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52回国会参議院1966/09/10

農林水産委員会 閉会後第1号

発言数
110
登壇者
11
会派数
2
開催日
1966/09/10

会議録

山崎斉自由民主党

○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  八月十五日、温水三郎君が委員を辞任され、その補欠として堀本宜実君が委員に選任されました。     —————————————

山崎斉自由民主党

○委員長(山崎斉君) 温水政務次官から発言を求められておりますので、この際これを許します。温水政務次官。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) 突然農林次官の辞令を発令をされまして政府側に立って皆様方にお目にかかることは予期してなかったのでございます。とまどっておる次第でございますが、何ぶんにもいろいろな点につきましてわからない点がございますので、よろしく御寛容のほどをお願い申し上げる次第でございます。ごあいさつといたします。

山崎斉自由民主党

○委員長(山崎斉君) それでは、農林水産政策に関する調査として、乳価問題に関する件を議題といたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 それでは、きょうは時間の関係もありますので、乳価の問題だけにしぼって簡単にお伺いしておきたいと思います。  去る六月の二十四日に、当委員会におきまして、乳価交渉の問題について、当局側からの説明をいただいて、こちらからいろいろお尋ねしたわけですが、その後の経緯を見ておりますと、依然として、乳価交渉の妥結の見通しが立っておらないように思います。  したがいまして、最近における市乳の生産者取引価格の状態なり、あるいは加工原料乳の取引価格の状態を御説明を願って、さらに今日までの乳価交渉の経緯というものを詳細に御説明願いたいと思います。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 畜産局長の岡田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま御質問の点についてお答えを申し上げます。  お話のございましたように、六月二十四日に参議院の農林水産委員会において、乳価問題に関する質疑がございまして、その際、政府といたしまして、乳価形成の基本的な原則につきまして、生産者と乳業者が了解の上、乳価交渉をレールに乗せることができるように指導するということを申し上げた次第でございます。  で、前畜産局長が七月中旬から下旬にわたりまして、再度、大手四社のメーカーの社長と会談をいたしまして、中央における乳価交渉のルールが確立するように協力をしてもらいたいという要請をいたしたのでありますが、乳業者側は、市価逆算方式を基準とする原則の確立につきましてはあくまで反対であるということで前進を示すに至らなかったわけであります。一方、中央酪農会議におきまして、七月二十六日に、会長が大手乳業社長と会談をいたしまして、乳価決定の原則確立につきまして了解を求めたわけでございますが、これまた了解を得るに至らなかったということで、会談はもの別れになったわけでございます。で、このため、中央酪農会議といたしましては、中央における乳価交渉の原則の確立につきましてはさらに努力をいたすことにいたしておるわけでございますが、一方、これと並行して各指定団体が具体的に乳価交渉を促進するような指導を行なって今日に至っておるわけでございます。で、各都道府県の指定団体の中には、具体的な乳価交渉におきまして、実質的な乳価水準につきまして妥結に近づいておるものもあるわけでございますけれども、中央段階における原則が確立をしないということで、結論を出すに至らないという状態に推移しておるわけでございます。しかし、地域によりましては、実質的な乳価交渉を促進する動きが見られまして、出荷先の変更等の強硬手段を用いまして、大手乳業者に対抗する動きもあるというような状態も見受けられるわけであります。  私、畜産局長を拝命いたしまして、前局長のあとを受けまして中央酪農会議と乳業者との間におきます乳価形成の原則を了解し合うようにさらに指導を続けるというために、八月の中旬から下旬にわたりまして数次大手メーカーの社長と会談をいたしまして、大手メーカーの意見も聞きまして、両者の原則が確立されるような努力を続けてまいったわけでございます。しかし、大手乳業社の社長と会談した結果は、多少の弾力的な考えは見受けられたわけでございますけれども、基本的に変化は見られなかったわけでございます。  以上のような経緯にかんがみまして、畜産局長といたしましては、今後とも中央酪農会議と主要乳業社との間におきます飲用向け生乳の価格形成に関します基本的な原則が確立されるような指導を重ねていくつもりでありますけれども、この際、各県段階においても取引当事者間の具体的な乳価交渉を一そう促進することが必要であるというふうに考えまして、九月五日に都道府県知事に対しまして、局長通達をもって具体的な乳価交渉の促進を依頼することといたしました。と同時に、交渉の経過を見まして、指定生産者団体を強化するということが当面並びに今後の重要な問題であるというふうに考えまして、指定団体を育成強化する諸方策につきまして考え方を明らかにいたしたわけでございます。九月の五日から七日にわたりまして、都道府県の担当課長をブロックごとに招集いたしまして局長通達の趣旨の徹底をはかりますとともに、各都道府県の乳価交渉につきまして、その経緯、見通し等を聴取してまいりまして、現在整理をいたしておる段階でございます。一方、私が九月六日に乳製品協会の会長に会いまして、局長の通達に即しまして具体的な乳価交渉を促進するようにということを申し入れたわけでございます。これに対しまして乳協の会長といたしましては、政府の趣旨に沿って具体的な乳価交渉の促進に努力をする、こういうふうな確約を得まして、現在各県におきまして指定生産者団体の指導をいたしまして、具体的な乳価交渉の促進を行なっておるというふうな段階に相なっておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 いまのお話を聞くと、指定団体の中には都道府県によって妥結に近づいておるものもあるというようなことですが、どういうところ辺が妥結に近づいておるのかというふうな点と、あわせて現在の市乳の、先ほど言いました生産者取引価格の実態ですね、それをわかればできるだけ教えてもらいたい。  それから、あわせて原料向けの生乳の取引価格の実態はどうなっておるのか、基準取引価格のままでメーカーはやっておるのかどうか、その辺あわせてもう少し詳しく。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 原料乳の価格につきましては、おおむね基準取引価格にきまっておるわけでございますけれども、ところによりましてプラスアルファというふうなことがあるわけでございます。しかし、具体的にプラスアルファを幾らにするかということは、まだ必ずしも煮詰まっておらないように思われるわけでございます。  それから市乳の価格につきましては、メーカー側から提示いたしておりますものが混合乳価というふうな形で提示しておるものもありますし、あるいは用途別な価格で提示しておるところもありますし、いろいろな形をとっておるわけでございます。地域によりましてまあいろいろでございまして、必ずしも一定ではございませんけれども、提示いたしておりますものにつきましては三十七円から四十五円までの提示があるわけでございます。各県別によりまして非常な違いがございます。現在おおむねきまりつつあると思われますのが大分、愛媛でございます。その他は各県とも交渉中でございまして、せんだっての通達を出しまして以来、乳業者のほうも弾力的な態度でまいっておりますので、交渉が進行しておるというふうに考えておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 私の承知しておるところでは、かなり混合乳価をメーカーのほうが押しつけようというので強い態度で出てきておるところが多いようですけれども、これに対する農林省の態度というのは、いわゆる不足払い法のたてまえからいって、それを認めるとは思われませんがね。メーカーのそういう態度に対して今後どういうふうにやっていかれますか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) これはお話しのように、法律のたてまえから申し上げまして、用途別取引をするということが当然必要になってまいると思うわけでございます。そこで現在の段階におきましては、用途別取引という形で価格の提示が必ずしも行なわれていない。混合乳価という形の提示も行なわれているわけでございますが、法律の趣旨から申しまして、用途別価格の提示をすべきものだというふうにわれわれは考えておりまして、この点につきましては、局長通達におきましてその趣旨の徹底をはかっておるわけでございますが、一方、乳業者に対しましても、その趣旨の説明をいたしまして了解を求めておるわけでございます。乳業者といたしましても、当然用途別取引価格できめるというふうに考えておると判断をいたしておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 原料向けの取引価格のことはあとで伺いますが、私ども聞きますのには、地方段階の交渉の過程で、大手メーカー等の間に一応逆算方式は原則としてはのんでもかまわぬというような申し合わせができて、それからさらにそれを煮詰める交渉が行なわれたというふうに聞いておるのですが、いまの局長の説明によると、逆算方式すらメーカー側が拒否しておる、こういうことのようですが、逆算方式をメーカーが拒否するその具体的な理由としてあげておるものはどういう理由なんです。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 私は乳業メーカーの社長と数回会いましていろいろと話をいたしたわけでございますが、その話の過程から判断をいたしますのに、まず第一に、乳業者というのは、従来自由なる企業として原料供給者との間に具体的な価格折衝をして具体的な価格をつくり上げておったというふうな慣行になっておるわけでございます。そこで、その価格をきめるのに、原則論をつくって理論的な価格を出していくというふうなことに必ずしもなじんでいない。従来そういう考え方がなかったわけでございますので、したがって、原則を立ててその原則に基づいて価格をきめようというふうな考え方が非常に少ないということが根本的にあろうかと思うわけでございます。第二点といたしましては、逆算方式というものにつきまして、具体的な価格が明らかにされるわけでございますが、そういたしますと、企業の自主的経営と申しますか、そういうものに矛盾するということで、この点に対して非常な反対を示しておるわけでございます。  大きく分けますと以上のような点があるわけでございますが、一方、乳業者は、飲用乳の小売り価格の引上げが必要であるということを言っておりまして、むしろ積み上げ方式で価格をきめるべきではないかというようなことも申しておるわけでございます。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 ちょっと関連して。  この業者の意向というものは、一応いまの局長の答弁で、考え方がわかったような気がするのでありますが、しかし、原料乳の不足払いの暫定法律が国会に上程される前後から、特に森永では、ばく大な費用を投じてこれに反対のPRをして、いろいろな資料を頒布しておる。その中に、原料乳に対して政府が価格に介入するということは、乳価に対して国家権力が介入することであって、私企業の自由をはばむ逆コースのものであるという意味のパンフレットを流された経緯があるわけであります。この会社の副社長は、あなた方の先輩の渡部、もとの次官が、その経営の中心を牛耳っておる。したがって、そのときの思想が、また農林省の提示された逆算方式に対する突き上げの一貫した思想のあらわれであると思うのですが、全体を通じて、そういう業界の意向に対して、少なくとも逆算方式がベストであるということはもとより私も考えておりませんが、少なくとも政府としては、逆算方式で、適正な販売経費を除き、適正利潤を計上した製品からの逆算が一つの問題を解決する手段としてはやむを得ない措置だと思うのですが、一体これはどこまでそういう意思を行政指導の面で発揮されようとするのか、そこら辺の基本的な姿勢を、新任の温水政務次官の見解をこの際伺っておきたい。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) 逆算方式につきましては、目下農林省が大手メーカーに対しまして強く要請をいたしておるところであります。大手メーカーにおきましては、企業の中身に国家権力が手を突っ込んでくるということをきらっておるのでございます。しかし、私の想像いしまするところでは、またメーカー同士の競争ということも、多少その拒否する要素の中に入っておるようにも考えられるのでございますが、ともかく原料乳につきまして不足払い制度を実施いたしました以上、市乳のあり方につきましてもやはり逆算方式というふうな、あるいはそれに類似した何らかの方式は確立されることがどうしても望ましいと考えますので、今後さらに折衝を重ねてまいりたい、かように考える次第であります。  しかし、一方におきましては、指定生乳生産者団体の力が非常に弱い、そういうようなところがあるようにも考えておりまして、これがまたこの逆算方式の政府の指導に対して乳業メーカーが強腰である理由の一つにもなっておるように思うのでございますから、指定生産者団体の組織の強化、力の強化をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 いま逆算方式を拒否するメーカー側の理由について局長から説明を聞いたんですが、私どもは飲用向けの生乳価格をきめるのに市価逆算方式はいいものとは思っておりません。そういう形をとると生産酪農民の生産実態というものは全く無視されることになりますので、そういう方式はわれわれの賛成するところではありませんが、しかし、一応の行政指導としてなされておるわけですから、しかもそれすらメーカーが拒否しておるという状態の中で私どもは質問をやりたいんですが、加工原料乳について基準取引価格は市価逆算方式で出されておるわけですね。そうすると飲用向けの生乳について市価逆算方式を企業の自由ということを振り回してメーカーが否定するというのはこれは矛盾すると思うんですが、そういうメーカーの言い分に対して農林省は今後どういう態度をもってのぞむわけですか。あくまでも用途別乳価を確立するという原則に立って加工原料乳について市価逆算方式をもって基準取引価格を出しているならば、飲用向けの生乳についても市価逆算方式をもっていく、これを実現するという態度が私はとられてしかるべきだろうと思うんですが、その辺の農林省の基本的な態度はどうですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) まあ用途別の取引ということは当然であろうと思います。その中で飲用乳の価格につきましては、卸売りというものがありますたてまえからしますと、卸売りから幾ら原料に支払われるかというのは、理論的には一つの当然の考え方だろうと思うんです。もちろんその価格のきめ方自体にはいろいろなきめ方の方式があると思うのでございますけれども、卸売り建て値から原料が幾ら払われるかというふうな考え方で原料代を出すということは、理論的には私は当然な考え方だと思っております。そこで、私たちの立場といたしましては、ものの考え方といたしまして当然、卸売りから逆に原料代が出されるべきものと。もちろん乳価の形成につきましてはそれだけではなくて、そのほかの経済事情というものがございますから、全くこれを無視して逆算だけできまるべきものとも考えないわけでございますけれども、ものの考え方といたしましては卸売り建て値から原料がいかに支払われるべきかということを出しまして、それが需給状況なりその他の経済状況によってどのように考えられるべきかということであるべきは当然ではないかというふうに考えておるわけでございまして、こういうふうなものの考え方で話し合いを進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 そうすると、農林省の考え方というものは、加工原料乳について基準取引価格を算定するのに市価逆算方式を使っている、したがって、用途別乳価形成の立場からすれば、市乳向けの生乳についても市価逆算方式をとっていくんだと、こういう基本的な考え方だと解釈してよろしいと思いますね、それで間違いありませんか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、そういうことでけっこうでございますけれども、ただ、市乳の価格形成につきましては単に逆算という形だけでなくて、その経済事情——生乳の需給事情だとか、経済事情というものがあわせて考えられるべき性質のものである、単に数字上逆算をしたらそれでよろしいということでは必ずしもないと考えるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 だから私はものの考え方の基本としてはそういう立場をとっておられるかということを聞いたのです。あなたのような議論を展開されると、加工原料向けの生乳についても、安定市場価格から逆算して出すという形式が、これは問題がある。もし経済事情やあるいは牛乳の需給事情等を考えて出すなら、いまの安定市場価格が乳製品の市価から見て不当に低いということが問題があるわけですから、だからそこのところを強調されると、加工原料乳向けの生乳の基準取引価格を算定する根拠になった安定市場価格自体を議論しなければなりませんから、きょうそういう時間、余裕がないから、私はそこまで問題にしませんけれども、そういうところにいまの議論の焦点をそらしてもらっちゃ困る。それは経済事情を勘案していろいろ配慮を加えられることは当然ですけれども、しかし、原則として市価逆算方式をとるという形で、農林省が標準的加工販売経費なり利潤というものを事例として示して指導してきた以上は、その基本的考え方をくずすような考え方が、もしかけらほどでも出たら、いままでの農林省の方針というものは狂ってしまう。そういうような弱腰では、ますますメーカーに勢いを与えるということになりますから、そういう考え方は捨ててもらいたい。あくまでも市価逆算方式というものを基礎にして乳価取引のルールを確立するのだという態度を堅持してもらいたい。この辺はどうですか。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) いま畜産局長が申し上げました経済事情その他を考慮してと申し上げておりますのは、将来の、そういうことが予想される時点においては、そういうことも考慮しなければならぬということを申し上げているのでございまして、現下の経済事情のもとにおきましては、矢山委員の御説と全く同様な考え方を、農林省は持っているわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 よくわかりました。