の事柄がありますこと、ただいま言われました佐野君は、これは勤労奉仕だということを言われておりますが、私ども、いずれにしろ、勤労奉仕にしろ、あるいは雇用関係にしろ、この種の犠牲者を出したことは、私、人間尊重、人命尊重という立場から、ほんとうに残念でたまりません。で、同時に、このあと始末につきましては、国といたしましてもできるだけのことを考えていくのが、これは当然のことだと、かように思いますので、ただいま御指摘になりましたような点について、一そういろいろのくふうをしてみたいと、かように私は思っております。この種の問題について基本的にいろいろお話があり、ことに公害を苦にして四日市でも老人が死んだと、こういうようなお話がございました。私どもは、もちろん大企業や特別恵まれた方ばかりを相手にしておるわけじゃございませんので、ことに谷間にある人たちに対して政治のあたたかい手を差し伸べること、これは最も大事なことだと思います。ことにこれが人間尊重を考えております私どもの気持ちでもありますので、今後ともそういう意味でこの問題を見ていきたいと、かように思います。  次に、住宅問題と土地の問題についてのお尋ねがございました。いろいろ地方分散の新産業都市だとか、あるいは工業特別地域だとか等々いたしまして、都市に集中しないようにあらゆる政策をとっておりますが、今日都市への人口集中のこの傾向は無視できない、また、そういう方向で進むだろうと思います。したがいまして、地方分散の計画を進めると同時に、これと並行いたしまして私どもが意を用いなければならないのは、都市再開発の問題だと思います。都市再開発の問題について佐野君からもいろいろ御指摘があり、特別に御理解もいただいておりますので、今後はそういう意味で、一そうこの住宅問題、土地問題、あるいは交通問題等が整備されていくと思います。  ところで、これを住宅問題だけにしぼってみましても、ただいま一世帯一住宅、これを実現するためには民間の協力を得なければならない。ことにその民間の場合において、御指摘になったように、公共の施設、そういうものが民間で全部やらなければならない、こういうところに矛盾はないかという御指摘であります。私は、確かにこの点は、今後民間の協力を得るという観点に立った場合に、政府はいかに取り扱うべきかということを研究すべきではないかと思います。これは学校の問題があったり、あるいは上下水道があったり、同時に交通の問題があったりいたします。そういうものが、この民間の住宅地域、そこでそれらの人たちの負担においてこれらのものが整備される、こういうようなことは、他の地域に比べましても、まことに格差が大きいと、かように思いますので、この点はさらに今後検討してまいりたいと、かように思っております。ただいまの上下水道、あるいは学校、あるいはその中には養老院等もあるだろうと思います。なかなか公用施設、公共施設というものは広範でございますから、十分検討してみたいと思います。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。  私に対する質問の第一は、公債を出すことが物価政策と矛盾はしないか、こういうことでございます。いま、御承知のとおり、経済の様相は設備過剰、つまり典型的な設備過剰のデフレの状態である、かように考えております。しかし同時に、いままでの景気循環に見られなかったような、デフレ状態下において消費者物価が上昇すると、そういう側面もあるわけであります。したがいまして、これに対する政府の施策といたしましては、当然景気回復もはからなければならぬけれども、同時に、消費者物価の抑制も見ていかなければならない。かような両面の施策を必要とするということでございます。そういうような立場に置かれまして、政府は、これが打開の施策といたしまして公債政策を採用した。適正な規模の公債政策の導入である。公債は発行しますけれども、決して財政運営を乱にするというような考えじゃございません。むしろ、公債を発行するがゆえに、財政の運営は慎重にするという方針でございます。つまり、国民経済の中で最大の消費者である政府が、その財政の規模を過大にし過ぎるというところに問題があると思うのであります。公債を発行するが、財政の規模が国民経済の流れに応じまして適正であるという限りにおいて、これが物価を刺激する、これと矛盾を来たすというようなことは私は毛頭ない。かように考えております。現に、一兆五千億円、二兆円の公債を出して、一挙に景気を回復したらどうかというような考え方がございましたが、私は、それは過大である。しかし、公債は一切出しちゃならぬというような考え方もとらない。適正な規模、つまり民間の設備投資が落ち込んでおる、それを補って、日本の経済の成長路線を行くというに足る財政規模を実現するための財源として、七千三百億円の公債を発行する、こういうふうな考え方をとったわけでございまするから、私は、今日までの経過を見まして、この考え方に立つ、そういう両面の作戦というものは、非常に満足すべき状態である、かように考えております。つまり昨年の暮れから、国の経済の動きの中心をなす生産、これが着実に上昇していることは御承知のとおりであります。これは年率にいたしますと、相当高い成長率を示しつつあるのであります。しかも、生産がよくなってきたばかりでなく、荷動きが盛んになってきている。これは昨年の暮れから毎月変化なく上昇している。そういうことは、またさらに、百貨店の売り上げでありまするとか、あるいは輸送の指数等においても、裏づけられるのであります。それがさらに、製品が売れるのでありますから、製品の在庫が少なくなり、在庫の状況のごときは、三十八年の不況前の状態にまで戻りつつあるというような状態でありまして、景気回復の歩調はきわめて堅実であり、順調である、かように判断をいたします。しかも、それが物価に悪影響を及ぼしておるか、それに大きな刺激を及ぼしておるかというと、私はそうは考えません。ただいま総理がお答え申しましたように、物価もだんだん安定していくという方向に動いているわけでございます。さようなことを考えますときに、私は、今回とられております公債政策というものが、決してインフレ問題とつながっているとか、あるいは消費者物価問題と矛盾しているというふうには、考え方といたしましても、また実際の動きといたしましても、そう見ておらないのであります。  