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52回国会参議院1966/08/30

文教委員会 閉会後第1号

発言数
135
登壇者
14
会派数
3
開催日
1966/08/30

会議録

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員の異動について報告いたします。去る八月二十七日、安井謙君が委員を辞任され、その補欠として中村喜四郎君が選任されました。     —————————————

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 谷川文部政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。谷川文部政務次官。

谷川和穗自由民主党文部政務次官

○説明員(谷川和穗君) 去る八月二日をもちまして文部政務次官に就任をいたしました。もちろん、不敏の身でございますので、特に参議院文教委員会の諸先生方の御叱声と御鞭撻をお願い申し上げたいと存じます。よろしくお願いをいたします。(拍手)     —————————————

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 教育、文化及び学術に関する調査中、教職員の給与等に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より佐藤人事院総裁、瀧本人事院事務局給与局長が出席をいたしております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 先般、人事院勧告が例年の例で行なわれたわけでありますが、そのこまかい内容的なことは一応さておいて、この人事院勧告の実施の時期、その他人事院勧告の実施をめぐるいろいろな問題についてお尋ねをしたいと思います。従来、私どもいつも不可解かつ苦々しく思ってきたのですが、この人事院勧告という制度があって、そしてその制度のできた事情、経緯等についてはもういまさら繰り返す必要がないわけでございますが、とにかく、その法律的な権威を与えられた人事院勧告が行なわれながら、いまだかつてこれが忠実に実行されたことはただの一回もなく、大体十月実施とか、最近は九月実施というようなことで、いずれにしても、そういう人事院勧告というものは勧告どおりやらぬのがあたりまえ、常識ということになってしまっておることは御承知のとおりであります。本年の人事院勧告につきましても、いよいよいつから実施するのかということはまだ確定はしておらぬようでありますけれども、しかし、九月とか十月とかいうようなことがもう当然の見通しであるかのごとく伝えられておることははなはだ遺憾だと思います。われわれが遺憾なばかりでなしに、この勧告の当事者である人事院総裁としても、これはまことに遺憾に考えられるのは当然だと思うのですが、しかし、ただこれを出すまでが人事院の責任であって、権限であって、出したあとどうするかは政府なり国会の御自由にということじゃ済まぬと思う。それだけのやはり人事院当局者としての責任が当然あると思うのです。この一番根本的な問題について人事院総裁はどのように考えられて、またどういう処置をとっていかれようとしておるのか、その点を率直にお答えを願いたい。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 従来の勧告の実現状況、これはまさに秋山委員御指摘のとおりの事実でございまして、私どもといたしまして、おことばをまつまでもなく、この事実はきわめて残念な、かつ遺憾な事実であるということを痛感しておるわけです。御承知のように、私どもの人事院そのものの設置の使命、経緯等についても、いまおことばがあったとおりだと思います。私どもは勧告の作業の基礎に、毎年この四月現在の民間給与、公務員給与というものを克明に調べまして、それを突き合わして、そうして現在において公務員の給与が民間の水準にこれだけ下回っておるという格差をとらえて、その格差を埋めてぜひ民間の水準に追っつかせていただきたいというのが勧告の根本のたてまえでございます。したがいまして、その勧告の実施も民間との格差を発見いたしましたその時期、すなわち春、五月にまでさかのぼって実施していただかないことには私どもの勧告としては筋が通らぬ、そういう前提に立っておるわけでございます。かたがた御承知のように、われわれの扱っております公務員諸君と同じ仲間であります公社、五現業の諸君、ことに五現業の諸君には一般職の公務員が入っておりますから、われわれの扱っております給与法の対象の職員と実は同じ屋根の下に机を並べて仕事をしておるそういう人たちについて、公労委の仲裁裁定は、ここ十年ばかり例外なく四月にさかのぼって完全実施をされておるわけであります。そういうわきの事情を考え合わせましても、私どもとしてはぜひこれは勧告どおりに、時期的にもさかのぼって実施していただかないと筋が通らぬという確信のもとに従来も努力を続けてまいったわけであります。けれども、またこの席でお願いしたこともあるのでありますが、遺憾ながらいま御指摘のような事実であります。今後こそはそういうことのありませんように、完全な実施が実現いたしますように、今回、勧告の際にも十分政府の関係大臣には強く要請してまいりましたし、今後も一そうの努力を続けてまいりたい、そういう決意でおります。申すまでもありませんが、勧告は国会に対してもお出ししておるわけでありますから、国会の諸先生方において何ぶんのお力添えを願いたいということを、あわせてこの席上でもお願いいたしたいのでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 勧告を政府に出されたときに、政府の当事者に対して十分申し入れをしてあるというお話ですが、それに対して政府の当事者はどういう返事をしておるのですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) それは、この席に関係大臣をお呼び出しになってお聞きになっても、たぶん同じような答えではないかと思いますけれども、できるだけのことはやるということであります。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 佐藤さんが人事院総裁になられましてから、この種の勧告は何回おやりになったのですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) ことしで四回目でございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 総裁に就任されて四回勧告をやられたわけですが、そのうち、ことしのはまだ最終的な結論が出てないから一応別といたしまして、過去三回とも、三回ながら人事院勧告はそのまま実施されておらない。で、こういうことに対して法律的に見れば、純法律的な、形式的な議論をすれば、それからあと政府はどういう扱いをしようと人事院として関知すべきことじゃないと言えるかもしれない。それは単なる法律論であって、そういうことで片づく問題じゃない、もっと深い問題である。そこで、三回、人事院勧告をやられて、それがいずれもそのまま行なわれていない、つまり尊重されていない。中途はんぱな処理が終わっているということに対して、そのつど、人事院総裁としては政府に対して何か事後の対策として、公式、非公式に交渉をされてきておるのかどうか、そういう点、ひとつ率直に御説明を願いたいと思う。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 自分の手柄話ではありません。これは国会を初めとして関係の皆様のお力によるものではございましょうが、過去の私のやりました——四回目はまたこれからでありますけれども、三回の勧告のうち、後半の二回はほんのちょっぴりではございますけれども、ちょっと前進を示しておるという意味では、前途に若干の光明なきにしもあらずと思いますけれども、それにしても十月が九月に上がった程度ではとても満足はできないというようなことで、いま申しましたような気魄をもってこの問題に臨もうと思っているわけであります。私どもは勧告後、政府がその扱いについて閣僚委員会その他においてこれを検討されるという段階、それから閣議決定になる、その辺のところまで、あらゆる、しつこいくらいに回を重ねてお願いをしてきておるわけであります。その後は、今度は国会で最終的に法律化されるわけでございますが、国会のかような席上においても、また機会あるごとに声を大にしてお願いしてまいりたいという次第であります。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 少しうがった質問でこれは失礼かとも思うのですが、それは人事院勧告を完全に尊重させたいという気持ち以外に他意はない質問ですが、四年前に佐藤さんが人事院総裁に就任されたときに、当然、私は従来の人事院勧告の処理状況などというものは一番腹におありになったと思う。だから、せっかく憲法の番人として長年その方面で活躍されてきた佐藤さんが、人事院総裁というむずかしい仕事を引き受けられたわけですから、当然やっぱりこの勧告——人事院総裁になるなら、なるで、無条件に何でもなればいいというわけではなかったと思う。やはり自分がなった以上は、人事院勧告というものを従来のような粗末な扱いでは困る、完全に実施するという見通しがなければ、なっても意味がないんじゃないか、こうこうことは、一番、佐藤新総裁の頭にひらめいたことではないかと私は想像するわけですが、四年前になられるときに、そういうことについての話し合いというか、約束というか、そういうことはなされなかったのですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) そこまで立ち入った話し合いはしておりませんが、いろいろお尋ねでございますから、率直に言えば、私ごときにはとてもこんなむずかしい仕事はつとまらぬということで、極力固辞してまいったのでございます。しかし、ぜひということで、しからば自由民主党、社会党その他の与党野党を通じて皆さんが選任に対して賛成していただくならば、それではなってもいいということで、折れまして、それで幸いにしてそういうことになりましたものですから、なったわけでございますが、なった以上は、私の在任中にぜひ完全実施を実現しなければならない、そういう意欲に燃えて仕事に携わっているわけでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 これも政府側の腹にかかわってくる問題ですけれども、本年の勧告の時期についてはいろいろなことが伝えられていることは御承知のとおりですが、人事院としてはこれは最大の関心事だと思いますが、人事院勧告を提出するときに、ぜひとも完全に実施をしてもらいたいという申し出をされたということですが、その後、政府側との間に何かそういうことについて引き続いて接触をなさっているのかどうか、それからまた人事院としては、これもちょっとうがった質問ですけれども、いつごろに落ちつくという見通しを持っておられるか、この点をひとつお尋ねしたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) いろいろお尋ねでございますけれども、私どもとしては、これから先いつごろ落ちつくという見通しは、まだ実はこれは率直に言ってわれわれの努力に待つ以外にはないという心がまえでおりますからして、そのように努力を続けていきたいので、どうぞよろしくとお願いする、それ以外にはないのでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 この勧告の実施の時期等については、さらに小林委員なり鈴木委員なりがもっと掘り下げてあとで御質問があると思うのですが、私はちょっとその問題から一歩進みまして、教職員の給与の問題について人事院の見解を、ごく大綱的な御見解をただしたいと思います。この人事院勧告という例年の年中行事でやっておられるこの給与法改正の問題についても、なるほど形式的にはこれは国家公務員に限っての勧告ではあるけれども、実質的にはこれは地方公務員も全部含めた勧告として通用してきているんですね。そうしますと、やはり給与の改定についても、その関係者の数からいいますと、教職員は、下は幼稚園、小中学校から上は大学に至るまで、数からいうとこれは圧倒的に多いわけですね。だから一番関係者が多いわけです。それだけに教職員の給与の問題というのは、人事院としても大きな問題です。また、これを受ける政府側としても大きな問題だと思う。だけれども、それはそれとしまして、教職員の職務の特殊性といいますか、そういうことにかんがみて、かつて昭和二十五、六年ごろだったと思うんですけれども、他の公務員よりは二号俸ですか、高いところに格づけをしたことがあったと思うんです。ところが、その後、年々この人事院勧告が繰り返されて、給与改定が繰り返されているうちにこれがならされてしまって、とにかく十四、五年前にそういう特殊な教職員の職務内容についての考慮からやられたことが、結局、年とともにならされてしまって、そうしていまではもう全くそのかけらもなくなってしまった。こまかに検討いたしますと、教職員の給与はむしろ一般公務員よりダウンしておる節々が少なくないということにかんがみて、当委員会でもそうですが、また、私どもとしても毎年毎年、もう十年一日のごとく、一般公務員の給与ももちろんですけれども、教育公務員の給与というものを抜本的に改善をされるべきではないか、諸般の事情にかんがみて、こういうことを強く要請してきた。それから私はいまでもよく覚えているんですが、一昨年の夏ですか、内閣改造がありまして、今度の官房長官になられた愛知さんが文部大臣に就任されたときに、就任されたそのときの記者会見で、文教はしろうとだけれども、こういう金の問題については自分も大蔵省におった経験があって、自信があるとはおっしゃらなかったけれども、自信がある、したがって、自分の文部大臣在任中の最大の仕事として、この懸案になっておる教職員の給与の根本的な改善ということをぜひやりたい、こういうことをまず一発ぶたれた。自来あちこちでそういう発言をされておったわけです。そうして人事院にも、総裁のところにも大かた何回か自分で行うて、この問題についていろいろ話されたと思う。それからさらにそれに含まる問題ですけれども、たとえば教職員の超勤手当の問題についても、ぜひこの際解決をつけたいということで人事院総裁等にも折衝があった。続きまして、中村文部大臣になりましても、やはりその方針を受けて教職員の給与の根本的な改善どいうことと取り組んでこられたはずなんです。中村文部大臣からもそういうようなことをこの委員会でも承わったわけです。今度の文部大臣は、いずれ後刻みえますのですが、私はそれはもう関係がないとはおっしゃらないと思うんですが、こういう問題はなるほど数も多いし、したがって、相当な経費の負担増ということも当然考えられるわけです。だから、そういうことだからというので、ただちょっと思いついて、話をし合って、それでお茶を濁して、ほうっておくというわけのものじゃない。どこかできちっとしかるべき結論を見出して、しかるべき措置をとってもらわなければ、ただ、やるやるというだけで、一向にそれが行なわれないということでははなはだ困る。で、この問題について人事院として、何かさらに一歩突っ込んだ研究をなさっておるのかどうか。また、それをどういうように考えておられるか。  それから、もう一つは、やはりこれは教職員の給与の問題にも関係することですけれども、大学あたりで頭脳の流出ということがずいぶん言われておるわけです。優秀な——特に数学なんかは優秀な若い数学者がアメリカなんかへ行ってしまって、日本の数学学界というものは事実上壊滅状態ではないかという極論をはく人まであるわけですね。確かにこれは日本の学術の水準を維持していく、さらに進めていく上からいいますと、非常にこれは重大な問題じゃないかというように思うんです。で、そういうことも、いろいろなそれは事情はありましょうけれども、やはりその主たる事情の中の一つとしては、大学の教職員の給与が非常に低位である。研究にも事欠く、本も買えないということがあると断定しても間違いじゃないと思うんですよ。そういうことも考え合わせます場合に、教職員の給与の抜本的な改善の問題というものは、これはなかなかおろそかにできない重大な問題だと結論せざるを得ないんですが、これについての人事院としての御見解を伺いたい。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 教職員の方々のお仕事、これは給与法の、あるいは国家公務員法のたてまえとしております職務と責任において適正な給与を定めるというたてまえから考えておるわけでありますが、そういうたてまえから見ましても、一般の行政職員とはまた違った職務、違った責任をお持ちになっている。ことに義務教育の先生方は次代の主権者たるべき国民の教育に当たっていらっしゃる。それからまた大学程度の先生方は、いまお話のように、日本の学術水準を維持するという使命を持って仕事をしておられるという立場から、その職務と責任に大きな特殊性があることは十分承知しておるわけであります。したがいまして、私どものとっております民間給与との比較という点から申しますと、われわれは国立だけしかやっておりませんから、一応、国立だけについて申し上げますと、国立の学校の先生方の給与は現に民間よりそう劣っておらない、あるいは民間より少し上回っておる点さえあるわけであります。しかし、それはいま申しました特殊な責任、特殊な職務というところから、一般の行政職の人々よりもさらに優遇した措置を給与表上とっておるわけです。先ほどお話がありましたように、昭和の二十何年ごろは二号俸高かったが、いまはそれがなくなって、むしろへこんでいるんではないかというお話がありましたが、これは弁明するまでもなく、すでに御承知済みのこととは思いますけれども、かつての給与体系というものは通し号俸で、すべての官職を一本の号俸で通しておりましたから二号差ということで、一般の行政職よりも二号差ということで非常にはっきりとらえやすかったわけであります。御承知のように、今日の俸給表では行政職、それから教育職、みなこまかく分かれてしまいました。ここでもとの二号差そのものをどこでどう比較すればこれに該当するというようなことは、これは一目ではわかりません。わかりませんが、たとえば初任給のところをごらんになっていただけば、これは優に従来の水準の差というものをむしろ保証してあまりあるくらいな初任給になっているということから御推測できますように、先ほど申しましたように、基本的な考え方から、われわれは今日においても、二号高い水準差というかつてのことはこれはもう重々頭に置きながら、今日の俸給表の扱いにつきましても、その気持ちを常に持ち続けて措置をしているということでございます。で、将来の展望ということでございますが、私どもはやはりそういう見地に立ってこれを合理的なものとして進めてまいりたい。ただ、同じ公職におります他の職員とあまりずば抜けた格差というものは、これはバランスがございますから、これはおのずから制約がございますので、その制約の範囲内においてできるだけのことはしてまいりたい。また、超過勤務手当のこともちょっとお触れになりましたけれども、これも先ほどお話の出ました中村文部大臣と十分私どもと打ち合わせをいたしまして、教職員の方々の勤務の実態というものをひとつ大がかりに根本的に調べようじゃないかということで、今年調べていただいているわけであります。そういうデータ等もよくながめまして検討いたしまして、今後の給与のあるべき姿というものを見出してまいりたい、こういう気持ちでございます。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 二号俸高くしてあったのが、その後、制度が変わったために比較がしにくくなっている。しかし、初任給を比べてみてもその趣旨は生かしているつもりだ、こういうお話ですが、まあ初任給だけを比べるについてもいろいろな条件がありますからね。それから一口に金額だけで高い低いということはもちろん言えない。いわんや、こまかいさらに五年、十年と進行していく間にどういうことになっていくかということもつぶさに検討しなければならぬ。それについては、私どもは総裁が簡単におっしゃるように簡単には見ておらぬ。もっともっとこれは検討し、そうして考え直してもらわなければならぬ点が多々あると思うのですけれども、そういう議論については、ただ私は、その趣旨はあくまでも生かされているという御答弁に対しては、にわかにそのまま受け取りがたいという気持ちだけ表明しておきます。  それにしても、愛知さん以来、ああやって大きな政策として出されてきたこの教職員給与の根本的な改定という問題については、不断に検討を加えていることはおっしゃるのですけれども、まあ私ども外部から見ておりまして、人事院という仕事は、やはり全般の公務員というものがどうしても先に立つわけですから、その職務の特殊性とか何とかいう実はそのほうが大事だと私は思いますけれども、そういうことよりも、とにかく全般の公務員のバランスとか何とかいうようなことのほうへどうしても重点が行きがちなんじゃないかということは十分想像ができるわけですよ。だけれども、もちろん全般の公務員それぞれに所を得ていかにゃいかぬわけですからね。その全般的な配慮ということは、これは当然ですけれども、先ほど来申しますように、この教育の重大性あるいは学術の重大性、教職員の職務の特殊性というようなこともまた、いやしくもおろそかに考えてもらっては困る問題だと思う。で、この問題につきましては、さらに重大な関心を持ってひとつ重点的に検討を重ねてもらって、とにかく早い機会にひとつ一応の結論を具体的な形で示してもらいたい。これは人事院ばかりに要求することじゃありません。もちろん、それは政府自体がその意気込みを持ってもらわなければなりませんけれども、しかし、何といいましても人事院というものがこれについては大きな役割をやはり引き受けてもらわなければならぬ役所なんですから、だから、その点について十分な検討を加えて、早急にひとつ、愛知さん以来——まあ愛知以来じゃありませんわ、それはその前からですけれども、特に愛知さんが就任されましてこの点を大きく打ち出されてきたわけで、それだけわれわれの記憶にもはっきり残っておるわけです。まあそれからはや三年たつわけですね。もう三年というのは、ものを数える場合に三というのは一応けりのつくころだと思うので、ひとつ早急にそれをやっていただきたい。いまの文部省で調査が進行中の超勤手当の問題ともあわせまして、その点についての人事院総裁のひとつ意気込みというか、御決意のほどをお伺いしたいと思うのです。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 先ほど申しましたような決意のもとに臨んでおるわけでございますが、ことに、ただいまのおことばは十分体しましてこれに当たってまいりたいと、こう思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 これは後ほど文部大臣にお尋ねしたいと思っておるのですけれども、まあ幸いに新進気鋭の谷川政務次官がそこにすわっておられる。ひとつあなた、こういう問題についてどれだけの御理解と御熱意を持っておられるのか、今後の参考のためにひとつ伺っておきたい。