ただ私はこの問題については冒頭申し上げたように、市価逆算方式による算定というものが問題があるわけですから、私どもの立場としては、将来の方向としては、農民の生産実態が反映されるような生産費を基礎にした生産費所得補償方式というもので、市乳向けの生乳価格もきめていくべきだという考え方を持っております。したがって、こういう方向について酪農の振興という立場をとられるならば、政府当局では今後その実現を検討されたい。このことをお願いしておきます。  それから次に、標準的な市価逆算方式によって市乳向けの生乳価格を算出する場合に、農林省が示した事例調査による標準的な加工販売経費並びに利潤ですね。これの算定のしかたについて、私どもはこれまでの質疑を通じて、農林省はこれに対して適正なものであるという自信を持って交渉しておられると思いますが、メーカーのほうは、これを全くでたらめだと言って拒否しているということも聞いているので、そういう点について、農林省の従来の考え方に変わりはないという態度で、今後とも指導していかれるのかどうか、念のためにそこのところを伺っておきます。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 標準経費につきましては各社のコストをとりまして、それを集計いたしまして標準経費というものをはじいたわけでございます。もちろんこれは全国一本のものでございますから、地域的な適用をいたします場合にはいろいろ考えられるわけでございますけれども、中央の一本の標準経費としては妥当なものであるというふうに考えているわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 この九月の五日付で、畜産局長名で知事あてに乳価交渉の促進及び指定生乳生産者団体の強化についてという通達が出ておりますがね、この指定生乳生産者団体の強化についての部分は別として、乳価交渉の促進に対するこの通達というのは、私はいささか農林省が責任を回避するような考え方を出してきたのじゃないかというふうに考えているわけです。というのは、これまで農林省の考え方としては乳価取引の原則を確立しようということで、中央段階で精力的に折衝をしてきた、ところが、それがどうにも見通しがつかなくなって、この段階で地方段階にその交渉をおろす、と言ってもこれはなかなか私は目安は立たぬのじゃないか。先ほど指定団体の中にはところによって大体妥結に近づいておるものもあると言われましたが、それは大分とか愛媛とかいうようなごく限られたところで、大多数の都道府県の指定生乳生産者団体というものは、中央の交渉による動向がどうなるかということを注目しておる状態で、私どもが各地方段階でいろいろ意見を聞いたところでも、とても現在の段階で地方段階に指定交渉が促進できるような要素はないと思うんですがね、この点どうです。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) この市価逆算方式そのものにつきましては、いろいろと御意見のあるところ、私もごもっともだと存じますが、それはおきまして、都道府県段階におきまして乳価交渉に対して努力してもらいたいという通牒を出しました理由は、責任転嫁の考え方ではないわけでございます。農林省としては中央交渉はあくまで進めてまいるが、しかし、一日も早く市乳価格が決定いたしませんというと乳業者がますます困ってまいりまするから、府県も同時に努力をしてもらいたい、こういう意味でございまして、府県の努力と相まちまして、政府としては早く妥結に持っていきたい、かように考えておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 中央の交渉と並行させて地方段階でも交渉を強化して妥結に導いていこうというその意図はわかります。しかしながら、私どもはいままでの交渉経過を見、さらに地方の実情を見ても、なかなかそのような簡単なものではないと思います。しかしながら、まあ地方の酪農民の意思統一をはかって、強力なバックをつくって、その上に立って乳価交渉を促進しようとするのなら、意図はわからぬことはありません。しかしながら、いずれにしても地方は中央段階における交渉の妥結を待つという基本的態度がありますから、したがって、中央段階においては一体妥結の見通しがあるのかないのか。今日まで、六月いっぱいには大体見通しをつける、あるいは七月いっぱいには見通しが立つ、あるいは八月いっぱいには何とかなると、こう言ってきて、もうすでに九月もなかばが近いいま、これからへたをすると秋から冬日に向かいますから、メーカーのほうは乳価引き下げを言ってこないとも限らぬ。きわめて乳価交渉がやりにくい時期になってきておるのに、今日まで遷延しておいて、一体先の時点で妥結の目標があるのか。いままでのようにまた九月いっぱいには妥結するような見込みですということだけではもう済まされないような状態に追い込まれておると思うんですが、こういうような切迫した状態の中で、農林省としては一体どういう決意をもってこの問題に取り組もうとしているのか。この問題が片づかない限り、地方段階だけに期待をしてもとても期待はできませんし、ますます何か紛争は、紛争に紛争を続けて、私は混乱していくだけだと、いわばどろ沼におちいってしまうと思うんですが、その辺の農林省のはっきりした見通し、決意、こういったものをお聞かせいただきたい。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 中央交渉につきましては、従来から努力をいたし、調停、あっせんで原則が確立するように努力をいたしたことは先ほど申し上げたわけでございますが、いまもってなかなかつかないという見通しでございます。これが早急に中央の話し合いが妥結をするという見通しはないわけでございます。これはあくまで相当長期的に努力をして原則を確立するような努力をすべきものだというふうに考えておるわけでございます。  一方、先般ブロック会議を開いたわけでございますけれども、その結果、各県の情勢等を聞いておりますと、先ほど申し上げましたように、実質的に妥結の線に近づきつつあるところが、中央待ちということでなかなか妥結に至らないという事情があるように思われるわけでございます。そういう点からですね、地方においても、中央待ちということでなくて、地方は地方として乳価交渉を進めていく。元来乳価の決定は、指定団体とそれから乳業者との間に話し合いをして具体的にきめられるべき性質のものでございますから、そういう意味におきましてこの際都道府県知事が中に入りまして、具体的な乳価をきめていくというふうな努力を要請をいたしたわけでございます。各県ともそういうふうな方針に沿って努力をしたいということをブロック会議においては各県とも表明をいたしておるわけでございます。乳業者に対しましても、先ほど申し上げましたように、通達の趣旨を説明いたしまして、具体的な乳価交渉につきまして協力をするということの要請をいたしました際に、弾力的に対処いたしますということを申しておりますので、私は通達の趣旨に沿いまして各県が努力していただけば話し合いがついていくのではないかというふうに考えておる次第でございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 中央交渉における解決のめどはほとんどないということですがね。そういう前提に立って地方の交渉が促進されるというような期待を持つことは、それはまたいままでの失敗を繰り返しますよ、それは。もし地方の段階でですね、市価逆算方式によって算出された乳価よりも高いもの、あるいはそれと同程度の水準のもの、あるいはそれに近いものが出ておれば、あるいは地方段階で妥結の見通しということも期待が持てるかもしれません。しかしながら、全国的な状況を調べてですね、市価逆算方式によって示された乳価に近いというような乳価を提示しておるところはどこもありません。そういう中でですね、はたして地方段階における妥結が期待できるのかどうか。もし妥結されるとするならばですね、これは酪農民は不当に安い乳価で無理やりに往生させられると、こういうことになるおそれが多分にあるわけです。特に乳というものの腐りやすい性質その他からね。その点はどう考えるのですか。あまりにそれは考え方が甘いですよ。一体農林省は市価逆算方式によって乳価取引のルールを確立するのだ、その市価逆算方式によって算出された乳価というものはこれは適正なものであるということを言い切って今日まで指導してこられた。それが一こう受け入れられない。しかも一たん市価逆算方式をメーカーはのんでおきながら、交渉の途中においてまたこれをけったというような経緯がある。そうしてみると、一体具体的にどういう方策をもって妥結に持っていこうとするのか。ただ誠意をもってやりますということだけではもう言い古されておる。だから具体的にこれをメーカーに聞かせる方策というものが何かあるのかどうか。その辺をはっきりしてもらわぬと農林省の立場もないだろうし、不足払い法を審議可決した国会の立場も全くなくなる。その点をどうお考えですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 価格形成のあり方としまして、市価から逆算するというふうなものの考え方をいたしておるということはまあ先ほど申し上げたわけでございますが、指定生産者団体もそういうふうな考え方で乳価交渉に当たっておるわけでございます。われわれとしましてもそういうふうな原則、考え方であるべきだというふうな指導をいたしておったわけでございますが、そこで、生産者団体側もそういう考え方で乳価交渉に当たっておるわけでございまして、したがいまして、そういうふうな線でメーカーとの間に妥結するという形になってまいるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。で、都道府県におきましてもそういうふうな交渉の促進ということについて努力をしてもらいたいということでわれわれは要請をいたしておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 これでは質問と答弁の繰り返しなんでね、私はあなたのほうで妥結の見通しがないのだと言われるから、妥結の見通しがないままじゃ済まぬだろう、一体具体的に妥結に持っていくための方策はないのか、何も。ただ誠意をもって頼む、頼む、頼むと、頼みっ放しなんですか。その辺のことを聞いておるのです。政務次官どうですか、これ。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) 乳業者に対しまして政府の方針を実行させるという一つのきめ手と申しますか、そういうようなものは現在の段階においては、きめてと申しますか、何といいますか、伝家の宝刀といいますか、さようなものはないのでございまするので、非常に苦労をいたしておるわけでございます。しかし、中央、地方一致いたしまして、あるいは指定生産者団体の強化等をはかるというようなことをやってまいりまして、糸口をつかんでまいりまして、そうしてそれをもとにして、さらに中央交渉を強化してまいりたい、かように考えておる次第でございます。いままでの経緯は報告を聞いた程度でございまするが、今後の何月ころまでに必ず中央交渉が妥結するというようなことを言える段階ではないと思うのでございますが、しかし、農林省としては最善の努力をやってみたい、かように考えておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 政務次官のお話によると、この乳価交渉を妥結に持ち込んでいくための法制的なきめ手がないということなんですが、きめ手がないということは、これはメーカーにとっては非常に有力なことなんで、メーカーはそのきめ手がないところをねらって今日まで乳価交渉を遷延さしてきたと思う。そうすると、やはりこれは法制上の欠陥があるのじゃないかということになるのじゃないかと思いますが、この点政務次官はどうお考えになりますか。役人とは違うから、もう少し自由な立場で思ったことを言えると思うのですがね。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) 私もだんだんお説のような感じがしてきておりますが、まだ就任早々でもございますし、よく消化いたしておりませんので、ここでどういう方針をもって臨みたいと申し上げる段階ではないのでございますが、しかし、中央、地方を通じまする交渉の過程におきまして、どうやら突破口が見出せそうな感じがいたしておるわけでございます。次官といたしましては、さらに大臣と協議いたしまして、今後これをどうするかということを、いま少しく真剣な検討を加えたい、かように考えておる次第でございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 政務次官、おことばを返すようですが、これまで中央交渉の経緯を見てくると、たとえば〇〇会社が強硬で、あとは妥結しそうであるとか、大体まああそこだけがむずかしいので、大体片づくのだ、こういうようなことが言い古されてきてもう九月になったわけです。だから私はしごく楽観は許さない。突破の糸口がつかめそうだとおっしゃるのですが、何か具体的な突破の糸口がつかめそうなものがありますか。生産者団体の強化をいま言われましたけれども、これは生産者団体を強化するということは、これはいろいろな施策を伴うことで、いまの乳価交渉にはとても間に合わぬ、私は来年でも間に合わぬのじゃないか、再来年でも間に合わぬのじゃないかと思います。だから具体的な糸口があるとおっしゃるならば、どういう突破できる糸口があるのか、ひとつ教えていただきたい。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) 非常にむずかしい段階でございますので、ここで具体的な例を示せとおっしゃられると、ちょっと困る段階でございますが、ただ私がそう感じておるということを申し上げただけでございます。もう少し府県におきまして交渉が進んでまいりまするというと、一つの既成事実ができ上るわけでございまするから、それをさらに中央交渉の道具にしたい、かようなふうに考えておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 突破の糸口の具体的なものもないようで、つまるところが淡い期待ということになるだろうと思うのですが、淡い期待が今日まで裏切られておりますから、これは十分心得て私は今後対処してもらいたい。この混乱はそういつまでも放置できる問題ではありません。  なお法制的な欠陥があるということについては、大体政務次官はおわかりのようで、特に政務次官は不足払い法についてはここで一緒に審議された仲ですから、御存じであるはずですから、この問題についてどう対処するかということは、あとでお伺いすることにいたしまして、次の質問に移させていただきますが、いま県と国の調停に持ち込むという動きが出ているわけですが、これに対する畜産局長の考え方を私は承りたい。伝えられるところによると、畜産局長は記者会見かなんかで、県や国の調停に持ち込んでも、それは時間の空費だという発言をなさったそうですが、調停に対する考え方というものを、この際伺っておきたいと思います。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 私が先般記者クラブで話したことが誤って伝えられていると思うのでございます。中央調停なり、地方調停なりというものは法律上認められた権利でございますから、これが権利を行使するということについて私は否定的な考え方を持っているわけではないのでございます。ある新聞では、私が時間のロスだということを言ったというふうな見出しになっているわけでございますけれども、私はそういうことで申し上げたつもりではございません。ただ乳価をきめます場合におきまして、指定団体とメーカーとの話し合いにおいてまず乳価がきまっていくということにまず第一に努力すべき性質のものであると思うわけでございます。そこで具体的なうまく話し合いができる土俵をつくるということで原則が問題になっておったわけでございまして、原則がなかなか確立できないということで、具体的な地方の乳価交渉の問題になるわけでございますが、そこで妥結の努力をしてみまして、そこで妥結の努力をした結果、なかなかまとまらないということであれば、当然調停の問題が出てまいろうかというふうに考えているわけでございますが、最終的な努力をまでしないで直ちに第三者機関の調停にゆだねるということは必ずしも妥当であるというふうに考えられないので、最善の努力をしてその結果として調停の問題が出るならば、それはそれとして当然であるというふうに考えているわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 新聞に報道されたところは、あなたは調停に持ち込んでも時間のロスだと言ったとか言わぬとか、こんなことで議論しては水掛け論だからやりませんが、少くともそういう見出しの記事が出るということは、調停というものに対するあなたの評価がどの程度のものであるかということを示していると私は思う。調停というものに対してどういう評価をしておりますか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 調停というのはあくまで第三者が中に入って話し合いをつけるということで、そこで話し合いが絶対つかないという状態で調停をやりましても、最終的な結論は出ないということになるわけでございます。そこで調停をやるからにはある程度双方が誠意をもって話し、誠意をもって解決するという基本的な考え方の上に成り立つ必要があるというふうに考えているわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 そういう基本的な了解ができた段階では、調停というものはもっと突っ込んでみればあまり必要はないということになるので、私は調停に対するあなたの評価というものが現在の調停に対する法制度の上から意味がないものだということを私は基本的に考えておられるから、調停をいかにも軽視した発言をなさったんじゃないか。といいますのは、調停をやったところで、これは結局調停結果の受諾を勧告しても、聞かなければ、調停の経過と調停案の公表だけですから、これはメーカーにとっては痛くもかゆくもない。調停をやっても何の値打ちもない。こういうふうな考え方をあなたは持っておるんじゃないですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 具体的な乳価交渉の努力をしまして話がつくということが一番望ましいわけですから、そこで、両者がそういうふうな考えでやれば、必ずしも調停というところまでいかなくて済むわけです。そこでどうしても話がつかないという場合に調停が出るわけですけれども、お話しのように、とにかく調停をやっても両方ともがその調停に満足しなければ、調停というものの意味というものは少ないんではないかという気がするわけでございます。