それから、第二の米価の問題でございまするが、消費者米価をどうするか、これは総理がお答えしたとおりでございまして、ただいま消費者米価を上げるという考え方は持っておりません。しかし、いずれは、これは生産者米価の問題とからめて考えなければならぬ時期が来る。それは国民のふところぐあい、これも考えなければなりません。また、物価の動きも、今日考うべき非常に大きな問題だと思います。その動きはどういうふうになっておるか。もう一つの問題は、財政をどういうふうにしていくか。財政の状況から見ますれば、今回の生産者米価の引き上げによりまして、一般会計の負担は二千億になります。この二千億の負担に対しまして、財政上、米価に対してどういう考え方をとるか、この三点から考えまして、この消費者米価問題の処置というものは、結論を得なければならぬというふうに考えております。重ねて申し上げますが、ただいまは、当分の間、消費者価格を引き上げるという考えは持っておりません。(拍手)   〔国務大臣坂田英一君登壇、拍手〕

坂田英一自由民主党農林大臣

○国務大臣(坂田英一君) 第一の点は、米価審議会の件でございますが、これは総理から大体お話のとおり、三日間を五日間に延ばしまして、真剣に各委員が審議をいたしましたわけで、私も幸い五日間そこに出席いたしまして、各委員の意見を十分拝聴いたしたのであります。米価決定上たいへんな参考になりましたことは言うまでもございません。ところが、どうしても、一つにまとめた答申はできない。いままでは三つとか四つ併記いたしたのでございまするが、それが非常な批判を受けております関係上、どうしても一つにまとめなければならないということが、その当時の委員諸君の熱烈な考え方でありましたが、それがどうしても一つにならない、そういう関係から、この際は答申をしないという決定を見まして、そうして最後に、審議会の総会がございました。私も出席いたしまして、非常にその点は残念であるけれども、非常な御審議を願ったことに対しては厚く感謝の意を表し、審議の間十分に意見を検討いたしましたので、この審議が、価格の決定については十分参考に相なりましたことをお礼申し上げまして、閉会といたしたような事情でございます。  なお、審議会の問題については、いろいろとこれを改正すべきものであるというような意見が各方面からあがっておるのでありまするし、審議会の内部にもその意見が非常に多いのでございます。私どもといたしましては、その構成の問題、あるいはこの審議の方針の問題その他について、各方面の意見を十分しんしゃくいたしまして、これらの審議会の問題については十分検討いたしたいと存じておるわけでございます。  この米価の決定につきましては、御存じのとおり、事前売り渡し申し込み制度の関係もございまして、早く決定をしなければならぬ事情もございまするので、七月八日に閣議決定をいたしたわけでございまして、御承知のように、米価の決定を見たわけでございます。その点御了承を願いたいと思います。  それから第二番目に、生産性向上の点でございまするが、つまり米価の問題については、特にいわゆる生産費の安い価格で決定すべきであるということ、それは当然でございまして、その点について土地改良事業等についてのお話がございましたが、それについては、総理から大体お話がありましたとおりでございまして、さらにつけ加えて申し上げる必要はないと思いまするが、私どもとしては、水田米作については相当面積、十三万ヘクタールの開田も行なっており、用水確保あるいは排水改良、圃場整備等を大規模に行なう。生産技術の普及、及び進歩と相まって、土地当たり、また投下労働者労働当たりの生産の増大に努力する所存でございますることは、申すまでもございません。さような関係でございまするけれども、御存じのとおり、農業の改善という問題は、なかなか早急には達成は期待し得ない実情にあることは、皆さんもよく御了承のとおりでございまするので、その間、米価政策も重要であることは言うまでもございません。この点は、さらにつけ加えて申し上げるまでもなく、御了承のことであると思いまするから、省略させていただきたいと思います。  それから、先ほど、食糧管理の問題についてのマイナスの問題について、いろいろお話がございましたが、現在の国内産の赤字と申しますか、そういう点からいきますと、やはり先ほど大蔵大臣が言われたように、二千億に達する。そのうち、管理経費といたしまして、たとえば集荷経費、運賃、保管料、事務・人件費、金利というものを合計いたしますと、七百四十九億くらいになります。それから、二千億からそれを引いた残りの一千三百億前後というものが、いわゆる売買損ということに相なるわけでございまして、単なる事務の経費だけの赤字ではなしに、事業実施上における相当の負担を政府が背負うておるということは、現実で御了承のとおりでございます。これは生産者の面及び消費者の面を考えて、かような施策を講じていることは、相当の政策であるということを御了承願いたいと思うのでございます。  それから第三番目に、木ノ俣隧道の問題でございますが、二十五名の死亡者を出しました。たいへん哀悼の意を表せざるを得ない、非常にお気の毒に存ずる次第でございます。この農業用水の確保のために必要なかんがい施設等の整備は、基幹となる大規模なものについては、これは国・県営事業にして、また末端の小規模なものについては、土地改良区等の団体営事業として実施し、政府としては、所要の財政措置を講じておるということであります。今回の木ノ俣用水事故は、木ノ俣土地改良区の管理になる用水として、トンネル災害を受けたために緊急に復旧作業を施行中、施行に当たった関係者の不注意からこの惨事に至ったものでございまして、罹災の方々には、心から哀悼の意を表する次第であります。政府といたしましては、さきに閣議決定を見た土地改良長期計画に基づいて土地改良事業の一そうの推進につとめるが、農業土木事業の施行の際の事故発生の防止に関しては、今次の事故発生が、遺憾ながら関係者の不注意に基づくものと考えられまするので、今後従来にも増してさらに厳重な注意を喚起し、関係行政機関の指導と相まって、事故発生の防止に遺憾なきことを期する所存でございます。なお、この地帯の用水につきましては、目下那須野原を対象に国営総合開発パイロット事業を計画中でございまして、同用水トンネルについても、本事業の一環として、国営事業で改修するという予定に相なっておることをつけ加えて申し上げる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣小平久雄君登壇、拍手〕

