文教委員会 閉会後第4号
- 発言数
- 147 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/11/15
会議録
○委員長(二木謙吾君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。去る十月二十九日、松本治一郎君が委員を辞任され、その補欠として鶴園哲夫君が選任されました。 —————————————
○委員長(二木謙吾君) それでは、先般行ないました委員派遣について、派遣委員から報告をお願いいたします。 まず、第一班からお願いいたします。鈴木君。
○鈴木力君 二木委員長と私は九月三十日から十月八日までの九日間、主として鹿児島県奄美群島の大島、徳之島の離島教育の実情を調査し、あわせて福岡県板付及び宮崎県新田原基地周辺の学校教育施設の防音状況等について調査してまいりました。 私どもは、鹿児島県庁において、鮫島県教育長から現況説明と陳情を受けた後、まず、徳之島におもむきまして、その全町村を回り、五級地に指定されている兼久、西阿木名、伊仙の各小学校、天城、西阿木名の中学校と徳之島高等学校、同校の伊仙分校及び伊仙の学校給食センター等を視察いたしました。また、大島本島におきましては、南部の瀬戸内町から本島を縦断し、北部の笠利町までの間、五級地の俵、三級地の古仁屋、二級地の名瀬の各小学校及び古仁屋、大島、大島実業の各高等学校を見、さらに、鹿児島大学の熱帯医学研究施設、精薄児施設の希望の星学園並びに県立図書館の分館等を視察いましたした。 御承知のとおり、奄美群島は鹿児島県の最南端にあり、大島本島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の五つの島からなり、ここに一市九町四カ村があって、約十八万六千名の島民が生活をいたしております。これらの島民の大多数は、大島つむぎ、サトウキビの栽培、真珠養殖、あるいは次第に凋落の道をたどりつつある漁業に従事しておりますが、一般に経済的に貧しく、島民の所得は、最近の大島支庁の推計によれば一人当たり七万六千六百一円であり、鹿児島県の県民一人当たりの分配所得十一万一千百七十四円及び国民一人当たりの分配所得十九万四十八円に比較して、それぞれ六八・九%、四〇・三%と著しく低位にあります。これを生活保護人員について見ますと、昭和三十九年十二月において、被保護世帯数は五千三百八十二、人員で一万六千八十二人でありまして、人口千人当たり八五・六人となり、同年の全国平均十七・二人の五倍という大きな数字となっております。 しかしながら、関係市町村の昭和三十九年度決算の状況を見ますと、普通建設事業費など、いわゆる投資的経費の歳出合計に占める割合は五二・七%でありまして、全国市町村の三七・七%を上回り、かつ、実質収支を見ましても、赤字団体は名瀬市一市のみという現状であります。このような財政状況は一見おおむね健全なように見られますが、基準財政収入額の基準財政需要額に対して占める割合は〇・一二九であり、日本復帰当時の昭和二十九年度の〇・一五一を下回り、また、実際に徴収した市町村税決算額の歳入決算額に占める割合は七・六%にすぎず、全国町村の二六%にはるかに及ばないという状況であります。この状況は、住民の所得の低さを示すとともに、関係市町村の財政力の貧弱度を如実に物語っているものであります。 このように、奄美群島全域は地形的には本土を遠く離れ、したがって交通も不便であり、また、産業も乏しく、その上文化的にも恵まれず、全島僻地と申しても過言ではありません。このような奄美群島の状況から、戦前におきましても、同地域の経済的自立はすこぶる困難でありましたので、国としては、かつて昭和十年度を初年度とする大島群島振興十カ年計画を立てましたが、数次の戦争により復興計画は進展を見ず、終戦直前には学校等の公共建築物を初め一般産業施設に至るまでほとんど戦災を受け、破壊、焼き尽くされました。しかも、その上に終戦直後行政分離を宣せられ、本土と全く杜絶し、同地域の復興は放置されておりました。 その後、八年を経過し、昭和二十八年にわが国に復帰いたしましたので、同群島の特殊実情と経過から、特別な復興施策として昭和二十九年に奄美群島復興特別措置法が制定されました。同法施行により、文教施設等の急速な整備をはかったのでありますが、なお、本土との格差解消には不十分でありましたので、引続き、法の改正により新たに振興五カ年計画が策定され、住民の生活水準を鹿児島県の水準に近づけるべく事業の実施をはかっております。 文教施設、設備関係は総事業費約二十二億円、うち国庫補助十四億八千万円余りが計画されておりまして、昭和三十九、四十年度に整備された小中学校舎は三千四百三十六坪、屋内体操場では三千五百五坪、また、教員住宅は三十四戸という状況でありまして、文教施設、設備の充実のほとんどは振興計画に依存しております。したがって、私どもは各地において終始同計画の延長についての陳情を受けてまいりました。確かに、同計画の実施による国と地方自治体の努力の結果は、山間、海辺を問わず、いかなる学校の校舎も鉄筋、ブロック建ての本建築で整備されておりまして、そのりっぱなことは、これが僻地学校かと驚かされてまいりました。 しかし、この計画は施設面に重点がおかれているため、外観的には整備されてはおりますが、その内容に入ってみますと、教材、教具、備品等が不足いたしておりまして、小中学校の平均の理科設備で基準の三三・九%、技術、家庭で五五・二%、視聴覚では三五・六%という状況であります。他の例をあげますと、児童数五百人余、十五学級のある町の小学校長は、この春赴任いたして参りましたが、車要書類がたな積みになったまま、非常持ち出し用の書類箱もなく、身長計、座高計もないというありさまで、着任早々の仕事は、まずこれらの整備にあったと話をしておりました。なお、同計画は前に述べましたとおり、五カ年計画で、昭和四十三年度をもって終了するものでありますが、その基準を鹿児島県の本土の昭和三十九年度の整備状況に置いておりますので、計画どおり進捗いたしましても五カ年のおくれとなり、しかも、事業の総ワクがきめられているところに、最近の物価高騰に伴う材料費の値上がりにより事業量が減少すること等、奄美離島の教育振興のためには振興計画の延長がぜひとも必要であることを痛感いたしました。 次に、教育の概況について申し上げますと、児童、生徒数約四万七千五百名、教職員数は一千九百五十五名でありますが、助教諭が小学校で二〇・四%、中学校で七・八%と非常に多いこと、また、他の僻地と同様に女子教員の少ないことが目立っておりました。学校数は、分校を含めて小学校が百九校、そして、この全部が僻地指定を受けておりまして、その半数五十校が最高の五級地であり、以下、四級地三十校、三級地二十二校、二級地三校と、そのほとんどが高度僻地校であります。 また、中学校は六十四校で、五級地三十一校、四級地十八校、三級地十三校、二級地二校となっておりまして、うち三十三校が小学校と併置されております。なお、高等学校は六校、分校が二校あります。 教職員の需給関係については、この地方は特に教育には熱心であり、大学の出身者が比較的多いため、そのほとんどは地元の出身者で需要をまかなっている現状であります。しかしながら、有能な人材は本土の教員を志望し、郷土にとどまらない傾向にあるとのことであります。県としては、僻地教育の振興と地域差の是正のために、県の異動方針の中で「へき地、準へき地における勤務の実績は、抜てきに際して優先的に考慮する」と定めておりまして、人事の都市集中の傾向を是正し、異動の困難な地区を解消するため、三年間を原則として、勤務成績の優秀な教員を対象に、本土よりの派遣、本土研修派遣、管内高度僻地派遣制度を設け、着々とその成果をあげております。この制度は全職員の間でもよく理解され、従来、教員の間に僻地校への転任は左遷というレッテルを張られたものとする考えがありましたが、逐次その考えも解消を見るに至ったとのことであります。しかしながら、本土と島との間の赴任旅費が一件当たり平均八万四千円の高額にのぼるため、赴任旅費のワクが人事異動を制約する面もありますので、旅費単価の増額について強い要望がありました。 離島の僻地においては県庁所在地、教育支庁等に研修、連絡等の出張用件が多くあるので、従来の旅費と別ワクの僻地のみを対象適する旅費を支給するような方途を講ずる必要を感じました。 次に、学校給食の現況についてであります。全島百六十三校の小中学校中、未実施校は十九校あります。この未実施のおもな理由は町村財政の貧困と物資輸送の困難な点にありましたが、昨年の高度僻地給食特別対策を契機として準備が進められ、本年度中には全島の学校に実施される運びになっているとのことであります。なお、本年六月に完成いたしました近代的な施設を誇る徳之島伊仙町の給食センターを視察いたしてまいりました。この町の学校数は小中学校合わせて十一校ありまして、この給食センターの対象人員は四千二百七十七人、一校当たり最高の七百十四人、最低百七人となっております。施設は、町民の寄付による約九百坪の敷地に、建築費六百五十五万円、設備費千七十八万円、その他の付帯工事費を含めまして約二千万円、そのうち国庫補助約五百万円をもって完成されたものであります。職員は大阪から特に迎えた優秀な栄養士一人を含めて十七人で運営されておりまして、運営費としては四百八十八万円を町予算に計上しております。この施設の設置の結果、従来四十人の給食従事者は十七人となり、運営費の節約、現場教師の給食雑務からの解放、地域格差の解消とその効果をあげております。しかし、このりっぱな施設をつくったものの、設備の修理費に意外の負担がかかること、給食従事員の人件費がかさむこと等を訴えて、これに対する国庫補加についての要望がありました。 高等学校については、公立の高等学校が六校と全日制高等学校の分校が二校、私立の高等学校が徳之島に一校ありまして、その生徒数は約六千人おりますが、他の府県と異なり、戦後のベビーブームの波がこの地方には本年度から高等学校に及び始めて約九カ年続くとのことで、施設、設備の増加整備に苦慮いたしておりました。したがって、後述のような要望が各地の学校において強く述べられました。 奄美群島の高等学校の進学率は増加の傾向にあるものの、全国平均の七四・三%、鹿児島県本土の六二・五%と比し五四%と低い状態にあります。これは、交通の不便さや家の貧困のため、進学の意欲に燃えながらも、やむを得ず就職する者が多いことによるものであります。特に教育に熱心で、日本唯一の僻地私立高等学校を持っております徳之島の進学率を調べましたところ、昭和四十年三月の中学校卒業生中進学者は五〇・一%、昭和四十一年三月には五九・六%となっております。 ここで、各地におきまして要望されました諸点を要約して申し上げますと、まず第一は、すでに報告いたしました奄美大島振興計画の延長についてであります。第二は、振興事業改訂計画でありますが、その策定に際しては特別教室の整備充実、屋内体操場の建設、設備費の基準の改訂と品目のワクの拡大、教員住宅の建設、寄宿舎の増設、渡り廊下の設置等についてであります。第三は、高等学校の生徒急増対策、教員住宅の建設についての特別な措置、生徒の寄宿舎の増設等について陳情がありました。また、県における要望としては、奄美群島振興事業の期間の延長、僻地教育振興関係補助金の補助率の引き上げ、僻地に対する起債や地方交付税についての特別な措置等についての陳情を受けました。 次に、教育施設の物音状況についてでありますが、福岡県においては堅粕小学校、東住吉中学校、宮崎県では新田原基地を視察いたしまして、防衛施設局、県、市の関係者の説明を聴取し懇談をいたしました。板付飛行場周辺については、昭和三十九年、米軍のF105ジェット機の横田基地への移駐に伴い、周辺の騒音は減少し、防衛施設局の説明では防音工事施工の基準に達しなくなったとのことでありますが、なお、台風避難、練習機の離・着陸訓練等による騒音はいまだ相当な被害を与えており、地方関係者からは引続き従来どおりの工事施行の要望がありました。また、新田原基地の周辺については、第一次の防音工事は完了し、ただいまはこの外側の騒音度の低い地域の測定調査を実施中で、その程度に応じて工事に移る段階であるとのことでありました。 両墓地の周辺を視察いたしまして特に感じました点は、この地方の夏季は非常に高温であり、教室の内外の温度差が五度以上になるため、どうしても窓を開放しがちになり、防音施設の効果は全くなくなってしまいます。このようなことでは工事施工の意味がないので、早急に冷房装置設置の必要を感じました。総合大学としてりっぱに整備された鹿児島大学に立ち寄りました。現在、同大学では医学部の付属病院の移転が問題になっております。この病院は県立大学当時のものでありまして、土地、建物とも狭溢となっており、しかも交通機関の騒音のため、市の郊外に移転計画を立てて、本年度土地買収を行なうことになっているが、買収価格等について地元との話し合いができていないとのことでありました。なお、水産学部に水産増殖学科の新設についての陳情がありました。 最後に、宮域県において、高鍋農業高等学校、県立高等営農研修所等を訪ね、農業自営者養成の現状を見てまいりました。 なお、その際に、県から公立文教施設整備促進、遠距離児童、生徒の通学費補助の拡大、小規模学校の教職員の増員等についての陳情を受けました。 以上、御報告を終わります。
○委員長(二木謙吾君) 次に、等二班の報告をお願いいたします。
○久保勘一君 去る十月二日から十月八日までの七日間にわたって北海道方面の教育状況を現地調査いたしました。その内容を簡単に御報告申し上げます。 一行は秋山、林の両委員と久保の三名でありましたが、小林委員が現地から参加をされ、御案内をいただきました。 北海道を教育面からみますと、全小学校数の五六%、また、全中学校数の五一%が僻地指定を受けており、全国平均の二倍以上も僻地学校をかかえているのであります。また、小規模学校が非常に多く、たとえば全小学校数の五〇%が六学級以下の学校であり、そのうち単級学校が八十五校も含まれております。したがって、他府県と比べますと、教員一人当たり、また、一学級当たりの児童、生徒数はかなり少なくなっており、北海道の教育費が比較的大きい負担となっていることがうかがわれるわけでございます。 私どもは、教育全般の問題につきましては、道教育委員会をはじめとし、十勝管内及び釧路管内の教育関係者等と懇談する機会を持ち、いろいろな意見、要望を聞いてまいりましたが、ここでは主要と思われる数点の問題にしぼって御報告することといたしまして、あとは添付資料として要望事項をまとめて掲載いたしたいと思いますので、委員長におかれてよろしく御配慮くださいますようお願い申し上げます。 まず第一に僻地教育について申し上げます。私どもは、北海道の僻地教育の実態を時間の許す限り視察してまいりました。視察した僻地学校は音更町立長流枝内小中学校、これは三級地であります。音更町立葭原小中学校(同じく三級地)、足寄町立旭丘小中学校(五級地)、足寄町立茂喜登牛小中学校(四級地)、阿寒湖小学校(三級地)、弟子屈町立最栄利別小学校(三級地)、計六校でございます。そのうち僻地性の高い旭丘小中学校と茂喜登牛小中学校につきまして御報告申し上げます。 まず、両校の属する足寄町は、人口二万足らずのところに、何と二十三校も小学校を持っており、そのうち僻地指定を受けていない学校はわずかに三校にすぎません。また、児童数五十人以下の学校が十二校もあります。さて、旭丘小中学校は、糠平ダムの建設のためにつくった糠平人造湖の南東約十キロにあり、開拓者の移住に際して建てられた学校であります。世帯数は二十戸程度で、そのうち生活保護世帯は十三戸も含まれ、貧しい部落であります。その原因は、土地あっても、酷寒と積雪の気象条件によってソバとか、ビート等しか育たないことにあり、開拓者の多くはこの地域から脱落し、現在、かなりあいているといった状況にあります。児童生徒数は全部で三十一名、学級数は小中合わせて三学級、教員数は校長含めて四人であります。当校の児童生徒の通学距離を見ますと、三キロから四キロまでが十人、五キロ以上が九人もおります。ふぶきのときには、クマを警戒するため、教員が笛を持って通学の途中、児童生徒を引率するとのことでございます。校舎は職員室を含めてわずか六十坪にも満たない基準以下であり、一部屋を二教室に区切って使っておりました。電気もなく、貧しい地域にありまして、そこの教員は地域住民のいろいろな日常生活面の相談を受けたり、病人を町まで運ぶ等、広い意味での地域住民の生活の一翼をになっております。 次に、茂喜登牛小中学校について申し上げます。この学校の地域は旭丘小中学校と同様、終戦後、外地から帰国した人たちが集団入殖した開拓地であります。旭丘小中学校の地域の農民と比べ、農業経営が安定しており、明るい雰囲気を持っておりました。児童生徒数は百三十人、学級数は七学級、教員数は十二人であります。当地は医者のいる足器町まで二十キロも離れており、また、バスの停留所までは九・五キロも歩かなければならないというきわめて悪い交通事情にあります。そのためほとんどの教員は自弁でバイクを使用しており、日用品の買い出しがら児童生徒の家庭訪問に至るまで、これが大きな役割りを果たしているとのことであります。 以上、僻地学校の実情について二つの事例を御報告いたしましたが、六校の僻地学校を視察しまして、現場からの声として、次のような要望事項がございました。 一、三個学年の複式学級に対しても教員一名を増配すること 二、国庫補助によって巡回医療班の派遣を実施する等、僻地の地域全体の保健管理を充実すること。 三、一級及び二級の僻地学校に対しても無償で学校給食を実施すること。なお、学校給食の内容については、北海道は酪農地帯であるので、脱脂粉乳のかわりに生乳を支給すること。 四、買い物のしかたも知らない僻地の子供たちに対して、経験領域を広くするため、僻地学校周辺に児童センターを設置すること。 五、北海道は特に通学距離が長く、その上、積雪地帯が多いので、ジープ、スクールバス購入のための補助の割り当てを大幅にふやすこと。あわせて児童生徒に公費でスキー用具を支給すること。 