谷川和穗自由民主党文部政務次官

○説明員(谷川和穗君) まことにこの方面につきましては知識のない私でございまするが、たしか昭和二十九年に教員の給与の特別俸給表が検討されましたときにも、やはり教員の勤務の内容について一般行政職とはその職務と責任においていろいろ違う点があるのだというようなことが論議されたように聞き及んでおります。ただいま文部省におきましても、この教員の給与の実態、勤務時間等について鋭意調査をいたしておりまするので、その結論を待ちまして、この問題につきましては文部省といたしましても十分心して努力をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 関連。いまの秋山委員の質問に対しての総裁の御答弁の中にちょっと疑問な点がありますので、その点に限ってお伺いしたいのですが、一つは、この教育職員の給与について、一般の行政職との関係については初任給で相当見ている、これを見てもらってもよろしいと、そういう非常に努力をされておるという御答弁である。しかし、教育職員が低いということを言っておるのは、確かに初任給はそういう差が見えておるけれども、問題は一生かかって教育職員としての仕事をやっておる場合に、あとになって差が出てくるということですね。これは制度上の問題からいえば、御存じのように行政職のほうは昇格というのがあって、ずっと八等級から一等級へ上がっていきますから、そういう形で上がっていく道は教育職員にはないわけです。したがって、かりに(三)表によりますと、二等級から一等級になるというのが普通のことなんです。一等級というのは御存じのように限られている職員しかなれない。そういたしますと、教育職員だけが初任給は多少高くつけられているけれども、昇格の道がないままにずっと二等級を進んでまいりますから、その間にある一定の年限がたちますと行政職のほうがずっと上になっていくということが、これは制度上の問題になっているという意味なんです。ただし、この場合に、職階を多くつけろという意味では毛頭ないわけでありまして、職階にはまた職階の別な問題がありますから、職階をつけろという問題ではないが、職階でもって上がっていく職種と職階が与えられないで下をはっていく職種との差というものは、これはやはり教育職員という特殊な職員だけに、職階なしに下をはっているということについてはいろいろ疑義がある、こういうことを言っているわけでありますから、この点についてはやはりそういう立場からの御検討をお願いしたいと思うわけですね。  それからもう一つは、超過勤務手当についてなんですけれども、総裁は中村文部大臣時代からよく話し合って調査をしておる。これは前進であることは私も認めます。しかし、本来、給与のあり方からいったら、調査をするという意味は、これは予算をつける場合の資料としては調査という意味が十分に私どもわかるわけなんですけれども、現に幾らやっているかわからぬにしても超過勤務という実体があるという場合には、超過勤務はつけなければならないという本来の立場ははっきりしておかなければいけない。そういう立場をはっきりした上で、調査は大体予算をどれだけとればいいのかという調査をするべきである。この辺の立場を従来人事院が堅持してきて文部省に勧告してきた、そういう立場が消えたということになると、どうも私は重要な問題になってくるのじゃないかと思いますから、その辺をはっきりしてもらいたい、こう思います。なお、勧告の実施については、これはどうもわれわれの言うことなのかどうなのかぐあいが悪いことでして、勧告を受けている国会が実施しないで人事院けしからぬという行き方は行き方としてはおかしいことになりますから、これは政府と国会との問題であると思いますが、したがって、大臣がおいでになったときにまたお伺いすることにいたしますけれども、いまの内容の問題について、この二つはぜひ見解をはっきりしておいていただかないとぐあいが悪いと思いますので、関連して質問いたします。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 前段の一般行政職の場合に昇格ということで役づき役づきでいくのじゃないか、教職員の場合にはそれがない。これはそういう事実は十分承知の上で、またしたがって、そこにある種の限界があることは申し上げておかなければなりませんが、しかし、そういう事実を踏まえた上で、できるだけのことをひとつ均衡がとれるようにしてまいりたいということで努力をしておると申し上げておきます。  それから超過勤務の問題は、これはもう鈴木委員十分御承知のように、一昨年の私どもの出しました報告ではだいぶその辺張り切りまして、超過勤務手当を正規の命令として出した以上は払うことはあたりまえのことであるということをうたっておるのです。その根本の考え方は依然として今日も変わりない。しかし、一歩基本的な勤務の実態を押えてこれを調査して、さらに教職員の給与のあるべき姿というものをもっと広い視野から見ていこうというのがいまの調査につながる問題である、こういうことでございます。

小林武日本社会党

○小林武君 政務次官にお尋ねいたしますが、給与担当大臣の森さんが、この間、内閣委員会で、人事院勧告の尊重ということは、全部内容的にも時期的にも完全に実施することが尊重という意味である、こういう見解を述べられたそうです。これは給与担当大臣がこれは何か放言したとか思いつきで言ったとかいうことじゃない。これは政府全体の意向としてきまったものである、その点では文部省においても十分御理解いただいておると思いますので、そのとおり理解してよろしいですか。

谷川和穗自由民主党文部政務次官

○説明員(谷川和穗君) 人事院の勧告は政府に対してなされたものでございまするから、政府全体の問題であろうかと存じます。しかし、ただいまの御質問に対してのお答えは私が申し上げるよりも文部大臣が後ほどお見えになりますので、文部大臣のお口から御答弁さしていただいたほうが適当ではないかと存じております。

小林武日本社会党

○小林武君 政務次官、そんな遠慮なさらないで、あなた、しゃんしゃんやってくださいよ。どうもぼくらいつも文部大臣がこないと、政務次官がくると遠慮しいしいものを言わなければならぬ、これはやっぱり政務次官制度のためにもよくないですよ。われわれなら心配ないから、そんなよけいなことを考える必要ないけれども、そんなことじゃない。これはやっぱり谷川さんはどなたかが新進気鋭とおっしゃる、私見ていても打てば響くような方のように見える、ずばりずばり言ってください。そんな文部大臣が言うとか何とかいうことじゃない。これは文部省の政府委員の人たちの答弁でも私はいいと思う。そういうふうに給与担当大臣が言っておるんだから、これは政府の見解として、尊重ということはそういうことだと理解してよろしいですか。もしあなたそれを何も聞いていないのなら調べて返答してもらいたい、そういうことを言っているのか言っていないのか。もし森さんが言ったことを、これは森さんの一存で言ったことであるから、あなたは全然知らぬというなら知らぬように答えてください。谷川さん、私は意地悪言うようだが、それをはっきりしてもらわないと話が進まないんです。

谷川和穗自由民主党文部政務次官

○説明員(谷川和穗君) 人事院の勧告についてその勧告の尊重という姿勢で政府において結論が出ましたときには、文部省の内部におきましても必ずそれを実行させるように私も努力をいたします。

小林武日本社会党

○小林武君 そういうことじゃない。いままで尊重という意味については理解がいろいろあるんですよ。政府の見解は、尊重する、しかし、時期をずらすのはこれは尊重しないということではないと、こういうふうに答弁しているわけです。これはあなたも衆議院でよく聞いているからそんなことは私が説明するまでもない。そうでしょう。だから、それについて私は非常に今度の給与担当大臣に感心したんです、それを聞いて。もう一歩も二歩も前進です。総裁がいつもそういうことをおっしゃる、尊重ということは決して時期をずらすことを尊重とは言わぬということを。これはなかなか答弁じょうずですからうまいことを言うが、内容をしさいに検討すれば、尊重という意味にはならぬように、人事院はさすがに保障機関だからうまいことを言ってくれておる。政府はいままでそういうことを言ったことがない、今度初めてだ、だから、私はこれは一つの公務員の労働条件の保障ということから言えば画期的な答弁であると、このように考えておりますが、それが事実か事実でないかということを聞かぬというとぐあいが悪いんですよ。それは文部大臣とか何とかいう問題じゃないですよ。言ったか言わぬか調べてもらいたい。私はよその委員会のことだから力み返ることはやめるが、政府はどこどこの委員会なんということはないはずですから、それを聞いておるんです。

谷川和穗自由民主党文部政務次官

○説明員(谷川和穗君) 政務次官に就任をいたしましてから一月余りでございますが、その間に人事院勧告に対しての政府の態度につきましては、新聞紙上報ずるところを二、三見たことはございますが、いずれにいたしましても、私といたしましては閣議決定に席を連ねる身でもございませんし、政府が最高の機関でありますから、閣議で決定をいたしました場合には、省内におきまして、私、閣議決定の線に沿いましてあらゆる実務的な努力をすみやかになすように努力をさしたい、かように考えておるわけでございます。

小林武日本社会党

○小林武君 政務次官のいまの気持ちはよくわかるから深追いはしないことにいたしますけれども、これはやめたんじゃないから間違えないでください。これはいま閣議にも出られないというようなことを言うが、何か佐藤さんが今度の政務次官を集められたときには、副大臣のつもりでばりばりやれというようなことがあったんでしょう。今度から閣議に出るように要求しなさいよ、私も要求することを支持しますよ。どうもそんな無責任なことを言うようなことになると、政務次官というのは盲腸みたいになる。盲腸政務次官なら、これはもうどうもしょうがないんで、やはりぼくはほんとうの意味で大臣を補佐する事務次官とは違った意味でひとつ十分御活躍を願いたいんです。ちょっとこれは遺憾なんですけれども、これはどうなんですか。そういう発言をしたということは人事院なり、あるいは何ですか、政府委員のほうではそういうことを承知しておりませんか。もし承知していないとしたら、ひとつお調べを願いたい。まず文部省の担当の局長は、いま直ちに速記録をながめて、言ったか、言わぬかを明らかにしてもらいたい。これは大臣がくるまでちゃんとやって置かなければならぬ。大臣来たらもう一ぺん話が出る。

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 速記をつけて。     —————————————

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 有田文部大臣がお見えになりましたから、あいさつを先にしていただきます。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私は、このたび文部大臣の重責をになうことになりましたが、文教のことは、申すまでもなく、国政の基本であり、それだけに私は責任の重大さを痛感いたしている次第であります。したがいまして、文教委員各位の御協力を賜わりつつその重責を果たしてまいりたいと存じております。  わが国の教育は、関係者の努力によって相当の成果をあげつつ今日に至っておりますが、なお改善充実につとめなければならない課題がたくさんあると承知いたしております。この機会に、私といたしましては、さしあたり日ごろ考えておりますところの所信の一端を率直に申し上げまして、各位の御理解と御協力をいただきたいと存じます。  私は今日の国民、特に青少年に対する教育において国家、社会の一員としての自覚と責任を持った根性のある人間を育成することについて配慮することが肝要ではないかと存じております。こうした意味において、学校教育においては、青少年が将来国家、社会の成員としてそれぞれの個性を生かし、能力を十分に発揮することができるようにすることを常に念頭に置きながら、知識の習得のみに片寄ることなく、思考力や創造力を伸ばすとともに、意志の鍛練や道徳性の涵養、さらには体力の増進などについて一段と配慮していかなければならないと思います。しかしながら、人間形成は、学校教育のみならず、家庭の中において、あるいは地域社会の中で行なわれる教育と相まってなされるものでありますから、家庭教育を重視し、社会教育の進展をはかる必要があると存じます。  わが国の学校教育は、義務教育の充実、教育の機会の量的拡充等については世界的にも高い水準に達しておりますが、一方、教育の質的な面につきましては、なお改善すべきいろいろの問題があると思われます。教育の充実と質的向上をはかっていくためには、今後とも教育環境の整備、教育費の負担の軽減、育英奨学事業の拡充等は申すに及ばず、教職員の資質の向上と処遇の改善についても常に配慮していくことが大切であると存じます。  さらに、現在のわが国の学校教育は、新学制発足後すでに約二十年を経ており、義務教育をはじめ、後期中等教育、大学教育など、教育の全般にわたって制度的にも内容的にも種々の課題が提起されていると思います。たとえば後期中等教育につきましては、高等学校教育の多様化、定時制通信教育の振興、社会教育の充実、各種学校の整備など、当面解決を迫られている問題があります。さらに、身体的に恵まれない子供のための特殊教育や地域的に恵まれない子供のための僻地教育などにも、なお一そうきめのこまかい配慮をする必要があります。これらは、いずれもわが国教育の量的普及の上に、さらに教育の質的向上を願う国民の意思のあらわれであると存ずるのであります。  教育は百年の計と申しますとおり、長期的な視野に立って施策を推進しなければなりませんので、教育に対する国民の期待にこたえるためには、常に本質を見きわめて、着実に、周到な準備と計画をもって文教の刷新をはかってまいりたいと存じております。  次に、私学の振興について一言いたしたいと思います。わが国の教育に占める私学の役割りは、きわめて大きいものがあり、それだけに私学の振興はわが国の教育にとっての緊要事であります。現在、私学の振興方策については、御承知のとおり、臨時私立学校振興方策調査会で種々検討されておりますが、最近、中間答申がありましたので、さしあたり、これを十分尊重し、私学の健全なる育成振興のための適切な措置をとってまいりたいと思っております。なお、時代の進展に即応する学術研究の推進、芸術文化の振興並びに教育、学術、文化の国際交流の推進についても、一そうの配慮をしてまいりたいと存じます。  以上、日ごろ感じていることの一端を申し述べ、かつ、文教委員各位の格別な御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、就任のごあいさつといたしたいと思います。(拍手)     —————————————

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 引き続き、教職員の給与等に関する件を議題とし、質疑を続行いたします。

小林武日本社会党

○小林武君 大臣がこられましたのでお答え願いたいんですが、さっきこういう質問をしたんです。森給与担当大臣が、人事院勧告に対する尊重という、この尊重ということばの定義につきまして、給与担当大臣としては、尊重するということは、中身一切、すなわち、よくわれわれの間で、時期的なズレ——実施期間のほうで、いままで五月実施というと九月にやったのが一番早いんですね、あと十月だとか何とか、そういう時期的なズレがある。で、それでもいままで政府は、そのことについては、これは尊重の意味には変わりないと、こう定義しておる。今度の森給与担当大臣は非常に進歩的な考え方の人で、正しい解釈をして、五月実施といえば五月に実施する、これが尊重だと——中身ももちろんですよ。こういう御答弁があったことは、これは、私は給与担当大臣の発言でありますから、まあ一大臣が思いつきで言ったということではないだろう、政府の統一した見解だと、われわれは非常に歓迎して、好意をもってそれを聞いておるが、文部大臣としてもそれに間違いはないか、こういうことです。それで、先ほどの答弁はどうもあやふやなようですから、ひとつ速記録等を調べて、あやふやだったらはっきりした答弁をしてもらいたい、こういうことです。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 尊重は尊重したい。その尊重もいろいろありますんですが、いまおっしゃるように、人事院の言うとおりにする、これは完全尊重でしょう。しかし、その趣旨を十分くんで尊重していく方法もあるわけですが、私としましては、千分、人事院勧告についてこれを尊重したい、かように思っておりますが、しかし、率直に申しまして、いまこの問題は、国及び地方を通じて相当多額の経費を必要とすることでもありまして、政府としましては、その財政上の見通しの上に立って目下検討中というのが現在の段階でして、その財政事情などとも見合わせながら、どう尊重していくかというのがいまの政府の態度でありまして、まだその最後の結論が得られない。尊重することは尊重したいが、十分検討中と、こういう段階でございますので、その点を御了承願いたい、かように思います。