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 私に対する御質問も木ノ俣川水路の災害についてでございますが、まずもって犠牲者に対しまして心から哀悼の意をささげたいと存じます。  御質問の第一点は、今回のようなCO事故に対する対策でございますが、労働省といたしましては、この種の事故に対しましては、日ごろから重大な関心を持っておるわけでございまして、したがいまして、各監督署等を通じまして、土木工事の業者等に十分指導を行なってまいったところでございます。現に、今回事故の起きましたこの黒磯におきましても、本年の二月に、業者を集めましで、ガソリン・エンジンから発生いたしますCOガスの事故対策というようなものについて講習会を行なったのでございまして、そういう点からいたしましても、今後一そうわれわれこの点をつとめてまいりたいと考えます。もちろん、このことは、ひとり労働省だけでは十分にいきませんので、今後におきましては、農林省その他と一そう緊密な連絡をとりまして、このようなことのないようにつとめてまいりたいと思います。  医療のことにつきましては、今回の事故にあたりましても、労働省としましては、もう即刻、小倉の労災病院等から専門の医師等を十名から派遣しまして、例の鉄の肺を持参させまして、治療に従事いたしておるところでございます。  第二点は、今回の事故に対する行政責任の問題でございますが、ただいまも申し上げましたように、労働省としましては、現に二月に講習会も開き、今回のこの事故のありました現場監督等も実は本人がこの講習会に出席をいたしておるのであります。さらにまた、先生からは、事前に通告があったのにというお話もございましたが、このことはおそらく労災関係の報告があったことを御指摘と思いますが、これは事故のありました当日郵送があった、こういうような事情でございまして、今回の事故に関する限り少なくとも行政上落ち度があったとは、私は考えておりません。  なお、特に女子の方が相当多数の犠牲を受けられたということは、御指摘のとおりでございまして、まことに遺憾にたえません。ただ、この点は、私は率直に申しまして、土地改良等における割り当て的な制度なども非常に関係があるのではなかろうかと考えられますので、こういう点につきましては、農林省と今後十分打ち合わせ、検討をいたしたいと、かように考えております。  それから第三には補償の問題でありますが、今回の事故の場合について見ますると、一体労働関係がどういうふうになっておったのかという点がきわめて明確を実は欠いておるのであります。したがって、これが事実どういうことであったのかということをまず確かめなければなりません。したがってまた、労働者災害補償を適用すべきかどうかということも、これまた慎重に検討を要するところでございますので、係官を派遣いたしまして、白下詳細に、しかも慎重に検討いたしておるところでございますので、その結果を待ってから措置いたしたい、かように考えておる次第であります。  それから第四にCOの特別立法の関係でございますが、これにつきましては、さきの国会におきまして、特に参議院におきましては、社労の委員会におきまして御決議もちょうだいいたしておるわけでありますから、その御趣旨を尊重いたしまして、すでに検討に着手いたしておりますが、今後、これまた慎重に検討いたして善処いたしたいと、かように考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣瀬戸山三男君登壇、拍手〕

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(瀬戸山三男君) 私に対しては、住宅問題を中心にお尋ねがありました。おっしゃるとおりに、人間の居住の根源である住宅環境を安定させる、これは私は最大の政治の課題であろうと思います。したがって、前の国会でもいろいろお答え、御説明申し上げましたように、政府といたしましては、現在の住宅事情の実態調査に基づきまして、四十一年度から五年間に、どうしても六百七十万戸の住宅建設計画を充足したい。おっしゃるとおりに、その中身は、いわゆる政府施策住宅といわれるものが二百七十万戸という計画を現在持っております。これで住宅政策がとどまるものであるとは思っておりません。したがって、先般の国会で御審議願いましたように、政府は、住宅建設計画法を制定していただきまして、これに基づいて、毎次、五カ年計画を立て、質の改善をはかっていかなければならない、こういうことで進めるつもりであります。簡単な仕事でありませんけれども、基本的な人間生活の根本問題でありますから、あらゆる総合施策をこの点に集中して解決をはかるべきものである、かような考え方で向かっております。  先ほどお話の中に、住宅戸数の中に、金融公庫等の融資の中で、あるいは一部増築、あるいは補修、いわゆる改良改築、こういうものを戸数に含めているのはインチキではないか、おかしいんではないか、こういう御趣旨がありましたが、これは、私ども住宅調査をいたしまして、いわゆる居住水準が劣悪な状態である、もう少し増築すればまずまずの居住状況になる、あるいは、改良を加えれば一人前の住宅になる、こういうものは当然にこの建設戸数に入れてしかるべきものでありますから、この点はぜひ御理解を願いたいと思います。  なお、建設白書に関連いたしまして、一体、西欧並みの居住水準とはどういうことか、それはけっこうであるが、どういうことだ、こういうお話であります。現在の日本の居住水準は、私から申し上げるまでもなく、いわゆる西欧先進国の居住水準に比べて、きわめて低劣であります。半分以下でございます。