しかし、調停ということによって話し合いがつくということもあり得るわけでございますから、調停そのものを私は否定する考えはございません。しかし、できれば、調停ができるというふうに歩み寄りができるならば、調停ということに持ち込まなくても両者の間で、第三者である知事も入りまして、話し合いをまずつけてきめるべき性質のものではないかというふうに考えておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 調停に持込まれてもできるだけ妥結の努力をしなければ意味がないんだということを盛んに言われたんですが、いままで努力はそれこそできるだけしてきたんじゃないですか。努力に努力を重ね、さらに努力してもどうにもメーカーが聞かないで吹っ飛ばされたという現状じゃないですか。まだ努力が足らないところがたくさんあるわけですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 先ほども申し上げましたように、地方で努力していないということを申し上げているわけではないのでございます。中央の原則待ちということで、ある程度進行がにぶいということは言えると思うのでございます。そこで中央の原則は今後も確立に努力をすることにいたしまして、地方においても一そうその交渉を促進するということにいたしておるわけでございます。メーカーもいままではやはり指定生産者団体と同じように、中央の問題が解決しなければ、地方の問題が解決しないというような態度をとっておったわけでございます。ところが今回は、中央の交渉は中央の交渉として、地方で具体的な話し合いをするということに協力するという態勢を示しましたので、事態は多少変わってくるのではなかろうかというふうに私は考えておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 私は、中央においても、地方においても調停の努力はされただろうと思うのです。中央においては言うまでもないこと、地方においても中央待ちということで、いかにもやっておらないように考えておられますが、地方こそところによっては出荷先変更をやり、ところによっては、極端に言えば牛乳を川に放流してまで強固な態度で乳価折衝をやっておる。そうすると努力は十分やったわけです。これ以上努力をせいといっても何をするのか、する方法があれば示してもらいたい。解決する自信があれば、積極的に農林省は受けて立つべきだ、この点について調停に持ち込めば、あなた方は積極的に受けて立つという態度があるかどうか、はっきりしてもらいたい。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 先ほども申し上げましたように、地方の努力はされているわけですけれども、中央との関連で、必ずしもメーカのほうもその最終的にきめるという態度でなかったように思うわけでございます。ところが、最近の情勢は、私が申し上げましたように、地方できめるというふうな考え方になってきておりますので、そこでいままでの交渉をさらに継続すれば発展するという状態が出てきておる。そういう情勢になっておると私は考えておるわけでございます。で、調停の問題はもちろん出てきてまいりますれば、われわれとしまして審議会にはかって意見を聞いて処置するということにいたしたいと考えておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 あなたは地方の交渉が十分でないようなことを言われますが、私は地方でも十分交渉しておる。だから今日の段階で県調停、中央調停が出てくれば、あなたのほうは積極的に受ける、このことを明らかにすべきだと思うので、政務次官、この点についてあなたは調停に持ち込んでくれば、積極的に受けるということを明言できますか。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) 現段階ではいま少しく努力してみたい、かように考えております。ただいまの調停を持ち込まれた場合に、現段階におきましていますぐここで積極的に受けるということを言明するにはいま少しく時間をほしいと、かように考えておる次第でございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 政務次官、そういう態度だからますますメーカーになめられるんです。それは地方の実情によってなるほど中央待ちで交渉を十分に煮詰めていないところもあるいはあるかもしれない。しかし、交渉をして、死ぬ生きるというところもたくさんあるわけです。そこらにおいては調停以外に方法はないというところまできているわけですから、そういうところが調停を持ち込んできた場合には、いましばらく交渉をやってみてくれというような態度をとられたのでは、これはメーカーをつけ上がらせるだけです。私は、やはり農林省としては、その点の実態は地方の指定団体が一番よく知っているんです。自分たちがどういう交渉をしてきたかということは、地方の生産者団体が一番よく知っているんですから、そういうところが調停に持ち込まれてきたら、これを積極的に受けるんだという態度だけは表明されないと、この交渉はますます進まぬですよ、そういうことでは。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 実は今回通達を出しまして、県にあっせんを依頼したということは、正にそういう県の努力を通じまして話し合いをつけさせようということであるわけです。ですから、実質的な意味におきましては、先生がおっしゃっておりますことと私たちが考えておりますことと同じだと思うわけです。それはまず県が第三者として中に入って、妥当な価格が形成されるような努力をするということでございますので、それを通じてこの際は問題を解決するような努力をしてみたいというふうに考えているわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 だから、私の言うのは、県がすでに間に立って精力的な折衝をしてきたところがあるわけです。それでもうこれは単なる交渉では片づかない、この段階で調停に持ち込まざるを得ないというところにきているところがたくさんある。そういうところが調停に持ち込んでくれば、県はこれはもちろん受けるべきは受ける、さらに県で片づかなければ中央調停に持ち込まれるんですから、その場合農林省が調停を受ける、調停よりもっと交渉をしろということに問題があると言っているんです。地方の実情によって県調停に持ち込まれ、それがさらに中央に上がってくれば、中央は積極的に受けるということを一言はっきり言明しなさい。そういう弱腰な態度ではますますメーカーになめられますよ。これはあたりまえのことです。法制度をつくっておいてなんですか。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) ちょっと微妙な問題でございますので、私が申し上げているのは、いま少しく時間をいただきたいと申し上げているわけで、決して弱腰でもって調停を受けないと申し上げているわけではございません。その辺のところはよろしく御了解を願いたい。決して弱腰でもって対処しようとしているのではございませんので、調停を受けざるを得ないと判断をいたしました時期におきましては、積極的に調停を受ける考えでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 こんな押し問答をやるということは、私ははなはだ不本意なんですがね。乳価紛争について、調停の制度が法律上つくられているのに、それを交渉の当事者なり、一方が、これはだめだと思って調停に持ち込んだ場合に、積極的にそれを受けるということが言えぬというのでは、これは法律をつくっておいて、法律を守れと言っているのと矛盾しますよ。もうすでに交渉は限界にきているところがたくさんあるんですから、私は積極的に受けてもらいたい。そうせぬと、これはメーカーにますますしてやられますよ。そういう態度でおったらこの不足払い制度は初年度でくずれるということなんですから、これは些細な問題じゃ済みませんよ。法律をつくっておいて法律自体がつぶされるんですから、この辺のところの認識がありますか、とにかく一言調停が上がってきたら、しょうがない受けざるを得ぬじゃないか、こういうようなことくらいなぜ言えないですかね。私は調停に持ち込まれたら受けますということがなぜ言えぬのですか、言えない理由がわからない。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) 矢山委員のお考えと私の考え方とはあまり距離がないと、実は私は考えておる。繰り返し申し上げるとおりに、いま少しく時間をいただきたいと申し上げておるので、この段階におきましてよろしい引き受けましたと言うには、いま少しくほしいと、かように考えておるわけであります。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 私の、調停に持ち込まれればすぐ受けろというのとあまり考え方の相違はないと、それは原則でしょう。しかし、考えてみると、いま少しとおっしゃるのですが、そのいま少しいま少しが政府の権威を失墜することになるので、そのことだけはひとつ腹に据えておいていただきたい。私の考え方と政務次官の考え方とあまり意見の相違がないということは、原則として調停に持ち込まれれば受けると、そういうふうに解釈しております。当然だろうと思う、それでいいですね。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) さように御了解願っても差しつかえないと思います。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 それからもう一つは、調停の効果というものが、いま言ったように全くこれは弱いのですよ。だから、この調停によって出た結果を何かもう少し守るように強くするということは考えませんか。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) ただいま矢山委員の御発言でございますが、御質問の要点につきましてはなかなか微妙な問題でございますから、いまここで大臣に相談をしないで御返答申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういうこともございますから、調停の効果があらわれるような方法で調停をいたしたい、かように考えておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 この答弁もしり抜け答弁でね、温水さんはもう少し野人で、悪いことは悪い、直すべきところは直すと、私はもう少し大胆に言える人だろうと思ったのですが、いささか政務次官のいすにすわられると役人的な気風がしみ込んでくるのだろうと思いますが、しかし、私は調停の効果を強化するような法制的な処置を将来考えなければいけぬだろうと思います。それを考えないから畜産局長が言うたか言わぬかしらぬが、調停を出しても時間が空費だと、こういうことになるから、この点をひとつよく気にとめていただきたいと思います。  それから次の質問に移りますが、現在大手乳業者が暫定的に示しておる乳価の水準ですね、これは全国的にいってどういう状況ですか。私は大体全国的にいってこの乳価水準というのは、大手メーカーの場合、大体同一水準のものを示しておると、こういうふうに資料によって私は見ておりますが、農林省の考え方はどうですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 県によっては価格は違いますけれども、その県内につきましては大手メーカーは大体似たような数字が出ております。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 それからもう一つは、指定生乳生産者団体と大手メーカーの乳価交渉を表ではだらだら引き延ばしてやりながら、地方に行ってみると、それぞれ従来の関係のあった単酪に対して裏から手を回していろいろな利益を与えるようなことをやりながらこの単酪との間に乳価交渉妥結に持ち込もうという動きがはっきり出てきておりますが、この点私はそういうふうに認識しておるのですが、畜産局長はそういう実態をつかんでおられるのか、つかんでおられないのか。つかんでおられぬとすれば、私は調査不十分だろうと思うのですが、どうですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) いま先生のおっしゃいましたような動きも全くなくはないようには聞いております。しかし、われわれは指定生産者団体を中心にして乳価がきめられるべきものだというふうなことで指導をいたしておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 農林省の指導はわかりますが、一番はっきり示されて明らかになっているのは、鳥取のように、明らかに乳業メーカーによる単酪に対する不当な切りくずしが行なわれておりますので、こういう事実が鳥取だけでなしに私の地元にもある、そのほかにも私はたくさんあるだろうと思うので、したがって、これに対して私は指定生乳生産者団体というものを柱にして、不足払い制度を進めていくという立場からいえば、そういう動きは規制していただきたい。  それからもう一つは、最近露骨に出ているのは、中小メーカーが酪農民との間に、あるいは単酪との間に大体乳価を妥結さして取引をしようと思っても、大手のほうが相当な圧力をかけている例があるのですよ、最も端的な例は名古屋です。これは名古屋のたしか中央製乳とのことですが、そこは単酪との間に乳価交渉が妥結して、そうして取引をやろうとした。ところが某大メーカーが販売拡張員をたくさんその中央製乳の販売店に連れて行って、盛んにおどかしたり、あるいは裏から買収をして、その中央製乳の乳を扱わないで、自分のところの乳を扱わせるようにしむけている。こういうようなことが名古屋だけではない、あちらこちらに起こっております、現実に。私の地元でも現実にそういうことがありました。こういう事実があることをお認めになりますか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) そういう動きがあるやの話は聞いておりますけれども、確実にまだそういう点はつかんではおりません。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 まあ動きがあるということは聞いているが、確実につかんでおらぬというのは、これはもう指導官庁としての農林省としては、全く職務怠慢ですよ、不足払い制度が大手メーカーによって根本的にくずされようとしている重大な危機に、大手メーカーのそういうような中小メーカーに対する暴力的な圧力や、あるいは単酪に対する不当な介入の実態をつかんでおらぬというようなことでは困る。そういうことだから大手メーカーに対してき然たる態度をとって交渉するということができなくてなめられてしまうのですよ、そういうようなことでは困るのです。もう少し大手がどういう動きをしておるのか、具体的にはっきりとつかんで、そういう不当な動きはこれを封ずるような努力をしなければいかぬと思いますが、畜産局長どうですか、あなたはじっと見ているのですか、あるように聞いていると言っててん然としておったのでは、これはだめですよ。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) その点はさっそく調査をさせたいと実は思っておったところでございますので、さっそく県を通じて調査をさせたいと思います。かような事態等が出てまいりまして何らかのきめ手をつかまなければならないというような情勢等がわかってまいりますというと、中央交渉もその辺の空気が出てまいりましたら、いま少しく進展するのではないか、かように考えております。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 農林省もそういうような大手メーカーの不当なやり方をまんざら知らぬことはない、知っているようです。なお調べようというのですが、調べてはっきりそういう事実があったら、どういう態度をとりますか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) そういうものに対しては、妥当でないわけでございますから十分指導をいたしていきたい、こういうふうに考えております。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 十分指導だけですか、十分指導だけではなかなか心もとないので、もっともっといろいろな手段方法があるわけです。それを十分生かして、そういう不当な動きを封ずる努力をしてもらいたい。  次に、公取にお聞きしたいのですが、いま農林省とのやりとりで明らかになりましたように、大手メーカーの不公正なる取引が行なわれているという事実があるということをこれまで御存じですか、全然御存じになっておりませんか、その辺はどうですか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○説明員(竹中喜満太君) そういううわさは聞いておりますけれども、具体的にどういうことをやったということは、公正取引委員会といたしましては今日まで確認いたしておりません。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 公取のほうも、そういううわさがあったということは聞いておいでになるようですね。そうすると、そういううわさを聞いたのに対してどうされますか。このうわさを聞きっぱなしにして、じっとしておられますか。それとも、少なくともそういう不公正な取引があるといううわさがあるならば、これに対して適当な何らかの処置をとろうというお気持ちがおありになりますか、どうですか。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○説明員(竹中喜満太君) そういう不公正な取引方法が、ある特定の地域で具体的に行なわれておるといううわさがありますれば、私のほうはこれを調査いたさせます。しかるべく法的措置をとるつもりでおります。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 いま公取の事務局長のほうから、明快にそういううわさがある。したがって、具体的に調査をして適正な処置をとるということですから、私どもはそれを期待いたします。  いま大手メーカーがやっておる方法というのは実に目に余る手段を弄して、御存じのように、生乳取引量の全体の七〇%を大手三社で握って、そしてその膨大な市場占拠率をもって不公正な取引をやっておるわけです。したがって、公取としてはこれに対して厳正な態度で臨んでもらいたい。これまで乳価紛争について公取に提訴されたことがありますが、たいていの場合うやむやになっております。あなたのほうの機能をフルに活用して、この際徹底的な調査をやっていただきたいと思います。それに対する公取の御決意のほどを伺いたいと思います。