六、教員住宅について、北海道の場合、ストーブを備え、その上、一冬分の石炭を貯蔵するため、補助坪数を現行の四十平方メートルから五十平方メートルに引き上げること。また、不燃性の建物を必要とするため建築補助単価を引き上げること。 七、現行法の僻地の概念は、交通事情及び自然条件を主体としている。しかし、今日すでに僻地の道路はかなり整備されたので、それに伴ない僻地指定が解除されることとなっているが、僻地と都市との生活文化的水準の格差は逆にますます大きくなっているので、経済的文化的条件を主体とした僻地概念に改める必要があること。 等の要望がありました。 以上、僻地学校を視察いたしまして特に強く感じましたことは、第一に、他府県の僻地と北海道とはかなり事情が異なっていることであります。すなわち広大な北海道の僻地には内地のような密集した部落というようなものがほとんどなく、相当な間隔を置いて家が散在しているのであります。したがって、スクールバス、ジープ等、通学関係の整備が特に必要であります。加えて寒冷積雪の期間が長期にわたりますので、これに対処する特別な施策が必要であると感じた次第であります。第二に、道当局をはじめとして、市町村当局や教育関係者が僻地教育振興にきわめて熱心であることであります。すなわち他府県の児童生徒数と比較して多くの学校や教員を配置しておりますことは、道市町村財政にとりましては大きな負担であります。それにもかかわらず、視察しました六校のうち一校を除いて、すべて他府県よりりっぱな施設設備を持っておりました。さらに、僻地学校の先生が僻地教育振興に確固たる使命感を抱き、地域の住民の中に積極的にとけ込んでおられる姿に頭の下がる思いがいたしました。第三には、僻地の概念の問題があります。御承知のとおり、昭和二十九年に、わが参議院文教委員会の発議にかかる僻地教育振興法が成立して以来、すでに十一年余りとなります。その間、自然的条件や社会的構造は、北海道を含めて、全国的にかなり変貌を遂げ、また、変貌しつつあります。したがって僻地の定義につきましても、変貌の実態や本質をとらえて、新たな角度から再検討しなければならない時期にきていることを再認識した次第であります。なお、僻地教育振興の問題につきまして、特に北海道教職員組合の代表と懇談の機会を持ちましたが、僻地手当の最低保障額の設定及び教員旅費の赴任旅費からの別枠並びにその増額等、具体的な問題につきまして要望や意見を聴取してまいりました。 次に、学校統合について申し上げます。北海道の学校統合につきましては、広大な地域と積雪地帯という地理的な問題があり、他府県よりおくれておりましたが、基幹道路の整備に伴って、ようやく本年度から三カ年計画を立てて、これに本格的に取り組んでおります。私どもは本年度完成いたしました統合校舎、士幌町立中央中学校を視察いたしました。本校は士幌町周辺に散在した七つの中学校を統合した学校であります。広大な地域にぽつんと建てられた鉄筋校舎はりっぱなものでありまして、音楽教室には一人一台当てのオルガンを備えてありました。また、運動場は非常に広く、おそらく全国の中学校の中で一番広いものと思われました。私どもは異常な熱意をもって統合を行なった士幌町当局並びに教育関係の方々に深甚な敬意を払った次第であります。しかしながら、この統合によりまして、士幌町の財政にゆゆしい問題が起こっております。すなわち統合によって、学校数七校が一校に、学級数二十五学級が十四学級に、教員数四十六人が二十三人に減ったのですが、この学校数及び学級数の減少に伴い、地方交付税額は統合前の一千万円から三百万円に、つまり三分の一以下に減額されたのであります。一方、士幌町は統合によって六十三、五キロに及ぶ通学のためのバス道路の整備工事、スクールバスの購入並びにその維持、防雪施設及びブルドーザー等に要する費用として年間約千四百四十万円の支出増を招来するとのことでございます。この統合によりまして、国及び道と町村の経費の負担を対比してみますと、町村は交付税減に加えて、通学関係費等が増加した理由により、都合、約手七百万円の負担増となる反面、国及び道は交付税減額分と教職員人件費の減額分等で約二千二百万円の負担減となるわけであります。右の説明から、すでに御判断いただけますように、北海道の場合、遠距離通学、寒冷積雪という特殊な自然条件によりまして、学校統合は非常に経費がかさむのであります。ところが学校統合に際して、特別の財政的裏づけがなされていないため、これを直接に進めている町村は、財政上、深刻な打撃をこうむっているのであります。学校統合が国の文教施策として進められながら、これに積極的に協力する当該市町村が、これによって、当面、財政的に大きな障害をもたらすことは非常な矛盾であり、今後、北海道の学校統合推進に大きな影響を与えますことは明白だと思うのであります。 以上のことは、多かれ少なかれ、他府県におきましても同様の問題でありますが、国は統合によって財源的に節約されますので、市町村の負担増を軽減させるため、国は当面、減額された統合前と同じ規模の交付税額を特別交付税として当該市町村に支給するとともに、統合校舎及び寄宿舎の建築補助率の引上げをはかり、また、スクールバス、ジープ等の維持費につきましても財政措置を講ずる必要があると感じた次第であります。 学校統合につきまして、さらに私どもが感じましたことをつけ加えます。小規模学校と言いましても、その周辺の住民にとりまして学校は唯一の文化センターであり、特に教職員は住民のいろいろな生活面の相談相手として信頼されているのであります。そして学校は住民の精神的支柱とさえなっているのであります。これが統合によって十数キロも離れた場合、気軽に学校まで行くことができず、文化センターとしての意義が薄くなってしまうのであります。そして児童、生徒にとりましては、通学距離が長くなりますので、特に冬季におきましての肉体的負担が重くなるのであります。さらに、中学生になりますと、通学に時間をさかれ、貧しい農家にとって労働力の不足となり、相当な痛手となるのであります。それゆえ、学校統合の問題につきましては、これらの点を十分に配慮した上、無理のない範囲で行なわれますよう適正な行政指導を期待するものであります。 次に、公立学校施設の移転について申し上げます。北海道では三十二の公立学校が移転計画の対象となっておりますが、これを事由別に申し上げますと、一、現在、校地が地形上または位置上危険のおそれあるもの三校、二、現在校地が狭隘のもの十二校、三、河川の築堤工事によるもの三校、四、航空機の騒音によるもの一校、五、騒音、風俗、悪臭等地域の環境が悪いもの六校、六、道路整備により通学上危険なもの二校、七、現校地が都市計画上移転を要するもの五校となっております。私どもは一つの事例としまして帯広市立第一中学校を視察いたしました。ここは校舎が国道三十八号及び二百四十一号線並びに西二条通りの三本の主要幹線道路に囲まれており、大型車輛が通るときは、騒音が七十五フォン以上にもなり、一分間に平均十九・四台の交通量ではとうてい授業にならないとのことでありました。帯広市が釧路と札幌を結ぶ交通要路となっており、産業進展に比例して、交通量は今後一そう増大するとのことでした。また、当校のすぐ近くに十勝川があり、校舎の位置が川より低いため、すりばち状の学校のグラウンドは、大雨のときに自然排水できずに、ちょうど湖のようになり、消防車に依頼して排水処理をする状況であるということでありました。なお、昭和八年に建築された当校舎はかなり老朽化した建物でありました。北海道教委及び帯広市の教育関係者から、学校を移設する場合も、これに要する経費について義務教育諸学校施設費国庫負担法を改正して、国庫補助の措置を講ずるよう強い要望がありました。近年、都市形態の異常な変貌、地域産業の開発に伴う土地造成、産業道路、観光道路の整備に伴う立地条件の変化、交通量の増大に伴う輪禍、騒音、風俗悪化等の要因によりまして教育環境の不適当な校舎が漸次ふえておりますことは御承知のとおりであります。しかるに、学校移設に対しましては国庫補助の対象とする法的措置がなされていないのであります。今後、公害その他の社会変化によりまして増大すると思われます学校移設に対しましても、財政措置並びに法的措置を講ずるよう早急に検討しなければならない課題であると考えた次第であります。 次に、防衛施設周辺の学校防音対策について申し上げます。私どもは学校防音対策につきまして、道及び千歳市の教育関係者並びに防衛施設庁の方々と懇談の機会を持ちました。そして防音工事の実施状況を視察するため、千歳高等学校、千歳中学校及び末広小学校を見てまいりました。千歳高校の防音工事は昭和三十七年に看工され、昭和四十年度に全面的に完了し、その総工費は二億四千万円であります。校舎は二重窓になっておりまして、外窓まわり及び内窓まわりはそれぞれ特別な用具を使って完全密閉しており、また、天井は防音板を使い、換気については室内強制換気装置を取りつけておりました。私どもはほとんど完璧に近い防音工事施設に一応満足した次第であります。防音工事につきまして、道教委並びに千歳市の関係者から次のような趣旨の要望がございました。一、屋内運動場に対しても防音工事の補助の対象とすること。二、防音工事の完了した学校のうち、くみ取り便所のある学校では、校舎全体が密閉されている関係上、便所からの悪臭が廊下伝いに各教室にこもるという実情である。したがって、これを国庫補助によって水洗便所に改装すること。三、公民館等についてもこれを防音工事の対象とすること。去る今年の七月、防衛施設周辺の整備等に関する法律が成立し、これによって、従来、予算措置で行なわれてきました防音工事などを含めて基地周辺の住民対策が一そう整備され、特に防音工事の対象か保育所、老人ホーム等まで拡大され、喜ばしいことと存じております。しかし、まだ防音工事の実施されていない学校がかなり残っておりますので、国は予算額を増大して、すみやかに防音工事を進められるよう期待するものであります。 次に、冬季オリンピック札幌大会の準備状況について申し上げます。御承知のとおり、来たる昭和四十七年の二月に、札幌におきまして第十一回冬季オリンピック大会が開催されることとなっておりますが、私どもは札幌市オリンピック準備室長をはじめ、関係者と懇談いたしました。そして、オリンピック選手村、開閉式場、スケート場の予定地、ジャンプ競技場予定地の大倉シャンツェ、ボッブスレー及びルージュ競技場予定地の平稲等を視察してまいりました。現時点におきまして、まだ冬季オリンピックにかかる経費の総額が把握されていないのであります。したがって、国、道、札幌市の三者の建設費の負担区分も定まっていない状況にあります。まだ四年先のことであり、また、東京オリンピックを成功させた経過を持つオリンピック関係者諸君でありますから、別して不安はないのでありますが、札幌市当局にとりましては、豊かでない財政にかかわる重要な関心事でありますので、国は地方の財政に過大な負担を与えないよう、この問題につきまして、すみやかに方針が打ち出されることを強く希望する次第であります。 最後に、北海道大学について申し上げます。私どもはまず北海道大学長と懇談し、それから大学の施設を見てまいりました。大学付属病院では病院長をはじめ看護婦長などと懇談いたしましたが、次のような要望がありました。第一に、無給副手については漸次定員化の方向にあるが、インターンの改善策について、いまだ国の方針が定められていないので、早急に解決すること。第二に、看護婦の資質を高めるため、看護短期大学を早急に実現すること。第三に、現在、欠員不補充の方針が看護婦に対しても適用されているが、看護婦は現業的な職種であり、ことに大学付属病院では診療のほかに教育、研究と三つの目的を持つため、他の一般病院により勤務量は加重されている。したがって看護婦の欠員は患者に対してだけではなく、研究、教育の面に対しても大きな障害を招来する。それゆえ、看護婦の欠員はすべて補充すること。 以上の要望は、すべてもっともなことと思いますが、ことに医師の養成制度のあり方につきましては文部省と厚生省は協力して早急に施策を樹立する必要があると考えます。このほか看護学校の宿舎を見てまいりましたが、大正十四年に建設された本宿舎は階段がきしみ、安心して歩けないという老朽ぶりでありました。文部省では改築のため努力をされているようでありますが、すみやかにこれが実現されることを強く希望いたします。 以上、報告を終わります。
○委員長(二木謙吾君) 以上で派遣委員からの報告は終わりました。 なお、第二班の報告中にありました北海道教育委員会提出の要望書につきまして、これを会議録に掲載することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(二木謙吾君) 異議なしと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(二木謙吾君) ただいまの報告に関し御質疑のございます方は順次御発言を願います。 なお、政府側より有田文部大臣、谷川文部政務次官、斎藤初等中等教育局長、赤石体育局長、宮地管理局長、西田審議官、今村審議官、清水審議官が出席いたしております。
○秋山長造君 いまの御報告について簡単に政府側の御見解を聞きたいのですが、学校統合によって交付税ががた減りする問題ですが、これは私らも現地に行って聞いてみて、どうもうかつだったなという感じを持ったのですが、これは全国的にもあることでしょうし、すでに文部省でも当然問題にされているはずなんですが、文部省にちょっと御見解をお伺いしたい。
○説明員(斎藤正君) 市町村分の普通交付税の配分の基礎が、学校数、学級数、児童数、生徒数と、こうなっておりますので、統合によりまして学校ないしは学級が減りますと、普通交付税が減る仕組みになっております。この点は町村合併促進法に基づきまして町村合併をした場合につきましては、すでに御承知のように、この交付税減少分の相当分につきましては、統合の年度以降三年間に限って特別交付税をもって補償する、あるいは統合に伴って減耗、配置される教材の買いかえ等に要する費用として一年間に限って特別交付税の措置をしていくということはございますが、いま例にあげましたように、北海道その他の地域であります町村合併によらない分の統合の問題でございますが、この点につきましては、町村合併促進法に基づく統合と異なりまして、この減額分に対する財政補償が現在行なわれていないというふうな実情でございます。文部省といたしましては、この市町村合併のいかんにかかわらず、学校統合が行なわれた場合に、少なくとも普通交付税の減少分の補償を何年間か続けられるようにいたしたいということで、目下、事務的に自治省と折衝中でございます。
○秋山長造君 目下ということですが、目下でも何でもやっておられることはけっこうでありますが、ただ、学校統合を奨励され出したのはだいぶ前からと思うので、当然そういうことを計画されるときに、いの一番に問題になってしかるべきだったと思うのですよ。ですから、その点についてどういう手違いがあったのか。いまさらあわてて事務的折衝をという形になっていることははなはだ残念だと思うのです。しかし、それはいまからでもやらなければいかぬことですが、ただこれはこういう問題は事務折衝だけというようなことで片づかぬ問題じゃないかと思うのですが、これはもう当然閣議なんかでも町村合併が大問題であったと同じように、学校統合ということ、あるいは町村合併が大問題だという意味は、内容をいえば、やはり学校統合なんか大問題ということにもなるわけなんです。大臣、どうですか、これ。いまからでもおそくないが、何とかもうこれは現に困っておるのですから、多数の町村がとてもたくさんの持ち出しで困っているのですが、これはどうされますか。いままでにこれは何一つやっていないのですが。
○国務大臣(有田喜一君) 過去の、おそらく、推測ですが、学校統合は一般には町村合併から起こる場合が多いというので、町村合併の場合に対する特権は現在あるわけですね。文部省といたしまして、気のつき方がおそかったかと思いますけれども、いま初中局長が申しますように、合併いかんにかかわらず、統合する場合に、特権といいますか、ある程度のことをやらなければならぬということで目下折衝中でありますので、もちろんいま事務段階でございますが、政治的にも乗り出しまして、そうして解決をはかりたい、かように考えております。
○秋山長造君 この次の予算でおやりになりますか。
○説明員(斎藤正君) 私どもといたしましても、できるだけ早く実現するように事務的にも自治省と折衝しているわけでございますが、私どもとしては、なるべく早い機会にこれが実現するようにいたしたいという希望をもって折衝しておりますことを申し上げておきます。
○久保勘一君 関連。従来の統合は大体三校が一校になる、せいぜい三校が一校になるという程度のものだったのですね。したがって、交付税が減額されても、減額はされるけれども、びっくりするほどの額にならない。北海道は七つの学校が一校になるのですから、交付税が極端に言うならば七分の一になるのですね、学校数から言って。それが大きいのですよ。ですから従来も問題としてあったはずだけれども、そう驚くほどの声になっていない。北海道へ行くと一カ町村のうちの七校が一校になったというので、学校数を基準にして交付税がはじき出されると七分の一になるのですね。ぜひこれは何とか措置をしませんといかぬと思うので、要望しておきます。
○秋山長造君 これはこういう政局下のときですから、腰を据えて早くやることを強く要望しておきます。 それからその次は学校の移転の問題ですが、これも新しい問題ですが、ただ差し迫った問題だと思うのです。これも全国的な問題でしょう。けさも、大臣ごらんになったかどうかわかりませんが、管理局長が出られてテレビでやっておられた。ちょうど私は拝見しておったのですが、これは法的な根拠がない。まず法律改正をやらなければいかぬという順序になってくるだろうと思います。どうやられますか、学校移転ですね。