部屋の数からいっても、また、部屋の大きさからいっても、あるいは、居住環境からいっても、半分以下といってよろしいと思います。これは、今度の五カ年計画で一挙に解決するのはできない相談でありますから、考えておりません。今回考えておりますのは、少なくとも、どうしても、先ほどお話がありましたが、みずから住居を建てることができない、取得することができない、そういういわゆる勤労者の方々を最重点に置いて、少なくとも一戸を持てるという状況をつくりたい。しかし、これも問題になりますように、単に戸数をそろえるというだけでなしに、できるだけ質の改善をしていきたい。現在考えておりますのは、常々申し上げておりますように、三人以下世帯では九畳以上——居室であります。それから、それ以上は十二畳以上、これはもちろん、トイレ、ふろ場等は別でありますが、こういう居住水準をかなえた六百七十万戸をぜひ充足したい、その後に順次水準を高めていかなければならない。西欧の居住水準は、国によって違いますが、相当日本の場合よりは広い居室を、一人当たり一つ以上というのが、現在の西欧の水準でございます。あるいは二つというところもあります。私どもがねらっておることは、少なくとも家族一人に一室以上の居室があるという居住水準をつくることが、住宅政策のわが国の目標でなければならない。これを建設白書は訴えておるわけであります。これはまあ、いまの想定では、おそくとも二十年以内にはその実現をはかるべきである、かようなことを申し上げておるのであります。  なお、その他、人口集中の問題等、いろいろございましたが、総理からもお触れになりましたから、私はここでお答えをすることは、省きたいと思います。そういう状況でございます。(拍手)     —————————————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 多田省吾君。   〔多田省吾君登壇、拍手〕

多田省吾公明党

○多田省吾君 私は、公明党を代表しまして、佐藤総理に若干の質問をいたしたいと思います。  佐藤内閣の支持率は、最近、ある新聞の世論調査によれば、三〇%あるいは二八・八%と低下しております。その支持率低下の原因は、物価値上がりと、アメリカ追従外交に尽きると思うのであります。私は、この物価、外交につきまして、総理の御所見を承りたいと存じます。  初めに、物価問題につきましては、総理は常に物価安定への努力を続けると言われますが、消費者物価は昭和四十年度で七・六%、特に最近は、卸売り物価指数まで、日銀調査によれば、昨年七月より本年六月まで、この一年で四・四%も上昇しております。これは完全なるインフレと言う以外にありません。インフレ以外の原因で、五%以上の物価上昇が、どうして六年も七年も続くわけがありましょうか。これは、代々の自民党内閣が、大資本の擁護のみをはかって、国民大衆の生活を犠牲にし、見せかけの不況に対する対策のみをはかって、物価問題をなおざりにし、公共料金の値上げをきわめて安易に行なうという、誤まれる政策が引き起こしたものであります。さらに、佐藤内閣は、赤字公債の発行により、いよいよ通貨と信用の膨張をはかり、インフレを助長させるという暴挙をあえてしているのは、まことに遺憾であります。  また、経済企画庁の調査では、一年前より暮らし向きが悪いという世帯が三三・一%もあります。総理府統計局の消費者物価指数は、暴騰している住宅建築や家賃の費用を無視したり、過小評価したりしているので、実生活では、物価指数が示す以上に家計が苦しくなっているのが現実の姿であります。また、低所得者層の感ずる物価高は、いわゆる平均の消費者物価指数よりも、はるかに高く、特に広範な国民大衆の生活は一そう苦しくなっているのであります。  また、政府は物価安定を唱えながら、一方では、政府みずから粗鋼カルテルを延長し、鉄鋼生産の制限を行なっておりますが、これは明らかに独禁法違反であり、まさに大資本擁護のために物価値上がりを生ぜしめ、国民生活を犠牲にする行ないではありませんか。独禁法の完全な適用をなぜはかろうとしないのか、また、そのままなぜ黙認するのか、お伺いしたいと思います。いま、政府が本気になって大資本の擁護をやめて、国民のためにインフレの解決をはかり、消費者中心の物価安定をはかっていかなかったならば、佐藤内閣の支持率は、ますます低下せざるを得ないことは明白であります。物価問題は、すでに質問が多くございましたが、国民にとって大事な問題でございますので、総理の今後の積極的な、具体的な消費者中心の物価対策を、さらに詳しくお伺いしたいと思います。  また、本年度は、物価安定は、かけ声ばかりで、わずか百五十七億円の予算しか組まなかったのでありますが、来年度予算については、すでに大蔵省でとりかかっていると思いますが、物価安定策として、どの程度の予算を計上される御予定か、お聞きしたいと思います。  物価対策と、わが国農業の根本課題をなす生産者米価は、米価審議会の投げ出しや、異常の混乱の中で決定されましたが、これは、米価審議会のあり方も問題でありますが、政府の農業政策の失敗を示すものと言わざるを得ません。政府は、この際、生産者米価の決定を国会審議に持ち込むべきではないか。また、選挙対策ではなく、恒久的、全面的な新農業政策を建て直す時期だとは考えませんか。米価値上がりでうるおうのは、五百六十五万戸の農家のうち、百俵以上供出の大農家二十六万戸にすぎません。残りの五百四十万戸の中小農家を救うため、農業機具騰貴の抑制、あるいは圃場の整備、農産物の価格安定政策の強化等を真剣に考えるべきであると思いますが、いかがでございますか。  また、総理は所信表明の中で「不況を脱却し、引き続き輸出は好調」とうたっておりますが、実際は過当競争やおそるべき出血輸出の問題があり、また、直接間接のベトナム特需も、通産省では年率四億五千万ドル、業界筋では十億から十五億ドルと見積っており、このような虚構の上に立てられた見せかけの輸出増にすぎないことを、総理はどのように考えておられますか。  次に、外交防衛問題につきまして、初めに、悪評さくさくたる政府のアメリカ追従外交について御質問いたします。  総理は常にアメリカ追随ということばをきらいまして、「決してアメリカ追随ではない。