竹中喜満太公正取引委員会事務局長

○説明員(竹中喜満太君) 御期待に沿うように努力いたしたいと思います。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 はっきりとした御答弁をいただきましたので、従来のように、事態をうやむやにしないで十分の調査をやってもらいたいと思います。  最後に一つだけお伺いいたします。先ほど政務次官は、この不足払い制度について法的な欠陥があるということは御存じのようです。そこで私は、この不足払い制度の法的な欠陥というものを是正をする意図があるのかどうかということを、畜産局長並びに政務次官から伺っておきたいと思います。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 不足払い制度が始まりまして、いま第一年目を迎えておるわけでございますが、この点につきましては、飲用乳価格との関係で現在紛争が出ておるわけであります。飲用乳の価格につきましては、本来指定生産者団体と乳業者との間で、経済交渉によってきまるべき性質のものだと思います。この価格が妥当な形成をされるということが望ましいわけでございますが、不足払い制度ができましたために、従来の乳価の価格の形成とまあやや異なった感じになっておるわけでございますが、これを正常なルートに乗せまして、妥当な乳価が形成されるように今後も努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 法改正の問題に触れると、いつも農林省はへっぴり腰になるのですがね。私ども、不足払い法がつくられる過程において、原案には飲用乳についても基準取引価格を設定するというようになっておったと思うのです。それが途中から、どこからどういう圧力がかかったか知らぬが、急に抜かされてしまった。ところが、この不足払い制度をやるのに、飲用乳を野放しにしておって、これは妥当な乳価形成ができ、不足払い制度が適正に運用されるということにはならぬ。このことは畜産局がよく知っておるのです。あなたは飲用乳については適正な価格が形成されるような指導をするのだ、指導をするのだと言っているが、かつては飲用乳の乳価は適正な価格が形成できるから、それについては指導して、法的な措置は要らぬのだということを盛んに言っておられるのですが、初年度からこれができなかったわけでしょう。しかもメーカーの意図は、明らかに飲用乳について適正な価格形成のルールを確立することを拒否しておりましょう。そのことは同時に、不足払い制度自体を根底から掘りくずそうとする意図が明らかになっておるでしょう。そのことが明確になっておって、なおかっ指導によって、指導によってと言うが、メーカーはその指導を聞いてない。メーカーは農林省の指導なんというものには鼻もひっかけないのです。そういう状態の中で、指導の指導のということをのんべんだらりんとやっていてはとてもできませんよ。飲用乳にしても適正な価格形成をやるというなら今日の段階なら価格支持制度をつくるよりほかない。私は現在の状況では食管と同じように国が責任を持った二重価格制度にしなければだめだと思っております。しかしながら、そこまで一挙にはできないにしても、不足払い制度が飲用乳について野放しになっているからどうにもならない状態になっている。こういう苦い経験をしたんだから、そろそろ法改正の態度を示したらどうですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 今度の乳価交渉の経過を見てみまして感じますことは、一つは指定生産者団体が出発いたしまして間がない。そういう点もございまして、必ずしも強力な態勢に、十分強力な態勢にあるとは言えない点もあると思うのでございます。そこで、乳価交渉が妥当な形で行なわれますためには、どうしても一方の当事者であります指定生産者団体を強化いたしまして、強力に交渉するという態勢ができなければならないと思う。そこで、私たちのほうは、妥当な価格が形成されますためには、まずもって指定生産者団体の強化が重要な問題であるというふうに考えまして、そのための今後努力をいたしまして、妥当な価格が形成されるようにいたしたいと考えておるわけでございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 生産者団体が強力でないから、乳価交渉がスムーズにいかぬということを盛んに言われるのですが、そのことは不足払い法をつくるときから明らかにわかっていたことなんです。ところが、生産者団体を強化する強化するといったところで、現在の乳業メーカーと酪農民のつながりを見たときに、とてもじゃない、容易なことじゃない。第一酪農の指導事業にしても、乳牛の導入事業にしたって、あらゆるものがメーカーのひもつきでしょう。そういう状態で一体生産者団体の強化をやるのに何年かかると思うのですか。来年でも生産者団体が少なくとも乳業メーカーと対等とはいかないまでも、必ず努力をして交渉する目安があるのか。なかなかそうは言っていても念仏だけでそこまでいかないと思う。だから生産者団体を強化して対等に交渉する時を待っておったら、それまでに日本の酪農は壊滅する。そういうようなゆうちょうなことは言っておられない。生産者団体を強化することは国の施策として当然やるべきことだ。しかしながら、当面の乳価紛争を避けるためには法改正をやらなければどうにもならないというわけでしょう。その点どうですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○説明員(岡田覚夫君) 先生のお話の点でございますけれども、われわれといたしましては、現在不足払い制度ができまして、そのもとで運用を始めたわけでございますが、運用を始めまして、先ほど申し上げましたような指定生産者団体の問題もありまして、乳価の形成が現在までのところうまくいっているというふうには必ずしも考えていないわけでございますが、まずもって現態勢のもとにおいて、いかにして妥当な乳価形成をさせるかということに努力すべきであろうと思うのです。その結果、その乳価の形成について非常に問題があるということになれば、その問題をいかに解決すべきかということは検討すべき問題だと考えますけれども、現在の段階においてまだあらゆる努力をして、その妥当な乳価の形成が行なわれますような努力をなお続けるべきものではないかというふうに現段階においては考えておる次第でございます。