○説明員(宮地茂君) ただいまの御質問でございますが、実は私どものほうで学校移転を希望しておるところを、従来、施設関係で特に調査するということではございませんが、いろいろ希望を調査したところ、相当、三百余りの学校が移転を希望しておるという声がございます。その中には先ほどおっしゃったような、いわゆる公害関係のものも、たしか二〇%ばかりは公害関係であったと思いますが、そのほかダムで埋もれるとか、あるいは道路の用地になるとか、いろいろの原因がございまして、それで、おっしゃいますように学校移転の問題につきましては、最近特に公害の問題等から相当社会的な問題にもなっております。ただ、義務教育学校の施設費の国庫負担法では、おっしゃいますように規定されていないわけでございますが、一応、来年度の予算要求に際しまして、私どもといたしましては、一応公害関係、それから社会増関係で非常に移転に迫られておるといったようなものにつきましては、予算措置でもと思いまして、来年度予算要求には見込みまして、大蔵省と目下折衝中でございます。それが実現いたしますれば、裏づけといたしまして、法改正もいたしたい、このように考えております。
○秋山長造君 もう多くは申しませんが、さっきの交付税の問題につきましても、この問題につきましても、これは火急な問題でして、だからもう文部省としても至急に法律改正と予算措置と両方並行してやってもらわなければならなぬ。ぜひやってください、これは待っておりますから。 それからもう一つは、こういう不満をずいぶん北海道で見たのです。文部省が僻地教員の優遇措置として特別昇給、三年に一回の特別昇給ということを始められましたね。この趣旨がどこまで末端に徹底しておるのか、何か全国的に、まあ府県によってまちまちな扱いになっているのじゃないかということなんです。といいますのは、僻地へ行ったときには一号上げてくれるのですけれども、僻地から離れたらまたもとへ戻るという、それでは意味がないのじゃないか。やはりそれが、僻地へつとめたということが給与の面でも実績になって将来に及んでいかないとね。その点が、私、全国を尋ねて回ったわけじゃないが関係者の話によると、府県によってまちまちになっているのじゃないか。文部省が当初考えられた趣旨は、おそらく私がいま後段で言ったように、僻地へ勤務したという、一号俸特別昇級したということが将来の実績になって伸びていくのだということであったはずなのですけれども、われわれもそういうふうに承知しておったのですけれども、それが必ずしもそういう扱いになっていないという話を北海道でずいぶん聞いたのですがね。そこらはどうなっているのですか。
○説明員(斎藤正君) 僻地に勤務される教職員の優遇の措置として文部省で特別昇級の財源措置をして指導をしていく、これはかなり徹底してやっているはずでございます。で、私ども毎年予算が成立しますと、関係課長を集めまして説明をする際にも毎年繰り返し申しておりまして、私どもが受けておりますこの報告では、これはもうほとんどの府県が継続するという形で報告を受けておりますから、ただ先生おっしゃったように、具体的にどこかの県でそれが逆戻しになるというような実態でありますかどうか、さらに検討してみたいと思います。ただ、一、二非常に僻地の占める割合が多くて、それから学校関係だけでなくて、ほかの職員との関連がありまして、その僻地につきましても、まず重要度のほうから先やるという県も、私、初中局長になってからもございました。その点につきましても、できるだけその範囲が全部に及ぶようにという行政指導はいたしておるわけでございますが、全国的な状況といたしましては、先生御指摘のような状況じゃないというように承知をいたしております。
○秋山長造君 北海道の実情をつかんでおられますか。
○説明員(斎藤正君) 北海道につきましては、僻地外転任の際のこの特別昇給の効果ということは、北海道は継続というふうな報告を受けております。
○秋山長造君 ちょっととめてください。
○委員長(二木謙吾君) 速記をこめて。 〔速記中止〕
○委員長(二木謙吾君) 速記を始めて。
○説明員(斎藤正君) 文部省が従来行政指導してまいりましたのは、僻地に優秀な教育を確保し、また僻地で苦労された方を優遇するという趣旨で、一定年数、すなわち、おおむね三年程度おるという方に対して一回の特別昇給という趣旨で指導されております。しかし、これをどういうふうに具体的に実施するかは、県内における僻地学校の分布状況、それから任命権者たる府県の人事に対する方針というものを受けて立って、それに対してその実績で負担をしていくという考え方でございます。これにつきまして、府県が今後僻地教育振興の観点から府県内でどう実行していくか、級地との関連その他を十分考慮してやっていただきたい、かように考えるわけでございます。
○秋山長造君 それから、文部省でおととしぐらいでしたか、僻地学校の実態調査をやられたことがありますね。その実態調査をまとめた上で、さっきの報告書にもありましたように、僻地の定義というようなものについてもひとつ再検討しようということになっておったかと思うのですが、その現状はどうなっていますか。
○説明員(斎藤正君) 実は、本年度予算編成の際に、従来の僻地の関係、特に暫定一級問題というものが、実は昨年度で時間切れになる時期でございました。そこで措置といたしましては、暫定一級を二カ年間延長するということについて財政当局の了解を得て、その二カ年間にひとつこの僻地の基準問題を検討しようという約束になっておりまして、私どもとしては、その期間内にこの僻地の水準等、もう一度根本的に再検討をいたしたい、こういうふうにいま進んでおるわけでございます。
○秋山長造君 それから、やはりさっきの報告書にありましたが、僻地給食、無償給食、これも三級以上ということになっているが、一、二級にもこれを及ぼすべきではないか、こういうことについての文部大臣のお考え、それからミルク給食についても、北海道のような酪農ばかりやっておるようなところで脱脂粉乳ということも、ありがたいことではあるが、ありがた迷惑なことで、実情に沿わないということです。生乳としてもらいたいということがあるのですが、その点についての文部当局のお考えをひと聞いておきたい。
○説明員(赤石清悦君) 第一点の一級、二級にも、いわゆる高度僻地に無償の学校給食を広めてはというお話しかと思いますが、まあ率直に申しまして、僻地を全面的に対象にしたいという気持ちはございますけれども、何ぶん三級から五級までの全額と、一級、二級を同様に含めました場合の金額が非常に開きがあるのでございます。したがって、私どもは公平の原則から申しまして、三級と五級にとりあえず手厚くする、こういう方針で、ここしばらくいきまして、その解決の上で漸次一級、二級のほうにも広めてまいりたい、こういうふうに現段階においては考えておる次第でございます。金額を申せば、いまは三億、四億で済むのでございますが、一級、二級まで広げますと、これが五、六倍の予算総額になる計算になります。しかし、対象が多うございますから、そういう痛しかゆしの状態にございますので、いまちょっと一番僻地度の高い三級から五級までにとりあえずやらしていただきたい、こういうふうに考えております。 それから脱脂粉乳と生乳の問題でございますが、先ほどの報告にもございましたように、牛乳を使っているようなところでまだ脱脂粉乳を使っているというようなことだと思いますが、確かに北海道は酪農地帯でございます。しかし、いろいろ事情を調べてみますと、生乳を使った場合は、金額の関係で府県負担が増加になるということ、それから乳殺菌処理施設でございますか、これが十分行き渡っていないために、牛乳は、確かに牛乳はあるけれども、直ちにそれが飲めないといったような事情、それからやはり計画生産をいたしておりますから、牛乳のほうで一年ごとにワクを——学校給食のほうに回す牛乳を一年ごとにきめているわけでございます。したがって、年度途中で使いたい、こういう希望が出ましても、時間的に少し先まで待ってもらいたい、こういう多少時期的なズレなどで、若干生乳があるように見えつつも、それが直ちに使えないという二、三の原因があるのでございます。こういうことに対しましては、たとえば、文部省としましては、できるだけ生乳を使えるように方針として採用しておりますので、たとえば、学校ごとに生乳の殺菌施設の補助金を出しますとか、そういう指導上、それがうまくいくように指導してまいっているわけでございます。
○秋山長造君 これはまたあとで本筋の質問が残っておりますから、あまり多くを申し上げませんが、事務的な都合を議論すればそういうことになるのかもしれませんが、しかし、これは一つのやっぱり事務的な話から始まったことじゃないのですからね。そもそもこれはやっぱり大きな政治的なねらいで始まったことですから、やっぱりこまかい事務的な金額の都合なんかということよりも、もっと別だ本質的な問題だと思いますから、ひとつ大臣のほうでも、金額を無視するということはできぬでしょうけれども、もう少しこの問題は、そもそも始められたその政治的な見地から、ひとつぜひ前向きで考えらるべき問題じゃないかというように思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(有田喜一君) そのとおりでありまして、いまはとりあえず三級以上でございます。少なくとも傾斜的ですか、一級、二級、段を迫って傾斜的に考えていかなくちゃならぬ、さような姿勢で今後努力していきたい、かように考えております。
○鈴木力君 大臣に伺いますが、一つは、報告書にもありますが、奄美大島の振興計画の延長の問題ですね。これはまあ担当は自治省かもしれませんけれども、ぼくらが視察しても非常にこれは重要な問題だと思いますのでお伺いするのですが、その一つは、延長してくれという要望は、これはもう市町村全部ですね。県も含めて、一様に延長してくれという要望でありますから、これに対しては政府全体として対処してもらいたいと思うのです。具体的に私どもが見ましても、あの法律を延長する以外にやはり復興の方法がないのじゃないかという感じがいたしました。特に、大臣にお伺いいたしたいのは、現地の声で、報告書にもありますが、校舎はまあ、ほぼできあがっておる。全部はできあがっていませんけれども、ほぼできあがっておる。そのことから、教育関係者以外のほうの声としては、教育関係の復興はほぼ済んだという声が相当出ておるということです。しかし、私どもが調査をいたしますと、たとえば同じ建築物からいいましても、本校舎はほぼできた。しかし、それに必要なたとえば体育館とか、あるいは特別教室、少なくともいまの学習指導要領の程度をこなすのには、特別教室というのは絶対なければならない。そこがほとんどできていない。もちろんプールもほしいという要望もあります。それから、ああいう地域でありますから、渡り廊下を改善せよという要望もありますが、そういう意味からいたしますと、かりに実施をされる場合に、もし計画がそれからはずれるというようなことがあっては、容易でないことになると思うんです。したがって、こういうことに対する施策といいますか、考え方として、大臣の考え方、あるいは今後の行動の御意思なり伺っておきたいと思うのです。 それからもう一つついでに、この問題と一緒なんですが、寄宿舎の問題ともからみますけれども、たとえば与論島という島があります。この与論島という島は沖縄にすぐ近いわけです。かっては与論島の子供たちは沖縄の高等学校に入学をしておったんですね。ところがいま沖縄は米軍管理、ああいう状態になっておる。大島は日本に復帰をされておる。ところが与論島は、鹿児島県、本土からはもちろんですけれども、その他の大島の本島あたりからも非常に遠距離にあるために、高校進学というのは非常に困難な状態になっておる。こういう問題を、特に、やはり寄宿舎あるいは進学奨励というような意味の特別な措置が必要じゃないかというふうに見てきたんですけれども、まず、こういう問題についての所見なり方針なりを、これは大臣に伺いたい。 〔委員長退席、理事北畠教真君着席〕
○国務大臣(有田喜一君) 奄美大島の五カ年計画の進捗状況は、おっしゃるように、いままでの計画から言えば、ほぼ順調に進んでおる。けれども、小中学校の校舎ばかりではありませんが、たとえば御指摘のように屋内運動場とか、その他いろいろな問題がありますね。そういうものの事業量が今度は変わってくるのですね。そこで、五カ年計画の内容といいますか、事業量を変えることがまず先決だ。その上に立って、まだ四十三年まであと二年もあることですから、それを五カ年の間になし遂げるように進むか、あるいはどうもそこまではいかないから、五カ年をたとえば七カ年計画に改変するか、その計画を延ばすかどうかということは、これは他の省との関連もありまして、そこでまだ私どもとしては、延ばすかどうするかという方針は確定しておりません。けれども、とにかく内容は、いままでの当初の五カ年計画の内容を変えなくちゃならぬ、かような線で、できるだけ五カ年でやっていきたいと思うのですが、やはり、あるいは実際問題としましては、これを六カ年計画、七カ年計画ということに変更せざるの得ないのじゃないかと、かように思っております。現段階においては、事業量の中身を少し変えていきたい、かように思っております。
○鈴木力君 いまの大臣の御答弁で、その方針でやってもらえばいいんですけれども、まあ念を押しておくことは、ともすると学校というものを、外から見た建物で判断するくせがまだありますから、この辺はひとつ文部大臣の責任で、中身が教育機関だということをはっきりさせて、まあ、いまの計画はどの道を行くかはそれぞれの相談もありましょうから、実効をあげるようにひとつお願いしておきたいと思うんです。 それからもう一つだけ伺いますが、さっき僻地の問題が出たのですが、これも大臣にやはり伺いたいのです。一つは旅費の問題ですね。これは僻地ということだけじゃなしに、あとにも関係がありますから少し申し上げておくのですが、今日の公務員の費用弁償の中で、教育職員に限ってものすごく大きな減額支給がまだ行なわれている。これ、大臣御存じかどうかわかりませんが、行なわれていることは事実なんです。たとえばこの間私が青森県のある教頭さんに、こういう話をされた。文部省が主催する教頭研修会に、東京に、たぶん二週間だと思うのですが、呼ばれて研修に行ってきた。その間の旅費が、二週間で一万五千円だけの旅費費をもらった。一日千円ですよ。汽車賃も含めてです。それ以外のものは自分で調達して行ってこい。しかも、行かないといえばどういうことになるかというと、行政側のほうから行けと言う。これは業務命令ということにはそういう場合なり得ないと思うけれども、実際の場合には、半ば命令みたいに行かざるを得ない。これが今日の教員の旅費の面からの費用弁償の実態なんです。ですから、笑い話みたいな話なんですけれども、そういう場合に、教育委員会の職員が一緒についていく、そうしますと、教育委員会の職員というのは、教頭なり校長なりの教え子がよく一緒になる。東京に来て旅館に泊まりますと、毎晩の晩酌は大体その教え子が調達する。自分は一等の旅費をもらってきておりますから、申しわけないから先生方に、酒代は私に持たしてください、そういう殊勝な役人も最近出てきている。こういう状態に教員を追い込んでおいて、しかも旅費の法律が改正になってから、もう何年かたっておりますよ。これは一体どこからきているのか、金がないということで済ませるものかどうか、これについての文部大臣としての責任ある答弁をひとつ伺います。ということは、いまの調査の報告と関係があるから私は伺っているわけです。たとえば鹿児島県が、私がまいりましたときに、もう旅費で四苦八苦しているわけです。旅費の基準というのが、鹿児島県では、それでもよそよりは県自体で一人平均三千円か四千円、あるいはもっとかもしれません、県費で出している。しかし、奄美大島というあの離島をかかえておりますために、大部分は赴任旅費といいますか、僻地の赴任旅費八万幾らと報告書に確か出ておりますけれども、それに相当の旅費を食われてしまいますからして、一般の教員旅費に対するしわ寄せというのは非常に大きいのです。 もう一つは、これは何も奄美大島だけではありませんけれども、そういうことから、純粋に僻地の教育振興ということを考えてみますときに、まあ一号昇給もさっき議論が出ましたですね。三年で一号昇給というのも一つの手ではありましょう。しかし、何か一号昇給というようなかっこうで教員をそこに釣り込むといえばことばが悪いけれども、そういう形で教員を充実して足れり、あるいは寄宿舎をつくって足れりということではなくして、教師にやはり世間並みに研修の機会を与えるということが、これは私は行政の立場としての責任だと思うのです。ところが、僻地で研修の機会を求めるためには、少なくともその中心の町なり、あるいは教師の心情とすれば、一年に一ぺんぐらいは大学の付属の学校なり、そういうところに行ってみて、自分の実践と照らし合わせてみたいという希望をみな持っている。そういう機会を与え得る旅費というものは、ほとんど、僻地をかかえていないところもそうなんですけれども、僻地をかかえている府県ほど非常にないわけです。ないわけですから、僻地の先生たちはやはり自腹でそういう機会を自分でつくらざるを得ない。こういう状態に近い込んでいるわけです。ですから、根本的に一ぺんにするのはなかなかむずかしいけれども、私は思い切って、有田文部大臣の一つの業績として、特別にまず手始めに僻地の教員の研修旅費という一つの制度をつくってみたらどうか。こういうことから僻地教育の研修の機会を保障してやるということ、いろいろ先に申し上げましたように、一般の教師の旅費の面の半ばが搾取みたいな形になっておる状態を救う一つの手がかりとしてこれからやってみたらどうか、こういうことを奄美大島を視察してほんとうに感じましたので、これも大臣、考え方をひとつ伺っておきたい。