ただ米国と偶然意見が一致するだけである」と言われておりますが、それでは日本側の意見に米国を同意させた問題は、事実どれほどあるのですか。米国に同意して意見が一致するだけであったら、これは明確なアメリカ追随ではありませんか。国民は、中国問題、ベトナム問題等に、政府に自主外交を強く望んでいることを総理は深く知るべきであります。総理は所信表明の中で、「友好国との親善と協力を強め、」と言いながら、最も国交打開を必要とする日中関係の正常化には全く無為無策であります。すでに十二日夜のジョンソン米大統領の演説でも、アジア平和の四条件の中に、米中の和解と交流の呼びかけをしておりますが、総理は日中国交回復にどのような積極的な態度をとられるのか。例のごとく「独立を尊重し、内政不干渉が原則だ」と答えられるだけの消極的な答弁ではなく、総理の意欲的な御構想をお伺いしたいと思います。  過日の日米貿易経済合同委員会におきまして、総理も御承知のことと存じますが、三木通産大臣は、政経分離による日中貿易の推進を強くはかられたようでありますが、これは総理の御意向によるものか。そして、残念にも米国側に押し切られたようでもありますが、どうして最後まで積極的に説得し得なかったのでありましょうか。  一方では、中国を軍縮会議の場に引き出したい等と言いながら、一方では、相変わらず重要事項指定方式で中国の国連加盟を阻止せんとする政府の態度は、大きな矛盾であります。次の国連総会には中国の国連加盟についてなお重要事項指定方式を固執するのか、お伺いしたいと存じます。  次に、ベトナム紛争について御質問いたします。米国のハノイ、ハイフォン地区爆撃に、イギリスのウィルソン首相等もついに大反対を表明して、全世界各国が大反対しておりますのに、政府が聖域爆撃を「やむを得ない」と全面的に肯定するがごときは、徹底的なアメリカ追従であり、国民は暗たんたる気持ちで嘆いております。一体、総理は、いつまでエスカレーションに対して世界の孤児のごとくアメリカに追従していくつもりなのか。すでに朝鮮戦争の際の中国介入の二の舞いのごとき様相もあらわれ、中国の陳毅外相は米国の中国進攻を断言し、また、ワルシャワ条約各国は北ベトナムに義勇軍を送ると言い、ソ連の態度も硬化し、まさに現状は全面戦争の危機をいよいよ深めていると言わざるを得ません。総理は、ベトナム紛争に対して、即時停戦、北爆中止、エスカレーション反対等を強く呼びかけていく御意思がありますか。また、ベトナム紛争の解決に対する自主的な構想がありますか。お伺いしたいと存じます。  次に、アジア低開発諸国への経済援助は、世界の平和、日本の安全保障にとって重大な意義を持つものであります。ここ三年間に、内乱、クーデター等の紛争が起こっているのは、すべて国民所得百ドル以下の低開発諸国であると言っても過言ではありません。総理は前に約束しました国民総所得一%の経済援助を早急に実施する考えがありますか。また、いつから実施する方針でございますか。  およそ、経済援助は、そのやり方がきわめて重要でございます。経済援助の方法が悪ければ、かつての南ベトナム賠償のごとく、国民の血税をむだづかいし、また、かえってアジアの平和を乱し、紛争の原因をつくるような結果になりかねないのでございます。ゆえに、政府に対し、低開発諸国への経済援助には、平和的、非政治的な、有効適切な方策を強く望むものであります。一例をあげれば、昭和三十七年の海外技術協力事業団、昭和四十年の青年海外協力隊等は、予算、規模、ともに小さく、PRも不足で、一そうの進展が望まれております。このような考えを推し進め、農業、工業部門にさらに雄大な技術移住をはかる技術開発隊のような形を提案したいと思うのであります。これは、低開発国経済技術援助の中核としまして、外務省や科学技術庁の技官のような形で身分を保障し、平和的、非介入的な姿で大量の技術移住をはかり、現地の方々と、ともに生活し、ともに働き、現地の繁栄と日本の貿易に寄与する、力強い組織に発展せしめるというような、きわめて前進的な構想を実現すべきであると思いますが、総理はいかが考えられますか。そのほか、政府に経済援助を強力に推進する具体的構想がありますかどうか、承りたいと思います。  次に、日本の安全保障、わが国の防衛は、内政、国民的な合意、平和外交、軍縮外交、国連中心外交等、総合的な政策の上から樹立すべきであります。われわれは、中国の国連加盟を促進し、朝鮮国連軍を解散した時点で、国連憲章第四十三条に基づく国連警察軍を常設して、国連の安全保障機能を強め、憲章第五十二条に基づく暫定的な地域的集団安保体制は弱体化させていく方向に導くべきであると考えますが、どうでございますか。  さらに、世界平和と日本の安全のために、安保の長期固定化や、一そう双務的なものに改めようとする安保改悪には、断じて反対するものであります。むしろ、安保の段階的解消、また、在日米軍基地の段階的撤廃こそ、基地問題を解決し、米軍の極東出撃によって戦争に巻き込まれる危険性を防ぐ道であると確信するものであります。  また、長年の懸案たる沖繩即時返還、沖繩核基地撤廃は、わが国を戦争から防ぎ、第二次大戦以来、苦難の道を歩まれた沖繩の同胞の方々の幸福のために、また、国際法の上からも、さらに、日本国民全体の強い願望の上からも、何としても果たさなければならない宿願であります。また、安保問題、沖繩返還等に対する総理の明白な長期的御構想を承りたいと存じます。  われわれは、平和憲法を持つわが国が、国連中心主義をさらに強め、日本に国連事務局か、世界保健機構、世界食糧機構等、国連の各種機構を誘致し、国連協力をはかるべきだと思いますが、どうですか。  また、世界軍縮に関して、わが国が最も強く推進すべき立場におりながら、実際は最も研究や体制がおくれております。そして、各国の軍縮大臣が訪日いたしましても、一体だれが応待するのか、不安を感ぜずにはおられません。われわれは、外務省の軍縮室を軍縮庁に昇格させ、平和憲法の精神を積極的に全世界に普及し、日本が最も立ちおくれている世界軍縮に関する立体的な、統一的な研究体制を整え、広く世界軍縮に関する強い呼びかけをなすべきであると思いますが、総理はいかにお考えになっておられますか。  