矢山有作日本社会党

○矢山有作君 これでやめますが、法改正の問題を畜産局長を相手に議論をしてもなかなか、じゃやりましょうというわけにはあなたの立場では言えぬでしょう。しかしながら、少なくとも、きょう政務次官のほうからこの乳価紛争の原因は法的欠陥にあるということだけは認識しておられるようなことばがありましたので、私は有力な政務次官がその認識を生かして不足払い制度の抜けたところの穴埋めをやり、法制的な欠陥を是正する努力をあなたが今後やられることを期待し、さらに、これらの問題についてはあらためて農林大臣がお見えになったときにお聞きしたいと思います。  ただ、この問題については十分農林大臣に話しておいてもらいたい。  なお、私は、これまでの中央の交渉の段階で畜産局長が努力しておることは聞いております。しかし、農林大臣までが乗り出していってこの解決に当たったということは寡聞にしてまだ聞いておりません。少なくとも法の趣旨が曲げられて、法自体が踏みにじられようとするようなときに、農林大臣が乗り出していって、この乳価紛争には結末をつけて、法のねらいとするところを守らせるような努力をする責任が私はあるだろうと思うので、そういう点もあわせて農林大臣に伝えておいていただきたいと思います。  これで私は質問を終わります。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) 法改正の問題でございますが、これはこの乳価交渉があくまでも進展しないということであれば、法改正の問題は、これは出てくるはずだと、かように考えております。  なお、大臣が乗り出していないということでございますが、これは私もそのように考えておりまして、大臣が乗り出すべき時期がそろそろ——そろそろという発言は悪いかもしれませんが——来ているような感じがいたしますので、大臣に矢山委員の御意見と同時に私も進言をいたしたい、かように考えております。

山崎斉自由民主党

○委員長(山崎斉君) 本件に関しましては、本日はこの程度にとどめます。     —————————————

山崎斉自由民主党

○委員長(山崎斉君) 次に、北海道における外国漁船の漁業操業並びに寄港問題に関する件を議題といたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 私は、北海道近海における外国漁船による漁業操業並びに寄港の問題について、農林省、外務省当局に対して、若干の質問をいたしたいと思います。  最近、北海道の水産業界は昭和の黒船来航騒ぎにわいております。  その内容を具体的に若干申し上げますと、いままでは自分の海であると思っていた北海道の近海に、ソ連や外国の漁船がやってまいりまして、大規模な漁労方式によってイカやサンマをとり、サケやマスをとり、さらには日本の港に寄港して漁獲物を陸揚げするような情勢があらわれてきておるからであります。ソ連サンマ漁船は、色丹島を根拠にしまして、ここ数年来、大型母船に優秀な漁船を配置して、大規模な漁労体制をもって太平洋沿岸の沖合い三海里近い海域で操業しているのを北海道の漁業者は目撃しております。ことしに入りまして、昭和四十一年七月十一日でございますが、日本海松前町沖合い三海里近い海域でソ連のイカ釣り漁船が操業しているのを地元漁業者が目撃しております。  それから昭和四十一年八月十五日、太平洋日高支庁管内沖合い三海里近い海域で、韓国漁船六隻が黒船港を根拠に底引き網漁業を操業しておりますし、さらに函館を根拠にいたしまして、サケ・マス流し網の試験操業もしており、かつ、八月二十一日にはカレイ等の漁獲物を函館港に陸揚げしていることも事実であります。   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕  このようなソ連あるいは韓国、外国船の漁業操業あるいは陸揚げ、こういったようなものがますます発展してまいりますと、日本の漁業生産の約三分の一を占めております北海道の漁業といたしましては重大な影響があることはおわかりのとおりでございます。しかも、北海道の漁業は沿岸の零細漁業と中小企業によって構成されるのでありまして、このような非常に脆弱な体質を持っております北海道の漁業者といたしましては、まさに死活の問題であります。だから冒頭、申し上げましたように、北海道におきましては昭和の黒船がやってきておるというようなことで、水産業界が非常な大騒ぎをしておるわけであります。  この問題につきましては、新聞紙上によってわれわれ承知いたしておりますところによりますと、政府におきましてもこの事態を認識されまして、いろいろ御心配にもなり、これに対処する方針を九月六日の閣議で決定されたというようなことも出ておるわけでありますが、この際まず、その九月六日の閣議で決定されました内容を明らかにしていただきたいと、かように考えるわけであります。

亀長友義水産庁生産部長

○説明員(亀長友義君) いま御質問のございました北海道周辺における外国漁船の操業につきましては、ただいま御指摘のような事実がございまして、われわれとしても従来、もっとも、他の日本の南の部分あるいは西の部分におきましても若干、外国船の水揚げがありましたが、本年に至りまして、北の北海道方面の水域という分野におきましても、御指摘のような事実が出てまいりましたので、九月六日の閣議におきまして「わが国の漁業秩序維持の観点から、国際取り決めに特別の定めのある場合を際き、外国漁船がわが国の港湾または領海において」漁業を行なったり、あるいは漁業に付随する活動、たとえば水揚げをする、あるいは転載をするというような、こういうような行為を行なうのを制限する、そのため必要な措置を講ずるという閣議決定が行なわれたわけでございます。  この閣議決定の趣旨は、国としての基本的な態度をきめるわけでございまして、具体的な措置につきましては、各種法令の関係もあり、現在の法令でできるものについては実施をするけれども、それについても各省で十分打ち合わせて実施要領をきめていきたい、さらに将来、立法が必要であるかどうかはさらに検討するという性格のものでありまして、いわば、簡単に国としての方針をこの際、閣議で御決定を願ったというようなわけでございます。したがいまして、具体的措置につきましては、これから各省で相談をして、こういう方向でこの問題を処理していきたいという政府の態度を明らかにしていただいたわけでございます。現在のところ、現実には実施を見ておりませんが、逐次、外国船が入港してまいりますので、私どもとしては早急に関係各省で実施の取り扱いをまとめるべく目下、努力中な次第でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 ただいま閣議決定の内容についてお知らせいただいたわけでありますが、新聞によりますというと、この九月六日の閣議決定を水産業界では非常に歓迎しておる模様でございますが、私といたしましては、この内容がきわめて抽象的でございまして十分納得いきませんので、さらにこの問題について若干お尋ねしたいと思うわけでございますが、閣議決定の中に「国際取り決めに特別の定めのある場合を除き、」という表現があるわけでございますが、この「国際取り決めに特別の定めのある場合」ということは具体的にどういうことなのか、現在どのような特別の取りきめがあるのか、現在は別にないけれども、将来あるとすればどのようなことを予想をされてこの「国際取り決めに特別の定めのある場所を除き、」という文言をその中に入れられたのか、それをお聞かせいただきたい。

亀長友義水産庁生産部長

○説明員(亀長友義君) 現在のところ、この文言に該当する国際取りきめによる特別の定めというのは全然ございません。いろいろ通商航海条約というようなものもございますけれども、これは商船に限っておりますので、漁船については何も特別の規定はございません。ただ、こういう決定をする際に、この問題自体がいろいろ国際的な外国の漁船に関することでもあり、将来話し合いがついたら、もちろん日本政府としてもその内容について了承したわけでございますから、そういう場合には当然のこととしてこれは除外例になるのだという、いわば当然のことを記載したにすぎないのであります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 現在はない、将来においてもどのようなことになるのか予想されておらない模様でございますけれども、そういうような状態でなぜこういうような文言を入れなければならなかったのか、その必要性が了解できないのでありますが、外務省欧亜局長にちょっとお尋ね申し上げたいと思うのでありますが、今年六月、七月と相次いで来日いたしましたソ連のイシコフ漁業相あるいはグロムイコ外務大臣は、日本漁船の北洋における安全操業すなわち、北海道沿岸漁民の悲願であります歯舞、色丹を中心とする安全操業を認めるかわりに、現在日本近海に操業しているソ連のサンマ船団、これにも日本寄港を認めよという条件を持ち出したということが報ぜられておるのでありますが、このことと、この閣議決定の「国際取り決めに特別の定めのある場合」というこのことばとが何か関係があるのか。また政府当局はこのイシコフ漁業相、グロムイコ外務大臣のこの要求に対してどのような御見解をとられておるのか、この点をお尋ね申し上げたいと思います。

北原秀雄外務省欧亜局長

○説明員(北原秀雄君) ソ連のイシコフ漁業大臣及びグロムイコ外務大臣の訪日の際に、本件が取り上げられましたことはいま御指摘のとおりでございます。この閣議決定の内容の国際協定云々という点と、このソ連との交渉との関係につきましては一応は関係がございます。しかしながら、閣議決定に入っております文言は、むしろ亀長生産部長から御説明ございましたように、今後起こるべき事態を予想しましての全般的な規定でございます。たとえば現在わが国の漁船は世界各地でそれぞれの港に寄港してこういう場合便宜を得ておるわけでございますが、たとえば大西洋のまん中にございますスペイン領のラスパルマス群島に日本は相当大きなマグロ船その他寄港いたしております。数が多いので日本漁夫の休養のための施設までつくるというふうな事態にまでいっておるわけでございます。今回日本ははじめて漁船の入港問題についての規制の方針を打ち出したわけでありますが、直ちに現地からは、それなれば何らかの一方的なそういう制限は困るので、ある種の国際協定を結ぶ必要があろうというような反響がすでにきております。南アのケープタウンにつきましても問題は同じでございますので、これまで日本の法令上あるいは行政指導上全く盲点になっておりましたこの点につきまして、何らか日本政府が主権の発動として行為をとりますれば、これだけ世界広く活動しております日本の漁船に対する外国政府側からの何らかの反響が必ず出てまいるわけであります。これが全般的な趣旨でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 ただいま局長から御答弁があったわけでありますが、これも新聞の記事によるわけでございますが、九月六日の閣議決定後、椎名外務大臣は記者会見で「今度の決定によりわが国に外国漁船が寄港し積み荷の積み降ろし、燃料補給など漁業操業に付随する活動も一般的に規制されることになったが、とくに条約などで二国間の相互主義の観点から除外することもある。政府は北洋安全操業と関連してソ連側からソ連漁船の日本寄港を求めてきているが、相互主義の観点からなんらかの取決めを結ぶよう検討しているとの考えを明らかにしソ連漁船の日本寄港を認めることもありうるとしている。」というような記事があるわけでございます。  そこで私は、この閣議決定の「特別の定めのある場合」というこの表現は、イシコフ、グロムイコの要求と関連があるのではないかという心配がございましてお尋ねしたわけでありますが、ただいまの欧亜局長の御答弁の中では、世界各国に日本の漁船が、遠い外国に行って寄港しているというような問題、また世界のいろいろな情勢からこういったようなことを肯定されるような御発言があったように聞いたわけでございますけれども、ただ北海道の漁業という立場から申し上げて御見解を承りたいのでありますが、ソ連漁船の寄港を認めるということは、日本近海におけるソ連漁船の操業能率を倍加することになることはこれは御承知のとおりであります。ソ連の最も近代化された大型漁船による大規模な漁労方式によって大衆魚であり、また北海道漁民の最も依存度の高いサンマ、イカ、こういったような魚類が無制限に多量に漁獲された場合、資源維持の面からも憂慮される問題でございますし、また将来その漁獲物が日本の市場に持ち込まれるようなことになりましたならば、日本の沿岸漁民あるいは中小漁業者の受ける痛手はきわめて大きいものがある、かように憂慮されるわけでございます。  そこで水産庁御当局といたしましては、このソ連漁船の日本寄港という問題と北海道を中心とする日本の沿岸漁民、中小漁業、こういったようなものとの関係というのはどういうふうに把握されているか、ひとつ御見解を承りたいと思います。