○国務大臣(有田喜一君) 実は研修その他につきまして教員の旅費が少ないということを私はしばしばいままでにも耳にしております。そこで、何とかならないかということでいろいろ考え、事務当局にも研究さしたのですが、御承知のように、教員の旅費は実際支出した額の半分を国庫が負担するということがはっきりしておる。したがいまして、その教員の旅費は、結局、都道府県の予算にかかる問題です。都道府県がこれだけ出しました、こうなってきますと、国は当然その半分を出さなくちゃならない。そういうたてまえになっておるようでございますが、しかし、何と言いましても、国の負担金の予算上の単価が九千円という単価では、これは都道府県もやりにくいだろう、都道府県の予算も組みにくいだろう、かように考えまして、来年の四十二年度の予算におきましては、いまの九千円を一万一千七百円でしたか、約三割アップですね、これを増額を要求していく。かようにしまして府県自身が旅費を増額しやすいような立場をとる。そうしてわれわれはその半分を出す。こういうわけですね。僻地につきましては、特別私も関心が深いのでありまして、僻地教育をしっかりやらなくちゃならぬというので、万般の措置を来年の予算において要求しておることはもう御承知のとおりでございますが、ことに旅費につきましては、現在でも特別旅費のように府県でそれぞれ考えており、そういう実績もあげておるようですけれども、なお一そう都道府県の教育委員会を行政指導しまして、そうして僻地に対しては特別の旅費を出すように、これも一そう徹底せしめて、そうして万遺憾なきを期したい、かように考えております。
○鈴木力君 私はいまの大臣の答弁にはきわめて不満です。私の先に聞いた趣旨は、さっき極端な例みたいな例を出したけれども、同じ会議に出るのに、別の行政職にある者は正当な旅費をもらってくる。それから教師は教頭なり校長なりですね、文部大臣が招集するその会議に出るのさえ往復の汽車賃にやっとぐらいですね、そんな旅費をもらって来ている。これが実態だというのです。私はいま大臣が私に説明した、半分国が負担することになっておるとか、それから一万一千七百円にしたいと思っているとか、そんなことを知らないでいまのこの話を聞いているのじゃない。そうじゃなしに、行政の責任者としての文部大臣が、そういう状態に教師を放置しておくことをどう思うか。これが私の第一の質問です。まず、それから答えてください。
○国務大臣(有田喜一君) やはり先ほど言いましたように、旅費の実支出額の半分は国が負担するというたてまえになっておりますから、結局は都道府県の教育委員会を行政指導しまして、そうして、実際の旅費の実情に合うようにそれを組ましておくことが先決だと思う。そうして一方においては、先ほど言いましたように、予算単価が少ないから都道府県がやりにくいだろうから、それを四十二年度で措置して、両々相まってそういうことが実現できるんじゃないか、かように思っております。
○鈴木力君 私が聞いているのはそういうことを聞いているのじゃない。行政指導でできるという状態ならいままでできているはずです。そうすると、大臣はこういう意味ですか。いままでの累代の大臣は旅費が少ないということに対しては、文部省は半分持つからできだけ実情に合うようにしろという行政指導はしていなかった、それを私がやると、そういう意味でおっしゃいますか。
○国務大臣(有田喜一君) そういう意味でもないのですけれども……。
○鈴木力君 それならなおのことじゃないですか。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほど言いましたように、いままで予算単価が九千円ということでやっておれば、地方の教育委員会なりで予算を組む場合もやはりそれが標準になりがちになる。それでは実際じゃないというので三割アップして一万一千七百円という予算の措置をとれば、都道府県も旅費全体がふえますから、その範囲内において実情に合うようにと、こういうことですね。
○鈴木力君 大臣ちょっと伺いたい。その範囲内において実情に合うようにというのはどういう意味ですか。たとえば私がいま青森県の先生の話をしました。二週間、東京に青森県から呼んで、これに正当な旅費を出したら幾らになると思う。少なくとも四万幾らになるでしょう、いまの旅費規程どおりにやれば。それが一万五千円しか払えないというのが実態です。それを九千円から一万一千七百円に値上げをして、三割値上げをして実情に合うように指導しますということは何を言っておるかと私は言いたい。
○国務大臣(有田喜一君) 私がその範囲でと言いましたのは、地方の都道府県の予算の範囲ということを言っておりまして、それは都道府県の実情が許すならば、予算よりも、追加予算でもまたふやしてもいいのですがね。とにかく研修その他に対して旅費が足らぬということはおもしろくない、こういう観点から私は話を進めようとしておる。一万一千七百円というのが青森県のはしっこが一万一千七百円というわけでもないのですから、御承知のように、全体を通じて、県内の旅費もありましょうし、東京に行く旅費もありましょうし、いろいろありましょうが、何もかも合わせて一人当たり一万一千七百円と、こういうことになるのですから、どうしても東京にくる青森県のようなところはよけいもらわなければならぬということは当然のことでありまして、そういう実情に合うように教育委員会に対する行政指導をやりたい、こういうことを申しておるのです。
○鈴木力君 大臣、少し別のことを考えておるのではないですか、この問題ではなしに。どうも私が聞こうとしたことにまともな返事が返ってこないのですが、何か別に気にかかることがあるんじゃないですか。おかしいですよ、きょうの大臣の言い方は。私は大臣に聞いているのですよ。これはきまりきったことは局長に聞かぬでもわかっておりますからね。大臣に考え方を聞くのですから。いいですか。青森県下一万一千七百円、みんな東京へくるのではないからと、そんなことを聞いているのではないのです。そんな教師がみんなそういう状態になっておるという実例をあげておるのです。そうすると、三割値上げでは旅費規程どおりにいかないということはわかりきっておるでしょう。いまの教育の実態から見ますと、九千円でどれだけ足りないかということはわかっておるのです。だから三割値上げでは、これは一気にはとても私は、大臣がいかにさか立ちをしても、一気に来年度から旅費規程どおり支払いができるようになることは無理だろうと先ほどから言っておる。ただ、その場合に、無理だがやらなければならぬ、その場合に、府県が予算を置けば半分を持つんだと大臣がおっしゃるけれども、大臣も先に自分から言われたように、府県の予算は何と言っても、文部省が置いた基準が基準になる。九千円と置かれると九千円が基準になる。若干プラスできる県はプラスしますけれども、大かたはそこで押えられる。それが明治以来伝統となっている。教師の旅費というのは押えられておる。それが一万一千七百円と出てきたのは、大臣に言わせると、相当な進歩だと、そうお考えになるでしょう。しかし、三割というのは宿賃の値上げや、それから汽車賃の値上げ等を引いてみると質実的に三割の上昇にもならないのですよ。だから、これが足りないということ、一万一千七百円では、いまの教師をそういう状態に放置しておること、これでは足りないということをまず大臣に認めてもらいたい、それを言っておるつもりですよ。それから同時にもう一つは、これを足りないのを一ぺんにカバーできないとしても、少なくとも僻地にいる教員の研修旅費というものを一万一千七百円のワクの外から新しい制度として大臣ひとつやってみたらどうか。そのことが、僻地教師の研修の機会を与える一つの激励にもなる。僻地教育の振興の大きな政策の一つになると同時に、一般教師の、これでも足りないこの旅費の窮屈な状態を救う道になる。だから、すなおに私の言うことを聞いて、いますぐやりますと言えなかったら、いろいろ検討してみますぐらいの、大臣、それくらいの返事があったってよさそうだと思う。ところが、あっち向いたりこっち向いたり、どうも大臣、別に気がかりのことがあってそわそわしているようなところがありますけれども、そんな意地悪なことを言っているのではないから、落ちついてまともな返事をしてもらいたい。
○国務大臣(有田喜一君) 私はあくまでまともに返事しているつもりなんですが、先ほど言ったのは一般的な旅費についてということですね。僻地に対しては私は旅費のみでなくて、一般的に僻地教育というものに対して特別な力を入れたい。つきましては、いまの制度ではまだ僻地特別研修費というようなものができておりませんから、これはここにこうですということは言いませんが、そういう方向に向かってひとつ検討を加え、旅費を初め万般において僻地教育に力を入れたい。こういう考え方でございます。
○鈴木力君 あとのほうはそういう方向でひとつ具体的に検討してもらえばよろしい。先のほうはそれは府県がどうだ、へ理屈言わぬで、一万一千七百円の平均でも今日の教員の研修旅費は足りないということだけははっきりわかっておいてくださいよ。 それじゃあとよろしい。
○理事(北畠教真君) 他に御発言がなければ、派遣委員の報告に関する件はこれをもって終了いたします。 —————————————
○理事(北畠教真君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。 御質疑のある方は順次御発言願います。
○秋山長造君 私、当面の教育問題について四点ばかりにしぼって若干お尋ねをしたいと思うのですが、まず第一は、例の人事院勧告の問題です。これははなはだ遺憾ですけれども、政府のほうでは、九月から実施ということにすでにきめてしまったようですけれども、文部大臣、この委員会の席上では完全実施のために大いに努力するというようなことをそのつどおっしゃったわけですけれども、実際この機構から見ますと、一番関係者を多くかかえておられる文部大臣として、人事院勧告の尊重、完全実施ということに向かって一体どれだけの具体的な努力をこれは大臣としておやりになったのかということについて、はなはだ私相済まぬことだけれども疑問を持っておるのです。どれだけの努力をおやりになったのかということをもう一ぺんあらためてここでお伺いしておきたい。
○国務大臣(有田喜一君) 完全実施ができないことはまことに遺憾です。私は微力ながら、この問題は、何といってもこれは大蔵大臣の財政的の問題が大きな柱になっていますので、大蔵大臣にもずいぶんこのことを、何とかやらぬか。せめて勧告どおり五月一日にいかぬでも、せめて三カ月でも四カ月でもそれに近い線が出ないかということをずいぶんがんばった。閣議においてもそういうことを私は主張したのでございますが、遺憾ながら政府全体としましては、財政等の事由によりまして九月一日実施ということになったので、まことに遺憾に思っています。そこで、これは私の私見でございますけれども、八月にすでに勧告が出まして、そして九月から実施するということはこれは比較的すなおなんですけれども、こういうことがどうも五月実施ということがバックペーになっていくので、制度的に、人事院の制度があるのですけれども、方法といいますか、方法についてもうちょっと検討する必要がないか。ある程度予想が加わっても、前年度からの予算でこれが煮詰められていくとわりあいやりやすいのですね。あれが途中になりましてくるものですから、そこに追加予算——予備金はない、財政はこうだというようなことになりまして、毎年これを繰り返している。それでそういうことの検討をやってもらうように今後は措置すべきではないかと、こういうことを私は考えています。これはそういうことも閣議でも発言したのです。 それからもう一つ、まあこれは私のまだ私見の程度でございますけれども、教員というものは何といっても専門職の色彩の非常に強い立場であります。一口に地方公務員とこう申しますけれども、やはり特殊の立場にあるのではないか。つきましては、いま俸給の号俸は違っておりますけれども、たとえば判事さんや検事さんは特別な扱いをしていますね。やはり教員というものは尊敬される立場に置かなくてばならぬ、そのいう角度からいいまして政府としましてもそういう方向に向かって検討をすべきではないか。同時に、まあ教員のほうも自覚していただいて、そうして相ともどもに教員の重大な仕事がやりやすいように、こういうことを、私、心の中で考えて、何とか次の人事院勧告のときにはそういうことを大いに検討を重ねて主張して、この実現に向かいたいと、こういうことをいま考えておるところなんであります。
○秋山長造君 いま大臣おっしゃったようなことはまあ私らもこの委員会で歴代の文部大臣からそのつど聞いてきておるわけなんですね。もう愛知さんのときにもそういうことをおっしゃったし、また中村さんのときにもおっしゃった、有田さんになられても、この席でもいまのような趣旨のことをこの前おっしゃったと思う。またいつだったか、ここでごあいさつになりました所信表明の中にも入っていましたね。これはほんとうにおやりになる御決意なのですか。これまあ急テンポに大臣かわっておられるのでね。そのつど、大臣になってはこういうことをおっしゃって、それでやめられたあとから見ると何も残っていないということをずっと連年繰り返してきておられるわけですね。これではもう実際正直言って、どうもわれわれ口をすっぱくしてそのつどそのつど繰り返しても張り合いがないですね。人事院勧告だってまことに遺憾だったと言ったけれど、できなかったと言われればもうそれまでですしね。何かここでもう一つ大臣のよくおっしゃる根性を据えて、さすがは有田さんはやったなあというところをやってくださいよ。もう予算編成もすぐ目の前に控えているのだからね。やっぱり人事院勧告の完全実施云々ということも、これは教員の給与改善の一つでありますけれども、本質的にはやっぱりもっと基本的な問題、いま後段でおっしゃったような教員というものの給与というものを一体根本的に基本的にどう位置づけるべきか、あるいは裁判官、検察官というようなものと似たようなものとして位置づけていくべきではないかということもその方法の一つだと思いますが、いずれにしても、給与の根本的な改善というこれは十年一日のごとく古くて新しい問題、ちっとも前進しない問題ですが、これ、ひとつここでやってくださいよ、ぜひ。おやりになりますか。ただ来年の人事院勧告のときに、ちょっとそういう趣旨のことを人事院総裁へおっしゃるという程度ではね。これはとても、先々は知りませんけれども、それはただおっしゃるだけのことに終わると思う。だから、もっと職を賭してと言われるくらいなら、腰を据えてこれぜひひとつやっていただきたいと思うのですがね。その御決意はどうですか。もうその御決意さえ聞けば、給与の問題についてのあと何か少しこまかいことを聞こうと思ったけれども、それはやめてもいい。
○国務大臣(有田喜一君) そういう考えを持っておればこそ、ここに表明しているのですから、もちろんそういう口先で言っているわけじゃありません。ただそのときにまあ皆さんにもお願いしたいんですけれども、教員の地位を向上して尊敬される立場に置くということは、こちらも、政府側もその処隅の改善について努力いたしますが、また教員自身も反省していただいて、そしてほんとうに尊敬される立場に名実ともに置いていきたいと、こういう気持ちで私進んでおりますので、こういう私の決意で努力することに対して障害が起こるような事態が起こらないことを私は希望し、熱望しておるわけです。そういうこともひとつ御協力願いたいと思います。
○秋山長造君 大臣、善意でおっしゃることだと思いますから、あまりそのことばじりをとらえることは遠慮しておきますが、ただ、いまつけ足しておっしゃったほうのことが主になっておるんじゃないですか、大体ここから見ておると。ちょうど親が子供に、言うことを聞けば小づかいをやる。言うことを聞かねばやらぬという、こういう式の態度でこういう問題に取り組まるべき筋合いのものじゃないと思うんですよ。ただ口のあいそでおっしゃったと思うから、あまり深くも追求しませんけれども、ほんとうの話が。これはそういう態度でおやりになるんだったら、これはもうしばしばそれが給与改善せぬ口実にことさらに使われることになってしまうし、また現にそうなっている。人事院勧告完全実施せぬのでも、遺憾だ、遺憾だと言っているが、あまりこっちがしつこく質問していると、しまいにはこういうことを言いたい、いやもう少し、まあ教員が本気でやっておれば完全実施してやらぬこともないけれども、まあいまの程度なら九月ぐらいでけっこうだろうという理屈になってくるんじゃないですか。だけれども、それでは私はほんとうの教員給与の問題は、教育のほんとうの信奉ということにはならぬと思うんですね。だから、そういうことはそういうこととして、これは成り行きにまかせばおのずから落ちつくところに落ちついてくることなので、政治論としては私は大臣がそういうことをあとへくっつけられるということははなはだ承服しがたいんでね、そういうことをくっつけられますと、前段の善意というものが一ぺんでこれは消えてしまいますわ。そういうことを抜きにして、これはそんなことをくっつけるのはやぼですよ、政治家の発言としては。これはそんなことは言わずものことですから、そんなことは抜きにして、とにかく前段でおっしゃったとおりの御決意を持って具体的に私は取り組んでいただきたい。これはどこかでどなたかの大臣が責任持っておやりになうなければ、これは十五年来、何年来同じことを言って同じことを答えてきて、しかも何にも前進していない。一歩も前進してないのがこの問題の今日までのあり方ですから、もう一ぺん要らぬことをくっつけずにはっきり言ってください。
○国務大臣(有田喜一君) 秋山さんが最初からざっくばらんにものを言えということでありましたので、私は腹の中をそのまま申しておるのですから、やっぱりこれは教員の地位を尊敬される立場に置くということは、私は私なりでやりますから、ひとつ……。
○秋山長造君 金の問題とくっつけると、きたなくなるから……。
○国務大臣(有田喜一君) それはそれといたしまして、やっぱり地位の向上のために尊敬される立場に置くように御協力願いたい、こういうことを申しておるのです。
○秋山長造君 それはいいけれども、それだけでなく、前段のことをもう一度はっきり言ってもらいたいので、つけ足しのほうをもう一ぺん言ってくれと言ったんじゃない。ほんとにやってくださいよ。もう一ぺんはっきり決意を表明しておいてください。
○国務大臣(有田喜一君) 前段はさっき申したとおりです。