小林武日本社会党

○小林武君 まあ私はどっちかというと、ものごとをはっきりさせないと気の済まぬ男ですから、そういうあいまいなことを、同じ閣内で、しかも、給与担当大臣というと、これはもう給与に関するやっぱり責任を持たされておる、文部大臣もその点ではいろいろ給与大臣と連絡を保たれておやりになっていると思う。教員の立場を考えられて、あるときにおいては、文部大臣は、教員だけは少しよくやってくれぐらいのことは言うんじゃないかと私は思う。しかしまあそんなことは別として、一家意識をあまり持たれても困るけれども、給与についてはやはり連絡なしにやるとは考えられないのですよ。ですから、とにかく非常な大きなこれは前進なんです。いままでは、尊重は、あなたの言う不完全尊重だった。こんなことは、不完全尊重なんというのは、これはもう労働者の基本的権利と差しかえるような場合に言うことばじゃないんですよ。それは市井の取引の話ならこれはまた別だ。しかし、憲法二十八条に示されているわれわれ労働者の基本的権利というものと差しかえの問題を議論する場合には、不完全尊重とか何とかという、そういう、法律的定義によればそんないいかげんなものではないのですよ。尊重ということは、一種の法律的な解釈の定義ですよ。だから、いままでは政府はその点では非常にあいまいな態度をとって、お互いに不信感を持つということになっておった、そんなことではいかぬじゃないか。今度の森担当大臣はその点は非常にりっぱであると、私はまだ顔を拝んだことはないけれども、感心しておるわけです。なかなかりっぱだ、百歩前進だと、こう考えている。だから、そういう答弁がこの間、内閣委員会であった——私はあったと聞いておるし、私なりにまたそれを確かめている。すると、いまのような文部大臣の話になると、ぼくは文部大臣とこれから論争しなければならぬのだけれども、あなたは残るのだからこれからゆっくりやるとして、人事院総裁をいつまでも待たすわけにいかぬので話を切りかえますけれども、この問題は簡単には終わりませんよ。これはもうきょうはゆっくりひとつ、知事会もおやめになって、大事なことですからやってもらわなければいかぬ。  人事院総裁にお尋ねいたしますが、尊重のことなんですが、私は人事院という一つの代償制度、この代償制度が——私はあまり賛成もしていないけれども——憲法二十八条に抵触しない、違反しないと解する見解をおそらく人事院総裁はおとりになっているのだと思うのですが、そういうたてまえに立った場合には、一体、団体協約を締結する権利にかわるべき保障ということですね、そうなりますというと、いまの尊重の問題が出てくるわけです。そういうたてまえに立った場合には、一体何回いままで実施時期を延ばしてきたか。これは保障制度ですよ。人事院はその役割りを果たしたと言われるのかどうか、それについてのひとつ見解を私は総裁に承りたい。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 先ほども触れましたように、過去において、少なくとも勧告の実施時期に関しましては、いまだかつて完全に実施されたことはない、これはきわめて遺憾なことである。さればこそ、ことしこそはという意気込みで臨む決意であるということを申し上げたわけであります。その心組みで邁進いたしますが、そこで、要点はどういうことですか、それでいいわけですか。

小林武日本社会党

○小林武君 いや、悪いです。それじゃ簡単に言いますよ。いままでのような、いわゆる尊重されなかった。私のことばで言えば尊重されておらない。欠けるところがある。ということは、どうなんですか、代償制度を欠くと見てどうですか。いわゆる代償制度というものがあってこそ、初めて憲法二十八条違反でないという見解が成り立つわけだと私は思う。しかし、私のように別に二十八条についてもっと別な見解を持った、労働者経験を持った者もありますが、これは抜きにしておいて、現行のとにかく人事院制度の中でものを言っているのですから、私は二十八条の憲法違反でないという立場に立った場合に、代償制度を欠かないと、こういう条件がある。そうすると、時期的にこういうような値切り方をやるということは代償制度を欠くと、こういう見解をとるのが至当だと思うが、どうですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 先ほどのことばでポイントをちょっとのがしておりました。先ほどのことばははなはだ遺憾であるということを申し上げましたが、ここにいまの労働基本権の代償だ、代償的な制度だと言われておるたてまえから言って、きわめて遺憾である。こういうふうに訂正いたします。

小林武日本社会党

○小林武君 遺憾であるでは困るのです。代償制を欠くということは遺憾、代償制を欠くから遺憾という、そこが抜けているんじゃないですか、そういうことになりませんか、もっとはっきり首ってください。大体遺憾、遺憾なんということばをあっちもこっちも使われるものだから効力が薄くなっちゃって、聞くほうも遺憾ながらということは軽く聞いておけばいいということになりますので、そんなあいまいなことじゃなしに、代償制を欠くから遺憾なんでしょう、そうじゃありませんか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 私ども理詰めで申し上げておるわけでありますが、先ほど申しましたように代償的制度だと言われておる、そのたてまえからいってというような言い方をしますのは、理詰めに言えばそのとおりの文句は法律にはございませんですから、そういう言い方をせざるを得ない。そういうたてまえからいって、これはきわめてけっこうというばかなことは申し上げられない、きわめて遺憾である、こういうことを申し上げておるわけであります。

小林武日本社会党

○小林武君 しつこいようですが、それは遺憾ということは、代償制というものが不完全である、欠けておるということでしょう、そのことはいかがですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) いわゆる代償制と言われておる点からすれば満足ではない、当然そういう結論になります。

小林武日本社会党

○小林武君 満足得られないから欠けているのですね。そこで、そうなったらこれはおかしいじゃないですか。もとへ戻りますけれども、代償制が完全に保障されてこそ憲法二十八条違反でないことが成立するというのは、これは学者間でも一つの法律的な議論ではないのですか、そういうたてまえが出るんじゃないですか、学者の。そうすると、私は一つの約束違反をあなたは、政府はやっていると思う。これはたいへんな問題だと思うのです。ストライキ権をとるのだ、労働基本権をとるのだ、労働協約権もないのだ、団体交渉権もないから労働協約権ももちろんない。だから、そのかわりに代償として人事院があって勧告をしてくれる、こういう労働条件の一つのそれが、満足にとにかく一度も行なわれたことはない。私は大体融通きかぬほうでもないと思っているのだが、何べんかのうちに国家の財政上ぐあいが悪くてやれなかったということなら、文句は言ってもそのときの事情のあれからいって、これは無理じゃないかということになりやすい、どうも意思の弱いところがあるのですけれども、しかし、今度の場合は、とにかくあなたが人事院総裁になられてその間に一回もやったことはない。人事院始まって以来値切らないことは一回もないのは、代償制がいままでも踏みにじられておったのです。労働者の側から言うと、これは労働者の基本的な権利を奪われておる一方だ。それで人事院総裁どうですか、今度それについてのストライキをやったら、人事院ではごもっともごもっともというようなお説をあなたのほうでお出しになりませんか、どうですか、このぐらいやられたら。あなたは両方のたてまえを聞いてやるのだからそうでしょう。公務員の諸君がもしこれについて異議ありと言って争議行為をやったら、その場合に、政府がやらぬときには遺憾のきわみである、労働者のときには、遺憾ではあるがこれはやむを得ないとか当然であると、処罰すべき性格のものでないと解釈をするのがほんとうだと思う。そういうような回答あるいは指導なりおやりになる気持ちありませんか、確認するんだが。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 先ほど、いわゆるとか、その代償というものにあいまいな表現を加えておったわけですけれども、これはもっとすっきりした言い方をしますと、かりに公務員法なり給与法の中に、人事院勧告が出たら政府はもちろん国会もこれに拘束されるという明文があれば、これはよほどはっきりした私は言い方ができる、そういう性格のものだと思いますから、そこまでは踏み切った言い方をしなかった。しかし、制度の趣旨から言うと、これは当然完全に実施されるべきものということを法律は期待をしてこういう制度をつくっておる。これははっきりしておるわけですから、私も強くここで、あるいは他の場面においても訴えておるわけです。したがいまして、完全実施はぜひ実現したい。それで、いまのお話しの争議行為的なお話ですが、これは法律の条文に、ここで申し上げるまでもなく九十八条に、これはいかぬと響いてあるんですから、これは法律が禁止している以上はここでことばをあいまいにする余地は全然ないわけです。

小林武日本社会党

○小林武君 総裁は法律家としてとにかくりっぱな方ですから私も尊敬していることはいるけれども、いまのことばはあまり尊敬しない。そうじゃありませんか。あなた人事院の代償制度というものは憲法二十八条に、これは違反するとか違反しないとかいう議論のある問題ですよ。しかし、人事院というものの代償制度があるから、これを肯定さるべきだという議論で大体おさまっているんじゃないですか。そうなった場合に、もし、とにかく始まって以来一度もこの問題に関する限りは聞かれたことがないということになったら、これはあれじゃないですか、代償制度を否定したことになるんじゃないですか。そうなったら、二十八条に違反する違反しないという問題へもう一ぺん戻ってくる、憲法にはね返る問題ですよ。憲法にはね返って労働者の基本的な権利の問題になるじゃありませんか、それほどはっきりしているんですよ、その点は。あなたいま法律にあるからはっきり言えるんだと言う。ぼくは憲法にある、はっきり。こう言うんですよ。どっちへてんびんかけますか、てんびんどっちへかけますか。ぼくはほんとうのことを言うと、一体、国家公務員法、地方公務員法というものは憲法からいえば疑義のある法律だと思う。ウエートの置き方、にならぬじゃないですか。そういうたてまえから言えばいまのようなお話は、私が何ぼ尊敬する法律家としての佐藤さんのおっしゃることでもなかなか肯定できない。もっと国民大衆というもの、それから一般の人間関係の中における法律的解釈というものは具体的でやっぱり生活にぴったりするような解釈でなければだめですよ。ところがこの場合には、その上にさらに憲法的な解釈の問題もからまってくるんじゃないですか。そうすると、ちょっとあなたのおっしゃることはおかしいんで、まあよく評論家などの言う、あっちも悪いがこっちも悪い、どっちもどっちというぐらいの程度でものを考えても、政府がそうだからストライキのほうもそうだなというぐらいのことを人事院で言ってしかるべきだと思う。人事院総裁の公的な見解を、ひとつそのくらい述べてもらう勇気がなかったら、絶対これは完全実施なんということは行なわれない。いわゆる尊重ということばは、これはだめだ、実現できないと思うんですよ。私はむちゃ言うようだけれども、むちゃでないと思っているんですよ。私は念願は、文部大臣とか給与担当大臣が、今度こそはひとつ完全実施で一ほんとうは七千円上げてくれとか何とか言っておる、一律七千円上げてくれと言っておる。しかし、それはそれとして、そういう要求は労働者の要求としてはもっともにしても、一応、人事院勧告が出たならば人事院勧告のあれを完全実施する、まずそれはいまの段階ではがまんしておけという考え方をぼくは持つ。これは国会議員としてそういう考えを持つ。わが党の社会党という立場でもそういうことは言っていいと思っておる。しかし、全然やらぬということになったら、完全実施をまたやらぬのだということになったら、私は人事院総裁は責任ある立場においてそれくらいのことは言ってもらわなければ労働者はやり切れたものじゃないと思う。公務員労働者は、一体何によって二十八条によって与えられた権利を保障されるのか。代償制度はいまだかつて一度も活動をしないじゃないか、こういうことになるじゃありませんか。むちゃのようだけれども筋は通っておりますし、むちゃでなくて全く筋は通っておると私は思う。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 私どもの人事院の使命は、国家公務員法及びその他の関係法律を誠実に実施する、その責任を法律上負わされているわけであります。法律の条文が、九十八条はごらんのとおりただし書きも何にも書いてない。これほどはっきりしている以上、これをわれわれとしてねじ曲げて他の解釈を持ってくるということは、われわれの職責上これは不可能でございます。ただ、たびたびいまの尊重というお話が出ますけれども、私どもの字引きには尊重という文字はございません。五月に実施されるかされないか、これだけしかないということです。そういうことでやっているということだけは私はっけ加えて申し上げます。

小林武日本社会党

○小林武君 言わんとするところをじょうずに言われておりますから、それだけに私はおっしゃることの中に、ごまかしのない部分もございますから、ある点は理解をしているつもりです。しかしながら、やはり人事院総裁に私が先ほど来、そういうことをくどく申し上げますのは、やはりいまのままではたいへんだということです。公務員、労働者というものと政府との間の不信感というもの、地方公務員と自治体に関係する不信感というものが、いまのままでいったら、これは何と言ったって爆発せざるを得ない、そういうことは好ましいことじゃないのだ。労使の慣行において、やはり相互が信頼する。約束したことは守られるのだ。代償機関として置かれたものは、これはいやしくも保障されるということになれば、もはやこの問題での騒ぎはなくなるし、もはやお互いがよけいなことでエネルギーを消耗する必要はない。そういう角度から私は建設的に、この際、政府はやはり給与担当大臣がおっしゃるように、今度は尊重ということは少なくとも一つの値切りもないことだということを実施してもらいたいと、こう言っているのです。文部大臣聞いてもらいたい、その点はこれは人事院総裁は腹の中で尊重なんていうことばはないのだ、そのままやってくれということだと、先ほどから言っている。それは政府のほうでも理解をしてもらいたい。しかし、これをあまりやると時間がかかりますから、まだまだ、私は人事院総裁にお伺いしたいし、文部大臣にもひとつもっと完全実施とか不完全実施とかいうようなあやふやなことをおっしゃらないようにお願いしたいけれども、一つだけここに人事院総裁にはっきりしておきたいことがある。あなたは国会と政府に勧告をいたしました、こう言う。ごもっともな御意見だ。国会と政府に勧告いたしました、しかし、あなたも国会と政府というものに勧告されたという場合に、野党と与党というものがあり、それからいまの政治の動きという、行政とそれからこういう立法の関係というようなことをごらんになれば明らかなことで、口で言えばそうだけれども、国会への勧告というのは一体どういう意味があって、一体、国会に勧告するということは具体的に何をあなたは期待しておるかというようなことをやはりここで明らかにしないというと、これはどうも観念的な議論に終わるわけなんですが、人事院総裁として、人事院としていままでもこの問題でずいぶん苦労されたことでしょうから、その点に対する見解をお伺いしたい。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 法律が特に内閣のほか国会に対しても直接に勧告できるという制度を持つ、これはこの勧告制度を非常に重く、重大なものとして扱っている証拠であります。本来、国会に直接直訴するということはたいへんなことだという考えで臨むべきであります。まず第一に、政治的に見て、いかに重大であるかということを法律の例文がこのことによって示している、これが第一点、第二点のこれは技術的な問題で、国会の諸先生方に講義するのもはなはだ面はゆいのでありますが、国会に勧告する。国会は立法権をお待ちでありますが、この勧告どおりに起案してお出しになる、これは何でもない。そこにつながりのある問題だということです。

小林武日本社会党

○小林武君 法律案をお出しになればすぐものがきまりますというようなことをあなたが言うのは、経験の深い方だから、そんなことを言ったって通用しないということはおわかりでしょう。国会がそういうことで、完全に与野党が一致して、それじゃまとめましょうかという機関がないですよ。この問題だけ取り上げて、国会で取り上げるしかるべき機関があるならば別ですよ。国会に勧告されたのだから与党野党みんな集まって、これをどうするというような、国会の側として意見をこうしましょうとか何とかいうあれはないのです。だから、結局、与党は政府の見解をとにかく支持し、野党はみんなやるかどうかしりませんが、わが野党の中の社会党とすれば、この勧告を実施せいというようなことをいままで主張してきた。そうして、ただ激突して両方で議論をするだけで終わっておりますよ。だから、そういうのはちょっと形式的な御見解ではないか。もっと何かあるのじゃないですか。このくらいのことを国会はやったらいいじゃないかということがあってしかるべきだと思うのです。それはちょっと投げやりじゃないですか。この間もある参考人を呼んでやったら、いろいろな議論をして、学識経験のあることを言った、大事なことを聞くと、あなたたちがきめることじゃありませんかと開き直っている人がありましたが、あなたたちがきめることだということはあたりまえなことで、われわれ両方かなり意見の対立があって、このことによって少なくともかなりの混乱する事情があるようなとき、学識経験者からものを聞いて何とかお互いの間で歩み寄ることができないかということで参考人を呼ぶことがあるのですから、私はそういう意見はちょっと不親切だなと思って聞いておったが、これは御自由なことで、別に親切を求めるための政府でもありませんから何ですが、あなたの場合はちょっと違うのです。もっと重みがかかってくる。人事院という立場の中において、いまの政治的な情勢の中で国会に勧告するということは、お前ら法律をつくってやったらいいじゃないかということだけではおさまらない。そんな観念論をおやりになっておるとは思わないから、何か経験の深い人事院総裁としてお考えがあれば述べていただきたい。ないならないでよろしい。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 直接国会に対してと言えば、国会がそういう権限をお持ちになっておるから、この権限の発動を促すために直接国会に勧告するのは、これは筋からいっても公式論でもないし、書生論でもない。あたりまえなことで、それが基本になっておることは制度としてはっきりしている。ただ、それ以外にいろいろつけたりのことはないかとおっしゃるから、たとえば、ここで現におやりになっておる以上に、政府当局者に対して完全実施をすべきではないかと、与野党こぞって追及する、そのことをわれわれは期待すると、こういうふうに申し上げておるのであります。

小林武日本社会党

○小林武君 人事院総裁の時間が来たそうですから、お約束の時間だからお帰りいただいてけっこうだと思うけれども、いまのような開き直り方をされると、私のほうでも文句がある。人事院が一体存在してから何年たつ。そうして一体、憲法二十八条に書かれるような労働者の基本的権利の問題についてその権能を十分果たせないような、そういう一体人事院というのはどういうことだということを私は反省する必要があると思う。そうじゃなしに、お互いにむずかしい世の中だから、とにかくお互いが相当検討しなければならぬというそれなら別だけれども、そういうあなたのようなお話ならまた別な角度でこれからやりましょう。きょうは時間がないからその点についてはひとつ私は終わります。