また、現在、総理が中心となっておられながら、ほとんど開かれていない国防会議は、超党派的なものに改め、たとえば、民間の有識者等も参加させるものに改組して、わが国の安全保障政策を国民に密着させなければならないと思いますが、いかがお考えですか。さらにまた、国防会議で検討されております三次防は、一体いつ御決定なさるおつもりか。また、わが国の防衛は、世界軍縮等を考えてなさなければならないと思いますが、防衛庁案の三次防最終における、国民総所得二%、金額二兆七千億円に達する予算請求を、そのまま受け入れるつもりかどうか、お伺いしたいと存じます。  最後に、総理の政治姿勢についてお伺いいたします。  総理は、社会開発や人間尊重、あるいは政治姿勢を正すということを公約し、閣議でも何十本となく指示を与えておられます。その政治的発言が、もしもその場限りであったとしたら、国民を欺く結果とならざるを得ません。最近の目に余る政治の堕落、選挙の腐敗、政治不信等の根源は、すべて金権政治、政治献金等から起こる現象であります。総理は、政界の浄化のため、国民の期待にこたえて政治資金規正法を改正し、個人以外の会社法人等の政治献金を一切認めない方針をとることに努力されるおつもりはないか。審議会にまかせてありますなどということではなくて、はっきりした総理の御答弁をお願いいたしまして、私の代表質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。(「総理、みんな大切な問題ですよ」と呼ぶ者あり)たいへん盛りだくさんなお尋ねでございますが、いずれも、ただいま不規則発言がありましたように、大事な、大切なことであります。そういうつもりでお答えいたします。  まず、冒頭におきまして、総括的に、最近の不人気は政策が悪いからだ、その政策の骨子は物価問題あるいは米国追随政策、これがいけないんだと、これを改める考えはないかというお尋ねでございますが、私はただいま世論調査の結果、不人気——もちろん不人気がいいわけではございませんので、これは有力紙に出てまいりましたその数字等、貴重な反省の資料だと、かように受け取っております。しかし、ただいま言われます物価に対する政策が悪い、あるいは米国追随政策というものはございませんが、しかし、さような意味でいままでの政策を変えろと、こういうことになりますと、私は賛成するわけにいかないのです。もちろん政治をいたします者は、国家国民に幸いする、こういう観点から責任をもって実は政治を遂行しておるのでありまして、公明党から変えろと、こう言われただけで、私は変えるわけにはまいりません。  そこで、具体的内容についてお答えいたしますが、今日の状況は、これはインフレではないかというお話でありますが、これは私どもはインフレだとは見ておりません。たいへん適当な物価上昇、物価の動向を絶えず見ておりまして、まず不況を脱却しつつある、上昇の機運がきざしておる、かような意味でただいまの物価の動向を見ておるような次第でありまして、これはインフレだとは思っておりません。  また、多田君は、赤字公債を発行している、こういうお話でございましたが、公債発行には踏み切りましたが、いわゆる赤字公債は発行いたしておりません。この点では赤字公債とはどういう意味であったかと思いますが、私どもは発行しておりませんので、もしも誤解がありましたら、これは御訂正を願いたいと思います。  鉄鋼生産、いわゆる粗鋼生産につきまして、ただいまいろいろ生産制限をしておるではないか、かようなことはけしからぬ、こういう御指摘でございます。私は、この鉄鋼の生産制限、この種の状態がこれは変則的なものでありますので、長く続けるべきではないという、そういう意味で、早く自由生産の方向へ行け、こういう御指摘ならば賛成いたしますが、ただこれをもって、直ちにけしからぬという御批判では、現状はそうではないのでありまして、現状では業界に混乱を来たすおそれがありますし、また、中小のメーカー等がたいへんな悪影響を受ける、かような状態を勘案いたしますと、好ましい状態ではないが生産制限をせざるを得ないという、いまの状況でございます。なお、鉄鋼の価格につきまして、三十五年を一〇〇にいたしますと、昨年の六月は価格は八九・八に下がっております。今日は一体どうか。八九・九−〇・一%上がったという状況でございますが、昨年の価格の状況から見まして、また、今日の生産の状況から見まして、ただいま通産省がとっております政策は当然のことではないか、かように私は思います。しかし、長くこれを持続していく考えはございませんので、できるだけ早く、この種のカルテルはこれを解消していきたい、かように思っております。  また、来年度の物価関係の予算を一体幾ら計上するかというお尋ねでありますが、これはまだ今日きめる段階ではございません。いろいろ予算編成につきまして基本的に検討いたしておりますから、ただいまの御要望等をも考え、また物価の動向も見ました上で、必要なる経費は計上していくつもりでございます。  次に、生産者米価の問題について、いろいろ御意見を交えてのお尋ねがございました。確かに今年の米価の決定についてはいろいろ私どもも考えさせられる点が多いのであります。今後こういう問題を重ねて引き起こさないように、米価の決定がもう少しスムーズに決定されるように、ぜひともありたいものだと思いますので、各方面でいろいろくふうしてみたい、かように思っております。また、消費者米価は値上げすべきではない、こういうお話、御意見が出ておりますけれども、これはもう、私どもも値上げに容易に賛成するものではございませんで、ただいま消費者米価は値上げすべきではない、そういう原則についてはよく理解しておるのでございます。先ほども大蔵大臣からお答えいたしましたように、ただいま消費者米価を変えるような考えはございません。しかし、ただいまばかりでなく、本年度産米についての消費者米価等をいかにするか、これは御要望等も考え、また国民生活の実態も考え、あるいは財政収入等をも考え、そうしてこれを検討してまいるつもりでございます。