○秋山長造君 まあ大臣が前段に申されたことに期待をつないで見ておりますから。見ているのではない、それはわれわれもその点についてはもう幾らでも協力するつもですから、ほんとうにやってください。 そこで第二点として、大学の問題について若干御質問してみたいと思うんですが、私立学校の問題、夏ごろまで非常にやかましい問題だったんですが、ちょっといま遠のいたような感じになっておりますが、実際は問題はちっとも解決したわけじゃないのですね。半年もない、もうあと三、四カ月でまた入学試験期を迎えるわけで、大学志願者の急増、ベビーブームの第二波はいま直面しているわけだと思うのですが、そのベビーブームの第二波をまともにかぶるのはやっぱり私立大学だと思う。大体、私立大学がほとんど負担するわけですね。それだけに私立大学の財政的な窮地をどう切り抜けるかということはますますこれは重大な問題である。これについては中間答申が出ましたね、夏。中間答申の線に沿うて大体新年度の予算要求もされておるようです。十分か十分でないかということは、これはまあわれわれにはわれわれの見方がありますから、そのことは申しませんが、その中でいつも問題になっている私学減税ですね。私学減税の問題はいよいよどうなるのですか。私学減税十億円ばかりになるようですが、一体来年度からおやりになるのですか、ならないのですか。
○国務大臣(有田喜一君) 私学減税の問題はいま大蔵省と折御中でございますが、ことにこれは予算折衝で大蔵大臣と会ったわけじゃありませんけれども、大蔵大臣とは会うたびにこの問題を主張してまいり、大蔵大臣もこの教育減税の問題は何とかしなくちゃならぬなということは非公式ながら申してくれています。いま事務段階でそういう線に沿いながら折衝しておるのでありまして、おそらく当たっておる局長はこの私学減税はものになるだろう、こういう印象を受けておるんじゃないかと、私は推察しているんですが、大蔵大臣は非公式ながら、何とかしなくちゃならぬということを私にも話してくれています。
○秋山長造君 それでは、私学とも関係がないことはないのですが、私学の入学金、受験料、それから授業料、こういうものが年々急ピッチで引き上げられる、まあそういうこととも関連して、私学の問題が非常に大きな問題になってくることは御承知のとおりですが、文部当局として、そういう声にこたえて、私学の財政的な援助ということについて、いまの減税の問題も含めていろいろやっておられるわけですがね、で、その半面において、入学金をやたらに二十万円を三十万円、あるいはそれ以上、何か医科系の学校なんかでは百万、二百万ということが通り相場になっているということも御存じのとおりですが、それから授業料の値上げ、こういうものについて、何らかのこれはもう文部当局にそれに対してとやかくの権限はない、まっ正面から言えば権限はないということになるが、また私学の自主性というものは、本来の意味で十分尊重して行かるべきものではあるが、しかし、だからというて、そういうべらぼうな値上げというようなものは、また別な面から何らかの規制を加えていくべきものではないかということを思うんですが、そのことについて大臣のお考えはどうですか。
○国務大臣(有田喜一君) 私学の授業料とか、あるいは学生納付金といいますか、そういうものに対して文部大臣がこれを押える権限がないことはおっしゃるとおりなんですが、さりとてこれを放任しておくわけにいきません。もちろんわれわれは私学に干渉しようとか、そういう気持ちはありませんけれども、望ましい姿でないというわけで、そういう方面の値上げは極力差し控えるようにということを文部当局から私学に要望しておるという姿でありまして、極力、私の気持ちとしてはそういうことは差し控えるようにしたい、こういう気持ちでおります。
○秋山長造君 国立学校の授業料値上げの問題は、政府の部内でも、ある方面では何か既定の事実であるかのごとくささやかれているように聞くんですが、消費者米価の値上げだとか、たばこの値上げだとか、あるいは電話電報料金の値上げだとか、そういうようなこととあわせて国立学校の授業料値上げというようなことがささやかれておりますが、これについての文部大臣の御見解、まだ政治的な態度、ひとつ明らかにしていただきたい。
○国務大臣(有田喜一君) 国立の授業料の値上げの問題は、新聞なんかちょいちょい出る筋がありますけれども、私はこれを何とかして差し控えたい、かように思いまして、だいぶ前でしたが、予算委員会におきましても、私は現段階においては授業料の値上げなんか考えておりませんということを答弁したのであります。大蔵大臣もその席におりましたけれども、まだ何もそれに対して抗弁も何もしておりません。まだそれに対して正式の折衝をやっておりませんけれども、私としてはそういうことは差し控えたい、こういう考えです。
○秋山長造君 ちょっと最後のところがはっきり聞こえないんですけれども、現状では考えておらぬということは、文部大臣としては断じて値上げはさせない、しないという御見解の表明なんですか、その点もう一度明確にしておいてください。
○国務大臣(有田喜一君) 文部大臣としては授業料の値上げはしない。こういう考えです。
○秋山長造君 これは多少、道聴塗説のきらいがあるかもしれませんが、こういうおそれはないんですか、私学減税大体十億前後ぐらいになるようですね、いま伝えられておる金額は。で、国立学校の授業料値上げを、かりにまあいまの倍程度にするとして、初年度が十億前後ぐらいにやっぱりなるね。そこで、結局、大蔵大臣と文部大臣との予算折衝の過程で最終的にはその私学減税、十億減税しよう、その間に授業料の値上げを十億行なって、これで取っかえだ、こういうようなことにいくおそれはないのかどうか。おそらく、これは笑い話のようだけれども、案外そういうことは政治折衝の場合に往々にして行なわれる可能性のある、おそれのあることじゃないかという、私、予感がするんですが、そういうおそれはございませんか。
○国務大臣(有田喜一君) まだ折衝しておりませんので、どういうおそれがあるかわかりませんけれども、そういうおそれのなきように極力努力したいと思いますから、皆さん方もひとつ御協力願って、そういうおそれのないようにいたそうじゃありませんか。私としては考えます。
○秋山長造君 これからの問題ですから、いまの大臣の決意の表明のとおり、ひとつ実行していただきたいと強く要望しておきます。 それから、やはり大学の問題ですが、先だって十月二十七日に、御承知のとおり東大の法学部の教授会で、専門課程が今日の二年ということでは、はなはだいろんな面から不十分だ、そこで一年延長して三年にしたい、したがって、いまの大学四年というのを五年、教養課程二年と専門課程三年と五年にしたい、こういう提案が行なわれておるわけですね。これはやはり時節柄相当大きな反響を呼んでおるこの問題について、一体、肝心の文部大臣なり文部当局からの発言というものを今日までわれわれ聞いておらぬのですが、どのようにお考えになっておるか、まず、端的にその点お答え願いたい。
○国務大臣(有田喜一君) 大学の専門教育のあり方について熱心に検討されることはけっこうなことだと思うのです。しかし、東大の法学部でそういうことが言われておるようでございますが、これは東大の法学部でもしそういうことをやるとするならば、一東大ばかりでなく、他の大学の法学部においても考えなければならぬ。また、東大自身におきましても、法学部ばかりでない、経済学部はどうだ、あるいは他の学部はどうだという問題もありまして、こういう問題はいつか私が話しましたように、学制改革の一つとして慎重に検討を遂げて、その上に立って善処したい、かように私は考えております。
○秋山長造君 大臣の御見解、お考えですから、それはそれとして承っておきますが、ただ東大の法学部のほうでは、そういうゆうちょうなことを言っておらぬわけですね。とにかく毎年専門課程の二年が不十分なために、現実に三分の一の学生がもう一年留年していっているというような具体的な数字もあげておられる。それから、また学生のアンケートのようなものも付帯資料として提出しておられるわけでしょう、そうして来年からこれをやろうと、こう言っておられるわけですね。まあ若干、過渡的に、いままでどおり専門課程二年と、それから専門課程三年は学生の選択にまかせるようなことにして過渡的にはやるが、しかし、とにかく来年から一年延長ということへ踏み切ろう、こういうことを言っておられる。まあその根拠法としては、学校教育法の五十五条の一項ですか、大学の修業年限は四年とする。ただし、特別の専門事項を教授研究する学部については四年をこえるものとすることができる。こういうただし書きを根拠にして来年からこれに発足しようという差し迫った具体的な問題としてこれは提供されておるわけなんです。大臣のおっしゃる学制改革の全般の問題というのは、これはそうスケジュールのはっきりしている問題じゃないわけでしょう。今後の相当これは長期間をかけての問題。だから、それとは別に、こういう具体的な差し迫った問題が提出されておるわけですからね。これに対してやはり大臣としては、そういう慎重に学制改革全般の問題として研究したらいいじゃないかということは、それは原則的な一つの御答弁にすぎぬので、具体的に、じゃ、これをどういうように受け取って、どういうように処理していくかということになるのじゃないですか、文部当局としては。私は東大の法学部の教授会がそういう結論を出されるまでの経緯というものは、これはまことにうなづけると思うのですよ。それから、いまの大学四年といううち、二年は一般教養に当てられるから、専門教育というものはあとの二年しかないわけですからね。だから、昔と比べてどうということは、学制そのものが全然立て方が違うから、昔の二年といまの二年をどうだこうだということは一がいには言えませんけれども、しかし、この二十年間新しい制度でやってきた、その経験に基づいてやはりこういう結論が出ているのだと思うので、専門教育二年はとてもいろいろな面から不十分だ、とてもこれは足りない。だからといって、一般教養の二年に専門教育を食い込ますということは、これはまた一般教養をおろそかにするということで大きな障害がある。やはり専門課程をもう一年延ばすということ以外にないじゃないか。これは相当研究して、検討して、検討して、し尽くされた結論じゃないかというように私は思うのです。そう軽々だなんという結論じゃないと思うのです、大臣がいまおっしゃるように。もうこれは慎重に慎重を期して、理論と実際両方から出てきた結論だろうと思うのですね。これは私は決して思いつきじゃない、これはそれだけのやはり背景もありますし、根拠もあるし、私はやはり相当数の識者というものは、大かたの識者というものは一応そのこと自体はそれは説得力を持っておるこれは案じゃないかと思うが、ただ大臣もいまおっしゃるように、やはり現在まで取ってきた学制全般に関係することであることは、これは間違いない。そこで、まず現実に具体的な提案が出されておるわけですからね。これをどうするのかということにすぐなってくると思うので、そういう意味で大臣の見解をお尋ねしておきたい。
○国務大臣(有田喜一君) まだ私の手元にはそういう提案が来ておりません。私は特定の大学の特定の学部についてのみ修業年限を延長するということは、いま御指摘の学校教育法の五十五条の第一項の適用上からも疑問がある、また卒業要件としての単位数などは大学設置基準からいっても——単に法律問題だけじゃありません、その他学生経費の問題とか、奨学金の問題、父兄の負担の問題、いろいろありますが、もしも法学部を延ばす必要があるというならば、これは他の大学の法学部はどうなるか、これが同時に問題になってくるわけであります。これはしかし、東大だけの問題じゃなくて、京大、その他それと同様のものがずいぶんございますので、東大の法学部が非常に熱心に検討されたことはけっこうでございますが、東大から言ってくるからといってすぐそれを取り上げるということは私としてはいま考えていない。それはやはりもっと全体の問題として十分検討を遂げた上で善処したい、こういう考えでおるわけであります。詳しいことは事務当局から御説明いたします。
○説明員(清水成之君) ただいま大臣からお答え申し上げましたとおりでございますが、私ども東大の法学部長からのお話を直接承ったのでございます。その話によりますと、できれば来年の秋から実施をしたい。ただし、学校教育法のただし書きでいけるかどうかの問題が法学部自体としてはまだ未検討である。そういう問題も学部内でまだ検討したい。それから全学的に東大のほかの学部がどういう考え方をするか。あるいは他大学の法学部がどういう考え方をするか。そういう点も今後意見を伺ってさらに検討を続けたい、こういう話でございました。で、それらにつきまして、文部省それから大学当局、さらにまあ広くほかの大学も含めまして話し合いの場を持ってひとつ検討を続けさしもらいたい。こういう提案が局長のところに参りまして、局長もそういう方法でひとつ話し合いの場を検討しよう、こういう段階でございます。
○秋山長造君 前に中教審から大学教育のあり方について答申が出ましたね。ああいうもののその後の扱いは一体どうなっているのですか。あの答申は、現在の修業年限、大学の四年というものを一応前提として、その中身を少し多様化するとか、何とか変えていこうというようなことだったと思うんですがね。まあそれにしても、そういう答申の扱いが一体その後どういうことになっておるのか、文部省として、大学の問題、いまの法学部の問題なんかを含めて一体どういう方針でおられるのか。どうも大学の問題で、何かきわめて国の教育体系全体の中からいいましても、これは大きな比重を占める問題に違いないんですけれども、小中学校関係、あるいはもっと端的に言えば日教組対策というようなことがどうも表面に大きく出過ぎて、本来のこういう大学の問題なんかというものが、重要であるにもかかわらず、文部当局としてもそれほど重きを置いて取り組んでおられてないんじゃないかというような感じを受けるのですがね。そこへ東大の法学部のこれは新しい意見がぽこっと出てきたものですから非常に唐突な感じもせぬでもない。一体この点は、どうですか、文部当局としてどういうように考えておられますか。
○説明員(清水成之君) ただいま御指摘の、三十八年の中教審の答申につきまして、ある部分につきましては、たとえば入学試験制度の改正の問題、あるいは学生更生補導面におきます施設整備の問題、あるいは特別会計制度の問題につきましては実現を見ておるものもございまして、現に進めておる最中でございます。なお、あの中で、組織あるいは管理運営の面につきましては、先生御承知のように、法案がああいうことになりまして、国立大学協会その他の自主的な運営に待つということで、いま様子を見ておる段階でございます。なお、当面問題になっております東大法学部五年制の問題でございますが、確かに中教審の答申の中に、年限は原則として大学は四年とする。ただし場合によると五年することができるというようなことがございますが、なおあの中に、直ちに五年にするよりは、教育内容なり教育方法の改善でさしあたってやっていくべきではないか、こういう意見が出ておりまして、いわゆる多人数教育、新式の教育方法の改善等が逐次大学で実現をされておる段階でございます。なお、五年間の問題につきまして、あの答申にもございますように、大学の設置基準の検討の課題があの中に出ておるわけでございます。大学設置審議会の基準分科会でその点を検討されたのでございますが、最終的な結論には至りませんで、なおひとつ今後も検討をしていく、こういうことになっておりまして、私ども中教審答申の具体化につきましてほうっておるわけではございませんので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
○秋山長造君 さっきの大臣の御答弁では、学校教育法五十五条一項ただし書きというものは、いまの東大の場合には当てはまらないというような趣旨をおっしゃったと思うんですが、これは文部当局としてはそういうようにはっきり断定されておるわけですか、いかがでしょう。
○説明員(清水成之君) ただいま大臣のお答えしましたのは、五十五条一項のただし書きから見て疑義があるという表現を使ったのではないかと私承っておったのでございますが、私どもあの解釈につきましては、ただし書きでございますし、特定の専用分野で、きわめて限定的にこれまでも解釈をしてまいっておるのであります。現在のただし書きの適用をいたしておりますのが、商船大学の四年半というのが一つございます。そういう次第でございますので、断定をしておるというわけではございませんけれども、非常に疑義がある、こういうふうに考えております。
○秋山長造君 このただし書きを援用して、何かおやりになった事例というものはあるのですか、ないのですか。
○説明員(清水成之君) ただいまのところ、東京商船大学と、神戸商船大学の二つでございます。医学部、歯学部につきましては別の規定があるわけでございます。
○秋山長造君 そういたしますと、これはいまの審議官の御答弁によりますと、法学部の問題も、何も結論を断定的に言ったのじゃなくて、いわばいろいろあり方について検討をしておることの中間報告を文部省が受けておるという程度のお話のようですけれども、私どもが聞いておるのと多少そこに食い違いがあるので、どれがほんとうか、私は判断に苦しむのですが、いずれにしても、そうすると文部当局の今日の態度としてはどうなんですか。大臣のおっしゃるように、まあそういう問題があっても、いずれにしてもこれはもういますぐどうこうということにならぬ。将来の学制改革全般とにらみ合わせての問題だというような態度なんですか。それともこの問題はこの問題として、何らかその当事者と話し合いを早急につけて、そうしてひとつまあ来年なら来年までによき結論を出そうということなんですか。その点をもう一度ちょっともう少し明確にしておいていただきたい。そうしないと、やっぱり当事者も混乱するだろうし、世間も私は迷うと思うのですがね。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほどもるる説明しましたように、まだ、法学部で方向はそういう方向で検討しておるようですけれども、東大総長からはまだそういう話も何も来ていない。で、やっぱり東大そのものとして法学部をかくかくするという結論はまだ出ていないようでございます。しかし、先ほど言いましたように、私としてはひとり東大ばかりでなく、法学部で特別にそういうことを扱うならば、少なくとも全部の大学の法学部とは申さないにしましても、やはり東大に類するような法学部一つだけじゃなくて、法学部のあり方というものをどうすべきかということをもう少し掘り下げて、検討の上に立って措置しないと、東大が言うてくるからそれだけを相手に措置することは、この際慎重を欠くのじゃないか、こういうように考えておるわけです。