内藤誉三郎自由民主党

○内藤誉三郎君 簡単に人事院総裁にお尋ねとお願いをしておきたいのですが、それは、きょうは秋山委員、鈴木委員からお話がありました一つは、教員の待遇改善の点でありますが、たいへん先ほどの御質問はごもっともだと思います。一般職との均衡をはかるということを絶えず人事院お考えになり、また佐藤総裁は教員の初任給についてもたいへん今回御配慮いただき、ありがたいと思っておるのでありますが、私は一般職との均衡をはかる場合に、一番近寄っているのは何と申しましても裁判官じゃないかという感じがする。裁判官については相当思い切った優遇措置が講ぜられておる。私は今回、文部省が教職員の勤務の実態調査でもって、家庭に持ち込んで教師が苦労しておる面まではなかなかとらえにくいと思います。こういう点を考えますと、やはり教育というものは教師と子供が近寄った教育でなければ効果はあげ得ない、単なる知識の切り売りでは教育の効果はあがらないと思います。そういう点から考えますと、私は生徒や子供を教育する場合に最もここで一番大切なものは教師であり、教育のかぎをにぎっておると思うのでありますが、こういう点について文部大臣は御熱心でありますが、総裁は今度の勤務実態のときに、思い切った処遇の改善を、特に裁制官の関連において御考慮を願いたいということが一点、いま一点は、小林先生初め皆さんから実施の時期の問題が出たのでありますけれども、政府も人事院総裁みんな完全実施したいという気持ちに変わりはないと思いますけれども、私はただ勧告の実施の時期がどうもこういう時期が一体いいのだろうか、予算編成が済んだあとで補正に持ち込むのでありますから、財源等どうしても持ち込まなければならな公金がないと言われる、あるかもしれませんけれども、ないと言われれば、どうにも困ってしまうので、勧告の時期を再検討していただけないかどうか。というのは、少なくとも十二月の予算編成に間に合うような時期にやっていただければ完全実施ができるのではなかろうか、こういうことで私は先ほど小林先生がおっしゃることもたいへんごもっともだと思うのです。こういう点はまあすぐにできるかどうかわかりませんが、私は一つの考えとして、たとえば五%以上上がれば勧告しなければならない義務があるわけですが、上がらない年もあるのですから、上がらなかった年に切りかえて十二月までに勧告が間に合うような、そして翌年四月一日から完全実施ができるような、勧告の時期について私は御検討いただきたいと思うのですが、この二点について総裁の御意見をいただきたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 前段のお話につきましてはとくと了承いたしまして、その意気込みで今後の問題に当たってまいりたいと思います。  後段の勧告時期がどうという問題は、これはもう内藤委員十分御承知のとおり、数年来の懸案で、また政府におきましてもわれわれと力を合わせて、何か完全実施の方向へ向かっての保証はないものかということで昨年一ぱい検討していただいたわけであります。遺憾ながら現在にかわるような名案はないということで、今日従来どおりの勧告を申し上げたのでございます。私どもはこの際勧告の時期をずらすということは、これはいろいろな面でもっと時間をいただけばいろいろ申し上げたいのですが、問題点があるということだけを申し上げておきますが、一口に言えば、先ほども触れましたように、公労委の仲裁裁定が数百億にのぼる額と、新年度に入って五月ごろ仲裁裁定がありまして、それが四月にさかのぼって完全実施された。しかも、それを補正も何もなしに予算上の措置で数百億の金がころっと出ている。これはどういうわけだ、一般職のわれわれ公務員についてもそういう何か手があるのではないか、そういう点について、むしろ大蔵当局その他にさらに御検討をお願いしているわけでありますが、何とぞ今回の勧告の実施につきましては、内藤委員も十分お力添えをお願いいたしたいと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 一点、総裁にお尋ねをしたいと思うのです。勧告の内容では扶養手当あるいは通勤手当という問題、あるいは初任給という問題には触れられております。その点で昭和三十九年に臨時行政調査会が答申を出しておりますね。いわゆる福利厚生費、これが国家公務員で一人九百円、現行千円かと思うのですが、この点で十倍程度にこれをふやすべきである、こういって予算外流用とか、あるいは不当な使用を避けるべきだ、こういう答申を出しているわけですね。その後、民間ですね、これは調査対象にも問題があるでしょうが、民間の法定内の福利厚生費、この点は二千三百五十数円、法定外になりますというと三千六百十六円、こういった民間団体に対して地方公務員、また国家公務員も非常に低いのですけれども、こういう結果が経団連の調査でも出ているわけです。この点は御存じでしょう。こういう点を、福利厚生関係をどのように扱っておられるか、これは勧告内容にはないようです。この点を一点お尋ねしたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) たいへん適切な御指摘だと私は思うのですが、従来この給与の、お金の問題ばかりに問題が集中してきており、その周辺の勤務条件というものがないがしろにされているのではないかということをわれわれひそかに憂えておったのですが、その点、従来民間の状況等を十分調べております。まあ手近な例で申しますと公務員宿舎あるいは独身寮、これはいまのお話の住宅手当とうらはらの問題として相当重要性を持っている。とりあえず、その点についてはここ三年間ばかり非常に総理大臣以下関係大臣にも増設をお願いしているというような面もございますが、今後は人事局もできまして、人事局と共同の部面にもなりましょうが、いま御指摘の点についてはさらに検討を続けてまいりたい、かような心組みでおるわけであります。

小野明日本社会党

○小野明君 三十九年に出されておるわけですから、実際は四十年の勧告の中に入れられなければならぬ、四十一年にも、ことしにもこれがダウンされている、私は住宅等の問題はこれも差がありますけれども、特にお金の問題で千円と三千幾らという大きな差のある問題をどうして目を閉じてこれに触れられなかったのか、その点をお尋ねしておる。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) わかりました。私どもの今回お出ししました報告と勧告は、これは給与法に基づく勧告でございますが、給与法がカバーしている部面、すなわちいまのお金の問題という点がその対象になるものですから、福利厚生の問題はその周辺のわれわれの勧告とは別の分野の問題である、しかし、別の分野だからといってほうって置くわけではありませんで、いまのお話のように、宿舎の増設等の問題は勧告を総理に持ち出したときに、すわり込んでその点は特にまたお願いしておる、こういうやり方でやっておるわけであります。

小野明日本社会党

○小野明君 あまり長くなると何ですが、給与の問題といいますけれども、これもやはり給与になるんですよ。ですから、ことしは何ですけれども、来年度はこの問題について触れるかどうか御答弁いただきたいと思うのです。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) とりあえずは、まず予算の問題であります。各省を通じての福利厚生の面の予算をどうもらえるかという問題でございますからして、予算方面のまず手続がまあ順序としては事務的な順序になるだろうと思いますけれども、給与勧告の中でその点を特筆大書するということは、ちょっと先ほど申し上げましたような法律の文句から申しまして、別につけ加えて悪いということはありませんから、いまの御意見は貴重な御意見として努力だけは十分いたしますということだけははっきり申し上げておきます。

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 他に御発言がなければ……。

辻武寿公明党

○辻武寿君 関連。公務員の給与勧告は毎年五月にさかのぼってやるようにと言われておりながら実際は実施できておらない。いままでは十月ごろからやっと臨時国会を開いて実施された。昨年あたりから九月になった。そうしていながら尊重尊重ということを繰り返しておる。予算の関係でそれが実施できないと言っておりますが、一体ことしあたりはどういうことになるのか、やはり九月あたりから実施するようになるのか、九月からさえも予算を出すのは困難であるという声も聞いているのですが、ほんとうに尊重する気があるならば、森給与担当大臣が言うように五月にさかのぼることができなくても、せめて八月から実施するという努力のあとが見えてもよさそうだと思いますし、また、五月にさかのぼってやるべきだと言いながらそれが九月、十月になっている。毎年同じことを繰り返している人事院の態度というものも何となくマンネリズムでおかしいと思うが、そういった見通しですね、実施に対する見通しと、文部大臣がいまどういうふうに努力しておるか、また今後どういうふうに努力する覚悟であるか、そういう点について御意見を伺いたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 私どもの立場及び心組みは前々から申し上げたとおりでございます。将来の見通しということについては、これは私どもがさいふを預っているわけではございませんので、これは政府当局からお聞き取り願うほかございません。とにかくわれわれは八月どころではない、五月にさかのぼってぜひ完全実施していただきたい、その一本やりでやっておるわけです。

辻武寿公明党

○辻武寿君 大臣の努力、見通しは……。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほど申しましたように目下検討中なんですよ。したがいまして、いまここに見通しと言われましてもはっきりと言えない、それが実情です。森給与担当大臣がどう言ったことか知りませんけれども、ここであまり喜んでもらうようなことを言うて、もしそれができなかったときはこれは私の大きな責任ですから、努力は十分やります。やりますけれども、その見通しにつきましては、これはまだここにははっきり言えないのが実情でございます。ただ、常識的に考えまして、とにかく去年——一昨年でしたか、九月実施というときがありましたね。何といってもそれよりまだ悪くなるというようなことは、これは常識論として当然考えられない。しかし、八月にするか、七月にするかということはいま申したような実情でありまして、ここにはっきり御答弁できないことはまことに遺憾ですけれども、その点は御了承願います。