(「上げるのか」と呼ぶ者あり)もちろん——上げるのかというような不規則発言がございますが、私はただいま検討中でございまして、これを上げるというような考え方はございませんけれども、また、これをいつまでも上げないで済むと、かようにまで申し上げるわけにいかないということを申しておるわけでありますから、誤解のないように願っておきます。(「はっきりしないじゃないか」と呼ぶ者あり)ただいまの状況のもとにおいては、はっきりしておりません。もう少し検討を必要とするのであります。  次に、いまの生産者米価は、また農業政策が失敗しておるのじゃないかというお話でございます。なかなかこれは容易な問題ではございませんし、また、簡単に効果が出てくるものでもございません。根気強く、また、こまかな注意で対策を実施していくことが必要だと思います。何と申しましても、米麦は、農家の所得から見ましても、その中心をなすものでありますが、同時に、農業の成長部門の育成強化についても、私どもは一そう注意しなければならない、奨励していかなければならないと思います。基本的には農業基本法で、その方向は、はっきりきめてございますけれども、ただ理想に走っていて、なかなか実情に沿わないという点もありますので、一そうのくふうをいたしたいと思います。  次に、日米経済合同委員会についてのお尋ねがございました。資本の自由化は先ほどお答えしたとおりでございますが、三木君の中共貿易に対する発言、これは私と同じ考えかというお尋ねでございますが、もちろん、閣内は意思統一がしてございますので、御心配のないように願っておきます。  また、出血輸出というようなことばが使われましたが、わが国は出血輸出、いわゆるダンピングと見られるようなことはいたしておりませんので、もしも、出血輸出ということばがダンピングだというようなことであれば、誤解を招きますので、御訂正を願いたいと思います。  ベトナム特需等の実情は、民間の一部で言われるように多額のものではございませんし、また、ただいまベトナムに、はたしてこういう注文されましたものが行っているかどうか、それすらもわからないような状況でございますから、私は、これは、たいした問題ではないと、かように思っております。  次に、わが国の平和外交が、米国の追随である、追随である限りだめだ、こういうお話でございます。私は、わが国の外交を展開いたします場合に、わが国の国益を守る、また増進する、そういう立場で絶えず私の外交を進めておるつもりで、その意味で十分疎漏はないと確信をいたしております。したがいまして、もしも国益を確保し、増進するについて、誤っているということがあったら、御指摘をいただきたいと思います。米国と私どもとの間に、その国益がお互いに相衝突するものがしばしばある。最近つくりました日米航空協定のごときは、明らかにアメリカ側の利益と、わがほうの利益と、これは衝突するのであります。しかし、この日米航空協定が妥結いたしましたことは、いささかでも、わが国の国益を増進した、かように確信をいたしております。何でもかんでも追随している、こういうものでないこと、これも御理解をいただきたいと思います。  また、最近の状況で、ジョンソン大統領の四条件というものがいま云々されておりますが、これは米国の問題でありまして、私どもがとやかく言う問題だとは思いません。私は、お尋ねにありましたように、中共に対して日本はどういう態度で行くのかということが問題だと思います。私は、これはもうしばしば申し上げましたように、わが国はいずれの国とも仲よくしていくのだ、これが平和外交の基本だということを御了承いただきたいと思います。したがいまして、十分わが国の立場について理解があれば、両国間の親善は必ず進むものだと、かように確信いたしております。そういう意味の人事交流も進めてまいるつもりでありますし、現にただいま参議院の副議長も出かけて、そうしていろいろスポーツの交流等についても話をしてこられるようでありますが、これなども、私どもが、わが党の副議長、これを特に派遣したということは、そういう意味で積極性のあることを御了承いただきたいと思います。それぞれの国がお互いの立場について十分の理解を示すとき、はじめて両国の関係は円満にいく、また、進められるもの、増進されるものだと思う。どうも、私は、一方的に私どもだけの責任を云々されるということよりも、相手があるのだ、相手においても同じような気持ちになってほしいということを、率直にこの機会に申し上げておきます。  その次に、軍縮会議の問題があります。また、これは世界平和のためにも必要だと言われております。そういう意味で、軍縮会議に中共を入れるべきじゃないか。同時にまた、国連の加盟問題も一方にある。しかし、国連加盟問題と軍縮会議の問題とがしばしば混同されるようでありますが、国連加盟の問題は、中国代表権の問題をめぐっていろいろまだ解決しないものがあるわけであります。したがいまして、簡単に国連加盟問題が軍縮会議と同じように進められるものではありません。そこらの点はよくおわかりだと思います。ただ、いまのような状態がいつまでも続くことは、これは何といたしましても、お互いに、また国際的にも問題だと思いますので、できるだけ早く事態が解決できる、こういうことが望ましいことは、私が申し上げるまでもございません。そういう意味で、関係国においてもいろいろ検討され、考究されつつある問題でございます。さように御理解をいただきたいと思います。  次に、北爆の問題でありますが、最近、ハノイ近郊において爆撃が行なわれた。こういうことで、急に米中戦争の危機が云々されたり、あるいは国際戦争に拡大するのではないかというような、心配した御議論がしばしば聞かれます。そういうところで、米国に対して、北爆絶対反対、直ちにやめろ、エスカレーション反対、こういうことを明確にしろという御意見も出ております。しかし、私は、ただいま行なわれておるベトナム紛争、これが一日も早く平静に帰すること、これは心から願うものでありますが、一方だけにこれはその責めがあると、きめてかかることは、これは私は無理ではないか、かように思いますので、いわゆるエスカレーション反対、北爆反対、この説には賛成をいたさないものであります。従来からしばしば申し上げておりますとおり、関係諸国が直ちに話し合いに入ることで、そうして今日の問題を討議して、そして撃ち方やめをすべきだ、これを私は提案するものであります。  