○秋山長造君 ちょっと念のために事務当局にお尋ねしておきますが、こういう問題の扱いというのはどういう順序なんですか、いまの法制のもとで。ちょっとその点を説明してください。こういう問題を扱っていくのはどういう順序で結論にいくのですか。
○説明員(清水成之君) ただいま大臣の御答弁の中にもございましたように、東大自体でこれを独自にきめて実施するというわけのものでもございませんので、いろいろまあ制度的な面、あるいは予算上の面も出てまいりますし、それからまた大学設置基準との関連も出てまいりますので、文部省のほうでお話を十分聞きまして、そうして、たとえば大学設置審議会の基準分科会、それからまた大学当局からも御要請ございますし、また、局長自身が承知しておりますように、ひとつ何らかの広い場を持って十分検討した上、結論を文部省として出していきたい、こういうまあ段取りになろうかと思うのでございます。
○秋山長造君 次の問題に移ります。先だって文部省で青少年の体育白書を出された。まあずいぶん膨大なものですから、私はもう大して目を通しておらぬのですが、ただこの中で私一つ気にかかることがあるのは、児童、生徒の近視が非常にふえつつあるということなんですがね。大臣、閣議でもよく御説明になったようですけれども、近視が非常にふえたということについて大臣は気におとめになったですか、どうですか。また、その点どういうようにお考えになっておるか、ちょっとお尋ねします。
○国務大臣(有田喜一君) 私はあの白書をざっと見まして、いまの近視の問題は非常に気にいたしておる。また、このことを閣議でも報告したのでございますが、近視の増加にはいろいろ原因があると思います。その一例をいいますと、第一、学校教育においては教室の採光とか、照明が適切でない面があるのじゃないか、あるいは児童、生徒の学習町における姿勢の問題がどうだろうかというようなことも原因の一つじゃなかろうか、あるいは机とか、腰かけというようなものが身体の発育に適合しておるかどうかというようなことも、まあ原因を探究しなくてはならぬ。また、近視についてのあとの処置が適切にいっておるかどうかというようなことも気をつけなきゃならぬ。また一方、家庭におきましても、読書のときの姿勢とか、あるいは照明、あるいはテレビの過度の視聴といいますか、いろいろ原因があると思うのですが、私はこの原因をもっと深く突き詰めて、近視の増加についての対策をやっていきたい。結局はその原因をつかんで、その原因をなくすることが一つの対策じゃないか。同時に学校病で一番近視が最近ふえておりますから、お医者さんなんかの配置によって予防の面も考えたい。これは予防の手引きというものをずいぶん発行しまして、文部省としましてはやっておるようでございますが、とにかく学校環境衛生上のことの解説も書いておるようでございますが、これを一そう徹底していく、ことに保健体育の面で一そう充実してまいりまして、この傾向を早く是正したい、こういう考えでおるわけであります。
○秋山長造君 学校病として、近視ばかりじゃありません。虫歯だとか、あるいは寄生虫だとか、トラホームだとか、いろいろ書いてあるけれども、私はほかの虫歯とか、寄生虫とか、結膜炎とか、トラホームとかいうものと、それから近視というのはだいぶ性質が違うと思う。それで、児童、生徒だけじゃありません、国民全体の体位の向上ということから考えても、近視の問題というものはこれは容易ならぬ問題じゃないかと、私は非常に気になっているわけなんです。私が気にしても、大臣か文部省が気にしてもらわなければこれは話にならぬと思うわけですが、統計数字は申し上げません。これに詳しく書いてありますが、二十四年に比べて今度の調査ではもう高等学校、中学校、小学校でそれぞれ三倍になっていますね。特に女子の近視が非常に加速度的にふえているというようなことも書いてある。それからまた近視になる年齢が、十年前には十二歳から急にふえておったが、今度は一年早くなって十一歳から急にふえているというようなことが数字になって出ている。まあ、これから調査をするとおっしゃるのですが、大体こういう調査というのは、もう前々から、ずいぶん調査資料、それから統計資料というものがいろいろな機会にいろいろなところから発表されて、新聞なんかでも始終出るわけですね。ところが、困ることは、これはただ調査結果の統計数字を発表されただけで、それに対して、じゃどうするのか。ただ、これを市町村の教育委員会にまかしておいて、お茶を濁す程度で済む問題じゃないと思うので、やっぱり国の文教の最高責任者として、一体全国的な規模をもってどうやっていくのかということがないと、なかなか地方の教育委員会にまかした程度では、善意でそれぞれやっておられるけれども、結局思いつきをやってみる、気休めをやってみるという程度で、大して実効は上がらないのじゃないか。それは学校だけの責任じゃありません。それはいまのテレビだの何だの家庭のこともあります。あるいは生活環境なんかの変動ということもありますけれども、しかし、端的には、やっぱりこれは文部大臣が先頭に立って、文部省が大いに骨を折ってもらわぬ限り、この青少年の近視の激増ということ、これはどうにもならぬです。まあ、近視と一口に言っても、子供の近視というものは仮性近視という段階で、早く気がついて、そうして適切な手当てをすればなおし得るという可能性の大きいもののようですが、そうなればなおさらのこと、目が悪ければめがねをかけたらいいじゃないかという程度のことでは、これはこの大勢というものをこれはいかんともしがたい、処置なしということはなるのじゃないかと思いますが、一体、この近視の予防ということについて何か文部省で通達だとか、そういうようなことでもきちっと出して筋道を立てて計画的に予防手段が講じられたことが今日までありますか。
○説明員(清水成之君) 近視の実態につきましては、ただいまお読みいただいて、秋山先生御指摘のとおりでございますが、その原因が何であるか、これは学者におきましても先天的なもの、後天的なものということで、先天的なものは別として、後天的なものは、いま大臣がおあげになりましたいろいろなことがあるということが予測されますが、一体、近視の原因は何であるかということにつきましては学者間で現在なお検討の段階にあると申したほうが正確のようでございます。したがって、文部省としまして、一般的に予測されます近視の予防につきましては、学校病の、いま申し上げてはたいへんおかしいことですが、学校病の予防の手引というものを前々からつくりまして、その一章といたしまして近視のいろいろな原因につきまして、いま申し上げたようなことをあげまして、したがって、学校環境街生にまでわたりまして一般の予防の対策についての指導はいたしておるわけでございます。ただ、最も大きな原因に、どの原因がどういう重さを持つかといったような確実なデータについては、学者間においてまだはっきりした結論はないようでございますので、一般的な予防の手引き、指導をいたしておる、こういうことでございます。しかし、たまたまこの白書を契機といたしまして、そういうことが出てまいりましたので、なお学会等にお願いしまして、その原因の何であるかについて、さらに詳細検討してもらうべく、私どもとして今後検討してまいりたい、こう思っております。
○秋山長造君 もちろん学問的に精密な議論をすれば、それは原因が突きとめられるまでは対策も出てこぬという理屈も成り立つかもしれぬけれども、しかし、それはそうじゃないと思います。それはたとえばいま問題のガンなんかにしても、ガンの病原体が何であるかということについては、ウイルス説があるとか何とか、いろいろ国内でも国際的にもまた学説は一致しておらぬ。だけれども、それが一本の学説になって出てくるまでは対策は立てなくていいというものではないので、一般的な予防というものは、どんどんやることは幾らでもあるわけだから、いわんや子供の近視がやたらにふえるということは、これはやはり重大なことだと私は思うのですよ。その点についての皆さんの御認識がどの程度なのか、私は実に重大問題だと思うのですがね。あなた方も重大問題だと思っておられるのだと思うけれども、まずその点の認識から。びっくりしてもらわなければいかぬと思うのです。これはなれっこになってしまって、それは目が悪ければめがねをかければいいじゃないかという気持ちが腹の底にあってもらっては困ると思うのです。おとなは、いまさらどうにもならぬからめがねをかけてやっておるけれども、これから育つ子供はなるべくなら近視でないほうがいいのですからね。また、国際的にも、めがねをかけてカメラを持っていたら日本人だという定評があることはあまり好ましいことじゃないですからね。だから何とか一般的な予防策でもいいと思うのです。ただ、ちょっと刷り物を出して統計を発表してお茶を濁す——お茶を濁すということはたいへん失礼だけれども、客観的にはその程度しかやっておられぬように思うのですがね。ひとつ大臣、先頭に立って、こういう問題について私は実は大臣にも大きく発言していただきたいと思うのですよ。発言して効果があるものじゃないかもしれぬけれども、私は効果がないとはいえぬと思う。やはりそういうことによって一国の文部大臣がやはり子供の近視の問題について非常な関心を持って、熱意を持って取り組もうとしているのだということになれば、それはいままで地方教育委員会なんかでばらばらにやっておったのより熱が一そう入ってくる、また家庭の親なんかもわが子の目というものに対してもっともっとやはりまとまった関心というものを持つようになってくる、私はその効果はばかにならぬと思うのですよ。だから、これだけの大部な白書ですけれども、何やかや羅列してありますから、問題もいいし、指摘されることもいいと思うが、だからといってそれを全部羅列して発表されただけではぴんとこないわけです。たとえば、この中で近視なら近視というものを大きく大臣が取り上げて、これに対する対策なり何なり所見を発言されるということが私はやはり一つの政治だと思うのです。そういう意味で、いま局長がおっしゃった程度の対策では私ははなはだ不満です。不十分だと思う。やはり相当、大臣が最初におっしゃったように、教室の採光だとか、黒板が横のほうから見ると光って見えるというようなことだとか、そういう照明、採光、机、腰かけの大きさ、あるいは子供の姿勢、家庭でのテレビなんかの問題だとかいろいろあります。だから、勢いやろうとすればきめこまかな問題になりますが、とにかくそういうことも含めて、何かひとつ、やはりこれだけもう十年来この傾向は年々激しくなってきておる問題ですからね、いまさら研究して原因を突きとめているようでは、これはその間にさらに今度はパーセンテージが上がっていくと思うのですよ。だから、これ何とかひとつここらで食いとめて、さらに仮性近視なんかも何とか矯正して、健全な目にあと戻しするようなところまでひとつ対策を立ててください。やはりこれはもうどこへ持っていくか、結局やはり文部省にやってもらうよりしかたがないと思うのです。これは一般の親としてもやはり結局たよるところは文部省に何とかやってもらいたいということに結論はなってくると思いますよ。それは県によっては学校と保健所なんか連絡し合って、何か目の検査なんかをひんぱんにやったり、仮性近視なんかについて何か対症療法を講じたりするようなところが局部的にはあるようですが、しかし、これはやはり何べんも言いますように、文部省が先頭に立って、計画的に大規模に国が積極的にやらなければ私は効果をあげにくい問題じゃないかと思いますので、特に文部大臣の御注意を声を大にして喚起しておきたい。ひとつぜひその具体的な対策を早急に大きく取り上げていただきたい。それに対するお考えをもう一ぺん聞いておきたい。
○国務大臣(有田喜一君) この問題は先ほど言いましたように、私自身も非常に重大視しまして、閣議でこの体育白書ができましたときにそのことをやかましく強調したのみならず、今月の十二日でしたか、前橋におきまして全国の学校保健医ですね、その他学校保健に関係する人々が三千人くらいだったと思いますが、たくさん集まりまして、そこにも私みずからが乗り出しまして、ちょうど土曜日でしたが、前橋でこういうことの必要性を説きまして、それの対策を講じてくれ、それにはもちろん何でしょう、いわゆる仮性近視ですか、それに対するあとのすみやかな措置というようなことも注意を喚起しておきましたのですが、そういうことで私もみずから乗り出してやっておりますが、一そうこれにつきまして努力をしまして、対策に対して万全を期していきたい、かように考えております。御了承を願います。
○鈴木力君 一つだけ関連でお伺いしたいのですが、この体育白書に、実は全部読んでいないので恐縮なんですけれども、赤石局長さんにお伺いしますが、あの白書の中で、体育の免許状を持っている教師と、持たない教師との比率と、その持たない教師がいるところの体力との関係が説明をされておったと思いますが、その辺ちょっと御説明をお願いしたいと思います。
○説明員(赤石清悦君) たいへんいろいろ御質問があるのでございますが、実はそこまで相関関係を調べたいという気持ちはございましたが、そこまで、免許状を持たない者の地域的なデータはございますが、それと体力テストの関係はちょっとこれでは間に合わなかったわけでございます。今後一つの課題にさせていただきたい、こう思っております。
○鈴木力君 これは体育だけの問題でないと思いますけれども、私はちょっと重要な問題でないかと思うのです。いまの中学校の教師の配置で、小規模学校には必らずしも免許状を持たない教師が持たない教科を担当をしておるのです。このことがいまのような制度が始まってから長年たっておって、まだ持たない教師がおる場合と持っていな教師がおる場合との相関関係が追及されているいということになると、私はもう少しその辺は追及してもらいたいと思います。これは体育だけの問題ではなくて、文部省全体として、私はこのいまの定数の配置の問題と教育の効果という問題から重要な問題だと思いますから、ひとつその相関関係は追及をしてみてもらいたいと思います。要望だけしておきます。
○秋山長造君 私の質問はもう一点で終わりますが、せんだって、十月の三十一日に発表されました中教審の後期中等教育のあり方についての答申の扱いについてです。これはその発表された当時、文部大臣の談話等も新聞その他で拝見をしましたし、大体いろんな立場の人の意見も一通り見ましたから、大体のことはわかっておるわけなんですが、その中教審の答申というものはそっくりそのまま文部大臣のお考えということにこれは受け取っていいのですか。あるいは文部大臣は、これはもう全面的にりっぱなものだということで受け取られたようですが、文部大臣がそういうことで受け取られたとすれば、その受け取られてから以後は、この中教審の答申が中教審の答申にあらずして、今度は文部大臣自身のお考えということになってくるように私は思うのです。これは今後、相当、この後期中等教育と一口には言いましても、内容は複雑多岐に及んでおるわけです。それからまた付属文書として出ております「期待される人間像」なんかというものが、またその文書自体としてもいろいろ論議はあるわけですが、こういうもののこの文部省の大臣としての受け取り方、それからまた今後これをどういうように扱っていくのかということについて、まず所見をお述べ願いたいと思います。
○国務大臣(有田喜一君) 先般の中教審の後期中等教育の整備拡充についての答申は、これは非常に重大な問題でありまして、文部省としましては、後期中等教育の整備拡充がわが国の当面する非常に大事な文教政策である、かように思いまして、その答申の趣旨に基づいて着々と実現に努力したいと、かように考えております。その後期中等教育のあり方については、今後、高等学校教育の改善とか、あるいは各種学校教育及び青少年に対する社会教育の充実、あるいは勤労青少年に対する教育の機会を十分与えるようにと、こういうようなことでありますが、これを着々これが実現につとめていきたいと、こういう考えでおります。 「期待される人間像」は、国家社会を形成する主体としての人間の理想像を示すものでありまして、これはあの答申にも書いてありますように、広く一般国民が人間のあり方をみずからの問題として考える場合、また、特に青少年の教育に携わる教育者、その他教育関係のものがその教育を進める場合に、これを十分参考とするようということでありまして、そういうような意味でこれが周知をはかっていきたい、かような考えで、そういう方向で着々と進めてまいりたい、こういう考えでおります。
○秋山長造君 ちょっとこまかい理屈をこねるようですけれども、これは重要なことだと思うから重ねてお尋ねするんですが、たとえば「期待される人間像」というものは、教育関係者、その他いろんな方面へ参考資料として配付されるというわけですが、その配付されるというのは、中教審から答申があった文書だというたてまえで配付されるんですか。それとも、受け取られて、しかもそれは是認されているわけでしょう、全面的に文部大臣はね。だから、今度配付される場合は文部大臣自身の資料として配付されるわけですか、そこらはどうなるんですか。
○説明員(斎藤正君) 中教審から御答申がございました答申そのものを、できるだけ教育に携わっている方が見る機会があったほうがいいということでございまして、とりあえず、いろいろな教育関係の資料として定期的に出ているものもございますから、それに中教審の答申の全容を載せ、「期待される人間像」についても中教審の述べてあるところをそのまま載せる。そして、皆さんがそれをごらんになって、そしてそれぞれの御参考にしていただく、そういう方法をとる考えでございます。
○秋山長造君 それはあくまで文部大臣の責任を持つ文書として載せるわけですね。