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 教育、文化及び学術に関する調査中、当面の文教政策に関する件を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より有田文部大臣、谷川文部政務次官、齋藤初中局長、宮地管理局長が出席をいたしております。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 大臣、御就任おめでとうございます。ただいま大臣の就任のごあいさつを承ったわけでございますが、これ相当多岐にわたった問題を含んでおりますので、その一々について御質問することは、これは後日に譲らしていただきたい。ただ、ごく大筋な問題についてだけ、若干、新大臣の御見解あるいは御方針、さらに教育問題についてのお考え方、こういうことについて率直な御見解を伺ってみたい。  大臣は、この委員会は初めておいでになったわけなんです。私はかなり長くこの委員会に籍を置いておる。従来の歴代の文部大臣、あるいは文部当局者のこの委員会での御答弁なり、また御態度を見ておりますと、何か必要以上にわれわれの質問に対して警戒のほうが先に立ちまして、どうもざっくばらんにずばりものをおっしゃらぬ。たしなみがよ過ぎる、よく言えばたしなみがいいのかもしれませんけれども、どうもわれわれ野育ちの者から見ますと、何か一つ障壁がありまして、奥歯にもののはさまったような感じを受けて、私はまことに不本意なんです。今後、新大臣が就任になられましたのを機会に、そういうことはもう一切抜きにして、ひとつざっくばらんに、何でもこう思うんだがどうだというような態度で対処していただいたら非常にしあわせなんじゃないかと思います。もうあらかじめ言っておきますが、われわれにしてもやはり、それは立場は違いますよ、ことによったら違う場合が往々ありますけれども、また、考え方が違う場合が往々あるけれども、これは当然なんです。要するに、日本の文教問題というものを一歩でも前進させたいというこの熱意は、これは与党の皆さんについても、あるいは文部当局につきましても、それに劣らないだけの熱意を私どもも持っておるつもりです。だから、ついあまり率直な発言をされて、そうしてそのことばじりをとらえて、われわれがどうのこうのというようなことは断じてありませんから、これはもう私は率直に私の感想を言っているので。どうも何かぴんとこない点があるんですよ。これはもう私の偽らざる感想ですけれども、おそらく他の皆さんだって似たような感想を持っておられるだろうと思うので、それは私非常に遺憾だと思うのです。だから、ひとつそういう意味で、決して大臣が文教行政のこまかい点についての専門家だと私は思っておりません。また、専門家である必要はないと思う。ただ、大局を見誤らぬようにやっていただけば、あとのことは専門家がたくさん文部省におるわけですから、それにおまかせになって決して抜かりはないと思う。そういう気持ちでおりますので、今後ひとつフランクにわれわれ野党に対しても接触をしていただきたいということをまずお願いしておきます。  そこで、大臣は就任早々から、ずいぶん記者会見その他旅先、いろいろな機会に文教行政についての新大臣としての抱負らしい発言を承わるのですが、その中に必ず根性ということばがあるわけですね。根性のある人間をつくらなければいかぬ、根性のある教育をやらなければいかぬ。よほど根性ということばがお好きなんじゃないかと思うのですが、この根性のある人間というのはどういうことを大臣としてお考えになっておるのだろうかということを、私、始終考えておるのです。その大臣のおっしゃる根性のある人間をつくるというのは、どういうことを今後文教行政の面でやろうとされるおつもりなのか。根性のある人間というのは具点的に大臣はどういうことを描いておられるのか、それを承わりたい。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 秋山委員のお話、非常に私嬉しく思いました。やはりお互い文教というものを何とかよくしたいという気持ちのものばかりの委員会、ことに皆さんは専門的に長いことやっていらっしゃるので、非常にその気持ちは嬉しく思いました。そこで、私も秋山さんのおっしゃるように、私も根が正直な人間ですから、あまり包み隠すことはいたしませんが、ちょっとことばが過ぎたからあげ足をとるというようなことは絶対せぬということを秋山さん言ってくださって非常に嬉しく思いました。さような意味でこの委員会に臨みたいと私は考えておるのです。  まず最初に、根性とはどういうことを考えておるのかということですね。私は根性ということばをちょいちょい使うのですが、やはり根性というのは正義というものをしっかりつかんで、勇気を持ってものごとに当たる、どっしりとしっかりした人間、軽薄な上っ調子な人間でなく、しんのしっかりした人間をつくりたい、そういうような意味合いを考えまして、私はもっと根性のある人間をつくろうじゃないか。どうも軽薄な人間が最近多いように思いますので、もっとしんのしっかりした人間、しかも正義のある、こういうことを考えて根性ということばをちょいちょい使ったのですが、私の考えはそういう意味でお含み願います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 根性論争をしようとは思はぬのですけれども、正義のために戦う勇気を持った人間、こういうことをおっしゃるのですが、その正義といいましても、これは私は社会正義、民主主義社会の人間として、やはり社会正義のために勇気を持って処していくということと解釈をするわけですけれども、まあ大体大臣はそういう意味でおっしゃっておるのですか。いまの大臣のおことばなら私それでけっこうだと思うのですけれども、どうも新聞なんか、あるいは記者会見なんかで囲み記事なんかに出ておる新聞記者の皆さんとの問答なんか聞いておりますと、どうもそういうことよりも、もう少しく年代をさかのぼったいわゆる根性なんです。いわゆる根性とは何ぞやといわれると私もよくわからないのですが、たとえばやまと魂とか、忠君愛国とか何とかいうことばから私ども経験的に受ける一つの受け取り方がありますわね、説明はきちっとしにくいけれども。そういうことに類した意味で根性ということばを使われておるような気がしておったんですけれども、そういうことだと、一口に根性といいましても、いろいろな意味があるので、その意味いかんによってはやはり今日の民主主義社会に対処していく、善処していく人間のあり方で言う根性とは少し食い違ってくるんじゃないか。で、そういうことであるならば、このいま学制改革、あるいは教育課程の改正とか、いろいろ制度上、内容上の微妙な問題が論議をされているさなかで、そういう大臣の微妙なものの考え方なり何なりというものが、そういうことへまた影響していく、まかり間違うと、私どもがかねがね非常に危惧の念を持っているような逆コースだとか何だとかいうような方向に行ってしまったんでは困るというように私思うのですけれども、それは、その点はどうなんですか。これもえらい失礼な質問かもしれませんけれども、あえてさっきのように他意はありませんけれども、いまの教育というものはやはり前へ、あくまで民主主義の筋金の入った教育として完成さしていくという趣旨で、重ねてお尋ねいたします。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) どういうように誤解されるかもしれませんけれども、私はやはり私ながらに時代の推移というものは心得ているつもりです。必ずしも昔の復古調的に、いまおっしゃるように戦前のそういう気持ちはないかという、もしそういう誤解を受けていればまことに遺憾だと思うのですが、私はやはり私ながらに世の中の進み方というものに呼応していかなければならぬと思います。ただ、はっきり申しておきたいことは、たとえば国を愛すというと、愛国心といえば復古調だというような、もしそういうことを考える人があれば、それは大きな間違いであって、私たちはやはり郷土を愛し、その国民としておる以上は、やはり日本の国を愛するという気持ちは持っていきたい。だから、さっきの所信表明にもちょっと言いましたように、お互いやはり国家社会の一員なんだから、やはり社会に対する責任感とその自覚を持っていいのではないか。そうすると、おのずから自分の行動についても一つの制約を受ける。これは社会人として当然のことだろう、こういうような考えを持つので、決して古いことばかりやっていくという、そんな気持ちは全然ない。ただ、ややもすると、道徳とか愛国心ということばが使われますと、簡単に昔の復古調、昔のことだと言われる、その風潮は遺憾だと思います。真の意味の、新しい流れの意味合いにおける私は正義感、それに通ずるしんの強い人間、こういう意味で根性ということばを使っておりますから、その点はひとつ御了承を得たいと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 大臣の根性根性とおっしゃっておる御趣旨は了承いたします。ただこの際、私いま大臣が愛国心だとか、あるいは道徳心だとかいうことを言うと、すぐそれが復古調だと言う傾向があるとおっしゃったんですが、それはおそらく日教組なんかを中心にそういう傾向があるんじゃないかということを腹にお持ちになっておっしゃっておるんじゃないかとも思うのですけれども、しかし、私はこれは大臣のほうもちょっと誤解されていると思うのですよ。それは日教組といえどもこれはずいぶん大ぜいな人の団体ですからね。それは個々に当たれば愛国心論議についても道徳論議についてもいろいろな見解がある。いわんやこれが、こういうものは自分だけの問題でなしに、教師対生徒という、他の人に対して、自分以外の人に対して働きかける場合のその働きかけ方についての議論ということになると、それはいろいろなことが出てくるのは当然だと思いますよ。と思いますけれども、ただ私どもにしても、あるいは日教組関係者にしても、愛国心だとか、道徳心だとかいうことを否定しておるようなことは絶対ない。これは当然です。それから愛国心にしても道徳心にしても、これはお互い国民として、また日本人として、社会人として、家庭人として、これはもう当然のことです。だからそれを愛国心即復古調だというような見解は今日は大勢として何もそんなものがあるわけではないと思うのですよ。ですからそういうことについて、何か社会党だとか日教組なんかというものは歴史を否定するとか、これは愛国心というものを否定する、あるいは道徳心を否定する、そういうように一口に言ったり考えたりしてもらっては非常に迷惑だと思うのです。それからまた私どもの議論があるとすれば、その愛国心と一口に言っても、その内容をどういうふうに想定して言うか、その内容に触れるものです、愛国心そのものではなくて。道徳教育にしてもそうですよ。私は道徳教育そのものを否定するという考え方は世の中にはないと思うのですよ。いやしくも人の教育である以上は、人と人のこれはかかわりあい、働きかけですから、そこに一本モラルの筋が通っておるということは、これはあたりまえのことで、それなくして教育というものが成り立つ道理がないですからね。だから、そういうことについて万々が一にも誤解があっては、これはやはり最初に私が申し上げましたように、この重要な文教問題についても、政府側とわれわれの問、あるいは与党側とわれわれとの間に率直な腹ばなしができにくい。何か一つ障壁があってという空気というものは払拭できません。だから、私どももいま大臣の根性というものについておっしゃったことをすなおに受け取っておきます。どうか大臣のほうでも、もし、いまの愛国心だとか道徳心だとかいうようなことに関連して、私ども社会党なんかのものの考え方に対して若干でも何か先入主か、誤解のようなものがありとすれば、これはひとつきれいさっぱりぬぐい去った上で今後議論していただきたいということをお願いしておきます。  そこで、私もう一つだけお尋ねしてやめますが、今度のこの内閣ができまして、文教政策というものに相当、総理大臣の御発言を聞いておりましても重点を置いている。そのために特に有田さんを文部大臣に据えられたんだろうと私は思っておる。したがって、なかなかあれもやりたい、これもやりたいという、重点施策というだけでもなかなかどれが重点かわれわれにわからぬくらいにたくさんなものになると思いますがね。そこで私は大臣に一つはお願い、一つは御忠告なんですがね。大体まあいままでの例から言いますと、大体一年でかわっておられるわけですね、文部大臣は。総選挙でもあれば、もっと短期間でおかわりになる例も少なくない。しかも文教行政というのは、ほかの経済政策なんかと性質の違う面があるのですね。なかなかそう、春、種をまいたから秋にすぐ刈り取るという性質のものではない。したがって、やっぱり基本的に言えば、相当長期間、気長な努力をしなければ、なかなか実が結ばぬ性質のものだと思う。だから相当長い呼吸でじっくり取り組んでいかなければならない性質のものだと思う、文教政策は。ところが、それにもかかわらず大臣がしょっちゅうおかわりになる。おかわりになることは、いまの党内事情その他で遺憾なことだけれども、やむを得ないとしても、しかし、そういうことが一応現実であるとすれば、そのワクの中で、せめて一年なら一年ですから、もう何やかや、あれもこれもやると言っても、おっしゃるだけでできぬと思うのですよ。いままでの、過去の文部大臣のなさってこられたことを見ても、皆さん相当本気でやられるけれども、別にあの大臣のときにこういうことをやったんだということは、思い起こしてみてちょっと思い浮かばぬですね。そういうこともありますし、また、個人の能力の限界もありますから、何もかも大臣におやりなさいということは無理だと思う。そこで、ただ一つでもいいですから、いろいろ重点施策をなさっておられる中で、これはやるんだ、今度やめるまでには必ずこれはやって見せるのだということを一つ考えてもらいたい。またお考えになっているかと思うのですけれども、何をやろうとされているのか、どういう問題を、必ずこれだけは——他もやるけれども、これだけはどうでも自分の手でということがあったらお示し願いたい。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先にも言いますとおり、教育というものは国政の基本的なものですからね。わしの代にこれをやるというような考え方は、私はそういうことは取りたくない。やはり長期的視野に立って、基本的の長い目で取り組んでいきたい。そこで、大臣がしょっちゅうかわるということは、これは私が長くおりますわけにもいきませんし、皆さんの御見解なり、また与党の方のいろいろの考え方もありますから、このことには触れませんけれども、私としましては、もし足跡を残すというなれば、こういう基本的な問題に調査検討を重ねて、これがいいとなればそれを進める方向に持っていきたいということでありまして、私の代にこれをやるんだ、あれをやるんだというようなことは、もちろん急ぐものはやりますよ、急ぐものはやりますけれども、そうわずか半年か一年の在任中にそれをやるんだというようなことは、私は別に考えていない。もっと基本的に、教育問題は重大だから、そうして再検討をするものは再検討をするという、長い目で教育問題と取り組みたい。これは私がかわりましても、次の人がそれがいいとなれば、その軌道を踏んでもらうようにしてもらいたい。そういうように考えておりまして、遺憾ながら私の代のうちにこれをやりますということは、いまは考えてない、そういうようにお含み願いたい。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 基本的な文部大臣としての態度なり心がまえとしてはそれは着実な御態度だと思います。ただ、いまの大臣のことばにもありましたが、やはり長期的な見通しである基本的な問題と、その場その場で片づけなければならぬ緊急な問題、それはその緊急な問題を、私はことばが足りなかったけれども、言うておるわけですが、それは長期的な問題についてはじっくりやってもらわなければいかぬ。緊急な問題として、たとえば新聞なんかでしじゅう取り上げられ、また社会的な問題を呼んでおる高校入試の問題だとか、あるいは私立大学の問題だとか、さらに最近は、六三制の是非の問題と関連して義務教育の教育年限を、下に延長するか上に延長するかの問題がありましたね。これを大臣の就任中にけりをつけろというわけじゃない。それをどういうふうに、研究するならするで、どういうふうに段取りをしていくのかということがやっぱり緊急問題。それから、あるいは学力テストを一体もうここらでやめるべきじゃないかという意見が相当文部当局としても強くなっておる。せんだって全国教育長協議会でも、大勢がもうやめてもらいたい、また文部省自身としても、教育課程の改正ということの資料にするというにしきの御旗のもとにやってこられた。それも大体もう来年の春ころには答申が出るということで、一応所期の目的があがったならあがったで、その所期の目的はもう一応片づいた。一体ここらでけりをつけるのかどうか、つけるべきではないかというような問題もある。さらにまた、頭脳の流出という問題がずいぶん——科学技術庁長官をやっておられるわけですが、文部大臣と両方の立場で、これはもう大臣非常にお考えになっているのじゃないかと思います。若い優秀な学者がどんどんアメリカあたりに行ってしまって帰ってこない。せんだって、ある数学者が、朝日新聞でしたか、大論文書いている。鉛筆と紙とあればやれるというので、日本の数学は非常に戦争中でも、朝永さんみたいに相当な水準を学者の努力でいっていた。その高い水準を示してきた日本の数学界は実質的には全滅だ。このままでは優秀な者はみなアメリカに行ってしまうというようなことで、頭脳流出問題、これをどうするのかというような問題。あるいは特殊教育、身体障害児、精薄児等の特殊教育の問題、一体これが長期の計画でゆっくりやっていっていい問題であるか。これはもう火急を要する問題ですね。こういう問題はいわばさしあたっての急ぐ問題だと思うのです。こういう問題を一体大臣はどれから手をつけられるのでございますかということをお伺いいたしたい。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) おっしゃることはよくわかりました。おのずから文教の問題に緊急性を要するものと、それから二、三年ぐらいのテンポでいけるものとか、あるいは十年ぐらいかかるものという段階があると思うのです。そこで、いまおっしゃるたとえば私学の振興の問題、これ一つ取り上げましても、いま調査会がありますが、中間答申を得たのです。その中間答申のものは、これを尊重して、もう来年度に予算なりその他税制の面について手をつけて、これを急いでやらなければならぬ。しかし、第二段がまえとしては、また来年の本答申がくるから、引き続いてそれを補強してしっかりしたものをやる、こういう問題ですね。学校改革のうちでも、もうすでにできておるのですね。高等専門学校制度、これはもうすでに皆さん国会でも承認されて、あるいは短期大学の制度の問題、こういうものはすでにでき上がっているのですが、しかし、高専制度をもっと拡充なら拡充していく、現に高等商船を上げたらどうかという問題、こういうものは早く取り組んで解決していきたい。また、後期中等教育の問題もすでに中間答申を得ましてこれを改革の方向に進めつつある。これは幾らか準備期間が要りましょう。教員の養成——教員の関係もあるし、いろいろな準備期間も要りましょうが、しかし、これは比較的早く取り組まれる問題だと思うのですよ。しかし一面、さっきもちょっとお話にありましたように、就学年齢を一年引き下げてくる問題になりますと、これは単に思いつきや何かではやっちゃいかぬ。単に教育制度ばかりじゃない。やっぱり日本人の最近の知的の向上の状態、あるいは体力的見地、あるいは医学的見地、各方面の意向も十分聞いて、そして一つの科学的根拠でもってこの是非をきめなくちゃならぬ。これは相当時間がかかります。私の在任中にどうのこうのというわけにいかない。そういうようなサイドから一つの検討をさしてもらうという、この軌道だけはっけたいと思うのですよ。しかし、それが私の在任中にこうなりましたとは言えない問題であると思います。ことにさっきの、いまの年齢引き下げの問題も一つですが、それと関連して、六三制がいいか、あるいは六四がいいか、あるいは高等学校と大学の結びつきをどうするかという基本的な問題がありますね。こういうものはあまり簡単にやるわけにいかない。そういうものはやっぱり長期的視野に立って、あらゆる角度から検討していってそして改むべきものは改める、こういう態度でいきたい。で、私がまだはっきりはきめてないと言いながら、中教審にこういうような問題は諮問して、検討してもらうというのも、そういう意味からですね。やはり中教審というものはこういうことを専門的にやっておられる。それに中教審委員ももっとふやしたり何かしながら、長い目でそういうものを検討してほしい。そういった大体の方向がきまったら、最後の打ち上げは十年先か五年先かわかりませんけれども、そうすれば内閣でも大きな委員会をつくって、そこで最後の決定をやる、こういう段取りになるのじゃないかと思うのですよ。内閣のやることは、花火は大きく上がりますけれども、長期的な視野に立ちますと、途中でずっと内閣が変わったりすると消えてしまうのですね。文部省の最高諮問機関と言われておる中教審なら、それが常に文教事情に十分取り組んでおられるところですから、長期的視野に立っていろいろな検討をしてもらうのは、まず第一段階としては中教審がいいだろう。これはきめておるわけじゃありませんけれども、そういう気持ちを持って考えたい、こういうことでありますから、ものごとによって違いますけれども、私の気持ちはそういうことでありますから、御了承願いたいと思います。

秋山長造日本社会党

○秋山長造君 学力テストの問題、これはどうですか。こういうようなものは、これはたいして時間のかかる問題でもないし、もうここらで、大臣の決断一つにかかっているという問題だと思います。  それから、さっきもちょっと触れましたが、日教組の問題ですね。これはどうも議論をしようと思うと時間がかかりますから、ほかの委員の方もおやりになるから、私は多くは申し上げませんが、日教組の問題なんかも、まあ大臣はずいぶん広くいろいろな方面のいろいろな人の意見をすなおに聞いてやっていきたいという御発言もあった。それはけっこうだと思います。しかし何といっても、案外、教育論議は大いに世間でやられますけれども、やつぱり肝心の現場の職員、実際日夜子供を扱っておる現場の職員の発言というものがわりあい文部当局、あるいは大臣の耳には入ってないのですね。側の人が大いにやっておるわけで、花を咲かしておる。やっぱりそれは現場の教職員の意見というものも——ものもじゃない、ものがやっぱり相当大きなウエートを占める筋合いのものだと私は思う。この教育問題の論議については。そこで現場の教職員の意見といっても、それを大臣が一人で聞いて回るわけにいかない、結局何らかの形で一つの全国的な団体なり組織なりというものを通じてこれは大臣の耳に入るという以外に方法がないと思うのです。そういう趣旨から言いましても日教組というものは、これに対して是非の批判はそれはあるでしょう、立場によってあるでしょうけれども、やっぱり批判をこえて、現場の職員の声を聞く組織としてはこれは最大のものだということは、これはもうその現実は否定できぬと思う。にもかかわらず、文部当局と日教組との関係が従来うまくいっていない。冷たい、冷戦状態だというような新聞用語で釈明されるような状態が、一進一退はありますけれども、前の中村文部大臣なんかも相当前向きで努力された誠意を私どもも評価しております。やはりもうここらで、最初に申しました、あんまり不必要な警戒とか、何か先入主を持ってからに閉じ込める。障壁を持ってかまえるというやり方は、もうきれいさっぱりと捨てて、あっさり私は随時日教組の代表ともお会いになって、——日教組の代表とだけ会えというのじゃない。それはいろいろな方面の意見をお聞きになればけっこうですけれども、日教組の代表ともざっくばらんにお会いになるというこの姿勢だけは、ここらでもう確立されてしかるべきじゃないかという感じを私ども常々持っているのですがね。まあ記者会見なんかでも、一番にそのことを聞かれると、やっぱり大臣がお茶をにごしてイエス、ノーをはっきり言われぬのは、そこらにやっぱり何かいままでずっと過去の経緯から、先入主というか警戒心というか、そういうものがじゃまをしているのじゃないかというように思うのですが、そういうことをひとつこの際されいさっぱり払拭して、あっさり随時お会いになって、ざっくばらんに話し合うというような方向を打ち出したらどうですか。こういうことも私はやはり大臣の一つの仕事として、これはもう腹一つですぐできることですから、そう手間ひまのかかることではないのですからおやりになって、何か立場が違っても、大筋ではやっぱりいまの教育を少しでもいい方向に前進させていくためにみんな協力していくのだという形をつくられたらどうかということを思うのですが、その点だけ最後にひとつお尋ねして私の質問を終わります。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 第一の学力テストの問題ですね。これは率直に申していま検討中なんです。これは腹一つだとおっしゃいますけれども、私、就任して間もなく、時間も十分なくて、予算の問題とか、その他科学技術庁の問題とかありましたりして、十分検討するひまがいまのところないのです、率直に申しまして。がしかし、私のおぼろげながらの考え方は、学力調査は全部これをやめる考えはいまのところないのです。しかし、その方法ですね、いままでの毎年何年やっているようなことを、これはひとつ三年目に一ぺんがいいか五年目に一ぺんがいいか、そういうようなことをまだ検討はしておりませんが、まあそういうような気持ちをいま持っているというのが偽らざる気持ちなんですね。よく検討を遂げた上で、ひとつはっきりしたことを申し述べる機会が近くあると思います。  第二の日教組の問題ですね。私はこれはわりあい弾力性を持っていると申しますか、あまりかた苦しいことは考えない。しかし、わりに日教組の人と会ってやっぱり会見のしがいがあるなという、やっぱりひとつの効果がないと——そこであっさり言うと、向こうさんの姿勢次第だと、あなたは大臣の姿勢いかんだと、こうおっしゃいますけれども、私らはわりにざっくばらんの気持ちでおるのですがね。相手の姿勢いかんでありまして、やっぱり会見したら、何かそれは何だこうだ、団体交渉だ、もうそんなことじゃなくて、教育の問題について建設的な意見が聞かれ、ああやってよかったなというような、そういう状態に早くなってほしいというのが私の気持ちなんですよ。そういう気持ちでおることを申し上げておきます。

小林武日本社会党

○小林武君 文部大臣にお尋ねいたしますが、いまの秋山委員の質問に対して、日教組の件ですが、これはあれですか、あなたのお考えは、日教組というものを、何か会ってかいのあるものなら会うし、会ってかいのないものなら会わないと、こういう御見解ですか。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私、前中村文部大臣から引き継ぎを受けました。しかし御承知のとおり、大臣の引き継ぎというものは、そんな何日もかかったりしてあれしておるのじゃありません。一つの書類の引き継ぎだったのですが、その引き継ぎによると、前の中村大臣は中村大臣なりに良識ある政治判断を基礎として行動されたように見受けるのです。私はまた私なりの良識を基礎にして判断して行動に移したいと思っております。しかし、その引き継ぎの中身を見ますと、これは条件というほどではないようでしたが、強い要望事項として、御承知のとおり、教師の倫理綱領の解説の問題と、それから政治的中立性の確保の問題、そして実力行使の廃止、こういうことを強く要望されておったようですね。私の考え方は、さっき会見のしがいがあるような状態が見受けられるならばと私申したのですが、こういうことに、こういう前中村大臣が言われたことも私はもっともだと思うのですね。だんだん日教組のほうも態度が変わりつつあるようにも聞くのでございますが、やっぱし私の考え方は、こういうようなことが骨子となっていくだろうと思うのですが、そこで日教組さんのほうの態度が、もう少しこうこういうものに閉じこもって、こらとあまり言わずにですね、私はこういう教育の問題でほんとうに前進したいというように、世間もなるほどというような、そういう姿になられることを私は熱望しておるわけなんですよ。そういう時期が来たならば喜んで会談もしたいと、こう思っております。