亀長友義水産庁生産部長

○説明員(亀長友義君) 御指摘のように、北海道並びに東北方面の漁業が、現在アジ、サバあるいはサンマ、イカというようなものにかなり依存しておりまして、国内的にも各種の規制と申しますか、あるいは漁業法に基づく規制を行なって合理的な操業ができるように各種の措置を講じておるわけでございます。したがいまして、われわれとしても外国漁船がそのワク外で日本の漁民に迷惑をかけるということについては非常に憂慮をいたしております。ただ、この寄港の問題に関係いたしましては、別に先ほど新聞記事のお話がございましたが、ソ連側と安全操業について話を継続するその中での一つの話として出てきておるわけでございまして、現在のところ話し合いが行なわれておるというにすぎないのでありまして、別に何も決定があるわけではございません。私どもとしましては、やはり寄港問題も安全操業と同様に日本の漁業に与える影響、あるいはそれによって受ける利益、それによって受ける損失というふうなものを慎重に検討した上でこの問題に対処をすべきだろうと思っております。北海道並びに三陸方面の漁業の問題につきましては、同時にこれは日本側としてももちろんこれはわれわれのつとめでございますけれども、もう少し資源の調査なり、そういう面の科学的な研究をもっと進めていく必要があるだろう、かように痛感をいたしております。外国漁船が出てまいりましても、それが非常に資源の上から害がある、ほんとうに沿岸に害を及ぼすということを、やはりこれはできるだけ科学的な立証をして話を進めるという態度がいまの国際間の漁業問題を解決する一番正しい道じゃないか、かように考えておりますので、そういう方面の調査研究というものもこれから推進をしてまいりたい、かように考えております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 ただいまの水産部長の御答弁は、外国漁船——私はソ連の船のことを申し上げているのですが、非常に近代化されておりまして、大規模な漁業方式によって漁労するわけであります。そのソ連のサンマ漁船が北海道あるいは三陸までいって漁労しておりますことは周知の事実でございます。これが日本の港に寄港する、これは今までの操業実績というものを二倍にも三倍にも拡大していくことになることは、専門家の水産部長十分御承知のことでありまして、それが日本の資源の上にどのような影響があるのか、あるいは漁業者の経営の上にどのような影響があるのかということをこれから十分検討をし調査をしなければわからない、調査した上に立ってその結論を出すというようなことは、私はこの時点においてそんなことは言うまでもなく、必要もないことではないか、これは明々白々のことではないかと思うわけであります。私のお聞きしたいことは、日本にどうもソ連漁船の寄港を許すようである、椎名外務大臣の記者会見のことばから私はそう察しておるのでありますが、しかもこれは北洋安全操業というものと関連して、ソ連側からの要求を相互主義のたてまえから受け入れなければならぬのではないかという政府の御見解のように私は受け取られるわけであります。そこで、私ははっきり政府の御見解をお尋ねしたいのですが、元来、安全操業の要求というものは当然の要求であるわけであります。政府もそのようにお考えだろうと思うのであります。なぜかならば、国後、択捉、歯舞、色丹、この南千島までは日本の固有の領土であるということは、かねがね政府当局が言明しているところでありますし、われわれもさように信じておるのであります。さらにソ連も、平和条約が締結された場合には歯舞、色丹は返還すると言っておるのであります。しかるに、現在ソ連は領海十二海里を主張しております。そこで日本の沿岸漁民が領海の中に入って、しばしばいまだに日本漁船は捕獲されている、これが現実の姿であります。   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕 沿岸漁民が安全操業を血の叫びをもって要求しておることは、まことにこれは哀れなことでありまして、人道上からも、その願いをかなえてやらなければならないことは当然でございます。ソ連の日本近海の操業、寄港の問題とは私は全く別の問題ではないかと思うわけであります。いわゆる安全操業を要求し、政府当局も今日までずいぶん努力されてきておることはわれわれも知っておるわけであります。このことは、いままで何も、ソ連のこの日本の港の寄港とは全く関係なく、別の問題、これは独自の問題としてこの要求をしてきた問題ではないかと思うわけです。それをいまイシコフ、グロムイコ、ソ連の漁業大臣、あるいは外務大臣が参りまして要求した、それを相互主義のたてまえで、この安全操業の問題というものと、ソ連漁船の日本の港への寄港という問題とをからめて考えるということは、そもそもこれは全く根本的に間違いではないか、かように私は考えるわけです。安全操業は安全操業の問題として、この解決のためにわれわれは努力するものであって、ソ連の漁船が日本の港に立ち寄ることを要求してくる問題とからめて、安全操業を実現するためには、この要求をいれてやらなければならぬ、この要求をいれてやることによって安全操業の問題を解決するのだ、こういう考え方は、いままでにやってきたことから考えても、また原則的な問題として考えても、私は間違いではないかと思うわけでありますが、外務省御当局はこの問題についてどういうふうな御見解を持っておられるのか、お聞きしておきたいと思います。

北原秀雄外務省欧亜局長

○説明員(北原秀雄君) 安全操業の過去の経緯につきましては十分御了承のことと思いますので、繰り返すことを省かしていただきますが、一言にして申しますれば、この十年以来、北緯四十八度以南の全部の水域にわたって、距岸三海里までの漁労を要求してきてまいったわけでございます。その後事態はいろいろ推移がございましたが、いろいろな漁業界の条件からであろうと存じますが、樺太及びカムチャッカ方面の出漁というものは非常にその後減ってきたとわれわれは了解しております。そこで、最近に至りましては、一応この安全操業のわが国の主張は、歯舞、色丹、国後、択捉という点に重点を置いてソ連と折衝してまいりました。もちろんわが国の基本的立場から申しまして、歯舞、色丹、国後、択捉、これは日本の領土であるべきものでございます。不幸にして、戦後一方的なソ連の占領によって、全くわが国の施政権から事実上いま離れておる。しかも日ソ共同宣言によって、歯舞、色丹は平和条約ができたときには返すという一応の約束ができておるわけでございます。そういう趣旨からして、従来安全操業というものは過去のそういう特殊な経緯からして、十二海里の領海にもかかわらず、ほんとうを申せば、これは接岸して日本の漁船に漁労を認むべしというのがほんとうの筋の通った要求であろうとは存じます。しかしながら、現在施政権がソ連側にあるというような点も考慮いたしまして、特に、またわが国が沿岸三海里、領海三海里説を唱えております経緯からいたしまして、距岸三海里までの漁労の自由を要求してまいっておるわけでございます。これが一貫したわれわれの立場でございます。ただ、その後いろいろ現地からの安全操業に関する要請は非常に強うございまして、非常に大きな範囲で、あくまでも大きな網をひっかけてやっておってもなかなかこの問題は解決しないのではないか。で、ある意味ではやはり何と申しますか、積み上げ方式といいますか、なしくずし方式においてでもひとつこの問題をぜひとも考えてくれという強い陳情をわれわれは常時受けてまいったわけでございます。そこで水産当局のほうともいろいろ相談いたしまして、一応先方が平和条約ができれば返すと言っております歯舞、色丹を中心にひとつ交渉しようという方針にごく最近変わってまいったわけでございます。で、その交渉の途次において、いま御指摘のソ連側から何らかの意味での代償をくれという要求を出してまいりました。その代償とは何だということで、現在の一応の案としてのいわゆるソ連漁船が日本の港——港と申しませんが、領海内に入ってある種の漁業上の便益をくれという案を出したわけでございます。日ソ間の交渉はそこまでで、一応ソ連ではその代償というベースでなければこの問題はどうしても困るということを主張いたしましたので、それでは一応ここで話は具体的に入らない、しかし、一応その前提で問題を考えてみましょうというところまで日ソ間では話がきております。この代償という考えが、先ほど申しました従来の安全操業に対するわが国の根本的な立場から申しましておかしいじゃないかという御議論は、私はこれはどうしても成立し得る御議論だろうと思います。しかしながら、現実の問題といたしまして、四八以南全部、国後、択捉、歯舞、色丹全部ということでやっておってはどうしても一歩も前進しない。他方、かたがた現地からの強い陳情がございまして、一応そういう方針に変わりつつきたわけでございますが、もちろん今後の日ソ間の交渉といたしまして、われわれは軽々にこういう代償を基礎としてのあれに応ずるということは考えておりません。また、今般の新しい事態といたしまして、韓国のサケ・マス漁労の問題が出てまいります。これも実際にはおそらくよほど大きな漁船を韓国が持ちません限りは、日本の港を利用せずして韓国の漁船がサケ・マス漁労に北太平洋で従事し得るということは不可能なわけであります。あらゆるこういう事態もからんでまいりましたので、私ども事務当局といたしましては新事態をもすべて考慮に入れましてこの問題を検討いたしたいと考えております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 まあこれからの問題でございまして、まだ決定されたことではないと思いますので申し上げておるわけでございますが、いわゆる安全操業ということは、北海道、特に根室あるいは稚内方面におる沿岸漁民のこれはもう悲願でございますから、ぜひ実現されるように努力してもらわなければなりません。特に赤城試案という具体的な案ものっておるわけであります。この案の実現によって、少なくとも歯舞、色丹近海においては三海里までの安全操業はぜひひとつ認めてもらうように今後とも努力してもらわなければなりませんが、そのことの代償として日本の港に寄港する。たとえば北海道における釧路であるとか、あるいは今度は三陸へまいりまして八戸あるいは塩釜、こういったような東北の港にも寄港いたしまして、そして大規模な漁労方式によってサンマをどんどん捕獲するということになりますれば、これはもう日本の業界に対しまして重大な影響を与えることになりますので、その代償によってこれを認めるということは、われわれとしましては絶対にこれは承服できないわけでございます。この点十分ひとつお考えの上に立ってこの問題の解決のために努力をしていただきたいと私は考えておるわけであります。  それから、この閣議決定の問題についてもう一点お聞きしたいのでありますが、「外国漁船がわが国の港湾または領海において漁獲操業およびこれに付随する活動を行なうことを制限する」とありますが、「領海において漁獲操業およびこれに付随する活動を行なうことを制限する」、そうしますと、領海外であれば、すなわち日本は領海三海里でありますので、三海里外であれば制限ができない、何ら規制措置はできないということであるのかどうか、この点、水産庁のほうからお考えをお聞かせ願います。