○説明員(西田亀久夫君) 文部省といたしましては、中教審自体が、いま大臣がお話のような趣旨で、これが活用されることを期待するというように答申を出されました。文部省としては、中教審が言われるように、そのような場面でこれが利用されることは確かに有益なものであろうと考えて、これを一般の人の目に触れるような措置を講ずるということでございまして、これ自体が、中教審もすべてのこういう問題を考える人が自分で考える材料にしてもらいたいということでございまして、これを文部大臣がいいものと認めた、悪いものと認めたというような何らかの権威づけをしてこれをどうこうするという性質のものじゃなかろうと思います。しかし、もちろんこれを一般に周知させるという点におきましては、そういった方々がお読みになればきわめて有益な参考資料であるということは文部省の判断としてあると思います。
○秋山長造君 わかったようなわからぬような御答弁ですけれども、そうすると、こういうふうに受け取ったらいいのですか。文部省からいろいろな雑誌なんか出ていますね。たとえば都道府県教育委員会月報ですか、何かああいう雑誌が出ておりますね。ああいうものに載せるわけですか。ああいうものに載せられて、そしてその「期待される人間像」は、他のいろいろな人の書いた論文とか随筆がああいう雑誌に載っていますね、そういうものと同じ扱いで載せるわけですね。そういうふうに受け取ったらいいのですか。
○説明員(西田亀久夫君) これは特定の個人が活用されて書かれたような論文それ自体はきわめて貴重なものもあると思いますが、この今回の答申は明らかに文部大臣が検討すべき課題として「期待される人間像」について諮問をいたしまして、そして文部省のこのような中央教育審議会という機関が長期間の審議を経て出されました一つの文書でございますので、文部省としてはこれがそのような意味において十分一般の人が活用されるということを積極的にやることは意味のあることだと、こういう考え方でございます。したがって、これを読まれる方々がどのような価値評価をされるかということは自由でございますが、文部省といたしましては、単に特定の雑誌にある人の論文を掲載するといったものよりは一歩違った意味を持とうかと考えております。
○秋山長造君 この答申の内容についてですが、たとえば高等学校教育の多様化ということが非常に大きな比重を占めているようですね。これはいま中教審の答申で初めて言われることじゃないので、すでに文部省自身も中教審の答申が出る前に、すでに理科教育及び産業教育審議会ですか、何かそこらに職業教育の多様化についての諮問をしておられるわけですが、あの諮問はこの中教審の答申の内容というものを先取りをして、そして早目に諮問をされたということだろうと思うのですが、そのとおりですか。
○説明員(斎藤正君) 中教審の答申は方向をおっしゃっておりまして、具体策というものは、これは文部省当局にゆだねるという態度をとっておられますことは、この答申自体の文章もそうでございますし、また、審議の過程におきましても、特別委員会の主査の方から何回か言われたことでございます。この方向というものにつきましては、正式答申前に、制度論につきましてはおおむねもう改変がないということがきわめてはっきりしておりましたので、この答申の内容を具体化する一つの方向といたしまして、理科教育及び産業教育審議会にこの多様化の一つの面、内容的な面、それを学科の構成のしかたという観点から諮問し、そしてこの審議会におきましては逐次具体策を出していただきまして、それを元にいたしまして文部省としては作業し、高等学校を設置します府県、あるいは私立学校でありますれば私学の法人に対して参考に供していく、また、そういうものに即して改善、転換が行なわれます場合には、これを助成をしていく、こういう態度をとっているわけでございます。
○秋山長造君 この答申を全部読んでみますと、この中に大体眼目が三つぐらいあると思われる。これは答申の中にも書いてありますが、同時に、この文部広報に発表されております森戸会長の御発言の中にも、まず第一として、「十五歳から十八歳までの青少年に対し、役務教育修了後三カ年にわたって、学校教育・社会教育その他の教育訓練を通じて、組織的な教育の機会を提供する。」、将来は高等学校の義務制化の可能性を検討すると、こういうことが一つですね。それからもう一つは、今度は教育の内容についてで、いま私が質問をし、また局長が答弁をされましたような、いわゆる職業教育の多様化というような問題が第二ですね。それから第三は、「すべての教育を通じて、人間形成上必要な普通教育を尊重し、個人・家庭人・社会人および国民としての深い自党と社会的知性」云々と、こう大体三つになっておるんですが、いまの職業教育の多様化ということに非常に重点が事実上おかれておる、あるいはそういうように文部省自身が受け取っておられるからでもあるんでしょうが、どうも職業教育の多様化ということは、それはもちろんそれ自体としてはけっこうです。それはけっこうですが、しかし、それだけなら何もわざわざ中教審で三年も四年もかけて検討してもらわぬでも、これはそれぞれの学校にまかしておいても、大体工業学校に電子工学とか、自動車工学、あるいはデザインだとか、室内工芸だとかいうものはそれぞれ設けたいと思っているし、また設けていくでしょうし、商業高校に貿易科だとか、金融科だとかいうようなものを設ける、あるいは農業高校にいろんな陶芸だとか何とかいう科目を設ける、あるいは女のほうで理容科だとか、美容科だとか、あるいは調理科だとかを設けるというようなことは、これはもう特に中教審で研究せぬでも、これはもう時代の要請というか、そういうことから自然そういうものは設けられていくだろうと思うんですが、にもかかわらず、そういうことにまたあらためて重点がかかって、そしてそのための短期高校、いままでのいわゆる六三制という筋からいうとちょっとはずれるわけですけれども、一年半か二年の短期高校をそのために設けようということで、それに重点がどうもかかっておる感じで、第三の、だがすべての教育を通じて普通教育というものを尊重するんだということとちょっと看板と中身が食い違っておるような、しっくりしないという感じを受けるわけです。おそらくこの多様化というのは、何も職業高校の多様化ということだけ言っているわけじゃないと思うんです。それは普通教育についても多様化ということをこの答申は言っておられるんじゃないかと思いますけれども、しかし、現実に文部省の受け取り方、あるいは文部省が現実にすでにこうやって諮問なんかやっておられる内容を見ると、どうも職業高校の多様化ということで普通高校の教育の教育内容というものについて、多様化とは何ぞやというようなことは、ちょっと当分お預けというようなことに受け取っておられるんじゃないかというような感じがするんですがね。その普通高校の多様化、普通教育の多様化というのはどういうことを具体的にやろうとしておるのですか。
○説明員(斎藤正君) お答えいたします。前に、先生おっしゃったように、個々の学校なり、個々の府県ごとを見ますならば、多様化という名前で呼ばれませんことでも、実際は多様化の道を過去十年間、高等学校が踏んできて、その傾向があるということは事実でございます。ただ、中教審の答申の第一に、高等学校に関連する部分でありますのは、この高等学校教育全体を見ました場合に、はたして現在の姿というものが、それぞれの青少年にとってここまで進学率が増大したときに、はたして生徒の適性、能力、将来の進路に対応するように展開されておるかどうかという課題を投げかけられておるのであります。そこで、今回、理科教育及び産業教育審議会に諮問したことは、この答申を受けて、全部だとは申していないのです。その一つの部分、そして一番先に手がける部分ということで申したのでございます。私どもはこの多様化を考えます場合に、一つの方向として先生が言われましたように、現在の普通科というものをそのままにしておいて、その普通科をいろいろな色どりをつける、コースをつける、これも一つの方法かもしれません。しかし、このことを先にやりますことは、非常に現実の学校管理を考えた場合に、また過去の教育課程のいろいろな類型とか、コースの実績を見ました場合に、そこにほとんど主力を求めることがはたして高等学校教育全体の多様化のために適切な措置であるかどうかということにつきましては、現実の見通しとして若干問題がございます。そこで、私どもとしましては、これはただいま職業教育を主にし、また大部分のものはそこまで進学率がのぼりますと、職業教育に関する学科というものがもっと多様に展開される必要もあろうかと思います。また今回諮問した中にも、一つ、いわば普通教育の普通科の多様化の一部分とも申すべき、いわゆる理数系の学科の成立の可能性ということも実は諮問しておるのであります。そこで、そのほかあるいは従来部分的にございました芸術とか、体育とかいろいろな分野、非職業的な分野につきましても、専門学科の成立ということにつきまして検討してまいりまして、そしてその結果そういうものが置かれましたあとにおきましても、なお普通科というもの自体の、カリキュラム自体をどう変えるかという問題もまた一つございます。で、その問題は頭の中にないということではございませんので、まずこの問題を実際に即して多様化をはかる方法として第一段に理産審に諮問したような方法をとったのでございます。それからなお、他の機関に諮問するまでもなく、勤労青少年の実態に合わせるように定時制、通信制等々を置き、この学校の設置というようなものは、むしろ行政的あるいは財政的な努力によってできますものでございますから、これはまた別に他の機関に諮問することなく進めていきたいというふうに考えるわけでございます。普通教育全般の答申の趣旨につきましては、これは高等学校のみならず、各種学校あるいは社会教育その他の教育訓練機関を通じまして、やはりどんな技能に重点を置く教育機関にいたしましても、こういう年齢の青少年を扱うわけでございますから、普通教育をよく考えなければならぬ、これが答申の趣旨であろうと、かように考えておる次第であります。
○秋山長造君 この答申には当然今日まである高校設置基準というようなものにどっかで触れられてしかるべきだろうと思って読んでみましたんですが、高校設置基準なんかとは全然関係なしにこれは出ているようですがね。こういうように、後期中等教育、高校段階の教育内容についていろいろと問題が出されておってですね、高校設置基準なんかというものは一体今後どうなっていくのか、どういう位置づけを与えられるのか。いつだったかその問題についてお尋ねしたときに、大臣でしたか、局長でしたか、高校設置基準というものはあくまで堅持していくんだというようなお話が——前の大臣のときでしたかね——ありましたね。今度こういう答申が出てきて、高校設置基準というものが一体どうなるのか、また、どう扱われるのかということが一つと、それから、十八歳までの就学義務化の可能性を検討するということが出ている。要するに、高校義務制化といいますかね、これは大きな学制の改革問題になりますが、この点についての大臣の御所見、この二つお聞きして、私の質問を、まだあと鈴木君、小野君控えておられるわけだから、打ち切りたいと思います。
○説明員(斎藤正君) 第一点の設置基準の関係でございますが、中教審は触れておりませんけれども、先ほど申しましたように、中教審は高等学校教育の改善につきまして基本的な方向を出し、具体化は文部省にゆだねられたわけでございますから、先ほど申しましたように、私ども多様化を促進いたしますと、設置基準について、あるいはその他の省令についても改変を加えるということが必要になってくると思います。現在の設置基準では、ごく少数の典型的なものだけを例にあげておりまして、その他は白紙で委任しているような関係になっておりますが、そういう点を今度いろいろな専門学科というものを各県に対して奨励をするという段階になりますれば、もう少し詳細にそこのところを書くかどうかという問題、それから、それに伴いまして各種の設備の問題、定員の問題等、どういう種類のものはどういうふうに系統づけるかということは行政的に検討してまいらなければならぬと、かように存じております。 もう一つ、中教審は義務化の問題について検討を示唆しておられますが、これは高等学校ということではなくて、今回、後期中等教育のあり方というものは、高等学校、各種学校、あるいはその他の教育訓練機関、そういうものを通じて十八歳までの青少年が何らかの意味で教育的な処遇を受けるという考え方をとっておるわけでございまして、答申自体も高等学校の義務化ということで申しておるわけではございません。で、文部省といたしましては、この各様の複合された教育機関というものを充実し、展開をしていって、将来、全部の人たちがそういうものにつけるという努力をまずするということを先にいたしたいと思います。もちろん、その中で高等学校就学の比率というものがだんだん増していって、四、五年先には全国平均八〇%をこえるだろうという予測をもって高等学校自体についても対処していきたいと、かように考えております。
○秋山長造君 十八歳までの就学の義務化の問題ですが、これについては大臣の新聞発言なんかによりましても、やはり学制改革全般の問題の一部として研究したいというように御発言になっておったと思うのですけれども、十八歳までの義務化の問題ということをも含めて後期中等教育の何らかの改革といいますか、改善といいますか、そういう問題もあり、また、さっきの大学の就学年限の問題もあり、また一方では、きょうも幼稚園の九十周年の記念式典がありましたが、幼稚園というものを義務化すべきではないか、あるいはそうでないのかというような問題、それから義務教育の就学年限の繰り上げの問題だとか、あるいはさらに、いまの六三三制というものをもう一ぺんとういうように——たとえば一部に出ておるように四四五というようなことにすべきであるのかどうかというような問題、いずれにしても、そういう問題に手をつけざるを得ぬようないろいろな前提条件もどんどん出そろいつつあるわけですね。一体、大臣はこの学制改革の問題というものを、いつ、どういう形でお取り上げになるのかということを最後にお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(有田喜一君) 学制改革は非常に重大な問題であります。したがいまして、私は慎重を期してやりたいと思うのですが、ともかく戦後の教育の功罪を今日明らかにいたしますれば、問題点は相当あると思うのです。いま御指摘の点だけでも相当の課題であります。そういうような問題点を伺いまして、私といたしましては、ここで幼稚園教育をこうするというようなことを初めからきめてかからずに、白紙の立場でまず中教審に諮問いたしまして、それぞれ深く掘り下げて検討していきたい、で、最後に総合的の結論を得たいと、かように考えておりまして、なるべく早くやりたいと考えておるのですが。
○秋山長造君 いつごろになりますか。
○国務大臣(有田喜一君) いま、ちょうど問題点を示唆しておる最中でございまして、いま、いつ、何日からということはそれほど具体的に考えておりませんが、いずれにしましても近く中教審にそういう問題点を諮問して検討させたいと、かように考えております。
○秋山長造君 では、中教審は、この後期中等教育の答申を出して、一応いままでの諮問に対しては全部答申は済んだわけですね。そこで、次の諮問事項ありとすれば、この学制改革の問題、こういうように受け取っていいですか、年内ぐらいにその諮問をおやりになりますか。
○国務大臣(有田喜一君) この次の中教審には、この学制改革の問題を取り上げていただきたいと、かように思っております。年内というふうにきちっと切られますと困りますが、できるだけ早い機会にそういう段取りで進めたいと、かように考えます。
○秋山長造君 この後期中等教育の答申につきましては、いまざっと扱い方についてお尋ねしたのですけれども、特に期待される人間像なんかについては、この内容の論議というものは、またあらためて別な機会にやらしていただきたいと思っております。きょうはこれで私の質問を終わります。
○小野明君 先ほど「期待される人間像」の問題が出ましたときに関連でお尋ねをしてみようかと思っておったのですが、最近、私も文教委員会に出てまいりまして、「期待される人間像」で、国民の一人として、お説教をいただいたように感じます。で、先ほどの大臣の秋山委員の質問に対しての御意見の中にも、教員は尊敬される地位になければならぬ。こういうお話がありました。私もまともに受けとめたつもりであります。それで、この「期待される人間像」というのが非常に教育について大きな意味を持っておるということもよくわかるわけであります。最近のいろいろな政界の問題などを考えてみますときに、どうも「期待される人間像」に書いてある今後の国家、社会における人間像はいかにあるべきか、こういう課題で書かれたのです。個人として、家庭人として、社会人として、あるいは国民としてと、こう書いてある。どうも一項抜けておるような気がしてならぬ。大臣や政治家というのは一体どうなければならぬか、こういうふうに、大臣や政治家というのは期待される人間像の中に入らぬのかどうか、皮肉でなくて、率直にひとつお伺いをしてみたいと思います。
○国務大臣(有田喜一君) 先ほども説明がありましたように、われわれもお互いに国民の一人であります。国民といたしましては、これをみずから検討をされて、自分がこれはよろしいと思うことは大いに啓発してやるべきだと、かように思うのです。これは別に押しつけたものではありません。しかし、われわれがみずから進んで、これはとるべきものはそれぞれとっていってしかるべきものだ、かように考えております。