小林武日本社会党

○小林武君 何か文部大臣は考え違いをしていらっしゃるんじゃないですか。私はそういう御理解では問題があると思うんですね。このことは、私は文部大臣に対しては、別に過去においてどうだったとか何とかいうことを思っているわけでもありませんし、きょう初めてお目にかかってお人柄を見ると、大臣がおっしゃるようにいろいろなことにこだわりなさるような方ではないと思うから、私は初めに率直なことを申し上げるし、そしていろいろ考えていただきたいと思う。これは将来の文教委員会で、ことによっては非常な問題を起こすことだと思いますから、私は率直に言うのですけれどもね。まず、この問題は一人、二人の文部大臣とどうこうという問題ではなくて、佐藤さんという総理大臣、総裁としての佐藤さんという方が、少なくとも日教組の、過去のいろいろな日教組と政府との間の行きがかりというようなものを何らか解決したいという意図から出ておる、このことをやるためには日教組が直接大臣とやりとりするというようなことは不可能な状況にあった。私も当時日教組の責任者として残念ながらそれを認めざるを得ない。とにかく、話し合いのできる状況でなかった。佐藤さんが、それについて一つの政府側の結論として、それはドライヤーが日本に来たということが一つのきっかけです。日本の労使の問題をよその国の国際的な舞台でやるということのよしあしの問題は別です。これはいいとか悪いとかいう問題じゃ私はないと思いますけれども、国際的な労働組合というものがある限りは、そういうことのいい悪いは議論される問題だけれども、私も本来ならばそういうことは日本の中で解決すべき問題だと、少なくともいろいろな点に問題点があっても、これは日本という国は先進国であるし、国際的にもかなり責任のある立場に立たされた国だと私は思っておる。だから、できるならば、やっぱりそういう問題を国際的な舞台に出して、労使双方がかみ合うということをやることは避けることができるならば避くべきだ、しかし、それは残念ながら国際舞台に出さなきゃならぬような状況にあった。私はそれはどっちがいいとか悪いという議論は、ここでいまするつもりはない。しかし、それを労働者側も何とか国内でそういうことをやろうじゃないか、これが出たのは太田・岩井というラインによって統一された総評という舞台、佐藤さんがそれを受けとめた。そうしてドライヤーのこられたことをきっかけにして、日本の労使の間にある不信感の除去というものをこれからやらなければ、いたずらに労使間の問題が紛糾して日本のためによくない、こういう両者の意見の一致を見たわけです。その中で、それじゃいろいろ問題があるのはどこかとなったら、ほかのことは別として、日教組という問題が出たから、日教組はそのうちの一つだと、佐藤さんはそのことを政府の責任者として、これは政党の総裁という立場もあったと思う。これは保守党の総裁としての立場もあったと思う。それを太田・岩井ラインでずいぶん話し合いをやった。しかし、総評が号令をかけてやるとか、あなたのほうの総理大臣が号令をかけておまえやれということも、それは大臣として言えないだろうから、それはひとつどうするかといったら、日教組と文部省との間の不信感を徐々に除去するという形で、ひとつ両者の間の、日本教職員組合というものと政府との間の最も好ましい環境づくりをやろうじゃないかということで進んできたのですよ。だから、私は中村さんが何とかかんとかいうことよりも、これは佐藤さんと労働組合の一番のまとめをなしておる総評との間のいわゆる政治的なトップレベルの問題から始まった。だから、その過程にあるわけですよ。中村さんはその過程において、その仕事をやりかかった人だと、そういうふうに理解してもらわないと困ると私は思う。しかし、あなたのほうで、今度は内閣の態度も内閣改造で態度が変わって、いや、あんな話はもうやめたのだ、総評ととにかく話し合ったことは御破算だ、日教組なんというものと話し合いをするなんということはやめたというならこれは別です。そうならはっきりとここで言ってもらいたい。そうでなくて、前の路線のとおりやっていくということならば、これは大臣、そうであるなら、両者が双方がまんしながら、双方いろいろ意見があるので、意見が違うのだからがまんしなければならないところがあるが、しかし、そうじゃないのじゃないか、そうでないということを重ねながら、あなたもおっしゃるように、双方とも——大臣と話せば大体ものごとはきまると日教組が考え、あなたのほうも、日教組と話し合いをすれば、いろいろな問題でとにかく非常に両方が文教政策を実施する上において有効だと考えるようなものをつくり出すわけでしょう。そういう過程で私は御理解願いたい。これはあなた、どういうお考えを持っておるかひとつ聞きたいのです。そういう佐藤さんの考えからずっと来た考え方を肯定されるのかどうか、そうでないのだというなら別だ。  そこで、私は二つ目に、そういう過程の中でとらえて、私はこの問題についてずいぶんごたごたするものですから、五十二国会の予算委員会の中で中村さんとやり取りしました。これは速記録を読んでいただきたい。その速記録と、それから今度の臨時国会の中で、私はこの問題がまだどうもすっきりしない。すっきりしないというのは、これはものごとを全部氷解してしまって、日教組のあれはほんとうにいい環境ができたというのじゃなくて、その手続的ないろいろな過程の中での話し合いというものをとにかく運ぶということがうまくいかなかったから、二度にわたって私は文部大臣に質問したのです。そこで五十二国会のときにおいても大体了解ついたと思ったのですよ。中村さんも、別におれは宮之原、槙枝というようなトップクラスとだけは話するけれども、ほかの者と話しないなんというようなことは言ったわけじゃない、こういうのです。しかし、日教組の何人かの、五人とか七人とか来たそうです。そういう会合を四回ほどやってみたら、どうも大臣に言うてもらわぬでも事務局段階できまるような話もあるので、もう少しトップレベルの話も進めてもらいたい、そういう希望もあった。しかし、日教組の人間が五人や七人、委員長をはじめとしてきた場合は話をしないわけじゃないのだというんです。そこで私は、それならいい、解決したと思った。それで日教組に対してもその事情を話した。大臣の考えもそういうあれだからトップレベルで話をやったらいいんじゃないか。それからまた何人かいって話をするということがいいんじゃないか、とにかく徐々にそういうことをお互いがはっきりと環境をつくっていく。そうしたら日教組のほうで斎藤初中局長のところに電話をかけたら断わられた、何だ小林さん、あんたの言われたことはうそだと、それで私も今度は臨時国会のときに、あれはうそだったのかどうかということを確かめた。いろいろやりとりがあったけれども、それは速記録を読めばわかるように、結局最後はそういうことになった。だから、私は今度新しく大臣におなりになった有田さんにお願いしたいのは、そういう佐藤さんの意図なり、労働者側との間の話し合いの一つの結論なりに従って、あなたが話し合いのしがいのあるような状況を一日も早くつくるように接触を保ってもらいたい。それを先ほど秋山さんがるるそういうことを述べたけれども、話のしがいがあるかどうかわからないから会わぬわというようなニュアンスで大体話をされた、それが新聞に出るというと、もっとごつく出る、私はほんとうのことをいうと、あの新聞を見てちょっとかっとなった、大臣らしい風格だけれども、大臣らしくない、お話にならぬなといって心配した、しかし、そうでないようにしてもらいたいからいまそういうことを言うんですよ。だからあなたね、どうなんですか。この速記録の二つのことをひとつお読みいただいて、トップレベルでの話し合いはなくそうと——どういう引き継ぎをやったか、妙な引き継ぎがあったら、とにかくもうこれと合わないことになる。あなた二つの、国会の予算委員会とそれから文教委員会で言ったことは違うことになる、そんなことではこれはたいへんだと思う。会ってひとつあなたいろいろ注文をつけなさいとぼくは中村さんに言ったんですよ。もうそろそろトップレベルで話し合おうということで、宮之原さんちょっと残れ、話し合おう、そこで、ここはこうしてもらいたいと思うとか、何とか話をすればいいのだということを言ったんですが、あなたはひとつそういう態度で、ほんとうは中村さんが文部大臣でずっと続いておればこの問題はここで一挙にきまるわけなんです。しかし、いま新たなあなたを迎えて振り出しに戻って、佐藤さんと太田さんとが会った以前のいろいろいろの問題に引き戻すということになると、これは重大なことだと考えるんです。この辺をどうお考えなんですかね。引き継ぎとあれはまるっきり違うんですかね。いま申し述べた二つの速記録の内容ともし違うならば、ひとつこれをお読みいただくことになると思うのだけれども、少なくともいまわれわれにこれくらいのことは言ってもらいたい。やはり総理が総評と話し合った基本的な点は守る、それによって日教組と最もいい環境を保つためのあれをつくっていくんだという決意の表明はしてもらいたい、強制するのではありませんけれども。それはとにかく両方の長い間のこじれにこじれた問題を、佐藤総理がそういうひとつの方針を示したのだから、私はいいかげんに取り扱ってもらいたくない、そのところはどうなっておりますか。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) この問題についてはいろいろないきさつもあったように聞いておりますが、私は先ほども言いましたように、会談ばかりが能じゃなくて、やはり会談したその結果が、かいのあるような状態にしたいと思うんですよ。つきましては、これは私もさっき言いましたざっくばらんの考えでいるんですが、日教組のほうもやっぱり姿勢をもう少しただしてほしいと思う。ほんとうにやるなら何もトップ会談ばかりやらなくとも、局長もいるんだし、次官もいるんだし、それはそれで、その上に乗って私が話をすることもあると思うんですが、そういうあまりこだわったトップ会談でやらなければいけないとか、そういうことよりも、何かすなおな気持ちになってそういう姿勢になってもらうことを私は期待しているんですよ。で、おっしゃるように、ドライヤーさんも言ったように、互いに不信感を一掃する、こういうことはお互いの信頼と信頼の問題になりますから、信頼と信頼をもって話し合いのできるような環境づくりのほうが私は先だと思うんですよ。そういう考えのもとに、私はこちらもざっくばらんに考えるが、日教組のほうももっといままでの態度を変えて、姿勢を変えてほしい、そうして話しがいのあるような、会談なら会談をしたしがいのあるような環境をつくってもらうことが私は先決じゃないか、かように私は考えるわけです。

小林武日本社会党

○小林武君 なかなかぼくは疑い深くなっておるのかもわからぬけれども、あなたのおっしゃることは、どうもやはりだいぶいいほうに進まないで、悪いほうに進む、また対立状態をかもし出すのではないかというようなことを心配するから申し上げますがね。トップレベルで話をするということは佐藤さんあたりから出たことだと思うんです。いきなりたくさん集まって話し合いなどをしたら、何かいわゆる環境づくりがうまくいかないと、総評側もそういうことを心配して、委員長と大臣が話し合いをするということになれば、数少ないからいろいろ腹を割った話し合いもできるだろうということで、徐々にだんだんやって、その環境が少しずつよくなったら、多数で集まって話をすればいい。これは私はまことにいい状況ができたと思った。ところが途中でそういうことになった。もっとも文部大臣の話の中に、ちょうど申し入れを受けたときが日教組の大津大会の前の日で、大津大会に、文部大臣と会ったらこんなことを言ったとか何とかいうことを言われたら、私はいやだというようなことをここで言っているんですよ。それはぼくはここで言えば、それもぼくは文部大臣としてそんなことを考えるのも必ずしも悪くはないと思う。何かそういう意図があったのならそれでもいいと思う。しかし、それにしても会わないということを言うことじゃないんだから、そんなことを考えるということを正直に言うんだから、いいと思うんだけれども、まずいろいろなことを文部省でも考えているんですよ。だから、そういうことをなくするために、もしそう言うならば、大津の大会が終わったあとでも会おうじゃないか、話を聞こうということをおっしゃれば、そういうことはあなたがたが手当すれば、それはあなた流の手当でいいんですよ、環境づくりをやってくれればいい。ただ、姿勢を正せということに、日教組が何をしなければだめだとか、かにをしなければだめだとか、こういう条件をつけるならば、話し合うことと全く別だ。日教組のものの考え方を全部変えなければだめだとか、あなたがおっしゃるように、倫理綱領をどうするかとか、これはもう私は倫理綱領の論争を何ぼもやってきたからよく知っている。どこが悪いということをいろいろ議論した。しかし、いま日教組じゃないから、あなたと議論する必要はないけれども、それをやるにしても、それがあるならあるで大いにやればいい。一ぺんでけんか別れをするんじゃなく、おれは倫理綱領に対してこんな考えを持っておると、それをやればどうなるか知らないが、お互いの理解に達するためにやればいい。しかし、それは会って話をしなければそれはできないんです。それを、その条件をはずしてこなければ、倫理綱領を廃棄してこなければ、われわれは会いませんということを言うということであれば、これはもう政府はいままでの態度を一てきして、とにかく日教組とは全然会わないということを意思表示をしたと見るべきである。どっちなんですか。私はとにかくあなたのほうの側の意見と日教組の意見がぴたっと一致するとは思わない。しかし、お互いが話をして努力をする。あなたの言うように、会って話し合いのかいがあるということは、それはその時期はきょうでもなければ、あすでもない、二年かかるか、あるいは一年半かかるかわからぬことだ。しかし、できるなら、私は一年もたたずに、あなたの任期中に、中村さんと二代ですから、その間ぐらいには、とにかく会おうと言ったら会って話をして、文部大臣が希望をして、とにかく宮之原さんと話し合いをしたいというのなら、それもまた希望してやればいい。いろいろな角度で、五十数万という日本の教師の集団であるということは、あなたたちが何ぼ目をつぶったって事実なんです。それを相手にしないで、日本の教育をやろうなんていったって、それは間違いなんだから、だから、私はそういう態度でやってもらいたいと思っているのですが、あなたはあれですか、とにかく倫理綱領を投げてこなければだめだとか、お前ら実力行使をやるのはだめだとかというようなことを、それを一々証文を書いて、私たちはそれをやりませんということを書いてこなければ会わないという考え方ですか、どうですか、それを聞かせてください。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) こういう問題はそうその割り切ってこうだこうだというような私は問題ではない。私は先ほど来言うように、やはりそういう環境が出てこないと、わしは実力行使をやるんだ、わしは社会変革をこうやるんだというような、そういう声を大にして言われるような状態で幾ら私が会いましても、それは会見の価値がない。やはり綱領は綱領あるにしましても、とにかく時代の流れがあるのですから、あれをつくったときと今日ではだいぶ年月もたっているのだし、まああれはあれとして、私は日教組はこういう考えでおりますというような態度が変わるというのか、姿勢が変わるというのか、姿勢というとまた何か言われるようだが、何かやはりそういうような態度が変わってきて、そういう環境ができてこないと、会談するばかりが能じゃないと思うのですね。私はそういうような気持ちで、早く日教組のほうも文部大臣がみずから好んで会いたいというような、そういう環境になってくれないか、こう思うのですよ。それで私はこの際、会見するとも言わないし、会見しないとも言わない。早く会見できるような環境ができることを期待しているというのが今日の実情であります。

小林武日本社会党

○小林武君 これは簡単にやめられなくなっちゃったけれども、それでははっきりしましたが、これから日教組側は、とにかくあなたが何とおっしゃろうと、前の文部大臣の考え方、佐藤さんと文部大臣と会う前に、佐藤さんと総評と会うところにも宮之原君は同席している。だから、佐藤さんと総評との間の話し合いというのはよく聞いているわけです。宮之原君は総評の単産の委員長で、右翼の存在として——右翼というと何かまた別な考えを持つかもしらぬけれども、重要な人物の一人として、それで参画していますから、彼は佐藤さんとあそこの話し合いのことをよく知っている。その中でとにかく一番重大なことは、日教組がけしからぬとか、文部省が反動的だとかいうようなことではなくて、いかにしてこれから両者が信頼感を確立するか。とにかく佐藤さんの考え方も、太田総評の考え方も、とにかくお互いが会見をすることによってその中からもみほぐしていこう、そういう慣行をつくっていくのだ、こういうたてまえです。だから、彼らはあなた方に、おそらく文部大臣にお会いしたいといって文部省に言ってくるでしょう。そうすると、あなたはあれですね、いまの考えだというと会いませんという態度をとるのですね。とにかく倫理綱領ははっきりしていないし、ストライキはやりませんと言ったこともなければ、何も言っていないんですから。ただ、あなたおっしゃる中に、社会革命をやるとか何とかということをおっしゃったけれども、それはどういうことですか、そんなことはどこにあるのですか。あるならあると言ってもらいたい。私は教育というのは、あなた文部大臣だから言うまでもないことだが、教育というのは現実について充実させるということがあるけれども、常に明日のことを考えるから、新しいことをわれわれは建設していかなければならぬから、これは国家百年の大計ですよ。うしろ向きじゃないんですよ。教育というのはうしろ向きの予言者じゃないのです。前向きのものなんですからね。そういうことを考えている教員の仕事を何か不運のやから扱いにするのだったら私は問題だと思う。しかし、日教組の中に一体社会革命をやるとか何とかどこに書いてあるか。もしもあるならひとつ示してもらいたい。ぼくもそのことくらいはいまでも知っている。そういう誤解があるならばこれは重大な問題だと思うのですよ、私は。その倫理綱領についてかれこれ言う。その倫理綱領についてもどこが悪いのだと言ったら、何だか脇についている何か解釈の文章が悪い、その解釈の文章は私が委員長時代に直していろ。そのあとにも直している。それはなぜかというと、なまがたいことばというのは誤解を生むからということで、みんなが理解できるように変えている。そのことは一つも見ていない。そうして日教組の倫理綱領というのは革命のあれなんだ、こう言う。直したことは一つも言わない。そうして最後に何を文句つけたかというと、どこが悪いのだとぼくがある保守党の人に聞いたら、教師は労働者だと言ったから悪い、教師が労働者であるかどうかという議論のしかたは、これは国際的に見なければいかぬですよ。そうでない見方もあるけれども、アメリカだって労働者としての組合をつくっているところもある。イギリスだってそうだ。その国際的な先進国と言われるものの中にある状況というものを判断されて、日教組だけがまるで何か飛び離れたことをやっているというふうに理解されるというと、これはたいへんなことだと思う。総評に参加しているということによって、日教組というものは、これは危険団体としてあなたたちの話し合う環境にないということになれば、これは私は重大な問題だと思う。だから、あなたが先ほど言ったような形で日教組側からひとつ文部大臣にお会いしたいという、そういうことを言ってきた場合に、あなたは会うのか会わないのか、これをひとつ、お断わりになるならお断わりになるでけっこう。短くてけっこうです、まだほかのことについて一、二質問したいと思いますから。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) どうも小林さんは割り切って、会わないか会うかというようなことを言われるのですけれどもね、しかし、それは私は先ほど来申しておりますように、やはり会見して——これは対立的に会見しても何もならぬですよ。やはり会見して、会談なら会談すればそれに対して効果があったという、そういうやはり環境になってもらわぬと、いま会ってやるのだとか、鶏が先か卵が先かわからぬようなことになるのだが、私はやはりそういうような姿勢、ということばが悪ければ環境でもいいのですが、とにかく日教組自体が教育をみずからつかさどっておられるのだから、教育に非常に重大な関心を持って、こういう問題についてこうだという、やはりそういう環境ができれば私は何も会わぬとは言わない。しかし、会ってみても……。

小林武日本社会党

○小林武君 いや、会わないというなら会わないでいいのです。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 会わないとは言わぬと言っているんですよ。あんまり早くそうきめないでください。

小林武日本社会党

○小林武君 いやいや、環境ができないから会わないというのでしょう。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) その環境を、やはりそれはあなたたちも関係されておるのだから、だから、そういうやはり環境づくりを先輩として協力願いたいのですね。そうしてまあ国民が見て、ああいいことができたという形に、やはり信頼と信頼がなければ、私は会談だけが能じゃない、こう思っているんですよ。