亀長友義水産庁生産部長

○説明員(亀長友義君) 御承知のように、現在日本は領海三海里というたてまえをとっております。したがいまして、領海外の水域におきましては日本の主権というものは当然及ばないわけでありまして、外国漁船については日本の漁業法も全然効力が及ばないというたてまえであります。したがいまして、いわゆる公海で漁業を営んでおる、それがかりに日本との間に問題を起こす、あるいは資源の保護という点から見て問題があるということであれば、やはりそこへ出漁しておる国と話し合いをしてそこでの漁業を適正なものにするというのが、現在の通常の国際法のもとにおけるいき方であります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 韓国は六隻の船団をもって北海道の幌泉港を根拠にして襟裳拠点で底びき網漁業を操業しております。さらに九隻の船団——これはいずれも韓国の三洋水産会社所属のものでありますが、塩釜、函館両港を根拠にしてサケ・マスの試験操業をやっております。いずれもこれは三海里の外であります。すなわち領海外であります。領海三海里の外側であれば公海自由の原則で何をとってもかってで、文句を言われる筋合いはないということであれば、これはきわめて重大であります。現在の国際法においては、領海の外側における公海は自由であるということは私もよく知っておるわけでありますが、だからといって、領海外は何でもいいのだ、これはもうしょうがないのだということであれば、これはたいへんなことになるわけでありますが、しかたないのだという、こういう御見解ですか、もう一度明らかにしていただきたい。

亀長友義水産庁生産部長

○説明員(亀長友義君) ただいま御指摘の、韓国政府が幌泉港を使用した問題、さらに九隻の船団が塩釜、函館を使用した問題につきましては、現在の段階におきましては、おおむね試験操業、もちろん科学的な調査というよりも商業として成り立つかどうかという意味の調査を含んだ漁業が行なわれたことは事実であります。しかしながら、幌泉港の場合も多分にエンジン故障等の理由もあったようでありますし、塩釜、函館の場合も水揚げ量はごくわずかでありまして、現在のところはそれほど日本漁業に大きな害を与えておるということは断定できません。ただ将来の問題として、韓国はかなりこの水域に日本の援助資金を利用するとかいろいろなことを考えて、漁業の拡大を計画しておるということは事実のようでございます。したがいまして、私どもとして、まず第一に、外国の例等も参考にいたしまして、日本の港を利用することは原則として制限をする、こういう措置をとりあえず閣議できめたわけでございまして、これによって日本の港を根拠地、基地として利用することは不可能になってまいるわけであります。しかしながら、そういうものを利用しないで、それでは公海でとって持って帰ったらどうなるかというお話でございまして、これにつきましては、現在のところ三海里の外におきましては、実際上これを規制する法的根拠というものはないと言わなければならないと思います。しかし、韓国の場合には若干例外がありまして、韓国と日本の間には十二海里まで漁業をしないという、させないということがいつでもできることになっておりますので、韓国の漁船に関する限りは必要があれば日本のすべての沿岸で十二海里までは遠慮をしてもらいたいということが現在の日韓条約ではできることになっております。まあしかし、現在までのところ西日本以外の、北のほうの日本の海につきましては、従来韓国船の進出がなかったのでございまして、したがって、十二海里という線は引いておりませんけれども、これはいつでも必要があれば引ける現在の日韓の約束になっておるわけでございます。ただ漁業のことでございますので、三海里を十二海里に韓国の場合広げてみても、はたしてどれだけの大きな意味があるか、かなり私どもは疑問だと思っております。もちろん効果がないとは言えませんけれども、この韓国船も大体十二海里より遠いところで操業をしております。したがいまして、根本的にはやはり現在の日本のやっておる漁場と、そこへ韓国の漁船がやってきた場合に、資源上どういうふうに魚の永久的な生産力を維持するという面から見てどういう問題があるか、そういう観点からやはり両国が話し合いをして妥当な漁業の操業方法をきめるという行き方が、われわれとしてはすべきことであろうと考えております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 まあ御承知だと思いますが、北海道漁業の実態を若干申し上げますと、現在、北海道の漁業協同組合が管理する共同漁業権は、最高四十八キロから二十五キロ、広大な沿岸海域でありまして、この海域を漁民共同の漁場として漁業操業を保護しておる、こういうような状態にあるわけであります。それから底びき網漁業につきましては、沿岸漁業と漁場の競合が行なわれておりますので、常に紛争摩擦を生じております。そこで両者の協定が、行政指導と相まって行なわれまして、底びき網漁業を禁止する区域が次第に拡大されていっておるということは御承知のとおり、さらにこの底びき操業の禁止期間を大幅に拡大されていっておるのであります。今回韓国の漁船が底びき操業をいたしました海域は、現在日本の底びき漁船の底びき操業が禁止されておる期間中であります。この期間中に操業をやっておる。しかもこれは共同漁業権の中でやっておる。それから漁業改善事業の一つとして、公共事業をもちまして共同漁場の外側に大型漁礁を設置して沿岸漁業者の漁場を造成することに非常に努力されておる、政府がされておるわけであります。  サケ・マスの問題でございますが、サケ・マスのふ化事業につきましては、国は多額の財政投資をしております。漁民も負担しております。そうして長年にわたって鋭意努力を払ってサケ・マス資源の培養につとめておることも御承知のとおりであります。さらにサケ・マス漁業というのは、北海道におきましては父祖伝来のとうとい犠牲と苦闘によって今日まで開発経営されてきたものでありまして、さらに戦後は日ソ漁業条約であるとか、あるいは日・米・カ三国の条約の規制を受けまして、その規制のもとで困難と障害を乗り越えて今日まで来たという、まあ北海道におきましては歴史的な所産であることも御承知のとおりでございます。こういったような北海道の漁業の実態の中で、領海外の漁業操業は自由である、あるいは韓国は日ソ漁業条約に加盟していないので、国際的な拘束は何ら受けないというようなことで、韓国漁船が底びきでも、あるいはサケ・マス漁業でも自由かってにやられましたならば、一体どういうことになるのか。で、これから北海道の沿岸の定置や河川でサケ漁が始まるわけでありますが、三海里の外側ならこれを待ち受けておってどんどんとっても、どんなにとってもこれは自由である、かってであるということになりますれば、北海道漁民にとりましてはこれはがまんができないたいへんなことになるわけです。この点は水産当局では十分御承知と思うわけでありますが、そこで、ただいま生産部長もお話がございましたが、領海三海里、これだけではどうにもならぬ。かりに専管水域十二海里に延ばしたところで、これで万事解決ということでないことは私も承知しております。共同漁業権は二十五キロも、それ以上もついておるところでございますから、専管水域十二海里にきめたところですべてが解決する問題ではございませんけれども、その外側にまた共同規制海域を設けるとか、何らかの措置をとっていかなければこれはどうにもならないのではないか。その何らかの措置というものが、私は一番最後にある閣議決定の「このため必要な措置を講ずるものとする」という、この結論になっておるのではないかと思うのでありますが、「このため必要な措置を講ずる」というこのことばのいわゆる内容です、具体的にこういうことをするんだということがもしまだかりにありましたならば、これをひとつ明らかにしていただきたい。

亀長友義水産庁生産部長

○説明員(亀長友義君) いまるる御指摘のございました北海道における各種の漁業問題については私どもも十分承知をいたしております。また、こういう外国船の進出、特に公海における操業についてどう対処すべきか苦慮をいたしておるわけでございます。今回閣議決定をいたしまして「そのため必要な措置を講ずる」と書いてございますが、これは現在いろいろ考えられる施策の中で、日本が外国の例あるいは現在ある国際的な慣行と申しますか、あるいはそういうものの中で、各国がやっておることで、主権行為としてやれる、いわば日本の国の領土、領海の利用の問題であるから日本国の主権でやれることでとりあえずやろうということでございまして、したがいまして、もちろん間接的には公海でとって日本の港へ売り込む、あるいは日本の港で油や水や食糧を積んで始終日本の港を基地的に使うということはこれで制限ができると思います。しかし、公海でかりに大きな船を持ってきて、そこでとってすぐにまた自分の国に帰るというようなものについては、必ずしもこの閣議決定ではそういう対策とはなり得ないのでございまして、それはまたそれで情勢の進展に応じて相手国と話をするなり何なりの措置を講じなければならないと思います。したがいまして、この閣議決定で申します「必要な措置」と申しますのは、あくまで主権行為に基づく領土領海の利用という面での制限でございまして、具体的に私どもが考えておりますのは、日本の港へ漁獲物を陸揚げする、公海でとってきたものを陸揚げするというようなことをやめてもらおう。それから領海の中へ入ってきてそこで積みかえをして自分の港へ持って帰るというようなこともやめてもらおうというようなことを考えておるわけでございます。そのほか具体的にどの程度までさらにその範囲を広げるかというような問題もございまして、実は農林省だけできめがたいような港湾行政に関連する問題もございますので、これからの研究問題でございますけれども、一般的に申しまして、領海及び港湾使用、領土使用ということに関しまして、日本は、従来野放しと申しますか、国際的には領海は日本の海である、そこは無害航行以外は認められないというのが現在の国際的な慣行であり、また海洋法の条約でも成文化されておるのでありますが、無害航行以外の行為をやった場合に、出先の官憲がこれを執行する国内法というのは現在存在していなかったわけであります。まあそういうふうなものも逐次整備をする。漁業法でできるようなことはなるべく漁業法でやる。できない部分はさらには法令の整備ということも検討したい、かように考えております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 外務省アジア局長にお尋ねしたいんですが、韓国政府は日本への寄港というものに対して相当強い態度で要求されておるように新聞で承知しておるわけでございます。また、もし日本政府が韓国の漁船の寄港を認めないならば、何らかの形で報復処置をとるというようなことを韓国の政府の責任者が言明しておるというようなことを新聞で承知しておるわけでありますが、こういうような韓国の態度、これとにらみ合わせて、ただいま水産庁の生産部長からお話があったわけでありますが、外務省といたしましてはこの日本の港に韓国の漁船が寄港するということを要求されておる、こういうような問題に対してどういうような御見解をおとりになろうとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。

小川平四郎外務省アジア局長

○説明員(小川平四郎君) 韓国が今回の措置に対しまして抗議をしてきていることは事実でございます。日韓友好の精神に反するのではないかというような言い方で言ってきております。しかし、報復処置をとる云々ということにつきましては申しておりません。韓国の新聞その他にはそういう論調が出ておることは事実でございますが、政府当局としてはそういうことを申しておりません。私どもといたしましては、先ほど御指摘のありました点及び水産庁当局から御回答がありました点、全く同意でございまして、日本の漁業秩序の維持ということから、あまり韓国漁船が勝手に入ってくるということは好ましくないと思いますので、水産庁御当局に協力いたしまして、この規制措置の協議を進めているわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 外務当局の態度については了解いたしましたが、そこで、水産庁のほうにさらにお尋ねいたしますが、結局閣議決定にある「必要な措置」というものは、いわゆる主権の及ぼす領土、領海、こういう問題の中で規制していく、したがって、現在のところ領海三海里、これを動かすというようなお考えはないようでございますが、いわゆる領土、すなわちこの韓国船の寄港の問題を制限するということによって、韓国漁船の日本近海における漁業操業、底びき漁業であるとか、あるいはサケ・マス漁業を規制していく、抑制していくというような考えをもとにして、関係各省と相談の上、何らかの法的措置を講ずるというお考えのように私は了解したのでありますけれども、確かに寄港を制限する措置によってある程度は抑制することができると思うのであります。しかし、この寄港を制限することによってこれを完全に規制、抑制するということは、これはとうていできないと思います。現に韓国の三洋水産では、北洋進出五ヵ年計画といたしまして、来年は一万トン級母船と三十隻の独航船一船団を派遣して本格操業に入る、一九七一年までに毎年一船団ずつ増加する予定であるというようなことが二十三日ソウル発の電報で寄せられた記事が新聞に出ております。さらに昨年締結されました日韓条約に基づく日本からの漁業協力資金九千万ドル、請求権資金四千一百四十七万ドル、合計一億三千百四十七万ドルが供与されまして、さらに、この資金と韓国の内貨百五十億五千四百ウォンを使用して韓国水産振興計画案がまとめられ、去る三月六日の韓国国会で承認されたというようなことがまあ伝えられておるわけでございますが、その内容を見ますと、まあかりにその水産計画案の漁船のところだけを見てみましても、今後の一つの計画といたしましては、小型漁船十トン型を一千隻、中型漁船二十トン型を五百隻、それから大型底びき船百トン型を二百隻、中型底びき船五十トン型を七十七隻、巻き網船八十トン型六十統、捕鯨船十隻、近海漁船六十トン型六十隻、遠洋漁船においては、マグロはえなわ船三百トン型九十隻、大型トロール船二千五百トン型九隻といったような計画が、これは真偽のほどは確かでございませんが、こういうような計画ができておるということが報ぜられておる。国会でしかも承認されたということも言われておるわけでございますが、このようにですね、母船式をもってサケ・マスを取りに来る。あるいはこういう大型底びき船によってどんどんやって来る。また沖積み船をもってやって来るというようなことになりますと、これはもう寄港制限という措置だけでとてもこの問題は解決できないのではないか。もちろんサケ・マスについてはこの日ソ漁業条約に基づく四十五度以北のほうは、これはまあA区域のほうはいかぬと思いますが、E区域は自由である。三海里以上自由であるというようなことで、どんどん漁獲されるようなことになればこれはたいへんなことだと思うのですが、こういう点を考えて、まあ私といたしましては、その領海三海里という問題をですね、やはりさらにこれを検討して、専管水域であるとか、あるいはその外側に共同規制水域であるとか、こういうようなものを設けまして、いわゆる海域の中においても操業を抑制すると、規制するという措置を講じてもらわなければこれはまあたいへんなことになるのではないかというような気がするわけでありますが、この点一体水産庁はそういうような必要はないというお考えなのかどうか、ひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。