○小野明君 みずから顧みてということわざもありますが、この前から上林山長官や、松野農林大臣、それから荒舩さんはすでにおやめになりましたが、総理のこの二千万円献金の問題いろいろ委員会に出ておりまして、私も有田文部大臣がやり玉に上がっていないので喜んでおったわけなんです。ところが先般の委員会で、はしなくも大臣の秘書官問題が出てまいりました。私はきょうの委員会の冒頭に、それ以後の、参議院文教委員会でありますから、何らかの御所信の表明というようなものがあってしかるべきではないか。また、「期待される人間像」をお出しになった直後でもありますから、まずこの点を期待しておったんでありますけれども、それに対するお話が何らありません。この問題について、一体、大臣はどのような御所信で、今後どういうふうに文教行政の責任者といたしまして処置をされるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(有田喜一君) 私の秘書官問題でございますが、これは、実は去る昭和三十五年の秋の総選挙、そのときに、この間まで秘書官をやっておりました藤原三郎君が選挙違反にかかったことは事実でございます。それが公判がおくれまして、昨年の、これも九月だったと思いますが、公判があり、その結果が一年の体刑、三年の執行猶予という結果になった。まことにこの点は遺憾千万でございます。しかし、その後の藤原君の行動を見ておりますと、非常に深く反省いたしまして、改悛の情顕著なるものがありました。また、その後、選挙が三十八年でございましたか、その後も総選挙がありました。その総選挙の際にも何ら非を打たれることがなくて、彼のその後の平素の行動からみまして、実に真剣に、まじめにやってくれておりました。おつき合い願った人は、たいがい彼の人となりを見て、再び非違を犯すようなことは絶対にないと、こう申しても過言でないと、私も彼を十数年国会議員の秘書として使っておったのですが、非常にりっぱな人間だと、したがいまして、私の文部大臣秘書官にしましたときも、そういう過去の事実は知っておりましたけれども、特別職でもありますし、そういうような気持ちから、彼を秘書官に推薦したのであります。私としましては、彼の人となりからみまして、誤ったことはあったことは事実でございますが、一ぺん誤った行動を犯したからといって、それをいつまでもほっておくわけにはいかない。やはり改悛の情が明らかであって、そうして、りっぱにやっていける。こういう見通しがつくなれば、これを起用してさしつかえないものだと、かように思って秘書官にしたわけでございます。しかし、政治の姿勢を一そう正すという意味におきまして、また、彼自身もみずから辞表を出してきましたので、情においては実に忍びなかったのでございますが、政治姿勢を正すという意味におきまして彼の辞表を取り上げまして、現在は秘書官をやめておるわけであります。私も今日からみれば、そういう考え方をして、こうして問題になったということは、不明のいたすところだとは思っておりますけれども、一度あやまちを犯した者を、改悛の情が明らかであって、それを起用するということは、これは人間としては、一たんあやまちを犯したら最後まで使えないというようなことにすることは、かえって人間そのものを殺すことになる、生かすゆえんじゃないと、かような気持ちもいたしておるのです。しかし、ともかく問題になった点でありますので、姿勢を正す意味において、彼にやめてもらったことも事実でありまして、私はそういうようなことにおきまして、実に情において忍びません。けれども、姿勢を正す、そういう意味においてさような措置をとったわけであります。今日からいえば、まことに遺憾なことであります。かように考えておる次第であります。
○小野明君 実は委員会の冒頭にそういうお話があってしかるべきではなかったかと思うのですね。それで、これ以上、私も触れたくないのでありますけれども、なるほど改悛の情顕著であれば採用する。こういうこともいいでしょう。しかし、これが公の場になったからやめさせる、ならなければそのままいこうかと、こういう性根であったのではどうにもならぬので、この点はどうですか。公にならなければ、そのままお使いになるつもりでしたか、どうですか。
○国務大臣(有田喜一君) 私は、彼を起用した私の考え方は先ほど申したようなことでありますが、これが法律に触れるとか何とかいうようなことになれば、もちろんそんなことはしなかったわけですけれども、彼の行状、ことに平素の行状、あるいは彼の行動からみまして、さようなことにならない、大丈夫だという気持ちで採用したんです。しかし、いまおっしゃるように、一度そういう罪を犯したことは間違いない事実である、そういう者はけしからぬ、そういう声が出てきたからには、なるほどそういうことが問題になるなら、政治の姿勢を正す、こういう意味からそうしたのでありまして、今日からいえば、そういう事態を起こしたことはまことに私の不明のいたすところではないか、かように考えておるわけであります。
○小野明君 それでは最後に、これは大臣にお尋ねするのは適当でないと思うのですが、むしろ総理に尋ねるべきことかもしれません。しかし、大臣の同僚であります上林山長官や、あるいは松野農林大臣、荒舩さん、いろいろと国民の不信を招く一連の事件が起こっておるわけですね。これは大臣の同僚ですね。そういうことから考え、あるいは「期待される人間像」で広く国民の守るべき規範をお示しになった、こういうことから考えてみますと、いま国民から指弾を受け、あるいは政治不信を起こしておる原因になっておるようなこの事件について、どのような御所信、御所見をお持ちであるか、お尋ねをしてみたいと思います。
○国務大臣(有田喜一君) 私はまあ同僚のことをとやかく言いたくはございませんが、ともかくこの際大いに粛正して、そうして政界の浄化刷新をやるべきときじゃないかと、かような見解を持っております。
○小野明君 終わります。
○鈴木力君 ちょっと関連していまの問題ですが、一つだけ伺いたい。これは大臣を責めるという立場で伺うのじゃないのですが、いまの大臣の秘書官問題は世間ではいろいろ伝えられておりますから、やはり大臣の立場をはっきりすることが、同じここで、文教でつき合う者としてもぜひやってもらいたいような気持がありますから、そういう意味でちょっと関連してもう少し伺いたい。いま大臣がおっしゃったのですが、本人が改悛の情がはっきりしているからこれを採用することは差しつかえない、この基本的な考え方は国民はだれも支持すると思います。納得すると思います。つまり一度誤りを犯した者が永久に何かやっちゃいかぬ、永久に悪人だというレッテルを張るべきではない、これは憲法の趣旨だと思いますが、ただし、法に触れるならばともかくも、法に触れなければいいじゃないかという意味のことを、どこかで大臣は発言されたような記憶があります。いまもそういう話がありました。私どもが伝え聞いておるところでは、藤原さんという秘書の方が一年間の実刑、それから三年間の執行猶予がついておる。現在執行猶予中であって、いわば刑がまだ終わっていない、こう見るのが国民の見方だ。私もそう思います。その刑の執行中の者を秘書官として公務員に採用した。まあ特別職ですから法律には抵触しない。私は法律問答をするつもりはありません。いまは道義的な立場から伺いたい。そうすると、法に触れないから差しつかえないという言い方は、まあ特別職だからいいということであるいは成立するかもしれない。しかし、刑の執行中の人が公務員になるということは、どうもやはり国民には割り切れないという気持ちがあると思います。この辺について大臣の心境をはっきり言ってもらったほうが、大臣のためにもさっぱりしていいのじゃないか。もう一つ、国民の間でいろいろ言っておる、新聞記事なんかにも出ておるもやもやしたものが一つある。それは大臣の選挙違反です。お互いに選挙やるものですから気持ちはよくわかりますけれども、しかし、前の選挙は何もなかった、非常にめでたい、御同慶の至りです。その前の選挙の藤原さんが選挙違反をやったときには、伝え聞くところによると、相当珍しいくらいの大量の被疑者が出た、そうして大量の起許された人が出た、そういう選挙を経て大臣が当選をしてきておる、こういうことが何か今日の大臣の評価にまでつながっているような気がいたしますから、これじゃやっぱりわれわれの信頼する文教でおつき合いを願う人間としてはどうも気持ちがよくないので、この辺に対する大臣の心境もはっきり言ってもらいたい。
○国務大臣(有田喜一君) これは先ほども言いましたように三十五年の総選挙のときです。多数の被疑者が出たり、また違反にかかった人があったことはまことに遺憾です。しかし、実は私は選挙演説とかそういうことばかりやっておりまして、私の関知したところではございませんでしたけれども、しかし、私の運動員がそういう事実を起こしたことはまことに遺憾と考えております。しかし、その後の選挙で一つの洗礼を受けてきたのでありまして、これは何ら問題を起こさずに出たということでありまして、私がこの前の選挙でこういうことをやっておるというなれば、これは一そう責任を感じますけれども、違反をやったそのあとで一つの洗礼を受けておるのでありますから、先ほども言いますように、過去に運動員が違反を起こしたということをもう一回反省して、そういう事実が起こっていないという洗礼を受けた以上は、ひとつ昔のあやまちは許してもらうべきじゃなかろうか、私は藤原秘書官を採用したときに、特別職でもあるし、法律にひっかかることもなかったからということを申しましたけれども、私は何も法律に違反していないからよろしいんだというようなことは言っていない。しかし、私が彼を最初に起用したときの動機は、非常に彼が改悛の情が厚いし平素の行状がいい、それで法律にも抵触しなかったから起用した、こういう動機を言っておるんです。今日は先ほども言いましたように、不明のいたすところということを申しておるのです。そういう気持ちはひとつお汲み取りを願いたい、かように思います。
○鈴木力君 警察庁の方、来ておると思いますが、警察庁の方にお伺いいたします。第一にお伺いすることは、憲法の二十八条に国民としての労働基本権に関することがありますね。これが公務員とどういう関係があるのか、警察庁の見解をまず承りたいと思います。
○説明員(後藤信義君) 憲法第二十八条のいわゆる労働基本権は、一般の勤労者に対する労働基本権の保障の法律でございますが、これは公務員である職員につきましても同様に適用があるものと考えております。
○鈴木力君 しかし、いまの公務員にはいろいろと争議権なり労働権なりというのが制納を受けておる。われわれの解釈からすると、いまの課長さんの御答弁のように公務員にも適用するという趣旨であるが、しかし、公務員は特別な立場もあるから、ある程度の制約を受けておる、その制約を受けておるのは、時間がないから簡単に伺いますが、ある一つの代償機関があって制約を受けておる、こういうふうに一般的には解釈するべきであると思いますけれども、この点はどうなんですか。
○説明員(後藤信義君) 公務員が憲法第二十八条の労働基本権によりましてその労働基本権が保障されておりますことは、私先ほど申し上げたとおりでありますが、この労働基本権を公務員についてこれを制約する場合に、これに対する代償措置というものが要るものかどうか、これはかなりいろいろ問題があるようでございます。ただ、公務員につきましては、憲法の中に、公務員は全体の奉仕者である、こういうこともございますので、この条文とのかみ合わせ上、どういうような程度にまで国民全体の奉仕者たる立場から労働基本権が制約されるものか、これはまあいろいろ議論があることだろうと思いますが、先般、十月の二十六日に最高裁判所の大法廷で出ました判決によりますと、その中では、やはり公務員につきまして労働基本権を制約するためには、他面これに対する代償措置がとられてしかるべきものである、こういうようなことでございますので、こういう考え方が支配的な考え方であると考えております。
○鈴木力君 そこで課長さんにお伺いしたいのですが、大体いまの課長さんの答弁は、中郵事件に対する最高裁の判決が公務員にもそのまま適用するかどうかは別として、公務員も一つの対象になる、そういう趣旨でお認めになられておると思いますが、その前提に立ってお伺いいたします。十月の二十一日に、国家公務員、地方公務員合わせた公務員共闘が賃金闘争をやった。人事院勧告を勧告どおりやれと、それに加えて地方公務員のほうは、地方公務員の昇給財源を国が責主を持って、こういう二つの要求をかかげて闘争をやったことは御存じだと思う。これに対して、警察が来たから言いますと、岩手県、それから東京都、福岡県、佐賀県、それに日教組の本部に対して捜査を行なっておるわけですね。そういたしますと、大体、中郵事件に対する最高裁の判決を前提として認められておって、しかも刑事的な捜査をやられた、この意図はどういうところにあったのか、ひとつ伺いたい。
○説明員(後藤信義君) いま先生いろいろお話になりましたが、今回のいわゆる日教組の半日休暇闘争というのは、その掲げております闘争と申しますか、それの目標には、なるほど先生おっしゃいましたように、公務員の賃金の引き上げということがその中に出ておるのでございますけれども、そういう目的を持っておるから、それで直ちにあらゆる行為が正当化されるというものではございませんわけで、私どもは当日とられましたもろもろの争議戦術の中に、地方公務員法違反の容疑事実があり、それが地方公務員法第六十一条に該当する犯罪を構成する、こういうことで捜査をいたしておるわけでございます。
○鈴木力君 その立場は大体わかります。まああとで議論があるところですけれども、まず伺うことを伺います。それでは、実際に闘争に参加した県が相当数あるのに、四県だけを捜査の対象にしたという理由はどういうことなんですか。
○説明員(後藤信義君) 先生いまおっしゃいましたのは、四都県ということでございますけれども、私ども捜査をただいまやっておりますのは四都県に限りませんで、先生おっしゃいましたように、相当多数の府県が参加しておりますので、それらにつきましてはそれぞれ捜査を進めておるわけでございます。ただ、裁判官の発します捜索令状によりまして捜索いたしましたのは、先生先ほどおっしゃいましたように四都県だけでございますけれども、捜索はいたしませんでも、それ以外の方法によりましてそれぞれほかの県でも捜査を進めておるわけでございます。
○鈴木力君 私の聞いているのは、四県の家宅捜索その他の捜索をやった理由を聞いているわけです。
○説明員(後藤信義君) これは先ほど申し上げましたように、地方公務員法第六十一条違反の容疑がございましたので、これに触れます犯罪の容疑がございましたので、これらを立証に必要な証拠資料を収集するという必要がありまして捜査、捜索をやっているわけでございます。
○鈴木力君 ぼくが聞いているのは、同じ闘争に参加して同じ法律が適用になるわけでしょう。その場合に、ある県は強行家宅捜索を行ない、ある県は捜査しているだけで、家宅捜査は行なわない。その差はどうしてつけておるのかということを聞いているわけです。
○説明員(後藤信義君) これは捜査のやり方でございますので一々同じようにというわけにはまいらないと思いますが、一般的に申しますれば押収、捜索をする必要があり、かつまたそれに必要とされる、それの前提として要求される疎明資料が整うことができた都県はこれだけのものである、こういうことであろうと思います。
○鈴木力君 その他の県についてはそういう資料を得る必要がなかったわけですか。
○説明員(後藤信義君) それはどうも捜査の内容になりますので、はなはだぐあいが悪いわけでございますけれども、資料としては、全国的に行なわれました今回の争議行為でございますから、できるだけ多数のこれらの資料を得たいとはわれわれは考えているわけでございますけれども、疎明資料その他の関係でそれらにしぼられた、こういうことでございます。
○鈴木力君 ぼくはまじめに答えてもらいたい。必要があるからやったということはいま聞く必要はない、私のほうは。必要がないことをやったという答弁が出るわけはないでしょう。必要があると思ったその理由を聞きたいということを言っているわけです。捜査の内容については聞いておらない。いまのところ、なぜそういう捜査の方法をとったかということを聞いている。同じ法律に基づいて同じ闘争に参加した府県を捜査するのに、捜査のしかたが四県に限って違ったということは理由があると思うのです。
○説明員(後藤信義君) どうも御質問の趣旨がよくわからないのでございますけれども、その地方公務員法第六十一条は、申すまでもなくこれは争議行為に参加した人々全部が犯罪を構成するのではなくて、これらの行為の遂行を共謀したり、あおったり、そそのかしたり、あるいはこれらの行為を企てた者がそれぞれの罰則に触れる、それぞれの刑罰を受ける、こういうことになっているわけでございますので、争議行為に参加したという事実はきわめて明瞭な事実でございますけれども、その背後にあってこれらの犯罪を構成いたします共謀したり、あおったり、そそのかしたり、あるいはこれらの行為を企てたという、そういう状況、そういう事実を立証しなければなりませんので、これらに関する資料を収集する必要があるわけでございます。
○鈴木力君 そのことを聞いているのではないと言っているのです、ぼくは。他の県については、そうすると四県以外の県については、あおり、そそのかしたという事実がない。そういう判定のもとに四県だけにそういう容疑がある。そこで四県だけに限ってああいう捜査をしたと、こういうことになったわけですか、それならそれではっきりわかるのです。
○説明員(後藤信義君) 四都県に限って犯罪を構成していると私どもは考えておりません。それ以外の多数の参加いたしました県につきましても同様であると考えております。
○鈴木力君 だから同様であるのに捜査の方法が違っておるでしょう、その違っておる捜査の方法をとらなければならなかった理由が何か、それを聞いておるんですよ。
○説明員(後藤信義君) どうも先生のおっしゃるのがよくわからぬのでありますけれども、捜査にはいろいろなやり方があるわけでありまして、捜索する必要があるところは捜索するし、捜索する必要がないと思うところは捜索しないし、ないし捜索してもむだであるというようなときにはもちろんしないわけであります。
○鈴木力君 これではぼくは質問をやめます。きょう警察庁長官にきてもらうことをお願いしたのに、代理に課長が来たわけです。それでいまの答弁は何です。なぜ調査の必要がこちらにあって、こちらに調査の必要がないのかということを聞いているわけです。ところがこちらが必要があったからしたし、ないからしない、そんなふまじめな答弁をされるのではたまらぬです。質問はやめます。あとで警察庁長官に責任ある答弁をしてもらわなくちゃいかぬ。
○理事(北畠教真君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(北畠教真君) 速記を始めて。 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十一分散会 —————・—————