小林武日本社会党

○小林武君 ぼくはこのことはいいかげんにしておくことはできないと思うから、きょうだけで終わらぬと思う。あなたやはりぼくの議論そらしてはいけないですよ。端的に短く言うと、佐藤さんがそういう相互の不信感は話し合いをしていく中で解消していこうという態度をとられた。そうでしょう。総評との話し合いでそういう態度をとられた。それの過程でしょう、いま。進行の過程にある。それをあなたが認めるのかということなんですよ。私はいまは満足な状況にないだろうと、おそらく。相互にはまだまだ不信感があるだろう。それから会ってみれば相互に不満は起こるだろう。しかし、それをがまんしながらだんだん除去していくというやり方を政府もとろうとしたし、労働組合の側もとろうとした。それを進行していってくださいとぼくは言っている。あなたはそうじゃない。そのいままでの方針は捨てて、あなたの論法を言うと捨てて、環境ができるのを待って話するというのだったら、これはできないですよ。これは話してさえもなかなか意見が調節がうまくいかぬのに、これはいつかお前ら日教組がおとなしくなったら会ってやろう、日教組の側から言えば、政府がおとなしくなったら会ってやろうということになれば、百年河清を待つということがあるけれども、百年河清。それは私はそうじゃなくて、努力すべきだ。それは佐藤さんと太田総評と話し合ったことは正しい。それにはお互いに忍耐が必要だと思うのですよ。日教組もわがまま言うべきじゃない。文部省も過去のあれにとらわれて自分たちの立場ばかりを主張しちゃいけない。両者が譲り合って環境をつくることに努力すべきだと思うのですよ。割り切った割り切ったと言うけれども、割り切ったのはもっと先のほうで、ぼくなんかは割り切ったほうの太鼓をたたいているだけですよ。  まあこれでやめますが、もう一つあなたにお聞きしたいと思うのですが、これもひとつこの次にお聞きしますが、一つだけこの問題について言いたいのは、学制改革の問題です。これについては佐藤さんはこういう答弁をしているのです。——前の大臣から六三制の問題について発言があった。これは松本へ行ってやった。それで私は佐藤さんにこういう質問をしているのです。いわばこれは一種の教育改革だというのです。ジョンソンが中村さんの言う何日か前にものを言った問題が新聞に大きく出た。四歳から教育をやらなければならない。それからイギリスでもやんやとウィルソンがやっておることは皆さん御存じのとおりだ。そういう中でああいうことを言えば、これは日本は非常に大きな教育改革というものを政府としては意図しておるということもいえると思うのです。私もそういう教育の問題についてどういう方式をとるかということは別として、政府が非常に関心を持ったということは、日教組の悪口を言うだけが能のようなかつての文部大臣よりずっと進歩した考えでたいへんけっこうだと思っておる。それで佐藤さんに、それだけ大きな問題を閣僚が言っておる限りにおいて、あなた何かお考えがありますかと言ったら、これについて佐藤さんはこういう答弁をしておるのですよ。そこのところだけ読みますと、「この就学年齢の引き下げとか、あるいは中学校の三年を四年、あるいは五年にするとか等々の具体案については、まだ全然私持っておりませんし、また、先ほど文部大臣からも説明いたしましたように、実は自分のアイデアを話をしたらそれで記事になったんだと、こういうことでございます。私は、今日この段階におきましては、これは中村君のアイデアだろうと、かように思います」、総理大臣は私は関知しないということです、結論的に言えば。これは五十二国会ですよ。佐藤さんがそれだけのことを言い切った。しかし、今度有田さんが文部大臣になられたについて、佐藤さんが、この問題をひとつ検討せい、こうおっしゃるならば、それは変わってもかまわないと思う。そういうあれがあったのかどうか。何だかうやむやのうちに、総理大臣は御存じなくても、あなたたちがいろいろなことをやっていくのかどうか、そこらあたりはどういうことになっているのですか。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほども秋山委員に答弁いたしましたように、学制改革というのはなかなか重大な問題です。したがいまして、これはもちろんいよいよやるということになりましたら、総理大臣はもとより関係閣僚の了解も求めなくちゃいけない。ただ、私のいまの考え方としては長期的視野の上に立ってやりたい。中教審に諮問するといいましても、何もこちらが案を立ててそれを諮問するのじゃなくて、学制の上においていろいろ問題点がありますね。こういう問題点があるがどう思うかという、そういうような諮問をしてもっと深く掘り下げていきたいと思うのです。さっきの前中村大臣の就学年齢を引き下げるということは新聞にちょっと自分の考えを言っただけだという答弁もあったようですが、この問題でもやはりもっと科学的根拠を持って、お医者さんのほうの立場からどうだとか、あるいは精神的な方面から見たらどうだとか、あるいは知育の発育の状態から見たらどうだとかいう、やはりあらゆる角度から検討する必要がある。これ一つとってみても私は相当な年月がかかると思うのです。だから、こういうことをやりたいということで諮問するのじゃなくて、こういう問題点があるがどうだということを諮問して、そして文部当局がやってもいいが、文部当局だけではこれは一方に偏するというようなそしりを受けるから、中教審というものがあるからそれを掘り下げて検討してもらう。それでこういう問題点が明らかになった上で、さっき秋山さんに答えたように、あるいは場合によってはもっと最後の仕上げをするような何か大きな委員会をつくってやる。そういうことは先の問題として、とりあえず、問題点を掲げてそして掘り下げて検討してもらう、こういう考えでおります。初めからとらわれて、これは六四にするとか、年齢は必ず引き下げていくとかいうような、そういう考えを持って諮問するとかえって誤った方向にいくのじゃないか。私は白紙の立場で、ことにいまの学制の問題につきましても、いい点もあるが悪い点もある、それなら文部大臣はいまの学制制度をそのまま是認する確信があるかと言われると、私も率直に言ってどうかと思う。そんならどこに悪い点があって必ず改革するかというと、これもちょっと疑問がある。そういう点、やはり文教に携わるところの人間としましてはもっと深く掘り下げて、そうして検討してもらって、つくった上に立ってどうするかこうするかという態度をきめるのが穏当じゃないか、こういう私は考えのもとに言っておるのでして、もちろん中教審にかけるという段階になりますれば、政府としてやっぱり考えて総理とも相談してやりますが、実は私の考え方の一端を申しただけでありまして、具体化はまだ先だが、問題点を拾ってかけるべきものは政府としてもよく考えていかなければならぬ、こういう考えでおります。

小林武日本社会党

○小林武君 これから先の長いことですから、きょうはこれでやめます。  ひとつ私は注文を申し上げておきますが、この間あなたテレビで河合良成さんとかと出られた、ぼくは聞きながらいろいろメモとっていた。私はやっぱり文部大臣は考えて御発言になっていると思ってある意味で敬意を表したんです。しかし、河合良成さんの言うように私は六三制に判を押しました、しかし、あれについては責任を負いません、こうおっしゃった。学制についていろいろ議論があることはやむを得ない。だから、中教審にかけられるにしても、いろいろな方面の意見を聞くにしても、これはやはり日本の将来というものに大きな影響を与える問題ですから、どうかひとつこの議論を成り立たせるためのということではなくて、やっぱり賛否両論それぞれの意見が結集されて、その中でものごとをきめる、私も二十年たった現在において六三制のあらゆるものがみんなよくてそのままやっていけばいいなんとは思っていない。それはいろいろ二十年もたって、まだいいところも悪いところもわからぬようなそんなあほうならばしょうがないが、当然いろいろな手直しの部分も出てくる。それをみんながこれでいこうじゃないかということになるような方向に教育の問題はしてもらいたい。そんな利害の対立はそうあるべきものではない、ある程度の共通の広場というものがあるはずだというふうに考えますので、ひとついろいろな議論、たてまえがあるということを知っておられますので、十分な御配慮の上でお進めをいただきたいと思うんです。  それから日教組のことにつきましては十分ひとつ御検討——前の引き継ぎもおありでしょうけれども、大臣ももちろん経験の深い方でいらっしゃいますから、成り行き等についてもいろいろお調べになって、何というか、蒸し返してまたぞろ過熱ぎみになるというようなことのないような状況でものを進めていく、そのことについてもいずれ私も具体的にまた大臣にお話を申し上げる機会があると思いますから、その点御要望を申し上げまして私の質問を終わります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 私、簡単に質問したいと思うんですが、大臣と政務次官の答弁を聞いて、それに対して質問してみたいと思う。  一番最初に、大臣のあいさつの中に、日ごろ考えている所信の一端を率直に申し上げますということで、人間形成の質的改善ということが言われている。そこで、さっきの人事院勧告の問題にちょっと戻るわけなんですけれども、人間形成の質的改善ということから言って、文部大臣自身がうそを言わないという保証をしなければいかぬと思う。それはどういうことかというと、勧告を尊重するということを言われました。ところが完全尊重であるとか不完全尊重であるとかいう妙ちくりんなことばが出てきた、勧告を尊重するということであれば、人事院の勧告どおりに実施するというのが尊重なんだ、これを値切るということは尊重しないことなんです。はっきりしているわけです。それを、はっきりしていることを値切っておきながら、尊重はするけれども、実施の時期はずらすとか何とかいうのは私はうそだと思うのです。そういう場合は、あなたうそを言わないで、まことに遺憾に存じますと、尊重はできません、そういうふうに期日をずらします、こう言うほうが私は正直だと思うのです。だから、率直にということを大臣自身のあいさつの中に言っておられるんだから、率直に言われるならば、大臣としては努力はしましたと——したかしないかわかりませんけれども、大臣自身としては努力をしたけれども、たとえば大蔵当局の意向等もあって完全に勧告どおりには実施できませんでしたと、こういうふうに頭を下げてしまったほうが私はすなおだ、それが率直というものだ。そうじゃなくて、尊重はいたしますけれども、時期についてはいろいろ財政上の問題を考えまして云々と、こういうのは率直にならない。だから、私はあえて言うんだけれども、できなければできないで、それはすなおに尊重なんということばでもってごまかさない。はっきり言うということが文部大臣としてのあり方じゃないかと思う。教育の最高責任者としてのあり方じゃないかと思う。そこで、うそを言わないということで、どっちへころんでも正直にこれは言明してもらうということを約束できるかどうか。この点を伺いたい。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) この問題もさっき言いましたように、いま検討中なんです、実は。まだ政府としては最後の結論が出ていないんですよ。だから私は率直に検討中であるということを言ったんでして、完全実施で、森給与大臣が完全に五月からということを言ったという小林委員からのお話があって、そうなればそれはけっこうですけれども、私はそういうことをいま率直に言って、それができなかったときには文部大臣はうそを言ったと、こうなりますから、私としてはやはり率直に、目下検討中ということをそのまま言ったんですよ。だから誤解のないように願います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 検討中なら検討中でいいです。だから、私が言いたいのは検討の結果、勧告どおりできないという場合には尊重なんていうことばは使っちゃいかぬ。これはうそになるということ、そういうことです。大臣みずからがうそを言っちゃいかぬということなんです。まずその点を私はあなたに質問をして、言えと言ったって無理だと思うからそれはあえて言わない。  政務次官に一つ申し上げたいんですが、あなた、大臣がくる前に、小林さんから質問があったときにお答えになりました。しかし、この問題は大臣から答えてもらうと、こういうふうに言われたんだが、現在検討中なら検討中で、どんな状態になっているかということはあなた自身はわかっているわけだ、わかってないなんていうことはない。わかっているならば、政務次官としては、現在はこういう段階であります。しかし、これは実施できないという場合の責任については大臣にやってもらえればいいんですから、その中間段階のことはあからさまに言う、そういうふうに答弁するのが私は政務次官としての答弁のあり方じゃないかと思う。それを一切がっさい大臣がくるまで待ってくれというような逃げを打つことは、せっかく政務次官になっておられるが、かみしもだけ着せてもらったけれども、すわる場所がなくてうろうろしている。そういう印象を受ける。だから、そういう点は率直に言ってもらうということも私は必要なんじゃないかと思う。これは政務次官としてはある程度、副大臣というんですから、それなりの責任を持ってもらえると思う。そのことをひとつ。  それからいま一つお聞きします。私は日教組出身の議員じゃない。だから、ごく部外の日教組に縁のない立場でものを言わしてもらうと、日教組を敬遠をするという傾向がどうも伝統的に文部大臣にあるような気がする。ほかの大臣で言うならば、大蔵大臣にしても、運輸大臣にしても、郵政大臣にしても、労働大臣にしても、関係の組合といままで会うことを拒否するとかしないとかいう話は聞いたことがない。どうも私はふしぎでならない。いま答弁を聞いておりますと、態度を変えてきてもらいたいとか、そういう環境ができたらというようなことを言っておられるけれども、要するに、どういうことなんでしょうかね。文部大臣に日教組と会う自信がないということなのか、あるいは文部省の事務官僚ですね。文部官僚の権威を確立をするために日教組と大臣と会わせないという伝統があるのか。これは私は文教委員会とか、あるいは教員組合とか、こういうところとは縁のない立場にあるから、ふしぎでならないから聞くんです。そういう点があるのか。もし態度を変えてこいといわれるならば、どんなふうに態度を変えてきたらいいのか、どこが気に入らないのか。日教組だけがよその組合と比較していかなる特徴があるのか。もしあったとしたら参考までに聞かしてもらいたい。別に日教組だって種族が違うわけじゃない。総評参加の組合である。総評参加の組合であることがけしからぬというなら、よその大臣もいろいろな組合と会うことだってできない。どうにも私にはそこのところが理解できない。もしぐあいが悪い点があるなら、こういう点だということをこの際はっきり聞かしてもらいたい。以上のことだけお伺いします。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 瀬谷委員からのお尋ねですがね。私は文部省で、日教組と会っちゃいかぬというような、事務当局からのそういうことも聞いておりません。ただ、私のこれは推察ですけれどもね。郵政大臣が全逓の諸君と会うというのは、正しく郵政大臣と全逓とが雇用関係にあるわけですね。ところが日教組は地方の教育委員会との雇用関係にあるわけですね。したがいまして、文部大臣としては、そういう交渉というんですか、折衝というのか知らぬが、そういう相手方になっていないというのが一つのたてまえのように言われたときがあるんじゃないですかね、私の推察なんですけれども。そこで、私はそういう問題はそういう問題として、さっきと同じことを言うんだけれども、この同じ教育に関係している者が会うとなれば、すなおなよい環境の上で会う。そんな対立的に議論のための議論をするような、そういうのはおもしろくない。それで、もっと会談の効果のあるような、そういう環境づくりを早くやってほしいというのが私の気持ちなんですね。その点答弁になるかどうか知りませんけれども、しばしば繰り返しているところでございます。そういうのがいままでの態度ではなかったかと推察するんです。