亀長友義水産庁生産部長

○説明員(亀長友義君) 外国船の進出の問題は、いま御指摘のように、寄港という領土内の行為だけでは本質的には解決できない問題でございます。いま御指摘の点については、われわれも将来どうすべきかということについて実は苦慮をいたしておるわけでございます。ただ共同規制水域というお話がございましたが、やはりそれにしても相手国との話し合いということが基調になるものでございまして、私どもとしましては、もし将来なり近い将来にそういう必要が出てくるということであれば、当然そういう話し合いを進めなければならないと思います。  それから、経済協力に関連しまして、いろいろ韓国側の御計画についてお話がございましたが、御承知のように、日本から日韓条約の締結に伴いまして相当額の経済援助を行っておりまして、その中に漁船に関する部分も相当にございます。ただし、われらとしては、日本が国際条約に加盟をして他国の間にそれを順守する。そうして資源の保護をするというような協定を結んでおるものについては、韓国を第三国、いわば、別の国を援助して横で取らせるというようなことは道義的にも困る。したがって、そういう船をつくることについては韓国としても再考をしてもらいたいということをしばしば申し入れしておるわけであります。  さらに、条約のない、たとえば底びきのような、日本で非常に厳重な規制が行なわれておるというようなことにつきましても、当然われわれとしては韓国がかなり商業的にそういう進出をしてくれば、当然それについては、日本の行政なり漁業秩序というものを尊重してもらいたいという申し入れをすべきものと考えております。いずれにいたしましても、公海の問題は、両国の話し合いということが基調になって、そこでやはり御指摘の共同規制水域であるとか、あるいは共同規制という問題が出てくるのでございまして、実際上そういう必要がいつ出てくるかという点については、韓国はいろいろ日本の援助資金等を当てにして考えているようでございますが、私どもとしては、これについてはもう少し推移を見守る必要があろうかと考えております。したがいまして、そういう必要があるということがはっきりした場合には、当然私が御説明申し上げましたような措置をとるようなことをしなければならなくなると、かように考えております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 時間がおそくなりましたので、その辺でやめますが、私の心配することは、こういう問題について水産庁と外務省の見解がときどき食い違ってくるんではないかというようなことが一番心配なんであります。そういうことがなければこれはけっこうでありますが、これは杞憂にすぎないものであればけっこうでありますが、どうしても生産部長のお考え——農林省のほうのお考えは、やはり日本の漁業を守る、漁業者を守ると、こういうような立場からいろいろ考えられて行政を進められようとします。ところが、外務省のほうは外交関係で、たとえば安全操業の問題についてソ連からそういう話が出てくると、あるいは韓国とのいわゆる外交関係の中でいろいろな要求がなされていると、そうしますというと、外務省は何も日本の漁業者の経営だとか生活だとかいうようなものを主体的に考えるのではなくて、両国の関係をどういうふうにして友好的に進めるかということを第一義的に考えられますと、どうしてもソ連のほうの言い分も相互資源の立場で入れてやらなければならないと、あるいは日韓関係に、せっかく日韓条約が締結されて両国の友好関係が出てきたのであるから、韓国の言い分はできるだけ聞いてやらなければならないと、こういったようなことでもって、行政を進める上において農林省と外務省の見解が食い違ってくると、こういうようなことになるのではないかと、これを非常におそれるわけであります。  そこで私は外務省に対して、いろいろありましょうけれども、今日問題にしたこの問題というものは、特に北海道、北海道だけでなく、これは日本全体の漁業経営者の上に将来大きな影響を及ぼしてくる問題であろうと、かように考えているわけでございますので、ぜひひとつこういう立場からソ連あるいは韓国との外交関係を進めてもらいたいというようなことを希望したいのでありまするが、ひとつ外務当局の御見解をお伺いしておきたいと思います。

北原秀雄外務省欧亜局長

○説明員(北原秀雄君) ただいまの御懸念の点、ひとつ今後とも必ずそれが杞憂に終わりますように私どもできる限りやってまいる覚悟でございます。御指摘のような面が、この問題の今後の取り扱いの途中において出ることは、確かにそういう面はあろうかと存じますが、しかし、外務省といたしましても、これは日本外交の根本的な目的は国益でございますので、その点ひとつ御安心願いたいと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 最後に、大臣がおりませんので政務次官にお尋ねしまして政務次官の御見解を明らかにしていただき、さらに政務次官を通じまして松野農林大臣にお伝えをいただきまして、私がいま申し上げることをひとつ国の水産政策の上にきっちりと打ち立ててもらいたい、こういう考え方で意見を申し上げて御見解をお尋ねしたいと思うわけでございます。  今回このような問題が起きてまいりましたのは、要するに日本政府には漁業政策がない、これにつきましては私、昭和四十年度のこの漁業白書を問題にいたしまして本会議で代表質問をしたときにも申し上げたのでありますが、日本政府は世界的な視野に立って、国際漁業というものが一体どのように進んでおるかというその実態を正しく認識いたしまして、長期的な展望に立って日本の漁業をどう進めていくか、こういうような立場からの確固たる漁業政策というものはないのではないか、沿岸漁業を一体どうするのか、中小漁業はどうあるべきかという一貫した政策を持って水産行政を推進しておらないところに、この根本的な原因があるのではないかと思うわけであります。ソ連の漁船が日本の近海に来た、港に入ってきた、あるいは韓国の漁船が日本の近海で操業を始めた、日本の港に入ってきた、そういう事実があらわれてから今度はびっくりして、一体どうしようか、こうしようかと言ってあわてふためいておる、これが現在の日本の漁業政策というか、漁業行政の実態ではないか、こう思うのであります。過去においては日本の漁業は世界一であり、遠洋漁業は世界の海に雄飛しておりました。しかし、現在はもうだんだん後退いたしまして、漁獲量におきましてもペルーに王座を奪われた、国際漁業はあちらへ行ってもこちらへ行っても壁にぶつかって、だんだんじり貧になっておる。ソ連に追いつかれ、いまや追い越されようとしている。韓国の漁業もどんどん発展してまいっております。世界の後進国の漁業は目ざましい発展をしております。しかるに、わが国の漁業構造は、いまだに近代化されない沿岸の漁業、力の弱い中小漁業が大半を占めております。そうして、いままでは領海三海里、公海漁業の自由をうたって日本の漁船は攻める立場にあってどんどん世界に進出していきましたけれども、いまや攻守ところを変えて、日本の漁業は守る立場になってきておるわけであります。こういったような情勢を正しく把握して対処していかなければたいへんなことになるのではないか、問題が起きてからあわてて対策を考えるのでなくて、先を見越しての政策が必要であります。領海の問題も考えなければならない問題だろうと思うのであります。私の質問に対して佐藤総理は、領海三海里を変える気持ちはないということをはっきりおっしゃっております。しかしながら、韓国はどうか、ソ連はどうか、アメリカはどうか、ニュージーランドはどうか、オーストラリアはどうか、アフリカはどうか、こうやって、いままでは日本の漁船がどんどん発展していったが、世界の各国のこの問題はどういうふうな状態になってきておるか、こういうことに関連して日本の領海も三海里といったようなことでいいのかどうか、こういう問題も考えてみなければならないし、さらに世界第一の漁業国である日本が、漁業に関する四つの国際条約がありますが、あの条約にまた一つも加盟しておらない、こういうふうな問題もどうするかということを考えなければなりませんけれども、この国際協調の関係の中で一体日本の漁業をどう発展させるかということも考えなければいけませんと同時に、あるいは中小漁業振興のための沿岸漁業振興のための強力な施策、要すれば、漁業近代化の具体的な施策を早急に樹立して推進していかない限り、日本の漁業はじり貧の一途をたどりまして、そうしてもう世界の後進国がどんどん発展してまいりまして、今度はそのあとを追わなければならない、そうして日本の沿岸漁民も中小企業も参ってしまう。こういう段階が遠からずくるのではないかということを私はおそれるのであります。そこで、いま申し上げましたような、こういう根本的な一つの対策、施策というものを打ち出して強力に実施していただかなければならない、かように考えますが、農林省の責任者である政務次官の御見解をひとつ承りたいと思うわけであります。そして、もし私のこの考えが間違いでないとするならば、ひとつぜひもう大臣にもお伝えいただいて、松野新任大臣の非常な強力な力によってこの具体的な施策というものを打ち立てて、ぐんぐんひとつ推進していただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。政務次官の御見解を明らかにしていただきたいと思います。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) わが国の漁業が、過去におきまして日本の海軍に守られて、かつまた勤勉な漁民の努力によって世界に進出してまいった。それが終戦後事情が一変した。さらにはまた日本の国内における経済成長政策のひずみが、第一次産業の一つである漁業にもまた出てきたということは全く事実でございまして、川村委員の御発言は私はまさに当を得た御発言であると、ことごとく私の見解と一致すると考えるのでございます。しかし、漁業の問題は、政府の外務省初め、その他の外交関係を初め、諸般の経済政策との関係と関連がございますので、必ずしもわれわれの農林省として考えておることがそのままそのものずばり実現する場合もないかもしれませんが、川村委員の御発言には全面的に賛意を表しまして、松野農林大臣に進言をいたして、十分な御努力をお願いいたしたい。私もまた勉強いたしまして、できるだけ御意思に沿うように努めたいと考えております。なお外務省といえども、日本の漁民を犠牲にして外交を進めるようなことは万あるまいと思う。それは個々の問題につきまして、過程におきまして意見の相違することはままあるかと思いまするが、政府部内における連絡は十分にとってまいりたい、かように考えております。

山崎斉自由民主党

○委員長(山崎斉君) 本件に関しましてはこの程度にしておきます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 資料要求をいたしておきたいと思います。  去る五十一通常国会の中で、野菜生産出荷安定法が成立して実施されている段階でございますが、この施行後における状況について、以下項目別に申し上げますから正確にお取りを願いたいと思います。  一つは政令、省令その他行政通達等及び総需要量と、これに対応する生産計画について、園芸局の方はおらないのでなんですが、よく記録してお願いしたいと思います。これは作目別、地域別に分類して取っていただきたい。こう思います。  それから二番目は、指定作目の消費者価格、小売り価格ですね。それから市場価格及び出荷数量の推移、これは日別に。非常にこまかいわけでございますが、日別に市場別に取っていただきたい。こう思います。  三番目、指定作目別生産費調査、その生産費の中には当然労働費も含めていただきたい。労働費の取り方は論議されるところであろうと思いますが、これは一応米価算定の労働費を基準にしていただきたい。  四番目は、指定出荷と自主的出荷の関連について、これを作目別に数量、そうして指定出荷と自主的出荷の比率、これをひとつ出していただきたい。  五番といたしましては、生産者団体の本法実施に対応する共販体制確立の具体的内容について、  以上五点、私も地方におきましてできるだけ正確な資料を収集してみたいと思いますが、正確にこれを取って、次の委員会までに準備をお願いしたいということでございます。

温水三郎自由民主党

○説明員(温水三郎君) 村田委員の資料要求につきましては、御要求のとおり提出することにいたします。

山崎斉自由民主党

○委員長(山崎斉君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会

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