次に、アジアの経済援助についてお尋ねがありました。国民所得の一%まで援助すると言ったが、それはいつ実現するかということであります。私は、できるだけ早くこれが実現するようなわが国力でありたいと思います。国内の経済の問題もございますし、国民生活の問題もございますので、発展途上にある国に対して援助をしたい、そういう気持ちは十分ございますが、国民所得の一%といまきめるわけにいかない。ここで直ちにというわけにいかないように思います。できるだけ国内の、国民生活の向上をさせ、同時に経済を充実させて、できるだけ早く、これができるようにいたしだいものと思っております。  次に、この援助のしかたでございますが、これは多田君が御指摘のとおりでありまして、援助のしかたが間違っておると、せっかくの援助が成果をあげない。相手の国からも誤解を受ける。こういうことになろうかと思います。そういう意味で十分注意したいと思います。しかして、戦後の日本は、私が申し上げるまでもなく、平和に徹している。いわゆる過去のような膨張政策はとらない。いわゆる軍国主義的な国ではない。また帝国主義でもない。こういうところがまだわかりかねていたようでありますが、だんだん理解されたように思います。最近の東京で開いた経済開発閣僚会議などにおきましても、日本の真意、また日本の基本的な態度、これがよく理解できたと思いますので、最近は、日本の援助につきましては何らの誤解なしにこれを受け入れてくれるようになったと思います。御指摘になりました技術協力、技術援助、こういう事柄については、さらに積極的に力を入れるつもりでありますし、また、海外協力隊の活用等についても、一そう力を用いてまいりたいと思います。  次に、防衛外交ということで、国連憲章四十三条による国連警察のお話が出ました。国連憲章の四十三条には、御指摘になりましたように、確かに国連警察軍という制度がちゃんときめてございます。しかしながら、この条項による警察軍は、いままで国連加盟の大国間の意見が一致しないために、実際には実現をしておらないのが現状でございます。これを、憲章にあるのでございますから、ぜひとも実現しろという、そういう意味の努力をすることは、これはりっぱなことと思います。現状は、ただいま申し上げるように、大国間の意見がまだ一致しておらない。そこに実現性の問題があろうかと思います。  次に、沖繩の問題についてのお尋ねでございますが、同時にまた、日米安全保障条約についてのお尋ねでございます。沖繩の返還問題、いわゆる施政権を返せという、これは私ども民族の願いでありますし、これは悲願だと申してもいいかと思いますが、心からのただいまの願いであります。そうしてこれを実現するためには、先ほどもお答えしたと思いますが、米国の理解と援助のもとにこれを実現する、こういう態度で取り組んでおるのでありまして、私はこれが実現するまで、沖繩同胞の生活を本土と格差のないようにしたい、そういう意味の努力を続けるつもりでございまして、ことしの、皆さま方の御協賛を経ました予算でも、そういう意味で充実をはかっておるわけであります。もともと、わが国そのものを国民の手によって守る、いわゆる自国の安全はわれわれによって守るのだ、そういうことができますならば、日米安全保障条約も不要になるわけでありますし、また、御指摘になりましたように、米軍の基地等も、これはなくていいわけであります。しかしながら、現状において、わが国の安全がわれわれの手だけでは確保できない、まことに残念な状況にありますので、やはりこれは集団保障条約といいますか、集団防衛の体制のもとにおいて、初めてこの国の安全を確保するのだ、こういうことをやらざるを得ない。日米安全保障条約はそういう意味でできておるものであります。何度も申し上げましたように、これは絶対に攻撃的なものではない、わが国の安全を確保するために必要なものだ、こういうことを申し上げておるのであります。したがいまして、今後、国際上に重大な変化がない限り、また、自力によって安全を確保することが十分できない、こういうような状況のもとにおきましては、ただいま申し上げる日米安全保障条約を続けていくということにならざるを得ないのであります。  次に、国連中心の外交を進めておるんだが、国連機構のそれぞれの機関をわが国へ誘致したらどうか。——私もたいへん賛成であります。具体的にそういう問題があれば、また、アジアにそういう出張所あるいは出店ができるという場合には、これと真剣に取り組んで、誘致をいたすつもりであります。  もっと軍縮に熱心になれ、外務省の軍縮室を軍縮庁にしろ。——たいへん公明党としてはっきりした御主張でありますが、私は、ただいま軍縮室を軍縮庁にする、そういう考え方は持っておりませんが、軍縮の問題と真剣に取り組むという考え方でございます。  また、国防会議がどうも働きが十分でない、こういうことで、その改組を要求されたようであります。私は、ただいまの国防会議のメンバーで十分その目的を達しておる、かように思います。また、弊害はないと、かように思います。  次に、三次防はいつ決定するか、また、国民所得の二%という目標を認めるかどうか、こういうお話でございますが、三次防計画はこれからの問題でありますので、これは十分真剣に取り組んで、そうして検討をいたしたいと思います。(「二%を認めるか」と呼ぶ者あり)ただいま言われますように、国民所得の二%、これを認めるか認めないか、かように言われましても、十分検討しない限り、ただいまはっきりしたお答えをするわけにはまいりません。  次に、私の政治姿勢についていろいろ御忠告がございました。お説のように、あせらず、じっくり、まじめに取り組んでまいるつもりであります。私は、清潔な政治、効率のよい行政、こういうことを念頭に置きつつ、その目標に進んでまいるつもりであります。具体的な問題で、政治資金規正法、これを検討しろということでございますが、十分検討するつもりでおります。(拍手)

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会

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