谷川和穗自由民主党文部政務次官

○説明員(谷川和穗君) ただいまの私に対する御忠告、御注意として伺っておりましたので、先ほどのような答弁をいたしまして申しわけございません。先ほどの御質問は、人事院の勧告の尊重ということで御質問があったように感じましたので、人事院の勧告は内閣、政府に対して行なわれたものであるから、その政府の閣議に参列をなさる文部大臣がきてからお答えいただくことが妥当ではなかろうかと、かように判断いたしましたから先ほどのような答弁をいたしました。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それだけじゃ、あなた、政務次官という立場があるのだから、大臣がいないときには大臣にかわるべき役割りを持っているので、大臣がきてから答弁してもらうことはそれでいいんですけれども、質問者の真意というのは、その間における経緯というものを聞きたいから質問している。だから、そういうことを何も大臣がくるまでということで逃げることはない。そういうところで及び腰になるようなことじゃいけない。ここで答弁したからといって佐藤さんからでかい目でにらまれる、そんなことはない。だから、その辺はちゃんと私は政務次官として答弁すべきだということを言ったんです。それだけです。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 文部大臣の御就任に対して、私は公明党の文教委員の一員として、今後の文教政策の推進に大きな期待を寄せるものでございます。  そこで、基本的な問題についてお聞きしたいと思いますが、新聞などにも文教施策についていろいろ案が出されてまいりました。今後も文教施策はいろいろ具体的に実施されていくと思いますが、このような問題について、大臣はある場所で、このような行政上の問題は文教の基本問題から見ればデーリー・ワークだと、言うならば雑事といってもよいというようなことをおっしゃっていました。この雑事ということは、くだらないということではなくて、文教の基本問題はもっと重要な問題であるという意味で、そのようにおっしゃったと思います。したがって、基本問題、また教育理念についてはじっくりと勉強して取り組みたい、このようにお考えのようですが、一体それでは基本問題というのは何なのか、そしてそれをどのように考えていらっしゃるのか、ここでお聞きしておきたいと思います。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私はやはり教育というものは人間をつくる場だと思っているのですね。ところが、世間では教育というと知識を授ける場だと、こう思い詰めている人も中にはあるようですね。私は知識も非常に大事だけれども、やっぱり人間そのものをつくる、徳育ということも大事だ、同時に体育ですね、要するに、知育、徳育、体育と、この三つが人間形成でないかと思っているのですね。そういう世間の考え方も是正することが一つの策じゃないか、そこで、私は家庭のしつけということもやかましく言っているのですが、家庭というものと学校というものと、それから地域社会、社会教育ですね、この三つが結ばれて初めて人間形成がうまくいくのじゃなかろうか、そういうような基本的なこともじっくり考えながら着々実行に移したい。  それから先ほど問題になっております学制改革ですね、これも教育上の大きな基本問題の一つだろうと思うのですよ。そういうような基本的な問題と、それからもうすでに方針がきまって、それは学校を建てるから補助をもらいたいとか、いろいろありますね、これは私は雑事だとは考えておりません、これも非常に重要な問題。すでに軌道に乗ったものはどんどんと日常の業務としてやっていかなくちゃならぬ、けれども深く掘り下げて、基本的に考えていかなくちゃならぬものはそう軽々にやれない、じっくり考えながらやります。こういう考えで申しておるので、毎日の仕事が雑事でつまらぬものだとは決して考えていない、また平素やっていることでも、たとえば補助の問題でも、できるだけ父兄の負担を軽からしめる、あるいは地方団体の超過負担を解消せしめるという意味においても、そういうものもできるだけ大蔵省と強く折衝してやっていきたい、また離島振興とか、いままで若干やっておりますけれども、いずれ産炭地の問題もありますね、ろうあ教育いろいろあります。これは日常業務とは言わないけれども、一応そういうことに手をつけておるが、そういうものに一そう力を入れてよりよき状態にしたい、こういうような毎日の、ふだんの仕事もしっかりやっていく、同時に、先ほど言いましたように、基本的な問題は腰を据えて大いにやりたい、こういう考えであります。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 大臣に重ねてお伺いいたしますが、人をつくるということについて、どんな人をつくるかということに具体的なことばをお述べになっておるようですけれども、先ほど問題になりました根性のある人、こういうふうなことをおっしゃっております。また、根性のある人間をつくるにはどうしたらいいか、それはがまんさせることだ、がまんというものは大事だというようなこともおっしゃっておりますが、根性といえば大松監督のことばなんかでずいぶん流行しましたし、根性とか、がまんとかいうことは皆からあたりまえのことのようになっております。それで、大臣としてそういう根性のある人間をつくる、こういうふうにおっしゃって、その内容は正義の強い人とか、勇気のある人だとか、しっかりした人間だというような内容をおっしゃって、それにだれも異議はないと思いますが、そういう大臣のことばを頭に置いて、実際に社会で成長していこうとしている青少年を見たときに、はたしてその大臣のおっしゃっていることばがぴったりするかどうか、実際に生活苦の中であえいで、思想の乱れの中で迷って、現代の社会の矛盾に悩んでいるこういう青少年に対して、がまんしなさいとか、根性のある人間になれということを言うことは、私は何かがんこおやじが小言を言っているような押しつけがましいような感じを受けるわけですね、私は何かそうした青少年に要求するのではなくて、与えるものがなければならないのではないか。現代の青少年というものは希望を持っておりません。また、喜んで求める思想というものが示されてないと思う。そういうものを、むしろりっぱな人間をつくるためには与えていかなければならないのではないか、こう思いますので、押しつけがましい、何か古くさい感じを思わせるような、そうした人間をつくろうとなさっているのではないかと心配してお伺いするわけです。いかがでしょうか。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 根性につきましては、先ほど秋山委員に御答弁したとおりでございますが、がまんのしつけのお話が出ましたが、私は、しつけというものはそんな押しつけるものではないと思うのです。やはり子供に理解を持たせることが大事、がまんのしつけということはよく言うのですが、たとえば学用品を友だちが持っておるという、こういうもの買いたいと言いますね、案外、親は甘いのですね、そうかそうかと、学校のことだと大事に考えるのですが、しかし、その学用品を見て、まだ使えるのではないか、もう少しがまんして使いなさいと、こういうような、相手に理解させながらしつけしていくということが私は大事だと思うのです。何でもこういうものを押しつけで、こうせい、こうせいではなくて、ちょっとした心がけ、これは親の考え方が非常に大事でございますけれども、そういうような相手に理解させながら、ずっと、人間の道というか、そういうものを授けていくのがしつけだと思うのですが、家庭教育はそういうようなあり方にしたいと思いまして、私は家庭教育の必要性というものを力説しているわけですが、誤解のないようにひとつお願いしたい。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 重ねてお伺いしますが、大臣が現在の教育に対して愛情の教育というものを述べていらっしゃいますが、それはどういうことを意味しておりますか。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私がちょいちょい、非行少年といいますか、青少年が出ますが、そういうものをちょっと調べてみますと、私の乏しい経験によりますと、家庭の愛情が欠けておるということが一つの大きな原因になっていることが相当あるのです。また、社会における、何というか愛情を持って迎えないために、ひがみが出て失望を感じて、そして悪い方面に走る、こういう人がちょいちょい見受けられるものですから、それでやはり愛情ということが、家庭のみではなく、学校教育におきましても、社会の面におきましても、愛情豊かなことによって人の能力を生かすような方法に持っていきたい、こういう意味合いで愛情ということばをちょいちょい使っておるのです。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 もう一つ伺います。これもあるところでおっしゃったことなんですが、がまんするしつけ、長所を伸ばすしつけ、こうしたしつけが、学校教育はむろんのこと、家庭や社会に行き渡ると国家社会は大きく前進する。私は何かわからないような気がするのですけれども、どういうことをおっしゃっているのですか。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 先ほど言うような意味で申しておるのですが、そうすると、がまん強い人間になるということは、これは電車一つ乗りましても、人に足を踏まれると、何じゃいとおこるよりも、やっぱりこういう混んだ中ではがまんしよう。これ一つだけでも、私は社会の面においていい面が相当出てくる。こういうような、人間というものは自分のかってというか、自分の思いをそのまま言うことも大事ですけれども、同時にまた、社会人としての自覚と責任があると思うのですよ。そういうときに相手の立場も考えながらがまんをして、さっきもいろいろ出ておりますが、がまんをして努力すべきだという話も出ておりますが、そういうような人間をつくることが必要じゃないか、そういう意味合いで私は申しておるのです。

辻武寿公明党

○辻武寿君 関連。歴代の内閣が人づくりであるとか、または人間尊重であるとか言っておりますね。実際さっき文部大臣が言ったように、非行青少年というものは、そういうスローガンを掲げておったにもかかわらず、どんどんふえてきているということは事実です。しかも、愛情という問題、がまん強いという問題がいま出たけれども、いまの非行青少年というものは、昔のように両親がいないとか、貧乏であるとかいうことじゃなくて、両親がそろっていて、家庭環境に恵まれていて、愛情にもちゃんと恵まれているはずのそうした家庭の中に育っていながら集団暴行やったりする。いい悪いなんていうことはよく知っているはずなんですよ。知っているはずのやつが、あえて完全犯罪をやってやろうというような、スリルを味わうような、冒険を試みるような、そうしたたぐいの青少年の非行がふえている。しかも、だんだんローティーン化してくる。このことによって、いま言ったような徳目を掲げただけで、この青少年というものはほんとうによくなっていくか。何か根底になる思想、哲学というようなもの、いままでのものでないそうした思想というものを、文部大臣がそれを確立されていこうとされているのかどうかというような問題なんです。そうでなければ、いままでと同じように、口では努力する、ともかく道徳教育を推進すると言うが、ところが、実際は胃ガンにばんそうこうを貼ったようなもので、何にもならないようなことであってはならないと私は思うのです。そこのところに文部大臣が画期的な考えを持っておられるかということをお聞きしているわけです。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 画期的ないいものがあれば、これはけっこうですが、これはひとり学校だけの責任じゃない、また家庭だけの責任じゃない。社会も通じて、みながそういう気持ちになっていく。簡単にいい名案があれば一番けっこうですが、なかなか簡単にはいかない。こういう思想でこういくんだという、そういう説教よりも、家庭も学校も社会もともどもに、この人々の能力を生かして、失望感を与えない、とにかく生きがいのある方向に持っていくことが大事なことじゃないかと思って、さっき言いましたように、家庭、学校、地域社会における教育が相寄り、相寄って、私は三つのコンビと一つの広場ということを言っておるのですが、そういうような気持ちで、お互いが寄ってたかってそういう非行青少年が出ないようにすることが大事じゃないか、かように考えておるわけであります。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 時間がございませんので、この問題はまたおりをつくっていろいろお伺いしたいと思います。  次に、後期中等教育の拡充と整備の問題に対する中教審の答申はいつごろ出るのでしょうか。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 中間答申が出たことは御承知のとおりと思いますが、おそらくこの秋十月ごろに最終答申が出るだろうと期待しておるわけですが、たぶんそうなるだろうと思います。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 この答申の中間発表によって期待される人間像の人つくりの方法が具体的にある程度示されたものと思いますが、またこれに対する批判や論議がいろいろ行なわれました。いま概算要求がなされるおりでもあり、大臣は、中間発表に示されたその構想を予算要求の上にどのように取り入れようとしていらっしゃるのか。特に、未就学の勤労青年の教育対策にその要求がどのように盛られているのか、お聞きしたいのです。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 中間答申のうちで後期中等教育の多様化という問題がありますが、そういうことにつきましては、予算的に準備しておるはずでございますので、詳細なことは、局長がおりますから、局長から答弁させます。

斎藤正文部省初等中等教育局長

○説明員(斎藤正君) 後期中等教育に関する中間答申の中で、高等学校の職業の分野に関する多様化ということにつきましては、さきごろ具体的な作業に移りまして、それを府県等で実施してまいりますれば、それに対して財政的な措置ができるように予算要求をいたしております。  第二点のお尋ねの勤労青年、この点につきましては、従来の定時制、通信教育の学校等が勤労青年の生活の実態に即しない面がございます。御承知のように、かなり生活の様式というものに変化がございますが、その生活状況に対応できるような学校を逐次つくっていきたいということで、その点についてもその予算措置を講じたい、かように考えております。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 私学振興の問題についてお伺いします。大臣にお願いいたします。臨時私学振興調査会からも中間答申が出されて、四つの項目が示されておりますが、その中の私学振興会の融資額の拡大と融資条件の改善、二つには教育研究設備補助額と範囲の拡大、三つには、私立大学などの奨学事業の援助、この三項目に対して四十二年度の予算要求額にはどのくらいの額が要求されておりますでしょうか。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) この問題も、先ほど言いましたように、中間答申を尊重して取り組んでおるわけですが、数字的のことは説明員から答弁させていただきたいと思います。

宮地茂文部省管理局長

○説明員(宮地茂君) お答えいたします。実は目下御指摘の中間答申の線に沿いましていろいろ作業を進めております。いま金額のはっきりした数字と申しますのは、まだ本省内で整理中でもございますが、昨年度に対しまして相当大幅な金額の要求をいたしたいと思っております。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 どのくらい、増額されているかはわかりませんですか。

宮地茂文部省管理局長

○説明員(宮地茂君) いろいろな、先ほどおあげになりましたように、中間答申でも大きく申しまして四つの項目について御答申がございました。しかし、その一つの項目の中にもいろいろな内容のものがございます。したがいまして、一番最初おっしゃいました私立学校振興会の融資額の増大ということでございますが、現在は政府の出資金が十二億、それから財投関係が百九十億ございます。ただ、私立学校振興会の融資額は、結局、振興会といたしまして次年度にどれだけの学校に幾らの貸し付け金をしていくか、結局そのワクの裏づけといたしまして出資金なり財投というものが出てくるわけでございます。したがいまして、いまはっきり幾らということはちょっと作業中でもございますので、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 大臣に一言申し上げたいのですが、この答申に沿って予算を確保するということは容易なことじゃないと思うのです。これに対して大臣はどのような態度で臨まれるか、絵にかいたぼたもちにならないように、大臣の努力によって期待にこたえていただきたいということを申し上げたいのであります。その決意をお願いします。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) この問題は非常に重大だと思っておりますから、微力ながらも私は全力を捧げて予算折衝にあたりたいと思いますから、どうか皆さんもひとつともどもに御協力を願いたいと思います。

柏原ヤス公明党

○柏原ヤス君 もう一つお願いいたします。大臣に申し上げますが、教科書無償配布について、昭和三十八年の三月、公明党が無償配布に対する将来の見通しについて政府の見解をただしましたときに、四十一年度までには中学三年までは無償にすると約束しました。ところが、大蔵省は国家財政のピンチのときそんな甘いことはできない、中学三年まではとんでもないというような意見で、現在中学一年までにとめられているように聞いておりますが、四十二年度の概算要求には中学三年までに予算が組まれているように聞いておりますが、四十二年度で中学三年までの完全実施が実現できることを大臣に約束していただきたいのです。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 約束せよと言われましてもちょっと困るのですけれども、何とかして御期待に沿うように文部省としては全力を捧げたいということだけははっきり申し上げたいと思います。

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 産炭地域における教育問題に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より有田文部大臣、谷川文部政務次官、斎藤初中局長、宮地管理局長が引き続き出席しております。

小野明日本社会党

○小野明君 質問通告をしておったのですけれども、委員長の議事運びがまずいのでありましてこういうことになりまして、私は非常に不満に思っております。二時十分までいいわけですね。委員長、そうでしょう。

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 二時限りということで……。

小野明日本社会党

○小野明君 それでそういうお約束を理事を通じて申し込んでありますし、それからあと、現地から陳情が見えておりますので、それをお聞きいただく、私はその時間をさきたいと思いますから。  この八月の二十六日に、閣議でいわゆる石炭鉱業安定策に対する抜本策というものを、大臣、おきめになった、これは七月の答申を受けてでありますけれども。で、大臣はその前に衆議院の石炭特別委員長もなさっておる、そういう立場、あるいは新しく文部大臣におなりになった、こういうことで、この閣議できめられた石炭鉱業安定策、これについて文教面でおやりになることはないのか、どういうことをお考えになっておるのか、まずその点をお尋ねしたいと思います。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 仰せのとおり、私も衆議院の初代の石炭対策委員長もやっております。自来、この間までこの石炭問題と取り組んでおった一人なんです。したがいまして、今日産炭地の状況が実に惨たんたる状況であるということも十分理解しておるはずでございまして、今日文教に携わることになりましたが、文教政策を通じて、今日の教育問題が産炭地では相当お困りのこともわかっておりますので、懸命に文教政策の立場から、産炭地にできるだけのことをやって、産炭地のいま困っておる状況を何とかしたい、こういう考えのもとに進んでおるところでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 ことばだけはできるだけのことをやるということでありますけれども、これが実際に実るように、初代の石特委員長である文部大臣ですから実行を願いたい。官房長官も愛知さんで、この第一次有沢答申を受けて、カウンセラーなどの問題についても触れられておるところだし、文教対策の充実という問題についても愛知さんの時代に大体基礎ができておる、こういうことが言えるわけです。  ところで、大臣、この席で十分な文教対策等についても充実をはかりたい、こういうふうに言われたんですけれども、閣議後に、それぞれ大臣が石炭対策をきめられたあと記者会見をやられておる。山手さんは労働大臣の立場でいろいろ言われているんだが、鈴木さんも厚生大臣の立場で記者会見をされておる。そういった中で鈴木厚生大臣は次のようなことを言われておる。福岡県などの産炭地で生活保護世帯が集中している市町村は、生活保護費の負担が過大になるおそれがあるので特別財政措置を検討すべきだ、あるいは石炭対策が実施された第二年度、昭和四十二年ですね。こういったときにこの今度の石炭答申がいよいよ本音を出してくる。はっきりしているのは、トン数ははっきりしておらぬけれども、大体八百万から一千万トン程度、失業者で約三万人と、こういうふうに言われているわけですね。で、いまこの福岡県の場合は、生活保護世帯が約六万である。それから人員にいたしますと約十六万五千、これはおそらく全国平均の数倍、あるいはそれ以上の生活保護世帯なり人員ではないかと、こういうふうに思っておるわけです。こういう深刻な事態、きょうの大臣の演説の中にも、教育というのは学校、地域社会、あるいは家庭と、こういう三者が一体にならなければ人間形成はできないんだ、こういうふうに言われておるわけです。なるほどそのとおりです。ところが産炭地域においては、地域社会はこういうふうに生活保護、失業者の洪水、海だ。この中でよりよい人間形成、よりよい教育が行なわれるはずがないわけですね。こういった惨たんたる——大臣のことばにもありましたけれども、惨たんたる状態、地域社会の状態、これを大臣になられたんですから、何とか産炭地、全国八県ありますけれども、おやりになるのに、他の山手さんにしても、鈴木さんにしてもかなりの構想を出されているのですけれども、大臣としてはどういうふうにおやりになるのか、この点を再度お尋ねをしたいと思います。

有田喜一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(有田喜一君) 私も閣議のあとで記者会見をいたしまして、文教の立場からの話はしたのでございますけれども、新聞には抹殺されておったようですが、したことはしたのです。そのときの私の考え方といたしましては、まず学校教育、社会教育その他の文教施設でありますね。その文教施設の全般を通じて文教設備、施設の整備をやる。これに対して特別の配慮をしたい。上乗せの問題もありますね。それから御承知のとおりの状態でございますから、要保護者的、あるいは準要保護者的な人が相当ありますから、こういった方に対しては就学の援助といいますか、いままでよりも範囲を広げて、学用品といいますか、通学用のものにまで少し手を伸ばして、そして、できるだけの対策を講じたい。その他カウンセラーの問題等いろいろあります。それからそういうような特別の配慮をしていきたいと、こう考えておるのでありますが、詳細なことは、もし必要なら事務当局のほうがよくわかっておりますから事務当局から説明させます。

小野明日本社会党

○小野明君 わかりました。そうすると、大臣は全国的な水準よりも産炭地域がダウンしておるのだ、特別な地域になっておる、だから特別な措置が必要なんだ、こういうことはお認めになりますか。そのとおりですね。——それでは具体的な点はきょうは時間がありませんから次回に続けてやっていただきたいと思いますが、私としてはぜひ特別な地域でありますから、特別な措置を大臣の時代にひとつおやり願いたい。こういう要望を付しましてやめたいと思いますが、あと現地から直接に担当しておる者が来ておりますから、実情の陳情をお受けいただきたい。お願いいたします。

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  なお、次回の委員会は九月三十日午前十時より開会いたします。  なお、委員長の不手ぎわで質問ができなかったと、こういうようなお話がございましたが、私はできるだけ関連等もあればやはりやられたほうがいいと思うので、それを許可したのでございますが、申し添えておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四分散会

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